09/09/25 平成21年9月25日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時:平成21年9月25日(金) 13:58〜16:34 ○場所:厚生労働省 共用第7会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、生方委員、大野委員(部会長)、加藤委員、佐々木委員、志賀委員、      豊田委員、松田委員、山添委員、鰐渕委員 事 務 局 塚原大臣官房参事官、俵木基準審査課長、小木課長補佐、工藤課長補佐、 猿田課長補佐、浦上専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開会 2.議題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について   ・エスプロカルブ(農薬)   ・プロスルホカルブ(農薬)   ・トリフロキシストロビン(農薬)   ・メタラキシル及びメフェノキサム(農薬)   ・鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ)混合生ワクチン                               (動物用医薬品)   ・牛及び豚用インターフェロンアルファ経口投与剤(動物用医薬品)  (2)その他 3.閉 会 ○事務局(浦上) それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきたいと思います。  本日はお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお 願いいたします。  本日は尾崎委員、斉藤委員、山内委員、吉池委員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡をい ただいておりますが、「農薬・動物用医薬品部会」の委員15名中10名の御出席をいただいており、 部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立していることを御報告いたしま す。  審議に先立ちまして、9月1日付で事務局の人事異動がございまして、前任の江島食品規格専 門官に代わりまして、私、浦上が着任いたしましたので、この場をお借りいたしましてごあいさ つとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議どうぞよろしく お願いいたします。 ○大野部会長 それでは議事に入らせていただきたいと思います。初めに、事務局から配付資料 の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきたいと思います。  今日は全部で6剤の御審議を予定しております。 まず1つ目がエスプロカルブ(農薬)でございます。  資料1−1が「食品安全委員会における食品健康影響評価」。  資料1−2が「農薬・動物用医薬品部会報告の(案)」。  2つ目がプロスルホカルブ(農薬)でございます。  資料2−1が「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  3つ目がトリフロキシストロビン(農薬)でございます。  資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  資料3−3「インポートトレランスによる基準値設定等の要請に伴う作物残留性試験の取り扱 いについて」というものがございます。  4つ目がメタラキシル及びメフェノキサム(農薬)でございます。  資料4−1「食品安全委員会における新健康影響評価結果」。  資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  5つ目は動物用医薬品でございまして鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシ マ)混合生ワクチン(動物用医薬品)でございます。  資料5−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  6つ目が牛及び豚用インターフェロンアルファ経口投与剤、こちらも動物用医薬品でございま す。  資料6−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  最後の参考資料でございますけれども、参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農 産物・畜産物摂取量」。  参考資料2「食品安全委員会の意見聴取及び食品健康影響評価結果について」でございます。  配付資料の不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。  それでは審議に入りたいと思います。先ほども御説明がありましたように、今日は農薬につい ては4剤、動物用医薬品2剤について御審議いただくことになっております。報告書の作成に当 たりましては、先生方にいろいろ資料を見ていただいて、御検討いただいているところでござい ます。どうもありがとうございます。  それでは、議題1の「食品中の残留農薬等に係る残留基準値設定について」ということで、農 薬エスプロカルブの審議に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料1−2をごらんください。農薬のエスプロカルブです。  こちらの用途といたしましては、除草剤となっておりまして、チオカーバメート系の物質とな ってございます。  作用機構といたしましては、十分に解明されていないとのことですが、ほかの同じ系統の除草 剤と同様に、細胞分裂阻害、特に蛋白質合成阻害により生育を抑制または停止させることで作用 するものと考えられているものでございます。  資料12ページ「これまでの経緯」をごらんいただきたいと思います。  本剤につきましては、平成20年1月、一度当部会におきましても御審議いただいておりまして、 その後審議結果を得まして、11月に残留農薬基準の告知がなされております。  初回の農薬登録といたしましては、昭和63年でして、その当時に設定されていた現行基準のほ か、このときは平成19年の9月に魚介類への基準設定依頼があったものとなっております。  その後、平成20年11月の告示を待って、小麦への適用拡大の申請がなされたことから基準値 設定依頼が当省へなされました。  これを受けまして、本年の1月に食品安全委員会宛て食品健康影響評価を依頼しておりまして、 本年の5月に結果について通知されているものでございます。  こういう経過のある剤でございますので、今回の審議対象といたしましては、この適用拡大と なっております小麦への基準値設定ということで御審議いただければと思います。  それでは資料1−1の食品安全委員会による食品健康影響評価、農薬評価書のエスプロカルブ の資料をごらんください。  こちらは先ほど御説明いたしましたとおり、2回目の評価ということで、第2版という評価書 になっております。  実は本剤につきましては、本年の3月になりますけれども、食品安全委員会の方で適用拡大等 がなされた、つまり、既に一度食品安全委員会でこのように健康影響評価が行われた剤について、 例えばこういうような適用拡大等のため追加での評価依頼というのがなされた場合に、新たな毒 性知見等がない場合は、専門の調査会を経ずに直接親委員会での審議を経て、例えばパブリック・ コメント等の実施もせずに評価結果を書くという取り扱いが新たに決定されておりまして、この 剤はその取り扱いに基づいて初めて評価がなされたものとなっております。  そのため、今回の第2版の評価書におきましても、追加されたものは、今回の適用拡大に係る 小麦の体内運命試験のデータとか、作物残留試験の小麦のデータが追加されたという内容になっ ております。  あと、若干第1版と比較いたしますと、記載ぶりの整理がされているようでございます。  健康影響評価についてはおさらいとなりますが、評価書の29ページにまとめられてございます ので、ごらんいただければと思います。  一応ラットにおける動物体内運命試験の結果におきましては、代謝の主要経路というのは尿中 ということで、投与72時間までに約90%の総放射量が排泄されたということになっております。  植物体内運命試験の結果では、可食部位における残留のほとんどは抽出残渣中に認められたと いうことになっております。  水稲と小麦を用いて、エスプロカルブ親化合物と代謝物Bを分析対象化合物とした作物残留試 験がなされておりまして、この結果可食部におきましては、いずれの化合物も定量限界未満であ りました。また、これは前回の評価結果に係る部分ですが、魚介類における最大推定残留値は 0.197mg/kgということでまとめられております。  各種毒性試験の結果では、エスプロカルブ投与による影響は主に肝臓及び腎臓に認められてお りまして、神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかっ たということで、繰り返しになりますけれども、新たな毒性評価に係るデータもないということ で、この辺の評価も変更はございません。  これらの試験結果から、食品中の暴露評価対象物質が親化合物のみと設定されていることも以 前と同様でございます。  無毒性量等及び最小毒性量の評価につきましては、30ページ以降の表記となりますが、これら を基に最終的には、イヌの1年間のカプセル経口投与の慢性毒性試験で得られました無毒性量を、 安全係数100で除しまして、0.01mg/kg体重/日というADIになっておりまして、このADIの値に ついても変更がないということでございます。  資料1−2にお戻りください。  用途につきましては、冒頭で御説明いたしましたとおりでございます。  化学式及び物成等につきましても記載のとおりでございますが、事前にお配りさせていただい た資料から、若干化学名のところで修正をさせていただいておりまして、上のIUPAC名のところ で、S−benzy1の後に(RS)ということで、こちらを追記させていただいております。これは評 価書の記載と同じものになってございます。 2ページ以降に適用の範囲ということで記載いたしておりますが、今回適用拡大がなされた部 分につきましては、作物名並びに製剤名に枠込みをしてございます。  こちらも事前にお配りした資料からの訂正が1か所ございますが、実は3ページの(2)の後、 4ページの冒頭になりますが、事前配付した資料では21%エスプロカルブ・0.75%ベンスルフロ ンメチル粒剤についての適用を記載しておったのですけれども、最終的にはこの剤については現 在登録がないということで、そちらの表は削除させていただきました。  ということで1つ表が減っておりますが、先ほど御説明した適用拡大の部分といたしましては、 (4)60.0%エスプロカルブ・1.5%ジフルフェニカン乳剤ということで、今回新たに小麦への適 用ということで申請がなされたものについて記載をしております。  こちらは土壌散布ということで、1年生雑草に対しての適用ということになっております。  5ページ以降に作物残留試験の結果を記載してございますが、こちらの分析対象の化合物とい たしましては、エスプロカルブと代謝物Bということで、すべての作物ではないのですが、分析 がなされております。今回適用拡大となります小麦につきましては、6ページに記載しておりま して、小麦につきましては親化合物の分析のみでございますけれども、いずれの結果も、定量下 限未満という結果が出ております。  7ページの魚介類への推定残留量は、以前御審議いただいた内容と変わりませんので説明は省 略させていただきます。  「8.ADIの評価」として、今回の食品健康影響評価依頼を受けたものということで、実際の ADIの値は変わっておりませんけれども、0.01mg/kg体重/dayという評価結果を記載してございま す。  8ページ「9.諸外国における状況」ですが、こちらはJMPRにおける毒性評価はなされてお りません。また米国等、関係の国について調査した結果、これらの国及び地域においては基準値 が設定されておりません。  これらを受けまして実際の基準値案でございますが、残留農薬の規制対象といたしましては、 これまで同様エスプロカルブ本体のみといたしたいと思います。  理由といたしましては、水稲と小麦を用いた作物残留試験において、エスプロカルブの分析が 行われておりますが、親化合物そのものについても、いずれも定量限界未満であったということ と、水稲の一部の試験において代謝物Bの分析が行われておりますけれども、こちらも玄米中で は定量限界未満であったということから、親化合物のみとするということで変更なしの形で提案 させていただいております。  具体的な基準値案につきましては、10ページの別紙2をごらんいただきたいと思いますが、今 回適用拡大となっております小麦につきまして、作物残留試験結果を受けまして、0.05ppmの基 準値案を示させていただいております。  この小麦への基準値を新たに設定することによって推定摂取量がどうなったかというのが次の ページの別紙3に記載してございます。  一番高い幼小児でTMDI試算で9.3%のADI占有率となってございます。大分低いのであれなん ですけれども、参考までに小麦の適用が増える前は幼小児の占有率としては6.7%でした。それが 9.3%になっているということです。  最後のページに答申案といたしまして、今回新たに設定する小麦の基準値案をお示ししてござ います。  事務局からの説明は、以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、早速審議に入りたいと思います。  まず化学名についてIUPACの名前でRSを追記してくださったということですけれども、CAS の方はよろしいですか。山添先生が化学名担当なのですけれども、どうですか。 ○山添委員 私も今そう思っていたのですけれども、アミノ基の隣のところに枝を置かれたメチ ルのあるところのつけ根の炭素のRSというのはラセミという意味だと思いますが、IUPACの方 はそれでいいんですが、CASの表現にラセミというのは、同じようにあったかどうかというのは、 基本的にあってもいいはずなんですが、ただ表現をどうしていたかが私もよくわからないのです。 ○事務局 その辺は念のため抄録を確認します。  抄録はそもそもIUPACの方にもRSが入っておりませんで、今回の部会報告書(案)を確認す る中で、こちらには追記するという連絡を受けまして、そのときにCAS名までは確認しておりま せん。 ○大野部会長 斉藤先生が化学名・構造担当ということなので、斉藤先生に確認していただけま すでしょうか。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 ここのところはよろしいでしょうか。  次の薬理作用、適用方法の検討のところは前と同じで、十分に解明されていないというところ です。特に私の方からはコメントございませんけれども、尾崎先生の方からもコメントないです ね。 ○事務局 特に頂戴しておりません。 ○大野部会長 これはこれでよろしいですね。体内動態、代謝物のところに関しては、前と同じ で私も読ませていただきましたけれども、この農薬の残留はほとんど認められないということで、 代謝物Bは特に農薬の中に残留していたというものではありませんけれども、土壌中にあったと いうことで、これは測ったと思います。結果として検出されなかったということで、対象物質と しては、本体、親化合物だけでよろしいかと思いますけれども、山添先生、よろしいでしょうか。 ○山添委員 実際、原体の中に多分入っていて、一部酸化されてできて、代謝物ではないので、 元の化合物だけでいいのではないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。毒性の方で何かございますか。 ○鰐渕委員 特にないです。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、ほかの先生から分析対象物質、分析法、食品中分析結果、その辺について御意見ご ざいますでしょうか。  よろしいですか。それでは基準値と、国際的整合性、その辺でいかがでしょうか。 ○豊田委員 2点あるんですけれども、1点はただ編集上の話だけで、5ページの一番下のとこ ろから、散布量のところで括弧で数値はいろいろ書いてあるのですが、みんな斜体字になってい るんです。特によくないのは、[3]小麦のところは、乳剤を3葉期に1回全面散布、これまで斜体 字になっているので、これは普通の文字にしておいていただきたい。 ○事務局 その点につきましては、6ページの一番下の注2)を御確認いただきたいのですが、 定められている適用範囲内で実施されていない試験については、その条件を斜体で示すというこ とで、一応これまで同様の書きぶりにさせていただきました。 ○豊田委員 わかりました。もう一点です。  7ページの「7.魚介類への推定残留量」の(1)のところに、これは前回と同じだとおっし ゃっているのですけれども、(1)のところ「本農薬が水田においてのみ使用される」というのを 見ていたら、小麦にも使われているので、この文章ではそのままいかないのではないかと思いま した。 ○事務局 そのとおりでございます。大変失礼いたしました。それでは、こちらの修文を考えま して、後ほど御確認をいただきたいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。私も最初に斜体はなんだろうと事務局に聞いたんです。  ほかに御意見ございますでしょうか。  それでは、化学名のところで、CASについて確認していただくということと、今の豊田先生か ら御指摘があった7ページの、水田のみに使用されるというところの文章を変更するということ。 それだけかと思います。そういうことで、答申案が小麦について0.05ということですけれども、 答申案とこの答申書の内容、これでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり)  若干修正の上承認していただいたというふうにいたします。どうもありがとうございました。  それでは、次の品目について御審議をお願いします。  次は、プロスルホカルブについてです。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料2−2をごらんください。プロスルホカルブ、農薬になります。  本剤につきましては、先ほどのエスプロカルブ同様、チオカーバメート系の除草剤です。主に 脂質の生合成系を阻害することによりまして、細胞分裂に影響を与えることで作用すると考えら れております。  こちらの資料の8ページの「これまでの経緯」をごらんください。  本剤につきましては、新規の薬剤として農薬登録申請がなされましたことから、平成19年に基 準値設定依頼がなされたものです。適用につきましては、小麦と大麦ということになっておりま す。  この基準値設定依頼を受けまして、同年8月に食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼いた しまして、本年4月に評価結果の通知がなされました。  よって、今回の審議対象といたしましては、新規登録に関わる新たな基準値の設定ということ になります。  それでは資料2−1、食品安全委員会による食品健康影響評価書をごらんください。本剤の評 価結果につきましては、この評価書の30ページ以降にまとめられてございます。  ラットを用いた動物体内運命試験の結果では、プロスルホカルブにつきましては、尿中の排泄 率が高く、また、胆汁中排泄が主たる排泄経路であることが示唆されております。体内分布とい たしましては、腎臓、肝臓、血液等で比較的高い残留放射能が認められたということです。  また、大麦等を用いた植物体内運命試験の結果では、プロスルホカルブの残留性は低い、また 可食部への移行性は低いと考えられてございます。  植物体内におきましては、プロスルホカルブは、多種の代謝物に変換されるということで、検 出された親化合物、代謝物ともに残留放射能濃度は0.01mg/kg以下であったということです。  また、作物残留試験の結果におきましても、小麦、大麦の結果でございますが、いずれも定量 限界未満という結果が出ております。  各種毒性試験の結果から、プロスルホカルブ投与による影響は主に肝臓、腎臓及び血液に認め られておりまして、そのほか神経毒性や発がん性、繁殖能に対する影響及び遺伝毒性は認められ ておりません。  また、発生毒性試験において一部ラットで骨化遅延が認められておりましたが、奇形の増加が ない。ウサギにおいても奇形の増加等はないということから、催奇形性についてはないというこ とで考えられております。  これらの各種試験結果を受けまして、農産物中の暴露評価対象物質は、プロスルホカルブの親 化合物のみと設定されております。  また、無毒性量等につきましては、31ページ以降に記載されているとおり検討されております が、結果としてラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量である1.9mg/kg体重 /dayを根拠といたしまして、安全係数100で除した0.019mg/kg体重/dayをADIとして設定されて おり、この結果が評価結果として通知されているところでございます。  資料2−2にお戻りください。  以上の評価結果を受まして、当方でまとめた部会報告書ということになりますが、用途につき ましては、冒頭で御説明したとおりでございます。  また化学名や構造式、物性等についても記載のとおりでございます。  2ページに今回登録申請がなされました78.4%乳剤についての適用を記載してございます。  適用作物は小麦、大麦、どちらも秋まきのものでございますが、こちらの1年生雑草というこ とで、全面土壌散布という形で使用されるというものでございます。  作物残留試験につきましては、分析対象の化合物としては、親化合物について分析がなされて おります。先ほどの評価書の評価結果の説明にもございましたとおり、両作物におきまして、い ずれも定量限界未満の結果となっております。  ADIの評価結果につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり0.019mg/kg体重/dayという ことで設定されております。  本剤についての諸外国における状況ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておりません。 諸外国におきましては、EUにおいて、にんじん、たまねぎ等。オーストラリアにおいて大麦、小 麦、畜産物等に基準が設定されております。  以上を踏まえた基準値案ですが、規制対象といたしましては、プロスルホカルブ本体のみとい う案で提示させていただいております。  理由といたしましては、植物体内運命試験の結果、植物体内において、動物体内では生成され ない多種の化合物に代謝されるということがわかっておりますけれども、親化合物そのもの及び 代謝物ともに残留性は低いということから、規制対象物質としては、プロスルホカルブ本体のみ とすることにいたしたいと思っております。  評価対象物質として設定されている物質につきましても、親化合物のみというのは先ほど御説 明したとおりでございます。  基準値案につきましては6ページの別紙2に記載してございます。  小麦、大麦それぞれの作物残留試験成績に基づきまして、両方とも0.05ppmという基準値案を お示ししてございます。  この基準値案に基づきまして推定摂取量についてTMDI試算を行いましたところ、その結果は 7ページに記載してございますが、一番高い幼小児で1.4%のADI占有率ということで、算定され ております。  最後のページに答申案といたしまして、今回新たに設定する小麦、大麦の基準値案を表として まとめてございます。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは審議をお願いいたします。  まず、これの化学名については、よろしいでしょうか。 ○豊田委員 名前ではないのですけれども他のことでよろしいですか。 ○大野部会長 その周辺ですね。 ○豊田委員 元の農薬評価書と、現在の案の分子量を見てみますと、案の方が251で基の評価書 が311.9で、評価書の方が間違っているのですか。251の方が近いのではないかと思います。  以上です。 ○大野部会長 ありがとうございます。 ○事務局 農薬抄録上は251.4という数字でして、私も昨日見直しをしていて、確認しようと思い ましたが間に合いませんでした。 ○大野部会長 それでは、確認してくださるようお願いいたします。  化学名についてはよろしいでしょうか。山添先生、よろしいですか。 ○山添委員 はい。 ○志賀委員 エスプロカルブもチオカーバメート系の除草剤でして、要するに、構造式の書き方 のことですが、勿論どの書き方も、食品安全委員会の構造式も違うスタイルをとっていますけれ ども、みんな正しいだろうということくらいは何となく見当がつくのですが、エスプロカルブと このプロスルホカルブで非常によく似た構造の同系統のものですね。構造式の書き方が微妙に違 いますね。例えばメチル基を書いてみたり書かなかったりそれはそれでいいわけですけれども、 独立でいくならばそれでいいことだと思うのですけれども、例えばこれが今後、公開されたりな どしていくときに、時期が同じなので2つセットでいきますかね。これからの審議状況によると 思いますけれども、できれば、どれでなければいけないということはないと思うのですけれども、 少なくとも同じときに審議するものは同じ格好で書いた方がよさそうだなという気がいたしまし た。  化学を多少わかる方ならば、構造式を見て、一応これを見てみようという方ならばわかること だと思いますので、このままでもいいのかなと思いますけれども、化学の専門の方の御意見に従 いたいと思います。 ○大野部会長 医薬品の方は名称調査会というのがございまして、そこで化学名の付け方と、構 造式の表記の仕方は統一してやるようにしています。それについては、大体一定なわけです、と きによって考え方が変わってきて、若干変わることありますが、大体一定していますが、農薬の 方は、そういうのはないのですか。ISOの名前だからという表現がどこかにあったと思うのです が。 ○農林水産省 IUPACで決めているのは化学名だけで、構造式は決めていないかと思います。農 薬登録上は化学名しか定めておりませんので、特に決めていません。 ○大野部会長 統一的にそういうことはやっていないということですね。IUPACの方は人によっ て書き方が違ってしまうわけです。その辺が難しいところですね。 ○志賀委員 特に定められていないのであれば、正しければどうでもいいと思いますが、今回の 場合、細かいことを詮索して申し訳ありませんが、食品安全委員会の6ページにある構造式と、 報告書の(案)の構造式とはややスタイルが違います。勿論中身は一緒だと思います。  あえて合わせなかったのは、メーカーからのあれとか、資料の中からこっちを持ってきたとい うことなのでしょうか。そんなに深い意味はなさそうですが。そのときに、非常に同系統の前の エスプロカルブと、ちょっと表現が違うというのは、化学に特別な造詣がなくても、わかること としてこのままにしておけばいいとも思いますけれども、その辺どうなんでしょうか。 ○事務局 その辺の報告書に関するデータにつきましては、各農薬メーカーさんに御協力いただ きまして、各社さんで画像などを御用意いただいておりまして、多分その辺での違いとかもある かと思うのです。 ○志賀委員 無理にそろえようとするよりも、原典のものをやった方が、ミスが出たりする恐れ もないというのであれは、その方がいいと思います。 ○事務局 御指摘のとおり、同じように表記できた方がごらんになる方もよろしいのではないか と思いますので、今、事務局の方から説明しましたように、各申請者の御協力をいただいており ますので、可能な限り表記の統一にも御協力いただけるようにお願いをしていきたいと思います。 当面間違いがなければ、若干お気にさわる部分があるかもしれませんけれども、できるだけ表記、 表現について統一できるように、可能な限りお願いをしていきたいと思います。 ○志賀委員 統一組織がないのであれば、無理して統一する必要はないでしょうし、それをやろ うとすると、つまらないことではありませんが、細かいところ余分な労力を費やして大変なこと になる恐れがあるので、それは必要ないと思います。  今回の場合、非常によく似た薬剤が2つ並んできたときに、ちょっと違うなというところがか えって気になってあえて申しましたので、結構でございます。 ○大野部会長 場合によってこういう形でやっているというモデルを示して、それに従って書い てもらったらいいのではないかと思います。エスプロカルブの方のモデルにするか。プロスルホ カルブの方のモデルにするか。今までのものを見て、形のいい方を選ぶということで、感覚で選 ぶより仕方がないと思います。  名前の付け方によって、ベンゼン核を右に持ってくるか左に持ってくるかが違ってきてしまう わけです。どこを重視するかによってですね。その辺は多分どこを重視しているかによって違っ てしまうのかもしれませんが、メチル基を付けるとか付けないとか水素を付けるとか、そういう のはできれば統一した方がいいと私も思いますので、といって余りにがっちりし過ぎるのも面倒 なので、モデルみたいなものを出してやってくれればいいと思います。 ○志賀委員 蛇足で申し訳ありませんけれども、パブリック・コメントにしろ、何にしろ、セッ トで出ていく場合には、見やすいように、同じような格好で出ていた方がいいなというぐらいの ことでございまして、独立に出ていくにはどちらが正しいというのもないわけですから、どちら も正しいわけですから、それはそれで独立でいいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、余りばらばらで見てくれが悪いような形にな らないようにお願いします。  薬理作用のところは、志賀先生、よろしいですか。 ○志賀委員 前のエスプロカルブと、結局同じようなことを言っているのかと思いますけれども、 似たようなもののように見えますけれども、書きぶりがちょっと違うということがございますが、 特にこれもどちらがどうということはないと思いますので、問題ないと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかの先生方、名前と薬理作用、構造、この辺について 御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、体内動態の点ですけれども、事務局から説明がございましたけれども、いろいろな 代謝物に代謝されるのだけれども、代謝物の残留は極めて少ない。親化合物の残留も極めて少な いというデータが出ていますので、私もプロスルホカルブ本体のみのフォローアップでよろしい かなと思いますけれども、山添委員、いかがでしょうか。 ○山添委員 大野部会長がおっしゃったことで結構なんですが、直接は関係しないのですけれど も、食品安全委員会の評価書の30ページの評価のところの文章は意味が取れないので、先ほど読 んでいただいたラットにおけるというところがありますね。動物体内運命試験の結果、プロスル ホカルブは尿中排泄率が高く、また胆汁中排泄が主たる排泄経路と、2つ矛盾するので、どちら かが多いはずなので、実際は尿中排泄がかなり高いわけです。  直接こちらのことと関係ないのですけれども、字句の訂正をされた方がいいというコメントだ けさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 気がつきませんでした。ありがとうございます。これは食品安全委員会の方へコ メントを出していただくということです。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 では、次をお願いいたします。  毒性の方では御意見ございますしょうか。 ○鰐渕委員 問題となる遺伝特性に関してはないということで、このとおりで言いと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、そのほかの先生方から、分析対象物質の分析結果、それらについて御意見ございま すでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、基準値と国際的整合性、この辺について御意見ございますでしょうか。 ○豊田委員 3ページを見ますと、「8.諸外国における状況」ということで、オーストラリアに おいて大麦、小麦、畜産物に基準が設定されている。今回畜産物についてはここでは出されてお りませんが、その理由を教えてください。 ○事務局 今回の基準値設定につきましては、国内の新規登録申請に基づきまして、農林水産省 から小麦と大麦に対しての基準値設定の依頼がなされたものでございます。  基本的にこういった審議のタイミングで、国際基準が定められているものにつきましては、そ の基準を参照して採用したり、検討に入れているところでございますけれども、通常の暫定基準 の見直しの場合とは違って、例えばオーストラリアで設定されているから、今回も基準値につい て即、採用を検討しようという形では、新規の剤についてはこれまでも取り扱ってはおらなかっ たところなんです。  例えばインポートトレランスの形で今後設定要請がなされれば、また追加で御審議いただくこ ともあろうかと思いますけれども、今回の審議対象は、とりあえず国内登録の部分ということで お示しいたしております。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。 ○豊田委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。  それでは、全体について御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、このプロスルホカルブについての答申案と報告書について、これをこの部会の報告 書としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目について御審議をお願いいたします。  次はトリフロキシストロビンについてですけれども、それについて説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料3−2をごらんください。  こちらはトリフロキシストロビン、農薬でございます。  用途といたしましては、こちらはストロビルリン系の殺菌剤ということで、病原菌の胞子発芽 等を阻止するという効果が確認されているものでございます。  こちらの報告書案の24ページの「これまでの経緯」をごらんいただきたいと思います。  本剤につきましては、平成13年の4月に初回の農薬登録がなされておりまして、その後ポジテ ィブリスト制度の導入に伴い、当時の登録保留基準とか、国際基準、海外基準等を参照いたしま して、残留基準値が設定されているものとなってございます。  その後、平成19年5月に農林水産省から適用拡大申請に係る事務連絡と基準値設定依頼がなさ れたということで、適用拡大の対象といたしましては、「なし」でございますけれども、こちらの 申請を受けましたことから、同年6月に食品安全委員会に対して食品健康影響評価の依頼をいた しました。この際に暫定基準の見直しも併せて、評価を依頼しているところでございます。  その後食品安全委員会における評価の途中でございますけれども、20年1月にインポートトレ ランスによる基準値設定要請がなされましたので、そちらの内容も含めまして、食品安全委員会 における評価がなされておりまして、平成20年8月に評価結果の通知がなされております。  したがいまして、今回御審議いただく内容といたしましては、適用拡大申請の基準値設定の部 分とインポートトレランス要請に関わる設定は勿論ですけれども、このほか暫定基準の見直しに ついても御審議いただきたいと思います。  また、本剤につきましてはインポートトレランス要請に関連いたしまして、若干海外における 作物残留試験結果の取り扱いにつきまして、一度本部会において再度御確認をいただきたいと思 います事項がございますので、後ほど基準値案と併せて御説明させていただければと思います。  それでは、初めに資料3−1の食品安全委員会における食品健康影響評価書ごらんいただきた いと思います。  本剤の評価結果ですが、評価書の27ページ以降にまとめられてございます。  ラットや畜産動物を用いた動物体内運命試験の結果では、トリフロキシストロビンにつきまし ては、速やかに吸収排泄され主要排泄経路は胆汁を介した糞中であったとされております。  また体内分布では主に腎臓、肝臓及び血液に分布しており、主要代謝物等についても確認がな されているところでございます。  リンゴ等を用いた植物体内運命試験の結果からは、葉に散布されたトリフロキシストロビンの 可食部への移行は少ないということが考えられておりまして、主要代謝物についての確認も同様 になされております。  植物の場合は、トリフロキシストロビンの異性体及び代謝物Bであったということでございま す。  このほか、植物固有の代謝物が数種類確認されておりますが、このうち代謝物B1につきまして は、毒性試験も行われておりまして、問題となる毒性は認められなかったという結論になってご ざいます。  親化合物を用いました各種毒性試験の結果では、トリフロキシストロビン投与による影響は主 に肝臓に認められているということですが、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び生体 において問題となる遺伝毒性は認められておりません。  これらの各種試験結果から農産物中の暴露評価対象が親化合物のみと設定されているところで ございます。  また無毒性量につきましては、記載のとおり検討されているところですが、実際値として一番 小さかったものというのは、ラットを用いた2世代繁殖試験の3.1mg/kg体重/dayということであ ったということなのですが、こちらはいろいろ用量設定の違い等を考慮した結果、ラットにおけ る無毒性量は結果的に2年間慢性毒性/発がん性併合試験の9.81mg/kg体重/dayということで結論 づけられております。  こちらの結論を出した後、ほかの動物での試験ということで比べました後、それよりも低い値 といたしまして、イヌを用いた1年間慢性毒性試験の結果の5mg/kg体重/day、こちらがADIの根 拠としては妥当であろうという結論に至ったとのことです。  結果といたしましては、こちらの無毒性量を安全係数100で除しまして、0.05mg/kg体重/day をADIとして設定されておりまして、こちらに評価結果として通知されたところでございます。  資料3−2にお戻りいただきたいと思います。  本剤の用途につきましては、冒頭で御説明いたしましたとおりです。  化学式並びに物性等につきましても記載のとおりでございます。  2ページ以降に本剤の適用について記載しておりますが、野菜や果実等の根腐病や炭疽病への 適用となってございます。  作物名について、四角で囲んでいる箇所、具体的には2ページの一番下に記載されているなし ですが、先ほど御説明しましたとおり、こちらが今回適用拡大申請なされた作物ということにな ってございます。  3ページ目以降には今回インポートトレランスによる基準値設定要請がなされた作物につきま して、参照国が今回いろんな国でございますので、各国における使用方法について記載してござ います。  この中で事前にお送りした資料から一部訂正した箇所がございますが、4ページに記載してあ ります「[2]韓国」の使用方法ですけれども、(a)のフロアブルにつきまして、当初は25%製剤と いうことで記載しておりましたが、正しくは22%製剤でしたので、修正してございます。  またこのフロアブル剤のはくさいの希釈倍数につきまして、4,000倍と記載しておりましたが、 正しくは2,500倍ということでしたので、こちらも同様に修正しております。  後ほど詳しく御説明いたしたいと思いますが、今回インポートトレランス要請がなされたもの の、検討した結果採用に至らなかった作物がございまして、具体的には韓国におけるトマトとピ ーマンですが、こちらの使用方法につきましても、今回表から削除させていただいております。  6ページからは、その作物残留試験について記載してございます。  分析対象化合物ですが、親化合物のほか一部の作物につきましては、代謝物Bも分析されてお ります。  試験結果は記載のどおりでございますけれども、ここでも若干訂正がございまして、8ページ に記載しております[6]なしにつきましては、今回適用拡大申請がなされた作物ということで、本 来作物名を四角で囲むところでしたが、記載が漏れておりましたので修正させていただきたいと 思います。  9ページには、先ほど御説明いたしましたADIの評価結果を記載しておりまして、0.05mg/kg 体重/dayと設定されているということでございます。  諸外国における状況ですが、本剤につきましては2004年にJMPRにおける評価がなされており まして、キャベツや、核果果実等に国際基準が設定されているところです。  また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドにおいても、さまざまな作物 に基準値が設定されてございます。  以上を踏まえた基準値案でございますが、規制対象につきましては、畜産物については、トリ フロキシストロビンと代謝物Bをトリフロキシストロビンに換算したものの和としまして、それ 以外の食品にあっては親化合物のみといたしたいと考えております。  その理由といたしましては、こちらの基準値案のところに書かせていただいておりますけれど も、まずは農産物の作物残留試験において一部代謝物Bが測定されておりますが、この結果とし て定量限界未満であるか、親化合物に比べて微量だったということを踏まえまして、農産物の規 制対象物質としては親化合物のみとすることとしたということで記載させていただいております。  また、畜産物につきましては、今回国際基準を参照しておりまして、その評価でありますJMPR 評価において代謝試験と移行試験の結果から、畜産物については規制対象物質として、代謝物B を含めるという評価がなされておりますので、我が国における畜産物の基準値としてこの国際基 準を参照するに当たり、規制対象物質についての整合性も取ったところでございます。  また、食品安全委員会における暴露評価対象物質の評価が親化合物のみに設定されていること は、先ほど御説明いたしましたとおりです。  今回インポートトレランスとか暫定基準ということで、海外基準の参照がいろいろございます が、規制対象を確認いたしましたところ、一応親化合物のみで設定されておりましたのが国際基 準の農産物とEUの基準値、ブラジルと韓国の基準値ということでした。  このほか、一方で先ほど御説明した国際基準の畜産物とか、米国、オーストラリア、ニュージ ーランドにおきましては、農産物等も代謝物Bが含まれているものとなってございます。  今回これらの代謝物Bも含まれている英国やオーストラリア、ニュージーランドの基準を参照 したものもございますが、こちらを参照するに当たりましては、それぞれ親化合物と代謝物Bそ れぞれのデータがございましたので、併せて確認しましたところ、参照国においては代謝物を含 んでいる基準値ではあるものの、親化合物の残留データから見てもそれほど過剰な規制ではない と思われましたことから、そのままの基準を採用することとさせていただいているところです。  これらの基準値案の詳細につきましては、19ページ以降の別紙に記載してございますが、こち らについての詳細に御説明する前に、先ほどちょっと話をいたしましたインポートトレランス要 請における海外の作残結果の取り扱いにつきまして、若干御説明させていただきたいと思います ので、資料3−3をごらんいただければと思います。  実は今回、インポートトレランス要請がなされたものの中に韓国の基準値を参照したものが幾 つかあるわけですけれども、例えば先ほど適用表から外したということで説明したトマトのよう に、この場合はミニトマトの作物残留試験が1例しかなかったというパターンや、我が国におい て摂取量の観点からマイナーな作物に該当する作物の残留試験結果から、主要な作物にそれを外 挿していくパターンがあり、具体的には、とうがらしの作物残留試験結果から設定した基準値を 韓国ではピーマンに外挿しているといった事例が見受けられました。  これらの基準値案につきましては、当該国においてそれを根拠に設定された値ではあるものの、 当方で示しているインポートトレランス要請に係る指針からいたしますと、若干受け入れるには 難点があるのではないかというコメントを加藤委員からもちょうだいしたところでして、事務局 におきましても、その取り扱いを再度確認いたしまして、結果として基準値案を変更させていた だいているところです。  変更内容につきましては、後ほど基準値案の表で御説明いたしますが、その前に現在の指針に おける取り扱い等につきまして、当部会におきましても再度御確認いただいた上で、今後関係各 国にも再度御説明いたしたいと思いまして、本日資料を3−3として配付させていただいたとこ ろです。  タイトルといたしましては「インポートトレランスによる基準値設定等の要請に伴う作物残留 性試験の取り扱いについて(案)」ということでお示ししておりますけれども、これらのインポー トトレランス要請に際して必要とされる作物残留性に関する試験成績につきましては、ここに示 していますこちらで発出いたしました通知の別添として、国外で使用される農薬等に係る残留基 準の設定及び改正に関する指針、以下IT指針と省略させていただきますけれども、このIT指針 によって下の囲みの中に書いてあるとおり、国内における農薬登録と同等レベルのデータを要求 しているところでございます。  具体的な文章といたしましては、点線の囲み、下の部分になりますけれども、農薬についての 残留基準設定の要請の場合は、農林水産省で平成12年に発出されております通知「農薬の登録申 請に係る試験成績について」における各種試験、特に残留性に関する試験成績を基本とするとい うことで、要するに先ほどお話ししたとおり国内における登録と同じレベルのデータの添付を求 めているところでございます。  先ほどお話ししたトマトのように1例しか試験がないといったところで、例数の部分が関わっ てきたのですけれども、その例数の規定につきましては、次のページの別紙ということで、同じ 通知の別表の中に、農作物への残留性に関する試験成績のうち作物残留性試験については、試験 例数云々の欄に書いてございますけれども、適用農作物ごとに2例以上ということで原則が規定 されているところです。  先ほど御説明したようなとうがらしのような、摂取量的に見てマイナーなものから、ピーマン のようなメジャーなものへの外挿というのは国内では行っていないというのが現状であるという ことです。  各国のインポートトレランスの成績等を確認するに当たりましては、これらの取り扱いを基本 としているところでございましたが、結構最近韓国政府そのものからのインポートトレランスは、 とうがらしはあちらでも主要生産物ということで、とうがらし等に関する要請というのは多いの ですけれども、そういうものに対応する必要も一部あるということも考えまして、ここに記載し ていますように、我が国において摂取量の点から見てマイナーな農産物であって、暴露評価上問 題となる恐れがない場合には、先ほどお話しした国内の登録要件よりも少ない例数の試験からで も、我が国の基準値として採用する場合もある。勿論これはデータを詳細に見て検討した結果と いう前提の下でございますけれども、そういう取扱いはするということも再度確認いたしたいと 思います。  ここで話している摂取量の点から見てマイナーな農産物の目安ですけれども、こちらとしては、 大体摂取量が0.4gくらいまでのものが該当するであろうということで、加藤委員から御助言をち ょうだいしているところです。  後は実際の作物残留性試験の実施条件としては、GLPの適用とか、求めているところでもござ いますけれども、当該国において認められた範囲で、最大残量を科学的に評価できるもの。単純 なギャップではなくて、適正に使っている。しかも最大残留を的確に判断できるクリティカルギ ャップであることが必要であるということも前提として確認させていただきたいと思います。  ここに記載しました希釈倍率ですとか、散布液濃度等の農薬の使用方法についてのクリティカ ルギャップ条件からの逸脱の許容幅としては、これは現在国内作残等を確認するときも実際に見 ているところでございますけれども、±25%までにするというところを明確にしていければと思 っております。  特に例数の件につきましては、現在国内登録の要件といたしましても、今後増やす方向で検討 が進められているということもございまして、今まで以上にこの原則を明確にしておく必要があ ると考えますことから、今回こういう形で整理させていただきました。  一度この考え方について、委員の皆様方から御意見を頂戴した上でそれを踏まえて基準値案を 説明させていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。 ○大野部会長 今、御説明がありましたけれども、点線で囲んであるところはもう指針として出 ているものですね。それ以外のところは、文章としてパブリッシュされているものではなくて、 この会のためにつくったものですか。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 わかりました。これについて御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 摂取量が0.4gくらいまでのものというのはなかなかぴんとこないのですけれども、0.4gという考 え方はどういうところなのですか。0.4gにした理由みたいなものは何かあるのでしょうか。 ○事務局 お示ししています参考資料1の摂取量の表で、0.4gという明確な基準というのはなか なか難しいところですけれども、確かにマイナーとメジャーの定義というのも、なかなか摂取量 の観点から、生産量の観点からというところではいろいろ議論が分かれているところでございま して、一応今回の目安としてはこのくらいまでで、該当するものとしてはニンニクとかが該当す るのですが、そういうものについては、こういう例数でも採用してもいいのではないかというと ころでまとめたところです。 ○大野部会長 それぞれの立場、分野ごとの中から見て、主要なものは0.4gを超しているという ところで決めたのですかね。特に国際的な基準とかはないわけですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 韓国では、とうがらしがメジャーなんですかね。 ○事務局 摂取量のデータそのものはないのですが、対日本への輸出量ということを考えると、 そういう意味では向こうにとっては、かなりとうがらしの基準設定は要望があるところですので、 そういう状況を考えますと多いようです。 ○大野部会長 国によってそういうメジャーなものも差が出てくると思うのですけれども、あく までも日本のあれで考えるということですか。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。 ○佐々木委員 質問ですけれども、インポートトレランスで例えばこういう完全ではないデータ で基準を定めた場合、国内で残留データが出てきた場合は、そちらを優先した基準値に改定され る可能性はあるということですか。不完全な場合だけではなくて、インポートトレランスで決め られたものについてです。 ○事務局 例えば国内の作物残留試験の結果を見た場合に、現在の基準値では登録が担保できな い等の理由はこれまでも多くあったのですけれども、そういうケースの場合は、農林水産省側か ら基準値設定依頼がなされますので、それを基に基準値の改正等について検討はいたします。 ○佐々木委員 国内のデータが優先されるということですか。 ○事務局 そういうケースもございます。そもそも現在設定されている基準値で基準値の変更の 必要がないときには、設定依頼という形で当方に上がってきませんので、そこの把握はなかなか 難しいところではあるかなと思います。 ○佐々木委員 例えばインポートトレランスで高い値が設定されているものについて、国内で使 用が拡大された場合に、それで十分クリアできると判断されれば基準値を新たに検討する場はな いということですか。 ○事務局 取扱的にはそういうことです。今のシステムはそうなっています。 ○佐々木委員 インポートトレランスが決まるということは、かなり重要な意味を持つわけです ね。 ○事務局 はい。 ○佐々木委員 少ない例数ということは、1例ということですが、それであれば国内で残留デー タがあるというケースはないのでしょうか。例えばそれを参考に入れるとかです。国内は必ず2 例以上ないと、データとして採用されないのですけれども、インポートトレランスで1例で対応 されるのであれば、国内にもそういうデータがありますという例はあり得ないのでしょうか。 ○大野部会長 今までで1例で採用したということはあるんですか。加藤先生、お願いします。 ○加藤委員 これまでのところで、農薬取締法が改正されて、それからポジティブリスト制に移 るという段階で、マイナー作物に対して、緊急措置ということで、1例だけでも基準値を設定す るという措置があったりしまして、マイナーな作物については1例でもここで基準値は確かつく っています。ただし、メジャーな作物についてそういうことはありません。そこは峻別されてい ると思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。佐々木委員、よろしいですか。 ○佐々木委員 その場合の特例措置で決められたマイナー作物と、ここで言われている0.4gをめ どとしたマイナー作物は大体一致しているのでしょうか。 ○加藤委員 定義が全然違っていると思います。国内登録のときのマイナー作物、これは私の理 解で、あとで農水省の方から正確なお答えをいただいた方がいいと思いますが、これは摂取量だ けの問題ではなくて、国内での生産量、それから地域の偏り、そういったことも含めてのメジャ ーかマイナーという仕分けになっていると思いますので、今ここで出されている国内での日本人 の摂取量のみを問題にするか。これは基準値だけですので、設定ということでそうなっています が、それとちょっと違っていると思います。  それから、数値については勿論違っている場合もあるし、同じである場合もあります。もしよ ろしければ、農水省の方から補足いただければと思います。 ○農林水産省 加藤委員が言われたとおりで問題ないと思います。 ○大野部会長 これは国内で適用拡大になった場合には、適用拡大になったものについての残留 基準はそのデータは出してもらうわけですね。インポートトレランスであれば出さなくていいの ですか。 ○事務局 この基準値で登録が担保できるということであれば、基準値設定依頼ということがこ ちらになされませんので、基本的に出てこないです。 ○大野部会長 出てこないですか。新たな適用拡大のときに、そういう試験も要求しないという ことですか。 ○事務局 はい。 ○農林水産省 登録申請に当たっては、作物残留試験は提出してもらいます。ただ、基準値設定 が現行基準値で問題なければ、この場にはかからないということで、作残データは出てきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ちょっと安心しました。 ○佐々木委員 この摂取量表で見ると、例えばイチゴとか枝豆とか、本当にマイナーかなという ものにも、〇.何グラムには入るので、その辺に例えば基準がインポートトレランスで十分に高 い値が設定されてしまうと、ちょっとどうかなと思います。摂取量の積算上は、この数字で行き ますから問題ないのかもしれませんが、ちょっと疑問が残るような気がします。 ○事務局 そういう意味では今回の0.4gというのも、あくまで目安としてお示しさせていただい たということで、具体的な事例に至っては個別に御検討いただくことになるというか、こちらで も検討していきたいと考えているところではございますので、御了解いただければと思います。 ○大野部会長 イチゴはどこにありましたか。 ○事務局 3ページの上です。 ○大野部会長 ならすとこういう形になってしまうわけですね。こういう場合には個別に判断す るということで、この0.4gというのはあくまでも目安ということですね。  ほかに御意見ございますでしょうか。 ○鰐渕委員 単純な質問なんですけれども、資料3−2の20ページの別紙2の一部なんですけれ ども、表の中の上から4行目の「みかん」です。現行基準は載っているのですが、新しい案では 載っていない。ちょっと下の方で、アボカドとかパイナップルもそれがなかったりとかしていま すし、それが最後の別紙3の方にもそれらのものが省かれているのですけれども、これはどうい うことを意味しているのですか。 ○事務局 「みかん」につきましては、現行の暫定基準0.3ppmということで置かれているのです けれども、こちらはもともと米国を参照にして暫定的に取った基準ということで、今回見直しに 当たりまして確認いたしましたところ、現在アメリカでは、かんきつ類に0.6ppmということで置 かれているのですが、みかんにつきましては、分析部位が日本と異なりまして、皮が含まれてい る基準値ということで、今回皮がないものの基準値を設定するのに必要なデータがなかったとい うことで、みかんについての基準値は落とすということで、このような基準事案として提示して おります。  アボカドとパイナップルについては、当時の登録保留基準でこういったバナナ以降の果物類に 5ppmという設定がされておりましたが、こちらについても今回、新たな基準値を検討する、見 直すに当たっての根拠となる作残データがありませんでしたので、今回基準値を落とすというこ とで御提示しているということです。 ○鰐渕委員 どういう意味ですか。 ○事務局 個別の基準値は設定せずに、一律基準による規制になるということです。 ○大野部会長 ありがとうございます。資料3−3についての御意見は、ほかに何かございます か。  0.4gというのはあくまで目安で、個別に判断するというところで、2例については今後また増 やす予定があるということですね。これは部会として承認するということになるのですか。 ○事務局 御了承いただいた上で、関係各国等になお説明を重ねていきたいと考えております。 ○大野部会長 そういうことで、資料3−3の内容をお認めいただけますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、承認していただいたということにいたします。  それでは、トリフロキシストロビンそのものについての御審議をしていただきたいと思います。 ○事務局 それでは、続きといたしまして、基準値案の詳細について御説明させていただきます。  今、御了承いただきました考え方を前提という形での基準値案で大変申し訳ないのですが、こ の考え方を踏まえまして、基準値案を変更した部分から先に御説明させていただければと思いま す。  資料3−2の19ページ、別紙2の下から2つ目の、なす科の野菜のブロックでございますけれ ども、事前に配付しました資料では、トマトとピーマンにつきまして韓国の2.0ppmという基準値 を設定するという案でお示ししておりました。それについて詳細に確認しましたところ、先ほど 御説明しましたとおり、トマトについては韓国においてミニトマト1例の試験で基準値を設定し ていたという現状があったことから、こちらの基準値は採用しないことといたしまして、国際基 準として設定されている0.7ppmを参照するという案に変更してございます。  また、ピーマンにつきましては、その他のなす科野菜の作物残留試験成績が記載しております けれども、韓国のとうがらしの結果を外挿した基準値でしたので、先ほどの考え方に基づきまし て、我が国においてはピーマンの基準値としては採用できないと判断いたしまして、米国の果菜 類の基準値0.5ppmを参照した基準値案としております。  なお、とうがらしにつきましては、先ほど確認していただきましたところのマイナーな作物に 該当すると今回は考えまして、暴露評価上問題となるおそれのないものと判断して、韓国の基準 値を参照いたしまして、その他のなす科野菜に2.0ppmを設定する案とさせていただいているとこ ろでございます。  そのほか事前にお配りした資料から、今回のインポートトレランスということではないのです けれども、基準値の変更をした箇所がございますので御説明いたします。  20ページ、上から3つ目の「その他の野菜」ですが、こちらは事前の資料では新しい基準値を 設定しておりませんでしたけれども、米国の葉柄野菜、セロリを代表作物として、葉柄野菜のグ ループに基準値が設定されているのですけれども、そのグループに含まれる作物の中に、我か国 での食品群としてその他の野菜に含まれる作物がございましたことから、こちらの基準値を参照 して3.5ppmを設定する案とさせていただいております。  同様に21ページの上から4つ目「その他のスパイス」でございますけれども、こちらにつきま しても、その他のスパイスの中に実はセロリの種子が含まれておりまして、事前の送付案のとこ ろでそこが漏れておりましたので、同じく3.5ppmを設定する案ということで変更させていただい ております。  ページが前後して大変申し訳ないのですが、20ページの表の中で先ほど御指摘もありましたア ボカド、パイナップル、実はマンゴーにつきましても、事前にお配りした資料ではちゃんとこの ように記載すべきところを、記載を消してしまった形でお送りしておりまして、その辺を修正し てございます。  アボカドとパイナップルの基準値につきましては、先ほど御説明いたしましたとおりで、今回 は個別の基準値を設定しないこととして、一律基準による基準にするという形でございます。  マンゴーにつきましては、米国におきましてはパパイアの試験から、パパイアと同じ0.7ppmと いう基準値を設定しておりますことから、そちらを採用する案とさせていただいております。  実はこのマンゴーについては、暴露評価の表とか答申案については事前配付の資料で書いてお ったのですが、この表だけ抜けておりまして、大変失礼いたしました。  今回特に御留意いただきたいというか御審議いただきたいのがお米の基準値についてですが、 事前配付資料では精米のみ基準値を設定する案ということで、今回異なるケースですということ で御説明させていただいたところです。ただ、その事前の報告書案に対するコメントということ で、佐々木委員の方からこれまで精米のみの基準値設定はないということと、検査時の混乱等も 考慮いたしまして、玄米としての基準値を検討した方がいいのではないかということで、御指摘 をいただきました。  こちらを受けまして、農薬メーカー等に関連データについて確認いたしましたところ、これは 国際基準値設定の根拠となった試験の中で精米と米ぬかの重量のデータが確認できましたので、 こちらを根拠として基準値案を設定させていただいております。  これらのお米に関係する基準値の考え方につきましては、21ページの表の外に脚注として記載 させていただいているところでございます。  まずはコーデックス基準で設定されているライスと、米国でも「Rice,grain」ということで設定 がなされておるのですけれども、こちらは実はどちらももみ米に対する基準ということで、我が 国における玄米に相当する食品への基準は設定されていないということです。  ただし、2004年のJMPRによる評価において、精米への加工係数が0.18、これはそれぞれの残 留の実態等を勘案して加工係数が定められておるものですけれども、こちらの係数が設定されて いましたため、まず本剤については、もみ米のコーデックス基準である5ppmに加工係数0.18を 乗じまして、精米の基準値として0.9ppmを設定する。ここまでは事前配付の資料の段階でもお示 ししていたところです。  その後コーデックス基準では米ぬかについてもともと7ppmと設定しておりまして、これにつ いては同じように加工係数1.4と評価された結果を用いて設定されているものでございますが、そ の結果と先ほど御説明した試験データによる重量比を計算しましたところ、精米と米ぬかの重量 比が88対12と算出されましたことから、米、玄米の基準値の考え方といたしまして、それぞれ の基準値案にパーセンテージをかけたものを足して、大体1.6という設定で、玄米の基準値として は、そんなに外れた基準ではないのではないかということで、いろいろ御相談させていただいて 基準値案としているところでございます。  これら変更後の基準値案により推定摂取量を算出いたしましたのが22ページ以降の別紙3で ございますけれども、23ページの一番下にADI比が記載されておりまして、一番高い幼小児で55.9、 TMDI試算でございますけれども、55.9%という占有率となってございます。  最後のページに答申案を記載してございますが、こちらにつきましても、変更後の基準値案を 反映させたものとなっておりまして、米やトマト、ピーマン、その他の野菜、その他のスパイス、 こちらが追記または変更という形で記載してございます。  その変更に伴いまして注釈も若干ずれましたので、こちらは整理してありますが、大変申し訳 ないことに直前に気づいてしまったのですけれども、整理の途中で注7、その他のかんきつ類果 実の文章が本当は25ページの一番下に入るのですけれども、そこが抜けてしまいましたので、後 ほど修正いたしたいと思います。  一応事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは審議をお願いいたします。  まず化学名、適用方法、薬理作用、その辺ですけれども、化学名のところは、これでよろしい でしょうか。 ○山添委員 非常に複雑ですが、見た限り、合っているとは思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用のところは、青木先生、生方先生、いかがでし ょうか。殺菌剤としての作用ですけれども、よろしいですか。 ○生方委員 特にないです。 ○大野部会長 青木先生もよろしいですか。 ○青木委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。体内動態のところと、分析対象物質についてですけれど も、山添委員、いかがでしょうか。 ○山添委員 実際にはエステルですので、生体に入った場合には未変化体とエステルが切れたも のの合体でいいのではないでしょうか。 ○大野部会長 残留する代謝物については、BとUというのがありましたけれども、大体残留す るのはBだけれども、Bも一般の基準から行くと、そんなに多くないということですね。そうい うことだけれどもここでは、Bを含めて残留を測っているということでしたね。  実際に測っていったところ、非常に少ないというところで、植物については、親化合物だけの 残留を測るということで問題ないかなと思いますけれども、山添委員、よろしいでしょうか。 ○山添委員 先ほどのことで、生体の中に入った場合には切れてしまうと思いますけれども、実 際に農作物の中では、多分未変化体だけで、カルボン酸のものは極性が非常に高くなりますから、 未排泄だし多分残留はしないだろうと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。それについて、ほかの先生方御意見ございますでしょう か。農作物については、親化合物。畜産物については、JMPRとかで規制対象物質としてBも含 めているということで、Bも含めてというところもよろしいですか。  それでは毒性のところで、鰐渕先生、いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 この剤も発がん性、繁殖毒性、催奇形性はないということで、ADIは設定できると いうことで十分に検討されて、このとおりでいいかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。あと分析方法、食物中分析結果についていかがでしょう か。よろしいですか。  国際的整合性について御意見ございますでしょうか。  全体を含めて、御意見ございますか。よろしいですか。  それでは、この基準値についての答申案と、答申する全体の文書というものについて、これを この部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、この答申案をこの部会の報告とさせていただ きます。どうもありがとうございました。  それでは、次の品目ですけれども、次はメタラキシル及びメフェノキサムについての説明をお 願いいたします。 ○事務局 資料4−2になりますけれども、メタラキシル及びメフェノキサムです。  品目といたしましては、メタラキシル及びメタラキシルMと記載をさせていただいております。 メフェノキサムはメタラキシルMの別名ということで、報告書の中ではメタラキシルMというこ とを使わせていただいております。告示・通知に関係する部分についてメフェノキサムの見出し を用いております。  メタラキシルがD体、L体の2つの共同異性体を含有するラセミ体ということで、抗菌活性を 有するのがD体ということでして、D体がメタラキシルのMと言われているということで、だん だんメタラキシルに移っていくものもあるようです。  用途といたしましては殺菌剤でして、酸アミド系の殺菌剤ということで、菌糸の伸長及び胞子 の形成を阻害するといった作用を有するものと考えられています。  化学名、構造式、物性につきましては、1〜2ページの上にかけて記載をしたとおりになって ございます。  3ページからが「適用病害虫の範囲及び使用方法」なんですけれども、農薬取締法に基づいて、 メタラキシルM(D体)の登録申請がなされております。ポジティブリスト制度導入時に、暫定基準 の方が設定されておりますので、併せて基準が設定されている部分について、見させていただい て、確認が取れた部分について基準を置かしていただくという作業を行いました。  製剤名、農作物名のところに、四角い枠囲いをさせていただいている部分がメタラキシルMに 関わる申請に含まれている部分になります。3ページの上のところから、国内の使用方法という ことで、メタラキシルの製剤が順番に記載されております。  11ページくらいのどころで[9]として、1%のメタラキシルM粒剤ということで四角い枠囲みが 出てきます。こちらにつきましては、新しく登録申請された剤型ということになりまして、その 使用方法、適用農作物を記載させていただいております。  作物残留試験の成績で、別紙で付けている部分につきましては、メタラキシルMのところにつ いて、網かけで表記をしております。  12、13ページも同様でございます。四角い枠囲いをさせているという体裁になっております。  14、15ページは「海外での使用方法」なんですけれども、米国での使用方法、EUでの使用方 法ということで、今回農薬としての使用方法が確認される作物残留試験の提示がなされましたも のにつきまして、こちらの方に記載をさせていただいております。  15ページの中ほどからが作物残留試験の結果を文書で記載した部分ですけれども、国内の作物 残留試験の成績に関する部分です。  分析の対象といたしましては、メタラキシル及びメタラキシルMが、植物系について測られて おります。(2)というところでその結果を文書で記載させていただいておりますが、斜体のとこ ろは適用範囲内で、若干の食い違いがございます。  17ページ[4]、下の2段落目ぐらいのところにばれいしょのところに四角い枠囲いがされており ます。このばれいしょの作物残留試験の中に、18ページに移りまして、上の2段落目[5]の上のと ころになりますが、メタラキシルMということで、文字が太目になっていますが、こちらについ ては、適用の新しい体裁の部分の試験成績ということになろうかと思います。  同様の記載を行っておりまして、20ページ、はくさいにつきましても、四角い枠囲いがされて おります。  22ページのたまねぎ、23ページのねぎ、25ページのトマト、26ページのピーマン、27ページ のなす、きゅうり、29ページのメロン、34ページにみょうがということで記載をしております。 みょうがにつきましては、代替としての申請という連絡を受けておりまして、分含量から見てそ れに足るということでの代替申請という連絡でございます。  36ページ、海外の作物残留試験成績につきましては、別紙の方で後ろの方に付けさせていただ くという形になっております。  家畜における残留成績ですけれども、米国、カナダにおいて、畜産物についての基準が設定さ れている状況にあります。  1番目として家畜の方ですけれども、泌乳山羊の代謝試験の成績をこちらに記載させていただ いております。飼料中濃度として76.9ppmに相当する濃度での代謝試験成績ということで、表に 掲げてあるような代謝物の成績が示されております。メタラキシルの本体については、検出され ておりませんでしたけれども、代謝物について数種類のものが検出されているという表記になっ ております。こちらはJMPRに提出された資料を基に、この中に記載をさせていただいておりま す。  脚注のところですが、JMPRの方では乳汁中の代謝物のコメントが記されておりましたので、 その部分を注の方に記載をさせていただいております。代謝物の略語につきましては、その下の ところに列挙させていただきました。食品安全委員会の方の、評価書の方の記載から引用してお ります。  37ページの「[2]乳牛における残留試験」成績ですけれども、こちらも75ppm相当のメタラキシ ルを給与したものについての分布成績になっております。表のような記載になっていまして、筋 肉で0.0〜0.15ppm、肝臓で0.12〜0.96ppm、腎臓で0.1〜5.4ppm、乳汁で0.02ppmの検出という ことで、脂肪での検出は認められていないようです。  カナダにおきましては、給餌量と最大理論的飼料由来負荷に基づいて、腎臓の残留基準を 0.85ppm、これは代謝物を含む形になっているようですけれども、設定しているようです。  米国でも同様の試験成績ということで、栄養バランスを考慮した補正を加えまして、飼料負荷 を算出して乳牛について44ppm、肉牛で23ppm、豚について10ppmという算出をして肝臓及び 腎臓の残留基準を0.4ppm、こちらも代謝物を含むという設定をしております。  残留飼料を経由した乳汁中における残留については、0.2ppmを超える可能性はないだろうとい うことで、残留基準値を0.2ppmに設定しているとなっております。  38ページの中ほどですけれども、鶏の試験ですけれども産卵鶏の試験の成績を記載させていた だいております。  代謝試験の方ですけれども、飼料中濃度としては100ppmに相当する濃度を強制経口投与した 代謝試験の成績になっております。こちらの代謝試験成績は、この表の中に記載したとおりです けれども、メタラキシルの本剤は鶏においては検出されているということです。代謝物について はJ〜Iまでの代謝物について、検出された濃度を記載させていただいております。こちらも JMPRの方から提供された資料を基にこの中に入れさせていただいておりまして、JMPRのコメン トが付されている部分がありましたので、それを脚注の中に入れさせていただいております。  代謝物Bの残留についてのコメントがありましたので、その部分を入れさせていただいており ます。主要代謝物というようなコメントが記載されていたということでございます。  代謝物の略語につきましては、同様に食品安全委員会の方から抜粋をさせていただいておりま す。  39ページの産卵鶏の方の残留試験成績ですが、こちらは1.5ppmという低濃度の残留試験成績 のデータがアメリカの資料の中にありますので、その部分を入れさせていただいております。い ずれも不検出という、検出限界未満という成績となっております。  40ページ、こちらも産卵鶏の代謝試験の[1]の部分の再掲になりますけれども、100ppmに相当 する濃度での分布の部分だけを抜粋させていただいた試験成績になります。筋肉で0.554〜 0.67ppm、脂肪で0.254、肝臓で1.39、腎臓で1.472といった分布の形になっておりまして、卵黄・ 卵白ではそれぞれ0.14〜0.206、0.127〜0.179といった分布での検出が認められるという状況にご ざいます。  米国、カナダで飼料を含めた農作物に設定されている最大の基準値というのは、20ppmという 条件下のものですので、実際に投与されているのは100ppmの濃度試験成績ということでここに 発表させていただいたということでございます。  先ほどの泌乳山羊と同様に算出ですけれども、カナダの方では産卵鶏の腎臓の残留基準を 0.7ppmという設定をしております。栄養バランスを考慮した飼料の負荷の算出をいたしまして、 米国の方で未同定代謝物を考慮した特性を加えて飼料負荷として10ppmを算出して、肝臓及び腎 臓に0.4ppmという基準を設定しているようです。  両国とも飼料を経由した鶏卵中の残留については0.05ppmを超える可能性はないだろうという ことで、残留基準値は0.05ppmという設定にしているようです。  41ページ「ADIの評価」ですが、食品安全委員会の方から回付をいただきました食品健康影響 評価の結果につきまして、こちらの方に言及をさせていただいております。  無毒性量は2.22mg/kg体重/dayということで、ラットの慢性毒性/発がん性併合試験、2年間の 方で安全係数を100といたしまして、ADI0.022mg/kg体重/dayという結果を回付いただいており ます。  「10.諸外国における状況」ですが、2002年にJMPRの毒性評価が行われておりまして、国際 基準は、メタラキシルについて、穀類、大豆、ラッカセイ、てんさい、ここに記載したような農 作物で設定をされております。  米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド及びEUにおきまして、残留基準値の設定 状況を調査いたしましたところ、米国において、小豆類、ばれいしょ、だいこん、ねぎ等。  カナダにおいても、小麦、大豆、てんさい、それから畜産物です。  オーストラリアにおいて、仁果、パイナップル等。  ニュージーランドにおいてベリー類。  EUにおいて、たまねぎ、ニンニク、お茶等に残留基準が設定されている状況であります。こち らは、参照基準値の一覧表の中に一部入れさせていただいております。  いずれの国及び地域におきましても、メタラキシルの基準値はメタラキシルMに適用されると いう形の運用がされているようです。  「11.基準値案」のところで残留の規制対象ですが、農作物につきましては、メタラキシル及 びメタラキシルM本体、畜産物につきましては、メタラキシル及びメタラキシルM並びに代謝物 Dを、メタラキシル及びメタラキシルMに換算したものの和ということにしております。  植物体内運命試験の成績があるわけですが、代謝物Eが遊離体と糖抱合体の合計なんですけれ ども、10〜20%検出されているということですが、親化合物よりも毒性が低いということが示唆 されておりますので、農産物の規制対象には代謝物を含めないという記載にさせていただいてお ります。こちらは食品安全委員会の評価書の記載と、符合する形になっております。  一方、米国、カナダの基準値を参照するという農作物で試験成績が出ているものがありますが、 代謝物を含む残留値として運用されているということになります。親化合物の残留値とするため に、植物体内運命試験の成績から、ちょっと中ほど修飾している文言が長いので飛ばさせていた だきますけれども、親化合物と246DMAに変換されると推測される代謝物の合計に対するという 部分を飛ばさせていただいて、植物体内運命試験成績から親化合物の推定残留割合と推測される 0.7を乗じて一律基準を超える値について、下2けたを切り上げてメタラキシル及びメタラキシル M本体相当の基準値ということで、一応入れさせていただいております。  こちらの残留の規制対象のところの記載がわかりづらくなっておりますので、先生方の御理解 をいただきまして、ここは推移が必要であろうし、場合によっては基準値の換算のところで御相 談させていただいて、JECFAの御回答で確認できれば、お願いしたいという部分がございますの で、一応そういった形で整理をさせていただければと思っております。  0.7のところですけれども、推定最大割合と推測される0.7という計算ですけれども、こちらは 資料の4−1の農薬の評価書の方で見ますと、14ページ、植物体内運命試験のところのぶどうな んですけれども、植物体内の親化合物の割合ということで、14〜15ページにかけてその記載がさ れております。一応ここで算定しましたのは、総放射能の濃度が1.4mg/kg、親化合物で0.90mg/kg ということなので、一応親化合物の割合としては0.64くらい、逆に言いますと1.5倍くらいとい うことになろうかと思いますけれども、そういった形の算出になっているようです。  ばれいしょにつきましても、表7の下に記載をされておりまして、総放射能濃度としては 0.5mg/kg、親化合物としては0.26mg/kgということですので、親化合物としては、1.5〜2倍とい うことになるだろう。この場合でと1.9倍で、0.5くらいの係数ということになると思います。  そういったことで一応親化合物が存在するであろう割合ということで、とりあえず0.7という形 を文書の中では入れさせていただいて、基準を参照する場合、アメリカあるいはカナダの基準を 参照する場合の係数として乗じたというところでございます。  42ページの3段落目のところからが、畜産物の基準設定の部分です。カナダと米国においては 基準が設定されておりまして、代謝物が含まれている形になっております。泌乳山羊の主要な残 留物というのは、筋肉、肝臓、脂肪で代謝物D、腎臓で代謝物E、乳で代謝物Hの脂肪酸抱合体 というようなことで、親化合物の検出は認められていないという検出結果でした。  産卵鶏においては、肝臓、腎臓及び卵白で代謝物JとDが主要代謝物という表記がされており まして、親化合物以上の検出も見られているという状況です。  毒性につきましては、P1とP2を除くいずれの代謝物(遊離体)も、親化合物を上回る毒性は 認められておりません。P1、P2を除くという表現なんですけれども、それより強いという意味で はなくて、毒性試験が行われていないという意味ですので、毒性試験についてはP1、P2を除くと いうところの間のところに毒性試験が行われていないという表現を入れさせていただこうと考え ております。  同試験成績の評価を行ったJMPRでは、メタラキシルの残留量については、検出されないか一 過性に検出されるものだろうということで、現時点では畜産物への基準設定は行われていないよ うです。  親化合物の検出が認められた組織ですけれども、親化合物の検出は、鶏の一部に限定されてい る代謝試験成績になっていたのですけれども、親化合物が残留の指標になりづらいということも 考えられるものですから、2004年のJMPRの評価、それからカナダの規制対象として代謝物を含 めた基準設定が行われているということで、基準を参照するに当たって、他の残留との測り込み との観点から分析対象を限定することも妥当と考えまして、畜産物の規制対象をメタラキシル及 びメタラキシルM並びに代謝物のDといたしました。  残留の規制対象に係る定義の部分ですけれども、2004年のJMPRの評価の中では、メタラキシ ル及び2,6−ジメチルアニリンを含む代謝物を、メタラキシルに換算したものの和という表現が見 られます。 カナダにおきましても、残留の規制対象の定義は同様となっております。 下の段の文章の中に入ってくるのですけれども、米国につきましては、2−ヒドロキシメチル− 6−メチルアニリン(HMAA)部分を有する代謝物といったものも残留の定義の中に含まれてお りまして、分析の対象として測られているものについて、基準値の運用の中で、米国、カナダ等 で、各国で取り扱いに違いが見られるという実情があるようです。 米国の基準値につきましては、カナダの親化合物と、2−6DMAに変換されると推察される代謝 物のほかに、2−ヒドロキシメチル−6−メチルアニリン部分を有する代謝物と未同定代謝物を 含めて、2,6−DMA関連物質と仮定して残留値を同定率を補正して、代謝物を含めたメタラキシル 相当の基準値として運用していると推察されます。そういう基準値を置いているようです。  カナダの基準値の方は、米国で実施した試験成績と基本的には同じものを評価しているのです けれども、試料の給与割合等も異なるのかもしれませんが、基準の設定に当たりまして、カナダ の基準を参照する際に、動物体内運命試験から、先ほどと同様親化合物から、親化合物と代謝物 Bの推定割合と、推測される0.2〜0.3の係数、家畜については0.3、家きんについては0.2を乗じ て、メタラキシル及びメタラキシルM相当の基準値として設定したという記載で今回は入れさせ ていただいております。  0.3、0.2の算出の部分ですけれども、36ページの方に行きまして、代謝の分布という試験成績 ですけれども、山羊につきましてはメタラキシル本体の方は検出されておりません。代謝物でそ の他が検出されているという状況でございます。この中の総放射能濃度が記載されておりますが、 この中から、2,6−DMAに変換されると推測される物質というのが、C1とHとLとDということ になりますが、その部分を除いてDの部分の割合を算出いたしますと、大体32〜33%という形で 算出されましたので、今回係数に用いたのはそういった算出になっております。  総放射能からD以外の2,6−DMAに変換される部分を除いて、親とDに相当する割合をかけた もの。脂肪のところでいきますと、0.25〜H、C1、Lの0.029、0.07、0.014を引いて、Dの0.065 の割合を出したという形の算出にしております。0.065を0.025からH、C1、Lの部分を除いた0.2 で除して大体32%くらいになるのですけれども、そういった算出をしております。  腎臓におきましても、33%くらいの算出になりまして、そういった係数のつくりをしましたの で、0.3ということでございます。  家きんにつきましては38ページですけれども、この場合は、2,6−DMAに変換される代謝物と 推測されるものとして、この表の中に入っていますのがDとHという形になりますので、総放射 能の中からHの部分を除いて、Dの割合を出したという形の算出をいたしますと、肝臓について 18%、砂嚢になりますと19%といった数字になりましたので、その割合ということで0.2という 形で、42ページの文章の中に入れさせていただいております。  基準値案につきましては、後ろの表に付けているとおりです。  先ほどの文章中の他の農薬の残留量等の測り込みの観点から分析対象を限定するということで、 2,6−DMAに変換される代謝物というのを、カナダ、アメリカでは入っているわけなんですけれど も、類似の農薬の中で、オキザキシルとかベナラキシルとかプラダキシルとかオキサラシとかあ るんですが、一緒に測り込んだ場合に4種の類縁体との区別がしづらいということで、Dをマー カーとすることでどうかといった形で、代謝物の拾い方としては、Dを選択させていただいたと いうことでございます。  暴露の評価結果は43ページですが、これはTMDIの試算になりますけれども、メタラキシル、 それからメタラキシルM。畜産物においてはDも含めてということで、それに換算した形で入れ た形で算定いたしましたものが、こちらの表に抜粋をしたものですけれども、国民平均で31.6%、 幼小児では64.4%、妊婦では27.0%、高齢者では29.0%という形で基準値を使わせていただいて いるという形になるかと思います。  43ページ「(4)暴露評価」という見出しの項目が重複しておりますので、後ほど削除させてい ただきます。本農薬については、暫定基準が設定されていることになりますけれども、基準の見 直しが併せて係ることによって、削除される分がありますという文章記載です。  44ページからが国内の作物残留試験の試験成績です。  51ページからが、米国の作物残留試験の成績です。  57ページの一番下になりますけれども、メタラキシル代謝物を加水分解した2,6−ジメチルアニ リンを定量して換算係数をかけて、メタラキシル等量の値とした結果ということです。メタラキ シルの分子量と総2,6−ジメチルアニリンの分子量の比ということで、この換算係数には親化合物 と代謝物の比率については、分けて測っているわけではありませんので、含まれていない形のも のになります。  58、59ページは、EUの作物残留試験の結果をいただきましたので、その結果を入れさせてい ただいております。  60ページからは横長の表になりまして、基準値の参照基準の表で、基本的にはスタイルとして は、変わりはありません。網かけの部分は暫定基準が設定されていた部分で、登録の有無の欄に ○印が入っていて申告の文字が入っています。  太い鍵括弧で国名がされているところについては、海外の試験成績が提示をされた部分を抜粋 して記載をさせていただいているものでございます。これは同様の記載になっておりまして、68 ページが別紙3ということで推定摂取量の算定表です。  先ほど算出した一番下のところが、69ページの下になりますが、ADI比として31.6%、幼小児 で64.4%という部分の抜粋になります。星印が付いている部分は代謝物が含まれているので、そ の換算を行ったということで注記をいたしました。  72〜73ページが、今回基準を設定させていただく農作物、畜産物についての現時点での一覧表 ということになっております。  以上でございますけれども、代謝物等との兼ね合い等ございますし、基準の読み替え等の部分 もございますので、その辺を踏まえて、こちらの方の部会報告案の記載の整備を図っていきたい と考えております。  以上です。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは御審議をお願いいたします。  まず化学名、適用方法、その辺りについて御意見を伺いたいと思います。 ○志賀委員 文字のことですけれども、事前に気が付いて御連絡すればよかったのですが、1ペー ジ目の「2.用途:殺菌剤」のところの2行目の真ん中辺り、卵菌、その次が「網」ではなくて「綱」 です。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  ちょっと不思議だなと思っているところが1つあるのですけれども、2ページ目のところで、 メタラキシルの水溶解度が8.4g/Lになっていて、右の方のMの方は26g/Lになっていて、こんな 大きな差がどうして出るんだろうと思ったのですが、ラセミの場合には溶解度が低くて、それを ラセミではなくすると溶解度が高まるというのはあるんですか。 ○山添委員 あります。 ○大野部会長 山添委員がそういうことはあるということでございますので、ありがとうござい ます。 ○事務局 事務手続上では、農薬抄録の記載がそのまま転記をさせていただきました。 ○大野部会長 この薬理作用のところは、志賀先生、この修正した方でよろしいということです か。 ○志賀委員 はい。 ○大野部会長 生方先生、青木先生、この辺はよろしいでしょうか。 ○生方委員 はい。 ○青木委員 はい。 ○大野部会長 それでは体内動態、代謝物について、山添委員、いかがでしょうか。 ○山添委員 この化合物は先ほどの基準のところにもあったように、2,6−ジメチルアニリンが発 がん性があるということのために、そこに行く代謝物が実際にはこの代謝物でそこに行く系はな いのですけれども、腸管循環をするということを考えて、万が一行った場合を想定して基準に入 れているわけです。ですけれども、実際の代謝物としては、2,6−ジメチルアニリンそのものにい ったものは検出されていないので、問題はないと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。そういう意味だったのでしょうか。ここのところか2,6 −ジメチルアニリンについて入れたのは、分析する過程で、それに分解して測定しているのでは ないかと思います。 ○山添委員 私は米国がこういうふうに記入をしている理由は、同じようなことが局所麻酔薬の キシロカイン、ザイロカインも同じメタボライドをつくることがあって、一時非常に騒いだ経験 があって、みんな測った経験があるので、多分それと同じようなことかなと私は思いました。 ○大野部会長 ありがとうございます。体内動態の方で先ほど説明がありましたように、植物体 内ではE体が結構できているのですけれども、そういうことでE体をなぜ測らなかったのかなと いう感じがするのですけれども、動物体内でもそれはできるものであるということ、親化合物よ りも毒性が低いということで、E体については特に含めなくてもいいということなんですけれど も、それについては山添委員、いかがでしょうか。 ○山添委員 もう一つは、植物体内で抱合体になっているという記載がありますね。そういうこ とで実際には吸収されないということで、そういう面からも安全性は確保されているかと思いま す。 ○大野部会長 ありがとうございます。鰐渕先生、いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 親化合物を使った毒性試験では、先ほど言われたような、発がん等は認められてい ないということです。ADIは十分設定されると思います。 ○大野部会長 E体が親化合物より毒性が低いと示唆されるという点は、いかがでしょうか。抱 合体になっているということですが、実験的にはE体については、急性毒性しかやっていません。 急性毒性で親化合物は800ぐらいのLDで、E体は1,000〜2,000だったのではないかと思うわけで す。そんなに差はないのですけれども、反復投与毒性実験をやっていないわけですね。ただ、構 造的に見て水酸化されているということと、先生がおっしゃったように、抱合されているという こと。両方含めたらそういう判断かなと思うのですけれども、よろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 はい。 ○大野部会長 毒性については今、鰐渕先生からコメントをいただきましたけれども、その辺の ところについて、ほかの先生、御意見ございますでしょうか。  それでは、次の分析対象物質と分析結果、その辺りについてコメントをいただきたいと思いま すが、いかがでしょうか。 ○松田委員 15ページの分析法の概要のところで定量限界がメタラキシルとメタラキシルMとい うことで別々に示されているのですけれども、実際はこの分析というのは同じなんですね。同じ に出てくるのでこれはたまたまメタラキシルMで作残試験を行った作物について0.01であったと いうことでしょうか。違うというわけではないですね。メタラキシルとメタラキシルMの定量限 界が違うということではないですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 これは実験ごとの報告書の定量限界をまとめてこうなったということですね。 ○事務局 作物残留試験という言葉を補うような形です。 ○松田委員 0.00〜0.1と書いておけばいいのではないか。わざわざメタラキシルMは、0.1であ ると特記する必要はないのかなと思います。 ○大野部会長 そうすると、どうしたらいいですか。 ○松田委員 常に「及び」と書いてあるので、0.00〜0.1でよいのではないかと思います。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 メタラキシル及びメタラキシルMという表現にして、0.005〜0.1ということではいか がですか。 ○松田委員 はい。 ○大野部会長 修正をお願いいたします。ほかに御意見ございますでしょうか。  今、説明していただいた42ページのところですけれども、分析対象物に関係して、先ほどいろ いろ説明していただいて、私はわかりにくかったので、その分丁寧に説明してくださいとお願い したものです。この0.7のところに(1/1.5)、これは必要なのでしょうか。 ○事務局 同じ記載ですので、削除しても特段差し支えないと思います。 ○大野部会長 1.5はどこから出てきたのか。それを探すのが結構あれですね。ない方がわかりや すいと思います。 ○事務局 削除いたします。 ○大野部会長 そういうことで、皆さんよろしいですか。  気になったところが1つあったんですけれども、上から4番目のパラグラフで「親化合物の検 出が認められた組織等は」で始まるパラグラフの下から7行目、その文章は上の方から米国の基 準値は何々で続いて、基準値として運用をしているものと推察されるというところなのですけれ ども、こういうことなのでしょうか。運用しているという表現にはできないものですか。ちょっ とこれはあいまいかなと思います。 ○事務局 規制の対象の範囲としては、こちらの2,6−DMAに変換される部分と、2−ヒドロキシ メチル−6−メチルアニリンの部分と含めたというところについては、定義の中に入っているか と思いますので、ものと推察されるという表現は必要ではないかもしれませんので、そこは削除 しておこうと思います。 ○大野部会長 確認して、運用の仕方が確認できれば、これは取った方がよくなると思います。 ○事務局 定義の中にはこの表記になっておりますので、削除しておこうと思います。 ○大野部会長 お願いします。それからさっきP1とP2については、毒性試験は行われていない というお話でしたけれども、たしか代謝物Hについても行われていなかったと思います。それを ちょっと確認して、Hも毒性試験が行われていなかったら、P1とP2に足してHも入れてくださ るようお願いします。 ○事務局 食品安全委員会の評価書の27〜28ページが、代謝物の急性毒性の試験ですけれども、 やられているのがD、C1、D、E、Jとなって、先生おっしゃるように、P1とP2、それからH についてはやられていないと思いますので、Hを書き加えておきたいと思います。 ○大野部会長 お願いします。ほかにございますでしょうか。  それでは、次のところで基準値とか国際整合性、それについて御意見を伺いたいと思います。  ちょっと聞き漏らしたのですが、43ページの「(4)暴露評価」のところ全体を削除するという ことですか。 ○事務局 そうではなくて、上を見ていただきますと、「(3)暴露評価」という見出しが立って いるわけです。「(4)暴露評価」という見出しが二重に立っているものですから、(4)は暴露評 価という見出しが不要で、その文章が本農薬についてはとつながるのが定型的な表現の仕方なも のですから、目次を削除させていただくということです。 ○大野部会長 見出しだけ削除ということですね。  基準値、国際的整合性について御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。  全体を通して御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、若干修正がございましたけれども、その修正を含めた上で、この報告書と基準値案 について御承認いただけますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは承認していただいたといたします。  次の品目ですけれども、動物薬で、鶏コクシジウム感染症混合生ワクチンについて御説明をお 願いいたします。 ○事務局 それでは資料5−2に基づきまして御説明させていただきたいと思います。  鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ)混合生ワクチン。  商品名は、日生研鶏コクシ弱毒3価生ワクチン(TAM)でございます。動物用医薬品でござい ます。  用途は、ここに書いてございますように、アイメリアテネラ等による鶏コクシジウム症の発症 抑制。この原虫に感染しますと、鶏が下痢や貧血を特徴とする疾病にかかるということで、その 発症を抑制するというものでございます。  本剤につきましては、鶏コクシジウム原虫、ここに3つ記してありますが、後ろの括弧が抜け ているので入れさせていただきます。  それの弱毒株のオーシストを主剤としまして、それから添加剤としましてソルビン酸、エタノ ール、こちらは防腐剤。それから溶剤としてリン酸緩衝食塩液を使用した生ワクチンでございま す。  今般の残留基準の検討でございますけれども、このワクチンが動物用医薬品で承認を受けてか ら6年間が経過をいたしまして、再審査の申請がなされたということでございまして、承認時か ら再申請の期間までに、本剤につきまして副作用とか、安全性に懸念があるかどうかということ を確認して、再審査の申請がなされるわけですけれども、これがなされたことに伴いまして、食 品安全委員会において、食品健康影響評価がなされたということを受けて、今日御審議いただく ものでございます。  有効成分は、御説明しましたけれども、鶏コクシジウム原虫の弱毒株のオーシストでございま す。  適用方法及び用量につきましては、2つございまして、飼料の混合投与、散霧投与がございま す。先ほど御説明いたしましたけれども、今回の再審査の申請がなされた部分については、2番 目の散霧投与ということでございます。  「(5)諸外国における使用状況」でございますけれども、これにつきましては、ヨーロッパ諸 国、米国、中南米、カナダで承認されているということでございます。  2ページ「2.残留試験結果」でございますけれども、対象動物における主剤等の残留試験は 実施されていないということでございます。  「3.食品健康影響評価」にまいりまして、食品安全委員会における食品健康影響評価結果で ございます。  第2パラグラフからご覧いただければと思いますが、承認時から再審査調査期間中における安 全性に係る新たな副作用報告、安全性を否定する研究報告は認められていないということでござ いまして、提出された資料の範囲において、当製剤に関する安全性に係る新たな知見の報告は認 められないと考えられるということでございます。  この主剤でありますアイメリア属原虫は宿主特異性が高く、鶏コクシジウム原虫は鶏にしか感 染しない。すなわちヒトに対する病原性はない。  先ほども申し上げました添加剤についても、ソルビン酸は食品添加物として使われている。エ タノールはヒト用の医薬品等に使用されている。リン酸緩衝食塩液につきましては、過去に動物 用医薬品の添加剤として、食品安全委員会で評価が行われているということでございまして、本 製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられるということでございます。  結果としまして、「以上より」のところでございますけれども、本生物学的製剤が適切に使用さ れる限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えら れると評価をされております。  こちらの部会の残留基準の設定でございますけれども、食品安全委員会における評価結果を踏 まえまして、残留基準を設定しないこととしたいと考えているところでございます。  また、答申案につきましては、5ページ、食品規格を設定しないことは適当であるとさせてい ただきたいと考えております。  以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、ここの最初のページ辺りについて、生ワク チンということで、青木先生、生方先生、志賀先生、何か御意見ございますでしょうか。 ○青木委員 再審査ですので、今まで問題がなかったのですから、全般的にいいと思います。 ○大野部会長 志賀先生もよろしいですか。 ○志賀委員 はい。 ○大野部会長 それでは、特に今まで問題ないということで、ヒトに対する病原性がないという ことにすればよろしいですね。  それでは、残留基準を設定しないという結論ですけれども、食品安全委員会の意見を踏まえて ということにしてですが、よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、ほかの細かい点について何か御意見ございますでしょうか。  特になければ、この答申案をこの部会の答申としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次の品目について御審議をお願いします。  次は、牛及び豚用インターフェロンアルファ経口投与剤です。説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料6−2によりまして御説明させていただきます。「牛及び豚用インターフ ェロンアルファ経口投与剤(案)」でございます。  商品名はビムロン。動物用医薬品でございます。  用途でございますけれども、1か月齢未満の牛につきまして、ロタウルイスの感染症による軽度 な下痢の発症日数の短縮、症状改善、増体重低減の改善。  豚につきましては、大腸菌性下痢症における発症日数の短縮、症状改善でございます。  本剤でございますけれども、有効成分として、天然型のヒトインターフェロンアルファ(BALL −1)を含む剤でございまして、ヒトインターフェロンアルファ医療用医薬品製剤原料として既 に承認されており、現在もヒトに使用されているものでございます。  今回の残留基準の御検討につきましては、本剤の承認事項の変更、もともと牛には認められて いたわけですけれども、豚に対する効能効果の追加に係る申請がなされたということで、関係資 料が提出されたということに伴いまして、内閣府食品安全委員会において、食品健康影響評価が なされたことを受けて御審議いただくというものでございます。  牛用のものにつきましては、今御説明を差し上げましたけれども、平成16年に新規承認の際に この部会において御審議をいただきまして、残留基準を設定する必要はないという旨の結論をい ただいたものでございます。  有効性分は、今御説明いたしましたインターフェロンアルファの原液でございます。  適用方法及び用量でございますけれども、牛については、1日1回、5日間経口投与する。  豚につきましては、1日1回、3日間経口投与するということでございます。  「(5)諸外国における使用状況」でございますけれども、本剤につきましては、諸外国では承 認されていないということでございます。  「2.残留試験結果」につきましては、本製剤について残留試験は実施されていないというこ とでございます。  「3.食品健康影響評価」でございますけれども、結果が既に出ておりまして、2ページの5 行目辺りからでございます。  実施された毒性試験の多くは非経口投与試験でございますけれども、本製剤の主剤である天然 型ヒトインターフェロンアルファは、臨床予定使用量の数億倍の用量でも急性毒性を認めない。  各種の遺伝毒性試験、発生毒性試験の結果から、遺伝毒性、発がん性や催奇形性はないと考え られる。  各種哺乳類における本製剤の臨床予定数使用量の数十万倍を経口投与した場合でも、速やかに 分解されるということから、血液中から薬理活性がある成分は検出されていない。静脈中への強 制投与試験から、動物体内への蓄積性も認められない。本製剤の使用量は人の臨床用量の数万か ら数十万分の1であるということから、本製剤が適切に使用される限りにおいて、ヒトが食品を 通じて薬理活性を有する天然型ヒトインターフェロンアルファを摂取する可能性はほとんどない と考えられるということでございます。  本製剤の添加剤としては、アメの粉、無水結晶マルトースが使われておりますけれども、この 物質を摂取することによる健康影響は無視できると考えられるということでございます。  このことから、評価結果としましては、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通 じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられると評価されているところで ございます。  これを踏まえまして「4.残留基準の設定」でございますけれども、食品安全委員会における 評価結果を踏まえまして、残留基準を設定しないこととしたいと考えております。  また、答申案につきましては、先ほどのものと同じでございますけれども、5ページにまいり まして、食品規格(食品中の動物用医薬品の残留基準)を設定しないことが適当であるとさせて いただきたいと考えております。  以上でございます。御審議をよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。これも既に審議されていることですけれども、青木先 生、生方先生、志賀先生、御意見ございますでしょうか。 ○生方委員 特にないと思います。 ○青木委員 天然型だからバイオ細胞でつくっていますので、大丈夫だと思います。この場合、 遺伝子組換えの大腸菌でつくるのではないですから、天然なので大丈夫だと思います。 ○大野部会長 志賀先生、よろしいですか。 ○志賀委員 はい。 ○大野部会長 これを見て非常に不思議に思ったのですけれども、勿論適用が違いますけれども、 がんなどに使うときには、数百万単位で使いますが、これは1単位とか10単位とか0.5単位で効 くというのが、ヒト型のインターフェロンが牛に効くというのは知っていたのですが、下痢にこ んな低用量で効いて、経口で効くというのがすごいなと思ったのですけれども、これはヒトには 使えないのですかね。 ○鰐渕委員 腸管上皮でその場で作用して、血中にはいかないということだと思います。 ○大野部会長 ウイルス性の下痢に効くのであれば、ヒトでも使えるのではないかなと思うので す。 ○鰐渕委員 可能性はありますね。 ○大野部会長 こんな低用量で効くのであれば、いいのかなという気がします。 ○事務局 その辺りでございますけれども、食品安全委員会の資料6−1の7ページの「II.安 全性に係る知見の概要」というのがございますが、その上の最後の文章になお書きで「本製剤の 投与方法による作用機序は定かではないが、口腔内あるいはその近傍の細胞に作用をして投与局 所の免疫反応を亢進させるとともに、何らかの情報伝達機能を介し全身的な免疫賦活作用を示す のではないかとの仮説が報告されている」と報告されておりますので、御紹介させていただきま す。 ○山添委員 この資料6−2の案の方の2ページで、上から6行目のところの「天然型ヒトイン ターフェロンは、臨床使用予定量」とありますが、臨床というのは豚のことですか。ヒトのこと ですか。 ○大野部会長 ヒトのことではないですか。 ○山添委員 臨床という言葉をここで使った方がいいのか。予定使用量だけでいいのか。4行下 にも同じようにあるのですけれども、ヒトとの比較のことがあるんですけれども、そこを区別し ておいた方がいいかなと思って、ここは別に臨床と入れる必要はないのではないかと思うのです。 ○大野部会長 私も臨床というとすぐにヒト試験と思ってしまいます。臨床という言葉を取った らどうでしょうか。 ○事務局 実を申しますと、食品安全委員会の食品健康影響評価のところをそのまま引用してい るところでございます。 ○大野部会長 予定使用量と書いてあれば、この適用での予定使用量とすぐにわかります。臨床 を除いてもそれで誤解はないと思うのです。 ○事務局 部会報告書の方では削除します。 ○大野部会長 皆さんよろしいですか。では、削除してください。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 ほかに御意見ございますでしょうか。 ○志賀委員 1つ脱字が見えてしまいました。報告書の3ページ目の「これまでの経緯」の下か ら3分の1、平成21年7月3日の2行目「影響評価」です。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、若干修正がございましたけれども、答申案として、食品規格を設定しないことが適 当であるという結論ですが、その結論とこの報告書の内容を若干修正したところで、お認めいた だけますでしょうか。 ○佐々木委員 1つ追加で、2ページの添加剤の物質名を具体的に書いていただいた方がいいの かなと思います。 ○大野部会長 これは入れられるのですか。 ○佐々木委員 先ほど口頭では言っておりました。 ○大野部会長 医薬品だと、こういうのは企業秘密で、絶対出さないということを聞いたことは ありますけれども、これはよろしいのでしょうか。 ○佐々木委員 評価書の方にマルトースと書いてあります。 ○大野部会長 ではいいのではないでしょうか。 ○事務局 先ほど御審議いただいたワクチンの方の最初の部分に、用途のところにワクチンの方 は書いてでございますので、そちらに合わせる方向で入れるということでよろしいですか。 ○大野部会長 そういった形で追加するということでよろしいですか。  では、そのように修正をお願いいたします。ほかにございますしょうか。  それでは、この答申案とこの報告書をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  これで今日の審議品目は一応終わったと思いますけれども、ほかに議題ございますか。 ○事務局 特にございません。  そうしましたら、今後の手続について御説明させていただきたいと思います。  本日御審議いただきました農薬4剤、動物用医薬品2剤につきましては、既に食品安全委員会 の通知を受けておりますことから、今日の議論を踏まえまして、一部確認とか修正をさせていた だいた上で、部会報告書とさせていただきたいと思います。  今後の手続でございますけれども、食品衛生分科会にお諮りするとともに、残留基準値の設定 等を行うということと、御審議いただきました農薬4剤につきましては、パブリック・コメント、 WTO通報等の必要な手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに議題はございますか。 ○事務局 特にございません。  次回のこの部会の開催日程でございますけれども、一応10月29日木曜日の午前を予定させて いただいておりますけれども、後日各委員の日程につきまして、御確認をさせていただきたいと 思います。詳細につきましては、追って御連絡させていただきたいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  そのほかに何かございますでしょうか。  それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたしたいと思います。  どうも御協力ありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2487、2489)