09/07/30 第43回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会議事録 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第43回) 開催日時:平成21年7月30日(木)9:03〜15:40 開催場所:厚生労働省共用第7会議室 出席者 :上野谷部会長、大島部会長代理、平井委員、真野委員、浅野委員、      宗林委員、松原委員 ○政策評価官  定刻になりましたので、ただいまから第43回厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会を 開催いたします。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、また大変暑い中お集まりいただきまし て、本当にありがとうございます。本日は新しい任期のもとでの第1回の会合となりますので、後ほど 委員の皆様方に部会長をご選出いただきますが、それまでの間、政策評価官の私、塚崎が議事の進行 をいたします。よろしくお願いいたします。また、私は7月28日付で政策評価官を拝命しております。 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。  事務局をご紹介いたします。室長補佐の廣井でございます。 ○政策評価官室長補佐  引き続きよろしくお願いします。 ○政策評価官  それでは、委員の皆様方をご紹介いたします。皆様には、先に辞令を郵送しましたが、厚生労働省 独立行政法人評価委員会委員または臨時委員として、本年6月30日付で厚生労働大臣の任命が発令さ れています。また、昨日開かれました委員会総会におきまして、皆様方の医療・福祉部会への分属が 正式に決定しております。  お手元の資料1-1をご覧ください。五十音順で上からご紹介いたします。五十嵐邦彦委員です。本日 はご欠席でございます。上野谷加代子委員、大島道子委員です。平井みどり委員です。新任です。真 野俊樹委員、浅野信久委員、宗林さおり委員です。關宏之委員は新任です。本日はご欠席です。松原 由美委員です。  それでは議事に入ります。議事の(1)「部会長、部会長代理の選出」です。最初に部会長の選出を お願いいたします。選出手続をご説明します。お手元資料1-3-1の厚生労働省独立行政法人評価委員会 令第5条第3項に「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」とございます。 したがって、委員の皆様方からご推薦をいただけますでしょうか。 ○真野委員  医療・福祉部会ですが、こちらの独立行政法人は、国民の安全・安心に欠かせない業務を担ってい ると思います。そういう意味でも社会福祉分野に広くご見識があられ、いままで部会を取りまとめて いただきました上野谷先生に前期に引き続きお願いしたらどうかと思っておりますが、いかがでしょ うか。 ○政策評価官  どうもありがとうございます。ただいま真野委員から、上野谷委員を部会長にというご推薦がござ いましたが、いかがでしょうか。 (各委員異議なし) ○政策評価官  それでは上野谷委員に部会長をお願いしたいと思います。以後の議事進行については上野谷委員に お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 (上野谷委員は部会長席へ移動) ○上野谷部会長  それではご指名ですので、部会長を務めさせていただきます。前回に引き続き、どうぞよろしくお 願いいたします。  引き続きまして部会長代理をご指名したいと思います。部会長代理は、先ほどの評価委員会の委員 会令の第5条第5項において「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長が あらかじめ指名する者が、その職務を代理する」こととされております。したがいまして、私、部会 長が指名することとなっておりますので、指名をさせていただきます。  これまでの医療・福祉の現場におけるご経験、そして障害者施策をはじめとする社会福祉分野にご 見識をお持ちで、前回の委員でもありました大島委員に部会長代理をお願いしたいと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 (大島委員は部会長代理席へ移動) ○大島部会長代理  大島でございます。お役に立つかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。 ○上野谷部会長  では、議事に沿いまして進めていただきます。今日は3時半に終了したいと思っておりますが、長丁 場ですので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事次第では、医療・福祉関係の独立行政法人の概要等の説明となっておりますが、本日ご出席の 委員の方々は前年度からの委員であり、既にご存じのことですので説明を省略し、時間の関係もあり ますので、議事(3)「平成20年度業務実績評価実施に当たっての評価方法の変更について」から始めま す。  まず、評価の進め方について説明をして、その後、昨年度からの変更点についてご説明いただきま す。事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  まず、この後に行う個別評価の手順について説明いたします。資料1-5-1です。(1)各法人の理事長 が、年度業務実績の概要(重点事項)について10分程度で説明を行います。その後、評価項目全体を 4つ程度のパートに分け、法人の担当部長から、業務実績及び自己評価を20分程度で説明いたします。 それから、委員の皆様から質疑、その応答を行っていただきつつ、委員の皆様方におかれては「評定 記入用紙」、今回から「評定記入用紙」というものを作っており、これが福祉・医療機構の場合では 資料2-1-2になっていますが、これに記入していただければと思います。その中に評価としてS、A、B、 C、D及び理由等を記入していただきます。よろしいでしょうか。 ○真野委員  少し前と違うのですが、評定がありますね。自己評価があって、右側に評定がありますね。ここに 委員が書きますね。その下に「委員会としての評定理由」というのは、これは委員一人ひとりでは書 けないですよね。 ○上野谷部会長  20分ご説明いただいて、後の20分は、質疑をしながらこの評定も付け、なおかつ理由を書いてしま うわけですね。 ○政策評価官室長補佐  はい、そういうことです。ですから、そこは去年と同じです。様式を作ったというだけです。 ○真野委員  別個にこれに書くことになったということですね。 ○上野谷部会長  いつもこの大きいものに書いていたのが、これにまとめていただいたということで。 ○政策評価官室長補佐  はい、そうです。 ○上野谷部会長  そういうことですので、この評価シートを見ながら、ご説明を聞きながらということになりますか。 ○政策評価官室長補佐  そうです。記入が終わりましたら、次のパートの説明を行うという流れで進めていきたいと思いま す。なお、評価に当たりましては、資料に留意事項として点線で囲っておりますが、具体的な業務実 績、目標、達成度合を考慮して、それらと整合性のある、より客観的な評価となりますよう、SからD までの評定とその理由を付していただくようお願いします。  また、昨年度からの取組みとして、独立行政法人整理合理化計画を受け、「独立行政法人監事と連 携した評価」、それから「国民の意見を踏まえた評価」、いわゆるパブリックコメントを行うことと しておりますので、これらについても法人から説明がありました場合、評価への反映をお願いします。  委員の皆様の評価がすべて終わりましたら、事務局で集計を行いますので、先ほど申しました評定 記入用紙をご提出いただき、それを基に評価書案を起草委員の先生と法人所管課とともにご相談いた だきながら作成をしていただきます。そして、当該法人を審議する次回の部会、総合評価部会と申し ておりますが、その部会において、評価書案を皆様にご審議いただき、評価書を決定するという流れ になっております。  以上が全体の流れですが、その後の資料1-5-2、1-5-3は業務実績に関する評価を行うための基準と その細則となっており、ここでの評価というのはこれらに基づき評価を行っていただいているもので す。  資料1-5-4は、各法人の評価書案を作成いただく起草委員について、これまでのご担当・ご専門を踏 まえて、医薬品医療機器総合機構では平井委員、浅野委員、宗林委員、福祉医療機構については、上 野谷部会長、真野委員、松原委員、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園においては、大島部会長 代理、關委員、財務諸表等会計に関する意見担当を五十嵐委員として、担当案を作成しましたので、 ご確認とご了承をいただければと思います。  この部分の説明は以上です。 ○上野谷部会長  少し忙しいやり方をさせていただきますが、それぞれのご説明が終わりまして討論をしながら評価 はしますが、できないときにはお残りいただいたり、またお持ち帰りいただくということも、後で事 務局から説明がありますのでお願いいたします。  さて、起草委員は1-5-4にあるように、それぞれの委員の方々に起草していただくということで、よ ろしいでしょうか。 (各委員了承) ○上野谷部会長  ご担当いただきたいと思います。ありがとうございます。 ○政策評価官室長補佐  昨年度との変更点をご説明いたします。資料1-6-1、各法人における法人の評価結果については、政 策評価・独立行政法人評価委員会、略して「政・独委」と言っておりますが、そこに通知しており、 政・独委はこれを基に二次評価を行うこととなっております。その二次評価の結果については、意見 という形で厚生労働省独立行政法人評価委員会に通知されることとなっており、これを二次意見と言 っております。  その政・独委から平成21年3月30日付で二次評価を実施するに当たって当面の視点「独立行政法人 の業務の実績に関する評価の視点」が示されております。内容については、資料1-6-2になっておりま す。  資料1-6-3については、政・独委がこの評価の視点に沿って二次評価を行うに当たっての具体的な取 組み方針を示したものとなっております。そこで、これまで各法人の業務実績評価シートに設けてい た評価の視点に加え、「政・独委の評価の視点」を新たな評価の視点として追加することとして、各 部会における業務実績評価を行っていただきたいと考えております。  各委員に行っていただく評価方法については、資料1-6-4という評価シートの横になったものが付い ておりますが、これまでと大きな違いはございません。これまであった評価の視点に、この1-6-4の中 段ぐらいの所に下線を引いた部分があり、ここに「政・独委の評価の視点」を入れており、この部分 も踏まえた評価を行っていただきたいと思います。  それから、「政・独委の評価の視点」の各事項を評価する必要がありますので、昨年度も同様の資 料を付けておりましたが、業務実績評価シートの付属資料として1-6-5にありますように、「平成20 年度業務実績評価参考資料」を添付することとしております。  さらに、「政・独委の評価の視点」が評価シートの何ページ目に盛り込まれているかがわかるよう にするために、「対応状況一覧表」についても机上に資料として配付をしております。それが1-6-6に なりますが、各法人がそれぞれ1-6-6と同じような一覧表を付けることとしております。  以上、ご説明しました内容を、平成20年度の実績評価から行っていただくこととしており、昨日の 総会でご了承をいただいたところです。つきましては、この「政・独委の評価の視点」も踏まえたご 評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○上野谷部会長  どうぞご質問、あるいは少し理解を深めるという意味で、昨日総会でも少し議論、あるいは理解を 深めるための協議がありましたが、いかがでしょうか。 ○大島部会長代理  1-6-4の評価シートに関することですが、いちばん左の部分が今度新しく付け加えられたということ ですが、ご説明のときに、そこの所もそれぞれの法人の方が説明されますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  そうです。いままでどおりこの評価シートを説明していただきますのと、「政・独委の評価の視 点」ということで、特に注意書きで括弧書きを付けていますので、そこは言っていただくようにした いと思います。 ○大島部会長代理  評価のときにいちばん左をしっかり参考にしながら、真ん中を見ていくわけですね。 ○政策評価官室長補佐  そうです。それで自己評価の部分でも、「評価の視点」に応じた自己評価の部分、真ん中の部分も 説明していただけると思います。 ○大島部会長代理  ありがとうございます。 ○上野谷部会長  真野委員どうぞ。 ○真野委員  総会でも少し話題に出たかもしれませんが、財務的な部分の視点は、個別に考えるのでいいという 見方もあるでしょうが。何が言いたいかというと、政・独委から追加されたものなどを見ると、資産 など財務的なものが結構多いのですが、昨日も少し話題に出ましたが、その辺はもうどこまで財務的 なものを見るのかというところは、もうこれは各委員の判断でやるしかないですね。 ○政策評価官室長補佐  そのとおりだと思います。特にこういう基準でというものはなかなか決めづらいと思います。それ ぞれ法人の会計の処理の仕方も違うと思いますので、委員の皆様のご見識で判断していただければと 思います。よろしくお願いします。 ○大島部会長代理  S評価とA評価の違いですが、判断の基準がありますでしょうか。「Sを付けたのにAになりまし て」と、よく昨年は言われまして、Sは「大幅」だから、そこそこですとやはりAとかBで、Bが普通 なのかと思いますと、Bを付けられると大変なことだといったようなことをおっしゃった方もいらした ので、その辺の基準というのは何か今年はありますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  そこは昨年ももう少し点数化しようかとか、いろいろな議論があったのですが、今年度もやはりそ この議論は全くされていなくて、昨年に引続き先生方の見識でやっていただきたいと思います。政・ 独委からは何らかの形でもっとわかりやすくしろとは言われております。そのために理由付けをして いただくような形にしたものです。その理由で「大幅」と、感覚的にはBが「概ね合致している」で、 通常どおりやっていればBということでいいかと思います。ただ法人側からすれば、結構AとかSが付 いているのが普通のような形のところもあるのです。Bを付けられてしまうとちょっと嫌だなというの があって、そういう発言はあるかもわからないですが、常識的に考えれば、普通にやっていればBだと。 それを目標値が少し上回っていればAで、その上回り具合が10%なのか20%なのかが去年話題になっ たところだと思います。そこは先生方の御見識でお願いしたいと考えております。 ○大島部会長代理  では個々の判断でよろしいということですか。 ○政策評価官室長補佐  はい、お願いします。 ○上野谷部会長  よろしいでしょうか。目標を「大幅に上回っている」。要するに目標に関してどうなのかという判 断になりますので、その辺りをお願いしたいのと、それから政・独委からも世の中の状況によって、 外圧によって変わったのか、法人の事業努力によって変わったのかの理由付けが曖昧であるというよ うなご指摘もありますので、今回、政・独委からのご指摘も頷ける点と、こちらとしてはしっかりと 評価したいのだけれどもという気持もありますが、しかしご意見をいただいているので、しっかり政 ・独委のご意向・ご意見も受け止めた上で、しかし真野委員もおっしゃったように、こちらの主体的 な評価をしていただくということでお願いしたいと思います。丁寧に入れていただいておりますので、 委員の方々の評価の中に、政・独委からのご指摘を入れたものの評価をしていただくということで、 よろしいでしょうか。そういう方針でやらせていただきたいと思っております。厳しく、しかし適切 に評価をしていただくということで、2期目になるとお顔が見えるので、やや甘くならないように、適 切に評価をお願いしたいと思っております。  それでは次の議題に行かせていただきます。議題(5)です。「今後のスケジュールについて」、お願 いします。 ○政策評価官室長補佐  資料1-8、主に8月までの医療・福祉部会の開催スケジュールになっております。8月21日までに、 本日を入れて3回と予備日を1回予定しております。予備日は、各法人の個別評価が時間内に終わらな かった場合に行うことを予定しておりますが、委員の先生方もご多忙とは思いますので、予備日はな るべく使わないようにと考えております。  なお、医薬品医療機器総合機構については、平成20年度で第1期中期目標期間が終了したので、中 期目標期間全体の評価である最終評価を行う必要があります。このため、8月21日に総合評価を行っ た後に、引き続き最終評価を行うこととしております。過密なスケジュールですが、何卒ご出席をよ ろしくお願いします。 ○上野谷部会長  それでは、新任期の部会で行うべき事項、特に1回目についての事項は以上になります。何かご質問 はございますか。よろしいですか。それではちょうど30分ということです。これから福祉医療機構の 個別評価をいたします。個別評価に入る前に担当法人課の入室です。5分ほど休憩を取ります。 (法人及び法人所管課入替) ○上野谷部会長  お待たせいたしました。福祉医療機構の個別評価に入ります。最初に、長野理事長から、ご挨拶と 年度業務実績の概要、重点事項に絞ってのご説明をお願いいたします。 ○福祉医療機構理事長  いまご紹介をいただきました、福祉医療機構理事長の長野です。平成20年度の事業実績について、 私から総括的なご報告をさせていただきます。資料2-5「独立行政法人福祉医療機構平成20年度業務 実績の概要」に沿って説明させていただきます。  1頁で、当機構の概要を簡単に説明させていただきます。当機構は、平成15年10月1日に設立され た、厚生労働省所管の独立行政法人です。資本金は全額政府からの出資金であり、平成21年3月31日 現在において約3兆95億円となっております。このうち約2兆7,200億円は、平成18年に、年金資金 運用基金の解散に伴い、年金資金住宅融資等の貸付金債権を全額政府出資金として受け入れたもので す。また、約2,800億円は長寿・子育て・障害者基金です。役職員数は、平成21年3月31日現在にお いて257人です。  右側の図は、当機構の役割を図で表したものです。当機構は、国の福祉・医療政策と連携いたしま して、8つの事業を展開し、さまざまな民間の福祉・医療関係者を支援し、我が国の福祉と医療のネッ トワークによる地域社会づくりの実現に寄与しているところです。  2頁ですが、昨年10月に独立行政法人創立5周年を機に、職員全員が参加し、当機構の経営理念を 策定いたしました。「民間活動応援宣言」として、国民の皆様へ発信したところです。お客さま目線 を大切にし、公共性、透明性に加え、自主性を意識した業務運営を行うことにより、地域における福 祉と医療の向上を目指す民間活動を応援することを目的としております。右側がその経営理念である、 「民間活動応援宣言」となっております。今後とも、当機構が国民の皆様に信頼される組織となるよ う、私自身先頭になって取り組み、国の福祉・医療政策との密接な連携の下、政策効果が最大となる よう、「民間活動応援宣言」を推進していく所存です。  3頁ですが、私ども独立行政法人も「整理合理化計画」において、内部統制・ガバナンス強化に向け た体制整備が求められております。ここでは、当機構におけるガバナンス強化の取組み状況を簡単に 説明させていただきます。資料の右下ですが、内部チェック体制として、効率的な業務運営体制の確 保及びリスク管理体制強化の観点から、役員会、経営企画会議、幹部会の開催、また、監事監査、 ISO9001に基づく品質マネジメント・システム内部監査を実施しております。外部チェック体制として は、透明性の確保の観点から、皆様方による評価委員会評価、会計検査院の検査、会計監査人による 外部監査、QMSの外部監査を受けております。  さらに左側で、理事長チェック体制として、トップの意思によるガバナンスとして、私自身の経営 のものさしであります、お客さま目線と組織の健全性を踏まえ、平成20年度から経営理念の策定をは じめ、各種の改革に取り組んでおります。  このようなガバナンス強化の取組みにより、当機構が抱える各種リスクに対応し、独立行政法人に 求められている公共性、透明性、自主性を高めてきたところです。ガバナンス強化に向けた体制整備 の強化は、経営の方向性や経営者の考え方の明確化につながると考えております。職員が、物事に対 して主体的に取り組み、創意工夫に満ちた、強く明るい職員を目指し、働きがいのある職場をつくり、 その結果、お客さま満足度が増すことと私は確信しております。  4頁で、「平成20年度の主な取組み状況」についてご説明いたします。資料中央の赤で囲った部分 は、法人全体における業務運営の改善・効率化に対する取組みです。経営理念を策定し組織力を向上、 QMSによる継続的改善を実施いたしました。次に、当機構の組織横断的な取組みとして4つのプロジェ クトチームを設立し、福祉と医療の民間活動を応援しました。また、平成19年度に策定した業務・シ ステム最適化計画の推進、随意契約の適正化及び一般管理費等の経費の節減に取り組み、法人全体の 業務運営の効率化を図ったところです。各8事業の取組みについては、後ほど説明がありますので私か らは省略させていただきます。  5頁で、「平成20年度の財務状況」について説明いたします。この表は、8勘定を合計した数字です。 左側の貸借対照表ですが、総資産は約6兆5,300億円です。このうち貸付事業に係る貸付金が長短合わ せて5兆7,400億円と、資産全体の約87%を占めています。一方、負債は約3兆4,400億円です。この うち貸付事業に係る貸付原資である借入金及び債券が約3兆3,500億円、負債全体の約97%を占めて います。純資産の部ですが、資本金は全額政府からの出資金で約3兆95億円です。  次に損益計算書です。経常収益は約2,860億円です。このうち、国からの補助金及び運営費交付金等 の補助金等収益が約620億円、貸付事業における利息等の自己収入が約2,200億円となっております。 経常費用は約1,950億円です。このうち、各業務に係る経費は1,920億円、人件費は25億円となって おります。この結果、当期総利益は1,291億円です。このうち913億円は年金住宅融資等債権管理回収 業務に係るもので、機構法に基づき、本年7月10日に国庫納付しております。また376億円は、心身 障害者扶養保険事業に係るものであり、繰越欠損金に充当しております。  右側のグラフは、一般管理費等の節減に対する取組状況です。第2期中期目標期間中に一般管理費に ついては、平成19年度の予算額に対し平成24年度末で15.5%節減するとの目標を立てております。 平成20年度においては、平成20年度予算の縮減幅3.1%を上回る8.7%、金額にして約5億5,000万 円の削減を実施したところです。  6頁は、「平成20年度における特記事項」として、私から2点説明させていただきます。左の(1)の 「経済情勢に対応する緊急融資の実施」ですが、100年に一度と言われる経済情勢の中で、当機構とし ては金融危機に対応した国の「安心実現のための緊急総合対策」の一環として、福祉施設、医療施設 の経営の安定化を図るための運転資金を融資する等の特例融資を、記載のとおり迅速に実施したとこ ろです。厳しい状況に置かれている福祉施設や医療施設の経営を支えていくことが、政策融資の果た すべき役割であると認識し、積極的に対応したところであります。まさに、お客さま目線に立った対 応であります。  さらに、平成21年度におきましても、補正予算における経済危機対策に対応し、更なる優遇措置を 実施し、福祉施設、医療施設の経営を支援してまいる所存です。  2つ目は、右の(2)の「福祉医療貸付事業のリスク管理債権比率増加」です。福祉医療分野の政策金 融を担う機関として、リスク管理債権比率の増加は大きな課題として認識し、平成20年度において、 機構横断的な作業チームを立ち上げ、リスク管理債権の発生要因の分析と、その抑制に努めてきたと ころであります。しかしながら、累次のマイナス報酬改定、経済情勢の悪化等、福祉・医療を担う法 人は非常に厳しい状況に置かれておりまして、リスク管理債権比率の増加はとどまらず、その結果、 リスク管理債権比率は2.97%と、目標の1.56%を超過したところであります。  債権区分別に見ると、主な増加要因としては、貸出条件緩和債権の増加が挙げられます。今後、リ スク管理債権比率を急激に減少させることは厳しい面もありますが、第2期中期目標で示されました目 標に向かい、リスク管理債権の未然防止と抑制に努めてまいりたいと思います。具体的には、現在、 貸付残高のある直接貸付先1万2,000法人のうち、リスクレベルに応じて、個別に私を含めた役職員が 貸付先を訪問するなど、個々の法人のフォローを徹底していきたいと考えております。当機構の総力 を挙げて取り組み、当機構の融資を通じて蓄積された豊富なデータやノウハウを最大限に活用し、施 設経営者を支援してまいる所存であります。  また、現状の厳しい経営環境を勘案すると、今後も貸出条件の緩和による支援が重要であると考え ております。そのため、一時的にリスク管理債権比率が増加することが見込まれますが、直近の実績 によると、2年程度の条件緩和期間終了後には、約77%の貸付先が正常化しておりまして、新たな融資 を行うことと並んで、重要な政策使命であると考えております。金融機関としての健全性の確保と、 政策実施機関としてのお客さま目線に立った施設経営の維持、再生支援、即ち私の経営のものさしで あるお客さま目線と健全性、この2つの適切なバランスをとることが私の使命であると強く認識してい る次第です。  以上、平成20年度業務実績の概要の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございまし た。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。これからの進め方ですけれども、福祉医療機構の個別評価については、 少々量も多いですので、評価シートの項目別で4グループに分けていると思います。グループごとに評 価を行わせていただきます。まず、第1グループの法人全体の業務運営の改善に関する事項及び業務運 営の効率化に関する事項、評価項目は1〜4についての評価を行います。法人からは20分ほどでご説明 をいただき、委員の評定と質疑応答を含めて15分、合計35分になっております。例年とても忙しくて 申し訳ないのですが、法人からのご説明をお願いいたします。 ○福祉医療機構審議役  福祉医療機構の審議役の岩野です。私から平成20年度の業務実績についてご説明させていただきま す。資料2-6「平成20年度業務実績評価シート説明用資料」に沿ってご説明させていただきます。事 業実績の経年変化を示した資料も用意しておりまして、資料2-8「事業実績経年資料」というものです が、経年変化をお知りになりたい場合には適宜ご覧いただければと考えております。  資料2-6の表紙に目次があります。本日評価していただきます項目は全部で17項目あります。これ をPart1からPart4の4つに分けて説明をさせていただきます。また、右から2列目に私どもの自己評 定を記載させていただいております。平成20年度は、評価項目の11番、退職手当共済事業について、 私どもはSの評価をさせていただいております。あとの評価項目については、A評価が14項目、B評価 が2項目とさせていただいております。  1頁は、Part1「法人全体の業務運営の改善に関する事項」、それから「業務運営の効率化に関する 事項」です。ここの評価項目は4つあります。  2頁では、「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」です。私どもの1番目の評価項目です。自己 評定はAとさせていただきました。この自己評定の欄の上に「評価シートP1〜P4」と記載しておりま すが、評価シート側の該当頁が1頁から4頁ということです。評価シートをご覧になる場合には、こち らの数字を参考にしてご覧になっていただければと思います。  内容の説明に入る前に、資料の構成についてご説明いたします。2頁の上半分は、「評価項目1の総 括」と四角で囲った箇所があります。ここでは評価項目1における実績を総括しております。基本的に ここを見ていただきますと、この評価項目ではどのような取組みが対象になっており、それに対して どのような実績を上げることができたのか、ということを簡潔に整理しております。先生方に評定し ていただく際に参考にしていただけたらと思います。  また、2頁の下からは、各取組みの詳細な内容を記載しております。基本的にこの資料は、評価項目 の17まで、同じように評価項目のまず総括があり、その下に各取組みの詳細な内容を記載するという 構成で作成しております。ちなみに私の説明ですが、時間の制約もありますので、この取組みの総括 部分については割愛させていただきます。その下の詳細の部分を中心に説明させていただきます。  2頁の下半分の「組織のスリム化」です。今年2月の評価委員会でご審議いただきました評価の視点 ですが、業務運営体制を継続的に見直しているかです。業務推進体制の整備についてですが、私ども は平成19年12月に閣議決定された「整理合理化計画」の中で、福祉医療経営指導業務の充実強化を図 ることという指摘を受けているところです。この指摘に適切に対応するために、平成20年4月から、 経営指導課と調査室を統合・再編して経営支援室を新設いたしました。また、組織のスリム化につい ては、融資相談業務を審査課に移管するなどにより、課長ポストを4名削減しております。業務の実績 を踏まえつつ、適宜業務運営の見直しを行っているところです。  3頁は、理事長から冒頭説明がありましたが、経営理念の策定です。私ども、平成20年4月に初め て民間から理事長を迎えました。そこで、理事長が最初に持った機構の印象は、機構として目指すべ き方向性が明確になっているのか、この組織はどこに向かって進んでいるのかという思いがあったと 伺っております。当機構のこれからの方向を明示するための第一歩として、経営理念を職員全員で策 定いたしました。第2期中期計画を実現していくに当たり、この経営理念を明確にして、職員全員でこ れを共有化し、組織と職員の一体感を高めていきたいと考えているところです。  3頁の下です。当機構の経営理念の「民間活動応援宣言」がここに記載されております。白抜きの四 角で囲っている4行が主文です。「地域の福祉と医療の向上を目指して、お客さまの目線に立ってお客 さま満足を追求することにより、福祉と医療の民間活動を応援します」となっております。この経営 理念の下、機構職員一丸となって、福祉と医療の民間活動を応援しているところです。また、平成21 年度からは、この経営理念を具体化するために、機構組織横断的な民間活動応援本部を立ち上げてお ります。この本部において、経営理念の実現に向けての検討を現在進めているところです。  4頁は、「経営企画会議等の運営」です。評価の視点は、トップマネジメント機能が有効に発揮され、 重要事項に迅速かつ的確に対応しているかというものです。私どもは、トップマネジメント機構を有 効に発揮させるための作戦本部として、平成15年の独立行政法人への移行時からこの会議を設置して います。平成20年度は14回開催し、先ほどの経営理念の策定、リスク管理債権の分析、年金担保貸付 金利の検証といった重要事項に対し、迅速に対応を図ったところです。また、ISO9001に基づく品質マ ネジメントシステムに基づき、定期的に業務の進捗状況やプロセスの監視を行い、円滑な事業運営を 図ってきました。  4頁の下のほうは「業務間の連携強化」についてです。評価の視点は、業務間の連携強化により、業 務運営の効率化が図られているかです。近年、度重なる診療報酬のマイナス改定の影響などにより、 福祉医療貸付事業におけるリスク管理債権比率が増加傾向にあります。これに対応すべく、経営支援 室や貸付関係部からなるリスク管理債権発生要因解析作業チームを立ち上げ、リスク管理債権の発生 要因の解析・発生未然防止策を研究したところです。また、機構組織横断的なプロジェクトチームを4 つ立ち上げ、それぞれのチームにおいて、貸付制度や基金制度の見直し、広報のあり方などの検討を 進めてきたところです。さらに、各種会議の合同会議ということで、退職手当共済事業の実務研修会 とWAMNET操作説明会を合同開催するなど、業務間の連携を強化し、効率化を高めています。  5頁は評価項目の2番目の「業務管理(リスク管理)の充実」についてです。自己評定はAです。  5頁の下は、品質マネジメントシステムの運用についてです。評価の視点は、内部監査などにより、 業務改善の推進及び事務リスクの抑制を図っているかです。私どもは、平成17年4月に、継続的な業 務の質の向上、業務改善を推進するための業務管理の仕組みとして、ISO9001の認証を取得しておりま す。平成20年度においては、ISO9001の認証を更新しております。また、平成20年12月にはISOの新 規格の審査に合格し、移行登録を完了いたしました。これまでのQMSはかなり作り込んだ形のものにな っており、使い勝手の悪かった部分を見直し、QMS文章を改訂し、使いやすくしました。さらに、QMS の内部監査を通し、業務上の課題やお客さまからのニーズ等に効果的に対応するための是正予防措置 の充実を図り、これにより、各事業部における事務リスクを抽出するなど、業務改善の推進を行いま した。なお、このQMSについては認証登録機関から、平成21年2月に、「当機構のQMSは十分に確立 されていた」との評価を受けています。  5頁の下は「業務改善活動の活性化」です。評価の視点は、職員による業務改善活動の活性化を図っ ているかです。私どもは、平成19年度に、全職員を対象とした改善アイデア提案制度を創設いたしま した。引き続き平成20年度には、職員から38件の応募があり、その中から優れた提案については、実 現に向けた検討を行っているところです。この制度の効果といたしましては、日常の業務における問 題点の洗い出しや改善策を検討することで、職員一人ひとりの意識改革・意欲の向上に寄与している ところです。  6頁は、「ALMシステムの活用及び信用リスクモデル分析の実施」についてです。評価の視点は、ALM システムを活用し、金利リスク等の抑制に努めているかです。ALM分析の実施ということで、平成19 年度の決算データに基づき、マチュリティラダーやデュレーションギャップの状況を更新しておりま す。この分析により、資産と負債の管理、私どもでいえば貸付先からの回収金と財政融資資金への返 済のキャッシュフローの確認を行ったところです。分析の結果は、キャッシュフローのミスマッチが 対前年度より縮小していて、将来の財政状態における特段の懸念材料が見受けられないという結果が 出たところです。  また、リスク管理債権比率推計モデルの構築ということで、リスク管理債権のデータベースを整備 し、福祉貸付、医療貸付別のリスク管理債権比率の推計モデルを構築して推計を実施するとともに、 クレジットスプレッド、信用リスクがある場合とない場合の金利差の試算を行ったところです。さら に、財投機関債の発行に当たり、発行する年限や金額、発行するタイミングに合わせて、財務状況に 与える影響などの分析を行っています。  6頁の下は、「個人情報保護の徹底及び情報セキュリティ対策の充実」です。評価の視点は、個人情 報を適切に管理しているか、情報セキュリティ対策の充実を図っているかです。個人情報保護の徹底 として、個人情報管理作業チームを立ち上げ、各部でどのような個人情報を保有しているか調査を実 施いたしました。また、情報セキュリティ対策の充実としては、対策基準や実施手順の見直しを行い、 セキュリティの強化を図りました。これらの個人情報保護・情報セキュリティに関する職員研修を全 職員に対して実施し、個人情報保護・情報セキュリティ対策の重要性について注意喚起するなど、個 人情報の管理やセキュリティ対策の充実を図りました。  7頁は評価項目の3番目、「業務・システムの効率化と情報化の推進」についてです。自己評定はA です。  8頁は、「業務・システム最適化計画に基づく効率化等」です。評価の視点は、最適化計画に基づき、 経費の節減及び随意契約の見直しを図っているかです。私どもは平成20年2月に、「業務・システム 最適化計画」を策定しておりまして、現在はCIO補佐官からの支援・助言を受けながら、最適化計画を 着実に進めているところです。平成20年度における各種の最適化対象システムの取組状況についてこ こに記載しております。WAMNET事業においては、一般競争入札により、設計・開発業者を選定し、次 期システムの設計・開発に着手しております。退職手当共済事業、年金担保貸付事業などにおいては、 一般競争による委託業務の分割調達を実施し、また、国に準じてサービスレベル契約の導入を行うな ど、経費の節減・随意契約の見直しを図りました。  8頁の下に、参考として私どもの「業務・システム最適化計画の概要」を記載しております。経費の 節減効果としては、各種システムにおいて、計画どおりに効率化が進むことになりますと、年間2億 4,200万円のコスト削減効果が見込まれるものとなっております。  9頁は「業務・システム最適化計画以外のシステムの改善」です。最適化対象以外のシステムにおい ても、業務の実施を効率的・安定的に支援するため、記載のとおりの改善を進めているところです。  9頁の下は、「情報化推進体制の強化等」です。評価の視点は、CIO及びCIO補佐官を中心に、情報 化推進体制の強化を図っているか、IT技術に精通した人材の育成を実施しているかです。情報化推進 体制の強化ということで、CIO及びCIO補佐官を中心にして、業務・システム最適化計画の実施、情報 セキュリティ対策の強化及び一般競争入札による情報システム調達などを適切に対応いたしました。 IT技術に精通した人材の育成ということでは、外部研修の受講やワークショップの開催により、人材 の育成を図りました。職員研修についても、CIO補佐官によるITリテラシー研修や、情報管理課の職 員によるOffice2007の操作研修など計画的に実施し、職員のスキルアップを図りました。  10頁は評価項目の4番目、「経費の節減」についてです。自己評定はAとさせていただきました。  11頁は「随意契約の適正化」についてです。評価の視点は、随意契約の適正化を図っているかです。 私どもは、平成19年12月に策定した随意契約見直し計画に基づき、順次一般競争入札等に移行を行っ ているところです。その結果、右側の棒グラフのように、件数、金額ともに「競争性のある契約」が 増加しております。一方、「随意契約」は着実に減少しています。  左上の表のように、平成18年度で随意契約は54件ありました。これが平成20年度には22件という ように大幅に減少することができました。なお、この22件の主な内容は、業務・システムの運用・保 守関連、事務所借料関連となっております。昨年度は総務省の評価委員会から、国と異なる機構独自 の規定があるとのご指摘を受けておりますけれども、そういった指摘のありました規程関係について は、平成21年4月に契約方式等に係る内部規程を改正し、すべて国の基準に準拠した形にいたしまし た。なお、私どもは平成21年度においても、この随意契約の見直しを実施してまいりまして、平成21 年度末で随意契約見直し計画の達成を見込んでいます。  11頁の下のほうは、私どもの契約業務の流れを図にしたものです。当機構では、契約に係る適正性 及び透明性を十分確保する観点から、少額随意契約以外の契約については、契約担当部門の審査以外 に、役職員を構成メンバーとする契約審査会を設けていて、そこで契約方式の妥当性、あるいは総合 評価、企画競争に係る評価結果の適正性について審議を行うこととしております。契約審査会におけ る、第三者による監視強化の観点から、平成20年度からこの審査会に監事の出席を求めていて、その チェックを受けることとして、さらに監視の強化を図っているところです。  12頁の下のほうは、「一般管理費等の節減」です。評価の視点は、一般管理費等の節減について、 中期目標を達成しているかということです。一般管理費の節減ですが、私どもは中期目標で、平成19 年度予算と比べて15.5%の額を節減することが目標となっております。この目標を達成するためには、 平成20年度においては、5等分いたしますと、平成19年度予算比3.1%節減になって、そういう計画 を立てていたところですが、この計画に対して、私どもは常勤職員の抑制による人件費の削減、一般 競争入札の促進等によるシステム運用の経費の削減といった措置を講じ、経費の削減に取り組んでま いりまして、平成19年度予算と比べて8.7%の額を節減し、平成20年度の計画の3.1%を大幅に上回 る実績を上げました。  13頁は「人件費の削減」です。評価の視点は、人件費の削減について、中期目標を達成しているか、 給与水準の検証・公表を行っているかということです。中期目標では、平成17年度と比べて5%の額 を節減するのが目標です。平成20年度は平成17年度と比べて14.6%の削減になり、目標を大幅に上 回る実績を上げることができました。  右の表は、対国家公務員給与水準と比較したものです。平成20年度末の地域・学歴勘案で言います と104.5ポイントとなっております。  13頁の下のほうは、給与水準を検証したものです。機構のホームページにおいて、6月末に公表して いる内容です。国家公務員との比較で、104.5ポイントということで、その給与を上回った理由の主な ものとして3つあります。1つは、民間の金融部門等の給与実態を勘案していること、2つ目は、管理 職の比率が高いこと、3つ目は、在勤地が大都市であることが挙げられます。これまで、私どもは人件 費の削減について、平成16年度から平成20年度にかけて、組織のスリム化によるポストの削減、平成 16年度においては全職員の昇給停止、さらに平成17年1月には本俸基準表を平均で5.3%引下げを行 うなど、積極的に実施してきたところです。今後は、引き続き組織のスリム化や給与水準の見直しを 継続的に実施し、平成24年度においては、地域・学歴勘案を概ね100ポイントにするよう努めていく 所存です。  以上簡単ではありますが、Part1の説明です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。それでは、委員の方々は評価シートの記入をお願いしたいのですが、ご 質問をしながらということでお願いいたします。どこからでも結構です。 ○平井委員  初めてなのでわからないので教えていただきたいのですが、リスク管理債権というのは、通常の貸 付のものとはどういう違いがあるのでしょうか。 ○福祉医療機構審議役  リスク管理債権に対する取組状況については、後ほどの評価項目において説明させていただきます が、簡単に申し上げますと、毎月約定どおりに返済されている債権が正常債権です。リスク管理債権 は、例えば、返済が延滞しました、6カ月延滞しましたというもので、償還の確実性が落ちてきている 債権です。金融機関では、リスク管理債権が増加すると、その金融機関の財務の健全性を損なうこと になるので、一定の目標を掲げ、その債権の比率をできるだけ抑えるようにしているというものです。 ○真野委員  細かいことも含めて3つほどお聞きします。1つは、6頁の個人情報保護についてですが、前から ISOも含めて非常に充実されていると思います。ISOを取られているということなのですけれども、例 えばISMSのような第三者認証みたいなのを取られる気があるのかというのが1点目です。  2点目は8頁です。これは私の勉強不足なのですが、サービスレベル契約について少し詳しく教えて ください。  3点目は、最初皆様方が見えないときに、政・独委からの議論との絡みで話もあったわけですが、13 頁の給与水準のところです。各論ではなくて、要するに国家公務員との比較において、給与水準を上 回る理由があるわけです。理由があるのだけれども、今後かなり減らしていこうと。本俸基準表を引 き下げるとかですね。そういう流れもあるのだと思うのですが、一方で、そういう給与水準が高くな る必然性も福祉医療機構の場合はあるということになると、そのモチベーションといいますか、機構 の職員のモチベーションというのは、給与水準を厳しくしていった場合にどうなのかという懸念があ るのですが、その辺りをお聞かせください。 ○福祉医療機構総務部長  1点目の個人情報保護の関連でご説明させていただきます。私ども機構には個人情報管理規程があり ます。内部に組織をつくって管理しているところです。いまご指摘の外部についてはどうかというこ とですが、この規程で監査という部分を設けております。必要に応じて外部監査を受けるという規程 があります。ただし、現在のところ実績はありませんけれども、規程上は外部監査ができるようにな っております。 ○福祉医療機構審議役  2点目のサービスレベル契約とはどんなものかということですが、特にシステム関係で最近よく言わ れるものです。提供するサービスの品質について、その数値目標といいますか、数値の水準を取り、 それを達成することを条件としているものです。例えば、事故が起こったときには何時間以内に対応 するとか、稼働率を何パーセント以上にするといったことを契約の中に取り込んでいるのをサービス レベル契約と申しております。 ○福祉医療機構総務部長  3点目の人件費については大変厳しい状況にありまして、先ほども出ましたけれども、対国家公務員 の給与水準概ね100ポイントに近づけるということで鋭意やっております。モチベーションというお話 でしたけれども、そのほか福利厚生でもいろいろご指摘があり、廃止をしている部分もあります。先 ほど理事長から話がありました経営理念に基づき、私ども業務を進める上で、国民の皆さま、または 必要とするニーズをお持ちの方のために仕事を進めていくということで、一丸となって頑張っていこ うということです。 ○真野委員  言い方が悪かったのかもしれませんが、最後の部分のモチベーションというのは、独法であるから 一律100を目標にするという考え方ももちろんあるわけですが、一方では業務の特殊性とか、公務員比 率で給与が高くなる理由が存在するわけです。これが改善されないのに、なかなか厳しいことを言う のも大変だろうという意味合いも含めて申したのです。 ○福祉医療機構総務部長  平成16年から人事評価制度を実施しております。その中で評価の高い職員については、例えば賞与 で配慮する。平成20年度からは給与について、昇給する際にその辺を配慮したらどうかということで、 実施しております。頑張った分だけはきちんと評価してあげたいということでやっています。 ○宗林委員  2点伺います。WAMNETは今回初めて一般競争入札にかかったのでしょうか。これまでもWAMNETの経 費はかなり高いという印象を持っておりました。競争入札にすることによってどのぐらいの削減につ ながったのですか。  2点目は、いまの人事評価制度ですけれども、頑張った職員はというのはわかるのですが、その中で 相対的に悪い評価になった職員は、逆にマイナスというぐらいの厳しいものなのでしょうか。人事評 価制度の評価を給与なり賞与なりにどのぐらい反映しているのか、もう少し教えてください。 ○福祉医療機構情報システム部長  WAMNETについては、従来随意契約という形で運用を委託していました。今回の最適化計画は、平成 20年2月に策定いたしまして、新たに再構築するということで、今回それの開発の関係を一般競争入 札で調達いたしました。これにより、結果的に開発費は当初予定していたものに対し、入札の結果相 当さがりました。現在開発しているシステムは、来年7月から新規に稼働しますので、実際に運用費が 減るのは7月以降です。平成20年度では契約期間を複数年契約等にすることで経費節減が図られたの が実態です。 ○宗林委員  抽象的な話はわかるのですけれども、具体的に運営経費がどのぐらいという数字が出ていたかと思 います。それが、競争入札にすることによってどのぐらい削減になったのかを教えてください。 ○福祉医療機構審議役  補足いたしますと、WAMNETの場合には、開発経費と、その後、ハードウェアの関係、運用・保守契 約ということで続いていきます。運用・保守契約はこれから入札を行っていきます。入札結果によっ て、さらに経費が削減される可能性がありますが、いまの時点では入札をしてみないとわからない面 があることは確かです。 ○大島部会長代理  昨年もWAMNETに関しては質問させていただいたのですけれども、いまでも6億7,900万円のお金が かかっているということで、これから一般競争入札ということをお伺いしましたが、例えば、この事 業全体を移譲することを考えているのかどうか。これだけの経費がかかっていますので、一般の企業 であるとか、NPOといった所に移譲することも考えられると思います。そうしますと、経費は大変少な くなると思うのです。  これを独立行政法人でするということに関しては、これによって乗せるための費用を徴収できると か、ここの中に利用料が収入として見込まれるので、そのまま続けるということなのか、その辺のこ とがわかりにくいので教えてください。  関連ではないのですが教えていただきたいのは、役員の給与のことで、課長とか課長代理を削減し たということですが、役員が7名ということで、7名は削減されていないと思うのです。250人の職員 に対して、役員が7名必要であるということは、その7名については役割として、理事長の役割はわか りますけれども、それぞれ必ず役員として必要であるということがどこにも書いていないようです。 例えば、役員の数をもっと減らせるのではないかという素朴な疑問があります。下の人をどんどん削 ると、それだけ大変な業務も増えてくると思うのです。理事を減らす、あるいは役員を減らすという 発想はないのかどうかを教えてください。 ○福祉医療機構企画指導部担当理事  WAMNETについてですが、8頁の下のところに、「最適化工程表」と書いてありまして3つに分かれて います。設計・開発を平成20年度に実施いたしました。先ほど審議役が申しましたように、ハードウ ェア・ソフトウェアの納入契約、及び、平成22年度以降の運用・保守契約が今年度に行われることに なっております。ここで掲げておりますマイナス1.69億円というのは、主にこの設計・開発の段階で、 システム全体を効率化させ、かつ、特定業者によらなくても運用が可能なアプリケーションソフトが 乗る土台の整備ということをコンセプトに、設計・開発に提案型の一般競争入札をさせていただきま した。  その際に安くできるように、こちら側の条件を示す条件書の段階で、相当程度技術的な問題に対す る細かい問題提起を出しております。全体としてこの費用がコストダウンにつながったのは、そうし たことへの取組み姿勢が、複数の参加業者に対する真剣な取組み、コスト意識をつくらせることにな ったのだと考えています。  同様に、今後ハードウェア・ソフトウェアを納入するに当たっても、ただいま申し上げましたよう な視点で、ベーシックになるシステムが、どのような機材でも乗ることを前提にしたシステムになっ ておりますので、競争性が相当高まるということで、このハードウェア・ソフトウェアの納入の段階 でも、やはり競争性が高まるものと考えております。  その次の運用・保守に関してですが、こうしたシステムはどのような視点で保守を考えるか、即ち、 何らかのシステムダウンが起こったときに、それによってどの程度の被害が利用者の皆様にかかるの か、その結果、運営している私どもにとって損害が生ずるのか、ということをどのぐらいに見込むか ということが必要です。WAMNETシステムには、ご覧になっていただきましたたくさんの利用者の方々 の情報を相互に交換できるような情報もあります、自己管理できる情報もありますが、それ以外に、 こうした汎用性の高いシステムを私どもは使わせていただいておりますので、ほかの関連業務に関し ても、このシステムの上に乗せて、それぞれのシステムの管理にかかる経費を大幅に削減するように 努めております。  そうした関連への影響度に関して、お客さまに迷惑がかからないようにするということで、これま では基本的に24時間体制で運用・保守を行っていたのですが、今回はその辺に関しても最低限の保守 ・管理ができるようなシステムにするよう、現在、システム開発に努めているところです。その考え 方が、システム開発ができますと、この辺の運用・保守の費用の削減にもつながってくるものと思い ます。  ただいまこのお話の中で申し上げましたように、WAMNETの大きなシステムの上に、私どもの他の一 般業務のシステムも少し借りて乗せております関係で、もし仮に先生がご提言のように、このシステ ムをどこかに移譲するようなことがありますと、この上に乗せているそれぞれの業務システムを別立 てにして、改めてシステム全体を整備し直さなければならなくなります。そのためにかかるコストは、 3つの他の一般業務が乗っているのですが、それを単独にさせる、あるいはその3つだけの基盤を整備 するためのシステム開発をするのに、WAMNETの今回の設計・開発にかかるのと同じぐらいの費用がか かってしまうのではないかと危惧しております。その辺については、仮に独立させたときにどれだけ の費用が必要なのかという試算はしておりませんので危惧だけですが、ご質問に関しては以上のよう な視点で臨んでおります。 ○福祉医療機構総務部長  人事評価については、Part4の人事に関する事項でご説明させていただきたいと思います。また資料 7の添付資料の92頁にも資料が載っております。具体的には、例えば評価を5段階に分け、真ん中を 標準にして、上位2ランク、下位2ランクに分けています。具体的に昇給でいいますと、通常では定期 昇給は4号俸アップするわけですけれども、例えば、いちばん上のランクについては2号俸をオンして 6号俸上げるとか、その下の2段目は1号俸上げて5号俸上げる、また、成績が良くなかった場合は、 例えば4段目は2号俸下げて2号俸しか上げない、最低の5段階目については昇給なし、というような ことでメリハリを付けて実施させていただいています。  また、理事の数についてですが、冒頭で業務の説明がありましたように、私ども機構としては8つの 事業と1つの業務ということで、大変幅広い事業を展開させていただいていまして、大阪支店を含める と10部1支店あります。理事は、理事長以外に4人おりますが、その4人の理事に、それぞれ部を担 当していただき、1人で2部から3部担当していただいているということで、大変忙しい業務の中で、 やり繰りさせていただいている状況です。 ○福祉医療機構理事長  役員についての私の考え方ですが、定数についてはいま7人のうち2名は監事です。理事長1名、理 事4名について、適正か否かということだろうと思うのです。私自身この1年間で、福祉医療機構は、 いま総務部長がお話しましたように、8事業を実施しており、言ってみれば、一つひとつが分社化した ような事業を集めているところです。そういう点ではよくやっているのではないかと思っています。  歴史的にも、医療金融公庫と社会福祉事業振興会が合併し、更に年金福祉事業団の業務も承継して おります。理事の4名体制というのは、いままでの私の経験の中では、特に多いという認識は持ってお りません。ただ、いま部会長代理からそういうご意見もあったので、今後、私の経営の中でどうかと いうことを検証していきながら事業を実施していければと思っております。 ○上野谷部会長  当機構は業務が非常に幅広く、いま理事長からありましたように、歴史的な経緯、そして業務の問 題、そして国民的関心が特にありますWAMNETに関しては非常に関心を持って見ておられます。日進月 歩といいますけれども、こういう情報に関してはさまざまな民間企業のご尽力もありますし、特に関 心を持たれていると思いますので、当機構がこの業務をしなければならない理由、もちろん経営的な コストの面もありますけれども、その辺りは業務のところで出てくるかと思いますので、強調してい ただけましたら、かなり説得・納得をする、評価がしやすいということですのでよろしくお願いいた します。  時間の関係もありますので、2グループのほうに入らせていただきます。項目5〜8の評価を行いま す。また法人からは20分以内で、そして委員の方々からは15分以内でということでよろしくお願いい たします。 ○福祉医療機構審議役  Part2の説明をさせていただきます。資料の14頁です。評価項目は全部で4つあります。  15頁は評価項目の5番目の「福祉貸付事業」です。地域における社会福祉施設等の整備に対し、長 期・固定・低利の資金を融資し、福祉の基盤整備を支援する事業です。自己評定はAとさせていただき ました。  16頁は「福祉貸付事業の実績」です。左上の表ですが、平成20年度の貸付審査件数の合計は641件 です。金額では約972億円です。その内訳は下の円グラフのとおりで、老人福祉関係施設が大半を占め ています。また、平成20年度の審査件数は、経営資金を除くと587件あり、そのうち522件(88.9%) が補助金が採択された事業であり、政策優先度の高い施設に融資ができたと考えております。  また、最近の傾向を右の棒グラフで示しております。ゴールドプランが終了した平成16年度以降減 少が続いております。その要因としては、いちばん融資額の大きかった特別養護老人ホームの施設整 備が一段落したことが挙げられます。また、度重なる介護報酬等のマイナス改定や、国の施設整備に 対する補助制度の変更により、施設整備に慎重になっている事業者が多くなっているということが考 えられます。  16頁の下は、福祉貸付事業の大半を占めております「老人福祉関係施設に対する融資の傾向」です。 棒グラフが当該年度における貸付審査額の合計です。折れ線グラフが1件当たりの平均審査額です。平 成16年度にゴールドプランが終了した後、棒グラフ、折れ線グラフともに減少しております。ゴール ドプランが終了し、平成17年度にユニット型特養の特例的な融資率90%を、標準的な融資率75%に引 き下げました。  平成18年度に介護保険法の改正があり、小規模多機能施設等の地域密着型サービスの推進といった 方針が打ち出されております。これは施設の小型化です。こういったことを踏まえ、私どもといたし ましては国の政策の流れを反映した結果、融資額の減少が生じているそれが一因になっているのでは ないかと考えているところです。  17頁は「福祉貸付事業における融資方針の策定」です。評価の視点は、融資方針に基づき、政策優 先度に即した政策融資を実施しているかです。平成20年度における融資方針については、国の政策目 的に沿って、国と協議の上策定しております。基本的な考え方としては、「国及び地方公共団体の福 祉政策に沿った、地域の福祉、介護サービスを提供する基盤整備を支援する」としておりまして、原 則、国や地方公共団体からの補助金・交付金が採択された事業を貸付対象とするといった内容となっ ております。ただし、福祉政策上必要と認められる事業については、補助がない事業についても融資 を行うことといたしております。  17頁の下は「福祉貸付事業に係る政策適合性」です。評価の視点は、政策融資の果たす役割を踏ま え、金融環境の変化に伴う経営悪化等への緊急措置に臨機応変に対応しているかです。平成20年度に おける国の政策に沿った優遇措置としては、療養病床の再編、障害者の就労支援、消防用設備の整備 といったことに対し、記載のとおり融資率の引上げ、貸付金利の引下げ、貸付けの相手方の拡大など の優遇措置を講じ、円滑な整備を支援したところです。  18頁で、「経済情勢の変化対応」として金融危機に対応した国の「安心実現のための緊急総合対 策」の一環として、施設の経営の安定化を図るために必要な運転資金を融資するなど、臨機応変に対 応したところです。融資実績は75件、25億円弱であり、施設の経営安定を支援したところです。  19頁は「協調融資制度の充実」です。評価の視点は、協調融資制度の対象を拡大するなど制度の充 実を図っているか、制度の適切な運用を行っているかです。福祉貸付分野においては、医療分野に比 べて民間金融機関の進出が遅れていることがあり、平成17年度から協調融資制度の運用を開始し、民 間金融機関の融資の活用を推進しているところです。平成20年度においては、協調融資制度の対象を、 平成19年度までの介護保険施設のみといったところから、福祉貸付の融資対象施設全体への拡大を行 ったところです。また、協調融資制度を利用できる金融機関も244機関に拡大し、民間資金の活用の促 進に寄与しており、平成19年度の整理合理化計画等の指摘に対応しているところです。  20頁は、「審査・資金交付業務の事務処理期間短縮」です。審査業務については、目標75日以内に 対し35日と、中期目標を上回る実績を上げることができました。また、資金交付業務についても、目 標の15営業日以内にすべて交付することができ、目標を達成したところです。  21頁は評価項目の6番目の「医療貸付事業」です。民間の医療施設等の整備に対し、長期・固定・ 低利の資金を融資し、医療の基盤整備を支援する事業です。自己評定をAとさせていただきました。  22頁は「医療貸付事業の実績」です。左上の表で、平成20年度の貸付審査件数の合計は162件です。 金額では約653億円となっております。  最近の傾向を右の棒グラフで示しております。平成16年度の貸付実績は2,457億円でした。その後 は記載のとおり審査額が減少し、平成20年度は653億円まで落ちてきました。その内訳は、老人保健 施設では、平成16年度は803億円でしたが、平成20年度では153億円でした。これは、ゴールドプラ ンが終わったということがあると考えております。病院は、平成16年度が1,507億円でしたが、療養 型病床再編の方針が打ち出されたことも受けて、平成20年度は459億円まで減少しております。  こうした最近の融資の減少ということですが、ご承知のとおり医療施設を取り巻く環境は非常に厳 しい状況に置かれているわけです。度重なる診療報酬の改定、特に平成18年度はマイナス3.16%と大 幅なマイナス改定でした。また、医療制度改革といった大きな環境変化が来ています。そうした中で 医療機関においては、福祉貸付以上に新たな設備投資に対しては慎重になっていた、というのが私ど もの融資の減少につながっていると考えている次第です。  22頁の下は「医療貸付事業におけるガイドラインの周知」についてです。評価の視点は、ガイドラ インに基づき、政策優先度に即した政策融資を実施しているかです。医療貸付に係る病院融資の基本 方針(ガイドライン)といたしましては、医療連携体制に位置づけられる政策優先度の高い病院や、 民間の金融機関では融資が難しい中小病院に限定することとしております。私どもは、平成21年度か らガイドラインの施行に当たっていて、制度の円滑な移行を図るため、積極的に周知活動を行ってき ました。  23頁は「医療貸付事業に係る政策整合性」です。不足地域における施設整備として、病院・診療所 の不足地域の整備について、金利を優遇し、整備を促進しております。表の不足地域の欄のように、 97件、74.6%が不足地域の医療施設です。その下の欄ですが、200床未満の中小病院、23頁の下の臨 床研修指定病院等の特定病院、特殊な診療機能を有する病院といった特定病院については、融資率あ るいは限度額の面から支援をしています。  23頁のいちばん下ですが、療養病床から介護老人保健施設等への円滑な転換を推進するために、貸 付金利の引上げ、融資率の引上げ等の貸付条件の優遇措置や、転換に伴って一時的に必要になる資金 繰り資金等の支援策を講じているところです。  24頁は「経済情勢の変化対応」です。金融危機に対応した国の「安心実現のための緊急総合対策」 や、金融危機の影響による経済情勢の急激な悪化への対応として、施設の経営の安定化を図るために、 必要な経営安定化資金を融資するなど、臨機応変に対応いたしました。平成20年度においては、表の 2つを合わせて212件、87億円余の経営資金の融資により、施設の経営安定を支援してきました。平成 21年度において、施設の安定経営を支援するために、さらに経済危機対策に対応した優遇措置の拡充 を実施してきています。  24頁の下は「審査・資金交付業務の事務処理期間短縮」です。評価の視点は、中期計画の期間内で 事務処理ができているかということです。審査業務については、目標45日以内に対し38日と、中期目 標を上回る実績を上げることができました。また、資金交付業務についても、目標の15営業日以内に すべて交付することができ、目標を達成したところです。  25頁は評価項目の7番目、「福祉医療貸付事業(債権管理)」です。自己評定はBとさせていただ きました。  26頁は「新規融資額の縮減」です。評価の視点は、平成17年度の新規融資額の実績と比べて20%程 度縮減しているかということです。中期目標で、平成17年度の新規融資額の実績と比べて20%縮減す るというのが目標であります。平成20年度においては、平成17年度実績と比べて13%の額を節減す る計画を立てたところですが、実績は1,576億円となり、計画に対して大幅に減少しました。この要因 は、100年に一度と言われている経済危機に直面し、施設整備を行う意欲が減退していること、また、 先ほど福祉貸付事業・医療貸付事業の説明でも若干述べたところですが、度重なる介護報酬・診療報 酬の引下げや、施設整備に対する補助制度の変更等の影響もあり、新規の設備投資が手控えられてい ることが大きく影響しているものと思われます。なお、平成21年度には介護報酬についても、ご承知 のとおりプラス改定がありました。また、経済情勢が今後回復していくことになりますと、今後、需 要の動向も好転していくのではないかと思われます。  26頁の下は「利差益の確保」です。福祉医療貸付事業における新規契約分の利差益については、資 金調達コストに応じた金利を設定し、金利差で0.093%、金額で6,300万円の利差益を確保できました。  その下は「貸付対象等の見直し」です。評価の視点は、政策優先度に応じて、貸付対象等を見直す 等、効率化を進めているかです。この表の上向き矢印が政策優先度の高い事業、下向き矢印は政策優 先度が低くなっている事業ということで、政策優先度に応じ、融資条件の見直しを適切に実施してい るところです。  27頁からが「福祉医療貸付事業における適切な債権管理」です。評価の視点は、リスク管理債権の 傾向分析を行っているか、債権悪化の未然防止を図っているか、債権区分別に適切に管理しているか、 リスク管理債権の抑制を図っているかです。福祉医療施設を取り巻く経営環境については、度重なる 診療報酬などマイナス改定等の影響で、より一層厳しさを増してきているところですが、私どもの貸 付先においても、平成19年度からその影響が表面化してきており、リスク管理債権比率も増加の傾向 が見られたところです。したがって、平成20年度においては、リスク管理債権比率の増加がさらに表 面化することが予想されましたところから、体制を整備し、経営の悪化、あるいは悪化傾向にある貸 付先のフォローを実施してきました。  左上の四角は、平成19年度に発生したリスク管理債権の発生要因を分析するために、経営支援室及 び貸付関係部職員をメンバーとした、横断的なリスク管理債権発生要因解析作業チームを結成し、要 因分析を行いました。  また右上は、そこでの分析結果を踏まえ、リスク管理債権の未然防止策の検討を行い、実行してき たところです。  左下は、リスク管理債権を債権区分別に管理し、必要に応じて法的措置を講ずるなど、適切な債権 管理を行うとともに、貸出条件の緩和については、役員が出席した検討会において、貸付先の実情や 将来の見通しを考慮し、積極的に経営の立て直しに寄与してきました。  右下は、リスク管理債権の抑制策として、貸付関係部に対し個別事例をフィードバックし、相談・ 審査に活用したり、業況注視案件については個別に継続的なフォローを実施するなど、適切な債権管 理を実施してきたところです。  27頁の下は、債権管理部門と経営指導部門、貸付部門が連携し、リスク管理債権の抑制を図ってい る取組みのイメージ図です。貸付けを通して蓄積されたデータや、事業報告書を基にしたデータ、リ スク管理債権の分析から得たデータなど、各種のデータを活用し、機構が作成した経営指標などを、 各々の部門でフルに活用し、福祉施設や医療施設の経営の支援を行い、リスク管理債権の抑制に努め ているところです。  28頁は「リスク管理債権比率」です。評価の視点は、リスク管理債権比率を第1期中期目標期間中 の平均(1.56%)を上回らないように努めているかです。この評価の視点の3行目になお書きがあります。 そこで1つは介護報酬・診療報酬の大幅改定等に伴う福祉施設及び医療施設の経営環境の著しい悪化、 といった事情そのものを考慮するというなお書きが付いています。このリスク管理債権比率の説明を これからさせていただきますが、この評価の視点でいま申し上げましたように、経営環境の悪化を 「考慮する」となお書きに書いていただいているわけですが、その点についても十分説明させていた だきます。  平成20年度の実績です。リスク管理債権比率は中期目標1.56%以内に対し2.97%と、目標を1.41 %超過しています。左下のグラフは、平成19年度は2.02%、平成20年度は2.97%ということで、こ の2、3年悪化してきていることがここで見て取れます。こういうリスク管理債権比率の増加というの は、リスク管理債権額の増加、もう1つは右にあるように貸付残高の減少といったものが相俟って、リ スク管理債権比率の上昇につながっています。  28頁の下のグラフは、その増加の内訳がどうなっているのかを分析したものです。この棒グラフは2 つに分けていますが、リスク管理債権の中で条件緩和、要するに返済条件を緩和したものです。その 条件緩和債権とそれ以外、例えば延滞しているといったものですが、それを分けてここに書かせてい ただきました。これを見ますと明らかなように、リスク管理債権比率の最近の増というのは、条件緩 和債権の増がここに大きく影響しています。条件緩和債権以外の部分の増は比較的少ないと言えます。  それを、さらに下の表のように福祉貸付と医療貸付別に分けていますが、これを見るとさらに顕著 なことに、リスク管理債権の条件緩和債権の増が影響している中でも、医療貸付の条件緩和債権の増 がここで大きく影響してきていることがこのグラフから読み取れます。左下の右側のチャート図は、 条件緩和に至るまでの流れを書いております。私どもはこの条件緩和については、もちろん慎重な手 続のもとに行うものではありますけれども、1つはこの条件緩和により、施設の経営の立て直しとか、 福祉施設・医療施設の再生といったものを後押しし、その維持・存続を支援していくということで、 私どもが持っている融資機能の中でも、この部分は、ある意味で非常に重要な意味合いを持っており、 条件緩和を1つの政策的な使命としても取り組まなければならないと考えています。  29頁の上は、こういう貸出条件緩和をすると、平成17年度にやった条件緩和がどうなったかを書い てあるわけですが、平成17年度は貸出条件緩和を29.6億円実施しました。この間、元金返済の低減を 行うことにより、貸付先が策定した改善計画の達成に向けてフォローアップを行ってきました。そう いった支援を実施してきた結果、最大2年間の貸出条件緩和期間終了後には、77.4%の債権が正常債権 化しているという実績を上げているわけです。個別に説明する時間がないのですが、この条件緩和で 実際に経営立直しを図った事例を4つほど、ここに挙げています。こういったケースにおいて、貸出条 件緩和を行うことで貸付先の資金繰りを支援することにより、安定的な施設経営に寄与し、地域にお ける施設の維持・存続に貢献できていると考えているところです。  29頁の下ですが、「平成20年度に発生したリスク管理債権の要因分析」の結果です。リスク管理債 権の発生要因ですが、累次のマイナス報酬改定の影響で経営体力が低下し、これまでの蓄えも使い果 たしてしまっていること、医師・看護師・介護職員の不足により病床の稼働率が低下し、思うような 収入を上げられなくなってしまったこと、民間金融機関の貸出態度の悪化により、資金繰りに必要な 資金調達ができなくなってしまったことなどが考えられます。  30頁に、その辺の状況を説明したグラフがあります。右側が診療報酬改定・介護報酬改定が引き下 げられてきた状況です。それを受けた左側のグラフでは、いずれの施設においても利益率が右肩下が りで下がってきている状況が見てとれると思います。特にリスク管理債権が増えた部分というのは医 療貸付ですが、一般病院における医業利益率は0.5%となっており、これは借入金を返済できない水準 です。こちらの医業利益率は、当機構がお貸ししている施設の利益率の平均値であり、医療機関にと って非常に厳しい状況であることが、ここで見てとれるのではないかと思っているところです。  一方、左下の上のほうは有効求人数と有効求職者数のギャップを示したものです。人材不足の上位5 職種のうち、3職種は福祉医療関係となっています。医師・看護師・社会福祉の専門職といったところ は上位にランクされているわけで、いかに福祉医療分野の人材確保が大変であるかが、この表を見て いただくと分かるのではないかと思っています。  その下のグラフですが、右肩下がりになっているのは日銀短観です。金融機関の貸出態度の推移を 見ているわけで、昨年、急激に下がってきています。要するに、民間の金融機関からの資金がほとん ど調達できない、非常に厳しい状況になっていたことが見てとれると思います。それとリスク管理債 権比率は、ちょうど正反対の向きになっているということです。  その右側のグラフは、他の政策金融機関がどんな状況にあるかです。中小金融や国民金融を見ると、 リスク管理債権比率は2桁になっているわけです。地銀でも4%近くになっている状況です。そういっ た中での私どものリスク管理債権比率の状況がここにあり、他の政策金融との関係をこれでご覧いた だければと思います。  29頁に戻ってください。私どものリスク管理債権比率が悪化したことについての対応です。平成20 年度にどういう取組みをしたかですが、下の右側の部分です。ここで特に枠で囲った部分を中心に説 明させていただきます。福祉貸付事業で申しますと、経営悪化の兆しを早期に発見するために、従来 の年賦償還から3か月賦償還への誘導を行ったところす。また、医療貸付事業では、融資相談時に外部 の専門家を活用したアドバイスを実施して、相談の強化を図ったところです。私どもとしては貸付先 に対し、できるだけ業況を注意しながら最大限フォローしていく中で、リスク管理債権が増えていく のを、できる限り抑制していきたいと考えているところです。  先ほど理事長からも説明がありましたように、平成21年度(今年度)においては、役職員が貸付先 を訪問するなど、個々の法人のフォローを徹底してやり、当機構の総力を挙げ、また、当機構の融資 を通じて蓄積された豊富なデータやノウハウを最大限に活用して、今後、施設経営者のフォロー・支 援を実施してまいりたいと考えている次第です。  こういったことを縷々申し上げて、リスク管理債権比率の目標達成を数字で言うと、達成できなか ったわけですが、なお書きの事情もご考慮の上、私どもの自己評定Bに対してご理解を賜ればと思って いる次第です。  31頁は評価項目の8番目で、「福祉医療経営指導事業」です。融資を通じて蓄積したデータを活用 し、社会福祉施設、医療施設の安定経営を支援するため、経営診断・指導を行う事業です。自己評定A とさせていただいています。  32頁は「集団経営指導(セミナー)の開催実績」です。セミナーにおける数値目標については、こ こに記載しているとおり開催内容の告知、延べ受講者数、満足度指標、いずれも数値目標を達成でき たところです。  32頁の下は「個別経営診断の実績」です。平成20年度においては積極的なPR活動、診断メニュー の多様化、また、東京都から受託業務を受けたという結果もあり、年度計画の280件を大幅に上回る 1,142件の診断を実施し、目標を上回る実績を上げたところです。  次に「個別経営診断の事務処理期間短縮」です。実績は30.8日となっていて、計画の50日以内を達 成できたものです。  33頁は「経営改善支援事業の重点化と施設経営者に対する情報提供」です。評価の視点は、経営改 善支援事業の重点化を図り、健全な施設経営の支援に努めているかです。平成20年度に経営改善支援 事業の実施に向けて年次計画を策定し、今後5年間で構築・開発していく事項を整理したところです。 また、施設の経営実態の調査や、建築コストの改善に係る研究を実施したところです。今後、年次計 画に沿って必要な情報の収集や実態調査、研究などを実施し、経営改善支援事業の構築・開発に努め てまいりたいと考えているところです。  次に「集団経営指導及び個別経営診断の各業務における収支相償」です。集団経営指導においては 約261万円、個別経営診断では約621万円の実費を上回る自己収入を確保することができ、目標を上回 る実績を上げたところです。以上、Part2の説明です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。ご質問、ご意見がございましたらどうぞ。 ○大島部会長代理  あまり理解をしていないかもしれないのですが、先ほどのB評価のところ、貸付事業のところですが、 なお書きで状況が非常に厳しかったということで、目標に達しなかったためBとおっしゃったように思 います。経済状況、その他で目標を達成したいと思っても、できない経済状況とかいろいろあると思 います。評価の基準としては、そのことで目標を達成したかどうかではなく、さらにそれについてど う対応したか、あるいはもっと低利にする、もっと使いやすくする、広報する等、いろいろな状況に 対してどう評価するかだと思いますが、今回、Bということに関しては、ほとんどの説明は原因がそこ にあるということでしたので、評価の基準のところで迷うところがあるものですから、その辺を教え ていただきたい。  それから、使いにくさというのがあるのかどうか。例えば非常に短期間で解決でき、日数もかから なかったということもあったのですが、合計が少なくなれば当然、事務も迅速になると思うのです。 そういうことでの判断なのか、あるいは、更に使いたくても使えなかったところ、あるいはそれを上 回る一般の銀行等々の融資のほうが利用しやすいとか、手続が煩雑すぎて使いにくいとか、いろいろ な理由があって少なかったのではないかということも考えられると思います。その辺はどうなのか教 えていただきたい。 ○福祉医療機構審議役   最初の点につきまして、リスク管理債権比率が目標を上回ったことに対して、私どもとしてどのよ うに対応したのかというのは、まさにご指摘のとおり非常に重要なことであると思っています。私ど もの借り手である福祉施設や医療施設の性格上、リスク管理債権となったものについて、それをすぐ に例えば貸し剥がしや償却などの措置を実行することはできないと思います。福祉施設や医療施設は、 お年寄りや病人が入所・入院している施設でもありますので、そういう措置によりリスク管理債権比 率を減らすという形ではなく、ともかくできるだけアドバイスをしていく。私どもが持っているノウ ハウのすべてを提供して、リスク管理債権から正常化するためにはどうしていったらいいのか、例え ば人の手当てが足りないのだったらどうしたらいいのかというところを、ともかくアドバイスする。 それには条件緩和というのは1つの重要な手段だと思っています。条件緩和によって当面の資金繰りを 支援しながら、リスク管理債権から脱却してもらうことが、いちばん大切だと思っています。そのた めに私どもは精いっぱいのことを実施してきたと、昨年度は思っています。評価の視点に書いてある 「1.56%を上回らないように努めているか」ということに関しては、努めることができたと思ってい ます。  ただ、昨年の審査の段階でいくら一生懸命チェックしても、それ以前に融資した債権が、その施設 の状況によって悪化するという、どうしても避けられない要素はあると思います。ですから、急激に リスク債権比率が下がることは、よほど償却をどんどん進めないと、なかなか困難な面があるかと思 っています。ただ、私どもとしては精いっぱいの努力をしてきたとは思っています。  もう1つは、新規融資額が非常に減ってきている話ですが、これは借りている所からの話をいろいろ 聞くと、いちばん大きな要素は、私どもの貸付は設備投資が主体になるものですから、どういう形で 設備投資をしていくのか、借りている方の方針が非常に立てにくい状況になっていることではないか と思っています。  ただ、一方で、私どもはそういう厳しい状況に対して手を拱いて見ていたのかと言うと、むしろこ ういう厳しい経済情勢の中で経常資金の面から何かお手伝いできないか、あるいは物価高騰に対して 基準額を引き上げて使いやすいようにしてもらうとか、そういうことでいろいろな努力はしてきたつ もりでいます。ただ、努力が足りないということであれば、これからも医療法人・社会福祉法人とも よく話をして、こういう福祉医療貸付というのは、いつでもそれに合ったものに変えていくことは必 要であると思っています。 ○福祉医療機構理事長  少し補足しますと、民間と比べてどうかということであったかと思いますが、民間の金融機関と比 べると、低利で固定で長期の貸付けについては格段に有利だとご理解いただいていると思います。ま た、手続きが煩雑といった使い勝手の問題については、民間の銀行とは違うところもあって、そこは 常に民間ではこういう書類を取っていないとか、そこはうちはどうなのかという目では見ながら、お 客さま目線に立って、いつも振り返りながらやっていくことは日常的に心がけているところです。お 客さまの声としては書類上・手続上でという意見がないわけではありません。 ○松原委員  リスク管理債権比率が2.4%というのは、私は本当によくこのような環境の中で頑張っている数字だ と評価しています。もともとWAMの機能を考えると、民間金融機関はどんどん貸したい所に貸している と、ではWAMは何で要るのということになってしまうから、WAMの存在意義を考えると、民間金融機関 はなかなか手が出しづらいけれども、でも指導していけば潰れない、ちゃんと地域医療に貢献できる ところにこそ手を差し延べていただきたい。そういう意味でも、このリスク管理債権比率が、うちは こんなに低いですよと逆のことを言われても、それは本当の機能を果たしているのですかと申し上げ たいところなので、このぐらいの比率は今の状況からすると仕方ない。ただ、ちゃんと目標というも のがありますので、当然、それに向かっては努力なさっているということで、私は評価しています。  ただ、一方で、いま診療報酬が下がる中で病院経営が大変苦しいので、実はこれより本当はもっと 低いかもしれない。地銀がカバーしていて、まだ表面に出てこないケースも多々あるのではないかと 思われますので、そういう面では、地銀ともっと連携をとって、病院の経営の見方や指導の仕方も連 携をとりながら進めていくことが、今後はますます重要なのかなと思いました。意見です。 ○浅野委員  福祉貸付と医療貸付のこの5年間の金額の減り方を見ると、かなりの金額の変化があり非常に縮小し ている。医療・福祉の分野で新規設備投資が冷え込んでいる状況にあり、今後、機構としてどのよう な予測を、現場との情報のやり取りをする中でお持ちなのか。業務的には、これだけの業務が減って きてしまうと、この貸付部門の人員をどうしていくか、人員をもっと審査・経営指導のほうに振り向 けていくのか、そんなことにも関わってくると思いますが、その辺についてお考えがあればお聞かせ 願いたいと思います。 ○福祉医療機構企画指導部担当理事  確かにこの5年間の減少を見ると、このままの傾向ではどうしようもないことになることは、ご指摘 のとおりです。先ほど理事長の冒頭の説明で申しましたように、ちょうどこのあたりが底かなという イメージを持っています。と申しますのは、昨年度の11月あたりから、特に病院の経営・運転資金に 関しての銀行の評価が大変厳しくなり、貸し渋りが発生してきました。ちょうどボーナス時期あるい は各種債務の支払いの時期ということで、これまで地銀・都銀に頼ってきた多くの病院は、3%ぐらい だった運転資金に対する利率を5%、7%へ上げたいという申し出に対し、その余力がないということ で、私どもに、病院のためには経営安定化資金の規模を大きくしてほしい、という要望をいただくに 至ったわけです。  私どもも、それ以前から適切な対応の必要性を感じていましたので、厚労省と相談し、早急にこの 経営安定化資金の枠を拡大し、病院に対してそれまで1億円だったものを7.2億円に高めるとともに、 また、今後の資金需要について、このような形で医療あるいは福祉施設が設備投資を控えることによ り、特に救急関係の医療機能の地域での低下が懸念されることから、病院などの建築ラッシュが始ま ったころから30年経っているので、ちょうど病院施設の更改期であるということ、国がそれまで考え ていた耐震化のための補強事業を、耐震化をするためには移転新築でも構わないということで、国の 政策転換があったことに呼応し、今回の補正予算で、耐震化に関して国からの交付金が出た所、ある いは出なくても必要となっている所に対して、設備資金の大幅な優遇措置を講じたところです。その2 つが大きな流れを、いま新たに作り出していることを申し上げたいと思います。  経営安定化資金については、現在、4、5、6月で大変な数の問合せが来ています。既に900件の問合 せがありました。そこから実際の審査・貸出しに至った件数はまだ10分の1というところですが、業 務量としては昨年の5倍以上の業務を、現在、職員が行っています。  また、耐震化に関しては、国への交付金の申請が9月・10月となっていますので、いま、各都道府 県へ病院からの申請が殺倒しているということです。私どもにも一部、融資の可能性についての打診 等も来ていますので、国の交付金等が決定すると、次から次へと申請が増えてくるのではないかと考 えています。そのほかに福祉に関しても同じようなところですが、業務量が確実に増大してくるもの と思われます。  医療に関してはもう1つ、産科医療に関して保険で支払いが行われるようになりました。それまで窓 口ですべての費用を徴収していた医療機関が、保険でいただくようになると、出産の時期から実際に 収入があるまで、大体2カ月間のディレイが生じます。このことによって医療機関の経営基盤が脆弱化 し、資金繰りの問題が起きることに対して対応するために、私どもは産科医療機関に対し、経営安定 化資金の貸出しを始めることになっています。今、その準備をしているところですが、この9月・10 月あたりから、この関係の業務がまた大量に殺倒するものと思われます。  そんなことで、少なくともこの2、3年に関しては、業務量は過去に比べて増加するだろうと思われ ます。また、その期間に来年度の診療報酬の増額等が行われることになっていけば、経営が安定化す ることで、その次の設備投資へ向けた動きが起こってくるのではないかと考えています。 ○宗林委員  いまのお答えでほぼ出たのかもしれませんが、融資率の割合を上げたり、あるいは融資上限額を上 げるというお話が、安定化資金ということでしたでしょうか。そうすると、いまの時点では、それに よる効果が出つつあるというご説明でよろしいのでしょうか。特に病床数が少ない所に率を上げたり 額を上げたり、医療貸付のところの融資額の変更をするというお話でしたですね。それによる効果を 伺いたかったのですが、いま殺倒しているということが、その効果ということですか。 ○福祉医療機構企画指導部担当理事  融資限度額の上昇は、今年度の事業になりましたので、病院に関して7.2億円にしたのはこの4月下 旬からですから、今回の報告の中にはその部分は事業報告としては含まれていません。しかし、現実 の事業量としては5倍以上増えています。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。それでは、大体評価が進んでいると思いますので、時間の関係もありま すし、Part3に入らせていただきます。説明を短めにお願いします。 ○福祉医療機構審議役   Part3の説明をさせていただきます。34頁です。評価項目は全部で5つです。35頁は「長寿・子育 て・障害者基金事業」です。約2,800億円の政府からの出資を受けた基金を運用することにより、 1,000件前後の民間の事業に助成をしています。  36頁は評価項目の9番目、「長寿・子育て・障害者基金事業(透明で公正な助成の実施)」です。 自己評定Aとさせていただいています。  36頁の下の「募集要領等の策定」です。評価の視点は、事後評価結果等を踏まえ、募集要領を策定 しているかです。募集要領については、外部の有識者から成る基金事業審査・評価委員会の審議を経 て策定をしたところです。平成21年度においては重点分野の見直し、複数年助成の対象拡大、地方分 モデル事業の見直しを図り、幅広く募集を実施したところです。  37頁の上は「重点助成分野の周知・採択、助成事業の固定化回避」です。重点助成分野として17事 業を設定しています。★が付いたのが新規事業で、○が見直しをした事業です。これらの事業に優先 的に532事業を採択したところです。  37頁の下の「助成事業の選定」です。評価の視点は、審査・評価委員会において、選定方針を策定 し、方針に基づいて採択が行われているかです。平成21年度分の助成の選定です。プロセスとしては 審査・評価委員会において固定化回避への対応、独創的・先駆的事業等の優先的採択を明記した選定 方針を策定し、当該選定方針に基づいて、平成21年3月に審査・評価委員会にて審査・採択をしてい ます。  38頁は「助成事業の継続状況の調査」です。中期目標で継続率85%以上を目標に掲げているところ ですが、平成20年度のフォローアップ調査の結果、継続率は92.7%と、目標を上回ったところです。  その下の表は基金事業がどういうところで貢献しているかということですが、私どもの助成を受け たことにより、市町村などの行政や住民の信用度が増したというのが6割、組織の活性化が図られたと いうのも6割あります。そういった効果をここに書いています。  38頁の下は「独創的・先駆的事業等への助成」です。中期目標で独創的・先駆的事業への助成を80 %以上とする目標を掲げています。平成21年度助成分の独創的・先駆的事業の採択状況ですが、総助 成件数969件のうち795件、割合で82%となり、目標を上回ったところです。  38頁の下は「各提出書類の電子化等」です。平成20年4月から段階的に、提出時期に合わせて順次 電子化を進めてきたところです。  39頁の上は「助成金交付までの事務処理期間短縮」です。平均処理期間30日と設定しているわけで すが、平成20年度は20.4日ということで目標を上回ったところです。基金の運用実績についてですが、 平成20年度の実績は1.93%となり、長期金利の指標となる10年国債の利回りを0.25%上回る実績を 上げたところです。  40頁は評価項目の10番目、「長寿・子育て・障害者基金事業(事後評価と助成事業の成果の普 及)」です。自己評定Aとしています。  40頁下の「助成事業の事後評価の実施」ですが、評価の視点は、事後評価方針を定め、事後評価を 実施しているかということです。基金事業における事後評価の特徴は、重層的な評価を実施している ということです。まず、すべての助成先団体で自己評価が実施されています。またヒアリング評価に ついては助成事業の12.5%について実施しています。また、全助成事業について書面評価を実施して いるところです。  次に「事後評価の結果の反映」についてですが、こういった重層的な評価を実施した結果について は、募集要領や選定方針等に反映させ、助成制度のPDCAサイクルを回しているところです。35頁の下 に、そのPDCAサイクルの流れがあります。ご参照いただければと思います。  41頁の上は「職員の専門性の向上」についてです。平成20年度については、助成事業における事前 相談、募集期間中、助成後といった各段階に応じて適切な助言を実施してきたところです。さらに右 側ですが、更なる専門的な助言を実施するためにプロジェクトチームを立ち上げ、助成先団体等との 意見交換を通して、職員の専門性の向上に取り組んできたところです。  41頁の下ですが、「事後評価結果の公表等」についてです。この事後評価結果を踏まえ、高い評価 を受けた助成事業については、事業報告会や基金のホームページ等で公表し、広く周知を行っていま す。また、日本財団、共同募金会等の他の民間助成団体と連携し、各々の助成制度の説明を行うなど 情報の共有化を実施してきたところです。  42頁は「助成事業報告会等の開催」です。全国3カ所で実施した報告会、地方分モデル事業報告会 において、事業効果の高い優れた事業を発表し、全国的な普及を図ったところです。また、機構のホ ームページにおいても、助成をした過去の基金事業の内容・成果物等が検索・閲覧できる電子図書館 システムを構築し、優良事業の全国的な普及を実施したところです。  43頁は評価項目の11番「退職手当共済事業」についてです。これは社会福祉施設職員等退職手当共 済法に基づき、その施設の職員に対して、施設経営者である共済契約者と国・都道府県が費用を3分の 1ずつ負担して、職員の退職金を支給する事業です。今回、私ども自己評定をSとさせていただいてい るところです。  44頁は「退職手当金給付事務の事務処理期間短縮」です。私どもは退職手当金給付事務の事務処理 期間については中期計画で、75日という目標を掲げています。これに対して44.8日ということで、中 期計画を大幅に上回るとともに、前年度と比較しても16.9日も短縮を実現することができたところで す。  44頁の上の右側の棒グラフです。大幅に短縮できた理由ですが、様式の簡略化や事務処理の改善、 実務研修会での指導の徹底といったことを実施してきたところです。また、その給付財源については、 国・都道府県と調整を行い、迅速に確保できたことが大きな要因となっているところです。  44頁の下の「提出書類の電子届出化等」です。評価の視点は、提出書類の電子届出等により、利用 者負担を軽減しているかということですが、電子届出システムについては平成19年4月から運用を開 始したところです。それまでは紙媒体で実施していました。その届出のミス等も多かったところです。 紙媒体で届けられたものについては、またコンピュータに入力する作業があって大変時間がかかって いたところです。そこで利用者の負担の軽減・機構の業務の効率化を図るべく、電子届出システムを 導入したところです。平成19年度には約45%の共済契約者に利用していただき、これが平成20年度 には62%、平成21年度には75%と順調に利用率を伸ばしてきたところです。この利用率を順調に伸ば すことができている要因としては、毎年度、利用者へのアンケートを実施し、利用者の使い勝手のよ いシステムに改善していくことに努めていること、また、リーフレットの配布や操作説明会を年間45 回実施するなど、システムのPRを実施していること、こういった効果が現れた結果であると考えてい ます。  この利用率75%という水準ですが、左下の棒グラフの下に参考として、「平成19年度における行政 手続オンライン利用状況」を記載しました。行政手続システムにおける利用率の目標は50%、実績で は国で20%、独立行政法人では約50%となっていて、地方公共団体では24%です。これと比較すると 退職手当共済システムの利用率75%というのは、大変高い水準であることをご理解いただきたいと思 います。  右側の表ですが、このシステムの利用の効果です。記載のとおり共済契約者の事務負担の軽減を図 るとともに、機構における事務の効率化も図ることができたところです。矢印の下の表ですが、電子 届出システムによるエラーの発生率は紙媒体と比較して約10分の1に減少しました。  45頁は、電子届出システムの効果が、退職手当共済事業全体に「プラスの相乗効果」をもたらして いることを図に示したものです。この電子届出システムにより、お客さまの事務負担の軽減、コスト 削減、安全性の確保がもたらされています。また、提出書類のエラー発生率も約10分の1に減少でき ました。  右上の参考1ですが、紙媒体でのエラー発生のいちばんの要因は記入ミスです。紙媒体の電子化によ り大幅にエラーが縮減しているところです。お客さまからの届出のエラーが減少したこと、コンピュ ータへの入力作業が不要になったことにより、当機構の事務負担も大幅に軽減しています。また、帳 票印刷費用やパンチ入力費用などのコストも削減することができ、導入前の平成18年度と比較すると、 約3,800万円のコスト削減を図ることができたところです。  機構の事務負担が軽減されたことにより、そのマンパワーを給付事務に重点化しました。これによ り退職金給付までの日数の大幅短縮を実現させ、お客さま満足度の向上につながったところです。さ らに、お客さまの声に耳を傾けながら、システムの改修やシステムのPRを実施して利用促進を図り、 利用率の向上を図るという形でプラスの相乗効果を生んでいるところです。これにより利用者サービ スの大幅な向上を実現するとともに、さらに機構の事務の効率化も図ることができ、中期目標を大幅 に上回る実績を上げることができたと考え、S評価とし、中期目標を大幅に上回っていると自己評定し たところです。  46頁は評価項目の12番、「心身障害者扶養保険事業」についてです。この事業については平成19 年度末で489億円の繰越欠損金が生じていましたが、平成20年4月に制度改正が実施され、この改正 の中で公費による財政支援が延長されることとなり、これまでの繰越欠損金については平成20年度末 以降に解消される見込みとなり、制度の安定化が図られることとなったということです。自己評定はB としています。  48頁は「運用の基本的考え方」ですが、評価の視点は、心身障害者扶養保険資産運用委員会の議を 経た上で「基本ポートフォリオ」を策定し、扶養保険資金の運用を行っているかということです。こ の運用については、平成19年度までに安全資産を中心とした金銭信託契約による運用を行っており、 この契約は厚生労働大臣の認可事項でした。これが平成20年4月の制度改正に合わせ、より一層の効 率的な資産運用を行うということから、従来の規制に基づく運用を改め、平成20年度から運用方法の 見直しを行ったところです。私どもは外部の有識者から成る資産運用委員会を立ち上げ、同委員会に おいて厚生労働大臣が指示する運用利回り(年2.8%)を最も効率的に確保する資産構成割合「基本ポ ートフォリオ」を策定し、これに基づいて運用を実施したところです。  48頁の下の「各資産ごとの対ベンチマーク超過収益率」ですが、評価の視点は、ベンチマーク収益 率を確保しているかです。平成20年度における運用環境は、ご承知のとおり、昨年9月のリーマン・ ショックに端を発する金融危機等の影響により、非常に厳しい運用環境となった年でした。私どもの 平成20年度における運用実績はマイナス5.89%です。右側の表が評価の視点であるベンチマーク収益 率との比較です。ベンチマークとは右側の下に小さな字で書いていますが、市場における代表的な商 品であり指標となっているものです。ベンチマークとの比較をみますと、ベンチマーク収益率がマイ ナス5.67%、機構の実績がマイナス5.89%ということで、概ねベンチマークに追随した運用ができた ものと考えているところです。  49頁で、心身障害者扶養保険事業における繰越欠損金の状況を記載しています。先ほど繰越欠損金 について、制度改正により解消の見通しと申し上げたところですが、ここに書いているような状況が あります。この制度は、厚生労働大臣が指示する運用利回り(2.8%)を確保することができれば、安 定的な制度運用ができるところですが、平成19年度・20年度において目標収益率を確保することがで きなかったところです。この影響により、制度改正による新たな公費負担により、繰越欠損金は平成 19年度末の489億円から大幅に圧縮したものの、平成20年度末において繰越欠損金の解消には至って いません。なお、今後の運用についても、市場環境の動向を注視しつつ、外部専門家から成る「心身 障害者扶養保険資産運用委員会」の助言を受けながら、運用を実施していく予定です。当該事業にお いては、中期目標・中期計画で定める実績をほぼ上げることができたと思われますが、当該事業にお いて繰越欠損金の解消には至らなかったということで、自己評定をBとしました。  51頁は評価項目の13番目「WAMNET事業」です。WAMNET事業は、福祉・保健・医療関連の各種情報 を幅広く総合的に提供し、利用機関同士の情報交換、情報発信の場を提供しているもので、自己評定A としているところです。  52頁は「提供情報の質の向上」です。評価の視点は、国民のニーズに対応し、情報の質の向上に努 めているかです。WAMNET事業は総合的な情報窓口として網羅性・迅速性に重点を置いています。平成 20年度においては都道府県や国と連携し、最新情報を迅速に提供したところです。また、福祉医療政 策の動向を踏まえ、療養病床転換に関する情報などをピックアップし、集約して、わかりやすく提供 するなど、利用者の利便の向上を図ってきたところです。  52頁の下の参考ですが、障害者自立支援法の円滑な実施を支援し、障害者の就労を促進するために、 新たに「障害者就労支援情報コーナー」を平成20年2月に設置したところです。これにより、就労移 行支援事業における優良事例の紹介を開始していて、先進事例や地域連携、就労支援、工賃アップと いった事例を紹介しているところです。  53頁は「利用者数及び利用者満足度の向上」です。評価の視点は、アクセス件数、利用機関登録数、 利用者満足度において、中期計画を達成しているかです。アクセス数については目標1,400万件以上に 対し、1,354万件となったところです。  右側のグラフですが、利用機関登録数と満足度指数の推移であり、いずれも目標を上回ったところ です。  アクセス件数について、若干説明させていただきます。左側の棒グラフはアクセス件数とヒット件 数の推移です。アクセス件数についてはここ数年、横ばい的な状況で推移していますが、ヒット件数 については、順調に件数を伸ばしているところです。  このアクセス件数とヒット件数の違いを、53頁の下の絵で説明します。左側がアクセス件数、右側 がヒット件数のカウントの方法です。WAMNETの利用者がWAMNETのトップページから情報を閲覧した場 合に、アクセス件数、ヒット件数のどちらもカウントされるわけです。一方、WAMNETのトップページ を通らずに、「検索サイト」や「お気に入り」から直接各情報を閲覧した場合は、アクセス件数はカ ウントされず、ヒット件数でカウントされるということです。したがって近年、GoogleやYahooとい った検索サイトからの情報を検索し、閲覧する利用者が年々増加しています。アクセス件数は前年度 と同水準ながら、ヒット件数は順調に伸びている状況が、ここにあるわけです。私どもとしては、こ こでの目標は、利用者に対する提供情報を拡充するということを考えています。したがって、ヒット 件数が順調に伸びていることから、本来の目的を達成できていると考えている次第です。  54頁は「WAMNET基盤の活用」です。厚生労働省からの委託を受けた「看護師等養成所報告管理シス テム」を運用しています。また、福祉医療貸付事業における事業報告書の電子報告システムの運用を 開始し、基金事業助成金の電子申請システム、先ほど申し上げた退職手当共済電子届出システムなど、 国の福祉保健医療施策や機構業務の効率的な実施を推進するために活用しているところです。  54頁の下は「広告収入等の自己収入の拡大」です。評価の視点は、平成24年度末で1,500万円以上 の自己収入を確保することということで、新たな自己収入の増加策を検討することです。平成20年度 の収入は約1,100万円で、前年度と概ね同額を確保したところです。右側ですが、平成20年度におけ る取組みということで、バナー広告の募集、また、平成21年2月から「福祉ビジネス情報」の掲載を スタートさせ、介護福祉事業者や一般消費者の方にとって製品選定に必要な情報の提供を開始し、そ の掲載による収入の確保を図ったところです。以上がPart3の説明です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。評価のほうはいかがでしょうか。ご質問は何かありますか。 ○大島部会長代理  長寿・子育て・障害者基金の内容で昨年も感じたのですが、基金の内容が、長寿、高齢障害者、子 育て、障害者スポーツということになっていると思います。最近では子育てだけではなく若者支援と か、あるいは生活困窮の支援や女性のDVの支援など、いろいろな分野があると思いますが、それに関 しての基金事業が入っているのかどうか。どうもこれだけを見ると利用が制限されているのではない か。もっといろいろな分野に基金を得られるチャンスがあったほうがいいのではないかと思って、今 後、あるいは今までのでも結構ですが、計画を教えていただきたいと思います。 ○福祉医療機構審議役   37頁の上の重点助成分野をご覧いただくと、いまご指摘のあった、例えば児童虐待・DVというとこ ろは、私どもとしても問題意識を持って、重点分野ということで取り組んでいるところです。今後の 基金事業の方向性について、基金事業部のほうから補足的に説明していただければと思います。 ○福祉医療機構基金事業部基金企画課長  いま、対象等についていろいろお話がありましたが、例えば子育て支援基金などは、青少年の非行 防止といった観点も、重点には載っていないのですが、テーマの中には包括されています。  今後の基金事業の方向性ですが、基本的に助成事業を今後も運用で行っていく予定にしています。 そのほかに、機構で主体的に行う事業として重点的なテーマを、この重点助成分野とはまた違うので すが、行政の対応を待っていてはすぐできない事業や社会的に緊急性を伴う事業、あるいはその事業 をやることによって職員の資質の向上につながる事業など、そういったテーマを助成ではなく直轄的 に行うことで、NPOの多角的な活動を支援していくために、20年度に「民間活動支援強化プロジェク ト」を立ち上げ、21年度から本格的に、専門性を高める研修会や現場視察を通じて行っています。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。それでは評価のほうをお願いします。時間を超過していますが、このま ま続けさせていただきます。Part4に入らせていただきます。 ○福祉医療機構審議役   Part4の説明をさせていただきます。お手元の資料は56頁です。評価項目は全部で4つです。  評価項目の14番目、57頁の「年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業」です。年金を受けてお られる方に、年金受給権を担保として、生業、住居、冠婚葬祭、医療等に必要な小口資金を融資する 事業です。自己評定Aとしているところです。  58頁は「利率設定方式の見直し」についてです。平成19年12月に閣議決定された整理合理化計画 等の指摘により、平成20年度から、年金貸付事業においては貸付原資の自己調達化と運営費交付金の 廃止を、労災年金担保貸付事業については運営費交付金の廃止をしたところです。これを踏まえて、 業務運営コストの適正化を図るとともに、そのコストを貸付利率に適切に反映した結果、年金担保貸 付事業においては4,900万円、労災年金担保貸付事業においては3,600万円の当期利益を確保し、安定 的で効率的な業務運営ができたところです。  58頁の下ですが、「無理のない返済に配慮した審査等」です。年金担保貸付事業及び労災年金担保 貸付事業は、一時的に必要な小口資金を低利で融資するという役割を担っているわけですが、一方、 老後の収入源である年金を担保にしていることから、安易な利用が生活困窮の原因になるという、本 制度の本意としない事例が発生しているところです。私どもとしては、平成17年10月に定額返済方式 の導入、平成18年7月に生活保護受給者の利用制限を行うなどの対応を進めてきたところです。平成 20年度においては、資金の必要性の確認強化、満額返済方式を廃止して定額返済方式に限定する、返 済条件の緩和措置の導入をするなど、更なる取組みを実施するために厚生労働省と協議を重ねてきた ところであり、平成21年度中には実施の予定です。  59頁ですが、「貸付制度の周知」及び「受託金融機関に対する事務取扱の周知」です。ホームペー ジによる広報、リーフレットの配布、チラシの配布等により、制度の周知に努めてきたところです。 受託金融機関事務打合せ会議についても、全国7都市で8回開催し、受託金融機関の窓口における利用 者への適切な対応を実施するため、周知徹底に努めてきたところです。  60頁は評価項目の15番目、「承継年金住宅融資等債権管理回収業務及び承継教育資金貸付けあっせ ん業務」です。これらの業務は平成18年4月、年金資金運用基金から承継した業務です。自己評定は Aとしています。  60頁の下は、承継年金住宅融資等債権管理回収業務における平成20年度の事業概況になっています。 この事業は、年金住宅融資等債権の管理回収業務で、回収した資金を年金特別会計へ納付するもので す。年金資金運用基金から当機構が承継した融資残高は、平成17年度末で約3兆7,300億円でした。 この残高が平成20年度末は2兆3,900億円となりました。この3年間で約1兆3,300億円の回収を進 めたところです。これら回収した資金については、年金特別会計へ納付したところです。平成20年度 における年金特別会計への納付額ですが、元本償還分で3,241億円、利息分で913億円、合わせて 4,154億円となっており、本年7月10日に国庫納付を完了したところです。  61頁・62頁ですが、適切な債権管理に関する目標、着実な債権回収を行う目標です。ここでは細か な説明は省略しますが、貸付先の財務状況等の把握及び分析、担保物件及び保証機関または保証人の 保証履行能力の評価等を的確に行うことにより、適切な債権管理を図ったところです。  62頁の下は「承継教育資金貸付けあっせん業務」です。この業務については、独立行政法人整理合 理化計画において、承継教育資金貸付けあっせん業務について、平成20年度から業務を休止すること とされたため、業務を休止しているところです。  63頁は評価項目16番の「財務内容の改善に関する事項」です。自己評定Aとしています。  63頁の下は「法人全体の収支状況」です。平成20年度においては、全勘定において当期利益を確保 し、損失が発生した勘定はありませんでした。また、法人全体で見ると、承継債権管理回収勘定にお いて、住宅債権管理回収業務における利息の回収分913億円、心身障害者扶養保険の制度改正による責 任準備金の戻入による当期利益376億円が計上されていることから、法人全体で1,291億円の利益が発 生しています。  64頁は「勘定別の収支状況」について補足をしています。保険勘定については、平成20年度4月の 制度改正により当期利益376億円を計上しましたが、サブプライムローン問題や昨年9月のリーマン・ ショックに端を発する金融危機等により、国内外株式市場が大幅に下落した影響で、目標収益率を確 保することができなかったため、平成19年度末の繰越欠損金489億円を大幅に圧縮したものの、平成 20年度末で112億円の繰越欠損金が残ってしまった状況です。  64頁の下は「運営費交付金以外の収入の確保」です。平成20年度実績としては、福祉医療経営指導 事業、WAMNET事業ともに予算額を上回る収入を確保することができたところです。  65頁は「財投機関債の発行等による資金調達」です。評価の視点は、財投機関債の発行等による資 金調達を適切に行っているかです。平成20年度は福祉医療貸付事業の原資として100億円、年金担保 貸付事業の原資として540億円、合わせて640億円を発行し、円滑な資金調達を実施しています。  65頁の下は「保有資産の見直し」です。整理合理化計画において売却が指摘されている戸塚宿舎、 宝塚宿舎等7件の売却については、昨年の12月22日に宿舎売却の一般競争入札を行いましたが、入札 の結果は金融危機の影響もあり、不落もしくは応札なしとなったところです。一方の公庫総合運動場 については共有法人との協議を進め、機構の持分について売却する方針を決定し、平成21年度以降に 売却を予定しているところです。  66頁は評価項目の17番目、「人事に関する事項」です。自己評定Aとしています。  66頁の下は「職員の人事に関する計画」です。人事評価制度については平成16年度から制度を導入 していて、平成17年度には人事評価の結果を賞与に反映することを始めています。平成18年度・平成 19年度と、この評価結果の反映をさらに拡大したところです。平成20年度における取組みとしては、 査定昇給制度の導入があります。査定昇給制度とは、人事評価結果に基づく新たな昇給制度であり、 人事評価結果を昇給に適切に反映させるものです。併せて、賞与支給率の差の更なる拡大も図ったと ころです。人事評価制度を導入したことによる効果ですが、目標管理によって個人目標が明確になっ たことにより、職員は自分の目標を意識して職務を行うということで、意識改革ができたと考えてい ます。  67頁は「研修の充実」です。平成20年度においては、福祉・医療分野における専門家を招き、年間 22回の研修を開催し、若手職員の育成を図るとともに、平成19年度に導入した教育・訓練プログラム を効果的に運用するための研修メニューを実施したところです。これにより、業務の特性に応じた専 門性の高い職員の育成を図ったところです。  67頁の下は「人事に関する指標」です。指標の299名以内に対し、平成20年度末は250名となって います。業務の実態を踏まえつつ、組織体制及び人員配置の見直しを行うとともに、必要最小限の職 員数を確保することとし、引き続き努力をしているところです。以上がPart4の説明です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。いかがでしょう、評価はできますか。ご質問がございましたら。よろし いですか。  それではPart1からPart4までの評価を評価シートに記入していただきたいと思います。各評価委員 が評価なさるときには、法人監事の監査状況を踏まえて、連携して評価に当たることになっています ので、監事の取組み状況も説明していただかなければなりません。恐れ入ります。 ○福祉医療機構総務部長  お手元の資料2-4です。本年6月30日に、私どもの監事から厚生労働大臣に提出した、「平成20事 業年度監事監査報告書」について、簡単にご説明させていただきます。  1頁のIIの「監査の結果」ですが、監事監査においては会計監査と、次の頁の業務監査の2点があり ます。この報告書において業務全般にわたり、適正・妥当な執行が実施されているという評価を受け たところです。  監事監査につきましては、整理合理化計画でも指摘された事項を中心に実施していただいています ので、その点についてご説明させていただきたいと思います。  資料の4頁の(3)「内部統制・リスク管理等に係る状況」についてです。機構においては、内部統制の 強化について強い問題意識を持っており、役員会のあり方の見直しやトップからの情報発信の強化な ど統制環境の面での改善や監査部門の強化などモニタリング面での改善などは既に取組みが進捗しは じめている、と評価をいただいたところです。なお、経営の健全性を高めていくためには、内部統制 ・リスク管理の有効性が確保される態勢の一層の整備に努めることが必要であるとされているところ です。  9頁の(4)の(1)のイの部分で、給与水準について内容が書かれています。国家公務員の給与構造の改 革を踏まえ、毎年度、人員配置等の見直しや組織のスリム化を行うなど、業務運営の有効性を高める 取組みに努めており、また、平成16年度には給与水準を見直し、平成20年1月には査定昇給制度の導 入等の取組みにより、人件費の抑制に取り組んでいると評価いただいたところです。  なお、対国家公務員のラスパイレス指数は、こうした取組みにより年々低下してきていますが、今 後とも、継続して、人件費の抑制に取り組んでいく必要があるとされたところです。  11頁の(6)の「契約業務の見直し」についてです。平成19年12月に策定した「随意契約見直し計 画」の推進を図るため、契約審査会の見直し・強化や、調達方法の透明性の確保に努めた結果、随意 契約比率は、件数ベースで前年度の53%から28%まで低下していると評価いただいたところです。な お、今後とも引き続き見直し計画の達成に向けて取り組むことが求められたところです。  最後に、同じ頁の(7)の情報開示の状況についてです。情報公開に関しては、ホームページを活用し て、法律等で開示が義務づけられているものについては漏れなく開示されている、と評価いただいた ところです。  以上、簡単ですが、監事監査報告の概要の説明とします。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。それでは今のご報告も踏まえて、評価シートのほうをお願いします。時 間もない関係で、評価はまた後ほどやっていただくとして、次に進ませていただきます。福祉医療機 構の長期借入金及び債券発行についてご説明をお願いします。まず事務局からお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料2-9-(1)です。「医療・福祉部会における福祉医療機構の長期借入金及び債券発行に係る意見の 取扱いについて」ということでまとめています。年度を通じた「長期借入金計画」及び「債券発行計 画」については、部会長の了解事項としていて、当該計画に基づく長期借入金または債券発行の個別 の認可については、部会長一任となっています。実際に借入れが行われた場合には部会に事後報告す ることとなっています。平成21年度計画は本年2月に、平成20年度計画については昨年2月に、本部 会のご了解をいただいているところです。本日は、これらの計画に基づく平成20年度第4・四半期の 長期借入金と、平成21年度第1・四半期の長期借入金、並びに平成21年度債券発行のご報告になりま すので、よろしくお願いします。 ○福祉医療機構経理部長  資料2-9-(2)です。平成20年度第4・四半期長期借入金についてご報告申し上げます。平成20年度計 画額は、一般勘定で財政融資資金3,008億円、年金担保貸付勘定で民間借入金61億円となっています。 第4・四半期で認可いただいた額は、一般勘定で392億円、年金担保貸付勘定で61億円です。  それに対する実績が下の表です。一般勘定において、平成21年3月27日に固定金利分として359億 9,600万円、変動金利分として32億400万円、計392億円となっています。なお、年金担保貸付勘定 については借入れを行っていません。  2頁ですが、平成21年度第1・四半期長期借入金についてご報告申し上げます。平成21年度計画額 は、一般勘定で財政融資資金2,828億円、年金担保貸付勘定で民間借入金287億円となっています。第 1・四半期に認可いただいている額は、一般勘定で777億円です。  これに対する実績が下の表です。一般勘定で、5月22日に固定金利分として13億5,000万円、10年 経過後金利見直し制度分として4億5,000万円、6月19日に固定金利分751億8,000万円、10年経過 後金利見直し制度分として7億2,000万円、計777億円となっています。  なお、平成20年度第4・四半期借入金については2月13日付、平成21年度第1・四半期借入金につ いては4月27日付で、部会長より了承の旨をいただき、厚生労働大臣の認可をいただいていることを ご報告申し上げます。  続いて、「平成21年度独立行政法人福祉医療機構債券発行」について、ご説明申し上げます。3頁 です。平成21年度事業は、一般勘定と年金担保貸付勘定を合わせて総額740億円の発行を予定してい ます。平成21年6月17日に第19回債(3年債)240億円、第20回債(10年債)100億円、計340億円 を資料上段の表に記載の条件で発行しています。この340億円の資金については、第19回債が年金担 保貸付、第20回債が福祉医療貸付事業の貸付原資に充てています。なお、機関債の残額400億円につ いては、今後、起債環境や資金の需要を考慮しながら、発行時期・発行金額等を検討していく予定で す。また、この第19回債と20回債の債券発行に関しては、5月18日付で部会長より了承の旨をいた だき、厚生労働大臣の認可をいただいていることをご報告申し上げます。  次の4頁以降に、平成13年度の第1回社会福祉・医療事業団債券から、平成20年度の第18回福祉 医療機構債券までの発行実績を、一覧にして載せています。ご報告は以上です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。何かご質問はございますか。それでは今のように厚生労働大臣より了解 をいただいて進めているものと、これからまたご報告を今後させていただくということでご了承いた だきたいと思います。福祉医療機構の平成20年度のすべての評価が終わりました。長時間、ありがと うございました。 ○政策評価官室長補佐  次の議題に入る前に、お昼休憩とします。午後の開始は1時15分とさせていただきます。                 (休憩)             (法人及び法人所管課入替)            ○上野谷部会長  お待せいたしました。開始が遅れましたことをお詫び申し上げます。それでは、医薬品医療機器総 合機構の個別評価に入ります。最初に、近藤理事長よりご挨拶と、年度業務実績の概要、重点項目に 焦点を得てのご説明をお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  私、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の理事長の近藤達也でございます。今日はどうもありがとう ございます。委員の皆様方におかれましては、日ごろからPMDAの業務推進につきまして、ご指導、ご 協力をいただきましたことを、厚く御礼を申し上げるところでございます。  さて、本日はPMDAの平成20年度の業務実績につきまして、ご評価いただく場でございますが、業務 実績の内容につきましては、後ほど個別に担当の幹部から説明いたします。よろしくお願い申し上げ ます。私からは組織全体のこれまでの取組みと今後につきまして、簡単にお話を申し上げたいと思い ます。  まず、昨年9月に「PMDAの理念」を策定させていただきました。これはPMDAの個々の職員がその能 力を統合して発揮して、一丸となって日々の業務に励んでまいりたいという思いを込めて作ったもの でして、職員全員で作り上げたものでございます。併せて、昨今の医薬品開発のグローバル化の進展 を踏まえまして、規制当局との間の国際連携を一層強固にしていくために、「PMDA国際戦略」を策定 いたしまして、本年の4月から新たに国際部を発足したところです。  さらに、PMDAが組織全体として国民の信頼を得られるように、積極的な広報を行っていきたいとい う考えの下で、「PMDA広報戦略」を策定いたしました。また、新たな取組みといたしましては、「連 携大学院構想」の推進によるレギュラトリーサイエンスの普及推進がございます。レギュラトリーサ イエンスと申しますと、医学・薬学に代表される生命科学、または先端科学における最新の医学に基 づきながら、社会的にも妥当な行政政策または規制を行うことを目的とした学問分野でございます。 これは日本発の学問分野で、いま世界中に広がりつつあるところです。PMDAでは国際会議や学会への 参加、企業とのディスカッションなどを通して、最先端の科学的見地を持ち、また、それに社会的見 地からの判断を加味した上で、総合的な判断を行っていけるように取り組んでいきたいと考えており ます。  これによりまして、医薬品や医療機器などに関する問題を未然に防ぐとともに、問題が発生したと きには、速やかに有効な対策をとることが可能になるなど、公衆衛生の向上に寄与するものであり、 まさに国民全体の利益に資するものと期待するところでございます。  さらに今年からは、いよいよデバイス・ラグの解消に向けましたアクションプログラム、それから 市販後安全対策の拡充に向けた取組みがはじまったところです。また、引き続き平成23年度までにド ラッグ・ラグを解消するべく拡充させていただきました人員により、審査チームの数を増加させ、処 理自体を加速化するとともに、事前評価システムの導入による申請後の業務の効率化に取り組み、目 標達成に向けて全力で努力をしてまいりたいと考えております。  さらに最近の動向といたしまして、平成21年度の補正予算におきまして、国内未承認薬の承認審査 の迅速化を推進していくための取組みを行っていくことが決定されたわけですが、社会の期待も非常 に大きいことと感じています。  これらの大きな課題を達成してまいるために、優秀な人材を確保し、また、育成していくことが非 常に重要であると認識しております。PMDAでは、一昨年よりFDAなどを参考にいたしました新しい研 修プログラムを実施しているところでございますが、今後は職員個々の業務内容に即した適切な研修 となるように、更なる充実を図ってまいる所存でございます。  その前提といたしまして、優秀な人材を流動化させていくことも不可欠であると考えています。我 々と医療現場であるとか、研究機関であるとか、さらに企業といった、いわゆる産官学の領域におき まして、人材の行き来が活性化するように、また、各職域が合理的に活性化し、我が国の先進性がよ り強化されるのではないかと、このように考えています。  一方、これに伴って業務の公正性・透明性を確保するためにも、利益相反に関わる一定のルールは 必要です。このルールを遵守した上で、優秀な人材を流動化していくことが全体のレベルアップにつ ながり、さらには国益にもかなうものであると思っております。  最後に、より有効でより安全な医薬品や医療機器を、より速く医療現場に届けるために、職員が一 丸となって、最善の努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、今後とも委員の皆様方にはよろ しくご指導、ご鞭撻を賜れば幸いと存じ上げます。以上、簡単でございますが私の挨拶とさせていた だきます。よろしくお願いいたします。 ○上野谷部会長   ありがとうございました。進め方ですが、個別評価については、評価シートがいくつもございます ので、4つのグループに分けてグループごとに評価を行っていきます。  まず第1のグループですが、「審査等業務関係」の項目についての評価に入ります。本当に申し訳な いのですが、法人からの説明は20分以内でしていただきまして、委員の評定・質疑を含めまして、15 分から20分の間に委員の方々はできれば評価も行っていただくという進め方でお願いしたいと思いま す。  それでは法人からご説明をお願いします。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  それでは「審査等業務関係」の項目につきまして説明させていただきたいと思います。資料3-5を使 って説明させていただきます。  資料3-5の6頁です。まず「医薬品審査業務の迅速な処理及び体制整備」です。これは自己評定Aと させていただきましたが、その評価理由及び特記事項は、平成19年度からの増員、それから増員に係 る新規採用者の研修等に全力を挙げるとともに、承認審査等の処理能力を高めるための各種取組みを 精力的に推進いたしましたことによります。  平成20年度においては、平成19年度と比べまして新医薬品における審査期間を着実に短縮するとと もに、多くのリソースを必要とする優先審査の処理件数も着実に伸びてきております。増員、新規採 用者の研修の実施等の体制強化につきましては、現在、その途上にありまして、審査事務処理期間に 係る新医薬品全体の第1期中期目標の最終目標に対する達成については、目標80%に対して、70%の 達成率でした。しかしながら、審査事務処理期間における新医薬品全体の達成率を前年度より10%上 昇させるなど、新医薬品の審査等業務の処理については、着実に推進してきているほか、後発医療用 医薬品及び一般用医薬品における目標も達成していることを踏まえれば、まず、十分な成果を上げた と考えております。  7頁から個別の項目について説明いたします。まず「審査の効率化・迅速化のための取組み」ですが、 「人員の拡大」ということで、平成21年度までの3年間で236名の増員を予定いたしまして、平成20 年度は年4回の募集を定例化させ、技術系職員の採用状況は、応募者数約910人、採用内定者数98人、 採用44人を含んでおりますが、そういう結果となっております。  「研修の充実」ということで、平成20年度は新薬審査部門を主な対象とした、ケーススタディ等を 盛り込んだ新研修プログラム、FDAの研修プログラムを参考としておりますが、これを試行結果を踏ま えまして、本格実施いたしました。また、業務コーチングのためのメンター制度を平成20年4月より 本格導入、実施いたしました。  「治験相談の大幅拡充等による開発期間の短縮」についてですが、まず、治験相談担当者の増員等 によりまして、平成20年度は、年間約420件の処理能力を確保いたしました。また、平成20年8月実 施分からは、日程調整方法の改善を行いまして、申込み時期を実施月3カ月前から2カ月とし、実質的 に相談までの待ち時間を解消いたしました。平成20年度の相談件数は、実施件数315件、取下げは23 件でしたが、原則として、申請のあった相談にはすべて対応いたしました。  「審査の進捗管理の強化」についてご説明いたします。平成16年度以降の申請分について、平成19 年度よりスタートした新プランにおける平成20年度の目標値は、総審査期間が中央値で20カ月、行政 側13カ月、申請者側8カ月という目標期間が設けられています。また、優先審査品目については、総 審査期間が中央値で12カ月、行政側が6カ月、申請者側が6カ月という目標期間が設けられています が、実績は次の頁のとおりでございます。  9頁の平成20年度の所をご覧いただきたいのですが、通常審査品目の総審査期間は中央値で22カ月 となっています。目標は20カ月ということで、若干長くかかっています。  一方、行政側の審査期間は目標値が13カ月でしたが、11.3カ月ということで、完全にクリアしてい ました。また、申請者側の審査期間も7.4カ月ということで、目標値の8カ月をクリアしていたわけで す。  行政側も申請者側も目標をクリアしているのに、なぜ総審査期間は目標をクリアしていなかったか ということですが、その原因は、行政側が原因で総審査期間が長くなった品目と、申請者側が原因で 総審査期間が長くなった品目が存在するためです。したがいまして、総審査期間の短縮にはPMDAが努 力をすることはもちろんなのですが、申請者の協力が必要であるということで、これは我々のほうと いたしましても、申請者のほうに協力をお願いしているところです。  次に「国際共同治験への対応」です。国際共同治験推進のため、「国際共同治験に関する基本的考 え方」を、平成19年9月28日の厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知ということで出してもらいま して、PMDAのホームページに掲載し、これを申請者へ明示するとともに、対面助言・審査等において 活用中でございます。  その結果といたしまして、平成20年度の治験計画届524件中、国際共同治験に係る治験計画届が82 件と、約16%を占めるまでになりました。平成19年度は、その割合は約7.5%でしたので、2倍以上 増加していることになります。  10頁、「審査基準の明確化」といたしまして、平成20年4月に「新医薬品承認審査実務に関わる審 査員のための留意事項」を取りまとめまして、担当職員に周知するとともに、PMDAホームページに掲 載いたしました。これによりまして、PMDA審査員の意識や基準を統一するとともに、申請品目に必要 なデータパッケージについて、開発早期から考慮することを可能にいたしまして、より効率的な医薬 品開発を促進できるようになったと考えております。  「プロジェクトマネジメント制度の導入」ということで、平成20年4月より、新医薬品の審査等を 対象に、その進行管理・調整等を行うため、プロジェクトマネジメント制度を導入いたしました。  次に「新医薬品の承認審査」についてご説明いたします。まず、新医薬品全体の承認状況ですが、 中期計画に掲げました平成16年4月以降申請分についての行政側審査期間12カ月の目標達成状況は、 平成19年度は60%でしたが、20年度は70%になりました。承認された77件中24件が優先審査品目で した。優先審査品目の承認状況は、中期計画に掲げた平成16年4月以降申請分についての6カ月の目 標達成状況は33%でした。  12頁です。「新医薬品の審査状況」ですが、PMDA設立以前(平成16年3月以前)に申請が行われま した139件のうち、平成16年度から平成20年度において、承認又は取下げにより132件を処理できた 結果、未処理案件は7件と大幅に減少しています。  13頁、「GMP調査」、それから「申請資料の適合性書面調査、GLP調査、GCP調査及びGPSP調査」に つきましては、この表にあるとおりなのですが、承認審査の進行状況に合わせまして、適切に行われ ていますので、これが承認の時期等に影響することは全くありませんでした。  14頁、「後発医療用医薬品、一般用医薬品、医薬部外品の承認審査」につきましては、厚生労働省 が定めました平成16年4月以降申請分についての標準的事務処理期間の達成状況が、後発医療用医薬 品は目標期間が12カ月になっていますが、1,960品目中1,627品目が承認されていまして、達成率は 83%でした。一般用医薬品は、目標値は10カ月ですが、これは1,807品目中1,699品目、94%の達成 率でした。医薬部外品は、目標値は6カ月ですが、2,339品目中、2,175品目承認ということで、93% の達成率でして、いずれも非常に高い達成率となっております。  15頁は「医療機器の業務の迅速な処理及び体制整備」ということです。これに関しての評価理由及 び特記事項は次のとおりです。平成21年度から実施予定の「医療機器の審査迅速化アクションプログ ラム」に基づきまして、審査人員の増員、研修の充実、3トラック審査制及び事前評価制度の導入、審 査基準の明確化、進捗管理の徹底等各種施策についての準備作業を実施いたしました。  審査事務処理期間に係る新医療機器全体の最終目標に対する達成の有無について見れば、目標90% に対し、達成率は75%でしたが、平成20年度は前述のアクションプログラムの準備期間であったこと 及び優先審査品目については、目標70%のところ、75%と目標を達成していることを踏まえれば、十 分な成果を上げたと考えていまして、自己評定をAとさせていただきました。  16頁、次に個別の項目についてご説明いたします。「新医療機器の承認審査」につきましては、新 医療機器全体の承認状況は、中期計画に掲げた平成16年4月以降申請分についての12カ月の目標達成 状況は75%でした。また、優先審査品目の承認状況は、中期計画に掲げた平成16年4月以降申請分に ついての9カ月の目標達成状況は75%でした。  18頁、「新医療機器の審査状況」は、PMDA設立以前、平成16年3月以前ですが、それまでに申請が 行われた132件のうち、平成20年度までに承認又は取下げによりまして処理を進めた結果、未処理案 件は4件と大幅に減少しています。  19頁、「治験相談業務の迅速な処理及び体制整備」です。これについては自己評定をAといたしま した。その評価理由及び特記事項は次のとおりです。治験相談については、約420件の処理能力を確保 いたしまして、全ての治験相談の需要に対応することができました。また、申込み時期を3カ月前から 2カ月前といたしまして、実施時期を的確に把握するとともに、相談までの待ち時間を実質的に解消い たしました。  また、対面相談から記録確定までの期間30勤務日の達成率は、87.7%でして、達成件数としては、 昨年の186件から100件の増加を達成しています。また、優先治験相談の第1回目対面までの期間30 勤務日の達成率についても、56.3%であり、すべての数値目標を達成いたしております。  個別項目ですが、まず「優先治験相談の実施」ですが、平成20年度は、4成分の医薬品関係の優先 治験相談の指定申請がありまして、4成分(うち平成20年度申請分は2成分)を「優先治験相談」に 該当すると判定いたしまして、「優先治験相談」に指定した成分については、治験相談を延べ27件実 施いたしました。  「医薬品の治験相談の迅速化」につきましては、先ほどから申しているのですが、約420件の処理能 力を確保して、平成20年度の相談件数は338件(実施件数315件、取下げ23件)で、原則申請のあっ た相談にはすべて対応いたしました。治験相談の処理期間について、平成20年度に記録が確定した 326件のうち対面助言から記録確定まで30勤務日以内のものは286件で、87.7%の達成率でした。平 成20年度に申込みがあった優先治験相談16件のうち、第1回目対面までの期間が30勤務日以内のも のは9件で、56.3%の達成率でした。  新有効成分の国際共同治験に係る相談について、平成20年度には延べ62件の申込みがあり、うち 51件の治験相談を実施いたしました。相談の質を高めるために、平成19年1月より、相談に対する PMDAの見解を予め相談者に対して示す方式(PMDA事前見解提示方式)をスタートしましたが、これを 全ての治験相談に導入いたしました。  21頁、「審査等業務及び安全対策業務の質の向上」ということで、これは自己評定をAとさせてい ただいていますが、その評価理由及び特記事項は次のとおりです。新たな研修プログラムの実施や外 部専門家の活用をはじめとする各種取組みを通じまして、審査等業務及び安全対策業務の質の向上が 図られたものと考えております。即ち、GMP調査体制の整備、外部専門家の活用、情報支援システムの 構築等、それから海外規制当局との連携を図ってまいりました。また、特にエスニックファクターが 少ないと考えられる日中韓を中心とした、東アジアとの連携強化のため、平成20年4月には「東アジ アレギュラトリーシンポジウム」を開催いたしました。  22頁、「適正な治験の普及等」につきましては、これも自己評定をAとさせていただきました。そ の評価理由及び特記事項といたしましては、厚生労働省と協力しつつ、具体的なガイドライン作成に 向けての検討を行う等、国の評価指針作成に協力するとともに、医療機関に対するGCP実施調査数につ いて、約1.5倍の増加を実現するなど、適正な治験の普及啓発にも積極的に取り組んでまいりました。 そして、全体として十分対応した実績となっていると考えているからです。  23頁、また、バイオ、ゲノム等先端技術の評価、国の指針作成への協力を行ってきました。新技術 を応用した製品に係る国の評価指針(カルタヘナ法第1種承認申請に係る通知、ヒト(自己)及びヒト (同種)細胞組織加工製品に係る通知、バイオ後続品に係る評価ガイドライン、再生医療やワクチン の評価のための研究班によるガイドライン)、これらのガイドラインの作成に引き続き協力してまい りました。  また、ベンチャー企業支援相談事業及び先端医療開発特区(スーパー特区)採択事業における相談 対応を通じまして、新技術を応用した製品の開発に協力いたしました。  スーパー特区採択課題における治験相談等につきましては、平成21年3月より迅速に対応してきて います。  平成17年にはPMDA内にゲノム薬理学(ファーマコゲノミクス)プロジェクトチームを発足いたしま して、科学的な観点から情報収集を行うとともに、厚生労働省と協力しつつ、具体的なガイドライン 作成に向けて検討をしてまいりましたが、さらに平成21年3月にはオミックス、バイオマーカー相談 の体制を具体的に構築いたしまして、21年4月よりバイオマーカー相談、対面助言をスタートいたし ました。  さらには、欧米の規制当局、業界団体及びWHOから演者を招きまして、「第3回PMDA国際バイオロ ジクスシンポジウム」を開催いたしまして、先端技術の評価等のガイドラインの作成等への協力とい いますか、努力をしてきています。  「適正な治験の普及」ということで、医療機関に対するGCPの実地調査数を1.5倍に増やしました。 また、製薬企業の開発・薬事担当者、医療従事者等を対象として「GCP研修会」を東京、大阪で開催す るとともに、GCPについての理解を深めるため、学会等でPMDA職員が講演を行ってまいりました。  さらに、医療機関の薬剤師や看護師等を対象とした「治験コーディネーター養成研修」を実施して まいりました。説明は以上です。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。どうぞご質問、ご意見をお願いいたします。 ○松原委員  ご説明ありがとうございました。分からない点がいくつかありましたので、教えていただけると有 難いのです。  まず最初に、「業務の迅速な処理及び体制整備」とありますが、業務の迅速な処理及び体制整備な ので、最も重要なのは、おそらく審査事務処理期間に係る新医薬品全体の最終目標を達しているかど うかだと思うのですが、それは目標80に対して70と未達だと。医薬品がこうなのですが、機器のほう も同じように、この目標に対して、これが達していないということで、ただ、目標に達していなくて も自己評定はAで、ほかのところでは目標に達していても同じくAだ、という辺りの点数の付け方の基 準がどのようなものなのかが分からないのです。  もう1つ、「適正な治験の普及等」につきましても、「等」とはありますが、最も大事なのは治験が 普及したのかどうかというところだと思うのです。これも、例えばGCP実地調査数は1.5倍の増加とい うふうに、増加しているとなっているので、いいのだろうなと思うのですが、ここは具体的な目標が なくて、そもそもスタート地点の数のレベルが、日本は治験が遅れていると言われているので、レベ ルが低いとしたら、1.5倍がA評価に値するかどうかよく分からない。一言で言うと、どういうときに Aを付けていらっしゃるのかなというのを教えていただけると有難いです。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  まず医薬品の審査の「業務の迅速な処理及び体制整備」のところで申し上げますと、おっしゃると おり、残念ながら最終目標の80%には達しなかったのですが、前年度と比べれば70%ということで、 10%上昇してきています。着実に事務処理期間は短縮してきているということが1つあると思います。 ただ、新薬審査について言えば、残念ながら目標に達しなかったのですが、後発医療用医薬品ですと か、一般用医薬品における目標は十分に達成しているということで、トータルで見ればA評価に値する のではないかということで、Aを付けさせていただきました。  治験のお話ですが、1つは「治験の普及」のところの実地調査が1.5倍に増えたということが、どう いう評価に値するかということですが、治験の質の向上と若干関係してくるわけです。医療サイトに すべて行けばすべてが見られる。実態が調べられるわけですが、多くの場合は、ある治験1つについて は、実地サイトについては数カ所しか行っていないわけです。それを、今回はなるべく治験の将来の 質の向上等も目指しまして、実地調査を、1.5倍に増やしたと、それだけの数を増やして実地調査を行 うように体制を整えてきたという話なわけです。これは治験の質の向上に貢献するということになる と思います。  国際共同治験などの普及につきましては、先ほどご説明いたしましたように、19年度から比べます と2倍以上、国際共同治験を含む治験届が増えております。さらに、治験相談の段階でいきますと、国 際共同治験を含む治験相談が増えてきています。19年度はたしか全体の十数パーセントが国際共同治 験絡みのものだったのですが、平成20年度は31.5%になっていますので、国際共同治験の普及に関し ましては、かなりの成果を上げてきていると我々は考えております。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  ちょっと補足させていただければと思いますが、松原先生ご指摘の部分で、治験の実施体制の関係 ですとか、治験全体が遅いとか、費用が高いとか、いろいろな指摘があるわけですが、そこの治験の 活性化といいますか、治験全般の話は、実は薬事法の守備範囲というよりは、医政局のほうで、医療 機関の体制整備のところで主にやられております。当然、これが薬事法上の医薬品なり医療機器の申 請に係わってまいりますので、私どもも薬事法の観点からGCPという中で、その治験が適正に行われて いるかどうか、それが医療機関の中に浸透しているかどうかというところで、適正な治験が普及する ための協力をさせていただいているという形でご理解いただければと思います。医療機関全般の体制 整備の話は、私どもの守備範囲からちょっと離れておりますので、そこを補足させていただきます。 ○松原委員   治験の件、大変よく分かりました。ありがとうございました。ただ、最初のほうの後発医薬品とか、 一般用医薬品のほうは目標を達しているので、そちらは十分な成果なのでAということなのですが、い まマスコミなどで大変問題になっているのは、新医薬品の承認がなかなか得られないというところだ と思いますので、そこの部分が未達でA評価というのが、私としてはちょっと疑問かなと思いました。 これは意見です。以上です。 ○平井委員  ご説明ありがとうございました。3つほどお尋ねしたいのです。まず8頁に、治験相談担当者の増員 等により420件の処理能力を確保しているが、実際は相談件数はそれよりも少なかったということで、 これは、それだけ治験が少なかったということなのかということが1点目です。実際はもっと相談をし たい人があるのだけれども、例えば、相談はたしか費用がかかったと思うのですが、それがあまりに 高額だから一般的でないとか、そういうようなことはないのか、ということについてお尋ねしたいの です。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  その件なのですが、実際問題といたしましては、申込みのあった相談にはすべて対応しております ので、実際に申込みが少なかったということになります。正直言いまして、金額が高いかどうかとい う問題に関しては、企業の大きさにもよると思います。  それから、これは全く内々でいろいろな企業の方に聞いていますと、実際問題としては製薬企業と いうのは、今回のサブプライム問題以来のこういう不景気の影響をあまり受けていないのですが、会 社のほうとしては締めているようでして、必要最小限しか、治験相談だけではなくていろいろなとこ ろを締めているというふうに聞いていますので、それも1つの原因だと思います。 ○平井委員  続きまして、21頁に「審査等業務及び安全対策」ということで、外部専門家の活用というふうにお っしゃっているのですが、これは具体的にどういうようなことを意味しているのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  これは安全対策業務もそうなのですが、審査業務等におきましても、やはりすべての専門性に対応 するほど人数がいるわけではございませんので、いちばんの専門家をお呼びしまして、専門協議とい うものを行っております。その専門協議の中で、審査チームの考えが、現在の医療の実態に即してい るかどうかというようなことを、専門家の先生をお呼びして聞いているということです。実際に現在、 専門委員として登録していただいている先生の数が900名程度おられます。 ○平井委員  実際に医療に携わっている、あるいは実際にそれを用いるような方に意見を聞いているということ ですね。ありがとうございます。  もう1点なのですが、「適正な治験の普及」ということで、いろいろ活動をなさっておられますが、 その中で最後のところに講演会を開催、あるいはCRCの養成研修というのがありますが、これ以外に、 例えば治験というものに対しての電子化とか、インフラ整備等々、そういったようなことに関して、 何かご計画等おありなのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  治験のインフラ整備ということになると、我々というよりも本省といいますか、そちらのほうのイ ンフラ整備というのはあるのですが。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  平井先生がおっしゃっているのは、例えば企業が治験をやる場合に、ITを使ってEDCみたいなシス テムを使うというようなことですね。企業がそういうITを使ったような治験のシステムを開発します と、私どもとすると、今度は薬事のほうからは、それがきちんと適正に使われているかどうか、信頼 性のチェックとかそういう観点から、そういう議論に。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  実際問題としては、いま信頼性保証部でEDCに関しての統一的な、どう使っていくかということは確 かにやっております。 ○平井委員  むしろPMDAのほうが指導的に、こういうふうにしましょうと言っていただいたほうが、現場のほう が早く進むのではないかなと思いまして。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  今、企業とワーキンググループを組みまして、EDCなどについてどうやっていくかというようなこと は相談しております。 ○宗林委員  私も審査期間のことで質問なのですが、今回の新職員採用は別に置きましても、これまで審査手数 料を大幅に上げて、新医薬品のところに人を投入してきたという経緯があると思うのですが、ここ2、 3年、お話を伺って、なかなか実績が出ていない、成果が上がっていないという印象が非常に強くござ います。確かに職員を研修して実績が出るまで何年かかるという説明をずっと聞いてきているわけで すが、何かしら、もうそろそろという感じがしますので、その辺を抜本的に何か解決策があるのかど うかということが1点です。  それから、平成23年にドラッグ・ラグの解消ということが、目標としてかなり言われていると思い ますけれども、2.5年のドラッグ・ラグが今もあまり解消されていないように思います。今、実際どの ぐらいドラッグ・ラグがあるのかということと、解消するに当たっては、申請者側の持ち期間も短縮 しなければいけないのではないかと思うのですが、それについても何か対応策がおありでしたら教え ていただきたいと思うのです。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  最初のほうのご質問なのですが、11頁の「新医薬品全体」のいちばん上を見ていただきたいのです が、まず、平成16年に設立されまして、それからどれだけパフォーマンスが上がっているかというの は、その審査事務処理期間自体は、なかなか目に見えてきていないのかもしれないのですが、これを 見ていただくと分かるとおり、16年度以降申請分というところではなくて、全体を見ていただきます と、16年度は49件の承認件数だったわけです。それが17年度が60件でちょっと増えていますが、18 年度には77件に増えています。どうしてこういうふうに増えてきたかというと、審査チームの数は同 じです。審査にはある程度の期間は絶対にかかるわけですね。そうしますと、チームごとでできる時 間は決まってきますから、現有のチーム数で18年度から19年度のところまでで、大体80件程度の審 査ができるような体制が整ったということになるわけです。これは要するに、16年・17年度ぐらいに 入った人たちの成長によりまして、審査のスピードがマキシマムに達してきたということを表わして いると思います。  それから19年度からまた増員が始まったわけですが、その人たちの教育を考えますと、これからあ と1、2年経つとまた更にスピードアップは図れると思うのですが、今度の場合はスピードアップと言 いましても、今まで審査の時間はもう大体スピードアップは済んじゃっていますから、今図らなけれ ばいけないことは何かといいますと、それを分けて申請の混んでいる所については、今1チームで当た っているのを2チームに増やさなければいけないわけです。そのためには、やはり、かなりの人数が審 査に慣れてこないと、2チームにすることは不可能なわけです。今、いくつかの分野で2チームにした のですが、2チームにしたけれどもフルのスピードの審査にはなっていないという状況にあります。で すから、増えてきた人たちがあと1、2年経ちますと、更にスピードアップが図られるということにな ると思います。それが1つ目の質問の回答です。  2つ目のご質問ですが、ドラッグ・ラグの解消、どういうふうに解消されたのかというのは、数字で お示しするのがなかなか難しいところがあります。ドラッグ・ラグというものの原因が2つあるわけで す。1つは、いままで審査が遅いということが言われていますが、実際問題としていちばん時間がかか っているのは、企業が申請してこなくて、日本で開発をするのが遅いわけです。そちらのほうが長い 時間かかっているわけで、そこをどういうふうに数字化していくかというところは、なかなか難しい ところがあります。いま我々の所でも、どういう数字で出すのがいちばんいいか、いろいろ検討をし ているのですが、それで納得していただけるかどうかというのはよく分かりません。審査のほうは今 日ここにお示ししたような数字でご理解いただくしかないというふうに考えています。  これはまだ成果が出ていないわけですが、国際共同治験を我々の所で推進しているわけです。先ほ ども言いましたように、治験計画届の中には、だいぶ国際共同治験が増えていますし、国際共同治験、 特に治験相談の段階ではもう3割以上になってきていますので、こういうものが出てきますと、基本的 にドラッグ・ラグというのはかなり解消してくると思います。特に申請段階と言いますか、開発段階 でのドラッグ・ラグが解消してくるはずです。やはりこういう努力の結果が本当に出てくるのは、も う少し時間がかかるというのが実態ではないかという気はします。 ○宗林委員  いま現在は、やはり2.5年という数値ぐらいなのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  新しい数字が特にあるというわけではないという状況でございます。 ○大島部会長代理  新規採用の人数が少ないというふうに思うのですが、採用内定者が98名、採用が44名ということは、 今年の4月1日現在で44名というふうに考えてよろしいのかと思うのです。その変が違っていれば別 なのですが、増員が21年度までの3年間で236名ということを考えますと、少な過ぎる気がするので すが、それに関して、例えば大学等教育関係との連携とか、あるいは内定者で断る人もいるのだと思 うのですが、その条件整備であるとか、さらに働きやすい環境作りなど、採用者を増やすための努力 をされているかどうかというところを教えていただきたいのです。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  これは7頁の236名の中で、20年度は、今年の4月1日までに44人が入り内定者が98人という話で して、すでにかなりの増員が進んでいます。3-5の63頁、この「審査部門」のところを見ていただく といいのですが、これには書いてないのですが、この236名増やすという話が出てきたときには、19 年の1月1日段階で、たしか112名だったのが、平成21年の4月1日の段階で267名と増えています。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  今新薬に限定しますと一応そういう数字なのですが、ここでは「審査部門」ということで数字が出 ていますが、18年4月1日では197名、約200名だったわけです。これが実際18年12月に236人増や すということをお決めいただいて、そこから鋭意採用活動を始めたわけですが、いかんせん、19年4 月1日の採用の方というのはかなり決まっている方がもう多くて、19年4月はそれほど増やすことが できなかった。ここに数字が約20名増えたぐらいだということでございます。ただ、年度途中にも少 しずつ積み増しをいたしましたし、20年4月1日には、かなり本格的に採用することができまして、 70名以上、上積みができたということで、今年の4月も70名ぐらい上積みをしているということで、 来年の4月までには何とか236人に近付けることができるのではないかという状況でございます。  本当は19年4月1日から増やすというのが、1年ぐらいずつずれている形にはなっておりますので、 そういう意味では、先ほどの審査のパフォーマンスとの関係もちょっとあるのですが、実際には20年 の4月から増やした人たちが去年活動しないと、20年のパフォーマンスの改善という形には数字で上 がってまいりませんので、その変がちょっと関係しているかと思います。以上でございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  先生おっしゃるように、大学等との連携をとってということも、いま非常に努力はしているところ です。特にお医者さんと生物統計等が不足していますので、その点については、年に4回の公募の枠外 で、お医者さんと生物統計については、常時採用を行っておりますので、1年遅れと言いますか、1日 遅れかもしれませんが、大体は予定の人数が、集まってきていると考えています。 ○浅野委員  手短に1点だけ。増員の人数なのですが、確かに目標は設定されているのですが、医薬品業界を取り 巻く環境というのは、ずいぶん変わってきている。それから、先ほど言われたように、例えば日本に おける外資系企業の医薬品の申請件数も、今後もうなぎ登りで登っていくというわけではなくて、か なり慎重になってくる可能性もあります。そうすると、むしろ増員についてはそういった環境を踏ま えながら、慎重に増員していくほうが、望ましいのでは。一律に目標が設定されたからということで はむしろなくて、審査業務に関してはそういった少し慎重な目で見ていて、むしろ必要なのは安全対 策とかいうような面ではないかなと考えています。確かに目標設定は過去のものでありますが、その 辺を少し臨機応変に、最近の環境の変化が素早いので、加味されて考えるのがいいのではないかなと いうのが、私の個人的な見解です。そのようなところを感じますので、ちょっと申し付けさせていた だきます。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。人数の募集に関して、全体としての人数ですよね。そして、博士を持っ ていらっしゃる方とか、いくつか条件がありますから、年に4回。新薬だけに対応した分がこの数字で すけれども、そうでない全体の分として、いま浅野委員がおっしゃったように、全体を鑑みながら、 たくさんの応募がある中で優秀な人を選んでいると、こういうふうな理解でよろしゅうございますか。 いま、ただ単に目標達成ではなくて、慎重にかつ適切な素晴らしい人を選んでほしいという意見とし て承りました。豊島理事、何かどうぞ。 ○医薬品医療機器総合機構理事(審査等担当)  いま部会長におまとめいただいたとおりです。 ○上野谷部会長  この案件は、前年度も非常に委員の関心がとても高いということは、国民の関心の高いところでご ざいますが、よろしゅうございますか。それでは委員の方々は評価シートの記入をお願いいたします。 豊島審査等担当理事は、この後別件がおありということで、関係の方たち、次のお仕事に行かれると いうことでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  次のグループ2「安全対策業務関係」に移らせていただきます。また同じく、法人からの説明は20 分以内にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  同じ資料でございますが、24頁から「安全対策業務」につきまして、ご説明をさせていただきます。  まず25頁です。こちらは「業務の透明化の推進」ということで、情報の提供ですとか、そういうも のでございまして、自己評定をAといたしております。これは私どもの医薬品医療機器情報提供ホーム ページというものがございますが、ここのホームページの内容の充実が中心です。ここについては、 アクセス回数は25頁の下に書いてありますが、平成20年度で6億4,200万回です。平成16年度のス タート時から比べて、かなり活用していただいています。アクセス件数はこのように増加しています。  その内容は、医療機器の不具合の評価体制の構築、医療機器の稼働状況に係るデータ収集評価シス テムといった、別のところの整備も順調に進んでおりまして、自己評定をAにしています。  そのほか、先ほど豊島理事から説明のあった、審査の結果についても、審査報告書という形で、新 薬の審査でどのような点を評価のポイントとしたかといった点を中心に、公表版を確定して、公表し ています。医療機器等についても、同じです。一般用医薬品、医薬部外品ですが、これは件数が少な いのは、このようなもので新しい成分が入る、例えば薬用化粧品で新しい成分が入るといったような ものは年間に1、2件ぐらいですので、そういう審査報告書を公表するものは1、2件ということになる のですが、そういったものについても、公表が必要なものは公表しているということです。  26頁です。これも先ほどの豊島理事のところで説明がありましたが、私どもは欧米との連携を非常 に強化してきています。ただ、そういう中ではFDA、EMEAから、日本の業務の内容についても聞きたい といったこともありまして、私どもも審査報告書、安全対策の情報といったものの英語での情報発信 も強化してきています。  そのほか、医療機器の不具合の把握、評価体制の構築ということで、個別の注入器、ステント、ト ラッキングの医療機器について、それぞれ検討を進めています。得られた結果の中間集計をホームペ ージ上に公表したり、次年度以降も継続する形で対応しています。  27頁です。「副作用等情報の収集」で、ここについては自己評定をAとしています。ここについて は、昨年までも説明していますように、データマイニング手法導入のためのシステム開発を検討して きていました。それを昨年度末までに本格的に活用する基盤を整備して、実装して、実務に利用し始 めています。拠点医療機関ネットワークの構築事業も第1期でやっていましたが、これについても副作 用評価の精度向上において一定の成果を収め、これらについても公表しています。副作用等報告の電 子化についても、広く普及が図られていまして、数値目標を達成しているということです。  具体的には、28頁はデータマイニングの手法の概念図で、今年の3月までに開発を終了し、実装を したということで、現在は実務に活用を始めています。  29頁が、「拠点医療機関ネットワークの構築」です。抗がん剤の併用療法、そういったところにつ いて、最終解析を公表しています。その後に追加解析がありまして、これは年度を越えてしまってい ますが、今年の5月にホームページ上に公表しています。  30頁は「副作用・不具合情報等報告の電子化」です。電送化率は徐々に上がってきていまして、平 成20年度は92.3%でした。これは平成16年4月時点では、約50%でした。平成15年10月が電送化 の開始で、平成16年4月時点では50%でしたが、昨年は92.3%まで上がっています。  31頁です。私どもが収集し、評価をし、場合によっては厚生労働省と協力して評価をした安全性情 報を提供するということです。これについては記載のように、ホームページ上の情報掲載、プッシュ メールの形の情報配信サービスも行っています。  具体的には32頁以降です。企業への情報提供については、副作用報告は2万6,000件、不具合報告 は8,100件のラインリストを公表しています。これは企業だけではなくて、ホームページ上に公表して いますので、皆さんが見られる形になっています。企業からの安全対策に関するような各種相談につ いても、平成20年度はこれまでの年度よりも増えて対応しています。  医療関係者への情報提供については、IT技術の発達もありまして、頻繁に改訂もされますが、ホー ムページを通じた最新の添付文書の情報提供の充実、プッシュメールの推進です。プッシュメールの 数は、平成19年度から平成20年度にかけて、広報の成果もあって、1万1,000件から2万件まで増え てきてはいますが、医療機関、薬局などの医療施設数に比べると、まだ少ないのではないかというご 指摘もありますので、鋭意増やしていきたいと考えています。医療安全情報の掲載等の取組みも強化 しています。  33頁です。こちらは「患者、一般消費者への安全性情報の提供」です。先ほどもご説明したように、 現在、受け手によって、それぞれ情報の中身を変えることはしていないわけですが、患者、一般消費 者への安全性情報の提供という点では、もう少しきめ細かくやらなくてはいけない部分もあります。 そういう点で1つあるのは、くすり・医療機器の相談業務で、電話相談業務を開始していまして、ずっ と実施してきています。そのニーズ・満足度の分析も行っています。そのアンケートの意見等を踏ま えて、ホームページの改修なども実施しています。  ほかの安全対策業務についても、3つのセーフティトライアングルのほかの2つを担っている審査業 務・救済業務との連携にも取り組んでいます。  具体的には34頁です。平成20年度の実績で、一般消費者・患者への情報提供については、電話相談 の関係では、くすり相談が1万2,000件、機器の相談が1,000件弱です。  添付文書等は、私どものホームページから何万品目もの添付文書のダウンロードもできますが、メ ディケーションガイドという形で、患者向けにわかりやすく作っている医薬品ガイドもどんどん作っ ていまして、現在2,000品目、300成分弱の掲載も行っています。この添付文書と「患者向医薬品ガイ ド」の中身の違いは、ここに書いてあるような状況です。  私からの安全対策業務を中心とした部分の説明は以上です。 ○上野谷部会長  いかがでしょうか。 ○宗林委員  2点ご質問があります。1点目はホームページのアクセス回数です。前の法人のときもですが、どこ で取っているのでしょうか。トップページなのか、どのようなカウントをされているのでしょうか。  もう1つは、副作用の情報の収集に関することで、副作用の報告が企業等からあった場合、どのくら いの時間でそれが厚生労働省に行ったり、一般の方にわかる形になるのでしょうか。副作用があった 場合はなるべく早くと思うわけですが、そこまでの時間軸のご説明を伺ったことがないので、どのく らいなのでしょうか。ケースによってすごく差があるのか、大体このくらいということなのか。まさ か半年も1年も過ぎているということはないと思いますが、何日というような形で関知されているので しょうか。 ○医薬品医療機器総合機構安全管理監  安全管理監の松田です。私も正確に把握していないのですが、私の記憶に間違いがなければフロン トページの数ではなくて、ある方が添付文書の部分を1カ所見て、あと別の部分をもう1回見たのであ れば、それで2回と数えているはずです。そのような数え方で6億回という数字は出しているはずです。 ○宗林委員  いちばん最初からそうですか。 ○医薬品医療機器総合機構安全管理監  そうです。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  2点目の副作用の処理の関係ですが、最初に報告が上がってくるのは電送で来ます。その時点でデー タベースの中には取り込まれます。ただ、副作用の種類など、いろいろあるのですが、程度の問題、 もう1つは企業や医療機関でも、第1報は出したけれども、追加の調査をしないとはっきりわからない という形で第1報が来る場合もありまして、2報目、3報目が来る場合もあります。  一つひとつのケースは複雑なのですが、報告自体は、現時点では90数%のものは即時データベース の中には取り込まれる形になっています。ものによっては、2報目、3報目が入って来るものもありま すが、そのようなものについて、私どもは専門家の意見も聞いて、因果関係の評価など、必要なこと をした上で、現在はラインリストの公表は半年遅れを目処に行っているのが現状です。 ○医薬品医療機器総合機構安全管理監  医療関係者や企業から、いま、年間3万例ぐらいの報告をいただいています。そのうち、死亡症例と か、事務局でも添付文書にも書いていないような未知の症例については、いま技監からも説明があり ましたが、1報、2報という形で追加出来る場合もあるのですが、その度に毎日毎日チェックをしてい ます。それ以外の重篤だけでも、すでに添付文書に書いてあるもの、「重篤既知」と言っていますが、 そういったものとか、あまり重篤でないものについては、1週間ごとにラインリストという形で、個別 の細かい表ではなくて、一例一例、何歳で、男性で、このような疾患で、このような副作用が出たと か、その程度の簡単な情報と、それが何例ぐらい集積されているか、同様の似たような副作用がどれ ぐらいあるとか、そういったことをまとめた表になるように、システムができているのですが、そう いった形で毎週ごとにチェックをする形にしています。  その段階で、毎回一例一例見ますので、その中に症状の記載を改訂したほうがいいというものがあ れば、今日の資料の30頁の「副作用報告等の処理の流れ」の中に、「毎日、チームで確認」というの が機構のところにありますが、これは先ほど言ったとおり、重篤なものとかについては、毎日職員が 見てチェックするという対応になっています。その中に、症状の記載の改訂とか、対応が必要だとい うものがあれば、企業のヒアリング、追加の調査、専門家との意見調整など、いろいろとやらさせて いただいて、5週間のサイクルでそのような形でやっていますので、一概に何カ月というものはありま せんが、そんなに半年ということではなくて、大体2、3カ月ぐらいの周期では処理が終わっています。 ○宗林委員  そうしますと、事例としては2種類あって、重篤既知あるいは重篤ではないものと、添付文書のない 未知の症例ということでしたが、最初の重篤既知あるいは重篤ではないものについては、この表の流 れでいくと、数週間でインターネットを介しての広報までいくという理解でしょうか。いわゆる、国 民とか、ほかの方が見られるようになるまでというところを意識しているのですが、機構の中ですぐ にデータに入ることはよく承知しているのですが、その処理として、未然防止、次の再発防止に、ど のぐらい情報が早く出てくるのかを知りたかったのです。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  宗林先生がおっしゃっているのは、個別の報告された症例がオープンになるという趣旨でしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構安全管理監  それは報告があってから、今は半年遅れぐらいになりますけれども、四半期ごとにまとめて3万例の 症例をすべて公開しています。 ○宗林委員  半年遅れぐらいで国民は見られるということですか。 ○医薬品医療機器総合機構安全管理監  はい。インターネットを介しての報告云々は、使用上の注意の改訂とか、いろいろ指示をしたもの ですが、これはほぼ指示をすると同時に見られるような形になっています。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  そういう意味では処理の流れの話と、症例の公表の話が混線しまして失礼しました。 ○宗林委員  副作用の症例自体が出てきたときに、もちろん最終的な判断に至るまでには、因果関係とかいろい ろな専門的な調査も必要かと思いますが、とりあえず情報を出していかれるのかと思ったものですか ら、それがいまのお話ですと半年に1回というお話ですね。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  いえ、その月の分をまとめて、6カ月後には出しているという形です。 ○宗林委員  ただ、マンスリーでは出さないわけですよね。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  マンスリーです。 ○宗林委員  マンスリーで見られるようになるのですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  そうです。 ○上野谷部会長  知りたいのは安全対策業務としてのシステムと、それを医療関係者や専門職が共有する段階と、一 般国民が、社会が、どのようになっているのかを知るのとは、段階が違うのですねという確認をした 上で、一般国民は情報をどういう形で入手できるのですかという質問です。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  すみません。先ほど30頁の表でご説明をしましたが、データベースに情報が集積されてきて、そこ で、ある薬とある副作用で注意喚起をすべきであるというシグナルが出てくると、それは個別の症例 が集積したりして、それに基づいてそのような判断をするわけですが、その場合には、このような形 で添付文書を改訂したりして、注意喚起をして、その場合にはこのような症例が出ているから注意し て下さいと、医療用の医薬品であれば医療関係者にお流しをします。ただ、一般の方も、そういう注 意喚起が出たことを知ることはホームページなどでできるわけですが、基本的には医療関係者からそ のような情報は流れる形になっています。  それとは別に、行政措置を取った個別の症例については、ラインリストの形で、現在は6カ月後に公 表しています。そこが四半期か、毎月か、3カ月毎にまとめてかというのは、後日確認をしてご報告さ せていただきます。 ○上野谷部会長  それでは後日ということで、全員が関心を持っていますので、よろしくお願いします。 ○宗林委員  四半期毎ではないですか。四半期毎に厚生労働省の部会などにも上がって、3カ月に一遍出てきます。 あれと同時という意味ではないのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  もちろん部会にも報告はしていますが、それ以外にホームページ上では更新をしていまして、これ が2年ぐらいかけてしてきまして、昨年ぐらいから半年遅れで毎月更新できる形にはなってきました。 そこが現在、実務上どうなっているのかがはっきりしませんので。 ○上野谷部会長  正確なところを報告してください。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  いまの時間帯には間に合わないかもしれませんが、この部会の間には報告します。 ○上野谷部会長  わかりました。正確なデータがわかりましたら、各委員にお送りください。 ○大島部会長代理  また違う角度からです。副作用や安全情報など、情報をどのように流すかというところで、例えば 外国で承認されているような、特に難病やがんの新薬に関しては、多くの市民が関心を持つところで す。そのような情報をどこの国に、どうインターネットでつなげていくのか。また、読む力もあるわ けです。その辺のサービスはどうなっているのでしょうか。個人輸入をしなければいけない、あるい は個人輸入をする人が随分いますが、そのようなときの情報をどう翻訳しながら流しているのか。  それから、最近よく聞くのが、病院経営も大変だということもあるのでしょうが、いくつかの医療 機関が、きちんと薬を飲んでいるかという管理をせずに、それぞれ似たような薬を出しています。高 齢になるに従ってその辺の判断がご本人にはできない。お薬の手帳があったとしても、それを持って 行ったり、同じように管理をしていないときに、重複したための副作用というのも結構よく聞きます。 そのようなものに対してはどうなのか。あるいはインターネットを使えない、特に薬がたくさん必要 な人たちへの情報をどうするのか。あるいは、外国籍で日本語が得意でない利用者が増えていますが、 その辺の対応がどうなのか。知識がある人とない人で、随分危険性が異なってくると思うので、その 辺について簡単にお知らせください。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  海外で承認されているけれども日本で未承認といった薬剤については、国内未承認ということもあ りまして、ホームページでの正式な情報提供は行っておりません。それについては、一義的には、お くすり相談という所に電話がかかってきまして、おくすり相談員の方々が個別の話としてお答えする ということです。ただ、例えばがんの薬などになると、基本的には主治医とよく相談して対応してく ださいということで、そのような対応をしていると聞いています。そのような形で、一般の方、消費 者、患者への対応が現状です。  もちろん私ども以外に実際の医療現場で、患者のそのような相談には対応されているのではないか と思います。それ以外に未承認薬については、厚生労働省で未承認薬を早く承認してほしいと患者か ら陳情が出ると、未承認薬使用問題検討会議に掛けて審議をする仕組みもありますので、そこの議事 録も公開されていますので、そういったところも患者はご覧になっているのではないかと思っていま す。  重複投薬等の関係ですが、もちろん患者にも注意していただきたいということで、私どももホーム ページでは、お薬と付き合う上で患者にいろいろ注意していただきたいことを、一般的なこととして 書いています。例えばおくすり手帳を活用しましょうとか、かかりつけの薬局、かかりつけの医師、 薬剤師に、他の薬、場合によってはサプリメントを飲む場合にも相談して下さいということを啓発し ています。  外国籍の方についてもご指摘がありましたが、残念ながら日本語中心で、英語での情報発信は努力 しているというところがありますが、それ以外の言語についてのケアまでは手が回っていないのが現 状です。  先程の症例の公開の関係ですが、現在は、半年経ったら1カ月分毎に公表する形になっています。 ○上野谷部会長  それぞれおありとは思いますが、よろしゅうございますか。評価をお願いします。  続いて、グループ3「健康被害救済給付業務関係」です。法人からは20分以内、委員の方々は質疑 を含めて15分以内でお願いします。 ○医薬品医療機器総合機構救済管理役  救済管理役の五十嵐です。第3グループの説明をします。説明用資料の3-5の35頁です。「部門毎 の業務運営の改善及び国民に対して提供するサービス等の業務の質の向上」のうち、「健康被害救済 給付業務」について説明します。  資料のとおり、4つの評価項目となっています。まず説明資料の36頁で、評価シートは46頁からで す。まず、評価項目の1つ目は、「救済制度の情報提供、相談体制の充実」です。救済制度に対するホ ームページへのアクセス件数、相談件数ともに、中期計画に掲げた数値目標、救済制度に関するホー ムページへのアクセス件数、相談件数を、中期目標終了時(平成20年度)までに、平成15年度比20 %増とすることでしたが、大幅に上回っています。十分な成果を上げたものと考え、自己評定はSです。  その取組み状況は37頁です。(1)「情報提供の拡充及び見直し」についてです。救済制度をわかりや すく解説した冊子を毎年作成・配布しています。より制度をわかりやすくするため、支給事例、実績 数値のグラフなどの記載内容の見直しを行っています。また、平成20年4月にホームページ上に冊子 及び冊子を要約した動画(約14分)の配信をしていまして、よりわかりやすく充実させています。  (2)「広報活動の積極的実施」についてです。外部専門委員の意見を踏まえつつ、広告会社等を活用 し、新聞、ポスター、冊子、インターネット等による広報のほかに、学会発表、関係団体の協力によ る積極的な広報を実施しています。また、制度周知のために、関係団体にお願いして、製薬業界の自 主申し合わせですが、一般用医薬品の外箱に制度の問い合わせ先、フリーダイヤルを記載していただ く等を行ったところです。  (3)「相談窓口の充実」についてです。相談窓口に配置した専任の職員により、フリーダイヤルを活 用した相談を引き続き実施しています。利用者の利便性を考慮して、平成20年4月よりフリーダイヤ ルを、携帯電話、公衆電話からも利用可能としたところです。このような取組みにより、相談件数・ アクセス件数とも増えてきていると考えています。  38頁で、評価シートは49頁からです。評価項目の2つ目の「業務の迅速な処理及び体制整備」につ いてです。救済給付に関して、これまでシステムの活用などの整備を行って事務処理能力の向上など に努めてきた結果、中期計画に掲げた数値目標、救済給付における事務処理期間を8カ月とし、中期目 標終了時までに達成率を、全請求件数の60%以上とするとなっていますが、平成20年度で見た場合に、 事務処理期間8カ月内に決定した件数は74.3%ということで、目標を上回っているので、自己評定はS としています。  資料39頁は「副作用被害救済業務の流れ」をお示ししたものです。左側の黄色の給付請求者が、左 側下段の黄緑色の医療機関等が作成した診断書等を添付し、右側の青色のPMDAに請求することとなっ ています。PMDAにおいては、必要書類の確認、事実関係等の事前調査及び外部専門家との協議を行っ た上で、オレンジ色の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会に判定の申し出を行い、その判定の結果を 受けて、医療費や障害年金等を支給することとなっています。PMDAにおける迅速化の主な取組みにつ いては、水色の枠内に記載しています。  40頁は、上段の「副作用被害救済の実績」についてです。平成20年度の請求件数は926件で、前年 度比で18件、2%の増加となっています。決定件数については、919件で、前年度と比較して64件、 7.5%の増となっています。下段に達成率があります。これについては、決定した919件のうち、事務 処理期間8カ月以内に処理されたものの割合です。これについて見た場合、達成率は74.3%です。独 法成立当初の平成16年度の請求件数は769件で、平成20年度は926件、20%増です。また、決定件数 については、平成16年度は633件、平成20年度は919件で、45%増となっており、請求件数・決定件 数が増加している中で、事務処理の迅速化が進んでいるところです。また処理期間の中央値について も、平成20年度は6.5カ月で、平成18年度からほぼ変わらない状況となっています。  下段に「感染救済の実績」を示しています。感染被害救済についても、中期計画に定める事務処理 期間、これは副作用被害救済の事務処理期間と同様ですが、これについても、事務処理期間内にすべ て処理されているということで、評定はSとしています。  次に41頁で、評価シートは51頁です。評価項目の3つ目の「部門間の連携及び被害実態調査の実 施」についてです。平成17年度に実施した健康被害実態調査結果や、その後の調査研究の報告などを 踏まえ、健康被害者に対する保健福祉事業の実施に向けた検討を着実に進めてきています。十分な成 果が上げられていると考えています。また、関係部門、特に安全対策部門との関係ですが、個人情報 に配慮した上で、適切な連携を図っており、自己評定はAとしています。  取組み状況については、(1)「部門間の連携を通じた適切な情報伝達の推進」は、引き続き平成20年 度も、支給・不支給決定の情報について、個人情報に配慮した上で、安全対策部門に提供していると ころです。(2)「医薬品による被害実態等に関する調査」については、平成17年度に実施した医薬品の 副作用による健康被害実態調査の結果を踏まえ、平成18年度から実施している、医薬品による重篤か つ希少な健康被害者のQOL向上等のための調査研究事業を引き続き行っているところです。なお、平成 19年度のこの報告書については、PMDAの審議機関の救済業務委員会が昨年12月25日に開催されまし たが、ここに報告し、その上でホームページに公表しています。  42頁で、評価シートは52・53頁です。評価項目の4つ目の「スモン患者及び血液製剤によるHIV感 染者等に対する受託支払業務等の実施並びに特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤 によるC型肝炎感染被害者に対する給付業務等の実施」についてです。受託支払業務と受託給付業務に ついては、委託契約の内容に基づいて実施しています。また、特定救済業務については、法律に基づ き、個人情報に十分配慮しながら適切に実施しています。自己評定はAにしています。  この状況については、「平成20事業年度業務報告」の46・47頁に実績を掲載していますので、併せ てそちらもご参照ください。スモン患者に係る受託支払業務については、関係の製薬企業などからの 委託を受け、健康管理手当等の支払業務を行っています。平成20年度は、2,180名に対して計15億 3,000万円ほど支払っています。HIV感染者等に対する受託給付業務については、財団法人友愛福祉財 団からの委託を受け、調査研究事業、健康管理手当等の給付業務を行っています。平成20年度は710 名に対して、計約5億4,000万円を支払っています。また、C型肝炎感染被害者に対する特定救済業務 については、平成20年度は660名に対して、計136億3,200万円を支払っています。以上、受託支払 業務等については、個人情報等に配慮しながら、適切に処理されていると考えています。以上です。 ○上野谷部会長  いかがでしょうか。 ○平井委員  副作用被害救済の事務処理期間が8カ月というのは、これが長いのか短いのか適切なのかがわからな いのですが、これはどのような基準で8カ月と決めているのですか。 ○医薬品医療機器総合機構救済管理役  説明資料の39頁に、副作用被害救済業務のフローを付けています。まず給付請求者から必要書類を 添付して、PMDAに申請があります。PMDAでは、必要書類が確保されているかを確認し、それが当該医 薬品との因果関係があるかどうかを外部専門家と協議し、それを厚生労働省で薬事・食品衛生審議会 にかけます。  これを細かく分けると、機構での部会にかけるまでの手続き、受領して部会に申請するまでに6カ月 を見ています。その後、部会にかけて、支給・不支給の決定をするのに2カ月を見ています。そのよう な意味で、その期間が適当かどうかはわかりませんが、この独法化前は約1年かかっていたということ で、タイムクロックを明確にするとともに、迅速化のためのいろいろな施策に取り組んできたところ です。 ○平井委員  被害者は状況がいろいろだと思うので、救済を1日も早く望んでいる、非常に逼迫されている方もい ると思います。ですから、8カ月というのは、8カ月を切ればいいというのではなくて、事情に合わせ て、できるだけ迅速にされることをお考えいただきたいと思います。  それと、実際に救済を受けた方の満足度やいろいろな意見については、意見収集あるいはそれを制 度に反映しているのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構救済管理役  この制度の認知度とか、毎年やっているわけではありませんが、被害に遭われた方へのフォローも しています。いま委員がおっしゃられたように、1日も早く支給・不支給の決定をするのは必要だと考 えています。中期計画では8カ月、60%としていますが、第2期では6カ月、60%として取り組もうと しているところです。 ○上野谷部会長  ものによって違うと思うのですが、いちばん早く処理されるのでどのくらいですか。 ○医薬品医療機器総合機構救済管理役  第2期中期計画では、6カ月、60%という目標にしておりますが、現状でも早いものについてはそれ よりも1〜2カ月早く処理しています。 ○上野谷部会長  数値としては平均的なものが出てきますが、いま委員のご指摘のように、意見としてお聞きいただ きまして、私どもの評価は自己評価に対してどう達成されているかを評価するので、それぞれの専門 の先生方・委員はときどき歯がゆい思いをされていると思うのですが、それが良しというわけではな いけれども、目標にとって達成がどうかという評価をしています。その目標も、以前に立てた目標に 対してやっておりますから、国民感情からすると離れていって、私どもは非常に叱られている部分も あります。特にこの分野に関してはありまして、自分の立ち位置が危うくなることもありますので、 どうぞその辺は別の機会でまたご検討いただきたいと、このようにあえて申し上げておきます。それ では評価をお願いしまして。  次にグループの4をお願いします。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  理事をしております川尻です。今週の月曜日に辞令をいただいたばかりなので、細かい質問は別の 者が回答させていただきます。  同じ資料の43頁です。大きく5項目、細かく分けると7項目について評価をしていただきますが、 順次ご説明をします。  44頁の「目標管理による業務運営、トップマネジメント」です。自己評定はAです。その理由は45 頁です。「目標管理による業務運営」は、職員に対する目標管理制度の意義・必要性の周知、独立行 政法人とはこういうものだということを新人の研修にも徹底しています。そこの2つ目にありますよう に、各部あるいは各課で業務計画表を作成し、進捗管理を行っています。  (2)「業務管理体制の強化、トップマネジメント」です。理事長の下で、経営判断を迅速に業務運営 に反映させるためということで、いちばん頻繁に開催しているのは「幹部会」です。毎週、理事長以 下部長級の職員がすべて集まりまして、幹部会を開いています。法人全体あるいは各部の重要案件を 議題とし、認識を共有したり、あるいは意思決定をしております。  その他いろいろな会議については、46頁に主なものをまとめています。46頁のいちばん左側が「幹 部会」で、毎週開催しています。それから、リスク管理ということで、いろいろな文書の管理も含め たリスク管理がありますが、このような「リスク管理委員会」を月に1回開いています。あるいは、総 務部門・財務部門だけが財務を考えるのではなくて、各幹部が財務の関係も考えながら業務を進めて いくということで、財務管理委員会も月1回開催しています。このような形で、各種の会議を理事長の 下で開催しています。  47頁は「今後の業務の改善のための取組み等」です。平成20年度は、1つの理念と2つの戦略を策 定しました。1つ目が、先ほど理事長が説明しました、PMDAの理念の策定です。2つ目が、PMDAの広報 戦略です。3つ目が、国際戦略の策定です。それから、業務あるいはシステム最適化計画ということで、 これは平成19年度に策定した最適化計画ですが、それに基づいて業務の最適化、コンピュータシステ ムの改善を図っています。関係団体との意見交換については、日、米、欧、それぞれの製薬業界、3団 体との定期的な意見交換会を昨年度は2回開催しています。  PMDAの理念とは何かについては48頁です。全員が持っている身分証明書の裏に書いています。時間 の関係で省略しますが、私どもが行っている、審査、安全、救済の3つの業務について、そこに書かれ ている5つの理念の下でやっていくことを心しています。  49頁からの「審議機関の設置等による透明性の確保」です。ここも自己評定はAとしています。そ の関係で、50頁に「運営評議会の開催」について書いています。この「運営評議会」というのは、学 識者あるいは医療関係者だけではなく、業界の代表、その他消費者代表あるいは薬害被害者の代表の 方々などに入っていただいて、20名で構成しています。その関係の資料については、先ほど救済関係 で説明した白い冊子の後ろに、メンバーを入れています。そのような「運営評議会」あるいは「救済 業務委員会」、「審査・安全業務委員会」を公開で開催し、議事録あるいは資料はホームページ上で 公表しています。  あとでも申し上げますが、企業出身者を採用しないと、なかなか増員を図れないところがあります が、企業出身者がどのような業務に就くかは一定のルールもあります。企業出身者がどこに配置され ているかについても、運営評議会等で報告しています。細かな開催状況については、50頁の下に書い てあります。  それ以外の関係で、先ほど少しご質問がありましたが、外部の専門家のお力をお借りするというこ とで、審査部門あるいは救済部門、それぞれ外部からの専門委員を委嘱しておりまして、それぞれが 900名、60数名となっています。  それから、データベース化の推進ということで、機構内のLANシステムの活用、医薬品審査報告書等 のデータベース化、部門間のシステムの連携ということで、救済関係の情報を安全対策でも使うよう なことを推進しています。  業務・システムの最適化計画の関係は、先ほど申し上げたとおりです。  3つ目の評価は、「各種経費節減等」で、自己評定はAです。  53頁です。独立行政法人ですので、各法人共有の削減目標がございます。一般管理費については年3 %、事業費については年1%というところがあるわけですが、平成20年度の予算については、それぞ れ独法共通の削減目標を見込んで設定した予算から、さらに、一般管理費については4.8%の節減、あ るいは、事業費については6.6%の節減をしています。数字は後でもう1回ご覧いただきます。  人件費については、増員をしているので総人件費は増えざるを得ないところですが、1人当たりの金 額を目安に削減をしていまして、平成20年度の1人当たり人件費は、平成17年度に比べて6.6%の削 減を達成しています。そういう中で、人事評価制度に基づいて賞与なども出すとか、あるいは、新し い給与制度の導入と書いてありますが、優秀な人材の確保のためには、少なくとも初任給があまり安 いと来ていただけないので、それはそれなりの水準を達成しなければいけないわけです。その後、キ ャリアアップして責任ある地位になれば別ですが、そうでない方はあまり給与が伸びないという、給 与カーブのフラット化という形での新しい給与制度の導入をしています。  それから、いろいろ問題になっている随意契約の関係については、事務所を借りるなど、随意契約 でしかできない所があるわけですが、できるだけ競争性のある契約方式を増やすとのことで、ここを 66件から101件に、割合からすると、33%から47%に上げているところです。  54頁が、経費効率化全体の状況です。上のほうの、一般管理費の所の人件費ですが、実際に予定し ていた人員が雇えなかった部分を除くと、人件費では1億3,000万円余り、物件費では1億7,000万円 余りということで、合計で3億1,000万円余りの削減を達成しています。あるいは事業費についても、 実費徴収見合ということで、不用になった旅費を除いて、2億円ほどの削減額を達成しています。  4つ目のシートですが、「拠出金の徴収及び管理」です。これについては、副作用の拠出金、あるい は感染の拠出金、こういうものの収納率は比較的高かったのですが、今まで安全対策の拠出金の徴収 率が少し低かったところがあります。  今回は自己評定をAにしていますが、その関係は56頁にあります。56頁の下に、それぞれの拠出金 についての収納率が書いてありますが、すべて99%以上という形になっています。特に安全対策の拠 出金については、これは医療機器の製造・販売業者からも出していただいているわけですが、零細の 企業も非常に多いこともあって、平成19年度は97%台という状況でしたが、それぞれいろいろな形で お願いをするとか、周知徹底を図るという形で99%を達成した、というのが平成20年度の特色です。  57頁です。次は5番目の評価シートの関係ですが、「相談体制の整備、業務内容の公表等」です。 細かくは58頁以下にありますので、そこでご説明いたします。一般相談ということで、これは全くの 一般消費者の方々だけではなくて、申請の関係者、企業の関係者もいらっしゃるわけですが、相談窓 口への相談件数は年間2,600件、月平均200件以上という形になっています。そういう相談をより受け 付けしやすくするために、今までは来ていただくとか、ファックスで受付をしたりしていたわけです が、平成19年6月以降はホームページからの受付も開始していて、平成20年度もこれを継続しました。  先ほど少し説明しましたが、昨年7月に「PMDA広報戦略」を策定して、計画的、あるいは戦略的な 広報に取り組もうということで着手をしたところです。  外部監査、内部監査の関係ですが、当然、外部監査をしていただいていますし、内部監査について も後で紹介しますが、きっちりと監査をして、日頃の業務に生かすような形にしています。  次が59頁、「予算、収支計画及び資金計画」の関係です。ここの項目はSという形で、自己評定と しては高い評点をつけています。その理由は、59頁の下の○にありますように、当初、収支計画で見 込んでいました1.3億円を大幅に上回る利益を計上することができたことも含めて、高い評点をつけて います。  60頁は、何故そういうことが出たかということです。当然、各種の給付の実額が見込みよりも下回 ったこともありますが、先ほど申し上げましたように、一般管理費、あるいは事業費について、それ ぞれ削減ができているわけです。その中で、1つ目の○の「経費節減」という所のいちばん下の※をご 覧ください。先ほど、随意契約の関係などで少し説明しましたが、入札化を図ったことによる経費節 減効果が2.4億円も上がっている、という中身になっていることです。  次が61頁、「人事に関する事項及びセキュリティの確保」というものです。ここも自己評定はAと しています。その根拠、中身です。まず、人事評価制度については先ほども少し触れましたが、制度 を着実に実施し、それを一部の給与に反映させるとか、あるいは、給与カーブを変えるということを やっていて、職員に対して、その周知のための研修もやっているということです。先ほど、審査員の 関係の研修でも少し説明しましたが、新任者研修、あるいは特別研修というものを計画的にやってい るということです。それから、人材の確保の所についても先ほどいろいろ紹介しましたが、平成20年 4月から平成21年4月の1年度間に95名の増員を図っています。これは、いわゆるドラッグ・ラグの 解消のためということですが、平成21年度からは、デバイス・ラグの解消、あるいは安全対策の充実 という形での増員の関係も出てくるわけです。  63頁、最後の頁です。先ほど申し上げたような形ですので、数は省略いたしますが、そこに書いて あるような形で、特に平成19年4月以降、安全対策も含めて、審査部門を中心に着実な増員を図って きています。それから、そこの下のほうにありますように、製薬企業等との不適切な関係を疑われる ことがないようにするのはもちろんです。そういう意味で、医薬職員を採用したとき、特に営利企業 から来ていただいた場合には、採用後2年間は密接な関係にあるポジションには就かないとか、あるい は、独法職員すべてにはそういう制限がかかっているわけではありませんが、仮に機構を退職した後 に企業に就職する場合も、機構と関係ある所には行かないようにという形での制限を設けているわけ です。  セキュリティの確保については、厚生労働省もそんな形になっていますが、IDカードを設けて、職 員以外の者、部外者が入れないようなシステムを設けています。  最後に資料3-4、監査報告書です。私ども機構のほうには、常勤、非常勤2名の監事がいまして、そ こが6月末に行った監査結果の報告です。1頁の「監査の結果」ということで、決算の関係等々は適切 に処理をされたわけですが、いろいろな問題点も指摘されています。  そういう中で、1つだけ紹介しますと、最後の7頁です。先ほど浅野委員からもご指摘がありました が、審査セグメントの収入というのは、審査手数料、あるいは相談手数料という形になっていますが、 審査件数・相談件数が変動するということで、不安定な要因があるという指摘をされています。そう いう意味で、中長期的に安定的な財源をどのように確保していくか、あるいは、先ほど浅野委員から も、慎重にというご意見をいただいていますが、収入に見合った形での体制の作り方も考えながら取 り組んでいきたいと考えています。以上でございます。 ○上野谷部会長  ありがとうございました。ご質問はいかがですか。 ○松原委員  予算、収支計画及び資金計画について教えてください。平成20年度収支計画で見込んでいた利益 1.3億円に対して、実際は16.7億円の利益計上ができたわけですが、主な理由が何なのか、教えてい ただけると有難いです。経費節減をして、約5億円を削減できたということですが、5億円以上にもっ と利益が出ているので、その理由を教えてください。  もう1つは、収入の半分近くが補助金と交付金のようなのですが、利益が多く出た場合、翌年の補助 金や交付金は何か影響を受けるのでしょうか。それについても教えていただけると有難いです。 ○上野谷部会長  先ほど説明がありました人件費等の問題もありましょうが、もう少し丁寧にということでございま す。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  2点目の話だけさせていただきます。機構の収入は、各企業、医薬品あるいは医療機器の製造販売事 業者からいただく申請の手数料とか、あるいは各種拠出金がほとんどですので、国費というか、税金 でいただいている費用は数パーセントです。どこの資料をご覧いただいているのか。 ○松原委員  すみません。私の見方が悪いのです。60頁にある、損益計算書の収益の部分ですが、運営費交付金 と補助金等収益を見たのです。 ○医薬品医療機器総合機構財務管理部長  後ろから失礼いたします。まず、削減の関係ですが、入札等によって2.4億円になります。それ以外 に何があるかですが、救済給付金関係で、追加の関係の申請について、平成20年度からは対象になっ たのですが、それらのものは申請がなかったというのが6.4億円ばかりあって、入札以外ではその影響 がいちばん大きいです。それ以外に、電算機借料の更新時期を遅らせたり、さまざまな節約努力をし ています。  もう1点は、補助金等収益、運営費交付金の収益化ですが、ご案内のように、平成20年度において は第1期中期計画が終了しました。したがって、全部収益化するということで、その分が出ています。 以上でございます。 ○上野谷部会長  よろしいですか。他にいかがですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  私自身が今の説明でよく理解できなかったので補足しますと、C型肝炎の救済給付については、結果 的に国と企業で半分ずつぐらい負担をして、それで、C型肝炎の患者の方々、あるいは感染者の方々へ の給付を行っています。給付は一時金方式ですが、平成20年度はかなりの部分それを給付したという ことがあります。そういう意味でいうと、確かに平成20年度は臨時に国庫補助金の割合がかなり多く なってしまっています。C型肝炎の患者への給付は、数的にはおそらく既に山を越している感じですの で、平成21年度以降は補助金の金額はだんだん減ってくるという感じです。 ○大島部会長代理  3点教えてください。1つは49頁の、審議機関ということで、運営評議会等々のことが書いてありま す。いちばん最初の機構図にも、それから、途中の業務の部分にも、例えば46頁にも、運営評議会の ことに関してはどこにも入っていないように思います。その辺がどうなっているのか、運営評議会の 位置づけがどうなのかということが不明ですと、A評価はなかなか難しいと思いまして、その辺のこと について教えていただきたいということが1点です。  それから、経費の削減に関してです。例えば、職員の数だとか、理事の数だとか、理事の業務の分 担だとか、必要性だとか、あるいは、人件費がどのぐらいの割合を占めているのかとか、国家公務員 の給与に比べて、例えば技術職でもどのぐらいの違いがあるのかということが、午前中の他の法人の 評価ではあったものですから、その辺がどうなっていて、削減をすることに関して、もう少し努力が できるかどうかを知りたいです。  3つ目になります。スモンとかC型肝炎は、一時期は大変な業務量でしたが、少しずつ終息に近づい ていると思います。その件に関しては、一応、業務が終息したときの方向性というか、その辺も教え ていただきたいと思います。それは次期の目標にするのかもしれませんけれども。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  まず、私からお答えします。1つは、機構図の関係でご指摘をいただきました。資料3-5の4頁に組 織図が書いてあります。これは機構の役職員を念頭においたものでして、厚生労働省でも審議会など を念頭においた組織図とはなっていません。運営評議会については、厚い白表紙の261頁以下に資料を 入れています。機構の業務・運営に関する重要事項を審議する機関として、運営評議会を設置して、 そして、各種の業務計画、あるいは予算・決算、その他諸々のことを協議いただいて、事実上そこで いろいろなご意見をいただいた場合には、それを反映する形で、計画・予算等を修正して対応してい るわけです。  それから2点目、人件費等々のことです。これについては、1つだけ申し上げますと、資料3-2の7 頁に「人件費管理」という所があります。私どもの法人については、いわゆるラスパイレス指数、生 の指数を見るとどういう状況かといいますと、7頁の上にありますように、122.2という形になってい ます。ただ、私どもは新霞ヶ関ビルに所在していまして、物価の高いというか、人件費も高い地域で あるわけです。それから、細かい話ですが、住居手当の支給額が高いです。それから、7頁の(3)にあり ますように、議論にもなりましたが、技術系の職員は原則として修士以上なので、非常に高学歴であ るわけです。そういう形で、これらの要素というか、住居手当の関係を除いて、年齢、地域、あるい は学歴と、すべて勘案しますと、7頁の冒頭にあるような、104.4という指数になります。ただ、この 104.4でも、100ではなくて高いではないかというご指摘があろうかと思います。  そこの所については、先ほども抽象的に申し上げましたが、8頁あたりをご覧いただくと、大学院の 修士の初任給は、製薬企業はまだまだ高い中で、優秀な職員を採ろうと思いますと、国の行(一)と いうのはあくまでも行政職ですので、国の研究職並みの給与、初任給を何とか出そうということで設 定をしているわけですが、だんだんキャリアアップしていかない限りは給与はフラット化していきま すので、将来的には、いろいろなものを勘案した指数を100に近づけるように努力して、その手立ては 打っているという状況です。  あと、スモンの関係とか、いろいろご指摘がありました。救済関係で先ほど説明したものは、スモ ン、あるいはHIVの患者に対する、各種の追加的な給付という形ですので、それほど件数がなくなって いく形ではないのかと思います。それから、一般的な副作用救済の給付決定については、先ほど説明 しましたように、むしろ増加傾向にあるという流れですので、そこら辺の業務がただちに減っていく ことではないと。ただ、C型肝炎の関係の業務については、平成20年度がいちばんのピークではない かと思いますので、おそらくその給付件数は少し落ちついてくると思います。以上です。 ○大島部会長代理  理事さんの役割とか、人数とか、その辺がいちばん関心が高い所だと思いますけれども。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整・救済担当)  私どもの法人は理事長を含めて理事は4人です。理事長以外の業務分担としては、事実上の副理事長 という形で、川原が技術関係の統括、あるいは安全関係をやっていますし、冒頭で説明しました豊島 理事が審査関係をやっています。私が、残る業務ということで、一般的な関係、あるいは救済業務を 担当しています。理事長の他の3人の理事がそれぞれの業務を分担しているという流れになっています。 ○上野谷部会長  いかがでしょうか。浅野委員、何かありませんか。 ○浅野委員  「戦略」という言葉が新しく出てきて、独立行政法人という意味からすると、まさに評価できる言 葉なのかと。こういった公的機関では戦略経営というのが少なかったわけですが、それがこういうこ とで出てきたことは意義があります。その中で、「広報戦略」とか「国際戦略」という表現があるの ですが、国際戦略についても、交流が深まっているのが、従来のように欧米だけではなくて、インド とか中国、韓国という表現が中にあったと思います。こういう所で、欧米戦略とアジア戦略を分ける と、国際戦略はどういうことを目指していかれるのか、もう少し補足説明していただければと思いま す。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  医薬品にしろ、医療機器にしろ、使われているものはインターナショナルで共通のものです。した がって、判断したり審査したりする基準は、基本的に欧米と共通のものであることを十分認識するこ とができました。したがって、先ほどのドラッグ・ラグとかデバイス・ラグの話がありますが、そう いったものを含めて審査したりするものの考え方は共通化していかなければなりません。したがって、 私たちの日常的なものの考え方は、基本的に国際的な立場で判断していかなければなりません。そう すると、先ほどレギュラトリーサイエンスの話を申し上げましたが、これは、よりよい判断の基準を 国際的に共通していかなければならないわけです。レギュラトリーサイエンスの共有化はインターナ ショナルにあり得るわけで、それを一生懸命やっているところです。その1つの例がICHといって、 International Conference on Harmonisation、つまり、判断のときに機微な点がいろいろあるわけで すが、折に触れて、これを日進月歩で変革していくわけです。それをPMDAなり、厚生労働省の担当職 員が、すでに国際的に協議をしながら進めているわけですが、こういう中にいると、どうしても国際 戦略というのを正面に出していかなければなりません。しかも、日本発の薬を欧米ないしアジア諸国、 他の国に送り出すときには、彼らの規制当局との関係も非常にタイトにやっていかなければなりませ ん。そういうことで、折に触れて、意識の中で、そういう国際性を意識しなければいけないというこ とで、国際戦略を強調したわけです。ドメスティックではあり得ないということをよく理解されたの で、一気にそういう方向に切り換えたつもりです。 ○浅野委員  ありがとうございました。先ほどの、日本のドラッグ・ラグの話ではないですが、ドラッグ・ラグ は申請の期間がたぶん長いだけではなくて、今後は外資が日本に新しい医薬品や医療機器を持ってき てくれるのかもポイントです。これからは、誰かが日本を紹介して、是非それを日本に持ってきてく ださいという役割、プロモーションを担わなければいけない時代です。いままで日本は第3位の市場だ ったので、ある意味で、放っておいても海外から日本に売りに来てくれたわけですが、昨今はそうい う状況ではなくなりつつある気配も見えていて、もしかすると機構さんがそういう役割を担うかもし れないので、そういったことも配慮して、将来は是非国際戦略を行っていただければと思いますので、 よろしくお願いします。 ○上野谷部会長  いかがでしょうか。よろしいですか。いまのお話のような意味ですと、理事長の初めのご挨拶にも ありましたように、研究的な機能も持たざるを得ないし、審査という、国民の命と健康、安全を守る 業務という意味では非常に行政的なものも入り、そして、審査ができる、あるいは、中立的に国民の 健康を守る理念を内実化させるような職員を教育していく意味では、大学院大学と理事長はおっしゃ いましたが、組織として高度なものにしていくと。  私は役割上、国家公務員の給与に近づけることをやっていますが、評価委員会としても非常に矛盾 したことをやらなければならないわけです。午前中に別の法人の評価もありましたが、何かしら工夫 をされて、人事評価をされているということですので、何か別の評価がないと、職員さんのアイデン ティティも湧かないでしょうし、私たちは国民として、皆様方の仕事にすべてを任せながら、しかし、 国民の目は厳しいので見続けていくわけですが、戦略の中でいろいろ工夫をしていただき、政・独委 からは減らせ減らせと言われていますので、それはそれで、私たちは仕事としてやらせていただきま す。どうぞ、今年度もしっかり業務を遂行していただき、次年度の評価でまたお目にかかるかと思い ます。  先生方、特になければ、よろしいですか。それでは、いままでの議論で評価をしていただき、認定 評価の記入を終わったということで、終了させていただきます。室長補佐のほうにお返しいたします。 ○政策評価官室長補佐  記入が終わっていない委員の方がいらっしゃれば、この場に残って、引き続き記入していただいて も結構ですし、記入用紙を持ち帰っていただいて、後日、郵送でも可能ですので、本部会終了後に事 務局までお話いただけたらと思います。  それから、次回の開催ですが、8月10日(月)の10時から、場所は省内17階の専用第21会議室と なっていますので、よろしくお願いします。議題は、「重度知的障害者総合施設のぞみの園の個別評 価」、何かあれば「その他」の議題となります。なお、21日の開催も含めて、いまお手元の封筒の中 に開催通知を入れていますので、期日までに出欠のほうの提出をお願いします。以上です。 ○上野谷部会長  それでは、本日は以上でございます。長時間にわたり熱心なご討議、ありがとうございました。                                          (了)      照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係    連絡先:03−5253−1111(内線7790)