09/09/10 第23回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録  第23回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日時:平成21年9月10日(木) 10:00〜12:30 2.場所:全国都市会館3階 第1会議室 3.出席構成員:   樋口座長、伊澤構成員、伊藤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、小川構成員、   門屋構成員、坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、   高橋構成員、谷畑構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、   野沢構成員、広田構成員、町野構成員、三上構成員、山根構成員、良田構成員   厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、藤井企画課長、福田精神・障害保健課長、 塚本障害保健対策指導官、林課長補佐、野崎課長補佐、伊藤課長補佐 4.議事  ○ 「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」(報告書案)について   5.議事内容 ○樋口座長  おはようございます。定刻でございますので、ただいまより第23回の今後の精神保健医 療福祉のあり方等に関する検討会を開催いたしたいと思います。  構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとう ございます。  それでは、本日の構成員の出欠状況について、事務局からお願いします。 ○林課長補佐  本日の出欠状況等について御報告をいたします。  町野構成員がまだ御到着されておりませんけれども、間もなくお見えになると伺っており ます。また、本日、末安構成員が12時ごろに御都合により退席されると伺っております。  本日の出欠状況については以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございます。  では、早速、議事に入りたいと思いますが、本日のテーマは、この検討会のこれまで行っ てまいりました議論の取りまとめについてということでございます。本日の進行でございま すが、まず「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」という検討会の報告書案を用意して ございますので、これについて事務局から説明をお願いいたしまして、その後に構成員の皆 様から御意見をちょうだいしていきたいと思います。  なお、今月の検討会の開催については、当初、本日と17日と24日の3回分の日程を調整 していただいているのでございますけれども、御存じのとおり17日と24日の間には大型連 休が入りますし、その間の準備がそれほど十分な時間を確保できないということもございま すので、可能であれば次回17日の回で全体の取りまとめを終わらせたいと考えております。  つきましては、本日できるだけ構成員の皆様から最後の意見出しという形でお願いしたい と思います。恐らくお一人お一人御意見をいただくことになると思いますので、限られた時 間ですので、いつも申し上げますけれども、できるだけ簡潔に、そして、具体的に報告書の どこをどのように修正するかという御提案、そして、その根拠をお触れいただければと思い ます。  それでは、まず、報告書案につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○野崎課長補佐  それでは、資料に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。全体を通してで すけれども、昨年9月に論点整理をおまとめいただきまして、また、昨年11月には地域生 活支援体制の強化という部分について中間まとめをおまとめいただいております。今回の報 告書案ですけれども、その中で現状のようなものは論点整理から引っ張っている部分が多く、 また、地域生活支援体制の強化に関する改革の具体像ということについては、中間まとめか ら引っ張っているところが多くあります。できる限り議論の時間をとっていただきたいので、 全体をざっと手早く説明していきたいと思いますが、主に今回の報告書で追加した部分と、 あとは15回以降に議論いただいた医療の部分を中心に御説明をしたいと思いますので、そ の点御了承いただければと思います。  それでは、まず「はじめに」から入ってまいりたいと思います。最初の段落ですが、ここ は我が国の調査結果、またはWHOのデータに基づいて、いわゆる精神疾患は国民に広くか かわる疾患であるということから始まりまして、また一方で、精神疾患にかかわることによ る本人の生活の質の低下、または社会経済的な損失、更に、自殺の背景には精神疾患が多く 認められているということを書いてございます。  また、こうしたことを踏まえると、精神疾患に対して適切な医療を提供し、早期の症状の 消退・改善を図るとともに、きちんと本人が望むような生活を送れるように支援する体制を 構築することは、生活の質の向上の観点、また、健全な国民生活の発展を図る観点からも重 点的に対応すべき課題であるとさせていただいております。  一方で、「しかしながら」から始まる文章ですけれども、我が国における施策については、 長い間長期にわたる入院処遇を中心に進められてきていると。また、入院医療体制の急性期 への重点化あるいは地域生活を支えるために必要な医療・福祉等の支援を提供する体制の整 備が不十分なままであったという総括をしております。  次の段落からはビジョンのことが書いてございますので、ここは省略したいと思います。  2ページの8行目からですが、この検討会での御議論の経過をずっと書かせていただいて おりますが、昨年9月には論点整理をおまとめいただき、また以後、論点整理に沿って議論 を行い、昨年11月に地域生活支援体制の強化に関する事項について中間的な取りまとめを いただいたということです。  また、14行目、更に本年3月からは、精神保健医療体系の再構築及び精神疾患に関する 理解の進化に関する事項について議論を行っていただいたところです。いろいろ御議論いた だきましたけれども、人員の充実等により精神医療の質を向上するというところについては、 検討会構成員の皆様方の一致を見たのではないかと思いましたので、このように書かせてい ただいております。  また、3ページでございますけれども、ここは論点整理でも書かせていただいたことを大 体内容としておりますが、明治33年の精神病者監護法の制定から始まって、昭和25年に精 神衛生法の制定が行われましたが、それ以降、精神科病院への入院を中心とした処遇が進め られてきたと。  また、昭和40年には精神衛生法の改正が行われて、精神障害者の社会復帰の推進を図っ たものの、我が国においては地域生活を支える支援が不十分であったと。このため、諸外国 では一様に病床削減、地域生活支援体制の強化等により、人口当たり病床数を減少させてい たこの時期に、我が国では精神病床数を急速に増加させたと。また、この時期ですが、措置 入院患者数についても急速な増加を見せているということを書いております。  また、その後の改正の経緯として、昭和62年の精神衛生法の改正、精神保健法への名称 変更と、その後の障害者基本法、精神保健福祉法への改正、障害者自立支援法の成立等々を 踏まえても、いまだその成果は十分実を結んでおらず、依然として多くの長期入院患者が存 在しているという形で沿革をまとめさせていただいております。  4ページからが精神障害者の全般的な状況ということになりますけれども、これも論点整 理に基づくものがほとんどでございますので簡単に触れたいと思いますが、「1.全般的状 況」として精神疾患患者がかなり伸びてきていると。入院患者数について見ると、平成8年 以降32〜33万人の間で推移していると。  「2.外来患者の状況」を見ますと、変化を見るとうつ病を含む気分障害あるいはアルツ ハイマー病などの認知症で外来患者が急増してきているという現状にあると。  「3.入院患者の状況」を見ますと、まずここは疾患、年齢階級、入院期間という形で分 けているわけですが、入院患者さんのまず静態を分析したものですけれども、統合失調症の 患者さんが61%、アルツハイマー病等の認知症患者さんで16%と多くなっていると。  また、その変化を見ると、統合失調症の患者さんは平成11年からの6年間で1.5万人減 少しておりますが、認知症患者さんは一方で1.5万人増加していると。今後、精神病床にお いて高齢化に伴って認知症を主傷病とする入院患者が更に増加する可能性があると。  また、平成14年、平成17年の患者調査の結果に基づいて、統合失調症の患者さんの将来 推計を試みると、平成16年には17.2万人、平成17年と比べて2.5万人の減少、また、平成 32年には14.9万人、平成17年度と比べて4.7万人の減少となるということが推計されてお ります。  また、年齢階級による分析では、65歳以上の高齢者の割合が増加を続けているというこ とを書いてございます。  また、入院期間に及ぶ分析は少し省略させていただきまして、6ページ、こういった静態 を見た上で、こういった現状を踏まえると、今後は入院患者の高齢化も念頭に置きながら、 統合失調症患者さんを中心に地域生活への移行、地域生活の支援を一層推進するということ と、あとは、増加する認知症患者への入院医療の在り方の検討を行うという、大きく2つの 柱があるのではないかという整理をしております。  (2)入院患者の動態の分析をしております。ここは大きく1年未満患者と1年以上患者に 分けております。1年未満患者について見ると24行目で総括しておりますが、精神病床に おいては、1年未満の入院期間について、新規入院患者と退院患者が同程度増加し、患者の 入れ替わりが頻繁に起こっており、入院の短期化が進んでいるといえると。  一方で、認知症についてはどうかと見ると、精神病床全体と比較して、認知症患者の入院 が長期化する傾向が明らかとなっていると。  こういったことを踏まえますと、急性期医療の充実により新規入院患者の早期退院を更に 促していくということと、地域における介護も含めた必要なサービスの確保のための取り組 みを更に強化し、認知症患者を含め、新たな長期入院患者を生み出さないということが課題 となっているとしています。  また、7ページでございますけれども、入院患者、今度は1年以上の動態を見ると、1年 未満と対照的に1年以上入院患者数は23万人弱で大きく変化していないという現状にござ います。  13行目ですけれども、入院の短期化が進んでいる一方で、入院期間1年以上の長期入院 患者では、その動態に近年大きな変化がみられておらず、今後、どのように地域移行を進め、 長期入院患者の減少を図っていくかが課題となっているということでございます。  7ページに、(3)入院患者の状態像の分析と書いてございますが、今回報告書で新たに追 加したものでございます。検討会の資料の中ではお示しした内容でございますけれども、ま ず、身体合併症とADL、IADLについて整理したものでございます。  身体合併症については、高齢になるにしたがってその割合が高まっており、今後更にその 精神身体合併症に対応する機能を確保していくことが課題となっているだろうと。  また、ADL、IADLの状況を見ますと、統合失調症の患者さんでも高齢になるにしたが ってADLやIADLへの支援、特にADLへの支援の必要性が高くなっていると。  また、認知症による入院患者さんの6割強でADLへの濃厚な支援が必要とされていると。  更に、統合失調症の患者さんの退院後の適切と考えられる居住の場について、65歳以上 の患者さんで見ると、介護老健施設あるいは介護老人福祉施設とする割合が合計で3割以上 と高くなっているということでございます。  また、認知症の患者さんが退院できない、退院に結びつかない理由について、転院・入所 順番待ちというのが最も多くなっていると。一定の方でございますけれども、そういうこと になっているということです。  以上を踏まえると、認知症患者さんを含む高齢精神障害者の退院を進めるためには、介護 保険施設を含めてADL、IADLへの支援を必要とする高齢精神障害者にふさわしい生活の 場をどのように確保するかが課題となっているという形でまとめております。  「4.受入条件が整えば退院可能な患者の状況」ですが、ここは9ページの35行目、総 括の部分だけ触れたいと思います。受入条件が整えば退院可能という判断については、評価 者によっては、居住先支援の確保という状況に加えて、将来の状態の改善の見込みを反映し ている可能性があることが示唆されているということと、あとは、ADLやIADLの障害を 主たる原因として入院する患者さんがいらっしゃるということが明らかにされていると。ま た、精神症状以外の側面が退院を阻害する大きな要因となっているということも示唆されて いるという形にしております。  以上が現状となります。  「III 改革ビジョンの後期重点施策群の策定に向けて」で基本的考え方を書き、IVで改革 の具体像を示すという構造にしておりますが、まず「1.改革ビジョンとその評価」として おります。特に目標について、もう一度おさらいをしようということでございますが、まず 改革ビジョンでは、大きく達成目標として、[1]国民意識変革の達成目標、[2]精神保健医療福 祉体系の再編の達成目標の2つを掲げています。  また、23行目から書いておりますのは、ビジョンの[1][2]に加えて、受入条件が整えば退 院可能な約7万人の解消あるいは精神病床数約7万床の減少について記載されているとい うことでございますが、これらについては、むしろ改革ビジョンに盛り込まれた施策の実施 あるいは精神保健医療福祉体系の再編に関する目標の取り組みにより達成が結果として期 待されるという位置付けであったということでございます。  それぞれについて見ると、[1]受入条件が整えば退院可能な者については、10年後の解消 を図るとされておりまして、[2]精神病床数についても12ページを見ていただければと思い ますが、都道府県が医療計画において定める基準病床数が減少することをもって病床数の減 少が促されると。これを2015年には約7万床相当の減少が促されるという形で記載してお ります。  その達成状況を整理したのが12ページでございますが、まず国民意識変革の達成目標に ついては、統合失調症への理解が遅れているといった課題で不十分な面はありますけれども、 そもそも掲げた達成目標については一定成果が認められているのではないかと考えており ます。  また、精神保健医療福祉体系の再編の達成目標として、残存率・退院率の状況を記載して おります。  また、受入条件が整えば退院可能な約7万人という指標については、ビジョン当時は平成 14年の患者調査に基づいて7万人とされておりましたが、直近の平成17年の患者調査では 7万6,000人となっているという状況でございます。  また、精神病床数について見ると、改革ビジョンに基づいて新しい基準病床数の算定式を 策定し、それに基づいて各都道府県で基準病床数の算定をやり直したということでございま して、その結果として平成20年4月時点での基準病床数の全国総数を見ると、改革ビジョ ンで示した2010年時点での基準病床数の試算を下回る水準となっていると。つまり、改革 ビジョンで示した方向には一応、基準病床数の見直しという意味では向かっているというこ とでございますが、一方で13ページに記載しておりますように、精神病床数そのものはほ とんど減少してきていないと。  その背景としては、地域資源の整備の状況に加えて、都道府県が基準病床数の達成に向け て取り組むとか、あるいは個々の医療機関が患者さんの療養環境を改善する、あるいは人員 配置を充実する、それを病床の減少等を通じてやるといったような医療の質の向上のための 取り組みを直接的に支援するような施策が十分講じられていないのではないかと整理して おります。  (3)改革ビジョンの目標設定に関する評価ということで、達成目標について「こころのバ リアフリー宣言」のような国民一般を広く対象とする普及啓発については、目標値を定め推 進していくことについては上記のような普及啓発の効果、つまり早期における適切な支援に 結びつけるとか、地域移行を円滑にするといったような施策の効果を十分に把握することは 困難ではないか。  [2]精神保健医療福祉体系の再編の達成目標については、平均残存率、退院率の目標値とい うのは転院・死亡を含めたすべての退院がカウントされるということから、必ずしも在院患 者数の減少の指標とならないという課題があると。  また、精神病床全体を包括した目標設定でございますので、統合失調症、認知症などさま ざまな分野の施策の効果が反映されにくいというような課題を挙げております。  [3]受入条件が整えば退院可能な7万6,000人という指標については、3年に1回の患者調 査における主観的な調査項目に基づいているということと、また、例えば、退院のハードル が下がれは下がるほど、この受入条件が整えばという数値については上がってくる可能性が あるというような課題があると考えておりまして、14ページに書かせていただいてるよう に、経年的な施策の根拠としては、その効果や達成状況を適時に把握することができる別の 客観的な指標が必要ではないかと考えております。  [4]精神病床数については、ビジョンで掲げられたものということと、都道府県が既に基準 病床数の算定式に基づいて算定して、それに基づいて施策を進めているということを踏まえ ると、病床数の適正化により人員配置を充実し、量の質を向上させるという観点から、今後 も引き続き誘導目標として掲げることが適当であるという整理をしております。  そういうことを踏まえまして「2.今後の精神保健医療福祉改革に関する基本的考え方」 を書いてございます。  まず最初に、現在の長期入院患者の問題は、入院医療中心であった精神障害者施策の結果 であり、行政を初めその関係者は、その反省に立った上で入院医療中心から地域生活中心へ という基本理念に基づいて施策を進めていくということを書いてございます。  18行以降の「○」は、その際の視点を3つ掲げさせていただいております。国民から見 た視点、あるいは精神障害者御本人から見た視点、あるいは医療サービスや福祉サービスに 携わる従事者からの視点ということで書かせていただいております。  具体的な方向性については、14ページの下から書いております4つの柱で進めていって はどうかと。[1]精神医療の質の向上、[2]地域生活を支える支援の充実、[3]精神疾患に関する 理解の深化、[4]地域生活への移行・定着支援ということを方向性としてはどうかと。  また、具体的な施策の柱については、精神保健医療の改革のための施策を中核として位置 付けた上で、1)〜4)の柱に沿って具体的施策を構築していってはどうかと考えているとい うことでございます。  16ページ以降が、具体的な改革についての具体像をお示ししたものでございます。先ほ ど申しましたように、精神保健医療体系の再構築、精神医療の質の向上、地域生活支援体制 の強化、普及啓発の重点的実施という4本の柱に沿って整理しております。恐れ入りますが、 時間の関係もございますので、現状のところは検討会で既にお示ししているデータが大半で ございますので省略をさせていただいた上で、改革の基本的方向性、改革の具体像を御説明 申し上げられればと思います。  まず、22ページでございますけれども、(2)改革の基本的方向性。精神保健医療体系の再 構築に関する基本的方向性ですが、医療制度全体に係る近年の取り組みの状況や、医療・介 護一体となった今後の改革の方向性も念頭に置きつつ、人員の充実を促すこと等を通じて、 精神保健医療の水準の向上を目指すと。  次に、入院医療中心から地域生活中心へという基本理念の実現に向けて、精神医療の提供 体制についても地域で精神障害者を支える体制への再編を図ると。このため、これまで入院 医療を中心に精神障害者の方々の支援を担ってきた医療機関等が、円滑に訪問診療・訪問看 護等の地域生活を支える機能を充実させていくことを促すための方策を検討する。  また、病気・疾患等に応じて入院医療を初めとする医療機能の在り方を明示した上で、将 来的な病床の機能分化や精神医療体制の姿を提示すると。  またその際、入院医療については統合失調症、認知症、身体合併症を特に重点的に対応す べき領域として位置付け、入院医療の再編・重点化を進めると。その際、統合失調症等の入 院の短期化、認知症患者の増加等の疾病構造の変化等を踏まえて、疾患に応じた将来的な入 院患者数の目標の設定等を行い、更には病床の必要性を明確化すると。  その際、精神病床・介護保険施設等の入院・入所機能の在り方、介護保険施設等の生活の 場の確保等を含めて、認知症に係る体制の全体像に関する検討を行うと。これを踏まえて地 域生活支援体制の整備を進めるとともに、医療についても人員構造等の基準を明らかにし、 それに応じた適切な評価を行いつつ、統合失調症患者の地域移行を更に促進するなどして、 病床数の適正化を図る。また、高齢精神障害者の方々については、多くがADL、IADLの 支援を要する状況であることを踏まえて、生活の場の確保のための具体的方策を検討すると。  また、精神疾患の発症を早期に安心して適切な支援を受けられるような体制を構築すると。  24行目からは、制度的な対応を充実するとしております。  (3)改革の具体像については、[1]入院医療の再編・重点化とございますが、段階的に人員 基準の充実を目指すと。このためまず、患者の状態像等に応じた人員基準とその評価の充実 を図る。それに並行して医療法に基づく人員配置標準の見直しにより、精神科全体の全員配 置を向上させると。  特に、医療法に基づく人員配置標準における看護配置の経過措置については、看護職員の 確保の状況、地域医療への影響等も見極めながら見直しを検討すべき。  更に、精神病床数の適正化等の取り組みも進めながら、治療環境の改善や将来的な人員配 置の一層の向上を目指すと。  また、患者の心身の状況に応じた、あるいは重症度に応じて評価を行う体系の導入につい て検討すべきと。そのために必要な調査・分類・評価方法の開発を進めるとしております。  各論でございますけれども、統合失調症についてまず書いておりますが、先ほど申し上げ ましたように、統合失調症の入院患者数は今後現状のとおりであっても減少していくという ことが見込まれていると。  これを一層加速する観点から、統合失調症の入院患者数について、改革ビジョンの終期に 当たる平成26年までに15万人程度、平成17年と比べて4.6万人程度を減少するということ を目標とすべきではないかと。具体的な方策は、下に各般の施策を講じるとして書かれてお ります。  また、26行目ですが、平成26年の改革ビジョンの終期において、その達成状況も踏まえ つつ、平成27年以降における更なる減少目標値の設定、各般の施策の展開による実現を目 指すということを書いてございます。  その際、高齢精神障害者の方々については、障害福祉サービスに加えて介護保険サービス を活用した生活の場の確保を図るということについても検討すべきであると。  また、認知症については、平成22年までのものとして行われている調査を踏まえて、精 神病床や介護保険施設等の入院・入所機能と、その必要量等を明確化すべき。  また、入院が必要な認知症の患者像を明確化した上で、その専門医療としての機能強化を 図っていくということが書かれております。  また、認知症高齢者の心身の状態に応じた適切な支援を提供すると。また、精神科の専門 医療を機能させるというためにも、入院治療を要さない者が入院を継続することのないよう、 介護保険施設等の生活の場の更なる確保、外来医療介護保険サービスの機能の充実について 検討すべきと。  なお、生活の場の更なる確保に当たっては、既存の施設に必要な機能を確保した上で、そ の活用を図るという視点も必要ではないかと考えていると書かせていただいております。  また、身体合併症について、急性・慢性疾患のために入院を要する認知症高齢者に対し適 切な医療を提供するという観点から、一般病床、療養病床の認知症対応力の強化を図る。  また、慢性期の身体合併症について、精神症状の面で入院が必要な認知症患者さんを診て いらっしゃる精神科の病院についても、一定の対応ができるような必要な方策を検討すべき だとしております。  また、33行目からが身体合併症に関するものでございます。まず、一般病床における身 体合併症患者の診療体制を確保する観点から、精神科リエゾン診療の充実を検討すべきだと。 また、併せて医療法施行規則第10条3号の規定についても、身体合併症への対応を円滑化 する観点から見直しを検討すべきであると。  また、26ページの6行目からの2つの「○」については、総合病院精神科について精神 病床の確保とともに、その機能の充実を図るための方策あるいは従事者の負担軽減の方策で あるとか、ほかの医療機関等との連携の拡充についても検討すべきだと。  また、精神科病院においても、身体合併症について、一定程度の入院医療管理を行うなど の役割を発揮できるための方策を検討する。  また、精神科医師のキャリアにおいても、きちんと合併症診療の経験が積極的に評価され るように連携していくということです。  17行目、その他の疾患については、近年やや減少傾向にあるわけでございますが、多様 な疾患等に対応する入院医療体制を確保するという観点から、これについては当面これまで と同程度と見込むということが適当であろうと考えております。  [2]疾患等に応じた精神医療等の充実ということで、それぞれ気分障害、依存症、児童・思 春期精神医療ということで書かせていただいております。詳しい説明は省略させていただき たいと思います。  27ページの29行目ですが、[3]早期支援体制についても、まずは若年者が統合失調症を発 症した場合の重症化の予防のため、また、その他のさまざまな精神症状に的確に対応するた め、まずはモデル的な実施検証を経て、段階的に早期支援体制の構築に向けた取り組みを進 めていってはどうかということで、例えば我が国において、早期の標準的診療・支援方法の 確立、あるいは予後の改善に関する効果の検証を行う、あるいは医療機関、相談機関等の具 体像を明らかにするといったようなことを書いてございます。  また、28ページの10行目でございますけれども、早期発見した場合には適切な診療・支 援の提供が不可欠であるということを踏まえて、精神医療の質の向上の取り組みとともに早 期支援の体制整備を早期かつ重点的に進めるべきだとしております。  [4]ですけれども、更にそういったそれぞれの入院医療あるいは個々の医療機関の機能とい うことに加えて、地域でどういった精神医療体制をつくっていくかということを書かせてい ただいております。  最初の「○」でございますけれども、まず、精神疾患患者の地域生活を支援すると。その ための地域医療体制の整備・確保を図ることが最も重要であるということを掲げてございま す。このため、個々の精神科医療機関が責任を持って精神医療に当たることはもとより、在 宅・外来医療を含めて地域生活を支える機能を充実すると。また、それによって患者の身近 な地域で医療体制を確保することとしております。  このため、精神科病院あるいは診療所、訪問看護ステーションがそれぞれ訪問であるとか 在宅であるとか、在宅医療、救急医療といったことに参画していくということを促していく。  また、その連携を図っていくというのが24行目の「○」でございます。  このほか、地域医療を支えるという機能のほかに専門的な機能として、以下のような類型 化された機能を担う精神科医療機関が必要ではないかと。例えば、高次の精神科救急を行う 精神科病院、いわゆる総合病院精神科等々について、こういったものが必要ではないかと書 いております。  今のような観点も踏まえて、精神保健医療体系の改革に当たっては、医療計画において目 標や医療連携体制を定める4疾病5事業として精神医療を位置付けることについて検討す べきであると。その際、精神医療については、既に5事業の中で精神科救急医療が位置付け られているということも踏まえると、5事業としての位置付けを検討すべきではないかとし ております。  [5]精神科医療機関における従事者の確保でございます。まずは、精神科従事者の確保を図 るということが18行目からの「○」で書いてございまして、その上で、医療従事者は有限 であることを踏まえて、精神医療の中でも最も必要な分野に重点的に医療従事者を確保する。  具体的には、長期入院患者の病棟等に勤務する医療従事者と比べて、在宅であるとか、救 急・急性期等々、今後需要の見込まれる分野に勤務する従事者が相対的に増加するようにす る。  また、病棟から訪問看護等への地域医療への再配置が円滑にできるように支援するとか、 あるいは新たな分野に従事する従事者の質の向上を図るという観点を踏まえた研修等の実 施が必要であろうと考えております。  30ページからが「2.精神医療の質の向上」でございます。ここについては、改革の具 体像について御説明申し上げますが、まず、精神科における診療の質の向上として、難治例 や特殊例以外では、まずは標準的な治療が実施されるように促すと。そのための診療ガイド ラインの作成、普及、患者等への公開といったような取り組みを進めていったらどうかと。  また、特に統合失調症に対する抗精神病薬の不適切な多剤・大量投与については、改善を 図るため、投与情報公開、単剤処方や切り替えへの評価等の方策について検討すべきである 等が書いてございます。  また32ページ、[2]精神科医をはじめとした医療従事者の質の向上については、専門医制 度の定着を図るとともに、研修内容、精神療法、児童思春期精神医療を含めて研修体制の確 保、研修内容の充実を図っていくと。  また、医師以外の医療従事者についても、関係者と連携として資質向上のための研修等を 一層推進すべきだとしています。  また、[3]研究開発の更なる推進・重点化については、研究を更に推進していくという中で、 具体的には国民の疾病負荷の軽減に資するよう、精神疾患の病態の解明や診断治療法に関す る研究を活発に行うべきだとしております。  33ページからが「3.地域生活支援体制の強化」でございます。ここでは大きく地域生 活を支える医療と福祉サービス等の内容、あるいは相談支援、あるいは就労支援といったも のを一括して書かせていただいております。  38ページに(2)改革の基本的方向性がございますけれども、精神科救急医療の充実、提供 体制の強化、在宅医療の強化・重点化など地域生活を支える医療体制の一層の充実を図る。  相談支援については、その充実強化を今後の施策の中核として位置付けると。ここは中間 まとめの記載のとおりでございます。  また、33行目からについても大体中間まとめと同様でございますが、障害福祉サービス の充実と併せて、地域自立支援協議会の機能の充実、ケアマネジメントを行う機能の充実を 図ること等により、その支援体制の一層の充実を図ると。  また、入院医療の再編・重点化等の取り組みと、地域生活支援の強化の取り組みが一体的 に行われるように、障害福祉計画における見込み量等についても、入院医療の再編・重点化 の目標等に即した目標値を設定するとしております。  (3)改革の具体像についてでございますが、[1]地域生活を支える医療機能の充実・強化の 「ア 精神科救急医療体制の確保」ということで、精神科救急医療体制の制度上の位置付け、 あるいは精神科救急医療システムの機能評価であるとか、すぐれたシステムに対する財政的 な支援、あるいは救急情報センターが一般救急との連携調整を図れるようにするための機能 強化、あるいは一般救急の体制との連携について、いわゆる地域での搬送受入れルールの策 定において、精神身体合併症患者も対象とするように促すということについて検討すべきだ と。  また、24行目からは、更に一般救急と精神科救急の連携について書いてございます。  「イ 精神科医療施設の精神科救急医療体制における機能」ということで、一時的な救急 医療については、診療所を含めた地域の精神科医療施設が自ら役割を担うとともに、夜間・ 休日を含めた精神医療のアクセスの確保を図ると。  その中で、常時対応型、24時間365日の施設については、救命救急センターを参考に、 施設の機能評価を行い、機能の向上を図ることとしております。  また、「ウ 精神保健指定医の確保について」については、中間まとめそのままの記載と しておりますので、省略させていただきます。  「エ 未治療・治療中断者等に対する支援体制の強化について」として、未治療や受診中 断者が強制入院を要する状態に至らないよう、在宅の患者への訪問診療を含む支援体制を強 化すると。  このために、行政機関が機能を一層発揮するほか、重点的・包括的な訪問診療等を行う医 療機関等が連携を図る、あるいは多職種チームによる危機介入の支援体制について、モデル 的な事業の実施・検証を経て整備を進めていくこととしております。  「オ 精神科訪問看護等の充実について」、在宅治療の充実を図っていくということを基 本的な考え方として、具体的には訪問看護ステーションの活用を図りながら、精神科訪問看 護に一層の普及を図るということでございます。  また、長期入院患者も含めた精神障害者の地域移行を更に推進していくことを見据えて、 症状が不安定であり、多様な生活支援を要する特性に対応できるように、在宅医療の機能を 充実する。特に、福祉サービスの利用の連絡調整、病状不安定な対象者への訪問が効果的に 行われるよう体制の強化を図る。  また「カ 精神科デイ・ケア等の重点化等について」ということで、最初の「○」では対 象・利用機関・実施内容を明確にして、機能強化してデイ・ケアの整備を図る。  また、利用者のニーズ・目標に応じた対象者利用目的等が福祉サービスと重複しているデ イ・ケアについては、利用者が徐々に障害福祉サービスに移行できるよう、障害福祉サービ スの充実等を図っていくと。  また、利用者の地域生活における自立をより促す観点から、長期にわたる頻回な利用、長 時間の利用については、それが漫然としたものにならないよう促す方策を検討するというこ ととしております。  41ページの25行目から、[2]障害福祉サービス等の拡充ということで「ア 相談支援・ケ アマネジメントについて」と書いてございますが、相談支援については基本的に中間まとめ の記載を踏まえたものとなっております。  42ページの「自立支援協議会の活性化」についても同様でございます。  また、11行目からの「ケアマネジメント機能の拡充」については少し説明したいと思い ます。精神障害者の地域生活支援のための基本的な体制として、地域において相談支援を担 う事業所が医療機関と連携を図りながら、ケアマネジメントを実施する体制の確立が求めら れると。  このため、まず障害者自立支援法の中でのサービス利用計画について、その対象者を更に 拡大すると。また、精神障害者の状況に応じたケアマネジメントが促進されるように作成手 続の見直しを図ることとしております。  また、24行目からは、更に入院を繰り返す者など、重症の精神障害者の地域生活支援に 当たって、訪問看護ステーション等においても、ケアマネジメントの理念に基づいて多職種 連携のもとで、状態の変化に応じて迅速・適切な支援を提供するとともに、適切なマネジメ ントを通じて障害福祉サービス等による支援が円滑に提供されるよう、地域において相談支 援を担う事業所との密接な連携を図ると。  その中でも、極めて重症な者については、重点的・包括的に支援を行う仕組みの構築を図 ることとしております。  また、それについては36行目からでございますが、モデル的な事業の実施・検証を経て、 行政機関の関与の在り方も含めて、具体的な体制の在り方について検討する。あるいは対象 者の明確化を図ることとしております。  43ページの「相談支援の質の向上」「相談体制における行政機関の役割」「精神保健福祉 士の養成のあり方等の見直し」については、中間まとめを踏まえた記載としております。  「イ 住まいの場の確保について」も、若干修正はございますけれども、基本的に中間ま とめを踏まえたものとなっておりますので省略したいと思います。  44ページ「ウ 生活支援等障害福祉サービス等の充実について」も同様でございます。  また、45ページ「エ 入院中から退院までの支援等の充実について」も、中間まとめを 踏まえたものとなってございますので、省略させていただきたいと思います。  47ページ「4.普及啓発(国民の理解の深化)の重点的実施」については、48ページの(3) 改革の具体像に基づいて説明させていただきたいと思います。  精神疾患の早期発見・早期対応による重症化の防止を図る観点から、学校の生徒等の若年 層とそれを取り巻く者を対象として、発症早期に支援を受けられるように学校教育分野との 連携、必要なサービスの確保を図りつつ、適切なメッセージと媒体による普及啓発を行うと。  とりわけ統合失調症の正しい理解を医療関係者、社会的影響力の強い者を含めて各層に促 すため、対象に応じた普及啓発における基礎情報とするために情報源の整備を進める。  特に、検討会の中で御紹介いたしましたが、新聞報道等を踏まえて上記情報源を活用しつ つ、報道関係者に向けたものも含めて治療法、支援策や研究成果等についての情報発信を充 実させると。  また、地域移行を円滑にする観点からも、普及啓発については、地域移行を着実に実施す るとともに、地域レベルでの当事者と住民との交流活動の推進など、当事者の視点を重視し た啓発や当事者から学ぶ機会の充実を図ることとしております。  以上を踏まえ、49ページからが「5.改革の目標値について」ということでございます。 (1)今後の目標設定に関する考え方でございますが、具体的目標について、施策の実現に向 けた進捗管理に資するように、施策の体系、患者像の多様性も踏まえた適切な目標を掲げる として、具体的には、受入条件が整えば退院可能な者に代わる指標として、統合失調症によ る入院患者数について目標値を定め、定期的かつ適時に把握できる仕組みを導入する。また、 認知症については、平成22年までのものとして行われている調査を踏まえて、適切な目標 値を定める。  また、障害福祉計画における目標値についても、整合性を図りながら見直しを行う。  また、医療計画の目標設定を踏まえながら、精神医療提供体制を構築する際に活用できる 目標設定についても検討を行うということでございます。  精神病床数については、改革ビジョンに基づき設定された基準病床数を誘導目標として引 き続き掲げ、その達成に向けてサービスの一層の整備を進めることはもとより、都道府県や 個々の医療機関による取り組みを直接に支援する方策の具体化を図る。  また、その上で、疾患ごとの目標値の進捗状況等を踏まえて、基準病床数算定式について 更なる見直しを行うこととしております。  50ページには(2)今後の目標値について書いてございます。「I 改革ビジョンにおける 目標値(今後も引き続き掲げるもの)」ということで書かせていただいております。  また、「II 新たな目標値(後期5か年の重点施策群において追加するもの)」として、統 合失調症による入院患者数を先ほど申し上げましたように、平成26年をめどに15万人ぐら いまで減少させると。また、認知症に関する目標値については、平成23年度までに具体化 することとしております。  また「III 施策の実施状況に関する目標」については、要は施策の実施のプロセスを評価 するということでございますので、個々の事業単位で別途設定することとしてどうかと考え ております。  51ページからが「V 今後の課題」として残ったものということでございます。  まず「1.精神保健福祉法に関する課題」について整理をさせていただいております。27 行目からが今後の方向性でございますけれども、本検討会においては、精神保健福祉法の見 直しに関する意見の集約を行うことは時間の都合上困難であったけれども、以下の点を初め とする課題に関する検討の場を設け、検討に着手すべきだとしております。家族の同意によ る入院制度、保護者制度等々を課題として挙げてございます。  また、こういった制度全体にかかわる課題のほかに、いわゆる運用上対応できるようなも のについては、随時検討を行い、必要な対応を図っていくということでございます。  52ページの「2.改革ビジョンの検証」を、もう一つ今後の課題として掲げております。 ビジョンの終期に当たる平成26年をめどとして、改革ビジョン10年間の取り組みについて 評価を行うとともに、新たな重点施策の策定、目標値の設定等の対応を図るなど、不断の改 革を重ねていくこととしております。  最後に53ページにまとめておりますが、「おわりに」ということで6行目から、改革ビジ ョンの後期5か年の重点施策群の策定に当たることはもとより、平成22年の診療報酬改定、 平成24年の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス報酬の改定など、さまざまな見直しの 時期をとらえて着実に改革の具体化を進められたいという形で、報告書案を事務局案として 提示させていただいております。  よろしくお願いいたします。 ○樋口座長  ありがとうございました。  大変ボリュームがある内容の説明をいただきましたので、この後、早速質疑にさせていた だきますけれども、冒頭申し上げましたように、本日恐らく意見出しとしては最後の場にな ろうかと思いますので、恐らく全員の方がそれぞれ発言の準備をされていると思います。皆 様の発言を保障できるように、時間は限られておりますので、簡潔にどこのページのどこの 部分について、具体的にどう修正あるいは追加をすべきかという御意見を中心にいただきた いと思います。  それでは、区切っていると積み残しになってしまうおそれがありますから、特に区切りま せんので、どなたからでも御発言いただきたいと思います。 ○谷畑構成員  ここまでまとめていただきまして大変御苦労様でした。1年半お付き合いをさせていただ きまして、いろいろな意見が出てまとまるのかなと思っておりましたけれども、しっかりと まとめていただいたものを見ると、とてもうれしく思っております。  実は、次回は議会の本会議ですので、欠席ということで今日が最後ですので、恐らく1年 半見ておりますと、最後の方になると発言の時間もなくなるかなと思いまして、最初に手を 挙げさせていただきました。  座長がどこをどのように具体的にということをおっしゃったんですけれども、最初からそ れを崩してしまって恐縮ではございますが、私自身が政治に携わっている多分唯一の人間な ので申し上げさせていただきますと、8月30日の選挙後のことでございます。これはそれ 以前から議論させていただきましたけれども、私も市役所の中で民主党のマニフェストをチ ェックしろということは選挙の最中から準備をさせていただいておりました。その中で、私 自身は自民党も民主党もない、推薦ももらっていないので両方からいじめられるような立場 にございましたので、その点は別に民主党に肩入れするというわけではないんですけれども、 昨日、連立合意がありましたので大きく方向性が変わってくるのではないかと思っておりま す。  マニフェストの中を評価させていただきますと、やはり障害者等が当たり前に地域で暮ら し、地域の一員として共に生活できる社会をつくるという項目の中で、障害者自立支援法の 廃止ということが大きくうたわれているわけでございます。障害者総合福祉法をつくるとい うことになっているんですけれども、ここで一番大きく問題になりますのは、自治体によっ ては財政負担の問題でございます。ですから、障害サービス計画の中も見直さなければなら ないと思いますし、大きな影響があるわけですが、やはり前回の中間まとめのときに憲法上 の要請として、自治体の自主財政権について確保していただきたいということを申し上げて お任せをしたら、国と地方が協力してというような形でおとまめいただいたわけでございま す。ですから、その中で先進的に取り組んでいるところをきちんとカバーしていただくよう なことが大事なんですけれども、それが新政権の中でどれだけしていただけるのかなという 思いもございます。ですから、一括交付金ということも言われておりますけれども、国にお いてナショナルミニマムはしっかりと確保していただきたいという思いが一つございます。  もう一点といたしましては、2項目目として我が国の障害者施策を総合的かつ集中的に改 革し、国連障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備を行うために、内閣に障害者制度改 革推進本部を設置すると書いてございます。国連の障害者権利条約につきましては、皆様御 承知おきいただいていると思うんですけれども、やはりその中においては法的な、また、行 政的な措置をしっかりしなさいということが書かれているわけです。それをしていないとい うことについては、合理的配慮を欠くこと自体が差別だということが明記されておりますし、 更には、身体の自由及び安全という面においては、その権利を共有すること、また、不法に または恣意的に自由を奪われないこと、いかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在に よって正当化されないことということが明記されているわけでございます。これを批准する ということになりますと、恐らく以前から広田構成員が言っておられるようなことが表に出 てくることになってこようと思うわけです。  実際、昨日夜、退庁する際に、社会福祉の担当の前を通りましたら課長に呼び止められま して、立ち話で1時間ぐらいしゃべっていたんですが、やはり地域移行というのは非常に難 しいところがありまして、それはどうしても病院で囲い込んでしまうという傾向があるとい うことでした。ですから、その辺のところもしっかりと見ておかなければならない、退院促 進ということをしっかりしていくことが必要ではないかと思うわけです。  ただ、この報告書自体は、これまでずっと議論の中でまとめてこられたものですので、そ の根底を覆す発言というつもりはないわけです。ただ、ここにおられる方々は利害関係を持 たれた方ばかりだと思いまして、その中で、最大公約数的にまとめられたものが新政権の中 でどういうふうに扱われるのかなという不安がございます。  そういった中で、この検討会が合理的配慮にもとるということを言われないようにしてい く必要があるのではないかと思っておりまして、具体的にということですので、最後の53 ページの「おわりに」になるんですけれども、6行目の「本検討会の意見を十分に踏まえて」 の前に、51ページの「V 今後の課題」を引用しまして、「今後の課題については」と入れ まして、それから、9行目の「見直しの時機をとらえて」の後に、例えばですけれども、「16 日に発足した新政権において精神障害者の人権・自由が平等に享有されるよう、地域主権と 国のナショナルミニマム確保の責任のもと、着実に精神保健医療福祉改革の具体化を進めら れたい」というような具合に最後をまとめてみてはいかがかと思っております。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、ほかにございますか。 ○長野構成員  原則を崩して申し訳ないですが、全般的なことで少し気になる点があります。各論の積上 げを実際してきた結果こういう報告書になる、報告書としては本当によくまとまっていて力 強いなと思うんですが、現場でやっていて思うことですけれども、改革ビジョンの評価につ いて、私はもう少し高く評価していいんじゃないかと思います。長い入院医療を中心に何十 年も続いた入院医療から、入院じゃなくて地域なんだということを大きく風穴を開けて、大 きく方向転換をしたという点では、改革ビジョンはもっと高く評価していいのではないかと。  実際、改革ビジョンが起きてから地域は随分元気になって、全国各地で本当にいろいろな 活動が芽吹いてきていると思うんですね。就労支援などというのは本当に劇的に変わってき ましたし、更に医療現場にいて驚くのは、経営者がまだ心配が大きくて方向転換を十分でき ていないのはよくわかるんですが、病棟の中のスタッフに地域にという意識が随分芽吹いて きている、これはもう全国各地で芽吹いてきていると思うんです。意識の醸成が十分されて きていると思います。  改革ビジョンも以前は、私どもが病床を減らすと言ったら、ちゃんと受け入れて病棟を減 らすのと随分言われたのが、減らすことが推奨される、これも大きな方向転換だろうと思う ので、もっと高く評価されるべきではないかと思います。長年、何十年続いた入院医療中心 が、改革ビジョンが出たからと5年で簡単に数字が出てくるとはやはり思えなくて、数字に 出てくるのはこれからなのだろうなと痛切に思うんですね。  今回とても大事なのは、やはり地域でやるんだということをもっと力強く、更に加速をさ せるし、歩みを止めないような記載が何かできないかなと思っています。  もう一つ、入院から地域へというのは、やはり過去の清算であって、これから向かうべき 方向とはちょっと違うんじゃないかなと。これから向かうべき方向というのは入院から地域 ではなくて、そもそも生活は地域の中にあって、必要時入院を使うんだというような観点、 今はどうしても入院がスタートで考えられてしまっていて、もう少し明確な、いい言葉が見 つからないんですけれども、入院から地域へではなくて、もう地域にあるんだという、更に 将来目指すべきコンセプトができないかなと思ったりします。  各論全体が並んでいますので、私たち現場感覚からいくと、これ全部はとてもやれないん ですね。一番大事なところ、地域でやるんだということをもっと力強く書かないと、病院と してまず取り組めるのは急性期のこととなってくると、急性期ばかり幾らやっていても、申 し訳ないけれども地域は充実してこないのだろうと思うんですね。そもそも地域であるんだ ということを重点的に力強く書くような文章が、どこかにどんと欲しいなと私自身は思いま す。各論はまた改めてと思います。  以上です。 ○樋口座長  具体的には、例えばこういう文言をとか。 ○長野構成員  具体的というのは「はじめに」のところに入れるか、最後のところに入れるかですけれど も、どちらかに地域に医療はあるんだと、そこに向かって更に歩みを止めないんだというよ うなことが入るとありがたいなと思います。 ○樋口座長  ほかにございますか。 ○良田構成員  私も早めにお話を済ませて少しホッとしたいなという気持ちもあって、早めに発言させい ただきます。次回はちょっと休まざるを得ないので、今回が最後になるかと思って、4点ば かりお願いしたいことがあります。  まず、38ページの相談支援につきましては、最近いろいろな現場から話を聞くんですが、 家族の人が相談を受けているということは余り聞かないんですね。ほとんどが施設を利用し ている当事者の方々の相談を受けているということなんです。私は、やはり家族の人がここ で相談を受けられるんだよということを家族会を通して伝えたいと思っております。  この文章の中にあえて、例えば29行目の「精神障害者が」というところに「精神障害者 とその家族が安心して地域生活が送れるように」と入れていただいたりとか、30行目の「地 域精神障害者とその家族に対するさまざまな支援」と入れていただいて、家族の相談も幅広 く受け入れてもらえるような在り方にしてもらいたいと思っております。  このまとめは本当によく書いていただいて、早期支援から危機介入までいろいろ入ってお りまして、家族としては非常に網羅された内容で、大変満足できるところもあるんですけれ ども、実現には時間がかかるだろうと思って覚悟はしていますが、しかし、それまで家族は 大変な思いをしなければならないわけですので、相談をしっかりと受け入れるところが必要 だと思っています。  それから、同じことなんですけれども、40ページの「エ 未治療・治療中断者等に対す る支援体制の強化について」ですが、未治療や治療中断者等に対する支援体制の強化は是非 ともお願いしたいところなんですけれども、今までもこういうことをいろいろお願いしたこ とがあったんですね。しかし、当人がたまたまそのときに拒否をした、嫌がったということ で、結局、人権上の配慮もあるからということで行かなかったとか、取りかからなかったと いうようなことがたくさんあったんです。家族会などに行きますと、そこでやめてしまわな いで、もっと家族を取っかかりにして、家族とつながっていきながら、本人とも少しずつ関 係を持ちながらやっていってほしいんだという希望は非常に強いんです。確かに、もっと根 気よくやっていただきたいなという思いを込めまして「在宅患者とその家族への」と入れて いただきたい。訪問診療だけではちょっと残念なんですけれども、とりあえず「含む」とい うことで支援体制を強化すべきだということで、家族も範疇に入れて、もし本人がどうして も最初は受け入れないときには、家族をパイプにしてでもしっかりとやっていただけるよう な体制をつくっていただきたいと思います。  3番目ですけれども、41ページの3行目「長期入院者を含めた」というところなんです が、訪問診療がいろいろなところに入ってきているのは大変ありがたいと思っています。訪 問看護も強化しようということで、いろいろなところで言われているのも大変うれしいこと なんですけれども、ここでは「福祉サービス等の利用との連絡調整」と書かれているんです が、私の勝手な造語なのかもしれないんですけれども、例えば、ソーシャルワーカーが訪問 して福祉相談をするとか、あるいは作業療法士の方が訪問する「訪問リハビリテーション」 などという言葉は今まであるのかどうかわかりませんが、そういうサービスも利用者として は欲しいんですね。例えば、家族会の人は重症の人が結構多いですし、それから、診療所協 会の調査でも御報告を受けましたように、外来ニートと言われる外来だけしか行っていない、 福祉サービスにつながっていない方々がたくさんいらっしゃるわけなんです。そういう方々 に、やはりいろいろな方が訪問という形で携わってほしいということを考えますと、もう少 しソーシャルワーカーや作業療法士の方、あるいは薬の不安などがあるときに薬剤師さんの 訪問といったような、そういう職種の訪問ということもどこかに入れ込んでいただけたらな と思います。  最後に4番目ですけれども、45ページですが、これは前からあった家族に対する支援と いうことなんですね。このことを現実に喫緊事業として予算化していただいて、いろいろな 県連で事業をやっているところなんですが、やはり家族同士の交流の促進ということになり ますと、今でもしょっちゅう交流しているので、また交流するということだけでは非常に斬 新味がないというか、もう少し突っ込んだものが欲しい。何が欲しいかということを県の方 に聞きますと、やはり早期の人とか新しい家族の人が学習できるような、家族教育とか心理 教育とか言われていますけれども、そういう機会をつくりたいと言うんですね。ただ、そう いう機会をつくろうとすると、保健所だとか市町村の協力がないと家族会はどこにどういう 人がいるかわかりませんから、できないわけなんです。ですから、家族同士の交流の促進を 図る場の確保ともに、学習の場の確保とか、市町村の協力とかその辺のものを入れ込んでい ただけると、ちょっと言葉がはっきりしなくて申し訳ないんですが、家族会は早期の人も含 んで家族同士の交流だとか学習ということができるんじゃないかと思いますので、その辺の ところをよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。 ○樋口座長  それでは、長尾構成員。 ○長尾構成員  8ページの16行目、高齢精神障害者にふわさしい生活の場をどのように確保するかとい うことが書いてあるんですが、「介護保険施設を含めて」ということで、介護保険施設が生 活の場となるということは一つの選択なんですけれども、現在の介護保険では十分な医療が 提供されない危険性があるので、ここは生活の場と必要な医療をどのように確保するかとい うことをできれば書いていただきたい。24ページの29行目にも同じようなことがあるんで すが、8ページの方に書かなくても、ここにはできれば生活の場及び必要な医療の確保につ いても検討すべきであると、やはり医療の確保ということをきちんと入れていただきたいと 思います。  それから、26ページの9行目から総合病院精神科云々ということで、事務補助者の拡充 等の従事者の負担軽減ということが書かれているんですけれども、総合病院だけが負担軽減 を求めるというのは若干おかしいのではないかと。我々精神科病院においても従事者、特に 医師の負担軽減を図るべきという文言を入れていただきたい。  それから、29ページですが、4疾病5事業の件で12行目に「医療計画で定めるべき医療 機能」と書かれているので、これは若干質問にもなるかと思いますが、医療機能ということ で先ほどのような高次の機能であるとか、救急、急性期とかさまざまな医療機能というのが ある部分書かれるのかもしれませんけれども、その中で医療計画上でそういう機能がこの地 域ではこれだけだと限定されるように決めてしまわれると、新たにそういう機能を求めてや ろうとした場合にやれないということも出てきたり、硬直化してしまう可能性があるので、 こういうことが起こらないような形をきちんと担保していただきたいと思います。その辺が 5事業と医療計画で定められるべき医療機能というのが、私自身もはっきりしませんので、 その辺についてお聞きしたいと思います。  それから、30ページですが、[1]精神科における診療の現状で16〜17行目、多剤・大量投 与はともかくとして「長期少量投与、多剤・少量投与、依存性薬物の長期処方等が多く」と いうことで、抗精神病薬をできるだけ少量を長期使用するということは当然のことなので、 「長期少量投与」というのは誤解を招くのではないか。多剤・少量はともかくとして。  それから、依存性薬物が以前はリタリン等のことがありましたけれども、現在はリタリン は相当制約されて使われなくなっているんですが、この書きぶりをされると向精神薬もある 部分ベンゾジアゼピン系を含めて依存性があると言われるんですけれども、これを余り強く 言われるとかえって誤解を招いて、向精神薬すべてが依存性になってしまうような誤解を招 きやすいので、この辺の書きぶりはちょっと考えていただきたいと思います。  それから、34ページの4行目「現在行われている地域保健活動よりも積極的な支援」と いうのは確かに必要だと思うんですが、現在、地域保健活動というのは保健所を含めて非常 に力は低下してきているわけです。ですから、ここは逆に言ったら「低下してきている地域 保健活動を高めるとともに」というような書きぶりで、しっかり地域保健活動ももっとやれ ということを書くべきだろうと思います。  35ページですが、デイ・ケアの問題でいろいろありますが、デイ・ケアについては「入 院の防止等について一定の効果があるとの研究もあるが」と書いてありますが、その次の「慢 性期のデイ・ケア等による治療効果のエビデンスは、確立されていない」というのも少し誤 解を招きやすいというか、効果があるというエビデンス、ないというエビデンスもないとい うことなので、この書きぶりはちょっと考えるか削除していただければありがたいと思いま す。  それから、41ページですが、同じくデイ・ケアのところで、福祉サービスが現状では非 常に少ないということは事実ですが、19行目で「デイ・ケア等については、利用者が徐々 に障害福祉サービスに移行できるよう」とありますけれども、障害福祉サービスとデイ・ケ アは医療のかかわりの中で行われている、さまざまな危機介入もすぐできやすいという観点 もありますので、これは「移行できる」というのではなしに「選択できる」という書きぶり にしていただきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  今の前半で質問がありましたが、29ページについて何かコメントはございますか。医療 計画で定めるべき医療機能というところが、地域において限定されてしまうと硬直化するの ではないかと。 ○野崎課長補佐  直接の担当課ではございませんが、我々の認識では、この医療計画に定められる医療連携 体制、個々の医療機関の名前が記載されるわけですけれども、そこについては基本的に何か 行政から枠をはめるという発想ではなくて、どちらかというと各医療機関から手挙げという 形で行われることが基本だということで聞いております。  その際、医療機能をどういうものに定めていくかということですけれども、恐らくこれま で定められている4疾病5事業の連携体制でも、いわゆる専門的な機能だけを定めていると いうわけではないと思います。ですから、精神科についての医療機能を考えていくときに、 今回28ページ以降で書かせていただいている地域精神医療提供体制の最初の項目で、地域 生活を支える医療機能をまず掲げておりますので、そういったものを含めて医療機能という ことをどういうふうに位置付けていくのかということだと思いますので、最初から31行目 から類型化されたものだけを書くというイメージは持っておりませんので、そのように御理 解いただければと思います。 ○樋口座長  よろしいですか。  それでは、田尾構成員。 ○田尾構成員  初めに、厚労省の皆さん、本当にこの長きに及ぶ検討会の最終まとめを出してくださいま して、ありがとうございます。大変な作業だったと思います。こうした行政の報告書という のは、私たち地域福祉計画などもそうですけれども、やる気がなければ形だけで終わってし まいますし、やる気があれば、文言が入っていればそれを根拠にいろいろなことができます。 その意味では、この報告書はいろいろな可能性に道を開いてくれていると感じています。こ れを根拠に私たちがもっと行政に要求することもできるし、私たち自身が何かを始めること もできるものになっていると思って、すばらしい報告書だと思っております。  その上で、幾つか気になったことを述べさせていただきたいんですけれども、まず、14 ページの「2.今後の精神保健医療福祉改革に関する基本的考え方」の最初の「○」は物す ごくもっともだと思います。この中の「行政をはじめ関係者は」とありますが、これはただ の関係者ではなく、まさに我々のことだと私は思っています。「精神保健医療福祉の専門家 など関係者」とはっきり書き込んでいただきたいと。私自身、今の活動はある種の自分の贖 罪だと思っている部分があります。専門家が今起こっている現状に対してきちんと自らを反 省する必要があると考えています。  それから、24ページですけれども「ア 統合失調症」の2つ目の「○」、統合失調症の入 院患者を減らすということにはっきり言及してくれたことは大変評価したいと思います。た だ、13ページの4行目には、ビジョンの反省として医療計画に定められた基準病床数の達 成に向けた都道府県の取り組みなどの施策が不十分だったとあります。49ページの31行目 にも「基準病床数を誘導目標として引き続き掲げ、その達成に向けて」と書いてあるんです が、この基準病床数でできるのは新たに増やさないことで、以前のデータにもありましたが、 現在オーバーしているところに対する指導をどうするかということが重要だと思います。  24ページの「ア 統合失調症」の3つ目辺りに「基準病床数を超えている都道府県に対 して、強力に指導していく」というような文言を入れていただければありがたいと思います。  それから、32ページの12行目、医師以外の医療従事者についてですけれども、前々回も 申し上げたかと思いますが、今回この検討会の資料には心理士が医療従事者のチームに加わ っていませんし、現在、常勤の心理士の雇用が地域では勿論、病院でも非常に少ないと思い ます。これは国際的に見ても非常におかしいし、大きな損失だと私は思っています。ここに 「心理士などの資格の整備も含め」というような文言を加えていただけないかなと思います。  最後に、50ページ「III 施策の実施状況に関する目標」ですが、今後の事業として前の 27ページには早期支援のモデル的な実施を書いてくださっていますので、50ページにも早 期支援を例として挙げていただければと思います。  ただ、これで厚労省に任せっ放しにしておいて、できていないから文句を言うということ ではなくて、今後も私たちはこの検討会で意見を言った者として経過を見守り、ある意味で は監視し、そうした観点から今後も意見を皆さんにお伝えしていく、意見交換をしていくと いうことをやっていきたいなと私自身は思っております。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、品川構成員どうぞ。 ○品川構成員  41ページの[2]障害福祉サービス等の拡充の「ア 相談支援・ケアマネジメントについて」 で、充実強化ということで挙げていただいたことは本当にいいことだと喜んでおります。先 ほど良田さんから家族会の立場の相談先というような御心配もされていたようなんですが、 私どもとしては本当にケアマネジメントシステムがしっかりでき上がっていけば、福祉サー ビスの地域の従事者として、今まで普及しないとか、足らないんじゃないかといったいろい ろな問題点が出てきていたんですけれども、そういったものも解決されるのではないかとい う思いでおります。  具体的に、まず34ページの訪問看護についてなんですが、訪問看護ステーションに看護 職以外の方がいらっしゃらなくて、本当に生活と医療との狭間というか、両方がある居宅で の訪問看護には、やはり精神保健福祉士といった福祉の観点を持った方も一緒に行けるよう なシステムに是非していただきたいと思います。  それと、35ページの4行目で、いろいろな先生方の御意見もあるんですが、やはりここ にははっきりと今までデイ・ケアには利用期限がなかったというようなことも書いて、それ が今後こういうふうな有効な利用法もあるというところで、もともと期限がないということ を書いていただけたらなと思います。  同じ35ページですが、居住の場のサービスの必要性が載っているんですけれども、ここ に福祉のサービスでも介護というサービスの提供があるんですが、介護サービスで言うホー ムヘルプを含めた介護というのも、福祉のサービスで重症の方、これからいろいろな方を含 めて必要になってきますので、そういった文言も入れていただきたいなと思います。  それと、44ページのショートステイの充実なんですが、最後で「精神障害者本人による 利用の促進を図るべき」となっているんですが、現在は本当にショートステイは精神障害者 にとっては利用しにくいサービスの1つなんですけれども、精神障害者に利用の促進を仰ぐ というよりも、ここの文言は「地域における精神障害者に配慮した利用しやすいショートス テイ機能の整備を図る」としていただきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  今のショートステイの関連ですか。では、高橋構成員どうぞ。 ○高橋構成員  今のショートステイのところは私も発言しようと思っていたんですが、実際私たちの施設 にはショートステイの部屋がありまして、私は沖縄県から来ておりますが、沖縄県で精神の ショートというのは私たちの施設のみなんですね。2部屋、2人分確保しているんですが、 自立支援法に移行してから利用率ががた落ちになっているんです。これは、やはり障害程度 区分の認定を受けて給付決定が下りないと利用できないということになってしまっていて、 多分、要綱の中では緊急避難的には先に利用してもいいということになっていると思うんで すが、実際になかなか市町村がそういった利用を認めてくれないところが多くて、本当に必 要なときに必要なサービスが受けられないというものの最たるものだと思いますので、今、 品川さんがおっしゃったように、本当に利用しやすいように、ここは本当にタイムリーにシ ョートステイを利用できるようにというような、そういった内容を含む文言を入れていただ ければなと思っていますので発言させていただきました。 ○樋口座長  では、佐藤構成員どうぞ。 ○佐藤構成員  前回の精神病床に関する検討会に比べると、かなり踏み込んだ表現になっておりまして、 非常に評価したいと思います。更に、総合病院精神科に関しましても、詳しく書いていただ いたということで、私たちはこれについては評価したいと思います。  長尾先生もおっしゃいましたけれども、26ページの総合病院精神科の事務補助者の拡充 については、恐らく総合病院精神科を確保するとともに、昨今の医療崩壊に関連して総合病 院精神科がどんどん減っているということに関連して書かれていると思うんですけれども、 いろいろなペーパーワークが多くて、外来診療が済んでから更に夜の10時、11時に及ぶま で書類作業をやらないと帰れないというような現状が、更に医療崩壊を進めているというこ とがありますので、特に総合病院精神科において医師の負担を軽減するような措置が必要だ ということになるのではないかと思います。これは私の立場からすれば、これでいいのでは ないかと思います。  それから、28ページですけれども、32行目に「いわゆる総合病院精神科」と漠然と書か れていますけれども、これはほかのところは高次の精神科救急を行うという枕詞があります から、ここも枕詞を入れていただいて「一般救急医療と連動した、いわゆる総合病院精神科」 という形にしていただくと、総合病院精神科の役割が鮮明になるのではないかと思います。  同じく28ページの19行目「患者の身近な地域で」、これも漠然としておりますけれども、 事務局の資料でもたしか医療圏を設定して、その中で医療提供体制を整備していこうという ことがあったと思いますが、今後ほかの一般医療も福祉も圏域を定めた医療とか福祉提供と いうことが考えられているわけですから、ここでは「精神保健医療福祉圏域を定めた上で、 圏域内で総合的なあるいは統合的な医療提供体制の整備を図る、確保を図る」というような 表現をしていただけると、より鮮明になるのではないかと思います。  それから、デイ・ケアの議論が出ておりますけれども、私はこの表現を支持したいと思い ます。デイ・ケア学会等に参加しておりましても、たばこを吸っているだけで効果があるみ たいな非常にあいまいな報告がありますので、少ない人数で何十人と見ているというのが本 当に正しい医療あるいはサービスと言えるのかということがありますので、これはちゃんと めり張りをつけたデイ・ケアの機能、医療らしい機能を充実していただいて、その一部は福 祉サービスに移行できるのではないかと思いますので、この表現は支持したいと思います。  最後に52ページ、これは長尾先生と一致しているんですけれども、「地域精神保健におけ る保健所・精神保健福祉センター等の行政機能の役割」と漠然と書いてありますが、やはり 公的なサービスの比重が今まではちょっと低かったと思うんですね。もう少し保健所や精神 保健福祉センターが明瞭な役割を精神医療福祉の中で果たすことができると思いますので、 ここは漠然と「役割について」というのではなくて「役割の見直しについて」ということで、 保健所、精神保健福祉センターをより積極的に評価するという観点で一語入れていただけた らと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、長尾構成員。 ○長尾構成員  今の佐藤構成員のお話で、デイ・ケアでたばこを吸っていて云々という話は、ごく一部の 人がそういうことを言ったからといって、なべてそういうものだという話につながるのはお かしいので、それは削除していただきたい。 ○樋口座長  では、坂元構成員どうぞ。 ○坂元構成員  3点ほどお願いしたいことがございます。まず、1点目は36ページの[3]相談支援・ケア マネジメントの現状の2つ目の「○」で、「市町村を事業の責任主体とし、都道府県を相談 支援事業のうち、専門性の高いものや広域的な対応が必要なもの等を担う主体としている」 と書かれておりますが、以前より何度も申し上げたんですが、それぞれの都道府県など自治 体の行財政改革によって非常に構成がバラバラになってしまっている状況があります。こう やって漠然と書かれてしまうと、一体どこに責任があるのか、つまり都道府県はやはり責任 を持って都道府県内の精神医療保健福祉に関するそれぞれの行政サービスの連携強化を図 るべき責任を負っているとか、その辺を書き込まないと、専門性の高いものは都道府県で、 それ以外のものは市町村ですよという漠然とした書き方をすると、実際の責任というのは一 体どこにあるんだろうかということになると思います。この辺をもうちょっと踏み込んだ書 き方をしていただきたいというお願いです。  それから、40ページ、何度も申し上げて申し訳ないんですが、精神保健指定医のところ で、かなり踏み込んだ書き方をしていただいて感謝はしているんですが、地方自治体として は本当に救急現場における精神保健指定医の確保に苦労しております。それで、2つ目の 「○」の「精神科救急医療体制の確保に協力すべきことを制度上規定すべきである」という ところを「都道府県は協力を求めることができる」と付け加え、踏み込んで書かれていれば、 都道府県は、措置や救急業務のときには指定医を持っている先生には協力を求めることがで きる根拠ができます。もうちょっと踏み込んだ書き方をしていただければ、現場としてはか なりやりやすいということです。  それから、51ページの措置入院に関して、これも何度か意見を申し上げたところなんで すけれども、地域間で大きな格差なく適正に運用されていくことが求められているというこ とですが、データを見る限りどこかの自治体がある意味では法や規則に従っておらず、一方 あるところは法に沿ってやっているということになると思いますので、格差という表現では まずいと思います。ここは先ほどの精神保健指定医の確保不足の問題とも関係しますが、1 つの例を言えば、警察に保護された患者を、自治体の職員が受け取りに来たときに、指定医 による一次鑑定を受けないまま警察により保護解除されてしまうと、自治体職員がその患者 を病院まで移送するのはまったくの任意ということになります。これが仮に真夜中などであ った場合、警察ではなく自治体行政の職員による任意の患者搬移送などというものが本当に 患者の人権と安全確保につながっているのかどうか、その辺はやはり真剣に見直すべき問題 ではないかと思います。これには格差があってはならないだろうと考えますので、「適正に 運用されるべきである」と直していただきたいと思います。  以上でございます。 ○樋口座長  では、小川構成員どうぞ。 ○小川構成員  できるだけ具体的な記述を話したいと思います。総論的に非常によくまとまっているとは 思いますが、総論は結構「充実すべき」ということで書いてありますけれども、各論になる と「検討」という文言が多いのがちょっと気になります。勿論検討は必要ですけれども、「検 討すべき」という文言はできるだけ「充実する」とか「進めるべき」という方向に変えてい ただければありがたいと思います。  具体的に言いますと2ページ、中間まとめのときには、いろいろ長期入院の問題あるいは 病床が増えていったということだとか地域福祉の問題について、なかなか施策が進んでいな いということで反省の上に立ってみたいな文言があったんですけれども、「反省の上に」と いうのはどこかに入っているのかどうか。 ○樋口座長  では、そこを先に。 ○野崎課長補佐  14ページでございます。「2.今後の精神保健医療福祉改革に関する基本的考え方」の最 初の「○」で、ここは論点整理の記載を基本的に踏襲して書かせていただいております。「そ の反省に立った上で」と。ここは、さっきおっしゃった論点整理のことだと思うんですが、 そこはそのまま残しております。 ○小川構成員  それで、14ページは精神医療の質の向上から非常にいい方向なんですけれども、15ペー ジに追加していただきたいことがあります。例えば、当事者の政策プロセスへの参画という か、14〜15ページに[1]〜[4]までありますけれども、例えば[5]というような形で、当事者の 政策決定プロセスへの参画を進めていくことを追加していただきたい。都道府県もそうです が、国においても審議会や検討会の中で、当事者が1人だけではなくて複数以上きちんと委 員として入るということを是非書いていただきたいですし、また、医療機関情報の公開とい う視点も是非この中に入れていただければと思います。  22ページの36行目で「病期(急性期、回復期、療養期)」となっていますけれども、療 養期というのは不適切だと思います。急性期から回復期を経て退院を是非促進していただき たいということでは、療養期という病期区分は消してもいいのではないかと思います。  それと、34ページ24行目「複数名での訪問が必要であるとの意見がある」の「意見」と いうのは、まるで少数意見のような印象を受けるので、「複数名の訪問が必要である」と言 い切っていただけるとありがたいと思います。  43ページ、坂元構成員からもあるいはほかの構成員からございましたけれども、地域保 健という観点がこの報告書全体でちょっと薄いような感じもいたします。自殺の防止対策だ とか引きこもりへの対応とか、あるいは市町村の支援というさまざまな役割があると思いま すので、43ページの18行目に「その体制の具体化を図る」という書き方もありますけれど も、「充実」とかそういう文言も入れていただけるといいのではないかと思います。  51ページの「1.精神保健福祉法に関する課題」で、15行目に移送の問題、先ほど坂元 構成員からもありましたが、警察との連携を図っていくということは運用で充実させていこ うという議論もあったと記憶していますが、今後の課題次第で是非これは進めていただきた いと思っております。  あと、治療のガイドライン等の31ページ、例えば、現在入院している方も含めて、少な くとも新規の入院患者については、1年以上の入院はさせないというような方向で取り組ん でいく必要性はあると思うんですね。入院から在宅まで含めたクリニカルパスみたいな取り 組み、例えば、3か月だったら3か月、あるいは6か月だったら6か月で退院までの目標を 定めてこういうふうに退院をさせていこう、在宅はこういうふうに支援していこうというの が、入院当初から計画的に取り組めるようなクリニカルパスのような取り組みも、是非この 中で検討していただければと思っております。  以上です。 ○樋口座長  今の小川構成員の発言に関連して、まず何か御意見ありますか。 ○長尾構成員  22ページの急性期、回復期、療養期の「療養期」という言葉をとるということですが、 急性疾患ですべて急性期で回復して、はい、済みましたというものばかりではないので、や はり慢性疾患の部分もあるので、急性期、回復期だけで済むものではないと私は思います。 ○樋口座長  坂元構成員どうそ。 ○坂元構成員  小川構成員がおっしゃっていた搬送のところで、これは私の勘違いかもしれないですけれ ども、以前、措置などの患者を警察官が病院まで運ぶのは、いわゆる警察、つまり犯罪を扱 う警官が患者を運ぶのは人権侵害ではないかという考えから、それをやめたという経緯があ ったと伺っております。これは正確かどうかは分かりませんが、現実的には、自治体の職員 が搬送などの訓練を受けているわけではないですし、患者さんを適正に安全を確保しながら 搬送できるような、そういう特別な訓練を受けているわけではないということです。移送問 題というのはブラックボックスの中に入ってしまっております。警察官が運ぶことが人権侵 害ではないかとの懸念もあるのでしょうが、本当に適正な移送、つまり患者の身体的な安全 を確保することのできる能力のある人間が移送しているのかどうか、その辺を十分見直すよ うにしないと、つまりこれを曖昧にしていると、そのうち搬送中にとんでもない事故が起き るのではないかとの懸念を抱いている自治体担当者もおります。先ほど小川構成員におっし ゃっていただいて非常にありがたいと思いますが、その辺はブラックボックスに入れたまま、 あいまいにせずに真剣に検討すべき課題だと思っております。  以上です。 ○樋口座長  佐藤構成員どうぞ。 ○佐藤構成員  今朝も私は救急をやっておりましたが、今朝5時ごろ、家で死にたいと叫んでいる患者が いて、警察官が非常に丁寧に見守っていただいて、本人を無理強いしないでソフトに連れて きていただいたと。ですから、警察官は広田さんがおっしゃるように優しい人が多くて、患 者さんをソフトに扱うことにたけている人が多いのですので、やはり警察官と精神保健がう まく連携すると、ソフトに救急や搬送というのがうまくいくと思いますので、坂元構成員の 意見を支持して、是非、警察官と精神保健がうまく連携できるようにということをどこかに 入れていただくとよろしいと思います。 ○樋口座長  今のところ1つだけ確認なんですが、小川構成員が今後の課題にせずにと言われたんです けれども、精神保健福祉法に関しての議論というのが十分この中で尽くされていないという ことで、これを今後の課題の中に含ませていただいているという、そこは御理解いただきた いと思いますが、よろしいでしょうか。 ○小川構成員  法改正だけではなくて運用で。 ○野崎課長補佐  よろしいでしょうか。説明の中でも触れましたが、52ページのなお書きがそういうこと を意図しているものでして、法制度にかかわるような別の検討とともに、言わば「現行制度 の改善のための方策については、随時検討を行い」というのは、その都度、その都度やって いきますという意味で書かせていただいていますので。 ○樋口座長  それでは、大塚構成員どうぞ。 ○大塚構成員  取りまとめ、お疲れさまでした。私もこれまでの皆さんの意見に賛同しているのですが、 細かいことよりも全体的なところで何点かあります。  1つは、長野構成員の意見を強く支持します。ずっと入院医療中心から地域生活中心へと いうスローガンでビジョンがきていますが、これは今までの政策の積み残してきた対応のビ ジョンのためのものだという感じがしていまして、どうしても引き算の発想というのでしょ うか、今まで長期入院していた方々を何人退院させていこうという目標値の据え方であり、 方向性だと思います。それはそれで継続して、達成していくまで展開していかなければいけ ないわけですが、併せて、今後の地域精神保健福祉医療の推進にふさわしい何らかのスロー ガン、キャッチコピー、文言が浮かばないのですが、そういうものを掲げて、これから明ら かに違う視点で取り組んでいくのだぞという2つの取り組みの体制を、今回の後期のビジョ ンには盛り込めるといいのではないかと思っています。やはり元気になりたいなという思い がすごくいたします。  それから、これは小川構成員と同じ思いですが、現状分析とか総論が非常にボリュームが ありまして、各論もこれまでの意見をほとんど集約された形で入れていただいているのです が、最後の目標値のところが弱くなるなという感じがあります。具体的なビジョン策定で、 どのくらい取り組まれていくのかなと期待しつつ、不安も半分というところがあります。で きれば「すべきである」という文言を具体的に「見直しをする」とか「図る」という断言調 にしていただけないかと思います。獲得目標年次とか獲得目標数値みたいなものは、もう少 し出せないものだろうかと考えました。特に、今後の課題の精神保健福祉法に関連する議論 では、先ほどから野崎課長補佐からおっしゃっていただいているように、法改正の要らない 細かい運用改善で図れることは行っていくという話ではありますが、一番最後に平成26年 のビジョン終了のときに、もう一回見直しを図ると書かれていることを考えますと、後期5 年の間に是非とも精神保健福祉法の見直しについて「検討に着手すべきである」と書いてあ りますが、「後期5年の間に検討を済ませる」ぐらいのことを書き込めないかと考えます。  検討会の中では、時間的にはわずかでしたが、先ほど格差という表現に問題があるという 指摘がありましたが、措置入院のことなどにつきましても、例えば、医療観察制度との関連 について質問が出ました。その際に医療観察法制度のデータや関連性については、今回では なく、来年の施行5年後の国会状況での報告や見直しの中で示しますと御説明がありました。 加えて今後の5年間においては報酬改定などが行われていきます。医療観察制度の対象者の 地域移行支援などは重症者や手厚いケアを要する人へのケアマネジメントにも関連します。 ですから、是非、ビジョン終了時の26年までの後期5年の間に精神保健福祉法の見直しを 図るということをお書きいただけないものだろうかと思う次第です。  あと1点気になりますのが、統合失調症のことについて、指標を統合失調症とか疾患別に 変えていくということになりましたけれども、田尾構成員がおっしゃったことと重なるのか どうかよくわからないのですが、15万人という数値目標が妥当なのかどうか。私はこの数 字が出たときにも、もう少しいけるのではないかとお話をさせていただいたのですが、田尾 さんがおっしゃったように、こういうものはやる気があればやれるということにもなります が、一方で、数字に縛られて、ずっと15万人のところは維持していていいというふうに思 われかねないということもあって、そういうことにならない書きぶりをうまくしていただけ ないかと思います。  認知症に関する目標値は平成23年度までに具体化すると書かれていることについての確 認ですが、今回は間に合わないけれども、具体化された段階で追加の目標値としてビジョン の追加目標値として示されていくということでよろしいのでしょうか。そのときにその数値 目標について何らかの議論がどこかで行われることになるのか、そこの確認をさせていただ きたいと思います。  もう一つの質問は、現場感覚からいうとわからないことなので教えていただきたいのです が、49ページに「受入条件が整えば退院可能な者に替わる指標として」というところで統 合失調症のことが書いてありますが、20行目に、障害福祉計画における目標値についても、 こういうものと連動していくというか整合性を図ると書かれています。そうしますと、今、 各都道府県が市町村に、おたくの市町村では退院可能者数がこのくらいですよという情報を 提供して、各市町村でそれに基づいていろいろ障害福祉計画をつくっていますが、今後は例 えば、統合失調症患者さんについてこれぐらいだよということが数値として下りてきて、そ れに基づいて統合失調症患者さんの受け入れを進めるための障害福祉計画みたいな立て方 になっていくのかどうか、現場の細かい感覚で非常に申し訳ありませんが、教えていただけ たらと思う次第です。  以上です。 ○野崎課長補佐  認知症の目標値については、ここで書いてあるとおりでして、平成23年度までに具体的 に目標値として設定するということです。その議論を持つかどうかというのは、まだ見えて いない部分があります。済みません。  それと、障害福祉計画の方ですけれども、基本的にはこれまで受入条件が整えば退院可能 な精神障害者数を定めて、要は患者調査をベースにやってきたと。それ全体を見直すという ことなので、基本的には統合失調症による入院患者数の減少目標値というものを障害福祉計 画の中で定めていくということを基本的な考え方としております。  それと、統合失調症の目標値、一番最初に御指摘があった点についてですけれども、24 ページをごらんいただきますと、15万人の水準であればいいと言っているのではないかと いう御指摘なんですが、26行目から見ていただきますと、まずは平成26年のビジョンの終 期までに15万人と、平成26年のビジョンの終期において更なる現象目標値を設定すると言 っていますので、そういう意味で言うと、15万人程度というのは当面の目標ということで すから、最後にも「不断の改革を進めていく」とも書かせていただいていますし、どんどん 改革を回転させていくというイメージでおりますので、そこは御理解いただければと思いま す。 ○樋口座長  今のことについてはよろしいですか。 ○大塚構成員  どんどん改革を続けていくということについては何ら異論はありませんが、今回の後期5 年間でとりあえず15万人までという目標値を設定した根拠の説明が私自身できないのです。 今回の検討会で示された研究結果のデータもとに引き算したり、足し算したりいろいろ計算 をしますが、15万人とは納得できないのです。地域移行支援事業を現行のまま実施した際 の推計値の達成を加速させるからという観点でしか読み込めないんですが、納得できるよう な根拠の御説明をそこを教えていただけたらと思います。 ○野崎課長補佐  1つは、ここで書いてあるように平成32年までに4.7万人と、これを倍ぐらいのスピー ドでということが1つです。  あと、9ページを見ていただきますと、要は、当時ビジョンを定めたときの受入条件が整 えば、今の平成17年患者調査の7万6,000人のうち統合失調症の患者さん4.4万人で、6割 を占めているというのが書いてあります。こういったことを踏まえて、目標ですからそこを 目指していくというものですけれども、必ずしもビジョンのときとの目標と比べて後退して いるとは思っておりませんで、統合失調症で4.4万人の患者さんが受入条件が整えばという 方の中にもいらっしゃって、それを同等のペースでというか、きちんと指標を設定した上で、 そこを目指して進めていくと、そういう考えでおりますけれども。そんなお答えでよろしい ですか。 ○樋口座長  では、末安構成員、どうぞ。 ○末安構成員  まず、先ほどの急性期と回復期という話の続きからいきたいんですけれども、9ページの 18行目から「統合失調症患者では、全体の約45%が『近い将来退院の可能性なし』とされ ている」という主文で始まるんですが、下の方に説明が、特に最後の35行目以降がそうで すが、これは一つの調査研究なので、もともとその患者さんがどういう暮らしぶりをしてい るかとか、どんな治療の経過があったかとか一切抜きで結論付けているんですよね。一つの 側面を示しているのですから、やはり主文の部分が「退院の可能性がない人が45%とされ ている」という書きぶりは書き過ぎではないかと思います。表現はともかくとして、研究が 過大評価されて、今の日本では入院している統合失調症の方では全体の半分ぐらいの人が退 院できないんだと。これはある意味、田尾さんもおっしゃったように、我々精神医療従事者 に力がないということを言っているのか、それとも本当に患者さんが重いのかということは、 どこかでけりをつけるのか、つけないのかという議論にも入っていかないといけないような とられ方をする可能性があるので、これは統計研究の引用の問題にすぎないかもしれません が、何か考えた方がいいと思います。  もう一つだけ統計の引用に関してなんですけれども、17ページの7行目から従事者数の ことで、確かにだんだんよくなってきていると。法律の改正や診療報酬の充実が図られてき たんですけれども、ここの書きぶりだと10行目からですが、諸外国と比較すると、人口当 たりの従事者数は、精神科の看護師は比較的高くてソーシャルワーカーが低いと。しかし、 13行目からの書きぶりにいくと「医療従事者1人当たりの病床数は、精神科看護師、精神 科ソーシャルワーカーのいずれでも諸外国と比較して多くなっている」、これはどっちなん だと。これは何を引用しているかにもよると思うんですね。従事者数でとった場合、アメリ カの統計などだと、地域で働いている精神科の人たちも含んだ統計になっていますので、こ れだと病院にすごく人がいるように見えるというような見方もできるので、統計はどういう ふうに使うか、あるいは何かをごまかすためにやっているわけではないので、厳密な表現に ついて研究してもらいたいと思います。  あと1点だけお願いします。何箇所かに出てくるんですけれども、40ページの20行目で 「エ 未治療・治療中断者等に対する支援体制の強化について」ということなんですが、そ れに関連しては51ページの24行目からもそうなんですが、未治療・治療中断者の人たちの 重症精神障害者に対して、医療的支援を提供する体制、通院を促す仕組みを検討するべきと いうことに尽きていくと思うんですが、これは法改正の部分だということなんですけれども、 確かに法改正で取り組まなければいけないような重大な事柄だと思うんですが、先ほど佐藤 構成員が言われたように、今も患者さん方とか実際にまだ患者さんとは呼ばないけれども、 地域で生活しづらい状態で、その元になっているものは精神障害であるという方はおられる わけなんですが、その人たちに歴史のところでありましたけれども、措置入院制度ができる と措置入院患者がバンと増えるというような、自分は本当は患者だと思っているけれども、 まだ医療にかかるのは怖いとか、精神病院に入ったら統計にあるように半分は出てこれなく なってしまうのかみたいな、そんなことが気分としても蔓延しているような状態であるから、 医療や福祉の提供が重要なんですけれども、例えば51ページの書きぶりだとしたら、重度 精神障害者に対し、未治療・治療中断者の重度の精神障害者、だから、重度ではない人も必 要なことだと思うし、重度にならないようにするにはどうしたらいいかということを法改正 のときには特に慎重に考えていくべきだと思います。  その書きぶりとしては、「医療的支援を提供する」という前に「地域生活を確保しつつ」 とか、やはり生活がうまくいかなくて病状の悪化が促進するということはありますし、我々 医療従事者や福祉の従事者が重症度が高いと思っていても、実際にはその方はそういう実感 がなくて暮らしていて、客観的に見ると重度かもしれないけれども、その人にとってはそん なに困らないで暮らしている方も大勢いらっしゃいますので、そこの安心の提供というので しょうか、今回こういうもので示す場合にはそういうことが必要ではないかと思います。  もう一点だけ。さっきの急性期と回復期の話なんですけれども、28ページの34行目に「極 めて重症な患者の療養を行う精神科病院」とあって、たしかそういう議論もあったと思うん ですよね。ですけれども、これは考え方で、本当に急性期重症状態でいくのか、急性期は終 わっているんだけれども、つまりその人にとっては回復の状態というか、何らかの暮らしが できる状態かもしれないけれども、客観的に言うと精神症状が重い。回復期だけれども精神 症状は重いまま。これは精神科で言うと皆さんピンと来ないかもしれないけれども、例えば、 難病の方たちなどだって急性期が終わっていて、気管切開して人工呼吸器をつけなければい けないけれども、地域で暮らしている方はいっぱいいるわけですよね。その人たちは急性期 じゃないけれども医療的・医学的重症度からいったらすごく高いわけですよ。それは精神科 の病気の方だってあると思うんです。だから、そういう人たちを固定するような感じの、つ まりそういう人たちは療養だと、ある意味では病院でなくてもいいんだみたいな発想でやっ ている国もありますので、それはすごく危険だと思うんです。やはり病気の治療や看護を適 切に行うことを病院で、これ以上の医学的改善が望めない、だけれども、本人の選択は地域 だとなったら、そこでちゃんと暮らしぶりの福祉の支えがあって、その福祉の暮らしを支え る医療があるという構造をここでは明確に言うべきではないかと思います。ですから、こう いうものが独り歩きすると、やはり自分は本当は重症で病院のお世話になっていなければい けないと思いながらも、地域でなんて暮らせない、家族も見放したと思うような人でも、い や、そうではない、実際には生活できるんだということを光というか、見通しを示すべきで はないかと思います。  以上です。 ○佐藤構成員  関連です。そこのところは、こういうのはどうでしょうか。「極めて重症な患者の療養を 行う精神科病院」というのは、重症な患者に対してやはり手厚い治療を提供するということ が必要だと思うんですね。ただ単に置いておくというのではなくて。ですから、「極めて重 症な患者に対して手厚い治療を提供するような精神科病院」とすると、割と積極的な意味合 いが出るのかなと思います。 ○樋口座長  では、伊澤構成員、どうぞ。 ○伊澤構成員  議論の冒頭で、長野構成員、それから、途中で大塚構成員もお話しされていましたけれど も、やはり病院から地域へというその辺のスローガンの持つ重みをしっかり受け止めつつ、 かつ、この方向ではもっと強調すべきではないかと私も思います。  社会的入院あるいは歴史的入院の方々を地域へいざなう、そこで地域生活を確保していく、 そういう内容として非常に強い意味を持つのと同時に、社会資本やあるいはマンパワーも地 域連携させていくという非常に総合性を持ったすぐれたスローガンだと強く思っておりま すので、その辺の書きぶりをもっと強調していただくようなことが一つあっていいなと思っ ています。  それと、小川構成員もお話しされていましたけれども、やはり各項目の末尾が「検討すべ き」がすごく多くて、先送り感というか、では、その検討はどこでするのという感じがする んですよね。社保審の部会なのか、先ほど御案内のあった新政権のもとでの改革推進本部な のか、そういったことも含めどこでやるんだということまで書かないと、この「検討すべき」 の説明にはなっていないと強く思います。ですので、しっかりと結んでほしいし、やはり「図 るべき」「やるべき」「実施する」という結びに是非できる限り変えていただきたいと思いま す。  各個別事項について幾つかあるのでお話ししたいんですけれども、14ページの22行目で すが「精神障害者が、地域において、本人の症状に応じて、日常的な外来・在宅医療や緊急 時の救急医療等の医療サービスや、地域生活の支援や就労に向けた」云々とありますけれど も、前段の症状に応じて医療サービスが提供されるというところはくだりとしてわかるんで すが、その次の「地域生活の支援や就労に向けた」というところは、症状に応じてというこ とではなくて、やはり御本人が選んで好んで希望を出し、ニーズをくみ取ってということで すから、やはり「本人の希望やニーズに応じて地域生活の支援や就労に向けた」というよう になっていかなければならないと思いました。  それから、24ページの29行目「高齢精神障害者については、現にその多くがADLやIADL への支援を要する状況であり、適切な生活の場を確保することが必要であることから、障害 福祉サービスに加えて介護保険サービスを活用した」という書きぶりですけれども、現状の 障害福祉サービスと介護保険サービスを横並びで書いているということなんですが、現状の 障害福祉サービスで高齢者の方々に対する対応・体制というのは当然十分ではありません。 そういう意味では、障害福祉サービスの拡充をしっかりした上で進めていかなければならな いということになると思います。「障害福祉サービスの拡充を進めるとともに介護保険サー ビスを活用した」という表現にしていただいた方がよろしいのではないかと思います。  35ページに飛びますけれども、[2]障害福祉サービスの現状のところで17行目「更には、 身近な日中活動の場を提供し、又は、地域生活の訓練や就労に向けた訓練を提供する機能な ど」というところですけれども、再三会議の場で申し上げてきたんですが、トレーニング、 訓練というものばかりでは当然ないといいましょうか、安らぎの場、くつろげる場、仲間と の交流といったものをモチーフにした居場所機能ということをしっかりと書いていただき たいと思います。「身近な日中活動の場を提供し、その1つに安心の居場所や仲間づくり、 あるいは交流の場面をしっかり確保する。そして、地域生活の訓練や就労に向けた」という 流れでまとめていただいた方がよろしいと思います。  43ページに飛びますけれども、「イ 住まいの場の確保について」は、これも本編の議論 の際に申し上げたところですが、31行目「グループホーム・ケアホームについて、整備費 の助成制度や公営住宅の活用等を通じて、更に整備を促進すべきである」、これはいいんで すけれども、「その際、地方公共団体は」とつながっていきますが、その間に今グループホ ーム・ケアホームが存在として非常に揺らいでいるというのは前に申し上げたように、いわ ゆる消防法の関係とか住宅供給関係の法律、建築基準法との関係、障害者自立支援法の中で の位置付け、その辺が非常にまちまちで施設と位置付けている法律もあれば、住宅である、 住まいであるという位置付けの法律もある。更に、消防法の関係で言うと、長屋とか寄宿舎 という位置付けが一部出たりもしている。そういう意味では、非常に法律によってまちまち の存在になっているということですね。その辺をきっちり整合させて、明瞭感をしっかり確 保していくところがとても大事だと思いますので、そういう意味では「関係諸法との整合性 をきちんと確保した上で、存在を更に明瞭化させ」ということを入れていただきたいと思い ます。  それから、48ページなんですけれども、普及啓発に関係しているところです。一番最後 で「地域レベルでの当事者と住民との交流活動の推進など、当事者の視点を重視した啓発や 当事者から学ぶ機会の充実を図るべきである」と、それはいいんですが、それに是非加えて いただきたいのが、福祉サービス事業所が地域展開しているという中で、そこの情報発信力 をもう少し視野に入れたというか、期待もしていただいて、あるいはやらせるということも 含めて、その情報発信機能をしっかりうたった方がよろしいのではないかと思います。「福 祉サービス事業所における住民との交流促進や情報発信機能の活用なども図るべきである」 という表現なども入れていただきたいと思います。  長くなりました。以上です。 ○樋口座長  今のに追加ですか。 ○谷畑構成員  寺谷構成員もさっきから手を挙げられていたんですが、一言間に割り込ませていただきま す。  先ほどから大塚構成員なり伊澤構成員などから語尾の問題が出ておりました。「べきであ る」ということについてですけれども、一番最初にそういうことも含めて発言させていただ いたつもりなんですが、日本の政策決定のシステムがこれから大きく180度変わってくると いうことでして、今これをやっているのは今までの流れの中で作業をしてきたと思っており ます。これを今度、新政権がどういうふうにとらえていくのかという際に、政治主導に変わ っていくということを言っておりますので、今すぐにここで事務局にこれをするということ で明言しろと言っても、多分難しい話なのではないかと思いますので、これはあくまでも提 言という形ですから、「べきである」という形で提言させていただくということで、一番最 後にそれをきちんと今後検討してほしいということで、終わりに書かせていただければとい うことで言わせていただいたつもりです。  一番最初に申し上げたんですが、今後の課題についてはということを最初に入れてくれと 言いましたけれども、今ずっと聞いておりますとたくさんの課題がありますので、そこは削 っていただいて、全部含めて新政権で考えていただきたいと思うわけでございます。  以上です。 ○樋口座長  寺谷構成員、お待たせしました。 ○寺谷構成員  今後の課題に向けて2つほど提案をしたいと思います。  田尾構成員のおっしゃられた、新しい人材の側面での臨床心理士の導入などに関しても少 し触れていただきたいと。地域の中でかなり予防的な観点に立つ支援機能として、私どもは 日常的に期待して協働も進めているところです。  もう一つは、ピアサポートに関連することです。幾つかページを申し上げますと、依存症 の中では27ページで自助グループが挙げられていまして、また、地域レベルの43ページに は8行目、精神障害者やその家族の視点や経験を重視した支援を活動を展開するということ は既にソーシャルインクルージョンの施策推進の中で、この活動の重視が十分強調されてお りまして、これがピアという、課題に挑戦してきた方たちの経験を私たちが敬って聞いて、 そこから学んでいくというような姿勢によって、新たなサービスを歓迎して生み出していく というようなことで提案をしたいと思っています。  たくさんのところでピアサポートの活動重視に関しては随分書かれておりまして、幾つか 拾い上げてもいいんですが、教育普及に関しても28ページに挙げられていましたり、ちょ っと大げさかもしれませんけれども、先だって韓国のクラブハウスにメンバーと新人のスタ ッフと3週間研修に私も行ってきました。韓国のクラブハウスでは、世界人権賞をWHOか ら昨年いただいて、当事者たちがとても誇りにしておりました。そんなこともありまして、 この人権賞受賞の背景には、障害者権利条約の批准という政府の姿勢があるわけですけれど も、今後のこれから孤独な高齢者が終生住みついていく社会の在り方に関しても関連させて、 やはりいろいろな課題の挑戦者の経験とか視点を重視した活動を、私たちがどう一緒につく り出して学んでいくかということを逆に問われるような時代と認識して、そういった活動を 推進するような施策展開をお願いしたいと。  平成15年の重点施策を見ましても、当事者が既に政策検討の場に参加することを実現さ せる、そして、今日の広田さんの存在につながっているわけですけれども、会議・決定の場 に参加し計画していくことと、実際に地域の中で運営者になって、そして、担い手にもなっ て、パートナーになって人間尊重の社会をつくっていくというような、大げさかもしれませ んけれども、そういう夢を最後に80文字ぐらいでいいんですけれども載せていただけると、 私の夢もかなうかなと思っています。  どうも応援してくださってありがとうございました。 ○小川構成員  関連して。43ページの8行目からですけれども「地域における」となっていますが、退 院に不安を抱えていて渋っている患者さんに、ピアサポートの方から実はこうですよと言う と非常に効果があるんですね。だから、ここは地域だけではなくて入院中からということを 入れていただきたいと思います。 ○樋口座長  山根構成員、どうぞ。 ○山根構成員  簡単に申します。まず25ページの認知症の件ですが、リハビリテーションという立場か ら見ますと、皆さん全員そうでしょうが、改革ビジョンの前半この5年間では想定を超えて 大幅に認知症が増えている。これからの5年間でさらに加速度的に増えると思われます。こ のこと自体が今の精神科医療そのものに大きな影響を与えることが予想されますので、認知 症に対する早期の診断・治療と、生活のケアをどうするかということは、ここで行うかどう かはともかく、そこをしっかりしないと、本来の改革ビジョンそのものが大きく崩れてしま うぐらい影響を受けるんじゃないかと懸念します。  それから、26ページの気分障害は文字の問題だけですが、「かかりつけ医や小児科医等か ら」ということで、内科とか何かではないのでしょうか、小児科でよろしいんですか。ちょ っと読んでいて違和感を感じたんですけれども。 ○樋口座長  そうですね。ここは考える必要があると思います。 ○林課長補佐  かしこまりました。かかりつけ医に内科等を含んでいるつもりで書いておりましたけれど も、確かに御指摘のとおりだと思います。 ○山根構成員  それから、先ほどデイ・ケアの話が出ておりましたけれども、まるでデイ・ケアの是非論 みたいになって、利害関係が絡んでややこしいのですが、今後の地域医療を考えてみますと、 デイ・ケアの存在というのは非常に重要な位置を占めると思うんです。41ページの文言で 見ますと、例えば、再燃とか再発に対するデイ・ケアの役割を担ったということを認めた上 で、「役割を担ってきたが、福祉サービスの充実に伴い、地域生活を支える医療施設として、 対象、利用、機関、実施内容を明確にして」という形できちんと書いていただいた方がいい かなと思うんですね。  それと2番目のところは、余りにも長く書いてあるために、単にデイ・ケアが悪かったよ うに読み取られてしまうといけませんので、ここは医療としてのデイ・ケアと生活を支援す る福祉施設との役割の違い、利用の仕方とを整理してもらえればいいのかなと思います。  もう一点、40ページの精神科訪問看護等というところですけれども、役割は認めていま すし、今後、整備をされていくところだと思うんですが、こういうふうに「精神科訪問看護 等」と書かれますと、多分「等」のところは何も考えずに精神科訪問看護という言葉にとら われてしまって、家族の方からも言われましたが、誤解されるおそれがあります。いろいろ な職種が訪問看護を行うことは法律では書いてありますけれども、実際には(精神科訪問看 護という言葉の影響で)機能していないんですね。「在宅医療、リハビリテーションの充実 について」というように、テーマそのものを書き換えてもらうといいかと思います。  リハビリテーションという用語はどうも精神科で使われていない。多分に整形外科におけ るリハビリテーションのイメージの影響だと思うのですが、リハビリテーションは精神や身 体の機能の改善とか回復に併せて「復権」という大きな理念があります。そういう意味では、 精神科でもリハビリテーションという言葉をちゃんと使って、誤解がないようにしたほうが いいと思います。そういう意味では「在宅医療・リハビリテーションについて」という形に されて、その中で、通院医療、デイケア、作業療法、往診、訪問看護など幾つかきちんと具 体的に挙げられた方がいいと思います。デイ・ケアや作業療法、訪問看護、往診などは在宅 医療の中で重要な役割を果たすと思いますので、その辺を踏まえて少し整理していただけれ ばと思います。 ○樋口座長  では、三上構成員。 ○三上構成員  認知症の問題が出ましたので申し上げます。  50ページのビジョンでも、認知症に関する目標値を平成23年度までに具体化することと 疾患ごとの基準病床数について見直しを検討すると書き加えていただいたことは本当に感 謝いたします。  それを踏まえて25ページ「精神病床や介護保険施設等の入院・入所機能とその必要量を 明確化すべきである」と、認知症の問題が書いてございますが、是非「人口構造の変化、世 帯構造の変化を踏まえて」という文言を25ページの2行目の「重点化する観点」の後に、 「観点や」という形で付け加えていただきたい。といいますのは、今まで在宅医療、在宅介 護ということで在宅についての推進策がずっととられてきたわけですけれども、こういった ことを人口構造・世帯構造を余り踏まえなかったことで非常にひずみが出ているように思い ます。先ほど山根構成員が言われましたように、認知症の患者さんは現在200万人で将来的 には400万人に増えますし、そのうちでも居宅におられるのは現在でも30万人だと。若年 者が非常に減ってきて高齢者が増える中で、在宅というのは推進が必要ですけれども、在宅 の介護力を考慮しなければ非常に大きな問題が起こるということなので、是非そこを考慮し ていただきたいと思います。  それから、身体合併症についてですが、26ページの6行目から先ほどありました総合病 院の精神科についての評価をしていただくということで、これも感謝をいたしますが、9行 目から報酬上の評価もするということも踏み込んで書いていただいております。これに関し ては、28ページに「いわゆる総合病院精神科」と書いてありますように、総合病院精神科 の基準というのは、現在内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻科という5つの診療科になって おりますけれども、本来こういったものを評価すべき総合病院精神科に必要な機能、求めら れる機能は何なのかとか、あるいは報酬を評価するための基準にするにはどういったものが 妥当なのかということを、もう一度検討していただきたいということで、11行目以下のと ころに「検討する」という文言を書き加えていただきたいと思います。  それから、31ページの一番下ですけれども、多剤投与の問題ですが、先ほど長尾構成員 からもございましたが、一番下の不適切な多剤・大量投与について改善を図っていくことは 必要なんですが、そのために「単剤投与や切替えへの評価等の方策について検討すべき」と 具体的に書き加えてあるんですが、これはちょっと言い過ぎではないかと。医療の方からし ますと、少量で複数剤を投与する方が副作用については少ないんじゃないか。単剤・大量よ りも少量を複数の剤型で投与する方がいいという場合もございますので、単剤への切替えを 評価するということだけではちょっと言い過ぎではないかと思いますので、これは単純に 「図るための方策について検討すべき」という文言に、一部を削除していただきたいと思い ます。  以上です。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  皆さんすごく評価しているんですけれど、私はおととい6時に厚生労働省に行って野崎補 佐から説明を受けて、夜11時までいて大げんかのような、非常にお互い熱意を持って勉強 して、殴り合いまでには発展しないまでも、途中で田尾さんに会ったから今度は田尾さんと 大げんかになって、本当に私たちってすごい熱意だなと思ったんですけれど、今日ふたを開 けたら全然すごくなくて、やたら厚労省を褒めるばかりで、とんでもない。  まず、2ページ目、私はそのときにいただいた案ではなくて、古いたたき台の方をもらっ ているのでページがずれてしまっていますが、2ページの17行目、文言は私は国語の教師 ではないですけど、精神医療の質を向上するために社会的入院を解消し、病床を削減し、精 神科特例を廃止し、診療報酬を上げる。このための集会でしたら私は日精協に呼びかけて一 緒にやりたいと思っています。日比谷公園で、政権も変わりましたから。  1つには、自立支援法が廃止になると。私は与党側の参考人ですから、いろいろな思いが ありますけれど、自立支援法ができたことによって精神障害者の社会的入院を解消し、地域 で暮らせるための福祉の施策を市町村で義務付ける、この一点にかけて与党側の参考人をや りましたが、ふたを開けたら精神障害者の役に立たない相談支援とか出てきて、生活支援セ ンターが消えてしまった。例えば、横浜の生活支援センターで私を含め行っている人が何が 一番うれしいかと言えば、1に食事が安くておいしい、2に仲間に会えると、そして、職員 がいるということです。  私は、今日ここが終わると新橋の居酒屋さんにラジオに出てもらうために行くんですけれ ど、その後すぐに山形に行って、精神科救急医療学会に出るんです。そのとき、警察、消防、 区役所、民生委員、連合町内会、生活支援センターも解決できない人が地域住民に追い出さ れて、東北地方に落ち延びていったのでその人のサポートに行くわけです。いろいろな職能 団体の方の研修に出させていただいています。そうしますと、やたらネットワークだ、連携 だと、そういうことばかり言ってもたれ合いで、私は今年の8月8日に60歳の弟が亡くな ったんですが、「いろいろな課題を抱えて、病気の問屋のような形で亡くなった」。その前に は、7月1日にうちのアパートの入り口で1人、非常階段から落ちて全焼したとき亡くなっ た。その前には、社保審障害者部会で一緒だった新保さんが亡くなった。その後には、今度 は精神疾患といろいろな病期を持った人も亡くなったということで、周りから見ればすごい 大変な状況ですけれど、大変な状況については、本当に信頼できる2人にしか話さなかった んですね。それは、自分の人生が絶えずケア会議とか何とかで人様が決めていくような中で、 そして、いつも言っているように、守秘義務も守れないような業界の中で語ったところで、 当事者から学ぶと口では言うけれども、私が精神医療の被害者として、国民の精神医療にし たいとこれだけ言っていても、結局は業界の精神医療にしているように聞こえてくるような 感じで、どこから当事者から学んでいるんだということを本当に思っています。  一つ一つ言いますと、住宅の確保は、厚生労働省はここに反省と書いていますが、謝罪が 必要だと思います。日本の隔離収容施策の結果、この瞬間にも35万3,000人の仲間が入院 している。そのことを思うと涙が出てくる。外国のデータ、外国のデータと言いますけれど、 先日もフランスに30年間住んでいて、フランス人の御主人を亡くされた方がおいでになり ました。彼女は言っていました「広田さん、フランスの精神病院は毎日シャワーを浴びれる のに、なぜ日本の精神病院は2日しかお風呂に入れないの?」と。こういうことはデータに 出てこないんですね。患者にとってはそういうことが大事なんですよ。早期発見とか早期支 援とか言っていますが、何度も言っていますけれど早期いじくり回しですよ、私から言わせ れば。  それで、三上さんの社会的入院のところで、社会の情勢が変わったらというのは、いわゆ る社会のごみ箱はやめてもらいたいということで、本当に認知症の中の精神科で入院治療を 必要としている人のみ精神科に入院するべきで、社会情勢が変わったから今インターネット カフェで寝ている人もたくさんいますが、そういうことでは私はないと思います。入院治療 が必要な人が入院すべきで、そこは三上さんの話には反対です。  ただ、単剤というところについては私も賛成です。私も4種類ぐらいの薬を飲んでいます が、数を減らしていくという方法よりも、それが体になじんでいるから、むしろ量を50ミ リを30ミリに1年間かけて減らし、その後今度20ミリを10ミリに減らしていくというや り方で、種類をいじったときには、この間具合が悪くなって貧血を起こして吐いたというお 話をしています。  それから、重い人にはいわゆるそういう医療をやるということですが、常に適切な医療だ と思います。それから、食事をどこかに入れていただきたい。精神障害者にとって、住居と 食事と仲間、そういうことが大事だと。  それから、啓発ですが、最大の啓発は、池田小学校事件が起きたとき私の母のお通夜でし た。2001年6月6日に亡くなりました。私は母が亡くなったときに、弟は母からいろいろ なことを聞いているから「仏壇を持っていくぞ」。叔父からは「おまえは自分のしたことを よく考えろ」と怒鳴られました。私は本当に1人で暮らしたかったけれど、ほかの弟妹は引 き取れない。今、精神障害者に何が問題かといったら、ひとつは安心して利用できる精神医 療が24時間確立できていない。警察がどうだとかこうだとか、優しいとかいいかげんにし た方がいい。そういう方は、一晩でも二晩でも横浜市内伊勢佐木警察のところに座っていれ ば、あそこは市民が泊まらない日はないぐらい野戦病院化している。お巡りさんが優しいか ら、お巡りさんにやってもらおうよと何度も言っていますが、全国都道府県警の課題は、不 祥事ではなくてうつです。警察官がやり過ぎていると私は感じている。  私は昨日も1時まで、ある警察にいましたけれど、やらざるを得ない状況の中でやり過ぎ ている。救急隊が病院に搬送して一応治療が終わり患者を帰すといった段階で、身内がいな いから警察に引き取ってくれと救急隊が電話をかけてきて、そして、病院まで言ってくる。 「広田さんどう思いますか」と聞かれたから、「タクシーではないから警察は行かなくても いいんじゃないの」と言っても、やはりどうしても押し切られてしまって、そういう現状で、 警察官がで本当に何から何までやらざるを得ない。  昨日の夜中の12時にも友人に言われました。「早期発見・早期治療と言って、昔はたばこ 屋のおばさんが「こんにちは」と言ったものが、これからは地域でみんなで精神病院に行か せるのか、クリニックに行かせるのか。精神病者監護法以来、警察官が患者を見張っている という体制が一般人にまで波及するのか。」1996年、寺谷さんと一緒に行ったアメリカ・サ ンフランシスコでは、こういうふうに掲げてあるんです。あなたは治療を受ける権利がある、 あなたは治療の説明を受ける権利がある、インフォームド・コンセントです。あなたは治療 を拒否する権利がある、インフォームド・チョイスです。そういうものも何もない、患者の 権利法もない。そういう中で、やれ早期発見だ、早期治療だ、何度も言っています。今現在 の35万3,000人をどうにかしましょうよ。現在かかっている303万人をどうにかしましょ うよ。できていないのにまた風呂敷を広げる。アジアを侵略して、太平洋戦争まで手を広げ るやり方は、もうやめていただきたい。  今一番の問題は、先ほど私のこともお話ししましたが、「この親をどうしたらいいのか」 なんですよ。そういう相談がいっぱい来るんです。ですから、親のための支援もいい、けれ ど、いいかげんに家族会も保健所から手を離れて、この間も区の家族会に呼ばれていきまし たけれど、楽しかったって言ってましたよ。「広田さん、毎回来て。今度一緒にカラオケに 行きたいわ」と。私は「これがピアサポートよ」と言ったんです。お互いが大変なことや、 うれしいことを語り合って毎回集まる、これがピアサポートで、これだったら何も公の保健 所から支援を受けなくたって、保健所にはほかのもっと大事な仕事をしてもらえばいいんじ ゃないですかと言ったら、「広田さんが代わりに来てください」と言っていた人もいました。  それから、入通院歴報道はやめるべきだと思います。ただ、ここに書いてある文章は新聞 報道と書いてありますが、「マスコミ報道」に変えていただきたい。  それから、いわゆる他人様に精神疾患とか精神障害を理解していただく前に、本人が何の ために薬を飲んでいて、何のために通院しているかということが理解できない人が、どうし て他人が理解できるか。家族も理解が足りない、関係者も理解が足りない。ここで抜けてい ますが、精神科医の教科書、皆さんのコメディカルの教科書、あらゆる教科書の中におかし なことがいっぱい書いてあります。私は前に放送大学に行こうと思って、生活保護のワーカ ーから「お金を借りて行ってください」ということで学校に行ったら、なんと教科書が余り にも古くて、これでは勉強するよりも私が怒ることの方が多いからとやめたいきさつがあり ますが、是非そういう点検をすることで、他人に期待をする前に自らやることがいっぱいあ るということです。  それから、さっき小川さんが発言していた、本当に国及び地方自治体に当事者の委員を、 ここには医者も7〜8人いらっしゃるし、PSWも6人ぐらいいらっしゃるから、当事者も それに見合うぐらい入れればいいと思います。また、普通に精神科の病気も救急車で行ける ようにならないと。何で警察がやたら出てこなければいけないんだというぐらい出なければ ならない現状がありますから、全国津々浦々救急車で行って、24条になる前に適切な医療 を受けられる。そして、警察官通報からの奪回をすると。私は田尾さんに言いました。私が 認めるPSWは田尾さんと大野和男よ。私のお兄さんみたいな人です。「24条、大野さん来 て」と言うと「どうしたの大丈夫?」と言っている間に24条ではなくなって通院するか、 家に帰るかということで、大野さんが三崎保健所にいたときには24条通報は少なかった。 本物のソーシャルワーカーというのはそういうことなんですね。  それから、是非、家族のレスパイトケアをやっていただきたい。さっきからたくさん出て います、ショートステイが使いづらいと。使いづらいから広田和子の駆け込み寺がはやって いますが、本当に使いやすいショートステイやレスパイトケアが必要です。  それから、就労でここには載っていませんが、例えば、ジョブコーチというのが新しく出 てきていますが、本当に社会性というよりも、社会体験がない若い方がジョブコーチをやっ ても足手まといなんですね。現に、私が作業所に行ったとき、本当に自分の作業所の指導員 が足手まといだったんです。それを見ていた社長が「あなたが指導員なのか、来た人が指導 員なのか、どっちか?」と言うから「来た人が指導員で、私が障害者」と言ったら、「私は 社長として、あなたが指導員で、来た方が障害者しか認めない」と言うぐらい、つまり会社 の社長がおかしいと言っているわけです。そういうことも変えていただきたい。  それから、是非、国が謝罪する暁には、野沢さんに前回の私の議事録をお見せしましたが、 マスコミもこぞって隔離収容施策に持っていくような報道をしたんだから、野沢さんは毎日 新聞を背負って謝罪の社説を書く。私はこの前お話ししたように、神奈川新聞に行って書く 人にきちんと書きましょうと。場合によっては私も協力しますよということぐらいで、その ぐらいのことをやって、谷畑さんも市長選が終わっておめでとうございますということで、 あれだけ政権が変わったと言っているのに、これだけこの業界は変わっていないと私は思い ます。  あと、早期発見・早期治療よりも何も安上がりの福祉をやるためではなくて、ボランティ ア活動の啓発を。「May I help you?」と欧米に行けば誰もが声をかけると何度も言っ ています。「成田に行くまでは車いすの障害者だったけれども、成田からアメリカに行って 成田に帰ってくるまでは障害を忘れていた。そして、成田を出た途端に障害者に戻った」と いう話があります。ですから、そういう意味で是非いろいろなところでボランティアを、谷 畑さん、よろしくお願いしますね、市を挙げてボランティア活動です。  それから、予防です。あれだけインフルエンザのことで手を洗いましょう、マスクをしま しょうと、マスクが売れ切れるぐらいなのに、なぜ早期発見・早期治療に流れるのではなく て、木倉さんでも谷畑さんでも野沢さんでも樋口さんでも誰でもいいからテレビに出て、「よ く寝てますか? 食べてますか? 信頼できるお友達はいらっしゃいますか? 寝て、食べ て、話せて喜怒哀楽が出れば心の健康です。今この国はうつが多発しています。マスコミが 不安にさせてますから、踊らされないで安心して暮らしましょう」とは厚生労働省は言えな いけれど。というよう政府のスポットを打つような、そういう予防ですよ。早期発見と言っ ていじくり回しというのは本当におかしいと私は思います。  それから、この間言っていました、ダンサーチヒロが精神病院の話をしていたら「広田さ ん、それは私と広田さんがヒップホップを踊っているように、精神科の患者さんも踊ってい れば治るんじゃないですか」と言うから、「チヒロちゃん、是非今度、精神病院の中に行っ て踊りを教えて」と言ったんですけれど、病床を削減した暁には、ピアサポートができるよ うにフリースペースを精神病院から国及び地方自治体が借り上げていただきたい。 ○中島構成員  ちょっと私にもしゃべらせて。 ○広田構成員  じゃあ、先に言って。 ○樋口座長  ちょっと待ってくださいね。予定の時間は既に超えていますけれども、あと15分ぐらい、 13時ぐらいまで延長させていただきます。  まだ発言されていない方もたくさんいらっしゃるんですが、時間はそれ以上延長できない と思いますので、御意見のある方は、もしここで発言のチャンスがない場合は、明日の午前 中までにコメントを事務局にお寄せいただきたいと思います。 ○広田構成員  FAXとかメールでですか。17日があると言ってませんでしたか。 ○野崎課長補佐  ありますけれども、本日できる限り御意見をいただいた上で、次の修正の案文をお示しし たいと思っていますから。 ○広田構成員  本当に17日までやっていて、24日に新しい大臣に来ていただきたいわよね。 ○樋口座長  それでは、中島構成員、どうぞ。 ○中島構成員  広田さんの話に聞きほれていました。何をしゃべればいいか忘れてしまったんですけれど も、1つは40ページの2行目から、常時対応型施設について云々で「そのための指標の作 成を、学会等と連携して進めるべきである」と。学会の方から樋口座長に9月1日付の医療 政策委員会の提言案が行っていると思うんですけれども、国民へのメッセージ、序文及び精 神科医療と精神保健福祉の原則、それから、精神科医療と精神保健福祉の推奨基準案という ことで、ただ、これは一致できるところだけが書かれておりまして、項目だけに終わってい るところがたくさんあるんですけれども、できればこれを各構成員に配付していただければ と思います。あるいは次回までにメールでお送りいただくか。  この「学会等と連携して進めるべきである」は、そこへの配慮かなと思ったんですが、「そ のための指標の作成を行う」ときっちり書かれたらいいんじゃないかと思いました。  それから、20行目の「エ 未治療・治療中断者等に対する支援体制の強化について」が ありますけれども、これは今回の話とは外れますが、医療観察法で入院決定を受ける人たち の中で、うちの病院で診ていますと3分の1が未治療です、3分の1が治療中断者です、3 分の1が治療中の方です。ということは、いかに現在の治療というものが、まだまだ不十分 かということを意味しているんじゃないかと思っております。  18ページですけれども、認知症の問題ですが、今後、認知症の問題が非常に大きな争点 にもなると思うんですけれども、20行目の「[1]の機能や、[4]のうちBPSD」とありますが、 このBPSDというのは取り方によっては、ごく軽いうつとか、あるいはちょっとぼーっとし てインディファレントというか、余り興味を示さないという程度でもBPSDに入ってしまい ますので「顕著なBPSD」というふうに、ある程度限定しておくことが今回の報告書では必 要なんじゃないかと思っております。  それから、認知症疾患医療センターについてなんですけれども、19ページの7行目、そ こへ書くかどうかは別として、現在、認知症疾患医療センターの指定を受けている病院は精 神科の単科病院が非常に多い、これは大変問題だと思います。きちんとした医療機器を備え て、診断等も全身をきちんと検査できるような施設が指定されなければいけないのに、今そ の流れがちょっとおかしいのではないかと思いますので、「指定においては十分な診断技 術・器機等を備えている質の高い医療を担保する必要がある」ということを書き加えていた だきたいと思います。  それから49ページですけれども、14行目からの平成22年度までのということなんです が、19行目に「適切な目標値を定めることする」と。その際「精神病床への入院について は、適切かつ限定的とするよう留意する」ということを明確に述べていただきたいと思いま す。これがないと、療養病床がどんどん削減されていく中で、精神科病床へ認知症の方が流 れ込んでいくという流れをとめることができないと思います。  それから、50ページの認知症疾患医療センターというものが、もし、きちんと指定され ないのであれば、ここの書きぶりは「認知症への適切な対応ができる施設の整備を図る」と いうふうに変えなければいけないことになってしまうということでございます。  それから、児童の後ろへ「成人した発達障害の方への医療の強化」を1つ入れていただき たいと思います。  今後は、依存症とかパーソナリティ障害とか、あるいは発達障害等が非常に大きな問題に なってくると思いますので、そのことを念頭に置いた記述が必要だろうと思います。  以上です。 ○樋口座長  では、野沢構成員、お願いします。 ○野沢構成員  次回は来られそうもないので、手短に。  31ページの一番下で、多剤・大量投与のことについていろいろ御意見が出ていますけれ ども、投与状況の情報公開だけではなくて、実際に多剤・大量投与によって大変な状況にな っている人も大勢いるものですから、是非、副作用を含めてどういう状況になっているのか という実態調査もしていただいて、それも含めて情報公開を徹底していただきたいなと思っ ております。統計を見ると、日本だけ本当に多剤・大量投与が突出しているような印象を受 けますけれども、いい治療をやっているいい医療機関をきちんと評価するためにも、そうい うものが必要だと思います。  それから、デイ・ケアのところでいろいろな意見が出ていますが、これを見ると35ペー ジに、例えば「症状の改善が終了の理由となることは少なく、再入院までの利用が続く場合 も多い」とか「治療効果のエビデンスは、確立されていない」とか、あるいは41ページで 「福祉サービスと重複している」「漫然としたものとならないように促す方策を検討すべき である」と、ここまで書いてあるのであれば、むしろきちんと効果を検証して、効果がない ところは改廃を含めて検討すべきだと、そのぐらい書いてみてはどうかと思うんです。やは り予算は限られていますから、きちんと検証をやって、できるだけ効果のあるところにつけ ていくというのが、やはり必要だと思います。そういうスクラップ・アンド・ビルドをしな いで福祉サービスに移行できるようにと言っても、なかなか移行しないのではないかと。や はりなくすのものはなくして、新しいところへ移行していくというのが基本だと思います。 効果があるものについては、もっともっと予算もつけて伸ばしていけばいいんじゃないかと、 原則論ですがそう思います。  それと、広田さんから先ほどメディアの問題が出ましたけれども、私は自分の立場から言 っても新聞の責任は大きいと思っています。ただ、現状を見ていると、新聞よりもむしろテ レビ、ネット、雑誌とか新書の方の影響力の方が大きいんですよね。しかも、報道というよ りも教養番組とかエンターテインメントとかワイドショーとかドラマとか漫画、映画の方が、 今の誤った精神病のことを正していくには効果があると思います。私の立場で言うと大変残 念ですけれども、魚のいなくなったところに幾らえさをまいて釣り糸を垂らしていても、余 り効果がないのではないかなと思うわけです。  それと、新政権のこともあれこれ言われていますが、この報告書を見ると、自立支援法と いうのはかなりいろいろワーディングとして出てきていて、新政権は自立支援法を廃止とい うのをマニフェストにうたっているわけで、結構、自立支援法を根拠にしてあれこれ書いて いくと反発されるんじゃないかというおそれが。これは議事録に残さない方がいいのかもし れないんですけれども。廃止してどうするのかというと、障害者総合福祉サービス法をつく るんだと。実態がよくわからないんですが、いろいろ読んでみると、相談支援とかグループ ホームとか就労支援とか余り興味なさそうな感じがするんですね。うがった見方かもしれま せんが。自分たちのことは相談とかケアマネではなくて、セルフマネジメント、自分たちで 決めればいいんだというのと、グループホームよりもアパートに独り暮らしして24時間ヘ ルパーをつけてくれとか、就労ばかりがいいんじゃないというようなことがちょこちょこ出 てきたりするんですね。どちらかというと頭脳明晰でコミュニケーション能力にたけた身体 障害モデルの色が濃いような気がしていて、どうなるかわからないですけれども、その路線 で進めてられてしまうと結構、精神の分野というのは厳しくなってくるんじゃないかと思う ので、広田さんにまた怒られるかもしれませんけれども、前の方で相談支援やケアマネとグ ループホーム、就労支援を強調して、こういうものがあるために地域での生活が整ってきた んだというようなことを、でも、まだまだ足りないんだというようなことを強調した書きぶ りの方が戦略的にはいいのではないかという気がしています。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、あと5分なんですが、どうしても発言したいという方は、上ノ山構成員、伊藤 構成員、広田構成員の順番でいいですか。時間がなくなったら残念ながら。 ○広田構成員  ここにいる人に対することだけだから、あとはFAXで。 ○樋口座長  わかりました、では上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  いろいろたくさん気配りしながら書いていただいてありがたいと思っています。せっかく これだけ書いていただいたので、これを今後も検証する形をとっていただきたいと思うんで す。私はそういう検証をする仲間に入りたいと思いますし、皆さんも多分せっかくの提言が 今後どのように生かされていくのかということを検証していくのは楽しいんじゃないかと 思うので、これを継続するかあるいはどういう形にするのかわかりませんが、検証する体制 を確立してほしいということ。  やはり新政権が精神保健医療福祉に関して詳しいとは限らないので、それに対するブレー ン機能を持つところが必要だと思うんです。それをどこが果たすかですけれども、それはど こがやってもいいんですが、やはりこれだけ時間をかけてつくってきたので、ここがもしそ ういう機能を果たすことができるならば、また新しい政策提言もできるのではないかという 気がしますので、そういう期待を持っているということをまず発言しておきたいと思います。  それから、精神科診療所の方から申しますと、こういう公的な場で精神科診療所の役割に ついて発言することができて、私は非常にうれしかったんですけれども、この中にも例えば 21ページには「精神科診療所が急速に増加する中で、地域医療における精神科診療所が他 の医療機関と連携して積極的な役割を果たすような体制の構築が課題となっている」と書い ていただきまして、私としてはありがたいと思っていますし、また一方では、救急医療に対 する責任等を書いていただいていまして、我々としても身の引き締まる思いで読んでいます。  そういう意味で、非常に目配りのきいたまとめなんですけれども、今後の目標値について だけ言わせていただくと、改革ビジョンにおける目標値、今後も続けていくもの、新たな目 標値ということに関しては、余りこれまでの反省に立った積極的な意思というのが感じられ ないので、例えば、医療計画が作成されたらそのとおり体制が進んでいくかのようなニュア ンスを受けます。やはりもうちょっと力を入れてやるということがわかればありがたいんで すけれども、実際にはそうなっていない。例えば、私ならば入院病床にマンパワーが非常に 偏り過ぎているのに対して、地域に対してどう配分していくのかということについて、もっ と積極的な提言があってもいいかと思うんですけれども、この流れからでは読み取れないと 思います。  それから、例えば、3番目の施策の実施状況の目標に関しても、いろいろ並べていただい ていますけれども、これも実際に具体的にどんなふうに進んでいくのかということがよくわ からないので、期待しながら見守るしかないのかもしれませんが、具体的な中身に関して、 もう少しわかればいいなと思います。  例えば、治療中断者への危機介入を行う多職種チームの整備というのは具体的に何を意味 しているのか、そこにおける公的機関、保健所、センター等の役割あるいは我々の医療機関 の役割あるいは市町村等の役割など、もうちょっとイメージができればいいなということを 思ったりします。  それに関連して、例えば、相談支援のところでケアマネジメントなど詳しく書いていただ いて、それはすばらしいなと思っています。当初は相談支援に関しては相談支援事業を行う 事業所の仕事みたいなところがあったのに対して、ケアマネジメント機能というようなこと を書いていただいたり、ケアマネジメントの理念に基づいて行うというようなことを書いて いただいたりしています。例えば、医療機関においても、ケアマネジメントの理念に基づい て自分たちの医療機能を高めていくような認識というのは必要になってくると思いますし、 それを呼びかけていくという形をとることができるとすれば非常にいいなと思っています。  その中で、ACTのことを一つ書いてもらっているんですけれども、42ページの31行目で 「極めて重症な者については、重点的かつ包括的に支援を行う仕組みの構築を図るべきであ る」とあります。これはACTのことなんですが、この文章と次の「このような支援の対象 者は、受診中断者や未受診者など、危機介入を行うべき対象者とも重複することから、危機 介入の体制との連続性のある、もしくは一体的な仕組みとすべきである」という連続性がち ょっとわからないんですよね。極めて重症な者に対してかかわりを持っていくのは当然です。 一方、それと連続性があると言いながら、連続性が不明な形で危機介入を行うべき対象者と いうのが出てきている。危機介入すべき人、例えば、自殺の危機が迫っているような人に対 して積極的に働きかけていこうとする場合に、これは必ずしも極めて重症な者という定義で は当てはまらない面がありますので、この重症な者について定義をはっきりさせなければい けませんが、これだけではわからないと思います。例えばここに関しては「極めて重症な者 など、市町村が必要と認める者については」というような形でどうでしょうか。「極めて重 症な者など」だけだと対象が拡散してしまって問題かもしれませんが、それに対して「市町 村が認める者」であれば、その対象を危機介入も含めて行っていくことができるように思い ますし、そういう相談支援体制ができればいいなと思っています。  空気を読みながら、もうやめますけれども、発言の機会があればまた次回に発言させても らいます。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  時間が過ぎたんですが、最後に伊藤構成員。 ○伊藤構成員  まず、早期介入について、これは地域メンタルヘルスのチームを考えると、アクトととも にとても大事な要素ですので賛成です。  次に、30〜31ページで薬剤処方の話が出ていました。本来は医療提供者側、特に学術団 体がこの問題に取り組む必要があると思います。ただ、まだということであれば、その状況 を実施可能な立場が把握することはとても重要で早く進めるべき課題だと思います。  あと診断に関して2つあります。1ページ目で自殺に関連する記述について、うつ病が中 心であることにかわりないのですが、最近の研究でアルコールとの強い関連も示されており、 加えてはどうかと思います。  最後は、小川構成員も指摘されましたが、地域保健との関係で心の問題の中には、災害や テロや大規模な事故のときに心のケアというのが具体的にあります。最近は不安障害や重度 ストレス関連障害などが増えてきているという調査もあります。今まで議論されていない観 点ですので、どうするかは事務局に一任したいと思いますが、大事なところだと思い発言さ せていただきました。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、残り3分で。 ○広田構成員  伊澤さんが言った情報発信に私は反対です。デイ・ケアのことを評価がどうのこうのと発 言して帰ってしまいましたけれど、デイ・ケアのことはすごく厳しい言い方をして、福祉も 同じなんですよ。福祉もそれが役に立っているかということで、情報発信は本人がすればい いと思います。本人が、コミュニケーション能力を持ち、自分が精神障害者として名乗るの か、統合失調症と名乗りたいのか、うつと名乗りたいのか、または心の病と名乗りたいのか、 名乗ることは全部自己決定し、自分で自己責任を持つわけですよ。名乗らないのもそうです けれど。だから、情報発信よりももっと障害者が安心して、本当にここに来たことによって 就労にもつながった、私は新しい生き方をできているなということで、さっき言った、フリ ースペースみたいなことは大賛成ですが、情報発信は要らないというより、そういうところ に気を遣っているよりも、もっとメンバーと向き合って、本にらしく成長させることをお願 いしたいと思います。  それから、なぜ謝罪が必要かというと、いわゆるベッドを削減して精神科特例廃止して、 国民の精神医療にするお金が必要、医療の方で。出ていく患者さんの家を探すときに4か月 分の家賃が必要。それを国が出すか、生活保護が出すか。生活保護と言えば4分の1は地方 自治体だからどう言うか知りませんけれど、そういう物すごく大きなお金がかかる。そうい うことを国民の方に理解していただくためには、やはりここで隔離収容施策はやめて、明治 以来100年続いきてた精神病者監護法のようなことはやめて、これからこの国の被害を受け た人が町の中で、村の中で暮らしますから、皆さんよろしくお願いしますという方向転換が 厚生労働省を挙げて必要だと。そのためには絶対に謝罪が必要だということで、お金を取っ てくるためにも言っています。  それから、もう一つ、さっき言った世帯分離のお金は生活保護なのかもしれませんけれど、 そういう大きなお金がかかるということです。ですから、大きなお金の流れの中で自立支援 協議会というところは、こういうものは外した方がいいと思いますし、私は何度も言ってい ますけれど、既に横浜市や神奈川県などはいろいろな委員会があるのに、どんどん増えてい くから、地方自治体の委員会の統廃合を図らなければいけないぐらい物すごいラッシュにな っているということで、あと、ここに対して反論以外のことはメモを書いて明日の午前中に お送りしますが、お金がかかる、木倉部長、謝罪の理由はそういうことです。国民に高らか に厚生労働省が宣言していただきたい。  それから、相談支援は知的障害者に必要だということですが、精神障害者は、今度、伊藤 さん、うちに来てください、いろいろな人に会わせます。早期発見でいじくり回しの人、幻 聴が薬を飲んでもだめな人、妄想がだめな人、ヘリコプターが来ると座ってしまう人、いろ いろな人がいますから是非来てください、フランス帰りの人にも会った方がいい。そういう ことを研究者は知らなければいけない。机上の論理だけではいけないと思います。  そういうことで、是非、相談支援ではなくて、かかわった人が一人の人間として、ああ、 伊澤さんに会ってよかった、伊澤さんに聞いてもらってよかったというのも福祉だと思いま す、行政も。そういうことで精神障害者になったことで人間関係を崩した人が、本当に信頼 を得て、そして、人間として尊厳を持って生きていくための、それが福祉であり、医療だと 私は思っています。  私の家には、本当にすごい人がいっぱい泊まっていますが、その中で一番大事なのは環境 なんですね。74歳の方が、オウムの被害妄想で地下鉄で昼間3時間寝て、夜中の1時まで 警察にいて、1時におにぎりがコンビニに来るということで3個食べて、朝5時までそこで 荷物を持って立っていて、地下鉄が通ると地下鉄に行って、そういうふうに生活が成り立た なくなった人が精神病院に入院しましたが、前にもお話ししましたけれど、彼女はこう言い ました。「頭がおかしくなったと思って精神病院に入院してきた。しかし、昼寝かされ、夜 寝かされ、足腰立たなくなると思って帰ってきた」と。どこに行くのと言ったら、うちに6 か月間いて、私は絶対に連携とかネットワークというもたれ合いで人の情報は出しませんけ れども、初めて、その人が入院した病院の医師に聞いたんです。「どう思いますか、彼女?」 と。返事は「あれだけの固定観念のような被害妄想を薬物で消すとしたら、よだれを流して 物すごいことになる。それよりもむしろ広田さん、いい環境ですよ」。いい環境なんですね。 本来はいい日本だと思います、私は10回海外に行っていますが、本当に住みやすい。そう いう中で一人一人が日々癒されて暮らしていけば予防になるし、高齢性精神疾患も若者もみ んなそうです、必要なら治っている人も会わせます。むしろ医療から離れたことによって元 気になっている。だから、早期発見・早期治療ではなくて、適切な医療が使えるような国民 の精神医療だし、そして、誰もが安心して暮らせる環境だし、予防だと思います。   ○樋口座長  ありがとうございました。  司会の不手際もあってかなり遅くなってしまいましたけれども、本日の検討会はこれで終 わりにさせていただきます。  事務局から次回のことについて、お願いします。 ○林課長補佐  次回第24回は、9月17日来週の木曜日、10時から12時30分で、場所は航空会館ででき ると思いますので、お願いいたします。  また、先ほど座長からも御指示がございましたけれども、本日時間の都合等でおっしゃら れなかった御意見につきましては、明日の午前中までに事務局あてにメール、FAXでも構 いませんので文書でお寄せください。次回の資料として配付させていただくことになると思 いますので、体裁は問いませんけれども、わかりやすく御記入をお願いいたします。 ○樋口座長  それでは、本日第23回はこれで終了したいと思います。  長い時間どうもお疲れさまでございました。   【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)