09/09/09 第37回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録 第37回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録               日時 平成21年9月9日(水)16:00〜               場所 中央合同庁舎第4号館共用108会議室 ○労災管理課長  ただいまから第37回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。本 日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は委員改選後、初め ての部会ですので、部会長選出までの間は、私が議事進行を務めさせていただきます。  議事に入る前に、新しく本部会の委員にご就任された皆様をご紹介させていただきます。 お手元に座席表と、参考資料4-1の委員名簿をお配りしておりますので、そちらもご参照い ただければと存じます。まず公益代表です。岩村正彦委員です。 ○岩村委員  岩村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  小畑史子委員です。 ○小畑委員  小畑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  次に労働者代表です。田中伸一委員です。 ○田中委員  田中でございます。よろしくお願いします。 ○労災管理課長  小島弘幸委員は本日ご欠席です。次に使用者代表です。伊丹一成委員です。 ○伊丹委員  伊丹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  佐々木真己委員です。 ○佐々木委員  佐々木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  萩尾計二委員です。 ○萩尾委員  萩尾でございます。よろしくお願いします。 ○労災管理課長  よろしくお願いいたします。委員の皆様の辞令については席上配付という形でお配りして おります。なお、労働政策審議会の委員を兼ねておられる委員、あるいは他の分科会の委員 を兼ねておられる委員については、辞令はそれぞれ別にお渡しすることとなっております。 また、本日は公益代表の稲葉委員、那須委員、労働者代表の小島委員、齋藤委員、使用者代 表の筧委員がご欠席です。  続きまして、事務局側に異動がありました。尾澤労災補償部長が就任しておりますので、 部長より一言ご挨拶を申し上げます。 ○労災補償部長  委員の皆様方には大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。今年 の夏の異動で労災補償部長として参りました尾澤でございます。私も含めて担当者も代わっ ておりますので、後ほどご紹介させていただきますが、引き続きよろしくお願い申し上げた いと思います。委員の皆様方には日頃から労働基準行政、なかんずく補償行政の推進につい て、ご理解・ご支援を賜っておりますこと、御礼申し上げたいと思います。また、この労災 保険部会の委員については、今年4月に委員の改選がございました。引き続き委員となられ た皆様、あるいは今回新たに委員にご就任なられた皆様方には、どうぞよろしくお願い申し 上げたいと思っております。  現在、経済情勢の大変厳しい状況の中で、雇用情勢も過去最悪の失業率の中で推移してお ります。現に働いている労働者を取り巻く環境も、大変厳しいと存じております。こうした 中で、労働者が安心して職業生活を送っていくためのセーフティーネットとして、この労災 保険制度の運営に努めているわけでございます。  しかし労災保険を取り巻く状況については、労災事故というのは非常に減ってきてはいる ものの、ここ10年で見ましても、労災の新規受給者数は年間で60万件という状態で、ほ ぼ横這いで推移しているような状況です。数だけではなく、その中身を見ましても、労働者 の職業生活や職場において、新しい生産工程、新しい化学物質あるいは労働態様等さまざま な新しい状況の中で、複雑な事案も多く出てきているわけです。ご案内のように、特に昨今 においては精神障害、あるいは脳・心臓疾患に伴う労災保険の請求件数が大変多くなってき ております。平成20年の状況で見ても、これらの請求において、それぞれ900件近い状況 であります。これらの労災認定につきまして、我々としても的確に行っていくこととしてお ります。これらについても先生方よりいろいろなご意見を賜りながら、今後とも一層迅速・ 的確な運営に努めてまいりたいと思っております。  さらに、労災保険を取り巻く状況の中で、いろいろな事案も出てきております。新たな制 度の変更により、船員保険制度が労災保険あるいは雇用保険制度に受け継がれるという中で、 本日お集まりいただいて、これについてのご審議をお願いしているわけです。船舶所有者の 事業については、これまでは船員保険制度で運用されておりましたが、平成22年1月1日 より、新たに労働保険制度に統合されるという状況ですので、今回はこれについての審議を お願いしているところです。何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  このほかにも、本日は報告案件等がございます。限られた時間ではございますが、忌憚の ないご意見を賜わりますことをお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。どうぞよ ろしくお願い申し上げます。 ○労災管理課長  それでは、その他の事務局の異動についてご紹介をさせていただきます。補償課長です。 ○補償課長  補償課長の田中でございます。よろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  数理室長です。 ○労災保険財政数理室長  数理室長の野地でございます。よろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  職業病認定対策室長です。 ○職業病認定対策室長  以前は主任中央労災補償監察官をやっておりましたが、5月の異動で職業病認定対策室長 になりました。引き続き、どうぞよろしくお願いします。 ○労災管理課長  主任中央労災補償監察官です。 ○主任中央労災補償監察官  主任中央労災補償監察官の須永と申します。よろしくお願いいたします。 ○労災管理課長  次に、部会長の選出についてご説明いたします。参考資料4-2から参考資料4-5まで、審 議会の関係規定を配付しております。当部会の部会長については、労働政策審議会令第7 条第6項に基づき、公益を代表する労働政策審議会の委員のうちから選挙することとされて おります。本部会において、公益を代表する本審の委員は岩村委員のみです。したがって岩 村委員に部会長にご就任いただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、この後の議事進行は岩村部会長にお願い申し上げます。 ○岩村部会長  いま労災管理課長からお話がありましたとおり、部会長という役目を仰せつかりました。 公労使三者の委員の皆様のご協力を得ながら、円滑な部会の運営に努めてまいりたいと存じ ますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、部会長代理を指名させていただきます。労働政策審議会令第7条第8項に基づき、 部会長代理はこの部会に所属する公益を代表する委員又は臨時委員のうち、部会長が指名す ることとなっております。したがって、私から部会長代理を指名させていただきます。部会 長代理については、これまでに引き続いて野寺委員にお願いしたいと考えております。どう ぞよろしくお願い申し上げます。  それでは早速、本日の議事に入らせていただきます。議事次第のとおりですが、最初は「雇 用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令 案要綱」についてです。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件です。 まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○労災管理課長  まず資料1-1です。政令案要綱について読み上げさせていただいた上で、内容をご説明い たします。 ○労災管理課長補佐  厚生労働省発基労0909第2号。労働政策審議会会長、諏訪康雄殿。別紙「雇用保険法等 の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案要綱(失業 保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に 関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の一部改正関係)」について、貴会 の意見を求める。平成21年9月9日、厚生労働大臣、舛添要一。  雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する 政令案(失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料 の徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の一部改正関係)要綱。 第1.失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の 徴収等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の一部改正。労働者災害補 償保険の暫定任意適用事業の範囲から、船員法(昭和22年法律第100号)第1条に規定す る、船員を使用して行う船舶所有者(船員保険法(昭和14年法律第73号)第3条に規定 する場合にあっては、同条の規定により船舶所有者とされる者)の事業を除く者とすること。 第2.施行期日。この政令は雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号) 附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日(平成22年1月1日)から施行するものとする こと。 ○労災管理課長  それでは、要綱案の内容についてご説明させていただきます。資料1-3の下に参考1とい う資料があります。これは「報告書(船員保険制度の見直しについて)」ということで、平 成18年12月21日付で船員保険事業運営懇談会のほうから報告がなされたものです。この 4頁、5頁を開いてください。4頁の終わりから下線が引いてある「5人未満の船員を雇用 する船舶所有者の漁船に乗り込む船員」という所です。船員保険においては、船員を1人で も使用する船舶所有者は適用対象となっております。  一方で労災保険においては、農林水産の事業で常時5人未満の労働者を雇用する個人事業 については暫定任意適用事業とされ、使用されている労働者の過半数の希望がなければ、必 ずしも加入申請しなくてもよいこととなっています。これまで船員保険において強制適用の 対象とされてきた船員に関し、労災保険への統合後に適用されなくなる者が生ずることを避 けるため、5人未満の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り込む船員に係る事業について は、強制適用の対象とするべきであるとされております。  これに関連する条文が、資料1-3です。「参照条文」というタイトルで付けております。 この第17条が暫定任意適用の範囲を定めている政令です。注で左側に抜粋をつけさせてい ただいておりますが、「政令で定める事業については当分の間、適用事業としない」となっ ております。この政令で定める事業として定めているのが、第17条ということになります。  この第17条は「政令で定める事業は、次の各号に掲げる事業のうち、常時5人以上の労 働者を使用する事業以外の事業とする」ということで、第1号と第2号が書かれております。 第2号のほうに「水産の事業」と書かれており、このままですと5人未満の漁船員が強制適 用の範囲から除かれてしまいます。したがって、これを対象範囲に加えるためには第2号の 水産の事業から船員を除くか、先ほど飛ばした括弧書きの所で、法人である事業主の事業 等々の事業を除くとなっておりますので、こちらの除かれる事業のほうに船員を加えるかで す。技術的には両方考えられますが、括弧書きのほうに加える形で処理したいと思っており ます。  いずれにしましても下の四角にあるように、労災保険暫定任意適用事業の範囲から、現行 船員保険の対象となっている船員法(昭和22年法律第100号)第1条に規定する船員を使 用して行う船舶所有者の事業を除外するという手続が必要になります。なお、括弧書きで「船 員保険法第3条に規定する場合にあつては」というのがあります。これは船舶の共同所有の 場合等に伴う技術的な規定です。それを表したものが、先ほどお読みした要綱案の第1です。 いま申し上げたように暫定任意適用事業の範囲から、「船員法第1条に規定する船員を使用 して行う船舶所有者の事業」を除くものとすることということです。  施行期日は、法律の施行期日に合わせます。要綱案にありますように、法律で定められた 施行日、具体的には平成22年1月1日とされており、それに合わせて平成22年1月1日 から施行するものといたします。 ○岩村部会長  ただいま要綱案についてご説明いただきましたが、ご意見あるいはご質問などがあれば承 りたいと存じます。いかがでしょうか。  特にご意見がないので、本件の諮問事項については当部会として妥当と認める旨、労働条 件分科会に報告をしたいと存じますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○岩村部会長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。報告文については、 私に一任させていただくということでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○岩村部会長  ありがとうございます。それでは、そのように取り計らうことにいたします。  続いて第2の議題です。第1の議題と同様に、船員保険の統合に関することです。こちら は「船員保険の統合に伴う今後の関係省令(労災保険部分の整備について)」です。最初に 事務局から、この件についての説明をいただきたいと思います。 ○労災管理課長  先ほどの参考1という報告書と、資料2を用いて説明をさせていただきたいと思います。 まず、参考1の報告書の5頁の下から6頁にかけてをご覧ください。5頁の下のほうに下線 が引いてあります。船員保険の給付日額の考え方としては、標準報酬月額の考え方が採られ ておりますが、統合後は労災保険から給付するものについては、一般労働者との均衡考慮し、 労災保険で用いられている給付基礎日額を基礎として、その支給額を決定することとすべき であるとされております。6頁ですが、「ただし給付基礎日額の算定に当たっては、船員の 賃金が乗船時と下船時で大きく変動することが多い点を踏まえ、傷病等の場合の被保険者の 生活の安定が図られるよう必要に応じ、船員について算定の特例を設け、支給水準の平準化 を図るべきである」ということです。  資料2が、船員保険の統合に伴う労災関係部分の関係省令の項目を掲げたものです。1つ 目の○がいま申し上げた、給付基礎日額の算定方法の特例についてです。労災保険法は基本 的に労働基準法の平均賃金の考え方を採って、それを給付基礎日額としております。それに よることが適当でない場合は、法律上は省令で定めるところによるというようになっており ます。もちろん乗船時のほうが高いわけですが、船員の場合は乗船時と下船時で給与が大き く変動するような体系が採られているケースがあります。その場合については現在の標準報 酬月額においても、1年間を均して見るという特例措置が採られております。それに倣って 給付基礎日額の算定についても、1年間を均して見ることが可能となる省令の特令を設けよ うというのが第1点です。  省令の改正の方向としては、1年を通じて船員として船舶所有者に使用され、基本となる 固定給のほか、船舶に乗り込むこと等により変動がある賃金が定められる場合は、基本とな るべき固定給に係る平均賃金に相当する額と、変動がある賃金の額とを基準として、厚生労 働大臣あるいは厚生労働省労働基準局長が定める方法により算定する額とする、といった趣 旨の規定を設け、詳細は局長通達という形で処理することになろうかと思います。1年間を 均して見ることにより、乗船時に被災した場合と下船時に被災した場合とで、大きく日額が 変動することのないようにしてまいりたいということです。これが第1点目です。  第2点目が、法人組織の代表者等である船員に係る労災保険の適用についてです。現行の 船員保険制度については、法人組織の代表者等である船員についても運用上、法人に使用さ れる者として船員保険の対象とするという取扱いがなされています。一方で労災保険法はご 案内のとおり、労働基準法の労働者を支給対象とするもので、こういった使用従属関係に立 たない者は、労働者ではないという取扱いをせざるを得ないということになります。このま まですと労災保険に統合された後は、こういった法人組織の代表者である船員については、 強制適用の対象とはならないということになります。  船員保険事業懇談会の報告書においても、これまで船員保険の被保険者であった者につい ては、すべて労災保険の適用対象とすべきであるという報告がなされているところです。そ こで、どうするかということです。具体的に労災保険は特別加入という制度が設けられてい ますので、この特別加入制度において、所用の措置を講ずることとしたいということです。 具体的には船員を使用している法人の代表者である船員について、中小事業主の特別加入と いう制度が、すでに労災保険法上存在いたしますので、こちらの現行制度下でも特別加入の 対象となり得るということです。  一方で一人親方としての代表者については、省令で事業を限定列挙するという形になって おります。したがって一人親方として特別加入ができる事業の種類に、船舶事業者の事業を 新設したいと思います。それによって、そういった方も労災保険制度の保護を受けるように してまいりたいということです。それが第2点目です。  第3点目が、船員を使用して行う船舶所有者の事業におけるメリット収支率の算定につい てです。メリット収支率については、資料の括弧書きにありますように、3年度間の業務災 害に係る保険給付等の額/3年間の保険料額(非業務災害分を除く。)×第1種調整率とい う形で、収支率をはじき、この収支率に応じて保険料を加減するという取扱いがなされてい るところです。この第1種調整率をかけるという趣旨は、分子の保険給付等の額のうち、年 金については実際の年金給付額ということではなく、算定対象の年度に新規に支給が決まっ た者の分について、労働基準法で支払うことが義務づけられている相当額を、一括して計上 するという形を採っております。これは事業主の直近の労災防止に向けた努力が、その収支 率に反映されるようにしようという趣旨で行っているものです。そうしますと分子と分母の 間に不均衡が生じてまいりますので、その不均衡を是正するということで、第1種調整率と いう一定の率を分母のほうにかけるという取扱いが、一般的になされているわけです。  翻って船員の場合は50/1,000ということで、保険料額が決められているわけです。その 50/1,000のおよそ半分ぐらいは、過去の年金債務を今後一定期間をかけて償還していただ くことで、過去債務分が保険料に上乗せされているという格好が採られております。そうな りますと通常の分母と分子の計算に比べて、分母が非常に大きな形になっています。逆に言 いますと、ほかの業種に比べてメリット収支率が非常に低く出てしまうことになります。こ ういった不均衡を均すために、船員の第1種調整率については今後、他の業種とは異なる調 整率を設定していく必要があろうということです。具体的には平成22年1月からの統合と なり、年度3年分、平成22、23、24年度の状況を見て翌々年度からとなります。実際にメ リットが働くのは、平成26年度ということになりますので、こちらの省令整備はもう少し 時間的余裕があるかと存じます。  いずれにしましても、第1種調整率を定めることが必要になります。これは徴収法の施行 規則ですが、そのための改正が必要になります。以上の3点が今後、船員保険の統合に伴い、 労災関係部分で整備が求められると考えられる事項です。これについては改めて要綱案とい う形で諮らせていただきたいと存じますので、その折は何とぞよろしくお願い申し上げます。 ○岩村部会長  ただいまの今後予定される省令事項に関する事務局の説明について、ご質問あるいはご意 見等があればお願いしたいと思います。特にございませんか。なお、事務局のほうでも検討 を要する部分があるということですので、これについては引き続き次回にご議論をいただき たいと存じます。この件について、今日のところはここまでとさせていただきたいと思いま す。  それでは議事次第の3番目、「社会復帰促進等事業に係る平成20年度成果目標の実績評 価及び平成21年度成果目標について」です。最初に事務局から、この件についての説明を いただきたいと思います。 ○労災管理課長補佐  資料3と併せて、参考資料3-1もご覧いただければと思います。私どもは社会復帰促進等 事業を行っております。こちらの事業については参考資料3-1にありますように、平成17 年度に閣議決定された行政改革の重要方針というものがあります。ここに「原則として純粋 な保険給付事業に限り本特別会計にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険3事業 については、廃止も含めて徹底的な見直しを行うものとする」との閣議決定がありました。  これを踏まえて私どもは、当時はまだ「労働福祉事業」との名称でしたが、この事業につ いて費用負担者である事業主団体の参画による労働福祉事業見直し検討会を開催し、新たな 事業については労災保険にふさわしいもの、すなわち(1)、(2)にある保険給付を補完し、保険 給付事業と一体的に運営される事業、あるいは労働災害の防止、職業環境の改善等、保険給 付の抑制に資する事業に限定して行うこととされました。この検討を踏まえて、これまでの 事業の約4割を廃止・整理したところです。  予算額についても平成17年度の予算に比べて、平成21年度当初予算においては、約4 分の1を削減いたしました。しかしながら、経済情勢の急激な悪化による企業倒産件数の増 加を踏まえて、一時的に未払賃金立替払制度の原資の増額を、平成21年度補正予算で措置 しています。毎年、費用負担者である事業主団体が参画する検討会において審議いただいて、 個々の事業について不断の見直しを行っているところです。  そういった流れの中で、平成17年度から社会復帰促進等事業のより一層の効率的、効果 的な事業運営を図るため、各事業の性格に応じた成果目標を設定しております。平成20年 度及び平成21年度においても、目標を設定して実施しているところです。今回の本部会に おいては、平成20年度に設定した目標についてその実績を取りまとめたこと、その実績評 価等を踏まえながら、各事業について平成21年度に新たに目標として設定したことからご 報告申し上げるものです。なお、今年度においても費用負担者である事業主団体の参画によ る検討会で審議していただいております。  それでは、資料3によりご説明申し上げます。まず1頁の1番には、「平成20年度新規 事業及び平成21年度重点目標管理事業」があります。評価の対象は52事業あって、その うち事業の必要性や効率化、合理化等の観点から見直す必要がある事業は、すでに措置を講 じた事業を含めて21事業です。資料には13頁にわたって56事業ありますが、見直す対象 は52事業です。評価の類型ですが、成果目標の達成度合に、○△×という記号が付してあ ります。○は目標を達成した事業、△は一部目標を達成した事業、×は目標未達成事業です。  まず事業番号1は、建設業における総合的な労働災害防止対策等の推進事業です。平成 20年度の目標の欄に(1)として、事業対象事業場において、労働災害防止対策の見直しを行 い、具体的な対策の改善措置を講じた事業場の割合を84.6%以上とするとの目標が掲げら れておりますが、平成20年度においては68.5%にすぎませんでした。  一方で(2)の目標は、事業対象事業場における労働災害の発生件数を、事業実施前年と事業 実施翌年を比較して、6.3%以上減少させるということでしたが、結果的には25.4%減少い たしました。そのことから、(1)は目標は達成できませんでしたが、(2)は達成できたというこ とで、一部目標達成事業として△という評価をしております。経済情勢の悪化等もあり、こ の事業の措置を実施する事業場は少なかった、なかなか多くはなかったと考えられます。今 年度に達成できなかった指標については、右の段の平成21年度の成果目標にありますよう に、(1)の指標は昨年度と同水準を維持し、目標ができた指標は数値をより高く設定するなど の目標の見直しを行っております。以下の52事業についてそれぞれの評価がありますが、 基本的にはいま申し上げた考え方において評価をしております。  3頁の事業番号8は、平成21年度の新規事業で、現在、社会的にも問題になっている派 遣労働者等の労働災害防止対策に関する事業です。当然、平成21年度からの事業ですので、 平成20年度の欄の評価は、斜線を引いてあるという整理になっております。  事業番号9は、平成20年度の新規事業です。セミナーに参加させて、長時間労働抑制の ための支援を行う事業です。目標は全国3カ所で、計900のトラック事業者等を対象にセ ミナーを開催するということでしたが、500事業者程度であったこと、また、10番の最新 の治験による職業性疾病等の予防対策普及促進等事業については、セミナーで提供された研 究成果及び最新の治験を、今後の安全衛生活動に活用したいと回答した割合を80%とする という目標を立てましたが、その割合は70%程度であったことから、それぞれ一部目標達 成事業として△としております。なお、9の事業についてはセミナーの開催時期や告知の方 法など、運用面での改善を図り、開催回数や対象事業者数を拡大するとともに、今年度は新 たにバス事業者にも対象事業者を拡大するなどの取組みを行うこととしております。10番 の事業については、セミナーで発表された治験等を事業場において活用できるよう、発表内 容をさらに充実することとしております。  1段下がって大きな項目の2番は、「複数年度目標管理事業」です。こちらはテレワーク 普及促進等対策に係る事業です。テレワーク・セミナーを実施して、その出席者からアンケ ートを取り、セミナーを踏まえた取組みを行う旨の回答を80%以上とするとの目標設定を しましたが、結果的には77%であったことから、目標未達成事業としております。今年度 はテレワーク・セミナーにおいて、在宅勤務ガイドラインなどの理解を深めるなど、セミナ ー内容をより実務に活用できるものとして、テレワーカー人口の拡大に向けた取組みを行う こととしております。また、より事業効果を求めるという観点から、テレワーカー人口等に ついての目標設定を追加しております。平成21年度成果目標の(3)(4)が、追加している点で す。  1段下がって大きな3番が、「社会復帰促進事業及び被災労働者等援護事業」です。事業 番号で申しますと、12〜18です。12〜15までの事業は、すべて目標を達成しております。 今年度の目標設定においては前年度と同程度の水準、又は数値をより高く設定することとし ております。事業番号16〜18までは今年度の新規事業です。ご承知のように、社会的に問 題となっているアスベスト問題に関連する事業です。  4番が「安全衛生確保等事業」です。19番のじん肺等対策事業では、離職後検診の受診 率を61%以上にするという目標がありました。結果的には70%ということで、61%を超え ましたが、(2)の指標である、不具合のある呼吸用保護具の割合を5%以下という目標につい ては7%を超えていたことから、(2)は未達成ということで、一部目標達成事業としておりま す。今後はメーカー等への指導を行い、こちらの不具合の割合を下げていくこととしており ます。  事業番号22番は、安全衛生情報提供等事業です。(1)の指標では90%以上とするという目 標を立てましたが、88%程度ということで目標を達成することができませんでした。(2)の 目標では、高度視聴覚媒体の利用者数を1万3,916人以上とするということでしたが、こち らの点では1万2,000人弱でした。こうしたことから、一部目標達成した事業としておりま す。高度視聴覚媒体の利用者数の目標が達成できなかったのは、施設の一部閉鎖に伴うもの ですが、引き続き災害事例等の情報の充実を図り、的確な情報提供を行っていくこととして おります。  なお、昨年度の同時期の本部会で、実績を集計中であると報告した事業番号26番、小規 模事業場等団体安全衛生活動援助事業については、事業開始時と比較した団体、登録事業場 の事業終了後の労働災害の発生件数減少率を30%以上とするということでしたが、減少率 は約24%であったことから、一部目標達成事業としてあります。同じく集計中だった42 番の短時間労働者安全衛生対策推進費については、全て目標を達成しているとのことである ためという目標達成事業と整理しております。  先ほど新規事業について何点かご説明しましたが、スクラップ・アンド・ビルドを基本と しているところで、平成20年度限りで廃止する事業を、5番として3事業記載しておりま す。  10頁の6番の「独立行政法人の事業(労働者健康福祉機構)」と、同じく12頁の7番の 独立行政法人の事業(労働者健康福祉機構以外)」については、独立行政法人の評価委員会 で評価いただくことになっておりますので、現時点での状況報告となっております。  最後に13頁の8は、「実績集計中の事業」を記載しております。こちらの事業について は昨年度同時期の部会でも集計中とのことでしたが、昨年度の実績目標である、就職率60% 以上という目標は達成したところです。なお、本年度においても60%以上というように、 同水準の目標を設定しているところです。暫定の集計では現在、55.8%となっております。 また集計ができ次第、来年度のこの時期の部会でご報告できるかと思います。  以上、52事業についてご説明しました。いずれにしても今後とも本事業の一層の効率的、 効果的な事業運営を図るとともに、保険給付を補完し、保険給付事業と一体的に運営され、 労働災害の防止、職場環境の改善等、保険給付の抑制に資する事業となるよう、引き続き PDCAサイクルによる目標管理を厳格に行って、不断の見直しを行っていくこととしてお ります。 ○岩村部会長  ただいまご説明いただいた、「社会復帰促進等事業に係る平成20年度成果目標の実績評 価及び平成21年度成果目標について」につきまして、ご意見あるいはご質問等がありまし たらお願いいたします。 ○中窪委員  一つひとつが大変な内容だと思います。包括的にご説明いただいてよく分かりました。た だ「一部目標達成」というのが、1つだけ駄目なのか、それとも3つぐらいなのかというの が、どうもよく分からないのです。それについて○とか×などと書いてあると、なるほど、 これが未達成で、これが何だなということが分かるような気がしたものですから、もし可能 であれば、次回からはもう少し細かな点も出していただければと思います。 ○岩村部会長  その点については来年度ということになろうかと思います。事務局のほうでも資料作成に ついて、少し工夫をしていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。特にございま せんか。  それでは以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。本日の部会の議事録 署名委員は、労働者代表は花井委員にお願いし、使用者代表は田中委員にお願いしたいと思 います。どうぞよろしくお願いいたします。皆様、本日はお忙しいところ大変ありがとうご ざいました。これで終了させていただきます。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係          03−5253−1111(内線5436,5437)