09/07/23 平成21年7月23日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品規格部会 議事録 ○日 時 平成21年7月23日(木)10:00〜11:40 ○場 所 航空会館501会議室 ○出席者 <委 員> 浅見真理、石田裕美、井上達、大前和幸(部会長)、香山不二雄、小西良子、 阪口雅弘、長野哲雄、松田りえ子、山内明子(敬称略) <参考人> 健康局水道課水道水質管理室久保室長補佐、社団法人全国清涼飲料工業会雛 本技術部長 <事務局> 塚原大臣官房参事官、國枝基準審査課長、光岡課長補佐、西嶋課長補佐 ○議 題 (1)清涼飲料水の規格基準の改正について (2)その他 ○西嶋補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会 食品規格部会」を開催いたします。  本日は、委員の皆様、御多忙のところを御参集いただきましてありがとうございました。  審議に入りますまでの間、私、基準審査課長補佐の西嶋が議事を進行させていただきま すので、よろしくお願いをいたします。  本日は、五十君委員、小沼委員、宮原委員、宮村委員より御欠席の連絡をいただいてお ります。また、香山委員からは少し遅れるということで御連絡をいただいておりますけれ ども、現段階で部会委員14名中9名の委員に御出席をいただいておりますので、部会は 成立しておりますことをまず御報告申し上げます。  また、本日の議事に関わる参考人といたしまして、厚生労働省健康局水道課水道水質管 理室の久保補佐、また社団法人全国清涼飲料工業会の雛本技術部長に御参席をいただいて おります。ありがとうございます。  それでは、以降、部会長の大前先生に議事を進行していただければと思います。 ○大前部会長 それでは、早速でございますけれども、お暑い中、お忙しい中、御参集い ただきましてありがとうございます。大前でございますが、部会の座長を務めさせていた だきます。  まず最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○西嶋補佐 配布資料の確認をさせていただきます。本日の議題は1つで、「清涼飲料水 の規格基準の改正について」の資料を御用意させていただいております。  資料1といたしましては、その規格基準の概要の図、資料2は全国清涼飲料工業会のパ ワーポイントの資料でございます。  資料3といたしましては、健康局水道課の資料でございます。  資料4といたしましては、「清涼飲料水の汚染物質及び化学物質に係る規格基準の設定 方針について」という資料でございます。  また、参考資料を3種類入れさせていただいております。  参考資料1は、清涼飲料水の規格基準の改正の経緯についてです。  参考資料2は、現在の清涼飲料水の規格基準です。  そして、参考資料3は1枚紙で表にまとめておりますが、飲料水等に係る汚染物質等基 準値の比較についての資料でございます。  また、委員におかれましては机上配布資料ということで、食品安全委員会がまとめてお ります人に対する健康発がんリスク評価に関する手引き、清涼飲料水を対象としたものと いうことで配布させていただいております。以上でございます。 ○大前部会長 皆さん、資料はおそろいですか。よろしゅうございますか。  それでは、今日の議題1の清涼飲料水の規格基準につきまして、今日はお2人の参考人 の方に来ていただいておりますが、順番に御紹介をお願いしたいと思います。 ○西嶋補佐 その前に、本日の議題の清涼飲料水の規格基準の議事の進め方についてご説 明させていただければと思います。まず資料2に基づきまして業界の方から業界の現状に ついて、資料3に基づきましては、水道課から、現在の水道法での水質基準の設定の考え 方について御説明をいただきます。  その後、この部会におきまして資料4に基づいて、今後清涼飲料水の化学物質あるいは 汚染物質についての基準値を個々の項目について設定をしていくときに、どういった基本 方針をもって基準値を設定していくか。その基本方針について本日の部会で御審議いただ ければと思っております。その審議をするに当たりまして業界の実態あるいは水道法での 基本的な考え方を御紹介いただくことにより、資料4に基づいた議事が進められるかと思 っております。  まずは、社団法人全国清涼飲料工業会の雛本技術部長、よろしくお願いいたします。 ○雛本技術部長 全国清涼飲料工業会の雛本と申します。今日は、このような機会を与え ていただきまして大変感謝申し上げております。そして、先生方にはこの貴重なお時間を いただきますことを御礼申し上げます。  清涼飲料水業界の現状と、それから原料水の取扱いについて今日はお話をさせていただ きたいと思います。 (資料2 1ページ)  ヨーロッパは炭酸が非常に多く含まれている水が多くありますが、そのものが健康に良 いということで皆様に飲まれ、そして容器に詰められて遠くの方も飲まれるようになった ことが清涼飲料の始まりと言われております。その後、炭酸ガスの工業化により、炭酸飲 料等の清涼飲料水が発達してきたというのが現状でございます。  定義といたしまして、清涼飲料水というのは食品衛生法で乳酸菌飲料及び乳製品を除く アルコール1%未満のもの、1%を超しますとアルコール飲料というカテゴリーになりま す。  それで、清涼飲料水のカテゴリーとしましては、炭酸飲料、非炭酸飲料、ミネラルウォ ーターと分かれております。 (資料2 2ページ)  ちょっと字が小さいので、お手元の資料をごらんいただければと思います。  清涼飲料水の中にはミネラルウォーターが何個かのカテゴリーに分かれております。  炭酸飲料としましては、JASの個別表示基準がございます。JAS規格というものが ございます。炭酸飲料はそのほかにこの中に細かく分かれているものがございます。香料 や甘味料を加えることによってフレーバーを付けたものということで、その中には日本の ラムネなども含まれておりますし、最近は栄養を多く入れた栄養ドリンク的なものも出さ れております。  それから、非炭酸飲料としましては果実飲料、これもJASの個別品表がございます。 また、JAS規格もございます。公正競争規約などがございまして、100%のものをジュ ース、99%から10%果汁が入ったものが果汁入り飲料となっております。  そのほか、コーヒー飲料としましては公正競争規約がございまして、コーヒー豆の量に よりコーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料と分かれております。  そのほか、茶系飲料とかスポーツ飲料、そして機能性飲料、これは健康増進法でいう特 定保健用食品と栄養機能食品とかが入っておりまして、そのほか抗酸化物質やアミノ酸な どを含むものも多く出されております。  このように、日本が一番清涼飲料水としては種類が多くなっていると思います。茶系飲 料などは海外では非常に製造が難しく、紅茶はございますけれども、日本茶などは難しい 状況になっております。一般には炭酸飲料が多く出され、そのほかは水とスポーツ飲料、 ジュースというものがメインになっている状況です。 (資料2 3ページ)  これらは、スーパーなどで皆さんよく見られる製品だと思います。  次に地元密着型地サイダー、地元のイカスミだとか、ワサビだとか、地元に合ったよう なものが多く出されておりまして、今はデパートなどでも売られておりますし、テレビな どでも扱われ、かなり人気が出ているものでございます。  全国清涼飲料工業会の会員企業の内訳ですが、中小企業が80%を占めるという状況にな っております。 (資料2 4ページ)  清涼飲料水がどのように市場成長してきたかと申しますと、1986年から2008年、約20年 ちょっとですけれども、約2.5倍に成長しております。炭酸は赤いところですが横ばい状 態、その上の果実飲料は減少気味です。その上の茶色っぽいものはコーヒー飲料です。そ のほか、上に分かれますと緑茶とかスポーツ飲料、ミネラルウォーター類が非常に成長を 遂げているという状態でございます。  2008年度の生産実績ですが、茶系、ミネラルウォーターなど、無糖の飲料がかなり多く を占めております。やはり糖を摂りたい、甘いものを嗜好するというもので高甘味度甘味 料を使いながらカロリーを少なく、もしくはゼロということで、最近ゼロの飲料も多く出 てきております。それは、コーヒー、炭酸飲料などにも多く出てきております。 (資料2 5ページ)  急成長を遂げているミネラルウォーターでございますが、90年くらいから海外からの進 出が多くなってきて、年々増加しております。このグラフは2004年まででございますが、 約20%のシェアを占めております。  細かくなりますけれども、推移はすべて2008年までのものを見ましても、前年比は多少 動きはございますが、実績の中では果実飲料もミネラルウォーター類も約20%が輸入に占 められております。それから、清涼飲料水ですけれども、これは1%未満でございます。 一時期、安い飲料ということで入ってきましたが、缶に対しても結構漏れが多かったり、 いろいろと味の劣化とかがございまして、今は多くございません。 (資料2 6ページ)  清涼飲料水の一番重要な役割というものは水補給です。その中で、主要な原材料としま しては水になっております。今、清涼飲料水の原料水としましては水道水、それから井水 など、それとミネラルウォーター、価値観を付けるために天然水使用とかを強調している 飲料などはこの水を利用しております。  水道水というのは、原水から取られたものが処理をなされ、水道水という形になったも のを工場で受水します。それで、活性炭ろ過をいたします。その後、ミネラル等が含まれ た処理水のままですと活性炭処理をした後はろ過のところにまいります。それで、UV殺 菌などをして使用されます。  工場など、井水を利用した場合は工場内で受水をいたしまして、その次に砂ろ過などを いたします。次は、ちょっとブルーの網かけになっていると思いますが、その部分は水の 質ですね。それによって使用する場合もありますし、その過程がない場合もございますの で網かけになっております。そこでアルミナなどの凝集剤により凝集分離を行い、次亜塩 素酸添加をいたしましてろ過をいたします。  次は、貯水の時間等によりましてもう一度次亜塩素酸などを加えますが、場合によって はそのままですと使えません。その後は、水道水と同じ過程をとりまして活性炭処理、同 じようにそのままミネラル類を含む場合は処理水としてろ過に回ります。それで、イオン 交換、RO処理をして純水の状況に持っていく。これは、各メーカーさんの製品の使い方 によって変わってきていると思います。  ミネラルウォーター類を使う場合でございますが、水源から直接工場内貯水をする場合 と、タンクローリーによって運送をし、それから工場内貯水をする場合とがございます。 どちらも食品衛生法でろ過もしくは加熱殺菌ということが義務付けられておりますので、 次のような処置が行われるというのが清涼飲料水に使用されます原料水の規定でございま す。  現在、原水という名前で呼ばれているものでございますが、水道水のところでも原水と いうのは違う場所で使われておりますし、井水を取水したところと混同が起きやすいもの ですから、原料水など、名前の御検討をしていただけますと大変うれしいのでよろしくお 願い申し上げます。  この後、一般的な製造工程なのですけれども、ビデオをごらんいただきたいと思います。 茶の抽出というところで、葉をもみ、その後、抽出して製造工程に入る。図式化と違いま して、工場内、プラント内の設備というのはビデオの方が直接ごらんいただけると思いま すので、よろしくお願いいたします。                  (ビデオ放映)  ごらんいただきましてありがとうございます。工場内にはかなり大きい機械が入ってお りまして、図式化した絵ではなかなか御理解いただけないと思いましたので、これだけを ごらんいただきます。今の工程を図式化しますと、抽出して加熱、殺菌、充填、転倒殺菌 等、流れていきます。 (資料2 7ページ)  果実飲料になりますと抽出のところはございませんので、調合から加熱、充填という状 況に入っていきます。  それから、炭酸飲料ですと、炭酸の静菌作用で動植物を使っていなければ無殺菌という 条件があります。pHの規定もございますが、その場合は調合タンクからカーボネーショ ンしまして充填に入るという経路になっております。 (資料2 8ページ)  これをまとめますと、先ほどのミネラルウォーター類、これはろ過もしくは加熱殺菌で すので調合なしでそのままいきます。  それから、抽出して充填するようなものにはコーヒー飲料、緑茶飲料、紅茶飲料等がご ざいまして、処理された水で抽出し、ろ過した後に充填、殺菌、もしくペットですと転倒 殺菌等を経てケース詰めをされていきます。  また、スポーツドリンク等はそのまま抽出はございませんので、原水をもって調合をし、 ろ過した後、充填、加熱という状況になっております。  ここで、先ほどミネラルウォーター類は何種類かございますというお話をいたしました が、ナチュラルウォーター、それからナチュラルミネラルウォーターとございます。ナチ ュラルウォーターの方は特定の水源から採水された地下水でミネラル分のないもの、ナチ ュラルミネラルウォーターですと地下を通る間に鉱化された水でありまして、両方ともろ 過もしくは加熱殺菌のみということで、ほかの物理的処理を行わないということです。  ミネラルウォーターになりますと曝気等が許され、かつミネラルウォーターの混合が認 められております。   そのほかは、ボトルドウォーターになります。これらは処理法なども規定がございませ ん。水道水等はここに入ります。東京都の水などは、ここのボトルドウォーターのカテゴ リーの中に入ってまいります。 (資料2 9ページ)  そして、原水基準です。添附資料にもございましたので、水道法基準が26項目のときか ら48項目に移る段階で、清涼飲料水の基準はそのまま26項目でよろしいのではないかとい うことで、現在26項目になっております。  清涼飲料水として使用している水ですけれども、全清飲の会員の中の565工場を調査し た段階でございますと、水道水を使用している工場が10%強、井戸水等を利用しておりま す工場は90%弱になっております。  ただし、これは量ではございません。工場の中の井水の利用率、水道水の利用率という ことでございます。ですから、量になりますとかなり数字は変わってくるものと思われま す。それは調査をしておりませんので、データはございません。 (資料2 10ページ)  そこで使用している地下水の基準と申しますか、環境省がやっております水質の汚濁の 調査でございます。その結果から見まして、水道法の基準と水質汚濁に関わる環境基準と は同じ数値になっておりまして、その調査の結果です。この基準値を超した超過本数とい うものを出してございます。数として多いものは硝酸性のところでございますが、これは 肥料などで土に多く含まれることからその由来物で多くなっているものと思われます。  そのほか、北海道の地域などは土地にヒ素分が多いと言われておりますし、フッ素など も土地、地質由来のものと思われますので、汚染の状況等は水質基準等を比較しましても 問題はないと考えられます。  また、16年、17年、18年度の調査もございますが、この超過率に関しまして大きな差は ございません。  そこで、清涼飲料水の原水の考え方としまして、清涼飲料水の原水は食品の原料でござ いますので、水道法にございます生活上支障関連の項目、例えば石鹸の泡立ちのことを考 えたような硬度300というような基準は清涼飲料水の原水のときにはなくてもよろしいの ではないか。それに伴う蒸発残留物、pHの基準等もなくてもよろしいかと考えておりま す。  また、地質由来の塩素イオン濃度も不要と思われます。  また、有機リンの基準が清涼飲料水原水の基準にございますが、水道水の基準にも、ま たコーデックスの中の基準にもございませんので、必要ないのではないかと考えておりま す。  ありがとうございました。つたない説明ですので、御理解いただくのはなかなか難しい と思います。是非清涼飲料水の工場現場をごらんいただきまして、より理解を深めていた だけばと考えておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○大前部会長 どうもありがとうございました。  ただいまの御説明に関しまして、何か皆さんから御質問、御意見等はございますか。 ○久保補佐 1点よろしいですか。原水という言葉がいいのか原料水がいいのかはちょっ とあれですが、原料水に井戸の水を使っているケースで、掘った井戸水をそのまま使うわ けではなくて、それを工場内で一定の処理をするというお話でしたが、処理後の水を100 %清涼飲料の製造に使うのではなくて、できた水の一部は工場内で例えば従業員の方が飲 んだりするのに使う、あるいは食器を洗ったりするのに使うというようなケースはないん ですか。 ○雛本技術部長 そこまでは調査しておりませんが。 ○久保補佐 何が言いたいかというと、そういうことをやっている場合は、実はこれは水 道法上、そういうものでも水道になるんです。なので、水道水と井戸水の区切りの線が本 当にこれでいいのかということがちょっと疑問ではあったのですが。 ○雛本技術部長 飲み水の方へ回す方法というのが、中にないのではないかと思いますけ れども。 ○久保補佐 多分、配管をつくれば可能なはずです。 ○雛本技術部長 そのような話はお聞きしたことがまだないので、申し訳ございません。 こちらもデータはございません。 ○久保補佐 わかりました。ありがとうございます。やや蛇足でした。 ○浅見委員 大変詳細な御説明をどうもありがとうございました。  御説明いただきましたものの6ページの上のところで、原料水の処理フローという図を いただいたんですけれども、こちらで受水、貯水からあとは工場内という記述がございま すが、この中で原料水と呼ぶべきところはどことお考えなのかを教えていただきたいとい うことが1点です。  それから、先ほど10ページ目の上の方で地下水基準超過率の調査の対象をいただいたん ですけれども、ここで示されているのがどの時点の数値なのかということと、ここで超過 している場合はどのような対策をとられて、製品としては超過しているのか、していない のか。その辺のことを調査されているのかどうかという辺りも教えていただければと思い ます。 ○雛本技術部長 最初の原料水と考えるところですが、原水というところですのでUV殺 菌をする最後の段階ですね。これが清涼飲料水に使用される、調合に使われ、それから砂 糖などのシロップを溶かすなどに使われる、ここを原料水と考えたいと思います。よろし いでしょうか。 ○浅見委員 例えば、抽出とかに使われて、その後、混合されるのもすべてこういう処理 をしたお水ということで理解はよろしいでしょうか。 ○雛本技術部長 はい。  それからもう一つの調査の結果のところでございますけれども、これは地下水自身の調 査ですので、この後すべてどのものであれ、清涼飲料水に製造をされる水は今の原料水の 処理フローを経るものでございますので、今、呼ばれている飲用適の原水という形で基準 に合ったものになるように処理はされます。  それで、この地下水の調査の場所ですね。 ○浅見委員 地下水の調査というのは、清涼飲料工業会の調査ではなくて、環境庁の一般 的な地下水の調査ということでよろしいんですね。 ○雛本技術部長 はい。 ○浅見委員 清涼飲料工業会の方では、地下水の調査はこれとは独立というふうに考えて いると思うんですけれども、そうであればそれは飲用適の水の基準と比べて、飲用適のち ょっと甘い方の基準だと思うんですけれども。 ○雛本技術部長 飲用適は、この後に処理した水になります。この水を処理した後です。 ○浅見委員 処理した後のものを飲用適の水の基準と比べて、原料水として使っていらっ しゃるということでよろしいんですか。結局、この表が現在の清涼飲料水の原料の現状を 表しているものとはちょっと違うという理解でよろしいですか。 ○雛本技術部長 違います。私たちが原水と言いますと、採ったところの水なのか、処理 した後の水なのかということが非常に混同しやすいので、処理した後の名前ときちんと分 けて変更していただきたいということです。採水、採り立ての井戸の水、それがこの地下 水の検査でありまして、使用するところの今の法律の原水、我々が名前を変えていただき たいと申し上げておりますのは処理をした後の基準に満たされた水です。 ○大前部会長 そのほか、いかがですか。  原水、原料水の言葉の使い分けは、今のように水を受水するところまでが原水で、それ を処理した後、清涼飲料水をつくるところの水が原料水というふうに工業会の方では使わ れているということで、そちらに合わせていただきたいといいますか、そのような御要望 だったと思います。  そのほかにいかがですか。よろしゅうございますか。  そうしましたら、続きまして健康局の方からよろしくお願いいたします。 ○久保補佐 続きまして、紙の資料になりますが、お手元の資料3をごらんいただければ と思います。厚労省健康局水道課の久保と申します。  我々の部屋では、いわゆる水道という蛇口をひねると出てくるものですね。こちらの水 の基準について設定しているということになります。  それで、水道水の方は法律が違っておりまして、水道法という法律があります。水道法 の中で水質基準というものを定めまして、各地の水道事業者、具体的には市町村の水道局 ということになりますが、そちらの方に水質基準に適合するようにという義務づけをして いるという形になります。  水道の水質基準は26項目とか50項目とかというお話がありましたが、当然のことながら どういう物質について基準を定めるのかということで、まず物質を決めて、それに対して それぞれ数値の基準を決めるという形で設定しております。  また、水道の方では水道法に基づく義務づけのある基準だけではなくて、局長通知とい う形で、これを守ることが望ましいですよという形で指導をしている。ここに書いていま すが、水質管理目標設定項目というものもございまして、このグループについても26〜27 項目ありますが、項目を決めて目標値を決めるということをやっております。  以下、この資料の中では四角囲みで1、2、3というふうに話が進んでいきまして、ま ず最初にどうやって水質基準なり、水質管理目標設定項目なりに位置づける物質を選ぶの かというところの検討がありまして、そこで出てきた物質について2.でそれぞれ評価値、 数字を決める。それで、最後に3.というところでどの物質は水質基準で法律で義務づけ をかけて、どの物質はそこまではやらずに通知で管理目標を示していくのかということを 決めておりまして、全体としてこの1、2、3という流れで基準の体系ができているとい うことになります。  1ページ目に戻っていただきますが、まず1.でどのようにして水道法で水道の世界で モニタリングなりの対象とする物質を選定しているのかということになります。水道法の 水質基準は長い改正の歴史があるんですが、最近の大きな改正というのが平成15年に行わ れたものであります。そのときには、なるべく多くの化学物質を対象に入れたいというこ とを目指しまして、ここに書いてあるような考え方で対象物質を抽出しています。  具体的には、先ほども水道の基準は、健康に関係する項目と、性状に関係する項目があ るという話がありました。そこはきちんとどの項目がどちらというふうに分けられるもの でもないものもあるのですが、基本的には分けられるものが多うございますので、分けて 考えています。  「人の健康に関する項目」として、平成15年以前の段階で既に水質基準に挙げていたと か、あるいは監視項目という名前が違うものがありますが、当時既に通知でウォッチする ように求めていた物質、こういったものはそのまま検討対象項目に挙げました。  これに加えて、外国で水道の世界で注目されているような物質を選ぶということで、W HOの飲料水ガイドラインで当時ガイドライン値を変えようとか、あるいは新たにガイド ラインを設定しようとしていたような物質をすべて選んでいます。  それから、(3)はWHOだけではなくてアメリカ、EUなどでもガイドライン値なり、基 準値が設定されているような項目。ただ、これもすべてというわけにもなかなかまいりま せんので、その中から日本国内の水道で検出報告のあるものをピックアップするというこ とをやり、その他、当時の専門委員会の先生などから指摘のあったような項目を加えてお ります。  「農薬」につきましては、WHOなどでもガイドライン値を定めている農薬というもの はあるのですが、世の中で使用されている農薬というのはそれだけではなくて非常に種類 が多い、水道を利用される方の関心も高いということで、特別に扱っております。それで 当時、何をしたかといいますと、まず国内で使用実績のある農薬、大体原体で500、600種 類あったと思われますが、その中から簡単に言えば国内での使用量の多いものをまず抽出 しました。  それで、その次に(2)となりますが、次のページにポツが2つありますが、そもそも水の 中に溶けている農薬の測定方法があるということを大前提とした上で、出荷量が特に多い もの、50t以上というもの、それから50t未満であっても過去だれかが測って検出されて いるという報告があるものはすべて拾うという形で、大体ここで100物質を抽出して、そ れを水道の方でウォッチすべき農薬というふうにまず位置づけました。  それから、最後は「性状に関する項目」ということで、石けんの泡が立たなくなること の原因になるような物質とか、色が付いてしまうことの原因になるような物質とか、そう いったものですが、ここは冒頭の健康の話とほとんど同じような感じでして、当時既に基 準になっていたものですとか、WHOの方で新たにウォッチしているもの、その他、専門 家から指摘のあったものを加えて、こういった形で全体百数十物質を選んできて、これを 水道の基準体系の検討の対象物質とするということを最初にやっております。  その次に、個々の項目について評価値を決めるという作業がありました。ここは、物質 によってはこの紙に書いた方法によらずに特別に評価値を決めたものもありますが、基本 となる考え方はここに挙げたとおりでございまして、まず「人の健康の保護に関する項目」 につきましては最初に「毒性評価」ということで、いわゆるTDIを定める作業がありま す。ここは当時ですとWHOのガイドライン、あるいはIPCSの環境保健クライテリア などの国際的な評価文書ですとか、その他当時入手できたものから毒性評価をやっており ます。  その際には、基本的には毒性に関する閾値が存在すると考えられるものにつきましては、 動物実験を根拠にするのであれば、そこで得られたNOAELなどをそれぞれ適切な不確 実係数で割りましてTDIを求めるということをやっております。  一方、遺伝子障害性の発がん性があるなどということで、いわゆる閾値がないと考えら れる物質につきましては、基本的には線形多段外挿法を取りまして、その物質の摂取によ って生涯を通じたリスクの増分が10-5となるレベルをもって評価値を決めるベースにした ということになっております。  ここには書いておりませんが、物質によっては人間の疫学のデータが存在するようなも のもありますので、そういう場合にはそちらを優先して評価値を定めるということをやっ ております。  イタリックで書いたのは、当時はまだ食品安全委員会ができる前ということでして、厚 生労働省の方でTDIの評価をして、その後の評価値の算定までやっていたのですが、現 在は新たにできた食品安全基本法に基づきまして、水道の水質基準を改廃する際には食品 安全委員会の意見を聞きなさいということになっておりますので、食品安全委員会さんの 方で出されたTDIなり、発がん性の評価の結果を踏まえて我々も評価値をつくっている ということになります。  続きまして「イ」ですが、ここからはTDIなり、1日に摂取の総量として幾つまでは 大丈夫かという数字が決まりましたので、そこから今度は水の基準値をいくつにするかと いうところを評価するわけであります。  その算定方法ですが、これは基本的にはWHOなどが飲料水の水質基準設定に当たって 使っている方法をまねておりまして、食べ物ですとか、その他、水以外の媒体からの暴露 の寄与も考慮して、生涯にわたって連続的に摂取をしても問題がないという水準を定める こととしております。  具体的には、閾値があるというものにつきましてTDIという数字が出ていますので、 それを人の平均体重50kgということで、1日1人当たりどれだけ摂取して大丈夫かという 数字を出し、水道水由来の暴露割合というものを10%というふうに基本的に見積もって、 それで水から摂取していい量を決める。それで、1日の飲水量はなかなかデータがないと ころですが、国際的にも広く使われている2Lという数字で割って水道水の評価値を決め るということをやっております。もちろん、これは物質によっては寄与率のところなどは 違う数字が入る場合もあります。  閾値がないと考えられる物質につきましては、この資料では当時の答申をベースに書い たので余り明確に書いていないのですが、実はこのようなアロケーションの配分というの はやらずに、水中の評価濃度というものを定めております。  その他、水質基準というのはその数字を維持することが義務づけられるものであるとい うこともありますので、水処理技術的に本当に達成できるのかとか、水質検査技術的に測 れるのかという辺りも考慮することとしております。だからと言って余り緩い数字にする ということもできませんので、基本的には毒性評価から数字が決まっているというふうに お考えください。  「性状に関する項目」につきましては、泡が立たないとか、水に色が付いてしまう、洗 濯物に色が付いてしまうという感じで、その物質の含まれる量が多くなることによってど んな影響が出るのかというのが様々ですので、これはそれぞれ想定される障害を生ずる濃 度レベルというものを見積もりまして、そこから評価値を設定しているところであります。  ここで個別の物質を考えていただくと非常にイメージしやすいんですが、例えば重金属 の中でカドミウムとか水銀とかというものであれば、これが水にたくさん溶けていて色が 付いてしまうとか、石けんの泡が立たないということはほぼ想定されないので、基本的に はこういう物質は健康絡みの物質というふうに考えて、健康影響の観点から評価値を定め る。逆に、例えばナトリウムとか鉄とかといったものであれば、これの過剰摂取で健康影 響が生じることももちろんあることはあるんですけれども、ナトリウムで健康影響が出る ほどというと相当味もきつくなりますので、そんなことはほとんどあり得ないということ で、基本的にはこれは性状の方からのみ評価値を定める。こういう作業をやるわけなので すが、中間的な銅とかアルミになるとどうなのか。実は、この辺はどちらともなかなか分 類がし難いところでありまして、我々として評価値を設定する際には健康と性状と両方の 観点からとりあえず評価値をつくって、そのうち小さい方を選定するというような形で最 終的に評価値を定めております。  最後に3つ目です。こういった形で物質が決まって評価値が決まる。今度は、各物質を 法律の義務づけのある水質基準にするのか、そこまではやらないのかということを決めて いく必要があるわけです。それで、この際には水質基準項目としてもちろんなるべく広い 範囲の物質を測ってもらった方が安心は安心なんですが、そうは言っても全国津々浦々、 測っても全然出ないものを測り続けるというのも無駄が多いわけでして、基本的に浄水中 で検出される可能性がある項目をピックアップするということをやっております。  その際の考え方ですが、これまたWHOの方で提案されているガイドライン値の10分の 1、1けた下、これを超えて検出される可能性があるものはガイドライン値を設定してお きましょうというような考え方を参考にしまして、アンダーラインを引いておりますけれ ども、日本ではそれまでに浄水のモニタリングの中で評価値の10分の1を超える検出例が ある、あるいは検出されるおそれがあるというものを水質基準項目に位置づけるというこ とをやっております。  ただ、例外的に、水道法の中で物質名特出しでこういうものについて基準を定めろと書 いてあるようなものにつきましては、法律に従って必ず水質基準項目に位置付けるという ことなどもやっています。  それから、毒性評価というものは常に情報がどれだけあるかという問題が付きまとうわ けでして、なかなかいい動物実験なりのデータがないということで、不確実係数を非常に 大きく取っている物質があります。こういった場合には、毒性評価そのものが暫定的であ ると考えまして、基準項目にはせずに管理目標設定項目の方に置いておくということをや っております。  裏のページになります。「水質管理目標設定項目」は基準項目の裏返しということにな りますが、結局水道水の中から検出される可能性はあるけれども、評価値の10分の1まで はいかないだろうというものを基本的に水質管理目標設定項目に位置づけるという考え方 をとっております。  それから、「農薬」ですね。農薬も基本の考え方は今の水質基準項目なりの考え方と同 じでして、100物質ほどの農薬、個々に対してADIから評価値を定めて、その評価値の10 分の1を超える検出例があるようなものは水質基準項目に位置づけるということをやって おります。  ただ、水質基準に位置づけるようなものはほとんどないのが実態で、一方、農薬につい てほとんどのものは有機物ということで、検出された場合にはどれでも同じような水処理 をすることになるのですが、どういう場合に水処理をしてもらうのかというところで、こ こに(2)で示した「総農薬方式」というものを今はとっております。  これは、100種類全部を測らなくてもいいんですが、水域ごとで使用されているであろ う、検出されるであろう農薬をたくさん測ってもらいまして、それぞれの検出値をそれぞ れの物質の評価値で割り算をしてもらって、その比の値を全部足し合わせるということを やってもらっています。それで、足し合わせた数字が1を超える、すなわち個々の項目で は評価値までいかないけれども、たくさんの農薬がちょっとずつ検出されているというよ うな場合には、一番下のなお書きになりますが、例えば活性炭の処理をその時期だけ追加 してくださいよという形で、浄水処理に万全を期すということをやっております。ここま でが基本的な話になります。  それで、「その他」としまして、実は水質基準項目も管理目標選定項目も、浄水でどれ だけ検出されたかということをベースにそれぞれの項目に位置づけておるわけですが、そ もそも日本でほとんど測った事例がないというような物質もあります。そういったものに ついては、この「要検討項目」というグループに置いておいて、厚労省の方で予算なりを 取って調査をしていくという位置づけにしております。  それから「イ」ですが、以上のことは全部平成15年当時のお話でして、その後、何をや っているかという話になります。ここは15年当時、審議会の方で議論をいただいて答申を いただいているのですが、その中で後から後から出てくる最新の科学的知見というものが ありますので、それに基づいて逐次的に見直しをしていきなさいということが言われてお ります。  そういうことで、今は、食品安全委員会などから出てくる最新の毒性評価ですとか、浄 水における検査データ、これも毎年蓄積されますので、そういったものを見ながら逐次的 にどうやって水質基準を修正していくかということについて検討をし、毎年1、2項目ず つ基準値が見直されたり、分類が変えられたりという作業が進められている。そんな状況 であります。  以上、雑駁ですが、説明を終わります。 ○大前部会長 どうもありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして御意見、あるいは御質問、その他いかがでしょうか。 ○井上委員 今の御説明にもありましたけれども、リスク評価のデータは必ずしもたくさ んはないと思われる。実際にVSD、バーチャリー・セーフティ・ドーズで決めたものと、 実際にリスク評価が行われたものと、大ざっぱに言ってどの程度の比になっているんです か。皆、VSDでもって判断してしまっているということではないですよね。質問の意味 はわかりますか。 ○久保補佐 わかりますが、今は資料がないのと記憶にもないので、すみません。 ○大前部会長 そのほか、いかがですか。 ○國枝課長 どうもありがとうございました。2ページのところですけれども、閾値がな いと考えられる物質として、原則として10-5ということでこれをTDIに相当する値とい うことです。「原則として」と書いてあるのであれなのですが、例えば実際には10-6で管 理できるようなものとか、逆に10-4でしか管理できないようなものが実際にはあって、10 -5よりも厳しく管理できるようなものは10-6で管理しているし、やむを得ず10-4でしか管 理できないものは10-4に管理しているという形のものは現実にはあるんでしょうか。 ○久保補佐 10-4、つまり緩くしているものというのは今はないはずです。  10-6なり、厳しい方で管理できる物質はあるとは思います。物によって全国で測っても ほとんど検出されない項目というものがありますので、そういったものは更に数字そのも のを厳しくすることは可能は可能なのですが、そのようなことはやっていません。あくま でも評価値の決め方は10-5というところで、「原則として」と書いてありますが、10-5と いうところはいじらずにすべて一律に決めております。 ○大前部会長 そのほかいかがでしょうか。  先ほど清涼飲料工業会の方の報告で、10ページの最後の原水の考え方の中で有機リンは 水道法に入っていないというようなことをちらっとおっしゃったと思うんですけれども、 今の話を聞くと入っていますよね。 ○久保補佐 法律に基づく義務づけのある基準の方からは今は落ちています。かつて26項 目だった時代にはたしかあったと記憶していますが、大分前からなくなっております。 ○大前部会長 そのほか、御質問、御意見等はいかがでしょうか。  それからもう一つ、実質的に処理技術もしくはその検査技術の方で対応できないという ようなものは物質としては結構あるんですか。 ○久保補佐 非常に微妙なレベルではあるのですが、臭素酸という物質については別です。  ただ、これも最終的な評価値は処理技術のレベルの方から決めているのですが、毒性評 価から出てくる数字とほとんど同じくらいであります。なので、毒性評価の不確実な要素 ですとか測定技術の不確実なところを考慮すれば、ほとんど同じ数値と言っていいと思い ます。 ○大前部会長 先ほどの10-5というのは、正式に健康局の方で決められた数字ということ ですか。あるいは、先ほどの環境省か何かで決めているものを持ってきたというような形 なんでしょうか。 ○久保補佐 私も古い経緯はよく存じ上げないんですが、意思決定の責任という意味で言 えば、もちろん健康局の方で決めている数字ということになります。  ただ、発がん性物質について10-5のレベルで管理しましょうというのは、確かに水道だ けが取っている考え方というわけではなくて、環境の水の方の媒体もそうですし、恐らく 大気もそうしていたと思うんですが、広く国内で使われている考え方だとは思います。  また、WHOのガイドラインの設定の方でも、こうした物質については10-5のレベルで 設定されているということで、比較的標準的なところに落ち着いているかと考えています。 ○香山委員 ここの2.のところで、NOAEL等を不確実性係数で除してTDIを求め たということですが、不確実係数の考え方としては動物実験であるか、疫学のデータであ るかということで、不確実係数を変えているということでしょうか。 ○久保補佐 疫学のものについては、あまり不確実係数を使っていないことのほうが多い と思います。動物実験の場合は、一般的に使われているもので、動物から人への外挿とい うところで10、それから人の個人差ということで10、その他LOAELしかない場合には 更に10ということが多いと思いますが、プラスアルファの不確実係数を使うというふうな 考えをとっております。 ○香山委員 これは、それを決定する時点での不確実係数をこの物質ではいくつをかけた とかというのは記載されているんですか。 ○久保補佐 当時の答申があるわけですが、そこには記載があります。 ○香山委員 わかりました。 ○大前部会長 そのほか、御質問等はいかがですか。よろしゅうございますか。  それでは、今のお二方からの情報も含めまして、資料4に基づきまして事務局の方から 今後の方針ということで説明をお願いいたします。 ○西嶋補佐 資料4に基づきまして、本日御審議をいただきたい規格基準の設定の基本的 な考え方につきまして、汚染物質、化学物質に特化してまとめさせていただいております ので、御説明させていただきます。  資料1も並べていただきまして、前回本部会で決まったことも合わせまして御説明をさ せていただきます。  先ほど、業界等の方から御説明もありましたように、清涼飲料水の基準値を考えていく 場合には、泉源と、原料水というネーミングの提案もございましたが、いわゆる今で言う 原水基準、そして成分規格、この3つで規制をしているところでございます。  それで、資料4の1番のところで「規格基準の枠組」というところで、前回の部会の議 論も踏まえてまとめさせていただいております。  まず「ミネラルウォーター類」ということですけれども、水のみを原料としている。ま た、一般的に殺菌、除菌以外の処理は処理工程では行わないというふうなことから、現行 の原水、原料水の基準を廃止して製品の規格に統合して規制することが適当だ。これは、 前回の部会で御審議をいただいたところでございます。  また、「清涼飲料水」です。食品衛生法では、ミネラルウォーターか清涼飲料水か、こ の2つしか定義はございませんが、ミネラルウォーター類を除く飲料につきましては水以 外に多種多様な原材料を配合して製造されるものもある。先ほど業界の方からも御説明が あったとおりでございます。また、製造工程中、あるいはその製造後に生じるような物質 もある。これはミネラルウォーター類と違う現状があろうかと思います。  そういうことで、現行どおり清涼飲料水につきましては原料水の基準により重点的に規 制を行う。製造により生じるような物質につきましては、別途製品成分規格として規制を するということが、前回部会で御審議をいただいた結果ということでございます。  資料4の2.その次のページ、3.とございますが、この2点につきまして本部会で御 審議をいただければと思います。  まず1つ目の2.目で「規格基準設定項目の選定」の仕方でございます。ここでは、基 本的には飲料水において規制される汚染物質及び化学物質について、先ほど来、水道課あ るいは業界の方からも御説明がありましたとおり、大きく2つに分けることができると考 えております。1つは「健康関連物質」、もう一つはいわゆる性状に関する「性状関連物 質」ということでございます。  それで、それぞれどういった物質があるかということが資料4の3ページ目にございま すように、水道法で健康関連物質として定めている30項目、性状関連項目物質として定め ている20項目を挙げさせていただいております。こういった2つの大きなカテゴリーがご ざいます。  それで、健康関連物質についてはリスク評価に基づいて許容摂取量及び暴露評価に基づ いて基準値を設定する。性状関連物質については、生活利用上障害を生じるおそれのある 濃度、レベルに基づき、基準値が設定されているということかと思います。また、先ほど 水道課の方からも御説明がありましたように、性状関連物質とされている中にもいわゆる 健康の観点から考えないといけないような物質も含まれているということはあるかと思っ ております。  また、その項目を選定する際に、参照すべき基準ということで事務局の方から4つ挙げ させていただいています。1つは、先ほど来御説明があります水道法の水質基準、2つ目 はWHOの飲料水の水質ガイドライン、3つ目がコーデックスでのナチュラルミネラルウ ォーターの規格、4つ目は我が国特有の事情により基準値の設定の必要な場合というふう なことで、4つカテゴリーを挙げさせていただいております。  参考資料の3に、そういった参照すべきであろう規定等を一覧にしてまとめさせていた だいておりますので、こちらも御参照いただければと思います。例えば、先ほど来、少し お話もありました有機リンの項目が下から3つ目にございますが、食品衛生法の清涼飲料 水に基準値が設定されているのみであることがこの表によって把握できます。  次に、資料4の2ページ目でございます。では、その基準値が必要な項目を選定した後 に、実際にその基準値を置くという作業がございます。その際の基本的な考え方について、 御説明をさせていただければと思います。  まず、「閾値が設定される物質」、「閾値が設定されない物質」、2つカテゴリーに分 けさせていただいております。これは、水道法の考え方に基づいて分けさせていただいて おります。  まず「閾値が設定される物質」につきましては、ここにも書いてございますように、水 道法の水質基準においてWHO等で飲料水の水質基準設定に当たって広く採用されている 手法を基本として基準値の設定が行われている。具体的には食品、空気等、ほかの曝露源 からの寄与を考慮した上で、対象物質の一日推定曝露量が基本的に以下の条件でTDIを 講じないことを確認するという方向であります。  それで、水道法、先ほど来、説明をしていただいた内容としては、人は1日2Lの水を 飲む。人の平均体重が50kgで、水経由の曝露割合として原則としてTDIの10%、消毒 副生成物は20%というふうな基本的な考え方でございます。  また、「閾値が設定されない物質」ということです。参考資料3のところに各項目をず らっと並べさせていただいておりますが、一番左の枠のところに評価依頼で◎、○という ものがございます。◎のところが食品安全委員会から評価結果が戻ってきた項目というこ とでございますが、既に食品安全委員会から評価が戻ってきた物質の中にも資料4でいう ところの閾値が設定されない物質というものが具体的には4物質ございます。ベンゼンで あり、臭素酸、また1,2−ジクロロエタン、そしてトリクロロエチレン、この4つの物 質が人に対する経口発がんリスクが評価の焦点となる物質ということで、そういった観点 からの評価で戻ってきております。  こういった閾値が設定されない物質について我々はどう考えるか。参考になるだろうと いうことで、委員の方には机上配布資料の最後のところに参考資料ということで、食品安 全委員会がこの閾値が設定されない、いわゆる遺伝毒性、発がん性を有するような物質に ついてどういった基本的な考え方に基づいて評価をしているかという資料がございました ので、それを付けさせていただいております。  「人に対する経口発がんリスク評価に関する手引き」ということで、昨年の9月2日に 化学物質汚染物質専門調査会で決定された基本的な考え方ということでございます。これ につきましては、最後の4ページ目に別紙という形で「人に対する経口発がんリスクの評 価手順」ということが図でまとめてあろうかと思います。これについて若干、事務局の方 から御説明をさせていただきます。  食品安全委員会では、いわゆる発がん物質とされるような物質、ここではいわゆる経口 摂取による人の発がん性の可能性が否定できない物質を対象とするということで、経口摂 取に限定をしているところでございますけれども、そういった物質については発がんの影 響をかんがみて大きく3つのカテゴリーに物質を分けて、それに基づいて評価を行ってい る。  1つ目のカテゴリーが、発がん性に対する遺伝毒性の関与がないという場合です。これ は、通常どおり発がん性に対するNOAELを基にTDIの算出をきちんとする。  2つ目のカテゴリーは、発がん性に対する遺伝毒性の関与が不確実である場合です。具 体的にこのカテゴリーに入っているもので、既に我々が受理しているものの物質として1 つございます。それが、トリクロロエチレンになります。トリクロロエチレンは、食品安 全委員会の評価書の中では、遺伝毒性についてin vitroでは陽性だけれども、in vivoで は不確実だという評価を基にここで言うIIのカテゴリーに入るという判断で、それに基づ いて評価書が作成をされているところでございます。  また、3つ目のカテゴリーとして発がん性に対する遺伝毒性の関与が強く疑われる、ま たは関与があるとされる物質は3物質ございまして、ベンゼン、臭素酸、そして1,2− ジクロロエタン、この3つの物質についてはin vivo、in vitro、ともに遺伝毒性が陽性 であるということで、発がん性を指標としたTDIは記載をせず、数理モデルに基づいた 発がんリスク評価を行っているということで、その結果が我々のところに戻ってきている という状況でございます。  資料4に戻っていただくと、そういった食品安全委員会の評価の基本的な考え方に基づ いて我々が基準値を設定するということでございますので、先ほどの閾値が設定されない 物質につきましては食品安全委員会でそういった手法が用いられているということをかん がみ、先ほどの水道法の基本的な考え方をも踏まえると、当該物質の摂取により生涯生じ たリスク増分が10-5となるリスクレベルを持ってTDIに相当する値を算出する方法が用 いられているというようなことが言えるかと思っております。  「その他」ということで、2点記させていただいております。  まず1つは、農薬です。これは、今後ポジティブリストとの整合性等を考慮しないとい けませんので、今回は化学物質、汚染物質に限定をさせていただきまして、別途農薬につ いては御議論いただきたいと考えております。  また、原料農産物等に由来するような汚染物質等もあろうかと思いますけれども、そう いったものについては製造工程において生じるような化学物質等々と一緒に清涼飲料水の 製品の規格として別途検討が必要だということで、今回はあくまでも資料4につきまして は水に含まれる化学物質あるいは汚染物質について基準値を設定する際の基本的な考え方 について御議論いただければと考えております。以上でございます。 ○大前部会長 ありがとうございました。  今、示されましたような考え方でいったらどうかという原案でございますが、委員の皆 様、御意見はいかがでしょうか。先ほど水道課の方から説明していただいた基準をほぼ受 け入れるといいますか、同じような形でやろうかということだと思いますが、御意見はい かがですか。10-5とか、2Lとか、曝露割合10%とか、いろいろな数字が出ておりますけ れども、ここら辺は大体このくらいの数字でよろしゅうございますか。 ○井上委員 私のこの手引きに対する理解はあくまでも一つの指針であって、実際に水道 の問題でどういうふうに委員の先生がお考えになるかということに基本的にはかかってい るだろうと思うんです。  ちなみに、バーチャリー・セーフティ・ドーズを評価に取り入れるかどうかという点で は、そう単に取り入れていないわけですね。やむを得ず食品添加物の香料では10-6を採用 して、暫定的に今そういう評価をしているところです。このリスクと取り入れ方というの はいろいろな考え方があって、諸国のトキシコロジストが模索しているところだと思いま す。  水道でこの考え方が割合以前からWHO等でとられているのは、基本的には水道は毎日 摂取するものですし、議論以前にある程度の線を引かなければならないということがある のでやってきているということがありますから、現実にどのように判断するかということ が求められているものとはその性質が違うということだろうと思います。  そういう意味では、ここに示されている10-5という数値が適当であるかどうかというこ ともさることながら、VSDを水道と同様にここで採用するという指針をどういう対象物 に対して取り上げるかということも、基本的には食品安全委員会がこのような見解を持っ ているということをもって一義的に決まってくるものではない。それが私の考え方です。 ○大前部会長 いかがでしょうか。この指針の原案自体は食品安全委員会あるいは水道法 を準用しようということでこの数字が出ているわけですが、井上先生は必ずしもそういう ことでなくてもよいだろうというようなお話だったと思います。 ○浅見委員 今のことにも若干関連するかもしれないんですけれども、VSDが取れるか どうかというのは議論の中で、項目ごとの実現性等も踏まえて考えていく必要が生じる場 合があるのかもしれないと思いますので、原則としてということであればこういう原則で いいと思うんですけれども、個々の場合には状況判断してということがあり得るのかなと 思っております。  それで、1つは水の量2Lとなっておりますが、清涼飲料の今の販売量の実績を見てみ まして人口で割りますと400ml、毎日を超える量になっておりまして、あながち少ない量 ではなくなってきているなということを実感しておりますので、やはり水道と同じ程度の 量を非常に多くの人々が飲むということを前提にする考え方を取るというのは重要ではな いかと思います。  もう一つ、TDIの10%、消毒副生成物で20%というのがございますが、水道法の中で もこの考え方が取り切れないものもありまして、塩素酸という物質につきましては次亜塩 素酸ナトリウムが消毒で使われているということもありまして、80%を割り当てたりして おります。そういうことが今回の場合も見ていく中で項目ごとに生じる可能性もあります ので、これも原則としてということで状況に応じて御審議いただいた方がよろしいかと思 っております。 ○大前部会長 いかがでしょうか。必ずしもうまくいかない場合もある。場合によっては 10-4でしか決められないような逆の場合もあるということも考えると、やはりいずれも原 則としてということで、物によっては今の10%がもう少し80%とか、いろいろなことがあ り得るのではないか。そういうような文言を入れて少し弾力的に運用したらどうかという お話ですが、いかがでしょうか。  これはよろしゅうございますか。「原則として」ということを入れる。それで、物質に よってどうしても甘くせざるを得ない場合、あるいはもっと厳しくできる場合等々、いろ いろな場合がある。  そのほか、御意見はいかがでしょうか。遺伝子障害性があるタイプの化学物質の場合は VSDを使わざるを得ない。これはよろしゅうございますか。これは、恐らく不確実性係 数では決められないものでしょうから、何らかの数字をつくらなくちゃいけないとしたら VSDを使わざるを得ない。もちろんデータがあるかどうかはちょっと別な話ですけれど も。委員の先生方、そのほか御意見いかがですか。 ○西嶋補佐 資料4の2.目の項目の選定のところですけれども、先ほど業界の方からの 最後のパワーポイントでは、いわゆる性状関連項目については必要ないんじゃないかとい う御発言もございました。当然、個々の物質について考えるということはあろうかと思い ますけれども、大きな基本的な考え方としてどういう物質について項目を定めていくかと いうところも少し御審議いただきたいと思います。 ○山内委員 確認させてください。参考資料を見ますと、一覧で水道法、食品衛生法の基 準等が書いてありますが、今、決まりましたのでこの水道基準に入っている数値のものが、 数値はどうするかは別にして清涼飲料水のいわゆる原水基準のところに設定されるという ことですか。 ○西嶋補佐 水道法の水質基準は、先ほどございましたように性状関連項目と健康関連項 目があろうかと思います。それで、従来、食品衛生法では水道法の水質基準を持ってくる ような形で基本的には基準値を定めておりましたが、準拠をする際にすべて準拠するのか、 あるいはいわゆる健康関連の項目に絞って準拠するのかということが、まさに御審議をい ただきたいところかと思っております。  その際に、WHOの飲料水のガイドラインやコーデックスのナチュラルウォーターの規 格なども含め、内外の基準値にそれぞれ準拠する、あるいは食品安全委員会の評価書の評 価の結果をかんがみて最終的には食品衛生法での基準値を定めていくということになろう とは思います。  ですから、先ほどの御質問からすると、水道法の水質基準の基準値をすべて、これを見 ると明らかにコーデックスあるいはWHOの基準値より項目数が、特に上のところはずら っと多く、消毒副生成物等を含めて多いというふうな状況で、それをすべて食品衛生法で 新たに項目として定めていくかどうかというところがまさに議論かと思っております。 ○山内委員 最終的に議論をした結果、載らないものがあるかもしれませんけれども、現 行は穴がたくさん空いているところの相当の部分で水道水、水道基準では設定があるもの について、基準が設定されていくということですね。 ○西嶋補佐 はい。 ○山内委員 最終的にどういうふうな形になるかがイメージできれば、私はそれで結構で す。 ○大前部会長 では、もう一度西嶋さんからお願いします。 ○西嶋補佐 逆に言うと、食品衛生法の基準値が水道法の基準値の項目と比べて、この図 を見ると決して多くはない。少ないと思うんです。それで、そもそもそれが穴が空いてい ると見るのか。あるいはそれで十分、あるいは多過ぎる、それでも清涼飲料水という定義 の中では十分と見るのか。それぞれそれは議論があろうと思いますので、穴を埋めるとい うことありきではないのかなと思います。  だから、これを穴と見るのかどうかということはまさに議論の肝かと思います。 ○大前部会長 それで決める場合は先ほどの水道法を準拠するけれども、何について決め るかについては先ほどの性状関連物質も含めて、それはまた議論していくという解釈でよ ろしいわけですね。単純に水道法の数字がこちらに移るわけではない。 ○浅見委員 今のことで、生活利用上の性状関連項目については基本的に入れるという案 だということでしょうか。御提案にありましたように、やはり泡立ちですとか、色とか、 においとかというものに関しましては製品にもよりますし、この辺はほかの方の御意見も 伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○大前部会長 今回はターゲットが清涼飲料水ですので、そういうもののターゲットとし ては水だという観点から、今の浅見委員の御質問に対しましてほかの先生方はいかがです か。特に水道法に完全に準拠する必要は清涼飲料水の場合はないだろうというような意味 合いだと思いますが。 ○久保補佐 私が発言するのがいいのかどうかということはあるんですが、例えば水道法 の中で性状関連項目のジェオスミンとか2−MIBという項目があります。これは何かと いうと、水にかびの臭いが付くということがあるので、それがあまりに臭くならないよう にというための基準なのですが、このかびの臭いのもとはというとダム湖に発生する藻が 原因なんです。  では、こういった項目について清涼飲料水側で基準が要るのか、要らないのか。かびの 臭いが付いてはまずいはずなので、あってもおかしくはない。  ただ、一方で先ほどの御説明ですと、水道水以外のものを原料にして清涼飲料をつくる 場合の原水は何かというと、どうも井戸水ですね。ダム湖の水を採ってはいないだろうと いう業界の実態を考えると、もちろん清涼飲料水に臭いがあってはまずいのですが、ジェ オスミン、2−MIBについてわざわざ基準をつくる必要はないだろう。  何が言いたいかと言いますと、輸入もあるかもしれませんが、結局、今、日本で製造さ れているもので使われている水で、どれだけこの手の物質が混入してきて評価値を超える なり、評価値に近付く可能性があるのかという部分を考慮しながら物質の選定をすべきだ ろうということです。  そうすると、結果的に水道と同じになるのか。水道より多くなるのか、少なくなるのか。 ここはこれから検討して決めていくことなんだろうと私は思います。以上です。 ○香山委員 今回の改正に関しては、これまで原水がどういうものであるかということが 水道法で縛られていた部分がきちんと分けられたということ、それから健康影響があるよ うな物質と、それから性状に関する項目とがきちんと分けられたことによって、非常に整 理されてわかりやすくなったというふうに感じます。  それで、基本的には必要なものがきちんと残っているわけでありますし、また、将来的 にいろいろな水環境が悪くなってきて改正をせざるを得ない。特に国際的に開発途上国等 で水の水質が悪くなっていっている現状がありますので、そういうことが今後輸入品に対 してもいろいろな対策などもしやすくなるのではないかというふうにこの改正は思います。 これが私の印象です。 ○大前部会長 それでは、そのほか事務局は何かございますか。 ○西嶋補佐 あとはちょっと別の観点から少し申し上げますと、例えば参考資料3の一覧 を見ていただくと、ミネラルウォーターと清涼飲料水、それぞれの原水基準を見比べてい ただければと思いますが、同じような飲み物でありながら清涼飲料水の項目が非常に多い。 比べてミネラルウォーターの原水基準が少ない、定めていないという項目がございます。  具体的には、真ん中辺に性状区分で性状と書いてあるpH、味、臭気、色、濁度。カル シウム、マグネシウムという硬度だったり、塩素イオンだったりというものがございます。  これは、参考資料1の方にも少し書かせていただいておりますが、もともと清涼飲料水 の規格基準を定めていたところ、新たにミネラルウォーターの基準を定めたという歴史的 な経緯もあり、その際に公衆衛生上、必要な項目という検討がなされ、ミネラルウォータ ー類ではこういった項目が設定されているという歴史的な経緯もございます。  そういったときに、清涼飲料水だけで定めているような項目、先ほど私が申し上げたも のは、いわゆる性状関連項目として先ほどの資料4の最後にも書かせていただいています し、WHOのガイドライン等でも定められております。  そういった同じような飲み物でもありながらミネラルウォーター類と清涼飲料水で若干 齟齬が生じているようなこともありますので、そういったことも少し考えながら御審議を いただければと思います。  そういったときに、これはWHO上のガイドラインでは性状関連項目、つまり石けんの 泡立ち等、硬度が高過ぎると泡立ちがよくないということでそういうふうに定められてお りますが、一方で硬度が高い水を飲み過ぎると体調に影響を与えるという話もあったりす るというようなことで、先ほど水道課の方からも御説明がありましたように、いわゆる一 般的な性状関連項目と整理をされているようなものであっても、健康上、本当に影響があ るかないかということを個別の項目を御審議いただくときには御検討いただかないといけ ないようなものも出てくるかと思っておりますので、最後に少し出させていただきました。 ○井上委員 蛇足ですけれども、水道の方からも先ほどコメントがありましたように、私 どもリスクアセスメントに携わる者としては、水道の基準というのは一生飲み続けるとい う意味でリスクアセスメントの一番厳しい基準で決めている、ゴールドスタンダードなん ですね。  その水道がきちんと守られた上で、そしてそれに準拠したような形でもって、先ほども お話がありましたように水道の水以上に多くの方がミネラルウォーターなどを飲む時代で すので、個々のものについて一つひとつ御検討いただくことが非常に重要だと思います。  殊に、ほかの領域では例えばバーチャル・セーフティ・ドーズの適用などはしないわけ で、それは水道がやむを得ずやっている最も厳しいやり方ですから、水道に基づいて水道 に準拠して行われる分には問題ありませんけれども、それをどんどん取り外したらどうい うことになるかというのは一つひとつ検討しないとわからないことがある、その点につい て強調しておきたいと思います。 ○國枝課長 先ほどの西嶋の方からの話の追加の部分になりますけれども、参考資料3の ところに評価依頼で○とか◎が付いている部分を見ていただくとわかりますが、既に設定 されているもの以外について、性状に関わるものついては実際には今、食品安全委員会が 評価依頼はしていません。  ただ、現実に今後ここで方針を決めて実際に基準値を決めていくといった場合、最終的 に食品安全委員会の方に報告することになります。その際には、もちろん評価を依頼した 物質についてどういうふうに決めたかということも食品安全委員会で確認することになり ますけれども、やはり水道法で基準があるようなものがなぜ定められていないのかという ことを問われることが必ず出てくる。その際に、今、例があったような硬度のようなもの については基本的には性状のものということで水道では入れているけれども、海外のミネ ラルウォーターでも非常に硬度の高いものとか、あるいは逆のものもございます。  そういったところで、いわゆる水道の場合にはあまねく人が飲むという前提の下で、し かもそれは重要だということになりますけれども、ミネラルウォーターという個々のもの について商品として考えた場合、もう少し自由度を考えるという意味で言えば、性状とい うことであれば別にいいじゃないかという考えもある。  そういう面で、実際にはやはり個々に見ていただいて、性状という整理に水道法ではな っているけれども、これは食品衛生法上で取り組むときにも要らないですねという部分に ついては各先生方の御了解をいただいて、それはしっかり記録に残した上で最終的に決ま ったときには、もし問われたときにはこういう議論がされましたということでしたいとい うことで問題提起をさせていただいたわけです。 ○大前部会長 そのほか、よろしゅうございますか。将来的にはミネラルウォーターとい わゆる清涼飲料水とはまた別に考えるとか、いろいろな考え方も出てくると思いますけれ ども、それはそのときの考え方で、先ほど幾つか追加がございましたけれども、それを含 めてこの方針で物質を見ていくという形でよろしゅうございますか。  それでは今後の進め方について、事務局からお願いします。 ○西嶋補佐 本日の資料4に基づいた御議論等がございましたので、事務局の方で資料4 について少し整理をさせていただきます。それで、次回の部会におきまして資料4をバー ジョンアップしたような形で化学物質、汚染物質の基準の設定の基本的な考え方を御提示 したいと思います。基本的な考え方ですので、それに基づいて基本的には御審議をいただ いて、個別に斟酌をしないといけない部分、あるいは別途検討しないといけない部分につ いては各項目について御審議をいただければと思っております。 ○大前部会長 それでは、「その他」のところで2番のところですが、事務局の方から御 説明をお願いします。 ○西嶋補佐 「その他」についてですが、資料はございません。2点ほど御報告がござい ます。  1点目は、前回6月2日の食品規格部会で清涼飲料水の議題ともう一つ、食品中のアフ ラトキシンの成分規格について御審議をいただきました。基本的にはコーデックスに準拠 した形で基準値をつくろうということで御審議をいただきましたが、その際に事務局への 宿題という形で、監視の観点からきちんと事務局内で検討するようにという宿題をいただ きました。それにつきまして、現在厚生労働省の中で検討中でございますので、本日はそ こについて御報告はできませんでしたけれども、次回以降、本部会におきましてそこの観 点からも御報告あるいは再度御審議等をいただければと考えております。  2点目の報告事項ですが、これは放射線照射食品についてでございます。前回の食品規 格部会におきまして、ホームページに厚労省のいわゆる調査の結果を掲載しますという御 報告をさせていただきまして、現在、ホームページに掲載をさせていただいております。 委員の皆様には本日、机上にその報告書の本体を置かせていただいております。これにつ きましてはページ数も多いことですので、きちんと時間を置いて本部会で次回以降御審議 をいただく一つの議題になろうと思っておりますので、そちらの方もよろしくお願いいた します。  報告事項2点は以上でございます。 ○大前部会長 ありがとうございました。一応これで今日の予定の議題はおしまいですが、 そのほかに何か委員の先生方からございますか。時間的には少し早うございますが、よろ しゅうございますか。  それでは、以上をもちまして本日の食品規格部会を終了いたしたいと思います。どうも ありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係 TEL:03-5253-1111(内線4280)