09/07/01 第1回慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会議事録 第1回 慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会 議事次第         日 時:平成21年7月1日(水) 13:00〜15:00         場 所:航空会館 201会議室 1 開 会 2 議 事   1.慢性疾患対策を一層推進するべき疾患について   2.疾患の発症予防から合併症の予防に至る対策の更なる充実について   3.その他 3 閉 会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2971)     健康局疾病対策課(内線2981) ○関生活習慣病対策室長 それでは、定刻の1時より少し早い時間でございますけれども、今日 御出席予定の委員の先生方はお集まりでございますので、第1回慢性疾患対策の更なる充実に向 けた検討会を開催させていただきます。  本日は、お暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。なお、本日の会は御案内 のように公開で行われておりますので、御了承ください。  それでは、開会に当たりまして、上田健康局長よりごあいさつを申し上げます。 ○上田健康局長 健康局長の上田でございます。先生方におかれましては、大変お忙しい中お集 まりいただきまして、誠にありがとうございます。  実は、私どもの健康局は新型インフルエンザ対策でこの2か月ばかり非常に忙しい思いをして おりまして、一応対策方向性が固まったということで、ちょうど梅雨の中休みのような形で、健 康局として本来やらなければいけない仕事もしっかりやろうということで、今日はこのような検 討会の第1回を開かせていただいたわけでございます。  新型インフルにつきましては、今は中休みでありまして、これからがむしろ勝負時、大変なこ とになりますが、その合間の中にも何とか国民の健康を保持・増進するという観点から、しっか りした対策を打ち出したいということで、今回は慢性疾患について光を当てていこうということ でございます。御案内のように慢性疾患につきましては、数え方はいろいろあろうかと思います が、2,000万、3,000万、あるいは数千万という方が何らかの疾病をお持ちになって、日々それに よって日常生活でいろいろな支障があるということでございます。こういう方々に対して、これ まで光の当たってきた部分もございますけれども、光の当たっていないところに今回は当てて、 国としては国だけではできないこともいっぱいあるわけでございますけれども、社会全体で支え ていくという観点に立って、今、慢性疾患対策として何をすればいいかということをおまとめい ただければと思っております。  言うまでもなく、我が国の健康づくりの取り組みは、急速な高齢化や国民の栄養水準の向上な どによりまして疾病構造が変化し、がん、心疾患、脳血管疾患等の疾病予防対策の重要性が大き く高まってきております。また、難治性疾患に対する治療法等の研究も、更にきめ細やかな対応 を図りつつ継続していくことになっております。  このように生活習慣病と考えられるもの、あるいはそうではないものも含めた非感染性の慢性 疾患を対象とする施策が、これからはやはり高齢化社会の中で重要ではないかと考えるところで ございます。生活習慣病対策としましては、健康日本21に基づく一次予防に主眼を置いた国民運 動の展開、医療保険者における特定健康診査・特定保健指導の実施、または難治性疾患対策とし ては調査研究や医療施設の整備を講じるなど、さまざまな疾患に対して各種の対策を推進してお ります。  一方、患者さんが多いにもかかわらず、必ずしも具体的な対策の対象となっていない慢性疾患 もあると考えているところです。また、施策の対象となっている慢性疾患におきましても、その 重症化や合併症によりQOLの低下や死に至る事例もあるわけでございまして、こういうことに 対しても私どもとして更なる対策が重要だと考えているところでございます。  こういうことから幅広い慢性疾患対策の更なる充実に向けて、それに光を当てて、発症予防か ら合併症対策に至るまで総合的な視点に立って慢性疾患対策に社会全体で取り組むための基盤を つくっていくことが必要ではないかと考えているわけでございます。  こういうことから、このたび慢性疾患全体を通暁しながら、今日求められている基本的な視点 の確認や当面焦点を当てていくべき具体的な領域などへの考察を深めていただけたらと思いまし て、この検討会を開催することになったわけでございます。  先生方におかれましては、何とぞ活発な御議論を賜りまして、比較的短い時間でおまとめいた だきたいということもございますけれども、何とぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと思い ます。ありがとうございます。 ○関生活習慣病対策室長 では続きまして、委員の御紹介をさせていただきたいと存じます。お 手元の資料1の裏に別紙といたしまして構成員の名簿が載ってございます。まず、今ごあいさつ 申し上げました上田局長の横から反時計回りで申し上げます。  まず、井伊様におかれましては本日御欠席ということでございますが、和田様に来ていただい ております。  それから、池田様でございます。  内田様でございます。  岡村様でございます。  押野様でございます。  春日様でございます。  辻本様でございます。  戸山様でございます。  福井様でございます。  久道様でございます。  それから、名簿にございますように、葛原様、柴田様のお二人にも委員を務めていただいてお りますが、本日は所用のため御欠席ということでございます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  私の隣、健康局疾病対策課長の岩崎でございます。  渡辺でございます。  疾病対策課長補佐の石川でございます。  引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。  まず、表紙ですが、最初から訂正で恐縮ですが「第1回慢性疾患の更なる」と書いてあります が、「慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会」でございまして、最初で誤植がありまして申し 訳ございません。  それから、座席表のあとに資料1といたしまして開催要綱、そして、先ほどご覧いただきまし た名簿がございます。  それから、本日の事務局説明の中心となります資料2という冊子「慢性疾患の全体像について」 という30ページのものがございます。  御確認いただきまして、また御説明する過程でも万一落丁等がございましたら、その時点で挙 手いただきまして、事務局までお申しつけくださいますようにお願いいたします。  続きまして、本検討会の座長でございますが、事務局からの御提案で大変恐縮でございますけ れども、久道先生にお願いしたいと考えておりますが、皆様方いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○関生活習慣病対策室長 ありがとうございます。  それでは、以下の進行を久道先生に座長としてお願いいたします。 ○久道座長 それでは、指名をいただきましたので座長を務めさせていただきます。よろしくお 願いいたします。  最初に、事務局から連絡事項がありましたら、どうぞお願いします。 ○関生活習慣病対策室長 先ほど冒頭の委員の御紹介のときに申し上げたのですが、委員の代理 等につきまして特段の定めはございませんけれども、本日、井伊委員の代理ということで和田様 にお越しいただいております。先ほど御紹介申し上げたとおりでございますけれども、改めまし て検討会の皆様方にお認めいただければと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○関生活習慣病対策室長 では、和田様、どうぞよろしくお願いいたします。 ○井伊委員(代理:和田氏) どうもありがとうございます。日本看護協会の和田でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、早速、議事に移りたいと思います。  慢性疾患対策の更なる推進は非常に重要な課題ですけれども、委員の皆様の御協力をいただき ながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。  まずは、慢性疾患の全体像について、事務局より説明をお願いいたします。 ○関生活習慣病対策室長 それでは、資料1及び資料2に基づきまして御説明したいと思います。 資料2が慢性疾患の全体像ということになりますが、その前に資料1の要綱をごらんください。 先ほど健康局長からごあいさつで申し述べたとおりでございますけれども、本日事務局を務めて おります私ども厚生労働省健康局の生活習慣病対策室と疾病対策課、それぞれが慢性疾患対策の 主要な部分を担当している部署でございます。生活習慣病対策に関しましては、健康日本21の取 り組みなどさまざまな健康増進施策あるいは健康診査・保健指導といった取り組みをしてござい ますし、また、疾病対策課の所管に係るさまざまな疾患、例えば難治性疾患に関しましては、調 査研究あるいは医療施設の整備といった対策が講じられているところでございますけれども、先 ほどの局長のごあいさつにもございましたように、患者数が多いにもかかわらず具体的な施策の 対象として必ずしも明確に施策の柱が立っていないという部分もございますし、また、既に施策 の対象となっている疾患につきましても、重症化あるいは合併症が発生するということでQOL の低下ですとか、死亡を来すといった問題がございますので、そういった面での対策の充実が必 要ではないかということ、そういったことを踏まえまして、この際慢性疾患全体を俯瞰した上で、 今後、慢性疾患対策に取り組んでいく上での基本的な事柄について御議論いただき、また、そう いった総論的なところを高いところから俯瞰していただいたことにつきまして、留意すべき原則 あるいは全体的なことということでおまとめいただくというような趣旨の検討会でございます。  今のようなことが資料1の開催要綱に書いてあるわけでございますけれども、引き続きまして、 資料2に基づいて御説明していきたいと思います。本日御議論いただく上で、なかなか大きなテー マでございますので、どういった観点から御発言いただくかということで、委員の皆様方それぞ れいろいろとお考えだと思いますが、何らかの形で議論の発端ということで御活用いただければ という趣旨でまとめてございます。  資料は事前に委員の皆様方にはお届けしてございまして、一べつしておわかりの部分があるか と思いますが、必ずしも厚生労働省の見解というわけではないものも多くなっております。例え ば、既存の文献をそのまま引用したものや、あるいは既存の統計資料などをイメージ図のような 形で示す、いわば試作品のような資料もございます。議論を惹起していく上での一つの発端とな ればという趣旨で提示しているものでございます。  それでは、資料をめくっていただきまして1ページ目からでございますけれども、1ページが 早速、既存の書籍からの引用ということになるわけですが、この本は『慢性疾患自己管理ガイダ ンス』という市販の書籍から表を持ってきたものでございます。これは米国で2001年に出版され た本の訳書でございまして、日本看護協会出版会から刊行されているものからの引用でございま すけれども、この本の中では慢性疾患に向かう一人一人の患者さんの方々が肯定的に自分の病気 を管理するといったテーマを掲げた本でございまして、生活に即した諸側面、例えば、運動や食 事の問題あるいは医師を含めて他者とのコミュニケーションなど、さまざまな面での慢性疾患を 持つ方の自己管理スキルといったようなことについて紹介したものでございます。  1ページに掲示してございます表は、ある意味あえてかなり大胆なまとめ方をしているような 面も見受けられるかと思います。表の右下の欄にございますように、患者の役割ということを考 えたときに、慢性疾患では患者の役割として医療従事者のパートナーであり、日常管理の責任を 自らが持つといった部分が一つのこの表のポイントなのかもしれませんが、それを印象づけるた めに左側に急性疾患、右側に慢性疾患として、両者の対比においてかなり単純化した形で、それ ぞれの項目の特徴を示しているのではないかと思われますが、そういった見方から参考にしてい ただければよいのではないかと思っております。  この部分の話に余り深入りしても仕方ないかと思いますけれども、この表の概要を説明いたし ますと、完全な回復が予測される急性疾患とは異なり、慢性疾患では大体において身体機能の持 続的な喪失が認められることが多い。疲れやすいので、前にはできてきたことができなくなった り、レクリエーションや日常活動の一部をあきらめなければならなくなる。同時に、将来に対す る不安が無力感を引き起こすこともある。何もできないという思いが何もしない状況をつくり出 し、無力感を強め、悪循環を繰り返すことになりかねない。身体機能の低下と無力感のサイクル を打破する方法を検討する必要がある。例えば、こういった説明とともに提示されている表でご ざいまして、そういった説明とともにご覧いただければと思いまして、本日の資料の最初の方に つけさせていただいているものでございます。  若干説明が長くなって恐縮でございましたが、次の2〜7ページにかけては、これはWHOの 資料でございますけれども、世界に目を向けた場合に先進国か発展途上国かを問わず、慢性の非 感染性疾患の取り組みというものが世界の健康問題における健康施策のプライオリティとしても 近年重視されてきているということの一例として示させていただいております。これはWHO(世 界保健機関)の2008〜2013年にかけての5年間にわたるNCDs(Noncommunicable diseases)、 非感染性疾患についての行動計画を示してございます。このアクションプランですが、昨年2008 年5月に開かれました世界保健総会で承認されたものでございます。  3ページにWHOの地域ごと、AFRがアフリカ、EMRが中東といったような状況で6つ地 域がございますが、日本はWPR、西太平洋地域事務局に属しておりますが、こういった形でグ リーンの感染症に対して、オレンジの慢性の非感染性疾患の割合が地域によってかなり多くなっ ている。ただ、アフリカのようなところでもその割合が非常に増えてきているということを模式 的に表したものでございます。  4ページには、全体の死亡の中に占める割合として、半数以上がこういったNCDsであるとい うことが書いてございますが、特にアクションプランの中ではNCDsの代表例として4つの大き な疾患を意識して書いてございます。1つが心血管系疾患でCardiovascular diseases、これは心 臓の疾患あるいは脳の血管を含めて心血管系疾患。2番目が、がん。3番目が、糖尿病。そして 4番目が、慢性呼吸器疾患ということで、この4つをNCDsの代表例として書いてございまして、 円グラフにございますように、これらに基づくWHOの2008年の資料でございますが、死亡の推 計値が3,500万人ということで世界の死亡の60%を占めている。近未来には更にこれが増大して いくことが見込まれているということが書かれてございます。  また、これらの死亡の80%が低所得または中所得の国々で発生しているというような状況につ いても、このプランには書かれてございまして、特にこういったものの多くが予防できる手段が あるというような現状認識のもとで、2つの大きな目的を抱えているわけですが、1つは、若年 ですとか壮年期での死亡を回避するということで、英語だとAvert premature deathとなって いますが、2点目が生活の質を高めるということで、Promote a better Quality of lifeと いうことで、生活の質の問題といったことに目を向けて、各国政府あるいはさまざまな関係者が、 この問題に目を向けて行動を取るように求めているというものでございます。  5ページに幾つかの柱が書いてございますけれども、特に健康施策全体の中のあるいは国全体 の開発施策の中でのプライオリティの中で高めていくというようなことですとか、具体的に予防 や管理あるいはリスクファクターを減らしていくというような対策に政府を初め関係者が一丸と なって取り組んでいく、あるいはその評価をきちんとしていくといったようなことが書かれてい るものでございます。  これは我が国の生活習慣病対策の考え方にも相通じるものでございますけれども、特にこのプ ラン全体の中で心疾患あるいは脳卒中、糖尿病といったものの約80%に予防手段がある、あるい はがんの3分の1以上が予防可能である。これらに共通する危険因子が存在する。とりわけ喫煙、 それから、不健康な食事、運動をしないこと、そして、アルコールの有害な使用といったことに 取り組むことによって予防効果が期待できるとされておりまして、ある意味グローバルなWHO という場でも、我が国の生活習慣病対策と申し上げて施策を展開しているものと相通じるような 考え方での、こういった慢性疾患対策というものがWHO全体のプランの中で述べられていると いうことかと思います。  6ページ以降では、我が国の状況に目を転じて幾つか統計データをお示ししたいと思います。  まず、生活習慣病という切り口で見てみますと、7ページに我が国で生活習慣病対策として取 り組んでいます疾患の医療費について円グラフで示してございます。悪性新生物がブルーですが、 そのほかに心疾患系疾患、糖尿病ということで書いてございます。糖尿病につきましては、糖尿 病の合併症を含む数値としてここに記載しております。この部分の問題の大きさというのが、が んも含めまして医療費の中では全体の3分の1ほどを占めているというグラフでございます。  8ページは死亡数の割合ということで、ただいま申し上げた疾患で見てみますと、死亡の約6 割がこれらの生活習慣病、約30%が悪性新生物、それ以外の約30%が心血管系疾患ないし糖尿病 といったことで書かれているものでございます。  9ページ、10ページでございますけれども、これは厚生労働省の統計情報部で行っております 幾つかの統計の組合せでございますが、一番右のグレーで塗ってある部分が国民医療費という統 計の冊子から持ってきた数字でございまして、白い部分は患者調査のデータを持ってきているも のでございますが、9ページに生活習慣病という観点から考えられる、先ほどの円グラフで示し たような幾つかの疾患を掲載してございます。  また、10ページには、そういった生活習慣病と考えられる疾患以外のものについて掲載してご ざいまして、生活習慣病それ以外の慢性疾患として見た場合に、どの程度の数の広がりがあるか ということを俯瞰するのに助けになるかということで提示させていただいております。  なお、9ページの一番上の糖尿病をごらんいただきますと、医療費のところで約1兆1,000億円 という数字が出ておりまして、7ページの糖尿病で約2兆円と書いてあるものと違いがございま すけれども、7ページの円グラフの方が糖尿病に起因する腎不全などの合併症に係る医療費を一 定の仮定のもとに案分するなどして、この糖尿病の項目に加えているということがございまして、 そういったことから若干数字が異なっているということでございます。  資料をざっと御説明していくという形で失礼しますが、11ページでございます。このグラフは 9ページ、10ページのデータをある意味で視覚的に再構築するという試みでございまして、横軸 に患者調査に基づく一日当たりの外来受療者数をプロットしてございまして、縦軸に国民医療費 の統計に基づく中分類ないしは大分類に基づく医療費をとりましてプロットしたものです。この 作図の性格上、大体のイメージということですので、かなり模式的なグラフとなっておりますこ とをまず御了解いただきたいと思います。それから、疾患群を中分類、大分類、どのような形で くくるかということによりましても、患者数ですとか医療費の位置がかなり変わってくるという こともあり得ますので、あくまでもこうした二次元的なプロットをしてみる見方もあるという意 味で、グラフを提示させていただいております。  12ページ以下でございますが、慢性疾患の施策現状総論ということでございます。13ページと 14ページを一緒にごらんいただければと思いますが、非常に大まかな模式図、イメージ図という ことでございますけれども、13ページに楕円で示しました慢性疾患対策のニーズの全体像とでも 言うべきものがあるとすれば、そういったものに対して例えば左上にあるがん対策、あるいは右 上にある生活習慣病対策等々、それぞれの個別領域の対策の軸に沿って、こういった取り組みの アプローチが進んできたということで、これはその時点、時点で政策課題となって、特に重点的 に取り組むべきということで国の方でも取り上げ、対策の充実を模索するという一連の過程の中 で対策が進んできた結果、こうして掘り下げてきた部分につきましては、一定程度ニーズが満た されてきているということをイメージとして表しているものでございます。  こういう形でいろいろな疾患ごとの対策を意識して取り組みを進めてまいりました結果、まだ 取り組みによって余り伸びていない部分が残っているわけですが、その対策の手が伸びていない 部分をあえてハイライトとして書いたのが14ページということになります。これもイメージでご ざいます。そういった意味で、いわばいろいろなものが渾然一体となった、混沌とした形で残っ ているのではないかといった問題意識を示してございまして、それぞれの疾患ごとの対策を充実 させていくことが引き続き重要という認識もございますけれども、一方でこうした全体を俯瞰す るということについても意識を向ける必要があるのではないかという問題意識でございます。  それから、15ページ以下ですが、15〜17と基本的に同じベースに基づいて作成している表でご ざいます。1〜30まで疾患の名前が書いてございますけれども、平成17年の先ほども一部引用い たしました患者調査の中で、外来の患者数の多いものから順に上位30番目までを主として疾病の 中分類に基づいて列挙したものでございます。  15〜17ページは、どれも同じ30疾患のリストでございますが、15ページにはその中で生活習 慣病としていろいろな形で取り組みがされているものについて網かけにしてございますし、16 ページでは、主として疾病対策課の疾患ごとの施策において対策が講じられているものについて、 少し濃い色の網かけで示しているものでございます。  17ページは、それらの疾患についてハイライトした残りの部分が白くなっているわけでござい ますが、白い部分について見ていきますと「★」で、例えば、筋骨格系あるいは結合組織の疾患 といったものが多く見られるといったような、疾患全体を俯瞰する一つの試みとして示している ものでございます。  なお、ここにあります30疾患全体を患者調査での外来受療の状況、1〜30の全体を100といた しますと、1の本態性高血圧の部分が一番多いことになってございまして、20%強が本態性高血 圧による受療ということになります。  1〜5の高脂血症までを足しますと、約49%になります。ですから、上位のものが外来分野で 非常に多いということでございますが、更に申しますと、1〜10の慢性腎不全までを足していき ますと67%ですから、約3分の2が1〜10までの疾患での割合ということになります。このよう に、上位10位の疾患で3分の2を占めるというような外来での受療行動の疾病中分類ごとの構造 というのが、このような形の分布になっているということでございます。  ちなみに、1〜30までごらんいただきますと、30番目がたまたま慢性閉塞性肺疾患になってご ざいます。COPDの取り組みなどについても体系的な施策が十分あるかどうかということが議論 になり得るかと思いますけれども、受療という観点で見ますと、こういった疾患名がついて受療 する場合が患者調査で現れてまいりますので、例えば、この分野について呼吸器学会などでも御 検討されていますが、受療に至らない潜在的な患者さんの数を考えていきますと、またこの表と は違った形になってまいります。そういったことも含めまして、どういった形で患者さんの多さ、 あるいは問題の大きさを評価するかというのは、こういった医療機関をベースにした統計だけで は語り切れない部分がございますけれども、既存のデータをいろいろとまず見てみるという試み の一つとして、このような3枚にわたる資料で15〜17ページで示させていただいているというこ とでございます。  以上のある意味総括的なことなのですけれども、18ページをご覧いただきますと、これも非常 に大まかなイメージ図のような形にもなっているかと思います。楕円の中に慢性疾患対策全体の いろいろな問題があるとしますと、薄いブルーで塗られている部分が生活習慣病対策あるいはそ れ以外の慢性疾患ということで、何らかの施策の柱が立っていて取り組みがそれなりに講じられ ているような分野。そして、ややグレーで書いてある部分は、勿論、医療機関を受療する方が公 的医療保険でカバーされて受療がしやすいという日本の制度的なメリットはあるわけでございま すけれども、行政施策としての疾患対策という意味ではこれまで取り組みが際立った形、特出し した形では行われてきていなかったのではないかと思われるような分野でございます。  これもイメージですので、個々の疾患領域を見ていきますと、さまざまな取り組みが実際には 研究事業ですとか、海外啓発事業といった形で展開されているものもありますけれども、あくま でも濃淡というものがあるということをイメージしていただくための図だと御理解いただければ と思います。  下に歯車のような形で幾つかの要素が書いてございますが、社会全体で支えていくということ を本日冒頭の局長のごあいさつでも申し上げましたが、そういったことを少し具体的にどういう 当事者、ステークホルダーが要るのかということを少し分解してみますと、本日特に行政の役割 ということでこの検討会では提示していただきますが、行政だけでは当然担い切れない部分が 多々ございます。そういったことを考えたときに、地域の役割、あるいは患者会の役割といった ことがあります。勿論、直接の提供者の中心になるのは医療機関でございますが、啓発の分野で はメディアの影響は非常に大きいと思いますし、やはり生涯を通じて疾患に向かい合っていくと いうことを考えたときには、学校の役割、あるいは家族の日々の会話ですとか、職場、これは企 業と職場と両方書いてございますが、企業行動をするさまざまな民間主体という意味も含めての 企業でございます。ここの分類もいろいろあろうかと思いますが、こういったさまざまな社会的 な当事者がみんなで支え合っていくということ、そういったことを少し具体的にかみ砕いて、楕 円全体の慢性疾患を支えていく上でどのようなことが原理原則として重要かといったことを、こ の会の最終的なところで補足しておまとめいただくことがお願いできればと思っている次第でご ざいます。  19ページ以下ですが、各論的なことに少し入ってまいりたいと思います。各論と言いましても、 本当に各論を展開いたしますと時間がかかってしまいますので、主として生活習慣病、それ以外 という疾患分野でどんな取り組みがされているかということのほんのさわりの部分ということで 御理解いただければと思います。  生活習慣病対策につきましては、健康日本21という大きな傘のもとで9つの分野を設けて70 ほどの指標をつくってモニタリングするという取り組みを平成12年来しているわけでございま す。直近の動きといたしましては、1つは、心血管疾患あるいは糖尿病といった疾患に対しまし て予防を図っていくために、メタボリックシンドロームという考え方に着目しまして、特定健康 診査あるいは特定保健指導というものを医療保険者が実施する事業が平成20年度から開始され てございます。昨今では、そういった新しい取り組みがなされまして、これに基づきましてさま ざまな計画的な展開を図る、あるいはそのデータを蓄積していきまして、それを丁寧に分析して いくことによって、更なる対策の充実を図るというようなサイクルのもとで活動を充実させてい こうという取り組みが始まっているという面がございます。  これはどちらかといいますと、リスクとなる要因を早急に発見して、それに対して生活習慣を 改善するという形で取り組んでいくということが主軸になっており、特定健診という健診を軸に してございます。一方で受療が必要な方については受療に結びつくという側面もあるわけでござ いますが、大きな政策展開という面では、この辺りが生活習慣病の分野では一つ大きなものとし てございます。  また、同じく医療制度改革、平成20年度から施行されています対策の中で、医療法の中では地 域の医療体制の確保という意味では4疾病5事業ということで、疾病でいいますとがん、脳卒中、 心筋梗塞、糖尿病といういずれも生活習慣病にかかわる疾患について、それぞれの疾患ごとの地 域での提供体制を各地域での医療計画の中に記載していくということが新しい医療計画の中で決 められております。  そういった観点から、疾患分野ごとの医療サービス提供体制についてもこういった施策、これ も施策と言われる典型的なものかと思いますが、そういうものがなされているということ。  また、糖尿病等の生活習慣病対策の推進、これは糖尿病に限らず、脳卒中や心筋梗塞等に結び つく心血管イベントに結びつくさまざまなリスクに対する取り組みということも含んでおり、特 定健診・特定保健指導以外につきましても、さまざまな啓発をしているということに加えまして、 特に糖尿病につきましては国立国際医療センターの中に糖尿病情報センターをつくりまして、さ まざまなデータを集約していく、あるいはそれを各地域の中核機関で診療に携わる医療従事者へ の研修等に役立てていくといった、情報面で中心となるような部分をつくっていくという取り組 みをしているところでございます。これも昨年の予算から取り組んでございますので、新しい動 きということになろうかと思います。  21ページでございますけれども、各論的なことで今、糖尿病という話を申し上げましたが、糖 尿病対策の現状を考えたときに、これは当然国だけでは取り組めないという一つの典型例でとい うことで、一番上に国のいろいろな政策的取り組みが書いてございまして、先ほど申し上げまし た糖尿病情報センターについては右上に書いてございます。ただ、実際には、一人一人の国民に サービスを届けるという役割は地域で展開していくわけでございまして、そういった中で都道府 県の役割として下の左側にございますような医療計画での取り組みを初めといたしまして、さま ざまな提供体制の確保がございます。また、右にまいりますと、当然ながら個々の国民の方への サービスの提供は一つ一つの医療機関が担っているわけでございますが、下に診療所等と書いて ございますけれども、糖尿病に関して申しますと、日本医師会を初めとする6つの団体が日本糖 尿病対策推進会議というものを受けまして、ここに掲げてございますような、かかりつけ医機能 の充実、医療連携あるいは受診勧奨、事後指導の充実、糖尿病治療成績の向上といったことを図 るための取り組みをされておりますし、各都道府県ごとの展開ということが各都道府県の糖尿病 対策推進会議という取り組みのもとで全都道府県で取り組まれておりまして、具体的には研修会 の開催、さまざまな情報交換といったことが行われているという取り組みがあるわけでございま す。現状ということで御理解いただければと思います。  22ページにつきましては、メタボリックシンドローム対策、糖尿病もそうでございますけれど も、脳、心血管イベントに結びつくようなさまざまな病態あるいはリスクに対して、左から右に 行くに従いまして、生活習慣の乱れから具体的なリスクが発現してきて、それが治療を要するよ うな病態となって現れ、最終的には合併症が起こったり、それがQOLを低下させる、あるいは 死亡に結びつくといった流れの中で、さまざまな段階で予防から合併症予防までというところ、 さまざまな段階でさまざまな働きかけがあり得るということで、それをメタボリックシンドロー ムに基づく考え方で模式的に表したものでございます。  いずれの慢性疾患も、こういった形でリスクから合併症予防までという形で整理できるとは限 りませんけれども、一つの典型的なイメージ図ということでお示ししているものでございます。  23ページ、24ページにつきましては、主として疾病対策課の方で展開しておられます個別の疾 患対策の一つのイメージということでございますけれども、23ページの腎疾患対策にいたしまし ても、24ページのリウマチ・アレルギー対策にいたしましても、大きな柱として左側にあります ように医療提供等の確保、それから、情報提供や相談体制の確保、そして、研究開発等の推進と いった柱を立てまして、例えば、腎疾患の対策で申しますと、かかりつけ医と専門医療機関の間 の連携を図っていく体制を構築するためのガイドラインの作成ですとか、あるいは地域連携のた めのツールを構築するといったような取り組みが一つございますし、中段の情報・相談面につき ましては、さまざまな啓発のための催しものを行うとか、あるいはインターネットなども含めた 情報発信をするといったような普及啓発の施策を国も関与する形で展開しております。  また、研究につきましては、重点的にCKD対策についての研究の柱を立てて取り組みをして いるといったような取り組み、これを進めることによりまして、慢性腎臓病の疾病管理という観 点から、最終的には透析などの腎代替療法への進展の予防を図っていく施策があるということで ございます。  リウマチ・アレルギーの24ページにつきましても、それぞれの疾患領域の特性を反映して、ア プローチが若干違うところがありますけれども、大きな柱としては医療、それから、情報・相談、 研究といったような、例えば3つの柱にくくることのできるような形で、こういった疾患対策の 特に重症化を予防していくということで取り組みが進められているということの一例でございま す。  25ページ以降に課題ということで書かせていただいてございますが、単純化し過ぎているかも しれませんが、生活習慣病対策ということを考えたときの今後の、取り組みに更に充実が求めら れているという分野の一例として糖尿病を掲げてございます。先ほども現実の取り組みがどのよ うな形で進められているかということについて説明する資料がございましたが、特に糖尿病につ きましては近年非常に数が増えているということで、26ページの図で申しますと、国民1億2,000 万人いる中で、次の四角で糖尿病の可能性が否定できない人、あるいは糖尿病が強く疑われる人、 これは国民健康栄養調査に基づく推計でございますけれども、それぞれここに書いてございます ような数、これは平成19年の国民健康栄養調査の結果で、国民を対象とするサーベイでございま すので、勿論一定の仮定のもとに行っているわけでございますが、HbA1Cという指標の値が6.1% 以上あるいは質問票の調査で糖尿病のために服薬治療を受けていると答えた方を糖尿病が強く疑 われる者として約890万人と推計し、可能性が否定できない方、これはHbA1Cの値が5.6%以上 6.1%未満という一定の基準をつくりまして推計したものでございますが、この両者足し合わせま すと2,000万人を超えるような数の方が糖尿病ないしはその可能性を否定できないということに なります。また、数年ごとに行っています過去のいろいろな調査との比較においても、例えば平 成9年のデータで言いますと、合計が1,300万ないし1,400万程度だったものが急増しているとい うことで、これは増加の大きさあるいは先ほど来示しております医療費の問題もそうですし、Q OLの問題、いろいろなことを考えたときに、まだまだ取り組みについて深めていく必要がある のではないかということで提示しているものでございます。  星のようなマークで幾つか課題が書いてございますが、一番左の健診の受診率の問題あるいは 普及啓発の効果がまだ十分ではないのではないかという反省もございますし、右にいきますと、 糖尿病であるということが明らかになった場合にも、なかなか治療を継続していくということが 難しい。一番右の受療者というところに治療中断率が高いというのがございますが、こういった 問題ですとか、あるいは医療機関同士の連携の問題ですとか、結果として合併症予防が十分でき ているかという反省点もございます。そういった意味で、こういった分野の取り組みをより系統 的に連携を図りながら、あるいは対策を講じたものの評価をいかにしていくかということも踏ま えながら充実させていくことが必要ではないかということがございますが、慢性疾患全体にわた る御議論をいただいた上で、例えば、特に今際立って問題意識が高まりつつあるような病態ない しは問題につきましては、更にこういった面を深掘りしていくという施策展開も必要ではないか という意味合いで提示させていただいております。  27ページでございますけれども、先ほどの上位30疾患ということで考えてみましたときに、先 ほどもちょっとお話し申し上げましたが「★」がついていた筋骨格系の疾患あるいは結合組織の 疾患というものが、疾患の区分で言いますと10区分ございました。また、眼科の疾患、消化器の 疾患等々あるいはCOPDの問題ですとか、睡眠障害の問題ですとか、さまざま疾病ごとの特徴が ございますけれども、いずれにいたしましても系統的な取り組みがなされているとは必ずしも言 えないような疾患というものがこういった数ございます。  では、その中でどういうものにとりあえず留意していく必要があるかという議論をするために、 一つの例示として28〜29ページには、国民生活基礎調査というポピュレーションベースで見られ る調査において、どういったことで通院しているか、29ページにはどういうものに対して自覚症 状の頻度が高いかということを記載しております。左に男、右に女ということで、男女差を見る 形で棒グラフにしておりますが、高血圧、糖尿病といったものが多いというのは先ほどの患者調 査と同様でございますけれども、例えば腰痛、肩凝りといったような問題、また29ページの自覚 症状ということで見てみますと、特に女性の方で多い頭痛あるいは関節痛といった問題は、問題 の大きさしては非常に多いわけでございます。こういった問題につきまして、これまでであれば 受療されるというときに、受療については多くの場合、公的医療保険でカバーされているという ことで、そういう施策のベースはあるわけでございますけれども、先ほどの腎ですとかあるいは リウマチ・アレルギーなどで見たような、ある意味系統的な施策展開ということでは、これまで なされておりませんので、何かこういった分野での系統的な取り組みがあり得るのかどうか、そ ういったことは一つ議論になるのではなかいと思います。  説明が長くなって恐縮でございましたが、最後の30ページでございます。ここでは例えばとい うことですが、ある特定の問題について関心を高めていく、そちらの方に関心を高めることと併 せてプライオリティをつくっていくという中で、痛みという問題に着目して痛みの10年という取 り組みが2001〜2010年の間なされているということで、さまざまな痛みを評価する物差しをつ くったり、あるいは医師の再教育あるいは国民への啓発といった取り組みを系統的に行っていこ うという動きがあるということです。これは痛みというものが、こういう目で見ていったときに 社会の中に大きな問題の大きさを内包している、それに対して系統的な取り組みをしていく必要 があるという問題意識に基づいての施策展開かと思いますが、例えばの例として、こういった展 開がアメリカの1例だけでございますが、こういう領域についての取り組みの例があるという話 題として提示させていただいております。  以上、なかなかこの問題の大きさに対してどういう形でアプローチしていったらいいかという ことで、事務局でも模索しながらの資料作成でございましたが、また本日、委員の皆様方からそ れぞれの御経験、御所見に基づきまして、いろいろ御示唆いただいて、更に充実した資料をつく り、最終的にそういったものを俯瞰してのまとめという形に結びつくように尽力してまいりたい と思いますので、今日はこの資料も御参考にされながら、貴重なさまざまな御意見をちょうだい できればと思っております。  以上、長くなりまして恐縮でございましたが、よろしくお願いいたします。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  今日はあと1時間ちょっとございます。ただいま事務局がまとめていただきました論点を説明 いただきましたけれども、これを基に今後、慢性疾患に対する更なる充実に向けて何をやったら いいのかということについて、各委員からこれまでの御経験を踏まえたいろいろな御意見があろ うかと思いますので、今日は何かをまとめるということはいたしません。フリーディスカッショ ンという形でやります。お一方必ず何かを話していただくということにいたしますので、何もしゃ べらないで帰るということはないようにしていただきたいと思います。時間はまだ十分あります ので、よろしくお願いします。  皆さんから今の説明に対する質問でもいいですし、どなたか言い出しっぺの方はございません か。早くお話しなさった方が、後で気が楽になろうかと思いますが、いかがでしょう。 ○福井委員 27ページと17ページでしょうか、これらの中から慢性疾患として何を取り上げるか ということなのでしょうか。ここに挙げていただいたものから選んでいこうということだと思い ますが、単に症状だけのコントロールでいいものもありますし、消化器疾患にしても、筋骨格系 の疾患にしても、頻度の大小はあるのですが、やはり重大な命にかかわる病気の初発症状という ものもあって、アプローチが一筋縄ではいかないといいますか、医療的な側面での評価を必ずやっ ておかないと、慢性疾患として自己管理に任せていいかどうかわからないものが混ざっていると いう点が、医療側から気になるところです。そこのところは何か仕分けがうまくできると、 Noncommunicable diseasesとして比較的楽にくくることができるように思います。 ○久道座長 今の福井委員のお考えに対して、何か事務局からありますか。 ○岩崎疾病対策課長 疾病対策課では割と命にかかわるというか、本当に重症の方ばかり実は難 病対策としてやってまいりましたけれども、やはり医療が進みますと、難病の方もだんだんロン グサバイバーになるということがどうしても出てきます。今まさに先生がおっしゃいましたよう に、どこを指標にしてやるかというのが端的には大変大きゅうございます。どちらかというと、 死なない病気の方が行政側から見て難しいなというのは正直言って思っております。ですから、 多分今までがんですとか命にかかわる病気は行政が随分手を出してきているのではないかと。む しろ残っているといいましょうか、今回話題になる多くのものは、なかなか死なないけれども大 変生活に大きな障害を及ぼして、その方の人生を痛めてしまうというようなものなので、そこを どうやってコントロールしていくかというのは評価の方法の科学的な進歩というものも相まって 考えていかなければいけないのではないかとは考えています。 ○戸山委員 フリーでよろしいでしょうか。今日は1人1つはお話しするようにということなの で、私も早々とお話しさせていただきますけれども、確かに国の方で行政として国民の健康づく りに向かって2000年からですか、健康日本21があったり、2007年から新健康フロンティア戦略 等々があったりということで、非常に大事なことで、これはすばらしいことだと思います。日本 は今、世界で類を見ないような超高齢化になっていますし、少子高齢化ですし、もう一つは、そ ういう豊かさもあって求めるところも大分違ってきているという中で、国民の健康の維持・増進、 疾病対策というものも少しずつチャンネルが動いてきているのではないかと。国の方で例えば、 生活習慣病に非常にターゲットを当てて動き出した、これも必要ですし、すばらしいことだと思 いますし、少しずつその結果が出ているのではないかと思います。特に、がん対策というものも 私の知っているところではかなり国が援助して動いてきたということも事実だと思うのです。そ ういう例えば高血圧であるとか糖尿病、高脂血症、メタボ、がん等々とこれを体の内面の大切さ とともに、もう一つは最近、社会状況が変わったことによる精神的なうつ、これもかなり国の方 も力を入れて対応していると。もう一つ残されているのが、この検討会だと私は認識しています。  個人的にはもうちょっと前からスタートしてもよかったのではないかと私は強く思うのですね。 と申しますと、いわゆる体の外面と表現させていただければ、これも非常に重要なので、人が何 か行動を起こしたり、しゃべったり、表現したり、旅行に行ったりいろいろなことをやるのは脳 で考えて、あとは筋骨格系で動くわけなので、どうしてもそこが大事になってくると思うのです ね。生活機能という言葉を使わせていただければ、その生活機能を健康な内面とともに維持する ということ、そして、精神面が加わって健康の維持・増進という形になると思うので、これが損 なわれてしまうと、やはりトータルで見て厳しい状況だし片手落ちかなと。  そう考えてみますと、例えば愁訴の中でも運動器というものがかなりありますし、それから、 私は実は脊椎を専門にしているのですけれども、現場で見ても患者さんがたくさんいらして、会 社に行けない、ないしはお子さんの面倒を見るのもつらい等々たくさんありますので、その辺に 何か分析し、検討し、手を差し伸べて策を練るということが非常に重要になってくるのではない かと。例えば、健康づくりをしましょうということで、これはどこかで申し上げたのですが、い い言葉だと思うのですが、1に運動、2に食事、そして禁煙、最後に薬と。運動というものを求 めるのは非常に大事ですし、心臓にも大事、糖尿病にも大事だと。だけれども、それには条件が あって、健全ないわゆる体の機能を持っていないとそれに対応できないということになって、そ れが今、御説明いただいた最後のところのスライド辺りにたくさん出たように、体の機能を司る ところがかなり多くの方々が疾病を持っていたりということがありますので、是非これは取り組 まなければいけない課題ではないかと思います。命に直接はかかわらないということはあります けれども、トータルで見た場合には多分それと同じくらいに大事になってくるかと思います。  1つは、そういう機能というものとともに、それにあるのはもう一つ痛みなんですね。例えば 腰が痛い、関節が痛いと。その痛みに対して、確かにアメリカでも既に取り組んでいるのですけ れども、我が国ではどうだということを見ると、ちょっとそこのところは目をつぶってきたかな という感じがあるので、そういう生活機能というか、筋骨格系のそういうものとともに痛みを是 非ピックアップして、何らかの評価を加えて実態調査から疫学からどの程度その痛みというもの でQOL、ADLに障害を負っていて、何しろ生活習慣病のところに対してそれがどの程度影響 を及ぼしている等々ということになると、是非是非次のステップとして何らかの方向を出すべき ときに来ていると思います。  いっぱいしゃべってしまって済みません。 ○久道座長 今先生がおっしゃったいろいろな慢性疾患というか、関節、筋骨格系の痛みのデー タというのは余り学会でも集めていないのですか。 ○戸山委員 今、私どものところでも、その評価法というのはどちらかというと機能的な形での ポイント制だったのですね。しかし、そういう時代ではないということで、患者さん側の視点に 立って、当然満足度とか痛みというものをたくさん入れた評価法には変えてきています。ただ、 それが全国レベルでどこまでかという細かいデータというのは、私たちの学会でもこれからとい うことだと思いますし、そんな状況だと思います。ただ、確かに痛みというところでそれをとい う患者さんは非常に多いと。ひざのことですと、うちのデータでは多分、レントゲン上での変形 性の変化は二千数百万人いて、症状があるのは多分糖尿病の患者さんと同じくらい八百数十万人 というデータは、まだ粗々ですけど出ています。腰が痛いという患者さんに関しても多分1,000 万人ぐらいがいらっしゃるのではないかと、アバウトですけれども、それは持っております。 ○久道座長 国民生活基礎調査で痛みのこともある程度調べていますよね。何か関連して数値は ありますか。ここの表に出ている以上のことはないですか。 ○岩崎疾病対策課長 これ以上は余り。割とフラットなデータの集積なものですから。 ○久道座長 そうすると、痛みの程度とかクロス集計とかそういうものは余りできない状況なの ですね。  ほかに何か。 ○内田委員 今、戸山先生から遅過ぎたのではないかというお話がありましたけれども、今回の この資料を拝見しまして、こういう視点でまとめられた、要するに慢性疾患で医療費や受療率、 患者数ということで対策が非常に進んでいるものと、取り残されたといいますか、光が当たらな いものとすべてを網羅的に、俯瞰的に出した資料というのは恐らく初めてで、これに対して何ら かの対策をとろうというのは非常にいい取り組みではないかと思っています。  一つ私が問題に思うのは、例えば、糖尿病対策とかあるいは特定健診・特定保健指導といった 取り組みが非常に進められているわけで、糖尿病対策では糖尿病対策国民推進会議もそうですけ れども、保健指導の中での指導もありますし、戦略研究が1、2、3という形で展開されている と。このように取り組みが非常に進んでいてお金もかけられている中で、まだ評価がしっかり出 ていない、あるいは見直しも進めなくてはいけないというような疾病対策と、一方で今、戸山先 生からもお話しのありました痛みとか関節疾患などほとんど光が当たっていないし、対策も非常 に遅れているだろうというものもございますので、そういったものに光を当てていこうという中 で、この委員会としては包括的に見るのか、それとも重点化をするのかということが、当然お金 の問題もありますし、医療体制とかそういう問題もありますので、どういう方向でいくのか。そ れから、もし取り組めるとしたら、ある程度具体化が進んでしっかり取り組まれているものと、 そうではなくて全く具体化が進んでいなくて姿形が見えないものとどちらに重点を当てるのかと いうようなことが、今回の中である程度の方向性を示すことができるのかな、示されていくのか なと感じています。 ○久道座長 今の重点化するのかどうかということも含めて、事務局にお聞きしたいということ もあるわけですね。その方向もここで決めるということもあるかもしれませんけれども。 ○岩崎疾病対策課長 まさに、内田先生におっしゃっていただいたように、両端の話が入ってい るので、我々としても困ったなとは思っています。一応、国がやることなので、こんなのはやり ませんという話はなかなか言いづらいというところがございますし、あと、他の先生からもお話 がありましたように、実はぽっかり空いている部分は今後やらなければいけないという話は、余 り抵抗感が国民にもないんじゃないかなと担当としては考えています。ただ、それをどうやって 魂を入れていくかという話と、糖尿病のように、もうちょっと進めたいというものを同時に我々 としては進めていければなとは考えています。 ○久道座長 ほかにございませんか。 ○春日委員 今、内田委員から糖尿病のことについて少し御意見をいただいたので、私も追加し たいと思います。ただいま御説明があったように糖尿病に関しては非常に精力的に取り組んでい ただいて、かなりのアウトラインはできたところだろうと思っていますけれども、ただ、こうい う生活習慣病といいますのは、最終的には患者さんあるいは予備軍の方の行動変容をもたらさな ければいけないという意味で、これは一人一人の糖尿病の患者さんでも非常に難しいのですけれ ども、そういう意味で結果としてまだなかなか出てきていないのかなと考えます。行動変容をも たらすためには、かなり小さな地域で地域連携を構築していかないとなかなか結果が出ないので はないかと思っています。そういう意味で、今かかっている網がまだ大き過ぎて、もう少し細か いところまで狭めることができたらなと考えております。ですから、糖尿病対策推進会議も都道 府県のレベルですので、まだ少し大き過ぎるのではないかと思います。  それと、更に今お話がありました評価については、私どもこれをやらないと意味がないという ことは常に考えておりまして、やる努力等を糖尿病対策推進会議でも行っておりましたけれども、 なかなか難しい、財政的な基盤とかいろいろなこともありますので、そういう意味で、もしもい ろいろな御援助をいただけるならば、評価ということを含めてやっていくことが重要だろうと思 います。 ○辻本委員 途中で退席させていただかなければなりませんので、一言申し上げたいと思います。  ただいま行動変容というお話が出されました。患者が行動変容するために何が必要かというこ とになれば「理解と納得」、つまり情報の共有とコミュニケーション。人と人の関係の中で行動変 容していくわけですから、患者の自立支援という形の仕組みをつくっていただきたいと思います。 糖尿病ないし生活習慣病という切り口で入っていくと非常にわかりやすいことを感じています。 国からのいわゆる上意下達という「上から目線」も勿論大事なのですけれども、やはり地域の中 で顔の見える、横並びの関係の協働の仕組みということをどうつくっていくか。その辺りが一つ のポイント。特に私自身もそうですけれども、現在700万人いる団塊の世代辺りは非常に扱いに くい人も多うございまして、この人たちが向こう30年間いわばこの対策の対象ということになる わけです。ですから、その人たちをどう攻略するかという視点も含めて、この協働の作業という 仕組みづくりを是非、実現していただきたいなと思っています。  実は、29ページの痛みのグラフを見せていただいて思いましたのが、私ども19年間4万5,000 人の方の声を聞くという電話相談を中心に活動を展開してきているのですけれども、特に痛みと いうことで言えば、中高年の女性の相談の多くがここに属しておりまして、痛みは取れるはず、 病院に行けば何とかしてくれるものだという思い込みで、その期待を裏切られたということの不 平不満、果ては不信感というたぐいの相談が届きます。ですから、そういった意味においても、 医療の限界や不確実性を患者の私たちがどう引き受けていくか、ないしは100点満点、完璧な医 療がないということをいかに賢く妥協しながら、賢くあきらめながら、賢く選択していくことが 必要、そのためには、やはり医療者の支援という協働作業の関係づくりにポイントがあるという ことにもつながっていく、そういうことも電話相談で感じています。  先般、ある糖尿病の男性患者さんだったのですけれども、すばらしい声を聞かせてくださいま した。かかりつけの先生を裏切ることができないから、自分が一生懸命努力してコントロールし ているという、ここに何かすべての答えを見るような思いもいたしましたので、私は仕組みづく り、関係づくり、情報の共有、コミュニケーション、そういったポイントで対策をつくっていた だきたいということをお願い申し上げたいと思います。 ○久道座長 今のコミュニケーションづくりは非常に大事なのですけれども、具体的にやろうと 思うと非常に難しい点がありますよね。私も実は毎週1回、がん患者の無料相談をやっていて、 1人20〜30分ぐらいかけているのですが、半分以上は医師と患者さんあるいは家族との意思の疎 通がないための不平不満ですね。それは恐らく命にかかわるがんでさえも説明不足が、あるいは 説明しているんだけれども十分とは感じないという患者側の受け止め方がありますよね。こう いった慢性疾患になりますと、ますます説明するには時間がかかるし、患者さんたち自身も多様 な訴えがありますよね。それに対応するための医療陣、特にドクターの時間がほとんどないと思 うのです。病院で1人の患者さんに10分説明するというのは至難の業ですよね。そういう問題が 現実にあるというときに、一体どうやったらいいのかなと。辻本委員は何か具体的にいいアイデ アはありませんか。 ○辻本委員 1人のドクターに期待するだけではなくて、まさに今日もここに委員としてお並び のそれぞれのコメディカルがいらっしゃるような、いわゆるチームということで取り組むことが、 この疾患に対しては一番早い道ではないかということを思います。  それから、患者会というお示しもございましたけれども、今までの患者会はどちらかというと ドクター、主治医を中心とした、ちょっと依存型の患者会が多く見受けられたように思います。 しかし、先ほど申し上げた、言葉も持ち、自分が一番正しいと思いがちな団塊の世代辺りは、や はり患者会ということの中でも自立的な動きをする傾向にあり、結構可能性を持っていると思い ます。ですから、単にドクターに依存するだけではない、勿論そのつながり、背後からの支援と いうことには大きな力をいただきたいと思いますけれども、学び合い築き合うというような、例 えば、語り合う場をつくったりなど。それから、もう一つは、先般私も拝見して感動してきたの ですけれども、千葉県立東金病院で取り組んでいる研修医サポートシステム。研修医、シニアレ ジデントが地域の人たちに糖尿病についてのレクチャーをし、市民がチェックする勉強会でした。 偉い先生が教えてくださる、偉い先生が相談に乗ってくださるのではなくて、先ほど横並びの人 間関係と申し上げたように、若いドクターになら気さくに質問もできて、自分の弱さもさらけ出 すことのできるというような語り合いの場づくりや仕組みづくりを、地域の中につくっていく。 何度も言いますが、団塊の世代辺りはそういったところでイニシアチブをとってグループづくり をしていくという能力は持っていますから、その辺の仕掛けづくりが必要ではないかなと感じて います。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  ほかにございますか。 ○井伊委員(代理:和田氏) 日本看護協会でございます。今、辻本先生のお話を伺いながら、 本当にそうだなと思いましたので、少し追加をさせていただければと思います。  慢性疾患の筋骨格系のところに焦点を当てて対策を進めていくということになると、2,000〜 3,000万人という膨大な患者さんの数が予測されるわけですし、私の父や母も整形に通い湿布を 張って、マッサージに行きという対処療法でしのぎしのぎ、加齢現象の一つとして受け入れざる を得ないような症状を抱えながら何年も何年も暮らしていく、そういう方たちが今度は対象に なっていくのだろうということを考えますと、この対策にどのくらい費用が国としてかけられる のだろうかということも非常に疑問になってまいります。  先ほど本当に医療的な判断が必要できちんとした治療が必要なものと、それから、自己管理に 移るものという区分けが非常に重要だとおっしゃったと思いますが、自己管理の方に移った群、 その方たちにはやはりむだな薬を飲んだり、べたべたと膏薬を張ったりという自己療法みたいも のでもかなりお金がかかるわけですから、そこのセルフマネジメントの能力をどのくらい上げて いけるのかというところに、何らかの手を打つべきではないかと感じます。  先ほど関室長さんが一番最初のパワーポイントのところで、慢性疾患の自己管理ガイドライン の日本看護協会出版会の資料の説明をしてくださったかと思うのですけれども、糖尿病もそうで すが、やはりセルフマネジメントの能力をどうやって一人一人につけていくのかという辺りのガ イドラインといいますか、プログラムのようなものは、先ほどもう米国で開発されている一つの プログラムがあると室長さんはおっしゃっていたかと思うのですが、やはり日本の中でもそうい うものがもう少しメジャーな形で普及啓発することにも力を入れていく必要があるのではないか と思います。  そこのセルフコントロールがうまくいけば、外来の受診の回数ですとか、入院の回数なども軽 減されてきて、長い目で見れば医療費が下がってくるというようなことも可能かと思います。そ このセルフマネジメントを向上させるためのガイドラインだけでなく、先ほど辻本先生のおっ しゃったような、そういうものをともに学べるような仲間と場が必要でしょうし、それをサポー トしていく、一緒に伴走していく専門職というものも必要かなと思います。日本看護協会は慢性 疾患の専門看護師や糖尿病の認定看護師なども資格認定しております。彼らが今非常に力を入れ ているのは、看護外来で1対1の相談もいたしますが、やはりグループ支援、グループダイナミッ クスを活用しながらの自己管理能力を高めていくようなサポートも先生方と一緒にさせていただ いているので、そういうことなどももっと普及していくような方針が出されたら、私どもとして ももう少しお手伝いができるのではないかと思いました。 ○久道座長 今、お金の話が出ましたけれども、今はわかりませんよね。答えようがないですね。 フリーディスカッションですから、何でもどうぞ。 ○岡村委員 先ほどからも幾つか話が出ているかと思うのですけれども、基本的に高齢化になっ たときに運動器と感覚器ですね。これは目とか聴力なども入ってくるのですが、そこの問題とい うのが、非常に有訴率は高いけれども対処法をどうするかというところで非常に苦労するところ が多くて、一般的に医療機関とやったときにも手術できる症例であれば対処があると。手術がも しできないとなると、結局対症療法になって、対症療法と手術の間をどうすればいいかというと ころが実は方法論がないので、そこを考えなければいけないのかなというのが一つ。  それから、例えば、アルコールとかたばこの問題というのは、恐らく感覚器や運動器でも共通 のリスクとして出てくると思いますので、例えば生活疾患病態対策をやっていますけれども、完 全に独立したものがあるわけではないだろうと思います。怖いのはまた別の調査票が下りてきく ること、今例えば現場で介護の問診をとり、がんの問診をとり、メタボの問診をとりというのが 並列して走っているのですけれども、恐らく組み込めるものは一緒に組み込んでしまうと、先ほ どのコストの問題とか考えたときに効率的にいけるのかなと思っているところがございまして、 特に感覚器と運動器の集約研究は、我々の疫学公衆衛生の領域でも、ほとんどががんと循環器を やっている人が多くて、あとはその他扱いに今までなっていますので、そこの部分の研究が非常 に必要なのかなと考えます。 ○久道座長 今、岡村委員がおっしゃったその他の研究領域というのは、研究費も出ないのです よね、取れないんでよすね。この委員会で何か出せば、その認識が変わってくる可能性はありま すよね。 ○池田委員 私は今、薬学部で公衆衛生学、医療経済あるいはQOLなどの問題について研究・ 教育しております。  今のいろいろな御議論で大変勉強になったのですが、どんなふうに対策を立て、充実させるか という問題もあるのですが、この中でどの疾患に光を当てていくか。光を当てるということは逆 に何かを切り捨てるということにもなってくるので、なかなかその選択というのは難しいもので はないかと思っているのですが、先ほど御説明いただいて、大変多くの外来患者さんがいるにも かかわらず、今まで対策が十分でない疾患がいろいろあるということを聞いて大変衝撃を受けた わけですが、疾患の患者さんの数というのは、もしかしたら疾患のくくりとか分類を変えると順 位というのは変わってくるので、上から採用すればいいという機械的なものではないだろうなと いうこともあって、患者さんの多さに着目するというのも重要なのですが、それだけでは済まな いのかなという気もいたしました。  あと、死亡者数のデータも見せていただいたのですが、恐らく慢性疾患ですと長期に障害を抱 えて長く苦しんでいらっしゃるような患者さんが含まれてくると思うので、何か慢性疾患の患者 さんのそういった障害というものをうまくとらえられるような評価法があれば、なおこういった 対策を立てるための基礎的なデータとしていいのかなという気がしております。  例えば、WHOでは以前、いわゆるDALYs、障害調整生存年とかあるいは疾病負担というもの の計算法などを出しておりますので、あるいはそれに近いものが日本でつくれないかなというこ とを感じました。  また、患者数の多さとか死亡者数以外の視点で、個々の患者さんの目線に立ちますと、恐らく 少なくとも1人当たりの患者さんにとってのQOL、障害が非常に重いというような病態、当然 一部のものは特定疾患というか、難病の方で対策が立てられているわけですけれども、そこには 含まれていないようなものも恐らくあるのではないかという気がいたします。一人一人に立った ときのQOL、障害がどの程度おありなのか、あるいはそれでどのくらいの療養期間があるのか というところについても、それぞれの病気あるいは疾患群について何らかのデータがあれば、そ ういった議論もできるのかなと思いました。  あるいは、いわゆる患者さんにとっての医療費の負担の問題です。例えば、リウマチの患者さ んは今は大変いいお薬もできていて、例えば、生物学的製剤などでかなり患者さんの病態あるい は重症度等の改善が期待できると聞いておりますが、大変高いのでいろいろな補助はあっても十 分にそういった薬剤を使えるような人ばかりではないということは同僚の医師などからも聞いて おりますので、そうした高額薬剤等がどんどん開発されているような領域、大変治療法の進歩と いう点ではいいのですが、すべての患者さんがそういったものに適切にアクセスできるかどうか というところも考えていかなければいけないのではないかと思いました。  また、医療費の問題も重要なのですが、個々の患者さんにとってお仕事を休んで、いわゆる生 産性の損失あるいは御本人にとっての生活の問題、そういったものが多い疾患はどれなんだとい う視点からも疾病を評価していく必要があるのではないかと思います。  恐らく適正な予防法があるのにそれが十分に行き渡っていない領域、一次予防、二次予防を含 めまして、そういった領域もあると思います。あるいは最前の治療法というのが例えばガイドラ インでは示されているけれども、現場では専門医が足りないとか、あるいは先ほど申しましたよ うな経済的な負担が大きいので十分にアクセスできない、そうしたエビデンスと実際の診療の ギャップが大きい疾患というのが恐らくあるのではないかと思います。そういったものに是非、 光を当ててはどうかというのが私の今のところの意見ですが、ただ、どうやってそういう疾患を 把握していくかということは勿論非常に大きな課題だと思います。今回お示しいただいたデータ の中だけでは、そういった議論は十分エビデンスに基づいてできないと思いますので、今後そう いった障害の程度であるとか、患者さんのいわゆる負担の問題、コストの点も含めまして、そう いったものについてデータを収集していく、調査をかけていくといった仕組みも今後、整備して いく必要があるのではないかと感じました。  以上でございます。 ○久道座長 今の池田委員がおっしゃった死亡率の高さあるいは訴えの高さ、どうやって区別し て評価するかというのは重要ですよね。Quality adjusted life yearsというのがあると思うの ですが、例えば筋骨格系疾患で動けない人、寝たきりにはならないけれども外出できないという 人の場合は、クオリティはちょっと落ちると思うのです。そういう評価の仕方をいろいろな疾患 ごとに、特に慢性疾患でやってみるというのも必要だと思うのですが、そういうデータはありま すか、余りないですかね。 ○関生活習慣病対策室長 先ほど池田委員がおっしゃったDALYsの問題ですとかQALYs、それぞ れにかなり時間をかけた、1つはそのデータを扱える専門家が必要だということと、作業の仕方 にたけた方が必要で、かつ、データベースもかなり細かいものが必要なので、どこかで割り切る にしてもなかなか横並びで各国比較できない中で、WHOではそういう限界がある中でも出して いる資料がありますから、そういうものがどういう形でつくられているかということを研究して みて、お出しできるものはお出ししたいと思います。 ○久道座長 日本でもできればそういうデータを出していただいた方が、ことの重大さを比較で きると思うのですよね。  あと、押野委員が残っているのですけれども。 ○押野委員 一言言わないと帰していただけないということで、一言。  私は日本栄養士会として、この慢性疾患はまさに栄養が予防に一番効果があるのではないかと 言いたいのですが、ただ、今回の慢性疾患対策として先ほど疾病対策課長さんがおっしゃったよ うに、糖尿病やCKDのように、重点化していくことがもっともっと必要だと。国が5年くらい 前に進めた方がいいですよと言ったことが、私の出身地は石川県なのですが、やっと今、病院と 診療所の糖尿の先生方が手をつないで患者さんのやりとりをして、医療の質を高めようではない かと動いているわけです。国にしたらそういうことはとっくにやられているのではないかと思わ れるかもしれませんけれども、実際に現場で見るとそういう状態だということを考えていくと、 私は糖尿病のすばらしい対策が今、国で進められているものをもっともっと進めていただきたい と。そして、こつこつと時間をかけてやっていくと、着実に効果は上がっていくだろうと思いま すし、そういうふうに進んでいくのが慢性腎疾患対策ではないかと思います。  そういう中で、健診の受診率を上げていくためにどうしたらいいかという、小さい一つ一つの 課題を詰めていただけたらなと思いますし、もう一つは、新たな取り組みとして慢性疾患として おっしゃった筋骨格系、かつて骨密度が非常に女性の皆さん方に人気がありまして、健診をする ときに骨密度測定をすると受診率がどんと上がりました。今その骨密度というのは遠くなりまし たけれども、現にほんの数日前ですが、私たちの仲間が自転車に乗って転んで大腿骨骨頭の骨折 だと。70歳近くの女性の方で手術して対応していくわけですけれども、実際には骨密度を高める ためには若いころからの生活が大事だということになれば、そういう対策も私は進めていかなけ ればならないのではないかと思います。  そして、最近、厚生労働省は疾病対策について、まさにセルフコントロールがかなめのような 進め方をしているわけです。患者さん、対象者、国民一人一人が自分の健康を自分で考えていけ るように進めていくというのがこれまで進めてきた方法だと思いますし、私はその方法に間違い はないと思います。これまでは情報を提供していたかもしれませんけれども、これからは知識を きちんと提供していくことが大事なのではないかと。そのために、先ほどちらっと生活習慣病対 策室長がおっしゃった自己管理のためのガイドラインが提供できていくというのも大きな柱に なっていくのではないかと思いました。   ○久道座長 どうもありがとうございました。  ほかに何か追加の御意見はございませんか。  では、私から。この検討会の対象とする慢性疾患の中に、いわゆる歯の病気、歯周病等が入ら ないのかどうか。外来通院率の上位傷病に歯の病気が男性で3位、女性で4位になっているので すけれども、今日のメンバーの中には歯科医師会からの人がいないのですね。多分この状況を見 ると、歯科医師の先生方は不満で不満でしようがないだろうと思いますので、私が気を遣って発 言をしているのですが、歯周病というのはかなり頻度の高く、歯科診療で虫歯を入れると9割5 分以上はその疾患で占められていると言われているのですが、その対象に入るか入らないかとい うことを事務局にお聞きしたいと思いますが、いかがですか。 ○岩崎疾病対策課長 慢性疾患としては勿論入っていて、ここで主な資料がないのは、既に対応 されている疾病については仲間外れと言ってはいけませんけれども、むしろ今政策から仲間外れ になっている病気を対象にということですから、例えば精神の先生もいらっしゃいませんし、リ ウマチの先生とか腎の先生がいないというのは、既にされているのでという仕切りをさせていた だいております。 ○久道座長 では、歯周病は対応をされているのですね。 ○岩崎疾病対策課長 随分されていると聞いています。もっとというのは勿論あると思いますけ れども。 ○久道座長 わかりました。更なる充実はそれとして。いや、心配されているかもしれないと ちょっと思ったものですから、了解いたしました。  ほかに何かございますか。まだ時間はありますので。 ○内田委員 今、対策がされているものは取り上げないという話でしたけれども、では、たばこ も一応対策がされているという認識でよろしいんでしょうか。 ○関生活習慣病対策室長 たばこは繰り返し繰り返し、十分か不十分かという議論はありますが、 ある意味常に意識に上って、常に模索しているという意味では、対策がされているかどうかとい うことは別として、課題の非常に大きなところにあるのではないかと思っております。やはり食 事の問題、運動の問題、たばこの問題というのは健康づくりの中で3つの大きな取り組みですし、 かなり地道に、かなり頑張らなければいけないと思いつついつもやっているという面では、取り 組みの中心にはあると思っています。 ○内田委員 別の話でもう一点よろしいですか。  この生活習慣病対策で先ほど行動変容とかありましたけれども、去年スタートしました特定健 診・特定保健指導の取り組みというのが非常に画期的な新たな取り組みとして位置付けられて、 この取り組みを進めるということは生活習慣病対策の中でも非常に大きな柱になると思っていま すし、その辺をにらんでの政策の転換であったと思っています。  これが先ほどの行動変容で患者との情報共有であるとかコミュニケーションであるとか、動機 付けのところが非常に重要だという話でしたが、この保健指導という部分がきちんと対応されれ ば、かなりのことは解決されるのではないかと思っています。ですから、今本当に必要なのは、 新たな仕組みをつくって立ち上げて動かすということではなくて、特定健診・特定保健指導の特 定保健指導の部分について、どう活性化するかということの現状の把握と今後の展開についての 具体的な方策を立てるということが物すごく重要なことではないかと考えています。  これが個別の対応での患者さんあるいは特定保健指導の対象者に対しての対応という点で、人 対人のつながりもつくっていきますし、行動変容の動機付けという点でも非常に大きな役割を果 たしていく。特に、これまでの行動変容というのは、ただ押しつけて義務としてやって、それが 治療の成果になっていくかということであったわけですが、これからは楽しみとしてやりがいが あって、喜びになるような行動変容という提示をしていくべきだと思っているのですね。そうい う質の変化をもたらすような中身を具体的に提示していくというようなことで行動変容の効果を 上げていく、そして、糖尿病対策にもつなげる、あるいはメタボ対策にもつなげるということが 必要になってくるのではないか。特定健診・特定保健指導は非常に問題もたくさん抱えています けれども、具体的にそういうところの取り組みを展開していくというのは、今後の対策の中で既 に取り組まれている中での評価と新しい展開ということでは非常に重要ではないかと思っていま す。 ○久道座長 そうですね。特定健診・特定保健指導が始まってまだ1年ちょっとですから、問題 点もいっぱいあるし、見直しもしなければならんということがいろいろ出てきていると思います けれども、その指導の部分を特に充実、拡充するというのは大事だと思いますよね。  ほかに何か御意見ございませんでしょうか。 ○福井委員 慢性疾患は、例えば、筋骨格系及び結合組織など、患者数が多くて医療費もかなり 使っているというデータは示されましたが、ほとんどがすぐに命にかかわる病気でありません。 また、完全に治る病気でもないということになると、慢性疾患がどれくらいよくなったかは、先 ほど池田先生、久道先生がおっしゃいましたが、QOLの測定に頼る部分が多くなると思います。 それとの兼ね合いで、コストセービングがどうなるかということになりますので、慢性疾患に対 するアプローチの重要性を今後多くの人に示していく上では、QOLの測定はどこかの時点でや らないとアピールしないのではないでしょうか。何よりも特定の施策を行ったときの有効性をど うやって知ることができるのかにもかかわりますので、DALYsにしてもQALYsにしても、重要性 が増すものと思います。 ○久道座長 ほかに追加はございませんでしょうか。  今日は初めての会議で、フリーディスカッションということでしたので、会議が始まってから 突然皆さんに発言を一人一人求めますよと言ったせいもあるのでしょうが、用意されてこなかっ た方もいるかと思います。帰られてからまた今日の議事録を読んでいただいて、言い足りなかっ たこととか、あるいは問題がもう少しありそうだということがあれば、後で事務局にでも御連絡 していただければいいですし、また、次回にまとめて発言していただくということがいいのでは ないかと思います。 ○上田健康局長 よかったら委員の皆さんから、次回に提出する資料や、あるいはお持ちの資料 を出していただいてもいいかと思いますが。 ○久道座長 今、局長さんから発言がありましたが、事務局に次回までにまとめて出してくれな いかという資料がありましたら、この場でおっしゃっていただいてもいいですし、あるいは後で 気がついたら連絡していただければいいと思います。それから、自分の領域の関連でこういう資 料があるので、是非この検討会に出していただきたいということがあれば、それもとめることは ありませんので進んで出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。今ここで事務局に お願いしておくようなことはございませんか。 ○関生活習慣病対策室長 QOLの関係でこちらで重点的に調べてみて、どういう形でお出しで きるか次回までに研究しておきます。 ○久道座長 人工透析の患者さんが思うようにやられているかどうかという資料はあるのですか。 要するに、距離的な問題とか、自分の町にそういう施設がないとか、そういう町はありますよね。 人工透析をしなければならない患者さんがスムーズにそれを受けられているのかどうかという実 態はわかりますか。 ○岩崎疾病対策課長 先生がおっしゃっているストレートな資料があるかどうかわかりませんけ れども、透析会は相当情報を集めておられますので、その中でもしあれば次回に御提示したいと 思います。 ○久道座長 糖尿病の合併症のところにどうしても出てきますし、腎臓疾患のところでも出ます のでちょっと知りたいなと思ったものですから、もし調べられるようでしたらお願いします。  ほかに何かございませんか。 ○春日委員 先ほどの内田委員の御指摘に関連するのですけれども、特定健診は1年間やられた だけですが、そのときの実際の成績というかデータというのは既にまとまっているのでしょう か? ○内田委員 11月ぐらいですね。 ○春日委員 そういうものがあれば、非常に参考になるんじゃないかと思ったことと、あと糖尿 病に関しては、4疾患ということで各都道府県で中核病院等の設定が行われていると思いますが、 その辺の整備状況といいますか、各都道府県においてどの程度それがなされたかという資料があ れば出していただければと思います。 ○久道座長 糖尿病にも拠点病院というのはあるのですか。 ○関生活習慣病対策室長 拠点病院という形で明示的にはないのですけれども、実際に地域医療 計画の中でどう書いているかというのがあって、さっきの4疾患5事業の4疾患部分について具 体的にどのように書いてあるかというのをレビューしたものが医政局に若干あると聞いています ので、それを研究してみます。 ○戸山委員 私が冒頭でお話ししたように、多分、健康局が国民の健康というものを一番上に向 かっていろいろな施策を設けてきて、それで今何が足りなくて、何をそこに注入しなければいけ ないかというのが一番大きな課題だとすると、おのずとその中から少しずつ見えてくるのではな いかと。それはお金のこともありますし、期間のこともありますし、それから、当然お金をそこ に入れるということであれば、福井先生がお話ししたようにしっかりした有効性評価もつけなけ ればいかんと。それは多分、健康日本21でもそうですし、新健康フロンティアもそうだと思うの ですね。ですから、その辺を含めて一つ私がお聞きしたいのは、どのくらいのインターバルとい いますか、10年なのか5年なのか、どのくらいのプロジェクトで一番上の国民の健康づくりに対 して、生活習慣病が動いてきた、がん対策が動いてきた、ここでもう少し足りないものを注入し て本当に日本の国民に健康なものをということになると、どの辺までかなと思うのですね。非常 に短期でちょっと足りないから今まで日が当たらないところを少しという程度なのか、本当に大 きなところに向かって動いているのかという、その大きさは答えられないかもしれませんけれど も、難しい質問で申し訳ありませんが。 ○岩崎疾病対策課長 まさに先生がおっしゃられるような、我々はいろいろなプロジェクトを動 かしてきたということですけれども、今回例えば、慢性疾患のがら空きの疾病を扱うとすると、 結構いろいろなことを考えなければいけないのではないかと思っています。ですから、我々に既 に青地写真があってこうしたいというのがあるというよりは、むしろ専門家の先生方の御意見を いただいて、ゴール設定も含めて今後どうするのかと。ゴール設定できない種類のものも多分あ るんじゃないかと思いますので、そこは改めて更なる検討というのが今後もしキックオフという ことになれば必要になるんじゃないかと考えております。 ○池田委員 十分理解していないのかもしれないのですが、これまで施策の対象となっている疾 患は扱わないのではなくて、それが十分かどうかということの評価も含めて、不十分であれば更 にそこにも深堀り対策の充実というようなことで理解してよろしいのですよね。そうなりますと、 例えば、これまで行われて恐らく一定の成果が出ていると思うのですが、腎疾患対策とかリウマ チ・アレルギー対策といったものについての政策評価の結果で既に出ているものがあれば、参考 までにそういったものを拝見できると、ここはとりあえず充実しているので十分だと考えるのか、 あるいはそこはもう少々追加的な対策が必要だといくのか、それによっていろいろな優先順位等 が変わってくるのではないかとも思うのですが、もしそのようなものがあれば。先ほどの特定健 診・保健指導はまだ評価できる時期にないということは理解いたしましたが、ほかのものについ ては評価が出ているものもあるのでしょうか。 ○岩崎疾病対策課長 腎疾患もアレルギーもちょうど今動いているところでございます。特に腎 疾患については戦略研究で動いて2年目で、あともう1年というところなので、中間的なことを 申し上げますと、先ほど押野先生がおっしゃるように、相当栄養士の方がかかわって、文化と言っ たらいいのかなと思っているのですけれども、私たち栄養士が頑張ると随分透析に行かないんだ なというのを、それは学問的にはわかっていることなんでしょうけれども、実感としてお持ちに なっていただき始めたという報告は受けています。ですから、それをどうやって紙にして世に報 告するかという作業を今ちょうどしておられるところだと思いますので、それはまた追っていろ いろな形で公表したいとは思っておりますので、今はなかなかそういうものが得られないという 状況でございまして、ちょっとタイミングがずれてしまっているところです。 ○池田委員 リウマチ・アレルギーの方はいかがですか。例えば、悪性関節リウマチでしたか、 あれは特定疾患の方でカバーされていると聞いていますが、それ以外のものについてはどんな状 況で、どんな評価になっているんでしょうか。 ○岩崎疾病対策課長 先ほど池田先生もおっしゃいましたように、リウマチワールドは相当変 わってしまったと聞いていまして、生物製剤が出て相当よくなってしまったと……、プロにお伺 いした方がよろしいですね。 ○戸山委員 免疫アレルギーの方も少し関係しているのですが、かなり様変わりしてきて、リウ マチは今日本で60〜70万ということで、生物製剤は先ほどお話もありましたけれども、確かに高 いお薬ですが、根本から重症化の患者さんが少なくなる方向には間違いなしに動くということか と思います。あと、全国でそういうリウマチ専門医を配置するとか、ガイドラインとかいろいろ なことができ上がっております。あと基礎研究に関しましてもかなりそこで動いておりますから、 日本の中での行政では、リウマチはかなりいいところにいっているのではないかという思いはあ ります。 ○久道座長 ほかにございますか。 ○岡村委員 先ほど既存の対策と重複する部分もという話も少ししたのですけれども、運動器だ と所管する局が違うのですが、例えば介護予防であるとか、市町村で包括支援センターみたいな ものが置かれていたりするのですけれども、それも運動器対策とかしていくときにはどこまでが 医療で、どこまでが介護だという区別が非常に難しいのですけれども、結局末端に下りてくると 同じ担当者がやっていたりするので、その部分は非常に難しいところがあると。特に、市町村と か医師会さんになりますと同じ人が皆やると。当然、対象者もそこは微妙にかぶってくるので、 整理がつきにくいところが若干あるので、既存の枠組みの中でこの対策をどう乗せていくかとい う視点が必要になってくるということを、介護も方もありますので言っておきたいと思います。 ○久道座長 外来患者数上位30疾患のところの消化器疾患2疾患というのがありますよね。この 2疾患というのは何ですか。 ○関生活習慣病対策室長 17ページを見ますと、11番に胃炎及び十二指腸炎というのがあって、 17番に胃潰瘍があるのですが、単純にカウントするとこの2つです。 ○久道座長 わかりました。  ほかにございませんでしょうか。ちょうど時間が10分前で、やめてもいいころになりましたの で、皆さんからの御意見はこれで終わりにしたいと思います。今日もいろいろ御意見をいただき ましたので、今後検討すべき事項を事務局で整理していただいて、また要求していただいた資料 も加えていただいて、次回の会議でもう少し深めたいと思います。  次回の日程等について、事務局から御連絡をお願いいたします。 ○関生活習慣病対策室長 次回の日程につきましては、あらかじめ調整させていただいておりま すが、7月15日の13時からということで、本日と同じこの航空会館での開催となっております ので、よろしくお願いいたします。短期間の間にということもございますので、また今日いただ いた宿題ないしは討議の延長戦上にあるような事項について、また個別に電話やメールなどで委 員の皆様方と御連絡させていただきながら、2回目の議事の運びについて、勿論、久道先生とも 相談させていただきながら準備してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○久道座長 それでは、今日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。