09/11/02 第3回技能検定職種の統廃合等に関する検討会議事録 第3回技能検定職種の統廃合等に関する検討会 日時 平成21年11月2日(月) 13:30〜 場所 経済産業省別館1036号会議室 ○事務局  本日は「第3回技能検定職種の統廃合等に関する検討会」にご参集いただきありがとうご ざいます。本日は大野委員からご欠席の連絡をいただいております。資料の確認をいたしま す。まず議事次第です。次に資料1として「平成20年度技能検定試験実施状況について」、 これは9月30日付で記者発表した資料です。資料2として「過去6年間の技能検定実施状 況」、受検申請者数、降順に並べたもので、これは平成15年度から20年度までの平均値で 出したものです。資料3として「受検申請者数が少ない職種の概要」、これは今年度統廃合 の検討対象とする6年間の平均受検者数が30人以下の職種に関して、受検申請者数の動向 と試験の範囲・科目がどのようなものになっているかというものです。1級あるいは単一等 級のもののみを参考として付けております。資料4として「技能検定の社会的便益に係る調 査結果について」ということで、前回ご議論いただいた調査票に基づき、技能検定の協力団 体に対して調査をした結果です。これも後ほど詳しくご説明いたします。資料5として「技 能検定職種の統廃合に向けた作業の進捗状況及び今後の予定について」という両面の紙です。 資料6として「社会的便益に係るヒアリング項目について(案)」、これは前回出した資料と 一緒ですが、社会的便益に係るアンケート調査の結果等々を見ていただいた上で、ヒアリン グ項目について追加、補足などが必要かどうかもご議論いただければと考えています。それ を踏まえて、今後事務局で関係団体に対してヒアリング調査をかけたいと思います。  資料は以上ですが、過不足等はございませんか。それではこれからの進行、司会を北浦座 長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○北浦座長  それでは皆さんよろしくお願いいたします。今日は議題が2つですが、資料をたくさん事 務局で準備されています。それぞれ少しご説明をいただき、質疑で補っていきたいと思いま す。議題1に関連しているものですが、最初に資料1から資料3についてご説明をお願いし ます。 ○事務局  資料1です。これは前年度の技能検定試験実施状況について、9月30日に記者発表した 資料です。「技能検定職種の統廃合等の見直しに関する専門調査員会」報告書において、検 討過程の客観性・透明性の確保の観点から、第1次判断には職種ごとの受検申請者数を用い ることとしており、毎年度、過去6年間の受検申請者数を公表することは適当であるとされ ていることもあり、公表したものです。詳しくは後ほどご覧いただければと思います。  資料2です。これは過去6年間の技能検定実施状況で平成15年度から20年度までの6 年間の受検申請者数を降順で整理しております。裏の2頁、第1次判断基準により、今年度、 6年間の年間平均受検者数が30人以下となるのは10職種であり、受検申請者数が少ない順 にコンクリート積みブロック施工、漆器製造、製材のこ目立て、金属研磨仕上げ、竹工芸、 ガラス製品製造、れんが積み、ファインセラミックス製品製造、建築図面製作、木工機械整 備となっております。資料2については以上です。 ○事務局  次に資料3の説明です。いま申し上げた10の職種についてどのような状況にあるかを示 したものです。このグラフは、棒グラフがそれぞれの年度における受検申請者数で、1、2 級がある職種では、黒いのが1級、白いのが2級の受検申請者数で、積み上げの棒グラフに なっています。折れ線グラフは1級の合格者数の累計です。このように10職種について示 しております。  いま漆器製造をご覧になってお分かりのとおり、1つの職種の中に複数の作業が入ってい る職種があります。例えば漆器製造の場合は板物漆器素地製造作業から、8頁の下の螺鈿作 業まで全部で9つの作業があります。こういう作業分けがされているものもありますが、各 作業について1級、2級それぞれの等級ごとに直近6年間の受検申請者数と合格者、合格率 を出しています。それから「直近6年間の受検申請」という欄があり、平成15年から20 年までの間に一度でも受検申請のあった場合には上の欄に県名を表示します。例えばコンク リート積みブロック施工の場合では、福島県、群馬県、山梨県、宮崎県の4つの県で平成 16年、18年、20年のいずれかで受検申請があったという意味です。そしてその下に実施 公示のみということで、石川県から岡山県まで出ておりますが、これは実施公示をしたのだ けれども、この6年間で1人も受検申請がなかったという意味です。  5〜6頁はコンクリート積みブロック施工職種の試験科目と範囲及びその基準の細目です。 表の左側の「試験科目及びその範囲」が職業能力開発促進法施行規則に定められており、右 側の「技能検定試験の基準の細目」は職業能力開発局長が定めております。このような試験 科目・範囲・細目を厚生労働省で定め、これに基づいて中央職業能力開発協会で試験問題を 作って試験をやっております。これは今後職種の統廃合を考えるに当たって、この職種はこ ういう内容でやっている。ほかの職種と並べてこういう共通点があるのではないかというこ とを見る上で、参考になるのではということで資料を付けています。  細かく一つひとつはご説明しませんが、今回対象になっている多くの職種では、制度が始 まった最初のころは受検生が多かったのですが、ここ数年はかなり受検生が少ない状況が続 いています。一部の職種では、制度が始まって以来一度も年間100名を超えたことがない ものもありますが、こういう職種について引続き技能検定職種として存続していく必要があ るかどうかを社会的便益という観点から、ご検討いただきたいという基礎資料です。資料3 については以上です。 ○北浦座長  大部な資料を用意いただきありがとうございました。ただいまの資料1〜3についてご質 問、ご意見があればどうぞご自由にお願いします。資料1は発表されたもの、資料2は前に もいただきその最新状況ということですね。資料3は今回初めてということで、かなり精緻 なものを分析していただいております。全部お目通しいただいていないかもしれませんが、 何かご質問、あるいは今後もう少しこういった点で何か補足的に調べておく、整理をしてお いていただいたらいいというようなご指摘がいただければと思いますが、いかがでしょうか。 いろいろな観点で分析しております。 ○天野調査員  いま資料3で詳細な細目等が示されていますが、これは10職種に関してのもので、これ らの中で比較はできます。しかし、他の検討対象になっていないものと比較したときに、関 連が深いあるいは含まれるなども調べる必要があるのではないかと思うのですが、それらに ついてはいかがでしょうか。 ○事務局  今回は全部ご用意するとかなりの部数になりますので、資料を付けていないのですが、試 験の科目と細目について厚生労働省のホームページで公表し、PDFで見られるようにして おります。ですから関係団体において、今後職種をどうしていくかを考えていただく際には、 そちらのページも見ていただいて、例えばこういう職種の試験細目と比較した上で、統合な どが考えられるのかどうか、検討してほしいという形で水を向けてみたいと思います。 ○北浦座長  材料は出ているということですね。何かそれをもう少しこちらサイドで整理をされるかど うかということですね。 ○天野調査員  整理するまでできるかどうかは別です。 ○事務局  まだそこまでは手は回っていないのですが、例えば関係する業界団体が共通している業種、 あるいは職業分類の中で割と近いところにある業種、そういうものを並べてみて、一緒にな り得るものなのかどうかを検討するということは、可能かと思われます。検定の協力団体に 関して10職種に限って調べてみましたが、10職種のうち5つは単独で、漆器製造、竹工芸、 ガラス製品製造、建築図面製作、ファインセラミックス製品製造、この5つは他の職種と共 通の検定協力団体がないという状況でした。それ以外の職種については、例えばコンクリー ト積みブロック施工では、ブロック建築、石材施工と同じ団体が協力団体になっています。 れんが積みですとタイル張りと同じ団体が関与しています。金属研磨仕上げはめっきと同じ 団体が協力団体となっています。製材のこ目立ては、木工機械整備、機械木工、3つが1つ の団体で関連をしておりました。また別の団体で製材のこ目立てと切削工具研削が同じグル ープに入っていました。そういう括り方をして、先ほど申し上げた職種の下に作業という形 で束ねることができるのかどうかを1つ検討材料として考えています。 ○北浦座長  今のお答えに関連して、この他の業界団体をヒアリングしますね。そのときに、1つの団 体が複数の所に関係するという場合に、ヒアリングの対象になる方が同一ということはあり 得ますか。 ○事務局  あり得ると思います。 ○北浦座長  同じ方が3つの職種、2つの職種についてお答えになると。そういう形になる場合もある ということですか。 ○事務局  そのような場合もあります。大きい団体ならば分かれるかもしれないですが、小さい団体 だと同じ方が出てくる可能性もあります。 ○北浦座長  その辺はヒアリングのときにも少し実態が掴めるだろうと思います。 ○梅津調査員  今の件に関連するのですが、少し離れてよろしいですか。こういう話というのは、効果効 率の中から数がないとどうしようもなく迫力がないのです。例えばここにたくさん出ている のですが、何名以上は云々、下が云々ということがあるのですが、適正な規模はおおよそ違 いますよね。何が適正かが問題なのですが。分かりやすく言えば、日本に住宅はいくらある べきかというのはいろいろな議論があっても、1億2,000万人の国民ですから、高々いくら というのは見当がつきますよね。あとの職種というのはなかなか積算規則がぐらぐらするの で、いくらが適正か分からない。例えば漆器などは貴重だと思うのですが、これが500人 も600人もいる必要はもともとないわけです。そこを何かできないか。こんなことを言わ れて役所も迷惑でしょう。経済の先生もいらっしゃるし、何かありそうかと思いますが、な いでしょうか。 ○松井調査員  昨日京都で祇園踊りが始まったので、それを見てきたのです。あそこに関わる文化という のは、もう本当に数少ないです。だからこれが1から10まであるときに、簡単な総括が要 ると思うのです。先ほどあったように、これはこちらに取り込まれる、今はこちらの専門団 体のほうに非常に定評があるから、みんなはそちらを受けているので、こうでここは減って います。あるいはここは減っているけれども、先ほどおっしゃったようにどうだろうという のも、もしかしたら総括の所で触れられるような内容のものもあるかもしれない。簡単に減 るというのは、ただこれが「人数がある」というだけではなくて、これを廃止してもいいの は、こういう理由がある。あるいはもう今の中で、これはもう少し陳腐化しているなどいろ いろな理由。データだけではなくて、総括する必要があるかなという感じはします。 ○梅津調査員  いわゆる定量的なデータになると、俄然迫力がないのです。文化論から言えば、そうでも なさそうなのです。こういうことを言うと張り倒される。根拠の稀薄で張り倒されます。広 義の産業はとても大事なので、落とすわけにはいかない。だからといって行け行けドンドン で今後やるだろうかと言ったら、どうも林業、農業、水産、本当か嘘か知りませんが、そう いうことを言っている。考えてみれば食べ物であるし、環境でもあるということになると、 林業ということならこれはすぐ蘇生します。よく分からないです。 ○北浦座長  いずれも大事なご指摘だと思いますが、この資料はどちらかと言うと、定量基準的に数字 の少ない所を見たもので、今お話になった点はこれからもう1つの議題である所の社会的便 益など、そちらで判断をしていくことであり、また総合評価していくことであったろうと思 います。もしこれでご質問はよろしければ、次の社会的便益の関係の資料を説明いただき、 合わせて議論したいと思います。よろしいでしょうか。それでは資料4のご説明をお願いし ます。 ○事務局  資料4についてご説明します。社会的便益に関するアンケート調査ということで、3頁か ら5頁に実際に配った調査票を付けています。昨年度の委員会でお決めいただいた4分野、 12項目の社会的便益について、実際に業界としてこの職種の検定に関して、どのように認 識をしているかをA〜Eの5段階評価でお答えいただきました。まず配布先は、都道府県方 式で実施している125職種の技能検定の試験問題の作成に協力いただいている団体に対し て、調査票を配布しました。ただ、1つの団体でかなり多数の職種にご協力いただいている 場合や、逆に1つの職種で団体がとてもたくさんあるという場合もありますので、配布先の 絞り込みをして、複数の職種に関与する協力団体に対しては上限3職種ということで配って おります。それから複数の協力団体がある職種への調査は上限を5団体にしております。で すから、協力団体かたくさんある職種があった場合には、たくさんの職種に関連している業 界団体から外していく形で、数の調整をしております。  それから125職種のうち、協力団体の間で職種廃止への合意を取りつけているスレート 施工、このスレート施工はすでにこの9月に政令改正をして廃止をしております。それから 漆器製造、ファインセラミックス製品製造、この3職種を今回調査の対象から外しておりま す。以上により、3職種を除いた122職種の262団体に対して、調査票を配布しておりま す。  回収は10月28日までに118職種、175団体から回答を得ております。回収率は67%で す。回収のなかったところの中には、メーカーの団体なので、自分の傘下の会員は受検しな いため回答できませんというものもありました。築炉、テクニカルイラストレーション、舞 台機構調整、化学分析、この4つの職種については回答をいただけませんでした。  回答の集計の方針は、A、B、C、D、Eでお答えいただいたものを点数化ため、以下のよ うな配点をしております。まず選択肢がA、B、C、D、Eの5項目である場合には、Aを5 点、Bを4点、Cを3点、Dを2点、Eを1点で配点をしています。回答がA、Bの2つの 項目しかない場合にはAを5点、Bを1点としております。回答が空欄である設問、たま に一部の回答について空欄でお返しいただくものがありましたが、これはゼロの扱いではな くて、計算から除外しました。同一の職種に複数の団体から回答を得られた場合には、配点 をしたものの平均値をもって当該職種の得点としました。  それから問1と問3というのは、調査票3頁をご覧いただきたいのですが、まず問1とし て、業界にとっての便益、企業にとっての便益、受検者にとっての便益、この合計9項目に ついて、AからEまでの自己採点をしていただくということにしております。次に4頁か ら5頁の真ん中ですが、問3として、問1の丸1〜丸9の項目に関連する形で、実際にどの 程度活用しているかとについて定量的な調査をしております。問4は「我が国の安全・安心 と安定した発展を確保するための観点」ということで、先ほどの3つの大項目とは別の、も う1つの項目として(1)(2)(3)と挙げております。この調査票を作るに当たり、問1の自己採 点でこれだけ役に立つよと言っても、実際に現場でどれだけ使われているかに応じて補正を しなければいけないのではないかというお話がありました。問1と問3をどのように組み合 わせて、それぞれの項目の得点を出すかということについて事務局で出してみたのは、設問 ごとにカテゴリー別に平均値と標準偏差を出し、問3のそれぞれの点数が、そのカテゴリー における平均値から標準偏差の2倍、つまりかなりかけ離れて低かった場合には、問1の5 点満点の点数から2点を減じて、問1の修正した点数とすると。それから平均値から標準偏 差分下回る場合には、1点を減ずるという形での補正を試みております。  最初は問1が例えば、D、Eなどであった場合に、一律にいくらか減じようかと思ったの ですが、全体的に問3の評価が低い場合には、全体的に点数が下がってしまうので、それで はあまり意味がないのではないかと思い、平均値からのバラつきの度合いで、2点減点、1 点減点ということをしてみました。問1を問3で補正した9項目分の合計値と、問4の3 項目分、合計12項目分の合計値、60点満点になりますが、これをその職種の点数として、 そのカテゴリーごとの平均値の8割をクリアしているかクリアしていないかということを 計算しました。  実際に調査票で具体的にお話をしますと、1つの職種に関して換算値という黄色い列があ ります。これは問1の得点から問3で補正をかけた結果ですが、問3を見ていただくと、赤 い色になっている欄と緑色になっている欄があります。この赤い色になっている欄は、この カテゴリーにおける問3の平均値から標準偏差2倍を引いたもの、これが例えば、いちばん 左の欄の技能継承は1.5になるのですが、1.5を下回った場合には赤い表示になり、問1の 得点から2点減ずるという計算をしております。建築図面製作の場合は、問1がもともと2 点しかありませんで、問3が赤文字で2点マイナスという評価で換算した結果、ここは0 点という数字が出ております。  同じ問でその下のれんが積みでは、緑色になっています。これは問3の得点が2.0で、平 均値-2σよりの1.5より大きいのですが、平均値-σの2.6より小さいので、問1の得点4.5 から1.0を引いて3.5が換算値という、そのような計算をしております。これを全ての問に 対して行い、横方向に合計を出すということです。受検者にとっての便益のうち、丸7、丸 8、丸9については、それぞれ問3が2つずつ関わっております。2つ関わっている場合に は赤い欄か2つあるから2倍引くのではなくて、1個でも赤い欄があったら2点引く。1個 でも緑の欄があったら1点引くという形で換算をしております。  そうすると例えば、建設型の場合では換算した結果の平均値が50.5になります。これの 8割である40.4を下回った場合には、「×」が付くということになります。この頁でいくと、 建築図面製作が問3の評価が押し並べて低かったこともあり、合計値が9.0ということで、 8割比で×が付いた。つまり社会的便益が非常に低いという評価がされたということです。  このカテゴリーで、今回ターゲットになっているれんが積みとコンクリートブロック施工 はそれぞれ42.5と41.0で、決して高くはないのですが、8割の線は超えているので○が付 いています。このようにすべてのカテゴリーに対して計算をしました。  ざっと見たところ、6年平均値が高い職種でも、×が付くようなものもあります。例えば 鋳造は、6年平均で1,385人ですが、×が付いています。製本、製版も少し低い点数が出て おりました。機械・プラント製図、これは5,000人を超えてかなり人数が多いのですが、社 会的便益は、31.0で8割を下回りました。逆に工芸型では二重線で囲ってある4つの職種 が今回のターゲットになっておりますが、陶磁器製造、印章彫刻、竹工芸、いずれも60点 満点で55点、55点、60点でかなり高い点数が出ておりました。  平均値、標準偏差などがカテゴリー別にどのような状況にあるかをまとめたのが17頁で す。それぞれの問ごとに例えば、問1の丸1の建設型の平均値は4.5、製造型・製品生産型・ 労働集約型の平均値は4.5となっております。これは縦方向に見て例えば、問1の丸1で一 番平均値が高かったもの、工芸型の4.8を赤で示しており、同じ問で一番平均値が低かった のが機械化型の4.1であったというようにご覧いただきたいと思います。おしなべて、平均 値が高めに出たのが3の工芸型と4のサービス型で、全体的に評価を高めにつけている傾向 がありました。逆に製造型の製品生産型の機械化型、整備型、その下の生産基盤提供型、こ の辺りは少し低めに数字が出ていました。  以上がカテゴリーごとの標準点です。次に社会的便益12項目のウエイトづけを見てみた らどうかというご意見を前回の委員会でいただきました。 そこで、業界にとっての便益、企業にとっての便益、受検者にとっての便益、この3つの合 計9項目について100点換算をしたらどのような分布になるかを見たものが18頁の表です。  今度は赤、緑の色は横方向、つまり建設型なら「技能継承」から「転職昇級」までの9 項目、この中で一番得点が高かったものが赤表示、一番低かったものが緑表示となっており ます。建設型の場合は、業界としての「統一評価」が一番ウエイトが高く、「若手確保」に 役立つというのが一番ウエイトが低かったという状況です。「若手確保」はおしなべて評価 があまり高くなく、比較的高かったのが「自信形成」「統一評価」「技能継承」という項目で す。職種別で出すと、例えば造園では全部同じ得点が並んでしまったので、全部Bになっ てしまうのですが、ざっと見たところやはり業界としての「統一評価」、本人に対する「自 信形成」辺りが結構高く出ていて、「若手確保」、「転職昇級」というのはあまり出ていない という感じです。  因みにこの18頁で右側の表は問1の換算前の数字ですが、基本的には換算後の左側の表 でいろいろと見ていきたいと思っております。これを見て、「若手確保」が思ったより伸び ていないものの、この項目が飛び抜けて高いという傾向もあまり見られなかったので、この 項目で出遅れているから、社会的便益があまり評価されないという尺度としては使いにくい のではないだろうかという認識をいたしました。雑駁ではございますが、以上がアンケート の結果です。  今回対象となった10職種について、先ほどの8割の基準をクリアできなかったのは、建 築図面製作のみで、あとの9項目は8割の基準はクリアしているという状況です。ただ実際 にどれだけ業界で役に立っているかについては、さらに業界等のヒアリングにより詳細に聞 いた上で、本当にこの評価で正しいのか、もう少し辛めに特点を付けたほうがいいのかを精 査していかなくてはいけないと思っております。以上です。 ○北浦座長  よろしいでしょうか。大変詳細な分析をいただいたのですが、ご質問なり、ご意見を頂戴 したいと思います。先ほど10職種についてチェックをしてみると、建築図面製作を除いて 9職種と言いましたか。 ○事務局  はい。2職種は調査しておりませんので、実質合格になったのは6職種です。 ○北浦座長  それでは、ご質問なり、ご意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。 ○梅津調査員  1点お聞きしたいことがあります。これは設問ごと、カテゴリー別に平均値と標準値を表 わして、1σ、2σを減じています。これは例示でも元の分布図を示す必要はないのでしょ うか。標準偏差を使っていますから、正規分布していなかったときの議論は本当にやっかい になります。説得するためにも、どれかいちばん都合のよいのでいいですから、例示として 必要な気がします。どうでしょうか。 ○事務局  分布はまだ調べていないのでやってみたいと思います。ただ、関係団体が1つの場合は、 5.0や4.0などのピッタリの数で出てしまいます。また、2つで返ってきた場合は、コンマ0 やコンマ5しか出ないわけです。3つ4つが返ってきたときにコンマ3などになると、どう いう形になるか。うまく分布が出るのかどうかがちょっと心配です。ギザギザになるのでは ないかとも思います。  サンプルは175返ってきていますので、それなりの傾向は出ると思います。それはやっ てみたいと思います。 ○北浦座長  そうですね。ご指摘のところも1つ検討の材料に入れてください。 ○松本調査員  数字の細かいところは別として、緑や赤などの色の括りとして、20頁でいいますと、製 造型、製品型の木工、目立てですと、業界にとっての便益は高いのですが、受検者側からす ると、そうでもない。そのような目で見ていくと、一律に受検者数が少ないからではなく、 その逆のケースもある。金属研磨仕上げですと、受検者にとっての便益は高い。しかし、業 界からみると、さほどそうでもない。受検者数が少ないところではカテゴリーに入りますが、 便益で見ていくと、その業界ごとに対策や抱えている問題点はかなり違ってくるのかと思い ます。受検者のモチベーションが高くてもそうでないとすると、受検者側というか、実際の 技能者側にとっての情報として、何かを伝えていく必要が足りなかったりするのではないか。 細かく見ていくと、そのような色分けが必要なのではないかという印象があります。 ○北浦座長  大事なご指摘だと思います。 ○柴田調査員  これは何のためにやっているのかが今1つ分からなくなってきたのです。たとえば、17 頁の平均値を見ると、工芸型やサービス型の団体ですが、その団体がいずれも赤の部分が多 いのですから、非常に社会的、業界としての便益も受検者としての便益も高いとなっていま す。  このアンケート自体、答えているのは団体ですから、受検者がそう思っているとは限らな いし、かつ消費者がそう思っているとは限らないのです。何となく主観的、希望的にこれに しがみつきたいというか、要するに工芸型は、人数も基本的には少なくなる。とはいえ、本 当に残したいという社会的要請もあるだろうと思うし、団体もそう思っている。しかし、市 場のメカニズムにそのまま委ねてしまったら残っていけないのですが、いわゆる技能検定で こうしたところを何とか残していきたいという思いが背景にとても見える感じがします。個 人的にはその気持もよく分かる。何となくそういう技能が必要だったら残したいと思うので すが、この調査をもって、だから残しましょうという説得力になるようなデータではない。 何のためにしたのかという自分の中の不安が出てきてしまいます。一方で建設型などは受検 生も比較的に多いとなってくると、思いがいろいろあり、あまりここに頼らなくてよくて、 最大値にならないで、緑色の最小値になっている。どうしたらいいのかと、いま混乱の極み に陥っています。 ○北浦座長  業界団体とはいえ、いろいろと主観が入るということですね。そこは確かにアンケートの 性格としてバイアスを考えざるを得ない。 ○柴田調査員  一方、前はこれとは別に受検者のアンケートもやっていますね。 ○事務局  去年やりました。 ○柴田調査員  だから、受検生本人たちが非常にこれはとてもいい、励みになるなどの数字があれば、こ れの裏付けになると思います。団体だけではないデータの裏付けを持って、必要性を確認し たい。また、消費者にとってというところは、やはり消費者に聞かなければ駄目だと思う。 前から申し上げていますが、消費者は安心・安全を確保してもらいたいという部分です。例 えば、どういうものに不安がありますかという巷にある消費者調査などがもしあれば、オー ソライズしたものが欲しいと思っているのだから、検定が必要だということになる。別にこ のためにやるのではなくて、既存データが突合できればいいと思います。 ○北浦座長  重要なご指摘をありがとうございます。 ○松井調査員  例えば、受検者にしても、ある領域の試験について、受検者は意義があるから受検してき ているので、その領域に携わる受検してきていない人たちの意見が大事です。消費者の点で いうと、ある物を作った。下請ではありませんが、こういう人たちにしてみれば、これは決 定的に大事なことですが、それに携わる一般の技術者から見ると、試験に直接受検してこな いような人たちから見ると、それをどう評価しているのか。もっと広くいうと、今おっしゃ られた消費者にとってという側面もあると思うのです。一見関わっていない人たちが割と真 意を突いたような意見などが多いかもしれません。 ○柴田調査員  漆器の問題は分からないのですが、漆器などでも赤い色などを漆の中に混ぜます。海外で は規制がないため日本では毒性があるといわれているような赤色を使ったり、黄色を使った りして染色することがあるので、やはり日本のものがいい、ここで作ったものがいいといわ れたりします。少し筋違いかもしれませんが、日本にはそういう安心がある。そういう部分 をうまくやっていければいいのではないか。 ○北浦座長  そうですね。そういう情報も大事ですね。 ○事務局  私どもも一般消費者、検定に目が向いていない方の意見を拾い出すには、どうしたらいい のだろうと考えています。 ○松井調査員  難しいですよね。どういう人を対象にアンケート調査をするか。例えば、これとは別の組 織ですが、ホワイトカラーのビジネスキャリアという認定試験があります。いわゆるホワイ トカラーの人たちが転職する、流動化するためにやはり何らかの資格が必要になる。仕事を 30年やってきたが何の資格もなくて、次に証明するものがない。マーケッティングや営業 部問などで一律試験制度をやったのですが、結局営業、マーケッティングあるいは生産管理 などはそれなりに受検生が多い。しかし、例えば経理に関しては著しく低いのです。実際受 けてくる人は大事だといってやりますが、受けていない人のほとんどの意見は、それは日本 商工会議所の検定があるといって、それはそれでいいのです。それはある意味で当たり前の ことです。私が言っているのは、それがあるから私は受けないというような意見が欲しいわ けです。だから、それがあれば、そういうことだと分かるわけで、技能検定を受けてきても いいような人たちが受けてきていないのは、何か理由があるのか。そこを知りたいと思いま す。 ○北浦座長  そこの母数というのはなかなか把握がしづらいのでしょうか。 ○事務局  10職種に関して母数を調べようとしました。しかし、団体では会員数は分かるのだが、 その傘下の従業員数はよく分からない。あるいは、従業員数は分かっても、実際にその仕事 に携わっている方が何人いるとなると、もう分からないということです。 ○北浦座長  ここに書かれているのは、業種の細分類になるのですか。それとも、職種なのですか。職 種となると、統計上は取りようがない。業種であれば、工業統計などで取れますが。  確かに大事なご指摘だと思いますが、母数がもともと小さくてこういうことになってしま ったという場合もあるでしょう。おっしゃったように、もっと多いのだが、受けていない何 かの理由があるというのであれば、それはやはりさらっと書けない。その辺はヒアリングの ときに、業界のことですからある程度分かると思います。そこで補っていけるかどうか。大 事なご指摘だと思いますので、そういうところをどんどん出していただければと思います。 八木澤さんいかがでしょうか。 ○八木澤調査員  数字の分析は難しいと思うので、アンケートの問2ですが、ここで感じるのは、受検者数 が少ない業界に限って、この業界にとって唯一の国家資格であるという声が多いのです。例 えば、冷凍空気調和機器施工、溶射、木工機械整備もそうです。ドイツのようなマイスター 制度がない現状では不可欠の制度を果たしている。この辺が非常に気になっています。この 会議の根本的な問題に立ち戻るような気がするのですが、果たして受検者数で決めてしまっ ていいのかと改めて感じます。また、残す理由も必要なのでしょうが、数値だけで見るのは いかがなものかという気はしています。 ○北浦座長  自由記述はいまご指摘がありましたように確かにそういう記述が多いですね。 ○事務局  業界そのもののステータスが上がるなどのご指摘もあります。国家試験になっている仕事 ですよということで、大変役に立つということもあります。先ほどおっしゃられたように、 唯一の検定制度なので、これがなくなってしまったら何もなくなってしまうというご指摘も ありました。ただ、受検者数が伸びない理由は、突っ込んで聞いてみないと分かりません。 試験の内容によるものなのか、本当に受ける人そのものが少ないのか、何か使い勝手が悪い ところがあるのかと。仕組みを変えるなり何なりで克服できるのならば、息を吹き返させる こともできると思います。構造的にそうならないということであれば、廃止もやむなしと。 その辺りの見極めもつけたいと思います。これはアンケートで取るのは、なかなか難しいの でヒアリングの項目を事前に送ったうえで詳細に聞くようにしたいと考えています。 ○梅津調査員  10職種に限っていえば、一方的に母数が少ないような気がします。それなりに辻褄が合 うところはあるのです。れんが積みは、これだけの地震国ではそう減多に人はいないとなる のです。製材のこ目立てなども人はいません。林業が戻れば別です。林業系がかつて7兆円 の産業だったわけですから、戻れば別です。そうでなければ、誰も手当てしない。これは人 がいません。成り立たないです。 ○八木澤調査員  学校教育の現場と業界内会社を繋ぐパイプが非常に細い。受検者数が少ないという要因も それに関わっていると思うのです。学生の受検をやっていますよね。  れんが積みなどは少ないのでしょうが、工業高校なり、農業高校の園芸科などというの は全国にたくさんあるのだから、この辺はよく分からない。木工機械整備などはありそうで す。その辺がちょっと不思議です。 ○柴田調査員  木工機械整備は主に何をするのですか。 ○梅津調査員  あれは家具、建具を作る機械、あるいは建築内装材を作る機械があります。それのメンテ ナンスです。 ○柴田調査員  高い家具を作っているところが今は結構あるのではないですか。そういうところは自前で こういうのを持っているのですか。  あと、DIYのところでいろいろと組立家具みたいなものを作って、外に出ているので、 だからこういう機械整備がないということなのですか。 ○梅津調査員  たぶんそうだと思います。特殊なところは自前でやっている。数も知れているのですが、 あとは全部東南アジアで作っている。日本に持ってきて、ビルトしてどこかに納めている。 ○柴田調査員  例えば、「何センチと何センチが欲しいのですが。」と言うと、そこでオーダーでやってく れて、機械か何かでやってくれる。ああいうのは輸入しているのですか。機械整備の人では ないのですね。あの人たちはサービス業なのですね。 ○梅津調査員  違います。ただのサービス業です。あれはメンテナンスなど要らない機械で、具合が悪か ったら捨てるだけなのです。 ○柴田調査員  そうですか。そうすると、もう構造的に不要になってしまっているが、これが一旦なくな って、しかしやはり日本で木工をやりましょうといったときに、すぐに作れるくらいの技能 は、ほかのものでも代用できるような技能なのですか。工作機械もいろいろあるし、同じこ とに使えればということは、木工機械整備などは、他のものとほとんど技術や技能が重なっ ているということなのですか。 ○梅津調査員  先ほど木工機械整備と、あと先ほど何とおっしゃいましたか。機械木工ですか。あれは NCですね。そこに吸収すれば何とかできるのです。ただ、目立てというのは違います。  目立ては直径が2メートルくらいの「のこの目」を切る仕事です。あるいはアメリカだ ったら円ですし、北欧に行くとバンドソーで、あれも目立てです。 ○柴田調査員  この前機械伐採を見てきたのですが、あっという間にバシッとやって、枝を打って、2〜 3分で長さは揃えてできるようなものがあるなら、むしろこんなことをしているよりは速い ものが輸入できるのです。 ドイツとスウェーデンの機械を輸入すると言っていましたので。 ○北浦座長  ほかに何かご質問はありますか。詳細なデータですので、いろいろお気づきのこともある かと思います。量的なものを分析しているので、先ほど来ご指摘のあったような点は、ここ からは汲み上げられるわけにはいかないと思いますが、そういった点も含めてどうぞ。 ○柴田調査員  皆さんがどこかに統合できないかとおっしゃっていましたね。先ほどじっと漆器のところ を見ていたのですが、例えば製図だったら漆器を見ていくと、材料のところはよく分かりま せんが、木のものなら木工とあまり変わらなくできるか分かりませんが、9頁の製図や意匠 図案というのは、ほかの工芸品でもありそうな気がするのです。ここで、図示法及び材料記 号について一般的な知識を持つとあります。基本的な意匠図案に関しては、漆器に限らず、 そんなに変わらないかなと思うのです。  ただ、5番目に、漆だから安全衛生とかは若干違うのかもしれませんが、化学でいろいろ なものを扱っているのと同じように、漆でそういうことを勉強するとなると、漆の関係がほ かと統合できるのかなという感じがします。  ただ、芸術的なものについては、工芸的なものは分かりませんが、一般品ならば安全衛生 を考えて、きちんとしたものを作れるまでの技術は、ほかとも似かよっているところもある のかなと素人考えで思いました。 ○八木澤調査員  漆器はトータルで見ないと駄目です。木の選び、加工、漆の種類も全然違います。 ○柴田調査員  そうすると材料のことですが、今言った図案などは一緒ですか。やはり違うのですか。 ○八木澤調査員  やはり漆器という1つの作品ではないですか。 ○柴田調査員  お箸も漆器ですよね。芸術品と日常品の両方あって、普通のところにもある程度とかいう レベルなのではないのですか。 ○八木澤調査員  違うと思いますよ。 ○梅津調査員  材料、加工、漆を分割してやればいいというのではなくて、漆器はマインドがあるのでは ないでしょうか。 ○柴田調査員  お碗でも、本当に木から彫っているお碗もあるけれども、木くずを集めて形にしているも のもあり、その辺りが運用できるのであったら、技術的なものはいろいろなところに分散で きるかという感じがします。もちろん芸術作品の域に入っていたら違うと思うのですが。 ○八木澤調査員  ですから、視点を分けなければいけないのは、俗にいう漆器と、汎用器と、高級品とあり ます。それは分けて考えなければいけないのではないでしょうか。 ○柴田調査員  そうです。すごいところはマイスター制度に近いもので、それは技能検定とは違う気がし ます。技能検定でやるものは、少なくとも一般消費財まではきちんと作れるくらいのスキル だとしたら、分解できるかなと。  だけれども、先ほどおっしゃったように、この木自身が「こんなになって、こういう形に なりたいんだよ。」、だから製作者がこういう色にしたのだというものは、芸術家の域に入る と思うので。 ○八木澤調査員  漆器と漆塗りのものと分けるべきだと思います。漆器は漆器ですよ。ジャパンと呼ばれる 漆器を思い浮かべるわけですよね。 ○柴田調査員  汎用品でもジャパンと呼ばれていますよね。 ○八木澤調査員  あれは塗りものでしょう。 ○事務局  そうですね。技能検定の対象ではないのですが、汎用品で、結婚式の引き出物などによく ありますが、これは、プラスチック木地にスプレーガンで吹き付けたものです。その木地は 木くずを樹脂で固めたものもあります。 ○八木澤調査員  それも漆器ですか。 ○柴田調査員  一応漆器として売っています。 ○北浦座長  そうですね。おっしゃったように難しいですね。工芸関係というのは、おっしゃったよう に、どこで境界を引くのかが難しいところがあります。それから、業界事情で海外生産に移 ってしまっているものも結構ありますね。国内に残っているのは何であって、海外に行って しまっているのは何なのか。  変な話、受検者を探してみたら、全部技能実習生だったということにもなりかねないので。 それも1つの役割なのかもしれないですが。 ○柴田調査員  それで技能実習生が海外の日本企業で働けば、戻って来られなくても日本で技能検定を受 けている意味があるのですね。 ○北浦座長  そうです。そういう問題も孕んでいます。ここは淡々と選定作業をやるための委員会なの ですが、どうしても元へ戻ってしまうというか、本来の姿に。一体何のためにというのは出 てきますので、その辺についてはご自由にご意見をいただいて、付帯的に参考にいただいた らいいと思います。 ○事務局  これが終わりましてから、年内に事務局でヒアリングもどんどん回っていくつもりですの で、ここは特に聞いておくようにというのがありましたら、是非この場で。 ○松井調査員  淡々と選定作業を始めたばかりだから大事なことは、受検者が少ないのは何でしょうか。 これがオンリーワンだからという、ある意味では本質的な話だと思います。そういうことも、 潜在的なところが顕著に出てきたところです。  それから、この試験は他の試験に代替されていて、そちらが人気があるからということが あります。あるいは、これがこちらに含まれているから受けないのだとか、これが今のニー ズに合わないのだという現象論です。例えば自動車も、エンジンがなくなって電気になって くると、相当町工場でやっていた技術が不要になってきて、パソコンでやる人たちが増えて くるとなってきて、現象論として、ニーズに合わなくなってきたとか、このことは再就職に も全然関係ないのだとか、いくつか原因があるのだと思うのです。1つ切っていく中でそれ が出てきたときに、それをきちんと捉えておくことが、これからの判断の役に立ってくると 思うので、出てきたときが、それがある意味で大事なことかなと思うのです。 ○天野調査員  国が出している職業分類は樹木構造で大系的に分類されていると思うのですが、問題に取 り上げられている職種を大系に当てはめてみると、はいちばん下の要素になってくると思い ます。グループ化された中で職種を見たとき、同じ範疇に入るものは、その範疇の中で人の 分散や移動があるのではないかと思います。  例えばファインセラミックス製品製造は、陶磁器製造にも関係するだろうし、粉末成形に も関係してくると思います。そのようにやっていくと、共通性の高いものを集めてチェック してみると、その辺の人の移動も分かると考えられます。 ○梅津調査員  上流、中流、下流ならつなげやすいのですが、横にあるものは関係ないです。木造住宅と 船大工は何も関係がないです。  例えば先ほど松井先生のおっしゃった、関係があって残る云々というのは、家を建てるた めには建築士の資格がないと駄目だから、資格を持っている。これは開業資格です。建築大 工の資格は開業資格ではないのです。しかし、建築大工がいないと実質家が建たないから、 建築士と建築大工はつながっているのです。建築、製図か何か、今やこのようなことをやっ ている人は1人もいませんよね。CADその他でやっています。捻り鉢巻きのおじさんはで きないから、子どもを専門学校に行かせて描かせている。これはなくなっても弊害はないわ けですよ、誰も困らない。 ○天野調査員  そういう関連性が分析されて、これがなくなっても他でカバーできるからいいということ になれば、これはなくしてもいいという結論になります。したがって、グループ化して関連 性を分析することは大事だと思います。 ○北浦座長  そうですね。今ありましたように、まず少ない10職種についてですが、先ほど重要なご 指摘があったように、なぜ少ないのかという点です。数で見ているわけですが、数そのもの の意味合いをきちんと解くというのはあります。  あと持っていき方の問題とも関係するのでしょうけれども職種の分析を、関連性のあるも の、相関関係を見るといったようなことも含めて、皆さん方から同じようなご指摘をいただ いたと思います。その作業を補完的に進めていただきたいと思います。  それをするに当たっても、ヒアリングは重要なことになると思います。今後の進め方と、 その中の重要な作業になるヒアリングについて、一括してご説明いただければと思います。 資料5、資料6です。 ○事務局  資料5です。今までの進捗状況を書いています。1は、第1次判断基準による対象職種の 選定です。囲みに書いてある10職種が対象になります。なお書きに書いているのは、昨年 の報告書で、隔年で実施するのであれば50人いれば良としましょう。3年ごとに実施する 場合には、30人以上いれば検討から外しましょうという物差しがあったのですが、今回は 30人以下の職種のみが対象ですので、こういった除外要件に当たらないことを書いていま す。来年、再来年の対象の場合には、外れるものも出てくるかもしれません。  第2次判断基準の対象職種の選定は、先ほど説明した8割基準の話です。対象職種10職 種の中で、いわゆる8割基準を下回ったのは1職種です。今回調査をしなかったのが、漆器 製造とファインセラミックスの2職種です。  この点数化というのは、あくまでも関係業界団体の自己採点によるものですので、今後ま ず年内に事務局でヒアリングをします。年明けに、改めて専門調査委員会の場でもヒアリン グをしますので、先生方からも業界からいろいろと話を聞いていただければと思います。そ れで最終的に、技能検定の必要性等について精査をします。  今後の作業としては、ヒアリング調査によって各職種の社会的便益を精査した結果を踏ま え、年度内に、この職種を今までどおりに引き続き都道府県方式でやっていくのか、都道府 県方式でやらないかの結論を得たいと思います。都道府県方式でやらないとなったものにつ いては、必要に応じて、関係団体で職種の統合とか、指定試験機関方式で自分たちがやると か、その辺をどうするかを1年以内に結論を得てもらうこととしています。  なお書きで新しいご提案がありまして、例えば関係業界に働き掛けて、今後大幅な受検者 増が見込まれるといった場合に、例えばこの90人というのは、3年に一遍の場合、6年平 均が30人を超える、つまり除外要件に当たるようなすごく大幅な増になるのですが、こう いった受検者を獲得することを条件として、次回の試験まではやってみましょうかと。ただ、 その場合は、90という人数がどうしても集まらなかったら、その時点で潰しますといった 形の猶予はやっていいものかどうか、お諮りしたいと思います。  スケジュール表が裏面にあります。本日の検討会が11月上旬の第3回検討会です。本日、 これからヒアリング項目をご検討いただきまして、それを基にして、年内に対象職種に対し 事務局でヒアリング調査を実施します。それをまとめた上で、さらに先生方からも直接業界 からご意見を聞いていただきたいと思いますので、1月の半ばぐらいまでに第4回検討会を 開催したいと思います。その結果を踏まえてパブリックコメントを行い、一般の方からも意 見を募った上で、2月下旬から3月上旬を目途として、第5回検討会を行い、都道府県方式 で続けていくのか、やめるのかの結論を出したいと思っています。そして、3月の中旬から 下旬に検討結果をとりまとめ、お宅の職種は都道府県方式で続ける、続けませんについて通 知をします。業界団体で続けたいということであれば、その後1年をかけて対応を考えると しています。  廃止をするという結論が出た場合には、秋頃の政令の改正によって職種を削除し、他職種 との統合の場合には、同じく法令上の手続きを取ります。指定試験機関方式に移行の場合に も、政令、省令の手続きをします。今回の第3回検討会が当初予定よりも遅れてしまったの ですが、このような形で年度内に結論を得るようにしたいと思っています。 ○北浦座長  資料6の説明をお願いします。 ○事務局  資料6です。これは漆器製造とファインセラミックスを除く8職種の関係業界団体を対象 に、今回事務局でヒアリングを行う際に用いるものです。前回提出したものと同じで、内容 は大きく2つに分かれていて、検定に係る活用の現状と今後の需要及びそれを見込んだ対策 です。  前回のご意見として、「一般的な聴き方として、現行の○○職種の技能検定に関して、例 えばA技能とB技能を統合したほうがいいなど、既存の技能検定職種における改善策とし て考えられるものは何かありますかと聴くと、イメージが湧くのではないか」「相手方から 提案を出させてしまったほうが早い」「投掛けをすることによって、どうするのだという問 題意識を啓発するのが、この趣旨だろう」とありました。 ○北浦座長  2つの資料のご説明をいただきました。まず、資料5の手順の問題について、ご質問、ご 意見をいただきます。1点確認しますが、ヒアリングは10の職種なのだけれども、8職種 でやるということですね。裏返せば、2つの職種については、自ら実施の意向がないという ことで、これは直ちに廃止なのか、ほかの形を選ぶということなのでしょうか。その結論は 改めて考えるということなのでしょうか。 ○事務局  両方とも他への統合はなくて、廃止です。 ○北浦座長  先ほどここで例示的に挙げられていたのが、その2つの職種ですが、それについては自ら 廃止の方向でと。 ○八木澤調査員  どことどこですか。 ○事務局  漆器製造とファインセラミックスです。 ○北浦座長  どうしてこうなのかという事情も整理しておくべきだというご意見もあるかもしれませ んが、それは改めてご報告いただきます。いずれにしてもヒアリングは、申し出のあったと ころを除いて、8の職種で行うということです。それを前提に、資料5の手順はいかがでし ょうか。それから、特に先ほどご提案がありましたのは、1頁の3のなお書きです。90人 ということで、チャレンジをすることでルールを作ったらどうかということです。その辺も 含めて、ご意見、ご質問をお願いします。 ○柴田調査員  今回のヒアリングについて、そもそも母数が少ないから無理だとは思うのですが、技能検 定に関していうと、そもそも試験問題が現場のニーズにマッチしているのかを聞きたいと思 います。  今回の人たちはそんなことはないと思うのですが、だんだん少なくなっていくようなもの については、必要な技能の検定ではないから、労働者にとっては会社に言われたから取るけ れども、こんなのを取っても仕方がない。以前に、カリスマ美容師が美容師の国家資格を取 っていなかったということがありましたが、あんなものは全然使わないものばかりなのです。 そういうことがあると思います。  やはり受検生の減少といったときに、試験の内容や求めている技能が、現状で必要とされ ているものと乖離している部分はどのくらいあるのかを質問の中に入れていただきたいの です。  試験問題は団体が作ったりしているわけですから、それに答えるのはすごく難しいと思う ので、どのくらいで内容を更新、見直しをして、それは誰がどのようにやっているのかを聴 くといいと思います。昔のすごい人がやっているということでしたら、それは昔の技術かも しれないけれども、いまは使えない技術かもしれないという部分が出てくると思います。そ こがすごく重要だと思うのです。 ○事務局  今のご指摘は資料6の5(2)に「必要とされる技能の質の変化」として、括弧書きの2行 目から、「試験の内容と現場で求められる技能の内容に乖離が生じている場合」と書いてあ ります。 ○柴田調査員  現状は聴いていないではないですか。毎年見直していますとか、そういうことではなくて、 そもそもどのように見直しを行って、内容の必要をどのように確認しているかということが あるといいと思います。  それは重要なことで、うちも社内で研修をするときは、要求される事項が少しずつ違って いるので、毎年見直しをするのです。でも難しいことですし、どこまでできるのかです、特 に小さな団体や業界になると、そういう対応のできる人材はいないと思うのです。そこをど うやって支援してあげるかはすごく難しい問題で、何とか支援することも必要なのかと思い ます。 ○八木澤調査員  その議論は英検から、TOEICに主流が移行したのと同じ話ですね。  それと、ファインセラミックス製造がなぜこれだけ少ないのか。セラミックス製品製造の 大手企業1つ取ったって、毎年100人ぐらい受けそうだと思うのです。この原因を知りた いですね。 ○北浦座長  分からなければ結構ですが、ファインセラミックスは、実施しているのはどのような業界 団体なのですか。インサイダーは少ないのですか。そこも含めて調べていただいて、先ほど ありましたように母数と分けてですね。それはすべての10職種についてお願いします。 ○松本調査員  それに関連して、大学でも旋盤、粉末成形、板金、機械・プラント製図など、いろいろな 職種で対応しているのですが、企業用の受検対応も機械・プラント製図などで対応している のです。  聞いてみますと、事業所ごとで、場所とか設備の問題があります。例えばプラスチック成 形の機械についても、実際に会社で使っている機械はこれなのだけれども、試験はこちらと か、そういうところで場に関連する制約があって、こちらで出力する機械があるので、印刷 するときは対応してと、場に関連するところに制約があって、受検者数が伸び悩んでいるよ うな、職種ごとで抱えている問題があると思います。 ○北浦座長  ヒアリングの内容の話にも及んでいますので、併せてお願いします。 ○八木澤調査員  ヒアリングの3と4の文書ですが、「国家試験であることの必要性及び国家試験でなくな った場合に想定される具体的な弊害について」とあるのですが、これは4とダブるのではな いでしょうか。ダブるのか、それとも何か違うことを聞いているのですか。 ○北浦座長  これは業界、企業、労働者と、わりとミクロ的な形で、4は広く一般的にという分け方で すか。 ○事務局  はい。 ○柴田調査員  (9)のあとに、(10)(11)(12)とやっても大丈夫です。 ○北浦座長  社会的便益とか、広いものが4に入っているということですよね。 ○柴田調査員  3のままにして、中に分けて中見出しを書いて、質問したら1回読めば済むと。 ○北浦座長  そうですね。 ○北浦座長  他にいかがでしょうか。先ほどもご指摘いただいているので、それも含めてヒアリングし ていただくことになると思うのですが、さらにお気づきの点があったらお願いします。  資料5の手順はいかがでしょうか。今後のスケジュールはこれでよろしいでしょうか。よ ろしければこの手順にさせていただきますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○北浦座長  そういう形で進めます。なお書きの点についてはいかがでしょうか。 ○八木澤調査員  だから、先ほどの質問と関係するのですが、例えばファインセラミックスで大手企業の社 員が試験を受けに全然いらっしゃらない。 ○北浦座長  90というのは、単年度で90ですか。 ○事務局  はい。 ○北浦座長  相当厳しいですね。 ○事務局  30人を超えた場合には、3年に一遍実施であれば統廃合の検討対象から外すという条件 との整合を考えると、すごく厳しいとは思うのですが90になってしまうのです。 ○梅津調査員  もともと人がいないのは是非がないですが、人がいるのに受けないというのは、あること はあるのです。言葉に語弊があるのですが、建築系は節操のない職種であることもあります から、労働移動というか、A社、B社はいくらでも渡るのです。渡ったときに、A社に10 年いたといってもぴんとこないのです。そうすると、国家的な何か明かすものがないからで す。1級をいつ取ったと、メーカーによってまちまちです。それはまちまちなのですが、日 本の標準的なところでどこまでいったのか、それをいつ取ったのかというのは、その人を計 るときに計りやすいのです。特に労働移動のときです。  先ほどセラミックス製品製造の大手企業のことがありましたが、よその会社にでもいかな い限り、大手企業にいればどちらでもいいかということもあるかと思ったのです。 ○北浦座長  先ほどの動けない理由ですね。 ○八木澤調査員  労働移動が少ない業種と多い業種の差があると思います。 ○北浦座長  そうですね。全然意味合いが違いますね。非常に多い場合には、なぜ受けないのかは大事 なことで、社内検定があるとか。 ○松井調査員  試験問題がよければ、それなりの仕事のあるところで、いい試験問題をきちんとやってい るところであれば、「ああ、あの試験」と社会的になってくると思うのです。もしかしたら、 試験の内容が少し偏っているか、特殊なのかという疑いもありますよね。  あくまでも技能検定は雇用の中での最低限必要な基礎知識、あるいは安全の知識ですから、 あまり特殊な方向に走ったりすると、それは駄目で、大手企業も、あそこの試験は最低受け とけよというような試験問題としての信頼性がないといけません。それは大事なことです。 受検者に対して過去問題は公表しているのですか。 ○事務局  はい。 ○松井調査員  それを見て評価されるのです。いい問題を出しているところは、あそこの検定試験はいい となりますから、どのような試験問題を出すかというのは大事な話です。 ○梅津調査員  数年前から公表ですよね。 ○事務局  はい。 ○梅津調査員  例えば大して評判のよくない木型というのがあるのですが、これは日本木型工業会からも 出ているし、トヨタ、日産、マツダから全部出ていますから、そう勝手な偏向したことはで きないのです。ですから、理容関係はあるかもしれませんけれども、一般産業でハイリスク は難しいです。 ○松井調査員  今年度は人数を増やせばつながりますという話ですが、そもそも業界も人材を求めている わけですから、そのような状況になったから大変だというのがありますよね。毎年受けまし ょうと言ってくれないと。それが、今まである意味では、そういった雰囲気がなかったのか もしれませんね。  切るのは簡単ですから、私はそれが仮にご都合主義だと言われようとも、こういう技能検 定の意義を考えたら、普及させることにも意義があるわけで、そうだとすると、あなた方も 頑張ってみて、そういうことであればというのは、それはやったほうがいいのではないかと 思います。これは私の意見です。切るのは簡単なことです。 ○北浦座長  もともと100人未満ですね。 もっと範囲が広かったわけですね。その中で絞って、とりあえず30ですけれども、その結 果どうなるか分かりませんが、今後そのバーが上がっていく可能性があるわけですよね。 ○事務局  ここは費用対効果に対抗できるだけの理屈が出せるかどうかということです。 ○北浦座長  そこの議論で、とりあえず今回終わっても、また下がってきたときに同じ理論が復活する だけで、現在ボーダーラインにあるところが、ある程度頑張らないと、そのような問題が発 生するということも伝えておかないといけませんね。現在の人たちに対してどうするかとい う問題と、ボーダーにある人たちも同じような状態にだんだん落ちてきているわけですから、 そこに対してどうするかです。  ここの議論なのか、技能検定そのものの議論なのかは分かりませんが、そんなところまで 踏み込んだことも考えておかないといけないという、皆さんのご指摘だと思います。乖離と か、その辺の話は見方の問題もあるかもしれませんが、検定制度そのものに対しての問題点 からなっている場合と、そうでない場合と分けて考える必要があるので、そこも議論だと思 います。  手順はご了解いただいたということで、90人はチャレンジャブルですが、そのような基 準でということで、ほかの公平性の観点で、3年間で30ずつということですね。あとはい かがでしょうか。 ○天野調査員  廃止の候補に挙っている職種が、ほかの技能でカバーできるかどうかという意向を聞くの は非常に有意義だと思う。ところで、「単位技能」という言葉に若干違和感があります。 ○北浦座長  何か別の言葉はありますか。 ○天野調査員  要素技能という用語はどうでしょうか。それでなければ、他職種でカバーできる技能とか。 ○北浦座長  もう少し解説的にということですね。 ○事務局  共通性の高い技能とか、コアになる技能とか。 ○天野調査員  いままでの技能はそっくりそのまま必要ないけれども、他の職種の技能でカバーできると いうような、積極的な発言があるか、これはどうしても守らなければいけないという発言か で対応も変わってくると思う。 ○柴田調査員  例を書いておかないと、聴かれた人が分かりにくいと思います。 ○北浦座長  そうですね。解説的にしたほうが、その意図が分かりますね。他と統合するとか、しない とか、そのようなイメージの湧いた議論ができるでしょうから、そこは言葉を変えていただ けますか。 ○事務局  はい。書きやすいように工夫します。 ○北浦座長  ほかにございましたらお願いします。 ○松本調査員  母数が少ないことで可能性はありますが、例えば受検者数が多い職種とか、もう1つ下の 初心者レベルの3級で、今、技能検定でも3級というのは盛り上がっていますよね。 ○事務局  はい。 ○松井調査員  そういったところで3級を設置して数を集める検討はされていますか。ただ、実際には数 は少なくても落ちている方はいるわけですので、初心者レベルのほうもあるのかなと。 ○事務局  数の少ない職種に関して、訓練校があるかどうかを見てはみたのですが、漆器やガラス製 品製造そのものの普通課程の訓練校は見当たりません。竹工芸だと1校しかありません。れ んが積みも、左官タイル施工科等は2校あったようなのですが、そういうところも3級をつ くって参入してくるものなのかどうか。  訓練校の場合には、たとえ1年課程でも、修了すれば2級を取れるので、それを考えます と、3級をつくっても来てくれるのかは疑問です。 ○柴田調査員  技能検定を費用対効果で見るといったときの効果が未だによく分からないのですが、少数 職種の技能検定をやめたとしても、費用的には大したことはないと思うのです。むしろ大き なもので、先ほどのビジネスキャリアのもので、これを受けるのだったら、簿記1級とか2 級を受けたほうがいいというように、民間でやっているものとパラレルに動いていて、会社 も団体も受けたほうがいいと言って受けている、大人数のもの、民間でやっているのだった ら、むしろそっちの資格を使って技能検定をやめてしまったほうが、費用の面では効率がい いと思ったのです。費用削減は、民間であれば大きなところから削るのが普通です。今回の 議論ではないのですが、費用対効果というのは、必要ではないものに使っているということ でしたら、小さなものは逆に必要なのかなと思ったもので、根本の検討をされるときにその ようなことも考えていただいたらいいなと思いました。 ○事務局  私どもの受け止めとしては、学科試験ですと基本的に50問作るのですが、問題を作る手 間というのは、委員の先生に何人に集まっていただいて、何回やってということで、その問 題を何人がお受けになるかによって、1人当たりいくらになるのかを考えると、10人のた めに何万円かけるのかということになります。あまりに少ないと、それだけお金をかけて問 題を作って、試験の段取りをしてということで、見合うのだろうかという観点はあるかと思 います。 ○松井調査員  今の話にお答えしますと、ここでやる試験というのは、どのような人を育てるというか、 資格がある人を認定するものですから、その趣旨がきちんとしていれば、同じ領域で2つあ ってもいいと思っています。  会計の話ですが、簿記、税理士というのは各科目があって、基本的に財務諸表を作るため の勉強なのです。1級まで税金の「ぜ」の字もできないわけです。例えば会社の課長クラス なら、簿記は2級ぐらいが分かればいいけれども、その代わり法人税の計算のシステムの知 識も欲しいとなってくると、そういった課長クラスはこのくらい持っていたほうがいいとい う試験というものはないわけです。そういう試験だというものがあれば、1級を持っていて も税金ができないよりは、そういう試験を受けてきてくれる人のほうだったらできますと。 そういうことがきちんとしていますから、必ずしも簿記が2つあるというものではなくて、 趣旨がはっきりしていればいいという側面もあるのです。 ○北浦座長  大事なご指摘で、どんどん広がってしまって、また振出しに戻ったような感じもあります。 ただ、行政刷新会議も動いているということですから、先ほどの柴田委員の意見はもっと大 きな議論に。 ○八木澤調査員  見直しは前政権の委員会から始まっています。無駄な職種を減らして、ファイナンシャル プランニングとか、人材派遣会社、キャリアコンサルティングの職種を入れましょうという ところから始まっているのであって。 ○北浦座長  だんだん難しくなってきますので、そのくらいにしたいと思います。時間がきましたので、 そろそろ今日の議論を閉めたいと思います。いろいろとご意見をちょうだいしましたが、事 務局にそれを参考にしていただいて、今後の作業を先ほどのスケジュールに則って進めてい ただきます。  したがって、今後一番大きなものはヒアリングです。ヒアリングについては、だいぶご意 見をいただきましたが、修正を事務局と私とで作業させていただきたいと思いますが、よろ しゅうございますか。 (異議なし) ○北浦座長  もしタイミングが合えば、もう一度お配りをして、確認していただきたいと思います。何 かお気づきのことがありましたら、事務局にお寄せいただきたいと思います。  今後、ヒアリングの日程その他について、次回についてのご説明をお願いします。 (日程調整中) ○北浦座長 これで、本日の検討会を終わります。ありがとうございました。 (照会先) 職業能力開発局能力評価課技能検定班 TEL:03−5253−1111(内線5944) FAX:03−3502−8932