09/12/04 第7回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 (第7回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 第7回議事録 日時:2009年12月4日(金) 16:00〜18:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  委員   大日向委員長、岩村委員長代理、飯塚委員、市原委員、柏女委員   川崎委員、木原委員、駒村委員、榊原委員、佐久間委員、佐藤委員   高橋委員、吉田昌哉委員  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について 等 配付資料:   資料1   第1回(8/5)〜第6回(11/16)における委員等から出された主な議論   参考資料1 佐久間委員提出資料   参考資料2 高橋委員提出資料   参考資料3 椋野委員提出資料   参考資料4 柏女委員提出資料 議事: ○大日向委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第7回保育第一専門委員会」を開催いたします。委 員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集まりくださいましてありがとうございま す。  議事に入ります前に、事務局より委員の出席に関する報告と資料の確認をお願いいたしま す。 ○今里保育課長  委員の出席状況ですが、本日は椋野委員、吉田正幸委員から都合により欠席とのご連絡を いただいております。また、岩村委員、駒村委員、榊原委員につきましては、到着が遅れる ということでございます。ご出席いただいています委員の皆さま方は定足数を超えておりま すので、会議は成立しております。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に「議事次第」がございまして、次に資料1としまして本第一専門委員会の「第1回(8/5) 〜第6回(11/16)における委員等から出された主な議論」という横長の資料がございます。 参考資料1としまして佐久間委員ご提出の「首都圏'待機児童'レポート」、参考資料2としま して高橋委員ご提出の「『新たな保育の仕組み』の詳細設計に向けての意見」、参考資料3 としまして椋野委員ご提出の「『委員等から出された主な議論』に対する意見」、参考資料4 としまして柏女委員ご提出の「マイ保育園みんなで子育て応援事業の実施結果」をお手元に 配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお声を掛けていただけ ればと思います。以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、前回に引き続 きまして本委員会で行われました主な議論についてご議論いただくことといたします。本委 員会の議論につきましては、随時、少子化対策特別部会にその概要を報告する必要があると 考えています。本日ご議論いただきます資料は、本日の議論を踏まえた上で、その際に利用 することを考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局より資料1についての説明をいただき、その後皆さまにご議論をお願い いたします。それでは、資料の説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  資料1をお開きください。これは、前回ご議論いただいたものを修正しているものでござ います。4ページ目を見ていただくと、それぞれの小項目ごとに、ご議論いただいている内 容をどういったことについてご議論いただいているのか、全体がわかりやすいように箱囲み にし、二重丸を付したものを今回入れさせていただいています。小項目ごとに入れさせてい ただいて、何を議論しているのかをわかりやすくしました。この箱囲みの下の一重丸のとこ ろを見ていただくと、実際にこの専門委員会ではどのような意見が出されてきたのかがわか る形にしております。  順番に見ていただきますと、4ページ目のところは1「保育対象範囲について」、その基 本的な考え方については、従来から大きなテーマである社会全体で子どもの健やかな育ちを 支えるという観点から、保育ニーズを持っているすべての子どもを念頭に置いた保障のあり 方を考える必要があるということ。それから、深化・多様化する保育需要に対応した柔軟な 保育の保障が必要であるということ。さらに、通常保育か一時預かりを除いてはサービス保 障がない現状を見直して、必要性に応じたサービスの利用を可能にしていく必要があるとい う考え方でご議論いただきました。  次に、5ページ目の下の方に二重丸がありますが、保護者の就労を要件とする場合につい て幾つかあります。一つ目は、現状は認可保育所の開所日数・開所時間に応じた保障、その 空いているところにはまる形で保障するという仕組みから、子どもごとに必要性を判断して いく仕組みにすることによって、休日や夜間などのニーズに対応しやすい仕組みにするとい うことです。二つ目は、今後、短時間勤務等の部分の需要の増大が見込まれますが、そこに ついては認可保育所における対応を拡大するとともに、多様な給付メニューを制度的に考え る必要があるということ。三つ目は、「休職中」あるいは「就学」につきまして、安心して 求職活動ができるように保育を保障していく必要があるであろうということ。四つ目は、そ れ以外の在宅就労や自営業などの多様な働き方についても保育保障の仕組みを考える必要 があるということです。  次に2の「保育利用までの具体的な流れについて」です。段階を追って、分けてご議論い ただいてきたところですけれども、(1)の認定申請のところについては、まず市町村がわかり やすく情報提供し、あるいは相談支援に乗るということ。さらに、それに関連しまして、子 育て支援全般に関するコーディネート機能が市町村には必要ではないか、あるいは苦情解決 の仕組みも必要ではないかというようなご議論をいただいたということでございます。  8ページ目の一番上にアンダーラインを付してありますのは、前回のこの専門委員会でご 意見をいただいたものを書き加えたところです。(2)の四角囲みの二重丸のところですが、市 町村の認定の段階では、市町村が必要性・量・優先性を認定するということ。さらに、認定 の後、市町村は実際の利用状況を把握して待機児童に係る情報の開示を行う。それから、定 期的なチェックの仕組みを考える必要があるということです。  9ページ目の(3)ですが、保育所への申込みの中で保育所の決める時期につきましては、予 測可能性を高めるということで、できるだけ早く結果を決めるようにするべきということで、 例えば4月入所の場合であれば前の年であるとか、あるいは育児休業明けの場合であれば予 約ができるようになど、そういうご議論をいただきました。一方で、随時保育が必要になる 場合もありますので、それもしっかり可能になるようにしておく必要があるということです。  10ページ目は、申込みの段階の二つ目としまして、需要が供給を上回っている場合につ いては、当事者同士の契約の仕組みに見直した場合に、供給が十分にない場合ですと第一希 望の保育所で断られ、第二希望でも断られるということが繰り返されることを回避するため に二つのイメージ例を出してご議論いただきました。イメージ例1は第一希望のところまで は直接行っていただいて、第二希望以降になる場合はあらかじめ書類に書いておくことによ り、その後は市町村の調整に委ねるという方式。イメージ例2は、待機児童が大勢いるよう な場合は、最初から市町村あるいは協議会に申し込む仕組みで、その後市町村が斡旋すると いう方式。そういう仕組みが考えられるのではないかとご議論いただきました。  11ページ目の(3)-3ですが、供給が十分にある場合は、当事者同士で直接申し込んでいた だいて基本的には問題ないでしょうが、局所的には個別の保育所では定員を上回っている場 合もあり得ますので、その場合は対応イメージ例1を参考に組み合わせることもあり得ると いうことでご議論いただきました。  12ページ目は、休日や早朝など実際にニーズも一定程度に限られて、供給もすべての保 育所で対応しているわけではないというようなサービスについては、受け皿が限られるので 一定程度市町村の利用支援というものを加味していく必要があるのではないかということ をご議論いただきました。(3)-5は、希望する保育サービス、これは同じ保育所でもよいの ですが、第一希望のところに入れない間について、市町村の多様なサービスメニューから補 完利用できるようにすることが必要であるということについてご議論いただきました。(4)は 次の段階で、保育所が受入れを決定する段階におきましては、まず保育所等において客観的 な基準をあらかじめ定めておいていただいて、その受入れた結果についても公表していただ くことによって公平性を担保していこうということ。さらに、休日・夜間など受入れ体制が 限られる場合については、そのニーズのある人が適切に受入れられるような仕組みが必要で あるということ。さらに、兄弟姉妹の場合については、優先して同じ保育所に受入れること は公正な入所といえるのではないかということについてご議論いただきました。  次に14ページ目ですが、最後の公的保育契約を結ぶ段階につきましては、まず市町村の 関与の一つとして、契約書のひな型を市町村が示すことが必要ではないかということ。さら に、公的保育契約が適正に履行されているかどうか、されていない場合には指導するなど、 そのような市町村の機能があるだろうということ。もう一つは、実際に認定を受けた子ども が保育所等を利用できているのか、あるいは優先的な子どもがきちんと優先されて利用でき ているのか、そういうことを把握できるようにするために、契約締結後、市町村に保育所等 から報告する仕組みを考えることが必要であるという議論です。  次に15ページ目の3「優先的に利用確保されるべき子どもについて」の論点につきまし ては、優先する仕組みとして三つのパターンがあり、(1)は市町村が斡旋して保育所に受入れ ていただくというパターン。(2)は受入れ枠をあらかじめ保育所の方である程度確保しておい ていただくというパターン。(3)は保育所等が受入れの客観的な基準を定める際に、優先の子 どもを優先するという順位付けをしていただく仕組み。大きくこの三つぐらいが考えられる ということで、二つ目の二重丸は、そのような仕組みを検討していくに当たっては、緊急の 必要性が高い子どもが申込んできた場合には、きちんと受入れができるような定員のあり方 を考える必要があるとか、あるいは一つの保育所に集中しないように市町村の調整が必要な 場合もあるのではないか。そういうことを考慮する必要があるということです。  次に17ページ目ですが、虐待事例の子どもについては、先ほどの一番強いと思われる(1) の類型が適当だろうと。ひとり親家庭の子どもについては、保育所等で客観的な基準を定め る際に優先していただくという類型を基本としてよいのではないかということでございま す。  18ページ目は、虐待やひとり親家庭以外の事例で、それに類するような事例は市町村の 個別判断ということです。18ページ目の下ですが、優先的に利用確保されない子ども、普 通の状態の子どもについて、そうはいっても需要がたくさんあるような地域の場合は、何ら かの優先順位付けをしないと混乱が生じるのではないかということで、順位付けは要るだろ うと。ただ、大くくりの仕組みにしておくことが適当ではないかということが一つです。二 つ目は、その客観的な基準を保育所等で定める際に市町村はガイドラインを示すということ。 三つ目は、供給が十分ある場合は、受入れ体制が限られているようなサービス類型を除いて は、何らかの優先順位付けを保育所であらかじめする必要はないのではないかということ。 四つ目は、そういう順位付けを検討するに当たっては、障害児や低所得世帯の子どもの受入 れを拒否してはいけない。あるいは社会福祉法人立は福祉的配慮を行うことが期待されてい る。二つ目のポツを見ますと、フルタイムを希望しながらパートタイムになっている労働者、 あるいは育児休業明けに短時間勤務で復帰するような家庭の子どもが、現在は優先順位が高 くないので、そういう働き方がなかなかできない。そういったことにも配慮が必要であると いうご議論をいただきました。  次に20ページの4「利用保障の範囲について」ですが、3歳未満の子どもについては、1 日当たり「長時間」と「短時間」とに分けてはどうかというご議論をいただきました。その 区分の認定は、二つ目の二重丸で、できる限り利用者の希望が尊重されることが適当である。 21ページ目の二つ目の二重丸で、標準的な保障の範囲を超えて、サービスを利用する場合 は、標準的な保障の範囲とは別に、利用者が負担すべき範囲などを考える必要があるのでは ないかということ。さらに、1週間当たりについても区分する、週3日以上と週2日以下と いった区分をすることが考えられるのではないかということでご議論いただきました。  23ページは、3歳以上の子どもについては1日当たり、週当たりでの区分は基本的には 不要ではないかということでご議論いただきました。  次に24ページ目の5については、その他の論点ということで、下の子どもが生まれて育 児休業に入る場合の上の子どもの取扱いについて、上の子どもが3歳以上であれば継続的に 保育所に入っていてもよいのではないかということ。さらには、ご意見の中で3歳未満であ っても現状では市町村が継続して入所を認めているケースがあるということを踏まえる必 要があるのではないかという議論がありました。三つ目は、再入所のときに兄弟姉妹が同じ 保育所に入れるように優先するのは公正ではないかということでございます。  24ページの下の「障害児について」ですが、こちらは事務局からの論点提示はしていな いところですが、ここにつきましては保護者が就労していなくても可能な限り保育所での保 育を保障していってはどうかというご意見や、もしそうするのであれば受入れに当たっての 財政支援、職員体制といったことを考慮する必要があるというご議論をいただきました。  26ページの6の「費用保障の仕組みについて」ですが、今回の新しい保育の仕組みでは、 行政の委託を出発点とせずに、当事者同士の公的保育契約を出発点として利用する仕組みに するということですが、その際、その必要な費用を公的に保障するためには市町村から実際 に利用した利用者に利用したサービスの費用保障の給付を行うのが基本だろうということ を書いています。三つ目の二重丸は、利用者に利用したサービスの費用保障を検討するに当 たっては、幾つかの考慮事項があるとご議論いただきました。  27ページからしばらくの間、二重線が引かれていて、下から4行目に「以下の議論に対 する意見」と書いてありますが、このような形に直しているところが幾つかございます。こ れにつきましては、27ページでいいますと、下から4行目に「以下の議論に対する意見」 というところで出されたご懸念です。市町村の権限が弱まってしまうのではないかという不 安といったことについて、その直前の丸がそれに対して、そうではなくてということをご意 見としていただいたという対応関係がわかるように再整理させていただいているところが しばらくございます。  29ページの一番下ですが、利用者に対する費用保障とする上で保育所等による法定代理 受領ということをご議論いただいたところが29〜30ページでございます。  31ページ目は、「保育料の納付」について、全体が連動しておりますけれども、三者の枠 組みの中でその費用は契約を結びますので当事者である保育所に納付するのが基本ではな いかということを議論いただきました。一方で、例外的ではあっても保育料の滞納というも のが現実に生じる懸念がありますので、それについては三つ目の二重丸の後半で、市町村が しっかり関与する仕組みを検討する必要があるのではないかということをご議論いただい ています。  33ページは「単価」について、ご意見を幾つかいただいております。これについては「長 時間」と「短時間」とに区分する場合は、事務局から例として示したのは11時間、6時間 と分けた場合に、短時間の6時間の方の単価が11分の6になるわけではないということが 一つ目の二重丸です。共通経費のようなものがありますので。二つ目の二重丸は、利用した サービスの費用保障の単価を検討するに当たっての考慮事項として、事業者が保育の質の向 上につなげられるような単価設定を考慮する必要があるということ。さらには、一時預かり や夜間保育など現行ではそれ単体では事業運営が困難な類型に対する配慮も考えた方が良 いだろうというご議論をいただきました。  35ページ目の7の「利用者負担のあり方について」ですけれども、第1次報告では公定 価格で、さらに低所得に対する十分な配慮を基本に考えていきましょうということをまとめ ていただいているところです。二つ目の二重丸では、年齢・規模・地域・時間帯などによっ て単価も異なってくるわけですが、それに応じて利用者の負担のあり方を変化させるかどう かを検討する必要があるのではないかということ。三つ目の二重丸は、いずれにしても低所 得者への配慮は必要だということ。四つ目の二重丸は、検討に当たっての考慮事項として現 行の所得に応じた所得段階別の定額保育料の維持が適切であるという意見と、さらに、二つ 目はそもそも今の保育の利用者負担というのは他の社会保障制度と比べて高いので、全体に 低くする。誰でも大きな負担感なく定率で負担できるようにするべきだと。さらに、その際、 低所得者減免措置を伴う形にした方が良いというご意見。もう一つは、違う軸での意見です が、付加的なサービスについての利用者負担のあり方を検討する必要があるのではないか。 それらの意見を考慮して検討する必要があるとしています。  37ページ目は「標準的な利用保障の範囲の区分に応じた利用者負担のあり方」というこ とで、「長時間」と「短時間」を分けるのであれば、単価も違ってくるでしょうから利用者 負担も異なる取扱いにするのかどうかの検討が必要であるということです。  次に38ページですけれども、標準的な範囲を超えて利用する場合の利用者負担をどのよ うに考えるかにつきましては、これは標準的な範囲内の場合とは分けて考える必要があるの ではないかということを一つ目の二重丸に書いてあります。二つ目は、その範囲外の利用者 負担を検討するに当たっては、超過勤務を個人が選べる状況にない状況にある、あるいは低 所得で長時間勤務を余儀なくされているような保護者に、より重い利用者負担を課すべきで はないというご意見。一方で、延長保育などについては企業負担を求めてはどうかというこ と。さらには、残業が多い所には拠出金率を引き上げるなどでインセンティブを増やしては どうかというご意見。また、一律に残業時間が多いから企業に負担を求めるということにつ いては慎重に判断すべきではないかというご意見があり、それらを考慮して検討していくこ とが必要であるとしています。  39ページ目は、多様なサービスメニューの利用者負担ですが、これについてはそもそも 必要な職員配置などが違いますので、掛かる経費も違いますから、それぞれの利用者負担に ついて考える必要があるということです。  40ページの8「保育の質の向上について」ですが、保育の質を決める要素として主要な ものを四つ挙げて、物理的環境、保育者の配置等、保育の内容、保育指針のようなものと、 保育者の質あるいは専門性といったことで質の担保がされるということでございます。  その中で41ページの「面積基準」ですけれども、これは昭和23年から、基本的に変え てきていないものについて狭いのではないかと。特に二つ目の二重丸では、ここにあります ような研究において、現行よりも切り下げられるような仕組みは子どもの発達に応じた保育 を困難にするので、少なくとも現行以上であることが必要ではないかというご意見でござい ます。  42ページ目の「職員配置基準」につきましては、親支援や障害のある子どもへの対応な ど専門性が高まってきているのではないかということ。二つ目は、国際的に見ても職員配置 が手薄いということ。さらに8時間保育と11時間開所の問題があるのではないかというこ と。三つ目の二重丸で、その検討に当たっては、ここにありますような四つの意見がありま したので、それらを考慮して検討することが必要であるとしております。  46ページは「多様な保育サービスにおける最低基準」ということで、認可保育所以外の 家庭的保育など、多様なサービスについても一定の基準と質を担保するための仕組みが要る のではないかということ。  「保育内容」については、保育所保育指針につきまして職員への周知・理解増進といった ところがまずは大事ですが、できる限り外から見て客観的な評価や活動ができるようにする。 あるいは、将来の更なる改善のために科学的・実証的な調査研究を行っていく必要があると いった内容の議論をいただきました。  次に48ページ目「保育士の位置付け」につきましては、以下の視点からの検討が必要と いうことで、保育サービスの中で働いていらっしゃる保育士につきましては、今後多様な給 付メニューを考えていくときに、その保育士の専門性をどのように考えるか。もう一つは、 原則18歳まで児童福祉の対象になっておりますが、どちらかというと保育士は就学前の養 成課程が中心であるということで、保育士の養成課程に照らした専門性をどのように考えて いくかという課題があります。  49ページ目は、「保育士の量・質の確保、計画的な養成」ということで、一つ目の二重丸 は養成課程について幾つかの年限の複数を用意してはどうかと。二つ目の二重丸は、研修の 制度的保障が要るのではないか。三つ目の二重丸は、実務経験あるいは研修受講を通じてス テップアップが図られるような仕組みの検討が必要であるとしています。四つ目の二重丸は 再就職支援で、さらにその次は家庭的保育などの多様なサービスについても、その専門性を 図るための研修を推進することが必要であると。49ページの一番下は、そういうことを諸々 検討するに当たりましては、以下に四つ書いてありますようなことについて考慮する必要が あるとしています。  53ページの「指導監督」について、従来よりも重要な役割を果たすべきであるが、その ための実施体制の確保策も検討が要るのではないかということ。二つ目の二重丸は、指導監 督について検討するに当たっては、都道府県と市町村がどのように役割分担をするか。ある いは保育内容をめぐる苦情処理の仕組みをどう構築するかということにも考慮が要るとい うご意見をいただいています。  54ページ目の「評価等」につきましては、自己評価と第三者評価があるわけですが、第 三者評価については受審率をいかに上げるかということが一つですし、第三者評価の意義と しては職員一人一人の自己評価の実施自体が重要であって、こうした自己評価なども含め、 質の評価についてPDCAを組み込んでいく必要があるという議論。二つ目の二重丸は、今 の第三者評価の仕組みを、質の向上につながる実効性のあるものにするべく検討が要るので はないか。  55ページは「家庭、地域、小学校等との連携による評価のあり方」ということで、それ ぞれ密接な関係を持っておりますので、その視点を生かした評価も必要ではないかとしてお ります。  「情報公表」につきましては、利用者がサービスを選択する際のツールとしてもあります し、サービスの質の向上を促す。どのような職員配置でやっていて、どういうキャリアの人 がいるかという基本情報、あるいは質の確保のための取組などサービス内容に関する情報提 供をする。あるいは第三者評価の結果の公表や行政による情報提供が適切に行われるよう制 度的な位置付けを検討する必要があるというところです。  二つ目の二重丸は、その公表すべき情報はどれくらいか。あるいは頻度はどれくらいかと いうこと。三つ目の二重丸は、その公表について検討するに当たっては、国民側からわかり やすい形でアクセスできるように工夫するべきであるとか、公表の仕組みについては利用 者・事業者の意見を十分に聞くことが必要であるというご意見をいただきました。四角の箱 の外のアンダーラインは前回の変更部分ですので、説明を省略しました。資料1の説明は以 上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。本日の資料のことで確認させていただきたいのですが、アンダ ーラインまたは削除のラインがあるところは、前回の皆さまのご議論を基に加筆、修正、削 除をしたということですね。 ○朝川少子化対策企画室長  基本的にはそうですが、途中で申し上げた27〜29ページの辺りは、前回も同じ内容のも のが挙がっていたのですが、意見の対応関係がわかるように少し再整理をしている部分があ ります。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、ここから委員の皆さまに意見交換をお願いしたいと思 います。前回は幾つかのブロックに分けまして、かなり丁寧にご議論いただきました。その ご意見をいただいて加筆、修正をしていただいた資料が今、ご説明いただいたものです。従 いまして、本日は特段ブロックを分けずに全体を流して自由に皆さまのご意見をいただきた いと思います。どの部分のご意見かということがわかるように、何ページ辺りということも おっしゃっていただければ助かります。それではどうぞ。佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  今、委員長が確認されたことですが、意見の整理について、今回は前回に出たものと違っ て意見を再整理したり、論点の同じものは整理しましたという話だったのですが、今回は前 回と違って両論併記ではなくて、「以下の議論に対する意見」と整理されている部分が多い わけです。それについて発言の順序というか、必ずしも上段の意見に対して意見を申し述べ たことではない部分が随分整理されていると思うのですが、この辺は私としては非常に遺憾 だと思っています。この整理の仕方は事務局でこういう方向でもっていきたいという意思の 表れだと考えてよいのでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  前回、委員の中からここは対応関係がわかりやすいように整理すべきだという意見をいた だいたこともあります。そういう中で、基本的には27ページを見ていただくと、アンダー ラインの引いてあるところに対して一つ上の丸の意見が示されているということですので、 その対応関係をわかりやすくしたもので、それ以上のものではありません。 ○佐藤委員  例えば、14ページの下の方に「以下の議論に対する意見」として、その上の丸があるの ですが、例えば現行制度では市町村と利用者との関係は契約ではないということに関して、 上段で消している公的関与ということを発言したわけではないので、この辺が再編成されて このようになるのかどうか少し遺憾な気がするのです。 ○朝川少子化対策企画室長  14ページのアンダーラインが引いてあるところのご意見は、当事者同士の公的保育契約 だけではなくて、市町村も入れた契約にすべきではないかというご意見だったものに対して は、この一つ上の丸で、この意見というのはなぜ市町村が入るべきかというと、市町村の関 与が薄くなる。そこを心配しているご懸念の意見だと思われますので、それに対応して一つ 上の丸があると考えて整理しているのです。 ○佐藤委員  何度かお話したように、市町村も含めた三者の公的保育契約が必要だと言ったのは、子ど もたちにきちんと保育保障がなされていくためにという趣旨で、発言していったつもりです ので、そういう意味ではこのような整理でよいのかなという気がします。遺憾の表明だけは させていただきたいと思います。 ○大日向委員長  いかがでしょうか。具体的にどうしたらよいということですか。 ○佐藤委員  整理の仕方は、前回の場合はこんな議論もある、こんな議論もあるという両論併記で書か れていたと思います。委員長が以前おっしゃっていたように、この場は意見をたくさんお出 しいただく場である、それもできれば保育の質を高めていくための、保育を守っていくため の議論をしていく場であると言われたので、そういう意味でこの整理の仕方でよいのかなと いう懸念だけを申し上げたということです。 ○大日向委員長  本筋は変わっていないと思います。また事実関係の誤認があったところもありまして、誤 認をなくした方がよいというご意見もあっての整理がなされている箇所があると私は理解 をしていますが。どうぞ、他にもご意見があればいただきたいと思います。飯塚委員、お願 いします。 ○飯塚委員  実は市町村では三鷹市とも先ほどエレベーターの中で話をして同じだなと思ったのです が、12月は来年の4月に向けて保育所の入所のまさしく真っただ中で、実際にリアルにい ろいろな問題が出てきて、たまたまこういう会議に参加して非常にオーバーラップといいま すか、いろいろと考えさせていただきながら、保育士さんといろいろと話をさせていただけ る本当に好い機会で、私どもは大変ありがたくて、保護者もそういうことなのだなとか、私 どもももう少し説明をうまくしなくてはいけないとか、いろいろなことを思いながら、仕組 みも考えながら、今日も電車の中で考えながら来たのですが、その中で今、申込みの中で顕 著に出ているのが、今回も今までも話がありましたが、育児休業中の取扱いについて私ども も非常に多いです。予約制度や育児休業明けの議論がよくあるかと思います。24ページ辺 りの弟妹さんの育児休業取得に対しての取扱い等の話も出ているかと思いますが、育児休業 が3年に延びて、3年間は保育に欠ける状態ではないのだけれども、集団保育をさせてほし いということで申込みが非常に多いのです。私どももここをどうするかというところは非常 に悩ましいのです。ここの議論の中として、児童福祉法に基づく保育の最低限の保障をベー スにして、少しそれを広げていきましょうというか、弾力的に取扱っていきましょうという 議論の中で、私も大筋ではそれは方向としては間違っていないと思いますが、一方では市町 村が抑制的になっているのではないかという議論も何回も頂戴していたと思います。果たし てそれはどうしてそのようになるのか私もつらつら考えていて、一つは最低限の保育の保障 をするというのが、行政をやっている人間とすればそこが一番重要だと思っているのです。 私だけではなくて担当の職員と話してもそういう話があったのですが、例えば集団保育と本 当に必要という言い方は語弊がありますが、就労や病気をしていることで保育に本当に欠け ている方とどちらが重要かといえば、本当に保育に欠けている方が重要で、そちらを入れて あげたいという優先順位自体は間違っていないのではないかと私どもは思って、そちらを優 先したい。在宅で育児ができて、例えば3年間であればそれはそういう目的のためにとって いただいたのであれば駄目だという言い方を私もしたくはないので、お譲りいただきたいと いうのが公共の福祉、福祉施設、私どもは福祉課という課ですから福祉という観点から、で きればそういう本当にお困りの方に町民全体としてそういう方にぜひ譲っていただきたい という話もさせていただいたりしながら、今、申込みの受付をしているのです。  そういう中で一つ思ったのは、今まで議論に全然出ていなくて、もしかしたらタブーだし、 この会の議論を越えているのかもしれないのですが、逆に幼稚園の話を少しさせていただき たいのです。私どもでは保育園が4か所あります。これはほとんど全部いっぱいです。幼稚 園も4か所あるのです。この入所率が大体50%くらいです。ですから、少子化や保育は待 機児童が出ているという現状の中で、幼稚園の入所率がそれだけ低いのです。ここを生かす というのは、どうしても避けて通れないのではないか。私どもでいえば保育は福祉か町長部 局というところです。幼稚園になると教育委員会、教育部局ということで、役所はどうして も縦割りになって、国でいうと厚生労働省と文部科学省ということで、この垣根を取っ払っ てしまえと皆さまは思われるかもしれませんが、高いことは私も行政の端くれとしては十分 認識しているのですが、少しこの垣根を低くしていく必要があるのだろうと感じています。 とりわけ今、短時間保育の話が出ていましたが、短時間保育というのは幼稚園でもかなり対 応できる部分の保育になるのです。0、1、2歳はまた別になってくると思いますが、3歳児 以上についてはそこで対応できる部分があります。なぜそちらに行かないのかというと、そ れは費用面なのです。特に低所得者に配慮した料金体系に保育所はなっていますから、そち らにシフトしてしまうということで、これは極端な言い方かもしれませんが、保育所と幼稚 園とを比較して、料金が保育所の方が安いから保育所に行きたい。これは全員ではありませ ん。一つの例ですが、だからパートに行く。仕事が先行しているのではなくて、保育所に行 きたいからパートに出るという方がいるのも事実です。そういう方がすべてではありません。 これは誤解を恐れずに言わせていただくのですが、保育所に入所したいからパートに行くと いう方も現実にはいらっしゃると思います。その辺を保育所は保育所で最低限のセーフティ ネットの機能役割を果たすことと、もう少し中間的な部分、そんなに保育に欠けなくても、 幼稚園などで「準保育に欠ける」というような、どのような言葉が適切かわかりませんが、 そのような部分の枠で少し費用面も保障しながら、保育の保障をしていくようなものがあれ ばよいと感じたところです。その辺の交通整理を、コーディネートとよく言いますが、その 辺のコーディネートを市町村でしながら、うまく割り振れる形ができればよいと、今回入所 の事務をやっていて思ったところです。感想です。長くなって申し訳ございません。以上で す。 ○大日向委員長  ありがとうございました。ただ今の飯塚委員のご意見に対して、いかがでしょうか。何か ご感想など、ありますか。高橋委員、お願いします。 ○高橋委員  少し絡めてということでもよろしいでしょうか。先ほど佐藤委員がおっしゃったことに戻 るのですが、ここは多分文書のつくりの問題だと思いますので、我々はこうやって議論をし ているので理解しやすいのですが、文書だけを拝見した場合には、例えば「以下の議論に対 する意見」があったけれども、こういう方向でいくと、もしかしたら読み取れてしまう可能 性もありますので、その辺は最終的に文書を作り上げていくときに少し配慮していただけれ ばよいのではないかと私も思った次第です。  それから、先ほどの飯塚委員の話ですが、育児休業中の対処ということ。それ以前に入所 の最初の入り口の問題といいますか、ちょうど全国的に私どもも自治体もそうですが、12 月に来年度の受付けが始まるということで、膨大な事務量ではないかと思います。ですから、 もしこれが保育園での事務量になって、さらに優先順位を付けるという作業が本当にできな いことはないのでしょうが、スムーズにいくのかどうなのかということが非常に4月の場合 は特にあると感じます。10ページの一番下に書いてありますが、数回前の議論のときに「利 用までの具体的な流れは可能な限りワンストップの方がよい」。まさに私もそのとおりだと 思っていますので、ここはあまり利用の具体の流れが煩雑にならないようにしないと混乱す るのではないかと思います。  次に、育児休業中の扱いですが、ここは先ほど飯塚委員がおっしゃいましたように、育児 休業の本来的な趣旨からして、育児休業中については継続してということにはなりづらいと 思っていますのと、前回もその前も申しましたが、産休明けや育児休業明けの問題について は、休み中のことではなくて、恐らく産休明け・育児休業明けにどう対処ができるか、枠を 確保できるかというのが一番大きな問題だと思います。ここは前回も言いましたが、自治体 がその気になれば何かうまいこと工夫して、ある程度の枠の確保ができるのではないかと思 っています。  幼稚園との関係は、話をするとややこしくなりますから、控えさせていただいて、以上で す。 ○大日向委員長  ありがとうございました。今のことに関連したことを先に。それでは、吉田昌哉委員お願 いいたします。 ○吉田昌哉委員  先ほどの飯塚委員から、保育所を利用したいからパートに出る人がいるという話があった のですが、一方では保育所が利用できればパートに出たい人もいると思います。流れとして は保育の必要性の認定においては、ある程度柔軟にやって、ただ、需要が供給を上回ってい る。恐らくしばらくはそういう状態が続くと思いますが、そこでどの子どもを入れるかにつ いては、高橋委員からもご意見があったのですが、この論点整理にも書かれているように、 ある程度市町村が関与して、コーディネート機能。連絡協議会ということも書いたのですが、 そういうことを実施責任のある市町村がやっていくべきではないかと考えています。以上で す。 ○大日向委員長  ありがとうございます。 ○飯塚委員  今のお話ですけれども、コーディネートと言われてしまうと、本当にコーディネートなの かなというところがあるのですが、それに近いことは例えば「幼稚園の方がよいのではない のですか」とか、保育園も認可や認可外などいろいろな選択肢がある中で、話を聞きながら 行政の立場として適切だと私どもは思っているのですが、ご案内をさせてはいただいている。 窓口ではそういう対応は実際にさせてはいただいていますので、榊原委員が前に言われてい た鎌倉市の例ですか、そういうきちんとしたところまで機能としては備わっていないのかも しれませんが、近いかどうかはわかりませんが、そのような機能はされているのか。私ども だけではないのでしょうが、してはいるのかなと思っているところです。  もう一つ、実は私どもで来年の4月から認定こども園を幼保連携で進めていますけれども、 たまたまそちらの方でご希望がある中で、例えばですが、短時間保育の方は幼稚園も結構枠 が空いているのです。ですから、短時間の方は「幼稚園もいかがですか」というご案内は具 体的にしています。長時間である程度必要性があるなというのは保育所でお申込みいただく とか、そういうきめの細かいと自分で言ってはいけないのかもしれませんが、そういうこと はしているつもりです。 ○大日向委員長  市原委員も今のことと関連したことですか。では、お願いいたします。柏女委員、申し訳 ありませんが、もう少しお待ちください。 ○市原委員  先ほどの飯塚委員の発言に関連してということも併せて、この委員会の新たな保育制度の 確立に向けての過去の議論を踏まえた集約を進めているこの資料の中で、我々自治体職員が この制度にどのように基礎自治体として対応できるかということを、日々の実務を通して考 えているところです。そうした中で、先ほどの保育園の入所の受付けが三鷹市においても今 週行われていまして、昨年度に関していえば、500人弱の新規の募集定員に対して800人 以上の申込者がおります。申込者の方にとっては保育所に申込み、その保育所の利用が可能 になるか否かが、ご家庭にとってどれだけ深刻な影響を及ぼす問題かということは、市でも 非常に真摯に受け止めており、職員一同強く認識しているところです。そういう状況の中で 申込みをされる方に対して、どのような保育施設、認可・認可外を含めて、その施設の形態、 また保育園ごとの運営の内容や保育メニュー、そうしたことについてあらかじめ私どもの担 当課では情報を集めまして、入園申請を希望される方に対して、冊子にまとめたり、ホーム ページを通して提供しながら的確に希望する保育施設を選んでいただく努力をしています。  申込み手続きに関しては、例えば来年4月の申込みに対して、実は育児休業がそれまでに 明けるとか、また何らかの理由で4月以前に保育を利用したいという方に対しての利用可能 な子育て支援サービスのご紹介ですとか、時として寄せられる手続き上の、もしくは申請に 関連したクレームに対しては、迅速に窓口職員が対応したり、三鷹市独自にウェブサイトで インターネット相談を受けていまして、問い合わせもしくはクレーム対応をしている状況で す。さらに求職中であったりDV被害を受けて自立して就労もしくはひとり親家庭として自 立をしたいというご相談の中に、保育園の入所利用も含まれていることが多いものですから、 私どものセクションには婦人相談員及び母子自立支援プログラム策定員など、そういう専門 スタッフも主管課のスタッフとして配置して組織的に対応しているところです。  そういう意味では、今回のまとめにあります保育利用の第一段階である市町村が認定申請 を受ける段階での対応は、一定程度現状をベースにして可能ではないかと考えております。 ただ、以前の議論でも出ましたが、ファミリーソーシャルワーク機能やコーディネート機能 を担保して、ワンストップサービスとして保育園の入所手続きを利用者の方が有効に行える ものを市町村が実行するには、そうあるべき姿の行政組織としてモデルタイプを国や都道府 県が明確に打ち出しながら、そこにどのような機能を行政が持つべきかという辺りも具体的 にガイドラインを示されていくことで、市町村が対応できる可能性が非常に高くなっていく という印象を受けました。 ○大日向委員長  ありがとうございます。飯塚委員がお出しくださったご意見に関して、しばらく皆さまか らご意見をいただきました。今は来年4月の入所を選定する時期ですので、自治体もご苦労 されていると思います。だからこそ、この制度改革が必要なのだと改めて思いました。保育 に欠ける要件に優先順位を付けざるを得ないとか、あるいは保育園に預けたいためにパート に出るのだろうという議論を続けなくてはならないのは、それだけ需要と供給のアンバラン スがあるからだと思います。その議論をいつまでもやっていると、ニーズを潜在化させてし まうという問題になりますので、ご苦労は本当によくわかりますが、だからこそ、この制度 改革を果敢に進めたいと考えている委員会だということを、どうかご理解いただきたいと思 います。それでは柏女委員、お待たせいたしました。 ○柏女委員  7ページをお開きいただければと思います。参考資料4もご用意いただければと思います。 今も市町村のコーディネート機能がとても大切だという意見が出ていましたが、具体的にど のようなコーディネートを行っていくのか、仕組みをつくっていくのかの先駆的な一つの実 践として、私どもが石川県で取組んでいるものがありますので、それを紹介したいと思いま す。  参考資料4をご覧いただきますと、「マイ保育園」の制度については紹介されていますが、 このマイ保育園で子育て支援コーディネーターの養成をしまして、その方に子育て支援プラ ンの作成をしていただいています。3ページをお開きいただけますでしょうか。ここに一つ の事例を取り上げたのですが、生後6か月の双子の育児をしている保護者の方です。祖父母 が遠方のために育児の協力が得られないので、一人で必死に子育てをしている方です。その 方のご意見をいろいろと伺いながら、4ページのような長期プランをコーディネーターと保 護者で話し合って作成します。サービス内容としては、真ん中より下のところにありますが、 子どもの相談も保育園での育児相談を月2回。一時保育を週1回。これは一時保育というよ りは基本保育という考え方で、すべての子どもたちに一定時間の保育を保障したい。特にこ の双子の子どもには必要であるということで1週間に1回、半日一時保育を利用する。それ から育児教室を週1回。多胎児ですので多胎児サークルをご紹介するということで、5ペー ジをご覧いただきますと、それを表化した月間プランを作成して、こうしたプランで保護者 とコーディネーターが一緒に話し合いを重ねていく。そうして子どもと一緒に暮らす生活を つくっていくという実践を行って、大きな成果を上げています。もちろん、こうしたプラン をつくることそのものが目的ではなくて、このプランを介在としながら、話し合いを月に1 回進めていくことで、例えば3か月、4か月経ったときに、実は父親が子どもにつらく当た るという話が出てきたりしていますので、こうしたものも一つ先駆的な事例として、これか ら少子化対策特別部会あるいはその他厚生労働省で具体的なコーディネート機能について 検討されると思いますので、先駆的な実践を参照していただければと思いまして、ご紹介さ せていただきました。よろしくお願いいたします。 ○大日向委員長  ありがとうございました。貴重な情報提供です。参考にさせていただきます。他に、いか がでしょうか。では木原委員、その次に川崎委員の順にお願いいたします。 ○木原委員  柏女委員のマイ保育園制度ですが、全国私立保育園連盟でも行って検証させていただいて おります。在園児のことはもちろん大切ですけれども、それ以外に、すべての子どもたちに 対して保育園はどうやって開いていけるかというときに、私はこの石川県の取組が非常に参 考になると思っていました。やはり全国的に広がっていく、資源としては2万2,000もある わけですから、私は非常に大きな力になっていくのではないかと思います。  先ほどの本来は7ページですけれども、さらに例えば「保育単価の設計」あるいは42ペ ージでも結構ですが「職員配置基準」のところです。今、柏女委員がおっしゃいましたよう に、市町村のコーディネート機能という役割とともに、保育園でもそのようなことが受け入 れやすくなっていく地域コーディネーターの配置なども当然、将来的には考えていただく。 そのような広がりを保育園として持っていきたい。そのようなことが今、200万人の保育園 児以外に500万人ぐらいいるわけです。幼稚園児がいるのでもっと少ないですから300万 人ぐらいになるのですけれども、やはりその人たちが一番困っているのではないかと思いま すから、有効に保育機能を社会的に活用すべきだと思っております。その仕掛けをこの中に 込めていただけたらうれしいと思っております。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  先ほど自治体の方から保育所の申込みが随分と混雑しているというお話がありましたけ れども、企業で働こうとしている女性たちの状況を私から少しお話ししたいと思います。ち ょうど今、保育園を探して復帰のタイミングを図っていく時期ですけれども、先ほどもお話 があったように、待機児童が多い中でなかなか復帰が決まらない、時期が決まらないという 問題があったり、あるいは場合によっては保育園の待機児童が少ないエリアに転居する者が いたり、場合によっては短時間を希望しながら全日で復帰していくことによってポイントを 上げていくということで、本来希望する保育のあり方と働き方が両立しないような場合も 多々見えてきています。  それからもう一つ。保育の量が少ないということもあろうかと思いますけれども、このよ うな復帰時の苦労があるがために、第2子の出産を躊躇する、見送るということもかなり頻 繁に見えてきている。そのような事情があることを思うと、今回の議論の中でメインとなっ ておりますが、市町村が保育の必要性の量をまずは認定していこうということで、潜在的な 需要ないしは潜在化もしていない、出産を見送っているといった需要を掘り起こすためにも、 ぜひ今回の仕組みをなるべく早く導入実現させていき、保育と働くことが両立できるような 仕掛けを入れていく。財政の面もあろうかと思いますけれども、ぜひそういった方向に早く スタートできるような取組をしていただきたいということです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  二つあります。一つ目は、この資料の中には記載がないのですけれども、関連しているこ とです。先ほど、今入所の申し込みが始まっているという話がありましたが、私どもは認可 外の保育園も運営しており、認可外園もまさに今入園申し込みの時期となっています。しか し皆さん、認可園に入れたらそちらに行く、しかし入れなければ入れてくださいという方ば かりです。とても切ない気持ちになります。実際に今、待機児童を支えているのは認可外の 園でもあります。今後認可園(指定園)が増えていくと、認可外の園はどうなっていくのだ ろうかということも一方で非常に不安になっているところでもあります。保育の質について は、すべての子どもたちにに対して平等でなければならないと思いますので、今後制度が進 んでいく中で、今たくさんの子どもたちを支えている認可外保育園への手当というか、サポ ートというところもしっかりと考えていっていただきたいということが1点目です。  それからもう一つが、40ページに「保育の質」というところがあります。1番から4番 までありまして、本当にどれも重要な保育の質だと思っておりますが、やはり保育は子ども 相手ですので、人(職員の質)が大切だと思っています。私たちも保育の質を上げていくた めにも、保育者の育成や定着率を上げていく取組に非常に努力してまいりました。これも今 まさに起きていることですけれども、今次年度に向けて自分の進退を考えていく時期になっ ているのですけれども、本当に残念な声が時々聞こえるのです。公務員になっていきたいか ら辞めたい、公務員に受かったら辞めたいと。処遇面・安定性からすると、そう言われてし まうと私たちもどうしようもないと思いますけれども、同じように保育者として仕事をして おり、今の差が大きいすぎるのではないかと思います。やはり法人の類型にかかわらないイ コールフットになるような単価の設定や補助金の仕組みを今後の検討の中では考えていた だきたいと思います。  参考資料でお出ししているのが「待機児童リポート」です。弊社ではなく、ベネッセグル ープのベネッセコーポレーションの中にあります次世代育成研究所がやっているもので、非 常にタイムリーなデータでもあるかと思いましたので、本日は参考資料として付けさせてい ただきました。先ほどもお話に出ていましたが、例えば3ページです。これは首都圏で今年 の4月に認可保育園に申込みをした方々を対象にネットでの調査をしたところ、認可保育園 に決まらなかったので、そのうちの56.1%の母親は再就職するのをやめたというデータが でています。保育園に入るのが先か、仕事を辞めて子育てをしていくかという選択を、それ ぞれの方々が非常に難しい状況の中で選ばれていると思いますので、先ほど大日向委員長も おっしゃったように、そのためにこの制度を変えていくという意思を持って、早く進めてい かれればよいと思っております。 ○大日向委員長  ありがとうございました。佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  5ページの「具体的な保育対象範囲」です。「専業主婦家庭など」と書いてあるところで すが、今、一時預かりとなっている事業については家庭において保育することが一時的に困 難となった就学前の乳幼児が対象ですので、保育所における一時預かり事業はこれまでと同 様に「一時保育」と改めて文言を整理して編成し直していただくべきだと思います。  それから、保育所で現在の一時預かり事業をやっていると、当然子どもの状況や保護者の 状況はつかみにくいわけです。そういう意味では、より対応ができるベテランの保育士なり、 人材配置そのものを経験豊かな方たちを配置しないとなかなかできない事業ですので、そう いう意味での環境整備そのものも併せてしていただくことがこの議論の中では必要なので はないかと思うことが一つです。  それから11ページに、「供給が需要を上回っている場合」の対応事例として、i)とii) が四角の中に書かれています。例えば、供給が需要を上回る地域でも今年の4月に待機児童 が多かった横浜市のように、地域的にというのでしょうか、やはり人口が集中して多い所は 何らかの形で対応イメージ例2の連絡協議会なり、何なりという対応の仕方が必要なのでは ないかという気がします。  26ページの「保育に関する費用保障の仕組み」のところに書かれているので、これが妥 当な意見なのかどうか皆さまにお諮りしたいのですけれども、まず、二重丸のところに「制 度の基本的枠組みは、行政による委託を出発点とするのではなく」と書かれておりますが、 基本的にこの制度の枠組みは市町村が保育の保障を認定する認定証明書の発行から始まっ ていくと思います。確かに利用保障の給付のところで書かれていますけれども、そういう意 味では、基本的な制度の枠組みは、市町村による認定が出発点であると理解するべきだと思 います。その上で、何度も出ていました利用者と保育所との利用契約というところではここ に落ちてくると思います。前提となる基本的枠組みとなると、認定証明書の発行の方が出発 点ではないだろうかと感じました。 ○大日向委員長  ありがとうございます。飯塚委員、お願いいたします。 ○飯塚委員  私のとらえ方に誤解があったらすみません。私は別にこの制度改革に反対しているわけで はないので、そこだけはぜひ進めるべきだと思っています。やはり待機児童の解消は社会問 題ですから、最優先で進めなくてはならない課題だということも認識しています。  こだわるわけではないのですけれども、その一つとして幼稚園の例を出したのは、幼稚園 はそもそも教育施設という位置付けで福祉施設ではありません。目的が違うということで両 方が共存しない、そこですみ分けしているところがあります。一方では良い面もあり、弊害 もあるのだろうと思いますけれども、幼稚園の教育施設という考え方を少し柔軟的に福祉施 設的な性格も少し広げて持っていただいて、保育に欠ける子どもも一部そこで預かってもら えるような仕組みを、これは私の思い付きで机上の空論かもしれませんけれども、そのよう に思ったのです。その裏は、私の町で言えば入所率50%で空き教室が実際に存在するわけ です。そこを福祉施設として一部利用していただければ、そこの短時間保育で救われる子ど もが相当出るのではないかと。先ほどの保育所に入れたいから仕事を入れるという方は、要 は費用面でということなのです。要するに、保育所に入れた方が安いから、幼稚園だと高い から。幼稚園は空いているけれども、あえて保育園の待機として待っている。費用がそちら の方が安いから待機になっても待ちたいという方が現実にいらっしゃるわけです。そこをう まく改善できればよいと一つは思ったということです。  私は前回のご議論で川崎委員のお話に目から鱗が落ちるようで、育児休業復帰で短時間と いう、私どものコミュニティでも制度がありますけれども、1時間切り上げで早く帰る、実 際にそのような方もいます。確かにそうすると、勤務時間が短くなってしまって点数が下が ってしまう。おっしゃるとおりなのです。担当に確認したらそのとおりで、これは確かに検 討の余地があるということで私どもも検討を始めました。これは市町村の裁量で何とかなる 部分でもあるので、確かにおっしゃるとおりで、将来的に長時間勤務がある程度一定の見通 しがつくのであれば、それはやはり現状で短時間勤務だからカテゴリーでやるというのは、 せっかく育児短時間勤務制度があるにもかかわらず、それを活用できないというのは本末転 倒な話だと。おっしゃるとおりだと思います。これはやはり行政として動かなければならな いことだと非常に感じました。ありがとうございました。 ○川崎委員  本当にありがとうございます。 ○飯塚委員  ここでそれが可能であるか100%お約束はできないのですが、それは内部でも話して確か にそうだという話はありましたので、それは非常に参考になって今後ぜひ生かしていきたい と思っております。  それから、先ほどの佐久間委員のお話で、私も前回少しお話しさせていただいたのですけ れども、認可外保育の中でもいわゆる保育ママといわれている家庭的保育事業というのでし ょうか、保育対策等促進事業については非常に手厚い補助があるのです。金額などはうろ覚 えであまり正確なものを覚えていないのでここでは差し控えますが、それは5人までだった と思います。1人だと3人で、補助員を付ければ5人という枠組みだったと思います。20 人以上だと小規模認可保育ということで、ここも手厚い財政的な支援がある。6〜19人の所 が今エアポケットといいますか、何の補助も受けられない所になっていると思います。この 枠組みは今、具体的にどのような枠組みが良いとは私も言えませんので、制度設計はお任せ するしかないと思いますけれども、ここに補助を入れていただけるとすべての人数規模の施 設で一定の国なりの補助が受けられる仕組みができるのではないかと思ったところですの で、ぜひ何とかしていただければありがたいです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。今の点について、今里保育課長から何かコメントがありますか。 ○今里保育課長  まさに家庭的保育の関係で、認可外保育施設というよりは家庭的にやるというところに着 目していて、ご承知のように別類型という形でやっているわけです。ただ、まさに保育第二 専門委員会の方で、どういった形でサービスを供給していくかという話の中でちょうど今、 飯塚委員がおっしゃった6〜19人の所をどのような小規模のことを入れていくかというこ とをご議論いただいているところです。そういったところで切れ目のない形でという方向で 全体の検討をさせていただいているところです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。川崎委員は何か感想はありますか。随分とスピーディに対応して いただいたようで。 ○川崎委員  早急に対応していただいて本当にありがたいと思っておりますし、良かったと思っており ます。そういう意味では、企業もやるべきことを積極的にやっていかなければいけないと思 いました。そこは行政もそうですし、仕組みとして今回検討しているものが早く実現される ともっと良くなるという意を強くしましたので、ぜひその方向で進んでいかれればと思いま した。どうもありがとうございました。 ○大日向委員長  ありがとうございます。高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員  先ほど飯塚委員がおっしゃったことですけれども、育児休業明けは、そのことのみでの枠 確保、優先確保ということをすると、短時間勤務というせっかくの制度がある中で、それが 逆に作用することはなくなるということだと思いますので、そこは行政の意思でとにかく枠 を確保するということは可能だということなのだろうと理解しました。  まだ他の方も意見をおっしゃるでしょうから、時間があまり読めないので横断的に少し意 見させていただきますけれども、皆さま一緒だと思いますがあらためて、前提として、その 時々で、現政権とのかかわりもあるかと思いますが、今回の制度改革の発端といいましょう か、大前提は、やはり大幅な財源投入がなければあってはならないと思っておりますので、 万が一にも大幅な財源がないまま制度改革は絶対に行われないようにと、あらためてお願い したいと思っております。  やはりどうしても保育事業者側の意見として不安材料も含めてということですけれども、 委員長代理からも前々回でしたか縷々ご説明いただきましたが、問題は児童福祉法24条の 中で、果たしてどのような形でこれから事業者が法的に位置付けられていくのかということ が気になるところです。それと同時に、法律の専門ではありませんので法定代理受領という 言葉の理解がなかなかしづらい部分があるわけですけれども、そこを市町村に義務としてそ ういった形を取るということですけれども、保育事業者の理解がもう少し得られやすいよう な説明や議論をしていただけたらと思います。  最後に、やや情緒的な話になって恐縮ですが、保育はよく医療や他の介護、障害の分野は ということで引き合いに出されますけれども、やはり保育が一番違うのは、利用者のとらえ 方が保護者なのか、子どもなのかということ。もっと言いますと、二面性があるということ で、ある意味で非常に難しいところではないかと思っております。保育保障認定書を交付す るに当たりましても、それが必ずしもずっと一定ではない。これは保護者のいわゆる就労支 援的な意味で言いますと、そういったことでいろいろな就労形態を保障して、保護者の働く 環境を整えることは当然必要ですが、一方で保育を受ける子どもたちが保育の連続性と申し ましょうか、健全な発達を保障していくために、果たして本当にどうしていくのがよいのか と非常に悩ましい。ある意味では、親と子どもの利益は相反する部分の方がむしろ多いとい うことがあるわけですけれども、極力摩擦を最小限にしていくような制度設計にしていただ きたい。やや情緒的な話で締めくくらせていただきますけれども、以上です。 ○岩村委員長代理  法定代理受領というのは極めて法的にテクニックな用語で、結局、受給権をどう構成する かなど、いろいろなところから出てきた言葉です。端的に言いますと、要するに利用者が保 育のサービスを利用したときには、利用者に払っていただく分の他は市町村が直接保育園に お支払いする仕組みであるとご理解いただければよいと思います。法律上はそれをストレー トに書けない技術的な問題があるものですから、法定代理受領という構成を取っているとい うことで、端的に利用者である保護者がお支払いいただく分以外は、直接市町村から保育所 にお金が支払われると理解していただければよろしいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。まだ少し時間がありますが、まだご発言いただいていない委員も いらっしゃいますが。佐藤委員、それから吉田昌哉委員のお手が挙がりましたので、その順 でお願いいたします。 ○佐藤委員  14ページの「利用者と保育所等との公的保育契約」は、これまでも何度も「三者の間の」 と言っていますが、それ以外のことで市町村が認定と費用保障だけではなくて、確実に子ど もたちに保育が届けられていくための責務を何らかの形で書き込んでいただくことが必要 ではないかと思っております。  それから、利用者と保育所等が公的契約をするということであれば、その前提が、市町村 が認定した認定証明書によるという中身も書き込む。例えば、○○市がその認定に基づく契 約であるということも書き込むことが、多分境界になるのではないかという感じがします。  後段で、保育の質の向上や維持についての議論整理がありますが、ここが今回の委員会の 中では議論をし尽くせなかったところです。子どもたちに、これからの日本はどのように育 みの仕組みをつくっていくのか。今ちょうど青森では生活発表会の時期なのです。これから 私も3週間連続で子どもたちと毎日を過ごすのですけれども、そこで見ていると保育者と子 ども、そして当然その傍らには保護者がいますが、保護者の人たちに日常の生活の発達を届 けていくというのでしょうか、そのようなものを届けるためにそのような生活発表の場があ ります。そこを支えていく人材が前回も言いましたように、例えば短時間保育士が多く雇用 されていくことであったり、1年契約であったり、そのような中で意思は持っていても限ら れた任期であったり、それから自分の質を向上するために、自分の時間を使う時間がないよ うな状態があったり、その辺もやはりそういう意味ではそれをカバーしていくような仕組み がないと巡り巡って子どもたちが健やかに育つ保障ができないような気がするのです。です から、子どもたちに届けていける健やかな生活時間を持てるような制度の仕組みを、これか らもぜひ、できれば少子化対策特別部会で議論していただければとお願いしたいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。では吉田昌哉委員。 ○吉田昌哉委員  今、佐藤委員からも保育士をはじめとする保育労働者の処遇についてのお話がありました。 先ほど佐久間委員からも保育の質に関連付けて保育士・保育者の方々の労働条件、またその 定着を促進していくような措置を取っていくべきではないかという意見もありました。私は この委員会に日本労働組合総連合会から出席させてもらっています。やはり労働組合として 一番関心があることは、今度の新たな保育の仕組みにおいて、保育士またはその他の保育労 働者の労働条件が改善されていくのか、または今よりも切り下げていくのではないかという ことが大きな関心であり、不安でもありました。そのような点で、費用を負担する者が新し い制度では市町村になってくるのですが、労働者の処遇も含めてサービスの内容にきちんと 責任を持って、もし不正なサービスまたは事業者による不正な行為などがあったら、すぐに 迅速に対応していけるような仕組みをつくっていくべきだと思います。具体的にはペーパー の26ページから始まる「費用保障の仕組みについて」ですが、28ページの最初の丸のとこ ろで、「適正な保育というものをきちんと提供されるように法的に枠付けをするかという問 題である」と。これは恐らく事務局からご意見があったと記憶しているのですが、やはりそ のようなことが非常に大事になってくると思います。ただ、今の介護保険制度を見ています と、今回2年半の時限的な制度ですが、介護職員の処遇改善交付金が今年度の補正予算でそ のようなスキームがつくられたのです。つまり制度の中だけでは介護職員の処遇が改善でき なかった、適正な労働条件が担保できなかったということであったと思います。やはりこの ようなことが今度の新しい保育の仕組みの中では絶対に起こらないことを肝に銘じていき たいと思います。  そこで、29ページの一番上の方で、指定という制度は行政と事業者との間の公法上の契 約である。公契約であると。指定制度は、市町村から保育所への委託に代わる制度として県 の指定がある。これも私の恐らく事務局のご発言だったと記憶しているのですが、公契約と いうことで思い出したのが、国際労働機関(ILO)の条約の中に、公契約における労働条項94 号という、1949年ですから60年前に採択された条約があります。簡単に説明しますと、 この条約は例えば「土木工事や物の製造、医療などのサービスの提供において、労働者の雇 用を伴う公契約については一定水準以上の賃金およびその他の労働条件を担保します」とい う労働条項を契約の中に盛り込むことを規定しています。一定の労働条件や賃金とは何かと 申しますと、例えば同じ地域の同じ事業、例えば保育でしたら、ある保育所では労使交渉に よって締結された労働協約で規定されている賃金水準、または日本の場合は公務員は労働協 約締結権がないので、公の仲裁などによって規定された賃金、「その他法律事項」とありま すので、恐らくこれは最低賃金のことを指すと思いますが、こういう水準のうち最も高い水 準、恐らく労使交渉による賃金が一番高いと思いますが、この水準を下回ってはいけないと いう条項を公契約の中に入れるべきというような条約があります。この94号条約はILOの 労働基準にしては珍しく「制裁」という規定もありまして、これを違反した事業者に対して は契約や支払を手控えるなどの制裁を科すことも規定されてます。  いろいろな資料を読んだのですが、なぜ60年前にこのような国際法が制定されたかとい う背景は、「公契約の下で公的事業を行うことで利益を得ている企業は労働者に適正な労働 条件を保障するべきであり、公の機関はそれを確保する責任を負っている」と。つまり、公 契約によって賃金やその他の労働条件に対して下方圧力がかかってはいけないという精神 でこの条約が採択されたと理解しています。残念なことながら日本政府は、「民間の賃金は 労使交渉によって決定されるものであり、法律違反がない限り政府が関与すべきではない。 そのためにこの条約を批准する意図はない」という報告をILOの事務局に出しております。 ただ、この条約は59か国が批准していて、フランスやイギリス、フィンランド、デンマー ク、オーストリアなどではきちんと法律によって公契約には労働条項を盛り込むべきという ことが法律で担保されています。仮定の話ですけれども、もし日本政府がこの条約を何年か 前に批准していて国内法を整備していれば、恐らく今回のように先ほど例を挙げました介護 の処遇改善交付金、2年半で4,000億円も公的資金を使わなくても済んだと私は感じていま す。  ここで事務局に確認と質問ですけれども、保育労働者の人材確保または社会的地位の向上 という点では、適正な賃金・労働条件が確保されるべきというのは皆さまご賛同いただける と考えますけれども、例えばたとえこの94号条約を批准しなくても、この精神に基づいて 国内法を整備することはもちろん可能であり、奨励されるべきことであると思いますが、「指 定」などの公契約に労働条項を盛り込むことが現実的に日本でどうなのか。その現実性につ いて、もし公契約における労働条項が難しい、駄目であるならば、その他に公契約において 労働者の賃金をはじめとする労働条件を、一定水準を保障していく方法というのは、どのよ うなものがあるのか。お答えいただければと思います。よろしくお願いします。 ○大日向委員長  朝川室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  基本的にここでご議論いただいているのは、いろいろな保育サービスの費用をどのように 保障する仕組みをつくるかといったところを制度として構築しようとする話ですので、質の 確保されたサービスが適正に行われるかどうかというのが非常に重要な論点でありますか ら、その先にある事業所の労働者の処遇の問題を直接扱うことを目的とした制度を構築しよ うとはしていないということがまず一つ限界としてあると思います。したがって、この制度 だけで直接労働者の処遇を事業者側に規制するということを考えるのは、かなり越えなけれ ばいけないハードルが高いような気が現時点ではします。  一方で、吉田昌哉委員がおっしゃいました保育もその他のいろいろな社会保障のサービス と同様に、人が提供する、人件費比率の高いことで示されるような、そこで担う人が重要な サービスですので、そこで一定の処遇が確保されるということも人材確保という意味でも重 要であると思います。  では、どのような手法があり得るかということで一般論として申し上げれば、例えば単価 設定のときに少し加味する手法があり得るのかどうかということもありますし、これは保育 第二専門委員会の方でご議論いただいている使途制限の規制の程度、仕方の問題として、ど こまで規制するのか。手法としてはそのようなやり方はあり得るので、それは詳細の制度設 計をしていく過程でどこまでやっていくかということだと思います。 ○岩村委員長代理  今の吉田昌哉委員のお話の件ですけれども、指定制度というのは参入規制でもあって、そ ういう意味では規制をかけていることは確かです。そうすると、本来の制度目的からずれた 制約をかけるというのは、従来の伝統的な行政法の考え方からすると、やや無理があるだろ うという気がします。ですから、仮に一般法として「およそ公的契約については」というよ うなものが何かあってということであれば適正な賃金・労働条件を課すことは可能とは思い ますけれども、そうそうでなければ、例えば保育の指定というものにだけ適切な賃金・労働 条件の遵守義務を付けるというのは難しい気がします。  それから、もう1点としては、あまり労働の話に立ち入ることはしませんが、基本的に例 えば先ほど挙がったフランスなどは、労使関係の構造が日本とは全然違うのです。産業別交 渉をして、そこで協約を決めて最低賃率を決めているという世界なのです。従って、このよ うな賃金水準でやりなさいと政府契約でやることは比較的やりやすいのです。  これに対して、日本の場合は基本的に企業別交渉でやっているので、では、どのような賃 金がよいかということを政府が決めるのはまず無理だという気がします。ですから、おっし ゃることもよくわかるのですが、実際の賃金水準にまで立ち入ってということになると、そ れは少し難しいのではないかというのが私の感じたことです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、飯塚委員。 ○飯塚委員  今の意見に関連してですが、たまたま昨日、埼玉県から「保育単価の改正」というメール が届きました。保育単価が改正されるようです。要は人件費という部分については公務員の 給与をベースに、ある程度算定されているのでしょうか。そういうことだと思いますが、要 は公務員の給与が引き下げられたのです。法律が成立したのでしょうか。私どもは引き下げ られて、実は今日ボーナスが支給されるのですが、引き下げられました。それを踏まえて、 減額のご提示であったと思います。数十円から数千円の単位であったと思いますけれども、 このように単価改正しますということをメールでいただきました。  それは前置きですが、本題は先ほどの関連でいえば要は保育単価の中に人件費相当分とい うのが、算定式が多分あるのでしょうけれども、人件費相当分として含まれていると思いま す。それが国家公務員の給与によって変動する部分があると思います。この使途について、 最低限その部分は制限するというのは可能かどうかはわかりませんが、国とすれば、給与相 当分はこの金額だから、これは確実に給与に使ってくださいというようなことが、できるの でしょうか。  これで結論が出る話ではないのですけれども、たぶん積算の積上げはそういうことになっ ているのだろうと。そこに使途制限をかけるということは技術的にはできない話ではないと いう気は少し短絡的ですけれどもしているということを申し上げたいということでござい ます。 ○大日向委員長  事務局、お答えいただけますか。 ○朝川少子化対策企画室長  保育第二専門委員会で議論して資料も出していますが、今の保育の仕組みでいくと原則型 が今、飯塚委員がおっしゃったような仕組みになっていて、人件費に相当する部分は人件費 に充ててくださいという使途制限をかけているのです。しかし、使途制限の緩和・弾力化が できる条項があって、それは比較的最低基準を満たしていれば弾力化してもよいというのに 等しい条件で、人件費とそれ以外の区分は乗り越えて使ってよいという緩和が図られていま すので、現行制度でも、そこの部分は結構、緩和されてしまっているというのが現状なので、 それをさらにまた厳しくするというのはどうでしょうかという議論を今、保育第二専門委員 会では議論させていただいているのですが、結論を出しているわけではありません。 ○飯塚委員  ここで事業仕分けの話をしては申し訳ないかもしれませんが、あの中で何か話がありまし たよね。保育所の職員はこんなに安いという話が若干出ていたようで、私もインターネット 中継で拝見させていただきましたが、それと関連して、もう一つ申し上げたかったのは、保 育料の話です。ここで議論する話ではないのかもしれないのですが、財務省の言うベースと なる一定の所得に応じた応能負担も一つの案の考え方としてはあると思います。  もう一つは、今日は椋野委員がお休みですけれども、前回に出た定率負担という医療保険 のような形で一定の率で負担していくという考え方もあると思います。   ○高橋委員  保育料の話が出ましたので。これは日本保育協会ではなくて個人的にということを前提に 申し上げますけれども、確かに今の負担は一般的には応能負担ということで保育料は決めら れていますけれども、税制転用方式を採っている関係で、前年度のという形になってきます ので、それが今のこの時代に本当に保育料を決定する上で実態に合っているかどうかという ところは、もっと議論がなされてもよいのではないかと個人的に思います。 ○飯塚委員  その話で、これはご承知かと思いますけれども、なぜ前年かといいますと、県民税、市町 村民税といわれていますけれども、これの確定が前年度所得に対してというところなのです。 ここを根本的に変えていただかないと、所得税は当年といいますか、1〜12月のものを暦年 で算定することになりますけれども、市町村民税は前年の所得についてということになって いて、押さえる時期が違ってきてしまっている関係で、このようなことになってしまうので す。それは市町村サイドとしても統一的にやられれば、それはそれで一番よいのだろうと思 いますし、それに基づいて決定するというのが、確かに住民の負担もなくよいのだろうと思 っておりますけれども、ここだけで解決する話ではないということをお話申し上げました。 ○大日向委員長  木原委員がお手を挙げられました。それから、残り時間が少なくなりましたので、まだご 発言がない榊原委員、駒村委員にもお願いいたします。 ○木原委員  今の保育料等の話は大変重要な議論ですけれども、私は今日が最後ということだと思いま すし、一番心配していますのは、やはり制度設計は早くつくらなければいけないと皆さん言 っていますけれども、11月12日の政務官折衝等の議事録を見ていますと、かなり強行に地 方分権の話が出ているわけです。そういう絡みで、これは早く日の目を見た方がよいのでは ないかなと思っていて、その辺のプログラムや見通しを含めて聞かせてほしいと思っていま すが、いかがでしょうか。 ○大日向委員長  局長、お願いいたします。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  地方分権に関しましては、政務官折衝の後に副大臣折衝もしていただいて、なお決着がつ いていない状況であります。厚生労働省としては、条件闘争を小出しにするのではなくて、 最後まで大臣が決断した範囲内で収めたいということでやってきているわけですが、それさ えも正直なところ内閣府の担当の政務三役の方々との折衝では合意ができていないという ことがあります。  ただ、それはそれとしても、政府全体でいろいろな物事をこの年末までに一気に決着して いかなければいけない時期になっておりまして、今の段階ではすべて途上で、私自身も情報 を持っていないものも多々ございますが、この数週間のうちに地方分権も一定の方向性を出 すのではないかと思われますし、それから、例えば子ども手当てもそうですけれども、財源 についてはいろいろな政治家ベースでのご発言があったりしますが、この流れも最後にどの ような形にするかを、もう収束の方向性を政治家ベースで出していただく時期になってまい ります。それとの関係で、例えば保育所に関連する支出のあり方等についても、当然私ども の概算要求、事項要求になっているものもあるのですけれども、そういうものも全部収まり をつけていくということになります。  ですから、そういう中で幾つか今日かなりいろいろなご発言があった中の大きなテーマに ついて、何らかの政府としての姿勢が出てくるものもあるかと思います。ただ、現時点で今 日の段階で何か申し上げられることがあるかといえば、誠に恐縮ですが、まだないといった 状況です。  何か補足がありますか。 ○田河総務課長  まさに木原委員がおっしゃるように、方向性を出した方がよいのではないかという時期と いうか、そのようなことが求められている。今でも例えば子ども手当てについては現金給付 もよいけれども現物給付をどうしていくのかということを我々はよく問われます。そういう 中で、きちんとしたサービスのあり方が今、求められているのではないか。そういう状況の 中で、この委員会でまとめた方向を基に、政府全体としてこれを受け止め、具体化していく ことが求められている。  時期的にいうと、それほど余裕はないのではないか。当然、年が明けて、またビジョンが できて、それを踏まえて、この制度の具体化を進め、そして必要な制度を提案していく時期 が近く迫っているのではないかという認識を持っております。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、そろそろ最後になるかもしれません。榊原委員、駒村 委員の順にお願いいたします。 ○榊原委員  今の皆さまの議論にも少し関係するのですけれども、私は今回この議論のまとめとして出 していただいた方向性を支持していますし、議論で確かに保育の現場を担っていただいてい る皆さまの不安を全部解消できているわけではないし、詰めきれていない部分もあるにはあ るけれども、大きな方向性としてこの改革の打ち出されている方向性を支持しているし、こ れをぜひ進めてもらいたいと思っています。国民の立場というか、子育てをする立場に立て ば、もうこれ以上の抜本改革の先送りはやめてくれというのが切実なところで、今、地方分 権の改革の話が出ましたけれども、ここで今、私たちが議論している改革が立ち消えになっ たとしたら、一体何が起こるのかということも併せて考えざるを得ないような政治状況にあ るということも改めて認識しておく必要があると思っています。  それは今の地方分権の中で出てきている話、お金は渡さないけれども保育は市町村にすべ て委ねてもよいのではないかと主張する人たちがいて、世論の中で一定の指示を得ている。 この状況の中で、抜本改革を進めていくべきだと保育を守ろうとする人たちが結束しなけれ ば、恐らく保育にお金を掛けないままで待機児童を解消するにはどうするかという議論がさ らに進んでしまう。もっと詰め込んでもよいのではないのか。市場原理に委ねてもよいでは ないかという方に行きかねない状況が相当あるということを認識した上で、私たちがここま で議論したものを、どう実現につなげていくのかということが、多分厚生労働省側だけでは なく、関係者全体に求められていると思っています。  高橋委員がおっしゃったように、私も財源の問題が大前提だというところは全く同じ思い でいます。ただ、過去10年待機児童の解消ということが社会問題になってから何が起きて きたかというと、保育は大事なのだからもっとお金を投じようという議論が起きないまま、 もっと基準を緩める、規制緩和することで何とか緩和できないかというような、あの手この 手をさまざま重ねてきて、とうとう最低基準を緩めるところまで話が下りてきているという 見方をしてもよいのではないかと思っています。  改めて保育は公共財であって、お金儲けの手段にしてはいけないし、少子化や人口減で日 本の子ども一人一人の育ちが、一人残らずとても大事になっている。その子どもたちに良い 育ちを保障するための保育としての再編成なのだと、きちんと国家戦略に位置付けてもらえ るような打ち出し方というものを、ぜひ今後の少子化対策特別部会でしていっていただきた いと思っています。だからこそ、財源の用意も皆でしなければいけないという議論が、その ような話になればついてきてくれるのではないかと思っています。  まだいろいろな不安はあるけれども、今この抜本改革のこのタイミングを逃したら、恐ら く大変なことが起きかねないというところだけは認識して、私も推進する側として声を出し ていきたいと思っています。 ○大日向委員長  ありがとうございました。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  もう今、榊原委員がおっしゃったことに、私もほとんど100%同意する状態です。保育所 の仕組みが現状のままでよいのではないかとおっしゃっている人たち、あるいは規制緩和で 何とかできるのではないかと思っている人たちは、恐らく待機児が今は3万人のレベルの話 をしていると思いますが、2万、3万のレベルの話をしているわけではないのです。ここで 話をしているのは、潜在的な待機児童、保育ニーズ。ここが全部、表に出てこないような社 会になってしまえば、日本社会はとんでもないことになるというのが、まず大前提なので、 まず桁が違う話をしているのだということを共有しなければいけないと思います。  その上で、財源の問題は当然必要でありまして、ここはもう保育に関係する皆さまは政府 のお手並み拝見ということではなくて、これが確保できなければ大変なことになりますよと いうことで、皆さまが結束して子育てが終わった世代に対してもこの費用確保ということが、 ゆくゆくは自分たちの社会の安定のために必要なのだということを説得していただきたい と思います。  細かいところは先ほどの、質を確保するための費用保障というのは、あまり規制というこ とよりは、本来はやはりインセンティブ、つまり質を高めた方がメリットがあるというよう な仕組みを基本的には入れるべきであろうと思います。  保育料についても、どういう理由であろうが、働きたい母親に対してユニバーサルに保障 するという仕組みである以上、現行のような「保育に欠ける」という限定的なものではあり ませんので、誰もがアクセスできるというような料金設定にするべきであって、保育料で所 得再分配をどこまでやるのかというのは少し見直していかなければいけない。ただし、低所 得者のところへは十分配慮しなければいけないということが前提としてあると思いますの で、大きい新しい理想の制度に向かって、特に保育等に関係される方は、皆さまがやられて いることがいかに重要なのかということをアピールしながら、次のステップは財源確保と給 付設計の具体的な費用保障の設計になると思いますけれども、取り組んでいただきたい。感 想めいたものですけれども、以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。最後に、岩村委員長代理からもご意見があるということです。 お願いいたします。 ○岩村委員長代理  今までお話しされたことと同じことで、今回この委員会の今日の議論のまとめた資料にも ある「新しい仕組み」というのをこの後、少子化対策特別部会で議論していくことになると 思いますが、いずれにせよ、この仕組みをやると今、駒村委員もおっしゃったように、今ま で顕在化してこなかった保育のニーズが一気に出てくるので、財源の裏付けなしに制度だけ をつくってしまうと、これは大混乱になってとんでもないことになります。ですから、やは りこの委員会に出ていらした方々もぜひ、制度だけをつくってしまったら駄目ですよ、財源 の裏付けをしないと大変なことになりますよということを、今後は外へ向かってぜひアピー ルしていただきたいと思います。  もう一つは、世の中には保育の新しい仕組みの導入を急げという向きもあって、それは確 かにそうですが、ただ、これだけ大きな方向転換ですので、あまり準備期間を置かずにやる と、それはそれでまた現場が大混乱になりますので、やはり少し準備期間や広報などをかな り丁寧にやらないと、制度のすべり出しのところでつまづいてしまうという結果になりかね ません。そこもぜひ事務当局も政治家に向かって、そういうことを少し説明していただいて、 ご納得いただけるように、大変だとは思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから財源の点ですが、私自身は現金給付よりは現物給付に予算を割り当てるべきだと 個人的には思っております。そこは皆さま方も個人ごとにそれぞれのお考えはあると思いま すが、そういう方向でお考えいただける方は、やはりそれもぜひ、持ち帰って外に向かって 発言していただけるとよろしいかと思います。以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。本日は本当にいろいろと貴重なご意見をいただきまして、あり がとうございました。この委員会の任を越えるような課題も少し出ていたところがありまし たが、基本的には保育制度の抜本的な改革が本当に今喫緊の課題であるというところでは、 皆さま認識を一つにしていただけた。そして、心を一つにして今後ともこの制度改革を進め なくてはいけない。そのためにも、財源確保が必要であるということは繰り返すまでもない と思います。  これを可及的速やかにやるのか、情勢を見ながら慎重にやるのかというところでは局長は じめ事務局には大変なご苦労をいただいているかと思いますが、引き続き、どうかよろしく お願いしたいと思います。  佐藤委員がご心配しておられる保育の質の議論が足りなかったというお気持ちも重く受 け止めさせていただきます。しかしながら、少子化対策特別部会の議論、そしてこの委員会 ではそこは本当に大事に大前提として議論してきたところだと思いますし、今後とも大事に していきたいと思っております。高橋委員が「情緒的な問題ですが」とおっしゃった利用者 の支援・親支援と子どもの発達支援のどちらを大事にするのかというご提案も、非常に大事 な視点です。私はこれはバーサスではないと考えています。バーサスにしてはいけない。親 支援が子どもの支援になるように、換言すれば親子関係・家族関係全体の支援としなければ ならないのであって、そのための制度改革をしていきたいとも考えています。本日は貴重な ご意見をいただきましたことを、あらためて感謝申し上げます。  本日議論いただきましたご意見を含めまして、本日の資料に必要な修正を加えた上で、少 子化対策特別部会に私から報告させていただきたいと思っております。その修正に関しまし ては、できましたら委員長の私にご一任いただければありがたいと思いますが、いかがでし ょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  最後に、事務局から次回の日程につきまして説明をお願いいたします。 ○今里保育課長  本日は、誠にありがとうございました。次回以降の日程につきましては、追って事務局よ りご連絡させていただきます。お忙しいところを恐縮でございますが、ご出席いただきます ようよろしくお願いいたします。 ○大日向委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法