09/08/17 第42回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第42回) 開催日時:平成21年8月17日(月)13:00〜15:17 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :田村部会長、鈴木部会長代理、岩渕委員、清水委員、武見委員、田宮委員、市川委員、      酒井委員、中村委員、政安委員 ○田村部会長  定刻になりましたので、ただいまから第42回独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催いたしま す。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 本日は全員がご出席です。  それでは、はじめに事務局から本日の議事等につきまして、簡単に説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事につきましては、平成20年度財務諸表に関する意見及び業務実績に関する総合評価を、 法人ごとに分けて審議を進めていただきます。これに伴い、部会の途中で法人及び所管課の入替えが ございます。  順序ですが、まず財務諸表に関する意見についてご審議いただきます。各法人の財務諸表に関する 意見については、担当委員である清水委員、岩渕委員からご発言をいただき、それを踏まえご審議い ただきます。  次に、平成20年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき起草委員にて起草いただ いた総合評価の案についてご審議いただきます。なお、これまで皆さまにご記入いただきました評定 記入用紙、評価シート、各委員の評定結果一覧表をお手元に置かせていただいています。後ほど、本 日の審議等を踏まえて、評定を修正・確定していただく時間を設けさせていただきますので、よろし くお願いいたします。  また、本日の議題とは直接関係はございませんが、お手元に参考資料として、「独立行政法人評価 委員会における『独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与水準』の活用について」をお配りして います。これは昨年度も同様に送付がございましたが、総務省行政管理局より各府省の独立行政法人 評価委員会あての送付があったものです。役職員の給与等の水準をまとめた資料となっていますので、 ご活用いただければと存じます。以上でございます。   ○田村部会長  ありがとうございました。それでは審議に入りますが、まずは、総合評価書、財務諸表に関する意 見の取りまとめにつきましては、委員の皆様には大変お忙しい中ご尽力いただきまして、誠にありが とうございました。  はじめに、労働安全衛生総合研究所について審議いたしたいと思います。  まず最初に、財務諸表に関する意見についてです。財務諸表につきましては、独立行政法人通則法 38条に基づきまして、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することと されています。  それでは、財務諸表につきまして、担当の委員である清水委員、岩渕委員から意見書(案)の内容 も含めまして、簡潔にご説明をお願いします。まず、清水委員からお願いいたします。 ○清水委員  清水です。財務諸表につきましては、特に問題になることはありませんでしたので、このとおり承 認することが適当であると考えています。併せて気づいた点も含めて述べてよろしいでしょうか。10 日の日にヒアリングをさせていただきまして何点か気づいた点がございますので、簡潔に申し上げた いと思います。  労働安全衛生総合研究所ですが、当期は利益を1,430万円ほどを計上されています。自己収入が主た る利益の要因となるわけですが、現在のところは、目的積立金の申請を行わないとされています。主 な自己収入は政府受託収入等ですが、これの申請を行わない理由といたしましては、人件費の配賦を 行った場合には利益が出ないということを推定で判断されているとのことですが、今後は、そういっ たことを適正に配賦計算をしてみて、本当に申請を行うにふさわしい利益が出ていないことを確認さ れることをお願いしたいと思っています。  経費の節減等の努力につきましては、これは効果が非常に現れていると思われます。特に業務経費 につきましては、16.7%のマイナスということで中期目標期間の数値目標の5%を前倒しで達成されて いるようでございます。しかしながら一般管理費につきましては、やはり同期間の目標15%に対しま して6%、人件費につきましては、目標5%に対しまして2.25%のマイナスということで半分以下の削 減率にとどまっています。特に一般管理費なのですが、今後、修繕費の見直しで、真に緊急性の高い 修繕だけを行うことによりまして、この数値を達成される予定であることをお聞きしていますが、修 繕費の繰延べといいますのは、抜本的な経費の削減には該当しないと思われますので、それ以外の項 目につきましても見直しをしていただき、目標を確実に達成していただきたいと思っています。  昨年度も問題になりましたラスパイレス指数ですが、前年度1を超えていたという状況でしたが、20 年度では、1を下回って95%程度で、その低減に努められたことは評価できると思います。  契約につきましても、随意契約の占める割合、あるいは一般競争入札の中でも一者応札というもの の割合は改善していまして、この点につきましては評価できるわけなのですが、依然として一者入札 の割合が、金額、件数いずれにしましても半分以上あるということで、これにつきましても引き続き 抜本的な改善策をお願いしたいと思っています。特筆すべきは保有資産の有効活用に努められたと、 全体的には少ないですが、昨年の機器貸与収入の6万円が、今年度は60万円ということでかなり増え ていますので、この点につきましては積極的に評価できると考えています。私のほうは以上でござい ます。 ○田村部会長  ありがとうございました。続きまして岩渕委員からお願いいたします。 ○岩渕委員  専門的なことにつきましては、いま清水委員のご報告にありましたとおりでございます。私は国民 的な視点から若干思うままを言わせていただきます。ラスパイレス指数に関しましては、かなり努力 されて工夫されていると思いますが、ただこういったようなことが歪みを生まないかという点を懸念 しています。それと直結するものではありませんが、例えば任期制が大原則になっていまして、そう いった任期制が本来の目的からは若干ずれて、例えば経費の節減、人件費の節減みたいな要素が強く なると、これは本末転倒でして、そうならないように各法人、これは各法人共通の話ですが、十分に 配慮していただきたいということです。同様に、その点でいきますと、これも各法人共通ですが、政 ・独委が何を言っているかは知りませんが、やはりそういう現場の研究者たちがいろんな苦労をして いるのに比べて、やはり理事長とか役員の報酬が多すぎるという印象を禁じ得ません。そのようなこ とでありますので、本委員会の所掌事務を越えているといえばもちろんそのとおりですが、しかし唯 々諾々として言われたことだけをやっているのでは話にならないと思いますので、1つそういう点でも 全体のバランスの取れた人件費というものをもう少し検討してみる。政・独委にあえて要求したいぐ らいのつもりでいます。  現場の研究者たち、あるいは事務職員も含めまして大変努力されているのは非常によく理解できま す。そうした中でいいますと、これも各法人共通なのですが、ワークライフバランスという政府が掲 げる大きな流れの中で、それが実現できるような職場環境なのかという点もやはり懸念がぬぐいきれ ないところがございます。非常に忙しく多岐多様に渡る職務をこなしていらっしゃるという点では、 そういったようなことも、それぞれの法人ですべて節約ということではなくて、工夫の仕方、方向を もう少し考えていただきたいと思います。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告いただきました、労働安全衛生総合研究所の 財務諸表につきまして、ご意見等がありましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。何かご ざいますでしょうか。よろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは平成20年度の財務諸表に対する意見としては、資料1-1の案の とおりで修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、 よろしいでしょうか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきたいと思います。  次に、労働安全衛生総合研究所の総合評価について審議をさせていただきたいと思います。審議に つきましては、まず、事務局より総合評価書(案)について概要の説明をいただきまして、その上で、 起草委員から今回の総合評価についてコメントをいただき、その後に審議をさせていただければと考 えています。  それでは、事務局から総合評価書(案)の概要説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  お手元の資料1-2に沿って説明させていただきます。1頁、1「平成20年度業務実績について」から はじまってございます。構成は例年どおりです。1「平成20年度業務実績について」で全体的なことを 述べていまして、2頁以降「具体的な評価内容」のところでもう少し細かい内容となっています。  1の(1)「評価の視点」です。こちらについては、労働安全衛生総合研究所の設立経緯ですとか、そ れに触れた上で「独立行政法人整理合理化計画」等評価に当たって参考にしたものを書いてございま すので割愛させていただきます。  (2)「平成20年度業務実績全般の評価」です。平成20年度は、2つの研究所の統合から3年度目に 当たり、統合メリットをより一層発揮するために、清瀬地区の産業安全研究所と登戸地区の産業医学 総合研究所の2研究所体制から3研究領域制に移行し、柔軟な組織体制を確立していることをまず最初 に述べています。柔軟な組織体制を確立し、加えて研究職員の採用についても、安全、衛生及び環境 の3領域の管理職が同時に面接をし、専門分野の能力はもとより、研究者としての将来的な発展性につ きましても見極めた上で採否を決定をしています。  また、研究所は労働者の安全及び健康の確保に資する調査研究や労働災害の原因調査といった公平 性・中立性の求められる重要な業務を担っており、調査研究につきましては行政のニーズ、社会的ニ ーズの把握に積極的に努め、研究成果が、労働安全衛生法関係法令、通達、ISO、JIS等、労働安全衛 生に関する国内基準、国際基準の制定・改訂等に貢献しており、研究所の限られた人的資源を考慮す ると、大きな成果をあげているものと評価できるとしています。  1頁目の後半からですが、論文発表数につきましては、目標を大幅に上回るとともに、学会等におけ る受賞件数が大幅に増加する等、論文の質につきましても高い水準が確保されており、中期計画を大 幅に上回るものとして高く評価できるとしています。  また、論文等の研究成果の普及についても機関誌『Industrial Health』、『労働安全衛生研究』の 全文掲載を含め、社会的関心の高い情報、事業場で必要とするデータベースをホームページに掲載し ており、その結果、ホームページへのアクセス数が倍増するなど、中期計画を大幅に上回るものとし て高く評価できるとしています。  また、労働災害の原因調査等につきましても、例年どおり高いレベルで実施していること、さらに、 こうした災害に関する情報を広く共有することにより、再発防止を図るとする行政施策を支援するた めに、新たに死傷病報告の分析等を実施したこと等も中期計画を上回るものとして評価できるとして います。  これらを踏まえますと、平成19年度の業務実績につきましては、研究成果が国の基準等に反映され たこと、労働安全衛生に関する研究成果が国際学術誌やインターネットを経由して普及されたこと、 行政からの労働災害の原因調査等の依頼に着実に対応したこと等、多くの社会的貢献を行ったことか ら、研究所の目的であります「職場における労働者の安全及び健康の確保」に資するものであり、高 い水準で業務を実施したと評価できる、とまとめています。以上が全体的な評価でして、続いて個別 的な「具体的な評価内容」に移らさせていただきます。  2頁の下からですが、(1)「業務運営の効率化に関する措置について」です。こちらにつきましては、 先ほど述べていました3研究領域制に移行したことについて詳しく述べています。3頁では、研究体制 が新しくなったことに加えまして、新たにプロジェクト研究発表会を開催し、成果等の普及や労働現 場のニーズ把握に努め、また、研究管理システムについて見直し、充実を図り、研究の進捗状況のモ ニタリング、業績評価等に基づき適切な研究管理・業務運営に努めており、中期目標を上回るものと 評価できるとしています。  また、先ほど清水委員からもありましたが、経費削減につきましては、競争的資金、受託研究、そ の他の自己収入を増加させるとともに、業務経費は目標のマイナス5%に対して、マイナス16.7%とな り、中期計画の数値目標を前倒しで達成しているとしていますが、一般管理費については、目標マイ ナス15%に対しまして、マイナス6%にとどまっていますので、一般管理費の今後の削減計画について は、大部分を修繕費の繰延べで対応するとしていますが、これも清水委員からご指摘ありましたこと を書いてあるものだと思いますが、これは必ずしも根本的な経費削減とは言えないため、その他の費 用すべてにつきましても見直しが必要であると書いています。  続いて(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項について」です。 (1)「労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」についてです。こちらにつきましては、労働 安全衛生重点研究推進協議会におきまして、労働現場のニーズを踏まえ産業安全研究分野において、 研究機関が今後優先的に取り組むべき課題を重点4研究領域・24優先課題(案)として取りまとめて いることを述べています。加えてシンポジウムの主催、研究交流会、業界団体との意見交換会、学会 参加等、独立行政法人の特性を活用した多様な方法によりまして、労働現場のニーズの把握と業務へ の反映に努めており評価できるとしています。また、厚生労働省との意見交換会、情報交換会、行政 支援研究を実施し、行政ニーズの把握と業務への反映にも成果を上げており評価できるとしています。  (2)「プロジェクト研究、基盤的研究について」です。こちらにつきましては、平成19年度から政府 長期戦略指針・イノベーション25に基づく5研究課題を実施していますが、加えて平成20年度から WHOのGOHNET研究に基づく研究課題の研究を開始するなど、社会的要請の変化に機動的かつ柔軟に対 応している。プロジェクト研究等の成果は、労働安全衛生法令の関連法令の改正や通達等に活用され ている、としています。  また、ナノ粒子のリスク評価、石綿の職業ばく露、統一的危険・有害性評価体系の構築など労働現 場のニーズを踏まえたレベルの高い研究が行われていることも評価できるとしています。しかしなが らとして書いていますのは、GOHNET研究の一部につきましては、外部評価において問題点を指摘され ているものがあることから改善が望まれる。その他プロジェクト研究の成果の評価に当たっては、関 連論文のインパクトファクターを考慮に加えることが望まれるとしています。このほか、なお書きに 書いてありますが、基盤的研究の位置づけを長期的な視点に立った研究としていますが、その長期的 視点の内容と個別課題の関連を外部から見えるように工夫することが望まれるとしています。  (3)「学際的な研究の推進について」です。3研究領域制への移行により、労働安全と労働衛生の両知 見を活用した研究を実施するなど、学際的な研究推進体制が構築されている。また、労働安全と労働 衛生の両知見を活用し、小規模事業場における安全衛生リスク評価法や統一的危険・有害性評価体系 の構築等といった、産業安全と労働衛生の両分野の統合効果が具体的な研究テーマとして結実し始め たことを評価できる、としています。  (4)「研究項目の重点化について」です。こちらにつきましては、基盤的研究の課題数について中期 計画を上回る削減を達成していると書いています。なお、今後基盤的研究の削減によりプロジェクト 研究に研究リソースを集中化したことによる、その具体的な成果につきまして見守っていく必要があ ると書かれています。  (5)「研究の評価の実施について」です。清瀬地区、登戸地区共通の評価基準に基づいて、全研究課 題の事前、中間及び事後の内部評価を行っている。それとともにプロジェクト研究、イノベーション 25研究及びGOHNET研究につきましては、外部評価委員による事前、中間及び事後評価を行っている。 これにより、他の研究機関が行う研究との重複の排除や研究の進行管理、さらには人事、表彰、研究 予算配分等の研究管理・業務運営にも反映しており評価できる、としてございます。しかしながら、 外部評価の結果、「行政的・社会的貢献度」の評点が低い課題も見受けられましたことから、このこ とに対する改善が望まれるとしてございます。  (6)「成果の積極的な普及活用について」です。こちらも全体のところでも書いてありますが、調査、 研究で得られた科学的知見につきましては、関係法令の改正、通達等の制定・改正など国内外の基準 制定に活用されており、行政ミッション型研究所としての役割を果たす好事例であり評価できるとし ています。論文発表数についても、目標を大幅に上回っていること、学会賞の受賞件数が増加してい ることなど、論文の質も高い水準が確保されているとしています。原著論文数が増加したことは、研 究機関としては重要なことであり高く評価できるとしてございます。  また、こちらも繰り返しになりますが、研究成果の普及につきまして、機関誌『Industrial Health』や『労働安全衛生研究』の全文掲載をはじめ、社会的関心の高い情報、事業場で必要とする データベースをホームページに掲載し、その結果、ホームページへのアクセス数が倍増するなど中期 計画を大幅に上回るものとして高く評価できるとしてございます。  (7)「労働災害の原因の調査等の実施について」です。労働災害の原因調査等については、非常に労 力を要する業務であり、件数的には昨年同様でありますが、国民への貢献度において高いものがある としています。特に、原因の解明が困難な調査、鑑定等について、科学的根拠に基づき原因の特定を 行い、労働基準監督署及び警察署から高い評価を受けたことは評価できるとしています。また、死傷 病報告の全体分析は、個々の労働災害の調査分析と両輪をなす重要なものであり、これに取り組めた ことも評価できるとしてございます。  次に5頁の下の(8)「国内外の労働安全衛生関係機関等との協力推進について」です。我が国における 今後の労働安全衛生研究指針となる安全衛生重点研究領域・優先研究課題の策定を行っているほか、 年6回発行した国際学術誌『Industrial Health』において、投稿論文数もかなり増加するなど、着実 に成果を上げており評価できるとしてございます。  6頁に移ります。また、7大学との連携大学院協定に基づく活動や、非常勤講師の派遣など大学との 連携強化、若手研究者の受入れ、労働安全衛生機関への協力・支援に努めていることは評価できると してございます。その他、ナノマテリアル・石綿等これらの物質による生体影響と予防対策に関する 緊急性の高い分野において、世界的研究拠点である大学・研究機関と新たに2件の研究協力協定を締結 し、国際共同研究を推進していること。研究員の派遣、受入れ数が中期目標の数値目標の20人の大幅 に越えて49人の実績を作っていること。共同研究の実施状況も増加して、全研究課題に占める割合が 39%と目標の15%を大幅に越えていることなどを書いていまして、こうした点から同分野における研 究を振興し若手研究者等の育成を図る観点から、こういったところを評価できるとまとめています。  次に(3)「財務内容の改善等について」、(1)「運営費交付金以外の収入の確保について」です。こち らにつきましては、競争的研究資金、受託研究費等の獲得に努めまして、いずれも前年度より増額さ せていること。また、研究施設の有償貸与や著作権等による自己収入も大きく増額させており評価で きるとしてございます。  (2)「予算、収支計画及び資金計画について」です。こちらも前に触れていますが、経費節減の努力 の効果は現れていまして、業務経費は目標のマイナス5%に対しましてマイナス16.7%となっていて、 中期計画の数値目標を前倒しで達成していることを書いてあります。こちらも繰り返しになりますが、 一般管理費の目標削減がマイナス6%にとどまっていることから、今後残り2年間の中期目標期間にお ける目標達成に向けて、着実に実施し達成していくことが必要であるとまとめています。  (3)「人事に関する計画について」です。研究職員の採用につきましては、公募による選考を適切に 実施しています。また、昇任、昇格等の人事管理を評価基準に基づき、公平、適正に行い、人件費総 額の節減、給与水準の適正化に努めています。7頁、なお、人件費の削減については、目標のマイナス 5%に対して、マイナス2.25%の削減率にとどまっていますので、これらを確実に達成していくことが 必要であるとまとめています。  (4)「その他業務運営に関する措置について」です。こちらにつきましては「独立行政法人整理合理 化計画」において、労働安全衛生に係る研究業務等の一層の総合化を図る観点から、独立行政法人労 働者健康福祉機構と統合するとされておりますので、統合による研究によるシナジー効果を上げるた めの方策について検討を行うなど、これに向けた準備作業にも意欲的に取り組んでおり、評価できる とまとめています。  最後になりますが、(5)「『独立行政法人整理合理化計画』、『独立行政法人の業務の実績に関する 評価の視点』等への対応について」です。(1)「財務状況について」、こちらも何度も出てきておりま すので、前半は割愛いたしますが、「しかしながら」のところで清水委員からもご指摘がありました が、受託研究収入の増が増加傾向にあることから、毎期適正に配賦計算を行い、目的積立金申請にふ さわしい利益が出ていないことについて明確に確認すべきであるとしています。なお、研究所におき ましては、繰越欠損金は発生していません。  (2)「保有資産の管理・運営等について」です。研究所は、前身である産業安全研究所及び産業医学 総合研究所が平成13年に独立行政法人化した際に国等から事業に必要な資産だけを承継して事業を開 始しており、現時点では不要な保有資産はないものと判断しています。  (3)「人件費管理について」、事務職のラスパイレス指数が平成19年度は100を大きく超えていたの に対しまして、平成20年度は95.1と低減されています。研究職の平成20年度につきましては、92.2 となっており、これも適切に管理されているものと評価できます。今後とも、国民の理解を得られる 適正な給与水準の維持に努めることが望まれています。  (4)「契約について」です。契約全体の随意契約に占める割合や一般競争入札の一者入札割合は、平 成19年度に比べて改善しています。しかし、依然として一者入札の割合が高いことについてはさらな る改善の努力を継続するとしていますが、具体的な方策の提示が望まれるとまとめています。  (5)「内部統制について」です。利益相反審査・管理委員会規定を整備したほか、動物実験におきま して厳正な研究倫理審査を行うなど、公正で的確な業務の推進を目指した多面的な活動が行われてい ます。また、研究所のホームページに不正通報窓口を配置し、研究所の外部からの通報をメールで受 け付けられるようにしています。概ね中期目標に沿った実績を上げているものと評価できるとしてい ます。  (6)「中期目標期間終了時の見直しを前提にした取組みについて」です。先ほどの労働者健康福祉機 構との統合の予定がありますので、現在共同研究の推進や管理業務の統合等、組織・業務の見直しの 検討を進めているとしています。  (7)「業務改善のための役職員のイニシアティブ等について」です。業務の効果的・効率的推進を図 るとともに、人件費や業務経費等のコスト管理を推進するため、研究所の運営会議におきまして、分 析・評価をしていまして必要な措置を講じているとまとめています。  (8)「法人の監事との連携状況について」です。当委員会では、評価の実施に当たり、監事の監査報 告書の提出ならびに監事が行った財務諸表の検討点及び業務運営上の検討点について説明を受け、こ れら検討点も踏まえて評価を行っています。  最後に9頁、(9)「国民からの意見募集について」です。当委員会では、研究所の評価の際に国民の意 見を反映させるため、研究所の平成20年度の業務実績報告書について、今年の7月8日から8月7日 までの間パブリックコメントを実施していますが、研究所あての国民からの意見は提出されなかった ことを記載しています。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。続きまして、起草委員を代表しまして、私のほうから発言させていただ きたいと思います。  労働安全衛生総合研究所の平成20年度の業務実績につきましては、先ほど説明がありましたが、こ の労働安全衛生総合研究所は、平成18年度に産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合いたしまし て、3年目にあたるものです。また、職場における労働者の安全及び健康の確保に資する研究というの が、この研究所のミッションです。そのミッションに向けまして中期計画の3年度目でどこまで達成さ れているか、そういった点で評価をさせていただきました。  その結果は、1点目は、統合メリットが活かされているかどうかということです。先ほど説明があり ましたが2研究所体制から安全研究、健康研究、環境研究の3研究の領域体制へ移行されまして、そう いった意味で柔軟な組織体制でミッションの実効を上げるための努力がされている。そして、統一し た研究評価基準、これは平成19年度に作成されたものですが、それに基づきまして内部評価、外部評 価が行われ、その結果、研究の適正な見直し、研究予算の配分等が実施されている。そして研究職員 の採用につきましても、3つの研究領域の研究分野の内容については、各分野の管理職の方が対応され ています。そういった意味で統合効果につきましては適切に果たされているのではないかと思ってい ます。  2点目は職場における労働者の安全及び健康の確保という研究所のミッションに資する研究がどうか という点です。行政ニーズ、社会的ニーズの適切な把握については、十分に調査研究を通じてやって おられます。調査研究の成果につきましては、先ほどご紹介がございましたが、学会等において受賞 件数が大幅に増大するという論文の質の面、あるいは数の面におきましても目標を大きく上回ってい るということで、これは評価できる点ではないかと思います。また、そういった論文等の研究成果に ついてもいろいろな場を通じて普及に努められている。また、労働安全衛生関係法令、通達、ISO、 JIS等の国内基準、国際基準の制定・改正に大きな貢献をされた。そしてまた、行政からの労働災害原 因調査等に高度な科学的知見を活用され貢献されています。そういった意味でこのミッションに対し て、よく努力をされているところではないかと思っています。  以上から、労働安全衛生総合研究所につきましては、統合によるメリットを活かし、研究ミッショ ンに対して適切に応えておられるのではないかと思います。先ほど来、いくつかのご指摘もありまし たので、今後そういった点に対しても十分な改善に努めていただきたいと思います。以上です。  それでは、ただいまご報告がありました総合評価書(案)につきまして、ご意見等がありましたら いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは 特に修正意見がないようですので、平成20年度の業務実績の評価結果として、法人及び総務省政策評 価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、今後、誤 字脱字、事実誤認等による修正が必要となりました場合の対応につきましては、よろしければ私に一 任していただきたいと存じます。以上につきまして、そのような取扱いをさせていただいてよろしい ですか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきます。最後に法人の理事長よりコメ ントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○労働安全衛生総合研究所理事長  これまで長い間、当研究所の評価をいただきまして、誠にありがとうございました。全体的な評価 といたしましては「ミッションをよく達成している」と評価を受けたと今お聞きしましたので、それ はそれでありがたいことだと思っています。非常にありがとうございました。それと同時にいくつか 問題点があるということで、経費、財務上の問題、それから研究業務、一部の研究につきまして若干 の問題があるということで、これらにつきましては、これから鋭意改善すべく努力して参りたいと思 いますので、今後ともよろしくお見守りいただければと存じます。  私ども研究所は、あと2年弱で再度、労働者健康福祉機構と統合ということがスケジュール化されて いますが、それにつきましては、具体的にどのように統合をすれば良い効果を得るかにつきまして、 なお一層の検討を推進していきたいと思っています。という決意を述べますとともに、この評価に対 しましてお礼を申し上げることで、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 ○田村部会長  どうもありがとうございました。それでは現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定を修 正したい方は、ここで修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 なお、修正に当たりまして、事務局より留意事項があるとのことですので、よろしく説明をお願いし ます。 ○政策評価官室長補佐  前回までにご記入いただいた評定記入用紙及び評価シートは机の上に置いています。本日の財務諸 表等に関する報告等により個別評価の修正が必要になった場合には、赤鉛筆を机の上に用意していま すので、そちらで修正していただくようお願いいたします。また、合わせて付箋を机の上に置いてい ますので、もし修正がある場合には、その修正箇所にわかるように付箋をお貼りいただければと思い ます。  また、机上配付しています「個別項目に関する評価結果集計表」につきましては、現時点でいただ いている評点をSを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点として点数化したものです。委員名は空 欄としてありまして、委員各自のところにご自分のお名前のみをわかるような形で配付しています。  最後に作業に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料をもし確認したいということがありま したら、事務局のほうで数部用意していますので、お申し付けいただければお持ちいたします。よろ しくお願いいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは適宜修正等をお願いいたしますが、修正に当たっての質問事項 等がありましたらお願いいたします。何か質問はございますか。修正等につきまして、よろしいです か。それでは5分ほど時間を取らせていただきますので、評価シートの確認や修正をお願いいたします。                  (修正時間) ○田村部会長  評価シートの確認・修正等はよろしいですか。それでは、これをもちまして、労働安全衛生総合研 究所の平成20年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。  各評価書には、評価結果の別紙として、評価シートの集約版が添付されておりますが、本日評価の 確認・修正を行っていただいたことによりまして、当部会全体としてのS〜Dの評定及び評定理由が変 更になった場合、また各委員のコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シート 集約版を添付するということにさせていただきます。  評価シートの集約版につきまして、S〜Dの評定に変更があるなどの際には、委員会全体としての評 定理由も合わせて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文章につきましては、よろ しければ私のほうに一任していただければと思います。場合によりましては個別に各委員にご意見を 伺うこともあるかもしれませんので、その際にはよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、ここで法人・所管課の入替えを行いますので、5分後に再開いたします。どうもありがと うございました。 (法人及び所管課の入替え) ○田村部会長  それでは、国立健康・栄養研究所の財務諸表に関する意見についての審議に入ります。まず、清水 委員から簡潔にご説明をお願いします。 ○清水委員  財務諸表に関しては、特に問題はありませんので、このまま承認をすることが適切だと考えます。  それでは、ヒアリングの結果、気がついた点を数点申し上げたいと思います。平成20年度は、当期 損失で、580万円計上されていますが、その主要な要因は、NR事業、これが損失440万円を出していま す。この事業は、運営費交付金の交付の対象となっておらず、収支相償が原則だという位置づけです ので、この事業のあり方に関する検討会の答申も出ているようですが、これらを踏まえて、事業計画 を適切に見直すことをお願いしたいと思っています。  それから、経費節減の努力は、一般管理費、業務経費ともに、かなり前倒しで中期目標期間の数値 目標を達成しておられるようで、顕著に現れていると言えると思います。  人件費については、同期間の数値目標5%に対してまだ3%程度の削減率にとどまっていることから、 残すところ2年、この中で効率化を含めた今後の人事政策を明確にしていただきたいとお願いしていま す。  これに関連して、ラスパイレス指数、先ほどから出ている問題ですけれども、昨年度は事務職、研 究職も含めて100を切っていたのに対して、平成20年度は100を上回ったということで、事務職が 104.8、研究職が101.3ということです。これらの理由については、本省からの出向者の方が増えたこ と、あるいは管理職の割合が高くなっていること、所在地が新宿区であることという説明をいただい ていますけれども、今後人事異動を行う際に、職員の配置を給与面からも検討されるとか、退職者の 補充を行われる際には、公募によって中途採用等を積極的に進める等を行う予定とお聞きしていまし て、今後の医薬基盤研究所との統合に向けた検討の中でも、給与水準のあり方について検討していく という回答をいただいています。このようなことから、この成果を引き続き注視していきたいと思っ ています。  契約に関しては、件数、金額とも減ってきているわけですけれども、全体的に、随意契約の占める 割合、あるいは一般競争入札の中での一者入札の割合が依然多いです。このことについては、引き続 き具体的な改善策を講じていただきたいと考えています。私からは以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。続きまして、岩渕委員からお願いします。 ○岩渕委員  これも、各法人共通の問題点として、随意契約がだいぶ減ってきているのは好ましいことではある のですが、ただ、いろいろな法人のヒアリングをしてみると、例えば前に比べると1億円以上節約でき たというようなことを聞きますと、では、いままで何をやっていたのだというように、国民の眼から 見ると非常に奇異な感じを受けます。これらを含めて、スケジュール通りやっているからいいだろう という感覚では、例えば一般競争入札にしても一者入札が永遠に残ることになり兼ねないので、前倒 しするつもりでやっていただかないと、これはなかなか困ったものだと思います。  それから、もう1点、NR事業については、当初から本委員会でこの業務のあり方、存在、システム 的な問題も含めて、いろいろ危惧の念を示してきたと理解しています。今回そのような意味で言うと、 財政的に若干問題が露呈してきているので、これについては、今後受験生の減少が一時的な減少だと いう捉え方ではなくて、ずっと続くということも覚悟しながら、この法人の重荷にならないような形 できちんとした対処をしていただかないと、後で大変なことになると申し上げておきます。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告をいただいた国立健康・栄養研究所の財務諸 表について、ご意見等がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。何かご意見ご ざいますか。よろしいでしょうか。  それでは、平成20年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の案のとおりで修正意見はない ようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  それでは、次に、国立健康・栄養研究所の総合評価について審議したいと思います。まず、事務局 より総合評価書(案)の概要説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料2-2、総合評価の案、こちらについて概要を説明します。先ほどと構成は同じになっていまして、 1頁、1「平成20年度業務実績について」と、2頁以降の2「具体的な評価内容」についてと分かれて います。  1の(1)「評価の視点」については、当該研究所の設立経緯と評価の際に注目したポイントについて 書かれていますが、割愛させていただきます。  (2)「平成20年度業務実績全般の評価」です。こちらは、第2期中期計画において明確に打ち出され た研究所の理念に基づいて、健康と栄養に関する我が国の中核研究機関として、メタボリックシンド ロームをはじめとする社会的に重要な健康課題に、積極的に取り組んでいる姿勢がうかがわれるとし ています。特に、3つの重点調査研究については、各プログラムが相互に連携しながら、食事や運動な どの生活習慣による健康への影響の解明、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の策定や「健康日 本21」の推進・評価のための国民健康・栄養調査の機能強化に係る研究及び健康食品の安全性・有効 性を確保するための情報収集・提供等の取組みが行われており、評価できるとしています。  重点調査研究のほかに、若手研究者による独創的・萌芽的な研究や食育など、社会的ニーズを踏ま えた調査研究が行われており、これらの研究成果は主要な学術誌に原著論文等として多数発表されて おり、高く評価できるとしています。  また、研究成果については、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の策定や「健康日本21」の推 進、生活習慣病予防対策等に活かされるとともに、一般公開セミナーやホームページ等を通じて、広 く国民等へ提供されていることから、評価できるとしています。国際協力や産学連携についても、こ れまで以上に積極的に取り組んでいるとしています。  業務運営についても、中期目標の確実な達成に向けて、様々な取組みがなされており、平成18年度 に移行したプログラム/プロジェクト制の下に、プロジェクトの位置づけや進捗等に応じたメリハリ のある人員配置や予算配分、研究成果や貢献度合に基づく処遇への反映などへの取組みを行い、安定 した研究・業務組織の運営が図られているとしています。その他、事務職員による予算執行管理シス テムの開発・導入や定型的な業務の外部委託を推進するなど、業務等の効率化・合理化に取り組むと ともに、プログラムごとの業務進捗状況の把握やコスト管理の徹底、消耗品等の一括購入や原則一般 競争入札による経費節減など、業務運営全体として効率化等が図られており、評価できるとしていま す。  これらを踏まえると、平成20年度の業務実績は、全体として当研究所の目的を達成していることを 書いていますが、以下の点に留意する必要があるとしていて、3点特記しています。  1点目、重点調査研究の1つである、「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研 究」について、運動や食事と生活習慣病との関連の解明など、優れた成果が出ていますが、今後、運 動と食事との併用効果に関する詳細な検討や、国民の健康にどう役に立つのかをわかりやすく伝える 工夫が重要であるとしています。また、調査研究全般について、国の独立行政法人として公平性・中 立性が求められる研究課題の一層の重視が必要であるとしています。  2点目、若手研究者による創造的・萌芽的研究を一層推進するとともに、食育推進基本計画の推進に 資する調査研究について、目に見える形で成果を出す必要があるとしています。  3点目、業務の効率化・合理化については、外部委託や事務処理システムの導入等により、中期目標 達成に向け着実に進められているが、その取組みが他の業務や人員配置にどう反映されたかを明らか にすることとしています。  続いて、2「具体的な評価内容」に移ります。(1)「業務運営の効率化に関する措置について」、(1) 「業務運営の改善に関する事項について」です。こちらについては、運営会議、各種委員会を通じて 情報の共有化に努めていることや、予算執行管理システムの開発・導入等について評価できるとして いますが、今後医薬基盤研究所と統合することから、統合を視野に入れた運営体制の整備や内部統制 に関する取組みが課題です。  (2)「研究・業務組織の最適化に関する事項について」です。こちらについては、人員配置や管理体 制を見直すとともに、大学・民間企業との交流による人材育成や組織の活性化を図るなど、必要な改 善に取り組んでおり、評価できるとしています。  (3)「職員の人事の適正化に関する事項」です。業務に対応した適正な人員配置、研究成果や貢献度 合に基づく処遇等への反映、外国人や女性研究員の配置など、限られた条件のもとで成果を上げたこ と、これを高く評価できるとしています。  (4)「業務等の効率化・合理化に関する事項について」です。外部委託等により、効率化した部分を 認めていますが、そうしたところが他の業務や人員配置にどう反映されたのかなどの効果が見えにく いと指摘しています。  (5)「評価の充実に関する事項について」です。こちらについて、各プログラム/プロジェクトごとに 内部評価及び外部評価を実施していること、また、人員配置や予算配分に反映させることなどを評価 システムが整ったこととして、高く評価しています。  (6)「業務運営全体での効率化について」です。運営費交付金について、業務運営の効率化や経費削 減に向けた努力を行って、中期計画の達成に向け、概ね計画どおりに削減を進めているとまとめてい ます。  (2)「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する措置について」、(1)「研究に関 する事項について」です。先ほど全体の評価でも述べましたが、3つの重点調査研究について記載して、 評価できると記載しています。評価できる一方、今後は、運動と食事の併用効果に関する詳細な検討 や、国民の健康にどう役立つのかをわかりやすく伝える工夫があるとしています。また、「日本人の 食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」については、「日本人の食事摂取基準 (2010年版)」の策定に当たり、国内外の情報収集及び系統的レビュー、科学的根拠の提示など中心 的な役割を果しており、評価できるとしています。今後は、日本人を対象とした介入研究の実績の積 み重ねが望まれます。  さらに、「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性及び健康影響調査に関する調査研究」につ いては、健康食品の安全性・有効性に関する情報の収集・分析がなされ、科学的根拠のある情報とし て幅広く提供されており、中期計画を大幅に上回る成果を上げており、評価できるとしています。ま た、「特別用途食品・栄養療法エビデンス情報」は、医療現場待望の企画であり、その構築に向けた 準備作業が進められていることが高く評価できるとしています。  その他、なお書きですが、食育推進基本計画に資する調査研究については、成果がよりわかりやす くなる工夫が必要であるとか、研究成果については、数だけではなく質の面での説明も必要であると いったことを記載しています。  また、研究成果を広く社会に還元する取組みについて、セミナー等を行っていることを評価できる としていますが、今後は中・高生に対する広報に力を入れることや講習会、オープンハウス、一般公 開セミナー参加者の意見やアンケート調査結果を活用することが望まれます。  知的財産権の活用については、中期計画を概ね達成しているとしていますが、今後さらなる特許出 願などが望まれるとしています。研究の実施体制等の整備については、研究所の人員が少ない中で、 連携大学院、民間企業等との人材交流、共同研究を積極的に推進するなど、他機関との連携により研 究実績を上げるために努力し、中期計画を上回る成果を上げており、評価できるとしています。  (2)「法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項ついて」です。健康増進法 に基づく業務である「国民健康・栄養調査の集計業務」及び「特定用途食品等の分析業務」について、 標準的な調査ツールの開発、調査精度の向上など、効率的かつ適切な業務の実施に向けて改善に努め、 十分な実績を上げたことを高く評価しています。  社会的・行政ニーズへの対応としては、関係団体や行政機関との意見交換会の開催等を通じて把握 をしており、中期計画を概ね達成しているとしています。国際協力、産学連携等の対外的な業務につ いては、アジア諸国を中心とする研究ネットワークの構築や、若手研究員の受入れ、英語版ホームペ ージによる情報提供等、アジア地域の研究機関のリーダー的役割を果し、国際協力の進展に努めてお り、中期計画を上回る成果を上げており、評価できるとしています。  栄養情報担当者(NR)認定制度についてですが、清水委員、岩渕委員からもご指摘がありましたが、 検討委員会の報告がまとめられるなど、中期計画の経過、方向がまとめられる点で中期計画を上回る 成果を上げていますが、資格取得後の活動状況の把握や地方公共団体の関係職種への本資格のPRなど を通じ、制度が広く活用されるための取組みを行うべきとまとめております。  (3)「情報発信の推進に関する事項について」です。こちらは、ホームページのアクセス数の向上な ど、中期計画を大きく上回る成果を上げており、評価できるとしています。  (3)「財務内容の改善等について」、(1)「外部資金その他の自己収入の増加に関する事項について」 です。こちらについては、中期計画に沿ったものと認められるが、今後、受託研究や共同研究の推進 に向けた努力を期待するとしています。  (2)「経費の抑制に関する事項について」です。こちらは、一般管理費、業務経費ともに中期目標期 間の数値目標を前倒しで達成していることを書いています。また、月次監査等が行われることも書い ており、評価できるとしています。  (4)「その他業務運営に関する措置について」ですが、こちらについては、研究データを多く保有し ている観点から、情報システムセキュリティ対策について述べています。セキュリティ対策について は、セキュリティ対策手順書の作成など、充実・強化が図られており、中期目標を上回る対策が講じ られていて評価できるとしています。  (5)「独立行政法人整理合理化計画」等への対応についてです。(1)「財務状況について」、平成20年 度は580万円の当期純損失と6年ぶりの赤字を計上していますが、この主要な原因は清水委員からもご 報告がありましたが、栄養情報担当者(NR)認定事業について、受験者数の減少等において発生した損 失です。こちらのNR認定事業は自主事業で収支相償が原則となっていますので、今後はNR認定事業の あり方に関する検討会の報告を踏まえつつ、実施規模や手法等を適切に見直しながら、事業運営を行 う必要があるとしています。  (2)「保有資産の管理・運用等について」です。当該研究所は、独自の庁舎を持っていませんが、プ ールや運動フロアの有効活用を推進しており、評価できるとしています。  (3)「人件費管理について」です。ラスパイレス指数が、事務職員が104.8、研究職員は101.3となっ ており、その要因について説明をしていますが、本府省からの出向者が、職員12人中4人であること や、非常勤の活用を進めた結果、管理職の割合が高くなっていること、また地域手当の支給等を書い ています。そのうえで、引き続き、給与水準の適正化に向けた努力を続けるとともに、人事異動の際 の後任には積極的に若年層をあてるなどにより、100に近付けるよう努力することとしていますので、 その成果について注視していく必要があるとしています。総人件費については、削減率を達成してい ますが、早期に目標を達成するために、さらなる努力が求められるとしています。  (4)「契約について」です。こちらについても、清水委員、岩渕委員からご報告がありましたが、随 意契約の金額及び件数は減少しているものの、それぞれの契約全体に占める割合では大きな進展は見 られなかった。また、一般競争入札においても、一者入札はほぼ半数を占めており、契約の透明性・ 競争性を高める努力が必要であるとしています。これらについて当該研究所は、平成21年度において は、平成20年度に随意契約とした7件のうち4件について、一般競争入札への移行を行い、また、入 札を行う場合には、公示、資格要件、仕様等に関し、より多数の者が参加可能となるような改善方策 を策定し、さらに、入札情報の幅広いPRや公募の実施に取り組むこととしている。今後、これらの取 組みにより、競争性・透明性が確保されることを期待する、としています。  (5)「内部統制について」です。こちらについては、監事監査及び内部監査を毎年実施し、業務の運 営状況等をチェックすることにより業務改善が図られているとしています。また、公的研究費の不正 使用等の防止及び利益相反の管理に対する対応について、実施体制の整備を進め、コンプライアンス 体制の整備が適正に進められているとしています。さらに、法人の役職員の倫理については、「倫理 規程」を遵守させるとともに、研究面での倫理的配慮については「研究倫理審査委員会」において適 正な審査を行っているとしています。  (6)「中期目標期間終了時の見直しを前提とした取組みについて」は、外部の専門家からなる外部評 価委員会における評価等を踏まえ、次期中期計画の策定に向けて、今後の課題等について検討を行っ ており、評価できるとしています。  (7)「業務改善のための役職員のイニシアティブ等について」です。こちらについては、国民ニーズ や行政ニーズの把握のために外部有識者からなる「外部評価委員会」や政府の関係機関との意見交換 を行っている。また、業務の効果的・効率的推進を図るとともに、人件費や業務経費等の適正な執行 やコスト管理を推進するため、監事監査及び内部監査のほか、運営会議等において分析・評価をして いて、評価できる、としています。  (8)「法人の監事との連携状況について」は、本委員会における監事の監査報告書の提出及び監事の 行った財務諸表の検討点等を踏まえて、評価をしていることを記載しています。  (9)「国民からの意見募集について」は、パブリックコメントを行いましたが、特に意見がなかった ことを示しています。  (10)「独立行政法人医薬基盤研究所との統合について」です。こちらについては、独立行政法人整理 合理化計画において統合するとしている点について触れていまして、現在組織・業務の見直しの検討 を進めていることを書いています。今後、その具体的な内容が明らかになった段階で、当委員会とし ても内容について精査する必要があるとしています。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、起草委員からコメントをいただきたいと思います。起草委員 を代表して、武見委員からよろしくお願いします。 ○武見委員  いま、事務局のほうからご報告がありましたように、国立健康・栄養研究所の20年度業務実績につ いては、当研究所の目的である国民の健康の保持・増進に向けて、栄養、食生活あるいはその他の生 活習慣に関する調査研究を推進していくことについて、中期計画に照らして、かなりきちんとした形 での評価がされたという全体としての評価を得られたことは、いま事務局からご報告があったとおり です。しかしながら、いくつかの課題も指摘されていましたので、それらについて今後さらにご検討 いただければと思います。  全体として、委員のコメントなどを拝見しますと、十分に評価しながらもやはり、非常にたくさん の要望なり課題も個々には出ています。そのようなことも参考にしていただきたいと思うのですが、 全体として評価が非常に高いというところは、例えば健康食品に関する基本的な情報の収集であると か、その発信とか、国民の関心が非常に高いところ、あるいは健康増進法に基づいて行われている国 民健康・栄養調査のことであるとか、特別用途食品表示の許可に関わる部分であるとか、効率性ある いは公平性・中立性が求められていることについての業務内容がきちんと行われている点について、 全体として非常に高く評価されていると感じました。それが正にこの研究所の設置の趣旨にあったと ころだと感じています。  しかし、同時に、最初の課題にもありましたけれども、例えば健康に及ぼす運動と食事の併用効果 に関するより詳細な検討をということがありましたが、実際には地域社会で暮らす人々を対象に、そ の併用あるいはどちらか片方、そしてやらないなど、そういうことを実験的にやることの難しさも多 々あると思います。そういう意味では、国立健康・栄養研究所の扱っている研究課題の中には、やは り人間の生活習慣そのものを研究課題にしている分、効果が見えにくい、あるいはクリアに出にくい、 そのようなものをたくさん扱っていることがあると思います。しかしながら一方で、それは国民の生 活に直結するものである、そこら辺の難しさと重要性が、今後再来年度に予定されている医薬基盤研 との統合の中でも、両者が統合することによっての、より効率性が高く、質の高い研究が進むと同時 に、場合によってはそれぞれの特徴をより明確に出していく形での研究の進め方も、併せて検討して いただき、今後の課題の克服、あるいは発展をしていただければと思いました。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告いただいた総合評価書(案)について、ご意 見等ありましたら、いただきたいと思います。いかがでしょうか。何かご意見ございますでしょうか。 よろしいですか。  それでは、修正意見がないようですので、平成20年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・ 独委にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認など による修正が必要となった場合の対応については、よろしければ私に一任いただきたいと思いますが、 よろしいでしょうか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  最後に、法人理事長よりコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○国立健康・栄養研究所理事長  本日は、私ども、国立健康・栄養研究所の平成20年度業務実績の評価を取りまとめていただき、誠 にありがとうございました。本日いただきました評価結果のうち、ご指摘事項については、今後の事 業の中で改善に努めますとともに、3つの重点調査研究を中心にして、私どもに与えられた使命を果し たいと思います。即ち、国民の健康の保持・増進の役に立つような研究と業務に全力を挙げて取り組 みたいと存じます。今後とも、私ども、国立健康・栄養研究所に対し、ご指導とご鞭撻の程をよろし くお願いしたいと存じます。以上をもちまして、私のお礼のご挨拶といたします。本日は、お忙しい ところ、誠にありがとうございました。 ○田村部会長  どうも、ありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定 を修正したい方は、ここで5分ほど修正、確定の時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いしま す。この時計で25分までにもし、必要があれば修正等をお願いできればと思います。                  (修正時間) ○田村部会長  よろしいですか。それでは、これをもちまして、国立健康・栄養研究所の平成20年度業務実績評価 及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、先ほどと同様に、評価シートの 集約版について、修正の必要があった場合の対応については、よろしければ私に一任していただけれ ばと存じます。よろしいでしょうか。  それでは、ここで法人・所管課の入替えを行い、5分後に再開とさせていただきたいと思います。ど うもありがとうございました。               (法人及び所管課の入替え) ○田村部会長  それでは、医薬基盤研究所について審議を行いたいと思います。まず財務諸表について、清水委員 から簡潔にご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○清水委員  財務諸表については、特に修正すべき事項はございませんので、このまま承認をすることが適切と 考えます。ヒアリングの結果、いくつか気がつきました点をご報告申し上げます。  まず当期の利益の状況ですが、開発振興勘定におきまして、8,100万円利益が出ております。しかし ながら、目的積立金の申請は行っておりません。これにつきまして8,100万円のうち、納付金収入とい うものがありますが、これは今年度は経営努力の認定の基準を満たさないということで、申請は行っ ていないということですが、現金性がある上、経営努力の成果とも捉え得る可能性もありますので、 今後は申請について検討をお願いしたいというようにお願いしたところです。  経費節減の努力の成果についてですが、特に研究開発振興業務で顕著です。一般管理費、事業費と もに中期目標期間の数値目標というものを、それぞれ前倒しで達成している状況です。特に事業費に つきましては、基礎研究推進事業費というものを競争的資金、公募に切り替えたということで、削減 率が大きくなっております。  一方で、その他の業務運営費交付金に係る一般管理費につきましては、一般管理費はマイナス9.1% という実績ですが、目標はマイナス12%となっておりまして、これを残る1年間で、約3%程度達成し なければいけないということがあります。  さらに深刻なのが事業費です。プロテオームリサーチプロジェクトの開始等に伴いまして、かなり 大胆に基準年の数値を上回っておりまして、132.64%程度増大している状況です。目標はマイナス4% となっておりますので、これを達成するためには、平成21年度の1年間で相当の努力が必要になると いう状況です。これにつきましては、当支出は平成20年度限りのものということでご説明をいただい ておりますが、新規の設備等を整備された場合は、やはりそれに伴う維持費等も発生するわけですの で、十分に、具体的に言えば削減計画というものを作っていただきたいと、お願いしたいと思います。  人件費の削減状況です。これは中期目標期間の数値目標マイナス4%というものが、前倒しで達成さ れている状況です。これに関連してラスパイレス指数ですが、事務・技術職のラスパイレス指数が 107.3%と、前年度の104.2%を上回っているということです。これにつきましては、先ほどの健栄研 のところでもお話したのと同じような理由で、高いという要因の説明はいただいておりますが、今後 は人事異動の際に、積極的に後任に若年層をあてる等の方策によって、100に近づける努力をされると いう方針を明確にされておりますので、その成果については、今後見守っていきたいと思っておりま す。  契約関係ですが、契約全体の中で随意契約の占める割合や、一般競争入札の中での一者入札の割合 というものは、前年度に比べて改善しています。このことについては、評価できると思います。  また関連法人に対する委託業務、これについても「医学実験用サル繁殖・育成等委託業務」という ものを一般競争入札に平成20年度からしていただいたわけですが、もう1つの「研究のための支援業 務」というものも、平成21年度中に公募に切り替える予定ということを、お伺いしております。形式 的に終わらない形で、複数者が応札・応募して、実質的に競争性が高まるように、努力を続けていた だきたいと思います。  監事監査で付された意見で、「薬用植物資源研究センター和歌山研究部」という所の抱える問題、 それから「筑波霊長類医科学研究センター」、この2つについては指摘されていますが、それぞれ理由 が違います。前者の和歌山研究部につきましては、これはもともと大和地方の保存する試料の活用と いうことで目標が設定されているわけですが、それに対する効果ということで規模も小さいことから、 廃止も含めたあり方の見直しをということが、述べられています。  また後者の霊長類のセンターにつきましては、非常に費用がかかるということで、構造的に赤字が 拡大するような状況であるがために、自己収入を拡大するような方策を取るべきというご意見で、ち ょっと趣旨は違うわけですが、いずれにしてもこれらの2つの部門の存在意義、存続意義というものに つきましては、やはり費用のコストと効果の対比によって、検討すべきものというように考えます。 こういうことから、これについての見直しをお願いしたいということです。  以前から懸案になっている繰越欠損金の解消に向けた方策ということですが、平成20年度中に実用 化研究支援業務について定量的評価を実施されるとともに、平成21年度からは新規募集を停止し、新 規採択分の指導・助言を強化されるというようにお伺いしております。また平成21年度中には実現可 能な繰越欠損金の解消計画の策定を完了される、という説明も受けております。  独法に移行されて、早い段階でこういったことがなされればよかったのでしょうが、ステップを踏 んでということで前向きに進んでいるというように評価させていただけるところだと思います。今後 とも引き続きご努力をお願いしたいと思っております。私からは以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。続きまして、岩渕委員からもお願いします。 ○岩渕委員  清水委員の追加になるのですが、指摘されましたように薬用植物資源研究センターとか、霊長類医 科学センター、この辺りの見直しについて、監事からも指摘があって行われているということを踏ま えまして、全般にこういったことも含めまして、事業の見直しをもう一回やる必要があるのではない かなと思います。もちろん基盤研究ですので、すべて費用対効果の相償うような話にはなるわけはな いのですが、それにしても有効な費用の活用という観点を忘れずに、見直していただきたいというこ とだけを要望しておきます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告をいただきました医薬基盤研究所の財務諸表 につきまして、ご意見等がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。何かござい ますか。よろしいでしょうか。  それでは、平成20年度の財務諸表に対する意見としては、資料3-1の案のとおりで、修正意見はな いようでございますので、これを取りまとめまして、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろ しいでしょうか。                 (各委員了承) ○田村部会長  それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  最後になりますが、医薬基盤研究所の総合評価について、審議をさせていただきます。まず事務局 より、総合評価書(案)の概要説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料3-2をご覧ください。1頁めくりまして、1「平成20年度業務実績について」からです。(1)評 価の視点です。こちらは構成は一緒ですが、医薬基盤研究所の設立経緯について触れておりまして、 創薬支援にかかわる部門を統合して生まれたこと、産学官連携を推進していくことなどを書いており ます。そして研究所の目的として、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3つを行うことに していて、これにより製薬企業や大学等における創薬研究を支援すること、画期的な医薬品等の研究 開発を促進すること、これが目的であると書いてあります。ですから、当研究所の業績評価に当たっ ては、統合された組織として統合効果も発揮しつつ、研究所が提供する基盤技術、生物資源、研究資 金が、製薬企業や大学などにとって有効であり、中長期的に医薬品等の研究開発に役立つものとなっ ているかという観点から評価を行う、としています。  (2)「平成20年度業務実績全般の評価」です。平成20年度業務実績については、全体としては、研 究所の目的である画期的な医薬品等の開発支援に資するものであり、適切に業務を実施したと評価で きるとしています。また、これまでの3年間に比べて、いくつかの点で顕著な向上が見られるとしてい ます。以下、もう少し具体的に書いてあります。  成果の普及については、(1)査読付き論文発表数が中期計画を大きく上回り、かつ質的にも高い水準 にあること、(2)ホームページ、セミナー、研究所一般公開の企画の充実などにより、研究成果の一般 の人々への情報公開に努めており、ホームページへのアクセス数の増大など、その成果が認められる こと、(3)研究成果の活用促進を図っていることなど、数値的にも内容的にも大いに評価できるとして います。  2頁です。研究成果としては、(1)TNF変異体を創製したこと、(2)TNF変異体が有効な粘膜ワクチンア ジュバントとなり得ることを明らかにしたこと、(3)抗体プロテオミクス技術を用いて、肺がん組織リ ンパ管バイオマーカー候補の同定を行ったことなど、複数の大きな成果を上げたことは、大いに評価 できるとしています。また国民にとって関心の高いワクチンや抗ウイルス剤の分野についても、(1)水 痘ウイルスとムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンの開発、(2)インフルエンザHAワクチンと アジュバントの研究などを例示として挙げまして、複数の大きな成果を上げたことは、大いに評価で きるとしています。  さらに遺伝子治療については、アデノウイルスベクターに関する研究を例示として挙げまして、レ ベルの高い成果を上げており、高く評価できるとしています。霊長類医科学研究の分野におきまして は、慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物の開発に成功したことや、拡張型心筋症モデル動物を用いた 早期診断基準を確立するなど、著しい成果を上げたことを、高く評価するとしています。  さらに研究開発振興業務については、iPS細胞の樹立以前から同研究をサポートしてきたことは特筆 に値する成果である、とまとめています。  続きまして2として、具体的なもっと細かい評価内容に入っていきます。(1)「業務運営の効率化に 関する措置について」です。機動的かつ効率的な業務運営に関しては、理事長のトップマネジメント により、研究テーマに応じた人員配置が行われたこと、テレビ会議システムを導入して、地理的に離 れているセンター間の意思疎通がより円滑に行われるように努めたことなど、大きな進展があったも のと評価できるとしています。  経費削減等につきましては、研究開発振興業務に係る一般管理費は、計画を上回る削減実績を上げ ているが、その他の経費については中期計画の目標達成に向けて、努力をしていく必要がある、とま とめています。  (2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。3頁の 項目については、全体的事項と個別的事項と、2つに分けて記載しています。「全体的事項」ですが、 外部研究評価を活用した研究費の配分など戦略的な事業運営を行っている点、研究所内での共同研究 の実施などにより所内の情報交換と部門間の連携に努めている点、スーパー特区への2研究課題が採択 された点などは評価できる。またiPS細胞の所内共同研究の今後の進展に期待するとしています。成果 の普及については、先に書いてありましたとおり、論文一覧等をホームページで公表していることな ど、大いに評価できるとしています。その他外部研究者との交流や共同研究の促進、施設・設備の共 用について、民間企業等との共同研究や受託研究が順調に増加していること、連携大学院に積極的に 取り組んでいること、共同利用施設の有効利用に努め、新規にNMR装置の利用等にも実績を上げている ことは、評価できるとしています。  続いて「個別的事項」です。(1)の基盤的技術研究については、企業や大学等のニーズを踏まえつつ、 医薬品等の開発に資する共通的基盤の開発が行われ、着実な成果が得られているとしています。トキ シコゲノミクスプロジェクトについて、高く評価できるとしています。このプロジェクトについては 今後データベースを活用して、画期的成果を上げるよう研究を推進するべきであるとしています。ま た、安全性バイオマーカー研究の将来性に期待するとしています。  そのほか先ほどの全体評価で書かれたことを繰り返している所もありますが、新型インフルエンザ のワクチンの開発など社会的ニーズが大きい分野について、研究をさらに進める必要がある。なお書 きになりますが、プロテオームリサーチプロジェクトを新たに設置するなど、研究プロジェクトの設 置や研究体制の充実が着実に進んでいるなどが書かれています。  (2)の生物資源研究については、医薬品等の開発に不可欠な生物資源の収集・保存・品質管理・供給 等が着実に実施されるとともに、これらの業務に不可欠な研究開発や新たな生物資源の開発等が適切 に実施されていると評価しています。  ただ、遺伝子分譲の供給件数については年度の目標を達成していないため、ニーズの再把握が求め られるとしています。また、高水準の生物資源供給による研究開発支援の取組みの成果は顕著である としておりまして、高く評価しています。そのほか薬用植物等の収集、保存のことや、霊長類医科学 研究分野の話などを書いておりまして、高く評価できるものとしてまとめております。  (3)の研究開発振興におきましては、新規プロジェクトの採択に当たっては、社会還元の可能性を考 慮した医薬品等の開発を行うために、評価項目及び評価ウェイトの見直しや募集テーマに応じた評価 項目の設定を行うなど、より適切な評価を行うための工夫がなされ適切に案件の採択が行われており、 こうした点も評価できるとしています。  なお、実用化研究支援事業は、繰越欠損金増加防止のため、平成21年度より新規募集を休止すると されておりますが、今後のあり方についても考えていく必要があるとしています。知的財産の創出及 び製品化の促進については、プログラムオフィサー制度を導入したことを評価しています。また利用 しやすい資金の提供については、公募時期の早期化を図ったことや採択決定期間の一層の短縮を図っ たことなどを評価できるとしています。承継業務については、1法人の清算を完了するなど、一連の措 置が講じられていることを書いていますが、繰越欠損金は解消されていないことを記述しています。  5頁の(3)「財務内容の改善等について」です。平成20年度の当期総損失の発生要因は、研究振興勘 定において、実用化研究支援事業として、12億円を支出していることによるものです。これは研究成 果の実用化による製品販売収入等が得られるまでの間は、委託費相当額が欠損金として計上される仕 組みであることによるものでありまして、想定された範囲のものであると認められます。また、開発 振興勘定では当期利益が発生していますが、その要因としては、自己収入で購入した資産の期末評価 額として会計処理上発生するものと納付金収入があります。後者については現金性のある利益でして、 経営努力の成果と捉えられる可能性があることから、清水委員からもご指摘がありましたが、目的積 立金の申請について、今後も検討していくべきとしています。  経費節減の努力の成果については、特に研究開発振興業務で顕著であり、一般管理費、事業費は、 ともに中期目標期間の数値目標を前倒しして達成しております。特に後者については、基礎研究推進 事業費を競争的資金としたため、削減率が大きくなっています。  一方、業務運営費交付金に係る一般管理費は、目標を残る1年間に達成しなければならず、さらに同 事業費は、平成20年度では基準年の数値の132.64%に増大していますので、目標を達成するには、平 成21年度は、相当の努力が必要となっています。この増大理由について、法人は新規プロジェクト開 始のための一時的支出と説明しており、平成21年度は目標達成可能としておりますが、新規取得資産 の維持管理費等の増大も考慮に入れる必要があるため、目標達成状況を勘案しながら、具体的な削減 計画を策定するべきであるとしています。  また、科学研究費補助金の獲得額は減少しておりますが、共同研究費・受託研究費等の獲得金額は 伸びており、全体としては中期計画を概ね達成したと評価できるとしています。  当年度末の運営費交付金債務残高のうち、国庫納付すべき額を除くものは、主に研究プロジェクト を法人設立時から順次立ち上げており、職員数が計画人員を下回っていることにより生じた人件費の 残額であることが明らかにされており、合理的な範囲であると評価できるとしています。セキュリテ ィ、施設については、中期計画に適切に取り行われており、また、人員に関して人事評価制度の本格 的実施が行われたことは評価できるとしています。  (4)「その他業務運営に関する措置について」です。こちらについては、国立健康・栄養研究所と統 合することについて触れておりまして、事務部門、研究部門ともに統合効果が得られるよう、具体的 プランの策定に努力する必要があるとしています。  (5)「独立行政法人整理合理化計画」等に関するものです。(1)「財務状況について」です。当期総損 失の発生要因について、承継勘定と研究振興勘定の繰越欠損金であることを書いています。繰越欠損 金については、その多くが承継業務の出資事業において、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から 承継したものであり、また実用化研究支援事業においては、財政投融資特別会計から出資金を受け入 れ、それを委託費として支出しているが、研究期間中は研究委託費が損益計算上損失として計上する ことにより生じるものであるなどの説明を行っております。繰越欠損金の回収や新規発生の縮小のた めに努力を行っていると認めるが、今後も研究成果の事業化・収益化促進のための方策を強化するよ う努める必要があるとまとめています。  (2)「保有資産の管理・運用等について」です。現時点では不要な保有資産がないとしておりますが、 将来に向けては、監事監査結果に付された意見で指摘された「薬用植物資源研究センター和歌山研究 所」及び「霊長類医科学研究センター」について、これら事業所に係る費用対効果を把握するととも に、我が国におけるこれら事業の必要性にも十分配慮をした上で、事業のあり方について議論すべき であるとしています。金融資産の運用方法については、特に問題ないとしております。また、承継事 業等の出資金については、すでに述べたとおりの形でまとめています。  7頁の(3)「人件費管理について」です。こちらについては清水委員からのご説明もありましたが、国 家公務員の平均給与を100とした場合の数値について、研究職員は92.8、事務・技術職員は107.3と なっています。これについて、107.3となっている事務・技術職員の理由についての説明を書いていま す。地域手当受給者の割合が高いことや職員構成の相違、職務の専門性などが書かれておりますが、 まとめとしては、今後は国の給与改正に準じた給与の見直しを行い、また人事異動の際に後任は積極 的に若年層をあてるなど、100に近づけるよう努力する方針を明確にしているので、その成果について 注視していく必要があるとしています。  また国からの財政支出について、平成20年度決算における国からの支出総額に占める人件費の割合 は、4.4%となっております。また繰越欠損金については、実用化研究支援事業において、出資金を費 用として支出すると欠損金が増加する構造となっていることについて書いてありまして、給与水準に 直接影響を及ぼすものではないと認められることを書いています。  (4)「契約について」です。契約に係る規程類については、諸々作成が行われていて、必要な整備が なされていると認められるとしています。契約に係る執行体制についても、複数名における確認を行 う方式がなされていることなどが書かれています。  随意契約については、平成19年度実績と比べて削減が進んでいることなど、計画を上回っているこ とが書かれています。一般競争への切替えは着実に進んでいますが、一者入札が約半分となっている ことから、今後さらに競争性を高める努力が必要であるとしております。特に関連公益法人である社 団法人予防衛生協会との契約のうち、「研究のための支援業務」は、「医学実験用サル繁殖・育成等 委託事業」の一般競争入札化に続いて、平成21年度中に公募に切り替える予定となっていますが、複 数者が応札・応募し、実質的に競争性が高まるように努力する必要があるとしています。  個々の契約については、競争性・透明性の確保のために、ホームページに掲載する競争入札の公告 を見やすくして周知に努めたほか、入札公告専用掲示板を人目につきやすい場所に配置するなど、努 力を行っていると認められるとしています。また、官民競争入札の活用状況については、いろいろ難 しい点もあるが、独立行政法人の提供する財・サービスの質の向上と経費削減を図るため、活用を検 討していく必要がある、としています。  (5)「内部統制について」は、コンプライアンス委員会が設置されていることや相談・通報窓口が設 けられていることなどを、努力されていると認められるとしています。また、監事監査等を毎年実施 していること、内部監査チーム及び会計監査人との連携を図っていると認められることなどを書いて います。  また、公的研究費の不正使用等の防止及び利益相反の管理に関する対応については、研究機関及び 配分機関としての実施体制の整備が進んでおり、コンプライアンス体制の整備が適正に進められてい ると評価できるが、さらに外部監査によるコンプライアンス体制の評価を、実施することが必要であ るとしています。  9頁の(6)「関連法人について」は、当該研究所の役職員が再就職をしている関連法人はないという記 載をしています。また、関連法人への出資事業については、平成20年度末に257億円の繰越欠損金が 計上されているが、出資法人に対して研究成果の事業化・収益化を促すほか、期待されている収益が 管理コストを下回る場合には、速やかに株式の処分を行うなど、繰越欠損金の回収のための努力を行 っていることは認められるとしています。また、特に関連公益法人である社団法人予防衛生協会に対 して、事業の委託を一般競争入札に移行したことを、特別に記載しています。  (7)「中期目標期間終了時の見直しを前提とした取組みについて」は、所内に「将来構想検討会」を 設置して取り組んでいる点を評価できるとしています。  (8)「業務改善のための役職員のイニシアティブ等について」です。こちらについては、外部の有識 者からなる「運営評議会」や「基盤的研究等外部評価委員会」などにおいて、意見聴取をしているこ と。製薬企業等の関係者の意見を踏まえた研究テーマの設定、研究プロジェクトの設置等を実施して いること。また所内におきまして「幹部会」等において、職員等と業務改善のための意見交換等を実 施していることが書かれておりまして、いずれも業務改善のための努力が行われており、評価できる としています。  (9)「法人の監事との連携状況について」です。これはすでに内部統制について書かれているとおり、 認められるとしております。  (10)「国民からの意見募集について」は、パブリックコメントにかけたところ、特に意見はなかった ことが記載されています。  最後に、10頁の(11)です。「国立健康・栄養研究所との統合について」は、現在、組織・業務の見直 しの検討を進めているところであり、その具体的な内容が明らかになった段階で、当委員会としても、 当該内容について精査する必要があるとまとめています。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、起草委員からコメントをいただきたいと思います。起草委員 を代表しまして、鈴木部会長代理からよろしくお願いします。 ○鈴木部会長代理  私は、7月31日に行われました基盤研の個別評価の最後にまとめのコメントをしましたが、いまも その考えに変わりはありませんので、その部分は繰り返すことはしません。  1つ追加しますと、基盤研は既存の3つの施設を統合して発足したため、4年かけて研究所を一体化 させる努力を重ねてこられました。この努力は国立健康・栄養研究所との合併においても、きっと大 いに役立つものと期待しております。  なお、個別評価の際に、私がしたいくつかの質問に対して、丁寧に文書で回答してくださり、あり がとうございました。その折に気付いたことを1つ申しますと、「薬用植物資源研究センター」の実績 については、適宜3つの研究部の個別実績として示していただくと良いのではないかと感じました。  つい先ほど清水委員、岩渕委員からセンターの見直しの検討を求められておりましたが、この委員 会としても適正に評価できるように、そういう研究部別の実績を適宜示していただくと、ありがたい と思います。  これに対して、先ほど法人のほうから「薬用植物資源研究センターにおける大学との共同研究等の 例」として、研究部別にその紹介をした資料をいただきましたが、このような資料を提出していただ きますと、我々としても非常に評価がしやすくなると思っています。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告をいただきました総合評価書(案)について ご意見等がございましたら、頂戴したいと思います。いかがでしょうか。 ○清水委員  形式的なところで、私の原稿の不備もありまして、パーセンテージで書いてある所が小数点2位であ ったり、小数点以下がなかったりするものがありますので、これを事務局のほうで、修正、統一等を お願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○田村部会長  この件は、事務局のほうでご対応をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  はい。 ○田村部会長   そのほか何かご意見等ございますでしょうか。 ○中村委員  ただいまの部会長代理の総括にも関係あるのですが、「薬用植物資源研究センター」と「霊長類医 科学研究センター」についてということで、1つは監事監査を含めた視点からの問題提起をなされてい ます。また研究に対する評価というのがあるわけですが、これとの関係が、どうもしっくりこないな という気がしたのです。  代理がおっしゃるように、それぞれの機構、あるいはそれぞれの施設、センターに対して、きちん と区分けをして評価しろというのは、私は賛成で素晴らしい方向だと思うので是非やってほしいので すが、先ほどの財務関係の意見では、2つの所のあり方について再度慎重に見るべきだというコメント があったわけですが、これは現在のあり方そのものも成り立たなくなっているというニュアンスなの か、もっといい所を求めるというものなのか、もう少し端的に言うならば、組織としてなくてもいい ということを踏まえて検討しろとおっしゃっているのか、そこら辺をちょっと確認したいのです。 ○田村部会長  いかがでしょうか。 ○清水委員  薬用植物の和歌山研究部につきまして、これは財務の視点から申し上げているわけですが、我々は 細かいことについては直接ご報告は受けていませんが、全体からすると埋没するようなことですが、 存在に対してコストがかかっているわけで、それであれば、やはり成果が求められる、それは目に見 える利益とかではなくても、存在意義というのが当然なくてはならないものだと思いますが、そうい ったことから監事さんのご指摘は、そこが小規模であるし成果が今一つはっきりしないということだ と認識しております。そういったことから、もっと存在意義というものを活かす方向を検討していく べきではないかということをコストに照らして、私も必要だと感じましたので、それを引用させてい ただいております。 ○中村委員  説明していただいたわけですが、という形で財務の立場からは、2つのセンターが並列して、同じよ うなトーンで見直しも含めて考えろとおっしゃっていると。  しかし4頁のそれぞれの行っている研究分野での成果では、薬用植物等の収集云々、これに関しては 評価できる、いわゆるA評定という形でまとめていますが、霊長類に関しては高く評価できるというこ とでS評価にしている。ということは、我が国唯一の云々ということもありますし、非常に研究におい ての貢献度というのは、先生方は高く評価しているのではないかと。そうしますと、片方で評価して おきながら、あり方については再度見直すべきだというところの整合性をどのようにまとめるかと、 これは非常に重要だと思うのですが。 ○田村部会長  いかがでしょうか。これについて、何かございますか。 ○清水委員  すみません、先ほど薬用植物の件だけ申し上げたのですが、霊長類につきましては、これは先ほど も申しましたように指摘の内容が違っていまして、要するに成果については特に疑いがあるわけでは なくて、ただ事業としてこれはコストが大きすぎるということで、いまのままだと成り立ち行かなく なるということだと思うのです。これについては先ほど申しましたように、何らかの自己収入を得る ような方策が必要だと。そういう意味で事業のあり方ということで括ってしまっているのですが、同 じ文書に書いたのがミスリーディングであるかもしれません。趣旨としては違うのですが、一言で括 るとこうなってしまうということなのです。 ○中村委員  了解しました。私が主張したいのは、要するに前で言っている研究そのものに対する成果、この研 究に対する評価というのは、国のやるべき研究として妥当であるかどうかということで先生方はやっ たと思うのですが、それと後ろの関係との整合性を図っていただきたいなということだけですので。 ○岩渕委員  この場でいままでの詳しいデータもなく、どういうようなことを整合性があるとかないとかという のを議論するのは、土台無理な話だろうというように思います。それで法人のほうで、これから見直 しを検討する予定もあるようですので、それこそゼロベースからもう一回見直していただくというこ とで、研究成果と費用対効果といったものはバランスをとって、どのようなあり方にすべきか、つま り事業をさらに拡大する、あるいは縮小するといったことまで含めて、しっかり研究、検討していた だくことが大事で、いまこの場でどのようにするかというのは、とても方向性というのも出せないの ではないかなと思います。  では、成果と財務との整合性という点で言えば、それぞれまた別の視点から書いているわけですの で、整合性においては問題ないと、私自身は思います。 ○田村部会長  いかがでしょうか。いま岩渕委員からもお話がございましたが。 ○中村委員  補足しますが、あり方についてここで結論を出す、方向性を出すというのではなくて、報告書とし てはこれが一体なものですから、この中で全体として、文章の中での整合性を何とかとるべきではな いかという指摘でありまして、もちろん廃止、あるいはさらに増やすといったものについて、どうこ うしろと言っているわけではない。  例えば後ろのほうですと「研究成果については高く評価はされているが」とか、何かそういう形で ないと、全く別な人が書いたものを単に寄せ集めただけではないのかと。合議でやっているここでの 委員会の存在価値すらもなくなってしまうのではないかという気がして、ちょっと危惧したものです から。 ○岩渕委員  それは部会長一任で、その辺りのところは配慮あるお言葉を付け加えていただきたいと思います。 ○田村部会長  おそらくこの委員会としての理解としては、研究の中身については、先ほど書いてあるような形で それぞれの評価をされているという理解をしたいと思います。あと、採算性と言いますか、研究所と しての財務面については、今後さらに検討すべき点もあるというような方向で、表現については少し 検討させていただくということで、よろしいでしょうか。 ○中村委員  はい。 ○田村部会長  趣旨は大体そういう理解でおりますしが、おそらく各委員の方もそういうご理解かと思います。で は、事務局と私のほうで調整させていただきまして、その趣旨が反映できるような表現にするという ことでご了解いただきたいと思います。よろしいでしょうか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。その他については特によろしゅうございますか。では、先ほどの件につ いては事務局と相談させていただきまして、表現、その他整合するような形で整理させていただきた いと思います。  それでは、最後に法人の理事長からコメントを頂戴したいと思います。 ○医薬基盤研究所理事長  医薬基盤研究所の山西でございます。本日は平成20年度の業績評価をいただきまして、どうもあり がとうございます。特に我々としまして、研究の分野で高い評価をしていただいたということは、私 は個人的に、非常に喜ばしいことだと思います。しかしながら、財務に関しては、かなりいろいろな サジェスチョンをいただきましたので、今後とも業務に活かしていきたいと思っております。  最後に、1つだけ言い訳をさせていただきたいのですが、たぶんこれは説明が悪かったと思うのです が、資金の提供に関しまして、実は去年はA評価で今年はB評価をいただいたのですが、これに関しま して、今年は去年以上に努力したつもりなのです。それはたぶん説明が悪くて、皆さんになかなか理 解していただけなかったのではないかと思いまして、今後ともいろいろ評価していただきまして参考 にさせていただきまして、この資金提供につきましても、さらに努力をしていくつもりですので、今 後ともどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○田村部会長  どうもありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定を 修正したい方は、ここで5分ほど評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろ しくお願いします。この時計で、3時15分までの時間を予定したいと思います。よろしくお願いしま す。                 (修正時間) ○田村部会長  それでは、これをもちまして、医薬基盤研究所の平成20年度業務実績評価及び財務諸表に関する意 見を取りまとめさせていただきます。  なお、先ほど同様に、評価シートの集約版につきましては、修正の必要があった場合の対応につき ましては、よろしければ私のほうにご一任いただければと存じますが、よろしゅうございますでしょ うか。                 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。本日の議事は、以上です。なお、本日ご審議いただきました総合評価と 財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に 基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定ということになります。  また法令に基づきまして、政・独委への通知及び公表の手続きが行われることになります。それで は、事務局より今後の予定等連絡事項につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  今後の予定等について、ご連絡させていただきます。本日ご審議いただいた法人の総合評価書につ きましては、事務手続を進めさせていただき、後日委員の皆様に確定版を郵送させていただきます。  また次回の開催ですが、来週の8月26日(水)に、調査研究部会の開催を予定しております。時間 は午後1時から、場所は本日と同じ専用第21会議室となっております。議題は、医薬基盤研究所の暫 定評価及び3法人の組織・業務の見直し当初案等についてとなっています。なお、当初のお知らせから 開催場所及び終了予定時刻を変更しておりますので、いま皆様の所にご案内の通知をお配りしました ので、ご確認いただければと思います。  なお、26日の翌日の27日(木)には総会の開催を予定していまして、時間は午後1時から、場所は 引き続き専用第21会議室となっております。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、本日は長時間にわたりましてご審議ありがとうございました。 これをもちまして、閉会とさせていただきます。                                            (了)        照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係      連絡先:03−5253−1111(内線7790)