09/11/26 第64回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第64回労働政策審議会職業安定分科会 1 日 時 平成21年11月26日(木)17:00〜19:00 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室(14階) 3 出席者 委員(公益代表)          大橋分科会長、白木委員、征矢委員         (労働者代表委員)          石村委員、澤田委員、新谷委員、古市委員、堀委員、吉岡委員         (使用者代表委員)          荒委員、市川委員、上野委員、高橋委員、久保委員代理(深井氏)       事務局 森山職業安定局長、山田職業安定局次長、森岡審議官、 宮川職業安定局総務課長、坂口雇用保険課長、水野雇用開発課長 鈴木需給調整事業課長、榧野農山村雇用対策室長補佐 ○大橋分科会長 ただいまから第64回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。 議事に先立ちまして、職業安定分科会及び当分科会の下に置かれております部会に属する 委員の交代がありましたので、ご報告いたします。  当分科会の労働者代表委員として徳茂委員、長谷川委員に代わりまして、全日本自治団 体労働組合副中央執行委員長の澤田委員、日本労働組合総連合会総合労働局長の新谷委員 が就任されています。また、分科会に置かれる部会に属する臨時委員等については、労働 政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっておりま す。雇用対策基本問題部会の労働者代表委員について、杉山委員、長谷川委員に代わりま して、情報産業労働組合連合会政策局長の縄倉委員、日本労働組合総連合会総合労働局長 の新谷委員にお願いしております。また、労働力需給制度部会の労働者代表委員について、 市川委員に代わりまして、JAM副書記長の小山委員にお願いしております。 (出欠状況報告)  本日4つ議題がありますが、最初の議題は「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行 に伴う厚生労働省関係省令の整備及び経過措置に関する省令案要綱について」です。これ については、雇用保険部会においてあらかじめ議論を行っていただいております。本日は 清家雇用保険部会長が欠席されておりますので、雇用保険部会における議論も含めて、事 務局よりご説明願います。 ○雇用保険課長 それでは私のほうからご説明申し上げます。お手元の資料No.1の括りです。 No.1-1が、いま分科会長からありました案件についての当審議会に対する大臣からの諮問文 です。 2頁以降に省令案の改正要綱を付けております。資料No.1-2は省令案の概要です。後ほどご 説明させていただきます。資料No.1-3が関係する参考資料です。  No.1-3は法律改正のときにもご提示をしましたが、船員保険の事業運営懇談会の報告書も 付けておりますので分厚くなっております。今回お諮りする省令ですが、1頁にもあります が、平成22年度に向けて、船員保険制度の失業部門については、現行の雇用保険制度に統 合、職務上疾病・年金部分については、一部を除き労災保険制度に統合というようなこと を中心として、具体的には平成22年の1月1日から、それぞれの制度の統合の見直しを行う ということです。労使の方にもお入りいただいた懇談会の報告に沿って、平成19年の雇用 保険等の一部を改正する法律ということで、船員保険制度の見直しの法改正を行ったとこ ろです。これを受けて、具体的に雇用保険制度に、船員保険制度の失業部門を統合するた めに省令の改正が必要なので、今回お諮りをするものでございます。  内容につきましては、資料No.1-2をご覧ください。これが今般お諮りする雇用保険の失業 保険部門に係るもので、雇用保険施行規則の改正についてお諮りをするというものです。 基本的に今回の統合に当たりましては、現行の船員保険制度で行われている給付、あるい は事業についても引き継いでいくということで、引き継ぐに当たって、現行の雇用保険制 度では、そのままの規定の中では読み切れないという部分について手当てをし、今般、省 令改正をするということです。  具体的には(1)雇用保険二事業に関わる部分でございまして、今回、船員の関係につい ても雇用保険二事業に入ってくるわけですが、これまで船員保険において実施されており ました、船員雇用促進対策の事業費補助金について、引き続き雇用保険二事業で実施する ということで、一定の指定法人で行われている船員雇用支援に対しての技能訓練等を行う ための事業を実施するための規定を置くというものです。  (2)船員に関する雇用保険の給付についての特例を置くという部分です。[1]にありますよ うに、特定受給資格者に関する離職理由の特例を置くというものです。この特定受給資格 者と申しますのは、ご承知のとおり、雇用保険の場合、解雇・倒産を離職理由とする場合に は、給付を厚くするというような形で、特定受給資格者という区分を設けております。船員 保険において、この特定受給資格者に当たる離職理由について、引き続き雇用保険において も、特定受給資格者の離職理由となるように手当てをするというものです。具体的には横の ほうに例示していますが、船舶に乗船すべき場所の変更により離職をした場合、あるいは船 舶の国籍が喪失したということで、それに伴って離職をしたというような場合、あるいは船 に乗船するために待機している状態の予備船員の期間が、引き続き3カ月以上になった場合 というようなことについて、倒産・解雇と同様の離職理由として扱うための離職理由に対し ての追加をするという改正を行うものです。  [2]は先ほどと類似ですが、雇用保険二事業の助成対象に、船員を雇用する事業主等を対象 とするということで、所要の規定の整備を行うことを内容とするものです。  全体として、施行日は先ほど申し上げましたとおり、平成22年1月1日ということでお願い をするものです。冒頭申し上げた資料No.1-1の諮問文、要綱につきましては、いまご説明し た概要に沿った形です。  最後にご報告ですが、資料No.1-3のいちばん最後の頁に、先ほどの船員問題の懇談会に沿 って、一定の告示の改正も議事的に行うということで、資料No.1-3の41頁、これも関係告示 の改正を予定しておりまして、船員の場合の保険料について、一般の方と同程度の保険料 にするということで、水産の事業に当たっても、一般の事業と同等に取り扱うという形で の告示を改正するということであったり、あるいは雇用保険の場合、離職時の状況で、賃 金日額を算定し、基本手当の日額を決めるわけですが、船員の賃金の場合、乗船時と下船 時で変動が大きいということで、12カ月間という形で長いスパンでの賃金総額を基準とし て賃金日額を算定するという告示の改正をするということも、併せて措置をさせていただ きたいと考えております。  以上がご説明ですが、先ほど分科会長からありましたとおり、本件につきましては、去 る11月19日に開催いたしました雇用保険部会において、予めご審議いただき、その結果、 内容について妥当であるとの結論をいただいておりますので、部会長に代わりましてご報 告をさせていただきます。私からの説明は以上です。 ○大橋分科会長 それでは本件につきまして、ご質問、ご意見がありましたらご発言をお 願いいたします。 ○新谷委員 本件につきましては、既に雇用保険部会でも審議をされていますし、また、 本件の内容につきましては、平成19年の法改正に基づく懇談会、これは労側の委員も入 らせていただいたのですが、その結果ですので、特に論議する点はございませんが、 2点だけ確認をさせていただきたいと思います。  1点は、船員の保険と、通常の雇用保険との間に、会計間でお金が動くということです、 特に雇用保険に与える影響は、被保険者の数がかなり違いますので、たぶん小さな影響だ と思いますが、一般被保険者に対して、我々は説明責任を持っていますので、あまり影響 がないということを確認する意味でも、今回の改正に伴って、会計に与える影響について、 細かな数字は結構ですから、概略について教えていただければというのが1点です。  もう1点は、改めての確認で恐縮ですが、従来、船員保険の中で規定されていた内容 が、今回の政省令の改定に伴って、すべて雇用保険制度に移管されるということでよろし いのかどうか、確認させてください。 ○雇用保険課長 それではいまの2点についてご説明します。いま、新谷委員からありま したとおり、全体として、この船員保険の失業部門について、いま適用を受けている船 員の方が、約5万人いるということですので、その意味でも、全体の雇用保険の失業給 付のパイからいくと、財政的影響はそれほどないということですが、具体的には、ここ 3年の給付費の年平均が、大体22億円ということですので、一定の保険料収入も、ここ から助成するわけで、そういう意味では全体としても影響が大きくないということだ と思います。  2点目ですが、ご指摘がありましたとおり、今般平成19年の法改正の考え方そのもの が、統合するに当たって、現行の船員保険制度を引き継いでいこうということですの で、今回の省令改正も、現行の船員保険における特例を、現行の雇用保険制度にどう 引き継いでいくかということで措置をさせていただくということです。以上です。 ○新谷委員 はい、わかりました。 ○大橋分科会長 よろしいでしょうか。その他いかがでしょうか。それでは特にない ようでしたら、当分科会としましては、本案を妥当と認め、その旨私から労働政策審 議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいですか。                (異議なし) ○大橋分科会長 それでは事務局から報告文案の配布をお願いいたします。お手元に 配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長あて報告することとして よろしいでしょうか。                (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。  次の議題は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。初 めに事務局から説明をお願いします。 ○雇用開発課長 お手元の資料No.2をご覧ください。最初の2枚がお諮りする省令案の要綱 です。参考2-2という横長の資料をお開きください。そこにありますように、雇調金の見直 しということで、具体的には右の欄の「見直し概要」というところに、出向に係る要件緩 和ということですが、これは先月打ち出されました、緊急雇用対策に盛り込まれているも のです。雇調金の助成対象となる出向につきましては、雇用調整の一環として実施をする ものに限定するという考え方から、これまで3カ月以上、1年以内のものが助成対象になっ ていました。さらにその上で、左側の欄の「事業概要」というところに、○が3つありま すが、その○のいちばん下に、再出向の制限というところがありますが、そこにありますよ うに、1年を超える場合は、一旦出向元に戻っていただいて、その後、間を6カ月以上空けな いと、再出向は助成対象とはならないというのが現行の取扱いでした。  ところが、ご案内のとおり、リーマン・ショック後、1年以上を経過しても、依然として 厳しい経済情勢が続いている中で、出向期間が1年間を過ぎても、雇調金の助成対象にして ほしいというご要望をいただいたわけでございます。このため、1年間の出向期間が過ぎた ら、一旦出向元に戻って、6月の間を空けないと、雇調金の助成対象にならないというよう な現行の取扱いであるわけですが、それは改めまして、右側の欄の「見直し概要」にあり ますように、1年間の出向期間が過ぎたあと、6月の間を空けずに行われた出向についても、 雇調金の助成対象にすることにさせていただきたいと考えています。  ただし、こういった取扱いといいますのは、現在の厳しい経済情勢を踏まえた、あくまで も暫定的なものということでご了解いただければ、今月の30日から施行をさせていただいて、 その後1年限りの取扱いとさせていただきたいと思います。 ○大橋分科会長 それでは、本件につきましてご質問・ご意見がありましたら、ご発言お願 いいたします。 ○新谷委員 昨日なのですが、政労使の雇用戦略対話が首相官邸で開催されました。連合の 要請を受けていただきまして、第1回目の対話を開催していただいたことには、感謝申し上げ たいと思います。その席で、雇用調整助成金の支給要件の緩和について、12月から緊急に実施 をしたいという表明がなされて、それを合意ということで出されたわけです。支給要件の緩和 は喫緊の課題であると我々は捉えていますが、1日も早い対応を是非お願いしたいと要望を申し 上げておきたいと思います。早く中身を出していただきたいと思います。 ○大橋分科会長 ほかにございませんか。特にないようでしたら、当分科会としては、本案を 妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいで しょうか。                (異議なし) ○大橋分科会長 それでは事務局から報告文案の配布をお願いいたします。  お手元に配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長あて、報告することと してよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。3番目の議題は、「林業労 働力の確保の促進に関する法律の基本方針の変更について」です。初めに事務局から説明を お願いしたいと思います。 ○農山村雇用対策室長補佐 お配りしている資料No.3-1と3-4を使ってご説明させていただきま す。まず最初に資料No.3-4をご覧いただきたいのですが、法律の制定時の林業の雇用状況につ いてご説明いたします。  昭和50年当時の「林業就業者は減少・高齢化」と書いていますが、そちらのグラフをご覧く ださい。昭和50年当時、18万人の就業者がいましたが、林業労働力確保法ができる1年前の平 成7年には半減の9万人となっております。また、林業の高齢化が進んでおりまして、高齢化指 数も上昇してきている状況にありまして、そのため、新たに本法を平成8年に制定いたしました。  資料No.3-1をご覧ください。3頁目の「林業労働力の確保の促進に関する法律の概要2」です。 趣旨ですが、法律のスキームをご覧いただきたいのですが、法律で国が基本方針を定めており まして、中身は雇用管理の改善や事業の合理化、就業の円滑化のための措置を内容にしており ます。それに基づきまして、都道府県知事は基本方針に即して、基本計画を策定します。さら にこれに基づいて、事業主は自らが雇用する労働者のために、改善計画を作成し、知事の認定 を受けることにより、様々な支援策、右側のほうに○が4つありまして、林業就業促進資金、 研修の受講に対する貸付けの特例などの、そういった様々な支援を受けることができるという 法律のスキームになっております。  このスキーム図の紫色の枠のいちばん左をご覧いただきますと、現在、基本方針があります が、情勢の推移により変更するものとされているところなのですが、あらかじめその際は林野 庁の林政審議会と、労働政策審議会の意見を聴くこととされております。現行の基本方針につ きましては、労働力の確保という観点から、立ち遅れた雇用管理の改善に主眼を置いておりま して、法律施行時に策定されたところなのですが、今般初めて変更させていただきたいと考え ています。  今回、改正する趣旨ですが、資料No.3-1の最初の頁のの(1)変更の趣旨をご覧下さい。世界中 で地球温暖化の防止が議論されておりますが、我が国は、二酸化炭素の排出量と吸収量を同等 に収めるために、低炭素社会の実現を目指すこととしており、地球温暖化防止の1つの施策と して、森林整備による吸収量を確保したり、あるいは石油などの化石燃料に過度に頼らない、 森林資源利用を行うこととしています。  ところで、林業は植え付けてから、伐採までの期間が最低でも40年から50年かかるという長 期のサイクルが必要なのですけれども、その間に国内の林業は高齢化などにより、就業者数が 減少してきております。また、昭和30年代に植林した人工林がちょうど切るのに適した時期に なっておりますが、外国からの安い輸入木材がたくさん入ってきて、国内の木材は、採算ベー スに乗らないという状況になってしまいました。そのため、資源としての木材を有効に活用す るために、伐採、あるいは運び出すという林業素材生産だけではなくて、木質バイオマスとい った先進技術を用いた木材利用システムを構築していくことが求められております。そういう 意味では新たな林業関係のビジネスの創出が期待されているところです。  また、林業労働を見てみますと、林業労働のあり方自体の変化もありまして、いままでは、 植付けなどの人手を多く要するような労働集約的な労働環境が中心でしたけれども、いまは木 が育ち、機械化も進んでまいりましたので、大型機械を使って計画的にチーム作業を行い、知 識集約的な働く環境へと質的な変化が起こってきており、今後も進んでいくことが予想されま す。  こういった状況から、林業の分野は、雇用吸収の受け皿として期待できるものとなっており まして、林業を効率的かつ合理的に取り組むだけではなく、事業量の拡大に応じた通年雇用化 を促進して、賃金の月給化や福利厚生を充実していくなど、林業労働者の処遇の改善につなげ ることにより、労働者が安心して働ける環境整備に努めていきたいと考えております。さらに、 林業就業者としましては、これまでの林業技術だけの能力ではなくて、林業経営の能力開発も 加味したような、段階的かつ系統的な人材育成も今後必要になってくると考えています。  このように林業労働者を取り巻く状況は変化しており、さらなる雇用管理の改善と、林業労 働者のキャリア形成支援を創設するなど、改たに必要となる措置が出てまいりましたので、こ れを国の方針とすることとし、現行の基本方針を変更させていただきたいと考えています。い ま、申し上げました林業の基本方針の改正のポイントとなる事項につきましては、資料3-2に まとめさせていただきました。  今後につきましては、林野庁でパブリックコメントとして広く国民の皆様から意見照会をし ていく予定です。そのあと、林政審議会と労働政策審議会あてに正式に諮問させていただきた いと考えております。ご答申いただければ、農林水産大臣と厚生労働大臣の連名により告示を 行う予定です。この告示が出ましたら、県で基本計画を策定するという流れになっております。 告示につきましては、年明けの1月から2月頃を予定しています。説明は以上です。 ○大橋分科会長 それでは、本件につきましてご質問等がありましたら、ご発言をお願いいた します。 ○古市委員 いま、ご説明いただいた資料No.3-2の下のほうに、「森林組合、素材生産業者等 の事業主と建設業等異業種の事業主との連携促進」とありますが、これは具体的にはどういう ことなのでしょうか。 ○農山村雇用対策室長補佐 建設業につきましては、大型の建設機械がありますし、いろいろ な技術もございますので、林業の分野におきまして、作業道を作っていただいたり、あるいは 実際に建設業の中で間伐材とか、木材をご活用いただくなどのご協力がいただけるものと考え ております。そういう意味で、いま公共事業が減ってきている中、労働者の雇用を維持しつつ、 林業のほうでやっていただけることも考えられますので、そういったことは林業全体としての 事業量の拡大や、雇用の拡大にもつながっていけるということで、連携を促進していきたいと 考えております。 ○大橋分科会長 よろしいですか。 ○古市委員 ほかの資料で、林業における労働災害の現状などが出ているわけですが、全産業 の10倍を超えるような労働災害が現時点でも起こっているというふうに数字で書かれており、 政府の方針は建設業で就業者が非常に余っているので、林業や農業に移ってもらおうというこ とのようでありますが、こういう所に危ない作業、しかも10倍を超えるというような水準は、 あまりにも酷い状況ではないかという気がいたします。就業者を林業のほうに誘導して、参入 をしてもらおうということであれば、そういったことをもう少し本格的に、抜本的に、しっか りまなじりを決してやるという、そういうことが必要であると思います。そこはどこが担当す るのか、林野庁に話をすべきことなのか、厚生労働省の仕事なのか正確にはよくわかりません が、格段の努力をしていただかないといけないのではないかと。  もう1つ、カラー刷りの資料No.3-4を見ますと、これで林業に来てくださいと言われても、な かなか行きにくいということがずっと書いてあり、であるからこそ計画を新しく改善するのだ ということであろうとは思いますが、生半可なことでは改善が難しいのではないかという非常 に劣悪な水準ですので、しっかりやっていただかないといけないと、こういうお願いでありま す。 ○新谷委員 重なって恐縮ですが、関連で我々連合の中にも林業労働者の組織を抱えています。 私も連合にきて初めて、いま古市委員がおっしゃったように、かなり労働条件としては厳しい 環境に置かれていると感じた次第です。政府が10月23日に発表しました緊急雇用対策の 中でも、農業と林業が雇用創出の中で分野として挙げられていたわけですが、それにしては労 働条件がいかにも厳しすぎるのではないかと感じているわけです。  連合も180万人雇用組織プランという中で、この林業の分野を入れてあるわけですけども、 ここの労働条件の改善に向けて、政府としての取組みを是非お願いしたいのですが、その前提 となるのは、やはり林業が事業体として経営がきちんとできるということが非常に重要だと思 います。そうした林業の事業体が、採算があってビジネスとして確立できるように、例えば林 野庁、国土交通省、経産省等との横断的な取組みによって、是非、この林業がビジネスとして きちんと確立できるような方策をお願いしたいと思っております。  それともう1点、これが平成8年以来の改正ということで聞いておりますが、随分放置されて きたという印象があり、これもタイムリーに見直しをしていただきたいという要望も申し上げ ておきたいと思います。以上です。 ○農山村雇用対策室長補佐 お答えいたします。委員のご指摘のように、林業については非常 に労働災害が多いということですが、近年、多少は機械化とか作業環境の整備により少しよく なってきている面はあるのです。しかし、まだまだ大変な状況ですので、そちらにつきまして、 基準行政、監督署のほうで指導させていただくとともに、特に危険度が高いかかり木という、 木を倒すときに木が引っかかってしまい、途中で止まってしまうような、そういう危険度の高 い作業については作業ガイドラインやチェックリストを作り、指導、あるいは情報提供をして いきながら、労働災害を今後もっと減らしていくように、国として努めていきたいと考えてお ります。  両委員からのご指摘にもありましたが、林業の労働条件、お給料の形態ですとか、賃金水準 とか、かなり厳しいということで、これでは他産業から入ってくださいとはなかなか言えない ということですが、改善の必要性が高いことは認識しているところです。まず、林業事業体の 国産材がなかなか売れないというで厳しい状況にありますが、いま林業について一生懸命取り 組んでいこうという気運も高まってきており、この度、緊急雇用対策において、林業分野で雇 用を拡大していこうということで、年内に森林・林業再生プランをつくることにしており、こ の内容は森林と林業を基軸とした付加価値の高い産業をつくっていくというものです。  例えば、あまり利用されていない木材を燃料として利用するとか、あるいは国産材住宅とい うのを促進していくことがあります。環境対策の面から見ても、木材の活用は非常に大事なこ とですので、そういった需要を喚起していけるよう、国として支援していきながら、まず林業 事業体のほうの経営を安定化させていく。その結果として、事業の量の確保という面に対応し ていきます。あと技術的な支援として、林野業行政のほうで作業の合理化とか指導に力を入れ ており、作業の集約化を進めております。個々の木材の所有者のところには非常に小規模な森 林作業しかないわけですけれども、そういった方々に効果的に働きかけて、作業をなるべく大 きくし、通年に渡って作業を確保していけるように努力していくという、そういった全体的な 取組みを進めていくように指導をしていくことがあります。  もう1つは大きな機械を使って、作業道をしっかり作っていき、人の力だけではなく、効率的 に機械を使いながら作業をしていくという、作業面の合理化を進めていく。そういったものを 進めていきながら事業体の経営を安定させつつ、ひいては労働者の方々の働く日数を増やして いき、労働条件のほうもできるだけ改善していきたいと考えております。  厚労省のほうといたしましても、事業主に対して雇用管理改善についてアドバイスをすると いう委託事業をやっておりまして、そちらのほうも合わせて一生懸命指導に努めていきたいと に考えております。以上です。 ○大橋分科会長 よろしいですか。特にないようでしたら、本日は説明をお伺いしたというこ とで、次の議題に移ります。  第4番目の議題は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備 等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について」です。これにつきまして、労働力 需給制度部会において、あらかじめ議論を行っていただいております。本日は、清家労働力需 給制度部会長が欠席されていますので、労働力需給制度部会での議論も含めて事務局からご説 明をお願いしたいと思います。 ○需給調整事業課長 資料No.4-1が本日お諮りする諮問文及び要綱ですが、具体的な内容の説 明については資料No.4-2及びNo.4-3で行わさせていただきます。まずNo.4-2ですが、本日、諮問 させていただきます省令案は事業報告についての提出期限の早期化と派遣事業の許可更新時 における社会保険等の加入状況の確認の厳格化の2点です。  まず1点目の事業報告につきまして、資料No.4-3の1頁で、現行制度を書いてあります。この 事業報告は、毎年度派遣元事業主から事業年度ごとの運営状況をご報告いただき、指導監督の 基礎資料にするということで、派遣法の第23条に規定されている必須の報告ですが、これにつ きましては派遣事業者の全数の状況がわかるということで、年度ごとに取りまとめて集計公表 しているところです。具体的な内容が2のところに3つあります。(1)は、派遣労働者の年度ご との状況です。例えば1年間に登録者がどのくらいいたかがこれでわかることになります。 (2)は、6月1日現在で派遣されている派遣労働者の状況、業務別の統計はここで取っており、 例えば、製造業派遣の数が何人いるかがここから出てまいるわけです。  (3)が収支決算の状況です。この3つを年度ごとに各派遣事業者の事業年度終了後、3月以内 に出していただくと、こういうことになっています。3月以内としているのは、例えば、収支 決算の状況について、年度を締めてから株主総会等で収支決算書のご決議をいただき、出し ていただくことになると、だいたい通常1月から2月ぐらいはかかって株主総会に出していただ く、という趣旨でこの報告期限になっています。けれども、例えば21年度末の報告では、21年 度3月末の決算の事業所でしたら、22年3月に決算を締めて、提出が22年6月となります。それで 私どもがそれから集計して、だいたい公表は通常のパターンですと12月ぐらいということで、 21年度の結果がまとまりますのは約1年遅れとなっております。この数字については、現在行わ れている派遣法の改正の審議ですとか、国会での議論でもお使いいただいている重要な資料で すので、これをできるだけ早く取りまとめさせていただき、フレッシュな情報を提供しようと いうものです。  また、長妻大臣からも労働統計についてはできるだけ早期に集計公表するようにというご指 示を伺っており、それに合わせ今回省令の改正を行うものです。改正の内容はNo.4-2の1頁の事 業の収支決算書を待っていると非常に遅くなるということで、その頁のいちばん下の※の報告 を3つに分けて、それぞれで出せる時期に出してもらい、それぞれ別途に集計しようというも のです。1つは、6月1日現在の状況で、これはその年の6月31日まで、年度を待たずに出してい ただくもの。2つ目は、年度の実績等について、その事業年度経過後1月以内に出していただく もの。そして3つ目の収支決算書については、従来どおり3月以内という形で、3つに分けて早目 に出していただき、早目に集計するという改正をお願いしたいというものです。  2点目の派遣事業書に係る社会保険等の適用の関係ですが、次の2頁の、派遣の許可更新時に、 例えば社会保険の適用などをチェックすれば、派遣事業者でよく言われている雇用保険とか、 社会保険の適用漏れを防げるのではないかと。これは従来から言われていたことで、ただ現在 の状況はどうかと言いますと、許可更新時等について事業計画書を出していただくわけですが、 ここで事業所単位で保険等に入っているかどうかというのは出していただくのですが、労働者 個々人が入っているかどうか、これはいままで出していただいておりませんでした。  今回改正させていただきたいと思っておりますのは、そこを改善し、この事業計画書の中に 派遣労働者数とか、その個々の派遣労働者の保険の未加入者、それとその理由というものを書 いていただいて、そこから出していただいたものから未加入が疑われるものについて、私ども の雇用保険担当部局なり、社会保険担当部局がチェックを行い、必要な保険の加入がされてい ないということでしたらそこで加入するように指導を行い、なお未加入の場合は許可の更新等 を行わないということにしたいと考えております。ということで、計画書の様式の中にこの内 容を追加することと、実地調査を行いますと日数が必要ですので、これまで許可の更新日につ いては30日前までに書類を出してくれということでしたが、それを延長して3月前に出していた だいて、実地調査等の時間を取らしていただくという改正の趣旨です。  この2点の改正について、特に事業報告の集計については21年度報告からできればやりたいと いうことで、22年3月1日から施行させていただいて、1部経過措置を取らしていただきたいとい うことです。  本件につきまして、先ほど分科会長からご発言ございましたが、11月20日に開催いたしまし た労働力需給制度部会において、あらかじめご審議をいただき、その結果、内容について妥当 であるとの結論をいただいておりますので、清家部会長に代わりましてご報告いたします。以 上でございます。 ○大橋分科会長 それでは本件につきまして、ご質問、ご意見がありましたらご発言ください。 ○石村委員 今回の改正については非常にいいことではないかと思っています。派遣法もいろ いろ審議が進んでいるところですが、直近のデータで何を早く決めないといけないかというこ とがわかればそれなりに対策が早く打てるということで、優先順位を付けるということにもつ ながっていくということですので、そういった意味で今回非常に評価できるのではないかと思 っていますし、引き続き他の案件についても、是非そういった形での検討をよろしくお願いし たいと思います。 ○大橋分科会長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。特にないようでしたら当分科会 としまして、本案を妥当と認めその旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思い ますが、よろしいでしょうか。                (異議なし) ○大橋分科会長 それでは事務局から報告文(案)の配布をお願いいたします。               (報告文案配布) ○大橋分科会長 お手元に配布していただいた報告文(案)により、労働政策審議会あて報告 することとしてよろしいでしょうか。                (意義なし) ○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。  予定の議題はこれで全部終了しております。何かご意見がありましたらどうぞ。 ○高橋委員 1点短い質問をさせていただいて、その答えをいただいた上でお願いをさせてい ただきたいと考えます。  質問は雇調金に関わることですが、基本的にはハローワークで申請と受付けをいただいてお りますけれども、全国の労働局のほうでも受付け等させていただいていると思いますけれども、 全国すべての労働局でも取扱いをしていただいているのでしょうか。 ○雇用開発課長 雇調金は、二事業の助成金につきましては、もともとはハローワークのほう で受付けをさせていただいていたわけですが、最近は労働局のほうに集中化をしていると、そ ういうところも増えてきております。ただ、労働局1カ所だけで受付けをするということになる と県庁所在地1カ所ということになるので、事業主の皆さまにご負担をおかけすることがござい ますので、雇調金につきましては、事業主の皆さまの身近な所にあるハローワークで、労働局 に集中化している場合でもハローワークで最低限取継はするようにさせていただいておるとこ ろです。 ○高橋委員 お願いと申しますのは、最近私が聞いた話ですが、ある労働局のほうで、雇用調 整助成金の取扱いをやめたというようなことも聞いたところです。もともと雇調金はパンフレ ット等にも明記されておりまして、労働局かハローワークかという形で取扱いをしていただけ ると思いますので、私の情報がもしかしたら違っていたらそれは訂正させていただきますけれ ども、そういうことがないように、是非労働局とハローワークと双方でお取扱いをいただくよ うにというのが私のお願いです。以上でございます。 ○雇用開発課長 取扱いを変えることによって事業主の皆さまにご負担をおかけするのはあっ てはならないことですので、具体的にどこの労働局かをお教えいただければ、早急に事実関係 を調べて是正すべきところは是正するように指導をしたいと思います。 ○大橋分科会長 その他、何かございますか。よろしいですか。特にないようでしたら、本日 の分科会はこれで終了いたします。 (署名委員指名)  どうもありがとうございました。                        (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係   TEL:03-5253-1111(内線 5711)