09/10/21 平成21年10月21日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年10月21日(水) 16:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(11名)五十音順    飯 沼 雅 朗、○内 海 英 雄、 清 水 秀 行、 千 葉   勉、    手 島 玲 子、○永 井 良 三、 成 冨 博 章、 野 田 光 彦、    檜 山 行 雄、◎松 井   陽、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人1名   欠席委員(8名)    大 石 了 三、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 西 澤   理、    林   邦 彦、 古 川   漸、 村 田 美 穂、 山 本 一 彦 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    成 田 昌 稔(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻を過ぎましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会医薬品第一 部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中ご参集いただきまして、ありがとう ございます。現在のところ、当部会の委員数19名のうち10名の委員に御出席いただいて おりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。大石委員、加藤委員、 佐藤委員、西澤委員、林委員、古川委員、村田委員、山本委員より御欠席との御連絡をい ただいております。また、清水委員は1時間半ほど遅れて見えるという御連絡をいただい ております。  本日の議事の最後に、「その他」として「小児薬物療法検討会議」に関する御説明をい ただくとともに、国立成育医療センター治験管理室長の中村秀文先生に参考人として御出 席いただくことにしております。  それでは、松井部会長、御進行をよろしくお願いします。 ○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から配付資料の確認と審議事項 に関する「競合品目・競合企業リスト」について御説明をお願いします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当 部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載のある資料1〜13までをあらかじ めお送りしております。このほか、当日配付資料として資料14「医薬品第一部会審議品 目の薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物 由来製品の要否について(案)」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合 企業リスト」を配付しております。  続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御報告し ます。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。資料16を御覧ください。 1ページ目、審議議題1「ブリディオン」です。本剤は非脱分極性筋弛緩剤であるロクロ ニウム臭化物等の筋弛緩状態からの回復を効能・効果としているもので、これと類似の効 能であります「非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗」を効能として国内承認されていますの は、ネオスチグミンメチル硫酸塩及びネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩水 和物との配合剤です。以上のことから、この2剤を競合品目として記載しております。  2ページ目を御覧ください。審議議題2「ビ・シフロール錠」です。本申請品目の効能 ・効果は「特発性レストレスレッグス症候群」です。現在のところ、我が国においてレス トレスレッグス症候群を適応とする薬剤は承認されておりませんが、公表されている臨床 試験情報をもとに本申請品目と同様の効能・効果で開発中でありますこの3品目を競合品 目として選定したということです。  続きまして、議題3「アロキシ」についてです。本剤は「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化 器症状」を効能・効果としているもので、作用機序としては選択的な新規の5-HT3受容 体拮抗薬です。競合品目としましては、これと同様の効能・効果、作用機序を有する5- HT3受容体拮抗薬のうち、売上げの高い上位3品目であるこの3品目を選定したという ことです。  4ページ目を御覧ください。議題4「メトグルコ錠」です。本剤は、ビグアナイド系の メトホルミン塩酸塩を有効成分とする2型糖尿病の経口剤です。本剤と同様のビグアナイ ド系薬剤のうち売上げが高かった3品目としまして、「メデット錠」「グリコラン錠」「ネ ルビス錠」を挙げております。なお、「メルビン錠」というものもありますが、これにつ きましては申請者が開発している製品ですので除外されているということです。  5ページ目を御覧ください。議題5「ヒュミラ」です。本剤は、ヒト型抗ヒトTNFα モノクローナル抗体であり、「尋常性乾癬及び関節症性乾癬」を予定される効能・効果と しているものです。よって、本申請品目の効能・効果及び薬理作用等から見た競合品目の 候補として、「レミケード」「ネオーラル」「サンディミュン」等が挙げられております が、本申請品目の特徴であるいわゆる生物学的製剤という点を考慮しまして、競合品目は こちらに記載のあります「レミケード」及び「ウステキヌマブ」としたということです。 なお、「ネオーラル」「サンディミュン」「チガソン」など、全身療法で効果不十分な場 合は投与する医薬品ですので、これらについては競合品目としなかったということです。  6ページ目を御覧ください。審議議題6「ジクロフェナクナトリウムテープ15mg『ユ ートク』ほか」です。本申請品目であります鎮痛・消炎効果を持つ有効成分ジクロフェナ クナトリウムを含有する貼布剤ですが、本剤と同一の有効成分、効能・効果、用法・用量 を持つ製品のうち売上高の上位3品目として、こちらにある3品目を挙げたということで す。なお、本議題につきまして、事前に先生方にお送りしているリストの中には「ノバル ティスファーマ株式会社」を記載しておりましたが、こちらについては販売業者であり、 製造販売業者ではないことから、この競合企業リストの対象ではないということでしたの で、審議及び議決不参加の基準には該当しないということを御報告させていただきます。 以上でございます。 ○松井部会長 ただ今の御説明について御意見等ございますか。よろしいですか。ないよ うですので、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」については委員の 皆様の御了解を得たものといたします。  それでは、委員からの申出状況について御報告ください。 ○事務局 各委員の申出状況について御報告します。議題1「ブリディオン」につきまし ては、退室委員は千葉委員、議決には参加しない委員は永井委員です。議題2「ビ・シフ ロール」につきましては、退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は内 海委員、千葉委員、永井委員、成冨委員、本橋委員です。議題3「アロキシ」につきまし ては、退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は千葉委員、永井委員、 成冨委員、本橋委員です。議題4「メトグルコ」につきましては、退室委員はいらっしゃ いません。議決には参加しない委員は野田委員、本橋委員です。議題5「ヒュミラ」につ きましては、退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は清水委員、千葉 委員、成冨委員です。議題6「ジクロフェナクナトリウム製剤の劇薬指定の要否」につき ましては、退室委員、議決には参加しない委員ともにいらっしゃいません。議題7「ロキ ソプロフェンの劇薬指定の要否」につきましては、本議題は個別の医薬品に関する審議で はありませんので、すべての委員が審議及び議決に加わることができますことを御報告し ます。  なお、定足数の関係により、議事進行の順番を変更させていただきます。具体的には、 審議議題1「ブリディオン」につきましては報告議題5、報告事項の一番最後の後にさせ ていただきたいと思います。以上です。よろしくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございます。本日は審議事項が7議題、報告事項が5議題、そ の他が1議題と大変混み合っております。適切な進行に御協力をいただければ幸いです。  早速、議題2「ビ・シフロール錠0.125mg等の製造販売承認事項について」、医薬品医 療機器総合機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題2、資料2「医薬品ビ・シフロール錠0.125mg及び同錠0.5mgの製造販売承 認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構よ り御説明します。  本剤の有効成分であるプラミペキソール塩酸塩水和物は、非麦角アルカロイド系ドパミ ン受容体作動薬であり、本邦では2003年10月にパーキンソン病に対する効能・効果で承 認されております。今般、「中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静 止不能症候群)」に関する有効性及び安全性が確認されたとして、承認事項一部変更申請 が行われたものです。  審査報告書3ページ下から9行目を御覧ください。本申請効能でありますレストレスレ ッグス症候群とは、不快な下肢の異常感覚のために脚を動かしたいという強い欲求が存在 し、少なくとも脚を動かしている間は症状が改善しますが、その症状は安静時、夕方から 夜間にかけて増悪するために、睡眠障害が生じる症候群です。なお、海外では2009年6 月現在パーキンソン病で89か国、レストレスレッグス症候群で73か国で承認されている ものです。本申請の専門委員として、資料15に記裁されております5名の委員を指名し ました。  審査内容について説明させていただきます。まず有効性についてですが、審査報告書9 ページ上の表を御覧ください。中等度から重度の特発性レストレスレッグス症候群患者を 対象とした第III相試験を実施し、本剤の各用量群ともにレストレスレッグス症候群の重症 度スケール(以下、IRLS)において、最終評価時におけるベースラインからの変化量は -11.8〜-12.5ということで、IRLS合計スコアのベースラインからの変化量があらか じめ設定された値である10以上の減少を示したということから、本剤の有効性は示され たと判断しております。  また、審査報告書23ページ上から6行目以降を御覧ください。本剤の用法・用量は、 臨床試験において0.25mg以上の用量で改善が認められ、一部の患者では0.75mgまでの増 量が必要と考えられたこと、有害事象発現率は0.75mg投与時に増加しているものの、ほ とんどが軽度または中等度であり、臨床的に問題となるような事象はないと考えられたこ となどを踏まえて、0.25mgを通常の維持用量とし、1日の最大用量として0.75mgを設定 することが適切と判断しております。  続きまして、安全性についてですが、審査報告書32ページの表を御覧ください。本剤 の添付文書において、突発的睡眠が発現することが「警告」の項で記載されております。 当該事象の発現状況をパーキンソン病とレストレスレッグス症候群で比較した結果、発現 率はパーキンソン病を上回ることがなかったということが示されておりますので、現状の 注意喚起を引き続き行うことで特に問題はないと考えております。また、審査報告書同ペ ージの下から4行目を御覧ください。ドパミン作動薬の長期投与により、通常のレストレ スレッグス症候群の発現時間より2時間以上早い時間にこの症状が認められる 「Augmentation」という事象が発現することが報告されております。国内の第III相試験で 2.6%、154例中4例認められており、本剤の増量、減量又は投与継続により消失すると いうことが分かっております。  以上を踏まえ、資料1.8の添付文書(案)の2ページの「重要な基本的注意」の項を御覧 ください。Augmentationにつきましては、「重要な基本的注意」の(6)において、当該 事象が認められた場合には、減量または投与を中止するなどの適切な処置を行うよう注意 喚起をしているところです。なお、これらの事象につきましては、製造販売後調査におい て引き続き検討することとしております。また、本剤の承認後には、適正使用を推進する ためにレストレスレッグス症候群の疾患概念、診断基準及び薬物治療等に関する内容を記 載した資材を作成し、医師及び患者等に配付する予定としております。  なお、事前に清水委員よりもコメントをいただいており、「本剤の突発的睡眠及び Augmentationについて、ホームページ等を活用した講習を実施することで医療関係者に 広く伝達できるのではないか」との御意見をいただいております。本件につきましては、 本剤の適正使用を推進するための方策として、医療従事者及び患者向けのWebサイトを 開設することとしておりますので、その中でこれらの事項に対する注意喚起も行うことを 予定しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適当と判断しました。本効能に係る再審査期間は4年とすることが適 切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろ しく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いしま す。いかがでしょうか。特段の御質問、疑問点などありませんか。よろしいでしょうか。 御意見、御質問がないようですので、議決に入ります。なお、内海委員、千葉委員、永井 委員、成冨委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議 決への参加は御遠慮いただきたいと思います。  本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異論が ないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。  それでは、議題3に入ります。医薬品医療機器総合機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題3、資料3-1及び3-2「医薬品アロキシ静注0.75mgの生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇 薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  がん化学療法においては、シスプラチン等の抗悪性腫瘍薬投予により、悪心・嘔吐が発 現しますが、高度の悪心・嘔吐については、がん化学療法の継続を断念させる原因の一つ となっております。現在、抗悪性腫瘍薬投与時の悪心・嘔吐を抑制するための標準療法と して、5-HT3受容体拮抗薬とステロイドの併用投与が行われていますが、特にがん化学 療法開始後24時間以降の遅発期に認められる悪心・嘔吐については、これらの制吐療法 でも十分にコントロールできているとは言い難く、臨床上問題となっております。  本薬の有効成分であるパロノセトロン塩酸塩は、新規のセロトニン受容体拮抗薬であ り、ヒトにおける血漿中濃度の消失半減期が約40時間と、既存のセロトニン受容体拮抗 薬と比較して長いことから、本薬を単回投与することで長時間にわたる効果が期待され、 開発に至っております。  海外の承認状況ですが、本薬はパロノセトロンとして0.25mgの用量で、米国では2003 年7月に、欧州では2005年3月に、がん化学療法に伴う悪心・嘔吐に対する適応で承認 されており、2009年8月現在、世界52か国で承認されております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示すような専門委員が指名されておりま す。ここに記載した委員のほか、記載の漏れていたところがありまして、4名の先生が指 名されております。香川大学の今井田克己先生、衛研の川西徹先生、衛研の高木篤也先生、 同じく衛研の能美健彦先生が指名されております。  以下、本薬の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。 主な臨床試験成績としては、国内第II相試験2試験及び国内第III相試験2試験の成績が提 出されております。有効性に関してですが、報告書49ページの表38を御覧ください。シ スプラチン等、強い悪心・嘔吐が生じる抗悪性腫瘍薬を投与する患者に、デキサメタゾン 併用下で本薬またはグラニセトロン塩酸塩を1回静脈内投与した国内第III相比較臨床試 験において、主要評価項目である「抗悪性腫瘍薬投与開始後24時間のComplete Response(悪心・嘔吐なし、救済治療なし)率」について、本薬群のグラニセトロン群に対 する非劣性が検証されたこと、また、もう一つの主要評価項目である「抗悪性腫瘍薬投与 開始後24〜120時間までのComplete Response率」について、本薬群のグラニセトロン群 に対する優越性が検証されたことから、シスプラチン等の強い悪心・嘔吐を誘発する抗悪 性腫瘍薬投与時の悪心・嘔吐に対する本薬の有効性は示されていると判断しました。  安全性に関してですが、報告書45ページの表31を御覧ください。本薬群とグラニセト ロン群の安全性を比較した国内第III相試験成績を中心に検討した結果、本薬の安全性につ いて類薬であるグラニセトロン塩酸塩と比較して、現時点で特段問題とすべき点はないと 判断しました。また、数例のアナフィラキシーショックの報告を除いて、現在までに海外 においては市販後に安全性上の特段の問題も認められておりませんが、海外での承認用量 が0.25mgであるのに対し、本邦での用量は0.75mgであり、0.75mg投与時の安全性情報 は国内外を通じて限られていることから、製造販売後には国内の安全性情報を重点的に収 集していくことが必要と考えました。  以上、機構での審査の結果、抗悪性腫瘍薬投与に伴う急性期及び遅発期の悪心・嘔吐に 対する本薬の有効性は認められ、安全性には特段問題が認められていないことから、承認 して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。な お、本薬は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当し、 また、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当である と判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。  また、清水委員より報告書7ページの「遮光保存の必要性について」の記載に関して、 「添付文書の『使用上の注意』の項における注意喚起だけでは、その内容だけでは気が付 き難いと思われる。注射薬の調剤の過程で外箱を外して調剤棚に保管することもあるた め、5瓶入りの包装に簡単な注意文書を挿入することで対応することはどうでしょうか」 との御質問を事前に受けております。これにつきましては、申請者にその旨伝え、対応を 検討させたいと考えております。以上でございます。御審議よろしくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方、御質疑をお願いします。 ○永井部会長代理 1週間以上空けて使うということですね。添付文書には、短期間の投 与の安全性は確認されていないという記載がありますが、添付文書に1週間以上空けて投 与すると明記する必要はないのでしょうか。 ○機構 添付文書の方には、「用法・用量に関連する使用上の注意」の中で、この薬剤は 半減期が長いため、短期間での反復投与は血中濃度が上昇するおそれがあって、そこは避 けるべきだという議論を専門協議のときにも行いました。その「用法・用量に関連する使 用上の注意」の2番なのですが、「本剤の消失半減期は約40時間であり、短期間に反復 投与を行うと過度に血中濃度が上昇するおそれがある」。これについては薬物動態の項参 照という形にしていますが、その後に「1週間未満の間隔で本剤がん患者へ反復投与した 経験はないため、短期間での反復投与は避けること」という形で注意喚起をしております。 ○永井部会長代理 この短期間というのは、1週間未満と、はっきり指しているというつ もりなのですね。 ○機構 そうです。 ○松井部会長 いかがですか。明示した方がよろしいですか。 ○永井部会長代理 1週間と書かなくていいのでしょうか。経験がないというだけで、短 期間は避けなさいと言うと、少し分かりにくいかと思うのですが。 ○機構 今回、国内の試験が4試験行われており、第III相試験2試験のうち1試験は比較 試験なのですが、もう1試験として繰返し投与のときの試験が行われています。その投与 間隔が1週間以上という形になっていますので、1週間以上空けて投与した場合の経験 や、安全性情報はあるのですが、1週間未満の間隔での投与経験がないというのは事実で す。ただし、それを駄目として良いかという根拠も、動態の半減期40時間という点から、 血中濃度が上昇してしまうであろうという観点しかないので、明確にそこまで言えるもの でもないということからこのように記載したということです。 ○松井部会長 不正確な記載はできないということですね。ほかにいかがでしょうか。  私から、これは司会者としてではなく、小児科医の委員としての意見なのですが、小児に 対しては特段の規定がありません。ただ、小児癌の患者でシスプラチンを使うことは少な くないので、私の希望としてはできるだけ早くに小児に対する指針を明らかにしてほし い。これは私個人としての意見です。  ほかにございませんか。よろしいでしょうか。 それでは、議決に入ります。千葉委員、 永井委員、成冨委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、 議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。  本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議が ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。  それでは、議題4に入ります。 ○機構 議題4、資料4「医薬品メトグルコ錠250mgの生物由来製品及び特定生物由来製 品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要 否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤は、フランスLipha社(現Merck Sante社)により開発された、メトホルミン塩酸塩 を有効成分とする経口糖尿病治療薬であり、「GLUCOPHAGE」の商品名で1959年にフラン ス、1994年に米国でそれぞれ承認されて以降、2009年7月末現在、主要国を含む100か 国以上で承認されております。承認用量は米国では1日2,550mgまで、欧州では1日 3,000mgまでとなっています。  国内においては、現在申請者が製造販売している「メルビン錠」等のメトホルミン製剤 が1961年に承認されましたが、1970年代に海外で類薬のフェンホルミンによる乳酸アシ ドーシスの死亡例が多数報告されたことから、1977年以降に、国内のメトホルミン製剤 においては、SU剤が効果不十分な場合、あるいは副作用等により使用不適当な場合に限 る旨の効能・効果に制限され、また、最高用量も1日1,500mgから1日750mgに減量され、 さらに高齢者への投与が禁忌とされました。  一方、メトホルミンを取り巻く海外の状況については、英国で実施された長期の大規模 臨床試験において、メトホルミン投与により糖尿病関連エンドポイント、糖尿病関連死、 及び総死亡のリスクが有意に減少したことなどにより、国際的なガイドラインでは腎機能 障害がある場合を除き、メトホルミンを第一選択薬とすることが推奨されています。  以上の背景から、申請者はメトホルミンの用法・用量の見直しのための承認申請を行う ことを決定し、より早期に開発が可能と考えた海外のGLUCOPHAGEを導入して国内開発を 行いました。なお、本申請はメルビン錠の承認最高用量である1日750mgの3倍量である 1日2,250mgまでの新用量医薬品としての申請です。本品目の専門協議では、資料15に 示す先生方を専門委員として指名させていただいております。  以下、本剤の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。 有効性については、国内第II相試験として、単独療法とSU剤併用療法についてそれぞれ 用量反応検討試験が実施されました。単独療法については、審査報告書29ページの表5 のとおり、主要評価項目とされたHbA1cの変化量について、本剤1,500mg/日群のプラセ ボ群に対する優越性、本剤750mg/日群のプラセボ群に対する優越性、及び本剤1,500mg/ 日群の750mg/日群に対する優越性が検証されました。同様にSU剤併用療法については、 32ページの表8のとおり、本剤1,500mg/日群のプラセボ群に対する優越性、本剤750mg/ 日群のプラセボ群に対する優越性、及び本剤1,500mg/日群の750mg/日群に対する優越性 が検証されました。また、単独療法とSU剤併用療法を含めた長期投与試験も実施され、 36ページの表14及び図1のとおり、54週間投与時の効果の持続が確認されております。  安全性につきましては、最も留意すべき乳酸アシドーシスに関して、41ページの8行 目から記載しましたように、国内臨床試験において乳酸アシドーシスは発症せず、「血中 乳酸増加」の有害事象の発現割合について各試験を併合集計した結果、その発現割合は本 剤のいずれの投与群もプラセボ群と同程度で、用量増加に伴い発現割合が増加することは ありませんでした。なお、本剤群での「血中乳酸増加」の重症度はいずれも軽度であり、 発現した被験者において乳酸アシドーシスに関連すると思われるような臨床症状は認め られませんでした。  乳酸値の経時的推移については41ページの表19のとおり、本剤のいずれの投与群でも、 投与開始前に比べ経時的な乳酸値の上昇は認められませんでした。低血糖については48 ページの2)、消化器症状については49ページの3)に示しましたように、いずれも忍容 可能と判断しています。  高齢者への投与については、43ページの[1]に示しましたように、提出された臨床試験 成績等から判断すると、腎機能等に留意しながら慎重に投与する限り特段の問題はないも のと考えております。腎機能障害患者については、54ページの(2)に示しましたように、 中等度以上の腎機能障害患者への投与を禁忌とし、軽度の腎機能障害患者に対しては警告 欄における注意喚起を行った上で、慎重投与とすることで差し支えないと考えておりま す。肝機能障害患者については、56ページの(3)に示しましたように、重度の肝機能障 害患者への投与を禁忌とし、軽度及び中等度の肝機能障害患者に対しては、同様に警告欄 に記載した上で慎重投与とすることで差し支えないと考えております。  製造販売後調査については、58ページの3などに示しましたが、まず調査予定症例数 1,000例、観察期間1年間の長期使用に関する特定使用成績調査を実施し、乳酸アシドー シス、低血糖、消化器症状等について重点的に調査が行われる予定です。また、当該調査 とは別に、高齢者または軽度の腎機能障害を有する患者における特定使用成績調査が実施 される予定です。以上の調査に加えて、58ページの4に記載しましたように、高齢者、 腎機能障害患者及び肝機能障害患者に対し、定期的な検査等の実施や禁忌症例への投与の 回避が徹底されるよう、[1]医療機関向け文書による情報提供、[2]患者指導せんによる情報 提供、[3]高齢者、腎機能障害患者及び肝機能障害患者における定期的な検査実施状況の把 握等を含めたリスクマネージメントプランも計画されています。  以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病における単独療法及びSU剤との併用 療法を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達しました。なお、本 申請は既承認製剤と同じ有効成分を含有する製剤の新用量医薬品としての申請ですが、前 に述べましたように、類薬による乳酸アシドーシス発現を理由に、承認されていたメトホ ルミン製剤の効能・効果や用法・用量に制限が加えられた経緯があること、既承認の最高 用量である1日750mgの3倍量である1日2,250mgまでの高用量についての申請であるこ と、乳酸アシドーシスが発現した場合は致命率が高いと考えられており、乳酸アシドーシ スのリスクを回避するためには、禁忌とされる患者への投与回避の徹底や必要な検査の定 期的な実施などの適正使用を確保する必要があることなどを踏まえ、医薬品第一部会で審 議されることが適当と判断しました。  本剤は新用量医薬品であることから、再審査期間は4年が適当であると判断しておりま す。なお、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれに も該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。  なお、本日清水委員から事前に質問をいただいております。その質問は、審査報告書 19〜20ページに、メルビン錠、これは申請者がすでに販売しているものですが、「メル ビン錠は一定期間後に承認整理を行う旨が記述されていますが、グリコラン錠(先発品) 及び後発品がこのまま市場に残るのであれば、本剤との用量の違いについて適正使用のた めの情報提供が必須になると考えます。本剤が経口糖尿病薬であることを踏まえ、この点 についてどのような対応を御検討でしょうか」という御質問です。これについては我々も 重要な御指摘だと考えており、医療機関向けの資材において今回のメトグルコ錠と既承認 のメトホルミン製剤の用量が大きく異なるということを情報提供するよう、これまで指導 してきたところです。現在その資材が作成されており、それらをもとに適正使用のための 情報提供がなされる予定となっております。以上で説明を終わります。御審議のほどよろ しくお願いします。 ○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の清水委員の質問に対する応答を含めて、 何か御質疑がありましたらお願いします。 ○成冨委員 この場合の「高齢者」というのは、何歳以上を言うのでしょうか。65歳で しょうか。 ○機構 65歳以上と考えております。 ○成冨委員 65歳は高齢者に間違いはありませんが、よく「高齢者」と書くと「何歳以 上ですか」と聞かれることがありますので、もしそうであれば年齢を書いた方がいいかと 思います。また、報告書41ページの下から7行目に、「国内においてはこれまで、メル ビンにて治療中の患者10例が乳酸アシドーシスを発症し、そのうち4例が死亡した」と 書いてありますが、この10例ないし4例が今の慎重投与に該当するような例ばかりだっ たのでしょうか。 ○松井部会長 今の2点について、お願いします。1点目は、「高齢者」という表現を、 具体的な年齢で書く、ということについては、どうお考えかということです。 ○機構 一般論になるかもしれませんが、ほかの経口糖尿病薬とのバランスも考えて、何 歳と明確には書いていないのが現状だろうと思われます。  既承認製剤の乳酸アシドーシスの発症例の話ですが、これは今年4月に、これまでメト ホルミン製剤はSU剤が使用できない場合に限られるなど、ファーストラインとして使え なかったことに対して、公知申請がなされ部会に報告しました。そのときにもデータはあ ったわけですが、中身を見ると、ほとんどが投与すべきでない人たちに投与されて発症し ていたというものだったのです。今回、この製剤によって高用量が投与できることになる と、そういう使われ方で高用量が投与されると、乳酸アシドーシスのリスクが高い方に行 くのは自明の理ですので、歴史の長い薬ではありますが、これまでよりもより注意して使 っていただけるように、申請者については医療機関向けの情報提供というところで、今回 改めて投与すべきでない人、あるいはどんな検査がどのぐらい必要なのかといった、適正 使用してもらうために汗をかいていただく必要があると我々も考えております。今までの 既承認製剤での乳酸アシドーシスの発現例が今後も発現しないように、安全性には十分配 慮して審査を進めてきました。これは、これまでの市販後の使用成績調査から報告された もののデータです。今までと同じような注意の仕方で使ってほしくはないということで、 添付文書における注意喚起を含めて適正使用に努めていきたいと考えております。 ○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。 ○成冨委員 今回の調査では、乳酸が上昇するような例はなかったことから、同様の薬剤 で過去にまずかった例を参考にして、その注意を喚起すべきだろうと思いますが、それが 先ほどの高齢者、腎機能障害、肝機能障害、本来使うべきでない対象はその三つだったの でしょうか。 ○機構 それ以外にも、例えば手術中とか過度のアルコール摂取者、あるいは心臓障害も あったと思います。現時点で乳酸アシドーシスのリスクファクターと国内外で考えられて いるような、リスクファクターを持っている方に投与されて発現したということで、我々 としては適正使用から外れた例であったと捉えております。 ○松井部会長 投与すべきでないというのは、そういう意味だということですね。 ○野田委員 整理に関して言うと、メトグルコは2,250mgまで使用可能で、メルビンに関 してはいずれ整理されると。そうすると、元来同じ製剤であるメデット、グリコラン、ネ ルビスに関しては従来どおり750mgということだと、何となく矛盾があるような気もする のですが、その辺りはいかがですか。ネルビスなどは後発薬ですね。 ○機構 そうです。今回は、御承知のように海外は高用量が使われて、それがファースト ラインとなっています。日本だけが750mgまでしか使われていないという特殊な状況に置 かれており、それを世界標準で使えるようにするために、今回、大日本は申請に必要な臨 床成績を取るための治験を行って、有効性・安全性を確認したということです。我々とし ては、先ほど言いましたように今回の新用量については再審査期間4年としました。当然、 今承認を持っている薬剤は750mgまでの成績しかないということで、そこで差別化される のはやむを得ないと考えております。 ○本橋委員 確認しておきたいのですが、これは2,250mgまで増量可能ということです が、それの基になっているデータはこの長期投与試験だけなのでしょうか。それでそこま で増やしていいと言ってよろしいのかどうか、その辺を教えていただければと思います。 ○機構 長期試験の中ですべての人に上限まで上げることは、通常この領域の試験ではや っておりません。中心用量は1,500mgで、患者さんによっては1,500mgで十分効く人もい ますし、それで効果が不十分で、かつ安全性に問題がなければもう1段階上げていただく ということです。そこで安全性が確認されたら、一応用量の範囲としては2,250mgまでは 使ってよろしいと。ただ、臨床試験ですから、高用量のデータがどうしても足りない部分 もありますから、そこは市販後も含めて安全性を確認していただくというのが通常の形だ ろうと思います。 ○本橋委員 米国で2,250mgになっているから、そこまで使えるように最初から決めてい るような気もするので、今後その辺の安全性をきちんと調査していく必要があるのではと 思いました。 ○機構 我々もそのように考えております。 ○松井部会長 ありがとうございます。ほかに御質議はありませんか。よろしいでしょう か。それでは議決に入ります。なお、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に 関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。  本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ありませんか。ありがとう ございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていた だきます。  議題5に入ります。議題5について、医薬品医療機器総合機構から概要を御説明くださ い。 ○機構 議題5、資料5「医薬品ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの製造販売承認事 項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より説 明いたします。  本剤の有効成分であるアダリムマブ(遺伝子組換え)は、ヒトの腫瘍壊死因子α(TNF α)に対し高い親和性と選択性を有するIgG1サブクラスのヒト型抗ヒトTNFαモノ クローナル抗体です。本邦において、本剤は「関節リウマチ」に係る効能・効果、「通常 40mgを2週に1回皮下注射する。なお、効果不十分な場合は1回80mgまで増量できる」 との用法・用量で2008年4月に承認されておりますが、今般の申請は、効能・効果に「尋 常性乾癬」及び「関節症性乾癬」を追加し、当該効能・効果に対する用量として、「通常、 初回に80mgを皮下注射し、以後、2週に1回40mgを皮下注射する。なお、効果不十分な 場合は1回80mgまで増量できる」を追加するというものです。  なお、乾癬は局面型皮疹を特徴とし、寛解と再燃を繰り返す免疫介在性の炎症性角化症 であり、その最も一般的な病型が尋常性乾癬、皮疹に関節炎を合併する病型が関節症性乾 癬になります。海外においては、2009年6月現在、尋常性乾癬の適応で56か国、関節症 性乾癬の適応で75か国で承認されております。本申請の専門委員としては、資料15に記 載されております5名の委員を指名いたしました。  主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書8ページの中段、 (1)第II/III相試験の項を御覧ください。国内第II/III相試験として、日本人尋常性乾癬患 者169例を対象に、本剤40mgの隔週投与、80mgの初回負荷投与+40mgの隔週投与、80mg の隔週投与の3用量における有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検 並行群間比較試験が実施されております。有効性の主要評価項目には、投与16週目の PASI75反応率が用いられております。PASIスコアは脚注の4に記載しておりますよ うに、局面型皮疹の状態をその重症度と面積からスコア化した指標であり、PASI75反応 率はベースラインに対してPASIスコアが75%以上減少した症例の割合を示しており ます。  8ページの表2に示しておりますように、本試験における投与16週目のPASI75反応率 は、プラセボ群4.3%に対し、本剤40mg群57.9%、負荷投与+40mg群(表中では40mg+L 群)62.8%、80mg群81.0%であり、いずれの用量においてもプラセボに対し有意差が認め られております。  一方、関節症性乾癬については、日本では患者数が少なく、個別の検証試験は実施され ておりませんが、8ページの下から5行目以降に示しておりますように、本試験には関節 症状を有する患者が39例含まれており、当該患者のPASI75反応率についても全体集団と 同様の結果が認められています。また、皮膚症状と同様に重要な症状である関節症状に対 しても、海外試験成績や関節リウマチでの成績等も踏まえれば一定の有効性は期待できる と考えられます。これらの成績より、機構は尋常性乾癬及び関節症性乾癬に対する本剤の 有効性は示されたものと判断しております。  また、本試験の有効性・安全性データに基づき、負荷投与+40mgが乾癬に対する推奨用 法用量とされておりますが、負荷投与+40mgは40mgの固定用量群よりも効果の発現時期 が早いこと、80mgの固定用量群との比較では有効性に臨床上大きな差はなく、安全性の 観点からもより低用量投与が望ましいと考えられることなども考慮し、当該用法用量選定 についても、機構は妥当なものと判断しています。  次に、18ページの中段、(4)安全性についての項を御覧ください。乾癬患者と既承認 の関節リウマチ患者の安全性プロファイルを比較した結果を19ページの表9及び表10に 示しておりますが、両疾患間で大きな相違はなく、現時点では乾癬患者に特異的な安全性 上の問題は認められておりません。しかし、乾癬の治療は主に皮膚科で行われますが、本 剤を含む抗TNF製剤で知られている感染症等の重篤な副作用への対処に際しては、皮膚 科と内科等が密に連携をとりながら患者の安全を確保する必要があること、また、本剤は 皮膚科で使用される初めての生物学的製剤であることも考慮し、製造販売後には投与症例 全例を対象とする使用成績調査を実施し、乾癬患者における安全性情報の早期把握、適正 使用の徹底を図る必要があると考えております。  次に、23ページの中段、(1)効能・効果等についての項を御覧ください。本剤の効能 ・効果につきましては、「尋常性乾癬及び関節症性乾癬(皮疹が全身の10%以上又は難治 性のもの)」として申請されており、申請者は本剤を乾癬における既存治療であるシクロ スポリンやエトレチナート、紫外線療法と同列の位置付けとすることを想定して開発して いますが、乾癬は一般に致死性の疾患ではないのに対し、本剤では致命的な経過をたどる 可能性がある重篤な感染症等の発現リスクが知られていることなどを考慮すると、本剤を 既存治療と同列に位置付けることは適当ではなく、関節リウマチと同様、適用対象を既存 治療で効果不十分な場合に限定すべきであると機構は判断しております。  以上の審査を踏まえ、承認条件として、25ページのとおり、「製造販売後、一定数の 症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施すること により、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要 な措置を講じること」を付した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本 第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は、 関節リウマチの再審査期間が平成28年4月までであることから、残余期間とすることが 適当と判断しております。分科会には報告を予定しております。  なお、清水委員より御質問をいただいております。質問内容は、審査報告書17〜18ペ ージ、「寛解時における本剤の休薬等の可能性についての中で、製造販売後において休薬 の可能性、休薬の方法についてさらに詳細な検討が必要とされています。調査計画は検討 が可能な項目になっているのか、報告書の中では読み取れなかったので、確認をさせてい ただきたい」ということです。製造販売後調査におきましては、途中で投与を中止した症 例、再投与した症例に関しても、観察期間が終了する時点までデータを収集する計画とす る旨、申請者より説明されております。また、米国においては休薬、再燃及び再投与につ いて検討する市販後臨床試験が現在実施中である旨聞いておりますので、本試験からも今 後参考にできるデータが得られるものと考えております。説明は以上です。よろしく御審 議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。内科医のバックアップが必 要だということが強調されているようですが、内科の先生方、いかがでしょうか。 ○成冨委員 19ページの表9ですが、リウマチの国内全試験で、重篤な有害事象が42.9 %、高度の有害事象が17.7%というのはかなり高い値だと思いますが、これは安全性O Kと言ってよろしいのでしょうか。 ○機構 確認をさせていただきたいのですが、今の御質問は、19ページの表9の関節リ ウマチに関する御質問ということでよろしいでしょうか。 ○成冨委員 そうです。 ○機構 関節リウマチに関しましては今手元に詳細なデータがないのですが、重篤な有害 事象としましては感染症などのリスクがあるということが知られております。現在、関節 リウマチに関しても投与症例全例での市販後調査が行われておりまして、安全性について さらに確認をする予定となっております。また、重篤な副作用が発現するリスクがあると いうこと、またその予防対策については、使用される先生方に十分に理解していただいた 上で使用する、患者様にもリスクについて十分理解をしていただいた上で使用するという ことを徹底して注意喚起しておりますので、そのような状況の下で使用されていると考え ております。 ○成冨委員 有害事象というのは頻繁に起きるものですので、必ずしも因果関係があると は言えませんが、この重篤な有害事象というのは、因果関係ありと判定された有害事象な のでしょうか。 ○松井部会長 例えば表10のRAのところで感染症、その下に重篤な感染症とあります が、40.8%と4.9%というのは、残りの35%ぐらいは重篤でない、軽症の感染症であると 受け取ってよろしいですか。 ○機構 はい、重篤ではないということになるかと思います。 ○松井部会長 成冨先生、いかがですか。 ○成冨委員 機構は良しと判断されているのでしょうが、我々が単純に表9や表10、特 に表9を見ましたら、これは大丈夫なのか、という気がします。もう少し安全性について 納得できそうな表現をするか。これはえらいことだ、半分ぐらいにそういうことが起きる のか、怖い薬だという印象を与えますので、その辺が少し気になります。 ○松井部会長 これはリウマチでの数字であって、今回追加承認を求めているのは乾癬で す。それを見ますと、先ほどの弁でいきますと、乾癬は82.8%と2.5%と受け取れるので すが、永井先生、何か御意見はございますか。 ○永井部会長代理 私がむしろ心配するのは投与間隔です。添付文書を見ても2週間に1 度と固定されていますが、本当に2週間に1度でいいのか。もっとフレキシブルに考える 余裕を残していいのか。あるいは、投与間隔について、きちんとした臨床試験を行う必要 はないのか。有害事象を考えると、この辺りが気になったのですが。 ○松井部会長 投与間隔に関する質問ですが、いかがでしょうか。 ○機構 投与間隔に関しましては、日本の治験の中では2週に1度という間隔でしか検討 されていないということもございまして、承認される用法・用量としてはそれに限らせて いただくということになるかと思っております。 ○永井部会長代理 そこをもう少しフレキシブルな表現にするとか、あるいは今後投与間 隔についてきちっとした臨床試験を行うとか、そういう必要はないのでしょうか。 ○松井部会長 先生がおっしゃるフレキシブルというのはどのようなことでしょうか。 ○永井部会長代理 個人差があると思うので、それをきちんと固定してしまうということ に少し懸念を感じるのです。 ○機構 本剤のような生物学的製剤に関しましては有効性を維持する上でトラフ濃度が 維持されるということが重要になるかと思います。投与間隔に関しましては、トラフ濃度 が必要な濃度で維持されるということを目安として設定・確認されているという状況かと 思います。御指摘のとおり、血中濃度には個人差がありますので患者さんによっては投与 間隔をさらに広げたりということが可能なケースも考えられるとは思いますが、トラフ濃 度を実際の現場で確認することも難しいということもございますので、原則としては2週 間に1度ということにならざるを得ないかと考えております。 ○松井部会長 野田先生は何か御意見がありませんか。先ほどの98.8%であるとか、82.8 %であるとか、表9、10の数字を見て果たしてどうなのかということを、ほかの委員の 先生方も感じておられるのではないか。そういう成冨委員の質問であったと私は理解いた しましたが。 ○野田委員 薬剤の性質上、感染症に対する慎重なプレコーションというか、事前にそう いうことが起こり得るということを、認識しながら投与するという対応が必要な薬剤かと は思います。したがって、私はこちらの薬剤の領域が専門ではありませんが、そういう性 格の薬剤かという気はいたしますが、いかがでしょうか。 ○松井部会長 ほかの先生方はいかがですか。機構の方ではいかがでしょうか。 ○機構 先ほどの私の説明で誤解があったかもしれないのですが、表中の重篤な有害事象 というのは、感染症に限ったものではないです。感染症も含まれますが、その他様々な有 害事象が含まれておりますので、その旨補足させていただきたいと思います。  こちらの有害事象に関しましては、因果関係に限らず挙げられたものとして記載をして おりますので、副作用と判定されているものに関しては、また数値が違うということにな ります。申し訳ありませんが、こちらの表の中では、副作用として重篤なものがいくらで あったかということは記載してございません。  生物学的製剤に関しましては、学会等でも適正使用に関するガイドライン等も作成して おりますので、それに基づいて、リスク・ベネフィットを十分勘案の上で使用していただ くことが重要であると機構としても考えています。 ○松井部会長 因果関係が必ずしもはっきりしたものが全部ではない。いずれにしても、 軽症の感染症であるという御答弁だったのですが、乾癬症に関してこれを可としてよろし いかどうか、その点について御意見はありますか。 ○成冨委員 私が勘違いしていたかもしれません。では、今回のものは尋常性乾癬だけの 安全性ないしは有効性が問題になっているのであって、関節リウマチに関してはすでに話 がついているわけですね。 ○松井部会長 はい。 ○成冨委員 それに比べればかなり軽いわけですので、ここでそれをとやかく言うべきこ とではないかもしれません。一般的に、皮膚の疾患に対する薬剤の大半は軟膏というか塗 り薬であって、内服薬を使う場合というのは結構珍しいと思いますので、皮膚疾患に対し て内服薬を使ったときの安全性はどうかと思ったのです。しかし、関節リウマチでこれぐ らいの頻度のことは問題なしに経過しているのであれば、ここでそれほど問題にする必要 はないのかもしれません。 ○松井部会長 先生、お言葉ですけれども、この投与経路は皮下注です。内服ではありま せん。 ○審査管理課長 今回の申請は、関節リウマチがすでに承認されたところに対する追加承 認です。関節リウマチについても、既存治療で効果の不十分な場合ということで、かなり 重篤なものです。これも副作用はそれなりにかなりきついものですので、関節リウマチも、 既存治療で効果の不十分なものに限らせていただいております。  尋常性乾癬、それから関節症性乾癬についても、皮膚科の領域ではかなり重篤なものと 考えております。ですが、副作用もかなり強いので、既存治療で効果不十分な場合という ことで縛りをかけて、さらに内科の先生方と連携をとってお願いしたいということで、情 報提供をさせていただきたいと思っております。 ○松井部会長 今のが御答弁だと解釈いたしますが、この点についてはよろしいでしょう か。そのほかに御意見はございませんか。 ○内海部会長代理 先ほど成冨委員が御指摘の、有害事象がここでこれだけ出ているとい うことについて、今回の承認とは別に機構なり厚労省なりがきちんと理解をしているとい うことが、この場で必要なのではないかと思います。18ページにはそれなりに書いてあ りますが、ほかの原因もあるのでということなので、リウマチについては、かなり注意を して今後も見ていく必要があるということが、ここで改めて話題になったということだと 思いますが。 ○松井部会長 今の、内海委員の御意見は、恐らく委員全員の総意であるのではないかと 思います。そのほかに何か御議論がございますか。もしよろしければ議決に入りたいと思 います。なお、清水委員、千葉委員、成冨委員におかれましては、利益相反に関する申出 に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたしまして、皆様にお聞きしま す。  内海委員の御指摘になった点、特に、感染症その他の有害事象について注意を要する、 特に内科医のバックアップを必要とする、ということを誤解のないよう強調すべきという ことを含めまして、この承認を可としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告し てください。是非、今の内海委員の意見を十分に反映させるようにしていただきたいと思 います。  それでは議題6に入ります。事務局から概要を説明してください。 ○事務局 事務局より説明させていただきます。資料6、「医薬品ジクロフェナクナトリ ウムテープ15mg『ユートク』、同テープ30mg『ユートク』、ジクロフェナクナトリウム テープ15mg『テイコク』、同テープ30mg『テイコク』、ジクロフェナクNaテープ15mg 『日本臓器』及びジクロフェナクNaテープ30mg『日本臓器』の毒薬又は劇薬の指定の要 否について」です。現行の規定について、ジクロフェナクは現在、化合物及びその製剤が 劇薬に指定されております。貼付剤につきましては平成18年に、ジクロフェナクを1% 以下含有する貼付剤が劇薬から除外されております。したがいまして、先発品のボルタレ ンテープ15mg及び同30mgは劇薬から除外されています。  一方、今回のジクロフェナクナトリウムテープ15mg「ユートク」ほかは、ジクロフェ ナクを1.9%含有する貼付剤であり、現在劇薬に該当しております。これは、先発品では 添加物の量が多いため、製剤については有効成分量が15mg、30mgと今回の品目と同じ含 量でありますが、濃度換算にいたしますと、実際には今回の品目の方が濃度が高いという 結果になっております。しかしながら、今回の品目については薬物動態でも先発品との生 物学的同等性が確認されておりますので、劇薬の指定から除外することが適切であると考 えております。  これにつきましては、3.薬事法施行規則の改正案の新(3)のように、現在は1%以下 となっているところを、「1.9%以下を含有する貼付剤」に変えて除外することにしたい と存じます。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。特に御質疑はないようです ので議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。  本議題につきまして、劇薬からの除外を可としてよろしいでしょうか。御異議はないも のと認めます。毒薬及び劇薬の指定は不要とし、薬事分科会に報告いたします。  次は議題7です。事務局から概要を説明してください。 ○事務局 議題7、資料13、「二ー[パラ-(二ーオキソシクロペンチルメチル)フェニル] プロピオン酸(別名ロキソプロフエン)として22.05%以下を含有する内用剤の劇薬の要 否について」説明いたします。現行の規定では、ロキソプロフェンを含有する原体及び製 剤については昭和61年に劇薬に指定されております。そして平成18年に、貼付剤につい ては100mg以下のものが劇薬から除外されております。  今般、ロキソプロフェンの製剤であるロキソニン錠、これは原薬であるロキソプロフェ ンとしての濃度が22.05%ですが、これにつきまして企業の方が単回経口投与毒性試験を 実施したところLD50値が劇薬基準を上回っていたということで、劇薬には該当しない ということです。  これについて、もう少し詳しく経緯を申し上げますと、昭和61年の劇薬指定の際には、 ロキソプロフェンの原薬について、同じようにマウスとラットで試験を実施して、マウス の方では普通薬相当だったのですが、ラットにおいて劇薬相当のデータが出たということ から劇薬指定がなされました。ということで今般、製剤である錠剤について、劇薬には該 当しないという結果が出ましたので、この部分について、また、現在承認されている細粒 剤と液剤についても、実際には錠剤よりも濃度が低いので、これらについても、承認の際 に錠剤と生物学的同等性が確認されていることから、劇薬指定において、錠剤と同様、細 粒剤と液剤についても劇薬からの除外という対応をさせていただきたく存じます。以上に つきまして御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から、ただ今の点につきまして御質疑をお願いいたします。 御意見は特段にございませんか。それでは議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。  本議題につきまして、劇薬からの除外を可としてよろしいでしょうか。御異議がないよう ですので、毒薬及び劇薬の指定を不要とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。  次は報告事項です。説明をお願いします。 ○機構 「報告事項」について報告させていただきます。議題1、資料7「医薬品モーラ ステープ20mg及び同テープL40mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いた します。本剤は非ステロイド性消炎鎮痛薬であるケトプロフェンを有効成分とする経皮鎮 痛消炎剤であり、すでに「下記疾患の慢性症状(血行障害、筋痙縮、筋拘縮)を伴う場合の 鎮痛・消炎、腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関 節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)」の効能・効 果で承認されております。  今般、久光製薬株式会社から、「関節リウマチにおける関節局所の鎮痛」の効能・効果 を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総 合機構における審査の結果、これらの追加効能・効果について有効性及び安全性が確認さ れたことから、承認して差し支えないと判断いたしました。  続いて議題2、資料8「医薬品セイブル錠25mg、同錠50mg及び同錠75mgの製造販売 承認事項一部変更承認について」報告いたします。本剤はミグリトールを有効成分とする 経口血糖降下薬であり、現在は、糖尿病における本剤の単独使用又は本剤とスルホニルウ レア剤若しくはインスリン製剤との併用について承認されております。  今般、株式会社三和化学研究所から、本剤とビグアナイド系薬剤との併用について、効 能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医 療機器総合機構における審査の結果、本剤とビグアナイド系薬剤を併用した際の有効性及 び安全性が確認されたことから、承認して差し支えないと判断いたしました。  続いて議題3「医薬品リンデロン注2mg(0.4%)及び同注4mg(0.4%)の製造販売承認事 項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、ベタメタゾンとして1アンプル (0.5mL)中に2mg、及び1アンプル(1mL)中に4mgを含有する注射剤です。  今般、塩野義製薬株式会社より、母体投与における新生児呼吸窮迫症候群の発症抑制に 関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。 なお、本申請は「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」(平成11年2月1日 付研第4号及び医薬審第104号、厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全局審査 管理課長通知)に基づく申請であることを申し添えます。医薬品医療機器総合機構におけ る審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。  続いて報告事項の4「医薬品ミオMIBG-I123注射液の製造販売承認事項一部変更承認に ついて」報告いたします。本剤は、1バイアル(1.5mL)中に3-ヨードベンジルグアニジン (123I)を検定日時の放射能として111MBqを含有する注射剤です。  今般、富士フィルムRIファーマ株式会社より、「腫瘍シンチグラフィにおける神経芽 腫の診断」を効能・効果とする製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。 なお、本申請は議題3と同様に「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」の通 知に基づく申請であることを申し添えます。医薬品医療機器総合機構における審査の結 果、承認して差し支えないと判断いたしました。 ○松井部会長 ここで切りましょう。これまでの報告事項4つにつきまして、何か御質問 はありますか。では御確認いただいたものとします。議題5について説明をお願いいたし ます。 ○機構 議題5、資料11-1〜11-9、「医療用医薬品の再審査結果について」まとめて報 告いたします。これらはいずれも、医薬品再審査確認等結果通知書です。  資料11-1、一般的名称は「塩酸セレギリン」、販売名は「エフピー錠2.5他」。資料 11-2、一般的名称は「ゴセレリン酢酸塩」、販売名は「ゾラデックス1.8mgデポ」。資料 11-3、一般的名称は「ナフトピジル」、販売名は「フリバス錠25mg他」。資料11-4、一 般的名称は「カンデサルタン シレキセチル」、販売名は「ブロプレス錠2他」。資料11-5、 一般的名称は「フェノフィブラート」、販売名は「トライコアカプセル67mg他」。資料 11-6、一般的名称は「塩酸レボカバスチン」、販売名は「リボスチン点眼液0.025%」。 資料11-7、一般的名称は「オロパタジン塩酸塩」、販売名は「アレロック錠2.5他」。 資料11-8、一般的名称は「ラベプラゾールナトリウム」、販売名は「パリエット錠10mg」。 資料11-9、一般的名称は「ザフィルルカスト」、販売名は「アコレート錠20mg他」です。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の 承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑、御意見はございませんか。それでは、報告事項 につきましては全て御確認をいただいたものといたします。  最後に、審議事項の議題1に戻りたいと思います。千葉委員におかれましては、議題1 の審議の間、別室で御待機いただきたいと思います。 ──千葉委員退室── ○松井部会長 議題1につきまして、医薬品医療機器総合機構から概要を御説明くださ い。 ○機構 議題1、資料1「医薬品ブリディオン静注200mg及び同静注500mgの生物由来製 品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒 薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるスガマデクスナトリウムは、筋弛緩薬であるロクロニウム臭化物 の筋弛緩からの回復剤として分子設計されたγ-シクロデキストリン誘導体であり、ロク ロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物と包接体を形成することにより、これらの筋弛緩 薬の作用を阻害し、筋弛緩状態から回復させます。なお、本邦において主に使用されてい る筋弛緩薬として、非脱分極性の筋弛緩薬であるロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭 化物があり、現在、これらの筋弛緩薬に対する拮抗薬としてネオスチグミンが使用可能で すが、ネオスチグミンはコリンエステラーゼの阻害により筋弛緩薬の作用に拮抗するた め、自発呼吸の発現が確認される前の深い筋弛緩状態には使用することができません。ま た、作用発現時間及び作用持続時間が短い脱分極性の筋弛緩薬であるスキサメトニウムが 迅速導入に使用されておりますが、高カリウム血症、不整脈等の安全性上の問題があるこ とが指摘されております。  本剤は、自発呼吸の発現が確認された以降の浅い筋弛緩のみならず、深い筋弛緩状態に 対しても筋弛緩からの回復を得ることが可能であり、2009年6月現在、欧州、オースト ラリア、ニュージーランドを含む33か国で承認されております。  本申請の専門委員といたしましては、資料15に記載されております10名の委員を指名 いたしました。  審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。本申請はブリッジ ングコンセプトに基づき開発が行われており、日本人及び外国人患者を対象に、筋弛緩モ ニターによるT2再出現を指標とした浅い筋弛緩状態、及び1-2PTC出現を指標とした 深い筋弛緩状態に対する2つの第II相試験が実施されております。審査報告書73ページ の表を御覧ください。上側表Aが浅い筋弛緩状態、下側表Bが深い筋弛緩状態に対する試 験であり、19.4.208A及び19.4.209Aがブリッジング試験における日本人の成績、 19.4.208B及び19.4.209Bが外国人の成績であり、日本人及び外国人のいずれにおいて も、表Aの浅い筋弛緩状態に対しては本剤2.0mg/kg以上、表Bの深い筋弛緩状態に対し ては本剤4.0mg/kg以上で回復時間がプラトーに到達していると判断されます。  日本人と外国人の類似性については、同等性の基準を±1分と設定されております。審 査報告書68ページの表B及び69ページの下側表Bを御覧ください。一番右端のカラムで、 プラトーに到達した用量以上での回復時間における日本人と外国人の中央値の差の推定 値の95%信頼区間は、68ページの表Bの浅い筋弛緩状態でのベクロニウムに対しては、 下限値が-71.0秒と日本人でやや速い回復時間を示したものの、中央値は-25.5秒であり、 その他はいずれも、あらかじめ設定された同等性の基準である±1分の範囲内であること から、本剤の筋弛緩からの回復時間は、ロクロニウム及びベクロニウムのいずれにおいて も日本人と外国人で同様であり、海外試験成績を用いた評価が可能と判断されておりま す。  海外第III相試験においては、浅い筋弛緩状態及び深い筋弛緩状態におけるネオスチグミ ンを対照とした比較試験が実施されております。審査報告書58ページ中ほどに文章で記 載しておりますように、浅い筋弛緩状態での回復時間は、ロクロニウムに対して本剤群で 1分29秒、ネオスチグミン群で18分30秒、ベクロニウムに対して本剤群で2分48秒、 ネオスチグミン群で16分48秒と、いずれも本剤群で有意に速くなっております。  審査報告書60ページ上段に記載しておりますように、深い筋弛緩状態での回復時間は、 ロクロニウムに対して本剤群で2分52秒、ネオスチグミン群で50分22秒、ベクロニウ ムに対して本剤群で4分28秒、ネオスチグミン群で66分12秒と、いずれも本剤群で有 意に速い回復時間が得られております。  また、審査報告書65ページ中ほどにありますように、筋弛緩薬を投与後に気道確保の ための気管挿管ができず、フェイスマスク又は咽頭マスクを介した肺換気もできない状況 が挿管施行症例の0.01〜0.05%に発生することが報告されており、このような症例では、 重篤な低酸素症により脳損傷や死に至る場合もあります。このような筋弛緩薬投与直後の 極めて深い筋弛緩状態に対する臨床試験は、国内においては実施されておりませんが、海 外第III相試験においては、審査報告書の61ページに文章で記載しておりますとおり、ロ クロニウム投与3分後に本剤16mg/kgを投与したときの回復時間は4分22秒、スキサメ トニウムを用いて筋弛緩させた場合のスキサメトニウム投与開始からの回復時間は7分 4秒と、両群間で統計学的な有意差が認められ、本剤の有効性が確認されております。  本剤の安全性につきまして、審査報告書71ページの表A及び表Bを御覧ください。ブ リッジング試験では、主な有害事象として、処置による疼痛、悪心、発熱等が認められま したが、プラセボ群と異なる傾向は認められておらず、審査報告書の65ページの表に示 しましたとおり、海外第III相試験において、ネオスチグミン群とも異なる傾向は認められ ておりません。  また、緊急時の使用に関する本剤16.0mg/kgの安全性については、審査報告書の62ペ ージ上から2行目にあるように、海外第III相試験において因果関係が否定されなかった有 害事象として、処置合併症、処置による高血圧、悪心等が認められましたが、臨床上問題 となる事象は認められておらず、海外第I相試験においては、本剤96mg/kgまでの忍容性 が確認されていること、また日本人及び外国人健康成人を対象とした第I相試験において 16mg/kgまで投与したときに、低用量と比較して特に問題となる有害事象は認められてい ないことから、日本人においても安全に使用できる用量であると考えております。  なお、臨床試験における日本人症例数は限られていることから、製造販売後には3,000 例を対象とした使用成績調査に加えて、緊急時の使用に関する特定使用成績調査を実施 し、目標症例数50例、5施設を対象に使用全例をレトロスペクティブに登録して情報を 収集し、本剤の安全性について引き続き検討する予定です。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬又は 劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断して おります。なお、薬事分科会では審議を予定しております。  また、事前に清水委員より「審査報告書78ページに、本剤投与後に筋弛緩の再発が認 められた場合の再投与について具体的な記述があり、同じように、審査報告書の45ペー ジには、本剤使用下での筋弛緩剤の再投与についての具体的な記述があります。これらは 重要な情報であると考えますが、これらの内容を添付文書に反映することには問題があり ますか」との御質問をいただいております。  1点目の、筋弛緩の再発が認められた場合の本剤の追加投与に関しましては、委員から 御指摘をいただいた審査報告書の78ページに記載があります。申請者としましては、本 剤4mg/kgを追加投与することが適切であるという説明をしておりましたが、本剤の追加 投与に関する有効性及び安全性のデータは国内外ともに得られておらず、4mg/kgを推奨 用量とする科学的根拠はないため、添付文書に当該内容を記載することは困難と考えまし た。なお、本剤はネオスチグミンと比較すると筋弛緩の再発を起こす可能性は低いと考え られ、万が一筋弛緩の再発が認められた場合には、臨床的な判断の下、本剤の追加投与に 限らず、必要な処置がなされるものと考えております。  2点目の、本剤投与下における筋弛緩薬の再投与に関しましては、外国人健康成人を対 象とした臨床試験が実施されておりまして、審査報告書の46ページの図に記載したとお りの結果が得られております。しかしながら、この試験に用いられたロクロニウムの投与 量1.2mg/kgは、本邦におけるロクロニウムの承認用量の最大用量0.9mg/kgを上回ってお り、当該試験成績から再投与可能となるまでの具体的な時間を設定することは困難である と判断いたしました。また、この点に関しましては専門協議においても機構の意見は了承 され、非臨床試験においては、脱分極性の筋弛緩薬であるスキサメトニウムの効果発現時 間も延長させる可能性が示唆されていることも含めて、添付文書には、「再投与する筋弛 緩剤の作用発現時間の遅延が認められることがあるので、患者の状態を十分に観察しなが ら慎重投与すること」と注意喚起することが適切との御意見をいただいております。以上 です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 清水委員から複数の御質問が出ていたわけですが、それについては、お答 えになっているということでよろしいでしょうか。 ○清水委員 結構です。 ○松井部会長 ほかの委員の先生方から御質疑はございますか。薬剤の対象が対象だけ に、かなり慎重に審議されていると思いますが。 ○本橋委員 これは非常に画期的な薬だと思いますが、従来使われているネオスチグミン などはもう使われなくなる可能性があるのですか。つい先日、このアトワゴリバースとい うのを、ここで承認したのではないかと思うのですが。その辺、使い分けという点ではい かがでしょうか。 ○機構 先生の御指摘のとおりかと思います。ネオスチグミンと本剤は全くプロファイル の違う薬剤で、本剤は薬理作用を持っておりません。一方、ネオスチグミンに関しまして は、コリンエステラーゼ阻害薬でありますので、神経系への作用、それに関連した対象患 者を選択するというような点が問題になってきますので、この薬剤が承認された以降は本 剤が積極的に使用されることは想定されます。一方で、本剤と包接体を形成する薬物とい うのがロクロニウム、ベクロニウムに限られていますので、その他の、例えばパンクロニ ウム等の薬剤に対してはネオスチグミン製剤が使われるのではないかと思っております。 ○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特段の御意見はございませ んか。ないようですので議決に入ります。永井委員におかれましては、利益相反に関する 申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただきます。  本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。御異議はないでしょうか。御 異議がないようですので承認を可とさせていただきます。なお、本剤は新有効成分であり、 かつ既存の類薬がありませんので、薬事分科会に上程し、審議することとさせていただき ます。千葉委員に入室していただいてください。 ──千葉委員入室── ○松井部会長 本日は「その他」の議題がございます。議題1「小児薬物療法検討会議を 踏まえた事前評価について」です。事前に事務局から「その他」として御説明があるよう ですので、お願いいたします。 ○事務局 議題の件に関しまして、資料12に基づいて事務局より御説明をさせていただ きます。  本議題は、小児薬物療法検討会議で検討された品目についての事前評価のお願いです。 昨年5月の医薬品第一部会で同様の事前評価を、A型ボツリヌス毒素製剤について御検討 いただいておりますが、事前評価の概略について御説明いたします。  まず、資料12の1枚目の裏を御覧ください。小児の疾病を治療する医薬品に関しまし ては、治験の実施の困難などの理由によりデータの集積が少ないといったようなことを含 め、小児における標準的な用法・用量あるいは使用上の注意における小児の欄におきまし て「小児の使用経験が乏しい」というような記載が多く見られます。小児の薬物療法に関 しましては、医療現場の先生方の使用経験に負うところが非常に大きい分野であるという ことが言えようかと思います。  このような小児医療における問題点を解決するために、平成18年3月に「小児薬物療 法検討会議」を立ち上げております。この会議の目的といたしましては、すでに日本で承 認を受けている医薬品を対象として、諸外国において効能・効果、用法・用量が認められ ている療法に関しまして小児薬物療法の有効性、安全性に関する文献等のエビデンスを収 集・評価し、さらには国内における小児への医薬品の処方実態などを把握して、これらの 用法・用量、効能・効果について、エビデンスに基づいた情報提供を通じて適切な小児薬 物療法が行われるよう環境整備を進めることです。この情報提供につきまして、承認事項 の一部変更あるいは使用上の注意の改訂といったことを含め、行うこととしております。  2枚目です。この会議につきましては、御覧の17名の小児領域における医学的、薬学 的な学識経験を有する先生方にお集まりいただいて検討を進めています。この会議の座長 は、国立成育医療センターの名誉総長である秦先生にお願いしております。  2枚目の裏を御覧ください。この会議におきまして、個別の医薬品のエビデンスのレベ ルや報告書の記載ぶりを統一した観点で検討を進めることを目的にワーキンググループ を設けております。このワーキンググループのメンバーとして、御覧の4人の先生方に御 参画いただいております。さらには、報告書作成に携わっていただきたい各小児科学会の 先生方にも御参加いただきながら議論を進めております。このワーキンググループの座長 は、本日参考人としてお越しいただいている、国立成育医療センターの中村先生にお願い しております。  次ページを御覧ください。小児科学会への御意見なども踏まえ、八つの医薬品の療法に 関して検討を進めてまいりました。これまで4.のメトトレキサート、6.のアセトアミノ フェン、7.のA型ボツリヌス毒素に関しては、小児薬物療法検討会議において作成され たレポートに基づき医薬品第一部会において議論が行われ、用法・用量、効能・効果など の一部変更の方向性が必要であるといった結論をいただきまして、すでに当該一部変更は 承認されております。  資料12の表紙にお戻りください。このような小児薬物療法検討会議における検討を踏 まえまして、本日、薬事・食品衛生審議会におきまして、報告書の内容あるいは一部変更 の方向性といったようなことに関して、事前の評価をお願いしたいと考えております。こ の評価を踏まえまして、よろしければ、私どもから当該医薬品の製造販売業者に関して、 一部変更承認の申請を行うよう要請し、申請された後には機構における迅速審査を経て、 また薬事食品・衛生審議会における御審議をいただき、一部変更の承認という方向に進み たいと考えております。  本日は資料として、本年7月の第6回小児薬物療法検討会議でまとまった「フレカイニ ド酢酸塩」の報告書を提出しております。こちらは日本小児循環器学会の中川先生におま とめいただいております。この内容につきまして、ワーキンググループ座長の中村先生か ら御紹介いただければと考えております。以上です。 ○松井部会長 それでは、参考人としてお越しいただいている中村先生から、この報告書 について御説明をお願いいたします。 ○中村参考人 フレカイニド酢酸塩についての小児薬物療法検討会議での検討結果につ いて御説明いたします。まず資料12の3ページ目から下にページ数が振ってありますが、 1ページ、医療上の必要性についてです。小児の不整脈は小児期の突然死の主たる原因の 一つですが、治療薬として承認されているものは、ジギタリス製剤のみです。乳幼児期の 心室頻拍やジギタリス抵抗性の上室性頻拍に対し使用できる薬剤はなく、これらを含む不 整脈の治療に当たり、適応外使用を余儀されている状況です。  このような背景をもとに、国内外で小児での使用経験が多く、特に米国では、小児の上 室性不整脈や心室性不整脈に対し効能・効果を有する経口のフレカイニド酢酸塩製剤は本 邦の小児不整脈治療において不可欠な薬剤であるということで、小児循環器学会からの検 討候補の第1位として挙げられ、検討対象となりました。  1ページの下のところですが、予定の効能・効果は「頻脈性不整脈(発作性心房細動・ 粗動、心室性、発作性上室性)」となっておりまして、他の抗不整脈薬が使用できないか 又は無効の場合で、既存の効能にさらに上室性の頻脈性不整脈を新たに加えたという形に なっております。  また、予定の用法・用量として、これらの適応について、通常6か月以上の乳児、幼児 及び小児には、フレカイニド酢酸塩を50〜100mg/平方メートル(体表面積1平方メートル当たりの量)、これを 1日に2〜3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、 1日最高用量は200mg/平方メートルとするということ。それから年齢で切っておりまして、6か月 未満の乳児には通常、フレカイニド酢酸塩として1日50mg/平方メートルを1日2〜3回に分けて経 口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/平方メートル にする、としております。  さらにその下の参考情報に記載しましたように、小児等への投与の使用上の注意とし て、「小児等に対する本剤の使用はすべて、小児等の不整脈治療に熟練した医師が直接監 督すること。基礎心疾患のある心房粗動および心室頻拍では、有益性がリスクを上回ると 判断される場合にのみ投与すること」と記載したいと考えております。  2ページの下から、欧米4か国の承認状況がございますが、米・英・独・仏で小児適応 があるのはアメリカのみです。5ページ以降には文献、成書、14ページからはガイドラ イン、国内論文などの記載がまとめています。さらに、国内での使用実態調査として、2003 年に行われた調査に加えて、今回新たにこの検討のために2006年12月1日から前方視的 な調査が実施され、53例のデータが集められております。報告書の後に、この詳細が付 いております。  今回の検討会議の報告書の23ページにまいります。有効性の評価として、プラセボ対 照などのランダム化比較試験は行われておりませんが、今回の予定効能に対して有効であ るという報告が数多く行われており、また、今回の調査結果でも有効という結果が出てお ります。標準的教科書やガイドラインにも有効性が記載されており、さらに、米国で小児 の適応があるということです。今回の検討会議は米・英・独・仏での承認があるというこ とを前提としての検討ですので、米国での適応があるということで、今回の適応拡大に関 する有効性の情報は十分にあると考えました。  安全性については、この報告書の24ページになります。器質的心疾患に伴う上室性頻 拍や心房粗動、心室性頻拍への治療、あるいは哺乳が十分でない乳児への投与に際しては、 むしろ不整脈を起こすような作用や致死的な不整脈を引き起こす危険性があるというこ とで、投与開始時や増量時には入院の上、モニター監視下に行うなど厳重な注意を払う必 要があります。  一方、今回の調査結果では53例で、問題となりそうな有害事象は特になく、また、新 生児や6か月未満の乳児で副作用が多いという傾向はありませんでした。このように、器 質的心疾患のない小児や哺乳が順調な乳児においては、成人と比較して特に問題となるよ うな副作用の報告はございません。したがって、疾患の重篤性も勘案し、小児の不整脈治 療に熟練した医師が直接監督して使用することで、この薬剤により受ける益が危険性を上 回ると考えております。  24ページの下の方、用法・用量につきましては米国の承認、用法・用量と同じにする ということで大きな問題はないと判断しました。報告書の中で、成書、教科書等の投与量 をmg/平方メートル当たりで記載されておりますが、必ずしも投与量が一致しておりません。今回の 評価に当たりまして、日本での承認ということを考えた場合に、きちんとした軸として米 国での承認の用法・用量をベースに考えないと投与量の設定ができないというところか ら、米国の承認用法・用量でよろしいかという判断でデータを眺めさせていただきました。 臨床現場では体重当たりの投与量が一般的に用いられておりますし、ガイドラインでも体 重当たりの記載となっております。  そのページの下から次ページにかけて表がありますが、今回予定している添付文書の体 表当たりの投与量と現在の日本のガイドラインの用量である1-4mg/kg/日とを比較して みましたが、基本的に添付文書の記載範囲内にあるということで、米国の承認用量と同じ にさせていただきたいと考えております。以上が有効性、安全性及び用法・用量について の説明です。  25ページの下の段落の2)「乳幼児への使用について」を御覧ください。この薬を、乳 幼児に対して現場ではしばしば粉末化という剤形変更が行われております。使用実態調 査、その他の文献的な調査では、有効性・安全性に大きな問題があるとのシグナルはあり ませんでしたし、原末の安定性が良いことは確認しております。しかし、錠剤の粉末化で の均一性、安定性、吸収などの情報が十分にあるとは言えず、散剤等の剤形の開発が望ま しいと考えます。今回の検討会の枠組みの中では、剤形変更までを企業にお願いすること は厳しいと理解はしておりますが、現場の小児科の立場からすれば、新しく小児に必要な 剤形の開発が望ましいということを最後に強調させていただきたいと思います。以上で す。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑がございましたら、是非お願いいたします。 ○成冨委員 一般的に欧米人・白人とアジア人とを比べますと、大人の場合、例えばアメ リカのマニュアルに書いてあるとおりに使いますと、大変な事が起きたりすることがあり ますが、それを同じスタンダードにしていいかどうか、これは小児では余り違いはないも のでしょうか。 ○中村参考人 今回のフレカイニドにつきましては、国内の論文、それから国内のガイド ラインの用量、使用実態調査の量等も見ていただきました。それから、現場の先生としま しては、致死的な不整脈の治療ということで用量を加減し、増やしていくことが多いとい うことでした。ただ、一方で不整脈を起こす効果もあるということで、詳しい医師が使う ということを条件にすべきだというところで対応できるのではないか。これはリスク・ベ ネフィットのところで治療しないと亡くなる可能性がありますから、そこで対応するとい うことと理解しております。 ○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。 ○清水委員 これは私の意見です。先生の説明の最後のところでございましたように、錠 剤の粉砕というのは、安全・安心の医療の提供ということを考えますと、その製剤の粉砕 についてきちんとデータが取られているのであればまだしもですが、データが不十分な場 合が多いと理解しております。したがいまして、この内容が承認されました上では、小児 用の剤形の開発というのも御考慮いただけるとありがたいと考えております。 ○松井部会長 中村先生、いかがですか。 ○中村参考人 私は世界保健機関の会議に出たりするのですが、小児用剤形の問題という のは世界的に問題となっております。欧米では小児の治験の推進策というものがありまし て、小児剤形についての開発がまだ進んでいる、一方、日本ではここが非常に後手に回っ ております。ここ、あるいは今回の検討会議ではそこまで手が回らなかったということは 理解しておりますが、今後、有識者会議等が始まると思っておりますので、今後の手当て として、そういったことを是非考えていただきたいと思っています。 ○松井部会長 中村先生が強調なさった点は議事録にも記録されます。ほかにはいかがで すか。  それでは、フレカイニド酢酸塩の報告書の内容を御確認いただいたものとしてよろしい でしょうか。では、そのようにいたします。事務局から何かございますか。 ○事務局 ただ今、お配りしておりますのは、本日御審議いただきました審議議題7、資 料13の諮問書になります。追加資料となります。大変失礼いたしました。  次回の部会は11月27日(金)午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしく お願いいたします。以上です。 ○松井部会長 今日は大変にタイトな議題でありましたけれども、先生方の御協力で2時 間2分で終わることができました。  本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)