09/12/09 第52回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録         第52回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 日時 平成21年12月9日(水) 8:30〜9:37 場所 厚生労働省14階職業安定局第1会議室 ○清家部会長 朝早くありがとうございます。委員の皆様お揃いですので、ただいまから第 52回雇用保険部会を開催します。本日の出欠状況は、塩野委員がご欠席です。  議事に移ります。本日の議題は、雇用保険制度についてです。前回は当面の検討課題につ いてご議論いただきましたが、本日は前回の議論を踏まえて、私と事務局で相談させていた だき、事務局に検討のたたき台を準備していただいています。まずそれについてご議論いた だきます。事務局から資料の説明をお願いしますが、その際、先日12月8日に政府におい て、緊急経済対策が決定されているので、その内容も併せてご説明をお願いします。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 まず資料の確認です。資料1「雇用保険制度について(検討の たたき台)」、資料2「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(抄)で、12月8日に閣議 決定された緊急経済対策の関係部分です。資料3「雇用保険制度関係資料」で、これまでも 議論の参考に付けていた資料を抜粋して付けています。状況によりまして適宜ご参照いただ ければと思っています。  資料1です。まず1頁ですが、これまでの項目に沿い、さらにたたき台として、これまで のご議論も踏まえ、書き足したり、修正したりしています。  まず、「当面の優先課題」の1の「適用範囲」ということで、検討の方向性です。「非正規 労働者に対するセーフティネット強化」ということで、現在短時間労働者について、「週所 定労働時間20時間以上、6か月以上の雇用見込み」という適用条件が設けられているが、 特に「6か月以上雇用見込み」の要件のために適用が受けられない者がいる。こうした者に 対しても雇用のセーフティネットが必要であり、離職しても受給資格を得られない層の発生 は懸念されるものの、「週所定労働時間20時間以上31日以上雇用見込み」の者については、 雇用保険の適用対象にすべきではないかということで、現行短時間労働者については「6か 月以上の雇用見込み」を必要としていますが、その部分について、「31日以上の雇用見込み」 にすべきではないかということです。  その際、離職と受給を繰り返す層の発生の防止や、雇用保険財政への影響を考慮し、現行 の受給資格要件は維持すべきではないかということで、適用の範囲を拡大した場合であって も、現行の非自発の場合は1年のうち6か月以上、自発の場合は2年のうち12か月以上と いう受給資格要件は維持することとすべきではないかということです。  また、31日以上に拡大するに伴い、事業主の方の事務手続きも増えますので、被保険者 資格の取得の手続きについて、事業主の事務負担が増加することを考慮し、事務の簡素化を 検討すべきではないか。なお、一般被保険者の範囲が拡大することに伴い、短期雇用特例被 保険者や日雇労働被保険者との関係について、必要な整理を行うべきではないかということ で、適用範囲を31日以上ということに伴いまして、技術的な部分もありますが、現行の短 期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者の法的な整理をすべきではないかということです。  資料2をご覧ください。1頁が、昨日閣議決定された緊急経済対策です。大きな柱として は、雇用、環境、景気とあります。その大きな柱の雇用の関係部分です。いまの説明の関係 で、下のほうに「雇用保険制度の機能強化」があります。  この中で1つ目のポツで、「非正規労働者に対するセーフティネット機能強化の観点から 適用範囲の拡大について検討を進める」とされています。  資料1にお戻りください。1頁の下の段です。「雇用保険に未加入であった者への対応」 です。これまでも、雇用保険に未加入であった場合に、2年間は遡及適用できることを説明 してきたところですが、それについての対応を書いています。  事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったことにより、雇用保険に未加入となって いた者について、被保険者であったことが確認された日から2年前まで遡及して適用できる ことになっているが、2年以上前の期間において、事業主から保険料を控除されていたこと が確認された場合については、2年を超えて遡及して適用できることとしてはどうかという ことです。現行は2年となっている遡及適用の場合について、一定の場合は2年を超えて遡 及適用できるようにしてはどうかということです。  また、2年を超える遡及適用の対象となった労働者を雇用していた事業主のうち、事業所 全体として雇用関係成立届を提出しておらず、保険料を納付していないことが明らかな場合 には、保険料の納付に関し、事業主に対して一定の措置を講ずることを検討すべきではない かということです。遡及をしたものの、その事業所自体として保険関係の成立届を出してい ない場合については、一定の対処をすることとしてはどうかということです。  さらに、これまでの議論でも、被保険者であることを労働者が確認することが徹底されて いないのではないかということでした。遡及適用を行うことが発生することを防止するため、 事業主を通じて、被保険者である労働者に雇用保険被保険者証を交付することを確実に履行 するとともに、労働者がこれを保有しているか自ら確認することを促すなど、雇用保険の適 用手続きについて、運用面での必要な改善を図るべきではないかということです。現行でも 雇用保険被保険者証を交付する、また労働者がハローワークに問い合わせれば確認できると いうことがありますが、こういった運用面について必要な改善を図るべきではないかという ことです。  続いて2の「財政運営について」です。「失業等給付に係る国庫負担について」の検討の 方向性です。「雇用保険の財政基盤の確保」です。失業等給付に係る国庫負担割合は、平成 19年度から暫定措置として法律の本則(1/4)の55%、具体的には(13.75%)とされている。雇 用保険の保険事故である失業については、政府の経済対策、雇用対策と関係が深く、政府も その責任を担うべきであり、失業等給付に係る国庫負担割合は、法律の本則である4分の1 とすべきではないかとしています。  資料2の「緊急経済対策」をご覧ください。この国庫負担の関係では、「雇用保険制度の 機能強化」の2ポツ、3ポツとして盛り込まれています。  具体的にご紹介します。ポツの2つ目です。雇用調整助成金の要件緩和に合わせ、平成 22年度からの失業等給付に係る国庫負担の引上げについては、雇用保険制度の安定的な運 営を確保するため平成21年度補正予算において対応する。平成23年度以降については、 平成23年度予算編成過程において検討し、安定財源を確保した上で、国庫負担を本則(25%) に戻す。これを雇用保険法の改正に盛り込む。昨日決定された緊急経済対策の中でも、雇用 保険の国庫負担について、一定の対応をしようとしているところです。  検討のたたき台においては、法律の本則である4分の1とすべきではないかとしています が、昨日決定された閣議決定における雇用保険の国庫負担の扱いも踏まえ、今後ご議論いた だければと考えています。  資料1にお戻りください。(2)「雇用保険二事業の安定的な運営の確保について」です。 検討の方向性は、「雇用失業情勢及び雇用安定資金残高の状況」。平成20年度の決算後にお いては、雇用安定資金残高は約1兆260億円となったところであるが、平成21年度末(予 算ベース)では約3,552億円、平成22年度末(概算要求ベース)では約1,146億円の見込 みとなっており、雇用調整助成金をはじめ、現下の雇用失業情勢に対応した雇用対策を実施 していくため、雇用保険二事業の安定的な運営の確保が必要になっている。こうした中で、 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」において、雇用調整助成金の要件緩和が決定さ れ、雇用保険二事業から更なる支出が必要となっており、雇用保険二事業の財源不足を解消 するための方策を検討することが必要となっている。  資料2をご覧ください。上段のほうです。この中に「雇用調整助成金の要件緩和」の具体 的な措置として、雇用調整助成金の「生産量要件」の緩和とありまして、雇用調整助成金の 「生産量要件」について、現行要件に加え、赤字の企業については企業規模にかかわらず、 「前々年比10%以上減」の場合にも支給対象とすることとし、本年12月から実施するとし ています。  具体的には、この中で中小企業の赤字企業について、要件を緩和することについては、12 月2日からすでに要件緩和を実施しています。中小企業以外の赤字企業については、12月 中に実施しようということで準備を進めています。  いま申し上げましたように、こういった中で雇用調整助成金の「生産量要件」も緩和する ということで、さらなる支出増が見込まれますので、先ほど課題のところでご説明した平成 21年度末の安定資金残高3,552億円、平成22年度末の安定資金残高1,146億円が、さらに 少なくなっていくことが見込まれるので、雇用保険二事業の財源不足を解消する方策の検討 が必要となってきます。  資料1のたたき台の続きです。一方で、失業等給付に係る積立金については、雇用失業情 勢が厳しい中で失業等給付が増加し、平成21年度は約8,000億円取り崩すことが必要な状 況となっているものの、平成22年度末における残高は約4兆4,000億円と見込まれている。 こうした状況も勘案し、雇用保険二事業の財源不足を補うため、どのような方策が考えられ るかということです。  いま申し上げましたように、雇用保険二事業は支出が増大していくことが見込まれますの で、財源を確保する必要が出てきます。そういった中で、例えば一般財源から雇用保険二事 業の財源を補うこともあるわけですが、国の財政状況全体として非常に厳しい中で、そうい ったことも難しい状況にあります。そういった場合に、雇用保険二事業の財源不足を補うた めには、例えば他からの借入れも選択肢としてあります。その中で他からの場合については、 同じ雇用保険の雇用勘定である失業等給付の積立金、上のほうで平成22年度末の残高は4 兆4,000億円と見込まれると申し上げました。そういった失業等給付の積立金から借り入れ ることも選択肢の1つではないかと考えていますので、そういったことも含め、どのような 方策が考えられるかをご議論いただければと考えています。  また、平成22年度の雇用保険二事業に係る保険料率について、どのように考えるかです。 これは雇用保険二事業に係る保険料率については、平成20年度の決算により、料率が決ま ってくるということで、法律の規定に従えば、平成20年度の決算で、安定資金残高は約1 兆260億円あることを前提に考えられます。そうしますと、標準が1,000分の3.5の保険 料率が弾力条項により、1,000分の3.0に引き下がる状態になります。上で記載したように、 二事業財源が非常に厳しい、また場合によっては他からの借入れもしなければならないとい った状況で、平成20年度の1兆円を前提に、弾力条項を発動し、標準よりも料率を引き下 げたままでいいか。それとも場合によってはこのように厳しい中ですので、本来の料率であ る1,000分の3.5までは戻すこともあるのではないかということす。そういったことも含め て、雇用保険二事業に係る保険料率について、今後ご議論いただければと考えています。  続いて3頁です。(3)「平成22年度の失業等給付に係る雇用保険料率について」です。検 討の方向性は、「雇用失業情勢及び積立金残高の状況」。平成22年度の失業等給付に係る保 険料率については、厳しい雇用失業情勢が続くことが懸念される中で、失業等給付に係る収 支の悪化は懸念されるものの、平成21年度の保険料率が8/1000となっていることや積立 金の状況を勘案し、弾力条項により0.4%引き下げることとしてはどうか。これについては、 失業等給付の保険料率については、平成21年度限りの措置として、1,000分の8に引き下 げられておりますが、標準は16/1000が標準になっています。その中で積立金の状況を勘 案し、弾力条項により4/1000の範囲で引き下げることができますが、その中でも引き下げ ることのできる最大限の0.4%としてはどうかというものです。  続いてIIの「その他」です。1つ目の「平成21年1月7日の雇用保険部会報告において、 『今後の検討課題』とされた事項(65歳以降への対処等)等について」です。検討の方向 性は、マルチジョブホルダーへの対応、65歳以降への対処、基本手当のあり方、高年齢雇 用継続給付のあり方、教育訓練給付のあり方など、上記I以外の諸課題については、今後の 雇用失業情勢や社会情勢、高齢者雇用を取り巻く状況等を勘案しつつ、引き続き検討をして いくこととすべきではないか。緊急の当面の課題のほかのものについては、引き続きの検討 課題としてはどうかということです。  2「訓練期間中の生活を保障する制度の恒久化について」。検討の方向性は、緊急人材育成 支援事業として、現在実施している訓練期間中の生活保障については、雇用保険を受給でき ないものに対する「第2のセーフティネット」として、必要な施策であることから、同事業 が終了する平成23年度以降は恒久的な制度とすべきではないか。このため給付対象者の範 囲、給付の内容をはじめとする制度の基本的な仕組みについて、雇用保険の適用範囲との関 係も考慮しつつ、現行事業の実施状況を十分に把握した上で、当部会において引き続き検討 を進めていくべきではないか。  訓練期間中の生活を保障する緊急人材育成支援事業については、これまでも実施状況につ いてご報告させていただいていましたが、これを恒久化すべきではないか。また恒久化に当 たり、制度の基本的な仕組みについて、当部会において引き続き検討をすべきではないかと するのが、検討の方向性の案です。これについても緊急経済対策に記載があるので、ご紹介 します。  資料2です。下の段の「雇用・生活保障システムの確立」の○の1つ目です。「トランポ リン型の『第2のセーフティネット』の確立」です。非正規労働者や長期失業者等に対し、 職業訓練とその期間中の生活保障を行う求職者支援制度の創設に向けた検討。このように緊 急経済対策の中にも検討規定が盛り込まれています。以上が資料です。 ○清家部会長 ただいまのご説明の内容について、ご意見、ご質問等がありましたらお願い します。 ○豊島委員 緊急経済対策の「失業給付に係る国庫負担の引上げ」についての説明で、平成 21年度補正予算において対応するということでした。この中身がわからないと話ができな いので、中身がわかれば教えていただきたいと思います。  それから、いまの資料1の1頁の下から2行目に、「事業主に対して一定の措置を講じる ことを検討すべきではないか」とあります。私の知り合いも会社をやったり、会社の役員を やっており、従業員を雇っていてこのようなことをする人は会社を経営する資格はない、と いう人もいますが、私もそう思います。これについて、具体的にはどのようなことを考えて いるのでしょうか。  それから、2頁の下半分ですが、雇用安定資金残高の現状説明をいただき、一方で失業給 付に係る積立金の説明をいただき、この2つが出てくれば、いまの経済状勢が厳しい中で、 とりあえずは借り入れる方向での提案がありました。緊急避難としてこのような考え方を示 されているのだと思います。  私の考え方が間違っていれば教えていただかないといけないと思うのですが、雇用保険二 事業は、第一義的には使用者の責任において実施しているものだと理解しています。これを どうするかというのは、まずは使用者団体の中で、その責任において、どうしていくのか、 このような経済に至らしめた責任を国に求めて、一般会計から出せというのか。もう一遍こ ういう状況に陥らせたのは使用者団体である我々の責任だから、ここは厳しいが、いまは仕 方ないけれども、将来的にはこの料率を上げることを検討するのか。そういうこともあって 然るべきだと思っていますので、リーマンショック以降の100年に1度の経済状況、いま 申し上げたように、使用者団体の皆さんの考え方をお伺いしたいと思います。  それから、訓練期間中の生活を保障する制度の恒久化については、書いてあるとおりの方 向性でいいと思います。前回、公益の先生方からいろいろなご指摘がありましたが、早く詰 めていただきたいと思います。  先ほどの2頁の下半分に関して言えば、約4兆4,000億円と見込まれる残高も、平成15 年改正のあの厳しい議論の中で、改正を行ったからこれがあるわけで、そのことも考えに入 れて検討していただければと思います。 ○清家部会長 まず事務局からお答えいただき、そのあと使用者側の委員からご意見があれ ばお願いします。 ○坂口雇用保険課長 まず1点目は、昨日閣議決定された緊急経済対策の「雇用保険制度の 機能強化」の2ポツの平成21年度補正予算に対応するという説明の部分です。いまご指摘 いただいたように、この記述だけでは全体の金額等の内容もありませんので、抽象的でわか りにくいというご指摘かとも思います。  今日お配りしていないところでは、おおよその金額の状況も公表されています。これは補 正予算ですので、今後政府で補正予算の編成作業を行い、補正予算としての政府予算案をま とめるということです。この経済対策の決定に当たり、私どもとしての共通の理解として考 えている内容としては、2ポツでの補正予算への対応については、一般財源から約3,500億 円を雇用保険の労働保険特別会計雇用勘定に投入することを、ここでは意味すると考えてい ます。具体的にここの記述で、従前この雇用保険部会でも、平成22年度の国庫負担割合に ついてもご議論いただきました。従前にもご紹介しましたとおり、平成22年度に現行の国 庫負担率が13.75%ということで、暫定的に引き下げられているわけですが、それを原則の 25%に引き上げることになると、所要の国庫負担額として、約2,500億円強の額が必要と なります。  いま申し上げた2つ目のポツでは、平成21年度の補正予算において、給付費に充当する 形として、一般財源の3,500億円を投入することを考えています。わかりにくいのですが、 平成21年度の国庫負担割合は13.75%ですが、大幅な国費を投入するということで、結果 的には平成21年度の労使の保険料で充当する支出額が減って、それが積立金を介して平成 22年度にも使用できるということで、結果的に平成22年度の国庫負担引上額相当を大幅に 上回る3,500億円を活用することができるということです。いわば4分の1の議論につい ても、いろいろご議論いただきましたが、実質的な国の責任という意味での雇用保険での中 での役割を果たせるという意味合いを、この2つ目のポツで言っていると考えています。  2つ目の、たたき台の1頁の「雇用保険未加入であった者への対応」の中書きの遡及適用 の2つ目のパラグラフです。いまもおっしゃったとおりで、私どもとしても、こういった雇 用保険の未加入という事態が発生しないように持っていくことが重要ですので、たたき台の 「さらに」以降を労使の皆様にもご協力をいただきながら、しっかり対応することが大事だ と思っています。このような未加入であった場合の対応が起こる、あるいは雇用保険を控除 されていたことがあるにもかかわらずということになりますと、悪質なケースか、本当にう っかりというケースになります。後者の部分はしっかりと防いでいくということですが、前 者等の場合は、保険制度としてはよくないことですので、ここでは検討すべきではないかと いうことで、皆様方への投掛けもさせていただいております。我々としても法制的にも詰め る点があるわけです。本質的な保険料の徴収に当たっては、保険料の徴収時効というのがあ ります。ここでは保険料納付に関して一定の措置ということで、例えば2年の徴収時効を超 えて保険料の納付を勧奨する制度を創設することも、こういった制度の枠組みを作るに当た って、併せて検討することができないかということで考えています。  3点目は使用者団体への投掛けですが、私どもも先ほど補佐から提案した積立金から二事 業への貸出し、借入れについて申し上げました。客観的に見て、雇用調整助成金等に要する 費用について、いまの景気動向等を考えると、従前のご議論についても、私どもとしてはそ のような理解をしているのですが、足元の段階で大幅な二事業率の引上げは困難ではないか と考えています。  ただ、おっしゃったとおり、積立金残高が保険者22年度末で4兆4,000億円が見込まれ ていることは、昨年度の雇用保険法の改正のときにも、労のみならず公使の方からもご指摘 いただいたとおりです。これまでの雇用保険の制度の見直し、あるいは景気の動向もありま すが、そういったものの全体の積重ねで、こういった積立金の額になっていることについて は、事務局としても十分に認識した上で、制度運営に当たりたいと思っています。 ○清家部会長 使用者側からございますか。 ○遠藤委員 先ほどご質問をいただいた点も含め、たたき台について意見を申し上げます。 1頁の被保険者の範囲拡大に係る部分として、3つ目のパラグラフに書いてあることです。 適用範囲を拡大する場合においては、これまでも繰り返し指摘していますが、就労行動への 影響が十分に考えられます。さらに、保険財政への影響もあります。この辺について十分考 慮することは必要ですし、しなければならないと考えています。ここに書かれているように、 「現行の受給資格要件は維持することとすべき」という考え方は妥当であると考えています。 これが1点目です。  1頁後段についてです。2年前まで遡及はできるけれども、それを超えるものについては 遡及できないことへの救済措置については必要ではないかと考えています。  1頁最終行から2頁にかかるところですが、1つの手立てとして「被保険者証を交付する ことを確実に履行する」と書かれています。ここでの事業主のかかわりについては、現状も あくまで協力するということですから、この辺は十分踏まえた形で、今後の対応を考えてい ただければと思っています。  2頁の後段以降の「雇用保険二事業の安定的な運営の確保」の部分は、ご質問に係る部分 です。私どもも、これまで応分の責任を果たしてきたつもりでいますし、今後も果たしてい くつもりです。ただ、今般のような緊急的な状況下に置かれることについて、これを事業主 の責任ということで言われてしまうと、そうではない部分もあるわけです。今回のような状 況を誰が想定し得たのかということも考えますと、それぞれの方々ができる限り連携、協力 して対応していくことが、いまの現実的な選択肢ではないかと思っています。その辺を踏ま えて、今後どのように考えていくのかについては、この審議会でもう少し詰めていくことが 必要だと思います。  いまのことについてもう1点申し上げます。二事業については、これまで平事ではPDCA サイクルにより回していたということですが、緊急時にあっては、いままでとは違う目でも う一度精査し、緊急度合いも勘案して、優先順位をどうするのか、場合によっては予算配分 を変えたり、事業を一部停止することも含めて、事業の中を見ていくことも、今後求められ てくるということは言えると思っています。  3頁以降については、ここに書いてある方向で考えていくことに何らの異論はないと考え ています。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○小林委員 使用者側の意見ということですので、私からも一言言わせていただきます。ま ず、雇調金の要件緩和、中小企業緊急雇用安定助成金についても、いち早くご対応いただき まして、厚く御礼申し上げます。  国庫の負担についても、審議会でかなり議論していましたが、平成23年度からという形 での法律への盛り込みで、できれば平成22年度からというのが望ましいところですが、国 の財政の関係で考えなければならないことが多々あると思いますので、この辺も行政のほう も果たしていただいたのかなと評価させていただきます。  先ほどの雇用保険二事業の件です。今回かなりマイナスの状況になっているというのは、 雇調金をはじめとする、緊急的な状況での支出が増えたからだと思います。この責任はどこ にあるのかというお答えですが、これが使用者にあるのかと言われると、世界的な状況です ので、国だけではなくて世界の問題だという感じもします。  その中で、この赤字について、本当は一般の財源を投入していただきたかったというのが、 強い気持です。なぜ失業等給付のほうに投入するのかが、私にはわかりにくいという状況で す。そもそも雇調金自体は失業を防ぐため、雇用の確保維持のための形ですので、失業等給 付が増えなかった1つの要因でもあるわけですから、これはなぜ失業等給付に国庫が入るの かが、ちょっとわかりにくいところです。財政的に赤になったのだったら、失業等給付から 借り入れることも必要なのかなと思いますが、その辺はわかりにくいと思います。  もう1つお伺いしたいのですが、借り入れた場合です。人からお金を借り入れると利息が かかることがありますが、これは無利息なのか利息でやるのか、その辺の考え方まで決まっ ているのでしょうか。 ○坂口雇用保険課長 いまの最後の点ですが、二事業の財政不足を解消するための方策とし てということで、積立金の活用については、先ほど1つの考え方として事務局からの提案を させていただきました。そういった方策について、部会として併せてご検討をいただくとい う段階かと思っていますので、事務局として、いまの段階で詳細な設計をしているわけでは ありません。  言ってみれば、積立金は労使の保険料で成り立っている、労働保険特別会計雇用勘定の中 の1つの部分と、それを消費者側の方々の保険料で賄われている二事業の経費ということで すので、将来的には返還していくので、そういう雇用勘定間の中ということであれば、利子 を付けないことも方策として考えられると考えています。 ○豊島委員 1つだけ誤解を解きたいのは、いまの状況は使用者側の責任だと言っているの ではなくて、いまおっしゃったとおりだと思います。いままみたいな立場ではっきり発信し ていただいたほうがわかりやすいし、国庫負担、雇調金の延長緩和にしても、連合を中心に 取り組んでおられますし、皆さんも取り組んでいただいているわけです。必要なところは連 携することになるのでしょうし、二事業の配分のことにも触れられましたが、以前と違って、 このようなこともあり得るということを想定できていなかったのは事実でありまして、その ことは反省すべきということで申し上げた次第です。  それと、また借り入れるわけですから、これからはどうしていくのかをきちんと検討して いかなければならないと思っていますので、よろしくお願いします。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○古川委員 雇用調整助成金については、連合が要求していたとおりにやっていただいて感 謝しています。早く中小企業以外も適用になることをみんな待っています。  遡及適用の、被保険者証のところです。最近新しく被保険者になられた方は被保険者証が 交付されていると思うのですが、昔被保険者になった人は、大体は会社が年金手帳に被保険 者証をホチキスで止めて、預っていて、退職するときに渡すのがほとんどでした。だから、 現役中には年金手帳、雇用保険の被保険者証を見たことのない人はかなりいると思います。 ちゃんと渡さなければいけないことを周知徹底していただきたいと思います。  それから、これはお金もかかることなのですが、これからは被保険者証のスタイルも考え なければいけないと思います。ペラペラの紙1枚だと、なくすのではないかということで、 預ってしまうことがあると思います。その点もこれから考えていかなければならないと思い ます。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○栗田委員 3頁の保険料率の提起の仕方です。平成21年度の保険料率が8/1000となって いること、弾力条項で0.4%引き下げることとしてはどうか、という方向性が出されている のですが、誤解されるような書き方だと思います。8/1000となっていることではなく、い まの雇用の緊急的な非常事態ということを受けると、もともとの16/1000の本則ですべき ではないのか。その上で弾力条項を使って、0.4%に引き下げることということで、ここの 中でこれまで議論してきたのではないかと思うのです。誤解を受けやすい表記になっている と思います。 ○坂口雇用保険課長 いまご指摘のあったとおり、8/1000になっているというのは、昨年 もいろいろなご議論があった中でということで、あくまでも中心となる保険料率は16/1000 の法定料率の中での弾力発動ではあります。ここに書いてあるので、前の頁が、いろいろな 形で二事業あるいは国庫の問題で、ベクトルとして引上げと言ったり、あるいはお金を出す という部分があるので、いまはイレギュラーに下がっているという趣旨を書こうということ で、検討の方向性の中でこのような記述をさせていただきました。また今日の議論を踏まえ て、報告書のたたき台を作る際には、そういった点にも注意をしながら記述させていただき ます。 ○遠藤委員 事務局に2点ご質問があります。まず、資料1のたたき台の1頁目です。被 保険者範囲の拡大に伴うことで、事業主の事務負担の増加が想定されることから、手続きの 簡素化を検討すべきではないかと書いてあります。是非この手続きの簡素化は進めていただ きたいと思っているのですが、具体的に想定し得るものが何かありましたら教えていただき たいというのが1点です。  それから、3頁の「その他」の「訓練期間中の生活を保障する制度の恒久化」にかかわる ことだと思うのですが、緊急経済対策の抜粋資料の中には入っていない部分で、「未就職卒 業者向け職業訓練の実施及び訓練・生活支援給付の拡充」といった項目も別途ありますので、 ここに書かれている中身についても、何かご説明いただけるものがあればお願いします。 ○坂口雇用保険課長 まず1点目の適用拡大に当たっての手続きの簡素化の問題です。この 点については、これまでも部会で適用の拡大の議論をいただく際に、大幅な適用拡大になる から、事業主を中心としての事務負担が増加するという議論がありました。いま事務局とし ても、どういったものができるかを並行して詰めています。  その中で、先ほど被保険者資格を取得された場合の取得の届出のことがありましたが、翌 月の10日までに取得の届出を提出していただくことになります。現在もその届出に当たっ ては、記載内容の確認を確実に行うためということで、賃金台帳、労働者名簿を資料として 添付していただいたり、閲覧しているという取扱いをしています。  今回の適用拡大となると、20時間以上の方については、ほぼ適用になるということで届 出を必ず出していただくことになります。そういった意味では、できるだけ事業主のご負担 の軽減も含めて、例えば初めて雇用された人が雇われた場合とか、不正受給が過去にあった ケース、期間を経過しているというケースは、なかなか難しいと思うのですが、それ以外の ケースについては、先ほどのような書類について、例えば添付書類は付けなくてもいいとい う手続きの簡素化もできないかということを、いま事務局で検討している段階です。  最終的には、この部会報告をおまとめいただき、このような方向での制度見直しをやると いうことになれば、施行に間に合うように、そういった点についても皆様方にお諮りした上 で、そのような措置を確実なものにしたいと考えています。 ○宮川職業安定局総務課長 昨日の緊急経済対策の中で、新卒者支援の強化が1つ大きな柱 になっていまして、具体的な施策として、いまご指摘のありました未就職卒業者の就職支援 の強化が内容として盛り込まれています。  具体的には、その中で新卒者に対する体験雇用事業の創設というのがありまして、未就職 卒業者の体験雇用を受け入れる事業主に対して、奨励金を支給する制度を考えています。そ れと併せて、未就職卒業者向けの職業訓練の実施とか、重点分野における雇用創造を行って いこうという中での、未就職卒業者への雇用の配慮という内容が入っています。  ご指摘の問題については、未就職卒業者に対して、体験雇用を受け入れてくれる事業主に 対する奨励金の支給により、未就職だけれどもトライアル雇用的なものも含めた体験雇用を やっていただく事業主に対して、助成金を支給する制度を考えているものです。具体的には 今度の補正の形になると思いますので、いま現在制度設計を、併せて財政面での対応を検討 中です。 ○長谷川委員 遠藤さんと同じことを思っていまして、今日はしっかりと言わなければいけ ないと思っています。8日に公表された緊急経済対策の中で、きっちりと認識しておかなけ ればいけないのは、全文の中で、例えば6頁の貧困求職者対策で、同じような表現があるわ けです。例えば「職業訓練とその期間中の生活保障を行う求職者支援制度の創設に向けた検 討」とあります。これは、これから私たちが検討するものと少し被る可能性があります。  その次に、7頁です。新卒者に対して、未就職卒業者への就職支援の強化というところで、 新卒者体験雇用事業の創設とありますが、これも表現として危ないのです。「未就職卒業者 向け職業訓練の実施及び訓練・生活支援給付の拡充」とありますが、これも被るのです。9 頁にくると、「トランポリン型の第2のセーフティネットの創設」と3つあるのです。これ から私たちが検討しようとする、「第2のセーフティネット」と被っているような気がする のです。これはきっちりと分けてほしいです。  そして、対象者をはっきりさせてほしいのです。これから雇用保険部会で議論する「第2 のセーフティネット」は、雇用保険から漏れた人とか、いままで働いてきたけれども雇用保 険には入れなかったり、そのような人が対象だと思うのです。それでずっと議論してきまし た。いまこのような状況だけれども、訓練して、また働くところへ戻していく。それと6 頁の貧困求職者のものは対象者が違うと思うのです。これはもう少し別のスキームを作らな ければ駄目だと思っているのです。それと、高卒や大卒で就職できなかった人も別なものを 作らなくてはいけなくて、実際は3つとも対象者が違うのです。それを「第2のセーフティ ネット」で全部被ってくると、これは大変な話なので、ここで制度設計をするときは、対象 者を明確にしながら、どのような制度設計をするのか。3つあることについて、きっちりと 認識しておいたほうがいいのです。この表現を見ると、全部「第2のセーフティネット」に 持ってこられる可能性があるので、これは全部分けてほしいと思っています。私は遠藤さん と同じで、2つではなくて実は3つだったことを認識しておいて、ターゲットをきちんと分 けて制度設計をしましょうということは、意見として述べておきます。「第2のセーフティ ネット」でやろうとするきらいがあるので、これは全部違うということをはっきりさせてお いたほうがいいと思います。答弁は結構です。 ○清家部会長 ほかにございますか。。 ○三木委員 適用範囲の拡大については、拡大することは当然だと思うので異存はありませ ん。31日以上の雇用見込みというのも、これはこれで評価します。ただ、20時間の関係の 適用対象が413万人の予測数がありますし、そこら辺についても、あとの課題のマルチジ ョブの関係とも絡みますが、今後必要な事項については、検討課題にしていただきたいと思 います。  それから、先ほど豊島委員がご質問した中で、未加入者への対応で、2段目で、「保険料 の納付に関して事業主に一定の措置を講ずることを検討すべきではないか」ということがあ ったと思うのですが、これについてのお答えがなかったように思うのです。雇用保険は強制 保険ですし、ある意味ではきちんとした措置をすべきだと私も考えますので、そこら辺の考 え方はあるのでしょうか。 ○坂口雇用保険課長 先ほどの補正予算の関係の説明が長くなったもので、その点の説明が わかりにくかったかと思います。申し訳ございませんでした。  いまもおっしゃったとおり、強制徴収ではあるのですが、その枠組みの中で、2年間の徴 収時効という問題もあるので、どのような形でここの一定の措置を講ずるかについては、い ま事務局としても検討しています。例えば悪意があるような、保険関係の成立も提出してい ないでこのようなケースになっているということについては、2年の徴収時効を超えての保 険料の納付勧奨の仕組みを作ることができないかを検討しています。  適用の20時間未満の部分については、私どもとしても、これまでのご議論の中では、単 独で20時間未満のところだけを取り上げて適用拡大というのは、皆様方の中でも、雇用保 険の役割から考えると難しいということかなと思っていたのですが、いま三木委員からご指 摘があったとおり、マルチジョブには、そういった短い方の問題もかかわってくると思いま す。我々とすると、そういった点も含めて、マルチジョブの問題でもご議論を引き続きいた だければと思っています。部会としても、今後引き続きの課題かと思っています。 ○長谷川委員 まず1つは、「雇用保険二事業の安定的な運営の確保について」の項目です。 今回の経済状況については、世界的な同時不況だったわけでありまして、労使同じような意 見を持っていると思うのです。このようなときに、政府は何をするのかが問われるのだと思 うのです。政府はしっかりと雇用対策をやるということが求められているわけで、本来は雇 用保険の給付のところは1/4に戻す。雇用保険二事業についても、このような財政状況であ れば、私は本来は一般財源でやるべきだと思っています。これが政府の本来の雇用対策のあ り方だと思っています。ぎりぎりの判断はいろいろなことがあるかもしれませんけれども、 基本的にはそうだと思っています。  それと、今日出された緊急経済対策の中での「雇用保険制度の機能強化」のところで、現 在附則13条で55%となっているわけです。ここで、「平成23年度の予算編成過程によって、 国庫負担を本則25%に戻す。これを雇用保険法の改正に盛り込む」ということは、13条を 改正するということだと思うので、それはしっかりとやっていただきたいと思います。この ようなものがちゃんと見えるような附則の書き方にしてほしいと思います。要望です。  私は、財政というのは、こういうときにはきっちりと一般財源をそのようなものに充てる ことが必要だということです。ずっとこの間言ってきましたが、今日もそれは言っておきた いし、雇用保険二事業についても、そのような形でやるべきだと思っています。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○坪田委員 いま長谷川委員が言われた一般財源でやるべきだというのは、賛同します。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○岩村委員 まず、1頁から2頁にかけての未加入の問題です。雇用保険制度の中でできる ことと、制度とは別でできることと、2つあるような気がします。雇用保険の制度の中でで きることとなると、どうしても保険料の徴収債権の時効が2年という壁があって、対応が難 しいところがあるかもしれません。  他方で、雇用保険の枠の中でいっても、被保険者資格の取得の届出を行わなかったという のは罰則がかかるので、その時効というのは、一般の刑事法の定めによるものだと思うので す。そういうところは雇用保険の枠組みの中の話なので、きちんと対処することが必要だと 思います。ただ、起訴便宜主義があるので、どれほど意味があるかという問題はありますが、 そこはちゃんとやるべきではないかと思います。  それからもう1つは、これとの関係で保険料を控除しながら、資格取得の届出をしていな いので納入していないということになると、業務上横領になるので、もちろん被保険者自身 が被害届を出すということもあるでしょうけれども、これを探知した行政当局としても、例 えば事業主を告発するといったことも考える必要があるのではないかという気がします。  そのことが、例えば1頁の「また」で、何か措置を講じるといったときに、刑事罰との関 係で、被害弁償すれば起訴はしないとか、不起訴になるとかということもあるので、そうい うところを梃子にするのも、1つの発想としてあり得るかなという気もしますので、検討い ただければと思います。  それから、「雇用保険二事業の安定的な運営の確保について」は、今日いただいた資料2 の緊急経済対策で、財源問題についての一定の手当てをすることが明らかになっています。 当面の問題としては、安心なのかなという気はしますが、給付費等の勘定から借り入れて、 雇用保険二事業の勘定に回すのは禁じ手ではないかという気もしなくもないのです。  私がいちばん懸念するのは、これをやったことによって、このあとまた何かあると、財務 当局は、借りればいいではないかということを言ってくることになりかねないです。あくま でも今回は緊急の措置であるということと、きちんと枠をはめた中で、このような措置をや ることを明確にし、あくまでも例外的なものであって、安易にこのような手法は使わないこ とを確認しておく必要があると思っています。  そのような意味でもう1つあるのは、今度は逆に言うと、返済計画その他も立てなければ いけないという話になります。雇用保険二事業の会計から返済のための原資を捻り出さなけ ればいけなくなるので、その点も考えて、今後の二事業のあり方を検討する必要が出てくる のではないかと思っています。  3点目です。この緊急経済対策の「雇用保険制度の機能強化」のいちばん最後の・で、「国 庫負担を本則25%に戻す。これを雇用保険法の改正に盛り込む」と明記していただいてい て、従来のこの部会での議論の筋からいうと、それに沿ったものだと思います。  ただ、ご承知のように、年金のときもこの方法を使ったのですが、結局安定財源を確保で きないということで、国庫負担率の引上げがずるずると引き延ばしになったという例もあり ますので、安定財源の確保については、なお一層事務局で、財務省その他との関係で一生懸 命やっていただければと思います。 ○長谷川委員 この財政状況の中で、失業等給付の財源があるので、一時貸し付けるという のは、私は筋が悪いと思っているのです。こちらはもともと失業給付で、労働者と使用者の 両方が払っているわけです。二事業は使用者です。そのように制度の違うものが、雇用保険 では同じだからといって貸し付ける。もっと言えば、財政規律からいえば、どんぶりだとし か見えないわけです。  逆が過去に1回あったわけで、こっちからこっちがあって、今度はこっちからこっちとい うと、いつでもできるとなってしまうのではないかと思うのです。制度を分けているという 趣旨からすれば、こうした貸借は基本的に2度と使わないことが必要です。  もう1つは、保険料は前回のすごく大変なときに上げたわけです。労使が二度とあんな思 いはしたくないと思って、保険料を上げたわけですから、それに対して国庫が1/4を出せな いとすれば、二事業に国庫が財政投入すればいいではないか。私はこの制度設計は筋が悪い と思いますので、緊急時だからしようがないとしても、二度と使わないということについて は、きっちりと確認していただければと思います。 ○小林委員 私の気持を長谷川委員が言ってくださいました。もう1つ言いたいのは、雇用 保険二事業で雇用調整助成金、これは税金で賄われているようなイメージの社会での評価が あるのです。確かに国にお集めいただいて、国を通じてお支払いしているわけですので、そ の辺は国には感謝しているところですが、税金を使っているイメージがあるところが解せな い部分です。そのような風潮の中で、雇用保険二事業のところに、一般財源として書かない のが、何かわかりにくいのです。  さらに、ここで私がわからないということは、一般の企業経営者はもっとわからないと思 うのです。労働者の方々も、これによって雇用維持されている部分も、ちょっとわからない ところがあるので、この辺も広報する必要、はっきりする必要があります。さらに、国が税 金のように言い続けてきたわけですから、雇用保険二事業のほうに直接ご負担いただくよう になったらいいなというのが正直な意見です。 ○清家部会長 ほかによろしゅうございますか。それでは本日の議論はこれをもって終了し ます。本日ご議論いただいた内容は、年内には一定の取りまとめをすることで検討を進めて いきますので、次回は本日の議論を踏まえつつ、報告書(案)について、具体的に議論する ことができるよう、事務局で資料のご用意をお願いします。次回の日程は、事務局から改め て各委員にご連絡をお願いします。以上をもちまして、第52回雇用保険部会を終了します。 本日の署名委員は、雇用主代表は坪田委員、労働者代表は長谷川委員にお願いします。委員 の皆様、お忙しい中、また早朝からどうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)