09/07/03 平成21年7月3日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事次第               日時:平成21年7月3日(金)14:00 〜17:03               場所:三田供用会議所C・D・E会議室 1 開会 2 審議  議事  1 議題  (1)添加物関係    [1]添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定     ・2−ペンタノール     ・プロピオンアルデヒド     ・6−メチルキノリン    [2]使用基準の一部改正     ・亜塩素酸ナトリウム  (2)農薬関係    [1]新規登録等による新規設定に係る品目     ・イミシアホス(国内登録)     ・テフリルトリオン(国内登録)     ・ピラスルホトール(インポートトレランス(以下、IT)    [2]暫定基準の見直しに係る品目     ・イミダクロプリド(適用拡大+IT+畜産物)     ・アセキノシル(適用拡大+IT)     ・ペンシクロン(IT+魚介類)     ・オキサジクロメホン(魚介類)     ・フェリムゾン(魚介類)    [3]本基準の見直し及び追加設定に係る品目     ・EPN(適用拡大+魚介類)     ・ジクロシメット(魚介類)     ・フェノキサニル(魚介類)     ・プレチラクロール(魚介類)     ・ノバルロン(適用拡大+IT)     ・プロヒドロジャスモン(適用拡大)  (3)動物用医薬品等関係    [1]薬事法に基づく再審査申請に伴う残留基準の設定     ・エチプロストン     ・ブロチゾラム     ・鶏伝染性気管支炎(4−91株)生ワクチン    [2]ポジティブリスト制度導入時に設定した残留基準の見直し     ・パロモマイシン     ・セフォペラゾン     ・リファキシミン     ・デストマイシンA     ・テルデカマイシン  2 報告事項  (1)特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果につい     て  (2)消費者庁及び消費者委員会の創設について  (3)体細胞クローン家畜由来食品の安全性に係る食品安全委員会     からの答申について  (4)食品衛生分科会において審議された品目のその後の経過につ     いて  3 閉 会 ○佐々木補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会」を開催いたします。  本日は御多忙のところ御参集いただき、厚くお礼を申し上げます。  政府では6月からクールビズとしておりますので、大分冷房は効いておりますが、 よろしければ上着を取って御審議いただければと思います。  まず、今年度になりまして最初の分科会ですので、委員の交代、事務局の交代がご ざいましたので、御紹介申し上げます。  渡邊昌先生におかれましては、独立行政法人国立健康・栄養研究所の理事長を昨年 度いっぱいで退任されました。それに併せまして当審議会委員も御辞職ということに なりました。  渡邊先生のこれまでの多大な御尽力に対し、深く感謝を申し上げたいと思います。  その国立健康・栄養研究所の理事長の後任で徳留信寛先生が就任されました。本日 は御欠席でございますが、当分科会委員に就任されましたので、御報告申し上げます。  続きまして、事務局の御紹介を申し上げます。4月1日付で新開発食品保健対策室 長に尾崎が着任いたしました。  また、監視安全課に新しく食中毒被害情報管理室を設置することになりました。そ の初代の室長の熊谷でございます。  続きまして、本日の委員の先生方の出欠状況につきまして御報告申し上げます。  伊藤委員、鈴木委員、先ほど申し上げました徳留委員、宮村委員から御欠席との連 絡を事前にいただいております。  また、阿南委員、児玉委員がちょっと遅れていらっしゃるという連絡をいただいて おります。  現在の本分科会委員総数20名のうち、現時点で14名の御出席をいただいておりま すので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  お手元に1枚で議事次第がございます。本日の議事につきましては、添加物関係で 2類型4剤、また、農薬関係で、表裏になりますが、3類型14剤、動物用医薬品に つきましては、2類型8剤の御審議をいただきたいと思います。また、その後、報告 事項といたしまして4点ほど御報告申し上げたいと思います。  資料につきましては、お手元にホチキスで1つに綴じております。これを本体資料 として御説明等の際にごらんいただければと思います。御説明申し上げる際、または 御質疑いただく際に、もう少し細かい資料が必要な場合につきましては、事前にも送 っておりますが、厚いハードファイルに参考資料ということで食品安全委員会の評価 書等が綴られておりますので、必要に応じ御活用いただければと思います。  また、本日の説明につきましては、類型化できるものにつきましては、何剤か一括 して御説明申し上げた後に御審議いただくと、そのような進め方をお願いしたいと思 います。  それでは、以降の進行につきましては、岸先生、よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、早速、本日の議事を進めさせていただきます。  まず、添加物関係についての議題から入りますので、添加物について、事務局から 御説明をお願いいたします。 ○國枝課長 それでは、本日は、添加物につきましては、添加物としての新規指定並 びに使用基準及び成分規格の設定に係る品目として3剤、それから、使用基準の一部 改正に係る品目として1剤につき御審議をいただきたいと思います。主に薄い分科会 資料の方を参照しながら御説明したいと思いますので、そちらをごらんいただきたい と思います。  まず、2−ペンタノール、プロピオンアルデヒド及び6−メチルキノリンの資料で ございますが、これらはいずれも食品添加物としての指定の可否をお願いするもので ございまして、国産汎用添加物ということでの指定申請ということになります。用途 としては、香料になります。  まず、1ページ目に2−ペンタノールでございます。  海外での状況、それから、概要でございますが、果実、チーズ等に天然に存在する 成分でございます。欧米では焼き菓子、清涼飲料、肉製品、ゼリー、プリン、シリア ル等さまざまな加工食品において香りを再現し、風味を向上させるために添加されて いるものでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですけれども、食品の着香の目的 で使用する場合、安全性に懸念がないとされております。  摂取量の推計ということでは、一人一日当たり、およそ1.4〜6.3μgと推定され ておりまして、米国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、 意図的に添加された本物質の約60倍であることが報告されています。  使用基準案としては、着香の目的以外には使用してはならない。  成分規格案としては、別紙のとおりということで、2ページ目にございます。  答申案ということでは、そこに記載のようなことで、人の健康を損なうおそれはな いことから、指定することは差し支えないということで、以下のとおり使用基準、成 分規格を設定することが適当ということになります。使用基準は、着香の目的以外に 使用してはならない。成分規格については、そこに記載のとおりとなります。  次に、5ページをごらんいただきたいと思います。プロピオンアルデヒドについて も、同じく香料となります。  概要、諸外国での状況としては、発酵、加熱等によって生成し、酒類等に含まれる ほか、果実、乳製品等に天然に存在する成分でございます。欧米では焼き菓子、清涼 飲料、アルコール飲料、冷凍乳製品、ゼラチン・プリン類、ソフト・キャンディー等 さまざまな加工食品において香りを再現し、風味を向上させるため添加されておりま す。  食品安全委員会における食品健康影響評価は、食品の着工の目的で使用する場合、 安全性に懸念がないとされています。  摂取量の推計としては、一人一日当たり、およそ230〜330μgの範囲と推定され ておりまして、米国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、 意図的に添加された本物質の約460倍であることが報告されています。  使用基準案としては、着香の目的以外に使用してはならない。  成分規格案は、別紙のとおりということで、6ページに記載のとおりでございます。  答申案としては、上に書いてございますけれども、食品添加物として人の健康を損 なうおそれがないことから、指定することは差し支えないということで、指定に当た っては以下のとおり使用基準及び成分規格を設定することが適当である。使用基準と しては、着香の目的以外に使用してはならない。成分規格案については、下のとおり となっております。  次に、9ページをごらんいただきたいと思います。6−メチルキノリンでございま すが、これも香料ということで、国際汎用添加物でございます。  概要、諸外国の状況としては、ウイスキーに含まれる成分ということで、欧米では 焼き菓子、清涼飲料、冷凍乳製品類、ゼラチン・プリン類、ソフト・キャンディー類 等さまざまな加工食品において香りを再現し、風味を向上させるために添加されてい るものでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、食品の着香の目的で使用する 場合、安全性に懸念がないと評価されています。  摂取量の推計としては、一人一日当たり、およそ0.01〜4μgの範囲にあると推 定されております。なお、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量と、 意図的に添加された本物質の摂取量の比は不明でございます。  使用基準案としては、着香の目的以外に使用してはならない。  成分規格案については、別紙のとおりということで、10ページの真ん中以降に記 載のとおりでございます。  答申案としては、上に記載のとおりということで、6−メチルキノリンについては、 食品添加物として人の健康を損なうおそれはないことから、指定することは差し支え ない。  なお、指定に当たっては、以下のとおり使用基準及び成分規格を設定することが適 当ということで、使用基準は着香の目的以外に使用してはならない。成分規格は以下 のとおりとなっております。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  審議に入ります前に、部会の方の御議論の様子を部会長の若林先生、お願いいたし ます。 ○若林委員 2−ペンタノール、プロピオンアルデヒド、6−メチルキノリンに関し ましては、4月28日開催の部会で審議されました。  2−ペンタノール、プロピオンアルデヒドについては、特に議論になるようなこと はなく了解されました。6−メチルキノリンに関しましては、確認試験としてのIR の同定法について何人かの委員から質問がありましたけれども、特に問題はないとい うことで了解を得られまして、3品目とも了承されましたことを報告いたします。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、本件につきまして、委員の皆様から、御質問とか、御意見とかございま すでしょうか。  どうぞ。 ○栗山委員 多分ないんだろうなと思いつつ、確認のための質問をさせていただくよ うな形なんですけれども、2−ペンタノールとプロピオンアルデヒドについて、チー ズの中に天然に存在する、乳製品等に天然に存在する成分であるということで、乳製 品の食物アレルギーの人には全く影響のない量と成分であることを確認させていた だいていいでしょうか。まだまだ不勉強なので、そこのところの関係がよくわからな いので、よろしくお願いします。 ○岸分科会長 今、栗山委員から質問が出ましたけれども、いかがですか。 ○事務局 これらの物質そのものが、おっしゃられるアレルギーに関与しているかど うかという点はちょっと定かではございませんが、本日の資料にございますように、 2−ペンタノールとプロピオンアルデヒドは、もともと食品に含まれているものでご ざいまして、2−ペンタノールについては、食品からの摂取量は意図的添加の60倍、 プロピオンアルデヒドについては460倍となっておりますので、これらを食品に添加 することによって大幅にトータルの摂取量が変わってくるということはないのでは ないかと考えております。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○栗山委員 多分そうだと思うんですけれども、普通はそこの確認はなされないもの なんでしょうか。アレルギーというのは特別な体質ではあるかもしれないんですけれ ども、ここにあるようなチーズとか乳製品とかで死ぬ可能性もある方々に対する影響 は全くないと、どこかで検討していただけたら、私も何の問題もなく安心できるので すが、そこら辺はどうなんでしょうか。 ○岸分科会長 事務局の方からお願いできますか。 ○事務局 国際的に汎用されている香料につきましては、厚生労働省で国際汎用添加 物の指定の開始をする際に、安全性評価のための方法を設定しておりまして、その中 で現在、毒性試験として求めているのは、変異原性に関する試験と、反復投与試験と いうことで、おっしゃられるようなアレルギーに関する試験は含まれておりません。  ただ、アレルギーの原因物質は蛋白といったものがメインになるかと思われますが、 資料の6ページと10ページに構造式がございますが、構造的には通常言われている 蛋白質とは全く異なるものとなっておりますので、アレルギーに直接関与する可能性 は低いのではないかと思われます。  また、これらの添加物は既に国際的に広く使われておりまして、添加物としての使 用によって何か問題が発生し各国で規制が行われているという情報は特にございま せんので、特段問題ないのではないかと考えているところでございます。 ○栗山委員 ありがとうございました。  海外でそのことに関する事故例がないということで、わかりました。ありがとうご ざいました。 ○岸分科会長 ほかにはございますか。もしほかに御意見がないようでしたら、分科 会として、この3つの添加物の新規指定、使用基準、成分規定の設定につきまして、 了承したということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、今後、WTO、パブリックコメントなどの手続に関しまして、また、そ の対応につきましては、部会長の先生と御相談しながら、私、分科会長に御一任いた だくということでよろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  最終的なものにつきましては、次回御報告するようにいたします。  次に、使用基準の一部改正ということで、亜塩素酸ナトリウムの説明を事務局から お願いいたします。 ○國枝課長 それでは、資料の13ページをごらんいただきたいと思います。亜塩素 酸ナトリウムですが、審議の対象としては、使用基準の一部改正ということになりま す。  我が国の状況としては、既に指定添加物として、そこに記載のとおり指定されてい るところでございます。  用途としては、漂白剤及び殺菌料となります。  今回の改正の概要ですけれども、現在、この亜塩素酸ナトリウムについては、かず のこの調味加工品(干しかずのこ及び冷凍かずのこを除いたもの)、それから、かん きつ類果皮、さくらんぼ、生食用野菜類、卵類(卵殻の部分に限る)、ふき、ぶどう、 ももに対して使用が認められております。また、使用した亜塩素酸ナトリウムは、最 終食品の完成前に分解し、または除去しなければならないとされています。  今般、事業者からは、使用基準の改正ということで要請を受けたものでございます けれども、現在、使用が認められていない「かずのこの塩蔵加工品」への適用拡大を 行うものでございます。  諸外国の状況としては、米国において、亜塩素酸ナトリウム溶液と酸を混合させた 酸性化亜塩素酸ナトリウム溶液の食肉、農産物、水産物への使用が認められておりま す。EUでは加工助剤として規制の対象とされておりません。  有効性としては、かずのこの殺菌に用いた場合、大腸菌群及び一般細菌に対して、 亜塩素酸ナトリウム濃度及び浸漬時間依存的に殺菌効果が認められております。  食品安全委員会における食品健康影響評価ですが、そこに記載のとおり、食品の許 容一日摂取量、ADIですが、0.029mg/kg体重/日(亜塩素酸イオンとして)とい うことで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  摂取量の推計としては、0.0058mg/kg体重/日、ADIとして20%となります。  なお、本推定は、使用基準に含まれている食品すべてに亜塩素酸ナトリウムが現行 公定法上の検出下限値程度が含まれていたと仮定した過大な見積もりであることか ら、本品目がADIを超えて摂取される可能性は低いと考えております。  答申案ということで、14ページでございますけれども、亜塩素酸ナトリウムにつ いては、以下のとおり使用基準を改正することが適当であるということで、亜鉛素酸 ナトリウムは、かずのこ加工品(干しかずのこ及び冷凍かずのこを除く)、かんきつ 類果皮(菓子製造に用いるものに限る)、さくらんぼ、生食野菜類、卵類(卵殻の部 分に限る)、ふき、ぶどう及びもも以外の食品に使用してはならない。亜塩素酸ナト リウムの使用量は、亜塩素酸ナトリウムとして、かずのこの加工品(干しかずのこ及 び冷凍かずのこを除く)、生食用野菜類及び卵類にあっては浸漬液1kgにつき0.50g 以下でなければならない。また、使用した亜塩素酸ナトリウムは、最終食品の完成前 に分解し、または除去しなければならないということで、従来のものは調味加工品と 書いてございましたが、かずのこの塩蔵加工品を認めるということで、加工品という 形でそこの部分が変わっているところでございます。  以上です。 ○岸分科会長 かずのこの加工品ということで、塩蔵加工品への適用拡大をというこ となんですか、審議に入ります前に、部課長の若林先生から御様子を伺いたいと思い ます。 ○若林委員 亜塩素酸ナトリウムに関しましては、6月24日に行われました部会で 審議されました。  この品目に関しましては、特に問題点となるようなことはないということで、委員 の皆様から了承されましたことを報告いたします。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、委員の皆様から御質問や御意見をいただきたいと思いますが、いかがで しょうか。よろしゅうございますか。それでは、分科会として、これで了承というこ とにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  今後、WTO、パブリックコメントなどの手続に関しましては、部会長と御相談し ながら、私に御一任いただくということでよろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  最終的な形につきまして、次回以降の本分科会で御報告するようにいたします。  これで添加物関係が終わりまして、次に、農薬関係の議題に移ります。農薬につき まして、事務局から御説明、よろしくお願いいたします。 ○國枝課長 それでは、農薬について、事務局から御説明をしたいと思います。本日 は、農薬につきましては、新規登録などによる新規設定に係る品目として3剤、暫定 基準の見直しに係る品目として5剤、本基準の見直し及び追加設定に係る品目として 6剤の計14剤について御審議をいただきたく思います。  まずは、イミシアホス、テフリルトリオン及びピラスルホトールについての御説明 をしたいと思います。  15ページをごらんいただきたいと思います。まず、イミシアホスですけれども、 これは、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値の設定でございます。  構造式はそこに記載のとおりでございます。  用途は、農薬で、殺虫剤、殺線虫剤でございます。  作用機構としては、有機リン系殺線虫剤で、その構造からコリンエステラーゼ活性 を阻害することによって殺虫効果を示すと考えられているものでございます。  適用作物、適用病害虫等でございますが、農薬登録申請としては、だいこん、にん じん、いちご、なす、ばれいしょ。また、適用害虫としては、ネグサレセンチュウ、 ネコブセンチュウを対象としたものでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、許容一日摂取量は0.0 005mg/kg体重/dayでございまして、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案としては、別紙1のとおりということで、16ページに記載がございます。 真ん中辺に書いてございますが、これが申請があったものでございます。これについ ては、一番右の作物残留試験成績を参考にして、基準値が左側に各農作物ごとに記載 がされているところでございます。  戻りまして15ページの我が国の状況ですが、今回、新たな農薬登録申請がなされ たものでございます。  諸外国の状況としては、国際基準は設定されておらず、諸外国においても残留基準 値は設定されておりません。  暴露評価としましてはADIに占めるEDIの比としましては、そこに記載のとお りで、一番高いもので幼小児で22.4%となっております。  意見聴取の状況については、そこに記載のとおりです。  答申案としては、別紙2となりますが、17ページの記載のような形での基準値案 を答申したいと考えております。  引き続きまして19ページをごらんいただきたいと思います。テフリルトリオンで ございますが、これも同じく農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値の 設定でございます。  構造式はそこに記載のとおりで、用途は除草剤でございます。  作用機構としましては、トリケトン系の除草剤で、4−ヒドロキシフェニルピルビ ン酸ジオキシゲナーゼ活性を阻害することで作用すると考えられているものでござ います。  適用作物、適用雑草名でございますが、農薬登録申請があったものは水稲でござい まして、適用雑草としては、水田の一年生雑草、マツバイ、ホタルイ、ウリカワ、ミ ズガヤツリ、ヒルムシロ等でございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価は、許容一日摂取量として0.0008mg/ kg体重/dayでございます。設定根拠はそこに記載のとおりでございます。  基準値案としては、別紙1のとおりということで、20ページに書いてございます が、お米に対する登録申請ということで、一番右のカラムが作物残留試験成績、そし て基準値案が0.02ppmとなります。  また19ページに戻りまして、我が国での状況としては、新たな農薬登録申請がな されたものでございまして、諸外国での状況としては、国際基準はございません。諸 外国においても基準は設定されておりません。  暴露評価でございますが、ADIに占めるTMDI比は以下のとおりということで、 最大では幼小児が15.5%でございます。  意見聴取の状況はそこに記載のとおりでございまして、答申案は別紙2ということ で、21ページにお米0.02ppmということで答申をさせていただければと考えており ます。  引き続き、ピラスルホトールでございます。23ページでございます。  構造式はそこに記載のとおりで、用途は除草剤です。  作用機構としては、麦類の広葉雑草用除草剤でございまして、4−ヒドロキシフェ ニピルビン酸ジオキシゲナーゼを阻害することによりプラストキノンの生合成が阻 害されることで作用すると考えられております。  適用作物、適用病害虫等ですが、インポートトレランス申請ということで、小麦、 大麦、えん麦、ライ麦を適用作物とし、一年生広葉雑草をその目的としております。  食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、許容一日摂取量は0.0 1mg/kg体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案については、別紙1ということで、24ページに記載のとおりでございま す。これはインポートトレランス申請で、アメリカのデータを参考にしておりまして、 小麦、大麦、ライ麦、その他の穀類ということで、えん麦が入っておりますが、作物 残留試験の結果は記載のとおりとなります。  それから、畜産物への設定につきましては、ここには入り切れなかったので、詳細 は資料の141、142ページに記載がございます。内容的には0.02というのがたくさ ん書いてございますが、これはアメリカでの定量下限値が0.02ppmということで、 それで求めたものでございます。一部、0.02以外のものが牛の肝臓などにございま すが、こういったものは実際に飼養試験を行いまして、それと、飼養試験に使う飼料 について、最大理論的な飼料由来の農薬の負荷ということで、これは0.39ppmを想 定しておりますが、それから求めたもので、その中で基準値を設定して、そこに記載 のような形となったものでございます。  23ページに戻りますけれども、我が国の状況としては、農薬登録申請はございま せんでして、インポートトレランス申請制度に基づくものでございます。  諸外国での状況ですけれども、国際基準は設定されておりません。米国、カナダ、 EU、オーストラリアにおいて、穀類及び畜産物に基準値が設定されているものでご ざいます。  暴露評価としては、そこに記載のとおりで、幼小児が10.2%でございます。  意見聴取の状況は、そこに記載のとおりでございます。  答申案は、別紙2となります。25ページの注をごらんいただきたいと思いますが、 実際には、今回の基準値に設定するのは、ピラスルホトールという親化合物と、その 代謝物、評価書の中では代謝物M1と書かれているものですけれども、これを換算し て出したものの和となります。ただし、農産物につきましては、この代謝物M1とは 違う代謝物M2と整理されているものですけれども、これらも含んだ形となっており ます。これは実は食品安全委員会での評価、それから、部会での審議の中で、対象物 については、実際の農作物の残留試験を見たときに、えん麦については親化合物だけ ではなくて代謝物M1についてもかなりたくさん残留をしているということで、その 2つを合わせた形のものについて残留基準値を定める形としているものでございま す。  答申案としては、そこに記載のとおりでございます。  以上、3品目について御説明をさしあげました。 ○岸分科会長 農薬のうちの新規登録、それから、インポートトレランスの制度に基 づく基準設定の要請がありましたピラスルホトール、合わせまして3品について説明 がございました。審議に入る前に、部会の様子を大野先生、御説明をお願いいたしま す。 ○大野委員 イミシアホスとピラスルホトールは7月14日に審議いたしました。テ フリルトリオンについては6月19日に審議いたしました。  薬理作用、代謝、毒性を議論して、細かいところについてはいろいろ指摘してござ いましたけれども、大きなところでは特に問題になることはございませんでした。  今日の資料の最初のイミシアホスの暴露評価のところでEDI/ADI比となって いますけれども、先ほど勉強会で説明していただきましたけれども、これはTMDI で、基準値を基に設定したあれだと、幼小児では121%を超えますので、実際に一日 摂取量をより詳しく調べて、そういう計算をしまして、その結果、22.4%ということ で、問題ないんではないかとなったものです。  それから、テフリルトリオンとピラスルホトールに関しては、両方とも4−ヒドロ キシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼを阻害して作用することが推定されてい るんですけれども、その作用によって血中のチロジンが上がって、角膜に障害が起き る。比較的重篤な障害がこの量で起きるんですけれども、それについては人では起き ない障害だということが食品安全委員会で審議されて確認されていますので、特にそ れも問題ないんではないかというところでございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  先生、テフリルトリオンが目の障害というのは、特定の動物種で認められたという ことなんですか。 ○大野委員 動物は、ラットとイヌで出やすいんです。ただ、更に進むと、代謝活性 が人では非常にいきやすい。ラットとイヌでは、これに作用されるとチロジンの血中 濃度が上がるんです。ただ、ウサギとかマウスとか人では更に進むと代謝の活性が高 くて、それが抑制されないということで、問題ないという結論になってございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この3つの新規申請とインポートトレランス絡みのものにつきまして審議に入りた いと思いますが、委員の皆様からの御意見、御質問等、いかがですか。  先生、どうぞ。 ○大前委員 最後のピラスルホトールなんですが、25ページの答申案の注1を見ま すと、動物性のものと農産物では足算するものが2つか3つかと言われたと思うんで すけれども、これですと、動物は、141ページにおきます代謝物M2にはならないと いうことですか。 ○大野委員 そうです。代謝物M2というのは、M1をグルコシドになったものなん です。そういうことで、植物でできるものです。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  今のは、詳しい方の資料の141ページのところです。大前先生の御質問と大野先生 のお答えでよろしいかと思います。  そのほか、ございますか。  イミシアホスというのは、作用機序そのものは余り研究されていないんですか。有 機リン系で、線虫に対する作用機序は究明されていないと書いてありますのは、きっ と、それ以外の毒性については結構データがあるということなんですね。 ○大野委員 構造から言えば、コリンエステラーゼ活性阻害ということで問題ないと いうことだったんですけれども、線虫に対して具体的にどうなのか、そこまではよく わからないということなんです。そこまでは詳しく説明できないんです。 ○岸分科会長 いかがでしょうか。もし格段に御意見がございませんようでしたら、 これで分科会として了承ということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございま すか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、今後、WTO、パブリックコメントなどの手続に関しましては、部会長 と御相談しながら、私に御一任させていただきたいと思います。ありがとうございま す。  また、最終的なものにつきましては、次回以降のこの会で御報告するようにいたし ます。  それでは、まだ農薬がたくさんありますので、暫定基準見直しに係る品目の御説明 をよろしくお願いいたします。 ○國枝課長 見直しに係る5剤のうち、まず、イミダクロプリド、アセキノシル、ペ ンシクロンの3剤について、事務局から御説明をさしあげたいと思います。  27ページをごらんいただきたいと思います。イミダクロプリドですけれども、審 議の対象としましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値の設定と、イ ンポートトレランス制度に基づく基準値の設定の要請、稲わら等飼料由来の農薬に係 る畜産物への基準設定依頼、ポジティブリスト制度導入時に設定した基準値の見直し の4つにかかわるものでございます。  構造式はそこに記載のとおりということで、用途としては殺虫剤でございます。  作用機構としては、クロロニコチル系殺虫剤で、ニコチン性アセチルコリン受容体 に結合し、神経伝達を遮断するなどの作用により殺虫効果を示すと考えられているも のでございます。  適用作物、適用病害虫等については、適用拡大申請ということでブロッコリー、み つば等で、適用病害虫としてはアブラムシ類等でございます。  それから、インポートトレランス申請としては、コーヒー豆でございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価は、許容一日摂取量は0.057mg/kg体重 /dayでございまして、設定根拠はそこに記載のとおりでございます。  基準値案としましては、別紙1のとおりでございまして、また、現行の基準が削除 されるようなものは、基準値を設定されていない食品同様、一律基準の0.01ppmが 適用される形となっております。  28ページ以降が実際の基準値案となります。簡単に御説明をしたいと思いますが、 28ページの一番上に米(玄米をいう)とございますが、真ん中辺りに登録の有無で 申と書いてあります。今回、これについては、申請がございまして、従来は網かけの ものでポジティブリスト導入のときに暫定的に定めたものでございますけれども、こ れについて、具体的に作物残留試験が右に書いているようなものが出ておりまして、 それに基づいて基準値を定めたものでございます。  それから、もう一つ、代表的な例としまして、大豆というのが真ん中辺りにござい ます。大豆については、今回、基準値案で2.5ppmを出しておりますが、これは*が ついております。33ページの注をごらんいただきたいと思いますが、「これらの基 準値案は、国際基準又は海外基準を参照した際に、規制対象の違いを考慮し、係数0. 7を掛けて設定したものである。」ということでございます。  これはどういうことかと申しますと、今回は、このイミダクロプリドにつきまして は、食品安全委員会の評価、農薬動物用医薬品部会においては、親化合物であるイミ ダクロプリドについて対象物とすることと決定されたわけでございますが、国際的に は、米国、それから、国際基準であるコーデックスにおいては、このイミダクロプリ ドと、その代謝物である6−クロロピリジル基を有する代謝物について、イミダクロ プリドに換算したものとしての和について基準値を求めています。  その関係で、我が国で今回導入する場合には、親化合物だけにすることになった場 合に、国際的に設定されている基準値をどのように考えるかというのが議論になりま して、1つは、例えば、この大豆について言いますと、アメリカでは3.5を置いてお りますので、親化合物だけの残留試験が実はないということでしたので、認めないと いうのが第1案。  もう一つは、3.5というのは実は日本では親化合物だけを見ておりますけれども、 親化合物プラス代謝化合物ということで3.5ですので、これについてはえいやという ことで3.5をそのまま置いてしまうというやり方が第2案。  それから、第3案としては、直接このデータは、ここには提出されていませんが、 一部の作物について、親化合物と代謝化合物の割合がわかっているものがございまし て、それを斟酌をして考えていこうということで、最終的には最後の案ということに なりました。  その斟酌する係数を0.7として、この0.7を掛けたものを基準値として置こうと いうことで、大豆の場合については3.5の0.7掛けしたものが2.5という形になっ ております。この*がいろいろなところについておりますが、そういうような経緯で 計算されて基準値が置かれています。  それ以外のものについては、親化合物での残留試験がございますので、それを参考 にして暫定基準値の見直しを行う形としております。  あと、今回につきましては、インポートトレランス申請ということで、コーヒー豆 がございます。これについては、33ページ、真ん中より少し上のところに書いてご ざいますが、国際基準の1ppmに係数0.7を掛けて0.7を置いております。  もう一つは、用語の説明ということですが、29ページに緊と書いてありますが、 これは緊急登録ということです。平成15年の農薬取締法を改正したときに、今まで 登録がないものについて、実際には使われていたわけですけれども、登録がないもの について使った場合の罰則規定があったりしたことがあったものですから、使われて いるものについては、作物残留試験がなくても緊急的に登録するという作業が行われ ました。ここに書いてございますけれども、作物残留試験については、例えば、緊急 登録された農作物としては一番上にケールがございますけれども、だいこん類の葉の 残留値の5倍ということで緊急登録した。そういうものが定められてございます。こ れは用語の説明でございます。  もう一つ、33ページの下半分については畜産物でございますけれども、これは農 薬に使ったものが実際には飼料という形で畜産物に入ってきて、それが残留するとい うことで基準値が定められているわけでございます。  27ページの今回の御審議の3番目になりますけれども、稲わらなどの飼料由来の 農薬に係る畜産物への基準設定依頼ということです。今、農林水産省の方では、国内 の飼料の自給率の向上ということで、従来は、輸入飼料多くを依存していたわけです けれども、例えば、日本の国内の稲わらなどについても飼料の中に入れて使うという ことをこれから更に進めようという作業を進めております。そうした中で、稲わらに かかわる農薬残留量がある程度ありますので、こういったものについて、いろいろ検 討してみたところ、従来置いている残留基準値では、場合によっては超えるという可 能性が出てきたので、これについて検討して、該当するものについて基準値を見直し たものでございます。  具体的に言いますと、33ページの右側に作物残留成績が書いてございまして、推 定というのがございますが、これはJMPRで行った飼養試験の結果と、日本で実際 に飼料として使う場合に、最大どれぐらいの量まで残留するかを計算しまして、その 結果から、大体どれぐらいの量が畜生産物に残留するかを計算したものがございまし て、例えば、牛の筋肉であれば、0.024ppmぐらいは残留するだろうということで、 それに基づいて基準値を、従来は0.02でございましたけれども、これを0.1に置く という形の作業をしております。以下、大体そういった形で作業が進められたという ことでございます。ちょっと長くなりましたけれども、状況としてはそういうことに なります。今のが基準値案になります。  27ページに戻りまして、我が国での状況ということでは、ばれいしょ、だいこん、 きゅうり、トマト、りんご、いちご等に農薬登録がなされているということです。  諸外国の状況としては、そこに記載のとおりでございます。  暴露評価としては、ADIに占めるTMDIの比率としては、最高で幼小児の60. 3%という形になっています。  意見聴取の状況としては、そこに記載のとおりで、答申案としては、別紙2という ことで、34ページ、35ページになります。34ページの一番上に※が書いてございま すけれども、イミダクトプリドは、先ほど言いましたように、原則親化合物としまし たが、実は畜産物のデータについては、海外のデータを参考にしてつくっているとい うことでございまして、親化合物と、その代謝物を両方勘案した形となっておるとい うことで、このような注がついているものでございます。  以上でございます。  済みません。長かったものですから、もう2品目説明するのを忘れておりました。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○國枝課長 引き続きよろしくお願いしたいと思います。37ページのアセキノシル でございます。  これは、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値の設定、インポートトレラ ンス制度に基づく基準値設定要請、ポジティブリスト制度導入時に設定した基準値の 見直しになります。  構造式としては、そこに記載のとおりです。  用途としては、殺虫剤、殺ダニ剤でございます。  作用機構としては、ナフトキノン骨格を有する殺ダニ剤でございまして、ダニ類の ミトコンドリアの電子伝達系における酵素複合体を阻害することにより効果を示す と考えられているものでございます。  適用拡大申請としては、やまいも、小豆、しそ等で、ハダニ類を適用害虫としてお ります。  インポートトレランス申請が出ておりまして、これはとうがらしについて、チャノ ホコリダニでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価でございますが、ADIとしては0.022 mg/kg体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案としては、別紙1ということでございます。  現行の基準値が削除された食品は、基準が設定されていない食品同様、一律基準が 適用されることとなっております。  38ページ以降がその記載で、網かけの部分が暫定基準が置かれているものでござ いまして、網かけでないものは既に基準値として定められているものでございます。 今回、38ページですと、小豆類、やまいも類等が申請されていますが、これらはこ の作物残留試験に基づいて基準値案が設定されております。  39ページをごらんいただきたいと思いますが、誤りがございまして、その他のな す科野菜のところで、これは韓国のとうがらしの関係ですけれども、インポートトレ ランスという言葉が抜けておりました。追加の資料には「IT」という言葉が入って おりますが、インポートトレランス申請のものがございます。作物残留試験成績を斟 酌して、基準値案が左のような形で定められております。40ページ、41ページにつ いても同様でございます。申請と書いてあるのは、しそについて、その他のハーブ類 では含まれているものでございます。  なお、これらの分については、アセキノシルと代謝物であるAKM05を含んだも のが残留基準値という形で定められているものでございます。  戻りまして37ページでございますけれども、我が国の状況としては、なす、かぼ ちゃ、かんきつ、いちご等に農薬登録がなされております。  諸外国の状況は、国際基準は設定されておらず、米国、EUなどの状況はそこに記 載のとおりです。  暴露評価としましては、ADIに占めるTMDIですが、最高として幼小児の40. 1%となっております。  意見聴取の状況としては、そこに記載のとおり。  答申案としては、別紙2のとおりでございまして、42ページに記載のとおりでご ざいます。  次が43ページですけれども、ペンシクロンでございます。  御審議の対象としては、インポートトレランス制度に基づく基準設定の要請、魚介 類への基準設定要請に伴う基準値の設定、ポジティブリスト制度導入時に設定した基 準値の見直しです。  構造式はそこに記載のとおり、用途は殺菌剤でございます。  作用機構としては、尿素系殺菌剤ということで、そこに書いてある菌に対しまして 特異的に効果を示し、菌糸の形態異常を発現させることにより、菌の生育を阻害する ものです。  適用作物、適用病害虫等ですが、インポートトレランス申請でございまして、高麗 人参に対して、根腐病を適用としております。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、許容一日摂取量として0.053 mg/kg体重/dayで、設定根拠は記載のとおりです。  基準値案は、別紙1のとおりで、なお、現行の基準値が削除された食品は、基準が 設定されていない食品同様、一律基準が適用されることとなっております。  44〜46ページまでがその関係で、網かけが暫定基準でして、網かけがないものは 現在の正規の基準でございますが、これについて、右に記載のような作物残留試験を 参考にしまして基準値案が定められております。  なお、網かけの部分で0.1と書いたものがたくさんございます。例えば、小麦、大 麦、ライ麦等で、これは暫定基準導入のときに、通常ですと適用がないようなものに ついて一律基準が適用されるわけですけれども、分析法の関係で0.1ppmまでしかで きないということで、そういったものについては0.1。それから、0.1以外のものに ついては、登録保留基準などを参考にしたりして基準値が定められておりましたが、 今回、分析法で0.01ppmまですることができたこととか、あるいは作物残留試験が ないということで、多くのものが基準値が設定されないことでの一律基準という形に なっております。  それから、45ページですけれども、インポートトレランス申請が行われておりま して、これは韓国からの高麗人参の関係で、必要となる作物残留試験成績がついてお りますので、それに基づいて韓国の0.7を採用しております。  もう一つは、魚介類への基準値の設定ということになりますが、これは46ページ、 表の一番下になりますが、0.8ppmというのを置かせていただいています。これは、 農薬登録のときに、水生の動植物への被害影響を把握するための濃度を農薬メーカー に対して求めておりまして、これが0.97ppbという濃度です。あと、魚介類にどれ ぐらい濃縮するかということで、これも農薬登録の中でコイで調べたものがございま して、大体154倍ぐらい濃縮されるというデータがございまして、それに種差の5を 掛けたもので、0.7469ppmぐらい濃縮されるだろうという推定の下に0.8ppmを設定 しております。  戻りまして43ページですけれども、我が国の状況としては、そこに記載のような ものに農薬登録がされており、諸外国の状況は、国際基準を設定されておらず、EU 等で記載のような基準が設定されています。  暴露評価については、ADIに対するTMDI比ですけれども、最大で幼小児が1 3.4%となっています。  意見聴取の状況はそこに記載のとおりでございます。  答申案については、別紙2ということで、47ページの記載のものですが、これも 誤りがございましたので、先ほど訂正したものを送らせていただいていますけれども、 そこに記載のような残留基準値案と、あと、レタス、トマト、なす、きゅうり、ほう れんそう、しょうがについては、現行の基準値を削除するということで、一律基準の 扱いになるという答申案でございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  今、3剤の御説明がございましたが、議論にまいります前に、大野先生、部会の御 様子をお願いいたします。 ○大野委員 頭がこんがらがってきてしまったんですけれども、アセキノシルとイミ ダクトプリド及びペンシクロンは、5月20日の会議で審議いたしました。アセキノ シルは若干残ったところがございましたので、6月19日にもう一度検討いたしまし た。イミダクトプリドについては6月19日ということでございます。  まず、イミダクトプリドについては、先ほど課長から説明がありましたように、ア メリカでの検査結果に基づく基準を日本にどうやって当てはめるかということで、そ の考え方について御説明を受けまして、収穫時の親化合物と代謝物の比について説明 していただきまして、先ほど説明がありましたように、0.7というファクターを掛け ることによって適用するのがよろしいんではないかということで、承認していただき ました。  慢性毒性試験と発がん性併合試験の結果に基づいてADIが決定していますけれど も、これは発がん性実験をやったけれども、発がん性はなかったということです。で すから、安全係数は100で問題ない。  アセキノシルについても検討いたしまして、代謝物のAKM05を併せて基準値を 設定していますけれども、それについては、お茶とか、ぶどうとか、ネクタリンとか、 その辺のものにこの代謝物が比較的多く含まれているということで、それを含めて基 準値を設定するのは適切ではないかと考えています。  ちなみに、代謝物については、元の化合物の脱アセチル化されたものです。  これについても、慢性毒性、発がん性実験の結果に基づいて設定してありますけれ ども、この場合も発がん性はございません。  ペンシクロンについては、特に問題となるところはございませんでした。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  委員の先生方からの御意見とか、質疑を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○山内委員 イミダクロプリドにつきましては、今回初めて国産の稲わらを通じた残 留基準の設定をした例ということで御説明いただきましたが、部会のときに、残留値 を推定した根拠がわかるように、資料にどんな割合で稲わらが入っているのかの情報 を報告の際には入れておきませんかという御意見があったと記憶しておりますが、本 日の厚い資料の60ページの7の(1)の下から3行目に、飼料の最大給与割合等を 掛け合わせることにより算出したところ、こうこうになったというふうには書いてご ざいますが、そのときの委員の御意見を参考にするとすれば、私の当時の記録では、 乳牛でしたら、飼料の中の25%を稲わらとして計算したという農林水産省がお出し になった資料がありましたので、数字も含めて若干補足をしていただいた方がいいん ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。 ○岸分科会長 ただいまの点につきまして、事務局の方から御説明お願いできますか。 ○國枝課長 飼料については、さまざまな飼料原料を組み合わせて使っておりまして、 今、山内先生から話がありましたように、例えば、稲わらについては25%の給与割 合のときに最大どうなるかという形を示したものでございます。これについては、部 会においてこの基となった資料を後ほど提出してほしいという話が委員からあり、農 林水産省の方から、暫定的なものが机上配布で提出されておりました。正式なものと なる前だったものですから、暫定配付という形にさせていただきました。最終的にO ECDの方に農林水産省で出すということでしたので、フィックスしたものを改めて 部会に提出したいと考えておりました。そういうことですので、その根拠となった資 料については、部会の資料という形で入れさせていただくということでどうかなと考 えております。 ○岸分科会長 山内さんは部会にも出ていらっしゃるので、部会に出ていらっしゃら ない委員は余りぴんとこないかもしれませんが、そういうやりとりがあったというこ となんですね。稲わらを飼料にしているので、作物残留試験成績から見ると、その推 定値ですけれども、33ページのような値が出てくることになるわけです。資料とし て最終なのが出れば、それはつけていただくとありがたいと思うんですが、農水から のが最終ではなかったということなんですね。 ○國枝課長 一応、机上配付は前回の部会で差し上げたんですけれども、これは最終 的なものがOECDに出すときの資料と全く同じかどうか、確認していなかったから です。ただ、先ほども言いましたように、見ていただければわかるんですが、各飼料 の構成を示しているということだったので、私どもとしては、部会できっちり審議し ていれば、分科会までかける必要はないものと考えておりました。御指示であれば、 今、ここにありますので、回覧だけさせていただいて、最終的に差し替えて資料とい うことにさせていただきたいと思います。 ○岸分科会長 いかがですか。では、面倒をかけますが、ちょっと回覧をお願いいた します。  ほかに御意見ございませんでしょうか。  どうぞ。 ○西島委員 さっき御説明があったかと思うんですけれども、28ページのお米のと ころで、基準案を1ppmとすることになったということですが、これは国際基準が0. 05で、大幅に大きいということだと思うんです。こうなったのは、先ほどの作物残 留試験成績に基づいてということでしたか。あと、これだけ大きな違いがあるという ことで、何か問題点はないのかということをお聞きしたいと思います。 ○國枝課長 コーデックスで定めていますので、基本的にはコーデックスを原則にし ておりますが、コーデックスがすべてを満足いく形で定めているかというと、これに は限界があります。ですから、その場合には、作物残留試験に基づいて、その中で一 体どれぐらいが適切かということを定めて、今回は1が要求されていますが、1とい う基準値案をつくって、それに基づいて、トータルとして、先ほど27ページで説明 しました暴露評価で、ADIの中の理論的な最大値でもまだ十分8割の中に入ること が確認されましたので、コーデックスとしては0.2で、その5倍高いものですけれど も、これについては容認できるという形になります。  ちなみに、例えば、お米の産地でも、さまざまなところがあります。日本のような 高温多湿なところと、オーストラリア、あるいはアメリカのようなところとは随分違 いますので、全体の中で必要な資料が出てきた段階においては、それを認めるという 形については、それを妨げていないというふうになっています。 ○岸分科会長 いかがでしょうか。確かにコーデックスの0.05から見るとかなり高 いので、御心配されたんだと思うんです。 ○西島委員 コーデックスは0.2ではなくて0.05ですね。 ○國枝課長 失礼しました。0.05です。 ○西島委員 例えば、お米を輸出するようなときには、こういう大きな差は別に問題 にならないんですか。 ○國枝課長 それは輸入国の方で考える。また、輸出する側でも、輸入国がそういう 制限を設けているのであれば、それに合わせたものを輸出する。例えば、日本の基準 よりも緩い国が日本に輸出する場合には、そういったものについてきっちり守る形で、 各農家、場合によっては団体、あるいは国がかかわってくる場合もあると思いますけ れども、日本にはそういうものが入らないような形で努力します。一方、日本の側は、 それが本当に守られているかどうかを一定の割合で調べてチェックをするという形 になっています。 ○岸分科会長 この作物残留試験成績は、お米のせいか、すごい数の値がありますね。 たくさんのデータがあるということなんですが、その中の0.31とか、0.26とかいう 日本の現状を考えてということなのでしょうか。 ○國枝課長 そうですね。33ページに注が書いてあるんですけれども、($)は「こ れらの作物残留試験は、試験成績のばらつきを考慮し、この印をつけた残留値を基準 値策定の根拠とした。」ということです。ちなみに(♯)については、申請の範囲内 で試験が行われていないという形になります。例えば、そのときの天候だとか、それ ぞれの品種とか、そういったものを斟酌したものです。日本では今のところ、2ほ場 を最低やることになっているわけですけれども、そのデータを見ながら、農林水産省 の方で評価を行い、($)印のものを基準値策定の根拠とするのが適切だろうという ことで、こちらに上がってきたということでございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  そのほか、ございますか。  どうぞ。 ○山下委員 ペンシクロンで、インポートトレランス申請があったということなんで すが、韓国で使われているのが高麗人参ということですが、何ゆえに日本で日常食べ られている農作物の基準まで設定しなければならないのか。私も不勉強なもので、済 みません。 ○岸分科会長 御説明をお願いします。 ○國枝課長 ポジティブリストということになりますので、45ページをごらんいた だきたいと思いますけれども、その他の野菜については、従来、暫定基準で1という のが置かれていました。これは登録保留基準で1が置かれていたことによりますが、 今回の見直しのときに、韓国のがなかった場合には、データがないということで、一 律基準になる予定のものでした。韓国の方では、高麗人参については、その他の野菜 で分類されているわけですけれども、仮に暫定基準の見直しで一律基準になりますと、 これについては、韓国では0.7の残留まで認めているということで、違反が出てくる 可能性があるということで、インポートトレランス申請がなされたものです。高麗人 参という形で特化して農産物について基準値を置くかどうかという議論はあるわけ ですけれども、その他の野菜という中で、今回の0.7を置くことで別に問題ないだろ うということで、今回、こういう形で置かせていただきました。 ○岸分科会長 山下先生、よろしいですか。 ○山下委員 分類として、その他の野菜に該当するというお話は了解したんですが、 その他の、米であるとか、ばれいしょであるとか、やまいも、てんさい等になぜ基準 を設けなければならないのか。 ○岸分科会長 これは、登録がもう既にあって、基準値があったものですね。 ○山下委員 わかりました。済みません。 ○岸分科会長 よろしいですか。 ○山下委員 済みません。了解しました。基準値、現行があって、登録もあるという ことですね。 ○岸分科会長 それでは、いろいろありましたけれども、ほかに先生方から御意見な ければ、分科会として一応、了承ということで進めさせていただきたいと思いますが、 よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  今後のWTO、パブリックコメントなど、諸手続につきましては、ほかと同様、部 会長と御相談しながら、私に御一任いただくということで、ありがとうございます。  また、最終的な報告を次回以降のこの分科会ですることになります。  それでは、次の設定基準の見直しですか、5剤につきまして、事務局から御説明を お願いいたします。 ○佐々木補佐 先生、2剤まだ残ってます。 ○岸分科会長 済みません。 ○國枝課長 それでは、残りのオキサジクロメホンとフェリムゾンにつきまして、事 務局から御説明をしたいと思います。  49ページをごらんいただきたいと思います。オキサジクロメホンですが、今回の 審議の対象は、魚介類への基準設定要請に伴う基準値の設定、ポジティブリスト制度 導入時に設定した基準値の見直しです。  構造式は、そこの記載のとおり、用途は除草剤です。  作用機構としては、オキサジノン系除草剤でございまして、作用機序は解明されて いませんけれども、植物成長ホルモンであるジベレリンの代謝活性を阻害する可能性 が示唆されています。  適用作物、適用病害虫等は、水稲で、水田一年生雑草、マツバイ、ホタルイ、ウリ カワ、ミズガヤツリ、ヒルムシロ等を適用雑草としております。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、許容一日摂取量は0.0091mg /kg体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値は、別紙1のとおりでございまして、なお、現行の基準値が削除された食品 は、基準が設定されていない食品同様、一律基準(0.01ppm)が適用されることとな っております。  別紙1ということで、50〜52ページになりまして、今回のものについては、ポジ ティブリストの見直しということですので、現在、網かけの部分に基準値が設定され ておりますけれども、これについては、作物残留試験等をつけられていないというこ とで、一律基準になります。  魚介類については52ページでございますけれども、0.03ppmということで置きま す。詳細な資料は280ページにございますけれども、水と植物の影響被害予測濃度と いうことで、0.012ppb、それから、メダカの、いわゆる魚類の濃縮試験から368、 それに種差の5を掛けまして0.022ppmが出されまして、それを基に設定したもので ございます。  戻りまして49ページですけれども、我が国の状況としては、稲に農薬登録がなさ れているもので、諸外国の状況は、国際基準は設定されておりませんが、中国、タイ、 韓国において登録されているものです。  暴露評価としては、ADI中のTMDIとしては、最高で幼小児の4.3%となりま す。  意見聴取の状況は、そこに記載のとおり。  答案(案)としては、別紙2ということで、53ページの記載のとおりとなります。  次に、フェリムゾンですけれども、魚介類への基準設定要請に伴う基準値の設定及 びポジティブリスト制度導入時に設定した基準値の見直しです。  構造式はそこに記載のとおり、用途は殺菌剤です。  作用機構としては、水稲用殺菌剤ということで、いもち病菌等の膜機能または脂質 生合成系に作用して、菌糸生育及び胞子形成を阻害することで作用すると考えられて います。  適用作物、適用病害虫等は、稲でいもち病、それから、ごま葉枯病などでございま す。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、許容一日摂取量は0.019mg/ kg体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案としては、別紙1のとおりでございまして、56ページに記載のとおりで ございまして、お米については、1を置かせていただきます。それから、魚介類につ いては0.5です。これは詳細な資料は376ページに書いてございますが、水産動植 物の被害予測濃度の1.3ppbに、log Powということで水と油の分配係数から求めた 63を濃縮係数として、それに種差の5を掛けたもので、0.41ppmが予測濃度という ことで、これに基づいて基準値0.5ppmが置かれたものでございます。  戻りまして55ページですけれども、我が国の状況としては、稲に農薬登録がござ いまして、諸外国の状況としては、国際基準は設定されておりませんが、韓国、台湾 などで登録されているものです。  暴露評価としては、ADIに占めるTMDIは、幼小児で39.7%です。  意見聴取の状況はそこに記載のとおり。  答申案としては、別紙2ということで、57ページに記載のとおりです。  なお、このフェリムゾンについては、異性体として、代謝物Bということで、フェ リムゾンのZ体を含むものを基準としております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  これに関しましては、部会長大野先生、何か御追加ございますか。 ○大野委員 オキサジクロメホンについては、薬理性のところで若干指摘がございま して、修正していただきました。  あとは特になかったかなと思いますけれども、これもやはり慢性毒性、発がん性併 用実験で無毒性量が決められて、それでADIが定められているんですけれども、こ れでは雄だけに肝臓に腫瘍が出ているんですけれども、それは遺伝毒性に基づくもの ではなくて、フェノバルビタールみたいな細胞増殖作用によるものであって、変異原 性もないということで、いき値があるということで、安全係数100で問題ないという ふうに食品安全委員会で評価されていまして、問題ないと思いました。  フェリムゾンについては、さっきZ体と言いましたが、私の方はE体で異性体とな っています。フェリムゾンの親化合物と、E異性体に変換するんですね。それについ て若干指摘がございまして、もともとあるのか、変換するのかということで、変換す るという回答がございました。これも発がん性実験の結果に基づいてADIが設定し てあるんですけれども、この場合は鼻にがんができるんです。扁平上皮がんというん ですか、これが非常に目刺激性が強いということで、局所刺激性が強い薬物なので、 それに基づいてそういうものが出たんだろうというふうに食品安全委員会で指摘さ れまして、特に遺伝毒性に基づくものではないということで、普通の評価でいいとい うことにされています。あとは特になかったかなと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  いずれも魚介類に基準設定を要請しようということで出てきたものです。  どうぞ。 ○國枝課長 大野先生の御指摘のとおりでして、間違えました。間違えた理由が、5 7ページのところ、E体とZ体ということで、Z体が本体だと思っていたのが、逆に 書いてあったものですから、Z体が不純物だったかなと一瞬思ってしまいました。現 行もこうなっているんですが、実際は、本体がZ体ですので、多分、逆の方がいいの ではないかと思います。大野先生の御指摘のように、異性体の、いわゆる代謝物とし て出てくるものはフェリムゾンのE体で、親化合物がフェリムゾンのZ体でございま す。 ○岸分科会長 この注を逆にしないといけないということですね。 ○國枝課長 多分、そういうことになると思います。 ○岸分科会長 わかりました。よろしいでしょうか。本体から先に書いた方がいいだ ろうということでございます。  大前先生、どうぞ。 ○大前委員 魚介類という場合は、可食部を意味するわけですか。魚介全体を意味す るわけですか。 ○國枝課長 可食部だと思います。というのは、摂取量を計算するときにはそれでや っています。ただ、分析法を詳しく見ないとわかりません。調べます。 ○岸分科会長 これは農薬、殺菌剤で、水稲で使われるので、それが、例えば、湖と か河川に流れ込んで魚等に蓄積する、それを食べる人間への影響ということですか。 ○國枝課長 そうですね。当初問題になっていたのは水稲ということで、水田から漏 れ出ているということですが、最近は転作が進んでおり、水田用地を大豆とか、そう いったものにしていまして、大雨が降ると、こうした作物に適用のある農薬が漏れ出 て、シジミとかにも影響が出る例もあるということで、もう少し広目に魚介類に基準 値を設定してほしいという農林水産省の方からの要請がきておりまして、必要に応じ て、除草剤以外のものにもやるような形で作業は進みつつあります。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  どうぞ。 ○若林委員 オキサジクロメホンとフェリムゾンの両剤が、非常に高濃度ではありま すけれども、腫瘍を誘発するということですけれども、前者に関しては、多分、フェ ノバルビタール様の作用ではないかということを言っていましたけれども、これは作 用メカニズムはわかっているのですか。  2つ目は、フェリムゾンに関しましては、鼻腔の扁平上皮がんということですけれ ども、あまり例を聞かないと思います。どういうような作用機序が予想されるかとい うことについては何か議論はあったでしょうか。 ○大野委員 まず、オキサジクロメホンについてですけれども、肝細胞増殖活性試験 をやっていまして、肝細胞の増殖が亢進するということと、薬物代謝活性を図ってい まして、それの活性も増加するということで、フェノバルビタールで上がるようなタ イプの薬物代謝は上がると確信しています。それと、先ほど申し上げましたけれども、 遺伝毒性がネガティブである。両方合わせてフェノバルビタールに類似したようなプ ロモーション作用によるものではないかと推定しています。  それから、フェリムゾンについては、食品安全委員会の表現をそのまま読ませてい ただきますと「鼻部に付着したフェリムゾンを含む餌が鼻腔より吸収されて、鼻粘膜 が長期間にわたって直接刺激を受けることにより炎症が誘起され、細胞が損傷、修復 を繰り返し、持続的な細胞増殖亢進及び加勢へと進んだ結果と考えられた」というこ とで、直接刺激がどうなんだろうと思いましたら、目刺激性試験の結果で強い刺激性 があるという結果が出ていますので、それと併せて考えると、通常の局所刺激性がこ の薬物については強いと判断してよろしいんではないかと私は思いました。その結果、 こういう炎症が継続的に起きたんではないかと思ったところです。 ○岸分科会長 両先生の御議論で私もわかりましたが、ほかの委員の方で何か御追加 ございますか。  それでは、この2剤の魚介類基準設定要請に伴う基準値の設定をお認めいただくと いうことで、承認をお願いいたします。  あと、WTO、パブリックコメントに関しましては、部会長と私どもの方で対応さ せていただいて御報告するということで次に進めさせていただきます。  それでは、あと5剤でしたか、続けてまたお願いいたします。 ○國枝課長 その前に、先ほどの大前先生からの御質問の件ですけれども、試験法の 部分について、今日、持ってこなかったものですから、後ほど御報告さしあげたいと 思います。今はわかりません。 ○岸分科会長 先生、どうぞ。 ○大野委員 それについて私の方から、お答えになるかどうかあれですけれども、こ の試験そのものが、水田にまいたときに、それから抜け出て、湖沼とか、そういうと ころでどのくらいの濃度になるか計算する式がありまして、それで計算をする。それ から、実験的に、コイとか、いろんな魚に一定の濃度の下で何週間かかかって蓄積す るのを調べて、両方併せて、実際にどのくらい蓄積するか計算しています。その蓄積 を測るときに、多分、可食部だけ取って測るということはしないんではないかと思う んです。詳しくわからないですけれども、残留試験結果に基づいてやるということ。 それから、残留試験をやっていない場合には、オクタノール/水分配係数の下に、そ れと、今までの経験に基づく回帰直線があって、そこから計算しているんですけれど も、可食部だけではなくて、そこまで詳しいことはわからないんですけれども、私の 推定としては、全部ひっくるめてホモジナイズして測定しているんではないかと思い ます。 ○岸分科会長 大前先生、いかがですか。 ○大前委員 例えば、イカなどというのは、カドミウムがたまるところは決まってい るわけです。恐らくそういうことがあるので、実際に人が食べるところの規制値にし ないと余り意味がないんではないかという意味で質問いたしました。例えば、貝など だったら、貝殻を測っても仕方がないわけです。 ○岸分科会長 そうですね。これからももし魚介類の基準設定のことがあったら、そ の辺の資料を付けていただくといいかもしれませんね。事務局にそれをお願いしても よろしいですか。今日はちょっと間に合わないようですが、次回からよろしくお願い いたします。 この後、5品目ですか、見直しですね。お願いいたします。 ○國枝課長 それでは、EPNについてと、残りの品目を併せて御説明したいと思い ます。  EPNにつきましては、59ページをごらんいただきたいと思いますが、農薬取締 法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定と、魚介類の基準設定要請に伴うものです。  構造式はそこに記載のとおりで、用途は殺虫剤、作用機序としては有機リン系の殺 虫剤で、アセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することで効果を発するものという ことになります。  適用作物、適用病害虫等は、適用拡大申請ということで、かんしょ、適用害虫とし てハスモンヨトウでございます。  食品安全委員会での食品健康影響評価としては、許容一日摂取量が0.0014mg/kg 体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値としては、別紙1のとおりで、なお、現行の基準値が削除された食品は、基 準が設定されていない食品同様、一律基準が適用されることとなっています。  別紙1ということで、60ページに記載のとおりでございまして、今回は、1つは 魚介類の設定ということで、0.3を置いています。これは水産動植物の被害予測濃度 の0.046ppbとコイの濃縮性試験の1,232、それに種差の5を掛けた0.28ppmを根 拠としたものでございます。  それから、適用拡大申請ということでは、60ページの上に申と書いてありますけ れども、そこで作物残留試験から0.05を置いております。ここはポジティブリスト の導入時には既にあったということで、本基準になっているものですけれども、残留 基準値等から見て、より低い形で管理することができるものについても、例えば、お 米については0.1を0.02にするとか、そういった形の対応を図ったものです。また、 トマト、ピーマン、なす、きゅうりについては、農薬の登録がなくなっているという ことで、一律基準にするような取扱いをしたいということでございます。  我が国の状況、諸外国の状況はそこに記載のとおりで、暴露評価としては、TMD Iでは、幼小児で158.4%ということで、EDI試算でされておりまして、最大が7 3.9%。  意見聴取の状況はそこに記載のとおり、答申案ということでは61ページに記載の とおりです。これもトマト、ピーマン、なす、きゅうりについては基準値削除という 部分が抜けておりましたので、今回は追加でしております。  次に、63ページですけれども、ジクロシメットでございます。これは魚介類の基 準値の設定要請に伴うもので、用途は殺菌剤。アミド系殺菌剤ということで、いもち 病菌の付着器のメラニン生合成系を阻害することにより、付着器からのイネ表皮細胞 への侵入を阻害することで作用すると考えられているものでございます。  適用作物、適用病害虫等ですが、稲で、いもち病でございます。  食品安全委員会の食品健康影響評価としては、許容一日摂取量として0.005mg/kg 体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案は別紙1、64ページに記載のとおりということで、魚介類として0.03を 置きました。これについては、水産動植物の被害影響濃度0.52ppbにブルーギルの お魚濃縮試験で8が出ておりまして、それに種差の5ということで0.021ppmが設定 根拠として試験が行われているものでございます。  戻りまして63ページですけれども、我が国の状況、諸外国の状況はそこに記載の とおりで、暴露評価としては、ADIに占めるTMDIの比としては、最大で幼小児 の63.5%となっています。  意見聴取の状況はそこに記載のとおり、答申案としては、魚介類に0.03を置くも のでございます。  次に、67ページですけれども、フェノキサニルにつきましては、魚介類の基準設 定要請に伴うものでございまして、構造式はそこに記載のとおり、用途は殺菌剤です。  作用機構としては、フェノキシアミド骨格を有する殺菌剤で、いもち病菌の付着器 のメラニン生合成系を阻害することにより、付着器からのイネ表皮細胞への侵入を阻 害することで作用すると考えられているものでございます。適用作物は稲で、いもち 病に対するものでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、許容一日摂取量が0.007mg/ kg体重/dayで、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案としては、別紙1で、68ページでございますが、0.2を置かせていただい ておりまして、これは水産動植物の被害予測濃度1.9ppbと、コイから求めた濃縮試 験での濃縮係数20、それに種差の5で、0.19ppmを根拠として0.2が置かれている ものでございます。  戻りまして67ページですけれども、我が国の状況、諸外国の状況はそこに記載の とおり。  暴露評価としては、対EDI評価ということになりますが、幼小児で最高35.3% となっています。  意見聴取の状況はそこに記載のとおり、答申案としては69ページになります。  71ページ、プレチラクロールですけれども、これも魚介類の基準設定要請に伴う 基準値の設定です。  用途としては除草剤です。  作用機構は、酸アミド系除草剤で、植物の脂質生合成系の中で、超長鎖脂肪酸生合 成系酵素を阻害することで、細胞膜などの構成要素生成を阻害することで作用すると 考えられております。  適用作物、適用病害虫等は、水稲で、水田一年生雑草、マツバイ、ホタルイ、ミズ ガヤツリ、ウリカワ等でございます。  食品安全委員会の食品健康影響評価としては、許容一日摂取量として0.018mg/kg 体重/day、設定根拠はそこに記載のとおりです。  基準値案としては、別紙1で、72ページでございまして、0.3ppmを置かせていた だいております。これは水産動植物被害予測濃度として1.1ppb、それにブルーギル の魚類濃縮性試験から46、種差の5ということで、2.25ppmを根拠としているもの でございます。  71ページに戻りまして、我が国、諸外国の状況としては、そこに記載のとおり。  暴露評価としては、対ADI比に占めるTMDIの比は最高で幼小児の5.5%にな っています。  意見聴取の状況はそこに記載のとおり、答申案としては、別紙2ということで、7 3ページに記載のとおりでございます。  お米につきましては、既に0.1が置かれていますが、作物残留試験の結果から、こ れについては0.03ということで、厳しくしているものでございます。 ○岸分科会長 ここまででしょうか。ノバルロンに入らないんですか。 ○國枝課長 時間がございませんので、ノバルロン、プロヒドロジャスモンについて は次回ということで、できれば動物用医薬品の方に行かせていただければと思います。 ○岸分科会長 今、EPN、ジクロシメット、フェノキサニル、プレチラクロールの 魚介類とEPNは適用拡大ですが、この4題について、時間の関係で、今日、是非や ってほしいということですので、これも部会長の大野先生、御追加ございますか。 ○大野委員 これについては、適用拡大と魚介類に対する適用だけなので、一応、審 議して、先ほどから申し上げているような代謝物とか、いろいろ検討しているんです けれども、特に問題のあるところはございませんでした。  EPNについて、EDIで決定したということと、あと、発がん性の実験から決定 したこともございますけれども、それについては発がん性結果はネガティブという結 果だったと思います。特に問題になることはなかったと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この4剤につきまして、委員の先生方の御意見とか、質疑を受けたいと思いますが、 いかがでしょうか。もし何もないようでしたら、この4剤を本分科会として了承いた したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 今後、WTO、パブリックコメント等の対応は、部会長と私どもの方 に御一任いただくということでよろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、この後、動物用医薬に移るということでしょうか。ノバルロンとプロヒ ドロジャスモンを次回に回して、(3)の動物用医薬品等関係に移る。それでは、事 務局の方からまた御説明をお願いします。 ○國枝課長 今、情報が入りまして、大前先生の御質問の件ですけれども、魚介類に ついては、魚類の場合は可食部を細切、均一化するということで、可食部ということ です。それから、貝類の場合は殻を除去し、細切、均一化するということで、可食部 ということです。申し訳ございません。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、動物用医薬品の御説明をお願いいたします。 ○國枝課長 次に、83ページをごらんいただきたいと思います。エチプロストンに ついてですけれども、用途は牛の性周期の同調及び黄体退行遅延に基づく卵巣疾患の 治療及び豚の分娩誘発です。  審議の対象としては、薬事法に基づく動物用医薬品の再審査申請に伴う残留基準値 の設定でございます。  適用動物、適用疾患については、そこに記載のとおりでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、適切に使用される限りにおい て、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できるものとされています。  我が国及び外国の状況は、そこに記載のとおりでございます。  基準値案でございますけれども、ポジティブリスト制度導入に際しまして、薬事法 で定める分析法の検出限界値に基づいて定めたところでございますけれども、今回、 海外における規制状況等を踏まえまして暫定基準を削除し、本剤の食品中の残留基準 値を設定しないこととします。  本剤が食品に残留した場合の取扱いについては、食品衛生法第11条第3項の規定 により、人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める一律基準が適 用されることになります。  基準値案については、別紙のとおりということで、84ページ、85ページでござい ます。従来は、先ほど御説明しましたように、均質限界値を置いておりましたけれど も、これについては、食品安全委員会の評価を受けて削除ということで、一律基準の 0.01にしたいと思っております。  引き続き、ブロチゾラムでございます。これは87ページでございます。  用途としては、牛の食欲不振の改善に対する補助でございまして、薬事法に基づく 動物用医薬品の再審査申請に伴う残留基準の設定でございます。  適用動物、適用疾患ですけれども、牛ということで、食欲不振改善に対する補助で ございます。  なお、このブロチゾラムというのは、抗不安薬、あるいは睡眠導入薬という研究か ら開発されたものでございまして、人用としては睡眠導入剤として利用されているも のでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、許容一日摂取量は0.013μg /kg体重/dayとなっております。設定根拠としては、ラットとかサルの試験もされ ておりますが、そこに記載のように、ボランティアを対象にした人での試験が行われ ていまして、そこでの最小毒性量0.0013mg/kg体重/dayが、脳波、あるいは認知 機能試験での影響ということで決められております。安全係数100は、LOAELからN OAELへの変換と個体差それぞれ10で100を安全係数としまして、0.013μg/kg体 重/dayとなったものでございます。  我が国の状況としては、動物医薬品として承認されており、諸外国の状況はそこに 記載のとおりです。  基準値としては、別紙1のとおりということで、88ページに記載のような形とな っております。  なお、ここの●の部分に書いてございますが、今回、非常に低いADIということ で、通常のものではこれほど低いものはないのですが、一律基準の設定の根拠のとき に0.03μg/kg体重/dayを参考にしていたことから、これより低いということで、 この●については、従来は0.001を置いていたものについては不検出ということで、 定量限界0.0005ppmということで、より厳しい形で設定をする形としております。  87ページに戻りまして、暴露評価でございますが、ADIに占めるEDIの試算 については、そこに記載のとおりで、一番高いものとして幼小児の1〜6歳で57.2 %になります。実は、TMDI計算では、幼小児で105.2%ということで、これは特 に乳をたくさん摂取するということで超えたということで、もう一度EDI試算を行 っているものでございます。  それから、意見聴取の状況はそこに記載のとおり。  答申案としては、食品に含有されるものであってはならないとする残留基準を設定 することが適当である。ただし、牛の筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、食用部位及び乳につ いては、別紙2の残留基準を設定することが適当ということで、90ページの形で答 申案をさせていただきたいと思います。  引き続いて91ページですけれども、鶏伝染性気管支炎(4−91株)生ワクチンで すけれども、適用動物、適用疾患は、鶏の伝染性気管支炎の予防です。  審議の対象としては、薬事法に基づく動物用医薬品の再審査申請に伴う残留基準の 設定です。  本剤の概要は、そこに記載のようなもので、ウイルス4−91株を主剤とし、安定 剤として、そこに記載のようなものが含まれた生ワクチンです。  食品安全委員会における食品健康影響評価としては、本剤が適切に使用される限り においては、食品を通じて人の健康に影響を与える可能性は無視できると考えられる としております。  我が国の状況は、承認されており、諸外国でもアジア、欧州等で承認されているも のです。  基準値案としては、食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定し ないこととします。  答申案としては、食品中の残留基準を設定しないことが適当であるということでご ざいます。  以上でございます。 ○岸分科会長 動物用医薬品3剤についての説明がございましたが、部会での御審議 はいかがでしたでしょうか。 ○大野委員 エチプロストンについては、報告書の分析法の説明が簡単だったので、 それを詳しくした方がいいんではないかという意見が出まして、それを詳しくしてい ただきました。  ブロチゾラムですけれども、EDI/ADI比となっていますけれども、前の報告 が間違っていたんでしたか。私の持っている資料だとTMDI/ADI比になってい るんです。 ○國枝課長 これは、部会において、1つでもEDIの試算がある場合にはEDIに なるという御指摘がございまして、訂正されております。詳細は資料の44ページに 書いてございます。先ほどちょっと御説明しましたが、幼小児について、TMDIで 105.2%ということで、EDI試算をしたわけですが、それの分析限界である0.001 について、そのまま計算すると、幼小児について過大に評価してしまう。ほかのもの については全部基準値にしたんですけれども、乳についてだけは、幼小児の方がたく さん摂取するということで、そのまま計算するとADIを超えてしまうので、エリス ロマイシンの例を参考にして、定量限界である0.001ppmの半分を取ったという前提 で計算しました。その関係で、ほかのものはすべてTMDIでやっていたんですが、 1つEDIが入ったということで、全体がEDIという形になりました。 ○大野委員 ありがとうございます。  もう一つ、基本データに基づいてADIを決めていますので、ほかのと違う計算に なっています。人での毒性のデータが、ロワエルが0.0013ということで、それを基 にこれを決定したということがほかと違っていまして、それ以外は特に問題なかった と思います。 ○岸分科会長 生ワクチンはいかがですか。  どうぞ。 ○大澤委員 生ワクチンの件でございますが、よろしゅうございますでしょうか。こ の生ワクチンをどういう時期に鶏に投与するのかがよくわからないんです。投与され た鶏が比較的短期間のうちに食用に回されて、仮に生食といいますか、そのような形 で食される可能性があった場合にはどうなるのでしょうか。全く関係ないと考えてよ ろしいのでしょうか。 ○岸分科会長 事務局と大野先生の解説があったらありがたいと思います。 ○事務局 これについては、資料の中に休薬期間は書いてはいないんですけれども、 通常、こういうものを投与された場合は、ある程度の時間を置きます。あと、本剤に ついては、鶏伝染性気管支炎というものが人畜共通感染症ではないということで、食 品安全委員会でも、健康影響評価の結果、食品を通じて人の健康に影響を与える可能 性は無視できるという評価がなされているものですので、問題はないと思います。 ○大澤委員 確かにそうなのかもしれませんけれども、最近の新型インフルエンザの 関係などがありますと、100%そういうふうに言い切っていいのかどうか、多少不安 を感じます。 ○國枝課長 これについては、食品安全委員会に動物用医薬品について専門的に評価 する委員会がございまして、その中で今、話しましたような、人畜共通感染症かどう かというような問題とか、あるいは添加剤として使われているものが既に前例がある かどうかということをかなり慎重に議論して、最終的に食品安全委員会の評価として、 こちらにきているものでございます。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○毛利委員 今、鳥インフルエンザを考慮して御心配されておられると思いますけれ ども、これは全く違う種類のウイルスなので、鳥インフルエンザのように変化しやす いウイルスではありません。過去にも感染したという例もありませんし、鳥の病気が 人にという点においては問題ないだろうと考えた方がいいと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございます。 ○山下委員 補足させていただきたいんですが、食肉はあくまで加熱調理用の素材で ございます。近ごろ生食がはやりというふうに思いますが、くれぐれも生では召し上 がっていただきたくないと、食品衛生監視員の立場で申し上げさせていただきます。 ○岸分科会長 ほかに委員の先生から何かございますか。  どうぞ。 ○栗山委員 今、くれぐれも生で食べないということで、それは食常識としてはそう なのかもしれませんけれども、現実に生で食べているとか、販売されているものがあ るということで、そこの辺のことはどうなんでしょうか。そういう形で流通しないよ うにとか、別な意味での注意喚起、ここの課題ではないのかもしれないんですけれど も、どういう形で流通するかわからない可能性の中で、御討議いただくのが適切かな と思うんです。 ○岸分科会長 事務局からのコメントをお願いします。 ○國枝課長 生食の問題は大変重要な問題で、先般、食品安全委員会で、カンピロバ クターについての食品健康影響評価が出ましたが、その中でも生食の問題がかなり大 きなファクターとしています。政府全体として、生食というものについては非常にリ スクがあるということはしっかり伝えていくのが重要だと思っております。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  委員の方から多様な質問が出まして、動物用医薬品の重要性を改めて考えさせられ たかと思いますが、一応、今回の基準に関しましては、本分科会として承認というこ とでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、諸手続につきましては、部会長並びに私どもの方で対応させていただく ということで、また御報告を次回以降、この分科会でするようにいたします。  この後、(2)に移ってもよろしいんでしょうか。 ○國枝課長 パロモマイシン以下5品目については、今回、時間もございませんので、 次回とさせていただきたいと思いますので、報告事項をお願いします。 ○岸分科会長 わかりました。それでは、動物用医薬品の(2)は次回に御審議いただく ことにいたします。  それでは、議題の審議事項はこれで終わりまして、報告事項に入らせていただきま す。報告事項の(1)特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について、 報告をお願いいたします。 ○尾崎室長 事務局の方から御説明をさせていただきます。ただいま資料を皆様方に 改めてお配りをさせていただいていると思いますが、資料1〜3ページ目までが最初 の御報告事項でございます。配られましたか。 ○岸分科会長 ちょっとお待ちください。お願いします。 ○尾崎室長 皆様、配られたようでございますので、事務局の方から御説明をさせて いただきたいと思います。  1ページ目ですが、審議結果ということでございまして、特定保健用食品につきま しては、新開発食品調査部会において審議いただいた上で、報告すべき事項について 御報告をするという仕組みになっているところでございます。今年の3月と6月に審 議いたしまして、3ページ目を見ていただければと思うんですが、部会で審議する事 項、分科会に御報告する事項、諮問の有無ということでまとめさせていただいており ます。今回、1番目の分科会で御審議いただく事項はございませんでしたので、2ペ ージ目にございます2種類の品目につきまして御報告をさせていただくことになっ ております。  今、2種類の具体的なものにつきまして、皆様方に見ていただくように回っていく かと思いますので、それを見ていただきながらということですが、1つ目は「オーラ ルヘルスタブレットカルシウム&イソフラボン」でございまして、サンスターが申請 をしております。  これにつきましては、どうして報告するのかというと、3ページの2番目のところ、 新たな特定の保健の目的に資する成分が入っているものということで、2ページ目に 行ったり3ページ目に行ったり、大変恐縮ですけれども、2ページに戻っていただく と、大豆イソフラボンアグリコンの成分が、カルシウムと同等に歯を支える健康に資 するものということで、今回、新しく成分として認めるということで、分科会で御報 告をすることになっております。  後で回ってくるかと思いますけれども、錠菓となっておりまして、特定の保健目的 が期待できる旨というのは、ここにございますとおり、歯を支える歯ぐきの健康を保 つ食品ということになっております。注意事項、1日当たりの摂取目安量は、ここに 書いてあるところでございますので、省略をさせていただきます。  2つ目でございますけれども、「みそ汁一杯350mgのカルシウムだし入りみそ」で ございまして、申請会社はマルサンアイ株式会社で、カルシウムが成分となっており ます。  カルシウムにつきましては、もう既に特保で認められて、品目としても幾つかある ものでございますが、みそという形態でカルシウムが入っているものとして認められ るのは今回初めてということです。  3ページ目を見ていただきたいと思うんですが、1〜5まであるうちの5番目の、 食品の形態が大きく異なる、これまでのカルシウムで認められていた食品とは全く別 の、カルシウムみそということで認められたものということで御報告をさせていただ くことになっております。  2ページ目に戻っていただきますと、表示内容は、カルシウムを豊富に含みます、 健康な食事は、若い女性が云々ということで、骨粗鬆症によるリスクを低減するかも しれませんと、こういう形になっております。注意事項と摂取量目安はこのようにな っておりますので、御参照いただければと思います。  ということで、分科会に御報告させていただきます新しい特保の商品ということで、 部会での審議を踏まえまして、この2つにつきまして御報告をさせていただくことに なっております。  以上でございます。 ○岸分科会長 御説明ありがとうございました。  ただいま御報告に御意見や御質問ございましたら、お願いいたします。  どうぞ。 ○若林委員 イソフラボンのアグリコンが入っているものでありますけれども、御存 じのように、イソフラボンはエストロジェニックな影響を示します。使用量によって は、ある程度ホルモナールな影響が出てくる可能性があるものです。ここに入ってい る量ですとか、または摂取量から考えて、健康に対する影響等についてはどのような 議論がされているのか、御説明いただけますでしょうか。 ○岸分科会長 お願いします。 ○尾崎室長 その点につきましても、新しい成分ということで、通常の特保の審査と 同様に、過剰に摂取した場合にどうかとか、長期間摂取した場合にどうかということ を十分試験をさせていただきまして、その上で、この摂取目安量であれば問題ないと いうことで部会で御了承いただいたということでございまして、2ページ目にござい ますとおり、1日4g(2錠)を目安に食べれば全く問題はないと、このようなこと で今回御審議をいただいたということでございます。食品安全委員会でも御審議をい ただきまして、これについては了承いただいているということでございます。 ○岸分科会長 この調査部会の審議結果につきまして御報告ございましたけれども、 ほかには先生方から何か御意見ございますか。  それでは、今日は報告事項がたくさんありますので、2番の消費者庁及び消費者委 員会の創設についての御報告をお願いいたします。 ○尾崎室長 次に、消費者庁、それから、消費者委員会の創設につきまして御説明を させていただきたいと思います。ちょっと量が多くて、5ページ目から24ページ目 までの資料になるんですが、時間の関係もございますので、ポイントを中心に御説明 をさせていただきたいと思います。  まず、5ページ目を見ていただければと思います。「消費者庁及び消費者委員会創 設後の消費者行政のイメージ」ということで、既に新聞報道等でも報道されておりま すので、皆様方も御承知かと思いますけれども、本年5月にこの法律が国会で成立い たしまして、内閣総理大臣からは、本年9月にもスタートということで、準備をする ように各省庁に指示がなされております。  消費者庁、消費者委員会のイメージということで、この図にございますとおり、一 番左側に消費者がありまして、そして一番右側に各省庁、事業者があるということで ございまして、消費者の意見をしっかりと速やかに情報収集して受けて、その結果を 踏まえて消費者庁の方でさまざまな対応を各省庁に要求する、あるいは自ら行う、あ るいは事業者に要求する、このような形でなされております。  消費者庁と消費者委員会の具体的な事業の内容は、内閣総理大臣ということで、真 ん中に大きく書かれているところにございます。消費者庁におきましては、情報をと にかく一元的にしっかりと集約し、調査・分析する。それから、司令塔になるという ことで、各省庁に対して、さまざまな指示・勧告を行うという非常に強い権限を持つ。 それから、縦割りを超えて新しい企画立案をする。あるいは隙間事案への対応を行う。 そういったことを持つ省庁になっております。  それから、消費者庁とはまた別の位置づけとして、内閣府に消費者委員会が置かれ まして、消費者庁とは独立いたしましてさまざまな職務を行いまして、建議、資料要 求、関係行政機関に対する資料要求、それから、内閣総理大臣に対する勧告・報告要 求ということで、非常に強い権限を持つ委員会ができるということでございまして、 各省庁、各事業者、それから、消費者庁自らが行う事業について、こういった委員会 の御指摘を踏まえてさまざまな事業を行うことになっているところでございます。  6ページ目を見ていただければと思います。これは具体的な組織でございまして、 内閣総理大臣の下に内閣府特命大臣、現在は野田聖子大臣でございます。その下に消 費者委員会と消費者庁が置かれておりまして、総勢202人。これは各省庁から定員が 振り替えられて消費者庁に移管された人数となっております。長官、次長、審議官、 参事官の下に、司令塔部門と執行部門と置かれまして、司令塔部門で各省庁にさまざ まな措置要求を行う、あるいは情報をしっかり集約をするという部門がある。それか ら、執行部門として、一番右側に食品表示課と書いてあると思いますが、食品表示に ついて一元的に対応を行う課を含めまして4つの課が置かれると、このようなことに なっております。  駆け足で恐縮ですが、7ページ目を見ていただければと思います。「消費者庁関連 3法の関連について」です。一番上に消費者庁、消費者委員会が設置されるんだとい う法律がありまして、その下に具体的に消費者庁が行うべき事業、その内容について の、さまざまな法律、根拠法が書かれた図でございます。  ここでポイントになりますのは、一番下に書いてある消費者安全法という消費者庁 が所管する規定に基づきまして、これまでなかなか対応が難しかった隙間事案と言わ れるもの、例えば、代表的な食品で言いますと、こんにゃくゼリーのようなものが該 当すると政府としては考えられているようですが、そういった隙間事案に消費者庁が 自らさまざまな勧告・命令を行う。それから、各省庁が所管する法律につきましても、 必要に応じて措置要求ということで、こういうことを速やかに行うべきだということ を、内閣総理大臣から各省大臣に要求をするといった強い権限が設けられることにな ります。  次に、8〜11ページ目までは、それぞれの法律のポイントでございます。時間の 関係もございまして省略をさせていただきます。主なポイントといたしましては、先 ほど御説明をさせていただきました5ページ目であるとか、あるいは7ページ目など に書かれたものでございます。  次に、この消費者庁と私ども厚生労働省食品安全部との強い関係につきまして整理 をしたものが12ページになります。厚生労働省にこれまであった事務・事業の一部 分が消費者庁に移管されることになります。先ほど7ページ目で御説明させていただ きました隙間事案であるとか、あるいは措置要求というのは、各省庁が所管している ものに消費者庁が口出しをするという権限なんですが、消費者庁自らがさまざまな事 業を行うということで、消費者庁が自ら行う部分がこの12ページの図になっている ところでございまして、厚生労働省の食品衛生法と健康増進法の一部が消費者庁にこ のような形で移管される。  移管される事業の中身は、食品衛生法でいきますと、食品の表示基準を設定する。 食品の表示基準といいますのは、あちこち行って大変恐縮でございますけれども、1 3ページに食品表示についての制度の概要が記載されております。JAS法と食品衛 生法それぞれで、このような内容の表示をすべきだということで、実際の表示例が1 3ページに書かれてございます。それから、15ページを見ていただきますと、表示す べき事項なども法律で規定されている。こういった食品衛生法に基づく食品表示の基 準につきましては、これまで厚生労働省でやっていたものが、消費者庁に権限が移る ことになります。それから、食品表示の基準に係るさまざまな指導・監督権限なども 移る。  それから、健康増進法、先ほども御報告させていただきました特定保健用食品であ るとか、あるいは栄養表示基準、そういったものが指導・監督権限も含めまして厚生 労働省から消費者庁に移管されることになります。この具体的な事務はまた後で御説 明しますが、厚生労働省で持っていた事業が移管されて、消費者庁自らが都道府県、 あるいは地方厚生局などに対して、さまざまな指導・監督を直接行う。厚生労働省を 通すということではなくて、直接行う、このようなことに変わっていくことになりま す。  先ほどお話しした特保がどのように手続が変わるのかというのが16ページの資料 になっております。上が現在の取扱い、下が改正後の取扱いでございまして、上の方 は、私ども厚生労働省におきまして特保に関する企業からの申請を受けて、食品衛生 分科会の下にある部会、あるいは調査会におきまして、有効性、安全性について御審 議いただきまして、必要なものについては食品安全委員会にかける。その後、また戻 ってきて、私どもの大臣で許可をすると、こういうふうになっておりましたが、消費 者庁に移りますと、消費者庁におきまして、基本的に厚生労働省で行っていた事務を 行うということで、消費者庁の方で申請を受けて、消費者委員会の下にある部会、調 査会で審議をして、一部は食品安全委員会にかける。そしてまた戻ってきて、内閣総 理大臣の許可となっていくことになります。  特保につきましては、厚生労働省許可というふうにマークのところにも書いてある んですが、9月に消費者庁ができますと、9月以降はマークが変わることになってお りまして、どのように変わるかは現在、政府内で調整をしているところでございます。  17ページを見ていただければと思いますが、このように健康増進法、食品衛生法 の関係で一部移管するものがあるということで、繰り返しになるかもしれませんが、 健康増進法の許可権限が消費者庁に移管されるということで、法律の条文第26条の 厚生労働大臣の許可が、改正後の四角のところに条文第26条を書いておりますが、 内閣総理大臣の許可ということで、移管がなされることになっております。  それから、食品衛生法、審査に関することにつきましても変更がございまして、特 定保健用食品を許可するときには、有効性と安全性についての審査をするということ で、有効性と安全性、特に安全性の審査をする上では、食品衛生法と、それに基づく 告示によって私どもの方で審査をする、そういう仕組みになっているんですが、安全 性審査につきましても消費者庁に移管されるということで、一番下に書いてある厚生 労働省の告示の部分が削除されるということは、イコール安全性の審査はやらない。 では、だれもしないのかというと、消費者庁に移るということですので、消費者庁の、 要するに内閣府の新しい告示が同じようなものができるということで、消費者庁でそ ういった審査をするという別の告示を規定することになっております。  いずれにいたしましても、食品に関しまして、先ほどお話をさせていただきました とおり、各省が所管するものについて、さまざまな措置要求をする、あるいは隙間事 案を自ら行うというものと、消費者庁が自ら事業を行うということで、食品に関して 言うと、特保の審査と表示については自ら行う。このような形で消費者庁が創設され ると変更がされると、このようなことになっております。  本日、食品衛生分科会ということで皆様方に御審議いただいているわけですけれど も、資料の18ページにございますように、今、私ども、消費者庁がないということ で、厚生労働省において健康増進法と食品衛生法についてのさまざまな御意見を分科 会、あるいはそこにある部会で御審議いただいているということでございます。18 ページの点線になっている部分、表示部会、新開発食品調査部会につきましては、消 費者庁創設後に権限そのものが消費者庁に移管されると、こういうことになりますの で、ここの点線に書かれている部分につきましては、消費者庁の消費者委員会で部会 なり調査会なりを設けて、別途消費者委員会の下で審議を行うという形に変更がなさ れると、こういうことになります。したがいまして、食品衛生分科会の表示部会、調 査部会の点線の部分がなくなって、それが消費者委員会の下に置かれる部会なり調査 会に移ると、このような変更がなされる予定でございます。  ちなみに、消費者委員会は、まだ法案が通ったばかりで、具体的にどういうふうに 消費者委員会の部会、調査会をつくるかというのは、まさに今日も昨日も検討してい るところでございます。具体的に、移ったらどうなるのか、名前がどうなるのか、調 査会がどうなるのか、その辺はまさに今、議論しているところでございますので、あ る程度整理され次第、先生方にも御報告をさせていただきたいと思います。  ちなみに、点線に書いていない部分、下から2つ目なんですけれども、新開発食品 評価第三調査会は13年5月にできたばかりのものでございまして、健康食品などに ついて、安全性に問題があったときに即座に対応する調査会でございますけれども、 食品衛生法に基づく事後的な対応、特保も含めた健康食品の事後的な対応というのは、 引き続き厚生労働省に残りますので、この第三調査会については、何らかの形で食品 衛生審議会に残りまして、そこで御意見をいただくという形になっております。  ここまでが18ページの御説明でございまして、19ページ、20ページ、それから、 具体的な条文が21ページ以降ございますが、こちらは御参考ということで、また後 ほど見ていただければと思います。こういう形で消費者庁ができますということで御 報告をさせていただきました。 ○岸分科会長 ただいまの消費者庁を設置することに伴います関連の御報告につきま して、御意見や御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○山内委員 質問です。17ページに特定保健用食品の安全性審査が移管するとあり ますが、現行やっていらっしゃる安全性審査の方法について教えてください。事務局 の方がいろいろなデータを調べられて、それを審議会で検討されているのか、その前 の研究機関での安全性の実験等も含む調査などもやられているのでしょうか。 ○尾崎室長 お答えいたします。特保については事前にも審査しておりまして、その 事前の審査が消費者庁に移ります。 ○山内委員 その中身は何ですか。 ○尾崎室長 その具体的な中身は、特保につきまして、さまざまな資料を要求してい ます。過剰摂取した場合の試験した結果を報告するようにとか、あるいは長期間摂取 したときに大丈夫なのかとか、あるいはそもそもの毒性がどうなのかとか、さまざま な事項を企業で調べるように指示をして、その結果を私どもの方で受けて、部会でチ ェックしております。私どもがチェックしていたものは同じように消費者庁でしっか りとチェックする体制を取るということでございまして、消費者庁に移ることによっ て安全性の審査が下がるということは決してない、そういう仕組みにしているところ でございます。 ○山内委員 わかりました。 ○岸分科会長 山内委員、よろしいでしょうか。先ほどのイソフラボンの話もありま したし、かなり科学的な懸念とか、そういうことが出ますので、その辺りは十分にや っていただく方が望ましいように思いますけれども、ほかの委員からは何かございま すか。格段の質問がないようでしたら、次の報告に移らせていただきます。 ○尾崎室長 3つ目につきまして、引き続いて御説明をさせていただきたいと思いま す。既に先週、報道等でも出ております体細胞クローン家畜由来食品についてでござ いまして、25ページ以降の資料でございます。25ページから27ページまでが私ど もの方でまとめて資料で、29ページ以降が食品安全委員会から私どもがいただいた 答申書になっております。  25ページから順を追って御説明をさせていただきたいと思います。「体細胞クロ ーン技術とは」ということでございまして、これは皆様方、御承知かもしれませんが、 動物の体細胞、耳の皮膚だとか、あるいは筋肉、そういったものを、未受精卵の核を 除きまして細胞に移植して新しい個体をつくる新しい技術と言われております。199 9年、今から10年ほど前、既に体細胞クローン技術については農水省さんにおきま して、さまざまな技術が行われているということでございます。  次の○にございますとおり、体細胞クローンは、遺伝子組換え食品とは違いまして、 遺伝子情報そのものは親と同じで、一度できた体細胞クローンの家畜は、その後、通 常の受精を介して、子どもだとか、孫だとか、そういった形でどんどん繁殖していく ことも可能となっております。  体細胞クローンの家畜につきましては、新しい技術でありますけれども、個体を無 限につくることができるということで、以前から優良な家畜物の生産の効率化といっ た観点で非常に注目を集めているということであります。後ほど御説明させていただ きますとおり、世界的に見てもさまざまな課題等もあるということで、流通実績はな いとされております。  次の2は体細胞クローン家畜についての諸外国の状況でございます。最初の○で、 アメリカの状況はどうかということで、アメリカにおきましては、ここにございます とおり、FDA(アメリカ食品医薬品局)におきまして、昨年1月15日に食用とし て安全だということで安全宣言を出した。これまでFDAが出荷自粛を要請していた ところなんですが、安全宣言を出したということで、FDAは解除した。要するに、 出荷してもいいですよ、流通してもいいですよということです。  ただし、次の※にありますとおり、アメリカ農務省、日本におきます農林水産省と 同じ役所でございますけれども、主要貿易相手国、あるいは消費者庁、そういった方 々の理解を得て実際に販売に踏み切るには一定の期間が要るのではないかというこ とで、クローン牛の販売自粛の継続を要請をしているということで、販売の自粛は継 続されていて、流通はされていないと私どもは聞いております。  それから、ヨーロッパにつきましても、次の○にございますとおり、食品安全の観 点から差異は存在することは示唆されない、つまり、差異はないから、特段の安全性 上の問題はないと、こういうことになっております。  ただ、ここでは書いておりませんけれども、ヨーロッパにおきましても、実際には 出荷はされていないことになっておりまして、流通していないと私どもは聞いてござ います。  オーストラリア等におきましても同じということで、流通はされていないと聞いて いるところでございます。  3の「我が国におけるこれまでの経緯」ということで、先ほどお話ししたとおり、 農林水産省さんの研究機関等でさまざまな研究がなされてきたわけですが、さまざま な生産性の問題等ありまして、出荷自粛を要請したのが10年前。その後、私どもと 農林水産省におきまして、さまざまな安全性に関する研究をしてきたわけでございま すけれども、特段安全性が損なわれることは考えがたい、安全性上特に大きな問題が あるとは考えがたいという結果が出ておりました。  ただ、厚生労働省、農林水産省で調査して安全なんですねということではないだろ うかということですが、上にございましたとおり、FDAとヨーロッパで安全宣言を 出したということも踏まえまして、25ページの下から3行目にございますとおり、 やはり私どもとしても食品安全委員会がある、そこでしっかりとリスク評価をすべき ではないかと、こういうことで昨年4月に食品安全委員会に私ども厚生労働省の方で、 体細胞クローン牛の安全性について諮問をさせていただいたということで、念のため に諮問をしたということになっております。  次の26ページにございますとおり、依頼を受けて食品安全委員会の方でさまざま な検討をした結果、先週、6月25日に、ここにございますとおり、従来の繁殖技術 による家畜に由来する食品と比較して同等の安全性を有する、同じ安全性だと、この ような結果が出ているということでございます。  29ページ以降に実際に評価書が書かれております。本来はここを御説明すべきで ございますけれども、時間の関係もございまして、26ページに「食品安全委員会の 評価書の概要」という形でまとめさせていただいたところでございます。食品安全委 員会におきまして、この分厚い資料にございますように、さまざまな文献、あるいは さまざまな試験等を含めて、さまざまな検討をした上での評価だと聞いているところ でございます。  動物としての健全性と、食品としての安全性ということで2つに分かれてございま すが、最初の○にございますとおり、出生前後に死亡率が高い傾向があるけれどもと いうことで、体細胞クローン牛につきましては、出生前後に通常のものの5〜6倍、 30%ぐらいの死亡率になっていて、非常に高いということなんですが、実際に育って いった牛は、従来の家畜と同じように正常に発育をすることがわかっているというこ とでございます。  死亡率が高い理由は、次の○にございますとおり、全能性の完成度などによるもの だということで、従来の繁殖技術でも同じような理由で死亡しているということで、 全く新しい死亡原因でもない。  それから、次の○にございますとおり、今回、子ども、孫、そういったものに異常 は認められないと、このようになっております。  それから、食品としての安全性におきましても、体細胞クローン牛によって全く新 しい生体物質が生まれる、全く新しいものができるということではない。  それから、食品安全委員会におきまして、マウスを使ったさまざまな動物実験など でしっかりと見た結果、安全上問題となる差異は認められなかったということで、結 論部分に書いてございますとおり、先ほどお話ししたとおり、同等の安全性を有する と、このような結論がなされております。  29ページ以降の答申の御説明はなかなかできないんですけれども、更に後ろの方 に、食品安全委員会におきましてパブリックコメントをしております。101ページ以 降、別添2と書いてありまして、172通の提出がなされまして、101〜105ページま で、かなりたくさんの御意見をいただいております。既に新聞報道等でも大きく取り 上げられておりまして、7割ぐらいが反対意見だということで、不安だとか、あるい は気持ちが悪いとか、さまざまな御意見が出ております。ただ、賛成意見も一部ある。 食品安全委員会は、こういった指摘事項も踏まえて、最終的に安全性が同等と、この ような評価がなされたと聞いているところでございます。  27ページに戻っていただきまして、「今後の対応」でございます。食品安全委員 会がリスク評価機関、私どもは、農林水産省など、ほかの省庁と同じようにリスク管 理機関ということで、リスク評価機関のリスクを踏まえて、私どもはどうするかとい うのを整理していくという立場になっているところでございます。  27ページの上の○にございますとおり、今回、食品安全委員会で安全性について の評価がなされたということで、安全性が科学的に現時点での確認がなされたという ことでございまして、食品衛生法というのは公衆衛生規定でありまして、公衆衛生、 人の健康、こういった観点からさまざまな規制を行う法律でございますので、食品衛 生法の趣旨、目的、そういったことで考えますと、食品安全委員会で安全だとされた ものについて、表示を規制するとか、あるいは輸入規制、輸入しないようにする、あ るいは流通を規制する、そういったことを行うのは、法律上非常に難しいということ で、困難となっております。  ただ、何もしないということではないわけでございまして、私どもといたしまして は、食品安全委員会、あるいは農林水産省とも十分連携をして、政府一体となりまし て、さまざまな国民に対する適切な情報提供、あるいは今後必要なさまざまな科学的 知見の収集をしっかりと協力していく、対応していくということで、その責務を果た していきたいと考えております。  御参考までに、農林水産省さんにおきましては、4行で書いてありますけれども、 一言で言いますと、後代の家畜も含めまして出荷自粛を継続する予定だと聞いている ところでございます。体細胞クローン牛につきまして、このような形で昨年、答申を いたしまして、今回、こういう形で答申が返ってきたということでございまして、私 どもの対応方針も含めまして、今回、こういう形で御報告をさせていただくというこ とでございます。  以上でございます。 ○岸分科会長 ただいま体細胞クローン家畜由来食品の安全性に係る食品安全委員会 からの答申について御説明いただきましたが、委員の皆様の御意見とか、御質疑を受 けたいと思います。いかがでしょうか。  どうぞ。 ○山下委員 全く個人的な意見なんですが、この体細胞クローン技術につきまして、 開発を担っております農林水産省さんの目的が我々国民に対して今まで明らかにさ れてこなかったという経緯があると思うんです。研究開発継続というのは結構なこと とは思うんですが、そもそも何のために国民の税金を使って継続するのかということ の説明は、農水省さんが担うべき話だと思います。国民の信頼が得られないというの は、その辺のリスクコミュニケーションが不足しておるというのが大きな要因かなと 考えておりますが、厚労省さんとしては、農水省さんにそのようなお願いをする余裕 がおありかどうか。是非お願いしたいなと思っているんです。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○尾崎室長 お答えいたします。農林水産省におきましても、昨日付でホームページ で、農林水産省の対応についてのパブリックコメントということで国民の意見を聞く ということで、既に始めております。農林水産省の方からは、しっかりと情報提供し ていく、説明をしていくということが書かれておりますので、私どもといたしまして も、委員から御指摘いただいた点はきちんとお伝えするとともに、農林水産省が行う 説明、あるいは食品安全委員会が行う説明、そういったものに我々としても協力をし ていく、対応していくということでやっていきたいと思っております。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○阿南委員 今後の対応のところなんですけれども、食べても大丈夫という結論が出 されているわけですけれども、私は、そう言われても食べたくないという国民は多い と思うんです。それにどう応えていくのかということが大事なんです。ですから、区 別する何らかの仕組みを責任を持って考えるべきだと思うんです。食品衛生法の規定 に基づけば、そういうことはできないと言っているんですね。これではだめなのでは ないですか。今まで、こんにゃくゼリーの問題があったときも、食品衛生法には触れ ないので、それは厚労省の管轄ではありませんとおっしゃったんです。農水省もたし かJAS法でそういうふうにおっしゃったんです。だから隙間事案になっているわけ です。そこは行政の縦割り的なものでやっていたらいけないわけです。ですから、区 別して、それがクローン由来のものなのかということがわかるようなことを、先ほど 連携するとおっしゃっているんですから、そういう仕組みをちゃんと考えていくとい う姿勢を示すべきだと思うんです。  以上でございます。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○山内委員 私、3点ございます。今、お2人がおっしゃったこととも重なります。 お2人の意見に私も賛成です。  1点目は、リスクコミュニケーションの更なる推進です。先週、生活協同組合で、 自治体等の食品の安全にかかわる審議会の委員をしている方の勉強会を実施しまし た。体細胞クローンの評価について、食品安全委員会から講師を招き学習、疑問も含 めて講師と率直にやりとりいたしました。そのときの参加者の反応は、「生物の勉強 としては安全だというのはわかった。しかし、疑問はたくさんある。そもそもクロー ン技術は何を目的としたものか。先ほど山下さんがおっしゃったんですけれども、本 当にこの技術は今の日本に必要なのか。生産者はこういった技術を用いた家畜を育て たいと思っているのか。商業化できないのにお金をかけて研究を継続するのは一体ど ういうことなのか。一体何がメリットなのか」という質問がたくさん出ました。  やりとりの中で、安全委員会や、農林水産省の方からお話をお聞きすると、もとも とクローン技術は実験動物の効率的な生産や絶滅危惧種の種の保存や臓器移植の研 究のためにも必要だというお話が聞けて、ああ、なるほどという声もありました。先 ほどおっしゃったように、なぜこれを国としてやりたいのか、やっていくのかという スタンスを明確にしていただき、併せて国際的な動向や国内の状況や、何で今、この 時期にこの評価をすることを選んだのかということを伝えていただきたいと思いま す。  動物愛護とか倫理の観点からは、今回全く意見交換会とかをされていません。EF SAでは、アメリカの評価と比べてヨーロッパの特徴ということで、動物愛護、倫理 の観点からもコメントを書いているという情報がありましたので、そんなヨーロッパ の情報も教えていただきたいと思います。  新しく消費者庁ができますが、私の理解では、リスクコミュニケーションの総合調 整機能が消費者庁に移ると理解しております。食品安全委員会、農林水産省、厚生労 働省と消費者庁と4つの組織で力を合わせて是非リスクコミュニケーションの推進 をお願いしたいと考えます。EFSAの資料では、「今のところ、あり得るリスクと ベネフィットをきちんと天秤で測って検討しなければならない。EFSAは、クロー ンに大きなベネフィットがあるというような見解を持っていない」という見解を明確 に出していますが、リスクコミュニケーションの際には、日本政府はどう考えるのか ということを、先ほど申し上げたような背景も含めて大きく伝えていただけますと、 消費者や国民との意見交換が円滑に進むと思っております。  2点目は、本件の諮問までのプロセスは十分準備されたものであったかということ について、検証をしていただきたいと考えます。いい事例だと思います。リスク管理 機関として、科学に基づいた食品安全行政を一貫した考えの下で行うために、平成1 7年(2005年)に厚生労働省と農林水産省の連名で、農林水産省及び厚生労働省にお ける食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書がつくられております。  ここの中で、リスク評価を諮問に至るまでやるべき手順がいろいろ書いてあります けれども、このプロセスのやり方に従って、今の時期に評価をしてもらうことはよか ったのかというか、タイミングについても考えていただいたらいいですし、評価の前 にリスクコミュニケーションされていますけれども、そこで得られた意見などをどの ように反映させ得たのかということも振り返っていただいたらよろしいかと思いま す。  私も生協内で学習会をしましたら、非常に純粋な質問と疑問が総合的にあることが わかりましたので、そんなことが前々からわかっていれば、どういう情報を提供すれ ば参加者が安心して聞けるのかという参考にはなると思いますので、是非御検討をお 願いしたいと思います。  3点目は、阿南さんのおっしゃった消費者への情報提供の件です。この法律の観点 から、表示をつくるのは難しいということは理解いたしますけれども、選択をしたく ないという消費者もいると思います。受精卵クローンの例があると聞いています。こ の例も参考に、自主的な基準も1つの方法だと思いますが、是非御検討をお願いいた します。  併せて、輸入されるものや、後代のどこまで表示ができるのかということについて、 正直言ってできないということであれば、それはそれで消費者に伝えていただきたい と思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  事務局といいますか、厚労省の立場でお願いします。 ○尾崎室長 まず、表示につきまして、2人の委員の方からいただきました。私ども、 今の2人の先生方からの御意見はしっかり受け止めたいと考えております。厚生労働 省は食品衛生法、食品表示については、ほかにも各省庁が所管している部分もござい ます。食品表示につきましては、消費者庁ができますと、食品表示についての一元化 ということで、消費者庁の方で担当することになっておりまして、クローン牛につき ましても、担当大臣がさまざまな国会での御答弁等もされているということでござい まして、私どもといたしましても、食品衛生法上の対応というのは非常に難しいわけ でございますけれども、この点につきまして、必要な協力支援、さまざまな情報を提 供するといったことで、しっかりと責務を果たしていきたいと、このように考えてお ります。  それから、リスクコミュニケーションにつきましてでございますが、私どもといた しましても、食品安全委員会、農水省さんと一緒にさまざまな場に行きまして、しっ かりと御説明をさせていただきたい。このようなことで、今、3省でしっかりと検討 を進めているところでございまして、本日いただいた御意見、あるいは食品安全委員 会でさまざま出された御意見、パブリックコメントで出された御意見なども踏まえな がら、しっかりと御説明をしていきたいということで、各省庁にも皆様方からいただ いた御意見はしっかりと伝えていきたい、このように考えております。  それから、動物愛護、倫理でありますとか、この時期に評価をするのが適切ではな かったのではないかといった御意見もございました。  動物愛護、倫理につきましては、既に平成9年に内閣総理大臣の下で一定の評価が なされておりまして、読み上げさせていただきますと、クローン技術を使ったものに つきましては、さまざまな大きな意義を有する。一方で、人間の倫理の問題等に直接 触れるものでないことから、適時推進することとすべきである。その際にしっかりと 情報の公開を進めつつ行うことが必要だと、このような形になっているところでござ います。厚生労働省は人の関係を所管しておりますので、動物愛護、倫理に直接かか わるのは難しいわけでございますけれども、関係省庁にただいまの御意見はしっかり とお伝えをしたいと考えております。  それから、先ほどお話しさせていただいた、なぜこの時期にということでございま す。繰り返しになってしまいますけれども、一定の諸外国における安全宣言、それか ら、さまざまな知見等も含めて諮問させていただいたということでございまして、重 要なのは答申をいただいた、さまざま御意見をいただいた、その結果をどう生かして いくかということだと思います。これは繰り返しの御答弁になるかもしれませんが、 しっかりと踏まえた上で、政府全体として適切に対応していくためにどうするかとい うことで、関係省庁が十分連携をして、対応して、必要な情報提供をしっかりやって いくということで対応して責務を果たしていきたい、このように考えているところで ございます。  もし御答弁の漏れがあれば、もう一度御質問いただければと思いますが、とりあえ ず事務局の方でお答えいたしました。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○栗山委員 ほかの委員が質問なさったこと、表示の不安とか、リスクコミュニケー ションの必要性、情報提供の必要性は、私も全くそのとおりと思います。  そのほかにもう一つ教えていただきたいんですけれども、各教育機関で、例えば、 クローンだけではなくて、後代まで飼育して、適切な処分を行うと書いてあるんです けれども、どれぐらいまで飼育をなさっていくんでしょうか。要するに、何代か続け て育てる中で、影響というか、ほかと比べて、例えば、病気になったり、生育しなか ったりという可能性も出てくるので、これを食用にする、しないという部分も不安な んですけれども、そこを見るためにも、育てるという作業をしていくのは大切ではな いかと思ったものですから、質問させてください。 ○尾崎室長 農林水産省に確認いたしまして、後日また御報告でもよろしゅうござい ますか。今、手元に資料がございませんので、どのぐらい生きているのか、確認した 上で御報告いたします。 ○岸分科会長 若林委員、どうぞ。 ○若林委員 牛肉の安全性で大きな問題としてはBSEの問題があると思います。こ のクローン牛の中でのプリオンの異常発生については、検討事項になると思いますけ れども、その点については、現在のところ、どういう報告が上がっているんですか。 ○尾崎室長 食品安全委員会におきまして、さまざま毒性試験等行っていて、それで 問題ないという御回答をいただいておるわけでございまして、確認はいたしますけれ ども、恐らくそういった懸念も特にないということでの答申案だろうと思います。確 認の上でまた御連絡いたします。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○毛利委員 プリオン病研究センターの毛利でございます。  少なくとも私どもの得ている情報では、BSEに関連するような病気、もしくはB SEそのものは内外を含めて全く報告はありません。確かにプリオン蛋白質遺伝子に 変異があると、遺伝的なプリオン病が人間には存在していますので、そういう可能性 があるかもしれませんけれども、この場合は遺伝子そのものの変異はないということ ですので、その可能性は極めて低いだろうと考えられます。 ○岸分科会長 大分いろんな議論が出ましたけれども、どうぞ。 ○内田委員 先ほどの御指摘からずっと感じますのは、こんにゃくゼリーの話も、今 回のクローンの話も、行政の縦割りの中では、消費者の視点に立って、どういう対応 が必要なのかというところが抜けているんではないか。そういうことこそ答えてほし いところだという要求があったんではないかと思いますので、各省庁に伝えるだけで はなくて、これからどういうことをやればその辺が解決できるのかという視点での対 応が求められているんではないかと思います。  それから、ちょっと関係ない話でよろしいですか。今日の議題で魚介類の毒性とい う話がありましたので、触れさせていただきたいんですが、ここの委員会では一つひ とつの薬品とか農薬とかの毒性については検証されますけれども、恐らく今後課題に なってくるのは、例えば、湖沼で毒性物質がたまるところに生息しているものを食す るときの毒性というのは、薬単剤ではなくて、いろんなものが複合して蓄積されたも のの毒性がかなり問題になってくるんではないかと思います。今後、1つの薬品の毒 性を検証するだけではなくて、例えば、そういうところでとれたものに対して、どう いうものがどの程度含まれているかというようなものの積み重ねも、毒性の検証に入 る前に、そういう事実があって、それがどういうものを生態系にもたらしているかと いう検証も、恐らくこの会の中では検討していく必要があるのではないかと感じてお りますけれども、その点に関しては何らかのエビデンスとかデータとか、あるんでし ょうか。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○尾崎室長 まず、クローン牛の方からお答えいたします。委員御指摘のとおりでご ざいまして、既に厚生労働省としても、報道した資料にも書いてございますけれども、 消費者庁ができるといったことも踏まえまして、関係省庁としっかりと連携をして対 応したい。説明会等でも3省連携してやることになっておりますので、引き続いてし っかりとやっていきたい、このように考えております。 ○國枝課長 環境経由で、人や環境中の動植物への影響の検討は、大変重要なことだ と思います。環境省が定めた水生の動植物の影響予測濃度などを利用しながら魚介類 に残留農薬の基準値の設定を進めています。環境省では、先ほど言ったように、水生 動物が環境中でどれぐらい暴露されるかとか、それに対する濃度でどれぐらいの影響 が出るかというのをやっています。  それから、一般の化学物質も問題になってくると思いますけれども、化学物質その ものについては、化審法の中での、難分解性とか、蓄積性の観点からの規制がなされ ている。  動物用医薬品や農薬成分が複合的に影響することについては、環境経由の問題だけ ではなくて、通常の食物残留においても問題になってくるとは思いますが、これにつ いては、食品安全委員会などでも、海外でどういうふうに取り組んでいるかについて 調査を行っています。複合影響については、安全性のファクターの中でかなりの程度 取り込めるものと考えていますが、海外の一部の国では、例えば、有機リン系のコリ ンエステラーゼのようなものについて、相乗的にどうなるかというような検討を進め ているところもあります。いずれにせよ、食品安全委員会とも連携しながら、今後も 複合的影響について考慮していかなければならないと思います。  ただし、一般的に言うと、最近の農薬は環境経由の問題については非常にセンシテ ィブになっていますので、できるだけ分解しやすいものになってきています。それか ら、有機塩素系のいわゆる古典的な農薬は日本では全部禁止になっています。海外で 使用されていることなどから、ポジティブリストにまだ残ってはいるんですけれども、 残留性が高いということで、少なくとも日本国内ではできるだけやめるような形にな っていると認識しています。 ○岸分科会長 最後の内田委員の御質問に関しまして、この分科会の役割みたいなこ とも含めてでしたね。ですから、クローン家畜のことと少し離れるんですけれども、 やはり重要なことかと思いますので、事務局の方でも、先々、すぐにどうということ ではないかと思いますが、確かに複合で残って食するということも考えていかなくて はいけないんではないかと思いますので、私としても、宿題のような感じで受け止め させていただければと思います。  それから、クローンに関しましては、さまざまな御意見をいただきました。パブリ ックコメントとは別に、食品衛生分科会での委員の各方面の意見ですので、消費者庁 ができますと厚労省もいろいろやりづらいことがあるかもしれませんけれども、安全 とか、衛生とか、人々の安心も含めまして、むしろ厚生労働省の役割は大きいと思い ますので、是非この後もまた続けて御報告いただければありがたく思います。どうぞ よろしくお願いいたします。  それでは、最後に、残っている(4)の御報告をしていただけますか。それにてお しまいにしたいと思います。 ○國枝課長 一番後ろになりますけれども、食品衛生分科会における審議対象の経過 についてご説明します。 ○佐々木補佐 先ほどお配りした資料の最後の117ページになります。 ○國枝課長 失礼しました。117ページになります。  前々回だったと思いますけれども、パブリックコメント、それから、WTO通報に ついて、その後の進捗状況について後ほど御報告するというお約束をさせていただき ました。  3月24日の分科会についての御報告ですが、添加物、農薬、動物用医薬品につい てのパブリックコメント及びWTO通報の状況等は、そこに記載のとおりです。  これは、一部対象外のものについては、パブリックコメント、WTO通報は行って おりません。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  以上をもちまして、審議事項、報告事項、審議事項は少し次回回しになりましたけ れども、委員から格段の御意見、追加がなければ、これで今日の分科会を終わらせて いただこうと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、本当に長時間にわたりまして、いろんな角度から御審議いただきまして ありがとうございました。これで閉会にさせていただきます。                  照会先:                                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                  TEL:03−5253−1111(2449)