09/08/06 第19回社会保障審議会議事録 第19回社会保障審議会 ○ 日時  平成21年8月6日(木)17:01〜17:58 ○ 場所  厚生労働省 省議室(9階) ○ 出席者 〈委員:五十音順、敬称略〉        逢見直人、大日向雅美、貝塚啓明、加藤達夫、神田真秋、木間昭子、        齋藤英彦、榊原智子、庄司洋子、高橋清久、寺谷隆子、廣松 毅、        山崎泰彦       〈事務局〉        間杉 純  政策統括官(社会保障)        伊奈川秀和 参事官(社会保障)        間 隆一郎 政策企画官        岩崎 修  統計情報部企画課長        野村 知司 医政局総務課医療制度調査官        田河 慶太 雇用均等・児童家庭局総務課長        坂本 耕一 社会・援護局総務課長        藤井 康弘 社会・援護局障害保健福祉部企画課長        大澤 範恭 老健局総務課長        神田 祐二 保険局総務課長        古都 賢一 年金局総務課長        八神 敦雄 参事官(資金運用) ○ 議事内容 (間政策企画官)  大変お待たせいたしました。  それでは、定刻を過ぎましたので、ただ今から第19回社会保障審議会を開会させていた だきます。  本日は委員の皆様、大変お忙しい中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。  本日は新しい任期の下での第1回目の会合となりますので、皆様方には後ほど会長を選 出していただくこととしておりますが、それまでの間、便宜、私、社会保障担当の政策企 画官の間でございますが、私のほうで議事進行を務めさせていただきたいと存じます。ど うぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、初めに前回の総会以降、新たに委員にご就任いただいた方々をご紹介申し上 げます。  平成20年4月23日付で長崎国際大学学長の潮谷義子委員でございます。本日はご欠席で ございます。  それから、平成21年1月29日付で国立成育医療センター総長の加藤達夫委員でございま す。 (加藤委員)  よろしく。 (間政策企画官)  同日付でNPO法人高齢社会をよくする女性の会理事の木間昭子委員でございます。 (木間委員)  よろしくお願いいたします。 (間政策企画官)  平成21年8月4日付で全国市長会会長の森民夫委員でございます。本日はご欠席でござ います。  続きまして、本日の出席状況を報告させていただきます。本日は先ほどご紹介いたしま した潮谷委員、森委員のほか、井手委員、稲上委員、岩田委員、大森委員、翁委員、見城 委員、竹嶋委員、糠谷委員、山本委員、米澤委員、渡辺委員が欠席されております。そし て、寺谷委員と榊原委員が少し遅れておられるようでございます。出席いただいておりま す委員の皆様方が委員総数の3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますこ とをご報告申し上げます。  それでは、これから冒頭ご説明いたしました当審議会の会長の選出を行っていただきた いと存じます。社会保障審議会令第4条に定めるところによりますと、審議会に会長を置 き、委員の互選により選任するということとなっております。選出の方法につきましては 委員の互選となっておりますので、皆様にお諮りいたしたいと存じます。いかがいたしま しょうか。いかがでございましょうか。 (山崎委員)  社会保障はもちろん、財政にも大変造詣の深い貝塚先生にお願いしたいと思いますが、 いかがでしょうか。これまでも会長を務めてこられたわけですが、引き続きお願いしては どうかと、こういうことでございます。 (間政策企画官)  ありがとうございます。  ただ今、山崎委員から貝塚委員を会長にというお話でございまして、皆様、賛成という ようなご意見をちょうだいしておりますので、貝塚委員に本審議会の会長をお願いしたい と存じます。貝塚委員、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速で誠に恐縮でございますが、貝塚委員には会長席にお移りいただきまし て、以後の進行をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 (貝塚会長)  私は社会保障審議会というのを随分長くやっておりまして、たしか任期が来たはずで、 そろそろ終わりになるんだというふうに、ただし、しばらく社会保障審議会総会は開いて おりませんでしたので、何となしにそう思っていたら、今度は新しい、要するに新しい審 議会の新しい委員の選出ということで、どうもそういうことで何分にもよろしくお願いい たします。  一言だけ感想を申し上げると、この1年少々あるいはもう少し2年ぐらい前かな、年金 問題その他で非常に社会保障に関してある意味で議論が紛糾して、じっくりと議論すると いう余裕が余りなかったような感じですが、これから実を言うと私自身の感想で言えば、 今度はいよいよ政権与党が替わる可能性が十分あるんですが、今までの社会保障の考え方 というのはそれなりに総理官邸その他で、それも場合によればあるいは考え方が多少変わ るという可能性も政権が替わればですね、ですから、非常にある意味では今まで経験した ことのない状況で、私どもは別にその点、第三者的ですが、多分、役所の方は一体どうな ることかというふうに思っておられるんじゃないかと思っておりますが、いずれにしても 社会保障の問題は非常に重要な問題で、私がちょっと見ている限り、別にそれほどですよ、 基本的な考え方で自由民主党と民主党に差異が大きくあるとは思いません。ただ、差異は 大きく言わないと政治の場では議論にならないということもあって、そういうふうには考 えておりますが、何分にもよろしくお願いいたします。  それから、会長代理ということをいつも指名することになっておりますが、引き続き大 森委員にお願いしたいと思います。  以上がとりあえず私の挨拶で、何分にもよろしくお願いいたします。  それから、2番目の議題ですが、部会の設置ということであります。いろんな部会が実 を言うと社会保障審議会というのは相当私自身もよく勘定できないというのかな、部会そ の他のそれからグループ、ワーキンググループとか、すごいことになっているわけですが、 議題2の部会の設置について、新しい部会の設置について事務局から資料を説明していた だきまして、その後、審議をお願いしたいと思います。  それでは、事務局、資料1についてご説明ください。どうぞ。 (古都総務課長)  年金局の総務課長でございます。それでは、お手元の資料1−1及び1−2で、部会の 設置案につきましてご説明させていただきたいと存じます。  この件は、社会保険庁改革に伴います公的年金制度に係る実施体制と申しますか、国と 日本年金機構の役割分担に関わるものでございます。経緯もございますので、1−1で背 景等をまずご説明させていただきます。  1−1の表紙をおめくりいただきますと、ここにございますように国民の信頼に応える ことができる公的年金の運営体制にしなければならないということで、日本年金機構法が できております。これに基づきまして、日本年金機構を平成22年1月に社会保険庁の廃止 に代わりまして設立をさせるということになっており、この機構は公的年金に係る一連の 運営業務を担う新たな法人というふうに考えております。その結果、厚生労働大臣が公的 年金に係る財政責任、管理運営責任をきちっと担うというその一方で、その直接的な監督 の下で日本年金機構がその一連の運営業務を行うという関係になります。  そこの表にございますように、現在は制度の設計、財政検証は厚生労働省年金局を中心 にやっており、一方、事業の運営は社会保険庁が担っているという形になっております。 改革後はこの責任関係、実施関係をよりはっきりさせまして、現在、厚生労働省で担って いる業務及び社会保険庁が担っている業務を分けまして、厚生労働省におきましては事業 実施、つまり年金制度の事業実施に関する総合的な企画立案、あるいは特別会計の管理、 保険料・年金給付額等の決定、システム管理等々を行う。それから、日本年金機構の方で は厚生労働大臣の委任・委託を受けまして、公的年金に係る一連の業務、適用、徴収ある いは記録の管理、相談、給付等々を行う。こういう形に業務を役割分担し、そして全体を 厚生労働省が責任をとり、その指導監督の下で日本年金機構が運営実務を行うという仕組 みに変えようというものでございます。  1枚おめくりいただきまして2ページ目でございますが、厚生労働省が行います指導監 督の仕組みの一環といたしまして、日本年金機構法においては厚生労働大臣が、この機構 が達成すべき業務運営に関する中期目標を定め、これを指示をいたしまして、そして日本 年金機構がこれに基づく中期計画を立て、そして各年度年度の事業計画をつくり、それを 実施、達成をしていくという形になるということでございます。その際、この機構に目標 を指示したということの代わりに、当然、それぞれの年度について業務実績の評価などを 行うということになっております。この仕組みはある意味、独立行政法人制度とほぼ類似 の仕組みになっておりまして、それと同じような仕組みを日本年金機構法に定めていると いうことでございます。法律上、厚生労働大臣が社会保障審議会のほうに中期目標につい て諮問行い、答申をいただくという形になっております。  独立行政法人の場合は、独立行政法人評価委員会というものがそれぞれあるわけですが、 その役割をこの社会保障審議会が諮問機関として、あるいは評価機関として担うというこ とになろうかと思います。そして、この社会保障審議会が担う役割を部会で実施をしてい ただこうかということでございます。具体的に中期目標は、目標の期間を3年から5年と し、その内容として業務の質の向上、業務の効率化等々を指示をする形になるということ でございます。  資料1−2でございます。このような形で社会保障審議会から中期目標について答申い ただき、そして、それを踏まえた上で日本年金機構の事業実施の実績を評価していただく ことになりますが、以上、ご説明いたしましたとおり、この社会保障審議会において機構 の中期目標等についてご議論いただくわけでございますが、先ほど会長からもございまし たように、通常、分野ごとに部会等々を設置し、ご議論いただいております。この機構の 中期目標等につきましても、やはり専門の部会を設置してご議論いただきたいというふう に考えております。  公的年金に関する部会ということでは、既に年金部会等を設置いたしておりますが、年 金の実務あるいは組織管理などに知見のある委員による専門的な部会の設置が必要であり、 一方で、年金部会等は制度論ということを中心に議論していただくということでございま すので、ここはぜひとも日本年金機構評価部会というものの設置を新たにお認めいただき たく存じます。  当面のスケジュールは、来年1月に日本年金機構の設置ということで法律上、定められ ておりますので、当然、中期目標は機構発足と同時に厚生労働大臣からお示しをすること になります。したがいまして、新しい部会の設置が承認されましたら、今年の秋以降、部 会の開催等を考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 (貝塚会長)  ただ今の年金局総務課長のご説明について、ご意見、ご質問等がございましたら、どう ぞご自由にお願いします、どなたからでも。  私から質問するというのも変なものですが、従来は基本的には社会保険庁というのがあ って、そこで要するに社会保険に関する実務のみならず、相当、基本的な方針についても 社会保険庁自身が、もちろん、この審議会における年金部会その他でのご議論は当然あっ て、それに従っているわけですけれども、にもかかわらず、かなりのそういう意味では独 立性というのも変だけれども、要するにエージェンシーとしてのある程度の独立性も違っ てきている。  今回のいろんな事態で今度は社会保険庁に関わる、あるいは引き継ぐ機構に関して、や はり第三者的な評価委員会が必要であろうと、やはり今までの恐らくいろんな議論の経過 の中で、世の中に対してやはりそのような第三者での評価委員会があって、それがそれな りの評価をするということが必要になったというご認識の下で、こういう委員会をつくら れたというふうに思いますが、よろしゅうございますか。何か特段、希望、意見でも構い ません、別に賛成、反対という、そういうふうにしゃくし定規で話すんじゃなくて、今後、 この機構がどういうふうに実際にやっていくかという話はまだ始まっていないという、そ れから、これは相当今までと違った考え方になるんですか。何かその辺について事務局の ほうのお考えがあったらどうぞ。 (古都総務課長)  今、会長からもございましたように、やはり信頼にこたえることができるような公的年 金の制度をつくっていかなければいけないと考えております。これまで厚生労働省と社会 保険庁で分かれてやっておったわけですけれども、厚生労働大臣が公的年金に関する責任 を全体としてきちんと担っていくという形にしようとしておるわけでございます。  法律ができてから来年1月の施行に向けまして、これまでも機構の設立委員会を10数度 も開催していただきまして、外の方々の意見も伺いながら、機構の管理運営、ガバナンス をどうしていくか、あるいは新たな人員も採用していかなければいけないということでご ざいますので、採用委員会等をやりまして、民間の方を1,000人以上入っていただくような 形にしておりまして、相当程度時間をかけて、準備をやってきているということでござい ます。いよいよ、あと残された9月から12月、4カ月の間に何とかきちんと円滑な移行が できるようにしなければならないと思っております。有識者の方々等の意見も十分参考に しながら、新しい仕組みがうまく回るようにということで現在もいろいろと準備をさせて いただいているところでございます。 (貝塚会長)  それでは、今、ご説明にあった日本年金機構評価部会の設置について、その設立につき ましてご異議はないでしょうか。  それでは、この部会の設立を審議会として承認したいと思います。  それでは、次の議題に移りますが、しばらく社会保障審議会の総会を開いておりません でした。各部会は非常に多分、いろんな課題の問題を検討されてきておりましたので、い ろんな審議が行われているわけですが、これらの審議状況につきまして事務局から一括し て説明をお願いします。伊奈川参事官、どうぞ。 (伊奈川参事官)  社会保障担当参事官の伊奈川でございます。よろしくお願いいたします。恐縮ですけれ ども、座って説明をさせていただきたいと思います。  お手元に資料2というふうに書いてございます社会保障審議会分科会・部会・特別部会 の状況、そして、その後に参考資料1ということで、各分科会・部会個票というものがご ざいます。本日はこのうちの資料2のほうを使って説明をさせていただくということで、 参考資料1のほうは恐縮でございますけれども、また後ほどご覧いただければと存じます。  それでは、早速でございますけれども、お手元の資料2のほうを1枚あけていただきま すと、まず、社会保障審議会分科会の状況というものが載っております。2ページにわた っておりまして、5つ、現在、分科会がございます。1ページ目が社会保障審議会分科会 の状況というふうになっているかと思います。それで、繰り返しになりますけれども、5 つ、分科会が現在ございます。  まず、1の統計分科会の関係でございます。社会保障あるいは人口関係について、様々 な統計があるわけでございますけれども、それら統計の総合的企画、調査及び研究等々を 行う分科会ということで設置をされているものでございます。直近でございますと、平成 19年3月以降の審議事項という欄でございますけれども、平成22年の国民生活基礎調査の 調査計画案のご審議をいただいております。そのほか、疾病とか傷病、死因に関しまして は国際的な統計基準があるわけでございますけれども、その関係ではWHO−FICと書 いてございます。「フーフィック」というふうに読むようでございますけれども、そのイ ンド会議及び内科のTAG、「タッグ」と読むようでございますけれども、の会議につい ての状況について報告がなされております。  次の医療分科会でございます。こちらは所掌事項に書いてございますけれども、特定機 能病院の承認でございますとか、あるいは医療法人、県をまたぐようなケースがございま すけれども、そういった医療法人の認可についてご審議いただく分科会でございます。こ れまでも定期的に審議をしていただきまして、一番右の欄にございますように、定期的に 報告・答申をしていただいている状況でございます。直近でございますと、今年の1月に 特定機能病院の承認、医療法人等の認可が出されております。  次の3、福祉文化分科会でございます。こちらの分科会は児童関係の児童福祉文化財と 書いてございますけれども、出版物でありますとか、あるいは舞台芸術、映像メディア等 についての例えば優良図書でありますとか、演劇などについて推薦をするに当たってご審 議いただく分科会でございます。こちらのほうも定期的に開催されておりまして、直近で ございますと一番右側の欄にございますけれども、今年の3月に推薦が出されているとこ ろでございます。  次のページでございます。介護給付費分科会でございます。これにつきましては介護保 険制度の導入以来、介護報酬の改定でございますとか、あるいは事業の設備、運営基準と いったことについて審議をいただいているわけでございます。直近でございますと19年3 月以降の審議事項、報告事項に書いてございますけれども、介護報酬は平成21年度に3% 改定されているわけですけれども、そういった介護報酬の改定について審議の上、そして、 ここにありますような形で改正についてというような報告が昨年12月に出されているとこ ろでございます。  一番最後、5、医療保険保険料率分科会でございます。こちらは健康保険法等の規定に 基づきまして、例えば標準報酬月額の等級区分の追加でありますとか、全国健保協会の都 道府県単位の保険料率の変更といったことについて、法律上、付議事項が決まっておりま す。それらについて現在までのところ、付議事項が生じておりませんので、ここにござい ますように開催実績はない状況でございます。  引き続きまして、次の3ページになります。社会保障審議会の部会・特別部会の関係の 状況でございます。  まず、最初の福祉部会、平成13年に設置をされておりますけれども、これまで社会福祉 関係について、例えば地域福祉計画でありますとか生活保護制度、社会福祉法人の見直し 等、検討がされてきておりますけれども、直近の状況を見ていただきますと、社会福祉事 業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針ということで、福祉・介護 人材の確保に関しての指針についてご審議をいただいているところでございます。  次の人口部会でございます。こちらも13年からということでございます。人口に関しま しては5年に1度、新人口推計と書いておりますけれども、日本の将来推計人口というも のが出されているわけでございます。前回の人口推計が平成18年でございましたので、現 在のところ、まだ5年たっていないということで、19年3月以降は開催されていない状況 でございます。  次の医療部会の関係でございます。こちらは医療の提供体制の確保に関してご審議をい ただく部会でございます。直近でございますと、平成19年12月に診療報酬の改定の基本方 針をまとめていただいておりますほか、医療提供体制の確保に関連してここに書いてござ います周産期・救急医療体制等について、ご審議いただいたところでございます。  次の[4]児童部会、こちらも平成13年からということでございます。児童に関わる施策に ついてはいろいろとあるわけでございますけれども、現在の社会環境の変化に対応するた めの広範な課題について、検討していただいているところでございます。直近で申します と、19年3月以降の審議事項に書いてございますように、要保護児童の対策の関係、地域 の子育て支援対策等についてご審議をいただいたという状況でございます。  [5]障害者部会の関係でございます。こちらの所掌事項でございます障害者施策の中でも、 現在、障害者自立支援法が平成18年に施行されたわけでありますけれども、3年後の見直 しの時期だったということから、制度全般についての見直しについてご議論いただいたと いうことでございます。その上でこちらの一番右側の欄にございますけれども、障害者自 立支援法施行後3年の見直しについてという形で、報告書の取りまとめをしていただいて いるところでございます。  1枚めくっていただきまして4ページ、[6]年金数理部会の関係でございます。こちらの 年金数理部会、同じく平成13年からでございますけれども、年金をめぐりましては一元化 という課題があるわけでございますけれども、その一元化に関して制度の安定性あるいは 公平性の観点から、共済年金も含めた年金制度について、特に数理的な面から検討や検証 を行っていただくという部会でございます。具体的な審議といたしましては、5年に1度 行われます財政再計算あるいは財政検証と言っております作業について各省庁から報告を 求めて、そして報告を取りまとめる、あるいは毎年度公的年金の財政状況について、レポ ートを取りまとめるといったような作業をしていただいているところでございまして、直 近でございますと一番右の欄でございますけれども、19年、20年と報告が出されていると ころでございます。  次の[7]年金部会の関係でございます。こちらは次期財政検証に向けた年金制度全般にわ たる議論を行うということでございます。平成16年に年金について改革が行われたわけで ございますけれども、その後、いろいろと残されている課題ということで、特に無年金で ありますとか、低年金といった課題が浮上する中で、最低保障機能の強化といったような 観点も盛り込んだ議論の中間的な整理というものが右側の欄に書いてございますけれども、 昨年11月に取りまとめられているところでございます。また、今年の年金の改正法案の提 出に当たりまして行われました財政検証結果、こちらも右側の欄にありますように2月に その結果が年金部会に報告されているところでございます。  次の[8]介護保険部会の関係でございます。こちらは平成15年からということで、介護保 険制度の見直しを検討するということで、制度に関する様々な課題、そして対応方策につ いてご審議いただいているところでございます。直近の状況で申し上げますと、平成17年 の改正後に出てまいりましたいろんな課題ということについて、昨年2月でございますけ れども、右側の欄にあります介護事業運営の適正化に関する意見というものが取りまとめ られているところでございます。  次の[9]医療保険部会の関係でございます。こちらは医療保険制度体系に関する改革案の 策定に当たっての検討を行うということでございますけれども、審議事項のところにござ いますように、直近では出産育児一時金、被用者保険の格差、特に財政格差の関係につい てご審議いただいているということでございます。また、一番右側の欄に書いてございま すけれども、平成20年度の診療報酬改定の基本方針ということについても、取りまとめを していただいているところでございます。  1枚めくっていただきますと5ページになりますけれども、[10]医療観察法部会でござい ます。こちらは平成17年からでございます。医療観察法に基づく指定入院医療機関に入院 中の方についての処遇について、専門的かつ独立的な機関として審査を行うということで ございますけれども、具体的には審議事項のところに書いてございますように、入院中の 方についての処遇改善の請求があった場合について、それについて処遇が適当であるかど うかということについて、審査を行っていただいているところでございます。右側の欄に ありますように、直近でございますと今年の6月17日にも処遇改善請求に係る審査という ものが出されているところでございます。  次の[11]でございます。後期高齢者医療の在り方に関する特別部会ということでございま す。こちらは所掌事務に書いてございますように後期高齢者医療の在り方ということで、 高齢者医療に関しましては平成20年4月から新しい制度がスタートしているわけでありま すけれども、その制度に関しまして審議事項にありますように診療報酬体系、そして、ま た制度の在り方ということについてご審議をいただきまして、一番右側の欄にございます ような基本的な考え方、あるいは診療報酬体系の骨子というものが平成19年に出されてい るところでございます。  次の一番最後になりますけれども、少子化対策特別部会、こちらは一番最近、平成19年 に発足している特別部会でございます。こちらにつきましては、少子化に関係しまして平 成19年12月に子どもと家庭を応援する日本重点戦略というものが出されているわけであり ますけれども、これを受けまして次世代育成支援についての具体的な対策についてご審議 いただくといったようなことで、これまで25回にわたってご審議をいただいているという ことでございます。一番右側の欄にございますように、平成20年5月には基本的な考え方 というものが取りまとめられておりますし、また、それをさらに具体化をするということ で、議論の中間的な取りまとめということで、第1次報告が今年の2月に出されていると いったような状況でございます。  以上が関係します部会、特別部会、分科会の開催の関係でございまして、これらの開催 回数のトータルは書いてございませんけれども、私が電卓で計算しましたら144回というこ とでございます。実は、これはそれぞれの部会とか、あるいは分科会の下に専門委員会で ありますとか、専門調査会などが設けられているケースもございますので、それらも含め ますとかなりの頻度でこの間、ご審議をいただいているというような状況ではないかと思 います。本日もお忙しい中、先生方にご出席をいただいているわけでございますけれども、 こういった精力的なご審議をいただいているということについて、この場をかりてお礼を 申し上げたいと思います。  私からの説明は簡単でございますけれども、以上でございます。 (貝塚会長)  どうもありがとうございました。  委員の皆様の中には当然のことでありますが、分科会や部会に属されている方もおられ ますので、ただ今の説明について何か補足的なご説明等がございましたらお願いします。 また、併せて今のご説明に対してご意見、ご質問がございましたらご自由にご発言くださ い。今までの議論に必ずしもこだわらずに、いろんな形で今後どういうふうに進めたらい いかとか、いろんなことも含めてどうぞ、ご自由にご発言いただければ。どうぞ。 (神田委員)  愛知県知事の神田でございます。私は全国知事会の立場でこの社会保障審議会に加わっ ておりますが、医療保険部会、その他分科会にも所属をいたしておりますので、今日はせ っかくの機会でございますので、福祉医療現場に近い行政の立場で若干ご意見などを申し 上げたいと思います。  いわゆる長寿医療制度あるいは国民健康保険の在り方につきましては、いろいろ議論が あるところでございますし、今後、医療保険部会におきましても議論が深まっていくもの と思っておりますけれども、全国知事会といたしましても国への提案・要望を取りまとめ ておりまして、その基本的な考え方、骨子を若干だけご紹介を申し上げ、各委員さんの参 考にしていただきたいと思います。  私ども全国知事会では、大体、この7月ぐらいの時期に明年度の提案要望という形で全 国知事会議を開催いたしまして、そこで取りまとめを行います。今年は先月の7月14、15 と三重県で全国知事会を開催いたしまして、そこで提案要望を取りまとめたところでござ います。  まず、長寿医療制度でございますけれども、昨年4月に導入して以来、これほど混乱を 来した制度はなかったわけであります。社会問題にもなり、大きな制度の見直し議論やら、 あるいはこの制度に対する様々な国民の意見も展開されたところでございます。一時的に はまさに混乱の中にあったと思っております。その後、国もいろいろ制度の見直しなどを 行われましたし、現場を預かる広域連合やら、市町村あるいは都道府県が一体となってこ の制度の定着に向けて努力をいたしました。  現状の認識でありますけれども、私は、これは知事会の認識でもあるわけでございます が、住民の理解も大分進んでまいりまして落ち着きを取り戻し、この長寿医療制度につき ましては定着しつつあるものと認識をいたしております。そのような認識にございますの で、今後、制度の抜本的な見直しを行う必要があるかどうかということになってくるわけ でありますが、たび重なる制度変更によってかえって新たな混乱が起きる、あるいは現場 を預かる立場でも、これ以上の混乱は勘弁してほしいと切なる声も出ておりますので、そ こら辺は十分配慮して、この長寿医療制度の運営にはぜひともよりよいものに定着させる という形での努力が必要だろうと、我々は思っているところでございますので、どうかこ の審議会の中でもご理解をいただきたいというのがまず1点でございます。  それから、同じく国民健康保険の関係でございますけれども、これも長寿医療制度に関 連して、あるいは現在の国民健康保険が大変財政的にも難しい局面にあるということで、 保険者を市町村から都道府県に移すというような意見も一部にはございました。これはこ れでいろいろな意見が展開されるのは結構かと思っておりますけれども、国民健康保険の 構造的な問題というのは今さら言うまでもないことでございますけれども、低所得者が大 変多くこの保険には加入されるという宿命的なものもございますし、高齢化も進んでいる 中で保険の運営主体を移行するだけでは、財政運営上の問題は何一つ解決しないという大 変深刻で構造的な問題を抱えております。  それから、被保険者の資格管理あるいは保険料あるいは保険税、賦課徴収をする上にお きましても様々な問題が出てくるわけでございまして、国民健康保険、これは皆保険を支 える一番中心になるものでございますけれども、これが今後どうあるべきかについては、 これも十分幅広に保険制度全体の中での議論が必要であると思っておりますので、これも 知事会のそういう意見が大変強うございます。せっかくの機会でございますので、この審 議会でも考え方の一端を申し上げた次第でございます。  21年度中には財政基盤強化策をどうするかという大きな検討課題も待っているわけでご ざいまして、長寿医療制度、そして国民健康保険の制度の見直しにつきましては、そうし た統一的な大きな枠組みの中でのかなり骨太で、根源的な議論が必要だというようなこと を知事会の立場では申し上げたいと思っております。もとよりこれは医療保険部会だとか 分科会だとか、そういうところでこれから議論が進められていくことであろうと思います。 もちろん、そういう場所でも私どもは積極的に議論を重ねていきたいと思っておりますが、 今日は分科会あるいは部会の統一的な今ご報告がございましたので、この際、発言をさせ ていただいたところでございます。  会長、ありがとうございました。 (貝塚会長)  ほかにどうぞご意見、ご発言。どうぞ。 (大日向委員)  私は少子化対策特別部会に関わらせていただいております。この少子化対策特別部会が 設置された経緯につきましては、先ほど事務局からご説明いただきましたとおりで、子ど もと家族を応援する日本重点戦略に基づいて、次世代育成支援のための新たな制度体系の 構築を課せられた部会でございます。少子化対策、次世代育成支援というのは、今、子育 てに携わっている親の困難を救うためにも、また、未来の日本社会を託す子どもたちを育 てるためにも、待ったなしの課題がたくさんあるわけです。  皆様もよくご存じのとおり、昨今、選挙に向けて各党がマニフェストを出しております ね。そこにはどちらかというと現金給付が随分注目を集めているように思います。この不 況下で確かに現金給付的な支援は一定の必要性、効果はあるのかと思いますが、もう少し 長期的な目で見ますと、特に持続可能な社会保障制度の維持という観点からは、親の働き 方をいかに子育てと両立できる形で持っていくかという、ワークライフバランス、一方で、 安心して預けることのできる保育制度の構築、あるいは地域の子育て支援の充実は本当に 大事な点です。  この辺りの制度設計に向けて一昨年来、これまで精力的に部会で議論してまいりました。 昨日、今日も新たに保育の専門委員会が設けられて議論を進めております。こうした次世 代育成に向けた制度設計を新しくしていくためには、どうしても財源確保というものが裏 打ちで必要だということです。社会保障というのはきちんとした未来の社会を日本はどう 考えていくかという哲学をみんなで考えながら財源確保に向けて議論し、とりわけ次世代 育成支援のための制度設計というシステムをどうつくっていくかということに議論が高ま っていくことを期待しております。  以上です。 (貝塚会長)  ほかに何かご発言、ご意見はございませんでしょうか。  私のこともあれですが、私は老健局で介護保険制度の話をやりまして、また分かりやす く言えば3割負担という話が出てきて、あとは全く私の個人的な感想ですが、日本の社会 保険制度はほとんど現状においてやっぱり自己負担の比重が相当上がってきて、もう限界 に来ているというのが状況じゃないかという気がして、なかなか難しい状況に来ていると いうのが一つの。  それから、もう一つはほとんどこの社会保障審議会に直接関係していないんですが、や っぱり貧困層というんですかね、英語で言うとポバティー。日本は数年前まではポバティ ーの話というのはほとんど議論しなかったんですが、数年前ぐらいから実際に生活保護を 受給する人が物すごく増えてきちゃって、だから、逆に言うと社会保険制度の網の目から 落ちちゃった人が相当いるというのが現実で、これは必ずしも社会保障審議会がやる仕事 かどうかは分からないんですが、全体としてはそこをどういうふうにするかが多分恐らく 今後の非常に、民主党が勝利するにせよ、自民党が勝利するにせよ、あるいはあれですが、 ともかくその問題が非常に重要な問題だという気がしております。  そういう点で、時代は非常に変わりつつあって、社会保険制度というのは非常に過去か らずっと有効に働いてきたんですが、今や正直を言うと少し限界点に来たと。これからど うするかというのは難しい問題なんですけれども、いろいろデンマークかどこだっけかな、 要するに5年加入すれば年金をもらえるというんですかね、何か10年かな。とくかくそう いう制度も日本でやろうとしたら大変なことになるんですけれども、そういうふうな考え 方もあって、ごく短期しか雇われていない人もいて、その人たちもどうするかという問題 は日本でもまさに今そうなんですね、という問題が起きてきて、これからはなかなかこの 審議会でやらなくてはいかんということでもないんですが、全体としてはそういう話が必 要じゃないかと個人的な感想を持っているということです。  何かほかにご意見はありませんでしょうか。  医療制度もただ今、神田委員が言われましたように、これもある意味では曲がり角に来 ていて、負担の問題も相当重要ですけれども、逆に言うと、また保険料がうまく徴収でき るかというまた別の問題もあって、必ずしも都道府県と市町村の問題も非常に深刻で、そ の辺もいろいろ考えていかなくてはいかんと思うんですが、何かほかにご発言があればど うぞ、多少、時間がございますので。  私から質問するとちょっと恐縮なんですが、人口推計の最近どういうことになっている というとおかしいけれども、どういう感じなんでしょうかね。 (廣松委員)  将来人口推計は国勢調査が行われた後に、その速報結果に基づいて行うものですので、 一番新しい推計は2005年の国勢調査に基づいて2006年に公表したものでございます。来年、 2010年に国勢調査が予定されておりますので、その公表結果に基づき、多分、2011年末あ るいは2012年にかかるかもしれませんが、に改めて推計を行う予定でございます。ただ、 現状、大きなトレンドといたしまして前回推計いたしました傾向、すなわちよく言われま す少子高齢化の傾向が次回で、急に逆転をするということはちょっと望めないのではない かというふうに考えております。  ただ、短期的にはご存じのとおり、推計をしますときの最も基本的な数値であります合 計特殊出生率がここのところ前回の推計で仮定しました中位値の1.26よりも上がっており まして、大体、今、1.34から1.35程度の値になっています。ただそれによってただちに少 子化の傾向が弱まったかというとそれはもっとよく見てみないと分かりません。といいま すのは、合計特殊出生率の定義の仕方によるのですが、どうも今は、分母の出産可能年齢 人口の女性が減っている、分子の出生数もやっぱり減ってはいるのですが、分母の減少分 のほうが大きいものですから、その比である合計特殊出生率が少し上がりぎみになってい るというのが現実ではないかと見ております。ただ、これは2010年の国勢調査の結果が明 らかになったときに、もう少し詳しく検証できるのではないかと考えております。 (貝塚会長)  どうもありがとうございます。  ほかに何かご質問あるいはご意見はございませんでしょうか。  本日は特段に最後の部分につきましては、議題を決めてやっているというわけでもござ いません。ご自由にご議論いただいたと思いますが、ご発言も一応とりあえずございませ んようですので、ここでこの会議を閉会したいと思いますが、よろしゅうございますでし ょうか。  それでは、最後に事務局から何かご発言があれば。統括官、どうぞ。 (間杉政策統括官)  ありがとうございます。政策統括官の間杉でございます。  本日は新しい部会あるいは既存の部会、分科会の運営の方向性、在り方につきまして非 常に貴重なご意見を賜りまして、誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  多言を申しませんが、せっかくの機会でございますので、お手元に参考資料という形で 少し分厚うございますけれども、幾つかの社会保障をめぐる基本的な資料をお配りさせて いただいてございます。ご案内のとおり、社会保障国民会議が昨年1月から始まりまして、 社会保障の機能強化、特に基礎年金の最低保障機能強化の問題、それから地域医療の再生 の問題、介護人材の確保、さらに少子化等々、様々な問題が社会保障の機能強化というこ とで浮上してきているわけでございます。また、それは年末に財源確保と併せて中期プロ グラムという形で閣議決定をされたと、そんな流れがございました。  そして、そういった流れの中で今年の骨太の中では、長年、厚生労働省が苦しんでまい りましたシーリングの2,200億につきましても、今年は2,200億がかからないというふうな ことで、大変政治との間で大きな議論があったわけでございますけれども、そういう決着 になったと、そんな大きな流れがございました。  私どもはこれから社会保障の機能強化と呼ばれました部分につきまして、あるいは予算 編成あるいは制度改正というふうな形で、また、各部会、分科会などでご議論を賜ること になろうかというふうに思っておりますので、何とぞ引き続き委員の先生方のご指導をお 願い申し上げるものでございます。本日は誠にありがとうございました。 (貝塚会長)  それでは、あと、次回以降の話はまだ未確定であるということですね。 (間杉政策統括官)  はい。次回以降はまた議案ができましたときに、相談させていただきたいと存じます。 よろしくお願いいたします。 (貝塚会長)  それでは、今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。                                       以上 照会先 政策統括官付社会保障担当参事官室 政策第一係 代)03−5253−1111(内線7692) ダ)03−3595−2159