09/07/13 第2回今後の看護教員のあり方に関する検討会議事録 第2回 今後の看護教員のあり方に関する検討会 日時 平成21年7月13日(月)18:00-20:00 場所 厚生労働省共用第8会議室       ○島田課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第2回「今後の看護教員のあり方 に関する検討会」を開催させていただきます。本日は、委員の先生方におかれましてはご多 用のところ、検討会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は、野本委員 より欠席のご連絡をいただいております。なお、安酸委員におかれましては欠席の連絡をい ただいておりませんので、間もなくお見えではないかと思います。本日は、看護教員養成講 習会について話題提供をしていただくために、長野県、滋賀県、福岡県の担当者にも参加を お願いしております。  なお、7月1日付けで事務局に人事異動がありましたのでご紹介いたします。大地直美看 護職員確保対策官です。医政局長は所用により本日は欠席となっております。看護課長は外 の会議がありましたので、間もなく到着するかと思います。  配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、資料1「第1回検討会におけ る委員の主な意見」、資料2「主な検討課題と論点」、資料3「今後の検討会の進め方(案)」、 資料4「都道府県別看護師等養成所・准看護師養成所及び教員数」、資料5-1「設置主体別看 護師3年課程養成所の専任教員数」、資料5-2「規模別看護師3年課程養成所数」、資料6「看 護師等養成所の専任教員の要件」、資料7「看護教員養成講習会実施要領」、資料8「看護教 員養成講習会未受講者の都道府県別割合」、資料9「看護教員養成講習会の実施状況につい て(概要)」、資料10は長野県提出資料、資料11は滋賀県提出資料、資料12は福岡県提出 資料です。参考資料として「看護教員養成講習会の実施状況について」です。  前回の検討会の資料を先生方のテーブルにファイルで置かせていただいております。前回 資料2の6頁に、看護教員養成講習会の受講者数をお示ししておりましたけれども、一部修 正がありましたので、先生方の机のファイルについては差替えをさせていただいております。 誠に申し訳ございませんでした。以降の議事進行は永山座長にお願いいたします。 ○永山座長 本検討会は第1回でも説明がありましたように、昨年度開催されました「看 護の質の向上と確保に関する検討会」において、看護教員の質の向上と、その確保が重要で あり、看護教員の専門性を高めるための教員の継続教育や、看護教員が臨床現場で実践能力 を保持・向上するための機会の確保、さらに高度実践能力を持つ看護職員の活用などの重要 性が示されたことを受けて設置された検討会です。この趣旨に沿うように議論を進めてまい ります。  議事に先立ち、第1回検討会で出ました委員の主な意見の整理と、それに基づいた本検討 会の「主な検討課題と論点」と「今後の進め方」を作成していただきました。また、前回委 員から作成依頼のあった資料についても併せて説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 資料1ですが、第1回検討会においていただいたご意見をまとめたもの です。前回は第1回ということで、いろいろなご意見をいただいたところですが、それをい くつかの項目に分けて意見としてまとめたものです。  Iは「看護教員の養成について」です。看護教員養成講習会に関してのご意見をまとめさ せていただきました。iiは「看護教員の継続教育について」です。各教育機関での継続教育 の現状と課題について、いただいたご意見をまとめさせていただきました。2頁の真ん中辺 りで、教員の継続教育として、教員に求められる資質と評価についてということでいただい たご意見をまとめさせていただきました。次の頁は自己研鑽についてです。その下は今後の 継続教育のシステムについてということで、いただいたご意見をまとめさせていただきまし た。IIIは「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」です。臨床家の教育者としての活 用、臨地の実習指導者について、いただいたご意見をまとめさせていただきました。  前回いただきましたご意見を踏まえ、資料2で本検討会での「主な検討課題と論点」をま とめました。1、2、3と3つに分けてお示ししておりますけれども、1番目は、「質の高い 看護教員を養成するための看護教員養成のあり方及び要件について」ということで課題を挙 げております。論点としては、看護教員養成講習会の実施体制は、各都道府県によって異な るが、ブロック単位などで調整する必要はあるか。看護教員養成講習会の質の充実・確保を どのように図るか。看護教員養成講習会の未受講者を減らすためにはどのような方策が必要 であるか。看護職員や教員の高学歴化が進む中で、現在の専任教員の要件をどのように考え るか、といった論点を挙げております。  2番目は「看護教員の継続教育について」の課題です。論点を4つに整理しております。 現状を踏まえ、看護教員の新任時期から連続した継続教育の仕組みをどのように考えるか。 看護教員の資質を高める継続教育にはどのような内容が必要か。看護教員の継続教育の方法 としてどのようなことが考えられるか。看護教員の実践能力を高める方策にはどのようなも のがあるか。  3番目は「臨床家の活用と臨地実習の指導体制について」という課題です。論点として、 臨地実習の質を確保するにはどのような指導体制の整備が望ましいか。臨床家を効果的に活 用するためにはどのようなシステムが考えられるか、という論点をまとめて本検討会の主な 検討課題の論点としたいと考えております。  資料3は、いま提示いたしました検討課題と論点を、本検討会でどのように議論を進めて いくかという案をお出ししております。今回第2回と次回第3回では、質の高い看護教員を 養成するための看護教員養成のあり方及び教員の要件について、のご議論をいただきたいと 考えています。第4回では、看護教員の継続教育に関する現状と課題について。第5回は、 看護教員の継続教育システムのあり方について。第6回は、臨床家の活用と臨地実習の指導 体制について。第7回では、とりまとめ(案)についてご議論いただきたいという進め方を 案としてまとめております。  資料4は、前回の検討会で宿題となったものをまとめたものです。准看護師養成所の教員 数については、前回の資料でお示しできておりませんでしたので、調べてまとめたものです。 都道府県別に准看護師の養成所数と教員数を一覧にまとめております。いちばん下に合計が ありまして、准看護師養成所は256校で、1,396人の教員数となっております。ここで調べ ております准看護師養成所については、下のほうの注書きの2行目にありますように、高等 学校衛生看護科は除いた数ということで、今回は調査をしております。  資料5-1と資料5-2は、前回お求めのありましたデータをまとめたものです。養成所の規 模によって専任教員数が異なるのではないかというご意見がありましたが、規模別に専任教 員数をお出しするのはなかなか難しくて、教員数の分布をグラフで示しております。設置主 体によって、若干養成所の規模が異なる傾向がありますので、そちらについては資料5-2 でお示ししております。  資料5-1で、専任教員数6人の所から1名ずつの刻みで、13人以上の所まで区分をお示 ししています。グラフのいちばん右側の区分の青でお示ししているものは、13人以上の専 任教員になっています。その13人以上の養成所が多いのが都道府県、それから市町村も若 干多いですけれども、公益法人、それから学校法人では13人以上の専任教員数を有する養 成所の数が多くなっています。  それを資料5-2、下の規模40人以上と、40人以下で分けたグラフを見ますと、40人以下 の所は、基準では8人以上の教員数を有する基準になっています。平成23年3月31日ま では6人以上でもいいという経過措置が設けられていますけれども、そういう基準になって おります。41人以上の養成所では9人以上という基準になっています。規模の大きな養成 所の構成割合を見ますと、学校法人がいちばん多くて、次いで都道府県・市町村という割合 になっておりますので、先ほどの専任教員数の区分を見ていただいた所と若干関係するのか とも考えられます。以上です。 ○永山座長 ただいまの事務局の説明については、前回は即答できませんという事柄も内 容として含まれておりますけれども、ご質問、ご意見をお伺いいたします。 ○羽生田委員 資料5-1も資料5-2も非常に見づらいのですけれども、これで見ると基準 を満たしていない設置主体として国が結構多いということですか。 ○島田課長補佐 8人よりも少ない所が多いという意味ですか。 ○羽生田委員 はい。 ○島田課長補佐 平成23年3月31日まで経過措置がありますので、それまでは基準とし てはこの数で大丈夫という人数になっております。 ○永山座長 ほかにないようでしたら議事に入っていきます。本日の議事にありますよう に、看護教員の養成についての検討を行うこととしております。第1回検討会での委員から のご質問や、ご意見を受けまして、看護師等養成所の専任教員の要件にもなっております「看 護教員養成講習会」の現状と課題に関する理解を深めるために、過日事務局が各都道府県か ら情報を収集しております。情報提供いただいた内容に関する資料を用意していただきまし たので、事務局から説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 看護教員養成講習会の概要に入る前に、資料6で「看護師等養成所の専 任教員の要件」について確認させていただきます。これは、前回の参考資料3でもお示しを しておりましたものですが、専任教員の要件についてクローズアップし、今回資料としてお 出ししております。  内容は、看護師等養成所の専任教員になることができる者として、この3者を規定してお ります。ア.5年以上業務に従事し、専任教員として必要な研修を修了した者。イ.3年以上 業務に従事し、大学で教育に関する科目を履修して卒業した者。ウ.看護師(保健師・助産 師)の教育に関し、ア.と同等以上の学識経験を有すると認められる者。この3者が専任教 員となることができる者として規定しております。  ア.でお示ししております必要な研修については、注1にありますように、厚生労働省看 護研修研究センターの看護教員養成課程、それから厚生労働省が認定した看護教員養成講習 会、国立保健医療科学院の専攻課程及び専門課程地域保健福祉分野の研修といったものがこ れに該当いたします。イ.にあります、大学で教育に関する科目を履修して卒業した者の科 目については、注2にありますように、教育の本質・目標、心身の発達と学習の過程、教育 の方法・技術及び教科教育法に関する科目のうちから、合計4単位以上履修した者という規 定になっております。  資料7も前回は参考資料でお出ししておりましたが、看護教員養成講習会を都道府県で実 施していただいておりますけれども、その実施要領をお示ししております。講習会の目的、 講習会の実施、期間、対象者、受講者数などをお示ししております。3頁は別紙ということ で、講習会での教育内容をこのような形で都道府県に対してお示ししております。合計900 時間で基礎分野、教育分野、専門分野といった区分での教育内容になっています。  資料8は、看護教員養成講習会の未受講者について、都道府県別に割合をお示ししており ます。看護教員数を横軸に取り、未受講者の割合を示しております。赤で書かれている都道 府県に関しては、過去5年間、平成16年から平成20年の間に、看護教員養成講習会を開 催していない県ということでお示しをしております。県下の看護教員総数と未受講者の割合 はこのような形で分布しています。  資料9は座長からご説明がありましたように、前回検討会以降、各都道府県にお願いいた しまして、看護教員養成講習会の実施状況について情報をいただきました。資料9は概要で すが、これ以外のものについては本日の参考資料で情報収集の結果をお示ししております。 この情報収集の目的は、各都道府県における「看護教員養成講習会実施要領」に基づく看護 教員養成講習会の実施状況及び課題から、現状を把握するという目的で行っております。対 象としては、47都道府県と、看護研修研究センターでも看護教員養成講習会を実施してお りますので、そちらでの状況について、過去5年間に実施した都道府県22ヶ所と、過去5 年間に看護教員養成講習会を実施していない25ヶ所の都道府県別に集計した結果です。  次頁は、過去5年間に講習会を実施している22都道府県と、一部看護研修研究センター でのデータも含んだ結果です。1)は受講者の状況です。開催都道府県数は、平成16年度は 11、平成17年度は10、平成18年度は10、平成19年度は13、平成20年度は12と大体 10県前後という状況になっております。受講者総数を見ますと、平成16年度は419人、 平成17年度は390人、平成18年度は397人、平成19年度は470人、平成20年度は458 人といった実績になっております。  2)は県外受講者です。受け入れ人数は0人〜24人ということで、受け入れている都道府 県としては22ヶ所あるという結果になっています。受け入れに対する方針は、定員が下回 るために受け入れているという所が10ヶ所、県内者が優先だが受け入れが可能である所が 10ヶ所、基本的に県内者のみの所が1ヶ所、その他1ヶ所という結果でした。  3)は定員を上回った場合の選抜方法です。書類審査・面接・小論文を実施という所が5 ヶ所、県の推薦、審査で13ヶ所という結果になっています。  4)は講習会実施に当たっての工夫です。近県と持ち回り制にしている、需給調査を実施し ている、ブロック内の情報交換を行っている、5年ごとに開催しているという結果でした。  5)は教員確保に関する都道府県の方針です。方針があると言ったのは、22ヶ所中10ヶ所 です。その方針の内容としては、必要に応じて看護教員養成講習会を開催している、大学4 単位を取得した教員要件を満たしている者についても、看護教員養成講習会を勧める、とい ったことを行っているようです。  6)は看護教員養成講習会実施における主な課題・要望です。受講者の確保が11ヶ所、講 師の確保が10ヶ所、予算の確保が7ヶ所、以下委託先の確保、講習会担当者の確保、統一 された基準で各厚生局による毎年の実施を要望するという所がありました。それから、必要 経費に対する国の補助についての要望などもありました。  2は過去5年間に講習会を実施していない25県の状況をまとめたものです。講習会を実 施しない理由として、受講希望者が少ないが12ヶ所、委託先の確保が困難が8ヶ所、以下 講師の確保が困難といった所がありました。教員確保に関する県の方針としては、11ヶ所 があると回答しています。県立養成所については、教員確保に向け、看護教員養成講習会受 講のための予算措置を行っている、開催県への推薦を積極的に行っているという回答をいた だいております。以上です。 ○永山座長 いまの事務局の説明のように、現行の養成講習会等に関する情報をまとめて いただきましたが、ご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。 ○井部委員 受講料はどのぐらいを1人が払うのか。それから、看護教員でこの講習会を 受講していなかった場合に、何かペナルティがあるのか。この2点について教えてください。 ○島田課長補佐 1点目の受講料についてですが、参考資料の「看護教員養成講習会の実 施状況について」の3頁の表の右側に「受講者の費用負担額」というのが、回答していただ いた県の一覧を示しております。  2点目の、看護教員養成講習会を受けなかった場合のペナルティということに関しては、 養成所に対しての指導を各地方厚生局が行っております。その際に看護教員養成講習会を受 けていない方については、受講するようにという指導をさせていただいています。 ○井部委員 指導ということだけで、それ以上踏み込まないということですか。 ○島田課長補佐 はい。 ○佐藤委員 資料6の「看護師等養成所の専任教員の要件」についてお尋ねいたします。 私は、高校の立場からこの検討会委員に出ていると思いますが、私の所では3年課程の養成 所も設置しておりますので、そういう意味でお伺いします。「看護師等養成所の専任教員に なることができる者」の項の「ウ.看護師の教育に関し、ア.と同等以上の学識経験を有する と認められる者」については、具体的にどのような例があるか、そしてそれはどこで認めら れるのかをお聞かせください。 ○島田課長補佐 「同等以上の学識経験を有する」というのを明示している所ではありま せんで、各個別のケースについて、養成所を指導する立場であります各地方厚生局が、個別 に審査をして判断しているところです。 ○永山座長 佐藤委員の場合には、文部科学省系になりますけれども、やはり不足してい ると伺っておりますので、資格の要件等でもしご意見があれば、この場でお伝えいただいて もよろしいかと思います。 ○佐藤委員 その件については、後で改めて申し上げます。いまは質問だけにさせてくだ さい。 ○永山座長 それでは、後ほどお答えいただきます。 ○羽生田委員 資料6で、専任教員になることができる者のイ.の大学教育で4単位という のは、大学の中でどの程度の方がこれを取得しているのでしょうか。 ○島田課長補佐 看護系大学の学生のうちのどのぐらいがということですか。 ○羽生田委員 はい。 ○島田課長補佐 いまそういうデータはないのですが、果たしてそういうデータがあるか どうかもわからないところです。大学の先生方いかがでしょうか。 ○安酸委員 うちでは、養護教諭の一種を取れるようにしています。その場合にはこの4 単位はクリアできますが、それ以外の学生の場合にはこの4単位はクリアできないと思いま す。 ○永山座長 そういう場合には、特別に履修で取っている学生も中にはいるかと思います が、井部委員どうでしょうか。 ○井部委員 質問の意図がわかりません。 ○永山座長 大学の中で、そういう履修届で単位を特別に取る学生とか、社会人はおりま すか。 ○井部委員 どういう科目を取ることを、4単位というのか私は把握していません。養護 教諭のときは、教育に関する決まりがあるので、それは取らなければいけないのですけれど も、そのほかに4単位という規定がどこに及んでいるかが私にはよくわかっていません。 ○島田課長補佐 その4単位というのは、資料6の注2にあります「教育に関する科目」 ということで、これに該当する科目のうちから合計4単位以上という規定だけをしておりま す。これは「看護師等養成所の運営に関する手引き」という看護課長通知の中で、この教育 内容をお示ししております。 ○井部委員 本学の場合、生涯発達論という科目がありますけれども、それは心身の発達 と学習の課程ということが該当する、読み替えるということも可能かと思うのです。教科目 の科目が指定されていなければ、このような内容を盛り込んでいる授業科目はあると思いま すので、4単位を抽出しようと思えばできないことはないと思います。一般的に大学の教員 は、専任教員になるための講習を受けていないと思いますので、この4単位に該当している と考えるから、ないのかと思います。曖昧な表現ですみません。 ○永山座長 安酸先生からご意見はございますか。 ○安酸委員 専門学校等で教えるためにはこれを求められているので、例えば私はこのア. とイ.に該当しない人間です。私だったら、ウ.を適用して専任教員になることができる者と いうふうになっているのだと思います。大学では、これは全く求められていないので、教職 課程の単位がなくても、大学の教員になることは可能です。 ○島田課長補佐 補足で説明させていただきます。前回の参考資料3と、本日の資料6は そちらからの抜粋なのですけれども、参考資料3で教員に関する規定をまとめております。 いま資料6で提示しておりますのは、厚生労働省指定の養成所等に係る規定です。参考資料 3の左側に「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」からの抜粋をお示ししております。 この第4条に、別表3というのは看護師養成所で、これは看護系の大学も含まれますけれど も、そこでの教育内容をお示ししております。その別表3に掲げる、「各教育内容を教授す るのに適当な教員を有し、かつそのうち8人以上看護師の資格を有する専任教員とし」とい う規定があります。看護系の大学に関しては、この規定は適用されるということで、「適当 な教員を有し」という「適当」については、文部科学省かあるいは大学設置基準か何か別な、 資料6でお示ししているものではない基準での判断になっているかと存じます。 ○井部委員 たぶん、それが学位とか臨床経験などの審査を受けるということだと思いま す。いま議論しているのは、養成所の教員になるための基準ということですよね。 ○永山座長 はい。限定して考えてよろしいと思います。 ○後藤委員 専任教員になることができる者で、5年以上の業務、3年以上の業務という、 この「業務」というのは特に規定があるのですか。前は、外来では駄目だということがあっ たのですが、今はどのように規定されているのですか。 ○島田課長補佐 この場合の業務については、業務の内容はあまり細かく規定しておりま せん。いわゆる保健師・助産師・看護師の免許を使った業務に従事しているという基準です。 ですから、外来か病棟かといった細かいところまでの規定はありません。 ○後藤委員 病院、診療所に限らないということですか。 ○島田課長補佐 はい。 ○永山座長 ほかにご意見がないようでしたら先に進ませていただきます。本日は、お忙 しいところお三方がお見えになっておりますので、実際に看護教員の養成講習会を開催され ている都道府県の担当者から、その現状と課題についてお話を伺います。先ほど事務局から 説明がありましたが、久しぶりに養成を開始された長野県。4年に1回の開催で近県、主に 京都と共同開催されている滋賀県。九州では1ヶ所しかない福岡県ですが、福岡は九州全県、 並びに山陽、四国の一部からも受講生を引き受けていると思います。それではお三方からお 話を伺います。それぞれの報告についてのご質問は、3県の報告がすべて終わった時点でお 受けいたします。最初に長野県衛生部医療政策課看護係の竹前敦子様にお願いいたします。 ○竹前参考人 長野県衛生部医療政策課の竹前です。資料10に基づいて進めさせていただ きます。当県では、平成20年度に17年ぶりに看護教員講習会を開催いたしました。今回 は十分な対応ができていない状況ではありますが、ご報告をさせていただきます。  開催に至った経緯は、平成19年度に県内の看護師養成所17校に、未受講の専任教員が 全体の15%に当たる20名いたこと。平成21年度に、3年課程の開設予定校があり、専任 教員を確保したいという、養成所設置者からの要望が強かったことで事業に結び付いており ます。  資料の3頁で、県の担当者の事前準備として、養成所及び実習受け入れ病院に対して、受 講希望者の調査を行いました。実習病院で実習指導を実際に行っている看護師からは、直接 受講の問合せがあったのですが、所属する病院に意向を確認したところ、看護師不足の問題 を抱えており、講習会の受講を認めるのは難しいという答えが返ってきました。  担当者のもう1つの大きな準備として、講習会のカリキュラムを作成いたしました。私自 身教育経験がなかったこと、以前の講習会が6ヶ月の開催ということで、状況が大きく変わ っていることから、どのようなカリキュラムを組むことが必要なのかを理解・組立てをする までに多くの時間を要してしまいました。  資料の6頁で講習会の課題です。講師の確保と教育実習施設の確保をどのように行ってい くのか。現在、当県には大学が3校、短期大学が2校、養成所が13校ありますが、どの学 校も講習会の講師を受け入れるほど人数に余裕があるわけではなく、県内だけで講師を確保 することは難しいということで、県内の先生方の紹介を頼りに交渉を進めてまいりました。  また、教育実習施設への受け入れについては、最初は困るという一点張りだったのですが、 何度も打合せを行い、協力をお願いしたことで、最終的にはほぼすべての養成所で実施を受 け入れてもらうことができました。  事前準備は、ほぼ県の担当者でやってきました。さまざまな課題が出てきて、それを1 人で対応していたのですが、講習会が始まる4ヶ月前の平成20年1月からは、講習会の専 任教育担当者を雇用することができたので、そこで打合せを行いながら、教育担当者と一つ ひとつ課題を解決していくようにしていきました。  資料の9頁は「実施してみての評価」です。主催者の県と、委託をお願いいたしました実 施機関では、講習会の基本が1つもない中で、手探り状態で準備をしてきましたので、本当 にこれでよかったのかという不安がかなり残りましたが、受講生や講師の先生方からは、と てもよい講習会だったという評価をいただくことができました。評価が高かった理由として、 それぞれ受講生が高い志を持って臨んできたためではないかと考えられますが、一つひとつ 講習会の目的を達成するために、積み重ねてきた業務も多少なりともご評価いただけたので はないかと思っております。  講習会の評価も高く、養成所の未受講者がゼロにならなかったのに、なぜもう1年開催し なかったのかと養成所からよく聞かれます。講師の先生方からも、2年連続の講師は大変だ という意見と、実習病院から、実習指導者養成講習会の開催の要望が強く出ていて、実施を 委託している団体から、実習指導者養成講習会と教員養成講習会の同時開催は難しいという 話があり、単年度のみの開催となりました。  資料の10頁は「全体を通して」の感想です。地方で行う場合には人材に限りがあるので、 講師との交渉等に多くの時間を要しました。また、教育経験のない担当者の場合には、準備 に多くの時間が必要となります。当県では1年しか準備期間がなかったのですが、もう少し 余裕を持って準備をしなければいけなかったのかなということが反省として残っておりま す。  資料の11頁で、最後にサポートとしてお願いしたいことは、講師が確保困難な科目等に ついては、国による講師派遣や講師への依頼、また県の担当者に対する必要な研修会や、情 報提供などを行ってもらうことで、準備や開催がスムーズにいくのではないかと考えます。 また、国が中心となって、ブロック単位で開催できるようなルール作りをしていただけると、 教員養成講習会の開催がもっと多くなり、県担当者の負担等も軽減するのではないかと考え ました。以上が、長野県で教員養成講習会を17年ぶりに行ってみての報告です。ありがと うございました。 ○永山座長 いろいろなご苦労もあったかと思いますけれども、よく乗り切って実施され たと思います。少々課題も見えてきたと思いますので、後ほど皆様から質問が出たときには よろしくお願いいたします。引き続きまして、滋賀県健康福祉部医務薬務課副参事の中西京 子様からお願いいたします。 ○中西参考人 滋賀県健康福祉部医務薬務課の中西です。4点にまとめさせていただきま した。滋賀県は、京都府との共同開催という開催の仕方を平成17年度からしております。 1点目は、京都府との共同開催に至った経緯についてを、2頁と3頁にまとめております。 京都府は3年に1回の開催、滋賀県は平成6年以降、県での開催がないということで、両府 県の未受講率が20%以上と高いという課題を抱えていたところ、京都府から、県単独では 受講生の確保が非常に困難であるということから、共同開催の意向の打診があり、平成15 年度に両府県で検討を行い、運営方法についての合意を得て決定することとなりました。  4頁は「運営方法について」です。共同開催の基本的な考え方として、経費は開催県が国 庫補助金の申請および前年度の準備委員会も含めて予算化すること。受講料については、滋 賀県・京都府が10万円、他府県が15万円と決定いたしました。実施方法に関しては、カ リキュラムの編成、講師依頼等の事前準備、受講料の収入、修了証書の発行は開催県が担当 する。講習会の開催運営および講習会の集録集のとりまとめは、各府県の看護協会へ委託す る。開催の時期は、前年度は準備委員会の開催として、2年ごとの開催ということで、それ ぞれの県では4年に1回ということで負担が少なくなっております。  IIIの「共同開催における成果及び課題」が7頁から8頁にまとめてあります。共同開催で の成果としては、隔年での受講機会が確保できたということ。もう1つは未受講率の減少と いうことで、8頁に滋賀県と京都府の未受講率の変化を示しております。滋賀県は明らかに 減少しておりますが、京都府は職員の異動等の変動ということで、減少ということでは変動 はありますけれども、未受講率の減少が成果として挙げられております。  課題については、受講生の確保が非常に困難であるということで、滋賀県と京都府の2 府県でしたとしても30名の確保がギリギリで、あとは県外へと。例えば、教員養成研修会 の開催県以外の府県に募集をかけたのですけれども、集まらない状況で、受講生の確保が非 常に困難です。その原因として、病院は看護師確保であったり、認定とか専門の看護師の受 講希望者が増加して、なかなか教員養成のほうに出していただけない現状があります。  講師料が開催県によって違うということで、京都府と滋賀県では講師料が違って、両方に 来ていただいている先生方から、講師料が違うのはどういうことかというご指摘がありまし た。県の財政が厳しいということで、滋賀県では一般財源の投入が厳しい状況にあり、こう いう結果になっております。  最後は9頁です。「サポートとして期待すること」としては、教員養成講習会実施要領の 見直しをしていただきたいということを1番に挙げております。期間とか時間数ということ で、8ヶ月の講習をしておりますが、1年の講習ということで、詰め込み教育ではなく、自 ら考える力を付ける教員ということで、少しゆとりのある時間数と同時に、いまは時間制限 なのですけれども、単位制にしていただいて、他の講習との互換性を持たせたり、単位制に することによって評価の視点が明確になるということでお願いしたいと思います。  各都道府県での開催をしておりますけれども、各厚生局単位での統一したカリキュラムに よる実施であるとか、大学に看護教員養成課程を設置していただくという方向での検討をお 願いいたします。以上で滋賀県の発表を終わらせていただきます。 ○永山座長 引き続きまして、福岡県保健医療介護部医療指導課課長技術補佐の鎌田久美 子様より報告をお願いいたします。 ○鎌田参考人 福岡県保健医療介護部医療指導課の鎌田です。資料12の2頁は、本県の実 施状況を示しています。本県は、昭和45年より毎年県単独で実施しております。現在は、 8ヶ月間、960時間で実施していて、受講定員は45名です。当初より、県外からの受講生 を受け入れております。受講料については、現在のところ県内外ともに同額にしております。 講習期間中については、専任の教育担当者、及び県の看護行政担当者1人で実施している状 況です。  本県が長年にわたり講習会を実施、継続している状況を3頁以降7頁まで示しております。 県内の看護師等養成所は35校で45課程あります。専任教員数は、本年4月現在で371名 となっています。専任教員の退職者数を過去5年間調査した結果ですが、191名が退職して おり、年間平均の退職者数は38.2名となっております。資料として準備しておりませんが、 退職者のうち、3分の1が他の養成所への異動、また3分の1が医療機関の臨床現場への復 帰、残りの3分の1が教員からの離職または大学院進学等ということが退職の理由になって おります。  4頁については、本年4月現在の状況です。未受講者が58名おります。この未受講の状 況については後ほど述べますが、そのうち本年開催の講習会受講者は28名ということで、 未受講者58名すべてが受けるということではありません。先ほども話題になっておりまし たけれども、専任教員の中で、大学等で教育に関する4単位を取得した教員が47名、これ は福岡県の専任教員数の12.7%に当たります。その方については、教員養成講習会を受講 しておりませんが、未受講者の中には含めておりません。  5頁は、専任教員の教員養成講習会の受講状況を示したものです。過去3年の状況ですが、 毎年未受講者は50名、61名、58名ということで推移していて全く減少しておりません。 福岡県からは毎年、25〜28名ぐらいが受けておりますけれども、なおかつ未受講者が毎年 これぐらいの状況であるということで、未受講者は減少していない状況にありますので、福 岡県としては現在のところ毎年実施している状況にあります。  6頁については、「受講者所属施設の県別内訳数」です。本県は他県からも受け入れてい ます。本県の受講者を確定した後に、他県の受講者を決定するということで実施しておりま す。他県については、他県の本庁の看護行政担当部署から推薦をいただきまして、定員45 名になるように受け入れをしております。平成19年度以降、福岡県の受講者は24名、25 名、28名と少しずつ増えてきておりますが、これは福岡県の中で、平成20年度に看護師養 成所3年課程が3校開設されたことに伴う教員の確保、また今後平成22年度、平成23年 度についても各1校ずつ3年課程が開設予定ということで、県内からの看護教員養成講習会 の受講が増えております。このような中で、他県の内訳については、この表に示しておりま すとおり、県内を差し引いた分の中で他県から受け入れています。詳細はこちらを見ていた だければと思いますが、主に九州各県を中心に受講を受け入れております。  7頁は、看護教員養成講習会を受講している方の中で、受講に至るまでの教育従事年数期 間を示しております。受講者の中には、病院推薦の受講者が約1割ほど含まれていて、9割 が看護師等養成所からの受講者となっております。講習会受講者の1、2割の方が教員養成 講習会を未受講のまま3年以上教員として就労している者もおり、教育の質の向上のために、 確実に受講できる体制を確保する必要があります。  こういう状況の中、本県では40年間実施しておりますが、その中で感じる課題等につい て8頁に挙げておりますのでご覧ください。まず「現状と課題」ですが、専任教員の退職者 が多く、講習会未受講者が減少しないということは先ほど述べたとおりです。次は受講生に ついてです。教育内容の中で、看護論の演習や、教育課程、教育方法、教育実習等さまざま な演習を通して感じることですが、これは各演習等を担当されている講師等からの指摘でも あることです。受講生個々の看護経験や、基礎学力等の差に応じた、より丁寧な教育内容、 個人指導の必要性があるということで、[1][2]でその理由を書いております。それぞれの看護 観、教育方法の修得にかなり個人差が大きいということと、基礎となる文章力、読解力が不 足しているということで、講師が苦慮しているという意見が挙がっております。  8ヶ月間で実施しておりますけれども、ゆとりを持った十分な教育内容を確保するには8 ヶ月間では少し無理があるのではないかということ。研修が長期に及ぶことやワークショッ プ等から受講者のメンタル面での問題が発生することもあり、これまで精神科クリニック等 に紹介した受講生もいます。幹部看護教員養成課程修了者が非常に少なく、指導的立場の講 師の確保が困難となっております。講義等については、県内の看護大学等に講師を依頼して おりますけれども、教育方法演習等については、県内の看護師等養成所の専任教員にお願い しておりますが、幹部教員の修了者が非常に少ないということを課題として感じております。  このようなことから、看護経験等に応じた教育内容等の検討、また、ゆとりのある教育期 間の検討、メンタルサポート対策の必要性、本県に応じた評価により修了証書を出しており ますけれども、評価のためのガイドラインの必要性を強く感じております。  最後になりますが9頁をご覧下さい。「今後に期待すること」として、県担当者を対象と した研修会の開催や、コンサルテーションシステムということで、教員養成講習会のカリキ ュラム構築におけるサポート体制について是非お願いしたいということ。また、評価に対す る考え方についてのサポートが欲しいと思っております。以上、福岡県の現状です。ご清聴 ありがとうございました。 ○永山座長 ありがとうございました。貴重なご意見をたくさんいただきました。3県の 担当者の皆様からご報告がございました。本あり方検討会の核心を突くようなことも出てき ておりますので、まずご質問等をお伺いいたします。 ○井部委員 基本的なことをお伺いいたします。臨床指導者講習会、看護教員養成講習会、 それから幹部看護教員養成課程というのもあるらしいということがわかりました。いわゆる 看護教員養成をするための講習というのはどんな種類のものがあるのか、そこを整理してい ただけますか。 ○島田課長補佐 教員養成講習会は、資料でもご説明しましたけれども、看護師等養成所 の専任教員に必要な講習として、都道府県と看護研修研究センターで実施している講習会で す。実習指導者講習会は、病院などの看護師等養成所の実習施設での指導者を養成するため の講習で、240時間の講習ということで、対象は臨床の看護師等、職員の方々を対象に実施 するものです。これも都道府県で行っていただいております。幹部研修は私どもの看護研修 研究センターで、専任教員の中の教務主任になられる方々を対象とした講習会です。これは 各都道府県ではなく、看護研修研究センターで実施しているものです。 ○井部委員 そのほかにはないのですね。いま、少なくとも3つ出てきたので質問してい るのですけれども、ほかにもそのような講習会はあるのでしょうか。 ○島田課長補佐 看護師等養成所に関して、国が補助をして都道府県等で実施していただ いている講習会は、以上かと思います。 ○永山座長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。 ○佐藤委員 少しネガティブな質問になります。途中でリタイアしたり、修得できなかっ たりという受講生はなかったのでしょうか。答えにくかったらよろしいのですが。8ヶ月か ら1年間ある中で、例えば半年ぐらい受講してリタイアした場合、それまでの半年間に履修 した教科・科目がある程度の有効期間をもって、次年度なり、或いはどこかで活用できない のかどうか、そういうシステムはなされていないのですか。 ○永山座長 長く開催されている福岡辺りでは、その傾向が見えるかと思うのですが、い かがでしょうか。 ○鎌田参考人 私は今年でちょうど5年目を実施しておりますが、3年前に1人、入講式 は終わったけれども、2週間しないうちに、「やはり私は向いていない」ということでリタ イアされた方があります。それ以外については、私が従事している中ではありませんでした。 皆さん最後まで修了しておりました。途中でクリニックにかかられる方も1、2名はあった のですけれども、担当の教員のサポート、受講生同士のサポート、所属の施設のサポート等 があり、8ヶ月間無事修了されて、いま元気で教員をされているという報告を受けておりま す。 ○永山座長 滋賀ではどうでしょうか。 ○中西参考人 滋賀県、京都府両方とも、そういう例は今はまだありません。 ○永山座長 長野はどうですか。 ○竹前参考人 長野県は自宅から通えるということで、今回を逃がしたら東京へ行かなけ ればいけないという思いがかなりあったので、受講生の方は全員がクリアでした。 ○永山座長 だそうです。よろしいでしょうか。 ○石渡委員 この講習を受けるに当たって、どういう条件で来られている方たちなのです か。例えば、施設や学校からの出張派遣で認められているのか、受講料に関しての負担とか、 その辺りはいかがでしょうか。 ○永山座長 それでは各県にご返事をお願いします。 ○竹前参考人 長野県では養成所に母体病院がある場合は、母体病院から養成所に異動し てという形で来ております。あとはどうしても専任教員になりたいということで、病院を退 職して自己負担で受講された方が3名おります。それ以外の方は皆さん、養成所に異動とい う形をとられていましたので、受講料は養成所のほうから負担していただいています。県職 員に関しては、4名が病院から養成所のほうに移るようにしましたので、一般財源を使って という形でやらせていただきました。 ○中西参考人 滋賀県ですけれども、受講生の中には3種類あります。病院から受けられ ている方と、養成所から来られている方と、個人推薦で来られている方です。病院と養成所 に関しては、各施設長の推薦を基に、受講料もそこから出されるという形です。個人推薦と いうのは、個人がどこかの病院や施設を辞めて、やはりどうしても受講したいということで、 こちらからも面接をさせていただくものです。そういう方は、個人の負担で来られておりま す。 ○鎌田参考人 福岡県では約1割が病院からです。付属の養成所は持っていないのですけ れども、やはり新人看護職員の教育に活かせるということで、どちらかというと大きな総合 病院の看護師さんが5名ほど、教員養成講習会を受講して、その後の新人教育に携わってい るという経過があります。残りのほとんど9割が養成所からで、推薦を受けて実施しており ます。費用負担については、個人負担をされている所はほとんどありません。たまにはある のですが、ある場合は私から施設のほうにジワッと、「個人負担ですか。他の施設は皆さん 出されています」と言うと、結構後で施設のほうから負担ということで、個人負担はないと いうように伺っております。 ○永山座長 大半が個人ではなく、抱えてという状況のようです。ほかにご意見、ご質問 はどうでしょうか。 ○齊藤委員 福岡県の鎌田さんにお伺いします。膨大な資料をありがとうございました。8 頁にありますが、「専任教員の退職者が多くて、講習会未受講者が減少しない」、つまり育て ても、育てても辞めてしまうというところの理由は、何か把握しておられたら教えていただ きたいのです。 ○鎌田参考人 先ほども少し述べましたけれども、福岡県ではここ2年ほど前から、看護 師養成所が新設されたこともあり、他校への異動というのがあります。その方については受 けてあるからいいのです。あとは医療機関へ戻ってしまう方です。今回調査をしたのですが、 その理由を聞きますと、やはり看護教育に自信がない方で、臨床現場に戻られる方が3分の 1ぐらいありました。残りの3分の1は、もう教員を辞めてしまう方もあるということで、 やはり現場での継続研修のあり方、またはいろいろなサポート体制というのも問題があるの かとは感じております。 ○永山座長 いかがでしょうか。やはり離職のことが前回も問題になっていたと思います。 福岡からも能力のことが少しありましたが。 ○後藤委員 いまの福岡県の話ですが、3分の1はよその学校へ行って、3分の1は臨床へ 戻って、3分の1は離職ということでしたね。これは専任教員全体ですね。 ○鎌田参考人 はい。 ○後藤委員 これは教員養成講習を受講した方で、お辞めになった方の数字ですか。 ○鎌田参考人 いや、これは受講した方ではなくて、専任教員全体数371名の中で、過去 5年間にわたって毎年調査したものです。 ○後藤委員 もしお持ちでしたら、お辞めになった中に福岡県の講習会をお受けになった 人はどのぐらいいらっしゃるのか、そういうことは分かりますか。 ○鎌田参考人 すみません。今日はお答えできる数字を持ち合わせておりません。 ○後藤委員 数字は結構ですけれども、講習会をお受けになると退職率が非常に下がると か、逆に「私は専任教員に向かない」と言ってお辞めになってしまう率が上がるのか。 ○鎌田参考人 福岡県を受けられて退職された方は。 ○後藤委員 受けた方は、わりと辞めないのですか。 ○鎌田参考人 そうですね。残っていると思います。ただ、九州外でも新設校があります と、他県のほうに異動ということもあって、本県の未受講者が減らないという状況が続いて います。中には辞めている方もあります。 ○後藤委員 もしできれば、そのようなこともお調べいただけると。いわゆる専任教員で、 その学校を辞めてほかの学校へ行ってしまうというのは、その学校の待遇の問題とか人間関 係とか、いろいろあるでしょうから仕様がないと思うのです。しかし、もし講習会が教員自 体を辞めてしまうきっかけになるとすると、問題は問題ですよね。逆にこの講習会で教員と しての自覚が生まれて、よその学校であろうと何であろうと教員を続けるという動機づけに なっているとすれば、それもまた意義があると思います。ご面倒でしょうけれども、よろし ければお調べいただけると、ありがたいと思います。 ○鎌田参考人 そうですね。わかりました。今度、また調べたいと思います。 ○後藤委員 国のほうでもやっていらっしゃる講習がありますよね。その辺の数字を。 ○永山座長 調査か何かはなさっていますか。たぶん、あまりデータはないと思うのです が、どうでしょうか。 ○島田課長補佐 今回、教員養成講習会について、都道府県から情報をいただいているの ですけれども、そういったところのデータは集めていないと思います。 ○永山座長 その部分は、これから具体的に調査をしてみないとわからないと思いますの で、また考えさせていただきたいと思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○井部委員 中西さんと福岡県の方にお伺いします。福岡県では「現状と課題」の8頁に、 「8ヶ月ではゆとりをもった十分な教育内容を確保することが困難」ということで、期間の ことを言っております。もう1つは、滋賀県の中西さんの資料のいちばん最後の頁で、「1 年間の講習とする」となっています。これも期間を延ばしたらいいのではないかという提案 だと思いますけれども、括弧の中に「詰め込みの教育ではなく」とあるのは、現在は詰め込 みの教育だというように取れるのです。この詰め込みの教育の現状を、少し説明していただ きたいのです。なぜ詰め込みなのかというところですね。 ○永山座長 それでは中西さんのほうからお願いいたします。 ○中西参考人 今年は5月7日から12月25日まで、906時間の講義で開催しております。 これには5つの演習があります。最初の看護論の演習では、少し時間に余裕があったのです けれども、これから次の段階の演習では、演習の時間を取ることさえ、考える時間を取るこ とさえできなくて、どんどん、どんどん次の演習が入っていきます。ですから課題を整理し たら、すぐにまた次の演習ということで、受講生にとっては非常に厳しい時間数になってい るというのが1点です。この講師は非常勤といいますか、他校から来ていただいております ので、もし何かあったときに講師が来られないということになったら、もう時間が取れない、 土曜日か日曜日に来ていただくことしかできないような状況で、非常に詰め込みの教育であ るということを、そこで言わせていただいております。 ○井部委員 通常、演習というのは考えて意見交換をしたりする時間だと思うのです。そ れがそうではないのですか。 ○中西参考人 もちろん90時間という最低の時間は取っているのですけれども、それだけ ではグループごとに十分な考えを練っていく時間には、やはり非常に厳しいものがあります。 施設も、例えば6時半までしか使えないので、その後の時間はどこかのお店で時間を取った りということで、グループで十分に練られる時間が非常に厳しいのです。 ○井部委員 教育環境の問題もあるわけですね。 ○中西参考人 そうですね。やはりそれも非常に大きいです。看護協会も委託させていた だいているのですけれども、何時までということで、それ以上の時間は施設が使えないよう な状況です。ですから後は各グループで、個人的に確保しているような状況です。 ○永山座長 福岡はいかがでしょうか。 ○鎌田参考人 福岡県のほうでも8ヶ月間で960時間となっております。実施要領では 900時間以上となっておりますが、最近の看護のカリキュラムの改正等もあり、私どもも教 員養成講習会の教育内容を増やしたという責任も感じているのです。同じ期間数で960時 間ということでやっておりますので、過密になってきているかと思います。これは朝9時か ら夕方4時までの1日6時間で、960時間実施しておりますから、4時以降は夕方や夜に皆 さん持ち帰ってやったり、滋賀県さんも言われたように、別の場所を借りて演習をやったり ということで実施しております。4月から12月までやっており、長期の休みというのはお 盆休みの5日間ぐらいです。あとは土日の休みということで、非常に限られた期間の中で 960時間に増やしてしまったという責任を感じているのです。もう少しゆとりを持って実施 すれば、受講者の方のメンタル面も含めてサポートできるのではないかというように思って おります。 ○永山座長 いかがでしょうか。 ○井部委員 それだけやっているにもかかわらず、基礎となる文章力、読解力の不足とい う指摘をされているのは、一体どこに原因があるのでしょうか。 ○鎌田参考人 特に意見が出るのは、看護論を担当される先生、大学の教授なのです。看 護論というのは、この教員養成講習会が始まって最初の演習になるのですけれども、なかな か文章が書けないということで、講師の先生から、かなり苦慮しているということを聞きま す。いまの若い方というか、基礎学力が。やはり大学卒の方はいらっしゃいません。ほとん どが看護師等養成所を卒業して、業務年数5年以上を経験して、看護師等養成所に就職され て、この講習会を受けられています。それと、いきなり看護論ということで難しい内容に入 っていくので、自分の看護観も含めて文章にすることができないといったことが見受けられ るようです。 ○羽生田委員 講師をいろいろな所からお願いして来ていただいているのですけれども、 いわゆる看護ではなく、教育畑からの講師というのは、いまの3県ではどの程度あるのでし ょうか。 ○永山座長 この養成講習会の教育内容の大まかなカリキュラムは、皆さんのお手元の別 紙1にありますので、ご覧いただきたいと思います。その点で、基礎分野並びに教育分野の 件に関するご質問だと思うのですが、担当者はいかがでしょうか。それでは3県お一人ずつ、 福岡からお願いいたします。 ○鎌田参考人 ほとんどが外部講師で、研修するのに59名をお願いしております。そのう ち看護大学の看護職が約3分の1、また3分の1が一般の大学の教育学又は心理学を担当さ れている大学教授、あるいは准教授の方々にお願いしております。ですから59名中40名 近くは、大学の先生を確保できているという状況です。福岡県は大学も多いですし、もちろ ん看護大学も多いのですけれども、一般の大学等からの支援もありますので、実施できてい るという状況にあります。残りの3分の1が、看護師等養成所の専任教員ということで、主 に教育方法の演習を担当していただいております。 ○永山座長 次に滋賀からお願いいたします。 ○中西参考人 滋賀県ですけれども、基礎分野63時間と専門分野の教育の基礎90時間に 関しては、各教育大学の先生や専門の先生に来ていただいております。 ○永山座長 長野県はいかがでしょうか。 ○竹前参考人 長野県では、講師の先生65人にお願いいたしました。基礎分野と教育分野 に関しては、教育学部の先生にお願いして、看護分野は看護大学の先生にお願いするという 形でとらせていただきました。 ○永山座長 羽生田委員、よろしいでしょうか。それぞれの専門分野から選出していると いう状況です。それでは本日の主題が残っておりますので、それに入らせていただきたいと 思います。  教員の養成については第1回でも述べましたけれども、将来の医療を支えていく看護の人 材を育成する看護教員というのは、すごく大きな役割を担っているわけです。そこで質の向 上が求められておりますが、アンケート結果並びに本日の3都道府県の報告にもありました ように、いろいろな課題も多く、教員養成のあり方や看護教員の要件について、いろいろな 課題も少しずつ浮彫りになってまいりました。その2点についてご議論をお願したいと思っ ております。どの方向からでもよろしいかと思います。佐藤委員は後ほど大いに発言したい とおっしゃっておりましたので、まず口火を切っていただければと思います。お願いいたし ます。 ○佐藤委員 最初に高等学校のことについて、先に座長からお問合せがありましたのでで、 それをまずクリアしてから、いろいろ申したいと思います。  高等学校については第1回目の検討会でもお話いたしましたように、学校教育法などに基 づくの教員免許制度ですから、養成所の教員とは根本的に課題や問題が違うと思います。資 料1(「第1回検討会における委員の主な意見」)の「I看護教員の養成について」の「看護 教員養成講習会に関して」の項の末尾に、高等学校の記録があります。これは私の発言だと 思います。教員免許状には大きく分けて、高等学校教諭の普通免許状と社会人採用による特 別免許状の2種類があります。普通免許状の取得に関しては、課程認定大学が10数校あり ますが、その教員養成コースを選択する学生が少ないので、養成が少ないと申し上げました。 このことについては大学で学生が教員養成コースを選択するように、いろいろPRをしなけ ればならない。これは私たち自身の努力事項ということで、ひとつご理解いただきたいと思 います。  あとはその不足分を補う方法として、いま申し上げた社会人採用です。これは都道府県に よって採用条件が異なります。看護職者として医療の現場にいる方を教員として採用するシ ステムで、普通免許状の不足分を補完していくというのが高等学校の現況ということで、ご 理解をお願いしたいと思います。お答えになったかどうか。 ○永山座長 それでは、そのほかにいかがでしょうか。ご意見をいただきたいと思います。 ○佐藤委員 今回の「主な検討課題と論点(資料2)」の中で、「看護教員養成講習会の未 受講者を減らすためにはどのような方策が必要であるか」ということについてです。重ねて 申し上げますが、私の所では専修学校と高等学校、合わせて約30名の看護専任教員がおり ます。専修学校はもちろん全員、この講習を受講しております。高等学校の看護教員も8 割ぐらいは、この教員養成講習を受講しておりますので、そういう意味から少し申し上げた いと思います。  「未受講者」というのは、現在、看護の養成所におられて、まだ受講していない方という ことですね。これについては資料1の「I看護教員養成について」に、受講するのにはいろ いろクリアしなければならない問題があると記録されてあります。具体例として、物理的な 問題や家庭の事情などが挙げられております。これに対して放送大学、通信制あるいは科目 履修制といったものの導入を提案されております。私もそのような提案に賛成です。先ほど のお話でもありましたように、自宅から通って受講できる人はよいのですが、8ヶ月あるい は1年もの長期間自宅を離れて受講するというのは、大変なことだと思います。それを解消 するには、やはり放送大学、科目履修、e-ラーニング、その他の方法で受講できるようなシ ステムが導入されたら、非常によいと思います。  それと同時に、資料7.(「看護教員養成講習会実施要領」)の3頁の「看護教員養成講習 会教育内容」に講習会のカリキュラムがあります。これを8ヶ月あるいは1年間で集中履修 ができる人はよいのですが、「基礎分野」、「教育分野」、「専門分野」を分散履修できないも のかどうか。例えば、最初の1年目は「基礎分野」60時間を、2年目は「教育分野90時間 を、3年目は「専門分野」690時間をと計900時間を3年計画で取得するといった分散履修 ができないかどうか。また、科目履修、放送大学からいえば、「基礎分野」や「教育分野」 などは、そういった通信制の教育で履修することで替えられないのか。そういうシステムを ひとつご検討いただければ、非常にありがたいということです。 ○永山座長 貴重なご意見をありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。これ を2年か3年で受講できないかというご意見ですが、そういう検討はいかがでしょうか。 ○野村看護課長 そういった検討をこの場でお願いしたいというところです。 ○永山座長 重要な検討事項になるだろうということですね。そのほかにいかがでしょう か。 ○井部委員 いまは「主な検討課題と論点」の1番目を検討していると思うのですが、「質 の高い看護教員を養成するための」というのが大事だと思うのです。つまり質の高い看護教 員というのは、どういう人なのかという議論が、どこかでなされるべきではないかと思うの です。いまの議論は、看護教員養成講習会ありきで、そこを受講するためにどうしたらいい かということです。短期的にはそのことも議論されるべきだとは思いますけれども、看護教 員養成所の卒業者が、まだ7割から8割近くが仕事をしているという現状において、質の高 い看護教員というのは、一体どういう要件を備えているべきなのかという根本的なところは、 一度押さえておく必要があるのではないかと思います。  個人的に先ほど私が聞いた幹部教員の講習会があったり、教員養成でもすし詰めの教育が されていたり、臨床実習指導者講習があったりというように、分断された教育に関するさま ざまなコースを持つことが、本当に重要なことなのかという疑問が1点あります。また、こ の講師はほとんどが大学の教授、准教授というように書いてあるわけですので、この講習会 で、教授や准教授はたぶん大学でやっていることを教授することになると思います。そうす ると、やはりそこには受講者と教える側との十分な理解が起こらないということは、当然予 測されるわけです。どうもやろうとしていることと受け手側とのレディネスというか、そこ の乖離が感じられますので、当面は何をしなければいけないかというのと、将来的に質の高 い看護教員を養成するための方策はどうあるべきかというのは、是非議論していただきたい と思います。 ○永山座長 すごく本検討会のコンセプトでもあるような中身のことを、いま発言してい ただいたと思います。そもそもこの検討会の名前そのものが「今後の」になっておりますの で、現状をより分析し、あえて言いますと当面ということもありますけれども、やはり日本 の今後の教員のあり方は、本当にここで議論をしなければならない本質的なところだろうと 思っております。その点は具体的にここには書かれてはいませんけれども、それは議論の中 で出てくるのではないかと考えております。いかがでしょうか。 ○安酸委員 実質的には30時間とか、15時間ということで頼まれて、分断されたところ を「15時間お願いします」というように、それぞれの教授や准教授がやっているというの が現状だと思うのです。カリキュラムというのは当然、全体の狙いがあって、その狙いを基 に目標を立て、もちろんカリキュラムの科目が出てきて、この科目ではどういう内容を押さ えてもらうという目標でカリキュラム全体はできているはずなのですけれども、たぶん教え てもらえる先生の限界や難しさがあって、それぞれ一人ひとりの先生にあなたはこの辺を教 えてほしいという、科目名以外の細かいたくさんの要請というのが、できにくい状況ではな いかと私は思うのです。  例えば私はついこの前、看護教師の再教育で、もうすでに先生になった人たちに「基礎看 護技術と評価を教えてくれ」と言われて話をしました。しかし、そのときに「技術」の捉え 方というのが、本質的な例えば「ヒューマンケアの基本に関する実践能力」としての技術と いうような根本的な捉え方ではないように感じたので、そこから話を進めました。  どうも「技術」というと、いかに導入技術を上手にやるかというところをどう教えるか、 どう評価するかということに関心があるようです。そうではなくて、もっと本質的に看護技 術をどう捉えるかということが重要だと考えています。それは看護系大学や協議会などでも 出しています。ただ専門学校では「技術」と言うと、厚労省などが出しているものを見て、 この技術とこの技術を教える、教えない、見学させるというところに行くのです。時間は十 分あるのですが、折角こういうようになっている本質論を、どのような形できちんと教える のか、それをきちんと汲んで教えられるような体制を作らない限り、ここは難しくてわから なかったということで、時間が過ぎていく危険性があるのではないかと思っているのです。 ○永山座長 いろいろな展開の方法なり概念規定等々で、微妙なずれが受講者に影響を及 ぼしているのではないかというのは、すごく大きなところだろうと思います。 ○澤本委員 全然門外漢で、実態がよくわからないので申し上げるのかもしれませんが、 前回配っていただいた「看護基礎教育のあり方に関する懇談会の論点整理」という参考資料 1を見ましたら、看護基礎教育の充実の方向性として、将来的には大学での養成を念頭に置 きたいということが、そこには書かれていたと思うのです。その理解でよろしければ、当然、 看護教員の養成はその上のマスターレベル以上を展望することになるのかというのが1点 です。これがいつになるかは分かりませんけれども、少なくとも目標としてはそういうこと ではないかと思います。  現実に学校教員の指導をする大学の教職課程の教員も、今は現場の教員が大量に採用され ています。今はみんな研修で修士号を持つぐらいは常識になって、できればドクターもとい う話になっています。特に欧米では、現職にいながら今携わっているクラスの指導とか、校 長だったら自分の学校の教員の力量形成をどう指導するか、学校経営をどうするかというの を、アクションリサーチですけれども、修論や博論でまとめて修士号や博士号を取ってキャ リアアップしていくというシステムが、もうどんどん作られています。私は看護教育のほう も、そういう方向性を展望するということでよろしいかどうかというのを、提案と言うより は確認としてというのが1点です。  それをする場合に、やはり厚生労働省としては、わざわざ国立看護大学校というものをつ くったわけですから、例えばあそこでe-ラーニングか何かを合わせてやると。早稲田大学 では通信を全くやっていなかったのに、e-ラーニングを入れて成功させたのです。私は風評 で聞いているだけなので証拠はわかりませんが、そういうように聞いています。そういう先 進的に成功させているケースがあるならば、そういうものをうまく参考にして、国からお金 を出してもらうにしても、後である程度回収できるような仕方で、成功率の高いe-ラーニ ングで看護師の養成をするのと合わせて、看護教員の養成ですか。ですから修士課程レベル になるのかもしれないのですが、放送大学みたいなことを考えてもらってもいいのではない かと思います。看護大学校でやらなくても、厚労省で直接そういう養成をつくられてもと思 います。やはりそのぐらい思い切ったことをやってはいかがかと思います。  また、先ほど単位化するという話が出ましたね。10年経ってしまいますと古くなってし まいますので、4年か5年ぐらいの間だったら、履修した単位をちゃんと認定するという形 で、ある程度長い期間を取ると。病院にある程度余裕ができる時期というのがいつなのか、 私にはわかりませんが、ある程度その時期にスクーリングのような形で、2年か3年という スパンで取れるように集中的にやって、対話形式でケースをちゃんと討議できるような機会 も保証するという形で、アクションリサーチのような形で単位を履修できるようなシステム を作れば可能ではないかと、お話を伺いながら思いました。ですから、これは上積みのほう の話です。底辺のほうを揃えるという話は、もう少し先生方からお話を学ばせていただきた いと思います。 ○岩本委員 「論点」の1の2番目になるのですが、先ほどの教員養成講習の教育内容の ことです。この科目と時間数は、きっと平成12年に設定されたものだと思います。先ほど 井部委員からもお話がありましたが、平成21年度に看護基礎教育のカリキュラム改正が行 なわれ、この改正されたカリキュラムを実践できる看護教員を育てる、あるいは、さらに未 来を見すえた看護教員を養成しなければならないと考えると、この教員養成講習の教育内容 が妥当かどうかの検討が必要です。これから目指す看護教員像を明らかにし、その看護教員 を養成するのに必要な教育内容を設定していくことが、すごく大事ではないかと思います。  今示されている教育内容が平成12年のものであるとするならば、現在、教育内容として設 定すべきものはもっと違ったものになると思います。その検討が、講習会のあり方を検討す るに当たり非常に重要であると思います。  それから、やはり演習が多いというのが、このカリキュラムの特徴です。演習というのは 人と人とが集まって、1つのテーマについて自分の意見を言い、自分の考え方を整理してい くことですので、その中で教員として必要な資質やアイデンティティが形成されます。です から演習を重要視し、その中身の検討も重要ではないかと思います。  講習会の実施状況から、それぞれ講習会主催者ごとに工夫はなされていますが、現時点で は、まず、現行の教育内容自体についての評価が必要ではないかと考えます。 ○永山座長 それでは、もうお一方どうぞ。 ○林正委員 先ほど3つの県の担当者からのご意見を聞いていて、いま井部先生が言われ たことと少し関係があるのではないかということに思い当たりましたので、報告いたします。  例えば専修学校や専門学校ですと、医学系の講義というのは大抵、外部講師に依頼します。 その時にほとんどが丸投げなのです。「こういうことが看護学生には必要だから、医学生と は違う教育の、こういう視点でやってほしい」と言われる方はまずおられません。それをや はりしてもらわないと、看護学生に適した教育はできないはずです。このような教員の研修 の場合も、都道府県の担当者がいちばん困るのは、そういうところだろうと思います。  教育学部の先生に、義務教育の教員を養成するためではない、看護学生を教育する教員に 対しては例えば教育学の原理などでも、少し中身が変わったものを教えるべきだろうと思い ます。ただ、そういう注文がつけられない所は担当者のほうからの意見として、例えば長野 県の場合ですと、県の講習担当者に対して、教員養成講習会に向けて必要な研修の開催を国 に対してお願いしたい、というような形で出るのではないでしょうか。とりあえず、そうい うような感じを抱きました。 ○永山座長 そうですね。全体を見通すと、そういうところにもいろいろな課題が出てき ていると思います。資料7の教員養成の実施要領に基づいて、たぶん別紙1の内容、カリキ ュラムが形成されているのです。この変遷と言ったらいいでしょうか、この前のものもきっ とありますよね。このカリキュラムが変更になって、もう平成21年ですので、この改定等 について岩本委員は、そこら辺りのことも発言されたいのではないかというように解釈をし てしまって申し訳ありません。これは平成10年に健康政策局長通知で出ていますので、で きれば次回に、その前の歴史みたいなものを出していただくと変化がわかって、何を目指そ うとしていたのかというのが見えるのではないかと思いました。では、その後に作られて、 今後これをまた変えるか云々という議論になるということですね。それでは事務局からどう ぞ。 ○島田課長補佐 いま資料7でお示ししているのが、平成10年に健康政策局長の通知と して出しているものです。それまでの受講者数45名以上というのを30人以上というよう に変更しているのが、いまお話のあった平成12年の改正で、それが今のものになっており ます。座長もおっしゃいますように、平成10年以前にも教員養成講習会は実施されており、 適宜、講習実施期間や教育時間数といったものを見直しをして、今日に至っているという経 過がありますので、次回にまたおまとめして資料として提出させていただきたいと思います が、よろしいでしょうか。 ○永山座長 はい。ほかにいかがでしょうかでしょうか。 ○井部委員 カリキュラムを作るというのは、とても重要な作業なので、林正委員がおっ しゃったように、カリキュラムを作るための講習会というのをまた開きますと、看護界は講 習会だらけで、しかもどれ一つとして自信の持てるような講習会はないわけです。これは看 護管理者の講習会でもみんなが言うことですが、管理を10年やっているけれど自信がない とファーストレベルやセカンドレベルの受講動機に書いてあるわけです。共通しているのは 「自信がない」ということです。ですから、これをきちんと学んだとか修得したとか、自信 が持てるような教育課程を提供すべきだと思います。その意味ではちゃんと積み重ねて学位 につながるようなコースを、是非確立していただきたいと思います。姑息的な短期の講習で 終わることがないように、継続して生涯学習をしていきながら、自信が持てる教育課程を検 討すべきであると私は思います。 ○澤本委員 先ほどの林正委員のお話とも重なると思うのですが、私は山梨県の高等看護 学院で、養護教諭と助産師の1年間の課程を数年間お付き合いして、ちょうど県立看護大学 の設立に移行していくプロセスもずっとお付き合いしました。そのときに大学に移行した時 点で、博士号は取っているけれど、全然看護のことを知らない先生の採用にともなう専門職 指導の問題を幾つか聞きました。  やはり先ほどの問題と、看護師や助産師といったある種の使命感を持ってかかわらなくて はならない専門職の育成に関する部分には、そういう学問的な領域とは異なる面が、専門職 教育としてあるわけです。そこの部分は教職のほうも、いろいろ悩んだり、討議をされたり している部分ではあります。その点についてはやはり明示的に、ここでそういう科目を担当 する場合に、一般の教育方法と看護師の養成における教育方法は、何が同じで何が違うのか ということについて、示せるかどうかはわからないのですが、多少の合意が形成できれば、 そういう形で要請することはできるのではないでしょうか。 ○永山座長 貴重なご意見をありがとうございました。 ○後藤委員 先生方のお話でもいろいろ出てきていて、質の高い看護教員というのは、や はり最初に議論をしていかないといけないというご意見が先ほどもありましたが、全く同感 です。例えば、資料7の講習会の内容というのは、私はカリキュラムを盛り込みすぎだと思 います。質の高い看護教員というのは一体何なのかというのは、いわゆる養成所に来ている 学生がいま非常に変わってきていて、そういうことに対応できないような看護教員だったら 仕方がないのです。養成所に来た子を看護師にするために、この子のものの考え方や感じ方 をどういうように受けとめて、いいほうへ持っていくのか。そういう学生に寄り添うという か、学生を教えるのではなくて、学生を育むほうの内容を盛り込まないといけないのではな いでしょうか。つまり、教えるほうばかりが盛り込まれすぎているという印象です。8ヶ月 でこの時間数は無理ですよ。  実際に自分の所の教員が講習会に出て行くと、非常にいい刺激を得て帰ってきます。いい 刺激を得て帰ってはくるのですが、それは人間誰でもそうであるように、とても高いものを 見せられて、「よし、頑張ってこれを勉強するぞ」ということで帰ってきて学生と接すると、 そういう話の通じない学生がたくさんいるわけです。まだ若いし、基礎学力の問題もあるか もしれませんから。しかし、そういう子をどうするのかというところでいちばん悩むわけで す。そのときに相談できるシステムが、やはり看護教員養成講習会の後になければいけない と思うのです。それが継続教育にもなるでしょう。  学問として知っていなくてはいけないことというのは、もちろんあるわけですけれども、 それを現実の子供たちに寄り添って、この子供たちをどうするかという視点をちゃんと持た ないと。小学校の先生や中学校の先生や高等学校の先生がいろいろなことで問題になって、 いま免許の更新など、いろいろなことが話されるのはそこだと思うのです。ですから質の高 い看護教員というのは、いかに学生に寄り添えるかというところをしっかりと押さえておか ないと、どうも学問というか、そちらのほうばかりが先行してしまいます。そうすると学生 との間の乖離がもっと進んでいってしまうのではないかという気がしています。  ここで議論をする話ではないかもしれませんが、例えばいま大学の先生には、要件として 臨床経験が必要ないのですよね。そういうことでいいのかと思います。そして専門学校や専 修学校の先生たちだけに臨床経験をちゃんと持てと。ひょっとすると、臨床能力を高めるに はどうしたらいいかということで、教育力と臨床力を専修学校の先生には要求されていると いうのは、ここも乖離をしてしまうのではないかという気がするのです。例えば専門学校の 教員をやったことが、大学の先生になっていくのに一つ評価されるような仕組みというのが、 今はないですよね。こういうものも私はどうかと思うのです。学問としての看護と看護師を つくるということとは、ちょっと違うのではないかと思うのです。 ○永山座長 いろいろな意見が出まして、本日の議論の中では本質的なところも、かなり 出てまいりました。いかがでしょうか。是非、これだけは今日言っておきたいということは ありますか。 ○佐藤委員 最初に訂正いたします。資料1の2頁(「II看護教員の継続教育について」) の中程の「教員に求められる資質と評価について」の項の末尾に、「教員の自己、他者評価 システムが5年一貫校では浸透しつつある」とあります。たぶん、これは私の発言だと思い ます。これは5年一貫校の限定ではなくて、小学校、中学校、高等学校、大学についても同 様です。例えば大学などでも、学生による教員評価の導入がかなり進んでいるのではないか、 ということで発言させていただきましたので、ご理解をお願いします。  その項は「教員に求められる資質と評価」ですが、先ほど来、「質の高い看護教員とはど ういう人かという議論を」という意見がありました。これは「質の高い看護教員とは何ぞや」 ということになるわけですが、これについては同じ項の2番、3番、4番辺りに、「看護実 践能力と教育実践能力のどちらも必要」、「教育学、教育論が不足している」、「コミュニケー ション能力が必要」との記録があります。この検討会の目的や趣旨とは少し違うのかもしれ ませんけれども、それらを土台にして教員に必要な資質や求められる教員像というものをモ デル化してはどうか。しかしモデルを作ると現実にはあり得ないモデルを作ってしまいがち なので、目標値としての看護教員に求められる資質というものをある程度整理・構造化して はいかがかと思います。 ○永山座長 ご意見、ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは時間も押 してまいりましたので、本日はこれで終了したいと思います。では、次回以降の進め方につ いて、事務局から説明をお願いいたします。 ○島田課長補佐 次回は、8月5日水曜日の17時から開催する予定です。場所は厚生労働 省の共用第7会議室となっております。正式なご案内については、また先生方にお送りいた しますので、よろしくお願いいたします。 ○永山座長 次回は8月5日ということで、日程調整をよろしくお願いいたします。次回 も本日の議論を踏まえながら、引き続き今後の看護教員のあり方について深めてまいりたい と思います。これで第2回の「今後の看護教員のあり方に関する検討会」を閉会させていた だきます。今日はお忙しいところご出席いただき、貴重なご意見がたくさん出ましてありが とうございました。以上をもって終了いたします。 照会先:厚生労働省医政局看護課  平賀 ・ 島田 内線2599・4167