09/09/16 第42回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録       第42回労働政策審議会 職業能力開発分科会 日時 平成21年9月16日(水)  16:00〜        場所 金融庁9階共用第一会議室 ○今野分科会長 時間になりましたので、第42回労働政策審議会職業能力開発分科 会を開催いたします。 本日の出席状況ですが、浅井委員、黒澤委員、瀧澤委員、大野委員、山野委員がご 欠席です。  まず最初に労働政策審議会の委員につきまして、4月に任期満了に伴なう改選が ありました。これに伴ない、本分科会についても委員の改選が行われました。改選 後の委員名簿については参考資料1にありますので見ていただきたいと思います。 新たに就任された方をご紹介いたします。 公益代表委員は、中京大学経営学部教授の浅井委員、早稲田大学教育・総合科学学 術院教授の三村委員、株式会社リクルートワークス研究所所長の大久保委員です。 続いて使用者側の委員ですが、東京都中小企業団体中央会常務理事の上原委員、日 本アイ・ビー・エム株式会社人事労務ビジネスコントロールの荒委員です。なお、 労働者側の委員は変更はございません。  さらに、本分科会の下に設置しております若年者労働部会についても、4月の任 期切れに伴う改選が行われております。部会に属する臨事委員等については、参考 資料3の労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名する ということになっております。そこで、参考資料2にある方々を指名することにし たいと思いますので、よろしくお願いいたします。  さらに、厚生労働省に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。 小野職業能力開発局長、総務課井上課長、能力開発課田畑課長、育成支援課浅川課 長、実習併用職業訓練推進室高森室長、能力評価課小鹿課長、海外協力課小澤課長 です。事務局を代表して、小野局長よりご挨拶をさせていただきます。 ○小野職業能力開発局長 改めまして前任者同様、ご指導のほどよろしくお願いい たします。ご承知のように、雇用情勢もいまの景気の現状を受けて、非常に悪化し ております。遅行指標ということもあって、景気の面では明るさも見られるのです が、失業率も5.7%ということで、史上最高の水準まできているというようなこと もあります。そういう中で、やはり職業訓練、能力開発の分野というのは、セーフ ティネットの1つとして重要な分野だと認識しておりますので、皆さん方のご指導 もいただきながら行政運営に当たっていきたいと思っています。どうぞよろしく お願いいたします。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは議題に入ります。お手元の議 事次第にありますように、本日は諮問案件1件と報告案件1件の合計2件です。最初 の議題は「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱及び職業能力開 発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。これは厚生労働大 臣より労働政策審議会会長あて諮問がなされたところでして、これを受けて、本分 科会において審議を行うものです。事務局から説明していただいて議論をしたいと 思います。 ○小鹿能力評価課長 お手元の資料1-1に沿いましてご説明いたします。今般諮問 申し上げておりますのは、技能検定にかかる職種について職業能力開発促進法施行 令におきまして、その職種を規定いたします。それを一部改正する政令です。内容 ですが、2頁です。技能検定の職種を施行令、政令で規定しておりまして、今般、 着付けにかかる職種を追加いたしまして、他方、スレート施工にかかる職種を廃止 する政令案です。  もう1つは、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令です。基本的に 政令で規定された職種につきまして、技能検定を実施する場合の等級や試験科目、 あるいは公共職業訓練施設において、技能検定に向けた訓練メニューを用意して おり、それを内容とするものを省令で規定しておりますが、政令において、着付け を追加し、スレート施工を廃止するということに伴いまして、所要の整備を行うも のです。以上が骨格です。  資料1-2に沿いまして具体的な内容をご説明します。まず現行制度ですが、技能検 定制度は、労働者の有する技能の程度を検定する国家の検定制度です。現在136種が 規定されており、そのうちの11職種につきましては、民間の指定試験機関におきまし て技能検定試験が行われています。検定職種の内容は、いま申しましたとおり、政令 におきまして、具体的に定められております。また、省令におきましては、政令で 定められた検定職種ごとに、検定を行う等級や、試験科目並びにその範囲、公共職 業訓練施設において検定にかかる訓練メニューを用意している場合には、その訓練 メニューなどを規定しています。今般改正の内容ですが、2(1)ですが、着付け職種 を追加するということです。着付けというのは他人に着物を着付ける職種ということ です。この着付けに関しましては、それを行う場合に高度な技能や専門的知識を必要 とする。我が国におきましては、結婚式、成人式等々、冠婚葬祭等におきまして、着 付けに係る技能を有する人材に対する需要が強いということから、今般、技能検定職 種として追加をしたい。その場合においては、指定試験機関においてこれを行わせて いきたいと考えております。  他方、廃止するスレート施工関係です。これはご案内のとおり、各種建物、屋根、 外壁等において使うものですが、スレート施工というのはスレート板の取り付けを行 う職種です。この職種に関する人材の需要、あるいはスレート板そのものの需要が近 年減少しているといったこと等を踏まえまして、技能検定の職種から廃止することに したいと考えています。改正の具体的な法制度上の取扱いですが、着付けの追加につ きましては、政令の別表第1において規定をし、並びに指定試験機関方式で行いたいと 考えておりますので、政令の別表の2で併せて書込み、追加をしたいと考えています。 なお、技能検定の等級につきましては、1級及び2級という2区分で実施していきたいと 考えております。こちらのほうは省令で整備するということです。  また、スレート施工職種の廃止関係ですが、同じく政令からスレート施工を削除す るということです。これに伴いまして、公共職業訓練施設で行っているスレート施工 等の技能検定に向けた訓練メニュー等が省令で規定されておりますが、これを削除す るということです。公布日ですが、10月15日を予定しております。施行日は公布日と 同日付けで予定しております。以上でございます。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それではご質問、ご意見をお願いいたし ます。 ○花井委員 技能検定職種の新設と廃止という要件についてです。いま、2つの職種に ついてご説明いただきましたが、次の頁に検討会で廃止あるいは追加についての考え方 がまとめられていることは承知しているのですが、需要が減っているといった場合の数 とか、あるいは逆に着付けに対して需要が増えているとか、どのくらいの人たちがいま 検定を受けているのかといった、客観的な資料があったほうがいいのではないかと考え ております。今回は本日が諮問ということですので、是非とも次回のときはその客観的 な増減がわかるような資料を付けていただきたいと要望しておきたいと思います。  もう1つは、着付けの追加ですが、それ自体は特に反対ではないですが、新設すると きにどういうところから要望が出てきて、そのことについて誰が、どういう場所で検討 して決めているのか。この資料からではなかなかわかりませんので、いまもしお答えい ただけるのでしたら教えていただければと思います。以上です。 ○今野分科会長 前者についても数字がわかりましたら、口頭でもよいのでお話いただ けますか。 ○小鹿能力評価課長 まず数字的なものですが、着付け関係ですが、結婚式場等で専門 的に行う者と、美容師さんが美容師業の傍ら行うといったものに大きく区分けされます 。今般需要の程度につきましては、特に美容師さんが傍らで行うといった数につきまし て、人材の需要がかなり多いといったことです。具体的には、従業美容師さんは全国で 約44万人おりますが、業界団体において社内検定を行っております。美容師本来の業務 と併せまして、着付けの職種についても社内検定のメニューの中に入っておりまして、 現在までのところ、この着付けに係る社内検定を受けた累計受験者数は2万5,000人を数 えております。人材の需要が強いのではないかと私どもは判断しております。  一方でスレート施工の関係ですが、業界団体等からのヒアリング並びに検定試験を行 った近年の状況等を 鑑みますと、具体指数値で申しますと、平成11年から20年度まで、受験者数が年平均25 名ということで、かなり低い状況になっております。また、スレート板自体の需要につ いても、ここ10年20年の間で激減しております。スレートの波板の製品ですが、昭和47 年当時、出荷量が5,500万枚であったものが、平成17年には470万枚ということで、10分 の1に減っております。こうしたことを勘案して、スレート施工は業界団体とも調整等 をした上で、廃止ということで諮問した次第です。  また、この技能検定職種の新設、廃止ですが、基本的には外部の有識者にご参集いた だき、その方々のご意見を頂戴しながら、追加あるいは廃止等を考えています。主なル ートとしましては、私ども厚生労働省に対して、各業界団体の方々から技能検定として 追加を希望したいというお話があります。そうしたものをルートといたしまして、外部 の有識者からなる検討会において検討を経て、政令案なり省令案として諮問申し上げる 、そういった手続になります。 ○今野分科会長 特に前者については要望がありましたので、確かにここで最初に判断 するときに、基準の数字がないですねと言われた話だと思います。今後、ご検討いただ ければと思います。ほかにございますか。 ○水町委員 先ほど外部の有識者の検討会ということですが、もう少し具体的に教えて ください。例えば着付けについては、その有識者を集めてやっているのか、それとも技 能検定全体に対する検討会というのが常設のものとしてあって、定型に沿ってやってい るのでしょうか。  もう1つ。2頁の矢印の下のところに、行政改革の重要方針で、「新設の職種について は、民間の指定試験機関において行うことを原則とする」と書いてありますが、今回の 着付けについてもこの方針に沿ってやられているのか、確認したいのですが。 ○木口技能検定官 外部の有識者の会議に関しましては、技能検定の全般に関して、専 門調査員ということで職業能力開発局長が任命した委員によって構成される会議で検討 しております。具体的には能力開発大学校の先生や、大学の先生などによって構成され るものです。  2つ目につきましては、この方針に沿って、都道府県方式ではなくて、民間の試験機 関による方式によって新設するということです。 ○今野分科会長 よろしいですか。ほかにございますでしょうか。それでは当分科会と しては、職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱及び職業能力開発促進 法施行規則の一部を改正する省令案要綱については妥当であるという旨の報告を、私か ら労働政策審議会会長宛に行うこととしたいと考えておりますが、よろしいでしょう か。                (異議なし) ○今野分科会長 それではそのようにさせていただきます。事務局から報告文(案)の 配布をお願いします。お読みいただけましたか。よろしいでしょうか。                (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。  次の議題に入ります。次は報告です。「緊急人材育成支援事業の実施状況について」 です。事務局からお願いします。 ○田畑能力開発課長 緊急人材育成支援事業の実施事業についてご説明させていただき ます。平成21年度の補正予算におきまして、緊急人材育成就職支援基金ということで約 7,000億円の基金が創設されているところでございます。これは厳しい雇用失業情勢が 続く中、非正規労働者の離職の増加や、失業の長期化が懸念される事態に対応するため に、平成23年度までの3年間にわたり、雇用保険を受給できない方に重点をおいて、職 業訓練、再就職、生活への支援を総合的に推進することを目的として置かれた基金です。  お手元の資料2-1に基金の概要のポンチ絵を付けております。3本の柱がありまして、 1つ目が職業訓練、訓練期間中の生活保障ということで、35万人の方に対して、例えば 新規成長や雇用吸収の見込める分野、医療、介護・福祉、IT関係等ですが、そういう 分野における基本能力習得のための長期訓練や、再就職に必要な必須のITスキル習得 のための訓練等々で、訓練機会を拡充していくというもの、それから訓練期間中の生 活保障ということで、約30万人を計画しておりますが、訓練を受講する主たる生計者 の方に対しまして、訓練期間中の生活費を給付するものです。2つ目が中小企業等にお ける雇用創出ということで、実習型、職場体験等を通じた雇入れに対する助成、3つ目 が長期失業者等の再就職支援ということで、2と3につきましては職業安定局のほうで 実施しているものです。  職業訓練の拡充と生活保障の詳細につきましては、2枚目の資料がまず緊急人材育成 支援事業のうちの職業訓練の拡充部分です。この基金による事業、35万人分と、雇用 保険二事業による離職訓練を3年間で65万人ということで、3年間で100万人を対象に 職業訓練を実施するということです。基金で担う35万人につきましては、先ほど説明 申し上げましたが、再就職に必須のITスキル習得のための訓練や、新規成長、雇用吸 収分野の長期訓練の設定をしていくということ。生活費の給付につきましては、4枚目 、訓練・生活支援給付のあらましという表で掲げていますが、雇用保険を受給できな くても安心して職業訓練を受けられるように、主たる生計者や、年収要件等、一定の 要件を満たす受講者に対して、訓練期間中の生活費を、単身者は月10万円、被扶養者 を有する者は12万円、これに併せて、それでなかなか生活が厳しいという方について は、労金を通じて単身者については上限5万円、被扶養者を有する者については上限8 万円の貸付けを行うという制度を設けております。  この制度につきましては、もう1枚卓上に事業実施状況の資料を配布しております 。7月15日に全国のハローワークでこの緊急人材育成事業の相談、受付けを開始いた しました。7月29日に最初の職業訓練、これは先行実施ができる所から速やかに実施 しようということで、北海道、千要、東京、神奈川、富山、愛知、大阪、福岡、大都 市圏が中心ですが、その8道県でITスキルコースを開始したということです。その後 、すべての都道府県における実施に向けまして、訓練実施機関の開拓や、訓練コース の設定支援等に取り組んでおります。  訓練開拓の業務については、当初、雇用・能力開発機構に無償でお願いをしており ましたが、この9月からは委託契約を結びまして、全力を挙げて開拓に取り組んでい るところです。  これまでの実績ですが、9月15日現在で、既に中央能力開発協会で正式に訓練コー スとして設定されたものが、コースとして496コース、認定済みの定員として10,816 人ということで、1万人の大台に乗った状況です。これ以外にも、訓練の開拓を担っ ている雇用・能力開発機構では、既に申請書類を受理したものが800を超えており、 今後、1コース20名として1万6,000人を超える訓練コースの設定がなされる見込みで す。これらの訓練は順次認定を行うとともに、実際に設定された訓練を求める求職 者の方々が適切に誘導されることが重要ですので、ハローワーク、労働局と密接に 連携を図りながら、現場で訓練の情報をリアルタイムで共有して、受講者が確実に 誘導されるように今後とも取り組んでまいりたいと考えております。  生活支援給付ですが、9月15日現在で3,222件の受給資格を認定しております。こ の給付は、訓練が開始をされてから支給されるものです。訓練の設定が増えており ますので、今後この支給も飛躍的に延びていくと考えております。なお、訓練・生 活給付につきましては、資料2-1の4枚目にあるように、いくつか要件を設けており ますが、運用の見直しを図り、例えば年収の要件に際しては、前月の収入をもとに 年収を見込んでいたのを今後収入がなくなるという方についても支給できるように するとか、年収につきまして、年金の収入を除外するなどの運用改善を図り、でき る限り生活給付が必要な方、これを求めている方に支給できるような改善を行って いるところです。今後とも支援を必要とする方に確実に給付が支給されるよう、中 央能力開発協会で認定を行っておりますが、関係機関と連携を取りながら制度の適 切な運用に努めていきたいと思っております。  事業の周知につきましては、これまで政府広報やテレビ番組、新聞への折込み広 告等々、またホームページはもとより携帯サイトなどにも掲載をして、できる限り の周知を行っているところでございます。大都市圏の求人情報誌や「タウンワーク 」などにも広告を掲載し、できる限りたくさんの方々の目に触れるような努力をし ておりますが、引続き努力してまいりたいと思っております。労使団体や教育訓練 機関、関連機関宛にも事業周知のためのポスターを発送しておりますので、この場 をお借りしまして、引き続き周知広報へのご尽力を賜りますようお願い申し上げま す。  それから、資料2-2ということで、中央訓練協議会の資料を付けております。8月 5日に産業界、労働界、訓練機関、関係省庁の方に集まっていただきまして、今後の 職業訓練の実施方針を決定したものです。詳細は時間の関係もありますので、後ほ どご覧いただければと思いますが、かいつまんで申しますと、公共訓練と基金訓練 を併せて、今後3年間で100万人程度の離職者訓練を実施するということで、情報通 信、介護・福祉、医療、環境、農業など、今後成長や雇用吸収が見込まれる重点実 施分野、当面の実施規模を決定していただきました。また、実施方針の推進に向け 、産業別、地域別の実状を踏まえつつ、関係者が有機的に連携することをこの場で 確認したところです。私どもとしては、これを受けて早急に産業別、また都道府県 ごとに、地域ごと、産業ごとの訓練協議会などを設置して、それぞれの分野、また 地域における訓練ニーズの把握、訓練の実施方法について協議してまいりたいと思 っております。各地方機関を持たれているところにおかれては、是非この点ご配慮 を賜ればと思っております。  いずれにいたしましても、今後、3年間で100万人という訓練はかなりの数でござ います。精力的な訓練コースの開拓、その開拓した訓練に対する誘導は、いままで 以上に力を入れていく必要があると思っております。今後とも訓練開拓を担う雇用 ・能力開発機構、また基金が設置されています中央職業能力開発協会と、密接に連 携しながら必要な対応をしてまいりたいと思っております。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意 見をお願いします。 ○大久保委員 基金の運用状況に大変関心をもって見ているわけです。これは雇用 保険と生活保護のいわば隙間を埋める新しい形で作られた、雇用保険の対象になっ ていない人たちを救済するための施策として大変重要だと思うのですが、実際にこ れが始まってみて、そのプログラムに対して受講者がちゃんと持続してくれるのだ ろうか、中途でドロップアウトしてしまわないだろうかとか、あるいはその受講し ている人たちが、どのぐらいの割合でこの貸付に対するニーズを持っているのだろ うかというあたりが、もし、いまの状況の中で見えてきている情報があれば、教え ていただきたいのですが。 ○田畑能力開発課長 7月から始めて、訓練が順次スタートしています。コースの 設定は3カ月からとなっていますが、開始されてからまだ月日が、いまいちばん長 い方で1カ月半ほどですので、訓練を始めた方がどのくらいドロップアウトしてい るのかという状況は、正直、まだ見えていないところです。いずれにしても、訓 練から就職にどうやってつなげていくかということが、これから大事になってき ております。いまは訓練のコース設定に力を入れておりますが、今後、出口の部 分と言いますか、就職の部分についても状況を見て、また、訓練機関に対しても 、訓練がちゃんと就職に結びつくように雇用・能力開発機構を通じていろいろな 助言、アドバイス、指導もしております。そういったことを適切にやってもらい ながら、我々もいろいろな情報を収集して、適宜適切に対応してまいりたいと考 えております。 貸付に対するニーズにつきましては、制度が始まってから、9月 6日現在で融資の実行件数が80件段階です。実際に資格を受けて、お金をもらった という方が1,100人ですので、大体、1割を切るぐらいの数です。窓口ではこうい った制度もあるということを丁寧に説明していますので、必要な方は受けていた だいているのかと思っておりますが、ハローワークなど、いろいろな所を通じて 実態を把握して、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。 ○今野分科会長 ほかにいかがですか。 ○水町委員 いまの点と関係して2つあります。1つが、これは3年の基金というこ とですが、本当にこれから3年間、基金が持ちこたえるかどうかわからなくなって きたということも含めてですね。これ、3年後に新しくすることがあるかもしれま せんし、途中で何か修正を加える必要が出てくるかもしれませんが、いずれにし ても3年間の時限的な基金ではなくて、恒常的な制度としてこういう制度を作って いくという視点に立って検討がなされているのでしょうか。ヨーロッパの制度など ではもう恒常的な制度として法制上整備されていますので、それを参考にしながら 今回こういう手当がなされたと思いますが、きちんとした恒常的な制度として法制 を整備していくという。もちろん方針や決定はまだ、そこまでいっていないでしょ うが、そういう形での方針の検討をされているのかということが1つです。  もう1つは、具体的に訓練期間中の生活保障で、いま、現状は1,000件ぐらいで貸 付が80件という話でしたが、生活保護との関係がどうなっているのか。制度を作る ときに、生活保護との関係をどう調整して制度設計をしたのか。実際に動かしてみ て、そういう状況にある人の多くは生活保護にいっているとか、生活保護にいく前 にこちらを利用しているとか、そこの関わり合いですね。同じ厚生と労働の中で、 背景を同じくするような制度が2つできた場合の調整がどのようになっているのか という点をお聞きしたいと思います。 ○田畑能力開発課長 2点ご質問がありました。まず前段の、基金は今後どうなるの かということです。いろいろな新聞報道もありますし、民主党のマニフェストなど 、こういった制度について、恒久的な措置を取るべきではないかというような提言 が出されていることも承知しております。新しい政権が今日発足ということですの で、新しい大臣が着任されてから、その大臣のご指示もいただきながら、今後のあ り方を検討していくことになると思っております。 そういう意味では、基金のあ り方をどうするかという問題は、今後出てくるだろうと思っておりますが、私ども、 この訓練を受講してもらうとか、生活給付を受けてもらうとか、そういったこと自 体は、いまの厳しい雇用情勢の中で、是非とも引き続き継続してやっていきたいと 考えております。その方向で今後の制度のあり方とか、基金のあり方を検討してい きたいということです。いずれにしても新しい大臣のご指示を踏まえて今後対応し ていくということです。  生活保護との関係ですが、いま生活保護を受給している方が、この訓練を受けて 生活給付を受けることにより生活保護から脱却していくという方向で、また、そう いう発想のもとで厚生部局ともいろいろ相談をしながら、制度設計をしております 。これで、実際に数字がどのくらい動くかというところは、また今後の数字の動向 を見ながら必要に応じて分析をしていく必要があろうかと思います。制度の考え方 そのものは、そういう発想で制度設計したことをご理解いただければと存じます。 ○水町委員 後者については、果たしてその制度設計どおりに動いているのか、逆 に、生活給付制度のハードルが高すぎて、生活保護のほうがもらいやすいと言って 、そちらの窓口にどんどん行ってしまってはいないのかというような点から、場合 によっては、そのハードルが高すぎる場合には、少し見直しをされているという話 も伺いました。そういう観点から見直しも必要かと。現状を認識した上で、適切な 対応が必要かと思います。 ○田畑能力開発課長 生活保護の支給状況や、この訓練を受けている方の生活給付 の状況など、まだ制度は始まったばかりですので、数字の動き方が見えていないと ころがあります。今後の動向をタイムリーに把握をいたしまして、必要な手は必要 に応じて打っていきたいと考えております。 ○今野分科会長 いまの点についてはおそらく、また半年後に同じ質問をすると思 います。そのときには実績があると思いますので、資料を出していただければと思 います。ほかにございますか。  私から1ついいですか。これだけ規模を急速に拡大して、訓練をするほうの受け手 の開拓は、どういう状況だったか教えていただければと思います。大変ですよね。 従来の規模からすると倍ぐらいいっていますか。もっとですか。 ○田畑能力開発課長 離職者訓練で、いままで委託で行っていた数が大体20万人弱 ですが、今年こういう経済情勢の中で、補正ということで2.7万人追加して、委託訓 練としては、離職者訓練ということで22万人の設定をしておりましたので、それに 上積みする形で3年間35万人。3で割ると大体12万人程度ということですが、少ない 数ではないと認識しております。 ○杉浦審議官 先ほど、能力開発課長も説明しましたが、地方訓練協議会というの をやりまして、経産省や農水省など、関係の省庁の人にも来てもらったり、あるい は専門学校の団体や民間の訓練機関の団体からも来てもらってお願いをしておりま すが、そういう会議だけでなく、事前にも結構こまめに訓練の団体を回って、是非 訓練コースを作ってくださいという働きかけを、いましています。  それから、教育訓練給付という制度がありまして、これは自己啓発のためにやっ ていますが、教育訓練を行っている学校などで、このような訓練コースを作ってく れないかというようなことも、アンケート調査を取ったり、打診したりとか、幅広 く訓練の枠を作るべく、いま努力しております。アンケート調査を取った7月ごろの 段階では、今後やってもいいという数が、12万人ぐらいの定員枠で出てきています ので、そのとおり作っていただければ、それなりの数は確保できるのではないかと 思っています。これからどんどん実際に、個別に回ってお願いしていきたいと思っ ています。 ○今野分科会長 主要な受け手というのはいまどこですか、拡大したとき。専門学 校ですか。 ○田畑能力開発課長 専門学校と教育訓練を担っている機関です。株式会社や通常 の会社などもあり、大体主な受け手は教育訓練機関です。大体いままで認定したも のの4割ぐらいが専門学校で、その他が会社や教育訓練機関ですが、専修学校にい ろいろお願いをしてきた経緯もあり、専修学校の方が若干早めに出てきているかな という印象は持っております。これから会社のほうもどんどん増えていくように、 開拓の努力をしていこうと思っております。 ○井上委員 いまの関連ですが、通常の離職者訓練をいま行っているわけですね。 実は先日、雇用能力開発機構の現場で少し話を聞いてきたのですが、通常の離職者 訓練が終わって、今度は、終わった者の出口、受入企業がないということです。職 業訓練はしたものの就職先が見つからないというのが、特に地方では多いという声 を聞いて来ました。通常の離職者訓練ですら終わった者が就職できないという状況 にある中で、この緊急人材育成、これからどうなるのだろうという、若干不安な部 分もあるのではないかと思うのです。  そういう意味で、受入側の企業に対しての協力が是非必要になってくると思いま す。是非ともその点に力を入れてやっていただきたいと思います。 ○今野分科会長 ご要望で言っておけばいいですか。それとも何か反応しなさいと 言いますか。 ○田畑能力開発課長 いま大変厳しい雇用失業情勢の中で、就職先と言いますか、 訓練が終わったあと採用してもらう企業の開拓に頑張らないといけない状況にある と思います。ハローワークで求人開拓等を一生懸命やってもらうことも重要と思い ますが、我々訓練機関も、そのような就職斡旋に努力していきたいと思っておりま す。いまのご指摘を受け止めまして、現場に頑張ってもらうよう、我々も必要に応 じ指示を出し、また支援もしていきたいと思っております。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。  それではその次、3番目の議題「その他」です。その他については3件の報告案件 がありますので、事務局から報告ののち、また議論したいと思います。よろしくお 願いします。 ○福味基盤整備室長 この5月と6月に能力開発基本調査と、ものづくり白書を策定 して公表しましたので、かいつまんでご説明したいと思います。  資料3-1をご覧ください。民間企業における能力開発、あるいは労働者が自発的 に行う能力開発等々の現状について調査したものです。1頁目にポイントがありま すが、グラフをご覧いただきながらご説明したいと思います。3頁からですが、最 初は企業が業務を離れて行う訓練、すなわちOFF-JTをどのくらい実施しているかと いうその実施率です。これは平成19年ということになりますが、今回の調査結果で 75.6%、約4分の3の企業が正社員に対してOFF-JTを実施しており、非正社員に対し てはその約半分ということです。前回からはほぼ横ばいです。  4頁に業種別、規模別という形で載せておりますが、黒い棒グラフが正社員、網 掛けの棒グラフが非正社員です。これをご覧いただきますと、正社員と非正社員の 差というのもありますが、もう1つ注目すべき点として、正社員については各業種 それぞれ満遍なくわりと高い数値を示しています。しかし、非正社員についてはか なり跛行性があります。中ほどの金融・保険業、下のほうの医療・福祉業のように 、非正社員に対してもある程度高い割合でOFF-JTを実施している業種もある一方、 2割程度の業種もあるということで、業種間の跛行性があることが特徴として言え ると思います。  5頁は、業務を行いながらの訓練、すなわちOJTですが、そのうち、計画を策定 して指導者を置いて行っているものに限定して見ているものです。計画的なOJTの 実施事業所割合は、図3にありますとおり6割弱で、前回から10ポイント強上昇し たという状況です。それを業種別、規模別に見たのが図4です。規模別に見ますと 、大きな所では高いウエートとなっていますが、30〜49人とか50〜99人といった 中小の所で、大企業との差が大きくなっているという状況がおわかりになるかと 思います。  6頁は飛ばして7頁をご覧ください。労働者に対して訓練を行う際に、企業が雇 っている労働者全体に対して訓練を行うのか、あるいは、一部の労働者を選抜し て訓練を行うのかということを見たものです。2年前に同じ調査項目で調べている ので、2年前の調査と比較したものを図7と図8に示しております。ご覧いただきま すと、2年前すなわち前々回においては右側の2つ、すなわち労働者全体を重視す るに近い、あるいは労働者全体を重視する所が過半数を占めていたわけですが、 今回は左側のほう、すなわち選抜した労働者を重視する、あるいは選抜した労働 者を重視するに近い、この2つのほうのウエートが高まっている、そのウエートが 高まった結果、それが過半数を超えているという状況がおわかりになるかと思い ます。このような状況が正社員、非正社員共通に見られますので、選抜傾向がある のかなというところが読み取れようかと思います。  8頁を飛ばして9頁、これは自己啓発を行った労働者、労働者調査ですが、これが 6割弱の状況です。  10頁、自己啓発に対して問題があるかどうかを見たところ、4分の3強の労働者が 問題があると言っています。その中身としては図13に掲げておりますが、仕事が 忙しくて自己啓発の余裕がない、費用がかかりすぎるといったような問題点が指 摘されております。非正社員については、それとは別に上から5番目、家事・育児 が忙しくて自己啓発の余裕がないといったようなことも高い数値を示しております。  11頁、今度は事業所調査に戻りますが、人材育成上、何らかの問題があるとし た事業所は約7割であったということです。その問題について図14に掲げておりま すが、指導する人材が不足している、人材育成を行う時間がない、人材育成をし ても辞めてしまう、といったようなことを挙げる事業所の数が高くなっている。 このような状況が出ています。以上、かいつまんでですが、能力開発基本調査の結 果です。  続きまして資料4-1をご覧ください。ものづくり白書ですが、これは厚生労働省、 経済産業省、文部科学省が共同して作成して閣議決定、国会報告するという形に なっております。今回は厳しい経済情勢、雇用情勢に対してどのように対応して いるかということ、厚生労働省の関係では中核人材の育成等々について分析して おります。  1頁めくって骨子の中で第1章。これは経済産業省と厚生労働省が共同して作成 したもので、足もとの経済情勢、雇用情勢と、その対策について見ているもので す。図表1-1は、各景気後退期において生産がどの程度落ちているかを見たもので す。各期ともなだらかに落ちているわけですが、今回、これは景気後退からちょ うど1年ぐらい経った時点でリーマンショックが起こり、非常に生産が落ち込んだ というところで、今回の景気後退による生産の落ち込みが非常に急激であったこ とがおわかりになるかと思います。図表1-2はその理由について見ているわけです が、外需依存比率の高い電気機械や、輸送機械のウエートが日本においては高か った、ということが原因として挙げられております。その結果として図1-3から 1-5にかけて、今回、足もとにおいて経済指標、雇用関係指標が非常に落ち込んだ ということを示しております。このような状況に対応して産業面では資金繰り対 策、雇用面では雇用対策等々を行ったということについても記述しております。  次の頁の第2章については、これは経済産業省パートですが、2点だけご説明し ます。第1点は図表2-3の関係です。グローバル経済化が進む中で、企業が諸外国 に市場を求めて出ている状況です。従来では途上国でも富裕層に対して商売をし ていたというところが多かったのですが、中国やインド等々においていわゆる中 間層、ボリュームゾーンと呼んでいますが、こういった層が増えてきたため、今 後はこういった層を対象とした商品戦略を立てていくことになるだろう、という ようなことについて記述しております。もう1点は図表2-4から2-5あたりですが、 環境等々に配慮した製品展開がなされていくのではないかというような見通しに ついて記述しております。  3頁の3章につきましては、これは厚生労働省パートでして、ものづくり中核人 材、製造現場において中心的な役割を果たす中核人材とはどういったものかとい うことについて見て、さらには技能継承の課題について見ておるもので、39頁か らがもう少し見やすくなっておりますので、これでご説明したいと思います。3 章の所です。ものづくり現場の中核人材の育成確保、さらには技能継承が重要な 課題となっているということで、これらについて見たものです。  まず最初に、中核人材に対して求められる知識、ノウハウとはどのようなもの かを見たものが表3-1です。品質管理、生産ラインの合理化・改善、設備の保全・ 改善といったものが高くなっております。一言で言うと生産工程全体を見通すよ うな知識、ノウハウというものが求められていると言ってよろしいかと思います 。図3-2、求められる中核人材の類型を見ても、現場リーダー型技能者、あるい は多工程持ち技能者といったような生産工程全体を管理するような人材が求めら れていることがわかるかと思います。  41頁、「中核人材を順調に確保できている事業所」は図表3-7で約半数となっ ております。確保がうまくいっているかどうかの要因を見たものが図表3-8で、 うまくいっている事業所に対してはその要因、うまくいっていない事業所に対し てはその要因をそれぞれ見ているので少し見にくくなっております。図表3-8から 結論だけ申しますと、中核人材の確保に対しては、中小企業ではそもそも人材が 定着するか、採用ができるかどうかといったような基礎的な要因が影響している 面が大きい。大企業については、それに加えてOJTの効果的な実施等々も影響し ているということが言えるかと思います。ここまでが中核人材の関係です。  42頁からは技能継承について触れています。図表3-9で技能継承の問題の有無 について見たところ、製造業全体の約半数が技能継承について問題を抱えている といっております。規模別に見てどちらかと言うと、むしろ大企業のほうが問題 であると言っている所が高いという点もうかがえるのですが、図表3-10でわかる ように、これは中小企業を対象とした調査で、右下の黒い所ですが「当面影響は 小さいが、いずれ問題となる」と考えている所が全体の3分の1強あり、中小企業 については定年制が大企業と比べて柔軟な運用がなされている所も多く、そうい う意味からも現在は技能継承の問題がそれほど顕在化していなくても、今後にお いて出てくるのではないかということを考えている所があることがわかると思い ます。技能継承の取組みについて見たのが図表3-11で、日々の業務を通じた継承 、ベテラン社員の雇用延長といったようなもののほかに、技能やノウハウの“見 える化”“標準化”といったようなものも重要だと言っております。  44頁で、ものづくり現場の人材育成に向けた課題という形で結論めいたことを 述べております。その中で下から2番目のポツです。今後、中核人材育成・確保 や技能継承を円滑に進めるためには、企業内においてOJTの効果的な実施、技能 者育成の環境の整備、技能者の能力開発意欲の向上を進めることが重要である等 々という記述をしております。  45頁以降は施策の紹介をしており、公共職業訓練、技能継承に係る施策、ジョ ブ・カード制度、さらには技能尊重気運の醸成のために行っている各種大会等々 の施策についての紹介を記述しております。少し端折りましたが説明は以上です。 ○福澤外国人研修推進室長 引き続き外国人研修技能実習制度の見直しの状況に ついて、前回この分科会でも報告しておりますが、その後の状況についてさらに 報告いたします。資料5-1で、1、2頁は現行の制度の仕組みと現状について簡単 に説明したものです。この説明は時間の関係で省略します。3頁の外国人研修技 能実習制度の見直しについては、前回報告申しましたとおり、「出入国管理及び 難民認定法の一部を改正する法律」の政府案を提出したところまで説明いたしま した。改正内容については、1年目の研修生の法的保護の強化の観点から、1年目 から雇用関係のもとで労働法を適用しながら、研修・実習をやっていただく。そ れから技能実習という在留資格を新たに設ける。これは従来2年目、3年目も技能 実習と呼んでおりましたが、これは入管法の在留資格上は特定活動ということで 、法務大臣が個々に指定する活動ということになっており、法的安定性という観 点からも技能実習という在留資格を新設する。法律事項としてはこの2点が主な ところでして、政府案として提出しておりましたのが3月の段階でした。その後 衆議院において一部修正の上、衆議院は6月19日に通過し、7月8日に参議院も通 過し、7月15日に改正の法律は公布されております。施行は技能実習部分につい ては公布後1年以内になっており、来年7月が予定されております。先ほど衆議院 で一部修正があると申しましたが、これは受入れ型として企業単独型と団体監理 型の2つの受入れタイプがあり、団体監理型については原案では技能実習の定義で 「営利を目的としない団体の監理の下に受け入れる」という表現になっておりま したが、そこの所を「営利を目的としない団体の責任及び監理の下に」というこ とで、「責任」という言葉が入ったところで、与野党の修正協議がまとまり、そ れで衆議院を通過した状況です。  現在の状況は来年7月の施行に向け、入管法の下にある省令等々の協議、検討 を行っております。主な内容は、資料5-1の3頁の下、紫の線の枠内に書いてある とおりで、若干説明いたしますと、不正行為の認定を受けると、いままでは3年間 受入停止期間となっておりましたが、重大な不正行為については停止期間を5年 に延長するなど、団体監理型における受入れ団体の企業に対する指導監督あるい は支援体制等を強化するというようなことです。それから送り出し機関と本人と の間の契約内容の確認を強化するようなこと。いずれにしても研修生・実習生の 法的保護の強化という趣旨に沿い、こういう省令案を現在、検討しております。 いまの状況はこういったところです。 ○今野分科会長 それでは3件報告いただいたので、併せてご意見をいただければ と思います。 ○花井委員 最後の研修・技能実習制度について質問と要望をしたいと思います。 1頁の現行制度ですが、説明の下に「到達目標が技能検定3級相当」とあります。と ころが、この検定を受けている人が非常に少ないと伺っており、この到達目標の3 級というのは残ると認識していますが、これを受けさせるための実習計画の中に、 きちんと技能検定3級を受けることを盛り込むような検討はされているのかどうか が1つです。それから1頁にある入国者数とありますが、研修生が6,509人、これは 平成20年は事実この数字だと思いますが、それが技能実習に移行するときに2,480 人というように大幅に減っているのですが、これはどのように分析されているのか 、ご説明いただければと思います。 ○福澤外国人研修推進室長 1点目の技能検定3級の目標は、これも今回の改正によ り到達目標として変えるつもりはありませんが、委員がご指摘のとおり受験率は非 常に低いということで、これを強化すべく省令等で義務づけられないか。あるいは 実態上、こういう技能検定3級を受けるとインセンティブがある、あるいは受けな いと不利益を被るなどどのような仕組みが考えられるか、いま検討しているところ です。問題意識は委員と同じでして、あくまでも技能実習制度では技能移転の制度 ですので、きちんと出口でどれだけ技能が身に付いたか評価した上で国に帰ってい ただくことを、可能なかぎりやっていきたいと考えております。  入国者数は、研修の在留資格で1年間で帰ってしまう方々が含まれているという ことです。トータルで技能実習制度としては3年間ですが、技能実習に移行しない で研修という形で入って来て、もともとそういう予定で入って来て帰る。例えば 企業の中でも3カ月、半年、そういう研修計画でもともと資本関係のある所、ある いは子会社から来日してもらい、6カ月間研修して帰国してもらう。あるいは1年 研修して帰ってもらうということがありますので、それほどおかしな数字ではな いと考えております。 ○今野分科会長 技能実習を予定しないで研修で入ってきて、ということですね。 ○福澤外国人研修推進室長 はい。2頁に書いていますが、全体から見ると研修と いう在留資格で入って来る方が10万人ぐらいいます。では実際に1年経った後の技 能実習に移行する方はどのくらいいるかというと、5万5,000から6万人ぐらいとい うのが最近の数字で、1年以内で帰る方が確かにいます。例えばJICAの研修も研修 という在留資格で入ってきますし、AOTSで行っている研修も研修という在留資格で 入って来て、通常は1年以内で戻る。そういう方々の数字がこのように入っている ということです。 ○今野分科会長 先ほどの3級受験のインセンティブの施策は、いろいろ考えても 難しいですよね。例えばいまご質問にあった強制しろといっても、強制しても形 だけ受けて帰ってしまう。別に落ちてもいいわけです。だからなかなか難しいです 。取ってもありがたみがないのです。取ったら、例えば中国に帰ったら賃金が1割 上がるなどというと、受けるのですが。なかなか難しい問題だと思いますので頑張 ってください。ほかにございますか。 ○井上委員 同じく技能実習制度ですが、3頁でこれから入管法が改正されて公布 したということですが、施行日が来年7月の予定ということで、そうなるとそれま でに入国した研修生は、現行制度で実習することになるわけですね。今回のこの改 正は、1年目の労働法が適用しないということで低賃金だったり悪い労働条件だっ たり、そういうことがあったことも踏まえて、入管法が改正されたと思うのですが 。そうなると7月以前に入ってきた実習生の皆さんは、悪い現行制度の中で研修を するようになってしまうのではないかと思うのですが。その辺のフォローというか 、どのように対応するのか教えていただければと思います。 ○福澤外国人研修推進室長 委員がご指摘のとおり、施行は来年7月予定ですが、 ではそれ以前に入って来た、例えば直前に入って来た研修生はどうなるのかですが 、入管法の改正法の附則において従来のとおりの取扱いになるわけです。ただ今回 の改正が緊急を要する部分ということでしたので、入管法全体の在留管理の施行は 3年後ということですが、この技能実習分は1年ということになっております。もう 1つは法務省の取扱いとして、こういう法律には出てこない話ですが、研修で入る 場合の在留資格の与え方、在留期間の与え方は、3カ月、6カ月、1年というように あります。従来はこういう技能実習に移行するような方については、1年という在 留期間を入管は出していたわけですが、その取扱いとして、直前に入って来るよう な方は、短い在留期間、例えば6カ月という在留期間でまず入国してもらい、6カ月 を経過した後には新制度に切り替えてもらう、なるべく早く切り替えてもらうとい うことをいま法務省と一緒に考えております。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○水町委員 2つあります。1つがいま議論になっている改正案で、技能実習の1年 目で「労働法適用」となるところですが、労働法が適用されるものに当たるかどう かの判断を、これは法令上も労働者であって労働法を原則として適用するのだ、と 割り切って明記してやるのか、それとも実態に応じて、判例などが蓄積してきた個 別の基準に応じて判断するのか。明らかに実習の仕事をしているときはいいと思う のです。座学であったり、実務研修の中でも教育にかなり色濃い場合に、ここでは 当初の2カ月は非労働で、もしかしたらもう3カ月目からは全部労働だと判断するよ うな仕組みにしているのかもしれませんが、その辺の個別判断なのか、割り切って 法令上はもう労働で、これに類するものは全部労働者とみなすとしてやるのか、と いう点が1点です。  もう1つはものづくりで、中小企業の人材育成、後継者確保の問題で、今日のご報 告と直接関わるわけではないのですが、かつ職安局に関わることなのかもしれませ ん。最近ヒアリングに行ったときに、最近報道されていますが、相談員というもの を付けて個別に訓練をしたり、職業紹介をすることが広く行われて、これはかなり 肯定的に個別のケアをしたほうが、継続的にやったほうがいいということで、受け 入れられているという実態を少し聞きたいのです。それがハローワークの中でそう いうことが積極的に行われていて、求人と求職を併せた総合的な個別のケアをなさ れている例が、どんどん広がっているのか。私がヒアリングに行ったのは自治体な のですが、ハローワークでの相談員ケアでは、個別のところまでいけないので、自 治体の中で商工会議所等を通じて、現場で人が足りないからどうにかしてくれとい うのを、例えば区なり市町村 なりが吸い上げて、それでそういうニーズがあるのだというので、求職者も集めて 育成をしたり、後継者を育てようということを区が区の財源を使ってやっているの だけれども、その人たちを中小企業に当てはめることが区ではできないのです。  職業紹介になると区は職業紹介の権限はないし、職安法で禁止されているのでそ れができない。そういうときには自治体としてどうやったらいいのでしょうか。国 のハローワークにお願いして、仲介を頼んでやらなければいけないのかというもど かしさを感じながら、区で完結してやれれば実態に応じてやれるのだけれども、そ ういう法令上の制限があるという話を聞きました。そういう相談員制度について、 国、ハローワークで行っているという実態と自治体でそのようにやられていること に関する認識なり把握なり、相互の調整をどのようにされているのか。認識なり理 解されているものがあればご説明いただきたいと思います。もしいまの時点で把握 されていないということであれば、次回にでも教えていただきたいと思います。 ○福澤外国人研修推進室長 前半の部分は、はっきり割り切って法律上に明記して あります。具体的に申しますと、「技能実習の在留資格で本邦において行うことが できる活動」という所で、どういう活動か。先ほど申しましたように、団体監理型 においては営利を目的としない団体の責任及び監理の下に、本邦の公私の機関との 雇用契約に基づいて、当該機関の業務に従事して行う技能等の修得をする活動。雇 用契約に基づいて技能等の修得をする活動等とはっきり明記しておりますので、雇 用契約を結ばなくてはやれないということです。雇用契約を結ぶことにより、労働 法がすべて適用になるということです。 ○水町委員 ただし、入国当初2カ月の日本語等の講習については、その限りではな いという取扱いになっているのですね。 ○福澤外国人研修推進室長 正確に読むと、まず法務省令で定める要件に適合する 営利を目的としない団体により、受け入れられて行う知識の修得というのが、まず1 点あります。そこが最初の入国当初の講習に相当するところです。これは雇用契約 に基づかないものです。 ○水町委員 これは2カ月以上経っても、そういう性質であれば非労働として、労働 法の適用のない活動とされる可能性はあるということですね。 ○福澤外国人研修推進室長 そういうことですね。きちんと生産ラインに入らないで 、いや、うちは日本語研修をきちんと6カ月やるのだということになって、そういう ことであれば、その6カ月間は労働法の適用にならないということになります。それ は団体の責務になっており、それから企業に行って、実際に生産の現場で行われる活 動に関しては、雇用契約に基づいているとなります。 ○水町委員 教育だということでOJTだと言っても、それはもう企業でやっているので 労働とみなすということですね。 ○福澤外国人研修推進室長 そういう割り切りでいいと思います。 ○水町委員 ありがとうございます。 ○今野分科会長 後半はどうしましょうか。 ○福味基盤整備室長 答えられないので、別途整理をして報告ということにしたいと 思います。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○水町委員 結構です。 ○大久保委員 能力開発基本調査に関連して伺いたいのですが、これを拝見すると非 正社員に対するOFF-JT、OJTというのが、前回の調査と比べてほとんど変わらないとい うか、デコボコがあるものの横這い状態。あまり非正社員に対して職場では教育・訓 練を実施するような方向には動いていないというように見えます。さらに非正社員に 関して選抜型で実施する事業所が増えている。さらに実際の教育・訓練の対象となっ ている人が減っている可能性もあるということかなと思いますが、この辺はどのよう に実態をご覧になっているのか。非正社員の教育・訓練が、カバレッジが増えていな いということであれば、これはやはりケアすべき問題なのかなと思いますが、それが 1点目です。  もう1つは、非正社員を選抜型で訓練するところが増えてきているわけです。これは どのような中身なのだろうか。つまり常用型に至るような非正社員については訓練は するけれども、臨時にはしないなど、何か中身があるはずで、何をもって選抜をしてい るのかは、大変気になるところですが、そこについての情報があれば教えてください。 ○福味基盤整備室長 1点目、非正社員の能力開発が十分にできていない状況が続いて いるではないかということですが、おっしゃるとおりで、能力開発が進んでいないとい うことは、正社員と非正社員の待遇の格差につながっておるという認識を持っており、 そういうことから非正社員の能力開発に係る施策は充実させていかなければいけないと いう問題意識は持っており ます。  2点目の非正社員の選抜は、大変恐縮ですが、ここよりさらに下りて常用型なのか、 今後どのようになっているのか等々のさらに下りた情報は、ご説明できるものは持ち合 わせておりません。ただ想像としては、非正社員についても一部でより高い技能を求め て能力開発をしているのかなという推測は持っております。 ○今野分科会長 個人調査がありますね。個人調査に対する非正社員は入っていなか ったですか。そうしたら、そこを見ると何か少しわかるかもしれないですね。後から で結構ですが。ほかにございますか。 ○高倉委員 いまの調査で質問です。計画的なOJTを実施した事業所は増えているので すね。昨年の秋以降は仕事がなくて、雇調金との関係もありますが、実際に教育・訓練 に振り向けたという実態が非常に急増しているわけです。そういう調査の中で少し加味 されているのですか。 ○福味基盤整備室長 大変恐縮です。これは平成20年度調査といっておりますが、時点 としては平成20年10月1日現在なのですが、年間を通しては平成19年度、つまり平成19 年4月から平成20年3月という1年前の数値です。リーマンショック前ですので、景気後 退は始まっていたかもしれませんが、現在のような深刻な状況になる前の数値です。 そこは入っていないとお考えいただきたいと思います。 ○高倉委員 次に出てくるということですね。 ○福味基盤整備室長 そうです。 ○今野分科会長 ほかにいかがですか。 ○上原委員 ものづくり中核人材が非常に重要だということなのですが、私は認識不足 でよく知らないのですが、教育をするのは個別企業がOJTなり何なりでやるのは当然のこ となのですが、こういうものに対する助成制度は何かあるのですか。 ○井上総務課長 キャリア形成支援助成金という制度があり、この中では中小企業が計 画的に人材育成をする取組みをする場合に、助成するという仕組みがあります。 ○上原委員 いまの3に入る前の2との関連で、どちらかと言うと失業率を下げるために 、完全雇用を目指す意味ではさまざまな施策を打つのは当然なことだと思います。それ はそのとおりなのですが、既存のさまざまな企業があるわけですが、そこの企業の全体 的な競争力を上げることも非常に重要な作業だと思うのです。だからそこの部分をもう 少し強化するなり、引っ張っていくということが施策として検討されないかなと思って いたのです。いますぐどうのというのではないのですが。 ○今野分科会長 もう少し教育・訓練に金を出せということですか。 ○上原委員 いや、金を出すのは、先ほどの前段の2では、逆に7,000億円は過大ではな いかなどという、30万円、合計で100万円というのは本当にできるのかという指摘が新聞 などでもあります。前の政権の約束事ですから、今度はいろいろ見直しがたぶんあるの でしょうが、それはそれで非常に重要なのですが。既存の企業の競争力をどう上げるか ということが、職業能力だけを考えると非常に重要で、それは当然なことながら個別企 業の課題なのですが、そこのところを誘導するようなことが非常に重要だと思うのです。 ひっくり返して言うと先ほどもあったのですが、いくら教育・訓練しても企業側が採用 しないで、例えば海外にシフトするなどということになれば、100万人に教育・訓練をし てもどこまで有効求人倍率が反対のものが上がってくるか。いま0.5%を切っているよう な状況で、そこの部分をどのようにして整合していくかは、非常に重要なのではないかと 思うのです。企業だけではないですが、先ほども出ていましたが、インセンティブがあ ればそちらに流れます。今度のエコカー減税、家電などのものもありますね。そういう もので引っ張っていくのはまさに政策だと思うのです。だからそこの原点に立つ必要が あると思うのです。  我々が個別の企業でいうと、例えば雇調金をもらっているという現実があると。一方で 地方の拠点では雇用創出助成金をもらっていると。こういう現実があるのです。そうする と企業としては、当然のことながら創出助成金のほうが雇調金はもらえないわけです。そ ちらの創業をどうしても維持することに懸命になるわけです。創出助成金が切られないよ うに。というようなことが考えられるわけです。例えばこちらは、ほかの拠点は雇調金が もらえるということであれば、そちらは雇調金をもらうように休業して訓練するなどとい うことになるわけです。そういうことに非常に敏感にならざるを得ない。コストは非常に 厳しいですから。そういう意味で言いたいことは、既存の個別企業、この間事前にお話を 聞いたときに、中核人材の話を聞いて、なるほど非常に重要だなと改めて再認識していた のですが、それはそれで企業で教育・訓練をしているつもりなのですが。もう少しインセ ンティブなり、あるべき姿なりを示していただくというのは、国に話す作業ではないので すが、少しそういう視点が非常に重要なのかなと自ら思いましたので、少しお話しました。 ○今野分科会長 それではご意見でお伺いしておけばよろしいですか。何かあればどうぞ。 ○小野職業能力開発局長 おそらく在職者というのですか、離職者訓練よりも在職者。離 職者訓練も大事なのだけれどもということだろうと思うのですが。これは先ほどのものづ くり白書の45頁、これは雇用能力開発機構が在職者訓練という図表3-13、まさに技術革新 への対応ということで、たぶん企業の人材としてはいろいろな技術革新の中で、あるいは グローバル化の競争の中で多様な人材を作っていかなければいけないと。そうするとこれ は非常に短期間ですが、例えば1週間という短期間ですが、こういういろいろな油圧装置に トラブルが起こったときに、機動的にすぐ対応ができるかなど、生産工程の改善に活かせ るかなど。そういう観点がかなりレベルの高い訓練コースを設定して、これは大体年間で 10万人ぐらいだったと思うのですが、そういう訓練もやっております。先ほど企業に対する 訓練をやった場合の助成措置と合わせて、こういう公共訓練もあります。おそらくそうい うニーズは相当あるし、これからの日本の企業の国際競争力をつけていくという、ものづ くりで非常に重要な分野だと思いますので、こういう訓練コースも使っていただくなど、 いろいろな選択肢はありますので、是非活用いただいたらいいのかなと思います。 ○今野分科会長 それではほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは今日用意 した案件はこれで終わりですので、本日の議事はこれで終了いたします。議事録の署名は 私と私が指名するお二方が署名するということになっております。そこで今日は労働側は 花井委員、使用者側は高橋委員にお願いしたいと思います。それでは今日は終了いたしま す。ありがとうございました。 【照会先】職業能力開発局総務課総括係(5738)