09/07/15 第138回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録 09/07/15 中央社会保険医療協議会          第138回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年7月15日(水)9:01〜10:12 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員       対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 高橋健二委員 伊藤文郎委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本すが専門委員        <参考人> 西岡清DPC評価分科会長   高木安雄慢性期入院医療の包括評価調査分科会長代理       <事務局>       水田保険局長 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官 磯部薬剤管理官       上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ DPCについて        ・ 新たな機能評価係数に係わる特別調査について       ○ 慢性期入院医療の包括評価調査分科会の課題等について       ○ その他 (5)議事内容  ○遠藤小委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第138回中央社会保険医療協議会診 療報酬基本問題小委員会を開催いたしたいと思います。  まず、本日の出席状況でございますが、本日は全員の方がお見えになっておられます。  初めに、DPCに関しまして新たな機能評価係数に係る特別調査を議題といたします。  DPCの議論につきましては、診療報酬調査専門組織のDPC分科会と連携をしながら 議論を進めてまいりましたので、本日はまた西岡DPC分科会長にも御出席を賜っており ます。  それで、本日はまず西岡分科会長から、新たな機能評価係数に係る特別調査に関する分 科会での議論の中身について御報告をいただきまして、それを踏まえまして御議論いただ きたいと思います。  それでは、西岡分科会長、よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  よろしくお願いいたします。  まず資料の診−1−1、それから診−1−2をごらんいただきたいと思います。この診 −1−2のほうは、既にこの間の当委員会におきまして御議論いただいたものでございま す。そのうちの下の段にございますIIというところがありますが、次期改定での導入を検 討するため、さらにデータ分析や追加の調査を実施すべきとされた項目ということで挙が ってございます。  この中で特に●のついている分でございます。1の[5]、それから、3の1、2、3、そ れから、5の1、2、それから、6の1という●がついているところでございます。これ について調査を行うということでございます。特に6の医療の質にかかわることに関しま しては、現在MDCの班で評価項目の絞り込みを行っておりますので、ここでは挙がって おりません。  診−1−1をごらんいただきたいと思います。ここで、この1から5までの項目につき ましての調査の内容でございます。こういった形の調査をしてはどうかということで御提 案させていただきます。  調査対象はすべてのDPC対象病院とDPC準備病院でございます。7月の多分最後の 週になるのではないかと思いますが、その1週間でのデータをお出しいただくということ でございます。  調査項目は、まず最初の救急医療の診療体制ということでございます。どういった形の 体制で救急医療に対応しているかということでございます。その中で1次救急、2次救急、 3次救急をやっているかどうか、また、それらの患者さんはどの程度受け入れているかと いうことと、それから、救急を毎日やっておられるのか、365日24時間の体制を組ま れているのか、あるいは輪番制なのかといったようなことをお伺いしたいと思っています。  それから、救急に対しましてどのような診療科の医師が対応しているのか、それが常時 当直しているのか、あるいはオンコール体制なのかといったようなこともここで調査させ ていただきたいと思っております。  それから、2番目の診療ガイドラインを考慮した診療体制を確保しているかどうかとい うことで、これは治療方針の決定に当たって診療ガイドラインを参考としているかどうか、 その程度はどの程度であるか、それから、患者に対して治療方針を説明するときに、診療 ガイドラインを利用している程度はどの程度かと、それから、実際に使われている診療ガ イドラインはどのようなものか、また、それを選んだ基準はどういったことであるのかと いうこと。それから、診療ガイドラインに沿わない診療を行う場合に、院内でのどのよう な体制を組んでいるのかというのがここに挙げられているものでございます。  また、患者あるいは職員、特に職員ですが、職員に対して診療ガイドラインが閲覧でき る体制をとっているかどうかといったようなことを聞かせていただきたいと思っておりま す。  もう一つ、これはDPCに入りましてからいろいろな病院で、医療の標準化という意味 でクリニカルパスが実施されております。この実施されておりますクリニカルパスの種類 とか数、それから、病名がどのようなものに対してパスはつくられているかということ、 それから、パスの対象となる患者さんがどのくらいいらっしゃるのかということを聞かせ ていただきたいということでございます。  (4)にございます医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士等の人 員配置について、これについてもどのぐらいの人数を配置されているのか、それから、病 棟に常時勤務されている方がどのくらいいるのか、それから、病棟とあるいは外来、その 他の場所で、どの程度の時間配分でこの方たちが仕事をされているのかといったようなこ とを調査させていただきたいと考えております。  この調査項目につきまして、もしこれで御了承いただけるようでございましたら、時間 もございませんので早速調査に入りたいと考えております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  事務局、何か補足することがありますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  今、西岡分科会長から御説明いただきました項目につきましては、以前の項目の整理に おいてA、B、Cの3つに分けたときのA、DPC対象病院において評価を検討するべき 項目として、分科会で今後議論を進めるべきとされた項目であると同時に、B、急性期入 院医療全体として評価を検討すべき項目として、基本問題小委員会で並行して議論してい くべきという項目の両方に係っているということで、今回のDPC分科会の案を、こちら の基本問題小委のほうにかけさせていただいたということでございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  そういう位置付けにあるという事柄であるわけですけれども、ただいま御報告のありま した調査内容につきまして御意見、御質問ございましたら御自由にどうぞ。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今回提案のありました項目について調査することはよろしいと思います。つきましては、 これは今企画官から説明がありましたようにB項目でございまして、B項目というのは基 本問題小委でも議論すると同時に、これは急性期入院医療全体として評価を検討すべき項 目に入っていると思います。  そういうことでは、調査するときに、今回DPCの対象病院だけで調査するんですが、 急性期入院医療全体として評価するのであれば、出来高病院での調査というのは必要ない のかということをお聞きしたいと思います。これはこの基本問題小委の問題だとは思いま すが。 ○遠藤小委員長  そうですね。今新たな提案ということで出されたわけでありますけれども、それは短期 的なスタンスでのお話ですか。つまり今年度中に、来年度の改定に間に合うようにという レベルの話というふうにおっしゃっているわけですか。 ○西澤委員 いや、まだそこまで具体的じゃないんですが、前回の整理では、急性期入院 医療全体としての評価を検討すべき項目となっているということをとらえて、どう考える のかという質問でございます。 ○遠藤小委員長  わかりました。  これは基本問題小委でどう考えるかということですね。そのような問題提起がありまし たけれども、この問題はまた御議論いただくということで、とりあえずこの新たな調査を 行う内容につきまして御意見、御質問ございますでしょうか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  今、特別調査の内容を御説明いただいて、前回2−6、これは診−1−2の資料の一番 下の6の、医療の質に係るデータを公開していることの評価については、冒頭お話がござ いました、MDCの班で絞り込みを行っているので一応今回の特別調査から除いていると いうことでよろしいんですね。  ですから、決してこの調査から外れたので対象にしないということでもないのですが、 ただ、ちょっと懸念するのは、MDC班で絞り込みを行っている中で、今回調査対象から 外れていることで、調査をやっていればうまくいったのだけれども、調査をしていないの で、今持っているデータだけだと何とも言えないということにならないようにお願いでき ればと思います。 ○遠藤小委員長  分科会長、お願いします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  この2−6の部分は非常に重要な項目でございます。医療の質というところで、いろい ろな指標が百数十個アメリカからも出されているんですが、そのうちの一番最適なものを できるだけ取り上げたいということで、各専門家のほうで御議論をいただいているところ でございます。それがまとまってまいりましたら、またこの会のほうに御報告させていた だきたいというふうに思っております。  しかも、できる限り今ございますDPCのデータを使って、出していけるものを出した いというふうに思っております。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いいたします。  これもタイミング的には少しずれますけれども、基本的に今年度中に調査できるという ことですね。ありがとうございます。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  この救急医療は不採算部門という位置付けで、国とか都道府県の補助金等を受けている ところも多いかと思いますけれども、救急医療提供体制の全体像を見るためには、やっぱ りそういったところも見ていく必要があるんではないかなと。要するに調査項目の1つに そういったものを加えられないかどうかお聞きしたいというか調査していただきたいとい うふうに思いますけれども。 ○遠藤小委員長  これは、財源といいますか、収入の内訳ということも調査したいという、そういう話で すね。 ○藤原委員  全体像をつかんで、恐らくこのことを議論していくと、やはりどれだけ割り振っていか なきゃいけないかということにもつながってくると思いますので、救急医療というのは診 療報酬だけで見ていいのかどうかという問題もありますし、もしそういったところをつか まえることができるなら、そういった視点からもそういった調査項目に加えていくほうが いいんではないかというふうに思います。 ○遠藤小委員長  ただいま調査項目に対して財源の構成のようなものも聞いたらどうかというお話が出ま したけれども、これについてほかの委員の方、何か御意見ございますか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  田中先生がお務めいただいているコスト調査分科会の中でもたしか議論されたというふ うに聞いている。救急は例えば内科とかと違って範囲の設定が非常に難しいということで、 コスト調査分科会の中でもなかなか苦戦をしているというふうに聞いているのですけれど も、それが今回の調査のDPC関連で、そんなにきれいにこれだけの短期間でうまく整理 されるのかなというふうに思います。 ○遠藤小委員長  それでは、事務局、その辺について何かありますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  どのような内容を聞くのかということにもよりますが、単純に補助金を得ているかどう かという程度でよろしいのであれば、項目として加えることは可能ではないかなと思いま す。ただ、それ以上どの程度細かくというところまで、余り細かくなりますとちょっと期 間も限られてございますので、その辺の兼ね合いかと思いますが。 ○遠藤小委員長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  対馬委員が言われたように、救急部門をどこまでを救急とするかというのは確かに難し い議論だとは思いますけれども、これはやはり救急ということを少なくとも議論するとい う観点からは、そういったことを調査もできるようですから、ぜひ加えていただきたいな と思います。 ○遠藤小委員長  今調査ができるようですからとおっしゃったんですけれども、事務局は…… ○藤原委員  絞ったらいいんですよね。 ○遠藤小委員長  ええ、ですから具体的に本当に救急部門にどのぐらい補助金が入っているのかというよ うなことを、細かくやるのはなかなか難しいだろうという意味合いだと理解しますが。 ○藤原委員  名目でもいいんじゃないかと思います。 ○遠藤小委員長  事務局、何かありますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  名目というのはどのような。例えば何々補助金を得ているかとか、そのような聞き方と いうことでございますか。 ○藤原委員  だから、都道府県あるいは国として、救急医療についてこれだけ出しているという部分 があればという認識ですけれども。 ○遠藤小委員長  救急に関連した補助金というようなものを幾らもらっているかということが明らかにな ればいいと、そういうことですね。それならば補足は可能ですか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  私どももどのような補助金がどこから出てというのが、例えば医政局で出している補助 金ということであれば、医政局に聞いてそういう項目をということは可能だと思いますが、 例えば消防庁とか、いろいろほかのところでも出しているようなものも想定されるという ことであると、ちょっと我々としても時間がかかってしまうかなと思うので、その辺のと ころをむしろどういったものがあるかというのをお示しいただいたほうが、我々としては 大変ありがたいんですけれども。 ○遠藤小委員長  藤原委員、いかがでしょうか。 ○藤原委員  私のほうからそれを出せというのは、なかなか難しい話なんですが。 ○遠藤小委員長  わかりました。これはかなり時間を急ぐ話でありますので、7月の最終週に調査をしよ うとする予定でありますから、どの程度のことができるのかという範囲について、何か事 務局からお出しいただくことは可能ですか。  ただ、次回の基本問題小委を待っていたらばこれは遅れてしまいますので、では、どう いう範囲のことまでやれるかということは、御一任いただいてよろしゅうございますか。  では、事務局と分科会長と私とで話をしまして、どの程度のことができるかということ で対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本専門委員  診−1−1の3の(2)の[2]に入るのか、(4)に入るのか分かりませんが、救急医療 の体制について患者さんの優先順位をつけて、効率的な救急をやっているという病院がふ えているような話も聞いておりますので、そういうプロセス的な視点の調査というのは入 っていかないんでしょうか。  例えば電話相談とか、ガイドラインに従ってドクターから役割分担を受けてやっている ナースが、効率的にやることによって、患者さんの優先順位効果を出しているということ を聞いておりますので、それは4の中の役割分担なのか、2の救急医療の提供体制なのか 分かりませんが、そういうところも調査していただければと思います。 ○遠藤小委員長  このトリアージについてどういうふうに評価するかということは、分科会の議論の中で はどのように行われたんでしょうか。 ○西岡分科会長  救急のトリアージに関しましては、正確なデータがなかなか出しにくい。DPCの対象 病院では、救急においてトリアージするのは当たり前というふうな形で行われております ので、それをさらに調査するとすると、これはきっちりした調査をやり直さなければいけ ないということで、今回の調査には入らないと、将来的な形でのそれを考えていこうとい うふうな形での項目のほうに入っていると思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  坂本専門委員、いかがでしょうか。 ○坂本専門委員  やっぱりドクターの仕事のすごく負担軽減になっているという話を聞いておりますので、 詳細にとるかどうかというより、そういう仕組みを持っているかだと思います。それから、 どの職種がそれをやっているかということをぜひ調べていただいて、おいでにならなくて もいい患者さんもいらっしゃるかも分かりませんので、それのある程度の選別をすること によって、医療機関が大変効率的に的確に医療を行えるということになると思いますので、 ぜひ入れていただきたいというふうに思います。 ○遠藤小委員長  これにつきましては、専門組織での議論もあるわけでありますので、ただいま御指摘い ただいたことは十分理解いたしましたので、これも先ほどと同じような対応で、分科会長 と私と事務局とで相談させていただいて、決めさせていただくということでよろしゅうご ざいますか。 ○坂本専門委員  はい。 ○遠藤小委員長  はい、ありがとうございます。  お待たせしました。牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  今回の機能係数を検討するための特別調査、この項目に関しては結構だと思います。  1つお伺いしたいのは、今回はこの機能評価係数を検討するためのデータとして特別調 査を行うわけですが、将来的にこの項目が機能係数に入るということになった場合に、今 回の特別調査の項目というのはDPC病院に対して必ずデータとして求めるようになると、 そういうふうに考えてよろしいんですか。 ○遠藤小委員長  分科会長、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  おっしゃるとおりでございます。そういう形に調査項目として入ってくることになるか と思います。 ○遠藤小委員長  よろしいですか。ありがとうございます。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  今回の調査で、チーム医療の観点から医師、歯科医師、看護師に加えて薬剤師ほかも調 査対象に入っておりますけれども、病棟に勤務する薬剤師が、実は医療全体の中の安全の 確保に極めて大きな役割を果たしているというふうに理解をしておりますので、この診− 1−1の(4)で言えば[2]と[3]が薬剤師に係る部分ですが、その勤務実態は、ここでは常 勤であったり、あるいは勤務時間のうちの病棟に勤務している時間の割合というふうに記 載されておりますけれども、具体的に薬剤師等が病棟に勤務している実態が、十分に把握 できるような調査形態をぜひお願いをしたいと思います。 ○遠藤小委員長  調査設計に当たりましては、そのような御配慮をよろしくお願いいたします。  ほかにございますか。よろしいでしょうか。  そういたしましたら、このただいま御意見のあったことにつきましては、検討事項も含 めて対応させていただきますので、この特別調査をお認めいただけますでしょうか。よろ しゅうございますか。  では専門組織でご対応よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  それでは、西岡分科会長、長時間どうもありがとうございました。  あと1点、先ほど西澤委員がおっしゃられた提案でありますけれども、このDPC、特 に救急についてのことは、むしろ一般の出来高評価の病院に対しても調査するべきではな いかという御提案が出ているわけでありますので、これについてもし何か今御意見があれ ば承りたいと思います。突然出てきた御意見でもありますので、またそういう問題意識を お持ちだということを前提にして、また今後の議論という形にしていきたいと思います。  関連して事務局に1つお尋ねします。これはDPC対象病院じゃないところに、救急に 関してこのような質問項目で調査を行うという場合に、調査上の問題点として、DPC対 象病院とは違った難しさはありますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  DPC対象病院準備病院であれば、もう既にすべてデータをお出しいただいております ので、簡単に言えばメール等でもお尋ねすることは可能なんですけれども、全病院という ことになりますと、やはり回収率の問題等、その辺がかなり変わってくるのかなというふ うに思います。 ○遠藤小委員長  わかりました。ありがとうございます。  そういうような調査上の問題もあるということをお含みいただきまして、また議論をし たいと思います。  では、本日は、DPCにつきましてはこのぐらいにしたいと思います。  次に、慢性期入院医療の包括評価調査分科会の課題等についてを議題といたします。こ の件につきましては、前回7月8日の当小委員会におきまして御議論いただいたわけであ りますけれども、同分科会で調査、検討をいただく具体的な内容を整理した上で、再度御 議論いただくことになったわけであります。本日は同分科会の高木分科会長代理から、分 科会でのその後の議論の状況について御報告をいただきまして、改めてこれについて議論 をしたいと思います。  それでは、分科会長代理、よろしくお願いいたします。 ○高木分科会長代理  高木です。  前回7月8日の基本小委におきまして池上分科会長より、平成21年度慢性期入院医療 の包括評価分科会の進め方について資料を提出しまして、今後の議論の方向性について御 提案申し上げた次第でございます。その際、基本小委のほうから、慢性期医療の定義や範 囲についてどう考えるのか、それから、慢性期の分科会が考える中長期的な課題がどのよ うなものであるかといった意見が出されましたので、それらを資料として提示するよう御 指示をいただきましたので、本日参りまして説明させていただきます。  そこで、7月8日の慢性期の分科会におきまして議論しまして、資料をまとめましたの で、池上分科会長にかわりまして私のほうで、今日資料を提出しておりますので報告させ ていただきます。  資料を読ませていただきます。  慢性期入院医療の包括評価調査分科会の課題等について。  1.短期。  平成22年診療報酬改定に向け、既存のデータを用いて、以下の検討を行う。一つ、患 者分類の妥当性の検証、一つ、各医療機関における分類の適切性の検証、一つ、提供され ている医療サービスの質の検証。  2.中・長期。  医療療養病床と機能が近接している病床等を含め、慢性期医療に係る調査・分析を行う。 その際、慢性期医療の定義・範囲を明確にしておく必要があるが、現時点では、差し当た り一般病床の一部から介護保険施設の一部までが想定される。当面は、このうち一般病床 に係る部分から検討することとし、その結果を踏まえて、慢性期医療の定義・範囲につい ても改めて検討する。一連の検討結果は、適宜、基本問題小委員会に報告し、そこでいた だいた意見をさらに反映させながら慎重に調査・分析を進めることとしたい。  以上でございます。  資料にもありますとおり、この慢性期医療の定義や範囲について差し当たって幅広く記 載しておりますけれども、これはあくまでも現時点での想定です。当然のことながら、介 護保険に関連する部分など、介護保険施設を所管する老健局との連携が不可欠な領域もあ りますので、本分科会で実施する際の具体的な方法等につきましては、中医協に御相談し ながら進めていくことになると考えております。この慢性期の分科会として、このような 方向で議論を進めて差し支えないかどうか御検討いただければと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  事務局は、何か補足がありますか。  ありませんか、はい。  これは前回御提案の内容を明確にしていただきたいということで、改めて御提案いただ いたということであります。この短期であらわされている3つについては、前回の議論で もほぼ御同意が得られたのだろうと思いますけれども、主に中・長期として書かれた内容 について御議論いただきたいと思います。  1つ私のほうから、今後のこの議論をする上で少し明確にしておきたいと思いますので、 お聞きしたいのですけれども、まず1つは介護保険施設の一部までと書いてありますが、 これは現状イメージしておりますのはどの範囲のことでしょうか。 ○高木分科会長代理  療養病床の転換の中で介護療養の問題があります。この分科会が始まる一番最初のとき も、介護保険の施設も一部入れるべきではないかという議論がスタート時点にありました ので、転換型老健といいますか、その辺を想定しております。 ○遠藤小委員長  介護療養病床と転換老健を一応考えているということですね。ありがとうございます。  それから、慢性期医療の定義ということはある意味大変重要なことでありまして、実際 例えば亜急性期の定義というと、分かるようで、分からないところがあるわけです。亜急 性の加算がついている病棟に入っている人が亜急性期の患者なんだみたいな、トートロジ ーになってしまうようなところもあるわけですので、はっきりさせることは意味があると 思うのですが、ただこの定義を行う基本的な目的は何なんでしょうか。慢性期医療の定義 を改めて検討するということは、それが診療報酬に最終的に結びつかないと意味がないの ですけれども、この点どう理解したらよろしいんでしょうか。 ○高木分科会長代理  今、委員長からお話が出ました亜急性期をサブアキュートと考えるのか、ポストアキュ ートと考えるのか議論がありまして、慢性期、まさにサブかポストかというこの定義とい うのはまだまだ調査、検討する必要があると思っております。ただ、医療区分とADL区 分という3掛ける3で始まったこの9区分の慢性期の入院医療を考えるアプローチを、よ りこの分類の妥当性を含め広く使ってみたいというのが真意でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  かなりはっきり分かってまいりましたので、要するに分類の基準についても幅広く検討 してみたいと、そのための調査を行いたいのだということだと思います。  余計なことを申し上げました。それでは皆様からの御意見を承りたいと思います。  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  地域医療の現場を担っているといいますか、その立場から、つい先日の7月9日に社会 保険診療医療部会がございましたね。その中の議論の中である委員から、明確に地域医療 提供体制の中の一つの施設としての機能を持った有償診療所、これに対する地域医療を提 供する位置付け、それに対する当然応分の対応をやっぱり必要であるというようなことが 出ました。  それで、高木先生の中に、有償診療所というふうなものが頭の中に入っているかどうか、 大変失礼な言い方ですが、確認をしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○遠藤小委員長  高木分科会長代理、どうぞ。 ○高木分科会長代理  調査の中でも病院分と診療所分、両方やっておりますので、データとしてはとっており ます。我々もそれを一つの調査対象として考えておりますので、全く無視しているわけで はございません。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今回のこの御提案は結構だと思います。  それで、守備範囲といいましょうか、一般病床の一部から介護保険施設の一部までとな って、当面は一般病床となっていますが、なかなか局を超えてというのは大変だと思うん ですけれども、やはり介護保険施設のほうまで、これは分科会単独でやるのか、老健局と の合意のもとで別組織でやるのかの問題はありますが、ぜひそっちまで踏み込んでいただ ければと思います。  さらに介護保険施設の場合、先ほどこの一部というのは転換老健あたりと言いましたが、 ぜひこれは老健あるいは特養まで含めた調査とかいうことも、今後を踏まえると非常に大 事だと思いますので、考慮していただければありがたいと思っています。  以上です。 ○遠藤小委員長  高木分科会長代理、何かありますか。 ○高木分科会長代理  これは個人的な意見も入りますけれども、このADL区分と医療区分で慢性期の入院医 療を見る視点をつくることによって、できれば退院調整にも使って、介護施設への移動や、 在宅医療の診療所に戻るときにも慢性期医療をフォーカス。アセスメントする方法として 使えたらというのが、底流としてあります。介護施設含め、在宅も含めて、地域ケアの中 で慢性期医療をどう質とコストの評価につなげていくかというのを考えてみたいと思って おります。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  中長期的課題という中にありますので、どこまで広げるかということは少し時間をかけ て検討していければと思っております。  ほかにございますでしょうか。  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本専門委員  ちょっと質問させていただきたいんですが、診−2の中の短期の中の○の3なんですが、 提供されている医療サービスの質の検証というのは、抽象的ですけれども、具体的にはど のようなことを検証されようとしていますでしょうか。 ○遠藤小委員長  お願いします。 ○高木分科会長代理  幾つかトライアルをしているんですけれども、例えば転倒とか褥瘡の発生率、それから、 感染症の発生率とか幾つかの軸で、施設からのデータをもとに質の評価の調査をしており ます。 ○遠藤小委員長  坂本専門委員。 ○坂本専門委員  そのときに例えば体制的なことも入るんでしょうか。 ○高木分科会長代理  もちろん施設のそういうデータ、スタッフ等は分かります。ただ、まだこれは試行段階 ですけれども、例えば尿路感染に強い施設と転倒に強い施設とか、どうも幾つかの軸で慢 性期医療の質を評価しようというときに、全部がいい施設というのはなかなか今のところ 見あたらない。もう一つは患者の症状・状態をコントロールをしませんと施設に非常に不 利になりますので、入ってくるとき感染症を持ってきたのではないか、そういうのをきれ いにコントロールして比較すると、まだ質の評価は難しいというのが正直なところです。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ただいまの質問で1つ確認したいことがあるんですけれども、この調査の質問項目につ いては、これは基本小委に報告されるというふうに考えてよろしいですか。 ○高木分科会長代理  もちろん調査をするときには報告させていただきます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  そのときに、場合によっては多少修正が可ということだと思います。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  1の短期のほうですが、ほかの委員の方々はお分かりかと思いますけれども、私にはち ょっと理解ができないのでお聞きしたいのです。患者分類の妥当性は大体分かります。そ れから、今坂本委員が質問されましたサービスの質も何とか分かります。  2番目の各医療機関における分類の適切性の検証というのはどういうことなのでしょう か。お願いいたします。 ○高木分科会長代理  分類のADL区分と医療区分のチェック項目がありますが、アップコーディングという か、前回のデータを見ていただきますと、患者特性調査による区分と保険請求の区分が少 し違うんですね。これは、要するに3区分にそって保険を請求するということで、きちん とチェックするようになったのか分かりませんけれども、各施設でこの分類の方法がどう 使われているか、アップコーディングとダウンコーディングの両方を見ながら考えていか ないと、そのほか、つけやすさなど、臨床現場のやっていることを簡易にデータとして集 めるような評価方法、この辺を考えていきたいというのが、この医療機関における分類の 適切性の検証でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  ほかにございますか。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  1点御質問とお願いなんですが、短期の医療サービスの質の検証のところで、特に長期 にわたる入院、介護施設の一部等も含まれるというようなことがありますが、そういう患 者さんの場合に口腔のケアというのが大変重要なポイントだと思うんですよね。よく誤嚥 性肺炎等の口腔ケアの不備から、それに伴う発熱の症状等が出てくるということがありま すが、そういう点の調査等も、あるいは院内でのものもありますが、診療所との連携でそ ういうケアが行われるとか、そういうところも重要かと思うので、その点はいかがでしょ うか。 ○遠藤小委員長  高木分科会長代理、お願いします。 ○高木分科会長代理  今日データを持ってきていませんが、口腔ケアも調査項目の中には入っていると思って おります。  それに対する院内での介入というか、サービスについては、例えばまた9カ月後にアセ スメントを繰り返すことによって、改善しているかどうかというデータもとれますので、 検討していきたいと思います。 ○渡辺委員  よろしくお願いします。 ○遠藤小委員長  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、御提案のありました短期及び中・長期につきましての御提案内容については、 小委員会としては承認をするということでよろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、小委員会として承認をいたしたいと思います。  高木分科会長代理におかれましては、長時間本当にどうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして、その他について議論したいと思います。事務局から説明を お願いしたいと思います。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。  資料の診−3−1と診−3−2を両方ごらんいただきながら、お話をお聞きいただきた いと思います。  6月25日に統計情報部から公表されました平成20年の社会医療診療行為別調査の結 果ですけれども、これについて私どもの立場から報告をし、相談したいことがございます。  と申しますのが、私どもこの調査結果の公表以来、保険局医療課としても言ってみれば ユーザーという立場からこの検討を始めたんですけれども、実は気になる箇所がございま した。  具体的には、診−3−1の6ページをお開きいただきますと、そこに表の2というのが ございますが、1件当たり点数と1日当たり点数が並んでいて各年6月審査分で入院外の 総数の1日当たり点数のところを見てみますと対前年増減率、伸び率が11.7%と、こ うなっております。私どもは同年同月の保険局のメディアスで確認をしてみましたが、こ の値は実は1.4%となっておりまして、かなりの乖離があるということに気づきました。 これ以外にも細かいことをやってみたんですけれども、ポイントは診−3−2のほうにま とめましたので、診−3−2のほうをごらんいただきたいと思います。  今も申し上げましたように、社会医療診療行為別調査の各年6月審査分、つまり平成2 0年5月診療分とメディアスの同年同月データとを比較してみたものです。上の段に1件 当たり点数、1日当たり点数を、それぞれ入院と入院外に分けて、しかも社会医療かメデ ィアスかということでお示しをしております。そして、その社会医療とメディアスの差を とって、A−Bという形で差をとり、メディアスに対してどれくらいの差があるかという のも割合まで含めてとっております。  それから、下の段は1件当たり伸び率(%)、1日当たり伸び率(%)、これは対前年 同月でどれくらい伸びたかというものをやっぱり同様に見たものです。どこを一番見るか ということになりますけれども、恐らく医療費全体の伸びだとか、医療費全体がどのくら いの額になったかというのを見ると、1日当たり伸び率がいいのかなということで見てみ ますと、その下の段の表の、やっぱりさっきも言いましたけれども、11.7%と1.4 %を見ていただくのがいいのかなと思います。ここを見ていただきますと、単純に差をと ってみると10.3%も違うと。入院はそれほど差がなくて、かなり近い値が出ていると いうことです。  まとめますと、○が3つ書いてありますように、社会医療とメディアスを比較したとこ ろ、1日当たり伸び率の入院、医科入院外を中心に大きな乖離が生じているんじゃないか ということです。それで、原因の一つとして、これは統計情報部にも聞いてみたんですけ れども、人工腎臓、人工透析を実施している内科診療所が例年に比べ多く抽出されたこと が原因じゃないかという現時点での考えをもらっています。  実際、先ほどの診−3−1の表の2のところをもう一度見ていただきまして、さっき1 1.7%と言いましたが、1日当たり11.7%と書いてあるところをずっと下のほうに たどっていただきますと、処置のところで対前年伸び率が72.5%となっておりますの で、統計情報部の推測が仮に人工腎臓(透析)だとすると、処置のところでもこういう高 い値が出たというのは、ある程度この推測を裏づけるのかもしれないと考えております。  こうしたことをもとにして、私どもはどうするかということなんですけれども、まず考 え方をお話ししますと、社会医療診療行為別調査というのは、御案内のとおり統計学的な 議論に基づきまして正当な手続を踏んで、長年実施されてきている調査でありまして、私 どもも十分に信頼できるものだと確信をしております。実際、過去3年についても同様な 傾向があったのかということを調べてみましたけれども、大体プラスマイナス3%以内の 乖離でおさまっているようでして、この平成20年についてのみ例年と比べると大きな乖 離があるということになります。  そういうことを考えますと、今回に関する限りは、ここで出てきた社会医療診療行為別 調査を用いてさらに細かなところまで、診療報酬の項目だとか、点数の検証だとか、検討 だとかいうことを行うには、やや慎重にならないといけないのかという気がしております。  そういう考えのもとに、局内はもちろんのこと統計情報部などの担当とも相談をいたし ましたが、少なくとも現時点で明らかにしておくべきことが2点ほどあるんじゃないかと 思っております。  まずその1点目はシンプルでして、要するにメディアスと社会医療診療行為別調査とが これほどの大きな項目、統計風なデータでいうと上流といいますか、かなり上流の部分で こんなに大きな乖離が出てしまった原因が何なのかということを明らかにします。  それから、2つ目はこうした乖離について原因がある程度分かったとして、あるいは幾 つかの特定のデータに原因があることが分かったとして、そうしたデータの影響、どうい う方法かは別として排除をしたりあるいは考慮することで、今後の診療報酬改定の議論に 活用できるそういうデータになるのかどうかという、この2点が非常に大きいと思います。  この2点が検証されて初めて、繰り返しになりますけれども、今後の診療報酬の議論へ の利用ということもできるんじゃないかと思っております。  いずれにしましても、大変大きな話だと思っておりましたことから、委員の皆様の率直 な御意見、お考えをお聞かせいただければと思う次第です。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  メディアスも社会医療行為別調査も、レセプトデータをもとにしているという点では同 じなわけでありますけれども、メディアスはほぼ全数調査ということで、社会医療はサン プリング調査ということで、抽出率の違いにより多少の差が出てくる。調べてみると、例 年3%前後の差はあったということなのですけれども、今回に関しては1日当たり伸び率 で見ると10%以上の違いがあるというので、原因の究明及び何らかの補正をするとすれ ば、その補正の方法についてどうするかということの事務局からの提案です。  これについて御質問、御意見、何でも結構でございますので。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  私ども診療側としては、これまで外来管理加算が現場に与えている影響が余りにも大き いということで、日医の調査やあるいは厚労省の改定の結果検証の報告を見てもそういっ たことが裏づけられておりましたし、中医協でそういったことを再三申し上げてきたとこ ろでございますけれども、そういった意味で、厚労省のほうもこの社会医療診療行為別の 調査の結果を待ってというような御回答もあったかと思います。  しかし、今の御説明では、この社会医療診療行為別調査自体が今回突出して異常な結果 が出ているということで、利用できないというお話なんですが、この資料の中の31ペー ジの第8表、これは過去5年間の入院外の診療行為別の1件当たり点数、1日当たりの点 数の年次推移というのが出ております。先ほど3年間のことについては触れられましたけ れども、これで見ますと処置のところは非常にこれまで安定してデータが出ている。ほか の項目も一応安定しているというふうに読めるわけですが、今回に限って確かに20年度 は突出して異常値が出ているという結果であります。  これまで安定して出されてきたのに今回こういうふうに、無作為抽出だとは思いますけ れども、これほど異常が出た要因について、感触でもよろしいんですが、どうしてそうい うふうになったのか、まずそこに自然な疑問がわくわけなんですけれども、お答えできる 範囲でお願いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  先ほどの話では、サンプリングした中に、たまたま透析診療所が入っていたというよう なお話だったわけですけれども、この原因について何かあれば事務局からお伺いしたいと 思います。 ○事務局(佐藤医療課長)  私の冒頭の説明の中でも申しましたし、また、今遠藤委員長からも言っていただきまし たけれども、透析を行っている内科診療所が、例年より相当多く抽出されたことが原因で はないかということで統計情報からは聞いております。 ○遠藤小委員長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  素人的に考えれば、その突出して高くなったものが相当数、恐らく少なくとも四、五倍 だというふうなことを聞いておりますけれども、そういったものを除外して見れば、全体 のこの調査結果についてはこれまでとそれほど狂いはないと思いますので、そういったも のを除外するというのはそれほど難しい、困難な作業なのでしょうか。 ○遠藤小委員長    それでは、事務局、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  統計情報部と相談してみないといけないので、簡単かどうかは分かりませんが、いずれ にしましても先ほど申し上げましたように、特定のデータを除外するなり調整をすること で、全体としては正しいデータになるかどうかということも含めてデータをチェックして いただきたい、見たいと思っておりますので、そういう意味でやってみないと分からない という部分はあります。 ○遠藤小委員長  そういう意味で、調査の内容を補正するわけですから、これはかなり厳密にやらなけれ ば、しかも公平にと思っておりますので、そこはある意味かなり大変な作業ではないかな と理解をしております。  竹嶋委員、何か。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  恐らく透析というのは相当高点数ですので、そういったものが紛れ込んだ数というのは 恐らく知れたもので、それが例えば初・再診についても相当今回1件当たりでマイナスの 5.9%であるとか、あるいは1日当たりで6.3%減、そういったことについて感覚と しては、1つについて1対10の差ぐらいあるかも分かりませんけれども、そういったこ とを勘案しても今回のマイナスというのは非常に大きい。しかも厚労省の統計情報部のほ うも、今回初・再診についてこれだけ減額があったのは、やはり外来管理加算の影響が大 きいというふうにコメントされているわけです。  それから、先ほどの外来管理加算につきましても、これは今回私どもが計算、統計局の 情報、これはもう公開されておりますので申し上げますが、調べてみますと1,746万 回の減少ということになって、これを私どもの試算によりますと1,172億円という莫 大な減額になっているわけであります。  これまでの…… ○遠藤小委員長  藤原委員、少し時間の節約をしたいのですけれども、基本的な今の議論は、このメディ アスと社会医療との間の乖離があるという実態を見て、それを…… ○藤原委員  それでこのことの検証をやはりしっかりしていただきたいと。我々は今回の改定の中で、 病院側が大変だから、診療所として400億円の財源移譲をするというようなことの中の 項目の一つとして、外来管理加算に関しては100億円でしたけれども、科のバランスを とるため、それを膨らませて240億円の形で出されたわけですけれども、これがここま で、再三言っておりますので改めて言いませんけれども、恐らく大きなずれがあったとい うことは間違いないわけですから、ここのところをもう少し分かりやすく。中医協でそも そもこの240億円、つまり100億円単位での議論というのは、考えられなくなってし まうと意味があるのかということになってくるわけですので。 ○遠藤小委員長  ですから、この乖離については、原因を究明する必要があるのではないかという提案の 1、さらにそれを修正するとすればどういう方法があるのかというのが提案の2であった わけで、その事務局提案について賛同するという、そのように承ってよろしいわけですね。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  これだけ見ますと確かに処置はふえているんですけれども、それ以外にはリハとか精神 もふえていますから、変に補正をかけると、じゃ、このリハはどうするんだとかなるわけ ですね。余りそれをすると信頼性に今度はかかわってくるということで、補正というのは 慎重にやらなきゃならないなと思います。ただ、これだけでは私たちも判断しづらいので、 もう少しデータを出していただければという気もしております。  以上です。 ○遠藤小委員長  一とおり御意見を承りたいと思います。  では、高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  基本的なことをお伺いしておきたいんですが、まず1点、社会医療調査とメディアスの 比較というのは従来なされてきたのかどうか、まず1点このような表というのは私の知っ ている限りではお目にかかったことはないんで、もし新たな比較ということであれば、こ の比較した大きな理由というのは、主なる理由というのは何なのかというのを、まず1点 お聞きをしておきたいなと思っております。  それから、誤差を生んだ原因の大きな一つとして人工透析の内科診療所が多いと、こう いうことなんで、これはどのくらいの割合で入っていたのか、ただ例年に比べて多いとい うような書き出しをしておりますけれども、この割合と、それから、先ほど来出ています とおり修正をするということであれば、これは慎重にやっていただかないと、せっかくつ くったものがデータの信憑性が損なわれるという、非常に逆の意味での怖さを感じるデー タになりますので、その辺は要望として、意見として出しておきたいと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、質問が1つ出ましたので、要するになぜ比較したのかということであります けれども、事務局、お願いいたします。 ○事務局(佐藤医療課長)  結論から申しますと、これまでも比較をしておりました。何度も申しますが、メディア スのデータというのは全数データでございますので、医療費全体という点で言いますなら ば相当に信頼の置けるものになります。ですから、常にこれまでも事務局ベースでは、メ ディアスのデータと比べたときに比較できる部分については、社会医療診療行為別調査で どうなっているかということは見てきたということです。ただ、公式の場で一つ一つにつ いてこれがこうです、あれがああですと言わなかっただけというふうに御理解いただいて いいと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかにございますか。  じゃ、竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  いろいろなデータをこうして出してくるわけですけれども、その中でおかしいなと、こ れをまず気づかにゃいかんわけですね。確かにおかしいわけですから、その2点を挙げら れたわけですね。余り乖離が大き過ぎる、何でだろうと。それと、この原因が分かったら それをどうするかということでしょう。これは、私は全く正しいと思うんです。それで、 いろいろなデータ、我々も医療経済実態調査のことも前に言ったことがある。御議論もい ろいろありましたね。  そういうことがありまして、正確なデータを出すということは、中医協の中ではそれに 基づいて診療報酬を決めていくわけですから、これは絶対私は否定できないことだと思う んで、ここでさあ具体的にどうするかということですが、藤原委員がいろいろ言いました が、これは推測の域を出ませんので、やっぱり何かしっかりしたここで明らかにできるよ うなそういう仕掛けを、やっぱりつくってもらいたいですね。希望です。 ○遠藤小委員長  はい。承りました。  それでは、北村委員、どうぞ。 ○北村委員  データの統計値の補正というのは大変慎重にしていただきたい。それで、恐らく私たち が最初に気がつかなくちゃいけないんでしょうが、事務局のほうで調べていただいて、こ れは事前にこの中医協に御報告しておいたほうがいいだろうということで、私はこれを出 していただいたんだと思うんですよ。  ですから、今この場合の論点は初診料・再診料の問題ではなくて、私は限定された対象 の統計値であれば、異常値が出たほうがかえってその統計というのは正確なんじゃないか ということだってあり得るわけなんで、ここはですからこういう差が出たところをきちん と検証していただくということなんじゃないですか、ここの論点は。この細部の1項目、 1項目に入れば、これは総数だってふえているわけですから、ですからそうすると我々だ ってそこに触れざるを得なくなっちゃう。そういうことではなくて、なぜ差が出たかをき ちんと検証すると、それだけでよろしいんじゃないでしょうか。 ○遠藤小委員長  補正までは必要ないということですね。確かにどのように補正するかということは非常 に難しい問題だと理解しております。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  今の話にも関係するんですけれども、せっかくこういった問題が出たので、できるだけ メディアスと社会医療診療行為別調査の差違とか、これまでの経緯とか、よく精査してい ただきたいという思いがあるのですけれども、しかし一方では、そういったことをやり出 すと切りがないといいますか、今現在私の認識としては、中医協での議論というのは、こ れまでの2年前、4年前、6年前の改定と比較すると、外来管理加算等々の問題もあって 余り進んでいないというのが、現状だろうと思うんです。ですから、そういう中で個別の 話に余り入っていくと、逆に大変だという思いがあるので、そこのところは事務局のほう で、ここだけはというところはスピードを上げていただいて、これ以上入ると本当に時間 がかかってというところは、ある程度割り切りも含めてやらなくてはいけないのかなとい うのが1点です。  あともう一点としては、まさに竹嶋委員が言われたように、データの正確性ということ で中医協としてはエビデンスということを言ってきているわけですから、そういうことか らしますと、40万件の単月のデータというのはやはりばらつきが非常に多いんだろうと。 そうしますと、オンライン請求等いろいろな議論があるのは存じ上げていますけれども、 そういったことから対応していかないと、なかなかデータの乖離、突出といったことが避 けられないので、そういったことをぜひ中医協の委員、我々も含めてですけれども、デー タをできるだけ出していって、それを全数に近い形でできれば、いずれ少数のデータより はできるだけ実務的に可能な範囲でやれる。そして、そのためにはIT化が必須だという 認識を共通にする必要があるのではないかと、私はそう思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ただいま対馬委員がおっしゃられたこと、後半の部分につきましては今後の課題という ことなんですね。オンライン請求もされたということで、それを使えば、メディアスは全 数調査でありますけれども、分類が非常に大まかになっておりますから、個別の診療行為 別には分からないということなので、しかし、今後オンライン請求ということで、個別の 診療行為別に全数調査ということもできるだろうと、今そういう御提案だと思いますので、 恐らくそういうことでやっていったほうが透明性は増すだろうというようなことだと思い ます。今後の議論としたいと思います。  前半の問題では、この補正というのはなかなか難しい問題があるので、とりあえず検証 するということ、乖離が生じた原因を検証するということには賛同するけれども、補正に ついては慎重であるべきだと、このように理解してよろしゅうございますか。  はい。ということです。  藤原委員、手短にお願いします。 ○藤原委員  補正ということをどういう形でするかという言葉の問題があると思うのですが、例えば 今回人工透析が内科の中に多く入っていたということであれば、そこのところを除外して 考えるということはそれほど難しくはないんではないかと、それが補正になるんだという ような見方もできるかも分かりませんけれども、しかし、そういったことを出すことがで きれば、それはそれで生のデータですから出していただく、補正も何もしなくて別に分け て検討するということも一つは可能ではないかと。それは、初・再診については、数さえ 分かればある程度そこで見分けることできると私は思っております。  それから、対馬委員のデータのことなんですが、少なくともこれまで中医協の中では、 これまでこの社会医療診療行為別の調査を延々としてきたわけで、それなりに信憑性はあ ったはずです。それを、今数が足らないとかいって、それでこの議論はおかしいと言われ るのは、今までの議論はそれじゃ何だったかということになりますので、そこまで全否定 されることはないんではないかと。これまでのデータで厚労省は、自信を持って240億 円とかそういうレベルまで数字をはっきり出してきているわけですから、それはそれでき ちっとこれまでどおり議論をしながら、また全体の趨勢を見て検討するということでいい んじゃないかと。 ○遠藤小委員長  わかりました。  ほかに何かありますか、対馬委員、お名前が出ましたので。 ○対馬委員  全否定ということではなくて、よりデータの正確性とかデータの利用を高めるために、 将来的にどういったやり方が望ましいのかといったことを申し上げたわけです。 ○藤原委員  要するに検証をしていただきたいということです。 ○遠藤小委員長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  先ほど遠藤委員長がおまとめになった考え方で、今回のケースについてはよろしいと思 います。その一方でもしも調査全体を見直そうというようなお話がもしあるのであれば、 個別の項目になりますが、そもそも社会医療診療行為別調査の報告書が診療行為と薬剤と いうふうに分かれていますので、全体の見直しに際しては、技術部分だけではなしに、薬 剤についてもきちんと分かる方が、参加した上で、その社会医療診療行為別調査の在り方 についての見直しを行っていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  たまたまこういうことが議題になりましたから、改定が済んだ後になると思いますけれ ども、今後どのように、データをとるのかということを議論していったらいかがでしょう か。それとも早急に始めたほうがよろしいですか。 ○藤原委員  早急にできるなら、早急にしてほしい。 ○遠藤小委員長  そうですか。いや、オンライン請求を使ってというような話ですよ。 ○藤原委員  そんなところまで、取り急ぎ…… ○遠藤小委員長  そうではない。 ○藤原委員  統計情報、きちっとその辺の今までの経緯について、議論の経緯をきちんとつくってい ただいて、できる範囲内のことをまた示していただければいいんじゃないかと。 ○遠藤小委員長  もちろんそういうことですが、わかりました。今一とおり御意見を承りましたので、ど うも意見が一致している点では、今回の乖離の原因を究明しろという点では一致している と思います。これで補正をかけるのか、どういう体制でどういう方法で補正をするのかと いうところについては、まだ議論が残ると思いますので、本日はこの原因の究明というこ とで御同意いただいたと考えさせていただきたいと思います。  そこで事務局と相談なのですけれども、この乖離が生じた理由というのは、精査するこ とによって事務局ベースで分かりますか。  医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  データ、特に処置の部分というようなところで、ある程度ピンポイントに決めて調査を すれば、それは分かると思います。 ○遠藤小委員長  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  厚労省の中の統計情報部がもうおつくりになったといって、この点は藤原委員がずっと 経年的に見て余り変わらなかったと、ここだけ変わってきたというようなことがありまし たね。これは確かに突出した結果なんですよね。やっぱりそこを私はやはり同じ厚労省の 中でやったわけですが、そこだけじゃなくてやっぱりこの小委員会の中で、私は何か仕掛 けをつくってほしいと先ほど要望を出したんですが、そういうことなんです。何か調査メ ンバーでやっぱり両方から、診療側、支払い側、それから、公益側も分かりませんが、そ ういうものをつくってやっぱりきちっと透明になるようにしてくださいというのが、私の 仕掛けとお願いしたのはそこなんです。 ○遠藤小委員長  御提案はプロジェクトチームのような、これは医療経済実態調査のときにやりましたけ れども、あのようなもので今回のこの乖離の原因を考えるという仕組みをつくったらどう かということです。今のお話の中では、1号、2号、さらには公益も含めてというような ことだったわけですけれども、そのようなプロジェクトチームをつくること、この御提案 についてはいかがでございましょうか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  専門家が入って検証することは、先般の医療経済実態調査等でもやっているので、それ でよろしいかというふうに思うんですね。  ただ、余り診療側、支払側、公益ということでやりますと、特に今回の問題については データのある種の信憑性といいますか、検証ですから、そこを、1号側としてはとか、2 号側としてはとか、そういう話とはまたちょっと違うような気もします。ですから専門家 に入っていただいて検討していただく形でいかがかなと思います。 ○遠藤小委員長  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  いや、別に分けるんじゃなくて、私が申し上げるのは、出てきた数字に対してそれぞれ の立場から疑問というのが出ると思うんですよ。そういうものをやはりそこで練る。こう いうところで議論できませんので、そういうところでやるということですから、何もそこ でいろいろと対立するというような構図は全くないです。それは、だから例としては委員 長がおっしゃられましたように、前の医療経済実態調査のときに出ましたね。ああいう形 でもいいんです。ですから発言の中では、分かりませんがと最後に言ったと思うんですね、 どういう形か。 ○遠藤小委員長  わかりました。ありがとうございます。  確かにこれは純粋に統計技術上の問題でありますので、したがってその乖離の原因を明 らかにするという点においては、全く技術的な話になるということでありますので、これ は技術的なアプローチで、1号、2号の委員の方々が特に入っていただく必要はないかと 思いますけれども、そのように理解してよろしいですね。  はい、ありがとうございます。  それでは、いかがでしょうか。そのようなプロジェクトチームを早急に立ち上げまして、 専門家、事務局を交えてこの原因の究明をすることにさせていただこうと思います。  よろしゅうございますか。反対の方いらっしゃいますか。よろしゅうございますか。  人選ですけれども、この人選につきましても、これは早くやらなければいけないもので すから、お許しいただければ私に一任いただければと思いますけれども、よろしゅうござ いますか。  それでは、事務局、そのようなことですので、至急そのような体制をつくりたいと思い ます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。次回の日程等につきまし て、事務局から何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  7月下旬を予定しております。詳細決定し次第、また連絡させていただきます。 ○遠藤小委員長  それでは、本日の小委員会、これにて閉会いたしたいと思います。ありがとうございま した。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)