09/10/02 第3回新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会議事録 第3回新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会          日時 平成21年10月2日(金)          10:00〜          場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○楠岡座長 定刻となりましたので「第3回新たな治験活性化5カ年計画の中間見直しに関す る検討会」を始めたいと思います。本日は、ご多忙中のところ、お集まりいただきましてありがと うございます。まず最初に、事務局から本日の出席の確認をお願いしたいと思います。 ○治験推進室長 早朝からお集まりいただきましてありがとうございます。お手元のファイルの参 考資料1に構成員名簿がありますので、これをご覧いただきながら確認をさせていただければ と思います。本日、欠席という連絡をいただいておりますのは辻本好子構成員だけです。山 本精一郎構成員につきましては、この前に予定があるということで、いまそれから駆けつけてい るところという連絡をいただいております。掛江先生は間もなくお見えになると思います。また、 厚生労働省及び文部科学省の関係課から関係者が出席しております。 ○楠岡座長 ありがとうございました。引き続いて配布資料の確認をお願いします。 ○治験推進室長 まず、議事次第があります。それから座席表。本日は資料が2つありまして、 資料1が「治験の効率化等に関するワーキンググループにおける検討について」、資料2が 「治験臨床研究基盤整備状況調査パフォーマンス結果<参考>」。それから、先生方のお 手元に当日配布ということで資料2の追加で1枚、「治験に係る費用の支払い形態」というグ ラフを用意させていただいております。傍聴の皆様方には時間の都合上配布をしておりませ んが、ご希望の方は後ほどお申し出いただければコピーをお渡しいたします。後日、公開の 資料上にはこれは追加した形で公開させていただきたいと思います。  なお、参考資料集として紙ファイルの資料をお配りしております。このファイルにつきまして は毎回のお願いですが、各回の共通資料ですので、お持ち帰りにならないようお願いいたし ます。参考資料は傍聴の皆様方にはお配りしておりませんが、参考資料2の「新たな治験活 性化5カ年計画」のみ縮小版でお配りしております。その他の参考資料については先ほど申 し上げましたように、後日厚労省の当検討会のWebsite上でご覧いただきたいと思っておりま す。以上、過不足等ありましたらお申し出いただければと思います。 ○楠岡座長 ありがとうございました。早速議事に入りたいと思います。本日は議題1にあります ように、5カ年計画の中のアクションプランにある「治験の効率的実施及び企業負担の軽減に ついて」に関した議論を進めていきたいと思います。前回第2回の検討会の最後に事務局か ら、効率化に関する進捗状況を評価するためのワーキンググループを設置し、そこで検討す るという連絡がありましたが、このワーキンググループが設置され、検討結果がすでに取りまと められております。したがいまして、議論を始める前に、事務局から、このワーキンググループ の検討結果を報告していただき、それに基づいて議論を進めていきたいと思います。それで は事務局、よろしくお願いいたします。 ○事務局 お手元の資料1をご覧ください。資料1の前半に、文章で取りまとめたワーキンググ ループの検討結果を用意してあります。後半の別添2以降に検討に用いた現状を示すデー タを、資料集としてまとめておりますので併せてご覧ください。まず前半の検討結果に沿ってご 報告します。  このワーキンググループを設置いたしました目的は、新たな治験活性化5カ年計画の中間 見直しに関する検討会の論点の1つである効率化について、主にコスト、スピード、質の視点 から、新たな治験活性化5カ年計画のこれまでの進捗と、わが国の治験の現状を踏まえて、こ の検討会における議論のための課題等を整理することです。ワーキンググループは、本年の 8月27日と9月15日に開催いたしました。メンバーは、治験の効率化の観点から現状につ いて議論するという、本ワーキンググループの目的を達成するために必要な治験実務経験を 踏まえた方々の中から、次の頁に示しているとおり選定させていただきました。なお、日本医 師会治験促進センターには、本ワーキンググループの運営業務等の協力をお願いいたしまし た。ご協力のおかげでワーキンググループにおいて検討結果を取りまとめることができました。 この場をお借りしてお礼を申し上げます。  次の頁には、ワーキンググループのメンバーとしてご協力をいただいた方々のご所属とお名 前をお示しいたしました。医療機関のお立場から、中核病院の国立成育医療センターの栗 山さん、国立精神・神経センターの山岸さん。拠点医療機関の日本大学医学部附属板橋 病院、本検討会の構成員でもある榎本さん、聖隷浜松病院の鈴木さんにご協力いただきまし た。また、治験依頼者の立場からは、日本製薬工業協会を代表して岡田さんと中島さん、米 国研究製薬工業協会(PhRMA)を代表して小野さんと庄司さん、欧州製薬団体連合会 (EFPIA)を代表して青野さんと河野さん、R&D Head Clubから福井さんと福島さんにご協力 いただきました。先ほども申し上げましたが日本医師会治験促進センターには運営等もご協 力いただきまして、田村さんにご協力いただきました。メンバーの皆様にはこの場をお借りして 改めてご協力に感謝申し上げます。  もう1枚めくっていただいて、別添1から検討結果を説明させていただきます。全般的には 現状に関して、産学官の関係者の取組みにより、全体として着実な改善が見られたことを評 価しております。しかしながら、わが国の治験を実施する環境として、世界的な視点から今後 一定の評価を得るためには、まだ解決すべき課題があることも確認させていただきました。改 善の対象とすべき事項としてコスト、スピード、質というのが5カ年計画でも挙げられておりまし たが、これについては、今後一定の評価指標を定めていく必要があることも確認させていただ いております。  その改善の対象とするべき事項のコスト、スピード、質について各々検討した結果をご説明 申し上げます。コストに関しては、以前に比べて低下傾向にあるものの、全体として欧米に比 べて依然として高いと言われております。これにつきましては、医療機関に支払われる部分だ けではなくて、治験依頼者のモニタリング費用とそれ以外の部分についても、効率化による関 係者の積極的なコスト削減のための取組みが必要であろうということで検討させていただきま した。  また、実施医療機関においては、前払いした治験にかかる費用について、契約症例数に 達しなくても未だに返金されていない事例が見られております。これについてはやはり社会通 念上も適切とは言えず、速やか、かつ確実な対応が必要であろうという意見で一致いたしまし た。現在、治験依頼者が医療機関に支払う治験費用の算出には、多くの機関で経費ポイン ト算出表といったものを用いていますが、このポイント算出表が、費用計算上の現場の負担軽 減など機械的に計算できるという意味でのメリットがあるということは確認されております。しか し、一方で、そのポイント算出表が長期にわたる治験への配慮がないということや、また、治験 のプロトコールによる実施上の困難さ、煩雑な手順等が反映されにくいというような、現状にそ ぐわない点もあるという意見も出されました。そのためこの治験費用が、必要な業務に対する より適正な支払いとなるように、その算定方法等を検討する必要があるだろうということが議論 されました。また、その際に支払いの費用の内容について、一定の透明性が確保されることも 必要だということも議論されております。  最後のポツですが、これはコストだけではなくてスピードにも関連する点です。1施設当たり の症例集積性が必ずしも高くないということで、コスト高に影響を与えているということが確認さ れました。症例集積性とスピードということが併せて議論されましたが、このスピードについては、 後ほどご説明しますが、医療機関及び治験依頼者双方の努力によって、治験全体の影響が 抑えられている。この双方の努力という部分には、医療機関における手順の見直しということも ありますし、スピードを遅らせないために医療機関数を増やすというような依頼者側の工夫も 含まれます。そのような努力によってスピードに対する影響は抑えられておりますが、1機関1 機関の症例集積性が向上することが効率やコストの改善にも影響を与えると考えられ、今後 とも取組みを継続する必要があるということで議論が行われました。  次はスピードについて説明申し上げます。これまで日本のスピードは海外に比べて遅いと いう評価を受けておりましたが、現時点では、全体として欧米と比較して遜色ないレベルまで 改善されてきているということがお示ししている検討資料を基に確認されました。スピード、特 に治験の依頼、企業が治験の実施を決めてから治験を実際に開始するまでの期間に対して、 現状以上に過剰な要求をすることは、対応する側、つまり医療機関及び依頼者双方が疲弊 する危険があるということも議論されております。それだけではなくて、そのためにスタッフがより 必要になるなど、コスト増加につながる可能性もあります。今後は、医療機関及び治験依頼 者双方の持ち時間を加味し、各段階で特段の事情がない限り達成できるような数値目標を 定めて取り組んでいく必要があるのではないかということが議論されました。  最後は質です。このワーキンググループにおいて、「質」と言ってもさまざまな定義があり、共 通認識がされていない、という意見がありました。そこで、今回は、1つの見方として、治験の実 施にかかる「質」に限り議論させていただきました。治験実施計画書遵守という視点から見ると、 わが国の治験の質には大きな問題は見られず、したがって質については現状の質を維持す ることで十分だという結論を出しました。なお、この一定の質の維持は今後も非常に重要なこ とではありますが、それが過剰にならないよう関係者は留意する必要があるということで、5カ年 計画にも盛り込まれているオーバークオリティなどについても、留意する必要があるという結論 に至りました。  以上がワーキンググループの取りまとめ結果です。なお、検討に用いたデータを別添2に 示しております。次にその検討に用いた個々のデータについて説明申し上げます。「検討資 料の目次」に沿って資料1から資料9まで示しております。  個々の説明を申し上げる前に、グラフ全般に関する留意いただきたい事項を説明申し上 げます。別添2にお示ししたグラフですが、ワーキンググループで検討するにあたって、メンバ ーの方々のご協力により提供いただきました。そのため、出典が様々であり、統一した集計結 果ではないこと、背景や集計する際の考え方が全く異なることにご留意いただきたいと存じま す。以降の説明の中でその点もできるだけ説明いたしたいと思いますが、結果として見た目上 同じようなグラフであっても解釈、内容については大きく異なることがあるということをご留意い ただければと思います。  資料1は治験費用に占める医療機関費用とモニタリング費用に関する資料です。CRAと いうのは依頼者の中でモニター業務に携わる方々を指し、全体の費用のうちそこにかかる費 用の割合を見たものです。1枚目にはそのデータの背景を示しており、1枚めくった裏側にグ ラフがあります。  資料1は、日本製薬工業協会の医薬品評価委員会臨床評価部会の方にご協力いただ き提供していただきました。臨床評価部会の中心企業11社の中で、平成20年に終了した12 治験を対象に、その治験にかかった予算の中で、医療機関に支払った費用、モニタリングに かかった費用、及びその他、と大きく3つに分けて集計し、それぞれの割合を見ております。 下から青色の部分が医療機関に支払った費用、赤色の部分はモニターにかかった費用、こ れはモニターの人件費と医療機関訪問時の出張等にかかる交通費の平均的な金額を用い て概算で計算したものです。黄色の部分は治験ごとにあまり変動しない必要経費部分です。 運用上どうしても必要となる保険外併用療養費や会議の費用、臨床検査の外注委託費、デ ータマネジメントの委託費等が含まれております。  この中で、縦軸はそれぞれの費用の実数でないことにご注意ください。縦軸は相対比にな っております。ですから、複雑な治験で、多くの直接閲覧が必要で、医療機関を何度も訪問 する必要があるような治験の場合は、自ずと赤色の部分の割合が大きくなり、医療機関への 支払部分が相対的に小さくなります。  このグラフに対して、治験にかかる直接的な費用としては、医療機関へ支払う費用と同じく 治験依頼者にかかる費用としてモニタリングにかかる費用も大きな割合を占めており、押しな べて見ると大体同じぐらいの割合を占めており、コストの改善には、この両者に対して取り組ん でいく必要があるだろうということが議論されました。  次に資料2です。これはモニターの生産性について示したグラフです。ファイザー社より、 社内のプロジェクトについて取りまとめ今年のDIAで発表した資料を提供いただきました。が ん領域の国際共同治験5試験におけるモニターの生産性を示しています。生産性とは、1人 のモニターが担当できる医療機関数を指します。この生産性について日本と海外を比較した グラフです。青い菱形が世界的な平均の医療機関数で、赤い三角が日本の施設数になりま す。Project Aに関しましては、海外では1人のモニターが13機関を担当しておりますが、日 本のモニター1人あたりの担当機関数は10機関程度です。紫色の長方形がその医療機関 数のばらつきを示しております。下端が世界、日本以外の国での最低医療機関数で、 Project DとProject Eでは世界よりも日本の生産性の方が低いということが示されております。  このグラフを基に、ワーキンググループでは、コスト高に影響を与える症例集積性について、 国内における治験の実施がたくさんの医療機関に散らばっていることで、それだけモニターの 人数が必要になる、そこを集約していく必要があるだろうという議論が行われました。  次に資料3です。これはコストに関する論点の中の、最初のポイントで説明いたしました国 内の医療機関別の治験費用の支払方法について示したグラフです。R&D Head Clubから提 供していただきました。2007年と2008年に終了した各々の治験を、医療機関の設置母体別 に比較したものです。開始年は治験毎に異なり、開始年によっては、この治験を実施している 数年の間に支払い方法の見直しを行い、変更した機関もありますので、現在の支払方法とは 異なる場合があることをご留意ください。この医療機関は、上から国公立大学、私立大学、次 は国立病院系です。国立病院系の中にはナショナルセンター、及び現在は独立行政法人 化している国立病院機構の医療機関も含まれています。次に公立病院、私立病院、クリニッ ク、診療所という順です。  この中で、赤色で示されているいちばん左側のNo refundという所が、全例分前払いで実 施が100%に至らなくても、未実施分も支払戻しはしないという機関で、問題点として挙げてい る部分です。このグラフでは治験費用の支払いのうちのどの費用を示しているかと言いますと、 間接経費といったコストは含まれておらず、1症例当たりの研究費の部分を示したグラフになり ます。  通常、医療機関への支払いの構成としては、治験事務局等の維持にかかる間接経費の 部分と症例の実施に対して支払われる部分とがありますが、その症例の実施に対して支払わ れる部分の支払方法について記載したもので、いまだ赤色の部分がかなり多くあるということ です。この点については社会通念上、早々に改善する必要があるという共通認識を得ました。 もともと5カ年計画にも掲げられておりましたが、より一層取り組む必要があるだろうという議論 をいたしました。  次に資料4です。これも同じくR&D Head Clubから提供していただきました。このあといく つか、スピードに関する資料が続きます。これは2008年に終了したR&D Head Club加盟会 社、治験を積極的に実施している20社程度の企業になりますが、その中で昨年度に終了し た治験における諸手続にかかったスピードを開始年別に分類して示したグラフです。青色の 菱形が全体の中央値を示し、水色の箱の部分の上限が75%タイル、下限が25%タイル、棒 の部分が95%から5%までの90%部分を示しています。両端5%を外れ値として除外したグラ フです。  これを見ると、治験依頼からIRB開催までが、2002年、2003年スタートの治験に比べて、 2006年、2007年に向けて徐々に中央値も短縮されているということと、箱も小さくなり棒も短く なってきており、ばらつきが減ってきているということが、若干ですが、見てとれると思います。こ こでご留意いただきたいのは、長期にわたるような疾患の治験は2008年当時にはまだ終了し ておらず、2006年と2007年に開始した治験の中には含まれていないということです。終了した 治験をほぼ全て反映しているグラフは2004年、2005年開始分です。  次は、IRBから契約までの所要日数です。中央値とばらつきを示す棒の長さも、あまり大き く変わりありません。中央値を見ると、もともと20日はかかっておらず、最長でも15日程度、2 週間程度で推移しているということがわかります。次に、契約から治験薬設置、治験薬搬入ま でですが、これもばらつきがかなり減ってきていることがわかります。中央値も下がってきていま す。  その次が、手続きのみではなく、症例を集積する、症例を登録していくスピードで、治験薬 搬入から第1症例目登録までの数値です。これも若干ですが、棒が短くなってきています。し かし、これは2006年、2007年に開始した治験のうち長期にわたる治験が入っていないので、 ここは今後データが変わる可能性があります。縦軸にマイナスもありますが、これは治験によっ て、治験薬搬入後に症例登録を開始するものばかりではなくて、症例が登録されたあとに治 験薬を搬入するといった、順序が逆転する治験も中にはあり、すべて集計した結果、マイナス という数字が出ています。  次がR&D Head Clubのデータの最後になります。これまでにお示しした最初から最後まで、 治験の依頼から各医療機関で第1症例目を登録するまでの期間の推移を示したグラフです。 右に行くごとに中央値が若干下がり、ばらつきは小さくなってきているということが言えるかと思 います。このようにスピードは変化をしてきており、中央値を見る限り、ワーキンググループの中 では問題ない状態まで到達してきているだろうという意見が出ていました。海外に比べて遜色 ないという意見がかなり多く聞かれましたが、本当に遜色ないのか、海外に比べて早いのか遅 いのか、そこがわかるような国際比較のデータの提供をメンバーの方々に協力をお願いしまし た。海外に比べてということを言う際に、同じプロトコールで同じ条件で実施したときに、日本 のスピードがどの程度かということを説明しないと、議論を進めることができません。これから先 は、同一プロトコールの国際共同治験において、日本の登録スピードがどうだったかということ をお示しします。  資料5は1企業のデータです。より現在の状況を反映するためにということで、まさに現在 実施中の治験のデータを提供していただきました。8治験の国際共同治験のデータになりま す。いちばん右の列を見ていただくとおわかりのように、まだ登録途中という段階のものも提供 していただいておりますので、データがまだ若干動く可能性もありますが、大体の傾向は見て いただけるかと思います。  このグラフは、各国の各医療機関におけるIRB承認から第1症例目登録までを集計して 各国の中央値を比較しています。領域はさまざまありますが、次の頁から日本の第1症例目 登録のスピードが、参加国の中でどのくらいの位置にあるかということを示しております。赤い 棒で示しているところが日本のスピードです。2頁にわたり1から8まであり、Trial5に関しては 遅い方から2番目ですが、全てのグラフから日本はいずれも遅いほうではない、日本が足を引 っ張るような状態にはなっていないという評価をいただいたグラフです。  次の資料6も同じくスピードを示す国際比較のデータです。これはまた別の企業のデータ で、がん領域の国際共同治験の比較です。これは5つの試験ですが、このときにちょっと見て いただきたいのが登録期間です。Oncology-2という試験からOncology-5までに関しては、グ ローバルに比べて1年程度遅れて日本がこの治験に参加したということになっています。しか し登録終了日は世界と比べて同じか、もしくは世界よりも早く終わっている部分がありますので、 目標とした終了日を遅らせることはなかったと聞いております。また、登録期間が短い中、短 期集中で登録したということが言えます。遅れて入ったことで、ノウハウも蓄積されていたという ことがあって、エントリーしやすかったということも言えるかと思いますが、Oncology-1に関して は全く同じ条件で始めていて、同じ登録期間の中で症例を集積しております。それをグラフ化 すると次の頁になります。  このグラフは症例スピードを比較しておりますが、月当たりの各医療機関ごとの登録症例 数ということで計算したものです。これは、月ごとの各医療機関のアクティビティを比較したもの になりますが、同条件で実施しているOncology-1に関しては、海外に比べて全く劣ることはな いということがデータとして出ております。  次に資料7。これももう1つの依頼者から提供していただきました。がん領域2つと呼吸器 領域1つの治験の比較です。これは国際共同治験でさまざまな国が入っています。1つ目の 治験に関しては日本が最も遅いですが、これはアジア治験と呼ばれるアジア周辺諸国と実施 した治験です。2番目はアジアもラテンアメリカも北米も入っている治験です。赤い所が日本で す。もともと5カ年計画でスピードに関しては、欧米諸国並みに改善するというところを目標に しておりました。ですから、このOncology Study-2で見ていただきますと、アジアの中にはダン トツで早いところもあり、ラテンアメリカやアジアに比べると若干日本は真ん中ぐらいの位置です。 左のほうの欧米と比べると日本は高い水準にあり、このグラフからは、5カ年の目標、期待され る姿に近づいてきているということが言えるかと思います。  ここまでがスピードに関して現状を評価して、遜色ないと申し上げた根拠となるデータです。  次の資料8からは質に関しての議論で用いたデータになります。質については、さまざまな 評価の仕方があるだろうという意見が出ました。各治験における、例えばデータのクエリーの 数の国際比較とか、同意を取った患者のデータを最後、解析にどのくらいの割合で用いるこ とができたかとか、そのデータがどのくらい最後まで使えたかということを比較することなど、さま ざまな視点があるかと考えましたが、残念なことに、企業の中で、ただ今例示したような質に関 して同一プロトコールで比較したデータをすぐに出せるような形では持ち合わせていないという ことでした。そのため、今回は、現在実施している治験のデータというのはお示しできておりま せん。  資料8のグラフは、構成員の慶應大学の佐藤先生が発表で利用されているスライドを引用 させていただきました。同じプロトコールにおける実施、データの質を国際比較したものです。 日本と米国とヨーロッパで比較したものですが、医療機関数にばらつきがあり、登録患者数も かなり大きく差がついております。日本はかなり少ないということが言えますが、スクリーニング 脱落割合というのをご覧いただきますと、同意を取得した患者に適格性の検査、選択除外基 準の検査をした結果、そのプロトコールで求める患者層には合致していなかったということで、 脱落してしまった割合が海外では15%でしたが、日本ではより少なかったということが示されて います。  また、このプロトコールの特徴として、治験薬投与にかなり煩雑な手続きが必要だったと聞 いておりますが、その投薬手順によって逸脱が生じていた数というのが、海外ではかなり見ら れたということが示されているのに反して、日本ではそのような手順による逸脱は全くみられま せんでした。日本がかなり丁寧に治験を実施しているということがこのデータから言えるのでは ないかと思います。  これはあくまでも一例なので、より複数の治験等で比較してみることが必要かとは思います が、日本の質は十分であるという共通認識が得られ、これを維持するためにどれだけ現場に 負担がかかっているのか、今後はその負担について見直していく必要があるのではないかとい うことがワーキンググループでも議論されました。  資料9。これは最後の資料になります。ワーキンググループの中では、治験依頼者の感覚 として10年前ぐらいに比べると、最近ではGCP実施調査において指摘されることが、かなり減 ってきているという感触があるというご意見がありました。それを確認するために、PMDAにご 協力をいただいて、過去数年間のGCP実施調査における指摘事項数の推移のデータをい ただきました。これは、毎年PMDAが開催しているGCP研修会で発表されている毎年度のデ ータを年ごとに経年で並び替えたものです。  たくさん項目があるのでちょっと見にくいグラフになっていて恐縮です。一見すると山があり、 ここが非常に悪かったのかというように見えますが、それは、そのときの実地調査の品目や対 象となる数等にもよりますので、必ずしも山に注目する必要はないと考えます。この中で全体 を引き上げているのが21条の第1項、重篤な副作用情報の迅速な医療機関等への通知と いうことになりますが、ここはやはり被験者の安全を守るというところで、いちばん厳重にチェッ クをする必要があるところなので、そこに対しての指摘が多いわけです。しかし、それ以外の細 かい部分に関してはほとんどゼロに近い指摘数で推移しております。  次は医療機関に対する指摘で、指摘のあった症例数を見ています。これは平成16年から のデータですが、これも同様に山に注目していただく必要はないのですが、このような状況で 推移しているということです。特にこの山について、明確な特徴があったのかということで PMDAの方にご意見を伺っておりますが、特別に問題視するような状況、背景があったわけ ではないということでご意見をいただいております。  以上、ワーキンググループでお話をした結果をご報告させていただきました。  なお、ただいま説明申し上げたスピードの検討結果の中で、資料4のR&D Head Clubに おいて国内の治験実施機関のスピードについてお示ししましたが、資料2には、これと同じ視 点で、中核病院・拠点医療機関の現状について再度集計を行い、参考としてお示しいたしま した。第1回の検討会で同様のグラフをお示ししましたが、それは医療機関の手順に基づく 理論値であり、わかりにくいグラフでしたので、これは再度、実際の結果を再集計しました。  平成20年度に終了した治験をこのR&D Head Clubのデータと同じく、開始年ごとに集計 し直しました。これをご覧いただきますと、明らかに新たな治験活性化5カ年計画を開始する 前にスタートした2005年の治験に比べて、昨年、一昨年に開始した治験は、スピードが速く、 医療機関間のばらつきも小さくなってきています。各医療機関がそれなりに努力されていると いうことをお示しできるのではないかと思います。これは第1回検討会に示した資料と異なり、 治験依頼者とのやりとりの中で生じた実際の数値ですので、依頼者の持ち時間も含まれた数 値としてご覧ください。  また、同じく追加でお配りしましたのは、治験にかかる費用の支払形態です。これも第1回 の検討会で示した資料から抜粋いたしました。先ほど資料の3で治験費用の支払方法につ いて説明いたしましたが、それが中核病院・拠点医療機関の中で現実はどうかということです。 これがまた、集計の方法が全く異なりますので、費用のどの部分を集計したかというのが少し 異なりますが、全体としての傾向は見ていただけるかと思います。以上です。 ○楠岡座長 どうもありがとうございました。ワーキンググループで非常に短時間でよく検討して いただきました。ワーキンググループに関わられた皆様方、並びに資料提供いただいた関係 者の方に改めてお礼を申し上げます。  それでは議論に移りたいのですが、まず最初に、いまご説明いただいた資料等に関して、 直接関係する内容で確認等が必要という所がもしございましたら、渡邉構成員。 ○渡邉構成員 浜松医大の渡邉です。豊富な資料でご丁寧なご説明ありがとうございました。 資料6、2、1について確認させてください。まず資料6です。資料6でOncology-1について ご説明いただきましたが、この所要日数が日本とグローバルで同じということは、日本は第一 症例も登録したけれども、最後の症例も日本だったということ、そういう可能性があるというふう に理解していいですか。 ○事務局 具体的に最初の症例が日本で最後も日本だったかという所までうかがっておりませ んが、その可能性はあるとは思います。 ○渡邉構成員 この確認上の注意事項に、「グローバルの登録開始日〜終了日は、プロトコー ル全体としての数字であって、各国のデータの内の中央値を示したものではない」。 ○事務局 はい。 ○渡邉構成員 例えば米国が最初に症例登録を開始して、日本が最後の症例を登録した場 合には、米国の最初の症例登録日から日本の最後の症例登録日までが所要日数となると書 いてありますので、その可能性があるわけですね。 ○事務局 はい、あります。 ○渡邉構成員 その裏の資料を見ると、この縦軸は症例数、そして医療機関数、そしてそれを 月数で割ったものなので、Oncologyに関しては、Oncology-1の治験はグローバルと日本がほ ぼ同等、それ以外は全て日本の症例集積性が高いということを示したものと考えていいのでし ょうか。 ○事務局 その点につきましては、ご指摘の通り、一件スーパーデータのようにも見えるかと思い ますので、補足させていただきます。実際に、日本において短期間で集中して登録されたとい うことは事実です。海外に比べると1年程度遅れて参加して、短期間でこれだけの症例を登 録できたので、その期間中においてはこのグラフにお示しするアクティビティがあったとことを 示しています。一方、海外のグラフにつきましては、分母となる登録期間が、治験全体の第一 症例が入ってから治験全体の症例登録が終了するまでとなります。国によっては分母となる 治験全体の登録期間のうち、自国の登録については短期間で終了している場合もありえるの で、日本に比べて分母が大きくなり、月あたりの医療機関における症例登録数が見た目上小 さく見えている可能性があります。 ○治験推進室長 補足説明、コメントさせていただきます。単純にそのスピード分の集積数と、 集積性という定義については、いろいろ議論はあるかと思いますけれども、単純に言うのであ れば、これだけの期間に日本は短期決戦で入ったということで、そこで言うのであれば、日本 はこの集積性が高いと考えてよろしいかと思います。ただ、ではその背景となるものが、例えば 先ほどちょっと事務局側から説明申し上げましたように、海外の様子を見ながらその後に入る ということで、それがより入りやすい、いろいろな情報が入った上でということが、もしかしたらそ れがいわゆるその集積症例数を高めている可能性もある。それがいいかどうかはまた別の議 論になるかと思います。ただ単純に数値からいくのであれば、これはひとつ集積性が高いのか と言われたときには、高いと言ってよろしいのではないかと私どもは考えます。 ○渡邉構成員 ありがとうございました。集積性に関連して資料2についての質問です。、資料 2はモニターの生産性について、1人当たりのモニターがどのくらいの医療機関を担当してい るかを指標に提示したものです。先程は、モニターが担当する医療機関数が諸外国に比べ 少なく効率性が悪いというご説明だったかと思います。しかし、もし症例集積性が高いという前 提に立ったならば、モニターが担当する医療機関数が少ないということは効率性が高い事を 示す、という解釈も可能かもしれない。モニターの生産性を検討する場合には、症例数も含め た資料を示していただければ非常にわかりやすいかと思います。 ○事務局 ワーキンググループで作業を行った短期間で集められる既存のデータをご提供いた だいたということで、限界がありました。そのため、資料2のグラフの背景情報として、治験Aか らEの症例数についてお聞きしております。AからEのうち、終了している治験というのがAと Bだけということなので、一部まだ動いているデータもあります。C、D、Eは実施中の治験にな ります。Project Aにおける日本とグローバルの1機関あたりの症例数の比較は、日本の5.4 に対して、グローバルの3.3ということです。Bに関しましては日本が3.7に対して海外は3.6 です。プロジェクトDは、これ実施中ではありますけれども、日本が5.0に対して海外は2.8と いうことで、既に日本の目標症例数の登録は終了しているそうですが、海外がまだ終わらない ということで、日本の中で症例追加を検討している段階だということです。この治験に限っては、 日本のアクティビティのほうがグローバルに比較して非常に高いということはお聞きしておりま す。 ○渡邉構成員 最後に資料1に関して、棒グラフが示されていますが、例えばこの2の治験の場 合には、CRAの費用が非常に大きい。しかし、6の治験の場合には、CRAの費用は少なく、 医療機関費用が非常に高い。前の頁の資料で疾患領域別の検討を行っているようですが、 費用に関しても疾患領域別で検討されているか、種類によって何か傾向と言ったものがあっ たのかどうか伺わせていただければありがたいと思います。以上です。 ○治験推進室長 いま、手元にはデータはないのですが、作広構成員、何かご紹介できるよう なものありますでしょうか。  ○作広構成員 いま私の手元には、例えばこの渡邉先生が言われた2番のプロトコールは、1 頁目に戻って循環器だったのか代謝だったのかの資料がありませんが、調べればわかりま す。 ○楠岡座長 ほかに何かご質問ございますか。 ○伊藤構成員 事務局のほうからは、資料1についてばらつきがないとご説明を受けたような気 もいたしますが、これ見るとやはり違うのだと思うのです。大きな違いがあるのは、CROの関与 とSMOの関与によって違いを生むと思うのですが、どのプロトコールがSMOが関与していると かCROが関与しているとかというのがわかれば少なくともSMOに関しては参加施設によって バラけるかもしれませんが、CROに関しては全体として入るものだと思うので、教えていただけ ればと思うのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 私どもが頂戴しているデータが資料1の1枚目の背景と2枚目のグラフのみですの で、追加で先ほどの質問の回答と併せてご提供いただけるようであればお願いしたいと思いま すが、いかがでしょうか。 ○作広構成員 今わかる範囲でコメントさせていただきます。この青の医療機関費用、これは直 接医療機関に支払った費用とSMOに支払った費用を合算してございます。それから赤の CRA費用、これは1つのプロトコールでも社内のモニター、それからCROモニター両方でモ ニタリングをやっているケースも当然含まれております。その場合のコストの計算ですけれども、 それは社内のモニターもCROモニターも月170万円。それと交通費1カ月20万円ということ で一緒に計算をいたしました。 ○事務局 どの治験にCROが付いているのか、SMOが付いているのかについての情報はない でしょうか。 ○作広構成員 いまは手元にはございません。 ○楠岡座長 ほかに特に確認を。はい、一木構成員。 ○一木構成員 資料6の先ほど渡邉先生もご指摘になったものなのですけれども、確かにこう やって見ると、早くなっているような気がするのですけれど、例えば3機関で所要期間の中に 13名なのですね。要するにOncologyのこういう特殊なデータをもってきて、スピードが速くなっ た遅くなったと議論するのは非常にナンセンスではないかな。というのは、1施設当たりが年間 1年半ぐらいで4例しか入れていないのですね。それから1番下のものも日本は3機関で11 例しか入れていないのです。ですからこのデータでスピードを議論するのは無理があるのでは ないかなという気がしております。  それからもう1つは、その前の資料5ですね、これグローバル治験のものなのですが、これ がどこのどの治験か私にはわかってしまうものですから詳細なコメントを差し控えますけれど、 ただ、このグローバル治験で他国が、一斉にスタートしていないのですね。ヨーロッパ、アメリカ が先に始めたり、それからアメリカが後から入ってきたり、ですから例えばTrial 8なんかは、韓 国は数字が入っていないですね。これをこういうふうにどこでカットオフしていくかというのは、ち ょっと慎重にデータを見ておかないと始めた時期によってかなり違うと思います。しかもグロー バル治験の場合には、半年とか1年で施設の入れ替えをやりますから、グローバルの側は。 例えば0の施設は切ってアクティビティの高い施設を足そうということをやりますので、なかなか うまく数字には表れてこないと思うので、その辺は若干注意して日本の位置付けを見ておかな いといけないのではないかなと思います。 ○治験推進室長 ご指摘は重々承知の上で、今回はデータをお示しさせていただき、必ずしも 我々日本がベストとか、べターというつもり、あるいは日本が非常にすごいのだということを申し 上げるつもりではございません。ただ、これまでに我々は、鋭意いろいろなデータ、例えば比 較可能性があるようなデータがないかどうかということを、先ほどの例えば資料6についても、 同一プロトコールという、やはりバックグラウンドがきちんと整備された中で比較ができるようなも のはないだろうかということをお願いをした結果、いろいろと各社、あるいは各団体のほうから 短期間でお出しいただけたものに限ってという限界がある中で、いままで言われていた日本の 状況というものとどうなのかということを議論させていただいて、ここでお出ししたわけでございま す。  一木構成員のほうから慎重にということは我々としても重々承知をしておりますので、今後と も鋭意いろいろな資料については集めて議論はしていくつもりではございますが、少なくともワ ーキングの中、あるいは中間見直しの中で、現状で得られたデータの中で、どうかという議論 は一度させていただきたいと思っております。 ○楠岡座長 もう議論に入ってしまっていますが、スピードに関しては、1つは治験依頼があって から始まるまでが日本はやたらと長いと。要するに審査とか、事務手続きに時間がかかってい て、なかなか始まらないというのが1つの問題点としてあって、2番目は、スタートしても症例登 録が遅いというのがいままで指摘されていました。資料5に関してはいわゆる前半部分、要す るに1例目の入るまでの時間なので、これはいま一木構成員が指摘されたようなことも考慮し た上で、領域とかに関係なしにある程度比較可能かと思います。資料6に関しては、これはス タートしてからの登録のスピードということになるので、それは先ほどおっしゃったように、施設 が途中で入れ替わって、どこからスタートしたかによってかなりハンディが違うということもあると 思いますので、その6に関しては確かに状況によってかなり解釈が難しい所があるかもしれな いと思います。ほかに直接的に何か確認点。 ○伊藤構成員 資料4の06-07と04-05の赤の線の場所、これ違いますよね。 ○事務局 ご指摘の通りです。もう1列左側です。失礼いたしました。 ○楠岡座長 赤い線が1つずれているのですか。それは訂正を。 ○事務局 はい、訂正させていただきます。 ○楠岡座長 ほかよろしいですか。そうしましたら、いまお示しいただきましたワーキンググループ での一応サマリーいただいていることと、その根拠となっているデータを含めまして少し議論を 進めさせていただきたいと思います。  なお、前回第3回予定の9月3日の検討会が中止になりましたが、これはワーキングがま だ作業の途中で、結果がまとまらないとディスカッションができないということで、第3回は中止 させていただき、今回が第3回となっておりますので、そのことだけ一言追加させていただきま す。  それでは、いまの報告の順番を基に検討していきたいと思います。今回のこの検討会の目 的が現状を確認し、評価し、そして残り2年半の間にどういうところに中心を置いていくかという ところを指摘していくということですので、その点を中心にご議論いただきたいと思います。課 題を指摘いただきまして、もしそれに対する具体的なアクションプランがあるようであればそれ を提案していただくという形で議論を進めさせていただきたいと思います。それから、プレーヤ ーもいろいろあります。施設側の問題なのか、依頼者側の問題なのか、あるいは、場合によっ てはシステムそのもの、規則そのものが問題ということもありますので、どこが特に担当している かということも併せてご意見をいただければと思います。  順番ですが、一応、コストはスピードと質にかかわる問題ですので最後にさせていただいて、 先ほども議論があったスピードに関して少しご議論いただきたいと思います。スピードに関しま しては、「遅い遅い」と言われていたわけですが、いま出されているデータを見ると、かなり改善 されている。特に、治験開始前のところはかなり良くなってきているのではないかと。それから、 開始後の登録ですが、これもグローバル試験を中心ということになりますので領域がかなり限 られているということと、この検討会では特に中核・拠点の状況が頭にありますので、そういうと ころが特に担当しているような治験を対象にということもありまして、少し領域的に偏りがあるか もしれません。これらの点を含めてスピードに関してどのようにしていくか、あるいは、現状の状 況でよしとするかです。ワーキンググループのレポートではこれ以上求めるとかえって問題が出 るのではないかという指摘になっておりますが、その中で特にここはもう少ししたほうがいいので はないかとか、そういう点がありましたらご指摘いただきたいと思います。榎本構成員、どうぞ。 ○榎本構成員 今回、ワーキンググループに構成員として参加させていただきまして、そのところ のスピードに関してご報告させていただきます。今回、製薬企業の団体の方が多くワーキング に参加していただきましていろいろな実務レベルのお話ができました。特に、治験開始までの スピードは、グローバルに比較しても遜色ない程度になっているのではないかという、結構驚く ような良い評価をいただいたところがあります。しかし、これは、中核・拠点など、この3年間、 前向きな施設がかなり無理をして、私の所もそうですが、改善したところもあります。それで、こ の黄色資料2でお示しいただいて、拠点・中核病院がいろいろなポイントからの日にちをかな り右肩下りで頑張ったという数字が見えて、非常にうれしいなと思った資料です。  しかし、これは一部の施設が頑張っているのであって、まだ改善していない、全然それに乗 る気持もないような施設もまだあるかもしれません。ワーキングの中でのご意見では、これを数 値化して、治験を実施しているすべての医療機関が目標値に向かって努力できるように、そ の数値に達している施設はあまり頑張ると疲弊してしまうということもありますので、ある程度の 目標値の提示が必要ではないかという話が出ました。 ○佐藤(裕)構成員 おっしゃるとおりだと思うのですが、全体を見ると、中間見直しの検討です ので、もうそろそろ目標値ではなくて、ミニマムリクワイアメントを具体的に絞って、次に中核・ 拠点を選ぶときには、これこれの数値に達していない所は更新しない、あるいは途中でやめて いただくということを出すのが、税金が厳しくなっている以上、現政権からは問われるのではな いかと思います。 ○楠岡座長 目標値に関しては、実は、初年度のところで、このスタートをするまでのところです が、目標値を設定しています。そのときの目標値の設定は、いちばん最初のベースライン調査 のときの75パーセンタイル、要は良いほうの75パーセンタイルでしたか、たしかその辺りに目 標値を設定したと思うのですが。 ○事務局 お手元に資料をご用意しておりませんので読み上げさせていただきます。これは第1 回にご報告申し上げましたが、手順上の医療機関の持ち時間について、いま座長よりご説明 いただきました方法で出した数字です。治験の依頼から開催までの目標値を15日から20日 と設定しております。IRB承認から契約締結までが10日以内。治験薬搬入から第1例目登 録日までを7日以内と設定しておりまして、実績値とはかなり開きがあるというのが現状です。 目標値の設定時は、治験薬搬入と症例登録 の順番が逆転するといった特例は考慮せず に設定た数値になっています。現在、申し上げた3点について目標設定をしております。 ○佐藤(裕)構成員 ですので、今度は目標設定ではなくて除外基準。例えば、治験薬搬入か ら第1例登録までのその施設における年間の平均が、自分の首を絞めますので数字はいま 言わないほうがいいと思いますが、例えば数百日を超えるという所は次年度は交付しないとい うぐらいの厳しい姿勢で臨む。それはなぜかというと、これは希望ですが、薄く広く撒かれるの ではなくて、韓国に負けないためには重点的に配備されることがどうしても必要だろうと思いま す。それを予算上可能ならしめるためには、パイは変わらないので分ける数を減らしていただ くのがよろしいのではないかと思う次第です。 ○山本(晴)構成員 私も、この中核・拠点の5カ年計画の1つの良かった点は、非常にバーが 長いところが短くなったということが、やった甲斐が非常にあったことだろうと思います。もう1つ は、最初の目標設定値については、調査結果から単純に割り出したものだと思いますが、そ ろそろその結果を見ながら内容を考えてもう一度設定し直すというのも1つだと思います。  例えば、治験依頼日からIRB開催日というのは、最低ここぐらいまではIRB委員の審査の ための事前の資料を見たりする、ある程度その質を確保するためにこのぐらいは必要だろうと いう時間もあると思いますし、治験の契約締結から1年目の登録までというのも、それは毎日 のように同じような患者さんが来られている疾患であればそうですが、1年に10人ぐらいしか来 られないような患者さん、あるいは救急領域の患者さん、そういう治験にも同じようにはとても 無理ですので、その辺はあまり厳しく言うと、疾患領域の特徴を全く無視したような形になって しまいますから、その辺は考えてあげる必要はあるかと思いますが、その意味では特に事務的 な手続が圧縮できていない所とか、そういう所は、佐藤構成員がおっしゃるように、多少厳しい 態度に出ていってもいいのではないかと思います。 ○佐藤(敏)構成員 うちでもいろいろとスピードを上げるように鋭意努力をしているところですが、 ナショナルセンターと違って、大学各領域すべてを網羅しなければいけないということで、疾患 領域によってばらつきがかなり生じてまいります。得意な分野、不得意な分野がありますので、 その辺は、いま私どもがしているのは、うちはこれができる、この辺は大丈夫だ、ということを依 頼者側にきちっと情報提供するということで、うちはこれについては大丈夫だから、ということで 効率をよくするという方向に持っていこうかと思っております。なので、全部の中で、この領域 がミニマムリクワイアメントに達していないから駄目だと言われるとちょっときついなという気がし て、逆に言えば、うちは達しているものだけをこれから頑張るのでよろしくお願いします、という 形にさせていただければなと思っております。 ○楠岡座長 ただ、先ほど佐藤構成員がおっしゃったミニマムリクワイアメント的なものも、個々 のケースではなくて平均値であるということと、中核・拠点であればある程度ボリュームがあるの で、確かに、外れ値は当然あるけれども、平均をとればある一定のところに収まるであろうと。1 つ2つの外れ値があるために、すごく平均が変わるというのは、もともとボリュームがないという 話になってきますので、そういうことを考えると、先生がおっしゃることはわかるのですが、先ほ どの山本先生の話も含めて、個別事例も踏まえた上でということになると思います。 ○佐藤(敏)構成員 平均というか、中央値であれば十分対応できると思います。 ○掛江構成員 黄色の資料のほうで、先ほど山本晴子構成員がおっしゃったところにも関連す るのですが、IRBの治験の依頼日から開催日とか、そういったところのデータのとりまとめにつ いてですが、実際の審査との兼ね合いのところのスピードに関しては、そこでスピードを調整す るべきことではないだろうと考えます。審査スピードを急ぐことによって審査の質が落ちることは 問題ですし、そこは違うと思いますので、その辺りをデータの取りまとめのときにも配慮していた だきたいなと思います。それで、この資料の中の2つ目に、IRBの開催日からIRB審査結果 通知日までの期間の資料があると思うのですが、これは結果通知日であって、承認の通知日 ではないという理解でよろしいのですよね。 ○事務局 IRBの中で承認か不承認か決まりますので、それを記録に起こして、それを委員長 が結果を通知する日です。 ○掛江構成員 であれば、例えば継続審査の施設などは、1回目の審査に対する通知が来た ところまでの、というような形で集計しているという理解でよろしいですか。 ○事務局 この集計にあたっては、保留があった場合などはすべての結論が出たときから審査 結果通知日までにしました。なので、例えば、審査に指摘事項があって次回に持ち越したり、 条件付承認で条件がクリアされたりとか、さまざまあると思うのですが、そこにかかる日数はここ には含めていません。 ○掛江構成員 ありがとうございます。それが確認したかったのです。それで、IRBのその3枚目 とか、開催日から契約日とか、そういったところのデータは参考として非常に興味深いものなの ですが、こういったものがあまり出てしまうと、審査委員会のほうに早く審査しなければいけない とか、1回で承認しないとこのような調査に引っかかってくるとか、そういうことになるとちょっと困 るなと思いました。 ○楠岡座長 今回のデータでも、IRB依頼日から開催日が、中央値は16ぐらいですが、バーの 端のほうは10とかいう所もあるわけです。これは10日あれば十分なのか、2週間を切っている のは問題とするなど、少し議論があるかと思います。 ○山本(晴)構成員 この結果は治験の依頼があってからのスピードなのですね。グローバルの ときに、おそらく、企業の方などからお聞きしていて本当に問題があるかもしれないところという のは、グローバルの中でプロトコールが立ったときから、その各国の海外のグローバルの中の 地域で、施設が選定されるそのスピードもかなり大きくかかわってくるというふうにお聞きしたこ とがありました。ですから、いまは、施設に依頼が来ればこのぐらいのスピードでできますよとい う話ですが、あと考えていくべきは、それはネットワーク化との議論にかかわってくる問題だと思 いますが、施設選定までにかかるスピードというのも少し考えていかなければいけないのではな いかと思いました。 ○事務局 いまおっしゃった件で、今回お示ししたデータには含めておりませんが、参考でワー キンググループの中でご提供いただいた資料の中に、社内で治験実施計画書の第1版が確 定されて、それから第1症例目が登録するまでの機関を、外資系A社における日本国内の みで実施した治験と、日本を含むA社全体の治験のスピードを集計し比較したグラフがありま す。同一プロトコールにおける比較ではなかったので今回はお示ししませんでしたが、そこの 中では海外すべてをトータルしたものに比べて日本のほうが早いという結果をいただいており ます。 ○田代構成員 資料4で、治験のスピード、医療機関経営母体の治験依頼から第1症例登録 までという資料で、おそらく、我々SMOが支援しているのは右端のクリニックとかプライベート病 院というところが主だと思うのですが、すべての資料が治験依頼からファースト・ペイシェント・イ ンまででスピードを議論されているのですが、第1ステップとしてはいいのですが、本来、我々 SMOがメーカー、依頼者から要求されているのは、いかに早く終了するかというところなので す。そういうところの視点というか、指標もどこかのタイミングで入れていかないと、何か、議論が 片手落ちのような気がしているのです。  先ほど言いましたように、第1ステップとして、まず始まるまでを議論しようよと。そこがスピー ドがまた問題があるよということでは理解しているのですが、その中で、1つ良い例があるので はないかなと思うのは、ここの真ん中辺りのパブリック病院のスピードが明らかに改善されてい ると。これはどうして改善されたのですかというところで、おそらく、このやり方を見本にすれば 全体がそのレベルになっていくモデルになるのではないかという気がしました。 ○楠岡座長 スタートするまでと登録のところを、先ほどの事務局からの紹介にもありましたが、 欧米並みにというのが1つのこの5カ年計画の目標になっています。そこは対象がグローバル 試験が対象になるので、グローバルの中で特にクリニックレベルのところのスピードというものを 比較しないと、いまおっしゃったようなところが出てこないと思うのですが、これに関しては今回 は特にデータがなかったのですね。 ○事務局 すべての症例を集めるためのスピードというのは、同一プロトコールで比較しないとい けないので、それについてはデータはいただいておりません。 ○楠岡座長 その場合はどうしてもOncologyとかが中心になっていたので、クリニックが参加で きるような領域が限られていることが前提で。 ○田代構成員 その辺は理解しているのですが、要するに治験が最終的に終了するという指標 をどこかで入れていかないと本当の意味のスピードとは言えないのではないかということです。 ○佐藤(敏)構成員 いま、終了までのスピード及び効率化というお話になっていると思いますが、 先ほどの資料6についてが代表性に少し欠けるデータではないかとか、あるいは資料8で慶 應の佐藤先生が出してくれた数字の登録効率で見ると、こちらでは日本が低いということがあ りまして、数字から見て実際のところ何を信じればいいのかというのがわからないところがあるの ですが、今回のワーキンググループでは、依頼者側の方々が多数入っていて、それの最初の 文書でのコメントというか、最終結論がスピートについては遜色がないというのをいただいてい るので、我々はこれを信じていいのかなと、いま思っているところですが、それでよろしいのです か。 ○事務局 そのように考えております。というのは、各社から個別にいただいたデータを今回お 示ししていますが、これらのグラフをもって各社の中では日本のステータスの評価といいますか、 日本の状況が悪くないという評価がされているということで今回ご意見をいただきました。 ○佐藤(敏)委員 ありがとうございます。というのは、我々がいくら努力をしても、依頼者側の方 が、日本はスピードが遅い、コストが高い、という認識であると、ヘッドクォーターのほうから、日 本でやるのはちょっとどうかな、というのがあって、その認識を改めていっていただかないと、 我々も努力をしても報われないかなということがあります。 ○楠岡座長 このスピードに関してですが、これはワーキングの報告にあるように、国際的に比 較しても遜色ないレベルになっているという点、スタートするまでもかなり改善が図られている、 それから、あまりこれ以上すると、先ほど掛江構成員から指摘があったように、IRB審査まで 持ち時間をやたらと短くするとかいう逆の弊害も起こってきたりするということも踏まえて、現状 のところをよしとするというところでよろしいですか。これを現状認識として、次にはミニマムリク ワイアメントを考えていく必要があるだろうという指摘でよろしいですか。次が質の問題で、これ は前からオーバークオリティとかいう問題もあったわけですが、この点に関しましてはいかがで しょうか。 ○田代構成員 資料1の質の最後の所に、「過剰にならないよう関係者は」云々と書いてあるの ですが、おそらく、皆さんはわかっている中で書いておられると思うのですが、質というのは過 剰というのはないだろうと思いますので、表現としては、質の維持に対して、先ほど座長が言わ れたように、オーバーワーク、オーバークオリティとか言われていますが、そういうことがないよう にということで、質はどんなに高くても結構だと私は思っているのですが、いかがでしょうか。 ○佐藤(裕)委員 私は反対です。この質に関する所は非常に異論があります。時間がありませ んから、かいつまんで結論だけ先に言うと、施設と依頼者側と規制当局それぞれについて改 善すべき点があります。施設側から言うと、私は質がいいとは思っていなくて、グローバルトライ アル、グローバルスタンダードから見てどうか。しつこいようですが、韓国、シンガポール等に伍 すためにどうかということで言えば、CRCや医者が、例えば海外で開かれるインベスティゲータ ーミーティングに出られるか、電話会議で海外とやれるか、英語のIVRSに対応できるか、英 語でプロトコールシナプスが来たときにきちんと組み入れ予測ができるかというと、極めてお寒 いところです。FDA、EMEAとかAAHRPP等の査察やアクレディテーションに対応できる施設 がどれだけあるのか、極めて問題が多いと思います。改善すべき点がある。  それから、依頼者側も言わせていただくと、今日拝見した資料の中で、最も青ざめて見る べきは資料2で、モニターの生産性がこれだけ低いのであれば、しかも価格が高いのであれ ば、日本では開発はしないという結論に当然なります。ですから、モニターのオーバークオリテ ィ、グローバル試験に対する対応能力はまだまだ改善すべき余地がある。事実、臨床医はす べてご存じのように、診療録を丸写しして帰られたり、EDCを1日中開いて見ておられたりとい うことがあるのでこういうことになっているという点があります。だから、これは是非、何とかすべき ことだろうと思います。  それから、規制当局側に関して言わせていただくと、資料9で実施調査における指摘事項 数をもって質を測るのは、私は大反対です。というのは、指摘事項数が少なくても極めて重大 なものもあれば、先生たちもしばしばお腹立ちの覚えがあると思いますが、ASTが39と書いて あったのが38と転記してあったのを、鬼の首を捕えたようにお怒りになるような方もかつてはお られました。それを反映して、今度は依頼者のほうは指摘事項数を減らすことを目標にされた りしております。これは全く意味のないことでありますし、先ほどのカルテ丸写し、その他、CRC の皆さんが呆れておられるようなことが多々あります。私も経験があります。  この点がありますので、コンプライアンスという点で言えば十分すぎるぐらいに十分である、 不要なぐらいに十分であるけれども、効率とか能率、運営上憂慮すべき点は多々あると思い ます。これはまだまだミニマムリクワイアメントどころではないので、目標として、例えば先ほどの FDA、EMEA対応その他、今後に備えていくべきところだと思います。要は国際競争力という 点であろうと思います。 ○伊藤構成員 ちょっと気になるのですが、いま佐藤先生がおっしゃられたように、FDAとか海 外の規制当局に対する対応とか、例えば語学の問題を議論されてそれに対応できていない から質が低いというのは、本来、治験の活性化は我が国の医薬品の開発をきちんとすることが 目的なのであって、国際共同治験に参画できないから我が国の質が悪いということにはならな いというふうに思います。そこはきちんと議論しておかないと、とんでもない方向に行くのではな いかと思います。 ○佐藤(裕)委員 質の良し悪しというより、対応能力がどれだけあるかないかということだと思い ます。 ○伊藤構成員 それは語学の問題なのか、海外の医療とか治験、研究の質への対応の問題な のか。医師がインベスティゲーターとしてきちんとGCPに対応ができないという問題があること は十分承知していますが、それ以外のことについて議論をするのは、ここの場の議論ではない のではないか。国際共同治験に対する対応能力と国内のクォリティコントロールとは別ではな いかと思います。 ○佐藤(裕)構成員 2つの目標として分けてよろしいと私は思います。要するに、国内の治験 体制でも不備なところはありますので、それを良くするのが1つ。それは、おそらく、多くの医療 機関に対して求めていく点でありましょう。ただ、その中で、特に中核病院とかセンター・オブ・ エクセレンスというような機能を付与されて、そのために税金を使って整備している所ですから、 日本中の病院が国際共同治験に対応する必要は全くないと思いますが、少なくとも、いくつ かの医療機関において先進的な国際共同治験に入っていくことがドラッグ・ラグの解消の唯 一の方策である以上は、避けて通るべき問題ではないだろうと私は思います。  それから、語学の問題だけでは必ずしもなくて、感覚とか水準の問題があります。簡単に語 学の問題だけであれば通訳を入れればいいわけですから、そういうことではない。AAHRPPの 認証というのは、別に、医者が英語がうまいかどうかというのはあまり関係ありませんので、これ は目標として分けるべきですし、中核病院と拠点医療機関と2つの構成になっているので、努 力目標として分けてもよろしいのではないかと思います。 ○楠岡座長 佐藤構成員、伊藤構成員がおっしゃることはそれぞれもっともなことで、まず、グロ ーバルに参加していかなければならないというのは自明のことで、グローバルを避けては通れ ない時代であるのは間違いない。そのグローバル治験を実施していく中で、確かに、語学とい うのは非常に大きなバリアーで、グローバル治験のディスカッションをするときにいつも必ず語 学という問題が出てくるわけです。いっぽう、具体的に治験を進めるところにおいてのグローバ ル治験への対応というのは今はかなり進んできて、これはCRCの努力もかなりありますし、医 師のほうもそれは考えて行っているので、国内でグローバル治験を進める中での問題は、そこ は徐々に改善しているという認識です。確かに語学も必要なのですが、少なくとも、定型的業 務においてはそこはかなり解消が進んでいるのではないかという見方ができるかと思います。 ただ、問題は、それよりも例外的事項といいますか、まさに、いま佐藤構成員が言われた例え ばFDAの査察があったときにきちんと対応できるかというようなところになったときの問題という のはまだこれから残っている。  もう1つは、別の所でグローバルの話をしたときに、グローバルのU相、V相をいくらやって いても国としての力にはあまりならない。T相に参加していく、あるいは治験、臨床試験をプロ ポーズしていかなければいけないだろうというのが1つ結論で出てきたわけです。そういう意味 での質から言うとまだまだというのも、佐藤構成員の先ほどまとめていただいたとおりの話なの ですが、目標としてはわかるのですが、現在の5カ年計画のスパンの中にどこまでそれを入れ るかというのはちょっと。ただ、5カ年計画の最後の所にグローバルも入っていますので無視で きない話だとは思います。  確かに、伊藤構成員がおっしゃるように、日本の治験であるということも確かなのです。ただ、 日本の治験のかなりの部分、半分近くがグローバルになっていて、そのグローバルを進めると いうことに関してはだいぶ進んできていると思います。グローバルを進めるという話もこの5カ年 計画の中には入っていますので、そこに関してはまだやると。ただ、ここでいま問題にしている 質というところに関しては、佐藤構成員のは、少し先を読みすぎていると言うとおかしいのです が、必要なのですが、いまのこの治験の実施レベルにおいては問題はいまのところはないとい う、そういうご意見であるとうかがえる。 ○佐藤(裕)構成員 ですから、2つの水準の問題ですね。GCP云々、国内の治験体制、IRB が毎月開かれない云々というところから始まったので、その点ではよろしいと思います。そこは 私は異論ありません。ただ、少なくとも、さらに絞って治験の中核機能を付与することを言って いるので、目標は逃すわけにはいきません。すでに、シンガポールは除くとして、韓国、台湾を 見ると、これは非常に憂慮すべき問題でありますので、従来言われていたのとは別の意味の 治験の空洞化を私は非常に懸念しております。ですから、是非、これは明記しておくべきこと だと思います。 ○山本(晴)構成員 その語学の問題はもちろんあると思うのです。ただ、グローバル試験、その T相を皆さんがやるわけではないですし、ある程度英語のプロトコールイニシアティブにも各施 設も対応できているというのも実際ですが、たぶん、質というよりは、現時点では多くの施設が グローバル治験をやるときにはコストにそれが反映されているのではないかというふうに考えま す。  例えば、有害事象を報告書に全部英語で書くのをモニターにその文例をつくってきてもら うとか、実際、多くの施設はそういうことをやっているわけですし、プロトコールの内容が日本語 で最初から書かれた細かいものと違って、グローバルの場合は、なぜこういうものがあるのかと いうその背景を考えながらやらざるを得ないのですが、それを字義どおりとって全部いちいち 細かいところまで問い合わせをかけるとか、そういうグローバルに対して対応する能力が低いと いうことが、モニターの負担にもかかっていると思います。中には、モニターの会社の中では語 学力の低い所では受けられないようなものが出てきているかもしれませんので、質に一律に入 れてしまうと反発もあると思いますので、この5カ年計画の中ではコストのほうにより反映されて いるというふうに考えてもいいのかなと思いました。 ○小林構成員 先ほど慶應の佐藤構成員がおっしゃったとおり、指摘事項数だと治験の質の 中身が見えないので、審査報告書が実際に公表されている中で、実地調査での指摘も記載 されているのですが、公表は承認されているものだけですし、試験が抽出だということもありま すがら、申請前に依頼者の段階で解析する際に、GCPとかプロトコールから外れてしまったか ら解析から外れたのがどのぐらいあるのかという、試験実施年ごとの推移が出てくるとよくわか ると思います。そういう情報がもしあって、時間とともに逸脱が減っている、ということがわかれば、 細かい指摘はあれど試験の結果を揺るがすようなことまでに至るような事例はもうないですね、 ということが言えれば、今のやり方のままで十分に胸を張ってやれるのかなと思います。 ○楠岡座長 作広構成員から特にコメントはありませんか。 ○作広構成員 特にありません。 ○楠岡座長 そうしましたら、質の所に関してもこのワーキングの報告をベースにというところで、 あとはグローバル、将来的な長期展望というところでは、いま佐藤構成員が指摘されたような 点は考慮していかなければならない。それから、目標設定に関しては、質に関しては数値化 するのがなかなか難しいものなので、何をもってその指標とするかということは少し問題がある のですが、事務局のほうで質に関しての目標というのはありましたか。目標値というのは特にな いですね。だから、これは何をもって指標とするかが必要で、考えておく必要があるだろうとい うところですね。よろしいでしょうか。  そうしますと、最後に残ったコストで、これはスピードと質の問題も絡んで、先ほど山本構成 員の指摘もありましたように、すべてが絡んでくるところですが、このコストに関しましてはいかが でしょうか。 ○作広構成員 今日の別添1の検討結果、ワーキンググループのコストの2ポツなのですが、要 はこの文章の中にポイント制の話も書かれております。さらに透明性を高める必要があるという ことで、ポイント制が必ず右へ倣えというような位置づけのものではありませんが、見直しといい ますか、その作業を、今後、作業班等をつくってやるべきだと私自身は思っているのですが、 その辺りは事務局等はいかがなのでしょうか。 ○榎本構成員 ワーキングの中でもこの話はかなり時間を費やしました。コストに関しては医療 機関に支払われる費用を標準化するために、先ほどおっしゃったようなポイント表が新CGP 改正のすぐ後に出たのですが、約10年間で独り歩きをして加工されて、医療機関ごとの算定 がなされています。また、当初設定された前払い返金しなくてよいという、それは目標症例が 当然やるべき症例数だからという理由だったのですが、それがそのまま変えられない施設がま だまだ多くあるということが出されました。  私も、CRCでありながら事務局も担当しておりますので、依頼者の方と一緒に費用の確認 や交渉みたいなものに非常に多くの時間を費やしているところがあります。当院もそうなのです が、一度決められた費用を、きっかけがなく改定することが、特に大きな病院として難しい。当 院も今いろいろ相談をしても、何か公的な通知やガイドラインが出されていますかということで、 それが出されていないと変えることが非常に難しいというところがあります。ワーキングの検討の 中で、コストダウンではなくて、適正価格の設定のために、いま作広構成員がおっしゃったよう な、関係者が集まってある程度の標準版を示すことが必要であり、そのために検討グループ を立ち上げて、それを全員が倣うではなくて、ある程度標準にするという意見が多く出されまし た。 ○佐藤(裕)構成員 あえて今日はフォー・ザ・レコードのためにいろいろ言っているのですが、こ れも私は数年前まで誤解していましたけれども、ポイント表は規制要件でも何でもない。基本 的には、依頼者と病院との契約である。これを改善するために手を加えたいのは皆さんやま やまですが、はっきり申し上げて、病院側、大学側にはそういうノウハウがあまりありません。で すから、これを変えるためには依頼者がうまく工夫をされて、いくつかの案を出されるなり何なり されて、そのうちを施設の性状に合ったようにやっていくのが、いちばん現実的ではないかと思 います。  すでに製薬協で雛型をエクセルシートまでつくっておられますので、例えばそれをベースに されて、今後あり得る形を早急に検討を進めていくという目標であれば、あと1年以内、2年以 内に、各施設というのはちょっと無理ですけれども、あるいは企業でもそれぞれ考え方が違うと 思いますから、依頼者側で少し工夫をしていただいて、いちばんやりやすい現実的な形で案 を進めていただくのがいいのではないかと思います。 ○荒川構成員 前にも発言しましたが、東大病院ではすでに雛型ができております。いつ実施 に移すかということで、ほかのこともあって後回しになっていたりするのですが、できるだけ実務 ベースでかかった時間を、より多くのデータを基にやるのがいいだろうということでやっておりま すし、また、実際の算定ではできるだけ算定に負担がかからない、あるいは誤解を生じないと いう形でやるということで、もう雛型はできています。基本的には、スケジュール表を参考にそ のまま算定できるようにという形でやっています。  ただ、実際、医療機関ごとに考慮しなければいけないのは、CRCがカバーしている範囲が ある程度バラエティがありますので、東大病院にはこのやり方でここまでサポートしますからこう いうやり方があると思いますし、そこのところは医療機関によって多少バラエティがあり得るかと 思っています。ただ、基本的な観点はご参考にいただけるのではないかと思っています。  先般、製薬協のものを見せていただき、また、お話もさせていただきました。基本的な考え 方は同じです。ただ、データに基づくかという点では、私ども、一医療機関ではあるのですが、 見直しも含めてやっておりますので、ご参考にいただければと思っています。東大病院は昔か らすべて公表してやっていくという姿勢をとっていますので、そういう形でやっていきたいと思っ ています。近々実施したいと思っています。 ○楠岡座長 もともとポイント表の基本的な考え方というのは、この治験にどれぐらい手間がかか るかを客観化しようということであって、それを基に費用を出したというのがスタートにあったと 思います。ですから、ポイント表というのは、あくまでその治験にかかる人手とか時間、その他を 含めたものを何か客観化しようというものであって、それに基づいて、例えばうちはCRCがどれ だけ関与するからというので間接経費をこれだけ上乗せするかとか、あるいは1ポイントいくら にするかというのは、全く各医療機関の自由であって、別に、1ポイント6,000円というのは誰 が決めたわけでもないのですが、何か、その呪縛に縛られていると。むしろ、今後、依頼者と 医療機関との関係で、まさに佐藤構成員がおっしゃる契約で決まるので、そこはわざわざ公 定価格をつくる必要は何もない話で、ある意味、逆に、自由競争で各医療機関が今後どうや っていくかが重要と思います。ただし、それでコスト割れになって質を落とすとかいうことがあっ てはいけない。一方、全額前払い返金なしというシステムもまた少し問題があって、そこは公正 化しないといけないというところがあると思うのですが。いまおっしゃったように、それぞれいろい ろな所がポイント表を新たに出されて、これはどうかというのを比較、ディスカッションし、うちは このポイント表を採用しますというふうに出していくぐらいでいいのではないか。これは個人的意 見ですが、ポイント表を厚生労働省のつくったポイント表に基づいてというような、公定価格を つくるというのはあまり望ましいことではないのではないかと思うのですが、この辺はいかがでし ょうか。 ○佐藤(裕)構成員 同感です。あくまで契約であるので、各施設の状況、試験の状況、内容、 依頼者側のいろいろな性状によって柔軟に運用すべきであって、今まで流布していた通念、 要するにポイント表ありきでいじってはならないのだというような誤解は、少なくとも中核・拠点の 中では解消して、柔軟にコスト削減を目指して運用するのが望ましいと思います。  もう1つ、資料1をもう一回見ると、治験によって違いますが、医療機関の費用は非常に低 くて、大部分はモニターの費用が占めている。ですから、今、我々が涙ぐましく6,000円を 5,000円だという話をしている一方で、モニター1人が1カ月に単純計算して170万円。先ほ ど申しましたように、単にカルテを丸写しするだけのために頻繁に来られているような実際があ ります。  国際共同治験で言うと、そういうローカルなモニターとグローバルなモニターの間の連絡の 不備が見受けられるところがありますし、CROでも頑張っていらっしゃる所もあれば、ほとんど ご経験がなくて、CROとローカルの依頼者との間での交渉にえらく時間がかかることもしばしば 見受けられるところですので、この2に関して言えば、最も努力をしなければならないのは依頼 者である。とはいえ病院側のこともありますので、依頼者と病院ともに、コスト削減に向けてそ れぞれ努力をする必要が非常に大きい。くどいようですが、韓国、シンガポールに持って行か れないためには、インド並みにとは言いませんけれども、今よりもどうしても下げる必要があると 思います。 ○伊藤構成員 国立病院機構がコスト割れをしてまで治験を取りに行っているというふうに言わ れると嫌なのですが、機構本部では基本的には出来高算定をしております。去年、効率化の ワーキンググループで、このポイント表の見直しの議論をさせていただきました。ただ、その時 はステイクホルダーとの間の折合いがつかず、ポイント表を全体として見直すことができなかっ た、のが昨年の状態です。もちろん、国立病院機構独自でポイント表をつくり直して打ち出す ことはできるのですが、それをやるのもいかがなものかというふうに思っておりましたので、まだ 考えておりません。逆に、勝手にポイント表をつくり直してもよいということであれば、しかるべき 方々と相談させていただいた上で、モデル的なポイント表を国立病院機構として打ち出すこと はやぶさかではございません。  ただ、それよりももっと問題なのは、国際的に見たときに、やらずぼったくりが容認されてい る国だというのがおかしいというふうに思います。ナショナルセンターが来年度から独立行政法 人化いたしますし、少なくとも来年の4月以降に、やらずぼったくりをやる施設が中核・拠点病 院の中に入ってくるということだけは避けるべき、というふうにここで決めるのがよろしいかと思い ます。 ○楠岡座長 賛成なのですが、設立母体が都道府県、地方自治体である所においては、病院 がやりたくてもできないという問題が残っていて、その設立母体によって最初から退場というの もどうかと。ですから、できるのにしていない所は問題外です。例えば、今、国立大学は全部 出来高に移れるはずなのに、まだ出来高に移っていない所があるわけで、これは問題ですけ れども。県立大学の病院で、県立であって、地方独立行政法人になっていないために全納で ないといけない場合は、その返納をするということを義務付けるとかいうような形でないと。 ○伊藤構成員 それで構わないと思うのです。ただ、例外をつくるということを決めてしまうと、み んな「例外だ、例外だ」と言う人たちがいるのではないか。もちろん、返納するというシステムは どこでもあるのでしょうけれども、実際にその返納のシステムが機能していないというのがこの資 料3でわかるところなので、逆に、そういうプレッシャーをかければ、地方独立行政法人であろ うと、半年の猶予をもって法規を変えていただく、ということが筋論ではないかと思います。 ○佐藤(裕)構成員 全く伊藤構成員に賛成でありまして、折角、中央官庁にこうしているので すから、地方自治体がどうのという話でもないのではないかという気もしますし、それは明記さ れて、これはやめること、これは改正すること、少なくとも中核・拠点病院である以上はこれはこ ういうふうにしなさいと。それができないというのであれば外れていただければよろしいので、私 は明記するのに賛成です。 ○作広構成員 私も両先生に大賛成で、要は、やらずぼったくりがないというのが前提で、いろ いろコストのポイント制のことを言わせていただきました。それと、製薬協から出した本日の資 料ですが、これは、まさに、佐藤構成員も言われましたように、医療機関ばかりではなくて、依 頼者のモニタリング等に関しても多大な費用を負っているという現状を把握するためのデータ です。これに関しましては、質、コスト、スピード、全部単独で議論をすることはできないわけで、 要はどこまで質を担保するのか。そうすると、自ずとモニターの、先ほど言いましたカルテ丸写 しの話も出てまいりましたが、1人のモニターが何施設を担当できるか、いわゆるパフォーマン ス、それは当然コストに跳ね返る。そういうこともありますので、これに関しては、当然、スポンサ ーは努力しなければいけない、医療機関も努力をしなければいけないというのはありますが、 相互に両方で議論をし、私自身は、さらに行政の方も入っていただいて、3プレーヤーが同じ テーブルで議論をする、例えば質のことを議論する、そういうことをやっていくと自ずとこれは変 わっていくのかなと思っております。 ○ 荒川構成員 コストのことで、医療機関側にもいろいろ問題があるかと思うのですが、モニタリ ングも含めてトータルで考えなければいけない問題だと思っています。私が、昨今いちばん感 じているのは、試験のデザインそのものが余計なデータまでとっていないのかということです。そ のようなことも含めて、見直していかなければいけない問題だと思っているのです。要は、リスク ベースのデザインということがグローバルにもよく言われるようになってきて、初期の段階では非 常にいろいろなデータをたくさんとらなければいけないのですが、長期試験、継続試験という 段階になって、患者さんが来るから全部とりましょうというスタンスではなくて、患者さんが月ごと、 あるいは3カ月ごとに来ても、試験のデータとしては何カ月か置きで、しかも本当にデータも絞 り込むというようなぐらいでやっていったほうがいいと思っているのです。ですから、そういうモニ タリングの効率だけではなくて、デザインそのものももっと安く上がるようなことを考えていただか ないと、コストという点ではなかなか改善しないかなとは思っています。 ○山本(晴)構成員 うちは、コストということで、単にフォー・ザ・レコードのためですけれども、医 療機器の治験は完全にコスト割れしていますので、特に大学病院とか、キャパの大きい所は 問題ないと思いますが、我々の施設は医療機器の試験が30%占めていますので、そういう意 味では、医療機器の試験、特に難易度の高い埋込み型で完全にコスト割れしているというの は施設としては非常に厳しい。だから、これについては、単純に業界にお金を出してと言って 出してもらえるような、そんな単純な構造でもないということはわかっておりますので、医薬品と は切り分けて考えていっていただきたいと思います。 ○一木構成員 やらずぼったくりみたいな話が出たので一言言っておきたいのですが、前の会 議のときにもそれがいろいろ議論になって、ターゲットを5年に置いたはずなのです。いろいろ なことを斟酌した上で、達成するターゲットをここに置こうというふうにした。それで、現実には、 ここに返金なしとなっている施設の中でも、大半の心ある所は、例えば実際にできる数字をま ず契約して、その9割がいったら症例追加をするというやり方をされている施設が現実にある のです。心ある所はたくさんあるわけです。それを、一斉に返金がないから駄目だというのはお かしいのではないかということだけ一言言っておきたい。議論はしたいとは思いませんけれども、 スタートするときにそういう背景があって、その背景を踏まえた上で心ある所は努力しているは ずなので、それだけは議事録に残しておいていただきたいと思います。 ○田代構成員 先ほどの議論でポイント表の検討云々という話があったのですが、今、製薬協 のほうでモデルをつくっておられるのは私も見せていただいたのですが、そのときに、先ほどの 資料で医療機関の中にSMOも入っているということだったので、一言いわせていただきたい のです。要は、CRCの稼働の算定の時給当りというのは、フルタイムで全部働いたときの算定 がされています。これは、当然、病院の中で院内CRCとしてきっちり効率よくやっておられると いうモデルでやっているのですが、これがそのまま、SMOのCRCもこの値段だよと言われると、 現実としてそういうようなモデルではありません。  今日の議論で私がこういうことを言ってはいけないのかもしれませんが、一応、ポイント表が もともと大学病院、私立大学病院、国立病院、3種類出てきて、それがスタンダードになって、 一般の開業医の研究費もそのポイント表で算定するというのが、今、一般に行われているわけ です。ですから、おそらく、そういうモデルが出てくると、これはスタンダードですというふうにな ってしまうと思うので、先ほどの佐藤構成員からもあったのですが、そういうふうにならないよう に是非希望したいです。基本は、当然、メーカーとSMO各社との契約なので、我々がしっか りすればいいのかもしれませんが、どうしても今までの例からするとそれがスタンダードになって しまうということなので、そこだけは気をつけなければいけないなと思うのですが、知っておいて いただきたいと思います。 ○楠岡座長 ポイント表そのものは治験の内容で決まっていて、SMOさんにしろ、病院のCRC にしろ、CRC費用とは別枠で立てるという形になっていた。 ○田代構成員 今まではそうなのですが、この新しい製薬協がやっておられるのは、まさにCRC 費用云々ということで、時間給いくらで何時間かかったというような算定の仕方をされていま す。 ○榎本構成員 いまおっしゃったように、CRC費用というものがありまして、平成9年にGCPが 改正され、当院でもCRCが平成10年ごろから働くようになりました。しかし、既にある費用のポ イント表は研究費のポイント表であって、それに管理経費なり、そういった計算になります。で すから、CRCの費用は規準となるポイント表がなかったので、当時、荒川先生がおっしゃるよ うに、自分たちが働いている時間を全部計算して、この長期試験だったらどのぐらいという算 定を非常に時間をかけて作成しました。でも、それが各施設ばらばらにつくったり、SMOさん はまた事情も違っていたりして、千差万別になっています。これだけの人数のいろいろな立場 の方が費用に関するご意見をお持ちなので、1つ違う場所でワーキングをつくり、ワーキングを あまり沢山つくるのはよくないというご意見もあるかもしれませんが、きちんといろいろな立場の 方が集まって、費用のことだけを検討いただいて、楠岡先生がおっしゃるように、各施設でば らばらでもいいのではないかという意見に最終的になったとしても、お話し合いの機会を持って いただくのがいいかなと個人的には思います。 ○楠岡座長 ポイント表に関して議論をしたらそれだけでのワーキングが要るぐらいの話になって しまうのですが、ポイント表をどうするかということを残りの2年の中で考えていかなければいけ ない課題の1つだと思います。しかし、あまりにもポイント表にこだわりすぎて、何か、ポイント表 ありきになってしまっているというのは少し問題で、そこはもっとフレキシブルに考えていただくと いうことを逆にメッセージを出していく。  結局、コスト高の1つの原因として、ポイント表に基づく、いわば公定価格になってしまって いて、そこに自由競争が全然入っていない。一部、それをいろいろ工夫してやっている所はあ るわけですが、むしろ、それが特異になっているというのは問題で、そういう各施設が工夫をし て、いかに先ほどの透明性をどれだけ高めるか、算定基準をどれだけきちんと説明できるのか。 その中で本当に良いものが出てくると、それが自然にディファクトスタンダードになっていくとは 思いますので、あまりポイント表にこだわらないほうがいいのではないかと。ここにもまとめの中に 書いてあるのは、要するに必要な業務に対する適正な支払いとなるよう、その算定方法等を 検討する必要があるという形で書かれていますので、そういう意味が入っているかなとは思いま す。  ほかの所に関しましても、すでに議論が出ているところですので、コストに関しましては、先 ほどの議論とも含めて一応この形で。そして、次のステップとしてどうするかということに関して は、ポイント表のことを議論するのか、あるいはもう少し広い意味で算定方法そのものの組み 立て方を議論するのかというようなことも含めて、残ってくるのではないかと思います。このコスト に関して、このまとめ以外の所で何か特に追加等が必要というところはほかに残っています か。 ○田代構成員 最後にこんな質問をしてあれですが、資料3の前払いで戻さないという赤いマ ークで、クリニックが2007年から2008年にかけて10%以上もこの赤が増えているのですが、こ れは何なのですかね。 ○事務局 2008年で増えたというように見えますが、2008年に終わった治験の中でこれだけあ ったというグラフです。開始年は不明ですので、中には、長期間の治験でありクリニックで昔か ら実施してこの時期に終了したのかもしれないので、必ずしも最近また増えてきているというこ とではないかと言えます。具体的な個別なデータはわかりませんが、おそらくそういうことだと思 うのと、SMOさんが入っていない所があるかもしれず、その場合はわからないですね。 ○楠岡座長 そうしましたら、今のところ、中核・拠点に関するパフォーマンスに関しては、少なく ともスピードの、特に治験開始までのところはよしとして、問題は治験にかかわる費用の支払 形態のところに問題が残っている。一木構成員とか私もちょっと言ったように、全納返還なし だから駄目という話は現状なかなか難しいのですが、具体的なことで実効として出来高払いを 実現するというところはオブリゲーションとして入れていただくということとします。平成20年度 において全納返還なしが25%というのがありますので、ここはもう少し強く働きかけはしていく必 要があると思います。 ○小林構成員 今日の議論はワーキングの検討結果に終始していたと思うのですが、もとの5カ 年計画に立ち返ると、平成19年度より開始しなければいけないこととして、モデル書式はでき ました。あと、研究費算定のモデルは、今日議論があったように、今後のワーキング設置なり 何なり、その含みが残されたと思うのです。あとは、依頼者と医療機関の役割分担のモデルチ ェックシートも作成されるよう促すという計画になっていますが、そこが今日は全く議論がなか ったので、それも含めてあと2回ですか、その中で今後どうしていくのかという合意はとったほう がいいかなと思います。 ○楠岡座長 この点に関しては、いま事務局からの提案はありますか。 ○事務局 いまの点についてですが、ワーキンググループの中でも意見としては出ておりまして、 スピードの見直しとかコストのことも必要なのですが、その際に基本となる手順について、オー バークオリティの話ともつながりますけれども検討が必要という意見が出ておりました。負担が 多くかかっている部分もあるので、GCPの要求に沿って基本的に必要なプロセスというものが どういうものなのかということを明確にしつつ、それに必要なスピードの目標を立てるとか、それ に必要なコストのあり方を考えるとか適正性につなげていく。そのようにコストやスピードだけを 議論するのではなくて、併せてプロセス、業務、役割分担等についても、いちばん基本となる 考え方というのを一度整理することも必要ではないかという意見は出ておりました。 ○楠岡座長 小林構成員、よろしいですか。いまの方向で。 ○小林構成員 議論が出ていたとのことですが、その結果がコスト、スピード、質という点で整理 されていたのでお聞きしました。一時期、製薬協が役割分担をきちんとしようという活動もされ ていまして、最近はどうなっているのかよくわからないのですが、作広さん、その辺は、役割分 担という意味で、自ずと整理ができてきたという理解でいいのか、いや、まだまだだというところ なのか。 ○作広構成員 要は、それぞれの施設の事情もあるでしょうし、スタート時に事前に役割分担を 取り決めましょう。それを徹底していけばよろしいかなとは思っております。それと、本日は、こ のパフォーマンス結果がスピードに関してデータが出てきたわけですが、まだほかに臨床試験 研究の体制とか、そういう調査もされていたわけで、それらのデータは次回や次々回に出るか 出ないか私はわかりませんが、その結果に関して、例えば遅れていたり、改善されていなかっ た場合は、なぜ改善されてなかったのか。それが人の問題なのかお金の問題なのか。それは この検討会で議論すべきではなかろうかと思っていますので、是非、パフォーマンスのデータ の提示をお願いしたいと思っているところです。 ○治験推進室長 確認なのですが、具体的なイメージですが、人材のことですか。もう少し具体 的にご説明いただけるとどのパフォーマンスでしょうか。 ○作広構成員 実際、それぞれ何項目かは調査されましたよね。平成21年度、この基盤整備 状況調査の医療機関のパフォーマンスです。 ○事務局 パフォーマンスはさまざましておりますが、今回はスピードについてお示ししました。い まは臨床研究の体制というふうにおっしゃいましたか。 ○作広構成員 治験とか臨床研究の体制の調査も項目に入っていましたよね。中核・拠点に ついて。 ○治験推進室長 最後にご説明申し上げようと思いましたので、それはこの議論が終わった後、 資料も配りながらご説明させていただきたいと思います。 ○楠岡座長 ほかによろしいでしょうか。それでは、時間になりまして、ちょっと超えておりますが、 これで本日の意見交換を終わりたいと思います。本日は治験の効率化等に関するワーキング グループのレポートを基にしまして、項目4の治験の効率化というところに関しての検討をさせ ていただきました。  今後のことですが、次回はコストに関連して症例集積性の向上という課題が挙がっていま すが、その具体策等を含めて検討していきたいと思います。事務局のほうから連絡がありまし たらお願いします。 ○治験推進室長 長時間にわたりご議論ありがとうございました。まず、次回の日程ですが、先 生方の日程調査の結果を踏まえまして、第4回は10月15日木曜日、また朝で恐縮ですが、 10時から2時間の開催をさせていただきます。また、場所ですが、厚労省ではありませんで、 合同庁舎4号館の会議室しか取れませんでした。申し訳ございませんが、そちらのほうでお願 いいたします。なお、具体的な場所の地図等につきまして、あるいはその他につきましては、 改めて先生方にご連絡を申し上げたいと思います。なお、本日の議事録につきましては、作 成次第先生方にご確認をお願いしその後公開をさせていただきますので、併せてよろしくお 願いいたします。  また、9月の第3回が延期ということで、本日が3回になりましたので、予備日を利用させて いただきまして第5回の会合として10月の28日、15時から厚労省内で開催させていただき ます。  実は、第1回の会合で、10月の下旬までにすべて会議を終わらすというようなことでしたが、 最後に最終取りまとめ案のご確認をいただくために、その後お集まりいただきたいということで、 甚だ恐縮ですが、11月の末を目途にもう一度ご参集いただきたいというふうにお願いしたいと 存じます。ついては、後ほど事務局側から日程調整を行わせていただきたいと思いますので ご協力のほどお願いいたします。  それから、いま先生方に資料をお配りさせていただきます。先ほど作広構成員からもご意 見がありましたが、今後のまとめ方、あるいは今まで議論がまだできていないところもある部分も あるかと思いますので、その確認も含めまして先生方のお手元に、新たな治験活性化5カ年 の進捗状況、計画本文、それぞれ進捗状況、そして中間見直しの検討会の検討結果という 形で進捗状況あるいは検討結果等がわかるような資料を作成したいと思っております。本日、 先生方にお願いしたいのは、私どもが計画本文からそれぞれ進捗状況という部分を漏れのな いように入れたつもりではありますが、ここの部分について事実誤認、あるいは漏れ等がありま したらばご指摘いただきたいというのが本日のお願いでございます。  なお、この紙資料のほかに、事務局側からこの会議が終わりましたら電子媒体の形で先生 方にお送りさせていただく予定です。なお、甚だ恐縮ですが、この検討状況等の真ん中のカ ラムの部分のコメント等につきましては、9日の金曜日までに事務局までメールでお願いでき ればと思います。非常にタイトで恐縮ですが、よろしくお願いいたします。これに基づきまして、 まだ議論の漏れているところがないだろうかといったところを併せて整理させていただきまして、 今後4回以降の会議の場で議論のポイントを提示させていただこうと思います。先ほど座長の ほうから次回については症例集積性に絡みましていろいろな検討ということですので、例えば 1施設当りの症例集積性についてのあり方、あるいはその諸外国と対抗するために例えばネ ットワークをどうしていくべきなのかというところの検討、あるいはこれまでのご議論を踏まえ、そ れぞれの関係する人材をどう育成していくか、このようなことにつきまして4回以降の会議でご 議論いただくように事務局としては考えております。この進捗状況等の漏れといいますか、作 成作業によって、もしかしたら論点が新たに2、3追加されるのではないかと思っております。 非常にタイトで恐縮ですが、先生方のご協力をいただければと思います。事務局からは以上 でございます。 ○楠岡座長 いま事務局からのお話にありましたように、これまで3回のところはかなり大きいとこ ろをディスカッションしてまいりましたが、以降、少し進捗状況を計画と対比させながら、先ほど 作広構成員から指摘があったような点に対して、状況を踏まえて特に未達成の部分とか、あ るいは達成はしているけれども少し問題があるというような点に関して議論を進めるということで すので、いまお配りしました表をよくご検討いただきましていろいろコメントをお返しいただきた いと思います。そうしましたら、時間が超過しまして恐縮ですが、これで本日の第3回新たな治 験活性化5カ年計画の中間見直しに関する検討会を終了させていただきます。どうもありがと うございました。 照会先:厚生労働省医政局研究開発振興課 後澤    03(5253)1111(内線2543)