09/09/30 平成21年9月30日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事次第        日 時:平成21年9月30日(水)13:00〜16:10       場 所:航空会館501、502会議室 1.開 会 2.審 議  議 事  1 議題   I 食品衛生分科会規程の一部改正等について   II 食品、添加物等の規格基準について     (1)添加物関係       (1)添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定        ・3メチル−2−ブタノール        ・5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン     (2)農薬関係       (1)新規登録等による新規設定に係る品目        ・イソチアニル(国内登録)        ・インドキサカルブ(国内登録+暫定基準の見直し)        ・メソトリオン(国内登録+暫定基準の見直し)        ・レピメクチン(国内登録)       (2)適用拡大等による追加設定に係る品目        ・ブプロフェジン(畜産物の基準値に係る追加審議)        ・ノバルロン(適用拡大+インポートトレランス、以下IT)        ・プロヒドロジャスモン(適用拡大)        ・ピラクロストロビン(適用拡大)        ・ボスカリド(適用拡大+IT)        ・シメコナゾール(適用拡大)        ・フェントラザミド(魚介類)     (3)乳肉水産基準関係       (1)薬事法に基づく承認に伴う残留基準の設定        ・豚サーコウイルス(2型)感染症(1型-2型キメラ) (デキストリン誘導体アジュバント加)不活化ワクチン        ・ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチン       (2)ポジティブリスト制度導入時に設定した残留基準の見直し        ・セフォペラゾン        ・デストマイシンA        ・テルデカマイシン        ・パロモマイシン        ・リファキシミン        ・ノシヘプタイド  2 報告事項  (1)高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の取り扱いについて  (2)食品衛生分科会において審議された品目のその後の経過について  (3)平成20年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果  (4)平成21年度輸入食品監視指導計画について 3.閉 会 ○石川補佐(事務局) それでは、定刻となりましたので、ただいまから、薬事・ 食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。  本日は、御多忙のところ、委員の先生方御参集いただきまして、厚く御礼申し上 げます。  会に先立ちまして、事務局の異動がございましたので、先に紹介させていただき ます。  まず、食品安全部基準審査課長 俵木課長でございます。 ○俵木課長 俵木でございます。よろしくお願いいたします。 ○石川補佐 企画情報課国際食品室長の猿田室長でございます。 ○猿田室長 猿田でございます。よろしくお願いします。 ○石川補佐 企画情報課課長補佐の藤田補佐でございます。 ○藤田補佐 藤田でございます。よろしくお願いします。 ○石川補佐 私、同じく課長補佐の石川でございます。どうぞよろしくお願いいた します。  それでは、本日の出欠状況について御報告させていただきます。  本日は、大澤委員、栗山委員、児玉委員、宮村委員、山本委員、若林委員から御 欠席との連絡をいただいております。  また、寺本委員は少し遅れていらっしゃるとのことでございます。  現在、分科会委員総数20名のうち、現時点で13名の先生方の御出席をいただい ておりまして、過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますこと を御報告申し上げます。  本日でございますが、お手元議事次第のとおり、議題Iといたしまして「食品衛 生分科会規程の一部改正等について」、議題IIといたしまして「食品、添加物等の規 格基準について」添加物関係で2剤、農薬関係で新規4剤、追加設定が7剤、乳肉 水産基準関係で残留基準の設定に関して2剤、残留基準の見直しについて6剤、最 後に何点か報告事項を予定しております。  資料につきましては、「食品衛生分科会資料」に加えまして、委員の先生方のお手 元に、「食品衛生分科会参考資料1〜5」の厚いハードファイル及び用語集、それか ら、関連資料を綴じております薄いハードファイルをお配りしておりますので、御 審議の際、併せて御活用いただければと存じます。  資料の不足、落丁等ございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお 願いいたします。  それでは、以後の進行につきましては、岸分科会長よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 皆さん、こんにちは。  早速、議事に入らせていただきます。  まず、私から、「食品衛生分科会規程」の一部改正について分科会にお諮りする議 題がございます。  9月1日の消費者庁関連三法の施行に伴いまして、食品衛生法及び健康増進法の 一部が改正されました。事務の一部が内閣総理大臣の権限になりました。  これらに伴いまして、当分科会の所掌しております事務を変更し、分科会規程の 一部を改正する必要がございます。変更の詳細につきまして、事務局より御説明を お願いします。 ○石川補佐 では、恐縮ですが、座ったままで御説明させていただきます。  それでは、まず、お手元の分科会資料の1ページから御説明をさせていただきま す。  今回の食品衛生分科会規程の一部改正についてというものでございます。  まず、改正の理由でございますけれども、先ほど分科会長からお話があったとお りでございます。「1 背景」に記載しておりますとおり、消費者庁の発足に伴い、 今回、食品衛生法及び健康増進法の一部が改正され、こちらに書いてあります「販 売の用に供する食品等の表示」、それから、「販売に供する食品につき、特別の用途 に適する旨の表示の許可」等が内閣総理大臣の権限となり、それに係る事務も消費 者庁に移管されました。  これに伴いまして、これまでこれらの事務に係る事項を処理しておりました本分 科会の所掌事務をこの法改正に沿うように見直し、分科会規程の一部を改正する必 要がございます。  現行の分科会規程につきましては、お手元の薄い方のハードファイルの中を少し おめくりいただきますと、中ほどに「薬事・食品衛生審議会規程」、それから、見出 しをもう1枚おめくりいただきますと「食品衛生分科会規程」がございます。今回 改正をいたしますのは、こちらの「食品衛生分科会規程」でございます。  この分科会規程の改正につきましては、その1つ手前の「審議会規程」の第5条 におきまして、この規程に定めるもののほか、分科会の議事運営に関し必要な事項 は、分科会長が、当該分科会に諮って定めるとされているところでございます。  そこで、本日、先ほど分科会長からお話がありましたとおり、規程の改正(案) について御審議いただきたく存じます。具体的な改正内容ですが、本日の資料の1 ページにお戻りいただきますと、まず、1つ目といたしましては、表示に関する所 掌が消費者庁に移管されることに伴いまして、表示部会を廃止すること。2つ目と いたしましては、新開発食品調査部会の中で調査・御審議いただいておりました事 項のうち、特別用途表示の許可・承認に関する所掌が、同じく消費者庁に移管され ることに伴いまして、その部会の所掌の変更をいたしたいということでございます。 資料の3ページ目、横向きになっております資料でございます。こちらが新旧対照 表になっており、。左側が新しいもので、右側が現時点での所掌規程になっておりま す。  具体的な改正内容ですが、条文をごらんいただきますと、第2条の7に表示部会 がございますけれども、これが廃止されることに伴いまして、新開発食品調査部会 が7に繰り上がると。それから、所掌につきましては、第4条でございますけれど も、表示部会が廃止されますので、ここの部分が削除されまして、新開発食品調査 部会の所掌といたしましては、今後は、「新開発食品の安全性の確保等に関して、新 たな知見を踏まえた管理措置等に関する事項を調査審議する」といった内容に変更 を予定しております。  第6条の4、5、6でございますけれども、こちらにつきましては、これまで新 開発食品部会の第一、第二調査会等で審議をされる際に、その当該食品の申請にか かわった委員の先生方はその審査から外れるといったことが記載されておりますけ れども、先ほど申し上げました新開発食品調査部会の所掌が変更されることに伴い まして、この部分も削除となります。  4〜6ページは、今申し上げたようなことをすべて反映させた改正後の規程の案 でございます。  規程の改正につきましては、以上でございます。 ○岸分科会長 ただいま、理由及びその内容の詳細について御説明いただきました。  本件につきまして、委員の皆様から御質問や御意見を頂戴したいと思いますが、 いかがでしょうか。  食品表示につきまして、所掌が移管されたことに伴いまして、調査部会の方も該 当のところが移りまして、新開発食品評価調査会が調査部会として仕事を行うとい うことですが、よろしゅうございますか。  格段の御意見がないようですので、規程の改正をここで議決したいと思いますが、 よろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、調査会の運営につきまして、各部会に設置されている調査会について も変更がございます。部会長が分科会長の同意を得て設置することとされておりま すけれども、この場で皆様にも御報告させていただきたいと思います。  この調査会の廃止及び名称変更につきまして、事務局より御説明をお願いします。 ○石川補佐 それでは、資料の7〜8ページについて御説明させていただきます。  ただいま御承認いただきました部会の廃止、及び所掌の変更に伴いまして、その 下に設置されております調査会についても変更するというものでございます。  まず、資料の7ページをごらんいただきますと、廃止等の理由については先ほど 述べさせていただいたとおりでございます。具体的に変更する内容については、1 枚おめくりいただきまして、8ページにあります横向きの表になります。こちらが 今の食品衛生分科会の下に設置されております部会及び調査会の一覧でございます。 今回、二重線で消しております部分、表示部会の下の食品表示調査会がございます けれども、こちらについては、表示部会が今回廃止されることに伴いまして、こち らの調査会についても廃止となります。  新開発食品調査部会は、これまでは表示許可の審査を行う調査会として、第一調 査会及び第二調査会、それから、いわゆる健康食品等の健康被害等に関して、新開 発食品の安全性の確保等に関しての審議をいただいておりました第三調査会の3つ がございましたけれども、今般の所掌の見直しに伴いまして、第一調査会と第二調 査会を廃止いたしまして、結果的に調査会は1つになりますので、第三を取りまし て、「新開発食品評価調査会」を設置するといった変更でございます。  調査会につきましては、以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  新開発調査部会の寺本部会長がまだちょっとお見えになっておられませんけれど も、表示部会の部会長の春日先生、何か御追加とか補足はございますか。 ○春日部会長 特にございません。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  委員の皆様から、この件につきまして御質問等ございますか。  特段の意見がないようですので、調査会の廃止及び名称変更を行うことといたし ます。  それでは、議題のIIに進めさせていただきます。  まず、添加物関係の議題について御審議をいただきます。  はじめに添加物につきまして、事務局から御説明をよろしくお願いします。 ○俵木課長 それでは、本日、添加物につきまして、その指定の可否、それから、 使用基準、成分規格の設定につきまして、2剤御審議をお願いしておりますので、 御説明させていただきます。  本日の分科会資料の9ページからになります。  9ページ及び11ページに、本日、2剤御審議をお願いしている剤がございます。  まずはじめの3-メチル-2ブタノール、それから、2つ目が5,6,7,8-テトラヒドロ キノキサリンでございます。両者とも香料でございまして、ほぼ同じ御審議内容で ございますので、併せて御報告をさせていただきたいと思います。  両剤は、国際汎用香料として指定をすることを検討してきたものでございまして。 国際汎用香料と申しますのは、国際機関でありますJECFAで安全性の評価が行 われ、欧米等で広く使用されているものについて、国がその指定に向けて作業を続 けてきているものでございます。今回は、2剤とも香料でございます。  1剤目のメチルブタノールでございますが、9ページでございますが、ここにあ りますように、天然の食品中にも含まれる成分でございまして、欧米では、焼菓子 等、ここに記載の各種加工食品に香料として添加されているものでございます。  食品安全委員会に健康影響評価をお願いいたしまして、「着香の目的で使用する場 合、安全性に懸念がない」ということで御評価をいただいております。  摂取量の推定をいたしましたところ、ここに記載されましたとおり、0.2から0.6 μgの範囲ということで微量でございます。  9月3日に開催されました部会におきまして御審議いただきまして、使用基準と いたしましては、食安委の御評価も踏まえて、「着香の目的以外に使用してはならな い」。成分規格については、10ページに定めたとおり、「定めることが適当」という ことで、御審議をいただきました。  今後、在京大使館への説明、パブリックコメント等手続きを進めていく予定にし ております。  それから、11ページのテトラヒドロキノキサリンもほぼ同様でございまして、国 際汎用香料として世界では使われているものでございますが、本品についての指定 の可否、及び使用基準、成分規格の設定について御審議をいただきたいと思います。  本品も、ローストナッツ様の香気を有しまして、普通の食品中にも入っているも のでございます。欧米等では、ここにございますように、清涼飲料、その他各種加 工食品に香りづけで使用されているものでございます。  食品安全委員会では、同様に、「着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がない」 と御評価をいただいて、推定の摂取量についても、2.3〜8.7μgということで微量で ございます。  これも、9月3日の添加物部会で御審議いただきまして、「着香の目的以外には使 用してはならない」という使用基準を策定の上、成分規格については、12ページに ございますように、JECFAの規格等を参考に策定しております。  ただ、この日本の成分規格を設定する検討の中で、JECFAの規格に一部ミス があることがわかりまして、事務局からJECFAには、工業会なども通じて情報 提供していきたいと考えております。部会からも、JECFAに情報提供するよう に御指示をいただいたところでございます。  本品につきましても、今後、在京大使館への説明をはじめ、意見を聴しまして、 指定へ向けて、スケジュールを予定しております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ただいまの2物質につきまして、続けて説明をいただきました。こ の2品目とも、9月3日開催の部会で審議を最終的にされているとのことですけれ ども、本日、若林部会長が御欠席ですので、同じく添加物部会の委員でいらっしゃ います山内委員に、もし何か追加するようなことがありましたら、説明等をお願い したいのですが。 ○山内委員 山内でございます。  今、事務局からの説明がございましたとおり、9月3日の部会で審議をされてお ります。前者の3-メチル-2ブタノールについては、特に議論はなく、了承されまし た。  後者の5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリンにつきましては、事務局から説明がご ざいましたように、検討のプロセスでJECFAの成分規格に誤りがあることが明 らかになりました。この点につきまして、部会の中にJECFAの委員をされてい る方がいらっしゃいまして、JEFCFAでの論議状況等、また、今回のように異 論があるときの情報の提供の方法について具体的にお話しをいただきました。この 件については、当日、事務局から、日本政府として、先方にきちんと情報提供をす るという提案があり、確認されました。そのほか、特に議論となる点はございませ んでした。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  JECFAが間違えて記載されていると各国が困りますので、気がついた日本か らきちんと情報提供するのは大事だと思います。  それでは、本件につきまして、委員の皆様から御質問や御意見はございますか。  もしなければ、分科会としてこれで了承いたしたいと思いますが、いかがですか。 よろしゅうございますか。  ありがとうございました。  それでは、この2物質につきまして、WTO、パブリックコメントなどの手続に 関しまして、また、その対応につきましては、部会長と相談しながら、分科会長の 私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。  最終的なものにつきましては、次回以降のこの分科会で御報告するようにいたし ます。  このまま続けて進んでもよろしいですか。  それでは、次に移らせていただきます。  続きまして、農薬関係の課題に移ります。  農薬につきまして、事務局から説明をよろしくお願いします。 ○俵木課長 それでは、引き続いて、農薬・動物用医薬品部会で御審議をいただき ました農薬について御説明させていただきます。  今回御審議いただきますのは、新規の設定の品目が4剤、それから、適用拡大等 によります追加設定が7剤、合計11剤ございます。  はじめに、新規の4剤についてまとめて御報告をさせていただきたいと思います。 資料は、分科会資料の13ページでございます。  13ページのイソチアニルから御報告をさせていただきます。  本剤は、新規の農薬登録申請があったことで、残留基準の設定の要請が行われて おります。  本剤の用途は、殺菌剤でございまして、適用作物としては、稲でございます。  国際基準は設定されておりませんで、諸外国での残留基準等も今のところござい ません。  食安委の方で、このようにADIを設定いただきまして、8月21日の部会で御審 議をいただきました。基準値案といたしましては、国内の作物残留データに基づい て、その裏の14ページにありますように、米に対して0.3ppmということで御審議 をいただきました。  暴露評価でございますが、TMDI/ADI比として、国民平均で3.7%、幼小児 においても6.6%ということで御評価いただいております。  8月25日に在京大使館への説明が終わりましたので、今後、パブリックコメント、 WTOの手続を進めていく予定にしております。  それから、17ページでございます。インドキサカルブでございます。  本品について、農薬登録申請が行われたことを受けた要請があって、併せて、既 に策定されております暫定基準の見直しを今回行ったものでございます。  本剤について、この構造式のところに複雑な構造が書いてございますが、その右 下に「S体」と書いてございますように、ちょうど真ん中の上辺りに、小さな三角 形印でCOOCH3となっておりますが、ここが光学異性であるS体とR体という化 合物がございまして、17ページの真ん中の登録状況のところにございますように、 このS体とR体の混合比が50:50であるものについては、もう既に平成13年に農 薬登録が行われて、日本でも使われてきているものでございます。今回は、このS 体とR体が75:25ということで、S体の方が作用を表す化合物ですが、S体がより 多い配合の剤が新たに登録申請されたということで、それに伴って暫定基準の全体 的な見直しとともに、基準の設定を改めて行うものでございます。  本剤については、国際基準も設定されておりまして、諸外国でも基準値の設定が たくさん行われております。  食品安全委員会におきまして、ここにございますように、ADIについて御評価 をいただいております。ごらんいただきますように、安全係数が200となっており ます。通常、長期の毒性試験に基づいて安全係数を100としてADIを設定される ことが常でございますが、今回200になっておりますので、1点この点御報告をさ せていただきたいと思います。  今回の製剤は、従来50%:50%のS体・R体の剤の配合割合が変わったものでご ざいますが、インドキサカルブの安全性のADIの評価は、この50:50の剤を使っ た動物実験を主として評価したものでございます。したがいまして、75:25の剤で の毒性の評価、その同等性については、完全には証明されていないということで、 食品安全委員会の方では、そのために安全係数を200ということで、通常の100よ りも倍の安全係数を掛けてADIを設定いただいたという御報告をいただいており ます。  それも含めまして、7月24日の部会で御審議いただきまして、基準値としては、 その裏でございますが、既存の最新の国際基準、国内の提出されました作物残留デ ータ、そのほか諸外国、米国を中心としてオーストラリア等から提出されました作 物残留データに基づきまして、18ページ、19ページのとおり設定をしております。  そこで、申しわけございませんが一点修正がございます。本日の机上の配布資料 で、1枚差替えの資料をお配りさせていただいております。右上に、本日の分科会 資料、今ごらんいただいている資料の18〜19ページ、それから、分厚いファイルに なっております参考資料の方も、同じ紙が73〜74ページに入っておりますが、両方 ともこれに差替えということです。どこが変わったかといいますと、真ん中に「登 録有無」という欄がございます。既に国内で登録されている作物については○印、 今回申請のあった作物については「申」の字を書いてお示ししておりますが、その ○がもともとお配りした資料には抜けておりまして、その部分を修正したものでご ざいます。基準値、それから、作物残留データの数字には間違いはございませんの で、元の資料をごらんいただいた内容に間違いがないというふうに御理解ください。  ということで、対象の作物ごとに、これらの国際基準、それから、国内の作物残 留データ、それから、米国等の作物残留データに基づいて今回の基準値を設定いた だきました。  1点、18ページのキャベツですが、アメリカの提出いただいた作物残留データは 非常に高い数字でございまして、アメリカの基準値は12ppmというかなり高い基準 値が置かれておりました。キャベツは日本人にとっても多い作物でもございますの で、その点、部会で御審議いただきました。いろいろアメリカの基準値、それから、 根拠となった作物残留データのもともとをよく確認するようにということで確認い たしましたところ、米国では、キャベツの外側の葉も全部入れた「外葉有り」の残 留データをもとに基準値を設定しているということで、国内での外葉を外して、通 常店頭に並ぶような状態での作物残留データを根拠として、日本では1ppmを置くこ とが適当ということで、御審議をいただきました。その点、御報告をしておきます。  その基準値を用いまして暴露評価をいただきましたが、国民平均で40.8%、幼小 児で74.9%となっております。  今後、在京大使館等へ御説明の上、意見を聴取していく予定としております。  3剤目でございます。23ページのメソトリオンでございます。  本剤も新規の農薬登録申請があったことによる評価でございまして、併せて、既 に設定されております暫定基準の見直しを行ったものでございます。  本剤は除草剤でございまして、登録申請のございましたのは、とうもろこしと稲 でございます。  国際基準は設定されておりませんが、アメリカ、カナダ、ニュージーランドにお きまして、アスパラガスとかベリー類に基準が設定されております。  食品安全委員会におきまして、ここにお示ししたようにADIが設定されており まして、これに基づきまして、7月24日に開催されました部会で基準値案を御審議 いただきました。その中身は24ページのとおりでございますが、国内の作物残留デ ータ、それから、米国から提出されました作物残留データに基づきまして、基準値 の設定が行われました。  暴露評価でございますが、23ページ下にございますように、国民平均で1.3%、 幼小児で2.4%ということで御評価いただいております。  今後、パブリックコメント、WTO通報等の手続中になっておりますが、これは 9月24日付けで手続きを開始しておりますので、本日、ここで御報告させていただ きます。  4剤目の27ページでございますが、レピメクチンでございます。  本件も、新規の農薬登録申請があったことに伴う基準値の設定でございます。  本剤は殺虫剤でございまして、対象作物としては、かんきつ、いちご、なす等が 申請されております。  国際基準は設定されておらず、諸外国での残留基準値も設定されておりません。  食品安全委員会で、ここにお示ししましたとおりADIを設定いただきまして、 これに基づきまして7月24日の部会で御審議いただきました。基準値案としては、 28ページのとおりでございますが、申請のあった作物について、国内の作物残留デ ータをもとに基準値を設定したものでございます。  その結果の暴露評価といたしましては、国民平均として2.3%、幼小児で5.6%と されております。  7月28日に在京大使館への説明を終わりまして、先ほどの剤と同じように、WT O通報手続中になっておりますが、9月24日からWTOの通報開始をしたところで ございます。  以上、まず、新規の4剤について御報告いたしました。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  今、4剤続けて、事務局からの御説明がありましたが、議論に入ります前に、部 会での審議状況につきまして、部会長の大野先生、御説明をお願いいたします。 ○大野部会長 これまでの経過といたしましては、インドキサカルブとメソトリオ ン、及びレピメクチンは、7月24日に審議していただきました。イソチアニルにつ いては、8月21日に審議をしていただきました。  先ほどの御説明がございましたように、インドキサカルブについて、安全係数を 200としたことについての議論がございまして。食品安全委員会の設定は特に問題な いだろうということになっています。それから、キャベツについても同様でござい ます。発がん性実験の結果に基づいてこの安全係数を定めていますけれども、これ については、特に発がん性は認められず、別の一般的な毒性が認められたというこ とから、特に安全係数はこの場合は200で構わないということでございます。そう いう食品安全委員会の判断ですけれども、それで特に問題ないだろうということで す。  それから、レピメクチンについても発がん性実験をやっていますが、これは安全 係数は100ですけれども、これも発がん性があったとかそういうことではありませ んので、問題ないということです。  それから、メソトリオンについて繁殖性試験でやったのがあったんですが、繁殖 性に問題があったということではございませんで、一般的な毒性があらわれたとい うことですので、安全係数は特に問題ないということです。  その他の点についても、特に問題はなくて、細かいところの修正で終わったとい うふうに記憶しています。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、本4件につきまして、委員の皆様からの御質問や御意見を受けたいと 思いますので、いかがですか。 ○大前委員 インドキサカルブなんですけれども、S体とR体では、S体側の殺虫 活性があって、R体がないと。今度はその比率が1:1から3:1に変わったという ことで、安全係数が200という御説明がございましたけれども、これは、S体とR 体では、虫ではなくて哺乳動物、人間なんかに対する毒性の差という、そういう情 報はないんですか。 ○大野部会長 毒性試験に関しては、多くがラセミ体でやっていますので、特にそ れは判断ができなかったんですね。S体の方が特に強いということもあり得るので、 それで200にしたということです。 ○大前委員 1:1と3:1で比率を変えられるということは、純品といいますか、 それもあるのではないかという気がするんですが、そういうものの情報はないとい うことですか。あくまでも存在するデータは、1:1でやったデータしかないとい うことですか。 ○大野部会長 長期のはやっていなかったと思うんですけれども、短期の毒性試験 をやっていたと思いますので、ちょっと確認させてください。 ○岸分科会長 食品安全委員会の農薬評価書には、その辺のところはどのように書 かれていますか。 ○俵木課長 大きなファイルの方の119ページに、本品につきまして行われた食安 委で評価対象としました毒性試験データがございまして。表の28でございますが、 このうち小さな星が試験名のところに付いているものが、MPを用いた試験という ことで、90日の亜急性の試験はインドキサカルブ、この1:3のものを用いて実施さ れているようでございます。インドキサカルブ等による影響は、これらの試験の結 果からは、90日の亜急性試験で、一部貧血、それから、神経毒性の試験では、神経 毒性は認められない。それから、発生毒性が1つ行われておりまして。再検査は認 められないという結果になっております。 ○岸分科会長 インドキサカルブとMPの毒性の同質性が担保されないので、この 比率のことを考えましても、安全の側には配慮しているとは思うんですけれども、 大前先生、御意見がございますか。 ○大前委員 情報がないものはやむを得ないので、ないものはないわけですから仕 方がないですけれども、将来的に、この単品それぞれもS体とR体で、それぞれの 毒性の情報をもしメーカーが持っているのであれば求める、あるいはなければ、そ ういう情報が出てきたら、また検討をするということでよろしいのではないかと思 います。 ○岸分科会長 情報が本当にあれば、本当はそれを使う方がいいという毒性学の御 専門からの御意見で、私もそうだと思いますが、一応その点を考慮して200にして おりますので、今の現時点で情報がないということであれば、そういうことかと思 うんですが。こういうふうに後から情報が出てきたら、是非出してくださいという のは、審議会の意見としては、やはり記録をしておいていただけると有り難いので すが、よろしくお願いいたします。こういう時代ですので、できるだけ科学的にい いものを取り入れて変えていく方がいいのではないかと思います。現時点で安全係 数を200として、そういう議論を補っておりますので、先ほど大野先生の御説明が ございましたように、よろしいかと思いますが、大野先生、何かございますか。 ○大野部会長 シングルのものとラセミ体との比較した長期の毒性試験データがな いので、どっちが強いかとか、それは言えないんですね。しかし、ラット90日のラ ット反復投与毒性試験がインドキサカルブのS体とラセミ体で実施しており、NO AELと現れる毒性にあまり差がないということが確認されています。○岸分科会 長 ほかの委員の方から御意見はございますか。  ほかの物質ではいかがでしょうか。 ○大前委員 メソトリオンですが、設定根拠は3世代の繁殖試験ということで、こ れをもとにしまして無毒性量0.3で、安全係数100というお話でしたけれども、こ の厚い資料の方の188ページを見ますと、表の33がございまして。2年間の慢性毒 性試験・発がん性試験、併合試験ですか、これがラットであるんですけれども、こ れを見ますと、投与群が3濃度ありまして、7.5ppm以上のところでいろいろな所見 が書いてございます。この7.5ppmは、3世代の繁殖試験の2.5ppmの3倍程度の濃 度でして。これを見ますと、例えば慢性糸球体腎症とか、坐骨神経の脱髄とか、結 構シビアと思われるような影響が見られているのですけれども、これはNOAEL が求められないので、仕方がないから3世代でNOAELを使ったということだと 思うんですが、その間3倍の濃度しか差がないということ、それから、投与期間が、 当然2年間慢性の方が長いと思いますので、そこら辺をもう少し安全係数で調整す るとか、そういうことが必要なのではないかという気がするのですが、いかがでし ょうか。 ○岸分科会長 メソトリオンに対しまして、詳細な資料の方の188ページです。 7.5ppmはかなり低い濃度で、その根拠になりましたADIに非常に近いんですが、 この辺りいかがでしょうか。 ○大野部会長 先生がおっしゃるとおりですね。3世代の繁殖性試験をやっていま すので、もう少し詳しく調べさせてください。 ○岸分科会長 これは、メスの方は毒性所見なしと書いてありまして。オスの方で、 大前委員がおっしゃるように、腎とか、肝、それから坐骨神経とか、非常に気にな る。 ○俵木課長 大野先生、このファイルの205ページに食安委の報告がまとめられて おりますが、ラットを用いた2年間慢性毒性・発がん性併合試験において、オスの 無毒性量が設定できなかった。7.5ppm未満ということでございますが。最小毒性量 のオスにおいて認められた毒性所見は、軽度な変化であり、無毒性量が最小毒性量 に近い値であると考えられたと。一方、ラットを用いた3世代繁殖試験において、 無毒性量が0.3mg/kg体重/dayということで、その他の90日間亜急性、それから、 2年間慢性毒性試験の最小毒性量を下回っていたということで、この3世代の繁殖 試験の無毒性量を、最低の無毒性量として採用しても、安全性は十分担保できるも のと考えられたというふうにされております。 ○大前委員 そういう判断でも勿論構わないと思うんですが、ただ、体重増加の抑 制とか、あるいは慢性糸球体腎症とか。これは違うかな。ひょっとしたらオス特有 ですかね。あるいは、坐骨神経の脱髄とか、この見られた匹数が何匹でやったかは わからないですけれども、1匹ぐらいで偶然だったらともかくとして、その発生率 がもし高ければ、脱髄とか、体重抑制の増加は、そんなに軽い影響とはちょっと思 えないので、もし、これが例えば50分の1とか、50匹中1匹、2匹みたいな、そう いう話だったら、またちょっと解釈は違うと思うんですけれども、今、最後の解釈 の「軽度な変化」は大丈夫かなという懸念なんです。 ○岸分科会長 3世代の繁殖試験と今、大前委員が言われた2年間慢性毒性発がん 性試験で、恐らくやっているところも違いますので、このデータが何%ぐらい出て いたのかという点が、確かに重要かなと思うんですね。1例ぐらいでしたら、偶然 といいますか。これが全部本当だとすると、かなり系統的な毒性の増だと思うんで すよね。 ○大野部会長 食品安全委員会の報告に明確に書いていないのですけれども、この 薬物は、肝臓の4・HPPDaseを阻害すると202ページに書いてあるのですけれども、 それに関連して、血漿中のチロシン濃度が上昇して、肝及び腎重量増加とか、眼毒 性が誘発されると考えられると書いてあります。ただ、これがヒトでは特に問題に ならないということが報告に明確には書いてないので、もうちょっと確認させてい ただきたいのですけれども。たしか、そういうことで部会では特に問題となるほど ではないということであったと記憶しているのですけれども、もう一度確認させて ください。 ○岸分科会長 そうですね。特にラットとマウスで種差があるような書きぶりも202 ページに多少ありますね。ちょっと精査が必要かもしれません。  今、大野先生に御確認いただいて、ほかには何かございますか。  ほかの物質に関してはよろしいですか。 ○俵木課長 そうしましたら、もう一回このデータを確認させていただきたいと思 います。 ○岸分科会長 そうですね。その方がみんなが安心できるのではないかと思います。 ○俵木課長 メソトリオン。 ○岸分科会長 はい、そうですね。  審議されたときから結構時間もたっていますので、またちょっと見直しをしてい ただいて、御説明いただけるといいかなと思います。  残りの3剤につきましては、御意見特になければ、ここでお認めいただくことで、 審議を前に進めたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、これで、新規登録の4剤のうち3剤を了承したということで、今後の 対応につきましては、部会長と御相談しながら私に御一任させていただくというこ とでよろしゅうございますか。1剤につきまして、ちょっとお待ちください。間に 合えば、今日のうちに、またもう一度戻ろうと思います。  それでは、追加設定に係る3品につきまして御説明いただけますか。 ○俵木課長 それでは、適用の拡大等に関します追加設定をする剤の7品目のうち はじめの3品目について、まず、御報告させていただきたいと思います。  分科会資料の31ページでございます。ブプロフェジンでございます。  本剤につきましては、昨年の7月の分科会におきまして、魚介類の基準の追加設 定ということで、実は既に御審議を一度いただいたものでございます。その後に、 畜産物についての残留値の設定見直しもしていただきたいということで、農水省か らの御要請がございまして、もう一度必要な評価を進めてきたものでございまして、 本剤については、一度御審議が終わった後、畜産物について本日新たに残留値の御 審議をいただくものでございます。  本剤は殺虫剤でございまして、適用作物は、かんきつ、稲、きゅうり、茶等でご ざいます。稲に使われることから、稲わら等を通じて家畜への移行があるというこ とで、畜産物での残留値の設定が要請されているものでございます。  国際基準も設定されておりまして。米国、オーストラリア等におきましても、各 種基準値が設定されている剤でございます。  食品安全委員会のADIの評価は、前回御報告させていただいたとおりでござい ます。  7月24日に開催いたしました部会におきまして御審議をいただきまして、今回の 畜産物への基準値の設定でございますが、動物の試験データ、または、飼料中の残 留農薬の推定濃度等から推定した残留推定値から、34ページにありますように、牛、 豚等の畜産物への残留基準値を策定していただいたものでございます。これを含め まして、32〜33ページは、昨年一度分科会でもう既に御審議いただいたところでご ざいますが、これら全体で暴露評価をいただきまして。EDI/ADI比としては、 国民平均で36.5%、幼小児で67.0%とされております。  昨年の7月御審議いただいた分については、もう既にパブリックコメント等を終 了しておりますが、今回御審議いただく分については、これからパブリックコメン ト等の手続を予定しているところでございます。  その次、続きまして、37ページでございますが、ノバルロン。  本剤も、適用拡大の申請がございましたことに伴いまして、インポートトレラン スの申請も併せてあったことから、基準値の設定を行うものでございます。  本剤は殺虫剤でございまして、適用になりますのは、今回の拡大申請が、ふきに ついて出てきておりまして、インポートトレランスの申請が、とうがらしについて の要請でございます。既に国内で、なす、トマト、キャベツ、ピーマン等に農薬登 録が行われている剤でございます。  国際基準も設定されておりまして、米国等でたくさんの作物に基準がつくられて おります。  食品安全委員会でのADIの設定は、もう既に一度行われたものでございますが、 ここに示したとおりでございます。  基準値でございますが、6月19日に開催されました部会において御審議いただき まして、国内の作物残留データ、または、とうがらしにつきまして韓国より提出さ れました作物残留データに基づきまして、38ページのとおり御審議をいただきまし た。  今回の追加、それから、インポートトレランスの要望があったのは、この表でご らんいただきます上の方にございます。真ん中のカラムに「申」、それから、「IT」 と書かれたところにございますように「その他のきく科野菜」、または、「その他の なす科野菜」として、それぞれ基準値を策定いただいたものでございます。  これらを踏まえた暴露評価でございますが、37ページに戻っていただきますと、 EDI/ADI比といたしまして、国民平均では23.3%、幼小児では65.5%となっ ております。  既にパブリックコメントを実施したところでございます。  続いて、41ページのプロヒドロジャスモンでございます。  本品も適用拡大申請があったものでございまして、本剤は、植物成長調整剤でご ざいます。  適用拡大がありましたのはみかんでございまして、既に我が国では、りんご、ぶ どうに登録がなされている剤でございます。  国際基準の設定はございません。また、諸外国での残留値の設定もございません。  食品安全委員会でのADIは、既にこのように評価されておりまして、これを踏 まえまして、5月20日の部会で御審議をいただきました。  拡大申請のもととなりました国内の作物残留データに基づきまして、42ページの とおり、みかん、それから、みかんの皮は、陳皮を使いましたスパイスになるとい うことで、「その他のスパイス」に基準値を置いてございます。  暴露評価でございますが、41ページにお示ししましたように、国民平均といたし まして、TMDI/ADI比が0.1%、幼小児で0.2%となっております。  既に、WTOの通報、及びパブリックコメントも実施済みでございます。  以上、3剤について御報告させていただきました。 ○岸分科会長 ブプロフェジン、ノバルロン、プロヒドロジャスモンの3品につき まして、追加で設定することに伴いまして説明がありましたが、この3つの議論の 前に、部会での状況を、大野先生、また御説明お願いできますでしょうか。 ○大野部会長 これまでの経緯といたしましては、今、事務局から説明がございま したように、ブプロフェジンについては昨年7月に分科会で報告していただいた後、 追加申請のあった畜産物についての基準についてこの7月24日に審議いたしました。 特に議論はなく、問題になるようなものはなくて、了承されたところでございます。  それから、ノバルロンについてはこの6月19日と、それから、プロヒドロジャス モンについては5月20日の部会で審議されました。やはり大きな問題となるような ことはなくて、了承されたところでございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この3品目につきまして、御質問・御意見等を受けたいと思いますが、いかがで ございますか。  特に御意見がないようでしたらば、分科会として、この3品の追加設定の基準の 答申に関しまして了承ということにさせていただきたいと思います。ありがとうご ざいました。  今後のパブリックコメント、ほかの手続に関しましては、ほかのと同様、私分科 会長が部会長と御相談しながらまとめさせていただくということで、また、次回以 降の当分科会で御報告するようにいたします。 ○大野部会長 ちょっとよろしいでしょうか。先ほどのメソトリオンについてです けれども。 ○岸分科会長 どうぞ。よろしくお願いします。 ○大野部会長 先ほどの4HPPDaseの阻害作用によるチロシン濃度の上昇については ヒトでも起こるということで、ラットに特異的なものではないということを資料で 確認しました。  先ほどの2年間の慢性毒性・発がん性併合試験において、オスの無毒性量が設定 できなかったということですけれども、食品安全委員会では、最小毒性量でのオス で認められた症状は軽度なのでいいんだとされていますけれども。その点について は、いろいろな症状が出ていて軽度だということは報告書に示されたデータでまだ 確認できていませんので、もう少し確認させていただきたいと思いますけれども、 よろしいでしょうか。 ○岸分科会長 今、大野部会長から再度、188ページのメソトリオンの2年間の慢性 毒性・発がん性併合試験の結果について、もう少し詳細を確認したいということで ございました。これにつきましては、そうしますと、次回に審議を。 ○俵木課長 その抄録を大野先生にごらんいただいて、そのデータで確認できるか どうか、ちょっとごらんいただけると思うんですけど。もう少し詳しいデータがご ざいますので。 ○大野部会長 私の担当する分が終わった後で、時間がありましたら確認させてい ただきたいと思います。 ○岸分科会長 わかりました。よろしくお願いいたします。  それでは、わかり次第御報告いただくことで。次に進めさせていただきます。よ ろしくお願いいたします。 ○俵木課長 引き続きまして、追加の設定のあと残り4剤でございますけれども、 併せて御報告をさせていただきたいと思います。  分科会資料の45ページでございます。ピラクロストロビンでございます。  本品も適用拡大申請があったことに伴う残留値の設定でございます。  本剤は殺菌剤でございまして。今回、かき、うめ、すももに対して適用の拡大申 請が行われたものでございます。既に、かぼちゃ、りんご、もも等に農薬登録が行 われている剤でございます。  国際基準が設定されておりまして、米国、カナダ等におきましても基準値が設定 されております。  食品安全委員会でのADIの評価は、ここにお示ししたとおりでございます。  7月24日に開催されました部会におきまして、基準値案を御審議いただきまして、 46ページ、47ページにございますが、この真ん中のカラムに「申」と書いたものが 追加の申請のあったものでございます。それら新規に追加申請のあったものについ ては、国内作物残留データを主として、そのほか、最新の国際基準を踏まえて、そ の他の作物についても基準の見直しを一部行っております。その結果でございます が、49ページに全体の答申(案)として書かれておりますが、これらの作物にこの ような基準値を設定するということで、部会の御審議をいただいたものでございま す。  この基準値をもとに暴露評価をしたものでございますが、EDI/ADI比とい たしまして、国民平均で24.1%、幼小児で49.3%とされております。  本剤について、既に在京大使館への説明を終了しまして。ここでは、WTO通報 手続中となっておりますが、9月24日付けでWTOの通報が開始されていることを 御報告させていただきます。  続いて、51ページのボスカリドでございます。  本剤につきましても、適用拡大申請が行われたことに伴います作物残留基準値の 設定でございます。併せて、インポートトレランスの設定の要請が来ておりますの で、併せて設定をしております。  本剤は殺菌剤でございまして、今回、ししとう、だいず、うめ等に適用が拡大申 請されております。また、インポートトレランスとしては、セロリ、大麦に対して 要請が来ております。  国際基準もございますし、諸外国でも基準値の設定が行われております。  食品安全委員会でのADIの設定は、ここに示したとおりとなっておりまして、 これを踏まえて8月21日に開催されました部会で、基準値(案)といたしまして、 52〜53ページにありますとおり設定をされております。  国際基準、提出されました国内の作物残留データ、それから、EUや米国から提 出されました作物残留データに基づきまして、追加申請のあった剤以外のものにつ いても見直しが行われております。  その基準値をもとにいたしました暴露評価でございますが、51ページにお示しさ せていただきましたように、EDI/ADI比といたしまして、国民平均で38.3%、 幼小児で73.3%とされております。  既に、在京大使館への説明を終了しておりますが、WTO通報の手続を今後進め ていく予定でございます。  続いて、57ページ。シメコナゾールでございます。  これも適用拡大申請が行われたものでございまして、殺菌剤でございます。  適用拡大の対象は、かぼちゃ、うめでございます。既に、稲、りんご、だいず等 に農薬登録されている剤でございます。  国際基準は設定されておりませんが、韓国では、きゅうり、ぶどう等に農薬登録 がされているようでございます。  食品安全委員会におきまして、ADIがここに示しましたとおり設定評価されて います。  これを踏まえまして、7月24日に開催されました部会で、基準値案は58ページ のとおりでございますが、国内の作物残留データをもとといたしまして、この申請 のあったかぼちゃとうめについて基準値が新たに策定されました。  暴露評価でございますが、57ページに戻っていただきまして、TMDI/ADI 比といたしまして、国民平均で24.5%、幼小児で51.1%とされております。  在京大使館への説明を終了して、この資料では、WTO通報手続中となっており ますが、9月24日付けで、本剤についてもWTOの通報を開始しておりますことを 御報告させていただきます。  それから、61ページのフェントラザミドでございます。  本品は、魚介類への基準の設定を要請されたものでございます。  除草剤でございまして、適用作物の欄にございますように、稲への適用のあるも ので、水田での使用が行われますので、魚介類への基準の設定の要請があったもの でございます。  国際基準は設定されておりませんが、韓国、タイ、ベトナム等で農薬登録がされ ております。  食品安全委員会でのADIの評価は、ここにお示ししたとおりでございます。基 準値案につきまして、6月19日と8月21日、2回にわたりましたが、部会で御審 議をいただきまして、生物濃縮係数等から推定いたしました残留推定値から、62ペ ージにありますように、魚介類に対して0.03ppmという基準値の設定を御審議いた だいたところでございます。  暴露評価でございますが、TMDI/ADI比といたしまして、国民平均で2.4%、 幼小児で3.9%でございます。  在京大使館への説明を終了いたしまして。現在、WTO通報等の手続を進めてい るところでございます。  農薬については、以上でございます。 ○岸分科会長 この4品は、適用拡大、それから、残留基準の追加設定見直し等で ございますが、部会の審議の様子を部会長の大野先生お願いいたします。 ○大野部会長 これらの経緯についてですけれども、ピラクロストロビンとシメコ ナゾールは7月24日、ボスカリドについては8月21日で、フェントラザミドにつ いては6月19日及び8月21日の開催の部会で審議されました。特に議論となるよ うなものはなくて、了承されたのですけれども、シメコナゾールについては、57ペ ージに書いてありますように、発がん性実験の結果に基づいて無毒性量が設定され ています。このときに安全係数は100ですけれども、このときに肝臓の腺腫が出て いるのですね。ただ、出ている用量が9.84mgと若干高い用量であるということと、 その発がんメカニズムは遺伝毒性によるものではなくて、閾値を設定できるもので あるというふうな判断を食品安全委員会でしていまして。安全係数としては、2年 間の慢性毒性・発がん性併合試験で見られた無毒性量の0.85に安全係数の100を掛 けたものでいいだろうという判断をしております。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この4品につきまして、委員の皆様から御質問とか御意見とかございますでしょ うか。  特別な御意見がなければ、分科会として了承ということにしたいと思いますが、 よろしゅうございますか。  それでは、今後、WTO、それから、パブリックコメント等の手続、及びその対 応につきましては、部会長と御相談しながら、私の方に御一任いただくということ でよろしいでしょうか。  ありがとうございます。  次に、乳肉水産基準関係の議題に移りたいと思います。  事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 ○俵木課長 それでは、乳肉水産の方へ移らせていただきます。  動物用の医薬品で、まず、新たに承認申請のあった2剤について御報告させてい ただきます。  65ページでございます。豚サーコウイルス(2型)感染症(1型-2型キメラ)(デ キストリン誘導体アジュバント加)不活化ワクチンでございます。  本剤、それから、この次のニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチン で、今回、新たに承認申請のあったもの、2剤ともワクチンでございます。  まず、65ページの方のサーコウイルス(2型)感染症でございますが、本剤につ きましては、アメリカ等で既に承認をされている剤で、今回、我が国で新たに承認 申請がなされたものでございます。  食品安全委員会における健康影響評価のところをごらんいただきますと、この豚 サーコウイルス感染症は、人獣共通感染症とはみなされていないということでござ います。また、5行目にありますように、アジュバント等の添加剤が含まれており ますが、これらについては、物質の使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の摂取量 等を考慮いたしますと、本製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視できると考 えられるとしておりまして、この欄の一番最後の2行にございますように、「食品を 通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」と御評価 をいただいております。  これに基づきまして、8月21日の部会で御審議をいただきまして、基準値案の欄 でございますが、「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しな いこととする」ということで、答申案といたしましても、残留基準を設定しないこ とが適当というふうにつくっていただいております。  67ページのニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンについてもほほ 同様でございまして、今回新たに承認申請が行われたものでございます。ただ、こ の剤については、諸外国での承認はまだないと聞いておりますが、食品安全委員会 での御評価は、今御説明したサーコウイルス感染症とほぼ同様でございまして、ニ ューカッスル病と鶏伝染性気管支炎でございますが、ニューカッスル病につきまし ては、弱毒株で、病原性復帰は否定されている、また、鶏伝染性気管支炎につきま しては、人獣共通感染症とはみなされないということでございます。また、添加剤 につきましても、本製剤の含有成分による健康影響は無視できることから、食品を 通じてヒトの健康に影響を与える可能性を無視できると評価をいただいております。  8月21日に開催されました部会におきまして、食品安全委員会のこの評価結果を 踏まえ、残留基準を設定しないこととすることが適当ということで御審議をいただ いたものでございます。  以上、2剤、新しい承認申請のあった剤でございます。よろしくお願いいたしま す。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この2剤につきまして、審議に入る前に、部会長の大野先生から、また、少し御 説明をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。 ○大野部会長 これについては、豚サーコウイルス(2型)感染症の1型-2型キメ ラ、不活化ワクチンとニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎混合生ワクチンについ てですけれども、それについては8月21日に開催した部会で審議されました。特に 議論となるようなことはなかったのですけれども、生ワクチンについて、鶏サーコ ウイルス感染症が人獣共通感染症であるかどうかといったところに疑問があったの ですけれども、それについては、専門の先生に確認をしまして、確か、そうではな いというお話がございましたので、特に問題ないだろうという判断をしたところで す。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  我が国では承認をされていないのですけれども、最初の不活化ワクチンに関して は、アメリカ、タイ、フィリピン、ブラジル、パナマで承認されている。だけれど も、人獣共通感染症とみなされてはいないということで、食品安全委員会における 評価結果を踏まえて、残留基準を設定しないこととするということでございます。 答申案は「残留基準を設定しないことが適当である」ということなんですが、この 2つの案件につきまして、委員の皆様から御意見や御質疑を受けたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○大前委員 これはお教えいただきたいのですけれども、こういう類のワクチンは、 豚なりあるいは鶏が、食料として殺されるときにもまだ存在するものなんですか。 抗体は勿論あると思うんですが、抗原がそんなに長い間存在し得るんですか。 ○毛利委員 一般論ですけれども、生ワクチンは当然感染しますので、生体側の反 応もありますが、抗体が上がれば排除されると思います。 ○岸分科会長 そのほか、質疑がございますか。どうぞ御遠慮なく。 ○山下委員 教えてください。これら2剤なんですが、一般的な動物用医薬品の場 合は、休薬期間を設定すると思うんですが、それはこれからの議題になるわけです か。 ○俵木課長 農水省の方で本剤を承認することになりますので、その承認の認めら れる使い方の中で、休薬期間等が定められていくと理解しております。 ○毛利委員 通常は、12週間だったと思いますけれども、休薬期間があると思いま す。 ○俵木課長 12週間です。ありがとうございます。 ○岸分科会長 御質問された委員はよろしいですか。 ○山下委員 はい。 ○岸分科会長 そのほか、どうでしょうか。 ○毛利委員 大野先生の先ほどの御発言の中に、ニューカッスルについても人獣共 通感染症でないという認識をされたのでしょうか。 ○大野部会長 生ワクチンについて使った、そのウイルスについて人獣共通感染症 じゃないということだったんですね。 ○俵木課長 食品安全委員会の評価のところにもございますが、ニューカッスル病 については人獣共通感染症とみなさないとはなっていなくて、弱毒株で病原性復帰 は否定されているということをもって評価がなされています。 ○大野部会長 どうも失礼いたしました。発言を修正させていただきます。 ○岸分科会長 よろしいでしょうか。  かなりいろいろ性質の違うものを考えていかなければいけないものですから、き っちり議論をした方がよろしいと思いますので、何か御意見があれば。  よろしいですか。  それでは、この2剤につきまして、分科会として了承いたしたいと思います。あ りがとうございます。  それでは、今後の手続につきましては、ほかと同じく部会長と御相談しながら分 科会長に御一任いただくということでよろしゅうございますか。  ありがとうございました。  続けてお願いいたします。 ○俵木課長 それでは、動物用医薬品でございますけれども、あと6剤ございます。 似たような取り扱いのものが幾つか含まれておりますので、併せて御報告させてい ただきたいと思います。  まず、分科会資料の69ページのセフォペラゾンから御説明させていただきます。  本剤については、国内で動物用医薬品としては承認されておりませんが、70ペー ジでごらんいただけますように、現行の基準値として、乳に対して残留値が暫定基 準として設定されております。今回、順次進めております暫定基準見直しの中で、 本剤について、EUから残留データが提出されまして、その評価を行いました。  諸外国でございますが、国際基準は設定されておりませんが、EUで乳に対して 残留基準が設定されているものでございます。  食品安全委員会でのADIの御評価でございますが、ここに示したとおりでござ います。  3月6日の部会で御審議をいただきまして、基準値案としては、EUから提出さ れた残留データに基づきまして、現在の暫定基準と同じでございますが、0.05ppmと 御評価をいただきました。それによる暴露評価でございますが、TMDI/ADI 比といたしまして、国民平均で10.3%、幼小児で48.0%とされております。  既に、パブリックコメントを実施したところでございます。  続いて、73ページのデストマイシン、それから、75ページのテルデカマイシンで ございますが、この両剤につきましてはほぼ同じ取り扱いでございますので、併せ て御報告させていただきます。  両剤とも、74ページ、または76ページをごらんいただきますように、現行の基準 値が畜産物に設定されております。順次、この暫定基準値の見直しを行っていると ころでございますが、これら2剤につきましては、国内外での製造・販売、使用実 態がもう今となってはないということで、食品安全委員会からも、特段、食品健康 影響評価を行うことが必要でないと御意見をいただきまして、4月14日の部会で御 審議をいただき、基準値案に記載させていただいておりますとおり、基準値案の欄 のちょうど真ん中辺りより下ですが、「使用実態等が確認されないことを踏まえ、暫 定基準は削除し、本剤の食品中の残留基準を設定しないこととする」。本剤が食品に 残留した場合の取り扱いでございますが、確認されている限りでは、世界で使われ ていないようですので、そういうこともなかろうかとも思いますが、食品中での抗 生物質または抗菌性物質を含有してはならないという告示の規格基準がございます ので、これが適用されまして、検出されてはならないという取り扱いを受けること になります。  既に、パブリックコメント、WTO通報を実施しております。  75ページのテルデカマイシンも同様でございます。使用実態がございませんので、 暫定基準を削除し、基準値を設定しないこととしたいと思います。  続いて、77ページのパロモマイシンと79ページのリファキシミンでございますが、 この2剤につきましても、結果的には同様に、現行の暫定基準を削除して、基準値 を設定しないこととしたいと考えておりまして、御報告させていただきます。  両剤は、我が国では動物用医薬品として承認されておりませんが、EUで残留基 準が設定されていることから、暫定基準を策定するときに、そのEUの基準値をも とに策定してきたところでございます。EUに基準値の根拠となる残留データにつ いて提出を求めてきたところでございますが、試験データ等の詳細な情報が確認で きないということで、現在の暫定基準を削除することとしたいと考えております。  この2剤については、同じ取り扱いで、告示の暫定基準を削除したいと思います。  それから、最後の81ページのノシヘプタイドでございます。  本剤については、基準値の設定を行うものでございますが、ポジティブリスト制 度導入時の暫定基準の見直しを進めてきているものの1剤でございます。  本剤は、飼料添加物でございまして、国内で登録がされております。  国際基準は設定されておりませんが、韓国、台湾では、使用が認められているも のでございます。  食品安全委員会でのADIの設定をこのように御評価いただいておりまして。基 準値案につきまして、7月24日の部会で御審議をいただきました。動物での残留試 験結果をもとといたしまして、82ページにありますように基準値を設定いただいた ものでございます。  暴露評価でございますが、81ページにございますように、TMDI/ADI比と いたしまして、国民平均で17.7%、幼小児で45.2%となっております。  パブリックコメントの手続を進めているところでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 説明ありがとうございます。  この6剤で、最後のノシヘプタイドに関しては基準値を出しておられますけれど も、その前の方の5剤は。 ○俵木課長 セフォペラゾンについても、基準値を設定します。 ○岸分科会長 そうですね。乳に関して0.05ppm。そのほかに関しましては、ポジテ ィブリスト制度を導入したときに設定しました残留基準の見直しを検討して、この ようにしたいということでございます。  議論に入ります前に、部会での審議の状況を部会長にお伺いしたいと思います。 いかがでしたでしょうか。 ○大野部会長 セフォペラゾンとパロモマイシンについては3月3日審議いたしま した。デストマイシンAとテルデカマイシンは4月14日、リファキシミンについて は5月20日、ノシヘプタイドについては7月24日に審議いたしました。特に大き な議論はなくて、これでよろしいということになりました。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  見直しをして、かなり現実といいますか、国内外の状況に合わせたということで、 私もそのように読んでおりますが、委員の皆様の方で質疑・御意見がございました ら、受けたいと思います。 ○山下委員 先ほども、農水との連携の話が出てきたのですが、例えばセフォペラ ゾンですが、乳房炎の治療ということで申請が出ておるのですが、多分、これは乳 房注入剤ということで使われるので、ほかの筋肉や脂肪や肝臓について残留基準の 設定を行ってないということなんだろうと思うんですが、部会で審議等々を行うと きに、どういう形態で、どのような用量で使う予定なのかというような情報をあら かじめ入れておいて審議された方がよろしいのではないかと思います。  あと、もう一点、ちょっと戻ってしまって恐縮なんですが。生ワクチンの件なん ですが、例えば豚コレラにしても鳥インフルエンザにしても、弱毒株を使った生ワ クチンを使用して、かえって疾病が拡大したという事例が、駆逐が遅れたという事 例があるわけで、生ワクチンの使用については、これは農水サイドの話になると思 うんですが、あちらが畜産上の危害をいかに食い止めるかというのは主管されるべ き部分だと思いますので、その辺についてもどうなんでしょうかというのは、こち らが言うべき話ではないのかもしれませんけれど、軽々しく使っていいものかどう かというのは、はた目から見てもちょっと疑問を感じます。  以上です。 ○岸分科会長 山下委員から御意見、御質問といいますか、この審議の前にいろい ろ出した方がいいのではないかという御意見があります。事務局から、今の山下委 員の御意見につきまして。何かございますか。 ○俵木課長 部会の御審議に当たっては、それぞれの剤の適用の方法であるとか、 用量で容量とかについては、勿論、資料に記載され、先生方は御承知の上御審議を いただいているところでございます。 ○毛利委員 山下委員の御指摘なんですが、私はそれにかかわっているわけではな いのですけれども、恐らく農水省は、病気、病原体によってその戦略を変えている。 すなわち、鳥インフルについては、諸外国ではワクチンを使われていても、日本で は一切使わないように。ニューカッスルについては、1960年ぐらいからずっと使っ てきているということで、恐らくそれぞれ違った戦略でやってきているのだろうと 思います。  ニューカッスル病ワクチンは、ずっと日常的に使われていて、肉の中に残ってい るとか、そういうことがあったかもしれませんけれども、ヒトに関する被害は、今 までずっと長い経験の中でないということから考えて、安全である考えていいので はないか、そういう考え方が学問的であるかどうかということはまた別としまして、 経験論としてそういうふうな考え方もあるのではないかなと思います。 ○岸分科会長 質問された山下委員は。 ○山下委員 すみません。セフォペラゾンにつきましては、資料の方に確かにござ いました。  家畜疾病のコントロールについては、いろいろな戦略があると。現在のところ、 目立った影響、この辺についてはないということで了解しました。 ○岸分科会長 毛利委員ありがとうございます。  そのほかございますか。  格段の御意見がございませんでしたらば、分科会として、6剤につきまして了承 したいと思います。いかがでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、今後の対応、手続につきましては、部会長と御相談しながら、私、分 科会長に御一任いただくということでよろしゅうございますか。  ありがとうございます。  最終的な報告は、次回以降の当分科会でいたしたいと思います。  1時間半ちょっとたちまして、少しお疲れだと思いますので、休憩を取らせてい ただいてもよろしいですか。10分くらい。先ほどのメソトリオンにつきまして、そ の間に大野部会長とちょっと打ち合わせたいと思います。それでは、2時50分くら いから再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (休憩) ○岸分科会長 それでは、休憩を終わりまして、審議に戻りたいと思います。  本日の議事次第のうち、先ほどメソトリオンにつきまして、詳細資料の方と併せ まして、少し疑問が呈された点につきまして。 ○俵木課長 今、資料が届きましたので。 ○岸分科会長 お配りいただきました資料は、食品安全委員会2009年3月に出され ました農薬評価書メソトリオンの188ページ表33に関しまして、大前委員から 7.5pmm投与群で、眼球混濁、角膜混濁ですとか、腎、肝、坐骨神経の脱髄等につき まして、この188ページのところから見る限り出ているように思えるので、その一 番下の用量群がこのラット3世代繁殖試験の無作用量と近いので、これでよろしい かという意見が出まして。  今、部会長の大野先生と私もその原典をちょっと見させていただいて、委員の先 生方のところにお配りをしたものですが、この資料は今回の審議の資料というもの ではございませんので、一応この場限りで見ていただいて、机の上に置いていただ くということですが、先生方の御判断には大変参考になるのではないかと思いまし て。大野先生、少し解説をお願いできますか。 ○大野部会長 ここでの病理学的な変化に関しては、例えば肝臓の肝細胞脂肪空胞 化というところが対照群で17例出ていたのが、処置群で36例、39例、39例という ことで、用量依存性がないんですね。それと、腎臓の方で、慢性糸球体腎症が出て いるというふうなまとめになっていますけれども、ここもそれほど重度のところが 対照群で24例だったのが、33例、34例、31例というので、やっぱり用量依存性が 明確に出ていないというところがあると思います。  それから、坐骨神経の脱髄は133ページで、中等度が対照群で8例だったのが16 例に増えている。重度がゼロだったのが3例に増えているというところがございま す。それも余り用量依存性が明確でないというところがあって、多分この辺でそれ ほど重篤なものではないというふうに食品安全委員会の方では判断したのではない かと思うんですけれども。  ただ、ここにちょっと載ってないところで、今、コピーが付いてないんですけれ ども、眼球混濁がコントロールで2匹の動物に出ていたのが、29匹の動物に出てい ると。用量を100に上げると58例、2,500だと62と、用量依存的に出ているんです ね。眼球混濁はかなり用量依存的に出ていることと。眼球混濁に関しては、食品安 全委員会の報告を見ていただきたいのですけれども、いろいろ議論をしているんで すね。ただ、眼球混濁の原因がメソトリオンによる4HPPDaseの阻害によるというふ うなメカニズムが記載されています。そのメカニズムが最後の食品安全委員会の報 告の2の一番最後ですね。3の食品健康影響評価の前のページに書いてあるのです けれども、ラットでは、これを阻害することによって血中濃度が非常に高く上がる んですね。大体5ppmぐらいで10倍ぐらい上がるというのがこっちの資料の方に載 っています。もうちょっと高くすると30倍に上がるというふうになっているのです けれども、ヒトでやった結果だと、ヒトに実際に投与して検査した結果、それでい くと3倍ぐらいに上がって、コントロールの109nmoleから、309nmoleに上がってい ます。ラットでは10倍ぐらい上がるのに、ヒトではそんなに上がらないのかという ことに関して、ヒトとかマウスでは、チロシンが代謝された後、さらに代謝するた めの酵素をTAT チロシンアミノトランスフェラーゼの活性が、多分そちらの方 が実測になっているので、HPPDaseを阻害しても、別の経路でチロシンが代謝される ので、そんなに上がらないんだということを言っています。ただ、だからヒトでは 特に問題ないんだということは明確には書いてないんですね。最後のところで、「本 調査会では、ラットが本剤に対して高い感受性があることは理解できるものの、マ ウスのみで、ヒト健康影響評価を行うことは適切ではないという考えに立ち」とい うことで、治験を実施したそれぞれの動物の試験結果をもとに評価を行うこととし たということで、ラットであらわれた眼球混濁に関して最低用量であらわれている ということに関して特に問題にしなくてもいいというところまでは言い切ってない んですね。最後のディスカッションのところでも、それについて特に出てきません し、できるのかどうかわからないのですけれども、食品安全委員会の方でこれをと らなかった理由を聞いていただいて、特にこのヒトで300まで上がっても、特に眼 球混濁という、そういう面では問題ないんだということを示していただければ、安 心して、ヒトでの毒性にはつながらない程度の上昇なんだということが判断できま すのでいいのですけれども、それがないと判断するのは危険だと思います。 ○岸分科会長 大野先生ありがとうございます。  今、部会長のお立場で説明されましたけれども、委員の先生方の中で、今の大野 先生への質問がもしあれば、あるいは質問された大前先生もし何かあれば。 ○大前委員 今配っていただいた表を見ますと、188ページの7.5ppm以上のところ のこれだけたくさん書いてあることが大体間違いで、書くべきことは、肝細胞脂肪 空胞化のところと、それから、今おっしゃった眼球の混濁ですか、この2個が書い てあればいいわけですね。あとのものは、これを読みますと、有意でも何でもない ですから、この表がちょっとオーバー過ぎたというのが結論で。今の眼球混濁をど う考えるかは、またちょっと別の話だと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございます。大前委員、それから、先に説明された大野 部会長の御意見と私も全く同じ考えでして。188ページの表33の書き方がまずいで す。これですと、7.5ppm以上で出たというふうに羅列をしているのですけれども、 要するに、何匹中何匹がどの濃度で出たのか、それもドーズレスポンスがあるのか どうか書いていませんと評価ができないのですけれども、このページのままですと、 先ほどの大前委員の御質問のように、これは、脱髄があったと、腎・肝の変化があ ったと、眼球の問題もありますけれども、非常に大きな問題ですので、質問が出る のは私も当然だと思っていたんですが、この表33の書き方、それを評価する我々委 員の側から見ますと、これを出されると、非常に心配なところなんですが。ですか ら、この表でない方が。食品安全委員会に文句をつけるのも何ですけれども、もう 少し違うちゃんとした書き方をしていただきたいと率直に申し上げざるを得ないと ころがあります。  それから、先ほどの重要なところは、大野部会長がおっしゃられましたように、 眼球混濁、角膜等の影響が非常にクリティカルなところだと思うんですが。しかも、 ラット、マウスで違う。ヒトはラットに比較的近くて、チロシンアミノトランスフ ェラーゼ(TAT)という別の経路があって、チロシン代謝を律速するということ になるのですけれども、問題は、ヒトの場合、TAT欠損などがあったときはどう なのだろうかということがちょっと心配になりますし、大野先生がおっしゃったよ うに、ラットとヒト、それから、マウスとの関係について、もう少し整理していた だきたいですよね。少し要望する内容を。 ○大野部会長 食品安全委員会として、ラットのデータを採用しなかった理由をも う一度明確に書いていただければ有り難いと思います。 ○俵木課長 食安委の代弁をしていいのかどうかわかりませんけれども、202ページ にある御評価で、そもそもメソトリオンの毒性発現については、血漿中チロシン濃 度の上昇によると考えられ、ラット、マウスで下がるということで、ヒトはマウス に類似しているのではないかということで御判断をいただいているようですので、 そういうことをもってラットで認められたこの眼球混濁のデータについては最終的 なADIの設定に当たっては重きを置いてないというふうに理解したのですけれど も。 ○岸分科会長 ただ、202ページのところに、「しかし、ヒトにおいても、TAT欠 損など、チロシン代謝酵素が欠損し、血中のチロシン濃度が極めて高い状態に持続 すると、角膜等にラットで誘発された病変と類似した病変を観察されることが報告 されている」というところで引用していますので、ここで認められれば最終ですか ら、そういう意味ではその論拠をもう少しちゃんと出していただきたいということ なんだろうと思います。 ○大野部会長 今、岸先生がおっしゃったように、その後の最後のところで、「マウ スのみで健康影響評価を行うことは適切ではない」と言い切っているんですね。最 後のところで、食品安全委員会の評価書の52ページでは、軽度な変化であると。最 小毒性量で、既に認められた毒性所見は軽度な変化であり、ということですけれど も、これだけ多くの動物に眼球混濁が出ていることになると、そんなに軽度とは言 えないのではないかと思いますので、ヒトで300まで上がることが特に問題ないと いうデータがあればいいのではないかと思います。 ○俵木課長 それでは、確認をさせていただきたいと思います。 ○岸分科会長 はい。審議会の役割から考えましても、その方がよろしいと思いま す。部会長もおっしゃっておられますし、私もその方がよろしいのではないかと思 います。  委員の先生方の中で、ほかに御意見はございますか。  もし、ないようでしたらば、この件につきまして、もう少し確認をしたいという ことで、よろしくお願いいたします。  それでは、審議事項をこれで終わりまして、次の報告事項に入らせていただきま す。  事務局から報告事項をお願いできますか。 ○俵木課長 それでは、報告事項の1つ目でございます。分科会資料の85ページに ございます「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の取り扱いについて」御報 告をさせていただきます。  はじめに88ページでございますが、もう既に新聞に社告も掲載されておりますの で、先生方も御承知のことと思いますが、9月16日付けで、花王株式会社より「エ コナ関連製品の一時販売自粛について」ということで、この88ページに本日お配り させていただきましたようなニュースリリースが公表されております。「エコナクッ キングオイル」をはじめとするエコナ関連製品について、一時販売自粛、出荷停止 を行うということが行われております。それに関しまして、これまでの対応状況等 について御報告をさせていただきたいと思います。  85ページにお戻りください。  「1.概要」にございますように、まず、ジアシルグリセロール(DAG)でご ざいますが、これは油脂成分の一種でございまして、一般の食用油にも数%含まれ ておりますが、通常の油脂成分と比べまして、体に脂肪がつきにくくなる働きが認 められて、高濃度にDAGを含む食品が、特定保健用食品として認可されています。 製品といたしましては、花王株式会社の「健康エコナクッキングオイル」等でござ います。エコナクッキングオイルには、DAGが80%程度高濃度に含まれており、 一般の食用油に比べて高いDAG含量となっている製品でございます。このDAG につきましては、特定保健用食品としての許可の際、発がんプロモーション作用に ついて念のため確認することとされ、追加の試験を行って、現在、食品安全委員会 において、食品健康影響評価が継続されているところでございます。  一方、このDAGを高濃度で含む食品の製造過程において、意図せず不純物とし て一般の食用油に比べまして高濃度にグリシドール脂肪酸エステルが生成すること が判明いたしまして、このグリシドール脂肪酸エステルが発がん物質であるとされ ていますグリシドールの関連物質であることから、食品安全委員会におきまして、 併せて現在、健康影響評価が進められているところでございます。  1枚めくっていただきまして、裏側でございますが、食品安全委員会のホームペ ージから抜粋させていただいておりますが、ジアシルグリセロールについて、ごら んください。通常の食用油は、左の縦棒の部分ですけれども、グリセリンに3つの 脂肪酸がついているものでございますが、このエコナは、DAGは、ジアシルとい う、2つの脂肪酸がついたものとなっております。この構造の違いによりまして、 体に脂肪がつきにくいというような効果を期待されているところでございます。  もう一つ問題になっておりますのは、不純物としてこの製品中に見つかっており ますグリシドール脂肪酸エステルでございますが、その下の図にありますように、 グリシドールというものが、エポキシ、下にOが三角形についておりますけれども、 この部分を持つグリシドール、これが発がん性があると言われておりますが、それ に1つ脂肪酸がついたものがグリシドール脂肪酸エステルでございます。これはD AG油をつくる工程で生成されてくるものでございます。グリシドール脂肪酸エス テルがグリシドールにどのぐらい分解されるのかについてのデータがまだ得られて おりませんが、これが消化され分解されてグリシドールになる可能性があり、グリ シドールが国際的な癌研究機関(IARC)によって「人に対し発がんの危険性あ り」ということで分類されていることから、現在、このグリシドール脂肪酸エステ ルを不純物として含むDAG油についての評価が続けられているところでございま す。  食安委のホームページの一番下にございますように、食品安全委員会では、グリ シドール脂肪酸エステルに関して、リスク評価に必要なデータの速やかな提出を厚 生労働省に対して要求しており、これが得られ次第、評価結果をまとめることとし ておりますとなっておりまして、現在、評価が続いているところでございます。  その次の87ページをごらんください。これまでのDAG油に関連いたします対応 の経緯について御報告させていただきたいと思います。  もともと平成10年にこのDAGを高濃度に含む食品といたしまして、花王の「健 康エコナクッキングオイル」が特定保健用食品として表示の許可を受けました。  15年になりまして、それを原材料といたしましたマヨネーズタイプの製品が特定 保健用食品として新たに申請されまして、その際、薬事・食品衛生審議会で、本審 議会で御審議をいただきまして、「特定保健用食品として認めることは差し支えない」 という御評価をいただきました。しかしながら、念のために発がんプロモーション 作用を観察するための、より感度の高い試験を実施することということで宿題が出 されたものでございます。  ちょうど15年の7月に食品安全委員会が発足いたしましたので、直ちに厚生労働 省としては、食品安全委員会に対しましても、このDAG油の食品健康影響評価を 依頼いたしました。食品安全委員会からは、薬事・食品衛生審議会において行われ た、特定保健用食品としての安全性の審査の結果については妥当ということで御回 答をいただいて、その御評価をいただいた上で、特定保健用食品としてのマヨネー ズタイプの許可を改めて厚生労働省としてはしたところでございます。  審議会から宿題としていただいておりました、感度の高いラットを用いた発がん プロモーション試験の結果がその後出てまいりましたので、17年9月になりまして、 食品安全委員会に対して、この発がん試験のデータを添えて、DAG油の健康影響 評価をお願いし、評価が行われてきているところでございます。評価の中で、さら に条件を変えて、試験を追加で実施することが必要であるということから、食品安 全委員会の御指摘を受けまして、さらに追加の試験も行ったところでございまして。 本年2月に食安委に対しまして、追加試験の結果も御報告をしたところでございま す。その後、食安委では精力的に御審議を続けられているところでございます。  その審議の続いている中で、右側のカラムになるのですけれども、本年5月、食 用油中の不純物についてのヨーロッパ等での議論もございまして、花王エコナ関連 製品中に不純物が高濃度に含まれているのではないかという報告を受けて、花王に 対して、不純物の分析を指示していたところ、7月になりまして、不純物としてグ リシドール脂肪酸エステルが高濃度に含まれていることが判明しましたと報告をい ただきました。  直ちに厚生労働省では、食品安全委員会に対しまして御報告をし、併せて、花王 株式会社に対しましては、グリシドール脂肪酸エステルの低減を図るように、不純 物でございますので、可能な限り低減を図るべきということで、低減を指導してき たところでございます。  この9月になりまして、食安委の御審議の中から、グリシドール脂肪酸エステル の評価に必要となる補足資料を幾つかさらに提出を求められたところでございます。 その必要な試験の実施について、現在、花王に指示をし、実施を計画してもらって いるところでございます。  85ページに戻りますが、そのような経緯で、現在このDAGを含む食品、そこに 含まれます不純物としてのグリシドール脂肪酸エステルの安全性の評価については、 食品安全委員会におきまして継続的に行われているわけでございますが、現在の厚 生労働省の対応状況といたしましては、85ページ真ん中にございますように、一般 の食用油にグリシドール脂肪酸エステルが含まれていると言われておりまして、そ れらがどのぐらい含まれているのかの含有量につきまして、調査を早く開始できる ように計画しているところでございます。  それから、グリシドール脂肪酸エステルの体内における代謝、グリシドール脂肪 酸エステルがグリシドールにどのぐらい分解されるのかについて、極めてクリティ カルな情報でございまして、それを明らかにする試験の実施を花王株式会社に指示 しているところでございます。  それから、3つ目といたしまして、低減策を指導してきていたところでございま すが、これについては、先ほどプレスリリースでごらんいただきましたように、花 王株式会社としては、低減についての検討を進めているところでございますが、一 般の食用油程度にまで低減が図られるまでの間、関連製品の一時販売自粛、出荷停 止を行うということで決定が行われて、対応がとられているところでございます。  現在、(2)で実施を指示しております各種の試験について、花王において鋭意準 備を進めているところでございますが、特に代謝、体内に入ってグリシドール脂肪 酸エステルがどう分解されていくかということについては、早急に実施することが 必要と考えており、花王株式会社からは、11月末までに報告をしたいということで 御報告いただいているところで、その結果を食安委に報告していきたいと思います。 速やかに食安委での安全性評価がいただけるよう協力をしていきたいと考えており ます。  85ページの(参考)にございます参考情報でございますが、ドイツ連邦リスク評 価研究所が今年の3月、食用油、特に乳児用の食品にグリシドール脂肪酸エステル が含有されていることについて評価結果を公表しています。これは十分な情報がま だグリシドール脂肪酸エステル、またはその分析法等についてないので、幾つか仮 定の上での評価でございますが、乳児用ミルク製品に含有されるグリシドール脂肪 酸エステルによる生後間もない乳児に対するリスクについては、乳児では通常の大 人よりも脂肪の摂取割合が高く、対体重当たりの脂肪の摂取量が高くなることから、 そのリスクについて特に評価をしております。当該物質の低減を推奨しつつも、授 乳を受けていない乳児にとっては、これらの製品が生命の維持に不可欠の栄養素を 含有していることから、使用を継続するよう勧告しています。一生涯ミルクを飲む わけでもないということもありまして、ミルクの摂取は継続しておりますが、一方 で低減を推奨するということで、評価結果が公表されているところでございます。  以上でございます。 ○岸分科会長 説明ありがとうございました。  消費者の皆さんの関心が高いところだと思いますが、ただいまの御説明、あるい は御報告に御意見とか御質問がございましたら、受けたいと思いますが、いかがで しょうか。 ○徳留委員 不勉強で、ちょっと教えていただきたいのですけどそのまま食した場 合、加熱あるいは炒めものとかした場合、グリシドール脂肪酸エステルが増加する のか、あるいは発がん性が上昇するのかどうか、その辺りのエビデンスがあるのか どうかを教えてください。  それと、まだ検討中のところもあるかもしれないんですが、発がん性のドースレ スポンスが余りクリアではないのでしょうか。IARCのクライテリアが2Aとい うことと関連づけてどうなっているのか、その2点について教えてください。 ○俵木課長 炒めたときの問題については、グリシドール脂肪酸エステル自体が分 析もまだ確立してないので、MCPDという化合物として分析をするような試験法 がございまして、ドイツ等でもそういう分析が行われているのですけれども、その MCPDの量について、炒めてその前後で変わるかのデータを取っておりますけれ ども、それについては増加はないという報告を受けております。  それから、グリシドールのIARCの評価ですけれども、詳細について確認の上、 御報告させていただきたいと思います。申しわけございません。 ○徳留委員 わかりました。 ○大前委員 今の2Aというのは、ヒトに対する発がん性は証明されておりません けれども、動物では明らかな発がん性があるというのが分類です。 ○阿南委員 6年以上もその試験が続いていて、なかなか評価が定まらないという ことですけれども、問題は、その評価が定まらない間にも、事実製品が販売され続 け、消費者はそれを摂取し続けているということです。不安が解消されないままず っと来ているのですね。例えば疑いが出された時点で禁止され、その審査が続けら れるというならいいのです。そして疑いが晴れたときにそれを認めましょうという ことならばわかるのですけれども、今は違いますよね。不安のままの状態で、その まま試験だけは続けますということです。長年そういうことを放置してきた行政の 責任はすごく大きく、問われて然るべきだと私は思います。  先日、私たちは集会をやりました。花王さんと食品安全委員会、厚生労働省、そ れから、消費者庁から、説明を聞きましたけれども、いずれも責任がはっきりせず、 「まだ結論が出ていません」とか、要するに、行政としての責任のなすりつけ合い といいますか、責任逃れの発言しかなかったので、参加者からも不信感が出ている わけです。  この花王の社告にあるような、一部の消費者が不安に思っているとか、そういう 状態ではないわけだと思います。そして、厚生労働省は審議会でそれを認めてきた わけなので、それなりの対応措置を今すぐすべきだと思います。花王の社告の中で は、販売停止はしますけれども、回収はしませんと言っていますがちゃんと回収さ せるなどについて、花王さんにもちゃんと指導すべきだと思いますし、特定保健用 食品としての表示許可の権限が消費者庁に移ったわけですが、なにもしないという ことではなくきちんと提言を出していくとか、今すべき厚生労働省の行政としての 役割はあると思いますので、そこははっきりしていただきたいと思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 今の阿南委員の御発言に対しまして、事務局から何か説明とかお願 いできますか。 ○俵木課長 先ほどの経過表でもごらんいただきましたように、DAGの安全性に ついては、15年のマヨネーズタイプを追加するときに、そういう作用があることを 示す具体的なデータはないけれども、念のために追加の試験をということで宿題が 出て、それがずっと続いてきているわけでございますが、リスク評価を行っていた だいた上で、私どもとしては対応をとっていく必要があると思っていますので、具 体的な科学的な評価を受けて対応をとらざるを得ないと考えております。  ただ、今年の7月になって、また、新しい問題としてこのグリシドール脂肪酸エ ステルが高濃度に含まれているのではないかということが判明したわけでございま して、それについては、低減を指導してきたところでございますけれども、このた び、販売自粛を会社として行ったということでございます。  御説明してもなかなかあれかもしれませんけれども、きちんと科学的なデータに 基づいた評価の上で対応を私どもとしてはとらざるを得ないと考えているところで ございます。 ○阿南委員 ありがとうございます。  科学的な結果が出るまでということですが、しかしもし、グリシドールが分解さ れて影響を及ぼしていたというような結論になったときにはどうするのですかとい うことを言いたいのです。不安があるという状況で、わからない段階でも、それは 何らかの措置をすべきだと思うのです。何年間も消費者は信じて使っているわけで すから。  以上です。 ○山内委員 質問が二点あります。まず、ひとつめは、仮にグリシドールというも のが生成されることがわかった場合に、これは直ちに販売をやめるぐらい、不検出 という基準でなければならないぐらいリスクの高いものでしょうか。  質問の二点目ですが、私が推測しますに、DAGの問題が出てきた段階で、直ち にその販売を停止するほどの非常にリスクが高いものというふうな判断ではなかっ た、と想定するのですが、そういうふうなお考えであるならば、食べ物にはリスク はつきものであり、現在は、リスクを低減したり、全体リスクのコントロールをす るのが重要だという考え方にのっとって、考え方の整理や施策が行われてきている と理解しています。この辺りをわかりやすく説明していただけると消費者の安心に つながると思います。この点についての、判断の状況をお聞かせください。  以上です。 ○岸分科会長 ただいまの山内委員の御発言に関してはいかがですか。 ○俵木課長 御指摘のとおりでございまして、実際、グリシドール脂肪酸エステル がグリシドールにそもそも分解されるのかどうか、吸収されるのかどうか。また、 分解がどのくらい行くのか。実際に暴露量がどのくらいになるのかということにつ いて評価をしなければ、単純には不検出であるべきだというふうにはいかないと考 えておりまして。食安委の御議論を聞いておりましても、そういうことなんだろう と理解しておりますし、食安委のホームページに掲載されたQ&Aの中にも、これ まで行われた各種試験から得られた科学的知見からは、高濃度にDAGを含む食品 に対して緊急に対応しなければならないほどの毒性所見は今のところは得られてい ないということで、現時点で直ちに何か緊急の措置を行うことは難しいのではない かと考えているものです。  したがって、今後できるだけ早く御評価をいただくことが重要だと考えておりま して、今、急ぎ、グリシドールがどのくらい体の中にできるのか、入るのかについ てのデータを取ることを進めているところでございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  消費者側の心配も大きいとは思うのですけれども、食品安全委員会で審議をされ ているところの86ページの下に括弧で大きくくくっているところですね。「必要な データの速やかな提出を厚生労働省に対して要求しており」と、食品安全委員会の ホームページが書いてあるのですが、「これが得られ次第、評価結果をまとめること としています」これはどういうことなんでしょうか。 ○俵木課長 食品安全委員会からは、グリシドール脂肪酸エステルが体内でどのよ うに分解されるかとか、または、グリシドール脂肪酸エステルそのものの遺伝毒性 等については、まだデータが世界的にもありませんので、そういったデータについ て至急提出するようにということで御連絡をいただいておりますので、私どもとし ては、今、花王株式会社に対応を指示しているところですが、その結果が得られ次 第、食安委に御報告をして、食安委に速やかな御評価がいただけるように協力をし ていきたいと考えております。  それから、この問題については、消費者の皆様にできるだけきちんとした情報を 提供していくことが重要だということで、食安委でもQ&Aを掲載いたしましたし、 厚生労働省でも、本日になってしまったのですけれども、Q&Aを作成したところ でございます。また、明日、関係の食品安全委員会、それから、消費者庁、厚生労 働省、関係課長会議を開く予定にしておりまして、関係各省で協力して対応をして いきたいと考えております。 ○岸分科会長 そうしますと、今、実際に試験を行っているのは花王がやっている ということですね。  わかりました。 ○毛利委員 この委員会で一度は認めた話なんですね。そうすると、厚生労働省と して緊急の研究費か何かでやらせるという、そういう方法はないのでしょうか、花 王に一任するのではなくて。 ○俵木課長 花王に指示をしておりますけれども、こういった代謝試験の経験の豊 富な外部試験機関で実施していただくことにしております。 ○岸分科会長 毛利委員に追加するようですけれども、花王が外部に委託している ということですか。厚生労働省として、例えば国立医薬品食品衛生研究所に委託す るのではなくて、花王が外部にということですか。 ○俵木課長 今はその予定で進めております。どのような内容で試験をするかにつ いては、大野先生も含めて専門家の先生にいろいろな御指導もいただきながら進め ているところでございます。 ○山下委員 毛利先生と同じだと思うんですが、問題点は、特保として認めるこの 試験を花王にやらせているということではなくて、食品衛生上危害があるかないか の確認をどこの機関がやるかという問題なので、これはやはり行政の試験検査デー タが必要なのかなと考えますが。 ○西島委員 御質問なんですけど。DAGについて6年間いろいろ安全性について 調べられてきているということですけど。もうちょっと具体的に、どのようなとこ ろでどのような試験が行われて、どのような懸念があるのかということを、今まで のバックグラウンドを全然知りませんので、教えていただきたいと思います。DA Gのことです。 ○俵木課長 DAGにつきまして、どのように御説明したらよろしいでしょうか。 ○西島委員 DAGは、脂肪酸が1位と3位についていて、これが脂肪がつきにく いということの一つの理由というかアイデアになっているわけですが、体の中で普 通つくられるDAGは、1位と2位についているんですね。それで、3位のところ はリン酸化されて、その後いろいろまた代謝されるということなんですが。私の知 りたいのは、この1、3が、これは恐らく発がんについてはプロテンカイネースを 活性化するということだと思うんですが、その1、3で調べているのか、1、2で 調べているのかというようなところも含めてなんですけれども。 ○俵木課長 1、3についてです。1、2についてのプロテンカイネースの活性化 の問題から、これは1、3なんですけれども、1、3についても念のため試験を行 うべきだということで、野生型のラット、それから、遺伝子改変をしたTgラット を用いた二段階発がん試験が追加試験も含めまして何本か行われております。 ○西島委員 それで、発がんプロモーション活性が見られるということですか、現 段階で。 ○俵木課長 そこもまだ食安委の評価中でございまして。一部Tgのオスのみで舌 にがんが認められたり、また、Tgのメスで最も低容量で乳腺の発がんが認められ たりしているデータは出てきておりまして。それをどのようにプロモーション作用 として評価できるのかについて、食安委でもまだ議論が続いているところでござい ます。 ○西島委員 そのデータは、どこが出したデータですか。 ○俵木課長 がんセンターと名古屋市立大の先生のところで研究としてやられたデ ータが提出されております。 ○西島委員 そうすると、今はまだその解釈ができていないということですね。も うデータは出ているというふうに解釈をしていいですか。 ○俵木課長 はい、そうです。 ○西島委員 それに時間が非常にかかっているということですね。その解決のめど は、今のところまだ全然わからないのですか。 ○俵木課長 プロモーション作用については、私どもの認識では、食安委での最終 のレポートのとりまとめに入っておりまして。報告書(案)の最終確認の作業とい うことだと理解しておりますが、まだ議論が全部が終結してないので、報告書がま とまってないですけれども、終わりに近づいているものだというふうに理解してお ります。 ○西島委員 はい、わかりました。 ○岸分科会長 種々の意見が出されましたが、食品安全委員会で継続審議中である ということを一つ置きまして、平成15年にこの審議会で一応特定保健用食品として 認めることは差し支えないということを審議して出されたわけですね。それについ て、15年からですから5年ぐらい、間に新しい治験がいろいろ出たということなん だろうと思いますけれども、毛利先生、山下委員の話にもありましたが、それを製 造している会社がその試験をやると、例え国立の研究機関でしているとしても、そ れで消費者が納得するだろうかという点に関しては、私もちょっと心配なんですけ れども、これはふだんはどういうふうにされているんですか。別に花王を信用する とかしないとかということではなくて、厚生労働省として、ここらを受けて立つの なら、国立の機関にきちんと、花王は花王でなさることは大事だと思いますけれど も、そういう考えはないのでしょうか。一応論点のそこだけがちょっと私は気にな るんですね。 ○俵木課長 グリシドール脂肪酸エステルが非常に高濃度に含有されている製品そ のものは、まだ今のところ花王のエコナ関連製品しかございませんので、その当該 製品の安全性の評価が第一義的に行われるべきで、そのためには、一義的な製品の 責任者である花王株式会社が責任を持つべきだというふうに考えているところでご ざいます。ただ、データの信頼性という点では、外部の経験の豊富な試験機関での 試験を実施することが望ましいと考えております。 ○岸分科会長 製造している企業に責任があるのは、それはおっしゃるとおりだと 思うのですけれども、その毒性なり、ヒトのリスクの評価をする、客観的な資料と して、こういう問題が起きた後で、出すべきところは花王でいいのだろうかという のは、私、一委員として、みんなの意見はまとめておりませんので、いかがなもの なんでしょうかね。せっかく厚生労働省が指導をされるのならば、むしろ、直接国 立の機関でしていただく方が、最終的な結論に関しても、国民の信頼が違うのでは ないかと思うのですけれども。 ○俵木課長 外部のGLP適用の経験の豊かな試験機関で試験を実施することで、 データの信頼性については担保を図っていくことができるのではないかと考えてい ます。 ○岸分科会長 そこしかやらないわけですか。1か所だけ。GLPで実施すること は絶対条件だと思いますけどね。最終的な報告書はどこから出るんですか。花王株 式会社から出るわけですか。 ○俵木課長 そこの外部機関の報告書が花王を経由して提出されてくるというふう に理解しております。 ○岸分科会長 お金を出しているのは花王なわけですね。 ○毛利委員 この審議会が通しているわけですね。そうすると、私たちはそれに対 して責任があるし、これは厚労省の審議会ですから、厚労省にも責任あると考える のが一般的なんだと思うんですよね。 ○俵木課長 組織的なことを申し上げて大変恐縮ですけれども、特保そのものの事 務については消費者庁に移管してしまいましたので、特保そのものの責任は、過去 の経緯も含めて消費者庁に行政的には移管されてしまったんですが、厚労省として は、特保も食品でございますので、食品の安全という観点から、この問題について 対応をしているものでございます。勿論、どこで試験をするのかということについ ては、データの信頼性を担保することが極めて重要だと私たちとしては考えており ますけれども、花王が依頼して実施したから評価が科学的にできないということは ないのではないかと考えております。 ○岸分科会長 ほかの委員の方で御意見はございますか。 ○山下委員 特保については、ジアシルグリセロール、DAGだけが問題であって、 それは消費者庁でおやりになるのは構わないと思うんですが、今問題になっている のは、グリシドール脂肪酸エステルの方だと思います。ですから、これはうちの方 の所轄なのかな。試験検査結果を出すのも、やはり国の試験検査機関かなと思いま す。もし外部に委託するのであれば、国経由で委託するということがよろしいので はないかと、個人的には思っています。 ○岸分科会長 いかがでしょうか。  私の方からちょっとお尋ねしたいのですが、特定保健用食品として安全性の審査 を行って妥当と審議された後、こういう事件が起きたのは、これが初めてでしょう か。私、分科会長をして間もないものですから、ちょっとわからないんですけど。 ○俵木課長 ないと思います。 ○岸分科会長 初めてということですね。 ○俵木課長 はい。 ○岸分科会長 はい、わかりました。 ○毛利委員 今回は、結果データも出ているし、データの信頼性については、恐ら くどこが出しても、どこが依頼しても、それについてはきちんと学術的に評価すれ ば問題ない話で、それで私は今回についてはいいと思うんですけれども、今後、 我々の覚悟として、こういうこととが起きる可能性があるんだということも、常に 重く受けとめてやっていくべきだろうと思いますね。 ○岸分科会長 そのほか、いかがですか。  私、参考までに、これは分科会長としての意見ではなくて、個人の意見ですけれ ども、多くの化学物質のリスク評価で、論点がいろいろな角度から非常に問題にな ったときに、例えばアメリカのジャーナル等でいろいろなレビューが出るんですが、 それに当該の会社から、あるいはそちらの方から資金をもらっている場合は、ネガ ティブだというデータが非常に多いんです。もう100%近くがネガティブだと。とこ ろが、ガバメントからきちんとお金をもらって、そういう利害と無関係にやってい る研究のデータは、会社の出されているデータとは違う比率でデータが出ているこ とを私ども科学者はよくわかっているものですから、それで意見を申し上げますけ れども、これは個人としての意見ですけれども、そこはやはり厚生労働省や私ども は責任があるわけですよね。いろいろ先ほど来、先生方がおっしゃっているように。 最後は、国民が(それを「安心」となるとまた難しい面があるかもしれませんが)、 「安全」だとしてきちんと理解できるようにするには、長い化学物質のリスク評価 の道から考えますと、会社だけの、あるいは会社からお金をもらったデータだけで 評価するということは、ある意味ではそれで今まで間違えたといいますか、それが 覆されてきた歴史がかなりありますので、それでいいんだとはやはり言い切れない。 それはグリシドール脂肪酸エステルを離れてのことなんですが。それを私ども科学 者がふだんからそう思っている面があることはちょっと申し上げておきたいと思い ます。 ○石塚部長 本日、いろいろ御指摘をいただきました件は、私どもも検討しまして、 データの信頼性をどう確保するかということについては、もう少し内部で議論をし ていきたいと思います。  先ほどの発がんプロモーション試験については、国の研究費で行っていることが ありますが、今回は、何分にも緊急を要するということで、直ちにデータを至急食 安委に出さなければならないということになりますと、国の研究の場合には、公募 をするとか、審査をするとか、どこに委託すればいいかとか、時間もかかります。 そういうこともありまして。それからこの手のメーカーの出す営利の目的の商品に ついてデータを信用しないで、国がすべて追試験をやるというようなことも、また ちょっと現実的ではありません。そういうこともありますので、この在り方につい ては、きょうの御意見をよく聞きまして、信頼性が担保できるような在り方をどう すればいいかということについては、もう少し詰めていきたいと思います。 ○岸分科会長 部長から大変前向きなお話を伺いまして、私どもも責任を感じて申 し上げているということを恐らく多くの委員がそれでおっしゃっているということ で申し上げました。よろしく対応をお願いいたします。  それでは、次の議題に移らせていただいてよろしいですか。 ○阿南委員 例えば、ここで花王にヒアリングに来てもらって、説明いただくとい うふうなことはできるのでしょうか。もしできたら、そのようなことも今後は考え ていただければと思います。 ○石塚部長 御要望があれば、それは。 ○阿南委員 是非お願いします。 ○岸分科会長 それでは、次に移らせていただきます。  「食品衛生分科会において審議された品目のその後の経過について」事務局から 説明をお願いします。 ○俵木課長 分科会資料の91ページをごらんください。  前回の分科会におきまして御審議いただきました品目のその後の経過についての 一覧表でございます。91〜92ページに及んでおります。いずれもパブリックコメン トの実施、または、一部終了したものもございますが、意見聴取を順調に進めてい るところでございまして。既に、期限が締切になったものもございますが、それら については、特段、基準値そのものについて変更を要するような意見はないという ふうに理解しております。まだ、コメント募集中のものもございますので、その結 果については、また、分科会長にも御報告し、御相談させていただきたいと思いま す。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  残り時間少なくなりましたけれども、その次の「平成20年度食品からのダイオキ シン類一日摂取量調査等の調査結果について」事務局から御説明をよろしくお願い します。 ○加地課長 資料は93ページでございます。  毎年御報告させていただいております。平成20年度のデータがまとまりましたの で、御報告いたします。93ページをごらんになっていただければ一目瞭然なんです けれども、この研究は2つ目的がございまして。1つは、平均的な食生活から、食 品からダイオキシンをどれぐらい摂取しているのかという平均的な摂取量、それか ら、もう一つは、個別の食品でダイオキシンがどれぐらい汚染しているのかという ことを把握するものでございます。  調査方法等につきましては、例年と変わっておりません。結果を見ていただきま すと、表1でございますけれども、順次数値は下がっているという状況でございま す。  それから、95ページの表3が、個別の食品の調査結果でございます。20年度の結 果で見ますと、でこぼこはありますけれども、直ちに問題があるという数字は出て おりません。きょうの結果、発表を踏まえまして、これを公表したいと思っており ます。その際に、一部の食品を過度に摂取するようなことがないように、バランス よく食べてくださいというようなコメントを付して公表したいと思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 貴重なデータに関しまして、御報告がございました。何か御意見・ 御質問等ございますか。  よろしいですか。  それでは、最後に、「平成21年度輸入食品監視指導計画について」お願いいたし ます。 ○道野室長 輸入食品安全対策室長の道野でございます。  資料の97ページから御説明申し上げます。  輸入食品の監視指導計画につきまして、これは食品衛生法に基づきまして、毎年 度計画を策定して、監視指導を実施するということで、毎年定めておるものでござ います。今年度も4月からスタートをしているわけでございますけれども、前回の 本分科会で御説明できなかったということもありまして、前年度の実績も今回公表 させていただきましたので、それと併せて説明をさせていただきます。  21年度、今年度の計画につきましては、今年の1月16日から1か月間は案を提示 して、意見募集をしまして、3月末に官報に掲載をして、4月から実施していると いうものでございます。内容につきましては、97ページの3番目のところからごら んいただければと思いますけれども、検査につきましては、モニタリング検査とい うことで、注釈にもございますように、食品の種類毎の輸入量、違反率等を勘案し た統計学的な考え方に基づく計画的な検査ということで、計画的な検査につきまし ては、8万3千件を予定してございます。これは前年度に比べて3千件の増という ことでございます。検査命令につきましては、このモニタリング検査、それから、 海外からの情報等に基づいて違反の蓋然性が高いと考えられるものにつきましては、 全ロット検査をするという考え方で対応しております。これにつきましては、計画 するというよりはむしろ検査の結果、海外情報に基づいてやるということでござい ますので、年度途中でどんどん追加をしていくという性質のものでございます。8 月31日現在で、全輸出国の食品としては16品目、それから、特定の国・地域を定 めて検査するものにつきましては199品目というようなことで実施をしておるとこ ろでございます。  あと、輸出国における衛生対策の推進ということで、二国間協議の実施や現地調 査を計画してございます。  また、輸入者に対しましては、自主的な衛生管理ということについて、自主検査 であるとか、現地での確認だとか、そういったことをやれということで指導をして いるところでございます。  98ページに具体的な内容について幾つかございます。この中で、序文の一番下の ところにございますけれども、下線部で引いているものが、新たに今年度の計画で 盛り込んだ内容でございます。1つは、昨年の餃子の事件を踏まえまして、輸出国 段階での対策の強化というようなことを基本的に新たなものとして追加してござい ます。具体的には、99ページの5番目でございますけれども、問題発生への未然防 止の観点から、平時より輸出国における衛生対策に関する情報収集及び評価を進め る。これは、従来、問題が起きたときに、いろいろな協議だとか、情報収集だとか、 要請だとかということをやってきたわけでございますけれども、それ以前、平時の ときもそういったことで輸出国の衛生管理に関する法規や体制について研究してい くということでございます。  それから、6番目の一番下でございますけれども、ここにつきましても、これは 輸入者自らが、その輸入加工食品について、現地で、国内で食品衛生法に基づいて 求められているものと同等の管理がされているかどうかということについて、自主 的に確認をしていただこうということで、その指導内容について詳細に示したガイ ドラインを提示いたしたわけでございますけれども、それについての実施を指導し ているところでございます。  それから、101ページでございますけれども、8月17日に、昨年度も監視指導計 画をつくって実施してきたわけでございますけれども、それの実績ということで、 20年度の結果について公表してございます。ポイントとしては、101ページの中ほ どでございますけれども、輸入届出件数は176万件、届出重量が3,155万トンとい うことでございまして。モニタリング検査は、8万件実施計画というところで 79,809件を実施してございます。  実際には、この実施件数につきましては、延べといいますか、ダブって検査して いるものがございますので、全体としては、83,951件の検査を実施しております。  検査命令につきましては、全輸出国の16品目及び36か国・1地域の190品目と いうことで、全体として95,490件、延べ件数で申しますと174,610件というような データになってございます。  それから、違反状況につきましては、違反件数は1,150件が違反ということで、 輸出国への積み戻し、それから、廃棄、回収等の措置がとられております。  それから、5番目に、海外情報等に基づく緊急対応ということで、報道もされて おりましたけれども、これは米国で起こったサルモネラ食中毒の関係で、メキシコ 産のとうがらしの問題、それから、チリ産豚肉のダイオキシン類の汚染、中国産粉 ミルクのメラミン混入等々の事件に対応したということでございます。  103ページに、参考資料といたしまして、年別の輸入・届出数量の推移ということ で、20年度につきましては、若干下がっているという状況にございます。それから、 年度別の検査件数の推移につきましては、検査命令の件数については、結果として、 かなり増えてきているというような状況にございます。違反件数につきましては、 18年度少し増えておりますけれども、その他の年については、大きな変化はござい ません。それから、検査体制でよく御指摘いただく検疫所の食品衛生監視員の年度 別の推移でございますけれども、20年度につきましては341名ということでござい ます。21年度の今年度につきましては、27名増員して368名というような体制で実 施をしております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの「平成21年度輸入食品監視指導計画について」何か御意見・御質問は ございますか。  よろしいですか。資料を出していただいて、大変有り難く思います。  それでは、これで審議と報告が終わりましたが、何か事務局から伝達事項はござ いますか。 ○石川補佐 先生方におかれましては、長時間の御審議ありがとうございました。  次回の開催予定でございますけれども、次回は12月2日水曜日、同じく13時か ら16時を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、後半ちょっと時間をかけ過ぎてしまったかもしれません が、国民が心配しているところだと思いまして、審議会できちんと議論をしている ことがわかっていただけるかと思いまして、私もちょっと辛口の話をいたしまして、 行政にはちょっと私見を述べさせていただいて申しわけなかったとも思うんですけ れども、消費者庁に移管した業務もございますが、食品衛生に関しましては、ここ が最後最も大事な議論をする場だと思いますので、今後も委員の皆様には忌憚のな い意見を出していただいて、それでもって審議会の審議とさせていただければと思 っております。本当に長い時間ありがとうございました。  これで終わります。 照会先:                                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                  TEL:03−5253−1111(2449)