09/08/21 第1回医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会議事録           第1回医薬品の安全対策等における医療関係データベースの                   活用方策に関する懇談会                 日時 平成21年8月21日(金)                   14:00〜16:00                場所 霞ヶ関ビル「望星の間」(35階) ○安全対策課専門官 定刻になりましたので、第1回「医薬品の安全対策等における医療関 係データベースの活用方策に関する懇談会」を開催いたします。  本日の懇談会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせ ていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力のほ ど、よろしくお願いいたします。  また、傍聴者は、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はし ないこと」「座長及び座長の命をうけた事務局職員の指示にしたがうこと」などの厳守をお 願いいたします。  申し遅れましたけれども、私は医薬食品局安全対策課専門官の佐野と申します。本懇談会 の座長が選任されますまでの間、事務的な進行をさせていただきますので、ご協力よろしく お願いいたします。  まず、会議の開会に当たりまして、構成員の紹介をさせていただきます。五十音順に紹介 させていただきます。  最初に、社団法人日本薬剤師会副会長 生出泉太郎構成員、浜松医科大学医学部附属病院 教授・薬剤部長 川上純一構成員、社団法人日本医師会常任理事 木下勝之構成員でございま す。東京大学大学院医学系研究科助教の佐藤嗣道構成員はご欠席でございます。同じく、東 北大学大学院医学系研究科教授の辻一郎構成員もご欠席でございます。東京大学大学院医学 系研究科教授 永井良三構成員でございます。社団法人日本歯科医師会常務理事 中尾薫構成 員はご欠席でございます。京都大学大学院医学研究科 福原俊一構成員、情報・システム研 究機構 統計数理研究所教授 藤田利治構成員、神戸大学大学院法学研究科教授 丸山英二構 成員、日経BP 医療局主任編集委員 宮田満構成員でございます。慶應義塾大学薬学部教授 望月真弓構成員はご欠席でございます。日本製薬団体連合会医薬品安全対策検討PJ/WT3メン バー、日本製薬工業協会医薬品評価委員会合同TFリーダー 山本尚功構成員、東京大学大学 院情報学環・学際情報学府准教授 山本隆一構成員、首都大学東京法学部教授 我妻学構成員 でございます。  続きまして、出席しております厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構の職員を紹介いた します。医薬食品局長の高井、大臣官房審議官医薬担当の岸田、医薬食品局安全対策課長の 森、同じく安全対策課安全使用推進室長の佐藤、同じく安全対策課課長補佐の野村、同じく 安全対策課専門官の私、佐野でございます。医政局研究開発振興課課長補佐の井本でござい ます。  それでは、開会に当たりまして、厚生労働省医薬食品局長の高井より、ご挨拶をさせてい ただきます。 ○医薬食品局長 医薬食品局長の高井でございます。本日はお忙しい中をお集まりいただき まして、誠にありがとうございます。常日頃から医薬行政にご協力・ご指導賜り、心より御 礼申し上げます。  さて、これまでも医薬品の安全対策では、副作用報告を中心としたデータを推進してまい りました。ただ、諸外国では、予測予防的な安全対策を進めるため、医療関連の新たなデー タソースを活用した安全対策が始まろうとしています。そのような状況を踏まえて、我が国 において、医薬品の安全対策等の一層の推進に資するように、病院等から収集される臨床的 な研究データ、レセプト等の二次利用について、今後の活用のあり方についての方向性を示 すため、本懇談会を設置したところでございます。  我が国におきましては、大規模な医療関係データベースを活用した医薬品の安全対策等に 関する調査研究は限られております。今後のインフラ整備とあわせて、それを活用した調査 研究に基づく医薬品等の安全対策の推進が期待されているところでございます。  本年4月30日に公表されました薬害肝炎の検証検討委員会の第一次提言においても、電子 レセプト等のデータベースを活用し、取り組むべき課題とされているところでございます。  本懇談会では、構成員の先生方におかれましては、安全対策の推進の観点から将来の活用 に資するよう、そして個人情報の取扱い等にも十分ご配慮いただきながら、活用の目的、方 策等の課題について、活発なご議論をいただければと考えているところでございます。  簡単でございますけれども、よろしくお願いいたします。 ○安全対策課専門官 ありがとうございました。それでは、局長の高井は退席させていただ きます。  これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。                (カメラマン等退室) ○安全対策課専門官 続きまして、この懇談会の座長についてお諮りをしたいと思います。 まず、座長につきましては、事務局から提案をさせていただきますが、永井良三構成員にお 願いしたいと思いますけれども、構成員の皆さま方、いかがでございましょうか。                (各構成員の同意) ○安全対策課専門官 ありがとうございます。それでは、構成員の皆さまのご了解が得られ ましたので、永井座長にお願いをしたいと思います。永井構成員、座席の移動をお願いしま す。  それでは、以降の進行につきましては、永井座長にお願いしたいと思います。ここまでの 進行につき、ご協力いただきましてありがとうございました。 ○座長(永井) ただいまご指名いただきました、東京大学の永井でございます。局長から お話がありましたけれども、この医療関係のデータベースをどのように活用するかは、メリ ットとデメリットがあろうかと思いますので、慎重ながら、しかしできるだけ社会の役に立 つような形で議論を進めていければと考えております。是非、構成員の皆さま方のご協力を いただいて、実りあるまとめにもっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしま す。  それでは議事に入らせていただきます。まず、懇談会の規定に従いまして、副座長を指名 させていただきます。私の提案といたしまして、山本隆一構成員に副座長をお願いしたいと 思いますが、よろしいでしょうか。                (各構成員の同意) ○座長 それでは山本構成員、よろしくお願いいたします。どうぞこちらにお移りください。 それでは、事務局から配付資料のご確認をお願いいたします。 ○安全対策課専門官 まず、各構成員の先生方には事前に資料を配付させていただいており ますが、まず、お手元の資料で確認をお願いしたいと思います。  座席表が最初にございまして、次に議事次第、その次に配付資料一覧、開催要綱、構成員 一覧、その次に資料1「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(第一次提言)」。 資料2が「日本の医薬品の安全対策の現状と課題」。資料3が「諸外国における医療関係デー タベースの活用状況」。資料4が「日本における医療関係データベースの状況」。資料5「今 後の検討スケジュール(案)」。  次からが参考資料でございまして、参考資料1が英文のものですけれども、「Early detection of adverse drug events within population-based health networks」という論 文。参考資料2は「IT新改革戦略」。参考資料3が「医療サービスの質の向上等のためのレセ プト情報等の活用に関する検討会」の報告書。参考資料4が「疫学研究に関する倫理指針」。 そして最後、参考資料5が「EHRの二次利用への製薬業界の期待」。  そして、当日配付資料としまして更に3つほど、構成員からご意見を頂戴していまして、 五十音順に申し上げますと、佐藤嗣道構成員、中尾薫構成員。この両名は本日ご欠席でござ います。そして最後に藤田利治構成員。この3名の構成員から、事前にご意見を頂戴してい るところでございます。もし、配付資料の不足や乱丁などがございましたら、事務局までお 知らせいただければと思います。 ○座長 それでは、この会の趣旨につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。 ○安全対策課専門官 それでは、本懇談会の開催に至った経緯も含めまして、懇談会開催の 趣旨をご説明いたします。お手元の「開催要綱」、そして資料1の検証検討委員会の第一次 提言、こちらのご説明をさせていただきます。  近年、病院などから収集される臨床的な研究データ、あるいはレセプト、こういったもの を電子化して、医療関係データベースとしてさまざまな目的に活用する、こういった動きが 世界的に広がっております。これは医薬品等の安全対策の分野においても例外ではなく、例 えばアメリカでは2007年(平成19年)に成立したFDA改革法、そして2008年(平成20年)に 立ち上げられたセンチネル・イニシアティブ、これらによって最終的に1億人分のレセプト 情報に基づくデータベースを構築し、積極的な市販後安全対策を推進することとしておりま す。  我が国では2011年(平成23年)にレセプトデータベースが本格稼働する予定であることか ら、これを二次利用した医薬品等の安全対策が期待されているところです。  また、先ほど申し上げた本日の資料1にもお付けしておりますけれども、本年4月30日に 「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」で公表された この第一次提言においても、電子レセプト等のデータベースを活用した医薬品の安全対策が 求められているところであります。  これらを踏まえまして、厚生労働省としては、我が国の医薬品等の安全対策を更に推進す るという観点から、本懇談会においてどのような種類のデータを用いて医療関係データベー スを構築し、どのような目的をもって利用・活用がなされるのか、どのように人々の役に立 てられるべきなのか、諸外国の事例も参考にしながら、構成員の皆さま方にご議論をいただ き、有効な対策を講じていきたいと考えております。  具体的には、開催要綱にありますとおり、大きくわけて5つの検討事項があります。(1) 「諸外国での医療関係データベースの活用状況等」、(2)「医薬品の安全性等の評価の各目 的に応じた医療関係データベースの種類・内容の活用の方策」、(3)「医薬品の評価に活用 するための技術的な課題」、(4)「個人情報の保護、研究倫理」、(5)「情報の利用・活用に 必要とされ、利用者が備えるべき情報基盤」、こういった事項について構成員の先生方にご 議論をいただき、医薬品等の安全対策を推進する観点から、医療関係データベースを二次利 用するためのルールを、提言として取りまとめていただきたいと考えております。以上です。 ○座長 少し時間がございますので、ただいまのご説明に対して、ご質問・ご意見等ござい ましたらお願いしたいと思います。  それでは私から、こういう動きは医療・医薬品の安全という視点から今回始まったわけで すが、おそらく他の局からもいろいろな視点から、同じような話が出てくるのだと思います。 それらは連携して今後進められるのでしょうか。ばらばらに動いたのでは、最後に統一がと れなくなると思うのですが、いかがでしょうか。 ○安全使用推進室長 永井座長からのご指摘でございますが、この懇談会の開催要綱にもご ざいますけれども、この懇談会自体は、庶務は、一応、安全対策課が行うことになっており ますが、関係課室の協力を得てということで、厚生労働省の中でもこういったデータベース を活用した、医療情報を活用したということになりますと、例えば今日テーブルにおります ような医政局の研究開発振興課ですとか保険局の関係課とか、いろいろな関係課にまたがっ た事項が出てまいります。今回の懇談会については、一応、医薬品ということが切り口では ございますが、こういった関係諸課のご協力を得ながら進めさせていただくということでご ざいますので、永井座長のご指摘のように、その安全対策というところを一つの切り口とし ながら、こういったデータベースの活用のさまざまな問題とか課題について取り組んでいけ ればと考えております。 ○座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。これからいろいろな話が出てくる中で、 また、ご意見等を出していただければと思います。特にご質問がございませんでしたら、先 に進めさせていただきたいと思います。  それでは、議題に入りたいと思いますが、議題の1から3につきまして事務局からご説明を お願いいたします。その後、まとめて議論をいただくことにしたいと思います。 ○安全対策課専門官 それでは事務局から、議題の1〜3、資料2〜4までのご説明をいたしま す。  資料2「日本の医薬品の安全対策の現状と課題」についてです。2頁の「医薬品のライフサ イクルと有効性・安全性に関する情報量の変化」。波のグラフがありますけれども、医薬品 に関する有効性・安全性に関わる情報というのは、この研究・開発段階から市販後の段階に かけて、次第に増加をしていきます。承認申請前・承認申請中でも、多くの場合、臨床・非 臨床の試験が行われ、申請がなされます。これはある程度の情報が蓄積をしていきます。そ して承認後、市販後の安全対策ということで、副作用情報について収集、評価、対策が行わ れることにより情報が蓄積していくというものを表したものです。  3頁は「安全対策のサイクル」で、副作用が発生した場合、あるいは発見された場合には、 右回りで言いますと、情報収集、データ分析、対応措置の決定、情報提供、このサイクルを 通じて安全対策を行っているというものを表したものです。  4頁は「医薬品の市販後安全対策の概要」です。まず上半分ですが、事項として、最初3つ あり、「副作用・感染症等報告制度」が1つ。2つ目が、生物由来製品の血液製剤等について の「感染症定期報告制度」。3つ目が承認条件として、例えば全例調査であるとか、販売に 当たっての制限がある等のいろいろな調査を実施するというものがあります。  次の下半分ですが、期間ということで見ますと、「市販直後調査制度」。これは販売開始 の直後6カ月間について、重篤な副作用などを可能な限り迅速に把握し、必要な安全対策を 講じるという制度です。次に6〜10年後、これが「再審査制度」というもので、承認の段階 では十分に得られないような情報を、小児であるとか、高齢者又は長期使用の成績等につい て製薬企業が収集し、一定期間後に国が有効性等を再確認するという制度です。最後に、必 要に応じ随時ということで、「再評価制度」。これは医学の進歩に応じて、有効性、安全性 等を国が再度見直すという制度です。  5頁、「副作用等報告制度」については大きく2つあり、1つは企業が行う、いわゆる「企 業報告制度」、2つ目は、医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者から報告をいただく、い わゆる医療機関報告があります。  この下にありますとおり、現状は、自発報告による安全対策が中心で、現在のところは、 発生率などの正確な情報が得られていないという問題点もあります。  6頁は、医療機関からの副作用の報告はいったいどのように行われているのかということ をここに示しております。「医薬品安全性情報報告書」といったものがありまして、ここで 副作用の症状、所見、転帰、アウトカム、あるいは使用医薬品などを書いていただき、報告 いただくというシステムになっております。  7頁が、その副作用の報告数はどの程度あるのかといったグラフです。平成7年〜19年まで グラフにしておりまして、平成16年から、企業報告の中での海外の状況を報告していただく というものも始まっております。直近の平成19年で見ますと、国内の報告(企業報告)と医 療機関報告、いちばん左といちばん右の合計がおよそ3.2万件程度となっております。  8頁は、「医薬品安全対策業務の流れ」というもので、中心の総合機構(PMDA)と、左側 の企業と右側の厚生労働省の情報の流れを示したものです。企業から副作用等報告が総合機 構のほうに寄せられ、その報告をデータベース化して厚生労働省と情報を共用する。その分 析評価に関して専門家の方々と協議を通して整備をし、その上で、厚生労働省と安全対策の 企画・立案を行います。そして必要に応じて、薬事・食品衛生審議会を通して安全対策措置 を決定いたします。具体的には、緊急安全性情報の配布、添付文書の改訂、あるいは回収指 示等を行い、企業のほうにこういった安全対策を実行していただくという流れになっており ます。  9頁は、収集等をした結果、どういうふうに各種の情報提供がなされるのか、そういった ことを説明したものです。総合機構のホームページに提供している情報がありまして、添付 文書、緊急安全性情報、患者向医薬品ガイド等についてホームページ上で公開をしています。 これについては、医療機関関係者、一般国民の方々、製薬企業の方どなたでも、常時アクセ スして情報をダウンロードすることができます。  資料1にありましたとおり、肝炎の検証・検討委員会の第一次提言、今年4月30日に出され たものですが、これについて、今回の医療関係データベースについてどのような提言がなさ れたのかを説明したのがこの11頁になります。これは第一次提言からの抜粋です。下線を引 かれている所が2カ所あります。最初は、「電子レセプト等のデータベースを活用して、医 薬品使用者数や投薬情報等を踏まえた安全対策措置と、その効果を評価するための情報基盤 を整備すること等」。2つ目の下線が、「早期に患者に告知することにより適切な治療を受 けることが望み得るような一定の副作用等について個々の患者が副作用等の発現を知り得る 方途の在り方、薬害の発生が確認された後の国民への情報伝達・公表の在り方、電子レセプ トデータベースを活用した患者本人への通知方法・問題の検討等」。こういったものについ てご提言をいただいておるところです。  12頁、「新たな安全対策について」。これは平成21年の1月にいただいたもので、6点あり ます。例えば2番目は、リスク・ベネフィットの一貫した管理。3番目としては、国際的な市 販後安全対策の取組み。5番目としては、ITの活用。こういったものがうたわれております が、この4番、「市販後調査及び安全対策の実施状況・効果を適時適切に評価し、必要な見 直し等を図る。これらを支援するレセプト等の診療情報データベースへのアクセス基盤を整 備する」といったことに基づいて、今回の懇談会を進めていきたいと考えております。  13頁は、最近、市販後の安全対策の評価ということで、PMDAのほうで100人増員がうたわ れております。安全性の評価の質的な向上、収集体制の向上、情報提供体制の向上といった 3本柱のうち、1つ目の評価の向上の中で、最後の所に、「科学的で迅速な安全対策の実施に 不可欠な医療関連データベースの活用が可能となる」と。こういったことを安全対策の状況 の中で考えているところです。  最後の14頁ですが、今回、医療関連データベースの活用について、可能な安全対策の事例 として3つ書いております。いちばん左は、「ある副作用の発生割合を正確にリアルタイムに モニターし、他剤との比較などにより、発売後適切な時期に安全対策が実施できる」。いわ ゆる経時的な副作用イベントの追跡を行うことを考えております。2つ目は、「ある副作用が 本当に被疑薬による原因なのか、疾患による症状自体によるものなのか、判別し、正確な情 報による安全対策が可能になる」と。これはベースラインのリスクに対する特定の対象とな る薬剤の負荷的なリスクはどの程度あるかというものを比較するものです。3つ目は、緊急安 全性情報等の措置が、副作用低減に効果があったのか、なかったのか。この評価については、 グラフにあるとおり、措置をする前と後を比較することにより、この措置がどの程度効果が あったのかというのを客観的に見るといったものです。  資料3の「諸外国における医療関係データベースの活用状況」に移ります。3頁の「副作用 症例報告件数の比較」というもので、日、米、欧、英国の4つの副作用件数の比較をしており ます。総件数が、国内症例と外国症例の合計となっておりまして、日本では、先ほど申し上 げたとおり国内症例に関しては3.2万件。アメリカ、欧州、英国についても、人口の比として は多少バラつきはあるのでしょうけど、それほど対海外的にも遜色ない報告が日本としても なされていると考えております。  4頁は、アメリカの副作用報告はどのようなことを行っているのかということを説明したも ので、これはアメリカのAERSと呼ばれている、副作用の有害事象のデータベースで、米国内 外の医療提供者や消費者からの自発報告を受領しております。これはコンピュータ化された 情報データベースで、内容は公開されております。1969年から現在まで、約400万件の有害事 象が含まれているといったものです。  5頁は、副作用情報を司る、米国FDAの医薬品評価研究センター、いわゆるCDERというもの についての組織図です。いちばん右のほうの安全政策担当、ここが副作用の受付・収集を行 い、それを基に監視・疫学部でその収集・分析・評価を行い、それに基づいて、例えば企業 に対して添付文章の改訂を指示したり、消費者に安全性情報を提供するといったことをやっ ております。  6頁は、こういった状況の中で、近年、Vioxxに代表されるような医薬品のリスクというの が非常に大きな社会問題になり、アメリカでは2007年9月に、FDAの機能強化を規定する 「FDA改革法」と「処方せん薬ユーザーフィー法」という2つの法律が施行されました。その 中で主なものとして、市販後の安全対策の強化ということで、リスク評価・リスク緩和戦略 であるとか、あるいは市販後のデータの更に調査を行い、より強固な安全対策を行うといっ たことを考えており、そうした対策を打ち出しております。  次の7頁、具体的な取組みとして、アメリカFDAの取組みとして、2008年5月に、「The Sentinel Initiative」と呼ばれる、安全性監視の国家戦略というものが打ち出されており ます。  8頁ですが、Sentinel Networkというものは、先ほど申しましたFDA改革法の中で、2010年 7月までに2,500万人のデータ、2012年7月までに1億人のデータへのアクセスを確立するとい う目標を設定しております。そしてセンチネル・イニシアティブの中で、多様なデータシス テムへのアクセスを可能にするということ、例えば、電子カルテ、保険請求データなどを考 えているようです。次に、散在している各種のデータソースを素早く確実に検索をすると。 それによって、いままでわかっていない特定の関連製品の安全性情報を得るということを考 えているようです。こういったことを通じて、最終的には、製品のライフサイクル全体を通 じたFDAのモニタリング機能の強化を考えているといったものです。  具体的なスキームはどうなっているのかというのが9頁です。2頁ほど前のセンチネル・イ ニシアティブの戦略提言書から引用したものですが、組織構造の構想の中で、FDAだけでは なく、センチネル・システム・アーキテクチャーといったもので、各種のデータベースと結 合し、データを相互に共有化することにより、更に大きなデータベースを構築し、そして安 全対策に役立てるというものです。主要な事項として、右のほうに書いてありますが、課題 と言いますか、今後チャレンジすべきこととして、個人情報の保護とデータの安全確保、2 つ目が利益相反などを含めた科学的な信頼性、3つ目が企業や医療関係者学会、規制当局、 これらを含めたシステマチックなアプローチを行うということ、そして4つ目、5つ目がガバ ナンス、包括制と、これら幅広い専門知識、あるいはご意見を融合するということ、最後に、 透明性と方法論の公表で、研究結果を広く利用して、解析に用いたソフトウェアを、あるい はその方法について、ソースコード等についても、情報提供・情報公開を行っていきたいと いったものになっております。  10頁の、Sentinelというのは、2008年5月に立ち上げられたもので、まだ1年ちょっとしか 経っておりませんので、これからのものではあるのですが、いくつか最新の論文が出されて おります。そのうちの1つ、『The New England Journal of Medicine』の8月号のものから 今回引用させていただきました。この論文の中では、「最近の動き」として2つ目、FDAの長 官が議会の公聴会において、市販後の医薬品安全監視は在任中優先度が高い事項になる旨を 表明しているといったことがあります。  「センチネル・イニシアティブ」の特徴として、中央集権化された大規模なデータベース ではなく、分散化されたデータネットワークであるということ、そして、参加する機関は、 標準様式に基づいて、ネットワーク全体に関係するものの提供を行うということ。この分散 化したモデルでは、患者の個人情報というものは、医師又は元のデータの所有機関に留まる という利点があるとしております。そして、公的及び民間の医療組織は強い興味を示してい るようでして、すでに稼動し始めているものもあります。例えばCDCのほうでは、ワクチン のリアルタイムの監視であるとか、ネットワークを用いて、5つの医療保険の5千万人分のデ ータを、髄膜炎菌ワクチンの接種後のギラン・バレー症候群のリスク評価に用いる予定だと いったことが書かれております。  今後の「センチネル・イニシアティブの課題」について、複数のデータソースにおける共 通な方法、そして分散型のネットワークにおける統計であるとか、データ解析については、 今後まだ改善が必要であるといったこと、そしてネットワークのシグナル検出には更なる評 価が必要であること。そして2つ目として、電子情報になっていないものもあるということ。 例えば、OTCであるとか、手術室で使用される医薬品、多くの医療機器、コードが付されて いないような転帰、アウトカムについては、今後作業が必要になるということ。公衆衛生の 観点からは、ガバナンスの問題、個人情報保護といったことについての管理体制も必要であ るとしています。最後のポイントで、消費者や患者に対して、ベネフィットに関する知識に 照らして、新たなリスクに関して情報をどのように伝えるのか、といったことも今後の課題 だということを指摘しております。  11頁、さらに関連の論文のご紹介です。ハーバードのグループが発表したもので、先ほど FDA改革法の発端にもなった、Vioxxについて、あとから振り返って、どのようなことになっ ていたかということを解析したものです。データソースとしまして、HMOのリサーチ・ネッ トワーク、およそ800万人を対象としており、2000年からおよそ6年間に、9つの医療保険を 使用した患者をデータの解析対象としており、有害事象が既に知られている5つの医薬品と、 ネガティブコントロールとして2つの医薬品と、その対象薬を組み合わせて有害事象を後ろ 向きに解析するといったことをしております。  その結果の1つとして、Figure3から選んでおりますけれども、このVioxxの投与患者、投 与していない患者について、急性の心筋梗塞がどのように発生したのかといったもののグラ フでして、ちょうど開始してから34カ月、35カ月、40カ月、およそ3年後ぐらいにリスクが 高くなっているということが分かります。あとから振り返って見れば、急性心筋梗塞という ことで解析をすれば、3年後にリスクが急に高くなっているということが分かったのではな いか、といったものを示したものです。  結論として、定常的に収集されるデータを前向きに定期的に評価することにより、有害事 象の発生率を予測することが可能であるのではないか、そして、その特定の有害事象につい てタイムリーな市販後の安全対策をすることができるのではないかとしております。  参考資料として、外国で活用可能な主なデータベースと事例を9つ。アメリカとイギリス、 そしてヨーロッパ、カナダといった所からデータベースの概略ということで、13頁が一覧表 で、14頁以降が各個別のご説明としております。時間も限られていますところ概要を簡単に ご説明しますと、例えばデータベースの5、6、7番。5番のi3Aperio、6番のKaiser Permanente、 7番のHMO、これらはセンチネル・イニシアティブに協力をしているもので、3,900万人である とか、4,000万人とか、非常に大きな規模になっております。その下の8番、Madicare、 Madicaid、これも皆さまご存じだと思いますが、アメリカの公的医療保険制度の登録された データベースでして、これも各4,000万人と非常に大きなデータベースになっております。  一方、1番のイギリスのGPRDは、医薬品庁の下で管理運営されているもので、規模は600万 人とさほど大きくはないのでけれども、診療情報、患者情報など、いろいろなデータが含ま れております。  9番、カナダのSaskatchewanのデータベースです。これはSaskatchewan州の地方保健当局 が構築したデータベースになっており、規模は100万人ということであまり大きくはないの ですが、データの質が高いという評価をいただいているようです。  資料4で、日本はどうなっているのかといったことをご説明いたします。  2頁の「IT新改革戦略」。これは平成18年に発表されたもので、参考資料の2に付けておる ものです。これの12・13頁から抜粋をしたものですが、遅くとも2011年度当初までに、レセ プトの完全オンライン化によりデータベース化を行い、疫学的に活用することによって予防 医療等を推進するといったことと、2つ目の、レセプトデータの学術的な利用のために、ナ ショナルデータベースの整備及び制度的対応等を2010年度までに実施するといったことがう たわれております。  3頁、参考資料の3に報告書が付けてあります保険局の報告書です。4、5頁にかけての抜粋 ですが、収集データを国が分析・活用するに当たって、医療費適正化計画の作成等に活用す る場合にのみに厳格に限定することは適当ではない。医療サービスの質的な向上を目指して 収集データを分析・活用する必要性・緊急性等を適切に判断した上で、データの分析・活用 ができるような仕組みも必要であると考えられるとしています。  その活用のあり方として、国以外の主体がレセプトデータ及び特定健診等のデータを用い て、エビデンスに基づく施策を推進するに当たって有益となる分析・研究、学術研究の発展 に資するような研究を行うことを一律に排除することは、国民負担の軽減、的確・適切な施 策の迅速な実施という視点に立てば、かえって適切とは言えないと考えられるとしています。  ただし、十分に留意する事項として、データの利用目的としての公益性の確保、個別ケー スごとの審査、必要な範囲内のデータの提供、第三者への提供に係る具体的なルール、申請 者以外の利用の禁止、個人情報の保護、こういったような事項が十分に留意する必要がある 事項として挙げられております。  こういったことを踏まえ、2011年度から全国規模でのレセプトデータの収集、分析・公表 を実施するといったことになっております。  4頁は、「日本におけるデータベースの状況」です。いろいろなデータベースが日本各地 にあります。その中で、医薬品の安全対策に比較的用いられるのではないかといったものを 公表されているデータから、インターネットから得られたものをまとめたものがこの表です。 これについては上3つが株式会社、下の1つが製薬企業を会員とする協議会になっております。 扱っている情報についても、診療情報とか、院外処方情報、使用成績調査といったものです が、いずれにしてもデータベースの規模としては、例えばJammNetやJMIRIについては、数十 万件程度のデータベースになっております。下の、くすりの適正使用協議会が、おそらく薬 品の副作用等に関していちばん近いのではないかと思うのですが、いまのところ降圧薬と経 口抗菌薬のデータベースを構築するといったことがなされているようです。  資料2、3、4についての説明は以上です。 ○座長 以上よろしいですか。非常に広範な資料をご説明いただきましたけれども、このあ と時間がたくさん取ってありますので、各構成員の皆さまから、医療関係データベースにつ いてのご意見をいただきたいと思います。お一人5分程度でお願いしたいと思いますが、よ ろしいでしょうか。  もしよろしければ席順で。全体を把握する間がなかったかもしれませんが、生出構成員か らお願いできますでしょうか。 ○生出構成員 まず、基本的なことでお尋ねしたいのですが、この「懇談会」という名前の 趣旨は、どこまで拘束、決定力というか、決定権というか、権限が与えられている検討会な のでしょうか。 ○安全使用推進室長 「懇談会」という名前がついておりますが、いろいろな行政の検討会 がございますが、基本的に何か性質が大きく違うということではありません。この問題につ いて、まだ正直申し上げて、外国の状況も、今まさしく現在進行中という状況もあり、また、 私どももこれからいろいろな施策を打っていく上で、いろいろな方々のご意見を伺いながら、 言ってみれば案をしたためている状況ということもありまして、何か検討会という少し決め 打ち的なネーミングよりも、むしろ皆さま方構成員の方々のいろいろな英知を集めて、いろ いろな角度からご議論をいただきたいといった部分もありまして、本検討会については、 「懇談会」という名前を使用させていただいているという次第です。 ○生出構成員 了解いたしました。中身について、これからじっくり見させていただいて、 また後ほど挙手をしたいと思います。 ○座長 では、川上構成員お願いします。 ○川上構成員 私は病院の薬剤部におりますので、病院薬剤師の立場で医療関連のデータベ ースに関わっております。病院ごとにいろいろなデータベースがあり、それを実務面でうま く活用できないかと、今まで勤務した大学病院では考えてきましたが、処方オーダリングシ ステムのデータであったり、あるいは電子カルテなどのデータであったりするので、実際に はちょっと使いにくいような場合が多々ありました。  現在の所属にある検索データベースが使いやすいと思いますのでご紹介しますと、処方な ら処方、検査なら検査、患者さんの基本情報なら基本情報の各データを統合したような検索 型のデータベースが院内にあり、それを利用することで通常のオーダリングシステムでは難 しい串刺し検索が可能です。そうすると、どういった背景の患者さんにどの薬剤を投与して、 どういった検査値異常が生じた症例というものを比較的簡便に検索できるので、そういった 検索機能も普段、実務の中では使ったりしております。  実務面ではそういった形で様々なデータを取り扱っておりますが、もう一方で、我々は薬 剤疫学の研究の立場でも医療データベースに関わることがございます。病院レベルでは、自 分たちの所にあるものはそれなりに活用できるのですが、大きな国のレベルになりますと、 諸外国と比較するとなかなか日本にはまだそこまでのデータベースがないのが実情です。研 究だけが目的というわけではないのですが、研究を通じて得られた成果を最終的には国民の 医療に返せるような薬剤疫学研究を行える環境が今回整えばいいなと思っております。その ためには個人情報、あるいは倫理面への十分な配慮も必要ではないかと考えている次第です。 以上です。 ○座長 ありがとうございます。木下構成員お願いします。 ○木下構成員 考え方といたしまして、医薬品の医療安全のために各種データベースを用い て、主に副作用と思いますけれども、そういったデータをきちんと得て、それを分析し、再 発予防に繋げていくという方向性については、文字どおり大賛成です。しかし、諸外国の実 例をいくつか見せていただくにつけましても、まず膨大な予算をつけて国家事業としてやら なければこれは難しいと思いました。我が国でもきちんと予算を付けて、本格的にやる気が あるかということが第一の問題であります。  逆に、こういう課題はできない理由を述べるのではなくて、どうしたらできるかという視 点で考えたときに、我が国で、レセプトを使ってどのようにしたら可能かということだと思 います。日医としては、レセプトオンライン化を問題にしております。しかし、とにかく今 あるレセプトデータを用いてというようなことで考えていけば、私たちも積極的に考えてみ たいと思います。また、レセプトとなりますれば、本当に我々が必要とするようなデータが 果たしてこのレセプトの中に入っているか、どうやって入れるかという問題もあるわけで、 いまのような医師の状況でドクターに、このために新たにデータを入れろということになり ますと、大きな抵抗があると思います。それをどうクリアするかという問題が現実にあると 思います。  逆に言いますと、何でも医師や看護師や、薬剤師がやるべきなのか、いろいろと問題にな っておりますように、病院の仕組みとして、こういった医療安全に資するための取組みの中 で、こういう問題に関しても、データを入れていく人たちを配置するというようなところま で話がいくのではないかと思います。現実的な問題として、レセプトの中にすべてデータが 載っているかということがまず問題だと思います。  そういう具体的な問題をクリアしつつ、どうやって一歩でも進めていくかという話が、こ の会でなされると思います。とにかく我々としてはその都度、問題をどうクリアしていくか ということで協力していきたいと思います。 ○座長 はい、ありがとうございます。では、福原構成員お願いします。 ○福原構成員 医薬品の安全性の問題に関して、国民の安全に関わることで非常に重要な問 題だと感じております。これに対して受け身の姿勢ではなくて、積極的に取り組んでいかれ るという厚労省のご姿勢は、高く評価できると考えます。先ほど佐藤室長からも出たのです が、このことにより、医薬品の安全という目的だけにとどまらないと思われます。といいま すのは、今日本の大学や教育病院でも臨床研究をもっと推進していこうという気運が高まっ ていますが、問題は、それに使うデータが得られないという大きなバリアーがあることです。 もし、既存の診療データから研究に活用できるデータベースが構築されますと、このような 大きな問題の解決にも活用できるのではないか、医療現場からエビデンスを発信できる1つ のきっかけになるのではないかと期待しております。さらに、診療の質の測定、ひいては診 療の質の改善にも繋ぐことができるのではないかと大きな期待を寄せております。  そこで、具体的にどうそれを展開するかということですが、先ほど日本の国内の状況をご 紹介いただきましたが、いま使えるデータは、主に匿名化されたレセプトの情報です。薬剤 疫学的な視点、あるいは臨床研究の視点から見ても、レセプトのみの情報は限定的でありま す。すなわちレセプトからは、主に診療行動を測定することに活用できる情報となります。 何が足りないかと言いますと、ご存じのとおり、正確なアウトカムをキャプチャーできない という大きな限界があります。そこで、ハーバードのプラットのグループがやっているよう に、レセプトデータと医療現場の医療情報を突合して解析するということがどうしても必要 になってきます。これは医薬品の安全の解析だけではなくて、臨床研究や診療の質研究にも 必須の要件となってまいります。  先ほど木下構成員が、膨大な予算が必要になるというようなことをおっしゃっていました。 どれを大きな予算というかはありますが、予算的にはそんなに膨大なものではなく、いちば ん大きなバリアーは、おそらく個人情報の問題、あるいは倫理的なイシューということにな るかと思います。アメリカはどうやっているのかということで、いま調べておりますが、倫 理的には意外と大きな問題になっていなくて、なぜ日米でこんなに違いがあるのかというこ とをもっと勉強しなければいけないと感じておるところです。  永井座長がおっしゃったように、あれも駄目、これも駄目というような姿勢ではなくて、 国民のためにいかに有益な情報をこれから得ていくかというポジティブな立場に立って、バ リアーを一つひとつクリアして、意味のある研究をどんどん推進していったらいいなと期待 しております。以上でございます。 ○座長 ありがとうございます。では、藤田構成員お願いします。 ○藤田構成員 当日配付資料もありますので、それもご覧いただきたいと思います。私は疫 学の専門で、薬剤についてもいろいろやっております。薬剤疫学の世界では90年代のおそら く初めぐらいから、欧米諸国ではデータベースの構築というのが始まって、実用化されてい るという状況が続いてきました。昔は数十万規模が多く、数百万にいくと大きいというイメ ージだったのですが、先ほどのご説明で、今は数千万規模のものも出ているということで、 どんどん大きくなってきています。  薬剤の安全性というのは、市販前にかなりの情報があるわけで、市販後に起こる問題とい うのは稀な問題であったり、長期間経ってから出てくるような問題であったりということで、 必然的に大規模なデータベースがなければ、医薬品の市販後の安全性の確保というのはほと んどできないという状況です。  日本は、医薬品を開発できる国としてはほとんど唯一と言っていいぐらい、大規模なデー タベースを持たない国であるという状況が続いてきたと思います。そういう意味で、先ほど のご説明の「IT新改革戦略」の中で、レセプトデータのナショナルデータベース化という話 がありまして、日本薬剤疫学会から厚生労働大臣あてに要望書等を出して、データベースの 医薬品の安全性確保のための活用ということの申し入れ・要望等を行っています。あるいは、 先ほどの保険局のほうでの「医療サービスの質向上等のためのレセプト情報等の活用に関す る検討会」という報告書に対しても、学会としての意見を述べております。  そんなわけで薬剤疫学会としては、レセプトデータベースを核にした医療施設との情報交 換の体制構築を推進していかなければいけないだろうということを思っております。  当日配付資料ですが、先ほどの資料1、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しに ついて」の第一次提言に対するパブリックコメントとして、いくつか出しておりますけれど も、その1つを紹介いたします。  主要な点としては、「大規模な情報基盤の確立とそれに向けた国民的合意形成は、医薬品 の恒久的安全対策に不可欠なものである。大規模な情報基盤なくしては医薬品の安全確保は 実効性を伴わないものとなる」ということです。その中で、今日事務局のほうからご説明い ただいたこととかなり重複いたします。その理由として挙げております第一が、欧米では数 十万人〜数千万人規模のデータベースが稼働して、安全性の活用に使用されているという実 態があります。  2番目のパラグラフで、日本では、先ほどの自発報告制度(受動的サーベイランス)が中 心になって動いているわけですが、米国ではVioxxの事件を契機にしてセンチネル・イニシ アティブという形で能動的なサーベイランスが行われようとしているということがあります。  3つ目のパラグラフに、先ほどのセンチネル・イニシアティブについての紹介をしており ます。  それから今日の紹介になかったのですが、お隣の韓国では、もう既にレセプトが集められ ており、データベース化されております。1999年にNational Health Insurance Act(国家 健康保険法)が成立して、HIRAというHealth Insurance Review Agencyというのが設立され て、そこにオンライン化されたレセプトのデータが集積されています。2006年で、年間 8億5,000万件ぐらいのレセプトデータが集まって、99.7%が電子化された請求であるという 状況であり、それを基にしたデータベースが稼働しています。  例えば薬学肝炎のような重大な安全性問題が発生した場合に、HIRAデータベースにより使 用患者を特定して、迅速に対策を講ずることが可能です。具体的な例として、2006年に起き たAcitretinという催奇形性の懸念のある医薬品による血液汚染の問題に対して、HIRAデー タベースと赤十字血液バンクデータとの個人IDによる結合を行い、汚染血液の破棄が実施さ れています。さらに、法律改正を行って、HIRAデータベースと血液バンクの結合を定常的に 可能にし、AcitretinやIsotretinoinなどの催奇形性のある薬物や抗がん剤の投与を受けて いる患者から間違って献血された血液が使用できない仕組みを作り上げたと。そういう形で、 実際にも、大規模なデータベースを利用した能動的なサーベイランスが行われている状況で す。  そういうわけで、いまこのレセプトデータベースを核にして大規模なものを使っていかな いと、世界的な状況から遅れるという危機感を持っております。  プライバシーの問題というのは非常に大きな問題ですが、こういった情報を活用すること とプライバシーを守ることは両立するものですので、是非、医薬品の安全性確保のために、 大規模なデータベースを作っていっていただきたいと思っております。以上です。 ○座長 ありがとうございました。丸山構成員からお願いします。 ○丸山構成員 あまりよく理解できていないのですが、いまご説明いただいたところから、 まずデータベースの構築ということで、どこに作られるのか、どういう仕組みでどのような 規模で、というところをもう少し教えていただいて把握できた上でと思いますが、おそらく、 厚労省か総合機構に設けられるのだろうということで考えてみますと、既に先生方がご指摘 になった個人情報保護の問題、あるいはそれ以外の倫理の問題について、行政機関個人情報 保護法や独立行政法人個人情報保護法で対応することは可能だろうと思います。しかし、ど ういう対応の仕方かという点については、 先ほどのどういうデータベースになるのだろうかということを、もう少し具体的に把握でき てから考えてみたいと思います。  この問題を考えるに際して、あるいは先ほど福原構成員がお話しになりました、広くはレ セプトデータも含めた医療でのデータを研究に使うのが、我が国では個人情報保護や倫理指 針の点で容易でないところがかなりあると思います。アメリカあるいはヨーロッパで、その あたりがうまくクリアできているのはどうしてなのかなということを考えてみますと、個人 情報保護法だけではなくて、アメリカでは医療情報に関するHIPAAのプライバシールールが ありますし、ヨーロッパでも医療データに関する特別の法律とか規則がある所が多い。それ に対して日本は、個人情報保護の一般法が民間、行政、独立行政法人というデータを持って いる主体で分けて制定されるだけで、データの性格で分けて特別のルールを設けることは、 これまでいろいろな理屈を述べて、なされてこなかったわけです。そのあたりが問題かなと。 医療情報に特化した個人情報保護法というか、保護ルールがあるほうが、問題が処理しやす いかなという感じを持っておりますが、こういうことを言ってしまうと問題が広がってしま って難しくなるかとも思います。主体が行政あるいは独立行政法人であれば対応は可能です が、少し難しいところが残るかもしれないなという印象を持ちました。 ○座長 ありがとうございます。宮田構成員お願いします。 ○宮田構成員 医療情報のデータベースとしての活用というのは、相当重要だと認識してお ります。それはなぜかというと、我々が医療の問題を報道する段になって、我が国に徹底的 にその医療に関係するきちんとしたデータがない。例えば、ある種の膵臓がんの患者が何人 いるのかということも、あまりきちんと調べられていない。したがって、我々が報道したり 医療の議論をするときに、データに基づいた客観的な議論がしにくいという基盤があります。 これがたぶん、日本の医療行政がうろうろして方向感を失っている非常に大きな問題だと思 っておりますので、この医療情報がどういう情報であれ、レセプトであれ、診療情報であれ、 それをとにかくまとめて活用して、我が国の国民にとって最もいい医療とは何かという方向 性を示したり、検証するという事業の方向性は誠に正しいと思います。  ただ、今後皆さんと議論していかなければいけない問題も多々あると思いますので、それ に関しては、この懇談会の中ですべてが解決できるとは思いませんが、なるべく問題点を指 摘して、どういうロードマップみたいなものでこの問題を解決していくか、ということを少 しでも明らかにしたいと考えています。  特に国民皆保険、いつも「我が国の世界に冠たる」という枕言葉が付きますが、冠たる国 でありながら、丸山構成員と私はバイオバンクJPという文科省の視線で、オーダーメイド医 療実現化プロジェクトで20万人の患者から、診療情報とDNAと血清蛋白をいただいてデータ ベース化するのですが、これのバイオバンクUKというのがあります。決定的な問題は、診療 情報の電子化が全く行われていないために、それを集めるためのコストがめちゃめちゃにか かる。バイオバンクUKのほうはNational Health Serviceの診療情報がそのままエレクトロ ニックで使えます。日本はDNAを集めることは先行していますが、診療情報を集めるところ でUKの基盤があるものですから、新しい疾患関連遺伝子あるいはバイオマーカーの研究でも 遅れをとってしまうと思います。そういう意味では医療をどうやって行うか、今後の医療を どうやって作り上げるかということだけではなくて、今後、技術革新がバイオテクノロジー でものすごく起こっている分野のベースとなるものも、こういった懇談会の議論の先にはあ るだろうと大いに期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。 ○座長 ありがとうございます。山本(尚)構成員どうぞ。 ○山本(尚)構成員 私は製薬業界の立場からですが、自発報告に代表される安全性シグナ ルが検出された場合に、これが薬のリスクであるか背景発現率によるものなのかというとこ ろを確定的に判断しづらいのは、我々も行政と同じ状況だと思います。そのために、こうい ったデータベースを使った研究を基にして、より迅速で、かつ網羅的なデータ収集を果たす ことが重要であると考えています。それによって、市販後の安全対策活動というのは、革新 的なパラダイムシフトが可能になると考えています。  いまの構成員の方々のお話を聞いていて、2011年に構築予定のレセプトデータベースに大 きな注目が集まっていますが、今回資料でお示しされた中で、レセプトデータ、DPC、電子 カルテ等となっていますが、もちろんこれ以外にも、厚生労働省の方が持たれている統計情 報というのはいろいろあると思います。それは人口動態統計であるとか、その中に死因と氏 名などが含まれ、その情報をデータリンケージして利用可能な状態にはできると思っていま す。如何に現存する情報を使っていくかどうか、また我々が本来目指すべきデータベース、 データネットワークの持ち方の理想形はどのようなものであるのか、ということを議論する のがまず最初だと思います。  我々の会社は、プロジェクト開始時に、現状分析と、目指すべきゴール設定をしたあとに、 そのギャップを特定して、そのためのアクションプランにつなげていきますが、このプロジ ェクトもそういっ形で是非進めていければと思います。  今回、実際に歯科医師会の方の意見書を少し読ませていただきましたが、データのコンテ ンツがどのような内容であることを知ることは重要です。また、電子的な情報ソース、イン フラを導入するための不安というところもあると思います。しかし、本当に想定された懸念 が、目指すべきゴールを見据えたときに実際に起こり得る現象なのかというところを明確に することが重要で、その上で検討という形を進めていければと思います。まずは明確なゴー ル設定を共有するところが最初の目標・テーマになればと思っています。 ○我妻構成員 最後ですので、なるべく重複しないように発言させていただきたいと思いま す。まず、財源とか期間については、もう少し具体化してからということですので、今日の ところでは視点だけを指摘しておきたいと思います。  私自身は医療というよりは、法的な観点からということですので、特にデータの収集をど のようにして行うのかということと、データベースを構築した際にデータの修正とか保存に ついて、どのように考えていくのか。特に先ほどからいくつか出ていましたが、レセプトあ るいはカルテを含めて医療情報についての保存期間との関係で、どの程度の期間を設定して、 あとから後遺症等が出てきた場合に対応していくのか、検討する必要があるのではないかと 思っております。  第2点は、データへのアクセスをどのような範囲まで認めていくのかということは先ほど 来出ていますが、どのような目的等について精査していくのか。医療あるいはその診療の研 究だけにするのか、あるいは、広く情報を開示していくのかという点についても検討してい く必要があるのではないかと思います。  最後はデータ収集について、特に医療現場の理解ないしは啓蒙をしていくことも併せて行 う必要があるのではないかと思います。この懇談会について、特にいくつか諸外国の制度が 出ておりますが、おそらく我が国においても患者の安心・安全というのは非常に重要なキー ワードになっていくかと思います。その際にはアメリカにおいても、医療についてはご承知 のように各州で規律しているのに対して、医療の安全・安心については連邦政府そのものが 国家戦力としてやっている。我が国においても、海外と我が国はもちろん必ずしも同じでは ありませんが、そうした視点というものについても参考にするところがあるのではないかと 思います。以上です。 ○座長 ありがとうございます。 ○副座長(山本隆) 私は医療情報の研究者で、おそらくレッドブックに載りそうな少ない 分野の研究者なので副座長に指名されたと思いますが、医療情報をやっている立場から少し ご意見を申し上げたいと思います。  先ほど宮田構成員から診療情報が電子的に収集できないというご指摘があって、現状の我 が国はまさにそのとおりだと思いますが、とはいえ、では診療情報は一度も電子化されてい ないのかというと、かなりのレベルで既に我が国ではほとんど電子化されています。例えば、 採血をしたその血液検査の結果というのは、必ず電子的に整斉された上で紙に印刷されて配 られているわけですね。したがって、一旦電子化された情報が利用できない形で逆に戻って しまって、それが利用を阻害しているということが大部分であって、本当に電子化されてい ないものは、患者が言ったことをそのまま書いているとか、医師が非常に悩んで考えたこと を書いているといった部分が多いですが、ここで議論されているようなことに本当に必要な ことかどうかというと、それほどでもないです。結局は、客観的な情報がきちんと手に入れ ば相当なことがわかる。そういう意味では、一度は電子化されている。  問題は、それがデータベース化されていない、集められないことが重要なことだろうと思 います。したがって、レセプトも同じで、オンラインという医療機関に負荷のかかることに なるので問題が生じていますが、レセプトをいま完全に手書きで作っている医療機関はそん なに数があるわけではなくて、コンピュータを使って作っているわけで、そもそも電子的な 情報として収集することにそれほどの困難があるわけではないです、期間的な問題は多少あ りますが。そういう意味では、利用できるのに利用できていないという現状が問題であると 言えると思います。  利用できるのに利用できていない原因というのはたくさんありますが、後ろ向きなことを 考えずに前向きなことを考えると、最も大きな原因はそれを利用することのメリットを示せ ていない。例えば韓国のHIRAがやったように、何らかの事件に対して迅速な対応ができたと いうことがアピールできれば、多くの医療関係者も一般の市民も含めて、そういったことの 価値を認めるということで、お金がかかることであるにしても進めやすくなると思います。 それがまだできていないのは、我々医療情報の研究者の責任だと言われればそれまでですが、 まだできていない。いちばん大事なことは、データの種類が何であれ、まずメリットを示す ことだと思います。それにはレセプトだけでもできないことはないわけですし、メリットを 示すことによって、より多くの情報を集めることが可能になってくると思うので、まずは目 に見える成果を出すことがいちばん大事だろうと思います。  それから、当然プライバシー、個人情報保護というのは非常に大事で、私は医療情報とい っても専門はセキュリティとプライバシーで、どちらかというとブレーキを踏む研究をして いますが、2002年にHIPAAのプライバシースタンダードの案ができたときに、アメリカの大 学病院の人たちが集まって、HIPAAプライバシースタンダードに大学病院、大学関連病院と してどう対応するかという1,000頁以上のガイダンスを作りました。私は開原先生に言われ て、毎月アメリカに行ってその議論に参加をしてきたのですが、あのHIPAAのプライバシー スタンダードの中では当然ですが、公益目的の利用というのがかなり大きく取り上げられて いて、そこが阻害されないようにというのは、その当時の議論だけで言っても相当な重みを 占めていた議論です。もちろん、医療健康情報というのはプライバシーに非常に機微な情報 で、誤って侵害が起こってしまうと損害を取り返すことができない状況にあるわけで、誤る ことは許されないのですが、とはいえ、その情報に非常に公益的な価値があることも間違い ないです。これを正しく扱うということは、どの国にとっても非常に重要。アメリカの一般 社会では、プライバシーの法律はないのです。医療と行政にだけ存在して、日本のように民 間事業者を対象とする個人情報保護法は存在しないアメリカのような国であっても、一方で はかなり慎重であり、一方では積極的なルールづくりをしている。日本も法律がいいのか、 いまのガイドラインのレベルでいいのかという議論は、また別の次元の議論だと思いますが、 もう少し詰めた議論をする必要があるのではないかと考えています。  その際、1つ考えておかなければいけないのは、データベースを作ることの個人情報保護 と、データベースを使うという個人情報保護というのは区別をしないといけないと思います。 例えば、名前は忘れましたが、いまレセプトのナショナル・データベース等を厚生労働省が 作ろうとされていますが、それは、各保険者のレベルで個人情報をハッシュという方法を使 って、匿名化ではなくて仮名化と言ったほうがいいと思いますが、ある値に置き換えて情報 収集する。その情報を見ても誰かはわからないという形ですが、同じ人の情報は結び付くと いう方法を採ろうとしています。ところが、同じ人の情報が結び付かないと、先ほどのHIRA の藤田構成員の例にありますように、IDで結び付けないとわからないことがたくさんありま すので、それは必要なのですが、ただ、これは匿名化ではない。匿名化という言い方をする と、少し問題があると思います。そうすることによって、おそらく誰にも損害は及ばない。 データベースを作った時点で、誰かにプライバシーの侵害が及ぶということはあり得ない。 問題は使うときに、目的に応じたしっかりとした匿名化をしないと、思わぬ被害を及ぼすこ とがある。そういう意味では、先ほどお話をしたHIPAAプライバシースタンダードの大学病 院、関連病院の対応の中でも、IRBの役割というのは非常に大きく捉えられています。つま り、使うときにこれが本当に患者、その他の人にとって被害を及ぼすかどうかというのをし っかり審査をする。その上で安全であれば許すということを徹底していると思います。した がって、こういったデータベースを考えるときには、作るときと使うときというのを厳格に 分けて、使うときには何があっても、どんなに間違っても患者に被害を与えない。集めると きは、できるだけ網羅的に集めるというのが非常に重要な考え方だと思います。  アメリカもオバマ大統領になって、より尖鋭的になったといいますか、全症例のデータを 集めるというふうに大幅にシフトしてきているようですし、全症例でないとわからないこと がたくさんあると思います。そういったことを含めて、この懇談会で方針を出せればと考え ております。 ○座長 ありがとうございます。最後に私から印象を述べたいと思います。私自身も、30年 近くいろいろなデータベースを作ってまいりました。そういう中で、日本がこの領域で遅れ ていることは随分認識してきました。データベースの科学的なメリットを述べるのは非常に 易しいと思います。しかし、既にいろいろなご意見が出ているように、社会的な問題、倫理 的な問題は十分気をつけて進めていかないといけないと思います。科学的には、こういうデ ータベースなくして、近代医学あるいは今日の医療は成り立たない。おそらく、行政も成り 立たない時代になっていることは、まず基本的な認識として持っておく必要があります。か つては抗生物質が感染症に効くかどうかということは、数十例の経験の世界の中でわかった のですが、これだけ高齢者社会となり非常に稀な副作用が多いか少ないかという議論をする 時代になると、相当大量の情報を見ないとわからない。場合によっては数百万、数千万人の 情報を見ないと判断ができない時代になってしまったのだと思います。  このような時代への対応は、日本はかなり遅れてきました。海外で始まったEBM(Evidence Based Medicine)というのは、まさに稀な現象をたくさんの症例の中で判断しようという活 動です。できるだけ科学的にある医療行為の評価をしようと思ったら、前向きのランダム化 介入試験をしないと本当のことはわからない。確かに、科学的にはそれがいちばんいいわけ ですが、それは多くのコストと時間がかかるし、設定した問題にしか答えは出ません。さら に外国で行われた試験の結果が日本人に当てはまるかというと、また別の話になってしまい ます。そうなると、次善の策としてこういうデータベースを作っておいて、例えば5年前に 遡って、この3、4年間はどうだったかという解析でおおよそその傾向はわかります。しかし これは次善の策でA群、B群に分けても、既知のファクターについてはバランスをとることが できますが、未知のファクターについてはわからないわけです。だから、本当はこの方法は 科学性からいうと少し落ちるわけです。  しかし、それでもNを膨大に増やせば、数百万までいけば、かなりいろいろな問題に答え られるはずです。また限られた集団ではなくて、real worldということで、最近評価されて きています。ただ、そのためにはもっと統計学や情報学が一緒に進歩しないと、いろいろな 問題を起こす可能性があると思います。  いずれにしても、そういうデータベースがないために、例えば市販後調査や臨床研究をす るときでも、いちいち診療情報の血液検査データや処方をコンピュータに打ち込まなければ ならないということで、日本の臨床研究がどんどん遅れてきて、いまや群盲象を撫でるみた いな話になってしまったわけです。  ただ、ここで問題になってくるのは倫理の問題で、10年近く前になるでしょうか、疫学研 究ガイドラインのWGで、私は丸山構成員の班の中でいろいろ議論をさせていただきましたが、 そのときにも同意の問題をどうするかということで随分議論がありました。ただ、あの当時 は被験者の人権に配慮したガイドラインも全くない時代でしたので、かなり研究者には厳し いラインになったかと思います。  ただ、よく考えると、その当時も自己決定権ということを言われたのですが、被験者とし て登録されるかどうかというのは重要な問題です。データを集めると漏れてしまう危険があ るわけです。だから、データを集められる対象になるかどうかということも自己決定権の問 題ですから、同意なしに処方せんのデータを集めてよいのかという問題を配慮しなければな りません。一方で、自分が飲んでいる薬に害があるのか、その情報を得て自分は薬を服薬し たいという自己決定権もあるのだと思います。ですから、被験者として登録されることに関 する同意あるいは自己決定権の問題と、自分が適切な安全・安心の医療を受けていることを 納得した上で薬を飲みたいという自己決定権の間で、バランスをとっていかないといけない ことになります。ヘルシンキ宣言を読みますと、先ほどの「公益は個人のウエルネスに優先 しない」ということが書いてありますね。そこをどう理解するのだという話になると思いま す。先ほど山本構成員から、時によって公益は優先するのだという話も出たかと思いますが、 まさにそこの議論の整理はきちんとしておかないといけないと思います。  いま既に、いろいろなデータベースが動いていますが、研究費の面から見るとほとんど支 援がありません。先端的な研究ではないと思われているのかもしれませんが、技術的にはさ ほど難しくなくても、これによって先端的な成果が出てくるわけですから、従来の研究費の 枠を省庁を超えてきちんと作っていかないといけないことと、作られたデータベースのフォ ーマットがバラバラになっていてもいけないので、そのための技術的な戦略も考えないとい けないだろうと思います。  情報システムの作り方については、もっと細かい議論、例えばセキュリティをどうするの か、意味の互換性、例えば疾病の分類とか疾病のコード化など、いろいろと取り組むべきこ とがあると思います。そういう意味では、先ほどお話があった基本的なコンセプト、ゴール の設定、アプローチの仕方、財源ということをしっかり議論していかないといけないのでは ないかと思います。  オープンにディスカッションしたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしく お願いいたします。 ○副座長 私は公益が優先するというつもりで言ったのではなくて、公益ということを十分 に配慮した上で患者の権利保護というのを守っていかなくてはいけないということで、おそ らく問題になっているのは、権利保護を優先するあまりに、本来誰も拒否していないような ことができていないということが最近問題視されているのです。それほど多いか少ないかは わかりませんが、その際に、ご本人の意思に反しないということを前提に公益利用を積極的 といいますか、ヘジテートしてはいけないということにかなり気を遣ったということです。 ○座長 おそらく、この点は少し外国の状況を調べてみる必要があるだろうと思います。こ の10年、15年ぐらいの間に、多少外国も変わってきているように思いますが、丸山構成員い かがですか。何かご存じですか。 ○丸山構成員 先ほど言ったことの繰り返しになりますが、それからいまお話になった公益 ですが、ヘルシンキ宣言は世界医師会のものということで全世界共通のはずですが、アング ロサクソンの国、北欧などでは公益を尊重する度合が強いのに対して、ヨーロッパ大陸、北 欧も大陸と言えば大陸かもしれませんが、ドイツ、フランスなどを中心に捉えると、個人の 尊厳を重視する傾向が強いのではないかと思います。韓国は少し別に考えないといけないか と思いますが、アメリカやカナダのSaskatchewanなど例に出された国は英米北欧が中心なの で、そういうところを参照されると活用というところが強調されるのかなと思います。  永井座長がおっしゃったヘルシンキ宣言の個人の福利のほうが、全体の利益よりも優越す るというのは、現在のような平和な社会になったから言えることで、それが常にいつでも当 てはまることではないと思いますが、これまで全体の利益のために個人が蔑ろにされたこと があるので、それに対する戒めというところ、精神的な教訓という側面も強いのではないか と思います。現実には、先ほど永井座長がご指摘になった、2000年あるいはその前後から始 まった個人情報保護の法制化の動きと、疫学研究倫理指針の策定の際に、私は当初は個人の 尊厳のほうを重視していたのですが、だんだんバランスかなというふうに考えるようになり まして、個人は、先ほどのデータを提供する側に回るときもありますし、その得られたデー タから築かれた知識を活用してもらう立場にもなることもありますので、バランスをとって いいものを作りたいと思いますが、そのバランスのとり方が時代、世の中の状況によって変 化しますので、いろいろ考えてまとまらないばかりですが、なんとか役に立つようにしてい きたいと思います。 ○安全対策課専門官 ここで、本日欠席の佐藤構成員、中尾構成員のご意見の概要をご紹介 させていただきたいと思います。  まず、佐藤構成員は3枚と長いですので、ご本人の承諾をいただきまして概要ということ でご紹介します。1頁は、1億2,000万人というサイズの世界でも最大規模のレセプトデータ ベースを構築することにより、医薬品の安全対策のみならず、広く国民の保健・医療の向上 に役立つ情報を提供することができると期待されます。ただし、そのためには、次の2つの 点について議論することが極めて重要と考えます。  第一に、データベースを医薬品の安全対策に活用するには、プライバシーの保護に配慮し つつ、データベースが医療機関と患者個人を特定する情報を保持することが不可欠です。そ れには3つの理由があります。1つ目は、薬害肝炎の例で明らかなように、ある特定の製剤を 使用した医療機関と患者をレセプトデータベースを活用して特定し、必要があれば直接本人 に感染の可能性を知らせ、医療機関に受診するよう勧めることなどを可能にするため。  2つ目は、レセプトデータを研究に利用する前提として、カルテなどを調査してデータの 信頼性と妥当性を検証し、データの適切な利用方法を検討することが必要。  3つ目は、このデータベースを利用した医薬品の安全性評価には、死亡や出生のデータ、 あるいは地域のがん登録など、他のデータソースとリンクすることが必要である場合が少な くない。この2つ以上の異なるデータソースのデータを個人識別子でリンクする方法を「レ コードリンケージ」と呼びますが、こういった海外のデータベースのほとんどは外部のデー タソースとのリンクが可能です。このようなレコードリンケージについて検討するには、配 付資料で示された欧米のデータベースに加えて、北欧(特にデンマーク)とアジア(特に韓 国)のデータベースから学ぶことが必要です。  次のパラグラフですが、この中で、特に韓国のデータベースで学ぶ点が多いと思います。 韓国では、2000年に設立されたHIRA、HIRAのデータベースは全国民が各々持っており、生涯 変わらない13桁のunique personal identifierを個人識別子として保持し、その個人識別子 を用いて死亡など人口動態統計のデータやがん登録のデータとのリンクが可能になっており ます。  次のパラグラフです。このように医薬品の安全性を評価するための疫学研究を行うには、 データベースが患者個人を特定する情報を保持することが必要ですが、それとプライバシー の保護を両立させる必要があります。その方法は、レセプトの内容を記録するファイルと患 者個人を特定するファイルを別個に保持し、その対応表を厳密に管理するのが良いと考えま す。  聞くところによると、現在考えられているのは、患者個人を特定する情報を復号化できな い値に変換する方法のようです。この方法は、医療機関の特定の患者がデータベース内のど の患者コードと一致するかの対応関係を見出す。すなわち、医療機関からデータベースへの 方向の検索は可能ですが、逆方向のデータベースから医療機関の検索、つまりデータベース 内の特定の記録が、どの医療機関のどの患者と一致するかを調べることは容易にはできない ため、「validation study」やレコードリンケージを適切に実施することは極めて困難で、 実質上不可能です。  議論すべき第二の点として、レセプトデータを維持・管理し、必要なデータを調査・研究 上の必要性に応じて匿名化し、厚生労働省や総合機構の担当者及び研究機関の研究者に提供 するための独立した機関又は組織の必要性です。レセプトデータを、プライバシーを保護し つつ調査・研究に利用するためのルール作りが今後の課題となりますが、同時にそれを実際 に運用する機関又は組織が必要です。韓国のHIRAなどの例に学び、日本でもレセプトデータ を医薬品の安全対策に利用するための仕組みを構築することが求められます。  以上が佐藤嗣道構成員のご意見です。  中尾構成員のご意見は、歯科におけるレセプト電子化は平成21年3月からスタートしたば かりで、オンライン化も10月からようやく始まるのが現状。今後のレセプトオンライン化が 手挙げ方式であったとしても、進展していくことが予想され、歯科レセの活用に関しては以 下の点が憂慮される。(1)患者のプライバシー侵害等、レセプトデータの漏洩に関わるセキ ュリティーの構築を早急に示すべきと考える。(2)目的外使用、特に営利目的への流用は厳 禁との法的措置が求められる。(3)歯科レセでの集められたデータに、医薬品の安全情報が 多く含まれているどうかは不確かかもしれない。副作用が生じた場合、歯科の多くは他科へ 紹介する事例が多く、その状況が副作用情報と直接つながっていない場合も多いのではない かと考えられる。医科レセとの突合により、ある程度の状況は窺えるかとも思われるが、そ れらのシステムもお教えいただきたい。以上です。 ○座長 ありがとうございます。最初の佐藤構成員のご意見は、いわゆる連結不可能匿名化 をどうするかの問題になるわけですね。ID番号を付けるかどうかという議論にも関わるのだ ろうと思います。まさに先ほどのバランスの問題というところもあるのではないかと思いま す。すぐに結論が出る話でもないとは思いますが。  いまのご意見にかかわらず、どなたでもご意見をお願いいたします。今回の懇談会の趣旨 にも関わりますが、これは医薬品をメインにしてということです。広く疫学研究にも使える データベースということでは必ずしもないということでしょうか。 ○安全使用推進室長 医薬品に関する研究ということですので、これは、先ほど福原構成員、 永井座長からもご指摘がありましたように、疫学研究と非常に密接不可分な部分があります。 冒頭に申し上げましたように、医薬品を切り口にということではあると思いますが、そうい った密接不可分な部分についても、当然、一定の視野に入れながらご議論いただく必要はあ るだろうと思っています。 ○座長 確かに副作用が出たかどうかという話と、何か重大なイベントが起こったかどうか というのは、かなり切り分けが難しいところがありますね。 ○安全対策課長 まさしく、いま座長がおっしゃられた、病気で起きた話なのか薬で起きた 話なのかということで、大変苦労したという数が増えていまして、いま話題になっています インフルエンザで、抗ウイルス薬のタミフルを使って異常行動ということですが、インフル エンザによってもそういう異常行動が起きるという話がいろいろ検討したら出てきました。 でも、それが薬とどういう関係で増えたり減ったりしているのかという話になりますと、薬 のことだけを見てもおそらくわからない。そういう疾患にかかっている方がどれくらいいら っしゃって、その疾患の治療の経過の中でどういうことが起きてくるのかということがきち んと分かるようになっていないと、結局そこに薬がどう影響を与えているかという評価がで きません。  あるいは、最近抗うつ薬のほうで攻撃性等の副作用ではないかと思われることが問題にな った件に関しても、もともとの疾患自体でいろいろ起きてくる攻撃性のある行動変化といっ たものが、抗うつ薬によってどういうふうに変化しているのかというような話を扱わなけれ ばならないとか、具体的な例で言いましても、疾患そのものについてかなりのベースライン がわからないと、薬というものが、あるいはほかの要因がということについて精度のある議 論ができない経験を私どもはしております。  そうした意味で、いま座長がいみじくもおっしゃいました疫学的なきちんとした研究がベ ースにないと、薬の影響がどうだこうだということについて頼りになる判断がなかなかでき にくい。それをこういったインフラなしのままでやっていくと、非常に時間がかかって速や かに対策につながらないというようなジレンマを私どもは持っております。  こういう意味で、ここでのご議論の展開として、どうしても疫学研究として非常に精度の ある、パワーのある、そういうことができる土台がないと、役に立つ安全対策のほうにもつ ながらないなと感じておりますので、ご議論の方向性としては、そういうところまで全部含 まれるものだと思っています。  ただ、一方では、いま手に入る情報ソース、レセプトのデータで言えることには限りがあ るという木下構成員をはじめとするご指摘がありますが、そういったものの中でできること に関して、現状ではかなり限りがありますが、それでもできることがあるだろう、そこは、 こんなところからこういう問題は今あるデータで、今ある手法でまずここまでできますよと。 そこで、こういうメリットがあるのだからということを具体的にお示しをすることによって、 こうした取組みの必要性について、多くの方のご理解を更に得られるようになるのではない かとも考えておりますので、ステップ・バイ・ステップの部分と、最終的なゴールについて 非常に大きな視点で考えていただくということと、これらは一応両立することだというふう に考えております。事務局としては、かなり野心的なことを考えてはおりますが、そうはい ってもできるところをきちんと、言ってみればバントヒットを重ねてでも、きちんと得点を 重ねていく進め方を是非したいと考えています。 ○座長 いまのお話は、結構重大な内容が含まれています。どんな薬でも副作用はあるでし ょうから、有効性がない薬を、副作用だけ起こっているのを見ながら使うというのは非常に 問題になるわけです。ですから、副作用が起こっているかどうかということと、その裏側の 話として、ある薬が有効なのかどうかということを見なければ意味がないという議論にもな り、非常に大きな広がりを持った課題ではないかなと思います。 ○生出構成員 医薬品のみのいろいろなイベントを考えますと、日本薬剤師会では10年ほど 前からドラッグイベントモニタリングというのを、例えばカルシウム拮抗剤だったり、骨粗 鬆症の薬だったりというものを、1週間ぐらいの間で何日間かを特定して、添付文書に書か れていないイベントがどれだけ出るのだろうというようなことを進めていますので、そうい うデータも何かの形で、今後のこういうデータベースの活用等に使うときに、何らか役立て ていただけるのかなと思っています。そのいろいろなイベントをデータマイニングで解析し て、いろいろな製薬企業にフィードバックして、安全性ということを担保してもらおうとい うことで情報提供をしていますが、そういう研究もあるということだけを報告いたしました。 ○座長 ただ、こういうのは後付けの研究ですので気をつけませんと、ある薬であるイベン トが多いからといって、そこに因果関係があるかどうかというのはまた別の話になるわけで すね。  時間の予定もありますので、議題4の今後のスケジュールについて、資料5のご説明をお願 いします。 ○安全使用推進室長 本日、資料5という形で、今後のスケジュールの粗々の案をお示しし ております。これは単に、これから大体2カ月に1回の頻度で開催をさせていただきますとい うことを述べているに過ぎないものですが、本日、構成員の皆さまから非常に活発なご議論 をいただきまして、かなりいろいろな論点がこの中で出てきているのかなと感じております。 いろいろとご指摘がありましたように、メリットをどうやって示すのか、ゴールとしてどう いったものを目指すのか、というところもありますし、実際にソースやその活用の仕方にも よると思いますが、倫理・個人情報に関するルールをどう取り扱っていくのかといった部分。 また、データソースによって得られる情報がかなり異なっているが、それをどうやって活用 するのか、その活用する視点と得られる情報におけるバランスが相互にどういう関係になっ ていくのか、また、インフラという部分でどういったデータベースを構築するのかとか、一 方で、データベースを構築するには、いろいろな医療機関なりが持っている情報を活用させ ていただくのか。データベースとインフラという部分でもどういう形になるかは、まだ決ま ったイメージがあるわけではありませんが、それによってもいろいろな議論が出てくるだろ う。また、技術的な手法とかコードリンク、フォーマットといった部分についても考えなけ ればいけない。そういう論点を少し事務局で整理をしまして、次回の議論の参考という形で お示しをさせていただこうと思います。  また、この論点に沿って、実際にいろいろ先導的にやっておられる研究者を含めて、外国 の事例もそうですが、そういったお話を具体的に聞いてみないとわからない部分もあろうか と思っておりまして、現状のレセプトやアベイラブルな情報の中に何が入っていて、それが 何に活用できるのかという部分について、先導的に研究をされておられる方や、外国の情報 に詳しい方、場合によっては外国の方をお招きしてということもあると思いますが、いった い倫理的な部分ではどんなご苦労があったかとか、今日ご指摘いただいたようなポイントに ついても少し関係者からヒアリングをしていくようなことを、現状認識という意味で、今後 2回程度やらせていただければなと考えています。  そういうところで、今後のスケジュールを改めて見ていただきますが、2回目は10月ごろ を予定しています。少し広範に本日の論点に沿った形でヒアリングを計画させていただこう と思っております。また、どういった方をお呼びするか等々につきましては、座長ともよく 相談をしまして、決めさせていただこうかと思っております。また、そういったヒアリング の現状把握というものを基に、その後、概ね2カ月に1回程度の懇談会を開催しまして、さま ざまな論点についての議論を深めていくような形で、最終的に活用方策等の提言を取りまと めていただくようなイメージで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○座長 よろしいでしょうか。 ○宮田構成員 この懇談会は、2つの目的を追求していますよね。1つは安全性を高めること。 もう1つは、データベースを活用すること。これをうまく整理しながら議論を進めないと、 混乱すると思います。今回、この議論の中で暗黙の前提というのが1つあって、医療関係者が 何らかの形で関与したデータベースによる医薬品の安全性の確保ということを議論しました が、アメリカのMedWatchを考えると、患者そのものがリポーティングシステムの中に入って いますよね。先ほど事務局のほうからご報告になったときに、リスク情報をどう伝えるかが 重要であるというご指摘があったように、データベースを作って自己満足するだけでは全然 意味がないです。そのリスク情報をどうやって患者と共有して、患者が医薬品を使う、ある いは選択する際に、医療関係者のアドバイスを受けながら自己責任で決めるというところに 資するような形で、その情報提供のあり方もデータベースの構築の仕方も考えなければいけ ないと思います。  これは相当先のことだと思いますので、先ほどの私の発言の中でロードマップという言葉 を使いましたが、整理していただいて、この1年間でどこを中核で議論するのかというのを 明らかにした上で、全体を書いた上で今年はここをやりましょう、来年はここをやりましょ うみたいな形で、さっきのバントヒットで、いきなり空振りではなくて、一歩一歩、いまま で使ったことのないことをやるので、この国民皆保険が生んだ膨大な情報をどうやって国民 のために使うかということを、先ほどおっしゃった役に立つというところをいちばん最初に 見せるには何がいいかということを軸にして、まず大きなロードマップからここをやりまし ょうという議論をまとめていただかないと、議論がすごい散漫になることを恐れます。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の懇談会はこれで終了します。どうも長時間 ありがとうございました。 照会先:医薬食品局安全対策課 電話番号:03−5253−1111