09/10/27  第4回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録   第4回労働基準法施行規則第35条専門検討会議事録(平成21年度第4回) 1 開催日時及び場所  開催日時:平成21年10月27日(火)午前10時00分から午前11時30分まで 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 2 出席者  医学専門家:圓藤吟史、大前和幸、岡田了三、奥平雅彦、兼高達貮、工藤翔二、櫻井 治彦、夏目誠、馬杉則彦、堀田饒、柳澤信夫、和田攻、黒木宣夫  厚生労働省:田中誠二、渡辺輝生、神保裕臣、山口浩幸、宮村満、柘植典久 他 3 議事内容 ○山口職業病認定対策室長補佐   これより「第4回労働基準法施行規則第35条専門検討会」を開催いたします。本日は、 大変お忙しい中をお集まりいただきまして感謝申し上げます。今回につきましても、 前回の検討会と同様に、「労働基準法施行規則第35条専門検討会開催要綱」3の(3)の 必要に応じ専門家を招集できるとの規定に基づき、専門検討会で報告書を取りまとめ られた専門医の先生に御出席していただいております。御紹介させていただきます。  東邦大学医療センター佐倉病院精神医学研究室教授の黒木宣夫先生です。よろしく お願いいたします。 ○黒木先生   東邦大学佐倉病院の黒木といいます。よろしくお願いいたします。 ○山口職業病認定対策室長補佐   本日は山田先生と別府先生につきましては、検討会についての御欠席の御連絡を予 めいただいております。また、事務局にて7月24日付で人事異動がありましたので御 紹介させていただきます。補償課長の田中でございます。 ○田中補償課長   田中でございます。よろしく御指導をお願いいたします。 ○山口職業病認定対策室長補佐   それでは、座長であります櫻井先生に議事の進行をお願いいたします。 ○櫻井座長   議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、 議事に入る前に事務局から今日の資料の確認をお願いいたします。 ○山口職業病認定対策室長補佐   資料の御確認をお願いいたします。本日の資料は、次第にありますが、資料1-1 「過重負荷による脳・心臓疾患について」、資料1-2「脳血管疾患及び虚血性心疾 患等の認定基準」、資料1-3「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」、 資料2-1「心理的負荷による精神障害について」、資料2-2「心理的負荷による精神 障害等に係る業務上外の判断指針」、資料2-3「精神障害等の労災認定に係る専門 検討会報告書」、資料2-4「職場における心理的負荷評価表の見直し等に関する検 討会報告書」となっております。資料の不足等がございましたらお申し出下さい。 以上でございます。 ○櫻井座長  それでは、議事次第に沿って進行してまいりたいと思います。まず、「過重負荷 による脳・心臓疾患について」です。事務局から資料の説明をしていただき、その 後、平成13年の「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」で座長を務められ ました和田先生から、同検討会報告書の医学的知見等について御説明いただきたい と思います。では、事務局から説明をお願いいたします。 ○柘植中央職業病認定調査官   資料1-1「過重負荷による脳・心臓疾患について」の概略を御説明いたします。 過重負荷による脳・心臓疾患につきましては、別表第1の2第9号、その他業務に起 因することの明らかな疾病に該当するものとして、平成13年に改正された認定基準 に基づきまして業務上外の判断を行っているところですが、その認定件数はここ数 年高水準で推移しております。資料には平成16年度から平成20年度までの過去5年 間の件数を挙げておりますが、脳・心臓疾患全体で見ると、平成16年度294件、平 成17年度330件、平成18年度355件、平成19年度392件、平成20年度377件ということ で、5年間の合計は1,748件に上っています。  続きまして、この脳・心臓疾患の認定基準の概要について御説明いたします。こ の認定基準では、第2「対象疾病」としまして、「本認定基準は次に掲げる脳・心 臓疾患を対象疾病として取り扱う」ということで、「脳血管疾患」。その中で脳内 出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症を挙げております。また、 「虚血性心疾患等」としまして、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む) 、解離性大動脈瘤としております。  頁をめくっていただき、第3の「認定要件」ですが、次の(1)、(2)または(3)の業 務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、労働基準 法施行規則別表第1の2第9号に該当する疾病として取り扱うこととしております。 (1)発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得 る異常な出来事に遭遇したこと。(2)発症に近接した時期において、特に過重な業務 に就労したこと。(3)発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に 過重な業務に就労したこととなっております。(3)長時間の過重業務の要件につきま しては、平成13年の改正、現行の認定基準において初めて設けられたものです。  第4、「認定要件の運用」についてですが、この長期間の過重業務の過重負荷の有 無の判断に関しまして、業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の 観点から、労働時間の他、不規則な勤務、出張の多い業務、交替制勤務・深夜勤務、 作業環境、精神的緊張を伴う業務について十分検討すること。その際に、疲労の蓄 積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長い ほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には発症日を起点とした1か月単位 の連続した期間をみて、(1)、発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たり おおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性 が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症と の関連性が徐々に強まると評価できること。(2)、発症前1か月間におおむね100時間 又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える 時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることと なっており、これらを踏まえて判断することとしております。なお、この認定基準 につきましては資料1-2として付けております。  続きまして、3頁を御覧下さい。この3頁は、認定基準の改正に先立ち行われた 「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」の報告書の抜粋です。報告書その ものにつきましては資料1-3として付けております。なお、この報告書の内容等詳 細に関しましては、この後、和田先生から御説明いただくこととなっております。 簡単ではありますが、事務局からの説明は以上でございます。 ○櫻井座長   引き続きまして、和田先生から資料1-3「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検 討会報告書」について御説明をお願いいたします。 ○和田先生   それでは、脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会の座長を務めました関係 で、報告書について御説明させていただきます。説明の資料としましては、いまの 資料1-1の3頁にある「概要」と、資料1-3にある「報告書本文」、この2つを使って 御説明いたします。  まず、この検討会の目的と背景について簡単に御説明いたします。本文の86頁の 所の4段目に、「現行認定基準においては、業務の過重性の評価に当たって、脳・ 心臓疾患の発症に近接した時期における業務量、業務内容等を中心に行っている」 ということでした。これは昭和36年に認定基準が作成されまして、その後、2回ぐら いの改定がありましたが、いずれもこの立場、すなわち近接した時期のものを対象 として取り扱ってきたところです。  ところが、この本文の2頁の2の3段目の所に書いてありますが、こういった状況の 下で平成12年の7月17日に、最高裁判所は自動車運転者の脳血管疾患、これはくも膜 下出血と高血圧性脳症と2人あったわけですが、これに関しまして、先ほどの認定基 準からすると、発症前にはそれほど過重な労働をしていなかったということで業務外、 つまり、不支給処分としたわけですが、この処分を否定する2件の判決が下されたわ けです。  横浜南署長事件とか西宮署長事件と呼ばれていますが、これにつきましては3頁の (2)のロに書いてありますように、業務による「慢性の疲労や過度のストレスの持続 は慢性の高血圧症や動脈硬化の原因の1つとなり得る」という判断を示したわけです。 これは、当然、医学的にも考えられるところではありました。  したがって、今度は「報告書の概要」のまとめに移りますが、脳・心臓疾患は、 その発症の基礎となる血管病変等が主に、加齢、食生活、生活環境等の日常生活に よる諸因子や遺伝等の個人に内在する要因により、長い年月の生活の営みの中で徐々 に形成、進行及び増悪するという経過をたどり発症するものであり、労働者に限らず 一般の人々の間では普遍的に数多く発症する疾患であるという前提を設けまして、し かしながら、業務による過重な負荷が加わることにより、血管病変等をその自然経過 を超えて著しく増悪させて、脳・心臓疾患を発症させる場合があることは医学的には 広く知られているところであるというふうに位置付けたわけです。  それで、この専門検討会はこのような見地から現在までの業務による負荷要因と脳 ・心臓疾患の発症との関連を示す多くの医学的文献を整理・検討して次のような結論 に達したというところで結論を出したところです。  まず、結論の1番目ですが、発症に近接した時期における業務により明らかな過重負 荷が脳・心臓疾患の発症の直接的原因になり得るとする考え方は、現在の医学的知見 に照らし是認できるところであり、この考えに沿って策定された現行認定基準、これ は短期間のものを認めていた平成8年の旧認定基準ですが、これを妥当性を持つもの として判断したわけです。  その次の2番目に、長期間にわたる疲労の蓄積が脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす ことが考えられることから、業務による明らかな過重負荷として、脳・心臓疾患の発 症に近接した時期における負荷の他に、長期間にわたる業務による疲労の蓄積を考慮 すべきであると。最高裁の考え方に従ってこれを考えましょうということにしたわけ です。  その次の3番目に行きまして、業務の過重性の評価は、疲労の蓄積が発症時において 血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、脳・心臓疾患の発症に至らしめ る程度であったかという観点から判断すべきであるという考え方を示したわけです。 これに関しましては報告書本文の86頁から87頁の所にその考え方が示してあります。 86頁の一番下の所ですが、過重負荷と脳・心臓疾患の発症ということから、「過重負 荷」とは、医学経験則に照らして、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をそ の自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷と定義すると いうことにしたわけです。  その次の頁の図5-1ですが、この中において点線で書いてあるのが自然経過により血 管病変が進むというふうに仮定したわけです。今までの短期間の過重負荷はこのハに 当たる所でありまして、それがあるところで急に過重負荷でもって血管病変が著しく 増悪して発症する、これが今までの短期間の発症であると位置付けたわけです。しか し、これからはもう少し長い目で見て、1の点線から始まってイの線が引いてあります が、その間が疲労の蓄積が徐々にたまって、そして自然経過よりも著しく血管病変を 悪化させるというのがこのイの線でありまして、これによって進行していくものであ る。そして、最後はそのまま発症する場合もありますし、たいていの場合はロの近接 した引き金があって発症してくる。こういう過程を考えたわけです。したがって、基 本的には、イとロという線で考えましょうというふうにしたわけです。これが全体的 な考え方です。  それから、先ほどの報告書概要の3番目ですが、発症前6か月間における就労状況を 具体的かつ客観的に考察して行うことが妥当であると判断したのが、報告書本文の108 頁を開いていただきたいのですが、これまでの文献は全部で1万件ぐらい集めて、該当 するものが1,000件ぐらいあったので、それを全部精査いたしまして、その中で異常な 出来事と短期間の過重負荷と長時間の疲労の蓄積でもって発症したと判断した文献の どのぐらいの期間を判断したかというものを全部調べたわけです。  そうしますと、異常な出来事、すなわち、これは今もそうですが、大体、発症直前 から前日までの間の原因というふうにしたいわけです。これを見ますと、大体2時間か ら1日ぐらいの間でその原因があるということでしたので、したがってその発症直前か ら前日までの間を見ればよろしいでしょうというものは現在も正しいと考えてよろし いと判断しました。  短期間の過重負荷ですが、これは今までの基準もそうですが、大体1週間以内のもの を見なさいと書いてあるわけですが、これで見ると、大体、いろいろなストレスがか かって心筋梗塞を起こしてきたという明らかな事例において、大体1週間以内に原因が あったという判断が下されているわけです。したがって、短期間の過重負荷に関しま しても1週間以内を見れば大体いいでしょうと判断したところです。  長期間の疲労の蓄積に関しましても、文献がこれだけありまして、1日の平均労働時 間とかストレスとか、いろいろなものを調べて、そして発症との関係を論じているわ けです。調査期間として1年間というものや24か月というものもありますが、大体、1 か月から半年ぐらいを調べることにより、大体判断できるということが示されている わけです。よって、これでもって大体6か月ぐらいで見ればよろしいでしょうという判 断を下したのがその所です。  次に報告概要の4番目です。具体的には、労働時間、勤務の不規則制、拘束性、交替 制勤務、作業環境などの諸要因の関わりや業務に由来する精神的緊張の要因を総合的 に評価することが妥当であると判断したわけでありまして、これは報告書本文の90頁 に図5-2があります。これはNIOSHが示した職場のストレス負荷要因と脳・心臓疾患の 関連というものでありまして、これの左の一番上に「職場のストレス負荷要因」とい うものがありまして、その中で長時間労働、そしてその他の就労対応で、不規則な勤 務や拘束時間等が挙げてあるわけでありまして、これを全体として見なさいというふ うにしたわけです。  その他、もちろん、ストレス要因には職場外のストレスがあります。日常生活にお けるストレスとか、あるいは個人的な要因でアルコールとか、いろいろ不規則な生活、 その他があります。緩和要因というものもありまして、社会が支持してくれるとか、 家庭が支持してくれるとか、職場での支持があるとか、ストレス対処をきちんと身に つけることによって緩和ができるということ。これが総合的に疲労の蓄積につながっ て脳・心臓疾患を起こすのであるという、これは一種の基本的な考え方で世界的に認 められているものです。この中で、職場におけるストレス負荷要因というものをとり あえず考えなければいけないわけでありまして、その他は別にしまして、その左の上 の中で、長時間労働を基本にして、その他の就労状態も考えましょうとしたところで す。  報告書概要の5番目ですが、まず、労働時間に着目しましょうということで、労働 時間を基本にしたわけです。その具体的な内容は報告書本文の94頁から書いてありま すが、いろいろな文献から脳・心臓疾患の発症と労働時間と残業時間に関する疫学的 な報告を全部集めたところ、これだけありました。これで見る限りにおいて、残念で すが、1日当たりの平均労働時間数が大体10時間とか11時間ぐらいとかで、長い労働時 間から短い労働時間にわたる全体のデータがこれでは疫学的に得られませんでした。 しかも、外国人はこういうことにあまり関心がないようでありまして、ほとんどが日 本人のデータであるということと、先ほど言いましたように、ばらばらで整合性がな いということがあったということですし、当然のことながら、週4時間とその後の過ご し方という調査がいろいろあるわけですが、多くの人は就業後、夜中まで勉強したり 遊んだり酒を飲んだりとか、いろいろしておりまして、睡眠時間が非常に短くなって いる人が非常に多いわけですから、一定のデータが出てこないだろうと考えたわけで す。  したがって、これはあきらめまして、その次の頁からですが、長時間労働が脳・心 臓疾患に影響を及ぼす理由というのが2段目に書いてあります。睡眠時間が不足し疲 労の蓄積が生じることとか、あるいは生活時間の中で休憩とか休息とか余暇時間の時 間が制限されるとか、あるいはここにあるような職務上求められる一定のパフォーマ ンスを保つために努力をしなければいけないとか、その他の負荷要因にばく露する時 間が多くなるということなどがあるけれども、この中で一番重要なのは睡眠時間であ ろうということで、睡眠時間に着目したわけです。  その睡眠時間と脳・心臓疾患の発症に関する報告は96頁の表5-2に挙げてあります。 日本はもちろん、外国でも睡眠時間との関係に非常に皆さん関心を持っておられて、 いくつか報告があるわけです。基本的には、1日の睡眠時間が7時間以上の場合という のはあまり関係ないという、これは全体として通した結論です。次に、6時間から以 下になると少し影響が出てきますよという医学調査が非常に多いようです。  6時間か6時間以下未満というのはかなり意味が違いまして、疫学調査で行う場合に、 6時間以下とか6時間未満というのは、その中に5時間とか4時間というのも全部含めた 集団を対象にしているところですが、それが1つあるということ。それと、これで見る と6時間でどうかということを検討するわけですが、6時間であるとあまり影響がなか ったという報告とか、大体の報告が6時間未満以下でとっておりますから、正確に6時 間で影響がくるという確信は持てませんでした。  しかし、ここに書いてありますように、少なくとも、5時間以下の場合はすべて疫学 的に有意性があるデータが全部出てくるわけです。したがって、基本的には、5時間と か4時間とか、そういったところをとるということを考えたわけです。それでもって、 一応、仮に6時間の睡眠がとれる場合、労働者がどのような働きをするかということを、 多くの調査、日本放送協会の国民生活時間調査とか、その他総務庁の調査と比べてみ ると、1日6時間の睡眠がとれるという場合は、1日の労働時間が8時間を超えて、4時間 程度の時間外労働を行った場合に相当し、これを1か月に直すと、約20倍して、80時間 を超える時間外労働が実際のいろいろなデータで想定されたわけです。  5時間以下となると、ほとんどすべての報告で脳・心臓疾患の発症との関連は有意性 があるということで、5時間程度の睡眠が確保できないというのは、先ほどの総務庁と かNHKの調査によると、1日の労働時間8時間を超えて、5時間程度の時間外労働を行った 場合に相当します。これを1か月にすると、約20倍して100時間ということになるわけ です。したがって、基本的に1か月の時間外労働が80時間、100時間というものをマイル ストーンと考えるべきであろうと考えたわけです。  その次の頁に書いておりますが、今まで外国ではどれだけ睡眠をとるのが一番長生き をするかという調査はかなりたくさんありまして、いまのところ、7時間から8時間とい うのが最も人間にとってよい睡眠時間であると。それ以下でもそれ以上でも死亡率が高 くなるというデータがほとんどでありました。したがって、中間をとって7.5時間で調 べると、これがちょうど45時間の時間外労働に相当するということに一応なるわけです。  こういったような疫学的な調査と実態調査の両方から合わせまして、そして報告書概 要の5にあるように、(1)発症前1か月間に特に著しいと認められる長時間労働、おおむね 100時間を超える時間外労働に継続して従事した場合。(2)として、発症前2か月間ないし 6か月間にわたって著しいと認められる長時間労働、1か月当たりおおむね80時間を超え る時間外労働に継続して従事した場合には、業務と発症との関連性が強いと判断できる、 というように判断をして基準の基にしたわけです。  報告書概要6に、発症前1か月間ないし6か月間において、1か月当たりおおむね45時間 を超える時間外労働が認められない場合には、業務と発症との関連性は弱く、1か月当た りおおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐 々に強まると判断しました。こういう基本的な考え方を疫学調査と実態調査から示した わけです。これが、先ほど述べました認定基準の基本となったということです。  最後の7ですが、脳・心臓疾患の発症には、当然、高血圧、飲酒、喫煙などのリスク ファクターが関与し、多重のリスクファクターを有する者は、発症のリスクが高いこと から、労働者の健康状態を十分把握して、基礎疾患等の程度や業務の過重性を十分検討 して、当該労働者に発症した脳・心臓疾患との関連性について総合的に考える必要があ る。最終的には総合的に判断するという結論に至ったところです。このリスクファクタ ー等については、報告書本文の112頁から詳しく説明して書いてあります。  以上ですが、こういったことから、対象疾病は報告書本文の19頁に、先ほど説明があ りましたように、今までの対象疾病でICD-10によって名前が変わったところを書いたと いうことで、それを対象疾病としたということです。結論といたしましては、長時間労 働と脳・心臓疾患の間には因果関係があり、業務上疾病になり得るという結論を出した ということです。以上でございます。 ○櫻井座長   和田先生、どうもありがとうございました。先生方、ただいまの説明内容について何 か御意見等はありますか。事務局に伺いますが、過重負荷による脳・心臓疾患について、 既に御説明いただいた専門検討会報告書の医学的知見に依拠した認定基準に基づく労災 認定事例が相当数あるわけですが、事務局として何か考えはありますか。 ○柘植中央職業病認定調査官   事務局としましては、この過重負荷による脳・心臓疾患につきましては「脳血管疾患 及び虚血性心疾患等に関する専門検討会」において取りまとめられた、昭和59年5月の 報告書に基づき、当時の本件検討会におきまして「別表第1の2第9号、『その他業務に 起因することの明らかな疾病』に該当することとして取り扱うことが妥当」と判断され ているところです。先ほど和田先生からも御説明がありましたが、平成13年度の検討会 報告書におきましては、業務と過重負荷を原因とする発生機序が示される等、有害因子 と疾病との関係を一般化し得るものと考えられることから、別表第1の2に例示できるの ではないかと考えております。ただ、具体的に別表に規定するに当たりましては、脳・ 心臓疾患が私病増悪型の疾患であることや過重負荷という法令上あまり馴みのない概念 が用いられている等、既存の例示とは若干異なる部分もありますので、技術的な問題も あろうかと考えております。 ○櫻井座長   事務局側の提案の内容を一言で言えば、別表第1の2に例示するという御提案です。技 術的には少し問題があるかもしれないがということで、しかし例示するという方向では どうかという提案ですが、先生方はいかがでしょうか。 ○和田先生   私も全く同じ意見であります。先ほど説明がありましたように、現段階においてはこ の別表1の2第9号「その他業務に起因することの明らかな疾病」というところで、対象 疾病としていろいろ苦労して認めているところでありまして、判断基準は平成13年にで きた認定基準で、業務としてはやっているという形です。しかし、長時間労働による脳 ・心臓疾患の発生が医学的・科学的にも認められるということ。すなわち、因果関係が あるというふうに判断できるということ。しかも、多くの認定が現在もなされていると いうことですね。認定基準も一応あるということでありまして、別表第1の2に例示列挙 するということには賛成です。先ほど少しお話したように、いろいろな留意点はもちろ ん考えなければいけないものでありまして、御承知のように、日本の別表第1の2にあり ますように、その他の業務に起因することが明らかな疾病というのは、外国の業務上疾 病のリストにはありません。これは日本特有なものとされているところでありまして、 しかも、欧米の労災補償疾病はすべて限定列方式として、全部書いてあるわけです。そ れに合うかどうかで判断しているわけですが、長時間労働での心臓疾患という項目はも ちろんありません。したがって、その外国との考え方、あるいは外国との法規を日本の 法律をどう考えるかということも一応は頭の中に入れておかなければいけないというこ とになるかとも思います。これは独自の立場で示して良いと思うのです。  もう1つは、先ほどお話がありましたように、この別表第1の2の中に、今まで1から9 まで類型があるというのは御存知だと思いますが、業務上の負傷とか物理的原因と科学 的原因とか、一応あるわけですが、この類型の3「身体に過度の負荷のかかる作業態様」 という項目があるわけですが、ここでは主に過重な運動、その他負荷によって筋骨系が 異常を来たした場合というように割りと明確な疾患を挙げている状況でありまして、脳 ・心臓疾患をそこに入れるというのは少し難しいのではないかという考え方はあります。 したがって、類型を別にして項目を立てる方が良いのではないかと考えております。過 重負荷要因による脳血管疾患、心血管疾患及び精神疾患というような類型の柱を立てて、 そこできちんと列記した方が良いのではないかと思っております。 ○櫻井座長   いかがでしょうか、何か追加の御意見等はありますか。特にないようです。それでは、 本件につきましては事務局提案のとおり、別表第1の2に例示することが適当である、そ のように考えるということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○櫻井座長   ありがとうございました。では、別表第1の2の例示疾病に追加することが適当である ということにいたします。なお、具体的文言等につきましては報告書をまとめる段階で 改めて検討することといたします。  それでは、次の議題に入ります。「心理的負荷による精神障害について」であります。 先ほど同様に、まず事務局から資料の説明をしていただき、その後、今年の「職場にお ける心理的負荷評価表の見直し等に関する検討会」のメンバーとして報告書を取りまと められました黒木先生及び夏目先生に、精神障害に関する専門検討会報告書の医学的知 見等について御説明いただきたいと思います。では、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○柘植中央職業病認定調査官  事務局から資料2-1「心理的負荷による精神障害について」を御説明いたします。心 理的負荷による精神障害につきましては、これも別表第1の2第9号、「その他業務に起 因することの明らかな疾病」に該当するものとして、平成11年に策定され、また今年の 4月に改正された判断指針に基づきまして業務上外の判断を行っているところです。認 定件数はここ数年、高水準で推移しております。資料には平成16年度から平成20年度ま での過去5年間の件数を挙げております。平成16年度130件、平成17年度127件、平成18 年度205件、平成19年度268件、平成20年度269件と大幅に増加しておりまして、この5年 間の合計は999件に昇っているところです。  続きまして2ですが、「判断指針の概要」について御説明いたします。この判断指針 では、対象疾病につきまして、本判断指針で対象とする疾病は、原則として国際疾病分 類第10回修正(ICD-10)の第V章「精神および行動の障害」に分類される精神障害とする としているところです。  続きまして、「判断要件」ですが、次の(1)、(2)及び(3)のいずれをも満たす精神障 害は労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する疾病として取り扱うこととしてお ります。(1)対象疾病に該当する精神障害を発病していること。(2)対象疾病の発病前お おむね6か月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い 心理的負荷が認められること。(3)業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精 神障害を発病したとは認められないこととなっております。  続きまして、「判断要件の運用」についてです。業務による心理的負荷の強度の評価 に関して申し上げると、当該心理的負荷の原因となった出来事及びその出来事に伴う変 化等について総合的に検討する必要がある。そのため、別表1「職場における心理的負 荷評価表」を指標として用いることとするとしているところです。なお、資料2-2とし てこの判断指針をお付けしているところです。  次の頁ですが、この判断指針の策定に際して行われた「精神障害等の労災認定に係る 専門検討会報告書」の抜粋です。またその次の頁ですが、「職場における心理的負荷表 の見直し等に関する検討会報告書」の抜粋です。報告書それぞれにつきましては資料2- 3及び資料2-4としてお付けしているところです。この報告書の内容と詳細に関しまして は、この後、黒木先生及び夏目先生から御説明をいただくことになっております。簡単 ではありますが、事務局からの説明は以上でございます。 ○櫻井座長   それでは、資料2-3「精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書」、資料2-4「職 場における心理的負荷評価表の見直し等に関する検討会報告書」に関して、まず黒木先 生から御説明をお願いいたします。 ○黒木先生   それでは、私は資料2-3「精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書」を中心に 報告をさせていただきます。まず、この報告書の中で精神障害の対象ということですが、 以前は業務起因性の判断にあたっては器質性、つまり脳が損傷されたことによって起こ る精神障害。それから、内因性、これは脳の中の伝達物質の問題とか脳内の機能的な問 題で起こる精神障害。そして、心因性、心理的なストレスが非常に強い精神障害。こう いった観点からその分類をして、その心因性の精神障害に対して労災認定の対象という ことになっていたわけです。  しかし、現代の精神医学は、これは検討結果の3頁を見ていただくと、ここに現代の 精神医学はいわゆる精神障害の成因に関してはこういった3分類ということでは時代に そぐわないということで、国際疾患分類のICD-10のF0からF9までの全体を精神障害とし て労災認定の対象にするということがここで報告されております。  次に、精神障害の成因ということですが、精神障害の発病には1つの原因で発病する ということはなく、素因、心因や身体因を含めた環境因、ストレスが複数の病因が関与 することによって発症するということが考えられております。では、その発症のメカニ ズムというか、何を中心に考えればいいかということですが、これは基本的には「スト レス−脆弱性理論」というものを根本にして考えるべきであろうという報告がまとめら れております。  つまり、その環境から来るストレスと、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的な 破綻が生じているかどうかということで決まるということであります。つまり、そのス トレスが非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし、逆に、脆 弱性が大きければストレスが小さくても破綻が生ずるというストレス脆弱性理論を基本 に精神障害の発症が起こると精神医学会では認められています。したがって、精神障害 を考える場合に、あらゆる場合にストレスと脆弱性との両方を視野に入れて考えなけれ ばならないということであります。  特に、いわゆるストレスと精神障害の発症に関しては5頁、18頁、19頁、特に18頁に 精神障害の成因の概念図ということで大熊先生の図が載っていますが、この図を見てい ただくと、この心因というのは縦の線ですが、これは心理的なストレスが上に行けば行 くほど強い。それから、身体因、つまり脆弱性ですが、この下の右の方は右に行けば行 くほどこの脆弱性が高いということであります。この斜めの線が発症のラインというこ とになります。つまり、「b」というところで発症した方はその脆弱性は低いけれども 心因が非常に強いために発症したということになります。「d」というところで発症し た方は、脆弱性が非常に高い。したがって、ちょっとしたストレスで発症したというこ とになります。その業務を超えたストレスということに関して考えると、この斜めの線 が上に行けば行くほど業務起因性が高いということになる考え方です。  それから、精神障害の診断ということですが、特に自殺の認定に関しては、ほとんど 受診をされていない、7割ぐらいは受診をされないで遺族から労災請求が上がってくる ということもありますし、精神障害で通院している場合も、主治医の意見書あるいは診 断書、カルテ等を勘案して検討しなければいけないということですが、基本的にはこの ICD-10の国際疾患分類の診断ガイドラインに従って診断をしていくということになりま す。そして、客観的に公平的にこういった診断をするために、今現在、各労働局に地方 労災医員協議会精神障害等専門部会というものが設置されて、3人の精神科医の専門医 がその事案の検討をして、特に、発症の時期と、精神障害のどういう精神疾患に罹って いたかということを検討することになります。  そして、この3人の専門家の合議体によって、この事例はこういう診断、この時期に こういう精神疾患が発症していただろうといったことを検討するということです。これ は複数の専門家の合議体で判断することが非常に重要ということになります。報告書の 中にもこういったことが報告されております。  それから、業務によるストレスの評価ということですが、これをどのように評価する かということですが、これは12頁にその表が書いてあります。これも、労災認定の精神 障害の発症のところで、その業務ストレスをどう評価するかということは非常に重要で すが、まず発症したところから遡って6か月の間に、その業務の出来事、つまり顧客との トラブルとか仕事にミスがあったとか、あるいはノルマが達成できなかったとか、さま ざまなストレスを洗い出します。では、どういうストレスがあるかということに関して は、この心理的負荷表の12頁に書いてあるものを見ると、一般の人はどのようにこの業 務のストレスを感じたかというところから3段階に分かれております。ストレスの強度 「I」というのは最も弱いストレス、強度「II」というのは中等度のストレス、強度 「III」というのは最も強いストレスということで3段階に分かれております。  この強度「III」の所を見てみると、「大きな病気やケガをした」というのは最も強い ストレスですし、「会社にとっての重大な仕事上のミスをした」、「退職を強要された」 というのは最も強いストレスということになっております。中等度のストレスは、責任 を問われたり、ノルマが達成できなかったり、仕事の内容や量が大きく変化したり、長 時間労働が恒常化している、あるいは出向、左遷、配置転換、ハラスメントがあったと いうのはこの当時はこの中等度になっています。しかし、今年の4月の見直しで、ひどい いじめに関しては強度「III」ということで追加されております。あと、部下とのトラブ ルは強度「I」で最も弱いストレスとなっていますが、これは今回の見直しでは中等度 ということになっております。  このように、このストレス評価は業務の出来事の評価を客観的な観点から評価をする ということで報告がされております。そして、最も大事なことは、ただこれを当てはめ るということではなくて、こういうストレスが生じた例えば顧客とのトラブルが生じた り、仕事のミスで業務がうまくいかない、その後に、どのような状況がその職場の中で 発生したかということを考えることが非常に大事であって、本人がその中に巻き込まれ ていって、そして心理的な負荷が非常に強くなって精神障害を発症する、その過程を評 価するということになります。  それから、評価の期間ということですが、これは精神障害が発症したところから遡っ て6か月の間にどのような業務の出来事があったかということを評価するということをお 話しましたが、これは大体6か月以内で評価することが妥当であるということに報告はさ れております。しかし、実務的には、事案によって、6か月あるいは1年遡って評価する ということも起こり得るということです。  それから、当然、ストレスは業務だけのストレスで発症するということではなくて、 そのストレスを和らげる緩衝要因、個人要因、そういったものが複合的に作用して精神 障害を発症するわけですから、業務以外のストレス、家庭内のいろいろなトラブルであ るとか、個体側の本人の性格要因、ストレスの処理能力が非常に低いとか、あるいは過 敏に反応するとか、そういったストレスの個体側の脆弱性を評価することも非常に大事 であるということが報告されております。  それから、自殺に関しては、以前は故意による自殺、つまり自分の意思で自殺をする。 例えば遺書を書いて自殺をする、これは自分の意思で死んだのだから労災としては認め られないということが通常であったわけですが、ここのところが、精神障害によって正 常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制 力が著しく阻害されている状態で行われた場合には、故意によるものではないというこ とで労災認定の対象ということになっているわけです。以上、簡単ではございますが、 私からの報告とさせていただきます。 ○櫻井座長  黒木先生、どうもありがとうございました。続きまして夏目先生、御説明をお願いい たします。 ○夏目先生  では、説明させていただきます。まず、先ほど黒木先生からの御説明がありました平 成11年報告書の12頁と13頁を御覧下さい。身体疾患が専門の先生方はちょっとピンとこ ないかもわかりませんが、ストレスの強度の判断方法というのはいろいろな方法がある のですが、労災認定の場合に使っている方法としてはライフイベント法、言い換えます と、生活上の出来事をどの程度にストレス評価するかという方法であります。結婚によ るストレスを仮に50として、いろいろなストレスに対して何点かというのを採点しまし て、その平均点をとっていくというような形を中心に定められたと思います。そこで、 先ほど御紹介がありましたように、ストレス強度「III」は人生に希にしか起こらない強 いものであり、ストレス強度「I」は身近なことでそれほど問題にならないものである というような観点で作成されたと思っています。  確かに、労災事案は個別案件ですから、個別案件をどのように考えるかという場合は その出来事を修正する視点という、この(2)にある「直面した出来事を評価する視点」 という視点がありますが、例えばここの「会社にとっての重大な仕事上のミスをした」 という出来事がストレスの強度でいくと「III」という非常に強いストレスになるわけで す。では、重大な仕事上のミスをしたというものの判断基準ですが、個別案件に当ては めると、失敗の大きさ・重大性、どの程度の損害を被った、あるいはそのペナルティの 有無、このようなものを勘案して、それほど失敗が大きくなく、あるいは損害の程度が 少なければ「II」になる、あるいはもっと些細なミスであれば「I」に修正されるとい うような形で出来事の直面したものに対して当てはめていきます。  そして(3)「(1)の出来事に伴う変化を評価する視点」については、特に出来事に対し て、職場がどのように対応したかというのが非常に重要な観点になっていますので、こ この(3)を見ると、「会社の講じた支援の具体的内容・実施時期等」などがあります。 だから、そういうようなことがあったときに会社がそれに対して気づいたか。気づいた 場合、それに対して適切な対処をしたかどうか。あるいは、労働時間とか仕事の量を減 らしたとかいう辺りを見ていくのが、この(3)の出来事に伴う変化を評価する視点とい うところです。  この(1)と(2)と(3)を総合的に勘案したものが別表1にある総合評価。総合評価は一番 最後の決め手になるわけですが、総合評価は「弱」なのか、「中」なのか、「強」なの かというところで最終判定をする。だから、いきなり総合評価をするわけではなくて、 まず起きた出来事に対するストレスの強度を修正して、その後、当該出来事後の変化に 伴って職場あるいは周りがどう対応したかという面を加えて、最終的な総合評価に至る という点を御理解いただけたらいいのではないかと思います。  なお、資料2-3の4頁を見ていただきたいのですが、ここでICD-10に基づく診断名が書 かれています。検討会報告書が出来たのが10年前であることから、ここに「精神分裂病、 分裂病型障害および妄想性障害」とありますが、「精神分裂病」は良くない言葉なので、 「統合失調症」に全部統一されております。  続きまして、今年4月に判断指針が一部改正されましたので、その改正の内容について 御説明させていただきたいと思います。資料2-4「職場における心理的負荷評価表の見直 し等に関する検討会報告書」、16頁を御覧下さい。今回の改正がどのような手順で行わ れたかというと、先ほどの和田先生の報告にもありましたように、いろいろな文献ある いは調査研究が非常に重要なものです。平成14年度及び平成18年度の2回に全国にわたる 大がかりな調査を行いました。ちなみに私が主任研究員として、黒木先生を含め多くの 先生方の協力をしていただきまして委託研究を行いました。平成14年度の場合は「スト レス評価表の充実強化に関する研究」ということで、専門家30名を集めまして、全国の7 社、2,700名ぐらいの方々の調査を行いました。これで1つ調査報告書を出しております。 ここで、例えばストレスの強度は「嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」が最も強い ストレッサーであり、3.11の強度を示したと。こういうようなものが入っております。こ こにあるような内容が今回の改正に活用されたと思います。  続いてその下を見てください。平成18年度委託研究「精神障害を引き起こすストレス調 査に関する研究」を行いました。これは17名の専門家の先生方に協力をしていただきまし て、37項目に関しまして3,800名ぐらいの方々を対象に11段階評価の点数をつけていくわ けです。最高が10.0、最低が0になるのですが、それを実施しました。その結果、「会社 が倒産した」が6.5で最も強いのですが、「上司から強度の叱責を受けた」、「職場で嫌 がらせ、いじめを受けた」という辺りが非常に高い点数となりました。  続いて9頁の、いまの2つの研究成果を中心に新しく項目を追加しました。現行に「新規 追加」と書いたのが改正の項目です。例えば「違法行為を強要された」、「自分の関係す る仕事で多額の損失を出した」、「顧客や取引先から無理な注文を受けた」、「達成困難 なノルマが課された」等、全部で12項目の追加があります。  次の10頁では、例えばリストラがありますから、「早期退職制度の対象になった」と、 これはよくあるということでストレス強度は「I」です。ここの追加の中で一番インパク トがあると思われるのは「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」です。これはい ずれも2つの調査研究から判明した項目であり、これが今回ストレス強度「III」となって おります。この12項目が追加されたのが今回の改正の1つの内容です。  次に11頁は、個別案件に照らし、心理的負荷の強度を修正する際の着眼事項の内容を少 変えております。新規に追加された項目については、いろいろな形で「違法行為を強要さ れた」というような場合に、その着眼事項として、「行為の内容、強要に対する諾否の自 由の有無、強要の程度、社会的影響の大きさ、ペナルティの有無等」、非常に詳細にわた ってそれを判断するという基準を明確に示しておくことによって、客観性、公平性が保た れるのではないかということを強調したいと思います。これは次の12頁から13頁にわたり その項目が書かれています。  先ほどの9頁の「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を御覧下さい。これに は「ひどい」が入っていますから、単なる嫌がらせや、いじめ、暴行は必ずしも該当しな いこと。「ひどい」というのが入っているのを注目していただくことが1点と、それから 改正後の着眼の視点でいくと、嫌がらせ、いじめ、暴行の内容の程度を詳細に検討し、そ の心理的負荷の強度が「III」なのか「II」なのか「I」なのかを決めることになります。  次に14頁の「出来事に伴う変化等を検討する視点」の見直しについてです。出来事が特 定された後、職場あるいは周りがどのような対応を取ったかという辺りが、メンタルヘル スの上において非常に重要な観点であることから、詳しく項目ごとの内容を検討し、着眼 事項が例示されたということです。特に問題になります下段の「会社の講じた支援の具体 的内容・実施時期等」において、従来は訴えに対する対処、配慮の状況等という、割りと 抽象的な言葉であったのが、今回の改正でどのように変わったかと言うと、「職場の支援 ・協力等の欠如の状況」において、訴えに対する対処、配慮の欠如の状況などをしっかり 見て欲しい。上記の視点に関わる調査結果を踏まえ、客観的に見て、問題への対処が適切 になされていたかどうかを判断する。具体的にこういうような形で判断して欲しいという のを今回の視点の見直しの中で入れています。だから従来抽象的になりがちだった面もあ ったところを、例示を入れて具体的に、実際的に判断しやすいようにしたというのが改正 の1つのポイントです。  次の15頁は、職場以外の個人側の出来事についても検討したところ、いま、高齢の親に 対する介護が非常に大きな問題になっています、それを踏まえ、「親が重い病気やケガを した」という出来事を中程度の心理負荷という形で今回追加されています。  これが今回の追加点の大きなまとめになりますが、それとともに、2点補足させていた だきますと、1点目は先ほど黒木先生の御報告にもありましたように、まず判断指針が準 拠している「ストレス−脆弱性理論」は非常に妥当なものであり、広く普及して周知され 、有用であるということを確認しました。  2点目は、心理的負荷による従来の判断指針が非常に客観性があるということと、医学 的妥当性があるということを再度確認した、という2点を補足したいと思います。以上で す。 ○櫻井座長   夏目先生、どうもありがとうございました。大変詳細な御説明をいただきました。先生 方、何か御意見等ございますか。 ○堀田先生   少し表現に統一性が欠けています。例えば9頁の「重度の病気やケガをした」とありま す。しかし今度は15頁の、「親が重い病気やケガをした」とか、重いと重度いうことの表 現が違うのですね。これは何か。  それからもう1つ、同じ改正でも、例えば13頁のところで対人関係のトラブルで改正後 の欄は「嫌がらせ、いじめ」、わざわざ「ひどい」という言葉を消しているのですが、た しか別の頁ではわざわざ「ひどい」という言葉を使っていますが。何か改正の前後での統 一性がないようなところがありました。 ○櫻井座長   御指摘されてみるとそうかなという感じもしますが、どうでしょうか。 ○堀田先生   13頁のところですね。わざわざ新規改正で「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」とあります。ところが先ほど言ったところでは「ひどい」をわざわざ省いて「嫌がら せ」ということで、ちょっと表現に統一性がないというのはどうですか。 ○夏目先生   13頁の場合は「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」がIIIで、追加していま す。 ○堀田先生   「ひどい」という言葉をわざわざ省いていますよね。 ○夏目先生   13頁の改正後の欄は「嫌がらせ」の程度を説明するために、いやがらせ全体を指してと いう説明にしたのではないかと思います。 ○堀田先生   10頁とはちょっと表現が違うのですね。10頁の場合はわざわざ「ひどい」という言葉を 言われているのです。 ○櫻井座長   事務局の方で、御説明をお願いします。 ○堀田先生   改正前と改正後で表現に統一性がないです。 ○田中補償課長   この表の見方ですけれども、「ひどい嫌がらせ」というものを平均的な心理負荷の強度 の欄について新しく追加したわけです。この追加したものがそのまま対応するのですが、 13頁(1)の(6)対人関係のトラブル、そこで「ひどい嫌がらせ」、これは今回新しく付け 加えた表現です。それは(2)のところで「心理的負荷の強度を修正する視点」というこ とを新しく付け加えた項目ですので、これも新しく規定しないといけないということで、 そこで御指摘の「嫌がらせ、いじめ、暴行の内容、程度等」というもの、ここも合わせて 今回新しく付け加えたわけです。「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という ものを負荷強度IIIということで平均的なストレスと考えますけれども、ただ「ひどい」と 言ってもその嫌がらせとかいじめ、暴行の内容は様々ですので、個別具体的な程度を勘案 して修正するという段階を踏むという意味で、この「ひどい」というものが(2)の表現 からは除かれているというふうに理解をしていただければありがたいと思います。 ○堀田先生   10頁では同じ強度IIIでも「ひどい」という言葉を使っていますね。 ○田中補償課長   10頁(1)の平均的な心理的負荷の強度というのを現行ではないものを新しく改正で付 け加えたものです。この「ひどい」というものは13頁(1)の「ひどい嫌がらせ、いじめ 」、これは全く同じ部分です。対応しておりますので、これをそのまま写してきているの です。実際の表は元々の資料2-3の12頁にありますように、(1)(2)(3)という形で対応させ ております。部分的に切り取って書かせていただいていますので、ちょっと見にくいとは 思いますけれども、「ひどい」というのは10頁の「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を 受けた」という部分をそのままコピーして13頁の左に載せているだけなので、そういうふ うに繋げて見ていただけたらありがたいと思います。 ○黒木先生   「いじめ」というのはなかなか表面的に出てこないこともありますし、具体的に、いじ めの案件が出てきたときに、どういうふうに我々が評価するかということが重要となりま す。そうすると例えば具体的にどういうことをやられたか、それが1週間に1回あったのか 、時間的にもどのくらいのことをやられたのか、それが連続して何回も何回もやられたの か、そういうことの視点ということで、この「修正する際の着眼事項」が書いてあるとい うことだと思います。 ○山口職業病認定対策室長補佐   先ほど夏目先生に御説明をいただいた資料2-4は報告書ですが、この報告を受けて私ど もの判断指針の改正をしたわけです。その改正した中身が資料2-2です。その一番最後の ところに新たな心理的負荷評価表をお付けしています。ここの中で先ほどおっしゃられた 対人関係のトラブルの出来事ですが、「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」と いうふうな規定をしております。それを修正する視点で、その中身について書いていると いうことです。 ○柳澤先生   精神障害の労災認定の基本的な考え方に関わるかもしれませんが、資料2-3の18、19頁 のところで、「ストレス−脆弱性理論」ということで理解するというのは、これは大変よ くわかるのですが、労災という視点から見ますと、ストレスということが重視され、それ が資料2-4の心理的負荷評価表の詳しい評価にも現われていると思いますが、実際にその 対象者が精神障害を生じたということであれば、それは精神障害がどのような性質である 、かつ重症度であるかということが1つ前面に出てくるわけです。そうしますとそこにス トレスと本来持っている身体的素因とか、あるいは他の素因とかというものが加わったと きに、労災としての認定が精神的障害の重症度そのものに応じて認定されるか、それとも そこに発症の要因としての労働条件といいますか、ストレスというか、そういうものも加 味して判定されるのか、その辺について教えていただけますか。 ○黒木先生   精神障害の労災認定においては、あくまでもストレスがどう関係したか、特に業務に起 因するストレスが発症にどう関係したかという視点から考えるということになるので、例 えば業務に起因するストレスはそれほどひどくないということであれば、それは当然業務 外ということになりますし、ではどのくらいのストレスが関係したか。これも非常に難し いわけですけれども、いろいろ精神科医の、特に日本精神神経学会という1万4千人ぐらい いる精神科医の集まりがあるのですが、その中で無作為に2,700名にアンケート調査を取 ったことがあります。因果関係をどう考えるかということですけども、ストレスがどの程 度関係していれば、因果関係があると考えているかについて、だいたい6割以上、ストレ スが発症要因に関係していれば因果関係はあるというふうに考えていいのではないかとい う見解でした。 ○柳澤先生   それは理解できましたが、労災という点から離れますけれども、精神科の領域では例え ば統合失調症のような、いわゆる内因性の精神病と言われていたような方たちについても ソシアルインクルージョンという形で、実際の社会の中でどうやって生活をしていってい ただくかということを非常に推進するという動きがございます。そうしますと労災の場合 にも当然のことながら、労災認定がされたあとのフォローアップということが非常に大事 だと思いますけれども、それについて現在は十分に行われているのでしょうか。ちょっと この検討会の趣旨と離れるかも知れませんけれど。 ○黒木先生   それはまた入口の段階で認定され、それから治癒という、いわゆる症状固定ということ になったときに、フォローをどうするかということですけど、その症状固定になった事例 が例えばどの程度あって、どういうふうになっているかということがまだよく私も把握し ていませんが、事務局の方では何か把握されているのでしょうか。 ○渡辺職業病認定対策室長  制度的には、これ以上治療しても改善の余地が見込まれないという状態となり、それで もまだ症状が残っている場合には後遺障害という位置付けにしまして、障害補償給付がで きることになっております。それからアフターケアということでその後の治療に対しても 、定期的な診療については給付できるようなものもございます。 ○黒木先生   いまの御質問は治癒というか、どの程度治っているのか、その辺の問題ですよね。 ○柳澤先生   アフターケアの検討会には私も参加しましたけれども、精神科のアフターケアがかなり 難しいという印象を受けたものですから、それが実際にこういったこととの関係で、どの 程度行われているかということです。 ○黒木先生   確かに基本的に精神障害になって、それから自立を促し、社会に戻すというのが基本的 な考え方だと思うので、そうすると症状固定というところが、これは自殺は別として、主 治医とか、あるいは本人も病状が消えないとか、ということもありますし、どう自立を促 していくかというのは今後の課題ではないかと思っています。 ○夏目先生   柳澤先生の御質問は非常にポイントですけれども、労災の認定の場合に脆弱性とストレ スを考えたというのは、脆弱性自体が現在内科のようにいろいろな形で測定できないとい う観点が一番大きいと思うのです。いろいろな説はありますが、いわゆる妥当性という意 味で認められた測定方法は現在ないわけです。どうしてもストレスからいかざるを得ない という現状があると思うのです。その場合にストレスを見るのだったら、業務上のものと 業務以外の個人的なものと分けてどちらが強いかという、相対性の中で検討していくとい う形になるからこういうものになったと思います。 ○櫻井座長   その他に何かございますか。 ○工藤先生   この表ですが、総合評価を下に書いてありますが、個々の項目のストレス強度「I」、 「II」、「III」についてはある程度定量化されて、それを合計して単純に評価するのでは なくて、この「I」、「II」、「III」を見ながら全体を勘案して総合評価として「弱」、 「中」、「強」というふうに分けられるのか、その辺のプロセスはどうなっていますか。 ○黒木先生   実際の実務表ということですね。出来事があって6か月間の間にこの出来事があったと 、それがこの評価表によると中等度のストレスであったと、その後に何が起こったかとい うことは、やはり検討しなければいけないですし、出来事の数だけで評価するというもの ではなくて、その出来事がその後にどういうふうに本人を巻き込んでいったのかというこ とを含めて、ストレスの強度を判定していくということだと思います。だからストレス 「II」があっても、その後に長時間労働が恒常的に続いていたというと、これは「III」に 入るかどうかをまた検討しなければいけないということで、あくまでも個別判断というこ とで検討しているというのが実状だと思います。 ○工藤先生   はい、わかりました。 ○櫻井座長   他に何かございますか。御質問等、だいたい出たようですが、この心理的負荷による精 神障害について、既に御説明いただきました、専門検討会報告書の医学的知見に依拠した 判断指針に基づく労災認定事例、相当数があるわけです。事務局として何か考えがありま したら伺いたいと思います。 ○柘植中央職業病認定調査官   事務局としましては、この心理的負荷による精神障害について、先ほど御説明いただき ましたように、平成11年度の検討会報告書におきましては、精神障害の発生機序が示され ますとともに、原因となる業務によるストレスの強さも示される等、有害因子と疾病との 関係を一般化し得るものと考えられることから、別表第1の2に例示できるのではないかと 考えております。ただ、先ほどの脳・心臓疾患の場合と同様、規定するに当たり、また技 術的な問題はあると考えております。 ○櫻井座長   別表第1の2に例示するという事務局の提案です。先生の方々、いかがでしょうか。よろ しいでしょうか。黒木先生、よろしいですか。 ○黒木先生   はい。 ○櫻井座長   夏目先生、よろしいでしょうか。 ○夏目先生   はい。 ○櫻井座長   御異議がないようですので、本件につきましては、事務局の提案のとおり、心理的負荷 による精神障害について別表第1の2に例示することが適当であると考えるということでよ ろしいですか。                  (異議なし) ○櫻井座長   ありがとうございます。では別表第1の2の例示疾病に追加することが適当であるという ことにいたします。なお、具体的文言等について、報告書をまとめる段階で改めて検討す ることにいたします。  以上でこの検討会で検討すべき事項、今日のところは終了したかと思いますが、何か全 体を通じての御質問、御意見等、ございますでしょうか。 ○奥平先生   心理的負荷による精神障害で、ストレスの評価について非常に細かな評価表が出てきて おりますが、従来から脳・心疾患の発症、特に血管病変等の進行についてはストレス、あ るいは疲労というものがかなり重要な関わりがあるであろうということは指摘されていた わけですね。疲労につきましては、平成13年の和田先生が座長のときの専門検討会で、疲 労と睡眠時間という観点から疲労についてはかなり定量的に近い形で検討・処理されたと 思いますけれども、脳・心疾患におけるストレスというものは当時から判断するスケール がないということで見送られたと言いますかそういう状態にあると思うのですが、今後、 脳・心疾患についても、このストレスのことについては、精神疾患、精神障害に準じて考 えるようにするのか、あるいは疾病が違うから別な扱いとするのか、御検討いただいた方 がいいと思います。 ○櫻井座長   私も同じようなことを感じておりましたが、何か先生方、御意見ございますか。 ○夏目先生   先ほど出たストレス評価表がすべて使えるかどうかわかりませんけれども、やはりある 程度何か制度化ができるものがあればそれを使った方が客観性を確保し、説明責任を果た しやすいのではないかと、ストレスを研究する立場としては、まだまだ非常に難しい点は ありますけれども、検討していただけたらと思ったりはします。 ○櫻井座長   他に何かございますでしょうか。 ○和田先生   脳・心臓疾患とかの場合に、ストレスというのがいつも問題になるわけですが、残念な がら定量性がなかなかないということ。そのストレスが位をつけてII、IIIとして、それと 本当に血管病変とか、どの程度の関連があるかということは全く方法もないし、わからな いわけですから、すべて頭の中で判断するという形にどうしてもならざるを得ないという ことで、明確な時間を取ったということになったわけです。明らかにこれだけのストレス により血管病変が進んで心臓疾患が発症するというデータがあれば、それは非常にいいこ とだと思いますが、残念ながらないと思いますので、非常に難しい問題だと思います。 ○櫻井座長   今後そういったデータが出てくれば検討も進み得るわけですね。他に何かございます か。特にないようでしたら、今日の検討会はこれで終了としたいと思います。今日の2疾 病を含めまして、本検討会の検討事項のすべてについて、いままで4回の検討会により、 おおむね方向性が決定されました。検討会としての正式な結論は、「検討会報告書」と して取りまとめることになっておりますので、これまでの検討を踏まえ、次回に検討会 報告書(案)を提出して、御議論をいただくことになろうかと思います。なお、検討会 報告書(案)につきましては、座長に一任させていただきまして、事務局と協議の上、 取りまとめることとさせていただいてよろしいですか。                  (異議なし) ○櫻井座長   ありがとうございます。それではそのようにさせていただきたいと思います。事務局か ら次回の日程を含めて、何かございますか。 ○山口職業病認定対策室長補佐   次回検討会におきまして、本検討会としての報告書(案)について御議論いただきます ようお願いいたします。なお、報告書(案)につきましては、各先生に事前にお考えをお 伺いして、座長と協議をさせていただいた上で、事務局で取りまとめたものを、次回検討 会に報告させていただきたいと考えております。  次回の検討会の日程は、既に事前調整をさせていただきまして、12月3日(木)、午前 10時からとなります。後日改めて正式な通知をいたしますのでよろしくお願いいたします。 ○櫻井座長   次回はこれが最終になろうかと思いますが、「労働基準法施行規則第35条専門検討会報 告書(案)」についての検討を行うことといたします。本日はお忙しい中、御出席いただ きまして誠にありがとうございました。                      照会先                      厚生労働省労働基準局労災補償部補償課                      職業病認定対策室職業病認定業務第一係                      〒100-8916東京都千代田区霞が関1-2-2                      電話   03-5253-1111(内線5570)                      FAX  03-3502-6488