09/10/27 第3回「健やか親子21」の評価等に関する検討会議事録 第3回「健やか親子21」の評価等に関する検討会 議事録 日時:2009年10月27日(火) 14:00〜16:00 場所:厚生労働省 共用第6会議室 出席者:   柳澤座長、井上委員、岡本委員、奥山委員、桑原委員   齊藤委員、高山委員、田中委員、山縣委員  厚生労働省   宮嵜母子保健課長、朝川少子化対策室長、太田虐待対策室長補佐   今村母子保健課長補佐、森岡母子保健課長補佐、   馬場医政局指導課専門官、岡山健康局生活習慣病対策室長補佐 議事:  1. 開会    挨拶  2. 議題    (1)国、自治体、健やか親子21推進協議会の取組状況について    (2)「健やか親子21」の指標の分析・評価について    (3)「健やか親子21」の指標の目標値について    (4)その他  3. 閉会 配布資料:  資料1  (1)国の取組状況(作成中)      (2)自治体の取組状況(作成中)      (3)健やか親子21推進協議会の取組状況(作成中)  資料2  健やか親子21における目標に対する暫定直近値の分析・評価(案)  資料3  (1)第2回中間評価における指標の評価方法(案)      (2)指標の直近値及び評価(案)  参考1  親と子の健康度調査アンケート  参考2  「健やか親子21」の推進状況に関する実態調査票  参考3  健やか親子21推進協議会参加団体の取組実績の調査票  参考4  後期行動計画策定に当たっての母子保健との連携について  参考  山縣委員提出資料 第2回中間評価概要(暫定値) 議事: ○宮嵜母子保健課長  皆さまおそろいでございますので、ただ今から「第3回『健やか親子21』の評価等に関する検 討会」を開催したいと思います。委員の皆さま方におかれましては、本日ご多忙中のところをご 出席いただきまして誠にありがとうございます。会議室の関係で、少し外が騒がしくて恐縮でご ざいますが、よろしくお願い申し上げます。  委員の皆さまの出欠状況でございますが、事前に今村委員、衞藤委員、迫委員、三上委員、森 田委員、山際委員、渡辺委員の7名の委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、事 務局も国会等の関係で、会議中に出入り等があるかもしれませんが、ご容赦いただければと思い ます。  それでは、これからの議事進行につきましては柳澤座長にお願い申し上げます。 ○柳澤座長  皆さま、こんにちは。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。 いつもと比べて少しご欠席の方が多いようですが、ご出席の委員には本日も活発な議論を、ぜひ お願いしたいと思います。  それでは、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  配付資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第の1枚紙がございます。それから座席 表の1枚紙、そして開催要綱がございまして、その後に資料を付けております。資料1-(1)として 国の取組状況、資料1-(2)として自治体の取組状況、資料1-(3)として健やか親子21推進協議会の 取組状況、資料2として「健やか親子21」における目標に対する暫定直近値の分析・評価(案)が ございます。それから、資料3-(1)としまして第2回中間評価における指標の評価方法(案)、資料 3-(2)としまして、指標の直近値及び評価(案)がございます。参考資料といたしまして1〜4の4種 類の資料を付けさせていただいております。それから、山縣委員からの第2回中間評価概要(暫定 値)という追加資料がございます。資料に不足はございませんでしょうか。不足の場合は事務局ま でお知らせください。 ○柳澤座長  ありがとうございました。本日の議題は、この議事次第に書かれていますように、大きく三つ ございます。1番目が国、自治体、健やか親子21推進協議会の取組状況について、2番目が「健 やか親子21」の指標の分析・評価について、3番目として「健やか親子21」の指標の目標値につ いてということになっておりますので、それに沿って議事を進めていきたいと思います。  早速、議題1の「国、自治体、健やか親子21推進協議会の取組状況について」に入ります。ま ず、事務局から資料の説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料に基づきまして「国、自治体、健やか親子21推進協議会の取組状況」につきま して報告させていただきます。資料1-(1)でございます。これは課題につきまして国の担当部署に 照会をかけて回答をいただき、それを記載したものでございます。主な取組につきまして、ご紹 介いたします。左側が第1回中間評価時のもので、右側が今回の中間評価のものでございます。  課題1に関しまして「10代の自殺に関すること」といたしましては、平成20年10月に「自殺 総合対策大綱」が改正されております。「性感染症に関すること」としまして、厚生労働省部分に ついては、現在収集中となっております。文部科学省におきましては、性教育の指導に関する実 践推進事業が行われております。また、「喫煙・飲酒防止対策」でございますけれども、未成年者 の喫煙防止のための対面販売時における年齢確認等について、警察庁から要請が出ております。 また、労働喫煙防止対策については健康局長通知が出されるなどの取組が行われております。2 ページ目の主な取組ですけれども、「食育の取組」が追加になっております。食育基本法が平成 17年7月に施行されており、それに伴う取組であります。「食育推進基本計画に基づく子どもの 健康づくりのための食育の推進について」ということで、母子保健課長通知が平成18年3月に出 されております。また、保育所保育指針に食育の推進について明記されまして改定が行われてお ります。また、歯科保健におきましても「歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書」が出 されております。  3ページにまいりまして、課題2の第2回中間評価時の主な取組につきましてご紹介いたしま す。「安全、安心な周産期医療体制の確保」ということで、平成20年度から院内助産所・助産師 外来施設・設備整備事業が始まっております。また、周産期医療体制整備指針につきましても近々、 改定予定とされております。ここには記入しておりませんが、今後、追加して加えたいと思いま す。2の「不妊への支援」でございますけれども、厚生労働科学研究が4本ほど増えておりまし て、研究がなされています。「人材確保・育成」に関しましては、院内助産ガイドラインを作成し たり、助産所の業務ガイドラインの見直しを行っております。また、平成19年度から助産師養成 所開校促進事業が開始されております。平成20年度から、分娩医・新生児医・産科後期研修医へ の手当支給が開始されております。また、妊婦健診に関する取組といたしまして、妊婦の届出状 況に係る調査結果を公表するとともに、早期の妊娠届出の勧奨を課長通知に基づきまして行って おります。また、妊婦健康診査の必要な回数(14回程度)を受けられるよう公費負担が拡充されて おります。  4ページ目にまいりまして、課題3の第2回中間評価時の主な取組につきまして、ご紹介いた します。乳児死亡の減少のために保育所保育指針解説書におきまして、SIDS予防対策として「う つぶせ寝にしない」と明記しております。それから、主な取組でございますが、5番目の「育児 支援」のところですけれども、休日・夜間の小児救急医療機関周知の取組として、「こどもの救急 ホームページ」が開設されております。  5ページ目の課題4につきまして、説明させていただきます。「育児支援」ですけれども、地域 子育て支援拠点事業を実施しているということ。それから、児童虐待防止に関しまして子ども虐 待による死亡事例等の検証結果等について「第5次報告」を公開しております。また、児童福祉 法を改正いたしまして、乳幼児家庭全戸訪問事業・養育支援訪問事業を児童福祉法に基づく事業 として規定しております。「人材育成」に関しまして、児童精神科医師の育成のために研修プログ ラムを開発するという取組もなされております。主な取組は以上でございますが、今後、今年度3 月までに新たな取組がございましたら、またこの表に付け加えさせていただきたいと考えており ます。  次に、資料1-(2)「地方自治体の取組状況」につきまして、説明させていただきます。これにつ いては、厚生労働科学研究の山縣班の研究の一環として、自治体の方にアンケート調査を行い、 回答を得たものでございます。1-1は「都道府県版の『健やか親子21』の中間評価を行いました か」ということで、取組について何らかの評価を行っているかということを聞いております。回 答としては、何らかの中間評価を行ったというものが77%ございました。逆に、「健やか親子21」 が策定されていなかった、もしくは他の計画にも盛り込まれていなかったというものが15%ござ いました。1-2は政令市・特別区、市町村に「健やか親子21」の中間評価を行ったかを聞いてお ります。政令市・特別区では85%が何らかの形で中間評価を行っておりました。市町村につきま しては、少し低くなっておりまして、54%が中間評価を行っているという状況でございます。逆 に「健やか親子21」が策定されていなかった、もしくは他の計画にも盛り込まれていなかったと いうものが15%ございました。  2ページ目にまいりまして、「健やか親子21」の推進状況やその課題について、住民や関係者と 協議を行っていますかという設問でございます。何らかの協議を行っているというのが母子保健 運営協議会、健康づくり推進協議会その他の協議会等で何らかの形で協議を行っていると回答し たものは、都道府県が72.4%、政令市・特別区が73%、市町村が低くなっておりまして49.8% でございました。市町村の47.2%が協議の機会を特に持っていないという回答であります。  3ページ目にまいりまして、「健やか親子21」の推進にかかわっている方が、どのように次世代 育成支援行動計画の策定にかかわっていますかという設問であります。全体的に策定の主体とな って取り組んだということで「健やか親子21」の推進にかかわっている方が次世代育成支援計画 策定の主体となっている割合は6〜4%ということで、低くなっております。逆に、主管部署と共 同で作成した、主管部署から意見聴取をされたというようなかかわり方をしているところが割合 としては一番多くなっておりまして、都道府県では、政令市・特別区ではおよそ90%がこのよう なかかわり方をしております。市町村では少し割合が異なっておりまして、主管部署から意見聴 取をされたというものが共同で策定したというものよりも多くなっております。  4ページ目にまいりまして、「健やか親子21」や「子ども・子育て応援プラン」等に盛り込まれ た個別の施策に関する平成21年度の取組状況についてということで、以下に書いてあります取組 について、取り組んでいるかどうかをそれぞれの自治体に聞いております。満足できる「いいお 産」について医療機関等と連携した取組の推進というものが、都道府県では53%ということで低 くなっております。また、医療機関等関係機関・団体と連携した取組の推進や、授乳室の設置な ど授乳しやすい環境づくりの促進というものが割合としては低いという結果でございました。  5ページ目にまいりまして、政令市・特別区の取組状況について聞いております。政令市・特 別区におきましても、満足できる「いいお産」について医療機関等と連携した取組の推進という ものが低くなっております。また、産科医師・助産師・小児科医師の確保というものも取組を行 っていないという回答が多くありました。それから、慢性疾患児等の在宅医療の支援体制の整備 や休日健診の推進等乳児健康診査受診率の向上への取組、それから食育の推進についての子育て 支援センターと連携した取組、子どもの生活習慣の改善についての学校における定期健康診断の 機会を通じた取組といったものが割合として低くなっておりました。  6ページ目にまいりまして、市町村の取組状況について調査しております。市町村の取組につ きましては、全体的に質問項目に対しまして「取り組んでいる」と回答した自治体は少なくなっ ており、市町村につきましても、満足できる「いいお産」について医療機関等と連携した取組の 推進の割合が低くなっておりました。また、それ以外にも医療機関等関係機関・団体と連携した 取組の推進や授乳室の設置など授乳しやすい環境づくりの促進、休日健診の推進等乳児健康診査 の受診率の向上、食育の推進についての農林漁業・食品産業関連機関と連携した取組、食育推進 についての関係機関による食育推進連絡会(協議会)の設置、子どもの生活習慣の改善についての学 校における定期健康診断の機会を通じた取組の割合が低くなっておりました。以上でございます。  次に、健やか親子21推進協議会の取組状況について、資料1-(3)に基づきまして説明いたします。 この資料につきましては、健やか親子21推進協議会に参加している85団体を対象に「健やか親 子21」に関する活動の状況についてアンケート調査を行いまして、この検討会の資料提出の期限 までにいただきました62団体(73%)からの回答を記載しております。これにつきましては、「担 当者を決めましたか」それから、年次計画の中に「健やか親子21」関連の事業を盛り込みました かというところで、「はい」と答えた団体が多くありました。逆に「アウトカム指標(成果)の目標 値を設定しましたか」「アウトプット指標(事業量)の目標値を設定しましたか」ということについ ては、「はい」と答えた団体が3割以下ということで低くなっております。また、「健やか親子21」 の事業関連の予算を計上したか、自分の団体のホームページになどに取組を公表したかというと ころにつきましては、およそ半数が「はい」と答えている状況でございました。  次に、2ページ目にまいります。それぞれの設問に対しまして、「よくできた」から「できない」 までの5段階で評価を行っていただき、それにつきまして回答をいただいたものです。この特徴 は、問8の「6および7の指標についてのモニタリング(データを収集する)システムはありますか」 ということについては「できていない」ということで、モニタリングシステムの課題というもの が浮き彫りになっております。それから、問9と問11のところで「定期的に取組の評価を行いま したか」、「『健やか親子21』関連の研究事業に参加しましたか」というところが「できない」と いうものが3割を超えているということで、少し悪い状況でございました。これにつきましては 今後、団体から回答がありましたら、また順次付け加えさせていただきたいと思っております。  以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。山縣委員の方から、追加して説明することが何かございます でしょうか。 ○山縣委員  それでは簡単に。今、ご説明いただいたのは今回の結果ですが、お手元に保管用として前回の 第1回中間評価の報告書がございますが、それと比較していただくと変化がわかると思います。 例えば中間評価報告書の132ページからの部分と今日お示しいただいております資料1-(2)地方自 治体の取組状況(作成中)の4ページからが、ほぼ対応しております。例えば都道府県の取組で、産 科医師・助産師の確保(育成)に関して前回は63.8%の所が取り組んでいるとしておりましたが、 今回は94%、87%と非常に取り組んでいる所が増えている。以下、今回の重点項目であります食 育の推進のところも前回は70%、80%であったものが90%を超えているというように、都道府 県の取組は良くなっております。次の政令市も同様でありまして、やはり産科医師・助産師の確 保は前回13%、16.9%のものが、19%、20%と増えておりますし、食育に関しましても、特に食 育の推進についての学校との連携は、前回は6割を切っておりましたが今回は85%というように 推進されているところであります。市町村についてもほぼ同様なことで、全体的に今回示してい る目標値について行政の取組は進んでいると考えてよいのではないかと思います。  一方で、ここには健やか親子21推進協議会の関係の委員の先生方が多いのですが、資料1-(3)の 「健やか親子21推進協議会の取組状況について(作成中)」に関しては、先ほどの第1回中間評価 の資料の36ページ、37ページ辺りと比較していただくとわかりやすいのですが、回答されてい る団体数は、前回は60で今回は62とほぼ同じで、取り組みについて「はい」という青色のとこ ろが数ポイントずつ減っているという状況でありまして、前回も健やか親子21推進協議会につい ては活発なご活動をご報告いただきましたが、数として見たときには、少し減っている。質に関 しては、はっきりいたしませんが、そのようなことが今回の調査からわかったということであり ます。以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。ただ今の事務局そして山縣委員からの追加のご説明について、何か ご意見・ご質問などございませんでしょうか。  私から伺ってもよろしいでしょうか。例えば地方自治体の取組は、国の取組と同様に非常に重 要だと思いますけれど、その中でも一番肝心な都道府県について、都道府県は47しかないのです けれども、その中で「健やか親子21」が策定されていない、もしくは他の計画にも盛り込まれて いないというのが15%ということで、数にすると七つか八つぐらいの都道府県があるということ になるのですけれど。これがどこの県かを伺うことはできないでしょうが、自治体としてこのよ うな取組は何もしていないという解釈ができるのでしょうか。 ○宮嵜母子保健課長  これは、まだ集計中の数値ですので、いろいろ確認しなければいけないと思いますが、「健やか 親子21」自体は義務付けられている計画ではありませんが、ご案内のように母子保健の分野は「健 康日本21」で書いたり、あるいは都道府県のレベルであれば「地域医療計画」あるいは「地域保 健医療計画」に必ず周産期や小児医療をどうするかが書いてあるので、全く取り上げていないと いう所はないのではないかと思います。  この数字よりも、答えた中身を確認していくことが重要であると事務局では考えています。取 りまとめに向けては、もう少し精査していきたいと思っております。 ○柳澤座長  それは当然のことだと思いますが。  他に、何かご意見・ご質問がございますでしょうか。 ○田中委員  東邦大学の田中と申します。たぶん今のは、例えば母子保健の分野だけからいきますと、総合 周産期とか、そういう施設は山形県や恐らく宮崎県にもできましたけれども、そういう所は、「わ ざわざ国から言われたことをやらなくても、既にやっているよ」というようなところもあるのか なと。ですから、今まで「健康日本21」の中の「健やか親子21」に関しては、その地方自治体、 県などが今までやっているのと同じようなことをやっていると。ですから、さらにこれ以上やら なくても十分皆さんは満足しているというところも地方によってはあるのかなと。これは良くと った場合ですが、そのように思います。  それで、この課題2に関しまして私自身がいつも思うのが、確かに団体はいろいろなことをや っている。みんな役員を決めてやっているわけです。ただ、幾つかの複数の団体が集まってきま すと、目標とするところがそれなりに少しずつずれているので、なかなか目標値というものが立 てにくいかなというところを少し感じました。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他に、ご意見やご質問がありますでしょうか。  私から、もう一つ。やはり地方自治体の取組で、都道府県と政令市・特別区というものがある わけですけれども、この政令市というのは、ある意味では都道府県と並ぶような立場にあるわけ です。例えば産科医師・助産師といった産科医療にかかわる人材、また小児科の医師や小児の2 次救急、そういうところは都道府県としては90%以上の所が取り組んでいるのですが、政令市と 特別区を混ぜてしまっていますが20%ぐらいと非常に都道府県と比べるとずいぶん格差がある ように思います。その辺はどうなのでしょうか。 ○宮嵜母子保健課長  政令市・特別区は都道府県並みのいろいろな権限があるということで、もちろん医療法のいろ いろな許認可の権限などは都道府県と同等になっていますけれども、例えば医療計画については、 政令市・特別区の部分も含めて県が一括してやることになっています。ですから、医療の提供体 制や医師の確保などは一義的には地方公共団体の中では都道府県の役割ということになっている のではないかと思います。加えて政令市・特別区でやっているとか、あるいは市町村でもやって いる所ももちろんあると思いますが、そういう関係が数字に出ているのではないかと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  桑原委員、どうぞ。 ○桑原委員  これは市町村を比較してデータが出ておりますけれども、市町村はやはり先ほどの医療計画の 中の2次医療圏の中に入ってしまっているので、これを並べて三者を比較するのは大変かわいそ うだと思いますが、いかがでしょうか。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。今のご説明やご意見を踏まえて、事務局や研究班の方でさらに分析を進 めていただきたいと思います。  それでは、次に2番目の議題「健やか親子21」の指標の分析・評価というところに進みたいと 思います。この議題2では、指標の評価内容を確認したいと思います。第1回の中間評価以降、 今までの4年間の成果を評価するとともに、今後5年間でどのように推進していくのかを示す必 要もありますので、その視点でも検討を行いたいと思います。  それでは、まず「健やか親子21」を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究、山縣 委員が進めていらっしゃる研究班ですが、指標の評価案について、山縣委員からご報告をいただ きたいと存じます。各課題の1、2、3、4それぞれ5分程度でご報告いただいて、課題ごとに一応 意見交換をしたいと思いますが、あらためて最後にもう一度まとめてご意見を伺うことにしたい と思います。  課題1の「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」について、山縣委員からお願いします。 ○山縣委員  今回の評価・分析に関しましては、資料2に暫定版が未定稿のものですがございます。ページ をめくっていただきますと1ページ目に記載様式がございまして、今回は前回の第1回中間評価 に準じまして、上段に策定時の数値、それから目標値そして第1回中間評価、そして今回の直近 値という形で数値を載せ、それぞれの調査出所を記載する。そして下半分にデータの分析という ことで、結果・分析・評価・調査・分析上の課題・目標達成のための課題といったようなことを 入れております。  今日は時間の関係で、私がもう一つ用意いたしました「第2回中間評価概要(暫定値)」という A4縦の12ページの資料でご説明いたします。  今回の調査は自治体の調査、先ほどありましたが都道府県は47都道府県100%の回収率、政令 市・特別区が89のうちの85で95.5%、市町村は1,775市町村に対しまして1,704の95.9%の回 収率で先ほどの結果ということであります。これからお話しいたしますものの多くは乳幼児健診 でのものでありまして、協力市町村数が139、これの選び方といたしましては、前回ご協力いた だいた所を中心に、数が足りない所や市町村合併した所に対しましては新たに無作為に抽出した 所を入れております。それぞれ乳児健診3〜4か月児の健診のときに5,381人の乳児の保護者、1 歳6か月健診のときには8,311人の保護者、3歳児健診のときには7,598人の保護者にそれぞれご 協力いただき、全体で、2万1,290人の方々からの回答を得ております。これらについてはまだ 暫定値でありますし、分析もこれからの段階でありますが、その状態について、課題1から順番 にご説明いたします。  課題1に関しまして、まず、重点目標であります自殺率についてです。ページをめくっていた だきますと、グラフを示しております。単位は人口10万人当たりの数字でありまして、これを見 ていただきますと、依然、ベースラインから特に十代後半の男子・女子ともに増加傾向が見られ、 特に女子に関しましては、著しい増加が見られているということで、非常に課題の多いところで あります。警察庁の調査から検討いたしますと、自殺遺書から「健康問題」「学校問題」という動 機が書かれておりますが、遺書の信憑性等の課題はあるわけですが、複合的な課題・問題として 自殺が増えているということは実態としてあります。  2番目の十代の人工妊娠中絶率ですが、これを見ていただきますと、こちらの方は減少してお ります。ここの解説にも入れておりますけれども、15〜19歳の例えば妊娠率を人工妊娠中絶と出 生を加えたものとして考えていきますと、ベースラインで17.5%、平成19年に12.8%と、これ は減っております。一方で、人工妊娠中絶の率をベースにしたものについても、ベースライン調 査時には69.2%、約7割であったものが61.1%というように、中絶率も低下しているということ で、基本的にこのデータが信頼できるものであれば、目標に向かっているということが考えられ ます。  次の3ページですが、十代の喫煙率があります。これは前回の中間評価のときに、ある程度驚 きをもって見た数字でありました。すなわち、高校3年生の男子については常習の喫煙者が36.9% であったものが前回の評価では21.7%、そして今回は12.8%というように、きちんとトレンドを もって減少している。同様に高校3年生女子・中学1年生男子・中学1年生女子に関しましても 喫煙率が減っているということ。健康増進法と受動喫煙防止の観点などから学校の敷地内禁煙が 急速に進んだこと。それから、学校における喫煙防止教育等の効果があると評価してよいのでは ないかと思います。  次に、「学校保健委員会を開催している学校の割合」ですが、これに関しましても、増えていっ ているということで、これも目標の100%に向けて伸びているということであります。  それから4ページ目、「スクールカウンセラーを配置している中学校の割合」は、ある一定規模 の所での調査でありますが、策定時から比べますと、最初に22.5%であったものが84.3%と、こ れもトレンドをもってしっかりと増えているということであります。  それから、新たに加わりました食育の推進に関しまして、これは以前から比較的多くの地方公 共団体で、こういったことを展開しておりました関係で大きくは伸びておりませんが、やはり、 これを推進するということになって4.5ポイントほど増加しているということであります。以上 が課題1の主な結果です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。課題1の指標の評価について、ご説明いただきましたけれど も、それについて何かご意見・ご質問等がございますか。 ○齊藤委員  意見でもよろしいですか。ただ今の説明を聞いていて、私は前から自殺に関しては、かつての 戦後間もなくの非常に多い状態から比べるとこの20年来、かなり少ない水準を維持している中で の出来事ではないかと言っておりましたけれども、今回こうやって10年の幅で見てみますと、や はりこの10年間は特に女子が増えてきたということに非常に注目すべき点があるのではないか と思いました。昔から、子どもや青年の自殺は男子が多いのですけれども、自殺そのものは男子 が多いのです。女子がこれだけ男子に近い数字を上げるようになってきたという、特に十代の後 半でそうなってきているということは、女性が今まで持っていたある種の思春期の支えられ方が くずれ始めていることのサインかもしれません。  この点でもう一つですが、それなりに社会は子どもの心に注目はしてきたのですけれども、ま だまだ子どもから青年、思春期のメンタルヘルスに対する支援が行き渡っていないというか、子 どもの心を支えるシステムが行き渡っていないというようなことがあるのかなということを非常 に感じさせる大事な指標のように思いました。一方でスクールカウンセラーを配置する率がこれ だけ上がったにもかかわらず、片方でこれだけ死んでいく子どもが増えたということは注目すべ き結果だと思いました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。大変貴重なご意見をいただきました。よろしいですか。他に ございますか。どうぞ。 ○岡本委員  十代の人工妊娠中絶が少し減ってきているということに関しまして、そこにありますように経 口避妊薬の流通も一つの大きな要因かと思います。その後に、性行動の停滞傾向ということで出 ておりますけれども、これは具体的にはかなり思春期の方たちへの性教育の普及がなされている ということが背後にあると思います。私たち日本助産師会の団体で把握している分だけで年間約 三千数百件ぐらいの小・中学校・高校へ出かけて行っておりますので、その辺のところも停滞傾 向の要因に入っているのかなと思っております。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。 ○齊藤委員  岡本委員でも他の先生でもお教えいただければと思いますのは、今のそういう性教育の進展や 普及、それからピルの普及ということが一つあって、人工妊娠中絶率は下がってきたりしている のですけれど、一方で、知らないので教えていただきたいのですが、最初に性交する年齢という のは、ある段階でかなり下がってきましたよね。それはあまり変わらないですか。それも少し上 がってきているのですか。 ○岡本委員  今、具体的なデータを持っていないのですが、やはりこういう結果につながっているという意 味では、調査結果を見ないとわからないのですけれども、その傾向はあるのではないかと思いま す。これは感想で申し訳ないのですが。 ○柳澤座長  田中委員、何かその辺について。 ○田中委員  低年齢化いうことですか。 ○柳澤座長  低年齢化があるのかないのか。 ○田中委員  極端なことはないと捉えています。ただし、最近また認可されますパピロマウイルスの予防薬 ですね。ワクチン。あれなども諸外国は12歳ぐらいからが多いのですが、11歳で行っていると ころもある。いろいろ教育の方に聞きますと、11歳ではまだ小学生。12歳になると中学生。12 歳の中学生になると、先生方の言うことを聞かないから、11歳を入れておいてもらった方がワク チン接種には有効なのではないかとということで、日本は11・12・13・14歳と多分対象が入っ ているはずなのです。それほど極端な低年齢化というのはないと思いますが、心の変化というの は小学校から中学校というのは、大きくあるように感じました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  次の課題2「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」の課題についての説明 をお願いいたします。 ○山縣委員  先ほど提出いたしました資料の5ページ目からが課題2であります。ここでは産科医療に従事 する人材の育成が今回の重点項目の一つでありますが、まず「妊娠・出産について、満足している 者の割合」ということで、微増ではございますが、グラフにありますように増加傾向にございま す。今回は、この上に少し詳しく書いておりますが、どのようなことに満足できたのかといった ことについて調査をしております。そうしますと、やはり最近、出産施設の閉鎖が相次いでいる 中で、いわゆる希望する施設で出産の予約ができたというのは結構その満足度に大きく影響して いるということが一つわかりました。  それから、2番目はその下でありますが「母性健康管理指導事項連絡カードを知っている妊婦 の割合」であります。グラフは6ページ目でございますが、これも非常に認知度の低いものであ ったのが、産科の先生方やそれぞれの事業所等での啓発それから母子健康手帳の記載等でこれを 知っている妊婦が急激に増えておりまして、これを活用していただいているということだろうと 思います。  それから、3番目が重点項目で「産婦人科医・助産師数」であります。これを見ていただきま すと、やはり残念ながら産婦人科医師数は減少しております。この内訳を見てみますと、やはり 婦人科の割合がこの中で増加しながら産科診療をやめて婦人科診療のみとしている産婦人科医が 増えているということで、産婦人科医でお産をあまりやらない医師も増えているということで、 この数字以上に深刻な問題であるのかもしれないと思われました。一方、助産師数に関しては増 加傾向にはございますが、日本助産師会が算定いたしました必要助産師数約5万人というところ から考えますと、まだまだ需要に対して供給が満たされていないということであります。 ○柳澤座長  それでは、今ご説明いただいた課題2について、何かご意見・ご質問がございますでしょうか。 ○田中委員  この母性健康管理指導事項連絡カードで極端に上がったのは、母子健康手帳にもありますが、 厚生労働省のうちの「厚生」の方ですね。私は、母子保健課の非常にひたむきな努力だと思いま して、この場をお借りして「ありがとうございます」。ただし、本来、これは事業所から病院・診 療所に向けて発信して、妊婦に「こういうものもありますよ。何か言われたら、書いてもらいな さい」と言うべきものなのです。ですから、「労働」側の方が本来は積極的に働かなければいけな いと思うのですが、この辺のところは、何かすっきりしないなというところで、母子健康手帳に 入れていただいたのは非常に妊婦はうれしいと思いますので、事業所の事業主をむしろ啓発して いただきたい。それをぜひお願いしたいと思います。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございます。他にございますでしょうか。  桑原委員、どうぞ。 ○桑原委員  最初の「出産について満足している者の割合」というものがございました。増加はしているの ですが、まだ8%近くの国民が不満を持つ。何が原因なのでしょうか。 ○柳澤座長  田中委員、お願いします。 ○田中委員  名指しですので。多分その不満足というのは自分がイメージしていたような分娩ができなかっ た等ですから、施設に対する不満足、たまたま携った医師・助産師に対する不満足、それで自分 が思うようにいかなかった自分に対する不満足というものがあると思いますが、それをすべてク リアするというのは。私たちもそのように当然努力はしているのですが、現実に本当に何が不満 足だったかというのは、一人一人を個票で調べないと、果たして満足できることが可能なものな のか、「それはあなたのわがままではないのか」と言いたいようなこともあるのではないかと思い ます。 ○柳澤座長  岡本委員、どうぞ。 ○岡本委員  今の満足のところも一つですけれども、そこで「不満足」で項目の高かったものに「出産体験 を助産師等と振り返ること」や「産後1か月の助産師と保健師からの指導・ケア」「妊娠中の周囲 の喫煙」というものがありますけれども、やはり出産のときにどの程度妊産婦と寄り添いながら やっているかという辺りが問われている。あるいは、産後につきましては母乳で苦労することが 一番多いのですけれども、その辺のフォローなどがなされているかどうかという辺りが具体的な ことかと思います。  それに対して、最近の傾向としては、一部の所は助産師外来あるいは院内助産ということで、 かなり満足が得られるようになってきたけれども、まだまだ一部ですので、その辺は非常に難し くて、むしろ非常にマンパワー不足の中で、本当に業務をこなすだけで精いっぱいということが あるのではないかと思っています。  産後の分につきましては、最近施設が足りないということもあって、早期に退院することなど、 いろいろなことも出てきていますので、その辺のフォロー、あるいはそもそも約100万のうちの 半分は診療所でのお産があるわけですけれども、そこで働く助産師が極端に少ないということで、 そのようなところが影響しているのではないかと思っています。  申し訳ないのですが、もう一つマンパワーのところで、日本助産師会が非常に大きな数の5万 人ぐらいということを出しておりますが、その上のところで日本産婦人科医会の方でも賛成して いただいて、不足数というところで、2万7,000人と出ております。これはほぼ同じくらいの数 が言われているということですが、最近、働いている看護師を助産師にするなど、いろいろな形 でマンパワーを上げる努力はされているのですけれども、同時にそのときに必要なことは、質を 下げない努力もやっていかないと、安易にただ養成するというだけでは、かえって今求められて いるような院内助産等の質の高いケアをやっていく助産師は育ちにくいのではないかと思ってい ます。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  今のご指摘に近いのですけれども、「満足していない者の割合」で、たぶん出産するまでは結構 ケアが行き届いてきたのではないかと思いますけれども、やはり産んでから自分が子育てをする 場所と出産した所が近ければよいのですが、そうでない場合にはかなり地域子育て支援との連携 が大事になってくると思います。この「産前産後の切れ目ない」というところを、もう少し手厚 くしていかなければいけないところではないかと感じました。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。高山委員、どうぞ。 ○高山委員  (3)の「産婦人科医・助産師数」のトレンドなのですが、この数字だけ見ていると、あまり深刻 度が見えてこないのですが、地域の状況から見ますと、ハイリスク分娩を担う周産期医療の拠点 病院から、医師がどんどん非常に減っていまして、開業されたりして大阪のような都市部でも危 機的状況が出ていますので、調査項目にはないのでしょうけれども、そういうコメントをぜひき ちんと指摘して危機感を表してほしいと思います。 ○柳澤座長  産科医療の危機感ということを表わす上では、そういう観点も必要だということですよね。他 に、何かございますか。 ○田中委員  ありがとうございます。何しろ高山委員のご指摘のとおり、受け取る側よりも、早く送る側に なりたいと。要するに「送ってしまえばいいや」という考えもあるのです。ましてや、3次救急 をやる周産期のみに関していえば、2次救急のところがほとんどない。ですから、2次救急の病院 も単純にいうと、総合、要するに子どもに関係しない子宮外妊娠であるとか卵巣の破裂など、言 葉は悪いのですが「そんなものは送ってくるなよ。2次救急の病院でやってくれよ」と言われる のですが、夜などは1人ではできないから総合であればいるでしょうということで、そういう症 例も送ってくる。ですから、本来の周産期ではないことで、かなりの労力を費やされている。そ れで疲れている。ですから、そういう面も一つはありますので、できるだけ早く送る側になりた いというのが一つですから、やはり3次救急のみでなく、2次、1次のところもきちんと整備しな いと3次が倒れてしまう。それが今の流れのような気がしました。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。もし、ないようでしたら、次に進みたいと思います。  次は課題3の「小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備」ということで、山縣委員 から、お願いいたします。 ○山縣委員  課題3であります。課題3の重点項目は事故防止と子どもの安全ということでありました。基 本的な統計といたしましては「周産期・乳児(1歳未満)の死亡率」、これはご存じのように、世界 一位の水準でありますが、これをさらに改善しているということで、非常に良い結果でございま した。それから、その下のSIDSに関してですが、これも策定時、第1回、直近と人口10万人単 位の死亡率が減少しておりまして、平成20年、その前はさらにこの2倍ぐらいあったのですが、 SIDSのキャンペーンの効果が急激にあった後も、さらに診断基準といった点もございますが、そ れを考慮してもやはり減少していると評価できると思います。  次の8ページでありますが「小児の不慮の事故による死亡率」であります。これに関しまして は、前回の中間評価のときに特に0歳児に関しましては急激な減少が見られました。、その後5年 間は横ばいでありますが、×印のところの、これは15〜19歳で十代後半の不慮の事故というのが、 きれいに減少しておりまして、この世代は交通事故等が主な原因となるわけですが、そういった ものの減少が寄与していると考えられます。  その下の「妊娠中の喫煙率と飲酒率」についてであります。▲印が喫煙率、□印が飲酒率であ りますが、いずれも減少傾向であります。今の若い女性の喫煙率も増加傾向であったのが、最近 はやや減少・横ばいということで、それを反映しているのと、一方で妊娠がわかった時点での喫 煙率というのは15.7%ありますので、それから見ますと、妊娠時の喫煙者の3分の2の人は妊娠 届出後に基本的にはやめるということが、今回の調査でわかります。  次の9ページは1歳6か月までの予防接種に関してのことです。三種混合と麻しんについてお 示ししておりますが、麻しんにつきましては前回、いろいろなキャンペーンによりかなり改善し ていましたが、今回はなぜかまた少し低下しているということが気になるところですが、まだ分 析は十分にできてはおりません。  それから、6番目の事故防止対策についてであります。これは前回の中間評価のときに指標そ のものの見直しをいたしまして、それ基づいて、あらためて数値を策定時、第1回、直近値と示 したものでありますが、これは市町村の割合です。市町村の割合に関しては少し熱が冷めたよう なところがございますが、これに関してはいわゆる今まで市町村でやっていた事故防止対策につ いての評価等がどうだったのかということが問題なのかもしれません。以上が、課題3について です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました、何かご意見がございますでしょうか。  桑原委員、どうぞ。 ○桑原委員  7ページに死亡率が載っていますが、確かに、周産期医療が進歩して努力していただいて乳児 死亡率も下がってきましたが、今度は逆に、障害を持ったままで、変な言い方ですが生き残って しまった子どもがベッドが足りなくて、いわゆる焦げ付きになってしまってNICUを占め尽くし てしまう。そして新しいベッドが足りなくなるというところがあります。では、それを地域に帰 して自宅で見てあげることができるか。そうなると、障害を持った子どもや周産期を少し過ぎた ような子どもを介護・看護するような専門のスタッフが必要になります。次のステップでは、そ のようなことも検討していただかなければいけないのではないかと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとうございます。今後の課題として、ぜひ取り上げるべき指標というか、そのよ うな検討も必要であると。 ○桑原委員  もう一つ。予防接種の件ですけれども、このデータは85.7%の第1回は日本小児科医会の1歳 半調査です。多分、直近の調査は数字が同じ所でないと思いますので、これは見直していただけ ればと思います。  それから麻しんに関して、昨年の4月から2回接種をしていただくことになり、かなり接種率 もよくなってまいりましたけれども、まだ暫定期間である中1と高3についての予防接種、特に MRワクチンは70〜80%台で、とても低いです。諸外国で非常に批判を受けている若年成人の麻 しんを何とか解決していかなければ、国際的な日本にならないだろうと思います。お願いいたし ます。 ○柳澤座長  麻しんをゼロにする上では、1歳のときの接種とともに年長時の接種率ももっと高くしてやら ないと駄目であると。どうぞ、高山委員。 ○高山委員  (3)と(6)の関係ですけれども、行政的な立場ですと、啓発事業はそれほどコンスタントに認めて もらえないのです。キャンペーン的に2〜3年やったら終わりというようなことですが、その割に は事故防止の死亡率の低下の成果がみられているということ。事業の中で啓発のパンフレットや ホームページなど、いろいろな後に残るような情報媒体が結構作られたような気がしました。母 親たちに届くようなものについては結構良いものが残っている印象を持っているのです。ですか ら、短期的にしか取り組めていなくても、一定の成果をあげているのではないかという感じがし ます。 ○柳澤座長  他に何かございますか。どうぞ。 ○井上委員  今の(6)ですけれども、やはり今、乳幼児ですと誤飲誤嚥等の事故も結構起こっていますので、 キャンペーンのようなものが下火になってくると、逆に親の認識まで届くかということが問題に なってくると思います。ぜひまた、親の認識にどこまで食い込んでいるかという調査のようなも のをやっていただければ幸いに思います。よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  奥山委員。 ○奥山委員  この啓発に関しては今まで紙媒体が多かったと思いますけれども、これからはやはり携帯電話 やITを活用して、母親たちがすぐに取り出せるようにしていただけると予算も有効に使えるので はないかと思います。今度、ITとしてどの程度配信されているかを調べていただくとよいと感じ ました。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○山縣委員  2点あります。一つは事故のことですが、おっしゃるとおりです。多分いろいろなことが啓発 は紙媒体や情報提供ということではかなりいったと思います。ただ一方で、本当に重要な情報が きちんと伝わっているかというとなかなか難しい点があって、そういう意味では例えば消費者庁 の役割が重要になってくるのかなというのが1点です。  もう一つは、私どもは地域で約10年間、例えば誤飲チェッカーを使ってずっと介入をしてきた のですが、結論から言いますとなかなか下がらない。実際にかなり指導をやっているのですが、 実際の事故に関して統計的有意差を持っては下がってこないという結果があって、もう少しやり 方を考えることが必要です。多分この事故の死亡が下がってきているのは、実は小児の救急の効 果の方が大きいような気がしています。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他にありますか。  それでは、先に進みたいと思います。課題4の「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安 の軽減」について、山縣委員からお願いいたします。 ○山縣委員  課題4の前に課題3で、よく考えたら今回虫歯のことを、この中に入れておりませんでした。 口頭で申し上げます。前回、3歳児の虫歯のことが評価に入りましたが、前回の中間評価を策定 時としまして、68.7%の子どもが虫歯のない3歳児の割合でした。それが74.1%と5.4ポイント 良くなっているということをご報告しまして、次の課題4に進ませていただきます。  10ページからの課題4です。課題4の重点はやはり虐待の問題です。「虐待による死亡数」を 見ていただくとわかりますように、なかなか減少しているというところまではいっておらず、年 間約50名の子どもが犠牲になっているということです。  その次の(2)は、「法に基づき児童相談所等に報告があった被虐待児数」ということです。策定時 当初から、これは要するに意識の高まり、捕捉率が上がることによって相談件数が増えると予測 していたわけですが、増え続けているということは、やはり新規の受理件数が増えているという ことで、依然この問題は非常に大きくて、かなり支援を必要とする問題であるということがこの 結果から読み取れると思います。  (3)は父親の育児です。これはこの数字にも出ておりますし、内容的にも父親の育児参加が非常 に進んできているということです。「次世代育成支援対策推進法」や「子ども・子育て応援プラン」 などで、さらに推進できればというところです。  最後の12ページは「育児支援に重点を置いた乳幼児健康診査を行っている自治体の割合」です。 策定時は3分の2にとどまっていたわけですが、1回目の中間評価、それから今回と9割以上の 所がそういった取組をしているということです。先ほど自治体の取組にもありましたが、こうい った視点からの取組がある一定数進んでいるということだと思います。以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。ただ今の課題4のご説明について、何かご意見はありますか。死亡 数が年間50名前後というのは、確か親子心中は除いているのですよね。そうですね。 ○太田虐待防止対策室長補佐  資料2の横表で少し触れていただいているのですけれども、私ども社会保障審議会に子ども虐 待に関する死亡事例を検証していただく専門委員会があります。その中で、今年7月に報告しま した第5次報告の部分を少し参考にしていただいております。その今回の第5次報告で、委員会 の議論の中でもあったのですけれども、特に今回の検証は平成19年1月から平成20年3月の15 か月間を検証しました。その中で心中を除いて78人亡くなっております。そのうちの16人が生 後間もないということで約2割。生後間もないというのは生後1日ぐらいの間に亡くなっている 方が2割ありました。過去同じような継続的な統計は取っていないのですけれども、今回それが 特に目立つということで、検証委員会の課題としても「望まない妊娠」段階での相談を促進すべ きではないかという指摘を検証委員会でも受けております。その視点も踏まえてご検討いただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。 ○奥山委員  今の「生後間もない1日」というのは、入院して産まなかったということでしょうか。 ○太田虐待防止対策室長補佐  そのようなことだと思います。自宅で分娩してトイレに捨ててしまったなど、生きて出産して 亡くなったという形です。 ○柳澤座長  他に何かありますか。私から少し確認したいのですが、課題4の(4)について「育児支援に重点 を置いた乳幼児健康診査」は、もちろんこのような方向への動きは非常に望ましいことだと思い ますけれども、アンケートをする場合にはどのような形で聞いているのでしょうか。「育児支援に 重点を置いた乳幼児健康診査を行っていますか」という。 ○山縣委員  前回の資料の中にありますが、自治体調査の中で。後ほど。 ○事務局  事務局ですが、よろしいでしょうか。参考2の資料の6ページの中ほどに「育児支援に重点を 置いた乳幼児健康診査の実施」ということで、「取り組んでいる」「取り組んでいない」という設 問があります。 ○柳澤座長  参考2の何ページとおっしゃいましたか。 ○事務局  6ページの問4の(1)の設問の中にそのような記述があります。これは政令市・特別区用です。 同様な設問が市町村用のものにもありまして10ページです。問4の設問としまして「育児支援に 重点を置いた乳幼児健康診査の実施」ということで10ページにも設問があります。 ○柳澤座長  私が質問したのは、それは具体的にどのような乳幼児健康診査なのでしょうかということです。 ○山縣委員  ざっくり言うと、要するに今までのように異常値を設けて線を引いて、それを越えていない人 には指導するというような健診から、それぞれの事情に応じて困っていることに関して支援する という形での乳幼児健康診査の推進がいろいろな方面から言われていて、そういったようなこと が一つ定着してきた。そのようなこともあろうかと思います。 ○柳澤座長  他に。この課題4に関連して。どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  虐待のことですが、虐待の死亡数が変わらないというのは大変残念な事態ではありますが、片 方で虐待の処理件数がこれだけ増えていく中で、死亡数は何とかプラトーに保てたということは 意義深いと思います。その点はかなり頑張っていると思います。山縣委員がおっしゃったように、 多分社会的な取組としては、虐待は当面まずは減らなくてもよいから、いかにプラトーまで、平 らになってくれるかということを現実的な目的として行っていくべきなのです。虐待の問題は例 えば母親のメンタルヘルスの問題といった観点から割と語られやすいのですが、果たしてそれだ けで語れるのかということ、すなわち社会全体を学際的・総合的にとらえなければならないとい う面が大きいのではないかと思います。虐待発生件数がプラトーになり得たら、それは恐らく母 親を精神的に支えること、経済的に支えること、子どもを産み育てることをポジティブに考えら れる、ある種の教育的なものが確立していくことや、子どものメンタルヘルスが支えられること によって、子どもに刺激されて親が攻撃的になるのを避けることができるなど、そういった非常 に学際的・総合的なことがうまくかみ合い始めたことの証拠なのではないかと思います。そうい った点で「健やか親子21」の目標の一つとしては、とても大事な課題であると思ってこの結果を 見させていただきました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございます。今の「法に基づき児童相談所等に報告があった被虐待児数」と いう指標は、最初に立てた目標は増加を経て減少へと書いてあるのですけれども、その間にとも かくプラトーになることが大事であると。他に、課題1〜4までを通じて何かご意見、あるいはご 質問はありませんか。 ○田中委員  よろしいでしょうか。少し山縣委員にお聞きしたいのですが、生まれてすぐに亡くなっている。 要するに自宅での分娩だと思います。例えばそれは個別に調べて、なぜ自宅で分娩しなければい けない状況なのかまでの分析は。 ○山縣委員  こちらではわからないので、社会保障審議会児童部会で個別例について、もし検討されていれ ばと思いますが。 ○柳澤座長  太田虐待防止対策室長補佐、どうぞ。 ○太田虐待防止対策室長補佐  個別の事例を詳細に把握できているわけではありません。亡くなった事例ですので、警察の発 表資料や自治体の担当部局でつかんでいる部分で、いわゆる概略しか把握できていない状況では あります。 ○田中委員  ありがとうございます。今年度は母子保健課のいろいろなご努力で、妊婦健診の回数、公費負 担をかなりやっていただきました。それは保険に入っている人は適用になるのですが、保険に入 っていない本来本当に虐待しそうな人、この辺りの人にはいくら啓発しても大体世間の動きを見 ていないからわからないのですが、その辺りを何とかできるように、行政も含めてやっていただ ければ、この生まれてすぐというのは恐らく単純に考えるとお金がないからかかれない。ですか ら自宅で産んでしまおうと。育ててもまた費用がかかる。その辺りがバックにあるかと。もしそ うだとしたら、やはり社会が何とかしなければいけないと思いますので、その辺りをぜひ。 ○柳澤座長  奥山委員。 ○奥山委員  地域子育て支援をしている立場から、この虐待による死亡数をいかに減らすかということは、 私たちにとってもとても大事なことです。例えば新聞報道等では自宅で出産して子どもをという 場合には、親も娘の妊娠に気が付いていなかったというコメントを時々新聞で読んだりしますと、 やはり妊娠したということを伝えられたり、相談できるということも大事なのだろうと思います。 今、例えば食育などで学校と連携した取組が細かく書いてあるということを考えますと、出産・ 子育てについて学校との連携が行われることも重要であると思われます。私たちは、助産師と連 携して学校に赤ちゃんを連れて行って、赤ちゃんとのふれあい交流をすることや母親が出産・子 育てについて子どもたちに話をする機会をつくってきました。 先日も、妊娠・出産というのは 奇跡なのだということを訴えて帰ってくれたようです。やはり学校と母子保健分野、助産師が連 携して進めていって、子どもはかわいいけれども、果たして自分たちが今、育てられるものなの かということや、子どもたちはどのようなものなのかという命を学ぶ勉強のようなものを、もっ と計画の中に細かく位置付けていただけたらよいと思っております。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○山縣委員  今、田中委員が言われたとおり、一つは恐らく個別の事例についてはしっかりと評価すること が大切だと思います。  もう一つは、いろいろな環境整備はできているけれども、そのことを知らない方がいる。つま り情報格差があって、そのような人たちにどのように情報提供して、行動を取ってもらうかとい ったところが今の非常に大きな点で、そう考えていくと、やはり地域の中でそのような人たちを 早く捕捉するというか、早く見つけ出して情報提供するなり、支援する体制が必要で、画一的な 啓発の方法では無理です。その一つとして、生まれてからは「こんにちは赤ちゃん事業」のよう なもので、かなり整備されてきているのですが、その前の段階で妊婦をきちんと捕捉する。妊娠 届出をしていない妊婦をどうするかということが本当に具体的なことになっていくのだろうと思 います。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○岡本委員  子ども虐待の防止に関しまして、死亡例にまで至るのは受診もしていないような方たちの中に 恐らく多いと思いますが、それだけではなくて、やはり恐らく「望まない妊娠」によってかわい くない、死亡まで至らないけれどもやはり虐待につながっていく要因というのは、妊娠中の過ご し方にかなり影響がありますので、そのようなことをチェックするのに、妊婦健診のときにどれ ぐらい保健指導に時間をかけているかということが一つ重要なことになってくるのだろうと思い ます。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○田中委員  これは産婦人科ではなくて、つい最近テレビで見たことなので「ミーハーなことを言うな」と 言われるのですが、例えば学校で骨折か何かをした。しかし病院に行けない。母子家庭等でお金 がない。私はこれは虐待だと思いますけれども、その辺りも含めてやはり何とかならないかなと いう気がしました。愚痴ととらえていただいて結構です。 ○柳澤座長  他にありませんか。よろしいでしょうか。いろいろとご意見をいただいたところですが、ただ 今のご意見などを踏まえて、再度研究班で整理していただきたいと思います。また調査中の指標 等については、次回再検討することにしたいと思います。よろしいでしょうか。  続いて、予定されております議題の3に移ります。議題の3は「健やか親子21の指標の目標値 について」ということで、これについてまず事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  事務局から説明いたします。資料3の(2)に赤字で書いてあります「第2回中間評価(案)」という ことで、アルファベットと数値で、例えば「Bの2」など書いてありますが、その格付けの方法に つきまして、3-1の資料に基づきましてご説明いたします。「第2回中間評価における指標の評価 方法(案)」というものです。 ○柳澤座長  この横の紙ですか。 ○事務局  この1枚の紙です。 ○柳澤座長  資料3の(1)です。 ○事務局  今回の調査値は、第1回中間評価時の数値と比較いたしまして「良くなっている」をA、「悪く なっている又は変わらない」をB、「ガイドラインの作成など数値化されていない指標」をC、「調 査中又は今後調査予定の指標」をDと割り振っています。その後、策定時の現状値ということで、 平成13年の策定のときの現状値と今回の直近値を比較いたしまして、「良くなっている」を1、「悪 くなっている又は変わらない」を2、「第1回中間評価時に新たに定めた指標又は集計方法が異な るため比較困難」を3と割り振っております。  その結果がA4の縦の資料3の(2)です。「第2回中間評価(案)」として赤字で書いているもので す。67指標につきまして、それぞれ事務局で良くなっているもの、悪くなっているものをA〜D まで割り振っています。前回の第1回中間評価時に明らかに良くなっているものは41指標でした が、今回の第2回中間評価時に明らかに良くなっているものは40指標で、大体同じぐらいの数値 です。  本日、事務局から委員方に意見をいただきたい事項があります。2014年までの目標についてで す。第1回の検討会におきまして、2010年までの計画を2014年まで延ばしましました。今回の 検討会におきまして、第2回中間評価を行って2014年までの取組を考えていこうということにな っておりました。そこで2014年の目標値のあり方につきましてご意見をいただきたいと思ってお ります。事務局として考えておりますのは、二つほど方法があると思います。  一つとしては2010年までの目標をそのまま2014年までスライドさせるということです。  もう一つの方法としては、第1回、第2回の中間評価を踏まえて、2014年の目標値を検討し設 定し直すものです。例えば、増加傾向や減少傾向と、策定時にベースラインが明らかでないため に具体的な数値を定めていないものがありますけれども、第1回中間評価と第2回中間評価のデ ータを見ながら2014年の数値を設定する方法があると考えております。いずれにしても2010年 までの目標の評価につきましては、今回の2009年の第2回中間評価で代えさせていただきたいと 考えております。ご意見をよろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  ありがとうございました。今、指標の分析の仕方、また目標の設定について説明いただいたわ けですが、いかがでしょうか。  まず一つは、当初の目標は2010年が期限といいますか、目標になっていたわけですが、現在 2009年で中間評価を行っている。それが第2回の中間評価だとすると、次は最終的な2014年に おける評価をするための目標をどのように設定するか。2010年までということで最初に立てた目 標をそのままスライドさせるのか。あるいは新たに数値を設定するのか。特に2010年の目標とし て増加傾向とか減少傾向とか、そういう表現をしているものがたくさんあるのですが、それをあ る程度ベースライン、それから第1回の中間評価、第2回の中間評価として数値が出ているもの については、数値としての目標を設定できるのではないか。そういうことだろうと思いますが、 いかがでしょうか。今のような点に関して山縣委員としては、どのようにお考えでしょうか。 ○山縣委員  基本的には継続のものでよいと思いますが、今日ご紹介しなかったものを含めて、見直さなけ ればいけないものも2、3あるかなという気もしていまして、その辺りについては見直しが必要な ところもあるように思います。といいますのも、一つはデータがきちんと出てくるものでなけれ ば目標値にはできなくて、今回もその辺りで困っているところもありしますので、それはまた今 日具体的にこのようにということも含めてご報告ができないのですが、次回でそれも報告できれ ばと思っています。 ○柳澤座長  それから今までの検討会も含めて、今日もそうですが、この検討会でこのような指標について も検討すべきではないか。指標とすべきではないか。そういうことが幾つか出てきたのですが、 それをどのような形で最終的にはその目標に盛り込むかということがあると思いますが。どうぞ、 桑原委員。 ○桑原委員  「健やか親子21」という国家プロジェクトは2000年から始まって、2014年まで延ばすという 連続性、統一性というのは確保する必要があると思います。しかしながら、時代の変化とともに、 もう少し何とかという目標値の変更というのが一部あってもよいと思います。特に、ついでの話 で恐縮ですが、例えば小児科医の数。医療提供体制の中での小児科医の数を産婦人科医もそうで すが、その目標値を作るというのは大変な作業ではありますが、何か目標値がないと私たち、国 も国民もやっていけないと思うのです。仕事ができないと思うのです。従って最低増加傾向とい うのはやめてしまって、今の段階でできる目標値に変更して、そこで2014年を設定するというこ とでいかがかと私は思っています。 ○田中委員  今の桑原委員のご意見のとおり、もし小児科医ということで調べるのであれば、産婦人科の轍 を踏まないように、小児科の中だけではなくて、プラスそこで新生児をやる人というのを、はっ きりと分けた方がよいと思います。そうでないと、前大臣が全国立大学に全部NICUをつくると いう話をしたのですが、つくっても恐らく新生児をやる人がいないと思います。果たしてその調 査というのはものすごく今後の重要なことになるという気がしますので、小児科医のみでなく、 その中で新生児をやる人。小児科医は特に女性が多いと思いますから、年齢によって実労部隊で はない人もかなりいると思います。現実に常勤医として働いているかどうか、その辺を分けない と。産婦人科の数はいるだろう。でも、確かに働き盛りの女性が7割ですから、この人たちは妊 娠・子育てをしていますから実労部隊ではないのです。この辺が数字と現実が合わないところが ありますので、ぜひその辺も含めて、山縣委員も大変だと思いますが、ぜひ調査されるならそれ が絶対重要だと思いますので、お願いします。 ○柳澤座長  ありがとうございます。他にありますでしょうか。どうぞ。 ○高山委員  少し細かい意見になるかと思いますが、目標の中で4-17「育児不安・虐待親のグループの活動 の支援をしている保健所の割合」です。この仕事は非常に重要で、大阪府でも保健所が積極的に 取り組んだいきさつがあるのですが、ボリューム的にも専門性からいっても、もっと広げなけれ ばいけないということで、児童福祉の部局からさらに広げて、かなりスペシャリティの高いNPO にアウトソーシングしたという経過をたどっていますので、保健所だけに限定して100%を目指 すというのは無理があるのではないかと思います。全般的には今回の指標を見ても保健所の戸惑 いといいますか、母子保健法で事業が市町村にいった上での保健所の関与が非常に後退している 中で、地域全体を見て誘導する大切な役目があるのですが、そういうことについて規定している ような目標がもともとあまりなかったような気がします。そういうものは今後どうしたらよいの かなと思うのですが。感想で申し訳ありません。 ○柳澤座長  どうもありがとうございます。 ○高山委員  追加で。その点、この前の公衆衛生学会のときも議論になったのですが、地域保健法の基本指 針には当然のごとく保健所の役割が書いてあるのですが、現業が日常業務にないということから、 保健所からノウハウや知識・技術というものが急速になくなっていってしまっている。年配の保 健師にはかつて現業をやっていた方がおられてノウハウをまだ保持しているのですが、その方々 ももうじき退職を迎えると本当になくなってしまうという中で保健所はどういう役割を果たせる のかという危機感がありました。いろいろなご議論をいただけるとありがたいです。 ○柳澤座長  それも重要な視点の一つだと思います。どうぞ。 ○桑原委員  項目の中で、先ほどから議論が出ています国民への情報提供ということで、母子手帳もきちん とお渡しするのですし、保健師さんも頑張ってくれてはいるのですが、もう少し何か必要なとき すぐに見られるような情報を提供できるような簡単なツールと簡単な情報というようなものが都 道府県単位できちんとできればと思います。例えば私たちがやっている「#8000(シャープハッ セン)」についても46都道府県までいっているのですが、周知度は30%くらいなのです。もっと 80%くらい周知してくれれば、もう少し利用してくれて現場の小児科医は楽になるのではないか と思います。その辺のことは決してお金がかかることではないので、ぜひお考えいただければと 思っています。 ○柳澤座長  どうでしょうか。山縣委員から何かありますか。 ○山縣委員  こういう指標を見ているときに、最近現場の保健師や母親たちと話をしていて、いわゆる公衆 衛生学的な、統計的な数字が示しているものと実態というものが、なかなか一致しづらくなって きたなと。つまり数ではうまくいっているけれども、今回結構これは驚きで、かなり良くなって いるのがさらに良くなっているという指標がたくさんあります。これだけ数字が良くなっている のだけれども、実態として実感としてなかなかそれが湧いてこないということは、別のことでも よくあるのですが、そうなってきたときに、目標値はこれで大切なことではあるのですが、もう 少し別の見方なり評価をこの中に入れていく必要があるのではないかと思います。今お話があっ たように皆が最低限知っていることを、本当にきちんと知っているのか。例えば子育てや命の大 切さということをどこで教育され、そのことを最低限きちんとみんなが知っていて、そのことを 行動に出していけているのかが、昔よりも複雑になった分、できていない親子なり我々がそこに いるという気がしていまして、それが要するに教育格差だとか、よく格差といわれているような 部分が如実に現れてきていて、二峰性という言い方をしたり、いろいろな言い方をするのですが、 そこを工夫したいと思いますので、ご意見があればと思っています。 ○柳澤座長  今、山縣委員からも大変重要な視点というかご意見がありましたが、それに関連して何か他に、 ご意見をどうぞ。井上委員。 ○井上委員  実は、歯科のう歯の指標は1歳半、3歳と非常に低下して明らかな減少傾向ということになっ ています。ただ、子どもの口の機能がどうかという話になると、逆に問題が出てきている部分が あり、今食育の絡みではそのような話題が出てきています。歯みがきが非常に親の負担であると か、う歯予防で今まで取り組んできたことは確かに成果が上がっているのですが、親子の状況を とても良くしているかというと、別の問題になってきていたり、別の視点からの評価や考え方が 必要になってきています。残る重症虫歯の部分にどう対応するかという歯科的な考え方も少し変 わってきましたので、う歯予防だけではないというところになってきています。健康度と病気の 指標はかなり連動する部分もあると思いますが、それだけでは評価できない部分どのような指標 で表現するかを、これから取り組んでいく必要があると考えています。 ○柳澤座長  どうでしょうか。他に何かありますか。今までの指標で表し得ないといいますか、それでは十 分に実態を把握できないようなさまざまな観点ということが、ご意見として出たわけですが、そ れを新たな指標として盛り込んでいけるかどうかに関しては事務局あるいは研究班としてもご検 討いただくとして、基本的に今この場での議論を踏まえて現状の目標を基本的には2014年まで延 長するということで、またその指標の目標については現実的な数値へ変更する、あるいは増加傾 向とか減少傾向とか、そういう言葉で表されているものを今までの数値に基づいて数値としての 目標を示すという作業をしていただいた上で、次回の検討会で整理するという方向でよろしいで しょうか。どうでしょうか。 ○田中委員  原則的には、私はそれでよいと思います。なおかつ加えるのであれば、このBになっている、 悪くなっているものを各課題の1、2、3、4のところで結構一つや二つや三つや四つという感じで ありますが、それを中心に2014年までは特に検討していただきたい。当然のことながらAにな っているものはBにしては駄目で、AをさらにA´になるように努力してほしいということで、 ウェートの置き方をここから発信すればよいと思います。以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございます。第1回中間評価の後に今後の重点取組といって、食育を含めて5項目。 それぞれの課題と、食育を含めて五つの重点項目というものを決めましたよね。今回の第2回中 間評価を行った上で、2014年までの今後の重点取組というものを設定するというか、表に出して いくということは考えておられないのでしょうか。 ○宮嵜母子保健課長  基本的な考え方については先ほどの1枚紙の資料3の(1)で補佐からは分類のところまでで、一 番右側はもしかしたら説明しきれていなかったのではないかと思いますが、一番右側に「今後の 対応の方向性」の原則的な分類を書いています。申し上げますと、例えば一番上ですと、4年前 よりも良くなっているし9年前よりも良くなっている事項については、単純に「さらに取組を推 進」と書いていますが、4年前よりも良くなっているけれども9年前と比べると少し悪くなって いたり、変わらなかったり、数字がないところなどは、「さらに取組を推進」だけれども、ただし 個別にいろいろ見る。その下は4年前よりは悪くなっているけれども9年前と比べると良くなっ ているというのは「理由によっては、重点取組とする」という分類ですが、その下の4年前より も悪くなっているし、9年前よりも悪くなっているというのは、多分最重点の取組になるのだろ うという形で、大原則としてはこのような考え方はどうかということで整理させていただいてい ます。 ○柳澤座長  ありがとうございます。奥山委員。 ○奥山委員  先ほど山縣委員からご意見があったように、実態として今子育てをしている親たちが、これを 見たときにどう思うかという視点はとても大事だと思っていまして、この次にもし追加で幾つか 項目をとか項目を見直すときには、少し丁寧に子育てしている親たちのヒアリングなどをする機 会を取っていただくだけでも、この項目の見直しができるのではないかと思いますので、ぜひそ の辺りの配慮もお願いできればと思います。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。以上いろいろなご意見をいただいたところで、事務局で2014年の目標値 の設定をしていただいて、それを次回の検討会でご議論いただくことにしたいと思います。  大体予定された議事については以上ですが、今後のスケジュールについて事務局から提案があ るということですので、お願いできますか。 ○事務局  この取りまとめのスケジュールですが、4回の検討会を開催しまして、今年度の3月までに報 告書を取りまとめるということになっていました。現在の検討の進捗状況からしますと、残り1 回の検討会で報告書を取りまとめるということは非常に難しいのではないかと考えていまして、 もう1回検討会を追加して、次回に報告書のたたき台のようなものを提示して、5回目で報告書 を取りまとめるというスケジュールを考えています。いかがでしょうか。 ○柳澤座長  先ほど私は先走って目標の設定などについて次回の検討会でと申し上げましたが、それととも に今年度中に報告書もまとめなければいけないということで、そこまで考えるとあと2回の検討 会が必要であるということで、次回の検討会を1月か2月、最終的な検討会を2月か3月に。そ の辺で日程を調整して行いたいということです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○岡本委員  直接関係はないのですけれども、常々思うことは、どの団体もそうですが、第2課題だけやっ ているというのではなくて、いろいろな課題をほとんど皆さんが一緒に取り組んでいるわけです。 団体もそうですし各自治体もそうです。この四つを統合した評価が必要だと思います。これは個々 には指標としてあるのですが、、成果が上がっているように見えるどこかでそれを最後までにはや らないと、個々の数字だけでのことであれば、今言ったような形で具体的数値だけを出せば、け れども実態と何か違うというところとか、その辺を例えば第2課題の「いい出産」というところ は必ず第1課題とか、その出産後の第4課題とつながっていないと全然良いものになりませんの で、何かそういうものがどこかでなされることを、ぜひそれはここの委員会での検討とは言って いないのですが、お願いしたいと思っています。 ○柳澤座長  この「健やか親子21」の最終的な評価、総括のときにはそのような観視点は大変重要だと思い ます。  それでは、事務局で日程の調整をお願いします。 ○事務局  本日は日程調整表を委員のお手元にお配りしていますので、ご記入いただきまして事務局まで ご返送ください。また、第2回議事録につきましても配布していますが、ご意見があります場合 は1週間以内に事務局までご連絡くださいますようお願いいたします。 ○柳澤座長  それでは、これで検討会を閉じさせていただきたいと存じます。本日も大変活発なご議論をい ただきましてありがとうございました。  事務局から何かありますか。 ○宮嵜母子保健課長  どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省 雇用均等・児童家庭局  母子保健課 山口 内線 7940