09/09/11 第2回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 (第2回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 第2回議事録 日時:2009年9月11日(金) 17:00〜19:10 場所:経済産業省別館 1014号会議室 出席者:  委員   岩渕委員長、安藤委員、岡委員、坂崎委員、篠原委員   菅原委員、鍋島委員、西田委員、宮島委員、山口委員   大日向委員、吉田委員(少子化対策特別部会)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策企画室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について     ・多様な保育関連給付メニューについて 等 配付資料:   資料1-1  多様な保育関連給付メニューについて   資料1-2  多様な保育関連給付メニューについて 参考資料  参考資料1  保育所の状況(平成21年4月1日)等について  参考資料2  菅原委員提出資料  参考資料3  前田委員提出資料  参考資料4  須貝委員提出資料 議事: ○岩渕委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第2回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二 専門委員会」を開催いたします。委員の皆さま方には、本日ご多用のところをお集まりいた だきまして、誠にありがとうございます。  それでは、まず、前回欠席されていた委員の紹介と委員の出席状況を事務局からお願いし ます。 ○今里保育課長  前回、欠席されていた委員は岡 健委員でございます。大妻女子大学家政学部准教授でい らっしゃいます。  続きまして、委員の出席状況でございますが、本日は庄司委員、須貝委員、前田委員、山 縣委員から都合により欠席とのご連絡をいただいております。なお、ご出席いただいていま す委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。また、本日は 少子化対策特別部会から大日向部会長と吉田委員が出席されています。  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。最 初に議事次第がございまして、資料1-1「多様な保育関連給付メニューについて」、資料1-2 は、その「多様な保育関連給付メニューについて」の参考資料、そして参考資料1としまし てPress Releaseの「保育所の状況(平成21年4月1日)等について」、参考資料2としまし て菅原委員にご提出いただきました「保育第二専門委員会への提案」という資料、そして参 考資料3は本日ご欠席の前田委員よりご提出いただいた資料で、内容は横浜市での保育の需 要と供給の実情を踏まえて、多様なニーズがあるときに多様な保育の選択肢(受け皿)を用意 しておくことが必要で、それが認可保育園が担っている通常保育へのニーズに対して応えら れる可能性も高まるという、概ねそのような趣旨のペーパーでございます。それから参考資 料4は、やはりご欠席の須貝委員ご提出いただいている資料で、第2回保育第二専門委員会 の資料に関しまして「人口減少地域における機能維持・充実」、それから「認定こども園制 度について」、さらに「休日保育について」ということでご意見をいただいているものでご ざいます。  以上をお手元に配付させていただいております。もし不足等ありましたら、事務局の方に お声をかけていただければと思います。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。  それでは議事に入りたいと思います。本日は、まず、先般発表された保育所の状況等に関 して、事務局より説明を聴取したいと思います。よろしくお願いいたします。 ○今里保育課長  参考資料1はPress Releaseの「保育所の状況(平成21年4月1日)等について」でご ざいます。保育所の状況につきまして毎年調査して発表しておりますけれども、幾つかのポ イントを1枚目の枠囲みの中に記しています。まず、保育所定員は、この1年間で1万1,000 人増加して213万2,000人となったということです。それから、保育所利用児童のうち、3 歳未満児(0〜2歳児)の割合は「新待機児童ゼロ作戦」でのメルクマールになっているわけ でございますけれども、これが0.7%増加して21.7%となっております。つまり、この二つ の事柄は保育所の整備、それからそこを利用する人々の利用率は着実に上昇してきていると いうことでございます。  しかしながら、保育所待機児童数は2年続けて増加ということで、平成20年4月は1万 9,550人であったところが5,834人増加して2万5,384人と非常に大きな伸びを記録してし まったということでございます。また、待機児童が50人以上いる市区町村(これを特定市区 町村と呼びます)では、児童福祉法の規定に基づきまして保育の計画を作らなければいけな いことになっています。これを特定市区町村と呼びますけれども、この特定市区町村が昨年 は84であったものが17増えて101となったことがポイントでございます。  1枚めくっていただきますと、今申し上げたのは昨年と本年の比較ということでございま すが、トレンドでいきますと平成14年から平成21年にかけて、定員数、保育所利用児童 数、利用率はすべて着実に増加してきている状況でありますけれども、ここに供給を上回る 需要の急激な伸びがあったということ。地域的にいろいろな状況が生じていて、人口が多く 流入したことなどによって地域的にそれがアンバランスになったということ。それから今回、 これだけ大きく伸びたのは、経済状況によって働きたい、就労したいという希望が非常に増 えたことも見逃せないと思いますが、そういったことで待機児童の数は増えているという状 況を示しています。  また、9ページですけれども、これを地域的に見ますと、東京都は7,939人という大きな 数の待機児童がいる。そして神奈川県が3,245人で、ここまでが3,000人以上でございまし て、その他1,000人以上は埼玉県、千葉県、宮城県、大阪府、沖縄県となっておりまして、 地域的な分布といいますか、待機児童の発生は首都圏、近畿圏それから仙台市を中心とする 宮城県、沖縄県にあるというのは、状況としては従前と同様の形が見られるということでご ざいます。また、次のページの個別のところで見ますと、横浜市が1,290人、川崎市が713 人、仙台市が620人となっておりまして、この辺りが待機児童数の非常に多い所になって いるわけです。例えば仙台市は620人ですが、昨年は740人でございまして、いろいろな 保育施設など受け皿の整備をした結果、まだ620人いるのですけれども、減少したという 数字が見られるところでございます。  あと1点だけ。資料の6ページに戻っていただきまして、これは受入児童数(利用児童数) がどれだけ増加したかというものででございまして、横浜市は実は2,403人増えております。 川崎市も950人増えているということは、非常に努力されて受け皿を増やしているのです が、供給の伸びを需要の伸びの方が上回ってしまっているために待機児童がかなりの数生じ ているということが、この関係で見てとれると考えております。  以上、保育所の状況を、特に待機児童の数を中心として簡単に説明させていただきました。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。  次に、事務局より、資料1-1および資料1-2の説明を聴取するとともに、参考資料2につ いて、菅原委員よりご説明いただきたいと思います。  まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、ご説明いたします。適宜、参考資料である資料1-2をご覧いただきながら、ま ず資料1-1の1ページ目をお開きください。今回のテーマは、表紙にありますように「多様 な保育関連給付メニューについて」ということで、そういったことを考えるに当たって、ま ずどのようなところに総論部分、基本的な考え方を置くかということを1ページ目に整理し ているものでございます。今回の新しい保育の仕組みを考えるに当たりましては、第1次報 告でもまとめていただいておりますが、表題にありますとおり「必要なすべての子どもに保 育を保障する」という基本的な考え方に立ってやっていこうということで、少し整理をして おります。  一つ目の丸にございますが、新しい保育の仕組みは、客観的に必要性が判断された子ども に例外ない公的保育の保障をしていきましょうということで、四つほど視点を書いています。 (1)は、子どもに対する保育保障をする仕組みを考えていきましょうということで、子どもに は区別はございませんので、必要な子どもすべてにサービスが行き届く必要があるであろう ということでございます。(2)は、大きい課題としてあります潜在ニーズの顕在化にもきちん と対応できるようにということで、それについては、ニーズに応じたサービス提供事業者の 量的拡大が図られることが必要であろうということです。(3)は、多様な保育ニーズに対応で きる仕組みが必要なので、多様な給付メニューを考えていく必要があるのではないかという こと。(4)は、人口減少地域においても必要な保育サービスが提供できるようにということで、 これも第1次報告で整理されていますが、小規模サービス等について検討していく必要があ るということです。  二つ目の丸は、そのように公的保育サービスの対象を考えていくときに、基本的に質の確 保を図りながら、量的拡大を図ることが重要であると。これも第1次報告でまとめていただ いています。現在の認可外保育施設も含めて最低基準という客観的基準を満たした事業者を 新制度の費用の支払いの対象施設とすることを基本にしていくということです。  最後に「加えて」ということで、すべての子どもに公的保育を保障する観点と、多様なニ ーズヘの対応という観点から、サービスの「質」を確保しつつ、多様なサービス類型につい て、公的保育サービスとして位置づける必要があるのではないかと総論部分ではまとめてい ます。  次に、最後の16ページ目に飛んでいただきまして、本日用意しています資料全体を俯瞰 している図を用意しましたので、こちらの図で全体の状況を見ていただければと思います。 公的サービスについて求められるニーズについて幾つか類型分けをしてみたものでござい ますが、左側に(1)〜(6)と付しておりますとおり、まず一つ目に考えられますのは「量的拡大」 というニーズ、二つ目として「小規模の保育」についてのニーズ、三つ目は「多様な働き方」、 働き方が多様化していることに伴ってのニーズ、四つ目は、例外的ではあるにせよ「職場と の近さ」を求めるニーズです。五つ目は「人口減少地域」における特有なニーズ、六つ目は 「その他」ということで障害児保育や親支援といったことを書いております。  これらのニーズについて、真ん中の列では「現行制度では」ということで、制度的にどの ような対応がされているかということを整理しています。まず、全体をカバーするものとし て「認可保育所」がメインのものとしてあるということでございます。加えて、最近の制度 改正で「認定こども園制度」、さらに昨年「家庭的保育」というものも全体ををカバーする ものとしてできております。あと、国の制度の対象外ではございますが、実際上、機能して いるものと「認証保育所等」の自治体単独施設があるということでございます。  それで、今申し上げていることを詳しく書いたものを、それぞれ参考資料で用意しており ますので、適宜ご参照いただきながらということで、例えば「家庭的保育」については参考 資料の17〜20ページにありますし、自治体単独施設については、今回40自治体のご協力 を得まして、どのような単独施設の類型があるかを資料として付けさせていただいておりま す。  戻りまして、このように全体をカバーするものとして、今このような体系がありますが、 一方それぞれの個別のニーズに対応するものとして、現行制度では小規模ということについ ていいますと「分園」という仕組みが参考資料の16ページ目にございます。「多様な働き 方」につきましては、認可保育所における通常保育とは別のメニューとして、一時預かりや 幼稚園の一時預かり、特定保育、延長保育などがあるということです。四つ目の「職場との 近さ」でいきますと事業所内保育施設がございます。「人口減少地域」については、認可保 育所以外にへき地保育所という仕組みがございます。事業所内保育施設については、参考資 料24〜25ページ、へき地保育所については37ページ辺りに詳しい内容がございます。  これが現行の状況ですけれども、右側に赤線でくくっていますが、多様なサービス類型に つきまして、新しい保育の仕組みではニーズに応じて今それぞれ穴が開いているところにつ いて、しっかりとすべての子どもに対する保障をしていくという観点から再整理して、いろ いろなサービスメニューを考えていく必要があるのではないかということで整理をし直し てみたものでございます。特に赤色の部分は、これまでにない給付メニュー・サービス類型 として正面から考えていく必要があるのではないかというところでございます。  まず、認可保育所・認定こども園につきましては、今後も多様なニーズに応じて、そこの 部分を中心に担っていただくという意味で、少し枠を大きく書いておりますのは、そのよう な趣旨でございます。  三つ目に書いています「都市部等における量的拡充・中山間地のサービス拡充」は、左側 でいきますと「自治体単独施設」や「へき地保育所」など、今、国の認可制度の仕組みの対 象外として取り組んでいただいて、それぞれの地域の特性に応じた取組に努力されている所 について、これもすべての子どもに対する保障を考えていったときに、新しい制度でどのよ うに正面から向き合っていくかが課題になる部分でございます。  「家庭的保育」につきましては、全体の需要をカバーするものとしてもありますが、特に 小規模のニーズに対応するものとして位置付けを強化していく必要があるのではないか。分 園についても同様です。さらに、小規模ニーズにつきましては、量的拡大のニーズに対応す るものとセットとして小規模保育という新しいメニューについても考えていく必要がある のではないかということで書いています。  三つ目の丸のところでは、二つのサービスを用意していますが、「早朝・夜間・休日対応」 は今は延長保育や夜間保育などで対応している部分ですが、きめ細かく正面からきちんと対 応できるような給付メニューを考えるということ、あるいは今後需要が大きく見込まれます 「短時間勤務対応」といったところについても給付メニューを考えていく必要があるのでは ないかということです。  四つ目の職場に近いニーズにつきましては、事業所内保育施設については現行の保育制 度・児童福祉法では認可外保育施設の一類型ということで、費用の補助につきましては、時 限措置を付した上で雇用保険からのお金が入っていたり病院内保育所については別途、一般 財源が入っていたりしますけれども、すべての子どもについて新しい保障の仕組みを考える ということからすれば、ここの保育を利用している子どもについても費用の保障をしっかり やっていく必要があるのではないかということで赤色の四角で書かせていただいています。 その下に書いていますのは、企業の中にある保育施設以外にも、住所地の市町村圏域を越え て職場の近くの保育所などに預けた場合のニーズ対応も考えていく必要があるのではない かということで書いております。  五つ目については第1次報告でも整理されていますが、小規模の保育類型あるいは多機能 型について考えていく必要があるだろうということでございます。  それぞれについて、文章で書いてあるのが2ページ以降ですので、2ページをお開きいた だければと思います。まず、量的ニーズについて整理したものでございますが、ここについ ては共働き家庭の増加あるいは大きな潜在需要がある部分をどのように量的にカバーして いくかということでございます。「現状」は227万人の利用児童数があるわけですが、その 概ね9割方を認可保育所で受入れていただいているという状況です。残りの1割・23万人 は認可外保育施設と類型分けされる所にいるという状況で、そのうち事業所内保育施設に5 万人、自治体単独施設に5万人弱、さらに別の家庭的保育事業には491人がいるという状 況です。  待機児童数は先ほど今里保育課長が説明したとおりです。  ここの「視点」につきましては、量的ニーズに対する受け皿としての拡大ということが一 つ大きくあることと、併せて多様な働き方などの多様なニーズヘの対応としての拡大という 側面、さらに地方においては人口減少地域における核としての機能維持・充実といったこと を視点に据えながら、少し考えていく必要があるだろうということです。  1枚おめくりいただいて、「課題」としましては大くくりなものとして四つ書いています が、一つ目は最低基準という客観的基準を満たした施設については費用支払いの対象として いきましょうということで、これは第1次報告で整理をいただいているところです。これで、 まず量的ニーズを増やしやすい環境をつくりましょうということです。二つ目は、主に3 歳未満児を対象にしているような待機児童が多い所ですが自治体単独施設等、一定水準以上 の施設を経過的に最低基準到達支援という意味で制度の対象にしていったらどうかという ことが第1次報告でのまとめになっております。三つ目は、家庭的保育、小規模保育、保育 所分園といったものも活用しながら機動的な形で量的拡大に対応できるようにということ でございます。四つ目は、仮に二つ目の自治体単独施設などで一定水準以上の施設を対象に した場合でも、さらに基準を下回っているような施設もありますので、そのような施設を利 用している子どもに対する公平性の確保、すべての子どもに対する保障を考えていったとき には、そこの問題が引き続き残るということで、課題として書いております。  次に4ページ目でございますが、二つ目の大きなニーズとして「小規模サービス」へのニ ーズということでございます。まず、ここの部分につきましては、認可外保育施設の状況を 見ますと20人以下という施設が半数以上を占めていますし、その認可外保育施設の利用者 は低年齢児の割合が高いという現状がございます。一方で、低年齢児の待機児童数が81% ということですので、低年齢児への対応が重要であるということがうかがえます。もう一つ、 家庭的保育の利用者に「なぜ、ここを選択したのか」というアンケートをした結果を見ます と、約5割の人が「年齢が小さいうちは少人数で保育を受けることがよいと思った」と。そ のような小規模に対する真正面からのニーズもあるということでございます。  家庭的保育サービスについての「現状」は、ご案内のとおり来年4月から法定化された事 業として始まり、保育所保育を補完するものとして位置付けられています。二つ目ですが、 この法定化に当たっては家庭的保育事業を市町村の事業として位置付けた上で、家庭的保育 者に対する委託などで対応していこうという法律上の構成になっています。さらに、担い手 につきましては保育士に加え、一定の研修を経た保育士資格を持たない者についても認めて いこうということになっています。四つ目は、主に3歳未満児を中心に対象と考えていこう というサービスでございます。  小さい字で書いていますのは、待機児童が非常に深刻であることを踏まえて、今年3月に 若干改善したことについて四つほど挙げています。一つは対象年齢を3歳以上でもよいとし たこと。二つ目は、家庭的保育者自身の子どもと一緒に預かる形も認めることにしたこと。 家庭的保育者については連携保育所の確保が必要になりますが、その連携保育所の要件とし て最低基準を満たす認可外保育所を追加したこと。さらに、家庭的保育者を支援する者への 助成の対象を拡大したという改善を行っております。  しかしながら、いずれにしましてもこの家庭的保育については、まだまだ認知度も低いの で実施市町村も少ないですし、担っている保育者数、利用者いずれも少ない状況にあります。 次のページにあります数字を見ますと、国の補助制度の対象となっているのは、昨年度の数 字で利用児童数が491人。自治体単独でやっていらっしゃるものを見ても利用児童数は 1,573人ということで、まだ極めて限られた事業になっているという状況です。  その下の「視点・課題」につきましては、量的拡大の受け皿として、やはりここの部分も 拡充していく必要があるということ。併せて、多様なニーズヘの受け皿としての拡充が求め られているということが一つでございます。  二つ目は、この家庭的保育サービスを公的保育サービスの一つとして新しい制度に位置付 けるときに、その方法をどうしていくかという論点があろうかと思います。来年4月から施 行する制度としては保育所保育の補完という位置付けでスタートしますが、今回新しい制度 を考えるに当たって、子どもから見て利用の保障をしていくということですけれども、その ときに、子ども一人一人に着目すれば利用しているサービスというのは、そのサービスしか ありませんので、もし家庭的保育を利用しているのであれば、それは別に補完のサービスで はありませんので、果たして「補完のサービス」でよいのかどうかといったことも含めて、 家庭的保育以外のメニューも含めて位置付け方について、ご議論をいただければと思います。  三つ目は「家庭的保育者と市町村の関係の整理」と書いていますが、これも来年4月に施 行する事業は市町村の事業という位置付けをしています。この点につきましても、子どもを 中心に考えていきますと、利用者が誰と契約するのか、その当事者を考えたときに、市町村 をこの事業の主体として考えるのがよろしいのかどうか。むしろ、家庭的保育を提供してい る主体そのものに着目した制度の構築の仕方も考える必要があるのではないかという論点 でございます。  四つ目は、主に3歳未満児を中心としたサービスでございますので、3歳以上になるとき に集団保育にうまくつながっていくような連携体制の確保ということも課題としてござい ます。  五つ目に書いていますのは、「現状」ではまだまだサービスが広がっていません。いろい ろと補助金拡充などに努めてきていますが、それでもなお、なかなか拡大していかない。そ の辺の課題や解消方法などを分析して整理する必要があるのではないかというものでござ います。  次に、6ページ目でございますが、家庭的保育以外の小規模保育サービスですけれども、 「現状」につきましては5人超〜20人未満については、公的支援の対象外となっています。 一部、分園という仕組みは支援の対象になっています。  ただ、この分園につきましても一般的にはどこかの場所を借りて行う形式が多いと思いま すが、この場合も賃料の補助は制度化されておりません。「安心こども基金」で一部時限的 に対応しておりますのと、自治体によっては、単独で家賃補助をしている所はありますが、 制度的には今、その家賃補助のところはないという状況です。  三つ目は認可外保育施設です。こちらは20人未満小規模な施設が多数を占めていますの で、そのような所も視野に入れながら考える必要があるということでございます。数字につ いての現状は、一番下を見ていただきますと、保育所分園の状況は平成20年度で433か所 という状況でございます。  1枚おめくりいただいて7ページ目ですけれども、「視点・課題」につきまして、他のサ ービスメニューと同じですが、まず一つ目は量的拡大の受け皿としてこういった所を増やし ていく必要があるということ。さらに、小規模というニーズへの対応としての拡充を図って いく必要があるのではないかということです。二つ目、三つ目はこの小規模サービスを推進 する視点としてメリットのようなものですが、大規模な保育所の設置と違いまして、初期投 資費用が軽微ですので、機動的な設置が可能であろうということ。さらに、保育は地域に根 差したサービスとしての特性がありますが、小規模のサービスは、まさにそのようなニーズ に対応できるサービスであるということです。四つ目、五つ目はそのような中で新しい仕組 みでこのようなことを考えていったらどうかという論点ですが、家庭的保育者が自分1人で やるか補助員を付けて5人まで預かるかというのが今の姿ですけれども、それを複数の家庭 的保育者が集まった形で実施するような、そのような小規模サービスモデルの仕組みを検討 していく必要があるのではないかというのが四つ目の論点です。五つ目は、分園という仕組 みがございますが、これは今、公立の場合は市町村以外に分園を任せるという形が認められ ていますが、民間の社会福祉法人などがやる場合は、同一法人が分園もやるという仕組みに なっていますので、もう少し別主体で分園をやることも含めて、分園と本園の連携あり方を 検討していったらどうかというものでございます。  最後のところは家庭的保育と同じで、3歳以上児となる際の集団保育への連携という課題 があるということでございます。  次に8ページでございますが、多様なニーズへの対応のうちの三つ目で、「多様な働き方」 へ対応するものでございます。その一つ目は「短時間勤務等」についてですけれども、上の 箱囲みのところを見ていただきますと、育児期の母親が希望する働き方は、比較的短時間勤 務を希望する人が多い。一番多いのはそのような労働形態です。さらに、女性の年齢別にみ た雇用形態は、30歳以降は正規職員の割合が減って、パートが多くなっているという現状 がございます。  現行制度の「現状」ですけれども、比較的多くの自治体の条例では、例えば週4日以上を 「保育に欠ける」と判断している例があります。さらに、運営実態は需要の増えている地域 を中心に、フルタイム中心の受け入れになっているということです。制度的には、通常保育 以外の受け皿としては特定保育という週2、3回程度の受け皿としての給付メニューが別に あります。今、2,000か所程度のものです。もう一つの一時預かり(一時保育)につきまして は、随時の預かりが念頭に置かれているのですが、実際には実態として、パートタイムの方 の受け皿になっている現状が多く見られます。もう一つは幼稚園の預かり保育といったとこ ろが短時間勤務の人の受け皿となっているという現状でございます。  「視点・課題」につきまして、一つ目は、今後、潜在需要が大きく拡大する中で、大勢を 占める部分は短時間勤務のところかと思います。子どもが就学前の小さいうちはパートで働 く、あるいは正社員でも短時間の働き方を選択する方が多いので、需要が非常に大きく膨ら んでいく部分だと思われますので、それに対応した受け皿を大きく拡大していく必要がある 部分でございます。  二つ目は、通常保育の一環として受け入れていただくことも非常に重要ですので、その受 入れを拡大していくことを考える必要がありますが、それだけでは対応しきれない需要の拡 大が見込まれますので、それに対応するサービス類型も検討していく必要があるのではない かということです。  三つ目は、制度的に第1次報告では保育の保障上限量につきましては2〜3区分程度に分 けると書いてありますが、この短時間勤務のところにつきましては、まさにフルタイムとは 別の、もう少し低い保障上限量を考える必要もありますので、その具体的な設計をしていく 必要があるということでございます。  最後の丸は、このような短時間勤務等の多様な二一ズの受け皿としましては、認定こども 園制度の活用というものがありますので、その制度の充実あるいは活用促進ということを併 せて考えていく必要があるだろうという課題でございます。  次の9ページ目ですが、「多様な働き方」への対応の二つ目として「早朝・夜間・体日保 育」についてでございます。まず延長保育につきましては、民間の保育所を中心に約6割以 上の保育所に提供していただいていますが、延長時間が1時間以上であるのは、そのうちの 約1割にとどまっているという現状がございます。さらに、別のメニューとして夜間保育所 という仕組みで、少なくとも22時までは預かるという制度がありますが、こちらも77か 所にとどまっています。一方で、認可外保育施設の一類型であるベビーホテルは増加傾向に あるということで、主に夜間保育されている子どもがベビーホテル入所児童の約2割を占め ている現状がございます。さらに、深夜帯については、さすがに就労する数は限られていま すが、交代制勤務者を中心に約4%程度が存在している状況でございます。  現行制度の状況ですが、現行制度は保育所の開所時間に合わせて、そこにはまれば通常保 育が提供されるという比較的、提供者側サイドからみた仕組みになっているということでご ざいます。その開所時間を超えた休日・夜間等のニーズにつきましては、まずは市町村が休 日保育事業をやるかどうかを決めた上で、やる場合には経費を奨励的に補助するという仕組 みになっています。そのようなことも相まって、認可保育所での十分な受け皿がまだ整って いない状況にあります。事実上、ベビーホテルなどが残ったニーズの受け皿になっていると いう現状があるということでございます。  10ページ目の「視点・課題」につきましては、まずは個々の子どもに対する保障をしっ かりしていくという仕組みを考える上では、認可保育所における基盤整備、休日・夜間・早 朝などの受け皿の整備が必要であろうということでございます。併せて、すべての子どもに 対する保育の保障ということを考えますと、現状はベビーホテルなどで預かっていただいて いるような形になっていますので、そのような認可外保育施設において対応されているもの についても、公的保育サービスの一類型として、当然のことながら質の引上げ等も併せて考 えながら位置付けを考えていく必要があるだろうということでございます。三つ目は、ここ は昼間の保育とは異なる特性がございます。例えば深夜帯であれば子どもは寝ているという ことがありますので、その特性に合った基準のあり方も考えていく必要があるだろうという ことでございます。  次に、12ページ目でございますが、大きい四つ目の「職場の近さ・広域需要」について の対応でございます。就学前の子どもがいる雇用者のうち、約3割の人が、企業が行う育児 支援制度で利用している・利用したいものとして、託児施設を挙げているという状況があり ます。もう一つは、職場から近い、通勤途上にある等の地理的な要因で認可外保育施設を選 択している利用者も多いという状況でございます。事業所内保育施設は現行制度上は認可外 保育施設として位置付けられおります。運営費などの支援につきましては、一般的な事業所 内保育施設については雇用保険二事業からの助成金が10年という期限を付してあることと、 病院内保育所については独立して一般財源からの補助があるという状況で、利用者は5万人 程度ということでございます。  13ページの「視点・課題」としましては、図のところでも少し申し上げましたが、事業 所内保育施設につきましても、新しい制度がすべての子どもに対する公的保育を保障すると いう観点で考えますと、そこの利用者についても保障の対象にしていくのが基本かと思いま すので、公的保育サービスの一つとして位置付けるべきではないかと書いています。その際、 事業所内保育施設が従業員への福利厚生という側面も有していますので、そことの関係をど のように整理するかという課題もあります。二つ目は「その他広域需要への対応」として、 現状につきましては、自分が住んでいる市町村以外の市町村で保育所を利用しようとします と、市町村同士でまず話し合い、調整をしていただいた上で、利用可能になるという仕組み になっています。その上で、当然ですけれども住所地の住民が優先されているということで ございます。  この取扱いを大きく変えるということではありませんが、「視点・課題」としましては、 個々の子どもに対する保障を考えていく上では、住所地市町村以外の保育サービスを利用す る子どもは例外的にせよ、おりますので、そこへの保障はやはりしていく必要性があるので はないかというのが一つ目です。二つ目は、事業所内保育所まで行かなくても、職場の近く で預けたいというニーズに対しまして、親と子どもができるだけ長い時間一緒にいたいとい う観点も踏まえて、事業所内保育所以外でも保障可能な仕組みを検討していったらどうかと いうことでございます。  最後に大きい五つ目のニーズとして「人口減少地域」におけるニーズについてでございま す。児童人口が著しく少ない地域においては、身近な場所で保育サービスを受けられること が必要。このような地域では、対象となる年齢の子どもの数が少ないので、それぞれ保育も 含めていろいろな子育て支援のサービスを独立して提供することが難しいという事情があ りますが、サービスの確保は必要であるということでございます。  「現状」としましては、児童人口が減少して利用児童数が少ない地域でも、今は認可保育 所に頑張っていただいて、地域の保育機能を維持していただいている現状があります。認可 保育所もないような地域においては別途、へき地保育所という仕組みがあって機能を補って いただいているということです。もう一つ、幼稚園がない地域というのは、少子化対策特別 部会でも何度か話題になっておりますが、そういった所では保育所に幅広くニーズに対応し ていただいているという現状があります。四つ目は、現行制度において、保育所は預かって いる子ども以外の地域の子どもあるいはその家庭に対して相談・援助を行うことが保育指針 などで定められています。五つ目は、保育所において、放課後児童クラブや地域子育て拠点、 一時預かり等の個別の事業を併せて提供する場合については、今はそれぞれの事業の要件を 満たしていただいて補助を受ける仕組みになっています。認定こども園制度は、このような 地域でも数はまだ少ないですが、活用が進んでいるという状況でございます。  次のページの「視点・課題」につきましては、このような児童人口減少地域においても、 すべての子どもが必要な保育サービスを受けられるように、小規模サービス類型の必要性、 あるいは実施する場合の基準のあり方を具体的に検討する必要があるということが一つで す。もう一つ、現行の「へき地保育所」につきましては、財政支援は一定程度していますが、 ここについて相応の財政支援を考えていく必要があるだろうというのが二つ目です。三つ目 は、幼稚園がない地域における保育所の役割のあり方の検討と認定こども園の充実と活用促 進を考えていく必要があるということ。四つ目、五つ目は多機能型サービスを実施する場合、 それぞれの事業の基準をかけるのではなくて、全体としての基準をどのように考えていくか、 あるいは緩和した基準について、適用する対象地域をどうするかという課題がございます。  説明は以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。  それでは次に、菅原委員より説明をお願いしたいと思います。持ち時間10分以内でお願 いします。 ○菅原委員  私からは問題提起として、一言申し上げたいと思います。私が提出しました資料は、組織 で団体として検討を進めておりますが、まだ詰めきれていないところもたくさんありますの で、中間的な提案という視点で読んでいただきたいということが一つ。もう一つは、やはり 我々としては2月24日にまとまった第1次報告を、いかに積極的な内容にきちんと制度と してつくっていくかということが非常に重要であろうと。そうでなければ、せっかくの我々 の1年間の議論の意味がなくなってしまうという立場で、少し考えを整理してみたというこ とでございます。  1ページ目と2ページ目については、連盟としての私どもの基本的な考え方を述べており ます。これは保育第一専門委員会にも出しておりますので、特にここでは省略して、4ージ 目からお話し申し上げたいと思います。  まず、「参入の仕組みの詳細」について、基本的な考え方ですけれども、この点について は「子どもの命と安全、それから子どもの育ちを保障する」ような仕組みでなければならな いだろうと。そのためには、すべての子ども、利用希望者のニーズに応えることを可能にす るためには、公の関与をきちんとナショナルミニマムとして法的・制度的・財政的な保障を 明確にする必要があるのではないかという立場に立って考えております。  「目的と方向性」については、現在問題になっております緊急性の高い待機児童の問題が 重要なポイントとしてまとめていく必要があるだろうということ。二つ目は、中・長期的に は三つの点を考慮した内容にすべきではないかということで、(1)すべての子どもを対象とし た保育制度の構築。(2)少子化をいかにして克服するか。(3)すべての子どもたちの育ちと地 域・家庭における子育てと就労支援をきちんと制度化する。そのような立場で考えてみたと いうことです。  「具体的な仕組み・制度設計の前提として」は、5ページで3点にまとめております。一 つは、量的拡大の仕組みをどのように制度設計として明確にするかということ。二つ目は、 質を担保するためには最低基準の問題とナショナルミニマムをきちんとしなければならな い。それを実行可能にするためには、やはり財源の確保が必要であるということが前提では ないかとまとめております。  6ページでは、新しい仕組みのあり方ということで、第1次報告を受けて、特にあの中で 出されている「指定制」の問題について、どのようにとらえるかを少し整理してみました。 これについては、やはり待機児童の解消が一つの具体的な目的としての考え方が提起されて いるのではないかというとらえ方をしております。そのために量的な拡大をする場合は、や はり「認可制」があくまでも基本であるということです。これは12ページにデータを添付 していますので、後でご覧ください。認可外施設の「指定制」の導入については、先ほど申 し上げましたように、あくまでも待機児童のいない場所については、あまり意味を成さない のではないかと我々はとらえているということで、以下に指定制導入について2点、整理し ています。「指定制」は緊急避難政策としての対応の仕組みとして位置付けるということと、 この制度は当面、待機児童がいる地域に限定的にすべきではないかということ。それから法 律ではなく、例えば政令等で5年間とか、そういった期限をきちんと明確にして位置付ける 必要があるのではないか。それから、認可保育所への移行期間、認可保育所に適用されてい る法律・政令等の準用ということが、指定制に対しての枠組みをきちんとする必要があるだ ろうということです。  二つ目は、先ほどから申し上げていますように、あくまでも認可保育所が基本であるとい うことで整理しています。  7ページ目は、それをイメージ図として描いてみたものです。  8ページ目は、第1次報告にあります「新しい仕組みのあり方」の中での参入の問題で、 NPO法人等に対する施設整備費等の考え方をどのように整理するかということでございま す。減価償却費を運営費に相当額上乗せした制度をつくるべきではないかと提起されている わけですけれども、それに対する我々の考え方としては、施設整備費の初期投資については、 やはり憲法第89条との関係で、これはきちんと守られるべきではないかと思います。2番 目に、減価償却の補助については法人立に限定するもので、この制度を認可外の「指定施設」 については適用しない。あくまでも法人立が前提であると。法人立というのは、NPO法人 も企業も含むという意味での法人立でございます。3番目は 認可外施設の認可施設への移 行に要するる費用は、「集中的な整備促進」という立場から、一定程度考慮する必要がある だろうと思います。その場合の条件としては、認可施設に移行する経過期間をきちんと明記 することと、待機児童の受入れ等をきちんと前提条件とするということを踏まえた上で、一 定程度の公的な資金等が補助されることが検討されてもよいのではないかという考え方で す。  それから、第1次報告にある運営費の使途制限の問題についてです。これについては、あ くまでもNPO法人等の非営利活動法人における会計基準の適用は、社会福祉法人会計を適 用あるいは準用とすべきではないかと。株式経営の福祉事業については、以下の前提条件に 企業会計で行うことはあり得るし、あってもよいと思います。しかし、剰余金については福 祉事業に限定すべきであるということ。それから、株主への報酬等は、やはり認めるべきで はないということです。それからもう一つ、ここには書いておりませんけれども、法人運営 費についてはどうかという議論があるわけですけれども、社会福祉法人としての法人運営費 は現行法ではゼロですので、一定程度の法人運営費は検討されてもよろしいのではないか。 その場合は当然、法人すべてに対応しますので、NPO法人・株式会社等にも適用されるわ けですけれども、株式については先ほど申しましたように、税金に対する基本的な考え方を 踏まえた上で法人運営費の使途をある程度明確にしていく必要があるのではないかという ことを検討してみたということです。  9ページ目については、「多様な主体の参入」の量の拡充に際しての質の担保の問題につ いて、(1)〜(3)までまとめております。(1)指定制に際しての保育の基準は、先ほど申し上げた とおりでございます。(2)「公的関与のあり方」としては、事業所の開所・閉所は届出、許認 可の義務化、認可保育所の基準・保育条件等のナショナルミニマムの遵守」といったきちん とした制度的な枠組みをつくる必要があるだろうということです。(3)管理監督等については 市町村がきちんと責任を負うということが必要ではないかということです。  10ページ目は「認可外保育施設の質の引上げの詳細」についてです。これについての考 えを3点に問題としてまとめたものです。(1)最低基準を満たしている認可外施設への費用の 補助は待機児童のいる地域を対象にするということと、待機児童のいない地域は3年から5 年間のうちに認可施設に移行するというような一定のきちんとした法的な枠組みを決めた 上でなされるべきであろうと。(2)に「一定水準以上」の認可外に対するというように、「一 定水準」という言葉が出てくるわけですけれども、この「一定水準」の我々のとらえ方とし ては、一定の期間の経過的な考え方であり、「一定水準」とは「最低基準を満たしていない が、それに近い水準」という意味でとらえております。その場合にも、5年間の経過措置と いった条件を付けて一定の費用ということは、そこで生活する子どもたちの安全や保育を保 障するという意味で検討されてもよろしいのではないかという立場でございます。(3)無資格 者の導入の問題に対する考え方ですが、資格制度を確立する必要があるのではないかと思い ます。例えば「通信資格制度」や夜間の養成学校へ通う制度ですとか、研修制度システムと しては、一つの例として1週間の研修体制を検討してみるといったことをきちんとやって、 安易に無資格者を導入するのではなくて、このような制度的な整理をした上で検討されてし かるべきではないかという考え方です。  11ページは「認可外保育施設の質の引き上げについて」です。「待機児童解消」と「すべ ての子どもの支援」のためというのが第1次報告での整理ですけれども、これについても3 点ほど問題を提起してみたいと思います。(1)基本的には、全国的に市区町村毎に多様なニー ズ調査・分析に基づく認可保育所等の中・長期増設計画をきちんと義務化する。(2)都市部で 待機児童を多く抱えている地域では、「市場化を前提とせず」を基本に前述した「最低基準 の遵守、剰余金の福祉事業以外の事業への活用は認めない、株主への配当は認めない」等を 条件に、法人格を持ったNPO等非営利活動法人を積極的に活用することはよろしいのでは ないかという考えでの一つの問題提起です。(3)「需要の満たし得ない地域」の問題、これは 人口減少地域ととらえていますけれども、こういう地域については、「子どもの育ちと、集 団生活の保障」あるいは公平性を守る立場から、保育と子育て支援を持続的に保障するため、 12ページに書いていますけれども、いわゆる小規模対策に準じる、制度の確立が必要では ないかという意味です。  認可外施設の「質の担保」のための指導監督については、以下に書いてあるようなことで すが、問題なのは、施設の問題だけでなく、行政(市町村)に対し、自らが質を維持するため の行政責任の保障基準(施設の設置・財政・基準の設定)を義務付ける制度が必要ではないか ということです。  12ページは「小規模保育所の創設」についての三つの問題提起です。(1)これは20名以上 が小規模保育所として現在、制度化されていますが、5名から認めるべきではないかという ことです。実際の運営はこれでは成り立ちませんので、家庭的保育事業(保育ママ等)、一時、 延長、休日保育、相談等支援事業、放課後児童健全育成事業等の多機能的運営を認めた制度 をきちんと確立する必要があるのではないかということです。それから、(2)は少し冒険です けれども、隣接する行政区以外の認可保育所の分園、家庭的保育事業の連営も、今、管外保 育も認められていますので、場合によっては考えてもよろしいのではないかということです。 それから、(3)小規模の運営と経営を維持するためには「最低保障」(基礎的運営費)を制度的 にきちんと保障すべきではないか。要するに、子どもの数だけで計算される補助体制では小 規模保育所の経営は成り立たない。基礎的運営費はきちんと保障すべきであるということで す。  13ページは繰り返しになりますので、申し上げません。  以上が、私たちの連盟としての中間的な議論された内容を問題提起として提案しておきた いと思います。以上です。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。  それでは、これから議論に入りたいと思います。残りの時間が1時間余りございます。あ る程度区分けしてと思いましたが、今、菅原委員から具体的なたたき台の提案もありました し、皆さまもさまざまなご意見をお持ちだろうと思いますので、あまり細かく区切っては議 論が進まないと思います。  それで、事務局からの資料の「基本的な考え方」と「新制度における公的保育サービスの 類型についての検討」の大きく二つぐらいに分けて、あるいは行ったり来たり、さまざまな 議論があっても一向に構いませんので、まず「基本的な考え方」の部分について、ご質問・ ご意見等がありましたら、承りたいと思います。 ○篠原委員  まず一つ、質問させていただきたいと思います。1ページにあります「基本的な考え方」 の一番下に「公的保育サービス」という言葉がありますが、これは何を意味するのかを、ま ず質問したいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  これは、今回まさに提案している内容の部分なのですが、現行制度はまず保育の実施とい うことで、児童福祉法第24条はまず「保育所における保育を実施する」となっていて、た だし書で今回の法律改正で家庭的保育まで書いてあるので、その辺までが「公的保育」とイ メージされているわけですが、今回の提案は最後のページの図にありますように、もう少し いろいろなニーズに対応したサービスメニュー全体を公的保育サービスととらえ直してい く必要があるのではないかという提案でございます。 ○篠原委員  ありがとうございます。  それでは、少し意見を述べたいと思います。認可保育所が足りないからとか、認可保育所 では早朝・夜間・休日保育といった多様なニーズに対応できないから、他のサービスを公的 保育サービスと位置付け、それらの提供体制を整えることで市町村は義務を果たしたことに するのは、少々抵抗を感じます。「選択し得るサービス」の領域を増やし、かつ、発達・安 全性という観点から、それらのサービスの質を高めていくということには、もちろん賛成で す。しかし多様なサービスといっても、保育所が利用できないために、そのサービスを利用 せざるを得ないというケースがほとんどではないかと思っています。認可保育の十分な供給 体制が整備されるまでは、どうしても保育ママや認可外保育の利用は、保育所保育の補完・ 代替となってしまうのではないかと思います。要は多様なサービスを用意したからそれでよ いというのではなくて、保育所保育が保育の基本であるということを原則として、認可保育 の拡大を最優先の政策という課題で位置付けるべきではないかと、まず意見を述べたいと思 います。 ○岩渕委員長  他にいかがですか。 ○西田委員  全国保育協議会です。よろしくお願いします。私どもの組織は、認可保育所の9割強が加 盟している組織ですので、今この時点で組織としての意見を取りまとめて申し上げるには、 それなりの時間がかかりますので、またあらためて組織としての意見を表明させていただき たいと思いますので、今後も引き続いて意見を述べる場を担保していただきたいと、まず確 認とお願いを申し上げたいと思います。  「基本的な考え方」ですが、少子化や核家族化など今、子どもが育つ環境を見ますと、 10年後には今よりも保育施設を利用して子どもを育てる社会になっているのではないかと 予測しています。それは単に就労とかそういうことにかかわらず、子どもの育ち・発達の視 点から、地域の保育施設を利用して子どもを育てたいと望む保護者が増加しているのではな いかと思っています。こうした期待に応える、そうした社会を迎えるためにも、四つ申し上 げたいのですが。一つは子どもの発達を保障する質が保障された保育。保育の専門家である 国家資格を持つ保育士が保育に当たるということ。二つ目は、保護者の就労量に合わせて保 育の必要量を考えるのではなくて、子どもの育ちにとって必要な保育の質・量を判断する必 要があると思います。三つ目ですが、この保育の量は子どもの育ち・発達を保障するために 必要な時間帯を中心に置く。つまり、子どもの生活リズムがしっかりと確保され、基本とな って、例えば9〜16時をコアの保育時間帯とすると、継続性のあるものにする必要がある と考えます。保育は託児ではありません。子どもは物ではなくて、単に預かればよい存在で はないと誰もが思っていると思いますが、子どもの発達過程に応じた養護と教育の一体的提 供こそが保育所保育であって、専門性の必要な営みといえると思います。その前提に立って、 質の確保された保育の提供も今後も果たせるような仕組みを構築するべきと、基本的な考え の中で申し上げたいと思います。よろしくお願いします。 ○岩渕委員長  他に。また前に戻っても一向に構いませんけれど、サービスの類型についての検討のとこ ろに入ります。この後、非常に多様なニーズに対する対応も含めて、少し幅広い議論をして いきたいと思います。これにつきましては、先ほど菅原委員からたたき台として提言いただ いたものも含めて、少し議論をしていきたいと思います。よろしいですか。どなたからでも ご自由にどうぞ。 ○山口委員  皆さま、こんにちは。JPホールディングスの山口です。まず全国私立保育園連盟の菅原 委員からご提案があった内容ですが、これを見まして、随分1年前と雰囲気が変わったなと。 私たち株式会社の立場を随分ご理解いただけるようになったと喜んでいますが、もう一歩進 めていただきたいというところが本音です。今の篠原委員、西田委員、菅原委員も同じだと 思いますが、認可保育園が基本であるということに関しましては別段異議があるわけではあ りません。しかしながら、今の認可保育園では、実質的にはカバーができていないニーズが たくさんあるわけです。厚生労働省からも基本的な考え方の本に出ていましたが、そういっ た多様なニーズをカバーをしようというのが今回の保育サービスの検討の大きな課題であ るはずですので、それが今までの認可制度だけでは補完できなかったということから、認可 外も含めた既にあるインフラといったものを活用すべきだと考えています。そのためには、 今のところほとんどが国費が入っていない制度です。同じ子どもでありながら認可外にいる 子どもと認可にいる子どもがこんなに差別されてよいのだろうかという思いがあります。ぜ ひ、こういったことを前提に、すべての子どもに対して同じように公費が当てられるように 要望します。 ○岩渕委員長  他に。 ○宮島委員  全体の方向性と細かいことについても述べたいと思います。ご報告にもありますように、 また待機児童が増えました。誰が見ても増えるだろうと思っていて、やっぱり増えたという ことだと思います。私が思っているのは、5,000人増えた、もしくは今2万5,000人いると いう実数以上に、これから産もうとしている人たちが、産んで何かに行き詰まったときに、 誰も助けてくれないのではないか。どこからも救いの手が伸べられないのではないかという 不安が広がっていることが、実質的に子どもを産むことを躊躇させることになっているのが とても心配です。つまり、例えば産むときには専業主婦で子育てするつもりでも、今は家計 の収入も全く安定的ではないし、ご自身が病気になることもあるし、いろいろなことがある のですが、そういう家庭のその先の変動に対して、何かがあっても子どもが育てられるとい う自信が今は持てず、スタートの段階で思いっきり決断が必要で、その決断の時の状況が続 かなければ、子どもを育てるのは無理ではないかと悲観的に考えざるを得ないのだと思うの です。今は都市部の保育所、待機児童が多い地域の保育所は、主にフルタイムの人、最初か ら働き続ける気のある人を中心に動いているし、実際の受け入れもそれで精一杯という所が たくさんあるのですが、さまざまな子どもを持つ人が、離婚をしても、働けなくなっても、 病気になっても、困った時期にはこんな受け皿があると思える状態をつくることが、実質的 に子どもを増やす。「よし、産もう」と思う人を増やす安心感につながると思います。  その意味では、今拡充しようとしている保育ママや小規模型に、私はとても期待していま す。制度としては一定の数の自治体にあるのですが、今の状態では充実度に非常に差がある と思います。例えば私が昔住んでいた自治体には保育ママ制度があったのですが、保育ママ が2人と書いてあって、その数ではどうすればよいのかという所でした。逆に区によっては やり方はさまざまですが、たくさん保育ママがいるところもあります。そこを私たちが取材 で訪ねたところ、どういうところが決め手なのだろうと思いますと、保育ママが孤立しない 形。例えば保育ママが皆で集って、保育ママ同士で同じような所で遊んで情報交換をしてい たり、何か困っていたところに駆け込める気持ちになれるような状況がありました。保育マ マになりたい方も、他の方の子どもを預かるわけですから、万が一を考えると思うし、不安 もあると思います。けれども、子どもを預かりたいと思う人の不安を行政の力やネットワー クの力で取り除くことはできるのではないかと思いまして、そういう意味での横のつながり や情報交換というところは、行政が担える部分ではないかと思います。例えば、それがとて も進んでいる自治体と進んでいない自治体があるのであれば、進んでいる自治体は何が決め 手で、なぜ、多くが安心して保育ママができるのだろうということを研究したり、それを参 考にするような形が良いのではないかと思います。それを組み合わせた形での、保育ママが 集まる形での小規模保育なども同じだと思いますが、実際は自分で育てる人も保育ママも含 めて、孤立化しないことが多分大事だと思いますので、何か困ったときに、育てていてイレ ギュラーなことがあったときに、あそこに頼れる。それは親も保育ママも皆そうですが、あ そこに頼り、あそこで何とかなるという気持ちが持てるような体制をつくれればよいと思い ます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。どうぞ。 ○安藤委員  今回、私が大変嬉しいと思っていますのは、子どもに着目して考えていこうとなっていま す。つまり施設がどうだということではなくて、子どもがそれぞれのところで保育を受けて いるわけで、そこに対しては最低基準をクリアした所については国が援助していこう。そこ の保育の質を高めつつ、そういった所がやりやすいように、そしてもっと量的に広がるよう にしていこうということは素晴らしいことだと思っています。その中で、私ども資生堂は事 業所内保育所を展開しています。事業所内保育所について出ていましたが、若干説明をしな がら、申し上げたいことがあります。それはすべての子どもに健やかな育ちを公的保育サー ビスにて保障する観点から、事業所内保育所も公的保育サービスの一つとして位置付けられ るものであり、助成金の流れも一元化すべきだと考えています。実は事業所内保育所を利用 している方たちは、ほとんどが地元の認可保育所に入れないということで来ています。そこ で、こちらの方が受け皿がなければ、皆契約を切られるとか、退職せざるを得ない。育児休 業を延長して満期になった後、どうするかで非常に不安に駆られていることがあります。  それから今度は利用者の声ですが、産前産後休業・育児休業から安心して復職できる。近 くに子どもがいるので、安心して仕事に集中できる。公共交通機関による通勤の負荷は大き いけれども、通勤時間は子どもと一緒の大切なコミュニケーション時間になる。そういうこ とから利用者からの評判は非常に高いものがあります。出産しても働き続けながら子育てを したいと思う人にとって、事業所内保育所の存在は大きくて、安心して子どもを産み育てら れる環境づくりに大きく寄与していると考えています。また、そのような環境を実感できま すと、第2子、第3子への願望が強まります。実際に第2子、第3子を出産された方も多く いらっしゃいます。  また、事業所内保育所の特徴として、そのような保育の場としての受け皿以外に、現在多 くの企業がワーク・ライフ・バランスの実現や、長時間労働の是正を中心とした働き方の見 直しに多く取り組んでいます。それを実際に推進していく上で、事業所内保育所は大きな役 割を果たしていることを申し上げたい。例えば男性の育児参加促進ということで、これまた 非常に効果があるわけです。朝の時間帯、迎えに行く時間帯に、奥さまとご主人が協議しあ って迎えに行く、送りに行くということで、役割分担をしながら、お互いを助けながらやる。 その中で男性の育児参加のきっかけ、子どもを愛する父性の芽生えということも、どんどん 出ているということがあります。また、育児を楽しみ、皆で応援する企業風土というところ につながっていきます。それはどういうことかといいますと、昼休みを利用します。そうす ると職場に近い所に子どもがいるわけですから、そういったイベントに参加している父親・ 母親を、同僚や上司も見るわけです。こういう子がいるのだ。皆頑張れよという雰囲気や、 気付きが出てきます。そして子育て支援への理解が深まり、皆で子育てを応援する土壌が芽 生えてきています。こういったことは非常に大事なことかなと思っています。  それから、短時間勤務の取得者ということがあるのですが、事業所内保育所を利用するこ とによって、そういった人たちの身近な理解につながっています。それはどういうことかと いうと、お迎えに行く時間が要らない分、仕事に集中できるということで、同僚に対する負 荷を、そんなに与えなくて済むということで、お互いに良い形で進んでいる。その中で身近 な理解が進んでいるということです。それと何よりもここを利用している本人のタイムマネ ジメント能力、コミュニケーション能力が非常にアップしていまして、働き方の見直しにも 大きくつながっているということです。  このように事業所内保育所というのは、保育の場としての待機児童の受け皿としての役割 を担うとともに、ワーク・ライフ・バランスや働き方の見直しという意識改革を醸成・実践 していく側面を持っていまして、少子化対策における公共保育サービスの一つとして有効に 機能する保育施設であるということです。こういったところで、子どもは認可外保育所です が、認可保育所ではないから、そこで公的な資金が受けられないというのは、大変不公平な ことだと思っています。そういう意味で、小規模も含めました最低基準をクリアするところ についても公的支援を投入して、全体の仕組みとして保育ということを守り国民に提供して いくことには大賛成です。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。他にご意見は。 ○岡委員  大妻女子大学の岡です。前回欠席し、今日お話を伺っていて、政権が変わったこともある のかもしれませんが、「子どもを中心に」という軸が鮮明に出てきているのだとすれば、そ れはとても良いことだと思っています。ところで、「子どもを中心に」という観点から考え ていったとき、先ほどもお話が出ていましたが、認可保育園がカバーできないニーズがあっ たときに、認可制度内で対応できない以上、既に子どもたちが通っている認可外のインフラ を利用するべきだという話は、「そうだよな」と思いつつも一方では、むしろ子どもの視点か ら考えるのであれば、あくまでそこに対して公的な助成なり手が差し伸べられる前提には、 より質の高いものを求められているという点があるのだと思っています。  例えば、この保育第二委員会においては、いずれ評価の問題を最後に扱っていくことに なると思いますが、また、これは前回、山縣委員が話しておられたこととも絡むのでしょう が、最低基準を含めた日本の保育の制度は、世界的に見ても高いものがあるのだけれども、 それでも一方では、例えばクラスの規模の問題を一つ取り上げたときに、まだまだ十分では ない部分もたくさんあるわけです。繰り返し確認されていることですが、今回の改定が子ど もにとって、よりベターなものになっていく視点が必要だと思っています。さらに子どもの 発達の保障ということで考えると、例えば早朝・夜間保育が、先ほど西田委員からも出され ましたが、子どもにとって良いことなのかどうなのかで言えば、子どもにとって良くないか らやってこなかったという側面がやはりあるわけです。ただし、一方ではそれを利用しなけ ればいけない現実がある場合、そうした保育に対しては当然より高い質が担保されて然るべ きでしょうし、お金がかかるのも当たり前と考えるような考え方になっていかないと、まず いと思われます。であれば、評価のあり方そのものも今後さらに検討される必要があると考 えます。例えば、経費において人件費の比率が明らかに高いのは、それだけ保育というもの の質を決めているのが「人」であるということに他ならないわけです。その質を評価するた めの評価の仕組みを、例えば外国では一般的に行われている「その人がどのような保育をし てきたのか」をポートフォリオ型で集積することによって、その人の取組について評価して いく。あるいは保育の質に対して評価していくなどということが模索される必要があると思 っています。しかもそれは本来「子どもを中心に」という観点で考えれば、無認可・認可に かかわらない問題でしょうし、当然第三者評価の中でも改めて質の担保の在り方については 模索される必要があると思っています。  加えて事業所内保育所の問題も、「子どもを中心に」という観点で考える必要があると思 っています。というのも資料にもあるように、これまでこうした保育は提供者側の視点から 供給されているという話が出ていました。ただ先ほどお話が出たように、「非常に混んでい る電車の中を連れてくる負担は大きいけれども」とおっしゃるのは、私はそのとおりだと思 っているのです。だとすれば当然、働き方の見直しは、企業の側にはより今まで以上にお願 いせざるを得ないでしょう。しかも、実はもう一つもっと大きな問題としては、そもそも「子 どもと家族を応援する重点戦略」の会議の中でもこれまで語られてきたように、地域の中で の育児の孤立感というときによく語られるのは、在宅育児層の親御さんの話です。でも、保 育所に入れている親御さんは孤立した育児ではないかといえば、ものすごく忙しい中で子ど もを預け、仕事に行き、子どもを引き取り、あっという間に家に戻ってという状態であれば、 これは地域の中で暮らすという意味で言えば孤立した育児をしていることにほかなりませ ん。この人たちが小学校に入ったときに、地域の中でつながりがつくれるかどうかという意 味で言えば、それは甚だ心許ないといえるでしょう。とすれば、本当に地域の中で先ほどコ ミュニケーションの話も出ていましたが、地域の中の人であると考えるのであれば、とりあ えず今認可保育所が足りなくて待機児童が多い状況の中で、より質の良い、高い部分を事業 所内で整備していこうということ自体は大事な問題だとは思いますが、もう一歩進めて考え ると、その人たちも含めて、親子を含めて地域の中に根差し、地域の中で新しくきちんとし た関係を築いていくことに対して努力を働かせることが、将来的なことを考えれば必要なこ とではないかと思われてならないのです。事業所内保育所をどのような方向で捉える必要が あるのか。そこには、もちろん経過的には十分先ほども述べさせていただいた質の高さを保 障しなければいけないし、そのための財源も保障しなければいけないのだと思っています。 したがって、例えば私立の保育園でいう民改費に相当するようなものを質の担保に経費をか けるということであれば、場合によってはそういう仕組みを入れ込むことも検討することは 私はあってよいと思いますが、それはあくまで経過の問題として必要であって、子どもの側 から見た質の担保が絶対に図られていくことが前提にないと認められないのだと思います。 制度を変えました。でも質的に低くなってしまいましたというのであれば、変える意味がな いと思われるので、その点については強くというか、再度というか、確認をさせていただけ ればと思います。すみません。長くなりました。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。質と量の問題というのは、ずっと延々いつも議論のすれ違いの 原因になってきてはいるのですが、いずれそのうち収斂していくことにして、ご自由に今の ところを発言していただきたいと思います。 ○西田委員  今ほどのお話の中で、私どもとしては最低基準を満たすことのない施設を公的サービスの 給付対象とするのは認めることはできないと思います。最低基準があって質の担保がされて いるという中で今、議論が進んでいるはずなのに、そうではない、待機児童がいるから質を 下げてでも受け皿をつくるというのは賛成しかねます。それから、認可保育所も実際に多様 なニーズの受け皿として対応しています。しかし十分に対応できないのは、例えば早朝・夜 間保育や延長保育も含めて、そのところが制度上、確立していないのです。例えば、夕方 18時から19時までの子どもは、0歳であろうが1歳であろうが2歳であろうが3歳以上で あろうが、全部同じ条件で保育者は見なければいけないのです。そのような実は一番ケアを 必要としている子どもたちに、現在は手厚くないのです。ですから、私はそのように個別的 なケアを必要としている子どもに対しては、今よりも国が率先して人員配置を手厚くすると か整備環境を具体化することが必要だと思います。そして、逆にニーズが少ないからといっ て、その多様なサービスを受けられない子どもも実はいるわけで、例外なき保育の保障の一 環として整備するように市町村に義務付けることも必要だと思います。例えば、公立保育所 の設置を義務付けるとか、拠点化するとか、いろいろな手法が考えられるのではないかと思 います。  話は出ていませんが、認定こども園ですが、私どもは認定こども園で実際に行われている 保育の質は一体どうなのかということを検証することが必要ではないかと考えています。そ れから、岡委員から話がありましたが、子どもは地域の中で育つのだということで、住所地 の市町村以外の保育サービスの利用は特例とすべきだと思っています。それから、人口減少 地域においての子どもの保育ですが、現在のへき地保育所は、過疎地域における保育需要へ の役割を果たしているにもかかわらず、認可外保育施設として整理をされています。財政支 援が一定水準にとどまっていることを考えますと、こういうへき地の保育所、こうした地域 への先ほどの話にありましたが、財政の最低保障制度の新設というものをもって、小規模サ ービス類型が必要ではないかと考えています。以上です。 ○岩渕委員長  他に。 ○坂崎委員  日本保育協会の坂崎です。4点ほど横断的にお話をしますので、よろしくお願いします。 基本的なところで言うと、保育団体が2月16日の最後の2月24日の第1次報告の前の意 見の中で、質の低下を招かないようにするためには事業者の指定制度の導入には反対をした いと、その時点で表明しているのです。それに対して第1次報告では、最低基準を客観的に 判断しながら指定制を基本としつつ、そこを検討していくというところで終わったのですが、 私は事業者指定ということとは違うところで認可外また小規模、家庭保育、この辺りをきち んと、今まで言われました最低基準でいわゆる質の担保等をやりまして、認可促進事業とし て、ここのところに手厚く進めていくことに関しては、指定制度と違うところでは、非常に 大事だと思います。家庭的保育サービスは保育士でなくてもよいという状況にあるわけです が、例えばこういうことに関して非常に危惧をするわけです。一時期、2、3年ほど前に準 保育士制度というのが話題になったと思いますが、あの時に真っ向から反対したのは厚生労 働省だったと私は思っていますが、どうして家庭的保育サービス5人であれば、保育士でな くてもよいのかということ自体が非常に不思議な気持ちでいます。それくらい、今これだけ 質のことをいわれている時代の中で、誰でもよいのか。例えばそういうことは非常に難しい 問題ではないかと思います。私はこういうことをいうつもりはありませんが、もともと1998 年前まで今の乳児保育は1人当たりという単価ではなくて、乳児保育は指定保育所制度とい うことがありました。その当時の最低基準が5.5平方メートルでしたか。それから現状にな ったときに3.3平方メートルになって、1人当たり5平方メートルが望ましいにもかかわら ず、そこに0歳児の子どもの平米数は3.3平方メートルでもやむを得ないのではないかとい うところで今の乳児保育が進んでいるのです。それが今で始まりますと、乳児保育の平米数 は3.3平方メートルというのが最低基準となり普通になっているのです。ですから、非常に 基本的なところで言うと、岡委員が言われたように、何かしらの枠組みを外すことによって、 そのことがどんどんと違う方向に進んでいくというのは、保育団体としては容認できないと ころであります。そういうことで認可外の施設を含めて、例えば小規模施設などの認可化移 行促進事業も含めて、認可施設になっていただいて、一緒に日本の保育所の中心になってい ただけることが基本だと思っております。  現状の特別保育事業の関連で少し思って、最後の図で説明させていただきました。16ペ ージの「多様な働き方」に対する問題というのは少しあるのではないかと思い、少し話をさ せていただきます。多分これは保育第一専門委員会の方にも少しかかわってくると思います が、現状のフルタイムの方々以外のところを2〜3区分で、きめ細かく対応していくために 何らかフルタイム以外の形のものをつくっていこうというお話を先ほど朝川少子化対策企 画室長からいただきました。このことは、子どもの使う時間数、量から考えると非常に良い 点があるのかもしれませんが、そういうことで事務的な応対を含めて非常に多くなるのでは ないか。現状で非常に良い。例えば先ほどのお話の中で「延長保育は、開所時間の枠を超え て使うような仕組みになっているので難しい、うまく使えていないのではないか」という説 明があったと思いますが、そうすると開所時間を決めずに、それが移動できる。例えば極端 な話ですが、お昼に出てきて、その方が21時や23時まで使ってもよいような、例えば今 は開所時間は11時間ですので、12時に来て23時まで使っても同じという考え方だと考え ると、それは非常におかしいのではないかというのが一つです。それから、積み上げていく 積算方式というのが、本当に正しいのかどうかということが特別保育事業の大きな問題です。 先ほど西田委員がおっしゃったように、今の特別保育事業そのものが延長保育を除いては非 常に曖昧なところにあり、実は財政的な支援も認可保育所そのものの運営費と一緒でなけれ ばできないところがたくさんあるにもかかわらず、それらを区分に分けてやることへの疑問 が一つあります。  3番目には、過疎地というほど過疎地ではないような気がしているのです。多分今回の委 員の中で最も人口も少なく、人もいない所で保育所をやっていますが、現状は随分と違いま す。皆さま方と違うと思うのは、例えばこういうことです。この間も話をさせていただきま したが、地域子育て支援センターを今は小規模でしていますが、来年から町村のお金がない ので、それをやめてくれというのが現状です。それは多くの市ではなく町村です。特に私た ちのような青森県のような所ではそういうことが基本的に行われているわけです。そういう ことの中で、本当に現状の小規模の対応が現状の保育所の中でも、子どもの少ない保育所は 運営費だけでなければ行われていない状況。いわゆる市町村の補助としての単独の補助事業 もなければ、現実的に国の補助事業をやるお金がないので、それさえカットされていってい るのが現実なのです。このことを考えると、例えば地域の子育て支援としての拠点事業だと いくら書いてくださっても、そういう事業を継続できません。こちらの方では非常にこのよ うなことが現実的には行われているわけです。しかしながら、現実的に認可外保育施設のこ とも含めまして、たくさんの方々が公平性を望んでいるということが基本だということは私 もよくわかりますので、ぜひ財源をきちんと用意していただいて、今の認可の基準以上の形 で保育所が行われていくことを望みたいと思います。基本的なことを4点話させていただき ました。ありがとうございました。 ○岩渕委員長  他に。 ○鍋島委員  柏市の鍋島でございます。先ほどから、すべての子どもに保育を保障するという立場の話 から進んでいることには、私も保育士の経験がありますし、実際に自治体の受入れ、市町村 側のそういった方々の実態を見ている現場としては、すべての子どもたちに発達が保障され た保育が行われることが望ましいと重々理解はしているのですけれども、柏市でも待機児童 が大変多くなってきています。それを解消するためには、やはり認可外保育施設、それから 家庭的保育制度といったものを活用しながら、量的な拡充を図りながらということも重々理 解はできるのですけれども、待機児童が多いということで、いろいろな機能を公的保育サー ビスという形で広げていく。その先には公的保育サービスということであれば、当然市町村 の保育の責任が伴うわけです。国からの財政補助がありましても、当然市町村はその何割か を補い支出するような仕組みになっておりますので、やはりその辺りの財源の問題が、拡充 していく上では一番大きいと感じております。  それから、実際に柏市も平成20年4月に中核市になりましたので、認可外保育施設の指 導監査を実際に行っておりますが、保育の質はまだまだ引き上げていかなければ子どもたち の保育の保障に値するような保育は保障できないと思います。例えば、1室の中で子どもた ち20人ぐらいが遊んではいるのですけれども、その施設もパチンコ屋のそばの1室だった り、近くには公園もなく、散歩に行く所もない。そのような所へ指導監査に行ったりしたわ けです。あまりにも雑然としておりましたから、保育士が同行して行きましたので、手遊び などをその場でやってみましたら、実際に子どもたちを保育している人たちは目を輝かせて こういう方法があったのですか、このようにすれば子どもたちは落ち着くのですかというよ うな話がありました。認可外保育所を公的保育サービスの中に含めていくような経過を考え るのであれば、保育士に準ずるということではなく、子どもに接する方々は保育士の資格を 持って、ある程度の保護者支援ができるような方がなっていくような仕組みになるとよいと 考えております。  家庭的保育も同様で、保育士の資格をお持ちの方に子どもたちのすべてを託していく仕組 みが必要ではないかと考えております。  先ほども財源の話をさせていただいたのですが、一般財源化されて何年か経っております けれども、やはり自治体のそれぞれの配分の中で、とりわけ保育の方に振り分けられている ということがどうしてもわかりにくくなってくるのです。それは自治体の考え方にもよるの かもしれませんけれども、保育に投入される部分を明確にいただくような方向で考えていた だければと思います。以上です。 ○岩渕委員長  他に。 ○宮島委員  ありがとうございます。今の子どもたちが置かれている状態は、必ずしもすべての子ども たちが幸せに保育を受けられる状態ではないというところを考えたときに、かねてより主に ベビーホテルに預けられている、保育だけではなくて、もしかしたらもっと支援が必要な子 どもたちのところに、もっと公的資金がいくべきではないかという問題意識を持っていまし た。実はずっと不思議だったのは、どうして公立である保育所などが、まさに「公」が責任 を持った所が夜間保育などをしっかりとやってくださらないのだろうかと思っていました。 さきほどのお話の中で、もしも制度的に何か整備が不足している部分があるならば、そこは 整備するべきだと思いますし、現実に今やっているベビーホテルが、仮にある部分で十分で なかったとしても、それを十分でないから切り捨てるということにしたら、本当に困る人た ちが出るわけです。多分、親たちは本当は子どもたちを夜間に預けたくない、預ける時間は 9〜16時までにしたい、延長保育はしたくない。休日出社もしたくないのですけれども、ど うしてもバッファとして必要な部分はゼロにはできないのです。現実に企業やいろいろな所 で働いている中で、子どもの状況をできるだけ最優先に生活を成り立たせることが日常的に できても、例えば顧客とトラブルがあったとき、何かのときに、それが100%できないとき にやはりそこに救ってくれる部分があるということが、そもそも子どもを産む不安がないと いうことなのだと思います。そうだとすれば、まさに夜間保育などは、本来子どもは夜間に 預けられるべきではないとしても、現実にそういう方の存在を社会的にゼロにできない以上 は、そこにきちんと公費を何らかの形でやはりしっかり支援していくというのがよいのでは ないかと思います。  それから、今ある保育所で理想的な環境ではないところは切り捨てるということをやって いくと、少なくとも今はそうではなくても足りないのに環境が十分でないところが放置され てしまう。親やこれから産もうとしている者の立場としては、使えるものは何を使っても、 あるものをよい方向に生かして早く整備してほしいというのが本当だと思います。例えば、 幼稚園が少しすいているらしい、幼稚園で少し預かってくれないかな、幼稚園でももう少し 延長してくれないかなと。それから私が最近思ったのですけれども、この会の議論は超えて いると思いますが、小学校も敷地が余っていますよね。私の家の近くの小学校は子育て支援 センターにして有効な使い方もしているのですけれども、ある区では小学校の空いている部 分を保育園に転用した所もありますし、学童保育のみならず保育園も小学校が使えるのでは ないか。地域の中で子どもを育てるのにまさに適切ではないかと思います。そういったとこ ろも仕組みを動かすことによってできると思います。  先ほどの保育ママに関しても、今ある保育所と連携していただく姿勢も、おそらく保育マ マをやろうとしているにはありがたくて、保育所の方々が新たに保育ママをやろうしている 人たちの支援をしてくだされば、してくださるほど、きっと安心して保育ママという制度に 乗り込んでくれると思います。今ある制度の中で少し不十分な点があると切り捨てるという 方向ではなく、あるものをいかにアップしていくか。特に支援が届いていないところをいか に支援していくかということを全力でやって、それでもまだ現状は足りないぐらいではない かと思っております。 ○岩渕委員長  はい、どうぞ。 ○菅原委員  この保育第二専門委員会は参入の問題の議論だと思います。認可外の問題をどう扱うかと いうことは、かなり重要なポイントだろうと思っているのです。なぜかと申しますと、例え ば規制改革が活発なころは、イコールフッティングというところで子ども同士を差別するの ではないか、あるいは企業と我々社会福祉法人とではあまりにも差がありすぎるのではない か。その辺のところは正すべきではないかというのが基本的な規制改革の、我々からすれば 効率的な市場化する考え方だということで10年間ずっと反対した経緯があるわけです。  もう一つは話が飛びますけれども、現実問題として、例えば随分と昔の話ですけれども私 の経験では、認可外と無認可施設で12年間の経験があるのです。そのときは看護師が対象 でしたら、夜20〜21時まで保育園をやっていました。そのときの運営が実は成り立たない から、母親たちが一生懸命頑張って、例えばバザーを年に4回か、5回ぐらいやりました。 結局それで財政を支えながら認可外施設をやっていました。もちろん事業所側からある程度 補助金はいただいておりましたけれども、それでもなかなか大変でした。ですから、そのと きに我々は、積極的に公的な補助をもっと出すべきだということを十何年間いろいろと運動 した経験を実は私は持っています。ですから、認可外施設の問題を非常にややこしく複雑に させたのは、私のとらえ方ですけれども、認可外施設でも本当に子どものこと、家庭のこと、 あるいは地域を考えて真面目につくった民間施設もあるわけです。それから一番複雑にした のは、行政が例えば東京都の認証保育所や、小泉内閣のときに認定こども園などを、要する に国や行政のような公的なところが、民間がやっていくような施設を制度的につくったこと が複雑にさせていると思っています。ですから、これをどうやってきちんと認可の方向で収 斂させていくかということは非常に大事なことだと思っています。  もう一つは、認可外施設については、やはりそこにいる子どもたちをどうやって認可施設 にいる子どもと同じような条件なり、あるいは予算的な公の補助なりを受けられるようにし ていくかということは、実は我々認可施設の役割でもあると思います。認可外施設だから、 そこにいる子どもたちは放っておいてもよいという論理は成り立たないという立場に私も 立っています。ですから、我々自身が今度の制度の議論の中の参入問題では、認可外施設を どうやって基準に近いところについて一定の枠組みなり、規制なり、条件なりを付けて、認 可に引き上げていくのか。そういう方向を含めながら一定程度やはり、これは税金ですから 公的な資金ですので、やはり認可施設だけが保障されるという部分にもある程度流れるよう なことを真剣に考える必要がある。しかし、基本はあくまでも認可施設で、どうやってきち んと制度的な方向を確立できるのかということを明確にしていかないと、今の待機児童問題 や民間施設の参入についての問題の解決になっていかないのではないかと思います。そこに 我々自身の保育第二専門委員会の役割が実はあるのではないかと思います。ですから、質の 問題、あるいは財源の問題をクリアしない限りは、もちろんこの問題は、安易にやるべきで はないと思いますけれども、我々はその辺のことを真剣にとらえた議論をしていく必要があ るのではないかと思っております。  それから、同時に今の最低基準は諸外国に比べてもあまりにも低いですし、子どもたちの 育ちには非常に問題がある最低基準だと。一方の最低基準を引き上げながら、同時に認可外 の低い条件、劣悪な条件にいる子どもたちにどうやって解決策を見い出していくのかという ところを真剣に議論して、できれば早い時期に仕組みをつくって、国としての行政としての 政治の力で、それに対する予算を出さざるを得ないような条件を我々がつくっていく必要が あるのではないかと思っております。そのところの議論は、私自身が無認可を12年間経験 したということがありますから、認可外のことは十分私は理解できる立場にいます。しかし、 そこをどうやって救っていくのかということを私自身がやはり責任を持って考えていく必 要があるだろうということを個人的な経験を踏まえて申し上げましたけれども、その辺りの 議論をお願いしたいと思います。 ○岩渕委員長  少し距離が縮まったような気もしますけれども。残り時間があと10分余りになってきま したので、後で後悔なさらないように、思ったことをぜひおっしゃっていただきたいと思い ます。いかがでしょうか。 ○安藤委員  公的保育サービスというものを公的資金が流れていくと考えるならば、認可保育所だけで はなくて、それ以外の所にも流れていく仕組みをつくって、全部を認可外保育所にしようと いうことではなく、そういったところできちんとされている所については、そのようなお金 の支援をして質を上げていって、それから預けている父親や母親に安心していただき、子ど もも健やかに育てていこうということですので、ここに書かれているような小規模保育所や、 いろいろな所がありますけれども、そういう所にも公的資金が流れて、それができることに よって公的保育サービスという一つのシステムができあがると考えていくべきだろと考え ております。 ○坂崎委員  今の話には賛同できないわけですから、それはそれで賛同できないと言っておきます。  市町村における広域入所の関係は、やはりある意味では進めていかなければならないと、 私は個人的には思っております。これは町村合併が非常に進んでいった中で、土地的に市町 村が非常に大きくなってきています。そのことによって、A市になった端が、B町の保育所 の方に近いというのは現実的に起こり得ることなのです。ただ、その調整がやはり基本的な ところで一つ大事なのだろうと思いますし、その町の子どもたちが入れないような仕組みは 駄目なのではないかと思います。  もう一つ、事業所内のことに関して言いますと、事業所内保育所ということと福利厚生と いうことをどのように考えていくのかというようなことが書いてありましたが、そこから考 えると、職場を使っている方々が事業所内保育所として、事業所内保育所が補助を受けてい くということが基本ではないかと思います。以上です。 ○岩渕委員長  はい、どうぞ。 ○吉田正幸委員(部会)  私は保育第一専門委員会の方なので、マイクを持ってよいものかどうなのかと思いました が、保育第一専門委員会にも関連するお話が随分と出ていますので、幾つか申し上げたいと 思います。  その前に、誰もそこまで言っていない話が独り歩きしている部分があるような気がしまし て、別に待機児童がいるから質を下げても量を拡大すべきだと言っている人はただの1人も いないと思っておりますので、その点は誤解のない発言をしていただきたいと思います。  もう一つは、保育第一専門委員会もそうですが、この保育第二専門委員会においても、基 本的には少子化対策特別部会の第1次報告をベースに詳細に制度設計の議論をするという ことですので、その立ち位置というか、視点の置き所を一度確認していただく必要があるだ ろうと。もちろん第1次報告を全部是とするべきだという意味ではもちろんありませんけれ ども、全くフリーハンドで議論する場でもないということで、そこを確認していただきたい ということも前提です。  そこで、ここからが意見ですが、一つは今日の話のベースがニーズの多様化と量的拡大と いうことですが、認可保育所を当然これからもっと増やしていかなければいけない、質・量 ともに高めなければいけないということですが、現実にそれだけで将来本当に全部カバーで きるのかというと、恐らくそれはかなり現実的ではないのではないか。既に現在、都市部で は良し悪しは別として認証保育所という存在が事実上必要とされ、事実上それで恩恵を受け ている方もいる。それから、当然事業所内保育施設というものも存在する、あるいは地方で はへき地保育所というものがある、あるいは部分的には数は少ないのですけれども幼稚園、 あるいは認定こども園が認可保育所の代わりを実際にやっているという現状がある。それは 今後のニーズが非常に多様化し、さらに潜在ニーズも掘り起こして利用的拡大ということで、 認可保育所ですべてこれをカバーできるかというと、私は現実的にそれはないのではないか。 そういう意味では、当然理想を現実に近づけつつも、実際にこれから来るべき近未来をきち んと見据えて、現実的な議論をすべきではないかと思っています。言葉を変えて言えば、こ れも当たり前のことですが、きちんと質を担保することを前提に、認可保育所を質・量とも に拡大することを前提としつつ、多様な社会的資源を排除しないという発想が非常に大事だ ろうと私は思っています。  それから、再三いろいろなところで「公的」という言葉が出まして、これは保育第一専門 委員会の方でも随分と出たので、これは私なりの考えを申し上げておきたいと思いますが、 公的保育ということの大きなベースになるのは公共性があるということ、公益性があるとい うこと、それから持続性、あるいは安定性があるということ、あるいは公平性が担保されて いるということであって、別にイコール公立施設でもなければ、イコール官・行政直轄とい うことでもないということです。公共性、公益性ということで言えば、一番必要なのは今後 さらにより改善されなければいけませんが、ナショナルミニマムとして最低基準できちんと 担保されるということ、あるいは必要な公費がきちんと投入されるということ、あるいは国 や自治体が一定の関与をするということ。こういったことで公共性、公益性が担保されるだ ろうと。  持続性ということで言えば、いわゆるセーフティネットをきちんと公的につくるというこ と。それによって、例えば安易な撤退を制限する、逆選択にならない応諾義務を課す、ある いは本当に親の選択に委ねられない、むしろ良い意味で介入しなければならない家庭に対し て措置的な対応するなど、そういったさまざまなセーフティネットを講じることが必要だろ うと思います。  公平性ということで言えば、基本的にすべての子どもに質・量の保障しなければならない。 しかし、これも就学前の子どもが600万人を優に超えるわけですから、当然それはすべて 保育所ということはあり得ない話です。そういう意味での本来一番ベースになるすべての子 どもの健やかな育ちという点で、質・量ということ。その中での認可保育所の役割と認可保 育所だけでカバーできない多様なサービスの構築も考えなければいけないだろう。公平性と いうことで言えば、当然公費を投入するということで公平性の担保を考えなければいけない。 都市と地方で今後かなり状況が二極化しますので、当然都市においても、地方においても保 育を保障しなければいけない。そういった意味での公平性というものを考えなければいけな い。そういったものを引っくるめて私は公的保育だと思っていまして、イコール厳密な認可 の制度だけと決めつけることはないだろうと思っています。  あと2点だけ申し上げます。もう一つ、多分整理しなければいけないのは、私もまだ明確 に整理しておりませんが、いわゆる定型的な保育サービスと非定型的な保育サービスが、か つてほど明確に線引きできない部分がある。定型的保育サービスも幾つかのパターンで考え なければいけないかもしれない。当然それは認可保育所が中心になるべきだろうと思います。 しかし、それで十分カバーしきれない地域や家庭があり得るわけですから、それは必要に応 じて、それ以外の多様なサービス供給を可能にするという視点が必要だろうと思います。  そして一方で、非定型的保育サービスで言えば、ある種の延長保育や早朝・夜間保育、あ るいは病児・病後児保育といったものがあると思いますが、これは基本的にそもそも多様な 主体があってもよいだろうし、しかし、より認可保育所をさらに拡大できるような方向で制 度を考えるべきだろうと。そして定型、非定型という枠組みに入るかどうかわかりませんが、 一時預かりもそうだと思いますし、子どもに直結する子育て支援のサービスもそうだと思い ます。いわゆる施設に依存しないアウトリーチといわれる、こちらからお届けするようなサ ービスということも多様なサービスとして多分考えなければいけないだろうと思います。  最後に一つです。認可が大原則だと私も思っておりますが、認可がすべてだとは実は思っ ておりません。というのは、認可ですべてカバーされるとは思っていません。その意味は、 量ではなく質の話をしているのですけれども、いわゆる最低基準というのは、こういう言い 方がありますが、外形的な事前規制であって、それは質を下げないことを事前にチェックし 担保する。しかし、実は認可を受けた所がその後10年、20年経って、質が下がっていない かということの証明には実はなっていないということです。従って、この委員会でも後々い ずれ議論しなければいけないでしょうが、やはり評価ということも当然考えなければいけな い。もっと大げさに言えば、大学等ではかなり議論されていますが、いわゆる認可施設とい うのは国や自治体が許認可をするということで、いわゆるチャータリングといわれる世界に なっている。それに対してある種の機能に着目した水準・基準の認定というのは、アクレデ ィテーションという形になっている。アメリカはもともと自由な国ですから、チャータリン グは存在しなくて、アクレディテーションで質の担保をしようという歴史があった。一方で 極端なケースでは、イギリスは国王や女王が勅許して大学を認めるという極めて行政や国の 関与で強いチャータリングが起きた。しかし、そのイギリスでも、ウィーンもそうですけれ ども、やはり質を常に継続的に維持・向上させるためにはアクレディテーションが必要だと いう発想でかなりダイナミックな評価という話に今なってきている。そういう意味では、今 後この専門委員会、あるいは少子化対策特別部会の方もそうだと思いますけれども、質をよ り重視するのであれば、事前規制以上に事後チェックということで、質を重視した評価とい うことを考えるべきだろうし、当然最初に質を下げないという基準は必要だと思いますが、 むしろそこも下がっていない、ところがむしろ質は上がる、あるいは上がるインセンティブ になるような、そこまで組み込んだ大きなシステムでこれは議論すべきで、部分最適の議論 は適切ではないと思っています。いろいろな要素を組み合わせたトータルな全体最適という 視点からの議論を期待したいと思います。以上です。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。貴重なご指摘をいただきました。その中で進め方について一言 申し上げておきます。足掛け3年議論してまいりまして、第1次報告が出て、それを踏まえ た上での議論であるというのは当然のことで、それを踏み外すような非常識な人は多分1 人もいないと固く信じておりますので、その点については第1次報告を踏まえた上で発展的 に今後の議論を進めてまいりたいと思います。  本日の議論を受け止めて、香取審議官から役所側の受け止め方を一つ。 ○香取審議官  今日は大事な議論をしたと思っております。今、最後に吉田正幸委員に今日の議論につい て整理してまとめていただいたので、あまり私からは追加することはないのですが、出てい るということだけで中身のご紹介がなかったのですが、前田委員が紙を出しておられます。 ご案内のように前田委員は横浜市の副市長をされて、日本一待機児童が多い所で同時に他の 市町村とは、けた違いな保育所の整備をしてきた。確か4けたの保育所の定員を増大して努 力された方です。前田委員が引かれた後に発言されているものとしてこの文書を読んでみる と、やはり今日の議論とかかわる部分もかなり多いのではないかと思います。私どもが今日 説明した資料の最後に絵が付いていますけれども、現実に子どもを預けている方が220〜 230万人いまして、実は200万人は認可保育所に入っているということでは、基本的に認 可保育所をベースに物事を考えるというのは、ある意味では当たり前のことなのです。逆に 言えば認可保育所がさまざまなニーズ、さまざまな多様なサービスに、どこまで対応できる のか、どこまでやっていけるのか。そのためにどうやって政府の側で対応ができるのか、支 援ができるのかということは、当然ながら一つの大きな論点になると思います。しかし、同 時に前田委員がおっしゃっていて、今日も何人もの委員がおっしゃっていましたが、保育所 というのは一つのサービスの形、集団保育という形で子どもを預かる形ですから、今、吉田 正幸委員からありましたように、そこですべてが現実にカバーできるのかということは、同 時に問題になるわけです。私どもはこの皆さま方の議論を受けながら、新しい制度の仕組み、 新しい制度の中で、朝川少子化対策企画室長から説明したように、必要な人に必要なサービ スを確保していくために、どのような量的整備、質的な確保、多様なサービスメニュー、切 れ目のないサービスが出せるかということを考えていきたいと思います。一方で現実にたく さんの待機児童がいる、あるいは現実に今のサービスで受け止められなくてこぼれ落ちてい る人がいらっしゃるということを考えていかなればならない。  最後に財源の話がありました。政権も変わりましたし、子育て分野にそれなりに財源を投 入していかなければならないということは、これは恐らく多くの国民が支持してくれるとこ ろだと思いますが、現実に今サービスを投入にしていくときに、税の形であれ、何の形であ れ、負担を何らかの形で求めることになりますと、負担を求める相手は国民です。つまり実 際にサービスを利用する方、あるいは子どもを育てる母親、あるいは子どもたちになります ので、国民あるいは親たちが納得できるような制度、その人たちのニーズにきちんと応えら れる制度でなければ、国民に対して必要な負担を求めることは恐らくできないという気がし ています。質の問題も全く同様で、一定の質が担保されていなければ、それにふさわしい負 担を国民に求めることはできないと思います。  今日は質の話や指定制の話なども少し出ましたので、まだまだ細かい論点、あるいは少し 大きな論点で残っているところがあると思いますけれども、大きな政治の流れで考えますと、 それなりにやはりスピード感のある議論をこれからしていかなければいけないと我々も思 っています。制度をつくる側からしますと、つぶしていかなければいけない論点がたくさん ありますので、できるだけ精力的に我々も担当いたしますので、活発な議論を進めていただ ければと思います。 ○岩渕委員長  本日は限られた時間の中で非常に多岐にわたる検討事項をお願いしたので、言い足りない 点など多数あるかと思います。特に、今のお話などに対する反論もあろうかと思いますので、 言い尽くせなかったご意見等につきましては文書で事務局までお寄せいただければと思い ます。  それでは最後に、事務局から次回の日程について説明をお願いいたします。 ○今里保育課長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては10月5日月曜日16時 からを予定しております。場所につきましては追って事務局よりご連絡させていただきます。 お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただきますようよろしくお願いいたします。 ○岩渕委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)