09/08/27 第24回独立行政法人評価委員会総会議事録 独立行政法人評価委員会 総会(第24回) 開催日時:平成21年8月27日(木)13:00〜16:20 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :井原部会長、猿田部会長代理、五十嵐委員、今村委員、岩渕委員、上野谷委員、内山委員、 大島委員、川北委員、堺委員、篠原委員、鈴木委員、竹原委員、田極委員、田宮委員、 田村委員、寺山委員、平井委員、山口委員、和田委員、渡辺委員 ○井原委員長  定刻になりましたので、ただいまから第24回独立行政法人評価委員会総会を開催させていただきま す。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。  本日は、清水委員、祖父江委員、永井委員、樋口委員、真野委員、御園委員、宮本委員、茂庭委員 がご欠席です。また、武見委員はご都合が付き次第ご出席です。  事務局から、本日の議事等について説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  議事等のご説明をさせていただきます。議事次第をご覧ください。本日は3種類の議事になっていま す。(1)の最終評価、(2)の暫定評価と組織・業務全般の見直し案について、議論していただきたいと 思っています。それぞれについて参考資料をお手元に配らせていただいていますが、そちらをご覧い ただきながらご説明させていただきます。  1つ目の最終評価についてです。最終評価は、平成20年度で中期目標期間が終了した法人の当該中 期目標期間の業務の実績の評価です。これは独立行政法人通則法第34条第1項に基づき行うもので、 最終評価と言っています。医薬品医療機器総合機構、労働者健康福祉機構、国立病院機構の3法人につ いて評価いただきます。参考資料の一番上にその第34条を抜き出していますので、ご参照ください。  2つ目の暫定評価です。こちらは今年度で中期目標期間が終了する法人の平成20年度までの業務の 実績の評価です。これは次期中期目標策定等へ反映させる観点から行うもので、厚生労働省独立行政 法人評価委員会として行うことを決めており、暫定評価と言っております。こちらについても参考資 料の2つ目の○で、厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準を引いていますが、こ こに暫定評価を行うと定めています。暫定評価を行うのは年金積立金管理運用法人、医薬基盤研究所 の2法人です。  3つ目は、組織・業務全般の見直し当初案の審議です。独立行政法人通則法第35条に基づいて、 「主務大臣は、独立行政法人の中期目標期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させ る必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所 要の措置を講ずるものとする」とされており、その検討を行うに当たっては、「評価委員会の意見を 聴かなければならない」とされています。  この検討に当たっては、平成15年8月の閣議決定により、見直し当初案を策定して概算要求を行う こと、その後、予算編成過程において、その当初案を再検討し、予算概算決定の時までに最終的な決 定を行うことが決められています。評価委員会のご意見を今後の検討に活かしていくため、見直し当 初案についてご審議いただくことにしています。通則法の関係の条文は、参考資料中に抜き出してい ますのでご参照ください。  今年度につきましては少し事情が変わっています。以上に加えて、「経済財政改革の基本方針 2009」に基づいて、中期目標期間の終了に伴う2法人の見直しに加えて、平成22年度までに統合計画 が決まっている国立健康・栄養研究所及び労働安全衛生総合研究所についても、前倒しをして見直し を行うこととされていますので、これら2法人についても組織・業務全般の見直し当初案のご審議をい ただくこととしています。  以上、3つをご審議いただきますが、議事の順番は、まず最終評価を先に行い、その後、暫定評価と 組織・業務全般の見直し対象法人の両方があります年金積立金管理運用法人と、医薬基盤研究所の審 議をしていただきます。最後に組織・業務全般の見直し対象法人となっている国立健康・栄養研究所 と労働安全衛生研究所の審議を行いたいと思っています。以上です。 ○井原委員長  よろしいでしょうか。それでは審議に入ります。初めに、医薬品医療機器総合機構の最終評価書 (案)の審議です。8月21日の医療・福祉部会で最終評価結果が検討されていますので、医療・福祉 部会長であります上野谷委員からご報告をお願いいたします。 ○上野谷委員  独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「総合機構」と略す。)の平成16年度から平成20年度 までの業務実績について、医療・福祉部会としての最終評価結果の概要を申し上げます。  時間の関係もありますので、お手元の資料1「独立行政法人医薬品医療機器総合機構の中期目標期間 の業務実績の最終評価結果(案)」に沿って、読み上げさせていただきます。  まず、1の(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」からさせていただきます。  当委員会においては、総合機構が独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が、 「医薬品の副作用又は生物由来製品を介した感染等による健康被害の迅速な救済を図り、並びに医薬 品等の品質、有効性及び安全性の向上に資する審査等の業務を行い、もって国民保健の向上に資する ことを目的とする」という当機構の設立目的に照らし、どの程度寄与するものであったか、効率性、 有効性等の観点から適正に業務を実施したかなどの観点に立って評価を行ってきたところであるが、 中期目標期間全般については、次のとおり、おおむね適正に業務を実施してきたと評価します。  一方で、今後、主に以下の点に留意する必要があると考えています。[1]審査等業務については、新 医薬品、新医療機器ともに体制の整備により審査の迅速化を達成すること。[2]安全対策業務について は、審査と「車の両輪」であり、関係方面から安全対策の強化の必要性が指摘されており、今後、さ らなる体制の強化が期待されます。  具体的な評価の内容に入らせていただきます。3頁です。2「具体的な評価内容」は、ポイントのみ を申し上げます。まず、(1)「業務運営の効率化」です。総合機構においては、平成16年度から目標管 理制度の意義・必要性について職員に周知を図るとともに、業務計画表を年度ごとに作成し、適切な 業務運営を推進するなど、業務の執行状況の適正な管理を推進していることは、中期目標に照らし十 分な成果を上げていると評価できます。  また、理事長の判断を迅速に業務運営に反映するため、幹部会をはじめ、各委員会が実質的、有効 的に機能しているとともに、リスク管理委員会を設置し、リスク管理方針やリスク管理規程の策定と いったリスク管理を徹底する体制を構築するなど、組織・業務の見直しが進められ、十分な成果を上 げております。  各界の専門家により構成される総合機構全体の業務の重要事項について審議するための運営評議会、 業務に関する専門的事項を審議するための下部組織であります救済業務委員会、及び審査・安全業務 委員会は、すべて公開され、その議事録及び資料も総合機構のホームページに公表されており、業務 の効率化、公平性及び透明性は確保されていると評価します。引き続き積極的な対応がなされること を期待いたします。  一般管理費等の経費については、毎年度、計画的に削減し、中期目標を大幅に上回る削減を達成し ております。今後とも引き続き、経費削減の継続的な努力や契約の一般競争入札化等により、業務の 効率性、経済性を向上させていくよう期待いたします。  次に、[1]「各事業に共通する事項について」です。一般の方からの質問・相談のため、平成16年度 から電話による一般相談を開始するとともに、平成18年11月からFAXによる受付け、平成19年6月 からは総合機構ホームページ上での受付けを開始するなど、相談者に対する利便性の向上が図られた 結果、相談件数が、この中期目標期間中に10倍以上増加しており、十分な成果を上げたと評価してお ります。  また、初めて医薬品医療機器情報提供ホームページを利用される方のための「情報提供ホームペー ジの活用方法」の掲載や、添付文書情報と使用上の注意の根拠症例及び重篤副作用疾患別対応マニュ アルとのリンクを開始するなど、より分かりやすく使いやすいものとされました。その結果、医薬品 医療機器情報提供ホームページへのアクセス回数も、平成16年度約2.3億回から平成20年度約6.4億 回と増加しております。今後も、これまで以上に積極的な情報発信が行われることを期待いたします。  次に、5頁の[2]「健康被害救済業務」です。副作用救済給付業務では、設立当初から、救済給付の事 務処理を迅速に進めるための方策を進めた結果、支給・不支給の決定件数は、平成16年度が633件で あったのに対し、平成20年度は919件と大幅に増加し、救済給付の標準的事務処理期間(8カ月)の 達成率も74.3%となり、中期計画における目標値(60%)を上回っています。  なお、支給・不支給事例については、平成16年度からホームページによる公表が行われるなど、救 済制度に関する情報提供の拡充や広報活動の積極的な実施が行われ、ホームページのアクセス件数、 相談件数ともに、中期目標終了時(平成20年度)の目標値(平成15年度比20%増)を大きく上回っ ています。  スモン患者及び血液製剤によるHIV感染患者等に関する受託支払業務、平成19年度から新たに始ま った特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者に対する給付業 務等については、個人情報に配慮し、適切に業務が遂行されております。今後とも引き続き当該業務 が適切に実施されることを期待いたします。  [3]「審査等業務」です。新医薬品全体の審査事務処理期間についてですが、中期計画の目標を下回 っております。しかし、承認件数が大幅に増加し、審査事務処理期間も平成18年度以降は年々短縮し ていることから、審査の迅速化に向けた体制の整備は着実に進展していると考えられます。  一方、新医療機器の審査事務処理期間についてですが、優先審査品目は中期計画の目標を上回って おりますけれども、新医療機器全体については、平成17年度及び平成18年度を除いて中期計画の目標 を下回りました。しかし、新医療機器全体についても新医療品と同じく、審査の迅速化に向けた体制 の整備が行われていると判断します。引き続き新医薬品、医療機器ともに、さらなる体制の充実・強 化により、数値目標を達成することを期待いたします。  治験相談については、平成20年度に年間約420件の処理能力を確保するという中期計画を達成し、 すべての相談申込みに対応できる体制を整備したことは、今後の審査の迅速化につながる明るい材料 であると感じております。  なお、新医薬品の審査体制については、平成19年度からの人員拡大計画を含め、課題となっていた 人員確保に目途がついたことから、今後は審査業務プロセスの標準化・効率化や承認審査基準の明確 化を図り、審査の更なる迅速化に取り組むことを期待します。また、新規採用の審査員の育成はもち ろんのこと、中核的人材の育成にも積極的に取り組み、すべての審査員が十分に能力を発揮できるよ うな体制を整備し、それぞれの業務の成果が審査事務処理期間の短縮等に、数字として早く現われる ことを強く期待します。  7頁、[4]「安全対策業務」です。安全対策業務については、予測予防型の新たな安全性情報の発見・ 分析を行う手法のデータマイニング手法について、平成20年度に業務支援システムの開発が完了し、 予測予防型の取組みが着実に進展しております。  副作用・不具合情報等の電子化については、企業に対する電送化導入の協力要請など適切に業務を 推進した結果、平成20年度は92.3%で、中期目標終了時までに電送化率を年80%以上とする目標を大 幅に上回る成果を上げました。  企業、医療関係者や患者・一般消費者に対する安全性情報の提供についても、「医薬品医療機器情 報配信サービス」の実施及び「患者向医薬品ガイド」のホームページへの掲載を行うなど、サービス の向上に取り組んでいると認められ、十分な成果を上げていると評価いたします。安全対策の強化に ついては、今後、ますます国民の期待が大きくなっていくものと思われますので、さらなる体制の強 化を期待いたします。  8頁の下段、(3)「財務内容の改善等について」です。予算、収支計画及び資金計画等については、 中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されております。各年度における予算を踏まえ経費削減策 を実施しており、特に平成19年度に策定した「随意契約見直し計画」に基づき、随時、一般競争入札 に移行したことや、業務の効率化等により削減が行われました。また、平成19年4月から人事評価制 度を導入するとともに、国家公務員の給与構造改革等を踏まえた新しい給与制度を導入し、常勤職員 の人件費の抑制が行われるなど中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されております。第2期も計 画に基づいて適正な業務運営がなされることを期待いたします。以上でございます。 ○井原委員長  どうもありがとうございました。ただいまご報告いただきました最終評価書(案)について、ご意 見等がありましたらお願いいたします。 ○猿田委員長代理  いろいろな点で進歩がみられておりますが、特に前と変わったところは、審査体制と治験の相談が 非常に活発に行われて、平成16年度に比べて20年度は倍ぐらいに増えています。これは、やはり人数 を増やされたのか、あるいは中の組織体制を変えられたのか、どちらでしょうか。 ○上野谷委員  両者です。 ○猿田委員長代理  このところは高く評価できると思います。ありがとうございました。 ○井原委員長  あとはよろしいでしょうか。 ○渡辺委員  いまの関連ですが、審査期間は、これを拝見すると、努力なさっていらっしゃいますが、必ずしも 短縮化されてないような印象も受けるのですが。そのためには何をすればいいのか、いわゆるドラッ グ・ラグの問題を指摘されていますが、もっと審査期間の短縮に、条件と言いましょうか、それが、 もしあったら教えてください。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  ドラッグ・ラグの内容を見ますと、FDAと比較するといちばんよく分かるのですが、FDAの場合は、 いわゆる企業側の期間が非常に短いのがよく分かるのです。つまり、こちらから相談して、こういう ふうに直してほしいと言った時に、その反応が非常に早くできている。逆に言うと、審査機関側の期 間はそんなに差はないです。  ですから、大事なことは、企業側の期間を短くすることです。それはどういうことかと言いますと、 治験相談や事前相談をすることを徹底することによって、治験そのものの、つまらないところでのや り取りを減らすことができます。それから、できるならば、その治験の内容そのものについて、かな り指導することができれば、無駄な時間を相手方に与えなくて済みます。  結局、そこら辺をどうやっていくかで、審査期間そのものを短くすることができると思います。ま ず、そのためには、人数が基本的に少なかったということがありますので、人数を増やしながら、そ ういう点を重点的に短くさせる。そうすると、間違いなくFDA並みの、またはそれ以上になるかもしれ ません。つまり、相手側の期間をどうやって短くさせるかということだと思います。 ○渡辺委員  一点だけ。特に日本の場合、治験の症例と言いますか、治験に参加する人が少ないといった話も聞 きますが、いま理事長がおっしゃったことは、そういったことも含むということですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  治験に関しては違います。いま申し上げたのは、企業側の持ち時間を短くするという話です。治験 そのものについては、医療機関が、より積極的に治験に参加できるような体制をとらなければいけな い。医療機関が新しい薬に対して、より積極的に応じられるような体制です。治験をやることが、そ の病院にとって誇りであるとか、先端医療をやっているという、そういう励みになるような仕組みに していかなければならない。そのためには、治験のことを非常に詳しく知っている医者であるとか、 その周りの方々を増やしていかなければならない。  例えば、そういうことを含めて、猿田委員からいつも言われますが、こういうPMDAの所に、医療機 関の医者などに勤めていただいて、2年でも3年でも経験を積んでいただいて、そういう方々がその病 院に戻っていただいて、治験の活性化をしていただく。もっと大事なことは、同時に、臨床研究のほ うにもより薬事の知識の豊かな人に張り付いてもらう。そうすると、今までちょっと引いていた治験 が、そういう医療機関においてどんどん活性化されるだろうと、いま、それを一生懸命推進している ところです。 ○猿田委員長代理  いまのお話ですが、どうでしょうか、かなり専門家の方が入るようになられましたか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  私が着任した時は、医者が26人だったのですが、今は36人です。ですから、10人は、この医師不 足という中で増えました。 ○猿田委員長代理  各専門家もかなり、例えば眼科とか耳鼻科とか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  眼科はちょっと、なかなか集まらないです。 ○猿田委員長代理  私たちも支援しなければいけないと思います。 ○井原委員長  よろしいでしょうか。それでは、修正意見はなかったように思いますので、ただいまの結果を中期 目標期間の業務実績の最終評価結果として、法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に お伝えするとともに、これを公表したいと思います。それでよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。最後に法人からコメントがありましたら、お願いいた します。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  本日は、第1期中期目標期間の業務実績について、皆様方に高い評価をいただきましたことを感謝申 し上げます。ご指摘いただきました点を踏まえて、今後、さらなる業務改善に全力を尽しまして、よ り有効で、より安全な医薬品や医療機器をいち早く国民に届けるために日々努力を重ねてまいりたい と思っています。  本年からいよいよデバイス・ラグ解消に向けたアクションプログラムが施行されますし、また、市 販後安全対策の拡充に向けた取組みが始まったところです。また、平成23年度までにドラッグ・ラグ を解消するために、人員が拡充されていますが、それらによって審査チームを増加させ処理自体の加 速を図るとともに、事前評価システムの導入によって申請後の業務の効率化に取り組み、目標達成に 向けて全力で努力してまいりたいと思っています。  そのためにも、新たな目標達成に向けて、職員の研修等の充実を図るとともに、PMDAの理念の下で、 職員が一丸となって業務を遂行していく所存です。引き続き、皆様方のご指導、ご鞭撻をよろしくお 願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○井原委員長  どうもありがとうございました。それでは、ここで法人及び所管課の入れ替えを行いますので、皆 様はしばらくそのままお待ちください。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  それでは再開します。次は労働者健康福祉機構の最終評価書(案)の審議です。8月24日の労働部 会において最終評価結果を検討いたしました。労働部会長でもある私から報告いたします。  お手元の資料2「独立行政法人労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果 (案)」を基に、労働者健康福祉機構の第1期中期目標期間の業務実績についての講評を行います。ポ イントだけを選んで報告いたします。まず、中期目標期間の業務実績全般の評価についてです。1頁1 段落目で、当法人は「労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働者の健康の保持増 進に関する措置の適切かつ有効な実施を図る等により労働者の福祉の増進に寄与する」ことを目的と している。この目的を達成するため、中期目標期間を通して、いかに効率的かつ適正に業務を実施し てきたか、これを評価したということです。  その評価の結果は、2頁3段落目になります。これを踏まえ、当法人の中期目標期間の業務実績を評 価すると、全般的に適正に業務を実施したとして評価できると考えるが、今後に向けた取組みとして、 留意すべきことを2点申し上げます。  1点目、労災病院事業は勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であるとともに、地域医療の中 核的医療機関でもあることから、地域の医療機関等に研究成果の普及を図りつつ、地域の実情及びニ ーズを踏まえた地域医療連携を一層強化し、特色ある医療の提供を行うことを期待したい。  もう1点が、労災病院の財務内容については、医療の質の向上及び安全の確保との両立を図りつつ、 中期目標期間を通して、バランスコアカード等の活用により、内部予算管理を進めてきた結果、一定 の成果がみられたところである。今後とも、これらの制度の活用を図ることなどにより、財務内容を 分析し、収入確保・支出削減策を策定するなど、これまで以上の改善と工夫を行うことが必要である。 そういう注文も出しております。  3頁の3段落目です。一般管理費については対15年度比で15.1%節減し、事業費については対15年 度比で11.0%節減して、中期目標を達成しております。また、医療リハビリテーションセンター及び 総合せき損センターについても交付金率を5年間で5ポイント低下させ、中期目標を達成したというこ とで評価できるとしております。  4段落目です。労災病院の再編については、地域医療の確保、受診患者の診療・療養先の確保、職員 の雇用の確保等に配慮しつつ、円滑に処理を行い、「労災病院の再編計画」に沿った廃止・統合を完 了したことは評価できるとしております。  4頁の[2]「勤労者医療の中核的役割の推進」です。労災病院に係る研究開発については、平成19年 度に労災疾病等13分野のすべてについて研究成果を取りまとめた。その成果の普及については、平成 20年度を中心として、冊子・出版物を発行、国内外の学会・学術誌への発表などにより積極的な普及 活動を行ったほか、インターネットアクセスについては、平成20年度において20万件を超える実績を 上げており、研究成果について、社会に広く普及が図られたものと評価できます。今後も外部研究費 の獲得を図るなどにより、外部からより高い評価を得られるよう、一層努力をすることを期待します ということです。  [2]の2段落目です。勤労者に対する過労死予防、メンタルヘルス不全予防、勤労女性の健康管理対策 については、利用者ニーズに応えるため、勤労者に利用しやすい時間帯に相談を実施するなどの取組 みを行った結果、中期目標の数値目標を達成するとともに、各勤労者予防医療センターを中心とした 調査研究も実施し、研究成果について学会発表等の取組みを行ったことは評価できる。今後も引き続 き、過労死予防の推進について、機構の社会における更なる貢献のあり方を明らかにしつつ、研究成 果についても国際的な評価を得られるよう、一層の取組みを期待するとしております。  5頁です。勤労者医療の地域支援の推進については、中期目標期間中に地域医療支援病院を3施設か ら12施設に、地域がん診療連携拠点病院は4施設から11施設にそれぞれ拡大し、地域における勤労者 医療の中核病院としての評価を高めたと言えると思います。  5頁3段落目です。行政機関等への貢献については、アスベストによる健康被害に対し、アスベスト 健診や相談対応などの取組みのほか、医師に対する研修実施、労災認定に必要な石綿小体の計測など の要請に応じて積極的に取り組み、この問題における我が国の指導的立場を維持・強化した点は大い に評価できる。新型インフルエンザについても体制整備を図り、迅速に対応できたことは評価できる。 今後とも、労災疾病等に関する研究開発、普及事業等を通じて得られた医学的知見を最大限に活用し つつ、行政のニーズや社会的情勢に対し積極的かつ迅速に行うことを期待しますということです。  6頁の[4]で、「産業保健関係者に対する研修又は相談、情報の提供、その他の援助」として、産業保 健関係者に対する取組みについては、産業保健推進センターにおいて、事業効果を把握するための実 態調査を行い、利便性の向上などを図ることにより、中期目標に掲げられた数値を上回る実績を上げ た。ホームページアクセス件数についても、内容の充実により中期目標期間における約450万件の実績 を上げたことは評価できる。また災害、アスベスト問題などの社会情勢に対し、迅速かつ適切に対応 したことも評価できる。今後も業務の一層の効率化等を図ることを期待するということです。  8頁まで飛びまして、「財務内容の改善等について」とありますが、[1]の労災病院についてです。労 災病院の財務内容については、平成20年度は中期目標期間の最終年度に当たることから、年度当初か ら各病院との個別協議を重ね、投資的経費も計画的抑制を図るなど、取組みを強化した結果、病院の 収支面において大幅な改善を見たが、世界的な金融・経済危機に伴う厚生年金基金資産減少などによ る外的要因から、損益改善は小幅に止まったところであると。ここでマイナス43億円とありますが、 これは前年度に比べてわずかな損失の減少になっております。これは厚生年金基金資産の減少が36億 円ありますので、それを除きますとマイナス7億円まで改善しているという意味です。ただし、外的要 因を除いた医業活動に限って比較すると。中期目標期間を通じて148億円の損益改善が見られたという 意味で、中期期間を通して着実に成果を上げたと言えると。今後も良質な医療サービスの提供に十分 配慮しつつ、収支改善のための具体的な方策を策定し、経営基盤の確立に向けた取組みを一層強力に 実施することが必要であるとしております。以上、労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績に ついての講評です。  ただいま報告しました最終評価書(案)について、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○堺委員  井原委員長よりご講評いただきました最終評価結果については、8月24日の労働部会において審議 を経た上でまとまっているものであり、異存はございません。ただ、技術的な点で1点ご提案を申し上 げます。これは最終部会ののちに、臨時委員の方から起草委員の1人である私宛てに、是非、総会で話 してほしいというお話があったことでもあります。最終評価結果を読み手である国民の目にもわかり やすくとの視点からご提案いたします。  具体的には、最終評価結果の1頁の(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」の14行目ですが、 「労災疾病等13分野」とだけ書いてありますけれども、これだけだと労災になじみのない読み手には わかり難いということがあります。例えば代表的なものとして、アスベスト関連疾患分野、勤労者の メンタルヘルス分野、業務の加重負荷による脳・心臓疾患過労死分野程度を、括弧書きで例示しては いかがでしょうか。この機構の研究開発に対する評価については、S評価まであと一歩のA評価に止ま ったものの、中期目標期間中、非常に熱心に取り組まれたと評価できるところでもあります。特にア スベスト関連疾患分野は我が国をリードする素晴らしい取組みをなされました。そういう意味でも、 いま申しましたように、少しでも読み手に伝わるような形にすべきではないかということでご提案さ せていただきました。以上でございます。 ○井原委員長  ありがとうございます。そういうふうな修正案というのはいかがでしょうか。適切なご指摘だと思 います。 ○山口委員  質問です。先ほど委員長のほうから、労災病院についての厚生年金基金の資産減少という外的要因 の影響があったというお話がありましたが、まず厚生年金基金というのはこの法人とは別法人ですよ ね。そして、その別法人のところでリーマン・ショック以降の相場下落によって不足が発生したとい うことだと思うのですが、それは20年度で一括して追加拠出して処理されたということなのか、ある いは21年度以降も、やはりこの積立て不足の影響が出てくるものなのかどうかという辺りについては いかがでしょうか。 ○井原委員長  結局、積んであるものが減ってしまったということですけれども。それが21年度、今後の見通しと いう点はどうなるでしょうかというご質問ですか。 ○山口委員  つまり20年度で発生した損益をその期で全部認識されている話なのか、それとも、これからの年度 に分割して費用処理していく話なのかという質問です。 ○労働者健康福祉機構理事長  厚生年金基金の資産減少は、世界的な金融・経済危機の影響を受けて、著しいものがあるわけです けれども、この分については、今後の在職期間等の関係を見ながら、7年間にわたって均等に、20年度 から退職給付費用として財務諸表上に計上していくというやり方になっております。20年度において はその分の費用計上をいたしたということです。もちろん経済の回復等々により、今後も年金資産の 増減は出てくると思いますので、そういう部分の見通しはちょっとわかりませんけれども、今後しば らくの何年間は続いていくということになると思います。 ○山口委員  わかりました。 ○井原委員長  そのほかにございますか。 ○田宮委員  中期目標期間の業務業績ということで、直接は違うお話しになるのですが、2頁の「以下の点に留意 した取組」という所に、労災病院事業について触れてありました。今後の課題になるかもしれません が、労働安全衛生総合研究所との統合の話が出ております。部会の方で、労働安全衛生研究所が統合 されるに当たってのプラス面として、労災病院と一緒になることにより研究がさらに進められるとい うご説明をいただいておりました。労災病院の今後に当たっては、そういう研究部面でのより一層の 発展も期待させていただきたいと思います。コメントになりますが、追加させていただきます。 ○井原委員長  修正ではなくて、これでいいのですか。 ○田宮委員  そうですね、中期目標期間の実績ということではいいかと思います。 ○井原委員長  そのようなコメントですね。十分お聞きいたします。そのほかにございますか。よろしいでしょう か。それでは、先ほどの堺委員からの、1頁の下から9行目の「13分野」という所に、括弧をして例示 をしたほうがわかりやすいということでしたので、そこの部分を修正させていただきたいと思います。 そういう修正を行うことを前提として、中期目標期間の業務実績の最終評価結果といたしまして、こ れを法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、公表したいと思い ます。修正の点については、私が事務局と相談しながら進めたいと思いますので、ご一任いただけれ ばと思います。 (各委員了承) ○井原委員長  それではそのように扱わせていただきます。最後に法人のほうからコメントがございましたらお願 いいたします。 ○労働者健康福祉機構理事長  ありがとうございました。私どもが独立行政法人に移行しまして5年間、いわば第1期の中期目標期 間が経過したわけですが、その間の業務実績について、評価をしていただき、また今後に向けて貴重 なご助言、ご意見等を賜りまして、厚く感謝申し上げたいと思います。目下、第2期の中期目標の期間 に入っておりまして、また新たな気持ちで取り組んでいるところでございますが、今後に向け、いた だきましたご助言等を踏まえて、さらに私どもの使命を果たすべく努力をしてまいりたいと思ってお りますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 ○井原委員長  ありがとうございました。それでは法人及び所管課の入れ替えがございますので、皆さまはしばら くお待ちください。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  それでは再開いたします。次に、国立病院機構の最終評価書(案)の審議を行います。8月26日の 国立病院部会で、最終評価結果が検討されております。国立病院部会長でもある猿田委員長代理から ご報告をお願いいたします。 ○猿田委員長代理  それでは、国立病院機構の平成16年度から20年度までの中期目標期間の業務実績の最終評価につい てご説明いたします。  お手元の資料3、「独立行政法人国立病院機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)」を ご覧ください。1頁目で、評価の概要です。(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」から説明しま す。国立病院部会では、国立病院機構が独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果 が、国立病院機構の設立目的である「医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等 の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、 国の医療政策として国立病院機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄 与する」という国立病院機構の設立目的に照らし、公衆衛生の向上及び増進にどの程度寄与するもの であったか、効率性、有効性、透明性の観点から、適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価 を行ってきたところであります。中期目標期間の業務実績については、医療・経営の両面において中 期目標の水準に達し、大きな成果を上げているものと評価しております。  評価した主な事項として、診療事業においては、セカンドオピニオン専門窓口設置病院数の大幅な 増加や、医療ソーシャルワーカーの増員等の患者の価値観を尊重した説明・相談体制づくりへの取組 み、地域連携クリティカルパスを含む積極的なクリティカルパスの活用による質の高い医療の提供、 人工呼吸器の機種の標準化などの医療安全対策への様々な取組みなどについて、評価いたしました。  さらに、根拠に基づく医療「EBM」の推進に向けた取組みや、臨床研究活動、治験についても、国立 病院機構のネットワークを活かして、大いに実績を上げたと評価しております。  また、積極的な業務運営の効率化と収支改善へ向けた取組みにおいて、機構発足以来5期連続して黒 字であることに加え、平成20年度においては、これまでで最大の純利益を計上するなどの特段の実績 を上げたことについても、職員の懸命な努力の結果であると高く評価しております。  2頁目で、国立病院機構の契約に関し、「随意契約見直し計画」に沿った取組みを実施し、件数、金 額とも着実に改善しており、独立行政法人としてより透明性と競争性の高い契約の実施に取り組んで いることを評価いたしました。  2「具体的な評価内容」です。(1)「診療事業」の[1]患者の目線に立った医療の提供については、患 者満足度調査における満足度の着実な向上、先ほど申しましたセカンドオピニオン窓口設置病院数の 増加、患者への説明・相談体制の充実などの取組みを評価しております。  次に、[2]患者が安心できる医療の提供については、特に医療安全対策について、国立病院機構全体 の基本的方向性を検討する「中央医療安全管理委員会」の設置や、報告された事故事例等から作成し た「医療安全白書」、「警鐘的事例」、人工呼吸器の機種や使用薬品の標準化の推進などの取組みを 評価しております。  3頁の、[3]質の高い医療の提供については、クリティカルパスの作成数、実施件数が中期目標を大き く上回っていること、紹介率・逆紹介率、高額医療機器の共同利用数が中期目標、中期計画を大きく 上回ること、政策医療についても結核医療や精神医療をはじめ適切に実施されており、とりわけ、心 神喪失者等医療観察法に基づく指定入院医療機関については、都道府県の病床整備が遅々として進ま ない中で、全病床数の約8割を国立病院機構が占めるなど、国の政策に大きく貢献していることなどを 評価しています。  4頁です。(2)臨床研究事業については、冒頭に申しましたEBM推進のためのエビデンスづくりや、 治験の推進について評価するとともに、今後とも期待したい分野であるとしております。(3)教育研修 事業については、医師の臨床研修における国立病院機構独自の専修医制度の先進的な取組み、看護師 のキャリア形成における全病院統一の研修ガイドラインの運用、専任の教育担当看護師長の配置及び 研究休職制度の創設などの取組みを評価するとともに、平成22年に開設予定である「東京医療保健大 学国立病院機構校」に期待する内容としております。  5頁です。(4)災害等における活動については、計画どおり災害等に備えた研修が実施されたこと、 国際緊急援助を含む災害援助に積極的に参加してきたことなどを評価しております。  続いて、これより先は組織体制や経営に関してです。(5)効率的な業務運営体制の確立については、 本部・ブロック組織の役割分担の明確化、管理体制の再編成等、効率的な組織運営に努めたこと、院 内組織、人員配置にも適切に取り組んだことなどを評価し、さらに業務評価制度については、平成20 年度から対象を全職員へ拡大しており、職員のモチベーションの向上や組織の活性化に繋がる制度運 用を期待したいとしております。  (6)業務運営の見直しや効率化による収支改善については、項目を4つに分けております。[1]業務運 営コストの節減等については、医薬品等の共同入札の実施によるコスト節減、一般管理費の大幅な節 減などを評価しております。  次に6頁です。[2]医療資源の有効活用については、医療機器の共同利用数、総稼動数の増加、非効率 となった病床等を整理・集約することによる効率化などを評価しております。  [3]診療事業以外の事業に係る費用の削減等については、外部競走的資金や受託研究費の獲得に努め たことなどを評価しております。[4]財務会計システムの導入等IT化の推進及び業務・システム最適化 については、財務会計システムの精度向上、医事会計システムの標準化などを評価しております。  7頁、(7)経営の改善についてです。5年間累計で経常収支率100%程度としている中期目標に対して、 経常利益は5期連続の黒字を達成し、経常収支率は102.2%という実績でした。こうした結果は各病院 長をはじめ、職員の努力の結果であると高く評価しております。また平成19年度末に策定した経営改 善計画(再生プラン)に基づき、対象病院の半数以上の経営が改善されたことも評価しております。  (8)固定負債割合の改善についてです。病院の機能維持に必要な整備を行いつつ、毎年着実に固定負 債を減少させ、5年間で21.5%減少させたことを評価しております。  (9)その他の業務運営に関する事項についてです。人事に関する計画については、技能職の削減につ いて計画を上回って進展したこと、医師や看護師確保において様々な施策を講じたことなどを評価し ております。  なお、人件費の抑制については、総人件費改革による観点も重要であるとする一方で、国立病院機 構には、国民に対する安全で質の高い医療の確実な提供と国の政策医療への貢献という課せられた使 命があり、その遂行のためには医師、看護師をはじめとした有能な人材の確保と育成も必要であると しております。  以上、申し上げましたように、理事長の強いリーダーシップの下、国立病院機構の本部の皆さま方、 そして各病院の医院長先生をはじめ職員の方々が、この5年間にわたって非常に努力してこられたこと が実り、中期目標の数字に対して、大きな成果を上げられたことを高く評価したいと思っております。 以上です。 ○井原委員長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告いただきました最終評価書(案)について、 ご意見等がありましたらお願いいたします。 ○寺山委員  意見ではないのですが、ちょっとわからないので質問をします。大変なS評価もあり、素晴らしい評 価結果というふうに拝見いたしました。4頁のいちばん下の「東京医療保健大学国立病院機構校」とい うのは初めて伺いますが、これはどういうことなのか、いまある清瀬の看護学校の所をバージョンア ップするということなのでしょうか。  それから8頁の、医師不足ということで、女性医師の支援モデル事業は大変結構ですが、看護師不足 に対する同様の看護師確保のための子育て支援とか、そのようなことも国立病院機構としては重点的 にやっておられるのでしょうか。その2点の質問です。 ○国立病院機構医療部長  まず1点目のご質問の、東京医療保健大学国立病院機構校ですが、これは新たに平成22年4月を目 指して、国立病院機構が青葉学園(東京保健医療大学)との連携のもとに、高度な看護実践能力を持 ち、医療チームの中で主体的に活動できる看護師の養成、育成を行うという、新たな新看護学部・大 学院の開設を目指して行うものでございます。既存の看護師の養成の機関とはまた別に、さらに高等 なスキルミックスによるチーム医療を推進するような看護師の育成を、国立病院機構の豊富な臨床現 場を活用して行っていこうという取組みです。 ○寺山委員  看護師だけではなくて、ほかのコ・メディカルのスタッフの養成もこの中に入っているのですか、 チーム医療とおっしゃったのですが。 ○国立病院機構医療部長  いいえ、看護師です。チーム医療の中での看護師の役割をさらにより高度なものにということで、 看護師の養成のための取組みです。 ○猿田委員長代理  女性医師支援モデル事業はどうでしょうか。 ○国立病院機構総務部長  女性医師の支援モデル事業については、平成19年度、20年度、この2か年間において、15病院を対 象にしてモデルを行ったわけです。具体的にその中身については、主たるものとしては、女性の医師 が家庭に入られるので、復帰するときの研修です。そういうところのできる病院、できない病院があ りますが、できる病院についてはそういう研修形態、研修の内容について、モデルの1つとして実施し ていただいていました。それから24時間の院内保育所、それから女性医師は育児等があるので、病院 にお勤めになられたとしても、なかなか宿・日直ができない場合もあります。そういう場合の病院と しての対応をモデルとしてやっていただくこと、あるいは搾乳室や夜勤で寝る所についても、女性と 男性の医師を分けるなど、そういうことを各病院独自に、2カ年15病院にやっていただき、現在、そ の検証をしているところです。その検証の結果に基づき、またこれを広く水平展開ということを考え ているわけです。以上、女性医師支援モデル事業です。 ○寺山委員  看護師についてはどうですか。 ○国立病院機構総務部長  看護師確保については、大きく2つあります。つまり、看護師を広く募集して、私どものNHOに入っ ていただく、それがやり方の1つであります。それから、離職を少なくすること、大きくこの2つがあ ります。私どもが実施している募集については、各ブロック、全国に6ブロックありますが、ここが主 体的に看護師の募集を、各ブロックに所属する全病院を一堂に会していろいろ説明会を開催したり、 各県に出向いて行き、そこで1か所の場所を借り、私ども国立病院機構をPRさせていただく方法、こ のような地道な活動が1点です。  離職については、看護師において私どもは研修を非常に重要視しております。看護職員能力開発プ ログラム、私どもはアクティ・ナースと云っていますが、これを作成しております。これは、看護師 が入られて1年目から5年までの到達目標を定めて、マニュアル化しているものですが、これに沿って、 各病棟のプリセプターが中心となり、各看護師、ナーススタッフ1人ひとりに応じたきめ細かな研修を 行っている。そういうことを通じて離職防止にもつなげているということが実態です。 ○今村委員  これも質問ですが、別紙の57頁、内部統制、法令遵守に関する対応ですが、ここの[2]の2、「組織 的な内部監査・経営指導の実施」と書いてあり、以下、記述がありますが、抜打監査などをしていま すが、いわゆる公益通報者の受入れ窓口、その他民間の企業などで対応していらっしゃる組織づくり、 それについては特に記述がないのですが、それはどのように達成しておられるかをお聞きしたいと思 います。 ○国立病院機構総務部長  公益通報については、通報者に対して不利益になることは行わないようにという、総務部長通知を きちんと出しておりまして、そのようなことがないようにやっています。公益通報の担当の窓口もき ちんと定めてあります。 ○井原委員長  その他に何かありますか。よろしいですか。修正意見はなかったようですので、これをもって中期 目標期間の業務実績の最終評価結果として、法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に お伝えするとともに、これを公表したいと思います。それでよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。最後に、法人からコメントをいただけたらお願いしま す。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。猿田部会長からご報告いただきましたように、第1期中期目標期間 の評価に当たりましては、医療・経営の両面において中期目標をはるかに超えて大きな成果を上げた と評価していただきまして、私ども145病院の5万人を超す職員を代表しまして厚く御礼申し上げます。 これは独立行政法人化に伴いまして、国立病院機構は職員1人ひとりの意識改革を行って、患者さんの 目線に立った質の高い医療の提供により、患者さんから選ばれる病院に脱皮したこと、それに結核と か、重症心身障害、あるいは難病などの患者さんに対する政策医療、臨床研究、教育研修の推進、さ らには経営の健全化を目指し、経営基盤の安定化に努めてきたこれまでの努力が報われたということ で、厚く御礼申し上げます。  最後には、総人件費改革については、重要であるとする一方で、安全で質の高い医療の提供のため には、医師・看護師をはじめとした人材の確保が極めて重要であるということで、医療現場の厳しい 状況の中で良質な医療を提供する、その役割を果たそうとしている私ども機構として、大変力強く感 じている次第でございます。現在、新たな中期目標期間に入っておりますが、引き続き、医療の質向 上へのさらなる取組みを行うとともに、人材の育成・確保、情報発信など、第1期を通じて構築した経 営基盤の上に、機構の145病院のネットワークを活かして、これまでの成果をさらに発展させてまいり たいと存じます。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 ○井原委員長  ここで法人及び所管課の入れ替えを行いますので、皆さま、しばらくお待ちいただきたいと思いま す。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  再開します。ここからは、暫定評価と組織・業務全般の見直し当初案の対象法人について審議をし ます。先に、年金積立金管理運用法人の暫定評価書(案)の審議を行います。8月24日の年金部会で、 暫定評価結果が検討されていますので、年金部会長である山口委員からご報告をお願いします。 ○山口委員  年金積立金管理運用独立行政法人、以下「管理運用法人」と略しますが、この法人の平成18年度か ら平成20年度までの業務実績について、年金部会としての暫定評価結果の概要を報告します。暫定評 価においては、管理運用法人に課せられた、「専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全 かつ効率的に年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国民生活の安定 に貢献する」という使命を果たすために行われた具体的な取組みに対する評価を基本とし、その上で 中期目標に定めた事項が適切に行われたかについて、総合的に評価を行っています。  年金積立金の運用については、収益額や収益率などに注目が集まりがちです。しかし、年金制度は 長期的な安定を目指すものであるため、年金積立金の運用は単年度の運用実績のみではなく、長期的 な観点から見るべきものであり、かつ市場の動向を踏まえた相対的なリターンで見ることが必要です。 したがって、評価項目の中には運用実績に関するものもありますが、年金部会において評価を行う際 には、運用実績のみではなく、組織としてのリスク管理等をどこまで徹底しているかという点などに ついても、十分考慮をして議論をしています。各委員の皆さまにおかれましては、まずそのような前 提をご理解いただきたいと思います。  暫定評価期間の業務実績全般の評価についてお話します。お手元の資料4-1をご参照ください。1頁 の(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」をご覧いただきたいと思います。業務運営体制の見直し や改善が行われ、業務が適切に運営されていること、人件費の制約がある中で外部の専門的知見を有 する運用経験者の確保に努め、業務運営能力の向上に向けた取組みが積極的に行われているなどにつ いて、評価をしています。  業務運営の効率化とそれに伴う経費削減についても、資産管理機関の集約化等により着実に取り組 んでおり、受託者責任や法令遵守の徹底、情報公開の充実といった事項についても、積極的な取組み が行われています。名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」につい ては、平成18年度から平成20年度までの暫定評価期間においては、平成16年財政再計算上の前提を 下回っていますが、市場平均であるベンチマークとの対比で見た場合においては、ベンチマーク並み の収益率を概ね確保しているところです。さらに、平成19年度、平成20年度といった非常に不安定な 市場の状況の下においては、適切かつ機動的なリスク管理を行い、また、運用受託機関の選定・管理 及び評価についても適切に実施をし、全体として管理運用法人の設立目的に沿って適切に業務が実施 されたと評価しているところです。  これらを踏まえて、今後、さらに績極的に取組みを期待する部分について、評価書(案)の中で指 摘をさせていただいています。具体的には3頁の1行目にありますが、業務運営能力の向上を図る観点 から、質の高い人材の確保及び育成の推進、同じく3頁の4段目ぐらいにありますが、業務運営の基盤 となるシステムの整備・強化及びその活用による業務の一層の改善、4頁の(2)の2段落目にある法令 遵守の徹底など、内部統制の一層の強化、同じく次の段落ですが、年金積立金の管理・運用のさらな る高度化のための調査研究の充実、次ですが、年金積立金の運用に対する国民の理解を得るための広 報活動の充実・強化、5頁の下から2行目から6頁にかけて書いてありますが、運用収益確保のための 運用手法の見直しも含めた運用受託機関の選定・管理についての取組みの強化、同じく6頁の2段落目 の、新規資金の寄託がなくなることに対応した年金給付等のための寄託金の償還等や、ポートフォリ オの管理(リバランス)への対応などについて、指摘をしているところです。  なお、年金積立金の管理・運用に当たっては、専門性の高い人材の確保・育成、業務の効率的な運 用のためのシステムの整備等が今後も必要であることから、独立行政法人一律の経費削減目標の設定 による制約については、慎重に検討する必要があることも併せて指摘をしているところです。以上で す。 ○井原委員長  それでは、ただいまご報告いただいた暫定評価書(案)について、ご意見等がありましたらお願い します。何かありますか。よろしいですか。修正意見がないようですので、このまま結果を中期目標 期間の業務実績の暫定評価結果として、法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝 えするとともに、これを公表したいと思います。そのような取扱いをしてよろしいですか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。最後に、法人からコメントがありましたらお願いしま す。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  理事長の川瀬でございます。私どもの法人は、平成18年4月に設立をされまして、最初の中期目標 期間がまだ終わらない中での暫定的な評価を、ただいまいただきました。私は初代の理事長に任命さ れまして、運用専門の独立行政法人というものをどのように立ち上げて、どのように運営していくの がよいか、内部でも議論し、外部の意見も聴き、自問自答しながらやってきたというのが正直なとこ ろでございますが、今回の暫定評価で、私どもがやってまいりましたことが、おおむね適切であった ということが確認できたというふうに受け止めまして、安心をしたところであります。今後も、先ほ どご指摘いただきました課題を含め、年金積立金の安全かつ効率的な運用という使命を果たせますよ うに、役職員、心を合せて努力してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。 ○井原委員長  続いて、組織・業務全般の見直し当初案の審議に移ります。見直し当初案について、厚生労働省の 担当課からご説明をお願いします。その後、年金部会長の山口委員から、8月24日の年金部会での審 議における意見等のご報告をお願いします。担当課から15分程度でご説明をお願いします。 ○大臣官房参事官(資金運用担当・年金管理組織再編準備室長)  運用担当の参事官をしている八神と申します。どうぞよろしくお願いします。お手元の資料4-2-[1] 「年金積立金管理運用独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案について」をご覧ください。最 初の1、2頁が現状を書いているものです。I「現行中期目標・中期計画に基づく年金積立金管理運用 独立行政法人の業務について」ということですが、管理運用法人は、国から与えられた中期目標を踏 まえ、国内債券を中心とし、国内外の株式・債券に分散して投資を行う基本ポートフォリオを策定し ています。基本ポートフォリオは、2頁に「基本ポートフォリオ」が上に書かれていますが、国内債券 67%、国内株式11%等々となっています。下の段に平成20年度末のポートフォリオ(実績)が書いて ありますが、基本的にこの基本ポートフォリオの乖離許容幅の範囲に入ったポートフォリオが平成20 年度末で達成をされたという状態です。  1頁にお戻りください。1頁の「なお」の所ですが、実際の運用は国内債券の一部をインハウスとい う形で運用しているほかは、基本的に信託銀行及び投資顧問会社に委託をして運用しています。法人 は、その信託銀行等々の選定・管理を行うということになっています。  その下に、現行の中期目標の運用の主な内容を抜粋して少し書いています。少し紹介をします。年 金財政(平成16年財政再計算)の前提である賃金上昇率に対する実質的な運用利回りは、平成21年度 以降の長期で賃金上昇率を上回る、1.1%を上回る運用利回りを確保するように、長期的に維持すべき 資産構成割合を定め、これに基づき管理を行うこととなっています。年金財政は、賃金上昇率との比 較で、これを一定程度上回る利回りがあれば長期的に見て安定をするという考え方に立っていますの で、賃金上昇率といつも比較をしています。  その下で、株式のリターン・リスクについては慎重に推計を行い、ポートフォリオ全体のリスクを 最小限に抑制するということになっています。また、運用手法は、インデックス運用、パッシブ運用 を基本とし、例外は確たる根拠がある場合に限ることとする。また、資産ごとにベンチマークを設定 して管理・運用する。こういった内容を含む中期目標が現在定められています。  下に運用実績の表があります。簡単に紹介します。運用実績は、平成15年度から並んでいますが、 平成15年度からというのは、財政再計算の期間がこの期間ですので表を作っています。6年間で名目 運用利回り、いちばん右の欄ですが2%となっています。  表の見方ですが、その下に実質的な運用利回りという欄があります。これが賃金上昇率を上回る利 回りでして、1.10%という数字が並んでいます。実際に、1.10%を期待しているのは平成21年度から ですので、平成15年度から期待している数字が1.1%とありますが、本当はもう少し低い数字で構わ ないのですが、長期的に見て1.1%と比較するという観点でこの表に埋めています。いまの話は、(注 3)に書いてあることです。  実質的な運用利回りは賃金上昇率を上回る数字ということなので、いちばん下に「参考」とありま すが、これは名目賃金上昇率の実績です。いちばん右の欄をご覧いただきますと、6年間で賃金は実は 0.16%下がっているので、賃金上昇率を上回る1.1%ということですと、-0.16%に1.1%を足した 0.94%あれば年金財政はむしろ2プラスの影響が出ている。実際には6年間で2%の利回りですので、 年金財政にはプラスの影響を与えている。こういった表の見方をしていただきたいと思います。  以上を踏まえて、今後の次期中期目標期間に向けた「見直しの当初案」ということで、3頁に書いて います。先ほど山口委員からご紹介をいただいた暫定評価の中で指摘されたことも踏まえて、今回の 見直し当初案を作成しています。見直し当初案の冒頭の所は、管理運用法人の運用の目的があります。 この目的を果たすために3つの視点を掲げています。1つは、長期的に安定した収益の確保、2番目が 運用高度化のための基盤の整備及び強化に取り組むということ、3番目に国民の運用に対する理解を促 進すること、この主に3つの視点から次の中期目標期間に向けた見直しの当初案を作成しています。  最初に、(1)長期的に安定した収益の確保に向けたさらなる取組みということで、1つ目は、基本ポ ートフォリオの見直しです。先ほどご紹介した2頁の基本ポートフォリオがありますが、今回、次期中 期目標期間に向けて、平成21年の財政検証を踏まえた運用目標に基づき、基本ポートフォリオの見直 しをする。現実には、見直しの作業をすでに法人の運用委員会でも並行して検討していただいていま す。  「平成21年度財政検証」の少し下に「注」が入っています。平成21年財政検証の経済前提は、賃金 上昇率に対する実質的な運用利回り、賃金上昇率を上回る1.6%を長期で期待するということです。前 回、平成16年度のときに、ここは1.1%のところですが、平成21年財政検証ではこれが1.6%という ことです。これを踏まえた運用目標で基本ポートフォリオの見直しを行う。  また2番目に、市場動向を踏まえた適切なリスク管理を行い、また長期的に見て策定時に想定をした 運用環境が変わってきた、現実から乖離をしてきたと思われる場合には、中期目標期間中であっても、 必要に応じて見直しを検討するということです。  その下の○です。次の中期目標期間に状況が今までと変わってきて、少し新たな課題が出てきてい るということの1つですが、リバランスの適切な実施に必要な機能の評価です。次期中期目標期間にお いては、いわゆるニューマネーがなくなる。ニューマネーというのは、従来は財政投融資に寄託をし ていた資産が順次、償還をされてきており、その償還をされてきている資産の配分をする際に、例え ば先ほどの基本ポートフォリオに比べて国内債券の割合が下がっている、あるいは国内株式の割合が 下がっているという場合には、その減っている資産にニューマネーを充てるという形でバランスを取 っていましたが、ニューマネーが次期中期目標期間にはありません。そうすると、基本ポートフォリ オから乖離をした場合に、市場の中で、例えば債券を売って株式を買う、あるいはその逆と、こうい ったリバランスという行動をする局面が出てき得ると。そうなると、リバランスをするに当たって、 収益の確保に非常に大きく影響をするところですので、円滑にリバランスができるように必要な機能 の強化を図ることが重要だというのが1つです。  その下に、「キャッシュ・アウトに必要な機能の強化」があります。これも新たな課題です。先ほ ど申し上げたニューマネーがなくなるということで、いままでニューマネーを充てて年金給付に充当 することが可能でしたが、今後は、必要に応じて市場から資金を回収して年金の給付に充てるという 場面が、次期中期目標期間では想定されます。その際に、どういった資産をどういうタイミングで、 市場に与える影響をできるだけ少なくしつつ確保するかということは、非常に難しい判断も伴います が、こういったことのために必要な強化を図るということです。  こういうことに関連して4頁になりますが、「調査・分析の充実」とあります。基本ポートフォリオ に基づく管理・運用のさらなる高度化を進めるための調査研究とともに、いま申し上げた適切なリバ ランス、キャッシュ・アウトを行うために、市場の情報収集・分析といったものをより強化する必要 があると。  その下、「運用手法の見直し及び運用受託機関等の選定・管理の強化」とあります。収益を確保す るための運用手法の見直し、民間の運用受託機関の選定・管理の強化のための取組みをさらに進めて いくということです。  (2)、運用高度化のための基盤の整備・強化ということで、専門性の向上をさらに図るという観点か ら、法人全体の人件費、後ほど少し紹介しますが、制約もありますが、そういう人件費を見据えつつ、 引き続き金融分野に精通した人材の中途採用をするなど、資質の高い人材の確保・育成を一層進める。 また、運用の基盤となる情報システムの整備を行うなど、運用高度化のための基盤の整備・強化を図 ることが必要であると。  (3)ですが、内部統制の一層の強化に向けた体制整備、これも暫定評価の際にご指摘いただきました が、内部統制という意味で、運用リスクの管理、あるいはコンプライアンスの確保などが一層的確に 実施できる体制整備が必要である。  (4)です。国民に対する広報活動の充実・強化、これは暫定評価でもご指摘いただきましたが、例え ば広報担当者を配置するなど、運用の状況を国民に向けて十分に説明責任を果たす、わかりやすい情 報提供に努める、年金積立金の運用・長期投資といったことに対する理解をいただくための広報活動 の充実・強化といったことも必要になろうかと。方向としては、こういったことに重点を置いた見直 しを図っていく必要があるということです。  5頁です。III「事務事業の民営化、他法人への移管・一体的実施について」ということで、これは総 務省から求められてコメントをするものです。事務事業の民営化については、そもそも公的な性格を 有する積立金の管理・運用なので、国が年金保険事業の一環として責任を持って行う。実際に運用し ているのは、先ほどもご紹介した民間の信託銀行、投資顧問会社などです。そういう意味では、すで に民間で運用をしているのが実態でして、こういう運用機関をむしろ管理・選定をするというところ に、法人の大きな役割があります。そういう意味では、この役割自身を民間主体に移すことは適切で はないとむしろ思っています。  また、他法人への移管・一体的実施ですが、これは同種の事業をやっている法人があれば、そうい うところと一体的に行ってはどうかということかと考えていますが、年金制度との関係で申しますと、 厚生労働省で、例えば先ほどキャッシュ・アウトなどと申しましたが、年金給付に必要な額を的確に 確保していただく場面では、厚生労働省と密接に連携を図っていく必要があると。また運用に当たっ ては、被保険者の利益、専ら被保険者のために運用するという目的があるので、例えば他の法人がほ かの資金と同様に運用することは必ずしも適当ではないと。そもそもこれだけの金額、巨額の資金の 運用ですので、専門性、きちんとした体制を確保する意味では、いまのやり方でやっていく、つまり ほかの法人と一体的に実施するということは、適当ではないと考えています。  最後に、IV「業務効率化について」です。人件費を含む一般管理費・業務経費のあり方については、 次期中期目標期間においても、先ほど紹介したリバランスの適切な実施、キャッシュ・アウトの確実 な実施といった新たな課題にも対応していく必要があります。当然のことながら、金融分野における 専門知識を有する人材を引き続き確保していく必要があります。独立行政法人ということで、一律に 削減の目標を設けることが本当に適当かどうかも含めて、慎重に検討をしていく必要があろうかとい うことです。説明は以上です。 ○井原委員長  続いて、山口委員から年金部会での審議における意見等のご報告をお願いします。 ○山口委員  見直しの当初案については、先ほど説明をした暫定評価において年金部会として指摘をした、今後 取り組むべき課題を踏まえた内容になっており、基本的に了承しているところです。  なお、年金部会においては、IVにある「業務効率化」の部分について意見がありましたので、簡単 に報告をしたいと思います。原案では、「人件費を含む一般管理費及び業務経費のあり方については、 金融分野における専門知識を有する人材の確保や適切な業務遂行の観点から、慎重に検討を進める」 となっていました。これに対して年金部会では、1つは、リバランスの適切な実施や、先ほどお話があ ったキャッシュ・アウトの確実な実施など、新たな業務が必要になることを明記すべきではないか。2 つ目には、独立行政法人一律の経費削減目標の設定による制約がある中で、中途採用などによる高度 な人材の確保や、新たに発生する業務の適切な遂行などが可能なのかといった点です。3つ目は、原案 の「慎重に検討を進める」という表現では、具体的に何を検討するかわかりにくく、業務効率化に対 してやや後ろ向きであるといった印象を与えるので、そういった点を明確にするべきではないかとい った意見がありました。  このような意見があったことを踏まえ、先ほどご説明していただいたように、厚生労働省において 修正が行われ5頁のような現在の記載となったところです。 ○井原委員長  それでは、ただいまご説明があった年金積立金管理運用法人の見直し当初案について、ご意見等が ありましたらお願いまします。 ○田極委員  質問ですが、専門職の人材を新たに確保することが必要ということですが、あと大体何人ぐらい必 要だとお考えですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  何人という数量的な、ここまで行ったらいいというのがあるわけではないのですが、発足以来、私 どもでいま20人中途採用しています。いま全部で76人ぐらいですから、かなりの人数になっています。 もちろんその中には業務運営経験が民間で10年や15年以上の人もいるし、数年、特に数年という人は 非常に専門的な知識ということではなくて、補充するときに中途で採用しているだけですが、それで やってきて、私の印象としては、いま非常に難しい課題を抱えている中で、やっと何とか間に合った という感覚を持っているのですが、今後、さらに高度化を進めていくためには、もっとやりたいので すが、なかなかその人件費の余地がないと、そちらで制約を受けるので、是非よろしくお願いしたい と思います。 ○井原委員長  その他に何かありますか。山口委員からは、部会でのご意見は業務効率化についての文章の中にす でに織り込み済みであるというご発言がありましたので、そこの所はここに入っていると解釈し、当 委員会としては、今後引き続き厚生労働省において検討を進めるということをお願いし、「見直し当 初案」としては了承ということでよろしいですか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。ここで法人及び所管課の入れ替えを行います。ここで 10分間の休憩を取りたいと思います。いまからの時間でいうと、3時少し前ぐらいまでです。よろしく お願いします。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  それでは再開いたします。次に、医薬基盤研究所の暫定評価書(案)の審議を行います。8月26日 の調査・研究部会で暫定評価結果が検討されておりますので、調査・研究部会長である田村委員から 報告をお願いします。 ○田村委員  調査・研究部会の田村です。資料5-1の「独立行政法人医薬基盤研究所の中期目標期間の業務実績の 暫定評価結果(案)」についてご説明申し上げます。1頁目の1、「中期目標期間業務実績について」 は、概要を中心にご説明いたします。  (1)「評価の視点」についてです。独立行政法人医薬基盤研究所は、3つの機関の組織の一部を統合 して、平成17年4月に新たな独立行政法人として発足したものです。その設立の趣旨は、医薬品等に 対する規制と振興の分離を図りつつ、さまざまな組織に分かれていた創薬支援に関わる部分を統合す るとともに、独立行政法人という柔軟な組織形態を活かして、産学官の連携を推進するというもので す。  医薬基盤研究所の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3つの事業を行うことに よりまして、製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、最新の生命科学の成果や最先端の技術を 活用した画期的な医薬品等の研究開発を促進するということです。  医薬基盤研究所の業績評価に当たりましては、統合効果も発揮しつつ、医薬基盤研究所が提供する 基盤技術、生物資源、研究資金が製薬企業や大学などにとって有効であり、中長期的に医薬品等の研 究開発に役立つものとなっているかという観点から評価を行っております。  本評価は、平成17年4月に厚生労働大臣が定めた平成17年度から平成21年度までの中期目標全体 の業務実績について評価を行うものです。評価結果を次期中期計画等へ反映させる観点から、中期目 標期間の最終年度に暫定的に実施したものです。  (2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」についてご説明いたします。当委員会におきましては、 医薬基盤研究所の業務により得られた成果について、その設立目的にどれだけ寄与するものであった のか、また、効率性、有効性等の観点から適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行った結 果、中期目標期間全般につきましては、適正に業務を実施してきたと評価しております。医薬基盤研 究所におきましては、理事長のリーダーシップの下、幹部会等で検討を行い、機動的かつ効率的な組 織体制の整備を図り、外部有識者も含めた業務管理体制の整備を図るとともに、システムの最適化に よる効率的な業務運営を行ったことを評価しております。  成果の普及につきましては、1つ目には、査読付き論文発表数が中期計画を大きく上回り、また、質 的にも高い水準にあること、2つ目には、ホームページ・セミナー・研究所一般公開の開催等により、 研究成果の一般の人々への公開に努めていることなど、数値的にも質的にも大いに評価できます。  研究成果としては、[1]自己免疫疾患等の病態解明に有効なTNF変異体を創製したこと、[2]TNF変異体 が有効な粘膜ワクチンアジュバンドになり得ることを明らかにしたこと、[3]抗体プロテオミクス技術 を用いて肺ガンのバイオマーカー候補の同定を行ったことなど、複数の大きな成果を上げており、こ れについては大いに評価できるところです。  また、国民にとって関心の高い新世代ワクチン・抗ウイルス剤の基盤研究の分野で、新薬開発に向 けて、[1]水痘ウイルスとムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンの開発、[2]インフルエンザHA ワクチンとアジュバンド(免疫反応増強剤)候補ナノ粒子の経鼻粘膜併用接種による防御免疫効果の 増強の研究などにおきまして、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できます。  さらに、遺伝子治療など今後の応用が期待されるアデノウイルスベクターに関し、遺伝子導入技術 の開発等にレベルの高い成果を上げており高く評価できます。加えて、霊長類医科学研究の分野で、 我が国唯一の医学実験用霊長類センターとして、慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物の開発に成功す るなど、研究面で著しい成果を上げたことも高く評価できます。  さらに研究開発振興業務におきまして、ヒトiPS細胞の樹立以前から同研究をサポートし、これによ りヒトiPS細胞の樹立に成功したことは特筆に値する成果です。  次に、2「具体的な評価内容」についてご説明いたします。(1)業務運営の効率化に関する措置につ いてです。機動的かつ効率的な業務運営に関しては、すでに業績全般の評価でご説明したとおりです が、業務運営の効率化に伴う経費削減等に関しては、人件費の削減等、経費節減にも努めており、そ の一方で、社会的・政策的要請に合った対応がなされていることは評価できます。以上のように、業 務運営の効率化に関する措置については、中期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げていると評 価しております。  3頁目、(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」ご説 明いたします。  Aの「全体的事項」についてです。戦略的事業展開、外部評価については、戦略的な事業運営を行っ ている点、研究所内の情報交換と部門間の連携に努めている点、運営評議会の意見を業務運営に有効 に活用している点、スーパー特区へ2つの研究課題が採択された点などは評価できます。  情報公開、成果の普及、その活用の促進につきましては、質・量ともに充実しており、学術研究成 果である論文一覧等をホームページで公表していること、コンプライアンス委員会を設置して内部統 制の強化を図っていることも大いに評価できます。  外部研究者との交流、共同研究の促進、施設及び設備の共用につきましては、民間企業等との共同 研究や受託研究が順調に増加していること、連携大学院の実施に積極的に取り組んでいること、共同 利用施設の有効利用に努めていること等々、実績を上げていることは評価できます。  Bの「個別的事項」についてです。[1]基盤的技術研究。主な研究成果については、先ほど説明したと おりで高く評価できます。その他の研究プロジェクトにつきましても、さまざまな研究成果が得られ ており、論文・学会発表に積極的に取り組んでいるとともに、民間企業との共同研究が行われている 点も高く評価できるところです。以上のように、基盤的技術研究につきましては、中期目標・中期計 画に照らし、目覚ましい成果を上げていると評価しております。  [2]生物資源研究です。遺伝子、培養細胞、実験用小動物につきましては、中期計画の数値目標を大 幅に上回る開発、収集件数を達成したことは評価できます。薬用植物につきましては、薬用植物等の 収集・保存を積極的に行っていること、薬用植物の種子保存数や薬用植物のエキス検体成分において、 数値目標を上回って達成していること、外国との密接な交流を図りながら、我が国の薬用植物研究に おいて中心的な役割を果たしていること等は、評価できます。霊長類につきましても、先ほど説明し たとおり高く評価できるところです。以上のように、生物資源研究については、中期目標・中期計画 を上回る十分な成果を上げていると評価しております。  [3]「研究開発振興」についてです。新規プロジェクトの採択に当たり、社会還元の可能性を考慮し て、評価項目及び評価ウェイトの見直しや、募集テーマに応じた評価項目の設定を行うなど、より適 切な評価を行うための工夫がなされ、適切に案件の採択が行われており、こうした点から評価できま す。また、基礎研究推進事業により、京都大学山中教授のヒトiPS細胞樹立がなされたことは特筆に値 します。知的財産の創出及び製品化の促進につきましては、プログラムオフィサー制度により、指導 ・助言機能の強化を図ったこと等から、特許出願数、論文数の増加が見られたことは評価できます。  利用しやすい資金の提供につきましては、公募時期の早期化を図り、約3カ月間早期化するとともに、 新たに全国7カ所で公募説明会を開催し、また、中期目標期間前に比べて採択決定期間の一層の短縮を 図ったこと、前年度中に審査を終え、年度当初から研究に着手できる仕組みを取り入れたこと、応募 者全員に審査結果等を通知したことなどは評価できます。  承継業務につきましては、5法人の清算の方針を決定するなど、承継業務の適正処理に向けての一連 の措置が講じられていることは評価しますが、今後、繰越欠損金が減少に向かうことを期待しており ます。以上のように、研究開発振興につきましては、中期目標・中期計画に照らし、十分な成果を上 げていると評価しております。  最後に、(3)「財務内容の改善等について」です。予算、収支計画、資金計画等については、中期目 標・中期計画に基づいて適正に実施されております。各年度における予算を踏まえて、一層の経費削 減策を実施してきましたが、年によっては、想定外の事業を実施するために決算額が予算額を上回る 年もあったものの、全体としては中期計画を上回る削減が見込まれております。人事に関する事項に つきましては、人事評価制度を導入するとともに、適正な人事配置など、人事に係る措置が適正に行 われたことは評価できます。以上のように、中期目標・中期計画に沿って成果を上げていると評価し ております。以上です。 ○井原委員長  ありがとうございました。ただいまご報告をいただいた暫定評価書(案)につきまして、何かご意 見等がありましたらお願いします。 ○猿田委員長代理  いちばん最後のところになりますが、先ほどの6頁目で、いわゆる複数年契約によって、契約金がか なり削減になっていますが、これはかなりやれることになっているのですか。どうでしょうか。  昨日、国立病院部会の場で議論になりまして、できるだけそういう形で使えるようにしたほうがや りやすくなることは事実ですが、各省庁によって随分違いがあるということです。厚労省関係におい ては、一部いいところはあるけれども、一部は認めないと言われたものですから、実際、どのくらい になるか。この形が取れると、随分、運営上は楽になるということがあると思うのですが。 ○医薬基盤研究所理事長  複数年契約に関しては、特には保守契約とか、そういうのが予算削減されるのですが、それに応じ て複数年の契約をしているということで、実質的に進んでいると思います。 ○猿田委員長代理  それは全体のどのくらいのパーセントできているのか。要は、年度を跨がって使えるようにできる だけしていったほうが効率性がいいということで、各局が動いているのですが、なかなかそうはいか ないものですから。昨日ちょっと聞いたら、医薬基盤研究所は割とそれができそうだということを伺 ったものですから。 ○医薬基盤研究所理事長  金額は出ていないのですが、複数年契約は24件ございまして、排水処理の施設の設備保守、エレベ ーター保守点検、庁舎の警備、そういうところが含まれて24件ございます。 ○猿田委員長代理  ありがとうございました。 ○井原委員長  そのほかにございますか。よろしいですか。それでは修正意見がないようですので、この暫定評価 (案)は、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果といたしまして、法人及び総務省の政策評価・独 立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。そのような取扱いでよ ろしいですか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。最後に法人からコメントをお願いします。 ○医薬基盤研究所理事長  理事長の山西です。我々の研究所は、先ほどご報告をいただきましたように、やっと4年が終わりま して、第1期が終わろうとしております。いまのところ評価も、特に研究に関しては高い評価をいただ いておりますので、第2期に向かっても粛々と評価が高いような研究、またはその業務の執行に関して 行っていきたいと思っております。いろいろとアドバイスをありがとうございました。 ○井原委員長  どうもありがとうございました。続きまして、組織・業務全般の見直し当初案の審議に移ります。 まず、見直し当初案につきましては、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。その後、調査・ 研究部会長の田村委員から、8月26日の調査・研究部会での審議における意見等の報告をお願いしま す。それでは担当課からお願いします。 ○大臣官房厚生科学課長  本日は貴重な時間、説明の機会をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。資料5-2-[1]を用い てご説明いたします。目次には、「医薬基盤研究所の概要」の次に、「基盤的技術研究」の(現状) と(見直し案)、「生物資源研究」の(現状)と(見直し案)、「研究開発振興」の(現状)と(見 直し案)という形で構成されております。基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3つが、こ の研究所における業務の三大柱ということです。  1頁目の「概要」からご説明いたします。沿革ですが、国立医薬品食品衛生研究所の大阪にあった支 所を母体として、国立感染症研究所、医薬品医療機器総合機構の一部を統合して、平成17年4月に創 設されたものです。概要については、創薬支援に関わる組織を一本化して、医薬品・医療機器の開発 支援を効果的に進めるということが、この研究所のミッションです。今後の見直しの方向については、 後ほどご説明することになりますが、同じく独立行政法人である国立健康・栄養研究所と平成22年度 末までに統合の予定です。この研究所は、そもそも3つの研究所や機構の統合体としてできております ので、そういう意味では、統合の経験を持っているということもあって、私どもとしては、次の統合 を円滑に進めていく基盤はあるだろうと思います。また、その統合を通じて、この研究所の特性がよ りはっきりするように努めていく必要があるのではないかと考えております。  2頁目は「基盤的技術研究(現状)」です。繰返しになりますが、医薬品・医療機器の開発に資する 共通的技術の開発ということで、(1)医薬品の安全性予測のための毒性学的ゲノム研究から、(6)遺伝 子導入技術の開発とその応用まで、これらの6つの分野を中心として、研究開発を行ってまいりました。  主な成果の例は、先ほど田村部会長の評価からもお汲み取りいただけますように、多大な成果をい ままで上げてきたというところです。  3頁目の(見直し案)については、これらの成果を踏まえて、これからの対応として、[1][2][3]の3つ の点を特に強調して、今後の研究を進めていきたいということです。この3つは新たに出てきた課題と いうよりも、いままで行われてきた6つの研究テーマを複合的に組み合わせて、目標をより具体的に政 策目標に一致するように設定をし直したというものです。次世代のワクチン開発、また毒性評価のた めの幹細胞基盤研究、難治性疾患治療に関する基盤研究という形で、より目標が具体的になっており ます。  4頁目は「生物資源研究(現状)」です。さまざまな研究を行うに当たりましては、そのための基盤 として、必要な生物資源を確保する必要があります。大きなものはサル、さらには実験用小動物、薬 用植物、培養細胞、最も小さいものは、遺伝子バンクの事業の5つの分野を中心として、生物資源の維 持・確保、研究を行ってきたということです。主な成果の例は、これも先ほど部会長からのご説明に あったような成果が上がっているところです。  「生物資源研究(見直し案)」は5頁目です。これからのさまざまな医薬品・医療機器の画期的な開 発を行うためには、特にいちばん大きなものと、いちばん小さなものを育てていく必要があるのでは ないか。すなわち、遺伝子バンクの事業と霊長類のセンターの2つを特に取り上げて重点化していくこ とを考えているところです。特に遺伝子バンクにつきましては、先ほどの基盤的技術研究のところで もご指摘がありましたように、難治性疾患についてバンクの事業の集中ということを考えているとこ ろです。  霊長類のセンターについては、世界でも画期的な唯一のセンターですので、これらを活かしたさま ざまな研究を行いたいということです。実験用小動物や薬用植物、培養細胞がいらないのではなく、 それらについても引き続き行ってまいります。  6頁目、3本柱の3つ目の「研究開発振興(現状)」についてです。4つの事業に分かれておりまし て、基礎研究推進事業、希少疾病用医薬品等開発振興事業、実用化研究支援事業、承継事業です。こ れらの事業は、いくつかの成功例がありまして、特に、主な成果の例の1番目にあるように、京都大学 山中教授のヒトiPS細胞の樹立に成功したことが挙げられます。  7頁目、「研究開発振興(見直し案)」です。例えば、基礎研究推進事業につきましては、特に民間 ではなかなか手をつけにくいリスクが高い分野への集中、あるいは公的支援が必要な研究分野に重点 化することとしているところです。希少疾患については、国のオーファンドラッグ等の指定がありま すので、それに基づきまして助成金交付事業等を行いたいということです。  実用化研究支援につきましては、民間では手を付けないところに取り組んだところではありますが、 なかなか厳しい状況もあることを踏まえて、平成21年度より新規募集を休止しておりまして、現在、 採択している案件につきましては、その成果がより一層上がるべく指導・助言体制を強化していきた いということです。  承継事業につきましては、医薬品機構から引き継いだものです。これらについて解散整理等の措置 が必要になった場合には、速やかに実施するということで、収益の最大化のための努力をしていきた いということです。  8頁目、「効果的・効率的な業務・組織運営」についてです。健康・栄養研究所との統合が見込まれ ておりますが、健康・栄養研究所は、運動・休養・栄養というような国民の日々の暮らしに該当する 部分を担当しており、基盤研究所は医療と直結した内容の研究を行っているところであり、その両者 が組み合わされて、強みが活かされるような統合をしていきたいということです。薬用植物について は、和歌山に研究部がありまして、なかなか事業の展開は難しいところですが、そのあり方について 検討をしていきたいということです。なお、人件費の抑制などについては、定年退職者の後補充につ いて、プロジェクト研究員等の活用などを考えているところです。  そのほか、効率化及び自律化などについては、例えば民間委託、あるいは一般競争入札、外部資金 の確保、これらを通じて効率化、自律化をさらに進めていきたいと考えているところです。以上です。 ○井原委員長  ありがとうございました。次に、田村委員から調査・研究部会での審議における意見等の報告をお 願いします。 ○田村委員  医薬基盤研究所の見直し当初案につきましては、8月26日の調査・研究部会で議論を行いまして、 基本的には了承いたしました。なお、意見として、調査・研究部会としては2つ意見がありました。  1点目は、医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所との統合については、各研究所がそれぞれの分野 で優れた成果を上げており、両者の統合効果を出すためには相当の努力を要すると思われるが、それ ぞれの強みを強化する方向で、国民の役に立つような統合を是非期待したいということです。2点目は、 統合を進めつつも、従来から指摘されている課題に対しても、確実に対応する必要があるということ です。  2つの意見が出されましたが、先ほど厚生科学課長のお話の中で、それに対して配慮したご説明があ りましたので、是非、そういう方向で今後進めていただきたいと思います。以上です。 ○井原委員長  ありがとうございました。ただいま説明がありました、医薬基盤研究所見直し当初案について、ご 意見等がありましたらお願いします。 ○篠原委員  6、7頁で質問したいのですが、繰越欠損金についてです。6頁の実用化研究支援事業の説明の中に、 「委託費相当額が欠損金として計上される」と。7頁のやはり実用化研究支援事業については、「独法 整理合理化計画における欠損金に対する指摘等を踏まえ、平成21年度より新規募集を休止し」と書か れていますが、これはおそらく繰越欠損金がたしか80何パーセント出資金になっていることだと思う のですが、まず、これを新規募集を休止したということは、本末転倒のような気がするのです。必要 性がないからやめたのか、繰越欠損金が大きいからやめたのか。  実は、今日の他の独法を聞いていても、私の担当の独法の所でも、いわゆる業務実態を適切に表示 しない会計処理になっていると私は思っているわけです。より財務報告の質の確保という中では、意 思決定に有用な情報を提供するということでは、これを見ると間違っているのではないかと。我々の 独法もそういうのは多いです。いわゆる国民の目線というか、財務がよくわからない目線で言うと、 やはり、誤解を招きやすいものが多い。そうすると、会計基準が憲法ではなくて、意思決定に有用な 情報を提供するのが上位概念ですから、その面から検討する必要があると思います。  当独法はそういう意味で、繰越欠損金が大きくならないような会計処理を検討したことがあるか。 会計監査人にそういうもので検討を依頼したことがあるか。あるいは、独法の会計基準自体がおかし いのであれば、独法会計基準の所管課である総務省等に、これはどうにかならないかというような依 頼をしたことがあるか。そういうことについて質問をします。 ○医薬基盤研究所理事長  いまご指摘の点は、特に医薬品の実用化に関しては、成果がすぐに出てこないというのは実情だと 思います。これに関しては、別な形でベンチャーのサポート機関ができるということも聞いておりま す。実は、研究者をはじめ、いろいろな所から要望は非常に高いということは我々も理解しているの ですが、致し方がない状況になっているのが実情です。お答えになっているかどうかわからないので すが。 ○篠原委員  追加で質問させていただきたいのですが、これはいま言っている経産省がやるから休止したのであ って、いわゆる繰越欠損金が大きいという部分は、私も国会で質問されたという話は聞いております ので、それがかなり大きく影響しているかなという心配があるのです。ニーズがあって、国としては ちゃんとこれからやっていけるのだという前提で、当独法では休止したと理解してよろしいのですか。 ○医薬基盤研究所理事長  そうです。 ○井原委員長   それでよろしいですか。 ○渡辺委員  素朴な質問で、先ほどの三浦課長のご説明の中で、5頁の「カニクイザルを活用して新型インフルエ ンザに対する対応等」をとるというのは、ものすごく画期的なことだと思うのです。ワクチンを開発 するというのは、時節柄、大変注目するところですが。 ○医薬基盤研究所理事長  いままではワクチンの開発、検定には、かなりの部分が小動物で終わったこともあると思うのです が、ご存じのようにこれから新型インフルエンザが流行して、新たな感染症も広がってくると思うの です。そのときに、やはり人に持っていく前にはかなり霊長類等で検定及び研究をしておかなかった ら、新しいワクチンも開発されないでしょうし、安全なワクチンも開発されないということで、是非、 霊長類センターを充実させて、我々の研究所ももちろんここで行うのですが、プラス大学、研究所等 の方々にも使っていただいて、新たなワクチンを含めた創薬の研究に、ここを提供したいと思ってお ります。 ○渡辺委員  慌てるわけではありませんが、どれくらいのスパンで考えているのですか。我々国民レベルで、期 待できる成果としては。 ○医薬基盤研究所理事長  これはワクチンの開発ではなく、ワクチンの開発のための生物資源の場所なので、ここを使ってど んどん開発していただく、今でもできますが、より充実させていきたいということです。ワクチンの 開発は何年後とか分かるのですが、それを使っていただくということです。 ○渡辺委員  研究機関とか研究者に使っていただくと、いわば治験、実験として。 ○医薬基盤研究所理事長  そうです。 ○大臣官房厚生科学課長  カニクイザルを提供することによって、それぞれの研究機関や大学、企業で開発が促進されるとい うことです。ここで自ら開発する部分が全くないわけではないと思いますが、基本的にはそういう形 で生物資源を提供することによって研究を促進させていこうということが、ここに書かれている内容 です。 ○渡辺委員  わかりました。 ○川北委員  5頁に、生物資源の研究の見直し案ということで、遺伝子バンク、霊長類のほうに重点を置き、「そ の他の事業についても、引き続き実施」となっているのですが、遺伝子バンクと霊長類に重点的に資 源を配分していくと、その他の分野に関しては、予算とか人をなかなかそこに投入しにくくなると思 うのです。その辺りのバランス感覚をどのように考えておられますか。これに関連して和歌山の研究 部の在り方については検討すると書いてあるのですが、こういう組織の見直し、人員配置の見直しに 関しては、どのようにお考えなのか教えていただければと思います。 ○医薬基盤研究所理事長  この2つは、もちろん現在全部やっていまして、2つをリフォームするという意味で書かせていただ いただけです。人員に関しては、パーマネントポジションをシフトするつもりはありません。シフト するとすれば、外部資金とか共同研究とか、そういうところでするつもりはありまして、当然、難治 性疾患の資源バンクなどは外部資金も取れつつありますので、ここには有期的な研究者の配置、研究 サポートのグループの配置を行いたいと思っています。 ○井原委員長  よろしいですか。いろいろな意見が出されましたが、当委員会としては、調査・研究部会及び本日 の総会での議論、いろいろ貴重なご意見が出てきましたが、これを踏まえて、引き続き厚生労働省に おいて検討を進めるようにお願いしたい。「見直し当初案」としては、了承ということでよろしいで すか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。ここで法人及び所管課の入れ替えを行いますので、皆 様はしばらくお待ちいただきたいと思います。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  それでは再開します。続きまして、前倒しで検討することになりました国立健康・栄養研究所の組 織・業務の見直し当初案の審議を行いたいと思います。  まず、見直し当初案について、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。その後、調査・研究 部会長の田村委員から、8月26日の調査・研究部会での審議におけるご意見等の報告をお願いいたし ます。では、担当課から15分程度で説明をお願いいたします。 ○大臣官房厚生科学課長  引き続き、厚生科学課からご説明申し上げます。用います資料は、横長の資料6-1-[1]です。めくり ますと、最初に目次があります。今回の説明については、業務の見直し、組織の見直し、運営の効率 化及び自律化の見直し、この3点を中心としてご説明いたします。  1枚目は「国立健康・栄養研究所の概要」です。沿革ですが、大正9年に、当時まだ厚生省がありま せんでしたので、内務省の栄養研究所として発足しました。その後、平成元年には国立健康・栄養研 究所という今と同じ名称になりました。これにより、従前の栄養を中心とした研究所というだけでは なく、特に運動をはじめとして、より幅広い視野を対象とする研究所として再発足したところです。 その後、平成13年に厚生労働省の施設等機関から特定独立行政法人化されました。また、その5年後 には、非公務員型の独法に移行したという経緯です。  概要ですが、「国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食 生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図る」とあります。先ほ どの医薬基盤研究所のところでもお話いたしましたとおり、平成22年度末までに統合をする予定が見 込まれているところです。  2頁目、先ほど申しました3点の論点のうち、まず「業務の見直し」についてです。1、「重点調査 研究」として、3つの柱を立てています。1番目が、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に 関する研究です。2番目が、日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究で、地域 の住民を対象としたさまざまな調査、あるいは後ほど申しますが、国民健康・栄養調査の結果を踏ま えた研究があります。3番目が、健康食品で国民の関心の的になっていますが、それを対象とした食品 成分の有効性の評価あるいは健康影響の評価を行い、国内外に情報を発信し、あるいは収集をするも のです。  「事務・事業の見直し案」については、言うまでもなく、生活習慣病対策、健康食品、いずれも国 の重要施策の1つですので、引き続きこれらの研究を継続的に実施していくことが重要だということで す。  「効果」については、これまでもさまざまに寄与したところですが、これからも一層力を入れてい くという意味で示したものです。糖尿病やメタボリックシンドロームの一次予防に寄与していくこと、 従前からもありますが「運動基準」あるいは「特定保健指導」の推進に寄与していくこと、「食事摂 取基準」、「食生活指針」、さらには「健康日本21」についてさらに寄与していくということです。 最後が食品の関係で、健康食品の安全性の確保、国民への正確な情報の提供などを、引き続き行って いきたいということです。  3頁目ですが、いま申しました重点調査研究以外でも進めていきたい分野があり、3つ挙げています。 研究を進めるためには若手の研究者が次々に育っていくことが重要ですので、[1]は若手の研究者の育 成をめざした研究を行っていくということです。[2]は、食育の関係です。食育推進基本計画に基づき、 それに資する調査研究を推進していくということです。[3]は高齢化社会の中でもさらに高齢化が進み、 高齢社会そして超高齢社会と進んでいるわけですが、その中では高齢者の嚥下や摂食の困難というも のも浮き彫りにされているところで、これらを含めて、いわゆる介護予防の展開を進めていく必要が あるのではないかということです。  「事務・事業の見直し案」では、先ほどの重点調査研究に加え、いま申しましたような若年者に対 する食育、あるいは高齢者の嚥下・摂取困難者などに対する食介護など、幅広く求められているもの がありますので、それらをさらに実施していく必要があると考えています。  「効果」の点には、そこにありますように「次期中期計画」の策定や、あるいは研究能力の向上と いうこともあります。また、「食育推進基本計画」の推進や「特定保健指導」の推進、「嚥下困難者 のための食品基準の見直し」、「高齢者への食介護対策」の推進、これらを進めていきたいというこ とです。  4頁目です。この研究所には、いま申しました重点的研究、あるいはそれ以外の研究に加えて、健康 増進法に定められた業務があります。[1]は、「国民健康・栄養調査」を集計し、分析する業務です。 迅速かつ効率的な集計を実施し、さらに技術的支援を行っていくものです。事務・事業の見直し案で は、この国民健康・栄養調査は国全体の健康づくりや医療対策を実施する上で欠かせないものですの で、この調査に取り組むことにより、国や地域の健康施策の展開に寄与していきたいということです。 [2]は、特別用途食品の表示などに関わる試験業務が定められており、栄養表示などについて成分分析 を実施していくものです。事務・事業の見直し案では、精度の向上、検査方法の標準化などにより、 より一層の質の向上を図っていくというものです。収去試験についても、同様に本研究所が主体的に 検討を行うことを考えています。これを通じて、食の安心・安全を図っていきたいと考えています。  5頁目ですが、国際協力あるいは産学連携という視点です。まず国際協力ですが、アジアや西太平洋 地域、また海外の若手研究者の招聘などを通じて、アジアや国際分野における栄養問題に関する研究 基盤を強化していきたいということです。産学連携については、大学、企業との連携という形で、研 究者の受け入れや派遣の形を通じ、共同的な研究や受託研究を行っていきたいということです。この 分野については、この研究所が置かれた立場は、我が国における秀いでた研究を行っている所ですの で、これを通じて産学のさらなる連携を通じ、この分野の研究の推進を図っていきたいということで す。  6頁目は、「栄養情報担当者制度」です。これは略称NR(nutritional representative)、要は、消 費者の方々に対して正確な栄養に関する情報を提供していく人材を育てる事業です。そのためにさま ざまな組織を設置し、例えばアドバイザリースタッフのご協力もいただき、栄養情報担当者の認定を 行っています。真ん中の青いところにあるように、認定試験を実施しています。平成21年7月末現在 で4,000人余りが養成されています。今後ともNRが社会的役割を果たせるように、研修や情報提供を 通じてその質的向上を図っていくことが重要です。「NR制度あり方検討会」の報告書を踏まえ、引き 続きNR制度の認知度の向上や、食育の拡大など、このNR支援の強化を図っていきたいということです。 効果としては、これを通じて健康食品あるいは食品全般に関わる食の安全・安心の確保に寄与できる と考えております。  7頁目です。「組織の見直し」として、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合ということで す。先ほど申しましたとおり、日常的な生活における健康や栄養の問題の研究を行っているこの研究 所と、医薬品・医療機器の研究開発を行っている医薬基盤研究所の連携を通じ、より一層の研究成果 を上げていきたいということです。「見直し内容」の黄色の枠内にあるように、現時点では人事交流 あるいは共同研究の推進、情報共有の推進、関連プロジェクトの立ち上げというものを順次行ってい きたいというところで、統合が成りました暁には、両者の連携により、医薬・食品の開発などの分野 における研究の一層の推進を図っていきたいということです。なお、事務・経理については、統合に より一層の合理化が進むものと考えているところです。  8頁目、最後の頁ですが、「運営の効率化及び自律化の見直し」です。1番から9番の事項に分けて います。1番から4番までは、事務の効率化あるいは最適化を通じて、運営の効率化を図っていくとい うものです。5番から7番までは、業務の中でもさらに効率的な推進を図っていく、具体的な内容を書 いたものです。そのほか8番は経費の抑制のための取組み、9番は情報セキュリティについてです。研 究所全体の運営が一層効率化するよう進めていきたいと考えています。説明は以上です。 ○井原委員長  次に、田村委員から調査・研究部会での審議における意見等のご報告をお願いいたします。 ○田村委員  国立健康・栄養研究所の見直し当初案について、8月26日の調査・研究部会で議論を行いまして、 基本的に了承いたしました。なお、調査・研究部会においては3点の意見がありましたので、ご紹介し たいと思います。  まず1点目は、重点調査研究等についての事務・事業見直し後の「効果」の表現のところです。将来 の発展的な見通しがわかるような意見で説明したほうがよいのではないかということで、そういうご 意見があったことをご紹介いたします。2点目は、高齢者の食介護に関する調査研究については嚥下・ 摂食困難者のみとどまらず、介護予防を含めて高齢者の健康・栄養に関する幅広い視点から取り組ん でいただきたいという趣旨のご意見がありました。3点目は、これは先ほどの医薬基盤研究所でも出て きた意見ですが、統合を進めつつも従来から指摘されている課題、例えばNR制度等々ですが、そうし た課題についても確実に対応していただきたい。そういう3点のご意見がありましたことを申し添えさ せていただきたいと思います。以上です。 ○井原委員長  ただいま説明がありました国立健康・栄養研究所の見直し当初案について、何かご意見等がありま したらお願いします。 ○渡辺委員  確認ですが、これは統合するということですが、資料には廃止または民営化した場合云々とかあり ますね。つまり、廃止、民営化するよりは統合化したほうが栄養研のこれまでの機能が発揮できると いう趣旨ですか。そう読んだのですが、そうなのですか。 ○大臣官房厚生科学課長  平成19年に、この2つの機関の統合という方向性が示されていまして、そういう意味では既定路線 に従って統合していくということです。その上で、さらに民営化とかそういうことがあるのであれば ということで、書いていることです。決して統合と民営化は並行して進められると考えているもので はありません。 ○渡辺委員  誰かが民営化しろと言っているから統合するという意味ではないのですね。 ○大臣官房厚生科学課長  そういう意味ではありません。 ○渡辺委員  ここに、民営化した場合こういうマイナス面があるということをどんどん書いてあるからね。別に 私は民営化しろと言っているわけではないけれども、そういうことではないと。 ○大臣官房厚生科学課長  それについては様式全体がそのように記載するようにということですので、書いてあるということ です。 ○渡辺委員  わかりました。 ○井原委員長  そのほかにありますか。 ○寺山委員  質問ですが、統合化は、わかったのですが、物理的統合化というのもあるのですか。大阪と東京に いま分かれていますね。あれはどのような形になるわけですか。 ○大臣官房厚生科学課長  両研究所とも、それぞれ研究基盤を置いていますし、それぞれフィールドを持っているところです ので、根っこを引き抜いて、どこかに移していくという考えは、現在持っておりません。組織として 統合をしていくということです。 ○寺山委員  キャンパスみたいにと、わかりました。 ○井原委員長  あとはよろしいですか。それでは、ここまでの議論をもちまして、当委員会といたしましては、調 査・研究部会及び本日の総会での議論を踏まえて、引き続き厚生労働省において検討を進めるようお 願いしたいと思います。それでは、「見直し当初案」としては了承ということでよろしいですか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。ここで、法人及び所管課の入れ替えを行いますので、 皆さましばらくお待ちいただきたいと思います。 (法人及び所管課入替え) ○井原委員長  それでは再開いたします。最後ですが、同じく前倒しで検討することとなりました労働安全衛生総 合研究所の組織・業務全般の見直し当初案の審議を行います。まず、見直し当初案について、厚生労 働省の担当課から説明をお願いいたします。その後、調査・研究部会長の田村委員から、8月26日の 調査・研究部会での審議における意見等のご報告をお願いいたします。では、担当課から15分程度で 説明をお願いいたします。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  お手元にお配りしています資料7に基づいてご説明いたします。1枚目は、総括表になっています。 2枚目の「当初案整理表」からご説明します。  現況ですが、簡単にご説明しますと、私どもの研究所は沿革にありますとおり、平成13年4月にそ れぞれ別途の独立行政法人として発足したものが、平成18年4月に統合し、現在に至っています。ご 案内のとおり、平成22年度末までに独立行政法人労働者健康福祉機構と統合する方針があるところを、 前倒しで見直し等の作業を行っているということです。中期計画の計画期間としては、第2期が平成 22年度までとなっています。平成21年1月1日現在の役員数及び職員数は、そこにあるとおりです。 常勤の役員4名のうち監事が1名、非常勤役員は監事が1名、職員については117名です。国からの財 政支出額の推移については、平成21年度で一般会計から7億9,900万円、特会から19億8,500万円、 合わせて27億8,400万円の支出を受けているところです。22年度の要求については、そこにあるとお りの要求を予定しています。予算支出額の推移はそこにあるとおりです。利益剰余金の推移もそこに あるとおりです。  いちばん下の中期目標の達成の状況についてですが、まず平成20年度の私どもの評価の状況につい ては、先日評価いただいた結果として、全24項目に対してSが3個、Aが17個、Bが4個という結果 です。  次頁で一般管理費、事業費、人件費の効率化の状況についてご説明いたします。一般管理費につい ては、中期目標期間中に15%削減を予定していますが、20年度までで9.5%の削減となっているとこ ろで、引き続き取り組むことによって目標期間内の達成は可能と考えています。  事業費については、同じく5%の削減を予定しているところですが、平成20年度までで3.1%の削減 ということで、これについても期間満了時での目標達成は可能と考えています。なお、研究職員のモ チベーションを高める必要から、競争的研究資金なり、受託研究の獲得を進めることとしています。 併せて、その配分等を適正に行いますために、内部評価に加え、多方面の専門家から構成します外部 評価を実施しています。それに基づき、研究予算を決定しているところです。  人件費ですが、これについては中期目標期間中に5%の削減を予定していますが、平成20年度末の 状況で2.0%の削減となっているところです。これについても、引き続き取り組むことにより達成は可 能と考えているところです。ラスパイレス指数については、平成20年度の状況は事務職員については 95.1、研究職については92.2となっております。  研究業務の重点化については、私どもとしては労働災害防止計画、イノベーション25、あるいはWHO アクションプランに関する研究を重点的に実施してきており、中期目標期間中には34課題の実施を予 定していますが、平成20年度の段階でそのうち27課題については終了または着手しているところです。  成果の普及・活用の状況ですが、論文の学会発表については中期目標期間中1,700回を目指していま すが、20年度末の状況で1,076回、達成率63.3%で、引き続き取り組むことにより目標達成は可能と 考えています。論文発表については、既に20年度末の段階で目標を達しています。これについても、 引き続き取り組んでいく所存です。  4頁は、「事務及び事業の見直しに関する当初案」です。事務及び事業の概要については、私ども労 働安全衛生に関する総合研究機関として、そこにあるとおり各種災害現象の解明とか、災害防止技術 の開発に関する調査研究を行うとともに、健康の保持増進のために寄与するということで、社会的・ 行政的ニーズの高い職業性疾病を中心とした労働衛生に関する調査研究を実施しています。また、行 政からの依頼に基づき、労働災害の原因調査を行っておりますが、それを行政施策のほうに反映する ということで、行政による政策立案を支援しております。予算要求額については、先ほどご説明した とおりです。職員数についても同じです。  具体的な事務及び事業の見直しの中身についてです。具体的措置として、1つ目は、労働安全衛生研 究の総合化と研究成果の活用促進を進めたいと考えています。具体的には、まず(1)として、労働安全 衛生研究に必要なデータの取得の範囲を拡大していきたいと考えています。先ほどご説明したとおり、 平成22年度末までに独立行政法人労働者健康福祉機構との統合を予定していますので、それを行った 際には私どもの研究のより一層の総合化を図るために、私どもの研究について、統合相手であります 労働者健康福祉機構が有している労災疾病に関する臨床研究データを活用することにしたいと考えて います。労働者健康福祉機構のほうは、労災病院を持っているわけで、そこにあります豊富な臨床研 究データを私どもの研究に活用する、同じ組織になりますのでより簡易に迅速に、あるいは円滑に活 用することができるようになると考えております。具体的な分野としては、私どもが研究を実施して いる腰痛でありますとか、振動障害、メンタルヘルスあるいは石綿対策などの研究については、まさ にいま申しましたような臨床研究との連携が進められる分野ではないかと考えております。  (2)ですが、折角研究してもその活用を図らなければ意味がないということで、研究成果の活用促進 に向けた取組みを考えています。具体的には、私ども研究所の研究成果や開発した技術指針について は、これまでも総合研究所としてホームページ等に掲載することによって周知はしていましたが、統 合相手である労働者健康福祉機構のほうには都道府県の下部組織として都道府県産業保健推進センタ ーがあり、そこはまさに都道府県における産業保健の推進のための中核組織であり、そこを利用する 産業医とか衛生管理者といった産業保健スタッフの方々との接点があるわけですので、その産業保健 センターに私どもの研究成果などをうまく置くなり、そこを中心にいろいろ発信していくなど、同じ 組織になったことで進めることにより、そうした、実際の労働の現場で、労働安全衛生に携っておら れる研究者の方々に、よりスムーズにダイレクトに周知し、活用の促進を図っていけるようになるの ではないかと考え、活用促進に向けた取組みを進めていきたいと考えているところです。以上が、研 究の総合化と成果の活用促進です。  2つ目として、労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の推進についてです。5頁で、 私どもの総合研究所は行政ミッション型の研究所として位置づけられています。この性格をより一層 進める、あるいは明確にするために、研究テーマを設定する際には、研究課題の選定の方法や研究の 評価方法などについて、より行政ミッション型の研究所としてふさわしいものになるような見直しを 行っていきたいと考えています。それに際しては、前提として、いままで以上に現場のニーズや労働 災害の発生状況、要因の把握などに努めていきたいと考えているところです。  3つ目として、他の研究機関で実施している重複研究の排除についてです。既に私ども、平成19年 度から多方面の専門家からなる外部評価委員会を開催し、そこで事前評価を実施し、重複研究課題の 排除なり、研究内容の精査に努めているところです。これについては、引き続き事前評価を実施し、 重複研究の排除に努力していきたいと考えています。行政サービス実施コストに与える影響について は、特にありません。  もう1枚めくりまして、「法人形態の見直し」の観点です。これは繰返しご報告していますとおり、 平成22年度末までに労働者健康福祉機構と統合するということを考えているところです。「支部・事 業所等の見直し」は、私どもは支部・事業所は有しておりません。組織体制の整備については、統合 に伴い総務・経理業務等の間接部門の合理化を行いたいと考えています。「非公務員化」については、 既に平成18年4月1日に措置済みとなっております。  1枚めくりまして、「業務運営体制の整備」については、先ほどご説明したことと繰り返しになりま すが、行政ミッション型研究所としての性格をより一層明確にするということで、そのために外部評 価委員会を開催しており、引き続き努力していきたいと考えています。  「随意契約の見直し」の関係については、一般競争入札の拡大に向けた「随意契約見直し計画」や、 その基準等を国と同一のものにする「契約事務取扱要領」を私どもは策定しているところです。それ については、当然そこでしていくわけですが、なお労働者健康福祉機構との統合に伴い、相手方であ る同機構の同じような契約や規定の間で、その統合を図っていくことになるということは、当然のこ とです。  「給与水準の適正化」については、先ほどの報告のとおりの状況になっているところです。これに ついては、今後とも引き続き、さらに国民の理解を得られる適正な水準を維持するべく努力していき たいと考えています。保有資産の見直しについては、特にありません。  2枚めくりまして、「自己収入の増大」についてです。私どもは総合研究所ということで、自己収入 の拡大ということで申しますと、競争的研究資金あるいは受託研究等の獲得に努めております。これ については、引き続き努めていきたいと考えています。官民競争入札等の導入の関係については、特 にありません。以上のような状況になっているところです。  さらに、前回の「勧告の方向性」における主な指摘事項に対する措置状況については、その後にお 付けしているとおりです。これについては、とりあえず説明は省略したいと思います。以上です。 ○井原委員長  次に、田村委員から調査・研究部会の審議における意見等の紹介をお願いいたします。 ○田村委員  労働安全衛生総合研究所の見直し当初案については、8月26日の調査・研究部会で議論を行いまし て、基本的に了承いたしました。なお、調査・研究部会として次の意見がございましたので、ご紹介 いたします。  行政ミッション型の研究所としての労働安全衛生総合研究所の機能を非常に重要なものと認識して おり、労働者健康福祉機構との統合に当たっては、研究所の機能を維持するとともに、研究業務が埋 没することなく、いままで以上に研究成果が上がるよう、慎重な工夫が必要であるという趣旨のご意 見です。先ほど安衛部の計画課長さんからご説明いただきましたが、是非、そういうことでお願いし たいということでございます。以上です。 ○井原委員長  ただいまご説明がありましたが、労働安全衛生総合研究所の見直し当初案について、何かご意見が ありましたらお願いします。 ○篠原委員  ラスパイレス指数あるいは給与水準について書かれていますので質問したいのです。労福機構と統 合ということですので、お互いの給料の差などは分析されたのでしょうかということと、今後、統合 されるときに、給与というのは個別、どうやるのでしょうか。どちらかに合わせるとか、そういう方 針というのはあまりいまのところないですか。 ○労働基準局安全衛生部計画課長  委員ご指摘の点については、もちろん今後の統合に向けて詰めていかなければならないところです が、現時点でどちらかに合わせるとか、あるいは中間にするとか、そういうような決まった方針があ るわけではありません。いま、まさにそういうことを含めて作業をしている最中です。 ○井原委員長  そのほかに何かありますか。よろしいですか。それでは、当委員会といたしましては、調査・研究 部会及び本日の総会での議論を踏まえまして、引き続き厚生労働省において検討を進めるようお願い いたします。「見直し当初案」については、了承ということでよろしいですか。 (各委員了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。最後に、事務局から今後の総会の予定等について、説 明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今後の流れと次回の総会の開催予定について申し上げます。今回ご審議いただきました組織・業務 全般の見直し当初案については、総務省及び行政改革推進本部に提出させていただきます。総務省の 政策評価・独立行政法人評価委員会、それから行政改革推進本部に設置されています行政減量・効率 化有識者会議において、我々が提出しました見直し当初案について議論が行われまして、11月までの 間に厚生労働大臣に対して「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性につい て」が通知されてまいります。厚生労働大臣は、この通知された勧告の方向性を踏まえまして、「見 直し当初案」を改めて精査・検討し、「見直し案」として、再度、行政改革推進本部に提出すること が求められます。  この「見直し当初案」から「見直し案」に変更する際には、今回と同様に、本委員会の意見を聴く こととなっております。したがいまして、この「見直し案」を各部会、総会でご審議いただくために、 次回の総会は12月の開催を予定しています。議事・日程等決まりましたら、委員の皆様には改めてご 連絡いたします。  また、委員の皆様には7月29日に行いました第23回総会の議事録の未定稿版をお配りしていますの で、ご発言いただきました委員におかれましては、発言内容をご確認いただきまして、お付けしてお ります返信用封筒をご利用いただくか、またはファックスを使っていただきまして、9月4日までにご 返送をいただければと思います。事務的な連絡は以上でございますが、最後に、塚崎評価官からご挨 拶をさせていただきたいと思います。 ○政策評価官  委員の皆様におかれましては、7月末から1カ月にわたりまして、大変厳しいスケジュールの中、ま たお暑い中、精力的にご審議いただきまして、本当にどうもありがとうございます。いまお話し申し 上げましたように、今度の総会は12月に予定されていますので、事務局といたしましても審議が円滑 に進みますように、今後もサポート、工夫をしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろし くお願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○井原委員長  それでは本日の会議はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、お疲れさまでございま す。ありがとうございます。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)