09/07/17 第6回肝機能障害の評価に関する検討会議事録 肝機能障害の評価に関する検討会(第6回)議事録  日   時:平成21年7月17日(金)10:00〜11:18  場   所:厚生労働省17階 専用第21会議室  出席構成員:柳澤座長、和泉構成員、岩谷構成員、田中構成員、林構成員、        原構成員、八橋構成員 ○柳澤座長  それでは、定刻になりましたので、ただ今から第6回の肝機能障害の評価に関する検討 会を開催いたしたいと思います。  朝早くから、大変お暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。  和泉構成員は15分ほど遅れられるということでございますので、議事は進めてまいりた いと思います。  最初に、事務局のほうから構成員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。 ○名越課長補佐  障害保健福祉部企画課の名越でございます。  本日の構成員の出欠でございますけれども、長崎大学の兼松構成員から本日はご欠席と いう連絡をいただいております。それから今、座長がおっしゃられましたけれども、和泉 先生がちょっと遅れて出席をされるということであります。  それでは、資料のほうを確認させていただきます。  今日は資料として「肝機能障害の認定基準の考え方について」、横向きの資料が1つ、 それから、参考資料といたしまして、1つ目に肝機能障害の評価に関する検討会の構成員 名簿、そして参考資料2つ目が肝機能障害の評価に関する検討会、前回第5回の議事録で ございます。  以上、お手元にございますでしょうか。足りないものがございましたら、お申し出いた だければと思います。 ○柳澤座長  よろしゅうございますか。  それでは、本日の議事に入らせていただきます。  前回までのところで、肝機能障害というのが、身体障害者福祉法の中の内部障害として 位置づけられるであろうと。そして、永続・固定というふうな状態をどのように考えるか ということについての議論を進めてまいりました。それに続きまして、実際に身体障害の 等級などを含めまして、事務局と肝機能障害の専門家の構成員の方々との協議を行ってい ただいて、今回それについて議論をするという、そういう手はずになっておったわけであ りますが、今日の検討会の進め方につきまして、事務局のほうで用意したところをここで 出していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。 ○名越課長補佐  以下、座って説明をさせていただきたいと思います。  本日の議事でございますけれども、ただ今、座長がお話しになりましたように、第5回 の検討会までに出ました肝機能障害を内部障害としてとらえられるのではないかという方 向性に基づいて、認定基準について具体的に考えていくということでございまして、肝臓 の専門家の先生方と一緒に肝機能障害の認定基準の考え方についてという資料を作成いた しております。  今日、具体的に認定基準そのものというわけではありませんで、認定基準を決めていく 上での最終的な確認事項というところを確認する趣旨の資料でございまして、これにつき まして事務局から説明をいたしまして、次いでご議論いただき、考え方の整理を行ってい ただきたいというふうに考えております。 ○柳澤座長  それでは、肝機能障害の認定基準というものについて、事務局の従来からの法的な内容、 他の疾患について、それと肝機能障害について具体的な専門家の方々との協議の結果とい うことで、ここに出されました肝機能障害の認定基準についてという資料を説明していた だき、ご議論いただきたいと思います。  では、どうぞ。よろしくお願いします。 ○名越課長補佐  それでは、資料のほうをお手元にご用意ください。  議論未了の論点(1)、(2)、(3)、(4)というものが中に準備してございますけれども、ま ず最初に論点(1)、(2)について、先にご説明をさせていただきます。  1枚めくりまして1ページ目でございますが、これはこれまでに本検討会で方向が示さ れております認定基準を作成する上での基本的考え方のおさらいでございます。  身体障害者の範囲としては、一定の障害が固定・永続し、日常生活活動に著しい制限を 受けているものということとされております。  肝機能障害におきましても、一定期間、重症の状態が継続しているものについては回復 が困難でありまして、障害が固定・永続していると認定してよいのではないかという方針 をこれまでいただいているところでありますが、その目安といたしまして、現在までの検 討会での議論によれば、肝機能障害の重症度分類でありますChild−Pugh分類においてグレ ードCの状態が一定期間継続することが確認されればよいのではないかということになっ ていたと思います。そもそもこのグレードCという状態は、それだけでも日常生活活動の 制限があるということでありましたが、日常生活活動の制限について、いかに認定基準の 中で反映させていくのかといったことも課題として取り上げられてまいりました。  また、前回の検討会では、肝移植を行った方について、現に腎臓移植でありますとか、 心臓移植でありますとか、こういった移植を行った方については身体障害として取り扱っ ているわけですけれども、肝臓においてはどうするのかという議論をしていただきました。 抗免疫療法を実施しなければ移植後の臓器が拒絶反応により臓器不全に陥ってしまうとい うことを考えると、他の臓器と同様に身体障害として取り扱ってよいのではないかという ような議論がございました。  このように、認定基準を作成する上での基本的考え方が示されている状況でございます が、今後、認定基準を具体的に設定していくに当たりまして、まだ議論が終了していない 点が、先ほど申しましたが4点程度ございます。  2ページ目に移りますけれども、認定基準を作成する上で議論未了の論点(1)と(2)につ いて併せて説明をさせていただきたいと思います。  前回の検討会では、Child−Pugh分類のグレードCの状態が一定期間続くことが確認され た場合、議論の発端としては、ウイルス性肝炎によるものを議論の発端として、この検討 会ができたという経緯があるんですけれども、ウイルス性肝炎以外のもので重症なもので あっても肝機能障害の原因が違うということで、それが対象となったりならなかったりす るというのは、実務上説明が困難ということもあり、これらを原因の区別なく扱うという ことについて提案をいたしまして、検討をいただいたところでございます。概ね肝炎ウイ ルスにこだわらない方向でよいのではないかということもありましたが、一つアルコール 性肝障害につきましてはどのように取り扱うのかといったところが議論となりました。  この問題をいかに解釈するのかということで、関連して3ページ目の論点(2)のところで 提案をさせていただきまして、本日の議論につなげていこうというふうに意図していると ころでございます。ここでは肝機能障害が変動する可能性が残っている場合という論点で 2つのポイントについて示させていただいております。  示されている内容でございますが、Child−Pugh分類のグレードCでは基本的に障害は不 可逆であるという認識でこの検討会ではここまで議論を進めているところでありますけれ ども、実は積極的に治療を行っている、現在治療中であるという方に関して、障害が改善 する可能性があるという方も重症の中でもいらっしゃると。その方が治療の結果、改善が 見込めるという場合はどう取り扱うのか。あるいは、肝機能障害を一時的に悪化させる要 因として、ここでは例として先ほども出ましたアルコールというものがありますけれども、 これは禁酒すれば、しばらくするとアルコールの直接の影響がなくなりまして、肝機能が 回復する可能性があります。アルコールを飲み続けた状態で評価するのか、アルコールの 直接の影響がなくなった状態まで要因を除去した後に評価するのかということについてご 議論をいただきたいと思います。  論点(1)の部分に関連いたしまして、ここで出ました2つ目のアルコール性肝障害であり ますけれども、これは例えば数カ月間禁酒をしているというような状況を確認して、アル コールが直接影響を及ぼさない状態になったところで肝臓のダメージを評価するというよ うな考え方を取り入れれば、一応押しなべて全ての肝機能障害の原因になるものをとらえ つつも、制御が非常に難しいアルコール性肝機能障害の方について、肝機能障害を改善す る努力をしながらも、なかなか改善しない場合、アルコールを抜いて断酒が6カ月間たっ ても、なおかつそれでも肝臓の状態が回復しないというところをもって評価をし、肝機能 障害と認められるのであれば、そういうことでいいのではないかというような考え方を提 示しているわけでございます。  順番が逆転いたしましたけれども、肝移植以外の治療、一般的な肝臓の肝機能障害の治 療によって今後の改善が見込めないというところについても一応確認が必要ではないかと。 それには治療歴、今後の治療の見通しといったところを確認するとともに、従来言ってお ります一定の期間、重症の状態が続いた場合という言い方をしておりますが、症状の固定 ・永続を確認するために、3カ月から6カ月程度の一定の期間をあけた上で症状の確認、 重症の状態が続いているというところを確認するということをしてはどうかという提案を しているというわけでございます。  ちょっと2枚目の説明がまどろっこしくなってしまいましたけれども、以上2点にわた る1つ目、2つ目の論点について、肝機能障害の原因を問わないというスタンスでこれは 問題ないかということ。それから、症状の固定・永続について、症状が変動するという可 能性も考えながら、治療やアルコール等の影響がないということを確認した上で一定の期 間、例えば3カ月から6カ月の間をとって評価をし、これを確認するという方針について ここでご議論をいただければというふうに思っております。よろしくお願いします。 ○柳澤座長  それでは、ただ今説明されました論点の(1)、2ページ目でありますが、それと3ページ の論点の(2)につきまして、少し皆様方のご意見を伺いたいと思います。  基本的には、原因疾患につきましては、やはり症状固定・永続ということからいきます と、Child−Pugh分類のCということで、かなり進行した状態になるということを考えまし て、余り疾患を固定するということよりは、むしろここに挙げましたような、基本的には 原因となる疾患については問わないというふうな方向での議論が今まで進んでいたわけで ありますけれども、一方で、2ページ目の一番下にありますアルコール性肝障害につきま しては、本人の自覚、あるいはまた精神障害の立場からいって、いろいろな問題があるわ けですけれども、これをそのまま無条件に取り入るということになると、モラルハザード を来すことになるのではないかという議論が複数の構成員から出されまして、それにつき ましていろいろとご検討いただいたという経緯がございます。  まず、肝機能障害の範囲につきまして、このような形でいいか、アルコール性肝障害に ついての条件というのはこの次の3ページ目のところで議論したいと思いますが、疾患の 範囲というのはいかがでしょうか。さらにつけ加えるべき疾患があるか、あるいは外して いいというものがあるか。主な肝機能障害はこういう形で列挙されているわけでございま すが、肝臓の専門家の構成員の方々に改めて確認させていただきたいと思いますが、ここ に挙げたような形でよろしゅうございますか。  林先生。 ○林構成員  基本的にはこれで結構だと思っています。  この中で、6種類のうち、薬剤性とアルコール性だけは原因が特定できますので、それ をやめると、ある程度肝機能が改善する可能性があります。薬剤性は大概、診断がついた 時点でその薬剤をやめてしまっておりますので、その時点での評価で適当だと思いますが、 アルコール性は、先ほども議論がございました点で少しご議論いただかなければならない と思っています。一方、代謝性の肝疾患の中に最近、脂肪、NASHという最近病名があ りまして、いわゆる肥満とか、肥満以外もあるんですけども、そういうもので肝硬変にな る場合がございまして、それを代謝性肝疾患の中に広く含めてしまえば、これで問題はな いというふうに思います。 ○柳澤座長  脂肪肝といいますと、かなり数は多いと思いますが、それから肝硬変にまで至るという ことになると、大分数は絞られてきますね。 ○林構成員  非常に数は限られていると思います。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○岩谷構成員  基本的な枠組みはこれでいいんだと思うんですけれども、ただ、アルコール性肝障害を どういうふうに見るのかということは、モラルハザードというような言い方をしないほう が私はいいんじゃないかと思うんです。というのは、やっぱりこれはそういう治療をすれ ば、まだ治療の余地が残っているからという意味で扱うべきじゃないかなと思いますけれ ども。 ○柳澤座長  分かりました。おっしゃるとおりだと思います。  全体を通して、八橋委員のお考えは。 ○八橋構成員  肝機能障害の原因となる疾患というのは、この表記で、大まかにはこのように分類され、 またおよそ網羅されていると思います。アルコール性肝障害の扱いについて、以前から議 論が続いていますが、私が考える、肝機能障害の認定のあり方とは、要するに肝機能障害 を起こす原因が明らかであり、その原因を除去できる、取り除くことができるものは可能 な限り除去する。しかしながら原因を除去しても回復しない肝障害を持った肝疾患患者を 救済するという姿勢を明確にすればよいのではないかと思います。その考え方でいけば、 かつてアルコールを大量に飲まれている方の中には、既にお酒をやめておられる方もおら れます。その中に既に肝硬変が完成してしまい、完全禁酒後も症状が回復しない方もおら れます。そういった方に対しては適用してもよいのではないかと思います。ただ、基本的 には飲酒を完全にやめていただくことが絶対条件です。アルコールに限らず、肝障害の原 因が明らかなものはその原因を除去する、除去していただく。その上で認めていいのでは ないかと思います。 ○柳澤座長  分かりました。よろしゅうございますでしょうか。  どうぞ。 ○原構成員    教えていただきたいのですが。NASHの機序としては、アルコール性のものは含まれ ないと考えてよいのでしょうか。アルコールもNASHになり得る病態があるのでしょう か。 ○林構成員  NASHの定義は、お酒を飲まないというのが診断の定義に入っていますので、非アル コール性脂肪性肝炎ということですね。それはお酒を飲む人は含まれておりません。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○岩谷構成員  すみません、もう一つ、アルコール性肝炎のことですけれども、要するにこれは、治療 がということに非常にこだわるのは、例えば精神疾患としてアルコール依存症があるとす れば、今度その人たちは精神疾患であるからといって除外してしまうというような、そう いう話に発展しかねないので、特にそこは私は注意したほうがいいと思っております。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  よろしゅうございますか。一応、今のご議論の中で、次の論点(2)のところに関わるもの もございますが、そういった点を含めまして、肝機能障害の範囲として具体的な原因疾患 はここに挙げたものという部分で、これはしかし法的にはどうなるんでしょうか。主な原 因ということで列挙されているので、疾患名を固定しないという場合には、これ以外のも のであっても、大まかなChild−Pugh分類のCということに該当して、重症度が一定の等級 に合致すれば、それは検討の上で認める余地を残すという、そういう理解でよろしいんで しょうか。 ○名越課長補佐  そもそも障害の基準をつくっていく上で、病気の名前を限定するというのは非常にまれ なことでありまして、肝機能障害の場合も病気の名前を具体的に書くということはおそら くないというふうに考えております。 ○柳澤座長  そうしますと、ここに挙げられました疾患が6ありますけれども、一応議論のたたき台 として具体的にイメージとして考えていく疾患で、比較的頻度が多いものであるというふ うな理解でよろしいわけですね。 ○名越課長補佐  さようでございます。こうした疾患の名前を具体的に書くということを念頭にここに示 しているわけではなくて、どういう病気があるかというのをイメージしていただくために、 あえてここで具体名を述べているということでありまして、実際に基準をつくっていく上 では、むしろ具体的な疾患名を列挙するというのは難しいのではないかというふうに思っ ております。 ○柳澤座長  分かりました。そのような理解で進みたいと思います。  和泉構成員が出席されましたけれども、今審議を始めておりまして、お手元にあります 肝機能障害の認定基準についてというところの論点として(1)と(2)が今議論の対象になって おりますが、(1)の範囲につきましては今のような形で、これが一つのサンプルということ で理解するということで、(2)のほうにこれから移るということであります。  それでは、(2)に進みますが、(2)はやはり評価をどうするのかということ。特に時間的に 症度が変動する場合に、もちろん治療によってですけれども、どうするか。それからまた、 特にアルコール性肝障害の場合には断酒をすることによってかなり状態がよくなるという ことも期待できますので、重症度の判定の際にそういった断酒ということを条件にするな らすると。その上で、どのくらいの期間の断酒をもって評価していいかということになる かというふうに思いますが、全体についていかがでしょうか。もし原因を取り除くという ことでありますと、身体障害者福祉法としての基本的な症状固定というのは、たしか6カ 月ではなかったでしたか。 ○名越課長補佐  現在、明文化されたもので6カ月というものは残っていないんですけれども、法制定の ころから現場で使われてきた基準、あるいは状況によっては行政のほうで概ね6カ月程度 という提示をしていたころもありました。これは一つ参考になる数字であろうというふう に思っております。 ○柳澤座長  分かりました。  そうしますと、やはり状態を判定する場合には、基本的にはアルコール性の場合には6 カ月間断酒をした状態で重症度を判定するということになるかと思いますが、そういった 点も含めて皆様方のご意見いかがでしょうか。  どうぞ。 ○八橋構成員  アルコールに限らず、ウイルス性も一時的に肝機能が悪くなる場合がしばしばあります。 典型的な疾患として、ウイルス性急性肝炎の場合も、経過中には一時的にはChild−Cの状 態を呈する場合がありますが、通常は1ヶ月以内に回復します。ある一定期間、肝機能障 害が持続するという点を評価するためには、やはり数ポイント、ある一定期間内に2回以 上は評価する、ワンポイントではなく2ポイント以上評価するというのが基本だと思いま す。 ○柳澤座長  分かりました。  期間としては、ある程度定めるとしたら、八橋先生のご意見ではどんな形になりますか。 ○八橋構成員  やはり3カ月から6カ月という感じですね。 ○柳澤座長  3カ月から6カ月ということですね。  ほかにいかがでしょうか。  その場合の、例えば診断書、申請書の取り扱いなんですが、基本的には、従来は身体障 害者の診断書というのは、6カ月間なら6カ月間症状が固定して今この状態であるという ことで申請をされていて、それを審査したというふうに私は理解しているんですが、今の 2点ということで状態を把握するということになると、ちょっとその診断書の内容が変わ ってくるかと思いますが、その点は事務局としてはどうですか。 ○名越課長補佐  実は間に期間を置いて2回検査をするという障害がございます。HIVがそうでござい まして、これは間を1カ月間とって、両方の数値を確認して障害の認定に使っているとい うような状況がございます。HIVでは1カ月という期間を置いていますけれども、これ はその障害の固有の特性によってあける期間というのは変わり得るものだというふうに思 っております。 ○柳澤座長  分かりました。  そうしますと、八橋構成員のお話にもございました内容を考えますと、全体として肝機 能障害の場合には3カ月から6カ月の間を置いて、2回、状態についての診断書を出して いただくということが適当なんでしょうか。  いかがですか、林先生。 ○林構成員  やはり肝機能障害の場合は急性増悪というのがございますので、そういう意味では複数 回の肝機能を用いるというのは私も適当だと思っています。  ただ、申請をするときに、例えば3カ月から6カ月は間隔を置くにしても、ほとんどの 患者さんは一定の医療機関で既にChildのA、Bのときから医療機関にかかっておられます ので、申請時からさかのぼって、例えば3カ月前、6カ月のデータを使ってもいいのなら ば、別にその期間を設けてもほとんど実際に困ることはないのではないかという気がいた します。 ○柳澤座長  分かりました。  ただ今のような方式というのは、申請のための診断書を出す上で、患者さんの側にとっ ても、診断書を書く医師の側にとっても大変やりやすい方法だと思いますので、様式とし ては、継続して診断されている場合にはさかのぼって3カ月なり6カ月の状態も書いてい ただくと。あるいはその時点で別の機関にかかっているならば、そちらのほうで3カ月な いし6カ月前の状態についての診断書を書いていただいて、正規の申請というのは、やは り2回目の間を置いた後のほうの申請の状態によって判断をするという理解だと思います が、そのような取り扱いでよろしゅうございますでしょうか。 ○和泉構成員  ちょっとよろしいですか。  一番難しいのはアルコールではないかと思うんですね。アルコールでこれだけの肝機能 になっている方は依存症ですよね。依存症の方の断酒の成功率というのは、2年でたしか 二十五、六%じゃなかったかと私記憶しているんですけど、やはり断酒ということについ てかなりきちっとしたあれを設けておきませんと、やっぱり悪い生活習慣の人たちも保護 するというようなのは趣旨から外れるんじゃないかと思いますので、一定の縛りはやっぱ り設けたほうがよろしいんじゃないでしょうか。 ○柳澤座長  そうですね。これは論点の(1)のところでも議論がありましたけれども、基本的には原因 を除去してからということで判断をするということでありますので、アルコール性の場合 には当然、断酒をするというふうなことだろうというふうに考えておりますので、それは きちんと診断書をつくる場合に留意事項として明記しておいていただくということだろう と思います。  もし先ほどからの議論のように、間を置いた状態についての記載を求めるとすれば、3 カ月から6カ月というふうなご意見が出ておりましたけれども、これはどうなんでしょう か。あまり6カ月なら6カ月というふうに決めなくても、幅を置いても事務的にはそれほ ど難しくはないんですか、取り扱いは。 ○名越課長補佐  できれば決めておいたほうが現場では、実際に診断書を書かれる先生方は助かると思い ます。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。そうしますと一定の期間ということになると思いますが、3カ月か ら6カ月というふうな先ほどからのご議論であれば、一応、症状固定ということを理解す る場合には6カ月というふうなことのほうが適切かと思いますが、そういたしますと、お そらく慢性の肝機能障害でChild−Pugh分類のCになるような段階の方というのは医療機関 にずっと継続してかかっておられますので、申請の診断書を書くときに6カ月前の状態に ついても記載していただくということでよろしいというふうになると思いますが。6カ月 でよろしゅうございますか。肝臓の専門家の先生方。 ○林構成員  前向きには6カ月だとちょっと、患者さんにとって非常に不利益を与えると思うんです が、過去のデータを使っていいんでしたら、別に6カ月の間でも全然問題がないような気 がいたします。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。当然、過去のデータも、ちゃんとした医療機関でデータがとられて いれば、それを使うということでよろしいと思います。 ○岩谷構成員  前向きに6カ月じゃ不利だという方というのは、どれぐらいおられるんですか。 ○柳澤座長  ほとんど全部の方じゃないですか。 ○岩谷構成員  ですから、要するに6カ月前のデータがなくて、これから6カ月といったら不利益を被 るという方はどれぐらいおられるんでしょうか。 ○林構成員  割合は全然分からないんですが、ある一定の肝機能障害の人を今回対象にしようという ことなので、そういう対象の人についてはできるだけ早い時期にそういう利益を与えてあ げたほうがいいという基本的な考え方に立ちますと、患者さんが来られてから、そこから 6カ月後にもう一度やるとすれば、その6カ月間は患者さんとしては利益を得ることがで きないということになりますので、もしくは3カ月でそれが認定できるものならば、そう すると3カ月にせざるを得ないと私も思います。ところが、過去にさかのぼってですと、 別にその期間が3カ月であれ、6カ月であれ、患者さんにとっては利益を得るという期間 が遅くなるわけではございませんから、別にそれは6カ月でも全然問題がないような気が します。  実際問題、アルコールとは別なんですが、アルコール以外だと実際問題、3カ月間、間 を置いて両方の肝機能を比べていただくと、ほとんど固定の問題は分かると思いますので、 前向きにやるんでしたら逆に3カ月でもいいのかも、ということになると思います。 ○岩谷構成員  結局それは、要するにどれだけそういう方がおられるかの問題なんじゃないんでしょう か。今ほとんどChild−Pugh分類のCの方がたくさんおられて、その人たちが大半の対象で あるということであれば、そうしたらそれはいいと思いますけれども、そうじゃなくて、 これから前向きの方が結構おられるということでしたらば、やっぱり制度の書き方として は違ってくるんじゃないでしょうか。 ○柳澤座長  それにつきましては、前回までのご議論の中で疫学的なデータもある程度出ていたと思 いますが、前回の議事録、私ここに来てから少し目を通したんですけれども、肝硬変の患 者さんの70%から80%がウイルス性肝炎だというふうに伺っていますが、そうだとすると、 やはり経過はそれなりに、非常に劇症型のものを除けば、やっぱり6カ月ぐらい受診して いるということが、まず大部分ではないかなと思うんですが、田中先生、いかがですか、 その辺のご議論は。 ○田中構成員  今おっしゃったように、ウイルス性のものであれば、すでに医療機関にかかっていらっ しゃる、つまり、重症なChildのC、あるいはBからCになった人は既に長い間医療機関に かかっていらっしゃると思います。ChildのCだけれど、今から6カ月経過をみてという人 は少ないのではないかと思いますので、それほど不利益を被るような方というのはいらっ しゃらないというふうに思います。 ○岩谷構成員  もう一つ、先生、じゃChild−Pugh分類のBからCに移る方というのはどのくらい。その 場合には今度、前向きにされなきゃならないことになりますよね。 ○柳澤座長  身体障害者福祉法の基本的な考え方からいったら、6カ月の間にBからCに移るという ことであれば、それは対象にならないわけです、症状固定ですから。ですから、それは要 するにCの状態が6カ月続いているということがきちんとした診断書で示されるというこ とが条件になりますから。それはもうちょっと先になる。 ○田中構成員  Child−Pugh分類のBからCの移行率という数字もありますけれども、ちょっと覚えてい ません。 ○柳澤座長  ただ、申しわけないんですけれども、その議論は、今の身体障害者福祉法の対象にする かどうかということと、重症度をどうするかということとは別の議論になってしまうわけ です。  基本的には症状の固定・永続ということが身体障害福祉法の基本的なものでありますか ら、そうするとやはりCの状態になって6カ月ということが条件なんですね。ですから、 それで不利益云々という議論はちょっと法的な立場からは無理だろうというふうに思いま した。 ○岩谷構成員  それを確認しておけば。 ○柳澤座長  分かりました。  いかがでしょうか。どうぞ。 ○八橋構成員  ウイルス性肝硬変の場合もChild−BからCに移行するのですが、ウイルス性肝硬変の場 合の一定の認定期間としては、私は3カ月で十分だと思います。むしろ、短い期間内に認 定してあげるべきだと思います。  一方、アルコール性肝障害の方に、完全にお酒をやめていただく期間として3カ月は短 いと思います。肝障害の原因は問わないというのが大前提とお聞きしていますが、認定の 一定の期間としては、ウイルス性の場合は3カ月程度、アルコールの場合は6カ月以上と 考えていたものですから、先ほどの私の発言は、3カ月から6カ月という幅を持たせてし まったということです。 ○柳澤座長  おそらくそれは、疾患によって期間を変えるというのは、なかなか事務的には大変だろ うと思います。そうしますと、むしろ例えばアルコール性の場合でも、これは正しく患者 さんが申告をして、正しい状態を診断書に記載してもらうということがもちろん当然の条 件なんですけれども、そういうことであれば、アルコール性であっても3カ月ということ で一応認めるということも可能かなと思いますけど、この辺はいかがですか。大分厳しい ご意見をおっしゃっていた構成員は。 ○和泉構成員  アルコールの場合の3カ月断酒率というのは結構高いんです。でも6カ月になるとどっ と落ちてきますので、いわゆるアルコールの場合の断酒の期間というのは、非常に大切な 影響を取り除く期間だと思いますので、やっぱり3カ月は絶対的に少な過ぎると思います ね。 ○柳澤座長  分かりました。先生も同じご意見ですか。  そうしますと、基本的には、原因を取り除いた状態で治療をしてということが診断の上 での前提条件になるということを考えますと、ただし、アルコール性肝障害については6 カ月の間隔を持った状態の記載を必要とするとか、あるいは求めるとかということで、ち ょっと例外的になって申しわけないんですけれども、アルコール性だけ6カ月ということ にしましょうか、案としては。いかがでしょうか。 ○名越課長補佐  認定基準そのものの中で、アルコールという話をどうとらえるかということもあります けど、認定要領で、アルコールも含む原因除去可能な要因については、これを除去できた ことを確認するということで、診断書の様式の中にアルコール断酒6カ月とかという項目 を入れれば確認も可能になろうかと思いますので、そこは具体的なものをつくるときに肝 臓の専門家の先生方とご相談をして様式を固めていきたいというふうに思います。 ○林構成員  それはウイルス性の肝硬変でも、お酒を飲みますと病状は悪くなりますので、我々はウ イルス性の肝硬変の方についてもお酒はやめなさいという指導をしておりますので、原因 がほかの原因でも6カ月お酒は飲まないという条件をつけていただいても、それはそれで 構わないと思いますけど。 ○柳澤座長  それでは、一応3カ月、6カ月の問題をどういうふうな形で具体的に、例えば診断書な ら診断書、あるいは取り扱いの規定の中に含めるのかというのは、かなり技術的、テクニ カルな問題もありますので、事務局と肝機能障害の専門の構成員の方とでちょっとご議論 いただいて、この次までにそれを案としてまとめていただくということでよろしいでしょ うか。  じゃ、そのようにいたしましよう。  そうしますと、一応論点の(2)というのは以上でよろしいかと思いますが、先へ進んでよ ろしゅうございますか。  それでは、次は論点の(3)と(4)でありますが、事務局のほうからの説明をお願いします。 ○名越課長補佐  それでは、資料の4ページ目、認定基準を作成する上で議論未了の論点(3)の部分から引 き続き説明をさせていただきます。  まず、肝機能障害の等級についてであります。  ここで掲げております参考、他の内部障害の等級というのは、これは前回の検討会でも 提示をさせていただいているものでありますが、改めまして簡単に解説をさせていただき ます。  内部障害は、昭和40年以降に追加をされてきておりますが、その際に肢体不自由や視覚 ・聴覚などの従来の身体障害の等級との関係を一応確認をしながら、総合的に1級、3級、 4級という3分割で等級を決めてきております。現在あるものとしては、心臓、じん臓、 呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸ということでありますが、これは2級が存在しないという わけではありませんで、2級以上、1級及び2級に相当するものをまとめて1級に位置づ けているという整理であります。  内部障害は、肢体不自由等の障害と違い、日常生活活動の制限という観点で等級を分け ておりまして、当時の考え方として3段階に区切ったものというふうに考えております。  一方、最も最近つくられましたHIVによる免疫機能障害におきましては、もともと内 部障害で1級だけであったところを2つに分けて1、2、3、4級の4段階の等級に分け ております。HIVによる免疫機能障害では、数値の検査と日常生活活動項目をカウント することによって、これを組み合わせた認定基準を設定して障害等級の細分化を図り、よ りきめ細かな支援ができるように配慮したものというふうに考えております。  肝機能障害におきましては、従来の臓器別の1、3、4という区分にするか、最新の内 部障害で採用しました4分割という形にするのか、2つのオプションがございます。最新 のものを採用して、きめ細かにいくのか、1・2級をまとめることにより2級相当の人が 1級の支援を受けられるというほかの臓器並みとするかというところでありまして、前回 も結論が出ていないところでありますが、今回も持ち越しとなっております。ご意見を再 度お願いしたいというふうに考えております。  それから、5ページ目でございます。  認定基準が決まった後、認定要領をつくっていく中で、おのおのの認定基準の等級に対 して、どういう状態にある方を何級にするというのを決めていく作業が必要となってまい ります。これまでにChild−Pugh分類を使ってグレードCに入るものを一定の障害とすると いう方向が示されておりましたが、これを1、3、4、あるいは1、2、3、4に割り振 っていくというときに、何を参考にするのかということについて確認を行いたいというふ うに思います。  ここで示しております提案でございますが、次の6ページ目にChild−Pugh分類、何度も 出てきておりますけれども、肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、 血清総ビリルビン値という5つの評価項目がございますが、客観性につきましては検査数 値、具体的にはアルブミン、プロトロンビン、ビリルビンというもののデータをより重視 して等級分けの参考にしてはどうかということ。  それから、日常生活活動の制限の評価につきましては、一般的な日常生活活動の制限に 関する項目、この表の中でいきますと、1日何時間以上の安静臥床を必要とするほどの強 い倦怠感、あるいは嘔吐、嘔気、あるいは筋けいれんがあるというような項目のほか、そ の当事者の病歴、あるいはChild−Pugh分類以外の肝機能障害と関連するほかの診断項目に ついても併せて評価してはどうかということであります。  障害の重さに影響する病歴といたしましては、肝がんの治療を行った既往がある、ある いは特発性細菌性腹膜炎の既往がある、あるいは胃食道静脈瘤の治療を行ったという既往 がある、あるいは現在の肝炎ウイルスの持続的感染があるということ。  Child−Pugh分類以外の肝機能の診断項目として、眼球結膜黄染が見られるということ。 一定の血中アンモニア濃度であるということ。あるいは血小板、これは出血傾向を見るも のでございますけれども、これが一定の数字以下であるといったところを参考にしてはど うかと。  一般的な日常生活活動に関係するものといたしまして、安静臥床の必要度、強い倦怠感、 疲労感といったものがどのくらいあるのか、嘔気、嘔吐がどの程度であるのか、有痛性筋 けいれん、こむら返りというのがどのくらいあるのかといったところを見ると。こういっ たものを積み重ねて等級を割り振っていくときの参考にできないかということでございま す。  ここで日常生活活動の制限に関する項目を、イメージを載せておりますけれども、全体 の議論のほか、個別の項目についても、もしご意見がありましたらこの場で言っていただ ければ参考とさせていただこうと思います。  以上、Child−Pugh分類とそれ以外の組み合わせをいかにやるかというところ、次回の検 討会での資料づくりに反映させるということになると思いますけれども、こういった考え 方で認定基準を作成することについてどうかという提案をさせていただきたいと思います。 ○柳澤座長  それでは、ご意見を伺いたいと思いますので、論点の(3)が障害等級をどうするかという こと。それから論点の(4)は具体的に重症度の指標をどういった項目を取り入れて判断して いくということでありますが、ちょっと障害等級については、確かに今の説明にありまし たように難しい点がありまして、従来の内部障害の等級は1級があって、それから2級が なくて、3級、4級となっているという、級のあらわし方ということからいくと、ちょっ と異例な状態で扱われてきたということがあるんですが、一番新しいHIVにつきまして は1、2、3、4級にしたということで、いかがでしょうか、特に肝機能障害の場合は、 これから具体的な等級についての検討をしなければいけないわけですが、特段に問題がな ければ1、2、3、4というふうに等級を分けるということで作業を進めるということで よろしいのかなとも思うんですが、皆さん方のご意見はいかがですか。 ○岩谷構成員  1級、3級、4級という分け方で、身体障害者福祉法の中で受けられるサービスが、こ の1級、2級を分けていないということによって、そこに何らかの不公平感とかいうもの が、要するに身体障害者福祉法の範囲内でそういうことが起こっているんでしょうか。  と申しますのは、1、3、4級というのが、2級がないということについて、これがな いために非常に不公平だというご意見が多いんですけれども、これ身体障害者福祉法の枠 内なんです。その枠内で考えたときに、そこに不公平な制度になっているのかどうかとい うことについて、ちょっと教えていただきたいんです。 ○名越課長補佐  障害のレベルでいくと、先ほどの説明でも申しましたとおり、2級相当の方を1級とい う形で認めて、それで2を抜いて1、3、4級であるという説明をしておりまして、一応 理屈としては2級がないことによるデメリットということはないというふうに考えており ます。  ただ、一般に、2級が何でないんだと。本来、私は今3級だけれども、これはおそらく 2級があれば2級に相当するので、その分はサービスが受けられない、それは問題である という主張される方もいらっしゃいます。そこは、等級を決める側としては、2級の方は もう1級の中に含まれていると説明しております。 ○柳澤座長  分かりました。  どうぞ。 ○和泉構成員  私は心臓なんですけど、1、3、4級でそんなに不利益は患者さんにはないんじゃない かと。内部障害でありますので、1級の場合には2足歩行に支障を来しているということ が基本でありますので、内部障害で2足歩行に障害が来るまでになるというのは非常に大 変なことでありまして、むしろ布団の上げおろしに支障が来るというようなことまで含め て1級で見ていただくというほうが患者さんにとってメリットがあるわけで、肝臓の場合 も私は、ほかの臓器との横並びから考えればやっぱり、2がないというのは確かにあれな んですけれども、それは高等な判断をして、患者さんによかれと思ってやっているんだと いう説明で、私は了解が得られる範囲内であると思うので、1、3、4級のほうが肝臓の 場合も、肝硬変でずっと寝たきりという方よりも、やはり布団の上げおろしに支障が来て いるような方が1級扱いになるというほうがむしろ妥当な話ではないかと思いますけど。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。4ページの等級の比較をしてみますと、明らかに一番最後につくら れたHIVの場合は、2級が日常生活が極度に制限されているものということになってい るんですけれども、内部障害では日常生活が極度に制限されているものというのは1級に なっているわけですよね。ですから、認定をする側にしてみますと、内部障害の1級とい うのは、例えばHIVの1級と2級の両方を含んでいるものですよということで、むしろ 2級がないことのほうが、2級に本来相当する人も1級になるんだというふうなことで、 何といいますか、重症度の上からいくと、上のほうに引っ張り上げていくというふうなや り方にどちらかというとつながっているというふうに理解されるので、それでいいのでは ないかという考えだろうと思いますが、患者さんの側にとってみると、私は3級だけれど も、もっと重症だから2級ではないかというふうな理解がどうしても出てくるということ も、それも分かりますよね。だけど、規定からいきますと、2級はないのであって、3級 でなければ1級なんだということになると、かなりそこに格差があるというふうなことが 患者さんの側にとってみると、何となくやっぱり等級としての分類が大変なんだなという 印象を持つならば、私は説明に苦労しているというふうな事務局の立場を考えたら1、2、 3、4級にしちゃってもいいような気もするんですが、その辺はいかがでしょうか、皆さ ん方の。法律なものですから、そんなに簡単に内部障害の一部である肝機能障害だけを1、 2、3、4級にするということで、従来のそれなりにきちんと機能してきたというふうに 考えられている内部障害と違った等級をつけるということは、これはまた法的に難しい問 題が出てくる可能性もあるということで、なかなか難しい点だとは思いますが、皆様方の ご意見で、一応この検討会として方向性を出して、それをまた事務局のほうで少し法制の ほうと検討してもらうということでよろしいかと思いますが。  和泉構成員のほうは、今の1級、3級、4級で、そのほうがかえっていいのではないか ということのようですが。 ○和泉構成員  患者さんの視点に立てば、1、3、4級のほうが私はいいと思いますけども、それは後 はどういう付加価値をつけるかというのは、おのおのの自治体に任されているような部分 があるわけで、それは自治体が変わればサービス内容が変わってくるということなので、 これはもう自治体の力ではないかと。 ○柳澤座長  現実にHIVの場合には、1級と2級はサービス内容はほとんど変わらないんですか。 ○名越課長補佐  身体障害者福祉法で提供されるサービスはほぼ同じです。あと交通機関なども条件は変 わりません。個別の法律、サービスの中で1級、2級で差をつけているものは、探せばな くはないんですけれども、ほとんど差はないと考えていただいて差し支えないと思います。 ○柳澤座長  この等級の問題、いかがでしょうか。ほかの構成員の方々。  どうぞ。 ○八橋構成員  おそらく1級、3級、4級と1、2、3、4級とは実質的には何も変わらないのであろ うと私は理解しています。ただ、これらの表現の違いについて、一般の方々は理解し難い であろうと想像しています。普通、なぜ2級がないのだろうと考えられると思います。そ の点の議論は詰めるべきではないかと思います。他の疾患での級数の認定基準、認定の仕 方との違いもあるのかと思いますが、他の疾患では1級と認定する基準が比較的クリアー なので問題が発生しないのではないか、一方、肝機能障害の場合は時間とともに段階的に 連続的に悪化していく経過をたどります。肝疾患の病気の進み方からは、4級、3級、2 級、1級と連続性をもって重症度を表現した方が理解を得やすいのではないかと思います。 ○柳澤座長  そうですね。今、八橋構成員のお話の中には、次の論点(4)の評価の問題も少し入ってき ていると思いますので、確かにこれは、5ページの(2)の日常生活活動の制限の確認のいろ いろな臨床的な病歴、あるいは機能診断、それから患者さんの側での日常生活の重症度と いうもの、これだけたくさん挙げますと、そうしますと、ある程度の数で切るということ をもし考えた場合には、2級、1級があったほうが説明としては説明しやすいということ はあるかもしれませんね。  どうぞ。 ○蒲原企画課長  事務局で、実はここのところは内部でいろいろ議論しているところでも、まだまだちょ っといろんな意見を聞かなきゃいけないなというふうに思っております。  実は今日の場でも、また引き続いて少しご意見をいただきたいのと、あとはいろんなほ かの障害の実例とか、あるいはいろんな関係の実務なり、関係者の方々の意見も聞いた上 で次までには整理していきたいと思っていますので、ぜひ今でもいろんなご意見で、理屈 からすると2級が1級に上がっているということと、そうはいっても、ちょっと見たとき に2級がないのかという、いろんな観点があるので、今日は、実はここのところについて は本当に、実は事務局としてある程度のこういう方向性というのを、むしろ先生方の意見 をちょっと聞きたいなというのが正直なところでございまして、次までにはいろんな意見 もさらに重ねて整理したいと思うので、ぜひお願いしたいと思います。 ○柳澤座長  いかがですか。先生方の主観的というか、今までのいろいろなご経験を基にしたご意見 というふうなことでよろしいかと思いますが。  どうぞ。 ○岩谷構成員  HIVのところで、1級が、日常生活がほとんど不可能なものと、これ随分苦労した条 件だと思うんです。日常生活がほとんど不可能って、じゃ肝機能障害の場合はどういう状 況を考えられるのだろうかと私なりに考えたら、非常に強い安静を強いられていている状 態というのが多分、この不可能という意味なんじゃないかと思うんですよね。 ○柳澤座長  医学的に言うとベッドリドンという状態ですよね。 ○岩谷構成員  だろうと思うんですよね。  そうすると、あとは、ほとんどそれは、ほかの障害で言えば、それは心臓もそうです。 そうすると、じゃ2級というのは何だといったら、家から余り外に出られないような、家 の中は歩けるけれども外に出られない、こんなイメージなんですね。それはどうして出ら れないのかと言えば、肢体不自由であれば歩けないからということになりますけれども、 この場合には、やっぱり要するに安静が必要だから、動いたら苦しいからということ、動 けないから、やっぱり動けないからでしょうか。 ○和泉構成員  多分、肝臓の専門家をさておいてあれですけど、本当にベッドに張りつけの状態という のは、昏睡になっているか、非常に腹水が多くてという状態ですし、家庭内に本当に張り つけの場合というのは、だるさなんかが非常に強くて、買い物に行くと途中で引き返さな きゃならないというふうな状態になられた方ですから、本当の利益があるというのは、や はり2級以上の人たちを1級みなしにしてあげるほうが私はいいというふうに思いますね。 昏睡とか腹水で動けない人に利益があっても、これは身体障害者福祉法としては、そうな らないように考えてく、支えていくというのが、もともとの本来の考え方ですのでと思い ますけど、1人の内科医としてそういうふうに感じているんですけど。 ○柳澤座長  ほかにご意見ございますか。 ○岩谷構成員  ちなみに、今のようなことで言いますと、3級というのは、肢体不自由なんかでの3級 というのは、おおよそどういう状態かと言ったらば、お家の中で家事だとか、炊事だとか、 洗濯だとか、育児だとか、そういうことがかなり難しい、そういうことが制限できない。 4級ということになりますと、社会生活といったら、仕事をするのが大変、学校に行くの も大変というような、おおよそそういうイメージなんですね。おおよそそういうイメージ です。  ですから、1級と2級では、本当に1級を日常生活がほとんど不可能というものが、全 くベッド上で安静を強いられている状態だというふうに言ったとしたら、どういうふうに あれするのか、その辺のことのイメージはやっぱり肝機能の専門家の先生、肝臓の専門家 の先生方にある程度つくっていただきたいという意味で私は申し上げているわけです。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。 ○林構成員  これは確かに難しい問題で、今のところ実際どちらをとっても、患者さんの利益、不利 益という面ではあまり差がないみたいだと思うんですが、おそらくその次の4で出てくる ものが基本的に割と数値情報が多いわけですね。それに対してここのところは生活パター ンの問題なので、少し乖離が出てくる可能性がある。だから、1でほとんどベッド安静だ と言われるのと、あとのいわゆる数字情報から算定した1級には、おそらく少しディスク レパンシーが出てくるということは当然起こりますので、これは今のところ私が見ていて、 どちらがいいともなかなか言いようがないので、やっぱりこれはバランスの問題しかない かなという気はします。 ○柳澤座長  私もちょっと今考えたんですが、肢体不自由の場合は、例えば1級なら1級の状態で固 定しても、その状態で何ができるかということがある程度分かるわけですよね。ところが 内部障害、つまり内科的な立場から考えますと、1級で日常生活がほとんど不可能という のは、内科的な疾患というのは基本的には進行する病気ですから、進行したかなり末期的 な状態ということになるので、そうすると、これは法律の趣旨にも関わってくるので、身 体障害者福祉法というのは、もちろんそういうエンドステージの患者さんに対しての福祉 ということではないように私は理解しているので、そうすると、むしろやはり2級と1級 は分けないほうが、申しわけないんですけれども、趣旨としては2級・1級を含めたもの を1級として、ある程度の幅を持って、そこで身体障害者福祉法としてのサービスを提供 するということのほうが、内科疾患については実態に合っているのかなというふうに思う んですね。  そうしますと、逆にさかのぼって考えてみると、なぜ内部障害で2級がないのかという ことを1級、3級、4級と決めたときに、私は知りませんけど、そういう議論を多分して いるんじゃないかと思うんです。そうすると、あながちHIVになって1、2、3、4級 にしたのが、より事をすっきりしたというふうなことでは必ずしもないということになる ので、これはやはり法律の趣旨にも関わることなので、ちょっとそれは事務局のほうで従 来の経緯も併せて調べてみて、それで肝臓の専門家の先生方とまたご議論いただいて、肝 機能障害の場合、今の時点でどういうふうに等級を決めるのが適切かということについて 少し検討していただけますか、専門的な立場から。じゃ、そのようにお願いします。  そうしますと、あとは、論点の(4)は、これはどの点に留意するかということで、Child− Pugh分類に使用する評価項目のうちの客観的な検査数値をある程度重視するというのは、 これはこれでよろしいと思いますし、それから日常生活活動の制限を確認するための項目 ということも、これもいろいろな視点からということで患者さんの状態を判断する上での 病歴、それから現状についての補完的な肝機能診断、それから患者さん自身が実際に生活 上で障害を受けている、つまり重症度がどのくらいかということを実際の生活の場面での 重症度ということで取り入れるという、この3つがこういう形で組み合わされているとい うのは、拝見しますと妥当ではないかなと思いますが、構成員の皆さん方の中で、それぞ れの項目について、あるいはまた全体についてご意見があれば伺いたいと思いますが、い かがでしょうか。  例えば、(2)の中の補完的な肝機能診断ということで、血中アンモニア濃度が幾ら以上と ありますけれども、これは肝硬変の状態になってもかなり変動するように思いますけど、 変動しますよね。 ○林構成員  します。 ○柳澤座長  そうすると、やっぱりある程度ピークになって、アンモニアが200ミリなら200ミリにな るんだったらそういうこともありましたというふうなことで、重症度の一つの判断という ことの項目に入れるということなんでしょうかね。肝性昏睡の場合でも出たり出なかった りということもあるんだろうと思いますが。 ○林構成員  変動はしますが、ある一定以上の値を示すのは、やはり悪い影響を与えているという証 拠にはなると思いますね。それは使えるのではないかと思います。 ○柳澤座長  そうすると、経過の中でここまで上がったということがあったんですよということは。 ○林構成員  肝機能があまり進んでいなければ、そういう高い値を示すことはないんですが、ある一 定以上の障害度を示すと、変動はございますが、ある一定以上の数値になるということで よろしいのではないかと思います。 ○柳澤座長  分かりました。いかがでしょうか。  この内容については肝臓の専門家の先生方のご意見を伺っているんですね、事務局とし ては。 ○名越課長補佐  これまでの検討会で示したものも折り込みつつ、一応見ていただいております。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○原構成員  アンモニア値の評価に関しては伺ったのですが、眼球結膜黄染と、それからもう一つ、 血清ビリルビン値がChild−Pugh分類で出ていますよね。Child−Pugh分類のほうだけで眼 球結膜の黄染は除外してもいいのではないかと思います。 ○林構成員  ごもっともなご意見だと思います。  ただ、肝機能上はそうなんですが、患者さん側の立場で言うと、ご自身に黄疸があると いうことは一つの重症度のマーカーとしてやっぱり患者さんは重視されますが、客観的に はおっしゃるとおりでございまして、ビリルビン値で基本的には代表できるものだと思い ます。 ○柳澤座長  すみませんけれども、黄疸が臨床的に認められるというのは、3ミリとかそんなものじ ゃなくて、4ミリとか5ミリとかというふうにならないと黄疸は出てこないというふうに 思うんですが、素人的には。  いかがですか。これはChild−Pugh分類の血清ビリルビンよりは皮膚の黄疸のほうがちょ っと重症になりますかね。 ○林構成員  重症です。 ○柳澤座長  というわけで、だぶって項目として挙げるということになるのかもしれませんが。  ほかにいかがでしょうか。  例えばChild−Pugh分類の中で、3点ということになると、ビリルビンが3ミリグラム以 上ということなんですが、それよりもうちょっと高いですよというのがこのような日常生 活の評価項目として入っているということは、それはそれでそれなりの意味もあるんだろ うと思いますが、その辺は肝臓の専門家の先生のご意見で提示していただければよろしい ように思いますが、あとはいかがですか。よろしゅうございますか。おおよそ拝見したと ころ、妥当な項目が提示されているように思います。  そうしますと、障害の等級を認定する場合の項目としては、ここに挙げられたようなも のを、特にChild−Pugh分類の全体としてのCというのが大まかなくくりになるんですが、 その中で客観的な検査数値というものを重視するということ。それから日常生活活動の制 限を確認するということでは、病歴の面、それからまた肝機能の中で加える点を幾つか、 そして日常生活の状態、そういったようなものを列挙して何項目以上というふうなことで、 ある程度の案が出てくるというふうなことかと思いますが、そのような形で作業していた だくということでよろしいでしょうか。  事務局として何かありますか。ここで特に議論してほしいことは。 ○名越課長補佐  概ね方向性も出していただいたと思いますし、あと今、個別の項目についてご指摘もあ りましたが、今日お示ししたものを基本に考えたいと思いますが、肝臓の専門家の先生方 と相談する中で、多少の出し入れというのはあるのかなというふうに思っております。今 後作業を進めていきたいと思います。 ○柳澤座長  そうしますと大体、等級の問題についての検討を、もう少し過去の歴史的な経過あるい は法的な根拠というふうなことに併せて詰めていただくということと、それから重症度判 定の場合の項目について、(4)で列挙されたようなものを中心として、1つ案をつくる作業 を進めていただくということで、事務局と肝臓の専門家の先生方にお願いするということ でよろしゅうございますでしょうか。  そうしますと、一応今日検討する内容としては以上で終了ということになるかと思いま すが、あとほかに先生方、あるいは事務局のほうでのご発言ございますか。  よろしいでしょうか。肝臓の専門の先生方にはいろいろな作業が、最後の段階になって たくさんお願いして申しわけございませんけれども、よろしくお願いします。  では、以上で今日の検討会は終了ということでよろしゅうございますでしょうか。  それじゃ、どうもありがとうございました。事務局から何か。 ○名越課長補佐  まだ、次回の日程も固まっておりませんが、調整を急がせていただきまして、決まり次 第またお知らせをさせていただきたいと思います。  今お話がありましたとおり、肝機能障害の認定基準はもう少し具体的にした案で示すこ とにさせていただきたいと思います。  前回、議論となりました自立支援医療についても次回併せて議論をしていただきたいと 思っております。肝臓の専門家の先生方には引き続きお手伝いをお願いすることになりま すので、よろしくお願いしたいと思います。 ○柳澤座長  それでは、以上をもちまして今日の検討会は終了いたします。  どうもありがとうございました。 (了) 照会先 [肝機能障害の評価に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課指導係  TEL 03−5253−1111(内線3029)  FAX 03−3502−0892