09/08/19 平成21年8月19日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 日時:平成21年8月19日(水) 16:00〜17:00 場所:厚生労働省 共用第7会議室 ○出席者: 委員  阿南委員、五十君委員、石田委員、鈴木委員、高鳥委員、中村委員、西尾委 員、 林谷委員、堀江委員、山下委員、山本委員(部会長) 参考人 全国山羊ネットワーク 今井代表     (財)機能水研究振興財団 堀田常務理事・事務局長     (社)日本乳業協会 南常務理事     (社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会 森田専務理事 事務局 俵木基準審査課長、工藤課長補佐、江島専門官 1.開会 2.議題 (1)乳等省令の取り扱いについて ・(社)日本乳業協会からの要望 ・(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望 ・全国山羊ネットワーク及び(社)畜産技術協会からの要望 (2)食品・添加物等の規格基準の取り扱いについて ・(財)機能水研究振興財団からの要望 (3)その他 3.閉会 ○事務局 それでは、引き続き「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産部会」 を開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、「乳等省令の取り扱いについて」「食品・添加物等の規格基準の取り扱い について」御審議いただきたいと考えております。  まず、議題に関連して、部会長の了承を得て参考人を招聘しておりますので、御紹 介をさせていただきます。  社団法人日本乳業協会の南常務理事です。  社団法人全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会の森田専務理事です。  全国山羊ネットワークの今井代表です。  そして、財団法人機能水研究振興財団の堀田常務理事です。  それでは、山本部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○山本部会長 それでは、議事に入らせていただきますが、委員の皆様方には、合同 部会から引き続き、また、参考人の方々も合同部会から引き続き出席いただきまして、 どうもありがとうございます。もうしばらく御審議よろしくお願いいたします。  初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、配付資料を確認させていただきます。  まず、1枚目に議事次第があります。その次に検討事項ということで1枚紙を作成 しております。そしてその次に配付資料ということで、資料1から書かれております ので、確認をさせていただきます。  資料1として、(社)日本乳業協会からの要望ということで「食品衛生法に基づく 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の改正に関する要望」。  そして、資料2ですけれども、(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望とい うことで「乳等省令に殺菌タイプ発酵乳(仮称)の追加の要望」。  そして、全国山羊ネットワーク及び(社)畜産技術協会からの要望ということで、 資料3−1「山羊生産の現状と今後の方向(全国山羊ネットワーク)」が提出されて おります。  そして、資料3−2「殺菌山羊乳の乳質基準改正に関する要望書(全国山羊ネット ワーク)」。  資料3−3「殺菌山羊乳の成分規格改正に関する要望書((社)畜産技術協会)」 です。  そして、資料3−4ですけれども、「山羊乳に関する現況」。  そして資料3−5「山羊の乳量、乳質における個体差とそれらに影響を及ぼす要因 ((独)家畜改良センター十勝牧場)」です。  そして資料3−6ですけれども、「山羊乳における比重及び酸度に係る基準につい て((独)家畜改良センター十勝牧場)」となります。  この資料1〜3についてなんですけれども、資料3−1が今回新たに提出された資 料でして、それ以外の資料については、前回4月に審議をした際と同じ資料です。資 料3−1以外が前回と同じ資料となっております。資料3について、資料番号が1つ ずつ後ろにずれているということです。  そして、(財)機能水研究振興財団からの要望ということで、資料4−1「生食用 鮮魚介類の加工への次亜塩素酸水の使用に関する要望書」。  資料4−2「次亜塩素水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」。  資料4−3「新しい殺菌・酸性電解水」。  資料4−4「次亜塩素酸水の食品添加物指定に関連する資料」。  そして参考資料として、参考資料1「(社)日本乳業協会からの要望に該当する乳 等省令の抜粋」。  参考資料2「(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望に該当する乳等省令の 抜粋」。  参考資料3「全国山羊ネットワーク及び(社)畜産技術協会からの要望に該当する 乳等省令の抜粋」。  参考資料4「(財)機能水研究振興財団からの要望に関する食品・添加物等の規格 基準等の抜粋」となります。  資料の不足等ありましたら、事務局までお願いいたします。 ○山本部会長 ありがとうございました。  資料は皆さん、そろっておられるでしょうか。  それでは、議題に入りたいと思います。1としまして「乳等省令の取り扱いについ て」ということで3点あるわけですが、これらにつきましては、前回4月21日に開 催いたしました本部会におきまして、各協会から提出された要望書の内容について、 参考人から御説明いただき、先生方からも御質問いただいたところです。  まずは、乳業協会からの要望事項について進めたいと思います。乳業協会の要望事 項について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 前回も一応、説明をしていますので、今回は簡単に説明をさせていただき たいと思います。  参考資料1が該当部分になりますけれども、まず、1番目に「乳製品」の定義につ いてとあります。「乳製品」の定義については乳等省令で規定がされておりまして、 「乳製品」とはということで、クリーム、バター、バターオイル、チーズなどという 形で明記がされております。ただし、乳成分のみから構成される食品でありながら、 乳製品の定義に当てはまらないというものがあるので、それらについても「乳製品」 の定義に含めていただきたいという要望となっております。  2番目の「成分調整牛乳」等の成分規格(比重及び酸度)の見直しについてですけ れども、成分調整牛乳を製造する過程で膜処理を行った場合に、現行の成分規格であ る酸度0.18%、あと、比重が現行の基準を満たせない場合があるということで、この 基準について改正をしていただきたいという要望となっております。  そして3番目ですけれども、「脱脂濃縮乳」について、たんぱく質量調整のための 乳糖などの添加を認めていただきたいという要望となっております。  そして4番目ですけれども、乳飲料の成分規格に乳固形分の規定を設けることにつ いて、現在は乳固形分の規定はありませんけれども、乳固形分3%以上のものを乳飲 料として取り扱っている実態があるので、これを乳等省令に明記をしていただきたい という要望となっております。  そして5番目ですけれども、乳幼児のための調製液状乳について、現在のところ、 調製粉乳は規定はされていますけれども、赤ちゃん用の液状のミルクを調製粉乳と同 様な基準として調製液状乳の規定を設けていただきたいという要望となっておりま す。  以上になります。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、追加で日本乳業協会から説明があれば、お願いいたします。 ○南参考人 特にございません。 ○山本部会長 それでは、要望書の内容につきまして、委員の先生方から、ほかに何 か御質問、御意見等はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。  それでは、特に異論がないようでしたら、本内容について、食品安全委員会へ評価 依頼を行うということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山本部会長 では、御了承いただいたということで、ありがとうございました。食 品安全委員会へ評価依頼を行うことにしたいと思います。  続きまして、全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望事項について、事務局から説 明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料2になります。(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの 要望書、あと、参考資料2に該当する乳等省令の抜粋がありますので、並べながら見 ていただければと思います。  全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会からの要望の内容としては、現在、発酵乳の規格基準 に規定がされているものの中に、殺菌をしたものについての規定がない。乳酸菌につ いては、1,000万以上という規定がありますけれども、これが加熱をしたら死んでし まう。そういうふうな加熱をした場合には、この規定を免除するような形の変更をし てもらえないかという要望となっております。  以上です。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、追加で、全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会より説明がありましたら、お願い いたします。 ○森田参考人 前回に御説明して、各委員の先生方からいろいろ御意見ございました。 乳酸菌、特にヨーグルトのような発酵乳について、殺菌することの是非について、い ろいろ御意見ございまして、その後、私どもの協会としても、その御意見を踏まえて、 継続して検討していきたいということで対応してまいりたいと思っております。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、委員の皆様から御意見等ございましたら、お願いいたします。  五十君先生。 ○五十君委員 たしか前回の部会で、殺菌タイプの発酵乳も十分に機能があるので、 きちっとした形で認めていただきたいというようなご提案だったかと思います。今回 の提案でいきますと、結局、加熱タイプの生菌数は測れないので、菌数を取り除くと いうようなお話と思うんですが、そうしますと、前回議論になっておりました、薄め るなどで余り機能の良くない製品も出てくる可能性があるという部分はどのように 担保したらいいかの議論はありましたでしょうか。 ○山本部会長 どうぞ。 ○森田参考人 これは発酵乳ですから、乳固形分が8%以上と決まっておりますので、 希釈されることはまずないと思います。加熱処理というのは、何度、何分して、どう いう形態になっていくのかというところについて、私どもとしてももう少し詰めさせ ていただきたいということがございまして、このものについて、この委員会で直ちに 結論をいただくということではなくても結構だと思っております。 ○山本部会長 ほかに委員の先生方から御意見ございますでしょうか。それでは、こ の件につきましては、継続審議をしていくということでとどめておきたいと思います が、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山本部会長 では、どうもありがとうございました。  続きまして、全国山羊ネットワーク及び畜産技術協会から提出されております山羊 乳に関する要望書について、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明をさせていただきます。資料3−1については、今回新た に全国山羊ネットワークから提出された資料になります。これについては後で山羊ネ ットワークの方から追加で説明があればしていただくとして、私からの説明としては、 要望の内容について簡潔に御説明をしたいと思います。  現在のところ、山羊乳、殺菌山羊乳について、乳脂肪分3.6%以上、あと、無脂乳 固形分8.0%以上という規定になっていますけれども、実際に山羊の乳を個体別に見 たデータが資料3−4のグラフにあります。例えば、乳脂率のグラフでは、3.6%の ところを下回っている状態ですし、あと、無脂乳固形分も8.0%を満たせていない状 況があるということで、実態に合った形に改正をしていただきたいという内容になっ ております。  海外の取扱いについて、資料3−4の一番上の紙にありますけれども、米国では乳 脂率が2.5%以上、無脂乳固形分7.5%以上という規定になっております。EUやコ ーデックス基準、国際酪農連盟の基準はないということになっているそうです。  以上になります。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、続きまして、全国山羊ネットワーク及び畜産技術協会から追加の御説明 がございましたらお願いいたします。 ○今井参考人 今日、追加で資料を提出させていただきました3−1について、今の 山羊乳等生産の現状と殺菌山羊乳の基準が改正されることにより、山羊乳生産の普及 と振興に及ぼす効果について若干述べさせていただきます。  山羊乳の生産販売の現状は、山羊乳の加工品の製造販売が中心で、殺菌山羊乳の販 売は数社にすぎません。項目3を見ていただきますと、山羊乳と、その加工品販売の 事例ということで出ております。そのような状況の中で、乳質基準の改正によって殺 菌山羊乳としての販売が容易になれば、特用ミルクとしての需要がございますので、 販路は拡大するものと思われます。  また、諸般の事情によって山間地の農業が衰退しておりますけれども、山羊を取り 入れて地域おこし、獣害対策、高齢化対策等、いろいろ各地で試みが始まっておりま す。耕作放棄地や、山間地、棚田の保全管理、こういった要望が増えております。そ うしたところでは、山羊乳を販売することによって、地域の特産物の育成と、山羊の 購入費や飼育経費を山羊乳の販売収入で賄うということも可能になります。  また、全国の観光牧場では、ふれあい動物という形で山羊が普及しておりますけれ ども、その山羊の飼育の状況の中で、地域特産物として山羊乳の販売ができるように なって、収益性の向上が図られるようになると考えられます。  地域活性化への取組み事例として、2番目に6か所ほど挙げてございますが、この ほかにも取組み要望は寄せられており、この8月の末に新潟県で開催される第12回 全国山羊サミットでも同様な狙いを持って参加する地域が多うございます。  2ページ目に入りますと、先回の部会でも御質問いただきましたが、山羊乳の健康 栄養面での価値については、山羊乳はノンホモジナイズで十分飲用できることとか、 乳たんぱく質が消化されやすく、牛乳中に含まれるアレルゲン物質が山羊乳では比較 的少ないということで、アレルギー症状がある人の約75%、これはゼロということで はございませんが、山羊乳を摂取することができるとされております。  それから、山羊乳と牛乳を人乳と比較して五訂日本食品標準成分表で拾いますと、 以下の表のような形で、普通牛乳と山羊乳の差はほぼございません。  また、山羊乳には生理活性物質であるタウリンであるとか、共役リノール酸が多い という報告がございます。  また、前出の五訂成分表では、牛乳や山羊乳中のビタミン類の含有量は少なく表示 されておりますけれども、最近の乳牛の研究では、放牧牛の牛乳中にビタミンEやβ −カロテンが多く、更に乳脂肪中のCLAが多いことが報告されております。これは 次の表に記載がございますが、北海道の根釧農業試験場及び九州農業試験場で報告さ れております。  また、成分の基準の維持ということでは、前回の家畜改良センター十勝牧場の説明 資料の中で説明しておりますけれども、生草給与を主とする搾乳山羊では現行の乳成 分率を達成するのは難しいということがございます。  また、乾草を調製する場合、日本の気候の条件下では、草が一番伸びる春先から梅 雨にかけてが非常に天候不順で、乾草調製は難しい。また、乾草調製には機械設備や 労力を要し、生産コストが高くなるということがございまして、放牧は省力的かつ低 コストで、山羊の生産には放牧、生草給与、こういったことが主体的になろうかと思 います。  また、季節的な成分変動の要因についても先回の資料の中で説明させていただきま したが、夏期にはどうしても乳成分が低下いたします。消化のよい飼料を与えること と、不足する養分量は補足給与することが望ましいというふうに考えられます。  また、山羊は季節繁殖性と申しまして、秋に発情がきて種付けし、春に分娩して、 春から秋にかけて乳を生産するというタイプがヨーロッパ原産の品種にございまし て、これが中心ではございますが、これに対して周年繁殖性を付与しようという研究 も始まっております。  それから、これらの品種であっても、長日期、つまり昼が長い時期を30日経過し た後、人工短日期を60日経過させれば発情を誘引できるという研究結果もございま す。  山羊改良の現状については、これから乳量、繁殖性、産肉性等に配慮しながら強健 性を付与することが必要かと思います。  改良に当たっては、牛と同じように人工授精技術が非常に役立つわけですけれども、 この技術そのものはある程度確立しているんですが、技術者の数が不足しているのが 山羊の場合の現状でございます。  それから、改良の組織としては、私ども全国山羊ネットワークは育種関係者と連携 して長野牧場と協力しながら、ヤギ改良協議会を構成する民間機関で造成された系統 の成績を取りながら繁殖や配布を行うような仕組みを構築することを望みたいと思 っております。  補足ですけれども、山羊を生産するということは、当然、雄の山羊も生まれますの で、山羊肉の新しい需要の開拓ということがございますが、沖縄県にあるような伝統 的な山羊肉料理だけではなく、今後は、若い山羊肉を「シェーブルミート」という名 称で専門の業者が扱っておりますけれども、高級食材としてのレストランでの消費、 それから、もっと一般的な肉食品としての山羊肉の需要開拓に取り組む必要があると 考えております。  以上、簡単に説明させていただきました。 ○山本部会長 ありがとうございました。  ただいまの御追加の説明を加えた上で、委員の先生方、何か御質問等ございました ら、お願いいたします。  ちょっといいですか。無脂乳固形分と乳脂肪分の値が山羊乳について決まったのは、 牛乳に準じて決めたということで、山羊の特性を見て決めたわけではないということ でしょうか。 ○事務局 乳等省令ができたのが昭和26年なんですけれども、そのときからずっと 変わっていない。恐らくは山羊の乳の特性は余り考えずに、牛乳の値がその値だった からということでこの値になったものだと思います。昭和26年からその値になって いましたので。 ○山本部会長 ありがとうございました。  確かにアメリカの場合は少し低い値で規定があるようです。  ほかにございませんでしょうか。本部会で特に異論がございませんようでしたら、 内容について、食品安全委員会へ評価依頼を行うということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山本部会長 では、御了解いただいたということで、どうもありがとうございまし た。  それでは、議題1の乳等省令に関する関係団体からの要望事項については以上とし たいと思います。  次に、議題(2)の「食品・添加物等の規格基準の取り扱いについて」です。食品 衛生法で規定されている食品・添加物の規格基準については(財)機能水研究振興財 団より要望書が提出されておりますので、まず、事務局より御説明いただきたいと思 います。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。要望書が資料4−1からあります。 この内容については、後ほど機能水財団の方から説明があると思いますので、参考資 料4になりますけれども、食品・添加物等の規格基準の機能水財団の要望に該当する 部分を抜粋をしているものがありますけれども、これで説明をさせていただきます。  食品・添加物等の規格基準として、生食用鮮魚介類、そして生食用かき、そして冷 凍食品が今回の要望事項に関連しております。  生食用鮮魚介類の規格において、2の(5)で「鮮魚介類の加工は、その処理を行 った場所以外の衛生的な場所で行わなければならない。また、その加工に当たっては、 化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用してはならない。」 となっております。  同様の規定が生食用かき、冷凍食品の生食用冷凍鮮魚介類にもあります。  次亜塩素酸ナトリウムは使えるんですけれども、それ以外の化学的合成品は使用が 認められておりません。それで、機能水研究振興財団からの要望としては、次亜塩素 酸ナトリウムだけではなくて、次亜塩素酸水もその加工に当たって使用できるように してほしいという要望になっております。  こちらの方からは以上です。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、追加で、機能水研究振興財団から御説明をお願いしたいと思います。 ○堀田参考人 機能水研究振興財団の堀田と申します。  お手元の資料の中に、プラスアルファで今日持ってきたもの、「添加物評価書 次 亜塩素酸水 2007年1月 食品安全委員会」があると思いますので、これも参考にし ていただきたいと思います。  お手元にお配りしてあります資料の4−1〜4とございますが、4−4に関しまし ては、次亜塩素酸水というものが認可されたときにどういうことが行われてきたかと いうことを抜粋して示したものであります。こちらの方から説明をさせていただきた いんですが、それの2ページ、表紙の裏側を見ていただきますと、次亜塩素酸水は昭 和14年6月10日に食品添加物として指定されました。表の中に1〜7とございます が、5番目の使用基準のところに、使用前に、pH、有効塩素濃度などを確認すると いう1)〜5)まで5項目ございますけれども、この中に特別、生食用の鮮魚介類に 使用してはならないということは書いてございません。書いてあるのは「2)予め飲 用適の水で食品の汚れを洗浄除去した後、使用すること」「3)使用後は、食品を飲 用適の水で十分に洗浄すること」であります。  次に、食品安全委員会の2007年1月の資料の2ページに非常に簡潔にまとめられ ていますので、ここをごらんいただきたいと思います。  「1 はじめに」のところで、「次亜塩素酸水は殺菌料の一種であり、塩酸又は食 塩水を電解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液である。  わが国では平成14年6月に食品添加物として指定されており、現行の成分規格で は、次亜塩素酸水には、強酸性次亜塩素酸水及び微酸性次亜塩素酸水がある。  また、同様のハロゲン系の殺菌料として、次亜塩素酸ナトリウムが昭和25年に、 高度サラシ粉が昭和34年に食品添加物として指定されている。」  2を飛ばして「3 名称等」に行きますと、存在状態というのが4行目に書いてあ ります。「次亜塩素酸は、pHに依存して、その存在状態が異なることが知られてお り、pHが高くなるにつれ、低い方から、塩素ガス、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン と存在状態が変化することが知られております。」  その下の図に行きますと、pHが8〜10ではCLO−と書いたものが非常に多くな ります。これは次亜塩素酸イオンでありまして、安定な化合物ですけれども、殺菌力 は非常に低いのです。pHが7以下になりますと、HCLOと書いてある次亜塩素酸 の比率が非常に高くなります。この次亜塩素酸が非常に高い比率のものが次亜塩素酸 水と呼ばれるものであります。  その次のページを見ていただきますと、成分規格については、有効塩素の濃度が2 0〜60ppmですとか、あるいは10〜30ppmという具合に非常に低い濃度でできてきます。  その下の使用基準には、「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければな らない。」と書かれています。  また、厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知において、「使用後、食品を飲用 適の水で十分水洗すること。」とされています。  この2点だけが使用基準として指定されているわけであります。  次に、もう少し内容的なことを詳しく御理解いただきたいと思いますので、資料4 −2を見ていただきたいと思います。これは、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム が同類であるということを示したものです。  2ページに電気分解の図が載っております。これは強酸性次亜塩素酸水の生成の原 理を示したものでが、0.2%以下の食塩水を陰極(−)と陽極(+)の間、隔膜を置いた電 解槽で電気分解すると、陽極でH2Oの電気分解と、塩化物イオン(CL−)の電気 分解反応が起きます。すると、CL−からCL2(塩素ガス)が生じ、この塩素ガス がH2Oと反応して次亜塩素酸ができてきます。この図では、右側の反応式のところ にHOCLと書いておりますけれども、これは欧米で表現するときはHOCLで、我 が国ではHCLOと書きます。  結果的に、もともとのpHが6.8ぐらいであったものが、陽極側では2.6ぐらいの ものができてきます。そして4行目のCL2は有効塩素で、おおよそ40ppmのものが できてくるということが書いてあるわけです。  この下の図は、先ほどの食品安全委員会の図と同じものです。pHが8.5〜10ぐら いのところに次亜塩素酸ナトリウムと書いていますが、次亜塩素酸ナトリウムの場合 には、OCL−、すなわち次亜塩素酸イオンの比率が高くなります。それから、pHが 微酸性領域のところに微酸性電解水と書いておりますが、これは微酸性次亜塩素酸水 です。それから、pHが2.2〜2.7ぐらいのところに強酸性電解水と書いているのが強 酸性次亜塩素酸水を指しております。  一番のポイントは、HOCLと書いている次亜塩素酸の比率が高いか低いかでして、 次亜塩素酸ナトリウムの場合には、次亜塩素酸の比率が低いことがおわかりいただけ ると思います。  殺菌活性的に見ますと、次亜塩素酸イオン(OCL−)の状態ですと殺菌力が非常 に低く、分子状態の次亜塩素酸になると、殺菌力が高くなります。大体80倍ぐらい 違うということが言われています。  その結果、殺菌力は、4ページの表2を見ていただきますと、次亜塩素酸水の40p pmのものと、次亜塩素酸ナトリウム1,000ppmのものの殺菌力を実験室的に比較した ものですが、ほぼ同じような殺菌力が得られます。  生食用の鮮魚介類の中で問題になる微生物は腸炎ビブリオ菌ですけれども、これに も非常によく効きます。特に腸炎ビブリオ菌の場合には酸性に弱いということも一般 的に知られていますので、酸性側の方が非常に有利であることがおわかりいただける かと思います。  その上の図4は、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水は概念的にどういう具合に 違うかを示したものです。次亜塩素酸ナトリウムの希釈液はpH7.5以上で、有効塩 素が100〜1,000ppmで使われております。それに対して次亜塩素酸水は、pHが7.5 以下の酸性領域で、有効塩素濃度は10〜100ppmという四角い範囲の中に入っていま す。この中で微酸性電解水と強酸性電解水が現在認可されているという状況です。  化学的に次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムが同じであるというのは3ページ をご覧いただきたいと思います。表1に次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの特徴 の比較を載せていまが、その中の3番目、化学的性状のところで、次亜塩素酸水は酸 性、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性で、主な生成成分は、酸性の次亜塩素酸水は 次亜塩素酸と塩素ガスで、ごくごくわずかに、次亜塩素酸イオンが入ってきます。逆 にアルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムは次亜塩素酸イオンが主体で、次亜塩素酸その ものは非常に少なくなっている状態です。  そして、これを確認する試験のときに、UV吸収のスペクトルを取りますが、次亜 塩素酸水は、酸性では230nm付近に吸収極大、アルカリ性にすると294nmに吸収極大 を示します。これは次亜塩素酸ナトリウムの場合も全く同じです。  それを証明したのが下の図3です。左側のA図は次亜塩素酸ナトリウム、右側のB 図は次亜塩素酸水ですが、一見して両者は全く同じUV吸収のスペクトルを示すこと がおわかりいただけると思います。この試験は、左側の次亜塩素酸ナトリウムの場合 には、アルカリ性ですので、最初は294nmに非常に高いピークを示しますが、塩酸を 使って徐々にpHを下げていきますと、その高い山がだんだん低くなっていき、代わ って230nmのところに山が出てくるということになります。実際にそのスペクトルを 重ねていきますと、このような図になります。純度が高いと、結び目のようなものが できてくるというのが特徴でます。  一方、右側の次亜塩素酸水は、最初はpHが低いので230nmぐらいのところに小さ なピークがあって、290nmのところにはほとんどありません。そこに苛性ソーダを加 えていきますと、だんだん230nmの山が減って、代わって294nmのピークが高くなっ ていきます。結果として、次亜塩素酸ナトリウムと同じスペクトルが描かれることに なっているわけであります。つまり、両者は存在状態が違うだけであります。  次に、表1の4)に安全性と書いてありますが、酸性ではトリハロメタン等々の有 毒な物質の生成はないという非常に好ましい特徴が出てまいります。  こういうことを踏まえて、資料4−3を見ていただきたいんですが、認可される直 前に、当時の基準課の添加物係の方が、日本食品衛生協会が発行しております『食と 健康』という雑誌にこの電解水の解説を載せてくださったものであります。  ポイントだけ説明いたします。まず、2ページ目の「新しい殺菌料・酸性電解水」 と大きく書いてあるところの一番下の段です。「これまで、食品の殺菌の目的で使用 できる食品添加物として亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、高度さらし粉 などが認められておりますが、現在、厚生労働省では、殺菌の目的で使用される新し い食品添加物として、酸性電解水を認めるための手続を進めております」と書いてご ざいます。  次に4ページへ行っていただきたいんですが、一番上のところに「次亜塩素酸が殺 菌力の主体であるという点では、酸性電解水は既に食品添加物として使用を認められ ている次亜塩素酸ナトリウムとよく似ています。  ただし、酸性電解水の中では次亜塩素酸はおもに分子系の形で溶けていますが、次 亜塩素酸ナトリウム水溶液中ではおもにイオンの形で存在しています。  分子型の方がイオン型のものより殺菌力が強いため、同じ有効塩素濃度の場合では、 酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウム水溶液よりも強い殺菌力を示します。」とありま す。  そして、5ページへ行きまして、一番上の段に、「このように酸性電解水は低い有 効塩素濃度で効果を示すため、塩素臭が少ない、手荒れをおこしにくい、野菜などの 食品組織に影響を与えにくい、クロロフォルムなどの副生成物が発生しにくく環境へ の影響が少ないなどの利点があるとされています。」ということが書かれています。  最後に6ページの上から3段目の「使用基準について」というところで、「酸性電 解水は、使用した後に水で洗い流す処理などを行うことから食品にはほとんど残留せ ず、体内には取り込まれないことから、食品添加物の使用基準として、使用対象食品 や最大使用量などは特に規定する必要はないと考えられます。ただし、酸性電解水が 体内に取り込まれないことをより担保するために、『最終食品の完成前に除去するこ と』という基準を設定する予定としています。」とあり、が実際に許可されたときに 「最終食品の完成前に除去すること」が規定されたわけです。  ということで、次亜塩素酸水というのは、次亜塩素酸ナトリウムが酸性側の状態で 存在しているものであって、既に審議会の段階で、特に使用食品に対して規定をする 必要はないという議論もなされていたということで御理解をいただきたいと思いま す。  以上でございます。 ○山本部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございますでしょう か。  事務局に1つ確認しておきたいんですけれども、この次亜塩素酸水ですけれども、 これに関して、問題となるような規定というか、規格というか、そういうものは生鮮 魚介類だけですか。ほかは自由に使っても大丈夫なんですか。野菜等でも使ってもい いかもしれないけれども、それが残ることはないんですか。 ○事務局 添加物の使用基準としてはないんです。ただ、今回お示しした生食用鮮魚 介類、生食用冷凍鮮魚介類、そして生食用かきについては加工基準が定められており 次亜塩素酸ナトリウム以外は使ってはいけないという規定があるので、その部分につ いて、次亜塩素酸水も使えるようにしてほしいという要望になっています。 ○山本部会長 ありがとうございました。  ほかに。どうぞ。 ○西尾委員 これは、生がきも使用してもいいということになるわけですか。 ○堀田参考人 はい。私が答えていいですか。 ○西尾委員 この文書では、そういうことですね。 ○事務局 済みません、もう一回おっしゃっていただけますか。 ○山本部会長 生がきにも使えるようになるということでよろしいわけですね。 ○事務局 はい、生がきにも使えるようになります。 ○西尾委員 もう一つお聞きしたいのですが、できた塩素水は、通常の状態でどのぐ らい維持できるものですか。要するに、塩素が消失していく時間はどれぐらいを要し ますか。 ○堀田参考人 私が答えてもいいですか。 ○事務局 どうぞ。 ○堀田参考人 これは種類によってちょっと違うんですけれども、キーポイントは、 食塩がどの程度入っているかによって大体決まります。現在認められているもので言 いますと、強酸性電解水の場合には、ペットボトルにきちんと詰めて、冷蔵庫などに 置いておきますと1か月以上は全然問題ありません。ただし、オープンなところで置 いておきますと、大体2日ぐらいでなくなってしまうと思います。ですから、使用に 当たっては、できるだけ機械から出てきた新鮮なものを使うということが条件になり ます。  それから、もう一つ認められている微酸性次亜塩素酸水の場合には、塩酸を電気分 解してつくりますので、そこには食塩が入っておりません。  加えて、pHが中性に近い状態になりますので、これの場合には、室温状態に保存 しておいても半年以上は規定の範囲の中にとどまっているという成績が得られてい ます。 ○西尾委員 それは、封をした状態で、遮光した状態ですね。 ○堀田参考人 いえ、遮光しなくても大丈夫です。それから、我々の実験では、ペッ トボトルに詰めて使っていて、途中で空間ができるようになってきても、それでも半 年ぐらいは大丈夫です。強酸性電解水の場合には、ペットボトルの中で常温に置いて おきますと、大体1週間から2週間ぐらいは大丈夫ですけれども、それ以外はちょっ と難しい。 ○山本部会長 今のに関連しまして、食塩の濃度が関係してくるわけですか。それは つくるときの話、例えば、海水にこれを混ぜるということになりますと、どういうこ とになりますか。 ○堀田参考人 海水の場合には、pHが8.3ぐらいですので、これに混ぜますと、非 常に微量ですけれども殺菌力が保持されます。ちょっと飛んだ話になりますが、海水 そのものを電気分解して0.5ppmぐらいの有効塩素濃度をつけてやりますと、実際の 岸壁で魚を洗ったときに非常に効果的です。腸炎ビブリオ等々を防ぐのには非常に向 いております。なぜなら、今一般的に許されていますのは、紫外線で殺菌した海水を 使いますけれども、紫外線で照射した海水は菌が減っているだけです。殺菌力は全く ありません。ですから、魚についている腸炎ビブリオを洗い流すだけであって、全く 殺すことはできませんから、時間の問題ですぐ腸炎ビブリオは増えてくるということ になります。 ○山本部会長 ほかに御質問ございますか。  では、山下先生。 ○山下委員 今の海水で使うという議論について、例えば、生きた貝であるとか魚、 つまり活魚に対して使うということも考えられるということですか。それも法的には 食品衛生法の範囲になるということですか。 ○堀田参考人 業界の実態だけ申し上げます。実際に使っております。例えば、養殖 場や何かで使っているという話を聞いたことがございます。ただし、安全であるかど うかという試験に関しては、実際にミジンコですとか、その他のものを使った試験で は、非常に安全であるということが確認されているだけでありまして、養殖をしたも のが実際に食べたときに安全かどうかという試験は具体的にはされてはおりません。 ですから、業界の方としては、今、認められている食品添加物の殺菌料としての使い 方をしているということです。最終的にはメーカーか、実際に使っている方が責任を 持ってやるという状況にあると思います。ただ、今回は、刺身のようなものを使うと きに次亜塩素酸ナトリウムを使う、要するに、食べる状態のときのものについて使う ことをお認めいただきたいという要望でございます。 ○山本部会長 よろしいですか。  西尾委員。 ○西尾委員 塩素と同じですから、殺菌効果はあると思います。ただ、この場合、p H2.6とか、強酸性水の場合、pHが非常に低い水が出てくるわけです。片一方でアル カリ水も出てくるわけです。ですから、排水するときに、片一方だけ流さずに、でき れば一緒に流すようにして、できるだけ中和した状態で排出されるような指導をされ ると非常によいと思います。 ○堀田参考人 実際には機械から出てきたのを直接使いますので、先生おっしゃって いるとおりの状況になっています。 ○山本部会長 よろしいですか。ほかに御質問ございませんか。  どうぞ。 ○五十君委員 この分野は余りよくフォローしていないので何とも言えないんです が、資料4−3の食品衛生協会発行の資料の5ページに酸性電解水の安全性というと ころがございます。ここのところを読ませていただきますと、基本的には動物を使っ た試験を行い、酸性電解水を飲ませている実験の結果が書いてあります。この議論で は、粘膜組織に軽度の変化が認められた場合があったとあり、この解釈として、pH が低くて、酸の刺激によるものだと解釈されています。最終的にはこれは洗い流すん だからいいんだということで食品の安全性については問題はない、そういう論調で書 かれているんですけれども、実際食品に直接かけて、洗えば多分、問題ないだろうと。 ○堀田参考人 残留試験をやっていますけれども、実際には0.1ppm以下しか残って いないんです。 ○五十君委員 かけただけで、洗わなくても残らないという意味ですか。 ○堀田参考人 そうです。それを更に担保するために、最終的に飲用適の水で洗うこ とというのが付帯条件でつけられているということです。 ○五十君委員 この試験というのは、動物の試験で、食べ物を何に設定するかという のは難しい問題があるかと思うんですけれども、強電解水、かなり高い濃度でさらし たものを洗わないで食べさせるような実験というのはあるんですか。 ○堀田参考人 もう一度おっしゃってください。 ○五十君委員 食品をどう設定するかは非常に難しいんですけれども、強電解水を食 品にさらして、洗わないで食品を食べさせたような動物実験の結果はあるんですか。 ○堀田参考人 直接の実験というのはないと思います。これは流水でやっていますの で、流水の状態で洗ったときにどうかということだけなんです。 ○五十君委員 先ほどお聞きしたかったのは、洗いというのは、具体的には実際の現 場で行われる場合に、かなり甘くなりやすい処理ですよね。 ○堀田参考人 甘くなるというのは? ○五十君委員 要するに、十分に洗われているかの担保というのは非常に難しい処理 かなと思うんです。 ○堀田参考人 ここに書いてありますけれども、実際にやるのはオーバーフローさせ るようなやり方をします。 ○五十君委員 その洗いをやった後が1ppm程度の残り。 ○堀田参考人 いえ、0.1ppm以下です。 ○五十君委員 洗わないとしても、先ほど言ったように、1ppmぐらいしか残らない んですか。 ○堀田参考人 測定したものは、洗わなくても0.1ppm以下です。当時、O−157事件 の後でしたので、水道水には有効塩素が0.5ppmぐらい入っていたんです。0.1ppm以 下しか残っていないのに、わざわざ0.5ppm有効塩素が入っている水道水で洗うとい うのはいかがなものかという議論もあったことは確かです。ただ、これは最終的にそ ういう具合にするということになって、安全性に関しては、次亜塩素酸ナトリウムと 比較したときには、比較にならないぐらい安全です。まず、使用濃度が低いです。そ れから、実際に試験をやりますと、次亜塩素酸ナトリウムの場合には漬け置きでやり ますのでにおいが残ります。測定しても、ちゃんと測定できる範囲の有効塩素が残る 成績が取れています。 ○五十君委員 むしろ次亜塩素の場合は、刺激臭とか、いろんなものが残りますので、 かなり洗わないと食品が食べられない状態だと思うんですが、こちらの場合余り刺激 臭とかが残らないとすると、洗いが甘くなる可能性が高いと思われましたので、洗わ なかった場合にどれぐらい残るかという質問をさせていただいたんですが、今の理解 でいくと、例え洗わなかったとしても、非常に低い有効塩素濃度しか残らないので、 次亜塩素酸ナトリウムよりも安全だということですか。 ○堀田参考人 それで実際に表面の菌や何かは落ちるということは、成績はきちんと 取れていますね。 ○五十君委員 私としては、よく理解していないせいなのか、不安になるのは、有効 塩素濃度が洗わないにもかかわらず0.1ppmぐらいしか残らないのに、なぜ菌がそん なによく死ぬのでしょうか。 ○堀田参考人 これは殺菌力が非常に強いので、瞬時に殺してしまうんです。 ○五十君委員 それで、結局、速やかに分解するということですか。 ○堀田参考人 その後はどんどん分解していきますから、これは環境にとっても非常 に優しい。それから、単純に言うと、相討ちをやっていると思っていただけるといい んです。ですから、食材としての栄養分ですとか、そういったものには環境を与えず に、表面等々に付着しているものを非常によく殺すという特徴があります。実際に殺 菌時間をやりますと、非常に短時間でよく効きますというのが最初の売り文句だった んです。 ○五十君委員 わかりました。 ○山本部会長 ほかにございますでしょうか。  今回の諮問としては、生鮮魚介類に使うということなんですけれども、これは生き た状態の魚や、生きた状態の貝類に使うことは含まれないと考えてよろしいですか。 それとも、それも含めて考えていくんですか。 ○堀田参考人 それは、丸々の生きたものについては今までもOKなんです。規定が あるのは、実際に解体をして、刺身のような状態にした、食するものについての件に ついて、次亜塩素酸ナトリウム以外のものは使っていけないという規定なんです。 ○山本部会長 ただ、かきなどで浄化ということを考えて使う場合には、一晩とか、 かなりの量をずっと流し続けますね。そういう間にそれが残るという可能性は考えな いわけですか。 ○堀田参考人 ですから、そういう試験は一応はやってございます。そのときには残 らないけれども、かきの中のものはきれいになりますよというのは、例えば、1週間 だったら1週間水槽に入れるときに、新鮮なものを入れていくということをやってい くと、いい成績が取れますということはデータとして取ってはあります。 ○山本部会長 よろしいですか。  はい、事務局。 ○事務局 私の説明不足だったんですけれども、参考資料4の1ページに生食用鮮魚 介類というのがあるんですけれども、「生食用鮮魚介類(切り身又はむき身にした鮮 魚介類であって、生食用のもの」と書かれています。だから、丸のままは現時点でも 次亜塩素酸水を使用していいんです。それを解体して、切り身、むき身にしたら現時 点では次亜塩素酸水は使えなくなるということです。 ○山本部会長 よろしいですか。ですから、基準として、昔、そこの部分が残ってい たということを考えてもいいかと思うんです。  ほかに御質問ございますか。特にないようでしたらば、このまま食品安全委員会の 方に評価依頼を行うということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○山本部会長 では、そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがとう ございました。  それでは、時間も大変オーバーしてしまって申し訳ありません。ほかに事務局から 何かございますでしょうか。 ○事務局 議題については特にないんですけれども、次回の日程につきまして、なる べく早い時点で開催したいと考えております。先生方の御都合のよろしいときに設定 したいと思いますので、御協力をお願いいたします。  以上です。 ○山本部会長 どうもありがとうございました。  それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。どうもありがとうござ いました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2489)