09/09/18 第2回へき地保健医療対策検討会議事録 第2回へき地保健医療対策検討会【議事録】 日時 平成21年9月18日(金) 10:00〜 場所 都市センターホテル5階オリオン ○中山救急・周産期医療等対策室長:まだお二方お見えでないのですが、定刻になり ましたので、ただいまから第2回「へき地保健医療対策検討会」を開催させてい ただきます。委員の皆様方には、本日大変お忙しい中、朝早くよりご出席賜りま して誠にありがとうございます。    7月24日付けで、厚生労働省幹部の人事異動があり、医政局長以下事務局職 員にも交代がありましたので、この場を借りてご紹介します。医政局長の阿曽沼 です。医政局及び保険局担当の大臣官房審議官の唐澤です。医政局総務課長の岩 渕です。医政局指導課長の新村です。    ここで、阿曽沼医政局長よりご挨拶申し上げます。 ○阿曽沼医政局長:おはようございます。朝早くから大変ご苦労さまでございます。 7月24日付けで、医政局長に就任いたしました阿曽沼でございます。よろしく お願い申し上げます。委員の皆様方におかれましては、本年7月から新たなへき 地医療対策のあり方についてご議論いただいておりまして、深く感謝を申し上げ ます。    へき地医療対策は、いま第10次です。第10次のへき地医療計画が平成22年 度末まで進行しており、来年度には計画の最終年度ということになります。した がって、次の第11次の計画の策定をいま検討しておりますが、これまでのへき 地の保健医療対策の成果、あるいは問題点等を総括して、第11次の計画に臨む ことになろうかと思います。是非とも先生方のお知恵を拝借し、へき地に生活し ておられる住民の方々に対してより適切な医療の確保が図れるように、いろいろ な方策に取り組んでいきたいと考えております。11次ということですので、大変 長くにわたっておりますが、是非ともいいお知恵を出していただき、新たな対策 を講じていきたいと思っております。    この検討会ですが、今年度末に一定の結論をまとめていただきたいと考えてお ります。大変短い期間ではありますが、是非ご指導、ご協力を賜りたくお願いを 申し上げます。簡単ですが、私からのご挨拶とさせていただきます。 ○中山救急・周産期医療等対策室長:続きまして、前回ご欠席であった委員のご紹介 をいたします。社団法人地域医療振興協会理事長の吉新通康委員です。本日は、 中村伸一委員からはご都合によりご欠席の連絡をいただいております。また、神 野雅子委員の代理として、北海道保健福祉部保健医療局地域医師確保推進室の砂 山圭子主幹、高野宏一郎委員の代理として、全国離島振興協議会の渡邊東専務理 事にご出席いただいております。    なお、医政局長、総務課長は、公務のためここで退席させていただきます。 (医政局長・総務課長退席) ○中山救急・周産期医療等対策室長:以降の進行は、梶井座長にお願いいたします。 ○梶井座長:それでは、今日もよろしくお願いいたします。早速ですが、本日の議事 要旨、流れについて事務局よりご説明をお願いします。 ○中山救急・周産期医療等対策室長:議事次第をご覧ください。2、議事として挙が っているのが(1)から(3)まで、大きく3つに分けてあります。最初に、検討会の 論点整理についてです。本日は資料1、資料2が関係する資料で、資料1にお示 ししている前回の検討会でのご意見を踏まえて、今後この検討会で議論していた だく論点を資料2として挙げております。資料2については、論点1から論点5 まで5つの柱を立てておりますが、今後検討される調査報告等も踏まえて適宜追 加していただければと考えております。最終的には、この論点を検討会の報告書 の骨格として想定しております。    次に、前回の検討会でいただいた追加調査のご意見を踏まえ、事務局において 資料3から調査結果を付けております。資料3は資料4以降の調査結果の取りま とめで、資料4から資料9まで個別の調査結果が入っております。また、資料 10として、都道府県の医療計画における「へき地医療」の記載状況が載ってお ります。これらの直接関わる質疑応答が終了したのちに、先ほどお諮りした資料 2の論点整理に追加する事項等について、広くご意見を伺えればと考えておりま す。以上です。 ○梶井座長:それでは、議題1の「論点整理について」ご説明をお願いします。 ○中山救急・周産期医療等対策室長:資料1についてご紹介します。実際の議事録は、 いちばん後ろに参考資料がありますが、参考資料1として付けております。ここ の最後の意見交換の部分を要約したのが資料1になっております。前回は7月 10日ということで時間が経っておりますので、簡単にご紹介します。「地元で医 師を養成していくこと、地元枠、地域枠というものが果たしてきたことについて の評価が必要ではないか」というご意見、また「大学と機構がきちんと手を組み、 地域枠の学生には地域医療に動機付けするような特別なカリキュラムを組んで いく必要があるのではないか」というご意見、「へき地診療所を支える地域の中 核的な病院の弱体化が進んでいることが問題。へき地医療に関しては、診療所や 病院を点として確保できても、地域全体、面で支える仕組みを作らないと、将来 相当に危いと思う」というご意見がありました。また、2頁ですが、本日ご欠席 の中村委員から「機構については、うまく機能しているところと、そうでないと ころの分析が必要ではないか」というご意見、「へき地医療拠点病院については、 休業補償にあたるようなもの、手厚い財政支援を考えてほしい」というご意見、 また、「へき地医療というと診療所に目が向きがちだが、へき地診療所はわりと 充実している。中小病院が大変という状況があり、医師充足率を調査する際は、 留意が必要ではないか」というご意見です。    最後に、梶井座長のまとめの中で、三つ目として挙げているキャリアパスの問 題として、「安心して勤務してもらうためには何が必要なのか、短期間へき地勤 務してくれる医師から医師へのバトンタッチをどううまくつないでいけるかに ついて考えていく必要があるのではないか」。また、3頁に、「機構に関しても、 47都道府県に同じことをやれと言ってもうまくいかないのではないか。地域の 実情に応じた対策が打てるよう、事例を充足して各都道府県に投げかけていくべ きだと考えている」というご意見がありました。    こういったご意見を踏まえ、資料2として論点整理を現段階で作っております。 論点1から5まで挙げております。論点1ですが、「医師の育成過程等における へき地医療への動機付けのあり方等について検討していくことが必要」。地域枠 選抜出身医師や自治医科大卒業医師の義務年限終了後の定着状況の評価やその 率を上げるための方策について検討してはどうか。地域枠や奨学金枠の学生のモ チベーション維持のため、都道府県は積極的に当該学生とコミュニケーションを 図るとともに、大学と機構が協同して地域枠等の学生に対して地域医療に動機付 けするような取組が必要ではないか。    論点2として、「へき地医療支援機構の強化」。第9次計画より活動してきたへ き地医療支援機構は、へき地診療所に勤務する医師等の支援機能として、さらな る向上が必要である。その次は最後の取りまとめのご意見ではなく、澤田委員の ご説明のときにご提案をいただいた内容です。専任担当官のあり方や勤務内容に ついての検討として、例えば、現場の医師と行政とのパイプ役が必要であり、都 道府県の医務主管課に、へき地医療の勤務経験を持つ臨床医を専任担当官として 配置することなどが考えられる、というご提言です。また、各都道府県において 参考にできる事例の収集と情報発信です。    論点3として、「安心して勤務・生活できるキャリアパスの構築」。これについ ては、へき地勤務医等が、自分のキャリア形成や家族への影響について心配する ことなく勤務できるような、医師派遣の枠組み作りに必要な対策について検討す る。へき地勤務医の子育て、家族支援などを考慮に入れたキャリアデザインの策 定。へき地での勤務に偏らないようにするための体制整備。勤務体制の中で休暇 が臨機応変に取得できる体制の構築といったものが挙げられておりました。    論点4として、「へき地医療を支えるへき地医療拠点病院等への支援」。へき地 診療所を支えるへき地医療拠点病院等地域の中核的な病院を地域全体で支援す る具体的な仕組みについて検討していくことが必要である。へき地医療拠点病院 等に対して、医師派遣に係る動機付けを与えるような支援が必要である。    論点5として、「その他の事項」。へき地勤務医師を全国的にリクルートする仕 組み作りについてや、へき地における歯科医療ネットワークについてといったと ころがご意見としてありましたので、論点として整理しております。 ○梶井座長:ありがとうございました。ただいま「論点整理(案)」をお示しいただ きましたが、これに目を通して、何かこれに追加しておくべきだという項目、あ るいは内容等がありましたら、この場でも結構ですし、議題3のあとのフリーデ ィスカッションの場でも結構ですので、いかがでしょうか。それでは、フリーデ ィスカッションのところでご発言願えればと思います。    次に、追加調査の結果について事務局よりご説明をお願いします。 ○中山救急・周産期医療等対策室長:資料3からご紹介します。資料3が、先ほどご 紹介したように前回ご指摘いただいた追加調査の概要になっております。    1頁をご覧ください。1として、先ほどもご紹介しましたが、地域枠等地元で 養成する医師の成果、また特別なカリキュラムの設定があるかどうかを調査して おります。その前に、(1)としてへき地での勤務を義務づけた地域枠、奨学金制度 等を有する都道府県がどのぐらいあるかを調査したところ、地域枠については11 都府県、奨学金制度については19都府県、へき地医療に関する寄付講座につい ては10の県がこのような体制を取っているという回答がありました。    (2)は、こういった地域枠等の卒業生がへき地で勤務した割合がどのぐらいなの かという調査です。これについては、アとして卒業生を有する都道府県が12府 県で、131人以上出ているということです。多い所は兵庫県や長崎県です。これ は時間の関係もあって、あくまでも、へき地での勤務を義務づけている場合とし て絞った調査になっております。イとして、その卒業生のうち、へき地での勤務 医師を有する県が5県で、94人の方が実際にへき地で勤務しているということ です。残りの方々はほとんどまだ臨床研修中で、へき地には出ていないというこ とでした。    (3)は、そういった学生に対して、地域医療に動機付けするような特別なカリキ ュラムの設定があるかどうかの調査です。地域枠の学生に対しては、そのような 特別なカリキュラム等を有する都道府県が3都県ありました。奨学金については 合計6都県で、先ほどのアの部分を除いて3県ということで、重複がありました ので3県となります。ただ、これについては、カリキュラムというよりは夏期研 修の形で行われておりました。へき地関係寄付講座にへき地実習が含まれている 所は、カリキュラムとして含まれている所が6県、臨床研修プログラムとして含 まれている所が1県でした。詳細はあとでご紹介します。    2つ目のご指摘に関して調査した内容ですが、「へき地医療支援機構の専任担当 官がへき地医療に関する活動の状況について」調べております。へき地支援機構 がある都道府県が全体で39あり、そのうち専任担当官を設置していない都道府 県が1県ありましたので、合計38都道府県がこれに該当しております。専任担 当官がへき地医療に関する業務を1週間あたりどの程度やっているかについて、 [1]から[5]まで挙げております。    (2)ですが、機構の本来業務(代診医派遣調整等)を行っている日数(1週間あ たり)が1頁から2頁の上まで挙がっております。回答がなかったものを1県空 欄で挙げております。    (3)に、専任担当官がへき地診療所に代診する日数(1週間あたり)が挙がって おります。いちばん多かったのが、2日から3日が高知県です。(4)として、代診 医の派遣件数を挙げております。    3つ目として、「へき地診療所とそれを支える地域の中核的な病院や中小病院の 医師の充足状況について」調査しております。1つは、(1)にへき地診療所におけ る医師不足の状況を挙げております。これについては、医療法上の標準医師数は その病院の考え方がありますが、これを診療所に便宜的に当てはめて、それを指 標として全医師数が下回っているかどうかの割合で評価しております。これを見 ると、全国では418施設中69施設、16.5%が必要医師数を下回っていたという ことです。ブロック別には、その下に書いてあるとおりです。    (2)は、へき地拠点病院の医師の充足状況です。ご指摘では地域の中核的な病院 なり自治体立病院というご意見もあったのですが、時間の関係でへき地拠点病院 に絞って調査しております。こちらは、全医師数が標準医師数を下回っている場 合を指標として、263施設中44施設が下回っていたということです。割合で、   たまたまへき地診療所とほぼ同じ16.7%となっております。以上が概要です。    次に、それの基になった個別の調査を簡単にご説明します。資料4をご覧くだ さい。[1]は、へき地に勤務することを義務づけた地域枠等の実施状況になってお ります。左のほうに都道府県があり、次にへき地の地域枠等の実施状況、(1)から (3)までそれぞれ地域枠、奨学金、へき地関係寄付講座の有無ということで整理し ております。    2頁です。この中で、奨学金等を利用した卒業生のへき地勤務状況が[2]として 挙がっております。左側から卒業生が県内で働いている所が[1]、その人数が[2]と して中段に書いてあって、右側の[3]がそのうちへき地において勤務した医師の数 です。備考にそれ以外の方等について詳細に記載されております。    3頁ですが、へき地医療を担う医学生等に対する特別のカリキュラム等の設定 について載っております。左から地域枠、奨学金、へき地関係寄付講座の内容と なっております。地域枠については、一般学生との取扱いの区分がある場合を○ として、その内容を右側に書いております。これを見ると、4頁までですが、3 都県は実際にカリキュラムに盛り込んで、特別なカリキュラムを設けているとい うことです。奨学金については、特別なカリキュラムというよりは、○で回答し てきている所は夏期休暇を利用して病院実習に参加していただくとか、夏に開催 する研修会への参加となっております。また、へき地関係寄付講座の内容として、 へき地や離島実習がカリキュラムに含まれている場合、また臨床研修プログラム に含まれている場合ということで整理しております。    資料4-[4]は、事前にお送りした資料に追加する形で載せております。これは内 田委員からご照会いただいて、さらに追加で調査した内容を載せているものです。 資料4-[4]の5頁については、へき地での勤務以外も含めて、卒業後に都道府県の 指定する地域で勤務することが義務づけられる奨学金に関する調査です。その制 度の有無と給付対象の最高年次がいくつなのかを調べた調査です。ほとんどは医 学部の6年次、ないしは臨床研修2年目まで奨学金の対象としております。    続いて、資料5です。資料5が、「へき地医療支援機構の活動状況」です。先 ほどご紹介しましたが、左端から専任担当官がへき地に関する業務に従事してい る日数(1週間あたり)、その次に専任担当官業務別従事時間と、へき地に関しな いことも含めて載せております。へき地診療所への代診や本来業務、拠点病院で の通常の一般外来の対応、その他、その右に代診医の依頼件数や派遣件数が載っ ております。網掛けの部分はへき地のない所になっております。    資料6です。資料6は、へき地拠点病院に対する調査の結果です。「へき地拠 点病院における医師の充足状況及び活動実績」になっており、都道府県名、施設 名の隣から一般病床数等々がありますが、先ほどご紹介したように、全医師数の 赤いところについては全医師数がその右側にある標準医師数を下回っているこ とを指しております。中段にあるのが、遠隔医療の実施または救命救急センター の有無です。遠隔医療については、※3にあるようにへき地診療所の支援を行っ ている場合のみ記載しております。また、二次救急輪番参加の有無、地域医療研 修プログラムの有無は、実際にへき地・離島医療が経験できる臨床研修プログラ ムを病院として用意している場合を○としており、それに関して都道府県やへき 地医療支援機構の関与がある場合を○として整理しております。その隣が、平成 20年度のへき地医療活動実績です。これが13頁まであって、その次が資料7で す。    資料7-[1]が、へき地医療拠点病院からの意見・回答です。こちらは自由記載と いうことで、へき地医療拠点病院にとって必要な機能は何かということを紹介し ております。これに関していくつか分類していますが、1つ目は医師派遣・研修、 地域医療の提供等総合的な機能が必要だという回答が8頁まであります。なお、 青字の部分ですが、座長から事前にお話があって、総合医等について青字を付け ております。2として、医師等の確保・派遣といった機能が必要だということが 9頁から11頁まであります。12頁からは、3は救急を含む医療等提供体制に関 する機能が必要ではないかというご意見で、14頁まであります。15頁以下はご 覧のような内容になっております。    18頁をご覧ください。資料7-[2]です。へき地医療拠点病院における代診医の 派遣業務の状況を整理しております。こちらについては澤田委員に取りまとめを お願いしてやっていただいております。1つ目は、へき地医療拠点病院からへき 地診療所に対して代診派遣が可能な医師数をこちらのグラフ、2つ目が全国のへ き地医療拠点病院がへき地診療所代診のため不足するだろう医師数、19頁に挙 がっているのがへき地診療所に代診のため派遣する医師に必要な基準について です。    20頁ですが、資料7-[3]です。こちらはへき地拠点病院からの回答として、国 や都道府県への要望、また本検討会で議論してほしいことを挙げております。い くつかのテーマに跨る場合は、それを分けて整理しております。1つ目は、医師 等の確保に関する事項としてご要望等があったのが20頁から25頁までです。26 頁にドクタープールに関する事項、27頁からは医師の養成やキャリアパスに関 するご指摘・ご要望が載っております。また、29頁には医師の研修に関する事 項、30頁には医療制度や医療体制に関する事項、32頁からは財政支援に関する 事項が35頁まであります。    続きまして、資料8です。資料8以降はへき地診療所に対する調査です。「へ き地診療所における医師の充足・配置状況並びに医学生や支援機構との関わり」 について調査をしております。施設名の隣に開設者、所在地を載せたあとに、全 医師数となっており、こちらの赤字は先ほどご紹介したように便宜的に診療所に 当てはめた必要医師数を下回っていることを指しております。中段にあるのは常 勤医の勤務状況ということで、いま勤務している方の勤務月数、前任者の勤務月 数と前任者の離任後の異動先を挙げております。その隣が、医学生や研修医に対 するへき地・離島医療教育への関与・参画ということで、有りの場合にはその調 整窓口がどこかということも問うております。右端がへき地医療支援機構との関 係で、へき地医療支援機構から連絡・相談のある頻度を挙げております。    ただ、時間の関係もあって、こちらはすべてのへき地・診療所の調査ではあり ません。都道府県単位で、例えば北海道は66のへき地診療所がありますので、 道に対しては代表的な診療所を10カ所程度選定して出していただいております。    資料9ですが、最後の資料になります。国や都道府県への要望で、これはへき 地診療所からの要望、または本検討会で議論してほしいことが資料9として載っ ております。これらの調査事項については、第1回の調査以来のご指摘を踏まえ て、ご指摘をいただいた先生方に、さらに追加調査等があるかどうかも含めてご 確認した調査結果になっております。    資料10に関しては、医師確保等地域医療対策室よりご説明します。 ○兼平専門官:資料10の「都道府県の医療計画における『へき地医療』の記載状況」 については、昨年各都道府県に策定いただいた医療計画の中で、その策定にあた って資料10の欄外にある注1)指導課長通知において「疾病又は事業ごとの医療 体制構築に係る指針」の中で、各医療機能と連携ということで例示を出しており、 その例示の事項で整理しております。事項は、保健指導についてはへき地におけ る保健指導の機能、へき地診療についてはへき地における診療の機能、へき地診 療の支援についてはへき地の診療を支援する医療の機能、その他ということで整 理しております。    この印ですが、今回4疾病・5事業については具体的な医療機関や施設名を入 れていただくことを示しており、注2)で原則として対象地区及び各医療機能を担 う関係機関の名称を記載するということでお示ししておりますので、ここで施設 名がそういう機能名があるのも○ということで整理しております。へき地の場合 は△はなく、その他のところで国の指針に例示のない機能を記載しているところ は※ということで整理しています。その観点で、資料1、資料2ということで○ です。(一)になっているところは該当がないということで整理しております。 特に保健指導のところは○が少ないのですが、ここは具体的な機能が書いていな いのではなく、保健所の具体的な名称がないということで○を付けていないのが ほとんどです。    「※」ですが、2頁の長崎県で各機能ではなく離島・へき地、救急医療の観点 で項目を整理されている事項があったということで、「※」ということで整理を しております。以上です。 ○梶井座長:ありがとうございました。非常に限られた期間にこれだけの調査をして おまとめいただいて、どうもありがとうございました。資料3で調査結果の概要 がまとめられていますが、これを見ると、へき地での勤務を義務づけた地域枠や 奨学金制度を有する都道府県が、なるほどこれだけあるのかと。また、すでに地 域枠等へき地勤務を義務づけた地域枠等の卒業生がへき地で勤務した割合を見 ると、多い県は従来言われていたように兵庫県、長崎県ですが、卒業生がへき地 で勤務した割合が70%、これを皆さんがどのように捉えられるのかという点は あろうかと思いますが、このような数字が出ております。地域枠等の学生に対す るアプローチとして、特別なカリキュラムを有する都道府県は3都県ということ で、これもこの数値をどのように捉えるかということもあろうかと思います。    へき地医療支援機構の専任担当官の業務について解析してありますが、現状は このような結果であったということです。代診医の派遣件数を見ると、0件の県 も10道府県ある一方、100件以上の県は7県あって、どうも二峰性になろうか と思いますが、依頼件数と派遣件数はギャップがありませんので、依頼に対して は応えられている現状もはっきりとしてきたのではないかと思います。    へき地診療所のところを見ると、必ずしも支援機構と連絡を取り合っている現 状がある所ばかりではなく、そこが必ずしも捉えられていないのではないかとい う現状も明らかになったのではないかと思います。医師の充足率に関しては、法 に定めるところで標準医師数が算定されていますが、へき地診療所、へき地拠点 病院ともに大体16.数%と同じような率になっていますが、資料7で澤田委員が おまとめになったものを見ると、へき地医療拠点病院で全く代診医を派遣できな い病院が3割あるという現状も出てきています。    等々いろいろなことが数字として出てきたのですが、このあと前回の議論をま とめた「論点整理」に基づいてフリーディスカッションをしていきたいと思いま す。論点としては1から5までありますが、今回の調査結果を見ると1、2、4 と3についても一部提案等がありましたので、このようなところにいろいろな意 見が出てきています。漠然とそれぞれについて皆さんのご意見をお聞きするとい うよりも、これからは1つずつ肉付けをできればと思います。最初に、論点2の 「へき地医療支援機構の強化」について、第9次から始まったへき地医療支援機 構なのですが、いまは第10次にありますが、先ほどの診療所あるいは代診医の 派遣状況を見ると、必ずしもへき地医療支援機構が十分に機能しているとは言い がたい県も随分あるように思います。この辺りについて、強化するためにはどう したらいいのか、具体的なご意見を賜れればと思います。よろしくお願いします。 ○澤田委員:前回の検討会で、中村委員から「同じ機構であっても、うまく機能でき ている所とそうでない所があるのではないか、その実態がどうなっているのか全 国の機構を調査してみるべきだ」という貴重なご意見をいただきました。今回、 国の方でその調査をお願いして出された結果が資料8ですが、この中で「へき地 診療所と機構との関係について、連絡・相談がどのぐらいの頻度であるのか」と いう項目に、今回私は着目をしました。全国からの回答を見通してみますと、「全 く関わりがない」との回答が予想以上に多かったことに驚いています。まさに、 この回答については、機構がうまく機能している所と機能していない所によって 差が出ているのではないかと考えています。へき地医療支援機構という「へき地」 の名前が付いた組織として設置されているにもかかわらず、へき地診療所に「全 く関与していない」と思わせている現状は、非常に残念なことだと感じました。 このような機構に対しても一定の補助金が投入され、かつ専任担当官として人員 を割いているはずなので、次期計画では、都道府県がこれらの課題に対する改善 策について検討・策定を是非お願いしたいですし、国はそれをフォローアップし ていくことが求められると思います。今回の調査を含めて、機構がうまく機能し ている都道府県なども明らかになってきていますので、そういった都道府県の先 進事例なども是非参考にしていただければと思います。 ○木村委員:関連して、私も澤田委員と同じように専任担当官をしている関係上同じ ところに目が向くのですが、島根県でたまたま10カ所へき地診療所が出ており ます。4カ所が全く関わりがないと書いてありますが、実はその中で1カ所だけ、 ある病院の指定管理を受けている関係でその病院と我々とは関係を持っている のです。何が言いたいかというと、知らないだけであって、関わりが実際はある のです。実態と少し違うところがある、要は関わりは持っているのだけれど、そ れがへき地医療支援機構だということを知らないということにもなるのではな いかと。だから、PRというか、どこかでも意見が出たのですが、へき地医療支 援機構という存在を知らなくて、我々の場合も「医師確保対策室」と県の行政の 中では呼んでいるので、我々も反省しなければいけないのかなと思います。そう いったことをちゃんと国の制度の中でやっていることを、もう少しはっきり明確 化する必要があるのかなと感じました。 ○梶井座長:ありがとうございました。以前支援機構で仕事をしておられた三阪委員、 ご意見ございませんか。 ○三阪委員:いまの木村委員、澤田委員のお話に直結すると思うのですが、支援機構 がうまくいっている、いっていないというのは、先ほど支援機構の働きが理解さ れていないのではないかというお話がありましたが、これはまさに現場の受け皿 の問題だと思います。    今日軽くまとめてきたのですが、私は鹿児島県のへき地医療支援機構で専任担 当者を当初3年ほど行って、大変苦戦した経験があります。支援機構は現在県に 設置されていますが、最初にこの構想を見たときも、医療現場ではシステムの構 想だけ練って、絵に描いた餅のようなものだなと思いました。現場にそれなりの 受け皿になる、あるいはキーになるようなものがないことには、システムを作っ ても意思統一はうまくいかないし、効率的なシステムもやっていけないというの を感じておりました。    問題点としては、私は地域のへき地医療支援の拠点病院の立場で言っているの ですが、組織の意識付けをどうやってするのかが非常に問題です。例えば、自治 医大の関連病院、あるいはいまお話いただいた島根県や高知県、あるいは前田先 生の長崎県などもともとが県レベルで意識の高い所は、そのようなシステムが導 入されてもおそらくうまくいくのだろうと思います。地域医療の意識が根付いた 地域は問題ないと思うので、そこに差が出てくるのだと思います。それ以外の地 域の医療現場、鹿児島もそうでしたが、へき地・離島支援とは何か、なぜそれを 担わなければならないのかを、その病院の組織や職員が全く理解できない、興味 も全くないのです。私どもの施設でも、なぜそんなことをうちがしないといけな いの、という認識でした。組織に本当に理解していただくには2年ぐらいかかり ました。私は自治医大の卒業ですので、へき地・離島支援とは何かということか ら理解してもらい、いまは完全に組織としてへき地・離島支援をバックアップす るシステムができて、来月も甑島に代診医を派遣する予定です。当院には自治医 大の卒業生が4人おりますが、我々もいろいろな立場になってなかなか行けなく なっています。来月の甑島の支援は、鹿児島大学から医局人事の派遣でローテー ションできる先生が担ってくれる予定です。    それらの支援を、どのような意識をもって誰が中心にやるのかが明確でないの で、なかなかうまくいかない。自治医大の卒業生だからやるのか、地域枠の出身 だから担うのか、全く現場で明確ではないですね。非常にファジーな状況で、シ ステムだけ動かそうとしている状況があると思います。医者の中ではある程度議 論は通じても、現場の医療スタッフには全くそのような意識がなく、経験もない ので現場のスタッフも付いて来ようがないというところに問題があります。例え ば、ほかの科であれば循環器内科医が来ればカテのチームができる、あるいは臨 床腫瘍医が来れば化学療法のチームができる。そういう周りも非常に明確でわか りやすい指標が現場でないのが問題だと思います。    この場で言っていいのかどうか、私見が入ってしまうのですが、これは現場の 一医者の意見としてお聞きいただきたいと思います。医療現場において、支援機 構のシステムも含めてへき地・離島支援とは何か、どのようなことが必要なのか、 誰がどのような立場の人が行うのかが明確にならないことには、システムは動き ようがないだろうと考えています。そうなると、へき地・離島支援、地域医療に 意識の高い人材をピックアップして、周囲の医療現場にわかるようにマーキング する必要があるのではないかと考えております。そこを明確にすれば、多職種、 事務であったり、場合によっては看護師でもいいですが、多職種を巻き込んだチ ームができるのだろうと考えています。私も医者になって20年ぐらいですが、 現場にいると、自治医大を卒業した医師は明らかにへき地地域医療に対する意識 が高いと思うのです。各大学の地域枠で卒業する医師も、おそらく同様の意識を 持った人材が育つ可能性は十分に出てくるだろうと思います。そのように人材を 現場にわかりやすく、何らかマーキングできる仕組みはできないかと思います。    地域医療・へき地・離島支援に関わる意識の高い医師を、現場でマーキングす るシステムはできないか、そういう方々を核にしてスムーズに運営できるような 仕組みはできないかと考えております。これが認定医や専門医制度、先ほどもあ ったキャリアパス、総合医の問題になってくると、所属学会をどうするかだとか、 試験をどうするかだとか、非常にややこしい問題になってくると思います。    自治医大や地域枠の中で統一したカリキュラムを作り、それを学生時代に履修 した者は、地域医療に対して意識が高いと考えて良いのではないでしょうか。何 も非常に難しい認定試験を受けないと取れない、そういう人でないとやってはい けないというのではなく、現場に地域医療に対する意識が高い人材だと認識して もらうだけで、それはそれで非常に貴重な存在になってくる。そうなると、地域 医療、へき地医療に意識の高い人材をピックアップして、マーキングするスキー ムですね。それは、地域医療講座修練医でもいいですし、修了医という名目でも いいと思うのです。そのような人材をマーキングすることで、たぶん医療者にも 現場がどういうミッションで動いているかというのが、わかりやすくなるような 気がします。    今後はその上にさまざまな条件を付けて、総合医や認定医の制度などを上乗せ すると、地域医科大学の地域枠を希望する方々の大きな動機付けにもなるし、そ ういう人たちが集まって、地域でどういう標準治療を行っていくかというディス カッションにも、非常になりやすいのだと思うのです。マーキングされた人材が いれば、組織の中でチームが生まれると思います。へき地・離島支援だけではな くて、これはいま重要な地域連携の問題がありますが、各組織で地域連携などを 担う人材にも、十分なり得ると考えています。    私は地域でもがいている1人の臨床医ですが、いま私どものような地方病院は 非常に厳しいのです。地域の強化とか、地域病院のブレイクスルーになるのは、 やはりチーム医療で効率的に標準的な治療を修得できる組織を育むシステムを 作っていくことだと思います。さあ、これはこういう仕組みになるから現場でや りなさいと言っても、非常にファジーでわかりにくい。特に地元大学の医局の派 遣だけで固めているような病院などは、誰が、どういう理由で他病院への支援を するのか理解できないというような状況が生まれて、そこに政策の青写真とのギ ャップが生まれてくると思います。へき地の拠点病院などでは周囲の医療者にも わかりやすいシステム作りができればと望んでいます。 ○梶井座長:ありがとうございました。ただいま3名の委員の方にお話を伺いました。 まだまだ支援機構が十分に認知されていない、浸透していない。それから組織の 意識付けがまだまだ不十分である。都道府県によってだいぶ温度差がある。いま 三阪先生からはどう組織を作っていくか、チーム医療が大事なのだと。そういう ところに携わる医師をどのように育てていくか、というようなご意見があったよ うに思いますが、このへき地支援機構について、いま論点2のところを皆さんの ご意見を伺いながら、肉付けをしようと進めているのですが、当然へき地拠点病 院についても、一緒にご意見が出てこようかと思いますが、そちらについてもご 意見を賜りながら進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○奥野委員:自分の県のアンケート結果を見て大いなる反省でもあるのですが、うち は関わっていると答えられた所と、そうでないというのがはっきりしていまして、 自治医科大学卒業生が行っている所は関わっていて、そうでない所はそうでない と答えているというところです。この理由の1つは支援機構の成り立ちのところ で、自治医科大学卒業生がへき地の診療所等でいろいろ苦労しているので、それ を整理しようということで県にできたためでもあるわけです。専任担当官をいま までのところずっと自治医大の卒業生が担っており、卒業生に関しては一定年数 でへき地勤務を交代をしていきますので、毎年どこにどういうふうに派遣してと かが支援機構の仕事の中心になって多くの部分が割かれていきます。その他のと ころを決して無視しているわけではないのですが、その他の所は、ある1人の方 が長期間勤務されているという所が多くて、そういったところで差異が出たのか なということです。ただ、代診等に関しては、一応呼びかけをさせていただき、 そういった所でも派遣をしてはいるのですが、先ほどのご意見のように、支援機 構そのものの名前が伝わっていないということです。ただ、これからは、そうい った卒業生以外の先生方のところにも、きちんと足を運んでいかなければいけな いというのが、この結果を見ての大きな反省点です。 ○梶井座長:ありがとうございました。どうぞご意見をお願いいたします。 ○澁谷委員:いま、いろいろと伺って、資料も見せていただきました。実は私も、全 く関わりがないところがこんなに多いのだとは思わなかったのです。私は愛知県 の保健所に勤務していますが、おそらくこういう問題を考えるときは、即座にで きる方策と、中長期的に対応していく方策の両方を考えていかなければいけない と思うのです。いま市町村合併が進んでいるので、これまでの政令市とか中核市 の中にもへき地の診療所がある、という状況が出てきているのです。したがって、 以前のようなへき地の診療体制とは、ちょっと医療の事情が違ってきているとい うことがあって、当事者だけが理解しているとかとても難儀している、動いてい るという状況だけでは進展しないだろうと思うのです。    そこで中長期的には、学生時代に自治医大以外の大学の教育の中でも、へき地 医療支援機構という言葉を一度も聞かないで卒業をしてしまうというようなこ とがないように、それは医学部だけではなくて、看護教育も含めて教育のカリキ ュラムというところでも、考えていただきたいと思っています。    そういった理解が根付かないと、全体的な医療の中で、へき地医療をどう考え ていくかというところで、支援機構が非常に動きにくいことになってしまうので はないかと思います。それが中長期的には1つ必要かなということです。    そして地域で直ぐにもできるということを考えますと、設置していない所があ るということ、あるいは一度も応援をお願いしていない診療所の先生たちがいる とすれば、何か標準的なものを示して、学会にも行ける、休暇もとれるようなも のを、どちら側からも歩み寄って、先生たちも遠慮をしないで声が出せるような、 そういう標準的なものを示せないだろうかと思います。設置をしていない所は、 とにかく設置をしていただくことをまず考えて、そういうものについては、進行 管理をきちんと国でしていくということが必要ではないかと思います。 ○鈴川委員:私もこの関与がないというのは、あまりにも多いのでちょっとびっくり しました。研究班のほうで、へき地の診療所に対してのアンケート調査を5年前 と今回と行っています。それを見て感じたのは、大体3割ぐらいの診療所長さん しか、支援機構がどこにあるかを知らないという結果だったのですが、これより は少し数は多いです。1つ気になるのは、一体誰が返答したかというところが影 響しているかなとは思いましたが、それにしても5年間経って、私たちの調査で はへき地支援機構が一体どこにあるのかを知っている人が全然増えていない。こ の5年間そういう支援機構の存在感を示すことができなかったのではないかと、 その理由をもう少し分析して反省する必要があると思うのです。    例えばこの前、振興協会のほうで支援機構の人たちが集まった会がありました が、あのような会をもっと大きなものにし、国として支援機構会議のようなもの を立ち上げて、どのような先進事例があって、どういうことをやっているかをも っとアピールをしないと伝わらないのではないか、ということが気になっていま す。何度もお話に出ているように、4つ、5つの県が非常に先進的に動いており、 そこに支援機構がちょうどはまって、そこの支援機構はよく動いている。あとは 何も動かないまま5年間経過してしまっているような気がします。支援機構会議 という名前は別として、全国的にアピールし、全国的に一度みんなでディスカッ ションするような場が、必要ではないかというのが意見です。 ○梶井座長:ありがとうございました。村瀬委員どうぞ。 ○村瀬委員:先ほど三阪先生がマーキングというようなことをおっしゃられたと思う のですが、地域でへき地医療に携わっている先生方の帰属意識、自分はどういう 立場で働いているのかということは、たぶん非常に大きな問題だと思います。そ れはおそらくキャリアパス、キャリアデザインに関わってくるところで、へき地 医療支援機構というのは、ある部分は自治医科大学の卒業生支援機構という部分 があり、医局で動いている人事が別にあると、2つの系統に分かれていることに なります。大学の医局人事が動いている所に地域医療支援機構が乗れば、全体的 な1つの組織となります。    個別に先生方の勤務状況を見ると、20年、30年、40年という先生方も結構お られますので、そういう先生方はどこにも所属しないで「Dr.コトー」で頑張っ てみえる。どこに所属していて、そこに所属していると、どのようなキャリアパ スが見えるのかということが、非常に大事なのではないかと思います。おそらく、 それは県ごとによって成り立ちが違うのでしょうけれども、へき地医療支援機構 というのを1つ核として動かすということで考えているとすると、やはりへき地 医療支援機構が単なる支援機関でなくて、そこが1つのドクタープールとしてど う機能させるか、その中でキャリアパスをどう作っていくかを、地域の実情を踏 まえて考えていく必要があるのではないかと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。いろいろな問題点を踏まえながら、具体的な 提案等も出てまいりました。澁谷委員からは中長期の計画が必要だ、標準化を進 める。国の関わりを明確にする。ここに鈴川委員からさらに仮称支援機構会議な るものを立ち上げて、全国のそういうような連絡会議を設けてはどうかというこ とも出てまいりました。村瀬委員からはキャリアパスを示したりドクタープール の場としたりする、そういうところも支援機構の役割ではないかというご意見が ありました。そのほかにはいかがでしょうか。 ○吉新委員:私は支援機構を策定した第9次のメンバーの1人でした。当時の考え方 では、へき地医療支援機構は、教育も含めてへき地医療拠点病院群を、専任担当 官を中心に構築するシステムやファンクションなので、専任担当官が当事者とし て1人いるとかといった状態ではないのです。残念ながら、恒常的に機能してい るというところがあまりなく、例えば専任担当官は県の課長補佐だったり、病院 の研修指導医だったりして、掛持ち状態が多い。一方では、土日もなく、県内を 駆け回っている方もいれば、他方ではへき地には全然足も運んでいないという方 がいたりと、各都道府県でまちまちというか、勤務形態もそうですし、雇用形態 もそうですし、相当違うのではないかというような気がしています。どちらにし てもへき地医療支援機構全体を取り巻く資源というか、基本的にはリソースマネ ジメントが、目標だと思うのです。    私は地域医療振興協会にいまして、今年だけで100を超える団体から、「病院 や診療所の医師がいない、助けてほしい」とお見えになっていますが、都道府県 に話しても駄目、地元医大に話しても駄目という状況で、要するにへき地医療支 援機構が都道府県の一部としてあるという認識もおそらくお持ちではないので しょう。結局どこか出してくれそうだという噂の所を、担当の部長と市長が走り 回ってお願いしているという感じがするのです。そういう意味では全国のへき地 医療問題というよりも、例えば長崎や島根のように、各都道府県で、広域連合を 作るとか、自分たちで研修病院を確保しへき地に従事する医師を養成するとか、 さらに、出先の中核病院も基本的にはネットワークの中で経営も運営も人集めも 運営しているというような、かなり太い、しっかりした仕組みを作らないと、最 後のフロントラインのへき地医療支援機構だけの議論をしていても、私は始まら ないと思うのです。十分な肉付けがされないと、細い線だけでへき地と県庁がつ ながっているだけではへき地医療支援は不十分で、十分なマンパワーを持ってい たり、臨床研修病院の運営をしたり、中核病院には必ず総合診療科的なところを 作って、教育しながら後期研修者の方に、研修の一部としてへき地に行ってもら うような大きな枠組みの中で運営をしないといけないのではないかと思います。    地域医療振興協会もいくつかの研修病院を持っていて、現在、後期研修を入れ ると120人ほど研修医がいるのですが、東京北社会保険病院では研修医が40人 いますが、スタッフも含めて年間2,500日ぐらい代診に行ってもらっています。 これは後期研修医が中心ですが、さらに、ナースとかパラメディカルとか、コメ ディカルの方々の派遣も沢山行っています。今回はドクターの件だけだったので すが、いろいろな職種の方にも自由に動いて参加していただける、逆に病院にと っては非常に負担になるでしょうけれども、4疾病・5事業の1つの大きなへき 地医療の支援ということがもう少し評価されれば、積極的にへき地に出ていくと いう病院がどんどん増えるのではないかと思います。診療報酬とかでのメリット といいますか、インセンティブが弱いのではないかと私は思います。ですから、 全国のへき地医療支援機構だけの会議をやっても、うちはこうやっています、あ あやっていますということになってしまうのですが、自分の県に本当に望ましい へき地医療支援機構の仕組みが実現できるのかどうかは、相当ないろいろなレベ ルの合意形成が必要になってくるのだと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。吉新先生、いまのお話を私なりに解釈すると、 いわゆるへき地ということだけではなくて、各都道府県の中での地域医療におけ る役割、位置付けを明確にしていくということですね。 ○吉新委員:はい、そうですね。もちろん村瀬先生のおっしゃったように各都道府県 ごとに、いろいろな歴史があると思うのです。一部の方たちの意見が非常に強く て、結構、へき地医療に理解が足りないところがあったり、医療資源が枯渇して いて、へき地医療には目が向かないような県もあったり、医科大学が複数ある所 では比較的排他的でないというか、何でも受け入れるような文化があるように思 うのです。地域の医療における文化がその中に新しいものが生まれるというので はなくて、いろいろなものが糾合してというか、どんどん吸収しながらへき地医 療支援機構が育っていくのだと思います。ですから、さまざまな組織をまとめな くてはいけないという点で医療行政の中でもへき地医療は極めて難しい部分だ と思うのです。へき地医療でみんなが合意、大同団結することは、地域全体が研 修や医療ニーズの分析、解決策などのソリューションをみんなで練っていくとい うプロセスです。これがうまく機能しないと、へき地医療支援機構は機能しない のだと思います。単純にへき地医療支援機構だけを取り上げるのではなくて、い ろいろなバックグラウンドを考えながら将来への仕組みを作っていく、大変時間 がかかる作業だということを言いたいと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。そのほかにはいかがでしょうか。 ○前田委員:長崎県では離島・へき地医療支援センターがへき地医療支援機構の業務 を担当しています。へき地医療支援機構がよく機能していないところが多いとい う議論がありましたが、この件で各都道府県の方々にちょっとお尋ねしたい点が あります。機構長(専任担当官)のモチベーションはどうかという点です。実は 長崎県では機構長が毎年のように変わっています。それで政策等の策定とか、派 遣医の手配、あるいは自分で代診をするなどの業務で果たしてモチベーションが 保てるかどうかという点を考えていく必要があるのではないかと思います。もし この機構が地域枠で卒業する学生のキャリア形成を提示できるのであれば、もし かすると地域枠で卒業する学生の心理的な拠り所となって、将来大きな医師集団 になり得る可能性があると考えています。あるいはその元締め的な存在になるよ うな可能性があるというふうに思うのです。ですから、この機構がもっと大学の 卒前教育と連携を強化して、医師教育のほうで機構長のモチベーションを上げて いくというようなところも考慮していく必要があるのではないかと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。いま前田委員から各県の様子はどうかという ことで問いかけがございましたが、いかがでしょうか。 ○内藤委員:へき地医療支援機構が機能しているかどうかという議論、これはそれぞ れの県によってかなり違うと思います。これまでは自治医科大学の卒業者を中心 に、主として運営されてきた経過がありますが、今後数年しますと全国の医科大 学の地域枠の卒業生が出てまいります。そういった人も加えた形で、どういうふ うに運営していくかというのが、中期的な課題になるかと思います。これとは別 に現在厚生労働省で地域医療再生計画を進めています。この中に、医師確保のた めの方策として、それぞれの都道府県で寄付講座の形等にしても、地域医療講座 を作りなさいということが謳われています。そうしますと、47都道府県すべて に地域医療講座ができてまいりますので、そういった部分と今後のへき地医療支 援機構を、どのような形で連携というか、融合していくかというのが中長期的な 課題になるのではないかと私は考えています。 ○梶井座長:ありがとうございました。いろいろなご提案、ご意見が出てまいりまし たが、そのほかにいかがでしょうか。 ○奥野委員:県の現状というお話をしてみたいと思います。5年前にこの機構ができ まして誰がやるかという件になりまして、自治医大の卒業生で義務年限内の者が やっていこうということになり、ひとまずは卒業9年以内の卒業生が県庁にまい りました。経緯としてはへき地医療そのもの自体が、県庁の中での理解がまだま だ低かった。それが、少しずつ県庁の中でのへき地医療に対する認識や理解が、 彼らが県庁にいることによって非常に深まってきた。それから県庁の中で少しず つチームができ上がって、それで前向きにいこうというのがこれまでの歴史です。 ですから一遍に組織ができて云々ではなくて、やっと毎年いることによって交代 はしましたが人材の凹凸はありましたが、理解が県で深まってきて、やっと県の 施策の中でへき地医療というものが、この医師不足でかなりクローズアップはさ れたという面はあるのですが、やっと育ってきました。今回それだけでは駄目だ ということで、少し年齢の食った自分がリーダーとして行ったわけですが、これ から支援機構が育っていくためには、これまでうちの県のように若い人だけが交 代して引っ張っていくのではなく、若い人は交代してもいいと思うのですが、年 余にわたって活動できる人が引っ張っていくのが、機構自体を何とかしていくと いうためには、1つの大きなポイントだと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。渡邊委員代理どうぞ。 ○渡邊委員代理(全国離島振興協議会):意見を言う場で質問をして申し訳ないので すが、過去の経緯がわからないので教えていただきたいのです。先ほど診療所の 全く関わりがない、あるいは年1回、あるいは月1回という答えが返っています。 全く関わりがないという答えなのですが、これは機構を知らないということも考 えられるし、機構が供給するようなサービスを別の所から得ているのでニーズが 満たされているということかもしれないと、その辺をどのように理解したらいい のかというのが1点です。    もう1点は、年に1回、あるいは月1回と、これは年1回というのは相当頻度 が低いような気がするのですが、月1回でも低いような気がするのです。一体機 構が目指したサービスに対して、月1回、あるいは年1回ということで、これを 十分だと考えていいのかどうか、その辺をちょっと教えていただきたいと思いま す。    次いでにもう1つ、恐縮ですが、機構からの派遣、医師の代診ですが、ゼロの 所、あるいは非常に少ない所が多いわけですが、これもたぶん県によっていろい ろ事情があるのではないかと思うのです。その場合に、例えば知らないというケ ースもありましょうし、あるいはほかの方法でニーズが満たされているというこ ともあると思うのですが、その辺はどのように理解していいのか、その辺をどな たか教えていただければありがたいのですが。 ○梶井座長:吉新委員どうぞ。 ○吉新委員:これは沖縄県のケースですが、我々は毎月1週間与那国町立与那国診療 所に代診を出しているのですが、この表ですと417番で、へき地医療支援機構を 知らないと返答されています。島にドクターが1人しかいらっしゃらないもので すから、月に1週間休みたいということで、代診を3年前から協会内のいろいろ な施設から代診を出しているのですが、支援機構がやっているのを、ご本人はた ぶんご存じないのだろうと思うのです。この表のいくつかの我々が知っている所 だけでも、返事が実は違うのではないかと思います。支援機構という名前自体は 知らないけど、結果は果実は手に入れている。名前の宣伝が足りないということ なのかもしれませんね。 ○中山救急・周産期医療等対策室長:先ほどあまり紹介をしなかったのですが、参考 資料2というのがいちばん最後についておりまして、参考資料2が実際に調査し た用紙になっています。ご指摘の部分は10頁のところでして、これは都道府県 を介してへき地診療所に調査した内容です。10頁の10、左の下がへき地医療支 援機構との関係という部分になっています。ご指摘のとおり、「へき地医療支援 機構は」という件から始まっていますので、へき地医療支援機構を知らないと、 どこに付けるかというのがあるのですが、「貴診療所へ連絡・相談をどの程度行 っているのでしょうか」という質問に対して、この選択肢は決められていて、[1] が全く関わりがない。[2]、[3]とこれのどれかに丸を付ける。もし付け方がわから なければ、都道府県に照会するなり国のほうに相談がくるなりというケースはご ざいました。 ○梶井座長:渡邊委員代理、よろしいでしょうか。 ○渡邊委員代理:はい。 ○梶井座長:そのほかはございませんでしょうか。 ○澤田委員:渡邊委員代理の方から、「機構が目指したサービスに対して、月1回、 あるいは年1回ということで、これを十分だと考えていいのかどうか」というご 質問がありましたので、機構の立場から回答をさせていただきます。機構がへき 地診療所に対して「年1回の関与」というのは、例えばどのような事例があるか といいますと、へき地診療所の現況調査や現地視察などの活動を指しているよう に思います。私などは代診に行った際に、ついでにへき地診療所の周辺状況や、 開設者である市町村長や事務長さん、担当課長さんらと現地で直接お話をすると か、地域住民やコメディカルの方々と直接対話するなどして情報収集に努めてい ます。機構の立場であれば「代診」という関わり方でなくても、こういった形で 現地を訪れて「現場をよく知る」ことも、私は機構として必要な役割であり、か つ十分意義があることだと思うのです。例えば、現在実施されている臨床研修「地 域保健・医療」ですが、へき地・離島を経験できる内容であることが推奨されて います。大学で、へき地医療に対して深く関わりを持っているところは少なく、 へき地診療所を抱える自治体や国診協・国保連合会関連の医療機関は、どちらか というと大学よりは都道府県との関係が深い傾向があります。したがいまして、 「地域保健・医療」研修のプログラムなどを検討する際に、へき地医療機関との パイプ役として役割を果たすべき立場は、やはり都道府県だと思うのです。その ためにも、都道府県庁内に、へき地医療機関の現況を一番理解している専任担当 官がいるということが重要になってくると思います。以上のようなことで、私は 「年1回の関与」ということでも、現地視察や情報収集という形であれば、機構 の役割として十分意義のあることだと考えています。専任担当官は、県庁や拠点 病院の建物の中でずっと仕事をするだけではなく、また「代診」という形でなく ても、一定の頻度で現地視察に出向いて、へき地診療所の現況把握や様々な情報 収集をおこなう必要があると考えております。 ○梶井座長:ありがとうございました。実は今日ご欠席の中村委員から連絡をいただ いておりまして、へき地医療支援機構にいくつかのご意見が書いてあります。先 ほどご紹介のありました調査の結果、専任担当官がへき地医療に専任していない 印象を受ける。へき地医療に専任させなければならない縛りを作ったほうがよい。 週のうち一定日数をへき地支援に費やさず、年間の直接の代診日数が足りない場 合は、兼任担当官とすべき。専任担当官と兼任担当官に分け、補助金を2種類に したほうがよい。最後にへき地医療支援機構が本来の機能を発揮するのなら、専 任担当官と兼任担当官が各都道府県に1名ずついてもよいか。というご意見をい ただいています。そのほか、いかがでしょうか。 ○木村委員:先ほどどなたかのご質問かご意見で、支援機構のあり方というか立場が 出たと思うのです。やはり47都道府県、へき地のない所もあれば我々の所など はどちらかというと過疎地域、へき地を多く抱えた所ですが、私見になるかもし れませんが、私はこういった専任担当官になっていま7年目になります。その1 つ前の職は県立中央病院の総合診療科部長をやっていましたので、どちらかとい うと自分が病院の中にいて、いわゆる拠点病院にいて代診を多くやっていて、今 度はそこを離れて県のほうにいるわけです。例えばちょっと話を変えて、どこか その市町村の病院ができるときに、県もかなり関わるわけです。計画を立てて5 年とか、結果的に建つのは5年、7年というスパンだと思います。何が言いたい かというと、県の医療行政をやっている行政官は、2、3年で交代してしまうの で、長期的なスパンでの全県下のことを見渡せないと思うのです。    私は7年目になりましたので、たいてい、県内のほとんどの市町村のことがわ かっています。そうすると、私は健康福祉部にいるわけですが、健康福祉部トッ プはすでに3、4人変わっていますが、だんだんとある意味では私に任せてきて いまして、そうすると、本来の健康福祉部なり医療対策課というものの中に私が あるわけですが、だんだんそれがそういった全県下の医療行政のコーディネータ ー的な役割を果たすようになってきて、だんだん雪だるまのようにいま仕事が増 えるというか、そういう状況になってきています。ある意味それは1つの理想的 な姿なのかなと。7年前に病院の計画を県も一緒になって立てたけれども、いま 建ってしまったら医師がいなくなって、その病院は大変だというのがあって、そ ういったことも長く関わりながら、少し中長期的なことも展望を見ながら、病院 を建てていく。例としてはそういったこともあるのかなと思っています。    最後ですが、かつては病院には大学との関係で、院長とその大学医局との関係 で医師が来たわけですが、それができなくなって、ようやく市が関わったりして きているわけです。それは当然、市だけではできない、町だけではできないから 県にもきているわけですが、特に過疎地域を多く抱えた所は全県下を見渡せる立 場に、支援機構が場合によっては求められているのかなという気持がしていると ころです。最後まとまりがなくなってしまいましたがすみません、長くなりまし た。 ○梶井座長:ありがとうございました。吉新委員どうぞ。 ○吉新委員:いま木村先生がおっしゃったとおり、実は4疾病5事業の周産期にして も、小児にしても、救急にしても、へき地医療にしても、そういったリソースマ ネジメントが、支援機構の最大の仕事なのです。ですから、各県内の医科大学は もちろんいろいろな医師会、研修病院、中核病院、これらのリソースを全部チェ ックしながら、それらを最大限に活用するために、へき地医療確保という目的で 活動ができるという、一種のどこの部分でも相談にいけるぞ、という通行証みた いなものが専任担当官の方の存在なのです。それが県によっては行政の一部のラ インの中に入っていたりして窮屈になっているように見える。非常に残念だなと 思うのです。ですから、今日取り上げられたような資料を毎回各都道府県ごとに 専任担当官は整備をして、次を考えることが重要で、本人がへき地に行くなどと いうことはあまり重要でないと思うのです。全体のマネジメントがうまくいって いることが大事で、本人がへき地に代診に行かなくても、登録医の先生方に代診 に行ってもらってもいいでしょうし、その辺は地域によっても全然違うでしょう し、成熟度も全然違うでしょう。    ただ、ファンクションとしては、リソースマネジメントでとにかくへき地を優 先的に手当てをできるという能力を持った人が、専任担当官をやるべきだと思う のです。ですから、そこのところを履き違えて、専任担当官がへき地に行かなけ ればいけないのだみたいなことになってしまうと、本末転倒というか、本来の趣 旨と違うのではないかと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。今日は論点整理で挙げられたものの中で、へ き地医療支援機構にかなり議論が集中しておりますし、私自身はできれば今日は へき地医療支援機構の強化対策について1つの方向性が出せればと思っておりま すので、是非全員の委員の方からご意見を伺いたいと思います。まだご意見を伺 っていない委員の方にご意見を伺いたいと思うのですが、土屋委員いかがでしょ うか。 ○土屋委員:今年初めてこういう委員に選出されまして、私は長野県なのですが、長 野県には支援機構がないです。確かにターミナルケアのこととか、へき地医療の ことは検討したような時期があったような気がしているのですが、そういう体制 になっていないというのがどういうことなのか、県のほうにも聞いてみたいなと 思っているところです。ただ、いまいろいろなご意見を聞かせていただいて、作 っただけではなくて活用される方向になっていけばいいなと感じました。    私は看護師なのですが、いろいろな所で看護師の役割もかなり大きいと思うの で、なかなか充足されないで困っている。私のステーションでも、まだまだ足り なくて、管理者も一緒になって飛び回っているというような状況の中では、少し こういうところでも、へき地などに行くと余計そうなのです。木曾辺りに行きま すと、1件行って帰ってくると70km走ってきたみたいなことを言っております ので、そういった話を聞くと、もう少し何とかならないかなということを感じて おります。 ○梶井座長:ありがとうございました。続きまして角町委員いかがでしょうか。 ○角町委員:話をする場というか、関わりを十分に作れないままお話を聞いていたの ですが、このへき地医療支援機構の問題の1つとして、たくさん調査の結果を見 ていても、その場に関係される方が歯科のことや口の問題は基本的には頭にない と思いました。だから、本日の議論の中でも、やはりそういう部分が先行して動 いているなということが全体の感想です。では、なぜこういう領域の中で口に関 わる問題が出てこないのかと思うと、医療は救急というのが非常にクローズアッ プされた形で命の対応を全面的に、有無を言うことなく支援をしていくことが求 められるわけですが、その後にくる回復期等に障害を抱え持ったような人たちも、 やはりその後に必ずくるだろう。地域になっても同じようなことが起こってくる。 そのときに問題として出てくる生活に関わる問題に少し展開していくと、地域の 保健医療の全体を考えていくときのへき地医療支援機構の中に、すべての領域に 歯科の関係者を入れることは、必要ではないかもしれませんが、ブロック単位で どこかの絡みにそういう人たちを置きながら、現場と連携をしていくことも必要 かなと思います。    大学の関係者にも意見を聴取したのですが、「では、あなたの所で人を出せる か」ということを確認しました。キャリアパスの問題をお話しても、2年ぐらい が限度かなというように一応関係者は言っていました。歯科の研修が終わった後 の2年というのは、かなりできてくるだろうとは思いますので、そこにそういう 体制の中で人を派遣していくことも仕組みが構築できていけば、可能になりはせ ぬか。そうすると、第1回目の検討会の折にお話をしたときも、私自身も非常に 気にしながら事後生活や地域を見ているときに、どうしても超えなければいけな い1つに口の問題が、そして現場の地域の中の在宅を見ると、やはりそこには口 の問題が常に残されてしまっている。そういうところを見ると、こういう形でへ き地に焦点を当てて、医療の仕組みや支援の対象を考えていくときに、私たちは このレベルで少し手を入れていくことが必要かなと感じました。 ○梶井座長:ありがとうございました。角町委員からは前回に皆様のお手元にありま す論点整理の論点5のところで、歯科医療ネットワークについてということを挙 げていただいておりまして、これはまた非常に大事な論点であろうと思いますの で、ただいまもご指摘いただきましたが、また時間をとってやらせていただけれ ばと思います。いずれにしましても、支援機構の中における位置付けということ で、いまお話いただいたと思います。 ○角町委員:もう1つお願いできればと思います。先ほど個々の直診の話が出ました が、個々直診がかなり実態を把握していると思うのです。そういうところを使っ て、現場情報を把握できればと考えています。よろしくお願いします。 ○梶井座長:ありがとうございました。続きまして畠山委員いかがでしょうか。 ○畠山委員:へき地医療支援機構、あるいはキャリアパスというお話がありましたが、 実は外国にいるような感じで伺っておりました。そういう分野、そういう経験を 持っていない所で、いま皆さんのご意見を伺っていたところです。私は行政の立 場から言いますと、これはへき地だけではなくて、過疎地域、あらゆる地方は今 まさに、この地域医療が大変な状況になってきております。皆さんのお立場から ではなくて、私どもの立場から申し上げますと、今度はへき地、あるいは過疎地 域でも同じだと思いますが、そういう所に勤務をしていただける医師、そういう ドクターがそこで生活を楽しめる、あるいはそこで生活の充実につながる。そん な地域の意識も特に重要な、そんな時代なのかなということで、皆さんとは違う 受け手の立場から見ますと、そんな発想も必要ではないかと思っているところで す。 ○梶井座長:ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。続きまして 前野委員お願いできますでしょうか。 ○前野委員:いままでお話を伺っていて議論を巻き戻すようかもしれませんが、これ まで10次にわたる検討会は、全体のあり方として、いわば各地にいる医師ら医 療者をどうやってへき地に目を向けさせ、へき地医療の人材を確保するかが主題 でした。しかし、畠山委員が言われたように、今、へき地医療を支えてきた地方 の中核的な病院で医師が足りなくなって、へき地医療以前に地域医療全般が立ち ゆかなくなってきている。病院が閉鎖されたり、小児科や産科が廃止されたりす る事態に陥っています。そこには、都会と地方の格差や、診療科目の偏在といっ た部分が拡大し、地域医療の問題が大きく変質してきているのではないか。そこ を踏まえて議論する必要がでてきたという気がするのです。    一朝一夕に解決がつく問題ではないけれども、へき地保健医療を含めた日本の 地域医療を今後どう考えていくかという、ある意味で長中期的な視点を盛り込ん だ形で論議していかないと、絵に描いた餅になるのではないかと思います。具体 的には各地の医師確保に向けて、有効な対応策をどう打ち出すのか、キャリアパ スの問題でも、医師、患者双方に専門医志向が強い中、地域に根差した医療技術 を持った医師をどう確保し育てていくのか。また医療の質を高めながら地域の中 核病院等と連携を図って行くのか。それはへき地医療含めた地域医療のあり方が、 問われていると思います。    ここの検討会がどこまで踏み込むべきなのか、分かりませんが、各地の地域医 療の問題が深刻になっている昨今、単にへき地保健医療というものだけに留まら ず、地域医療全体のあり方について視野を広げていく必要があるということです。 都道府県のアンケート調査を拝見しましたが、やはり地域の住民たちを診られる 総合医の確保が切実です。医学部では、力量を備えた医師の育成にむけて、どの ように教育されているのか。それを推進するためにどういう方策が必要なのか。 先月、プライマリケア学会等の関連3医学会が統合に向けて、総合医の認定試験 が行われたばかりです。それは1つのキャリアパスのきっかけにもなるでしょう し、その辺を踏まえた総合医の在り方を論議していくべきだと思います。    もう1つ、へき地支援機構についてですが、2007年の医療法改正によって、 都道府県には、大学とか地域の基幹病院、自治体、医師会などで構成する「地域 医療対策協議会」の設置が義務づけられました。支援機構は地域医療対策協議会 と連携して、地域医療のあり方と総合的に捉えるべきではないかと思いました。 ○梶井座長:非常に大切な視点、この検討会の根源に関わる視点だと思いますが、あ りがとうございました。続きまして内田委員、お願いできますか。 ○内田委員:民主党が政権を取って、いろいろ動きがあったものですから、民主党の 政策で期待するところもあれば、ちょっと問題があるところもあるなといろいろ 考えているところです。この地域医療に関しては、診療報酬を上げるということ を謳っています。地域医療再生基金もおそらく地域医療の再生ということ自体を 謳っている以上は、これを頭から削ると、あるいは凍結するという話はたぶんな いだろうと思っておりますので、こういう予算を活かしていく必要はあるのかな ということを感じています。    それから、このへき地医療支援機構、実はどういう機能を果たしているのかと いうことが実感としてなかったものですから、お話があまり把握できなかったの です。詰めて言えば、地域医療のコーディネーターを果たすということなのかな と思いました。おそらくここで機能している所というのは、ほかのいろいろな地 域医療の取組を見ていますと、大体熱心にやる先生がいる所という話になってし まうのです。この支援機構というのもそうではないのかなという印象を持ちまし た。その中で、このコーディネーターとしての役割を一生懸命果たしていらっし ゃる所がうまくいっているというのは、やはり地域、へき地に出掛けてそのニー ズを把握し、何が必要なのかという解決策を一生懸命現場で考える先生がいらっ しゃるということです。それから今後これをうまく進めていくためには、やはり 病診も含めた連携体制とチーム医療体制を、その地域で提供できるようなシステ ムを作ることが、非常に重要になってくるのかと思いました。その点を考えると、 やはり熱心に取り組んでいる、取組が進んでいる地域の情報、現状というのを集 約して、共有化する作業が必要になってくるのかなということは、今日のお話の 中で感じました。    もう1つ、先ほどから総合医の話が出てきて、医師会の役割というのをちょっ と触れておいたほうがいいのかなと思います。医師会では、3年半前に唐澤会長 が就任したときから、総合的な診療能力を持つ医師の育成、それに対する何らか の認定システムがあったほうがいいのではないかということで検討してきまし た。今年の夏に大体、生涯教育カリキュラムのシステムと、総合医を認定するた めのステップを、どういうふうにしていくかということのタイムスケジュールも 含めて、一応提案できる体制にはなりました。ただ、現状で都道府県の医師会を 見回しますと、都道府県に結構根強い反対があります。というのは、現場で開業 している先生方はそういう総合医的な役割を十分果たしていると、そういう方た ちを切り捨てるようなシステムになってはいけないという意見が随分強くて、そ れがネックになってなかなか進まないという状況にあります。社会的な状況とか いろいろな背景を考えますと、そろそろ踏み込んでもいいのかなという印象を私 自身は持っています。いまそれだけの基盤はこの間の取組の中でできてきたのか なという印象は持っています。    もう1つは、先ほど話がありました3学会の統合と、その中での専門医認定と いう動きがありますので、3学会の学会専門医の認定と、総合的な診療能力を持 つ医師を認定するということはちょっと別立てになってくる。範囲を広げて、地 域で果たしている役割をきちんと評価するほうがいいのかなということは、思っ ています。本当の総合医というのはやはりこれから2年、3年、5年ぐらい経っ たところで、実際にその大学教育や卒業研修をきちっとやった中で育ってくる人 たちで、そういう人たちが本当にキャリアとして社会的に認められるようなシス テムになれば、本当にいいなと思っています。 ○梶井座長:ありがとうございました。続きまして、砂山委員代理お願いできますか。 ○砂山委員代理(北海道保健福祉部保健医療局):北海道ですが、私の所属している 所が、地域医師確保推進室という、まさに支援機構そのもののような名前だなと 思って、ずっと聞いていたのです。私は、看護政策担当をしておりますので、医 師確保について支援機構がどこまでうちの組織にかぶっているのか、はっきり把 握していないものですから申し訳ないのですが、ただ北海道の実情を考えると、 三次医療圏は6つあるということで、うちの専任の医師1人ではおそらく代診に 行くこともできませんし、マネジメントするだけで精一杯だなと思います。個人 的な意見で言わせてもらうと、少し三次医療圏単位くらいで、そういうマネジメ ントする医師は必要なのではないかと客観的には見ているところです。    話を聞いて、ずっと医師確保の問題をやっているので、どうしようかと思って いたのですが、実は看護師確保対策をやっていても、地域の看護師不足はかなり 深刻な状態にあります。北海道では、看護師確保ができないために病院ではなく 有床診療所にしたとか、有床診療所から無床診療所になったとかという事例があ ります。また、自治体立病院でも15対1の体制もとれず、特別入院基本料とな っているところが10数カ所ある状況です。看護師確保はもちろん看護師対策と してやっているわけですが、このへき地医療対策の中にも含めて一緒にやるべき ではないかと思っているのです。この支援機構にどのように位置づけたらいいの かがわからないので、悩んでいるところでした。    1回目の論議のときに、医師が地域に行ったときに面で支えるシステムが必要 だという議論があったと聞いているのですが、やはり地域では、お医者さん同士 だけで支えるのは限界なのではないかと思っています。現実に、高齢化してきて いますので、地域住民を訪問看護師とか保健所保健師とか包括支援センターのケ アマネとか、いろいろな人が関わって支えている、この人達がお互いに支え合う というシステムを作らないと、おそらくお医者さんも居られないし、看護師も居 られないのではないかなと。そういう広い意味での、へき地におけるチーム医療 のあり方も考えていったらいかがかなと思っているところです。    お医者さんが短期間で代わらざるを得ないというのは、医師のキャリア形成か ら考えると理解できるのですが、そうすると地元に残された、地元でずっと支え ている看護師だったり、ほかの医療職はその度に振り回されるという実態があり ます。お医者さんによって振り回されて、意欲をなくしてしまうこともあるので す。やはりそうではなくて、組織としてきちっとお医者さんを支えながら、地域 医療を着々と遂行していく、そういう体制がとれるといいのではないかと、理想 的には思っていました。 ○梶井座長:ありがとうございました。対島委員、いかがですか。 ○対島委員:全く医療に関わりなくて、地域の活動としてやってきた住民代表の立場 で、今回青森から参加させていただいています。ですので、この支援機構という 機関も全然わかっていませんでした。この資料を見て、青森が全く関わっていな いということ、また、へき地拠点病院の医師の充足率もほとんどないという、赤 の文字で書かれていたこと、それに加えて学生の育成状況もあまりなされていな い、何もないというところがすごく、正直なところ淋しく感じています。こうい ったことを、今日皆様のご意見をいろいろお聞きしまして、参考に大変勉強にな りましたけれども、これを県に帰って、医療業務を担当している方たちにまた報 告いたします。では青森県はどういうことをやっているのか、支援機構に関して はどう思っているのかというのをちょっとお聞きしたりして、また地域住民に返 せる部分があれば返していきたいと思っています。    前に、へき地医療に関わっている若い先生とお会いしたことがあるのですが、 先生が言うには、やはりそれは自分はやりたいんだと。けれども家族のことを考 えると、やはりなかなか継続してできない。住民の立場としては長くいてほしい と思いますけれども、けれどもそういったことを考えたら、やはり先生の生活も 必要だなということを強く思いまして、2、3年で代わるというのもそれもまた 仕方のないことなのかなと。そこをうまくつないでいける方法があったらいいと 感じている次第です。これからも勉強させていただきますので、よろしくお願い いたします。 ○梶井座長:ありがとうございました。皆様から大変いろいろなご意見をいただきま した。今日は、へき地医療支援機構という所にフォーカシングしたのですが、前 野委員からもありましたように、地域医療全体の中でどう捉えていくのか、へき 地をということは、やはり我々一人ひとりがそれを踏まえながら、議論をこれか らも進めていかなければならないと思っています。    今日実は私自身はへき地医療支援機構について、皆様のご意見を伺いたかった のは、総論的なディスカッションではなくて、各論的にやはり入っていって、き ちっとより具体的な案をまとめていくべきだと思ったからなのです。ですから、 実は皆様のご意見を聞きながら、私書きとめたのですが、へき地医療支援機構と いうのは、従来の非常に狭い概念、従来から広かったとは思うのですが、ややも すると狭く捉えられがちの概念、役割を明確にしていこうというのが、皆様の中 から出てきたと思うのです。ですから当然、へき地だけではなくて、地域の中で へき地をどう捉えるか、あるいはへき地を充実させることによって地域全体を良 くしていく、そういうようなご議論がいろいろな委員から出たと考えています。 そういう意味で、非常に長期の計画の中でどうこれを位置付けていくか、あるい は協議会との関係をどう見ていくのか。協議会以上により具体的な役割を果たせ る所ではないかと。ですから協議会でいろいろと議論して、そこにも支援機構が 関わっていきながら、そこで出た計画を実践していく。地域全体でコーディネー ションしていくというような役割があろうかと思うのです。    いままでそういう役割を果たしていた所は、支援機構はそうなのですが、支援 機構自体がなかなかそういう役割は持っているのだとは思うのですが、十分にそ れが果たせていなかったし、県で認識されてなかったのではないかというように、 今日お話を聞いていて思いました。そういう意味で、やはりなぜ認知されていな かったのかとか、そういう部分も踏まえながら、これから支援機構をそう位置付 けて、実は支援機構を中心にいろいろな地域全体のことを考えて、その中でへき 地のことも考えて、へき地医療のことも考えていくというような方向付けが必要 なのではないかと、皆様の意見を聞きながら思った次第です。    そうなりますと、役割とか位置付けというのは支援機構とへき地の診療所、あ るいは拠点病院を結ぶ点と線ではなくて、やはり面と考えていかなければいけな いだろうと。キャリアパスの問題、ドクタープールの問題、それから教育研修の 問題等々出ました。それから地域医療の分析という話も出ました。なかなかこう いうところが私、いろいろな県を見ていて、地域医療の分析が十分に出てないで すね。ですからいろいろな議論のときに、理念的な議論になってしまっていると ころもあろうかと思います。そういうことを考えると、非常に支援機構の役割と いうのは明確で、重要な役割があるのではないかと思った次第です。当然そこの 中心となる専任担当官のあり方、位置付けも再度明確にしていくべきであろうと 考えた次第です。当然支援機構の役割とか位置付けは、県の特性によってそれぞ れ違ってこようかと思います。まず今日のご意見では、都道府県の中でこの役割、 それから方向付けをもう一度明確にしていただくことが出ていたと思います。    一方では、国の関わりということで、支援機構会議、仮称を立ち上げてはどう か。定例的に各都道府県の支援機構の方々、あるいは県の方、あるいは拠点病院 の方々がお集まりいただいて、その進捗状況とか課題、問題点等を持ち寄って議 論していただく。やはりそういうことをしながらチェックアンドバランスを進め ていかなければ、どうもこのまま支援機構は私は非常に大切な役割だとは思うの ですが、いまの状況だとその役割が果たせてない状況ですので、是非11次に向 けては、支援機構の役割が果たせるような提案を、皆様とともに取り入れていき たいと思っています。    財源の問題は、診療報酬の問題とか、地域医療支援、地域医療再生基金の問題 等も出てまいりました。こういうようなこともあろうかと思いますが、一応今日 の議論をまとめると以上のようなことになります。    なかなか論点の広がりが出なかったのですが、地域医療全体を見ながらへき地 の医療確保ということにフォーカスを当てながらということで、次回は拠点病院 の問題や医師の育成、医師の役割それからキャリアパス、その辺りについて皆様 とまたご議論できればと思います。論点が5まで上がっていますが、その他に、 こういう論点もあると、前回会議が終わりました後に、村瀬委員からICTの問 題が出ました。村瀬委員どうでしょうか。 ○村瀬委員:これまでのお話を伺っていると、まだ組織全体をどうするかという状況 にあると思いますが、組織がある程度固まってきたときには、効率的に運用する ためにICTというのは非常に重要かと思っています。個別の意見の中でも、遠 隔医療システムだとか、あるいは地域連携の電子カルテシステムを整備する必要 があるということがありましたので、お時間をいただけましたら、また少し紹介 させていただきたいと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。というようなことで、また是非論点の中にこ ういう論点を入れたいというご意見がありましたらお寄せいただければと思い ます。少し時間がオーバーしてしまいまして、申し訳ございませんでした。 ○奥野委員:論点といいますか、ちょっと検討を加えていただきたい。非常にベーシ ックな話なのですが、へき地の診療所で長年勤務してきた立場として、へき地勤 務を是非普通の家に住んで、普通の診療所でやらせていただきたい。つまり、ま だまだオンボロ家に住んで、非常に古い診療所で活動していなければいけないよ うなへき地の診療所は多々あるわけです。どういうことかと言いますと、実は自 分の県でも調べまして、こういう所で論議するのはどうかと思うのですが、補助 金の問題なのです。へき地診療所を建てる設置基準というのがあります。これが、 例えば診療部門の基準面積が160平方メートルで、それで基準価格が平方メートル当たり13万程度、 坪で40万いかないですね。補助率が2分の1なのです。つまり、とてもではな いけれどもこのレベルで物は建たない。例えば医師住宅は基準面積が50平方メートルです。 小さなアパートより小さいです。それから基準の算定の坪単価が40万そこそこ、 これも補助率が2分の1。    つまり、これはいろいろな意味あいがあると思うのですが、へき地の診療所は この程度でいいのか、あるいはへき地に住む医師は50平方メートルでいいのかと、裏をと ればそういう表現にもなってしまうと思うのです。補助率に関しても昭和50年 代は大体3分の2ぐらいあったのですが、いまは2分の1ということです。つま り、もちろん該当市町村が頑張って、その家を建ててあげるとかそういうことは 大事だとは思うのですが、やはり非常に財政が苦しい田舎の市町村にとっては、 この補助は結構大きいものと思いますので、是非こういった基準面積の見直しと か、要するに診療所が160平方メートルでいいとか、医師住宅は50平方メートルでいいとかするので はなくて、もっとスケールを大きくしていただく。あるいは基準になる単価とか、 その基準補助率のアップとかも、非常に下世話な話かもしれませんが、是非そう いう検討をしていただいて。    我々は決して立派な家に住んで、豪華な診療所でやりたいと思っているのでは なくて、ごくごく町で住む場合と同じような住環境で。町と同じような開業され る先生方も、こぎれいな診療所がどんどん増えています。やはり田舎の診療所も、 田舎の住民にとっても、別に汚ない診療所でいいわけではなくて、やはりこぎれ いな診療所で、診療を受けていただきたいというのがありますので、是非そうい うのを前向きに押してもらえるような方法もとっていただきたいと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。時間がオーバーしてしまいましたが、本当に 今日は皆様からいろいろな幅広い、そして有意義なご意見を伺えて、大変助かり ました。ここで、事務局から次回以降のスケジュールについてご説明、ご案内い ただきたいと思います。 ○田川係長:次回の検討会ですが、既に調整させていただきましたとおり、次回第3 回の検討会は10月30日、金曜日の15時から開催いたします。場所は、第1回 会合を行った場所と同じ、全国都市会館を予定しています。これについては、ま た開催通知にて正式にご案内申し上げます。    また厚生労働省においては、11月以降に無医地区、無歯科医師地区の調査を予 定しています。この調査票等の案についても、次回の検討会に提出したいと考え ていますので、よろしくお願いいたします。なお、本日の議事録については、前 回と同様に委員各位のご確認をいただいた上で、厚生労働省ホームページに掲載 をさせていただきます。以上です。 ○梶井座長:以上を持ちまして終了とさせていただきたいと思います。長時間にわた り、ありがとうございました。第3回以降もよろしくお願いいたします。 (了) 照会先:厚生労働省医政局指導課  救急・周産期医療等対策室   助成係長:田川 幸太  電話:03−5253−1111(2550)