09/8/28 第1回個人請負型就業者に関する研究会議事録 第1回個人請負型就業者に関する研究会 1 開催日時:平成21年8月28日(金)17:30〜19:30   開催場所:厚生労働省専用第16会議室 2 出席者:佐藤博樹委員、奥田委員、佐野委員、原委員 3 議題 :(1)座長の選任       (2)検討課題、今後の進め方等について議論       (3)その他 ○田尻室長補佐 ただいまから第1回「個人請負型就業者に関する研究会」を始めます。 委員の皆様におかれましては、大変ご多忙のところご出席いただき、ありがとうござい ます。座長を選出するまでの間、私が議事の進行をさせていただきます。よろしくお願 いします。佐藤厚先生からはご欠席の連絡をいただいております。原ひろみ先生からは 遅れるとの連絡をいただいています。  開催に当たり、中野政策統括官よりご挨拶を申し上げます。 ○中野政策統括官 本日はお忙しい中、「個人請負型就業者に関する研究会」にお集ま りいただきまして、ありがとうございます。心から御礼申し上げます。  近年、雇用契約ではありませんが、1つの企業と専属的な業務委託契約や請負契約を交 わしているディペンデント・コントラクターと呼ばれる働き方が増えつつあります。これ については、国民生活審議会や男女共同参画会議影響調査専門調査会等の場においても、 実態把握や課題の検討が必要であるとの指摘がされたところです。このような状況を踏ま えまして、この度有識者の皆様方にお集まりいただきまして、本研究会を開催することと いたしました。  本研究会では、実態調査やヒアリング等によりまして実態把握を行いながら、課題につ いて検討していただくことといたしました。皆様には是非とも闊達なご議論をいただきま して、実りある研究会としていただけますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせてい ただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○田尻室長補佐 議事に入ります前に、委員の皆様のご紹介をさせていただきます。資料1 の別紙に委員の名簿が付いています。五十音順にお名前を紹介しますので、各委員の皆様 から一言ご挨拶をいただければと思います。  京都府立大学公共政策学部准教授の奥田香子委員です。 ○奥田委員 奥田と申します。よろしくお願いいたします。 ○田尻室長補佐 東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹委員です。 ○佐藤(博)委員 佐藤です。よろしくお願いします。 ○田尻室長補佐 法政大学経営学部准教授の佐野嘉秀委員です。 ○佐野委員 佐野と申します。よろしくお願いいたします。 ○田尻室長補佐 先ほど申し上げましたように、労働政策研究・研修機構人材育成部門副 主任研究員の原ひろみ委員は遅れて到着なさいます。また、法政大学キャリアデザイン学 部教授の佐藤厚委員におかれましては、本日はご欠席のご連絡をいただいています。  事務局出席者の紹介をします。中野政策統括官です。生田政策評価審議官です。酒光労 働政策担当参事官です。私は田尻と申します。よろしくお願いいたします。  本研究会の開催要綱についてご説明します。本研究会の運営については、お手元に資料1 としてお配りしている開催要綱に沿って進めることとします。  1「趣旨」についてご説明致します。雇用労働者の働き方が多様化する一方で、個人自営 業者であっても、1つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を結び、常駐に近い形で就業 する、いわゆる個人請負型就業者(ディペンデント・コントラクター)のような雇用と非 雇用の区別がつきにくい層が出現し、既存の制度や法律の適用から漏れている場合が見ら れるといった問題が指摘されています。しかしながら、こうした方の就業については、こ れまで就業を正確に把握しておらず、課題や対応策も整理できていない状況が指摘されて います。このため、本研究会を開催しまして、そうした方々の実態把握を行うとともに、実 態を踏まえた施策の方向性について検討したいということです。  したがって、2「検討事項」として御議論頂きたいのは、個人請負型就業者の就業実態の 把握が1点です。もう1点が、こうした方々の就業実態を踏まえた施策の方向性です。  3「構成等」についてご説明致します。当研究会は厚生労働省政策統括官が招集します。 メンバーは先ほどご紹介した皆様方です。本研究会に座長を置き、構成員の互選によって これを決定します。本研究会には、必要に応じて関係者の出席を今後求めることができる ことにしたいと思います。  4「運営」についてご説明致します。当研究会は、原則として公開です。ただし、特段の 事情がある場合には、座長の判断により非公開とすることができるものとします。庶務は 厚生労働省政策統括官付労働政策担当参事官室です。このほか運営に関して必要な事項は、 本研究会において適宜定めていく形にしたいと思います。  本開催要綱に即して今後の会議を進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○田尻室長補佐 ただいま原委員がご到着なさいましたので、ご紹介させていただきます。 労働政策研究・研修機構人材育成部門副主任研究員の原ひろみ委員です。 ○原委員 労働政策研究・研修機構の原です。今日はどうしても出られなくて遅刻してし まって、申し訳ございませんでした。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田尻室長補佐 次に座長の選任です。開催要綱3の(3)の、研究会の座長は互選により決 定するという規定に基づき、委員の皆様方により座長の選出をお願いします。いかがでご ざいましょうか。 ○原委員 佐藤博樹委員を推薦します。 ○田尻室長補佐 ただいま原委員から、佐藤博樹委員を座長にというご推薦をいただきま したが、いかがでございましょうか。 (異議なし) ○田尻室長補佐 よろしければ佐藤委員にお願いしたいと存じます。 ○佐藤座長 ご指名ですので、進行係として今回の研究会の趣旨に沿って、皆さんが自由 活発に議論していただけるような運営をさせていただければと思います。ご協力いただけ ればと思います。  今回は第1回ですので、研究会が着地点として何を課題として、どのような方法で何を明 らかにするのかについて、ある程度まで合意できればいいかなと思っています。すでに今 回のテーマについて、先行研究等々について資料を用意していただいていますので、それ について事務局からご説明いただいて、そのあと皆さんから、どのような範囲について、 どう研究していくかのご意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。 ○田尻室長補佐 資料が大部になっているので、資料2が全体の概要をまとめたものとなっ ています。こちらに沿って紹介します。  個人請負型就業者(ディペンデント・コントラクター)ですが、こちらは耳慣れない方 も多いかと思います。イメージを膨らませていただくために冒頭に資料3を付けています。  就業形態の多様化に伴い、個人で企業と請負契約や業務委託契約を結ぶ人が、企業から 独立した働き方ということで注目されています。こうした方が「フリーランス」「フリー エージェント」「インディペンデント・コントラクター」などと呼ばれています。こうい った呼称については、皆様方ご承知かと存じます。ただ、こういった方の中には、1つの企 業と専属的な契約関係にあって、主な収益源をその相手方に依存している方もおられます。 こうした方は企業からの独立性に乏しい点を捉えて「ディペンデント・コントラクター」 「雇用的自営」「経済的従属ワーカー」などと呼ばれる場合があります。  例えばということで、以下は「ディペンデント・コントラクター」という言い方をさせ ていただきます。こういった方々については、出版、広告、マスコミ、ソフトウェア、ゲ ーム、プロスポーツ、芸能、建設、運輸といった幅広い業界で存在して、フランチャイズ オーナーもこれに含まれるのではないかと言われています。  こういったディペンデント・コントラクターについての現在の法制度を次にまとめてい ます。資料4は条文を集めたものです。いちばん基本的なところで、民法です。民法では、 「雇用」「請負」という規定がそれぞれ設けられています。雇用については、当事者の一 方が相手方に対して労働に従事することを約して、相手方がこれに対して報酬を与える。 そういったことを約することによって効力が生じるとされています。請負については、当 事者の一方がある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を 支払うことを約することで、効力が生じるとされています。  具体的な法律の世界においては、労働者に該当する場合と、大きく分けて自営業に該当 する場合となります。まず「労働者に該当する場合」ということで、関係する法律を並べ ています。労働法において、適用対象になるか否かは、契約の名称ではなく、実態に即し て判断することになっています。そこで労働者に該当すれば、各々の法律が適用されるこ とになります。  代表的なものとして「労働基準法」があります。第9条で「職業の種類を問わず、事業又 は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」、こういった者については、労働基準 法をはじめとした諸々の法律が適用されることになっています。ただ、労働基準法上の労 働者に該当するかどうかについては、「指揮監督下の労働」に該当するかとか、報償が労 務に対する対償性となっているか、といったことから判断されることになっていますが、 現実には容易に判断することが難しい場面も多々あるということで、労働者性の判断につ いてはこれまでも研究をされてきていまして、下のポツで3つ並べています。こういったこ とを総合的に判断することで、労働者性の判断をしている状況です。  次に「労働契約法」です。簡単に申しますと、大体労働基準法上の労働者と同じです。 若干の違いは、こちらに書いてあるとおりです。  「労働組合法」については、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収 入によって生活するものをいう」となっていて、労働基準法上の労働者よりも若干広いと言 われています。  3頁、(3)自営業に該当する場合です。代表的なものとして、独禁法の規制があります。 第2条において、「事業者間における不公正な取引を禁止する」とされています。例えば、 委託者との取引の継続が困難になることが事実上大きな支障を来たすので、委託者が受託者 にとって著しく不利益な要請等を行っても、受託者のほうからこれを受け入れざるを得ない といった場合があるわけです。そういったケースについては、委託者が受託者に対して優越 的な地位にあるということで、代金の支払遅延、代金の減額要請、著しく低い対価での取引 の要請等における優越的地位の濫用を禁止しています。  現在、請負や委託で、特定の取引先に依存するケースを想定した規制については、こちら が代表的な法令になります。この場合、特定の取引先に依存するというのは、個人自営者だ けではなくて、法人企業も含まれるので、ここでの規制は個人、企業を問わず適用されるこ とになっています。独禁法の特別法として、下請代金支払遅延等防止法と建設業法がありま す。  労働者と自営業に大きく分けて、2つのケースを紹介いたしましたが、労働法の世界でも、 厳密に言うと労働基準法における労働者、そういった労働者以外の方に適用される労働関係 の制度があるので、そちらを以下に並べています。  まず「家内労働法」です。こちらは物品の製造、加工について、同居の親族以外の人を使 用しないケースについては、下のポツにあるような規制が置かれています。次に、「安全衛 生法」です。こちらにおいては、元請事業者というのは、注文者から仕事を元請けする事業者 ですが、そういった元請事業者、注文者も含めて、そういった方々に対して、関係請負人の労 働者の危険、健康障害を防止するための措置について、一定の義務を課しています。  次に「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」についてです。在宅ワークについて、 下のほうに[1][2][3]と掲げています。契約条件をめぐる紛争を防止するための措置が定められて います。労災についても、労働者に準じて保護することが妥当と思われる中小事業主、一人親 方等について、特別加入制度が設けられています。  3「『ディペンデント・コントラクター』に係る課題」です。国民生活審議会の報告書と、男 女共同参画会議の専門調査会の報告書、厚生労働省においても、労働契約法研究会において本 問題について検討したものがあるので、そちらの報告書、有識者の提言、最近の個別の事例を 資料5に載せています。そのあらましを資料2の4頁にまとめています。  就業形態の多様化に伴い、労働者であっても、裁量労働等、労働時間の制約が緩い形態があ ります。一方、個人自営業者であっても、1つの企業と専属の契約を交わして、常駐に近い形で 就業する人(ディペンデント・コントラクター)といった、雇用と非雇用の区別がつきにくい 層が出現しているとされ、こうした方については公式な統計もなく、実態も明らかでないと言 われています。  まず、実態上事業者と雇用関係にある労働者が、当該事業者から請負契約や委託契約を締結 する個人自営業者として扱われることで、当該労働者に本来与えられるべき保護が与えられな いといった例もあります。その場合は、労働者であることを明らかにすることで、労働法によ る保護を図るべきだということが求められています。  それとは別の問題として、就業形態が多様化する中で、企業に雇用されている者の間だけで はなくて、請負として就業する方についても、例えば経済的な従属性が高い方については、何 らかの保護やルールを設定する必要があるのではないかという意見が出されています。  ただ、一方で、経済的に従属する状況というのは個人だけではなく企業にも見られることに 留意すべきだとか、制度を見直すなら学問的な蓄積や政策の積重ねを踏まえて行うべきで、拙 速は避けるべきだという意見も、過去の検討ではあったということです。  4「諸外国等における状況」です。5頁に載せているイギリス、ドイツ、フランスについては、 一部個人請負の方々について労働法を適用するケースがあるので、こちらで簡単にまとめてい ます。  6頁です。国際的な機関における検討の状況ですが、ILOにおいては、各国の労働者としての 法的保護が受けられない就業者の問題について、過去長い間にわたって議論が行われてきたと ころですが、平成15年において「雇用関係に関する決議」が採択され、平成18年の総会で「雇 用関係に関する勧告」が採択されました。その勧告においては、各国の国内政策として「偽装 された雇用関係」に対する対策を講じること、一方で、真正な民事上及び商業上の関係に干渉 すべきでないといったことを、国内政策に盛り込むべきだということで求められています。  また、「加盟国は、雇用関係が存在することについての明確な指標を国内法令又は他の方法 によって定義する可能性を考慮すべきである」ということで、こちらは先ほどの偽装雇用また は偽装自営といった問題とは別に、客観的に雇用か自営かわからないといったケースについて、 何らかの指標を求めてもいいのではないかといったことも示されています。※は勧告の採択の 過程について、付言させていただいていますが、文献によるとだいぶもめたということです。  (5)EUの状況です。EUでも一部の分野では、自営業者に対する労働法の適用の拡大が行われて いるということですが、一方では包括的に労働法を適用することについては、労使の隔たりが 大きくて、なかなか具体的提案にまでは至っていないという状況です。  5「本研究会の課題」です。ディペンデント・コントラクターといった方については、実態も わからないといったことですので、まず基礎的なところから、どのような方がどのような実態 に置かれているのか、課題があるならどのような措置を講じるべきなのかということを研究す る必要があるということで、このような形でご検討をお願いしたいということです。  これまでは資料6までをご紹介しました。ほかの資料についてもご紹介します。資料7と資料8 は、過去に先行研究の行われたものの概要をこちらで用意させていただきました。  資料9です。先ほど「本研究会の課題」ということで、その検討を進めるときに実態把握の一 法としてヒアリングが考えられると。その実施について、あくまでも叩き台ですが、こちらで 整理させていただきました。ディペンデント・コントラクターの実態を把握するためには、委 託業務契約、請負契約を締結する当事者から実情をヒアリングすることが必要ではないかと思 われます。多様な就業実態を把握するためには、その際に何らかの指標で類型化して、各々の 類型からヒアリングを行うことが有効ではないか、併せて海外の事例についても、ヒアリング を行うことも有効ではないかということです。  「類型化の例」として、例えばこういった4類型に分けることが可能かと考えまして、過去の 文献等を参考にしながら作りました。[1]として、企業から受け持ち地域を指定されて、就業時 間をある程度自分で決めて働くタイプ。[2]として、機材を自分で所有し、自己の費用で営業す るような自営業タイプ。[3]として、自分の所有する店舗で営業を行いますが、提供する商品、 ノウハウを特定の企業に依存しているタイプ。[4]として、専門的な技術で、相当な裁量をもっ て業務を進める専門家タイプ。このような4つに試みでまとめさせていただきました。  ※1に書いていますが、ほかにも考え方はあろうかと思います。例えば勤務場所で、在宅で 就業する場合、発注者が指定する事務所で就業する場合、就業において移動を伴う場合という ことで、区分する考え方です。あと実態上の契約期間が長期にわたる場合や収入で区分すると いう、ほかの考え方もあろうかと思いますので、そちらも若干紹介させていただきました。  資料10です。実態把握をする際に、参考になるような過去の調査のリストを紹介しています。 資料11は検討のスケジュールです。検討の進め方についても、併せてご議論いただければと思 います。資料の説明は以上です。 ○佐藤座長 今日は第1回ですので、今回のテーマについて皆さんに自由にご意見を伺うとい うことです。研究会の終わりのころには、どのような形で調査するか、どこに焦点を絞るかの 合意が多少できればと思います。  資料1を見ていただくと、検討事項は、個人請負型就業者の就業実態をきちんと把握したい ということです。ただ、これについての先行研究があるものについて、わざわざ同じものをや る必要はないと思います。限られた予算ですので、先行研究にも目配りしながら、いま足りな いところへ何か。実態把握について、先行研究でわかるところは、それを利用しながら、わか らないところについて調べることになります。  施策の方向性については、従来は先ほどの「偽装された雇用者」、自営業者だと言っている けれども実態は雇用者だというのは、雇用という処理をやってきたわけです。今回問題になる のはそうではなくて、明らかに雇用者に振るわけではないのだけれども、自営業者だから何も しなくていいだろうか。何らかのワークルールが必要な部分があるのではないかというのが関 心だと思います。従来のように、明らかに実態として雇用者だというものについて、雇用者に 振るというのは従来どおりで、今回の課題は、雇用者のほうではないのだけれども、何もしな くていいのか。そこの課題があれば議論しようと。  もう1つは、そのときに、雇用ではなく自営だけれども、何らかのワークルールが必要な層に ついて、新しいタイプが出てきているだろうと。従来からある部分と、最近その部分が広がっ てきているのではないかと思います。  まずご説明いただいたものについての質問を伺って、それからご意見を伺います。 ○原委員 いま特段のご説明をいただかなかったのですが、資料10の上から5番目に「個人業務 請負契約の名称で就業する者の就業環境に関する調査研究」というのがあります。昨年厚生労働 省の委託で実施されたということで、非常に近い内容かと思うのですが、いま先行研究と差別 化を図るということで、先行研究との重複を避けるという話が座長からありました。この内容 の説明が全くなかったので、趣旨や調査の項目等を簡単に教えていただければと思います。 ○田尻室長補佐 こちらの研究については、資料7に概要を付けています。こちらの研究も佐藤 博樹先生にお願いしたものです。内容は、アンケート調査をして皆さんからご回答いただいた 内容を基に、個人請負の方々がどのくらい使用従属性があるのかを調査しました。その他、非常 に詳細な実態を調査していて、例えば資料の5頁では、契約内容の不備等について調査していま す。最後の頁の(5)では、働く方の満足度も調べています。  詳細な調査をしたと申しましたが、全体についてはピンク色の冊子に載っています。非常に多 岐にわたる質問をしていますので、詳細はそちらをご覧ください。 ○佐藤座長 先ほどの労働者性の判断基準のようなものが資料7にありますが、それを実際に働 いている人たちに当てはめたときに、個人自営業主と言いながら、その尺度に当てはめたときに 従属性の程度がどのくらいかを測って、かつ大事なのは、同じ職種の人たちについての雇用者の ほうでも、逆に自立度の高い人、労働者性の低い人がいると思うので、それを比較したものです。  資料7を見ると、社員の人はポイント3が多いわけです。従属性が低い人は社員の人が少なくと も、3、4、5の部分に分布しています。つまり使用従属性が高いのです。自営業者の人は、0とか 1で低い人が多いです。自営業主の中でも、3点、4点、5点と従属度の高い人がいます。この尺度 自体を見ると、労働者についての尺度と重なっていますから、この尺度で3点以上というと、わり あい実態としての労働者性が高いと判断しています。それを押さえた上で、今度は自営業主の中 で従属性が高い人はどのような働き方をしているのか、どのような問題があるのか、働き方につい ての満足度を分析しています。見ていただければと思います。  労働法の先生がいらっしゃいますが、資料2の3、4頁で、家内労働法と在宅ワークがあります。 家内労働はものづくりです。そのあと、ものづくりではないけれども、最初はたぶんデータ入力 のような簡単なプログラムみたいなものが出てきた。そのときに家内労働法はものづくりしかカ バーしていないので、いわゆるサービスのほうをカバーするので「在宅ワークの適正な実施のた めのガイドライン」があります。家内労働法のカバーできないところについて掬ったという理解 でよろしいですか。  ということです。データについてよろしいようでしたら、皆さんのご関心なり、どのようなこ とを明らかにしたりとか、どのような方法でということなどを出していただきたいと思います。 ○奥田委員 最初なのでいろいろなことをお聞きします。先ほど座長から、基本的な対象という か、実際に雇用されている者に関して取り扱うのではなくて、そこには入らないのだろうけれど も、実態として何らかの保護を及ぼす必要のあると思われる者についてきちんと調査をして、必 要であればそれはどのような点なのかを明らかにしていくのが大枠だというご説明がありました。  資料の中に何度か裁量労働制の問題が出てきますが、労働法の適用対象になる労働者の中で、 裁量労働制がとられて時間制約が緩くなっている人も中にはあります。ご説明のあった労働者性 の判断基準からすると、時間的拘束性が低くなるということだとは思うのです。しかし、裁量労 働制というのは、労基法自体が認めている制度でもありますし、実際に労基法が適用されている 労働者でもありますので、何度か出てくるので気になったのですが、こういう層に関しては、特 にこの研究会で新たに問題にして取り上げていくということではないのですね。 ○佐藤座長 はい。 ○奥田委員 例えば資料2の2で、ディペンデント・コントラクターに係る課題でもそうですし、 何カ所か出てくるのです。「個人自営業者であっても」という今回の検討対象になる人と並んで、 裁量労働制の話が出てくるので、それは一旦分けて、この研究会では、委託契約とか請負契約を 締結しているのだけれども、実態として雇用労働者と変わらないような人について、検討してい くと理解してよろしいですか。 ○田尻室長補佐 裁量労働制として挙げたのは、裁量労働制が適用されるような、実態として労 働者の中でも使用従属性が緩いような働き方もあるというときに、1つのシンボルとして紹介した だけですので、それ自体を検討の俎上に乗せるものではありません。 ○佐藤座長 今回は雇用関係がある人の中で裁量労働の高い人が増えているけれども、そこの問 題はしないです。資料7を見ていただくと、雇用者でも従属性が0とか1で、自営業者と同じぐらい の人が3%くらいいたのです。これは雇用だけをもっと自由にしていいのかの議論はあるかもしれ ませんが、今回はそこはテーマにしません。契約上は雇用関係がないもので、実態として偽装さ れた雇用者のようなものは、この辺は課題があるかもしれませんが、ここは従来のルールでいこ うということなのです。そうではないところがメインの議論の対象です。 ○奥田委員 それと、今後は実態の検討ということなのですが、私は専門が労働法ということも ありまして、従来からこのようなグレーゾーンの労働者に関しては、いくつかの裁判例が出てき ています。裁判例の分析などは特にしないのでしょうか。 ○田尻室長補佐 今回整理しきれなくて、裁判例はお出ししていませんが、今後。 ○奥田委員 今後の研究会のテーマ、1つの実態として、そういうこともやってはどうかと思いま した。 ○酒光参事官 有益な手掛かりになると思います。 ○奥田委員 それと、これは今後のアンケートの内容などに反映されていくのだろうと思います が、先ほどどのような働き方をしているかの類型化の紹介がありましたが、どのような働き方を しているかという、働き方とか人的な側面に即した類型化があると思います。もちろんそれで見 ていくことになると思うのです。  しかしもう一方で、問題の出てくる場面も整理する必要があると思います。報酬が問題になる のか、あるいは契約の継続性が問題になるのか。例えば請負契約を打ち切られたときに、雇用契 約であればそんなに簡単に切れないものが、請負だから、事業契約だから切れると考えていいの か。報酬の問題であったり、契約の継続性の問題であったり、労災適用の問題であったり、いろ いろな適用の問題が発生し得る場面があると思うので、それも一定の整理をして分けていったほ うがいいと思っています。 ○佐野委員 1つはどのようなスタンスで研究するかなのですが、明るい側面にも着目したほう がいいと思います。他国で、従属性の高い層だけを取り出しているわけではない研究の場合です が、裁量性であるとか賃金に関する満足度は、雇用者と比較して劣っていないのです。基本的に は「新しい働き方」として、インディペンデント・コントラクターとディペンデント・コントラ クターの中間ぐらいの働き方も大事かもしれないという前提に立って、とはいえ保護の適用がな くていいかどうかを探るスタンスが必要かなと思います。特に、従属性の高い層は労働法の保護 が及ぶということになっているでしょうから、もう少し自立性の高い層についてです。そういっ た人たちがより安心して活躍できるようなスタンスが必要なのではないかというのが1点です。  考え方ですが、雇用に近い層と本当の独立の自営に近い層というのは、真ん中のゾーンはここ からここと切れるのではなくて、どこまでがディペンデント・コントラクターで、どこからがイ ンディペンデント・コントラクターかというのは明確には区別がつけづらい状態で、グラデーシ ョンをなしていると思います。  先ほどディペンデント・コントラクターというのは労働法の保護が及ぶから、その点では問題 がないという話をしたのですが、その場合にどのようなことが前提になっているかというと、労 働法の保護が及ぶディペンデント・コントラクターとインデペンデント・コントラクターを区別 する基準が、明らかなことが前提だと思うのです。とはいえ、実際には、そうした明確な区別は つけづらいと思うので、今回の調査研究では、対象を広めにとって、かなりディペンデント・コ ントラクターに近い層も対象にすることも必要と思います。そして、ディペンデント・コントラ クターに近い層と、もっと独立性の高い層とで、問題の現れ方がどう違うのかを明らかにしてい くのが1つの作業かと思っています。  もう1つは、先行研究はいくつかあるという話をしたのですが、決定的に少ないのは活用する 側の研究ではないかと思います。それから、諸外国も含めて比較的マクロな、アンケートの意識 調査などで先ほどお話をしたような結果が出てくるような満足度であるとか、どのような人がセ ルフエンプロイになるかということの研究はあると思うのですが、かれらが具体的にどのような 仕事をして、どのような働き方をしていて、どのような考え方を持ちながら働いているかといっ た実態は、あまり明らかにされていないと思います。もしかしたら、私たちが考えている以外の ことで、ご本人たちは働く中での問題をかかえているかもしれませんので、アンケートでは捉え られないような実態や意識を明らかにしていくことが、大事な課題かと思っています。 ○佐藤座長 1点目のグレーゾーンを対象にするときに、1つの対応策はグレーはよくないという ことです。雇用か自営に振れという政策判断があると思います。そのような選択もあると思うの ですが、もう1つはグレーは1つの新しい働き方として認めることです。ただし、放っておいてい いのかというと、従来の完全な自営とは違うけれども、雇用者ではない。でも、働く人にとって もプラスの部分があるとすれば、プラスが維持でき、かつ問題を取り除けるようなルールが必要 だと思います。たぶんそのほうが多い。これはやってみなければわかりませんが、そのような判 断なのかなと思います。  全部だったら、どこかで分けなさいという話だと思うのです。そういう意味では佐野委員の話 も大事で、やはりこれを認めたほうがいいのです。ただ、認めるといっても、いまのままでいい のかというと、何らかのルールが必要なのではないかと思います。調べてみたらそうではないか もしれませんが。そのようなご指摘だと思います。  そうしたときに、働いている人たちが、なぜこういう働き方を選んでいて、どこにプラスがあ って、何が問題なのかというのは、アンケートはあるのですが、詳細なものはないのですよね。 ○佐野委員 あまりないと思います。 ○佐藤座長 グレーが増えてきたときに、なぜ企業側がこのような人たちを増やしているのかに ついてもあまりないので、そこは考えたほうがいいかもしれません。 ○佐野委員 そうですね。イギリスなどの研究で見ると、セルフエンプロイドになる理由として、 企業側が独立自営の人たちを活用するようになってきて、職務の性格でそのような仕事に就いて いるという人が増えているようです。そうした人たちの満足度は低くはないのですが、そうとは 言え、インデペンデント・コントラクターを生み出す理由は変わってきている可能性があるので 、ユーザー側を見るのも大事かと思います。 ○佐藤座長 資料9で類型を用意していただいていますが、これはマクロデータもないわけですが、 議論としてケースをやってきたときに、グレーのところにいくつかタイプがあるとすればと、こ れはある程度仮説を立てて対象を捉えないと、重要なことが落ちてしまう可能性があるのです。 ケースでそこをやるとすると、ある程度グレーの部分の類型でディスカッション的にやって、あ る程度典型的な層を把握して、実態がわかるといいなと思っています。これはなかなか難しいで す。  もう1つは、バイク便のように、最近新しく出てきているものがあるのかです。従来と違って新 しく伸びている部分をカバーできるのは大事ですので。 ○酒光参事官 どういう実態、働き方で、どういう問題が実際に起きているということを、でき れば捉えられればいいかと思います。 ○佐藤座長 従来からフリーの働き方というのはあったわけですから、そのこともやるけれども、 新しいものとして何が出てきているか。 ○原委員 佐野委員は雇用管理を専門にされていて、私は経済学を専門にしているので、少し発 想は異なってきます。マクロ的にこういう人たちはいま現在何人いるのか、公表統計で推計でき る部分はあると思うので、我々が今後の課題などを考えていかなければならない人の母数を、実 態として事務局に提示していただくようにお願いしたいと思います。  あと、どうしてこのような働き方が増えてきたのかの背景がわかると、課題を検討する際の情 報として有用かと思っています。需要側の側面なのか、供給側の側面なのか。需要側の側面だと、 価格が安いから需要が増えてきたのか、価格ではなく数量的な部分なのか。数量が増えたから、 その部分で企業の活用が進んだのか。佐野委員からも、活用側の調査が非常に少ないという話が ありましたが、そうした背景を探れるようなものがあるといいと思います。佐藤座長からも、 新しい働き方が増えている可能性があるとありましたが、企業側の現状を把握できるような調査 ができれば、今日の資料として出されている去年の調査との差別化が図れると思いました。  個人的に興味があるのは、こうした人たちがキャリアの発展に対してどういうことを考えてい るかです。例えば、非正社員であったら、企業内訓練を受ける機会があったり、正社員登用とい う形で、違う働き方に転換していってキャリアの発展をするケースがあります。派遣労働者につ いても、派遣会社が訓練を行うことによってキャリアを展開させていく、よりよい仕事に移って いくケースが見られます。このような働き方の人たちが、キャリアの発展に対してどのような意 識を持っているのか、訓練やキャリアの発展に対してどのような機会を持っているのか。そうい う調査ができれば面白いかなと思いました。 ○佐藤座長 マクロについて唯一わかるのは、自営業種で人を雇っていない個人事業主が、この 中に入っているのは間違いないです。個人自営業種の推移はわかるし、どの産業で増えているか ということはわかります。ただ、その中からさらに、自立度が高いか低いかというのはわからな いです。マクロ統計ではそこまでしかわかりません。 ○酒光参事官 国勢調査で、職業をある程度限って積み上げるというのはあるかもしれません。 その場合は、どの職業だったらいいかなどを考えなければいけません。 ○佐藤座長 やってみてもいいかもしれません。このときに資料を作ったのかもしれないのです が、人を雇っていない自営業主いうのはわかるので、それがどういう分布になっているかですよ ね。その中にいることは間違いないのです。ただ、わかるかどうか考えてみましょう。 ○田尻室長補佐 人を雇っていない自営業主とか、端的に言えば農業とか、第1次産業も入ってい ますし、商店街の雇っていない人なども入っているので、そういったものも込みでの数字になると、 全体的にはそんなに増えていることにはならないです。商店街や第1次産業は趨勢的に減る傾向に ありますので。それを削ったものは、いまの公式統計ではないということが、これまでの先行研 究でも言われています。 ○佐藤座長 農業とか小売りみたいなところを落としていって、そうではないところを見るとい うのはあると思いますが、雑多なものが入ってしまっているのは事実なのですね。 ○田尻室長補佐 弁護士なども入ります。 ○原委員 資料10の先行研究で、マクロ的に復元できるような調査はないのでしょうか。 ○田尻室長補佐 JILPTの研究の中に、先ほどご紹介したような、人を雇っていない自営業種につ いてのデータとか、第3次産業の趨勢を整理したデータがあるので、そこからご用意させていただ くことは可能です。 ○佐藤座長 去年の調査はモニターを使ったネット調査だったのですが、働いて収入を得ている、 企業に雇われていないけれども、顧客は企業と。つまり商店などを除くためです。そして、あま りにもたくさんのところは自立度が高いのではないかということで、5軒ぐらいにして縛るように して取引先の数を制限しました。人を雇っていないとか、保険証が社会保険でないというくらいで、 自営業の中でも数を絞って、1人で働いていて、取引先が企業で、その数もある程度数が限られて いるという層を選んで分析しました。ただ、それは官庁統計等ではそれだけ取るというのはなかな か難しい。 ○田尻室長補佐 先ほど申し上げたJILPTの研究ですが、メインテーブルに過去の資料を置かせて いただいたもののすぐ下に、こういったグラフの紙があると思います。ですから、こういったガ バッとしたものしかないので、もう少しやるとしたら、先ほど申し上げたように、国勢調査か何か で、この職種だったら大体該当するかなというのを選んで調べるというくらいしかないのかなと、 いま思いました。 ○佐藤座長 それも卸しと飲食を除いてですね。第3次産業、いわゆるここで増えているのではな いかというので整理している。それは一つかもわからないですね。これは活用するほうもわから なくて、いままでの調査、私たちがやったもので言うと、どの企業がこういう個人請負を使ってい るかというのは、例えばソフト開発が多いとか、マスコミが多いというのは大体わかるのですが、 どの企業がという情報がないのです。過去にやったのですと、求人広告が、これは雇用者だけ募集 ではないですね。業務委託で出す人を募集というのが出ているので、これをリストアップして活用 する企業のリストを作って調査したということをやっている。  ですから、求人広告を一定期間、どういう企業がというのを業種分類してやっていくと、一応、 どういう職種や、どういう産業で、求人広告レベルですが、業務委託の仕事を出しているという 情報は作れる。ですから、そこにはたぶん新しい仕事内容などがあれば出てくる可能性はある。 活用する側で言うと、求人広告は1つだと思います。これは結構どれも載っているというお話でした か。 ○田尻室長補佐 それはいろいろ集めることはできるようにすると。 ○佐藤座長 基本的に求人広告というのは、業務委託募集というのは大体載っているそうです。 ○佐野委員 原委員が最後におっしゃった教育訓練というのは、課題になり得るのではないかと思 います。正社員でも非正社員でも、職場に上司がいればOJTなどを通じて育成は図られますよね。他 方で、自営業だとそういう環境にないかもしれない。法律の話ではなくなってくるかもしれないで すが、もしかしたら政策上、大事になるのかもしれない。現状だと、正社員を経験してノウハウを 身に付けて独立するというのが一般的なパターンかもしれませんが、もし比較的若いうちに独立開 業するというのがあるとすれば、そういった人たちにとっては、教育訓練の機会があるかどうかは もしかしたら大事かもしれないですね。 ○佐藤座長 たぶん、全体的に難しいのは、他方で何か政策をやったときに、他方で完全に自営業 のここは外れるという考えですよね。どこまで適用するというのは、結局、難しいです。 ○佐藤座長 例えば、先ほどのご説明のイギリスのエンプロイとワーカーを分けて、ワーカーにつ いては最賃。ワーカーというのは雇用者ではない、エンプロイではないワーカーは最賃とかの適用 になるのですね。今度はワーカーは何かということですよね。その範囲についての限定ができるか どうかというのは、そういうことですよね、切り出せるか。自営業から今度、雇用ではないところ の切り出しをどうするかですね。そこは、そういうことを考えようということだと思います。 ○酒光参事官 もちろん、法律ではないので、厳密な定義まではここではしなくてもいいのですが、 ある程度こんな考えでどうだろうかというものはいると思います。例えば、諸外国の例でドイツで は1人も従業員を使っていないとか、そういう定義の仕方があります。 ○佐藤座長 そこの議論ですが、雇用者に適用されているものを一部適用するという考え方と、全 く新しいものを考える必要があるかというのと両方ありますよね。従来の雇用者の部分で、一部だ け適用するということ、その適用の仕方はあると思いますが。もう1つは、新しい別のものが必要 なのかということはあるかもしれません。対象にするときに、自宅で仕事をしている人も入れるの ですか。どうするのかな。 ○佐野委員 関係があるかわからないですが、前回の調査のときに、自営か雇用かをいちばん大き く決定する要因は何かと見たら、会社で仕事をしないというのでしたよね。 ○奥田委員 自宅で仕事というのは、例えば、労働契約は結んでいるけれども、仕事の場所はサテ ライト的に自宅であったりとか、そういうイメージですか。 ○佐藤座長 いや、私は自営で、家でやっているようなものは逆に除いてしまってもいいかなと思 っていたので。 ○奥田委員 いわゆる在宅就労者、在宅ワーカーですね。 ○佐藤座長 そうですね。ワーカーのほうは落としてもいいのかなという気もするのですけどね。 ですから、働く場所を指示されたり、あるいは自宅以外で仕事をする。 ○佐野委員 営業マンみたいな働き方の人は入るのですか。 ○佐藤座長 営業マンみたいなのは入る。 ○酒光参事官 ご議論でいいと思うのですが、例えば、家内労働法とか在宅ワーカーのガイドライ ンなどでカバーできるのであれば、そうしてくださいで済むのですが、それでカバーできていない 層がもしあるのだったら、多少考えたほうがいいのかもしれません。 ○佐藤座長 対象を考えるときに、どこで仕事をするかというのが1つありますよね。自分の自宅、 類型としては家で仕事をする。しかし、仕事をする場所が取引先なのか、あるいは取引先で指示され た場所なのか。雑誌のフリーの記者の人は、こういう記事についての取材をしてくださいと言われて、 それは外を回るわけですよね。打合せは会社の中でやる。 ○佐野委員 原稿は家で書きますよね。 ○佐藤座長 原稿は家で書きます。そうか、あまりそうすると。 ○奥田委員 あくまで請負契約とか、委託契約を結んでいるのだけれども、場所が家でと。それを入 れるかどうかということですね。 ○佐藤座長 そうですね。主に家でですかね。週1回ぐらい行って打合せをして、あとは家で図面を 書いているとか、そういうのをどうするのかというのがありますよね。それも想定しておいてくださ い。それでかなり自立性が高くて落ちてしまう可能性がありますよね。 ○酒光参事官 在宅でも企業への従属性が高い場合もあるのではないでしょうか。 ○佐藤座長 そうですよね。 ○酒光参事官 雑誌に専属みたいになっている方も多いのでしょうから。 ○佐藤座長 類型化して、たぶん、やるのはいちばん課題が多そうなところだと思うのです。例えば、 1カ所の仕事をしているのだけれども、1年見れば取引先は変わっていくというのもありますよね。こ ういうのは割合自立度が高いと考えていいのかもしれません。ある時期は特定の会社の仕事をするの だけれども、これは結構動いていると。 ○佐野委員 従属性が問題になるとすると、対事業所サービスとか、そういうのではないのですかね。 ○佐藤座長 そうです。だから、お客様は個人は除くというのでもいいかなという気はしているので す。基本的に企業と契約しているということです。 ○酒光参事官 ただ、中には企業のエイジェント的に消費者にサービスを提供しているものもあるの で、その辺をどうするのかというのはあると思います。 ○佐野委員 でも、お金は企業からもらうわけですよね。 ○酒光参事官 そうです。そういう意味では、対企業サービスなのです。本人がどういう意識かよく わかりませんが。 ○佐藤座長 対象の範囲として、自分が請負契約を結んでいる人が、基本的に企業というのでいいの ではないかという気がするのですが。完全に雇用者のように従属性が高いわけではなくて、一定の自 立性がある層を考えていただく。 ○佐野委員 ただ、関係があるかどうかわかりませんが、個人を単位として見ると、最初は従属性が 高くて、やがてノウハウを身に付けて、多くの人と契約を結ぶようになっていくという可能性もあり ますよね。 ○佐藤座長 あるいはキャリアの。 ○佐野委員 個人から見ると、また違った連続性が見えてくるかもしれません。 ○佐藤座長 あるいは、だんだん人を雇う。 ○佐野委員 人を雇い始めて、大きくなっていくというのももちろんあるでしょうね。 ○佐藤座長 今回、予算との兼ね合いで、働いている人たちの割合大きな調査をやるかどうか。網羅 的に言えば、1つは活用している企業ですよね。なぜ活用しているのですか、どのような契約を結ん でいるのですかとか。あとは働いている人たちも大量観察的に、自営業者だけれども自立性の高い人 から従属性も含めて、今回、去年みたいなものを調査すると。あとは企業と個人のインタビュー。4 つやれればもちろんいいわけですが、あとは予算との兼ね合いで、どういう優先順位を付けるかとい うことになるかと思います。企業調査は5、6年前しかないので、企業アンケートはやったほうがいい かなとは思うのですが。 ○佐野委員 企業と個人をセットでというのは難しいでしょうか。アンケートでなくてインタビュー でもいいのですが。ある業態で、企業側としてはこういう目的で、こういう人たちを活用している。 それに対応した個人請負の人が、どういう意識で働いているのかを調べてはどうか。 ○佐藤座長 ケースではやれるかもしれません。 ○佐野委員 ケースではやれるかもしれない。 ○佐藤座長 一応、個人顧客ということからすると、フランチャイズは今回落とす。これは大きなテ ーマなので、これもまた1つのテーマになってしまうかなと思っていたので。フランチャイズのオーナ ーは課題もあるけれども、今回は直接の調査対象ではちょっと性格が違うから。議論、書くときにこ こも課題だと言ってもいいと思うのですが、直接取り上げるかどうか。 ○田尻室長補佐 一応、ご参考までに資料の中に入れておりますが、若干、契約の性質は違っており まして、委託や請負ではなくて、特定のコンビニのブランドで商売ができるとか、そこのノウハウで 仕事ができるとか、そういったノウハウの代わりに、フランチャイズ料を支払う。そういう固有の事 業契約の性格を持っておりますので、若干、性質が異なるところがあります。 ○佐藤座長 皆様、コンビニを見たらわかりやすいのですが、もっといろいろなのがあるのですよね。 個人1人でやって、例えば、自動車の鍵が閉まって鍵を開けるとか、ああいうのもフランチャイズでや っている所はたくさんあるでしょう。フランチャイズはサービス関係がたぶん多いのですよね。コン ビニよりも、そちらのほうがよくわからないところがたくさんあって、1人でフランチャイズのノウハ ウをもらって仕事をしているのはありますよね。清掃にもあったりとか、いろいろあるので。やり出す と、たぶん、そちらはそちらで1つ取り上げないと難しいかなと思っています。それはどうなのですか、 やったほうがいいというお考えなら、またあれなのですが。 ○酒光参事官 なかなか難しい問題ですね。ここで挙げているのは最近話題になっていて、かつ、労 働組合を作るという話まであったので、1つの事例として挙げたということなので、拡散し過ぎてしま うというのであれば、そこは整理するというのもあり得ると思います。今回はそこまでは立ち入らない。 むしろ、商取引なり、何なりの面からやったほうがいいのではないかという整理もあると思います。 ○奥田委員 総論的に問題の把握として、そこについても問題があるということに関しては議論してい ってもいいと思うのですが、調査の対象というのが、先ほどから出てきているグレーゾーンだけでもか なり大変だと思うので、そこは絞ったほうがいいように思います。 ○佐藤座長 一応、そういうことでいいですかね。もう1つは、ソフト開発は取引先に応じて、ある場合 は派遣契約で雇われていき、ある場合は個人請負でいくとか、こういうのは結構あるのです、同じ人が。 半年間は派遣で働いて、次の会社は、うちは個人請負でやりたいですと言うと、ソフト開発はそれで行 っている人たちもいるのですよね。一人ひとりが変わるというのもあるのですよね。あるスパンで見る と、直接雇用で働いてみたり、派遣で働いてみたり、請負契約で働いてみたり。ところが、実態として はあまり変わらないこともあったりして、これは従属性が高いのかわからないですけれども。  範囲としては、フランチャイズを除き、対象としては、基本的に企業と委託契約を結んで、人を雇わ ず仕事をしているような人です。そういうことでいいですかね。できれば、従来からあるものに加えて、 最近、増えてきている所があれば。これはたぶん求人広告等で見ていくしかないと思うのですが、増え ていく層で課題になりそうな所があれば入れていくということだと思います。従来のでは、例えば、出 版関係もたくさんいるようなら、前からあるわけですが、最近、増えているのがあればですね。お二人 の意見は、予算があれば、個人調査もやりたいということですね。 ○原委員 昨年の個人調査でやり残した部分というのは、どこにあるのかわからないと思いながら、 今日の配布資料を眺めていました。それでも個人調査をやるとするのであれば、先ほど技術的には難 しいという話があったと思うのですが、活用している企業と同じ企業の個人の両方を調査するというこ とかと思います。 ○佐藤座長 そうすると、企業の個人請負を活用している実態や活用理由とか、どういうような契約で 活用しているというような企業調査をやる。今度は、インタビューは活用している企業がなぜ、どんな ふうに活用しているのか、できれば個人を、そこにいる人もインタビューする。それとは別に、個人で 働いている人もインタビューするということはあっていいと思います。そんなことを考えています。判 例については、少し調べていただけるということでいいのですか。 ○田尻室長補佐 最近のものについては。 ○佐藤座長 たぶん、過去のものは労働契約か何かでやっていますよね、過去何度か。 ○田尻室長補佐 労働契約法とか、ほかの文献も。そこは結構件数がありましたので、件数があり過ぎて 整理が間に合わなかったのですが。 ○佐藤座長 ほかにはありませんか。今日は最終的に明らかにしたい範囲で、周りを調べないという意 味ではなくて、そこを視野に置きながらどこをターゲットにして議論をしていくかということが、ある 程度合意ができればいいと思います。基本的に、ここはすぐ政策にというよりは、課題を明らかにして 政策議論をして、こんなことがあるというところまで出せればいいと思います。 ○佐野委員 どういうことを課題として捉えるかということですが、1つは法律上問題になりそうな側面 をいくつかやって、それをもとに類型化してみていくというのがある。もう1つは、これは必ずしも法律 の議論と結び付かないかもしれませんが、働く人が意識上、端的に言うと満足しているか満足していな いかとか、あるいは、いま個人請負で働いているけれども、選択肢があってその中で積極的に選んでい るのか、それとも不本意なのかというようなことです。本人にとっては不満が多くて、ほかに選択肢も なくてしようがなくやっているというのだと、問題が多い層と見ることもできますよね。そういうこと も今回、課題の1つとして見ていくことが大事かどうかというのは、考えたほうがいいのかなと思いま す。 ○佐藤座長 企業側がこういう人たちの活用についてのルールがよくできていなくて、変なことが起き ているということもあるかもしれませんよね。これは普通の自営業も同じかもわかりませんが、何とな く委託契約なのだけれども、雇用者と同じように活用してしまうことに問題が起きているわけです。現 場等がよくそのことを理解していないということかもわかりませんよね。ある程度法律を作らなくても、 活用する側が雇用者と違うということを自覚してやれば、かなりのものは解決するのかもしれない。そ ういうことも少しわかるようにしたほうがいいかもしれませんね。たぶん、人事はわかっていても、現場 の管理職はわかっていないというのはすごく大きいと思うので。 ○佐野委員 たぶん、それはあると思います。 ○佐藤座長 派遣とも違うわけだけれども。 ○佐野委員 正社員でないと、本社の人事部門などが管理しないで、現場の裁量でかなり自由に活用を 進めてしまっているところがあるかもしれませんよね。そういう所では、現場で、あまり雇用なのかど うか請負なのかということを意識せずに使っている場合は多いと思います。 ○佐藤座長 雇用でないから人事部を通さない、予算も人件費ではない。派遣については現場予算だけ れども、ある程度人事部もやらなければいけないから。請負でやってしまうと、もしかすると現場の予 算でやっていて、人事は全然わかっていないと。 ○佐野委員 把握していない可能性がありますね。 ○佐藤座長 そのことは少し調べたほうがいいかもしれませんね。派遣については、かなり人事が、現 場について派遣法もあるのでやるとやっているけれども、たしか委託は現場任せの可能性もありますね。 ○佐野委員 あると思います。 ○原委員 個人請負の人だけではなくて、活用企業の社員をヒアリングに一緒に呼ぶのは、難しいですか。 ○佐藤座長 今回の個人調査では、自分と同じような働き方をしている社員がいるかどうかというのを 聞いているのですよね。仕事の中身とか、実際の仕事の仕方が、個人請負のほうは調査しているのです が、社員のほうはどうかとか。そのほうが自立度が高いとか、あまり変わらないというようなことは聞 いています。 ○奥田委員 もともと社員だった人が、途中で自営化して、全く同じ仕事をしているというケースも結構 あるというのが出てきていたと思います。その場合、先ほどおっしゃった点では、もともと雇用者として の扱いと、自営者としての扱いというのが、ほとんど区別なく現場では行われている可能性があると思う ので、その辺りもわかればと思います。 ○佐藤座長 今回、高齢者雇用ので一部ありますよね。60歳以降について、委託契約にしているのもある ことはあるのですよね。それはまさに雇用者から自分の所の体制に移っているという。それは問題がない わけではないが、今回そこはどうするかですね、除く。社会保険の関係とか年金の関係とかいろいろなの で、委託にしたほうがいいというので、自営業者にしてしまっているようなのもある。あるいは本人が選 んでそうしているのもあることはあるのですよね、高齢者雇用のところで。別会社にして、そこから委託 契約して、もとの所で働いていたりというのもあることはある。これはまた別のタイプで。  今日は時間ギリギリまでやる必要はないので、論点が出れば、今日は1回目ということで、議論の範囲と 進め方さえ決まればいいかなとは思いますが。 ○酒光参事官 できれば、次回以降どなたか、企業の方でもいいですし、こういう人からヒアリングした ら今後の議論に役立つのではないかということがあれば、議論していただければと思います。 ○佐藤座長 そうすると、議論の対象範囲と調査の方法は、大体すり合わせができたのかなと。ここで呼 んでヒアリングというと、例えば、いくつか個人請負の人たちの仕事を斡旋する協会みたいなものがあっ たりするのですよね。今後の進め方についてご説明いただいて、皆さんからご意見を伺えればと思います。 ○田尻室長補佐 進め方につきましては、先ほど資料である程度申し上げましたが、スケジュールは資料11 に書いてあるとおりです。次回につきましては、私どものほうから、ヒアリング等々を行うことが実態を把 握する上で非常に有効ではないかと思われますので、類型化も併せて資料9に載せました。例えば、類型化 も含めご議論をいただいて、ヒアリングを行うかどうかといったことについてご議論を願えればと思ってお ります。 ○佐藤座長 事務局の案としては、次回、類型について議論をすると。 ○田尻室長補佐 今回、類型化のご議論で結論が出れば、次回はヒアリングということになります。 ○佐藤座長 ヒアリングというのは、ここに来るというイメージですね。 ○田尻室長補佐 そういうイメージでおります。 ○佐藤座長 個人のヒアリングというと、ここへ来てもらうのはなかなか難しいと思うので、やるとすれば、 個人ヒアリングとか企業は調査として出掛けて行くことになると思うのですが、団体とかであればここに来 て伺うことはできると思います。個人でやっている人たちはソフト開発があるのかな。あとディペンドでな い人たちの協会もありますよね。そういう所の人にお話を伺うというのはあるかもしれません。フリーのライ ターの人たちの協会みたいなのはあったかな。 ○田尻室長補佐 すみません、ちょっとライターの協会は承知しておりません。 ○佐藤座長 編集とかやっている人たちのもあったような気がします。 ○田尻室長補佐 なかなか私どもは把握し切れておりませんで。 ○佐藤座長 そうすると、どうしますか。どういう調査研究をやるかということと、ある程度類型の議論と、 団体がもしあれば来てインタビュー、ヒアリングをしましょうか。個人をここでやるのは難しいと思うので す。団体は自立性の高いほうだと思うのですが、ただ、ボーダーのところの話も伺うことはできるかもしれ ない。 ○佐野委員 例えば、専門的で自立性が高いような層で、問題が少ないと見られている層でどういう問題が あるかというのが明らかになってくると、他はもっと問題が大きいということが類推できたりするので、自律 性の高いほうを選ぶという方法も有効かと思います。 ○佐藤座長 インディペンデント。 ○佐野委員 インディペンデントに近い層。しかし、必ずしも従属的な側面がないかというと、そうでもない というのがわかってくるといいような。 ○佐藤座長 いかがですか。そのヒアリングをやるのと、調査についてのやり方を具体的に詰めるのと、類型 について議論をするぐらいであれば、次回の検究会はいかがでしょうか。そうしましたら、団体については多 少あとで情報を出すようにします。ほかに何かありますか。 ○奥田委員 その団体というのがどういうのがあるのか、いまは把握できないので、それを事前に知ってから どの程度可能性があるかというのを考えたいなとは思うのですが。例えば、インディペンデントの層があれば ある程度それが可能なのかとか、ほかでは無理なのかとか、その辺りがいまの段階ではわからないので。 ○佐藤座長 私が知っているのはソフト開発と、あとはもう少し業種を超えて自営業者の。例えば、仕事の紹 介とか、そういうものですね。そこに申し込むと紹介してくれたりとか。あとはマスコミ関係。ライターの人 のがあったような気がするのですが。では、それはやります。今日のは大体よろしいですか。事務局から何か ありますか。 ○酒光参事官 企業とか個人の方を訪問して聞くということであれば、その実態調査はある程度時間がかかる。 訪問調査になるので時間がかかると思いますので、その辺も次回くらいまでにどういった時期に、どういった 形でやるかというのは、ある程度考えておいたほうがいいのかなと。 ○佐藤座長 このあとの進め方で、実際の調査をどうやっていくかだと思うのですよね。ですから、ここでや るのか、ある程度既存的な業種で委託でやるのかとか。企業調査について言えば、補足するのは私は求人誌し かないだろうと思うのだけれども、ほかにやり方があればですけれども。 ○酒光参事官 例えば委託先にやらせるとすると、委託内容を決めておかないと委託できないので、その辺も 次回でいいと思うのですが詰めていただければと思います。 ○佐藤座長 それから事務的に、もし委託であればどういう調査研究をするのかを決めておかないと、入札が できないと思うのです。 ○酒光参事官 入札ができないと、調査に入れませんので。 ○佐藤座長 一応、大枠としては、業務委託を活用している企業のアンケート調査をやると。それとヒアリン グは活用している企業です。できればそこで活用されている個人自業主。つまり、企業が全部協力してくれる とは限らないので、それ以外について何人かインタビューみたいな仕様を作っていただいて、皆さんに見てい ただいてやるというのでいかがですか。 ○酒光参事官 企業名を精査して併せて。 ○佐藤座長 もちろん、限られた予算の中でどこまでやれるかということで、やっていただければいいと思う のです。次回については、協会とか団体みたいな所と、類型の話と、委託が決まればこういう内容でというよ うなところを少し議論すると。それでは次回以降の予定等をお願いします。 ○田尻室長補佐 9月、10月目処の開催を予定しておりますが、詳細につきましては追ってご連絡を差し上げた いと存じますので、よろしくお願いいたします。本日の議事録は、後日、皆様にご確認いただいた上で、ホーム ページ上で公表させていただきますので、お含みおきください。それでは第1回の研究会はこれで終了させてい ただきます。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。 (照会先)政策統括官付労働政策担当参事官室企画第二係(内線7992)