09/06/30 平成21年度第1回目安に関する小委員会議事録           平成21年度第1回目安に関する小委員会議事録 1 日 時  平成21年6月30日(火)15:15〜16:15 2 場 所  中央労働委員会講堂 3 出席者   【委員】 公益委員  今野会長、勝委員、野寺委員、藤村委員    労働者委員 石黒委員、田村委員、團野委員、萩原委員        使用者委員 池田委員、小林委員、高橋委員、横山委員、   【事務局】厚生労働省 氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、              山口主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、 平岡課長補佐 4 議事内容 ○今野委員長  ただ今から、第1回目安に関する小委員会を開催します。本日の議題は「平成21年度地 域別最低賃金額改定の目安について」です。本日以降の目安に関する小委員会の公開につい て、お諮りしたいと思います。従前より中央最低賃金審議会運営規程第7条第2項を準用す る同規程第7条第3項に基づいて、議事録は原則公開としていますが、会議については「率 直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」等に該当 することから、同規程第6条を目安に関する小委員会においても準用することとして、これ まで非公開としています。今年度も同様の取扱いにしたいと考えていますが、よろしいでし ょうか。                     (了承) ○今野委員長  では、そのようにさせていただきます。それでは最初に事務局から資料No.1の「主要統計 資料」について説明をお願いします。   ○吉本勤労者生活課長  それでは御説明申し上げます。資料No.1「主要統計資料」は、大きく3つのパートに分か れていますが、これは例年同じ項目でお出ししているものをアップデートして今日お出しし たものです。「I 全国統計資料編」、「II 都道府県統計資料編」、「III 業務統計資料編」と、 大きく3つのパートに分けています。以下、ポイントを御説明申し上げたいと思います。  「I全国統計資料編」ですが、1頁で「主要指標の推移(その1)」ということで、GDP、 鉱工業生産等の動きを見ています。GDPの前期比は平成20年において名目-1.6%、実質 -0.7%ということで、いずれもマイナスです。平成21年の第1四半期についても名目-2.7%、 実質-3.8%ということで、マイナス幅を広げているところです。鉱工業生産は、同じく平成 20年は前期比-3.4%、平成21年の第1四半期は前期比-22.1%とマイナス幅を広げていた ところですが、平成21年3月、4月を御覧いただくとプラスに転じているところです。  製造工業稼働率も、平成20年は前期比-4.1%、平成21年第1四半期は前期比-27.2%で したが、平成21年3月、4月はプラスで持ち直しが見られています。倒産件数は、平成20 年は前年比11.0%増、平成21年第1四半期は前年比13.5%増でしたが、このところ増加幅 がやや小さくなってきて、5月は前年比-6.7%となっています。  完全失業者数は、本日新しいデータが入ったところですが、平成20年は前年差8万人増 ということで265万人、平成21年第1四半期でもプラス、その後も急速に前年差で増加し てきたところで、最新の5月の数字で347万人の失業者数になっています。完全失業率で見 ても同様の傾向です。平成20年が4.0%、最新の平成21年5月で5.2%になっています。  2頁ですが、求人倍率も本日は新しい数字が入っています。平成20年のところで新規求 人倍率1.25、有効求人倍率0.88と前年からかなり低下したところですが、その後、更に低 下を続けている傾向です。最新の5月では新規求人倍率0.75、有効求人倍率0.44となって います。消費者物価指数で持家の帰属家賃を除く総合指数ですが、平成20年は1.6%増と 前期比でプラスでしたが、その後、平成21年に入ってマイナスになっています。平成21年 4月、5月も下落の傾向が続いているところです。国内企業物価は平成20年が4.6%増でし たが、これも平成21年に入って下落の傾向が続いているところです。  賃金は現金給与総額で、毎月勤労統計調査によって見たものですが、平成20年で見ると 名目指数で前期比-0.5%、実質指数で前期比-2.1%といずれもマイナスです。平成21年第 1四半期も同様にマイナスです。製造業も平成20年の名目指数は、わずかにプラスでした が、それ以外はマイナスで、特に平成21年第1四半期にはマイナス幅が調査産業計より大 きい傾向にあります。  3頁ですが、有効求人倍率の推移をランクごとに見たものです。全体の傾向は全国平均と 同様で、平成19年から平成20年は低下し、さらに平成21年に入って急速に低下していま す。ランクごとに見ると、Aランクが一番高いわけですが、やや凸凹があって、Dランクが 一番低い状況です。  「年齢別常用求人倍率」ですが、50歳以上の年齢層は平成19年から平成20年でやや上 昇していますけれども、それ未満の年齢層、特に25〜44歳あたりの年齢層においては前年 よりかなり低下している状況にあります。  5頁で、「賃金・労働時間の推移」ですが、賃金は毎月勤労統計調査で見たものです。現 金給与総額で御覧いただくと、平成20年は先ほど御覧いただいたように前年比-0.5%で、 いずれの規模においてもマイナスです。また平成21年に入ってからマイナス幅が大きくな っています。ただ、規模ごとに見ると30人以上の方が、5〜29人規模のところよりも減少 幅が大きい状況です。定期給与額についても同様にマイナスが続き、平成21年に入ってか らそのマイナス幅が大きくなっています。規模の傾向についても概ね同様です。  6頁で「パートタイム労働者比率の推移」です。平成20年は、30人以上規模でわずかに 低下、5〜29人でやや増加でしたが、平成21年に入ってからは概ねやや増加の傾向で推移 しています。  7頁で初任給の状況です。これは労務行政研究所の出したもので、平成21年度について はまだ速報値ですが、平成20年度は、ここ数年の中ではかなり大きめの上昇額、上昇率で した。それに比べて平成21年度は、率にして0.1%あるいは0.2%の上昇となっています。  8頁で「賃金・労働時間指数の推移」です。8頁にあるのは30人以上の規模を毎月勤労統 計調査で見たものです。所定内給与の指数は平成20年で前年比-0.5%、平成21年に入って からも前年比-1.7%です。所定内労働時間についてもマイナスが続いています。平成20年 は前年比-1.0%、平成21年第1四半期は前年比-2.7%です。時間当たりの所定内給与で御 覧いただくと、平成20年は前年比0.5%増、平成21年第1四半期前年比は1.0%増といっ た状況にあります。所定内労働時間のマイナス幅の方が大きかった影響によるものです。  9頁ですが、同じ指数を5〜29人規模について見たものです。所定内給与はマイナス、所 定内労働時間もマイナスということで同様の傾向ですが、所定内給与のマイナス幅が30人 以上規模よりやや小さいことが傾向としてあり、時間当たりの所定内給与の前年比がやや大 きくて1.2%増、平成21年第1四半期は前年比1.6%増となっているところです。  10頁は賃金構造基本統計調査により、一般労働者、すなわち短時間労働者以外の労働者 について同様に見たものです。10人以上の規模全体で見ると、所定内給与額は平成20年で やや減少し、所定内労働時間も減少ということで、時間当たり所定内給与にすると前年比 0.1%減の状況です。10〜99人規模、5〜9人規模においては、所定内給与が若干増加してい ます。また所定内労働時間はマイナス、あるいは変わらないといったことで、時間当たりの 所定内給与にすると10〜99人は前年比+0.6%、5〜9人は前年比+0.2%といった状況にあり ます。  11頁の「月間労働時間の動き」ですが、所定内労働時間はマイナスの傾向が続いていま す。平成20年は30人以上規模で前年比-1.0%、5〜29人規模で前年比-1.3%です。所定外 労働時間は更にその減少幅が大きい傾向にあり、平成20年は30人以上規模では調査産業計 で前年比-2.8%、製造業で前年比-6.3%でしたが、マイナス幅が徐々に大きくなっていて、 4月時点では、一番下にありますようにそれぞれ調査産業計で前年比-22.8%、製造業で前 年比-46.8%です。5〜29人規模でも概ね同様の傾向です。  12頁で「春季賃上げ妥結状況」です。これは連合、日本経団連から、それぞれデータを 御提供いただいたものを掲載しています。連合のデータによると、平均賃上げ方式(加重平 均)のところで規模計を御覧いただくと、前年が1.97%増であったのが、今年、中間集計 ではありますが1.72%増です。右の日本経団連のデータで御覧いただくと、大手企業平均 賃上げ方式(加重平均)によると、昨年1.95%だったものが、1.81%増です。中小企業に おいては1.65%だったものが、本年は1.42%です。  13頁は、私ども厚生労働省で調べた春季賃上げ率の推移を載せています。ただし、これ は平成20年のデータが最新のデータですので、御留意いただきたいと思います。御覧いた だくと平成20年は全国で1.5%増、ランクで見るとAランクが高く、Dランクがやや低い傾 向にあります。大企業の賃上げ率は平成20年は2.0%となっていました。  14頁は厚生労働省の賃金引上げ等の実態に関する調査により、平均賃金の改定額、改定 率等をみたものです。平成20年は賃金の改定率で御覧いただくと、加重平均で1.7%増、 単純平均で1.5%増です。改定に当たって最も重視した要素を御覧いただくと、企業業績が 多いわけですが、引き下げる企業では、雇用の維持を重視するのが大きい傾向にあります。  15頁は「夏季賞与・一時金妥結状況」で、これも連合、日本経団連からそれぞれ御提供 いただいた数字を掲載しています。連合の方の数字で夏季、年間とありますが、回答月数、 回答額、それぞれ前年に比べるとマイナスになっています。日本経団連の第2回集計による と、総平均のところでアップ率は-18.28%になっています。特に製造業の方が-22.33%と大 きいマイナスになっています。  16頁は消費者物価指数の推移です。先ほど御覧いただいたように、平成20年においては 上昇したわけです。Aランク、Dランクで見ても上昇ということですが、Cランク、Dランク で比較的高くなっている傾向にあります。それが平成21年に入り、月によって傾向は異な りますが、どのランクで見てもプラスが小さくなり、マイナスになっているといった大まか な傾向があります。  17頁は地域別最低賃金額(時間額)、未満率及び影響率を最低賃金に関する基礎調査で見 たものです。平成20年度については未満率が1.2%、影響率は2.7%で、影響率としては近 年においては一番高い数字になっています。  18頁は同じく未満率、影響率のデータですが、賃金構造基本統計調査特別集計で見たも のです。やや水準は異なりますけれども、傾向については影響率が1.8%ということで、近 年では高い状況になっています。  19頁は地域別最低賃金と実際の賃金の水準の関係を見たものです。賃金構造基本統計調 査の一般労働者、すなわち短時間労働者を含まない数字で見ています。平成20年で時間当 たり所定内給与は前年に比べてややマイナスです。10〜99人規模のところを見ていただく とややプラスといった状況ですが、その右側ではそれぞれに対する最低賃金額の割合を時間 額比で見ています。時間当たり所定内給与の下げ率、あるいは上げ率を上回るだけ最低賃金 が上がったということで、時間額比にすると平成19年から平成20年にかけて上がっている ところです。  20頁は、同様のデータを短時間労働者について見たものです。短時間労働者については 男女計、女性に分けて見ていますが、規模でも分けて見ています。いずれにおいても時間額 の所定内給与は、平成19年から平成20年にかけてプラスですが、一方で、最低賃金の方も 上がったということで、時間額の比率で見ると、少しずつ大きくなっているということです。  21頁では同様のデータを、毎月勤労統計調査のパートタイム労働者も含む数字で見てい ます。毎月勤労統計調査によると、時間当たりの所定内給与が(7)のところですが、前年に比 べてプラスになっています。また、最低賃金との割合ということで見るとやや上昇になって います。  22頁以降は企業の業況判断及び収益等に関するデータを付けています。日銀短観による 業況判断等ですが、平成20年は時間を追うごとに、DIで見てマイナスが目立ってきている 傾向にありました。平成21年3月は規模の計で製造業は-57ポイント、非製造業は-38ポイ ントです。それほど大きな違いはありませんが、規模別に見ると中小企業、また業種で見る と製造業で、よりマイナスが大きくなっている状況です。  23頁は「経常利益増減」です。平成20年度計画によると、製造業では前年比で-60%と 大きなマイナスです。非製造業は-25.5%となっていました。平成21年度計画では、平成 20年度計画に比べるとややマイナス幅が小さいとはいえ大きなマイナスです。非製造業に おいては-2.9%となっています。  「売上高経常利益率」については、平成20年度計画は前年度に比べて、製造業、非製造 業とも低下しています。また平成21年度計画において製造業は更に低下、非製造業は横ば いといった状況になっています。  24頁及び25頁は、22頁及び23頁の数字を時系列でグラフに表わしたものです。特に24 頁の業況判断の推移で御覧いただくと、これが出ているのは1974年以降ですが、今回の調 査ではその期間においてマイナスの数値が一番大きくなっています。25頁も御覧のとおり です。  26頁は中小企業庁の「中小企業景況調査による業況判断(DI)」です。これにおいても平 成20年でマイナスがどんどん大きくなる傾向があり、平成21年3月で-60.0ポイント、6 月はややマイナス幅が減って-54.4ポイントとなっているところです。今の表をグラフにし たものが次の27頁にあります。平成21年3月から6月にかけて、やや持ち直していること が御覧いただける状況になっています。  引き続き「II 都道府県統計資料編」を御覧ください。28頁です。県民所得の状況ですが、 これは東京を100としたときに、各都道府県が幾つになるかを御覧いただくものです。県民 所得については東京を100として東京が一番高いわけです。一方、一番低いのは沖縄で43.3 となっています。標準生計費は年々、ばらつきが出ていますが、平成20年4月で一番高い のが栃木の112.1、一番低いのが宮崎の67.6です。高卒初任給は男性、女性とありますが、 男性は京都の101.1が一番高く、沖縄の79.8が一番低い。女性は東京の100.0に対して、 沖縄の77.7が一番低い状況です。  29頁は有効求人倍率の推移で、平成20年までの数字です。その後、また大きく変わって いますが、平成20年で御覧いただくと、一番高いのはAランクの愛知の1.61、一番低いの が沖縄の0.38です。  30頁は失業率の推移です。平成21年1〜3月で最も厳しいのは青森の7.9%、続いて沖縄 の7.8%となっています。  31頁は定期給与の推移です。この毎月勤労統計調査地方調査については、例年より数字 の取りまとめが遅れているようで、平成20年の数字がまだ入っていません。恐縮ですが割 愛させていただきます。  32頁は平成19年の総実労働時間で御覧いただくと、Bランクの埼玉の144.3時間が一番 短いのに対し、Dランクの長崎の164.0時間が一番長くなっています。これも平成19年の 数字までしか入っていませんので、昨年時点でのデータということです。  33頁は厚生労働省で調べた春季賃上げ妥結状況です。これも最新が平成20年の数字です が、一番高いのがCランクの山梨の1.9%、続いて東京、大阪、京都が1.8%になっていま す。一方、一番低い方がCランクの北海道、和歌山の1.1%といった状況です。  34頁が消費者物価指数等の推移です。平成20年はすべての都道府県においてプラスであ ったのが、だんだんプラスが小さくなってマイナスといったことで、5月には1つを除き、 ほぼすべての都道府県でマイナスになっているといった状況です。  35頁は「消費者物価地域差指数の推移」です。平成20年においては、東京を100とした ときに一番低いのが宮崎の87.5、全国平均すると90.6といった状況です。  続いて、「III 業務統計資料編」に移ります。36頁を御覧ください。昨年度の改正審議の 状況をまとめています。委員の皆様方はよく御承知のところかと思いますが、引上げ額につ いては昨年から、例年の表にプラスアルファして生活保護との乖離分が出たわけですが、そ れを合わせた数字として、一番大きい上げ幅だったのは神奈川の30円です。徳島の7円が 一番小さい引上げ額です。発効年月日については、例年の時期より遅れていましたが、概ね 10月中に発効している状況です。  37頁は目安と改定額との関係を見たものです。平成20年度は目安に対してプラスの上積 みをした都道府県が、かなり多く見られたところです。38頁は発効年月日の推移です。39 頁はランクごとの加重平均と引上げ率です。平成20年度は御覧のとおりの状況です。Aラ ンクは3.01%増、Dランクは1.45%増です。  40頁は「最高額と最低額及び格差の推移」です。平成20年度は最高額が東京、神奈川の 766円、最低額が宮崎、鹿児島、沖縄の627円で、格差として81.9となっています。41頁 は都道府県別の最低賃金の引上げ率の推移をまとめたものです。  42頁、43頁が全国の労働基準監督署において、最低賃金の履行確保を主眼とする監督指 導結果をまとめたものです。例年、1月〜3月期に実施しているものですが、平成19年、平 成20年は、1〜3月に加えて6月あるいは7月の2回に分けて実施しており、事業場数が例 年と比べて倍ぐらいになっています。平成20年は事業場の違反率が6.7%、最低賃金未満 の労働者の状況では1.3%となっています。  さらに43頁で業種別の状況を見ています。これは統計調査ではありませんし、履行確保 を主眼とするということで、業種ごとにサンプル数が大きく異なるわけですが、そういう前 提で御覧いただくと、違反事業場数として多く見られるのは、製造業の中で食料品製造業、 衣服その他繊維製品製造業、商業では小売業といったところです。説明は以上です。よろし くお願いします。 ○今野委員長  ただ今の説明について、御質問、御意見がございましたらお願いします。何かございま せんか。   ○勝委員  17頁ですが、もしランク別の未満率及び影響率の推移が分かれば教えていただきたいと 思います。近年、ランクごとに引上げ額が異なっているので未満率及び影響率についてラン ク別のものがあれば教えていただければと思います。   ○吉本勤労者生活課長  昨年も確か勝委員の御指摘によりまして、目安に関する小委員会でお出ししたかと存じ ますので、よろしければ次回に御用意させていただければと思います。   ○今野委員長  ほかによろしいでしょうか。それでは先に進ませていただきます。例年のことですけど、 統計がいっぱいありますので後からゆっくり見ていただいて、また次回、何か御質問があっ たらお願いします。今後の進め方などについて委員の皆さんから御意見がありましたらお聞 きしたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。   ○高橋委員  1点、資料を次回の目安に関する小委員会にお出しいただきたいと思うのがございます。 昨年も出していただきましたけれども、各都道府県別の時間当たりの賃金分布です。一般労 働者と短時間労働者、それぞれについての賃金分布を例年のように出していただきたいとい う要望です。 ○今野委員長  昨年、もしかして一昨年もそうだったかもしれないですけれども。   ○吉本勤労者生活課長  一昨年からお出ししているかと思います。準備はしていますのでお出ししたいと存じま す。   ○今野委員長  ほかにございませんか。よろしいでしょうか。   ○池田委員  お手元にお配りした商工会議所の調査内容について、御説明申し上げたいと思います。 商工会議所の早期景気観測LOBO調査によりますと、日本の経済状況は大変に厳しいようで ございまして、経営環境は依然として厳しいという結果のポイントです。中小企業につきま しては、世界的な景気悪化の影響により受注や売上の減少、雇用の過剰感など、依然として 極めて厳しい環境の中で経営を行っています。商工会議所の早期景気観測LOBO調査結果や、 全国の商工会議所から寄せられた声を通じまして説明をさせていただきたいと思います。  お手元の資料の1頁の後半部分に調査の概要があります。この調査は全国の約400の商工 会議所が、約2,600の業種組合に景気動向に関するヒアリングを行いました。その結果を日 本商工会議所がまとめたものです。各地域の中小企業が、現在の景気動向をどのように感じ ているかを示しています。調査は毎月実施していて、お配りしたものは本日30日に発表し た6月調査分の結果です。  2頁に調査結果の概要が示されています。好転から悪化を差し引いた全産業合計の業況、 DIは-64.2ポイントとなり、中小企業の経営は依然として極めて厳しい状況が続いているこ とがお分かりいただけると思います。各業界からの声を見ましても、採算割れの仕事ばかり、 底がいつまで続くか予測ができない、先行きは楽観できないなどのコメントが目立つわけで す。  8頁に従業員のDIの推移が示されていますが、全産業合計-18.7ポイントと強い過剰感が 示されています。先行きにつきましては雇用情勢の悪化や需要の低迷、設備投資の減退など により、景気の底入れや長期低迷を懸念する声が強いわけです。  9頁に6月のキーワードが記載されていますが、トップとして雇用情勢の悪化が指摘され ています。経営者としては、最低賃金の上昇は賃金体系全体の引上げにつながります。雇用 情勢が悪化している状況で人件費が増加すれば、企業の存続に影響を与えかねないというこ とです。  次に各地商工会議所からの声ですが、地方の商工会議所から寄せられた声の1例を紹介し ます。本年3月、5月に実施したアンケートなどから抜粋していますが、京都の商工会議所 から、「最低賃金の設定基準の1つである通常の事業の賃金支払能力の部分が、現実には置 き去りにされている」、大分商工会議所からは、「元請から下請にコスト削減などが求められ ている状況の中で、下請企業は人件費コストの増大にどこまで耐え得るかが懸念される」、 岡山の商工会議所からは、「最低賃金の引上げは、パートタイム労働者やアルバイトの採用 数の削減につながる」という声がありました。  広島の商工会議所からは、「最近2年間で、約30円の最低賃金の引上げとなっている。こ のような上昇水準が続けば、厳しい経営を強いられている中小企業の経営に対する影響が著 しく、さらなる雇用環境の悪化が懸念されます」。埼玉県の川口商工会議所からは、「まずは 景気浮揚への効果的な政策が必要不可欠」ということです。盛岡商工会議所、東京の武蔵野 商工会議所、神戸商工会議所等から、「景気が回復し、その恩恵が中小企業に及び、余力が 生じるようになるまでは最低賃金は据え置くべき」ということです。北海道の栗山商工会議 所から、「最低賃金の上昇は、雇用のさらなる冷え込みや正規社員の減少につながるので、 当分の間、3年程度は見送るべき」ということで、各地域の商工会議所からも声が寄せられ ています。  以上、新聞等にも出ていますとおり雇用情勢が一段と厳しい状況になっていることになり ます。また今年はインフルエンザも予想されているようですが、どのような経済状況になる か分かりませんので、今年は引き上げに関しては厳しい状況であるということを一言申し上 げておきたいと思います。 ○今野委員長  ありがとうございました。ほかにございますか。   ○田村委員  厳しい話がありましたので、逆の意味で申し上げたいと思いますが、中小企業白書等に それぞれのデータがいろいろ出ています。ここのところで今日、御説明いただいた数字がい ろいろ変わってきたところについて、この半年なり1年の動きを見ると、正社員の労働条件、 特に賃金にまつわるところで切下げを要請するような使用者側からの提案があって、それに 対応する労使の交渉があったことは現実だと思っています。その中で、特に低いところにつ いての労働条件の切下げというのは、あまりなかったという実感を私どもは持っています。 中堅以上の高いところはあったのかなと思っています。逆に、低所得者なり契約労働、期間 労働的なところについては、雇止めを始めとする雇用不安があって、その辺が全体の集計に も影響してきている実感は持っています。  中小企業白書等、あるいは今日閣議決定された厚生労働白書などを見ると、物価の上昇が 低所得者に非常に大きな影響を及ぼしているのではないかということが記載されています し、中小企業白書にあるやりがいの源泉として、従業員が何を一番求めているかというとこ ろで、大企業では賃金水準が38.6%くらい要望されていますが、中小企業では43.6%で、5 ポイントほど中小で働く人たちにとって、賃金水準を上げていただきたいという要望が強い。 こんなデータもありますので参考にしていただきたいと思います。 ○今野委員長  ありがとうございました。ほかにございますか。   ○小林委員  今、池田委員からも話がありましたけれども、私どもでもLOBO調査をやっています。中 小企業の月次景況調査というのをやっていて、先月5月末までの毎月DI調査の状況を見て みると、景況や収益状況などの4指標が上昇傾向にあるところはあるのです。これは日銀の 短観の先ほどの資料がありましたけれども、あの流れと大体同じような流れで、若干、3月 期を一番下のところにみる状況ですが、かなり厳しい状況から、ちょっと回復しているのか なというのはあります。  ただ、日銀の短観の網かけのところにもありますが、私どもの景況調査でいくと、平成 10年9月と平成14年1月の2回、景気の底が近いところでしたけれども、その状況をまだ 下回っている状況が5月の状況です。ですから百年に一度という、かなり厳しい不況度がど ん底までいって、ちょっと上がったところなのかなという認識でとらえていて、まだまだ厳 しい状況なのかなと思います。  また設備投資や個人消費なども厳しい状況にあり、内需の低迷が続いており、受注、売上 高の不振というのがずっと続いている。これは企業全体だけでなく、特に中小企業にとって かなり厳しい状況がある。  多くの企業がここ1年間、建設が中心ですけれども、不良債権を抱えた状況がかなりあり、 今まで内部留保していた部分をかなり吐き出している。それから、御承知のとおり中小企業 の関係でいけば、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金を使って、何とか雇用維持 を果たしてきたところです。仕事がなくなる中、従業員がいなくなってしまうと生産もでき ないということで、制度を利用しながら生き延びているというのが状況ではないかと思いま す。ここのところにきて、これも限界なのかなと。  雇用調整助成金の利用状況については、人数についても先月から減ってきていると思いま す。企業にとって我慢の限界にきているのかなということで、厳しい状況にあることを御理 解いただきたいと思います。これはお話が来月の目安に関する小委員会に進むわけですが、 支払能力という部分でいけば、かなり厳しい状況に追い込まれているということだけ御報告 申し上げておきます。 ○今野委員長  ありがとうございました。ほかにございますか。   ○團野委員  置かれている状況については、それぞれの立場から認識が示されていますので、そのよ うなことだろうと受止めをしています。ただ、労働者側から申し上げれば、企業経営が置か れている状況も確かに、百年に一度の状況変化の中で大変厳しい状況だと思いますけれども、 労働者側の生活実態を申し上げれば、2002年1月以降のいざなぎ景気を超える景気回復局 面の中においても、労働者側に対する配分は沈んだままという状況です。そういう状況の中 で先行きの生活不安を更に抱えている状況です。  賃金体系から言っても、中小零細企業になると体系そのものを持っていない、整理されて いないという状況の中で、放っておけば賃金水準はどんどん下がってしまう状況です。現実 にそういうのは連合統計でも出ているわけです。そういう観点から言って、底支えする最低 賃金の役割、セーフティーネットとしての機能としての役割は大変重要になってきていると、 労働者側としては認識しています。そういう状況の中で、この最低賃金についてもきちっと その状況を見据えて、議論していかなければいけないのではないかと考えています。  そういう観点から考えると、従来にも増して本年の中央最低賃金審議会の審議は重いもの があるのではないかと考えています。真摯に審議に臨んでいきたいと思いますし、最低賃金 の動向について全体的な注視も受けていますので、全体が納得できるような目安を示すこと ができるように、労働者側としても最大限、頑張っていきたいと思いますし、皆さんにも協 力を是非お願いしたいと思っています。 ○今野委員長  ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいですか。今日は第1回目ですので、 この辺で終わりたいと思いますが、次回の第2回は7月14日を予定しています。審議を円 滑に進めるために例年そうなのですが、その場において生活保護と最低賃金との整合性の在 り方についての考え方も含めて、本年度の目安についての労使双方の基本的な考え方を表明 していただきたいと思います。その点で御用意いただきたいと思います。   ○田村委員  今回、また生活保護との整合性の在り方について議論するのですか。それは去年終わっ た話で、公益委員見解で示して、それをある意味では地域の経済とか、いろいろな雇用情勢 にある程度自主性を持たせるということで決着しているものだと私は認識しているのです が、改めてそれをもう1回繰り返すのですか。   ○今野委員長  もしそうだったら、そういうふうに言っていただきたいということです。   ○田村委員  では今日、申し上げました。   ○今野委員長  よろしいですか。そういう点でお願いしたいと思います。ほかに何かございますか。事 務局からいいですか。今日はこれで終了したいと思います。議事録の署名ですが、田村委員、 小林委員にお願いしたいと思います。先ほども言いましたように次回は7月14日(火)10 時からです。場所は厚生労働省5階です。よろしくお願いします。それでは今日は終わりま す。ありがとうございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)