09/08/03 第28回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第28回) 開催日時:平成21年8日3日(月)13:30〜17:30 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :猿田享男部会長、渡辺俊介部会長代理、田極春美委員、和田義博委員、辻本好子委員、 夏目誠委員、山田史委員 ○政策評価官  ただいまから、第28回厚生労働省独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催します。委員の皆様 方におかれましては大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は新 しい任期のもとでの第1回の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長をご選出いただきます が、それまでの間、政策評価官の私、塚アが議事進行をさせていただきます。よろしくお願いします。 私は7月28日付で政策評価官を拝命しています。今後ともよろしくお願いします。また7月24日付、 7月10日付で、それぞれ人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。7月24日付で武 田政策医療課長でございます。 ○医政局政策医療課長  武田でございます。よろしくお願いします。 ○政策評価官  7月10日付で宇口国立病院機構管理室長でございます。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  宇口でございます。よろしくお願いします。 ○政策評価官  それから事務局を紹介させていただきます。室長補佐の廣井です。 ○政策評価官室長補佐  廣井です。引き続きよろしくお願いします。 ○政策評価官  委員の皆様方をご紹介させていただきます。皆様には先に辞令を郵送しましたが、厚生労働省独立 行政法人評価委員会委員又は臨時委員として、本年6月30日付で厚生労働大臣の任命が発令されてい ます。また7月29日に開かれた委員会総会において、皆様方の国立病院部会への分属が正式に決定し ています。五十音順にご紹介させていただきたいと思います。お手元の資料1-1をご覧いただきたいと 思います。猿田享男委員です。 ○猿田委員  猿田でございます。よろしくお願いします。 ○政策評価官  田極春美委員です。 ○田極委員  田極です。よろしくお願いします。 ○政策評価官  和田義博委員です。新任でお願いしています。 ○和田委員  よろしくお願いします。 ○政策評価官  渡辺俊介委員です。 ○渡辺委員  よろしくお願いします。 ○政策評価官  辻本好子委員です。 ○辻本委員  辻本です。よろしくお願いします。 ○政策評価官  夏目誠委員です。 ○夏目委員  夏目です。よろしくお願いします。 ○政策評価官  山田史委員です。 ○山田委員  山田です。よろしくお願いします。 ○政策評価官  それでは議事に入らせていただきます。議事の3の(1)ですが、部会長、部会長代理の選出です。最 初に部会長の選出をお願いします。選出手続を説明させていただきます。お手元の資料1-3-1をご覧く ださい。厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第3項において、部会に部会長を置き、当該部会 に属する委員の互選により選任するとされています。したがって委員の皆様方からご推薦をお願いし たいと思います。 ○田極委員  僭越でございますが、よろしいでしょうか。学識も経験も豊富で、この分野の幅広いご見識をお持 ちであり、また7月29日に開催されました総会におきまして、本委員会の委員長代理を引き続きお務 めされることになりました猿田委員に、前期に引き続いてお願いしたいと思います。 ○政策評価官  どうもありがとうございます。ただいま田極委員から、猿田委員を部会長にというご推薦がござい ましたが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○政策評価官  ありがとうございます。それでは猿田委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行に つきましては猿田委員にお願いします。よろしくお願いします。               (猿田委員 部会長席へ移動) ○猿田部会長  ただいま、部会長を拝命しました猿田でございます。よろしくお願いします。それでは早速ですが、 この会では部会長代理を決めることになっていますので、それに関しまして私のほうからお願いさせ ていただきたいと思います。厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第3項において、部会に部会 長を置き、当該部会に属する委員の互選により選出することになっています。そういったことで私が 選ばれたわけですが、今度は私のほうに何か事故が起こったときに、私のほうから予め部会長代理を 決めさせていただき、その方に職務を代理していただくことになりますので、私から部会長代理を決 めさせていただきたいと思います。よろしいですか。                  (異議なし) ○猿田部会長  ありがとうございました。それでは私のほうから非常にこの方面のご経験、それから医療制度全般 にわたって幅広い見識をお持ちの渡辺委員に、部会長代理をお願いしたいと思います。渡辺先生、お 願いできますでしょうか。             (渡辺委員了承 部会長代理席へ移動) ○渡辺部会長代理  ただいま、猿田部会長からご指名をいただきました渡辺と申します。よろしくお願いしたいと思い ます。簡単に言うと、私、たまたまと言いましょうか、この国立病院機構の独法化に伴い、最初から 評価委員として務めさせていただいたということで、少しでもお役に立ち、また部会長を補佐するこ とができればと思います。よろしくお願いします。 ○猿田部会長  どうぞ、よろしくお願いします。それでは早速、議事のほうに入らせていただきたいと思います。 最初は、平成20年度業務実績評価に当たっての評価方法の変更についてです。これに関してはまず事 務局からご説明いただきます。 ○政策評価官室長補佐  説明させていただきます。まずこの後に行う個別評価の手順についてご説明します。資料1-5-1をご 覧ください。国立病院部会における個別評価項目に関する評価の進め方となっています。  各法人のすべての個別評価項目に関する評価を行っていただきますが、初めに法人の理事長から、 年度業務実績の概要(重点事項)を説明していただきます。その後、個別評価全体を6つのパートに分 け、法人の担当部長から業務の実績及び自己評価を15分程度で説明します。委員の皆様からは質疑と その応答を行っていただきつつ、委員の皆様においては「評定記入用紙」への記入をしていただきま す。今回から「評定記入用紙」というものを作成しています。それが2-1-(2)です。去年までは評価シ ートの方にご記入いただいていましたが、今年からは評定記入用紙というものにご記入いただきたい と思います。その評価、S、A、B、C、D及び理由等を記入していただきます。記入が終わりましたら、 次のパートの説明を行うという流れで進めてまいります。  なお、評価に当たりましては、資料に留意点として囲っていますが、具体的な業務実績、目標の達 成度合いを考慮していただき、それらとの整合性のある、より客観的な評価となるよう、S〜Dまでの 評定とその理由を付していただくようお願いします。また昨年度からの取組として、独立行政法人整 理合理化計画を受け、独立行政法人監事と連携した評価、または国民の意見を踏まえた評価を行うこ とにしています。これらにつきましても評価への反映をお願いします。委員の皆様方の評価がすべて 終わりましたら、事務局で集計を行いますので、評定記入用紙をご提出いただき、それを基に評価書 案を、起草委員の委員と法人所管課とも相談いただきながら作成していただきます。そして当該法人 を次回審議する会、これを総合評価部会といっていますが、その部会において評価書案を皆様にご審 議いただき、評価書を決定するという流れになっています。  資料1-5-2、1-5-3については、業務実績に関する評価を行うための基準とその細則となっています。 これらに基づいて評価を行っていただいているものです。  資料1-5-4をご覧ください。法人の評価書案を作成いただく起草委員になっています。ご担当はご専 門を踏まえまして、今回、起草委員として田極委員、財務諸表等会計に関する意見等担当について和 田委員という担当案を作成しましたので、ご確認とご了承をいただければと思います。以上です。 ○猿田部会長  ありがとうございました。いまご説明がありましたが、特にいまご承認いただきたいのは、田極委 員と和田委員に、それぞれ起草担当をお願いしたいということです。これはご了承いただけますか。                   (了承) ○猿田部会長  よろしくお願いします。続きまして昨年度との変更点をご説明いただけますか。 ○政策評価官室長補佐  引き続き説明します。資料1-6-1をご覧ください。各部会における法人の評価結果については、政策 評価・独立行政法人評価委員会に委託して、政・独委といっていますが、そこに通知します。政・独 委はこれを基に二次評価を行うことになっていて、その二次評価の結果については、意見という形で 厚生労働省独立行政法人評価委員会に通知されることとなっています。これを二次意見といっていま す。その政・独委から平成21年3月30日付で、二次評価を実施するに当たっての当面の視点(「独立 行政法人の業務の実績に関する評価の視点」)が示されています。内容については1-6-2に付けていま す。  資料1-6-3については、政・独委が、この評価の視点に沿って二次評価を行うに当たって、具体的な 取組の方針を示したものとなっています。そこで、これまで各法人の業務の実績評価シートに設けて いた評価の視点に、「政・独委の評価の視点」を新たな評価の視点として追加することとして、各部 会における業務実績評価を行っていただきたいと考えています。  各委員が行う方法につきましては、資料1-6-4をご覧いただきたいと思います。今までの評価シート と大きな違いはありませんが、これまであった評価の視点に加え、いま説明しました政・独委の評価 の視点として、評価の視点欄の左の中段に下線を引いていますが、契約方式や総人件費の部分を追加 しています。これらを踏まえ、評価項目ごとにS〜Dの評定と、その評定理由をご記入いただくことに なっています。  政・独委の評価の視点の各事項を、評価する必要がありますので、昨年度も同様の資料を付けてい ましたが、業務実績評価シートの付属資料として1-6-5にありますように、平成20年度業務実績評価 参考資料を添付することとしています。これは去年から付けている資料と同じです。さらに政・独委 の評価の視点が評価シートの何頁に盛り込まれているかが分かるように、1-6-6ですが、対応状況一覧 表も机上配付資料として委員の座席に用意させていただいています。  以上、ご説明しました内容を平成20年度の実績評価から行っていくこととして、7月29日の先の総 会でご了承をいただいたところです。つきましては、この政・独委の評価の視点も踏まえたご評価を お願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました。だいぶ書類が多いですが、一応、いまご説明いただきましたとおりです。 何か委員の方々からご意見がございますか。これまでのものは今まで委員の方々は大体おわかりだと 思いますが、今までのものに沿った形で行うという形です。何かご質問はございますか。 ○夏目委員  1-6-5で業務実績評価参考資料というのがありますが、これは中が全部空欄ですけれども、去年は何 かこういうことについても評価をと言って、評価をしたような感じがするのですが、今年は1-6-5は参 考資料で、これは何の参考資料になるのですか。 ○政策評価官室長補佐  この中身自体は、いま言いました評価シートのイメージです。 ○夏目委員  評価シートに入っている。 ○政策評価官室長補佐  はい。1-6-4のところにある下線を引いた部分に。 ○夏目委員  大きい2-1-(1)の中に全部織り込まれていると。 ○政策評価官室長補佐  はい。 ○猿田部会長  よろしいですか。ほかの資料を見て、ここを理解したのです。 ○政策評価官室長補佐  国病の分で言うと、2-2という資料があるのですが、それが内容の入ったものです。いまの空のは例 示として出していましたので。 ○夏目委員  わかりました。 ○猿田部会長  よろしいですか。ほかにご意見はございますか。こういう形だということで、一応、時間の関係も ありますので、もしご意見がなければ次の議題に移らせていただきます。3番目が今後のスケジュール についてです。これもよろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-8をご覧ください。今後の予定ですが、今後は8月26日の開催と予備日を1回予定していま す。予備日は、本日の個別評価が時間内に終わらなかった場合等に行うことを予定していますが、皆 様、ご多忙ですので予備日はなるべく使わないようにと考えています。また8月26日の開始時刻です が、当初は13時となっていましたけれども、15時30分開始とさせていただきたいと思います。終了 予定時刻は19時を予定しています。ご出席をよろしくお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました。いま、ご説明がありましたように、次の8月26日の開始時刻を15時30 分から19時までとさせていただくということです。一応、この第1回の部会で行うべき事項は、大体、 いまご説明いただいたとおりかと思いますが、何かご質問、ご意見はございますか。説明が早かった ので付いていくのが大変かと思いますが、どうでしょうか。もしよろしければ、(4)の中期計画の変更 (案)について、お諮りしたいと思います。最初に国立病院機構の中期計画変更(案)についてです が、事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  独立行政法人が中期計画の変更をしようとするときには、主務大臣の認可を受けなければならない となっていまして、主務大臣は、この中期計画を認可する際に独立行政法人評価委員会の意見を賜り、 それを踏まえた上で認可することになっていますので、ご審議のほどよろしくお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました。それでは所管課より説明をお願いします。 ○国立病院機構管理室長  政策医療課から中身のご説明をさせていただきます。資料は1-9です。「独立行政法人国立病院機構 の中期計画の変更について」ですが、平成21年度補正予算において、国立病院機構に対し、重症心身 障害、筋ジストロフィー、神経難病などの慢性期医療を行う病院施設の耐震化、経年による老朽化な どの建替等を早急に講じるため、追加出資することが認められたところです。  このため資料1-11のとおり、独立行政法人国立病院機構理事長から、平成21年度補正予算、518億 5,000万円を中期計画に追加することに伴い、独立行政法人通則法第30条第1項の規定に基づく、中 期計画の変更の認可申請が厚生労働大臣宛にあったことから、中期計画の変更の認可に当たり、同条 第3項の規定に基づき、あらかじめ評価委員のご意見をお聴きするものです。よろしくお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました、いま説明がありましたが、これに対して、どなたかご質問あるいはご意 見がございますか。よろしいですか。 (異議なし) ○猿田部会長  ありがとうございます。それでは、この形で国立病院機構の中期計画の変更を了承させていただい たということで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。なお、今後の手続の過程で、もしこ の中期計画の変更内容に修正があった場合には、私と事務局で調整させていただきたいと思います。 よろしくお願いします。中期計画変更に関わる審議は以上として、時間の関係もありますので、(5)の 国立病院機構の平成20年度個別評価に入ります。よろしいですか。最初に国立病院機構の理事長であ る矢崎先生から、業務実績の概要、重点事項の説明をお願いします。 ○国立病院機構理事長  ただいまご紹介に預かりました矢崎でございます。各委員の先生方におかれましては、この暑い夏 の真っ盛りのときに、またご多用のところ貴重なお時間をいただきまして、大変恐縮に存じます。  この評価ですが、約5万人のすべての職員の毎日の努力の積み重ねの総決算の評価をいただくという ことで、今回は第1期中期計画の最終年度の評価になります。発足時から今日まで私どもに課せられた 数値目標に対しては、ほとんどの項目で右肩上がりの実績を続けてまいることができました。今回は2、 3の項目でやや数量的な成長の鈍化を認めますものの、その内容の質的な面で充実を図っています。こ こで私から自己評価でSを6項目付けさせていただきました。その項目については机上配付資料の2頁 目に一覧表があります。S評価を付けたのは、診療事業の3の「質の高い医療の提供」、4の「臨床研 究事業」、業務運営の見直しや効率化による収支改善の中で、9の「医療資源の有効活用」、11の「財 務会計システムの導入等IT化の推進」です。これは新たにSを付けましたので後ほど述べさせていた だきます。あと12の「経営の改善」、13の「固定負債割合の改善」です。  最初のSの3の診療事業の中の「質の高い医療の提供」ですが、その中で数値目標としてクリティカ ルパスの実施数、MRIなどの高額医療機器共同利用の推進、紹介率、逆紹介率について、例えば紹介率 では37%から53.9%と、ほぼ2倍に増加しています。逆紹介率も24%から43%と、ほぼ倍に増えてい ます。これは平成19年度から20年度にかけて更に増えている項目です。  以上のような数値目標に加えて、私どもの新しい取組としては、臨床評価指標を定めて各病院の医 療の質の向上に努めたこと。国時代では行われなかったのですが、私ども主導のEBM研究の推進を行い ました。長期入院している患者さんのQOL改善のために、療養介助職という新たな職種を設け、いま 563人も雇用して患者さんのケアに当たっています。いわゆる政策医療を行っている分野では、国に代 わって採算を度外視して、結核などの感染症、筋ジス、神経難病などの医療を一手に引き受けて、地 域医療のセーフティネットを担っているわけですが、その中でも最近では心身喪失者医療観察法施行 に関わる病棟を今年も増設し、病床占有率は80%近くを占めています。さらにこれを拡大するように 検討しているところです。  4の「臨床研究事業」ですが、私どもは依頼者、患者の視点に立った努力の結果、数値的には右肩上 がりに増加しています。治験件数、実施数ともに著しく上昇しています。しかし、平成19年度から増 加が少し鈍化していて、これは治験を一般診療所で行うものから、私どもの入院治療に基づいた、も う少し高度な治験を行う方向転換がなされたので、件数自体は少し減少しているのです。  ただ、私がここで強調したいのは、普通、治験はCRCという特別専門職を頼んで、データを取って分 析します。メーカーが1例に対して300万円、SMOという業者に払っているのです。ところが我々は、 そういう意味で120万円と非常に低価格で、実績に沿ってお支払いすることを始めました。そこで、 SMOの皆さんが経営努力を初めてして、いま大体、150万円ぐらいに半減しているのです。私どもがも のすごく減少させた。そういう社会的な効果もあったことを指摘したいと思います。  新しい取組としては、特に新型インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンが話題になって います。どこのメディアも言っていませんが、新しいワクチンの安全性や有効性を臨床で試験しない といけないことです。それを政府からの要請を受けてNHO25病院において、約3,000例の症例を集め2 カ月間で試験を終えてしまった。これはものすごく大きな誇るべき実績だと思います。そのほか、い ま問題になっている麻疹や風疹のワクチン接種を若い人はしていませんよね。それに警鐘を鳴らすた めにNHO76病院において、約2万人の方の抗体を測り、その測定結果を受けて5,000人にワクチンを接 種して、その有効性といろいろな問題を検討する。そういう社会的に重要な試験を一手に引き受けて、 我々がやっていることに注目していただければと思っています。  9の「医療資源の有効活用」ですが、これも国時代にはなかった取組です。昨年度、医療機器の効率 的な利用促進の観点から、Sの評価をいただいたのですが、今年は平成19年度に比べて更に著しく増 加しました。特に共同利用を促進したことが注目されると思います。平成20年度は国時代に比べて、 利用率がほぼ倍増したということです。  そのほか、先ほど申し上げた紹介率、逆紹介率、平均在院日数の短縮など、医療の効率化を進めま した。このような取組で、医療の質向上が図られるとともに、患者さんに選ばれる病院へとブラッシ ュアップされてきたことと、先ほど申し上げた医療資源の有効活用に基づき、入院基本料の上位基準 などを取得することが可能になり、これによって経営基盤の安定化が図られたということです。  新たにSに加えた11ですが、「財務会計システムの導入等IT化の推進」です。これは、私が誇るべ きものだと思います。というのは今までソフト開発のメーカーは、自分のものをアピールするために、 なるべく他と共通しないように独自性を出して、まちまちだったのです。私どもは共通仕様書をまず 作って、それに従って各メーカーにソフトなりハードを作ってもらう。そこで初めて共同購入が可能 になったのです。中身も統一してやったために費用の削減はもちろんですが、業務システムが均てん 化して効率化すると同時に、診療データを全部共通に集めることができるようになった。これによっ てEvidence Based Policyというか、医療政策が今まではエビデンスを持たないで、いろいろな診療報 酬の枠組みなどで決まっていたのですが、これでエビデンスに基づいた医療政策が立てられるという ことになります。私どもはそれを研究するNHOの総合研究センターを作り、診療データを分析して情報 発信していきたいと思ってます。医事会計システムを統一したことにより、いろいろな業務システム が標準化されて効率化された。これは誇るべきものだと思って、新たにSを付けさせていただきました。  12の「経営の改善」は、数値で評価されるものですけれども、先ほど申し上げたようにその基盤に は、機構病院すべてで行われた質の高い医療を提供するための皆さんの努力の積み重ねで、このよう な経営改善ができたということをお汲み取りいただければと思います。結果として、平成20年度は当 期純利益が300億円と上がりましたし、次期中期目標期間に500億円という資金を繰り越した。旧療養 所など老朽化した病院がたくさんありますので、それらの整備に充てることができるようになりまし た。  13の「固定負債」が国時代に溜まったのが7,600億円と積み上がっています。それが国立病院機構 になってから5,900億円に減少しました。資本率も高くなって優良企業に脱皮する過程にあるのではな いかと私は密かに自負しています。  最後に、いま私どもが最も悩んでいる事項は、先ほど政・独委の話がありましたけれども、独法に おける人件費の問題です。5年で5%の削減をしろということです。もうおわかりのように、医療機関 というのは本当は労働集約型なのに病院では労働倹約型になって、いまの状況で医療安全とか医療サ ービスの向上と言っても限界にきています。医療職は特に忙しくなって、病院から逃げ出してしまう 状況があるわけです。ですから、これは医師の処遇の改善などを、これから考えていかなければいけ ないのですが、5年で5%の削減というのは医療の実情を知らない人の意見です。状況を適正に判断し なければいけない政・独委の方には、その点をよくご理解いただきたいと思っています。  というのは、ほとんどの独法が税金で運営されているわけです。我々は自分たちで日銭を稼いでや っている。そして運営費交付金のほとんどは国時代の5万人いる職員の退職金なのです。そういう意味 で我々は自立の事業をしているのに、すべて税金でやっている独法と同じような尺度で5年で5%を押 し付けてくるのは、とても私どもでは考えられないことなのです。政・独委の方がそういうことを理 解されないのであれば、私は日本の将来は危ういのではないかと思います。委員の先生方には、国立 病院機構が5年で5%はおかしいのではないかとの立場からご発言いただければ、ありがたいと思いま す。以上です。ありがとうございました。 ○猿田部会長  ありがとうございます、特にいま先生がおっしゃった最後の点について、実はこの間、委員長会議 があり、私はたまたま井原委員長の代わりに出ましたが、そのときに真っ先にそれを申し上げました。 要するに医療とか看護の問題は本当に違いますから、それをあくまでも5%とすることはとんでもない。 もっと全体的な評価と個別的なことの両方を考えなければいけない。それぞれの独立行政法人で違う ということを言って、ほかの所からも同じような意見が出ました。やはりそれぞれの独立行政法人の 重要性というものを考えて、いちばん運営しやすくしなければいけない。特に私は、いま先生が言わ れたお金のことも申し上げたら、おっしゃるとおりですということで、あとどうなるか分かりません が、一応、向こうとしてはそういう意見でした。それだけ報告させていただきます。 ○国立病院機構理事長  ありがとうございます。 ○猿田部会長  いま矢崎先生から、これまでの本当に頑張ってこられた業績、例えば診療事業に関する問題、特に 臨床研究事業では治験について、先ほどお話がありましたように日本のいろいろな病院をリードして いただき、治験を進めていただいているということもあります。医療資源の有効活用の問題も全くそ のとおりです。特に患者さんから国立病院が選ばれる状況になったということで、その点でも評価は 高いと思います。ITを使って医事会計システムを統一化したことや、先ほど先生もおっしゃった今ま で共通していないデータを買っていたのを、内容的に見て同じ内容でやっていく形をとっていただい た。これも非常に重要なことだと思います。それと、1期の5年のところでかなり負債があったものが、 2,000億円近く減って5,900億円になったことは非常に高く評価できると思います。委員の方々から何 かご意見はございますか。いま矢崎先生からお話いただいたとおり、非常に頑張ってくださっている と思います。それでは国立病院機構のほうも人事の異動がありましたので、紹介だけお願いします。 ○国立病院機構企画経営部長  7月24日付で企画経営部長になっています、大鶴でございます。よろしくお願いします。 ○国立病院機構医療部長  同じく7月24日付で医療部長で参りました、梅田と申します。よろしくお願いします。 ○国立病院機構業務監査室長  本年4月に内部統制の充実を図るために、独立した組織として本部内に新たにできました業務監査室 室長の三井です。よろしくお願いします。 ○猿田部会長  ありがとうございました、これからの進め方ですが、国立病院機構の個別評価については、評価シ ートの個別項目を6つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていくというやり方です。お手 元の資料は分かりますか。6つのグループとなりますが、1グループが項目1から3のところになりま す。 ○政策評価官室長補佐  まず第1グループは項目1〜3、診療事業の(1)〜(3)になります。 ○猿田部会長  法人のほうから説明を15分していただくことになりますか。 ○国立病院機構医療部長  私からグループ1の診療事業の業務実績について説明します。お手元の資料2-1-(1)の平成20年度業 務実績評価シートの1頁です。(1)「分かりやすい説明と相談しやすい環境づくり」からスタートしてい ます。この項目に関しては、患者満足度調査を毎年実施していますが、平成20年度においても患者さ んの心理的障害を取り払うためのネガティブな設問によって、プライバシーにも十分配慮しながら実 施したところです。結果は総合評価で平均ポイントがアップしているほか、分かりやすい説明、相談 しやすい環境づくりに関しても、平成16年度平均値を上回る病院が増加しました。その増加の数字が 2頁の上に書いてありますとおり、患者満足度の改善が着実に図られたところです。  2頁の2.「患者満足度を向上させるための各病院の取組」ですが、クリティカルパスの積極的な活用 とその見直し、カンファレンスへの患者・家族の参画等により、分かりやすい説明に努めていて、ク リティカルパスの実施件数も大幅に増加しているところです。また患者・家族を対象とした勉強会や 図書コーナーの設置も進んでいて、蔵書数も着実に増加しているところです。  3頁で「医療ソーシャルワーカーの配置」についても、平成19年の192名から229名へと、37名の 増員を行うことで相談体制の強化を図ったところです。  4頁で(2)の「セカンドオピニオン制度の実施」は、窓口の設置病院が123病院から129病院へと増加 し、全都道府県で設置されているなど、機構発足前の7病院と比較して相当な普及が進んでいます。他 病院への情報提供書作成数は、平成19年度と比較してわずかに減っていますが、他の医療機関からの セカンドオピニオン患者の受入れの数は382人増の2,928人となっているところです。  5頁で(3)の「患者の価値観の尊重」ですが、インフォームド・コンセントに関しては、各病院の運用 の改善と充実に資するために、意義、説明範囲、説明範囲などを整理した「インフォームド・コンセ ントの更なる向上のために」という文章を策定し、これを全病院に周知したところです。2.「個別の 診療報酬の算定項目の分かる明細書」ですが、これは患者の希望の有無にかかわらず、原則、すべて の患者に発行していくという方針を決定しました。その場合の課題を把握するために、まず2病院で試 行的に実施し、その検証結果を各病院にフィードバックすることで、準備の整った病院から逐次実施 できる体制を整えたところです。  6頁で4の「院内助産所・助産師外来の開設」では、2病院が新たに院内助産所を開設したほか、5 の患者満足度調査の概要に示すとおり、多様な診療時間の設定や待ち時間対策といった項目について も、例えば土日外来実施病院数の増加や、看護師による積極的な患者への声かけ等の取組を進めるこ とで、患者満足度が向上しているところです。  8頁で「自己評定」です。昨年はAをいただいているところです。患者満足度については総合評価等 において一層向上していますし、またクリティカルパスの実施件数増や医療ソーシャルワーカーの増 員を進めたほか、インフォームド・コンセントに係る統一的な考え方の提示、「個別の診療報酬の算 定項目の分かる明細書」の全患者への発行の決定などの新たな取組も行ったところです。以上のこと から、本年度も自己評定Aを計上させていただいています。  次に9頁の(2)「患者が安心できる医療の提供」です。(1)の「医療倫理の確立」ですが、相談窓口の 個室化などのほか、カルテ持ち出しのときのカバー使用、病室の名札表示についての患者の意向確認 などを行っており、その結果、プライバシー配慮に係る患者満足度は入院、外来ともに向上していま す。医療安全に関わる情報公開に関しては、平成20年度に島根県で微量採血器具を複数の人に使用し た問題が生じたということで、機構の病院では全国に先駆けて実態調査を行い、その結果をホームペ ージに公表し、不安を持つ患者さんに対しては無料で感染検査を行うことを決定することで、患者さ んの不安解消を図ったところです。フィブリノゲンに関しても、46病院が厚労省の記録保管状況等に 関する訪問調査に協力し、積極的に対応しています。  10頁で3の「適切なカルテ開示」ですが、カルテ開示請求に適切に対応するとともに、倫理審査委 員会の全病院での設置、中央倫理審査委員会についても61件の審査を行うなど活発な活動を行ってい ます。治験審査委員会も全病院で設置し、審査件数が増加していますが、平成20年11月には新たに中 央治験審査委員会を本部に設置することで、治験の質の向上を図る体制を整えたところです。  12頁の(2)からは「医療安全対策の充実」です。2の「医療事故報告制度への一層の協力」では、日本 医療機能評価機構への医療事故報告件数が、136件増の728件となっています。このことにより評価機 構への報告件数のうち、約半数を国立病院機構の報告が占めるようになってきており、わが国全体の 医療安全対策に貢献しているところです。3の「情報発信」では、機構内で発生した医療事故の発生状 況や、その中で特に注意を要するケースの発生原因や再発防止策を「警鐘的事例」として整理し、そ れらの情報を医療安全白書としてホームページに公表するなど、情報発信にも努めており、我が国全 体の医療安全対策の充実に資する取組を行ったところです。  13頁で4の「転倒・転落事故防止プロジェクト」ですが、転倒・転落事故半減を目標に、平成20年 度からプロジェクトを開始しました。報告件数は各病院の報告精度が高まったことなどが原因と分析 していますが、むしろ増加の傾向を示しました。その一方で、転倒・転落事故防止のスタートとなる アセスメントの実施率については、目標の95%を上回る97.7%となっているところです。今後はこの 報告事例やアセスメントシートの集計分析を通じて、高リスク要因の特定を行うなどにより、効果的 な改善策を講じていきたいと考えています。  14頁で6の「長期療養患者が使用する人工呼吸器の取扱」ですが、標準6機種への絞り込みが平成 21年3月時点で54.2%と、前年の46%から更に進捗しています。新たな取組として(2)の手順書の作 成ですが、これは人工呼吸器が患者・家族の理解のもと、安全に使用されるように、基本構造や操作 方法、使用時の留意点等を解説した手順書を作成したものです。7の「人工呼吸器不具合情報共有シス テムの運用」ですが、これは人工呼吸器の不具合情報を共有し、製造業者にも原因究明や改善を求め ていくシステムの運用で、これまでに10件の報告があり、各病院への情報提供や製造業者への照会を 行ったところです。  15頁で9の「拡大医療安全管理委員会の設置」ですが、拡大医療安全管理委員会については、13件 の重要案件について3ブロックで開催されています。11ですが、ワクチンの接種により職員が感染す ることを防止することに加え、職員から患者への感染防止を期待する観点から、機構の職員が積極的 に参加した(MMRV研究)を実施しています。これは国立病院機構の麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘 ウイルス抗体価測定と抗体価の低い職員に対するワクチン接種の有効性の検討などですが、このよう な指定研究を実施したところです。  16頁で12の「医療安全対策に係る研修体制等の充実」ですが、これも引き続き実施しているところ です。  17頁からは「救急医療対策」です。救急患者数については、17頁にありますように対前年度6万 2,000人減となっていて、平成15年度との比較で1.9%の増にとどまっているところです。大きな原因 の1つは、全国的な救急患者の減少傾向にあるものと考えています。というのは、消防庁の統計で救急 車による搬送人員の推移でも、全国的に救急患者の伸びが、ここ2、3年は鈍化している傾向にありま す。また地域住民へ行政側からの働きかけで、いわゆるコンビニ受診の減少であるとか、あるいは比 較的軽症の患者は本来の受入先である一次救急医療機関で受け入れるようになるなど、地域救急医療 体制の中で棲み分けが適切に行われるようになったこと等の要因が、複合的に作用しているものと考 えています。むしろ機構の病院では、より重症度の高い救急患者を受け入れるようになっています。  17頁の(参考)にありますように、平成20年度の「救急患者に占める入院患者の割合」は、平成19 年度と比較して高くなっています。特に救急患者が大幅に減少した病院群として、下に、500人以上減 少した病院の救急患者数に占める入院患者の割合を再掲していますが、この割合が5%ほど上昇してい ます。いずれにしても、このような傾向は機構だけの特異な現象ではなく、全国の医療機関で同様に 生じているのではないかと考えています。引き続き国立病院機構としては、地域の救急医療体制の中 で、初期救急医療機関との緊密な連携のもと、適切な役割を果たしていきたいと考えています。  18頁で「ドクターヘリ、防災ヘリ」の活動について、また熊本医療センターの「何時でも、何でも 断らない救急医療、全診療科受入れ」の長年の取組が、人事院総裁賞を受賞したことを紹介していま す。  19頁から21頁が、「自己評定」です。昨年、A評価をいただいたところです。医療安全対策につい ては、インフォームド・コンセントの推進や人工呼吸器の取扱手順書の作成、人工呼吸器不具合情報 共有システムの運用開始など、新たな取組を進めています。また医療倫理に関しては倫理審査委員会 等を全病院で設置し、科学性、倫理性が担保された臨床研究を推進しているところです。救急医療に ついては、救急患者に占める入院患者の割合が上昇するなど、期待されている役割を適切に果たして いると考えています。以上の取組などを踏まえ、本年度も自己評定Aを計上させていただいています。  次に22頁で(3)「質の高い医療の提供」です。(1)の「クリティカルパス」に関しては、作成数、実施 件数ともに増加しています。特に実施件数は目標の50%以上増に対し、150.3%増と大きく上回る実績 となっています。地域連携パスについても、実施病院が53病院に増えているところです。平成19年度 に続いて平成20年度もクリティカルパス自体の標準化に向けた研究を行ったところです。  23頁で(2)の「EBMの推進」ですが、臨床評価指標については、設定した26項目の実績を引き続き公 表しているところです。ネットワークを活用した取組を通じまして、医療の質の向上につながる方法 を提示できると考えております。また、このような取組は、全国的に見ても前例のないものであると 考えております。  3の「EBM推進のための大規模臨床研究事業」ですが、一部の課題につきましては、関連学会で成果 の発表を行うとともに、平成20年度には、新たに2課題の採択を行うなど、医療の質の標準化に向け た研究を着実に推進しているところでございます。  また、24頁「電子ジャーナルの配信」につきましても、月間のダウンロード数が着実に増加してい ます。  25頁(3)「長期療養者のQOLの向上」ですが、ボランティアの受入れや患者家族宿泊施設を設置して いる病院数が増加しております。在宅支援体制についても充実が図られているところです。なお、患 者家族宿泊施設を設置している病院数につきましては中期目標値を大きく上回っています。  26頁です。4の「療養介助員の増員による介護サービス提供体制の強化」ですが、前年の409名から 平成20年度は563名と、154名の大幅な増員を行うことで、介護サービス提供体制の強化を図るとと もに、クリスマス会などのイベントの開催や、バイキングやワゴンサービスなどの食事に係る企画を 行うことで、患者満足の向上に努めたところです。また、これらの病院でも、医療ソーシャルワーカ ーの増員を行うことで、相談体制の充実を図りました。  28頁「病診連携等の推進」です。地域医療機関との連携強化によりまして、紹介率は53.9%となり ました。対15年度比18.3%増と、目標値を大きく上回っております。また、高額医療機器の共同利用 につきましても、目標を大きく上回っております。都道府県医療協議会等への参加病院は30病院に増 加をしております。  29頁になりますが、10の病院が新たに地域医療支援病院の項目に書いてありますとおり、指定を受 け、33病院となっております。地域医療体制における役割、機能を一層強化しているところです。  30頁からは「政策医療の適切な実施」についてです。(5)になりますが、結核の医療に関しましては、 我が国の結核患者の約45%を受け入れるなど、政策医療の重要な役割を果たしています。その一方で、 結核患者の全国的な減少傾向の中で、結核病床のユニット化を進めるなど、効率的な病床運営にも努 めているところです。  新型インフルエンザ対策につきましては、発生時においても的確な対応を行えるよう、対応マニュ アル、疑い患者来院という状況設定の中でのシミュレーションマニュアルをセットにした「新型イン フルエンザ対応指針」の(素案)の準備を進めたところです。これは本年2月に政府の行動計画とガイ ドラインが大きく改定されたという内容を盛り込んだものです。このような下地があったことから、 本年4月、新型インフルエンザ発生時には、本対応指針の素案を各病院に送付することで、万全を期す ことができたと考えます。  31頁です。「医療観察法病床の運営」につきましては、都道府県による病床整備が遅々として進ま ない中で、必要な人員を確保するため、既存病棟を集約し、人員の捻出など、制度発足時より主導的 な役割を担い、法施行に大きく貢献をしております。平成20年度には、新たに1病院で整備を行いま したので、全病床の日本全体の80%が機構病院で占められるという状況です。  3の「障害者医療の今後の方向性」についてですが、重症心身障害・筋ジストロフィー等の障害者医 療に関しては、検討部会で議論を重ね、今後の基本的方向性を平成20年11月にまとめたところです。 具体的には重症心身障害病棟のポストNICUとしての診療機能の強化や、次世代の障害者医療を担う医 師の育成・確保、療養介助職の業務運営体制の見直し、動く重症心身障害児(者)の処遇困難性を踏 まえた診療報酬への反映要望、老朽化した病棟の計画的整備等の方向性が示されたところです。これ らの具体化を通じて、障害者医療に係るセーフティネット機能を一層強化していくこととしています。  また、この報告を踏まえ、療養介助職の長及び副長の配置と給与改善につきましては、既に平成21 年4月から早速実施しております。また、老朽病棟の整備につきましても、平成21年度の補正予算を 活用し、逐次整備を進めていくこととしています。  32頁4の「精神科医療」に関しましても、平成20年11月に今後の方向性をまとめたところです。 身体合併症患者や精神科救急医療への取組に加え、発達障害や認知症に係る医療への取組、医療観察 法病棟運営の医療標準化や人材育成、複数の精神科病院が参加し、医師の育成を行う、ITを活用した 多施設共同研修の実施などについて、方向性が示されておりまして、これらの具体化を通じて機構が 担う精神科医療の一層の機能強化を進めていくこととしています。この報告書を踏まえまして、ITを 活用した多施設共同研修に関しましては、早速平成21年2月より、5施設が参加し運用を開始したと ころです。  33頁から35頁の「自己評定」ですが、昨年はS評価をいただいているところです。クリティカルパ ス実施件数や患者家族の宿泊施設、高額医療機器の共同利用、紹介率、逆紹介率は、中期計画で定め られた数値目標について、すべての項目で目標値を大幅に超えた実績となっております。また、EBM研 究を通じた医療の標準化に向けた取組の着実な推進、療養介助員の大幅な増員や、精神科分野におけ るITを活用した多施設共同研修の運用開始など、政策医療分野でのセーフティネット機能のさらなる 評価に向けた取組を開始したところです。  以上の取組を踏まえまして、本年度につきましても自己評定Sを計上させていただいております。グ ループ1「診療事業について」の説明は以上でございます。 ○猿田部会長  ありがとうございました。時間が限られているので、スピードが早かったかもしれませんが、どな たかご質問はございませんでしょうか。 ○渡辺部会長代理  2点ほど。まず1点は救急の受入れが目標達成できなかったというのがありましたが、終わってしま ったことをいまさら言っても何ですが、果たして特に小児を含めて救急の数を増やしたらいいものか という疑問があるわけです。ある意味では減ることのほうが望ましいかもしれないので、目標を掲げ て結果として1.9しか伸びなかったというお話があったわけですが、いまさら言ってもしょうがないか もしれませんが、この辺はもうちょっと評価の視点として考えるべき。ただ単純に目標を達成できな かった云々ということだけではなくて、伺っていてちょっと説明がいるかなと思いました。例えば救 急の目標を掲げたから何が何でもそこに向かって増やしていくというのも、考えてみれば変な話だと いうのが1点です。  もう1点は、最後のS評価のところはいいのですが、33頁でクリティカルパスの実施件数がさらに 増加したとありますね。これはこれでいいのですが、(1)の評価のところでも同じ文言があるわけです。 これはどう解釈すればいいのですか。(1)の患者の目線に立ったところでもクリティカルパスの大幅増 加がありましたね、評価項目として。 ○国立病院機構理事長  (1)の患者の目線に立った医療ですね。 ○渡辺部会長代理  こっちでもあるし。 ○国立病院機構理事長  いま、2つの渡辺部会長代理からのご指摘で、おそらく私も渡辺部会長代理と全く同じ感覚なのです が、独法の最初の頃は、国立病院が救急をほとんどやっていなかった。だから救急医療をやってくだ さいという数値目標を最初にドンと立てたのです。そうすると、時代とともに、重症患者が多くなっ た。最初は軽症の患者さんが多かったのが、だんだん重症になってきた。これを見ますと、結局入院 率とかそういうのが高まっているのです。ですからおっしゃるように、最初は引き受けてくださいよ というメッセージを出さないといけないということだったと思います。その辺はお考えどおりで、私 もそのように理解していますのでよろしくお願いいたします。  クリティカルパスが2つ出ています。クリティカルパスというのは2つの意味があるのです。クリテ ィカルパスというのは患者さんから見て料理のお品書きみたいで、こういう治療だったらこういうケ ースでこうやります、結果はこうですというのがクリティカルパスで、いままでの病院医療というの は、胃の手術をするからともかく入院してくださいと料理のお品書きなしに受け入れていたのです。 でも患者さんにとってどういうスケジュールで入院治療が行われているかということを明確にすると。 サービスの向上で患者さんの目線に立った医療の提供では、クリティカルパスというのはものすごく 重要なので、そこでそこに出ているのです。もう1つは質の高い医療の提供というのは、クリティカル パスを定めることによって、入院在院日数が少なくなるとか、あるいは手術室の人の手配をどうした らいいかとか、組織の中の運営の効率化ということで、提供側から見ると、これを作ることによって、 非常に質の高い医療を提供できるという面があるので、2つ宣伝するのではないかというお考えはある かもしれませんが、患者の目線に立った医療でクリティカルパスは非常に大事なので、2カ所で増えた 増えたというと、ちょっと誤解を受けるかもしれませんが、そういう意味で2つの視点でクリティカル パスというのは、我々病院医療にとって生命線なので、2つほど申し上げさせていただきました。 ○猿田部会長   最初のほうの問題ですが、特に救急医療の問題は全国的ですよね。ですから全国的に見て、皆同じ 方向で減ってきているのか。というのは、マスコミのほうも全国的に理解するようになりましたね。 いわゆる昔のコンビニ救急がなくなってきた。それは全国的に見て同じようなレベルになっているの ですか。 ○国立病院機構理事長  全国的にだんだん減っているのです。ですがやはり入院医療が必要な人がどんどん運ばれるように なったというのが、件数は同じでも全然内容が違ってきたなと。すべての国立病院でどうかわかりま せんが、大体そういう方向で、消防署で頼りにされる病院になりつつあるのではないかと。 ○渡辺部会長代理  クリティカルパスの件で理事長がおっしゃるとおりだと思うのですが、私が言いたいのは、有り体 にいうと、また政・独委からつまらないところで言われるのは嫌だからと、有り体に言えば。表現の 方法みたいなことを思ったので。 ○猿田部会長   ありがとうございました。 ○山田委員  いまの救急患者の件ですが、赤十字でも同じ傾向を取っております。やはり一般の救急も小児の救 急もかなり減ってきている傾向があります。これは逆に1つは、病院が一次から三次まで全部の救急を 診るということで、いま非常に疲弊をしているということで、一次救急はできるだけ診ない方向に持 っていこうということで、1つの方法として時間外選定療養費というのを赤十字では、数病院が取り始 めております。それでかなり小児の抑制が起こりましたけれども、そうかといって周辺の一次医療機 関が非常に数が増えているかというと、そういうことはないのです。ということは緊急に受診をしな くてもいい患者が病院を受診していたということが考えられます。  それから、おっしゃられたように入院患者も全く減っておりませんので、重症患者についてはいま までどおりの診療がきちんとできているということで、この傾向はやむを得ないということで、そこ のところを重視してここに記載をすればそれでいいのではないかと思うのですが。 ○辻本委員  患者満足度のポイントがおしなべて向上しているという評価は、皆さんの努力ということで高く評 価させていただきたいと思います。ただ、いまの救急の問題にも顕著なように、マスコミの影響もあ って一時の漠然とした不信感がいま少し納まりつつある患者の意識の変化も満足度のポイントという ところに加味されていることも、きちんと受け止めていただきたいと思うのが1つ。  もう1点、微増してはいますけれども、やはり問題としていちばん目につくのが待ち時間対策のとこ ろなのです。どうしても待ち時間対策のあり様が、その病院のもっと言えばスタッフの意識にまでつ ながるところだと思うのです。それぞれ努力をしていただいているのですが、やはり、どう待ってい ただくかというところに、これからもさらに改善の努力をしていただきたいと思います。その中で、 弘前病院の取組で、待たせ方が問題であるということを、次に自己評価していらっしゃる姿勢は、高 く評価できるものだと思いました。ただ、その表現なのですが、待たせ方というのもまたこれは医療 者の目線です。患者の目線に立って、医療を語ることだけが善しとはできないとは思いますが、やは りそういった言葉1つについても、医療者の姿勢が現われますので、気をつけていただきたいというこ とを申し上げます。 ○山田委員  先ほどの説明の中でお触れにならなかったのですが、9頁のプライバシーへの配慮に関して、点滴の 患者さんの名前をシール形式にするというところ。それは医療安全の面から疑問があるので、ちょっ と教えていただきたいのですが、これは点滴を始めたらシールを剥がしてしまって、名前は全くその 点滴ボトルから抜けてしまうのですか。そうなりますと、例えば万が一その点滴が有害で、何かトラ ブルが起こったときに、本当にそれが元の患者さんと一致しているのかどうか、その辺のチェックは どういう形でされていらっしゃるのか。非常に細かい点で申し訳なかったのですが、いまご説明でき なければ後ほどご回答でも結構です。 ○国立病院機構医療部長  はい、これにつきましては外から持ってくる早い段階から貼っておくのではなくて、患者さんに点 滴を実施するときに確認をしながらその場でシールを貼るということでやっていると聞いております。 ○山田委員  そのボトルには全く患者さんの名前がなくなってしまうわけですか。 ○国立病院機構医療部長  行っている間に貼っておりますし、点滴を行うに当たってもちろん確認して、そのときに貼ってそ の間を貼ってあるということです。 ○山田委員  十分理解ができていないので申し訳ないのですが、プライバシーを優先するのか、医療安全を優先 するのかという点から、私はちょっとそれはまずいのではないかなという疑念を持ったものですから そういう質問をさせていただきました。また改めて細かいところをどこかでお話を聞かせていただき たいと思います。 ○猿田部会長  先生がおっしゃっているのは特にその点滴が終わったあと、もし何かあったときにすぐそれが確認 できるかということなのです。 ○田極委員  すみません、ちょっと質問なのですが、31頁のところで(1)ですが、真ん中の辺りの説明で、「なお、 当該指定入院医療機関に係る看護職員配置基準は、1病棟30床に対して43名という多数の職員を配置 することとなっているため、やむなく当該病院の既存病棟を集約することによって職員を確保するな ど、国の政策に最大限の協力を行っているところである」という記述がありますが、これにつきまし て「当該病院の既存病棟」というのは具体的にどういった病棟なのかというところと、これを集約す ることによって、ほかに無理が出ていないかといった2点についてお伺いしたいと思います。 ○国立病院機構参与  参与の吉田でございます。いま田極委員からご質問がありましたので、具体的なケースを申し上げ ます。久里浜アルコール症センターというアルコールを中心にしている精神科の既存の病院において、 医療観察法病棟を受け入れるに当たりましてここに書かせていただいたような工夫を病院として行っ たということです。具体的には既存のいわゆる医療観察法対象の患者さん以外、例えばアルコール疾 患でありますとか、一般精神の患者さんの病棟におきまして、精神医療全般において急性期化という ことが起こっております中で、病院の平均在院日数の調整、あるいは先ほどの話にありますような治 療計画の中で、全体の病棟をやり繰りすることになります。大体1病院で50床、40床対応という形に なりますが、その集約の余地を作って、その集約において発生した看護師さんを今回新たに新設する 医療観察法病棟のほうに振り向けたという工夫です。確かに「やむなく」という言葉に、少し私ども の思いもにじんではおりますが、一方で患者さんに対して必要な治療には支障のないように、もちろ ん患者さんを第一に考えながら、病棟運営の中でどのようなやり方があるのかというのを工夫させて いただいて、それぞれ医療観察法への、対応に臨んでいると理解いただければ幸いです。 ○夏目委員  すみません。2点ばかりなのですが、1点目は細かいので恐縮なのですが、患者の安心できる医療の 提供の10頁なのですが、適切な開示というところで、患者がカルテを開示する、開示請求というのは いろいろなケースがあるのだろうと思うのですが、その際開示することが治療の妨げになると医師が 判断したケースを除きということで、書いてあることはそのとおりだと素人でも納得できるのですが、 微妙なケースのときに、すべて医師が妨げになるという判断で、これはしないということになってい くと、開示請求というのは一体何なのか、医師の任意の判断で全部決まってしまうのかと。治療の妨 げというのは、ある面では医療の世界だと客観的に証明できるかどうかわかりませんが、我々素人か ら考えると、お医者さんの任意のご判断ということになってしまうと、すべてこれを隠れ蓑にして、 本当に必要な開示請求も微妙なケース、相手がちょっとうるさそうな患者だと、いや、もう妨げだ、 妨げだということで、開示をしないということになっていくと、少し行き過ぎではないかなという心 配があるのですが、それが第1点です。 ○国立病院機構医療部長  カルテの開示につきましては、治療の妨げになると医師が判断云々というところですが、基本的に 開示で例えば疾患によって患者さんに病名を告知していない場合、そういうような場合が当たるとい うことです。もちろん患者さんに告知してなくても、家族の方にはご相談をしているケースがあるか と思いますので、そのような実態であろうかと考えております。 ○夏目委員  2つ目は各委員からお話があった事柄なのですが、救急医療、小児救急の話なのですが、中期計画上 の数少ない数値目標の1つでありますので、評価委員会としては何らかの評価をせざるを得ないという ことだと思うのですが、その際中身についてはいままでご議論があったとおり、内容は中身の質の変 化があるのだということなのだろうと思います。そのとおりだろうと思うのですが、それにしても、 19年度から20年度に全体件数が約1割減少、小児救急のほうも13%減少ということで、急に大幅に減 少しているのです。中身が変わってきたということなのですが、参考に書いてあるところを見ると入 院患者の割合が2.2とか2.7%増ということになっています。そうすると、大きな流れとしてコンビニ 救急がなくなってきて本当に必要な救急にシフトしているというのは、大きな流れなのだろうと思い ますが、それにしてもこれだけの減少というのは、何か145病院すべて救急を受けているとはわかりま せんが、若干一般で言われているようなところに陥っているような病院が本当にないのかどうか。そ こら辺はいかがなのでしょう。 ○国立病院機構参与  先程来ご議論いただいており、理事長、医療部長のほうからも申しているように、私どもとして先 程来申しておりますようなものとして今回の数字の背景を認識しております。先ほど山田委員のほう からもご発言いただきましたように、我々医療現場からのいくつかの意見として受け止めております が、なかなかエビデンスとして、例えば消防庁のデータにつきましても制約があり、足元まであくま で我々が受け止めているという範囲でしか申し上げられないというのが、我々としても隔靴掻痒な状 況です。そういう意味では、夏目委員のご質問に真正面からお答えさせていただくとすれば、確かに この数字の背景に、145の病院があります。救急という形でも時間外、あるいは救急車搬送、それぞれ、 非常に頻繁に行っているもの、そうでない所ありますが、全部において何ら支障のないように行われ たかどうかということをこの場で私どもが立証するに至っていないと、率直に私どもとしては申し上 げざるを得ないと思っています。その上で先程来の傾向、あるいは我々としては率直に申し上げて、 もう少しトレンドで見なければいけない部分もあるのではないか、あるいはトレンドで見る際に個々 の病院ごとで見る必要があるのではないかという問題意識を持っております。しかしながら今日の時 点、20年度のご評価をいただく際に、私どもとしてはそこまでのエビデンスを持っておりませんので、 この数字をもってしてご評価をいただく。その際、まず我々としては現場の認識しているところを申 し上げるというのに留めざるを得ないというのが現状です。 ○猿田部会長  よろしいですか。私のほうから1つお聞きしたいのは、医療安全に対して非常に取組をしっかりやっ ていらっしゃるのですが、実際にいまの状況で医療訴訟のことがあまり書いてないですね。訴訟はほ とんど国立病院としてはないのでしょうか。どのぐらいの件数があってどのぐらい減ったのでしょう か。 ○国立病院機構参与  件数及び金額については確認をさせていただいた上で、また委員の皆様方にご紹介をさせていただ きたいと思います。私どもとしては、訴訟あるいは訴訟に至る以前のいろいろな話合い、私どもの病 院が行いましたサービスに対する患者さんあるいは患者さんのご家族からのご意見から、いわゆる法 廷訴訟に近づいているものまで非常に幅広ろうございますが、当然それについてはいくつかのケース を抱えています。全体としましては、20年度あるいは19年度という時々におきまして、比較的大きな 案件があるかないかによって、私ども経営に与えるインパクト、あるいは医療現場に与えるインパク トというのは違ってこようかと思いますので、それをどのように評価するのか、私どもとしては一概 にこうだと申し上げられるものを持っておりません。一言で申し上げれば、当然医療訴訟、あるいは それに至らないまでものご相談案件というのは多数抱えている。その傾向として、私どもの日常業務 を通じて持っております認識から申し上げれば、少なくともここ2、3年においてあまり増加はないの ではないか。本部に上がってくるのは、いま部会長からお話がありましたように、比較的法的なとこ ろに近づいたものであろうかと思いますので、病院現場においていろいろな取組、あるいはお話合い をさせていただいているところまで、完全に把握したものではないという前提で申し上げるとそのよ うになります。 ○猿田部会長  聞きたいのは、訴訟の問題というのは実は医療現場にいますと少し変わってきたのです。そういっ たことで、件数がどうなのかなと思ったものですから、もしまた細かいことがわかればお教えいただ ければと思います。  ほかになければだいぶ時間が過ぎましたので、よろしいですか。これで評価をしてもらうのですよ ね。すみませんが、とても大変なのはわかりますが、5分ぐらいいただきたいと思います。いまお話が ありましたように、パッと付けていただいて、またお持ち帰りいただいて、後で出していただくのも 結構です。忘れないところでいま付けていただくという。まだ書き足りないと思うのですが、時間の 関係もありますので、次に移らせていただきます。  それでは第2グループのご説明をお願いいたします。 ○国立病院機構医療部長   続きましてグループ2臨床研究事業、教育研修事業、災害等における活動についてご説明させていた だきます。お手元の資料の36頁になります。(1)「一般臨床に役立つ独自の臨床研究の推進」で、EBM 推進研究ですが、これは国立病院機構のスケールメリットを活かし、豊富な症例を質を担保しながら 収集することで、標準的な医療を提供するための医学的な根拠を確立していこうとするものです。  各年の研究課題と進捗状況につきましては、36頁から37頁に整理をしているとおりでございまして、 20年度につきましては2課題を新たに採択したところです。また、16年度、17年度に開始した9つの 課題につきましては、患者登録が終了し、一部の課題につきましては20年度に関連の学会等で成果の 発表を行ったところです。  38頁に移りますが、ネットワークを活用し、「我が国の政策決定に寄与する大規模臨床研究」とい うことで、平成20年度には、機構病院が中心となりまして、新型インフルエンザに対するプレパンデ ミックワクチンの安全性の研究を実施したところです。これは長く新型インフルエンザとしてH5N1ト リインフルエンザが想定されておりましたので、実際今年の4月はブタ由来のものが新型として発生し たわけですが、トリインフルエンザの新型インフルエンザとしてのパンデミックの脅威も依然として ございますし、ワクチンを国家備蓄しているということがあります。ついてはその安全性について多 くの症例を基に研究をしておくということは不可欠なものです。この研究には機構の25病院が参加を し、3,012症例を2カ月間という極めて短期間で集積することで、この新型インフルエンザのプレパン デミックワクチンを事前接種することの可能性について科学的なエビデンスを構築し、行政的な判断 根拠を与え、新型インフルエンザの国の対策に貢献しているというものです。これは国際的に見まし ても、H5のワクチンの大規模の接種の成績がない中で、先進的かつ画期的な取組であると自負してい るところです。次に、平成20年度の国立病院総合医学会につきましては、参加者6,002人を集める盛 大な学会となったということです。  39頁に移りますが、「臨床研究支援・教育センターの活動」です。臨床研究支援・教育センターで の臨床研究支援や、データマネージメント研修会の開催によりまして、多施設共同研究事業を支援す る取組も進んでいるところです。  40頁ですが「政策医療ネットワークを活かした臨床研究」につきましては、研究実績を分野ごとに 点数化し可視化するという評価方法の見直しを行ったところです。これによりまして、研究活動度の 高い分野を選定するとともに、その分野で活動性が高い病院がどこかということを見まして、そこを リーダーとして研究組織を形成し、研究活動を活成化させるということが、可能となっております。  41頁ですが、「国立病院機構の政策決定に寄与する指定研究事業」につきましては、20年度には4 課題を選定しまして研究に取り組んだところです。このうち、先ほども少しご紹介しましたが、麻疹、 風疹、流行性耳下腺炎、水痘について、76病院、18,908人の機構の職員を対象として、抗体保有状況 を測定しまして、その結果、抗体価が低い方について、約5,000人にワクチン接種を行うということで、 抗体の不十分な成人に対して、ワクチンを接種した場合の有効率を判断するというそういう根拠にな りました。  また、5の「総合研究センター」ですが、これは政策医療ネットワークを活かした調査研究・情報発 信機能の強化を目指し、第2期中期計画期間中の開設を目指しています。20年度はこの設立に向けた 検討準備に着手したところですが、このセンターの設立により、臨床研究、治験、診療情報の分析を 総合的に推進し、我が国の医療の質の向上、診療報酬政策など、国の政策形成に向けた基盤作りに、 積極的に寄与していくことができると考えています。  42頁です。(3)「臨床研究センター及び臨床研究部の評価制度」ということで、各病院における臨床 研究センター、または臨床研究部といった研究組織の評価は18年度より、それぞれの扱っている症例 数、競争的外部資金の獲得状況、論文発表数などを点数化して行っております。その結果を研究費の 配分や研究組織の再構築に反映させておりまして、そのようなインセンティブがあることから、平成 20年度の評価ポイントが大幅に増加をするということがあります。研究活性化に向けたインセンティ ブをもたすことができたと考えております。  44頁の(2)「治験の推進」です。まず1の「治験実施体制の確立」につきましては、新たな治験活性 化5カ年計画の中で、機構本部が中核病院として、機構の中の5病院が拠点医療機関として選定される などの評価を受けております。平成20年11月には、機構本部に中央治験審査委員会を設置しまして、 多施設共同治験を実施するに当たってのプロトコールや、倫理審査上の施設間のバラつきを排除し、 参加施設間における統一的・整合的な治験を実施できる体制を整備しております。  また(2)ですが、治験コーディネーターの増員によりまして、常勤の治験コーディネーターを配置す る病院が62病院から64病院になるなど、治験実施体制の強化を図っているところです。  また、これらの病院には、本部の治験専門職を派遣し、実務指導を行うなど、本部が各病院の支援 を行う体制を作っておりますとともに、本部から企業の個別訪問等を通じ、治験の獲得にも努力を行 っています。  その結果、45頁ですが、5「治験実績」です。平成20年度の治験実施症例数は4,250件、対15年度 比152%でございまして、目標値の20%増をはるかに上回っております。19年度と比較しますと、そ の症例数より減少となっておりますが、これは冒頭国立病院機構理事長のほうからもご説明がありま したとおり、比較的単純な治験につきましては、民間クリニックなどで行われるということが多くな っている中で、むしろ難易度の高い治験を機構が行っています。例えば原疾患による有害事象が発生 しやすいようなもの、あるいは患者への説明や疾患の評価・判定に時間を要するなどの難易度の高い 治験を機構として特に行うようになっているということが、数としては昨年度よりも減ってはいるも のの、むしろ入院を要する治験の割合が、治験の数全体の中で大きくなっているということから考え られると分析しております。中央治験審査委員会の設置や本部による病院支援体制の充実などの体制 強化を通じまして、引続き質の高い治験を推進していくこととしています。  47頁(3)「高度先端医療技術の開発や臨床導入の推進」、また48頁「職務発明の権利化」につきま しても、国立病院機構として積極的に取り組んでいるところです。  49から51頁がこれらの活動の「自己評定」です。昨年はS評価をいただいているところです。EBM 研究事業につきましては、一部課題について成果を公表するなど、着実に成果を上げています。特に 機構が中心となってプロトコールデザインを行ってやっていくというような形のものが、着実に結果 を伸ばしております。例えば具体的には新型インフルエンザのワクチンで、世界に先がけて取組を行 ったこと、そして研究活動の評価につきましては、見直しを行った結果、活動性が全体として高まり、 研究組織の再編成につなげることができました。また、治験に関しましては、その実施症例数、目標 値を大幅に上回る152%増となっております。  以上の取組などを踏まえまして、本年度につきましても「自己評定」でSを計上させていただいてい ます。  3の「教育研修事業」です。52頁、「質の高い医療従事者の養成」です。質の高い医師の育成は国立 病院機構が担うべき重要な役割と認識しています。ご案内のとおり18年度から、国立病院機構独自の 後期臨床研修医制度である専修医の制度を創設したところです。初期臨床研修につきましては、指定 病院として56病院、協力型研修病院として115病院がそれぞれ指定されておりまして、医師研修制度 に協力しています。初期研修医の受入数は、対19年度では若干減少しておりますが、目標値である対 15年度の研修医数、20%増との比較では、57%増と、計画、目標値を大きく上回っているところです。 専修医及びレジデントの受入数は816人で、対前年度46人増となっております。中期計画の目標値に は達しておりませんが、専修医とレジデントの内訳のとおり、専修医が127人増に対しレジデントが 81人減となっております。国立病院機構としましては、平成18年度に、レジデント制度に代わる専修 医の制度を立ち上げまして、専修医制度に重点を移しているところですので、その結果専修医の受入 数が着実に増えているところであり、専門領域において診療能力の高い医師を育成するという点から の後期臨床研修における機構の役割は、着実に果たしてきているものと考えます。また、指導医の育 成のための研修会につきましても、20年度は5回開催をし、190人が参加をしているところです。  新たな取組としましては、3の肥前精神医療センターを中心に5病院をテレビ会議システムでつない だという、共同カンファレンスや講義、講演などを行うことによりまして、症例は豊富にあるものの、 医師確保が困難で指導医の体制が十分でない精神科病院でも、テレビ会議を通じて、効果的な教育研 修が行うことができるよう、多施設共同研修の運用を新たに開始しました。  53頁が「医師のキャリアパス制度の構築」です。後期臨床研修制度としての専修医制度につきまし ては、国立病院機構がいち速くシステム作りに着手したもので、受入者数も着実に増えております。  アメリカ退役軍人病院への留学制度を設けておりまして、20年度には6人を派遣し、医療安全や医 療マネジメントの手法を学んできたところです。また、20年度末には初めて専修医プログラムの修了 者が出ました。修了認定を行ったということと、専修医プログラムの修了者などを対象にアンケート 調査を行いまして、今後の医師育成体制のあり方を検討していくに当たっての参考としています。そ の結果を踏まえ、機構本部に新たに設置しました、人材育成キャリア支援室を中心に、今後も具体的 なシステム作りを行っていくこととしています。  54頁「看護師のキャリアパス制度の構築」です。看護師のキャリアパスにつきましては、平成18年 度から国立病院機構看護職員能力開発プログラムを活用し、教育研修体制を強化しています。また、 専任の教育担当師長の配置病院を25病院から45病院に増やしており、専門看護師、認定看護師の配置 についても、対前年度68人増の258人となっております。  55頁は、看護職員を対象とした様々な研修についてご紹介しております。  56頁では、20年度に指定研究を行いまして、「離職した看護師の職場復帰を可能とする要因分析」 について研究しました。いくつかの看護師の再就職を促すポイントが示されておりまして、これを今 後活用してまいりたいと考えています。  57頁(3)「質の高い看護師等の養成」です。看護師養成にかかる20年度の大きな動きとしましては、 1点目は「看護師養成のあり方に関する検討委員会の開催」と、2つ目が「新構想看護学部・大学院開 設に向けた取組」があります。まず検討委員会についてですが、医療内容の高度化・複雑化やチーム 医療に主体的に対応できる看護師の養成、今後の附属看護師等養成所の方向性についても検討を行っ てまいりまして、20年12月に報告書の取りまとめが行われました。この報告書の抜粋のとおり、教員 の質の向上に向けた取組やスキルアップラボ施設の充実、卒後研修制度のモデル的導入などの方向性 が示されたところです。本報告書を踏まえ、卒後研修制度のモデル的導入に関しては、本年度から早 速、具体的なシステムについての検討を開始しております。また、2「新構想看護学部・大学院」につ きましては、医師と看護師との間の適切な役割分担を通じて、スキルミックスによるチーム医療を推 進していくことのできる看護師の育成を、機構の豊富な臨床現場を活用して行っていくものです。具 体的には、臨床実習を充実させた看護学部での教育と、医療現場の医師の指導のもと、臨床研修を主 体とした大学院教育を一貫した流れの中で行うことで、高度な看護実践能力を持ち、医療チームの中 で主体的に活動できる看護師の育成を行うというものです。大学や大学院の運営そのものは、学校法 人青葉学園が行い、国立病院機構は青葉学園との緊密な連携体制を築くことになっております。新学 部大学院の開設は、平成22年4月を目指しておりますが、文部科学省に対しては、既に6月末に必要 な届出を行ったところです。  58頁に移ります。3の「長崎医療センターでの大学誘致」、6.看護師確保対策に資するための「奨学 金制度」の弾力的な運営などをご紹介しております。また、59頁ですが、「第三者によるカリキュラ ム評価の全校での実施」、「公開講座の実施」、「附属看護学校で良質な教育を行っている1つの証左 として、附属看護学校卒業生の国家試験合格率」をご覧いただきたいのですが、特に大学の平均合格 率を上回る、高い合格率を示しています。  60頁(4)「EBMの普及のための研修人材養成」です。治験や臨床研究推進のための人材育成、EBM普及 研修の研修参加者数ですが、2,043人と、対15年度参加人数比134%となっておりまして、中期計画目 標値である25%増を大きく上回っています。  61頁の「地域医療に貢献する研修事業の実施」ですが、地域の医療従事者を対象とした研修会につ きましては、昨年よりも若干減少し、109,000人となっております。各病院では、地域のニーズの把握 や修了後のアンケート調査等により、内容の充実に努めているところですが、昨今の診療密度が高く なっていること、あるいは研修施設を整備をして使えないセンターがあったということも影響し、研 修そのものを開催できなかったことなどが減少の原因と考えております。いずれにしましても、地域 のニーズにあった内容の充実に、今後ともアンケート調査などを踏まえ、地域の医療従事者との情報 交換に努めながら実施していくと考えております。  「自己評定」は62から64頁ですが、昨年はA評価をいただいております。初期研修医の受入数が目 標を大きく上回っているということを、強調したいと思います。後期研修医につきましては、レジデ ントから専修医への育成の切り替わりが着実に進みつつあること、またテレビ会議システムを活用し た共同研修の運用開始などの新たな取組も開始しております。看護師養成に係る今後の方向性が取り まとめられ、スキルミックスに対応できる新時代の看護師の育成にも取り組んでおります。EBM研修に つきましても、目標を大きく上回る実績となっているということを踏まえ、本年度についても、自己 評定Aを計上させていただいております。  このグループの最後で、65頁の「災害等における活動」ですが、平成20年6月の岩手・宮城内陸地 震の際には、仙台医療センターをはじめ、3つの病院から直ちに医療班を派遣しております。また中国 西部大地震の際には機構職員2名、ミャンマー連邦でのサイクロン被害の際には、機構職員3名が、現 地で救援活動を行ったところです。  また、国立病院機構による研修会の開催や、厚労省から委託を受けた研修を実施することなどによ り、災害等が発生した際には適切な対応ができるよう、日頃から準備を怠りなく行っているところで す。  66頁ですが、本年4月に発生した「新型インフルエンザ対策」に関しましても、これは本年度のこ とではありますが、厚生労働省からの要請に基づきまして、検疫体制の強化のために51病院より医師 215名、看護師272名と、応援要請のあった医療従事者の中では、最も大勢機構本部から派遣を行って おります。また都道府県からの要請に基づき、発熱外来の設置についても対応するなど、日頃からの 緊急対応の備え、訓練が効奏しているものと考えています。  67頁が、「自己評定」です。昨年はA評価をいただいているところです。以上述べました取組を踏 まえまして、本年度につきましても、評定Aを計上させていただいております。グループ2の説明は、 以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明に、どなたかご質問はありますでしょうか。 ○田極委員  いま65頁で、厚生労働省主催の研修、災害医療のところですが、平成19年度は100病院で595名の 方が参加したと。平成20年度は119病院で475名ということで、若干ここは人数が減っているのです が、これは何か理由があるのでしょうか。 ○国立病院機構参与  これはここに書いてありますように、厚生労働省からの委託を受けて、私ども国立病院機構の中に あります災害医療センター、私どもとしては全国の中でハード・ソフトという意味で災害医療に関す る総本山とも言うべき病院ではないかと自負をしておりますが、全国に声をかけさせていただいて来 ていただく、お集まりいただく人数ということです。そういう意味では、私どもとしては積極的に声 をかけ、参加いただく病院数は、今回それに応えて増えていただいたと思いますが、実際にはそれぞ れの病院側、派遣する側の事情もありましょうから、最終的にはお越しいただく方の人数が、このよ うになったということであろうかと思っております。私どもとしては必要なキャパシティーと言いま しょうか、研修を受けていただくような体制は十分組んだ上で、厚生労働省からの委託ですから、そ の期待に応えていきたいと思っております。 ○田極委員  これは周知は徹底して行っていると言いますか、広報活動は積極的に行っていると考えているわけ ですか。 ○国立医療病院機構医療部長  周知あるいは募集につきましては、厚生労働省の担当部局が直接やっていると思っています。 ○猿田部会長  ほかにどなたかございますか。 ○夏目委員  どうしても数値目標があるところの数値の推移が気になるのですが、それが評価委員会の使命かな とも思っています。  ちょっと細かいのですが、61頁の地域医療に貢献する研修事業の実施ということで、この目標が14 万人以上に倍増しろという目標なので、だいぶ努力はして69%、7割増ぐらいまではきたのですが、こ れもちょっと心配なのは、平成19年度から20年度が若干減少しているということで、その理由でいま お話があったのは、ちょっと聞こえなかったのですが、何かが高くなっているとか、何かもう少し減 少している理由がわかれば教えていただければと思います。  もう1つ。これもいつもこの評価委員会で悩むのですが、災害に関する活動で、基準は大幅に上回っ ているか、上回っているか、概ね合致しているか、ということで、自己評定でもAですから、大幅には 上回っていないと。しかし中期計画は上回っているよということですが、これを見ると、何か要請が あったことに対してきちんと対応しました、迅速に対応しましたという意味では、計画に概ねに合致 しているということかなといつも思ってしまうのですが、上回っていると言える根拠を、もう少し迫 力がある理由があればということで、そこら辺について、お願いします。 ○国立医療病院機構医療部長  まず最初のご質問、地域医療に貢献する研修事業が平成20年度減少している背景ということですが、 すみません、先ほど早口で申し上げたのですが、研修施設の整備を行っている所が1箇所ありまして、 そこが使えなかったことで5,400人減で、それが前年に比べてトータルで2,500人ほど減っているのに 対して、1箇所使えなかった所で5,000人減っているので、そこが使えていれば機構全体では平成19 年度よりさらに平成20年度は、参加者が増えていたということは推定できます。もちろん中期目標の ときの数値目標がどうであったかということはあるのだろうと思うのですが、いま診療現場でいろい ろな診療ミスとも高まって負荷が大きくなる中で、ただ最大限地域との情報交換にも努め、必要な研 修、研究会ということについて実施に取り組んできたということで、ご理解いただければと思います。 ○国立病院機構理事長  この項は、不幸が起こらないとSが付かないと。そこで、何故Aを付けたかということですが、災害 に対しては365日備えをしていて、常に訓練をしているということです。日赤もそうですが、普段のキ ープがないと、要請があって即座に編成して送り出すわけにはいかない。  例えば新型インフルエンザの水際作戦で、厚労省から要請があって、ほとんど我々の病院から出し たのです。それは普通の病院では、なかなか業務が、みんな医師は外来を持っていてすぐには行けな いので、すぐ対応できるのは、常日頃からそういうマネージメントしているということ。  災害医療センターや大阪医療センターというのは、災害時のいろいろな、日赤のようにそれ用の資 金とか寄付、補助を私たちはもらってなくて、病院が自前で救急の備えをしている、訓練もしている。 今回は新型インフルエンザで相当人を出しましたが、そういう意味で災害医療の評価というのはそう いう側面があるので、是非その辺はお汲み取りいただければ、大変ありがたいと思っているのです。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  ちょっと1点だけ、すみません。政策医療課の立場で答弁するとあれですが、夏目委員の質問ですが、 7月10日までは北海道東北ブロックの統括部長で、岩手・宮城内陸地地震は、私は現地で仕切った部 長でしたのでご報告します。  宮城県のDMATが直ちに震災後発足するのですが、その時点ではすでに我が仙台医療は車で駆けつけ ていたということと、災害医療のほうは東京の災害ヘリコプターで、すでに上空であったと。県の DMATが確定する前に、災害医療のチームは上空でどこに降りればいいのですかということでしたので、 先ほど委員のおっしゃったような災害が起こった県のDMATが発足して、そこから要請がくるのを待っ ていずに、すでにその段階では、どこに行けばいいのだというのがNHOの災害対策でありまして、これ は新潟のときもそうでしたし、今回の宮城もすでにそうであったと。ですから、基幹病院のDMATチー ムは、発生震度5以上であれば直ちに第1班は出発しますので、そういった意味ではすでにもう部隊は 出ておりまして、どこに行ってどういうふうに手伝えばいいのかという指示を待っている。それを私 たちがコーディネイトするという事務方が、各ブロックや本部のほうで指示するという形になってお りますので、そういった意味ではいま理事長がおっしゃったように、365日その体制を組むというのが、 手前味噌ですが、相当パワーが必要であるということになるのではないかと思います。 ○夏目委員  体制はきちんと組んであって、なおかつ意識も十分高いと。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  はい、指導もしたということです。 ○夏目委員  わかりました。 ○山田委員  この災害医療は、いつも多少もめるところですが、DMATの養成研修は、災害医療センターと神戸に ある災害医療センターと、全国で2箇所でしかやってないです。そういう意味で、赤十字もいまこの教 育を始めようということで手を付け始めたのですが、かなりこれは大変な教育ですので、それを非常 に熱心にやっていただいているというところを見れば、これはかなりいい点数を付けても今年はいい かなと思っています。それと統括DMAT研修ということを含めてやっていただいておりますので、これ は非常に大変な事業だろうと思っています。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○辻本委員  52頁にある3の「ITを活用した精神科領域における多施設共同研修の実施」、テレビ会議でシステ ム化されている。このことが145病院の共有するテーマということで、今後大いに活用できるシステム かなと思い、さらなる効率化を図っていただきたいと、患者の立場から思います。  もう1つ。54頁の専門ナース、認定ナースの数が増えてきていることが、具体的に臨床現場、看護 の現場でどんな成果を上げているかを、もう少しアピールしていただくことも大切なのではないのか なと。高い水準の看護を実践しているという表現だけではなく、もう少し具体的なアプローチをして いただけたらというように思いました。 ○猿田部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。  あと1つだけ研修医の問題ですが、平成20年度では、後期研修医が少し増えていますね。非常にこ れはいいことだと思うのですが、これはこれからもずっとそういう方向でいけるのかどうか、あるい は地域差というのがあるのかどうか、その辺りはどうでしょうか。 ○国立病院機構理事長  後期研修、専修医制度という我々独自の制度を立ち上げたのですが、なかなか地方に行きますと、 大学の医局の影響力が強くて、我々が専修医制度と打ち上げると、それでは大学から医師は派遣しな くても大丈夫ですね、という引上げに遭ってしまうのです。だからすごく痛し痒しで。 ○猿田部会長  地域によって違うのですね。 ○国立病院機構理事長  ですから、大学の影響力の強い地域は、後期研修医は採りにくいところがあって、やはり気兼ねし ながら我々は行っていかないと。だから比較的そういうところがない所は、後期研修医を採れます。 そういう意味で、我々も大学と事を構えるよりは、お互いに話し合いながら研修医制度をどのように していくか。大体は大学の後期研修のプログラムに則って、我々が協力するという方向になるのでは ないか。大学の力がものすごく弱い所は、我々が地域で育てていかないといけないのではないかとい うように思っています。 ○山田委員  専修医が終わった段階で病院に残ったときには、処遇上の優遇策を作ったというようにありますが、 要は専修医はできるだけ病院に残ってほしいというのが、一応国立病院機構の考え方ですね。 ○国立病院機構理事長  はい、そういうことです。 ○山田委員  今年の修了者79名のうち、国立病院機構に残られたのは、何人ぐらいいらっしゃるでしょうか。 ○国立医療病院機構医療部長  79名修了された方のうち、機構への就職者は33名、42%です。 ○山田委員  かなり残られていますね。ありがとうございました。 ○猿田部会長  そろそろ時間がきましたので、5分間だけまたいただきまして、簡単に一応評価をしていただければ と思います。 (評定記入用紙記入) ○猿田部会長  次は、3グループの効率的な業務運営体制の確立に関して、説明をよろしくお願いします。 ○国立病院機構企画経営部長  第3グループにつきまして、資料の68頁から説明します。「効率的な業務運営体制の確立」という ことで、まず本部・ブロック組織の役割分担です。本部の役割ですが、本部におきましては管理業務 の充実を図りますとともに、医薬品、医療機器及び医事会計システムの購入に係る共同入札を実施す るということで、価格の低廉化及び標準化を進めたところです。  特にまた平成20年度は3.「個別病院毎の経営改善計画(再生プラン)の実施及び支援」を行ってお ります。個別病院毎に経営改善計画(再生プラン)を作っておりますが、これについて経営手腕を発 揮している院長及び副院長等に、再生プラン特別顧問を委嘱しました。  また、本部及びブロック事務所において専属チームを作りまして、年度計画に対して経常収支が著 しく下回っている病院への個別訪問を実施するということで、本部・ブロック等個別病院間の連携、 役割分担の強化を図っているところです。  69頁は、「効率的な管理組織体制」です。まず本部・ブロック合計の職員数は、平成19年度と同様 に291名で、効率的な管理組織体制を維持しています。内部監査につきましては、平成20年度から監 事1人を常勤化しまして、内部統制・ガバナンスの強化に努めております。  また平成21年度におきましては、本部組織内を見直しまして、内部監査を実施する組織の明確化、 それと専任職員の配置(本部業務監査室の新設)を行っております。  実地監査につきましても標準化をすることを目的として、ブロック事務所が行う実地監査に、ほか のブロック事務所の監査担当者を試行的に参加させることを6箇所で実施しています。また、その他監 事と連携した抜打ち監査を実施しています。  70頁は、「弾力的な組織の構築」です。各病院の院内組織につきましては、地域事情、特性に考慮 した体制になるように努めています。特に2.の「事務部門」におきましては、病床規模に応じた事務 部門の見直し及び組織の一元化を検討しまして、平成21年度期首に、事務部長制から事務長制に、2 病院において移行しています。また平成20年4月には、組織の一元化が1ケースあります。  副院長複数制の導入につきましては、機能に応じて特命事項を担う副院長を平成19年度までに設置 した病院に加えまして、平成20年度も新たに4病院において設置して、病院経営、地域医療連携、看 護師確保、再編成等の特命事項に取り組んでいただいているところです。  71頁は、「地域医療連携室の設置」についてです。すべての病院に地域医療連携室が設置されてお りますが、平成20年度は、新たに4病院で専任の職員を配置しまして、ここに挙がっているような紹 介率、逆紹介率の向上を図っています。平成19年度に比べて紹介率の高い病院、逆紹介率の高い病院 が、平成20年度は増えています。  看護部門の体制強化としては、病棟外来部門での適切な配置と併せて、看護師のキャリアパス制度 の充実という観点から専任の教育担当師長、認定看護師及び専門看護師の配置ということで体制整備 を図りまして、平成19年度に比べて、配置が増えております。  72頁の「事務部門の改革」については、現在2課体制で実施しておりますが、事務職につきまして は総人件費改革に取り組むため、平成19年度は2,600名いたところ、平成20年度は2,574名と、全体 としては抑制を図っております。ただ一方診療情報管理士については、平成19年度の40名から平成 20年度は65名と振替増員を図る、あるいは平成20年度は医事業務研修を実施するということで、人 材の育成、強化を図っております。  また「営繕機能の強化」ということで、大規模建替病院に専門職員を置いて、スケジュール管理や 品質の向上をするということをしております。個々の病院ごとに総合的検証を行うことについては、 平成22年度末での総合的な検証に向けまして、把握手法、検証の枠組みについての検討に着手したと ころです。  73頁の「職員の配置」につきましては、業務量の変化に対応した柔軟な配置となるよう努めている ところです。特に(3)の育児休業法に定める育児短時間勤務については、平成19年8月に導入したとこ ろですが、平成20年度は107名の方が、取得されています。  2.「技能職常勤職員の離職後の不補充」ですが、技能職については平成20年度において143名を削 減する計画でしたが、大幅に上回る239名の純減を図っております。その他アウトソーシングとして、 ブランチラボの実施や給食業務の全面委託の実施などを進めています。  74頁は、「業績評価等の適切な実施」です。これまで年俸制職員、役職職員の業績評価などの実施 をしていましたが、平成20年度におきましては、一般職員約4万3,000名の業績評価制度について、 平成19年度に実施した試行結果を受け20年度から本格導入をして、平成20年度後期の評価結果を平 成21年6月の支給の賞与に反映したところです。  75頁の「外部評価の活用」につきましては、評価委員会におけます評価、ご議論を我々本部、ある いはブロック、各病院の運営に反映するということで、努めていきたいと思っています。  また会計監査人による病院監査につきましては、実地監査として本部及びブロック事務所並びに全 病院を対象に、1病院当たり1回の会計監査を受けて、指摘事項を踏まえた業務改善を図ったところで す。またこのほか、会計制度に関する説明会の開催などを行っております。  77頁の「看護師等養成所の再編成」ですが、再編成計画に基づく養成所の再編成は、平成19年度で 終了しています。今後は魅力ある看護教育の充実を図り、教員の質の向上に努めていくこととしてい ます。  2.で、看護学校の体育館等の跡地を利用する、活用する観点から、「学校法人による看護系大学等 の誘致」の推進を行っておりまして、平成21年4月目途に、学校法人が看護系大学院を設置、あるい は平成22年4月を目途に、学校法人が看護系専門学校を設置予定ということで、進めております。  78頁は、「再編成業務の実施」です。再編成については西札幌・札幌南において、平成22年3月統 合を円滑に実施するために4者会議を鋭意開催するなど行っています。また善通寺・香川小児病院につ いては、平成21年3月に統合新病院の平成26年度開院を目途とした基本構想を公表したところです。  3.「南横浜病院の廃止」ですが、患者の減少という中で、結核医療については県単位で神奈川病院 に効率的に集約することとし、南横浜病院については、平成20年12月1日をもって廃止したところで す。  79、80頁は、「評価」の部分です。評価指針として総合的な評定については、技能職については239 名減少、その結果、中期計画に掲げる目標を大幅に上回って、目標を達成しています。また一般職員 について、平成20年度からは業績評価制度を全職員に実施して、中期計画に掲げた人事評価制度を導 入する目標を達成したということで、自己評定としては、Aで上げております。どうぞよろしくお願い します。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明に、どなたかご質問はございますでしょうか。 ○夏目委員  非常に大事な点で、また難しい点ですが、最後にお話しになった全社員に対する業績評価の実施に ついて、病院の一般職員に対しての業績評価というのは、どういう評価基準で実施するのかは、民間 会社とは少し違いますし、病院の業務の性格もありますから非常に難しいと思うのですが、今日はあ まり時間がないので細かくはいいのですが、例えば評価基準について大きな項目としてどういう基準 を入れているのですか。  労組との関係等が全職員になると発生するので、その辺はどんな評価基準で行っているのですか。 そしてトラブルがこんなに少ないのか、私はこれは異常に少ないと思うので、異常に少ないトラブル というのは、実はあまり厳しい評価をしていないといったら語弊がありますが、みんな仲良く横並び という評価になっているのかなという、そこら辺は難しいのですが、個人差がきちんとついているの かどうか、その辺は、どんな状況なのでしょうか。 ○国立病院機構総務部長  総務部長の吉田です。ただいまのご質問等で、まず具体的に評価のやり方ですが、私どもは全職員5 万人にマニュアルを作りまして、配付しています。端的に申し上げますと、まず2つの面からの評価を していて、1つは、業務遂行能力評価ですが、例えば仕事に熱心に、積極的に取り組んでいるかとか、 あるいは仕事するときに協調性を持っているかとか、そういう面からの評価です。どういう視点で評 価するかは、マニュアルに細かく書いてあります。それが1点。  2つ目は、業務実績評価と申しまして、毎年度当初に一次評価者、つまり自分の直接の評価者とヒ アリングして、その当該年度の目標を立てます。その目標の進捗度合によりまして、評価者が非評価 者を評価するというシステムを採っています。それと同時にご指摘のとおり、業績評価というのは評 価者の資質が非常に大事ですので、私どもはまず病院の中で、新しく評価者になった職員には2度ほど 研修をしまして、さらに専門コンサルの方からの研修を毎年度させていただいております。今後もそ のようにするつもりです。  業績評価制度は、昨年度の20年4月から一般職員に導入したわけですが、それまでにはいわゆる院 長、副院長の年報制の職員の方々、それから課長職以上の方々、専門職以上の管理職の方々について は、すでに導入していました。最後に残りました一般職員については、平成20年4月から導入したわ けです。ただこの導入につきましても、中央労働委員会の斡旋を2回ほど受けまして、現在に至ってお ります。以上です。 ○猿田部会長  ということは、評価は医師の側と看護側、それから事務職員などをみんな分けてやっているわけで すね。 ○国立病院機構総務部長  それぞれの職種、組織に基づきまして、看護師でしたらスタッフ看護師は病棟師長、事務職ですと、 係長以下は課長、課長だと事務部長とか、そのような形で職場で分けています。 ○猿田部会長  上の人に対する評価は、下からどのようにやっているのでしょうか。 ○国立病院機構総務部長  例えば課長の評価に対して一般職員がどのように評価するか、そこは今後の検討課題かと思います。 ○猿田部会長  もちろん病院のほうも、病院長に対して下からの評価、看護師長に対して下からの評価、これが両 方なければ意味がないわけですよね。 ○国立病院機構総務部長  双方向ということになりますね。 ○猿田部会長  もちろん、それがいまいちばん理想とされる評価のやり方ですので、そういうものも将来はガイド ラインでちゃんと作ってやっていく。いま病院によっては、各病院で始まっていますので、そういっ たことも是非考えてください。 ○国立病院機構総務部長  今、私どもが行っている評価制度をまず確立しまして、それからの検討課題かというようには承知 しております。 ○猿田部会長  大きいですから大変ですが、マニュアルを作っていただければと思います。 ○渡辺部会長代理  ちょっと手短に、私個人の経験です。私はよく東京医療センターを患者として使わせてもらってい るのですが、一言でいうと、職員の方々、会計事務、もちろんドクターが、お世辞抜きに非常に感じ がいいのです。昔から私は近くに住んでいるせいもあってか、ほかの病院はもちろんわからないので すが、例えば手短に言って、何かそういった職員の対患者、もちろんはっきり言って私の立場は全然 言っていませんよ。一患者として行っていて、そういった意味では非常に好感を持っているのですが、 何かそういった研修みたいなことがもしあれば、手短にありますか。 ○国立病院機構総務部長  平成16年4月に独立行政法人になりましたときに、私どもは親方日の丸ではなくて意識改革をして、 まずサービスが大事だと。  それと同時に、先ほど医療部長から説明がありましたように、患者満足度調査を行っておりまして、 その中で職員の態度、対応についても、私どもは評価されることになります。そのような外部の目も ありますので、病院におきましては、病院ごとに接遇研修等を行いまして、患者様に対する接遇等に ついてはどの病院もそうでしょうが、非常に大きな注意を払っているということです。 ○渡辺部会長代理  はい、ありがとうございます。 ○国立病院機構理事長  東京医療センターは、数年前は接遇態度が悪いということで、有名人がすごくおられて、特に政治 家の方や何かからは非常にクレームが多かったのです。それで独法化になって、特に副院長に看護担 当の理事がなって、毎朝8時半に全員整列して、患者さんに頭を下げると。それと挨拶を必ずする、職 員同士でも挨拶をすると、そういうきめ細かなことをやっています。例えばお疲れさまという挨拶を していましたが、お疲れさまと言うのは後ろ向きだから、そういう挨拶は止めようということもやっ ています。  また、救急がいままで非常に対応が悪かったです。例えば今日は整形の人がいないから、骨折の人 が来ても他の病院に回すと。そういう状況が続いていましたが、救急でオンコール制で、ちゃんと手 当を出すようになって、最近はずいぶん違ってきた。だから、いま部長が言われたような皆さんの教 育も大事ですが、各病院での取組がどう行われるかというのは極めて重要なので、一つひとつを個別 的にやっていかないと難しいということで、非常にその効果が表れたというのを評価していただいて、 私はものすごくうれしいのです。あそこは基幹病院ですから評判がよくならないと、やはり全体の評 価にもかかわりますので、そういう意味です。 ○辻本委員  いま理事長のお話にもありましたが、副院長のことでお尋ねしたいと思います。2病院において、2 人から1人に戻していると書いてありますが、これはどういう理由があったのかということ。  次にいまのお話で、ナースから副院長をと、私は当初から、是非ともどの病院にも当たり前にして ほしいと申し上げている1人ですが、現在看護師のほうから副院長がどれぐらい出ているかをお聞きし たいと思います。  それともう1つ。73頁の技能職常勤職員の大幅な減ということですが、このことでいわゆる質の担 保の低下はなかったでしょうか。患者にとってはそうした技術職の人数が減ってアウトソーシングさ れることで、質が下がりはしないかということを懸念します。この2点についてです。 ○国立病院機構参与  まず副院長について、2点ご質問がありました。シートの70頁に書いてあるように、北海道がんセ ンター及び函館病院について複数から単数に戻しているのは、この特命副院長という形で、それぞれ その時点におけるプロジェクトをある程度統括するものとしての副院長2人を通常の院務に加えてとい う場合において、このような形でそれぞれ時間を限って、人を選んで配置しているものでして、それ をある意味でプロジェクトが1つの節目を迎えたことにより戻した、というようにご理解をいただけれ ばと思います。  看護職による副院長ですが、現時点におきましては4人おります。1人は、いま話題になりました東 京医療センター。それとここにも書かせていただいているように、平成20年から名古屋医療センター 及び大阪医療センター。そしてこれは今回の評価をいただく期間の次になりますが、平成21年度4月 から九州医療センターにおいても、看護職の副院長を置いているところです。  最後に3点目として、シートの73頁の技能職の退職不補充に関して、それが患者さん方に対するサ ービスの後退につながらないようにというご趣旨のご発言がありました。私どもは確かにそのような 形にならないように、実際に不補充の場合は、それを他の職種が埋めることも一部にはありますが、 多くが委託をするという形で、外部の方々のお手伝いをいただくという形が多いです。その過程には、 ここに給食の全面委託について記載していますが、全面委託に至らない場合には、直営の職員と外部 の方の混合部隊としてサービスを提供するという場合もあろうかと思います。私どもとしてはそのよ うな形で、業務が行われる際に、患者さん方にとってのサービス低下がないようには努力をしてまい りたいと、それぞれ導入するに当たっては、例えば業務の分担、あるいは仕事の仕方などについてよ く相談をしながら、進めさせていただいているところです。  実際にはこのような形で退職者が出た場合に、それに応じて不補充というやり方をしておりますが、 結果現在の技能職をざっくり申し上げますと、その半数ぐらいが調理師、給食業務に関する人、次に 多いのが看護助手、そしてボイラー、自動車運転士という形です。そういう意味ではいまお話があり ましたように、直接患者さんに接する場合、あるいはバックヤードとして働く場合がそれぞれ個々あ りますが、不補充という形での全体のスリム化の中では、サービスの低下がないように十分配慮して いきたいと思います。 ○夏目委員  それに関連するのですが、退職不補充でずっと進められてきて、いまは3分の1ぐらいが、いわゆる 外部委託になっているのだろうと思うのです。それで直営が3分の2。そうすると、いろいろな職場で 直営の方と外部委託の方が混在して、仕事を実施することになっている。まさか労働法規上の問題が 発生するような余地はないのだろうとは思いますが、ここら辺はもうここまできたら、例えば全部外 部委託にしてしまい、そこに受け皿会社を創って外部委託して、そこへ出向で出すという形に割り切 ってしまうやり方は、順次ダラダラ部分を外部委託していくというやり方は、何か労働法規上の問題 とかいろいろな問題を生みかねないのではないかなという心配があるのですが、いかがなのでしょう か。 ○国立病院機構参与  3点申し上げたいと思います。まずおっしゃるように、世上一部ほかの企業で言われているような労 働法規上の問題が生じないように、そこは私どもは十分徹底しております。  2つ目は、確かに退職不補充という仕方で行う際には、いま委員もお話のように混ざる時期がありま すので、そこをもう少し、例えばもう一工夫をして、何らかの形ですっきりできないかという問題意 識については我々も持たないわけではありませんが、実際には個々の職場ごとの人の配置の問題も出 てきます。  ただ一方でここにありますように、例えばこれは先ほど申し上げた職種とはちょっと違いますが、 ブランチラボという形で検査技師の配置につきまして、例えばある程度の一線を超えたところで片寄 せするという工夫であるとか、あるいは関係者のご理解をいただければ、人事の配置において、何ら かの形で退職不補充の後に残られた方々について、何らか仕事の仕方を改めるという工夫も、それぞ れ地道には行っているところでして、そこをどうするかということは、もう一段考えていきたいと思 っています。そういう意味で、全体としての退職不補充をどのように考えるかについてはいろいろ議 論もありますし、いまお話があったような子会社という形も、我々は考えないわけでもありません。 率直に申し上げて、民間の医療法人などを拝見しますと、ある意味でこのようなサービス部門を外出 しして、そことの連携をとりながらという手法もとられていますが、独立行政法人による出資を法律 が認めておりません。その制約もある中で、どういうやり方があるのかというのは、逆に関係者の方 々のご理解をいただいて、我々は独立行政法人という枠の中でより効率的、かつ患者さんにとって質 の高いサービスの提供ができるような仕組みについては、不断に研究していきたいと思います。 ○国立病院機構理事長  いまのお話は非常に重要なので、私どもはやはり公務員の立場ですので、なかなか難しい。JRのよ うに民営化すれば非常にすっきりいけるので、いまは中途半端なところがありますので、どのような ことができるか研究してまいりたいと思っています。 ○猿田部会長  時間がありませんので、これで5分とあと休憩5分を入れて、約10分ぐらいで検証させていただい て、第4グループは10分後からとします。 (評定記入用紙記入・休憩) ○猿田部会長  続きまして、第4グループのほうからの説明を、よろしくお願いします。 ○国立病院機構参与  第4グループの説明に入る前に、1点補足をお許しいただきたいと思います。医療訴訟について先ほ ど質問がありました。いま手元のデータを確認しますと、現在すでに訴訟として訴えられている案件 で言いますと、平成20年度が約60件強、平成19年度が70件台、平成18年度が80件台という形には なっております。ただこれは先ほども申し上げましたように訴訟ということでして、実際には訴訟と いう形にならずに話し合いが行われているものもこの後ろにはありますので、全体としての量、ボリ ューム、あるいはシリアス度については、ちょっと正確なデータはないということで、お許しいただ きたいと思います。 ○国立病院機構企画経営部長  それでは、第4グループの説明をします。81頁の「業務運営の見直しや効率化による収支改善」と いうことで、1.「収支相償を目指した収支改善の推進」という項目があります。医業収益については、 平成20年度より約97億円増加しております。また費用の縮減等に努めた結果、経常収支率が105.1% となり、機構全体としては、収支相償を達成することができています。また平成16年度から、通期で 総収支で黒字となっている状況です。  2.「年度末賞与の実施」ということで、平成20年度の年度末賞与は、前年度実績よりも経常収支で 成績が良くなった病院であって、収支相償を超えた56病院に対して、支給を行っております。  3つ目の「契約事務の透明化等の推進」ですが、随意契約の見直し、契約情報の公表などと併せて、 平成20年6月に原則一般競争入札であることの徹底などの周知を行っており、内部監査によって、各 病院への実施を徹底しています。  またこれと併せて(4)で、「会計事務に係る標準的業務フローを作る」ということで、現金・出納の 業務フローを平成21年3月に作成・周知し、業務の標準化を進めています。  82頁は、先ほど申し上げました「各個別病院ごとの経営改善計画(再生プラン)の実施」につきま しては、平成20年度進捗状況の確認を進め、また平成21年度も引き続き収支改善を進めているところ ですが、平成20年度の状況としては、※で経常収支が平成20年度計画を達成した病院が31病院、20 年度計画を下回った27病院のうち、前年度の実績を上回った病院が13病院という結果になっています。  83頁は、「職員の給与水準」です。まず医師の給与について、民間医療機関などの状況を踏まえな がら、改善を進めております。下のほうで(3)救急の関係で、平成20年4月より救急呼出待機手当を創 設。21年4月から救急医療体制等確保手当の創設などの改善を進めているところですが、民間医療機 関の企業とは、まだ相当の開きがあると考えております。また看護師や事務技術職員、研究職員につ いても、それぞれ適切に対応されているところです。  84頁の「業務運営コストの節減等」ということで、まず材料費の「共同入札の実施」についてです。 「医薬品の共同入札」についてはスケールメリットを活かすということで、入札単位の拡大(全国4エ リアを3エリア)を図るとともに、購入医薬品リストの見直しを行っております。また医療用消耗品等 につきましても、九州ブロックに加え北海道ブロックでの実施ということになっています。また検査 試薬についても、新たに残る4ブロックで実施しまして、医薬品費の抑制を図っております。  85頁は、「適正な在庫管理」です。月次決算による保有在庫日数の把握と縮減に努めております。 また、「SPD(物品管理の外注化)の導入」について、さまざま検討の上導入することにしております が、平成20年度末現在では、SPDを導入している病院は74病院、平成20年度中に新たに導入した病 院は、3病院となっています。また「材料費率の抑制」については、こうした材料費抑制策を実施する ことで、材料費率を抑えることができております。  86頁は、「人件費率等」の状況です。業務委託契約について、検証を進めております。2.で人件費 率と委託費率を合計した率の抑制ということで、ここに挙がっておりますが、人件費率と委託費率を 合計した率については、平成20年度実績57.0%、平成20年度計画は58.3%で、計画を超えて平成19 年度実績を改善しております。  87頁は、「建築コスト」です。平成20年度は、全面建替整備が2病院、病棟建替整備が5病院で、 建替整備を決定しております。平成20年度に着工した9病院については、工事期間の短縮、設計仕様 の標準化等に取り組みまして、鋼材等の建築資材価格が値上がりする中で、契約価格は、平成19年度 と同水準に抑制することができています。  88頁は、「医療機器の購入」です。大型医療機器の共同入札を実施しておりまして、平成20年度入 札においては、平成19年度の対象品目に2品目を加えた6品目を、対象機器としたところです。また 「医療機器の価格情報」については、各病院が有利な価格で購入することができる、比較軸とするた めに、特に購入件数の多い医療機器の価格を本部で集計・分類し、フィードバックしているところで して、平成20年度も対象機器を拡大しております。  89頁ですが、(6)の「一般管理費の節減」です。一般管理費につきまして平成20年度においては、独 立行政法人に国立病院機構総合情報ネットワークシステムHOSPnetの更改に伴う経費が発生したことな どによりまして、平成19年度支出を上回ることとはなっていますが、平成15年度に比べて37.7%減 少して、中期計画に掲げる目標値を大幅に上回る状況となっています。  その他「広告事業への取組」で、各病院での広告の取組を平成20年度2病院において、機関誌発行 費用を企業等の広告を掲載することにより、縮減を図っております。90頁のその他「省エネルギー事 業」について、助成金制度を活用した取組をしています。  91頁は、「業務運営の効率化に関する事項」、人件費削減の取組として、先ほどから議論をいただ きました技能職の退職後不補充、あるいはアウトソーシング化、あるいは病棟の整理・集約というこ とで、収益に見合った職員配置としております。他方で、心神喪失者医療観察法、あるいは障害者自 立支援法などの国の制度の創設、改正に伴う必要な職員配置を、引き続き行っています。また医療機 関であることから、医療サービスの低下を招かないよう、休職者の代替要員の確保、地域医療計画を 踏まえた診療報酬施設基準を維持・取得について、必要な職員配置を行っています。こうしたことで 常勤職員の人件費は、前年度と比較して、約12億円の増となっています。なお、先ほど申し上げまし たが、人件費率と委託費率を合計した率については、抑えることができた状況です。  2.「QC活動に関する取組」です。職員の自発性や取組を奨励、評価するため、平成21年3月にお配 りしておりますが、「QC活動事例集」を発刊。各病院に配付して、各取組を一時的なものとせず継続 し、活動意欲を促すよう取り組んでおります。  92頁は、4.「国民による意見の活用」ということで出ていますが、患者満足度調査の実施、あるい はすべての病院での患者・家族からの意見箱の設置、機構全体としても情報公開と併せまして、本部 ホームページ上に意見募集の窓口を設置するということで、対応しております。また福利厚生費の見 直しについてもレクリエーション経費について、病院からの支出を行わないよう、平成20年8月に周 知徹底をしております。  以上につきまして、93頁から「評価項目」に沿った整理をしておりますが、総合的な評定としまし ては、一般管理費について平成15年度に比し37.7%の節減を行い、中期計画に掲げる目標値を大幅に 上回り目標を達成したということで、自己評定はAとしています。 ○国立病院機構財務部長  続きまして、97頁の「医療資源の有効活用」以降について、財務部長の高橋から説明します。まず 医療資源のうち、「医療機器の効率的な利用の推進」ということで、真ん中の表の所を見ていただき たいのですが、ここの左半分が、機構全体のCT、MRI、ガンマカメラの3機種の稼働件数です。平成15 年度の稼働件数と平成20年度の稼働件数の比較を、数と増減率の両方で示しています。率では対平成 15年度比で23.4%ということで、対前年度で申し上げますと3.1%、平成19年度と比べても、20年 度は3.1%増になっています。  右側は共同利用で、地域の医療機関から依頼を受けて検査するものですが、それぞれ書いてありま す。CTにつきましては、平成15年度との比較では111%という2倍以上の増、MRIはさらに高く、141 %平成15年度比で伸びていると。ガンマカメラにつきましては例年申し上げておりまして、表の下の ※で注意書を書かせていただいております。ガンマカメラにつきましては、侵襲性の低い、患者さん への体の負担の少ないMRIですとか、院外ではPETへの紹介等を進めているということで、稼働件数は 落ちているという状況です。  ただガンマカメラも、稼働総数と共同利用数を見ていただきますと、稼働総数では△19.6%と落ち ているのに対しまして、共同利用数では△13.4%ということで、共同利用の減少率のほうがゆるやか になっているということで、共同利用はある程度あります。この3機種の平均の共同利用数の伸び率が 対平成15年度比では108.6%ということで、対前年度で申し上げますと3.5%増ということで、伸び ております。  下の表ですが、これが機構で持っているCT、MRI、ガンマカメラ1台当たりの生産性というか、1台 当たりの稼働数を書いています。左側が同じように1台当たりの稼働数、右側が1台当たりの共同利用 数になっています。CTにつきましては平成15年度と比べまして、平成20年度では機構全体の保有台 数が9台減少しておりまして、その結果、上の共同利用数等と比べていただきますと、若干増えていま す。 MRIにつきましては、平成15年度と比べまして平成20年度では保有台数が10台増ということで、1台 当たりは上の表と比べますと、ちょっと落ちていると。ガンマカメラは3台減ということで、1台当た りでは稼働率は上がっているということで、計で申し上げますと102.1%の1台当たりの共同利用数の 伸びということで、これも前年度と比べて伸びているような状況です。  共同利用につきましては、地域の医療機関にとっては自ら高い機器を買わないで済み、国立病院機 構に検査依頼をすれば、そこで利用できるというメリットがあります。国立病院機構側にとっては、 これによって保有機器稼働件数が上がるということでありまして、地域の医療機関にとってもNHOにと っても、これはWIN-WINの関係が築けるものだということで、思っております。共同利用推進のために、 各病院でどういう取組をしていただいているかというと、地域の医療機関に対する広報活動を積極的 に実施していただいたり、読影の結果をできるだけ当日中に渡すような努力をしたり、検査の結果を 患者さんに持たせるのではなくて、医療機関に直接郵送サービスするとか、さらに一部の先進的な病 院では、インターネットを利用してNHOの大型医療機器の検査依頼の予約を受け付けられると。その検 査結果につきましては、開業医さんが、自分の診察室からインターネットを通じて、結果を見られる という取組をしている所もあります。このような結果、共同利用制については、平成19年度と比べて もまだ伸びているという状況にあります。  98頁は、「病床」です。病床につきましては、病診・病病連携には紹介率、逆紹介率とか平均在院 日数の短縮化等によりまして延べ患者数に見合った病床等の整理集約を行い、病床の稼働率の向上に 取り組んでおります。  平成20年度と19年度、それぞれの集約数を一般病床、結核病床、精神病床、3分類で比較しており ます。「一般病床」につきましては平均在院日数の短縮化という理由、あるいは大学からの医師の引 き揚げという理由によって患者が減少するという場合には、病棟の整理集約を行いまして、そこで生 まれた人員につきましては、病院内で他病棟に再配置して上位基準を取得するですとか、NHO内の他の 病院への異動、新規採用の抑制等によりまして適正な人の配置に取り組んでおります。  「結核病床」につきましては、新退院基準の実施、あるいは結核の新患者の発生減ということもあ りまして、これにつきましても集約を行っております。その結果、結核病棟を独立して持つまでに至 らない、そこまでの患者数が集まらないという所につきましては一般病床とのユニット化を、平成20 年度は5例実施しております。患者数の増減については、書いてあるとおりです。  「精神病床」ですが、ここは国の方針で、10年間で約7万床削減するということも踏まえまして、 長期入院患者を中心に地域への移行等を進め、国立病院機構としましては、担うべき急性期型に移行 していくということでやっております。併せて、医療部から説明のありました医療観察法病棟のスタ ッフとして再配置を進めていくことに取り組んでおります。  99頁は、「医療の質の向上を伴った収支の改善」です。ここに「医療の質」を示す指標項目として、 地域医療連携室の専任化、紹介率と逆紹介率、これは中期計画では5%アップでしたが、実績は大幅に 上回っております。それから、救急搬送件数等々があります。この中で唯一平成19年度と比べて減少 しているのが新入院患者数で、56万5,000人であったところが、平成20年度は56万1,000人、約 4,000人の減になっております。ただ、ここにつきましては在院日数の短縮化などによりまして診療報 酬上、上位基準を取るということでありまして金額ベースでは222億円、平成19年度と比べても収入 増は図られています。DPC対象病院の増減につきましては、平成19年度の22病院から、20年度は30 病院になっています。医療安全管理室につきましては、南横浜病院が廃止された結果、145病院のうち 141病院で専任化が進んでいます。主な施設基準の取得状況は、掲げられているとおりです。  100頁は「医療機器・施設整備に関する計画」です。まず医療機器整備の考え方につきましては、過 大投資、あるいは逆に過少投資の結果、医療機能を損なうということがないように、医療機能の恒常 性を維持・確保するということを基本的な考え方としております。各病院におきましては、各病院ご との減価償却費をベースにして毎年度の投資枠を設定しております。この各病院の投資枠を積み上げ た結果が、平成20年度におきましては総枠約277億円になっております。平成19年度について申し上 げますと220億円が全体の額でしたから、枠としてはそこから67億円拡大していることになります。  本部の関与・支援として、1つは大型の医療機器については投下資本の回収可能性があるかどうかを 本部でも検証しております。キャッシュフローが赤字の病院等につきましては、利息の助成をしてお ります。それから、平成20年度から投資枠を拡大するための措置ということで、1つは治験の投資枠 への反映・拡大。それから、老朽化した機器を多く保有している施設には過小投資にならないように 追加枠を設定する。最後に、病院に直接交付される国や地方公共団体からの補助金につきましても、 平成19年度まではこの投資枠の中でということでしたが、このような外からの補助金等による投資に つきましては、投資枠の枠外で機器を調達できるようにしております。  その結果整備額がどれほどの実績になったかというのが表にあるとおりで、平成16年度からの推移 を書いておりますが、平成20年度は179億円となっております。先ほど、投資枠としては277億円と 申し上げましたが、各病院が実際に購入した額は179億円でした。中期計画では5年間で500億円とい うのが医療機器の整備投資額でありましたけれども、これに対しては、額で言いますと140.2%ですが、 先ほど共同入札等でも説明したとおり、国時代と比べて非常にコストエフェクティブな調達をしてお りまして、金額ベース以上に医療機器の充実強化が図られたと考えております。  101頁は、「施設整備」についての項です。建物につきましては、医療機器のように投資枠を事前に 機械的に示すということはできない。個別性があるということで、各病院の発意に基づきまして、建 替えの意向が本部に寄せられたときに本部で審査する仕組みとしております。国時代と違いまして、 建替えは投資である、すなわち投下資本の回収・リターンということで意識改革を行っておりまして、 償還計画を各病院において作成し、本部で審査するという仕組みをとっております。それから、資金 的に自立している病院の投資の自由度、機動性を拡大する措置、5年間の投資枠が2.5億円以内であれ ばその病院の裁量で投資できるという仕組みを平成21年度から作っております。本部の支援につきま しては、利息助成、それから、特別の事情に応じた投資ということで投資の促進方策を図っておりま す。  102頁が「特別事情による病棟建替整備」で、各年度の箇所数と病床数を書いております。  下の表は、中期目標に対する各年度の投資状況です。平成20年度は124億円ですが、これは各年度 に投資決定した施設整備に係る金額のうち、第1期中期計画期間(20年度末まで)に支払いが発生する 金額です。国時代は工事契約をしたときに前払いというのをしておりましたが、機構になりましてか らは、工事の完成部分について、部分払いも含めて事後払いにしております。ですので、平成20年度 に投資決定しても直ちにその年に支払いが生じるかというと、そこのところはそうではありません。 124億円は20年度末までに支払いが発生する投資決定額で、それを掲げております。進捗率は金額ベ ースでは87.5%と書いてありますが、国時代の建築コストの約50%減であるということは例年説明し ているとおりで、整備量としては、投資金額の2倍になるということになります。  最後に、「病棟建替整備決定後の償還性のフォローアップ」ということで、建替決定時だけでなく、 建替決定した後も各病院の経営状況をフォローアップし、場合によって経営指導をする。  4.につきましては、「自己資金を積極的に活用した医療機器整備・施設整備」ということで、平成 20年度は外部からの新たな借入れをせず、必要な整備を確保しました。医療機器整備につきまして は、総支払額153億円、施設整備につきましては総支払額417億円となっています。  104頁は「評定」です。平成19年度にこのパートはSをいただいておりまして、特に医療機器の共 同利用については高く評価していただきました。20年度につきましては頭打ちかなと思っていました が、各病院の努力の結果、20年度は対前年度比でもさらに伸びているという結果になっております。 病床につきましても効率的な集約を行っている。医療機器整備につきましても計画的な整備を行い、 医療機能の維持・確保に勤めてきました。 ○猿田部会長  いろいろな点で着実に伸びてきたということだと思いますが、DPCの設置・導入というのはまだ少し 伸びが少ないでしょうか。どうですか、DPCに関して。 ○国立病院機構総務部長  DPC対象病院は、6月15日現在で41病院ございます。そのほかに準備病院が10病院ひかえておりま す。 ○田極委員  92頁の福利厚生費の見直し関係のところです。独法として求められている視点は説明責任等だとい うことはとてもよく分かるのですが、病院という特殊性を考えますと、レクリエーションというのは 他の病院でも普通に行われています。いろいろな職種の人たちがいる職場で職員間のコミュニケーシ ョンをとる場としては普通に行われていることだと思いますが、これについても病院からの支出を行 わないようにということが書かれております。普通、民間病院でも、ある程度は診療収入で賄った財 源から補填するなり、そういったことが行われております。こちらで書かれているのは、診療収入等 の自己財源等で行われているものについてもやめるということで、ここまでするのはいかがかという 気もするのですが。 ○国立病院機構総務部長  委員のおっしゃることは非常によく理解できるわけですが、運営費交付金が500億円弱入ってきてお りまして、ほとんどが国時代の退職金相当や整理資源ということではございますが、そのような中で、 私どもは特定独立行政法人であり、国家公務員という立場上このようにせざるを得なかったというこ とであります。 ○田極委員  ほかの点につきましても、病院という特殊性があるところがなかなか評価に入れにくいところがあ って、こちらとしてもちょっと申し訳ない。折角皆さんが頑張ってくださっているのに、厳しい評価 もしなければいけないというのは、ちょっとつらいところだと思います。これは感想ですが。 ○国立病院機構理事長  独法に対して、先ほどの人件費の5年5%と同じように、福利厚生費でグローブを買っていけないと か、バットを買っていけない、と言って、その購入調査があるわけです。それは税金でやっているの ならいいのですけれども、本当に、そういう細かいことまで調査されるのです。なぜこういうものを 買ったのかと。だから、そこは何とか。いつも、病院は盆踊り大会とかそういうのをやっていいので はないかと言うのですが、こういうのは本当に困りますね。 ○夏目委員  今度特定ではなくなりますよね。そうすると、その辺の自由度は増すのですか。 ○国立病院機構理事長  いいえ、独法である限り同じだと思います。 ○国立病院機構参与  冒頭に理事長から申しましたような「人件費5年5%見直し」、あるいは先ほど評価官室からもご指 摘がありましたように、この点について、よくよく評価委員会のほうでご審議いただくようにという ご指示を政・独委からいただいております。本日のお手元の別の資料の2-2、あるいは今ご確認いただ きました評価シートの96頁に、私どもとしてこの間取り組んでまいりました5年5%絡みの取組につ いて記載しております。一方では17年度の5年5%という発射台に比べて76億円の増となっておりま すが、片一方で164億、5.4%の削減をしている。着実に削減をしながら、片一方で医療機関として必 要な人件費の増加をしているということもここに記載をしておりますので、ご確認いただければと思 います。 ○猿田部会長  まだ質問があるかもしれませんが、時間の関係もございますので、5分間で採点していただければと 思います。 (評定記入用紙記入) ○猿田部会長  第5グループのご説明を、よろしくお願いいたします。 ○国立病院機構医療部長  第5グループの(4)、お手元の資料は106頁です。(1)の臨床研究事業ですが、競争的資金の獲得に関 しましては大幅に増加しております。その背景としましては、事業を実施する省庁などからの研究内 容、要望に関する情報を入手して各病院に助言を行うというようなことを本部としても支援しており ます。また、臨床研究のデザイン作成など、EBM研究に必要な研修なども行っております。さらに、競 争的資金の獲得額を研究評価の項目としておりますので、獲得のためのインセンティブがかかってい ます。そのような取組の結果、平成20年度の競争的資金獲得額は、対前年度で3億4,000万円増の26 億9,000万円となっています。2の治験については先ほどご説明したとおりです。  107頁(2)の「教育研修事業」ですが、附属看護師等養成所入学金及び授業料につきましては、計画ど おり改定を行いました。収支率ですが、対15年度比37ポイント増の64.4%となっており、中期計画 の目標値である20ポイント増を大きく上回っております。  108頁が「自己評定」ですが、競争的資金の獲得額が前年を上回っていること、それから教育研修事 業の収支率についても中期計画の目標値を大きく上回っていることから、本年度も自己評定でAを計上 させていただきました。 ○国立病院機構総務部長  引き続きまして109頁の「財務会計システム導入等IT化の推進」についてでございます。財務会計 システムですが、20年度では仕訳けや伝票入力項目の誤りをチェックする禁則仕訳機能を導入させて、 起票誤りの手戻りを大幅に削減することができたこと、それから、資産別固定資産明細表などの新規 帳票出力を可能としたこと等々です。最後に、平成21年4月からの新財務会計システムへのデータ移 行抽出作業ですが、これも滞りなく終了いたしました。  次に、「経営分析システム」ですが、財務会計システムを用いて経営分析としているもので、記載 内容は昨年と同様でございます。  3.の「医事会計システムの標準化」ですが、20年度は、19年度では(案)であった医事会計システ ムの標準仕様書を確定させ、機構共通の情報インフラとして34病院で共同入札を実施いたしました。 これについては順次拡大して、平成26年度には全病院で標準化された医事会計システムを導入するこ ととしております。これによりまして診療情報の共有化を図り、基盤を一層強固なものにすることが できます。それと同時に、HOSPnetを診療情報分析システムと連動させて、蓄積された情報を収集・分 析することとしております。また、本部でスケールメリットを活かした共同入札を実施したことによ り、ITの投資費用の軽減も図ることができました。医事会計システムの標準仕様書の周知ですが、 HOSPnetの掲示板で標準仕様書を公開いたしました。  (2)の「標準仕様書の特徴」といたしましては、レセプトオンライン請求の対応が可能なこと、それ から、病院の属性や規模にかかわらず標準的に使用できる仕様としたこと、それとDPC調査データ作成 機能などを標準搭載したこと等々です。  次は110頁、「医事会計システムの共同入札の実施」についてです。34病院にかかる共同入札を実 施しまして、合計約12億円の経費削減を図ることが結果としてできました。  次に、「診療情報データベース及び同分析システム」について。このシステムは医事会計システム に蓄積された診療情報を収集・分析することで、例えば患者別診療行為の比較とか、医療の質にかか る統計の作成とか、患者別及び疾患毎コストの把握等々を行いまして、それらを情報発信していくこ とによりまして医療の質の向上に資することを目的としたものです。平成21年4月から運用を開始い たしました。  次に5.の「総合研究センター(仮称)への取組」です。41頁にも記載されておりますので再掲とい うことにしておりますが、政策医療ネットワークを活かして調査研究情報発信機能の強化を目指しま して、20年度におきましては総合研究センターの設立に向けた検討・準備に着手いたしました。なお、 このセンターは、先ほど説明いたしました医事会計システム、あるいは診療情報データベース分析シ ステムを活用しての診療情報の分析に加えて、臨床研究あるいは治験を総合的に推進させることを目 的としております。  次は111頁の「評価会」についてです。各病院で実施されました経営改善の具体策と効果等につきま しては、上位基準の新規取得病院数、あるいは紹介率、逆紹介率がともに平成19年度よりも高い実績 を出すことができたことを申し上げさせていただきます。  次は、「オンライン請求の実施状況」です。平成20年4月1日、平成21年4月1日、平成22年4月 1日とあるわけですが、私どもといたしましては、厚生労働省の方針に沿った対応を着実に、確実に行 っているところです。  次は112頁の「電子政府への協力」です。Pay-easyの利用あるいはe-Taxの利用は引き続き実施し ております。  次は113頁の「業務・システム最適化」についてです。平成19年度に作成いたしました業務システ ム最適化計画、これに基づいて新たなHOSPnetを平成21年4月に稼働することができました。人事給 与につきましては4〜6月の並行稼働がありましたので、このシステムは7月から正式稼働しておりま す。具体的内容ですが、これまでは本部・ブロック、病院で個々に設置されたサーバーでデータを保 持しておりましたが、今回は中央の保守センターのサーバーで一元管理することにより業務の効率化 を図りました。システムの利用状況を勘案し、システムの構成を見直したことと併せて、新たに診療 情報データベースシステム、あるいは同分析システム、さらに医療安全情報システムの一元管理を実 施しております。  次は「利便性の維持・向上」です。データ連携を見直しまして手入力部分を省略し、作業時間を削 減するとしております。2つ目は、「要件定義の明確化」です。利用者の業務ニーズを明確にした要件 定義書を作成し、契約相手方と協議して、例えばレスポンス速度を初めとしたユーザーの利便性等の 向上を図ることができました。3つ目の「ネットワーク回線帯域の増強」ですが、これは平成19年度 中に実施済みですので説明は省略します。  続いて114頁、「安全性・信頼性の確保」については2点記載させていただきました。1つは、サー バーあるいはネットワーク回線、さらにはその機器を二重化構成にして信頼性の向上を図りました。2 つ目は、これまで月あるいは週単位でバックアップをしていましたが、これを週あるいは日単位での バックアップサイクルに改善して安全性、信頼性の確保を図りました。  「経費削減」につきましては、約24億円の経費削減が結果として見込まれます。経費削減の主な要 因は、まずは中央保守センターのサーバーで一元管理したこと。2つ目といたしましては、「市販のパ ッケージソフトウェアを活用」したこと。3つ目は、「一般競争入札、さらには分離調達方式を導入」 したことです。分離調達と申しますのは、まとめてドンということではなく、システム設計・開発分 野、ハードウェア、あるいは運用分野、ネットワーク回線分野等々の分野ごとに分離調達を導入した ということです。そのほか、「運用時間帯や監視時間帯の見直し」あるいはソフト購入に当たっての 政府機関向けのボリュームライセンス等、使える制度は使ったわけです。  115頁の「最適化の評価・検証」につきましては今年度の平成21年度に行う予定です。  最後に116頁の「自己評定」です。従前まではA評価をいただいておりましたが、今回はS評価をつ けさせていただきました。理由について、繰り返しの説明をお許しいただきたいと存じますが、まず 医事会計システムにつきましては、すべての病院に共通する機能を網羅した標準仕様書を公開し、機 構の共通インフラとして整備したこと。それから、この医事会計システムに基づく競争入札を34病院 に実施し、各病院の診療情報の共有化が可能となり、病院機構の一体的事業運用基盤を一層強固なも のにすることができました。結果として、現在の導入費用は過去の導入費用と比べて12億円費用削減 の効果が発生しました。それから、業務システム最適化の面におきましては、平成19年度策定の最適 化計画に基づいて、システム構成あるいは調達方式の見直しなどを図ることで、透明性の確保はもと より、業務の効率化、利便性の維持・向上等も確実に達成することができ、合わせて24億円の費用削 減が図れました。加えて、新たに構築した診療情報データベース、同分析システムと医事会計システ ムとを連携させたことにより、医事会計システムより本部に集積した標準化された診療情報、DPCデー タのさまざまな分析が可能となりました。そして、平成20年度に整備着手した総合研究センターにお いて、それらの診療情報データを活用して分析を行うことにしています。そして、それらを情報発信 することにより、今後医療の質の向上、それから診療報酬政策など国の政策形成に向けた基盤づくり に寄与することが期待されているものと考えております。このようなことから、平成20年度の項目11 につきましては、平成19年度に比べて非常に重みのある内容の実績を出させていただいたと考えてお ります。以上のことにより、20年度はS評価とさせていただきました。 ○猿田部会長  いまご説明がありましたように、財務会計システムの導入のほか、基盤として重要な仕事がなされ たということでした。特に評価に関してAからSにするには、そういった大きな進歩が見られていると 思いますが、どなたかご質問はございませんか。 ○国立病院機構理事長  くどいようですが、一言申し上げたいと思います。今まで「145病院のネットワークを活かして」と いうキーワードを使っていましたが、今回初めて共通仕様書で全部統一できました。文字どおりネッ トワークを活かして活動できますので、よろしくお願いいたします。 ○猿田部会長  特に各病院は厳しいですね、今度はよく見られてしまいますので。これが出来上がると、これから また大きく伸びますから、良いことだと思います。明解にご説明いただきましたので、評価を5分間で お願いいたします。 (評定記入用紙記入) ○猿田部会長  それでは最後、6グループ目の説明をお願いいたします。 ○国立病院機構企画経営部長  第6グループは117頁から最後までです。117頁は「経営の改善」です。これについては、平均在院 日数の短縮、地域連携による診療報酬の評価、新患者の獲得と増加という経営改善努力を行っており、 また、赤字病院の赤字の圧縮のための経営指導などを実施しております。こうしたことから、5期連続 で黒字と、大幅に経営改善がなされています。  118頁です。「医業未収金の解消」につきましては「債権回収事務の手引」の見直しを実施する、あ るいは出産育児一時金の現物給付化など、医業未収金の発生防止・回収の取組をしております。また、 市場化テストに関する取組を行っております。さらに、各病院におきまして※の3つ目で、法的措置の 実施件数ということで平成19年度から20年度にかけて各取組を進めております。それと4.「個別病 院毎の経営改善計画(再生プラン)を実施・支援」する。こうしたことで一つひとつの病院の経営改 善をそれぞれの病院が進めることで最終的に全体としての経営が黒字になっています。  119頁です。一つひとつの取組を集積した結果、総合的なところで平成16〜20年度までの5年間を 累計した損益計算で経常収支比率は102.2%と、目標を達成した状態になっています。これは昨年度も Sをいただきましたが、今年度も、各病院のこうした取組の集積ということでSで自己評定をしており ます。 ○国立病院機構財務部長  続きまして121頁、「固定負債割合の改善」についてご説明いたします。固定負債割合は、単に減ら せばいいということではなくて、必要な投資を行いながら同時に固定負債割合を減らしていく、とい うことを行っております。整備額につきましては表に掲げてあります。先ほどは医療機器と建物整備 を分けて額を掲げておりましたが、ここでは、その合計額を掲げております。平成20年度では、累計 額として2,000億円。もともと中期計画期間中の目標1,984億円に対する達成率は100.8%で、質・量 の金額では100%、金額ベース以上に、中身としましてはコスト節減を図っていますので、整備の充実 は図られたということです。  これに対する借入実績が下の表です。計画では財政融資、財投機関と民間借入で計595億円を平成 20年度に借り入れる計画を立てておりましたが、右の実績を見ていただきますと0になっております。 特に財政融資資金につきましては、財務省理財局と相談しながら、平成20年度は新規借入しなくても 資金繰りができそうだということで理解を得ながら「借入0」を認めていただきました。  固定負債割合の残高は、書いてあるとおりです。平成16年度期首から比べて、いちばん右の期末は 5,971億円と20.1%の減。平成19年度期末(左)と比べて13.7%の減少となっています。  122頁、「資金の運用」につきましては、現在、債券や定期預金等で運用を行っておりますが、政・ 独委が指摘するような、時価又は為替相場の変動等の影響を受ける資金及び運用はない。債券等につ きましても、すべて満期保有をしておりますので、こういう変動リスクのある資金運用はしておりま せん。  123頁は、「機構が承継する債務の償還」です。最初の「繰上償還」では、平成20年度は17.2億円 の繰上償還を行っております。繰上償還によって支払った補償額、これは将来の支払予定利息を現在 価値に割り引いたものですが、それを4,300万円支払っております。その後の「当初支払予定利息」、 これは繰上償還しなかった場合に払う予定であった利息ですが、それとの差額が300万円です。繰上償 還につきましては、利息の軽減というよりは、むしろ平成20年度に廃止になった南横浜病院の債務の 取扱について、今後この病院の債務を返す主体がいなくなるわけですので、同一年度中にここのとこ ろを繰上償還して清算したという見合のものです。それから、2.にあるように、「約定どおりの償還 も確実」に行っておりまして、償還額としては元金で499億円、利息が約150億円、合計で652億円平 成20年度に借金の返済をいたしております。  124頁、「短期借入金については限度額」を設定しておりましたが、借入金は実行いたしませんでし た。  125頁は、「重要な財産の譲渡」です。これは機構法で簿価で3億円以上の財産が該当しますが、平 成20年度は実績0です。  126頁、「剰余金の使途」につきましては、平成20年度分の300億円、平成19年度からの積立金 239億円を加えて、539億円になります。これは、将来の投資、それから過去債務の償還に充てていき たいと考えておりまして、過大な利益とはなっておりません。  127頁の「自己評定」にいきます。昨年度も、ここのところはSをいただきました。平成19年度と 比べて20年度に良かった点は、平成19年度は補償金を払って100億円繰上償還しながら、100億円を 新規借入をして利息負担が発生しました。平成20年度は、繰上部分は南横浜病院分だけですが、その 分新規借入をせずに将来の利息発生を抑制し、償還分がネットで固定負債残高の純減につながって、 新規借入は0で資金繰りを行うことができました。これにより、自己評定はSとさせていただきました。 ○国立病院機構企画経営部長  129頁は、「その他主務省令に定める業務運営に関する事項」です。人事に関する計画の1つ目、患 者のQOLの向上及び療養介護事業への対応(再掲)です。療養介助職を平成17年度に創設しておりま すが、平成20年度においては、新たに6病院で療養介助員を64名、全体では154名配置しております。 その結果、機構全体で563名の配置となっております。そのほか技能職のアウトソーシング、「良質な 人材の確保・有効活用」などを進めております。  130頁は「研修の実施」です。平成20年度は、院長研修ほか19年度から引き続いた研修と併せて、 業務評価制度の導入に伴う評価者の客観的で公平な立場で評価を行うための研修等を実施しておりま す。これが(1)の評価者研修です。  5.の「医師確保対策の推進」では、女性医師支援モデル事業を平成19年度から2カ年目として20年 度に15病院において実施しております。  131頁、医師の処遇改善については、先ほど申し上げたところです。  132頁は、「看護師確保対策の推進」。これも再掲ですが、国立病院機構における看護師養成のあり 方に関する検討委員会の設置・検討・報告を受けまして、平成21年度以降下記のとおり取り組むとい うことで考えております。  「奨学金の貸与状況」は、平成20年度は131名。平成21年3月卒業者53名が機構病院に就職とい うことで、奨学金制度が活用されているという状況にあります。  133頁、「障害者雇用」につきましても、法定雇用率の達成ということで、常用労働者に対して2.1 %の達成を維持すべく、平成21年4月1日現在で2.42%と維持した状態になっております。  134頁は、先ほどの「技能職」の関係です。  135頁は、「整理合理化計画等に基づく取組」ですが、随意契約の見直し、人件費削減の取組、業務 委託など再掲になっております。4.「内部統制、ガバナンスの強化」についても、平成20年度は全病 院でコンプライアンス担当者を設置して、内部監査の重点項目として、規程や趣旨の定着の徹底を図 りました。  136頁は5.「保有資産の有効な活用」です。宿舎跡地の社会福祉法人への貸付け、あるいはセンター 敷地の学校法人への貸付けなどを実施しております。  6.「総人件費削減」については、(2)で抑制に向けた取組を行いつつ、(3)で国立病院機構としての 役割を果たすための人件費増分があった。このようなことで、平成18〜20年度までの3年間で240億 円の増という結果となっております。  137頁。「評価」としましては、技能職の減少、また、その結果中期計画に掲げる目標値を大幅に上 回って目標を達成したということで、自己評定としてはAとしております。 ○猿田部会長  ただいまのご説明について、どなたかご質問はございますか。着実に効果を上げておりますが。 ○和田委員  135頁の3に書かれている民間競争入札による医業未収金の支払案内等業務委託について。これは再 掲ですので前にご説明があったのだと思うのですが、もう一度お尋ねしたいのです。平成20年10月か ら23年10月まで3年間の業務委託を開始して、委託額が7億4,600万円に対して、入金額が1,800万 円となっておりますが、これはどういう計画になっているのでしょうか。 ○国立病院機構参与  再掲とさせていただいているのは、118頁に「医業未収金の解消」という関係でまとめてある中の一 節に、いまご指摘がございました市場化テスト関係も含めてございます。背景を申し上げれば、内閣 全体として進めている市場化テスト、官民における競争的入札の手法を国立病院機構においても入れ るべし、という政府全体の方針を踏まえまして、医業未収金について、私どもも市場化テストという 形で必要な手続を経た上で、サービサーの方と契約を結んでこれに取り組んでいます。これは政府が 行う市場化テスト全体に通ずることだと承知しておりますが、大きなフレームとしては、短期間では なかなか民間企業の方々の創意工夫の発揮のしがいがないため期間として3年ぐらいとすべしというこ となものですから、ここに書いてあるような計画期間となっています。私どもとしては、まず私ども のほうで一義的に過去債権の未収を確認し、住所の確定等を病院として行った上で委託業者(サービ サー)に未収債権について、あくまでも回収代行ではなく、支払案内をしていただく。それを通じて 病院のほうに債権回収がなされた場合、一定の額を成功報酬としてサービサーに利得していただくと いう契約を包括的に結んでおります。平成20年の10月から始めておりますが、率直に申し上げて、事 前準備の中で私どもの病院側の債権管理において必要な情報が必ずしも10月当初から揃わなかった部 分もあるものですから、それが揃い次第サービサーに情報を提供し、それについての支払案内代行を していただいています。全体としてはまだ期間がございますので、この期間において、当初契約にお いて目標とした水準にサービサーが達していただくかどうか、それについて私ども国立病院機構とし ても協力して取り組んでまいりたいと思っています。ただ、これはまさに市場化テストという位置づ けですので、一方で82病院という形でいわば外注した部分とは別に、自らが未収金として取り組む部 分とがございまして、両方相まって未収金の回収・軽減をする。どちらかというと、これは回収に重 きを置いた対策でありますが、NHOとしては、片一方で発生防止ということにも併せて取り組んでまい りたいと思っております。 ○夏目委員  関連するのですが。未収金の回収ですが、いまのお話だと、成功報酬ということで落札者にお金を 支払うということなのですか。2.4%の入金率だったら、業務委託費のほうが高いのではないかと思う のですが、そんなことはないのですか。 ○国立病院機構参与  全体の設計としましては、基本的には、回収額に応じた成功報酬というものを中心に組んでおりま すが、いまご指摘がありましたように、少なくとも初年度、立ち上げた半年間の実績を見ますと、回 収率が私どもが期待している率よりも著しく低い。ただそれは、一方でNHO側の準備に必ずしも万全を 期さざるところがあったということもございますので、それを含めて契約全体を進捗する中で委託業 者の方とお話合いをさせていただきたいと思っています。 ○夏目委員  135頁「内部統制・ガバナンス強化に向けた体制整備」なのですが、今独立行政法人についても内部 統制をきちんとしなければいけないという話があるようです。その関係なのですが、独立行政法人に ついての内部統制ということになると、民間企業とも少し違うし、国とも違うということで、どこに 特に重点を置くかということが大事だと思います。財務報告の信頼性というのは、ある面では、投資 家に対しての数字をきちんとやる、投資家保護の一環なのだろうと思うので、そういう意味では少し 性格が違う。不祥事防止、コンプライアンスということになれば、独立行政法人は国から移管した方 々が多いので、どちらかというと、法令遵守については得意の事柄だと思います。そうした中、内部 統制強化をあまりしてしまうと今度は、元に戻ってまたその規定に基づいた仕事の執行ということで、 折角独立行政法人化によって得られた経営の自由的なものがまた制約を受けてしまうのではないか。 そういうことを個人的には思っているのですが、今回業務監査室が新設されて、業務監査室の方針と してはどこに力点を置くのか、どこに重点を置くのか、そこら辺について何かお考えがあるのかどう かお聞かせいただきたいのです。 ○国立病院機構業務監査室長  監査というと不祥事の摘発というのが前面に出てしまいますが、私どもの方針としましては、不祥 事があったこともありますが、事故を未然に防ぐ、つまり予防するということに重点を置いて監査を 行っていきたい。そして監査の結果、ルールが悪いということもあろうかと思いますので、原因を追 及して、必要があれば機構のルールも変えるべきであるということを本部の司である各部に伝えたい と考えています。 ○夏目委員  是非独法化したメリット、組織の弾力的、自主的な運営ということを損なわない内部統制という形 にしていただきたい。内部統制は極めて大事なのですが、それが一人歩きしてしまうと、法令さえ遵 守していればいいと。法令を遵守というのは一番なのです。しかし、それを形式的に遵守すればいい。 法令の持つ趣旨目的とか、そこよりは、形だけ合致していればいいというところに陥ると、折角の独 法化のメリットが薄れてしまうのではないかということを心配していますので、是非、そこはよろし くお願いします。 ○猿田部会長  私から1つだけ言わせていただきます。135頁に人件費の削減のことがありますが、医師、それから 看護師の給与以外に、これだけいろいろな業務の負担が事務系の方にいきますから、事務系のほうの 全体としての給与の削減ということは問題です。そこも全体としてのバランスをよく考えなければい けないと思うのです。国立病院機構の場合には特殊ですので、そういった点もよく勘案していただき たいと思います。ほかにご質問等がなければ、評価を5分でしていただきたいと思います。 (評定記入用紙記入) ○猿田部会長  次回の予定についてご説明ください。 ○政策評価官室長補佐  次回の開催は8月26日(水)の15時30分。場所は経済産業省別館1014会議室です。議題は、総合 評価と最終評価となっております。なお、開催通知を封筒に入れておりますので、期日までに出欠を お知らせください。また、評定記入用紙への書き込みはこの場でしていただいても結構ですが、もし お持ち帰りになった場合には、できるだけ8月10日に着くようにご提出ください。 ○猿田部会長  ほかにございますか。 ○山田委員  評価とは関係ないのですが、教えていただきたいのです。国立病院機構は、今日の検討結果のよう に医業利益だけでも429億円の黒字が出ているという状況ですが、我々の所属しております公的3団体 の日赤、厚生連、済生会は、すべての医業利益でも大きな赤字を出しているわけです。その差がどこ にあるのかということをいろいろと比較検討させていただいているのですが、いちばん大きいのが医 薬品費のところなのです。そこが対医業収益比率で、国立病院機構は13.3%なのに対して、我々のほ うは大体17〜18%で、ちょっと金額が大きいのです。その差について、共同購入を行っていることに よって、かなりこの部分が金額的に下がっているのか、あるいは医薬品の使い方が違うのか。何かそ の点で教えていただけるところがありましたら、よろしくお願いいたします。 ○国立病院機構副理事長  共同購入は多少あるかもしれませんが、たぶん根本的なところは、我々145病院のうち90の病院は 療養所なのです。それで、急性期病院とは薬の使い方がだいぶ違うという部分があってウェートがか なり違うので、そこの影響もあるのではないかという感じがします。 ○山田委員  我々も、そういうところは大きいかなと考えておりますが、これだけ黒字、赤字で差がありますと、 今後厚労省と診療報酬の話をいろいろとしていく中で、国立病院機構はこれだけ黒が出ているのだか ら、上げる必要はないのではないかと言われる危険性が出てまいります。その辺のところは、是非是 非厚労省のほうも十分にご検討下さい。 ○猿田部会長  私も済生会を見ていて、その答えは本部の力である。本部がこれだけしっかりまとめているという ことがいちばん重要だと思うのです。ほかのところでは、みんなばらばらで、院長先生の力がまだ強 かったりするところがあるのですが、本部がしっかりまとめたということがいちばん重要なことだと 私は思っています。 ○国立病院機構理事長  赤字病院を個別指導で減らしたというのが大きいと思います。個別指導で機構側がそこに直接行っ て、いろいろ指導したりするとか、きめ細かな対応が結果としてこうなっているのではないかと思い ます。 ○猿田部会長  大変時間をオーバーしまして、すみませんでした。ご協力、どうもありがとうございました。これ で終わらせていただきます。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)