09/9/18 第56回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年9月18日(金)10:45〜12:30 2 場   所   全国都市会館 第2会議室(3階)  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 庄司洋子委員 森田朗委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 小林剛委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 <事務局>          外口保険局長 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○新薬の薬価算定等について          ○特許期間中の新薬の薬価改定方式について ○遠藤部会長  それでは、委員の皆様御着席でありますので、ただいまより、第56回中央社会保険医 療協議会薬価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告をいたします。  本日は、牛丸委員が御欠席です。また、松谷専門委員が御欠席です。  なお、審議官は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に移らせていただきます。  本日は、初めに「新薬の薬価算定等について」を議題といたします。  事務局から資料が出されておりますので、まず事務局からの説明をお願いしたいと思い ます。よろしくお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  私のほうから資料の説明をさせていただきます。  まず、薬−1の資料をお出しいただきたいと思います。  議題の1の「新薬の薬価算定等について」、今回大分資料を用意させていただいており ますけれども、前回の改定時にもお出しさせていただいておりますが、平成20年度薬価 制度改革以降の新薬の算定の状況につきまして、それ以前の状況とそれ以後の状況でどう いう状況にあるかということについてまとめた資料。それから7月15日の薬価専門部会 で、薬価算定組織からの意見書が出ておりますけれども、それに対する対応の方向性をど うするか。それから製薬業界からの意見についても出ておりますので、その取扱いをどう するか。大きく言いますと3つのパートの資料を用意させていただいております。  1枚おめくりいただきまして、「平成20年度薬価制度改革の骨子」でございますけれ ども、19年の12月14日に中医協了解された文書でございます。その中ではどのよう なことが決められたかということ、おさらいでございますけれども、「基本的考え方」と いたしまして、革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略を踏まえまして、革新的 新薬の適切な評価に重点を置き、特許の切れた医薬品については、後発品への置き換えが 着実に進むような薬価制度として、これを基本方針にとりまして、新薬についての薬価算 定については、その下にございますような具体的内容を決めていったわけでございます。  「類似薬効比較方式」につきましては、新薬の算定薬価が外国平均価格と比べてまだ低 い現状をかんがみて、比較薬を取る範囲の問題、それから加算率、要件の問題についての 改正を行っております。  それから「原価計算方式」につきましては、革新性にかかわらずほぼ外国平均価格の算 定になっている状況をかんがみまして、既存治療と比較した場合の革新性、有効性、安全 性の程度に応じまして、営業利益率についてプラスマイナス50%の範囲内でめりはりをつ けた方式をとるということが決められているわけでございます。  少し飛びまして7ページをごらんいただきたいと思います。具体的な加算率の変更の程 度については、別紙でそこにおつけしているとおりでございまして、要件の緩和の部分と 率の変更という部分をごらんいただけると思います。7ページから8ページに至るもので ございます。  続きまして、そういう改革を行いましたけれども、それ以後どうかということの資料を 薬−2−1で御説明をしたいと思います。  類似薬効比較方式で算定のものと原価計算方式のものとを分けて資料をつくらせていた だいておりますが、薬−2−1は類似薬効比較方式で算定された新薬の状況でございます。  この分析におきましては、前回の改定にしてもそうでございますが、どういう指標と比 較することが適切かということでなかなか難しい部分がございますけれども、いつも外国 平均価という話もございますので、簡便に比較できるものといたしまして、外国平均価格 との比較で分析を行っているものでございます。  一番下のカラムをごらんいただきますけれども、20年4月から9月収載分につきまし て、類似薬効比較方式で算定された新薬の成分数、全48成分、全体新薬で76成分ござ いましたけれども、そのうちの48成分が類似薬効比較方式で算定されまして、その中で 外国価格との比較が可能なものが26成分ございました。  ここに書いてございますように、こういう区分けができるわけでありますが、外国価格 があっても、そもそも一価格のみしか価格がない、なかなか価格の比較ができないという ものはございました。それは除外させていただいております。それから、そもそも外国価 格がないものということで、外国と比べて日本の商品が一番早かったというようなもので すとか、同一成分の承認はあるのだけれども、同一の規格がないので厳密な比較がなかな かできないということで除外したものがございます。  結果的に言いますと、上の棒グラフをごらんいただきますと、全体の平均で申し上げま すと、対外国価格の平均値で90.2%という状況で、大体外国平均価の1割程度低めの 数字でございます。  その下のカラムに、比較薬の収載から当該新薬の収載までの期間、前回10年以内を原 則とするということになりましたので、その比較薬については余り古い薬が入ってこなく なったということでございます。その結果、当然後発品の有無も、ないものが比較薬でも 大体とられたということでございますが、前回の改定のときにはお出ししておりませんで したけれども、ドラッグラグの問題がいつもこの薬価部会では議論がされておりますので、 これらの新薬につきまして、外国で最初に承認されてから日本で承認されるような期間が 具体的に何年かかったのかということについて資料をおつけしております。  ごらんいただきますと、短いものもございますけれども、長いものについては非常に極 端に長いものは40年遅れとか21年遅れとか、そういうものが少し散見される状況でご ざいます。  その裏からは個票でございますが、説明はちょっと省略させていただきます。  薬−2−2でございますけれども、今と同じような形式で平成20年度薬価制度改革前、 具体的には平成18年4月から平成19年12月収載分、すべての新薬で82成分ござい ますけれども、そのうちの類似薬効比較方式の分としまして32成分の分析をしたもので ございますが、ごらんいただきますと、あにはからんや、同じ数字でございまして、対外 国価格の平均値としまして90.2%という数字になってございます。  続きまして、薬−2−3をごらんいただきたいと思います。今度は原価計算方式につき まして同じような分析を行っております。最初に20年の薬価制度改革以降のものという ことで、20年4月から21年9月収載分までをまとめておりますが、同じような分析を して、全体で23成分原価計算方式のものはございましたけれども、そのうちの外国価と 比較できるものとして12成分の分析を行いまして、見ていただきますと、対外国価の平 均値で100.0%という数字になってございます。  これにつきまして、それ以前の状況との比較でございますが、薬−2−4でございます が、同じように分析したところ、それ以前としては対外国価の平均値として96.2%と いうことで、若干上がったというような状況が読み取れるかというふうに思っております。  これにつきまして特に事務局のほうでは、先ほど最初に申し上げたとおり、特に類似薬 効比較方式のものにつきましては、外国平均価より少し低めの状況であるということで、 加算率等の改善を行ったところでございますが、結果を申し上げますと全く変わらなかっ たという状況がこの資料から読み取れるわけでございまして、それの効果がなぜ出なかっ たのかということの分析を、薬−3の資料と薬−4の資料で事務局なりに分析した資料を おつけをさせていただいております。  まずは補正加算の適用状況が実際どうであったかということでございますが、薬−3の 資料で、1枚おめくりいただきまして1ページと書いてございますが、平成20年度薬価 制度改革前後における加算率の適用状況の比較ということでございます。  そこで類似薬効比較方式については、ここに書いてございますように率等を上げたわけ でございますけれども、ごらんいただきますと、制度改革前と制度改革後で見ていただき ますと、加算成分数の率的には、若干よくなったというかほとんど変わらない、このよう な状況でございますけれども、大きく違いが見受けられますのが加算率でございます。  加算率については、上限を上げたわけでございますけれども、特に制度改革後につきま してはA5、これは5%の加算率という意味でございますが、これが12成分と、非常に 多く、この低い加算率で適用されたものが多かったというところが読み取れるかと思いま す。その影響で、加算率について上限を引き上げましたけれども、有用性加算(ii)につ いては11.2%のアベレージが8.9に落ち込んでいる。有用性加算(I)を入れ込ん でも15.0が11.7になっているということで、加算率そのものは低めになったとい うことが読み取れるかと思っております。  これがどうしてかということで分析をしておりますが、1ページの上のところに書いて ございますが、今回の20年4月以降の新薬の中には既存品を改良したようなものが非常 に多かったというふうに私ども思っておりまして、具体的に申し上げますと3ページでご ざいます。  3ページに今の有用性加算が適用されたものについての個票をおつけをしておりまして、 どういう薬剤で何%ついたかを全部リストアップさせていただいておりますが、これは順 番は、上から加算率が高かったものから順番に並べておりまして、ごらんいただきますと 10番のスーテントカプセル以降が有用性加算(ii)でAが5%のものというものがそれ 以降になってございます。  ごらんいただきますといろんなものが加算になっておるわけでございますが、例えば1 3番のメノエイドコンビパッチでいけば、これはもともと更年期障害の薬でございますけ れども、いわゆる内服薬だったものをパッチ剤に変えたというようなものでございますし、 例えば16番で申し上げますと、前回の総会で非常に御議論がありましたが、トレリーフ 錠ということで、同一有効成分のものを癲癇の薬からパーキンソンの薬に変えたというも のでございまして、薬価が非常に高くなったのではないか、そういう御指摘をいただきま したけれども、加算率としても一種の改良品的なものということで5%という低い加算率 が適用されたというものでございます。その下の17番のジスロマックというもの、これ も用法、用量を変更したものでございますし、クラビットも同じものでございますが、そ ういったものが少し数多く入ったがために、5%しか適用されてなかったものがふえたの ではないかというふうに私どもとしては思っているところでございます。  また1ページに戻っていただきまして、下のほうの原価計算方式でございますけれども、 これは新しく導入をいたしました営業利益率について加算、減算を用いるということでご ざいますが、対象になったものが23成分中11成分ございまして、減算されたものが1 成分、プラスになったものが10成分あったという形でございます。  これの加算の平均値を取りますと、プラス16.8%でございますが、これはこの当時 の営業利益率の計算上は、全体の製薬産業の平均値を取りまして、19.2%ということ で、それに対するパーセンテージでございますので、営業利益率の平均でいきますと、こ の分を入れますと22.4%になり、これを薬価との比較で申し上げますと、薬価ベース では4.2%の加算に相当するというレベルでございます。  続きまして、2ページをごらんいただきたいと思います。そのほかの加算でございます が、市場性加算につきましては、適用対象の拡大と加算率上限の引き上げを行ったりもし ておりますが、特に適用対象の拡大が効果がございまして、加算成分数がふえたという状 況でございます。特に制度改革によって適用になったものが10成分中6成分あったとい うことで、かなりふえたということが読み取れるかと思います。ただ、加算率につきまし てはさほど上がらなかったということで、平均の3%が5%の加算、市場性加算(ii)で そうなりまして、市場性加算(I)でも10%が11.3%と、加算率的には余り変わら なかった状況が読み取れるかというように思っております。  ほか、小児加算でございますけれども、小児加算についても加算率を引き上げまして、 また適用対象についても拡大をいたしましたが、これも適用対象の拡大によりまして対象 になった成分数がふえ、また加算率で、高い加算率を適用されたものもございましたので、 平均で見ますと5.0%が10.0%の加算率に引き上がったということで、この点につ いては加算率の引き上げがほぼそのまま結果にあらわれているという状況かと思っており ます。  逆にキット加算につきましては、従来、新キットという認定がされますと、一律Aが3 %の加算が認められておりますが、この体制で新規性が認められる場合のみ加算というこ とで限定をかけました。そのかわり、それが認められたものについては5%を適用すると いう状況でございますが、その結果、加算された成分は大分絞り込まれまして、前は6成 分あったものが1成分に激減したという状況でございます。という状況が読み取れるかと 思っております。  それで、3ページ以降につきましては、先ほど私が申し上げた点で、具体的にどの品目 がどうであったかということの個票でございますので、説明は省略をさせていただきたい というふうに思います。  それから、続きましてもう1つ、薬−4でございますけれども、常々日本の薬価は欧米 の薬価と比べまして、日本だけが薬価が下がり続ける、欧米の国はそうではないのだとい うような御指摘が、特に産業界を中心に御意見をいただいているところでございますが、 それについては私どもこれまで分析をしたことがございませんでしたけれども、今回の類 似薬効比較方式のものが変わらなかったという状況を受けまして、一度分析をしてみよう ということで、この20年4月から21年9月収載分の新薬につきましてそのような分析 をさせていただきました。  どのような分析をしたかといいますと、類似薬効比較方式で算定された新薬の、いわゆ る日本と欧米とのいわゆる引き下げ率、変化率がどういうふうに違うのかということの分 析でございます。新薬ですと日本の変化率が出ませんので、それを算定するベースの比較 薬、その比較薬の1日薬価でほぼ新薬の薬価は決まりますので、その比較薬の薬価と、そ れからそれの同じ薬の欧米での価格の変化率がどうであったかを調べております。  ちょっとそのグラフの下のほうに書いてございますけれども、分析いたしましたのは平 成17年から21年までの薬価と外国のリスト価格を取っている。つまり5年間取りまし て、間としては4年分の変化があるわけでございますけれども、それを取っております。  それで、欧米の価格変化率につきましては、現地通貨ベース、いわゆるレートの変動を 受けないように、現地の通貨ベースだけで変化率を取ってまいりまして、5年前、4年前 と来ますが、その間の変化率を年ごとに各国ごとに計算をいたしまして、それで各国ごと に5年間の平均を求めた上で、欧米4カ国の変化率の平均値をここにプロットさせていた だいております。  それで、ごらんいただきますと、横軸に日本の年平均薬価変化率を取りまして、縦軸に 欧米の年平均価格変化率を取りますと、ごらんいただきますと日本はすべて下がっており ますが、欧米のものについては上がっているものがかなり多くなっているという状況が見 て取れるかと思います。  2ページをごらんいただきますと、先ほどのは若干定性的な部分でございますが、定量 的に、日本の変化率と外国の変化率の差、つまり言ってみれば毎年どのくらい差がついて いくのかということの平均値でございますけれども、この分析が可能であった23成分に つきましてごらんいただきますと、大きいもので毎年8.5%の差がついていくものから、 欧米でも下がって、1.5%逆の意味での差がついているというようなものから、バラェ ティーに富んでおりますが、特に日本との差が大きくなっていくものについてはどういう ことがあったのかということで分析をいたしますと、アメリカが非常に引き上がっている ものが多いものですから、米国の影響をかなり受けていて、この4カ国の平均を取った場 合に出ているということが読み取れるかと思っております。  それで、3ページ、4ページに、欧米4カ国と一くくりに申し上げましたけれども、ア メリカ、イギリス、ドイツ、フランスで、各国で少し様相が違っておりますので、各国ご とに個々の薬ごとのデータをここにおつけをしております。  どういうふうにごらんいただきますかというと、例えば1番のラミクタールでごらんい ただきますと、これが新薬でございます。それの比較薬、つまり分析の対象になった薬が その比較薬のトピナ錠でございまして、トピナ錠についての、日本では新薬を算定すると きの薬価がそこに書いてございますが、これの5年間の薬価の変化率がマイナス0.9% ということでございます。欧米では4カ国の平均で2.6%の引き上げになってございま すが、これはアメリカが7.3%の引き上げ、イギリスは1.2%の引き下げ、ドイツは 4.4%の引き上げ、フランスは0.0%と変わらなかった。外国でも後発品があるかど うかも分析しておりますが、すべてなかったという状況で、そのような形で全部分析を入 れておりまして、逆にこの分析については、アメリカならアメリカ、イギリス、ドイツと 縦にごらんいただくほうが分かりがいいので見ていただきます。  例えばアメリカの欄をずっとごらんいただきますと、アメリカはほぼこれらの新薬で毎 年の平均で見ると引き上げが起こっているという状況がございます。その中には非常に高 額に引き上がっているものもあるということでございます。  イギリスについては、マイナスのものもございますけれども、全く変わらなかったとい うものもかなり多くなっている状況かと思っております。これは、3ページから4ページ にそのまま引き継いでいきますので、3ページ、4ページと縦にずっとごらんいただきま すと分かるかと思いますが、ドイツについては、マイナスのものもございますけれども、 どちらかというと欧州の中でアメリカに近いパターンで上がっているものが幾つかあって、 変わらないもの、マイナスのものが幾つかある。  フランスについては、どちらかというと日本に近いパターンでございまして、価格が変 わらないものもございますけれども、引き下げられているもののほうが多いという状況で ございます。それで、黒塗りしておりますのは、日本の比較薬の薬価の改定を受けてない とか外国の価格がないというもので除外した3つを黒塗りをしてございます。  それを除外いたしまして、4ページをごらんいただきまして、一番下でそれを全部見ま すと、日本の場合は年、薬価の変化率の平均がマイナス2.2%であったということでご ざいますが、アメリカについては8.0%プラスであった。イギリスについてはマイナス 0.4%であった。ドイツについてはプラス0.7%であった。フランスはマイナス1. 1%という形で、こういうデータが出ております。  こういったデータから、薬−5でございますけれども、事務局なりに分析をした結果の まとめをしております。  「平成20年度以降の新薬算定の状況」ということでございますが、先ほどから申し上 げているように、20年度薬価制度改革におきまして、まだ外国平均価より低いという状 況にかんがみて、中医協としては加算率等を引き上げるという決定をしたわけでございま すけれども、実際にはその効果は余り見られなかった、変わらない状況にあるということ がまず分析でございます。  なぜかということで2番、3番にまとめさせていただいておりますが、補正加算の引き 上げ等をしたのですけれども、低めの加算率が適用されたことが1つの要因として考えら れるということと、3番で、いわゆる収載時のみならず、その後の価格の変化が日本と欧 米で異なるような様相が見られるということで、日本はすべてマイナスでございましたけ れども、米国はすべてプラスでございましたし、ドイツはプラスが多いのですけれども、 マイナスや価格維持もあるものがある。イギリスは価格維持が多いですけれども、マイナ スやプラスもある。フランスはマイナスが多いですけれども、価格維持やプラスもあると いうような形で、4カ国の平均値をとりますと経時的には価格差が広がる傾向が見受けら れるという状況でございます。  4番で、またこれから薬価部会でも御議論いただきたいという点でございますが、そう いう意味で20年度薬価制度改革後も、類似薬効比較方式の算定新薬につきましては、外 国平均価格に比して平均1割程度やはり低い、そういう点では変わらないわけでございま すけれども、そうしますと、前回の中医協の決定等を考えますと、同じ状況ですから、改 善をするのだというようなロジックになるわけでございますけれども、そもそもそこの点 についてもやはり御議論がいろいろあろうかと思いますので、さらなる改善を図る必要が あるかどうかも含めて御議論をいただきたいというふうに思っております。  また、さらなる改善を検討するのであれば、新薬算定時の補正加算の加算率や要件のあ り方も当然検討の対象でございますけれども、そういった外国との様相の違いを考えます と、今まさしく議論をしております薬価維持特例などの薬価改定方式の在り方というもの についても検討していく必要があるのではないかというふうに思っているところでござい ます。  続きまして、時間をいただいて恐縮でございますが、薬−6−1をごらんいただきたい と思いますが、薬−6−1については、薬価算定組織の意見書を7月15日に薬価専門部 会はいただいておるわけでございますけれども、それについての対応ぶりをどうするかと いうことでございます。  最初にちょっとテクニカルな部分でもございますが、「用法・用量を変更した新薬の取 扱い」ということでございます。特にこの議論の端緒になりました薬がクラビット錠50 0mgという薬でございまして、抗菌剤でございますけれども、耐性菌発現の防止の観点 から、これまでの「1回100mgを1日2〜3回投与」を「1回500mgを1日1回 投与」に変更したということで、それに合わせた規格を提出をしてきましたので、これに ついては新薬としての算定が行われるわけでございますが、この同じ系統の抗菌剤は非常 に数が多いということがございますので、新薬の類似薬効比較方式(iii)で算定する場合 に、新規性の乏しい新薬としまして、類似薬効比較方式(ii)の算定で、同じクラビット 錠が比較薬になりませんで、よりもっと安い抗菌薬と1日薬価合わせになるということが 補正加算が適用されない場合にはなったわけでございます。クラビットのケースは実際に は補正加算が適用になりましたので、類似薬効比較方式(I)が算定されましたけれども、 そのほか今後いろいろこういったものが出てくると思いますが、より安くなってしまうと いうような算定で新薬をやるようなケースでございますと、特に耐性菌発現の防止など、 医療上必要性があって開発をされるものについて、やはりなかなかその開発がされにくい だろうということもございますので、算定組織から意見書が出ているわけでございますが、 これについて事務局としては、この算定組織の意見を薬価算定基準に盛り込むほうで検討 してはどうかというふうに思っているところでございます。  2ページをごらんいただきたいと思いますけれども、「最類似薬が複数ある新薬の取扱 い」ということがありまして、「配合剤の取扱いについて」というところでございます。  これについてはこれまで中医協でも多大ないろいろな御意見をいただいているところで ございますけれども、算定組織の意見書の中では、2剤の合計薬価でやっているけれども、 それについてここに該当するような、算定組織意見書でいいますと、すべての配合成分が 単剤として薬価基準に収載されている、収載品と同様の効能効果を有している、既収載品 と投与経路が同一である、内用の配合剤である、しかもHIVの薬は除くという条件で、 こういったカテゴリーに入る配合剤については、算定組織意見書にございますが、一定割 合を減じて算定してはどうかということで、その算定の割合や範囲としては0.9倍から 0.7倍で算定してはどうかということでございます。  事務局としては、この薬価算定組織の意見書を基本に検討を進めてはどうかというふう に考えているところでございますけれども、特に一定割合についてはどうしようか。特に 中医協で本件を議論する際には、配合意義の問題をこれまでも大分御議論をいただいてお りまして、配合意義が非常に高いのか低いのかということで、ある程度そういった議論を されてきておることも踏まえまして、配合意義の程度によって、一定割合を減じるにして も、一定割合を減じる範囲を少しその中でめりはりをつけるという考え方もあってもいい のではないかというふうに思っておりまして、具体的には3ページをごらんいただきたい と思うのですが、特に17年の医薬食品局審査管理課長通知、下に参考についております が、これの改正以降、いろいろな配合剤の開発は進んできておるわけでございますが、基 本的にはそこに書いてございますそれ以前と比べますと、「その他特に必要と認められる もの」が余り具体性がないということで、具体的にどういうものが認められ得るのかとい うことを明示をしたわけでありますが、「患者の利便性の向上に明らかに資するもの」 「その他配合意義に科学的合理性が認められるもの」というものに変えられたわけでござ います。  それで、ごらんいただきますと、この中でいわゆるその副作用(毒性)軽減又は相乗効 果がある、これについては医療上のメリットが明確であろうということで、こういったも の、それから、今の「患者の利便性の向上」や「科学的合理性が認められるもの」とあり ますけれども、承認のときにこの中には多分いろいろなものがごちゃ混ぜに入ってくるで あろうということを考えますと、この中で医療上の有用性が極めて高い、なるほどこれは 意味があるというようなものについては、減じる中でも少し甘めと言いますか、高めの数 字で、逆にこれがもうない、なかなか医療上の有用性が高いと認められないねというもの については、先ほど言った0.9から0.7の中で、より厳しい減額をするような形でめ りはりをつけるようなことではどうだろうかということで、我々もこの中で、では額は幾 つがいいかということもいろいろ考えて、なかなか具体的なそこまでお示しできるような 根拠のある数字を持っているわけではございませんけれども、そういった考え方で整理を 進めたらどうかということでございます。  それから、6−2の資料でございますけれども、これについては前に薬価算定組織の意 見書に添付した資料とほぼ一緒でございますが、新薬でカデュエットが入りましたのでバ ージョンアップしておりまして、8番にカデュエット、この前新薬収載したものがありま したので、それを追加させていただいております。数字はごらんいただければと思います。  そのほか、薬−7でございますけれども、製薬業界のほうから意見陳述の際に新薬の値 づけについていろいろな御意見をいただいているところでございます。それについて事務 局としてどうこうするという案までできておりませんけれども、いろいろ御意見があると ころだと思いますので、それをそのままおつけをして御検討いただければということでご ざいます。  薬−8の資料でございますけれども、新薬の今の算定と少し違うものでございますけれ ども、平成18年度の国民医療費に対する薬剤費、薬剤費率がようやく計算ができました ので、この場で御報告をしたいということでございます。  ごらんいただきますと、平成17年度と比べますと、17年度の薬剤費が7.31兆円 が18年度で7.10兆円ということで、この18年度の改定は非常に厳しい改定でござ いまして、薬価の改定率でいいますとマイナス6.7%の改定を行ったわけでございます けれども、その影響が如実に出まして、薬剤費も下がり、当然ながら薬剤費率も下がって、 22.1%が21.4%に減ったという状況でございます。  ここまでちょっと長くなりましたけれども、議題1の関係の説明は以上でございます。   ○遠藤部会長  御説明ありがとうございました。  20年改定以降の状況につきましていろいろと分析をしていただいたわけで、ある意味 薬価部門の検証を行ったということだと思います。  ただいまの説明のうち、配合剤の薬価算定に関しまして、7月15日の当部会で薬価算 定組織からの意見聴取を行ったわけでありますが、その際、専門委員から算定に用いる 「一定割合」の考え方について具体的な分析を踏まえて説明したいという意見がありまし た。本日専門委員から資料が提出されておりますので、この配合剤の「一定割合」につい ての御意見を承りたいと思いますのでよろしくお願いします。 ○禰宜専門委員  それでは禰宜から説明させていただきます。  「論点案に関する専門委員意見」という資料があると思いますが、その最後の13ペー ジをごらんいただきたいと思います。  7月15日の薬価専門部会の薬価算定組織の意見により、配合剤につきまして、製造経 費、流通経費等の削減が見込まれるものと考えられるとされておりましたので、業界にと りまして節減効果を試算をさせていただきました。  まず、成分Aを100円、そして成分B100円の同一薬価の2剤を配合する場合、片 方の製剤に係る労務費、製造経費、物流経費について節減できるものと仮定して試算して おります。  まず労務費、そして製造経費につきましては、2007年の5月30日の薬価専門部会 の資料に基づく原価計算方式による係数を用いて算出いたしております。薬価100円の うち約16.6円が節減できることになります。労務費が6.1、製造経費が10.5と いうことになるわけでございます。一方、メーカーから卸への物流経費につきましては、 メーカーの出荷価格88円の0.85%、すなわち0.7円程度が節減可能となるという ふうな試算になります。  したがいまして、両剤合計、200円のうちの17.3円程度、約9%弱を節減可能と いうような形で試算をさせていただいております。  また、本日事務局のほうから提示されている配合意義の医療上の有用性の違いによって 区分し、一定割合に差を設ける、これにつきましては私のほうもおおむね理解させていた だいております。ただし、この右側のところでございますが、1日薬価が最も高い既収載 品の1日薬価を下限とする考え方を基本に、薬価算定組織案では、右の図のケース1のよ うに、著しい低い一定割合を適用した場合におきまして、Bの薬価が例えば40円以下に なれば、算定値がAの薬価となりまして、Bの薬価は全く反映されないこととなるわけで ございます。  このようなケースもございますので、例えば高い薬価の既収載品基本薬といたしまして、 低い薬価に対しまして一定割合を掛けて合算する算定ルールという考え方であれば、それ ぞれの薬価を反映することが可能になることから、このような考え方も1つ取り入れてい ただけたらというふうに提案申し上げる次第でございます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  どうもありがとうございました。  ただいま事務局からの報告及びそれに関連しまして専門委員からの御報告があったわけ でありますけれども、ただいまの2つの全体につきまして御意見、御質問があれば御自由 に承りたいと思います。対馬委員どうぞ。 ○対馬委員  薬−6−1の資料ですけれども、ちょっと個別問題で恐縮なのですが、その2ページの ちょうど真ん中あたりですけれども、配合剤について「一定割合」の価格ということでi、 ii、iii、ivと書いてある中に、「内用の配合剤であること」、こう書いています。一方で、 3ページですね、3ページの1)なんかですと、「いずれかに該当する場合」で、2)が 「上記1)の場合」というのは輸液なんかを想定しているのだと思うのですけれども、で すから輸液あたりをどういうふうに、この左側と右側というか、2ページ目と3ページ目 と、ちょっと齟齬がありはしないかな、そこはどうなのでしょうか。 ○遠藤部会長  事務局お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ここで薬価算定組織意見書が言って、つまりより厳しい新薬算定をすべきだという範囲 について、輸液についてはそのような意見ではないということでございます。ですから、 輸液についてはこれまでどおりといいますか、輸液についてはいろんな類似処方が多くて、 輸液全体のパッケージで1日薬価合わせをするケースが多くて、1個1個足していくとい うケースは非常にまれでもございますので、余りこれまでも問題になってなかったという こともございまして、実は薬−6−2の資料でも、いわゆる輸液というものは、全部配合 剤で事実なのですが、すべての輸液を書くような形になりますので、これまで中医協で議 論されている問題とちょっと違うだろうということで、そもそも輸液はこの検討の対象の 外に実は薬価算定組織でもしていますし、別でございます。  そんな関係で実は、配合剤としては配合剤なのですが、医薬食品局の通知では輸液の話 は書いてございますが、それについては全く触れずに事務局の案ができている、そういう ように御理解いただければというふうに思います。 ○遠藤部会長  対馬委員どうぞ。 ○対馬委員  そこは分かりました。  ただそうしますと、3ページ目の1)はここの通知文で書いていることを書いています から分かりますけれども、2)の「上記1)以外の場合」というのは一体どういったこと を想定しているのでしょうか。   ○遠藤部会長  管理官どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の3ページの、つまり具体的には先ほど言った4つを、内用の配合剤等に、先ほどの 薬価算定組織の意見書で減ずるものの範囲に該当するものの中で、ここの1)のイの中で 「患者の利便性の向上に明らかに資するもの」とか、「その他配合意義に科学的合理性が 認められるもの」として医薬品の承認を受けたものの中で、必ずしも医療上の有用性が高 いとは認められなかった、例えば、誤解を生ずるような表現かもしれませんが、これは2 剤一緒になっているけれども、必ずしも医療上の有用性が高いとは言えないのではないか というようなものについては、減じる中で厳しいものを取るということでございます。こ の中には多分いろいろなものが、利便性の向上でも、これは例えばHIVの薬の場合は、 一遍に飲む薬は非常に高くて、外国でも100%になっているわけでありますが、この前 から議論された例えばカデュエットのケースにしても、プレミネント、エカード、ミコン ビ、コディオ、こういったケースについても、なぜこういうのが配合剤なのか。2つの薬 をそのまま飲めば、併用すればいいだけではないか、こういった御意見があって、現実に はそういった御意見が出るようなものについては、現実の中でも厳しい減じ方をしてはど うかという提案でございます。ちょっとわかりにくくて申しわけございません。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  山本委員どうぞ。 ○山本委員  いろいろとおまとめいただいたのを拝見して、なるほどなと思っておりますけれども、 まず、薬−5の中で、これまでの薬価制度を直されたということで取りまとめをされてお りますけれども、先ほどの管理官の御説明の中で、既収載品の開発が多かったのでAの5 が大きめだったから、実際には90%で改革の結果が出なかったという御説明なのですけ れども、そもそもメーカーさんは、余り真面目に新しいものをつくろうとしていないとい うことなのでしょうか。その一方で、薬価維持特例のようなものが出てきていて、それが 悪いのではなしに、たまたま今年その期間が改良品であった、まあ改良するのも大変だと 思うのですけれども、それだけですと、今回の薬価制度の改定がうまくいったのかどうか、 ちょっと見えないので、その辺ちょっと御説明を、どんなふうなお感じを持っておられる のか。もし何か出てくれば当然変わるのですね。新しい薬が出てくれば。既存品の改良品 のようなものばかりだったので加算ができなかった、もしそうでなければいけるのだろう と思うのですが、むしろ専門委員にお聞きしたほうがいいのか、そういう先の理念だとか お持ちなのですか。 ○遠藤部会長  その画期性の高いものが出なかったというような状況にあったということでありますの で、それに関連しての御質問でありますので。 ○長野専門委員  専門委員でございます。  先ほど事務局の資料説明の中にありましたけれども、平成20年4月からここまでの約 1年数カ月の中の収載分の中で見られているわけですから、たまたまそういう期間であっ たというふうに私は理解しますし、逆にこの類似薬効のほうが10%程度前のルールより も安かったから、平均値が低かったから、それをもって、こんな日本の新薬の薬価算定は 安過ぎるではないかというような、そういう発言をするつもりは全くございません。よろ しいでしょうか。 ○遠藤部会長  ちょっと、関連で山本委員。 ○山本委員  すみません。そうしますと、薬−4の中で、これは全体の値づけの話になるので、今の お話は分かりました。資料5で先ほど事務局のほうで御説明があった1、2、3、4とし て、4番目では、書きぶりからすれば、日本の薬価は少し下がる傾向があって、ほかはそ うではないよという書きぶりになっていて、その部分が今後の課題なのですけれども、資 料の4のほうを拝見すると、例えば後発品があるから、確かに海外価格に比べて日本の価 格が常に下がりっぱなしということは、もちろんこれまで言われているわけですけれども、 かといって、例えば後発品があるかないかによって価格差が違ってみたり、ということも ない、傾向も余り見えないのですが、実際にはこの価格というのは、私は下がってしまう のは嫌なので、そういった意味で余り下がらないほうがいいと思うのですけれども、例え ば価格差、リスパダールでいえば、後発が出ているにもかかわらず、しかも諸外国でも後 発品があるにもかかわらず、相変わらず片方は値上がりして片方は下がる。そもそも10 %の差があったにせよ、もともと値づけが高かったのではないですかという疑問は出てこ ないのでしょうか。  海外比較ですと、例えば資料の薬−4の3ページを見てみると、3番にリスパダールが ありますね。それで日本でも海外でもともに後発品が出ている。当然後発品が出てきて競 争関係になりますから何か起きるのだろうと思うのですけれども、相変わらず、片方では 後発品が出ていても価格が上げられている。日本は後発品が出ていて4.8、大きく乖離 しているわけですけれども、この辺は、つまり後発品を使う上では、データが違ったりし ますので何とも言えませんし、保険の制度が違うから単純には比較できないのでしょうけ れども、この数字だけ見ると、後発品と後発品があるなしという価格の違いというのは何 となく不思議に見えるのですが、そのあたりはどうなのですかね。 ○遠藤部会長  後発品がありながら薬価が上がり続けているという現象が見られている、それについて はどういう理解ができるか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の山本委員の御質問で、リスパダールの件でございますが、これ、非常に承認が古い 薬でございますけれども、実はこの5年間の期間を取る前にも後発品が出ているようでご ざいます。ですから、この5年間に後発品が出ていれば、特にドイツの場合は参照価格制 度を取っていますので、参照価格に入ったときに、メーカーによってはがガーンと薬価を 下げるケースもございますので、そういったケースではなく、その前にちょっと後発が出 ておりますので、もう既に何か下がって、それはデータがないので分からないのですが、 例えば下がってちょっと上がってきたのかもしれませんし、後発品が出ているのに上がっ ているのではないかとかという、値づけの話とか、そこまでの分析はちょっとこの中では できないと思っております。 ○山本委員  分かりました。  最後になりますが、例の配合剤の件ですけれども、先ほど禰宜専門委員のほうから、資 料の最後のページを使われて、例えば100円のAとBを足して、さまざまな提言をされ るけれども、17円ちょっとしか下がらないから、9%しか下がらないので、もっと下げ たら困ってしまうというお話なのですけれども、ならばつくらなければいいのではないの ですか。もっと申し上げれば、例えば資料の6−2の中にある表を拝見すると、先ほどの 御説明からすれば、すべての配合剤が単剤として、先ほど対馬委員のお話にもあったよう に資料、薬−6−1の2の基準からすれば、その外れる部分、1から3と9から11を除 いた4番目から8番目の配合剤について見ると、例えば前回のお話では海外でも売られて いるのだという御説明がたしかあった。日本でだけでなく海外でも売られているぞ、なぜ 必要性があるのだという、そんな御回答があったと思うのですが、確かに売られています けれども、値段はやはり、かなり安めですし、場合によっては売られていないものもあっ たり、あるいはARBと一緒ですよというものもあるとすれば、そもそも御説明のあった 13ページの資料で9%しかマイナスにならないのだということ自体、ならば別に、今現 にあるわけですから、物がないわけではないので、つくらなくてもいいなという気がする のですが、その辺はどうなのでしょうか。 ○遠藤部会長  では専門委員。つまり、つくらなくてもそれぞれ処方して一緒に飲ませればできるわけ ですね。なのにということです。 ○長野専門委員  つくらなくてもいいという、いわゆる企業の意思にかかわるものですし、少なくとも私 は、2月の中医協総会の、この種の薬剤が、薬価算定組織からのお話からずっと一連の話 を整理してみますと、いわゆる今回のこういう算定組織の配合剤に対する薬価の厳しい算 定、今よりも厳しい算定は、結果的に今山本委員がおっしゃるような方向に進んでいくの ではないかという気がしますが、つくらないでいいのではないかということに対しては答 えづらいです。方向としてはそういう方向に行くだろうと思いますが。 ○遠藤部会長  山本委員、もし続けるのであれば、簡潔に、御質問の趣旨を。 ○山本委員  今の御説明は、配合剤について一定割合の厳しい価格づけについては納得した。しかし ながら、採算が合わないので、それは下げないでくださいという話であれば、長野先生、 そうですよね、13ページは。大変なんだよと。だとすれば、価格について今おっしゃっ たような方向になるにせよ、この資料の説明と今長野専門委員のおっしゃったお話はかな り矛盾するお話だと思うのですが、いかがですか。 ○長野専門委員  少なくとも薬事承認を取得して、結果的に薬価収載された場合に、その企業にとっては その後も再審査対応というものを当然やります。そういう中で、やはり減算の仕方、そこ をぜひ少し加えて検討していただきたいという趣旨をさっき禰宜委員は発言されたと思い ます。 ○遠藤部会長  了解いたしました。  では、この話はそれまでにしまして、順番からいいますと藤原委員が次なので、藤原委 員どうぞ。 ○藤原委員  ただいまの議論に関係するのですけれども、薬−6−1の3ページの患者の利便性の向 上ということ、これが配合意義という形で薬−6−2の4から7まで、1つには副作用の 軽減ということが書いてあるのですが、これは現場で組み合わせても全く同じなことで、 これが意義になるとは思われません。だから主な理由としてはこの利便性の向上というこ とだろうと思いますけれども、この利便性の向上を本当に意義があるかどうか、それをき ちっと検討しなければいけない。しかもその下の8のことも、これは一応コレステロール の薬と降圧剤の薬を重ねているのですけれども、そういうことによって有効性が確認され たということもあるのですが、もう1つの議論の中では、やはり利便性ということがひど く強調されていた理由があります。  要するにこの利便性を今後認めていくのかどうか。つくらなくてもよいという観点では なくて、この評価をもう少しきちっと今後やっていく、そのことによってこの議論という のはやはり収斂していくというか、持っていかないといけないのではないかなと。今後認 める方向をやはり慎重に考えていかなきゃいけないのではないかなと私は思いますけれど も。 ○遠藤部会長  まさにおっしゃるとおり、そういう意味でそれぞれの意義の妥当性といったことで何% にするのかということを今後議論するということで、本日はそういうことで事務局から1 つの提案が出されている、したがってそれをベースにまた議論していきましょう、そうい うことであります。  北村委員どうぞ。 ○北村委員  ちょっと今の意見と違うのですけれども、薬−5の資料、あるいはそのほかの資料もご ざいますが、それについてちょっと意見と、それから事務局に伺いたいことがございます。  視点とか立場によってそれぞれ御意見も異なりますので、その是非はここで問う必要は ないと思うのですけれども、やはり日本の薬価制度というのは世界の中で多少独特な面が あるというふうにとられていることは事実だと思うのですが、そのうちの1つが、今日今 御説明いただいた新薬の薬価算定方式ではないのかなと思います。  1つ聞きたいのは、米、英、独、仏で公定価格なのか自由競争なのか、教えていただき たい。これがかなり影響しているのではないか。そうすると、そもそもこの制度そのもの に無理があるのではないかと感じております。  以上です。 ○遠藤部会長  それでは薬剤管理官どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の北村委員の御質問に関しまして、私どもの知っている範囲でお答えをしたいと思い ます。  まずアメリカでございますが、アメリカの場合は民間保険がかなり多くなっております が、メディケアの公的保険もございますが、薬価については基本的には自由価格、いわゆ るメーカーが幾らというものを基本的に償還するベースになってございます。最近はちょ っと変化がございまして、実際に売っている価格をもとにリスト価格をつくり直そうとい うことで、今、我々が使っているAWPというものがリスト価格なのですが、それを切り 替えて、もっと実勢価格に近いリスト価格をつくろうという動きを今やっておりますけれ ども、基本的には自由価格でございます。  それからイギリスも自由価格でございますけれども、イギリスはちょっと面白い方法を とっておりますのは、企業単位で決める。つまり企業のある一定の利益率を決めて、この 利益率の範囲で、自社の製品の中である程度これは高く、これは安くと、そういった自由 裁量をある一定の利益率の範囲の中で認めておる自由価格制度をとっております。これは PPR制度といいます。  ドイツは全く単純な自由価格制度、自由薬価で決めておりまして、ただ参照価格という 形に入りますとガーンと下がったりはすることはございます。  フランスは公定価格でございまして、これは日本と非常に近い形でございますが、国が その評価をいたしまして公定価を決めるということでございます。  そのほか、実は日本の制度と欧米の制度で大きく違いますのが、日本の場合は今現状で いけば2年に一遍薬価調査をしまして、市場実勢価を全部調べて、それに合わせるための 薬価改定を2年に一遍、言ってみれば必ずやっております。これは、今の結果でもありま すが、その結果必ずマイナスになるという結果が生じているわけでございまして、そのよ うに定期的に市場実勢価を全部調べて薬価をつけ直すという作業をやっている国はほかに はございません。  ですからそういったことが実際には先ほどから御説明したような、上がったり下がった り、いろいろ両面がある、そういうところがちょっと影響しているのではないかなという ふうに分析しております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  北村委員どうぞ。 ○北村委員  ありがとうございました。  日本に一番似ているのがフランスで、自由競争のイギリスはかなり様子が違うように思 います。全く制度が根底から違うところと対比しているという矛盾があるのではないです か。事務局どうお感じになりますか。 ○遠藤部会長  管理官どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  非常に難しい、何か薬価の哲学をどうするかという感じでもあるのですが、事務局なり に思っておりますのは、当然ながら制度が違えば薬価の値づけも違うということでありま すが、私ども気にしているのは、薬は、先ほど国際共通価格というお話もありましたけれ ども、国際的には流通をいたしますし、前回のときにヤンセンの関口社長がおっしゃって いましたけれども、言ってみれば、外国系の企業からいけば、その国で物を販売するとき にどのくらい事業になるのかということでございますから、その上薬価という単価が非常 に大きな要素を占めるのだということでございますから、日本の場合市場規模がそもそも 世界全体の1割もございませんし、それから循環的に薬価が下がって、薬価単価上は非常 に低く抑えられているという状況が出てきますと、グローバルに流通する製品からいくと なかなか開発がおくれてしまうという悪影響が出てくるわけでございまして、当然ながら いろいろ制度が違うので、またリスト価格も、アメリカはちょっと位置づけ、ほかの国は 保険償還価格ですので比較しやすいわけでございますが、なかなか違うものを一緒に論じ るのは難しいわけでございますが、結果的に出てきているのが多分、ドラッグラグという ような問題も起こっていることもございますので、そういったことも含めてトータルとし てバランスのとれた薬価制度をどう考えていくのかというのはここでの議論かなというふ うに思っております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。 ○北村委員  難しいことを言うつもりはありませんでした。どうも失礼しました。 ○遠藤部会長  順番からいきますと藤原委員、失礼しました、それでは小島委員どうぞ。 ○小島委員  私もひとつ今の関連で、比較薬価方式、資料を見ますと、先ほど指摘されましたように、 薬−2−1のところでも、比較方式をとると外国製品との乖離で1割ぐらい低いという、 これは前回改定、今回改定でも変わらなかったということですが、これの要因として考え られるのは、1つはまさに比較薬価方式をとっていますので、それも前回の改定のときに は、比較薬、ベースになるものの10年以内ということで、そこもある程度新薬に絞って ということだったのですけれども、それでも10年以内だというのは、年々実勢価格が下 がるということなので、それを平均すると下がるということなので、まさに薬価を算定さ れるベースのところが既に外国平均価格にすると下がっているということで当然考える。 それで10%くらい乖離があるのだということになると、これに多少有用性とか加算をつ けたからといって、10%を埋めるには相当大変ではないかというふうに思いますので、 ここはどう考えるか。10%前回のような有用性加算あるいは画期性加算で埋めるといっ ても多分できないのだろうと思います。だからそこをまさにどう考えるかというのがこれ からの薬価の方式をどうするかということだというふうに思います。そこは10%を必ず 埋めなきゃならないのかどうかというのも議論としてはありますけれども、そこがポイン トだというふうに思っています。新薬の算定のところ、原価方式は前回改定で大体同じぐ らいになったということなので、その比較方式の考え方のところをどういうふうに考える かということがこれからの議論ではないかというふうに思っております。  そこで、製薬メーカーの団体のほうから出されている薬価特例方式、こういうものを含 めてどう考えるのかなのだろうというふうに思いますので、そこはこれからの課題だとい うふうに思っております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  まさにそういう議論を展開していく必要があると思うのですけれども、山本委員どうぞ。 ○山本委員  この薬−6−1に出されています薬価算定組織の意見書につけられた事務局の案には、 こんなものでどうかという御意見がついておりますけれども、この辺につきましては、一 定の理解ができるのだと思っておりますが、1点、3ページのほうの配合剤について、先 ほども議論がありましたように、「医療上の有用性が極めて高い」というところについて 言えば、いずれさまざまな判断があると思うのですけれども、この場でもそうですし、皆 さんがああそうだなと納得できるような基準のあるものをぜひつくっていただきたいのと、 もう1点は、これとむしろ相身の形で薬価維持特例というのが片方であるわけですから、 それとのバランスの中でこの辺のことも今後議論していただければ、むしろメーカーさん のことも十分に答えつつ、こちらのほうの現場も困らないとなると思いますので、ぜひそ んなことを考えた検討をお願いしたいと思います。 ○遠藤部会長  今後の議論で参考にしたいと思います。  長野専門委員どうぞ。 ○長野専門委員  1点お話を申し上げたいと思います。  今日の資料の中に薬−7という資料を入れていただいております。それは6月3日の業 界代表の意見陳述の際に、今ご議論のあった新薬関連の業界団体の要望、考え方が網羅さ れております。  これは一々説明いたしませんが、ここに書いてございますことを要約いたしますと、先 ほどの事務局の説明がベースに結果的にはなりますが、かなり改善をしてきているので、 その中でごく穴埋め的に、これからより革新的な新薬が登場したときに、今ある加算率の 適用などを柔軟に算定組織でその薬のメリットを科学的に議論いただきながら、加算率の 適用を柔軟にやっていただいたらどうかというのが骨格でございます。  2つ目でございますけれども、一方で今ご議論あった新薬の日本の問題点というのは、 結果的に、事務局の資料にございましたように、比較する類似薬が市場で結果的に今の改 定方式の中で2年に1回下がっていく。フランスが一番近くて年率マイナス1.1、日本 がマイナス2.2、およそ後発品が出るまで10年とか12年ということになりますと、 5回から6回に近い薬価改定がある。そうしますと、日本の場合は10数%下がり、フラ ンの場合は1桁の下がりぐらいでとどまる。ここに出発点の大きな差がまた出てきてしま うということだと思いますので、新薬の値づけというよりも、類似薬効でこういう形が出 てきたわけでございますから、ぜひ、今お話が進もうとしている改定方式の在り方という のを御議論いただければというのが考え方でございます。  1点だけ最後に追加いたしますと、この薬−7の4ページがございます。これは業界団 体の新薬等に対する考え方をまとめたものでございまして、この4ページの一番上段にバ イオ後続品という項目がございます。つまり、いろんな科学技術の進歩によりましてバイ オ新薬というものが登場してまいりました。しかし、バイオ新薬の2番手について、本日 官報告示がなされまして、薬価収載がなされたようでございますけれども、いわゆる一般 的な後発品とは、もともと承認審査上の必要な提出書類が全く違ってまいりまして、臨床 試験をきちんとやって、本当に先発のバイオ医薬品と臨床効果が同じかどうかを確認しな さいということがございますので、このバイオ後続品についての薬価の在り方は、果たし て7掛けあるいはそれに近いものだけでいいのか、ここはぜひ今後御議論、御検討をいた だきたいということだけ申し上げておきます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  以上、御意見承りました。今後の議論の参考にしたいと思います。  藤原委員どうぞ。 ○藤原委員  先ほどの有用性加算で外国と比べて10%差があるということで、ここだけで埋めるの は大変だというお話があったかと思いますけれども、この有用性加算というのは基本的に、 もちろん企業の経営とかいうのは考えられると思いますけれども、基本的にはイノベーシ ョンというか、そういった画期的な新薬を評価するという意味合いだから、これはこれで きちっとこの範囲で議論すべきではないか。それをほかに広げて議論して、全体のどうの こうのという話では私はないように思うのです。だからここのところももっときちっと、 加算のつけ方が厳しいならもう少し緩和するとか、この範囲内で考えるべき問題だと私は 思いますけれども。 ○遠藤部会長  まさにそういう議論が非常に重要なところであります。革新性の高いものに正当な評価 をするというところでいくのか、ただ、薬価維持特例であっても、その1つのシグナルと して平均的な乖離率以下であるものが革新性が高いのだと、そういう御主張をされている わけで、それが適正なのかどうかということも含めた議論ということになると思います。  それでは対馬委員どうぞ。 ○対馬委員  薬−5ですけれども、ここに改定の考え方までいってない、少しにじむようなところま でお書きいただいているのですけれども、1と2は余り変わってないと。しかし今回は結 果的に既存品を改良したものが多かったからと書いていますね。だから、この1と2を両 方合わせてみますと、前回改定で大幅に画期性加算とか、それ以外のものを上げたのです けれども、まだその効果がはっきり出てない。しかし潜在的に出る要素というのは十分あ るというふうに見たほうがいいのかなというふうに思うのです。それが1点目です。  それから、3のところで、確かに日本と諸外国は差があるのですけれども、ただここは これまでも議論してきましたとおり、新薬の値づけの問題もあるのですけれども、実際に 後発医薬品が出たときに日本の場合は余り下がらない、諸外国の場合はドーンと下がると。 その資料も一緒に出しながら議論していかないと、ここだけの議論で日本は低いよねとい うだけだと少し問題ではないのかなと、こういうふうに思うのです。  それで、4のところに少しにじみ出ているようですけれども、そこは前回大幅な改定を したと私どもとしては思っているのです。そこにまた今回改めてということになるのかど うか。先ほどどなたかも言われましたけれども、薬価維持特例の問題もあるわけですね。 ですからそこはもう少し、先ほど申し上げたようなデータも取れるのであれば取っていた だいて、その上で判断といいますか、議論していってはどうかな、こういうふうに思うの です。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  そうしますと、データの追加が可能であれば事務局で対応していただくということで、 管理官いかがでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の対馬委員の御質問については、また新薬の特例引き下げの議論もしないといけませ んので、前回一度やりましたけれども、何となく全体的な話だけで終わっておりますので、 どのくらいの資料が準備できるかはありますが、トライをして、やはり後発品が出た前後 で新薬のほうの値段がどうなっているのかということも見ないと確かに十分でないという ことはよく分かりますので、何らかの形で対応できるように努力したいというふうに思い ます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  今データのことが出ましたけれども、この欧米4カ国との比較のところで、非常に米国 が特異的な状態がありますので、そのデータを、米国を除いたときの比較は、薬−2等に 出ていた内容はもっと簡単で結構ですけれども、その場合には3カ国と比べるとどうなの かということもあわせて出していただけるとより判明するのかなと思いますので、お願い したいと思います。 ○遠藤部会長  それはもう簡単にできるかと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、まだご意見あると思いますけれども、基本的にこのような資料をベースにし ながら今後の薬価改定の議論を進めていくという方向でいきたいと思いますので、また御 意見があればその際に承りたいと思います。  実はまだもう1つ案件がございまして、薬価維持特例についての話でありますが、「特 許期間中の新薬の薬価改定方式について」を議題としたいと思います。  前回の当部会において、事務局から提出された論点案も踏まえつつ、総合的に検討して いくこととしたところですけれども、各論点について、専門委員から資料が提出されてい ますので、専門委員から説明をお願いと思います。 ○長野専門委員  かなり時間が経過しておりますので、10分程度で御説明をさせていただきます。  お手元の資料の中医協薬−9という事務局で用意していただいた7月15日の本部会で の論点案、縦書き1枚で入っているかと思います。中医協 薬−9、7月15日の資料で ございます。  私どもは、この7月に御議論いただきました事務局でおつくりいただきました論点案を ベースにいたしまして、一番最後についております横長、カラーの専門委員意見を取りま とめてございます。今申し上げましたように時間に限りがございますので、この中から抜 粋をいたしまして御説明を申し上げます。  表紙をお開きいただきまして、右下隅にページがございます。ここで2ページ目をお開 きください。日薬連が提案しております薬価維持特例を導入した場合の患者さん等へのメ リットを確保するための方策として、一番上段に7月15日の論点案を再掲させていただ きました。それに対する専門委員の意見でございます。  ここは未承認薬・未承認適応について、その実効性を担保する方策、中医協に進捗状況 を報告すると業界団体は意見として言っております。そういうことにつきまして専門委員 といたしまして、未承認薬等への対応、業界代表から御報告申し上げましたように、既に 未承認薬等開発支援センターを立ち上げ、もう実行が進みつつあります。この対応につき まして、私どもの提案といたしましては、企業名を含めてその進捗状況を、中医協でお決 めいただいた報告の方法に基づきまして報告をさせていただき、あるいはしていただき、 公表されることになるわけでございます。これは企業にとりましては社会に公約した目標 という位置づけにもなりますし、その進捗状況を公に確認をされるということにほかなり ません。  したがいまして、対象企業におけるこれは未承認薬等の開発を必ず促すことにつながる と私は思っておりますし、現に、先般立ち上げました未承認薬等開発支援センターで何成 分か、なかなか開発が着手されなかったもの、これも既に手を挙げてきている企業もござ いまして、1つひとつが具体的に進んでいるという、大いにこういう結果に今結びついて いるということをあわせて御報告いたします。この2ページの下段は、例えばということ で公表のイメージを記載したものでございます。  続けて、次のページ。2つほど3ページ、4ページで参考資料を御説明いたします。  国内未承認薬、全く開発受け皿会社がなくて、日本国内では未承認となっているもの、 これにつきまして、おおよそ平均的なコストというのはどうだろうかというのを、未承認 薬等開発支援センターのほうで試算をしていただきましたところ、さまざまな項目の合計 欄、13億円程度どうも平均的にかかりそうだなというような試算がございました。  最下段でございますが、現在100件弱のさらに追加的な国内未承認薬の御要望が寄せ られていると伺っております。今後有識者会議でこれの優先順位というものを御検討され ると思いますが、仮に100件程度、まあ5年、10年で全部国内未承認薬のレッテルを なくして、承認を取るような行動を企業にさせるとしたら、おおよそ1,000億を超え る金額が5年、10年間でこれに係ってくるということが1つでございます。  4ページ目は、いわゆる未承認適応でございます。これは5,000人ぐらいの推定患 者さんのもので、合計欄を見ていただきますと12億強、12億5,000万程度のお金 がどうもかかりそうだと。この未承認適応は、たしか今追加的な要望というのが250件 ぐらいあると伺っておりますが、小児適応でありますとか、そういったものを中心に御要 望いただいている。これも5年、10年、10年では長すぎるという御指摘があるかもし れません。そうなれば、3,000億円とか、こういう経費を投入してやるというような 試算が1つございます。  次に5ページでございます。いずれにしても薬価維持特例導入の患者さん等へのメリッ トというのは、より望まれている薬を日本の患者さんにドラッグラグを起こさないという ことでございますから、最下段にございます、他の国と比較して日本の上市が、今出てい るもので分析をいたしますと、5年以内に日本も上市された、承認されたというものが、 欧米未承認を除きますと大体半分ぐらいが5年以内、5年以内をまた分析しますと、3年、 4年のところにピークがある。すなわち、こういった望まれている新薬というものをやは り15年とか10年というような、日本を後回しにするような企業姿勢をやめさせて、や はり3年とか2年とかいうふうに、望まれている新薬の上市を企業にさせるということも 今回の御検討の1つの切り口にしていただければと存じております。  6ページでございます。今までさまざま御議論いただきました薬価維持特例を仮に考え るときの対象品目をどうしようかというところでございます。さまざま御議論いただいた ところ、そして論点案を最上段に再掲しております。  専門委員意見が中段にございます。ちょっと読ませていただきます。  薬価維持特例の適用基準として、審査上の取扱い、下の(1)、あるいは収載時評価、下の (2)、あるいは患者数や薬効群等、(3)、(4)でございます。が考えられますが、これらは必ず しも、革新的新薬やアンメット・メディカル・ニーズに対応した新薬を抽出する指標とし ては最適ではないと思っております。  下段の(5)にございますように、平均乖離率を指標として、それを超えない新薬を対象と しますことは、薬価との乖離が小さい価格でも購入され使用されているもの、すなわち医 療現場の先生方におかれまして、医療上の革新性・必要性が評価されているものを薬価維 持することを意味しているというふうに私どもは感じております。これを指標とすること が、革新的新薬・アンメット・ニーズ対応新薬を確実に、これを導入した場合に抽出する、 対象とする観点からは最も現実的かつ適切だと考えております。  付随の資料として7ページをごらんください。何か承認前あるいは上市前の薬価づけま で、市場実勢価、(5)によらない、(4)までのところでもし切るとしたら、左側の(2)に相当し ます。そこを加重平均も加味するとしたら(1)に相当することになります。  一方で、(4)は論外としまして、(3)のところの問題が1つ残るわけでございます。例えば 下段の左側の具体例のところをごらんいただきたいのですが、1番手、革新的新薬で半年 前に、あるいは1年前に上市されたものがある、それが原価計算であったり、あるいは革 新的な加算がついたものが、市場でも評価されたものが(1)に入ってくるわけでございます が、仮に半年、1年遅れた2番手は、いわゆる原価計算にもなりませんし、加算対象にも ならずに、類似薬効1で評価され、(1)、(2)から除かれて、(3)あるいは(4)の世界に入ってま いります。こういったもので、特に(4)は論外としまして、市場の実勢価というものを勘案 していただきまして、(3)に入ってくるものを救うというようなことをぜひお願いしたいと いうのがこの考え方でございます。  右側はいわゆる新規の薬理作用で薬価がいわゆる加算がされないものがたまにございま す。これが実際に医療現場で先生方にお使いいただいて、その後非常に高い革新的な評価 をされて、結果的には前のページで述べましたような市場実勢価が非常に乖離が小さい、 この(3)に入るものがございます。そういった(3)のところを救っていただいて、(2)、(4)は論 外というふうな形にしていただきたいというのが私どもの考え方、業界の考え方でござい ます。  あと2つほどで説明を終わらせていただきます。8ページでございます。  維持特例の期間でございますが、そもそも日薬連の提案は、原則として後発品が出現す るまででございます。したがって後発品が出たら維持特例から外れるということでござい ます。そして、外れたものは当然関係ないわけでございますが、後発品が出ないものが実 はございます。こういったものでももう15年で打ち切ってしまう、維持特例から外して しまえというのが日薬連の提案でございますし、私ども専門委員もそれを1つのルールと して御検討いただければということでございます。  仮にということで9ページをお開きください。この下段に、2002年ごろから直近の 2009年の5月、今年の5月まで、初めて後発品が収載された品目をずっと並べており ます。縦軸が品目数であります。  これで見てまいりますと、大体、新薬が登場して12〜13年のところで後発品が平均 的に出てまいります。そして、大体4分の3出切ってしまうのが15年、しかし残りの4 分の1は15年たっても後発品が出てこない。市場が小さいものだと思います。あるいは つくり方が難しいもの、そんなものであっても、もう打ち切りだという考え方の1つの根 拠でございます。  最後になります。ページ数で12ページをお開きください。後発品の使用促進との関係 でございます。  6月3日に日薬連の意見陳述では、日薬連・意見陳述の欄でございますが、薬価維持特 例の導入に際し、後発品使用の政府目標に届いていない場合は、政府目標との乖離にかか る不足財源の一定部分を、制度導入に伴う財政影響の緩和策として、既に収載されている 品目の薬価を引き下げることでそういう財政の穴埋めをすることはやむを得ないというの が業界代表の意見陳述内容でございました。  私ども専門委員2名としまして本日申し上げられることは、そこからさらに進んだもの ではございませんが、過日業界代表が発言、質疑応答でもありましたように、そのやり方 については事務局で検討いただいて、後発品の状況、それからさまざまな薬価改定の状況 などをよく検証していただいて、その中でこの方法を決めていただければというのが私ど ものスタンスでございます。  最後に試行的実施でございます。専門員の意見を最下段に掲げております。薬価維持特 例の導入に際し、当初試行的に実施することについて論点案には示されました。私どもは、 その場合でありましても、本制度、業界提案が本当にその財政的影響というものをきちん と検証するためには、全体の影響を検証する必要があるだろうというのが考え方でござい まして、対象品目等を限定して業界提案全体の検証ができなくなるようなことは適切だと は私どもは考えておりませんので、ぜひそこも御検討の中に入れていただきたいというこ とでございます。  以上、かなり端折りましたけれども以上でございます。   ○遠藤部会長  ありがとうございます。  従来からの御意見がベースでありますけれども、さらに少しつけ加えられたもの、ある いはエビデンスが加えられたものも含まれていたかと思います。  薬価維持特例についてどうするかということの議論はまた時間をかけてやりたいと思い ますけれども、時間も限られておりますので、ただいま専門委員から御報告があった内容 についてのみの御質問をいただきたいと思います。中川委員どうぞ。 ○中川委員  まず最初に確認させていただきたいのですが、薬−9の論点案、これについて、これは 事務局がつくった論点案ですが、論点案として適切かどうかというような議論をしたでし ょうか。私、これがまさに非常に問題だと思うのです。  特に2.未承認薬・未承認適応とドラッグラグの問題は、薬価維持特例とバーターにし か見えませんよ、これ。それが論点として適切かどうか。今の専門委員の説明も、それを 前提にした議論になっていますので、私は1.の議論がまだまだ全然終わってない、1. が終わらないのに2.に議論はいかないと私は思うのです。  私は、これまでの薬価専門部会で質問したそのことの回答がいまだにないわけですが、 それを通り越して2.3.に移るというのは、まるでこれ、バーターを既定の事実として、 まして今日は試行的実施までお述べになった、非常に私は問題だと思います。特に論点案 の2.は、私は事務局のフライングだと思っています。 ○遠藤部会長  そのような御意見だということですね。したがって今後の議論をする上では、その辺を 勘案して……。 ○中川委員  いや、私の今の考え方に特に事務局はどういうふうに考えるのかという。 ○遠藤部会長  それでは事務局、今の中川委員の考え方に対して、どう考えるか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  まず、1.の必要性が終わらなければ全体の議論は入れないのではないか、これについ ては、部会長のほうからのお話かと思いますが、前回の薬価部会で、いろいろ議論はある けれども、全体議論をしていこうということで最後結論になったかというふうに理解をし ておりますので、全体の議論の話が、それに従って専門委員の資料が準備されたものとい うふうに理解をしております。  2番の、(1)の、そこの未承認薬・未承認適応の問題の部分についてでございますが、こ れについても、この薬価部会で、たしか御発言あったのが対馬委員だったかと私は理解を しておりますが、業界のほうがこれをやるに当たって、未承認薬・未承認適応をやってい くのだという話があったのですが、本当にやるのかとか、実効性はどう担保できるのかと いう御意見があって、ではそういった実効性の担保の方法、もし制度設計上仮にやるとし たときに、そういった実効性の担保というのはあわせてどう考えるのかということは当然 考えざるを得ないだろうということで、私どもとしては、委員の意見も踏まえてお書きし たというものでございます。 ○遠藤部会長  実際、議論の進め方としましても、この1番の出口がはっきりしない限りは議論を先に 進めないというような形の合意は形成されておりません。したがって議論全体をしながら この制度を入れるかどうかということを判断するのが適切な運営の仕方だという、そうい う理解でありますので、このように書かれているのだ、こういうふうな理解をしておりま す。中川委員何かありますか。 ○中川委員  納得はしませんけれども、了解はします。  それで、1.が終わらなければ2.に行かないという、要するにもう既定路線の議論に 土俵をつくられているような危惧を私は非常に持つわけです。禰宜さんも長野さんも、何 回も同じことを私から聞かれて、答えられないとか苦しいとかいう感じですが、やはりこ れは全国の医療関係者、特に医師全員が注目していますよ。何度も言いますけれども、薬 品メーカー独り勝ちだという、そういう観念ですけれども、固定していますね。それを払 拭する努力がメーカーは必要だと思います。その説明責任を果たすというか、それをぜひ 果たしてから2.3.に行ってほしいなと思っているのです。 ○遠藤部会長  メーカーの立場なのか専門委員のお立場なのか分かりませんけれども、今のようなお考 えというのは非常に根強いものがあると思いますので、その辺は真摯に受けとめていただ きたいと思います。  北村委員どうぞ。 ○北村委員  国際的に見て、我々が必要とする薬品がこの国に入ってくるかどうかという立場でちょ っと意見を述べます。  この資料の3ページに、未承認薬の開発に必要なコストということでライセンス・導入 費用というのがございます。ライセンスがあるということは日本の国で開発されたもので はない、ほとんど外国の開発のものかなというふうに考えます。そうすると、この未承認 薬とか未承認適応の対象薬品の中で、外国で開発されたものというのはどのぐらいあるの でしょうか。事務局でも結構です。 ○遠藤部会長  現在未承認薬の対象になっているもので、外国のメーカーの開発したもの、当然多いと 思われますけれども。 ○北村委員  何%、何割ぐらいあるのですか。 ○遠藤部会長  それが何割ぐらいになるかということですね。今すぐ必要でしょうか。多いということ はすぐ答えが出ますが。それは管理官のほうで。 ○禰宜専門委員  ちょっと資料が手持ちにございませんので、追ってまた御連絡させていただきます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ちょっと簡単に。 ○遠藤部会長  お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  この専門委員の3ページの紙で言う未承認薬使用問題検討会議、ここでいわゆる未承認 薬、基本的は外国で承認を取ってしかも医療上非常に必要性が高いのだけれども日本での 開発は行わずに承認が取れない、基本的には欧米では承認が取れているという前提のある ものでございまして、この中は、これまで検討が進められているものはほぼすべてが外資 系の企業のものというふうに理解をしておりまして、若干、1つ、2つは日本系の企業の ものがあったかとも思いますが、圧倒的には外資系の企業のものというふうに理解をして おります。 ○遠藤部会長  北村委員どうぞ。 ○北村委員  薬品メーカーの経営状態という次元の話ではなく、日本の国民が必要とする薬品が外国 企業のビジネス戦略として日本が後回しにされることで入ってこない、という事態が起こ ることを私は一番心配しております。もし、薬価維持特例のようなこ革新的な制度を導入 し、改革したとすれば、外国の企業にとって日本の市場というのは少し開かれてきたなと 思っていただけるのでしょうか。 ○遠藤部会長  これは専門委員への質問でよろしいですね。 ○北村委員  はい。 ○遠藤部会長  専門委員いかがでしょうか。 ○長野専門委員  専門委員としてお答えをいたします。  これは今の北村委員に対するお答えと、先ほどの中川委員からの御異議に対するお答え にもつながると思いますが、2回の業界代表意見陳述におきまして、今のテーマにつきま しては、いわゆる支援センターをつくって、とにかく課題となっている、あるいは要望さ れているものをすべて解決をしていくという意思が業界代表から示され、その業界代表の 意思は、加盟している70社、80社のトップに共有化されております。したがいまして、 当然ながら当該メーカーの姿勢として、社会的責任としてやるべきだというのはそのとお りでございます。今までも社会的責任として位置づけてはいながら、やります、やります と言いながらやってなかったというのが今の累積してしまった現状だと思います。  今回の維持特例の導入、あるいは開発支援センターのスタートによりまして、逃がさな いということが1つありますし、もし万が一、そんなことは私はないと思いますが、もし 万が一当該企業がやらない場合は、国内大手が責任を持ってやりますというのが先般の業 界代表の経営トップの発言だと、このように承知しております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは山本委員どうぞ。 ○山本委員  今説明いただいた資料を拝見しておりまして、少なくとも新しい薬価の仕組みをここで 議論をしていこう、これまで何度か御提案があったようですけれども、それについて、先 ほどの中川委員と少し意見が違うかもしれませんが、説明不足の部分も含めて、かなり踏 み込んだ形になっているだろうな、前回に比べればより分かりやすく、つらさも楽しさも 含めて分かる仕組みになっていますので、そういった意味ではよろしいのかなという気が いたします。  そういった意味で、論点整理をされている薬価維持特例全体を議論する中での個々の項 目ですから、それぞれの項目に敏感に反応することも大事ですけれども、全体の議論をぜ ひしていただきたいというのが1点。  それから、先ほど来出ていました、常に日本のものがマイナスのスパイラルになってい るということが結果として諸外国の薬価の乖離幅を大きくして、それが市場性を低くする ということであれば、それを防ぐ最大の手段が今回の方法であれば、それはぜひ検討すべ きであろうという気がいたします。  ただその一方で、1点、答えの中で気になっていますのは、相変わらず後発を使うのだ という、そのことは本当に大丈夫なのかなという気が1点していますのと、それから中に は幾つかなかなか素直にうんと言えない項目もありますけれども、全体に今日ここにお示 しになった意見、一番最後の13ページは私は嫌でありますけれども、それ以外のところ は、少なくとも12ページまでは、なるほど、前回から比べれば随分と御自分たちの御主 張、あるいはここの意見に乗った提案がされていると思っておりますので、もう少しこう いうのを詰めながら、ここでこの新しい方法について、うまくいけるような方法を考えて いただければな。それで、試行ということも、もちろんさまざまな意味を持ちますけれど も、ぜひそのあたりも御検討いただきながらここで議論を進めていただければと思います。 ○遠藤部会長  御意見ということでよろしゅうございますね。だから、後発品へのスイッチがどの程度 いくのかということについては、もしうまくいかなかった場合には特例引き下げをします というようなことで対応している、そういうことだという理解になるわけですけれども。  藤原委員どうぞ。 ○藤原委員  論点案の薬価維持特例を導入する必要性があるかという点に関連して、前回のヒアリン グで武田の社長は重要なことを言われたと思います。それは、経営者の観点から見てこの 制度がなければ我々はつぶれるわけではないと言われて、それで新薬メーカーとジェネリ ックメーカーのすみ分けを促進して、それぞれの体質強化をしていく、そのための提案だ というようなことだと。これはこれまで業界の委員が説明されたこととちょっとニュアン スが違うなというふうにそのとき聞いていたのですけれども、そうであれば、薬価維持特 例、要するに値段を落としたときに後発メーカーがどうなるか、そこのところがどういう 形になるか、これは何回聞いてもよく分からない。だから、要するに後発品はもう全然売 らないと、そこまで言われるのだったら非常に分かりやすいのですけれども、それを残し ながらやっていくという、これは後発品の世界の中でもまた勝っていくというような状態 としか私にはどうしても見えないのですけれども、そこのところの説明がクリアにされて ないのではないかなと私は思います。これは非常に根本的な問題だと思うのですけれども。 ○遠藤部会長  先ほどの山本委員のお話と類似の話でありますし、また私が引き取って余計なことを申 し上げたかもしれませんけれども、専門委員として、要するに後発品へのスイッチの問題 というのはどういうふうにお考えになるのか。 ○禰宜専門委員  今、藤原委員の考え方からすれば、こういう制度を入れることによって、やはり新薬を 開発していく、そういう状況がいい方向に回転することによって、やはり新薬に対する取 り組みをするメーカーと、一方ではやはり、特許が切れたときには後発品に市場を譲って いくという意味での後発市場の育成もできるのではないかなと。そういう意味での将来を 見据えたときに、産業としてやはり研究開発型と、そして一方では収載品、後発品を含ん だ形での市場が形成されるのではないかなと。産業ビジョンの中でもうたわれているよう な形で理想的な医薬品産業も進むのではないかなと。こういうことが結果的にはそれぞれ の体力をつけることによって、国民のためにそれに対応できるような形になるのではない かなというふうに思っています。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  小林委員どうぞ。 ○小林委員  後発品の使用促進との関係で、この案でいきますと12ページ、今の関係でいいますと 案1と案3、これについては先発品と後発品の薬価差を縮小する案、これはある意味ジェ ネリック医薬品への動きが進まないということにつながりかねない。それから案2につい ては、これまた逆に、ジェネリック医薬品の薬価を下げることで後発医薬品の安定供給体 制の阻害につながりかねないということで、いずれもこの案については懸念を感じるわけ です。  そういう意味では、この点についても今後議論を進めるということになるでしょうけれ ども、ジェネリックの使用促進という観点ではもっと十分に留意して、慎重に検討すべき ではないかと考えます。 ○遠藤部会長  事務局どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の小林委員の発言に関しまして、今の論点案の4−(2)の部分は、いろんな議論が成り 立つところでございます。いろんな角度から御議論を進めていただければというふうに思 いますが、今の小林委員の見方もございますでしょうし、一方、先発から後発へのスイッ チが進まない場合は、自分の先発品の薬価がどんどん下がっていくということもございま すので、これは非常に先発メーカーにきつい話でもございます。一面、先発品と後発品の 薬価の差が縮まるとか、今のお話もありますが、後発品のスイッチにかわるのか、それと も変わらないで一生懸命先発を売り続けるとすると、薬価が下がっていくという仕組みで もありますので、そういう側面から、言ってみればどっちともなかなか逃げにくい制度に なり得るということもございますので、そんな視点も含めて御検討いただければ幸いかな というふうに思っております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  まだ恐らくご意見はあるかと思うのですけれども、今後薬価維持特例につきましては議 論を進めてまいりますので、本日出ましたさまざまな御意見をまとめながらまた話を進め ていきたいと思います。  一言申し上げておきたいのですけれども、薬価維持特例については、既定路線になって いるとか、そういったことは一切ございませんので、少なくとも私は既定路線だと思って 議事運営をしているつもりはありません。したがって、着陸点がどうなのかというのは全 く分かりません。そういうことでございますので、その辺御承知おきいただきたいと思い ます。  それで、今後の問題でありますけれども、本日は新薬の薬価算定の在り方と薬価維持特 例について御議論いただいたわけでありますけれども、薬価維持特例につきましてはまた 今後引き続き議論をするわけでありますが、それ以外に、先日の総会で既収載品と同じ有 効成分でありながら適応が異なるための高い値段がつくというような問題がありましたの で、それをどうするかということ、あるいは以前より課題になっております市場拡大再算 定をどうするのかという問題、あるいは後発品のある先発品の薬価改定、いわゆる特例引 き下げ、ただいまこういう議論が出ているわけですけれども、特にこの2つは従来より業 界団体から強い意見があるわけでありますので、今回改定につきましてもこの辺について も検討しなければいけませんので、そういったことを総合的に議論を続けてやっていきた いと思いますので、事務局及び専門委員の方で資料があれば準備をよろしくお願いしたい と思います。  それでは、本日の薬価専門部会をこれにて終了したいと思います。  事務局から何か連絡がありますか。 ○事務局(磯部薬剤審議官)  特にございませんので、次回の開催についてもまた追ってご連絡させていただきたいと 思います。 ○遠藤部会長  それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうござい ました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)