09/08/05 第2回「健やか親子21」の評価等に関する検討会議事録 第2回「健やか親子21」の評価等に関する検討会 議事録 日時:2009年8月5日(水) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省 共用第7会議室 出席者:   柳澤座長、井上委員、今村委員、衞藤委員、   岡本委員、奥山委員、桑原委員、齊藤委員、高山委員、田中委員   三上委員、森田委員、山縣委員、山極委員、渡辺委員  厚生労働省   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   宮嵜母子保健課長、杉上虐待防止対策室長、朝川少子化対策室長   森岡課長補佐、今村課長補佐   馬場医政局指導課専門官、岡山健康局生活習慣病対策室長補佐  代表幹事   課題 I 市川 宏伸 氏(日本児童青年精神医学会)   課題II 堀内  勁 氏(日本母乳の会)   課題III 小林 信秋 氏(難病のこども支援全国ネットワーク)   課題IV 衞藤  隆 氏(日本小児保健協会) 次第:  1. 開会    挨拶  2. 議題    (1)「健やか親子21」指標の分析・評価のための調査実施状況について    (2)健やか親子21推進協議会の取組状況について    (3)新たな取組に関するフリーディスカッション    (4)その他  3. 閉会 配布資料:  資料1 「健やか親子21」指標の分析・評価のための第2回中間評価の進め方  資料2 「健やか親子21」指標の分析・評価のための調査実施のスケジュールと調査概要  資料3 健やか親子21推進協議会における関係団体の取組の現状と課題      [1] 課題I代表幹事 市川宏伸 氏 提出資料      [2] 課題II代表幹事 堀内 勁 氏 提出資料      [3] 課題III代表幹事 小林信秋 氏 提出資料      [4] 課題IV代表幹事 衞藤 隆 氏 提出資料  資料4 健やか親子21推進協議会参加関係団体の取組実績の調査について  資料5 [1] 第1回検討会における新たな取組に関する発言について      [2]「健やか親子21」における取組の目標  参考1 「健やか親子21」に関連する行政計画や国民運動計画の周期  参考2 「健やか親子21」第2回中間評価の進め方  参考3 「健やか親子21」第2回中間評価に関する調査票  参考4 「健やか親子21」の推進状況 議事: ○宮嵜母子保健課長  定刻となりましたので、ただ今から「第2回『健やか親子21』の評価等に関する検討会」を開 催させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。 なお、迫委員からは欠席とのご連絡をいただいております。  議事に先立ちまして、事務局の人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。  厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の伊岐典子でございます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  伊岐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○宮嵜母子保健課長  大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭局担当)の香取照幸でございます。 ○香取審議官  よろしくお願いいたします。 ○宮嵜母子保健課長  雇用均等・児童家庭局総務課長の田河慶太でございます。 ○田河総務課長  田河でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○宮嵜母子保健課長  それでは、開会に当たりまして、伊岐雇用均等・児童家庭局長よりご挨拶申し上げます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  皆さま、おはようございます。早朝よりお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 ただ今、紹介がありましたように、この7月24日付で雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしまし た伊岐典子と申します。どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。  委員の皆さま方におかれましては、今年3月から、21世紀初頭の母子保健の国民運動計画であ ります「健やか親子21」の指標の再評価の検討にご参画いただいているところでございまして、 深く感謝申し上げます。  ご承知のように、母子保健分野におきましては、産婦人科医や小児科医の不足問題の解決ある いは周産期医療体制の整備、さらには子どもの事故防止対策等の小児保健医療の向上、また、子 どもの心の問題への対応や虐待防止対策、思春期保健対策などの課題が指摘されていると承知い たしております。これらの課題につきましては、これまでも「健やか親子21」の運動の中で積極 的に取り組んできたところでございますが、これらの運動をより一層発展させていくことが必要 であると存じます。  また、この「健やか親子21」につきましては、当初2010年までの計画でありましたところを、 3月の第1回検討会議におきまして、次世代育成支援計画の後期行動計画の期間に合わせて2014 年までを計画期間とすることをご了承いただいたところです。これを踏まえまして、第1回中間 評価後の4年間の取組の評価をいただき、昨今の母子保健分野における新しいニーズなどにも目 を配っていただきまして議論を進めていただきたいと存じます。そして、平成26年までの取組の 方向性についてのお取りまとめをお願いすることにいたしております。  私といたしましても、まだ着任間もないもので、勉強させていただきたいと思いましてこの会 議に出席させていただきますが、それぞれ各界の最高権威の皆さまにお集まりいただいておりま すので、高いご見識に基づく議論を拝聴させていただきながら、行政としての母子保健施策を進 めてまいりたいと考えているところでございます。座長をはじめ、委員の皆さま方におかれまし ては、引き続きご指導・ご協力をいただきますようお願い申し上げまして私からの挨拶とさせて いただきます。  今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○宮嵜母子保健課長  ありがとうございました。局長、審議官、総務課長は所用によりまして、これにて退席させて いただきます。  それでは、ここからの議事の進行につきましては、柳澤座長にお願い申し上げます。 ○柳澤座長  それでは、限られた時間ですので、皆さまのご協力をいただいて、できるだけスムーズに議事 を進めていきたいと思います。  早速、議事を進めます。まず事務局から、資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  配布資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第がございます。次に座席表がございま すが、座席表につきましては訂正がございます。桑原委員のお名前を「栗原委員」と記載してお ります。申し訳ございません。「桑原委員」の間違いでございます。それから、開催要綱と委員の 名簿がございます。資料1としまして「健やか親子21」指標の分析・評価のための第2回中間評 価の進め方の資料、それから資料2としまして「健やか親子21」指標の分析・評価のため調査実 施のスケジュールと調査概要です。資料3としまして「健やか親子21推進協議会における関係団 体の取組の現状と課題について」ということで、4名の先生からのプレゼン資料[1]〜[4]がござい ます。資料4として、健やか親子21推進協議会参加団体の取組実績の調査についての資料、資料 5として[1]第1回検討会における新たな取組に関する発言について、[2]として「健やか親子21」 における取組の目標の資料がございます。それから、参考として1〜4の資料を配布しております。  過不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。本日の議題は、3題ございます。その議題に入る前に、中間評価の進め 方について事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料1に基づきまして説明させていただきます。この資料1ですけれども、前回の 資料5、今回の参考2になりますけれども、前回の検討会で合意いたしました中間評価の進め方 については六つのプロセスがありますけれども、今回の参考2の四角で囲んでいる部分ですが、 その六つのプロセスを抜き出したものでございます。今回の資料1として[1]〜[6]の六つのプロセ スを並べておりますけれども、今回の検討会でご議論いただきますのは[1]〜[3]に関してです。[4] 〜[6]については、次回以降の検討会において検討いただくことになります。  [1]については67指標がございますけれども、それについての達成度の分析・評価を1〜5の方 法で調査・照会を掛けまして、行ってまいります。今日は赤線を引いている部分、2の「地方公 共団体等に対するアンケート調査」という山縣委員の研究班にお願いしておりますところについ てご報告いただくことになります。  それから、[2]は「健やか親子21推進協議会と地方公共団体、国の取組状況についての分析」で すけれども、これにつきましても1〜3の方法で調査を行います。1の地方公共団体に対するアン ケート調査についても、山縣委員の研究班に報告をいただくことになります。  3は「推進協議会への参加団体に対するアンケート調査」ということで、母子保健課から85団 体に調査を行いますけれども、その調査についてご検討いただきたいと考えております。  [3]は議題(3)に関する部分ですけれども、「新たなニーズに対する指標の設定について」検討を 行うということで、本日はフリーディスカッションを予定しております。  以上でございます。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今、事務局から説明がありましたように、厚 生労働科学研究班で第2回中間評価のための調査・分析を担当していらっしゃいます山縣委員か ら、議題(1)の「健やか親子21」指標の分析・評価のための調査実施状況について、ご説明をお願 いいたします。 ○山縣委員  山縣でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、簡単にご説明いたします。資料が出ておりますが、調査はどのような内容なのかと いうことで、お手元の資料2です。最初に、これがメインの調査ですが、138の市町村に対する 乳幼児健診での調査で、今回の調査は全部「健やか親子21」の指標の現状を知るということで、 調査項目といたしましてはすべて指標を基にしたものでありますし、それから前回のベースライ ン、第1回の中間評価との比較ということになりますので、基本的にはそれを変えずにやってお ります。ただし一部、中間評価の結果、指標が変わったものにつきましては項目も変えておりま す。  次は「自治体調査」でございますが、これはそれぞれ都道府県・市町村・保健所について「健 やか親子21」の取組をしていただいているところですが、そこでどのような取組がされているの かという調査です。  次が「思春期やせ症・不健康やせ」の頻度調査ですが、これは平成20年に高校3年生の女子の 記録を全国の15高校に対してそれぞれ約100人程度に行ったもので、それを基にして指標を分析 することになります。  次のページをご覧ください。これは「産後うつ」で、EPDS・エジンバラの質問用紙を用いた ものであります。前回も実際に実施しているところを調査いたしまして、そこを中間評価として 用いましたが、今回もそういう形です。前回と違うのは、EPDSを用いている自治体が非常に増 えていますので、今回は対象の自治体も少し増やして全体の様子を見ていこうという調査です。  全体のスケジュールですが、資料2にありますように、既に「親と子の健康度調査(乳幼児健診)」 を対象とした調査に関しましては7月中に回収をほとんど終えておりまして、一部いろいろな課 題で8月になっている所がございますが、大体の所の調査が終了しております。これを9月下旬 に入力を終えて、分析をして早い時期にこの会でご報告したいと思っています。「自治体の調査」 に関しましても、7月に既に調査を開始しておりまして、8月14日に回収を終了し、これに関し ましてもほぼ同時期に入力・解析を行っていくということです。それから「思春期やせ・不健康 やせ」につきましても、今週から調査を開始しておりまして、9月初旬にはそれを終え、下旬に は入力等を終えて早い時期に解析ということになります。「産後うつ」の調査に関しましても、既 に7月中に調査を終えておりまして、現在入力を開始し、それの解析を9月下旬には始めたいと いうことで、10月初旬には粗方の概要が出てくる状況でございます。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。第2回中間評価のための調査の実施状況につきまして、ご説 明いただきました。調査実施に関するご質問や今後の集計や分析に関するご意見、ただ今ご説明 いただいたところに関してのご質問・ご意見がございますでしょうか。 ○山縣委員  一つだけ追加ですが、よろしいでしょうか。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○山縣委員  どのような分析をするかということに関しましては、「健やか親子21」中間評価報告書の平成 18年3月のものがございますが、これの真ん中から後ろに、いわゆる評価シートというA4横書 きのものがありますが、これにすべて入れていくということです。  それから前回、桑原委員からもご指摘がありました「もう少し長いスパンで現状を見る」とい ったことも含めて、ご指摘いただいたところでの解析も含めていきたいと考えています。以上で す。 ○柳澤座長  ありがとうございました。 ○山極委員  今回初めて出席させていただきました立教大学の山極でございます。今年の3月末まで(株) 資生堂に勤務し社員のワーク・ライフ・バランス等の取組を推進して参りました経験に基づいて 今の調査項目を拝見しますと、子どもを育てるには夫婦が健康で、共同して育児参画できている ことがとても大事です。この調査の中に「育児に参加する父親の割合」は出ているのですが、父 親の労働時間の実態がつかめておりません。勤務先企業の働き方、働かせ方の見直しが進んでい ないと、子どもと触れ合う時間は作れなくなります。さらには働いている父親自身が健康を害し たり、パートナーである母親も仕事・家事・育児等余裕がない状況になっている場合があります。  そのような背景から、ここ数年間は、資生堂だけでなく日本経済団体連合会や他の企業とも連 携しあって、ワーク・ライフ・バランスを推進しているのです。 ○柳澤座長  山縣委員、いかがですか。 ○山縣委員  ご指摘のとおりだと思います。基本的に、ここの調査の主眼は指標に関する見直しということ ですので、それがほとんどになると思います。  ただ今、山極委員がおっしゃったことに関しては、多分に次世代育成の行動計画の中での見直 しということで、おそらく今、そこの部署で、来年からの行動計画の見直しをそれぞれの自治体・ 企業でやっているところで、その見直しの結果も、この議論の中にその資料も入れていくと、今 のお話が情報として入ってくるのではないかと思います。 ○山極委員  ありがとうございました。 ○柳澤座長  他に、ございますでしょうか。 ○堀内氏  課題IIの堀内でございます。このパラメーターを、「健やか親子21」は課題が四つあるのです が、関連性をどのようにするのか、お聞きしたいのです。たぶん、連続して思春期の問題までい くはずですが、例えば課題IIの指標が思春期にどのように影響するかというような評価を、これ から行うことはできるのでしょうか。 ○山縣委員  課題IIは、いわゆる妊娠・出産、子育てのところですが、これまでのチャレンジといたしまし ては、例えば「良いお産」というものの評価を、どのようなアウトカムでやるかというときに、 ただ単に出産時の妊産婦満足度だけではなくて、その子どもが大きくなったとき、それから例え ば先ほどのエジンバラがありますけれども、出産後の「うつ」にならないようなお産を「良いお 産」と評価するという形で考えていくというのは一つの方法だと思います。  他にも、いろいろなアイデアがございましたら、ぜひご指摘いただきたいと思っています。 ○渡辺委員  今の山極委員のご発言と少し関連するのですけれど、この調査結果は大体いつごろ出て、これ は9月の中旬ですか。これはいつごろ自治体に対して方向性が示されるのでしょうか。それを教 えていただいて、よろしいですか。  というのは、先ほどから「次世代」とおしゃっていますが、次世代育成支援対策推進法に基づ く後期行動計画の策定は既に始まっておりまして、多くの自治体では、ほとんど終わりかけてい て、どのタイミングで出るかというのは非常に大事なことであると思っています。  それから、私も複数の自治体の行動計画の策定にかかわっていますけれど、母子保健と児童福 祉・子育て支援のつながりというのは、誰かが研究者としてきちんと言っていかなければ、次世 代は次世代、母子保健は母子保健という形で進んでいますので、つながりができないと思います。 母子保健なら母子保健から、児童福祉や子育て支援とのつながりをしっかり伝えていかないと、 せっかくこの調査で見えてきたことが行動計画の中にきちんと反映されないという危惧を非常に 持ちますが、いかがでしょうか。 ○柳澤座長  現在、山縣班で進められている調査は、この「健やか親子21」の第2回中間評価にまとめられ るわけなので、それについてのスケジュールは先ほど事務局から説明があったように、もうでき ているわけですけれど。 ○渡辺委員  行動計画ができてしまってから、こういう評価の結果が出て「必要ですよ」といわれても、計 画はもうできてしまっているわけでしょう。先ほどから次世代、次世代とさかんに言われますけ れど、次世代育成支援対策推進法とのつながりはどうなるのかを聞きたいのです。 ○柳澤座長  これは、どなたか事務局から、お願いします。 ○宮嵜母子保健課長  我々も適宜、調査結果を取りまとめて、地方自治体のレベルにも我々から早く情報発信して、 一義的には母子保健の部局で受け止めていくのでしょうが、実際には次世代計画と連携して、私 も地方自治体で前のときに作ったことがありますけれど、かなりオーバーラップする部分もあり ますので、母子保健の方で取り入れる指標もありますし、次世代の方でこの「健やか親子21」で 行っている指標を取り入れる部分もあって、さらに協調して実施していくというのが地方自治体 の形になると思いますので、そういう連携が地方自治体レベルでもとれるように、我々もしっか り情報発信はしていきたいと思っています。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○朝川少子化対策室長  少子化対策室長です。補足しますと、今回、次世代行動計画の策定は進んでいますので、こち らの方の議論が間に合えば、できるだけ間に合わせていくということだと思いますし、もう一つ は、昨年、次世代育成支援対策推進法の改正をしている中で、地方公共団体にもお作りいただい ている行動計画については、点検・評価をきちんと指標をもってやってくださいと言っておりま す。従って、今年度策定して、作ったままにはしないでくださいということを法律上明記してお りますので、それは各年度で、これから5年計画ですけれども、点検・評価する枠組みもござい ますので、間に合わない部分については平成22年度以降の点検・評価に生かしていくことも可能 だと思っています。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。先ほど、ご説明いただいた調査につきましては、9月10月に集計・分析 ということですので、よろしくお願いいたします。  ということで、議題(2)に移りたいと存じます。健やか親子21推進協議会の取組状況について、 現状報告を受けた後、第2回中間評価に向けた調査についてご意見を伺う予定です。  まず、現状報告ですが、「健やか親子21」検討会報告書に基づく母子保健に関する主要課題に ついての取組の企画・調整を実施する幹事会の代表幹事を務める4名の先生方に今日はおいでい ただいておりまして、この健やか親子21推進協議会における関係団体の取組、また指標に関する 現状と今後の課題や展望・取組について、お一人ずつお話を伺おうと思います。  そこで、最初に「課題I思春期の保健対策の強化と健康教育の推進に関する課題」に取り組ん でおられます日本児童青年精神医学会・東京都立梅ケ丘病院の市川宏伸先生から、この課題Iへ の協議会の加盟団体としての取組について、ご説明をお願いいたします。 ○市川氏  ご紹介いただきました第1分科会の代表幹事を務めております市川でございます。スライドを 使ってお話しさせていただきたいと思います。課題Iの参加団体は42団体ということになってお りまして、幹事団体がここに書いてあります6団体となっております。もちろん分科会によって 違いがあるのかもしれませんけれど、私どもは42団体といっても全員が一堂に会するということ は考えられないわけで、年に5回ぐらい幹事団体が集まってどのような取組をしていこうかお話 ししています。  課題Iの「目標」につきましては、大きく分けると三つです。その中におのおの五つぐらいに 分け方があります。これから調査される所もありますけれども、多くの目標が改善あるいは達成 の方向にある、あるいは達成したものもあります。幹事会の中で担当の団体から報告を出してい ただいております。これは10代の自殺率や妊娠中絶あるいは性感染症についての報告です。改善 方向というか、あるいは良い方向に行っているというのが多くの報告です。ただ今のは自殺です が、もう一つは性感染症です。性感染症についても定点観測の結果ですが、多くの方向性がうま くいっています。次は10代の人工妊娠中絶につきましても推移を取っていきますと、良い方向に なっております。次の「住民自らの行動の指標」ということで、これにつきましては、団体の方 からの報告というよりは、厚生労働省から報告をいただいている限り、これも改善の方向に向か っています。  次は「行政・関係団体等の取り組みの指標」です。これにつきましても、数字だけ見ますと改 善方向というか、良い方向に向かっています。ただ、この中で一つの例を挙げると、スクール・ カウンセラーを配置している中学校がかなり増えてきていますが、スクール・カウンセラーの質 ということが文部科学省の方で随分と問題になっております。これをどのように数値化していく かという問題があるかもしれません。今までの数値を当てはめてうまくいっている、いっていな いだけを論じていても困るという気がいたします。  団体が非常に多岐にわたっておりまして、先ほど第2分科会からもありましたけれども、テー マによっては幾つかの分科会にわたっているものもあります。その中で、どのように取り組んで いくかが問題になっているということと、今まで8年目になるのでしょうか。この期間は相当長 かったということで、42団体のうちにはいろいろ呼びかけても全く反応していただけない団体も 相当あります。幹事団体の中でも熱心に出てきていただいた方が交代してしまうと全く連絡も取 れないような所もあります。結果として幹事団体の会合に参加する団体がある程度固定化されて しまっています。内容によっては第1分科会の中でも団体によって、意見の食い違いが出てくる ところがあります。「日本ではなぜピルを解禁しないか」と言っている団体もありますし、「そん なことをされたら性感染症がどんどん増えてしまう」と意見が分かれるところがあります。それ から、私たち年間5回ぐらい会合を持っておりますが、団体の都合を考えますと夜しか開けない わけです。平日の夜に集まって開くと、せめて食事ぐらいしたいと思います。これも各団体に呼 びかけて、経費を負担してもらってますが、協力してくださらない所もあります。これから5年 と伺っておりますけれども、新たな何らかの体制に取り組んでいかないといけないと考えており ます。  第1分科会の中では、積極的に参加していただけない団体の意向も把握しておかなければいけ ないのではないかということで、現在アンケートを行っているところです。「国民運動としての方 向性」をもう一度示していただいて、各団体にもう一度はっきりしていただく必要があるかと考 えております。それから課題につきまして達成されたというものについては、この中から達成済 みということで新たな課題を作っていただく必要があるかと思います。それから目標値の到達と いうことから、もう少し質についても進んでいかないといけないと思います。例えば先ほど触れ ましたスクール・カウンセラーの問題ですと、文部科学省はスクール・ソーシャルワーカーの導 入ということまで始めております。なぜこれを導入しなければいけないかというと、やはりスク ール・カウンセラーだけでは解決できない問題があったからだろうと思います。そうしてみると、 そのような新たなことがこの何年かの中に起きてきているということは考えなければいけないと 思います。もう一つは、数値を何とかクリアし達成するということ、あるいはそれを担保してい くための予防のようなことにもう少し取り組まなければいけないと第1分科会では考えておりま す。これは直接的な結び付きは難しいところもありますが、自殺につきましては、見にくくて申 し訳ないのですが、女子で果たして自傷行為を行っている人がどれぐらいいるかということの調 査をしてみたり、自殺に関係あると考えられております、いわゆるうつ等の気分障害の関連等を 今、取り組んでいこうかと思っているところです。いずれにせよ調査も行っているということで、 この結果を踏まえて新たな方向性を示していただきたいと思います。そのようなことが現状かと 思っております。団体間の意識のばらつきがものすごく大きいというのが正直な感想で、これに つきまして、幹事団体から呼びかけて反応しなかったときにはどうしたらよいかというのも時々 考えているところです。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。  ただ今、課題I「思春期の保健対策の強化と健康教育の促進」のグループといいますか、そこ での取組のご説明をいただきました。ご質問・ご意見があるかと思いますけれども、それはこの 部分のご説明が全部終わったところでまとめて質疑応答の時間を持ちたいと思います。  続いて、「課題II妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」に取り組まれてお られます日本母乳の会・聖マリアンナ医科大学教授堀内 勁先生にご説明をお願いいたします。 ○堀内氏  聖マリアンナ医科大学小児科の堀内でございます。課題Iでもお話があったように、8年の検 討期間というのは極めて長いものでした。初期の段階では、この課題IIのテーマが「安全性と快 適性の確保」という一見わかっていて全然わからないような内容で、小児科あるいは産科の医療 の基本となるのは、まずは成長発達を中心とする健康面、そして疾病を持った状態、そしてそれ に伴う障害です。この三つが大きな柱になるのですが、その中で安全性と快適性の調和というの は極めて矛盾していて、まさにこの産科・小児科医療の大本になるような課題を検討するように なりました。  そこで、安全性と快適性の調和ということで何が大事かということですけれども、概念として は妊娠・出産の過程を通して、女性にとっては妊娠・出産というのは一つの危機ですので、危機 を乗り切ることによって、それを支えるのは医療や保健ですが、それを支えることによって女性 としての力をエンパワーする、それはひいては子育て力のエンパワーになるのではないか。その ような共通認識の下に進めてまいりましたが、実は8年の長さというのは、マスコミ市場で皆さ まよくご存じのように、周産期医療の崩壊という事象を伴いまして、最初の安全性と快適性のう ちの安全性は既に崩壊し始める事態となりました。実際に分娩施設の減少、そしてハイリスクを 扱う施設の増加もとどまっておりますし、NICUの規模で言いますと、算定数からいうと我が国 では3分の2しか確保されていない。参加施設は8年前に比べると7割に至ってしまっている。 そのような現状の中での課題ですので、その対策として集約化と快適性という問題は、これから 極めて問題になるのではないかと思います。  そして、その中でもう一つは妊娠出産の後に、やはり産褥期というものがあります。私たち第2 課題はどのように考えるかということなのですけれども、一つは産科医療に携わる助産師、産科 医、その他の方々たちの始まりはやはり生殖サイクルの下で物事を考えるのは産科ということに なりますので、女性が生殖年齢に達してから、生殖年齢を終わる閉経期まではともかく産科の範 囲。もう一つは、妊娠して出産するというのは生殖サイクルです。第1生殖サイクルですから、 産科の医療の中では、今までは産褥期の大体産後1週間から1か月の範囲を実際には臨床では行 われていましたけれども、それを妊娠から離乳が終わるまで、約1〜2歳を産科の範囲。そして小 児医療の範囲としては、今、小児医療の方でも胎児のことを勉強し始めていますので、胎児期を オーバーラップして、そして産科とオーバーラップしながら、病気を診ながら子育てをしていく というオーバーラップをさせながら。と申しますのは、実際に子育てをしている親や子どもにと って支援のすき間があります。そのすき間に陥って混乱を起こしているというのが現状ですので、 それをいかに支える側が調和しながら。実際にはディスカッションしているのは、助産師会、産 婦人科医会、産婦人科学会、それから日本母乳の会が加わって調整役をやっているのですけれど も、そのディスカッションの中で、さまざまな問題が浮かび上がってきたのがこの8年間という ことになります。  そして、その仕組みを一つ大きく取り戻すのは、周産期の医療というのは言ってみれば、国に とっても、それぞれの人にとっても、一つはライフラインのような役割をしているはずなのです。 安心して子を産み、子育てができる社会の大本のところの安全性を保障するというのは極めて重 要ですので、そういう意味で信頼の回復です。これは医療者の間、それから妊婦と医療機関との 間、子育てをする親と私たち小児科との信頼の回復。例えば、今、小児救急の場では3割の方た ちはコンビニのように夜来なくてもよいのに夜来る。これは逆に子どもの側から言うと、ある期 間放置されているという事態になります。受診しなければいけない方が待たされる。それが本当 に子どもにとっての幸せなのか。このような視点から言うと、小児救急を見直す見方になるので すけれども、信頼の回復というのはそういうことを意味します。  そして、もう一つは健康な営みである母乳育児を推進する。これは既に課題になっているメタ ボということがいわれていますけれども、その始まりはこの時期にあります。例えば現在メタボ 対策になっている方たちは、実は赤ちゃんコンクール世代なのです。この時期は赤ちゃんが大き ければ大きいほどよいという時代。この時代に育った人たちは今、国の医療費の多くを使わなけ ればいけないという事態になっていますので、その予防にとっては周産期からしっかりと母乳育 児をする、あるいは産科の管理によって劣悪な環境に妊産婦が落ちないようにする。このような ことを考えますと、連続した視点でこの辺のところを強化していこうというのがディスカッショ ンの一つでした。  そして、先ほど申し上げましたように「安全性の確保」です。これは先ほど言いましたように ライフラインですので、今、厚生労働省を中心にして、周産期医療ネットワークが行われていま すけれども、その中で助産所での分娩が増えています。産む施設が減っていることがありますし、 自分の思いどおりの出産をしたい、健康な営みが7割ですから。ところが産科医療というのは途 中で急激に変化して、極めて危険な状態になることを皆さまご存じだと思いますけれども、それ をどうやって相互に支え合うかという仕組みをやはりこのネットワークの中で作っていく必要が あるだろうと思います。  それからもう一つは絶対的な人員の不足です。産科医、小児科医、それから助産師の不足があ ります。そして良い環境でお産をしていただくと、その後のさまざまなものが豊かになるはずな のですが、そのための部分を割愛して、それでは良い子育てができないということで、このマン パワーの増強。  それから保健師助産師看護師法が変わりまして、嘱託医療機関あるいは嘱託医師制度というも のができましたけれども、それはまだ活用が不十分ですから、そういうシステムに対応していく こと。  その後の母乳育児ですけれども、3年前になりますが、これはここにいらっしゃいます柳澤座 長の下に厚生労働省主導で「授乳・離乳の支援ガイド」ができました。それが実際に活用されて いるかどうかはまだまだ不十分でありまして、実態調査によっても厚生労働省から広まっていく プロセスではなくて、むしろこのそれぞれの幹事団体のホームページなどから広まっております ので、ぜひ厚生労働省からの普及もお願いしたいということです。そして、実際に日本の母乳育 児の現状は、山縣委員の調査でも多分また出ると思いますが、1か月の時点での母乳育児率は、 母乳だけで育てている方は42%ぐらいです。むしろ年々減っている傾向にあります。混合育児は 増えています。母乳育児の期間が長ければ長いほど子どもが入院する率、例えば肺炎で入院する、 下痢症で入院する率というものについても低下します。それから、もう一つは先ほど言った肥満 対策です。肥満の減少というのは、実際に幼児の肥満でも減少することは知られておりますので、 そういう意味で日本の方たちはせめて6割から7割の母乳率に達していただけると国民の健康度 は、この20年、30年後も確保されていく見通しができます。  そこで、提言としてはお配りした資料の中に書かれているのですが、先ほど言ったライフライ ンという意味での安全性を確保するための緊急事態への対応です。しかもそれには、例えば未受 診妊婦がおりまして、最近結構増えておりますので、そういう意味では産む方たちの協力も必要 だということになります。  そして、各職種の連携だと思います。産科医、小児科医、助産師の連携と、産む環境それぞれ 違っております。そういう意味でロー・リスクはここまで、ハイリスクはここまでという考え方 と同時にネットワークを作らないと安全を保障できません。そういう意味で周産期医療システム の中で役割分担をして、お互いの負担を取り除きながら連携しやっていく必要があります。  2番目に快適性と安全性の調和ですけれども、これは同じ職場で働く産科医と助産師の協力で す。私たち医師はあくまでも病的な視点で見ますので、病的なときにはいつでも出動できる。と ころが、出産の経過は長いのです。例えば出産までに20時間かかることがあるわけですから、そ の間の安全性や快適性を保障するのは助産師の役割ですし、一度ハイリスクになったときにも、 医療としてのハイリスクを扱うことと、もう一つはそういう方たちは心が傷付いたり、さまざま な保健上の問題が起きますのでここでも助産師が必要になると思います。  そして、そういう仕組みを作っていく上で、院内助産システムであったり、あるいは助産所の 分娩、その辺の境界をなくしていくこともこれからは必要となります。  それから、妊婦自らが自分のお産を考えて、自らの力で達成していくということで、バースプ ランを取り入れることで産む力を付けていくということも大事になります。  そして産後は先ほど言った離乳が終わるまでをこの課題IIのターゲットとして母乳育児を進め る。これは必ずしも産科だけではなく、小児科医あるいは保健所とのかかわり、あるいは実際に 子育てをされている職場復帰をされた方がどうやって子どもを育てるかという課題もあります。  そしてその始まりは明らかに母子同室をしている施設で分娩し産褥期を過ごされた方の母乳率 は高いです。これは調査データで出ておりますので、この課題IIの中心として、産褥期の母子同 室を勧めることは大いに有効です。しかも母子同室といいますと、大概1日の母子同室というよ うに評価されているのですが、出産直後から母子同室をすることで母乳育児をする方が増え、し かも母乳育児を長く行うことができます。私たち日本母乳の会は「赤ちゃんにやさしい病院」と いうWHOが推進している仕組みを日本でも使って認定しております。現在66施設が認定されて いるのですが、実際にはおやめになった施設もありますので、61施設となります。そのように「赤 ちゃんにやさしい病院」に認定される施設を日本で100箇所はせめて「健やか親子21」の間につ くること。そして各県1箇所はBFH(Baby Friendly Hospital)ができることをターゲットにして おります。  そしてもう一つは、日本では母乳育児推進に一番問題を起こしているのは、WHOで言ってい るWHOコードというものです。それは産科施設でミルクを配ったり、乳業会社が宣伝するなと いうコードなのですが、それが十分に守られていないことがありまして、これが実際には母乳育 児支援の妨げになっておりますので、その辺の理解を求めていくこと。  そして、連続性ということで退院後の支援。  それから、厚生労働省に作っていただいた「授乳・離乳の支援ガイド」を十分に活用していく こと。この辺りが具体的な目標となって、提言とさせていただきます。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。ただ今、堀内委員から「課題II妊娠・出産に関する安全性と 快適さの確保と不妊への支援」という課題に取り組んでおられる協議会の加盟団体の現状と今後 に向けての提言を述べていただきました。  続きまして、「課題III小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備」関して、取り組み をされている幹事団体の代表ということで、NPO難病のこども支援全国ネットワークの小林信秋 先生にご報告をお願いいたします。 ○小林氏  ご紹介ありがとうございます。小林でございます。  課題IIIグループですけれども、「小児保健医療水準の維持・向上させるための環境整備」という ことで、ここに幹事団体が8団体入っております。医療提供する側、それから医療を受ける側、 医療を受ける側というのは私たちのことを指したわけですけれども、そういう団体が入って8年 間活動してまいりましたので、今日はその活動の8年間の流れをご説明させていただきます。幹 事団体が8団体ありますが、毎年1団体ずつ1年ごとに交代して活動してまいりました。  平成13年は最初にやりなさいということで私どもがやりまして、この年は準備期間で、はじめ は2か月に1回ぐらい集まっていろいろな会議をしていたのですけれども、これといって取り組 むようなものもなくて、会議のときに一度「会議の数が一番多い」と言われたこともあったぐら いでした。そういったことで2年目からテーマをいろいろと考えながらやろうではないかという ことになりました。ちょうどこのころ、私どもNPO難病のこども支援全国ネットワークと私ども の活動に参加している親の会が、母子保健課とのいろいろなやり取りの中で小児慢性特定疾患を 法制化する運動を何年かずっと続けておりまして、このころに検討会ができて、いろいろな検討 が始まったわけです。それに併せて「小児慢性特定疾患患児支援ネットワークを考える」という シンポジウムを東京の学士会館で開いたのがこの年です。母子保健課からも参加していただきま したけれども、何しろ予算が一銭もないというような背景がありまして、シンポジストで遠方の 方は県の出張費を使って来ていただいたりしました。この当時、100人以上の参加者がありまし た。大変好評のシンポジウムだったと思います。  併せて、小児慢性特定疾患の今後を検討していく中で、一般の小中学校という現場で小児慢性 特定疾患の子どもに対する理解が非常に少ないということもわかってきたわけですけれども、た またま「健やか親子21」の全体会のときに、私どもNPO難病のこども支援全国ネットワークの 隣にお座りになったのが全国養護教諭連絡協議会だったのです。養護教諭の集まりだったわけで すけれども、そんなこともあって、この連絡協議会と何か一緒に仕事をやりましょうかというこ とで、養護教諭の先生方を対象にしたセミナーをこの年から開くようになりました。養護教諭連 絡協議会は課題IIIの中には参加はしていないのですけれども、そうした団体同士の連携は大変珍 しいと言っていただいたことがあります。  翌年、順番で日本小児科医会に当番が回ってきました。この年は麻疹の予防接種をもっと進め ようではないかということを各団体がキャンペーンとして取り組んだわけです。特に日本小児科 医会では、毎年3月の第1週を予防接種週間と定めまして、この運動に参加した小児科医院で時 間外や休日でもワクチンが接種できるような体制が整えられたということになったわけです。数 ははっきりとは覚えていないのですけれども、初めはそれほど多くはなかったのですが、毎年だ んだんとそうした医院が増えてきて、今ではそういったことが一般的に小児科医会の医師の間で は浸透してきていると理解しております。  平成16年は全国保健所長会が幹事会の取りまとめ役になったわけですけれども、このときは 「妊産婦、子育て中の飲酒・喫煙ゼロ」をテーマに取り組もうではないかということで行いまし た。このときにこのようなストラップを作って各地で配ったり、妊産婦の喫煙・飲酒防止ポスタ ーを作って各地で配布させていただきました。  その翌年の平成17年は母子衛生研究会が取りまとめ役になりまして、この年から3年間にわた って、「事故防止」をテーマに厚生労働科学研究費をいただいて各団体で取り組みを始めています。 平成18年も「事故防止」です。  平成19年は日本小児科学会が担当だったのですが、このときも「事故防止」です。具体的に事 故防止にどういう形で取り組むかというと、それぞれの団体が進めている活動や目標としている ことがかなり違ってまいりますので、それぞれの団体が取り組める形でやろうということにして います。例えば私ども、難病のこども支援全国ネットワークの場合には、夏に全国各地でサマー キャンプを開いて、病児や障害児の家族が多数参加するわけですけれども、そういう場において 事故防止のパンフレットを配布したり、あるいはキャンプの期間中、そのキャンプの施設内は全 面禁煙にして、煙草を吸っては駄目だと。子育て中の両親の禁煙を勧めるという意味ですけれど、 そういう形でそれぞれの団体がそれぞれ取り組める形でいろいろな目標をやってきたということ です。  平成20年は日本小児総合医療施設協議会が担当になり、「フリーディスカッション」と書いて ありますけれども、実際はあまり活動されなかったということです。  平成21年は一回りしたものですから、もう1回やりなさいということで、私どもにまた回って まいりました。ここの目標値の中で私どもに関係するものでは、「院内学級を持つ小児病棟」や「遊 戯室を持つ小児病棟」、「在宅医療支援対策の整備」、こういう数字がいずれも下降しているという ことがありました。特に「遊戯室を持つ小児病棟」は68.6%から37.0%。これは小児科の病棟が 減っていることがあるのでしょうけれども、随分下がっているという実態がありまして、これは 私どもにとっては大変問題だということで皆で話し合いまして、ここにありますけれども11月 13日に「健やか親子21シンポジウム」を開催しようではないかということで、「院内学級、遊戯 室、在宅支援体制の整備」をテーマにシンポジウムを開き、全国各地の自治体の皆さまに参加し ていただいてキャンペーンを広められればと考えているところです。やはり予算がないものです から、都道府県の出張費などで来てもらえればありがたいと思っているところです。これが、こ れまでの取組でございます。  「目標値調査の問題点」ということで、ここに1枚用意させていただいたのですけれども、本 当は、こんなことを私どもは8年も9年も経って気がついて、誠に申し訳なく恥ずかしく思って、 もっと早く気がつけばと思ったのですけれども、この中で「院内学級」という言葉が出てきます。 院内学級を持っている病院の割合ですけれども、院内学級というのは「地域の小中学校が病院内 に教室を開設し、教員も常駐している」場合を指すわけです。例えば霞が関病院の小児科に霞が 関小学校と中学校の教員が常駐しているという場合に院内学級というのですけれども、日比谷特 別支援学校から教員が来ている場合には院内学級とはいわず、「分教室」と呼ばれるわけです。こ れは制度でそう決まっているわけです。したがいまして、院内学級という形で調査をしてしまう と、この分教室の数字が入らない可能性がある。例えば国立成育医療センターに入っている「そ よ風分教室」は、東京都立光明養護学校の先生方が常駐している形になっておりまして、呼び方 も違っているということがあります。「訪問教育」というものもありますが、訪問教育にも二つの 形がありまして、一つは病院と学校が何らかの約束事をして、学校から病院に先生方が常駐して いないで派遣されて、大抵こういう場合は病院内に教室が持たれ、そこで授業をするという形が 取られています。例えば聖路加国際病院や順天堂大学はこういう形になっています。もう一つは、 その子どもが在籍している学校から教員が病院に訪問して、ベッドサイドで授業をする訪問教育 もあるわけです。そういうスタイルによって呼び方や制度が違っておりますから、どの形が良い のかはいろいろな考え方がありますけれども、一つの呼び方だけでは正しい数値が出ない恐れが あるということを申し上げたいと思います。  もう1点は「在宅医療支援体制」についてですけどれも、最近は訪問看護サービスや訪問介護、 吸引や注入など医療的ケアの伴うサービスや一時預かり、訪問リハビリが随分行われております。 また、重症心身障害児・者のミドルステイ・ロングステイ、ロングステイというと半年とか1年、 ミドルステイで1か月とか2か月くらいのことを指すと思いますけれども、こういったことが随 分行われるようになっているわけですけれども、一方で在宅している障害のある子どもが訪問看 護サービスを受けようと訪問看護ステーションに依頼しても、半数以上のステーションが小児を 診られる看護師がいないという理由で断るというのが実態で、こうした制度が始まってからずっ とそのようなことが報告されています。このような実態を考えていただく必要があると思います。 それから「年齢によるニーズの変化」と書いてあります。特に病気あるいは障害があるような場 合、私は健常な子どものことは知らないので、病児や障害児のことしかわかりませんけれども、 幼稚園や保育園あるいは学校が子どもの療育にとって極めて有効でありまして、こういうことも 併せた在宅支援体制が整備される必要があるだろうと思っています。年齢によってそうしたニー ズはどんどん変化してきますので、そうしたことを考え合わせた在宅支援体制を検討していただ く必要があると思います。課題IIIグループの幹事団体は、先ほどご紹介した8団体です。どのよ うなことが問題点としてあるか、意見を聞いておりますけれども、課題IIIの場合は挙がっている テーマが非常に多岐に、広範囲にわたっていて、I、II、IVと関連している部分ががかなり多く、 単独で考えて何かをするというのがとてもやりにくいという背景があると皆が思っております。 幹事団体が8団体で、8年間ずっとやってきておりますから、どうしても同じテーマが続いてし まう傾向があるということ。それから、取りまとめ役が一回りして息切れしてきている。先ほど もお話がありましたけれども8年間は大変長かったということで、延長される4年間は入れ替わ りも含めて新しい視点で取組をしてはいかがかという意見もありました。  それから、MRワクチンの接種率の調査をしてほしいということ。この予防接種の数値があり ますけれども、そういうご意見もあります。小児保健法(案)の国会通過を皆さんにご協力をお願い したいというご意見。「慢性疾患児の在宅支援に“人”“金”の支援を!」ということもありました。 先ほど申し上げたように、シンポジウムを開く、あるいは何かをしようとした場合に、どうして も。例えば今度のシンポジウムもパンフレットを作るつもりはありますけれども、パンフレット を作るにもお金がないものですから、悪いことではなくてお金をどこかで都合して配るようにし たいと思っています。ぜひ、その辺のことも考えていただければと思っています。それぞれの団 体が自分たちのできる形でと申し上げたのですけれども、私どもでやっている「健やか親子21」 関連の活動というのは、ここにありますように電話で相談を受けたり、サマーキャンプを開いた り、親の会の活動支援、セミナーを開いたりシンポジウムを開いたりと、このようなことを進め ているわけです。それぞれがこういう形でテーマに取り組んでおります。以上をご報告とさせて いただきます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。ただ今、小児保健医療水準をテーマとしている課題IIIについてご説 明いただきました。続きまして「課題IV子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」に 取り組んでおられる団体の幹事団体を代表して、日本小児保健協会の立場で東京大学の衞藤隆教 授にご説明をお願いします。 ○衞藤委員  衞藤でございます。それでは第4課題「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」 に関しまして、幹事団体を代表しまして私からご説明いたします。なお、毎年年度末に報告会が 開かれますが、本日は今年の2月4日に開かれた報告会に用いましたスライドを使ってご報告い たします。幹事団体はここに掲げております5団体で、当初は私ども日本小児保健協会と、上か ら3番目の全国保健センター連合会が共同で幹事団体を務めておりましたけれども、昨年度から 私どもが単独で務めているという状況です。基本的にはそれぞれの日常的な活動の集約という形 で進めていまして、例年、報告会の直前に、同じ日の午前中などに会合を持ちまして、そのとき には第4課題にかかわらず、85団体すべてに声かけをして、そこで意見交換の場を持ち、そして 報告会に臨むという形で、昼食をとりながら幹事団体の間で意見交換をするという形で進めてお ります。  ご承知のように、課題の三本柱は「心の安らかな発達」、「育児不安の軽減」、「虐待防止」とい うことです。まず1番目の「心の安らかな発達」です。ここでは「子どもの心の安らかな発達を 促し、その環境形成を支援するための活動」ということで、参加団体それぞれによる日常的な取 組を報告していただき、それに関してディスカッションしております。この内容には「一般向け 活動」「組織内研修」「職種毎の研修」等がございます。これは平成20年度ですけれども、私ども 日本小児保健協会が行ってきた子どもの心の安らかな発達にかかわる日常的な活動の中で、この ようなことがあるということです。  次に2番目の「育児不安の軽減」です。親支援ですけれども、これは実際に虐待のさまざまな 相談事例等に関して、グレーゾーンやハイリスクにどう対応するかということがかなり課題にな っているということで、特に児童相談所等の報告で、孤立しがちな親を選び出してグループワー クをする、そういった方々が安心なところでお話しすると、ためらいが薄れてだんだん親の自己 効力感が形成されていくという報告がありました。ハイリスクな親への支援は各地でかなり課題 になっていることで、そういうことは大変大事ですけれども、カウンセリング等の支援経費の捻 出にしばしば苦慮している現状という報告もございました。また、積極的なアウトリーチの取り 入れ、家庭訪問等に取り組んでいるということもありました。それから病児保育がかなり各地で 進んでいますけれども、これも親の視点と子どもの視点があるでしょうけれども、子どもの目線 で見るということを忘れてはいけないという意見がありました。  次に、「虐待防止」です。これは「被虐待児対策と予防活動」それから「早期発見・早期治療」 ということがあろうかと思います。2点目の「早期発見・早期治療」に関しましては、さまざま な団体が活動を行っているわけですけれど、そういった機関あるいは団体同士の連携を取った活 動が大変大事だということです。例えば、要保護連絡協議会というものを作って幅広い対象年齢 を想定して情報を共有するといったことが行われています。その場合、守秘義務に配慮すること がかなり大事だといわれています。また、協議会等を通じてさまざまなアプローチ法が存在する ことがお互いの意見交換の中でわかってきたりしています。そういった各地で蓄積されている経 験値を分析したり、類型化することが課題になっているという意見が出ました。こういったさま ざまな機関が虐待防止について取組をしているのですが、それぞれの機能を持ったものが存在す ること自体は大変大事なことで、細分化も大事ですけれども、そこからこういった連携活動を通 じて再統合へということも一方で考える必要があるのではないかという意見も出てまいりました。  第4課題の活動は、今日ご発表の他の課題と異なり、年に1回、報告会の前に連絡調整をする 場を持つだけでございますが、それでもかなり情報共有が進んできたということで、この8年間 に当初はお互いの存在さえもよく知らない状態から、随分変わってきたという感想も聞かれてお ります。子どもの虐待にかかわる福祉関係では、市町村レベルでも60〜70%は協議会組織をもっ ているということがあり、そのことを今後どうしていくかという話が進められる必要があろうか と思います。その場合に、市町村保健センターの保健師がかなり重要な役割をして、調整役とな って各県をつなぐ働きをしているようだということも考えられると思います。各課題の分科会と 同様に、やはり経費が全くございませんので、活動をする上で大きな課題になっている部分がご ざいます。  各加盟団体が独自の活動をしていて、その総和としてこの第4課題の協議会が存在していると いうことで、そういう意味ではあまり活発というわけにはいかないのですけれども、しかし年1 回の意見交換の日は大変貴重な機会になって、大変有意義なディスカッションが報告できている と思います。これ以上の活動ができていないのがまだ問題であるかと思います。以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。「課題IV子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」という テーマに取り組んでおられる団体を代表してご報告いただきました。以上、四つの課題について、 それぞれ関係する幹事団体、また代表幹事という立場で、取組の現状と課題、そして新たな指標 に関する提言などについてご発言をいただきました。質疑応答につきましては、先ほど申し上げ たように事務局からの説明の後にお時間を取りたいと思います。代表幹事の先生方にもこのまま 席にお残りいただきまして、質問やご意見をお願いしたいと存じます。  ということで、引き続き関係団体の取組の評価に向けて、取組実績の調査をするということで、 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  取組実績の調査に入ります前に、参考4に基づきまして「健やか親子21推進協議会の取組状況 について」ご説明させていただきます。健やか親子21推進協議会の参加団体ですけれども、「健 やか親子21」の初年度の70団体から第1回中間評価時の75団体を経て、本年度は85団体とい う状況です。それから「課題毎活動実績数」ですけれども、推進協議会参加団体は年度末に活動 実績報告と翌年度の行動計画提出することになっておりますけれども、活動実績として報告され た数で重複があります。課題IIが22団体ということで一番少なくなっておりまして、課題IVが 45団体で最も多くなっています。総会の開催状況ですけれども、1年に1回開催しておりまして、 今年度は2月を予定しております。次のページに幹事団体名が記されております。課題Iから課 題IVまでこのような状況になっております。次のページには健やか親子21推進協議会参加団体 85団体の一覧がございます。ご参考までに添えております。  それでは資料4に基づきまして、取組実績の調査につきましてご説明させていただきます。取 組への調査方法ですけれども、「プロセス」と「アウトプット」の2本立てで調査を行います。プ ロセスにつきましては、平成18年の第1回中間評価以降の4年間でどのように取り組んできたか について答えていただきます。加えて、今後5年間の具体的な目標を示していただくことになっ ています。アウトプットについては「健やか親子21」の第1回中間評価以降の活動につきまして、 数量的に調査しました実績をまとめることにしております。「調査手順」ですけれども、85団体 に対し調査票を郵送とメールで送付いたしまして、それに記入いただくという形になります。「2.」 のプロセスとアウトプットの所ですけれども、赤線をを引いているところが前回の第1回中間評 価のときと比べて増やしたところでございまして、過去4年(平成18年から平成21年まで)の取 組における手応えや推進の難しさ、これからの推進方法への課題等自由記載を付加しております。 また、アウトプットにつきましても自由記載欄を付加しております。調査期間は9月までという ことになっておりまして、次回の検討会にはその結果がご報告できると思っております。  次のページからが調査票になります。基本的には前回と同じですけれども、調査票の4ページ 目、赤字で書いておりますところですけれども、追加案といたしまして、平成18年から平成20 年までの取組における手応えや困難、課題等、それから今後5年間の「健やか親子21」の推進の 方策について具体的に記入していただく欄を設けております。それから5ページ目、6ページ目 も同じく赤字で書いてあるところですが、追加案として、第1回中間評価時に比べて良かったこ とや悪かったことを記入していただく欄を設けております。以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。今、事務局から推進協議会の参加団体に向けた調査について、この ような調査をするということをご報告いただいたわけですが、以上の関係団体の取組の現状と課 題についての発表に対して質問やご意見がございましたら、よろしくお願いします。新たな取組 や指標につきましては、次の議題3のところでも検討いたしますので、ここではただ今のご報告 について何かご意見や質問があれば承りたいと思います。 ○山縣委員  1点だけ。先ほど小林委員からご指摘がありました小児病棟における院内学級の件です。前回 はそのような形で調査いたしましたが、今回は養護学校の分室といいますか分教室というのでし ょうか、それを含む形で調査したいと思っています。実はベースラインと中間評価の調査客体が 違って、実際の値がきちんと出ておりませんが、今回はそういう形で取りたいということで調査 いたしました。 ○柳澤座長  他に、ございますか。桑原委員どうぞ。 ○桑原委員  課題IIで、資料3の10ページの「提言」の所でございますけれども、堀内先生は小児科医と産 科医とが連携して、あるいは重複して妊婦さんを診てあげればよいではないかとおっしゃる。実 際にこの数年間、モデル事業で小児科医が妊婦の所に行って「赤ちゃんは大丈夫だからね」と言 って安心して出産していただくということをやってきました。ただ、あの事業はどうしてもうま くいかなかった。連携がうまくいかなかった。それは、まず予算がなかった。つまり市町村行政 が「そんなお金は出せないよ」と理解がなかったこともありますし、マンパワーも足りなかった。 それから、それをやっても産科医と小児科医との境がどうしてもある。それをどう解決するかと いうところが、非常に今から問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○堀内氏  まさにそのとおりで、プレネイタル・ビジットは行われていたのですが、それも全県ではなく てモデル地区で行われる。しかも、実を言いますと、残念なことに小児科の中で周産期について 理解されている先生方、しかも開業されているというケースは極めてまれでございまして、した がって出産前からの取組というのは、根底にある部分が実は欠落していたのではないかと思いま す。実際にうまくいっているところは新生児のNICUに勤務していた医師が開業されて、その方 たちが取り組んでいる施設ではうまくいっているのですが、実際に相互理解がないのです。先ほ ど言いました産科の理念とか小児科の理念を少し変えなければいけないということが、その辺も 含めてございます。そして、比較的費用の面でバックアップされていない病院では、周産期医療 施設では比較的よく行われています。これは実際には保険点数など一切ありませんけれども、ハ イリスクを扱っている周産期センターのレベルではすでに、病院のレベルでは行われているので すが、地域での連携がうまくいかないというのが一つの大きな課題だと思います。これは先ほど 申し上げました医学教育から変えていかないとできませんから、たかだか4年間でできるかどう かというと極めて難しいですが、その流れは今、始まっているところだと思います。それから財 政的な支援は不可欠だと思います。いくらやっても産科医にとっても小児科医にとってもメリッ トがないものというのは、やはり進むわけはないので、何らかの形で財政的な支援があれば、小 児科医が勉強し、あるいは産科医が出産後をイメージしながら医療に取り組めるのではないかと 思いますが、現状はご指摘のとおりだと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。他に、ございますか。 ○山極委員  何回も恐縮です。全般を通して対症療法的な取組になっているように感じました。と申します のは、働いている妊産婦の中には健康診査にも行けない方もおります。私どもが2002年に実施し た調査結果から、夫の育児参画が進むほど母親にとっては育児ストレスがなくなり、子育てが楽 しいものになるのだということがわかりました。二つ目ですが、孤立しやすい育児休業中の母親 に対しては、インターネットを通して上司とのコミュニケーションを図るや、他の企業の人たち とも掲示板を通してなどで意見交換できるなどのソフト開発を行い、今や350企業に使われてい るほどです。そういうことによって子育てが楽しくなり、不安がなくなり、孤立しなくなり、コ ミュニティができるのです。三つ目は、今20〜30代の若いパパたちの意識ですが、育児も仕事も 両方大事にしたいと考える方が約7割おります。しかしながら、長時間労働のために育児参画で きない。さらに、その男性自身も心の病気になってしまうような悪循環が起きています。それに 対しては、長時間労働の削減や有給休暇の取得等、根本的な問題を把握し改善しないことには、 健やか親子にはなり得ないと危惧しております。予防的解決の第一歩としましては、自治体、企 業も次世代育成支援行動計画に取り組んでいくことが重要だと考えます。以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。大変重要なご指摘をいただいたと思います。他にございますでしょ うか。今のことに対してのご意見であれば、どうぞ、先に。 ○堀内委員  さまざまな施策が少子化対策で出てきてはいるのですが、今、子どもを育てる母親の側からの ご意見をいただいたのですが、これからやらなければいけないのは、子どもにとって本当はどう なのかという視点が、日本は少ないのだと思います。例えばヨーロッパでは、子どもが受けるさ まざまなものについて、オンブズマン制度が既に始まっています。実際に例えば「母親のために」 と言っていることは、子どもにとっては悪いこともあるのです。そういう意味で、母親のために と進んできたこの「健やか親子21」は、もう一つは、子どもは本当にこういうことでよいのか。 それは私がずっと気になっているところで、そういう視点で評価をしないと、一見良いように思 うけれども、ひずみがどんどん進むような可能性があるので、ぜひその辺もお考えいただきたい と思います。 ○柳澤座長  はい、奥山委員。 ○奥山委員  今日は、四つの分科会の皆さまの発表を聞かせていただいて、私もこの委員会は初めてですの で、この8年間は非常に長かったと皆さんがおっしゃり、また団体間の意識の差が大きくあった ということで、息切れもあったという話を聞くにつれ、8年間の中で大分変わってきている部分 もあると思います。団体の調査もされるということですから、例えばNPOの方も入っていらっし ゃるようですが、もう少し当事者に近い活動をされているNPOですとか、もしかしたら企業も含 めて、多様な方たちで委員構成をしていかないと、なかなか広がりという点で大変になってきて いるのかなという印象をもちました。地域で子育て支援をしている立場から申し上げますと、特 に四つ目の分科会、どれも本当に大きくかかわるのですが、まさに今、この次世代計画を策定中 で、私はこの8月20日に、ちょうど周産期の辺りを委員会のテーマとして取り上げるということ ですので、ぜひ本当にこの結果がほしかったなと思いますし、出てきたときには何か一緒にでき るように進めていきたいと思っています。  それで、特に小児科との関係ということもありましたが、特に地域子育て支援との連携という のもかなり深いのではないかと思っています。両親学級などを産院だけではなく、例えば地域子 育て支援の拠点のようなところで実施していただきますと、生まれてからはここに来ればよいの だという形にもなりますし、相談する相手がいないのです。保健師だけではなく、そういった拠 点のスタッフなりに相談をつないでいくという、そこの連携のところをうまくやっていくために も、連携をうまくしていかなければいけないと思いました。母親たちも児童相談所や保健師に連 絡を入れるのは最後の最後という感じです。ですから、もっと身近なところで、家庭を見守る体 制づくりということが今、求められていると思いました。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他に、ございますでしょうか。齊藤委員、どうぞ。 ○齊藤委員  次の議題とまたがるかもしれませんが、課題Iについて、市川先生のご意見をお聞かせいただ ければと思います。実は課題Iの「思春期の保健対策の強化と健康教育の促進」という課題につき ましては、これは心身にわたる保健、それから教育といった領域にまたがる非常に重要な部門で はないかと私は考えているのですが、その際、子どもの心の健康な育ちということを取組の対象 に考える場合に、この課題Iが設定している幾つかの課題が、果たして子どもの心の健康な育ち に対する取組の結果が出てくる指標、項目になっているのかどうかということについて、8年間 取り組んでこられた結果のご意見をお聞きしたいと思っています。特に自殺と「やせ」の問題が、 メンタルヘルスと非常に重要なかかわりがある項目として挙げられているのですが、正直申し上 げて、課題Iのその他の課題に比べますと、行政的あるいは各前線の臨床的な努力だけで、この 数字が動くような課題ではないと感じられてなりません。これは例えば自殺の問題につきまして も、必ずしも自殺対策に取り組んできた結果が、自殺の数を即座に減らすわけではないことは、 子どもに限らず明らかになっていますが、こういった長い目で子どもがどういう文化の中で育っ ていくかということの結果のような問題について、当面の取組の対象としてやっても、いくら10 年待っても数字が変化しない。あるいは逆に上がってしまうという事があり得る。それは取り組 まなかったのかというと、実は熱心に取り組んできた結果ということもあるのだと考えたときに、 よりよいメンタルヘルスというか、子どもの心の健康な育ちというものを、取組とともに評価で きるような課題は何か浮かんでまいりませんでしょうか。ちょっと教えていただければと思いま す。 ○市川氏  ただ今のご指摘は、非常に重要なご指摘だと思います。課題Iというのは、思春期の問題とい うことでしたが、思春期の問題だけが独立して存在しているわけはないので、それを考えていけ ば、当然小さいころからの育ちの問題というのか、特に心の育ちの問題を取り上げないといけな いと思います。ここに出ているのは表に出てきている数字を追いかけていますが、それだけをし ていて果たしてよいのかどうか。その背景にある例えば要保護とか、そういうものの問題も深く 掘り下げていかないと、表に出てきた数値が動いた動かないだけを論議していても、不十分なと ころがあると思います。先生のご指摘どおり、「健やかな心の育ち」というようなテーマでもう少 し掘り下げることは、非常に重要な視点だと思っています。ただ、ここに書いてある課題という のは非常に幅が広くて、これだけで全部カバーできるかどうかはわかりませんが、背景には齊藤 委員がおっしゃっているような問題が、当然存在していると考えています。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○三上委員  保育園の方から寄せていただいている三上です。先ほど、子育ての中でのすき間があるという 話があったのですが、生後4か月の子どもの全戸訪問が始まりました。保育士と民生委員がペア になって全戸訪問ということです。子育て支援センターや保育園、幼稚園が就園前の子どもたち を集めて、交流会をしているのですが、それに来られない母親たちが、まだまだたくさんいらっ しゃると思います。家庭訪問をすることによって、子育ての悩みや子どもとのかかわり方、そう いうことに前向きに取り組めるということで、結果を楽しみにしています。  今日、全体を聞かせていただきました。保育園での障害を持っている子どもなどの療育は極め て有効ということもおっしゃっていただきました。私どもには今年も4月に4歳児になっていて も3か月の発達の子どもが来ています。集団の中で障害を持っている子どもたちの発達が本当に 重要なポジションを占めているということが結果として出てきていますので、これからもどんど ん取り組んでいきたいと思います。  もう一つ、これは私もそう思っているのですが、親にとって良いことが、子どもにとっても良 いことということは絶対にいえないと思うのです。私たちは子どもの立場に立って、母親に異議 申し立てということもさせていただいています。病児保育は母親にとっては大変重要なのですが、 私はせめて子どもが病気のときぐらいは母親と一緒に。一番不安な時なので、社会的に母親にお 休みが取れるとか、そういうところの配慮をしてほしいということです。よく病院の方からは、 「病児保育のポスターを貼ってください」と言われるのですが、私は抵抗を感じています。自分 も経験があるのですが、病気のときぐらいは親がそばにいてほしい。それは子どもにとっては最 善の利益だと私は思っています。朝に熱があるからと親が連れてきて、「お母さん、お熱がありま すね。保育園は基本的には健康なお子さんを預かるところですよ」と言っても、どうしてよいかわ からないという親が増えてきていますので、よろしくお願いします。 ○柳澤座長  わかりました。まだいろいろなご意見があろうかと思いますが、後でなるべくフリーディスカ ッションの時間を取りたいと思いますので。関係団体の取組の調査については、事務局の方で取 りまとめて、それに対して関係団体の皆さまには、ぜひご協力をお願いしたいと思います。  議題3に移ります。「新たな取組」について検討していきたいと思います。まず、事務局からご 説明をお願いします。 ○事務局  資料5に基づきまして簡単に説明します。ここに5の[1]として、第1回の「健やか親子21」の 評価に関する検討会の議事要旨を準備しています。4.のところですが、10個ほど前回の主な意 見ということで掲載しています。次のページ、資料5の[2]ですが、「健やか親子21」における取組 の指標ということで、67指標を記しています。今、どのようなものがあるかということを、フリ ーディスカッションの参考になればということで、準備しています。以上です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。ただ今、前回のこの検討会で出た新たな取組に関する主な発 言を、ここに資料として示していただきましたので、それを踏まえて、また、もともとの「健や か親子21」における取組の目標、指標も挙げられております。そういうことを踏まえて、今後5 年間を見据えて、新たな取組について自由にご意見をいただきたいと思います。今までの意見の 中にも、幾つかこれからの方向ということに関してのご意見はあったと思いますが、さらになお 付け加えてございますでしょうか。 ○田中委員  課題IIの幹事団体の一つの日本産婦人科医会のものですが、今まで課題I、II、III、IVすべて に共通していたのは、どうも予算です。資金がない。これは各団体、皆さまお困りだと思います。 日本産婦人科医会でも、ある役員からは、国の進めているいろいろな運動なのに、資金が全くな いというのはおかしいのではないかと。はっきり言いますと、あまりそんなに真剣にやらなくて いいよという意見も出てくるのです。ですから、多少なりとも何かそういう手当てがほしい。も しくはそうでなければ、何か研究課題の中で、今まで皆さまが行っているような何か課題研究を して、その経費を利用するとか、いろいろな手があるのではないかと思いまして、厚生労働省に 対してはそういうことを一つはお願いしたい。  もう一つは、確かに課題IIですと、妊婦さんとかいろいろなことをやってきました。皆さんの ご意見を聞きますと、齊藤委員からも出ていましたが、子どもに関して皆さまいろいろなことを やっている。良かれと思ってやっていることが、実際はどんどん悪くなっていることもある。で すから一つ視点を変えて、今度は本当に住む地域によっても違うのですが、親の理解もしくは社 会の理解によって大分違うのではないか。ですから、妊婦さんは健診に行きたい。でもその人は 中小企業で働いている。健診に行く時間がない。ですから夜、何らかの理由をつけて「おなかが 痛い」とか言って来る。でも実はおなかは痛くないのだと。「来る時間がないので、仕事が終わっ た時間に来ました」という方もいらっしゃいます。実際本当にこれは切迫流産、切迫早産だと診断 しても、「診断書は書かないでくれ」と。「それを出すと私はクビになってしまう」ということがあ りますので、これは大きな企業に勤めている人は休みが取れると思います。でも、小さなところ に勤めている人は、それは生活の問題になってくる。ですから、子どものことを考えるのは当然 ですが、事業主や親を含めて、その辺をもっと思い切って、何か理解を得られるようなことをや れば、結果として子どもの方に良い影響がいくのかなと、最近は特にそれを感じています。以上 です。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他に、どうぞ。 ○渡辺委員  今のご意見とも重なる部分があるのですが、新しい取組ということで申し上げると、今おっし ゃったように、今の子育て家庭が置かれている状況というものを、まずしっかりよく理解した上 で評価、これからの方向性を考えていかないと、あるべき親像とか、親はこうあるべきというよ うなことが最初にあって、それにどうやったら近づけていけるかというようなやり方では通用し ない部分がたくさんあると思っています。今、お話しくださったことはまさにそうですよね。で すから、例えば本当に子育てしている親子が、地域の中でどんどん孤立していっている。あるい は非常に保守的な性別役割意識がまだまだ企業社会の中に残っている中で女性が子育てと仕事の 両立で非常に苦しんでいる状況がたくさんあって、そのような状況の中で子育てをされている 方々に沿った支援のあり方を考えていかないと、単に親の意識を啓発するとか意識を高めるとい うことだけではどうにもならないことがたくさんあると私は思っています。そういう意味では、 具体的な支援が必要なのだということが1点です。  それから二つ目は、次世代法の後期行動計画ということでいうと、次世代の後期行動計画の課 題というのが、前期行動計画である程度数を増やしてきた支援というもの。保育や子育て支援も もちろん含みますが、そういう支援を母子保健ともつないで、面にしていく。点在化している資 源を面にしてネットワークにしていくのが後期行動計画の大きな課題だと思っています。そうい う中でいうと、実はこの部分は予算がどうのこうのという問題ではなくて、お互いの行政の中で 専門職意識や縦割りの壁などをお互いが外して、お互いが協力していくというつながりをつくっ ていくだけで解決していけることはたくさんありますので、そういったことを進めていくべきだ という方向性をきちんと国として地方自治体に示していかないと、私が知っている例えば地域の NPOだとか、いろいろな子育て支援の取組で、何とか健診の場に私たちもかかわっていこうと思 っていても、なかなか健診の場は母子保健の聖域のようになっていて、例えばここには他のとこ ろは入ってくるなという非常に強い抵抗を受けたりすることもよくあって、例えば健診は、前回 も申し上げて、今回この中に入っていなかったのですけれども、健診という場は、それでも今お っしゃったように、いろいろな母親たちが都合をつけて、はがき1枚で90%以上の母親たちがち ゃんと子どもを連れてやってくる場なのですから、この場をもっと地域との出会いにしていかな いと、1時間半〜2時間待たされて、30分くらいの健診で終わって、「はい、さようなら」という のは、もったいなさ過ぎると思います。そういった意味でいうと、実は先ほどの三上委員のお話 にもありましたが、今年度から乳児家庭の全戸訪問事業が始まっていますが、生後4か月までの 子どもの家を全部家庭訪問して、4か月のときに乳児健診があるというのは、ある意味不合理と いうか、合理的でない部分もあって、私は実は家庭訪問にかかわっていますが、なかなか大変で す。労力がものすごくかかります。行っても共働き家庭であれば母親は不在のこともある。いろ いろなことがあって、委員さんたちは皆苦労をして、夜に訪問をしたらよいのだろうか。今のよ うなご時世ですから知らない人が「こんにちは」と来ても、なかなか家に入れてくれないようなこ とがたくさん起こっていて、皆苦労をしてやっているのです。ところが一方で健診という場は、 90%以上の母親たちがちゃんと子どもを連れてやってくるわけです。ここを地域との出会いにす れば、例えば全戸訪問でなくても、健診に来られない、あるいは来ない家庭だけを訪問すればよ いわけで、そういうところの制度間の重複などの部分を、もっと合理化していけば、自治体はも っと違うべきところに力を注げると思います。そういった意味でいえば、地域で子育てが支えら れているという安心感。地域の中にもちろん企業も入れて、地域社会の中で子育てが支えられて いるという安心感が、きちんとあるかどうかが実は虐待の早期発見以前の、例えば発生予防、第 一次予防の部分にもつながってくると思いますので、もう少し健診の制度そのものを高めていく ことも大事ですが、健診が他の施策や地域全体の子育て支援施策の中でどうあるべきかという、 もう少し広い視点をもって母子保健のあり方を考えていくことが、次の次世代法との関連の中で は必要だと思います。以上です。 ○柳澤座長  ありがとうございました。大変重要なご指摘だと思います。高山委員。 ○高山委員  先ほどの団体の取組の現状と課題の報告にも関連するのですが、それぞれにほとんど手弁当で、 長い期間、非常に貴重な活動をされていると感心したのですが、我々行政の立場にある者からし ますと、団体にはいろいろな類型がありまして、かなり古典的な行政補完型の団体や業界団体、 専門家団体、そういう団体がかなりあるのですが、名簿を見せていただきますと、そういう団体 が多いのかなという印象があります。実は我々が最近非常に注目をしていて力があるなと思って いる新しいNPOや団体が随分あると思います。それは既存の行政システムや、硬直化した、ある いは制度疲労したものをうまく横につなげて見事に解決している。かなり自助グループ型という のですか、そういった力のあるNPOも相当あるように思います。ただ、全国ネットの団体しか拾 えないとなると、こういう形になるのかもしれませんが、新しい国民運動を引っ張る起爆剤とい うのでしょうか、新しいアイデアとしてはそういうところがたくさんあると思うので、そういう モデル的な団体も引き上げられるような取組もあってよいのではないかと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他に、ありますでしょうか。どうぞ、森田委員。 ○森田委員  母子保健の現場でやっています保健師です。渡辺委員から前回もそうですが、健診等に係るお 話をいただいて、現場は本当に頑張っているのです。単純に発達等の精度ということではなくて、 相談のあり方ということも考えているのですが、いろいろ相談を聞いて次につなげていこうとい う思いと母親のニーズが合わないところが出てくるのかなという反省もあります。現場の方でも、 健診の満足度はこんなに低いのだということを、もう一度話し合いをしまして、健診を見直し、 母親にもう一度満足度を聞いてみようということを3か月ほど実施しました。変わったのは、ま ず母親が居やすい雰囲気をつくろうと。待ち時間もそうですが、待ち時間を上手に活用する方法。 これはどこでもやっていると思うのですが、具体的にどういうおもちゃの置き方を工夫するかと か、行った先々で子どもが遊び、母親もリラックスして、子どもをマンツーマンで保健師が観察 するということではなくて、遊んでいる中で話が聞けるようにしました。些細なことですが、そ ういうことの積み重ねで、実際に90%の満足度につなげたというところで、やはりこういうとこ ろでの検討が、一つ一つ反映されていくことで、母子保健も母親のニーズに合わせた公助ができ るのだろうと思います。ですから、ここで話し合われたことが、それぞれの現場の方に届くと、 きっと変わっていけるのではないかと感じました。  それから、ネットワークについても今、私たちは妊娠されたときに母子手帳交付の面接をして いるのですが、ご夫婦でいらして、とても幸せなところで、父親に育児参加という話をするチャ ンスがあるのと同時に、逆にお仕事をもっている妊婦については、母子手帳交付の時点で、既に 「今日は仕事があって来られないので、私が代理で来ました」と、ご主人が来てくださればまだよ いのですが、お母さまがお見えになったり、仕事を優先せざるを得ない状況にあるということも 確かだと思います。その場合保健師が電話をしたりするのですが、なかなか連絡がつかない現状 もありますので、企業・会社と私たち母子保健とのネットワークも、これから大きな課題だと思 い、今後進めていかなければという話し合いも現場の方ではしているところです。よろしくお願 いします。 ○柳澤座長  ありがとうございました。今村委員。 ○今村委員  課題IからIVまで、すべて私ども日本医師会もかかわっているところで、しかも私どもはどう しても医師の立場でしかいろいろなことを考えられないし、いろいろな集まりをするときも、そ ういう方だけを集めて、いろいろなお話をさせていただくということで、このような会議をもっ ていただくのは大変ありがたい。しかも予算無しでやるということは、さすが国がやっているこ とはすごいなと。なかなか、こういうことは民間ではできないことですが、これを予算ゼロでや るということが素晴らしいと思っています。先ほどから言われているように、一つ一つの団体の 活動の総和というものを、こういうところで話していただいて、その活動は非常に国全体の母子 保健の力を底上げしていると聞いて、むしろ私としては力強く感じました。団体団体で濃淡はあ るのでしょうけれども、こういう検討会、会議というのはぜひ続けていただいて、その話を聞か せていただくだけでも、私どもの取組にとっては大変ありがたいと感じました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。他にございませんでしょうか。 ○堀内氏  日本母乳の会の堀内です。この「健やか親子21」全体を十数年続けて、その次にどのように進 むのかと思っているのですが、日本で小児科医として一番ないのは何かというと、バースコホー ト研究なのです。こうやってさまざまな課題が四つの中に出てきたものは、どこにどうやってつ ながっているのかが全然見えないのが、日本の中での子どもの位置づけなのかなと、ちょっと寂 しいのですが、例えばアメリカのミネソタ州では、アルコール中毒から生まれた子どものバース コホートをやっているのです。10年やってその間の年間の予算が、なんと1年間に日本円で20 億円です。そうやってアメリカの子どもをアルコール中毒から守ろうという意識があるのです。 そういうことからいうと、例えば親の問題が子どもに響き、子どもの問題がさらに、今も遺伝学 テーマはエピジェネティクスの時代ですから、先ほども言ったように、赤ちゃんコンクール世代 の人たちが肥満になり、その子どもがまた肥満になるという繰り返しになって、それも遺伝子の レベルでわかる時代になっていますので、この「健やか親子21」の間にできないとしても、その 基礎をつくるものとして、ぜひこれを活用していただきたいのです。そうでないと、手弁当でや ったものがどこに生きるのかと私たちは思うのです。日本のある年に生まれた子どもたちは、ど のように大人になって、どのように老いていくのかは、国の母子保健の最低限のものをつかむに は不可欠だと思います。ぜひ、私たちがいなくなる21世紀の子どもたちのことを考えると、そう いう視点が、この「健やか親子21」の中にないと、意味がないのではないかと思います。実際に 環境省は始めたようですが、あくまでも環境汚染物質のようですから、ぜひそれも厚生労働省、 他の関係省庁とディスカッションをしていただいて、子どもの視点から見た子どものさまざまな 環境とか、生まれとか、遺伝的な背景を含めて、ぜひそれを次にやっていただきたいと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。今、バースコホート研究ということが出ましたが、私も大変重要な 課題だと思います。岡本委員。 ○岡本委員  日本助産師会の岡本と申します。地域で開業もしています。第2課題にずっと参加させていた だいていて、昨今の出産環境の激変の中で、本当に厳しい状況で、従来からの課題だけに取り組 んでいればよいということではおさまらないということを切実に感じています。また、国の方も 新たに妊婦健診票を14回出したり、直接医療機関に出産一時金を振り込むということも始まりか けています。そういうことの評価もきちんとやりながら進めないと、施策の評価がうまくいかな い。特に周産期の救急システムについては、母子の命がかかっていますので、本当に大きな課題 だと思っています。  又、子ども虐待防止の観点からも全戸訪問と従来からある新生児訪問とをどう連携させていく のかという課題とか、潜在的な子ども虐待のリスクのある母子への防止対策も予防的観点からよ うやく取組が始まりましたが、先ほどプレネイタル・ビジットのお話とも関係しますが、子ども 虐待予防の観点からも妊娠中からの取組が重要です。その辺の取組もドクターと助産師をはじめ 看護職との連携をもっと積極的に進めいけたらと思います。 ○柳澤座長  予定された時間にほとんど届いてしまったのですが、手を挙げられた方で、何かあれば。衞藤 委員と井上委員から簡単に一言ずつ。 ○衞藤委員  手短かに申し上げます。この「健やか親子21」は今、国民運動という、いわばナショナルプラ ンではあるのですが、私はいろいろ学術団体に属していて、海外のいろいろな学会等、特に近隣 諸国と交流等をする機会があるのですが、この課題は例えば中国や韓国など近隣の国々も共通の ものがかなりあって、それはこちらから発信する意味もありますし、それぞれの国で行われてい ることが、団体同士の交流という意味と同等の意味においてあると思います。例えば韓国では、 たばこ税を何百倍にも上げて、それで資金を捻出して健康増進に当てているとか、日本と全く異 なる状況がたくさんあって、いろいろ取組を通じて、改めて考えることがたくさんあると思いま す。そういった視点をどこかにもっておくとよいかなと思っています。 ○柳澤座長  井上委員。 ○井上委員  歯科の方では、食育基本法や新健康フロンティア戦略の流れの中で、かなり食育と歯の健康の 関係を検討しておりまして、ちょうど昨年から今年の7月にかけまして「歯科保健と食育の在り 方に関する検討会」を厚生労働省でもやらせていただいております。  そういう中で、実際に前回お話しさせていただいた妊婦の歯の健康、これは低出生体重や早産 とのかかわりが深いというデータも出ておりますので、そちらの方も少し検討いただいて、課題 に入れていただければと考えております。 ○柳澤座長  ありがとうございました、委員の皆さま方から大変活発にさまざまな視点からのご意見をいた だきました。いただいたご意見につきましては、第2回中間評価報告に向けて、事務局の方でぜ ひ取りまとめていただきたいと思います。  ちょうど時間ということで、最後に事務局からお願いします。 ○宮嵜母子保健課長  柳澤座長、どうもありがとうございました。  今後の予定といたしましては、今日いただきました議論を整理させていただきまして、事務局 と研究班あるいは関係省庁・部局とも協力いたしまして、指標については数字を整理してまたお 示しして、ご意見をいただけるような形をつくっていきたいと思っております。  また、本日いただきましたご意見の中で、かなり大きな部分で、この「健やか親子21」の運動 の進め方そのものについても、お金の問題もありましたが、推進協議会や幹事会あるいは次世代 育成との関係も含めて、あるいはこの「健やか親子21」以降の話も少し出たと思いますが、そう いう進め方についても、ある程度まとまった時間で今後ご協議いただければと思っております。  次回につきましては、データの整理の関係もございますが、一応10月ごろと考えておりますけ れども、具体的な日程については、改めて調整させていただいてご連絡させていただければと思 っております。  本日は、どうもありがとうございました。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。  それでは、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省 雇用均等・児童家庭局  母子保健課 山口 内線 7940