09/07/29 第15回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方 検討委員会(第15回)議事録              日時:平成21年7月29日(水) 15:30 〜 18:30              場所:専用第18〜20会議室 ○寺野座長 それでは、ただいま大臣がいらっしゃいましたので、「薬害肝  炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」、第  15回になりますが、始めたいと思います。   それでは、大変お忙しいところ、暑いところ、お集まりいただきまして  ありがとうございます。   公務多忙の中、ただいま舛添厚生労働大臣が御出席いただきましたので、  一言ごあいさつをお願いいたします。 ○厚生労働大臣 どうも皆さんこんにちは。本当にお暑い中、今日もお集ま  りいただきましてありがとうございました。今年度の3回目になります。  そして、通算15回目になりました。この検討会、どうかよろしく御協力を  お願いいたします。   昨日、御報告ですけれども、第3回目の肝炎訴訟原告団・弁護団との定  期協議を行いました。その中で、この委員会でおまとめいただきました第  一次提言を受けた取組みなどについてもいろいろ御質問をいただきました  ので、来年度の概算要求の中にこの財政的な措置がきちんと取れるように  ということで、順次検討を進めたいと思います。   今日は、お2人のお話をお伺いすると聴いておりますし、有識者からの  お話もあると思いますので、更に、この第一次提言を踏まえた上で、更な  る再発防止策について御議論いただければと思います。この成果、皆様方  の大変な御努力の成果を一つひとつ政策の形で実現させていきたいと思っ  ておりますし、実質的な選挙期間中ですけれども、こういう国民の命を守  るということについては、党派を超えて、選挙の結果がどうであれ、厚生  労働省としてはきちんと対応していくことをお約束申し上げまして、私の  あいさつにかえます。   ちょっと、私がまた次の公務に行かないといけないものですから、どう  してもこれだけは大臣に言っておかないとというのは、何かあれば、短時  間でもお答えいたします。 ○泉委員 それでは、お席をお立ちになる前に、昨日、実は記者会見があり  まして、その席でも話をさせていただいたのですが、大臣はこの後、厚生  労働省からお離れになっても、今、私たちは2年目として、第三者機関を  是非つくろうかということと、それから、法律的な根拠法というか準拠法  をやっていかなければいけないとしたら、厚生労働省だけの話ではなくな  るので、是非、大臣には、外から、この中身がどうなるのかを注視してい  ただいて、見ていただいて、また法律的なことを専門の先生方に相談して  やっていかなければいけない、でき上がるまでを是非バックアップしてい  ただきたいと思いますので、それが2年間かかわった者としてのお願いで  す。よろしくお願いいたします。 ○厚生労働大臣 わかりました。外からとおっしゃられたので、何か選挙に  落ちて帰ってこないのではないかと思われたらあれなので、私は選挙はご  ざいません。参議院議員ですから、何も悪いことをしなければあと4年間  は国会議員でありますから、いろいろなことを、昨日も申し上げましたけ  れども、どういう立場であっても、国会議員というのは国民の代表ですか  ら、例えば議員立法しないといけない、それから、政府の政策についてた  ださないといけない、こういうことのためには全力を注ぎたいと思います。   こういう仕事を皆さん方と一緒にやらせていただいたというのは、本当  に私の人生の中で誇りに思っておりますし、また、皆さんの一生懸命やら  れる姿に元気もいただきましたから、そういう意味で、今後とも、引き続  き皆さんと一緒に、どういう立場であれ、きちんと仕事をしていきたいと  思っていますので、それをお約束いたしまして、そうか、そうすると、次  の回には基本的にいない可能性があるわけですよね。しかし、どうぞお忘  れなく、よろしくお願いいたします。   どうぞ。 ○坂田委員 一言お礼を言わせてください。  この委員会は、私たち被害者も入った形で、大臣のおかげで立ち上がり、  大臣とともに今までやってきたという気持ちです。本当にありがとうござ  いました。今後とも、是非よろしくお願いしておきます。 ○厚生労働大臣 はい、一生懸命頑張りたいと思います。どうか皆さん、引  き続き、更にいい提言を出していただくようにお願いいたしまして、ごあ  いさつとします。   どうも皆さん、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  (拍手) ○寺野座長 どうもありがとうございました。  (厚生労働大臣退室) ○寺野座長 泉さんと坂田さんに代表質問というか、お礼を言っていただき  ましてありがとうございます。   そういうことですので、それでは、ただいまから会議を始めたいと思い  ますが、最初に、資料の確認、それから事務局で異動がありましたので、  その御紹介をしたいということでございます。では、事務局から、よろし  くお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 まず、配付資料の確認からでございますけれ  ども、お手元をごらんいただきますと、議事次第、座席表、名簿がござい  ますが、このほかに、とじたものが、ヒアリング資料が2つございます。  それから、水口委員から、議論のためのメモが1枚ございます。5月27日  付というものです。その参考として、これも水口委員から事前にお求めが  ありました資料として、消費者庁、消費者委員会に関する資料がございま  す。その下に資料1、2とございます。後ほど事務局から御説明する資料、  それから、資料番号が振ってございませんが、「研究班の体制」というタ  イトルの紙がございます。更に、今日、机の上に置かせていただいていま  すのは、これも水口委員からの資料で、今後の進行に関するメモと、色刷  りの冊子、黄緑色とピンク色の冊子、これも水口委員から今日、委員の皆  様方への配付ということでございます。   足りないものなどありましたら、事務局の方に御連絡いただければと思  います。   それから、今、座長から御紹介がありましたとおり、事務局で人事異動  がございました。7月24日付でございますけれども、順番に御紹介させて  いただきたいと思います。   総務課長の熊本です。   審査管理課長の成田でございます。   監視指導・麻薬対策課長の国枝です。   血液対策課長の亀井です。   安全使用推進室長の佐藤です。   監視指導室長の宿里でございます。   それから、申し遅れましたけれども、私、医薬品副作用被害対策室長の  横幕と申します。よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。  資料はよろしゅうございましょうか。   今、御紹介ありましたように、人事異動がかなり大幅にありましたので、  また本委員会ともかかわるかもしれません。いろいろ厳しい委員会ですの  で、よろしくお願いいたします。   それでは、今日の予定としては、被害者の方からのヒアリング、これは  2名の方ですね。これに20分ずつぐらいをとってございます。そして、製  薬関係について、有識者からということですが、本多さんから説明を10分  ぐらい受けまして、合計30分ぐらいとってございます。それから、PMD  A、これは前々から皆さんお聴きしたいと思っておられたと思いますが、  近藤理事長初め、皆さんいらっしゃっておりますので、説明を15分ぐらい、  それから討議を30分ぐらいということにいたします。45分ですね。その後、  今後の検討という課題がございます。これは夏休みを挟んで、秋からの検  討の内容をどういうようにやっていくかということを説明していただいて、  そして、前々から延ばすなと言われながら何となく延びてきたのですけれ  ども、今日はどうしてもやらなくてはいけないということで、水口委員の  第三者組織について、これは絶対に入れるということでございますので、  今日は、前の要望もありましたが、3時間、15時半から18時半、3時間の  長丁場でございますので、そのつもりでお付き合いをお願いしたいと思い  ます。よろしくお願いします。それ以上はちょっと延ばせないと思います  ので、よろしくお願いします。   それでは、まず、被害者の方からのヒアリングをお願いしたいと思いま  す。お1人10分で、あと御質問があればということになります。   それでは、まず、武田さん、お願いいたします。大阪ですね。よろしく  お願いします。 ○武田氏 大阪原告団の武田せい子と申します。   私は、現在、C型慢性肝炎です。去年の8月4日から3度目のインター  フェロン治療を行っていました。しかし、7カ月過ぎても陰性にならず、  せきがひどくて寝不足になり、心療内科を受診することになり、インター  フェロン治療を一時休止しました。インターフェロン治療を中止して2カ  月目に病院に行きますと、GPT、1,067、γ−GTP、270もあり、即入  院となりました。インターフェロン治療を3度試しても完治することがあ  りませんでした。リバウンドもひどく、また、退院後には帯状疱疹になり、  朝晩の点滴に通院し、今も体中がかゆく、すぐ赤くはれてしまいます。   このような、いつ終わるとも知れないつらいインターフェロン治療を続  けているのも、私がC型肝炎ウイルスに感染したからです。私が感染した  のは昭和63年4月、子宮筋腫の手術を受けたときのことです。処置中、出  血があり、フィブリノゲン3本が私の体に投与されたのです。手術からし  ばらくし、病院に入院していた私は、急性肝炎を発病しました。肝数値が  急速に悪くなり、GOTが800を超えたとき、治療が難しいという理由で  産婦人科から総合病院へ転院しました。もともと子宮筋腫の手術は7日間  の入院予定で、私は10日間の有給休暇を取っただけでした。ところが、肝  炎治療で入院が長引き2カ月以上にもなったのです。私は、家のこと、仕  事のことが気になって仕方がありませんでした。肝炎の知識もそれほどな  かった私は、主治医に、「早く仕事にも行かないといけないし、家のこと  も気になります。早く退院させてください」と頼みました。すると主治医  は、「武田さん、今は大変なときなのですよ。肝数値もGOT、1,293、  GPT、1,464と非常に高く、命がかかわっている状態ですよ。早く帰り  たいのであれば安静にしておいてください」と言われ、自分がそのような  重い病気になったのだと知って非常に驚きました。   なぜ私が肝臓病になったのか、当時は不思議で仕方ありませんでした。  昔、大阪で看護婦をしていた実家の母も心配してくれ、肝臓は長引く病気  だから、くれぐれも無理をしないよう、何度も念を押しては帰っていきま  した。しかし、退院してわずか1カ月でまた肝数値が800を超え、再度の  入院を勧められました。それからの21年間は入退院の繰り返しで、現在ま  でに16回の入院を経験しています。しかし、そうやって治療をしている間  も、私は完全に静養することはできず、少し体調が落ち着けば、家庭のこ  ともやりながら外で働くという生活を続けていたのです。入退院をしなが  ら仕事に行かなければならなかった理由は、子宮筋腫の手術前に家をロー  ンで新築していたからでした。   そのような悪循環の日々を抱えた上に、私たち家族は予想もしない経験  を歩まなければなりませんでした。急性肝炎から慢性肝炎へと進み、治療  をしていた私は、平成4年、総合病院の主治医からインターフェロンを勧  められ、インターフェロンα治療を始めました。熱と関節痛に耐えながら  何とか仕事をしながら治療をしていましたが、治療を開始して4カ月ごろ、  病院に行くと、インターフェロン治療中の方にはアンケートに記入してい  ただくことになっていますと言われ、アンケートに記入いたしました。そ  の中に、「死にたいと思ったことがある」という欄があり、私は、初めか  らのことを思えば死にたいと思うこともあると思いながら、思わず○を入  れてしまいました。その○を1個入れたばかりに、私は心療内科に回され、  インターフェロン治療は中止となりました。   その後、心療内科の治療を済ませ、翌年、平成5年、2度目のインター  フェロンβを開始しました。点滴の治療薬でしたが、以前のαよりも副作  用が強く、途中から足に石を乗せたような感覚になり、終わってもすぐに  立ち上がることもできませんでした。治療後30分ぐらい横になり、休憩し  てから帰っていました。   その治療が2カ月を過ぎたころから、胸に違和感があり、一瞬乳がんを  疑いましたが、経験のない私は、胸にしこりがあるわけではなく、エクボ  のような胸を引っ張るような感覚に何か不安になりながら、インターフェ  ロン治療に週3回通っていました。でも、その引っ張る感覚が増すにつれ  不安になり、4カ月を過ぎたころ、思い切って主治医に言いますと、医師  は、診察するとすぐ、なぜもっと早く言ってくれなかったのかとしかり、  私を血管外科に回しました。そして、その診察後、乳がんだと診断され、  全摘しないと温存治療は無理と言われ非常にびっくりしました。早急に検  査、手術と慌ただしく日々が過ぎていきました。   実家の母には言おうと思いながら、肝炎で入院していると、「大変な病  気になったなあ」と何度もため息が出ていた母に、言えずじまいでした。  母は、小学生になったばかりの私の姉を病気で亡くしており、病気には異  常に敏感だったのです。私は、そんな母を心配させたくなくて、できるだ  け乳がんのことは言わずにおこうと決めていました。しかし、退院して実  家におったとき、妹と乳がんの治療のことを話していると、偶然ドアの外  にいた母に聞かれてしまったのです。母はドアを開けるなり、「肝炎だけ  でなく乳がんにもなっていたのか。何度電話してもいないのでおかしいと  思っていたよ」と泣きながら話し、「なぜおまえだけがこんなになるんだ  ろうね。他の兄弟は元気なのに」と何度も言っていました。私が、「手術  して取ってしまったから大丈夫よ」と何度も言いましたが、母は聞いてお  らず、何度も何度も、「おまえだけが、なぜ」と言っていました。私は母  に乳がんのことを言わなかったことを後悔しましたが、その日は疲れもあ  り、早目にうちに帰りました。その夜明け近く、寝ていた私たちは妹の電  話で起こされ、母が倒れたことを知りました。母の病気は脳出血で、右半  身付随と失語症の重い後遺症害が残りました。そんな母を見るにつけ、母  をこんな体にした私自身を疎ましく思い、母にどうわびればいいのかと何  度も胸が締めつけられる思いが続きました。   そんな中、今度は同居している姑のS状結腸に腫瘍が見つかり、手術す  ることになりました。だれも付き添いがなく、乳がん治療で退院してきた  ばかりの私が付き添いました。私は、夜中静まり返っている廊下に出て、  深く呼吸をしながら心の平静さを保とうと努めました。自分自身、再発の  危険性があるし、あと5年間も抗がん剤を飲まなくてはならない体でした。  退院して間がない私には、日々の生活が、薄い氷の上を歩いているような  ものでした。ちょっと油断すると、氷が割れて、真っ逆さまに深い海に滑  り込んでいくような。   私はそんな中、実家の母と姑と、日に何度も病院を往復しました。実家  の母は、やがて病院から老人保健施設に移りました。姑も退院してほっと  したのもつかの間、2年目の平成6年には、姑の横行結腸にまた腫瘍がで  き、手術いたしました。そのときには私も仕事に復帰していましたので、  仕事場から病院に直行し、病院で寝泊まりしながら、また翌日会社に通い  ました。そして、姑は平成8年、今度は手術したところが癒着し、また腸  の手術になりました。その退院後から、姑は少しずつ痴呆がひどくなって  いきました。私に、「私はもう長くないので、あなたが頼りだ。お願いし  ますよ」と泣きながら言ったりしていました。姑から目が離せない私は、  近くの病院へ就職し、慢性肝炎の治療をそこでしていました。そんな日々  の中、平成9年に姑が大量の血を吐きました。胃潰瘍でした。医師も、こ  んな大きな胃潰瘍は珍しいと言い、また入院になりました。それからは入  退院の繰り返しで、私は2人の病院と自分の治療と仕事と、本当にハード  な生活をしていました。   平成10年4月25日、姑は自殺しました。主人から電話があり、姑が自殺  したことを告げられました。急いで家に帰った私は、姑がたくさんのノー  トを残していたことをその場にいた医師に教えられました。それにはびっ  しりと、自分の病気の上に嫁も病気で、この先どうなるのか不安で仕方な  い。自分がいない方が嫁も楽だろうなどと姑の気持ちがつづられていまし  た。医師は、「ひどいうつになっていたんだね」と言ったきり黙ってしま  いました。本当に悪夢の1日でした。   私は、2人の母の人生を狂わせてしまいました。実家の母は、私が面会  に行くと、いつも何も言えない顔を真っ赤にして大粒の涙を流し泣いてい  ます。そんな母を見るのが嫌でした。いつも会うたびに、胸に大きな鉛を  乗せたような暗い気分になるのです。その母も、今年の平成21年4月20日、  亡くなりました。15年と5カ月、寝たきりの生活から解放されました。し  かし、私の心は何も解放されません。私が病気になってしまったばかりに、  私だけでなく、周りの大切な家族の人生も歯車が少しずつ狂ってきたので  しょうか。   以上で私の報告を終わります。 ○寺野座長 武田さん、本当にありがとうございました。   それでは、次に、九州原告19番のお母さんということで、匿名を希望で  ございますので、お話を伺って、その後、お2人に委員の皆様から御質問、  御意見をいただければと思います。では、九州原告19番のお母さんという  ことで、よろしくお願いします。 ○九州原告19番 私は、九州原告19番の母です。この検証会議が始まってか  らずっと、一度も欠かさず傍聴を続け、委員の皆様方の真摯な議論を拝見  しています。今日は、息子が薬害肝炎の被害者となってしまった母の思い、  それから、この検証会議に対する大きな期待についてお話ししたいと思い  ます。   息子は1986年4月生まれで現在23歳になります。予定日よりも2カ月早  く未熟児で生まれ、すぐに入院しました。その病院でクリスマシンが息子  に投与されました。しかし、私たちには、息子にクリスマシンが投与され  たことは知らされませんでした。   1996年、息子が10歳のときでした。生後すぐに入院した病院から突然、  「健康調査の実施について」という封書が届きました。その文書には、以  前治療を受けた患者の健康調査を実施していること、調査に協力してほし  いということだけが書かれていました。数日後、検査に行ったとき、初め  て主治医から息子にクリスマシンが投与されていることを聴きました。そ  して、クリスマシンは、エイズ感染の危険性があるため血液検査をさせて  くださいと言われました。検査の結果、エイズには感染していませんでし  たが、C型肝炎に感染していました。既に慢性肝炎であるとの診断でした。   それから経過観察のために定期的に通院することになりました。医師に、  C型肝炎は、肝硬変や肝がんに進行して死ぬこともある病気だと言われま  したが、息子は、外見上は元気で、私はあえて考えないようにしていまし  た。   そんなあるとき、息子が同級生とペットボトルを回し飲みしていたとこ  ろ、その様子を見ていた保護者から、「口をつけて飲むのはやめなさい。  エイズやC型肝炎が感染するかもしれないから」と注意を受けました。私  はその言葉を聞いてショックを受けました。C型肝炎が唾液では感染しな  いことは知っていましたが、その保護者に間違っていると指摘をすること  はできませんでした。周囲のC型肝炎というものに対する見方、差別や偏  見を見せつけられた思いでした。差別や偏見、不安や動揺を考えると、息  子がC型肝炎である、このことはだれにも言えませんでした。祖父母や身  近な人にさえ話せない、家族だけの秘密でした。どんなに楽しいことがあ  っても、うれしいことがあっても、私たち家族の心の奥底には必ず肝炎の  ことがあり、何の不安もなく心から楽しめることはありませんでした。   その後、2004年、息子が高校3年生のとき、九州で薬害肝炎訴訟に参加  しました。提訴後は、できる限り裁判の傍聴に足を運び、そこで多くの原  告や家族と出会いました。活動をともにする原告の中には、病状が思わし  くなく、家族に支えられながら何とか裁判を傍聴しておられる方がいらっ  しゃいました。裁判の途中で肝硬変や肝がんで亡くなった方もいらっしゃ  います。病気が進行したら息子も同じようになるのだろうかと不安が募り  ました。   また、そのころ、主治医の肝臓病専門医から、肝機能数値が安定してい  ても、感染から20年以上たつと、突然に病状が悪化し、急速に進行するこ  とがあると言われました。肝硬変、肝がんへと進行した息子の姿が、そし  て、もしかしたら私たち親よりも先に死ぬかもしれないということが現実  として迫ってきました。肝炎が進行したら、結婚や仕事をすることは難し  い。健康であれば、当たり前に与えられる人生を生きることが息子にはで  きない。   そのような不安は、息子も同じように抱いていました。息子は法廷で、  「健康な体で過ごす毎日、隠し事をしないでいい人間関係、C型肝炎でな  い生活は僕には与えられませんでした」と言いました。その言葉は私の胸  に突き刺さりました。そんな息子の気持ちを思うたびに自分を責めました。   そのような思いで裁判を傍聴するうちに、クリスマシンが、本来は血友  病の薬として承認されたもので、息子のような新生児の疾患に関する臨床  試験がなかったことや息子が生まれた時期には、より安全な加熱製剤が出  ていたにもかかわらず、息子には危険な非加熱製剤が投与されていたこと  がわかり愕然としました。医薬品の安全という点から見て、当然やるべき  ことがされていなかったのです。それなのに、裁判では国や製薬企業は、  自分に責任はないと言い続け、責任逃れの姿勢を一貫して崩しませんでし  た。私は、傍聴だけではだめだ。私自身が声を出して、この薬害がいかに  理不尽なものかを世論に訴えていかなければならない、そう考えるように  なりました。   それからは、薬害肝炎の問題を訴えることを最優先にして過ごしてきま  した。全国の原告の方々とともに、あちこちの街頭に立って、道行く人に  ビラを配り、一人でも多くの人に関心を持ってもらえるように、「息子が  原告です」と語りかけ署名を集めました。日比谷公園での2度の座り込み  にも参加しました。夜を徹しての座り込みのときには、大雨が降ったり、  寒さに震えたり、過酷な活動の中で体調を崩す原告もいました。治療のた  め受けなければいけないはずの注射を先に延ばして活動に参加する原告も  いました。ここまでしてもなお、国や製薬企業は責任を認めないのかと涙  が出そうになることもありました。   また、私たち原告と家族は、国会議員や地方議会議員1,000人を超える  人たちの事務所を回り陳情を重ねました。その際、息子は自分の思いを伝  えるため、議員あての手紙を書きました。手紙には、結婚し、子どもを設  け、父親になっている友達がいること。それに比べて、息子自身は、病気  のせいで就職や結婚ができずに、命を次の世代につなぐことができないか  もしれないと不安に思っていることが書かれていました。「早く裁判を終  わらせて僕たちを救済してください」、そう訴えていました。私の息子が、  自分のところで命の絆が終わるかもしれないと自覚し、手紙に書いている  のです。私はそれを読み、涙があふれてきました。   このような活動を経て、2008年1月、ようやく薬害肝炎救済法が成立し  ました。国は責任を認めました。それに続き製薬企業も責任を認めました。  原告と家族が文字どおり命をかけて闘って勝ち取った解決でした。   救済法の成立を受けて、真相究明と再発防止のため、この検証委員会が  設置されました。私たち原告や家族は、ずっと歯を食いしばって闘ってき  て、やっとここまで来た、ようやく専門家の方々にバトンタッチをして真  相を究明してもらえるのだと期待しています。   私が知りたいと思うことは2つです。まず、なぜ血友病の薬だったはず  のクリスマシンが、治験もないままに新生児に使われるようになったのか。  それから、なぜ加熱製剤が承認された後にも非加熱製剤が回収されずに投  与されたのかということです。なぜこんなことがまかり通ったのか。この  点は、残念ながら裁判の中では明らかになりませんでした。是非、真相の  解明をお願いします。   会議を傍聴していて、時々、この薬害肝炎の問題は昔のことであって、  今はそんなことは起きるはずがないというようなニュアンスを感じること  があります。私の受け止めが間違っているのであれば申し訳ありませんが、  もしそうだとしたら、私は、今きちんとやっていますということだけでは  納得できません。現在では同様の問題は起こらないというのであれば、当  時と現在とではどこがどのように改善されたのか、なぜ当時はそれができ  なかったのか、具体的な説明を聴きたいと思います。再発防止というのは、  それらを踏まえた上でのことではないでしょうか。   息子は先日、激しい副作用に耐えて、48週にわたるインターフェロン治  療を終えました。今、ウイルスは陰性になっています。しかし、少なくと  も半年間は、ウイルスが再び現れる可能性が高いということです。ウイル  スが陰性になった後でも、肝がんのリスクは、健康な人に比べて高いと言  われています。息子は、今後もずっと定期的に検査を受け続け、大きなリ  スクを抱えて生きていかなければならないのです。どうして息子がこのよ  うな被害を受けなければならなかったのか、その真相を検証会議で是非知  りたいと思います。そして、この反省を踏まえて、これ以上、薬害の患者  を出さないために、再発防止策を御検討いただくことを切望します。   以上です。ありがとうございました。 ○寺野座長 ありがとうございました。   それでは、お2人の方、武田さん、ちょっと前に出てください。お2人  の方に、それほど時間はございませんけれども、せっかくの機会ですから、  御質問、御意見、御感想などありましたら、委員の方、お願いいたします。  どなたからでも結構ですが、できるだけ多くの方に質問していただきたい  と思いますので簡潔にお願いします。どなたからでもいいですよ。水口委  員。 ○水口委員 それでは、まず武田さんに。今のお話の中で、インターフェロ  ン治療を3回もやらなければならなかったというお話が出ていて、これに  ついては、たしか助成の制度があると思うのですが、こういった治療を受  け続けるための経済的支援について、何か問題点があれば伺いたいと思い  ます。 ○武田氏 勿論、今回も陰性にならなかったので、主治医からは、あなたの  場合は、やはりβとリバビリンをしたらどうかというお話もありますし、  散剤の話も出ておりますので、できれば続けたいとは思います。でも、助  成金は1回限りということなので、次は、また保険適用になろうかと思い  ますが、そうすると、私は、1回目のときは保険適用でしたけれども、2  回目のときは保険適用が半年だったので、その後は自費でやりました。そ  れで肝炎治療のためにすごくお金がかかっているので、できれば助成とい  うのを、1度だけでなく、治るまでということを、私の場合はそれを希望  しております。   以上です。 ○寺野座長 いいですか。   そのほかございませんでしょうか。間宮委員。 ○間宮委員 裁判に参加されて、勿論、薬害の被害を受けたことの体の状態  も非常に大変だと思うのですが、裁判で、国や企業が、責任も何もないと  否定してくるわけですね。それで、いろいろなデータなんかも出さないと  いうような状況に接することになったと思うんですけれども、そういう裁  判に参加しての、こういうところが非常に許せないというようなことって、  どういうことがありましたでしょうか。 ○武田氏 私は、実は近くに、前にエイズの裁判のときに、アカセさんとい  う人が同じ地区の人でした。それで、ちょくちょくいろいろな展示とかの  お手伝いをしていたのですけれども、そのときもでしたが、今回のときも、  やはりわかっていて隠しているということがよくわかりました。今まで、  わかっていながら、裁判となるとすべてを隠してしまう、それが裁判とい  うものかもしれませんけれども、でも、人道的なものに関してはそれはお  かしいと思います。やはりきちんとわかっている資料というものは提出す  る、それによって、それが合法的なものかどうか、賠償金に当たるものか  どうかということを裁判する、それにしてもらいたい。いつも後から出て  きて、知らなかったとか、知っているとかという、何か、見ていたら茶番  劇をしているような感じの、エイズのときもそうでしたし、今回のときも  そう思いました。やはり人間として人道的なことはきちんとしていただき  たい、それは裁判を通じて本当に強く思いました。   以上です。 ○間宮委員 お母さんは、いかがですか。 ○九州原告19番 私たち原告団は普通の主婦です。そして患者です。その普  通の一般の主婦や患者たちが裁判に参加するというのは、非常に大変なこ  とです。自分の体も大変な思いをして裁判に参加しなければいけません。  まず、裁判に参加するときもとても勇気が要りました。参加するときにさ  え、私は、息子が原告ではないかと思ったとき、弁護団の電話番号がテレ  ビで放映されましたけれども、それをメモして、実際にその電話番号を押  すときまで、悩んで、悩んで、3カ月かかりました。やはり裁判に参加す  るときの勇気、物すごい怖さがあります。   そして、実際に裁判に参加して、企業が真実を語ってくれない、自分た  ちを守ろうとする姿勢に怒りがこみ上げてきました。   以上です。 ○間宮委員 ありがとうございました。   済みません、あともう一つ。私も実は3回インターフェロン治療を受け  ているんですけれども、そのときも仕事を続けながら受けたのですが、武  田さんも仕事を続けながらインターフェロン治療を受けられたと思います  が、これは、仕事をもししないで済んでいるのであれば、もっと結果は違  うのかなというのが、これは、治療のやり方というのは人それぞれかもし  れませんが、そのあたりどんな感じに思われますか。 ○武田氏 私の場合は、3回とも仕事をしながらしていました。幾ら入院し  ても、入院したからといってローンが待ってくれるわけでもありませんし、  主人の勤めの金額だけではやはり足りなくて、私も仕事をしなくてはいけ  ないということで。でも、仕事をしながら、ローンを払って、また病院に  お金を持っていくというような悪循環の日々でしたけれども、やはり仕事  をしないで、家でそれだけにかかわっておれば、もしかしたら陰性になる  のも早くなったかもわかりません。でも、今、国民の中でたくさんの方が  仕事をしながらインターフェロン治療をしていると思います。ですから、  やはりいかに大変なものかということは、してみないとわからないと思い  ますけれども、私が県議会議員のところに陳情に前に行ったときも、その  方の中の1人が、「僕もしましたよ。あれは本当に二度としたくないです  ね」と言っていました。やはりそのようなつらい治療を仕事をしながらす  るということは、すごくハードなことなんです。ですから、できれば、そ  ういう治療のような、介護手当のようなものが、私なんかは母とかに使っ  たことがあるのですが、そのような感じで、仕事をしているときの雇用関  係のような助成があれば助かるのにということは、しばしば思っていまし  た。   以上です。 ○寺野座長 いいですか。   大平委員どうぞ。 ○大平委員 お2人のうちどちらからでも結構ですが、先ほどからインター  フェロン治療の話が出ていましたけれども、前回のヒアリングのときでも、  被害者の方が、やはり副作用が怖くてインターフェロンが使えないとか、  そういう話もありました。インターフェロンで治さなくてはならないとい  うことは一つの基本になっていると思うのですが、そういう医療機関が、  積極的かどうかわかりませんけれども、きちんとインターフェロンの治療  にうまく、安心してつながるようなコーディネートをしてくださるような  病院で受診していたのかどうかということと、それから、全体として、被  害者の方たちのそういう治療についての医療機関整備にどういう感想を持  たれているか、ちょっとお聴きしたいのですが。 ○寺野座長 どうぞ、どちらでも。 ○武田氏 では、武田の方から。私は、入院するたびに、ほとんど仕事を変  えていました。医療関係で勤めていたのが一番長くて8年で、2カ所いた  ので16年あるんですけれども、あとは、本当に、普通入院になると、やは  りいたたまれなくなって辞めて、また違うところへ行くということがあり  ましたので、病院を転々としていました。勿論、転々としながらでも、肝  臓の専門医のところには行っていたのですけれども、やはり先生によって  お話が違っていまして、もともと総合病院で、私の場合は日赤に行ってい  るのですが、日赤には3カ月に1回ずつ行っていましたので、あとは近く  の病院に行っていたのですが、お医者さんは、やはり言っていることが多  少ずつ違っていて、すぐした方がいいよと言う方もおれば、まだまだ、こ  れぐらいだったらまだしなくてもいいよという方もいらっしゃるし、いろ  いろでした。でも、私は月3回ずつは総合病院に行って肝臓専門医に一応  診てもらっていたので、その点は、その先生の方を重視していました。で  すけれども、肝臓専門医によってもすごく差があるなということは、よく  わかりました。   以上です。 ○寺野座長 このあたり、清澤委員、何か御意見ありますか。コメント。 ○清澤委員 今の発言の中で、肝臓の専門医の中でもいろいろ違いがあると  いうようなお話でしたが、そういうのは、やはり我々としては、よく聴い  て、今後に生かしていかなければいけないと思います。   最近は、結構、医療連携といって、専門医の中でもお互いに連携、ある  いは家庭医との連携というようなことで、できるだけ日本の津々浦々、同  じレベルでいい治療ができるような制度ができてきているのではないかと  思いますので、これから治療を受ける方については、更にそういったいい  治療ができるようにやっていきたいと思います。   それと、1点よろしいですか。九州の19番の方にお伺いしたいのですが、  これは、1996年に病院から連絡が来たとおっしゃったのですが、そのとき  は、HIVの感染の調査ということで来たのか、HIVとHCVの両方の  調査ということで来たのか、そこをお聴きしたいのですけれども。 ○九州原告19番 うちに届いた文書の中には、たった5行しかない文書で、  健康調査をしていますということと、それに協力してくださいということ  しか書いてありませんでした。健康調査という言葉しか出ておりませんで  した。 ○清澤委員 わかりました。   実は、5月にヒアリングを受けた男性の方は、その当時、検査したのは  HIVしかはからなかったと言ったのを僕は記憶しているんですが、間違  いだったら訂正しますが、私はそのときに、それは当然、もうHCVの検  査もすべきであったというように言ったのですが、19番のお子さんについ  ては、今のお話だと両方やられたということなんですよね。 ○九州原告19番 これとこれの検査ということではなくて、私が行ったとき  には、主治医の先生からは、先ほど言いましたように、HIV、エイズの  検査をさせてくださいという言葉でした。 ○清澤委員 やはりエイズですね。   そうすると、多分、HCVについては、その病院の先生が、むしろHC  Vも、C型肝炎もやろうかということでやったのではないかと思うのです  が、この点は、僕は是非、検証委員会の中でも、そのときどういう目的で  HIVだけなのか、どうしてHCVはやらなかったのかというようなこと  も、やはり検証しておく必要があるのではないかと思いました。 ○寺野座長 そうですね、全くそのとおりだと思いますので、事務局、これ  をちょっとメモして、注意してください。課題だと思います。   坂田委員。 ○坂田委員 九州原告19番さんに質問ですけれども、企業に対する要望はあ  りますでしょうか。 ○九州原告19番 先日、初めて原告団と企業が、初めての定期協議を行いま  した。その中で、自己検証についてというところでは、田辺三菱は、自己  検証は、エイズのときに既に検証しているので、あえて薬害肝炎ではする  必要がないという回答をもらいました。しかし、昨日、大臣協議の中で大  臣が発言されたのですが、自己検証は企業の社会的責任として大きいとい  う発言をしていただきました。その点からしても、私は、薬害肝炎につい  て、自己検証を企業に必ずやっていただきたいと思っています。そして、  この検証会議においても、企業に対して踏み込んだ検証をしていただきた  いと思っています。   以上です。 ○坂田委員 今までどっちかというとフィブリノゲンばかり表に出て、第\  因子製剤が何か隠れているといった感じが多かったもので、第\因子に関  しても、徹底的な真相究明をしなければいけないと思っております。 ○九州原告19番 よろしくお願いします。 ○坂田委員 今後とも頑張りますので、よろしくお願いします。 ○寺野座長 まだあるかもしれませんけれども、予定の時間が参りましたの  で、被害者の方のヒアリングについては、以上にしたいと思います。   お2人の方、どうもありがとうございました。貴重なお話でした。あり  がとうございました。傍聴席の方にお移りください。   では、引き続きまして討議の時間に入りますけれども、それに先立ちま  して、議事次第に書いてありますように、専門家からのヒアリング、有識  者からのヒアリングを行いたいと思います。この場合、製薬関係の取り込  みについてということで、星薬科大学の本多教授に御出席いただいており  ますので、まず10分程度御説明をいただきまして、その後、短時間ですが、  20分ぐらいということを目安に御議論をいただきたいということでありま  す。ちょっと時間が遅れますけれども、その程度の目安で進めたいと思い   ます。その後、PMDAの理事長からの話があります。   では、本多先生、よろしくお願いします。お忙しいところありがとうご  ざいます。 ○本多参考人 ただいまお2人の切実なお話をお伺いしまして、本当にこう  いうことは二度と起こしてはいけないという感じを持っておりますが、そ  れに関しまして、我々教育の場、それから、物をつくるということから、  創薬の場でどういう努力をしているかという現状を報告させていただきた  いと思います。  (PP)   これは、よく皆様方ごらんになったスライドかと思いますが、人類の発  展のためには、科学の発展も含めて、特にここは医薬品だけに限ってあり  ますが、下から、天然物由来創薬から、現代の個人で異なる、要するにテ  ーラーメード医薬までをずっと書いてあります。その中で、ここに示して  あります下から2番目のカルシウム拮抗薬、資料はすべてお手元のとろに  入っておりますので、もしあれでしたらそれをごらんいただければと思い  ますが、ジルチアゼム等のカルシウム拮抗薬も日本ですし、メバロチン、  抗コレステロール薬、それから、つい最近になりますと、アルツハイマー  の対症療法薬といいますか、ドネペジル、アリセプト等が日本から出てお  ります。これを、こういう努力で人類の発展といいますか平均寿命が延び  たということは、紛れもない事実であるかと思っております。  (PP)   ところが、薬はそんなに簡単にできるものではございません。先ほど来、  いろいろな悪さをしているということも事実でありますけれども、ここに  出ておりますように、探索研究、要するに薬の候補となるような標的分子  の探索、それでも2〜3年かかります。更には非臨床、これはGLP規制  に従ってやるのですが3〜5年、それから臨床試験といいましてT相から  V相、これはGCP規制に従ってやりますが、これが3〜7年。それから、  承認申請をして、承認になって、それから第W相ということで、市販後調  査で第W相という試験があります。現代の流れでは、大体ここの承認まで  は仮免許、それから、第W相も含めて本免許という意識が、この開発の流  れかと思っております。  (PP)   これをもう一度ここに書かせていただいておりますが、最初、医薬品の  モトとなる新規物質の合成・発見、これが2〜3年ですね。それから、非  臨床が3〜5年。ここに詳しく書いてございますので、これを非臨床、臨  床、それから承認申請、それから第W相の市販後調査、育薬等も含めまし  て見ていただければと思いますが、1つの医薬品を出すのに大体10数年か  かります。それから、費用は1つ500億円ぐらいと言われております。あ  と、下のところを見ていただけるとわかるかと思いますが、大体、化合物  を1万6,000弱つくって、やっと1つ薬ができるかどうかというのが現状  でございます。   なぜこんなに薬というのは難しいのだろうか。  (PP)   これは、開発候補化合物の開発中止理由というものが書いてあります。  左から2番目を見ていただければよくわかるかと思いますが、今は安全性  がやはり非常に厳しくて、これは当たり前なのですが、ここでかなりのも  のが落ちます。赤が2000年で青が1991年の図ですが、これぐらいの割合で  安全性を重視しているというのがわかっていただけるかと思います。  (PP)   これは、左側が第T相、第U相、第V相とずっと来たところの開発の割  合、右側が失敗したプロジェクトの割合ということで、やはりこれも安全  性等が、毒性等が大きな理由で開発に失敗したという、これが現実の医薬  品開発の流れになっております。  (PP)   これだけ失敗しておりましても、やはり薬というのは、人間に対して、  苦痛を和らげるということで異質のものだと我々は思っておりますが、医  師から見た疾病に対する治療満足度、要するに未充足の薬、これが左の下  になります。右の方は充足率が高いということになります。今日は肝炎の  検証会ですので、赤丸してありますが、ここに書いてありますように、や  はりC型肝炎、これもまだ治療満足度がそれほど高くないことがこれでわ  かっていただけるかと思います。  (PP)   今後対応する、要するに薬をつくる場として対応すべきことは、ここに  書かせていただきましたように、前の表で医薬品貢献度が低いと評価され  た分野で新薬を開発、それから薬の研究、特に開発に携わる技術者には、  医療の担い手としての“患者中心の医療”に配慮しないといけないだろう。  あと、第W相等も含めて育薬です。これも含めて創薬と今は言っておりま  す。育薬まで含めて創薬という言葉を使っておりますが、最後の、いろい  ろ情報を収集して、その使い方や価値を高めていく、これが重要になって  いくのだろうと思います。   下の方はちょっと省略させていただきます。  (PP)   これも資料にございますので最後のところだけ読ませていただきますが、  病気にかかる遺伝子を解明して、その原因から医薬品を考えていく。例え  ば病気に関連する受容体、たんぱく質ですね、これが特定できて、その受  容体に作用するリガンドが特定できれば、それらの機能の解明が可能にな  るということで、これが今世紀目指す創薬ということになろうかと思いま  す。  (PP)   なぜ薬をつくらなくてはいけないのか。例えば、人間、一人一人によっ  て形が違います。遺伝子は当然、家をつくるときの設計図と思っていただ  ければいいと思いますが、塩基が1つ違うだけで、全く設計図が違うと思  っていただければいいかと思います。人によっては本当に、この塩基1つ  違うというのは、数百塩基に1つの違いが出ると言われております。その  設計図ですから、当然、人が違います。ある薬では、その人に対しては非  常に有効な薬でも、ある人に対してはよくないといいますか、10倍与えた  ことになるような場合すらあるわけです。   例えば、そういうマイナーな人を放っておいてもいいのか。それは、や  はり患者のQOLを考えた場合、決して望ましいことではございませんで、  その人々に合った薬というものが大事なんだろう。それが「テーラーメー  ド医療」と言われるところであります。  (PP)   今日は肝炎のことですので、ちょっと肝炎の今の開発の現状を紹介させ  ていただきたいと思います。   先ほどのお2人のお話にもございましたように、今まではインターフェ  ロン・リバビリン併用療法。副作用が強いというのは、お話にあったとお  りだと思います。ほとんど今までの抗HCV薬というのは、プロテアーゼ  阻害、ポリメラーゼ阻害、要するにウイルス因子を標的としてやってきた  ものであります。ところが、ここに書かせていただきましたようにウイル  ス因子、これは非常に耐性獲得が早いということで難しい。では、どうす  ればいいんだということで、宿主からということが当然考えられるのです  が、その実験系がなかったわけです。それが、ここに書きましたように  1999年にできたということで、今度は宿主因子を標的とした抗HCV薬の  開発研究。  (PP)   これがメカニズムでありますが、これはもう資料を読んでいただければ  いいかと思います。小胞体でセラミドができて、トランスポーターを通っ  てスフィンゴミエリンになって、それでHCVの複製の足場となるラフト  ができるのですが、そこを阻害するということで、今までと全くメカニズ  ムが違ってまいります。  (PP)   ですから、この特徴としましては、非常に強い抗レプリコン、複製しな  いような、抑えるような活性を持って、宿主細胞に対する毒性を示さない、  それからインターフェロンとの併用によって、より強い相乗作用を示す、  薬剤耐性株の出現は認められないとか、今のところいっぱいメリットは出  ておりますが、ただ宿主側からやったからといって、必ずしもこれがすば  らしい薬になるという保証は全くございません。まだまだ挑戦をしないと  いけないのですが、こういうことでも挑戦をどんどんしておいて、患者の  皆様の苦痛を和らげることができればというのが、創薬に対する挑戦だと  思っております。  (PP)   市販後調査で、先ほど言いましたように、ここに書きましたように、G  CPに従って、グッド・クリニカル・プラクティスに従ってやらなければ  いけないということで、下に「被験者からのインフォームド・コンセント  が絶対必要」だとか、「試験は被験者の福利に対する配慮が科学的および  社会的利益よりも優先される試験のみが許容される」とか、そういうこと  がすべて書いてございます。  (PP)   これは、医薬品副作用情報。いろいろなところから厚生労働省等にずっ  と情報が上がってきて、その情報をもとに、また厚生労働省から発信する  という図になってございます。  (PP)   先ほど申しました育薬。それでは、このように厳しい管理のもとで、一  定のルールがあります。それに従って長い研究開発期間をかけて実施した  としても、本当にすべて安全性が100%担保されるか。その下に1)〜  5)までFive Toosというものが書いてあります。現状ではこれで、その  下の枠で囲ってございますように、治験段階でごくまれにしか発生しない  副作用の検出というのは、やはりこれは完璧とは言いがたいところがござ  います。それから、併用される多くの薬剤との相互作用や個人差による副  作用の違いを予測することも現状では困難な面があります。ですから、こ  の第四段階で、更に、個々の患者に適正に使用するための医薬情報が非常  に重要になってくるということをここに書かせてもらっております。  (PP)   創薬関係者、今後、我々が認識すべき事項、大学や企業においても、薬  学研究者は、一人でも多くの患者を救いたい、これが純粋な気持ちです。  決して利益、自分の名声でやっているわけではございません。ただ、問題  は、薬の情報を正確に理解するには、かなりの専門知識が必要になります。  幾らインターネットで調べても完璧とは言えません。病気や治療に関する  情報が広まり、関心が高まったとはいえ、患者と薬関係者、ここには圧倒  的に医薬品情報の理解力や判断能力に違いが出てきます。我々専門家にお  いても、分野が違えば、やはり理解に差が出てきます。ですから、こうい  う今までの技術的所産を適正に評価して、市販後調査、PMS(ポスト・  マーケティング・サーベイランス)制度のような規制を設けて、社会と調  和させていかないといけないということが大事で、その下に書かせていた  だいていますが、専門技術者と皆さん、消費者と対話をして、的確な情報  を相互に所有して社会として活用していかなければいけないだろうと。  (PP)   薬学教育が6年制になりました。これはその前からでもあるのですが、  ヒューマニズムについて学ぶとか、医薬品の開発、ここにも薬害等が入っ  てございます。今、薬学ではこういう教育をやっているということを御理  解いただければと思います。  (PP)   最後にまとめに入らせていただきますが、医薬品の開発にはかなり時間  がかかります。さまざまなレベルの有効性、安全性をクリアできる確率は  極めて低いということは、先ほどの表からわかっていただけるかと思いま  す。しかし、収益性はよくなくても、医薬品による治療が確立していない  アンメットニーズ、先ほど出しました表です。未充足の薬ですね。それに  対して、企業は社会的責任として開発に取り組むべきでありまして、それ  から、市販後の育薬として、企業は開発品を放置することなく、医療にお  ける安全性、有効性のエビデンスづくりのための市販後の情報収集、調査  を強化すべきだろうと思っております。それから、その結果を踏まえて、  企業は、市販後医薬品の安全性の向上に意識を向けてほしいと思っており  ます。  (PP)   それから、そのためには、我々も含めまして創薬技術者の倫理観の育成、  養成というのは必須になります。それから、医薬品の開発等の問題につい  て、研究者、企業、患者さんが共通の理解(認識)をつくる場を幅広く設  けていくべきで、そのためには企業も情報の開示を進めていく必要、これ  は絶対重要だろうと思っております。   医薬品は“情報を伴う化学物質”、これが重要です。ですから、医薬品  の添付文書に記載してある情報、これは限定的な面がありますので、有効  性や副作用データは継続して収集する必要があるのだろうと。   それから、最後に、薬学として薬剤師さんを育てています。重篤な副作  用を避けるためには、初期症状の発見が不可欠であり、それが薬剤師業務  の本質的な業務の一つだろうと個人的に思っております。   以上で説明を終えさせていただきます。 ○寺野座長 本多先生、ありがとうございました。「製薬関係の取組みにつ  いて」ということで、創薬、育薬の問題とか、薬の開発の経過、そして安  全性について御説明いただきましたけれども、若干のディスカッション、  議論をしたいと思います。どなたか、本多先生に御質問、御意見がありま  したらどうぞ。大熊委員。 ○大熊委員 最後のスライドのところに「倫理観の養成が必須である」とお  書きになっていらっしゃいますが、この倫理観というものは、どういうも  のだと思っておられますか。 ○本多参考人 倫理観といいますのは、先ほどのスライドの中、あるいはこ  れの例えば18枚目のスライドというのでしょうか、ここにも書いてあるか  と思いますが、やはり医療というものは、特に医師の教育においては、  「病気を診ないで患者を診て治療に当たれ」というようなことがあるかと  思います。これは薬においても、先ほど来言っていますように、患者を中  心に考えていくような、あくまでも利益とか名声とか、そういうことにと  らわれない、要するに今の薬学の教育では、本当に最初のイントロダクシ  ョンのところでは生と死というところから入っていきます。それで、人間  の存在というものをまず理解し、それに対して、私ども、正直言いまして、  薬をつくるときには、エンドポイントという言い方は薬のエンドポイント  ということで、生死とかという意味ではなくて、それは本当の意味の、真  のクリニカル・エンド・ポイント、要するに、例えば降圧剤だと、血圧を  下げるという現象ではなくて、それに伴う心臓病とか、そういうようなと  ころまで見ていかないといけないというような、そういう多面的な考えを  私は倫理観と呼ぼうと思っております。 ○大熊委員 それに関連してですけれども、今、被害者の方が話されたよう  に、既に加熱製剤があるのに非加熱製剤を売り続けるとか、それから裁判  になってもうそをつくとか、本当は反省材料がいっぱいあるにもかかわら  ず、裁判の場では反省材料はありませんと証言するというようなことは、  この先生のおっしゃる倫理に非常に反していると思うのですけれども、ど  うしてそういう人たちが薬学教育の中、大学教育の中で出てきてしまった  のだと思われますか。 ○本多参考人 私はその場にいませんので、どんな答えがあったか、正直言  ってわかりません。本当にその言葉を生で聴いていれば、それなりの答え  が出せたかと思いますが、残念ながらその場にいません。   もし、本当にそこで明らかなうそというようなことがあったとしたら、  やはりそれは許されるべきでないとは思います。残念ながら、その場にい  ませんので、どういう言葉で言ったかというのが、多分、取り方によって  も違うことがあるかと思いますので。 ○大熊委員 裁判は、先生はおられなかったと思うのですけれども、加熱製  剤があるにもかかわらず、非加熱製剤をどんどん売り続けたということで  たくさんの被害者が出ていて、それは、製薬企業の中の薬学教育を受けた  方が絡まっているわけですが、何で、頭の中ではこういうことはいけない  と思いながら、やってしまうのでしょうか。 ○本多参考人 それに関しては、薬学を出た人かどうかはわかりません。製  薬業界は、正直言って、薬学を出た人がそんなに多いわけではありません  から。他学部の人、文系の人もかなりいますので、それは薬学に限られる  ことはないと思います。   ただ、製薬に入られた人として、文系を出ようが、薬学を出ようが、理  学部を出ようが、工学部を出ようが、製薬業界に入ったということでは、  やはりそういう倫理観は持って仕事に臨むべきだろうと、私は個人的には  思っております。 ○大熊委員 一言だけ。これから教育に携わっていかれるときは、倫理とい  うものは、抽象的に論ずるものではなくて、時には体を張って、大変危険  を伴いながら発言するということが倫理につながるのだということを教え  ていっていただきたいと思います。 ○寺野座長 大平委員どうぞ。 ○大平委員 先にちょっとその点、言われてしまったところがあるのですが、  「患者中心の医療」というものがスライドの8ページのところにありまし  た。患者中心の医療というのは、ここは対応すべき課題として、創薬とか  育薬のところで、「開発に携わる技術者には医療の担い手としての“患者  中心の医療”に配慮が必要」と書かれているのですが、先生から見た患者  中心の医療というのは、どういう医療なのでしょうか。 ○本多参考人 先ほど、医学部では、「病気を診ないで患者を診る」という  教育で医師を育てる、要するに薬学でも、先ほど言いました、さっきは降  圧剤でやりましたから、降圧剤なら降圧剤でもいいのですが、それで血圧  を落とすとかではなくて、更にそこから派生する心臓病、それがある意味  では本当のクリニカル・エンド・ポイントになるわけですね。そうします  と、やはりそれだけでは、患者もそうですし、更にその家族もおります。  そういうものも含めまして、まず患者のQOLを考慮し、それから周りの  ことも考慮しながらやっていくのが理想なんだろうと思っております。 ○寺野座長 なかなか答えにくい質問かと思います。清水委員どうぞ。 ○大平委員 もう1点。 ○寺野座長 では、清水委員ちょっと、前に大平委員、もう1点だけ。ちょ  っと待ってください。 ○大平委員 いいです。 ○寺野座長 いいですか。では、清水委員、お願いします。 ○清水委員 今、大熊委員からのお話も受けてのことですが、薬については、  専門性がかなり高い、それから、実際に臨床で患者を診ていましても、い  ろいろな患者がいまして、それぞれの専門家の中においてはかなりの理解  があっても、ちょっと専門が違うとかなり理解度が低くなる、これも、私  もまさにそのとおりだと思うんです。先生のおっしゃるとおりだと思うの  ですが、今のお話がありました、例えば加熱製剤があるのに非加熱製剤を  使ってしまった、これは、例えば病院に薬剤師というのはいるわけですね。  必ず薬剤師の手を通っていると思います。そのときに、薬剤師は、なぜ加  熱製剤があるのに非加熱製剤を使うんですかということを言うのか言わな  いのか、これは、今、先生が言われる倫理観と非常に大きな、具体的に結  びつく問題点だと思うんですね。   今、病院における薬剤師の位置づけということが非常に大きな問題にな  るわけですが、以前のこの会議で私、申し上げたのですが、あれだけ膨大  な、例えば医薬品集というこんなに厚い赤表紙のものがありますので、あ  れに全部目を通してやるというのは、そのくらいのことはやるのが医者の  務めだという御意見もありますが、確かにそれはそのとおりですが、それ  に精通するのは非常に難しい。そうすると、専門職としての薬剤師がそう  いう、加熱製剤があるのに非加熱製剤を何で使うんですかということを言  えるような薬剤師、そういう倫理観を持った薬剤師を育てるためには、ど  のようなシステムが、教育も含めて社会全体あるいは医療の中におけるシ  ステムの中での薬剤師の位置づけとして、どうあればいいとお考えでしょ  うか。 ○本多参考人 まず、最初の御質問ですけれども、疑義照会は薬剤師の義務  なんですね。それは絶対やらなくてはいけないことだと思います。もしそ  れを薬剤師が怠ったら、それは義務を怠っているということになります。  ただ、そのときの状況では、別にかばうわけではありませんけれども、多  分、薬剤師はそこまでの知識がなかったんだろうと推測はしております。   御存じだと思いますが、ついこの間、薬学教育が6年制に変わりました。  今までは、正直言って、私も基礎をやっていますからあれですが、基礎を  重視した、重視という言い方はちょっと語彙がよくないかもしれません。  それがないと発展がありませんから。ただ、余りにもそちらに比重がかか  り過ぎたということで、教育システムが変わって、今おっしゃられたよう  なことを全部盛り込んだコアカリを薬学会でつくって、それを今やってい  るところになります。まだ卒業生が出ておりませんので、今は、本当に薬  学関係者一丸となって、そういう方向に進んでいると御理解いただければ  と思います。 ○清水委員 もう1点、私は、この前も申し上げたことですが、要するに、 加熱製剤があるのに非加熱製剤を使ってしまって、そこに対して疑義申し 出をしなかった、知識がなかったということで無罪になるわけですか。放 免されるかどうかという問題が一つあると思うんですね。 ○本多参考人 今はなりません。今は、医療法で、チーム医療の一員として 並べられて、今はもうなります。 ○清水委員 そうした場合に、今の医療法では、そういう不勉強による瑕疵 というか欠陥があったということになると、薬剤師も法的に罰せられるよ うなシステムというのは、もう既にあると理解してよろしいのですか。 ○本多参考人 ええ。もうこの間、現実にそれがつかまっております。 ○清水委員 そうですか。では、ここで改めてそういうことを強調する必要 はないということですか。 ○本多参考人 それはないと思います。 ○寺野座長 では、堀内委員どうぞ。 ○堀内委員 いろいろな薬害が起こっていますけれども、その中で薬剤師が 非難をされた、あるいは薬剤師の責任を追及されたことは、これまで一度 もないんです。これは、やはり本来の薬剤師の役割を十分に果たしていな かったということがあるだろうと思います。それの反省のもとに、今、疑 義照会という話がありましたけれども、例えば、物を扱う薬剤師から臨床 の現場できちんと役に立つような薬剤師に変わるということで、それが6 年制につながってきているのだと思いますが、薬害に対する教育の問題、 それから倫理観というか、やはり医療現場をきちんと知るということが必 要だろうと思います。そうしないと、先ほど言いました疑義照会がきちん とできないということがありまして、長期の実習をやるとか、そういう形 に変わってきているのだろうと思います。ですから、その辺に対する薬学 側からの反省というのはきちんとある。   最近は、多分、罰則の問題を今、清水先生がおっしゃいましたけれども、  これについても、医療審議会の中に薬剤師分科会というものができまして、  そこで薬剤師としての例えば処方ミス、死に至るような処方ミスをすれば、  やはりそれなりに罰せられる。やはり処方あるいは疑義照会というものは、  薬剤師の基本的な業務ですから、それが十分できないということになると  罰せられるというような形に変わってきております。   もう一つは、先ほど、物を扱う薬剤師というお話をしましたけれども、  やはり医療の中での薬剤師の役割は変わってきていると思いますので、先  ほど大熊委員からもありましたように、これは、今ならば非加熱製剤と加  熱製剤があって、まず非加熱製剤が出ていれば、すぐ改正せよということ  は、薬剤師の方から間違いなく言うだろうと思います。ですから、私も当  時いませんでしたので、ちょっと状況はわかりませんけれども、当時の力  関係の問題とかいろいろなことの積み重ねの上に十分な発言ができなかっ  たのかなと思っていまして、その辺については、かなり反省をしていると  ころです。   ちょっと質問を1つよろしいですか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○堀内委員 創薬の場で、今、いろいろな議論が出てきましたように、やは  り医療現場あるいは医療倫理ということを十分に理解していないと、患者  のために十分役に立つような薬ができないだろう、あるいは開発のところ  で十分なことができないだろうと思いますけれども、そうすると、創薬、  開発に携わるような薬学教育の中でも、医療あるいは疾患とか治療法を十  分に勉強することが必要になると思うのですが、その点についてはどうい  うように考えますか。 ○本多参考人 今年3月の薬学会の年会で理事会企画シンポジウムをやらせ  ていただいて、そこで企業の人事担当の方もパネリストとして出てもらい  ました。そこでその方が、やはり今の薬学6年制の卒業生は、病気とかそ  ういうことをよく知っているので、そういう方を研究所の開発のところに  ということはおっしゃっておりましたので、そういう方向は十分考えられ  ると思います。 ○堀内委員 そうすると、先生のお考えでは、今、薬学教育は6年制教育と、  4プラス2教育という2つが並行で動いていますけれども、企業に行く場  合でも、6年制教育でよろしい、十分というか、その方がいいとお考えで  すか。 ○本多参考人 私が考えておりますのは、餅は餅屋といいましょうか、それ  をうまく使っていけばいいのではないか。例えば、これはちょっと言い過  ぎかもしれないですが、我々、やはりある物をつくるときには、ある程度、  信念といいますか、それがないと、あるとき、淡白ですと、やはり物はな  し遂げられない。これは薬だけにかかわらず、ほかのことでも何でもそう  だろうと思うのですが、やはりそういう面が、これはなきにしもあらずだ  ろうと思います。それに対して、法規制とか、外部からの指摘ですとか、  自浄作用とか、いろいろなことが働いて、最終的にはうまくいくのだろう  と思っていますが、そういう人間も、やはりある程度必要なところは出て  くると思っていますので、全部6年制にする必要はないかとも思っており  ます。 ○寺野座長 では、最後に間宮委員。最後の質問にしますね。 ○間宮委員 17枚目のところに創薬関係者が認識すべき事項の下のところに、  「研究者や薬剤師等の専門技術者が常に消費者と対話をし」と書いてある  のですけれども、具体的にはどういうことなんですか。勿論、専門家を育  てる教育も大事だと思うのですけれども、私は、やはり今の国民の皆さん  は、薬に対する知識を持たれていない、教育されていないと思うのですが、  そんな中で、教育者が直接消費者と対話をして話がかみ合うのかどうなの  か、何かその辺がわからないのですけれども、イメージはどんな感じなの  でしょうか。 ○本多参考人 先ほども言いましたように、専門家間においても、やはり理  解に差が出てきております。ですから、いろいろな場を利用して、要する  に情報開示、ディスクロージャーをしながら、お互いをレベルアップして  いく。患者、要するに消費者もそれなりの知識を得ていく。我々は、消費  者がどういう考えをしているかを理解しながら、それに対して共通の言葉  で、それでないと、せっかくのいい薬も、もしかしたらだめになってしま  う可能性があるわけです。   個人的には、薬害といいますと、よく言われるのは、薬を飲んで起こっ  た、それが薬害だということだと多分理解されている消費者の方も多いと  思いますが、勿論、多分それでいいんです。ですけれども、私個人的には、  本当に合った薬をずっとやっていて症状が抑えられる。その薬を、例えば  消費者の方が自分の意思で、何か今日はちょっとあれだからとやめてしま  った。そのために物すごい副作用が起こる場合、これは結構多いんです。  それも、私は薬害だと思っています。   ですから、そういうことも含めて、やはり薬というものは、消費者に対  してどういう立場なのか、どういう存在なのかという意識をお互いに持ち  ながら、そういう場を提供する。例えばディスクロージャー、今回、私が  すごいと思いましたのは、7月の初めにトキシコロジー学会というものが  ありまして、とある企業が、初めてここで自分のところの開発失敗例を、  今までこれは、ほとんどの企業が出さなかったわけですね。それで私もこ  のスライドに書かせていただいているのですが、今それを出すようになっ  てきました。そういうことがどんどん出てきますと、こういうことはかな  りの確率で減ってくるだろうと思っております。   今、現実に企業はそれぐらい努力をして、世の中に、きちんとそういう  ことをやっているということを認識させる努力をしていることは、事実だ  と思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。   議論は尽きないのですが、ちょっと次の予定もありますのでこの辺で終  わりますが、議長の役得で1つだけ言いますと、まとめの一番最後の「重  篤な副作用を避けるためには、初期症状の発見が不可欠である」というこ  とですけれども、これのためには、僕がちょっと足りないなと思っている  のは、やはり初期症状を診るのは医師ですから、医師と薬剤師との対話と  いうものが今足りないのではないかなと。病棟には行っていますけれども、  病棟薬剤師がやりますけれども、そこら辺が、今後検討すべき課題かなと  いう感じを受けました。 ○本多参考人 病院だけではなくて、薬局も非常に重要な役割を示していま  す。 ○寺野座長 そうなんです。薬局もそうですし、病院そのものもそうですけ  れども、その辺の対話というかが必要だなという感じがしましたね。   そういうことで、本多先生に大変無理を言いましていろいろ御報告いた  だきまして、また、御議論にも参加いただいて大変ありがとうございまし  た。では、このセッションをこれで終わらせていただきます。どうもあり  がとうございました。   それでは、次に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の取組みについ  てに移りたいと思います。そのPMDAから、安全対策等の取組みなどに  ついて御説明いただきまして、議論をいたしたいと思っております。   PMDAからは、毎回事務局側の席に担当者も出席していただいており  ますけれども、今回は、近藤理事長御自ら、組織の理念等も含め、その取  組みについてお話をいただくことになっております。大体15分ぐらいお話  をいただきまして、その後、30分程度の討議の時間をとりたいと。ただ、  次に議題もありますので、17時半にはちょっと無理かと思うのですが、と  もかく45分ぐらいには終わりまして次の議題に移りますが、多分、PMD  Aについての議論はたくさんあると思いますので、これは次回、9月、秋  にも、やはり同じような議論をしていきたい、PMDAについての議論を  していきたいと思いますので、それを前提とした御議論をお願いしたいと  思いますので、よろしくお願いします。   それでは、近藤理事長、よろしくお願いいたします。 ○近藤参考人 今日は、このような機会を与えていただきまして本当にあり  がとうございます。   私は、前身は国立国際医療センターの病院長をやっておりまして、実は、  エイズ治療・研究開発センターというものが10年前に開設されまして、多  くのHIVの患者さんと、またその病理上について非常に大きく悩むこと  がございました。安全性に関することに関しては、患者さんとの対話も非  常に多くやっておりますので、自分ではかなり勉強させていただいたと思  っております。また、昨年4月から当機構に来ておりますけれども、ここ  にという話を承ったときは、二つ返事で参りました。理由は、こういう組  織こそ、これからしっかりやっていかなければならないと思っていたから  でございます。  (PP)   まず、PMDAの変遷でございますけれども、ごらんのように、前身は、  昭和54年10月に設立されました医薬品副作用被害救済基金というもの、こ  れはスモンを契機にして副作用救済のためにつくられたものでございます  が、その後、ソリブリジン等の副作用問題、薬害エイズ等によって、薬事  行政における審査の体制を強化しなければならない、それから責任を明確  化しなければならないということで、中央薬事審議会依存の審議体制から  厚生省主体での審査に進められるような専門職員を確保して医薬品医療機  器審査センターが生まれたわけです。これは国立医薬品食品衛生研究所に  つくられたわけです。同時に、旧機構には、GCPとか治験相談というも  のが委嘱されたわけであります。   このように、当時も行政改革の流れで、政府の方針によって、厚生省の  内局での定員確保が困難であったということから、国の研究所にあった審  査センターとか、旧機構での定員確保という格好になりましたけれども、  厚生省がわずか10人程度の職員で審査を行っていた状況から、専門性を持  った職員が、科学的な薬事行政を担う現在のPMDAの基礎となる体制が  でき上がった時期でございます。平成16年にPMDAができました。  (PP)   さて、その設置の経緯でございますけれども、このように特殊法人の合  理化計画という節目ではありましたが、平成14年に薬事法の改正に伴いま  して、機能が分散していることで不都合が指摘されていた審査センターや  旧機構の業務を統合いたしまして、審査から救済まで一元的に業務を効率  的に実施できる現在のPMDAが平成16年に設置されました。特に、国レ  ベルでの安全対策を迅速かつ効率的に実施することを目指して、安全対策  の体制が拡充された次第でございます。   このように、PMDAの成り立ちは以上のとおりでございますけれども、  この検証検討委員会からも貴重な御意見を賜っているとおりでございます  が、やはりその組織に魂を入れていくことが私の仕事であろうと思ってお  ります。  (PP)   そこで、我々は昨年9月にPMDAの理念、フィロソフィーをつくった  次第でございます。読み上げますと、「わたしたちは、以下の行動理念の  もと、医薬品、医療機器等の審査及び安全対策、並びに健康被害救済の三  業務を公正に遂行し、国民の健康・安全の向上に積極的に貢献します」。   それで、まず第1に、冒頭、「国民の命と健康を守るという絶対的な使  命感に基づき、医療の進歩を目指して、判断の遅滞なく、高い透明性の下  で業務を遂行します」、2番目に、「より有効で、より安全な医薬品・医  療機器をより早く医療現場に届けることにより、患者にとっての希望の架  け橋となるよう努めます」、3番目が、「最新の専門知識と叡知をもった  人材を育みながら、その力を結集して、有効性、安全性について科学的視  点で的確な判断を行います」、4番目が、「国際調和を推進し、積極的に  世界に向かって期待される役割を果たします」、5番目が、大事なことで  ありますが、「過去の多くの教訓を生かし、社会に信頼される事業運営を  行います」というものでございます。  (PP)   実は、なぜこんなものをつくったかと申しますと、先ほど申し上げたよ  うに、多くの組織の集合体であるということと、多くの専門家がおりなが  ら、そのベクトルがばらばらである可能性が高いということで、力を合わ  せて仕事をしなければ、しかも正しい方向に向かっていかなければならな  いということで、我が職員、当時、臨時の方を含めて700人から800人ぐら  いおりましたけれども、全員に声かけして、理念をつくろうといってやっ  たわけでございます。そこで50名弱の方々から御意見を賜りまして、練り  に練って、半年かかってやっとできたのが先ほどの理念でございます。し  たがいまして、この理念は、私の命令だけでできたわけではなくて、ほと  んど全員の意見の集中でできているわけで、そのように理解していただき  たいと思います。  (PP)   それから、PMDAの初任者研修のメッセージはこのように申し上げた  わけでありますけれども、これに加えて私が新人に申し上げたことは、  「3年間は死ぬ気で勉強しろ」。とにかく、いいかげんな知識でやられて  は困りますから、しっかりとした理念と専門性を持って仕事をしていただ  きたい、こういうふうに申し上げております。  (PP)   さて、当役員数でございますけれども、平成16年4月1日段階でPMD  Aの全体は256人、それがこの7月1日段階で526人で、ごらんのとおり約  2倍に増えております。そのうちの安全対策につきましては、21名であっ  たのが56名でございます。実は、平成20年4月1日の段階で39人おりまし  て、17人増えておりますけれども、昨年の暮れに100人の安全対策の人員  の増員が決まったところでございまして、これから専門性のしっかりとし  た優秀な人材を急速にそろえていかなければならないと思って、今、必死  になって人員拡充を行っているところであります。  (PP)   それから、PMDAの職種別をごらんいただきますと、当然のことなが  ら、薬学の方々が非常に多いということがよくおわかりいただけると思い  ますけれども、その中で、医師、歯科医師の数が少ない。今34人。実は、  私が就任のときは26人だったわけで、一時は36人までなったのですけれど  も、この7月に2人ほど辞めまして、また新たにやっていますが、増やし  ていることは増やしているのでありますが、安全対策にかかわる医師とい  うのは、私も絶対重要だと思います。とりわけ、そういうものに早目に気  がついたり対処できるのは、やはり現場の医師の感覚であろうと思います  ので、この安全対策の医師はどんどん増やしていこうと思っております。   ただ、現状どうしているかと申しますと、非常に優秀な顧問の先生がお  られるんですね。長い臨床実績のある方々がおられまして、私の大先輩が  随分おられまして、その勘はなかなか鋭いものがございまして、そういう  方々のサポートで、今日、安全対策の一部を担っていただいておる次第で  あります。  (PP)   さて、人材育成でございますけれども、入ってこられた人には、基本的  には、アメリカのFDAと同じようなスキルで育て上げようということで  ございます。初任者の研修であるとか、それから、中級になった人の研修、  それから、より専門家になった場合と、それぞれ違ったコースを考えてお  りまして、全く同じことをやっているわけではございません。それぞれに  ふさわしい形の研修をやっておって、最終的には国内外にも派遣して、そ  ういう外国の実地の中で仕事をしていただきながら帰っていただく、こう  いったこともやっております。  (PP)   それから、魅力のある職場ということです。そうしないと優秀な方々を  集めることはできません。それは、単にここは業務をやっていると思われ  ては困るわけでありまして、このように「レギュラトリー・サイエンスの  梁山泊へ」と書いてございますけれども、このレギュラトリー・サイエン  スという言葉は日本製の言葉なんですね。実は1987年に、我々の先輩にな  ると思いますが、国立医薬品食品衛生研究所の所長でおられた内山先生と  いう方が御提唱になった。要するに、お薬を社会の中に提供するためには、  それなりのレギュレーションをかけなければいけない、つまり調和を図ら  なければいけないということで、これにはそれなりの科学が必要であると  いうことで、「レギュラトリー・サイエンス」という言葉を提唱されまし  た。実は、この言葉は今、世界中で使われておりまして、ひょっとすると  日本が遅れを取ってしまうかもしれないと思って、私は今、必死になって、  PMDAに中心になってしっかりやるように声がけしております。   また、こういうところにおいでになった方々は、いろいろな医薬品また  は医療機器の審査の過程であるとか、安全性の調査といったものに対して、  判断の基準であるとかといったことに対して、国際的なICHがございま  すが、そういうものへの関心を高めていきながら、よりよい審査基準であ  るとか、安全対策とか、そういったものを考えるレギュラトリー・サイエ  ンスの場として、考える場としても提供し、または、実はここに博士課程  云々と書いてありますが、キャリアプランとありますが、多くのしっかり  とした大学と組んで、連携大学院構想を組みながら、当PMDAでお仕事  をしながら研究をしていただくということを提唱しております。  (PP)   それから、ここにあえて「産・官・学・国民の健全な連携」と提唱して  おります。私が学生のころは、産官学が一緒になるということはタブーで  ございまして、悪魔のささやきでございます。しかしながら、今日、透明  性を明らかにし、公平性・倫理性を絶対的に保つことによって、実は、力  を合わせてやれば、それぞれの部門に益を与えるだろうと私は考えており  ます。   また同時に、すべての産・官・学・国民を含めて、教育・研究業務の場  であることを改めて認識する必要、つまり、PMDAはフィールドとして  も実学の場として非常によい。   それから、恐らく大学などで、またはその他の専門機関でアカデミック  なサイエンスが生じたとする。それを社会に通用させるためには、レギュ  ラトリー・サイエンスというものにふるいをかけて、トランスレーション  して、それを世の中に広めていくわけであります。そういう中で、人材の  相互の流動性も出てくるであろうということ。それから、これによって、  各職域が合理的に活性化されて、我が国のいろいろな職場の先進性がより  強化されるだろうと思います。   ただ、この目的を達成するためには、非常に大きな問題がございます。  一番最後に書かれたのがそれでございます。それぞれの立場の責任性を明  確にする必要がある。学者は、やはり自分の見識に対してしっかりとした  責任を持っていただきたい。くるくる変えてもらっては困る。それから、  官も、決めたことはしっかりと責任を持つ。産は、しっかりとした物をつ  くっていただく責任がある。国民でありますけれども、これは、医療従事  者と患者さんの両方を含めておりますが、お医者さんはしっかりと薬など、  医療機器など、正しい使い方を正しく理解してやっていただく。それから、  患者さんも同様でございまして、しっかりと説明を受けて、納得して治療  を受けていただく。こういうふうに産・官・学・国民が、それぞれのステ  ークホルダーが責任を持つということが、これからの日本のあるべき姿で  あろうと思います。   これは、ある意味では非常に性善説に基づくわけですけれども、今は、  押し並べて性悪説でありますが、性善説がどれだけ生き延びるかというこ  とは、これからのいい社会をつくるためには大事なことではないかと思っ  て、提言させていただきたいと思います。  (PP)   さて、新しい医療に対するあこがれでありますけれども、先ほど、本多  先生からも御提示されましたが、非常に満足のいく治療もありますが、ま  だまだこれからという領域がいっぱいございます。こういうところには、  やはりアカデミーは一生懸命研究、工夫していただいて、右肩上がりのよ  うに持っていくのが、これからの我が国の、また世界中の学者の役目では  ないかと思っています。  (PP)   これは、審査、安全、救済のセーフティトライアングルでございます。  先ほど、組織が合体いたしまして、組織がこういう格好で3つが一緒にな  ったと。たまたま一緒になったように見えますけれども、実はこれはすば  らしい構築であると私は思います。それは、審査をして、安全性を確かめ  ながら、また最後に、もしも不幸にして副作用が発生した場合は救済する。  こういうセーフティトライアングルは国民を中核に置いてなされることで  ございます。これは、世界で唯一と言っていいものでございまして、FD  AにもEMEAにもございません。これをまねしたのは、唯一、台湾がご  ざいます。私は、これは世界に誇る国民皆保険と並んで大事な仕組みであ  ろうかと思っています。  (PP)   さて、PMDAには、述べるまでもなく安全、審査、救済それぞれの部  分がどんどん業務を増やしていっていることでございます。  (PP)   さて、本年7月1日より、医薬品の安全対策業務の充実強化を図ること  になり、安全第一部と第二部と2つできたわけでございますけれども、こ  ういう中で、上から2番目の安全性情報課というものがございますが、こ  こでは国際情報収集体制強化、患者さんからの情報の収集。それから調査  指導課が新たにできました。これは、医療現場での安全性情報伝達活用状  況の調査、指導。それから、薬剤疫学課といって、薬剤疫学手法等を用い  た調査、分析を行う部門を強化いたしました。   それから、下の第二部は、副作用の分析、評価を行うチームとして、従  来の2チームから、新薬審査部に対応した5チーム編成とするとともに、  リスクマネジメント担当を新薬審査部に併任するなどして、審査と安全の  連携強化を図りました。また、救済と安全の連携も併せて強化いたしまし  た。   これらのこと、当検討委員会の中間取りまとめや第一次提言での安全対  策の充実強化に関する御提言を実現するためになされたもので、100名の  増員をいただいたわけでございますが、更に強化をしていくところでござ  います。  (PP)   ごらんのように、安全対策は、情報の収集、分析・評価、情報提供の業  務から成り立っておりまして、国民や医療機関、学会、企業及び行政がス  テークホルダーとしてそれぞれの役割を果たす必要があると思います。  (PP)   医薬品の作用は、御存じのとおり、複雑・高度化してまいりまして、ま  すます安全性情報の収集・評価体制の強化充実が図られなければならない  と思っております。既に御説明したチーム制の導入や、データマイニング  や診療情報データベースの活用のほか、PMDAが自ら医療機関からの副  作用報告をフォローアップする体制も整備いたしました。   特に私が重要と考えますのは、一番下の学会との連携でございます。学  会の英知をおかりいたしまして、安全性情報の評価分析をレギュラトリ  ー・サイエンスとして確立したいと思います。既に、日本うつ病学会の御  協力を得まして、抗うつ剤薬と自殺や攻撃性など副作用の関係について分  析や対策の検討を進めております。また、学会と連携した情報発信も充実  させたいと考えており、今述べました抗うつ剤の副作用に関する学会の声  明や、日本糖尿病学会が出されましたインスリン製剤と発がんの関係に関  する注意喚起について、PMDAのホームページに掲載いたしております。  今後とも、関連学会との連携強化に努めてまいりたいと思っております。  (PP)   それから、安全性情報の伝達・提供体制につきましては、安全性情報を  電子メールで即座にお届けする情報配信サービスも充実させました。それ  から、医療機関において、受け取った安全性情報の伝達や活用が適切に行  われるよう、その状況を調査いたしまして指導する体制を整備いたし、医  薬品の適正使用の確保を図ろうと思っておるところでございます。   また、既に公表いただいております患者向医薬品ガイドの利便性の向上  を図るなど、患者さんと一般国民向けの情報提供を更に充実させておりま  す。   更に、これもレギュラトリー・サイエンスの1形態と考えますけれども、  行政が講じました安全対策が、果たして本当に効果的であったかを把握す  るための調査・確認・検証の体制を構築いたします。   これらの安全対策の強化充実のために、施策を確実に実行してまいる所  存でございます。  (PP)   海外規制当局との連携強化でございますが、お薬はもう既にインターナ  ショナルもなものでございまして、常に世界中と連携をとっておかなけれ  ばいけない。厚生労働省、PMDAは、欧州のEMEA、米国のFDA、  それらとICH、GHTF等、常に連携をとって仕事をしているわけであ  りますけれども、これからはアジアの連携を強化いたしまして、より広い  世界で活躍していく人材を育てていきたいと思っております。  (PP)   PMDAの国際戦略の策定でございますけれども、第二期中期計画とい  うのは本年4月からスタートいたしましたが、その国際関連の業務の戦略  でございますが、まず一番上に、連携強化/国際調和活動への参画、2番  目に、人的交流の促進と人材の育成、情報発信とございます。FDA、E  MEAとPMDAが世界の3極とほぼなっておりますが、更にそれがはっ  きりと活動できるような体制をとり、イニシアチブを取れるような存在に  なっていきたいと思っております。  (PP)   これは、昨年12月にシンガポールで行われました規制当局のヘッドクオ  ーターの会議でございます。   どうもありがとうございました。 ○寺野座長 近藤理事長、どうもありがとうございました。   PMDAについて、以前には一度見学といいますか、行かせていただい  たことがあるわけですが、更にその内容について御説明いただきました。  PMDA、安全部に100名の増員ということで、本委員会でもそれを一応  認めたという形になっておりまして、今だんだん増えていると思うんです  けれどもね。そういうことも含めて、るる御説明いただきました。   今からPMDAについての御議論をいただくのですが、なかなか時間が  許されませんので、20分ぐらいしか今とれないんですね。その後にまた大  事な議論がございますので、20分をとりまして、その後、そこで多分議論  が尽くし切れないと思いますので、後でアナウンスしますけれども、実は  9月30日を予定しているので、そのときに更にこの点について、今日の御  議論を踏まえた上で更なる議論をしていきたいと思っております。そのと  き、また近藤理事長に来ていただくことになるかと思っております。 ○近藤参考人 喜んで参ります。 ○寺野座長 大丈夫ですか。では、そういう前提で議論をしていただきたい  と思います。御意見あるいは御質問がありましたらどうぞ。水口委員。 ○水口委員 まず、1点お伺いしたいのは、私どもは、昨年の中間取りまと  めに当たりまして、PMDAの安全対策要員を増員する緊急の必要性があ  るということで、大変な思いをして中間報告書を出したわけですが、最終  報告書でも、21年度に安全対策要員100人増員ということでした。最初、  御要望は300人というのがあったのかもしれませんが、お配りいただいた  ものを見ると、増えたのが17人なんですよね。そうすると、今後、今年度  の100人というのはどういうふうになるのか。   それと、私は率直に言って、この人員数の推移を拝見すると、今の人数  の表ですけれども、去年の4月1日と今年の7月1日現在、つまり私ども  がこの検討会を発足させて議論を始めたときと今と比べますと、要するに  トータルとしてはPMDAとして100人増えているけれども、あんなに人  数を増やす必要があるといわれた安全対策要員は、そのうちの17人だけな  んだというこの現実を見せつけられて、ちょっとがっくり来ているのです。  何か私の理解が間違っているのか、また今後の見通しがどうなのかという  ことをまず1点お伺いしたいということと、続けて申し上げます。 ○寺野座長 では、1つずつ質問しましょう。 ○近藤参考人 それではお答えさせていただきますけれども、現実に決定し  たのは昨年の12月、また1月になると思いますが、その時点で、当然すぐ  に応募を開始いたしまして、今の人数まで少しは増やしたわけであります  が、今も、やはり大事なことは、優秀な人材でなければ意味がない。面接  などをさせていただいたり、また見てみて、これはと思う人以外は、やは  り将来に禍根を残すわけで採れません。そういうことで、何回にもわたっ  て人を募集いたしまして、1年に4回ぐらいやっていくぐらいのつもりで  増やしていくつもりでございます。   ただいま第2回目の募集をやっているところでありまして、今、選考中  でございます。正直申しますと、今のところ決まっておるところは、22年  4月までの採用予定の内定者が60人でございます。ですから、来年の4月  まではまだそれだけしか増えませんけれども、更に追いかけて募集してい  きたいと思っております。 ○寺野座長 いいですか。 ○水口委員 ここから先は私どもの討議課題です。結局、人数枠を幾らつく  っても、そこにふさわしい方がどれだけ確保できるかというのは全然別の  話で、そういう意味では、長期的な視点も含めて、人材養成の体制がどう  なのかということについて、第一次提言に引き続き私たちは討議しなけれ  ばいけないと思っております。   それと、続いてお伺いしたいのは、安全情報の収集・評価体制の強化充  実ということで幾つかの項目を挙げていらっしゃったのですけれども、9  月にもう一度お越しいただけるということですので、そのときの私の希望  としましては、この短い文章だけでは、到底何をなさろうとしていらっし  ゃるのか、何がどこまで進んでいるのか全くわからないわけですね。です  から、できるだけ具体的に細かく、9月のときには事前にお願いします。  しかも、今日、これは、私ども事前に拝見することができなかったわけで  すね。そういう意味では質問も用意できません。できるだけ細かく進捗状  況や今後のスケジュールについても、見てわかるものを事前にいただけれ  ば、私どもの方でも質問すべき事項を十分準備することができるし、場合  によっては、当日ではなくて、事前に、もっとこういう資料を追加してい  ただきたいということもお願いできるだろうと思っていますので、ここを  お願いしたいのですが、それは可能でしょうか。 ○近藤参考人 勿論可能でございます。どうも済みません。 ○水口委員 もう1点は、ここに掲げられている強化充実という内容には、  実は、私どもが先ほど申し上げました去年の中間報告をつくるときに、も  ともと事務局から中間報告で議論すべき論点ということで出てきた素案に  含まれているものがあるわけです。その素案に初めから書いてあったこと  が、まず上の方が全部そうなわけですね。下の方もかなり重なります。つ  まり、私どもはそれから1年かけて議論してきているわけです。一番最初  に厚生労働省の事務局の方が中間報告書の素案として用意されたものに、  更に、議論を1年間重ねていろいろ付け加えさせていただいたのです。提  出された進捗状況報告を見るとちょっと寂しいのは、最初から、いわばP  MDAとか事務局の方が、これをやろうと思っていたことだけが進んでい  て、それ以外に私たちがいろいろ付け加えさせていただいたことは一体ど  ういうふうになるのかということが、ちょっと見えてこない感じがするこ  とですね。   確かに、中間報告になかったこと、つまり第一次提言になって形となっ  たものについては、提言から今日までに余り日にちはないかもしれません。  しかし、この検証委員会が是非取り組んでいただきたいということでお願  いした内容です。それがすべてPMDAが担う事項なのかどうかというと、  そうでないものもあると思いますが、第一次提言全体を網羅する形で、そ  のうちPMDAはここをこういうふうにするということをできるだけ詳し  く、次回の会議のときに、到達点と今後の方向性をお示しいただければあ  りがたいのですが、それは可能でしょうか。 ○近藤参考人 勿論可能でございます。 ○水口委員 どうぞよろしくお願いいたします。 ○寺野座長 では、また、9月30日に少し時間を多くとりまして御説明をい  ただきたいと思います。   そのほか御意見どうぞ。大平委員。 ○大平委員 今日はありがとうございます。2点御質問させていただきたい  と思います。   1点は、先ほど近藤先生の方からお話がありました医師の増員というの  は、やはり今までが薬事に固まっていたところもあると私は思っていまし  て、その中では、今後、医療機器の開発ですとか、それからまた再生医療  とか、いろいろな問題に取り組む中では、医師の参加というものがとても  重要なのではないかと思います。   これは、安全情報の第三者機関の問題に今後の議論の中で生かしていた  だきたい問題ですが、私たちの一被害者の人が、ほかの薬でプレドニゾロ  ンで副作用があって、そして、それが確実に副作用かどうかというところ  はわかりませんけれども、機構の副作用報告の中に患者からの情報提供と  いうところで書きとめられていることを考えますと、そこまで行くまでの  間ですが、機構に尋ねたり、また近くの保健所ですとか製薬会社にも問い  合わせたり、そして厚生労働省にも問い合わせる。結局、問い合わせても  どこからも回答が得られない、安心するような回答が得られないというと  ころで、やはり薬害エイズですとか薬害肝炎の問題で、いろいろな患者発  信の情報というものがどういうふうにとらえられているのかということは  検証の中でも検討されているわけですが、そういった問題をきちんととら  えるには、やはり、例えば、先ほどPMDAの方でセーフティトライアン  グルというものが出ていましたが、あそこには情報分析、患者からの受け  入れというところが、小さな上の方の項目にはあったわけですけれども、  やはりもうちょっと、その救済についてだけではなくて、その後のフォロ  ーですとか、またそれがどういう発展をしていくかというところとか、そ  ういうものが患者にきちんと見えるように、そしてまた、国民に見えるよ  うな情報開示がきちんとできるというところが、やはりもう少し大きな規  模で考えていただきたいと考えています。   そういった点ちょっと御意見をいただきたいのと、先ほどの患者中心の  医療で、本多先生でしたか、もうちょっと詰めてお話をいただくはずだっ  たのですが、今、患者中心の医療といいますと、先ほど先生が言われたよ  うに、ベクトルが患者にどういうふうに向いているかというのが重要だと  考えます。ですから、それは、安全な薬を届けるのと、患者が必要とする  薬、医療をどうやって迅速に届けるかということとか、その辺のきちんと  した迅速な対応、危機管理の迅速な対応とともに、そういう製品の開発の  迅速性とかも同時に行っていかないと、結局、患者のメリット、患者へベ  クトルが向いていないという方向になってしまうのではないかという懸念  がありますので、その辺、ちょっと御意見をいただきたいと思います。 ○近藤参考人 先に、今の後半の方からお答えさせていただきますけれども、  私が医者になったときに一番教えられたことは、「ヒポクラテスの誓い」  なんですね。ヒポクラテスの誓いというのは、完全に、ある意味では受け  身なのですけれども、「患者さんのためにならないことはしてはならな  い」、この一言ですね。ですから、どんなに積極的な医療をやっても、そ  れが患者さんのためにならないのだったらやってはいけない。ですから、  患者さんのためにならないことは、積極的にどんどん排除しなければなら  ない。つまり、それが患者中心の医療だと思うんですね。ですから、こう  いう組織に行っても、病院でも、どんなところも共通だと思うのですが、  いろいろな倫理規定があるかもしれないけれども、一言で言うと何かとい  うと、「患者さんのためにならないことはしてはならない」、これに尽き  ると思うんです。ですから、私どもは、この組織のさっきのベクトルの中  心は、絶対的な使命感の中にはそこを置いてあるわけであって、それを忘  れた議論はあり得ない、そういうことで御理解いただきたいと思います。   それから、先ほどのもう一つは、患者さんから見た副作用云々の報告の  フォローでありますが、これは本来だったら、患者さんとお医者さんとの  関係で片がつくはずのものがほとんどなわけだけれども、意外に、ナシの  つぶてみたいなときにどうするかという話にもなるのかなと思うんですね。  それから、薬局に行ってみるとか、保健所に行ってみるとか、こういうと  ころに御相談いただくようなこともあるのかもしれません。ただ、そうい  うときに、すべてがPMDAというとどうなのかなと。それは、人材は可  能かもしれないですけれどもね。ただ、患者さんの副作用に関することに  関しては、医療機関はもう少し積極的に対応をとるような運動を我々はむ  しろすべきではないか。   それは、逆に言うと、先ほど医師の人数が足りないではないかとおっし  ゃいました。まさにそのとおりでございます。なぜかというと、こういう  組織に来たいというお医者さんが極めて少ないという現実があったわけで  すね。ですから、私は、いろいろな前向きなお医者さんたちが、こういう  ところへ来て、お薬の作用のことを正しく理解し、また医療機器のことを  正しく理解する人たちを増やしたいと思って、魅力的な職場、魅力的な環  境であること、つまり単に業務をやるのではなくて、やはり前向きに医薬  を正しく評価する仕組みをつくろうではないかというレギュラトリー・サ  イエンス、そういったところに魅力を感じるような人たちを次々集めたい  と思って、今、広報中でございます。   ですから、そういう人たちがPMDAへ来て、またそれが医療の現場へ  戻って、それが次から次へ繰り返されていけば、医薬行政も含めて、こう  いうところに詳しいお医者さんたちがいっぱい出てきますから、そうする  と、さっきおっしゃられた、薬に対する副作用も含めていろいろなことが、  医師の方でもっと正しく理解されるような格好になってくるだろうと思い  ます。1対1の対応ではなくて、世の中の組織全体がそういうふうに変わ  っていかないと、本当の意味の副作用の撲滅にはならないのではないかと  思っています。ですから、そういう意味で、医療現場の方々の関心をこう  いう領域、副作用も含めて正しく理解してもらうような体制をどんどんつ  くっていきたいと思っています。 ○寺野座長 簡単にね。 ○大平委員 今の近藤先生の最後の見解については私は疑問がありまして、  やはりPMDAでは受けとめられないというところで、それは、やはり今  の消費者ですとか、それからまた患者は、きちんとした情報を提供してほ  しいとか、それから、副作用についてとか、いろいろなことをきちんと申  し出る機関というものが病院以外にもあっていいのではないか。そこであ  る程度の対処をしていただく。それが、総合的に副作用の撲滅につながる  ような形の方向に持っていけるような機関をつくってほしいというのが、  多分ここのコンセンサスだと思いますので、PMDAに期待しないという  ところで、ほかのところにつくっていただくという感じで考えていきたい  と思います。 ○寺野座長 泉委員。 ○泉委員 先生に質問させてください。PMDAの3つの柱として審査と安  全と救済というふうに書いてございますけれども、これは、3つをそれぞ  れ大切な制度あるいは事案という形でPMDAがお取りになっているかど  うかをまずお伺いしたいです。どれが中心でなければいけないとかという  ことではなくて、その3つそれぞれが大切かどうかということをPMDA  はどういうふうにお考えになっているか。 ○近藤参考人 これは、ある意味では完全に一体化しているわけですよね。  だから、バランスの取れた評価をしておりましたから、みんな重要な役目  でございます。 ○泉委員 わかりました。では続きです。   それでは、健康被害救済業務に関してお伺いしたいのですが、健康被害  救済業務の中には救済給付金業務が入っております。PMDAは、ホーム  ページによると、救済業務にかかわる請求に対する審査は独自には行って  いるのでしょうか、いないのでしょうか。 ○近藤参考人 独自に行っております。 ○泉委員 独自に行っていらっしゃるとしたら、国の方の機関に審査を依頼  している件は、その件とPMDAが独自にやっているというものはどうい  うふうに違うのでしょうか、同じなのでしょうか。 ○近藤参考人 済みません、ダブルと言ったらいいのかどうかわかりません  が、一応、PMDAの役目は、サイエンティフィックに物事を全部やって  いくという立場ですから、事前の整理をするわけですね。だから、今、副  作用だろうということを明確に審査するところ、それを厚生労働省に整理  したものを提出していくわけです。 ○泉委員 そうすると、審査は、PMDAでもおやりになっているという判  断ですか。 ○近藤参考人 判断しているわけですよね。科学的な判断をしているわけで  すね。 ○泉委員 この判断は、厚生労働省の中の判定第一部会がされているのでは  ないでしょうか。私の質問は、これの審査というのは、副作用、そして救  済してもらいたいという審査は、PMDAがしているのか、していなくて、  安全対策課経由で厚生労働省の中に判定第一部会、第二部会というものが  ありますが、そこがされているのかどうか、それを教えてください。 ○安全対策課長 済みません、事務局でちょっと補足をさせていただいてよ  ろしいでしょうか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○安全対策課長 安全対策課長でございますけれども、泉委員がおっしゃっ  ておられること、仕組みとしては、総合機構、PMDAで事前の調査、整  理をしていただいたものが厚生労働省に参ります。我々の方で薬事審議会  の判定部会の方にその内容をお諮りして、そこで最終的に医薬品の副作用  によるものであるかどうかということの判定を出すという格好になってお  りますので、内容の部分の非常に細かな精査をするところは、機構のお仕  事としてしっかりやっていただいている。そこから考えられる因果関係に  ついての関連性、要するに個々の判定の構成要素について、それぞれ事実  関係をよく調べていただいたものをいただいて、それに基づく総合判定、  最終的に副作用によるものであるかどうかということについて、その判定  部会にお諮りして、そこで決定する、こういう仕組みになっておりますの  で、ダブルというのは、並行ではなくて直列になっていて、全体として判  断が下されているという格好になっております。   ですから、別々にやっているということではないと思いますが、ただ、  事前の事実関係を調べていく中での一定の評価というものが現れているこ  とは間違いありません。それに基づいて、判定部会で、更にさまざまな視  点からその判定結果を出すという形をとっております。 ○寺野座長 あるんだろうけれども、ちょっとこれを整理してもらったらど  うでしょう。9月にね。 ○泉委員 そうですね。それで、9月までにお願いしたいことは、まず、過  去の救済実例を数字で示していただきたいことが1つと、それから、もし  不服だというような、審査が通らなかった場合、どういう対応をしている  のか。その理由を、いわゆる救済を求めた方にきちんとした意見としてさ  れているかどうか。この2つをまずお願いしたいと思います。 ○寺野座長 では、そのシステムと、今、泉委員から指摘された具体的な内  容について、可能な限りそれを9月に報告していただければ、それに基づ  いてまた議論していく。これは確かに非常に重要なところで、PMDAあ  るいは厚生労働省の組織をどうするか、我々はずっとこの1年半やってき  たわけで、そこのまた一つの非常に重要なポイントでもあるわけですから、  それを整理してください。   高橋委員、最後に。   何か御意見ですか。 ○川原参考人 済みません、事務的な補足で申し訳ないのでございますが、  理事長の説明のところにつきましてちょっと補足させていただきます。   先ほど、増員のところで60名の内定者がいるということで申し上げたわ  けでございますけれども、これにつきましては、私ども、ドラッグラグと  かデバイスラグの解消のためにも人を採用しておりまして、そういう意味  では、審査の部分の人も採用しておるわけでございます。それと安全の部  門、どちらの方に配属させるかということ、まだ最終的に決定しているわ  けではございません。そういう意味では、内定者60名というのは、その両  方込みの数ということでございます。   ただ、先ほど、これも理事長が説明いたしましたけれども、現在も年2  回目の採用活動とかをやっておりますので、そういう意味では、この60名  という数字も、まだ今年度中にはどんどん積み上がってくるということで  ございまして、今、鋭意努力をしておるということでございまして、そう  いう状況の数字であることをちょっと補足させていただきます。 ○寺野座長 ありがとうございます。   今ちょうど出たドラッグラグであるとかワクチンラグというような問題  も、インターネットでいろいろ見ていると、我々が検討している方向性と  また違う方向性での異議に近いような記事が出ておりまして、これも、  我々もちょっと検討しなければいけないので、秋の陣でちょっと一度ヒア  リングを含めてやっていきたいと思っています。   高橋委員どうぞ。 ○高橋委員 今、川原さんの方からお答えいただいたのですけれども、先ほ  どの60人の内定の中で、実際上、お医者さんが何人いるのかとか、そうい  うものを聴きたかったのですが、安全性だけではなくて審査も含めた人数  ということであれば、その下の8ページ目の職種別の人数を、安全対策の  方の人数56人の内訳というのは、私の方で初めて見た表になります。こう  いう中で、先ほど理事長からも説明がありましたけれども、お医者さんの  数がキーになっているということもありますし、チーム審査の中だと、例  えば獣医さんとか毒性専門家の方も、当然、チームの審査という中では必  要になってくる人数だろうと思いますので、今、内定者方たちがどういう  バックグラウンドを持っていらっしゃるのかということをちょっと確認し  たかったのですが、そこはまだ、60人というのはトータルな数字というこ  とですので、そういう人たちを是非安全対策のメンバーに入れていただき  たいということをお願いしたいと思います。   先ほど水口委員からも言われましたけれども、私たちとしても、この  100人がどういう形で増員されていくのかというのは大変大きな注目点で  はありますので、この7月1日現在云々ではなくて、今後どういう計画で、  どういうふうに100人増員していくんだというところをしっかり計画を出  していただければと思います。それは、そこの下の職種別の人数について  も含めて検討いただければと思います。 ○寺野座長 そうですね。これに関しても、また9月に可能な限りにおいて  整理していただければと思います。医師の方は、私も近藤理事長から頼ま  れて、医師がいないかと思っていろいろ探すのですけれども、この医師不  足の中で医師を集めるのはなかなか大変でございます。それと、医師・歯  科医師と書いてあるけれども、これも一括して扱っていいかどうか私は疑  問に思っています。ですから、そこら辺もちょっと考えていただければと  思います。   まだ後に非常に重要な議題が残っておりまして、また、近藤理事長を初  め皆さん、PMDAの方には9月30日に来ていただくということですので、  そのときの時間をある程度とって、またその後にもあるかもしれませんが、  議論を続けたいと思います。   では、最後に間宮委員からどうぞ。 ○間宮委員 済みません、何回も。   ちょっとお聴きしたいのですけれども、12という画面の「わが国医師の  治療満足度と薬剤の貢献」というのがあるのですが、これは、例えばこの  一番左隅のアルツハイマー病について言うと、治療の満足度も低いし薬剤  の貢献度も低いという意味でいいんですよね。 ○近藤参考人 そうです。 ○間宮委員 それはわかりました。  それと、この調査というのは、財団法人HS振興財団がやったというこ  とですけれども、これは機構が依頼したのですか。 ○近藤参考人 いや、これは流用です。この表は非常にわかりやすいので、  ちょっと使わせていただいただけで、機構からやったものではないです。 ○間宮委員 そうですか。  それで、ちょっと残念だなと思ったのが、回収率18.7%という2割にも  満たないものなので、何か残念なというか、信憑性があるのかなというの  が、ちょっと素人として思いました。   あと1点、ドラッグラグの件については、以前から私もいろいろなとこ  ろでお話というかお願いしているのですけれども、やはりドラッグラグと  いうのは、国民として、お薬が遅れているよということなんだと思うんで  す。なので、日本におけるドラッグラグの実情というものを是非秋に教え  ていただきたい。どの病気に対して薬が間に合っていないとか、もうヨー  ロッパとかアメリカでは出ているのに日本では開発もされていないという  ような実例があれば、それを教えていただきたいと思います。   以上です。 ○寺野座長 そうですね。ドラッグラグ、ワクチンラグ、デバイスラグ。   何ですか。最後と言ったんだけれども。 ○花井委員 時間がないんですけれども、先ほどの理事長のお話が私の理解  と違うのですが。 ○寺野座長 では、簡単に。 ○花井委員 簡単に。   患者からの副作用の収集システムについて、この機構設立当初から、ま  た前理事長からの経緯から、特にデータマイニングなどという、シグナル  検索からそのシグナルを採用して、その副作用を事前に探るというのは、  膨大なリソースと開発ノウハウが要るので実装はなかなか困難である。し  たがって、最初は確度が高い専門家からの情報からデータマイニングを実  装していって、最終的には、早さで言えば、シグナルは患者が一番早いん  ですよ。それは何遍も言っているんですけれども、HIVの学会でそのシ  グナルが顕在化するなんていうのはもう2〜3年落ちで遅いというのが僕  らの理解で、PMDAが学会に先んじて、それをデータマイニングという  方法によって何とか実装できないかということについて、ずっと前向きな  お話がPMDAとしてあったと思うのですが、先ほどの近藤先生のお話で  は、大平さんの質問の趣旨と違うのかどうかわからないですが、何かちょ  っと後退していたような。   ましてや、1つ気になるのは、学会との連携は結構ですけれども、学会  が遅過ぎるという認識がずっとあったので、患者からのいわゆるシグナル  検索こそがデータマイニングの実装に一番有益だ、こういうお話がPMD  Aで了解されていると思っていたのですが、これは変わってしまったので  しょうかということを、今答えられなかったら9月でもいいんですけれど  も。 ○近藤参考人 改めて申し上げますけれども、今、変わっていないです。お  っしゃるとおりだと思います。患者さんの訴えが一番正しいですから、そ  れは私、臨床家として思っています。ただ、どうやって大勢の患者さんの  シグナルを集めるかということは、工夫を要すると思いますけれども、お  っしゃることは非常によくわかります。 ○寺野座長 そうですね。さっきも薬剤師と、あるいは薬局も含めて、そう  いう対話も必要ではないかということも1つのあれですけれども。 ○花井委員 今までのリソースでは難しかった。だから、ある程度、PMD  Aになるかどうかは別ですけれども、安全対策にそれなりのリソースを追  加することが必要なんですよということをここで言っている、その一つで  あると。 ○寺野座長 医療安全のヒヤリ・ハットを集めているような、ああいうシス  テムが、大変なんだけれどもつくれれば、1つの考えではね。 ○花井委員 一度国では検討もされていますし。ありがとうございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。   では、こういうことも含めて、ちょっと問題点もいろいろ出ましたので、  9月にまたホットなディスカッションになるかと思いますので、いろいろ  資料をお願いしたいと思います。   今日は本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。   あと時間は実は30分しかないのですが、後の議論のためには1時間必要  だということになっています。それを若干圧縮して、少し延ばさせていた  だきますが、それでは、再発防止対策についての討議と一応、5番目にタ  イトルをつけさせていただきますけれども、まず最初に、前々からずっと  お願いしよう、しようと思って今まで延びてしまって誠に申し訳なかった  のですが、第三者監視機構等についての討議メモを水口委員から出してい  ただいておりますので、まずそれを水口委員から御説明いただいて、その  後、ちょっと事務局の方から幾つか今後の検討についての説明もあります  ので、それを含めて、それから堀内委員の説明がありますので、それを含  めた上で議論をしていきたいと思います。では、水口委員、よろしくお願  いします。 ○水口委員 やっとということで。1枚の討議メモを5月27日付で出させて  いただきました。第一次提言の中で、私たちは、薬害防止のための第三者  組織を設置するということで提言に明記したわけです。ここに提言の文書  をそのまま抜き書きいたしました。書かれている要素を分析しますと4点  ですね。一つは第三者性ということです。それから、もう一つは、監視評  価の対象としては、医薬品行政全般と個別の薬の問題とか個別の救済の問  題も両方やると。それから、この委員会は調査権限を持ち、そして、提言  をしたり、勧告をしたりする権限を持つ。そして、この委員会が機能する  ために、国民の声を反映する仕組みを備える。こうエッセンスは書いてあ  るのですが、抽象的な整理しか時間の関係もあってできなかったので、是  非この委員会で最終報告書までの間に、より具体的なイメージを提案し、  この委員会が終わった後は、法案化に向けて動き出せるように中身を構築  したいというのが私の希望です。   それで、具体化のための提案として、これは私案なので、是非また御意  見をいただきたいと思うのですが、この委員会は、構成としては委員を10  名程度。そして、この中に大事なことは、勿論、専門家も入りますが、被  害者や消費者の視線を持った人が入るということですね。   それから、設置場所は、第三者と言うためには厚生労働省ではないとこ  ろに設置する。私が当初提案したときには消費者庁というものも一つの選  択肢かとは思ったのですが、御承知のように、消費者庁の中に、同じよう  な機能を持つ「消費者委員会」というものを今度設置することになったの  ですが、その委員会自体がもう消費者庁から出てしまったのですね。要す  るに、監視機能をきちんと果たすためには、消費者庁に置いては、同じ省  庁ではだめだという発想で、消費者庁から出て内閣府に移ったということ  になります。それなのに厚生労働省の監視組織が消費者庁に入るというの  は、何かちぐはぐな感じがするだろうということで、別省庁に置くとすれ  ば、これは内閣府だろうと。ちょっと足腰が弱いという問題はあるかもし  れませんが、一応そういう提案をします。   それから、権限は、報告書に記載したとおり、調査の権限、ここが重要  ですよね。自ら調査するだけではなくて、厚生労働省に資料の提出を求め  るというようなこともできる。それから、提言をしたり勧告したりするこ  とができるということです。   あと、大事なことは、この委員会が検討する内容は、厚生労働省から諮  問されたことをやるのではなくて、この委員会が自らの発議で検討ができ  るということが、この委員会の性格から言うと大事なわけですね。そうい  った意味で制度的な工夫が必要であろうと思います。   参考までに、今日の配付資料。一番上のページに消費者庁のイメージと  図までつけていただいて、事務局の方、ありがとうございました。何のた  めに配ったかというと、今回、消費者庁と消費者庁との関係で消費者委員  会という同じような監視組織をつくろうというので、設置法ができたので、  これを見ていただきたいというわけです。   この法をずっと見ていっていただきますと、3枚目の裏のところですか、  「第3章 消費者委員会」というものがありまして、「内閣府に、消費者  庁を置く」ということから始まる第6条から始まる条文がずっとあります。  大して長くないわけで、構想ができて、こんな感じの設置法をきちんとつ  くって、あとは中身を、きちんとした人を選んでいくことができれば、こ  れはスタートできるということを理解していただくために、イメージをつ  かんでいただくために法案を配らせていただきました。   この委員会が何をやるかということについて、もう少しイメージを共有  したいということで補足させていただきますと、これは何でもかんでもや  る組織ではないんですね。例えば、消費者庁が対象にしているほかの分野、  食品の分野などは、リスク管理を統計的にきちんとやっていくという基本  の組織自体が物すごく脆弱なんですね。そこへ行くと、この医薬品の部門  は、先ほど近藤先生からもお話がありましたけれども、PMDAがあり、  そこで副作用情報もきちんと収集していくというシステムが基本的にはあ  るわけです。ですから、本来医薬品行政が担う安全監視、安全対策を担う  組織が、まずきちんと自分の役割を果たすというのは、これは当然の前提  です。ですから、安全情報をこの第三者機関で全部チェックするとか、そ  ういうことを想定しているわけでは全然ないんです。   本来、PMDAなり厚生労働省が自らの役割を徹底的に果たす、そのた  めには何が必要なのかという議論をずっと私たちがしてきたわけで、これ  はまた引き続き必要ですし、前々回ですか、山口委員からも出しましたよ  うに、例えばPMDA自身が、自分たちがきちんと機能しているかどうか  ということを自己検証するための自らの監視的なチェックシステムをきち  んと備える、これは勿論当然大事で、こういったことも課題になると思い  ますが、それを全部やったとしても、やはり役所の文化とかいろいろなも  のが、今まで引きずってきているものがあると思うんですね。そこで、き  ちんとここで被害実態調査をしなければいけないとか、ここでこういう緊  急措置を取らなければいけないとか、いろいろなことが、普通の人から見  たら当然なのに、それができないという場面がやはり出てくる。そういう  ことをこの第三者機関が、提言したり、調査の要望を出すと。つまり、実  行するのはあくまでもPMDAであったり、厚生労働省なのですが、そこ  に、これをやってくださいということを提案する、あるいは勧告する、そ  れはスポット的でいいわけです。そういうことをする組織が必要であると  思っています。   この組織は、「『食品安全委員会』の問題点に学ぶ」と書いてあるのは、  食品安全についても同じような名前の委員会があるのですけれども、ここ  は消費者代表が入っていなくて、ただひたすら評価だけをやっているとい  うことで批判を浴びて、今、改善策を自ら出しているということがあるの  で、この辺の教訓に学びながら組織をつくっていくことが必要なのだろう  と思います。   それで、イメージを持っていただくために、例えばこんなことができる  のではないですかという話を3つほど例を挙げてみたいと思います。その  ために私は今日、傍聴人の方には大変申し訳ないのですが、分厚かったの  で用意できなくて、あとはこのオンブズパースン会議の方に言っていただ  ければ幾らでもお渡しできるのですが、今日は薬害オンブズパースン会議  という、私が事務局長をしている薬害監視のためのNGOの活動報告書を  委員の方には配らせていただきました。これは何のために配ったかという  と、この組織はまさにゲリラ的、スポット的に調査要望を出したり、勧告  要望を出したりしているわけです。これは20名のメンバーで、医師、薬剤  師、薬害被害者、法律家といったような人が集まっていて、みんな別の仕  事を持っているわけですね。私なんかも、法律事務所を経営して、ふだん  は離婚だ、遺産分割だ、破産だという事件をやっているわけです。それを  やりながら、月に1回か2回定期会議を開いて、この問題があるというこ  とを提案して要望を出している。10年間で130本の意見書を出し、扱った  テーマは60ぐらいですけれども、この中には、提案している新しい第三者  監視組織が本来担うことと、そうでないこと、いろいろあります。いずれ  にしても、NGOであってもある程度問題提起ができるのだから、そんな  に心配しないで、新しい第三者監視組織を立ち上げたらいいという意味で、  今日配付させていただきました。   それで、具体例としては、こんなイメージです。例えば、去年、厚生労  働省に利益相反の検討委員会というものが設置されて、薬食審の方のルー  ルと厚生科学研究の利益相反のルールを策定しました。これは去年やった  わけです。この検討会が設置された経過は、タミフルで利益相反問題がマ  スコミで指摘されたからなんですね。しかし、結局、例えば薬害オンブズ  パースン会議はもっとずっと前から、このルールをつくるべきだという要  望は出しているわけです。でも、要望を出しているけれども、それに対し  てはナシのつぶてで、マスコミがちょっと騒いだということで研究班がで  きる、これが今の実態の一つの姿なんですね。こういうときに、もし監視  組織があったら、こういう要望が出ているんだけれども、あれについて無  視してしまっていいのか、さっさと取り組まなくていいのかということを  提言したり進言したりすることができるのではないか。   それから、薬害肝炎の問題で、納入機関リストの公表がずっと遅れたわ  けです。平成13年に有識者会議が開かれて、そのときに、血液製剤を使っ  た人にC型肝炎の感染率が高いという報告が出ていて、このときは弁護団  が、納入機関の公表をしてください、被害実態の調査をしてくださいと要  望した。しかし、それはしないままずっと経過して、裁判のもう終盤のと  ころになってそれが実現するわけです。こういうことだって、そういう要  望が出ていたら、普通の人は、やはりそれはやるべきだと思うでしょう。  だって、そういうことがあれば、被害者はそれだけ早く治療が受けられる  わけですから。こういうときに、被害実態を調査したらいいではないか、  そういう研究班を設置したらどうだということを、本来は厚生労働省が決  断するべきことだけれども、それができなかったときに、この機関がきち  んと進言する。   それから、例えば今、医薬品の添付文書を見るとダブルスタンダードな  んですね。同じ製薬企業が、海外と日本で同じ薬を販売していながら、海  外ではきちんと警告していることを日本では警告していないという現実が  あって、そういうものを、添付文書を改定してくださいと私たちが要望し  ても、何の返答もないわけです。   先ほど、抗うつ剤の問題に言及がありましたけれども、抗うつ剤は今年  の5月に衝動性亢進の添付文書が改定されました。改定されましたけれど  も、これは1年前にオンブズパースンは、やはり添付文書を改定するべき  ではないかと提言しているんですよ。だけど、だからどうということはな  かった。もし事実関係に間違いがあったら是非指摘していただきたい。そ  のときは、私は訂正しますが、私が知る限りでは、厚生労働省が動いたの  は、マスコミ関係者の情報公開請求があり、被害実態を調べて、こんなに  あるんだと認識した。回答しなければいけないから。そういうことがあっ  て初めてその対応をする、学会とも協議する。そういうことが今現実に行  われていることなのです。要望なり、被害が出ているという情報をキャッ  チしたときに、本来、厚生労働省が速やかに動かなければいけないような  とき、研究班をきちんと設置して、時間をかけて討議すべきだというよう  なことができていないといったようなときに、やはり補完的に提言したり、  勧告したりできる、そういうスポット的なことでも十分なのです。それで  もこういう機関があるといいだろうということで、立ち上げれば十分機能  するということで提案させていただきました。   今日は余り時間がないかもしれませんけれども、この検討会が、少なく  ともこの要素とこの要素をもっと持っているべきだという具体的なイメー  ジを皆さんがつかめるようなところまで問題を詰めて、そして提言できた  ら、法案をつくるところまで是非お願いしたいと思っています。   とりあえず、1回終わります。 ○寺野座長 ありがとうございました。前々からこのお話を聴かなければ  いけないと思っていたのですが、第一次提言でも重点的に取り上げている  ことですから、具体的にこれを検討していく必要があるだろうと思ってい  まして、今、水口委員からかなり具体的に提案されましたので、またこれ  も後で議論したいと思います。   それでは、次に、今後、秋以降どういうようにこの委員会をやっていこ  うかということはいろいろと議論されていたことなのですけれども、そう  いうことも含めて、現時点での検討状況、今後のことも含めてですが、事  務当局の方から御説明ください。できるだけ簡潔にお願いします。 ○安全使用推進室長 安全使用推進室の佐藤でございます。   本日お配りさせていただいております資料1と2につきまして、今後の  議論のためにということで整理したものを今日は説明させていただきます。   資料1でございますけれども、現時点での第一次提言に対する検討状況  ということでございます。余りお時間もございませんので簡潔に説明させ  ていただこうと思います。   前回、これに類する資料を提出させていただいておりますが、少し項目  ごとに個々に分析を分割しまして事項を書かせていただいております。   1ページは基本的な考え方ということで、主に職員の研修ですとか、現  在の増員の対応ですとか、先ほど理事長の方から説明があったような形で  PMDAは今取り組んでいるというような状況ですとか、特に薬害教育の  関係等々、関係省庁との連携を始めている部分、また皆様、ここでの御指  摘をいただいている中で、そういったものに対応して、今後、予算要求対  応を検討している部分というところを、この1枚目の紙に書かせていただ  いております。   2枚目でございますけれども、臨床試験・治験の項目、承認審査の項目  ということで、提言に基づいてこういった形で書かせていただいておりま  すけれども、特に、その添付文書に関する部分ですとか、再評価の部分で  ございますとか、欧米の制度について、これから速やかに調査を実施いた  しまして、そういったものの調査に基づいて、より運用の改善ですとか、  今後、法的措置について実施するかというところを具体的に検討していく、  そういう趣旨でこちらの方の対応案を書かせていただいております。   3ページ目、市販後安全対策の部分でございますけれども、ここは、大  きな部分については、特に中間取りまとめで御指摘をいただきまして、そ  ういった部分につきましては、先ほど理事長から御説明させていただきま  したような総合機構の中期の計画にも反映させていただきまして、対応し  ているところでございますので、9月30日にPMDAのヒアリング等を行  う際に、またここをより深めて、進捗状況について御紹介させていただこ  うと思っております。   また、電子レセプトの関係につきましては、有識者会議等を開催すると  いうことでございまして、8月ぐらいには、こういった有識者会議を立ち  上げていくと。リスク最小化計画等につきましても、この秋をめどに有識  者会議を立ち上げていくということで、現在、欧米等の制度調査等々も含  めて進めているところでございます。   4ページでございますけれども、監視指導等の関係につきましての事項  でございますが、特に、この検討会でも御指摘いただきました重点的な広  告監視の部分ですとか、個人輸入に関する部分、このデータベース化です  とか、そういった部分につきましては、これからの平成22年度対応になり  ますけれども、予算対応につきまして、御指摘を踏まえながら対応を検討  させていただこうというところでございます。   健康被害救済制度の部分につきましても、調査研究をこれから実施して、  御指摘いただいた部分について議論を深めていきたいという中身になって  ございます。   5ページ目、医療機関における安全対策につきましても、機構の対応と  して、現在、これから取り組もうとしている部分ですとか、その他、医療  機関におけるいろいろな人員とかという部分に対して予算的に対応できる  部分があるのかどうかとかといった部分について、今、検討を進めている  状況をここに書かせていただいております。   あとは、専門的な知見の反映、製薬企業に求められる製品等々の状況を  ここで書かせていただいております。   6ページ目は、今、水口委員に御指摘いただいたような部分で、これか  ら御議論いただく行政組織の問題、第三者性を有する機関という部分の状  況で、本委員会で、また秋以降に是非とも議論をお願いいたします。   資料2でございますけれども、薬事行政組織の在り方を検討する際の視  点ということでございまして、前回も、検討するに当たって、視点とか論  点をクリアにした方がいいのではないかという御指摘を本委員会からいた  だきまして、組織の任務ないし任命、どのような機能、権限を有するか、  組織構成、また外部との関係、その他ということで、これまで御提言をい  ただいた資料ですとか、これまで出された資料の中から整理した部分を抜  き出して、こういう形で視点を整理させていただきましたので、また今後  の議論の参考にしていただければと思っております。   以上でございます。 ○寺野座長 非常にたくさんの内容ですけれども、時間がないので簡潔に説  明していただきました。   それでは、次に、堀内研究班の体制等について、一番最後に資料がある  と思いますが、堀内委員からお願いいたします。 ○堀内委員 一番最後のページに資料「研究班の体制」というものがござい  ますが、今年の研究班の体制は、引き続き私が主任研究者としてやらせて  いただきます。一番右側に主な担当事項が書いてございますのでごらんい  ただきたいと思いますが、時間が余りありませんので細かいところは説明  いたしませんが、本年の分担研究者には、前にお話ししましたように、薬  害肝炎の全国原告団から泉さんと坂田さん、それから、更に、今年は特に  薬害の被害の実態について調査をするというのが主たる目標でありますの  で、片平先生に入っていただいたということで、あとの分担研究者は昨年  と同様であります。   これにあとお2人の研究協力者に現在入っていただいて体制をつくって  いるということで、今年に入りまして既に4回の班会議、かなり長時間を  とっていろいろな議論をやっておりますが、特に右に書いてあるようなイ  ンタビュー調査、それから被害実態の調査等について、あるいは海外にお  ける承認状況等の調査等について、具体的にどのような形でやるか、調査  項目をどうするかというようなことについて、今、検討をしている最中で  あります。もう4カ月たってしまいますので、できるだけ早く調査をやら  なければいけないということで、早くできる体制にしたいと思っておりま  すけれども、まだ、研究費の最終決定がされておりませんので、それを踏  まえて配分をやるところなのですが、大体の予想としては、これは減らさ  れる可能性もないわけではないと思いますが、3,500万円程度ということ  で、昨年から大幅に減っております。これをもとにインタビューの調査費、  それからアンケートの調査費とか、そのようなことで、分担研究者等の研  究については、昨年と同様ぐらいになるのではないかと考えております。   一部については、昨年と同様に野村総研に委託したいと考えております  が、最終的に額が決まりましてから、詳細については報告したいと思いま  す。 ○寺野座長 ありがとうございました。   今、水口委員の説明と、それから事務当局から現時点での検討状況につ  いてということ、それから、医薬品行政組織の在り方を検討する際の視点  ということの説明が佐藤室長からありました。そして、最後には堀内委員  から、研究班の体制、今後の方針というものを説明していただきましたが、  これをまとめてというのもちょっと無茶な話かもしれませんが、時間の関  係がありますので、今日は、ちょっと時間を延ばさせていただきまして、  20分の時間ということで議論をしていただいて、議論し尽くせないと思う  ので、これもまた皆さん資料をよく読んでいただいて、9月30日に持ち越  すことになるのかなと思います。そういう前提で御議論いただきたいと思  います。   どなたに質問したいかということを指定していただきまして、御質問あ  るいは御意見をお願いしたいと思います。坂田委員。 ○坂田委員 監視組織の件ですけれども、質問ではないですが、私の意見で  す。   いわゆる裁判ですけれども、私たち原告は、薬害肝炎にしても5年間闘  ってきました。それは、先ほど19番さんのお母さんが言われたように、や  はり裁判になるというまでに、もうとてつもない決心が要るし、本当に大  変なことなんですよ。それで、第三者機関というのは、PMDAにとって  も、国にとっても、この機関があってよかったというか、やはり国民にと  っても、絶対よかったと思う機関でないとだめだと思います。   裁判で、国がいたずらに長時間時間をかけ、マンパワーをかけるといっ  た意味合いではなくて、やはり優秀な官僚の方々は本来の仕事をやってい  ただくということで、いわゆるこういった文化をどこかで断ち切らなけれ  ばいけないと思うんです。そのためにも、水口委員が出されていますけれ  ども、第三者機関で調査とか提言、そういった権限を持たせて、裁判にな  る前に、今回の堀内班の研究班みたいなものを立ち上げていただいて、厚  生労働省も企業もきちんとした資料を出して、そこをきちんと分析してい  ただく、そういったこともできるのではないかと思いますけれども、いか  がでしょうか。   それと、今回、検証するに当たって、裁判が5年間もかかったというこ  とは、私たちは原告側、そして被告側の国が、自分たちには責任がない、  責任はないとずっと言い続けてきました。これは、結局だれが動いてこう  させてきたのか、そこら辺の検証もきちんとやらせていただきたいと思っ  ています。よろしくお願いします。 ○寺野座長 ありがとうございます。   そのほか御意見。大平委員。 ○大平委員 先ほど水口委員から、第三者機関のスケールとして、ピンポイ  ント的なところを構想されているというお話がありましたが、やはりもう  少し広げて、提言の要望書というか進め方の中には、苦情窓口というもの  は別機関にするとかというところが入っていましたが、やはりそこは、デ  ータとしてきちんといろいろなデータを拾い集めて分析できるという、こ  れは大変膨大な作業になって、先ほどPMDAの方が言われたみたいに、  到底できないよという話なのかもしれないですが、でも、やはりきちんと  その辺を拾えるような何か組織になっていないと、せっかくの、かなり問  題にならないと提言が出てこないとか、研究が始まらないとか、それが、  患者サイドから自由に相談できる窓口とかそういうものができてこないと  いけないのではないかと思いまして、その辺、後日の協議の中でいろいろ  とお聞かせください。 ○寺野座長 水口委員。 ○水口委員 私の言い方が誤解を招く言い方だったと思うのですが、何もか  も全部この第三者機関が医薬品の安全監視を担うというわけではないです  よということを言うために申し上げたのです。今、大平委員が言ったこと  は非常に重要で、例えば今回の提言の中に、患者からの副作用報告制度を  設けるとか、そういったいろいろな副作用報告がありますよね。だから、  そういったもののデータについても、きちんと提出要求できるとか、それ  から、今言った苦情解決窓口との連携をどうするかとか、そこはきちんと  したスタッフとシステムがあればできるでしょう。本来は、私は、苦情も  まずは厚生労働省なりPMDAがきちんと対応すべきだと。そのためのシ  ステムづくりは大事だと思うのですが、それが機能していないときや、第  三者機関が自ら発議していろいろ動くときのために、情報をきちんと把握  できるような連携は、おっしゃるとおりすごく大事で、そこをうまくつく  ることはできると思うんですね。   ついでに言えば、患者団体やNGOや被害者団体が、こういう調査をし  てほしいとか、こういうふうにしてほしいとかいろいろ要望を出しますが、  要するに聞きおくということで、それをどう受けとめてもらったのかわか  らないことが多いわけです。小野委員はFDAの状況に詳しければ教えて  いただきたいのですけれども、FDAにはペティションというものがあり  ますよね。何か一定の要件を備えて申し出があったら、180日以内に返事  をしなければいけないという制度です。180日という期間やペティション  というスタイルがいいのかどうかはちょっとまだ検討の余地はあると思う  のですが、応答義務のようなものも、第三者組織の活動と並行して、(そ  れは応答するのは第三者組織ではなくて、本来的にはPMDAだったり厚  生労働省だったりするんだと思うのですが、)組み合わせて、何か有機的  に機能させることはできるのではないかと思っていています。私どもが組  織として新しく提案していることは、この第三者組織と、それからオンブ  ズマン的な窓口です。先進的な諸外国の取組みがあれば、情報提供してい  ただいたり解説していただいたりしたら、次回の議論に非常に役に立つの  ではないかと思っております。 ○寺野座長 小野委員、ちょっと要請があったけれども、今言えますか。簡  単に。 ○小野委員 事務局がきちんと出してくれると思います。制度などというも  のも、明らかに条文になっていますから、そういう各国の制度みたいなも  のを出していただければいいと思います。次回ですよね。そう思います。 ○寺野座長 大平委員と水口委員からそれぞれの御意見が出ましたけれども、  これもまた9月にやりましょう。小野委員の方から、またいろいろ教えて  いただくこともあると思います。   どうぞ。 ○小野委員 この第三者組織のこの件ですけれども、私は、今のところ総論  賛成です。勿論賛成です。それで、どうしてかというと、コメント1つと  質問が1つ、水口委員に、どう考えているかという質問1つなんですけれ  ども、コメントの方は、この世界というのは、今まで、勿論、機構の理事  長に説明していただいて、立派にやっているというのはわかるのですが、  全然わからないんですね。ほとんどわからないで、みんな手さぐりのまま  動いているんですよ。最近出たFDAに対する勧告、これも第三者組織が、  GAO(ガバメント・アカウンタビリティ・オフィス)が出したものでは、  アメリカのFDA、下手すれば何万人もいるような組織が、安全対策に何  人人がいるかわからない。FDAの当人たちもわからないと言っているん  ですよ。それを認めているんです。そういう質問をしたら、「いや、おれ  らはわからないんだ、実は」ということがわかって、さあ、どうしようか  といって、国会に対して今レポートが出ているんですよ。アメリカがすぐ  れているかどうかわかりませんけれども、何千人、何万人もいるアメリカ、  日本が追いかけているアメリカもその状況です。   ましてやとは言いませんけれども、日本はすごいのでしょうか。先ほど  の説明でいくと、完璧にすべての物事がマネジされて処理できるようなイ  メージをもしかして我々が持っているとしたら、それは我々の側が間違え  ているんですよ。全然そんな世界ではないんです。FDAの人たちが、も  しかしたら我々が目標としているUSFDAが、データがどう処理されて、  何人そこにかかわって、どのぐらいこれから予算が要るということがよく  わからんと言っている状況、これがこの世界の常識だと思わなければいけ  ない。その中でどうやっていくかという話ですね。   その中の一つとして、今回、では日本はどうするかと考えたときに、人  数を何万人にも増やすということは一朝一夕には無理なわけで、この第三  者組織みたいなものを活用すると。これはGAOなり、海外のまねをして  いるわけですけれども、まねをしてもいいですよね、いいところはまねを  すればいいという話です。そう思います。これがコメントです。   それで、質問なんですが、これはこの先の議論だと思いますけれども、  今、構成として薬害被害者の方々、消費者、薬剤疫学専門家、法律家とあ  りますが、何かお医者さんがいじめられているのかなとも思いますが、わ  ざと書いていないのかちょっとよくわかりませんが、消費者委員の方は、  内閣総理大臣が任命するということですよね。この委員会は、こうなるか  どうかは全然わからないですけれども、これも、水口委員のイメージでは、  内閣総理大臣が任命する、上の方の非常に偉い方々が任命するというイメ  ージですか。 ○水口委員 法的な手続としては、任命というのはそういうふうになるのか  もしれませんが、人選の段階では、公募とか、消費者とか患者団体の推薦  とか、そういった契機を設けることが非常に重要だと思います。なぜかと  いうと、さっきちょっと御紹介した消費者庁の消費者委員会、今、何をも  めているかというと長官の人選なんですね。これが、消費者の話を今まで  全然やってきていない人、消費者目線を持っていないと消費者や消費者団  体が思う人が今、候補として挙がっているということで、各方面から批判  されています。要するに、どんな組織でも、結局最後は人と問題意識とや  る気が重要で、どんなすてきなシステムをつくっても、やっている人に問  題意識がなかったり、ここはもう監視の組織ですから、厚生労働省とかP  MDAに厳しい目で提言したり意見を言ったりしなければ、だめなんです  よね。だから、それにはそういうことをしてきたり、そういうセンスを持  った人が就任しなければいけないわけです。何か立派な肩書をずっと持っ  てきたからこの人がいいだろうとはならないわけです。それはまさに今、  消費者委員会で議論されている論点なので、そういったあたりの人選のと  ころでひと工夫要るだろうということは、私も十分大きな論点だろうと思  っています。   食品安全委員会の問題点について、機能していないではないかと指摘す  る人たちの意見を聴くと、やはり問題意識を持っている人が委員になって  いるのかどうかというところが、最終的にそれの帰趨を決めるという意見  なのです。ですから、公募なども含めた人選システムが工夫されていいだ  ろうと思っております。 ○寺野座長 いいですか。この点に関しては、また9月以降議論するところ  ですが、そのほかに、また別の視点からの御質問、御意見があるかと思い  ますが、いかがでしょうか。まだ若干の時間が。水口委員。 ○水口委員 済みません、私は、本当は第三者組織についてもっと話をする  時間をいただきたいので、それは次回やっていただけるんですよね。 ○寺野座長 皆さんの要望です。もっと先生の話を聴きたいということで。 ○水口委員 これで到達点、もうあと10分ですよね。それで、9月以降の進  行をどうするのかということについても、この委員会で決めないといけな  いと思うんですよね。第三者組織の話がここのあと10分間で煮詰まるとは  とても思えないので、次回も時間をとってください。お願いいたします。 ○寺野座長 それはいいですよ。それは事務局と相談してやりますが、ただ、  時間には限りがありますので、2時間ないし3時間ですから、ヒアリング  とかいろいろ入れていきますと、なかなか時間がとれないし、皆さんに月  2回やってくださいと言ったって、それはとても無理なんですね。ですか  ら、そこら辺の限界があることを前提の上に、皆さん、効率的にお話をし  ていただかないとだめなので。   あとは、堀内班の方でまたいろいろと議論していただく面もありますの  で、そこで議論していただいた内容をまた報告していただく方法もあるか  と思います。そういう形で計画は進めていきます。   どうぞ。 ○水口委員 そうすると、これ全部をこの後10分でやるのはちょっと無理な  ので、次回とっていただけるという前提で、ちょっとそのお話を、次回の  進行の方の話もここでやるんですよね。次回の進め方についての先ほどの  とか、先ほどの現時点での検討状況というこのペーパーについて。   現時点での検討状況案というペーパーを先ほど御説明いただいたのです  が、先ほど近藤理事長から、PMDAが今やろうとしていることや今後の  取組みについては、次回、より詳しく御説明いただけると御快諾いただい  て本当にありがたいのですが、PMDAだけではなくて、先ほどの御説明  だと、総合機構第二中期計画に書いてあることをより詳しくという話があ  りましたが、ほかの項目について、検討の方向案というところに短く書い  てあることを、できるだけ細かく、詳しく、次回、是非、ここまで来てい  ますとか、これはこういう論点についてこういうふうにやろうと計画して  いるとか、読んでわかるようなものを事前に出していただきたいと思いま  す。そこは、この公の場で是非ともお約束していただきたい。 ○寺野座長 議事録に出ますから書いておきますけれども、ただ、なかなか  ここで全部議論するのは大変なので、資料としてまずできるものを出して、  そして読んでいただいて、質問していただくという形でないと無理かなと  いう感じはします。物によりますけれども。 ○水口委員 今日、私、「今後の進行を検討するためのメモ」というものを  出させていただきました。私たちは第一次提言を出しましたけれども、今  度、最終報告になるのか、今年度の報告書を出さなければいけないわけで  す。そのイメージを共通にしておいて、これからやるべき作業を確定しな  いと、「何だ、1年もやって、第一次提言にちょっと加わっただけではな  いか。」という報告書をもう一遍出すということになりかねないわけです  よね。   私が考えます私どものこれからの仕事は、第一次提言は時間がなかった  ので触れられなかった、すぽっと抜けている項目があるか。あったら、そ  れはやはり付加しなければいけない。また、提言で触れたけれども、この  委員会としてもう少し具体的に更に言及しておかなければいけないものと  いうのは、やはり一次提言をより具体化して言うということ。それから、  この第三者組織や苦情解決窓口や応答義務、組織論、組織に絡む問題とい  うものがあると思うんですね。こういうことを議論するには、特に2番目  のより具体的に言及すべき事項を考えるには、先ほどから申し上げている  ように、進捗状況とか今後の予定とか、もうここは、では、私たちはこれ  以上言うことはないですねという話になるものから、ここでもう少しエッ  センスを継ぎ足しておかなければいけないということもあると思うんです  ね。   それから、研究班報告書、厚いものをいただいたので、全部読むのはと  ても大変だったのですけれども、報告書の提言の中に、私たちの一次提言  より、より詳しく書いてあって、そこを最終報告書の提言の中にも盛り込  むべきことというのもあると思うんですね。せっかく報告書を出していた  だいたので、それも活用しなくてはいけないということがあるので、ヒア  リングでいろいろなことを吸収するのも勿論大事なのですが、何とか秋か  らは、ヒアリングプラス、もっと議論の時間を十分とっていただいて、今  の私の提案としては、提言の項目に従って4行に分けて書いたのですが、  今日はここからここまでとか、今回はここからここまでというような感じ  で、組織の話以外についても、私たちが付け加えるべきことを順番に議論  していけるような進行を御検討いただけないかと思っています。   そういう意味で、ヒアリングですけれども、これも、ヒアリングばかり  やっていると時間がなくなってしまうというところもあるのですが、パブ  リックコメントを出した団体があるわけですね。そういうところの意見も、  本当は、実はパブリックコメントを出しているところというのは、厚生労  働省やPMDAに非常に厳しい目を向けているところなんですね。そうい  うところの意見をやはり聴くべきではないかと思いますし、それから、私  は是非、PMDAのお話を聴いたのなら、厚生労働省の方のお話も聴きた  いと。   それは研究班でやってくださって、その進行を踏まえてということでも  いいですが、ちょっと要望しておきたいと思います。 ○寺野座長 大体10分たってしまったのですけれども、それはそれでいい意  見をいただいたのですが、今後の方向性をどういうふうにやっていくか、  これは事務局の方でも予定を組んでいるはずですが、今の提案は非常に重  要だろうと思います。そしてまた、これは最終提言ということになると思  いますが、3月に出す予定になりますけれども、それのイメージというか、  何と何をやるのか、これは森嶌委員も前に指摘されましたが、あれもこれ  も全部やれと言ったって、この委員会でできるわけがないので、何と何が  できるのかということを明確にせよということ、これは僕も明らかだと思  うんです。だから、そこの辺の整理がどうしても必要です。   堀内班の方でいろいろ大変な苦労をして出していただいたさまざまなデ  ータ、報告、そういうものを整理した形で、それはバックボーンとしてあ  るわけですから、それを生かすような提言ができなくてはいけないという  ことも確かなんですね。ただ、時間は限られておりまして、あとは最大限  7〜8回の中で、それも2〜3時間のその中で出さなければいけないとい  う限界がありますので、それができるのがどこまでなのかということを、  今直ちにここで、今の時間にすべて出せませんので、これも事務局と相談  して、そこを、先ほど資料も出していただきましたが、検討状況等につい  てありますが、もうちょっと具体的に、これとこれをやりましょうという  ことを、それで時間がつぶれてしまったのではどうしようもないので、整  理した上で進めていきたいと思っています。   今直ちにこれとこれ、出るものは出ますか。どういう形で9月にやりま  しょうということをちょっと説明してください。 ○総務課長 今日もさまざまな宿題もいただきまして、確かに今後それをす  べてどういうふうに処理していけばいいのか、これは大変な話だと思うの  ですけれども、座長とも御相談させていただきながら、今日いろいろ御意  見も出ましたので、それを踏まえながら考えていきたいと思っております。 ○寺野座長 どうぞ。 ○水口委員 9月以降、終わりまでの、日程もまだ全部いただいていないの  で、早く日程をいただくということと、それから、1回1回、次に何をし  ようかと考えるのではなくて、最後まで全体のスケジュールを9月の会議  の前に提案していただいて、委員としても、ヒアリングするならこの方に  お願いしたいとか、こういう進め方をしてほしいとか、そういう意見を言  わせていただきたいんですね。ですから、トータルなスケジュールをとに  かく8月中ぐらいにいただけないでしょうか。 ○寺野座長 おっしゃるとおりで、もう本当に7〜8回ですから、具体的に  最終提言の大体の骨子をつくった上で、こういう形で出しましょうと。そ  れで、その上に立った議論をしていかないと、これはまとまりがつかない  と思いますので、これは事務局と相談していきます。   秋に向かっては、政局も大きく変わりますので、政局が変わったところ  でどういうふうになるのかというのは、組織からしてわからない、予算か  らしてわからない。こういう委員会をどういうふうに次の政府、同じかも  しれませんが、対応されていくのかということもわからないというかなり  不透明な部分がありますが、我々としては、これは粛々とこの路線をやっ  ていくしかないと思います。舛添大臣のように、こういうことに非常に積  極的な厚生労働大臣ができるのかどうかもよくわかりませんし、それはや  ってもらわなければ困るんだけれども、そういう政治状況も見ながら、事  務局と相談して、今、水口委員が言われたような秋ないし冬、3月までの  議論の骨子をまとめてみたいと思います。それで、それを御提案しますの  で、またいろいろと御批判をいただきたいと思います。   次の9月30は、まず、今日のお話のPMDAのお話は、これは伺わなく  てはいけないということ、それから最後の組織的なものを御説明いただき  ましたけれども、十分な議論もできませんでしたので、その時間もとりた  いと思っていますし、今後の最終提言の骨子の議論もあるということです  ので、やることはいっぱいあるんです。けれども、まず、それを前提とし  てやらないと進まないので、そのようにさせていただいて、前もってその  議題等についてお送りしたいと思います。事務局、それでよろしいでしょ  うか。   時間がもう過ぎてしまいましたので、今日はこの程度にしたいと思いま  すが、これは秋の陣に引き継ぐということをお約束しまして、皆さんに大  変すばらしい報告と、それから議論をいただきましたが、事務局の方で、  今度陣容が変わったので、まだ僕と意思疎通がよくできていないのであれ  ですが、またひとつ御協力をお願いしたいと思います。   泉委員、最後にどうぞ。 ○泉委員 済みません、時間がないところ。   舛添大臣は、大臣が代わろうとも、この委員会に対してはきっちり引き  継ぎをすると約束をしてくださっています。ということが1つと、それか  ら、水口先生が言われたように、時間がないところ、やらなければいけな  い中で、第三者組織の具体化というものは非常に大切で、これはもう第1  回目の第一次提案のときに全員のコンセンサスを得られたものですから、  これを進めるために、もし時間がなければ、別の作業部会をつくるとか、  そういうことも含めて検討していただきたいと思います。よろしくお願い  します。 ○寺野座長 それはわかりました。それは、もう第一次提言の1つのポイン  トですから、十分認識しております。   舛添大臣の引き継ぎを信頼して粛々と進めて行かざるを得ないと思いま  すので、今後ともよろしく。   清澤委員。 ○清澤委員 一言。今日のヒアリングの武田さんの言った中でどうしても引  っかかることがあるもので、これは是非、関係部署にお伝えしていただき  たいのですが、医師による治療とか医療レベルの違いがあるということを  おっしゃっておられたので、今、各都道府県にウイルス肝炎の基幹病院と  いうものができて、それを中心に各都道府県で研修会とか情報提供、ある  いは相談システムとか、そういうものができているんですね。ですから、  そこに是非、武田さんのそういった意見があったということを伝えていた  だきたい。もう一度、医療レベルのアップのために、研修会等を徹底して  やっていただきたいということを、これは肝炎対策室なのか、たしかもと  は国立医療センターに置かれているのではないかと思うのですが、それだ  け補足しておきます。 ○寺野座長 清澤委員は、本当に肝臓学会で肝炎予防をずっとやっておられ  て、全国的な組織を見ておられますので、清澤委員にもいろいろとお教え  いただきながら、また資料を出していただくこともあるかと思いますが、  今日の議論も含めて、秋以降よろしくお願いしたいと思います。   事務局の方からどうぞ。 ○医薬品副作用被害対策室長 座長から今日何度か御紹介いただきましたけ  れども、まず、次回の日程ですが、皆さん大変お忙しいのでなかなか難し  いのですが、今のところ、9月30日の夕方4時ぐらいからできないかなと  いうことを考えておりますので、また改めて個別に御連絡を差し上げたい  と思います。それ以降についても、月1回ぐらいのペースでできないかと  思っていますので、なるべく早く御連絡を差し上げたいと思いますので、  よろしくお願い申し上げます。 ○寺野座長 これは、今日は3時間体制でしたけれども、今後も3時間体制  なんでしょうね。 ○医薬品副作用被害対策室長 それは、できるとき、できないときがあろう  かと思いますので、御相談しながらと思います。 ○寺野座長 3時間半になってしまいましたけれども、それは大変ですが、  やむを得ないですね。その状況によって2時間ないし3時間ということで  行きましょう。   では、新しい事務局の方もひとつよろしくお願いしたいと思います。 ○大熊委員 今、2人で話していたのですが、何でまた9月もそんな押し迫  った30日にするのでしょうか。こんなに盛り上がっているので、もうちょ  っと早い時期にできない何か理由があるのでしょうか。 ○医薬品副作用被害対策室長 物理的に、実は、まだ皆さんから具体的なス  ケジュールをいただき切っているわけではないのですけれども、今までの  ところでいただいているだけでも、一番多くというか、実質的に議論をい  ただけそうなところが、そこまで行かないとないかなというところが、残  念ながらあります。 ○寺野座長 確かに日程は、これは前々から決まっているわけではないよね。  僕も別の予定が入ってしまったんだけれども、もう少し早くできるならば  というお話もありますよね。ちょっと工夫して、できるだけ早くします。  9月30日は、一応の案ということで、もう少し早くしたいという要望もあ  るので。僕もちょっと外国に行ったりする時間があるので、ちょっとその  調整もあるんですけれども、可能な限りはそうしたいと思います。僕も9  月30日、今のところ具合が悪いんですけれども。済みません。   では、それはまた改めて。僕に相談がなかったんだと思うんだけどね。   そういうことで進めたいと思いますので。長い時間、どうもありがとう  ございました。   また、傍聴の方もありがとうございました。                               (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111