09/09/24 平成21年度第9回診療報酬調査専門組織DPC評価分科会議事録 平成21年度第9回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成21年9月24日(木)16:00〜18:30 (2)場所  厚生労働省共用第8会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、小山信彌分科会長代理、相川直樹委員、        池上直己委員、伊藤澄信委員、金田道弘委員、木下勝之委員、        熊本一朗委員、齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、        嶋森好子委員、辻村信正委員、難波貞夫委員、松田晋哉委員、        美原盤委員、山口俊晴委員、吉田英機委員、邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 分科会長代理の選出について        2 医療機関からのヒアリングについて        3 その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまより、平成21年度第9回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を開催さ せていただきます。  初めに新しく当分科会の委員になられた方が2名おられますので、御紹介をお願いしま す。 ○長谷川補佐  紹介させていただきます。お二人いらっしゃいます。お一人は特定医療法人緑壮会理事 長兼金田病院病院長、金田道弘委員でございます。  もう一方いらっしゃいます。もう一方は財団法人美原記念病院院長、美原盤委員でござ います。 ○西岡分科会長  各委員の先生方、もしよろしければ一言何かおっしゃっていただければと思います。ま ず金田委員から何かございましたら。 ○金田委員  ありがとうございます。地方で頑張っている中小病院の意見を聞かせてほしいというこ とで、今日やってまいりました。是非、中小病院が生きていけるようなDPC体制になれ ばと心より願っております。以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。美原委員、一言お願いいたします。 ○美原委員  誓約書を書くときに非常に緊張いたしました。ああいうような文書に名前を書くのはと ても緊張して、今もトークのボタンをどうやって押していいのか分からないという状態で すので、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  なお、本日の委員の出席状況でございますが、本日は山口直人委員が御欠席ということ でございます。  続きまして、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より御紹介をお 願いいたします。 ○長谷川補佐  事務局の異動について紹介させていただきます。9月7日付けで保険局医療課保険医療 企画調査室長に着任いたしました渡辺由美子でございます。 ○西岡分科会長  それでは、議事に入りたいと思います。本日はまず当分科会の分科会長代理でございま した原委員が委員を退任されましたので、後任の分科会長代理を選出したいと思います。 調査専門組織運営要項第3条第4項の規定によりますと、分科会長に事故があるときはそ の分科会を構成する委員のうち、分科会長が指名する委員がその職務を代行するというこ とになっております。そこで小山委員に分科会長代理をお願いしたいと思うのですが、い かがでございましょうか。 〔拍手〕 ○西岡分科会長  ありがとうございます。では、小山委員こちらの方に。  それでは、小山分科会長代理から一言御挨拶をお願いいたします。 ○小山分科会長代理  今更一言もないのですが、ここに来たらあまりしゃべってはいけないような雰囲気もあ りますが、そんなことはなくて頑張ってやっていきたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。続きまして、医療機関からのヒアリングに入りたいと思いま す。それでは、本日ご出席をいただいております病院の代表者の方の御紹介をお願いいた します。 ○長谷川補佐  それでは、御紹介させていただきます。まず社団法人慈恵会青森慈恵会病院院長、丹野 雅彦さんです。  続きまして、上都賀厚生農業協同組合連合会上都賀総合病院病院長、一戸彰さんです。  次が埼玉医科大学総合医療センター病院長、吉本信雄さんです。  引き続きまして、徳島市民病院院長、露口勝さんです。  次が医療法人社団青藍会鈴木病院院長、鈴木宏彰さんです。  続きまして、医療法人秀公会あづま脳神経外科病院病院長、辺龍秀さんです。  続きまして、防衛医科大学校病院病院長、望月英隆さんです。  続きまして、国立大学法人山形大学医学部附属病院副病院長、細矢貴亮さんです。  最後に医療法人聖麗会聖麗メモリアル病院病院長、岡部慎一さんです。 ○西岡分科会長  各先生方、本日はお忙しい中、当分科会に御参加いただきまして、本当にありがとうご ざいます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず資料の確認を事務局の方からお願いいたします。 ○長谷川補佐  それでは、お手元の資料を確認させていただきます。まず、一番上が議事次第でござい ます。続きまして、委員の一覧、座席表となっております。その次が本日の資料でござい ます。D−1「平成21年度DPC評価分科会における特別調査(1)について(概要)」で ございます。  続きまして、以降参考資料でございます。これらの資料は机上配布のみとなってござい ます。机上配布といたしまして参考資料及びもう1つの冊子が各ヒアリング医療機関から 提出された調査票でございます。なお参考資料につきましては、患者個人が特定される恐 れのある情報を含んでおりますので、各委員の机上のみの配布としております。  また机上のみの配布資料につきましては会議終了後回収させていただきますので、お机 の上に置いたままとしていただければと思っております。以上です。 ○西岡分科会長  資料についてはよろしいでしょうか。それでは議論に入りたいと思います。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  資料は全員にあるんですか。 ○西岡分科会長  いえ、こちらの委員だけでございます。  議論に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○長谷川補佐  それでは、資料の説明をさせていただきます。本日の資料、右肩D−1「平成21年度 DPC評価分科会における特別調査(1)について(概要)」、この資料を用いて説明をさせ ていただきます。本日、議事内容が非常にございますので、ごく簡単に御説明いたします。  まず、一番最初、経緯でございます。今年の5月20日の中医協基本問題小委員会にお きましてDPCに関する調査を補完し、適切な算定ルールの構築等について検討するため、 平成20年度と同様、当分科会において医療機関から意見交換、ヒアリングを実施するこ ととされております。つきまして、今年度、平成20年度同様に調査を行っております。 こちらは平成20年度調査により得られたデータを基に各調査項目に該当したDPC対象 病院及びDPC準備病院に調査票を配布してございます。  その調査票の回答内容を踏まえ当分科会においてヒアリングを実施すべきと考えられる 病院について御参集をいただいた次第でございます。  次に3番、アンケート調査結果でございます。こちらにつきましては、まず別紙の1を 御覧ください。2枚めくっていただきますと、別紙1でございます。本日、ヒアリング対 象とさせていただくアンケート調査票についてでございますが、別紙1にありますとおり 1〜9の項目でお尋ねしてございます。1〜3が(1)の再入院について。4番が(2) の再転棟について。5番、6番が特定の診断群分類に関する御質問、最後に7〜9が後発 品に関してでございます。  別紙1の方でございますが、こちらで御説明したかったのは調査対象医療機関でござい ますが、10〜20の医療機関、合計130の医療機関に協力をお願いいたしました。今 年度も回答率は100%でございました。  再び元のペーパーに戻らせていただきます。まず(1)再入院についてでございます。 まず、(1)化学療法または放射線療法を行っていない患者であって、同一の傷病名の場合、 前回退院から3日以内に再入院となった患者の割合が前年度データを比較して非常に減少 している場合について、その理由をお尋ねいたしました。医療機関から御回答いただいた 中で、代表的なものを御案内申し上げます。まず、ア、院内で眼科の手術日が平成19年 度まで週2日であったが、平成20年度から週1日となった。このため両眼の白内障手術 を2回に分けて実施する患者について3日以内の再入院となる患者割合が減少した。  続きまして、イ、白内障手術においてクリニカルパスの見直しを行って、入院期間が短 縮したため、再入院までの期間が短くなった。  ウ、後方病院との連携を積極的に行った。  エ、平成19年度は特定の疾患により短期的に再入院を繰り返した症例があったが平成 20年度はなかった。  オ、平成20年度改定にて同一疾患で3日以内の再入院は一連とみなすという通知を受 けて、各診療科へ周知徹底をして実践に努めることになったためということでございます。  次のページをお捲りください。(2)でございます。次の質問でございますが、化学療法ま たは放射線療法を行っていない患者であって、同一である傷病名で前回単位から4〜7日 以内に再入院となった場合に前年度のデータと比較して、非常に増加している場合のその 理由についてお尋ねいたしました。代表例として3点挙げさせていただいております。  まず、ア、白内障手術において片眼の手術ごとの入院期間が短縮し、両眼の白内障手術 を実施する場合の再入院までの期間が3日であったのが4日になった。  イ、1入院で両眼の白内障手術を行っていたが片眼ずつにした。  ウ、特定疾患の治療のため、週1回ずつ入退院を繰り返す症例があったため。  (3)でございます。こちらも同一傷病名で前回入院から4〜7日以内に再入院となった場 合の割合が非常に大きくなった場合に、その理由をお尋ねしております。  ア、両眼の白内障手術を行う場合にQOLの向上のために片眼ずつ行った。  イ、肝細胞癌における経皮的エタノール注入療法施行のための計画的再入院を行ったた めというものでございました。  (2)でございます。再転棟についてでございます。こちらはDPC対象病棟から他の 病棟へ転棟後、DPC対象病棟へ再転棟した患者の割合が多い場合に対して調査票をお送 りしております。理由といたしましては、ア、ケアミックス病院であるため。  イ、療養病床入院中に急性増悪または手術の必要があり、一般病棟へ転棟した患者が多 いため。  ウ、退院後のADL向上でリハビリを開始、病状が安定した段階で回復期リハビリテー ション病棟へ転棟することが多いが、症状が悪化した場合に一般病棟へ転棟して治療を行 ったため。  エ、高齢者が多く、新たな疾患を発症し、再治療が必要となる場合が多いためというも のでございます。こちらに関しましては本日、青森慈恵会病院に来ていただいている次第 でございます。  次に(3)特定の診断群分類において、診療内容が他の医療機関と比べて大きく異なる 病院について。(1)診断群分類、DICの出現頻度が他の医療機関と比較して非常に多い場 合ということで、ア〜オまで挙げさせていただいております。  ア、地域の中核病院であり、重症例を多く引き受けている。  イ、併設している老健施設に基礎疾患を持った高齢者が多いため。  ウ、術後や末期の患者が近隣の医療機関から多数紹介されているため。  エ、肝機能障害を持った外科手術が多いため。  オ、DIC診断基準に合致しないものもあった、というものでございます。こちらにつ きましては本日、上都賀総合病院、埼玉医科大学総合医療センターにお越しいただいてお ります。  次に(2)です。敗血症の出現割合が他の医療機関と比較して多い理由。ア、高齢者が多く て合併症の患者が多かったため。  イ、救急病院の受け入れを積極的に行っているため。  ウ、老健施設等との連携をしており、肺炎、尿路感染症より敗血症へ悪化した状態での 入院患者が多いため。  エ、コーディングが適切でない症例があった等々の回答をお寄せいただいております。 こちらにつきましては本日、徳島市民病院、鈴木病院にお越しいただいております。  続きまして(4)後発品でございます。こちらは平成20年度の後発品の使用割合が平 成19年度と比較して大きく上昇している場合、その理由をお尋ねしております。アとい たしましては、新規採用品についてはルールを作って、後発品を優先し、段階的に切り換 えを行った。  イ、会社の継続性、製造に当たっての安全確保体制等々、後発メーカーから説明を受け た。  ウ、保険医療療養担当規則に則って積極的に導入した。  エ、国の目標に促進を図ったというものでございます。こちらにつきましては、本日4 つの医療機関に来ていただいております。あづま脳神経外科病院、防衛医科大学、山形大 学、聖麗メモリアル病院でございます。  次のページをお捲りください。(2)でございます。使用割合が全国平均と比較して非常に 多い理由でございます。ア、効果が同じであれば徹底見直しを行ったため。  イ、DPC導入で極端に増やしたわけではなくて、1980年代から後発品を導入して きた。  ウ、患者負担の軽減、薬剤購入の軽減による経営の貢献を理由に後発品を採用。デメリ ットはこれまでほとんどない。  (3)、こちらの方は非常に割合が少ない医療機関に対してお尋ねしております。ア、後発 品に対しまして医師の不安が残っており、慎重となっていた。また、供給量の確保等々が ありますので、経営に与える影響も考慮した。  イ、後発品の安全性や供給体制の検証をしている段階である。  ウ、医師への説明、情報提供が不十分であった。  エ、在庫量の拡大、管理工数の増加、出荷ミスによるリスクなどのデメリットがあった ため。  オ、統一的な安全性が確立されていないため等々の理由でございました。  続きまして、本日お配りしている別紙2でございます。まず、本日お呼びしている医療 機関につきまして、医療機関一覧と、その医療機関の病床を種類別にお示ししたものでご ざいます。こちらは説明は割愛させていただきます。  続きまして、次のページでございます。こちらは再転棟の率を示したものでございまし て、本日お呼びしております青森慈恵会病院の再転棟率を他のDPC対象病院と比較して お示ししている次第でございます。  本日の委員の先生方は机上配布しております参考資料と併せて御覧ください。参考資料 は個人情報にかかわる情報を載せておりまして、詳細な情報となっております。  次のページでございます。特定の診断群分類において、他の医療機関と比べて異なる病 院についてお尋ねしたものでございます。まず、(1)DICの出現割合が多い病院について、 2つの医療機関の出現割合を全体と比較する形でお示ししております。  次のページでございます。こちらの方は敗血症でございます。こちらも他の全体の医療 機関と比較する形で2つの医療機関の出現割合をお示ししている次第でございます。  次に最後のページでございます。後発品につきましてお示ししたものでございます。上 の2つでございます。こちらは後発品の割合が低い医療機関をお示ししてございます。次 の下2つでございますが、こちらは後発品割合が高い医療機関、また平成19年度と比べ て高くなっている医療機関をお示ししているものでございます。それ以下に平成15年か ら18年、19年の準備病院に至るまでの後発医薬品の使用割合の平均割合をお示しして いるものでございます。  資料につきましては、以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは、ご出席いただきました各病院に対するヒアリング を行いたいと思います。今回の開催に当たりまして、事前に事務局より各委員へ資料が送 付されており、既にお目通しいただいていると思います。時間も限られておりますので、 まず各病院に3分以内で御説明していただき、その後、各委員からの質問をお願いしたい と思います。  まず初めに再転棟について議論をしたいと思います。最初に社団法人慈恵会、青森慈恵 会病院から御説明をお願いいたします。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  では、御説明したいと思います。当院は病床数の割合を見ていただきたいと思いますが、 全病床数が332床ありまして、そのうちの一般病床が40床、約12%ということにな っております。それ以外が緩和ケアを除いてほとんどが療養型の病床ということになりま す。中でも回復期リハビリテーションが144床とかなり多くありまして、平均在院日数 が約3か月ぐらい、70日〜120日の間で推移しております。  回復期病床、認知症病床もありますが、そういった病床の中で平均在院日数が長くなっ た場合、高齢者の方はどうしても肺炎になってしまったりとか、入院中に転倒して骨折を 受傷してしまったりということがありまして、そういうことがありまして40床しかない 一般病棟ですが、そちらの方に再転棟の割合が増加してしまったものと考えております。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。では、御質問をお願いします。 ○熊本委員  19年からは準備病院で、20年にDPC病院になられて、再転棟率が19年や20年 もしくは今21年が半年ぐらいたっておりますが、どう変動しているか、できれば教えて いただきたいと思います。  それと、たしか一般病床、いわゆるDPC算定病床も年度ごとで増えられているか何か していると思います。その辺りも教えていただければ。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  21年度からDPCになったのですが、病床数は40数床のままです。転棟率に関して は新任のドクターが来られた場合、今まで一般病床の出来高の算定だったものですから、 そちらの方に例えば検査するにしてもちょっとした疾患に関してもすべて一般病床の方に 移行していただいたという、非常にありがたい話だったのですが、そういうことも含めま して再転棟率が高くなったような気がします。最近はそういったことをなくするようにし まして。ただ、先ほども言ったように高齢者の割合が、長くいる患者さんの割合が多いも のですから、どうしても骨折とか肺炎とか、そういったものを患う率というのはそれほど 下がっておりませんし、また再転棟率に関してもそれほど大きな変化はないと考えており ます。 ○熊本委員  ご指摘のように確かに高齢者の方がいらっしゃればそういうことが発生してくることは 理解いたしますが、詳細なデータを見ますと、脳梗塞でよく見ていたのですが、多くは急 性期というよりもリハ目的で入られた方が一般病床にいらっしゃって、それからまた回復 リハに移られるというパターンかと思ったのですが、その場合、急性期だったら退院基準 はどうなのかという思いを持ちますが、リハ目的で来られた方であれば、次の再入院の契 機もしくは医療資源をというところで、肺炎とかであれば分かりますが、癌の治療をされ たりとか、精査をするとか、そういったことが出ているようです、詳しい資料の方では。 2回目の入院の医療資源を投入したのは1回目と異なっているのではないかという気がし たのですが、その点はいかがですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  脳梗塞の患者さんは回復期で、ほとんど一般病床を経由しないで、そのままダイレクト で回復期に入院するケースがほとんどです。ですから、そこでリハビリ中心ということで、 MRIとか全身の検索は一通り回復期病棟の方で行いまして、その中で肺炎とか、例えば 骨折ということがあれば再転棟というふうに考えております。  どうしても40床と少ないので、紹介された患者さんを受けるということがなかなかで きなくて、今のところそういうような状況です。 ○熊本委員  そうしますと、1回目の入院は一般病床の急性期のDPC算定病床と実際出ているのは 思っているのですが、そういう……。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  必ずしもそういうわけではない。ほとんどは回復期にダイレクトに。 ○熊本委員  ただ、今回、この20例近くが詳細データで出ていますが、これはDPC病棟に入られ て回復期に移られて、そこでいろいろ起こって、それでまた一般病床に戻られた方かなと 思ったものですから、そのときのいわゆる医療資源を投入した病名は1回目と2回目でち ょっと異なっているのは、実際は同じことが書いてありますが、詳細な面を見るとちょっ と違うことが書かれているように思ったものですから御質問しました。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  確かにピックアップしたやつはもしかしたら、僕も把握していないのですが、直接一般 病床に入って回復期に流れた患者さんがもう一度そちらの方に戻られたケースだと思いま す。ただ、多くの場合は改めてデータを出させてもらいたいと思いますが、ほとんどは回 復期にダイレクトで入っている形にとっています。 ○西岡分科会長  ほかに。よろしいですか。  ここで1回目の医療資源を最も投入した傷病名というのが今のお話と、1回目も2回目 もなんですがお話の内容と少し違う。例えば肺炎を起こしたりとか、骨折で転棟された。 それが全部、例えば脳梗塞の方は脳梗塞でずっといってしまっているというところで、D PCのコーディングに問題が出てくるような気がするのですが、そのあたりはいかがなの でしょうか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  すみません。今現在は例えば肺炎で急性期、DPCの方に行った場合はやはり肺炎と廃 用症候群ということで違うコーディングをして、また戻っているようにしています。この ときはやり始めの時期で、その辺が統一できていなかった部分だと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、酒巻委員。 ○酒巻委員  1回目に一般病床に入って、回復リハビリに行って、また一般病床に帰ってくる。そう いうことをおやりになっている患者さんがいる。多分、病院としてはある意味で医療資源 の投入の内容というのはいろいろと検討はされているだろうと思いますが、どんな比率に、 比率というのは簡単にできないと思いますが、どんなふうになっているのでしょうか。先 ほどのお話だと入院のときに回復期リハビリに入って、CTやMRは十分おやりになって いて、その上でまた一般病床に行かざるを得ないというような状況が生まれているという ことになりますと、そのあたりの医療資源の投入の仕方を教えていただいた方がいいと思 うのですが。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  ベースにあるのはマンパワー不足ということになります。回復期もしくは認知症病棟も 看護師の配置がDPC病棟に比べると低いものですから、濃密な治療をする場合にはどう しても人手不足という面が否めなくて、特に夜勤は2人とか。そういうこともありまして、 医療資源という面で考えたことないです。どうしても一般病床に移して濃密な治療を行う。 その辺はどのぐらいプラスになっているのかははっきりは考えていないのですが、そちら の方を重点にして今は運営しているところです。 ○小山分科会長代理  最初にリハビリの方に入院させるというお話ですが、これをリハビリに入院させる、あ るいは一般病床に入院させる、先生の報告中で両方ありますね。その診断基準といいます か、判断基準はどこら辺にあるのでしょうか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  転院までの時間が比較的短かったり、それ以外に合併症があったりということは一般病 床で見てから移そうかという話はしています。 ○小山分科会長代理  ただ、問題になってくるのは、今、酒巻委員がおっしゃったようなリハに入っておいて すべての検査をしてDPCの一般病床に戻すというところに非常に我々とすれば引っかか るというか、問題になるところです。それをやられてしまうとDPCそのものの運営がで きなくなってしまうという話の中でのお話だというふうに理解しています。この辺はどう ですか。そうせざるを得ないような患者さんが多い? ○丹野院長(青森慈恵会病院)  私の立場とすると、やはりDPC病棟を経由して回復期なり認知症病棟なりに患者さん を転棟させたいとは思っていますが、どうしても回らないというのがありまして。 ○小山分科会長代理  回らないというのはどういう意味で回らない? ○丹野院長(青森慈恵会病院)  部屋が、一般病床そのものが40床で。 ○小山分科会長代理  だけど、それよりも多く受けているわけですね。本当は一般病床で受けなければならな いのをリハ病床で受けてしまっているということなんですね。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  そういうことになります。本来であれば、倍ぐらいの一般病床がほしいなとは思ってい るのですが、看護師不足とかでなかなか病棟が開設できない。比較的落ち着いて転院され てこられる患者さんも多いのですが、ドクターによってはどうしてもMRIを撮りたい、 CTを撮りたいということで、その辺は容認しているということです。 ○西岡分科会長  もう1つ教えてください。先生のところの一般病床へ入院される患者さんは大体どこか から送られてこられる患者でしょうか。というのは、急性期病院から紹介されて来られる 患者さんが多いのでしょうか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  大体回復期に関しては急性期病院からの紹介をいただいている患者が多いです。それ以 外に関しては一般病床で受ける患者さんは関連施設で病状が悪化したとか、例えば外来の 患者さんでそういった治療が必要な方が多かったと思います。急性期から例えば骨折とか で、どうしても急性期の方では診られない、例えば圧迫骨折の患者さんはこちらでお受け して診るようにはしています。 ○西岡分科会長  送られてくる比率はどのぐらいですか。先生のところの一般病床へ直接入ってきて急性 期医療を施さなければいけないような症例と、どこか別の施設、病院から急性期が済んで 送られてこられる患者さんとの比率はどのぐらいになっているのでしょうか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  詳しいデータは出していないのですが、感じとしては10%から20%が急性期の治療 が必要な患者さんと考えております。 ○齊藤委員  今日からお見えになった美原委員に御意見を伺いたいのですが、先生は前にここでヒア リングを聞かせていただいたとき、先生のところは急性期の病床があって、そして同じ医 療施設内に後方病院、後方施設があって、そこで患者さんのために、究極の地域医療連携 みたいな形でやっておられるけれども、外から見るとDPCの病床の割合は非常に少なか ったりして、違和感があるというところも否定はできなかったわけです。だけども、考え てみればそれが最大の効率であり、究極の地域医療連携なのかなと思うのですが、今、青 森のお話を伺うと同じ施設の中でDPCの病棟から一般病棟、慢性期ないし長期治療の病 棟へ移って、またこっちへ移る、そういうようなことというのは、DPCの病院の中に広 まるとかなり制度的には混乱してくる可能性もあるのかなという危惧がありますが、先生 は委員としての御立場でここら辺をどうお感じでしょうか。 ○美原委員  自分の病院のことを言ってよろしいのでしたらば、まず私どもの病院も回復期リハ病棟 から、状態が悪化してから急性期病棟に移るというパーセンテージはおそらく1%以下だ ろうと思います。今、急性期の病院から当院の回復期リハ病棟に受けるとき、MRI等々 あるいは採血等をしますかと言われたらば、それはいたします。もちろんこれは包括の中 で一般病棟に入院させてからするということは行いません。  1つ問題となるのは、今、うちの病院で問題になっているのは、地域連携が回復期リハ ビリテーション病棟に患者様を受けるとき、元の病院がある意味で早く出したい。元の急 性期病棟、病院が平均在院日数を短くするために早く出したいということがあるかのよう に思います。すなわちこちらでリハビリテーションを受けますよと言ってお受けしたとき に、まだ病気が治りきっていないというケースが数%あります。そのときにはうちの場合 は単科病院ですので、それらは見ることができないわけです。ですから、それは元の病院 にお返しすることはあります。  では、うちの病院で回復期リハビリテーション病棟の中で肺炎が起こったり、さまざま な病気が起きたときにどうしていますかというと、骨折はあります。骨折の場合は当然手 術が必要ですから、他の整形外科の病院に送ります。しかしながら風邪をひいた、肺炎だ というのは当然のことながらそのまま回復期リハ病棟で診るのが僕はある意味では当然だ ろうと思っています。  すなわち今例えば介護老人保健施設で医療の在り方が問われています。すなわちそこの ところで肺炎を起こしたら、すぐ急性期病院に送るというようなパターンは僕はちょっと いかがなものかと思います。すなわち老健、ここでは全然関係ないことかもしれませんが、 老健にもお医者さんがいるわけですから、それなりの抗生剤なり肺炎なりの治療はすべき だと思います。  一方、そこのところに、それは医療のレベルが低いのではないかとか、老健サイドの医 療のレベルが低いのではないかとか、いろいろな議論があるとは思いますが、ただ行った り来たりするのはいかがなものかということは僕は思います。 ○齊藤委員  急性期DPCの病院と回復期の病院が同施設の中にあって、その間で必要に応じて非常 に目まぐるしくピンポンのようなやり取りを行うというのは。 ○美原委員  おそらくあり得ると思います。ただ、それはやるかやらないかは、それぞれの病院の志 だろうと僕は思います。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  お言葉ですけれども、我々の病院も肺炎になってすぐに転院するわけではなくて、必ず 点滴もしますと、酸素も投与します。抗生剤もやります。すべて包括の中でやっています が、それでもやはり病状が悪化するケースは人工呼吸器なり、IVHとか、そういったも う少し濃密な治療がある方に関しては移すということをとっています。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  では、どうもありがとうございます。またお伺いするかもしれませんが、よろしくお願 いします。  続きまして、特定の診断群分類において、診療内容が他の医療機関と比べて大きく異な る場合について議論したいと思います。最初に上都賀厚生農業協同組合連合会上都賀総合 病院から御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  上都賀病院の一戸でございます。上都賀総合病院は栃木県の鹿沼市にあります。栃木県 の西の方です。その辺の中核病院としての機能を果たしております。厚生連の病院です。 その地域は過疎化していることと高齢者が多いということが特徴になるかと思います。  今回、DICの症例が多いということで調査させていただきました。20例ございまし た。前年度が10例、今回が20例で倍に増えていますが、使用した薬剤についても調べ ましたが、これも大体倍量となっていますので、それだけの患者さんが来て治療をしてい たと考えております。  なぜ増えたかということについての理由は明らかではないのですが、1つ考えられるの は患者さんの年齢層が非常に高い。内科でちょっと例数が増えていたということと、それ から20年度から呼吸器、アレルギーの先生が2人常勤になったということも多少関係し ているのではないかと考えております。  死亡率ですが、平成19年度が30%、20年度が35%ということで、かなり高い死 亡率を呈していました。  コーディングについてはDPCの連絡票を紙ベースで入院時と病名が変更したときと退 院時という形で主治医に記入して出してもらうようにしておりました。  当院では毎月DPCの委員会を行っておりまして、その中でいろいろと毎月検討をいた しております。特に高額については10件ほど調査して努力をしております。以上でござ います。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは続きまして埼玉医科大学総合医療センターから御説 明をお願いいたします。 ○吉本病院長(埼玉医科大学総合医療センター)  埼玉医大総合医療センターでございます。我々のところは913床の病床で、その中に 高度救命救急センター、あるいは総合周産期母子医療センターを併設しております。がん 診療拠点病院にもなっておりますので、結論を申しますと重症患者がかなり集まっている ということが他の病院と比較して多い理由なのではないかと推測はいたしております。  御指摘いただきましたので調査をいたしました。既にお目通しいただいていると思いま すが、全体で半年の間で65件のDIC病名がついております。その内訳は産科が44% で29名。婦人科が8名で11%。それから消化器外科が17で25%。その3科で80 %を占めております。他の科はほぼ1例、2例という状態であります。  ここで産婦人科に関しましていいますと、当院は総合周産期母子医療センターを併設し ておりますが、埼玉県の周産期医療の現状を見てみますと総合周産期母子医療センターは 当院だけであります。人口のわりに非常に少ない。それから周産期母子医療センターも4 病院ということで、非常に少ないということで、合併症を持った患者さんと病院に紹介さ れてくるということがございます。  それぞれの症例に関しまして、診断のためのスコアリングをやっているわけであります が、それを調べてみましたところほぼ90%あるいは95%近くがその診断基準を満たす、 あるいはプレDICということで臨床的にDICの治療が必要であったと考えております。 ただ、中に数件、スコアを満たしていない、あるいは他の病名が今から考えてみますと適 当であったというものも含まれております。以上であります。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それではご議論をお願いいたします。齊藤委員。 ○齊藤委員  吉田委員に伺いたいのですが、約2年前にDICのコーディングがかなり問題で、審査 委員会の方でも本当にDICかどうか分からないという意見があって、当分科会でもそれ が分かるような記載を保険審査の場に出るような仕組みを考えた方がいいのではないかと いうことでFDPの値だとか、そういうものが記載されるような工夫をして、それが本当 にDICかどうか審査員の方に分かるようにすべきだという意見があって、それがかなり 反映されたかに私は理解していたのですが、実態としては例えばこういうような施設での もの、あるところだけ突出してくるというようなことに対する歯止めとして機能し得るよ うな形がとられているのかどうか。とられていないとしたら、どういうふうに今後改善し ていったらいいのかとか、その辺御意見をいただければと思います。 ○吉田委員  まず昨年からEFファイルがつきます。だから、中身を見られますので、どういう検査 をしたのか分かりますが、データはないんです。検査項目は分かりますが、データはない ので、DICは全国で相当問題ですので、松田先生にお願いして、もっと審査員に分かり やすいレセプトが出るようにしてほしいんです。ですから、今は検査をやったかやらない かはわかりますが、そのデータがDIC基準かというと、そこまでは分からないんですね。 だから、野放し状態です。 ○齊藤委員  前の議論のときに出来高の症状詳記などでは、例えばこの時点で白血球数は1万5,6 00あったので、これこれの診断の下にこういう治療をしたと書くようなことがあるので、 そういう制度をDPCの審査においても使えるようなものであるべきだろうという意見を 言った記憶があるのですが、実際は項目だけ来て数値がない。だから分からない。そうい うことですね。 ○吉田委員  ですから、良心的な病院は必ず詳記について書くんです。ところがDPCは全部コンピ ュータですので面倒くさいといって書かないんです。だから正直なところは書いてくるん です。こういうデータがあったので、DICを選んだんだという理由を書くんですけど。 ○齊藤委員  あともう1つよろしいですか。上都賀総合病院に教えていただきたいのですが、DIC の診断はなかなか難しいのですが、かなりの病院は厚生省の診断基準で7点以上のものだ けをDICとしている。DICの疑いがあるというので、アンチトロンビンIIIとか、そう いうお薬を相当大量に使っても、結局、6点にしかならなかったので、これは非常に赤字 になるんだけれどもDICにはしませんでした。そういう学会発表が結構あります。先生 方のところで7点だけに絞ってしまったら、何パーセントぐらいになるのでしょうか。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  4件ですね。20分の4です。 ○齊藤委員  20分の4ですから、25%ぐらいに減るんですね。だから、その辺をどう認識するか の問題で、確かに先生方5点、6点でもDICとしていいと思うという気持ちもよく分か ります。ただ、先生のところが他と比べて非常に率が高いというのは、多くのところは5 点、6点だと我慢しているけれどもという実態があるということは伝えていただくのがい いのかなという気がします。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  分かりました。 ○相川委員  今の件、DICについては厚生省のDIC診断基準がありましたが、最近ですけれども 急性期のDICがかなり多くなってきているということ。あるいは産科や悪性腫瘍の患者 さんに発生するDICと違って、主に急性感染症等に伴って発生する急性期のDICが多 くなったことから、日本救急医学会が委員会を作りまして、急性期DICの診断基準を出 しました。  これに関しましてはアメリカのクリティカルケアメディシンという学会紙に英文論文と して採用されており、日本から世界に発信した基準だと思います。この基準は厚生省の診 断基準と比べて特に急性期の患者では少し甘いというのでしょうか、DICに進行してい なくても一応DICを疑って治療を始めた方が治療結果がいいということで、そのように はなっていますが、実際に臨床の現場では死亡率が非常に高い病態ですから、早めに治療 した方がいいという考えもあります。もし早めに治療をしたときに、厚生省の診断基準で 6であって、DIC疑いであったときにDICと診断できないのか。医療資源を投入して、 かなり高価なお薬を使ったりします。そのようなところが問題になるので、客観的な2つ の基準でのスコアを2つ書いていただくというのも1つの方法かなと思います。  客観的なスコアリングができますので、スコアを書いていただいて、もちろんそれで何 点以上はDICと、何点以下はDICとつけてはいけないということではないのですが、 その辺のスコアの分布状態をみて検討していくこともいいのかなと思っております。  もう1つは、高度の治療をしている病院の場合にはやはりDICの発生率、あるいはこ の後の敗血症でもそうでしょうが、発生率は一般よりも高くなっていることは間違いがな いと思います。 ○齊藤委員  いろいろなDICの診断基準、新しい、今、相川先生が言われたものとか、そういうも のがどんどん日本の医療現場、診断群分類に入ってくるのは望ましいのですが、点数その ものは旧来のDICの基準で高くつけられたものがあるわけです。そこに新しい判断基準 を入れると、そこである時期、ギャップが起こってくるのだろうと思います。高い点数で つけた、ポイント7点以上のDIC群と、もう少しいわゆる広い意味での緩やかなDIC と、それは案外、点をとってみればもう少し少ない点数の1群として存在するのかもしれ ないですね。その辺、DICの診断群分類とそれぞれの点数設定において慎重にこれから 考えていくべきことではないかなと思います。 ○小山分科会長代理  上都賀総合病院の院長先生にお伺いしたいのですが、手元の資料で診断基準のマッチ率 の中でいずれもマッチしないというのが6例出ています。これは完全なミスというふうに。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  いや、完全なミスというわけではないんです。今言ったように点数が1点とか少し足り ないという患者さんですね。これを臨床的に主治医が判断してプレDICという形で治療 を開始したということです。なかなかその点数までいかないと治療ができないというのは 臨床の場としては厳しいと思いますので、それは仕方がないのかなと考えております。 ○小山分科会長代理  分かりました。それから、埼玉医大の先生にもお聞きしたいのですが、先生のところで もスコアに達していないけれども症例によっては治療を個々に始めたというふうに記載が あります。やはりそういうような話でよろしいですか。 ○吉本病院長(埼玉医科大学総合医療センター)  ここに具体的な数字を上げていますが、婦人科の8例のうち4例はそういうのに当たる かなと思います。産科の方はスコアという意味では全例満たして、産科の方は産科のDI C診断スコアでやっていますし、外科に関しましては厚生労働省の基準あるいは急性期D ICの基準、そのどちらか、あるいは両方でやっています。 ○小山分科会長代理  先ほど齊藤先生がお話になったように、このDPCのDICの点数のつけ方は7点以上 の本当の重症のものだけに対応しているわけです。ただ、これから調整係数がなくなって いく中で積極的な治療が行えないような状況ができるというのもよくないと思います。だ から、この辺のところは現場の方の意見を聞いてみて、場合によったら分ける必要がある のか。DIC1、2と分ける必要があるのか。逆にますます複雑になってくるので。ただ、 一般の病院と比べて明らかにパーセントとしては高いので、そこだけのためにルールを作 るかというところも問題なものですから。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。上都賀総合病院の場合のDICですが、軽快率が非常に高いん です。ほかの病院に比べまして倍ぐらいあります。これはかなり軽症のところで治療をさ れたためにこれだけいい成績が上がったというふうに考えてよろしいのでしょうか。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  そういうデータから見ると軽症、重症を判断するのは難しいのですが、結果から見れば 多少早めに見つかったというのはあるかもしれないと思います。 ○木下委員  先ほど相川委員がお話になりましたようなDICの取り扱いというのは、施設によって 大変異なります。埼玉医大総合医療センターの内状はよく存じ上げていますが、産科関係 では母体救急を主に取り扱っています。産科の出血が4,000、5,000mlとなる と、DICは必発ですので、そのような症例を多く取り扱っていますので、どれほど母体 を救っているか分からないような施設です。本当にDICが出来上がってしまい、スコア リングで7点以上になるようでは、もっと資源を投与しても、下手をすれば救えないとい う状況になるわけです。従ってDICになる前にDICの予防をはじめることが当たり前 でありますので、そういう役割を持っている病院では、DICの数として、確かに1〜2 例は多くあったかもしれませんが、実際にそれだけの症例をあつかっていますこのような 施設があるということを認めてむしろ逆に守ってやっていくというふうな視点が必要だと 思います。特にDIC診断スコアリングにしましても、点数が多くなくてはならないとい うのではなく、ほっておけばDICが必発ですので、DICになる前に予防していくべき 症例を多く診る役割を持っている病院があるということは我々も認識すべきだと思います。 そういった視点で個々の症例をみれば当然だということが圧倒的に多いだろうと思います ので、その辺の視点で見ていくべきだとと思います。 ○西岡分科会長  私、失礼しました。上都賀総合病院ではなくて埼玉医科大学総合医療センターが軽快率 が73.7%という非常に高い数値を出されておられるのですが、やはり今と同じような 理由でよろしいでしょうか。 ○吉本病院長(埼玉医科大学総合医療センター)  これはただ産科を除いておりますので、産科以外での死亡率が36という、そういう数 字です。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○宇都宮企画官  まず、埼玉医大さんにお聞きしたいのですが、軽快の話もそうですが、平均在院日数が 非常に短くなっていまして、机上配布資料で「人工呼吸、血漿交換療法あり」、あるいは 「アンチトロンビンIII製剤投与」の例でも全体平均に比べて半分ぐらいしか平均在院日数 がない。この辺についてどのような御説明をされるのかということが1点。  それから2点目は、両方の病院に伺いたいのですが、コーディング委員会を年に2回開 催することが昨年から義務づけられておりますが、昨年度の開催状況と、そこでこのDI Cの話というのが話題に登ったことはないのか。この2点について伺いたいのですが。 ○吉本病院長(埼玉医科大学総合医療センター)  まずコーディング委員会は毎月1回、保険診療指導室会議をやっておりますが、その中 でコーディング委員会ということでやっております。ただ、DICが個別に話題になった というか、うかつにもうちの病院がこれだけ他と比べて多いというのは私も知らなかった ものですから、そういうことは私の記憶ではなかったのではないかなというふうに思って おります。  平均在院日数は全体では短くなっておりますが、ここに出ている症例は当然のことなが らかなり長い症例ばかりということで、全体の平均在院日数との関係は今、この場では即 答できないということであります。 ○一戸病院長(上都賀総合病院)  コーディングについて十川から説明させていただきます。 ○随行者(上都賀総合病院)  外科の十川でございます。委員会は月に1回、毎月行っております。議題としましては、 DIC症例数、それから敗血症症例数、それから診療科の偏り、あるいは全体としての医 療資源の投入量といったところを見ております。ただし、これまでDICについての問題 点は指摘されませんでした、委員会の中では。 ○西岡分科会長  どちらの病院も月1回、コーディングの委員会を開かれているというのは非常に興味が ありますが、どんなところまで掘り下げた委員会になっているのか、簡単に教えていただ ければありがたいんですが。 ○随行者(上都賀総合病院)  基本的には診療の内容までは踏み込んでございません。医事データに基づいて審議をし ています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○吉本病院長(埼玉医科大学総合医療センター)  主にうちは事務系からの医療側への質問あるいは確認事項が非常に多い。ですから医師 と事務、医務課との連携ということを重点的に議論をしているというところであります。 ○西岡分科会長  ほかによろしいでしょうか。  どうもありがとうございました。それでは続きまして徳島市民病院、お願いいたします。 ○露口院長(徳島市民病院)  徳島市民病院でございます。今回、ヒアリングの対象になりましたのは診断群分類、敗 血症の出現頻度がほかの病院と比較して非常に多いということをご指摘されてのことでご ざいます。全国平均が0.47%、我々の病院が2.09%ということでございます。事 例をずっと調べておりまして、1例1例検討したのですが、当院の中でこの事例に相当す るのがこの6か月間で69例ございました。そのうちの小児科が64例と圧倒的に92. 7%を示しておりまして、ほかに敗血症という病名が出たのは内科が4例、整形外科が1 例で、これにつきましてはそれほど問題はないのではないか。このうち2例は敗血症で亡 くなっております。40%が亡くなっております。  小児科の事例につきまして、非常に問題ではないかということでありますが、私どもの 病院は地域の中核病院でございまして、自治体の病院でございますが、小児科はNICU と小児科と両方をやっております。NICUにつきましては、今のところ6床、それから GCUが9床ということで15床を持っております。ただ、これも今現在のところ、ドク ターが5名しかおりませんので、施設基準がとれておりません。しかしながら、そういっ たような格好で過去25年前からずっとNICUのことをやっております。そういう関係 で全体の数から見ますと新生児とかあるいは1歳、2歳といった非常に小さいお子さんが 多いということは事実でございまして、年齢構成を見てみますと3歳までに75%ぐらい の数がいる。0歳児が37.5%を占めているということでございます。そういった関係 で、どうしても小さいお子さんになりますと、症状と簡単な検査、CRPとか白血球とか、 それと臨床症状と併せて敗血症という診断がなされる場合がありまして、この64症例に つきまして29例につきましては感染のフォーカスが不明であるということで、臨床症状 が強い、発熱、頻脈、白血球が多い、全身状態が悪いということで最終的に敗血症と考え られた症例と考えております。  当院小児科では他院から紹介が非常に多くて、小児科も8割方が他院からの紹介という 格好で、既に抗生剤が使われているようなケースも多いわけでございます。血液培養して も陰性であるといったような症例も含まれております。そういうことで我々のところで言 いますと、残りの26例がはたして敗血症としてよかったのかどうかということで、これ は不適切なコーディングではないのかという点を我々も考えておりまして、全身状態が悪 いとか、炎症反応が強いということで敗血症と考えて治療をしていたということでござい ます。  最終的にフォーカスが明瞭であったものにつきましては、細菌性肺炎とか尿路感染症、 肺炎といったようなものへ正しくコーディングを変更するべきであったと反省しておりま す。  我々の病院の問題点としては、医事課、DPC室とドクターとの間の協議がもう1つで きていなかったのではないかということで反省をしております。そういうことでDPCの 運用手順の徹底に務めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。続きまして鈴木病院から御説明をお願いいたします。 ○鈴木院長(鈴木病院)  私どもの病院も敗血症の出現割合が多いというご指摘を受けました。私どもの病院です が、今から50年近く前から江東区で48床の救急病院をやっておりました。当時から高 齢者が増えてまいりまして、在宅診療とか、あるいは高齢者の施設とか在宅の急病を多く 承るようになったのですが、平成12年に病院がもう古くなりましたので新築移転しまし た。そのときに老人保健施設を合築させていただいて、また特別養護老人ホームを隣に併 設する、こういう施設計画をさせていただきました。  それから、平成17年には隣の町に103床のリハビリテーション病院を開設させてい ただいております。こういうことで周辺の大きな病院を急性期が過ぎたということで退院 されている方をたくさん御紹介いただくようになりまして、今年の4月から8月までの資 料にもお示ししたのですが、月に30人から40人の患者さんの御紹介をいただいており ます。お食事がとれなくなった方とか、心不全とか、あるいは糖尿病性の合併症があるよ うな方たちが非常に多いです。そういう方たちをお預かりするのですが、ご家族の方が簡 単に亡くなるということを認めていただけない。まだやれることがあるのではないか、こ ういう環境にございまして、急に亡くなられてしまうと非常に困るものですから、急死す るような病気はないか、こういう観点から御紹介いただいたときに全身を調べさせていた だいております。  病状が安定か不安定かというようなことで最初見させていただきまして、安定していて、 お食事がとれれば老人保健施設、それから病状は安定しているけれどもお食事がとれない、 輸液が必要である。そのレベルであると療養型の方に患者さんを入院させるようにさせて いただいています。やはり食事をすると熱が出るとか、吐くだとか、下痢をするとか、こ ういう病状がございますときには療養型の病院でこういう患者さんを診断して治療すると いうのはなかなか難しいものです。急性期の私どもの病院の方に入院していただいて、病 状の安定をみたらそちらへ移す、そういうようなことでやらせていただいております。  今日お出ししたデータは、私どもの今年の7月からDPC参加病院にさせていただいて いますが、ちょうど去年の7月〜12月の6か月間のデータ提出のものを、そのデータで ご指摘をいただいたので、それを今日お配りした次第です。  先ほどから療養型を持っておられる病院と同じように重症化しやすいということと、重 症化した患者さんを療養型で見るのは非常に厳しいということで、施設間での転院が多い というご指摘は受けてしまうなということを感じております。  それから、別に私どもの医療機関の中だけでなくて、近隣の在宅の患者さんとか、近隣 の特別養護老人ホームとか、そういう療養施設からの患者さんも受けております。そうい うことで非常に敗血症の予備軍が患者さんのほとんどでございます。そういうことでご了 解をいただければと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。敗血症に関しまして2つの施設から御意見をいただきました。 ○齊藤委員  2つの施設に伺いたいのですが、両方の施設の全症例とも重篤な感染症があって、全身 状態も著しく悪いという方のみであるようです。それぞれの敗血症とつけた症例で実際に 血液培養が行われた症例の比率と、血液培養をやって結果が陽性だった症例の比率と、そ れはどのようになっているでしょうか。 ○鈴木院長(鈴木病院)  今日お配りした資料の中で私どもが実際に病院でやっております検体の、これは感染対 策委員会でまとめたものですが、資料の中に出させていただいております。血液培養も、 先ほど敗血症の予備軍で、しょっちゅう肺炎を起こすとか、尿路感染症を起こすような人 に早めに多剤耐性菌対処用の抗生物質を使わないと亡くなってしまうので、少し勇み足で 使った症例も多少入っているということは認めなければならないのですが、そういう場合 でもできるだけ血液培養をするように努力しております。ただ、専門家が言われるように 2セット、3セット、そういう採血は実際患者さんをみていると痛々しくて、そこまでは 血が採れないのですが、何とか1回だけは採るような努力はさせていただいております。 ○齊藤委員  いろいろお薬を使ったりしているので培養で出にくいというのは十分理解しております が、厳密な意味での敗血症というのは教科書的に血液培養で菌が証明されることというふ うになっておりますが、その比率はどのぐらいなのでしょうか。 ○鈴木院長(鈴木病院)  出てきたものが敗血症の原因菌であるかという、その断定はなかなか難しいのですが、 例えばMRSAが出ていたり、あるいはグラム陰性桿菌が出てきたりしますが、こういう レセプト提出のときには資源を投入した方の病名をつけてしまう。これは率直に認めさせ ていただかなければならないと思います。ただ、かなりの頻度で培養はされております。 ○齊藤委員  徳島の方はいかがでしょうか。今と同じ質問です。 ○露口院長(徳島市民病院)  私どものところは培養は80%にはしております。実際の陽性になったのは20%です。 あと、20%ぐらいは培養していないのですが、これは新生児で臨床的に判断するという。 ○齊藤委員  本当に菌血症ないし狭い意味での敗血症が証明されたものというのは20%ぐらいある んですね。 ○露口院長(徳島市民病院)  20%。はい。 ○齊藤委員 いわゆるSIRSというか、全身性の感染性反応症候群と言われるようなものを敗血症と してとらえておられる、そういう実態はあるわけですね。 ○露口院長(徳島市民病院)  そうです。 ○熊本委員  鈴木病院の鈴木先生にお伺いしたいのですが、資料の中に当院では敗血症リスクの高い 患者さんについて、以前より徹底して入院時監視培養検査を実施しているということが書 いてあります。敗血症リスクの高い患者さんというのは、具体的にはどういうことを想定 されているのかということと、以前よりということで徹底した入院時の監視培養検査とい うのは具体的にどういうことまで含まれているのか、教えてください。 ○鈴木院長(鈴木病院)  苦い経験がございまして、私どもは病院を転院してくる前ですが、在宅から送られてく る大腿骨頸部骨折の患者さんを手術したりしますと、術後に肺炎を起こすんですね。痰か らMRSAか何かが出てきて、そういう話をしますと、患者さんがこれは院内感染ではな いのですかということで、かなり病院不信を抱かれるので、そういう状況をでは調べてみ ようということで、入院時に術後に敗血症を起こしやすい人の痰とかの保菌状態を調べる ようにしていました。そうすると保菌状態にある方を迂闊に手術したりすると、そういう 状態になるということがはっきりしてきましたので、私たちは今、大学病院の先生方から 御紹介をいただくときには感染症の情報はなかなかいただけないんです。ですけれども、 調べさせていただいて、入院してすぐ熱が出たりして患者さんからクレームが出たときに 適切にお話ができるように、そういう意味で培養、特に痰の培養とか。  どういう方たちが対象になるかというと、ほとんどの人が食事がとれなくなってきてい る。何らかの輸液が必要。それから、体重が若いときに比べると10kg、20kg減ってし まって体重減少している。そういうような特徴がございます。  それから、かなり慢性心不全がございまして、BNPという検査をさせていただいてい ます、NT−proBNP。中には2万、3万という患者さんがざらにいらっしゃる。見かけ ではちょっと分からないのですが、そういう方がちょっとリスクのあることをすると急に 悪化しますので、そういう悪化する要因、要するに生命のリスクのあるような検査を事前 にさせていただいています。 ○相川委員  敗血症の定義については、齊藤委員から先ほどお話がありましたが、1992年にアメ リカの2つの学会の合意委員会がセプシスの定義を提唱しました。それは先ほど言ったS IRS。感染が原因になってSIRSになっているものをセプシスとする。そのときの 「セプシス」と日本語の「敗血症」とは似て非なるものになっています。特に日本で抗生 物質の適応症として「敗血症」の適応をとるには血中での原因菌の推移が証明された症例 が少なくとも3症例以上あるというのが1つの基準といいますか、了解ごとになっている ということであります。アメリカの定義で、炎症症状つまりSIRSがあって感染があれ ばセプシスで、セプシスの日本語は敗血症だから、それを敗血症と解釈するということに なりますと、かなり軽症の感染症でも敗血症とされてしまうということをまずは注意する べきだと思います。  それから、今回はこの2つの施設ですが、たしかに鈴木病院のように高齢者が非常に多 い。あるいはもう1つの病院のように新生児が非常に多いというところでは一般の施設よ りもいわゆる日本語で言う敗血症の率は高くなっていることは了解できると思います。菌 の検査の状況を拝見しますと、血液培養をやっていながら陰性であるという症例がかなり あるところもあるようです。また血液培養をやられていない症例で、CRPも1未満であ るというようなこともあります。菌血症がなければ絶対に敗血症ではないとは言えません が、菌血症の状況あるいは全身の炎症の指標などを参考にして敗血症というコーディング を慎重にしていただきたいと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○小山分科会長代理  鈴木先生にお聞きしたいのですが、敗血症の診断についていろいろと出ているわけです が、診断を下す先生は何人ぐらいいらっしゃいます。DPCのコーディングをやっている 先生は何人ぐらいいらっしゃいますか。 ○鈴木院長(鈴木病院)  コーディングをやっている担当医は私がやっております。 ○小山分科会長代理  お一人ですか。 ○鈴木院長(鈴木病院)  はい。あと今日、息子が来ていますが、息子と2人で。 ○小山分科会長代理  はい。 ○吉田委員  今回、特別ソフトの会社名を出してもらったのは、実は平成15年に全大学病院を始め ましたね、DPC。そのとき東京が一番多かったので、東京だけは専従の審査チームを作 ったんです。調べていったらDICと敗血症がやたら出てくる。全国規模で全大学病院の ベンダーを調べたら某社が圧倒的に多かったんです。某社を呼んで聞いたら、一番高いの で各病院から絶対に損しないようなソフトを作れと言われてやったんだそうです。厚労省 に呼んでいただいて注意したのですが、某社を使ったときにそういうことが最初にありま したので、今はどうか分かりませんが、最初はそういう傾向があったのでベンダーを出し てもらっています。  鈴木病院さんは別のシステムですね。 ○鈴木院長(鈴木病院)  はい。 ○美原委員  直接、敗血症とは関わりはないのですが、自分が非常に疑問に思っていることがありま す。というのは先ほど鈴木先生がおっしゃっていたように高齢者で状態の悪い人が病気に なったときに急性期病院で受ける。そういうことが実際にすごく多い。その結果、施設と 病院の行ったり来たりみたいなことがあるのではないかと思います。  それで、またうちの病院ですが、うちの病院に脳卒中で寝たきりになった人が前々から 自分のところで見ていたんだから、その人をとってよと言うと、若い先生方はそれはうち の専門外ではないとか、あるいはそれを急性期としてみるのはおかしい、こういう話にな ります。では、認知症であるとか、脳卒中のほとんど寝たきりであった方をどこでみたら いいんだ。それを急性期として取り扱うのだろうか。それはうちの非常に少ない急性期病 棟でそれをみるのはなかなか困難なわけです。では、実際にどこでみているのかというと、 施設にいる人は施設で抗生剤なり何なりで治療するわけです。それで亡くなられる方もい らっしゃいます。  そのときにもっともっと医療をと。田舎の場合はどういうのがいいのかというと徹底的 に治療することが親孝行だと思うわけです。しかしながら本当にそうなのかというと、そ うでないこともあります。急性期病院に来たら徹底的に治療する。施設であったら、その 人なりにという考え方が出ていて、今、うちの併設の老健では施設内死亡がかなり多くな っています。それで患者様が満足していないのかというと、決して満足していないとは僕 は思いません。  ちなみにうちの病院の剖検率は、昨年度は30%ぐらい。老健でも剖検率は30%いき ます。すなわちきっちりと治療をして、あるいはケアすることによって患者様の満足度は 上がり、高密度な医療を提供することが必ずしも重要ではないのではないかと片側に思う わけです。では、片側の自分がいて、寝たきりになった人をがんがん治療するのがいけな いのかと言われると、またすごく疑問に思います。  この間、ポストアキュートの問題をおっしゃっていて、今、DPCの病院に入院する患 者様、寝たきりであったり、非常に認知症が強かったりすると、徹底的に治療するのがは たして急性期として取り扱うべきなのか。そうではないのかということを今非常に疑問に 思っています。  ちなみにうちの老健は病院の先生方が徹底的に治療するのはいやだということで、結局 施設でみることになりました。施設でみると、うちは老健ですが、昨年度の収益、こうい う話をここでしていいかどうか分かりませんが、赤だったんです。つまりそこのところで 治療してしまうわけです。そういうのがいいのか、あるいは慢性期でもしっかりみていく のがいいのか、これから非常に問題だろうと思います。ですから、先生がおっしゃったよ うに老健で悪くなった人をがんがん治療しようとか、施設でがんがん治療しようといった ときに、すごく医療費が投入されるのはしようがないかなと片側では思います。 ○鈴木院長(鈴木病院)  その点に関して付け加えさせていただきたいのですが、私どもも特別養護老人ホーム、 と老健がございますが、患者様に延命治療に関して徹底的に聞きます。ご家族、ご本人の 御意思を。延命治療を希望しないという方を病院に入れて治療するということはしていま せん。それは食事がとれなくなって、これでいいんだという方は、今看取り契約というの が特養にございまして、看取り加算という点数もついています、1か月間。看取り加算と いう制度を利用させていただいて、そのまま看取らせていただいております。ですから、 ここら辺のところは倫理というのが非常に重要だろうと思うので、どういう基準で治療方 針を決定しているか。これが非常に重要だと思います。私どものところでは徹底してヒア リングをさせていただいております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。1つ徳島市民病院にお伺いしたいことがあります。先生のとこ ろでは敗血症の治癒率が非常に高いのですが、どのぐらいかご存じでしょうか。61%が 治癒で、37%が軽快という、そういう数値が上がっているのですが、やはり特別な治療 をされているからなんでしょうか。 ○露口院長(徳島市民病院)  小児科の統括部長を連れて参りましたので。 ○随行者(徳島市民病院)  小児科の森と申します。先ほど齊藤委員からお話がありましたように、システミック・ インフラマトリー・レスポンス・シンドロームというか、SIRSがたくさん含まれてい まして、重度の敗血症ではなくて広義の敗血症をこのDPCでは敗血症と入れておりまし て、特に小児とか新生児の場合は症状が悪化して、もしくは血液培養の有無にかかわらず 治療を開始しないと悪化する症例がありますので、早め早めにと手を打っているので、十 分軽い症例も含まれています。そういう点ではDPC上、敗血症とすべきかどうかという のは問題があるかもしれませんが、こういう症例を例えば熱だけでCRPがドーンと高く て、全身状態がものすごく悪くて、実は感染症ではなくて、システミック・インフラマト リーなそういう疾患をDPC上、どう入れたらかいいかというのは、なかなか難しいと思 いますが、私どものところでは炎症反応が高かったら、必ずしも細菌感染と決まらなくて も治療は開始する。もちろん血液培養は9割ぐらいしていますが、他院で抗生剤を飲んで いる症例がほとんどですので生えないことが8割です。そういう状況です。 ○邉見オブザーバー  先ほど木下委員もおっしゃいましたように、やはり敗血症とかDICというのは重篤な 疾患ですので、今の日本の風潮などであれば訴訟ということもありますので、逆に治療が 遅れた場合のことも考えなくてはいけないと思います。特に子どもさんなんかは早めにや らないと、あとでいろいろなことがありますので、少し早めということになれば緩い適用 というのもあってもいいのではないかと思います。 ○相川委員  今の御発言の中で抗生物質を使っているから血液培養が出にくいというお話がありまし たけれども、これは昔の話でありまして、今の培養のボトルには抗生物質を吸着するレジ ンがほとんど入っておりますので、抗生物質を使っているから菌が生えないということは 考え直していただいた方がいいと思います。特に臨床の現場では菌を検出するには次の抗 生物質を投与する直前、すなわち血中濃度が一番低いときを狙って採血すれば、ほとんど 抗生物質を投与中だからいるべき菌が検出されないということは少なくなってきているこ とを御認識していただきたいと思います。 ○随行者(徳島市民病院)  小児科の森です。アドバイスをどうもありがとうございました。1歳以下が多いという 話を院長がいたしましたが、採血量が大人のように大量に採血できず、1cc採血できない ことが非常に多いのですが、それでも培養率は高いのでしょうか。 ○相川委員  1ccでも血中にいる菌と抗生物質の量の比率は同じです。ということですので、抗生物 質が入っているから陰性になるということはもう少し認識を別にしていただきたいと思い ます。 ○随行者(徳島市民病院)  ありがとうございました。 ○宇都宮企画官  先ほどのDICと同じような御質問になりますが、コーディング委員会について、先ほ ど鈴木病院さんはコーディングなさっているのはお二人の先生だけというお話でした。コ ーディングの客観性の持ち方というか、あるいはコーディング委員会においてどういうメ ンバーでどのように質の担保をされているのか。その辺のメンバー構成とあと開催状況と どんな運用かということをお聞きしたいということが1点。  次に徳島市民病院さんについてもコーディング委員会について、こちらには今度運用手 順の徹底に努めるということを書いていらっしゃいますが、今後、こういったチェック体 制というか、そういうことについてどういうふうにされたいのか。その辺をお聞かせいた だければと思います。 ○鈴木院長(鈴木病院)  DPCになるということ、あるいはDPCの病院になっていくことを目指したときから 診療情報管理士という制度がございまして、その資格試験を事務の方数名と、それから私 と私の娘も医者ですが、そういう資格を取るよう、DPCに関して勉強させていただきま した。現在、病名をつけるときには診療情報管理士がこちらがつけたのをそのままつける のではなくて、それを見て、これはおかしいですよとか、これはこうですよという議論を しながら最終的に決めるように心がけております。  ほかの先生方は、私どもの病院は小病院でございますので、DPCの制度そのものにつ いてまだ十分御理解いただいていないので、まだ始めたばかりですので、今後、御理解い ただくようにお願いしていこうと思っています。 ○露口院長(徳島市民病院)  コーディング委員会につきましては診療録の管理委員会と一緒になって、我々のところ は医師、薬剤師、医事課の職員を含めましてやっておりますが、今までの反省点としては ほかの病院と比べるようないろいろなことはしたのですが、事例検討といいますか、事例、 症例の検討という点がちょっと弱かったのではないかというふうなことが1つ。  それから、小児科につきましては小児科は5名でNICUを6床、GCUを9床、それ から一般病床17床、それから我々のところは救急をやっておりまして、輪番制で3日は 我々のところの小児科がやる。5人でやっているわけです。それで間に合わなくて、日曜 日にも医師会から小児科の医者を応援してもらうという体制でやっております。そういう ことなので、小児科は非常に忙しいということもございまして、最初に診た小児科の医師 と最後のチェックした医師は全然違うんです。ですから完全な主治医制というのは小児科 はとれておりません。ですから、それぞれの担当がその日その日の仕事をしていくという 格好になっておりまして、そのあたりの意志統一をもう少しやっていかなければいけない のではないかということも考えております。 ○松田委員  敗血症もDICもそうですが、まず敗血症からいきますが、小児とそれ以外を分けた方 がいいのではないかと思います。多分、これは今回、ここにおられている徳島市民病院の 問題というよりも小児の敗血症を疑わせるようなものを全般の中に含めているということ が多分問題だと思いますので、それを1回分類を分けてみて少しやることの方が医療の質 を担保する点からいっても望ましいのではないかと思います。  もう1つは、美原先生もご指摘になりましたように高齢者の方の敗血症にしてもDIC にしても、医療施設の提供体制の施設区分、その話は少しごっちゃになってしまっている ようなところがあると思いますので、そこも少しポストアキュートという言い方をさせて いただいていますが、そこのところを少し考えていかないとだめなのかな。そういう意味 では敗血症にしても、DICにしても、どういう病態が後ろにあってなったのかというと ころを少し入院時の併存症の分析から少しやってみて、その上で分類の見直しも含めてこ の議論をしないと、少しいけないのかなということを、今日、特に敗血症にしてもDIC にしても先ほど相川先生が指摘されたかと思いますが、両極端な施設が来ていると思いま す。高齢者に偏った施設と新生児に偏った施設、あるいは産科に偏った施設が来ています ので、そこまで議論してしまうと、少しいけないのかなと思いますので、そこも含めて少 し分析をして、改めて分類体系を見直す、施設体系を見直すということをやるべきではな いかと思います。 ○相川委員  今の意見に賛成です。特に小児科というお話がありましたが、新生児、乳児と小児、で はかなり病態が違いますので、特に今回問題になった新生児、あるいは新生児と乳児とが 同じようなふるまいをするかどうかも調べて、特に新生児についてはやはり成人の敗血症 とは分けて考えた方がよろしいと思います。 ○松田委員  追加ですが、呼吸、循環の未熟な状態の方に早めに治療しないとかなり問題が起こって くると思いますので、少し分けて分析をした方がいいと思います。 ○西岡分科会長  むしろこれは我々の方の課題になるのではないかと思います。  松田先生が先ほど来ご指摘いただいていますポストアキュートですが、同じようなDP Cの中で全部扱ってしまっていいのかどうかという課題も今回お話を伺っていた中で出て きたと思います。そのあたりも1つ宿題としてやらなければいけないのではないかと思い ますが、いかがでしょうか。 ○松田委員  やらなければいけないなと思っていることは、やはりDPCに参加されていない病院で 一般病床と言われている病床群があるわけです。そこの機能、全日病で言われている地域 一般病床という考え方だと思います。そこの部分を少しデータ分析させていただく機会が もしあるとすれば、そこから少し施設体系の在り方というのは見えてきて、それが翻って DPC対象病院における分類の妥当性にもつながっていくと思いますので、その辺の検討 が必要なのかなとは思います。  それに関連して言えば、やはり回復リハビリテーション病床という考え方があり一方で、 もう1つ急性期病床があります。ここのところの概念整理みたいなものも必要だと思いま す。そういうところで行われるべき医療は何なのかということも少しやっていかないと、 敗血症にしてもDICにしても議論が混乱してしまうのではないか。その部分をどういう ふうに分析していくかということが課題ではないかと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○山口(俊)委員  鈴木病院のこの症例をずっと拝見しますと、非常に高齢者で、しかもメジャーな病院か ら非常に重大な基礎疾患を持って、例えば癌の術後とか極めて重篤な方を取り扱っている と思います。今、そういう方が癌で亡くなれば患者さんも満足しますが、例えば感染症で 亡くなるというとただではすまないということで、その気持ちは十分分かります。ここに 全体で敗血症の出現の割合が0.47%と出ていますが、今、松田先生がおっしゃったよ うに背景因子を少し合わせて高齢者で、しかも重大な基礎疾患を持ったところは実際にも っと高いのではないかとか、そういう解析はできているのでしょうか。これはこちら側へ の質問ですが。 ○西岡分科会長  多分、その面に関しては我々の方の宿題になって、解析をしなければいけないというこ とになるのではないかと思います。  企画官、コメントはございますか。 ○宇都宮企画官  特に高齢者が多いとか、あるいは乳幼児が多いとか、そういう背景因子を調整するよう なことは今回はしてございません。そのままの数字です。 ○西岡分科会長  では、この面に関しましては我々の方の宿題ということにさせていただきたいと思いま す。どうもありがとうございました。  それでは後発医薬品について議論させていただきたいと思います。最初に医療法人秀公 会あづま脳神経外科病院から御説明をお願いいたします。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  福島にあります、あづま脳神経外科病院です。これから法人のサービスの略歴を説明い たしますが、その前にヒアリング調査票の中にちょっと誤りがありますので、これを修正 してよろしいでしょうか。  ヒアリングの調査票の中に誤りがあるものですから。 ○西岡分科会長  どうぞ、結構です。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  四角の中に記入欄とあります。この中で上から7行目、ここに既存採用医薬品の後発医 薬品への切り換えを「平成18年」と書いてありますが、これは「平成17年」の誤りで あります。訂正をお願いします。  次のページも同じように上から5行目、ここでもやはり「前述のとおり平成18年から 段階的に」とあります。これは「平成17年度」からですので、訂正をお願いしたいと思 います。  それでは我々医療法人秀公会のサービスの略歴を御説明いたしたいと思います。昭和5 9年に108床の脳神経外科の専門病院として開設しております。その後、平成17年に 心臓血管外科、平成19年12月に小児科、平成20年4月から循環器内科を新設してお りまして、現在は脳神経外科と循環器の専門病院ということで地域で診療をやっておりま す。  ベッド数は現在は168床であります。そのうち一般病床は108床、この内訳は急性 期が60床、特殊疾患療養病棟が48床になっています。残りの60床は医療型の療養病 床で回復期病棟をやっております。このような構成になっております。  DPC対象病院としましては平成20年からなっておりますが、これを支える形で老人 保健施設を100床、それから在宅サービスを備えてやっております。複合型施設という ところであります。以上、サービスの概略であります。以上です。 ○西岡分科会長  特に後発医薬品導入に関してご苦労されたところはございますでしょうか。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  我々が後発品に切り換えようと思いましたのは、平成14年になります。そのとき、診 療報酬改定の中で厚生労働省の方で後発医薬品に切り換えていくというような内容の情報 がありましたので、それで後発品に切り換えていくという方針を打ち出しました。最初、 なかなか進みませんでした。ドクターの抵抗も強かったですし、これは進みませんでした が、結局、この方針を決めた理由は、やはり患者さんの負担を軽減したいということと、 どうしても薬品による在庫金額が高くなるということでこういう方針で行いました。ただ、 なかなか進みませんでしたけれども、平成17年から中長期事業計画を作っているわけで すが、その中で目的を落とし込んで、そして年次に展開をして少しずつやっていったとい うところで、その辺が現場に浸透するまでにはずいぶん時間がかかり大変なところもある と思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、続きまして防衛医科大学病院からの御説明をお願いします。 ○望月病院長(防衛医科大学校病院)  病院長の望月と申します。防衛医科大学校病院は国の直属、つまり防衛省の直属の機関 でございまして、国が推奨している目標値をできるだけ実現しようということで努力して まいりました。例えばジェネリックの採用率を数量ベースとして30%にしなさいという 指導があるかと思いますが、平成24年度までに30%まで持ち上げようということで頑 張っておりました。18年度は22%、19年度は24%までいきました。数量ベースで ございますが。  一方、平成19年には財務省の予算執行調査が行われまして、特に防衛省の中の防衛医 科大学校、あるいは防衛医科大学校以外の自衛隊病院、そこにおけますジェネリックの採 用率が低いことが指摘されまして、防衛省全体で医療機関として2億6,000万円強削 減しなければいけない。ジェネリックに変えなければいけないという指導を受けました。 私どもは一般会計下での経営形態でございますので、ジェネリックへの移行を折り込み済 みの予算を平成20年度に財務省から原案提示されまして、これはなりふりかまってはい られないということで、平成20年度に採用率が金額ベースで大きく上がった、そういう 経緯でございます。  一方、制度的には私どもの病院は薬剤部が新規薬剤購入申請を薬事委員会に独自に上げ ることができまして、そのような財政の厳しい折から薬剤部が率先してジェネリックの採 用申請を薬事委員会に出したという経緯がございまして、このような高率なジェネリック の採用に至ったというのが説明でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。続きまして国立大学法人山形大学医学部、お願いいたします。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  山形大学でございます。山形大学はジェネリックの採用率は非常に低いということで呼 ばれたのかということですが、基本的にジェネリックはDPCが始まる前になるべくいっ ぱい入れましょうという姿勢で入れておりました。DPCが始まったときに経営をどうし ようか、方針をどうしようかという話し合いが持たれましたが、基本的には今までの診療 を変えないでいきましょう。自分が信ずる最良の医療をやりましょうという方向でずっと 指導してきております。その結果、ジェネリックに関しましては各診療科に裁量に任され ている。国の方針は分かってはいますが、それを病院としては全然徹底していなかったと いうのが現実でございまして、現状になっております。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは最後に医療法人聖麗会聖麗メモリアル病院からのご 説明をお願いします。 ○岡部病院長(聖麗メモリアル病院)  聖麗メモリアル病院でございます。私どもの病院は茨城県の上の方の県北、そこの日立 というところにありまして、非常に医師不足で田舎の病院で、脳神経外科に特化した医療 をやっています。年間1,500人ぐらいの入院があって、そのうち救急車で運ばれる患 者さんは600人程度で、救急車の搬入件数は1,200件程度で、収容率は大体90% 前後ということで、脳外科の急性期病院としてやっているわけですが、後発品の採用率は 低いという、この1.2%というデータは昨年の準備病院のときのデータです。そのころ はまだ準備病院で、特に診療は変えずにいきましょうということで、先ほどの山形大学と 同じようにお医者さんの方にもその後発品に対する安全性に対する不安とか、あと田舎の 病院ということもあって供給が急性期の患者さんに対応できるだけの、急に必要になった 場合に供給できるかどうかという、そういう後発メーカーに対する不安があって変えてい なかったという状況があります。  去年と今年、DPCの対象病院になってからのデータを比較しますと、4月〜7月のデ ータで比較しますと昨年、平成20年は後発品の使用の割合は1.1%でしたが、今年の 4月〜7月では3.26%です。安全性とか、供給が完全に確保されるかとか、その辺を 見ながら周りの状況も見ながら徐々に後発品を導入しているところであります。導入に反 対というわけではなくて、おそらく今年後半のデータではもうちょっと上がるのではない かと思います。そんな状況です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それではどうぞ御質問を。 ○齊藤委員  非常に後発品の促進に成功された、あづま脳神経外科と防衛医科大学校と両方から御意 見を承りたいてのですが、いろいろな調査で後発品が普及しない理由、筆頭は効果に疑問 がある、副作用の危惧がある。供給体制あるいは会社としての説明行為等に疑念がある。 それから患者さんが必ずしも希望しない。主なところはその4つぐらいです。だけども先 生方のところはかなりの率で導入に成功なさったわけです。導入してみて危惧されていた ようなことは全くの杞憂だったのか。やってみると、本当にこういうことがあるのだと思 い当たるようなことがあったのか。その辺の導入を達成された病院としての経験を教えて いただきたいというのが1つ。  それから医師の抵抗感というのは常に大きいんです。それをどのようにして克服なさっ たのか。導入してみたら案外悪くないではないかというふうな状況に到達なさったのかど うか。1つずつ教えていただけますか。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  正直言いまして全国平均が7.5%、我々の病院が61.4%という数字を見たときに はびっくりしました。これをどう解釈すべきか。いいのか悪いのかというところで少々悩 んでいたわけです。平成19年度の経済財政諮問会議、そこで30%という目標を出して きたわけです。それを見ますと平成19年度は大体国の方針の通りにいっているなと解釈 しました。  ただ、私個人の考え方としては先発と後発の効力といいましょうか、それがほぼ同等で、 しかも安定的供給をしてくれる。最近は安定していますので、この辺は考慮されています が、あとはやはり適応範囲があまり変わらないということであれば、患者さんの負担軽減 という意味ではこれはいいことではないかと思っています。  これを軌道にのせるのに苦労しましたのは、先ほどお話ししましたが、我々の病院は平 成12年から中長期事業計画策定会議をやっています。ここで3年間の目標を立てまして、 計画を組んで、そして部門の年次に落とし込んで、それぞれの行動目標に落とし込んでい くわけです。そのときに一番抵抗するのはドクターですので、ドクターも一緒に参加して 一緒に考えさせたというところはこの導入を、加速的にスピードを上げた理由ではないか なと思います。  あと、この61.4%という数字は、これは今年20年度ですが、実を言いますと平成 19年12月から小児科を新設しています。それから20年4月から循環器内科を併設し ています。そこで大体100品目ぐらいの新しい薬が出てきまして、それをどうするかと いうことで薬事委員会で十分にディスカッションした結果、それは全部後発品でいいので はないかというようなことになりまして、それを入れたということが一気に上がった理由 だと思います。現在は大体50%ぐらいに落ち着いてきてはいます。 ○齊藤委員  事前に危惧されたような不都合はないというのが結論ですよね。それを伺いたかったの です。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  はい。スムーズにいったということです。 ○齊藤委員  防衛医科大学校さんの方はどうですか。 ○望月病院長(防衛医科大学校病院)  先ほど齊藤委員がおっしゃった安定供給、それから安全性の確認、情報提供がちゃんと 迅速にやってもらえるかどうか、それは相当大事だと思います。これは薬剤部が細かくリ サーチしまして、ほかの大学病院あるいは特定機能病院さんが既に入れているというもの から順番に入れていったということがあります。そうしますと各診療科も納得していると いうことでございます。今までまずかったことはございません。 ○佐藤委員  あづま病院さんにお聞きしたいのですが、新規採用については確かにそうですが、一番 問題なのは切り換えのときの患者さん、ドクターの問題だと思うのです。切り換える場合 には医師がしっかり説明した上で、特に患者さんが新規の患者さんのときに先発品から後 発品に切り換えるという形をとられているのですか。それとも患者さんへは、ある時点日 にちを決めて、今日から変わりましたというふうにやられているのでしょうか。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  それは両方です。新規の場合は説明をして、こちらに変えますという話をします。 ○佐藤委員  新規の場合はよろしいのですが、患者さん自身、薬が切り替わるときに非常に不安感を 持つとか、場合によっては心理的に薬の効き方がどうだというクレームが来るので、普通 はAという先発品を使って、治療をやっている最中にBの後発品への切り替えとはしない のではないかと思いますが、その辺はどのようにして、これだけの後発品使用を行ってい るかということです。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  薬剤課長に答えてもらいます。 ○随行者(あづま脳神経外科病院)  薬剤課長の佐藤と申します。あるときにいきなり切り換えるという方法をとっています。 そのときに服薬指導に入るのはもちろんですが、今、ジェネリックという言葉は社会一般 的にかなり浸透していますので、患者さんもすんなり受け入れるということは簡単にでき ています。  切り換えることに関して患者さんの抵抗は思ったよりはなかったというのが事実です。 切り換えることによって狙った効果が出ないとか、そういったことも今までありません。 逆に患者様にとってはジェネリックにしてもらってよかったという声を多く受けています。 患者様もジェネリックでお願いしますということは外来でも薬局でも言えないようなので、 助かったという意見はよく聞きます。 ○佐藤委員  ありがとうございます。ついでに関連した質問をよろしいですか。  このヒアリング調査票の中で17年ぐらいから中期目標でやられたということですが、 その前に、我々も記述を見て驚いたのですが、医師個人とメーカーとの直接的なかかわり を完全に排除して、薬剤師を介して薬品情報を提供するという、我々もやりたいなという ことがされています。具体的にどういうようなことを行っているのでしょうか。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  これは私の経験で、勤務医のころ、MRと医師の癒着というのは結構強いんです。お昼 時間、食堂に行ってみますとドクターが食事しておりますと、MRが並んで壁に立ってい るわけです。その結果何が起こるかというと、あまり言いたくありませんが、いろいろな 関係が起こるわけで、それを私は開業するときに排除したいと思ったんです。一切排除す る。これは薬だけではありません。医療材料も全部そうです。そういうのを一切ドクター と業者との間の交渉はさせない。必ず事務部門、経営部門が入って、あるいは薬剤は薬剤 の方が入って、そしてやっていくという方針を開業当初から出したんです。税務署からの 監査もありましたが、全くそういうことはないねと褒められたような状態です。これだけ は自慢できるなと思っておりますけれども、今後ともそれはしっかりやっていこうと。  ですから、例えばお医者さん、ドクターが医療機器を入れたい場合は1階の事務から上 に入れないんです。事務の中に面談室がありまして、そこでドクターと事務の関係の人が 一緒になって話を聞く。それから薬剤師が入ってきちんと話を聞く。そういうようにして ドクターとメーカーあるいはMRの間のそういう関係を作らないということにしています。 ○佐藤委員  薬剤師の方に聞きたいのですが、そうするとかなり負担が増えますし、MRさんを含め てチェックするためには病棟に常駐するという形で、かなりがっちりやらなければいけな いと思いますが、その辺の人数の対応などは大丈夫ですか。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  事務の受付のところでそれは全部チェックしまして、例えば技術指導とかそういう場合 は現場にMRが行くことは許可しますが、それ以外のことは全部そこでいったんストップ をかけています。 ○佐藤委員  はい、分かりました。  次に防衛医大の方にお聞きしたいのですが、よろしいですか。  防衛医大も我々の文科省と同じで上からのご命令ですとかなり動くというような現状は 分かりました。後発品使用が急激に増えて、特に、19年度から20年度にかけて7.7 %増えたということです。これは抗体医薬品など、大学病院ですから薬価の高いものが次 から次へと入ってきて、それらを採用すると金額ベースでは後発品の割合が、逆に下がる という傾向もあるように見えますが、現在、10%ぐらいを維持しているので、それを更 に数年単位で、また30%ぐらいの金額ベースまで上げろなどと、多分言われる可能性も あると思いますが、その際の方策とか、何かございますか。 ○望月病院長(防衛医科大学校病院)  今のところは毎年毎年、企業努力としてジェネリックは増やしていかなければいけない と思っていますが、到達すべきパーセントは何パーセントかというのはまだ具体的な数値 は持っておりません。 ○佐藤委員  はい、分かりました。 ○相川委員  山形大学にお聞きしたいのですが、調査票の記入欄では「統一的に安全性が確立されて いないため」ということが理由に書かれております。先ほどのご説明でも院長あるいは各 診療科がそのようなことがあるからジェネリックを採用していないというご説明だったか と思います。後発医薬品といえども厚生労働省、それから医薬品医療機器総合機構が調査 をし、承認しているものですけれども、「統一的に安全性が確立されていない」との証拠 はどのようなところにあるのでしょうか。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  私は個人的にそのように経験を持っておりまして、私は放射線科ですから造影剤をよく 使うんですが、造影剤の本質は皆同じ、ジェネリックは同じはずですが、添加物はもとも とのメーカーは全く公表しておりませんので、ジェネリックは違うものを入れたらしい。 その結果、副作用が一時的にすごく増えた例が実際にありました。ありましたので、やは りジェネリックの添加物を評価しないで、それを承認してしまうということは、私はちょ っとおかしいのではないかと思います。  ジェネリックを使う病院がいっぱいあったとき、それをきちんとフォローして、副作用 のデータをきちんと出すということをジェネリックはやっていないのではないか。実際、 MRの担当の人に聞いても全く分からない。自分の売っている薬でもわずか100症例と かそういうことがありますので、私は厚生労働省が認可しているのは分かっているのです が、どうしてもそれを信じられない。正直申し上げて。ですので、長年使っていて治験か ら携わってきた造影剤をずっと使っている、こういうのが真実でございます。 ○相川委員  確かに造影剤あるいは幾つかの薬では添加物等が違うということで、先進の医薬品と違 うところはあったかと思いますが、統一的と書かれた意味はどういうことですか。病院と して、例えばそのような造影剤は使用しないということですが。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  統一的というのは、掛かるところが多分違っているのではないかと思います。安全性が 確立していないために統一的にすべてのところに積極的には導入していないという意味の 文章です。そのように書いたつもりですが、ちょっと場所が。 ○相川委員  「されていないため」の後に点がありますから、文章としては「統一的に」というのは 「確立されていないため」と考えて私は質問したわけです。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  そのとおりでございますが、私も実はこれを出したあとに文章、「統一的」は後ろかな と思って。 ○相川委員  では、これは訂正ですね。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  はい、そのようにさせていただければと思います。 ○相川委員  もう1回お伺いしますが、安全性が確立されていないということがほとんどのジェネリ ックに対してお考えなのか、それとも今言われたような幾つかの経験があったものだから そのように思われているということなのでしょうか。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  非常に難しい質問をされますので答えにくいのですが、100に1個あったらやはり信 じられない、これは私の信条でございます。ですので、造影剤に関して私のところは造影 剤しかないので、ほかの薬は全く知りません、正直申し上げて。ですので、うちでもジェ ネリックは今4.9%、品目数としては、採用はもちろんしているので安全性がありそう なやつというか、問題なさそうなやつはもちろん入れていますが、あとは各科にお任せし ているというのが現状です。ジェネリックにしましょうとか、そういう体制はとっていま せんし。  例えば造影剤に関して言うと、変な話ですが、入院患者さんにジェネリック使って外来 はジェネリックを使わないという施設は結構あります。 ○小山分科会長代理  けっこうあります。最悪のパターンです。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  それはおかしくないですか。入院患者さんは一番具合が悪い人なのに、なぜそれにジェ ネリックでいいんだ。外来はだめなんだ。私はその辺が理解できませんので、私としては 同じようにジェネリックを使わない。もし、これが命令されるのであれば考えないではな いのですが。  あともう1つ、今度DPCが変わりますね。病院係数がなくなる。そうすると嫌が応で もジェネリックを入れざるを得なくなるのではないかと私は危惧しているのですが、その 辺のところができる限り今の状況を全うしていきたいというのが病院の執行部の考え方で ございます。 ○西岡分科会長  1つお伺いしたいのですが、私は今、病院の院長をやっていますが、造影剤はジェネリ ックに変えました。先生のおっしゃるようなことは今のところ起こっておりません。です から初期のころにそういうのはあった……、私は前にいた大学で導入したときにやはり不 都合なものがあって、これは信用できないなというのがあったのですが、それ以後は改善 されてかなり変わってきておりますので、先生の今ご発言のような形で信じておられると、 これからの日本の医療自身が問題になってくるのかなと思ったのですが。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  では私の疑問を。ジェネリックはなぜ入れなくてはいけないのでしょうか。根本的な問 題で申し訳ございませんが、ジェネリックを入れるというのはジェネリックを作っている 医薬品メーカーを救うためなのでしょうか。新薬を開発するための薬品メーカーを支持し た方がいいのではないかと私は思いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○西岡分科会長  お願いいたします。 ○磯部薬剤管理官  難しい質問をあれですが、私は医療課で薬剤管理官をやっています磯部と申します。今 の話にどこまでお答えできるかということがありますが、私は直接中心的にジェネリック の推進を担当させていただいておりますので、私の方から少し考えを述べさせていただき たいと思います。  基本的に今、医療費、OECD諸国平均と比べてまだまだ低いという言われ方いろいろ あるわけですが、やはり34兆円、35兆円という金額が使われていることは事実でござ います。先生もご存じのように医療費の内訳を見ますと、半分ぐらい人件費でございます。 実際に高齢化社会の中では医療費はある程度増えざるを得ないのは仕方がないところだと 思っているわけですが、国民にこれだけのご負担をお願いしている立場から考えますと、 やはり節約できるものは節約をしていくこともしていかないと、これから税金の問題、保 険料を上げる上げないという議論はいろいろあると思いますが、我々行政もそうでござい ますが、医療に携わる皆で節約できるものはしっかり節約をして、必要なものにちゃんと お金を要求していくということはあるべき姿ではないかと思っております。そういう視点 から我々もお願いしているところでございます。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  それはよく理解しています。理解していますが、例えば造影剤の話をさせていただきま すと、外国に比べて倍以上しております、値段が。もともとのジェネリックでないやつが ですよ。それから診療器具、私が使っているカテーテル、心カテで使う道具です。3倍、 10倍というのがあります。これを下げる方がずっと大事ではないでしょうか。ジェネリ ックよりずっとずっと大事だと私は思いますが、いかがでしょうか。 ○西岡分科会長  これは論点が外れますので、申し訳ないですが、先生、後のところはカットさせてくだ さい。違う議論になりますので。 ○磯部薬剤管理官  今の安全性の話だけ申し上げておいて、ほかのご意見があると思うので。  先ほど造影剤でそういう問題が起きたと。そういったことが起きて、それは厚生労働省 の一員として申し訳なく思っているわけですが、確かに製造物である以上、先発医薬品で あっても後発医薬品であっても、そういった不具合といいましょうか、副作用といいます か、そういうことはある一定割合で起こらざるを得ないところはあるのだろうと思います。 ただ問題は、たまたまジェネリックで起きたのでジェネリックが悪いのではないか、こう いう御指摘だと思っております。それについては、我々の姿勢としてはきちっとその原因 を究明して、一体何が本当に問題で起こったのか。先生がおっしゃるように添加剤の問題 であったのかどうか。そういうことについては追求していかなければいけないと思います ので、そういう事例がある場合には私どもの方に御報告いただきまして、我々は徹底的に 調査いたしまして、何が原因であるかを調べていきたいと思いますし、そういうサイクル がございますので、そういった点をご活用いただきたいと思います。  また、承認審査に当たりましては諸外国も皆そうでございますが、ジェネリックは先発 医薬品と同等だということは治療学的に同等ということを検証しております。体にとって 不活性成分である添加剤については、どの国も先発品と同じものを使えといっている国は アメリカであってもヨーロッパであってもないのが現実でございます。ただ、今までほか の薬剤で使われていないような添加剤を使うということは問題でもございますので、ジェ ネリックにあってもほかの薬剤で使用経験であって、これが人体にとって安全なものであ るということは確認されたものしか現実には使っていない、そういうものしか認めていな いというのが実状でございます。  現時点では添加剤の御指摘もあるので、どういう添加剤を使っているのか、先発品であ っても後発品であってもきちっと情報開示をして、あとで原因が解明しやすいような形に 努めているところでございますので、いろいろなことがあろうかと思いますが、1つジェ ネリックでそういうことがあったから全部のジェネリックがだめだというのもある意味で はサイエンティフィックでちょっとどうかということもあります。そのものの問題として 原因の究明、改善に努めることかなと思っています。 ○邉見オブザーバー  ちょっと失礼しておりました。18年改定から20年改定に日本医師会も苦渋の決断を したと思います。日医は今までジェネリックにはあまり賛成でなかったのですが、20年 改定で賛成したわけです。それはなぜかというと限られた医療費の中でやはり技術料とか、 チーム医療とか、いろいろなシステムとか、救急とか、もっと大事なものがあるだろう、 薬より。そういうことで苦渋の決断をされたと思います。我々も同じようなことで賛成し ました。自治体病院でも、薬事委員会とかいろいろやっていますと、やはりドクターはな かなか賛成しない人がいっぱいおります。その中でも私も磯部管理官に申し上げたのです が、医学薬学教育の中でジェネリックというのは1行も1コマもない。その辺のところも 直してほしいと申し上げましたが、「それは別の省ですね」、という話になってしまうわ けです。いわゆる縦割りということです。それも1つあります。  私は、「最後は院長がジェネリックじゃないか」とばかりに言われましたから、私とし てもつらいものがありました。だから、そういうふうな世間一般がまだジェネリックとい うものを認めていない、薬剤師も。あるいは事務は薬価差が少ないとか、いろいろなこと を言って進まないわけですが、諸外国と比べますと数量も金額も皆低いですし、ベースで。 だから一番の問題は薬価委員会でも出ましたが、出ましたが、DPCの一番初めに入って いる大学病院、特定機能病院が進んでいないんです。やはりこれは……。どこの病院も大 学にしばらくいて来る人が多いわけですから、そこがちゃんとやらないとジェネリックが 進まないんです。そうしますと国策に反している国立大学ということになりますので、ぜ ひその辺のところはお考えいただきたいというふうに思います。我々自治体病院も適切な 技術料の為に薬剤費を下げる努力をしているのですから。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  今、国立大学ではないですね。国立大学法人でございますので、文科省あるいは厚生労 働省の話はできるだけ聞くようにはもちろんしていますが、病院の方針としてどうかと言 われますと、これは帰ってからきちんと協議してからでないとお答えできませんが、基本 的に診療内容を病院としてこれを使えということは病院の管理者としてはしない方針です、 我々としましては。ですから、薬事委員会でジェネリックを、これを使いましょうという のを決めていただければそうなりますから、薬事委員会の方針がどうなるかは薬事委員長、 後ろにいますので一言だけ。 ○随行者(山形大学医学部附属病院)  先ほども副院長がおっしゃったように我々は全く使わないと言っているわけではないん です。安全が確立すれば、それは1増1減で医薬品を採用しておりますので、それに則っ たように協議をしていきたい、このように思っております。 ○辻村委員  細矢先生にお考えできれば幸いですが、新薬と後発で相当明確に安全性の面ではっきり した御見解をお述べになっていると思いますが、先生のお立場から後発医薬品、信頼性を 得るためにはどこが欠けているというお考えなのか。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  基本的には認可されているわけですから安全だという許可を与えたのだと思いますが、 その許可を与える段階で、例えば新薬の場合は治験を何例かやって、その後ずっと市販後 調査を相当やりますね。その例数からいってほとんどその後のデータがないのではないか と私は思います、ジェネリックに関しまして。やはり同等のものがあるということをきち んと出すのがジェネリックとしてもやはり必要なのではないか。私はそう思っていますが、 いかがでしょうか。 ○磯部薬剤管理官  そこら辺の話は私の方からしたいと思います。ジェネリックも治験をやっています。い わゆる生物学的同等性試験というのは、健常人でGCP適用されている薬事法上の治験で ございます。ただ、含まれている有効成分は長年使用され有効性、安全性は確立したもの ということですが製剤が違う。違うメーカーさんが違うラインで作りますので、製剤とし て同等かどうかという問題になりますので、製剤としての同等性をヒトで検証いたします。 患者さんに投与して、薬物動態をみると、非常にばらつきますので統計学的な処理をする と、ものが言えるか言えないか分からないということで、なるべく均一な集団である健常 人で製剤の違いがどうかということを確認する試験をやります。同一有効成分で、製剤の 違いの同等性を検証しようとする場合には世界的にそういう試験法が適切だとされており まして、これはアメリカもヨーロッパも同じ基準でございます。  それは市販後調査の話でございますが、新薬の場合、熱心にやりますのは新たな有効成 分が初めて医療現場で使われますので、それはどういう事象が起こるか分からないという ことがありまして、未知の事象をいかに拾うかということで、特に重点を置いて市販後調 査をやるという形になってございます。それが10年以上使われてきておりますので、新 薬メーカーでもその時点では一般的な、ドクターの方で使われて、副作用があったことは ちゃんと報告いたしますが、それ以上の能動的な調査は通常行われません。その一般的な 副作用報告を受けて、それを集めて厚生労働省に報告をし、また改善が必要であれば添付 文書の改定等を行う義務については新薬メーカーも後発メーカーも薬事法上は同じ義務が かかっております。先発メーカーが対応したことは後発メーカーも対応しなければいけま せん。安全性確保の面では全く同じレベルがされております。もしそれが十分にできてい ないメーカーさんがあったら、是非お伝えいただいて、それについては改善を求めていき たい、そういうふうに思っています。 ○池上委員  ちょっと話題を変えてよろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  はい。 ○池上委員  それではこの4つの病院にそれぞれのDPCの調整係数を使わせていただければ、それ から特に後発薬剤比率が高かった2病院についてDPC対象病院になった以後、そのため に後発品割合を意識して下げられたかどうか。この2点をお願いします。 ○西岡分科会長  DPCの病院調整係数とDPCを導入してから後発医薬品を新たに増加させられたか、 減少させられたかということです。 ○随行者(あづま脳神経外科病院)  調整係数は1.0133です。 ○望月病院長(防衛医科大学校病院)  正確な値は忘れましたが、大体1.1ぐらいですと思います。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  全く覚えておりませんので分かりませんが、調べていただければと思いますが、調整係 数がどうだから、こうだからと診療方針を変えたことは全くございません。 ○岡部病院長(聖麗メモリアル病院)  うちの病院は調整係数は1.1768で、DPCになってから後発品を入れるというの は厚生労働省方針ですので徐々に入れていっているところであります。 ○西岡分科会長  DPCになってから後発品を入れるというのは、厚労省の方針ではございません。国全 体が後発医薬品を採用してほしいということで、DPCに入ってから後発医薬品を増やさ れるというのはルール違反になります。そこをご理解ください。 ○岡部病院長(聖麗メモリアル病院)  分かりました。安全性が確認されているというのはよく分かりますが、田舎の病院で特 殊な治療というか、脳疾患だけに特殊な治療をやっているということで後発品メーカーの 供給ルートというか、安定供給を望むところで、あづまさん、美原さんの方でできている ということなので、おそらく供給の面でも問題はないのではないかと思いますので、その 辺はメーカーと協議しながら徐々に入れていきたいと思っています。 ○小山分科会長代理  山形大学の先生にお伺いしたいのですが、先生のところの外来調剤は院内ですか、院外 ですか。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  外来調剤に関しましては実はずっと院内でしておりました。院内は70%ぐらいで推移 しておりましたが、実は再整備で調剤する部分が全くなくなりまして、そういう物理的な 問題で今、95%ぐらい院外かと思います。 ○小山分科会長代理  その院外の中で後発品不可のサインがあるのはどのぐらいのパーセンテージですか。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  それは私はよく分かりませんが、ないのではないかと思いますが、いかがですか。 ○随行者(山形大学医学部附属病院)  あまり差異はないはずです。調剤薬局の方であとは判断します。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  外来では多分そういう不可というのは患者さんの希望がない限りはつけていないだろう と思います。 ○小山分科会長代理  もう1つ、我々が絶対に守らなければならない療養担当規則というのがあります。その 中に後発品の使用を努めろという項目があります。先生のお考えは執行部としてそれはし ないというお話ですが。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  執行部として病院全体にそういう規制はしないということでありまして、各先生にそれ はお任せするということでございます。診療科です。 ○小山分科会長代理  では先生はしないんですね。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  私はですか。私はしたくありません。 ○西岡分科会長  今の細矢先生のお話を聞いていますと、私も大学にいたから分かるんですが、大学の一 番いけないところを先生は主張されているような気がします。大学病院といえども国民の 医療を担当している病院ですので、各診療科の長、いわゆる教授です。教授が勝手にやっ ていいなんていうルールはどこにもないはずなんです。だから、やはりそこのところはも う少し用心して御発言いただけると非常にありがたいと思うのですが。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  例えば病院長にしろ、副院長にしろ、自分の診療科に関しましてはよく分かっています が、ほかの科の診療に関しては分かりません。基本的に。 ○西岡分科会長  先生、それは病院として恥ずかしい発言ですからやめてください。病院として1つの統 括をされているのが病院長ですし、その下にいろいろな委員会があって、いろいろなこと をやられていると思うんです。そういうシステムが働いていないということを先生はおっ しゃっていることになります。 ○細矢副病院長(山形大学医学部附属病院)  そんなことはございません。きちんと薬に関しましては薬事委員会で1つの効能に関し てできるだけ少ないものにしよう。うちは非常に少ない薬剤品目を買って医療安全にはす ごく貢献していると私は思います。そのときにその中にジェネリックが入っているのが今 の段階では4.9%、こういうことでございますので。努力していないわけでは決してご ざいませんし。 ○相川委員  確認でよろしいですか。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○相川委員  先ほどの質問で院外処方をするときに後発品不可にチェックが入っているかどうかとい う質問で、ほとんどないとおっしゃったんです。ですけど、その前には後発品は安全性が 確立していないから信用していないと。安全性が確立していないから信用していないのだ ったら、そのお医者さんが処方する処方箋で後発品はだめと言うべきなのに、後発品不可 にほとんどチェックしていない。そこのところは何かの間違えではないですか。理解でき ないんです。  つまり病院として、あるいは診療科の医者が後発品の安全性は確立していないからとい うことを信じているのならば、その人たちが処方する時に安全性が確立していないから、 出すなとチェックをするのが普通だと思うんですが、それはほとんどしていないと。どこ か間違っているのではないかと思います。 ○西岡分科会長  言葉の端々を取り上げているところもあって、かなり細矢先生も矛盾してきているとこ ろがあります。もしかまわなければ大学の方にお持ち帰りいただきまして、後発医薬品を 病院全体としてどういうふうにするのか。やはり絶対に使わないという形にされるのか。 日本の国策上、それを導入しようとされるのか。しかも、それによって先ほど邉見委員が おっしゃってくださったような形で医療費の再配分をしようというふうなこともございま すので、ぜひともお持ち帰りいただいてご議論をお願いできればと思います。これ以上進 めますと混乱しそうな気がいたしますので、誠に申し訳ございませんが、よろしいでしょ うか。  その他に何かございますか。 ○松田委員  元に戻ってしまうのですが、DICとセプシスのところに戻らせていただきたいと思い ます。お聞きしたいのですが、スコアを入れるとか、症状詳記のところが入れているよう なものを例えば様式1とか、EFファイルに追加で入れていただくということはかなり手 間になりますでしょうか。  それはよろしいでしょうか。そういう提案をさせていただいたときに、もし現場の方が 非常に負担が多くなるというのであれば取り下げようと思いますが、今ずっとDICに関 しても敗血症に関してもずっと混乱が生じているので、もし可能であればその根拠となっ た条項を様式1とか、EFファイルに症状詳記として入れていただくことがもしできれば、 その事後の評価はかなり楽になるので、これは現場の方の負担感も配慮しなければいけな いのでと思います。いかがでしょうか。 ○美原委員  個人的にはそれはあまり負担ではないと思います。というのは、例えば我々の領域です とt−PAがあります。t−PAは入ってきたときに全部評価しないといけません。そう ではないと、その薬を使えないわけです。NIHSSスケールをつけて、そして何点以上 だからどうだとか、そのときのデータが全部出て、それがカルテに記載されて初めてt− PAが使われるわけです。  それに比べればDIC等々に関しての検査データをカルテに記載することは全く問題な いと思います。おそらくt−PAを使う方がよほど手間がかかると思います。 ○小山分科会長代理  それは大きな病院ではとても大変だと思います。松田先生の気持ちはとてもよく分かり ますが、ただ実際に今回来ていただいた病院というのはある意味でアウトオブレンジなわ けです。アウトオブレンジに合わせてしまうと、一生懸命にやっている病院が全部その努 力をしなくなってしまう。そこのところを考えていただかないと。だから今日来ていただ いたところはアウトオブレンジだということを認識していただいて、ではどうするかとい うことを考えていただくことが一番大事だと思います。これがいいんだというのなら、も ちろんそれは続行していただいてけっこうですが、やはりおかしいなと思うのだとしたら 戻していただければ、わざわざその法律を作らなくてすむと思います。  今一番問題なのは、どんどん細かく入っていっているので、松田先生の気持ちはよく分 かるのですが、我々の医事課はもう音を上げて、これ以上は許してほしいというのが実は 医事課からの依頼です。 ○松田委員  もともとDICというのは症状詳記のところに書いていたと思います。それを使わせて いただくということはどうかなと思ったんです。DICはセプシスとか問題になるやつで いいと思いますが。 ○小山分科会長代理  入れるとすれば逆に症状詳記は必ず書くところがあります。そっちへ書く。様式1とい うと、またそれを取り除く、あるいはそれを代筆されるとなると、それを取り払わなけれ ばならないという話になります。 ○西岡分科会長  この問題はどこへ入れるか。いずれにしてもそういった情報が必要になってくることは なってまいりますので、それを現場の方々の負担が少ないような形で、どこかへ入れなけ ればいけないだろう。そこはまた我々の方で様式1のところで議論いたしますので、そこ のところで議論させていただきたいと思います。 ○酒巻委員  もうあまり時間がなくなってきているので手短に。今回、DPCコーディングツールを 皆さんに提出していただいて、DPCコーディングツールにはまだまだ多くの問題がある のではないかということでお書きいただいた点ですが、2点皆さんに手を挙げていただき たいと思います。手を挙げていただいたからといって質問はしませんので、お手を挙げて いただければありがたいと思います。  第1点目は、医師がコードを確認するようなツールとしてDPCコーディングツールが 作られているというシステムをご存じのところはいかがでしょうか。  それ以外のところは医師は見ないということですか。  2点目は、病名と処置等を幾つか入れると複数のコードが付いてくるといいますか、点 数付きで上がってくるというシステムをご導入のところはいかがでしょうか。  1か所だけでしょうか。  では、後で別の方法から調べます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。このツールの問題もあるので、これも是非とも検討しなければ いけないと思っていますが、ほかによろしいでしょうか。 ○伊藤委員  せっかくの機会なので。あづま脳神経外科病院さんに教えていただきたいのですが、使 用薬品リストを見ると見慣れない薬品が多く並んでおりまして、新任の医師が来たりとか、 医療連携でほかの医療機関との連携をとるときに、この薬の名前をそのままお書きになら れたりすると分からない。相手方も大変なのかなと思います。何らかの工夫をされている。 そうでないと病院連携がうまくいかないのではないかと思いますが、どんな工夫をされて います。 ○辺病院長(あづま脳神経外科病院)  確かに変わるものですから、薬品名が覚えられないというところは問題としてあります。 ○随行者(あづま脳神経外科病院)  地域連携としては、後発品の名前のまま出していますので、相手先も御苦労されている のではないかと思います。当院のドクターに関しては一気に何百品目と変えたわけではあ りませんので、毎月5品目ずつとか、6品目、7品目と、とりあえず覚えられる許容範囲 ぐらいで徐々に変えていっていますので、院内での処方も後発品の方、名前が浸透してい ますので、今のところ問題はない形です。 ○伊藤委員  当直のアルバイトの方がおみえになられたときとか、実際にこういう名前で一番問題に なるのは、薬の取り違えなどの事故が起きる可能性はないのでしょうか。 ○随行者(あづま脳神経外科病院)  名前が似ていて取り違える可能性というのはまず選定するときにそちらを考えますので、 今のところはないです。ただ、外から来るドクターはやはり名前が分かりませんので、外 来と救急外来には先発と当院の採用の後発品、両方から調べられるようなリストは作って 置いてあります。 ○木下委員  今日の皆様方のご意見もさることながら、実は鈴木病院のゼプシスのデータは確かに不 充分なところがありましたが、鈴木病院の役割を考えれば実際にこういうこともあるかな と思いました。しかし、急性期病院の例えば東大、慈恵、聖路加などすべて鈴木病院のよ うな受け皿病院がなければ急性期病院は成り立たないわけです。急性期病院の受け皿病院 としての役割は極めて大きなものだろうと思います。そういうような50床ぐらいの病院 がDPCに入ってきた。そういうときに今までのDPCの仕組みでいわゆる大学病院でや っているような急性期の仕組みと同じように考えていいのかという問題があると思いまし た。ですから、松田先生がおっしゃったようにセプシスそのものが新生児のセプシスなの か、あるいは老人のセプシスなのか違うと思いますし、そういったときに鈴木病院のよう な中小病院が受け皿病院として成り立っていくためにはどういう仕組みが本当はいいのか、 これは実に大事な問題を提起されたように思います。単にセプシスの調査をして、これは 問題だということではなくて、鈴木病院のような小規模な受け皿病院がDPCに入ったと きに、どうやってそれが成り立っていくかということの仕組みを是非この際考えるべきで はないかと痛感いたしました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。これはいろいろな方々からの今日のディスカッションの中にも 特にポストアキュートという名称でご提案いただいておりますので、この分科会でもやは り練り上げなければいけませんし、実際にはもっと上の機関のところで日本の病院の機能 分けですね。そういったところでもご議論をいただかなければいけないのではないかとい うふうに思っております。 ○佐藤委員  ジェネリックの問題ですが、今日のあづま病院さんを見てもそうですが、やはり薬剤師 の活用をしっかりしていただくことがうまくいくのではないかと思っております。実は私 のところも昨年度から急激に増えた段階で山形大学病院みたいな状況は確かに起きていた のですが、やはりトップのしっかりした判断と薬剤師が全部その面倒をみるということで、 システム上すべてやりましたので、そのことがジェネリック薬品に対する対応をスムーズ に進めたのではないかと思いますので、ぜひその辺の活用もよろしくお願いしたいと思い ます。以上です。 ○西岡分科会長  ジェネリックの問題に関してはまだまだ議論が続くかもしれませんが、ここで打ち切ら せていただきたいと思います。  医療機関の先生方、お忙しい中をお時間をとっていただき、本当にありがとうございま した。事務局から何かございますか。 ○長谷川補佐  1点資料の修正がございます。本日お配りした座席表ですが、ヒアリング発言者の徳島 市民病院の露口先生と鈴木病院の鈴木先生の順序が逆でございました。私どものミスでご ざいました。大変失礼いたしました。  次回の開催でございます。事前にご連絡しておりますとおり明日9月25日金曜日9時 半からこの会場で開催いたします。  最後、もう1点でございます。繰り返しになりますが、本日、机上配布しております参 考資料は個人情報が含まれておりますので回収いたしますので、よろしくお願いいたしま す。事務局からは以上です。 ○西岡分科会長  それでは平成21年度第9回診療報酬調査専門組織(DPC分科会)を終了させていた だきます。どうもありがとうございました。 −了− 【照会先】 厚生労働省保険局医療課包括医療推進係 代表 03−5253−1111(内線3278)