09/11/30 第5回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会議事録       第5回 内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会                     日時 平成21年11月30日(月)                     時間 17:00〜19:30                     場所 厚生労働省共用第8会議室(6階) ○望月主査 定刻になりましたので、第5回「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検 討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところ、当検 討会にご出席をいただき誠にありがとうございます。なお、飯沼委員におきましては遅参する 旨連絡を受けております。また、医政局長が出席の予定でしたが、今日公務により欠席させて いただきます。 まず10月の人事異動に伴い、事務局が代わっておりますので紹介させていただきます。医療 安全推進室長ですが、前任の佐々木から中野に代わっています。一言ご挨拶申し上げます。 ○医療安全推進室長(中野) 医療安全推進室長の中野でございます。よろしくお願いいたし ます。    ○望月主査 それでは以降の議事進行につきまして、楠岡座長よろしくお願いいたします。 ○楠岡座長 本日お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。まず、本日配付 の資料につきまして、事務局から確認をお願いしたいと思います。 ○望月主査 お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿の 他、資料1「第4回検討会の主な御意見」、資料2「報告書骨子案」、資料3「報告書骨子案に 寄せられた主な御意見とそれに対する考え方」、資料4「報告書案」、資料5「土屋委員提出資 料」、資料6「楠岡座長提出資料」、以上ですが、資料の欠落等ございましたらご指摘ください。 よろしいでしょうか。 ○楠岡座長 よろしければ議事に入らせていただきます。前回の会議では委員の皆様方からさ まざまなご意見をいただいたところでございます。また、その後パブリックコメントを求める こともいたしております。今回はそれらのまとめということになりますが、まず、資料1、資 料2及び資料4につきまして、事務局からご報告・ご説明をいただきたいと思います。 ○望月主査 資料1の説明を申し上げます。資料1につきましては、前回、報告書骨子案につ きましてご意見をいただいたところから、それらについての主なご意見を載せています。 まず1番目としまして、内服薬処方せん記載の在るべき姿について、次頁に、内服薬処方せん 記載方法の標準化に至るプロセスについて、これは短期的方策及び長期的方策につきまして、 3頁にありますように主なご意見を載せているところです。 4頁、ここが最後になりますが、移行期間における対応といったところで、前回お示しいたし ました骨子案についてのご指摘をここに述べさせていただいているところです。 続きまして、資料2について説明させていただきます。先ほど主なご意見につきまして、資料 1にまとめさせていただいているところを説明いたしましたが、これらのご指摘を受けて、前 回お示しいたしました骨子案に皆様のご意見を盛り込んだものをパブリックコメントにかけた ところです。このパブリックコメント版が資料2となっています。 次頁、在るべき姿、3頁に内服薬処方せん記載方法の標準化に至る方策といたしまして、ここ も短期的方策、4頁には長期的方策を書いています。5頁につきましては、移行期間における 対応を書いています。これらはみんな先生方にご意見をいただいたことを反映させていただい て事務局で手を加えたものを、一巡、二巡いたしまして、先生方の意見を反映したもの、これ をパブリックコメントにかけているところです。 資料4につきましては、前回パブリックコメントをかけたところから、皆さんの意見を集約し た骨子案に肉づけをしまして報告書案としております。骨子案と大きく違うところは、内服薬 処方せんの記載に関する現状と課題といたしまして、1つ項を設けたところ。めくっていただ いて、本検討会における主な議論といたしまして、これまでの議論の流れの大筋をここに書い ています。 4頁、内服薬処方せん記載の在るべき姿のところで、やはり報告書ということで、ここのとこ ろは肉づけをしていまして、先週末ですか、先生方にも資料としてお送りしたところです。 4、標準化に至る短期的方策です。骨子案では、短期・長期を1つにして書いていましたが、 ここは2つに分けて短期的方策を別項で立てています。 2頁めくっていただいて、長期的方策といたしまして独立させています。さらにめくっていた だくと、移行期間における対応ということで書かせていただいています。そして、前回、白紙 であったところの処方例に関しては9頁以降に書いています。 11頁が本編最後になっていまして、それ以降の頁については本編に採用している参考資料の 1から5が添付してあるところです。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。後ほど資料4の報告書案につきましては、順番に委員 の方々と検討したいと思っております。この中でいちばん最後に出てまいりました標準用法マ スタのところですが、これにつきまして土屋先生のほうで検討をいただき、資料5として提出 していただいておりますので、土屋先生からこれのご説明をお願いいたします。 ○土屋委員 資料5をご覧ください。今回標準用法マスタ案につきましては、従来から用法が さまざまな記述があるということがございまして、それについて一定のルールでまとめようと いうことで作業を行いました。この作業に当たりましては、東京大学医療情報部長の大江教授 からもさまざまなアドバイス等、資料等もいただきまして、一緒になって検討をしたというこ とでございます。 まず1つ大きく言いまして、内服薬の場合には投与回数と、タイミングが1、2というように 分かれる。タイミング1というのは基本的に朝だとか昼だとか、そういう時期を示し、タイミ ング2は現在、多くのものは食事ベースになっております。しかし、必ずしも食事ベースとい うことではなくて、時間間隔型であるとか、時刻指定型といったような形に分かれます。これ については具体例を後ほどご説明いたします。次に外用薬の場合は、基本的な部分は投与回数 と使用方法と使用部位という構成要素からなるということです。 具体的にはまず内服薬ですが、資料5の3頁です。従来、屯服薬というのが、内服、屯服、外 用というのが、診療報酬上の形としては分かれていますが、あくまで屯服というのは連続投与 をしない場合ということで、外用にもあり得るということですので、今回は内服薬で連続投与 の場合には、先ほど申し上げたような1日何回で、いつで、それが食事と密着する場合には、 食前とか食後とかいう言葉が付きますし、何時間後ということが付きます。 その例が5頁のタイミング2に当たるところです。食事ベース型というのを1個1個展開して いきますと、そこにありますように1日1回起床時から始まって、1日5回ぐらいまで、それ から時間間隔型ですと、実際論理的には2回、3回、4、6回、8回がちょうど切れていくの かなと思います。あと、時刻で何時と何時に、n1、n2、n3とかありますが、そういう時刻を 指定する型もあれば、ただ、時期だけを指定するあるいはそこの下のほうにあります、何回か ら何回というような形もあり得るのかなということです。 いま調剤のほうのマスタで、用法マスタで請求に使っているコードが表の真ん中にありますレ セコードがそれに当たります。現在48のコードとそれ以外のものを900番ということで、 要するに49個のものがあります。ただし今回の用法マスタでは、従来のレセコードに当ては まるものについては、そこのレセコードのところで数字が入れてあります。したがいまして、 例えば数字が入っていないものについては、現在のレセのマスタでは用法マスタには載ってい ないけれども、今回こちらの用法マスタには載っているということを示します。ただ資料右側 に未収載レセコードとあります。まず1番目の授乳時服用というのが、これは用法をお子さん の側から見ると、ほ乳児となりますし、親から見れば授乳時というので言葉が少し違っている ということで、わざとそこは外してあります。 従来のレセ用法には1時間、2時間、5時間、7時間、9時間、10時間、11時間、24時 間というのが、マスタ上はあるのですが、例えば5時間、7時間、9時間、10時間、11時 間というのは毎とやった時に論理的にそれは難しいわけです。これが本当に使われているのか というと、いわゆる言葉としてそれはあり得るのかもしれませんが、実際はないだろうという ことです。それから24時間毎というのは、毎日同じ時刻に飲めということであれば、時刻指 定で十分間に合うだろうということで、これらについては今回のマスタではわざと外していま す。 それから037のところから045のところですが、この1日2回昼食前寝前というのがある のですが、これが病院等でいろいろ調べてみますと、このコードの使用頻度はほとんどゼロで す。一体こういうのが使われているのかどうかは、言葉の組み合わせでいくと、いろいろでき るのですが、むしろ用法というものはあまりに多く表示されると、今度は選ぶ時に選び間違い であるとか、そういうさまざまなことが起きますので、今回の用法マスタ案は一応絞ってある ということです。したがいまして、まずここに使われている用語をきちんとすることによって、 それをどうコードとして処理するかは別のところで考えればいいだろうということで、まず言 葉を決めようということです。 次に3頁の下のいわゆる屯用というのは、今回内服薬の不連続投与だというと、どういう時に それを投与するのかという言葉を、一応上位概念をもって痛みの時だとか、熱が出た時とかい うような形でいろいろ言葉を分けて、この中から選ぶようにということで作ってあります。こ この表現をどのような表現にするのかというのは、実はここにいちばん文学的表現がいろいろ と出てくるわけでして、おそらくこっちとこれは同じだろうけれども、なぜか違った言葉が使 われているということはありますが、今回とりあえずこのような形でまとめております。 4頁、外用につきましては、例えば先ほど申し上げましたように、基本的な形は投与回数と使 用方法と部位である。そこの例のように1日2回、朝夕、左足の指で塗布ということがあると すると、いちばん左側に1日何回というのがありますので、朝夕1日2回のというのが選択さ れ 使用方法としては「塗布」であり、部位としてはこの右側に1、1、1とか出ているのは 左側、右側、両側ということでして、例えば、もし左足の指ということですと、右側の1、1、 1が並んでいる下から3つ目に「足の指」というところの左のところの1、そこがセレクトさ れることによって、実際は左足の指で塗布という形になっています。 このような用法を投与回数と使用方法と部位という格好で順番に入れていくやり方もあれば、 これを組み合わせて1行にして使っている例もありまして、それによって実は各病院の用法の 数というものが極めて異なる。右目1回、右目2回みたいな点眼が、右目1回、2回、3回と いうのもあれば、そこはどちらの目というのを選んだ上で何回と選ぶというやり方もあります ので、そこについては、とにかく部位と使用方法と回数をきちんとすれば、それで済むのでは ないかということです。 では、こういう用法マスタが出来たらどうするのかということですが、これについては資料の 4頁下の図で説明いたします。まず標準化の検討会が別なところにありますので、HELICS協議 会が、そこで標準のものを決めることをしていますので、この用法マスタの維持機関、どこが やるかということはありますが、例えば医療情報学会であるとか、そういうような所がメンテ ナンスをするということになると、まずHELICS協議会に標準用法マスタとして申請を行って、 その後そこの維持機関が原則維持をしていくという形になります。 その場合ですが、今ここにあるものは用法マスタとして、これでほぼ出来上がっていると思っ ているのですが、ひょっとすると今のレセプトで900で処理されているところに、非常に頻 度高く何かがあるのかもしれない。今このレセマスタの用法の頻度順がないものですから、こ れは医療機関、薬局とか、いくつかからデータをいただきまして、その頻度を探しましたが、 ほぼどこも同じ形でしたので、これで十分だとは思っておりますが、万が一足りないといけな いので、こういったものから少し拾うことがあるかもしれない。 用法マスタのメンテにおいて一番大切なことは製薬企業ですが、今後新たな用法で使うような 薬を開発する場合には、あらかじめその用法を用法マスタの維持機関にきちんと登録をしてい ただいて、この薬はこういう用法で使うのだということを、登録することが必要になります。 これは実は国際治験を共同治験ということで、我が国だけでやるのではなくて、世界的にやる ということから見ても、こういった仕組みが用法をきちんと登録していくことが、結果として そういう場合にデータを出す時に役に立つだろうということです。 現存の薬につきましては、この用法マスタを意識して、この用法マスタで言うとどれに当たる かということを、データとして出せるようにしようということは今考えています。現在、実は 医薬品のデータマスタを開発中ですが、そこには各医薬品毎に標準用法マスタのコードでいえ ばこれに当たりますということを記載することによって、標準的な使い方が添付文書に書かれ るかどうかは別として、少なくともデータとしてそれが公になるという形をとれば、この用法 がより確実に決まっていく。即ち使われる用語と使い方のルールをきちんと決めること、ある いはそれを登録しメンテナンスをしていくことによって、用法を皆さんこれに合わせましょう ということをやっていくことが必要ではないかと思います。 ちょっとマニアックになりますが、実は用法というものには用法とコメントというのがありま す。実際はコンピューターシステムでいろいろなことをやろうとした時に、うまくいかない時 には、そのコメントを利用して、そこにさまざまなことを書いているというのが現実です。実 はこれはルールがないものですから、自由に記載できるのでいろいろ書くのですが、そこに大 事なことを書いてしまって、用法で本来きちんとしなくてはいけないことをコメントで逃げて しまうというのが、現在多数見られます。 それに伴ってはちょっと事故っぽいのも起きていますので、今回、本当はコメントも言葉を決 めてしまったほうがいいのですが、それをやろうと思うと大変なことになるので、まず用法を フィックスさせて、この用法というのはあえて定義をすれば、当該医薬品を適正に使用するた めに、必要最低限の情報ということで、そういうものを決めた上で、コメントというのは、そ れを補助するための言葉だということで、コメントに重要な部分は入れないという原則を成り 立たせるために、用法を徹底するということで、コメントは残っていてかまわないと思います。 ただ、今後はそのコメントに入ったものを適宜見直していくことによって、例えば用法に登録 をすることによって、どういったことが実態として出てくるのかということもやっていけばい いのではないかということで、今回あえて用法マスタにはコメントのマスタとしては作ってい ません。ただ、用法のマスタとしてはこれでほぼ完成しているのかなというつもりで作ってい ます。以上です。 ○楠岡座長 ありがとうございました。標準用法マスタに関しまして、今のお話で何か質問と か追加とかございますか。 ○齊藤委員 ミスプリだと思うのですが、6頁の腎、標準用法記述の所で、「亡尿時」というボ ウという字は、死亡の「亡」ではなくて貧乏の「乏」ですから修正してください。 ○楠岡座長 他にございますか。基本的に今、ご提案いただいた用法マスタで、あとは足りな い分があるかどうかは、先ほどのレセの900番のところで使われているものを少し追加する ということで、基本的にはこの形ということでよろしいでしょうか。あと1点、HELICS協議会 のほうへは、これからの話はどちらからどういうふうにという形になるのですか。 ○土屋委員 基本的にはこのメンテナンス機関がどこになるかということですが、医療情報学 会の中で標準化のところの委員会が出来ていますので、そこが用法のマスタのメンテナンスを することについては、下準備として聞きましたところ、それでオーケーだということをお話さ れていますので、医療情報学会の標準化委員会がそれに当たる。そうなるとそこでHELICS協議 会に対して、申請の書類がいろいろ必要になりますので、そこで書類を作って、医療情報学会 が申請者になっていくということで、これが承認されますと、そこがホームページ上にも出て まいりますし、標準化検討会議では今度はHELICS協議会を通ったものの中で、厚労省標準とか いうのを定めていくという手順になっていますので、まず先にHELICS協議会に申請を出す形に なると思います。 ○楠岡座長 いまの手順等でよろしいですか。 ○嶋森委員 よく私が知らなくて申し訳ないのですが、HELICS協議会というのはどういうもの で、どこにあるのですか。 ○土屋委員 いわゆる医療についていろいろな標準化の例えばコードであるとか、検査である とか、看護のところの用語とか、そういうことをいろいろやっている協議会でして、医療情報 標準化推進協議会という名前でやっています。ホームページで医療情報標準化推進協議会とか、 HELICS協議会で引いていただくと分かりますが、そこに既に検査とかコードとかというので認 められたものが、処方の情報の伝達の仕方もJAHISが出されています。 ○橋詰参考人 いろいろな標準を策定しているところから、最終的にはこのHELICSという所に 登録する格好で、JAHISのほうもいろいろな情報の交換規約だとか、それからJIRAという放射 線のほうですと、DICOMというたぐいのものを日本でどういうように運用するかということも 含めて、そういうものを登録しています。下部の組織が1回標準化という作業をした上で、全 体で承認していただいて、それには学会と工業会と官ですね、厚労省も交えた形で、日本の標 準を審査して登録するという組織になっています。  ○嶋森委員 公的な組織ですか。無知で申し訳ないのですが、教えてください。 ○橋詰参考人 NPOなのか社団法人なのか、何かというのはいま正確には覚えていないのです。 ○嶋森委員 わかりました。調べてみます。ありがとうございました。 ○伴委員 5頁の内服薬(連続投与)用法マスタ案で、未収載レセコードということ、これは もう外すことが決まっているということなのでしょうか。 ○土屋委員 今回わざと一旦外しております。ただし、これが使われている実態を調べて。0 14の授乳時というのは別の意味でどちらの言葉で書くかがあれですので、書いてありますが、 その下は一応外してあるのは外してあります。 ○伴委員 非常に細かいことなのですが、018の1日2回朝夕食後と、それからその隙間の 昼食後と就寝前038というのがペアであるのですね。だけど1日2回朝夕食前017は残っ ているけれども、037の昼食前寝前というのは外してあるのですが。 ○土屋委員 ただ、これが10個ぐらいの医療機関と薬局を調べたのですが、実態として使わ れていないというのがありまして、言葉としてはこれ当然あり得る使い方なのですが、それが 今。 ○伴委員 例えば漢方薬などは食前、食間投与を原則としているような場合は、このペアがあ り得ると思うのですね。 ○土屋委員 はい、おそらくその時は3回投与しているとかいうのがあったりとか、この2回 の昼食前、寝る前というのが、我々が調査したところではなかったけれど、あえてここに載せ てあるのは、そういった意味でこれが外してありますよということで、それが必要であれば、 やはり入れる格好にはなるのかなというふうに思います。 ○伴委員 実は私、使うことがあるものですから。 ○楠岡座長 他によろしいでしょうか。そうしましたらマスタに関しましてはこの案で。ただ、 いま伴委員からも指摘がありましたように、少し追加しなければいけないものもあるかと思い ますが、そして、HELICS協議会のところを中心に標準化を行うということで、進めていただく ことでよろしいですか。では一応マスタに関してはこれで。 資料3ですが、これは私からご説明申し上げます。先ほど望月主査からありましたように、資 料2の骨子案にパブリックコメントを求めるという形で出しました。募集期間としましては資 料3の1頁目に、10月19日〜11月17日の約1カ月間、意見募集を行いまして、延べ1 10件、団体から28件、個人から82件のご意見をいただいております。ご意見をいただい た団体の内訳等はそこにあるような形になっています。 具体的にいただいた意見を少しまとめまして、それに関してどのようにお答するかということ ですが、2頁目の目次にありますように、お寄せいただいた意見を大体まとめますと、1回量 記載ではなくて、1日量記載に統一すべきであるというご意見。それから1回量を基本とした 記載方法に統一すると、過渡期に現場が混乱するのではないか。不均等投与の場合、標準的記 載方法では、どのように記載するのか。薬名を一般名で記載した場合も、分量は製剤量を記載 すべき。5番目が標準的記載方法式に沿った処方せん記載とするためには、処方オーダリング システム等の改修に費用がかかるのではないか。6番目が教育機関や現場の医療関係者に対し、 統一した教育を実施すべきである。7番目、処方せんを手書きで記載する場合、負担がかかり 対応が困難であるため、記載方法の義務化に反対である。主にこういうような意見をいただい ております。 次の頁にありますが、お答として、まず1日量記載に統一すべきというところです。ご意見と しては結構多く、1日量でずうっと馴れたのだからいまさら1回量に変える必要はないのでは ないかというご意見です。この検討会の基本的な認識としまして、内服薬の処方せんの分量記 載が統一されていないことによる誤認・情報伝達エラーを予防するため、服薬・投薬行為の基 本の最小単位である1回量を記載すべきであるという観点から、今回は検討をしてきていると ころです。 注射薬については、既にもう1回量が基本となされておりますし、内服薬の1回量記載が注射 薬の記載とも合致する。海外でも内服薬処方せんについては1回量を基本とした記載が行われ ており、国際的な基準に沿ったものとも言えるということで、基本姿勢としては1回量記載で いくことに関しては変えることはないということにしています。 2番目、現場の過渡期の問題ですが、これは検討会でも十分ご議論をいただいたところでして、 お答としましては、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書においては、移 行期において混乱が生じることのないように、関係者に対して標準的な記載方法を周知徹底す るとともに、当分の間は、1回量及び1日量を併記することにし、移行期に留意すべき事項と して関係者に協力をお願いする。また、医師、歯科医師、薬剤師及び看護師における卒前・卒 後の教育を実施し、新たに標準用法マスタを作成するなど、過渡期における混乱の防止に努め る。さらに、「内服薬処方せん記載の在るべき姿」の定着状況について、2、3年のうちに中間 評価を行い、具体的な対策を再検討しながら進めていく予定であるというお答にしております。   3番目は不均等投与の場合、どういうふうに記載するのかということですが、ここは具体例と して、プレドニン錠5mgを1日7錠、1日3回で不均等4錠、2錠、1錠、7日分という分で すが、在るべき姿としては、これはプレドニン錠5mg1回4錠、1日1回、朝食後、7日分。 次がプレドニン錠5mg1回2錠、1日1回、昼食後、7日分。プレドニン5mg1回1錠、1日 1回、夕食後、7日分という形になるということで、これは処方例にもこのような形を載せて いく予定にしています。 薬名を一般名で記載した場合も、分量は製剤量を記載すべきというご意見がございました。例 として上げられていたのが、「セレニカR顆粒40%」(原薬はバルプロン酸ナトリウム)とい う薬を製剤量で1日1,250mgを処方する場合。「バルプロン酸ナトリウム」と一般名を記載 し、分量を製剤量で1,250mgと記載すると、原薬量で1日1,250mg×0.4=500mg処 方を意図していたにもかかわらず、その2.5倍量を処方するリスクがあるという形のものです。 この下にありますように、原薬量としては500mgですが、製剤量では1,250であるという ことを書く場合、の記載の標準案ではセレニカR顆粒40%、この土屋先生のでは1日1回と いう考え方ですね。 ○土屋委員 この例では1日2回だったと思います。 ○楠岡座長 1日量で1,250、そうすると今回の記載案ですると、2回に分けた形で、1回 625mg、1日2回で記載する形になります。標準的記載方法では製剤量を記載した場合、分 量は製剤量を記載し、一般名を記載した場合には、分量は原薬量を記載するという、一応この 基本様式で、基本的には製剤名の時には製剤量を使用する形になります。 下にありますように、製剤名の時は基本的に製剤量、一般名の時にもし原薬量を記載した場合 には、必ず原薬量ということを注記する形の報告書になっています。これがクロスすると、や はり過誤の原因になるということで、基本的には製剤名、製剤量の形を基本として、一般名で 書いた場合で例外的な場合に原薬量ということで行う形になっています。 後ほど報告書案の中でまた少しご検討をいただくところですが、一般名で製剤量ということは あまりないのですが、製剤名の場合に原薬量という記載があり得るので、この辺に関しまして は少し検討をする余地はあるかもしれないというところですが、とりあえず現在の回答として は、今ここにありますように基本的には一般名の場合は原薬量という形で行うことにしていま す。 標準的記載方法に沿った処方せんを記載する場合の、その改修の費用ですが、これに関しては、 処方せん記載については義務化ではなくて、医療機関ごとの処方オーダリングシステム等の更 新のタイミングに合わせた導入でお願いしたいということにしています。また、標準用法マス タを整備する等、システムの切り替えが円滑に進めるよう、これはベンダーさんのご協力もい ただくことにしております。 6番目の教育の問題ですが、医師や歯科医師、薬剤師及び看護師の養成機関においては、内服 薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施し、内服薬処方せんの標準的な記載方法を もとに、国家試験等へも積極的に出題する形で周知徹底を図っていくことを考えています。ま た、医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の臨床研修等の卒後の研修においても、上記養成機関 における対応等を踏まえ、医師卒後臨床研修ガイドライン等に内服薬処方せんの標準的な記載 方法を明記し、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施するという形でお答え することにしています。 7番目、処方せんを手書きで記載する場合の負担ですが、内服薬の処方せんの標準的記載方法 については、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会において、医療安全の観点か らとりまとめた指針であり、義務化を行うものではない。標準的記載方法に基づいた処方せん への移行状況や、処方せんに関する医療事故等の状況について、2、3年のうちに中間報告を 行い、遅くとも5年後に、対策について再検討をすることにしております。 したがいまして、義務化ではないということと、それから手書きの場合に関しても、用法等に 関しては、先ほどのマスタの中に手書きの場合の簡易型といいますか、それも一応併記する形 で軽減化が図れるような形を考えています。 一応パブコメで寄せられました意見は大体以上ですが、これに関しまして何かご意見とか、回 答においても少しこういうことを加えたほうがいいというご意見はございますか。 ○永池委員 7番目の回答です。「手書きの際の負担がかかり」ということが対応困難な理由に なっていますが、この情報提供の中に「既に過去の通達においては、1日量及び1回量を記載 することが、標準的な記載方法であるということを既に示しています」ということを入れてい ただくことを、ご提案させていただきます。あるいは7番と1番と両方ご参照くださいという ような形で、なぜ1回量の記載が必要であるのかということが分かるような体裁でお願いでき ますか。 ○楠岡座長 ありがとうございます。他にご意見はございますか。通達どおりというところに 関しては、実はパブリックコメントの中にも、現状の通達をしっかり守ればいいのではないか というご意見があったのですが、ただ、現状の通達ですと1日量と1回量のウエイトの置き方 が、どちらかというと1日量のほうに置かれていますので、そこは1回量に変えるということ で、現状の通達と必ずしも一致はしていないというようなところで、報告書にも書かせていた だく形になっています。 ただ、その書き方としては今おっしゃったように、特に過渡期においては通達どおり、1回量、 1日量両方を併記ということをしています。それが1日1回であれば当然1回量イコール1日 量で分かるようなところは、省略しても十分であるかなというところで、手書きの辺は少し省 力化が行えるという考え方です。よろしいですか。 ○土屋委員 3頁の1番のところですが、先日医療情報連合大会がありまして、この件につい てシンポジウムをしたのですが、その際に確かに内服薬の処方せんの記載になっているからあ れだけど、外用薬の坐薬とか貼付剤であるテープ類ですね。そういうのもちゃんと1回量を書 くというようにすることはできないのかという意見がありましたことをお伝えしておきます。 一応、基本としては1回で書けるものはやはり1回で書くということはしておいたほうがいい のかなと思います。もちろん保険で全量というのはありますが、そういう場合には総量も書く というのはあると思いますが、やはり1回で書けるものは1回でいく。特に小児科の先生でし たが、坐薬が1回3分の1個とかそういう使い方をすることがある。テープも8分の1枚まで あるので、そういった時に掛算をして、全体にしてしまうと数が難しくなるということをおっ しゃっていましたので、そこはお伝えしますという話をいたしました。  ○楠岡座長 パブリックコメントに関しましては、この形でよろしいですか。もしまたご意見 がありましたら後ほどお寄せいただくことにいたしまして、それでは今日の一番中心課題であ ります資料4に関しまして進めていきたいと思います。資料6に関してはこの4との関係がご ざいますので、いちばん最後に少しご説明をしたいと思っています。資料4を最初から見てい きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 まず1頁目、「内服薬処方せんの記載に関する現状と課題」で、少し読み上げさせていただきま す。 我が国において、医師及び歯科医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要がある 場合には、患者等に対して処方せんを交付する義務があり、処方せんに記載すべき事項は関係 法令において一定程度示されている(参考1)。しかしながら、医師、医療機関の間で統一され た記載がなされておらず、多様な記載がなされているのが現状である(参考2)。 このため、平成14年度より、厚生労働科学研究において、処方せん記載方法の標準化に向け た検討がなされ、あわせて、財団法人日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等 事業及び薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業において、薬剤に関する医療事故及び処方せ んの記載に関連する具体例を収集し、必要に応じて個別事例について注意喚起が行われてきた ところである(参考3)。 また、平成17年6月に、医療安全に関する対策の企画、立案等の審議を行い、医療安全の推 進を図ることを目的として設置された医療安全対策検討会議において、「処方せんの記載方法等 に関する意見」が医政局長あてに提出された(参考4)。その中で、医師、医療機関の間で処方 せんの記載方法等が統一されてないことに起因した処方せんの記載ミス、記載漏れ、指示受け 間違い等のヒヤリ・ハット事例や医療事故が後を絶たない状況にあり、記載方法、記載項目の 標準化を含めた処方せんの記載等に関する検討を早急に行うべきとの指摘がなされた。 さらに、平成17年度厚生労働科学研究において、「情報伝達エラー防止のための処方に関する 記載についての標準案」が示され、引き続き、平成20年度まで調査・検討が重ねられてきた ところである。 これらを受け、本年5月に、厚生労働省に「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討 会」(以下、「本検討会」という)を設置し、医療安全の観点から、内服薬処方せんの記載方法 に係わる課題やその標準化など、今後の処方せんの記載方法の在り方にいて、これまでに5回 にわたり幅広く検討を行ってきたところである。 これは本検討会の成立の経緯に関するところで、特にご異存はないと思いますが、何か修正、 追加等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○江里口委員 今のところの真ん中辺りの、「ヒヤリ・ハット事例や医療事故が後を絶たない状 況」、この後を絶たないというのは、ちょっと言い過ぎかなという気がするのですがどうでしょ うか。 ○楠岡座長 いかがいたしましょうか。後を絶たない、きつすぎますか。事務局お願いします。 ○望月主査 ただ今ご指摘のところを説明させていただきますと、これは参考4の平成17年 に出された、医療安全対策会議での意見では、このように書かれているということで、そのま ま出しております。参考4、後ろのほうに付いていますが、めくって下に(2)と書いてあるとこ ろの第2パラグラフのいちばん後です。「医療事故が後を絶たない状況にある」と書かれている 所をそのまま書いて、このように指摘されているといったところです。 ○楠岡座長 それでは引用ということであえて改変せずということでよろしいでしょうか。そ れでは2番目の「本検討会における主な議論」という点ですが、ここから本題に入っていくこ とになるかと思います。 本検討会は平成20年度厚生労働科学研究「処方せんの記載方法に関する医療安全対策の検討」 において公表された「情報伝達エラー防止のための処方に関する記載についての標準案」(以下 「標準案」という)を議論のたたき台として検討を行ってきた(参考5)。 標準案の中で、「薬名」については、販売名または一般名(原薬名)とされ、「分量」について は、1回内服量(以下「1回量」という)で記載し、用法・用量として1回服用回数、服薬時 期及び服用日数を記載するものとされている。これに対し、現行の法令等の規定において、処 方せんの記載事項は1日内服量(以下「1日量」という)と1回量との両方を記載することと されているが、実際にはこれらの規定は遵守されておらず、多様な記載がなされている現状が 確認された。 このため、現行の法令等の意義を認識しつつも、将来的には「薬名」については、薬価基準に 記載されている製剤名を記載することを基本とすべきであること、「分量」については、注射薬 等と同様に、内服薬についても1回量を記載することを基本とすべきであること。1日量から 1回量による記載方法へと変更をする際の移行期には、処方時や調剤時の過誤に対する懸念が あり、医療事故を防ぐための取組みが必要であること等が議論された。 散剤及び液剤の「薬名」及び「分量」については、従来「g(mL)記載は製剤量、mg記載は原薬量」 のように慣習的に重量(容量)単位により判別・記載してきた場合もあったが、薬名は製剤名、 分量は製剤量を記載することを基本とすべきであり、例外的に薬名を一般名(原薬名)で記載 した場合には、分量は原薬量を記載し、必ず「原薬量」と明示することとすべきとの議論がな された。 次頁、「用法」については、「×3」「3×」等の情報伝達エラーを惹起する可能性のある医療事 故につながる紛らわしい表現を排除し、「分3」「1日3回朝昼食後」のように、日本語で明確 に記載すること等により標準化を図るべきとの議論がなされた。 その他、医療従事者の教育や薬剤の添付文書等の記載等についても対応が必要であるとの議論 がなされた。また、医療システムベンダーの立場である保健医療福祉情報システム工業会に対 してヒヤリングを行い、処方せんの記載方法の標準化に向けた協力を得られることとなった。 本報告書では、これらの議論を踏まえ内服薬の処方せんについて記載方法を標準化することが 必要との考え方から「内服薬処方せん記載の在るべき姿」をとりまとめた。可及的速やかに着 手すべき方策については「短期的方策」として、全ての医療機関において速やかに対応するこ とが困難な場合があることも踏まえ、長期的な視点に立って取り組むべき方策については「長 期的方策」として示すとともに、「移行期間における対応」についても整理した。 これが本検討会における経緯ならびに主立った結論ということになりますが、この点さらに具 体的なことは以降にありますが、この点これまでについて何かご意見等がございますか。 ○花井委員 3頁の上から2行目の「医療事故につながる紛らわしい表現を排除し、『分3』『1 日3回朝昼夕食後』のように、日本語で明確に記載すること等により」という表現になってい るのですが、2つの理由から再考が必要です。まず「分3」という表現自体は業界用語だとい うことは前にも発言したと思うのです。日本語で明確の記載の例にはならないとともに、2頁 で分量について1回量を基本とするとした上で、ここで「分3」を出してしまうと、1日量を 含意してしまうのですね。 だから「分3」というのはよく分かって業界では間違いにくい、こなれた表現だということを 容認する話と、ここでこういう書きぶりをする話とは整合しないのではないか。ここは皆さん のご意見を聞きたいところなのですが、日本語で明確というところにかけて「分3」をここの 文脈の中に取り込むのであれば、「分3」のあとに必ず1回何錠、何ミリと書くとするか、もし くは「分3」については今後使用するのであれば、こういうふうに使用する。当面は認めるけ れどとか、何か分けて書くかしか、この文章では2頁とどうしても整合しない形になってしま うのではないかと思います。そこを工夫が必要ではないかと思います。 後ろのほうに同じように出てくるのですが、ここでいきなりこれを出してしまうと、2頁の1 回量、ミニマムを基本とするというところが、ここでいきなりほころんでしまうことになると 思うのです。  ○楠岡座長 ありがとうございます。この点に関しまして他にご意見がございますか。 ○齊藤委員 同じ意見です。「分3」という言葉はここではなくていい表現ですね。1回でやる のがいいと主張しているわけだから、そこで何で「分3」という話が出てくるのか。文章全体 の流れとしては、ちょっと整合性に欠けるなという気がします。 ○楠岡座長 他にご意見がございますか。 ○嶋森委員 私も「分3」という言葉を残すのだったかなと、思っていました。今の花井委員 のおっしゃった意味での整合性がないということには、気がつきませんでしたが、これはやめ たほうがいい。 ○永池委員 3頁の「短期的方策」と「長期的方策」の考え方を、もう少し詳細に説明をして はどうかなと思います。これまでの議論の中で「短期的方策」はある一定の期間においてのみ の適用のものではなく、以後も継続してとられる対策と解釈するとの発言があったと思いまし た。その辺りをもう少し明確に記載をしていただくことをお願いしたいと思います。 ○楠岡座長 先に「分3」の件を片付けておきたいと思うのですが、「分3」に関していかがで しょうか。確かに1回量になると「分3」というのはちょっと合わなくなってしまうのですが。 ○花井委員 どうしてもこれは1日量を含意したものに。 ○楠岡座長 そうしますと結局、当面の1日量の記載が残っている時に限ってというようなこ とで、ここでは「分3」は削って、むしろ後ろのほうの、もう少し具体的なところ、実際には 5頁辺りに出てくるところで、「分3」の扱いを加えるというような形も考えられると思うので すが。 ○飯沼委員 こういうことを書く時は、用法・用量という2つの概念で書くのが普通だと思い ます。用量だけ書いて用法を書かないというのも、これは多少問題ではないですか。だから順 番を引っくり返すか何かしないと、用量だけ書いて前文がなく、主な議論が終わったというこ とではないと思います。 ○楠岡座長 用量については、基本的に1日量から1回量へということで考えて、かなり前半 の部分は1回量を記載するという、分量と用量がちょっとあれになってくるのですが、1回量 にすると分量と用量がイコールになってしまうということで。 ○土屋委員 医師法施行規則が薬名、分量、用法、用量ということを書いていますので、その 時の用量というのは、実は内服薬でいえば投与日数を意味するということなのですが、これが 薬事法の用量というのは、ここで言う分量みたいな話がありまして、ここで同じ言葉が法律に よって使われ方が違うというのがあります。ただ、ここが先ほど薬名、分量という書き方をし てきているので、ある意味で医師法施行規則の順番で書いてきているので、用法についてはこ うでといった時に、「用量について」という言葉は入れるかどうか、本当はあるのですね。ここ で何もそれについて述べていないということになってしまうので、ある意味では用法・用量と いう言葉にするのも一つの方法かと思います。 用法の言葉では情報伝達エラーが多い。先ほどの「分3」という言葉は情報伝達エラーはない のだけれど、おそらく趣旨として1回量をやるとすると、「分3」という言葉はないよねという 話なのかなとは思いますが、情報伝達エラーとしては「分3」という言葉ではない。むしろ1 日量を書いて1日3回と書くものだから、そうすると掛算をする必要が出てくるという意味で す。ですから、そこはそういう形で、ここは確かに「分3」を外しておいたほうがいいのかな という気はいたしますが、用量のことを何か一言いっておかないと、医師法施行規則の話とは 離れてしまうかもしれません。 ○齊藤委員 土屋先生のミリリットルのエルは大文字なのですか。mgは小文字の「g」なのだけ れども。 ○土屋委員 おそらくこれは「l」と「1」が間違いやすいので、わざとエルを大文字にしてい るところもあれば、それは見た目で「l」字が筆記体であればみんな間違いないのですが、活字 体の「l」だと「1」に見えてしまうという。 ○齊藤委員 公的な書き方ではない。 ○土屋委員 ではないと思います。 ○楠岡座長 国際基準ではリットルは小文字なのですが、「l」で書くと「1」と間違いやすい ので、しばしば分かりやすくするために、大文字を使っているという現実的な対応があります。 ○齊藤委員 医師試験なども約束ごとがありますよね。「l」をどういうふうに書くかという、 いちいちずうっと吟味して作っているのですね。何かそういう公的な取組に従ったらどうかな という気はします。 ○永池委員 私も過去において、その点を疑問に思いましたので、協会内の部署の方に聞きま したら、大文字の「L」を使うように規定されていると回答がありました。ただ、どこの何によ って規定されているのかは記憶がありません。 ○橋詰参考人 後ろから聞いたのですが、何年か前に規格単位を議論した時に、こういうこと になったと言っていますので調べます。 ○土屋委員 国内だけではなくて、国際的にでしょうか。 ○橋詰参考人 国内は少なくともそうなっているという回答です。 ○楠岡座長 「mL」に関してはそのままで、3頁では将来のあるべき姿を書くということです ので、「分3」は消して、紛らわしい表現を排除し、「1日3回朝昼夕食後」のように、日本語 で明確に記載するという形で修正ということでよろしいですか。 ○隈本委員 今土屋先生の話を聞いて、もう一度これを見てみると、「用量」という言葉が標準 化の中から消えているのですか。消したということでよろしいですか。 ○楠岡座長 先ほど土屋先生が言われたように、1回以上になると用量と分量がイコールにな るので、結果的にそれはなくなるということですか。 ○土屋委員 そうなる場合が多いと思います。内服薬では、用量は投与日数を示します。 ○隈本委員 投与日数を示すので、分量というのは1回量ということで統一され、投与回数も わかって、トータルの投与日数もわかれば、ここに用量という単語が処方せんには存在しなく なるということになるのですか。 ○土屋委員 実は用量と言った時に、実際は総量のことを表すので、たまたま内服薬において は投与日数になるし、外用薬などにおいては、1回は5g1本とかという格好で総量になります。 医師法施行規則に用量という言葉が残っておりますので、何らかの形で内服薬では用量とは投 与日数のことであるということで、そこは変わらないが、そうだということは書いておいても いいのかなという気がします。 ○隈本委員 この報告書には用量のことが論じられてない。つまり、私が心配しているのは、 医師法施行規則、歯科医師法施行規則にもあり、療養担当規則にもある用量というのが、処方 せんに書いてないのが標準だと言っていいのかということです。 ○土屋委員 その意味では用量としてちゃんと項目として挙げておいたほうがいいと思います。 ○隈本委員 ですから、報告書に用量というのがあって、これは多くの人が誤解されていると 思うのですが、用法・用量と言った時には、1回の投与量のことだと思っている方がいると思 うので、そういう意味では用量というのも、ちゃんと標準化の中に入っていないと法律と整合 性が悪いという批判を受けるのではないでしょうか。 ○土屋委員 通常言われている用法・用量の用量は、実はここでいうところの分量に当たりと いうことなのです。実際に医師法施行規則が言うところの用量は、投与日数に当たるというこ とで、こういうところは内服薬の書き方のところですので、用量とは投与日数に当たると。 ○隈本委員 皆さん折角まとまりかけているところに混乱を招いてしまうのですが、私として は、ずっと気になっているのは、分量という言葉があって、用法・用量という言葉がそれぞれ あって、今回は分量というのは1回量のことにするのだと決めた場合、それぞれに用法・用量 についても、こういうことであるという定義をしておかないと、これをもって混乱したという 批判を受けるのではないかという気がします。 多くの人は分量という言葉が変わったのだとは認識しなくて、分量というのは1日の量のこと なのだと思っている方がとても多いと思います。だから、今回は分量というのは1回量に決め ました。そして用法・用量はこう決めましたと書いておいたほうがいいのではないかと思いま す。 ○楠岡座長 その問題は、4頁の「在るべき姿」に「薬名」「分量」「用法」までは書かれてい るのですが、「用量」が抜けているので。 ○隈本委員 5)というのが要るのではないかと思います。 ○楠岡座長 書いたということで、後ほど検討ですね。それから先ほど永池委員から指摘され た点に関しては、最後の欄で「可及的速やかに着手すべき方策について『短期的方策』として」 と書かれていますが、「可及的速やかに着手し、以後、継続的に行うべき方策」というような表 現ということですね。わかりました。他に2番目の「主な議論」で追加、修正が必要なことは ありませんか。 ○江里口委員 非常に単純な話ですが、先ほどの「分3」という言葉がなくなったように、分 量というのはどういう意味なのですか。1日量を分けるから分量というのですか、それとも分 量という薬理学的な専門用語があるのですか。先ほど言われたように標準化するのだったら、 そういう言葉から用量との整合性がないと言われたら、分量という語句が、すでにおかしくな ってしまうのかなと思うのです。 ○土屋委員 細かく言いますと、分量というのは投与速度に当たります。例えば1錠/回とあ って、そのあとに用法で何回とくるところが消えて、何日分ということで、総投与量が用量で、 分量、用量の違いは、あえて説明をすると、分量とは投与速度でという言い方をします。調剤 指針にはそのように書いてあります。ただ、それは極めてローカルなと言うか、一般の認識で そこを分けていることは通常はないと思います。あえて説明をするとそういう形で、ディメン ジョンとしてはそれで合っていくように作られています。 ○岩月委員 今の話をここにいる方々が聞いていても、いろいろな解釈が存在するということ ですから、言葉の定義はどこかで解説をした上で、この説明を付けるべきと考えます。特に私 が初回から言ってきたことですが、1日量が1回量に変わるという概念が変わるのだというこ とをどこかに入れておかなければ、言葉の使い方を旧来の意識のままで使うと、それこそ事故 につながりかねないので、そういうことを少し付け加えるということが必要と思います。 先ほど花井委員からご指摘のあった「分3」という言葉ですが、いちばん上の行に「×3」と か「3×」ということに対比して、この言葉が出てきたということがありますので、抜いてし まうことについては全然問題がないと思います。今言ったように概念が変わるということを、 このことも含めてどこかに記しておいたほうが誤解のない報告書になるのではないかという感 じがします。 ○齊藤委員 今のご意見のように、巻頭か何かに「本報告書における言葉の意味は、次のとお りである。1.分量、2.用量」とか、その定義をきちんと書かないと、読んでいると、ここで 出てくる言葉が何を意味しているのかわからなくなってしまいます。我々でもなかなかわから なくなってしまうので、一般の方はますますわからないと思います。言葉の定義集をどこかに 付けたほうが、概念の変換だから、変換する中で昔の言葉などは別の意味を持ったりすると非 常に曖昧な文章になりますよね。 ○永池委員 ただ今のご提案は4頁に分量とか、用法といった定義があります。これを前に出 してというご提案になりますか。 ○齊藤委員 そうですね、全体を貫く、だから前のほうにも分量とか、何とかいっぱい言葉が 出てきます。それはどういう意味なのかということがわからないから、初めに言葉の定義をき ちんと書いたほうがいいのではないかという気はします。 それと先ほど言われた用法・用量ですが、用量というのは、今度はここには出てこないのです。 用量というのは、この報告書の中全体で1つも出てこないのですか。 ○永池委員 括弧書きで用量は出てきます。 ○齊藤委員 括弧書きというのが、また誤解の種なのです。 ○隈本委員 先ほど申し上げたように、仮にそういう用語集を作るにしても、ここの1)、2)、 3)、4)とあり、4)で用法で終わっているのは問題で、これが事故の原因になってはいけな いということです。是非5)を作って、「用量」と。用量というのは、その処方せんで、その患 者さんに渡す量全体のことですということで、この標準化したものでは、1日の投与回数×投 与日数で、これが用量に当たるということを書いておけばよろしいのではないでしょうか。 ○永池委員 2頁は「主な議論」ということで記述されていますので、ただ今の議論を反映す る形で少し言葉が入り、それに対して定義を脚注で入れる、あるいは本文の中で入れるという 対応策でいかがですか。 ○齊藤委員 まとめて脚注か、何かに入れたほうがいいのではないですかね。読んでいるうち に、この分量というのは何を意味しているのか、だんだんわからなくなってくる場合もあり得 るのです。 ○土屋委員 まさにそこにも混乱があって、分量、用法・用量という言葉が実感と違うという ことも問題だということを現状の所に書いておいてもいいのかもしれません。それで今回はこ のようにきちんと整理したみたいな話のほうがよいのではないかと思います。 ○齊藤委員 定義されない言葉がボンボン後ろのほうに出てきたら、文章にならないのです。 ○土屋委員 混乱の現状のところで、例えば、こういう言葉もいろいろな意味で使われてしま っているので、今回定義を行ったという記載が必要かもしれません。 ○齊藤委員 本書では分量とはこういう意味であると。そういうことがきちんとわかるように しないと、後のほうを読む気がしなくなってきますね。 ○花井委員 この報告書では、分量は1回量を基本とするとしているのですが、今の説明でわ かったような気がします。もともと分量という言葉自体は施行規則等でも、内服薬についての 「1日の」と付いて、分量。注射薬は「1回の」と付いて分量なので、分量という概念自体は そのままで、今回は「1回の分量を基本とする」としているので、分量という概念自体は変わ ったという話だと、相当変な話になるのではないかという気がするのです。 ○土屋委員 私が説明していいかどうかわかりませんが、施行規則は、あくまで分量、用法・ 用量という言葉で、「1日の」とか「1回」という言葉は入っていません。ですから、その分量 を書くのに、保険のほうの話として、1日分を書きなさいとかいうことになっています。 ○花井委員 施行規則ではありません、処方せんの記載上の注意です。ここではいわゆる分量 という言葉は、わりと散文的に使われていて、かかる形容するものによって、一般的な感覚の 量というもので使われています。それが定義化すれば間違った使われ方をしている、理解を正 すということではないのですか。そうなのか、こちらが混乱しているので、ますます混乱して きますが、分量という概念自体は変わっていないのではないかということです。 ○齊藤委員 だけど分量と言った時に、1回飲む量なのか、それとも袋に入った全体の量を言 うのかです。分量といっても、その薬の量だから、どのような見方もできるわけです。だから、 この文書で使う分量という言葉はこういう意味なのですと。まず、1回の服薬量を分量という ということを明示しなければ話が成立しないのです。 ○土屋委員 先ほど言ったように、分量という言葉は何錠/何々で、/何々が日だったら、1 日分量になるし、/回だったら、1回分量という言葉で使えるようにはなっています。ですか ら、効能としてはそうなのです。本当はそこは日とか、回と書いて解釈していかなければいけ ないのですが、そんなことは通常はしないので、そこで分量という言葉が1回なのか、1日な のかというと、分量という言葉は、そういうことを意味していて、/何々というのが付のが本 当なのです。そこの/何々というのは、今まで内服薬は/日だったのを、/回にしようという のが、分量のところの単位は何にするか、/何々という単位は何かという時に、回にするとい うのが今回の書き方だと思います。 ○嶋森委員 用法をもう一度よく見てみると、今土屋委員が言われたことと同じことだと思い ます。1回分量と1日分量と断って、きちんと使っていまして、分量という言葉自体が1回分 とか、1日分とはここでは言っていないようです。ですから、分量という言葉はいろいろな使 い方があって、今回の処方の時の1回分量を基本として書くという言い方は、それでよくて、 分量という言葉を1回分とか、1日分だと定義するのは、たぶんこちらと齟齬が生じると思い ます。 用量については、処方の全体量で、総量みたいなことを言うのです。そこはこの施行規則との 整合性がつくような形で整理していただいたほうがいいかと思います。 ○望月委員 私もお二人の意見に賛成です。この報告書だけの言葉を作ったら、教育は目茶苦 茶になってしまうと思います。やはり今後はずっと継続していくことですから、その説明をき ちんとして、分量なり用量の定義をきちんとするほうがいいかと思います。 ○齊藤委員 だから、方々で分量という言葉が出てきますが、その時使われている分量という 言葉の意味が読んでいる人にすぐわかればいいのです。それがわからなくてみんなで考え込ん でしまうようだと報告書としての質は落ちるということです。 ○岩月委員 混乱をさせるつもりは全くないのですが、今の話で内服は1日分量、屯服薬は1 回分量と書いてありますので、要するに分量という言葉をやめて、何を分量として言っている のかをいちいち書くべきだろうと思います。 そうでないと用法というのが、今までは1日分量でしたので、投薬日数が書いてあると用量に なったのです。これを私は先ほど概念の変更だと言ったのは、1回量と1回分量とするとなる と、それに1日の投与回数と投与日数がかからないと、いわゆる用量にならないことになりま すので、そういうことをきちんと明確に書く。先ほど5番で用量を付け加えたらどうかという お話もありましたが、そういうことも書かないと誤解とか、混乱を招くことになるだろうと思 います。 ○楠岡座長 そうしましたら、2頁の「本検討会における主な議論」の、最初の「本検討会は」 から「参考5」までの次の「標準案の中で」とあって、いきなり標準案の話が出てきますし、 そのあと今までの慣習的なものに関する分析・対策が出されているので、「標準案の中で」の前 に、これまでの状況及び分量とか、用法がどう使われていたかを、ワンパラグラフ入れて、現 状認識をここではっきりさせるというのを加えるということでいかがでしょうか。 その中で少し定義を入れるとダラダラするようであれば、欄外に注的なもので詳しい定義的な ものを加えるということで、具体的には分量については、通常の内服薬は1日量、屯服薬につ いては1回量であったとか、用法はいろいろな書き方があります。 用量に関しては1日量あるいは屯服量をベースにしていたので、投与日数もしくは投与回数に なっていたという現状認識を少し加えて、それがそのあと検討案ではどう変わるかが分かるよ うにするということでいかがでしょうか。 ○伴委員 医学辞典にも「用量というのは、1日量又は1回量を記載する」と書いてあるので す。ですから、最初にしっかり定義をして進まないと、そこでかなり混乱しそうな感じがしま すね。 ○土屋委員 分量というのは、法律でここの施行規則だけに出てくる言葉なのです。通常世の 中では用量という言葉です。だから、添付文書に使われている用法・用量という言葉が一般的 に流布しているわけです。ただし、法的には分量と用量を分けていることになっています。お そらくそれは医学辞書も、通常言われている大半の人に聞いたら、最大に支持される意見が書 いてあって、分量というのは本当にここだけ出てきて、昔それを説明するのに、どういうもの かというディメンジョンを考えていくと、2錠/3回/5日とやると、チョンチョンチョンと 消えて、総量というのは30錠という錠数になるというのはディメンジョン的な話で、結構こ こだけが論理的になっているのです。 ところが、世の中の普通はそうは言っていないわけです。だから、そこは定義がここでという ことは、きちんと書いておかないと誤解を招くと思いますので、そういう形が必要かと思いま す。 ○楠岡座長 ここの文章は、今すぐにはできないと思いますが、大体ワンパラグラフ分ぐらい の中で、今のような現状を記載する。定義については追加するということでよろしいですか。 ○隈本委員 今の数人の先生方のご意見をまとめると、用語集を見開きのところに作らないと 解決しないのではないですか。つまり、この文章上、よく読み取ると、分量というのはこうい うことかとわかるのでは、報告書が混乱を招いたと言われてしまうので、報告書の始まる所の 左端の見開きに、本報告書でいうこの分量という言葉はこうであるという用語集を付けたほう が混乱がないと思います。特に用量という言葉が、添付文書に出てくる用量と、法律上、出て くる用量が意味が違うわけで、我々の報告書は法律に出てくる医師法施行規則の用法・用量、 分量について、今議論するのだということを明確にしておくことがいいのではないでしょうか。 ○楠岡座長 そうすると、脚注も含めて用語集に集約すると同時に、先ほどの現状認識にワン パラグラフを使うということでよろしいですか。これで2は終わりまして、3の「内服薬処方 せん記載の在るべき姿」に移ります。 処方せんの記載方法が統一されていないことに起因した記載ミス、情報伝達エラーを防止する 観点から、患者、医療従事者を含め、誰が見ても記載内容を理解できる処方せんの記載方法を 標準化し、医師法、歯科医師法等の関連法規との整合性を含め、我が国のあらゆる医療機関に おいて、統一された記載方法による処方せんが発行されることが望ましい。 最も望ましいのは、処方せんに、薬名、1回量、1日量、1日の服用回数、服用時期及び服用 日数等の事項を全て記載することであるが、現状では限られた時間で全て記載することは困難 であるとの指摘もある。このため、内服薬処方せん記載の在るべき姿としては、以下のような 基準を示すものとする。 1)「薬名」については、薬価基準に記載されている製剤名を記載することを基本とする。2) 「分量」については、最小基本単位である1回量を記載することを基本とする。3)散剤、液剤 の「分量」については、製剤量(原薬量ではなく、製剤としての重量)を記載する。4)「用法」 については、標準化を行い、情報伝達エラーを惹起する可能性のある表現方法を排除する。と いうことですが、これに先ほどからの意見として、5)「用量」として、在るべき姿としてはど ういう形にするか。もし用量として記載するとしたら、結果的にはどういう形になりますか。 ○土屋委員 内服薬処方せんの記載ということで限っていえば、用量については投与日数であ るという形に言葉としては言わざるを得ないのです。その場合に2つに分かれて、実投与日数 を言うのか、投与期間を言うのかという話も間欠投与をするものでは出てきますので、そこは きちんと書いたほうがいいのかなという気はします。 ○隈本委員 先ほどの土屋先生の説明だと、用量というのはトータルの量ではありませんか。 だから、そう書けばいいのです。この標準化された処方せんにおいては分量×投与回数×投与 日数で、間欠投与がなければそういう計算になりますよね。でも、間欠投与があるとか、1週 間休薬があるなどといういろいろな例外が出てくるのだったら、用量はその処方せんにおける その患者への投与の総量であると書けばいいのではないですか。 ○土屋委員 基本的には投与総量という言葉が法的には正しいのだと思いますので、総量であ ると。ただし、それを総量をなすためには、日数というものが必要なので、日数も書くという ことだと思います。基本的には総量なのです。おそらく分量と用量と言ったら、そうなってし まうのですが。今隈本委員が言われたような結果、そこは解説しておくことが必要かと思いま す。 ○隈本委員 あるいは、その場合は「原則、分量×1日の投与回数×投与日数である(ただし、 間欠投与等の例外を除く)」と書くしかないですね。 ○齊藤委員 前に戻ってしまって申し訳ないのですが、2頁の6行目に「用法・用量として1 日服用回数、服薬時期及び服薬日数を記載するとされている」というのは、どういう意味です か。用量という概念は、こういう記載からは何も浮かび上がってこないのですが、どうして用 量が、こういう記載から浮かび上がってくるのですか。掛け合わせるとそういう量になるから ということですか。掛け算なのだ。 ○楠岡座長 1日服用回数と服薬時期が、今まで用法であって、服用日数が用量というのが今 までの解釈ということでよろしいですか。 ○齊藤委員 服用日数×1日量が用量なのではありませんか。量というのは薬の量ではなくて、 日数ですか。 ○医薬食品局総務課課長補佐 医薬食品局から指摘することも若干あれですが、今の用法・用 量に関して参考の1に処方せんに関する法令の規定というのがあって、その2頁目の最後の保 険局の通達の中の(3)に「用法及び用量は」ということで、現行記載すべきことが書いてあり ます。ここは用法と用量を明確に分けてなくて、用法及び用量として記載するということで、 ここに投与日数というのがあります。ここの投与日数というのは土屋先生がご指摘の用量に該 当する部分だと思いますが、現行の規程では、総量については特に記載は求められておりませ んので、その用量を総量と定義することによって、新たに総量について付加的な記載が求めら れるという誤解をされないような配慮が必要ではないかと思います。 ○土屋委員 我々は今までこの言葉をきちんと教えるために、あえてここで言うと、こうせざ るを得ないというのが投与速度であり、分量というのは投与速度であり、こうだということを 言わないと、掛け算をやった時にディメンジョンが合わないものですから、そういう説明をし てきたのです。調剤指針にも書いてあります。 ただし、用法、用量と法律がなってしまっているところと、例えば、添付文書では用法及び用 量とか、用法・用量などと、この言葉はいろいろな場面で、みんなが好きなように使ってきた のです。それをここであえて定義しなければいけないところというか、法律がそのように書い てしまっているものですから、そこは極めてわかりにくいし、誤解もいっぱいあるのはそうい うことです。 分量という言葉が出てくるのもそもそもこの施行規則だけで、他には分量という言葉は基本的 には出てきません。ですから、そういった意味でいうと、一般的な考え方からいけば、薬名と 用法・用量を書いてと言えば、それで済む話です。ただ、法律がこう書いてあるので何か説明 しておかなければいけないのかということで、無理矢理説明をしているのが現状だと思います。 私が答えるのもおかしいのですが。 ○医薬食品局総務課課長補佐 今申し上げたかったのは、用量を総量と定義したことによって、 用法・用量を書くとなっているので、総量を書かなければいけないという誤解が生じないよう な配慮が必要ではないかということです。   ○土屋委員 今までも用量とは、内服薬においては、いわゆる投与日数でそれが済むというこ とになっているのです。 ○楠岡座長 事務局、よろしいですか。 ○望月主査 齊藤先生ご指摘のところから、今の議論が始まったと思いますが、ここのところ は第1回目の検討会で示している標準案の中ではこう書いてあるという説明のところ、つまり、 参考5の2の(1)をそのまま書いてある所で、齊藤先生の出された標準案ではこう書いている というご説明があって、新たにここに何かを転記ということではないということです。 ○齊藤委員 意味が少し曖昧な言葉は、できるだけ使わないようにして、この検討会で言いた いことは、1回量で書くとか、かなり鮮明なわけです。用法とか、用量など、今まで使われて きたが、意味がはっきりしない言葉は極力避けて、すっきり思いだけを伝えたほうがいいので はありませんか。 ○楠岡座長 ということは用法と用量が不可分というか。 ○土屋委員 おそらく分量、用法・用量という言葉は、ある意味では不可分というか、それを 書き方として、項目として分ける。本当は薬名と薬用量と用法みたいな話であれば、本当は済 んでしまうのだと思いますが、法律がこういう言葉で書いてしまっているので、そこの解釈を きちんとしておいてもらったほうがいいのかなという気がします。 ○楠岡座長 この3番目の「在るべき姿」で、「用量」が全然触れられていないのでということ で出てきたわけですが、今の用量というのは投与日数と全くイコールではなく、かなり近いイ コールということであるならば、今後も当然投与日数、投与回数は必要ですから、それはその まま引き継ぐという考えでよろしいのですか。 ○齊藤委員 そういう考えでこの文書をまとめましたということをどこかに明示しないと、用 量という言葉がいろいろな意味を読む人に与えては混乱の種で、あらずもがなの言葉なのです。 ○岩月委員 反論するわけではないのですが、そうなると前も申し上げた1日量と投薬日数で 投与量という概念が、今回は1回分量を基本として、それに1日の使用回数を掛ける。上の所 にも「薬名、1回量、1日量、1日の服用回数、服用時期及び服薬日数等の事項を全て記載す る」というのですが、それは大変なので、1日量を外すだけなのです。これでどれほど大変さ が変わるかというのは、よく分からない気がしますし、用量の定義をそうしてしまうと、1日 量は絶対外せないことになると思います。 ○土屋委員 それは計算で求められるというか、掛け算でいえば、2錠/3回/14……とな ると全部が消えて、3つを掛け算すると、総量が30とか60とかなりますので、そこは1回 であればディメンジョンとしては合うのです。逆に1日は今までと合わない話になります。 ○岩月委員 1日に戻せと言っているのではなくて、投薬日数ということを定義してしまうと、 日数の概念がなくなってしまうので、1日にどれだけ使うのだということは、今おっしゃるよ うに計算すればわかるのです。そうすると、用量というのが1日の回数×投与日数にならない と、1回分量を標準記載とするわけですから、その概念が消えてしまうことが問題ではないで すかということです。 ○土屋委員 私が勝手に類推してはいけませんが、おそらく法律は内服薬だけの話をしていな いので、外用薬もあるので、ここは掛け算と総量が違うことも当然あるというのは、例えば、 自己注の注射は1日何単位で何回とやっても、1本単位で出すとか、そういうのがあります。 そういう意味では用量という言葉は、非常に使い勝手が良かったのだと思います。ただし、そ のことが結果として、いろいろ混乱を招いています。今内服薬の処方せんということで言うな らば、そこはいわゆる投与日数を書くことによって、それで理解ができるという話なのです。 ○齊藤委員 この報告書は医学とか、薬学とは何の関係もない新聞社の科学部の記者などが、 すーっと読んでいくわけです。その時に用量とか、用法が何を指しているのか、さっぱりわか らないということでは困るので、誰が読んでも論理的な文章の意味がストンと落ちるという格 好に作る必要があるということだけなのです。 ○土屋委員 そう思います。 ○楠岡座長 5番目に用量の部分を追加するとして、その記載方法は、今のところは投与日数、 もしくは投与回数をもって、内服薬投与の場合は用量とするということになると思われますが、 この文章は少し考えていただくことにします。よろしいですか。ここでやっていると、また振 出しに戻ってしまいますので。 次は、4の「内服薬処方せん記載方法の標準化に至る短期的方策」です。以下、可及的速やか に着手すべき方策として実施すべきものを示す。1)処方オーダリングシステム、電子カルテシ ステム等(以下「処方オーダリングシステム等」という)の処方入力画面については、1回量 又は1日量のいずれを基本とした入力方法であっても、同一画面上において、1回量と1日量 とを同時に確認できることとする。 2)処方オーダリングシステム等により出力された処方せんには、1回量及び1日量の両者が併 記されることとする。 3)散剤、液剤の「分量」については、従来「g(mL)記載は製剤量、mg記載は有効成分量」と いった重量(容量)単位により判別・記載してきたが、薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量 を記載することを標準にする。例外的に薬名を一般名(原薬名)で記載した場合には、分量は 原薬量を記載し、必ず「原薬量」と明示する。 4)「用法」については、従来「×3」「3×」等の情報伝達エラーを惹起する可能性のある表 現方法で記載してきたものを、「分3」「1日3回朝昼夕食後」のように日本語で明確に記載す ること等により、紛らわしい記載を速やかに是正する。 5)「用法」については、医療情報システムにおいて用いられる標準用法マスタを作成し公表を 行う。標準用法マスタの公表後は、処方オーダリングシステム等には、原則として標準用法マ スタを使用することとする。 6)入院患者用の薬剤を調剤する際に、賦形を行った場合には、薬剤師が、与薬する看護師等に 対し、賦形後の調剤量及び1回量を明確に伝達する必要がある。 7)医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の養成機関においては、内服薬処方せんの標準的な記載 方法に関する教育を実施し、内服薬処方せんの標準的な記載方法をもとに国家試験等へ積極的 に出題する。 8)医師、歯科医師、薬剤師及び看護師の臨床研修等の卒後の教育においても、上記養成機関に おける対応等を踏まえ、医師卒後臨床研修ガイドライン等に内服薬処方せんの標準的な記載方 法を明示し、内服薬処方せんの標準的な記載方法に関する教育を実施する。  9)薬剤に関する書籍や医薬品の添付文書の記載については、本検討会の議論を踏まえ、分量、 用法・用量等の記載方法について、関係団体等と協力のもと改訂を進める。 10)手書きで処方せんを記載する場合には、現行の法令等の規定において、1日量及び1回量 の両方を記載することとされていることに留意し、上記3)の散剤・液剤における「分量」の記 載及び4)の「用法」を日本語で明確に記載する対応を関係者に依頼し、調剤に際しては、薬剤 師は疑義照会を徹底する。というのが短期的なものです。 すでにご議論があった4)の「分3」ですが、短期的なものとしては、「可能性のある表現方法 で記載してきたものを、「1日3回朝昼夕食後」のように、日本語で明確に記載すること等によ り、紛らわしい記載を速やかに是正する」。当面、1日量記載においては「分3」のような記載 も認めるという形で、「分3」を含めるということで、ここは修正ということでいかがでしょう か。 ○大原委員 用法のところで、標準システムの記載もそうですが、ここは1回量を基準とした 場合の用法を日本語で明確にするというようにしないと、標準マスタもすでに1回量を基準と することを前提に作られていますので、1日量が併記される場合、その用法が1日量を受けた 用法なのか、1回量を受けた用法なのかということが混乱すると思います。 ですから、標準的な用法は1回量を受けた用法である。1日量を併記した場合、もしくは1日 量を書いた場合、1日量を受けた用法としての用法を書くということを明確にしないと、1日 量を受けた用法なのか、1回量を受けた用法なのかで、またクロスが起こって混乱することに なると思います。 ○楠岡座長 要するに3回か分3かということで、掛け算か割り算かをはっきりさせろという ことですね。 ○大原委員 標準マスタは、1回量を前提として作成しましたので、そこには1日量が画面で 現れていても、決してそれを受けていないということははっきりさせたほうがいいということ です。 ○楠岡座長 これは4)、5)に直に書き切れますか、それとも注意事項として、どこかに付け 加えますか。 ○大原委員 注意事項として付ければ、1回量を原則とするということできていますので、そ こでよろしいかと思います。 ○楠岡座長 そうすると、なお書きについては、標準マスタは「1回量を基本としていること に留意すべきこと」ですね。わかりました。 分3及び用法についてはそれで、それ以外で、先ほどパブリックコメントでもあった、例外的 に薬名を一般名で記載した場合は、分量は原薬量を記載し、必ず原薬量と明示する。ただ、製 剤量で書いても、原薬量を示す可能性というか、場合によってはやむを得ずそういう形になる ことも全くないわけではない。ただ、それを標準の中に含めてしまうと、また元の木阿弥にな りますので、例えば、原薬量で記載した場合には、「一般名(原薬名)で記載した場合」を取っ て、「例外的に原薬量で記載した場合には、必ず原薬量と明示する」というまとめ方ではいかが でしょうか。 パブリックコメントの中に、散剤で何パーセント製剤というのが2種類ある時に、医師はどち らが調剤されるか、あまり意識できていないので、原薬量として何ミリグラムで、どちらの散 剤を使うかは薬剤師の判断に任せるという処方せんの書き方もあり得るという意見もありまし たので、そのようなことも含める。ただ、製剤名として何パーセントと出ていれば、当然決ま る話ですが、そうではなく、手書き等でそのような場合もあり得るかということで考えられま すが、いかがですか。この点は修正を考えた文章を、あとでお示しすることにします。 ○岩月委員 確認ですが、先ほど「×3」「3×」等のというのは情報伝達エラーを惹起するの で、「分3」は、1日3回に分けてという表現は、もちろん標準マスタとは対応しないわけです ので、そのこと自体は間違いですが、標準マスタが使えない短期的な状況の中では、誤解を招 く表現は徹底的に排除すべきだという意味でこれが載っているのだという解釈でよろしいので すよね。 ○楠岡座長 はい。他によろしいですか。 ○齊藤委員 5頁に「mg記載は有効成分量」とありますが、この有効成分量というのは原薬量 のことですか。同じ中身が違った言葉で出てくると、また混乱するのです。 ○楠岡座長 これはどこか出典があるのですか。もし報告書からの引用だとそのままになって しまうのですが。 ○土屋委員 むしろ2頁は、従来は「g記載は製剤量、mg記載は原薬量」と書いてありますの で、それで合わせて原薬量ですね。 ○楠岡座長 そうですね。齊藤先生のご指摘のように、ここも原薬量にしたほうが間違いがな いですね。 ○望月主査 今出典があるかどうかという話をされたかと思いますが、医療安全情報のNo.9、 つまり、参考3の表記で、医療機能評価機構が出している情報提供の紙ではあるのですが、そ こに有効性分の量との間違いということで、ここに有効成分という言葉があります。ただ、報 告書としては議論があると思います。 ○楠岡座長 有効成分の量ですから、イコール原薬量でもいいと思います。これは原薬量に修 正します。あとは先ほど永池委員が言われた最初の出だしで、「可及的速やかに着手すべき方策 として」というところに、継続性も繰り返したほうがよろしいでしょうか。 ○橋詰参考人 先ほど永池委員が言い出して、結局用法の定義のところでほとんど時間が費や されて忘れられたような格好になっていますが、短期的方策ということと、長期的方策という 次の5.ですかね、ここの継続性というのが必要になってくるかと考えています。 逆にそういう観点に立つと、短期的にやる時にもある程度標準というか、ガイドラインをきち んと作っていただいて、それに準拠した形でやらないと、1回短期的な対策をやったあとで、 基本的には5年間システムリプレースがないという形になりますので、その辺のやり方をもう 少し進めていきたいと思います。 例えば、ここでは医薬品マスタの話はされていませんので、横に置いておいて、用法マスタの ガイドがきちんとできた時点で、それをどう取り込むかをベンダーの工業界というレベルで整 合をとる。そのあとで実際には各ベンターがインプリメントするということで、実際には可及 的速やかにと言っても、ここで言われたことをそれなりに実装するには、例えばパッケージが リリースされるのが半年後とか、1年後というように、結論が出てからある程度時間がかかる こともきちんと認識していただいたほうがいいのかと思います。そうでなければ拙速にやって しまって、来年4月にこうだと言った時には、現実にはパッケージが対応できていない。 だから、そこら辺も含めて時間的にどういうスケジュールでやるかということを、この場でや るのか、これと並行しながらもう少しブレイクダウンしたい内容はワーキンググループでやる のか、という形も含めて検討する必要があるのではないかと、そこだけ少し気になっています。 ○楠岡座長 従来の議論の中でもどれぐらいの時間をかけて移っていくかというところで、根 本的な改修はどうしてもオーダリングのリプレースの時でないとできないだろうと。ただ、そ の中で、結局、これはベンダー側の方に一度検討していただかないと、我々もすぐにはわから ない。 例えば、ここだったら1、2年のうちに何か手当てする場、パッチをつくっていただいたら、 既存のシステムにそれを当てるだけで移行はできる。それは今の将来的な方向に合致した形で 移していただかないといけない。そこにさらに一歩踏み込むとなると、これは根本的な改修が 必要で、現在走っているものではとても費用的に大変なものになるから、リプレースまで待た ざるを得ない。どの辺までパッチが当てられるのかを少しご検討いただいて、例えばパッチを 当てる、つくるだけに1年なり1年半かかるということであれば、できることから、手書きの 所はどんどん変えていくけれども、オーダーリング等はなかなか難しいとか。 あるいは、ちょうどたまたま今導入を考えていて、それだとパッチではなくて、少し改修には なるけれども、もし1年後には行けるという状況があるのだったら、そこは早く進めていただ く。その辺は実際に担当の現場のほうで一度ご検討いただかざるを得ないのではないかと思っ ています。 ○橋詰参考人 今楠岡先生が言われたことを想定して、頭の整理も少しやりつつあるのですが、 例えばこれが4月に報告書が出るのを待つのではなくて、途中の段階でもそれなりの姿は見え ていると思うのです。だから、それをやろうとすると、こういう標準の最低のガイドラインを ここまではやらないと駄目ということを先行しながらやって、それを受けて今度は各ベンダー がどう実装するか。各ベンダーが実装するところまで工業界としては強制はできないと思って います。ただし、これはユーザーと当該のベンダーとの間の約束事ということで、リプレース の時期にはそれをやるという形で、いつからやるか。 時期的にはこれはまだ各ベンダーに諮ったわけでもないし、工業界でやったらどれぐらいで結 論が出るというのはまだ見えてはいないのですが、目標値としては半年後ぐらいを目処に。で すから、実際には4月からの起点ということで先行するということもあるのですが、9月ぐら いまでには本来はこういう格好の画面、あるいは画面展開をすることを想定している、という ことを工業界でまとめていきたいという気持はあります。 ○楠岡座長 これは義務化ではないのでいついつでないと駄目という話ではないです。しかし、 できるところから可及的に速やかに。ただし、それによって莫大な費用が発生することだけは 避けるという基本でお願いしたいと思っています。 ○橋詰参考人 今はある意味で、私の頭の中では中長期的に対応しますということを言わせて いただいたのですが、先ほど楠岡先生からありましたように、例えば今システムリプレースの 真っ只中で、来年の4月に稼働するという時にどうするかというと、今最終的に詰めた状態で 対応するのはかなりきついかと。 その中の一部で、例えば調剤薬局に出される処方せんの所だけを1日量と1回量を並記する改 修を加えるとか、ということは可能だと思うのです。ただ、これもそこだけを改修して先生の 出す処方オーダーの画面をいじらないのかと、またクレームが付きそうで、観点からすると、 本当は入れるところから出すところまで全てできているのがいちばんいいと。そうなると、で きればきちっと整合を取った半年後ぐらいから各ベンダーがスタートして、1年後には確実に そういうのはリプレース案件には対応できる、そういうスケジュールが妥当かと。だから、ご く短期のところは、本当にそこのユーザーとベンダーでその範囲を決めていただくことが妥当 かと考えています。 ○大原委員 おっしゃるとおりで、標準用法マスタは1回量で処方することを前提につくられ ているので、標準用法マスタを採用するためには、おそらく一気通貫で最初から1回量で処方 するというシステムを組まないと、現実的には難しい。ですから、5番はおっしゃられたよう にかなり時間がかかると思います。ただし、4番の従来入っている用法マスタの中で「紛らわ しい記載を除く」ということは、各施設が個別に対応できる話なので、ここは本当に可及的に できる問題だと考えていいと思います。 ○土屋委員 実際、実例としてある大学病院がそれまで「1日2回」と書いていたのを「1日 2回に分けて」と、「に分けて」という言葉を自分の所のマスタに付けて出すようにした。それ は1日量が書いてあるので、「に分けて」とすることによって、とりあえず誤解を招かないよう にしようと、これは可及的に速やかにできる、今システムが入っている所でもできる話で、そ れは費用はおそらくほとんどかからないと思うので、それはやるべきことはきちんとやってお くことが必要ではないか。次はきちんとしたそういう用法マスタとかそういうものを整備して いくと、それは自動的にそうなっていくということだと思うので、そういう形でいいと思いま す。 ○楠岡座長 その議論の延長になると、先ほど分3の扱いとして「なお、当面、1日量記載に おいては分3を」ということを書きましたが、「1日2回」が「1日2回に分けて」のようなで きる範囲で対応してもらいたいというのも、その辺は少し加えますか。 ○土屋委員 おそらく「分3」という言葉は、手書きで書いた時にいちばん短い省略形として 「分3」というのが便利で、しかも誤解は招かないという話だと思います。ですから、それは 当面としてそれが残っていることで、少なくとも情報伝達エラーはないだろうということだと 思います。ただ、システムが入っている所で「分3」という言葉を使っている所は、とりあえ ずまだ1日量を書いているのだから、「分3」という言葉でよいし、ただし、1日量を書きなが ら「1日3回」と書いてある所は「分けて」という言葉を付けていただく、ということが当面 の課題です。 ○楠岡座長 4番目の「短期的方策」に関して、よろしいですか。あとは教育の問題。 ○佐相委員 短期的方策は今すぐやって、今後もずうっとやるという話ですよね。 ○楠岡座長 はい。 ○佐相委員 「分3」という話が残っていると、ずうっと「分3」はOKという話にはなってし まいますね。 ○楠岡座長 ですから、「1日量の場合においては」という条件付きということで。 ○佐相委員 でも「1日量」はなくすということですよね。というのであれば、それは6の編 にある「移行期間」における対応であって、ある期間が過ぎたら終わりと、そちらのほうがい いのかと思ったのですが、いかがですか。 ○楠岡座長 ただ今のご意見はいかがですか。1日量においてその対応で取れるものとして。 これはそういう意味で少し考えることにしましょうか。よろしいですか。 次に5ですが、「内服薬処方せん記載方法の標準化に至る長期的方策」です。長期的な視点に立 って取り組むべき方策として、実施すべきものを示す。なお、長期的方策とは、可及的速やか に着手すべきであるが、全ての医療機関において速やかに対応することが困難な場合において は、計画的に実施しているものであることに留意すべきである。 1)「分量」については、処方オーダリングシステム等の処方入力画面においては、1回量を基 本とした入力方法に対応できる処方入力画面を装備し、かつ1回量と1日量についても同一画 面で確認できることとする。2)投薬実施記録として院内看護システムにおいては、処方せんに よる投薬指示が患者に確実に実施されるために、最小基本単位である1回量を基本単位とする ことを推進する。3)調剤薬局において処方内容を再入力することによる情報伝達エラーを防止 するとともに、院外処方せんの利便性の向上に資するような、情報技術等(二次元バーコード やQRコード等)の導入について検討する。長期的には今の短期的なものの延長という形であり ますが、これについては。 ○大原委員 最終的には「1日量についても同一画面で確認できることとする」ということが 必要でしょうか。最終的には1回量だけという世界がよろしいのではないか、というのが1点。 2点目は、最後の所、「二次元バーコードやQRコード等」と書いてありますが、QRコードは二 次元バーコードなので、これは「二次元バーコード等」でよろしいのではないかと思います。 ○楠岡座長 後ろのほうは簡単ですので、先に「二次元バーコード等」に変更です。1日量の 表現ですが、今までの議論の中であったのは、不均等投薬の場合、ばらばらに、「2錠朝1回、 1錠昼1回」となると、1日量が見えなくなる。今は逆に1日量を書いて、それを「4錠、3 錠、2錠」とか書いているから逆に見えるというところもあるので、トータルの量が見える形 を入れたほうがいいのではないかという議論があってこれが出てきているとは思うのですが、 いかがでしょうか。 ○岩月委員 同じことを何度も申し上げますが、いちばん最初の所に書いてあるように「全て 書くことが望ましい」と言っているわけですから、ここは残しておく。安全確認でしておけば いいのかと思います。もう1つ、二次元バーコードの件ですが、現状の二次元バーコードは実 は医療機関の出しているバーコードによっては読めないものがあるので、これは「統一をされ た」というのを文言として是非入れていただけると大変助かります。 ○大原委員 二次元バーコードは、いろいろな種類があるのですよね。SG1の規格は二次元を 推奨していないし、ヨーロッパではデータマトリックスという二次元バーコードをやっている し、QRコードは日本のローカルコードでしかないから、これは標準化を取り入れるといつまで 経っても進まないのです。ですから、普通に「二次元」と書いておけばいいのではないかと思 います。 ○土屋委員 今岩月委員から言われた標準化はバーコードではなくて、おそらく中身がきちん と標準化したもので入れておけということではないのですか。 ○岩月委員 読めないとか誤解を招くというもののまま二次元コードに変換されては、これは もちろん意味がないのでという意味です。 ○楠岡座長 いちばんの重点は「情報技術等の導入」というところにあるので、当然、基本と してはどこでも誰でも同じ情報ということになるから、この辺はここに含まれているというこ とで。あまり二次元バーコード間のディテールをディスカッションするのもあれですので、こ の辺で止めたいと。他に長期的な所はよろしいですか。 次は、6の「移行期間における対応」です。内服薬の処方せんに関する記載方法の標準化にか かる移行期間は短いほうが望ましいが、中長期的な視点から、計画的に実施していくべきもの がある。厚生労働省は、関係者に対し、本報告書の内容を周知するとともに、移行期にかかる 留意事項に関する取組みについても関係者に協力を求める。さらに、「内服薬処方せん記載の在 るべき姿」の定着状況について、適宜、中間評価を行い具体的な対策を再検討しながら、進め ていくべきである。 1)関係者に対し、本報告書に基づき可及的速やかに各方策に着手するよう周知する。2)全て の医療機関等に対して、処方オーダリングシステム等の更新のタイミングに合わせて、1回量 を基本とした入力方法に対応できる処方入力画面を装備したシステムに切り換えていくように 促す。3)本報告書に準拠した処方オーダリングシステム等を可及的速やかに、全ての医療機関 等に提供するべく、医療システムベンダーに協力を求める。 4)内服薬の処方せんに関する記載方法の標準化の移行状況について、(財)医療機能評価機構 が実施している医療事故情報収集等事業や薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の情報等を 用いて、2〜3年のうちに中間評価を行う。5)遅くとも5年後に、内服薬の処方せんに関する 記載方法の標準化の移行状況について把握し、対策について再検討する。 これが一応、今後の移行期間で、先ほど議論がありました1日量を使っている間に関しては、 「分3」とか、あるいは「1日2回」というのは「2回に分けて」のような検討対策を入れて いただく、というのをここに追加するということ。他はよろしいですか。 ○望月委員 これはまだ議論されたかどうか記憶にないのですが、こういう変更を徐々にやる のか、要するに両方がある状態を何年か続けるのか、あるいは何年目にいきなり、それまで1 日量を今日から1回量にしようと、そういう形にするのかは、やはり少し議論すべきだと思う のです。パブリックコメントを見ても、その期間にどういう事故が起こるか非常に不安だとあ りますから、基本としてリプレースなりオーダリングシステムができるまでの期間は、1日量 を基本として、しかしきちんと全部書くことは書く。だけど、ある年限が経ったら、その日か らは1回量だけを基本とする、ということのほうが私は安全かという気がするのですが、その 点についてはいかがですか。 ○齊藤委員 当然ある時点では全部1回量に、未来永劫、両方書くことはあり得ないのです。 ただ、その時期がいつかは、両者併用の実態を踏まえて見極める。ここでも「遅くとも5年後 に」という言葉が最後にありますが、ある期間観察して、パブリックコメントをまた別の時点 に取るとか、いろいろな工夫の上で、例えば平成30年からはこうするとか、そういうことに なるのではないかという気がします、平成25年でもいいけれども。 ○楠岡座長 おっしゃる意味は非常によくわかるのですが、移行の問題は、システムをある日 突然パッと切り換えられるようにするようなシステムを導入しようと思うと、今までよりもか なり入れておかなければいけない機能が増えてくるのと、病院情報システムで新しいシステム に切り換え画面等が少し変わると、大体3カ月ぐらいは結構いろいろな混乱も起こっているの で、たぶん切り換えても同じ状況が出てくる。ただ、世の中で2つシステムが同時に走るとい うことは確かに避けられるとは思うのですが、では、いつをDデーにするかは非常に見極めが 難しいと思います。今齊藤先生がおっしゃったように、これが3、4年で急速に進むのであれ ば、あと猶予期間はほとんどありませんというのを出すというのもよろしいかと思います。 ○齊藤委員 こういった例は地デジ対応などと言って、ある日から普通の地上波が映りません などということをしきりに言っていますが、それを言い出したのはすでに3年ぐらい前から言 っているのですよね。だから、かなり長い周知期間を決めた上で、平成25年1月1日からは 全て1回量になりますとか、それぐらいのゆとりがないと激変緩和という点では無理ではない かという気がするのです。 ○望月委員 私が心配しているのは、オーダリングシステムとかそういうシステムの問題では なくて、医師の頭と薬剤師の頭が付いていけるのかと、それが私はどちらの経験もないので平 気で言うのですが、それがいちばん一般の人間にとっては心配かという気がするのですが。 ○齊藤委員 かなり長い準備期間がないと、5年、そのぐらい置いて繰返し繰返しいろいろな 広報活動を厚労省などでしていけば、やがて我々の頭も少し変わってこないかという気がして いるのです。 ○土屋委員 ある日まではこうだとやっておくと、逆に将来やるべき姿を実行できなくなって しまうことが、かえって支障にもなることがあるので、そこは過渡期として適当な長さのとこ ろがあって、その間は併記がしてあるから、そこで頭の切り換えとか、そういうのはだんだん というか、すぐなどでは絶対できないと思いますが、そういう形で見て行き、なおかつ、途中 で検証したりするわけですから、そこはある日まではやらないで、ある日突然というのは、そ れこそいちばん危険な方法だし、それをやろうとしたらおそらくシステムが大変なことになる ので、いろいろなやり方があって、それはどちらも選択制でやれるほうが現実的だと思います。 ○齊藤委員 あと1つ、言葉で、8頁の2行目、「計画的に実施していくべきものがある」は「い くべきである」ですよね。 ○楠岡座長 はい。 ○土屋委員 移行期間における対応として、これは是非ベンダーの方に考えていただきたいの ですが、画面そのものを統一することはできないかもしれませんが、例えば入れ方のルールと かそういうのが今ベンダーによっても様々な入れ方があって、それは先生が他の病院に移ると 入れ方から学ばなくてはいけないというのがあるので、そこは極力同じルールで入れていける ような、入力のところはあまり個性を出さずにやることが大切ではないかと思います。それが おそらく、サクシン、サクシゾンの事故でもそうですが、今医師が医療機関を変わった時に、 そこでのルールを毎回覚えなくてはいけなくなるというのは負担が大きいので、基本的なとこ ろのルールはベンダー間で、ヒューマンセンタードデザインということをきちんと考えて、人 間中心設計でやることが必要だと思います。 ○橋詰参考人 先ほど言いました半年かそれぐらいの期間で、今土屋先生がおっしゃったよう な、画面そのものは全く同じではないけれども画面の展開の方法とか、そういうところで最低 限守るべきことを工業界のガイドラインとして作りたいという意図です。その思いはたぶん同 じ方向に行くと思います。 ○江里口委員 検討会の時からもずうっと言っていましたが、これを教育現場で早く決めてし まうとこれは必然的に動いていくと思うので、そこの混乱をなくすということでは、これを教 育のほうで周知して、すぐに実行に移すということでやれば、早く行くのではないですか。ベ ンダーも仕方なくといったら変ですが、やらざるを得なくなってくるのではないかと思うので す。 ○橋詰参考人 教育というところで、確かに教育は大事だと思います。ただし、先ほどから言 っている並存期間というか移行期間、2つ併記されているということで、原則、将来的にはこ うだけれども今はこういう状態です、ということも含めてしっかりと教育していただけると、 たぶん我々も先生方を説得するのが楽になるのかとは考えています。 ○大原委員 ただ、私はベンダーと教育だけではどうしても駄目だと思っていて、10年後に は義務化されるとか、最終的には必ずこうすると、義務化という言葉が適切かどうかはわかり ませんが、例えば5年間の移行期間の最後にまた1日量のシステムを入れられてしまうと、ま た5年間更新がないわけです。ですから、10年後ぐらいには必ずこうするというのを入れな いと駄目ではないかと思います。 ○楠岡座長 10年で押しきれますか。 ○伴委員 今の大原先生の意見に賛成で、最終的に在るべき姿を目標とする期日を明確に設定 しないと、いつまでも両方のことを教え続けるみたいな話になるって、変わらないということ をかえって推進してしまうことにもなりかねないと思います。教えるほうは在るべき姿を教え るという形で統一するほうが、はるかにやりやすいと考えます。 ○楠岡座長 先ほど齊藤委員から平成30年という数字が出ましたが、当初、リプレース5年 で、ベンダー側の対応も含めて7年ということを考えていたので、そういう意味では平成30 年は9年弱ですが時間があるので、1つの目安、平成30年末ぐらいを1つ目処にということ。 わかりました、それも検討事項としたい。 ○花井委員 今出た話の流れですが、要は「在るべき姿」はこうあるべきだけれども、うちは まだ在るべき姿になってないという観念を広げるのが周知徹底という意味だと思うのです。皆 さんの意見を聞いていて思ったのですが、学生が卒業して現場に出ましたと。在るべき姿を教 わってきて、現場でその在るべき姿をやらせてもらえず、延々それに慣れてしまえば、またそ れはそれで何の意味もないので、出ていっても、就いたら、「いや、まだちょっと古いんだよね」 という感覚が現場にあれば、「ああ、そうか」ということなので、まさに在るべき姿はこうでは ないということの周知徹底はすぐにやる話と、最終的に在るべき姿を目標とする期日と両方設 定するのがいいのではないかと思います。 ○隈本委員 平成30年というのは確かに切りはいいのですが、西暦でいうと別に切りはよく ないわけですよね。そうすると、切りをよくするために、例えば7年で実現することを9年に 延ばす必要はないのではないかと思います。だから、今検討会の皆さんは現場をよく知ってい らっしゃる方々が検討した結果、5年+2年だったら7年後でいいのではないかと。わざわざ 切りをよくするためにもう2年延ばす必要は毛頭ないと思います。だから、そこはもう少し議 論していただいて、何年に設定するかはもう少し無理のないいちばん早い時期が求められてい ると思います。つまり、少なくとも、「こう書くのだ」と教育が変わったのに、現実を変えるの が遅れれば遅れるほど混乱は長引くと思うのです。だから、別に区切りがよくなくてもいいの で、できるだけ早くというところで数字を決めていただきたい、というのが私の意見です。 ○医療安全推進室長 8頁の6の4)で、「2〜3年のうちに中間評価を行う」ということも書 いており、この部分についての趣旨は、実際に制度を行ってどのぐらいの方々がご利用いただ いているのかが、これはまだよく分からないところもあり、5年がいいのか、10年がいいの か、30年後がいいのかという年数までなかなか明記できないということもありましたので、 一度ここで中間評価を行って、その時に調査をした時にどこまで進んでいるのか、そこを把握 した上で、あまり進んでないようであればもっと何か対策をしなければいけないし、ある程度 十分達成できているようであれば、期間は短くしてもいいのではないかというご議論もまたあ ろうかと思います。そこら辺で資料6を楠岡先生がまた後ほどご説明いただけると思うのです が、今後、こういった調査についても仕組んでまいりたいということを一言申し添えたいと思 います。 ○楠岡座長 30年というのは単に切りがいいというわけではなくて、最低7年はかかるであ ろうということを言った。 ○齊藤委員 先ほど言われたように、年数を今決めるのは無理だと思うのです。だから、経過 を見ながらある時点で年数を決めると、そのことだけ考えていたらいいのではないでしょうか。 ○楠岡座長 ただ、遅くとも30年ぐらいは目処というのは持っていたほうがいいかもしれな いというところだと思うのですがね。 ○齊藤委員 たまたま30年だけれども、それは28年でもいいかもしれないし、26年でも いいかもしれないのだけれども、それは馴染まないかという気がします。 ○楠岡座長 今お話が出た資料6の点でありますが、中間評価を行うということになっている わけですが、中間評価を行う時に、ではよくなったのか、進んでいるのかという時に、現状は データが全くないので、2年ないし3年後に評価した時にどれだけ進んだかという出発点のデ ータは必要であろうということで、こういう調査を行いたいということです。 趣旨は今申し上げたところで、検討会のメンバーの方々の協力を得て、このメンバー以外の病 院、これは病院の規模によっても進捗はかなり変わると思うので、病院、診療所、保険薬局、 層別化した中からいくつか協力機関を選ばせていただいて、1つはシステムの現状変化という ことがありますが、もう1つは、記載方法に関連した事故事例、ヒヤリ・ハット事例に関して どれぐらいあるかということの調査を少ししたいというところです。 ただ、薬剤に関する事故事例、ヒヤリ・ハット事例は結構報告はあるのですが、処方せんの記 載方法に関連したとなるとかなり件数は少なくなってしまって、あまり調査母体が少ないと、 結局、差がわからない。たまたまその年だけ何かがあって増えたり減ったりということもある ので、少し幅広く調査をする必要があるかと思います。これに関して今すぐはできないのです が、今年度末から来年度早々にかけて少しそういうことも含めた調査を考えるということで、 検討会の皆様方のご了解を得たいということでお願いしたいと思いますが、この点はよろしい ですか。 そうしたら報告書のことですが、時間がだいぶ過ぎていますが、7番目の処方例に関しては、 これは今実は少しいろいろなご意見もあるので、再度検討したいというところです。以上の点 で今ご指摘いただいた点は、報告書に関しては、1つは用語集を整理するということ。2頁の 「本検討会における主な議論」の初めのほうで、これまでがどうなっていたかを少し追加する というところ。3頁においては「分3」は除去する。短期的方策については継続性も含めた形 の表現にするという点。4頁では、「用量」に関してどういう記載になるかは検討しなくてはい けませんが、用量についても触れるというところ。短期的方策に関しては、有効成分量は原薬 量に書き換える。一般名記載の時に原薬量ということではなく、原薬量を記載した場合は必ず 「原薬量」をというふうにするという形に修正する。7頁は、長期的課題はQRコードを消すと いう以外は特にご指摘はなかった。8頁は、2行目で「いくべきである」とすることと、先ほ ど出ていた「分3」とか1日量記載の状況における改善策に関して、少し追加を行うというこ と。失礼しました。短期的方策の中で、用法マスタがこれは1回量をベースにしているという ことを明記する、というところを追加する。 いただいたご意見は大体以上のようなところで、あと、処方例はもう少し修正を加え、もう少 し膨らませた、数を増やしたほうがいいというご意見もあるので、これはまた土屋先生にもご 努力をいただいてというところで行いたいと思います。それでご意見をいただきたいのは、こ れで座長預かりでやらせていただいていいのか、もう一度お集まりいただく必要があるかとい う点ですが。 ○嶋森委員 だいぶ前に、処方せんのフォーマットが手書きの場合必要事項が抜けないように、 一定の形式を提示するのはどうかと、隈本さんがおっしゃった気がするのですが、それは付け ますか。 ○楠岡座長 それは付け加え、はい。横線、縦線を入れるという分です。 ○嶋森委員 はい。見れば誰でもきちんと書くと。 ○楠岡座長 それは移行期における対応の所ですか。 ○望月主査 フォーマットについては、基本的にこの検討会のみで決められる話ではなくて、 中医協を通さなくてはいけないというところなので、話が大きくなるので、そこまで立ち入る のはやめようということで合意が得られたのか、と事務局では理解していたところです。 ○楠岡座長 報告書には含めないけれどもということで、中医協でも。 ○隈本委員 処方せんの書式は中医協が決めているのですか。書式は、以前、標準書式として 添付資料としてもらいましたが、あれは中医協で決まっているのですか。 ○望月主査 決まっているというよりは、変更するに当たっては通さなければならないという ことです。 ○嶋森委員 それも間違えにくい標準を示すことも検討してほしい、ということを一言入れて、 いただければよいと思います。 ○楠岡座長 出されている基本形を変えるのはたぶん中医協のあれが要ると思うのですが、こ のような工夫はできますというのは提言に書き込めると思います。例えば縦線・横線を入れる だけで見やすくなって非常によくなるということは、それは提言としても書き込めるのではな いかと思うので、検討させていただけますか。 ○隈本委員 もしそういう提言を付けてさらに見本を付けるのだったら、中医協というか、こ れは保険局にもこういうことをやってほしいというふうに厚生労働省内で呼びかけていただい たらいいのではないでしょうか。 ○医療安全推進室長 まさに委員のおっしゃるとおりお伝えはしたいと思います。 ○隈本委員 では是非見本を、私だけではなくて佐相先生もおっしゃっていましたが、あれが 真っ白ではなくて、きちんと縦線が入っているという見本をこの報告書に付けるのは、非常に いいのではないでしょうか。それは当分手書きで1日量が残っていくとしたら、それは大きな 事故防止策になるのではないかと思うのですが。 ○楠岡座長 実際、うちの病院でも手書き処方せんは点線が入ったものを使っているので、そ こは各病院の判断でできるところだと思います。ですから、法律的な枠組までいかなくてもま ずはできる範囲からやろうということで、提言として入れていただくということでご了解いた だけたのでは。 ○隈本委員 はい。 ○楠岡座長 何か他にありますか。そうしたら、これはどうしますか。もう一度お集まりいた だくか、それとも。修正点は大体今出たところで、あと処方例に関してはもう1回見ていただ く必要があるかと思いますが、座長預かりでやらせていただいてよろしいですか。 ○隈本委員 処方せんの見本は私は見たことがないので、できればメールで各委員に流してい ただきたい。 ○岩月委員 その際、それがイメージとして例示をされた。そうすると、たぶんそれで走って しまう可能性があるので、そうではないということは明記をしていただいたほうがいいと思う のです。つくられるベンダーの先ほど個性がないほうがいいという話と少し矛盾するかもしれ ませんが、あくまでもそれが独り歩きをしてしまって、早くつくって開発に勝ちたいと、もし ベンダーの中でそういったことがあれば、それが独り歩きをしてしまうことは避けていただき たいと思います。十分に吟味をしたものが標準化ということであるならばいいのでしょうが、 ここの議論でもあったように、処方せんの表記の仕方についてはいろいろなご意見があったと 思うので、1つの案として例示をされるのであればいいのですが、この検討会としてそれは標 準的なのだという取扱いは少し意味が違うと思います。 ○楠岡座長 あまり時間がないところで恐縮ですが、たぶん印刷されている、要するにオーダ リング等で出されているものは、大体それほど薬剤師のほうでも読みにくいフォーマットには あまりなってない。問題は、手書きで斜めになったり、日数がどこに書いてあるのかわからな い、というところがいちばんの問題ではないか。そこは少し区切りを付けたほうがいいのでは ないか、というご提案だったと思うのですが。 ○隈本委員 そのとおりです。手書きで書き込む時の人の心理としてきちんと縦・横がしっか りしていると、書き込んでない所は気になるので書き込みたくなるだろうというねらいですよ ね。機械で打ち出す分については、今この標準案でも1回量で1日量が同じ画面で見られるよ うにというぐらいですから、当然、それも印刷されると考えているので、そこについては特に 心配はしていません。もし、これからまだ1日量で書き続ける人が混在する中で言えば、処方 せんを若干でも工夫して間違いが起こらないように努力するのが必要ではないか。それはあく まで手書きの処方せんをイメージしたもので申し上げているのですが。 ○楠岡座長 他によろしいですか。そうしたら、今日の論点は事務局でもう1回まとめていた だいて、ご確認いただき、報告書の改訂版は少し事務局と相談して作り、もう1度メール等で ご確認をいただくということで、一応、皆様お集まりいただくのは今回が最終ということにし たいと思います。時間がだいぶ超過して申し訳ありませんが、報告書公表のスケジュール等に 関しては、事務局からお願いしたいと思います。 ○医療安全推進室長 早々に修正をし、先ほど座長がお伝えいただいたとおり、また、できる だけ早く、遅くとも年内にはメール等である程度お話をしたいと思っています。 ○楠岡座長 今日の報告書の点に関してもし何か抜けている点、またお気づきの点があれば、 たぶん修正に対応できるのはこの1週間だと思うので、今週中に座長もしくは事務局のほうへ ご連絡をいただきたいと思います。最後に、事務局からご挨拶をお願いしたいと思います。 ○大臣官房参事官 大臣官房参事官の塚原です。本来ですと医政局長の阿曽沼から皆さんにお 礼のご挨拶を申し上げるところですが、いろいろ所用がございまして、今日、出席できません でしたので、私からお礼を申し上げたいと思います。 思い返しますと、今年の5月25日に第1回の会合を開催させていただきまして、今日で5回 の会合を持っていただきました。私が出席させていただいたのは後半の2回なのでありますが、 非常に難しい議論をよく短期間にまとめていただけたと思っておりまして、楠岡座長をはじめ 委員の先生方には心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 今回、これで基本的なところはおまとめいただきまして、一部修正した所は改めてメール等で ご確認いただくという作業はまだ残っておりますが、内服薬処方せんの記載の標準化をこれか ら進めていくということになろうかと思います。この検討会報告書につきましては、取りまと めをさせていただいた上で、都道府県あるいは関係団体のほうには広く周知をさせていただき まして、標準化に向けた取組みを進めていきたいと考えております。座長をはじめ委員の先生 方におかれましては、大変ご協力をいただきまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。 先ほど室長から申し上げましたように、2年あるいは3年を目処に中間評価をするということ でございますので、今日の会合で終わりということではありませんで、中間評価の時にも何ら かの形で先生方にはご指導いただくという場面があろうかと思います。今後ともひとつよろし くご指導をお願いしたいと考えております。簡単でございますが、お礼を含めましてご挨拶と させていただきます。どうもありがとうございました。 ○楠岡座長 5月以来、5回にわたりましてお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとう ございました。また、本日は時間が超過した中でおまとめいただきまして、心から感謝申し上 げます。無事に座長を務めることができまして、ご協力を心から感謝いたします。どうもあり がとうございました。 (照会先)  厚生労働省医政局総務課  医療安全推進室   03−5253−1111(2579、2580)