09/07/31 平成21年7月31日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成21年7月31日(金)  14:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(13名)五十音順    飯 沼 雅 朗、○池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、 岡   慎 一、    清 水 秀 行、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 土 屋 友 房、    浜 口   功、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 山 添   康、   ◎吉 田 茂 昭  (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(4名)   新 井 洋 由、 守 殿 貞 夫、 前 崎 繁 文、 溝 口 昌 子    3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官) 成 田 昌 稔(審査管理課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは御出席予定の先生方がおいでですので、「薬事・食品衛生審議 会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきあり がとうございます。現在のところ、当部会委員数17名のうち13名の委員の御出席をいた だいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。新井委員、守殿 委員、前崎委員、溝口委員からは都合により御欠席の連絡をいただいております。続きま して事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。医薬品医療機器総合機構の平 山上席審議役です。 ○上席審議役 平山でございます。よろしくお願いします。 ○審査管理課長 池田安全第二部長です。 ○安全第二部長 池田でございます。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 大変遅れまして申し訳ございませんが、私は中垣の後任で審査管理課に 参りました成田と申します。よろしくお願いいたします。それでは吉田先生よろしくお願 いいたします。 ○吉田部会長 それでは本日の審議に入ります。まず事務局から配付資料の確認と審議事 項に関する競合品目、競合企業リストについて御報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をいたします。本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を 配付しております。議事次第に記載している資料1〜7までをあらかじめお送りしており ます。このほか資料8、「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取り扱い、毒薬 ・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料9、 「ミリプラ動注用70mg、ミリプラ用懸濁溶液4mL専門委員リスト」、資料10「競合品目 ・競合企業リスト」を配付しております。過不足等がありましたら事務局にお申し付けく ださい。続いて本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料10について御 報告します。各品目の競合品目選定理由についてです。資料10の1ページ、本日の審議 事項、議題1「ミリプラ動注用70mg」については、脂溶性白金錯体であり、肝細胞癌に 対する肝動脈塞栓療法に用いるものである。したがって本剤と同様に、肝細胞癌に適応を 持つ注射剤で用法が肝動注である抗癌剤として、ここに記載のある動注用アイエーコー ル、スマンクス肝動注用、ファルモルビシン注射用がある、ということから、この3品目 を競合品目としたとのことです。続いて2ページ、審議事項、議題2「バンコマイシン眼 軟膏1%」についてです。本製品目はグリコペプチド系抗生物質製剤で、現在眼軟膏剤と してこれらの製剤は販売されていないということから、競合品目はないとのことです。  3ページ、審議事項、議題3「ノボセブンHI静注用5mg」についてです。本剤は遺伝 子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤であり、予定される効能・効果は「血液凝固第VIII因 子又は第XI因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病及び後天性血友病患者の 出血抑制」です。本剤の競合品目については、本剤と類似の効能を有する既存製剤である ファイバ及び同様の効能で現在開発中であるMC710の2品目が該当するということで、 この2品目のみ競合品目として挙げております。以上です。 ○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。よろしいでしょ うか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御 了解を得たということといたします。それでは委員の方からの申出状況について御報告を お願いします。 ○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1、ミリプラについ ては退出委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は池田委員、竹内委員、山 添委員です。議題2、バンコマイシンについては、退出委員、議決には参加しない委員と もにいらっしゃいません。また議題3、ノボセブンの毒劇薬指定についても、退出委員、 議決には参加しない委員ともにいらっしゃいません。なお本日の審議にあたりまして、報 告事項の議題1については、審議事項の議題1に関連するものですので、一緒に御審議い ただきたいと存じます。以上です。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。本日は審議事項は3議題、報告事項が4議題となっ ております。議題1、ミリプラ動注用70mgの製造販売承認の可否等について審議に入り たいと思います。医薬品医療機器総合機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 それでは審議事項、議題1、資料1、「医薬品ミリプラ動注用70mgの生物由来 製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに 毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。な お、本剤専用の懸濁用液として本日の部会での報告が予定されている、報告事項、議題1、 資料4、「医薬品ミリプラ用懸濁用液4mLの製造販売承認について」も併せて御説明い たします。  ミリプラ動注用70mg、以下、本剤と略しますが、本剤の有効成分であるミリプラチン 水和物は、脂溶性白金錯体であり、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルに懸濁して使用 される抗悪性腫瘍剤として国内のみで臨床開発が進められました。ミリプラ動注用70mg は、肝細胞癌に対して、肝動脈化学塞栓療法、以下、塞栓療法と略しますが、塞栓療法な どの既存の治療が適応外又は無効の場合に、塞栓物質を用いずに、抗悪性腫瘍剤を油性造 影剤に懸濁して肝動脈内に投与される治療法であるリピオドリゼーションに用いられる 際に有効性を示す薬剤として申請されました。本品目の専門協議に御参加いただいた専門 委員は、資料9にあるとおり7名の委員です。以下臨床試験成績を中心に御説明いたしま す。  主な臨床試験成績としては、国内で実施された二つの第II相試験の成績が提出されまし た。有効性については、審査報告書40ページの上から7行目以降に示すように、国内に おいてはリピオドリゼーションや塞栓療法などの局所療法が積極的に実施される傾向に あり、当該療法により目標とする病巣の局所コントロールを行うことには一定の意義があ ると考えられています。本剤がリピオドリゼーションに用いられる薬剤としての有用性を 評価するための指標としては、局所における腫瘍の壊死効果を評価することが必要条件と 考え、当該指標における有効性は評価可能と判断いたしました。当該指標により、審査報 告書41ページの一番上の表に示しますように、後期第II相試験の結果から、本剤がリピ オドリゼーションによる局所コントロールを目的として使用された場合、一定の壊死効果 は得られており、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。  安全性については、審査報告書41ページの下から11行目以降に示すように、本剤投与 後に認められた有害事象としては、リピオドリゼーションや塞栓療法後に一般的に認めら れている有害事象や合併症等及び白金系抗悪性腫瘍剤に特徴的な有害事象が中心であり、 本剤特異的に注意すべき有害事象は認められていないと判断いたしました。したがって機 構は、がん化学療法及び肝細胞癌に対する局所療法に十分な知識と経験のある医師のもと で本剤を用いたリピオドリゼーションが実施されるのであれば、忍容可能と判断しており ます。しかしながら、国内臨床試験では本剤についての情報が十分得られているとは言え ないと考え、製造販売後は、本剤を納入した一部の施設において、連続調査方式で100例 (登録期間9か月)の使用成績調査の実施は必要と判断しております。  以上のような審査の結果、機構は、「肝細胞癌におけるリピオドリゼーション」を効能 ・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有 医薬品であり、再審査期間を8年とすることが適当であり、原薬及び製剤は劇薬に該当す ると判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと 判断しました。なお、本日の報告事項、議題1のミリプラ用懸濁用液4mLは、ミリプラ 動注用70mgに専用の懸濁用液であり、有効成分は日本薬局方外医薬品規格収載のヨード 化ケシ油脂肪酸エチルエステルであります。今般、ミリプラ動注用70mgと同様に大日本 住友製薬株式会社より、「ミリプラ動注用70mgの懸濁用」の効能・効果で製造販売承認 の申請がなされました。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、ミリプラ用懸濁用液4mLを承認して差 し支えないと判断いたしました。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見を お願いします。どうぞ。 ○堀内委員 この肝動注用の抗癌薬については、造影剤を使っているという観点からも、 いわゆるスマンクス、ジノスタチンスチマラマーと類似性が極めて高いように思います。  このスマンクスは有害作用等によって、最近使用頻度がかなり少ないだろうと思います が、それと比べてこのミリプラ動注薬について副作用等についてはいかがでしょうか。  審査概要の52、53ページに国内後期第II相試験の有害事象について出ていますが、これ を見ると、先ほどは割と安全だという話を伺いましたが、スマンクスと比べてそれほど副 作用がよくなっているようには見えないのですが、その辺についての御見解を伺いたいと 思います。 ○吉田部会長 いかがですか。 ○機構 スマンクスで血管系の事象が問題となっているというように聞いていますが、そ の点については本剤の方は、後期第II相試験は一応比較試験の形を取ってはいるのです が、統計学的な比較を行わない群という形で設定されていまして、正確に比較することが いいか悪いかは置いておきますが、血管障害というところについては、改善はされている というように考えております。先ほどお話したのは、スマンクスよりも安全性が優れてい るというわけではなくて、白金系の抗癌剤で認められている事象という種類のものは、認 められているという趣旨で発言しております。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。 ○堀内委員 そうするとこれは血管系の障害、実際上スマンクスが使われなくなったの は、その辺が一番大きな問題だったと思うのですが、それと比べて余り問題ないと考えて、 そういう判断でよろしいのですね。 ○機構 スマンクスの方ですと、先ほども御指摘があるところでいくと、血管障害につい ては審査報告書42ページに書いておりますが、特に治療後の血管障害については現時点 で本剤については注意喚起を行う必要はないとは判断しております。 ○堀内委員 第II相試験ではスマンクスについては血管障害がかなりあると出ているの ですが、このミリプラについては何も記載がないですね。これはチェックをしていないと いうことですか。それともないということですか。 ○機構 ゼロということになります。 ○堀内委員 ゼロですか。 ○機構 はい。 ○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。 ○清水委員 この薬剤の副作用の中に、発熱がかなり多く見受けられるということで、申 請書の44ページにも併用された解熱鎮痛消炎剤及び副腎皮質ホルモン剤の使用症例とい うことで、データが載っておりますが、実際に解熱鎮痛薬として推奨されるような銘柄、 あるいは使用方法、用量等のデータというようなものはございますか。 ○機構 臨床試験でどのようなものが使用された、あるいはどういったタイミングで使用 されたのかというようなデータは手元にございません。 ○清水委員 いわゆるNSAIDsの類のものが使われて、それらを使うということですか。 ○機構 今どのような薬剤が使用されたのかは、分からないのですが、必要があればまた 調べまして。失礼しました、44ページに記載があるとおりNSAIDsの方が主に使用されて いたという状況になっております。 ○清水委員 添付文書にもそのことが重要な注意事項の中の一番で載っておりますので、 製薬発売企業から十分な情報提供をするような資材等を準備された方がよろしいのでは ないかと考えます。よろしくお願いします。 ○機構 どうもありがとうございます。そのようにさせていただきます。 ○清水委員 もう1点ですが、そうならないことには多分理由があるのだと思うのです が、これは動注用薬剤と懸濁用薬剤をセットの形、キットの形で販売するということは難 しいことなのでしょうか。 ○吉田部会長 別々にということですか。 ○清水委員 いや、別々に収載されているようですが、セットの形で販売するということ は難しいことなのでしょうか。 ○機構 申請されたのが別々で申請されていますので、セットにするということは、申請 者としては考えていないという申請の形態になっております。 ○清水委員 通常懸濁用液はそのための懸濁にしか適用は持っていないわけですから、溶 解液と主薬剤とをセット化という方が、かえって混乱がなくていいのではというように考 えますので、可能であればまた今後御検討いただければというように思います。ありがと うございます。 ○吉田部会長 この点についてほかの類薬ではどのような扱いになっていますか。例えば スマンクスなどは。 ○機構 スマンクスも同じような形で別品目で、別々に流通しております。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。 ○堀内委員 スマンクスの場合は冷凍保存ということで、それも使いにくさの一因になっ ていると思うのですが、この場合には室温保存でよろしいのですか。 ○機構 2〜8℃保存ということになっています。 ○池田部会長代理 審査報告書61ページ、「その他」の所に審査の方から、この会社の 申請書類などいろいろなことについて、問題があるという指摘が書かれていますが、これ に対する企業側の返事というのは、どこかにないのですか。要するにどのようにするか。 ただ適切な体制を速やかに実現すべきと考えると、これはこちらから見ると非常に審査に 時間がかかったのは、企業側の対応に非常に大きな問題があるという指摘だというように 思うのですが、そう理解していいのですよね。そうだとすると、それに対して会社側とし ては何かコメントなり、回答は寄せたのですか。 ○機構 この点については、会社側も今後このようなことがないようにということで、機 構には回答を提出しております。 ○池田部会長代理 何か書類で出しているのですか。 ○機構 GMPの調査に関しては、回答という形で社内体制を整備していくという形で回 答をいただいております。 ○池田部会長代理 それは違反ですから、回答しなければ審査にならないではないです か。 ○機構 GCPではなく、GMP調査の工場の問題もあったということで、それで回答を いただいているということです。製造方法の変更部分の情報というところでは回答をいた だいています。 ○池田部会長代理 要するに二つあるではないですか。GCP違反によるものと、それか ら本薬の製造方法の変更等の情報について、詳細な検討がということで。社内体制に大変 問題があるという指摘ですよね。実際にそうなのかどうか我々はこれを見るしかないので すが、それに対して。 ○機構 GCPの方も指摘に対して、改善していくという回答はいただいています。 ○池田部会長代理 要するに改善していくというのは、皆、改善していくというように答 えるのに決まっているので、どのように変えたのかということを、しつこく言うようで申 し訳ないですが、やはり見える形で行った方がいいのではないかということです。 ○審査管理課長 ありがとうございます。御指摘に対してはどのように改善したのか、明 確に文書で出すようにさせていただきます。 ○吉田部会長 例えばどのような違反があって、どういう対応をしたかを簡単にここでお 話はできますでしょうか。説明いただければ、かなりの部分が納得できるかと思いますが。 分からなければそれも含めて後日お願いします。 ○機構 GCP違反の一例ですが、原資料がなかったということになっております。 ○吉田部会長 原資料、もともとの診療資料がということですか。 ○機構 審査報告書55ページに調査の結果を書かせていただいています。 ○吉田部会長 分かりました。そういうことで申請書類から削除したということですね。 ○機構 はい。 ○池田部会長代理 分かりました。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○竹内委員 有効性について教えていただきたいのですが、審査報告書41ページで有効 性が三つ出ておりまして、ただしこれには統計解析はしないという断わりのもとでやられ ていたのだとは思うのですが、やはりTEVの割合と奏効率とRECISTの奏効の割合がち ょっと逆転しているような面もあり、TEVの場合はきちんとしたサロゲートマーカーに なっていないということがありましたので、市販調査をする場合には、有効性は何で見て いくのかを教えていただきたいと思います。 ○機構 TEVで見ることになっています。 ○竹内委員 市販後調査は割合を見るということで、それは前の40ページではOSとか TTPのサロゲートマーカーはまだ確立されていないということが書かれていたので、そ こだけ見ているのかと。 ○機構 市販後は有効性についても調査はするのですが、主に安全性の調査ということに なっております。  先生、申し訳ありませんがもう一度御質問をお願いします。 ○竹内委員 41ページの有効性の部分ですが、3種類の割合が出ており、TEVと奏効 率の割合とRECISTによる奏効率の割合となっているのですが、見るかぎりではTEVの 割合が少しほかのものとは逆転している傾向がありまして、今回の場合TEVの割合に重 きを置くということを読み取ったのですが、そのTEVの割合というのも、OS又はTT Pに対するサロゲートマーカーになっていないということが、今まで言われていると書い てありますので、市販後調査では何をもって有効性を確認されるのかという疑問がありま す。 ○機構 市販後の調査について先ほどお話しましたように、安全性を中心に確認していく 調査になっております。また、市販後というわけではないのですが、現在、リピオドリゼ ーションに多孔性ゼラチン粒による塞栓を加えたTACEを使って、OSを見る試験を実 施しております。 ○竹内委員 そこで有効性を確認するということでよろしいのですか。 ○機構 はい。 ○吉田部会長 竹内先生、よろしいですか。「腫瘍縮小効果からだけでは有効性の評価が できないということが、一つあるから」ということなのだろうと思います。 ○審査第五部長 基本的に腫瘍壊死効果をこの薬剤の効果として、判断しているところ で、TACE自体は手技等も、かなり効果に影響すると考えます。CLもかなり手技が影 響することがある点で、手技全体を見たときのOSについての検討というのには、すごく 意義があると考えます。今申請者はOSを指標に臨床試験を行っているという状況なの で、この市販後調査で得られる情報というのは、やはり壊死効果というところは確認する と思いますが、OSがどうなのかというようなデータに関しては、十分なものは得られな いという状況です。 ○竹内委員 今されている第III相の試験で、OSがいいかどうかという問題と。 ○審査第五部長 はい、そうです。 ○竹内委員 はい、分かりました。 ○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。 ○早川委員 確認だけなのですが、エンドトキシン試験を原薬製剤に設定しています。製 剤は注射剤ということで製剤総則でやるというようなことなのですが、原薬にも設定され るというのは同じ理由なのか。そこのところが知りたい。 ○機構 注射剤だからということのようですけれど。 ○早川委員 原薬もですか。 ○機構 凍結乾燥品製剤ということで、使い方を注射剤という形で使うということで設定 されているというように聞きました。 ○早川委員 一応それは確認をしておいてください。製剤はしなければいけないのだろう とは思うのですが、原薬までそうなのか。つまり製剤は直接投与するものなので必要なの だろうと思うのですが。私も覚えていないものですから。確認だけしておいてください。 ○吉田部会長 ではよろしくお願いします。ほかにございますか。特に御意見がなければ そろそろ議決に入りたいと思います。なお池田委員、竹内委員、山添委員におかれまして は利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。で はお伺いします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異論がない ようですので、承認ということにいたしたいと思います。ありがとうございました。  それでは続いて議題2、バンコマイシン眼軟膏1%の製造販売承認事項一部変更承認の 可否などについてよろしくお願いします。医薬品医療機器総合機構からの概要説明をお願 いします。 ○機構 「医薬品バンコマイシン眼軟膏1%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定 の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につい て」、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。バンコマイシン塩酸塩は、グリ コペプチド系薬であり、1956年に米国で注射用製剤がグラム陽性菌による感染症を適応 症として承認されて以来、注射剤及び経口剤として世界各国で承認されております。  バンコマイシン塩酸塩は、MRSA及びMRSEに対して有効ではありますが、バンコ マイシン塩酸塩の眼局所用製剤は、未だ市場に提供されておりません。そのため診療現場 では、眼感染症に対しては注射用原末を溶解させて、院内処方により調整した点眼液又は 眼軟膏を使用しています。また、自家調整された点眼液や眼軟膏は、MRSA感染症に対 し高い有効性を示していますが、バンコマイシン塩酸塩は水溶液で不安定であり、長期間 安定な点眼液や眼軟膏を製造することが難しいことから外来患者には使用できないこと、 及びバンコマイシン塩酸塩には組織刺激性があり患者のコンプライアンスに問題を生じ ることなどから診療現場ではMRSA又はMRSEの眼感染症の治療に困難を来してい ると申請者は説明しています。このため眼局所への刺激性がなく、製剤学的に長期間安定 で感染病巣部位に有効濃度以上の薬物移行性がある製剤が求められてきました。  申請者である東亜薬品株式会社は、日本眼感染症学会の要望を受けて、MRSA又はM RSEに起因する眼感染症治療用のバンコマイシン塩酸塩を用いた製剤開発の検討を始 め、開発されたバンコマイシン塩酸塩眼軟膏製剤について、20□年より第I相臨床試験を 開始し、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、今般、製造販売承認申請がなされ ました。なお、本剤は海外において開発されておりません。また、本剤は2001年4月23 日に「メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌による眼瞼炎、結 膜炎、角膜炎等の眼感染症」を対象疾患とする希少疾病用医薬品の指定を受けております。  本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としましては、資料9にありますとお り、6名の委員を指名し、御意見を賜りました。主な審査内容について簡単に説明させて いただきます。  臨床に関しまして、機構は、提出された資料において本剤の臨床試験成績は限られてい るものの、審査報告書21ページ下から5行目に記載していますように、国内第III相試験 の結果から本剤について一定の有効性が期待できることを確認いたしました。また、同 25ページ下から12行目に記載していますように、(1)非臨床試験でMRSA眼感染症に対 するバンコマイシンの効果が認められていること、(2)有効成分のバンコマイシンは、既に 静注剤、経口剤(散剤)でMRSAに対する有効性が示されていることから、本剤のMRS Aに対する有効性を期待できるものと判断しました。なお、MRSEについては、提出さ れた資料での情報は極めて限られているものの、非臨床試験での検討から、MRSE眼感 染症に対するバンコマイシンの抗菌活性が認められていることを踏まえると、本剤の有効 性が期待できると判断いたしました。  また、安全性について審査報告書20ページの下段の表、及び26ページ上から11行目 に記載していますように、国内第III相試験において複数例に発現した有害事象は、眼瞼浮 腫と結膜充血であり、重篤例は発現していないことから、提出された臨床試験成績は限ら れているものの、本剤の忍容性については、特段の問題はないと判断いたしました。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤の有効性及び安全性を確認できたと 考え、適正使用の観点から他のバンコマイシン製剤と同様の承認条件を付帯した上で、審 査報告書の3ページに記載しております効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えな いと判断しました。なお、本剤はバンコマイシン塩酸塩として初の眼軟膏製剤であり、耐 性菌出現防止の観点から安易な処方は避けるべきであり、本剤の使用に際しては、添付文 書等の情報提供資材を用い、適正使用に関する注意喚起及び情報提供を行う必要があると 考えております。なお、本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間について は、10年と設定することが適切であると判断しております。また、原体及び製剤は毒薬 及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しており ます。薬事分科会では報告を予定しております。どうぞ御審議のほどお願い申し上げます。 ○吉田部会長 ありがとうございました。先生方の御質問、御意見をお願いいたします。 ○清水委員 包装規格なのですけれども、近年市中に流通している眼軟膏の多くは、今3 gないし3.5gの包装が品物の数としては多いかと思います。ゾビラックスの眼軟膏が確 か5gで市販されていたかと思うのですが。今回これ1本の包装を5gとしたことについ ては、何か検討されたところがあるのでしょうか。できれば、もう少し小さい規格の方が 市場には合っているかというふうには思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 回答申し上げます。包装形態については特に検討はしておらず、5g、3g等の 検討は行っておりません。申請者がこのような製剤で開発を行って、申請したというとこ ろです。 ○審査管理課長 その辺、5gの経緯については確認させていただきます。申請者の会社 の製造ラインとの関係もあろうかと思いますので、先生からそのような御意見もあったと いうことで、その辺を確認をさせていただきたいと思います。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○堀内委員 今の関連として、この会社、東亜薬品、それからその発売元が日東メディッ クというのですけれども、余り聞いたことがない会社です。そこでバンコマイシン、これ は後発品が既に出るようになっているから、代理店の変更と考えればいいのかもしれませ んけれども、この会社のMR等はどのくらいいるのですか。要するに、これほど大きな剤 型にして、いろいろなところに眼軟膏があるのだから使えばいいだろうと、どんどん使う ことも妥当ではないと思いますし、耐性菌の発生を防ぐという観点からも情報提供をある 程度は、きちんと行わないといけないと思いますが、いかがでしょう。 ○機構 回答申し上げます。我々としましても耐性菌の観点からも適正使用というのを非 常に重要だと考えております。今回は、流通の観点について、申請者の方から提案があり、 卸に在庫を置かず、医療施設の方から使用の要望があった場合に、会社の方から直接医療 現場に供給するという体制を取ります。ですので、どのような医療現場で使用されるのか というのは十分把握できますし、製造販売後におきましても、全例調査というようなこと を考えておりまして、その医療機関さらには医師のもとに個別に適正使用のための情報提 供を行っていくように、会社の方は体制を取っていると考えております。 ○堀内委員 今のお話で、全症例追跡調査ということになると、かなり体制をしっかりし ないと難しいと思うのですが。ですからMR数がどくらいいるか、それを今お聞きしたの ですけれども。 ○機構 申し訳ありません、MRについては今把握しておりませんが、確認して、その全 例調査、予想される使用量に対して十分な体制を取っているかどうかは、再度確認してお きたいと思います。御指摘、どうもありがとうございました。 ○堀内委員 従来、必要な場合は、病院の薬剤部に行って、点眼薬ですよね。生食に溶か したり何かしたものを作って出していたのですが、2週間ぐらいしか持たないというのが ありましたから、3年間ということであれば、それはそれなりに結構だとは思うのですけ れども。逆に言うと、きちんとした使い方をする体制を確認をしていただきたいというこ とです。 ○審査管理課長 バンコマイシンでございますので、しっかりした体制については確認さ せていただきたいと思います。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○土屋委員 バンコマイシンの眼軟膏が海外ではないと、先ほど御説明ありましたし、そ の書類の中にも書いてありましたけれども、その理由を機構の方では把握しておられます か。例えば、開発が難しいとか何か問題があったとか、あるいは必要性がなかったとか、 何か把握していることがあったら教えていただきたいのですが。 ○機構 海外における文献等、ガイドライン等での記載等の調査になりますが、欧米にお きましてもこのようなMRSAに起因する眼感染症の場合には、薬局等で調整した点眼液 を使っているのが現状ということでございました。ですので、国内と同様に、医療現場で はいろいろ難渋している部分はあるけれども、特に眼軟膏製剤の開発はなされていないと 把握しております。 ○吉田部会長 ほかにございますか。  我が国は軟膏等々について特殊な技術があるんだと、そういうことはないのですか。 ○機構 特に、特殊な製剤上の技術を使っているというわけではございません。 ○池田部会長代理 余り眼科のことは詳しくないので教えてほしいのですけれども、眼科 でこういう症例、疑わしい症例があったときに、細菌学的検査というのは実際にどの程度、 今は行われているのですか。なかなか難しいのではないかと思うのです。これ、どこにで も使うとなると、一般の開業医の眼科の先生もお使いになるわけですけれども。眼科の領 域での細菌学的検査の今の現実の頻度って、どのぐらいなのですか。 ○機構 お答え申し上げます。一般的な眼科における細菌学的検査の頻度については情報 を持ち合わせておりませんが、本薬につきましては、原則として第1選択薬ではなくて、 医療現場における実態としてはフルオロキノロン系薬等が用いられているようです。それ を使っても効かなかった場合に使用する。あと、適正使用ガイドで。 ○池田部会長代理 いや、効かなかったら使用する、では、いけないのではないですか。 細菌学的な検査をして、初めて使うわけでしょう。ですから、要するに一番危ないのは、 既存の通常の眼軟膏なり、点眼薬を使って効かないから、ではこれにいきましょうという のは駄目なのですよね。でしょう、違いますか。 ○機構 はい。 ○池田部会長代理 細菌学的検査で、それが証明されないと使えないということになって いるわけですから、そのpracticeがどれぐらい日本の眼科の先生で、一般的になってい るのかを知りたいということです。 ○機構 繰り返しの説明になりますが、一般的な検査の頻度について把握しておりません が、適正使用ガイドの方で、本剤の使用に際しては必ず細菌学的検査及び薬剤感受性を必 ず実施するということを情報提供して、しっかりと使っていくようにと考えております。 ○吉田部会長 私も同じ疑問を感じまして眼科医に確かめましたところ、感染すると炎症 性の滲出物が出てくるので、それを採取して細菌検査をするのだそうです。その結果MR SAが出たら、バンコマイシンを局所に塗るということを言っていました。また、眼科の 学会の方ではそのような患者さんのためにも、長期間保存可能な軟膏製剤の登場を切望し ているということを聞いております。  それより早川先生に伺いたいのですけれど、これ放出試験が難しいということがあっ て、これは仕方がないのだろうと思うのですが、ただ、25例のうちの何%か効いている から、恐らく効いているのだろうというふうな判断で良いのかどうか。本当に効いている かどうかということに関しての疑念が、若干ですが、否定できないのではないかというふ うに思ったりもするのですが、いかがでしょうか。 ○早川委員 はい、39ページのところに、品質についてということで書かれてありまし て。逆に、これは私も質問しようと思ったのですが、つまり、一つは眼軟膏で放出試験を やらないといけないように規定されているのかどうかということですね、まずは。つまり、 眼軟膏というものが放出試験をしなければ有効性というか、効き目について保障できない ということであれば、やらないといけない。それに見合う試験法があって、それに見合う 規格というのですか、これぐらいの放出でないといけないということがあると思うので す。まず、それがそもそも、これまでもあったのかということをお聞きしようと思ったの ですね。それで、ここの39ページのところによりますと、専門委員の意見としては、放 出試験を設定しなくとも本剤の品質は適切に管理できている、ということは理解できると いうように見解を述べています。しかし、可能な限り、放出試験は設定されることが望ま しいと考えるという意見も出されている。さらに、その放出試験も設定されることが望ま しいと、可能な限り考えられた根拠を知りたいというふうに要求している。先生の質問に は全く答えてないことになるのですけれども、ここのところは、どういうlogicで放出試 験を実施することが必要なのか、現時点では適切に管理できていると言っているのに、一 方では放出試験をやりなさいと言っているところのlogicが、どういうlogicなのかと思 いまして。そこを説明をしていただければ。 ○吉田部会長 その件の経緯については、いかがでしょうか。 ○機構 今回の眼軟膏製剤で放出試験が困難だった理由としましては、通常一般的な条件 では、いくつか検討はしたのですけれども、基剤が油性の基剤であるというのと、有効成 分は水溶性の薬剤ということで、眼軟膏中では□□□□で存在しており、放出がうまくい くような条件を見出すことができませんでした。軟膏の□□□といいますか、□□□□□ □□□□□□、及び製造中の製造工程を適切に管理することで一定の品質のものは製造で きるとの申請者の説明については、専門委員からも御了承はいただいております。ただ、 放出試験については、一般的に眼軟膏製剤として設定されるべきということであり、今後 も引き続きいろいろな条件を検討して、設定することを考えてみてはどうかという御意見 が出ていましたので、このように記載させていただきました。 ○吉田部会長 回答は、検討するだけだと。 ○機構 はい。 ○吉田部会長 具体的に、これからやるかは決まっていない。 ○機構 具体的には、今後、そういうことになります。 ○早川委員 これ、なかなか難しいと思うのは、放出試験というものと、実際の有効性と いうか、効き目というものがどこかでlinkageしないと、ただ試験だけをやっても、必ず しもその試験の試験法なり、それから出てくる値をどのように位置付けるというのが大変 難しいと思います。別の方法としては、先ほど御説明あったように、ある工程を管理する ことによって、こういう工程で一定の品質のものができているだろうと。その品質のもの で臨床上は、先生が先ほどおっしゃったようにある程度効いているということであれば、 その放出試験というよりは、工程をしっかり管理して同じものを作り出すという形もある のではないか。 ○吉田部会長 代替し得るということですか。 ○早川委員 はい、というふうに私は思いますけれども。 ○吉田部会長 分かりました、ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。 ○池田部会長代理 この添付文書のところで、【文献請求先】に「日東メディック株式会 社 おくすり相談窓口」と書いてあります。添付文書にあると、ここにいろいろな問合わ せがいくのではないかと思うのです。少々私には馴染みがないのですが、どのような状況 にこの「おくすり相談窓口」がなっているのか、ここはこれを専門にやっている所なので しょうか。 ○機構 本剤の発売元として、日東メディック株式会社が担当しております。その文献情 報の請求先はこちらになります。製造販売における市場の流通を管理するのが、日東メデ ィックという位置付けになっており、製造販売後調査も、先ほども申し上げましたような 流通管理もすることになっております。 ○堀内委員 この日東メディックって、本当に聞いたことがない。どんな会社か、よく分 からない。きちんと出来るかと。 ○審査第四部長 私の方からお話してよろしいですか。多分この場では馴染みがそれほど ないとは思うのですけれども、一応しっかりとした会社で、後発品の流通もしっかりして いますので、情報提供もできると思っております。 ○吉田部会長 最後、確認なのですが、市販後全数調査と言いましたけれども、全数とい うのは総症例数なのか、ある期間の全数なのかについては、どのようになっているのです か。 ○機構 まずは600例を目標として、集積をすることとしております。ただ、その600例 はあくまで集積の目標として設定しております。その結果を踏まえて、再度継続して行う べきかどうかというのは再検討する予定でございます。 ○吉田部会長 取りあえずは600例を目標に、まず全数調査して、その結果を見て、さら に必要性があるかどうか判断するということですね。 ○機構 はい。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。 ○庵原委員 すみません、39ページのところで、これを使用するのは「眼感染症に十分 な知識と経験を持つ医師」と書かれているのですけれども、これは、眼感染症学会の会員 でないと使えないという意味合いですか。 ○機構 いえ、厳密にはそういう意味ではございません。 ○庵原委員 この、十分な知識と経験を持つ、という定義は、一体何を指して言われてい るわけですか。例えば、眼科の専門医とか、そういうニュアンスで考えられているのでし たら、それで結構です。要するに、こういう形で書かれますと、どの辺のレベルの眼科医 が使っていい薬かということを、ある程度想定された文書だと思うのです。ですから、ど のあたりを想定されているかということです。 ○機構 はい。先生がおっしゃったように眼科の専門医、また、この眼感染症を日常的に 診ていらっしゃるような先生方というふうにイメージしております。 ○吉田部会長 悩ましいのはね、一般開業医も使う可能性があるという点ですね。ですか ら、そこのところを感染症として捉えるのか、眼科疾患として捉えるかということで、随 分違ってきてしまいます。ですから、そこのところを、眼科なら眼科というふうな形でま ず限定するのか、感染症を扱っている医師だったら誰でもいいとやるのかというところ が、少々曖昧ではないかということになるのだと思うのです。その辺はいかがですか。 ○機構 分かりました。先生方の御意見を踏まえまして、適正使用に係わるその表現、関 連する表現については再度見直しさせていただきたいと思います。御意見、どうもありが とうございました。 ○吉田部会長 要するに、広く誰でも使うのではなく、きちんと専門医が使えるというこ とに重点があるわけですから、抗生物質の専門家でもいいのだろうとは思うのですけれど も、その辺うまく反映するようにお願いします。 ○機構 はい。 ○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。御意見も出尽くしたようでご ざいますので、議決に入りたいと思います。伺います。本議題について、承認を可として よろしいでしょうか。特に、御異議がないということでございますので、承認を可として、 薬事分科会に報告とさせていただきたいと思います。  続きまして議題3、ノボセブンHI静注用5mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について、 事務局から概要の説明をお願いします。 ○事務局 続きまして、審議事項議題3、「医薬品ノボセブンHI静注用5mgの毒薬又 は劇薬の指定の要否について」御説明いたします。資料3の耳の一つ目をめくりまして、 概要を御覧ください。  今般、剤形追加に係る医薬品として申請されました「ノボセブンHI静注用5mg」の毒 薬・劇薬の法令上の規定に関してということになります。本剤の有効成分になります「エ プタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)」は、平成12年に既存製剤となります「注射 用ノボセブン1.2mg、同4.8mg」が承認されたことに伴いまして、薬事法施行規則におき まして、下表のとおり、原体及びその製剤は劇薬に指定され、ただし書きとして、「1バ イアル中4.8mg以下を含有する注射剤」は劇薬から除外されております。したがいまして、 既存の製剤は劇薬から除外されております。  本剤につきましては、投与量の計算を容易にするために、1バイアル中の含有量が既存 製剤より増量されておりまして、現行の規定によりますと劇薬に該当します。しかしなが ら、成分が製剤化により稀釈されておりますことや、既存製剤に係る臨床試験におきまし て、本成分の臨床薬用量である5mg程度を投与した際の副作用の発現状況等から判断し まして、本剤は既承認製剤と同様に、劇性が強いものとは認められず、劇薬の指定から除 外することが適切であると判断しております。本剤を劇薬の指定から除外することにつき まして、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見等々ございますでしょうか。 劇薬の指定は本審議会で決定するということになっておりますので、是非ともご意見を頂 かなければならないのですが。端的に言うと、5.2mg含有のものでも、臨床試験では有害 事象の頻度はそれほど高くなかったので、4.8mgと同じように、劇薬指定から外したいと いうご提案ですね。 ○事務局 はい、そういうことになります。 ○堀内委員 確認だけです。これは第VII因子とか、血液凝固因子全体を外すということで はなくて、そういうレベルの話ですか。 ○事務局 これはあくまでも、本剤の毒薬・劇薬の指定についてのみの議論でありますの で、今回血液製剤全般をするというものではありません。 ○堀内委員 いや、そういう方向を考えているかどうか。 ○事務局 そうですね、通常、毒薬・劇薬の指定につきましては、原体につきましてはそ の急性毒性等から判断をして、毒薬・劇薬あるいは普通物であるという判断をいたします。 その上で、製剤につきましては当然その含有量は少ないわけですので、使用実態に応じて、 原体が劇薬であっても、劇薬に該当しないという判断もあり得るということで、これは新 薬の承認の都度、合わせて評価を行って、必要に応じて除外を行っているということにな っております。例えば、今回のノボセブンで4.8mgの製剤が承認された際に、4.8mgのも のまでは普通劇薬に該当しないだろうと判断したことから、4.8mg以下という限定をして 除外をしておりました。今回は、新たにその5.2mgのが出てまいりましたので、その4.8mg を超える部分で5.2mgの部分を評価して、除こうとするものであります。ですので、今後 も血液製剤等に限らずですが、違った入れ物の製剤が出てくれば、その都度評価をすると いうことでございます。また、この点で大きく違うのは、通常用法・用量が大きく異なる ような場合には、こういった医薬品部会の中でご審議等をさせていただきまして、それに 合わせて改訂するわけでございます。今回につきましては、4.8mgの入りのものが5.2mg のものになるということで、微細な変更ですので、これにつきましては、通常この品目の 審査自体は、事務局でしておりますことから、毒物・劇薬の指定の審議のみ、この部会に お諮りをしているというところで、取り扱いが異なるところでございます。以上でござい ます。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。ということで、本剤に限りということだそうですの で、御判断いただきたいというふうに思います。ほかに、御質問ございますでしょうか。 ないようであれば、議決に入りたいと思います。  本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異 議がないようでございますので、毒薬及び劇薬の指定は不要として、薬事分科会に報告と させていただきます。  続きまして、報告事項、議題2以降について、説明をお願いします。 ○機構 それでは報告事項について御説明いたします。議題の2番、「医薬品エルプラッ ト点滴静注液50mg及び同点滴静注液100mgの製造販売承認、並びに医薬品エルプラット 注射用50mg及び同注射用100mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いた します。資料5になります。  エルプラット注射用50mg及び同注射用100mgは白金錯体を有し、DNAと付加体を形 成することで、細胞増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍用剤であり、現在は、「治 癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で承認されております。今般、株 式会社ヤクルト本社から、「結腸癌における術後補助化学療法」の効能・効果を追加する 製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。また、剤型違いの品目として、 エルプラット点滴静注液50mg及び同点滴静注液100mgを追加する製造販売承認の申請が なされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、これらの医薬品を承認して 差し支えないと判断いたしました。  続きまして、報告事項の議題3になります。資料6で、「医薬品プリジスタナイーブ錠 400mgの製造販売承認について」報告いたします。ダルナビル エタノール付加物は、 Tibotec社により開発された、野生型HIV及び多剤耐性を示す臨床分離株に対して強力 なin vitro活性を示す新しいプロテアーゼ阻害剤(PI)です。本邦では、既治療患者に 対する薬剤として「プリジスタ錠300mg」の名称で、平成19年11月に承認されておりま す。今般、米国では平成20年10月に、欧州では平成21年1月に未治療患者に対する適 応が承認されたことから、本邦では、ヤンセンファーマ株式会社により、未治療患者に対 する治療薬として「プリジスタナイーブ錠400mg」の名称で製造販売承認の申請がなされ たものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料6に記載いたしました効 能・効果及び用法・用量にて、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。以上で す。 ○事務局 続きまして議題4「医療用医薬品の承認条件の解除について」事務局より御報 告いたします。資料7を御用意ください。医薬品医療機器総合機構より、「承認条件に係 る審査報告書」が提出されております。表紙をおめくりいただきまして、1ページ目を御 確認ください。品目の販売名はプリジスタ錠300mg、一般名はダルナビル エタノール付 加物、ヤンセンファーマ株式会社の製品でございます。  今回の審査対象になった承認条件ですが、中ほどの下線部で示しております。承認の経 緯につきましては、2の(1)にございますとおり、承認申請時には日本人における薬物動 態に関する情報が得られておりません。そうしたことから、我が国における薬物動態試験 の実施についての承認条件がこのように付帯されております。今般、日本人健康成人を対 象としました薬物動態試験の試験結果が提出されたことから、機構において審査が実施さ れました。3ページの3.総合評価の項を御覧ください。日本人健康成人におけるダルナ ビルの薬物動態は、これまでに得られている欧米人健康成人における薬物動態と大きく変 わらないことを確認しました。また、日本人患者における有効性・安全性データを収集中 であること、及び海外において現在実施中又は計画中の臨床試験があることから、承認条 件1及び2の一部、つまり日本の国内の薬物動態試験、これに係る承認条件を解除しても 差し支えないものと判断いたしました。以上、御報告いたします。 ○吉田部会長 議題2はエルプラットの海外の臨床試験の成績が明らかになって、結腸が んの補助化学療法に対する有効性が確認されたので、効能追加をしたいということと、議 題3はプリジスタという既承認薬ですが、初回治療の場合に容量が400mgと上がるため に、それを区別する目的で、プリジスタナイーブ錠というふうに名前を変えたいというこ との承認について、最後は、国内での臨床試験の成績が明らかになったために、その指定 条件を解除したいということのようでございます。これらの点につきまして御質問あるい は御意見がございましたら、お願いします。 ○岡委員 これ、何度かやりとりしている確認なのですけれども、この薬は非常に強力で いいですし。 ○吉田部会長 どれですか。 ○岡委員 プリジスタナイーブ錠についてです。大体同種同効薬に比べて遜色ない治療効 果を持っているのですけれども、恐らく初回はこれで全く問題ないのですが、これとよく 似たカレトラという薬でうまくいっている人が、例えば高脂血症等の副作用で、これにス イッチするということがあり得ると思うのですね。そういうときには、これは保険適用外 になってしまうのか、それともそれは何かの付帯でいいのかという、確認だけなのですが。 ○吉田部会長 ここで議論する問題ではないかもしれませんが、いかがですか。 ○機構 この点につきましては専門協議等でいろいろ議論をさせていただいており、審査 報告書には、具体的に39ページに、岡先生からいただいた御意見等も含めて、書かせて いただきました。機構の意見としましては、確かに岡先生が御指摘になったような切り換 えが必要となるような症例というのはいるだろうと思います。ただ臨床試験、今回はそう いう切り換え症例を対象とした臨床試験は実施されていなかったので、その切り換え症例 に対する有効性とか安全性というのは、不明確であり、投与を推奨するというのは少々難 しいのですが、使えないかといいますと、そういうわけではございません。添付文書で、 効能・効果に関連する使用上の注意の項の1番に、治療経験のないHIV患者に使用する こと、その後に、治療経験のないHIV患者以外に対する有効性・安全性は確立していな いという旨を書かせていただいています。このように書きました理由としては小児の開発 のところでもそうだと思うのですが、特に小児に対して具体的な試験がされていない場 合、添付文書の小児の投与の項では、安全性は確立していないというような記載がなされ ております。ただ、使うことは必要に応じて可能であると理解しております。今回も、そ の表現と同じように書かせていただきましたので、治療上有益であると判断された場合に は、そのような症例にも投与することは可能であると考えております。以上です。 ○吉田部会長 よろしいでしょうか。 ○岡委員 はい。 ○吉田部会長 ほかに御意見ございますか。エルプラットの件もよろしいでしょうか。そ れでは御意見もないようですので、報告事項につきましては御確認をいただいたというこ とといたします。本日の議題は以上でございますけれども、事務局から何か報告はござい ますか。 ○事務局 次回の部会についてでございますけれども、既に御案内のように、8月31日 (月)午後4時から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたしま す。以上です。 ○吉田部会長 それでは本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございま した。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)