09/11/12 第6回今後の看護教員のあり方に関する検討会議事録 第6回 今後の看護教員のあり方に関する検討会        日時:平成21年11月12日(木)17:00〜19:00       場所:厚生労働省専用第21会議室 ○島田課長補佐 それでは、定刻より若干早い時間でございますけれども、先生方もお揃 いでございますので、ただいまから、第6回「今後の看護教員のあり方に関する検討会」 を開催いたします。  先生方御多忙の中、検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日、 石渡委員が30分ほど遅れるという連絡をいただいております。  それから、事務局の方でございますけれども、審議官が会議のために若干遅れて参加す る予定でございます。申しわけございません。  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。  机の上に議事次第と、それから、その下に座席表を配らせていただいております。それ 以下、資料でございます。  資料1「これまでの委員の主な意見」、資料2「主な検討課題と論点」、資料3「臨床家 の活用と臨地実習の指導体制に関するこれまでの議論の整理(案)」、資料4「安酸委員提 出資料」、資料5「永山座長提出資料」、そして、資料6「これまでの議論のまとめと今後 の方向性(案)」でございます。  乱丁落丁などございましたら、事務局にお申し付けください。  それでは、座長、進行をよろしくお願いいたします。 ○永山座長 それでは、本日も活発な御議論をよろしくお願いいたします。  議事に先立ちまして、資料1につきまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 資料1でございます。  前回までと同じように、これまで委員から議論いただきました意見につきまして整理を しております。前回お出しいただきました意見につきましては、斜めの文字で追加をさせ ていただいております。  簡単でございますけれども、以上でございます。 ○永山座長 ありがとうございました。  それでは、本日の議事ですが、議事次第に従いまして前半は、前回に引き続きまして、 「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」議論を行いまして、後半に「これまでの 議論のまとめと今後の方向性(案)」につきまして、継続教育の部分について検討を行う予 定でございます。  それでは、まず、「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」議論を深めてまいりた いと思います。そこで、前回までいただいております委員の意見を整理いたしまして、さ らなる議論が必要な事項を事務局におまとめいただきましたので、まず、その説明からお 願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○島田課長補佐 ただいま座長から御説明いただきましたように、本日「臨床家の活用と 臨地実習の指導体制に対するこれまでの議論の整理(案)」ということで議論をいただきた いと思っておりますけれども、資料2に、これまでもお示ししておりますように、検討課 題と論点を示しております。その3.が本日御議論いただくところになっておりまして、 「臨地実習の質を確保するためにはどのような指導体制の整備が望ましいか」「臨床家を効 果的に活用するためにはどのようなシステムが考えられるか」といったことが、主な検討 課題と論点になっているところでございます。  前回も、この課題につきましては御意見をいただいておりますので、それを資料3とし ておまとめいたしました。  まず、1でございますが、「臨床家の教育者としての活用について」でございます。  次に、「現状と課題」といたしまして、臨地実習指導に関わる看護教員や臨床の実習指導 者といったマンパワー不足から、学生に安全に実習を行ってもらう環境を整えるのに苦労 している。  看護教員が高度な看護実践能力を維持するためには、病院内での看護実践能力の活用を どのように考えるかが大きな課題である。  専門看護師が主に大学院教育に活用され、認定看護師が養成所や大学の教育に活用され ているのが現状。  といった御意見をいただきました。  そして、対応策として、看護教育において臨床家と看護教員の協働の仕方について、そ の仕組みづくりが重要である。  高度実践能力を持つ看護職員(認定看護師や専門看護師等)を教員として活用するシス テムをつくる必要がある。  臨床教授制の仕組みを、付属病院がなくても整備していけるようにすることが望ましい。  といった対応策について御意見をいただきました。  それから、2.として「臨地の実習指導体制について」としてまとめております。  まず、「現状と課題」としては、臨床の実習指導者は、病院によって配置数に差があり、 看護師の業務と兼任でしか学生と関われていない場合も多い。また、実習病院で職員を実 習指導者講習会へ派遣する際は、病院の負担であり、経済的支援がないのが厳しい。  小さい病院が自院の負担のみで実習指導者を養成して配置するということは不可能であ り、学校で養成費用を負担しないと動かない現状がある。  といった御意見をいただきました。  そして、対応策ですけれども、学生の実習の質を上げるためには、学生が行う学内演習 から臨床の実習指導者が関わることができるシステムや、臨床の実習指導者も含めて実践 能力のある人が、実習に来た学生に直接関われる体制づくりが必要である。  また、看護教員もしくは臨床実習指導者のどちらかがか、必ず直接実習指導にあたれる ような体制整備を義務化する必要がある。  きちんと実習指導者を配置し、学生の実習にあてている病院に対して、財政的支援を行 うべきである。  臨床現場との乖離を少なくするために、看護教員の臨地での研修システムを確立する必 要があるが、教員の配置人数を充実させないと実現が難しいので、現行の配置基準を見直 すべきである。  臨床現場にいる看護職員全体が学生への教育的な機能を担っているという考え方を浸透 させることも有効である。  看護教員と臨床の実習指導者は、看護学視点と教育学的視点の両方のバランスがとれて いることが重要で、協働する中でうまく役割分担をしていくことが望まれる。  といったことを御意見としていただきました。  そして、本日ですけれども、さらに御議論いただきたい事項といたしまして、この下に 点線で囲んだ事項を2点挙げました。  [1]どの教育機関においても、臨床教授制の導入や高度実践能力をもつ看護職員の教員と して   の活用ができるようにするためには、どの課題があり、どのような推進策が必要か。  [2]臨地実習の質を確保するためには、学校側の指導体制において看護教員にどのような 能力   が求められ、どのような工夫が考えられるか。また、看護教員と臨地実習指導者の連 携は   どうあるべきか。  といった事項について、さらに御議論いただきたいと考えております。  以上です。 ○永山座長 それでは、説明を今事務局からいただきましたけれども、続きまして、さら なる議論のところでも今説明がございましたけれども、臨地実習の指導体制を考える上で ヒントになるのではないかと考えまして、臨地実習におきます教材化。これは前からこの 検討会の中でも議論されてきていたことでございますが、この教材化に関する看護教員の 能力の現状と課題につきまして、安酸委員に資料の提出を依頼いたしましたので、それに ついて御発表いただきまして、後ほど、この検討会討議に加えていただければと思ってお ります。  それでは、資料4をごらんいただきたいと思います。  それでは、安酸委員よりよろしくお願いいたします。 ○安酸委員 それでは、失礼いたします。  資料4で、10分程度ということで、どのくらい伝えられるかちょっと自信ないのですが、 よろしくお願いいたします。  まず、最初に「専門家教育としての看護実習教育」ですが、習った知識・技術をそのま ま適用するという技術的合理主義による専門家教育には限界があるのではないかというこ とがスタートです。これはD.ショーンという人が言っているところです。「反省的実践家 (reflective practitioner)」と言われている概念が、今、看護の世界でかなり検討され ているものです。教員とか看護師とかが、自分の教育実践や看護実践を実践しながら、リ フレクションして判断し、次の実践につなげていく。それを繰り返して専門家として成長 していくという専門家を意味します。そのような専門家に学生も育てたいということで、 では、どのように教えることが可能なのかと。そのベースとしての考え方が「実践の中の 理論Theory in practice」ということで、実践の中に理論があるんだというようなこと、 これがベースの考え方になります。  この話は、東京大学の佐藤学先生がショーンの『専門家の知恵』という本を翻訳されて いまして、そこから出しているもので、これが次のページのJ.デューイの言う、皆さん御 存知だと思いますけれども、「反省的思考reflective thinking」と言われる探求につなが ります。リフレクションreflectionという概念をもともと最初に出したのは多分デューイ だと思うんですが、その考え方をもとに「経験型実習」というやり方を私が提唱していま す。これはデューイ、あるいは先ほどのショーンの考え方が理論的なベースと考えていた だければいいと思います。  これは何も特別なものではなく、学生の経験していることを中心に、その意味づけの援 助をしていくというようなことで、学内で学んだ科学の知というか、それを手段としなが ら、「臨床の知」の修得に焦点を当てて、「ヒューマンケアリング」。人間を対象にした看護 ということの内容を学ばせていくということです。  そこの辺はちょっと概念的なんですけれども、次のページに、授業過程モデル。実習が 重要な授業なんだというようなことで、授業としては、教える人と学習者と、それと教材 が必要になります。教材は、患者さんダイレクトではなく、学生が経験したこと、それが 素材となり、その素材を教材化していくというプロセスに学生と教師が関わっていくとい うことです。そこで教師が学生と対話をして、学生の経験を把握しようとします。ここは デューイの言っている「直接的経験」という言葉を使っていますが、そこをreflectionし て「反省的経験」に持っていくという教授方法のモデルです。  具体的に助手とか助教に説明するときには、少しわかりやすく砕いて説明をしているの で、その流れについて概説します。最初にオリエンテーションで、このような授業として 実習をやっていくことを伝えます。教える者が自分の教えたいことを一方的に教えるので はなく、目的・目標を最初に確認し、学生が実習で経験していく中での困ったこと、悩み について聴きます。学内では、時間的制限もありますので当然いろいろなことを全部学ん でいませんので、実習の中で直接いろいろなことが分からなかったり、悩んだりします。 それを一緒に考えていくというようなことなんですが、相談しやすい物理的あるいは人的 環境をつくる必要があります。教師は勿論人的環境として活動をするということになりま す。  次のページが多分その中心的なところになりますけれども、まずは学生の直接的経験を 把握するのは、見るとか、聴くとか、読むとか、対話するというようなことからになりま す。6人ぐらいの学生を受け持っても、教員がダイレクトに全部べったりついているわけ ではありませんので、そこの中で記録を見たり、直接ケアに入ったり、学生から言ってく れたりする中で把握することになります。大体日々カンファレンスを夕方やるというよう な流れの中で、学生の直接的経験を把握して、その中で困っていることを一緒に考えてい って、問題解決を図っていきます。  なかなか自己表出をしない学生も多いですし、今は、脆弱性の高い学生が多いので、1 人で落ち込んでしまうなど、なかなかうまくいかない。慣れてない臨床の場に出ています ので、そういう中で患者さんに、自分が関わることで何かあったらどうしようとか、いろ いろなことを1人で悩んだりすることが結構あります。できるだけ自力でうまくできた方 が、自己効力も上がるので、個別の学生の状況を見ながら、学習援助ということになりま す。  学生の経験の意味づけの援助をすることで、学生が、患者さんへのケアを実際に自分で 考えて実施できるように学習が進んでいくのです。その中で、学生がマイナス思考になっ たりするところを、エンパワーしたり、自己効力を高めるというようなことが具体的な教 師の関わりということになります。実際の事例で説明した方がわかりやすいだろうと思い ますので、事例で説明します。教材化に必要な能力をここでは8つこのようにあげました。 学生は、主に1人の患者さんを受け持たせてもらって、実習をしていくことが多いのです けれども、そこに教師として関わることになります。  まず、学生の力を信頼するという力は非常に重要かなと私は思っているので、それが一 番です。  次に、教える教員が、ラーニング・クライメイトlearning climate、つまり学習的な雰 囲気を持っていること。  3番目と4番目が学生理解と患者理解の力です。これは、教育実践力とか、臨床実践力 と考えることもできます。  5番目が言語化能力。ある程度の知識があって言語表現できないと、教材化には限界が あるからです。これはコミュニケーション能力も含まれます。  6番目の状況把握能力は、臨床の場での状況を把握する能力のことです。瞬時にその状 況を把握するのは、ある程度の臨床経験がないと難しいと思います。  7番目が臨床教育判断能力です。この能力は、実習が基礎実習の段階か、各論実習の段 階か、総合実習の段階かということを考慮して、何をどこまで学んだらよいかを判断する 能力のことです。  最後が、具体的な教育技法です。これも発問の能力や記録の返し方とか、いろいろなこ とが入ります。8つの能力を一個一個ばらばらに書いていますけれども、全体として統合 された教師の実践的力量といえます。教員は臨床実習の場では、教員としての実践知をフ ル活用することになります。  教材化についての事例をあげて説明したいと思います。この人は、48歳の女性で、透析 が必要になって、シャントの手術をするために入院した人です。その人がシャントの手術 の後に、シャント音を学生が聞いたら患者さんが「気持ち悪くない?」と聞いてきたとい うような状況です。この学生は非常に緊張度の高い学生なんですけど、「そんなことないで す」と瞬間的に答えたけれども、何かそれが気になってしようがないと実習記録に書いて きた。スタートは、そういうような学生の素朴な疑問からです。そこから、学生はそこで どういう経験をしているのかなという直接的経験を推測する。これは正しいかどうかでは ないんですが、自分の臨床能力とか、学生理解の能力とか、そういうことをフル活用しな がら、どういうことが考えられるかなということをいろいろ考えます。非常に緊張度の高 いこの学生が、瞬間的に反応して、でも、気になってしようがない、どういうことかなと いうことを考え、患者さんの状況や気持ちの方も同時に考える。これはたまたまシャント をつくることとか、透析導入を拒否していた患者さんでしたので、そういう状況の中で 「気持ち悪くない?」と言われたのは、もしかして自分が気持ちが悪かったのかとか、ボ ディイメージとしてどうなのかとか、いろいろなことが推測されます。患者さんの背景を 考えたりとか、臨床状況、前後の状況から推測していくというような能力が発揮されるこ とになります。  学生の強みとしては、こうやって気になったことは記載している。シャントの手術後に シャント音を確認するというルーティンの仕事、それも計画してできている。実習にも来 ている。ただ、課題としては非常に緊張感が強くてコミュニケーションがうまくいかない とか、患者心理の推測力が不足している。これはこの状況の前までにもう把握できている ようなことです。今起こっている学生からの問いかけとか、気になったことをもとに強み を強めて、課題を一緒に解決するのです。  そのプロセスの中で学習課題は絞られていったりするわけですけれども、学習可能内容 としては、例えば患者心理としては、とても透析療法を拒否していた人が、最終的に手術 をオーOKして、シャントの手術を受けている。そういう状況のその患者さんの心理を一緒 に考えていくとか、ボディイメージの変化と受容過程とか、シャント音の意味とか、シャ ントの保護とか、そもそも何でシャントが必要なのかとか、そういうような病態的なこと だとか、治療的なことだとかということにもつながっていきますし、意味がわからない質 問をされたときに、瞬間的にただ否定しているという、そこでどうすればよかったのかと か、いろいろなことが対話の中でふくらんで学習可能内容が広がり深まっていきます。  そういう関わりの中で、学生が自分の経験を広げたり深めたりするのを、その実習の中 で繰り返しながら、最終的に、例えば慢性期の実習だったら、実習の目的・目標に近づい ていくというようなことを看護教員はやっていくわけです。なので、教員としての力とし てはかなり臨床の力も必要だし、患者さんのことだけでなく、学生の状況だとか、全体の ことがわかって、ある程度教育技法とかも必要になってくるというようなことになります。  以上です。 ○永山座長 どうもありがとうございました。すごく貴重なことが盛りだくさんに入って います。  それでは、今の発表につきまして、皆様の方から御質問を伺いたいと思います。いかが でしょうか。どうぞ、岩本委員。 ○岩本委員 どうもありがとうございました。  これらの教師の能力を開発するために、先生は教員たちに具体的にどのような教育をな さっているのでしょうか。 ○安酸委員 今の学内でやっていること、それと、外の人たちも集めてやっているのは、 FDとしての勉強会です。勉強会の中では、今の説明では省略してしまいましたが、例えば エンパワーメントのこととか、自己効力のこととか、経験をどういうふうに意味づけして いくかというふうなことの考え方を少し整理をする講義をしたり、具体的な事例の検討会 等もやっています。それは、学内でやっているときは、先生に自分が困った事例とか、関 わった事例とかを出していただいて、それをみんなで検討しています。  ずっとやっていたのは、実習教育の講義をすることです。先生方が実際の自分の事例を 出すのには、勇気が必要で、なかなかすぐには出していただけなかったので、例えば今回 説明したこういう事例でもいいんですけれども、私が、自分が昔関わったような事例を教 材化して提示して、こういうときにどう考えるかとか、このときの学生の直接的経験はど うだったのか、患者さんはどういう状況だったのかを推測し、どういうところが教育可能 なのかというようなことや、あるいはどういうふうに関わったらいいんだろうかというふ うなことを話し合って、状況によっては、それをロールプレイでやってみる。そういうよ うなことを、いろいろとやり方を変えてやっています。 ○永山座長 岩本委員、よろしいでしょうか。 ○岩本委員 はい。 ○永山座長 それでは、後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 5ページ目の「教材化」というのは、学生が直接に経験した素材を教材化す ると書いてありますね。こういう教材化された具体的な例は、先生は沢山お持ちでいらっ しゃいますか。  というのは、そういうふうに教材化されているのがあって、例えばこの勉強をするとき に、ロールプレイの教材モデルとして提供されるような具体的なものを先生がいくつかお 持ちかなと思いまして。 ○安酸委員 事例をいくつか出して、それを使って演習、グループワークとかしているの で、そういう意味では教材化した事例を少しつくってはいます。ただ、DVDとかをつく ろうかとしているのですが、それに関してはちょっと頓挫していますけれども。 ○後藤委員 ありがとうございました。 ○永山座長 ほか、いかがでしょうか。  澤本委員、どうぞ。 ○澤本委員 大変貴重な御報告をありがとうございました。私の場合は、教育実習でちょ うど9〜10月に指導で学校を回っていました。教育実習についても同じような問題を抱え ておりますので、同じような視点で学生たちを指導しております。  その中で、大学の教職課程で、当然概論や教材研究という形で、この素材の教材化や、 教材の指導計画を立案して、実践化していくところの指導をするわけですが、マニュアル のように全部本に書いてあって、今のビデオの話もそうなんですが、そういうものを見て、 こうするんですよという教え方には限界があります。というのは、今の学生は、そういう のは他人事のように受けとめる傾向が強いので、リアリティーがないとだめなんですね。 きょうの御報告のように、実際に自分が体験して困ると、そこから学べるんですけれども、 困ってない、まだ何もわかってない人がそういうことを想像できるように指導するのは難 しい。そのリアリティーを感じながら、切実感を持って我が問題として学ぶ環境設定が非 常に重要で、先生のように臨地実習みたいな形のときは、困ったことについて指導してい けばいいので、うまく入るんですが、事前指導の場合は、いかにしてその実感を持たせる かということですね。  その場合、きょうのお話などもそうですが、例えばビデオを見せて、これはうちの大学 の吉崎静夫さんが開発したビデオ中断法とか、ストップモーションなどを使って、ビデオ で問題場面のところまでを見せて、「ここで、あなたがこの人だったらどうするの?」とい う形で、自分がその中のちゃんと看護師の立場に視点を持てるように追い込んで、それで どうすると必死で考えさせて、まず自分で考えて、次に意見を友達と交換して、それから、 続きの「プロはどうするの」という話で見せるなどの工夫が必要です。そのようにしてい くつかそういうリアリティーを持たせて、本気で取り組ませる仕掛けがないと、なかなか 入っていかないというところがあると思います。ですから、その辺がちょっとカリキュラ ム上課題かなと思います。 ○永山座長 時間の都合で、今回は質問ということで、澤本委員から出たようなディスカ ッションは、また後ほど時間を取ってございますので、質問だけ先に伺わせていただきた いと思います。  ほか、今の発表について御質問がある方はおいでになりますか。  井部委員、どうぞ。 ○井部委員 スライド8番の中に、4つの能力が挙げられています。この中の5番目の 「言語化能力」は、学生も言語化ができる能力がないと伝わらないのですけれども、教師 の言語化能力は、ここには(知識)と書いてありますけれども、つまり、教員が持ってい る知識を提供する能力というふうに解釈していいのでしょうか。この言語化能力を少し説 明していただけますか。 ○安酸委員 言語化能力とは、少し表象化してそこで起こっている現象を説明する能力の ことで、reflectionしたことを言語表現するということも含まれます。知識というところ で、非常に抽象度の高い理論を説明するということではなくても、言葉で説明しないと、 なかなか学生が自分の経験していることを反省的経験というふうにデューイが言っている ところに持っていきにくいというところで、この知識というのは、基本的には看護の知識 ということになりますけれども、抽象度に関しては、そんなに高い抽象度は考えていませ ん。言葉でその現象を解釈することができる、伝える、その言語化能力、教える方の言語 化能力ということになります。 ○永山座長 よろしいでしょうか。 ○井部委員 はい。 ○永山座長 そのほか、質問いかがでしょうか。  ないようであれば、これも含めまして、それでは事務局が作成してくださいました資料 3の先ほどの点線の中身ですね。さらなる議論が必要な事項に沿って議論を進めてまいり たいと思いますので、また、御意見等を伺っていきたいと思います。  それでは、まず、第1点のどの教育機関においても、臨床教授制の導入とか、高度実践 能力を持つ看護職員の教員としての活用ができるようにするには、どのような課題があり、 どのような推進策が必要かということについて、まず御議論をいただきたいと思います。 安酸委員の発表の中身も含めながら御議論いただければよろしいかと思います。いかがで しょうか。  どうぞ、安酸委員。 ○安酸委員 臨床教授制については、今年度から、付属病院のない大学として試行的に4 施設で適用しました。そこで課題になったことが、臨床教授になった人のインセンティブ をどうするかということでした。1つの病院が、1つの学校からだけ学生実習を受けてい るわけではなくて、数カ所の学校の学生を受けておられるのですね。なので「福岡県立大 学の臨床教授である」ということになりますと、他の学校の学生に教えるときにはその学 校の臨床教授ではないということになります。例えばインセンティブとして謝金を払うと いうことに関しては、臨床教授をしている学校の学生に対してだけ丁寧に指導するとかと いうことは倫理的にはできないことなので、難しいということなどの課題が出てきました。  今のところ、臨床教授であるということで、FDとか、クリニカル・スタッフ・ディベ ロップメントと言っているCFDの研修企画に参加するときには、臨床教授になった人を 優先するとかというようなぐらいのことを今考えていますが、どういうふうに定着するか と思っています。臨床教授であるということだけでインセンティブとなるかどうかという ところが、ちょっと課題だなと思っています。 ○永山座長 ありがとうございました。  ほか、いかがでしょうか。  どうぞ、羽生田委員。 ○羽生田委員 どの医育機関においてもというのは、臨床教授制と私には全然結びつかな いんですけれども、どの大学においてもと言うならわかるんですが。それはどういうふう にとらえればいいのでしょうか。 ○島田課長補佐 若干文言の整理が必要なのかもしれませんけれども、事務局でここで書 きました意図としては、臨床教授制をすべてという趣旨というよりも、臨床教授制とか、 それから、高度実践能力を持つ看護職員の教員としての活用を、どのような教育機関にお いてもということで。勿論、それ以外のいろいろなやり方も、臨床教授制以外のやり方も 多様にあると思うので、いろいろなやり方で看護職員を活用するためにはといった趣旨で 書いております。臨床教授制のみという趣旨ではございません。 ○羽生田委員 文言の意味はわかりました。  実際には、臨床実習をしている病院の中で、看護職員が教員として活用されているので はないでしょうかね。活用がどの程度かという、それはまたいろいろ問題があるとは思い ますけれども、実際には、病院の中で看護職員が生徒を教えなければだめだし、それが発 展していけば、専任教員なり何なりも教えていくというのは実際にはあるのではないかと 思います。それをどのように体系づけていくかということでしたらわかると思いますけれ ども、そういう意味にとらえればよろしいのでしょうか。 ○島田課長補佐 はい、御趣旨のとおりでございます。 ○羽生田委員 もう一つだけすみません。内容というより言葉の質問なんですが。1番の 「臨床家の教育者としての活用」という、この「臨床家」はどういう意味ですか。 ○島田課長補佐 ここでは、いわゆる臨床の場で働いていらっしゃる方という意味です。 ○羽生田委員 今までのいろいろな議論の中で、「臨床家」という、こういう言葉を初めて 聞いたものですから、どういう意味で使われているのかよくわからなかったので。 ○永山座長 いかがでしょうか。 ○島田課長補佐 資料2の「主な検討課題と論点」でお示ししている3番でも、同じ「臨 床家」という言葉を使っております。この検討会の設置のきっかけになりました「今後の 看護教育のあり方に関する懇談会」という検討会において、看護教員の質や看護教育の場 における臨床家の活用等に関しましては教育機関でいろいろな創意工夫が求められるので はないかといったことを御議論いただいて、そのときに「臨床家」という言葉が使われて おりまして、それを引っ張ってきているものでございます。  言葉を出してはおりますが、事務局として、特段この言葉にこだわって使っているわけ でもございませんので、もし馴染みが非常に悪いですとか、理解がいろいろ多様化してし まうということであれば、よく使われております先ほどの「臨床現場にいる看護職員」と いう文言とほぼ同じ意味でございますので、それと置き換えることで問題はないと思って おります。ただ、どこから引っ張ってきているかといいますと、先に行われた検討会から の文言でございます。 ○永山座長 ただいまの説明でいかがでしょう。  安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 この「臨床家の活用」と書いてあったときには、臨床現場で働いている看護 師、臨床実習指導者等以外に、専門看護師とか、認定看護師の活用が考えられます。そう した高度看護実践家のほとんどは臨床で働いていますが、教育現場に入ってきた時に、彼 女たちは、教員であったとしても、アイデンティティーは専門看護師であったり、認定看 護師だったりするんですね。そういう人たちを今後の看護教育の質向上のためにどう活用 するのかというような意図も入っているのかなと私は思っていたんですけれども、ここは あくまでも「臨床で働く」ということに限定した意味だったんでしょうか。 ○野村看護課長 資料3のこれまでの議論のところにもありますけれども、今、先生がお っしゃったように、高度実践能力を持つ看護職員(認定看護師・専門看護師)、こういった 方々を教員として活用するシステムをつくる必要があるとあえて書いていますので、そう いったイメージも持っております。要するに、看護学生が実践能力を高めるということは、 教員が実践的な教育をどうしていくかという教育の環境の問題がありましたので、そうい う意味で「臨床家」という言い方をして、実践に非常にたけている方々が学生の指導に当 たるという、そういう活用についての議論だったと思います。余り狭くも取っていません が、一般的な話だけという意味でもないかと思います。まだ、ここはいろいろな工夫とい うか、考え方ができるのではないかと思っております。 ○永山座長 羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 言われている意味はわかるんですけれども、「臨床家」という言葉自体が、 僕はどちらかというと医師の方を意識してしまうんですよ。ですから、医師までここに入 って一緒にやるのかなという意味としてとらえれば、私としては、文言としてはいいんで すけれども、ただ、「臨床家」という言葉だけを見たときには、ああ、医師が入っているの かという、どちらかというと医師の方が強く私にはイメージされるものですから、そうい う意味合いで言いました。 ○永山座長 立場によって解釈が若干違う文言になり得るという今の御指摘でございます ので、それにつきまして、もう少し検討をということで。  井部委員どうでしょう、御意見。 ○井部委員 私は、看護の文献で「クリニシャン」という言葉が出てくると「臨床ナー ス」という意味で「臨床家」というふうに解釈しています。やはりよって立つ地盤がどこ なのかによって「臨床家」というとらえ方が違うと思いました。  私は、ここの場合の「臨床家」は、あえて「臨床現場にいる看護職員」と限定せずに、 幅広く「臨床的な知識やスキルにたけている人たち」の活用というふうに考えていいので はないかと思います。 ○永山座長 そういう御意見ということですので、また、両方の御意見も伺いながら、あ と、これはよって立つところが「看護」というところになりますので、これでもよろしい のではないかという御意見もございます。  それでは、ほかいかがでしょうか。ちょっと文言のところで議論がありましたけれども、 ほかいかがですか。  どうぞ、羽生田委員。 ○羽生田委員 臨地実習と指導体制で、この内容は非常に将来的にこういうふうにしてい かなければいけないというのはわかるんですけれども、ただ、現在の臨床現場は、ここま でこういうことを考えられるレベルには、実際に臨床実習をやっている場面としては、こ ういうことが出てきたときに、それに対応できる状況は、できる状況にある臨床実習病院 自体が少ないというふうに私は感じるのですけれども。この前段階と言うのはおかしいで すけれどもね。もう少しその辺をどういうふうに今現在の状況をこうやっていくという、 そこら辺がもう少し一歩一歩が何か表現されないと、進まない、理想、ペーパーで終わっ てしまうところがほとんどになってしまうというような気がしてならないんですけれども。 ○永山座長 それでは、齊藤委員どうでしょうか。 ○齊藤委員 安酸委員の御報告は大変参考になりました。ありがとうございました。こう いうふうに実習指導場面で、こういう教材化がうまくできるためには、臨床指導者自身も、 それから、看護教員自身も、1人の学生に対して指導者と教員が付くのが理想だと思うん ですね。そのときに、先ほどおっしゃられたように、病院はそれどころじゃないというよ うなことは多々あるかと思うんですけれども。ただ、病院もそのパラダイムを変えていか ないといけないのではないかなと私はすごく思っていまして。実習場を貸すということだ けでなくて、自分たちの実習場で、学生が入ってくることによって看護の質も変わります し、マンパワーの確保にもつながると思うんですね。そこで学生たちがいい看護モデルを 見ることができたら、喜んでそこに就職することになりますし、本当に授業の場だと思う んですね。第二の教室かなと思っているんですけれども、そこが疲弊しているようでは、 なかなか実習の効果が上がらないなということを日々感じております。  今、都立病院も、実習指導者を専任化して、かなりの努力と犠牲を払ってやってくださ っているところですけれども、病院も欠員が大勢いる中での努力なんですが、その成果が 学生の実習の学びとなって、何年か後の卒業した後の看護の質の向上につながっておりま すので、短期的な問題と長期的な視点で見ていく必要があるのかなと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。  ほか、いかがでしょうか。  安酸委員どうぞ。 ○安酸委員 今のことにつなげてですけれども、是非、財政化というか、臨床現場の臨床 実習指導者で力がある方がおられても、3交代に組み込まれていたりすると、実習に行っ ていても、継続して学生を見れないという現状が結構あるんですね。また、臨床実習指導 者が日勤の勤務だけだと、夜勤手当がなくて、給料が少なくなるというような状況も生じ ているようです。臨床実習指導者がきちんと学生の実習に昼間継続して関われるだけの体 制を義務化するなり、予算化するなりして、各病棟で最低3名ぐらいはいないといけない ということになればよい。でも、まだ全然マンパワーがそこまで揃っていない。だから、 そういう体制整備を同時にやっていくことがとても重要かなと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。  質の担保には体制がということで御意見がございました。  それでは、ほか御意見はございますか。  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員 すみません、先ほど「臨床家」の話がありましたけれども、私がこの言葉を 聞いて頭に描きましたのは、臨床サイドにいるすべての看護職ということで、管理職から 始まって看護師長さん、臨床指導者の方、そして、スタッフの方、それから、スペシャリ ストと言われる方々、そういう方たちがいるのかなと思うんですが、それぞれ役割が違う と思うんですね。一番大きいのは、指導者の方に勿論頑張っていただきたいところはある んですけど。看護師長さんは、病棟を管理するというところでは、師長がかわると、物す ごく病棟の雰囲気も変わりますし、看護の内容も変わってくるんですね。そういうことも 含めて「臨床家」という方を幅広くとらえた方がいいのかなと思いました。 ○永山座長 ありがとうございました。  どうぞ、後藤委員。 ○後藤委員 齊藤委員もおっしゃったように、うちの事例なんかを見ていても、学生が実 習に来てくれると、うちの看護師の質というか、勉強しようという姿勢というか、そうい うのがすごく変わったと言っていただけるところは実習をずっとお願いできるのですけど、 「はっきり言って邪魔です」と言われるところは、やっぱり続かないんですね。だから、 その辺の意識を変えていただくこともそうなんですけれども、病院の看護師じゃなくて、 病院の経営自体の問題として、例えば「ここは看護学生の教育を担当している病院です よ」と。つまり、非常に後進の育成にも力を注ぐような、皆さんのお世話を、看護をする ような人たちをいっぱい育てているんですと、何か病院のランクがありますよね。評価。 こういうものにきちんと反映されるような仕組みも、これはお金をそんなに出さなくても つくれるのではないかと思うんですね。  さっきの実習指導にあたってくれる方のインセンティブなんですけれどもね、臨床教授。 うちみたいな民間の専門学校ですと、例えば大学の付属病院に実習をお願いするときに 「うちの臨床教授です」と言っても、それは大学の付属病院ですから、余り意味がなくて ということがあるのと。だから、インセンティブということで言うと、前に、実習にあた ってくださっている指導担当の婦長さんたちの教育指導の方たちにお集まりいただいて懇 談会みたいなのをずっとやってきたんですけれども、さっきお話があったように「何であ の人だけ行くんだ」と。実際に指導にあたるのは何人もあたるので、何かインセンティブ のつくり方が非常に難しいなと思うんですが、何かないとやらないと。病院で、それは評 価してもらって、そのことについて病院自体が何か世の中から評価されるような、そうい うふうにしていかないと仕組みは変わらないかなという気がするんですけどね。 ○永山座長 どうもありがとうございました。  どうぞ、井部委員。 ○井部委員 次回までに、もし可能ならば、医師の指導医は、一定のプログラムで研修を 受けて、指導医の認定を受けていると思いますので、どのような教育内容で指導医が誕生 するのかを少し教えていただきたいと思います。恐らく、羽生田委員は、これは高度だと 言いましたけれど、この「反省的実践家」といったようなショーンの考え方は、臨床の指 導医の教育にも取り入れられているのではないかと思います。参考にできるのではないか と思います。  もう一つは、今回努力義務として、臨床研修制度が、看護にもそれが努力義務として盛 り込まれております。そのことによって臨床指導のあり方がどんな影響を受けるのか、ど んな効果があるのかということについても教えていただければと思います。 ○永山座長 それは事務局でいいですか。次回までということは。 ○井部委員 2つ目の質問は今です。1つ目の質問は次回。 ○永山座長 次回でよろしいですね。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○島田課長補佐 新人研修につきましては、また、別な検討会で、新人看護職員研修のあ り方に関する検討会という議論の場がございまして、そちらで今ガイドラインを作成して います。それが平成22年4月1日から改正された法律が施行されまして、井部先生が今お っしゃられたように、努力義務が課せられるということで、新人研修制度がスタートする ことになりますが、そのときに使っていただけるガイドラインとなろうかと思っておりま す。そのガイドラインの中で、研修体制の考え方といったものをお示ししようと思ってお ります。  多くの病院では、いろいろな新人研修をやられていますので、こうでなければならない という体制をお示しするというよりも、考え方として、よく「屋根瓦方式」などというこ とも言われていますが、新人を直接指導する人、その人をカバーする師長や主任等といっ た教育担当者、それから、その看護部門での研修について責任を持つ研修責任者がどうい う役割を果たすかということを明示したいと考えております。それぞれ病院の中で育成す るであろう実地指導者、それから、教育担当者についての教育プログラムなどもガイドラ インの中でお示ししようと思っておりますので、もしかしますと、そういった新人を教育 する体制を各医療機関の中で整備していただくことが、学生の指導も高めていくというよ うな効果もあるかもしれないと、今、井部委員の指摘することと関連しますと考えられま す。 ○永山座長 井部委員、それでよろしいでしょうか。 ○井部委員 そういうふうになりますと、指導的な役割を持つ人が、学生の指導と新人看 護師の指導と分ける必要はないのではないかと思います。教育的な役割を持つ人をどのよ うに臨床で位置づけるか、あるいは教育機関の教員の一員として位置づけるのか、これは ちょっと議論は必要かと思います。もし、それが教員の一員として「臨床指導」という教 員を位置づけるのでしたら、これは学校の方が責任を持たなければならないわけですけれ ども、臨床研修と同じように、病院の指導者として学生も新人看護師も両方担当するんで したら、これは臨床側が準備することになります。ここをどういうふうにするかは、議論 が必要かと思いました。 ○永山座長 大きな議論ですので、この場ではちょっと難しいと思いますので、一応議事 として残しておくということでよろしいでしょうか。それで井部委員よろしいですか。 ○井部委員 はい。 ○永山座長 それでは、引き続きまして、2点目の臨地実習の質を確保するためには、学 校側の指導体制において、看護教員にどのような能力が求められ、どのような工夫が考え られるか。また、看護教員と臨地実習指導者の連携はどうあるべきか。今の議論ともかな り濃厚に結びついておりますので、その議論に入らせていただきたいと思います。よろし いでしょうか。どなたか口火を切っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう か。  どうぞ、澤本委員。 ○澤本委員 これは、私たち教員養成の方の側でやるやり方なんですが、大学の方のスタ ッフに、現場の教員の授業を見て、その水準がわかる。そして、その優秀な先生たちとふ だんから研究のネットワークをきちっと持っていることが学生の教育に重要だと思ってい ます。というのは、今のお話とも関わるんですが、結局、イン・サービスでの、つまり現 職での研修がきちっとできているところの学校の先生方は、指導力をお持ちですし、どう やったら自分が伸びたかということもセルフ・モニターできます。安酸先生の御発表のと おりで、振り返る能力が高いですから、自分が何をやっているかというのを言語化して、 きちっと整理して、レポートしたりする経験も持っていますし、それを仲間に説明する能 力も鍛えられています。そして、年長になれば、若い人にそれを説明して、わかるように 指導をするとか、そういうことも含めて行えます。したがって、当然、実習生が来ても、 わからない日本語で説明することは余りなくて、きちっと御自分のしたことを説明もでき るし、実習生がおかしなことをすれば「それはこうするのよ」「明日やるから見てごらん」 と働きかけ、それにはこういう理論的な背景もありますということまで全部説明できるわ けですね。ですから、これはイン・サービスの問題と連動しているというふうに考えてい ます。イン・サービスに関わってある程度指導的な役割が果たせるような方であれば、養 成機関の教員として、学生を指導する力も勿論あるわけです。そして、フィールドでもそ ういう形で実際に病院等の研修のサポートはできるとか、そういうことになれば、そこで の今度は受け入れもお願いしやすいとか、そういうことがあるのではないかと。これは学 校教育からの類推ですが、その辺は先生方にまた教えていただければと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。  ほかはいかがでしょうか。  どうぞ、岩本委員。 ○岩本委員 臨床実習は、科目としての実習目標は決まっていますが、学生の能力や学習 目標はもちろん、受け持ち患者も違った状況で展開されます。教員には、実習目標と学生 の学習目標が達成できるように支援することが求められます。そこで重要なことは形成的 評価です。先ほど安酸先生がおっしゃいました臨床教育判断能力に含まれると思いますが、 実習期間を通して、つまり実習開始時から終了するまで日々、的確な形成的評価ができる 能力は教員として非常に必要な能力ではないかと思います。  それと同時に、臨床実習指導者は、それを一緒に共有しないと、学生の目標に向かって、 教員と指導者が同じ方向で形成的に評価をしながら指導するという体制をつくることが重 要ではないかと思います。  先ほど、専任化の話が出ましたが、私たちの病院でも、3週間または2週間継続して1 人の実習指導者が担当できればいいのですが、勤務上それができない場合、1週間でも随 分違います。1週間継続的にその学生を指導できる体制をまずつくることも重要なことで はないかとと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。  具体的な方法論も出てまいりましたが、ほか、いかがでしょうか。  どうぞ、羽生田委員。 ○羽生田委員 今、実習指導者の講習会がありますが、努力義務なんですね。これは学校 側が実習病院に補助をして、そういう講習に行っていただける、人的余裕があればという 状況で、学校の方も経営上非常に厳しい中でやっているものですから、実習指導者等の講 習会をもう少し担保するだけの原資がないとどうにもならないんですね。ですから、多く はそういう実習病院が多いわけで、そういう学校も多いわけで、そういったことがきちっ と担保されるということをしていただかなければ、実習指導者自体の能力が、まず第1段 階からスタートできない状況にあるわけで。その辺はどう国が担保してやってもらえるか という、そこは非常に大きな問題なんですよね。現実に病院も大変だし、学校も大変なん ですね。 ○永山座長 それについてはどうしましょうか。ほかに同じような御意見等ございました ら。  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員 すみません、今のはちょっと私の理解不足かなと思うんですけど。臨床指導 者講習会自体は、今、委託事業であったり、いろいろな形で受講する側にとっては無料に なっているのではないかと思うんですが。そうすると、出す病院側の方の負担は、カリキ ュラムが40日ぐらいだと思うんですけれども、その間の人の手当をどうするかということ が一番の問題になるのかなと思うんですが。 ○永山座長 受講料の質問が今出ましたので、事務局からお答えいただけますでしょうか。 各都道府県等で実施しているのはわかりますか。 ○島田課長補佐 実習指導者講習会に対しては国が補助をしておりまして、都道府県が実 施をしています。全県が毎年やっているわけではありませんが、都道府県が行う実習指導 者講習会に対して補助をする仕組みになっています。そこには財政支援を行っているとこ ろですが、県によって、受講料をどのくらいに設定しているかといったことは、各実施県 の運営に任されており、無料のところも有料のところもあるかもしれない状況でございま す。 ○永山座長 どうぞ、佐藤委員。 ○佐藤委員 今の費用の件ですが、遠距離からの受講者は受講料だけでなく交通費や宿泊 費などの諸経費がかさみます。その辺の派遣する側としてはその辺りの費用の手当もしな ければなりません。 ○永山座長 各地域によって若干差はあるのではないかというような御意見でございます。 ○石渡委員 当院は千葉県ですので、例えば関東管轄内とか、厚生労働省とか出せますけ れども、そういう地の利のところで言わせていただくと、受講料に関しても無料ですしと いうことはありますけれども、人の確保という辺りが、現場で出すときに非常に困難をき わめているというところはあります。現状です。 ○永山座長 ありがとうございました。  いろいろな条件が整わないと出せないというような意見も今出てきております。  ほかはいかがでしょうか。  どうぞ、井部委員。 ○井部委員 よけいなことですが、先ほど齊藤委員の発言に、「多くの犠牲の上に成り立っ ております」という発言がありました。「多くの犠牲」の上に成りたつ世界からできるだけ 早く脱皮するようにしたいと。私がしたいと頑張ってもだめなんですけれども、何となく 悲壮感漂っている、そういう世界ではない世界にできたらいいなと思います。 ○永山座長 皆さんうなずいておいでなんですけれども、それについて何か御意見がござ いますか。  林正委員どうぞ。 ○林正委員 臨地実習の指導者の講習会にどのような人が参加するかという場合には、自 分で手を挙げて行く人と、「行きなさい」と言われて行く人と2種類あります。「行きなさ い」と言われて行く人の場合は、これは病院側の考え方で、例えばこういうふうなところ で勉強をしてもらって帰ってもらったら、それが役に立つからと。そういう形があります し、手を挙げる人は、絶対に自分がそういった能力を獲得したいとか、本当に実際に困っ たから問題を解決したいという形で、むしろ病院側を説得する形で参画して来られる場合 とあります。そこにおいては、最初の動機が問題になって、お金の分は後からついて回る。 例えば大学院に行くとか、放送大学に行くとか、そういうふうなことも必ずお金と時間の 問題がかかるわけですけれども、それと付随したものだと思います。ですから、あらゆる ことについてすべての条件を設定して、財政的な支援をというよりも、もう少し別な観点 があるのではないかなと思いながら、井部先生のお話を伺いました。 ○永山座長 ということでよろしいでしょうか。 ○井部委員 よろしくはないですけど。 ○永山座長 よろしくないんですね。考えを変えていかなければいけないのではないかと。  後藤委員、御意見どうぞ。 ○後藤委員 今うちは通信もやっていますと、いわゆる看護師さんの通信教育に入ってい らっしゃる方のうちの場合は70%ぐらいが放送大学に実際行っていらっしゃるんですよね。 ですから、いわゆる個人で自分を伸ばしていきたいと思う意欲はすごくあると思うんです ね。そういう人が多いです。今問題にしなければいけないのは仕組みの話だと思うんです ね。だから、個人は自分では勿論お金も払って何もしてやりますけど、病院の中で指導者 で出て行くとか、教員の場合もそうですけど、教員講習に出て行くとかというと、学校を 経営する側からすれば、仕組みがちゃんとなってないと出せないとか、そういう仕組みの 問題として、国がそこにどう補助金を出していただくとか、さっき申し上げたような何か 社会の仕組みとして評価してもらえる仕組みとか、何かそういうものは必要ではないかな ということで、お金の問題だけではないということでは、また議論が済まないかなと思う んですけどね。当然、自分のことだから、自分のことに対する投資は当たり前の話ですけ ど、今、そういうことだけではないと思うんですよね。だから、先生がおっしゃるように、 確かにいろいろな犠牲の上に成り立つような仕組みづくりは絶対だめだということでさっ きから申し上げていたんです。 ○永山座長 いろいろな御意見ありがとうございました。そういうことも加味しながら行 きたいと思います。  それでは、残りのお時間は、会も進んでまいりましたので、報告書の中身について議論 をそろそろ始めていきたいと思います。  その前に、本検討会のテーマであります看護教員に関連しまして、私、主任研究員とし て取り組みました今年度の厚生労働科学研究の中で、「看護教員の養成や継続教育等に関す る実態調査」を早々にということで実施いたしました。この検討会に資する部分もあるか と思いますので、まだちょっと分析は不十分ですけれども、ここに簡単に結果の概略を発 表させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  資料5をごらんいただきたいと思います。  それでは、「現任看護教員の課題〜実態調査による看護教員の現状から」ということで、 本年の7月から9月にかけまして、看護教員の養成やキャリアアップ、離職等から、現任 看護教員の課題を明らかにするという目的のもとに調査を行いました。  調査対象は全国看護教育機関1,054校です。回収率は60.7%、方法等は記載のとおりで ございます。  お答えいただきました627校の内訳は、大学が55校、短期大学10校、3年課程が298 校、2年課程が91校、通信課程が6、5年一貫校が31校、准看養成課程が124校、高校 の衛看の方が12校です。  その中で、3年課程(298校)の専任教員の概略につきまして、本検討会でも話題にな っておりました資格の要件でございますけれども、無資格者が2、3割あるのではないか というような話だったのですが、調査の結果では、円グラフで示しますように、5%程度 でございました。  次は専任教員の3年課程の概略でございます。棒グラフに示しておりますので、ごらん いただきたいと思います。2本の上段のえんじ色が、現在の養成機関での教員の経験数、 下の段の薄いブルーの方が専任教員としての経験年数でございます。それをごらんいただ きますと、5年未満の人たちがほぼ3割を占め、ベテランの人たちが多い状況ですけれど も、どこかへ流れているなという実態がありました。  次の棒グラフをごらんいただきたいのですけれども、各教育課程。ここでは大学と短期 大学、3年課程、2年課程の4つの課程について、上段を5年未満、中段を5年以上、下 段を10年以上として見てまいりますと、向かって左側のグラフは、経験年数としては、平 均して大学も短期大学も、3年課程も、2年課程も、ほぼ3〜4割の教員が、10年以上の ベテランです。ところが、現在お勤めをしているところを見ますと、大半が5年未満とい うところが出てきました。これは何を示すのか、少し分析をしないといけないと思います。  続きまして、養成しても辞めていってしまうというような離職に関し、今回、少し調べ ていただきたいということでした。その結果、上のグラフから3年課程、次が大学、そし て、次が2年課程、一番下が短期大学ですが、これは離職者の総数でございますので、一 番多いのが3年課程。これは絶対数が多ございますので、このような数になっております。 それをさらに平均の離職者数で単純に養成校で割ってみますと、上から大学、そして、短 期大学、そして、3年課程、2年課程という、こういう形が出てまいりました。短期大学 等が、平成18年辺り、急激に減っているところもありますが、おおむね右肩上がりで増え ている傾向が見られました。  その離職の理由については、第1位が「家庭の事情」ということで、育児、結婚、介護 等々で辞めていく人が3割、そして、次がほぼ同じような数で、これは異動ですので、臨 床へ移ったり、それから、部門をかわったり、それから、大学へ異動するとか、そういう 異動がほぼ3割ということでございます。それと、次が定年です。これはまさしく団塊の 世代の人たちと考えられます。今後、時代が変われば、これはなくなっていく可能性があ ります。それが16%前後あるということです。あとは、体調不良、人間関係で結構16〜 17%、不適応と言ったらいいでしょうか、そういうものも出てまいりました。あと10%前 後は、進学等で離職をしているというものが出てきました。  次に、教員に求められる能力とか資質というところが議題にはなっておりましたけど、 これは自由記載でしていただきました。研究班内でグルーピングをさせてもらいました。 その結果、出てまいりましたのは、実践能力、それから、教育指導能力、マネージメント 能力、そして、コミュニケーション能力、あとは感性等々でした。  最後に、「資質向上のための対策は、具体的にどうなさっていますか」ということについ て、これも自由記載で記載していいただきました結果、真ん中に示しておりますように、 学会、それから、FD、それから、研修会を、主にこれはほぼ大多数の養成機関でされて おりまして、あとは、周辺にありますようなリフレクション、進学、それから、予算です ね。それから、臨床との交流、自己点検・自己評価等で、質の向上を図ろうとしていると いうことが出てまいりました。  看護教員の現状といたしましては、経験年数が5年以内が3割を占めているという現実 があるということ。10年以上のベテラン教員が異動をしている点。それから、離職率が上 昇傾向にあること、あとは、資質向上のための取り組みとして、FDや学会、研修会が中 心として実施されているというような結果が出てまいりました。  一応報告は以上です。 ○井部委員 この調査の調査対象は、教育機関で、N=1,054。 ○永山座長 完成年度後のほぼ千校です。 ○井部委員 それで、一人一人の教員のことを聞いているんですか。 ○永山座長 責任者に、過去5か年の状況を伺っております。 ○井部委員 回答はどういう形で出ているんですか。教育機関ごとに平均で出ているんで すか。 ○永山座長 そうですね。 ○井部委員 その教育機関の教員の平均がここに出ているんですか。この298校ですけど。 ○永山座長 3年課程ですか。 ○井部委員 はい。 ○永山座長 そうです。 ○井部委員 ということは、この合計の回答者は298ということですね。298の割合がこ こに示されているということですね。 ○永山座長 そうです。すみません。質問紙の概略を掲載すればよかったんですが、一応 養成課程の看護教員に関する責任者にお答えをいただくということにしてありましたので、 一人一人に聞いているわけでは実はありませんので、内容としてはそのようになります。 ○井部委員 例えば3年課程の専任教員についてというこの黄色いグラフがありますね。 85.2%が5年実務と教員養成講習を終えていますということを、その298の学校の誰か責 任者が、自分の学校の専任教員のすべてを代表して答えているということですか。 ○永山座長 そうです。何人いるということですとか、そのうちの養成課程の研修を終え ている人が何人いるとか、いないとかというところまで細かく伺っております。 ○井部委員 一覧表があるということですか。 ○永山座長 ございます。  ほか、いかがでしょうか。  今回の本検討会の趣旨もございますので、今回は、当初から課題になっておりましたこ とを中心に調査をさせていただきました。  ほか、いかがでしょうか。 ○井部委員 この表記を正確にした方がいいと思います。全国の看護教育機関のそれぞれ の教育課程別にデータが幾つあったのか。大学は何件、短期大学は何件という、それを最 初の内訳のところに示してもらった方がわかりやすいのではないかと思って見ていました。 教育機関が代表して答えていて、この表になるのはちょっとわからないです。 ○永山座長 3ページに、協力していただいたのが全部で627校ですので、今回は、主に ここの審議では、3年課程を中心に実施されておりましたので、大学、それから、短期大 学、2年課程等々については、もう結果は出ておりますけれど、ちょっと時間の都合上、 3年課程のみにさせていただきました。ほかも出ておりますので、いずれ紙上等では報告 をさせていただきたいと思っております。  よろしいでしょうか。 ○井部委員 3年課程を対象に分析するのは、今の段階ではいいと思います。一つ一つの 課程で、1養成所に何人の教員がいるか、それが298だけしか数字が出ていないので、298 校でトータル何人の教員がいたのでしょうか。 ○永山座長 出せます。一緒の研究協力者がおりますので、ちょっと調べますね。  後藤委員どうぞ。 ○後藤委員 おやりになっていらっしゃるんだと思うんですけれども、離職者と、それか ら、離職の理由のクロス集計や、どの課程ではどういう理由が多いとかというような。 ○永山座長 各課程別に調べてございますので。 ○後藤委員 クロス集計もですか。 ○永山座長 はい。 ○後藤委員 はい、わかりました。 ○永山座長 それと、井部委員に。教員の数は3,160名でございます。 ○井部委員 3年課程ですね。 ○永山座長 3年課程です。  とても忙しい時期だったのですけれども、かなりの学校から丁寧に御返事をいただきま したことを、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。当初、回収率は40%くらい かと思っていましたが、60%を超えましたことに、こちらとしては、協力に大変感謝をし ているところでございます。  どうぞ。 ○後藤委員 この離職の理由の中の「異動」の内容ですね。これは内容別の数字も出てい るんですか。 ○永山座長 はい、細かく出していただいております。 ○岩本委員 離職の理由ですけれども、これは平均なのですが、例えばそれぞれの課程別 とか、学校別で離職の理由に何か偏りとかそういうものがあったかどうか、もしわかれば、 教えていただきたい。 ○永山座長 そこは多分クロスはちょっとまだ分析はしてないんですが、各課程において、 どういうものが多いかというのが計算すれば出ます。○後藤委員 管理者が答えているの で、一番最初のころにお話ししましたけど、学校の教員を講習に出しますよね。そうする と辞めてしまうみたいな。つまり、それを繰り返しているというので、この「異動」が、 例えば専門学校にいたのに、教員講習が終わったら、どこか別な学校へ移るとか、それが 把握できるといいなと思ったものですから、それでちょっとお聞きしたんですね。 ○永山座長 それも細かく分析をすると出てまいります。 ○石渡委員 学校の設置主体別に取っていらっしゃいますか。 ○永山座長 はい、今回ちょっと省略をしたんですが、取ってございます。 ○石渡委員 5年実務と教員養成課程の方が非常に多いので、その辺りが、最初のころに 出されたデータと随分違うというか、かなり違ってきているので、その設置主体の背景が あるのかなというところがちょっと思いました。 ○永山座長 そうですね。設置主体別にこちらで取ってございますので。ほぼ70%が学校 法人です。あと、県が20%、公的が10%くらい、そのような状況ですね。 ○石渡委員 学校法人でも、このぐらいの数の方は養成課程が。 ○永山座長 はい。学校法人が圧倒的に多かったですね。 ○石渡委員 わかりました。 ○永山座長 課程別に分けてみないといけないと思っています。 ○齊藤委員 数字を見ての印象なんですけれども、最初に看護課でお調べくださった3年 課程が497校あるんですね。そして、教員数が4,909名とありました。今のお話を伺うと、 200校は回答がなかったわけですね。1,800人ぐらいの方の動向もわからないということに なると、私としては、この未受講者がいなかった結果はとてもうれしいなと思うんですけ ど。答えてないところは、忙しいとかいろいろな理由があってむしろ答えられなかったの かなというふうに数字を読んだ方がいいんだろうかと、今見ながら見ていました。 ○永山座長 実は内情を申し上げますと、返却されてきたものが結構ございました。あと 1、2年後に廃校になるので答えられないという学校も実は多いのにびっくりしました。 それと、これは憶測になりますが、このアンケート調査は、実は保助看法の一部改定が公 表された後で、3年課程の先生から個人的にお手紙が私宛てにアンケートに添えてたくさ んまいりました。それこそ先ほど井部委員じゃないですが、結構悲壮的な御意見もあった り、ちょっと驚いた部分もございます。「一生懸命やっているのにかかわらず」というよう な表現のあるものもございましたし、実は拒否をされているところも少なからずございま すので、それはそれで事情がおありかなというふうに解釈をいたしました。  よろしいでしょうか。  それでは、ほかにもまた御意見があろうかと思いますが、まだ分析半ばでございますの で、また、御意見がございましたら、私どもの方に御意見をいただければ、それを考えな がら、結果として、またまとめさせていただきたいと思います。  それでは、本題に戻らせていただきたいと思います。今後の看護教員のあり方に関する 検討会報告書(素案)の議論に入りたいと思います。  これまで、1回から第5回までいただきました委員の意見をもとに、本日の議論は除き ますけれども、これまでの議論のまとめと、今後の方向性(案)として、事務局でおまと めいただきましたので、それでは、説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 それでは、資料6を説明させていただきます。  ただいまの座長から御説明ありましたように、これまで御議論いただきました内容につ きまして、今後、報告書をつくっていく土台として、これまでの議論のまとめと、今後の 方向性というものの案としてお示しをいたしました。今回、資料6にまとめておりますも のの前半部分につきましては、第4回の検討会で示しましたものが中心となっております。 それ以降御議論いただいたものを後半に付けているという構成になっております。前半に つきましては、第4回で御意見をいただきましたものを受けまして、変更した部分を中心 に説明させていただきます。  まず、「はじめに」の部分につきましては、今日の御意見なども踏まえて、今後また、文 言などを足していこうと思っております。  Iでございます。「看護教員の資質・能力に関して」としておりますけれども、これは文 言として、資質につきまして御意見をいただきましたものを反映しまして、ここでは、こ れまで資質向上の事業を行政でも使っておりますので、「資質」という言葉を使わせていた だいておりますけれども、意味をきちんと考えて表現するといったことで変更をしており ます。  おめくりいただきまして、2ページでございます。2ページの上から2.とありまして。 ここは点線で囲んでおりますが、「看護教員に求められる能力と向上すべき資質」とタイト ルを若干変えております。ここの能力につきましては、本日も、実習場面における看護教 員に求められる能力といったものもいろいろ御意見など、あるいはプレゼンテーションな どもいただきましたので、それを反映させていきたいと思っております。(1)の[2]でござ います。2つ目の「・」で「学生の体験や臨床実践の状況を教材化して学生に説明できる 能力」まさに本日プレゼンテーションいただいたところかと思いますけれども、「教材化」 といった文言を足しているところであります。  それから、(1)の[5]でございます。「研究能力」というところを、先だってプレゼンテ ーションいただきました内容を反映して足しているところでございます。  少し飛ばさせていただきまして、5ページでございます。2.番として「看護教員養成 のあり方について」としてまとめているところでございまして、5ページの3)「看護教員 養成における今後の方向性」にまとめておりますが、○の2つ目に「看護基礎教育の充実 に向け、看護教員の質・量の充実は極めて重要な課題である」「体制整備を図ることが急務 であり、国は、こうした体制整備を支援すべき」といったところをお示ししておりました が、ここに加え、「さらに、将来的には質の高い看護教員養成のために、大学や大学院での 教員養成を促進することが望まれる」といった御意見がございましたので、反映させてお ります。  それから、同じページの上の方、戻ってしまいますが、2)で「今後の看護教員養成に ついて(中長期的な視点に立った改善策)」がございまして、○の2つ目でございます。 「複数年にわたって履修できる」となっておりましたけれども、より意味がわかるように 「分割履修できるようにしたり」というふうに文言を足しているところでございます。  6ページ以降は、今回新たにお示ししているところでございます。IIIとして「看護教員 の継続教育について」まとめているところでございます。1.番として「看護教員の継続 教育・評価について」とまとめておりますが、1)で「現状と課題」として御意見をいた だいた内容をここにまとめているところでございます。細かく読み上げはいたしませんが、 御意見をまとめております。  6ページの下、「当面の改善策」でございます。この部分は少し読ませていただきます。  「新人の看護教員を支えるためには、メンターやスーパーバイザーの設定など多様な方 法が考えられるが、このような養成後のフォローアップ体制について、前述の新任期の研 修体制構築と併せて検討することが求められる。また、新人教員だけに限らず、教員全体 の資質の向上につながるメンタリングやスーパーバイジングの導入を進めていく必要があ る。」  それから、「ブロック毎に教育機関のネットワークをつくり、他の学校養成所が行ってい る体系的な継続教育プログラムを部分的に受講できる仕組みづくりが必要である。」  「看護教員の継続教育は、行政が主体というよりも、学会ベースで展開することも効果 的であり、学会の中で看護教員の継続教育カリキュラムを複数組んで、多様なプログラム が展開できるような働きかけが必要である。また、小規模な設置主体や協議会、大学等に よるネットワークを活用して実施することも可能である。」  「都道府県が、国からの助成を受けて実施している看護師等養成所の専任教員再教育事 業を、連続性のある内容のもとで全国的に行われるように見直すべきである。」  「小規模な養成所の看護教員が一定期間の研修に出られるようにするには、代替教員を 派遣する仕組みが必要である。」  「管理的役割を果たす看護教員の養成等といった資質向上のためには、大学院の修士課 程に看護教育を学べる課程を設置することが必要であり、推進のための国の支援を必要で ある。」  といったことを御意見としていただいたものをまとめております。  2.番として「今後の看護教員の継続教育について(中長期的な視点に立った改善策)」 をまとめております。  「養成所の看護教員も職位の違いだけにとどまらず、魅力的な専門職業に映るよう、キ ャリアップしていく仕組みをより多彩に整備する必要がある。」  「個々の看護教員のキャリアアップを考える際に、例えば看護師のラダーと同様に、看 護教員の成長を新任、中堅、ベテランといった段階的モデル(ラダー)を作成することが 必要である」  「養成所においても、大学や大学院のように看護教員のFDの義務化についても検討す る必要がある。看護教員が生涯を通じてのキャリアアップを重ね、モチベーションを維持 していくためには、教育の成果や専門性を自己点検・自己評価できるようなシステムと学 校全体の教育環境に関する評価・改善システムの整備が必要である。」  「新任の看護教員が実際に教育を始めてから抱える悩み等でバーンアウトしないように、 新人教員を対象とした集合研修を都道府県単位等で整備することが望まれる。」  「将来的には、学校と臨床との連携による看護基礎教育の質の向上を図るために、ユニ フィケーションのシステム化が推進されるような具体的な検討が必要である。」  といった御意見をまとめているところでございます。  8ページ以降につきましては、本日の資料2でお示しした内容をここで掲載しておりま すが、本日の御議論を踏まえましてまとめていくつもりでおります。  以上でございます。 ○永山座長 それでは、資料6の内容につきまして、6ページの継続教育の部分を中心と いたしまして、議論をしたいと思います。よろしくお願いいたします。  当面の改善策というところ、今御説明がございましたけれども、それについていかがで しょうか。  どうぞ、安酸委員。 ○安酸委員 「当面の」というところの最後のところで、「大学院の修士課程に看護教育を 学べる課程を設置することが必要であり」とありますが、ここは、私が多分前回言ったこ とが入っているのかなと思って見たんですけれども、具体的には、これはどのくらいの規 模とか、ブロックとか、イメージがありますでしょうか。  例えば全国でどのようにして、そこに例えば何名ぐらいずつとか。例えば大学院という イメージですと、私などのイメージだと、うちの大学でもせいぜい5名とか、多くて10名。 10名はきついから5名ぐらいかなのイメージがあるんですね。ブロック毎でというふうに なると、数はそうたくさんはいかない感じになるんですが、厚労省としては、具体的には どういうぐらいの規模と、どういう支援体制とか、国の支援といったときに、どのような 支援を考えておられるのか教えてください。 ○野村看護課長 ここで「管理的役割を果たす看護教員」と書いているのは、教務主任に なっていくような方々に対する教育ということでございます。教務主任につきましては、 恐らく学校数だけの人数は必要です。すでにそのための勉強をされて教務主任の職に就い ている方がおられるますので、結局は新しくこれから教務主任になる方の教育ということ になると思います。教務主任を新たに目指す人がどのくらいいるかという実態は、把握で きてはおりませんので、数量的にこのくらいと言うのは難しいと思っております。これま でこういった教務主任の教育は、看護研修研究センターにおいて定員40名でやっておりま して、実質の受講者は30名程度という報告はあったかと思いますが、全国的にはもう少し 多くの養成数が必要かと考えています。そういった定量的な把握も、今後検討した上で計 画的な養成を考えていく必要があるのではないかと思っております。まだ、そこまでの設 計が十分にできていないというところでございます。 ○永山座長 よろしいでしょうか。何か御意見ございますか。 ○安酸委員 教務主任になるということだけでなく、私のイメージでは、看護学校の先生 たちが大学院に来られる人が今増えてきて、社会人で入る人も増えてきているので、現職 をしながら大学院のコースにお見えになるんです。ただ、研究者コースというところは、 若干ハードルが高かったりして、彼女たちのニーズは、自分が例えば小児看護が専門だっ たら、その専門をもうちょっと生かしたいとか、教育者としてもうちょっと力をつけたい というようなニーズが結構あるので。だとしたら、看護学教育コースというようなものを 考えたらどうかと私は思っていたので、今のお話とはちょっと違うなと今感じました。自 分の専門に関して、例えば授業リフレクションとか、授業アクション・リサーチとかで、 自分のやっている内容を少し研究的に進めるとかというようなことを支援できる。研究者 コースよりちょっとアカデミックさは落ちるけれども、教員実践力を高めるには意味のあ るというようなコースをつくるのは、意味があるのかなとちょっと考えていたので。 ○永山座長 それに関連していかがでしょうか。  どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員 大学院の修士課程レベルの教育内容は、今の厚生労働省でやっている幹部教 員養成課程のところで、1年間のカリキュラムの中でもかなりの内容をやっているかなと 思うんです。もし、大学院の修士課程に設置された場合に、現実的な話として、2年間と いう在学期間とか、それから、その大学に入学しなければだめなのか。入学金とか授業料 とか、いろいろなものが関与してきて、いわゆる自己啓発で行く分には、自分で努力して 行くということでいいと思うんですけれども、これが派遣という形が成り立つのかどうか、 ちょっとそんなことが疑問として私の中にはあるんですけれども、このことについては何 かお考えがあるのでしょうか。 ○永山座長 いかがでしょうか。 ○野村看護課長 ここで少し限定的に「管理的役割を果たす看護教員の養成」ということ と、大学院教育をつなげて書いているところでございますが、こういった管理的な役割を 果たす教員、具体的には、現在実施している幹部に対する研修などについては、今後、ガ イドラインを作成していく予定でございます。また、それに沿った教育は、大学院ではな いところが実施するといったケースも考えられるかと思います。  その辺につきましては、今回の議論の中では触れた部分がございませんでしたので、記 載してはございません。大学院についての話が、教員養成に関しては指摘されておりまし たので、つなげて書いたという経緯でございます。 ○永山座長 よろしいでしょうか。 ○澤本委員 今のお話、いくつか論点をちょっと整理した方がいいように、伺っていて思 いました。1つは、看護師になる人の養成の教育、あるいは現職の看護師たちの力量を伸 ばすような教育をする指導者の育成の問題。それから、もう少し社会的な資格ということ でしょうか。資格でそういうことをどうやって保証していくのかということなんだと思い ます。まず早くに言ってしまうと、資格の方なんですが。今は、ドクター、博士号の場合 は、Ph.D.とE.D.があると思うんですね。E.D.は実践的な博士号で、実践的な研究で 業績に対するものと理解しています。ですから、それをマスターレベルで行い、そういう 形で保証していこうということになるのでしょうか。つまり、看護師としても、エキスパ ートのレベルが、一般のそういう「うまい」と言われる人よりもさらにより高度なものな んだと、理論的なことも勉強しているというような形で提供するというような考え方に立 つわけです。また、看護教員としてそうなんだということであれば、その現職にいながら、 アクション・リサーチのようなもので、今やっている仕事を研究して、レポートして、そ れこそリフレクションで分析して、修論を書けばマスターがもらえるという方法はありま す。これは実際外国ではもう行われているもので、看護師ではありませんけれども、学校 の教員であります。また3月に私もカナダに行きますが、そこは教育委員会とタイアップ していて、今担当しているクラスの指導の悩みをどう解決したか、あるいはそういう先生 たちの教育委員会で指導をしながら、どういう問題を抱えているというのをレポートして、 それをまとめて修士論文にすると、マスターがとれるわけです。仕事しながら書いて、そ の自分が抱えている問題をどう解決したかということを報告することで業績になっていく という、大変ストレートなものです。  Ph.D.のようなものになれば、今度はもっと理論書をたくさん読んでとか、いろいろそ ういう話になってくるわけで、それは例えば今のお話で言うと、看護職の中でも、恐らく 必ずいるであろうマネージメントの能力とか、そういうようなことについても専門的な経 営学のそういう勉強をして、看護の実践の場面に生かすとか、そういう形での同じ実践的 研究と言っても、もう少し違う桁の話になってくるのだろうなと、伺っていて考えました。 ○永山座長 本検討会は、「今後の看護教員のあり方」ということでございますので、そこ らも制度、資格等のことも、論点はいずれは整理をしなければいけない部分だとは思って おります。  ほか、いかがでしょうか。  羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 看護教員の今後のあり方の検討会自体がスタートしたのは、看護教育の基 礎教育の最初のときに、教える側が座学と臨床との乖離という問題がかなり言われていて、 看護教員、要するに教職の方に行ったときに、実践から全く離れてしまう。それを改善す る方法がないのかということは結構議論されたと思うんですけれども、この中で、臨床現 場との連携とか、言葉としては少しあるんですけれども、その辺を具体的に臨床の場面に 看護教員がもっと携わっていく、実際に自分が入っていくという、その方法が書かれてな いんですよね。ですから、一番最初のスタートは、その辺がメインの話のスタートであっ たというふうに理解をしているのですけれども、その辺がちょっと出てきていないので、 議論の中でもうちょっと出たような気がするんですけれども、この中をざっと見て、その 辺が具体的に余り書かれていないので、何かもう少し方法があればと思います。 ○永山座長 そろそろまとめをどのようにしようかという段階で、もう一度原点に返って という御意見でございます。 ○石渡委員 私も同様の感想をちょっと持ったんですけれども、最初のときには、専任教 員の人員の数的なものもあったと思うんですね。臨床実習の質を上げるにはどうしたらい いのかという話で、臨床の側の実習指導者が1週間ずっといるのが望ましいとか、そうい うお話もありました。それ以前に、例えばいろいろな学校がありますけれども、大体標準 的に8名程度の指定規則どおりの教員がいて、それで実習にどのぐらい教員が出て来られ るかと言うと、担任を持って授業をやりながら、実質はほとんどポイントを押さえるだけ で、臨床現場にはなかなか出て来られないということがありますので、そういったことも 考えると、数ということはどうなんだという辺りのところももう少し盛り込んでいただき たいなと思いました。 ○永山座長 マンパワーの問題ということですね。  ほか、いかがでしょうか。 ○後藤委員 これはまとめていただくのに、ちょっと気になるのが、この「はじめに」と いうところなんですけど。 ○永山座長 資料6の「はじめに」のところでしょうか。それでは、簡潔によろしくお願 いいたします。 ○後藤委員 上から7行目。つまり「看護の質の向上と確保」で、「養成機関の創意工夫が 必要である」と、ここにまとまってしまっているので、「養成機関の創意工夫」だけでは問 題は解決しないことは、今までの議論でかなり明白だと思うんですけど、ちょっと私の読 み方が違うのかどうか。ここにだけ限局してもらうと大変困るということで。 ○永山座長 それはいかがでしょうか。 ○島田課長補佐 ここの部分は、本検討会を設置するきっかけとなっているさまざまな検 討会で指摘されている看護教員に係る部分について、こういうところでまとめられたこと を説明しています。今、御指摘のありました部分は、平成21年3月の「看護の質の向上と 確保に関する検討会」の「中間まとめ」の中で、実際にこういう表現でまとめをしている 文言を引っ張っているところであります。  この表現が結論めいたニュアンスで誤解を招くということであれば、少し表現は工夫し たいと思います。 ○永山座長 それでは、もう1点、資料6の7ページの「今後の看護教員の継続教育につ いて」の議論がまだ残っておりますので、そこのところの御意見をいただきたいと思いま す。先ほどの説明に加えて、是非これをということがございましたら、御意見をお願いし たいと思います。  どうぞ、澤本委員。 ○澤本委員 意見ではなくて、質問です。私だけが知らないのかもしれないので、そうで あれば、個人的に後で教えていただけば結構です。逆に、現職看護師さんや看護教員の方 の現職研修が横の糸でどういう形で展開されているのか。例えば教員同士で。学校の教員 の場合は、それは地域で縦横無尽に組織がありますし、全国組織もそれこそ何百何千とあ りますので、そういうのでどこかに自分で入りたければ、いくらでも入れて、いくらでも 勉強できるという状態なんですが、看護の世界ではどんなふうになっていて、そのどこが 一番問題なのかということですよね。 ○永山座長 では、お答えいただけますか。 ○島田課長補佐 事務局からの説明というよりも、それはむしろ先生方に御意見をいただ ければと思いますが、第4回の検討会のときに、実際にいろいろな養成機関とか、あるい はどういう現任者の教育が行われているかということは、プレゼンテーションとともに議 論をしていただいたところでございます。そういったプレゼンテーションもこのまとめの 中に盛り込んでいこうかと考えております。そこの部分で少し議論をまた深める必要があ るというものがありましたら、改めて御意見をいただければと思います。 ○永山座長 それでは、いかがでしょうか。  これまでの意見の主な中身ということで、資料1の6ページ以降ですね、7〜8ページ 等に記載がございますけれども、もう少し深めた方がということであれば。  それでは、羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 今の澤本先生の御質問は、4回目のときの齊藤委員からの都立の学校が幾 つもあって、その横の連携で、継続教育なり、専任の資質向上のいろいろなことをやって いると。それを都立というくくりの中に入っているものですから、そのときもいろいろな 議論になって、そのシステムをもうちょっと地域として広げられないかという意見が、た しか私も言ったような気がするんですけれども、そういったものが今後の継続教育の中で、 もう少し文言として出てきて、それを具体的にどういう形だったらできるのか。そういう 形でやるには、県なり、行政が少し関わらないと進まないのではないかと私は言ったよう な気がするんですけれども。行政が関わらないにしても、地域でそういった継続研修なり 何なりをシステムとしてつくっていくということが議論されたような気がするんですけど、 その辺を盛り込んでもらえたらと思います。 ○永山座長 ありがとうございました。 ○佐藤委員 養成の点で、もし発言させていただければ。よろしいですか。 ○永山座長 どうぞ。 ○佐藤委員 資料6.の看護教員養成の項で、大学あるいは大学院での養成について2〜5 ページに何か所か出てきます。私もそれらしきことを発言した関係から申し上げます。こ の大学での養成について整理した形で記述さてはいかがでしょうか。例えばいろいろな形 があると思いますが、1つは「大学で」養成すること、あと1つは「大学教育で」養成す ることと、大きく分けて2つの養成形態があると思います。1つめの「大学で」というの は、大学の施設・設備や人材等を活用させていただいて、現在の教員養成講習会を開催し ていただくということです。これは受け入れていただけるかどうかは別にして、最初の段 階又は当面のこととしてできると思います。その次の段階として、大学の科目履修制度を 活用するとか、あるいは、大学で看護教員養成の要件となる教育内容を拡大して、看護教 員養成への活用が推進されるようにすることです。最終段階として「大学教育で」教員を 養成するといった整理の仕方になると思います。資料6.の(案)の記述はそのような順 序になっておりますが、何ページかにわたって散らばって書かれてありますので、これは 新しいことですので、整理されたらわかりやすいと思います。  それから、「将来的には大学で」とありますが、並行して現在の養成講習会も存続させた 形で併記していかないと、量の確保が困難になると思われますのでよろしくお願いいたし ます。○永山座長 貴重な御意見ありがとうございました。 ○羽生田委員 養成講習の話が出たので。例えばeラーニングとかした場合に、私が申し 上げたのは、現任で看護師で就業しながら養成講習を受けられるというふうに是非してほ しいと。そうしないとなかなか専任教員も増えないということで、ひとつそういう提案を したんですけれども、その場合に、今の講習会は、5年以上の業務経験がないと講習会に 出られないとなっているんですよ。それを何とか改定していただかないと、講習会でeラ ーニングを使っても、5年たってない人は出られないということになってしまうので、そ の辺を5年たたない看護師さんでも、eラーニングなり何かを使って実際に就業しながら 専任講習を受けられるというふうにしていってほしいには、その5年たった人しか講習を 受けられないという文言を改善してほしいということです。 ○永山座長 進行がまずくて申しわけありませんが、それでは、そろそろ時間がまいって おりますので、それでは、事務局から次回につきまして、御連絡をお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○島田課長補佐 次回の検討会につきましては、日程未定でございます。決まり次第御連 絡をさせていただきたいと思っております。  それから、日程調整の御返事をいただいていない先生方は、すみませんけれども、御提 出の方をよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○永山座長 それでは、第6回の「今後の看護教員のあり方に関する検討会」を閉会させ ていただきたいと思います。  本日は、貴重な御意見がたくさん出ましたので、次回に整理をして、また議論を続けて いきたいと思っております。そろそろ回も押し迫ってまいりましたので、次回はまとめ等 に入ってまいりたいと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。  それでは、どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省看護課 関根(2594)島田(4167)