09/09/03 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 09/09/03 平成21年9月3日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成21年9月3日(木) 10:00〜12:00  【場所】 中央合同庁舎7号館西館14階 共用1414会議室  【出席委員】(五十音順)     井手委員、井部委員、河村委員、北田委員、佐藤委員、堀江委員、     山内委員、山川委員、山崎委員、山添委員、若林委員  【事務局】俵木基準審査課長、工藤補佐、磯崎補佐、後藤専門官、山手技官 ○磯崎補佐 それでは、定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物 部会を開催させていただきます。  本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  本日は、鎌田委員、西川委員、由田委員より御欠席との連絡を事前にいただいております。 山内委員は若干遅れられるということで御連絡をいただいております。  現在、添加物部会の委員14名中10名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日 の部会は成立いたしますことを御報告申し上げます。  議題に入ります前に、7月24日付で事務局に人事異動がございましたので、御紹介させてい ただきたいと思います。  國枝基準審査課長に代わりまして、俵木基準審査課長でございます。 ○俵木基準審査課長 7月24日に参りました俵木と申します。よろしくお願いいたします。先 生方におかれましては、添加物の規格基準の設定に当たりまして、大変御尽力いただきまして ありがとうございます。引き続き御指導を賜れればと思いますので、よろしくお願いいたしま す。 ○磯崎補佐 続きまして、光岡課長補佐に代わりまして、工藤課長補佐でございます。 ○工藤補佐 工藤でございます。基準審査課には今年1月から在籍しておりましたけれども、 この7月24日付で技術総括を拝命いたしました。こちらの添加物部会では初めてとなりますが、 どうぞよろしくお願いいたします。 ○磯崎補佐 それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしく お願いいたします。 ○若林部会長 若林でございます。おはようございます。よろしくお願いします。  それでは、早速、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○磯崎補佐 資料確認の前に、本日議題の訂正がございます。お配りしております議事次第で は3品目のご審議をお願いすることになっておりましたが、議題(3)2−エチル−5−メチルピ ラジンにつきましては、食品安全委員会への評価依頼の際にこちらから提出した資料に一部誤 りがあるということがわかり、食品安全委員会での最終の評価結果が今後変わる可能性もあり ますことから、こちらは本日の議題から落とさせていただくことにいたしました。  では、資料の確認をさせていただきます。 (配付資料確認)  もし不足等がございましたら、お申し出いただきたいと思います。  よろしければ、審議に入らせていただきたいと思います。 ○若林部会長 資料等はよろしいですね。それでは、議題に入ります。  3−メチル−2−ブタノールの添加物指定の可否についてです。まず、背景等について事務局 から説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 では、背景から御説明いたします。3−メチル−2−ブタノールは、平成14年7月 に食品衛生分科会で了承されました国際的な安全性が確認され、かつ、欧米で汎用されている 添加物の一つとして挙げられている品目です。本品目については、食品安全委員会へ平成21年 3月12日に食品健康影響評価の依頼を行いました。食品安全委員会では、同年5月18日に添加 物専門調査会で審議が行われ、その審議を踏まえた評価書が同年7月23日に取りまとめられた ところでございます。  それでは、資料に沿って御説明申し上げます。  3ページをごらんください。品目名は3−メチル−2−ブタノール。構造式等はこちらにお示 ししてあるとおりでございます。用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、本品目はカラバッシュナツメグ等の食品等に 含まれている成分でございます。欧米等では加工食品において香りの再現及び風味の向上等の 目的で添加されております。  食品安全委員会における評議結果でございますが、評価結果が平成21年7月23日付で通知さ れておりまして、内容といたしましては3−メチル−2−ブタノールは食品の着香の目的で使用 する場合、安全性に懸念がないと考えられると評価されております。  4ページをごらんください。摂取量の推計でございますが、米国、欧州における1人一日当 たりの摂取量から我が国における本物質の推定摂取量は、およそ0.2〜0.6μgの範囲になると 推定されます。  新規指定についてでございますが、3−メチル−2−ブタノールを食品衛生法第10条の規定に 基づく添加物として指定することは差し支えないということで報告書案はまとめております。 使用基準案につきましては香料として使用される場合に限定して、食品健康影響評価が行われ ましたことから、着香の目的以外に使用してはならないとしたいと考えております。  成分規格に関しましては、別紙1に案をお示ししてございまして、5ページになります。  規格設定の根拠につきましては7ページに別紙2、JECFA規格との対比表につきましては8 ページに別紙3ということで添付してございます。  それでは、規格の設定根拠について概要を御説明申し上げます。7ページをごらんください。  含量につきましては、JECFA規格と同水準の規格値とし、小数点以下1けたまでを有効数字と して、98.0%以上といたしました。  性状につきましては、JECFAでは規格がございませんが、本規格におきましては無色透明な液 体で、特有のにおいがあるとしております。  確認試験につきましては、JECFAと同様に赤外吸収スペクトル法を採用いたしました。  純度試験につきましては、屈折率と比重を設定しておりますが、こちらにつきましては国際 整合性を考慮いたしまして、JECFA規格における規格値を採用しております。  定量法につきましても、JECFA規格と同様にGC法を採用することといたしました。  次に、JECFA規格では設定されておりますが、本規格では採用しなかった項目として沸点がご ざいます。こちらにつきましては、香料の品質管理はGC法により実施されるため、沸点は必 ずしも香料化合物の品質規格管理項目として重要ではないと考えられますことから、本規格案 では採用しないことといたしました。  本品目に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  3−メチル−2−ブタノールの添加物指定の可否についての資料ですけれども、用途は香料で す。食品安全委員会も安全性に特に問題がないと考えるということです。摂取量の推計につい ては0.2〜0.6μg、成分規格等の設定根拠については事務局から報告があったとおりです。8 ページには本規格案、JECFAとの比較表等について書いてありますけれども、特段問題点はな いようにも思いますが、何か御発言ございますか。  それでは、特に問題点等の指摘はありませんので、この後の事務上の手続等について説明し ていただけますか。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会で審議のほか、パブリック・コ メント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。 ○若林部会長 それでは、部会報告書を取りまとめて分科会へ報告する手続をとっていただき たいと思います。よろしくお願いします。  それでは、次の項目に移りたいと思います。5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリンの添加 物指定の可否について、事務局からの説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 まず、背景から御説明申し上げます。5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリンは、 先ほどの品目と同様、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認 され、かつ、欧米で汎用されている添加物の1つとして挙げられている品目です。  本品目については、食品安全委員会へ平成21年3月12日に食品健康影響評価の依頼を行いま した。食品安全委員会では同年6月29日に添加物専門調査会で審議が行われ、その審議を踏ま えた評価書が同年8月27日に取りまとめられたところでございます。  それでは、資料に沿って御説明申し上げます。3ページをごらんください。  品目名は5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン。構造式等はこちらにお示ししているとお りでございます。用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況につきましては、ローストナッツ様の加熱香気を有しておりま して、パン等の食品中に存在するほか、ヘーゼルナッツなどの焙煎により生成する成分でござ います。欧米では加工食品において香りを再現、風味の向上等の目的で添加されているもので ございます。  食品安全委員会における評議結果でございますが、評価結果が平成21年8月27日付で通知さ れておりまして、内容といたしましては5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリンは食品に着香 の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられると評価されています。  摂取量の推計でございますが、米国、欧州における1人一日当たりの推定摂取量を踏まえま すと、我が国における本物質の推定摂取量はおよそ2.3〜8.7μgの範囲になると推定されると ころでございます。  新規指定につきましては、本品目を食品衛生法第10条の規定に基づく添加物として指定する ことは差し支えないということで報告書案をまとめております。使用基準案につきましては、 香料として使用される場合に限定して食品健康影響評価が行われておりますことから、着香の 目的以外に使用してはならないとしたいと考えております。  成分規格の案につきましては、別紙1に案をお示ししてございまして、5ページになります。  設定の根拠につきましては、7ページに別紙2、JECFA規格等との対比表につきましては9 ページに別紙3としてお示ししてございます。  それでは、成分規格の設定根拠について御説明申し上げます。7ページをごらんください。 含量につきましては、JECFA規格と同水準といたしますが、小数点以下1けたまでを有効数字 として98.0%以上としております。  性状につきましては、JECFAでは低融点のワックスに似た無〜淡黄色の固体とされておりま すが、実際に入手したサンプルは、融点がマイナス20℃以下であり、常温では液体の物質でご ざいますので、JECFA規格で設定されている性状は誤りではないかと思われるところでござい ます。よって、実際に入手したサンプルの性状を踏まえまして、本規格案では「無〜淡黄色の 液体で、特有のにおいがある」としております。  確認試験につきましては、JECFAと同様、赤外吸収スペクトル法を採用しております。  純度試験につきましては、屈折率と比重を設定しておりますが、JECFAでは固体とされてお りますので、この2項目に関する規格設定はございません。そこで、今回は両者について市販 品の実態を考慮いたしまして、屈折率については1.540〜1.550、20℃、比重については1.078 〜1.088、20℃と設定しております。  定量法につきましては、JECFAと同様に、GC法を採用することといたしました。  次に、JECFA規格で設定されておりますが、本規格では採用しなかった項目としては3点ご ざいます。まず、1点目が溶解性でございまして、本規格案では赤外吸収スペクトルによる確 認試験、純度試験として屈折率と比重、そして、含量を規定しておりまして、溶解性を規定す る必要性は低いと考えられるため採用しないこととしております。  沸点につきましては、品質管理はGC法により実施されるため、沸点は必ずしも香料化合物 の品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることから、こちらも採用しないことと しました。  融点に関しましては、JECFAの性状が誤りであると思われますことから、本規格案では採用 しておりません。  なお、補足の説明でございますが、今回、国際規格たるJECFA規格に誤りがあることが明ら かとなりましたが、その理由としては、次のような点が考えられるところでございます。JECFA では、基本的に事業者等から提出された資料を基に規格の妥当性を検証しております。しかし ながら、その規格への適合性の試験や検証まではJECFA自らで実施してはおりませんので、事業 者から提出された資料に根本的な誤りがある場合、それがそのままJECFA規格になり得るという ことが現実としてございます。  我が国におきましては、法定規格を設定するに当たり、実際に試験を実施してその妥当性の 検証を行っておりますことから、今回このようなことがわかったところでございます。JECFA規 格に誤りがあることについては、JECFAに情報提供することが必要と考えておりまして、今後ど のような方法で情報提供していくかは業界とも相談の上、考えてまいりたいと思っております。  本項目に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 先ほどの3−メチル−2−ブタノールとは違いまして、いろいろ問題点が出てき ていると思いますので、少し議論をしたいと思います。先ほど事務局から説明がありましたけ れども、食品へ香料として添加することに関しての安全性等については、食品安全委員会の方 から特に問題点はないということでしたが、成分規格に関しては、今までずっとJECFAとの対比 でほとんど問題がなかったんですけれども、これは恐らくJECFAの方の誤りであろうと思います。 液体と固体ということで根本的に間違っておりますので、こういうことが起きるということ自 体が非常に問題であると思います。  よろしければ、ここでもう一度、委員の皆様にJECFAとはどういうようなところで、どういう 活動をしているかを御説明していただければありがたいと思います。実際に御経験のある河村 先生にお願いできますでしょうか。 ○河村委員 JECFAの委員を13年ほどやらせていただいております河村です。  JECFA規格と違う、JECFA規格に誤りがあるという御指摘で、非常に耳が痛いところなのです が、ちょっとJECFAの概要から説明させていただきますと、JECFAはコーデックスから諮問を受 けて、添加物の安全性評価と規格、それ以外に食品を汚染する汚染物質ですとか、動物薬の安 全性評価・規格設定等を行っております。私が出席していますのは食品添加物部会の特に規格 部会で、当事者に当たるわけです。特に香料の評価に関しては、約10年前から始めています。 日本とちょっと違うシステムで、1品目ずつ毎年数百の香料を評価することになっております。 それらをグループ分けしまして、グループ別で安全性評価をし、規格を設定するということで、 ほかの食品添加物とは全く違うシステムで、簡易評価を行い、簡便な規格設定をしています。 安全性に関しては一つ一つの評価をしますが、規格に関しては事業者が提出したものを問題が なければそのまま採用するということになっております。その事業者というのがIOFI(国際食 品香料工業協会)という機関ですが、ここが各国の香料工業会等から出たデータを取りまとめ てJECFAに送ってくるのですが、1年間に数百の香料が一覧表のデータベースで来ます。そう いったものを一つ一つチェックするのは実質上不可能ということで、JECFAではそれ以外の添加 物も毎年10項目以上審議しているのですが、そちらは1品目ずつ確認をとりますが、香料に関 してはまとめてそのまま提案という形で、IOFIから提出されたデータに間違いがあっても、そ れをチェックすることができません。特に、明らかにおかしい、もしくは何だかわからないと いう場合には問い合わせをしますが、そうでなければそのまま通ってしまいます。  ただ、JECFAでは一度決まったものでも、修正要求が出たら審議をやり直すというシステムが ありますので、おかしいという意見が出れば議題に上がります。例えば、今回もそうかと思い ますが、IOFIは誤記載が非常にたくさんあります。その場合に日本の香料工業会からダイレク トにJECFAに連絡してくださるときもあるのですが、JECFAでは日本のデータが本当に正しいの かどうかをチェックすることができません。IOFIが提出したデータが間違っているのか、もし くは世界中にはこのデータが正しいものもあるのかもしれません。もしかしたら、ある国では とても変わった製造法で同じものをつくっていて、例えば、融点、屈曲率、比重などが若干ず れるものもあるかもしれないので、簡単に書き直してしまうわけにはいかないのです。それで、 できればIOFIの方に申し出ていただいて、IOFIが明らかに誤記載だということを確認して「済 みません、間違っていました」と言っていただきますと、JECFAの方では非常に簡単に直せるの で、そういったシステムで修正をしていただくようにお願いします。  今、日本の香料工業会では、そういった形で誤記載をかなりたくさんIOFIに指摘していただ いていますが、IOFIの事務局の問題で非常に滞っているという状況です。本来ですと日本の香 料工業会からスムーズにIOFI、そしてJECFAに来れば、次の年に修正はかけられるのですが、 皆様に御迷惑をかける形になっております。JECFAではこれが間違いだということがわかれば、 いつでも速やかに修正します。  ということで、本当に御迷惑をかけて申し訳ありませんが、これについては日本でいろいろ 調べていただいたおかげで間違いがわかって、JECFA規格も来年ぐらいには正しくできるので はないかと思いますので、どうぞ御連絡の方をよろしくお願いします。どうもありがとうござ いました。 ○若林部会長 河村先生、どうもありがとうございました。  これからいろいろ審査をしていく上においてJECFAとの対比が出てくると思いますし、河村 委員はそちらに関与されているということですので、この際、もしJECFAについて何か御質問 等がありましたならば、いただければと思いますが、よろしいですか。  規格について、やはり日本で独自に再検査をして確認をするということが必要であるという、 いい事例だと思います。これがなかったならば非常に混乱を生じたと思います。やはり再チェ ックするというシステムは必要だと思います。また、お互いに情報交換をするということも極 めて重要なことだと思います。よろしいでしょうか。  逆に、JECFAの方から日本側の規格がおかしいと言われたような例は、今までにあるんです か。 ○磯崎補佐 ここ最近は、特段そのような指摘を受けたことはございません。 ○河村委員 JECFAの方では各国の規格も参照させていただきますので、事業者から提出され たデータと、もし、各国で規格が決まっている場合には、それを見比べさせていただいていま す。特に日本の規格に関しては、JECFAは非常に参考にさせていただいていまして、いいとこ ろは取り入れるという形では随分使わせていただいています。しかし、ほかと違うからといっ て問い合わせをすることはありますが、おかしいと指摘をすることはありません。 ○井部委員 日本で分析した製品というのは1製品ですか、それとも何製品か分析した平均で すか。 ○磯崎補佐 今回のこの品目に関しましては、市販品6社21製品に関して分析をしまして、屈 折率と比重を設定したところでございます。 ○若林部会長 慎重にデータを出して、最終的にこの案にまとめているということです。よろ しいですか。このテトラヒドロキノキサリンに関しては既にいろいろなデータが蓄積されてい るでしょうから、それを確認した上で、更に6社の21製品についてやったということですから、 規格管理に関しては特に問題点はないと私は思いますけれども、この点に関してはどうでしょ うか。  このような事例になった場合に、それぞれのプロセスをしっかりこういう方法で知らせると いうようにしておいた方がよくありませんか。もし、次の事例があった場合、次の対応が違う とまずいんじゃないかなという気はするんですけれども。事務局としてはどのように考えてい らっしゃるんですか。 ○磯崎補佐 もし、今後、香料で同じようなことがあった場合には、今、河村委員からも御提 案いただきましたようにIOFIを通じてというのが一番ベターではないかと思われますので、基 的にはそちらのルートから持っていくということを検討させていただこうかと思います。 ○若林部会長 どなたの名前でIOFIに出されるんですか。 ○磯崎補佐 出すときには日本香料工業会からIOFIに工業会の名前で提出することになるかと 思います。そしてIOFIでそれで問題ないことが確認されれば、IOFIからJECFAに話を持ってい くということになろうかと思いますけれども。 ○河村委員 1つ補足させていただきます。JECFAにはいろいろなルートで言っていただく方 法がありまして、一番一般的なルートはコーデックスを通じてという形で、コーデックスの食 品添加物部会(CCFA)が毎年開かれますので、そこで提案していただくというのが一番普通の ルートです。CCFAでは、JECFA規格について審議をし、その次の年に審議する添加物を決めます。 JECFAの議題もコーデックスからの依頼で審議をするものが多くなっています。JECFAは食品安 全委員会と同じように独立の機関ですけれども、CCFAと密接な関係にあります。  JECFAというのは専門家委員会で、実は私もそうなのですが、各国政府からの代表ではなく、 専門家個人として参加しています。CCFAの方は政府機関からの代表が集まって話し合うことに なっています。日本政府からも代表が出ておりますし、それから、日本の食品添加物とか香料 の業界団体からも出席できることになっています。日本政府から提出される場合には、まとめ て外務省から提出されます。ですから、普通の添加物に関してはそのルートで提出していただ くのが一番いいのですが、香料の場合には、これで本当に正しいかどうか世界規模で検証して いただかなくてはいけないので、IOFIの方がいいだろうということです。もちろんCCFAで出し ていただいても審議には上ります。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。  では、もう一度5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリンの成分規格の話に戻りまして、7〜 9ページにわたって、それから、ガスクロのチャートの差し替えに関しては特に説明は必要あ りませんか。 ○磯崎補佐 こちらの資料の差し替えに関しましては、両者を比較してご覧いただければと思 いますが、若干カラムですとか、キャリヤーガス、スプリット比が異なっております。それに よってピークの出る時間が元の資料では23.953ですが、訂正版では18.643に出ております。  5ページの定量法をごらんいただきたいのですが、香料のガスクロマトグラフィーの試験法 につきましては、一般試験法として公定書で規定された方法がございまして、その中の操作条 件の(1)の方法により定量するということで、具体的にすべての操作方法を規格中には書かず に、この条件を引用する形としております。公定書の一般試験法では、実はピークが出る位置 に関して時間帯の規定がございまして、操作条件の(1)では20分より前に出たもピークをカウ ントするということになっておりますので、差し換え前の方法ですと20分を超えておりますの で、改めて20分の中に収める方法でできるのかどうかを検討いたしました。公定書に載ってい る方法ではできないのであれば、操作条件を規格の中にすべて記載するという方法を検討しな ければいけないのですが、今回の場合はキャリヤーガスですとか、カラムの長さを若干変える ということで、操作条件で(1)を利用することで問題ないということがわかりましたので、そ こで今回当日お配りしたもので差し替えさせていただいたところです。  以上でございます。 ○若林部会長 わかりました。よろいでしょうか。成分規格に関して含量、性状、確認試験、 IR法、屈折率・比重、融点、沸点、溶解性に関しては特に設定せずというような規格案にな っています。よろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○若林部会長 それでは、テトラヒドロキノキサリンに関しては、皆さんこの規格案で了解さ れたとことといたします。  それでは、今後の手続等について説明をお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会による審議のほか、パブリック ・コメント、WTO通報等の所定の手続を開始したいと思っております。 ○若林部会長 それでは、よろしくお願いいたします。  本日は、この1と2の議題でして、3つ目のエチルメチルピラジンに関しては次回以降審議 するという話でした。  それでは、その他の事項に移ります。既存添加物の消除について、事務局から説明をお願い できますか。 ○磯崎補佐 それでは、報告資料1「既存添加物の消除について」という資料をごらんくださ い。  厚生労働大臣の個別の指定を要する対象品目としまして、従来は化学合成品のみが対象とさ れておりましたが、平成7年の法改正の際に天然由来のものも個別指定の対象とするという運 用の拡大を行いました。  その当時には、既に市場に流通している天然由来の添加物等がございましたが、それらにつ きましては特段安全性上の懸念があるといった話もございませんでしたので、当時、流通実態 のあったものについては、それをリスト化いたしまして、その範囲の品目については改めて指 定を受ける必要はないということで特例措置をとったところでございます。  このリスト、既存添加物名簿に関しましては、平成15年に法改正が行われた際に附則第2条 の3という規定が追加されておりまして、その中で厚生労働大臣は流通実態のない既存添加物 については、消除予定添加物名簿というものを作成の上公表し、必要な手続を経た上で、既存 添加物名簿から削除することができるという規定が新たに設けられております。また、流通実 態のないもの以外にも、安全性上懸念があるということが明らかになったものについても、消 除することができるという規定が設けられております。  最初に既存添加物名簿ができ上がった際には、489品目収載されておりました。その後に、過 去2回流通実態がないことによる消除と、安全性の問題で1品目の消除が行われておりまして、 合計71品目が当初の名簿から削除され、今現在、名簿に収載されている品目は418品目となって おります。今回は第3回目の消除を実施するということで、対象候補品目の選定を行ったとこ ろでございます。  候補品目の選定に当たっての基本方針を2番目にお示ししてございまして、2つのクライテ リアに合致するものを今回の対象としております。まず、1点目が厚生労働科学研究費で定期 的に流通実態調査を行っておりますので、そこでの流通実態が確認できず、かつ、海外の規格、 JECFAやEU、米国等での規格の存在も確認できなかったものは消除の候補として選定しており ます。2点目といたしまして、市場で流通実態があった場合においても、その使用の目的が添 加物として用いているというものではなく、例えば、健康食品の素材という形で用いられてい るようなものについては、添加物としての使用実態がないということになってまいりますので、 こちらについて今回消除候補の対象といたしました。  過去2回の消除の際は、クライテリアの1つ目を基に実施しておりましたが、今回はクライ テリアの2つ目に合致するものについては候補ということで選定いたしております。これらに 基づいて今回選定いたしましたのが、2ページ目以降に表でお示ししてございますが、計125品 目ございます。  今後の作業でございますが、候補品目の選定は、厚生労働科学研究の中で業界団体のご協力 のもと行われた実態調査を基にしておりますので、日本国内での状況をすべて網羅できている ということでは必ずしもございません。そこで今回の案を基に一度、地方自治体を通じて消除 の対象予定としているものについて、添加物としての販売等の実態があるかという調査をまず 実施したいと思っております。  その調査を実施した上で、やはり実態が確認できないものについては、最終的に消除するた めには附則第2条の3で手続が規定されておりますので、それに沿って消除作業を進めること にしたいと思っております。  その流れをまとめましたのが5ページでございまして、まず、都道府県を通じた調査をでき れば9月中旬から下旬辺りに開始したいと思っております。こちらで流通実態を確認して、や はり実態を確認できないものは、法的に定められている方法ということで消除予定添加物名簿 というものを告示で公示いたしまして、6か月間訂正申し出の機会を設けます。この期間内に はWTO通報も並行して行うことを予定しております。  その後、訂正の申し出が出てまいりましたら、締め切りから6か月以内に申入れの内容の確 認ですとか、必要に応じて再調査を実施しまして、実際に最終的な消除品目の確定を行いたい と思っております。  附則の規定では、消除予定名簿の公示から最終的な消除名簿の確定までを1年以内に実施す ることとされておりますので、あくまでも予定ではございますが、名簿の公示が来年2月から スタートした場合には、資料の日付が間違っておりますが、再来年の2月までに最終的なもの を固めて実施するということになってまいります。  消除に関する御説明は以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  既存添加物の消除について事務局から説明がありましたように、既存添加物489品目に関しま して、第1次では38品目、第2次では32品目、それから、平成16年に安全性の問題でサーベイ れたアカネ色素が名簿から削除されておりますけれども、今回は残りの410品目について調査し て、今のところ125品目が候補になっているということですね。その使用実態等々を調べて、5 ページに示しましたような手続を経て最終的に決定するというプロセスです。  この既存添加物の消除について御質問・御意見等がありましたら、よろしくお願いいたしま す。 ○山内委員 まず質問と、次の報告が出ておりますが、安全性に関する現在の到達点について の確認もさせていただきたいことと、今回の消除の対象となる品目の是非についても意見があ りますので申し上げたいと思います。それと、これは添加物にかかわるお仕事の関係とはちょ っと外れると思いますが、今回の消除の対象になっているもののうち、2つ目でいわゆる健康 食品素材との関係で使用実態が確認できなかったということが書いてありまして、健康食品そ のものの管理が十分になされていない中、このような規制があったものが外されていくことに 対して消費者として懸念を持っておりますので、本部会の対象となるかどうかはわかりません が、食品安全行政として考えていただきたいということで3点ばかり申し上げたいと思います。  まず、確認ですが、「消除」という言葉は私は日常使いませんが、「削除」の意味で理解し てよいですか。  次に、「消除」にかかわる添加物部会の役割について教えてください。  次に、安全性評価について、現在の到達点確認をお願いします。報告資料2の1〜3ページ では、一番最初に登録された489品目の既存添加物のうち、まず159品目については国際的な評 価があって安全性については確認された。それから、41品目については、入手した試験成績の 評価によって問題がないとされた。残り150品目については、もともとの基原・製法・本質か ら見て安全性の検討は必要ないということで、ここの段階で489から350は当面検討の余地はな く、安全性も問題なし。残り139品目のうち、1ページにあるように平成11〜19年度までの研究 から安全性が確認されたものが58。それ以外に、その期間中に消除されたものが46、残り安全 性について結果が出ていないものが35あると。そのうち今回の研究で7つの評価を行ったと。 したがって、まだ何も結論が出ていないものが28残っているというので良いでしょうか。つま り、現在、名簿に掲載されている418品目のうち、安全性評価が終わったのが390でいいですね。 これも確認をお願いします。これに関して、残っている28の未評価のものの今後の評価の進行 状況について教えてください。  次の質問です。この間の国立医薬品食品衛生研究所の調査で、グレープフルーツ種子抽出物 については合成殺菌剤が含まれている製品が多いという報告があったと聞いておりますので、 この扱いについてはどのように考えていらっしゃるのかも教えてください。  まだ質問がありますが…。 ○若林部会長 少しずつ切っていかないと、多分回答者がフォローアップできないでしょうか ら、少しずついきましょう。  1番、2番ぐらいからいきますか。消除と削除。私も余り「消除」という言葉は使わないけ れども、法律用語ですか。 ○磯崎補佐 行うこと自体はリストから削除するということなのですが、法律の附則の中で法 律用語的に「消除」という言葉を使っておりますので、この資料の中でも「消除」としており ます。行うこと自体は名簿からその品目を落とす、削除するという作業になってまいります。 ○若林部会長 2つ目は、本部会の役割ですね。 ○磯崎補佐 本部会におきましては、添加物の新規の指定ですとか、あと、過去にも既に指定 されているものの削除というようなことも、理由等も含めて御審議いただいてきております。 今回につきましても、実際に都道府県等を通じて実態調査を行いまして、実際に公務的な手続 を開始する際には、その結果も含めて、また改めて部会で御報告した上で正式な手続に入って いきたいと思います。ですから、そこで御審議いただく際に、結果等について疑問点等があれ ば先生方から御意見をいただいて、皆様の御了承が得られるようでしたら、次のステップに入 るということでやっていきたいと考えております。 ○若林部会長 このプロセスのどこに、そういうことが書いてありますか。 ○磯崎補佐 5ページが全体のプロセスになりますが、本日の状態といいますのは都道府県等 への調査の前の段階で、事務局としては本日の資料にあります内容で、手続を進めてまいりた いと考えております。よって、本日御議論いただいて特に問題等はないということでご了解い ただけましたら、都道府県等への調査を開始したいと思っております。  現在は125品目を候補としておりますが、調査の結果、申し出がありその内容が妥当であれば、 幾つかこの中から落ちていくかと思いますので、それらを落とした上で実際の公示手続に入る 品目に関しまして、できれば公示する前に一度、部会で御報告させていただきたいと思ってお ります。それでまた御了解いただけるようでしたら、公示の手続に入ることにしたいと思って おります。  最終の決定を行うのが、公示から約1年後ということになりますけれども、またその際には、 状況について御報告申し上げたいと考えております。 ○若林部会長 今回もし了解されると、都道府県への調査が入って、公示の前にもう一度あっ て、1年後にもう一回あると。少なくとも3回は絶対にこういうところで議論の場があるとい うことでよろしいですか。  3つ目の質問は、未評価の28品目について。 ○磯崎補佐 先生がごらんになった資料はこれから御説明させていただこうと思っておりまし た報告資料2の一番最後のページの一覧表になろうかと思います。現在、消除されたものが71 品目ございますので、今、名簿に載っているのが418品目ということになっております。安全性 評価済みの品目は、こちらの表に各年度ごとの数をお示ししておりまして、これまで計226品目 が終わっております。  3番目に、基原・製法・本質等から見て、早急に検討を行う必要がない品目というのが124 ございますが、こちらは一番最初に安全性の検討を今後どのように進めていくかということを 平成8年の厚生労働科学研究の中で検討した際に、3番目の条件に合うものということで示さ れているのが124品目あるというところでございます。418品目から評価済みのもの、そして、 平成8年の段階で基原等から見て早急に検討を行う必要がないと判断されたものを除きまして、 今現在28品目について安全性情報を収集しているところでございます。  基本的には、反復投与毒性試験と遺伝毒性の試験の結果を基に評価しておりまして、その結 果、安全性上問題があるということが明らかになりましたら、平成16年にアカネ色素が消除さ れましたように、そういったものは消除していくことになります。  アカネ色素は、現在進めているような安全性確認の過程で問題があることがわかった品目で ございます。今後、今進めている28品目の中にも、もしかするとそういうものが出てくるかも しれませんが、そのようなことが明らかになりましたら、既存添加物名簿から落とすというこ とで対処していきたいと思っております。  あと、グレープフルーツ種子抽出物の件でございますが、こちらは現在418品目の中の一つと して名簿に収載されております。なお、今回の消除予定名簿の中には入っておりません。先生 がおっしゃられましたグレープフルーツ種子抽出物と言われているものの中に、合成ではない かと思われる殺菌剤が一部入っていることが分析の結果明らかになったということに関しては、 国立医薬品食品衛生研究所で分析した結果、そのようなことが明らかになったということで報 告されておりますので、そちらをごらんになってのことかと思います。  今現在、なぜ合成と思われる殺菌剤が検出されたのかというところに関しまして、製造の過 程で意図的に混入されたものなのか、それとももともとグレープフルーツ種子の中にあるもの で抽出物に入り得るものなのかというところで確認の調査を進めているところでございます。 現段階では事業者への確認等を進めておりますが、意図的に添加したと思われる情報はまだ得 られていない状況でございます。更に調査を進めまして、意図的添加ではないであろうという ことになりましたら、特定のグレープフルーツ種子にはそういうものが含まれることがあり得 るということだと思いますので、そういうことがわかりましたら、そのようなものが入ってい るという前提で動物実験等の安全性確認を行いまして、もし問題があれば消除いたしますし、 問題がなければ引き続き使用は認めるということになろうかと思います。また、それと並行し て規格の設定なども検討してまいりたいと考えているところでございます。 ○若林部会長 グレープフルーツへの合成殺菌剤のコンタミネーションについては、よろしい でしょうか。ほかの方々もよろしいですか。  では、山内委員、まだ追加質問がありますか。 ○山内委員 そうしますと、このグレープフルーツ種子抽出物は今お示しいただいた表のどの 中に入っているかわかりますか。 ○磯崎補佐 報告資料2の一番最後のページでございますが、こちらの「安全性の情報を収集 している品目」という部分に入っていることになります。 ○山内委員 今回の消除の対象の基本方針の2つ目に、添加物としての目的の使用実態を確認 できなかったものとありますが、今までは安全性に問題があって外したアカネ色素、それ以外 は国内で全く流通実態がないので、意味はないということで外されたということで、私もそれ はすんなりと読めましたが、これは、附則第2条の3から「添加物としての使用実態を確認で きないものも外す」ことを読み取るということでしょうか。 ○磯崎補佐 附則第2条の3ですが、全文を引用した資料を本日は御準備しておりませんので 口頭での御説明になってしいますが、附則第2条の3で、厚生労働大臣は、既存添加物名簿に その名称が記載されている添加物について実態等がなければ消除ができるということで、「添 加物について」と記載されております。食品衛生法の中で添加物は第4条で定義されておりま して、食品の製造の過程、加工等の目的で使用するものとなっておりますので、例えば、健食 のように普通の食品として食べるものになりますと、添加物という定義そのものに合わないと いうことになってまいります。よって、先ほどの附則第2条の3における「添加物について」 というところに、そもそも合わないということになってまいりますので、そういった点から法 的には問題ないのではないかと考えているところでございます。 ○山内委員 追加でお願いがあります。よろしいでしょうか。  今回の提案が出ている1256品目のうち、使用実態が全くなくてやめてしまいたいものと、添 加物としての使用実態がないのでやめてしまいたいものを分けて示していただくことはできな いでしょうか。 ○磯崎補佐 本日は資料を準備しておりませんのでお示しすることはできませんが、一応こち らで調査をした結果をそれなりにまとめたものはございますので、参考として御提供させてい ただくことは可能でございます。 ○山内委員 と申しますのは、全く使用実態がないものの消除は今までも実施されていること なので、このようにオープンに手続を進められるのはいいと思いますが、。いわゆる健康食品 的素材として使われている実態があるが、添加物としての使用実態はないというものについて、 この法令のもとですっきり消除したいという主旨はわかります。、健康食品に関わる問題が多 く出る現状において、現在は健康食品に対する法的規制がなく業界の自主基準で管理していく、 第三者認証機関による認証等も進めていくという対策が進展中であることは承知していますが、 消費者として厚生労働省としても健康食品の規制の在り方をさらにご検討いただけないかと思 います。特保以外の分野の食品に対して有効な方法が何かないものでしょうか。この既存添加 物でかかっている規制が外れることに対して、一般的に抽出された化合物を大量に含有してい る食品が出てくることが想定できますし、有害物質や汚染物質が共存している可能性もあると 考えられるものが健康食品として市場に出ていくことに対して、何らか考えていただけないか。 意見として申し上げたいと思います。  この間、食品の安全にかかわる行政の仕組みも大きく変わってきまして、未然・防止という 視点からさまざま取り組まれていると思いますので、その視点からも考えていただくわけには いかないのかなと思います。というわけで、私としては明確に使用実態がないものは了解でき ますが、もしかしたら、健康食品に残る可能性のあるものは、もう少し注意して取扱いをした らいいのではないかというのが意見でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。健康食品の問題については、非常に大きな問 題ではありますけれども、多分それぞれの委員会の範囲がありますから、ここで議論できるも のと、それ以外のものになると思いますが、課長から何か御説明いただけますか。 ○俵木基準審査課長 健康食品の安全性確保の問題については大きな問題で、これまでも検討 会での議論が行われてきていると承知しております。先生御指摘のように、第三者機関による 対応等も、今まさに業界も含めて議論が進んでいるところだと思います。今回のこの既存添加 物名簿からの添加物の削除につきましては、今、磯崎から御報告しましたように、添加物とし ての名簿の中から添加物として使用されていないものについては削除しようという考え方でご ざいます。先生御懸念の添加物名簿に上がっていたものが外されることで規制が緩くなるので はないかという点については、名簿に上がっていること自体が何ら安全性を確保しているもの でもないので、そういう意味では、そういった誤解があることも一つの問題なのかもしれませ んので、添加物としての使用実態のないものについては、添加物名簿からは削除するという作 業は淡々と進めさせていただきたいと思います。健康食品の安全性確保については、別途きち んとした議論・対応を図っていくことを考えていかなければならないだろうと考えております。 ○若林部会長 よろしいですか。追加は大丈夫ですか。 ○山内委員 はい。 ○若林部会長 百数十品目になりますので議論のあるところだと思いますけれども、そのほか にこの消除について御質問・コメントがある方はいらっしゃいますか。 ○山崎委員 今の俵木課長の回答に少し補足させていただきたいんですが、私は実は特定保健 用食品の審査もやっている委員でもあるんですが、その立場で見ますと、特保申請が上がって くるような大きな会社の食品素材の中には、既存添加物と同じ名称を使っているものがかなり 使われています。  そういう品目に関しては、大手の企業がつくっている製品の場合は品質管理がきちんとでき ていますので問題ないです。それに対して問題になるのは、こう言っては何ですが、小さい企 業がつくっている既存添加物製品なんですが、そういう製品の場合は、しっかりとした品質管 理ができるような成分規格がない、あるいは製造工程管理ができていないのではと推測させる ような状況を感じております。ですから、そうした場合には、既存添加物名簿に出ているから といって、成分規格がきちんとできていて最終製品の品質がきちんと保証されているというこ とにはならないんですね。そういう意味で、名簿から消除したとしても、品質が更に悪くなる かというと、現状と変わりないだろうと考えます。  もう一つは、既存添加物の安全性確認が未終了の品目は二十幾つにまでなり、安全性確認は かなり進んでおりますが、その一方で成分規格の作成に関しましては、成分規格ができている 数の方がずっと少ない状況です。業界団体がつくる自主規格によってきちんと製品の品質がコ ントロールできているものがある一方で、一応自主規格はできているんだけれども、それで本 当に製品の品質が確保できているのだろうかと疑問を感じるような自主規格も現にあります。 そういう状況を考えると、既存添加物名簿に載せていることによって健康食品素材の安全性が 確保できるというのは、私は不可能だと思っています。  課長が言われていましたように、いわゆる健康食品素材の安全性確保をするためには、既存 添加物の安全性確保とは別の考え方で行政管理をしていかないと安全性確保はできないんじゃ ないかと考えております。  以上です。 ○若林部会長 山崎委員、どうもありがとうございました。この件に関しましては、よろしい ですか。 ○山内委員 御意見ありがとうございました。大分わかりました。そうしますと、添加物とし てではなく、おっしゃったように健康食品の素材として成分規格をきちんと定めるとか、製造 工程の確認をするというところで何がしかの対策を打っていく道筋は法律のもとでやるのか、 自主的なものとしてやるのかというのはあると思いますけれども、そういう在り方というのは あると理解してよろしいですか。 ○俵木基準審査課長 添加物の規格の設定ですか。 ○山内委員 健康食品として。今はないと思いますけれども。方法の一つとしては、そういう こともあるということですね。 ○俵木基準審査課長 どういう枠組みでやるかは別にして、考え方としてはあるんだろうと思 います。 ○若林部会長 よろしいですか。  それでは、報告事項1が終わるということでよろしいですか。報告事項1に関連して、2に ついてはかなり今、説明が入りましたので、報告資料2については追加説明があれば事務局か らお願いします。 ○磯崎補佐 では、先ほど品目数等の御説明はさせていただきましたので、今回の報告書の中 に含まれている品目に関して、若干御説明させていただきたいと思います。1ページ目をごら んください。  既存添加物の安全性確保につきましては、平成8年の厚生科学研究の中で安全性の確認が更 に必要であろうと言われた139品目を対象に、これまで安全性の確認作業を実施してまいりまし た。昨年度の段階で35品目が対象に残っていたということで、これら残りのものについて情報 の収集を行いました。その結果、今回7品目、具体的にはカテキン、ジャマイカカッシア抽出 物、ダイズサポニン、トコトリエノール、焙煎コメヌカ抽出物、フェネラ酸、没食子酸に対し て必要な情報が収集できましたので、その情報を基に評価した結果をまとめてございます。  こちらの7品目のうちダイズサポニンと焙煎コメヌカにつきましては、90日間反復投与試験、 そして、変異原性試験を基に評価を行っております。そのほかの5品目については、90日間反 復投与試験、変異原性試験の結果を踏まえまして、更に追加の実験を行い確認した方がいいの ではないかという検討がございましたので、1年間の反復投与試験等を追加実施いたしまして、 5品目についてはそれら追加試験の成績も入手した上で評価を行ったところでございます。  その結果、それらの試験成績からこれら7品目の既存添加物については、基本的な安全性を 評価できました。結論といたしましては、添加物として現在使用されている範囲において直ち に人の健康に対して有害影響を及ぼすような毒性はないと考えられるということで報告書をま とめていただいております。  5ページ以降に、具体的に個別7品目の試験成績の概要をお示ししておりますし、3ページ のDに、これらの試験成績を基に評価した考察等の内容がまとめられているところでございま す。  今後まだ28品目残っておりますので、引き続きこちらについて情報収集を行いまして、評価 が終わったものにつきましては、また、部会でも御報告させていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  報告資料2についての追加説明でしたけれども、何か御質問・コメントはございますか。よ ろしいですか。 ○山崎委員 今回の評価結果を受けて、基準審査課として規格基準を見直すとか、あるいは新 規に使用基準を設定することが必要かもしれないと思われるような品目はあるんでしょうか。 ○磯崎補佐 今回の7品目に関しては、特段成分規格ですとか使用基準等について、現行の取 扱いから変更しなければならないであろうというようなことは評価の結果、特にございません でした。 ○若林部会長 そのほかに何か質問はございますか。  それでは、報告資料2については終了したいと思います。  次は報告資料3、マーケットバスケット方式による摂取量の調査結果等について、事務局か ら説明をお願いします。 ○磯崎補佐 食品添加物のマーケットバスケット方式による摂取量の調査につきましては、毎 年度対象品目を変えてこれまで実施しているところでございます。平成20年度は10種類の酸化 防止剤と4種類の防ばい剤、1種類製造用剤、2種類の結着剤につきまして調査を実施いたし ました。具体的な品目は1ページ目の「目的」の後半部分に記載してございます。  方法につきましては、今回の調査に御参画いただきました地方衛生研究所6機関におきまし て、8つの食品群から成るマーケットバスケット方式調査用加工食品群というものを調整いた しまして、国立医薬品食品衛生研究所を含む7機関で食品群ごとに含有量を測定し、それに対 して食品群ごとの喫食量をかけることによって、一日の摂取量の推定を行いました。  その結果でございますが、8つの食品群ごとの各添加物の含有量に食品の喫食量を乗じて求 めた一日摂取量が2ページの表1でございます。  また、分析結果に基づく摂取量と、それぞれの食品添加物の一日許容摂取量(ADI)との 比較が表2ということで、3ページでございます。一番右のカラムを見ていただけますと、こ ちらがADIに占める摂取量の割合ですが、いずれもADIから算出される一日許容摂取量を 大きく下回っておりまして、本調査の結果、これらの添加物については安全性上特段の問題は ないと考えられるところでございます。  更に、混合群中の含有量に年齢層別の食品の喫食量を乗じて、年齢別の一日摂取量も推計し ておりまして、その結果が4ページの表3です。  こちらの結果を基にADIとの比較を行った結果が5ページの表4になります。  各食品添加物の一日摂取許容量に対する割合は、5ページの表4を見ていただきますと、1 〜6歳の年齢層で最も高くなるという結果が得られております。しかしながら、今回、ADI 比が最も高かったのは1〜6歳のトコフェロールで15.15%が最大値であり、あとはすべてそ れ以下の結果となっておりますので、各年齢層別に見た場合においても、特段の問題はないの ではないかと考えております。  平成21年度は、甘味料、保存料及び着色料などを対象にいたしまして、小児の摂取量につい て調査を行いたいと思っております。これまでが大人での摂取量を基に調査等を実施しており ますが、その中でも比較的摂取量が多いと思われるようなものを甘味料や保存料の中からピッ クアップいたしまして、本年は小児にターゲットを絞った形で調査を実施したいと思っており ます。また、こちらの結果がまとまってまいりましたら、来年度になるかと思いますが、結果 を御報告させていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  マーケットバスケット方式による酸化防止剤、防ばい剤、プロピレングリコール及びリン化 合物の摂取量調査で、いずれも設定のADIよりも摂取量の方が少ないというような結果が出 ているということでございます。何かこの点について、御質問・コメントはございますか。  これは平成21年度から調査項目で小児の摂取量にフォーカスを当ててやるようになっている と思いますが、食品添加物などがたくさん出てきますけれども、どれを対象に、どういう順序 でやっていくというのは、どこがどのように決めているんですか。 ○磯崎補佐 本研究は佐藤先生に進めていただいておりまして、毎年どういった品目について 実施するのかという点につきましては佐藤先生と御相談させていただきながら決めております。 これまでは、毎年カテゴリーを変えて、それを回していくという感じで、また何年後かに同じ カテゴリーのものを調査するということでやっておりましたが、過去の調査でもADIを超え るような問題は特にございませんでした。ただ、今回のデータにもございますように、やはり 小児での摂取が大人に比べると比較的多いということは、過去、そして今回の結果でもわかっ ておりますので、大人では何サイクルか回して実施しておりますので、今回は摂取量が比較的 多いであろう小児に絞ってやっていこうということで、先生とも御相談させていただいて決め たところでございます。 ○若林部会長 何か追加はございますか。 ○佐藤委員 食品添加物につきましては25年前から日本でマーケットバスケット方式による成 人についての摂取量調査が行われておりまして、同じ食品添加物を対象として、経時的に変化 を見ています。この3年間も、いろいろな食品添加物について、少しずつ分けて分析してきま したが、今年度は、小児についてADIが設定されていて、かつ、日本でこれまで食品の中か ら検出されてきた食品添加物について、集中的に検査しようということになっております。今 までやってきた全部を対象とするわけではなくて、ごく関心の高い保存料とか甘味料、着色料 といったものについて検査しようと考えております。 ○若林部会長 それでは、マーケットバスケット方式による摂取量の調査について、何か追加 発言ございますか。  ないようですので、最後に報告資料4に移りたいと思いますが、事務局から説明をお願いし ます。 ○磯崎補佐 こちらにつきましては、前回6月末の部会以降に進捗があった点についてのみ御 説明させていただきます。一番最後の5ページをごらんください。  上から2つ目にフルジオキソニルという品目がございますが、こちらは前回の添加物部会で 御審議いただきました。前回は食品安全委員会の結果通知案を基に審議していただきましたが、 このたび食品安全委員会から最終的な結果通知が7月16日に来ております。  次に、上から5つ目の2−エチル−5−メチルピラジンについては本日議題を変更するという ことで今回は御審議いただいておりませんでしたので、備考の記載は削除いただけばと思いま す。  その下の5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、3−メチル−2−ブタノールにつきまして は、食品安全委員会からそれぞれ8月と7月に最終結果通知が来ておりまして、本日御審議い ただいたところでございます。  そのほかに一番下でございますが、イソペンチルアミン、こちらも香料でございますけれど も、食品安全委員会に8月に意見聴取の依頼を行っておりまして、こちらも今後結果が出てま いりましたら当部会での審議をお願いしたいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○若林部会長 ありがとうございました。報告資料4について、何か質問はございますか。よ ろしいですね。  それでは、本日の議題は以上ですけれども、何か全体を通じて追加発言、追加コメント等は ございますか。よろしいですか。  発言がないようでしたら、次回の予定について事務局から説明をお願いします。 ○磯崎補佐 次回の添加物部会につきましては、既に先生方の10月、11月の御予定等をお伺い させていただいておりますので、その中から候補日を選定いたしまして、後日調整させていた だきたいと思っております。日時・場所、議題につきましては、また改めて御案内させていた だきたいと思います。 ○若林部会長 それでは、本日の議題はすべて終了いたしましたので、これで添加物部会は終 了したいと思います。  どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課      (03−5253−1111 内線2453)