09/07/15 第32回社会保障審議会医療保険部会議事録 第32回社会保障審議会医療保険部会 議事録    日 時:平成21年7月15日(水)16:28〜18:30    場 所:厚生労働省専用第18〜20会議室(中央合同庁舎5号館17階) ○糠谷部会長 それでは、まだ若干早目ではございますが、委員の皆様方おそろいで ございますので、開催させていただきたいと思います。第32回の医療保険部会でご ざいます。  委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただきまして御礼を申し上げま す。  まず、新たな委員が任命されておりますので、御紹介を申し上げます。  本年3月にとりまとめられました厚生労働行政の在り方に関する懇談会最終報告 におきまして、長寿医療制度に関する議論について、政策決定過程への当事者の参加 は極めて重要であるとの指摘がございましたことを踏まえまして、全国老人クラブ連 合相談役理事である見坊和雄委員。 ○見坊委員 見坊和雄でございます。不勉強ですが、どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○糠谷部会長 それから、高齢社会をよくする女性の会理事長である樋口恵子委員が 新たに御就任されております。 ○樋口委員 樋口でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○糠谷部会長 それから、本年6月3日に全国後期高齢者医療広域連合協議会が発足 したことに伴い、全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、佐賀県多久市長でありま す横尾俊彦委員が新たに御就任されております。本日は横尾委員は御欠席でございま す。  それから、全国市長会からの御推薦によりまして、前任の河内山委員に代わりまし て、全国市長会国民健康保険対策特別委員長、高知市長でございます岡崎誠也委員が 御就任になっておられます。 ○岡崎委員 高知市長の岡崎でございます。またよろしくお願い申し上げます。 ○糠谷部会長 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。  本日は、磯部委員、岩村委員、大内委員、神田委員、西村委員、山本委員、横尾委 員より御欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。  神田委員の代理として、愛知県健康福祉部医療制度改革監の中野参考人。  山本委員の代理として、全国町村会事務局次長の平山参考人。  横尾委員の代理として、全国後期高齢者医療広域連合協議会事務局長の馬場参考人 の御出席につき、御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。 (「異議なし」と声あり) ○糠谷部会長 よろしゅうございますか。それでは、そのように取りはからわせてい ただきます。ありがとうございます。  それでは、議事に入らせていただきます。本日の議題の1つ目として「平成22年 度診療報酬改定に向けた検討について」が挙がっております。事務局より資料の説明 をお願いいたします。多くの委員にできる限り御発言をいただくため、説明は簡潔に お願いをいたします。それでは、どうぞ。 ○神田課長 それでは、まず、お手元の資料1−1に基づきまして、22年度の診療報 酬改定に向けたスケジュール案について御説明をいたします。  1枚おめくりいただきますと、中医協の在り方に関する有識者会議の報告書の抜粋 が出ております。初めての委員の方もおられますので簡単に御説明をさせていただき ますと、診療報酬の改定率の決定については(2)にございますように、内閣の権限 で行うということでございます。  それから、改定に係ります基本方針につきましては、(3)の2つ目の○でござい ますけれども、医療政策の審議を行う場として社会保障審議会の医療提供体制の検討 を行います医療部会、それから、医療保険財政、医療保険制度について審議を行いま す、この医療保険部会が基本方針の策定を行うということになっております。  それを踏まえまして、厚生労働大臣から中医協に対しまして、内閣が決めた改定率 を所与の前提としまして、医療保険部会、医療部会で策定していただいた「基本方針」 に基づいて、診療報酬点数の改定案の調査、審議を行うことを求めるということにな っております。それを踏まえて中医協の方から改定案を作成して答申をするというの が全体の位置づけ、中医協とこの部会などの位置づけでございます。  資料1−1の1枚目にお戻りいただきますと、下の方に参考に前回の診療報酬改定 のスケジュールが出ております。基本的には、スケジュール的には同じでありますけ れども、今回は社会保障審議会におけます議論を7月から始めることにいたしており ます。それ以外については、基本的に前回と同様なスケジュールで考えております。 11月ころを目途に基本方針についてのおとりまとめをお願いいたしたいと思ってお ります。  続きまして、診療報酬改定等について、政府で閣議決定されている内容等について 簡単に御説明をさせていただきます。お手元の資料の1−2をごらんいただきますと 「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」の抜粋 がございますので、ごらんいただければと思います。これは、政府といたしまして、 当面の景気対策と景気状況の好転後におけます中期の財政責任、それから、社会保障 の安心、強化に向けた取組みの方向性を昨年末に閣議決定として明らかにしているも のでございます。  そこのポイントだけ申し上げますと、1の(1)でございますけれども、社会保障 国民会議におきまして、社会保障制度の諸問題ですとか、「中福祉」にほころびが生 じているということから「中福祉」の実現を図ることにしております。  それから(2)でございますけれども、社会保障国民会議の中で、医療・介護機能 の強化などを目指すことになっております。そのためには財源が必要になるわけであ りますけれども、それは同時進行で行っていくということが2ページ目の一番上に書 いてございます。具体的には、「中福祉」の実現に向けまして医療介護体制の充実な どの機能強化と効率化を図る。別添工程表で示された改革の諸課題を軸に、制度改正 の時期も含めて検討を進めて、安定財源を確保した上で段階的に内容の具体化を図る というふうにされています。  この閣議決定には、別添工程表が最後のページに付いてございますけれども、この ようなものが具体的な機能強化の工程ということで示されております。特に診療報酬 との関係で申しますと、2010年のところ、平成22年度の診療報酬の改定といたしま して矢印が出ておりますけれども、救急・産科等の体制強化が課題というふうに位置 づけられております。  また、2012年、平成24年には、診療報酬の改定、それから、介護報酬の改定とい う6年に1度の同時改定がございます。そのときの重要なテーマといたしましては、 急性期の機能分化推進などのほかに、地域包括ケアの推進、在宅医療の強化、あるい は介護・医療の連携の体系的な見直しが位置づけられているところでございます。閣 議決定の一部として、今、申し上げたような方針が位置づけられているということで ございます。  続きまして、資料1−3でございますけれども、いわゆる骨太方針2009について でございますが、今、申し上げたような方針が骨太方針の中でも確認をされておりま す。  お手元の資料の1−3の2ページ目をお開きいただきますと、(1)のところで、 社会保障の「ほころび」に対応していくということが書いてございまして、1の(2) でございますけれども、3つの局面に分けてこれを進めていくことになっております。  まず、[1]ですけれども、安心再構築局面ということで、2011年、平成23年度まで の間でありますけれども、先ほど申し上げた「中期プログラム」で社会保障機能強化 ・効率化をすることになっております。そのうち重要事項については、優先課題を軸 に着実に実行に移すということで、優先課題というのが別紙1に出ております。  この別紙1というのがお手元の資料の5ページ目になります。特に診療報酬の記述 について申しますと、真ん中にございますけれども、「2010年度に見込まれる診療報 酬改定において、『選択と集中』の考え方に基づき、診療報酬の配分の見直しを行う とともに、救急、産科等の体制強化などの方策を検討する。」とされております。  ちょっとコメントをさせていただきますと、「選択と集中」の考え方に基づき、診 療報酬の配分の見直しを行うとございますけれども、これは社会保障国民会議の最終 報告などにおいても指摘されております。我が国の医療提供体制というのは、機能分 化が不明確であるとか、医療現場の人員配置が手薄などの問題を抱えているというこ とで、これが救急とか産科の問題につながっているということでございます。  したがって、社会保障国民会議の最終報告などにおきましては、例えば、急性期病 院などについて人員配置を重点化・集中化するなど、資源を集中投入すべき分野につ いては思い切った投入を行う。  一方で、資源を特定の分野に集中するためには、その財源も必要になりますので、 そのために新たな負担を求めていくことについて国民の理解を得ていくためには、効 率化するべきものは効率化するという考え方が示されているところでございます。診 療報酬においても、配分の見直しが必要という趣旨を述べているものでございます。  あらかじめ申し上げておきますと、前回の診療報酬改定では、病院と診療所間の配 分見直しが議論になったわけでございますが、それも含まれることになりますけれど も、特定のものを指しているということではなく、例えば、一般病床におけます急性 期への重点化ですとか、診療科間の重点化など、さまざまな配分の見直しを考えてお ります。  それから、別紙1の次のページをごらんいただきますと、医療と介護の連携という ことで、次の同時改定に向けた検討を2011年に向けて進めていくということも位置 づけになっております。  更に、2010年代半ばに向けた取組みについて、別紙2にある項目を軸に検討を進め て対応策の具体化を行うことになっております。別紙2は7ページ目でございます。 医療の部分で言いますと、急性期医療の機能強化とか、在宅医療等の地域で支える医 療・地域連携の強化などがうたわれているところでございます。  私の方からは以上でございます。 ○三浦課長 引き続きまして、医政局の指導課長でございますが、お手元の資料1− 4、1−5、1−6を用いまして御説明申し上げます。  まず、1−4でございますけれども、医療を取り巻く環境は非常に厳しい中で、医 療の確保をどのように行うのかということで、昨年の6月に大臣の下に置かれており ました検討会がまとめたものが「安心と希望の医療確保ビジョン」でございます。  特に「II.具体的な政策」といたしまして、医療従事者の数と役割、中でも、1行 目に出ていますような医師数の増加が指摘されております。  [2]といたしまして、地域で支える医療の推進ということで、救急医療の改善が指摘 されております。  [3]、医療従事者と患者・家族の協働の推進ということで、相互理解の必要性などが 触れられておりまして、「III.医療のこれからの方向性」としては「治す医療」から 「治し支える医療」に向うということが言われているものでございます。  資料1−5でございますが、その確保ビジョンを受けて、更に具体化を進めるため の検討会がやはり大臣の下に置かれまして、その3か月後、中間とりまとめが行われ たものでございます。  5つの項目でございまして、医師養成数について、将来的には50%程度その増加を 目指すということ。  2番目、医師の偏在と教育ということで、医師が魅力あると思うようなインセンテ ィブが必要ということ。そして、そのためにドクターフィーの検討が必要という指摘 がございます。  3番目、コメディカル等の専門性の発揮とチーム医療でございます。コメディカル のキャリアアップなど、あるいは他職種との協働ということがございます。  4番目、地域医療・救急医療体制支援でございまして、先ほど来の指摘の検討が行 われたものでございます。  5番目、患者・住民の参画という5項目でできております。  今、申し上げましたように、救急医療等を取り巻く状況が大変厳しいということも ございまして、資料1−6をごらんいただきたいと思います。資料1−6は、救急医 療等に関しての現状と課題をとりまとめたものでございまして、スライド番号2枚目 をごらんいただきますと、救急医療等の体系図がございます。左側が大人の方、右側 が子どもの方、それぞれ救急が必要になったときにどうするのかということで、まず 初期救急が大人、子ども、それぞれに用意されている。また、入院を要する救急、こ れはよく二次救急と申しますが、そういう二次救急の施設が整備されている。更に、 一番厳しい、重篤な患者さんをお受けする場として、救命救急の場面、これは三次救 急と呼ばれますが、救命救急センター等が整備されている。こういうような体系でご ざいます。  資料3枚目をめくっていただきますと、救急医療等の予算補助事業でどのようなも のがあるかということでございます。四角の中に書いてございます1番目の○は、政 策目的に照らして、地域において必要な医療提供体制の構築を促す観点から、予算補 助事業が実施されている。  2番目の○でございますが、更に、救急医療、小児救急、へき地などに係る費用で、 診療報酬で賄い切れない不採算部門等について、補助事業を実施しているということ でございます。その内容としましては、大きく4つに分けますと、施設・設備の整備、 運営費、人材確保、その他などに分かれるものでございます。  4枚目をめくっていただきますと、これは救急医療の施策を体系的にまとめたもの でございまして、左側をごらんいただきますと、制度上の措置、予算上の措置、そし て前回診療報酬改定における措置というのがまとめてあります。  救急医療は、先ほど申し上げたとおり、初期、二次、三次ということで進むわけで ございますけれども、制度上の措置の2行目の消防法に基づくルールがございますが、 この5月に消防法が改正されまして、救急搬送のより円滑化を目指したルールを各都 道府県が定めるというような内容のものが定まっております。  予算上の措置の二次救急の欄に管制塔機能を担う病院、これも新たに取り組んでい る事業でございますけれども、要は、必ず地域において救急患者を受けていただく病 院を整備していくというものでございます。  更に、その右側に、医師等の医療従事者についての対応の中で、救急勤務医支援事 業というのが予算上の措置の上から3つ目にございます。これは、救急で休日・夜間 勤務する医師に対する手当を設けた場合に、その一部を国が助成するというものでご ざいます。  次のページ、5枚目の紙でございますけれども、周産期医療の関係の、先ほどと同 じような体系図でございます。周産期医療は、正常分娩から、地域周産期母子医療セ ンター、更には高度な医療を提供できる総合周産期母子医療センターが整備されてお ります。  予算上の措置の一番右の隅でございますが、産科医等確保支援事業というのがござ います。これは、お産に立ち会った産科医の方々などに対して手当を病院がお支払い いただいた場合に、その一部を国が支援するというもの。2番目の育成支援事業は、 産科の専門医を目指す方々に対する奨学金制度に対する国の助成制度でございます。  次のページが、小児救急医療の関係でございます。この中で、初期、二次、三次と いう形でそれぞれ縦に割られておりますけれども、その初期の小児救急のうちの予算 上の措置、2番目でございますが、小児初期救急センター運営事業というのがござい ます。これは21年度から新たに始めた事業でございますけれども、小児救急の9割 の方は比較的症状が軽い方であります。そういう方々をしっかり受け止めるセンター を運営していただいた場合の助成事業を始めたというものでございます。  8ページに飛んでいただけますでしょうか。救急医療体制の現状をごらんいただき たいと思います。  9枚目のスライドでございます。これは、救急搬送の件数でございます。昭和38 年以降の数字が出ておりますけれども、この10年で約1.5倍まで救急搬送が増えて いるというものでございます。  次の紙でございますけれども、10年間ではどういう変化があったかということでご ざいます。一番右のグラフでございますが、軽症、中等症を中心として、高齢者の救 急搬送が急増しているというものでございます。  11枚目でございますけれども、三次、二次、一次(初期)の救急のそれぞれの医療 機関の数でございます。特に二次救急は、平成16年には3,250余りでございました けれども、その4年後にはその数字がかなり減っているというのがごらんいただける と思います。3,175という数字がございます。  12枚目でございますけれども、平成6年度の医師の数を1といたしまして、各診療 科ごとにどのような動きがあったかということでございます。18年のところを見てい ただきますと、総数では1.19、つまり、19%増えているわけではありますけれども、 小児科はその伸び方が半分、産婦人科、外科に至っては今までの数を割っているとい うような、9割を割っているという状況にございます。  13枚目でございますけれども、病院勤務医が勤務されているときに、左側の図は、 1週間に実勤務時間が何時間であったかということでございます。一番多いのが救急、 それに続いて脳神経外科、外科、小児科など、赤く円で囲んだ部分の診療科の勤務が 厳しい。  右側は、当直1か月当たりの回数でございますが、同じように救急、産婦人科、小 児科の数が多くなっております。  14枚目でございますが、先ほど消防法の一部を改正する法律が成立したと申し上げ ましたけれども、救急の患者さんの発生から救急医療機関まで搬送の中で、右側の四 角の中に書いてございますが、搬送・受入ルールがございます。特にこの中では4番 目、搬送先医療機関が速やかに決定しない場合において傷病者を受け入れる医療機関 を確保するためのルール、先ほど申し上げましたが、必ず受けていただく病院を設け るなり、あるいは救急搬送の送り先を調整するコーディネーターを地域に置くなり、 そういうルールを各都道府県が定めることになっております。  15ページ以降が周産期の医療でございまして、16枚目、周産期医療は、先ほど簡 単に申し上げましたが、右下の地域の医療機関で厳しい、対応が難しい妊婦さんが出 た場合には、その左側にあります地域周産期母子医療センターにお送りする。更にそ こで対応が厳しければ、総合周産期母子医療センターに送るというものでございます。  17枚目をごらんいただきますと、総合、あるいは地域のそれぞれの周産期母子医療 センターの数自体は増えているわけでありますけれども、一方で、18枚目をごらんい ただきますと、分娩施設は減っております。つまり、今、申し上げた総合ないしは地 域の周産期センターに集約が進んでいるというようにも言えると思います。  19枚目でございますが、産まれたときの体重が2,500gを割るような子どもさんの 割合が、この10年、20年の間でおよそ倍増しているということでございます。棒グ ラフでごらんいただきますと、一番右が今、9.6%でございます。このデータで言う と、昭和50年の数字、5.1%が一番少なかったわけでございますが、そのときに比べ て倍増しているというものでございます。  20ページは、新生児のお子さんや、あるいは母体を集中治療するための施設の整備 状況でございます。先ほど見ていただいたように、出生の際に体重が少ないお子さん の割合が増えていることもありまして、NICUの数の増加があるわけであります。  21枚目のスライドをごらんいただきますと、NICUの病床利用率は既に90%を 超えているところが8割というのが左側の円グラフ、また、右側の表は、NICUで 受入れができなかった一番大きな理由は、NICUが満床だった。数は増えているわ けではありますけれども、満床という状況が続いている施設が多いということでござ います。  23枚目以降でございますが、小児救急の状況。今、ごらんいただいたのは新生児の 状況でございますけれども、小児救急、1〜4歳の死亡率でございます。左側の図を 見ていただきますと、日本の乳児死亡率は最も低いグループに属しているわけでござ いますが、1〜4歳の死亡率については、右側のOECD各国の中で中位以下にある というような数字がございます。  24枚目のスライドを見ていただきますと、では、1〜4歳の子どもたちが運び込ま れる救命救急センターで小児の救急専門の病床がどれぐらい整備されているかとい うことでございますが、そのような施設があるところは6か所で、病床数も極めて限 られているということでございます。  以上の課題を踏まえまして、25ページ以降、救急医療の充実方策ということで、2 6ページがその全体をとりまとめたものでございます。その具体の内容はどういう形 で議論されてきたかというと、27ページが周産期と救急医療の懇談会における報告書 をまとめたものでございますし、28ページ以降は救急医療、また、29ページが重篤 小児、30ページが救急ということでございます。  私どもも、そういう状況がございますので、32枚目のスライドをごらんいただきま すと、医師確保対策関係の予算は、平成20年度予算が160億でございましたが、今 年度予算については100億余り増やして271億というように予算上の積み上げを行っ ているということ。  また、40枚目のスライドをごらんいただきますと、救急医療関係の予算でございま すが、平成20年度の予算が100億でございましたが、その額に更に100億余りを積 んだというのが現状でございます。  今まで申し上げました内容などをとりまとめると、戻っていただいて恐縮ですが、 7枚目の紙をごらんいただきたいと思います。「救急医療等に係る課題と必要な支援」 ということでございまして、救急医療に係る課題は、そこにございますように、救急 医療の需要が増加していること、また、受入体制が不足していること、更には出口の 問題ということで書いてございますけれども、要は、救急の治療が終わった後の後方 病床の確保が大きな課題になっている。周産期や小児救急における具体の内容につい ては、その下にまとめたものでございます。  更にその下の枠でございますが、では、そのような状況に対して、どのような支援 が必要と指摘されているかということでございますが、まず、一番左側は、円滑な搬 送、受入体制の構築のための支援が必要である。  真ん中では、救急医療機関への支援としまして、救急医療機関の受入実績に合わせ た支援ですとか、あるいは小児の施設などに対する支援がございます。  更にその下に地域の医療機関等との連携強化ということで、救急医療機関のみなら ず、地域全体でそれを支えていく仕掛けが必要だということ。  また、その下には、救急医療を担う医師の勤務環境を改善し、処遇の改善を目に見 える形で示す必要があるということ。  また、一番右側のところは、後方病床、在宅療養の機能強化を進める必要がある。  こういうような指摘が先ほど申し上げたような検討会などで指摘されているとこ ろでございます。  少し長くなりましたが、救急医療等に関する現状、また、課題については以上でご ざいます。 ○小野室長 医療課の保険医療企画調査室長でございます。  資料1−7、1−8につきまして、私の方から御説明申し上げます。  1−7の「平成20年度診療報酬改定の結果の検証について」でございます。1ペ ージをごらんいただけますでしょうか。「診療報酬改定の結果の検証について」とい うことでございますが、中医協の方に、公益委員の先生だけから成る部会でございま すが、「診療報酬改定結果検証部会」を設置いたしまして検証作業を行っております。  20年度に検証を行う項目につきましては、20年7月の中医協の検証部会において 決定されたところでございまして、具体的には、1〜5にある5項目につきまして調 査を行ったところでございます。以下、この5つの調査についての抜粋を付けており ますので、御説明申し上げます。  2ページでございます。1つ目が、病院勤務医の負担軽減の実態調査でございます。 これは、図表2にあります入院時医学管理加算、すなわち急性期の医療を担う体制で あり、かつ勤務医の負担軽減を御尽力いただいているような医療機関を評価するとい う点数でございます。入院時医学管理加算、あるいは医師事務作業補助体制加算、ハ イリスク分娩管理加算、この3つの加算のうちのどれかを取っている医療機関に対し て調査を行ったものでございます。  下の図表37は、病院勤務医の負担軽減策は何をやっていますかという質問に対し まして、一番多かったものが医師事務作業補助体制77.1%、次は、連続当直を行わな い勤務シフト71.9%、医師・看護師等の業務分担云々というふうに続いているところ でございます。  3ページをごらんいただけますでしょうか。これは、それぞれの医師責任者、診療 科ごとのトップのお医者さんにお伺いしているところでございます。御自分の診療科 の医師の勤務状況の変化をお伺いしております。棒グラフの左側の2つが「改善した」 「どちらかというと改善した」でございます。右側の2つ、21.4%+19.4%が「悪化 した」「どちらかというと悪化した」ということで、「悪化した」「どちらかという と悪化した」のお答えの方が多くなっております。診療科ごとの分布は、ごらんいた だいているような状況でございます。  4ページでございますけれども、取り組んでいる勤務医負担軽減策の効果について お伺いしております。左の2つが「効果があった」「どちらかといえば効果があった」 でございますけれども、一番「効果があった」等が多いのが、上から2番目の医師事 務作業補助者の配置、その次は常勤医師の増員、非常勤医師の増員、一番上にありま す医師業務の移転、連続当直を行わない勤務シフト体制というふうに続いているとこ ろでございます。  5ページ目から、医師責任者・医師でございます。医師と書いてありますのは、責 任者ではない現場のお医者さんでございます。業務分担の進捗状況についてお尋ねし ておりますけれども、一番進捗が進んでいるものは「診断書、診療録、処方せんの記 載の補助」、その次は「主治医意見書の記載の補助」、その次がさまざまな「入力の 代行」、その次が「静脈注射・留置針によるルート確保」といった辺りが多くなって おります。  そのうち、効果について、ここに書いてある項目すべてについてお伺いしておりま すけれども、特に「効果があった」「どちらかといえば効果があった」のが、[1]の静 脈注射・留置針によるルート確保、[3]の診断書、診療録、処方せんの記載の補助、主 治医意見書の記載の補助となっております。どちらも医師責任者の方が医師よりも効 果があったというお答えが多くなっております。  7ページ目でございます。検証部会としての評価でございますけれども、1つ目の ポツ、勤務医の状況はよいとは言えない。  2つ目、引き続き診療報酬においても負担軽減策を実施することが必要である。  3つ目のポツでございますけれども、実際に負担軽減策の一環として業務分担を進 めている項目については、ある程度の効果が認められるものもある。今後も引き続き 更なる改善策の検討が必要であるというところでございます。  「入院時医学管理加算」につきましては、施設基準の要件の見直し等について検討 する必要があると言われている。あとは、計画の認知度が少ないというのが検証の評 価でございました。  8ページでございます。2つ目の調査でございますけれども、外来管理加算の意義 づけの見直しの影響調査でございます。これは再診料の加算であります外来管理加算 に懇切丁寧な説明をすること、そのための時間の目安としておおむね5分という要件 が入ったことについてのお尋ねでございます。  9ページをごらんいただけますでしょうか。今、御説明申し上げましたような要件 を入れたことにつきます影響でございます。図表31と書いてあるものでございます けれども、患者に説明をよりわかりやすく丁寧に行うようになったかということでご ざいます。「大いにあてはまる」「ややあてはまる」が約3分の1弱。真ん中が「ど ちらともいえない」、右側が「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」とい うことで、こちらにある分布のようになってございます。  図表68でございますけれども、これは患者さんにお尋ねをしておりますけれども、 お医者さんからの説明について、どうですかというお尋ねでございます。全体の8% の方は「3月以前よりもわかりやすい」というお答えで、圧倒的に多数の87.8%の方 が「以前と変わらずわかりやすい」というお答えでございました。  10ページ目でございますけれども、この懇切丁寧な説明の実施頻度についてお尋ね しております。まず、医療機関の方にお尋ねした場合で、一番多いお答えが「項目毎 に異なる頻度で実施するべき」というものでございました。  図表107でございますが、患者さんに対して要望で聞きましたら、真ん中の辺りに あります15.5%というしまの模様で「症状変化があったときのみ全項目」というのが 一番多くございました。  続きまして11ページでございますけれども、患者さんに対しまして、外来管理加 算の時間の目安についてのお考えを聞いております。全体といたしましては「時間の 目安は必要だ」という方が33.8%、「時間の目安は必要でない」という方が55.8% おられました。  12ページに、検証部会としての評価でございます。1つ目のポツ、患者への調査で は、総じて診療内容に変化があったと感じていないことが伺える。  2つ目のポツといたしましては、医師の意識面では、患者にとって望ましい変化が 見られたことが伺える。  3つ目のポツでございますけれども、これは「懇切丁寧」な説明の内容の例示が要 件でありますけれども、今後の議論の際には、全項目について、診療の都度、毎回実 施することを希望している方は少ないということでございます。  時間の目安につきましては、患者さんは全体的には時間よりも内容や質を重視して いることのあらわれであると見受けられるという評価でございます。  13ページからが3つ目の調査でございます。後発医薬品の使用状況調査でございま す。これはジェネリック医薬品の使用状況に関する調査でございます。  保険薬局に対してお伺いしたのが最初のものでございますけれども、図表19で行 きますと、これは処方せんの様式を前回改定で、原則的にお医者さんの署名がなけれ ば後発品に変更してよいことになったわけでございます。薬局で受け付けた処方せん の65.6%に署名がなかったわけでございます。すなわち変更してよかったということ でございます。それを受け取った上で「1品目でも先発品を後発品に変更した」は6. 1%という状況であったというものでございます。  14ページでございますけれども、薬剤師さんが後発医薬品調剤に対して余り積極的 に取り組んでいないというお答えの方が33.5%いられます。その理由といたしまして は、図表47でお伺いしておりますが、品質や安定供給、あるいは近隣の医療機関の 姿勢といったお答えでございます。  15ページ、16ページでございますけれども、これは診療所・病院・お医者様にお 伺いしております。変更不可欄に署名した処方せんの発行経験を伺っておりますけれ ども、「ある」とお答えの方がこの割合でいらっしゃいます。  変更不可欄に署名した処方せんの割合で言いますと「10%未満」という方と「90% 以上」という方がそれぞれ、診療所であれば4割近くいらっしゃるということで、両 極端に分かれていらっしゃるというところでございます。  不可欄に署名した理由を16ページでお尋ねしております。一番多いのが「品質が 不安だから」というところになっております。  17ページ、18ページは患者さんへのお伺いをしておりまして、後発品の認知状況。 「知っている」という方が7割でございます。使用に対する考え方は、使用経験なし とありの方では、ありの方が「できれば後発医薬品を使いたい」というお答えが多く なっています。  18ページでございますが、使用するに当たって必要なことでございますが、「効果 があること」云々というお答えになっております。  19ページは検証部会としての評価でございます。1つ目のポツでございますが、後 発医薬品の使用の広がりは余り感じられない。  2つ目のポツでございますが、薬局も医療機関もまだ理解不足、不信があって、解 消させる必要がある。  医療機関、医師について見れば、使用しないという意思表示が見受けられるとか、 あるいは積極的に取り組まない理由を踏み込んで究明する必要がある。  患者さんでございますけれども、実際の利用が積極的な使用につながる面があると 考えられるというところでございます。  20ページでございます。4つ目の調査でございますが、後期高齢者にふさわしい医 療の実施状況調査1ということで、後期高齢者診療料の算定状況に係る調査でござい ます。いわゆる担当医制度でございますけれども、この算定状況で、図表1-6でござ います。この点数を算定するためには届出をしなければいけないわけでございますが、 届出をした医療機関のうち、実際に算定があったところは10.5%となっております。  1人も算定していない理由をお尋ねしておりますけれども、一番多い答えが「患者 さんが後期高齢者診療料を理解することが困難なため」。そのほか、他の医療機関と の調整であるとか、現行点数の問題を指摘されております。  21ページでございますけれども、後期高齢者診療料の算定後のよかった点を患者さ んにお尋ねしております。一番多いお答えが「治療方針など今後のことがわかりやす くなった」でございますが、2つ目に多いのが「よかったと思うことはない」。その 次が「医師から受ける病状などの説明がわかりやすくなった」というところでござい ます。  患者さんの満足度の変化でございますけれども、図表2-33でございますけれども、 左側にあります4分の1強の方が「満足」「とても満足」というお答えで、7割の方 が「変わらない」ということでございます。  22ページに検証部会としての評価でございますけれども、実際には9割が算定して いなかったという点について、今後の課題であるという御指摘。  2つ目のポツでございますけれども、よくなったという受け止めと、そうでもない という受け止めが混在している。満足度については、患者さんの7割が「変わらない」 と回答されております。  3つ目のポツでございますけれども、一部で懸念されました受療制限等の患者さん の不利益は確認されなかったところですが、一方で患者さんに対するメリットも明確 にはならなかったという御指摘がございました。  23ページでございます。終末期相談支援料の調査でございます。意識調査といいま すのは、一般国民の方にパネル調査をしたものでございますけれども、終末期の治療 方針等の話し合いの実施の意向でございますが、84.7%の方が「話し合いを行いたい」 とお答えになっております。  図表3-10が年齢階級別に見ました終末期の方針、話し合いの実施の意向という傾 向でございます。  24ページでございますけれども、これは事例調査ということで、実際に話し合いに 立ち会った看護師さんを中心とした医療スタッフの方にお伺いしております。話し合 い後の患者さん御本人の様子ということでお尋ねしておりますけれども、一番多かっ た答えが71.3%、「本人は話し合いに同席しなかった」が一番多くなっております。 その次に多かったのが「わからない」でございます。「話し合ってよかった」「どち らかと言えばよかった」という答えが7.6+4.8の12.4%ございました。  一方で、家族の様子でございますけれども、51.7%が「話し合ってよかった」、26. 6%が「どちらかと言えば話し合ってよかった」というふうに、よかったというお答 えが多くなって、その次が「わからない」17.2%となっております。  話し合いが患者・家族にもたらした影響については、図表2-12でごらんいただけ るような割合でのお答えとなっております。  25ページでございますけれども、終末期の治療方針等についての話し合いに費用が 支払われることについてどう思うかというお尋ねでございます。図表3-17でござい ますが、公的医療保険から医療機関に対して相談料が支払われることへの意識をお尋 ねしておりまして「好ましい」が34.1、「好ましくない」が27.5、「どちらとも言 えない」が36.2%となってございます。  図表3-18は、それを年齢階層別に見た分布でございます。  図表3-19は、図表3-17のうち「好ましい」とお答えになった方について、年齢区 分に関する意識をお尋ねしております。69.2%の方が「年齢区分は必要ない」とお答 えでありました。  26ページに検証部会としての評価でございます。一般国民に対する意識調査でござ いますけれども、話し合いたい割合が84.7と高かったけれども、相談料が支払われ ることについては意見が分かれた。「好ましい」と答えた方のうち、多くの方が「年 齢区分は必要ない」と答えていたのは注目に値する。  話し合いへの参加について、患者さん本人の参加は17.7%とさほど高くなく、実際 の話し合いと一般国民の意識が違いが見られる。  3ポツ目といたしましては、プラスの影響が比較的多く見られた。  4ポツ目といたしましては、「好ましい」「好ましくない」「どちらとも言えない」 がほぼ拮抗していることも踏まえて、その在り方については今後とも引き続き検討を 行う必要があるとされております。  続きまして、資料1−8でございます。最後で御説明いたしました終末期相談支援 料につきまして、若干おさらいのような資料でございます。ここにありますねらいと 内容の点数であったわけでございますけれども、「しかしながら」のところにあるよ うな誤解や不安があったものですから、平成20年7月1日より算定を凍結しており、 今、説明いたしました検証を実施することになり、75歳未満の方に引き下げることも 含め、今後検討とされております。  同じ資料の2枚目が、昨年の6月12日の政府・与党で決めました「高齢者医療の 円滑な運営のための負担の軽減等について」という文書でございます。項目3といた しまして「終末期相談支援料については、当面凍結することも含め、中医協で議論を 行い、速やかに必要な措置を取るとともに、検証する。後期高齢者診療料につきまし ても、具体的な検証作業に着手する。」というふうにされておりました。  3枚目の資料は、そもそもの後期高齢者終末期相談支援料創設の経緯についてでご ざいます。  1は、社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会での議論で、その 体系の骨子が一昨年の10月に決められましたが、そこで終末期の医療ということで、 患者さんにとって最もよい終末期医療が行われるように、診療報酬上の評価の在り方 について検討すべきであるというふうにされました。  それを受け、当医療保険部会と医療部会での議論を踏まえまして、診療報酬改定の 基本方針が19年12月に決められまして、そこで後期高齢者医療の診療報酬体系の骨 子を十分に踏まえた上で審議が進められることを希望するとされております。  20年1月18日に中医協に対し、この後期高齢者の診療報酬体系の骨子に基づき行 っていただくよう求めますという諮問が出されて、この点数が設けられたという経緯 がございました。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  大変広範な分野の資料を御説明をいただいたわけでございますが、ただいまの説明 や資料につきまして、御自由に意見交換をしていただければと思います。本日の配付 資料にございます中期プログラムや経済財政改革の基本方針2009で指摘されており ます救急・産科等の体制強化や診療報酬の配分の見直しなどのほか、今後私どもが検 討していくべき課題、これからの議論の進め方などについて、幅広く御意見を伺えれ ばと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。どなたからでも結構でございま す。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員 資料1−3の、ただいま議長が言われた中期プログラムの件に関してな んですけれども、ちょうど中段に「選択と集中」の考え方に基づき配分の見直しを行 うというふうにされております。先ほどの説明の中で、これは単に病診の配分の見直 しだけではなく、科と科の配分とか、いろいろなことが考えられるという意味合いの 御説明があったわけですが、それはそれといたしまして、地域医療の荒廃の原因の1 つとして、この「選択と集中」があったんではないかと私は考えるわけです。  今回もまた救急医療に対して重点的にという方向性が垣間見えるわけなんですけ れども、これまでの診療報酬改定の中で、救急、あるいは産科、小児科も含めてです けれども、かなり手厚く配分されてきたんではないかと私は思います。  その1つとして、先日の7月10日にございました中医協の医療機関のコスト分科 会での結果報告では、部門別収支では、入院は黒字、外来は赤字という結果報告がな されているわけであります。これは主にDPC病院と準備病院が入っております。D PC病院というと、一応、急性期病院をイメージするわけですけれども、そういう状 況にあると考えられます。  問題は、外来の赤字をどう考えるかということなんです。ここに本当に診療報酬を どんどん注ぎ込んでいくのかということはまず考えないといけないんではないかと 思うわけです。これは外来部分のまさに効率化が必要だということを示しているんで はないか。ここは医療提供体制の中での機能分化と連携が必要ということを言ってい るのではないか。そういった対策が必要だということが示されているんではないかと 私は思います。  財政審の中で、開業医に、診療所に財源が偏っているということが言われておりま すけれども、実際のところ、日本医師会の調査などで見てみますと、例えば、TKC 全国会、これは税理士と公認会計士がネットワークを組んでいるものでございますけ れども、昨年の4月〜6月の調査でございますけれども、診療所の損益分岐点は96. 2%〜98.9%、小回りが効くと言われる診療所においても、非常に危機的な状況にな っております。  それから、もう一つ、病院の勤務医の開業医志向が財政審の中でも言われているん ですが、実際にここ5年間の厚労省の医療施設動態調査を見てみますと、平成16年 では1,004、平成17年も1,004でありましたけれども、平成18年から582、平成19 年は825、これは中医協でも発表されておりますけれども、平成20年は何と74と激 減しています。私は中医協で発表されたとき、聞き間違えたかと思いまして、その具 体的な数字を尋ねたぐらいでございますけれども、それほど、今は勤務医の先生方は 開業医志向であるとは思われないと私は思います。  このままでは病院だけでなく、診療所の方も疲弊してきて、まさに地域医療の崩壊 と言えるような状況も起こってくると考えます。言いたいことは、診療報酬の配分の 見直しではなくて、やはり医療費全体の底上げが必要だと考えております。  それから、もう一点ですが、今日の資料1−7の中に出ていなかったんですが、病 院の勤務医の負担軽減ということで、医師の勤務実態調査をされております。その中 の個々の状況を見てみますと、医師1人当たり1日外来の診察患者数は28人、責任 者は32.6人でございました。それから、担当入院患者数が10.9人。それから、直近 の1週間の実勤務時間は61.3時間ですが、ここは中身がよくわからないなと思いま す。それから、1か月当たりの当直回数が2.78回であります。医師責任者は1.61回。 それから、アルバイトの状況もありまして、2.48回でございます。これはデータです ので、これをどう考えるかということですけれども、そういった実態についても、や はり勘案して全体的に見ていかなければいけないと思います。  以上です。 ○糠谷部会長 どうぞ。 ○齊藤委員 経団連の齊藤でございます。  診療報酬の引上げを求める声が強いというのはわかっていますけれども、ただ、改 定率の検討に当たりましては、昨今の経済情勢であるとか、健保組合の財政情勢など は十分に配慮してやらないといけないだろうと思っております。  2点目ですけれども、医療提供体制の底上げということで、診療報酬の大幅な引上 げが必要というような指摘もございますけれども、基本的には選択と集中の考え方の もと緊急課題に重点的に配分していくべきであると考えております。特に今、全体社 会で問題になっております救急医療の充実であるとか、産科とか小児科を初めとする 勤務医の負担の軽減策などについて、前回改定結果の検証を踏まえつつ、引き続き検 討が必要ではなかろうかと考えております。  また、前回からもずっと言われております病院と診療所の再診料の格差の是正など も積み残した課題であろうと思っております。このほかにも、効率的な医療提供体制 をいかに確立するかというような視点も重要でございますし、地域医療の連携も強化 していかなければいけないと思っています。  3点目には、救急医療の充実などにおきまして、先ほど御説明ありました各種の予 算措置がなされておりますけれども、診療報酬上の手当との重複が出ないようにして いかないといけないということで、診療報酬と公費との役割分担をより明確化してい くべきではなかろうかと思っています。  4点目としては、今後、当然、高齢化に伴いまして医療費は増大していくというこ とで、これも前回からずっと課題になっておりますけれども、診療報酬のような、い わゆる相互扶助で対応する限界といいますか、どこまでを相互扶助でやるのかという ような中で、自助努力ということもより検討していかなければならないんではないか と思っております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  逢見委員、どうぞ。 ○逢見委員 連合の逢見です。  今回の診療報酬改定に当たっては、2つほど論点があるんではないかと思います。 1つは、地域医療再生ということについて、診療報酬の点からどのようなことをして いくか。今回示された資料1−6にも見られますように、救急医療が崩壊の危機にあ るということは事実として深刻に考えなければいけない。ただ、これは、診療報酬改 定だけで解決できる問題ではなくて、さまざまな医師不足対策、あるいは財政難を理 由に、いろんな自治体病院の閉鎖等がございますが、こうした問題について、地域医 療全体として考えなければいけない課題はございます。診療報酬という点で言えば、 やはり急性期医療を支える診療報酬という視点で見直すべき点があるんではないか と思います。  もう一つの側面は、診療報酬の引上げということが議論になるわけですが、これは 当然、保険料負担にはね返るということも考えながら議論していかなければいけない。 この間、国保、あるいは私は協会健保の方の運営委員もやっておりますが、非常に財 政状況が厳しくなっている。後期高齢者医療等に対する拠出金もございますし、昨年 秋以降の経済危機によって保険料収入が減少しているという点がございます。国民皆 保険制度を維持しつつ、国民が安心して必要な医療を受けられる、そういう診療報酬 にしていくためには、まさに中期プログラムで示されたように「選択と集中」の考え 方に基づき、診療報酬の配分を見直すという視点で、限られた財源を大胆にシフトし ていく、そういうダイナミックな診療報酬の見直しが必要なんではないかと思ってお ります。 ○糠谷部会長 どうぞ。 ○小林委員 今、協会けんぽの話が出ました。資料4でまた後ほど事務局の方から詳 しく数字の説明があると思いますけれども、平成20年度の協会けんぽの財政は、経 済の低迷の下、保険料収入の落ち込み等で極めて厳しい状況にあります。こうした保 険者の財政状況だとか、あるいは保険料を負担する企業の経営状況、あるいは従業員 の賃金の動向等を考えますと、とても保険料負担の増大につながるような、診療報酬 の全体を引き上げるような状況ではないと考えております。こうした経済情勢との関 係も十分考慮する必要があるのではないかと考えております。  それから、骨太の方針にもありますように「選択と集中」の考え方、先ほどから幾 つか出ておりました。これは企業経営でもよく使われる用語でありますけれども、要 は、何を選択し、何に集中し、何を合理化するのか。限られた資源の中で、配分、メ リハリをどうするかということを考えていく必要があるのではないかと考えており ます。こうした観点から、病院と診療所の格差をどう考えるのか、その上で、救急、 産科、小児科等にどう重点化していくのか、「選択と集中」を考えていく必要がある のではないかと考えております。  また、予算措置においても、医師確保等について相応の対策が取られており、保険 給付として行い、患者負担にも反映される診療報酬と、予算措置との役割分担をよく 考えていく必要があるのではないかと考えております。  以上です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、岡崎委員。 ○岡崎委員 それでは、全国市長会の国保特別対策委員長の立場から発言をさせてい ただきます。全体として、医療費の部分も含めまして医療保険の財政は厳しい状況に あり、特に私どもが担っております国保も非常に財政が厳しくなっております。また、 後ほどの議題で出てまいりますが、いろんな財政支援措置が21年度で制度的に全部 切れることになってまいります。今の経済状況、そして、いろんな支援措置が21年 度で切れるということで、国保は今、大変危機感を持っているところでございます。 詳しくはまた後ほどの議題で触れます。  例えば、高知市の場合で見ましても、高知市の国保でも20年度の支援措置で大体1 1億円の財政支援が入っております。この部分で保険料換算すると、1人当たり1万 3,000円ぐらいの保険料が抑制でてきていますので、やはり財政の問題は非常に大き いと思います。  もう一点は、高知県の場合、特に中部と東部と西部に分かれるわけですが、東部地 域で非常に産科医と外科医が不足しておりまして、東部では出産ができないような状 況になっております。東部地域の方が出産になると、県市で担っております三次医療 の高知医療センターへ運ばれたりするということで、三次医療の部分にも影響が出て いるという状況もあります。この辺のバランスをいかに取っていくかということが非 常に難しい立場ではございますが、財源の問題と、そして診療報酬の問題のバランス をいかに取っていくかということが非常に大きな課題ではないかと思っております。 また後ほどの議題で触れたいと思います。 ○糠谷部会長 対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 今、各保険者、経済界等からのお話もございましたけれども、健保組合 も全く状況は同じというか、もっと厳しいぐらいの状況でして、平成21年度の予算 ですと、1,500弱の組合で全体の規模が大体6兆円になるんですけれども、赤字が6, 150億円ということですから、財政規模に対する赤字割合は約1割と、こういう状況 です。平成20年度もそういうことでしたから、2年連続して未曽有の巨額の赤字と、 こういう状況なんです。解散組合等も御承知のとおり、20年度から、とてもやってい けないと、こういう状況でして、ある種の断崖絶壁の状況と、今、藤原委員が言われ た状況と、両方勘案しなければいけないんだろう。  そういったことを考えますと、やはり重点化といいますか、「選択と集中」といい ますか、そういったことは必要不可欠だろう。産科、小児科、救急辺りに重点的に投 入していくということで、これからの議論になっていくんだろうと思うんです。前回 の医療保険部会の議論、また、その前の医療保険部会の議論もそうですけれども、診 療報酬の中身である程度グループ分けをして、ここは重点的に手当てしていく分野、 逆にここは効率化をもっと図るべき分野だということをはっきり分けて、それでもっ て全体の財源構造を大幅に変えていくんだ、配分を変えていくんだ、こういったこと が必要だろうと思います。 ○糠谷部会長 渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員 それでは、私は歯科を代表して意見を述べたいと思います。私は、今、 国民が一番関心を持っている内容は、安心できる社会保障をしっかりと確保する、そ れではないかと思います。そういう意味で、社会保障国民会議が報告している社会保 障制度の機能の強化、また、そういうものを踏まえて、この骨太の中にも出てまいり ました健康長寿とか、生活安心の保障をするということ、また、今後改善をしなけれ ばいけない、検討をしなければいけない大きな問題として、後期高齢者、長寿医療の 再構築の問題があろうと思います。そうしたものに対しては、基本的には国民の安心 を図るために重要なポイントであると考えております。  この骨太の方針の中にも、歯科について申し上げますと、8020運動の推進という項 目が入れられました。御存じのように、生涯、歯と口腔の健康を保持していこうとい うことであります。私たち歯科医療に携わるもろもろの業種、職種共通の認識として、 歯科医療は人々の生きがいと生活の基本を支える、そういう医療であると思いますし、 健康長寿を延伸する、まさに健康長寿をより伸ばしていくための医療であると考えて おります。  そういうことで、骨太の方針に示された健康長寿、生活の安心、また、高齢者の求 める医療制度を構築するということに対して、歯科の私たちは歯科医療を通して努力 をしているところであります。  さて、この場は、次期の改定に向けての非常に重要な基本方針を提言していく場で あります。20年度の改定に向けての基本方針の中でも歯科医療の充実という項目も挙 げていただきましたが、特に在宅医療の充実という中で、先ほど来、地域医療という 話が出ていますけれども、本当に困っていらっしゃる在宅患者への在宅医療の推進の 一環として、在宅歯科医療の充実を挙げていただきました。  そういうものを踏まえて前改定も行われましたが、十分にそれが浸透し、多く歯科 の診療所が訪問診療に携われるような状況には十分至っていない。在宅支援歯科診療 所の制度化もされましたが、まだこの数も少ないものと考えております。そういう意 味で、次期改定は、より多くの歯科診療所が在宅の医療に、そして地域医療のネット ワークに入って、地域の住民の皆さん方の安心の生活をしっかり支えることができる ようにしていただきたいと思いますし、私たちも努力をしていきたいと考えておりま す。  1点だけ、経年的な歯科医療費の流れを見てみますと、先ほど来、医療費の増加と いうのはありますけれども、平成8年から19年まで、歯科の医療費は2兆5,000億 円のレベルなんです。約12年間、決して上がっておりません。ちょっと下がり目で あります。そういう経過の中で、1診療所で見ますと、平成8年度から見ますと、15 %ほど保険医療収入が落ちているという厳しい状況にあります。そういう状況であり ますが、国民の皆さん方への安全で安心な歯科医療提供ということを踏まえて頑張っ ていきたいと思いますが、やはり次期改定においては十分な改定率をもって、重点的 な評価をしていく必要があるんではないかと思っております。  私の意見は以上です。 ○糠谷部会長 ほかに。  樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 新米でございますので、大変乱暴なことを申し上げるかもしれませんけ れども、今、お話のございました社会保障国民会議に私も連ならせていただきまして、 そこで繰り返し国際比較その他のデータも見まして、勿論、私も日本の国の財政が大 変であること、プライマリーバランスの回復というのは至上命令の1つであっていい と思っておりますけれども、それはやはり国民の生活が安定して発展していく、あえ て言えば、国も自治体も、最大の使命は国民の生命の安全を保障することであろうと 思います。ですから、財源が厳しいということは百も承知の上で、各国比較してみる と、今、ここで問題になっている医療費も、医療費を含めた社会保障費も、日本は他 の先進国より決して高い水準でもなければ、高い比率でもございません。  ですから、いろんな考え方があったと思いますけれども、社会保障国民会議での基 本的に一致した考え方は、何はともあれ社会保障の機能を強化するために、社会保障 の機能評価ということは、国民に、それこそ中程度の、一定程度安心できる医療も介 護も、勿論子育て支援も提供したとき、一体どのぐらいかかるのか、まず、要るもの は要るということを計算して、自己責任がどれだけなのか、国の責任がどれだけなの か、企業の責任がどれなのか、そう考えてよろしゅうございますねと、私は吉川座長 に繰り返し申し上げてまいりました。  勿論、財源を無限に使っていいなどと私は一言も言う気はございませんけれども、 限られた財源の中で、いきなり「選択と集中」と言われますと、とても戸惑うものが ございます。ここから先は私は後期高齢者として少しひがんでいるかもしれませんけ れども、医療は選択的に若い者に行って、集中的に行うなどということになってしま ったら大変だと思っております。  でございますから、今、こんなに疲弊してしまった医療をどう回復していくか、そ ういう側面から是非御討議いただきたいと思いますし、私どもの発言もお許しいただ きたいと思います。「選択と集中」という言葉の使い方が、私の理解は間違っている かもしれません。例えば、産科と小児科のような、今、一番大変なところへ選択して、 そこへ財源を投入する、そういう意味なら誠に結構でございます。結構でございます けれども、日本全体の医療資源の配分などを見ましたとき、私はむしろアイロニーか もしれないけれども、「選択と集中」どころか、分散と公平を図っていただきたい。  これはつい最近、鎌田医師会の責任者の方から聞いたんですからうそではないと思 いますけれども、大田区を3分する医師会の中で、医師会の範囲で分娩を提供できる 医療施設がなくなってしまったということを伺いました。そういうことを聞きますと、 私はやはり公的な責任を持って、少なくとも人口30万とか20万とかいう地域の中に は分娩できる施設がある、これが私の言う分散と公平でございます。そういう視点か らも御論議いただけないかなと思いました。  具体的なことで少し申し上げます。救急医療の医療体制にかかわる資料1−6の1 0年間の救急搬送に関するところで、ここは私はとても小さくならざるを得ないので ございます。先ほど御説明にもございましたように、このところの救急搬送の増加は、 ほかの県も同じかもしれませんけれども、私がたまたま昨年秋に富山県に行ったとき に聞きましたら、1年間に増加した救急搬送のうち9割が高齢者だと聞いて、私は高 齢者の1人としてとても恥ずかしく思いました。  トリアージではないけれども、別に年取った人は救急車を使ってはいけないという わけではございませんが、私もついこの間、2か月前に救急車で搬送されて、胸腹部 大動脈瘤人工血管置換手術というのをやりまして、莫大な医療費を使って、本当に申 し訳ございません。救急車に乗ったから助かったのですけれども、何で高齢者がこん なに、増加の9割も占めているような増加があるのかということは少し分析し、対策 を立てていただきたいと思っております。  そのとき伺えばよかったんですけれども、9割増えている高齢者は一体どこから救 急車の出動を要請しているか。恐らく大部分は自宅だろうと思います。自宅で、介護 者も少なくなって、なかなか対応できない。だけれども、今の制度の中では、医療保 険部会の範囲を超えるかもしれませんけれども、介護保険と一緒の改定のときがござ いますので、今の老健や老人介護施設、特養におきましても、救急事態に対応できる 医療状況がないので、これは推察でございますけれども、特養や老健からも救急の要 請がかなり多いのではないだろうか。  だとしたら、「選択と集中」ではないけれども、若い人の救急医療の受診の機会を もし高齢者が、周りの体制ができていないために救急車をすぐ出動を願うということ でしたら、そちらの方の対策を立てていただいて、若い人たちの救急の受診機会を奪 わないようにしていただきたいなどと思っております。またいずれ少しずつ申し上げ ます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  ほかにどなたか。どうぞ、多田委員。 ○多田委員 今の樋口先生の御指摘にも関係するんですが、高齢者は体力も衰えて、 免疫力も少し衰えてくるということですから、どうしても病気がちになるのはやむを 得ないと思うんです。それから、赤ん坊がしょっちゅう熱を出すというのも、ある種、 大人になるためのプロセスとしてやむを得ないことだろうと思うんです。  しかし、そのプロセスの中で、本当に高度な治療を受けなければまずいのか、それ とも、それは普通のことなので、それほど心配したことはないんだということで処理 ができるのかということをある程度判断できる場所がどうしても必要なんだろうと 思うんです。それには、その人をある程度、家庭状況なども含めて理解している医療 側の先生が必要だということだと思うんです。それがあれば、あの人は昔からこうい う持病を持っていて、こんな状態だから、今はこんな程度のことを考えておけばそれ で大丈夫だよとか、そういう判断ができるだろうと思うんです。そういうかかりつけ の先生方が今、制度的にはほとんど皆無に近い。みんなが刹那的な医療をどんどん指 向して病院に飛び込むというような体制を、特にこれから高齢者がどんと増えるのに、 こんなことをやっていて本当に大丈夫なのかというのが私どもの非常な危惧であり ます。  そういうことからして、今回、総合医の関係の後期高齢者診療計画書作成の関連の 手当をしていただいたことについて、1つの目が出かかっているような期待を持って いたんですが、何と、ふたを開けてみたら、ほとんど利用されない。これはどうして だろうか。それを利用していただくように頑張らなければいけない。みんな希望して いないんだからだめよと言って捨ててしまうような、そんな簡単なものではないと私 は思うんです。したがって、ここのところは、制度的に組むのか、それとも何か財政 的にいろいろ工夫をするのか、何かの格好で、むしろその方向を促進するんだという 強い決意でひとつやっていただきたいと、これを希望しておきたいと思います。 ○糠谷部会長 それでは、岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 医療はずっと費用抑制ということで、私としてもかなり厳しい状況にな ってきているなというふうに認識はしております。しかしながら、税負担を上げるな り、あるいは保険料を上げるなりということも国民の支持がないようなので、こうい う状況が続いていると認識しているんです。総額がこれからどうなるか、来年度の改 定がどうなるかはまだわかりませんけれども、配分の話として重要なのは、どこかに 厚くつけるのは非常に簡単なんですけれども、削っていく、マイナスにするというの は非常に難しいことになるわけです。  前回の改定のところで議論も出ましたけれども、病院と診療所の配分についてなん ですけれども、総額が抑えられてしまうと、診療所をマイナスにしないと、そこの配 分の見直しはできないという状況はわかっていたんですけれども、結果としては、十 分な配分の見直しはならなかった。それはマイナスの方に切り込めなかったんだろう と思います。最終的には中医協の方で細かく決まったんですけれども、それぞれの箇 所ではっきりそれを言ったところがないというところがあるんだと思います。発言に 影響力がある人が診療所にマイナスに大きく切り込めというふうに発言すると、さま ざまなプレッシャーがくるので、なかなかそういうことは言いづらいんだろうと思う んです。  医療を充実させたいと思う側から見ますと諸悪の根源みたいなものは先ほど話も 出た財政審でありまして、私はそこのメンバーでもあるんですけれども、実は私はど んどん切り込めと言っているわけではないんですが、そこの責任として、総額を抑え るということを言うのであれば、配分でマイナスになるというところもはっきり言わ ないと、最終的に決めるところではそれが通らないんではないかということを、今回 のところでは私は発言しましたが、それでも、審議会が最後に出しました建議を読ん でいただければわかるんですけれども、非常に奥歯に物の挟まったような書き方にな っておりまして、そのところは余りはっきりあらわれておりません。  「選択と集中」という言葉にそこの意味が込められている部分もあるかと思うんで すけれども、ここでこれから基本方針を決めて、その後に総額の決定があるというス ケジュールになった場合に、基本方針の段階では総額がどうなるかわからないという ことで、大幅プラス改定ということであれば、マイナスに切り込んでいく必要もない ので、よそからたたかれるようなことは言わなくても済むということだろうと思うん です。そこでなかなか財源が見つからないということになれば、マイナスにしなけれ ばいけないところが出てくるというふうに言った場合に「選択と集中」という言葉で 両方込めて、うまく最後のところまで伝わるかどうかということは、基本方針のとこ ろでどういうふうに書くのかというところです。非常に重要ではないかと思っており ます。  これは2年前の議論、財政審とこちらの方で見ていたところで思ったところなんで すけれども、スケジュールとして基本方針が先にあるという順番が変えられないとし ますと、総額決定の前に基本方針のところで、この部会と医療部会の方でその最終的 な姿、プラス改定になれば、もう少し明るい書き方もできるだろうし、抑えられると いうことであれば厳しいことも入れなければいけないということを両にらみで決め ていかなければいけないというところを、前回のことも踏まえて考えていかなければ いけないと思います。  以上です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  ほかにどなたかございますか。それでは、坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 資料1−6の「救急医療の医療体制に係る現状と課題について」の10 ページですけれども、小児と成人と高齢者、いろんな人たちの救急が増えているかと いうと、高齢者の中等症と軽症、それから、若干の重症と、成人の軽症が増えている と読みますと、軽症の人たちに対してどのようにかかわっていくかということが大変 重要です。  重症の人たちに対しては早急に対応していくということですが、軽症に対しては、 心の不安というものに対して、どのように対応していくかということを考えていく。 おいでになる患者さんを全部診ていきましょうということになっていくと、私は、8 割が軽症で、2割が重症という経験をしましたけれども、8割の患者さんにドクター やナースの手がかかって、大変疲弊してしまうという状況が起こってきます。高齢者 は中等度が増えていることと、重症もいらっしゃるということで、心のケアをどのよ うにしていくか、心配をどのようにしていくかということと、救急に対して早く対応 する、この2つの仕組みで入口のところを考えていかなければいけないんではないか と思います。  そういう意味では、今、病院の中では、看護師や薬剤師の方々も含めて、チームで どのように救急にかかわっていこうかという動きが起こってきておりますので、現状、 どうしても対応せざるを得ない病院が変化してきていることに対して目を向けてい ただきながら、そこに対して重点的に、診療報酬を対応させていくことも考えていた だきたいと思います。  私も、不安ということに対しては、いろんな医療機関を転々としたり、夜中にも不 安になって救急車に乗っていく方たちに対して、その方が軽症であるならば、入口の ところで止めて対応していくような状況を病院の中でつくっていくとか、外国などで 言うと、ケアギバーとか、テレホンギバーとか、そういう言葉で呼んでいますけれど も、その形もつくっていかなくてはならないことが起こってきていると考えます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  どうぞ、岩月委員。 ○岩月委員 今、薬剤師の名前が出ましたので、人から言われて黙っているのはおか しいなと思いましたので、あえて述べさせていただきます。  今の議論の中で、財政の問題はあったにしても、安心と安全の医療を提供するため に、それぞれの職種なりが担っている今の仕事をどう評価していただくかということ はいつも念頭に置いていただかないと、いわゆる縮小スパイラルみたいな話になって しまいかねないところはあると思います。  したがいまして、例えば、私どもの仕事であれば、医薬品をどのように安心して安 全に提供できるかというところは、評価の仕方はいろいろあるだろうと思いますけれ ども、その評価軸のところで、単に選択して要らないということではなくてという視 点をいつも忘れないでいただきたいなと思いますし、そういった仕事ができるような 体制を是非組むような報酬体系も常に考えていただきたいなということを付け加え させていただきたいと思います。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  もしよろしければ次の議題に移らせていただきたいと思います。それでは、ただい まの議題はこれで終わりにさせていただきまして、この議題につきましては、年末に おける診療報酬改定の基本方針の策定に向けて、次回以降も当部会において皆様方に 御議論をいただく予定でございます。  では、次の議題でございます「高齢者医療制度の見直しについて」、事務局より資 料の説明をお願いいたします。 ○吉岡課長 高齢者医療課長でございます。  お手元の資料の2−1をごらんをいただきたいと思います。これまでの制度の見直 しの検討状況を1枚紙で整理をしたものでございます。  新たな高齢者医療制度が昨年の4月に施行されまして1年3か月余りが経過をし ました。施行当初、さまざまな混乱が生じたわけでございまして、そうした中で、ま ず、昨年の6月、政府・与党において、制度の円滑な運営を図るために、低所得の方 の保険料の軽減、あるいは年金からの特別徴収、天引きの見直しといった、さまざま な措置を講じることを決定いたしまして、その後、逐次実施に移しております。  その後、昨年の9月に麻生内閣が発足をいたしまして、それに際しまして自公の連 立政権合意で「長寿医療制度については、高齢者の心情に配慮し、法律に規定してあ る5年後見直しを前倒ししてよりよい制度に改善する」こととされたわけでございま す。  また、9月29日の総理の所信表明演説におきまして「高齢者に納得していただけ るよう、1年を目途に必要な見直しを検討する」とされました。1年を目途というこ とですので、今年の秋ないしは年末までに検討の見直しを行わなければならないとい う状況でございます。  こうしたことを受けまして、まず、大臣の下に「高齢者医療制度に関する検討会」 が設置をされました。半年にわたる議論をいただきまして、今年の3月17日に「高 齢者医療制度の見直しに関する議論の整理」をまとめていただきました。  また、一方で与党においても議論が進められまして、4月3日には与党のプロジェ クトチームにおきまして「見直しに関する基本的考え方」がとりまとめられたところ でございます。  いわば、この3月、4月のまとめにつきましては、見直しの検討の第1段階と位置 づけられるものだと考えております。今後、これらを踏まえまして、この医療保険部 会におきまして、年末に向けて更に具体的な議論を進めていただきたいと考えている ところでございます。  見直すべき内容についてですが、次の資料2−2でございます。一番左側が与党の プロジェクトチームにおけるまとめ、中ほどが政府の検討会のまとめを整理したもの でございます。この資料でございますけれども、1枚目、2枚目が、いわば速やかに 対応すべき課題を掲げたものでございます。また、3枚目、4枚目が短期的な課題を 整理したものでございまして、いわば短期的な課題と整理してあるものが、年末まで に具体的な結論をまとめることが必要な事項であります。また、5枚目が中期的な課 題ということで整理をしております。  まず、1枚目でございます。最初にありますのが、与党PTのまとめでは、21年度 に均等割が7割軽減となる方は、引き続き8.5割軽減となるようにするということで、 負担が増加する方が生じないようにすることとされたわけであります。これを受けて、 5月の補正予算で131億円を措置し、各広域連合で条例改正を行うといったことを初 めとしまして、速やかに対応すべき課題に逐次、現在取り組んでいるという状況にあ ります。  1枚おめくりをいただきまして、2枚目の最後でございます。当事者である高齢者 の意見を聞く場を設けることが必要ということが政府の検討会で掲げられました。こ れを受けまして、本日、この医療保険部会にも高齢者の代表の方に御参画いただくこ とになったわけであります。また、別途、長寿医療制度に関する加入者意見交換会を 近く設置をしたいということで考えております。  次の3枚目からが短期的な課題でございます。まず、費用負担の在り方です。与党 のまとめでは、財政状況の厳しい健保組合等の負担軽減のための拠出金の分担方法を 見直し、財政支援の拡大を図るということが位置づけられました。また、この点につ きまして、政府の検討会では、後期高齢者支援金や前期高齢者納付金について、国保 と被用者保険の間は加入者数で均等に分け、被用者保険の中では、被用者保険の保険 者の財政力に応じた応能負担による仕組みにすべきという意見があったところでご ざいます。  2点目の年齢のみによる区分の在り方でございます。与党のまとめでは、被用者保 険の被保険者であった方、すなわち75歳を過ぎて、まだサラリーマンで働いていら っしゃる方については、いわば支える側として被用者保険に残すこととするという整 理になったところでございます。  それから、高齢者の保険料等についてでありますけれども、まず、被用者保険の被 扶養者であった方、現在、9割軽減という取扱いになっているわけでございます。22 年度以降の軽減措置の在り方を含め、年末までの間に検討し、結論を得るとされてお ります。  それから、所得の低い方に対します均等割の9割軽減、また、所得割の5割軽減で ございますが、これら軽減措置自体は恒久措置でありますけれども、22年度以降の財 源が決まっていません。与党のまとめでは、22年度、23年度も全額国費による継続 を検討するとされております。  また、次の名称等でございます。「後期高齢者」や「終末期医療」といった名称は 見直すということが与党、政府の検討会で掲げられております。  また、運営主体の問題につきましては、広域連合について、都道府県の関与の強化 を含め、保険者機能の強化等を図るということが掲げられております。  次のページでございます。前期高齢者の窓口負担割合等ですが、70歳から74歳の 高齢者の窓口負担割合については、法律上は2割に引き上げることになっているわけ でございますが、予算措置で1割に凍結しているという状況でございます。これにつ いて、年末までの間に恒久的な措置の在り方の結論を得る。その際、65歳から69歳 までは窓口負担割合が3割となっているわけですが、それについても併せて検討する こととされております。  併せまして、75歳以上、また75歳未満の方の自己負担限度額の引下げについて検 討するということが掲げられております。  最後に、医療サービス等についてでありますが、高齢者にふさわしい新たな医療サ ービスの提供等の充実を進めることが1つ。それから、75歳以上に限定した診療報酬 体系について必要な見直しを行うということであります。  また、75歳以上の健康診査については、保険者の努力義務となっておりますけれど も、これを実施義務に見直すこと等を通じて受診率の向上を図るということが掲げら れております。これらの短期的な課題を中心として、今後、御議論いただければと考 えております。  次のページが中期的な課題として位置づけられるものでございます。費用負担の在 り方につきましては、前期高齢者医療制度について、健保組合等の負担軽減を図るた めの公費の投入について検討を進める。併せまして、長寿医療制度につきましても、 高齢者の保険料負担が将来的に安心できる水準に維持できるようにするための公費 の追加投入について検討を進める。これらは、安定的な財源の確保と併せて検討を進 めるとされております。  また、年齢のみによる区分の在り方につきましては、対象年齢を65歳に区分する など、年齢区分を見直す方向について、費用負担の在り方や国保との一元化を含め、 見直しを検討することなどが掲げられているところであります。  以下、次のページから参考資料を添付をさせていただいておりますが、説明は省略 させていただきたいと思います。  また、資料2−3は、4月の与党のPTのまとめ、資料2−4は政府の検討会のま とめをお配りをさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、続いて「国民健康保険の財政基盤強化について」事務局より資料の説明 をお願いいたします。 ○武田課長 国民健康保険課長でございます。  お手元の「国民健康保険における今後の議論について」というタイトルのついてい る資料3をごらんいただきたいんですが、ページを振っていなくて申し訳ございませ ん。  まず、1ページでございますが、上の箱の中に2点、今後議論の必要な点を掲げて ございます。1つ目の○に書いてありますけれども、国保における都道府県の役割に つきまして、昨年6月の地方分権改革推進要綱の中で、国民健康保険の運営に関し、 保険財政の安定化、保険料の平準化の観点から、都道府県の権限と責任の強化ととも に、都道府県単位による広域化の推進等について検討し、21年度中に結論を得るとさ れているところでございまして、この都道府県の役割、都道府県単位による広域化の 推進といった点についての議論が必要となっているところでございます。  それから、2つ目の○に書いてあるところでございますが、先ほど既に話も出てお りますように、平成17年12月に総務・財務・厚生労働大臣の3大臣合意に基づきま して、国民健康保険の財政基盤強化策が講じられておりますけれども、これが平成2 1年度まで、今年度までの措置とされております。こういったことでございますので、 平成22年度に向けた議論がこれから必要になっているという状況でございます。  この3大臣合意の内容でございますが、下に緑で書いてございますように、1つ目 として、国保財政基盤強化策の継続として、中に3事業ございます。  1つ目が、高額医療共同事業で、都道府県の中において高額医療費について財政リ スクを分散する事業として実施されているものでございます。  それから、2点目、保険者支援制度と書いてございますが、低所得者を多く抱える 保険者を財政的に支援する制度ということで実施をされているものでございます。  それから、3点目、国保財政安定化支援事業でございますが、これは地方財政措置 でありますけれども、国保財政の安定化、保険料負担平準化のために一般会計から特 会へ繰り入れる、こういったことを財政措置で支援する事業として講じられているも のでございます。  それぞれの国保の財政に関する位置づけについては、後ほどまた見ていただきます けれども、2つ目の大きな柱といたしまして、前回の制度改正で創設をされましたの が、2の保険財政共同安定化事業でございます。これは、都道府県内の市町村国保間 の財政の安定化を図るため、都道府県内におきまして1件30万円以上の医療費につ いて、共同で持ち寄る形で共同事業が行われております。  財政規模につきましては、国保医療費の約4割が事実上、都道府県単位での財政共 同運営を行われているということで、前回改正の大きな柱として施行されているもの でございます。この合計4事業につきまして、平成21年度までの措置とされており ますが、当時の合意事項、合意内容といたしましては、市町村国保の財政状況、後期 高齢者医療制度の創設に伴う影響を勘案して、22年度において見直しを行うというふ うに合意をされているものでございます。  後ほど見ていただきますが、市町村国保の財政状況は大変厳しいものになっており、 また、後期高齢者医療制度の創設に伴う影響として、収納率にも影響が出ている状況 でございまして、これを今、廃止できる状況にはないのではないかと考えております が、是非、御議論をお願いしたいと思っております。  次の2ページ目、今の紙の裏に「三大臣合意に係る措置の概要」という紙がござい ます。赤字で書いておりますのが3大臣合意に係る措置として21年度で切れる事業 でございまして、地方財政措置につきましては、1,000億程度の地財措置がされてお りますし、高額医療費共同事業約2,270億円の規模、また、保険財政共同安定化事業 については、約1兆3,000億規模の事業になってございます。  それから、保険基盤安定のための制度として、保険者支援分、保険料軽減分がござ いますが、この保険料支援分につきましても、約730億の財政措置がされているとこ ろでございまして、国庫財政にとっては大変影響の大きな、財政安定化のための大変 大事な事業となっていることを見ていただきたいと思います。  以下、3ページ以降、参考までに、国保の現状について幾つか資料を付けておりま す。ごく簡単に見ていただきますと、3ページ目にありますように、国保は、政管と の比較におきましても、相対的に保険料が高くなっており、また、市町村間での保険 料格差もかなり大きなものになっているという現状にございます。  また、法定外の一般会計繰り入れという形で市町村が赤字補てんなどのために繰り 入れを行っておりますが、全国では約3,800億円という規模になっているということ でございます。  次のページを見ていただきますと、年齢構成といたしまして、75歳以上の方は長寿 医療制度に移行したわけでございますが、そこを除きましても、依然として高齢者が 非常に大きな割合を占めている。  それから、その次のページで、被保険者数等の伸び率という折れ線グラフを示して おりますが、経済の状況のよいときには被用者保険の加入者が増え、国保の加入者が 減るという形でございますけれども、昨年から急速に生活保護の対象が増え、被用者 保険の方が減り、国保に失業者の方が流入している実態が伺えると思います。  次のページは、保険料規模別構成割合ということで、市町村合併が進みましたけれ ども、まだかなり小規模市町村が残っているという現状。  それから、最後のページで保険料収納率の推移を付けておりますが、近年、保険料 収納率は市町村の現場に大変御苦労いただきまして、徐々に収納率は上がってまいり ましたが、各市町村からお伺いするところによりますと、後期高齢者医療制度で収納 率の大変高かった層が抜けた関係で、収納率の低下が危惧されている現状と伺ってお ります。  私からは以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  今、御説明をいただきました高齢者医療制度の見直しについて、それから、国民健 康保険の財政基盤強化策についての議論につきましては、今後、年末に向けて、当部 会で改めて時間を設けて皆様方に御議論をいただく予定でございます。今回は初回と いうこともございますので、議題全般に関する御意見や、今後検討すべき課題、これ からの議論の進め方などについて御意見を伺えればと思っております。御意見のござ います方はよろしくお願いをいたします。  どうぞ。 ○岡崎委員 総論ということでございますが、国保と後期高齢者の件で、私たちの実 態も御紹介申し上げておきたいと思います。  まず、後期高齢者医療制度が始まって1年ということで、今、決算が上がってまい りました。後期高齢者の方々は、今、武田課長さんがおっしゃられましたように、非 常に納付率の高いところでございまして、私は後期高齢者の広域連合も預かっていま すので、後期高齢者医療制度の平成20年度の収納率は98.9%でございます。という ことは、保険料99%ということですので、非常に納付率が高いこの方々が抜けた影響 というのが、例えば、高知市の国保にもあらわれておりまして、国保の場合、一般と 退職、両方合わせたものになりますが、全体として収納率が2.72ポイント落ちてい ます。ざっくり見て、後期高齢者の方々が抜けて影響がマイナス1ポイントぐらい、 それから、昨年来のリーマンショック後の不況、そして失業者の方々が国保へ来られ ていますので、その影響が▲1.7ぐらいではないかというふうに我々は見ているとこ ろで、恐らく全国的に見ましても2ポイント以上落ちているんではないかと思ってお ります。  それだけ国保財政が厳しくなっている中で、先ほど課長さんが御紹介されました2 0年度までの様々な財政措置が年度末に切れるということになりますと、恐らく2年 以内に多くの自治体は国保財政も完全に赤字決算になる。今でも国保の決算は大体7 割の自治体が赤字なので、これが更に拡大し、国保を維持できなくなるということは 目に見えています。現在まで継続していただきました財政支援措置は更に充実をして いただきながら、景気後退で財政状況は非常に悪化していますので、充実をしていた だいて継続していただかないと、率直に言って国保はもたないという状況ですので、 そのことはよろしくお願いを申し上げたいと思います。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、多田委員。 ○多田委員 今の御発言のとおりでして、国保はとにかく医療保険の最後のとりでに なっているわけなんで、これががたがたしてきてしまうと皆保険体制そのものが揺ら ぐ可能性がありますので、しっかり支えてもらわないと困るということでございます。 今、お話のような現状ですから、これについては十分配慮していただきたいと思いま す。  それから、高齢者医療制度の見直しの話でございますけれども、いろんな意見があ るようでございますけれども、やっと少し定着しつつあるのではないかという私ども の見方でございまして、そういう意味で、非常に根幹にかかわるような改正をもう一 回やるということになると、制度ががらがら動いているという感じがいたしますので、 しばらくはこのまま進めていただくのがいいんではないかと考えております。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員 高齢者という関係で、先ほど言えばよかったんですが、資料1−7の2 0ページですけれども、後期高齢者の診療料の算定について、今回の調査では医療機 関は1割しか算定していないという結果が出ております。この診療料については、そ の新設の趣旨としては、はしご受診であるとか、多受診をこれで抑えようという意図 があったんだと思います。  厚労省の統計で、75歳以上の高齢者の方の名寄せをして、217万人ぐらいだったと 思いますけれども、その中の実態を見てみますと、1医療機関のみしか受診されてい ない方が60%で、2医療機関が28%、全体で88%はその程度。2医療機関といいま しても、眼科と内科というような形でありまして、内科医が眼科を診るというのは、 普通の感覚ではできないと思うんです。  要するに、言いたいのは、幾らかかりつけ医という形を取っても、それはなかなか 医療費の節減につながらないんではないかということです。こういった会議の中で、 どうしても観念的にそうではないかというようなことで話が押し進められるんです けれども、先ほどの開業医志向の話もそうで、実態を見てみたら、今、恐ろしいほど 開業医が減っているという状況がありますので、やはりエビデンスに基づいて議論し ていただきたいなと、そういったことを言いたいわけです。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、見坊委員、どうぞ。 ○見坊委員 最初に診療報酬の改定の議題から入りましたが、診療報酬という角度で すと、利用している者にとっては内容がよくわかりませんので、非常に議論しにくい。 これまでいろいろお話がありましたが、例えば、救急車の問題、そういう具体的な問 題を通してならば、診療報酬にどういうふうに影響するのかはわかりませんが、その 対策といったものについては、意見が言えるわけであります。  特に救急車の問題は、高齢者の利用が非常に多いのは事実であります。私どもも身 近にそれを感じております。私自身も利用いたしました。非常に親切に迅速に対応し てくれる。その点では助かっております。軽い風邪程度と思いましても、場合により ましては肺炎であるということで、即入院してほしいというようなこともあります。 問題は、そういったことの相談の窓口が近くにあればいいんですが、夜間であります とか、そのような状況でありますと、それはできない。結局、家族も救急車を呼んで しまう。安易に呼んでしまうということが非常に多いと見ております。  それはそれといたしまして、後期高齢者医療制度の見直しの問題は、現在、凍結が されたり、あるいは名称を変えてみたり、いろんなことが行われております。高齢者 全体としては、今、少子化の対策、あるいは育児の問題、周産期の問題、いろいろと 若い世代の抱えている問題、それに要する財源を奪ってしまっているような感じがい たしまして、非常に心苦しい点があります。高齢者のために若い世代が犠牲になるよ うなことがあっては大変なことであります。  今日、いろいろと御意見を伺っておりまして、どの組織も、機関も、財政が大変だ と、経済界もそういう実態がありますので、そういう御意見であります。結局、財政 の視点からだけ論じていきますならば、これは抑制する以外にない、あるいは負担増 を強いる以外にない、こういうことになってしまいます。  しかし、実際には、日本の医療制度は非常に優れているわけでありますが、国際的 な比較で財源が突出しているかというと、そうではないわけであります。そのことは 皆さんよく御承知です。限界がきているというふうに思います。そうした視点では、 あるべき医療の姿、当面、緊急に対策をとらなくてはならない、そういったところに 重点を置いて、これから議論して、それに伴って必要な財源は思い切ってつくり出す、 そういうことではないかと思っております。そういう方向で、これから私も発言した いと思っております。  今日、説明までいかなかったのですが、参考資料6というのがありまして、後期高 齢者医療の診療報酬体系の骨子、平成19年10月10日、社会保障審議会の後期高齢 者医療の在り方に関する特別部会でまとめたものであります。皆さん御承知の、既に 論議済みのことかもしれませんが、私ども、これを拝見しておりまして、この中の2 ページに、特に後期高齢者の尊厳に配慮した医療という項目があります。後期高齢者 医療の診療報酬に反映すべき事項といったことも書かれておりますが、この中で特に 私どもが共鳴を覚えますのは、2ページの中間の「もとより」というところからでし て、これを読んでみますと、「もとより、高血圧や糖尿病に対する各種指導や投薬・ 注射、骨折に対する手術等のように、後期高齢者に対する医療の多くは、その範囲や 内容が74歳以下の者に対するものと大きく異なるものではなく、患者個々人の状態 に応じて提供されることが基本である。」と書いてあります。  すなわち、医療の基本的な内容は、74歳以下の者に対する医療と連続しているもの である。75歳以上であることをもって大きく変わるものではない。  私どもは、知識もない、あるいは医療の制度の内容も詳しくわからない。しかし、 実際にお互い、自分たちの健康の状態、そのほかを考えて、医療のサービスの受け方、 無駄のないようにやろう、かつてのように薬づけになったり、あるいは社会的入院と いうことを無自覚に求めていくということがあってはならないということで、いろい ろと勉強もし、実践もしてまいりました。しかし、考えれば考えるほど、なぜ75歳 以上で年齢を区切って、最も年金生活者や低所得者が多くなる世代だけの独立した制 度をつくったのであろうかということは、現在でもやはり疑問に思っております。  平成18年、ちょうど後期高齢者の医療制度の法制化がされる、その前に、私ども、 全国的に意識調査をいたしました。独立した制度にすることについて、64%が反対で ございました。そのことは私どもの組織としては大変なことであったんです。しかし、 実際には国会で審議をされ、いろいろと審議会の提案も含めて議決され、政府が実行 する、そういう段階を迎えましたら、それは国民の意思として決定したものでありま すから、高齢者としてはそれに協力する、それを何とかして消化しようということで、 今日でもその姿勢は変わっておりません。  ただ、問題は、基本的な医療の在り方というものは、ここを是非踏み外さないでも らいたい。時間がかかっても、そういう方向に財政も、場合によってはもっともっと 大きくなると思いますが、それを避けないようにしてもらいたい。そして少子化の方 にも十分に配慮してもらいたい。周産期の問題は非常に重要である、こういうふうに も思っております。今日、具体的に意見を個々に申し上げることはできませんけれど も、一応、そういう姿勢で私ども検討してまいりたいと思っております。  一般の方は、高齢者は負担増は一切お断りと、こういう姿勢かと思っておられる向 きが多いと思うのでありますが、私どもは、高齢者の中でも所得の多い人、所得の少 ない人、その能力に応じて負担しようというふうに考えているわけでございます。そ のことを申し上げまして、意見というほどではありませんが、私どもの考え方を述べ させていただきました。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。承りました。  それでは、横尾委員の参考人の方。 ○横尾委員(参考人) 参考人でございますけれども、現場の意見を言わせていただ きたいと思います。  広域連合をつくる前の段階から約2年半程度従事してきましたけれども、昨年の4 月はやはり相当混乱しまして、苦情の最初の盾が市町村職員、その次が広域連合が盾 になってきた部分が相当あります。47都道府県の広域連合協議会を代表して3点意見 を言わせていただきます。  1点目は、制度の根幹は堅持していただきたいということ。2年目に入りましてや っと落ち着いてきまして、ほとんど苦情もなくなってきた状況にあります。昨年の4 月と比べますと相当な違いがございます。  2点目に、保険者機能の強化ということが言われておりますが、これは広域連合と しては当然、今まで制度施行に一生懸命やってきたわけですけれども、これからは保 険者機能の強化を自ら図っていかなければいけないと思っています。そこは厚生労働 省と各広域連合との間で意見交換する場所をつくっていただきたい。  3点目につきましては、後期高齢者の健康診査につきましては、任意的な事業とい うことで位置づけされていましたけれども、義務化の話が挙がっております。高齢者 の健康診査も含めまして、保健事業等につきましては、私どもとしては手厚くやりた いと思っておりますけれども、それが結局は保険料の増につながっていくという部分 がございますので、ある程度、都道府県の負担を義務化するような形でお願いできな いかという考え方を持っております。都道府県からの助成につきましては、11団体ぐ らいは補助という形で出ているかと思いますが、できれば義務化の方向で御検討をお 願いしたい。  以上3点を意見として述べました。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  大体予定の時間も迫ってまいりましたので、特にこの議題で御意見がなければ、こ れまでにさせていただきたいと思います。  最後に「その他」の議題といたしまして、事務局から委員の皆様に報告がございま す。お願いします。 ○田河課長 保険課長でございます。  資料4をごらんください。昨日、全国健康保険協会の運営委員会が開催されまして、 平成20年度の決算報告が行われました。その関係資料を御報告させていただきます。 協会は昨年10月に発足いたしましたので、半年分の内容でございます。そういう面 では、20年度全体の数字がわかるものではございません。  内容としましては、下の表をごらんいただけますでしょうか。20年度予算[1]、20 年度決算[2]、この[2]のところが報告されておるところでございます。  収入といたしましては、保険料等交付金等で、合計しますと4兆5,343億円でござ います。  そして、支出の方でございますが、4兆5,669億円でございます。  その下、収支差を見てみますと、▲326億円、こういう形になっておるわけでござ います。  当初の予算と比較いたしますと、一番下の欄、収支差を見ていただきますと、20 年度予算では984億円繰越しも予定していたわけでございますが、それが326億円の 赤字という形で、1,310億円ほど悪化している状況が見られるわけでございます。  要因としましては、経済状況等も非常に悪化しておりますが、そういうことも反映 しまして、保険料等の交付金が▲688億円減少している、そういうふうな状況ととも に、保険給付費、半年分でぶれもございますし、1月にはインフルエンザ等もはやっ た状況もございますが、そうしたことで保険給付費が800億円ほど増加している、全 体としてこのような結果になって、なかなか厳しい側面もある状況でございます。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、予定の時間もまいりましたので、本日はこれまでにしたいと思います。  次回の開催につきましては、現時点では未定でございます。開催が決まり次第、事 務局より御連絡を差し上げることにしたいと思います。本日は御多忙の折、会議とし ては大変遅い時間までお集まりをいただきましてありがとうございました。本日はこ れで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。                                     (了) 【照会先】                           保険局総務課企画調査係                              TEL:03(5253)1111                                 (内線3218)