09/07/31 第40回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第40回) 開催日時:平成21年7月31日(金)8:58〜14:32 開催場所:厚生労働省共用第7会議室 出席者 :田村部会長、鈴木部会長代理、清水委員、武見委員、市川委員、酒井委員 ○政策評価官  ただいまから「第40回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催させていただきま す。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうご ざいます。本日は新しい任期の下での第1回目の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長を ご選出いただきますが、その間、政策評価官の塚アが議事進行をさせていただきます。どうぞよろし くお願いいたします。私は7月28日付けで政策評価官を拝命しております。今後ともどうぞよろしく お願い申し上げます。  事務局を紹介いたします。政策評価官室長補佐の安里です。 ○政策評価官室長補佐  安里です。私も7月15日から座っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○政策評価官  委員の皆様方をご紹介します。皆様には先に辞令を郵送しましたが、厚生労働省独立行政法人評価 委員会委員または臨時委員として、本年6月30日付けで厚生労働大臣の任命が発令されています。ま た、29日に開かれた委員会総会において、皆様方の調査研究部会への分属が正式に決定しております。 なお、当部会の委員は全員、前任期に引き続いての再任となっております。  資料1-1をご覧ください。この名簿順に上からご紹介します。本日は、岩渕勝好委員はご欠席という ことです。清水涼子委員は遅れていらっしゃるということです。鈴木友和委員、武見ゆかり委員。田 宮菜奈子委員はご欠席と承っています。田村昌三委員、市川厚委員、酒井一博委員。中村英夫委員と 政安静子委員はご欠席ということです。  それでは、議事に入ります。議事(1)部会長、部会長代理の選出です。まず、最初に部会長のご選出 をお願いします。選出手続についてご説明します。資料1-3-1をご覧ください。厚生労働省独立行政法 人評価委員会令第5条第3項において、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選 任する」こととされています。したがって、委員の皆様方からご推薦をいただけますでしょうか。 ○武見委員  この調査研究部会の独立行政法人は、今後も統合とかいろいろ重要な案件がありますので、これま で部会長をお務めくださった田村先生に引き続きお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。 ○政策評価官  ただいま、武見委員から田村委員を部会長にというご推薦がありましたが、いかがでしょうか。 (各委員了承) ○政策評価官  どうもありがとうございます。それでは、田村委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議 事進行については、田村委員にお願いします。よろしくお願いします。 (田村委員は部会長席へ移動) ○田村部会長  それでは、ご指名ですので、僭越ですが部会長という大役を務めさせていただきます。どうぞよろ しくお願い申し上げます。  引き続きまして、部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は、評価委員会令第5条第5号 において、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名 する者が、その職務を代理する」ということになっております。したがって、私、部会長が指名させ ていただくことになっております。部会長代理については、医療・医薬品開発の分野に深いご見識を お持ちで、これまでも部会長代理をお務めいただいた鈴木委員に引き続きお願いしたいと思いますが、 いかがでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございます。それでは、部会長代理を鈴木委員にお願いしたいと思います。よろしくお 願いします。 (鈴木委員は部会長代理席へ移動) ○田村部会長 次の議題に入ります。これから、皆様には調査研究関係独立行政法人の評価をしてい ただくことになります。そこで、各法人の概要とその課題について、事務局から課題を中心にご説明 をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-4に沿って、1法人ずつご説明します。資料1-4の1〜3頁まで「国立健康・栄養研究所」で す。こちらの研究所は、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国 民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的と した研究所です。平成13年4月に独立行政法人化されております。今回ご審議いただく平成20年度の 事業については、平成18年度から始まった中期目標、中期計画の折り返し点となるものです。この研 究所では、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究等を重点研究として行ってお ります。  続いて「医薬基盤研究所」です。資料は4頁から始まっております。医薬基盤研究所は、医薬品技術 及び医療機器等技術に関し、医薬品及び医療機器等並びに薬用植物その他生物資源の開発に資するこ ととなる共通的な研究、民間等において行われる研究及び開発の振興等の業務を行うことにより、医 薬品技術及び医療機器等技術の向上のための基盤の整備を図り、もって国民保健の向上に資すること を目的として、平成17年4月に設立されております。なお、先ほどご紹介した国立健康・栄養研究所 と医薬基盤研究所は、独立行政法人整理合理化計画により、平成22年度末までに統合することとされ ており、現在、統合の在り方を検討しているところです。  続いて「労働安全衛生総合研究所」です。資料は7頁です。労働安全衛生総合研究所は、事業場にお ける災害の予防並びに労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾 病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うことにより、職場における労働者の安全及び健康 の確保に資することを目的として、平成18年4月に、前身となる産業安全研究所及び産業医学総合研 究所が統合して設立されております。同研究所は、独立行政法人整理合理化計画により、平成22年度 末までに独立行政法人労働者健康福祉機構と統合することとされています。労働安全衛生に係る研究 業務等の一層の総合化を図る観点から、労働者健康福祉機構との統合の在り方を現在検討していると ころです。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明に対して、何かご質問等ございますか。 よろしいですか。  次の議題に移ります。議題(3)平成20年度業務実績評価に当たっての評価方法の変更についてです。 まず、評価の進め方についてご説明いただいて、その後昨年度からの変更点についてご説明いただき ます。事務局からお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-5-1をご覧ください。評価の進め方についてご説明します。評価の手順ですが、初めに、各法 人の理事長から年度業務実績の概要(重点事項)について10分程度でご説明していただきます。その 後、評価項目全体を4つ程度のパートに分け、まず法人の担当部長から、業務実績及び自己評価を説明 していただきます。それから委員からの質疑とその応答をし、最後に委員の方々に評価S〜D、併せて 理由もお願いしたいのですが、そちらをシートに記入していただきます。記入が終わったら次のパー トの説明に移り、同じことを繰り返していくという流れです。  なお、評価に当たっては、資料に「評価の際の留意点」として点線の枠で囲ってありますが、具体 的な業務実績、目標の達成度合いを考慮し、それらと整合性のあるより客観的な評価になるよう、S〜 Dまでの評定とその理由を付していただくようお願いします。この評定及び理由の記入先ですが、昨年 度までは評価シートに直接記入いただいておりましたが、今年度は評価シートに対応する「評価記入 用紙」をご用意しましたので、そちらへ記入いただくようお願いします。  また、昨年度からの取組として、独立行政法人整理合理化計画を受けて、「独立行政法人監事と連 携した評価」と「国民の意見を踏まえた評価」を行うこととしておりますので、こちらについても評 価への反映をお願いします。  委員の皆様の評価がすべて終わりましたら、事務局で集計を行います。評定記入用紙をご提出いた だきますが、それを基に評価書案を起草委員と法人所管課ともご相談しながら作成していただくこと になっております。当該法人を次回審議する部会、これを「総合評価部会」と申していますが、その 部会において評価書案を皆様にご審議いただき、評価書を決定します。以上が全体の流れです。  資料1-5-4の最後の頁ですが、起草担当委員の案を作成しました。これまでのご担当・ご専門を踏ま え、担当案を作成しております。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいま事務局からご説明のあった起草担当委員の案のとおりでご了承 いただけますでしょうか。昨年度と同じではないかと思いますが、よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、変更点についてご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  続いて、昨年度との変更点をご説明します。資料1-6-1をご覧ください。各部会における法人の評価 結果については、「政策評価・独立行政法人評価委員会(政・独委)」に通知しておりますが、政・ 独委は通知されたものを基に二次評価を行っております。この二次評価の結果については、意見とい う形で厚生労働省独立行政法人評価委員会に通知されることとなっており、これを「二次意見」と言 っております。  その政・独委から、平成21年3月30日付けで二次評価を実施するに当たっての当面の視点、「独立 行政法人の業務の実績に関する評価の視点」が示されました。具体的な内容については、資料1-6-2と して付けております。また、資料1-6-3として、政・独委が実際にこの評価の視点に従って二次評価を 行うに当たってのより具体的な方針を示しておりますので、そちらも資料としてお配りしております。  そこで、これまで各法人の業務実績評価シートに設けていた評価の視点のところに、これまでの視 点に加えて「政・独委の評価の視点」も新たな視点として追加することとし、各部会における業務実 績の評価を行っていただきたいと考えております。  こちらの方針については、先に行われた委員会でご了承いただいているものではあるのですが、具 体的な評価の方法は資料1-6-4をご覧ください。これまでと大きな違いはなく、これまであった「評価 の視点」のところに、先ほどから申し上げているように「政・独委の評価の視点」を入れております ので、こちらを踏まえて評価項目ごとにS〜Dの評定と、その評定理由をご記入いただくことになりま す。なお、「政・独委の評価の視点」の各事項を評価するため、昨年度も同様の資料を付けておりま したが、業務実績評価シートの付属資料として「平成20年度業務実績評価参考資料」を添付しており ます。様式は資料1-6-5に示しておりますが、政・独委で言われるようなことを括り出してまとめてあ る資料です。  さらに、「政・独委の評価の視点」が評価シートの何頁に盛り込まれているかがわかりやすいよう にするために、「対応状況一覧表」を机上配付しております。資料1-6-6が机上配付する一覧表になっ ております。「政・独委の評価の視点」はこれまでも公表されてきてはいるのですが、これまでは7月 辺りに公表されており、我々の評価の際に、評価の視点に盛り込むのが物理的に厳しい状況になって おりましたが、今年は3月ごろ公表されましたので、評価の視点に盛り込む形にしたいということです。 つきましては、今回の審議に当たって、「政・独委の評価の視点」も踏まえたご評価をお願いしたい と思います。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明について、何かご質問等ございますか。 よろしいですか。政・独委からの意見を受けて、私どもの評価を適切に政・独委に説明していくこと が必要ではないかと感じております。そうした中で「政・独委の評価の視点」が示されたのは、適切 に説明していく一助になるものと思います。事務局から説明がありましたとおり、「政・独委の評価 の視点」も踏まえた評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、次の議題に移ります。議題(4)昨年度の政策評価・独立行政法人評価委員会からの二次意 見についてです。事務局からその内容についてご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  続きまして、資料1-7をご覧ください。先ほどご説明した政・独委の二次意見ですが、これまでもそ の意見を踏まえて評価を行っていただくよう皆様にお願いしておりますので、昨年度の二次意見を簡 潔にこの場でご説明します。  まず、各法人共通のこととして言われているものですが、「評価の基準の明確化等」となっており ます。これは各府省の評価委員会に共通するものなのですが、評定とその評定理由の関係がわかりや すいものとなるように、評定単位の統一化を図るとか、業務のウエイト付けに応じた評定区分とする などを行うべきとされております。ただ、委員会でも話題になったのですが、当省所管の独立行政法 人の業務内容は多様で、画一的な評価を行うことは難しいところがあるとは認識しております。評定 と評定理由の明確化、理由をはっきり書き込むとか、そういうことにはご配慮いただいて評価をして いただければと思っております。  このほかには、全体的に給与水準が高いとか、総人件費抑制が進んでいないという意見がなされて おります。また、本日これから評価いただく国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所もそのような意 見がなされております。これについても、法人それぞれの特殊性からやむを得ないところもあります ので、各法人はそうした特殊性をしっかり説明していくことが求められているのだと認識しておりま す。そのほかの点については、後ほど資料をご覧いただくことで説明に代えさせていただきます。以 上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。先ほどの「政・独委の評価の視点」と同じく、二次意見も踏まえて評価 するということです。なかなか大変ではありますが、これからの評価についてはその方向でよろしく お願いします。  それでは、今後のスケジュールについて事務局からご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-8をご覧ください。主に8月までの調査研究部会の開催スケジュールをお示ししております。 8月26日までに本日を入れて4回、予備日を1回予定しております。予備日は、各法人の個別評価が 時間内に終わらなかった場合などに行うことを予定しておりますが、皆様もご多忙ですので、なるべ く行わないように進めていきたいと思います。  本日は国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所の個別評価を行います。次回8月6日は労働安全衛 生総合研究所の個別評価、8月17日には3法人の総合評価を行っていただきます。また、医薬基盤研 究所については、平成20年度が第1期中期目標計画期間の4年目ということで、暫定評価を行う必要 があります。さらに、今年度で第1期中期目標期間が終了する医薬基盤研究所はもとより、本年6月に 閣議決定された「経済財政改革の基本方針2009」を受け、残り2法人についても前倒しで組織・業務 全般の見直しを行うこととなり、これらの見直しの当初案をご審議いただく必要があります。以上の 暫定評価及び組織・業務全般の見直し当初案について、8月26日に行います。過密なスケジュールで はありますが、何とぞご出席いただくようお願いします。 ○田村部会長  おそらくスケジュールについては皆さんご承知かと思いますが、何かご質問、ご意見はございます か。よろしいでしょうか。今年度も過密なスケジュールかと思いますが、よろしくお願いいたします。  それでは、これから国立健康・栄養研究所の個別評価を行いたいと思います。個別評価に入る前に、 資料2-1〜4について、事務局から簡単にご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料2が国立健康・栄養研究所の資料一式ですが、資料2-1-(1)が評価シート、記入用紙が資料2-1- (2)となっております。資料2-2として、先ほどもご説明した政・独委で言われることを括り出している 業務実績評価参考資料です。紙ファイルで綴じていますが、資料2-3として財務諸表、決算報告書、監 査意見書等です。資料2-4として説明資料が付いているかと思います。併せて研究報告書の冊子もお配 りしておりますので、ご確認ください。以上の資料は、漏れはありませんでしょうか。  続いて行う医薬基盤研究所の資料も確認します。こちらも同様の構成になっておりますが、資料3- 1-(1)として業務の実績評価シート、資料3-1-(2)として評定記入用紙、資料3-2として実績評価の参考 資料、資料3-3として紙ファイルで綴じたものですが財務諸表等、資料3-4としてカラーの説明資料、 資料3-5として事業報告書の参考資料が付いております。  これらの資料とは別に、個別評価項目のグループ分けと目安時間を入れた「○○研究所の個別評価 の進行について」というものをお配りしておりますので、そちらもご確認ください。また、その資料 の下に置かれているかと思いますが、先ほどご説明した「政・独委の評価の視点に対する対応一覧 表」、毎年度作成しているそれぞれの「○○研究所の雇用環境について」という資料を机上配付して おりますのでご確認ください。  先ほども説明がありましたが、個別評価に入るために対象法人を呼んでおりますので、ここで5分ほ ど休憩を入れたいと思います。 ○鈴木部会長代理  質問があります。今日は出席委員がいつもより非常に少ないのですが、この5人で評価したものを、 各法人は正式に認めてもらえると考えていいのですか。 ○政策評価官  清水委員は遅れて来られると聞いていますので。 ○政策評価官室長補佐  はい。なので、評価に参加されます。また、政安委員には起草委員に当たっているところについて は個別にご説明して、評価していただくことにしております。 ○田村部会長  規定上は問題ないですね。 ○酒井委員  メール等でご連絡いただいていますが、今回は評定記入用紙に評価と意見を書くことになりますね。 それは、今日出すこととの関連はどうなるのでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  これまでどおりだと思うのですが、本日もし記入がお済みでしたら提出していただいて、お持ち帰 りいただいて評価をしたい場合には、あとでメールやファックスといった形で提出いただければと思 っております。 ○酒井委員  手書きでもかまわないのですか。 ○政策評価官室長補佐  それは問題ありません。 ○武見委員  いままでと違って、こちらのほうにということですね。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。扱いやすくなったかと思いますので。 ○田村部会長  そのほかにはよろしいですか。昨年度と少し変わった点もありますので。 (法人及び法人所管課入室) ○田村部会長  それでは、国立健康・栄養研究所の個別評価に入ります。最初に、徳留理事長からご挨拶と年度業 務実績の概要(重点事項)のご説明をお願いします。 ○国立健康・栄養研究所理事長  おはようございます。今年の4月より独立行政法人国立健康・栄養研究所の理事長を拝命いたしてお ります徳留でございます。評価委員の先生方におかれましては、私どもの研究所の調査研究に対しま して建設的かつ的確な評価をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、第2期中期計画第3年度に当たる平成20年度の業務実績についてご報告します。第2期中 期計画においては、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究、日本人の食生活の 多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究、「健康食品」を対象とした食品成分の有効性評価及 び健康影響評価に関する調査研究、以上の3つの研究を重点調査研究と位置づけ、精力的に調査研究を 進めてきました。さらに、健康増進法に基づく国民健康・栄養調査、特別用途食品などの許可に関わ る試験業務など、国民の信託に応えるべく、行政及び社会のニーズに沿った優先性の高い調査研究を 行い、これは国際的にも高く評価を受けております。また、独立行政法人として、法人経営の観点か ら適切な人員配置、一層の経費節減に努めてきました。  それでは、平成20年度の当研究所の取組状況について、研究企画評価主幹の大森よりご説明します。 評価委員の先生方におかれましては、評価のほどをよろしくお願いします。 ○田村部会長  どうもありがとうございました。これからの進め方ですが、国立健康・栄養研究所の個別評価につ いては、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきたいと思い ます。グループ1は「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」、評価項目 1〜5になりますが、それについて評価を行います。所要時間は、法人からのご説明を20分、委員の評 定と質疑20分、合計40分ということで進めていきたいと思います。それでは、法人からご説明をお願 いします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  研究企画評価主幹の大森です。よろしくお願いします。本日、ご評価いただくために資料を用意し ております。その中で、ブルーのファイルの下に資料2-4として「平成20年度業務実績説明用資料」 というものがあります。パワーポイントで作成した資料ですが、この資料を基にご説明し、先ほどお 話があった評価シートの資料2-1-(1)に基づいてご評価いただければと思います。  平成20年度の業務実績については、先ほどお話のあった4つの項目に定めております。最初の項目 ですが、「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」についてご説明しま す。説明用資料2-4の1頁をご覧ください。研究に関する事項についてですが、1頁の下段に示してい るように、当研究所は、第2期中期計画において重点調査研究としてここに示す3つの項目、及び「重 点調査研究以外の調査研究」、5つ目に「論文、学会発表等の促進」という項目を挙げております。  2頁です。重点調査研究1ですが、「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」 についてです。評価シートの頁は1〜2頁に相当する部分です。下段にありますが、「運動・身体活動 による生活習慣病予防、運動と食事指導の併用を行った場合の効果等についての研究」ということで、 その成果の一部を挙げております。S総合病院の人間ドック受診者を対象とし、行動変容理論に基づい た運動・栄養に関する介入を行った結果です。グラフにもありますように、1年後にメタボリックシン ドロームに該当する者の割合が15%減少したほか、体重減少に比例して糖代謝指標、ここでは空腹時 のインスリン値を挙げておりますが、そういったものが改善するなどの効果が認められました。  3頁です。上段に示しておりますが、厚生労働省の「エクササイズガイド2006」が定められており、 そこに示された週23エクササイズを実施する、あるいは1日1万歩以上の身体活動を実践している者 では、腹囲、血糖値などの項目が有意に優れていたことが明らかになりました。  また、エネルギー消費量がどのぐらいかを推定する方法として、標準法となっている「DLW法」、こ れは二重標識水というのを使った方法ですが、その標準に比べてより簡便な方法「JALSPAQ法」、これ は日本動脈硬化学会が定めた身体活動の質問票によるものですが、この簡易な方法との相関を見た結 果、比較的高い相関が認められたということで、この方法を使えばより簡易にエネルギー消費量が推 定できることが明らかになりました。  4頁です。重点調査研究1-bですが、「高脂肪食が糖尿病・メタボリックシンドロームを発症するメ カニズムを解明するための分子レベルでの研究」です。上段に示すように、肥満があると毛細血管が 十分に拡張しないと。この図では毛細血管の広がりを太さで示しておりますが、広がらないと。その ために、インスリンが骨格筋周囲間質へ十分に移行しない、移行が阻害される。これがインスリン抵 抗性の原因となっていることを明らかにしました。  また、その下の図ですが、運動により増加するPGC-1αについてです。これまで知られていなかった 新規のアイソフォームであるPGC-1α-b、c、これまでは1種類しかないということでaのみが知られ ていたわけですが、新たにb、cというアイソフォームがあって、これが運動により増加することを明 らかにしました。  5頁です。重点調査研究1-cですが、「遺伝子多型と栄養素等摂取量・身体活動量等の諸因子との相 互関係についての研究」の成果です。高脂肪食を負荷したGeneX、GeneXというのは新しい遺伝子とい うことで、まだ正式に命名されておりませんが、その欠損マウスを作製して実験をした結果、インス リン分泌の低下を来たしているが、インスリン感受性には差がないことが明らかになりました。  以上が重点調査研究1についてですが、評価シートの2頁に記載したように、運動、食事による肥満 ・生活習慣病予防に関する研究、2型糖尿病の感受性遺伝子の同定など、生活習慣による健康影響の解 明に向けて優れた研究成果を上げたということで、自己評定はSとしております。  次に、重点調査研究2「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」について です。説明資料では5頁の下段、評価シートでは3頁以降です。2つ目の重点研究については、平成20 年度計画ではa、bと2つの項目を挙げております。aの成果ですが、6頁をご覧ください。「日本人の 食事摂取基準」、1日にどのようなものをどのぐらい摂ったらいいかという基準を、5年ごとに1回改 定しております。2010年版の改定作業が2008年(平成20年度)を中心に行われたわけですが、その 策定に向けた作業において、当研究所の研究員が国の策定委員会及びWGの委員として参加し、当研究 所にレファレンス事務局を設置し、前回2005年の策定時以降の新たなエビデンスを蓄積するとともに、 これらのエビデンスについて系統的なレビューを行って、それらをデータベース化し、基準の改定の ための科学的根拠の蓄積及び提供を行いました。  また、具体的なエビデンスづくりということでは、ここにビタミンK2の補給摂取とそれによる効果 の成果を挙げておりますが、ここに示すようにビタミンK2の補給摂取により閉経後女性の骨代謝、脂 質代謝を改善することを明らかにしました。  7頁です。小児、これは3〜5歳児のミネラルの摂取量がどのぐらいかを陰膳分析、食事と同じもの をサンプルとして別に用意して、そのサンプルのミネラル含有量を測定することにより摂取量を推定 するものですが、そういったことを通じて小児の摂取基準づくりの基礎資料としました。このように、 本年5月に「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が正式に策定されましたが、その策定に当研究所 が全面的に寄与しました。  7頁の下段に示したように、国民健康・栄養調査に関して、機能強化やデータ活用に関する技術支援 として、国や自治体が実施する健康・栄養調査方法の標準化や精度管理等を目的とし、自治体の管理 栄養士等を対象とする技術研修セミナーを5つのブロックに分けて10回開催し、320名の方々にご参 加いただき、この図に示したような実践的なトレーニングをしました。  以上のようなことで、重点調査研究については、評価シート3頁に示したように、「日本人の食事摂 取基準(2010年版)」の策定において当研究所が中心的な役割を果たすとともに、食事摂取基準の根 拠となるデータを得るための研究にも積極的に取り組んだということで、自己評価はSとしております。  次に、重点調査研究3「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する 調査研究」です。説明用資料8頁をご覧ください。平成20年度計画は、8頁の上段に示してあるよう な項目です。aは、「健康食品」に含まれる食品成分の有効性及び健康影響に関する調査研究の成果で す。下の図のとおりですが、健康食品に含まれる食品成分のうち、トコトリエノールの包接化、トコ トリエノールというのはビタミンEの同族体ですが、それをサイクロデキストリンで包接化したもの、 あるいはその下にありますようにBBI、これはプロテアーゼ阻害物質の一種でボーマン・バークインヒ ビターというものですが、それが一部のがんなど慢性疾患の予防・改善に有効であることを動物実験 で示しました。  9頁です。上段に示しておりますが、食品の抗酸化力、酸化を防止する力の健康影響を明らかにする ために、日常摂取されている食品の抗酸化力の測定及び調理品の抗酸化力、これはその食品素材の抗 酸化力から調理品の抗酸化力を混ぜ合わせて作るわけですが、それを推定するということで推定可能 かどうかについて検討しました。  また、下の図のとおりですが、健康食品に係る健康被害の防止を目的として、健康食品の安全性・ 有効性に関する科学的根拠のある公正な情報の収集・分析を行い、当研究所のホームページで公開し ております。  10頁の上に図を示しておりますが、一般の方々を対象とするページ、登録会員を対象とするページ があり、このような形で「健康食品の安全性・有効性情報」に関するサイトを開設しております。内 容的にも年々充実しており、平成20年度においては旧年度に比べてさらにこのサイトへのアクセスが 増加し、左下のグラフに示しているように、平日では1万件を超え、土日を含めても1日平均8,000件 近いアクセスがあります。  また、その下には子どものサプリメントの利用状況についての調査を行った結果、およそ15%の子 どもが利用しているという実態が明らかになりました。これは新聞の一面に報道されたり、NHK等で取 り上げられたりして、このような当研究所の研究成果や情報が、広くマスコミや地方自治体等に利用 されているという実態があります。  11頁の上の段ですが、特別用途食品制度がこの春に改正されたことに伴い、この制度の普及とそれ を活用した栄養療法、これは医療機関において特別用途食品を治療として、栄養療法として利用され ますので、関連するエビデンスを蓄積し、公開するということで、日本栄養士会の協力を得て、正式 には平成21年度に開設する予定ですが、平成20年度中に情報サイトの設計を行いました。  以上が重点調査研究3ですが、評価シート5に記載したように、国民の関心が非常に高い健康食品の 安全性・有効性に関する情報収集及び提供、食品中の新たな機能性成分の有効性の検討、「特別用途 食品・栄養療法データベース」の設計など、消費者の安全あるいは行政の推進に役立つ研究成果を上 げたということで、自己評定はSとしております。  続きまして、「重点調査研究以外の調査研究」について説明します。重点調査研究以外の調査研究 は、大きく2つですが、重点調査研究以外の分野において基礎的・独創的・萌芽的研究を実施するとい うことで、ア、当研究所が取り組んでいる創造的研究について、それ以外にイとして挙げております。  「創造的研究」についてですが、12頁の上段をご覧ください。ここには平成20年度に取り組んだ創 造的研究の課題名が挙げてありますが、平成20年度においては内部所内公募により11件の応募があり ました。それを外部委員を含めた評価委員によって事前に評価し、ここに挙げた6課題の採択を行い、 実施しました。  この6課題の創造的研究の成果を12頁の下段から13頁に示しております。12頁の下段には、全ゲ ノム解析によってKCNQ1がインスリン分泌に関連する重要な2型糖尿病感受性遺伝子であることを明ら かにしました。13頁の上段ですが、骨格筋のAMPK活性が低強度の比較的緩やかな運動における脂肪燃 焼亢進に関与しないことを明らかにしました。下段には、健康食品としてよく利用されているイチョ ウ葉エキスが、医薬品と同時に摂った場合にどのように作用するかということで、相互作用が最近マ スコミ等でも問われておりますが、その検証をして、その結果イチョウ葉エキスがワルファリン、こ れは血液抗凝固作用を示すものですが、その作用を減弱することを動物実験で検証しました。  14頁です。上段のイに書いてありますが、それ以外の研究の例として、「高齢者の食介護に関する 研究」の例をお示ししております。高齢者施設において、咀嚼・嚥下困難なお年寄がたくさんいらっ しゃいますが、そのような方に対してどのような形で食事を提供しているかを、まず調査する必要が あるということで調査をした結果、特に高齢者施設においては施設の種類によってもさまざまな職種 が配属されているので、施設によってさまざまな職種が食事の提供に関わっています。食事形態につ いては、主に「ミールラウンズ」という、直接お年寄りの方々とお話をしながら、どんなものが食べ られるかを決定するということが明らかになりました。今後、こうした状況を踏まえて、より適切な 栄養管理システムの構築の必要性を明らかにしました。  以上が重点調査研究以外の調査研究の成果ですが、評価シート6頁に示したように、創造的研究費を 活用した独創的・萌芽的な研究、高齢者の咀嚼・嚥下困難者への対応に関する実態調査など、重点調 査研究以外にも優れた研究成果を上げたということで、A評定としております。  最後に、14頁の下ですが、以上のような研究成果、論文、学会発表等の状況についてまとめたもの です。平成20年度の論文、学会発表の状況ですが、原著論文については欧文誌74報、和文誌16報、 計90報ということで、常勤研究員1人当たり2.1報、学会発表については国際学会83回、国内学会 217回、計300回、研究者1人当たり7回ということで、上に書いてある年度目標を大きく上回る研究 成果を上げております。詳細は、お手元に「研究報告」という緑色の冊子がありますが、ここにリス トを挙げております。  以上のことから、中期計画3年目に当たる年ですが、すでに中期目標を上回る数の学術論文及び学会 発表を行うとともに、国際的にも評価の高い学術雑誌に発表されているということで、評価シートの7 頁に記載したように、この項目についてはS評価としました。以上で、1つ目の大きな項目についての 説明を終わります。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、委員の皆様には評価シートへの評定等の記入をお願いします。 併せて、質問等ありましたら適宜ご発言ください。 ○酒井委員  ご説明ありがとうございます。毎年大変基礎的な研究と応用性の高い取組をされていることに敬意 を申し上げます。より評価を正確にしたいので、いくつかお聞きしたいことがあるのですが、いまの ご説明ですと、2頁の最初のところのいちばんの売りは併用効果ですよね。例えばメタボリックシンド ロームの病院での介入調査でおそらくやったことは、運動と食事の両方の面からアプローチしたこと だろうと思います。ほかのエクササイズ、例えばガイド2006、これだけの説明だとこれにどうやって 栄養が絡んでいるのか。いちばん感心があるのは、個別の運動の効果、食事、栄養の効果とかという のは、これまでもたくさん報告を聞いてきていますし、いちばん期待しているのは併用効果という意 味で、全体が重点課題の1番目のところでどうなっているのか、どこに特徴があるのかということを最 初にお伺いしたいのですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  私のほうからお答えいたします。説明資料の2頁の下の図ですが、これは昨年度も成果の一部をご紹 介いたしましたが、総合病院の人間ドックの受診者の中から、特に肥満者、これはBMIが25以上の方 ですが、その方の中で協力が得られる方235名に対しまして、いまお話がありました運動と食事、両方 併せた指導を行いました。かなり厳密に指導を行いまして、その方々をフォローいたしまして、1年後 どうなっているかということを評価したものです。いままでも確かに介入研究というのは多々ありま すが、この研究の特徴としましては運動指導、栄養指導にいたしましても、きっちりプロトコールを 定めまして。 ○酒井委員  この研究については併用はよくわかるのですが、ほかのものでどうですかということですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  例えば次の3頁、この上段にありますけれども、これは運動によってどのように生活習慣病を予防で きるかということでありまして、この研究につきましては特に厚生労働省が「エクササイズガイド 2006」というものを2006年に定めておりますが、これについてきっちりとした科学的根拠を示す必要 がある。もちろんこの策定の際にも、国内、国外の文献を基に。 ○酒井委員  これは運動ですよね。併用効果という以上は、運動に栄養のことが入って、その総合が非常に運動 だけの効果より促進されるのかどうかというところに私は関心があって、ご質問しているのですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  前の頁の研究とこの研究とは、また別の集団を対象にする研究でございまして、その前のS総合病院 の人間ドック受診者、これは併用による効果というものです。それに対して3頁の上段に示すのは、運 動による効果、身体活動量の多い方と少ない方の効果ということですので、これは併用の効果を見て いるものではありません。 ○武見委員  私たちが知りたいことは、個々の研究成果で何がわかったかということだけではなく、いまのご質 問に関して言えば、おそらく、ここで運動の効果が出たことが、今後国民にとって、本当に生活習慣 全般を見直すときにどういうふうに食事との関係でも活かせるのか。そういうところを少し説明して くださると、いまのようなことに対しては、私たちは評価がしやすくなると思うのですが。 ○酒井委員  2頁の下の先ほどの病院での介入調査も、介入すれば確かに効果は出るけれども、介入しないと逆に 悪くなっている。国民からすると、介入しようという気持ちはあっても、厳密な意味で食事をコント ロールしたり、運動を一生懸命やりたいと思ってもできないのが国民で、それがメタボリックシンド ロームの非常に大きな課題だと思うのです。ですから、やれば効果は出ますよということは見せてい ただいているのですが、できない国民にとってはあきらめろということを言っているような。それは ちょっと極端な話ですが、そういった辺りの評価も一緒にやっていただけると、武見委員から補足し ていただいたのですが、我々が知りたいのはそういうところです。データについてはもちろん信頼し ているわけですから。 ○田村部会長  これについて何かお考えはございますか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私どもの研究だけではなくて、食事をコントロールする、あるいは運動をコントロールすることに よって、メタボリックシンドロームが改善する、あるいはメタボリックシンドロームを予防する、あ るいは治療の効果もあるということは報告されております。ですがやはり運動だけでも限界があるし、 あるいは食事だけでも限界があるということで、私どもが2頁の下段で挙げておりますプログラムは、 食事コントロールアンド運動コントロール。私どもとしては掛算的な予防効果、あるいは影響が期待 されるのではないかと思ってやっております。いまのところまだ2年間の調査でございまして、まだ最 終的な結論は出ておりませんが、私どもが期待するところは、アンド効果がどうなのかということを やっていると私は認識しています。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  もう一言だけ補足をさせていただきます。ここに介入群、非介入群とあります。非介入群について、 基本的に介入していないわけですけれども、なぜできなかったのかというところ。あるいは介入群に ついて、データとしては比較的良い結果が得られておりますけれども、なぜそのような効果が得られ たのかということ。その要因についても十分検討することによりまして、できる人、できない人、あ るいはできない人に対してどういう要因が影響しているかということを検証していきたいと考えてお ります。 ○田村部会長  ありがとうございました。ほかにご質問はございますか。 ○武見委員  すみません、いくつかあるのですが。1つは全体的なことなのですけれども、国立健康・栄養研究所 に期待されている研究というのは、言うなれば、ほかの大学、民間企業の研究所ではできないことを、 いわゆる国の独法としてやるということが課されていることだと思うのです。そういう視点でいった ときに、ほかの研究機関等ではやれない独法ならではというか、国の独法である健栄研ならではの仕 事の特徴というと、いまご説明あった中のどこかということです。その辺を少し明確にしていただく ことが必要ではないかなと思います。非常に全体的なことなので、それが私たちが独法に対して評価 をするときにとても大事なポイントになるのです。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  非常に大きなご質問ですけれども、国の立場でしかできない研究をやるということが独法の役割で あるということは、私どもも認識しておりまして、基本的には国の行政施策に役立つ研究を行うとい うことを基本に考えております。ですから、先ほどの栄養、運動を基本として、どのように指導する ことで効果が上がるかというような研究。あるいは「エクササイズガイド2006」、これは作成の際に もうちの研究者が大きくかかわっておりますけれども、あるいは食事摂取基準の策定、こういったも のにかかわっておりますが、それに直接役立つような研究。あるいは「健康日本21」のような国の推 進施策がありますが、そういったものの推進に役立つような研究ということにウエイトを置いている、 それが我々の役割であると認識しております。  一方で、それに関係するということで、基礎的な研究やエビデンスづくりのために自らデータを取 るという必要性がありますので、そういうことから一部他の研究所でもやっている研究に近いような 研究も行っておりますが、できるだけ重複しないように、また共同研究のような形で役割分担を行っ て、当研究所ができるだけ独自性の高い研究を行う、あるいはそういう役割を担うということに心が けているつもりです。 ○武見委員  別に基礎研究が不要と言っているつもりはなくて。要は、たぶん普通の研究機関ではできない、非 常に効率性が悪いものであるとか、あるいは先ほどご指摘があった国の政策にかかわる公平性が高い もの、そういう要素が求められるものとか、そういうようなところがクリアになるように説明してい ただくことが、すごく私たちとしてはここに対する評価を的確にやるために必要だと思いますので、 今後の説明の中でもそれは是非お願いしたいと思います。  もう1つなのですが、これもちょっと意地悪な質問なのですが、いまのところで、本当にたくさんの ことを、しかも非常に限られた資源というかマンパワーでやっていらっしゃる状況を、私も関係のな い研究者ではないのでよくわかっているつもりなのですが、評価の項目が5項目あって、4つS評価な のです。私たちが評価するときも、この5段階で評価するのですが、言うなれば、中期計画どおりが、 それを達成できればBなのです。少し上回ればAで、Sというのはかなり上回っているということで、 こちらも明確な理由を求められるようなクラスの評価になるのです。  それに対して今回、相当良い評価を自己評価としてお持ちになったということなのですが、見よう によったら、だったらもっと最初から中期計画で高くできたのではないのというようなことも含めて、 この辺が、質問というかコメントかもしれませんが、その辺が気にはなるところなのです。その辺は いかがでしょうか。 ○田村部会長  今回の評価について、そういった点についてお考えがあればお聞かせいただけますか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  確かに武見委員がご指摘のように、5つの項目で4つがSというのは、過大な評価であるというよう な見方もあるかもしれませんが、ただトータルの数をご覧いただきましたら、あるいはリストはこの 年報に掲載していますが、このような形で我々としては全力を尽くして研究に取り組んでいるという ところで、Sという評価をさせていただきました。このSが過大過ぎるのではないかと、あるいはBが 標準ではないかということもあろうかとは思うのですが、大きい声では言えまんが、ほかの研究開発 型の独立行政法人の評価等も見せていただいておりますが、頑張ればSという評価をされているようで すので、我々としても頑張った項目についてはSというふうに付けてもよいのではないかと考えて、S とさせていただいております。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私どもの資料でご報告しますと、Sランクが全体の9で、Aランクが全体で12ということです。もち ろん武見委員のご指摘はまさにそのとおりだと思いますが、全体的に見ますとAランクも、私どもは全 体の22のうち12をAランクとして評価しています。ご報告いたします。 ○酒井委員  私はS、A、Bで言われていることは、相対評価ではないと思っています。これは去年と比べて、栄養 研の皆さんは今回はかなりS評価が多いということは、相当良い研究がたくさん出て、それは自信を持 って私たちにエビデンスを示してもらえるという期待で来ております。だから当然皆さん一生懸命や っているのは、そんなことは言われなくてもよくわかっている話です。気持ちで一生懸命やっていま すではなくて、こことここでこれだけの成果が出ています。中期計画でこれだけ優れていますという ことを、自信を持って言っていただきたいのです。そうではないと、いまの答えのままで、個人的な 評価になると、皆さんのSがあまり参考にならないというように思わざるを得なくなってしまいます。 ○田村部会長  この件については、おそらく栄養研としてはお考えがあっての評価結果と思うのですが、我々とし てはご説明された内容で評価をさせていただくということでご了解いただきたいと思います。ですか ら、できるだけエビデンスを示してご説明いただくと、我々も納得できて評価できると思いますので、 是非そういう方向で今後の説明をお願いできるとありがたいと思います。 ○鈴木部会長代理  この業務実績の7頁の下の段についてご質問します。これは地方自治体の行政栄養士に対する健康・ 栄養調査技術研修セミナーとなっておりますね。今年は5都府県で実施されたと。去年はたしか3カ所 でおやりになっているわけですね。2年で8カ所。この重要と思われるセミナーは目標としては全都道 府県で実施するお考えなのか、もしそうだとしたら何年計画でおやりになろうとしているのか。大変 な労力を割いておられると思うのですが、このままではなかなか進まないですね。私は開催の方法に 工夫が必要になってくるのではないかと考えます。地方自治体でしたら、テレビ会議システムを持っ ている所もあると思いますから、そういうのも借用しながら行うとか、もっと効率的に実施できるの ではないかと考えました。  もう1点は、先ほどの「論文、学会発表等の促進」のところです。確かに英文誌への原著論文掲載数 をはじめ、大変優れた成果を上げておられると思います。ただ、実績報告添付資料を見ますと、原著 論文のリストしか載せておられませんね。あらかじめ我々委員に事務局から配付されたのはこれなの です。研究所の性格からいって、私は原著論文だけではなくて、こういった活動も重視しているのだ という認識を示していただくべきではないかと思います。  ちなみに、英文原著論文のうちで、インパクトファクター2以上のものがどれぐらいの割合になるか、 分析されたことはありますでしょうか。ほかの研究所でそういう分析をしていらっしゃるところがあ るものですから、お伺いしたいと思います。 ○田村部会長  いかがでしょうか。あるいは場合によっては後ほど資料等をご提出いただくということでも結構だ と思いますが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  すみません。2つ目のインパクトファクターにつきましては、手元に資料がございませんので、後ほ どまとめて資料を提出させていただきたいと思います。  1つ目のご質問で、国民健康・栄養調査にかかわる技術研修セミナーの開催についてです。これは後 ほど詳しくご説明をしようと思っていたところです。ご指摘のように去年よりも回数を増やしていま すが、これはあくまでも開催地はこのような形で5カ所ですが、ブロック単位で開催しています。例え ば大阪府で開催した場合には、近畿の各府県から関係者に集まっていただくという形をとっておりま すので、必ずしも開催した都府県だけが参加をしているということではございません。これを47都道 府県、順番に回っていくというのはとても無理な話ですので、できるだけブロック単位で集まりやす い形で、多少場所も変えつつ、これからもやっていきたい。  都道府県によっては、独自でそういう体制ができているという所もありますが、国民健康・栄養調 査をより効率的に行うということは、これは外部からも我々に対して求められていることです。その ためにも、まず実施を直接担当していただいている都道府県が調査を適切にやれるという体制づくり がまず重要かということで、技術セミナーを開催をしたり、あるいは業務支援ソフト、ツール等を用 いて研修会をすることで、より効率的かつ正確な国民健康・栄養調査を目指します。  あるいは都道府県によっては県独自に県民対象とする健康・栄養調査をやっているという所もあり ますが、そういう際に、標準化された技術が確立されていれば、そういうもので活用できたり、ある いは国全体の調査結果との比較も可能となるというようなこともありまして、こういうセミナーを開 催しているところです。これはむしろ効率化を進めるために、あるいはより正確なデータを取るとい うためにやっている取組ということで、ご理解いただければと思います。 ○市川委員  繰り返しになるかもしれませんが、いくつかのいろいろな実験がなされていて、発表されているわ けです。かなり真剣に読ませていただいたのだけれども、その解釈においてのそちらのほうの評価と いうのが書かれているわけです。それで先ほどのSという評価になっていると思うのですが、それはそ れとしていろいろな見方があるかもしれません。  ちょっと思うのは、この説明等々において事実、現象型が書かれているだけで、それがどうなのだ というところが、非常に少ないような気がするのです。例えばアイソフォームがこうなった、だから どうなのだというところが。もう少し、折角そちらが主に健康や食品など、いろいろやられているわ けだから、先ほどからあるような、国民の立場に立ったような意見が最後に1つ出るべきであって、ア イソフォームを見つけましたというのは、ではそのアイソフォームが、実際にどういうファンクショ ンの違いがあるのかということを最初に言ってくれないと、b、cが見つかりました、それはそうでし ょうねということしかないので、いわゆる生化学の話になってしまうと。だからそこにもう1つ何か入 れてほしいと思います。当然臓器が違うので当たり前のような気がするので、そういうところに素晴 しい成果だと書かれると、どこが成果なのかなというところをちょっと思いますので、それをよろし くお願いしたいということです。  もう1点、創造的研究という見方、これは所内の方も出されて公募されているわけですが、この研究 は次期の中期目標のところにも入り込んでくるような内容を選んでいると書かれていますが、実際に ここにある3つの研究の所内での評価というのは、やはりS評価で、次期もこれが継続して展開すると いうような形でいらっしゃるのでしょうか。 ○田村部会長  いかがですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  この創造的研究につきましては、所内公募で、外部委員を含む審査委員会におきまして審査をして 採択した課題でございます。基本的に若手研究者で、しかも重点研究等と重複せずに、将来の発展に つながるようなテーマを選ぶということを基本に考えておりますので、次期中期計画におきましては、 こういった成果、これすべてということではありません。採択につきましても、継続ではなく基本的 には1年ということでやっております。あくまでも芽を出すような萌芽的な研究ということで、とりあ えず1年面倒をみるということで採択をしているのが前提ですので、中期計画中の5年間の継続研究で はございません。5年間で毎年5課題ないし6課題を採択しておりますので、その中から次の中期計画 の中で重点調査研究として位置づけられるものも含まれると思っています。 ○市川委員  次のシーズになるというような書き方がされていると、そういう理解でいいですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  そういうことを目的にこれを作りました。 ○市川委員  何か素晴らしい研究と感じています。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  この成果につきましても、外部評価委員の先生方からも、こういうのはもっとしっかりやるべきだ というような評価をいただいています。 ○市川委員  動物実験と人の場合の解釈と、何かその辺を文章上うまく合わせて表現されたほうがいいのかなと。 動物実験を基にして、こういう人の臨床その他のところに踏み込んでいるというようなことが書かれ ているので、表現上は厳密に使われたほうがいいのかなと、コメントですが。 ○国立健康・栄養研究所理事長  研究に関しまして補足いたします。先ほど鈴木部会長代理からのご質問、コメントがありましたが、 もちろん私ども国研として国民にわかりやすいような情報を流す、あるいは専門家に対しても情報を 発信するという面から、いわゆる和文誌ものと、おっしゃるように私どもは重視する必要はございま すし、ナショナルインスティテュートとして、非常に貴重な研究所でございますので、そういう意味 では世界にも情報を発信しなければいけないという、両面的な側面を持っております。私どもいわゆ るミッションあるいは業務をやりながら、なおかつ1人当たり2報以上出しているということは、大変 アクティビティが高いのではないかと、私どもは自己評価しています。 ○田村部会長  ありがとうございました。第1グループの質議応答は予定の時間を超過をいたしましたが、これは全 般にかかわることということでご了解いただきたいと思います。第2グループ以降は、少しコンパクト に質議応答をやらせていただきたいと思いますので、よろしくご協力いただきたいと思います。  それではグループ2ですが、これは「研究成果の還元、社会的・行政ニーズ及び国際協力等に関する 事項等」で、評価項目6ないし13について評価を行います。所要時間は、法人からのご説明は15分、 委員の評定と質議15分、合計30分ということで進めてまいります。よろしくお願いします。それでは 法人のほうから説明をお願いします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  それでは引き続き説明をさせていただきます。2つ目の項目の「研究成果の還元、社会的・行政ニー ズ及び国際協力に関する事項等」につきまして、説明資料の15頁の6〜13番目に挙げてある項目につ いて順次ご説明をいたします。  まず、6つ目の「知的財産権の活用」についてです。15頁の下に示しておりますように、平成20年 度におきまして、当研究所の「知的財産に関する権利等取扱規程」に基づきまして、出願した特許等 につきましては、抗肥満剤、これはレモンの皮に含まれる成分に肥満の予防、抑制する作用があると いうものですが、それについての特許の審査請求を行ったのをはじめ、「食事しらべ」、これは先ほ ど「国民健康・栄養調査」の集計、解析を効率的に行うためのソフトですが、その著作権登録及び商 標登録。栄養教育用コマキットの実用新案、意匠登録ということで、これを合わせまして延べ5件とい う状況です。また、企業等との共同研究が10件、民間企業の受託研究が6件という状況です。  これにつきましては評価シートの8頁にありますように、当研究所は開発型の研究を充分に行うよう な体制ではない。研究機関の性格からして、知的財産権の出願につきましては特許等5件に留まってい ますが、企業等との共同研究、受託研究については、積極的に引き続き取り組んだということで、A評 定とさせていただいております。  次の頁です。「講演会等の開催、開かれた研究所」への対応ということです。これはまさに先ほど もご指摘いただいたように、研究成果を一般の国民の方々に広くわかりやすく説明をし、そしてそれ を活かしていただく。あるいは当研究所の研究活動を理解いただくということで、16頁の上段に示し てありますような取組を行っております。  まず一般向けの公開セミナーにつきましては、「生活習慣と健康〜メタボリックシンドロームを予 防するために」ということをテーマとしまして、2月に東京で開催をいたしまして、602名の方に参加 をいただきました。また、専門家向けのセミナーとしまして、先ほどもありましたが、技術研修セミ ナーを計10回開催したり、あるいは研究所を一般の方々に解放するということで、オープンハウスを 毎年実施をしております。20年度につきましては212名の方にご参加をいただきまして、研究所の中 を見ていただいたり、いろいろな運動体験、あるいは食生活診断等をしていただいたりということで、 当研究所の取組を紹介させていただきました。  また、中学生、高校生を対象に、総合的な学習の時間を活用しまして、見学あるいは講義等を行っ ておりまして、20年度は中学校2校8名、高等学校7校69名の生徒を受け入れまして、若い方々への 健康・栄養に関する知識や感心の普及に努めたところでございます。  16頁の下段には、一般公開セミナー、これは第10回目になりますが、2月に開催したものの状況を 示しております。今回、特にプロレスラーの藤波辰爾さんにもお来しいただき、自らの体験を語って いただくというようなこともやりまして、600名を超える参加が得られたところでございます。17頁の 上段には、オープンハウスの状況を示したものです。  以上のようなことで、評価シートの10頁です。平成20年度におきましてはこのような取組を積極的 に行ったということで、当研究所といたしましては国民あるいはその他、大学、学会等からの講演依 頼等にも積極的に対応するという、その状況は年報、研究報告にも記載をしていますが、開かれた研 究所に向けて努力をしたということで、この項目についてはS評定とさせていただいております。  次に「研究実施体制等の整備に関する事項」です。17頁の下にありますけれども、当研究所におき ましては健康増進法に基づく業務としまして、国民健康・栄養調査、特別用途食品の表示許可に係る 試験、あるいは収去等の法定業務等を行っております。重点的に実施すべき調査研究につきましては、 研究員や技術補助員を重点配置をしました。また、センターごとに運営交付金、あるいは外部研究資 金との執行状況を定期的にモニタリングをいたしまして、年度の中間に補正予算を組むということを やっておりますが、その補正予算、あるいは人員の追加配置等といったものに反映をさせました。  また、当研究所から大学の客員教授あるいは非常勤講師、そのような形で大学へ39名を派遣したほ か、民間企業・団体等を含めまして計127名の研究者を派遣いたしました。一方、大学、企業等から客 員研究員、研究生というような形で、計116名を受け入れました。また連携大学院につきましても、こ こに挙げていますように、お茶の水女子大学をはじめ、新たに名古屋市立大学大学院との連携大学院 を開始いたしました。  ここに記載しておりませんけれども、その他、業務報告のほうには書いてありますが、共同研究等 を通じまして、プール、運動フロアなどの運動実験施設、ヒューマンカロリーメーター、これは全国 で4台しかないというものですが、そういった研究所の施設設備の共同利用を進めまして、年間延べ 11,000名以上の方に利用していただいています。  以上のような取組によりまして、評価シートの12頁に記載しておりますとおり、大学や民間企業と の人材交流の推進、研究テーマの重要性、あるいは進捗状況に応じた研究員の配分、人材の配置など、 研究の効率的な推進に努めたということでS評定とさせていただいております。  続きまして「健康増進法に基づく業務に関する事項」です。まず最初に「国民健康・栄養調査の集 計業務」についてご説明をいたします。国民健康・栄養調査の集計業務につきましては、18頁の下段 に流れを示しておりますが、このような形で、平成20年度につきましては、20年度の調査票の設計、 あるいは調査手順書の作成、説明会、そういった準備作業を進めるとともに、19年度のデータの最終 集計及び厚労省への提出、18年の最終報告書の作成と、3年間にわたる作業を平行して行うということ で、非常に過密なスケジュールの下に作業を進めているのが現状です。先ほど委員からのご指摘もあ りましたように、この業務を効率的に進めるということで努力をしておりまして、平成19年度の業務 につきましては、さらなる効率化に取り組みまして、平成18年度に比べまして、作業を1カ月程度早 く終了して集計票を厚労省に提出しました。  19頁の上段にありますように、先ほども口頭でご説明しましたが、地方自治体の調査担当者、これ は主に管理栄養士等ですが、そういった方を対象とする技術セミナーを全国で延べ10回開催をしまし て、ここに示したように、調査を効率的あるいはより正確に行えるようなツールをいろいろと工夫を し、それを使ってより効率的、精度の高い調査の実施に努めております。ここでは「標準的図版ツー ル」ということで、例えばカップの大きさによって量が違いますので、この程度という、縮小してお りますが、実物大のものを作ってみたり、「重量目安表」の作成、業務を支援するためのソフト、先 ほど知的財産のところでも説明しました「食事しらべ」と命名しているソフトを開発をしたりして、 調査技術の向上、あるいは調査方法の標準化等に取り組みました。  次に2つ目の法定業務である「特別用途食品等の分析業務及び関連研究」についてです。19頁の下 の段から20頁に示しておりますが、平成20年度には、特別用途食品の表示許可にかかる試験について は、特定保健用食品35品目をはじめ計37品目を実施しました。また、保健所の協力を得まして、国が 収去をした特定保健用食品等について、表示どおりの成分が含まれているかどうかという確認のため の検査を、55品目実施をいたしました。そのほか、厚労省がこうした特別用途食品の表示許可をする に当たりまして、申請企業等からヒアリングを実施する、あるいは審査のための調査会に、当研究所 の研究員が年間を通じてこのような形で参画、協力をしております。  20頁の上段には、関連する業務といたしまして、こういった分析に当たりましては、特に特別用途 食品等につきましては、特殊な成分が含まれているということで、その検査方法の標準化、あるいは 分析方法の妥当性を検証するというようなこと、あるいは分析を担当する機関、分析を担当する者の 間で結果のばらつきがないように、より精度の高い検査ができるように取組を実施しています。特に 登録試験は、ここにありますように4カ所の登録機関でも許可にかかる試験が行うことができますが、 そういうところと共同で精度管理のあり方についての検討を行って、ばらつきの少ない検査データを 出すという取組を行っております。  以上のような取組から、評価シートの14頁に記載しておりますように、健康増進法に基づいて厚生 労働省が実施する国民健康・栄養調査や特別用途食品の許可、収去に当たる試験等を、適切かつ昨年 度以上に効率的に実施しました。また、精度管理や標準化等にも積極的に取り組んだということで、 これについてはS評価とさせていただいております。  次の頁ですが、「国際協力、産学連携等対外的な業務」についてです。資料の21頁に記載しており ますが、当研究所におきましては、ベトナム、マレーシア、韓国等のアジア地域を中心に、あるいは 米国等との国際共同研究を行っております。 ○田村部会長  その1つ前の「社会的・行政ニーズの対応」は。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  大変失礼しました。すみません、戻らせていただきます。「社会的・行政ニーズへの対応」という ことです。説明用資料の20頁の下に示しているとおり、社会的・行政ニーズを把握し、ニーズに応じ た対応を行うということで、関係団体、国の担当部署との意見交換に努めております。平成20年度に つきましては、ここに書いてありますように、独立行政法人の食品総合研究所、国民生活センター、6 団体機関との意見交換会を実施しました。また、法定業務を所管している厚生労働省の生活習慣病対 策室、食品安全部の担当官との情報交換、意見交換を行いました。また、このほか、日本人の食事摂 取基準策定検討会ですとか、内閣府の食育推進会議、食品安全委員会等、国や自治体の委員等として 職員を派遣しまして、技術的・専門的な支援・協力を行いました。  以上のような取組から、評価シートの15頁に示したように、この項目についてはA評定とさせてい ただいております。  続きまして「国際協力、産学連携等対外的な業務」についてです。繰り返しになりますが、国際協 力につきましては、アジア地域を中心に米国等との国際共同研究等を実施しております。また、当研 究所では独自に「若手外国人研究者招へい事業」ということで、平成20年度におきましては、ベトナ ムの国立栄養研究所から研究者1名を招へいしました。また新たに「フォローアップ共同研究事業」と いうことで、招へいした方のフォローをするということを目的とした事業をマレーシアにおいて実施 をいたしました。また、昨年9月に横浜で第15回国際栄養士会議が初めて我が国で開催されましたが、 それについても全面的な協力を行ったほか、日米ワークショップ、シンポジウム、こういった国際協 力にも積極的に取り組んだり、あるいはシンガポールから大臣が訪れたのをはじめ、海外から多くの 視察を受け入れております。  産学連携につきましては、新たにこれまでの大学、企業等に加えまして、宇宙航空研究開発機構、 いわゆるJAXAや、国立極地研究所等との連携に向けた取組を開始いたしました。  以上のような積極的な取組を行ったということで、この項目につきましてはS評定とさせていただい ております。  次にNR制度についてです。「栄養情報担当者(NR)制度に関する事項」です。説明用資料21頁の下の 段、評価シートの17頁に記載していますが、国民に対して、健康食品等に関する的確な情報を提供し、 適正な運用を促すということを目的として、当研究所が栄養情報担当者(NR)の認定をしております。 平成20年度には第5回の認定試験を実施して、新たに798名を認定しまして、これまでの累計で 3,480名に達しました。また、新たに養成講座ということで2つの講座を指定するとともに、認定後の 資質の向上のためのスキルアップ研修会を全国6カ所で開催をいたしました。  22頁の上には、この制度の概要、これまでの実績を書いていますが、このような形で認定を行って います。この制度設立後、5年以上が経過しておりまして、NRを取り巻く環境の変化、あるいは活動の 現状と課題を踏まえまして、今後どうあるべきかということを検討するために、平成19年の3月に 「NR制度のあり方検討委員会」を当研究所で設置をしまして、その報告書が平成20年の8月に提出を されまして、これを受けた形で、健康食品管理士認定協会との協力関係を深めたり、新たに研修単位 の互換などの形で資質の向上、制度の普及に努めているところでございます。  以上のような取組から、評価シートの17頁のとおり、この栄養情報担当者(NR)制度の適正な運用を 図るとともに、資質の向上あるいは制度の見直しを進めたということで、A評定とさせていただいてお ります。  次に13番目の項目ですが、「情報発信の推進に関する事項」です。情報発信につきましては、当研 究所の取組を含めまして、国民の健康・栄養・食生活・運動等に関する適切な情報を国民に提供する ということで、当研究所におきましては情報センターを設置をいたしまして、研究成果や情報の提供 をホームページを通じて発信しております。23頁の下段には、利用者の視点に立って、ホームページ につきましても、より見やすく、わかりやすい内容にするということで、大幅な見直しを行いました。 平成20年度につきましてはアクセス数が大幅に増加をしまして、このホームページのトップページだ けで1日3,000件ということです。昨年度はトップページにつきまして1日1,000件程度ですが、大幅 に増加しました。  また、20年度につきましては「保健指導に関するFAQ」という形で、よくある質問に対しての回答の 部分を充実させる、あるいは「食事バランスガイドに関するFAQ」を新たに作成しまして、ホームペー ジの充実に努めました。  また、これまで試行的に実施をしておりましたけれども、利用者との双方向の情報交換を図るとい うことで、いろいろな意見や質問にお答えしたり、それに応えた形でホームページの充実を図るとい うことで、コミニュケーションチャンネル「健康・栄養フォーラム」を正式に20年度に公開をいたし ました。  以上のようなところで、評価シートの18頁ですが、この項目については、当研究所の研究成果や健 康・栄養・運動等に関する情報を迅速かつ積極的に国民への提供に努めたということで、S評定とさせ ていただいています。以上、長くなりましたが、パート2に関する説明は以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質 問等ございましたら適宜ご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木部会長代理  評価シートの9〜10で「総合的な学習の時間」への対応が、「開かれた研究所への対応」の中に書か れております。ただ、中学校2校8名、高等学校7校69名を受け入れたとされています。私の個人的 な見解かもしれませんが、健康とか栄養とか大切なことは、できるだけ若い世代、若いころにインプ ットしてもらうのが最も重要だと思っているのです。そういう視点からいきますと、ちょっとこの数 字は少なすぎるのではないかという感じがいたします。  去年の委員会で、こういう事業をやる際、研究所内で事務部と研究部門の間の連携がスムーズにな ってきたので、研究者の負担はだんだん軽くなってきていますということを伺ったと思います。そう いうことでしたら、何とか若い人たち向けのプログラムをもっと増やしていただけないか。例えばほ かの独立行政法人でおやりになった例なのですが、中学校、高等学校の修学旅行のプログラムの中に 組み入れてもらうように働きかけたり、大勢の若者たちを研究所に招いているというようなこともや っておられるようです。何かアイディアを出していただければありがたいと思います。 ○田村部会長  何かコメントはございますか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  この数が多いか少ないかというところですが、確かにご指摘のように、修学旅行の際に組み込んで いただくというのは非常によいアイディアかと思います。この中で実はそういう方も含まれておりま すが、生徒全員が来てくださるというよりも、その中で関心のある方が一部うちの研究所へ、またほ かの関心がある方はほかの研究所なり大学なりをご見学されているというような形で、全員が来てく ださるということは少ないものですから、数としてはこのような形でございます。できるだけ事務部 と研究部門が連携をいたしまして、積極的に当研究所の内容をアピールするとともに、来ていただく ための努力、先ほどご教示いただいたような形で引き続き取り組んでまいりたいと思っております。 ○国立健康・栄養研究所理事長  鈴木委員がご指摘のとおり、食育はある意味ではもっと小さい、小学校よりもっと小さい幼児期と か、あるいは幼稚園児の辺りの食育を、もっと今後とも積極的に展開する必要が私自身あると認識し ています。そういう意味で、文部科学省や内閣府で展開している食育運動や推進運動というところに も、私ども健康・栄養研究所がコミットした形で展開していますので、まさしく鈴木部会長代理がご 指摘のとおり、そのような運動が非常に大事ではないかと思います。 ○鈴木部会長代理  ごく短い質問なのですが、ホームページ上で新たなコミュニケーションチャンネルの「健康・栄養 フォーラム」を公開したと伺いましたが、ここへの若い人たちの意見はどれぐらいの割合で届いてい ますでしょうか。 ○田村部会長  いまでなくても、後ほどでも結構です。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  双方向の情報交換、意見交換を行うために、こういうチャンネルを開設したわけです。そのうち、 若い方がどのぐらいかというのは、ちょっと集計ができていません。もし可能であれば資料を提出し たいと思いますが、年齢別の統計というのは、質問されている方においくつですかということはなか なか問えないので、ちょっとそういう数字を出すのは難しいと思います。 ○武見委員  9番の「健康増進法に基づく業務に関する事項」で、国民健康・栄養調査のことと、特別用途食品の ことが出てきたのですが、前半の国民健康・栄養調査に関しては、4月にありました厚生科学審議会の 健康増進栄養部会のときにも、このデータを使って、例えば、具体的には覚えていないのですが、睡 眠とか食事以外の項目と、いわゆる食事とか健康の関係はどうなっているのかということを見るのに、 もっと国民健康・栄養調査は活用できないかとすごく意見が出たのですね。それだけ、やはり国の政 策を動かしていく公衆衛生政策関係において、この調査に関する期待というのは非常に高いと私も改 めて思いました。そういう意味で、今回さまざまな効率化や標準化を図られることを進められたのは、 とても評価できると思っています。  先ほど鈴木部会長代理から質問のあった研究所の主催のセミナーですが、回数が少ないのではない かという指摘もありましたが、回数の問題ではなくて、実はそういうところでセミナーから拾えてき たような課題が、このような標準化や効率化を進めるうえで活かされているのかなと思って聞いてい たのですが、その辺りについてはいかがでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  その点について、このセミナーは必ずしもこちらからこうしたらいいということだけではなくて、 当然、都道府県からの要望に応えるような形で実施していますので、必ずしも都道府県の意見を反映 していないというのは。 ○武見委員  つまり、現場で上がってきたニーズですよね。それが、やはりこういう研究所の業務の何を標準化 するとか、どういうシステムを開発するかということに活かされていると理解してよいですか、とい うことを私は聞いているのですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  それを活かす形でこのような取組をしたということは、結果的に昨年度よりも1カ月早く集計を得ら れたというようなことは、結果として表れているのだと思います。 ○武見委員  もう1つコメントですが、ここの説明については、国民健康調査のデータがいろいろな政策に実際に 使われています。そういうところも含めて、やはり報告していただくほうが、この厖大なこれが何の 意味があるのかがよくわかると思いますし、それはここの調査研究部会の問題ではなくて、独法とし ての役割みたいなことを全体の総会について出していく上でもとても大事な点だと思いますので、是 非私はそういうところを強調していただきたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  武見委員のご指摘のとおりで、国の予算を使ってやっている貴重な国民健康・栄養調査ですので、 単にクロスセクショナルな、あるいは推移を見るだけではなくて、もちろんおっしゃるとおり国策に アプライすることは非常に大事だと思います。  それと、これは個人的な意見ですが、国民健康・栄養調査と国勢調査、あるいは国が行っている調 査をリンケージして、それを前向きにフォローアップして。本当に貴重なデータで、貴重な多くの人 材を使って、予算を使ってやっている研究ですので、単年度のクロスセクショナルな研究だけではな くて、フォローアップすることが非常に大事ではないかと、私は個人的には思っています。ですから、 その辺りについては、今後厚労省と相談していきたいと思いますし、考えていますが、プライバシー のことが非常にかかわってきますので、その辺りをどのようにクリアしていくのか。これは総務省や 厚労省の方々と相談して、考えていきたいと思います。 ○酒井委員  いまのところと関連するのですが、これは大変な作業量があるものを昨年度と比べて1カ月また短縮 されたり、毎回毎回改善が非常に顕著のように思うのですが、なぜ1カ月短縮できたのか、ポイントだ けごく簡単に教えてください。それからもう1つ、NR制度について、随分この評価委員会で議論にな って、皆さん方のお答えは、あり方の検討会を発足しましたからということでした。ここには資料は あるのですが説明がなかったので、結論のところ、どのようになったのかということだけ教えていた だけますか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  国民健康・栄養調査がいかにしてこのように短縮化できたのかという理由についてですが、国民健 康・栄養調査の流れが18頁の下段にあります。まず都道府県から、毎年11月に実施しまして12月中 に集計をいただくわけですが、きちんとしたものが都道府県から提出されるというところができてい ないと、その先の作業が遅れるということで、先ほどから説明しているように、技術研修セミナーな どを開催したり、いろいろなツールを開発するというのは、それをやることによってきちんとしたデ ータを出していただき、より正確に早く都道府県からのデータが集められるようになったということ です。  それから、その集計作業に当たっては、一部単純に集計できるような部分は業者委託をすることで より早くできるようになるという取組を通じて、結果的に1カ月、正確に言うと40日短縮が可能にな ったということです。ただ、これ以上さらに短縮できるかというと、できるだけ効率化に取り組みた いと思いますが、ある程度限度があるということもご理解いただけたらと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事  NRのあり方検討委員会について、補足説明をさせていただきます。説明資料の22頁の下のほうが検 討委員会の委員構成と、かいつまんだ概要を示しています。平成18年度の最後のところから検討を開 始しまして、昨年の8月に報告書を取りまとめていただいています。委員長は五十嵐脩先生です。委員 は、薬剤師会、栄養師会、医師会、それから関連機関として国民生活センター、あるいは東京都でか なり専門に行政で携わっている方等の外部者で構成した委員会です。  適宜関係者のヒアリングも実施しながらまとめてきたわけですが、この委員会の中で私どもが評価 されているなと思ったのは、いくつかこのようなアドバイザリースタッフの制度がある中ではハイレ ベルでやっていると。それから何よりも、独立行政法人の役割を公正・中立の立場で科学的にきちん とやっているということについての評価が、委員の皆様方の共通認識としていただいています。その 上で、今後そこに書いてありますようなNRの支援について、より積極的に健康・栄養研究所が取り組 むべきであるというようなことです。少し知名度が低いので何とか工夫をしようと、あるいは活躍の 場をもっと広げるようにというようなことです。  私どもはこれを踏まえて、そういう取組をより強化する、先ほどありました比較的レベル、要件等 が近い団体との研修の共同実施は、すでに着手をしています。それから、消費者保護の観点が健康食 品の問題の中では非常に重要で、このような人材の活用ができるような関係機関への働きかけを、こ れからも続けていきたいと考えています。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、次のグループ3ですが、これは「業務運営の改善及び効率化に 関する事項」で、評価項目14〜19になります。これについての評価を行いたいと思います。所要時間 は、法人からの説明は15分、委員の評定と質疑が15分、計30分ということで進めてまいりたいと思 います。それでは、まず法人から説明をお願いします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  それでは、3つ目の大きな項目「業務運営の改善及び効率化に関する事項」について説明をします。 項目的には14〜19番の項目があります。これに加えまして、資料にもありますように、総務省の政策 評価独立行政法人評価委員会の評価の視点に対する対応状況についても、併せて説明をさせていただ きます。その指摘事項については、資料2-2としてお手元に配付をされていると思いますので、それも 併せてご覧いただければと思います。  まず評価項目の14番目ですが、「運営体制の改善に関する事項」です。説明用資料25頁の上段に説 明がありますように、当研究所の運営体制については、幹部職員で構成します運営会議において、研 究所運営にかかる重要事項について、意志決定及び情報共有を行い、それを毎月定期的に開催をして います。その内容をさらにプログラムリーダー会議、あるいは各部門におけるミーティング等を通じ て所内に周知をしています。そのほか、プログラムリーダー会議という、現在当研究所では6つのプロ グラム及び2つのセンターがありますが、その長による会議を毎月定例で開催をして、各プログラムの 研究・業務の進捗状況や今後の研究戦略を考えるというようなことで、情報共有を図りました。これ らの内容については、所内のさまざまな会議やイントラネット等を通じて、職員に周知を図りました。  また、イントラネットを活用して、各プログラムの研究・業務の進捗状況の把握・管理を行ってき ましたが、新たに予算の執行状況について把握できるように、予算執行管理システムを事務部の職員 が開発しまして、予算の執行状況についても、職員が随時把握できるように努めました。  そのほか、所内のセミナーや研究交流会、これはイブニングトークということで夕方実施していま すが、若い研究者による勉強会のような形です。こういったものを通じて、より自由な雰囲気の中で 研究に関する議論、交流を深めることができるように努めています。あるいは外部の専門家を招へい しまして、最近の知識を紹介していただくことに努めました。  また、その下には「政・独委評価の視点に対する対応状況」ということで、5番目の「内部統制」、 8番目に「業務改善のための役職員のイニシアティブ等についての評価」ということで記載しています。 まず内部統制については、25頁の下段の上半分に書いてありますように、当研究所の「倫理規程」の 職員への周知徹底、また研究における倫理面については、外部有識者を含む「研究倫理審査委員会」 を設置しまして、人間の尊厳及び人権を尊重した研究の推進、また会計等については会計監事による 監査を毎月実施するなど、内部統制に取り組んでまいりました。  それから、業務改善等についてのイニシアティブについてですが、先ほども申し上げました幹部職 員で構成する運営会議等を中心に、業務の効率化、あるいは人件費、業務経費等のコスト管理の状況 を適宜把握・分析し、必要な意志決定を行っています。以上のようなことで、この項目については評 価シートの20頁のとおりA評定とさせていただきました。  次に15番目の項目ですが、「研究・業務組織の最適化に関する事項」で、資料26頁の上段に示して いるとおりです。役職員が併任をしていました1センター長及び3プロジェクトリーダーについて、公 募により採用した職員を配置するなど、効果的・効率的な業務推進体制の充実を図りました。また、 外部の研究資金等を活用しまして、各プロジェクトの研究・業務の重要性や量に応じて、研究員や技 術補助員等の人材を配置したほか、先ほども説明しましたが、大学、企業等からの研究者を積極的に 受け入れるなどにより、組織の活性化及び効果的・効率的な組織運営に努めまして、外部評価委員会 においても良好に組織が運営されていることを評価していただいています。  以上のようなことで、研究・業務組織の最適に向けて、適切な人事配置や組織の活性化に取り組ん だということで、この項目については評価シートにありますようなA評定とさせていただいています。  次に16番目ですが、「職員の人事の適正化に関する事項」です。ほかで先ほど説明させていただい た事項と一部重複がありますが、資料26頁の下段に示したとおり、中長期的な視点に立って、研究所 に必要な人材を公募して、質の高い研究員3名を採用しました。この3名を含めて、現在常勤研究員が 34名おりますが、そのうち女性研究員は10名を占めています。また、外部の競争的研究資金、あるい は受託研究費等を活用しまして、重点的に行うべき研究、あるいは法定業務などを実施するプロジェ クトについては、技術補助員等、必要な人材を配置するなど、状況に応じたメリハリのある人事配置 に努めました。技術補助員については、昨年度は66名、今年度はさらに増やして76名を配置していま す。  現在の各プログラムにおける研究員、技術補助員等の状況は、次の27頁の上段に組織図のような形 で6つのプログラム、2つのセンター、そして事務部門として事務部の状況を示しています。  前の26頁に戻っていただいて、当研究所においては、常勤研究員34名のうち女性が10名を占めて いるなど、女性の職員が非常に多い職場だと思います。きめ細かなフレックスタイム制など、個人の 生活にも適合し、研究業務にも従事しやすい環境づくり、いわゆるワーク・ライフバランスに引き続 き配慮しました。また事務職員についても、所属課長・事務部長による個人評価を行いまして、それ を昇級・昇任や賞与等に反映させたほか、職員の資質向上を図るために、人事院等が行う研修会への 参加などにも積極的に取り組みました。  以上のような取組を行ったということで、評価シート23頁に記載させていただいたとおり、この項 目についてはA評定とさせていただいています。  次に17番目の項目ですが、「事務等の効率化・合理化に関する事項」です。27頁の下段に示したよ うな取組ですが、ここに書いてありませんが、これまで事務部長が併任をしていた業務課長を専任発 令をしまして、会計課長と併任することによりまして、より円滑かつ効率的な事務処理を行う体制と しました。  また、事務処理等の合理化、経費の節減を図るために、公用車2台のうちの1台を廃止しました。ま た、消耗品の一括購入、あるいは所内LANの活用による用紙の節減や、外部委託が可能なものについて はできるだけ外部委託をするという、外部委託の推進などにも取り組みました。また、情報総括責任 者を中心に、各種業務システムの最適化・効率化を図るとともに、新たに予算執行管理システムの開 発・導入をしました。ここに図を示していますが、このようなシステムによって随時予算の執行状況 を職員が確認できるようなシステムを開発・導入しました。  以上のような取組を進めたということで、評価シートの24頁ですが、この項目についてもA評定と させていただいています。  続きまして18番目の項目ですが、「評価の充実に関する事項」です。当研究所の業務の評価につい ては、28頁の上段に示したとおり、各プログラム/センターの研究・業務の実績あるいは進捗状況等の 報告に基づきまして、この下にフレームワークを示していますが、11月を目処に10月〜11月に中間評 価、それから年度末の3月に年度末評価を実施しました。また、先ほど申し上げましたが、中間評価に ついては、その結果を予算の補正や人員配置に反映させました。年度末の評価については、内部評価 と併せて外部評価委員による外部評価を行い、併せて平成21年度の事前評価も実施するという形をと っており、併せて実施することにより、年度末評価結果を次年度の予算配分等へ反映させることが可 能になるなどの効率的な評価体制としました。28頁の上段に、外部評価委員の方々の名前を載せさせ ていただきますが、この方々に外部評価をお願いし、それを業務に反映させています。  また研究者の評価についても、各プログラムにおける目標達成への貢献度の観点から評価を行いま して、それを昇給・賞与等に反映させています。以上のような評価の結果についても、ホームページ で概要を公開しています。  以上のような取組から、評価シートの26頁のように、この項目についてもA評定とさせていただい ています。  次に19番目「業務運営全体での効率化」についてです。説明用資料29頁の上段に示していますが、 業務運営全体での効率化を進め経費の節減に努めているところです。一般管理費については、公用車 の1台を廃止するなど運行管理業務の軽減化、それから消耗品の一括購入などを通じて経費の節減に努 めました。一方で、予定していたよりも受託研究費がやや減少した、あるいは共同利用機器の中で一 部故障が生じて、修繕代が予想以上に要したこともありまして、一部の項目について執行額が予算額 を上回ったものもありますが、平成17年度実績との比較では10.8%の減ということです。  また人件費については、所要の削減率を見込んだ予算を計画するとともに、退職職員を補充しない、 あるいは原則公募による若手研究員の登用等により、人件費の削減にも努めまして、平成17年度実績 に比べ約3%の減となっています。また業務経費については、定型的な業務等の委託について一般競争 入札、あるいは検査試薬等の消耗品については、一括購入といった努力をしまして、平成17年度に比 べ約6%の減となっています。  次に、政・独委の評価視点の中で、人件費管理の対応についてです。より詳しくは、資料2-2の5〜 17頁に細かい資料を載せています。当研究所の給与水準については、役員の給与を引き続き据え置く とともに、職員の給与は国に準じた給与体系とするとともに、人事院勧告に準じた給与水準を維持し ています。また、累積欠損金はありません。総人件費については、退職した職員の補充の見送り、併 任といった形で、総人件費の削減目標に向けた取組を着実に進めているところです。  以上のような取組から、評価シートの28頁に記載したとおり、運営費交付金については、人件費、 一般管理費、業務経費等の節減に努め、中期計画の達成に向けてほぼ計画どおり削減が進んでいると いうことで、A評定とさせていただいています。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には評価シートへの評定等の記入をお願いします。質問等あ りましたら、適宜発言をいただきたいと思います。 ○武見委員  項目の16番で、フレックスタイム制の活用やいろいろな工夫をなさってワーク・ライフバランスを 取っていらっしゃるということなのですが、そういう仕組みを取り入れたことによる研究員側の、働 く環境が良くなったとか、それによって研究の取り組みやすさが良くなってというような、こういう 制度が導入されたことによる職員側の評価のようなものは、実際になさっているのですか。どういう 制度にしたかということはわかるのですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  ご質問の、職員個人がこの制度を導入することをどのように感じているかということについては、 そういう調査を行っていませんので正確な把握はしていません。しかし、細かなフレックスタイム制 にしても、9時〜17時30分というのが基本的な時間ですが、その前後2時間をフレックスに利用する。 さらに、それを年度単位ではなく月ごとに、翌月の勤務時間を個人ごとに定めることができるような、 より柔軟なフレックスタイム制を導入していますので、職員からは非常に働きやすいというような評 判は上がっていますが、個人ごとにそういう調査を行ったことはありません。 ○田村部会長  ほかにいかがですか。 ○酒井委員  同じく16番の項目というか、26頁で、技術補助員の配置が従来66から76になったと書かれている のですが、この方たちの雇用というか、つまり66だったものが10名増えて76という話なのか、この 人たちは1年で仕事が終わって、また新たに76人の方を雇用しているというような形なのでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  いまのことについては、両方の方がいらっしゃいます。66名の中から引き続き勤務していただいて いる方もありますし、新たな採用の方もいます。それから、この76名の中には、週1日しか勤務され ていない方もいらっしゃれば、ほとんどフルタイムで毎日いらしている方もいるということで、非常 に勤務状況はばらばらで、合わせて76名という状況です。 ○酒井委員  こういう方たちは、職員の数には入っていない方なのですね。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  あくまでも技術補助非常勤職員ですので、職員数には入っていません。 ○田村部会長  ほかに何か発言はよろしいですか。それでは、次のグループに移らせていただきます。次はグルー プ4「財務内容の改善に関する事項」で、評価項目は20〜22です。これについての評価を行いたいと 思います。所要時間は、法人からの説明は10分、委員の評定と質疑10分の合計20分ということで進 めてまいりたいと思います。それでは、法人からの説明をよろしくお願いします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  4つ目の項目について説明させていただきます。これについては、項目的には3つですが、政・独委 の評価への対応もありますので、合わせて説明をさせていただきます。まず項目の20番目、「外部研 究資金その他の自己収入の増加に関する事項」です。説明用資料の30頁の下段にありますように、平 成20年度においても質の高い研究課題を選定しまして、文部科学省、厚生労働省等の公的な科学研究 補助金などの競争的研究資金の獲得に努めました。また、民間企業等との受託研究については、研究 の目的、発展性を勘案し、適当と見なされるものをできるだけ積極的に受け入れることに努めました。 しかしながら、平成19年度の比較においては、いずれも件数、金額とも減少しています。  これ以外に、外部自己収入を増加させるための取組として、これまでに引き続き、専門書籍、テキ スト等の監修を行いまして、自己収入の確保を図るとともに、研究所の施設・設備についても、先ほ ども説明しましたように、地域住民の健康づくりあるいは研究の推進という観点で、研究に協力が得 られる地域住民の方々に開放したり、あるいは共同研究のような形で企業等に施設・設備を利用して いただいたりということで、自己収入の確保あるいは施設・設備の効率的活用に努めたところです。  以上のような取組で、評価シートの29頁に記載してありますように、この項目についてはそういっ た努力は行いましたが、平成19年度実績をやや下回ったということで、B評定とさせていただいてい ます。  次に項目の21番目ですが、「経費の抑制に関する事項」についてです。これも、先ほどから説明し ていることと重複していますが、資料31頁の上段に示しています。各プログラム/センターごとに予算 執行状況を月別に集計・分析をしまして、イントラネットで公表するなどにより、効率的な予算管理 あるいは職員のコスト意識の高揚を図りました。また先ほども述べましたように、施設・設備の共同 利用、データ入力、検体検査等の外部委託を推進するなどにより、経費の節減あるいは研究所内部の 人的資源の有効活用を図りました。また、当研究所の会計監事による検査を、年1回だけではなくて毎 月の月次監査も実施をしまして、予算の執行状況等を定期的に検査をするとともに、契約についても 内容を確認するなどにより適正化に努めました。  その下に「政・独委評価の視点に対する対応状況」として、財務状況についての対応があります。 当期平成20年度においては、自己収入の増や経費の節減に努めましたが、栄養情報担当者(NR)の認定 事業収入が、昨年度に比べて700万円程度の減となるなどにより、支出が収入を上回ったために約580 万円の損失になりました。また、利益余剰金は約4,500万円ということで比較的少額で、繰越欠損金は 計上していません。  次に32頁の上段ですが、運営費交付金の債務の状況です。運営費交付金の未執行については、該当 事例はありません。業務についても着実に取り組んでいます。次にその下に書いてありますが、保有 資産に対する対応状況です。保有資産については、当法人は土地、建物等の実物資産を保有していま せん。国から無償貸与を受けている状況で、これに該当する資産はありません。それから、金融資産 についても、当法人の資金保有規模などからして、特記すべき事項はありません。また、貸与金、未 収金等の債務もありません。  次に33頁の上段ですが、契約に関する事項です。契約事務については、平成19年8月に契約事務取 扱要領を改定しまして、随意契約によることができる金額、基準を、基本的には100万円以下というこ とで、国より厳しく設定をするとともに、複数年契約など随意契約によることがやむを得ない場合を 除いて、原則一般競争入札への移行を進めています。平成20年度では、随意契約件数、金額とも、前 年度に比べて減少しています。また、会計監事等による月次監査を、先ほど申し上げたように毎月定 期的に実施していまして、契約の適正化も図っているところです。  以上のような取組を行っていることから、評価シートの31頁に記載していますように、この項目に ついてはA評定とさせていただいています。  次に22番目ですが、「その他の業務運営に関する重要事項」です。中期目標、計画においても、こ の項目については情報セキュリティーの確保、向上ということが挙がっています。そのために、平成 20年度においては情報セキュリティーポリシーの改定、情報セキュリティー対策実施手順書の作成を 行ったとともに、情報セキュリティーの監査を行う会社によるシステムの監査を受けまして、指摘さ れた問題点を速やかに改善しました。  こうした取組により、保有する情報システムのセキュリティー対策の一層の強化に取り組んだとい うことで、この項目についてはA評定とさせていただいています。  次の34頁ですが、政・独委の評価の視点について、その他の項目として「関連法人」、それから 「中期目標期間終了時の見直しを前提とした評価」という2つの項目について記載しています。まず関 連法人ですが、当法人は特定の関連会社、あるいは関連公益法人はありません。よって、出資等もあ りません。また、中期目標期間終了時の見直しを前提とした評価については、資料2-2の23頁に記載 していますが、平成20年度は第2期中期計画の3年目に相当しますが、現時点では外部評価委員会等 において、当法人の調査・研究業務は着実に進捗しており、組織・業務も効率的に運営されていると 評価いただいています。  また、当法人は第2期中期計画の最終年度である平成22年度中に、大阪にある独立行政法人医薬基 盤研究所との統合が予定されていまして、第2期中期計画の成果等を踏まえて、統合後の組織・業務の 見直しを現在厚生科学課を中心に3者で検討を進めているところです。以上、少し駆け足ではあります が、説明させていただきました。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には評価シートへの評定の記入をお願いします。なお、質問 等がありましたら発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○酒井委員  情報システムのセキュリティー関係のことは、皆様方が扱っているデータのことからいっても大変 重要な問題で、このような取組なのだろうと思うのですが、もしよろしければ、どのぐらいの投資を されているもので、どのぐらいの効果があるとみていらっしゃいますか。 ○国立健康・栄養研究所事務部長  すみません、手元に資料がないもので、今日この場ではちょっとお答えできません。 ○田村部会長  それでは、また後日資料をお示しいただくということで、よろしいですか。そのほか何かあります か。 ○武見委員  説明資料の31頁の経費のところですが、NR関係で減収があったとの報告がありました。先ほどNR の制度のところでも聞こうと思ったのですが、酒井委員が質問されたこととも関連するのですが、説 明資料の21頁を見ると、この3年間ぐらいでNRの受験者数が減ってきているわけですよね。それに対 して、あり方検討会で今後どのような対応をするかを検討されているのですが、この減ってきている 状況というのが、このような存在というか資格を持つ人たちに対するものが社会として飽和してきて いるのか、それともそのような人たち自身が社会的にはそれほど必要ないのか。あるいは先ほど認知 が低いとありましたが、認知というのはこの存在ではなくて、この人たちが何ができるのかというこ とに対する認知のようなものが社会に出てこないと、おそらくこの問題は解決しないし、減収の問題 も来年も影響してくるのかなという辺りがあります。  ここで聞くべきことではないかもしれないのですが、先ほどNR制度の検討会の中でその辺りの議論 がどうだったのか。何度もここの評価委員会で議論になったと思います。この人たちは資格を取られ たあと、何をどこでやっているのでしょうと。その辺りが少し不明瞭なことが、いまのこの経費の関 係にも影響しているのかなというのが気になったので、聞かせていただきました。 ○国立健康・栄養研究所理事  21頁の表をご覧いただくと、少し受験者数の減少等がありますが、1つはグラフの真ん中にある年が 少し多かったということがあります。そのあとが、若年人口や新卒者等が減っているというようなこ とも勘案して差し引いた場合に、減っているのかどうかというところはまだまだ見極めていかなけれ ばいけません。正確な数は伺っていませんが、アドバイザリースタッフ全体で志願者が減少傾向にあ るということも仄聞していますので、もう少し分析したいと思います。受験者数が減っている中で、 事業はフォローアップを一生懸命やっていますので、収支だけを見れば△になっているのですが、い まはそのような状況です。ご指摘いただいた点は、今後とも的確にやっていきたいと思っています。。 ○市川委員  小さいことですが、20番の外部資金、自己収入の問題で、競争的資金と共同受託研究がありますが、 前者はほぼ同数ですが、共同受託研究は件数はそんなには落ちていないのですが、半額ぐらいにはな っています。これは、精査していろいろやったからということで書かれているわけで、それはそれで いいと思うのですが、また年度が代われば違うプロジェクトが出るかもしれません。その辺りについ て、将来的にどのように考えていらっしゃるのでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所理事長  貴重なご指摘、ありがとうございます。共同受託研究については、件数そのものはあまり減ってい ないのですが、ビッグプロジェクトがなくなったことが影響かと私自身は評価しています。それから、 この外部研究資金については、私どもの評価でBとなっています。確かに平成19年度と比較しまして、 競争的資金が若干減っているのですが、これは中規模な大学の競争的資金にほぼ匹敵するような額で す。そういう意味では、かなり私ども栄養研としては頑張っていると、私個人としては思っています。 その辺りをご勘案いただきたいと思います。 ○田村部会長  評定の記入等はよろしいでしょうか。それでは、シートの記入について、事務局からご説明をお願 いします。 ○政策評価官室長補佐  記入が終わっていない委員の方については、本部会が終了したあとにこのまま会場に残ってお書き いただいても結構です。また、先ほども説明しましたが、お持ち帰りいただいてその後提出されても 結構ですので、お持ち帰りいただく場合には事務局にお声をお掛けいただければと思います。シート の記入については以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、次の法人の審議もありますので、国立健康・栄養研究所の評 価はここまでとさせていただきたいと思います。 ○武見委員  評価には直接関係のないことだと思うのですが、最後のところで、来年度の基盤研との統合に向け ていろいろ検討を進めていらっしゃるというところがあったのですが、やはり主に薬剤を対象とした 研究を進めている領域と、健栄研のような食事というごく日常的なもの、それから運動についてもや はり身体活動という生活の面がすごくあって、やはり要素が違うものを抱えていらして、それだけに 日常的であるゆえに研究の効果なども示しにくい部分がたくさんあることを抱えていらっしゃる研究 所だと思います。ですので、統合していくに当たって、そうした特徴のあるものが十分に活かされる ようなことを、こうした研究の成果の出し方も含めて、しっかりやっていただけたらいいなというの を、今日のご報告を聞きながら思いましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○田村部会長  非常に貴重なコメントありがとうございました。ほかに何か全般に関する発言はありますか。よろ しいでしょうか。それでは、事務局にバトンをお返ししたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  次の議題に入る前に、お昼休憩とさせていただきたいと思います。その間に、法人と法人所管課の 入れ替えを行いますが、次の開始時刻が当初の予定は12時40分ごろからと思っていましたが早めに進 んでいますので、12時半からの開始とさせていただきたいと思います。お時間になりましたら、ご着 席いただくようお願いします。                (休憩) ○田村部会長  それでは、ただいまより医薬基盤研究所の個別評価に入らせていただきたいと思います。最初に、 山西理事長からご挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○医薬基盤研究所理事長  基盤研の山西です。どうぞよろしくお願いいたします。少しだけ概略を話させていただきます。我 々の研究所は平成17年に開設されまして、本年で4年目が過ぎて5年目に入って第1期の最終年に入 っております。全体から申しますと、予定どおりに進んでいったかなと、私自身は思っているのです けれども、また詳しくは個々の事項について説明させていただきます。  共通的な事項としましては、まず成果に関しまして、平成20年は予定どおりといいますか、それ以 上の成果が上がりました。大体1年間60本ぐらいの発表の予定だったのですが、127と非常に多くの 発表が行われまして、特許数とか学会発表とか、そういうことに関しましても、かなり予定よりも上 回ったというふうに私は思っています。  もう1つ特記すべきは、先生方もご存じのように、スーパー特区が去年募集されました。内閣府、そ れから文部科学省、厚生労働省、経産省が公募したスーパー特区、いわゆる先端医療開発特区なので すけれども、ここに我々応募いたしました。全体で24採択されたのですけれど、そのうちの2つが我 々の研究所から、私もそのうちの1人ですけれども、主任研究者として選ばれたということで、我々が 非常に誇りに思っているところです。それ以外にも2つのプロジェクトは、スーパー特区のそれ以外の 研究プロジェクトの中の分担研究者にもなりましたので、基盤的研究それから生物資源のかなりの部 分が、このスーパー特区のプロジェクトの研究員、研究グループになったということです。これは我 々にとって非常にうれしいことだと思っております。  それ以外にも、大学院の連携ですが、平成20年度に三重大学の医学研究科とも連携大学院の講座を 1ついただきましたので、いまのところ3大学7講座の連携を行っております。  それから基盤的研究部に関しましても詳しくあとからお話いたしますが、特に我々の重要な務めで あります産学官の連携による共同プロジェクトが現在2つ動いております。1つは「トキシコゲノミク ス・インフォマティクスプロジェクト」というのが動いております。これも成果が上がりつつありま す。それから平成19年度まで実施しておりました「プロテオームファクトリー」です。いわゆる、疾 患関連たんぱくの解析をするというのが、20年からリフォームいたしまして、さらに5年間新たなプ ロジェクトを開始いたしました。このことに関しては、我々の研究所でも非常に力を入れております。 研究員の増員を行い、新たなプロジェクトとして立ち上がって、成果が上がりつつあります。基盤的 研究部門の個々の研究のプロジェクトの成果に関しては、あとからこちらからお話したいと思います。  生物資源関係でも、特に霊長類センターでは、感染症に対するモデル霊長類を開発することができ ました。また、サルのiPSの細胞も成果として我々開発することができました。  最後に、研究開発振興ですけれども、ここはかねがね先生方からご指摘を受けているところですけ れども、20年度からは実用化の研究の支援事業に関しまして、経営を専門とする創薬の分野に詳しい 専門家から成る収益性評価部会で、収益性に加えまして新たに経営財務の観点から、定量評価を実施 するなどの評価の仕組みの改善を行いまして、研究のフォローアップに努めておるところです。  この研究振興の中のファンドから選ばれた中には、ご存じのように京都大学のiPSを開発された山中 先生が入っておられます。このファンドを使って、どんどんと研究の成果が上がっているというのは、 我々としても良かったと思っております。このように、ファンディングの機能に関しましても非常に 国内的にレベルの高い評価をいただいているところです。以上、非常に簡単ではございますけれども、 平成20年の概略を報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、これからの進め方ですけれども、医薬基盤研究所の個別評価 につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を進めて まいりたいと思います。まず、最初のグループ1ですが、これは全体的な事項に関するものです。この 項目についての評価を最初に行わせていただきます。所要時間は法人からのご説明を15分、委員の評 定と質疑15分、合計30分ということで進めてまいりたいと思います。それでは、法人からのご説明、 よろしくお願いいたします。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  企画調整部長の木下でございます。医薬基盤研究所の平成20年度業務実績について、ご報告をさせ ていただきます。資料3-1-(2)が平成20年度の業務実績報告書です。主要な内容につきましては説明用 資料といたしまして、こちらの資料3-4、パワーポイントの原稿をご用意していますので、こちらの資 料によりまして業務実績をご説明させていただければと思っております。  資料3-4のまず1頁目をご覧いただきたいと思います。業務実績報告書につきましては、4つのパー トから構成されています。業務運営に関します全般的事項でありますパート1と、基盤的技術研究と生 物資源研究についてのパート2は企画調整部のほうから、研究振興に関しますパート3については研究 振興部から、財務・業務運営に関しますパート4については総務部から、それぞれご説明をさせていた だきます。なお、説明に当たりまして、適宜こちらの資料3-2ですが「平成20年度業務実績評価参考 資料」と、こちらの緑のファイルですが資料3-3「平成20年度財務諸表,決算報告書,監事意見書等」 を参照させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。  まず資料3-4の2頁をご覧いただきたいと思います。パート1は5つの事項から構成されております。 まず評価シート1「機動的かつ効率的な業務運営」の項です。説明用資料の3頁をご覧ください。本項 の自己評定はAとしております。これは、非常勤職員等の有効活用、必要な組織の拡充などにより機動 的かつ効率的な業務運営について、中期計画を上回る内容で体制整備が進んだことによるものです。  説明用資料の4頁をご覧いただきたいと思います。平成20年度においては、民間企業及び外部研究 機関との協力の下に、新しい治療法や病態などを診断可能とする新規の疾患関連バイオマーカーの探 索を行うプロジェクトといたしまして、先ほど理事長からご説明させていただきましたが、プロテオ ームリサーチプロジェクトを新たに立ち上げております。その際、非常勤職員、派遣職員等を活用し つつ、研究体制の充実を図り、機動的かつ効率的な業務運営を実施しています。  次の頁の5頁をご覧ください。当研究所の業務を俯瞰したものです。基盤研の業務内容につきまして は、国の各種の産業ビジョンですとか、「革新的医薬品医療機器創出のための5ヶ年戦略」など、国の 政策に基づきまして研究開発を推進しています。研究型の独立行政法人の役割であります、国の政策 課題の解決に向けての研究開発に取り組むというミッションを、これによって果たしているところで す。  次に6頁および資料3-2(参考8)32頁になります。「業務改善のための役職員のイニシアティブ 等」を併せてご覧いただきたいと思います。当研究所の業務運営につきましては幹部会、将来構想検 討会、リーダー連絡会などの組織体制を通じまして、理事長によります業務の進捗管理、運営方針の 迅速な決定、実施等のトップマネジメントを実施しています。また、当研究所に対する国民ニーズの 把握等の観点から、外部有識者から成ります運営評議会、基盤的研究等外部評価委員会、研究振興業 務関連委員会などにおきまして、意見を伺っております。  6頁に加えまして資料3-2の31頁、いちばん後ろから2枚目になりますが、ご覧いただきたいと思 います。「中期目標期間終了時の見直しを前提とした取組」の関係になっています。先ほどご説明を いたしました、将来構想検討会におきましては、当研究所が第1期中期計画の4年目に当たりますこと から、外部の専門家から成ります「基盤的研究等外部評価委員会」の評価などを勘案した上で、次期 中期計画の策定に向けまして、研究プロジェクトなどの現状、課題、業務の必要性などの検討を実施 しております。これにより、成果の十分でない研究プロジェクトなどについては、廃止を含めた事業 の見直しを図ることといたしております。  説明用資料7頁にお戻りいただきたいと思います。当研究所では業務評価・進行管理を行うため、外 部評価、内部評価、個人業績評価を実施しています。  次に、評価シートの2「業務運営の効率化に伴う経費節減等」の項についてです。説明用資料の8頁 および先ほどの資料3-2の6〜9頁に、人件費管理の関係の資料を付けていますので、そちらをご参照 いただきたいと思います。本項の自己評定につきましては、8頁にお示ししておりますとおりBとして います。これは平成20年度の単年度におきましては、一般管理費は大幅な原油高などによる物価上昇 等の影響を受けて、予算額に対しまして0.8%、事業費は新規プロジェクト立上げによります設備整備 などのために予算額に対して16.2%、それぞれ上回る結果となっています。  しかしながら、平成17年度から平成20年度までの4年間を通しまして、中期目標の削減率を達成で きているかどうかを評価し直してみますと、対予算比で、一般管理費は96.3%、事業費は98.8%と、 それぞれ下回っております。予算はそもそも中期計画を達成できるように組んでおりますので、この 結果は4年間を通して評価をいたしますと、着実な経費の削減が実施されており、中期計画の目標値は 達成できているということを意味しています。また、人件費につきましては、平成17年度基準額と比 べまして4.3%削減しておりまして、中期計画に掲げます人件費削減の取組が着実に進展しています。  次に、説明用資料の9頁をご覧いただきたいと思います。先ほどご説明をいたしましたとおり、平成 20年度におきましては大幅な原油高などの影響を受けまして物価上昇等がございましたので、一般管 理費は予算に対しまして0.8%増加しておりますが、平成17年度からの中期計画期間を通して評価を し直しますと、予算に対して3.7%削減しておりまして、私どもとしては着実に経費節減を実施してお ると考えております。  次に10頁、「給与水準」についてです。当研究所の研究職員の平均給与は92.8%となっております が、事務職員の平均給与は107.3%となっております。他法人と比較した場合は、研究職員で92.0%、 事務職員で100%となっています。事務職員の平均給与につきまして、対国家公務員で数値が上回る要 因につきましてはその次の11頁と、資料3-2の6〜7頁、「人件費管理」のところでご説明をしており ます。  まず要因の1つ目といたしましては、私ども職員のほとんどが国、地域といたしましては東京と大阪 ということになりますが、ほとんどが国からの出向者でございまして、地域手当受給者の割合が高い ということ。2つ目といたしまして、非常勤職員などを積極的に活用しております関係で、自然と管理 職の割合が高くなってしまっていること。3つ目といたしまして、職務の専門性によりまして大卒者の 割合が高くなっておりますこと。このようなことから、ラスパイレス指数が高くなっておりますが、 当研究所といたしましては、引き続き国家公務員の給与改正に準じました見直しを実施してまいる所 存です。  「国からの財政支出について」ご説明をしたいと思います。こちらの資料3-2になりますが、7頁を ご覧いただきたいと思います。平成20年度におきます決算における支出額140億円のうち、給与の占 める割合は4.4%ですが、国からの財政支出を増加させる要因とはなっていないと、私どもは考えてお ります。  次に「累積欠損額について」です。資料3-2の8頁をご覧いただきたいと思います。いちばん上のほ うに「累積欠損額について」と書いてあります。この繰越欠損金につきましては、旧医薬品機構の出 資事業により生じましたもので、研究開発の進行に伴い、出資金と欠損金の双方が増加する構造とな っています。また、実用化研究支援事業が出資金を費用として支出をいたしますと、欠損金が自然と 増加する構造となっています。このように、繰越欠損金は会計処理上発生しているもので、給与支出 が繰越欠損金を増加させる要因とはなってございません。  元のカラーのパワーポイントの資料のほうにお戻りいただきまして、説明用資料の12頁をご覧いた だきたいと思います。これは「総人件費改革への取組」についての資料です。併せまして、先ほどの 資料3-2の8頁の中段より下のところをご覧いただきたいと思います。人件費の支給総額は、基準年で あります平成17年度と比較をいたしまして4.3%の削減で、人件費の削減については着実に進展をし ていると考えております。また福利厚生の関係ですが、資料3-2の9頁をご覧いただきたいと思います。 当研究所では、レクリエーション経費につきましては、国費及び国費以外の財源ともに支出をしてご ざいません、また予算要求も行っておりません。  説明用資料の13頁です。次に「事業費」について、ご説明をさせていただきたいと思います。これ は冒頭でご説明をいたしましたとおり、平成20年度においては、新規プロジェクトなどの立上げなど によりまして、設備整備等が必要だったために、事業費を予算に対して16.2%増加しております。平 成17年度からの中期計画期間を通して評価をし直しますと、予算に対して1.2%削減となっていまし て、経費節減に努めております。  次に、「社会的・政策的要請」への対応状況についてご説明をいたします。説明用資料の14頁をご 覧ください。厚生労働科学研究費補助金を受けて実施しております、生物資源研究推進事業について のご説明です。平成20年度には外国人研究者招へい事業ですとか、リサーチ・レジデント派遣事業を 実施しています。  次の15頁をご覧ください。「公的研究費の不正使用等の防止」についてです。平成20年度も引き続 き、公的研究費の不正使用等防止に関します体制整備などを実施しています。  次の16頁をご覧いただきたいと思います。16頁は「利益相反に関する取組」についてのご説明です。 こちらでは、厚生労働省からお示しをいただきました指針に基づきまして、関係規程の整備ですとか 委員会設置などの対応を実施しています。  次に評価シート3「戦略的事業展開、外部評価」の項についてです。説明用資料の17頁をご覧いた だきたいと思います。こちらの自己評定についてはAとしています。これは、所内の情報交換と部門間 の連携の強化、審議機関の設置と事業の公正性、透明性等につきまして、中期計画を上回る進展があ ったことによるものです。  18頁をご覧いただきたいと思います。冒頭で理事長より説明させていただきました「スーパー特 区」の関係です。当研究所を中心とする2課題が、スーパー特区に採択されています。「ヒトiPS細胞 を用いた新規in vitro毒性評価系の構築」と「次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェク ト」の2課題です。いずれも産学官連携して、保健医療にかかわる行政課題の解決に取り組んでおりま す。  次に19頁をご覧いただきたいと思います。「研究業務の外部評価の実施」についてです。業務運営 全般についての提言を行う観点と、研究所が自ら行う研究評価の観点、それと他の研究機関に対する 資金配分機関としての評価の観点から、各種委員会等を設置しておりまして、それぞれの立場からご 評価をいただいております。  21頁にまいりたいと思います。所内におきます研究情報の交換・共有を促進するため、各プロジェ クトの「研究成果発表会」ですとか、研究者ごとの研究発表をする「所内研究発表会」を実施して、 所内の研究連携に役立てています。また、平成20年度には「テレビ会議システム」を導入しています。 所内の協力研究の例につきましては、20頁をご覧ください。「医薬品の安全性評価等のためのヒトiPS 細胞コレクションの作成に関する研究」ほか、合計10件の所内共同研究を実施しています。  次に評価シート4「情報公開、成果の普及及びその活用の促進」についての項です。説明用資料の22 頁をご覧ください。本項の自己評定はSとしています。これは査読付論文数が中期計画における目標数 を大きく上回っておりますほか、特許出願数については、中期計画全体の目標数をすでに達成をして おります。また、学会発表、ホームページのアクセス数、研究所の一般公開など、研究成果の公表、 普及について中期計画を大幅に上回る成果を上げたことによるものです。  「内部統制の強化」につきまして、23頁および先ほどの資料3-2の27〜28頁の5「内部統制」をご 覧いただきたいと思います。内部統制につきましては、関係監査人の協力を得まして、コンプライア ンス規程の制定を行いましたほか、委員会を設置しております。また相談窓口・通報窓口といたしま して、当研究所の総務部庶務課に窓口を設置しています。また、監事監査等の連携も図っております が、監事監査の詳細につきましては、後ほどパート4でご説明をさせていただきたいと思います。  次に、説明用資料の24頁をご覧いただきたいと思います。「ホームページのアクセス件数」につい てです。毎年増加して平成20年度は199万件にも達しています。また25頁にも記載をいたしましたと おり、ホームページにつきましては閲覧者の利便性の向上に向け、昨年度に引き続き改修作業を実施 しています。  26頁をご覧いただきたいと思います。「一般公開・講演会の開催等」についてです。大阪本所の一 般公開につきましては、そちらのデータにございますとおり、毎年600名以上の方が来場されておりま す。これによりまして、大阪北部、バイオクラスタの中核機関である当研究所のイベントとして、着 実に一般公開の事業が定着してきていることが分かろうかと思います。  次に27頁をご覧いただきたいと思います。「論文投稿、学会・シンポジム等での発表、特許出願」 についてのご説明です。査読付論文につきましては、中期計画を大きく上回る127報を発表しておりま すほか、うち論文の質の高さを表しておりますインパクトファクター2以上の論文につきましても84 報となっています。また、学会発表が327回、特許出願件数が7件となっています。  次に28頁をご覧いただきたいと思います。寒冷地でも栽培可能なハトムギの新品種、「北のはと」 ですが、昨年に引き続き実証栽培試験を実施しています。また、これまでに出願をいたしました特許 を活用しまして、免疫シグナルプロジェクトにおきまして、「胸膜中皮腫におけるメソセリンの機能 解析に向けた研究」をテーマとしまして、製薬企業との共同研究を開始しています。  次に評価シート5「外部研究者との交流、共同研究の推進、施設及び設備の共用」の項についてご説 明をしたいと思います。説明用資料の29頁をご覧いただきたいと思います。本項の自己評定はAとさ せていただいております。これは、民間企業等との共同研究の実施、連携大学院の進捗、研究施設の 共同利用の推進などの点におきまして、中期計画を上回って進捗したことによるものです。30頁をご 覧いただきたいと思います。平成19年度に設置をいたしました800MHzのNMRについてです。平成20 年度10月から有料の外部利用を開始しております。本装置は、LC-NMR-MSという日本初のシステムで す。たんぱく質の構造解析のほか、微量物質の解析など、威力を発揮するものと期待されており、順 調に外部利用が進んでいます。  パート1につきましては、以上です。よろしくご審議のほどをお願いいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、委員の皆様には評価シートへの評定等の記入と、それからご 質問等ございましたら、適宜ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○酒井委員  ご説明どうもありがとうございます。冒頭の理事長のお話も含めて、非常にいまの時代の社会の要 請も含めて、事業が非常に拡大しているということです。それで、このスライドの番号の4番のところ も、基盤研究としてプロジェクトがどんどん広がって、特区の問題もあって広がっているわけです。 このプロジェクト自身の、大体1つのプロジェクトの寿命というのですか、どんな指標を置いて、まあ 成果が出たから次のに発展的に変えよう、逆に成果が上がらないからやめようという両面があるので はないかと思うのです。特に、成果が上がらなかった場合に、このプロジェクトの幕引きのようなも のはどんなふうにおやりになるものなのでしょうか。 ○医薬基盤研究所理事長  先生が言われるとおり、幕引きもあると思いまして、我々のプロジェクトは5年計画でやっています。 プロジェクトリーダーは、5年の任期付きです。研究員は3年の任期でありまして、プロジェクトの間 は更新できるという方針にしております。非常に幸いなことに、あまりその幕引きをするようなのは いまのところないのですけれども、少しシフトするようなプロジェクトもございまして将来構想検討 会でいま練っているのです。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。 ○鈴木部会長代理  医薬基盤研究所はまた非常に大きな進展があったと、私も感じています。2つほど、まず質問させて いただきます。第1は、平成20年度の事業所の決算額が予算額を大幅に上回ったと。率にして16.2%、 額にして3億4,000万円とあります。たぶんその経緯を伺ったらそこに問題もないので、先ほどのご説 明では割愛なさったのではないかと思いますけれども、やはりちょっと説明が不十分ではないかと思 います。これだけの額のものを、なぜ予算案の中に組み込めなかったのか、よほどの緊急性があった のか、そういった点についてご説明をお願いしたいと思います。  それから第2点は、このシートの9頁の左半分の上から3段目の「福利厚生費」のところです。ここ では、福利厚生費については見直しを行っていないと記されております。ただ、基盤研は地理的に離 れて、規模もまた勤務環境も大きく異なるセンターを抱えておられるといったようなこと、また我が 国の非常に期待される新しい研究所として、このことをポジティブに見直しをすれば、所員の意欲も さらに高まることが期待されるように思いますが、いかがでしょうか。政・独委の視点にもあって、 これは注目されている項目のように思います。 ○田村部会長  よろしくお願いします。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  それでは第1点目の事業費のほうの額が急に上がってしまった経緯につきまして、ご説明をさせてい ただきたいと思います。関係する資料としましてはパワーポイントの資料の13頁になります。こちら にございますとおり、予算額に比べまして決算額がかなり多くなっておりますが、予算額に対する決 算額は116.2%ということです。  この資料の中では、簡単に「新規プロジェクト立ち上げ等による設備整備等」と書いていますが、 新規プロジェクトにつきましては、私どもの前身の機関であります国立医薬品食品衛生研究所時代か らヒューマンサイエンス振興財団ですとか民間の企業との間に、プロテオームの関係の共同研究をし ています。そちらのほうの事業がちょうど一昨年度終了いたしまして、昨年度どうするのかというと ころを厚労省等とも検討させていただいていたのですが、主な研究の実施主体でありましたヒューマ ンサイエンスさんのほうが大阪の加島にある施設、大規模な施設がございましたが、そこを維持でき なくなって閉めるしかないというようなことがございました。  私どもは研究の設備等をたくさん貸与していたのですが、それを加島施設を閉めるに当たって私ど もの研究所へ搬入できるようにするためには、当研究所の研究施設の改修を行って、加島施設にあり ました機械とかが入るようにいたす必要があったということですとか、まさに施設の廃止に伴います 諸々の工事ですとか、運搬経費ですとか、そういったようなものが急に必要になりました。その分が 当初の予算を上回って、決算額に乗っているということがございます。それと、また昨年度、平成20 年度ですが、研究がかなりのプロジェクトで進展がございまして、その研究に対応するためにさまざ まな研究機器の購入を行いました関係で、その分を急に乗せなければならなくなったため、今回116.2 %というようなことになっています。概略としては、以上でございます。 ○田村部会長  2点目は、どなたか。 ○医薬基盤研究所総務部長  すみません、福利厚生の関係でございます。当研究所の福利厚生費ですけれども、法定福利費と法 定外福利費ということで、健康診断あるいは産業医、そうした雇い上げの経費で、必要最小限の内容 で行っているところです。ただいま先生がいろいろ言われましたとおり、各職員、各地域に離れてい るという状況ですので、いろいろアンケートなり、要望があれば応えていく必要もあるのかなと考え ております、その辺はまた検討させていただきたいと思います。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。ほかに何かご質問等ございますでしょうか。どうぞ。 ○市川委員  2点。1点目は800MHzのNMRは大変すごいもので、かつ、いろいろな一般の民間その他に使えるよう にいろいろ活動されていらっしゃるというから、大変良いことだと思うのです。この10月以降で、9 件15日間ということで、実際の日数はもう少し違うとは思うのだけれども、これは大体どのぐらいで すか。稼働時間からいきますと、どのぐらいになっていらっしゃるのか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  NMRにつきましては、民間の企業の方にお使いいただく時間と、それと私ども研究者が研究に使う時 間とがございます。ほとんど現状でお話すると、企業にお貸しするほうを優先させてやらせていただ いているのですが、これもほぼフル稼働の状態です。あと数件上乗せできるかどうかぐらいのところ の状況で、いまやっています。かなり前処理などに手間がかかりまして、そこを私どものほうでサポ ートしなければ、企業のほうではNMRは使えないという事情がございまして、そのためにかなり時間が かかっています。 ○市川委員  もう1点は、ホームページはアクセスがものすごい勢いで増えているということで、情報発信として 非常に良いと思うのです。大変盛況ですけれども、どういう情報がいちばん昨年度に比して増えたの か、また新たに何かやったとか、あるいはその年次のただ変化として普及されてきたのだということ ですか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  そうですね、ホームページにつきましては、おそらく最大の原因としましては、私どもファンディ ングエージェンシーの機能を持っておりますので、研究費を配る時期にはかなり数が増えている傾向 がございます。例えば24頁のところをご覧いただきますと、例年であれば1月、2月のところにホー ムページアクセスのピークがきています。今年度は前倒しをしまして2回公募をしておりますので、10 月、11月ですとか、同じ1月、2月のところにピークがございます。  それ以外に、平成20年度につきましてはスーパー特区に採択していただいたということがありまし て、かなりそれが宣伝になったというようなことがございます。私どものほうから、例えばiPS細胞の 分譲を始めるというプレス発表をしました3月あたりには、かなりその辺のアクセスが増えているよう です。全体としての研究所の知名度が上がってきていることが、最大の原因ではないかと思っており ます。以上でございます。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。 ○鈴木部会長代理  戦略的事業展開のところで、平成18年度以降にプロジェクトが次々と5つほど追加、設定されてい ますが、新しいプロジェクトを設定される際には、そのスタッフの配置のことでいろいろご苦労があ るのではないかと思うのです。具体的にどのようになさっているのかというのが、第1点です。それか らもう1つ、平成20年度には複数のプロジェクトから成る「iPS幹細胞創薬基盤プロジェクト」が立 ち上げられましたが、このプロジェクトのリーダーシップというのはどういうふうにとられるのでし ょうか。その辺りを伺いたいと思います。 ○医薬基盤研究所理事長  先ほどの新たなプロジェクトを立ち上げまして、人の配置は非常に苦労するところであります。も ちろんプロジェクトリーダーというのは絶対に必要なので、そこに研究員を1人または2人取り付けま す。それ以外はできるだけポスドク、それから連携大学院の学生等で形成されておりまして、いちば ん多いところは、たぶん1つの研究プロジェクトで20、30名の人。少ないところも若干ありますけれ ども、そういうようなめり張りをつけてやらせていただいております。  それと、iPSに関しまして、非常にトピックスでもありましたし、我々のところはトキシコゲノミク ス研究をやっておりましたので、非常に我々にとってタイムリーなことになっております。このiPS、 スーパー特区のプロジェクト、実は水口プロジェクトリーダーがいるのですけれども、彼と、もう1人、 生物資源部の細胞バンクに古江という人が入ってます。これは内部のプロジェクトなので、お互いに それをどちらがどちらということはないのですが、グループとして、新たなプロジェクトよりも連携 プロジェクトですから、よく話をしながらやっているというのが、我々の現状です。 ○鈴木部会長代理  これは新しい次元でのプロジェクトですね、いままでではない。 ○医薬基盤研究所理事長  連携プロジェクトです。例えば、従来の1つのプロジェクトだとプロジェクトリーダーがいて、それ の評価が例年、外部評価、内部評価を行うのですけれども、これに関しましては連携プロジェクトで すから、評価の対象になっていません。評価の対象ではなくて、連携をしていくということで新たな 次元のプロジェクトです。 ○酒井委員  内部統制のことなのですが、23番にシステムといいますか、この枠組みが書かれています。このこ とを導入することによって、その研究所の理事長として何を確保しようとされているのか、何を改革 されようと、この仕組みを使って。 ○医薬基盤研究所理事長  いまの例を上げさせていただきますと、いままではプロジェクト、プロジェクトで、ある意味では インディペンデントだったのですね。部も基盤的研究部、生物資源研究部と、ある意味ではインディ ペンデントの部だったのですけれども、私の考えとしまして、同じ皆研究者なので、そういう部にと らわれずに連携をしていくと、またプロジェクトにとらわれずに連携していくというのが非常に重要 だと思っております。いわゆる連携プロジェクトみたいなものを取り上げるというのが、特にiPSがい ちばん端的な例だと思っております。 ○田村部会長  どうぞ武見委員。 ○武見委員  本当に素晴らしい実績を上げられているなと、感心しながら伺っていたのですね。特に、業務内容 の成果の公表とかで、論文とか学会発表が相当な数あるだけではなくて、一般の方向けの情報発信と いうところも、とても努力されているという様子がよく伝わってきて感心していたのです。一方で、 この学会発表とか何とかも、常勤の方ですけれども、1人当たり6.97というと、もう2カ月に1回発 表して論文書いて、この公開もやってということで、この方向でどんどん行くということになると、 研究所の方たちの実際の生活という意味ではかなりハードな部分になっているのか、どうなのか。そ れとも研究者ですから、研究がうまく行けばそれだけで皆充実しているのか。またあとのほうの話に なるのかもしれませんが、その辺いかがなのかなと。 ○医薬基盤研究所理事長  非常にポジティブな質問でありがたいと思うのです。研究というのは、私もずっと研究しています けれども、1年目のスタートよりもだんだんと上がっていくのですね。そうすると、論文の数も上がっ ていくのは当たり前だと思うのですね、積み重なっていきますから。だから、いまかなりピークにな ってきています。これが未来永劫、倍々ゲームでいったら大変なことになると思いますけれども、非 常にうまくいったと思っています。  それと、何と言うのですか、地域への又一般市民への啓蒙ですね。これに関して、非常に努力をし ています。研究員も全員出て、それで子どもさんを含めて遊ばせると言うと、非常に語弊があります けれども、エンジョイできるようなことを、イベントをやって、それで集まってきていただいて。リ ピーターも随分おるというように聞いています。それが、基盤研の宣伝とともに、内部を見てほしい のですね、一般の方に。秘密はないぞということを見てほしいので、是非そういうことをどんどんと 広げていきたいと。各分室にも広げていきたいというように思っています。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。それでは、次のグループ2のほうに進めさせていただきたいと思います。グル ープ2は「基盤的技術研究、生物資源研究」の項目につきまして、評価を行わせていただきたいと思い ます。所要時間は法人からのご説明は20分、委員の評定と質議は15分ということで、合計35分とい うことで進めてまいりたいと思います。それでは、法人のほうからのご説明、よろしくお願いいたし ます。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  それではご説明をさせていただきます。パート2につきましては基盤的技術研究と生物資源研究のご 報告です。31頁をご覧いただきたいと思います。基盤的技術研究については6つの事項から、生物資 源研究については5つの事項から成っています。  まず、評価シートの6「医薬品安全性予測のための毒性学的ゲノム研究」の項についてです。説明用 資料の32頁をご覧いただきたいと思います。本項の自己評定はAとしています。これは中期計画で予 定された研究はすでに完了をしておりまして、その際に構築されました世界に類を見ない大規模・高 品質のトキシコゲノミクスデータベース、これによりまして平成20年度は遺伝子発現データ等の追加 を行いましたほか、インフォマティクス技術を駆使しまして、毒性予測システムの構築を行うために、 新たなバイオマーカーの特定などを実施しております。これによりまして、中期計画を上回る成果を 得たことによるものです。  32〜35頁までが、トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクトの研究成果になっており ます。このプロジェクトでは医薬品安全性予測のための研究や、レギュラトリーサイエンスへの展開 などに関する研究を進めています。  33頁をご覧ください。本プロジェクトでは、バイオマーカー探索に当たりましてTからWまでのカ テゴリーに分けて研究を進めています。34頁をご覧ください。平成20年度には新たにカテゴリーWの バイオマーカー19個の抽出に成功しています。  35頁にお移りいただきたいと思います。他機関と比べましての特色についてご説明をしています。 世界最高レベルの規模と品質を兼ね備えた毒性学および網羅的遺伝子発現データを活用していること など、顕著な特徴がこの研究にはございます。  次に評価シート7「ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質解析研究、疾患関連たんぱく質の有効活用 のための基盤技術開発」の項についてです。説明用資料の36頁をご覧いただきたいと思います。本項 の自己評定をSとしています。これは、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質の解析研究におきまして、 新規解析方法の開発ですとか、新規たんぱく質の特定を推進しましたこと。また、自己免疫疾患など の病態解明に威力を発揮しますレセプターサブタイプ特異的なTNF変異体の創製に、世界に先駆けて成 功しておりますこと、またがん組織に特異的に発生をいたしますたんぱく質の同定と発現変動解析を 進めまして、インフォマティクス技術によりますたんぱく質間相互機能の解析を共通技術として有効 活用するなど、中期計画を大幅に上回ります研究成果を上げたことによるものです。  説明用資料の37頁をご覧いただきたいと思います。この頁から38頁までが、プロテオームリサーチ プロジェクトの研究成果です。このプロジェクトでは、新しい治療法ですとか、病態などを診断可能 とする新規の疾患関連たんぱく質などの探索などに取り組んでいます。38頁のところに概略を書いて いますが、平成20年度にはがん、自己免疫疾患の試料20検体から、新たに疾患関連たんぱく質182種 類を同定しています。  次に、説明用資料の39頁をご覧いただきたいと思います。この頁から44頁までは「創薬プロテオミ クスプロジェクト」の研究成果です。このプロジェクトでは、ファージ表面提示法という独自の創薬 基盤技術を駆使いたしまして、疾患関連たんぱく質の有効活用のための基盤技術の開発研究を実施し ています。この中で特に、39頁の右側の上のほうにありますが、DDSキャリアの創製と細胞内・体内動 態制御技術の開発につきましては、日本薬学会薬学研究ビジョン部会賞を受賞しています。  40頁では、自己免疫疾患治療薬としてのTNF阻害剤の開発を行う上で基礎となりますTNFレセプタ ー指向性アゴニストの複合体構造解析に成功しています。こちらの研究成果につきましては日本DDS学 会ベストポスター賞、ファーマバイオフォーラム優秀発表者賞、日本薬学会近畿支部奨励賞をそれぞ れ受賞しております。  41頁では粘膜免疫、全身免疫の両方を誘導できます粘膜ワクチンの開発を目指して、TNF変異体を粘 膜アジュバンド、増強剤ですが、粘膜の免疫増強剤として展開する研究を進めています。  41頁のデータについて簡単にご紹介をいたしますと、齧歯類の経鼻粘膜のほうに、今回私どもが開 発をいたしましたmTNF-K90Rという物質を塗布いたしまして、免疫がどの程度惹起されるかということ を調べましたデータです。いちばん左端がIgGですので、こちらのほうは全身免疫がどのように惹起さ れているかということになります。通常行われております免疫惹起剤としてはCTBがよく使われますが、 それとの比較です。CTB1μgを投与した分と比較しますと、赤い色で書いているところですが、私ど もが開発しましたmTNF-K90Rを5μg投与しますと、体内免疫については同等のものが出るということ がわかっております。  その右側のIgAと書いておりますのが、粘膜免疫の関係です。粘膜免疫につきましてはいずれも既存 のCTBと比べまして、顕著に有意な粘膜免疫が惹起されていることがわかります。特に右端の5μg投 与群については、顕著にそれが出ています。  また、それぞれこの物質の投与によりまして組織障害が起こっていないかどうかを、下の電子顕微 鏡の写真でお示しをしております。病理の写真にございますとおり、顕著な組織障害というのは観測 されておりません。私どもが今回開発しましたTNF変異体が、有効かつ安全な粘膜アジュバントに成り 得ることが、これによって明らかになっております。  42頁ですが、誠に申し訳ございません、一部間違いがございましたので、訂正をさせていただきた いと思います。タイトルのところですが、「HIVワクチン」と書いていますが、「HIVワクチン及びイ ンフルエンザワクチン」に訂正をお願いしたいと思います。申し訳ございません、お詫び方々、訂正 をお願いしたいと思います。  こちらのほうについては、TNF変異体がHIVワクチン、インフルエンザワクチンの感染症ワクチンと して有効な粘膜ワクチンアジュバントに成り得ることが明らかになっています。先ほどと同じように、 免疫の惹起剤としてのCTBとの比較をしています。HIVにつきましては5μg群において、顕著にCTB と比べましても免疫が惹起されていることが確認できます。インフルエンザのワクチンにつきまして も、同じようにご覧いただきまして、いちばん下の5μg群については、CTBに比べまして有意に免疫 が惹起されていることが確認できております。こちらの研究内容につきましては国際TNF学会の学会賞 ですとか、ファーマバイオフォーラム優秀発表者賞をそれぞれ受賞しています。  次の43頁では、平成19年度に開発をいたしました抗体プロテオミクス技術を用いまして、疾患関連 たんぱく質を同定する研究を進めています。その結果、44頁のところになりますが、正常肺組織では 発現しておらず、肺がん組織内のリンパ管内皮細胞およびがん細胞に発現する分子を発見しています。 これは画期的な成果ではないかと思っております。  次に、説明用資料の45頁をご覧いただきたいと思います。この頁から46頁までは、「代謝シグナル プロジェクト」の研究成果です。このプロジェクトでは、糖・脂質代謝のシグナルの伝達機構を解明 いたしまして、生活習慣病に対する創薬の基盤技術の構築を目指して研究を進めています。下の46頁 をご覧いただきたいと思います。平成20年度には安全な摂食制御薬の開発に向けまして、SIK2がα MSHシグナルを抑制していることを解明いたしております。  説明用資料の47頁をご覧いただきたいと思います。この頁から49頁までは、「バイオインフォマテ ィクスプロジェクト」の研究成果です。このプロジェクトでは、バイオインフォマティクスの手法を 用いまして、たんぱく質の構造・機能ですとか、相互作用の予測研究を進めています。  48頁をご覧いただきたいと思います。従来の計算機シミュレーションでは、アミノ酸配列のみから たんぱく質間の相互作用を行う部位を特定することは全くできませんでしたが、48頁の緑色のニュー ラルネットワークと書いている矢印がありますが、それの右側のところをご覧いただきたいと思いま す。ここにございますとおり、平成20年度に基盤研が開発しましたアルゴリズムによりまして、初め てそれが可能になっております。これは、創薬ターゲットの同定につながる画期的な技術ではないか と考えております。  次に49頁をご覧いただきたいと思います。「疾患関連性解析支援データベースの開発」に関するご 報告です。こちらでは主要な公共データベース10個の統合を行いまして、インハウスの実験データか ら得られます複数の候補たんぱく質の基本的な解析を行えるシステムを確立しております。これによ りまして、研究者の利便性がかなり上がるのではないかと考えております。  次に評価シートの8「新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発基盤研究、新世代抗体産生基盤研究」の項 についてです。説明用資料の50頁をご覧いただきたいと思います。本項の自己評定はSとしています。 これは、新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発の基盤研究におきまして、水痘ウイルス(水疱瘡ウイル スになります)、ムンプスウイルス(おたふく風邪ウイルスになります)、それに対します効果を有 します多価ワクチンの開発ですとか、新規アジュバントによりますインフルエンザワクチン経鼻接種 での防御免疫効果の増強など、中期計画の予定を著しく上回る多くの研究成果を上げたことによるも のです。  51頁をご覧いただきたいと思います。ここから54頁までが、「感染制御プロジェクト」の研究成果 です。このプロジェクトでは、新興・再興感染症に対処するための新世代ワクチン・抗ウイルス剤の 開発につながります基盤研究を実施しております。  52頁では「組換え水痘ウイルスのワクチン効果」を確認するために、組換え水痘ウイルスをモルモ ットに経鼻接種する実験を実施しています。その結果、水痘ウイルス及びムンプスウイルスに対しま す中和抗体の産生が確認され、多価ワクチンとしての有用性が示唆されています。これは、世界で初 めて得られました画期的な成果ではないかと思っております。  次に53頁です。こちらでは組換え水痘ワクチンウイルスに関しまして、ムンプスウイルスのFたん ぱく質を発現させることを確認いたしておりまして、Transpositionによります迅速な組換え法の作成 に成功したということを表しています。  次の54頁ですが、γポリグルタミン酸ナノ粒子と、インフルエンザHA型ワクチンを経鼻接種します ことによりまして、ナノ粒子が有効な粘膜アジュバントになることが明らかになったというデータで す。こちらの右の上のほうの絵を見ていただきたいと思います。こちらではIgAがそれぞれ右のほうに 行くにしたがいまして、増えているということが分かります。これは、粘膜の免疫がそれだけ惹起さ れているということで、ナノ粒子の量を増やせば、免疫惹起量が相関して増えているということが表 されております。同じようなことを、左下のほうでも表しています。  また、もう1つ注目点といたしましては、右下のデータですが、ワクチン株とは全く異なるウイルス 感染を行いました際に、感染防御効果が、このナノ粒子を用いますと現れているというデータです。 赤いところに注目をしていただきたいと思います。これはナノ粒子を100μg投与いたしました際のデ ータですが、異なるウイルス株に対しましても2週間以上効果が持続しているということを表していま す。これは画期的な成果ではないかと、私どもでは考えています。  次に55頁をご覧いただきたいと思います。ここから56頁までが「免疫シグナルプロジェクト」の研 究成果です。このプロジェクトでは、サイトカインシグナル伝達制御因子、SOCSというものですが、 これを用いました抗がん剤などの開発につながる基盤研究を実施しています。56頁ではサイトカイン シグナルの伝達制御因子SOCSをがん細胞へ導入することによりまして、がんの増殖抑制、転移抑制等 の抗腫瘍効果を発揮し得ることを確認したものです。  まずデータでいきますと、56頁の左の上のほうですが、これは乳がん細胞に対しましてSOCSと AG490というものを注入いたしまして、いかにSOCSが有効に、ほかの細胞に拡散していくかというこ とを表したデータです。AG490に比べて、SOCSは6日後にはほとんど拡散しきっているということが、 これで表されております。  その左下のデータですが、これはバイオナノカプセルにSOCSを発現させる手法といたしまして、乳 がん細胞を特異的に発現させる手法を開発したというデータです。上の25kDaのところに、SOCSの電 気泳動像が出ています。これにより乳がん細胞に対しましてSOCSが特異的に導入されたことが表され ております。右のデータにありますけれども、ヌードマウスに乳がん細胞を移植しまして、このナノ 粒子を使ってSOCSを投与しまして、30日後に腫瘍重量がどうなったかということを比較しております。 SOCS投与によりまして腫瘍の重量が有意に落ちている、すなわち抗腫瘍効果があったということが確 認されております。これは、次の創薬の基盤技術として有望なものではないかと、私どもとしては考 えています。  次に57頁をご覧いただきたいと思います。ここから58頁までが「免疫応答制御プロジェクト」の研 究成果です。こちらのプロジェクトでは、免疫反応増強剤、アジュバンドの有効性・安全性の評価方 法の確立とその開発を行い、細菌やウイルスに対します効果的な予防・治療方法の開発に取り組んで います。58頁ではCTL誘導アジュバンドのスクリーン系の確立を図る上で基礎となりますLPS刺激に よりますクロスプレゼンテーションの誘導を検出しています。  次に59〜60頁までですが、「免疫細胞制御プロジェクト」の研究成果となっています。このプロジ ェクトでは「人工リンパ組織」を用いて、新たな免疫系賦活システムを構築することにより、難治性 感染症ですとか悪性腫瘍などの治療応用を目指した基盤研究を実施しています。  60頁では3種類の免疫細胞を準備し、腫瘍を接種した免疫不全マウスに投与をして治療効果を比較 しています。そちらのグラフ上には、赤い線が記載されています。これが人工リンパ組織のデータで す。その結果、人工リンパ組織を利用しますと、効率良く抗腫瘍免疫を導入することができることが 確認できております。対照群のほうでは腫瘍の体積が増えておりますが、この赤い線の群だとほとん ど増えていないということから、そのことがわかります。  次に評価シートの9「遺伝子導入技術の開発とその応用」の項についてです。説明用資料の61頁を ご覧いただきたいと思います。本項の自己評定はSとさせていただいております。これは昨年ご報告し ました100倍以上の遺伝子導入効率を有する、機能性に優れた次世代アデノウイルスベクターを用いて、 遺伝子導入技術の開発と性能評価を今年度、実施したことと、アデノウイルスベクターによります幹 細胞への分化誘導遺伝子の発現制御ですとか、アデノウイルスベクターの安全性評価等の研究を行い、 中期計画を大幅に上回る質の高い数多くの研究成果を上げたことによるものです。  61頁をご覧いただきたいと思います。この頁から65頁までが「遺伝子導入制御プロジェクト」の研 究成果となっています。このプロジェクトでは、遺伝子導入技術の開発とその応用研究を実施してい ます。62、63頁では、本プロジェクトで研究しております遺伝子導入技術の根幹となります、アデノ ウイルスベクター複製中に生じます増殖性ウイルスの出現を完全に抑制できる、新規アデノウイルス ベクター系の開発に成功したという報告です。これによりまして、FDAが遺伝子治療の際の臨床応用上 の基準として、アデノウイルスベクターに要求しております基準、3×1010粒子当たり1感染粒子以下、 これを達成しております。画期的な成果を上げたというふうに私ども考えております。  本新規アデノウイルスベクター系は安全性の向上ですとか、アデノウイルスベクター製造上のコス ト低減に大きな貢献できると期待できるものです。現在、兵庫医大、昭和大学、杏林大学と遺伝子治 療臨床研究に向けて共同研究を進めておりますところです。  64頁では、肝臓特異的miRNAの標的配列を自殺遺伝子カセットに挿入しまして、高い抗腫瘍効果を 維持したまま、肝臓に対する毒性を顕著に抑制することに成功したというご報告です。本ベクターは 安全かつ治療効果の高い遺伝子治療の確立に向けて、極めて有用であると期待されるものです。デー タとしましては、64頁の上のところが抗腫瘍効果のデータです。アデノウイルスのtk-122aTが腫瘍体 積を減少させることができるというデータです。その下のほうが、肝毒性に対するデータ、肝毒性は 抑さえられていることがおわかりいただけるかと思います。  次に評価シートの10「遺伝子、培養細胞、実験用小動物」の項についてです。説明用資料の66頁を ご覧いただきたいと思います。本項の自己評定はAとさせていただいております。これは細胞バンクの 収集・供給数、細胞の品質管理等におきまして、中期計画における達成目標を上回る事業実績を上げ たことによるものです。  本項は生物資源についてのご報告となりますが、67頁をまずご覧いただきたいと思います。当研究 所では、高水準の生物資源供給によります研究開発支援といたしまして、霊長類、遺伝子、小動物、 培養細胞、薬用植物の収集・品質管理、提供を行っています。また68頁にお示ししておりますとおり、 「メディカルバイオリソースデータベース」の整備を行っております。これは国内のさまざまな有用 な疾患関連バイオリソースの所在情報を集めてまいりまして、これは省庁横断的に集めてくるという ことです。これによってデータベースを構築しようというもので、この分野の研究者の利便性を画期 的に高めるものではないかと考えております。  次に遺伝子資源に関しましては、69頁でご説明をしております。1987年より21年間にわたりまして、 計6万サンプル以上の遺伝子資源の供給をしております。また、新たな遺伝子資源を開発すべく、カニ クイザルのcDNA解析、データベースの開発などを行っております。  70〜73頁までは、細胞資源についてのご報告です。平成20年度は新たに50種類の細胞を資源化い たしましたほか、年間5,210アンプルの細胞資源を分譲しています。また、本邦唯一の細胞に関する検 査機関として、受託サービスを実施しております。  71頁には理化学研究所の細胞バンクとの比較をさせていただいておりまして、私どもが保有してい ます細胞資源数は約1,000、それに対して、理化学研究所のほうでは約3,000をお持ちです。分譲数に つきましては、私どもが5,210ですが、理化学研究所は約4,200ということで、私どもの分譲数のほう が多いということになっております。また資源としましても、私どものほうがヒト疾患治療研究等に 用います資源を中心としておりますのに対しまして、理化学研究所さんのほうでは、学術研究に資す る網羅的な資源の保有を行っておられるところが、相違点ではないかと思っております。  72頁は、ヒトiPS細胞研究支援体制の整備を開始しておりまして、ヒトiPS細胞とES細胞の品質評 価を実施したというご報告です。これは、ヒトiPS細胞の分譲を行う上での前提となる技術の開発とい うことで、京都大学のほうからいただきましたヒトES細胞、ヒトiPS細胞、それと国立成育医療セン ターからいただいたヒトiPS細胞の品質評価をいたしました結果、すべて同等程度の品質が出ていると いうことです。ちなみに、私どもが分譲しているヒトiPS細胞は、国立成育医療センターから御寄託い ただいたヒトiPS細胞です。今年の4月から分譲を開始しています。  73頁は、ES細胞・体性幹細胞の品質評価法として、マルチカラーFISHによります染色体解析法の開 発を昨年度行っております。  74〜76頁は、小動物資源についてのご報告です。74頁にお示ししておりますとおり、平成18年11 月にバンクを開設しまして、分譲可能系統が94系統となりました。75頁は難病の1つであるライソゾ ーム病モデルなどのヒト型マウスを作製しているほか、新規プリオン病モデル、生活習慣病モデルな どの疾患モデル動物の開発研究を実施しております。76頁は、基盤研オリジナルの自然発症疾患モデ ルマウスの原発性ネフローゼモデルについて解析・改良研究を実施しております。この研究内容につ いては、日本獣医解剖学会奨励賞を受賞しています。画期的な成果ではないかと思っております。  評価シート11「薬用植物」の項についてですが、説明用資料の77頁です。本項の自己評定はAとし ています。これは我が国唯一の薬用植物研究センターとして、薬用植物の収集、保存、維持、品質管 理、供給及びそれらに必要な技術や評価に関する研究で、中期計画を上回る成果を上げたことによる ものです。  資料の77〜82頁までが「薬用植物資源研究センター」の成果となっています。78頁は、薬用植物資 源研究センターの役割について、簡単にまとめました絵をご提示しています。ナショナルレファレン スセンターとしての役割を担っておりまして、前述のとおり薬用植物遺伝資源の収集・保存・供給等 を実施しておりますほか、薬用植物に関する情報の整備と提供なども行っております。79頁は「薬用 植物資源の収集・維持管理に関する業績」のデータを提示しています。  80、81頁にお示しをしていますが、平成20年度には新品種登録に向けて、一般用漢方処方の3割強 に使われている重要生薬の1つであるシャクヤクを対象とした系統選抜を行いまして、種苗法に基づく 登録申請を行うこととしています。今年度の申請になろうかと思っています。82頁は、ケシ属植物を 対象としまして、分子生物学的手法によります判別法の開発を実施しております。これにより、違法 ケシの鑑別など、生薬原料植物の遺伝子レベルでの鑑別が可能となっています。  評価シート12「霊長類」の項について、説明用資料83頁です。本項の自己評定はSとしています。 これは、我が国唯一の医学実験用霊長類センターとして、医科学研究用霊長類リソースの開発、収集、 維持、品質管理、供給及びそれらに必要な技術、評価に関する研究で、中期計画を著しく上回る成果 を上げたことによるものです。とりわけ画期的な成果としては、慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物 の開発に成功しましたほか、世界に類を見ない拡張型心筋症、難病になりますが、モデル動物を用い た早期診断基準の確立。我が国で初めてのカニクイザルのiPS細胞樹立など、研究面で著しい成果を上 げたことを根拠としています。  説明用資料の83〜89頁は「霊長類医科学研究センター」の研究成果となっていますが、84頁では同 センターの有するリソースを2つに分類しまして、創薬・医科学研究に資する汎用性の高い霊長類研究 の高度化を図っております。  85頁は、高品質カニクイザルの繁殖、育成、品質管理、供給等のデータを示しております。また、 86頁ではヒト病態を忠実に反映するカニクイザル拡張型心筋症モデルの樹立に成功し、新たな診断法 として細胞外マトリクスたんぱくでありますテネイシンCの発現を確認しております。87頁は、慢性C 型様肝炎発症サロゲート霊長類モデル、デングウイルス霊長類感染症モデルという画期的なモデルの 開発に成功しております。88頁は、アフリカミドリザルES細胞の樹立に成功しておりますほか、89頁 ではカニクイザルiPS細胞の樹立に成功しております。これにより、カニクイザルについては同一個体 からES、iPS細胞ともに樹立することが可能になったことになります。今後の幹細胞研究を推進する上 で、貴重な資源が整備されたと考えております。  パート2については以上でございます。ご審議のほどをよろしくお願いします。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には、評価シートへの評定の記入をお願いします。質問等が ございましたらご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木部会長代理  圧倒されるような思いで聞いておりました。1つ、生物資源研究のところで質問をしたいと思います。 評価シートの45頁の薬用植物研究センターの「戦略的事業展開」で、(5)の「外部研究者との交流、共 同研究の促進、施設及び設備の共用」の実績を参照しても、実績が丁寧に述べられていないように思 います。それから、種子の国内の研究者に対する提供実績も示されていないのではないかと思います。  同じようなことは、霊長類医科学研究センターについても評価シートの48頁のいちばん下の「戦略 的事業展開」のところで、「外部研究者との交流、共同研究の促進、施設及び設備の共用」でも言え るように思います。 ○政策評価官室長補佐  ご指摘いただいているのは、こちらのシートでよろしいでしょうか。 ○政策評価官  大きいほうの資料ですか。 ○鈴木部会長代理  評価シートの11-5をご覧いただきたいと思います。私の質問は、薬用植物研究センターが非常に優 れた成果を上げていらっしゃるのですが、自己評定のいちばん最後の欄の3行で、「(5)外部研究者と の交流、共同研究の促進、施設及び設備の共用」とありますが、この(P5-1)を参照しても具体的な実 績は示されていないのです。 ○田村部会長  参照部分がないということですね。 ○鈴木部会長代理  はい。それと、ほかの参考資料にもそういうデータを見付けることができなかったのですが、これ もセンターの役割としては非常に大事なところなので、お示しいただきたいと思ったところです。  もう1つは、同じく評価シートの12-3です。これは霊長類医科学研究センターのほうですが、この 自己評定のいちばん最後に戦略的事業展開で、「外部研究者との交流、共同研究の促進、施設及び設 備の共用」の実績が示されていないのではないかと思っています。私が見付けていないのかもしれま せん。お教えください。 ○田村部会長  いかがでしょうか。P5-1を参照するようになっていますが、Pの5-1はどこにあるのでしょうか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  頁としては、評価シートの右下に書いている頁のことを指していまして、Pの5-1と書いているのは、 この下の5-1頁ということになります。5-1頁のいちばん右端のAの<4>に、霊長類関係のデータもご 提示をさせていただいていますが、薬用関係としては<7>程度の記載になっておりますが、ご提示をし ております。 ○鈴木部会長代理  年間にどれほどの実績、どことどう交流して、共同利用等を何件やられたというような実績をお示 しいただきたいと思います。 ○田村部会長  あるいは、後ほどご提出いただくということでも結構だと思います。 ○医薬基盤研究所理事長  ちょっといま調べますので。 ○田村部会長  あとで提出していただくということでよろしいですか。いまご報告されますか。 ○政策評価官室長補佐  評価シートの5-1に実績の多少の書き込みがありますが、これのより細かいことをお示しいただきた いというご要望でよろしいですか。 ○鈴木部会長代理  どこにあるかというのはわかっていますが、そこも一言しか言及されていません。 ○田村部会長  では、後ほどで結構ですので、ご提出いただくということでよろしいでしょうか。ほかにはご発言 ありますか。よろしいですか。  次のグループ3に移ります。グループ3は「研究開発振興関係」の項目です。これについての評価を 行うわけですが、ご説明のほうは法人からは12分、委員の評定と質疑は15分、合計27分で進めてま いりたいと思います。それでは、法人のほうからのご説明をよろしくお願いいたします。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  説明用資料の90頁からが、パート3「研究開発振興業務」です。4項目ありますが、まず主要な事業 をご説明いたします。  資料3-4の91頁をご覧ください。「基礎研究推進事業」は、大学や国立試験研究機関等の研究プロ ジェクトを対象としておりまして、平成20年度は94のプロジェクトに約80.8億円を交付しておりま す。  92頁の「実用化研究支援事業」は、ベンチャー企業の研究を対象としておりまして、平成20年度は 10社の研究に約11.8億円を交付しております。この事業は、財政投融資特別会計からの出資金を受け、 平成16年度から行っており、本事業の成果により得られた収益の一部を納付していただく仕組みとな っておりますが、93頁の図で示しますように、事業開始当初は委託費の交付が先行いたしますため、 売上納付金が入るまでの間、繰越欠損金が増加することになり、平成20年度末で53.71億円の繰越欠 損金が計上されております。なお、平成21年度から繰越欠損金の増加を抑えるため、新規募集を休止 することといたしました。  また、94頁の「希少疾病用医薬品等開発振興事業」は、厚生労働大臣から指定を受けたオーファン ドラッグ・オーファンデバイスの研究開発を促進するため、助成金交付金等を行うものでございまし て、平成20年度は10社12品目に対して約6.8億円を交付しております。95頁は、これら3事業を研 究の開発段階で示した図です。  96頁をご覧ください。評価シート13、項目1の「国民の治療上の要請に即した研究開発の振興」で す。(2)の社会的要請に基づいた案件の採択については、実用化研究支援事業における収益性の向上を 図るため、総合計点に対する足切り点を設定するとともに、「収益性評価部会」において、収益性に 加え新たに経営・財務の視点からの定量的評価を実施したところです。また、97頁(3)の研究内容を重 視した案件の採択については、基礎研究推進事業において募集テーマに応じた評価項目を設定すると ともに、評価項目及び評価ウエイトを見直して評価を実施いたしました。  98頁は、基礎研究推進事業の新規採択プロジェクト数を示しております。2カ年分を付けております のは、平成21年度の研究を早期にスタートできるよう早期の募集を行い、平成20年度中に採択を行っ たためで、平成20年度分は4分野で合計17課題、平成21年度は3分野で合計17課題採択しておりま す。99頁は、実用化研究支援事業の「平成20年度新規採択プロジェクト」で、新規免疫抑制剤、がん ワクチン、人工骨の研究が採択されております。  ここまでが評価シート13ですが、評価シート13は評価の見直しを行い、より適切な案件の採択に努 めましたことから、自己評価をA評価とさせていただいております。  100頁をご覧ください。評価シート14、項目2「知的財産の創出及び製品化の促進」です。(1)のプロ グラムオフィサー制度については、指導・助言機能の強化を図り、委託契約条件の付与、打切り等を 実施いたしますとともに、事業の実施体制を拡充し、より綿密な研究進捗管理の実施を行いました。 また(2)の政策目的の実現に適した評価手法の確立については、新規項目を追加し、定量的指標を用い た評価を実施いたしました。101頁(3)の実効性のある評価の実施については、専門委員を増員・拡充し、 二段階評価の強化を行っております。102頁(4)の研究成果の活用は、基礎研究推進事業において、これ までに最も多い103件の特許出願及び480件の論文発表がありました。規模と研究機関が異なる若手研 究を除いて、中期計画前と1課題当たりで比較しますと、特に特許出願件数は大幅な増となっておりま す。103頁(5)の研究成果等の公表については、成果発表会の開催、山中教授の研究成果の報道発表等を 行いました。  104頁は、基礎研究推進事業の「年間スケジュール」を示しておりますが、公募開始を早め、採択前 調査の実施時期も早めております。進捗状況等報告会は、7月に実施しております。  105頁に、基礎研究推進事業の「医薬品等開発に向けた進捗状況例」を示します。1例目は、平成18 年度採択の京都大学山中教授の「人工万能幹細胞の創薬および再生医療への応用」に関する研究です。 ウイルスベクターを用いずにiPS細胞の樹立に成功し、今後、薬効・毒性の評価などの研究の進展が期 待されるところであります。2例目からは、平成20年度に採択されましたいくつかの研究を示してお りますが、次世代抗体医薬の研究、C型肝炎治療薬の開発、放射性増感剤の開発、エピジェネティック ス制御たんぱく質を標的とした新規治療薬の開発研究等がそれぞれ進行しているところです。  106〜109頁にかけては「実用化研究支援事業」の採択案件の現状です。早い所では第V相臨床試験 を実施しており、近い将来上市の見込みのある案件及び保有する知的所有権を実施許諾した案件も出 てきております。  110頁はオーファン助成金ですが、平成5年から平成20年度までの助成品目総数は136で、これま でに承認された品目数が87となっております。また、111頁は平成20年度に承認された8品目で、特 発性肺線維症の治療薬やクローン病の治療機器等でございます。  ここまでが評価シート14ですが、評価シート14については、目標を上回る特許出願件数等の増加に よりA評価としております。  112頁をご覧ください。評価シート15、項目3「利用しやすい資金の提供」についてです。公募時期 の早期化とともに、新たに全国7カ所で公募説明会を開催いたしました。113頁の(4)は、基礎研究推進 事業の公募締切から採択決定までの期間ですが、中期目標期間前に比べ0.69カ月短縮し、3.84カ月と なっております。また、応募者全員に審査結果及び、新たに応募研究プロジェクト全体の得点分布も 通知いたしております。参考として「応募件数・採択件数の推移」を付けておりますが、毎年多くの 応募をいただいております。評価シート15については目標を上回って、採択までの期間の短縮を図れ ましたことなどからA評価といたしております。  最後に114頁をご覧ください。評価シート16、項目4「承継業務の適正な実施」についてです。115 頁の図で、承継業務の繰越欠損金についてご説明いたします。旧出資事業は、医薬品副作用被害救済 ・研究振興調査機構が、2社以上の企業の参加等により設立された法人における医薬品等の研究開発に 対し出資を行ったもので、昭和62年から平成15年度の廃止までに15法人が設立されております。平 成16年度からは医薬品医療機器総合機構において、成果管理会社の管理を行う承継業務が開始され、 平成17年度に規制と振興の分離による研究振興業務の当研究所への移管により、出資法人の株式を継 承いたしましたが、研究開発が中止されたり、製品化の段階まで至っていないため、平成20年度末時 点で256.61億円の欠損金となっております。  114頁に戻っていただきまして、欠損金解消への取組についてご説明します。平成20年度は昨年度 に引き続き、顧問等による法人の実施調査を行い、現況を確認いたしますとともに、事業化・収益化 を図るように指導を実施いたしました。また、出資法人から研究成果報告書や収益予測等の資料提出 を求め、妥当性の評価を行うとともに、成果管理委員による面接評価を行いました。そうした結果を 踏まえ、2社の存続を決定し、平成19年度に清算の方針が決定いたしました1社の清算を完了いたし ました。2社においては導出先において、製品化に向けた開発が進行中です。また、融資事業について は、償還計画に沿った貸付金の回収を着実に実施しております。  このように評価シート16については、昨年度から実地調査や面接評価を行うなど、承継業務にかか る収益最大化のための取組を強化したことと、1社の清算が完了いたしましたことからA評価といたし ております。研究開発振興業務については以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質 問等がございましたら、適宜ご発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木部会長代理  実用化研究支援事業について質問します。評価シート13-2の平成20年度の業務の実績の<6>の最後 の1行に、「繰越欠損金の増加を抑えるため21年度より新規募集を休止することとしている」と。た だいまの説明資料によりますと、「21年度からは独法整理合理化計画の指摘も踏まえ新規募集を休止 することとした」と書かれております。この事業は利用しようとしていた、あるいはそれを考えてい る人たちにとっては大変重要な変更だろうと思います。このことを、所内ではどのような手続を踏ん で決断をなさったのか。外圧もいろいろあったようですが、その手続についてご説明をいただきたい と思います。また、今後再開の見通し等はどうなっているのでしょうか。お願いします。 ○田村部会長  いかがでしょうか。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  この事業については、ベンチャー企業の支援という医薬品開発にとって非常に重要な業務だと思っ て我々もやってまいりましたが、独法整理合理化計画のほうで指摘をされまして、その中で我々はま ず採択に関しまして、収益性評価などを強化することによって厳しくやってまいったわけですが、あ る程度そうやって採択を厳しくすることにも限度がありますので、これ以上繰越欠損金を増加させな いとなると、休止というのも1つの選択肢ではないかということです。所内でも研究振興部で検討した あと、理事長はもちろん、総務部、企画調整部とも相談いたしまして、それから厚労省のほうとも相 談いたしまして決定をしたわけでございます。新規を採らないことによりまして、これまで採択して おりました継続の案件に対して支援・指導を強化していきたいと考えています。  これを休止しましたもう1つは、株式会社産業革新機構が発足し、そこでベンチャー企業に対する支 援がなされ、その中でライフサイエンス関係も支援していただけるというようなこともありましたの で、この辺の様子も見たいということで一旦中止させていただいたということです。以上です。 ○鈴木部会長代理  そうすると、合理化計画を進めているところから、いわばトップダウンでやめるようにという一声 がかかったというのではなくて、少し前からソフトにそういう勧告があったということでいいのです か。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  平成19年12月に整理合理化計画が閣議決定されたあとに、我々としても本省としても、どういった 形でいくかというのを検討してきた結果でございます。 ○酒井委員  評価シートの13の「適切な案件の採択」の中で、いくつかご説明いただいたのですが、例えば実用 化研究支援事業の中で、「一次評価と二次評価で総合計点に対して7割の足切り云々」というのは具体 的にどんなことなのか、もう少しご説明いただけますか。併せて、簡単でいいですが、その下に「経 営・財務の観点からの定量的評価」とだけありますが、それがどういうことを指しているかをご説明 いただけたらと思います。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  従来は総合計点は6.5割あればよかったのですが、それを7割に上げたということです。 ○酒井委員  具体的に評価項目を持っておられて、それぞれにスコアが配分されているということになるのです か。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  評価項目として、計画の妥当性・実用化可能性、実施体制、技術力、開発品の特性、保健医療への 貢献、収益性、知財・経営があり、合計が120点の6.5割以上としていたものを7割にしたということ です。そのほかに、個別の足切りもあり、例えば収益性が20点満点で知財と経営が5点ずつですが、 それぞれ6割以上の得点が必要となります。 ○田村部会長  ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。  グループ4は「予算・収支計画その他運営業務関係」の項目について評価を行いたいと思います。所 要時間は、法人からのご説明が13分、委員の評定と質疑が15分、合計28分で進めてまいりたいと思 います。まず、法人からのご説明をよろしくお願いいたします。 ○医薬基盤研究所総務部長  パート4「財務内容の改善、その他業務運営に関する重要事項」について説明いたします。説明資量 は116頁からです。まず、評価シート17の「財務内容の改善に関する事項」ですが、117頁、118頁を ご覧ください。当研究所は、医薬品医療機器総合機構、医薬品食品衛生研究所、感染症研究所の3つの 組織の一部を一緒にしまして、新たに立ち上げた法人です。そのことから、医薬品医療機器総合機構 の研究振興業務に係る平成16年度予算額を基に、他の事業分を積み上げたものが平成17年度予算とな っております。平成18年度予算については、平成17年度予算から効率化の対象となる額を基に、効率 化係数分を差し引いたものが基準となって平成18年度予算になっております。平成19年度予算、平成 20年度予算についても同様です。なお、117頁、118頁については、平成16年度における研究振興業 務に係る予算について、先にお送りしました資料に計上・記載に誤りがありましたので、訂正させて いただいております。  119頁です。平成20年度決算においては、左が一般管理費ですが、青のグラフで下のほうに平成20 年度の一般管理費予算17億1,800万円が、赤のグラフで17億3,100万円と予算額を上回りました。こ れは、先ほどパート1でも説明いたしましたが、一般競争入札の拡大、複数年契約によるコスト削減、 霊長類センターでの電話交換業務をダイヤルインに切り替えるなどの節約に努めたところですが、灯 油価格等の大幅上昇等によりまして、結果として予算額を上回ったものです。  事業費については、青のグラフの平成20年度予算が21億800万円でありましたが、赤のグラフの決 算額が24億4,900万円と予算額を上回りました。事業費においては、先ほどご説明申し上げたところ ですが、新規プロジェクトの立上げ、また研究の進捗に伴うこれまでのプロジェクトの設備整備等を 必要としたことから上回ったものです。しかしながら一般管理費、事業費ともに平成17年度から平成 20年度までの予算額全体で見ますと、一般管理費が青のグラフ72億7,900万円に対しまして、赤のグ ラフ70億700万円と96.3%となっております。事業費においては青のグラフ97億5,800万円に対しま して、赤のグラフ96億4,000万円と98.8%となっております。平成20年度においては、こういった 要因で決算額が予算額を上回ったところですが、全体としては削減には努めていると考えております。 なお、平成21年度においては、中期計画に掲げます削減率を達成するものと考えております。  120頁です。運営交付金以外の自己収入として、競争的研究資金、受託研究費、共同研究費等の獲得 状況を表しております。平成19年度に対しまして、約7,600万円減少しております。これは、企業等 との共同研究や受託研究等は拡大に努めました結果、増額となりました。しかしながら、厚生労働科 学研究費補助金について、大型の研究事業が終了したことに伴う切替え等がありまして、採択件数は 増えたものの、全体として獲得額が減少となったものです。  なお、参考といたしまして、科学研究費補助金の新規案件採択率は、当研究所は38.2%です。文部 科学省が公表しております率において、東大、京大よりも高い率となっておりまして、5位の順位に 相当するということで、新規案件についての獲得率等が高いということを、参考にここで申し上げて おきます。  121頁は、開発振興勘定に係る未処分利益についてです。平成20年度未処分利益は約8,100万円と なっておりますが、これは自己収入で購入した資産の期末評価額でありまして、会計処理上発生する もの及び希少疾病用医薬品等開発助成事業の対象となりました企業からの売上納付額、これから当該 事業に係る経費を除いたものが相当いたします。また、積立金については、これまでの各年度の合計 額ですが、中期計画終了後は厚生労働大臣の承認を受けた額を除いた額を国庫納付することとなりま す。  なお、財務に関しては監事監査及び監査法人からは、監査報告書に適正に処理されていると報告を いただいております。以上、評価シート17財務内容の改善については、中期計画に沿って事業の執行 を行っていることからB評価とさせていただきました。  また、監事監査については資料3-3の166頁に添付してございます。監事監査においては業務遂行の 適法性、適正さ、効率性について着目し、研究事業の具体的成果、随意契約の適正化を含めた入札・ 契約状況および情報開示の状況等について監査が行われました。その結果、今後さらに製薬企業、研 究機関など、外部機関との連携・協力が強化されることが望ましいこと。また、和歌山研究部におい ては、いまのままではこれ以上の役割が期待できないことから、現在薬用植物栽培の日本国内回帰の 動きなど新しい動きもあり、こういった環境の動きも勘案しながら、閉鎖も視野に入れた適切な対応 のあり方を検討すべきということ。随意契約については年々減少してきており、適正化が進んでいる こと等の結果報告を受けております。今後、監事、会計監査人、内部監査チーム及びコンプライアン ス委員会等による定期会合を開催し、連携を図ってまいりたいと思います。  資料3-2「平成20年度業務実績評価参考資料」において、財務状況、保有資産、契約にかかる事項 等について記載しておりますので、併せてご説明します。業務実績評価参考資料の1頁をご覧ください。 当期総損失11億円、繰越欠損金306億円となっております。運営費交付金債務は112億円、執行率99 %となっております。2頁をご覧ください。損益計算書の(1)当期総損失10億9,000万円、3頁、貸借対 照表の(2)繰越欠損金306億円、4頁、(3)交付金債務の振替額111億6,000万円となっております。  1頁に戻ります。繰越欠損金は、承継勘定、研究振興勘定の2つの事業で発生しているものです。承 継勘定で257億円、研究振興勘定で54億円となっています。なお、この内容については、先ほどのパ ート3でもご説明したとおりです。研究振興勘定では制度上どうしても発生するもの。承継勘定につい ては、医薬品医療機器総合機構から引き継いだものです。  3頁の参考2の(1)保有資産の管理・処分の状況です。当研究所は平成17年に設立された法人で、整 理合理化計画で処分する資産等も該当していない状況ですが、今後必要に応じて見直しを図っていく ことと考えております。(2)資産運用に関しては、時価又は為替相場の変動に影響を受ける可能性のあ る運用は行っておりません。国債・地方債等での運用となっております。  21頁、参考4「契約」に関してです。規程類、体制の整備状況は、総合評価方式、企画競争及び公募 の契約方式についてマニュアルを作成しました。国の基準を上回っておりました2つの事項、公告期間 の起算日の取扱い、予定価格調書の作成省略に関する基準については、国と同じ基準といたしました。 また、決裁等、複数の者が確認しておりまして、内部監査、監事監査での監査体制の強化を図ってい ます。(2)「随意契約見直し計画」の実施・進捗状況です。平成20年度においては平成19年度と比較し まして、件数は30件の減の29件、金額は6億1,800万円の減の11億円となっております。着実に取 組が進んでいると考えております。  22頁、参考4の2、平成20年度の契約の実績です。随意契約については29件の7.3%となっており ます。29件の内訳ですが、これには、厚生労働大臣の指定に基づく企業等の希少疾病用医薬品等開発 研究費の助成に関するものが12件含まれております。また、ガス、水道等の公共料金、土地借料、官 報掲載料の契約の相手方が特定されるものが8件あります。残りの9件については、複数年契約を実施 しているものもあるところですので、順次競争入札に切り替えていくこととしております。  23頁下の欄の関連法人との平成20年度実績ですが、競争入札2件、随意契約3件となっております。 競争入札2件については、霊長類医科学研究センターの医科学用霊長類育成委託事業と電話交換業務で す。電話交換業務については、平成20年6月に契約を打ち切りまして、ダイヤルインに切り替えてお ります。また随意契約業務3件については、一般競争で入札いたしました医科学用霊長類育成委託事業 に関連しました研究支援にかかる業務委託で、当該支援事業についても、契約を締結しなければ目的 を達せられないとの判断から、随意契約としております。今後とも真に随意契約によらなければなら ないものを除き、競争入札に移行していくこととして見直しを図ってまいります。  29頁をご覧ください。関連法人への業務委託や出資等の状況です。まず、当研究所の役職員が再就 職をしている関連法人はありません。また出資等の状況ですが、旧医薬品副作用被害救済・研究振興 調査機構から医薬品医療機器総合機構を経まして、当研究所が株式を取得、承継したものです。以上、 業務実績参考資料の説明を簡単ですが終わらせていただきます。  評価シート18「その他業務運営に関する重要事項」についてです。説明資料は122頁です。人事に 関する事項です。研修の実施については、国内外の専門家を招いてセミナー等を開催したほか、他の 機関との共同セミナーに研究者を参加させるなどの研修を行いました。また所内研究発表会、研究成 果発表会を実施し、所内の情報交換を進めるとともに、職員の連携が図られたところです。また、人 事配置として、先ほど申し上げましたが、iPS細胞をはじめとする幹細胞の創薬応用に向けた研究推進 のため、各プロジェクトから適任者を併任で配置いたしまして、各プロジェクト共同、共通、横断的 な研究を実施するよう「iPS・幹細胞創薬基盤プロジェクト」を設置したところです。  123頁は「人事評価制度の運用」です。平成17年度、制度の検討。平成18年度、制度の試行。平成 19年度試行・見直しを経まして、業務評価シート及び人事評価マニュアルを作成しまして、リーダー 連絡会等における職員への周知、説明の上、平成20年度から本格実施しました。なお、評価結果につ いては、平成21年度の賞与等に反映させることとしております。  124頁は「職員の採用状況」です。平成20年度においては基盤的研究部以外にも、生物資源研究部 も含めまして、任期付研究員3名を専門誌への募集広告の掲載等広く公募を行い、採用いたしました。 また公正を期するため、内部職員による人事委員会を開催したところです。  125頁はセキュリティの確保です。当研究所は、IDカードによる入退室の管理システムを導入してお りますので、新任職員への指導等、周知徹底を図っております。また、新たに入室者を限定するなど、 ES細胞室の入室管理の強化を図ったところです。最後に、施設及び設備に関する事項です。霊長類医 科学研究センターがかなり老朽化しておりまして、動物系・一般系汚水処理施設並びに廃棄物処理等 の改修工事を行いました。また、今後の研究に非常に重要となります次世代シークエンサー等が整備 されたところです。  以上のとおり、評価シート18についてはセミナーへの積極的参加、実施、またiPS細胞をはじめと する幹細胞の創薬応用に向けた所内における横断的プロジェクトの設置、任期付研究員の積極的採用、 人事評価制度の本格実施等、中期計画を上回って達成したところからA評価とさせていただきました。 簡単ですが、以上でございます。評価のほど、よろしくお願いいたします。 ○田村部会長  ありがとうございました。委員の皆様には、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質 問等がありましたら、適宜ご発言をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木部会長代理  職員の採用状況ですが、現在外国人研究者、女性研究者はどのぐらいの人数でしょうか。もう1つは、 フレックスタイム制を採用しておられるのでしょうか。その点を質問します。 ○医薬基盤研究所理事長  いま正確なことははっきり申せませんが、インド人、中国人の研究者を含めまして、外国人研究者 は5人です。女性の研究者は、少なくともプロジェクトリーダーは2人で、研究員は女性の研究者は随 分率が高いです。 ○鈴木部会長代理  外国人研究者、去年は3名とおっしゃっていましたか。 ○医薬基盤研究所理事長  特にバイオインフォマティクスのところで、あと3人ぐらいですか。特任研究員として増えておりま す。 ○鈴木部会長代理  フレックスタイム制については。 ○医薬基盤研究所総務部長  フレックスタイムについては、研究者で2人ほど該当の方がいらっしゃいます。 ○田村部会長  そのほか、ご発言はありますか。 ○酒井委員  セキュリティに関して、先ほどご説明を受けたようなES細胞室の入退は非常に大事だろうと思いま すが、ITネットワークのところのセキュリティというのは、どんな準備をされているのでしょうか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  IT関係については、外部の企業の方にお願いをして、一般に研究所として求められるレベルのもの は対応しております。ファイアウォールもきちんと立てておりますし、定期的にウイルス汚染がない かどうかも確認をしております。手元に資料がありませんので、概略としてはそんなところになりま すが、以上です。 ○医薬基盤研究所理事長  外部機関の専門家に委託しまして、常駐しています。 ○酒井委員  わかりました。 ○清水委員  配付されているA3の資料の例えば16-2ですと、字が違うのではないかなと思っただけですが、いち ばん最後の「承継業務の適性な実施」の適性の「性」が違うのではないかなと思います。たぶん、一 連のものが違っていると思います。  それと、質問を1点だけお願いします。パワーポイントの121頁で、希少疾病用医薬品等開発助成事 業の納付金があるというご説明でした。いままであまりお話を詳しくお聞きしていなかったと思いま すが、これはいくらぐらいあるのですか。それと、毎年傾向としてはどんな感じですか。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  平成20年度が9,962万3,000円ございます。これまでに基盤研が徴収した納付金額を合わせますと、 4.21億円となっております。 ○清水委員  それは、要するに利益部分ですよね。売上げから経費を引いた部分が平成20年度は9,000万円ある のですか。 ○医薬基盤研究所総務部長  この業務にかかる一般管理費、事業費等はこの納付金から賄うことになっておりまして、その残り の部分がこの未処分利益ということです。 ○清水委員  その差し引きの部分が9,000万円ですか。要するに、このパワーポイントですと平成20年度が 8,100万円と書いてありますが、1つは自己収入で買われた資産だということと、もう1つありますよ ね。8,000万円より少ないはずです。 ○医薬基盤研究所総務部長  その納付金の分は1,900万円です。 ○清水委員  今度の財務のときで結構ですが、推移と、あとこれは何に使われるご予定なのかということですね。 ○医薬基盤研究所総務部長  最終的にはこの積立金については、中期計画終了後に国に納付する形になります。オーファンの納 付金での積立金は、平成20年度の決算で1億200万円ほどの金額となっております。約1億円ほどで す。 ○清水委員  1億円というのは累計ですか。 ○医薬基盤研究所総務部長  累計です。 ○清水委員  今日でなくて結構ですので、時系列的に納付金があって経費があって、差し引きいくら利益に貢献 していて、それがどういう使われ方をしてきたのかということですよね。時系列的な資料で10日にお 願いできればと思いますが、よろしくお願いします。 ○田村部会長  この件をよろしくお願いいたします。そのほか、ご発言はありますか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  先ほど直ちにお答えできずに、誠に申し訳ありませんでした。資料を確認いたしましたところ、記 載されているところがわかりましたので、そのご報告をします。薬用と霊長類の件です。薬用植物に ついて、ご質問のありました11-5などで書いてあります戦略的事業展開のところでなぜ書いているか ですが、3-1です。 ○鈴木部会長代理  シートですか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  評価シートのA3の右下の頁の3-1です。戦略的事業展開のところで薬用を書きましたのが、こちら のほうの右端の(2)の外部評価で薬用についてもきちんと評価をしておりますというつもりで、ここは 書いています。それと5-1の薬用関係については、先ほど<7>とお答えしました。これ以外に明示的に は書いていないですが、<6>でも共同利用で、薬用は実施をしています。  右下の頁の11-2の薬用についての分譲実績というお尋ねがありましたが、これについては11-2の <3>、非常にわかりにくくて申し訳ないですが、こちらをご覧いただきたいと思います。「種子交換目 録」と書いてありますので非常にわかりにくいですが、その行の右端に1,837点の請求がありまして、 1,799点の種子を送付しています。これを分譲しているということです。 ○鈴木部会長代理  これは私も読んでいますが、国内に対する配付と種子の提供状況がわからないということを申し上 げています。これは国際的なものですね。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  ここでは国内外の機関にということですので、内訳ということですね。 ○鈴木部会長代理  これでいいですが、実質的に具体的に、この両センターはいろいろな資源を提供するセンターとし て、どれだけの実績を年間上げているか。いくつぐらいの施設にどれだけのものを提供しているか。 そして、共同研究はどういったところとどういうテーマでやっていらっしゃるのか。施設の共同利用 については年間何件ありましたかという、具体的な成果をこのセンターにも述べていただきたいとい うことをお願いしています。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  わかりました。詳細については、後ほど調べさせていただいてお答えしたいと思います。共同研究 については、今日お手元のほうに配付をしています「議事終了後回収」と赤で書きました紙がありま して、これがまさに生のデータです。昨年も会議のときに回収しましたが、相手のありますことです ので企業秘密の関係もありまして、あとで回収させていただきますが、薬用についてカウントしまし たら、共同研究については8件実施をしております。霊長類関係は2件実施しております。また、受託 研究については霊長類で2件それぞれ実施をしてございます。 ○鈴木部会長代理  ありがとうございました。 ○田村部会長  先ほどの件は、ご準備いただけるということでよろしいですか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  詳細については、後ほどご準備させていただきたいと思います。 ○田村部会長  ほかにご発言はございますか。 ○酒井委員  全体的なことでもよろしいですか。2つお聞きします。これは午前中の健康・栄養研も委員から質問 が出ていたのですが、来年度統合というお話があって、理事長が最初に少し触れられたのですが、い ま統合した中でそれぞれの特徴を活かしながら、どんな研究所にしていこうかという議論が多少でも されているのでしたらば、差し支えない程度ご紹介いただけないかなというのが1つです。というのは、 それぞれの研究所に非常に特徴があって、それぞれ個性ある研究をやっておられるわけですが、その 統合効果、シナジー効果がきちんと出るような形で統合していただきたいというふうに非常に希望し ておりますので、その辺で何かありましたらというのが1つです。  もう1つは、今日始まる前に研究所の概要のようなことを政策評価官から説明を受けたのですが、医 薬基盤研究所の概要として、医薬品技術の向上はいろいろ聞いていますが、「及び医療機器等の技術 の向上のための基盤の整備を図り」というのが、今日ずっと聞いた中で、医療機器等の技術の向上と いうのがどういう位置づけになっているのかというのが、聞いていてもなかなか理解しきれなかった のです。もし何か補足いただければと思います。 ○医薬基盤研究所理事長  お答えします。統合に関しては、具体的にシナジー効果を含めたようなディスカッションはこれか らになると思っております。これは厚生労働省のリーダーシップの下にやることになると思いますの で、それと国立健康・栄養研究所の理事長も変わられたということで、これからだと思っております。  医療機器に関しては、基盤研の研究としてはプロジェクトも少ないですし、それに対して特化して やるようなことは行っておりませんが、そのファンディングのほうではかなり力を入れて、いろいろ なところに実用化研究支援事業、基礎研究事業ともに、毎年1件から多いときには基礎研究では5件ぐ らいのファンディングを行っておりまして、こちらには力を入れてファンドを行いたいといまやって いるところです。 ○酒井委員  それが、例えば具体的にはどんなテーマかというのは、教えていただくことはできるのですか。 ○医薬基盤研究所理事長  また資料をお渡ししますが、例えば実用化のほうでは平成17年度であれば歯茎の骨の再生医療とか 自己再生角膜、平成18年度は人工骨。基礎研究の推進事業に関しては、診断機器とかペースメーカー に対して、平成20年度は再生医療とか人工心臓に対してファンドを出しております。 ○酒井委員  どうもありがとうございます。 ○田村部会長  ほかにご発言はありますか。 ○鈴木部会長代理  感想を述べさせていただきます。医薬基盤研究所は、設立後4年が経過しましたが、2つのセンター も同化し、研究所としてのまとまりをみせ、一体化してきているように感じます。その主な要因とし ては、基盤的研究部が各プロジェクトの最先端のテクノロジーを駆使して、しっかりと優れた成果を 出してきたことだと思います。研究所の方向性は私も正しいと思いますが、今後はあまりレパートリ ーが広がりすぎないように、どうレギュレートするかが重要になるのではないか。また研究業績だけ ではなくて、所員の勤務環境などにもきめ細かに配慮して、我が国のリーディングインスティテュー トに相応しい研究所を目指していただきたいと思います。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ほかにご発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは、政策評価 官室さんにバトンタッチしたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  お疲れさまでございました。評定のほうの記入ですが、まだ終わっていない委員の方におかれまし ては、このままこの会場でお書きいただいて提出いただいても結構ですし、またお持ち帰りいただい て後日提出いただいても結構です。お持ち帰りいただく場合には、8月5日(水)までに提出いただけれ ばと思います。よろしくお願いいたします。  また、今後のスケジュールですが、茶封筒に出欠のご連絡をいただく紙を入れていますので、もし この場でご出欠のご予定がお決まりになっている場合には、本日帰りながらにでも提出いただければ と思います。もし、こちらもお持ち帰りいただく場合には、それぞれいつまでにご連絡いただきたい かということを書いてございますので、期限までにご連絡いただければと思います。  次回の開催は、8月6日(木)朝9時からとまた早い時間帯ですが、よろしくお願いいたします。場所 は、港区芝公園にあります労働委員会会館の講堂をお取りしてございます。議題は、労働安全衛生総 合研究所の個別評価、その他となってございます。以上、過密なスケジュールではございますが、ど うぞよろしくお願いいたします。以上です。 ○田村部会長  本日は、以上とさせていただきたいと思います。長時間にわたりまして、熱心なご議論をありがと うございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)