09/12/02 平成21年12月2日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事次第                日 時:平成21年12月2日(水)13:02〜15:39                場 所:経済産業省別館944号会議室 1.開 会 2.議 事  1 食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について  2 食品中の農薬等の残留基準設定について   (1)農薬関係     [1]継続審議にかかる品目     [2]新規登録等による新規設定に係る品目     [3]適用拡大等による追加設定に係る品目   (2)動物用医薬品関係     [1]薬事法に基づく承認に伴う残留基準の設定     [2]薬事法に基づく再審査に伴う残留基準の設定     [3]薬事法に基づく承認事項の変更に伴う残留基準の設定  3 報告事項 3.閉 会 ○石川補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会」を開催いたします。  本日は、御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。  本日の出欠状況について御報告いたします。  本日は、伊藤委員、大前委員、鈴木委員、寺本委員、牛島委員、宮村委員、山本委員か ら御欠席との御連絡を受けております。また、内田委員、児玉委員は遅れていらっしゃる とのことでございます。  現在の分科会総数20名のうち、現時点で11名の御出席をいただいており、出席委員が 過半数に達しておりますので、本日の分科会は成立いたしますことを御報告申し上げます。  本日の議事でございますが、お手元の議事次第をごらんください。  まず、議題1、食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について。議題2、食品中の 農薬等の残留基準設定について。1、農薬関係、2、動物用医薬品関係について御審議い ただき、その後、報告事項といたしまして、2点事務局から御報告を申し上げます。  なお、大変恐縮でございますが、本日、議事の進行を2の農薬関係を先に御審議いただ きまして、1のカドミウムをその後に御審議いただければと思っております。  資料につきましては、「食品衛生分科会資料」に加えまして、委員の先生方のお手元に は、「食品衛生分科会資料」と書いてあります厚いファイル、こちらに参考資料が1から 3までとじてございます。  次に、薄いファイルの勉強会資料、こちらは、適宜御審議の際に御活用いただければと 思います。  もし資料の不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し付けください。  それでは、以後の進行につきましては、分科会長にお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、早速議事進行に入らせていただきます。  本日、途中で退席される委員もおられるということですので、何とか15時までに審議事 項を終了させることができればと思っておりますので、どうぞよろしく御協力をお願いい たします。  それでは、まず、農薬関係の議題について御審議をいただきます。  事務局から農薬関係につきまして御説明をよろしくお願いいたします。 ○俵木課長 よろしくお願いいたします。  それでは、議事に従いまして、農薬の第1剤目からでございますが、前回の分科会で御 審議いただきましたメソトリオンが継続審議になっておりますので、その剤についてまず 御説明させていただきたいと思います。  資料の11ページでございます。メソトリオンでございますが、前回御審議いただきまし たが、もう一度簡単に御報告させていただきます。  これは、新規の農薬登録申請があって、今回、基準値の設定を行うもので、暫定基準に ついて併せて見直しを行うものでございます。  対象は、とうもろこし、稲でございまして、国際基準の設定はございませんが、アメリ カ、カナダ、ニュージーランドにおきましては、基準値が幾つかの作物について設定され ております。  食品安全委員会の健康影響評価でございますが、ADIがラット繁殖試験で設定されて おりまして、ここに記載のとおりでございますが、このADIの設定について、前回御議 論がありました。  基準値案については、1ページめくっていただきまして、12ページにございますとおり、 国内の残留基準、又は外国から提供されました作物残留試験の結果に基づきまして、この ように部会での御審議をいただいたところでございます。  前回、三世代繁殖試験でADIを設定することにつきまして、その無作用量が他の慢性 毒性/発がん性併合試験の最少毒性量と非常に近接しているので、ADIの設定について どのように考えればいいのかという点、又は本剤が血漿中のチロシン濃度を上昇させるこ とによって、目に対する毒性が主たる毒性指標でございますが、チロシンのヒトでの血中 の上がり、又はその毒性についてどう評価すればいいのかということにつきまして、食安 委の評価書の中に若干の疑義がございまして、御照会をしていたところでございます。  それにつきましては、本日の机上配布資料でございますが、食安委から12月1日付けで 照会に対する回答ということで、2点の照会事項に対して回答をいただいております。ま た、そのもととなりました個別のデータにつきましても、1センチぐらいの厚さの資料と してお手元にお配りさせていただいております。  この食安委の評価結果につきましては、できれば大野先生から簡単に御説明をいただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 ○大野委員 それでは、大野ですけれども、説明させていただきます。  食安委からは、皆さんの席上に配布されていますように、2つの質問について回答が得 られています。  まず一番重要なのは、一番低用量で表れたラットの2年間慢性毒性試験ですね。これで 表れた症状がいろんな症状が出ているので、それについてどんなものかという、評価に留 意しなくてはいけないのではないかという御意見だったと思いますけれども、それに表れ たもの、目への影響とか体重抑制とか、そういったものを除いたほかのものは、ほとんど コントロール群でも表れているものなんですね。それで、コントロール群でどういう症状 が出ているかというのがまとめた表に書いていなかったので、それが誤解されたというと ころがございます。  また、目の変化と体重変化については、明確に低用量で出ているということですけれど も、それについて、目で表れた症状が、単に角膜混濁が出たとか、眼球混濁が出たとか、 それだけしか書いていないで、どれだけの重篤度か分からなかったということがございま す。それで、それについて、軽度だということが回答で書いてありますけれども、それに ついて、私もこの報告書を見させていただきまして、最初の報告書では重篤度については 書いていなかったんですけれども、修正した報告書では、重篤度に応じた表に書き直して ございました。それで、7.5という最低用量で表れた毒性がそれ以上の用量に比べて軽度 であるということが確認できました。  そういうことで、よろしいのではないかと思います。  それから、2つ目の問題は、HPPDという、メソトリオンで抑制される酵素による阻 害の影響によるチロシンの血中濃度の上昇にいろいろ差があるので、それについていろい ろ問い合わせたものだったと思いますけれども、回答については納得できるのではないか と思います。私の方で整理しましたところ、チロシンの血中濃度が大体1,500とか1,000 以上に上がったときに、目の毒性が出てくるということがラットの雄とか雌で示され出て います。  1,000以上に上がる用量というのが、ラットの雄、雌で非常に大きな差がありまして、 ラットの雄では4ppmで出ている。雌では100ppm以上でそこまで上がるとか、非常に大き な性差があるんですね。マウスでは1,000以上には、最高用量の7,000ppm投与しても上が らないとか、イヌでも600ppm投与してようやくそこに上がるぐらいということがありまし て、それ以上に上がらないマウスやラットやイヌでは、目の毒性が出ていないということ で、ほかの動物と比較しても、大体1,000から1,500以上に上がったときに、目の毒性と か、ほかの毒性が出てき出すと考えてよろしいのではないかと思っております。  じゃ、ヒトではどうなのかということですけれども、今日の資料に載っていないんです けれども、前にいただいた資料の中に載っていますけれども、ヒトでボランティアで実験 したときに、かなりの高用量、4mgだったと思いますけれども、投与しても血中濃度は 300ぐらいまでしか上がらないということで、毒性発現のスレッショルドを超えないとい うことがございます。  それでは、どうして血中濃度がチロシンが上がるのかということですが、メソトリオン によってチロシンの代謝過程の中のHPPDという酵素を阻害することによって上がると いうことです。今日の資料のメソトリオンの安全性評価に関する資料というのがございま すけれども、その106ページに、チロシンの代謝経路が書いてございます。最初にチロシ ンアミノトランフェラーゼによってHPPAに代謝されて、それが更にHPPDによって 代謝されて、更に代謝過程が進んでいくということです。メソトリオンによって2番目の HPPDが抑制されるということです。それで、TATが抑制されたときには、横の方の パスウェイにいって排泄されるということです。ラットでは、TATの活性が低いので、 HPPDが抑制されたときにその影響が強く出て、チロシン活性が上がる。マウスとかほ かの動物では活性が高いので、そんなに上がらないんだろうということです。それともう 一つは、今日の資料の資料3−1の74ページを見ていただくと、これは雄のラットの結果 ですけれども、例えば5ppmの濃度でHPPD活性が8%まで低下しています。90%近く 抑制されるということです。  一方、雌ラットでは、81ページのところで、100ppm投与してやっと7%まで抑制される ということで、酵素の阻害活性に20倍ぐらいの性差があるということです。  一方、マウスでは91ページに載っていますけれども、雄でも雌でも100ppmの餌を食べ させても37%までしか抑制されない。雌でも39%。350でもかなり抑制は弱いということ で、HPPDそのもののメソトリオンに対する感受性といいますか、阻害される感受性が 大きな差があるということで、TATの活性の違いと、HPPDのメソトリオンに対する 感受性の差と、その両方が絡んで、血中のチロシン濃度の上昇の差が出ているのではない かと思います。  では、ヒトでどうなのかということですけれども、HPPDがヒトで完全に欠損された ヒトでの論文がございまして、今日の資料には添付されていないんですけれども、355〜 640ぐらいの値まで上がるということが報告されています。ただ、そういうヒトでも目の 障害は起きていないということが報告があります。  ただ、チロシンの代謝の最初のパスウェイのTATが抑制された場合には、場合によっ て3,000ぐらいまで上がることがある。そういうヒトの場合には目の障害が起きることが あるということで、ヒトでも1,000とか1,500とか、その辺、正確じゃないですけれども、 かなり上がると、目の障害が起きる可能性があるけれども、少なくともメソトリオンでH PPDが完全に抑制されても、目の障害が起きるまでは上がらないだろうということが想 定されます。  そういうことから考えて、食品安全委員会の報告にもございますけれども、私もそうい うデータから、メソトリオンについての毒性の評価に関しては、雄ラットで非常に低用量 が表れる目の障害とか体重抑制とか、その辺を指標にしてADIを決めなくてもよろしい のではないかと考えました。  以上です。 ○岸分科会長 大野先生、ありがとうございました。  ただいま、相当詳細に説明をいただきましたけれども、委員の皆様方から何か質疑がご ざいますか。  照会事項の1の最初毒性量で認められた変化が本剤投与によるのか、軽微な変化で判断 するに至った根拠、それから、3世代繁殖試験、ラットで無毒性量0.3mg/kg体重/dayを ADI設定根拠としたことに関する説明、それから、特に今、大野先生から詳しく御説明 がありましたけれども、種差、種の中でも性差があった上で、ヒトの遺伝的なハイリスク の方たちへの毒性の及び方をどう考えるのかというところで、域値とパスウェイの両方の 方から、域値に対してパスウェイのことの加味した上での御説明がありまして、メソトリ オンについてはいろいろなややこしいことがあるので、ちょっと頭の整理が必要でしたけ れども、今回の説明、回答でよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  格段の御質疑、加えてないようでしたら、分科会としてこれで了承したということにし たいと思いますが、よろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。それでは、通常と同じく、今後のWTOやパブ リックコメントなどの手続に関しましては、部会長と御相談しながら、私の方に一任させ ていただくということでよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。  それから、また、この後、最終的なものにつきましては、次回以降の本分科会で御報告 をいたします。  それでは、新規登録の3種に移ります。よろしくお願いします。 ○俵木課長 ありがとうございました。  それでは、新規申請に伴います基準値の設定の関係、3品目について併せて御報告させ ていただきます。  資料は15ページをごらんください。ジメテナミドでございます。新しい製剤が新規農薬 登録申請があったということで基準値の設定の要請があったものでございます。併せて、 インポートトレランスということで外国から基準値の設定の要請のあった作物がございま す。また、既に設定されております暫定基準につきまして、今回併せて見直しをかけさせ ていただいたものでございます。  今回の新規剤は、ちょうどこの表の真ん中あたりに、我が国の登録状況という欄がござ いますが、既にジメテナミドのS体、R体が1対1であるセラミ体については、既に平成 8年から農薬として登録され、使用されてきておりますが、今回、活性体でありますS体 を93%以上と高濃度にした製剤、ジメテナミドPについて登録申請があったということで ございます。  本剤は、チオフェン環を有する酸アミド系の除草剤でございます。キャベツ、大豆、と うもろこし等に適用がございます。また、外国から、かぶ、ホップについての基準値の設 定の要請がきております。  諸外国の状況の欄でございますが、国際基準値が既に設定されております。また、米国、 カナダ、EU、オーストラリアにおきましても、幾つかの作物について残留基準が設定さ れております。  食品安全委員会の健康影響評価の結果でございますが、この欄にございますように、マ ウスでの発がん性試験に基づきまして、0.38mg/kg体重/dayと設定をいただいております。 基準値案でございますが、1ページめくっていただいた16ページに記載させていただい ておりますが、国内の作物残留試験データ、又は海外から提供されました作物残留データ、 又は国際基準をベースといたしまして、それぞれ基準値の設定をしております。  この基準値につきましては、10月29日の部会におきまして、御審議をいただいて、ご 了承いただいたところでございます。  この基準値でTMDIの対ADI比を計算いたしますと、15ページの下の方の欄にござ いますように、幼小児でも対ADI比1.0%と低い値になっております。現在、パブリッ クコメント、WTO通報の手続中でございます。  それでは、その次の19ページでございますが、次の新規登録の農薬でございます。プロ スルホカルブでございます。本剤は、チオカーバメート系の除草剤でございまして、対象 の作物といたしましては、小麦と大麦でございます。我が国での新しい農薬登録申請があ ったということでございます。  諸外国の状況でございますが、国際基準は設定されておりません。しかしながら、EU、 またオーストラリア、オーストラリアでは、小麦、大麦も含めまして、基準値の設定がご ざいます。  食品安全委員会におきます健康影響評価でございますが、この欄に示させていただきま したように、ラット慢性毒性/発がん性併合試験に基づきまして、0.019mg/kg体重/dayと 御報告をいただいております。  基準値は、次のページの20ページでございますが、国内の作物残留試験データに基づき まして、このように小麦、大麦に基準値を設定いただいております。  本剤については、9月25日の部会で御審議をいただいたところでございます。  曝露評価でございますが、この基準値をもとにいたしましたTMDIの対ADI比とい たしまして、幼小児で1.4%と、これも低い値になっております。  本剤についてもパブリックコメント、WTO通報の手続の予定をしております。  3つ目の新規申請農薬でございますが、23ページでございます。メタラキシル及びメフ ェノキサムでございます。このメフェノキサムというのは、メタラキシルの活性体のD体 だけを製剤化したものでございまして、併せて御評価をいただいております。  本剤は、酸アミド系の殺菌剤でございまして、対象の作物といたしましては、ばれいし ょ、トマト、きゅうりなどがございます。  DL体のラセミ体であるメタラキシルにつきましては、昭和59年に農薬登録が行われて おりまして、既に我が国で使用されてきている剤でございますが、今回、その活性体であ るD体のメタラキシルM、メフェノキサムについて新たな登録申請があったものでござい ます。  諸外国の状況でございますが、国際基準が設定されておりまして、また、米国、オース トラリア、EUにおきましては、多数の作物に基準が設定されております。  食品安全委員会におきます健康影響評価でございますが、この欄に記載させていただき ましたとおり、ラットでの慢性毒性/発がん性併合試験をもとといたしまして、0.22mg/kg 体重/dayと御評価をいただいているところでございます。  基準値につきましては、対象作物が大変多うございまして、何ページにも及んでおりま すが、次の24ページから30ページまで。答申案の形にまとめたものが31と32の2ペー ジにわたっておりますが、かなりの対象作物と畜産物につきましても基準値を設定してお ります。  基準値の設定は、国内の作物残留試験データ、又は海外から提供されました作物残留デ ータ、又は国際基準なるものについては、それをベースといたしまして基準値を設定し、 9月25日の部会で御審議をいただいたものでございます。  対ADI比の曝露評価でございますが、23ページの下に示しましたとおり、対ADI比 といたしまして、幼小児で64.4%となっております。  本剤についても、現在、パブリックコメント、WTO通報の手続中でございます。  以上、新規の剤3剤についてまず御審議をお願いいたしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○岸分科会長 3剤、議論に入ります前に、部会の方の御様子をお聞かせいただけますで しょうか。 ○大野委員 まず、ジメテナミドについては、今回、S体が新たに出てきたということで、 今までの毒性試験は、主にラセミ体でやっていましたので、S体との差が問題になると思 いましたが、S体での90日間の反復投与毒性実験をラットでやっていまして、それでほぼ ラセミ体と同じような結果が出ていますので、特に安全性の面で今までのラセミ体と変わ ることはないのではないかと判断いたしました。  それ以外については、曝露評価対象物についても審議して、ジメテナミドそのものとす るということについては、代謝物が実際に残留を測ってみたところ、定量限界未満だった ということでよろしいのではないかと考えたものです。  これについては以上です。 ○岸分科会長 メタラキシル及びメフェノキサムですか。こちらの方は。 ○大野委員 メタラキシルの方は、これについても同じようなところがございまして、新 たにD体が出たということで、今までの毒性試験の結果と比較して、DL体とどうかとい うことですけれども、これについては、28日間の反復投与毒性実験とか90日間の反復投 与毒性実験とか、そういうのを新たにメタラキシルMについてやっています。  それ以外の追加試験が、メタラキシルについて、発生毒性試験ですか、やられておりま すけれども、特にこれもラセミと比べて大きく変わるというところはございませんでした ので、問題ないのではないかと思います。  それから、曝露評価のところでも、結局、農作物については特に問題ないということで すが、畜産物については代謝物のDが残っていたので、畜産物については、代謝物Dも含 めて曝露評価をするということになりました。  それから、プロスルホカルブについては、安全性上は特に問題ありませんでした。代謝 物についても、特に、親化合物も含めて残留性は非常に低いので、親化合物だけでいいと いうことになりました。  そのほかの点については特に問題ございませんでした。 ○岸分科会長 それでは、3剤につきまして、委員の先生の方から何か質問、あるいは御 意見ございますか。どうぞ。 ○山下委員 済みません、教えてください。  ジメテナミド、16ページのてんさいの部分なんですが、現行のものより基準値が多くな っているということの理由を教えていただきたい。  それと、メタラキシル及びメフェノキサムのところも同じなんですが、25ページ、これ はきょうなが現行よりも案の方が大きくなっている。未成熟えんどうについても、現行よ りも案の方が大きくなっているということの理由を教えてください。 ○岸分科会長 この点については事務局の方から説明をお願いできますか。 ○俵木課長 ジメテナミドのてんさいでございますが、てんさいの基準値につきましては、 国内の作物残留試験データに基づきまして基準値を置かせていただいたものでございます が、国内の試験で0.01未満となっておりますけれども、作物残留試験データが2圃場のデ ータしかございませんので、そういったデータの限界も踏まえて、通常、0.01という作物 残留データの場合には、0.05ということで少しアローアンスを持って設定させていただい ているものでございます。  従来の基準値は、国際基準を反映した形で設定していたところでございますが、具体的 な我が国の実際の畑での作物残留データに基づいて、今回、高い値にはなっておりますけ れども、それに基づいて設定をさせていただいたというものでございます。  それから、メタラキシルの25ページのきょうなでございますが、きょうなにつきまして は、国内の残留データで1.02という高い数値が得られておりまして、2圃場での残留デー タに基づきます基準値の設定でございますので、アローアンスを置かせていただいて、3 という数字にさせていただいたものでございます。  それから、もう一つは、未成熟えんどうでございますが、未成熟えんどうについては、 国内の登録作物でございませんので、アメリカの作物残留データに基づきまして基準値を 設定しておりまして、25ページの未成熟えんどうの一番右端の欄に作物残留データの成績 が出ておりますが、米国の0.05〜0.531という作物残留データがございまして、それをも とに、米国では、その左側でございますが、米国では0.2という基準値を置いておりまし て、今回、我が国でも米国の基準値を参考といたしまして、0.2と置かせていただいたも のでございます。 ○岸分科会長 山下委員、意見は。 ○山下委員 きょうななんですが、実際に圃場で使ってみて残留値が大きいから、基準値 をこれに近い値に設定されると、違反がバカバカ出ちゃうという話だろうと思うんですが、 それはちょっと本末転倒なのではないかと思います。  未成熟えんどうについては、非関税障壁になるので0.2としたというのは理解できます。  てんさいは、余りよく分からないです。 ○岸分科会長 結局、作物残留試験の成績が2カ所しかないので、そのために、アローア ンスと事務局はおっしゃいましたけれども、それのために高めに基準値がなってしまうと いう問題を山下委員が気が付かれておっしゃったんだと思うんですけれども、これ、例え ば6カ所で0.01の値がてんさいで出た場合には、0.01に設定することが可能なんですか。 結局、2カ所だと、皆さんお分かりのように、分布が全然分からないんですよね。平均も 分からなければ。平均値というか。そういうので出さなければいけない苦しさだと思うん ですけれども。 ○俵木課長 6カ所のときにどのあたりに置けるかは統計学的にすぐに私から適切な御説 明はできませんが、現在、2カ所の圃場でのデータが出てきておりますけれども、品種で あるとか、天候であるとかによって、作物残留自体は少し振れがあるものですから、2カ 所のデータで、それにかなり近いところで基準値を設定することは、作物の生産にとって 不安定要因になるものと考えられておりまして、従来から一定のアローアンスを置きつつ 基準値を設定してきているということで、圃場の数につきましては、もう少し数を増やす べきだということで、現在、農水省におきましても、圃場の数を6試験に増やすべきだと いうことで議論が行われておりまして、数を増やしていく方向で今進めていただいている ところでございます。 ○岸分科会長 ちょっと根本的なところが作物残留試験の成績が2カ所しかないというこ とで、山下委員がおっしゃるように、ちょっと高めの設定になっている問題はありますよ ね。私が質問しましたのは、恐らく0.01以下が5カ所、6カ所あれば、0.01でいいので はないかということなんですよね。それこそほぼこの中におさまっているということで。 ただ、2カ所だと、まず分からない。たまたま出たのかもしれないということで根拠がな くなってしまうので、農水省ではいつぐらいに残留試験、2カ所から6カ所になるという のは大変朗報だと思うんですけれども、どのぐらいの、今、進行状況なんですか。クリア しなければいけないこと。要するに来年ぐらいからは6カ所のデータが出てくるんでしょ うか。 ○俵木課長 今、農水省では、6カ所に拡大するということで、案をオープンにして意見 を求めているところだと思いますので、それも踏まえて実施可能性なども踏まえて、今後、 正式に採用されていくことになるんだろうと思います。したがって、今の時点でいつから 6データになるというのはちょっと申し上げられないので、申し訳ございませんけれども。 ○岸分科会長 例えばアメリカとかEUとかでは何箇所でやっているんですか。 ○俵木課長 データ的には、作物にもよるんですけれども、多い場合は10データぐらいの ものもありますし、4データぐらいのものもございます。 ○岸分科会長 そのような状況だそうです。先生、どうぞ。 ○徳留委員 関連の質問かもしれませんメタラキシルの件ですが、基準値がかなりばらつ いていますよね。ホップが10ppmで、肉が0.03とか。かなりのばらつきがある理由はどう いうことなのでしょうか。それから、TMDIとADI比も大きいということですが、安 全性の観点からその2点についてご説明がございますでしょうか。 ○俵木課長 ホップの基準値が10ということで大きな数値になっているということでござ いますが、ホップの基準値の根拠は国際基準でございます。基準値の策定に当たっては、 国際基準がある場合には、基本的に国際基準を採用することに努めております。ただし、 国際基準に加え、国内での個別の具体的な作物残留データがあって、それが国際基準を上 回る場合、これは日本特有の気候であるとか品種等の関係も踏まえて、国内の作物残留デ ータを優先して国際基準より高い基準値を置くことがあります。また、国際基準よりも高 い、他の国での作物残留データがある場合にも参考にする場合がございます。  今回は、国際基準が10、国内の作物データが1.0と0.6でしたので、国際基準を採用し ているということでございます。  対ADI比の問題でございますが、幼小児で64.4%、国民平均で31.6%ということで、 ADI比の80%を下回っておりますので、安全性の問題からは許容できると考えている次 第でございます。 ○徳留委員 分かりました。ありがとうございました。 ○岸分科会長 そのほか御意見ございますか。  リスクの問題と曝露評価の問題と両方ございまして、それぞれの委員が質問されたのは、 本当はこうあった方がいいのではないかという安全の側の配慮で話されたんだと思うんで すが、できれば、国際基準が低めのときには低い方に持っていく方がよろしいかとは思い ますけれども、国内の曝露データが十分ないと、そこが厳しいところなのではないかと思 います。一応それを踏まえて、今回の3剤については了承するということでよろしいでし ょうか。できれば是非早めに2カ所じゃなくて5〜6カ所、農水省で検討されているそう ですけれども、そちらの方向にいっていただくようにお願いしたいと思っております。  それでは、今後この3剤、WTO、パブリックコメントなど、手続に関しましては、部 会長と御相談しながら分科会長に御一任いただくということでよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。  続きまして、適用拡大による追加設定、3剤ございます。よろしくお願いいたします。 ○俵木課長 それでは、資料の33ページでございます。トリフロキシストロビンでござい ます。今回は、適用拡大とともにインポートトレランス制度に基づきます基準値設定の要 請もございまして、暫定基準の全般的な見直しも併せて行ったものでございます。  本剤は、ストロビルリン系の殺菌剤でございます。  適用拡大の申請があったのはなしでございます。  インポートトレランスの申請がありましたのがライ麦、コーヒー豆等でございます。  既に我が国でてんさい、きゅうり、りんご等に登録されて使用されている農薬でござい ます。  諸外国での状況でございますが、国際的にも評価が行われて、キャベツ等に国際基準が 設定されております。また、アメリカ、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーラン ドにおきまして、作物に多くの基準値が設定されております。  食品安全委員会での健康影響評価でございますが、イヌの慢性毒性試験から0.05mg/kg 体重/dayと設定をいただいております。  基準値の設定でございますが、34ページ以降に3ページにわたって記載させていただい ておりますように、多くの作物に対しまして、国内の作物残留データ、又は海外での作物 残留データ、又は国際基準に基づきまして、基準値の設定をいただきました。9月25日の 部会で御審議をいただいたものでございます。  曝露の評価でございますが、33ページの下のところにございますように、国民平均で 25.4%、幼小児では55.9%となっております。  本剤については、今後、パブリックコメント、WHOの手続を予定しております。  39ページになりますが、エスプロカルブでございます。本剤も適用拡大申請があったも のでございまして、チオカーバメート系の除草剤でございまして、今回、小麦に対して適 用拡大申請がございました。  稲に既に農薬登録が行われている剤でございます。  諸外国の状況でございますが、国際基準は設定されておらず、諸外国、欧米等では基準 値の設定がございません。  食品安全委員会におきます健康影響評価でございますが、イヌでの1年間慢性毒性試験 をもとに0.01mg/kg体重/dayと御評価をいただいております。  基準値は、40ページでございますが、米、これは従来から置かれている基準値でござい ますが、に加えて、小麦の基準値を設定したものでございます。  本基準につきましては、9月25日の部会で御審議をいただきました。  曝露評価でございますが、国民平均で5.3%、幼小児で9.3%となっております。  本剤についても、今後、パブリックコメントとWHO通報の手続を実施していく予定で ございます。  それから、もう一つ、適用拡大でございますが、資料43ページでございますが、メタア ルデヒドでございます。  本剤は、ナメクジと軟体動物の駆除剤でございまして、今回、みかん、レタスに対して 適用拡大が申請されているものでございます。  既に稲に農薬登録が行われております。  諸外国での状況でございますが、国際基準は設定されておりません。ただし、EU、オ ーストラリアで、ここに掲げましたような幾つかの作物について基準値が設定されており ます。  食品安全委員会における健康影響評価でございますが、ラットでの慢性毒性/発がん性 併合試験に基づきまして、0.022mg/kg体重/dayと御評価をいただいております。  基準値でございますが、44ページに掲げさせていただきましたが、今回、国内作物残留 データが新たに提出されました作物登録有無のところに「申」と書いてある作物でござい ますけれども、ここについて基準値を置き直しております。  曝露評価でございますが、TMDIの対ADI比が国民平均で7.8、幼小児で15.4%と なっております。  本剤についても、今後、パブリックコメント、WTHO通報を予定しております。  以上、3品目、よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、議論に入ります前に、やはり部会での審議の様子を御説明をお 願いいたします。 ○大野委員 トリフロキシストロビンについてですけれども、それについては、曝露評価 を行うものについても検討しました。若干残留しているのではないかという懸念がされた 代謝物Bというのがあるんですけれども、それについて、実際の使用条件でやったところ、 親化合物と比べて非常に少ないという結果が出ましたので、それについてはそのまま親化 合物だけでいいだろうということになりました。  畜産物については、代謝物Dが残っているということで、それを含めて曝露評価をする ということになりました。  それ以外には、安全性の面でも特に問題点というのは指摘されませんでした。それから、 エスプロカルブについては、稲とか小麦に使われるわけですけれども、代謝物については 非常に微量なものが玄米の中に残ってくるだけだと。ですから、それは親化合物だけでい いだろうということです。  これについては、安全性の面とか、特に問題はございませんでした。文章上の表現が原 案から修正されたところはございますけれども、その程度でございます。  それから、メタアルデヒドについては、名前から分かりますように、分解すると、アセ トアルデヒドになるんですけれども、遺伝毒性試験だとネガティブと出ていました。アセ トアルデヒドはポジティブに出ることがよくありますので、なぜだろうということになり ましたけれども、vivoではネガティブだということで、特に問題ないのではないかと考え ました。  神経毒性が結構出るということなんですけれども、高用量で出ること、必ずしもそれが で死因とは考えられないというお話がございました。これは植物にまいた場合にはほとん ど炭酸ガスになって出ていっちゃいますので、残留については、このものだけで問題ない ということでございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  3剤につきまして、部会の審議の御様子を伺いましたが、委員の方から御質疑を受けた いと思います。いかがでしょうか。どうぞ。 ○山下委員 済みません。再々恐縮でございます。この議論の場、私どもはリスク管理の 方法を論ずるためにここに集まっているんだと思います。リスク評価の部分については部 会等で食品安全委員会等のデータを十分御吟味いただいたということで、その辺について は何ら異議はないんですけれども、1剤目のトリフロキシストロビンの35ページ、なしの 部分ですね。これもやはり先ほどと同じことなんですが、現行よりも案が非常に大きな値 となっていると。しかも、TMDIとADIの比が幼小児においては半分ぐらいというこ とで近いということなので、農水の方でこの量をこういうふうに使わないと効果が出ない んだと。だからこの値に設定していただかないと実地用には無理だというような理由があ るのであれば、それを御提示いただければよろしいと思います。それはそれで我が国の独 自性ということになろうかと思うんですが、ただ、その辺の試行錯誤をしないでいて、試 験の結果だけを踏まえて5にしますよというのはちょっとおかしいと思います。ですから、 圃場の数を増やすということと同時に、使用方法についてもう少し検討の余地があるので はないかと。厚労省としては、そのデータの意味をよくとらえて管理方法を論ずべきと考 えます。  以上でございます。 ○岸分科会長 山下委員からこのような御発言がございましたけれども、リスク評価の問 題ではなくてリスク管理の考え方だということで、やはりこれは事務局の方から今のお考 えをお伺いしたいと思います。 ○俵木課長 今の御指摘の例えばなしでございますが、当初の基準値は0.7ということで、 国際基準をベースにポジティブリスト制度を導入したときに設定されたものでございまし たが、今回、我が国での実際の作物残留データが1.05、1.94ということで、1.94という ものをベースであるということを考えますと、先ほどからの話で恐縮ですけれども、アロ ーアンスを置いた5ppmという数字を置かせていただいたということで、その5ppmを踏ま えたときの曝露評価としては55.9%ということで、もちろんこの数字は非常に小さいとい うものではございませんけれども、80%をクリアしているということで、部会も御了解い ただいたものでございます。  今御指摘の使用基準といいますか、使用方法を最小限に限定するということで、本剤の 使用の仕方については、農薬としての承認のときにもちろん決められていくわけでござい ますが、当然ながら、今回の適用といたします作物の病気に対して、どの程度の散布で効 果があるかということを踏まえて、最低限のといいますか、使用基準が定められていると 認識しておりますが、その点については、改めて農水省にも使用基準の設定の背景といい ますか、手続については確認を改めてしておきたいと思います。基本的には最小限の使用 で効果がある使用量をということで作物残留試験が行われていると理解しているものでご ざいます。これについては手続がどのように行われているか、再度確認をして、また御報 告させていただければと思います。 ○岸分科会長 山下委員の方から何かよろしいですか。  ほかの委員から御意見等ございましたら。よろしいでしょうか。  私も、日本なしと西洋なしが残留試験成績が1.05と1.94と1個ずつというのは、余り にも根拠としては少な過ぎるのではないかと思うんですよね。恐らくなしというので、2 つで1種類という考えなのかもしれませんけれども、なしなどは日本の特産でもあります し、今は、おいしいと、かなりの量食べる方もおられるのではないかと思いますので、そ ういう意味では、作物残留試験成績が1.05と1.94なので、5にせざるを得ないという、 0.7にしたら2つともオーバーしておりますので、この数字だけから見たらしようがない かとは思いますが、それについては、やはり山下委員の言われたようなことをもう少し何 とか、すべて厚労省のこの審議会で私ども何か申し上げて片付くということではなくて、 生産する側の問題もあると思うんですけれども、余りにも残留試験成績の数が少な過ぎて、 基準値の方がそれにどうしても影響されて出てきているように見受けられますので、その 辺は今後のいい方向に向いていただくようにお願いしたいと思います。  ほかに御意見がないようでしたらば、一応この分科会としては了承したということでよ ろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それで、今後のWTOとかパブリックコメントの結果に関しましては、部会長と御相談 しながら私に御一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、食品中の農薬の残留基準設定について、動物用医薬品関係が今日はございま すので、お願いいたします。 ○俵木課長 済みません。もう3つほど。申し訳ございません。資料47ページでございま すが、魚介類への設定の要請がございました剤が3つございまして、それについて御報告 させていただきます。  47ページ、テブフェノジドでございますが、魚介類への基準値の設定の要請があったも ので、併せてポジティブリスト制度導入時の暫定基準値について全面的な見直しを行った ものでございます。  本剤は、ベンゾイルヒドラジン系の殺虫剤でございまして、稲、りんご、かんしょ等に 対して適用がある農薬でございます。  国際的な状況でございますが、国際基準も設定されておりますし、米国、カナダ、EU、 オーストラリア、ニュージーランドにおきましても、多数の作物に基準値が設定されてい るものでございます。  食品安全委員会におきます健康影響評価でございますが、ラット繁殖試験に基づきまし て、0.016mg/kg体重/dayと設定をいただいております。  基準値は48ページから50ページにかけてでございまして、多くの作物、畜産物、それ から、今回50ページの下から3番目のところにあります魚介類でございますが、魚介類で の生物濃縮係数の濃縮性試験等のデータに基づきました推定値から、魚介類について 0.3ppmという基準値を設定いただいております。  そのほかの作物につきましても、暫定基準を置かれたものについても、外国での作物残 留データ、また、国内登録のある作物については、国内の作物残留データに基づきまして 見直しをかけたものでございます。  その結果としての曝露評価でございますが、これは、EDIの試算になっておりまして、 作物残留試験データの平均値をもって摂取量の算定をした上で対ADI比の算定を行って おりますが、国民平均で38.3%、幼小児で64.7%となっております。  本剤については、今後、パブリックコメント、WHO通報の手続を予定しております。  続いて、55ページのピリブチカルブでございます。本剤も魚介類への基準設定の要請が あったものでございまして、本剤は、チオカーバメート系の除草剤でございます。  稲に対する登録が行われております。  諸外国では基準値の設定はございません。また、国際基準の設定もございません。  食品安全委員会での健康影響評価でございますが、ラットでの慢性毒性/発がん性併合 試験に基づきまして、0.0088mg/kg体重/dayと御評価をいただいているものでございます。  基準値でございますが、米につきまして、もう既に登録があるわけでございますが、そ の基準値も今回作物残留データに基づきまして、改めて置き直して低い数字に治っており ます。また、魚介類についてでございますが、濃縮係数等から推定いたします魚介類での 残留値が0.34ppmということでございましたので、0.4という数字を基準値として置いて ございます。  本剤については10月29日の部会で御審議をいただきました。  曝露評価でございますが、TMDIの対ADI比といたしまして、国民平均で9.2%、 幼小児で14.4%となっております。  本剤についても、今後、パブリックコメント、WHO通報を予定しております。  農薬最後の剤でございますが、59ページのオキサジアゾンでございます。本剤について も魚介類への基準値設定の要請があり、併せて暫定基準の見直しを行ったものでございま す。  本剤は、オキサジアゾール環を有する除草剤でございまして、稲に対して農薬登録が行 われております。  諸外国の状況でございますが、国際的な評価はまだ行われておりません。EU、ニュー ジーランドにおきまして、作物についての基準値の設定がございます。また、アメリカに おいては、畜産物についての基準値が設定されておりましたが、現在は削除されていると いうことで、今回、我が国でも畜産物についての基準値を削除しております。  食品安全委員会におけます健康影響評価でございますが、ラット、慢性毒性/発がん性 併合試験をもとといたしまして、0.0036mg/kg体重/dayと評価をいただいております。  基準値でございますけれども、60ページにございますように、米について既に登録され ており、暫定基準が置かれておりましたが、具体的な国内の作物残留データに基づきまし て、0.02ppmということで置き直させていただいております。  また、魚介類につきましては、コイデの濃縮試験などのデータをもとに0.6ppmという案 を作らせていただいております。  本剤については10月29日の部会で御審議をいただきました。  曝露評価でございますが、TMDIの対ADI比が国民平均で31.4%、幼小児で48.6% となっております。  以上、3剤でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 この3剤、部会での審議の様子を伺いたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○大野委員 それでは、テブフェノジドについては、曝露評価をするものについては、代 謝物C、G、Fについて検討しました。Fについては、特に毒性が強くなる可能性がない ということで、C、Gについて、実際の曝露条件、使用条件で検査したところ、原体と比 べて少ないということで、親化合物だけでよろしいと。問題ないのではないかということ でした。  それから、ここはマネジメントの場だという御指摘がございましたので、そちらの方の 議論で、1つ別紙2のキウィーのところが「果皮を含む」となってございます。それは、 通常、日本の基準だと、果皮は含めないで中身だけで評価をしているんですけれども、今 回は国際基準に従ってやるということでいいのではないか。ただ、その場合に、分析方法 が今までと若干違うので大丈夫かということが問題になりました。それについては、ほか の果物について測られているので、大丈夫だというような発言が分析の専門家にございま して、ならばよろしいだろうということになりました。  それから、今回はTMDIじゃなくてEDIとの比で64.7ということですけれども、T MDIとの比較では、国民平均で149.7%、ADI比ですね。幼小児では250.9%というこ とでADIを超えています。ただ、TMDIは御存じのように、それぞれの基準値の最大 値を取ったときの最大摂取量、理論的に計算した机上の計算による最大摂取量ということ なので、80%を超えたときには、実際に圃場で、実際の使用条件でまいたときのデータを もとに計算し直して、それをEDIという言葉で、それで計算をし直しています。そうい うことで、し直すと64.7%ということで基準値の80%を割るので、これはよろしいだろう ということになりました。  それから、ピリブチカルブについては、薬理作用の表現が若干古いところがあったので、 それを書き直してもらいました。  それから、曝露評価については、本体のみでいいということです。米と魚介類の基準値 設定については、特に問題はございませんでした。  それから、オキサジアゾンについても、残留するのはほとんどが親化合物だということ で、親化合物を曝露評価のものとするのがいいのではないかということです。  それ以外ですと、基準値については、米と魚介類について、特に問題はございませんで した。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  委員の皆様の方から御意見、質問等を受けたいと思います。いかがですか。特別ござい ませんか。 ○山下委員 申し訳ございません。テブフェノジド、50ページの一覧表なんですが、牛の 脂肪、豚の脂肪、その他陸棲哺乳類に属する動物の脂肪が、これもまた現行よりも案の方 が大きくされているということの理由が知りたいです。御案内のとおり、日本の畜産物と いうのは、諸外国に比べまして脂のさしを好みますので、アメリカでこのぐらいの量を摂 取するとして決められた基準値よりも倍あるということはいかがなものかということで、 理由を教えてください。 ○岸分科会長 テブフェノジドの脂身のところですが、どうでしょうか。 ○俵木課長 テブフェノジドの牛、豚等、その他の動物の脂肪のところでございますが、 作物残留試験成績という一番右側の欄のところに、作物じゃないんですけれども、推とし て数字が書いてございますが、動物での推定残留値を求めておりまして、我が国での、我 が国でもと言うのも変ですけれども、推定値によりますと0.080ということで、それに基 づいて0.2と。0.1という数字では、基準値ではかなりぎりぎりになってしまうので、0.2 という数字を置かせていただいているものでございます。  実際には分厚い方の参考資料の方の560ページに畜産物の推定残留量ということで、ま ず、牛等の家畜が摂取することになる飼料、例えば麦わらなどが飼料になるわけでござい ますが、麦わらでの残留がどのぐらいになるか、それから、動物で実際に本剤を投与した ときに、どのぐらい投与するとどのぐらい脂肪に出てくるかという試験を、561ページで ございますが、組織中の残留量を求めて実際の試験をしておりまして、それらをもとに推 定残留量というものを、562ページでございますが、求めたところ、脂肪におきましては 0.08と推定されるということで、これは推定値ではあるんですけれども、これをもとに基 準値を置かせていただいたということでございます。 ○岸分科会長 今の御説明で、山下委員よろしいですか。  現実的には危害というのは、結局0.08ですと、国際基準の0.05をクリアするのは既に 難しいという感じですよね。だけど、0.08が10検体ぐらい残留試験の成績が、推定値で すけれども、推定の根拠が10点ぐらいあれば、恐らくもうちょっと低くてもいいんじゃな いのかなと思うんですけれども、結局、これもやはり数が少ないせいでしょうか。推定値 だから、数というよりも、数の問題じゃないですね。直接の値じゃないから。  山下委員の危惧は、おっしゃるのは私は分かるんですけれども、日本の人の方が確かに、 豚はどうか分かりませんけれども、牛でしたら確かに外国の牛よりは脂身が多いところ、 霜降りを好みますよね。 ○山下委員 現実的には危害というのは発生しないだろうと思うんですね。この動物飼養 試験自体がカプセルによって投与しているということなので、実際の飼料から脂肪中に移 行するのは非常に低い度合いだろうと考えますが、数を導き出すための試験として的確だ ったのかどうなのかということで。牛の脂肪中の値というのは、推定値じゃなくて実測値 も本当は可能ですよね。その辺はどうなんでしょうか。まさにリスク管理の問題だと思う んですけれども。 ○俵木課長 この推定でございますが、飼料中の残留を想定しまして、動物の飼養試験自 体はカプセルで食べさせているんですけれども、6ppm、18ppm、60ppmを食べさせたとき に、どのぐらい脂肪に出てくるかというのを試験しておいて、実際に牛に食べさせる飼料、 麦わら中の残留を考えると、大体13〜14ppmのわらを食べることになりますので、6ppm と18ppmのカプセル投与の試験データのちょうど間ぐらいにくるんですが、そうやってデ ータを推定しているということです。実際に残留した稲わらを食べさせたデータではない んですけれども、このような形での推定もできるのではないかとは考えております。各国 で何を飼料にするかによって違ってくることと、日本の場合には稲わらが飼料に使われる ということで、飼料の作物の違いなどによっても各国の飼料を経由した農薬の畜産物への 残留の実態は違ってくるということでございます。このような推定手法自体は、国際的に オーソライズされているといいますか、一般的な推定方法でございます。 ○岸分科会長 今、御説明が事務局の方からございましたけれども、よろしいですか。  これにつきましても、私も多少、ピリブチカルブというのが2番目の薬剤で56ページで すが、作物残留試験成績から見ますと、基準値現行よりむしろ低い方向に、0.1ppmから 0.03になっていますよね。結局、作物残留試験の成績がある程度お米であれば、0.01以下 がこれだと、1、2、3、4、5、6、7、8あれば、0.03に設定できるわけですので、 私は声を大きくして、やはり作物残留試験の成績のサンプルとなる値を多く出してほしい ということを食品安全の見地からは是非お願いしたいなと思うんですよね。私もそこは先 ほどの一番最初の議論、一番最初に山下委員が質問されたところ、同じ0.01だったんです が、これだけ数があれば、0.3で押さえられるということが、よく見てきますと、よく見 えますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、この3剤、ほかにございませんでしたら、一応この分科会で了承したという ことで進めさせていただいてよろしいでしょうか。どうぞ、若林委員。 ○若林委員 山下委員から基準値と実際のところで少し理解しにくいようなところがある と質問が出ていますが、これらのことについては、大野先生のところの委員会では特に問 題にはなっていないんでしょうか。 ○大野委員 うちの部会では、全体として、まずTMDIがADIを越していないかどう か。そこについては見ていて、そういう全体としてのADI、そういう意味で、ADIと の比率でどのくらいの割合があるかということを中心に議論していまして、あと、分析法 が良いかどうか。それから、国際基準がある場合とか、国内基準がある場合とか、どっち を優先するかとか、ということについては、いろいろ事務局から意見をいただいたり、ま た、議論したりしています。ただ、サンプル数について、議論したかどうか、それは覚え ていません。 ○若林委員 先生のところの委員会で、何かまとまった意見が出てくれば、より理解しや すいような基準が出てくるような気がします。是非先生のところでもこういうような議論 をしていただければよろしいかと思います。 ○大野委員 分かりました。では、早い時期にその辺についても議論していただくように、 議題として取り上げてくださるよう事務局にお願いいたします。 ○岸分科会長 大変大事なところですので、よろしくお願いいたします。ありがとうござ いました。  ほかに御意見がございませんでしたらば、一応これで3剤、分科会として了承したとい うことにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  では、これから先のWTO、パブリックコメントなどに関しましては、部会長の大野先 生と御相談しながら、私に一任いただくということでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、さっき先に進めかけてしまいました動物用医薬品関係に移りたいと思います。 事務局から御説明よろしくお願いします。 ○俵木課長 63ページをごらんください。性腺刺激ホルモン放出ホルモン・ジフテリアト キソイド結合物を有効成分とする注射剤でございます。本剤は、新たな承認申請があった ものでございます。  豚の外科的な去勢に代わる免疫学的な去勢効果を期待して使用される剤でございます。  オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ、EU等において承認がされ ている医薬品でございます。  食品安全委員会におきまして、ここに記載のとおり御評価をいただいておりまして、評 価結果の4行目になりますが、本剤はペプチド製剤であるため、本製品を経口摂取した場 合には胃液中消化の過程で小さなペプチド、アミノ酸に分解され、その作用は消失するも のと考えられる。また、本製剤に含まれているアジュバント等の添加剤につきましては、 物質の使用状況、既存の毒性評価及び本剤の投与量を考慮すると、健康影響は無視できる と考えられる。  以上のことから本剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影 響を与える可能性を無視できると考えられると御評価をいただいておりまして、この食品 安全委員会の評価結果を踏まえまして、残留基準は設定しないこととするという案でござ いますけれども、10月29日の部会で御審議をいただいたところでございます。  それから、65ページでございますが、その次の鶏コクシジウム感染症混合生ワクチンで ございます。本剤は、既に承認を受けた動物用医薬品でございますが、再審査の申請に伴 う見直しでございます。鶏コクシジウム原虫の弱毒のオーシストを主剤とした剤でござい まして、鶏コクシジウム症の発症抑制に使用されるものでございます。  我が国では平成8年から動物用医薬品としては承認されているものでございまして、平 成13年に剤形追加が行われまして、それに伴います再審査がきたものでございます。  ヨーロッパ、米国、中南米、カナダで承認をされている医薬品でございます。  食品安全委員会における健康影響評価でございますが、再審査を終了したものでござい ますが、その期間中に新たな副作用報告、安全性を否定する研究報告は認められておらず、 提出された範囲においては、安全性に関わる新たな知見の報告はないということでござい ます。  本剤の主体といいますか、本質でありますアイメリア属の原虫については宿主特異性が 高く、鶏コクシジウム原虫は鶏にしか感染しないということで、ヒトに対する病原性はな い。また、添加剤についても健康影響は無視できると考えられるということで、本剤につ いては適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は 無視できるという御評価をいただいたものでございます。  基準値案につきましては、9月25日の部会におきまして、食品安全委員会における評価 結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととするとされております。  最後の67ページでございますが、牛、豚用インターフェロンアルファの経口投与剤でご ざいます。本剤については、牛に対する適用を既に持っておりますが、豚に対する効能効 果の追加ということで申請があったものでございます。  天然型ヒトインターフェロンアルファを主成分とする製剤でございまして、牛のロタウ イルス感染症による下痢であるとか、豚の大腸菌性下痢症に対して使用されるものでござ います。  諸外国では、豚、牛、いずれも承認はございません。  食品安全委員会での御評価でございますけれども、本剤自体は経口剤でございますが、 報告されている多くの毒性試験は非経口投与でございますけれども、天然型のヒトインタ ーフェロンアルファは、予定使用量の数億倍の用量でも急性毒性を認めないということで ございます。また、遺伝毒性、発がん性、催奇形性はないと考えられるとされています。  経口投与した場合には、速やかに分解されてしまうだろうということでございまして、 また、本剤の使用量はヒトの臨床使用の数万から数十万分の一ということで、大変微量で ございます。本剤からヒトが食品を通じて薬理活性を有する天然型ヒトインターフェロン アルファを摂取する可能性はほとんどないと考えられるとされております。  添加剤につきましても、健康影響は無視できると考えられるということで、以上のこと から、本製剤が適切に使用される限りにおいて、ヒトの健康に影響を与える可能性を無視 できるものと考えると御評価をいただいております。  9月25日の部会で、この評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする基準値案 を御審議いただいたものでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、やはり部会の審議の御様子をお伺いしたいと思います。 ○大野委員 この3つについて、すべて残留基準を設定しないことが適当であるという結 論ですけれども、それについて特に議論はございませんでした。 ○岸分科会長 この食品中の残留基準を設定しないことが適当であるという答申案でござ いますけれども、委員の皆様の方からの御意見、あるいは質問などございましたら、お受 けしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。 ○栗山委員 「本製剤が適正に使用される限りにおいては」と書いてあるんですが、適切 に使用されているという追跡調査みたいなのはするんでしょうか。余りこういう会議に慣 れないので、ちょっと教えていただきたいんですが。 ○岸分科会長 これは、適正でない使用であれば問題だけどということですよね。追跡調 査というよりも。 ○俵木課長 厚労省での追跡調査のようなものは実施しておりませんけれども、薬事法に 基づいて使用されているものでございまして、実際には確認したいと思いますけれども、 農協等も通じて、その使用については農水省の方で管理がされていると思います。その詳 細についてはまた確認をしてみたいと思います。 ○岸分科会長 通常では、ヒトの健康に与えるような形で食品の方に入ってこないという ことなんだろうと思います。余り上手な表現ではないんですが、ということですよね。そ の管理については農水省側でやっているということですね。どうぞ。 ○栗山委員 今伺おうと思った理由というのが、最後のは、何十万倍とか何億倍とかと出 てきましたよね。についても使っても何でもないと書いてあったんですが、前の2つにつ いては、どれぐらいの量を使っても安全だとかという同じような表現がなかったので、安 全係数とかといって100とか1000とかを掛けるというお話は以前に伺ったことがあるんで すけれども、そういう意味で、性ホルモンとかというのはどうなのかなと思ったものです から。 ○俵木課長 性腺刺激ホルモン等の剤について、これ自体は注射剤で、豚には注射される んですけれども、ヒトがそれを経口摂取したとしても、消化の過程でホルモン自体はアミ ノ酸に分解されてしまうので、ホルモン自体がそのまま血中に入って、ヒトに対して影響 を与えるということはないというのが食品安全委員会の評価の基本的なお考えかと思いま す。食安委の評価結果自体は。  それから、もう一つの方のワクチンでございますけれども、これについては、ヒトへの 感染のある原虫ではないので、基本的に問題がないという御評価なんだろうと考えます。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○毛利委員 ひょっとしたら答申の文言が同じなんじゃないかという気がするんですね。 つまり、一つ一つ適正でない使用のケースを考えた上で出されているのではない。すなわ ち、万一、全部同じ書き方をしてあると、すごい量を使ったらだめだとかということにな るんだと思うんですけれども、その辺のところが少し疑問がありますね。 ○山下委員 補足します。  この動物用医薬品の適正に使用されるということの意味なんですが、このものたちにつ いては、獣医師の処方箋がないと使えないはずでございます。使用量、あるいは休薬期間 等々、定められたとおりに獣医は処方すると思いますので、生産段階で使う段階で間違っ たことがない限りにおいては、という意味になろうかと思います。生産段階での使用方法 については、やはり農水省の管轄になると思います。  以上です。 ○岸分科会長 3人の委員から意見、それから、それぞれ御専門の立場でなされましたけ れども。大野先生、やはりちょっと整理をお願いいたします。 ○大野委員 整理と言われても、今、山下先生が御説明していただいたとおりなんですけ れども、獣医さんが使う薬と一般的な農薬についても、やはり適正に使うということを前 提にして考えていますので、今、許可されている農薬の中でもヒトが自殺用に使えるよう なものは幾らでもたくさんありますね。パラコートなんか、幾ら危ないものでも使用せざ るを得ないということもございますし、今日、審議された品目の中でも、飲んだり、不適 切な使用をした場合には、使用者にも影響を与えるでしょうし、そういうことが十分ある と思います。  ただ、部会でもこの使用方法に従って適切に使用した場合に安全かどうかということで 評価しています。  まく量なんかも、例えば1%のものをまくとか、それを強くするために10%まいたりと か、そういうことの場合には、農薬取締法とかそういうので多分処罰の対象になるのでは ないかと思うんですけれども、そういうことは前提にしていません。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  文言についてちょっと毛利委員の方から出ましたけれども、これは毛利先生、よろしい んですか。 ○毛利委員 適正という基準がひょっとしたらあいまいなのかなと思っていましたけれど も、今、山下先生、大野先生おっしゃったようなことできちんと対応されているというこ とであれば、問題ないと思います。 ○岸分科会長 それでは、ほかに御意見ないようでしたらば、分科会としてこれで了承い たしたいと思いますが、よろしいでしょう。  ありがとうございます。  この後の経過につきましては、次回以降の本分科会で御報告するようにいたします。  それでは、次に移らせていただきます。事務局の方から説明をお願いできますか。 ○俵木課長 それでは、続いて、食品中のカドミウムの規格基準についての御審議をいた だきたいと思います。  分科会資料の1ページからが部会の報告書になっておりまして、これに沿って御説明を させていただきたいと思います。  審議に入る前に、一言御報告でございますが、大前部会長でございますけれども、所属 研究室としてニッケルカドミウム電池製造事業所が50年以上にわたって研究フィールド になっていて、カドミウムの毒性研究及び労働衛生管理に携わってきたため、カドミウム に関わる審議には一切関与しないということで審議の初めに申出がございまして、部会で の審議については、大前部会長に代わりまして井上部会長代理に御審議いただき、大前部 会長は部会での審議を欠席されております。また、本日も先生は御欠席でございます。こ の点を御報告をさせていただきたいと思います。  資料の1ページからが部会での審議の報告書でございまして、これに沿って御説明をさ せていただきたいと思います。  先生方のお手元には机上配布ということで、カドミウムの規格基準をめぐっての経緯を 1枚にまとめた紙がございます。部会報告書の2ページの経緯のところに書いてあること と同じでございますが、年表形式にいたしましたので、机上配布の資料をごらんいただき たいと思います。  カドミウムの米の基準値につきましては、昭和45年に基準値を1.0ppmということで設 定をしておりまして今日に至っているものでございますが、0.4ppmを超えて1.0ppmまで のものにつきましては、農水省が食用には回さないということで買い上げの措置をとって きているのが実態でございまして、現在、我が国で流通しております米につきましては、 0.4ppm以下のものになっております。  平成15年に、食品安全委員会が発足したときでございますけれども、15年7月にカド ミウムの摂取に関する安全性につきまして諮問をさせていただきました。  コーデックスでもその前からカドミウムの基準値についての審議が続いてきておりまし て、18年にコーデックスで米については0.4ppmとするということで決定がなされました。 一方食品安全委員会で行われてきておりました健康影響評価は平成20年7月に報告され、 その食品安全委員会の健康影響評価を受けまして、食品規格部会におきましてずっと御審 議をいただいてきたものでございます。  20年7月、20年10月、21年1月、食品規格部会での御審議をいただきまして、21年1 月の部会におきまして、我が国での米の基準についても0.4ppmに引き下げるという結論を おまとめいただき、これをもって21年2月に食安委に基準値改正についての健康影響評価 をお願いいたしました。  その結果が本年8月に返ってまいりましたので、10月に最終的に部会で審議結果の取り まとめをいただきました。11月にはパブリックコメントを実施するとともに、東京、大阪 におきまして、リスクコミュニケーションも実施をしたところでございます。そのうえで 本日の分科会の審議に至ったということでございます。  それでは、部会の報告書の2ページでございますけれども、食品安全委員会での安全性 評価でございますが、2のところにございます。食品安全委員会からは、耐容週間摂取量 としてカドミウム7μg/kg体重/週ということでいただいております。  その根拠となったのが何かと申しますと、3ページの方にございますが、カドミウムの 健康影響につきましては、有害性の指標を腎臓での近位尿細管の再吸収機能障害で見るべ きであるということで、これを指標といたしまして、国内外のいろいろな情報のうち、特 に一般環境における長期低濃度曝露を重視して、日本国内の調査であります2つの疫学調 査の結果から、この耐容週間摂取量を設定したということでございます。すなわち、カド ミウム汚染地域住民と非汚染地域住民を対象とした1つの疫学調査結果、この結果では、 14.4μg/kg体重/週以下のカドミウム摂取量であれば、ヒトへの健康に悪影響はないとい うことで、結論が得られております。  また、もう一つ疫学調査結果がございまして、そちらでは、7μg/kg体重/週程度のカ ドミウム曝露を受けた住民には、非汚染地域の住民と比較しても近位尿細管機能障害が同 程度であったということでございます。  このような我が国の2つの疫学調査結果を踏まえて、食安委では7μg/kg体重/週とい う耐容週間摂取量を設定したということでございます。  それでは、その次の我が国での曝露状況はどうなっているのかということでございまし て、部会でいろいろなデータをもとにおまとめいただきました。3ページの後半でござい ますけれども、1つは食品からの摂取量ということで、マーケットバスケット方式により ます1日摂取量調査が行われておりまして、これによりますと、日本人での摂取量は2.8 μg/kg体重/週ということで、食安委が御評価いただきました耐容週間摂取量7μg/kg体 重/週と比較いたしますと約4割程度ということでございます。  このうち、この摂取量の寄与率の最も高い食品は米でございまして、カドミウムの1日 摂取量2.8μg/kg体重/週の約4割が米から摂取されているということでございます。その ほかには雑穀、野菜等からの摂取がございますが、特にイカ等の内蔵を用いた加工食品、 例えば塩辛のような加工食品には比較的高いカドミウム含量を示す調査結果が得られてお ります。  もう一つの曝露推計といたしまして、モンテカルロ・シミュレーション推計を行ってお りますが、その結果は4ページになります。この推計の結果は、いずれの食品についても カドミウムの基準値を設定しない、何も設定しない場合には、95%タイルの値として7.33 μg/kg体重/週、また、米に0.4ppmという基準値を設定した場合の95%タイル値は7.18 μg/kg体重/週ということで、いずれも食品安全委員会の定めました耐容週間摂取量と同 程度、また、もう一つの疫学調査であった14.4μg/kg体重/週、これがヒトの健康に悪影 響を及ぼさない摂取量とされた量でございますけれども、これを十分下回っているという 状況にあるということでございまして、食品安全委員会の健康影響評価におきましても、 この曝露推計につきましては計算上のもので、分布の右側は統計学的に非常に誤差が大き く、非常に確率が低い場合も考慮されている領域であって、実際には耐容週間摂取量を超 える人はほとんどいないと考えていいのではないかとまとめられているものでございます。  食品健康影響評価におけるカドミウム摂取量の評価は4ページの後半にまとめさせてい ただいたところでございまして、食品安全委員会におきましても、米からのカドミウム摂 取量が食品全体の約半分を占めているとしています。  しかしながら、米からの摂取でございますが、日本人の食生活の変化によって、1人当 たりの米消費量が1962年をピークに半減しておりまして、日本人のカドミウム摂取量は減 少してきているということで、4ページの下から5行目ぐらいのところですが、一般的な 日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いとされて おります。  4ページの一番下のところからですが、我が国における食品中のカドミウムの低減対策 でございますが、農水省、環境省におきまして、米又はその他の農作物に対しまして低減 対策がいろいろ講じられて効果を表してきております。特に土壌浄化対策としての客土、 又はカドミウムを吸収する能力が高い植物を植えることによる植物浄化、こういったもの が一定の成果を上げてきていると報告されております。  6ページになりますが、諸外国での規制状況ということで、コーデックスの規格でござ いますが、精米について0.4ppm、そのほか、小麦、穀類等に基準値が置かれております。 また、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランドでも基準値の定めをしているところ がございます。  最後の7ページの6の審議結果でございますが、4行目からでございますけれども、一 般的な日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと 考えられるとされており、直近のマーケットバスケット方式による1日摂取量調査におい ても十分に低い値になっています。  部会において、これらの状況を踏まえて審議を行った結果、最も寄与率の高い米、摂取 の4割を占めております、寄与率の高い米について、国内の含有実態も踏まえながら、A LARAの原則を適用して、国際基準に準じて基準値を0.4ppmに設定することが適当だと いうことでおまとめいただいております。米以外の品目については、米に比べて生産量、 寄与率が低く、検査に要する労力等も考慮すると、基準値を設定してリスク管理をしても 大きな効果は期待できないのではないかということでございます。また、農林水産省を通 じたカドミウムの低減対策を今後も引き続き講じることが必要ということで要請をすると ともに、一定期間経過後にその実施状況についても報告を求めることが必要であり、その 結果を踏まえて、改めて規格基準の見直しというものを検討することが必要ではないかと おまとめいただいております。  ということで、食品中のカドミウムの規格基準の改正案でございますけれども、その次 の8ページにございますように、現行はカドミウムとして1.0ppmと置かれておりますが、 それをカドミウムとして、米の玄米と精米、両方に対して0.4ppmと置く案をおまとめいた だいたものでございます。併せて、カドミウムの試験法についても最新の試験法を踏まえ て一部見直しを行っております。  それから、食品中のカドミウムについては、消費者への情報提供と低減対策が重要とい うことで、引き続き情報提供の実施を行うこと、また、農林水産省の低減対策については、 引き続き推進していただくよう要請するよう、まとめていただいています。  以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、分科会での審議に入ります前に、食品規格部会長の大前先生が 先ほど御説明があった理由で今日欠席をしていらっしゃいますので、食品規格部会の委員 でこの席におられます山内委員に審議の経過等を御説明お願いいたします。 ○山内委員 それでは、私の方から部会の審議状況について報告します。  今、事務局より報告がありましたように、4回にわたり論議しました。このプロセスで 環境省や農水省の担当にも来ていただき様々な対策についても話を伺いました。  論議の中では、コーデックスで米以外の野菜等にも規格が決まっていることに対し、日 本では規格を作る必要はないのかについて論議しました。結論としては、7ページにあり ますように、日本人の食生活では米の寄与率がきわめて高いという現状を鑑み、それ以外 の野菜等については、当面はコスト等の関係もあり規格は決めないことといたしました。 ただ、8ページに付記いただいたように、それ以外の食品については、消費者への情報提 供や、生産段階での低減対策を継続して実施するよう要請することや調査は継続し問題が 出てくるようであれば、あらためて規格を再度検討するという論議をいたしました。  あわせて議論になったのは、食品安全委員会で設定された耐容週間摂取量の7μgにつ いてでした。事務局から先ほど報告がありましたように、ヨーロッパの食品安全機関では 2.5μgに設定されているので、日本との違いがあります。この点については、部会の委員 から御説明をいただき、ヨーロッパのEFSAでは机上の計算と仮定を積み重ねて規格を 作成したのに対し、日本は、国内で実施されたより実態に近い疫学調査から作られたもの であり、この結果を尊重するという食品安全委員会の評価は適切であろうといった論議も いたしました。  最後になりますが、検討経緯の年表の一番下に、今回、御論議いただいた後に、平成22 年2月に告示の予定、そして、23年1月から施行との予定が入っています。本日の決定か ら少し間が空く時間設定になっています。これは、実際のお米の生産は年間を通して計画 的に行われており、来年にはいってすぐこの基準を施行するのではなく、きちんと全国の 生産者の方にお知らせした上で施行をするのがよいのではないかということで、開始時期 についても論議をしました。今回、関係の方と相談していただき、今後の施行については こういう予定にしていただいたものと理解しております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、本件、カドミウムの規格基準の変更につきまして、委員の皆さんの御意見、 御質問等を受けたいと思います。どうぞ。 ○若林委員 2点ほど教えていただきたい点があります。1つは、カドミウムの耐容週間 摂取量が7μg/kg体重/週となっていますけれども、近位尿細管機能障害が実際に出る量 は、どのくらいの量であるか。もう一つは、日本の米の中のカドミウム含量と、海外の例 えばアメリカですとかアジア諸国の米の中のカドミウムの量がどのくらいの量比なのかと いうことです。 ○岸分科会長 2点お願いいたします。 ○俵木課長 この2つの疫学調査からは、汚染地域と非汚染地域での平均摂取量で、その ときに尿細管β2−MGのデータがそれぞれどのくらいかということを比較して、差がな いということで評価をしておりまして、幾つ以上の摂取量だとβ2−MGがどこまで上が ってしまうのかについては、この2つの疫学調査からは出てきていないと思いますが、富 山県での汚染地域でのいろんな調査がその他にもございますので、そういったところでは 非常に高曝露をしている昭和10年代とかの曝露の集団については、恐らくそういったデー タがあると思いますので、それはまた後日確認できれば先生に御報告させていただきたい と思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○若林委員 それから、動物実験から類推できるようなデータは出ていないんですか。基 準摂取量と毒性の発現量とがどれくらい離れているのか気になったものですから、こうい う質問をしました。 ○俵木課長 動物実験について確認できれば確認をしてみたいと思いますけれども、もう 一つの御質問の米でございますけれども、各国の平均の米中カドミウム含有量のデータが 報告されておりますが、これで平均的には日本が0.06、中国で0.08、タイが0.04、イン ドネシア0.04、ベネズエラが0.2ということで高いんですけれども、アメリカが0.02、そ のようなデータになっています。 ○若林委員 ほぼ同じデータということですね。 ○俵木課長 そうですね。 ○若林委員 ありがとうございました。 ○岸分科会長 先生どうぞ。 ○徳留委員 3ページなんですが、1つは、今のカドミの疫学調査なんですが、富山と、 もう一つはどこでしょうか。インディペンデントに実施されたものでしょうか。。堀口先 生の研究は、全国のデータを集めたものでしょうか。それが1つです。  それから、8μg/kg体重/週程度であれば、一般住民と比較して過剰な近位尿細管機能 障害はなかったということですが、「過剰な」というのは、ちょっと細かいですが、エク セスは大きくなかったが、しかし、少しはあったというような表現にも受け取れるんです。 ちょっと意地悪な質問ですが。  それから、3つ目は、1日摂取量の約4割が米でコントリビューションされているとい うことで大変大きいわけです。一方耐容週間摂取量では約2割ということですが、この違 いは、個人内変動みたいなのがあるからこういうことになるんでしょうか。 ○俵木課長 答えやすいのから答えてしまうと、一番最後の御質問ですけれども、米由来 の摂取量が耐容週間摂取量7μgに対して幾つかということだと、その半分ぐらいになる ということでございます。 ○徳留委員 半分ですか。約2割と書いてありますが。 ○俵木課長 4割のまた半分ぐらいになるということです。 ○徳留委員 この表現は、そういう意味ですか。 ○俵木課長 野川先生の方は石川県なんですけれども、堀口先生の方の疫学調査は、比較 的汚染の多いと考えられる4カ所ということでございますが、具体的な地名については、 食安委の報告書の中にも、申し訳ございません、記載がないようですけれども、カドミウ ム汚染の幾つか、全国的には汚染地域と言われているところが何箇所かあるので、そうい ったところの集団を対象とした疫学調査が実施されているところでございます。 ○徳留委員 そのとき、野川先生のデータは入っていないんでしょう。インディペンデン トなものでしょうか。 ○俵木課長 野川さんのデータは入っていないです。それは参考資料の方のカドミの通し ナンバーで59ページでございます。59ページの上に堀口先生の報告のAが非汚染地域で、 B、C、D、Eが4カ所の汚染地域でございます。そのときのβ2−MG尿症の有病率と いうことで、年代ごとですけれども、このような関係になっているということでございま す。よろしいでしょうか。 ○岸分科会長 ほかにどなたか。どうぞ。 ○阿南委員 2点ります。1点目は、これは農水省の管理の範疇になると思いますけれど も、今分かりましたら教えていただきたいと。  こういうふうに基準を改正することによって、今まで非食用として取り扱っていたもの についてはどういう取扱いになるのかということが1点目です。  2点目は、消費者への情報提供についてです。ここは、8ページの(2)にありますけ れども、2段落目に、摂取の寄与率は低いけれども、海産物などには一部にカドミウム濃 度が高い食品があるということは事実だということですが、ここは、どういう食品にどれ くらいのものがあるのかということをはっきりと言わないと、消費者は分からないと思い ます。それと、消費者に対して「バランスのよい食生活を心がける」とありますが、ここ も非常に漠然とした表現だと思います。要するに、そうしたものを食べ過ぎないようにと いうことなんですよね。ですので、そこはちゃんとはっきりと言わないと、消費者に幾ら 科学的に考えて行動してくださいと言っても、なかなか伝わらないので、データを示して、 きちんと注意喚起するべきだと思います。  以上でございます。 ○俵木課長 ありがとうございます。  1つ目の非食用ということで、これまで0.4を超えるものについては買い上げをしてき たわけですけれども、それについてどうなるのかということについてでございますけれど も、私どもが農水省の担当から聞いておりますのは、基準値自体が今度0.4になりますの で、それを超えたものについての国としての買い上げというのはなくなると聞いておりま す。  それから、もう一つの情報提供でございますが、今日の机上配布の、先ほど検討の経緯 を御説明させていただいた資料の後ろに、食品中に含まれるカドミウムに関するQ&Aを 作っておりまして、8ページのところに、イカ、カニ、エビの内蔵にカドミウム濃度の高 いものが認められ、これを原料として用いた加工食品である塩辛等の一部には高いものも ありますということで、バランスのよい食生活を心がけましょうとなっておりまして、こ こに農林水産省でのいろいろな農畜産物での実態調査結果なども、リンクを張った形なん ですけれども、載せさせてはいただいておりますので、これも活用して情報提供していき たいと思っているんですけれども。 ○阿南委員 それは結構です。「バランスのよい」というところの表現をもうちょっと正 確に書いていただけますでしょうか。 ○俵木課長 工夫させていただきたいと思います。 ○岸分科会長 ほかにございませんでしたら、一応これで分科会といたしまして、今回の 基準の改正について了承したいと思いますが、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、今後、WTO、パブリックコメントなど、手続に関しましては、部会長と御 相談しながら、私、分科会長に御一任ということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  今後、最終的なものが出ましたら、次回以降、分科会へ御報告いたします。  ちょうど3時十数分になりましたが、一応審議が必要なものにつきましては終了いたし ましたので、報告事項に入りますが、ぶっ通しでよろしいでしょうか。それとも少し。 ○俵木課長 報告事項は少ないので、もしよろしければですが、先生。 ○栗山委員 ごめんなさい。私、議事録に残らないところでもよかったので、ちょっと質 問させていただこうと思っただけなので。報告事項があったら、その後で結構です。 ○俵木課長 それでは、報告事項を報告させていただきたいと思います。  資料の69ページでございます。7月3日の分科会、9月30日の分科会でお諮りいたし ました添加物、農薬、動物用医薬品につきまして、その後の経過でございます。  パブリックコメント、WTO通報等が多くのもので終わっておりまして、特に基準値案 そのものの変更を要するような御意見はいただいておりません。ただ、まだ一部実施中又 は手続中というものがございまして、これについてはまた引き続き御報告をさせていただ ければと思います。 ○岸分科会長 これは何か質問を受ける方がよろしいですね。御質問とか今の経過につき まして、よろしいですか。  それでは、次をお願いいたします。 ○俵木課長 それでは、最後の報告事項でございますが、73ページから高濃度にジアシル グリセロールを含む食品の安全性評価に必要な試験の信頼性確保についてということで資 料を用意させていただきました。  9月30日の分科会で花王の「エコナクッキングオイル」等ジアシルグリセロールを高濃 度に含む食品につきまして、安全性評価が食品安全委員会で行われていることについて、 御報告をさせていただいたところでございますが、その際に、食品安全委員会での御審議 に必要な宿題が出ておりまして、花王に必要な試験の実施を求めているということで御報 告をしたところでございました。  その際の御審議の中で、そのデータの信頼性の確保をどうするのかということが御議論 になりましたので、私どもとしては、その後、分科会長とも御相談させていただきながら、 ここに御報告させていただくとおり、西島先生をヘッドといたしますメンバーで信頼性を 確保するためのチームを作っていただきまして、花王が外部の試験機関に委託して実施中 の試験につきまして、その信頼性、中立性の確保を図ることとしました。外部の試験研究 機関での試験について、一番下にありますように、試験方法の科学的な妥当性であるとか、 試験実施体制、また実施の状況、試験データそのものの生データのチェックであるとか、 最終的な結果報告書の精査などをお願いをするということで信頼性の確保を図っていきた いと考えておりますので、その点、御報告でございます。  それから、もう一つは、74ページでございます。11月30日付けで花王株式会社よりグ リシドール脂肪酸エステル及びグリシドールにつきましての補足資料の提出について報告 がございましたので、併せて御報告させていただきたいと思います。  食品安全委員会からの宿題を受けまして、当方より9月8日付けで花王(株)に補足資料 の提出について指示をしていたところでございますが、その内容につきまして、特に3点 については優先的に対応を進めるべきということで報告を求めていたところでございまし て、9月17日付けの報告で、11月末までに報告をしたいとなっておりましたので、11月 30日に報告が上がってきたものでございます。  3点と申しますのは、1点目がグリシドール脂肪酸エステル及びグリシドールの毒性に ついての情報収集。これは文献の収集でございます。  2つ目が、グリシドール脂肪酸エステルを経口投与した場合の体内動態について。  3つ目が、グリシドール脂肪酸エステル、グリシドールについての遺伝毒性試験でござ います。  1番目の文献調査につきましては、20文献を収集し、提出がございました。本日、75ペ ージ、76ページにリストがある文献でございます。  それから、2点目の体内動態試験でございますが、体内動態試験を実施するために、グ リシドール脂肪酸エステル及びグリシドールの血中濃度の分析法の確立が必須でございま して、これの開発を進めてきているところでありますが、この分析法自体はまだ世界的に も確立された方法がなく、ヨーロッパなどでも分析法の開発に努めているところですけれ ども、まだできていなくて、予想以上にこの分析法の開発に時間を要しているということ です。おおむね開発のめどが立ったということでありますが、現在、その開発した分析法 について、GLPに準拠した試験研究機関におきまして、バリデーションを進めていると ころでございます。バリデーションができ次第、実際の体内動態試験に移るということで、 その結果が出次第報告しますということで、今回はまだデータが出てきていないという状 況でございます。  最後の遺伝毒性試験でございますが、グリシドールリノール酸エステルにつきまして、 遺伝毒性試験を実施しております。また、グリシドールについても遺伝毒性試験を同じ受 託機関で並行して実施しているところでございまして、まだ最終の報告書が取りまとまら ないということで、これも今回は報告に至らなかったということでございます。  私どもでは、花王の試験が食品安全委員会での安全性の評価に必須のものでございます ので、できるだけ早く取りまとめの上御報告したいということで、花王には指導を続けて いるところでございますが、正確なデータを提出いただくためにも、分析法を慎重に開発 することは必要なことと考えておりますし、遺伝毒性につきましても、グリシドール脂肪 酸エステルとグリシドールそのものについての両方の恐らく試験データがないと評価が困 難だと思いますので、それらがきちんとそろった段階で御報告していきたいと考えており ます。  以上でございます。 ○岸分科会長 ただいまの御報告に質問ですとか御意見を受けたいと思いますが、いかが でしょうか。 ○阿南委員 ちょっと御確認したいのですけれども、73ページにこういうふうにして確認 をする、検証するとありますが、これは花王のデータが出てきて、そろってからここに依 頼するということでしょうか。 ○俵木課長 実施施設の実施状況については、試験の実施中に実際に施設への視察をさせ ていただくことを考えております、生データのチェックについては、機関としてのまとめ が終わったところで、その生データのチェックをせざるを得ないと思っております。 ○阿南委員 今、実施している機関のところには行くということですね。確認するという ことですね。分かりました。 ○山内委員 74ページで、現在いろいろ努力されているということは分かりましたが、今 後どれぐらいの期間で2の例えば分析方法ができる、その後、試験して結果が出るという 期間の目安について何か情報はございますか。 ○俵木課長 申し訳ないんですけれども、今の時点でいつごろにはできそうですというお 答えができない状況でございます。分析法はおおむねできたと聞いておりますけれども、 今、受託機関でのバリデーションをやっておりまして、更に最終的には信頼性の確保チー ムでも、バリデーションのデータ自体を確認させていただいて、きちんとした分析法で分 析をしていただかないといけないのではないかと思っておりますので、今の時点で最終的 な時期を申し上げるのはまだ早計かなと考えております。 ○岸分科会長 そのほかございますか。 ○阿南委員 もう一点お伺いしていいですか。花王が11月末には報告しますということだ ったので、待っていたのですね。この遅れだとか、現状について、厚生労働省としてもち ゃんと情報提供をする必要があると思います。そうしないと、いつまでも、いつになった らいいのとか、今の質問みたいになるので、花王から報告を受けたということをちゃんと 情報提供して説明していただきたいと思います。 ○俵木課長 食品安全委員会にも、明日開かれる予定でございますので、厚労省からもこ の内容については御報告をさせていただきたいと思っておりますけれども。 ○阿南委員 食品安全委員会に報告をするかどうかではなくて、一般の消費者にそういう 情報をちゃんと提供してくださいということです。 ○石塚部長 本日の議事録は厚労省のホームページに載せますので、それでオープンにな ると考えております。できるだけ早くアップしたいと思います。 ○阿南委員 じゃ、議事録が載った時点でということですね。 ○石塚部長 まあ、そうです。なお、厚労省のホームページに、今、Q&Aがこれについ て載せていますので、その中にこの経過報告みたいな形のものを早急に追加することで、 できるだけ早く作業をします。 ○阿南委員 お願いします。 ○岸分科会長 あと何かございますか。  もしなければ、ジアシルグリセロールを含む食品の安全性評価に必要な試験の信頼性確 保について、前回の議論、審議を踏まえまして出していただいた厚労省の対応と、花王株 式会社の報告を受けたということで、この件は終了したいと思いますが、よろしゅうござ いますか。  ほかに何か伝達事項が事務局の方からございますでしょうか。 ○石川補佐 長時間の御審議ありがとうございました。  次回の分科会でございますけれども、現在、先生方と日程調整中でございますので、ま た後日、日程が確定しましたらお知らせさせていただきますので、よろしくお願いいたし ます。 ○岸分科会長 それでは、長時間御審議いただきましてありがとうございます。  照会先:                                    厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)