09/06/25 第14回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方 検討委員会(第14回)議事録                  日時:平成21年6月25日(木) 15:00 〜 17:00                  場所:省議室 ○寺野座長 それでは、よろしいでしょうか。第14回になりますが「薬害肝炎事件の検  証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」を始めます。   大変暑くなりましたので、今は勿論、クールビズで結構なのですけれども、一応、  私はネクタイを外すのが面倒くさいから着けていますけれども、暑くなったら外させ  ていただきます。   それでは、委員の皆様、大変お忙しい中ありがとうございます。   舛添大臣は、厚生労働委員会ほか国会用務のために、残念ですけれども、今日は御  欠席ということです。出席されるかもしれませんが、今のところは欠席ということで  す。   最初に、資料の確認を行いたいと思います。事務局の方からよろしくお願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 配付資料ですけれども、議事次第、座席表、名簿のほか、  ヒアリング資料が1と2ということでございます。   それから、資料1が表裏の1枚。資料2が2枚、4ページ物です。   あと、前回、水口委員から提出いただきました討議メモも配付してございます。   不足しているものがありましたら、お申し付けください。また、落丁等がありまし  たら御指摘いただければと思います。よろしくお願いします。 ○寺野座長 ありがとうございます。   よろしいでしょうか。皆さんございますか。   それでは、今日は議事次第がそこに配付してありますように、まず前半の時間帯に  おきまして、医療機関における医療安全対策及び日本CRO協会の取組みについてと  いうことでヒアリングをさせていただきます。そして、その後、ディスカッションも  ありまして、後半の時間帯で、医薬品行政組織の在り方その他について討議を行う予  定です。   早速ですけれども、ヒアリングに入りたいと思います。   まず、医療機関における医薬品安全対策についてですけれども、今日は船橋市立医  療センターの唐澤秀治医療安全管理室長及び同じく羽鳥賢二主幹にお越しいただいて おります。お忙しい中ありがとうございます。   船橋市立医療センターは、後で御紹介があると思いますが、400床強の中規模病院 ということで、医療安全管理室に専属の職員を3人配置されておりまして、安全対策 を積極的に実施している病院ということであります。 そこで、情報提供に関して先進的な取組みをされている事例の紹介ということでお 越しいただきました。   まず、約20分程度ですがお話をお伺いした後、質疑応答という形で皆さん一緒に御 議論をいただきたいと思います。   それでは、唐澤先生、それから、羽鳥先生、よろしくお願いいたします。   スライドがこちらの方へ出ます。 ○唐澤参考人 今、御紹介いただきました、船橋市立医療センターからまいりました唐 澤と羽鳥と申します。座らせていただいて発表させていただきます。失礼します。   まず、私どもの病院がどんな病院かという、中規模病院でありますけれども、御紹 介を羽鳥の方からして、その後、医療安全管理の状況を私、唐澤が御説明いたします。 ○羽鳥参考人 それでは、羽鳥の方から簡単に、医療センターの概要と医療安全管理室 の位置づけについて御説明させていただきたいと思います。ヒアリング資料1で言い ますと、2ページ目をごらんください。   船橋市医療センターは、昭和58年10月の開設以来、船橋市の地域医療における中核 病院として、現在426床を有する総合病院として、主に救急医療、高度医療を担って まいりました。   平成6年には、市川、浦安、鎌ヶ谷、八千代、習志野、船橋の6市にまたがる東葛 南部保健医療圏、165万人の三次の救命救急センターを併設しまして、生命に係る重 篤な患者さんを受け入れております。   平成19年1月には、地域がん診療拠点病院にも指定され、現在、新館が完成し、開 設時の病棟の療養環境を改善するために既存病棟の全面改修を行っており、来年1月 の開設に向けて緩和ケア病棟20床の整備も進めております。   平成20年度の患者さんについての実績でございますけれども、延べ入院患者数が13 万3,610人、稼働率で言いますと88.73%。延べ外来患者数が22万4,243人、1日平均9 47人でございます。   病院の職員につきましては、平成21年4月現在、医師69名、薬剤師が13名、看護職  員が339名、医療技術職68名など常勤職員が528名。非常勤・臨時職員が159名、委託  職員が260名。合わせて、およそ950名の職員が病院の運営に従事しております。   近隣市におきましては、公立病院が民間移譲されるなど経営形態の見直しが行われ  ている中、当医療センターは公立病院として維持する方針が市において決定され、今  年4月には船橋市長から病院事業管理者鈴木一郎が新たに選任され、当センターが引  き続き市民から信頼される病院として、その期待に応えられるよう、一層の医療サー  ビスの充実と経営改善に努めているところです。   また、医療法及びその施行規則等に基づき、病院等の管理者は医療の安全管理のた  めの体制を確保しなければならないと規定されておりますけれども、当センターでは  平成14年8月1日に、医療安全対策について院長に提言する部署として医療安全対策  室を設置しまして、平成16年7月1日には、これを医療安全管理室と名称を変更し、  院長の直属機関として医療安全を強力に推し進めております。  (PP…Power Pointのスライド映写。以下「PP」と表記する。) ○唐澤参考人 結論としましては、医療安全管理室が病院長直属機関としてできまして  から5年を経過しております。   それでは、現状を御報告します。   (PP)   スライドにありますように、今日は「医療安全管理とセレクトイン」というタイト  ルを付けさせていただきました。「1)リスクマネジメントとパンドラの箱」「2)  リスクマネジメントとセレクトイン」、そして「(3)具体的な医療安全管理」につ  いて御報告いたします。  (PP)   まず、ギリシャ神話では最高神はゼウスであります。人類を創造したのはプロメテ  ウスとなっております。プロメテウスは天界から火を盗み、人類に与えました。ゼウ  スに無断でありました。ゼウスはこれに怒りまして、人類に災いをもたらすために、  パンドラという女性をつくって人間界に送り込んだのであります。   パンドラの箱と言われていますけれども、これは花瓶であったという説が有力なの  ですが、一般的にはパンドラの箱と言われています。この箱の中にはさまざまな災い  が閉じ込められておりまして、疾病、悲嘆、欠乏、犯罪、その他であります。パンド  ラは、この箱を持たされまして、決して開けてはならないと命じられて人間界に送り  込まれました。  (PP)   パンドラは、好奇心からこのふたを開けてしまいました。先ほどお話ししましたが、  さまざまな災いが人間界に飛び出してきました。パンドラは怖くなりまして、ふたを  閉めました。   そのとき、飛び出そうとしていた災いがたった1つだけ箱の中に残りました。その  災いとは何か。それは未来がすべてわかってしまい、そのために絶望してしまうとい  う災いでした。この災いが箱の中に残ってくれたお陰で、人間は将来、そして、未来  がどうなっているかがわからない。すなわち絶望しないで、希望を失わずに生きてい  けるという状態が続いている、というようにギリシャ神話では伝えられております。  (PP)   犯罪白書平成18年版をひもといてみますと、このような統計が載っております。   すなわち一般刑法犯は、戦後の混乱期、昭和21年からどんどん増え続けております。  人口当たりの発生率で見ますと、戦後の混乱期は人口10万人当たり2,000件、犯罪が  発生しておりました。それから、世の中がだんだん落ち着いてきまして、犯罪の発生  率が2,000件から1,100件ぐらいに下がりましたけれども、平成の世になりまして再び  増えまして、とうとう戦後の混乱期を上回る犯罪、すなわち人口10万人当たり2,240  人まで発生している。最近は少し落ち着きましたけれども、現在の日本は戦後の混乱  期と同じような物騒な世の中ということになります。   一般刑法犯の検挙率を見てみますと、昭和50年ごろは60%の検挙率でありましたけ  れども、これがまた平成の世の中になりまして落ちてきまして、一番悪いときには19.8  %まで落ちた。つまり、現在の日本は戦後の混乱期と同じように非常に物騒な世の中  ということになります。  (PP)   病院は社会の縮図であります。社会状況が濃縮された形で出現いたします。そこの  スライドに書いてありますように、勿論、救急の患者さんも大勢いらっしゃいますし、  マスコミ等で取り上げられますけれども、いろんな苦情も多い。それから、そこにイ  ラスト化させていただきましたけれども、少し暴力的な方も2人で病院の中に乗り込  んでくるというようなこともあります。病院の中で刃物が振りかざされることもござ  います。   それから、だれだれさんといって他人が入ってくることは、何か名前を間違えて入  ってくるという方はいらっしゃるのではないかと思われるかもしれませんけれども、  私どもの病院で実際にあった事例は、他人の保険証を盗んで他人に成り済ました人物  が入ってきたことがありました。私どもの病院は、その人を見破ることができません  でした。   そこに般若心経の言葉が書いてありますけれども「観自在菩薩」以下がありますが  「度一切苦厄」。ここに「苦」という言葉が出てまいります。釈迦出家の動機になり  ましたのは四苦=生老病死であります。生まれて老いて、病み死んでいくことで、ま  さに医療とは、この四苦に対するサービス産業であります。四苦=生老病死とは、生  まれて老いて、病み死んでいく。   これが万人共通の人生でありまして、自分では思いどおりにならないこと。これに  対するサービス産業が医療ということになります。  (PP)   実際に医療を行っておりますと、それから、リスクマネジメントを行っております  と、絶体絶命の危機が訪れることがあります。そのときにあきらめずに、真摯に対応  することが重要であると私どもは肝に銘じております。   真摯に対応しておりますと、思わぬ道が開けることもあります。希望を持ち過ぎて  はなりませんけれども、希望を失わない。時には天命に任せることも必要であります  が、パンドラの箱の中に災いが1つ残っておりますので、人間は将来、そして、未来  がどうなっているかわからない。決してあきらめることがないように努力を続けるべ  きだと思っております。  (PP)   以上が1)でありまして、次は「2)リスクマネジメントとセレクトイン」につい  て御報告します。  (PP)   リスクマネジメント上、Risk、Danger、Crisis、Hazard、この4つの言葉を使い分  ける必要があります。   Riskとは、アラビア語で明日の糧を意味いたします。積極果敢にチャレンジして獲  得しなければ、乗り越えなければならない。これがリスクであります。虎穴に入らず  んば虎子を得ずです。   それに対してDangerとは、危害を加える圧倒的に強い権力であります。こんなもの  に絶対チャレンジしてはならない。君子危うきに近寄らずです。   Crisisとは、ギリシャ語で分離という意味でありまして、形容詞はCriticalであり  ます。回復と死の分岐点でありまして、ここで判断を誤りますと、その組織は死に至  る。危急存亡のときであります。   Hazardとは、アラビア語で、またはオールドフレンチでさいころを意味いたします。  ある状況が起これば危害を及ぼす可能性がある。ハザードマップのハザードでありま  す。   この中で、リスクマネジメント上、非常に重要なのはDangerであります。危害を加  える圧倒的に強い権力で、絶対にチャレンジしてはならない。医療関係者が、または  患者さん・御家族がその言葉の意味を知らないまま使っていることがあります。   また、複数解釈の成り立つものは非常に危険でありますので、ここら辺りをきちん  と整理する必要があります。  (PP)  セレクトインは、お亡くなりになりました斎藤茂太先生の御本に書いてありましたの  で、御紹介いたします。私は、これを肝に銘じてチーム医療を行うように指導を行っ  ております。   NASAの宇宙飛行士の選考基準であります。セレクトインは、このような項目に  合致する人は宇宙飛行士として採用します。セレクトアウトは、このような項目を持  つ人は宇宙飛行士としては採用しないというのであります。NASAが決めたことで  あります。   セレクトインは、他人に対して思いやりがある人。何事にも寛容で、耐える力を持  っている人。何事もグループのためになれるように考えられる人。同僚としても魅力  ある人間。そして、危機に対してリラックスできる人であります。このような人たち  は、宇宙飛行士として是非採用したいとNASAは言っています。   セレクトアウトは、短期で怒りっぽい人。100%を望む完全欲の強い人。力があり  余っていて、それをひけらかす人。衝動的な人。人を訴えたり攻撃したりする人。こ  のような人をもし宇宙飛行士として採用したならば、スペースシャトルの中で問題が  起きてスペースシャトルが落ちてしまうというのであります。  (PP)   また、イギリスのチャーチルはこのように言っております。「Perfection spells  paralysis.」「完全のスペルは麻痺である」。100%を求めるのは危険である。国を  誤った道に導く。100%は求めてはならない。これがチャーチルの名言であります。  (PP)   NASAからも同じように学ぶことができまして、これはスペースシャトルが落ち  ていくイラストでありますけれども、NASAでは2つのチームがあります。  「What if games」、もしスペースシャトルにこういうことが起きたらどうするのだ  ということを言うチームが1チームあります。   それに対しまして、こういうことが起きたらこういうふうにするのだというマニュ  アルをつくるチームがもう一つあるそうです。このマニュアルの重要性は1つ、実行  スピードであります。スペースシャトルにこういうことが起きたらこうするのだとい  う、実行スピードのあるマニュアルでなければ何の役にも立たない、スペースシャト  ルは落ちてしまいます。   以上が「2)リスクマネジメントとセレクトイン」です。  (PP)   次に、具体的に医療安全管理をどのようにやっているかをお示しいたします。  (PP)   このスライドは、私どもの病院の医療安全管理システムの全体像であります。   病院のホームページで、医療安全管理情報をA4判サイズで360ページ、全国に発  信しております。   患者さん・御家族に医療安全対策に協力していただく戦略を取っておりますので、  入院する患者さん全員に患者・家族の安全対策20か条というお願いをしております。  そのほか、少し細かいことがありますけれども、このスライドにありますが、徹底的  に予防活動と初動活動に力を入れるという作戦であります。  (PP)  患者さん・御家族、入院なさった方に、このスライドにあるような患者・家族の安全  対策20か条を、平成14年からお願いしておりますけれども、今年3月に全面改訂いた  しました。   その中には、いろいろな病気があります。入院後いろんな経過のパターンがありま  す。御高齢の方の入院が増えてきておりますので、御高齢であることのリスクについ  ても説明いたします。   それから、法律上、医療契約とは準委任契約である。行為においてベストを尽くす  ことは契約いたしますけれども、残念ながら結果までは保証できません。つまり、お  亡くなりになる方もいらっしゃるし、後遺症が残る方もいらっしゃいますので、この  ことをお話ししています。   当院は一般病床、すなわち急性期病床を有する病院ですので、やはり転院していた  だくこともございます。   それから、患者・御家族の皆さんに参加していただくリスクマネジメントをしてお  ります。   それで、重要な10か条をお願いして、その他の10か条もお願いしている。   これを入院する患者さん全員にお願いしております。  (PP)   それから、医療は準委任契約であるというものは知られていることでありますが、  民法の言葉で請負契約と準委任契約という言葉があります。請負契約の方がわかりや  すいので、スライドの下段から説明いたしますと、わかりやすく言えば家を建てる契  約だと言われています。家を設計して、家を建てて、そして、住める家まで保証する。  すなわち、結果まで保証する。これが民法の請負契約であります。   先ほどお話ししましたように、医療は残念ながら結果までは保証できません。です  から、行為においてベストを尽くすことはお約束するけれども、結果までは残念なが  ら、勿論、よくなっていただければいいけれども、残念な結果になることもあります。  これが準委任契約であります。   このスライドの右上に書いてあります番号は、当院の医療安全のマニュアル、また  は医療安全の情報の通し番号でありまして、先ほどのNASAの例にのっとってやっ  ております。かなりの頻度で出しておりますけれども、50のマニュアルができますと、  一つひとつも配付しますけれども、このような冊子を1冊つくって院内で各部署に配  付します。これは後から回覧して御批判いただきたいと思います。  (PP)   それから、当院で実際に起きた事例がありますと、それで対策を取って、このよう  な安全対策文書にしております。   目薬の例で1つ事故が起こりましたので、これはスライドに撮ってあるものであり  ますけれども、これも後から回覧させていただきます。   御高齢の女性が入院しておりました。その方は眼も御不自由でしたけれども、お通  じも出にくかったのであります。   スライドの左側が目薬でありまして、左から2番目がラキソベロン、お通じをつけ  る薬であります。担当のナースが患者さんのベッドサイドに行きまして、そこでラキ  ソベロン、お通じをつける薬。これは、本当はお口に入れなくてはいけない薬ですけ  れども、これを眼に点眼してしまったのであります。   幸いにも院内ではそのようなマニュアルがありまして、とにかく眼に何か入った場  合には洗う、そして、眼科に連絡するというようなことで対応がうまくいきまして、  実害は全くありませんでしたけれども、当時、薬剤部にお願いして、同じような薬を  安全管理室に持ってきてもらいましたら、スライドのようなものでした。   点眼液、ラキソベロン、それから、リンデロン−VGローションといいますものは  皮膚に塗る薬であります。タリビッド耳科用液は耳につける薬であります。アズノー  ルうがい液は勿論うがい薬であります。そこのスライドにあるものを見て、これが目  薬なのか、耳につけるのか、皮膚につけるのか、恐らく判断が難しいと思います。   それに対して、薬剤メーカーはどのような対策を取っておるかといいますと、ラキ  ソベロンには眼に入れないことという赤い印字があります。ほかの薬にも眼に入れな  いこと等が赤く印字されております。しかし、これだけでは安全を確保できない。実  際に間違えてしまうこともある。その当時、ラキソベロンのメーカーに私も問い合わ  せをしましたら、メーカーには月に3件か4件ぐらいの報告事例があるというお話で  した。  (PP)   次はリウマトレックス、リウマチの薬でありますけれども、これは某大学病院で死  亡事故が起きております。私どもの病院でも2例発生いたしました。幸いにも途中で  薬剤師が気づいてくれまして、患者さんに全く実害はありませんでしたけれども、シ  ステム改革を行いました。   リウマトレックス2カプセル分に4日分という処方が他の病院で出ておりまして、  全く違う病気になりまして私どもの病院に入院してきました。   担当医が以前使っていた薬ですからということでリウマトレックス2カプセル分に  4日分を処方してしまいました。スライドの上段にありますように、2カプセル分に  4日分を続けて使いまして、某大学病院では死亡事故が起きています。   この薬は、このように連続して使う薬ではございません。2カプセル分に1日目を  使いましたら、あとの6日間は休薬するのであります。第2週はやはり2カプセル分  を使いましたら、あとの6日間は休薬する。第3週を使いましたら、あとの6日間は  休薬する。第4週を使いましたら、あとの6日間はまた休薬する。すなわち、2カプ  セル分に4日分ではなくて4週間分の処方なのです。恥ずかしながら、私はこの薬を  見たこともないし、処方したこともないし、まして、こんなように使う薬だとは全く  知りませんでした。   それで、院内の病院のシステムを改善しまして、担当医がこの薬をオーダリングで  処方するときには、曜日指定をしないとコンピュータが受け付けないというシステム  改善を行いました。  (PP)   次に抗血栓療法、血が固まらないようにする薬を飲んでいらっしゃる方が現在大勢  いらっしゃいます。しかし、この抗血栓療法をしながら、例えば胃腸関係の内視鏡の  検査を受けますと、検査をしたときに出血するリスクが増えます。   しかし、この抗血栓療法のお薬を休薬して消化器の内視鏡検査を受けますと、今度  は血栓・塞栓症のリスクが増えます。どちらにしてもリスクが増える。これを十分、  医療従事者もわきまえ、そして、患者さん・御家族に十分説明してインフォームドコ  ンセントを取る必要がございます。  (PP)   次に「DRUGS IN JAPAN」。ここに2008年の「DRUGS IN JAPAN」があります。これだ  けの分厚いものでありますが、これが日本に出ている薬をすべて、添付文書を主にま  とめたものであります。私ども医療関係者は、何か薬で調べたいことがあると、この  「DRUGS IN JAPAN」を調べます。ここにも大きな落とし穴があります。これだけ分厚  いものですので、中の字が非常に小さい。それから、非常に見にくい。昔に比べれば  見やすくなっていますけれども、非常に見にくいものであります。   例えば、スライドにありますクリンダマイシンを見ますと、この薬は内服薬もあり  ますし、注射薬もあります。もし内服薬の注意事項を見ようとすれば、この内服薬の  ところを見なければわかりません。注射薬のところを調べるには、注射薬のところを  調べないとわかりません。もし、全く違うところを見てしまったら注意事項を見落と  してしまう。これが「DRUGS IN JAPAN」の最大のピットホールであります。  (PP)   それから、インフォームドコンセント。これは伝えたいことを伝える。形と美を与  えて、伝えて、意見の一致を見るという意味になりますけれども、インフォームドの  Form、これは形と美という「Shape and Beauty」という意味になります。   ですから、きちんと説明する、説明するときにできるだけわかりやすく、形と美を  与えることが重要になってまいりますので、特に薬剤、このスライドでは造影剤につ  いて述べておりますけれども、造影剤の副作用、それから、問診もきちんとして、承  諾を得る。こういう手続が必要になってまいります。  (PP)  例えば私どもの病院で事故がありましたのは、実害はありませんでしたけれども、あ  る程度、年配のドクターがICUでナースに指示をいたしました。アダラート(カプ  セル)、1カプセルを患者さんに舌下投与するようにという指示を出したのでありま  す。   しかし、これは危険であるということで平成14年に添付文書が改訂されておりまし  て、舌下投与は禁忌となっております。禁止されております。それをそのドクターは  知らないでナースにオーダーした。   私どもでは、この医療安全対策文書で、病院長の命令でそれは使ってはならないと  いうふうに院内に周知しておりましたので、そのナースは見事にその医師の指示を断  ってくれました。ドクターは何でおれの指示を聞けないのかと怒ったわけであります  けれども、いや、院長先生の指示ですということで従わなかった。勿論、それが正解  であります。患者さんに実害は生じませんでした。このように、病院長の指示がきち  んと職員に行き渡る必要がございます。  (PP)   次に、この安全対策文書のNo.676のスライドでありますが、これは昨年1月に出し  た文書であります。子宮卵管造影剤、イソビストという商品名の薬がございました。  子宮卵管の造影をするお薬であります。   このメーカーが私どもの病院にやってきまして、私どもの病院ではこの造影剤を使  っておりましたけれども、自主回収させてくださいというのであります。勿論、厚生  労働省の認可の薬でありますけれども、厚生労働省と相談して、自主回収という指示  が出たというのであります。   どうしてですかと言いましたら、この造影剤の中に異物が入っている。主成分はパ  ラフィンでありますけれども、微量のこれが混入していることが判明した。かなり前  から入っていたと考えられるので、これを自主回収させてください。   それはわかりました。ただし、今まで使っていた患者さんにはどうしたらいいので  しょうかと言いますと、それは病院の判断ですと言われました。   そこで私どもの病院では会議を開きまして、過去5年間使っていた患者さんをリス  トアップいたしまして、その患者さんに情報提供いたしました。   具体的には83名の患者さんがリストアップされましたけれども、患者さんに情報提  供、こういうことで自主回収された薬があります。それを患者さんに使ってしまいま  した。実害が今のところはないとは思いますけれども、御心配なときには御連絡くだ  さいという通達を83人の患者さんにいたしました。   これは患者さんに御連絡しましたら、ほとんどの患者さんから感謝されました。よ  く伝えてくれたという感謝のお手紙が来ました。  (PP)   それから、医薬品・医療機器に副作用が発生した場合に、医療機関または薬局は厚生  労働省に連絡する義務があるということが平成15年7月30日から施行されています。  これを知らない医療機関は結構ありました。   ただ、そういう通達があっても、どんなときに報告しなくてはいけないかというの  が院内に周知されておりませんでしたので、私どもでは死亡したときとか、障害が発  生したとか、これくらいのときに厚生労働省に報告する義務があります。その場合に  は医療安全管理室と薬剤部に連絡して、その手続をしますからというのを院内周知し  ております。  (PP)   それから、言葉が十分理解されていないと事故が起こることがあります。   例えばロットとかシリアルという言葉が誤解されていることが結構あります。   ロットは、このスライドの左にありますように、もともとの語源はくじであります。   ロットが同じ番号ならば品質が同じということで、ある固まりの中からロットが引  かれます。ですから、ロット番号が同じならば品質はほぼ同じと考えられます。   それに対しまして、シリアルとは一列に整列するという意味ですので、一つひとつ  の製品が個別に番号が付いております。つまり、この番号によって一つひとつの製品  を限定することができます。ロットとシリアルは全く違う概念であります。  (PP)   それから、薬の回収、または医療機器の回収の連絡がありますと、薬剤ですとメー  カーの方が、または医療機器ですとそういうメーカーの担当者がいらっしゃいますけ  れども、私どもでまず確認することがあります。これも一つの大きな落とし穴であり  ますけれども、クラス幾つという表現をその担当者はいたします。そこに大きな誤り  が起こりやすい。   すなわち、クラス分類には2通りあります。スライドの左側がリスクによる医療機  器のクラス分類であります。スライドの右側が回収のクラス分類であります。クラス  I〜IIIという数字が付きますけれども、これが危険性が逆転しております。すなわ  ち、左側のリスクによるクラス分類は、クラスIが影響が軽微なのであります。クラ  スIVは生命の危険、すなわち死亡することがある。クラスIVが危険なのであります。  それに対しまして、回収のクラス分類はクラスIが死亡の原因となる。   これが非常にピットホールでありまして、メーカーの方がこれを知っていて私ども  に通達してくれる場合もありますし、全く、この2種類があるということを知らない  で私どもに言ってくる場合がありますので、まず医療安全管理室にそういう連絡が来  た場合には、どちらのクラスですかということをまず確認してから話に入ります。  (PP)   以上が「(3)具体的な医療安全管理」です。   最後にまとめます。  (PP)   医療には潜在的危険性、Hazardがあります。乗り越えなければならないRiskがあり  ます。近づいてはならないDangerがあります。医療契約は、行為においてベストを尽  くす準委任契約であります。残念ながら、結果までは保証することはできません。   現在、日本は戦後最悪の社会環境下にあります。その中に患者さん・御家族の皆様  も、そして、私ども医療従事者もともに生活をしております。将来や未来、これはど  うなるかわかりません。今、この瞬間を真摯に生きることが大切であります。何事に  も寛容で、他人に対する思いやりが勿論重要であります。完璧さを求めるのではなく、  少しでもよりよいシステムに変えていくという考え方が重要であります。   これらをわきまえませんと、患者・御家族の皆様の側も、そして、医療従事者側も  存亡危局、Crisisに陥ることになります。   結論としましては、セレクトイン、セレクトアウトということを紹介させていただ  きましたけれども、患者さん・御家族の皆様方も、そして、私ども医療従事者も同じ  スペースシャトルの乗組員であります。同じ目的で医療安全に一緒に努力していきた  いと思っております。   以上です。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。ただいま船橋市立医療センターのお二人  の方に医療安全、特に薬剤についての安全でどういうふうな対策を取っているか、ど  ういう考え方が必要かというふうなことをお話しいただいたわけですけれども、これ  に関して、今から15分ぐらい時間を取りまして、皆さんの御質問並びに御意見を伺い  たいと思います。   先生方、よろしいですね。質問をお受けいただくということですので、どなたから  でも結構ですが、お聞きしたいことがありましたらどうぞ。   堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 大変興味深いお話、ありがとうございました。医療とは、四苦に対するサ  ービス産業であるという、これはいろいろな議論があると思いますが、必ずしも私は  同意いたしませんけれども、お尋ねしたいのは、最近、医療安全というものはどこの  病院でも大変重点を置いて取り組んでいるところだと思いますけれども、そういう中  で医薬品安全管理者あるいは医療機器安全管理者というものは各病院において、この  会議でも出たと思いますけれども、きちんと機能するようにということが言われてい  ると思いますが、今のお話の中では、そのことについて全く出てまいりませんでした  が、どのように位置づけられているかということ。   もう一つは、やはりこういうような医療安全を本当に医療の現場でやる場合には、患  者さんを中心にしたチーム医療というものが大変重要になると思うのですけれども、  その辺に対する位置づけについてはどうなっているかということについてお尋ねした  いと思います。 ○寺野座長 それでは、お願いします。 ○唐澤参考人 1番目の御質問・御意見でありますけれども、厚生労働省からの通達、  医療法関連の文書で、各医療機関は医療安全管理指針をつくるようにということがあ  ります。その指針の中に病院のいろんな体制を盛り込んでおります。   先ほど御指摘いただきました医薬品、薬の安全管理の責任者、それから、医療機器  の安全管理の責任者は勿論置くように命じられています。私どもの病院では、医薬品  については薬剤部長、それから、医療機器については、現在は心臓血管外科の部長が  適任であるということで、薬剤部長と心臓血管外科の部長が薬と機器の責任者になっ  ています。   ただ、責任者だけではできませんので、医薬品についての委員会、医療機器につい  ての委員会もありますし、それから、私ども安全管理につきましての安全管理室が病  院長の直属機関としてありますので、これらが協力しながら病院の中の安全を図ると  いう体制になっています。   今日も少し述べさせていただきましたけれども、特に薬と機器については非常に重  要でありますので、その責任者を、個人を特定した形で置くことが勿論重要だと思っ  ております。   それから、チームについてでありますが、これもおっしゃるとおりでありまして、  まず患者さん・御家族に参加していただく、患者参加型の医療安全を私どもは行って  おりますし、それを更によりよいものにしようと思っております。   具体的に申し上げますと、入院する患者さんに、先ほどお話ししました患者・家族  の安全対策20か条を是非、安全対策に御協力をよろしくお願いしますというお願いを  した上で、患者さん・御家族からいろんな御意見があれば、それに医療従事者がすぐ  対応するというような仕組み、安全対策の文書の病院の仕組みをつくっております。  ですから、患者・御家族参加型のリスクマネジメントが重要であり、患者・御家族も  参加した形でのチーム医療が重要であると思います。 ○寺野座長 ありがとうございました。そのほか、御質問はございませんか。   水口委員、どうぞ。 ○水口委員 水口です。ここは特に医薬品の問題について安全性を確保するという観点  から審議しておりますので、医療安全の中でも特に医薬品に絞って伺わせていただき  ます。   院内で、それぞれの医薬品を使う場面で副作用が出てくると思いますが、それを院  内で独自にデータベースとして収集して管理し、そして、また次の処方や医療に生か  す、あるいは新薬を採用するときに生かすというような形のシステムはとられていら  っしゃるのでしょうか。 ○唐澤参考人 お答えいたします。  まず1つは、薬事委員会という委員会が勿論あります。薬剤部が中心になって活動す  る委員会でありますけれども、そこに院内のいろんな情報が入ります。   それから、今、おっしゃいました薬の副作用につきましては、ある程度、重症なも  のが出ますと安全管理室の方にも入ってきます。それを病院の中にフィードバックす  る仕組みとしますと、薬事委員会も活動しますけれども、安全管理室の方も毎週、そ  して、毎月にそういう集計をいたしまして、ほかの事例とともに院内の管理会議とい  うトップの会議にも、運営連絡会議という会議にも、それから、必要に応じて安全対  策文書で院内の職員に周知、フィードバックする。それぞれがデータベースを持って  おります。   それから、より重要なのは患者さん個人にそれが生かされることでありますので、  どのような仕組みを持っているかといいますと、患者さんの、以前はカルテ、外来カ  ルテと入院カルテの表紙に、例えばAという患者さんはアルコールの酒精面でかぶれ  ますという情報がオレンジ色のカードで一番表紙に記載されました。それから、ある  患者さんは造影剤が使えません、造影剤でアレルギーが出ました、ショックになりま  したと言いますと、それが出ます。ペニシリンでアレルギーになりますと、それが表  紙に書かれます。   現在、私どもの場合、まだ紙のカルテでありますけれども、紙の表紙プラス、オー  ダリングの患者さんの画面上にアレルギーの欄がありまして、そこにその患者さん独  自の副作用情報が書き込まれることになります。医療従事者は必ずそれを確認した上  で診療するというようになっております。   以上です。 ○寺野座長 よろしいですか。   どうぞ。 ○水口委員 もう一点、この委員会では薬害を防止するというために、厚生労働省、製  薬企業、それから、医療現場、それぞれにおいてどういうことが必要なのかというこ  とを議論してきたわけですが、現実に病院での医療安全、特に薬のことに関連して携  わっていらっしゃって、企業、それから、厚生労働省に対して、システムなり基本的  な姿勢なりという点で、具体的にこういう点を改善してもらったら、もっと院内での  医薬品に関する被害を少なくする上で役に立つと常日ごろ感じていらっしゃるような  ことがあればお伺いしたいと思います。 ○唐澤参考人 常日ごろ感じていることを1つだけ挙げるとすれば、わかりやすい情報  をお願いしたいということであります。この「DRUGS IN JAPAN」も添付文書も、ごら  んになった方はわかりますけれども、非常にわかりにくいです。何しろ膨大な情報量  で、どれが大事なのか。そして、最近、何が起きたのか、何が注意されているのか、  非常にわかりにくいです。   それで、赤色の付いた紙、または黄色の付いた用紙が通達で回ってまいりますけれ  ども、それは色で認識しますけれども、それを同院の職員、ドクター、ナース、その  ほかの大勢の医療従事者に通知するのに非常に困難を極めています。   私どもが取っている作戦は、今日のスライドでもお見せしましたように、イラスト  であります。いかにわかりやすく伝えるか。文章を読まないで、目で見て、何とか職  員、そして、患者さん・御家族の記憶に残ってもらいたい。ですから、患者・家族の  安全対策20か条もそうですけれども、入院時のしおりもそこを徹底的に工夫しておい  て、文章をなるべく少なくして、御高齢の方もどんどん増えていらっしゃいますので、  目で見て理解できるような、そういう情報の通達を工夫しております。   ですから、一言で言えば、医療従事者に対しても、メーカーの方にお願いして、文  書の書類も勿論必要です。詳しく調べないといけないときもありますが、それプラス、  エンドユーザーにわかりやすいようなイラスト、写真、何かそういう目に訴えるよう  な情報の紙を1枚添えて、ここが重要です、これだけを伝えてくださいというものを  一緒に添付していただけると、非常に私どもは助かります。一言で言えば、わかりや  すい情報をいただきたいです。 ○寺野座長 ありがとうございます。確かにそのとおりだと思います。   間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 間宮と申します。   お聞きしたいのは、いろんな問題があったりしたときの情報もそうですけれども、  こういうふうにしたらよくなったというような情報というものは、院内だけで、要は  院内に発表するとか、例えばほかの病院と情報共有をして連携して、ほかの病院との  安全対策のセクションの方々との情報のやりとりとか、あとは国とかそういうところ  にこういう対策をしていますという報告というシステムというものはどういうふうに  されているのでしょうか。 ○唐澤参考人 現在、医療マネジメント学会とか、その他の学会・研究会レベルで横の 情報交換をする仕組みがどんどん増えております。そこで参考になりますものは、今 日も提示いたしましたけれども、私どもの病院ではこういうことが起きてしまいまし たという実例が非常に参考になります。   それから、言葉は悪いですけれども、失敗談といいますか、うまくいった事例より も、こういうことが起きてしまった、これは困ったことだった、これをこう改善しま したという失敗談の方が非常に役に立ちます。横の連絡の会ではそういう情報がある と、そうだ、自分の病院でもこれは生かせる、このシステム改善はいただきの作戦だ というものはございます。   ただ、なかなかプライバシーの問題もありますし、それから、発生した病院がかな りそれで、また患者さん・御家族も、今、非常に悩んでいらっしゃるというときには なかなか公開できないものもあるかもしれませんけれども、とにかく、こんなことを 言って申し訳ないですけれども、失敗談、そして、それに対する改善策の方が横の連 絡としては非常にありがたい。具体的には、研究会とか学会レベルでそういう情報交 換はあります。そういうセクションが設けられております。 ○寺野座長 そのほか、ございますか。   大平委員、どうぞ。 ○大平委員 ありがとうございます。感想と、そして、1点お聞きしたいと思います。  委員の中からサービス産業とか、それから、この委員会の役割としての医薬品に絞ら れているというところとか、そういうものがありましたけれども、ただ、今日の発表 をお聞きいたしまして、かなり柔軟性があって、また、医療安全管理に実行スピード を求めて対策を練っているところが大変いいのではないかと感じました。   特に患者側からすれば、医薬品だけの問題ではなくて、医療全体の安全管理の問題 が、病院全体でいろいろな役割の人が一緒になって目配りされているところがやはり 一番重要ではないかと思っております。ですから、公的な病院でこのような一つのい ろいろな試みがされていることが大変興味深いと思いました。   それで、医療安全室ができてから5年を経過したということなのですが、これにつ いて、特に病院スタッフの中、また患者さんの中から参加型医療ということで、患者 参加型医療を行っているというところで、患者さん・家族からのいろいろな新たな要 望とかそういうものは何かありましたらお聞きしたいのです。 ○寺野座長 どうぞ。 ○唐澤参考人 最初の御意見で、非常にありがたい言葉が1つございました。涙が出る ほどうれしかったことで、それは柔軟性という言葉であります。私、その言葉を聞い て感激しました。といいますのは、私どものマニュアルにも、今日はお示ししません でしたけれども、柔軟性のマニュアルというものが1つ出ています。   医療においては、柔軟性が非常に必要です。しゃくし定規のマニュアルは役に立ち ません。本当に患者さんお一人おひとり違いますし、それから、患者さんの状況によ っても違いますので、それから、昼と夜、お正月とお盆は全部違いますので、柔軟性 という言葉が非常に医療では大事であります。   ですから、このマニュアルのとおりやれと私は職員に言ったことは一度もありませ ん。あくまでこれはマニュアルであって、あとは柔軟にやるのだ。普段、皆さんがプ ロで医療従事者として働いているように柔軟にやってくれという項目を1枚マニュア ルでつくっています。そのマニュアルがあるお陰で医療従事者は柔軟にやっておりま す。マニュアルに縛られてやっていることは決してありません。   次に、5年間で医療安全対策のマニュアルは現在760まで来ました。どんどん改訂 版をつくっていますし、時代とともに医療も変わりますし、次から次に薬も変わって いますので、現在、マニュアルは760まで来ております。   私個人の印象としましては、マニュアルが300を超えた時点で病院はかなり安全に なりました。その間、医療従事者はいろいろ試行錯誤しながら協力してやってくれま したけれども、300の時点でかなり安全になって、院内の職員はこのやり方に自信を 持ちました。すなわち、実行スピードのあるマニュアルは役に立つ。   それから、その後、変わってきたこととしますと、安全管理に関係しないことは病 院の中でございません。すべて患者さん・御家族、そして、医療従事者そのもの、職 員の安全管理に関係しないことは病院の中ではありません。  それで、どのような変化が起きたかといいますと、私どもは安全管理室に駆け込ん でくる職員、それから、患者さん・御家族からの御意見、または電話を拒否したこと は一切ございません。この5年間で一回もありません。現在、安全管理室は病院の駆 け込み寺になっています。悩みのある職員が駆け込んできます。悩みというものはい ろんな悩みがありますけれども、その職員の駆け込み寺になっていますので、その意 味でも安全管理室は、今、重要なポストを占めております。職員が健康になれば、そ れは必ず患者さん・御家族に必ず反映されますので、職員の健康管理にも役に立って いると思っています。   以上です。 ○寺野座長 友池委員、どうぞ。 ○友池委員 国立循環器病センターの友池です。どうもありがとうございます。   拝見していますと、10万人近くの入院患者さんですし、1日900人で、職員の数か ら考えても本当に超多忙の病院を運営しておられると思うのですが、その中でどのよ うにして、一人ひとりに至るまで、こういう安全情報を周知徹底しておられるのか。   といいますのは、日々の臨床は非常に多忙になりますと、委員会に出るのも大変に なりますし、たとえ掲示板に出ても見るチャンスはどうしても減ってまいります。で すから、院内でのコミュニケーションをより迅速にする手法、特殊な方法をやってお られるのではないかと思いますので、その辺をお聞かせいただきたいと思います。 ○唐澤参考人 一言で言いますと、実行スピードに尽きます。それから、繰り返し、実 行スピードのあるマニュアルを送り続けるということに尽きます。   といいますのは、同じような事例が同じ時期に発生します。大体、こちらで予測が つきます。4月に新入職員が入ってくる。4〜5月で訓練を受けて、5〜7月ごろに 活動を始める。そこで起こる事故は予想がつきます。そうしますと、先手を打ちまし て、昨年の同じ時期に出したマニュアルを再発行します。それから、ある部署で起き たことはすぐにほかの部署で起こる可能性がありますので、すぐ安全対策文書を改訂 して、改訂版を出します。   それから、ほかの病院で起きたことはやはり当院で起こりますので、起こる可能性 は非常に高いですから、ほかの病院で起きた事例が、厚生労働省またはマスコミから こちらに連絡が来ますと、それをすぐマニュアル化して通達します。そうしますと、 職員はそれを見て、マニュアルが変わったということは何かが起きたのだな。   また、意外に職員はプライバシーを守ってくれていまして、隣の病棟で起きたこと を隣の病棟で知らないことがあります。ですから、そうすると、これはほかの病棟で 何かが起きたのだろう。または、ほかの科で起きたのだろうということで注意を持っ てくれますので、とにかく実行スピードのあるマニュアルを繰り返し新しくして、改 訂して、とにかく出し続ける。 そして、先ほど回覧しましたけれども、それが冊子になる。ある病棟の師長さんは 工夫していまして、ある病棟は、例えばこういう疾患の患者さんが集まっていらっし ゃるとなれば、このマニュアルの中からピックアップしまして、感染症の冊子を師長 さんはつくっています。それが特に使える。また、輸血のマニュアルをつくっていま す。この安全対策文書を見ていただくと、カテゴリー別に一覧表でさっと引けるよう になっていますから、ある部署では救急のマニュアルが必要とか、ある部署では感染 症のマニュアルが必要とか、ある部署では相談業務のマニュアルが必要とか、ある部 署は法律のマニュアルが必要とかがありますので、それをピックアップしてまとめて いる病棟の師長もおります。   以上です。 ○寺野座長 大分時間が来たのですけれども、座長がしてはいけないといいますけれど  も、私の方からお聞きしていいですか。   結局、私も医療現場なのですけれども、こういう薬害の防止にはやはり医療現場の  薬剤の使用に大きなものがあるのですが、この辺が少しブランクになっているのです  けれども、1つはそれが薬剤の副作用なのかどうかという判断が非常に重要なのです。   いろんな症状が出てきますから、その判断はどういうふうにするかという問題。   それから、副作用と判断した場合に、それを報告するシステムがどうなのか。今の  状態でいいのかということ。   そして、報告した後、それに対する反応がどうなのか。その点がすっきりすると、  大分、副作用のチェック並びにそれに対する防止策というものが出てくると思うので  すけれども、少し漠然とした質問ですが、簡単にお願いいたします。 ○唐澤参考人 おっしゃるとおりの事例が私どもの病院にございますので、例えば副作  用が進んでしまう。経過がだんだん、勿論、いろんな論文に出ておりますけれども、  こういう例で進んでしまった事例がある。皮膚の障害ですけれども、そうしますと、  こういうような順番になるから、早目にこの段階でとにかく主治医に報告してくださ  いというマニュアルをつくります。それから、疑ったならばすぐ皮膚科のドクターに  依頼しろというルールができています。   それで、どこでそれが安全管理室に来るかといいますと、報告書でも来ますけれど  も、大体、すぐ駆け込んでくる、または情報を私の耳に入れてくれています。それか  ら、最終的にはというよりも、確実に皮膚科のところも多分、私どものところに情報  を伝えてくれています。これがまず1つです。   それをどうフィードバックするかといいますと、トップを病院長にしまして、皮膚  科のドクターの名前を真ん中に入れて、私の名前を一番下にして、サンドイッチ状態  にして、皮膚科のドクターがいろいろコメントなり、またはいろんな文献を集めてく  れますから、それをイラスト化して、マニュアルとして発行します。   それと同じように、ほかの事例もあれば、とにかく当院で起きたことはまた起こる  だろう。ほかの病院で起こったことはまた起こるだろうということをできるだけ細か  く、A4判1枚にしています。A4判1枚でないと、職員は見ません。それから、イ  ラストがないと見ません。文章だけのものは読みません。ですから、イラストにする、  または表にする、グラフにする。そのような視覚に訴える工夫をしております。 ○寺野座長 その中から重要な副作用たるものをどういうように判断していくか。これ  は非常に重要なのですけれども、これはみんなで考えていくべきことだと思います。  よろしいでしょうか。そのほか、御意見・御質問はございませんか。   それでは、時間が大分過ぎましたので、唐澤参考人、羽鳥参考人、本当にありがと  うございました。御苦労様でした。         (唐澤参考人並びに羽鳥参考人退室) ○寺野座長 それでは、引き続きまして、日本CRO協会の取組みについてということ  で進めます。植松尚副会長と一木龍彦専務理事にお越しいただいております。お忙し  い中、ありがとうございます。   これも約10〜15分お話しいただきまして、質疑応答の時間を取りたいと思いますが、  このヒアリングに関しまして山口委員の方から発言を求められております。   山口委員、簡単にお願いします。 ○山口委員 今回、CRO協会の先生方がお話しになるということで、私の利益相反に  ついて少し御報告させていただきたいと思います。   小生が所属します東大の方の寄附講座なのですけれども、2社のCROから御寄附  をいただいております。1つがイーピーエス株式会社、もう一つが東京CRO株式会  社ということで、本日お話しになります一木様がイーピーエス株式会社の常務取締役、  それから、もう一つの寄附元であります東京CRO株式会社の社長の西山さんという  方が同じく日本CRO協会の専務理事をされております。   そういったような関係で、一応、利益相反ということで御報告させていただきたい  と思います。 ○寺野座長 今、利益相反という、コンフリクト・オブ・インタレストというのですけ  れども、これについてはかなりいろいろなところで問題になっております。ですから、  今日のCROとの関係と東京大学の寄附講座との関係等があるので、山口委員もここ  に参加して議論していいかどうかという御疑念があったのだと思うのですが、私とし  ては、この場合、寄附講座に関係はあるけれども、山口委員には議論に参加していい  のではないか。   これは余り差し支えのあるような利益相反ではないだろうと思うのですけれども、  いかがでしょうか。   もし御異議がなければ、山口委員にいつものとおり参加していただきたいと思いま  すので、よろしくお願いします。   それでは、CRO、この略名から説明していただきたいわけですけれども、植松参  考人、御説明をよろしくお願いいたします。 ○植松参考人 ただいま御紹介いただきました、日本CRO協会の植松と、それから、  一木が同席させていただいております。本日は貴重なお時間の中、CROにお時間を  いただきまして、厚く御礼を申し上げます。   本日、タイトルとして「日本におけるCROの位置付けと現状(日本CRO協会の  歩みから)」ということで御説明をさせていただきます。  (PP)   本日の御説明に至った経緯でございますけれども、本委員会の第一次提言での御指  摘というところで、臨床試験並びに治験のGCP調査のところで「治験の実際業務を  製薬企業から請け負う専門機関である開発業務委託機関(CRO)が製薬企業に有利  なデータを出すことがないよう、GCP調査の更なる厳格化を求めるべきである。」  このような御提言、または御指摘をいただきました。私どもは本委員会の議事録を読  ませていただいて、このことがどこから出てきたかということがよくわかりませんの  で、前回、お手紙を差し上げた次第でございます。   よく調べてみますと、海外においては、このような疑念とか懸念とかがあるという  ことがよく理解をさせていただきました。そういう意味で、このようなことが日本で  あってはいけないということで、私どももこの提言は真摯に受け止めて、信頼性をも  っと高めるような努力をしていきたいと思っております。  (PP)   そこで、本日は日本におけるCROの位置づけと現状ということを御説明させてい  ただきたいと思います。   目次に関しましては、このようなことで順次、説明をさせていただきたいと思いま  す。  (PP)   既に皆様御存じかと思いますけれども、CROは医薬品の臨床試験において、製薬  企業が行うさまざまな業務の一部を支援する機関のことを言っております。  (PP)  それで、このCROの法的な位置づけでございますが、平成9年(1997年)のいわゆ  る新しいGCP省令の第12条で、治験を依頼しようとする者、これは主に製薬企業さ  んになりますが、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合は、契約をし  なければならないということで、この後、契約条項がかなり詳細に載っております。  そして、その省令の運用について通知が出ておりまして「1.治験の依頼をしようと  する者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託することができる」というこ  とで、この1997年に初めてCROというものが法的に認めていただいたということに  なります。この中では「委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、治験の依頼  と使用とする者が手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確  認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること」というよ  うなことで記載されております。  (PP)   それで、実際に私どものCROの業務がどういうことを行っているかを示している  のが次のスライドでございます。   私どもCROと申しますのは、主にモニタリング、それから、データマネジメント、  統計解析がメインの業務でございます。製薬企業様の方からモニタリングの業務依頼  がございますと、私どものモニターという者が実施候補の医療機関にお伺いさせてい  ただきまして、そこの今までの治験の実施体制とか、IRBの構成とか、今までの経  験とかをチェックさせていただきまして、そして、的確であるということになります  と治験の依頼をさせていただきます。   その中で、治験を依頼して医療機関にありますIRBなどでOKになりますと契約  ということで、医療機関と製薬企業とCROの三者契約をさせていただきます。   その後、治験が始まるわけですけれども、実際に症例といいますか、患者様が治験  に入ってきた段階でモニタリングという業務がありまして、モニタリングというもの  は治験が正しく行われているかどうかをチェックする業務でございます。それで、患  者さんの倫理、安全性情報が確保されているかどうか、あるいは治験がプロトコル、  治験実施計画書のとおりに実施されているかどうか。そして、記載が正しく書かれて  いるか。そういうようなことをチェックするものをモニターと申します。   そして、製薬企業様から来る安全性情報も正しく医療機関に伝わっているかどうか  というようなものの確認もさせていただいております。   その上に「症例報告書」と書いてございますが、実際に記録が入ってきますと、そ  の書かれた記録が病院にある原資料、すなわちカルテなどに書かれていることと合っ  ているのかどうか、照合をいたしまして、正しく書かれているかどうかというような  こともさせていただいております。   そのほか、CROとしてはデータマネジメントということで、データにはいろいろ  ばらつきとか、あるいは間違いとかがありますので、それのチェックをさせていただ  くことと、そして、データベースを作成して、更にその後、統計解析というようなこ  とをさせていただいております。  (PP)   「3.日本CRO協会のあゆみ」と書いてございますが、この協会は1992年に勉強  会を発足しております。アメリカでは既に40年ほど前から、このCROという業務が  出てきたということでございます。   それで、実際に新しいGCP、新GCPと言われておりますけれども、1997年に出  て、CROが初めて法的な位置づけを得たところから、私ども「受託業務の適正な実  施に関する日本CRO協会の自主ガイドライン」というものを制定させていただいて  おります。   そのほか、モニターの教育マニュアルとか、モデルの契約書とか、いろいろのこと  を検討し、作成、そして、発刊などもさせていただいております。  (PP)   特に2007年4月からモニターの教育研修制度、これは日本CRO協会に属するモニ  ターでございますけれども、協会で教育の内容のカリキュラムをつくりまして、導入  研修を行う。こういうようなことで、200時間の導入研修でございますが、それに従  って研修をしていただいて、そして、社内で試験をしていただくということで修了証  を発行することを2007年4月からやっております。   更に、その下の2009年4月になりますが、このモニターの教育研修につきましては  更に継続研修40時間を加えまして、協会として統一の教育研修修了認定をしていこう  ということで、今年4月から発足して、今年度9月に第1回の試験を行うことになっ  ております。約二千数百名が、今までモニターをしていた方も受けるということで、  このような形をスタートさせていきます。  (PP)   現在、日本CRO協会の加盟会社の人数ですけれども、2008年の実績は約9,000名  でございます。これは39社の集計値で、モニターが約3,700名。あとはDM・統計が  二千数百名というような状況でございます。そのほかは内部での補助の方、あるいは  いろいろ品質管理をやっている方、システムをやっている方、そういうことを合わせ  ると約9,000名になります。  (PP)   私どもの協会として、やはり受託業務の適正な実施ということでガイドラインを作  成しておりまして、受託業務の品質及び信頼性の確保を目的としている。   モニタリングにつきましては、モニタリング業務を十分に遂行し得る教育研修。そ  して、必要な科学的・臨床的知識を付与する。このような教育を充実させることを遵  守する。   それから、安全性対策におきましても、委託者、製薬企業様が新たに入手した安全  性情報を直ちに入手し、実施医療機関の治験責任医師及び分担医師などに速やかにそ  れを提供する。また、本会員、CROの方のモニターが実施医療機関において発生し  た副作用、有害事象などに関する情報を入手した場合、速やかに委託者に報告し、適  切な対応を取らなければならない。このようなことでガイドラインを遵守していただ  くようにしております。  (PP)   このCROに、今、私どもは39社と申しましたが、企業として起こされた方に対し  ましても、協会としましても、やはり信頼性ということが大事で、入られるときに組  織体制とか、標準手順書の整備及び運用状況、社員教育システムと教育訓練状況/記  録、個人情報保護体制、あるいは受託業務に係る記録及び情報の保管/保存状況。そ  して、施設・設備。これは治験薬の保管設備と、あるいは資料の保管設備というよう  なものを協会の監査部会が監査をして、もし改善があれば改善をしてくださいという  ようなことで最終的に審査を、改善されればまた入会というような形でさせていただ  いております。   この監査部会というものは他社に、協会でもほかの会社の監査の方が、そこの新し  く入られる会社に入って監査をする。このような形になっております。  (PP)   やはり、信頼性を強化するためということでは教育が非常に重要であろうというこ  とで、[1]と[2]というようなことでいろいろな研修会を開催させていただいております  し、それから、モニター、特にデータをいただいてくるモニターに対しましてはカリ  キュラムガイドライン、先ほど申しましたけれども、知見に関する倫理とか安全性情  報の扱いというようなものを含めて研修をして、それから、実地の研修なども含めて  研修修了認定試験を受けられるというような形にしております。   そのほか、監査事業というようなことで、先ほど申しましたように、入会のときの  会員へのシステム監査。それから、CROのGCP監査とありますが、製薬企業様の  方にも監査部門がありますが、その中でCROとしてのGCP監査というものの検討  を、今、更に進めております。   そのほか、行政、日本医師会、製薬協からの講演とか、あるいは製薬協の臨床評価  部会という会合を定期的にさせていただいておりまして、そういう中でいろいろな情  報、あるいは問題点なども協議させていただいております。   そのほか、厚生労働省の新たなる治験活性化5か年計画検討委員会にも参加させて  いただいております。  (PP)   それで、各社ではどのようにこの信頼性を強化するためにやっているかということ  でございますが、まずはモニタリングに限らせていただきますと、品質管理というも  のを、質とか、担当者を置いて行われている業務が正しく行われているかどうか。モニ  ターは医療機関に訪問するごとにモニタリング報告書を書かなければなりませんが、  そのことと、いただいてきたいろいろな資料そのものの整合性が合っているのか、手  順どおり行われているのかどうかというようなチェックをしております。   そのほか、それとは別に、こういう品質管理が正しく行われているかどうか。そう  いうような個々の業務の信頼性の調査とシステム調査というものを、業務実施部門と  無関係な部門でこのような調査をしております。   更に、自社以外に製薬会社様から業務受託前に製薬会社様の方の品質保証部門から  事前調査が行われまして、CROとしてちゃんとできるかどうかということで、組織  体制、受託体制、教育履歴の確認などが行われまして、初めて受託の方向へ向かって  いくということであります。  (PP)   「5.日本のCROの役割」ということで、やはり私どもCROというものはメー  カーさんとは違う、中立の立場で仕事をしていくのが一番大きいかと思います。   更に、最近はドラッグ・ラグというようなことで言われていますけれども、そのよ  うな形で、医薬品の開発のスピードアップのサポート。   そして、最近は国際共同臨床試験。日本だけではなく、国際的な試験を同時にやる  というようなところで、各国のレギュレーションなどが違いますので、その辺のとこ  ろを勉強しながら、更にこのようなことをサポートしていく。   最後になりますが、今年2月にアメリカのCRO協会、そして、ヨーロッパのCR  O協会、日本のCRO協会とで東京宣言というものを出させていただきました。これ  はやはり患者様の安全性/倫理基準を常に優先することを普遍的に推進するというこ  とで、今後、私どもCROとしましても、ここを重視して、更に信頼性を確保するこ  とで努力をしていきたいと思っております。   したがいまして、御提言いただいたことに対しましては真摯に受け止めて、更に私  ども、努力をしていきたい。このように思っております。   以上、私からの御説明を申し上げました。ありがとうございました。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。  CROの方に発言をしていただいた理由は、その中にも説明があったと思いますけれ  ども、先ほどは医療の現場から、今回は製薬業界も含めての御発言かと思うのですが、  そういうヒアリングをさせていただいたという、理由はおわかりいただいたと思いま  すけれども、何か今の御説明に御質問がありましたらお願いいたします。   花井委員、どうぞ。 ○花井委員 花井といいます。ありがとうございます。   私、実はCROというものにそれほど詳しくなくて素人っぽい質問になるかと思う  のですが、まずは東京宣言で言われるように、ある種、患者の安全性は重要だと思う  のですが、製薬企業との委託契約のときに、いつも治験で気になるのは非臨床試験デ  ータです。CRO側が、もし、その治験を行うときに、患者の安全性も含めて安全な  試験を行うことに責任を持つためには、企業からデータを全部いただかないといけな  い。つまり、こんなデータでは足りないという話になるので、それが増えれば増える  ほど、その薬の素性がわかるわけですが、委託契約上、製薬企業はその非臨床試験デ  ータ、生データを全部CROに公開する責任は持っているのですか。   それとも、一部だけですか。それが1点です。   それでは、もう一個、続けてお伺いします。 ○寺野座長 1点ずつでいった方がいいのではないですか。 ○花井委員 それでは、お願いします。 ○植松参考人 CROのところで非臨床試験について、すべてデータをもらっているか、  評価しているかという御質問だと思いますけれども、実際にはそこまでCROとして  は現実的にはできません。   いただいているものは治験概要書ということで、非臨床試験の結果、サマリーがず  っと、生データを全部いただいているわけではなくて、治験概要書というところでの いろいろなデータを私どもは見させていただいております。というのが現実でござい  ます。 ○寺野座長 それでは、次をどうぞ。 ○花井委員 よくわかりました。   そうしますと、私の理解では恐らくCROの運営のコスト、つまり、お客さんは製  薬企業の委託者という理解で、病院からは別にお金をもらわないでしょうから委託者  だと思うのですが、そうなってきますと中立性というところを重要視しているとおっ  しゃるのですが、これは少しあれなのですけれども、つまりもっとデータを出してく  れなければ、もしかしたらという疑いを患者側からすれば、前も治験に入ったときに  毒性データがないのだとかという話で治験を誘ったりするのに対して腹立たしい思い  をしたことがあるのです。   そうしますと、CROはそういうところから患者が、例えばここの動物データをも  う少しはっきり開示しろ。むしろ、それはいわゆる知財の関係がありますので、それ  を明らかにするかどうかは別ですが、CROが責任を持つためには製薬企業に強く、  それは何だ、もっと出せという強い立場で言わなければいけないことができなければ  中立性は担保できないと思うのですが、お金をもらっているということと中立性が整  合するというロジックがいまいち理解できないのですが、そこはどの辺まで中立性と  いう概念を考えていらっしゃるのですか。 ○植松参考人 私どもは、その辺は非常に微妙なところだと思いますけれども、私ども  はいただいたそういう資料から、勿論、疑問点があれば概要書の方からさせていただ  きますけれども、私どもの仕事は、あくまでも製薬会社様からこのような治験計画書  というものが提供されまして、そこにおいて、それを忠実に行っていくというような  業務で、勿論、施設において起こったいろいろな有害事象とか、あるいはそういうも  のについては報告をするというのがかなり厳しく規定されておりますので、そういう  ことを忠実に行っていくというところでございまして、製薬企業ではありませんので、  CROがそこまですべてをいただいてやっているわけではございません。   ただし、製薬企業から資本をいただいているわけではございませんので、私どもと  しては、そのような臨床試験の実施に関して正しく行われているかというところをチ  ェックする。これに徹しているということでございます。 ○花井委員 ありがとうございます。 ○寺野座長 いいですか。   水口委員、どうぞ。 ○水口委員 水口です。今、忠実に実施していくというふうにおっしゃられた点なので  すけれども、CROが本当に中立で、そして、倫理にかなった臨床試験を公正に行う  という社会の期待に応えるためには、臨床試験のデザインそのものがやはり適切であ  るかどうかをきちっと見るということが求められていると思うわけです。   そうであれば、是非、日本CRO協会として、今、花井委員が話をした点、要する  に「非臨床試験のデータを全部ください。そうでなければ、この臨床試験計画、プロ  トコルが適切であるかどうかということ自体、きちっと判断することはできない。」  というようなことを是非協会として強く言っていただきたい。これは希望です。   もう一つが、今は入口のところだったのですが、今度は出口のところです。臨床試  験の公正さを保つためには透明性を高めることが、今、世界的な趨勢で要請要望され  ているところだと思うのです。臨床試験の登録制度、特に義務化というような流れも  あると思うのですが、やはり(臨床試験の)結果については、良い結果だけではなく  て悪い結果もきちっと公表されていくことが必要で、いわゆるパブリケーション・バ  イアスがもたらす不公平を回避することは必要だと思うのです。   CROは、結果については独自に発表するという権利は持っていらっしゃらないわ  けですね。臨床試験の透明性を高めるために、日本CRO協会として、どういう方向  性が制度の改善として必要なのか。特にパブリケーション・バイアスを回避する上で  どういうことが必要なのかについて、既に御見解を持っていらっしゃればお伺いした  いと思うのです。 ○植松参考人 私どもの業務としては、医療機関からいただいているデータが正しいか。  それをチェックしながら製薬企業さんの方にお渡ししていくというわけで、その後、  いろいろな統計のところとか企業分とかがございまして、今、そちらについて、私ど  もは関与していないところでございます。法律上、すべての責任は、今、製薬企業様  の方にあるという形になっております。ですので、すぐにその結果をいただくのはな  かなか難しい状況にはあると思います。 ○寺野座長 堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 CROの役割というものは、先ほど履歴書の中にありましたように、1997  年に新しいGCPができて以降、治験の一部を委託してやるということだったろうと  思います。   私もちょうど、新しいGCPを始めてから10年ちょっと、大学病院の臨床試験部と  いうものを立ち上げて、そこでの責任者をずっとやってきましたけれども、CROの  モニタリングは、場合によるとメーカーと直接やるよりもかなり厳しいモニタリング  がやられていたということで、要するに請け負ったことをきちんと本当にやっている  かどうか。それで、最終的に知見を受けるかどうかというのは医療機関で、多分、先  ほどお話があったものと同じものだと思うのですけれども、非臨床試験の概要とか、  それまでに出ていたデータ集を基にして決定するということですので、かなり分厚い  ものが来るわけですけれども、多分、同じものを基にして評価しているのではないか  と思います。   したがって、私は余り性悪説ではないのですが、かなりきちんと客観的に治験がや  られているかどうかというのはかえって厳しく評価されてきたという印象を持ってい  ます。   ですから、そこはいいのですけれども、お聞きしたいのは、先ほど39社あるという  ことでしたが、協会としてのスタンスの場合と、入っている39社、そこにどのくらい  ばらつきがあるか。余りばらつきがないということであれば、それは何も問題がない。   それで、それをばらつきがないようにするのにはどういう御苦労をされているかに  ついてお尋ねしたいと思います。 ○植松参考人 39社のうちに、実際のモニタリングをしている会社は17〜19社だったと  思います。あとはいろいろ、コンピュータとかでデータマネジメントとかそういうと  ころがやっている会社も協会の中に入っております。そういう中で、私ども、関連社  については各分科会をつくりまして足並みを、いろいろな解釈とか、実際のいろいろ  な事例などの検討もさせていただいております。   そういうことで、日本CRO協会に属する会社がやはり同じ方向で信頼性を確保し  ていくということでは、毎月1回、経営者を集めての月例会とか、更に理事会とか、  このようなことを毎月のようにやっておりまして、いろいろな点で課題を検討させて、  足並みをそろえるようにしております。 ○寺野座長 よろしいでしょうか。   間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 39社あるというお話だったのですけれども、協会に属さないCROの会社  も勿論あるわけですね。   それで、先ほどのお話で、いわゆる製薬会社の資本は入っていないということだっ  たのですけれども、それは、まず協会に所属されている会社については何かそういう  資本が入っていないということを確認したいとかはしているのかどうか。   あと、協会に入っていない企業については、余りそういうことを言うお立場ではな  いと思うのですけれども、入っていないところはどのぐらいあって、そのレベルがや  はり差があるのかどうかを少しお聞きしたいと思います。   以上です。 ○植松参考人 ありがとうございます。  資本がどうなっているかというのは、先ほど入会審査というものがありましたが、そ  こに今、すべて、いろいろ基本的な経営情報を出していただいておりまして、そこに  も審査の一つの統計を正しくやるという形で審査をさせていただいております。   それから、協会に入っていない会社が確かにございます。私どもは是非協会に入っ  ていただきたいと、今、勧誘をしているところでございます。   ただ、10名ぐらいでされているような会社もございますけれども、そういうところ  にも是非入っていただきたいということで、これからも勧誘をしていきたい。全体的  には90%ぐらいが、CROをやっている会社が入っているという状況だと思います。 ○寺野座長 入らない理由というのは、負担金とかそういうことが理由なのですか。 ○植松参考人 そうですね。そういうところもあるかと思いますけれども、あとは自分  の会社、生き方といいますか、少しよくわからないのですけれども、このビジネスそ  のものの考え方というところもあるのかもわかりません。 ○寺野座長 わかりました。   泉委員、初めての発言ですね。どうぞ。 ○泉委員 泉です。2つお伺いしたいことがあります。   1つは、今、資本のことを御回答いただきましたけれども、それでは、人材のとこ  ろはどうでしょうか。例えば協会自体、PMDA及び厚生労働省、あるいは製薬企業、  そういうところから来られていて、そして、理事もしくは上層部の方に就いていらっ  しゃる。   そういうこともデータ的には開示は求められていらっしゃるのか。あるいは協会自  体はいかがなのでしょうか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○植松参考人 入会のときに見出して、やはり役員構成がどうなっているかというよう  なことで、まだ10%のところがありますのでわかりませんけれども、現在、日本のC  ROではPMDAとか厚生労働省から来ている方はいらっしゃらないと思います。   あと、製薬企業からはやはりスペシャリストとして、この業務を行っていく方はた  くさんCROの方に来ていただいている状況でございます。 ○寺野座長 泉さん、どうぞ。 ○泉委員 今の人材の件で言えば、協会の方でお調べになって、もし報告があれば次回  にでも報告してくださればと思います。   2つ目は、この臨床試験のビジネスモデル、つまりContract Research Organizati  onというものは海外において非常に発展しましたけれども、どちらかというと、今は  東南アジアとかいわゆる第三国の方に安い治験データといいますか、そういう依頼が  増えている中で「5.日本のCROの役割」という先ほどの報告の中で「医薬品開発  のスピードアップのサポート」というところがありましたけれども、あと、次には「国  際共同臨床試験の実施のサポート」。是非、海外では既に事故は起きています。多分、  スペシャリストの皆さんの方がおわかりでいらっしゃると思いますが、プロトコルの  適正化とか試験デザインなどで問題が存在しているけれども、それをいわゆる依頼者  に言えなかったとか、製薬企業からの独立性が非常に難しかった事件が起きているの  で、進歩性よりも、むしろ将来に向けて起こり得るかもしれない危険性に関して、是  非、適切な形を取っていただけるように、そして、私たちにいろいろ教えていただけ  るような協会であっていただきたいと思います。   以上です。 ○寺野座長 御意見はありますか。 ○植松参考人 ありがとうございました。今のお考えを受け、更にまた検討を進めてい  きたいと思います。 ○寺野座長 坂田委員、どうぞ。   高橋委員は最後に言っていただきますので、楽しみにしています。 ○坂田委員 坂田です。よろしくお願いします。   臨床に関してはGCP調査が行われていると思いますけれども、CROは市販後調  査もされていますが、その調査に対するいわゆる調査といいますか、どこがどのよう  な調査をされているのか。あと、モニタリングの業務に関して各社任せになっている  のでしょうか。だれが担保しているのか、どういう教育体制になっているかです。   それと、海外での治験に関してなのですけれども、どのようにコントロールされて  いるか。欧米における規制で、欧米にはあって、日本にはない規制とか、そんなもの  がありますでしょうか。 ○寺野座長 どうぞ、お願いします。 ○植松参考人 市販後の調査というところでは、確かにCROが手伝わせていただいて  おります。そこには製薬企業様から受託をするわけですけれども、自主点検というよ  うなことで点検をして、それをどのような形でやっているか。それをまた、その点検  結果を製薬企業さんに返すというような形で、その管理業務、それから、データマネ  ジメントの業務、そのような形で行わせていただいております。   モニタリングの担保という第2の御質問ですけれども、ここにつきましては最終的  には、私どもの業務においては製薬企業様の品質保証部門の方が監査に来られる。そ  して、更にまた規制当局のいろいろな監査もそこで、その上で入っているというよう  な形になっております。   欧米での規制につきましては、一木の方からお話しさせていただきます。 ○一木参考人 各国、さまざまなレギュレーションがありますのでそれぞれ、若干は違  いますけれども、大半はICH−GCPの中で定められている枠の中に入っておりま  すので、大きな違いはございません。   ただ、例えば一部、物を輸入したり、それから、施設で配るとか、そういう物理的  なところには各国のそれぞれ特有のレギュレーションがかかっておりますけれども、  基本的なところはICH−GCPの中というふうに思っていただければ大きな違いは  ないだろうと思います。   あと、治験届出を出してからスタートできるまでの期間の問題とか、それから、I  RBの問題とかというものも、日にち的な違いがあるだけであって、内容的には変わ  りません。出すものも変わりません。   ただ、日本と違いまして、大半の国は英文のままで出して、同意書だけが現地語に  翻訳していくとか、それはありますけれども、大きな違いはないと思っております。 ○寺野座長 それでは、大平委員、どうぞ。 ○大平委員 CROというものは、私の方も余りよく勉強していないのでわかりません  けれども、協会としての位置づけというものは、かなり加盟各社に対しての厳格ない  ろいろな規約とかそういうものがあって、そして、それを遵守するような形で日本C  RO協会の方がすべて責任を負ってやっているのか。それとも、もう少しやわらかい  形で、ただ加盟各社がそれをCROの推進とか、それから、いろいろな基準とかそう  いうものをきちっと守るような、そういうある程度の拘束力は持たなくても指導して  いる立場なのか。   あと、この日本CRO協会に対しての公的ないろいろな監視とか、また、モニタリ  ングとかそういうものがきちっとあるのかどうかがよく私はわかりませんので、この  「2.CROの主な受託業務」の図式を見ますと、結局、これは製薬企業の一つの下  請というような、言葉は悪いかもしれませんけれども、そういうような形での役割を  果たしていて、ここと、それから、厚生労働省総合機構との関係というものは直接な  いような図式になっておりますけれども、その監督とかそういうものの関係というも  のは、簡単で結構ですので、もし教えていただけたらと思います。   そういう意味で、そこがきちっと担保されていないと公平性はなかなか説得力がな  いと思ったのですけれども、これは素人発想なので御勘弁ください。 ○寺野座長 いかがでしょうか。 ○植松参考人 どのような規定でそのようなところを監視しているのかというのがまず  第1の御質問だったと思いますが、先ほど申しましたように、日本CRO協会として  もガイドラインということで遵守事項をつくっております。この日本CRO協会とい うものは任意団体でございまして、各社の中でそれを遵守していただくという形で現 在はしております。   ただ、私どもの業務は信頼性の上に成っておりまして、この信頼性が失われますと、  私どもの会社はつぶれてしまいます。こういうような厳しい業務をさせていただいて  おります。そういうことで、各社が必死になってこれを守ろうということでやってい  るところが今の状況でございます。   もう一つ、協会として、途中で経営的にうまくいかなくなってしまったというよう  な会社が出てきたときには、やはりそこはお互いにスムーズにいくように各社が協力  して、うまく引き継げるかどうか。その要望があったときには、そういうような形を  していくということは決めております。   そのほか、先ほどもう一つの厚生労働省、総合機構とのお話でございますが、基本  的には製薬企業様がそこでいろいろと御相談とか審査のところとかをやっていただく  ということでございますが、最近は私どもの方にも調査がというところで規定化が始  まっております。 ○寺野座長 小野委員、どうぞ。 ○小野委員 だれかが言われると思ったのですが、だれも言わないので言いますけれど  も、日本CRO協会の方は怒って来られているのか。中村会長が何を疑っているのだ、  報告書は全然合わせていないと言って、私もそれはそうだなと思って、私もおつき合  いが長いですから、下請ですから、企業の下請でいろんなデータを集めている方々で、  別に全然疑われるような方々ではないのですけれども、それで怒って来ているのかな  と思ったら、今日はいきなり最初に、海外で私どもは悪いことをしたようなことを言  われましてと言っているのですけれども、何か圧力をかけられたのならここではっき  り言ってしまった方がいいということ。   あと、その実例が知りたいのですけれども、もし本当にそういう例があるのだった  ら、私はこの分野の研究をやっていますけれども、CROが間に絡んだ部分でデータ  が悪化したということをきちんと示した文献とか論文とかは一報も見たことがないの  です。私が不勉強だからかもしれません。   エピソードはいっぱいあるわけですけれども、そのエピソードでいくと、裁判官だ  って痴漢をする御時勢ですから、そういうもので議論をしてはいかぬですね。私は味  方ですけれども、そこら辺のデータのところといいますか、なぜスタンスが変わって  いるのかというところは極めて大事なところだと思うので、御説明いただけますか。 ○植松参考人 わかりました。ありがとうございます。   私ども、この提言を見させていただいたときに、本来はこんなことはあり得ないと  いうのが現実に各会社の皆さんの議論で、それでは、どうしてこのようなことになっ  たのか。それでお手紙を書こうというところでございます。   私ども、よく外国のことを調べていかなければいけないというところで見ましたと  きに、雑誌の『The New England Journal of Medicine』にいろいろと事例が書かれ  ておりまして、FDAに提出したときに、CROが知っていたけれども、製薬会社様  の方が安全性の情報を虚偽して出したというような事例が載っていたのです。   そういうことがありましたので、本当にあり得ないかといいますと、こういうこと  があるのであれば、やはりそれはこれからも気をつけていかなければいけないという  ことで、少しスタンス的に、先ほどの手紙の内容と今日の説明とは少し違えたという  ところがございます。 ○小野委員 それぐらいだったら、粛々とやっていますと、もっと強気でいいのではな  いですか。つまり、そういうところでやたら、例えば多分譲られて、その方がいいか  なと思っておられるのですけれども、そこは言うべきことはちゃんと主張しないから  変なことになる。役所の方々が一言、何も言わないから一方的にたたかれて変なこと  になっているという、何か言っていただければいいのですけれども、言うべきことは  言う。   それでエビデンス、事例ベースだったら、恐らくそういう事例は山ほどあるわけで、  GCP調査で変なこととかが見つかる事例などは製薬企業も医療機関も山ほどあるの  です。  先生方もよく御存じですね。別に恥ずかしがることは全然ないわけで、そ れでは、そういうエビデンスを集めましょうとか、何か前向きに言っていただいた方 がこういう場ではいいかなと、味方として思うのです。 ○植松参考人 ありがとうございます。 ○寺野座長 率直な御意見で、それでは、堀内委員、それから、最後に高橋委員のお二  人に限らせていただきます。   堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 私も先ほど、割とマイルドに性悪説は取らないというお話をしたのですけ  れども、この第一次提言は、そのときも、うっとは思ったのですが、まあ、いいやと  思ってしまったのですけれども、やはり「開発業務委託機関(CRO)が製薬企業に  有利なデータを出すことがないよう、GCP調査の更なる厳格化を求めるべきである」  という表現は、有利なデータを出すというようなことが前提になるような表現だろう  と思うので、表現としては改めた方がいいのではないかと思います。 ○寺野座長 GCPに関しての表現は、第一次提言では、臨床試験については本当に簡  単にしか書かれていないのです。第二次提言といいますか、最終的なところではまた  考えさせていただきたいと思います。   それでは、高橋委員、最後にお願いします。 ○高橋委員 委員として、この第一次提言の中に書かれていること自体に文句を言うわ  けにはいかないと思いますけれども、やはりこの表現が、例えば企業に有利なデータ  を出すということが私たち企業としてそれでいいのかどうかというところだと思いま  す。   例えばフェーズ2のデータを、いいデータをCROがつくってくれたということに  なって、フェーズ3になったら違った結果が出たということになったら、フェーズ3  に行ったこと自体が間違いだということにもなりかねない。ですから、私たちとして  は有利なデータというよりもしっかりしたデータ、確実なデータをCROに出してい  ただくというところが大事なのではないかと思っています。   ですから、やはりこの表現自体が、確かに可能性としてはないわけではないと思い  ますけれども、これが適切かどうかという点については、企業の方の立場とすると、  それは違うのではないかと思っています。   あと、CROの立場というものが、企業が一義的な責任は十分あると思いますし、  私たちがしっかりやるということが大事だろうと思います。今、日本CRO協会の方  もかなり頑張って、いろいろ研修等もしていただいているわけですけれども、企業と  しても依頼者の立場としてCROを選ぶとき、このCROが的確かどうか、この領域  についてしっかりした人間がいるのかどうかということも当然評価をした上で、それ  から、日々モニタリングをやっていただいている中で、しっかり医療機関側とコンタク  トが取れているかどうかという点についても企業としても見せていただいています。   そういうことも含めて、中立性も含めて、私たちもやることはやる。それから、C  ROとしても、立場としてしっかりしたデータを出していただくというところが必要  ではないか。独立性というのでしょうか、やはり依頼者側と受託側との責任というも  のをしっかり持った上で、この治験をスムーズに進めていかないといけないかなと思  います。   それで、企業にとってはCROがないとなかなか、今はテーマがたくさんあって、  それから、グローバルの治験の中では、例えば欧米と一緒に治験をやるような場合が  出てきます。そうしますと、どうしても海外はCROが全部やっているというところ  もありますので、日本も同じようにやっていかなければいけないということもあって、  CROにお願いすることがかなり多くなっています。ですけれども、私たちとしてお  願いするのは、自分たちのモニタリングをやっている人間と同じような目で厳しく見  ていっているつもりでいます。   以上です。 ○寺野座長 ありがとうございました。   坂田委員、簡単にお願いします。すぐに終わりますね。どうぞ。 ○坂田委員 済みません、本当に素人ですので1つお願いなのですけれども、CROを  1社見学させていただけませんか。全くわかりませんので、是非よろしくお願いしま  す。 ○植松参考人 わかりました。 ○寺野座長 それは、こちらの事務局の方でも考えさせていただきたいと思います。   1点だけですね。本当に1点だけですよ。どうぞ。 ○水口委員 最初に基本的に意見書を出されて、今日、意見書とは違ったことをおっし  ゃって、今度は小野先生から何かおっしゃられたら、また考えて、とされているので  すけれども、先ほどおっしゃったのは『The New England Journal of Medicine』の  2007年10月4日号のことだと思うのです。これを見て、意見書で言ったことは修正す  るというふうにおっしゃり、そして、日本と外国は違うのだともおっしゃられていた  ので、その違うということをもう少しわかりやすく御説明いただきたかったというふ  うには思います。 ○植松参考人 申し訳ございませんでした。その雑誌を見せていただいて、こういう危  惧も起こるのだろうということがあったことがわかりましたので、今回の発言はこの  ようにさせていただきました。   また、先ほどありましたように、一部適性など違うところがありますので、我々も  勉強して、このようなことが日本では起こらないということをやはり我々としてもま  た勉強させていただいて、進めさせていただきたいと思っております。 ○寺野座長 ありがとうございました。   問題の端緒は、中立性というものが担保されていないような表現ではないかという  ことで言われたわけで、そこら辺に対して中立性はこういう形で担保されている。そ  のことを皆さんが納得されたかどうか、それはわかりませんけれども、その辺の説明  が中心であったと思います。製薬企業を中心として、一つの自浄作用としての自主的  なコントロールだろうと思うのです。   あとは、新薬のクリニカルリサーチといいますか、臨床治験ということだけでなく  て、市販後の調査も非常に重要で、これはやはり薬害防止に非常に重要なわけで、こ  この委員会の中で幾つかテーマになっているのは、その点があったのです。ですから、  そこら辺りもどういう形でまた進められるのか。   必要によっては、またお聞きすることがあると思います。今日は時間の関係があり  ますので、十分なディスカッションはしていただいたと思います。ありがとうござい  ました。どうも御苦労様でした。           (植松参考人並びに一木参考人退室) ○寺野座長 外は大分、大雨かなという感じですけれども、15分ぐらい延びますけれど  も、よろしいでしょうか。もう少し、次の議論がありますので、よろしくお願いしま  す。   それでは、次の議題で、これも大きな議題なのですが、時間がないので全部はでき  ないと思いますけれども、まず「2 再発防止対策についての討議」ということにし  たいと思うのです。   第一次提言でいろんな検討事項が記載されましたけれども、今後、これをどういう  ふうに検討を進めていくのか。そういうスケジュール、流れ、プロセスというものを  一度示してくれという御意見が先般、水口委員の方からも出されています。ですから、  現時点において、どこまでそういうことが表現できるかわかりませんが、その点を説  明してもらいます。   併せて、前回の会議に提出されました「医薬品行政を担う組織の今後のあり方につ  いて」という資料のうちで、見直し案の比較をした整理表、テーブルが出ました。こ  れは○とか△とかいろいろありまして、これが適当かどうか、いろいろ議論があった  のですけれども、それを修正していただいておりますので、そこの説明ということで  すね。   もう一つの問題点は、今日できるかどうかはわかりませんけれども、一括して説明  はしていただきたいと思うのですが、第三者組織について水口委員の方から討議メモ  を作成・提出していただいております。先ほどの中立性の問題も当然ですけれども、  そういう単位組織というものをどういうふうにすればいいのかということを全体一括  して討議の時間としたいと思うのですが、時間が足りない場合には次回の7月に回す  ことになります。   そういうことで、まず事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 それでは、資料1から説明をいたします。前回の会議で  今後の検討の進め方についての資料を御説明しました際に、第一次提言についての厚  労省の取組みや対応について9月に報告をするというふうに説明しましたので、それ  に先立って、これからどういうふうに進めようかの大体の方向性を夏前に説明しても  らいたいという要請がございましたので作成したものです。   まず、この表で、表と裏がありますけれども、左側の「事項」の欄は第一次提言の  目次に従って事項を整理しています。   真ん中の「検討の方向」の欄をごらんいただきたいと思いますけれども、最初の  「(1)基本的な考え方」の「[1]医薬品行政に携わる者に求められる基本精神及び法  の見直し」につきましては、法の見直しという検討課題もありますので、法的措置を  検討ということと、基本精神の部分については既に職員の研修等の中で徐々に着手を  しているというところでございます。   [2]の行政機関の体制と人材の育成ということですけれども「備考」の欄に記載して  おりますとおり、今年度から総合機構の安全対策要員を大幅に増員して、また職員の  研修も行っておりますことと、自治体の体制の問題もございますので、地方公共団体  と連携を図りながら予算対応等も含め検討を進めていきたいということです。   [3]の教育については、これも予算対応を検討しておりますとともに、関係省庁との  連携を図りながら進めていきたいということでございます。   (2)以降の欄については、それらの中に提言を細かく見ますとさまざまな事項が  入っておりますけれども、それぞれにつきまして運用の改善あるいは法的な措置を講  じるということも含めて検討を進めていこうということと、その際に必要に応じて外  国の制度等についての調査・研究も併せて行っていこうということでございます。   裏になりまして上側の方ですけれども「(4)市販後安全対策等」の1つ目の欄に  つきましては、昨年夏の中間とりまとめを踏まえまして今年度から一定の取組みを開  始しておるということで、総合機構が今年度から第2期中期計画の期間に入っており  まして、その計画の中に盛り込んでおります。次回、総合機構からのヒアリングとい  うものも予定しておりますので、その中でまた御報告・御議論いただけるかと思いま  す。   以降の欄の「[4]副作用情報の本人への伝達や情報公開の在り方」「[5]必要な情報提  供と適正広告による医薬品の適正使用」「[6]GMP調査」「[7]GVP、GQP調査」  「[8]個人輸入」などについては記載のとおり、それぞれ運用改善・法的措置、予算対  応、さまざまな項目が入っておりまして、簡略で申し訳ありませんけれども、関係団  体や自治体と連携しながら取組みを進めるということでございます。   (5)〜(9)についても記載のとおりでございまして、どのように検討を進めよ  うと考えているかの現時点での大きな流れということにとどまりますけれども、現時  点の考えは以上のとおりということでございます。   次に、資料2の方に進みたいと思います。資料2の最後のページに前回提出しまし  た資料3の23ページというものを付けておりますけれども「4 医薬品行政組織見直  し案の比較(整理試案)」につきまして、前回いろんな御意見をいただきました。   整理しますと、印の意味がわからないのできちんと説明を付けて欲しいということ。   また、比較項目として項目が抜けているのではないかということ。また、一番上の  [1]で「国の賠償責任」が△というのは何故かいう辺り、あと幾つかございましたけれ  ども、そういった御意見があったかと思います。   もとより、この委員会で、この○、△などの評価、規模づけを決定するということ  に大きな意味があるわけではなくて、今後望ましい行政組織の案を御議論いただくた  めの一つの素材にすぎないわけでありますけれども、引き続き御議論いただくために  前回の御意見を踏まえて更新したものが、この資料2でございます。簡単に御説明し  たいと思います。   表紙の裏、1ページ目の整理試案・更新版という資料をごらんください。前回の資  料からの修正点を中心に御説明します。   まず、前回は◎があったのですけれども、今回はなくなっておりまして、その代わり、  ○’というものをつくっております。これは2ページの各項目の説明の「共通」のと  ころに記載しておりますとおり、これは全体を相対評価で、3段階で行ったり、2段  階で行ったりしています。3段階の場合に◎、○、△にして、2段階を○、△にして  いたものですから、そうすると◎の位置づけがわかりにくくなっておりましたので、  3段階を○、○’、△という表に修正したということでございます。   次に、比較の項目の最初に「権限全体の分担」の最初に「権限の網羅性」というポ  イントを、3番目に「運営費財源」という欄を設けました。   この新しく作りました「権限の網羅性」というものにつきましては、文書の方の「各  項目ごとの考え方」に記載しておりますとおり、一般的に「公権力の行使」は国の機  関の公務員が行うことが想定されておるわけですけれども、その「公権力の行使」とい  うものが組織形態にどこまで許されるかという論点についての整理でございまして、  独法あるいは非公務員の場合は、権限が制限される可能性があるということから、独  法または非公務員の場合は△としています。勿論、以前の資料で説明をしましたとお  り、最近は立法政策によるというところも大きい面もありますので、×ということで  はないわけですけれども、相対評価としては国を○、独法または非公務員を△にした  ところでございます。   3つ目の欄の「運営費財源」については、比較の上での重要な論点なので項目を立  てたわけですけれども、説明のiii)に記載しておるのですが、国の機関で事務を行  う場合でも、その経費は手数料財源で賄われる場合が少なくありませんし、独法で行  う場合でもその事務の性格に応じ公費財源も投入されるということですので、組織形  態によって一義的に定まるわけではないということで、すべて同じ評価ということで  記載をしております。   その他の項目の説明についても、今のこの資料の2ページの「各項目ごとの考え方」  に記載しておりますけれども、ポイントのみ簡潔に御説明したいと思います。   「独立性・専門性」については、運営費財源のことは別項目にしましたものですか  ら、あとに残るものとして、法律を所管して、立法政策に関わるということによって  独立性の問題がないかどうか。また、府省横断的な人事異動が要請されることに伴っ  て専門性の問題がないかということで、この文章に記載のとおり3段階に分けている  ところでございます。ii)のところです。  「政策の立案と実施」という欄は文字で書いていますので、記載のとおりです。   「大臣の責任」ですけれども、前回の会議でも、大臣の責任というので、辞めたか  ら責任を取ったということには絶対にならないという御意見もございましたし、大臣  の責任というものは国家賠償とイコールなのかといいますと、前回、未然防止が一番  大事だという御意見もありましたので、また組織形態において大臣が責任を負いつつ  各プロセスに関与していく濃さが違ってくる面があるだろうということで3段階に区  分をしております。   大臣直属組織が事務を担当して、大臣名義で承認等を行う現行の仕組み、あるいは  [8]にあります、内閣府に厚労大臣ではない担当大臣がいて、そこの下で一体的に事務  を行う場合を○。承認等は直属でない組織、これは[3]、[4]の独法の場合と、[5]の外局  の場合とがありますけれども、これを中間段階の○’。そして、外局が事務をすべて  行って、外局の長は大臣ではなく、大臣はその長を任命するだけという形態の場合を  △という濃さで区分をしています。   あくまでも政治家である大臣の責任という論点で立てているものですので、今、大  臣の責任がそういうふうに濃い、薄いといって、薄いとしても、それは国の賠償責任  とは別の話で、国の賠償責任をどう考えるかというのは別なコラムでございます。   現行の国家賠償法が「公務員」の職務行為について適用されるというものですか  ら、非公務員の場合は、国の賠償責任は明確でないという意味で、非公務員型の組織  の場合は△としています。したがって、この欄上、ほとんどのケースについて○とい  うことにしております。   なお、前回、一番上の[1]の現行の組織形態について、医薬品機構の非公務員が事務  を行う場面もあるということで前回の資料は△にしておったわけですけれども、承認  と安全対策を厚生労働大臣、公務員が行うという仕組みですので、前回ですと◎にな  りますけれども、今回は○の表記に変更してございます。   次に「専門職の処遇」については、国家公務員の場合は、俸給表などに基づく横並  びの処遇とならざるを得ないところがありますので、公務員の場合を△、非公務員を  ○というふうな印を付けております。   あと「備考」の欄について、前回、分断という表現で風穴が空いているという指摘  をいただきましたけれども、当然に分断されるという意味ではなくて、医薬品行政を  担う組織と、医療法や医療保険各法を所管する組織が異なる場合には、政策立案や制  度運営に当たっての相互連携が不十分になりがちであるということを分断と表現した  という旨を記載して、表の表現は変更せずに本日の資料はつくっております。説明を  加えたということにしております。   以上、駆け足でございますけれども、議論のための素材として整理しました表を御  説明いたしました。 ○寺野座長 ありがとうございました。   もう一つ、先ほど申し上げたのは、水口委員の方からの提案といいますか、御意見  でメモが配られておると思うのですけれども、これは時間がここでは足りないかなと  思うのです。   どうぞ。 ○泉委員 それに対して少し意見を述べさせてもらいます。   水口先生の方から「薬害防止のための第三者組織の具体化に向けて」というものが  出ています。これが実は今年3月までの最終のころに全員のコンセンサスが得られた  ということで、今、これに向かってどういう組織が法律的にも審議しなければいけな  いということで盛り込まれたはずなのに、なぜか今回も時間がないから次回になるか  もしれないという話がありますね。そうすると、この委員会はあと7回か8回しかな  いとしたら、そんな短い間に、今からやらなくてこれができるのかと私は思うのです。   それで、今まで事務局の方が説明してくれた中で「第一次提言の『第4 薬害再発  防止のための医薬品行政等の見直し』の内容についての検討の進め方(案)」の最後  の(9)で、たしか、これは第一次提言ができたときに、なぜ、このように簡単に書  くのかという意見も出たわけなのですが、どういうわけか、その(9)にちらっと出  ていまして、そして(9)の「[4] 医薬品行政の監視・評価機関等について」という  ものがまとめられています。ということは、これをやらずにして薬害の再発防止の委  員会としてなり得るのかどうかという非常に大切な話であります。   ですから、どうぞ、委員の皆様も、そして、傍聴の方も来られておりますけれど  も、何ゆえにこの委員会が始まって、そして、厚生労働省もしくは事務方の一部から  こんなものはできっこないという話を意見として聞いたことがあります。それは公式  な意見ではありませんけれども、でも、やらなかったら大臣も、そして、厚生労働省  も困ったことになったと思っているわけですから、今、これをやはりやるべきではな  いか。最優先課題にしていただきたい。   ですから、次以降、ヒアリングは別としてでも、課題としては第1課題として継続  してやってもらいたいし、そして、その進捗状況を、せっかく事務局がこういう資料  を幾つかでまとめていただいているわけですから、進捗状況も記載して残していくよ  うな形にしたい。   ほかの案件も確かに大切ですが、ほかの案件は時期がずれてもできるものもあるけ  れども、これはこの薬害肝炎事件で提案されたものであり、委員全体のコンセンサス  が取られたものであると私は思っておりますので、是非、それを座長も、そして、事  務方も認識していただきたいと思います。 ○寺野座長 それは私も、それに関しては十分わかっているつもりなのです。ですか  ら、ここの進め方の案の中に出ている、最後にはなっていますけれども、これが非常  に重要だということで、これについてやはり最終的な提言をして、それを具体的にし  ていかなければいけないということは十分認識しているのですけれども、要するに時  間との問題なのです。   ですから、次、次と言っていますけれども、ヒアリングにどうしても時間がかかっ  てしまうものですからこういうことになって、あと15分ぐらいしかないということに  なるわけで、これで時間無制限でいいとおっしゃるのなら幾らでもやりますけれど  も、そういうわけにはいかないので、水口委員の提案は非常に重要な提案であること  を十分認識しているので、次回のヒアリングが終わった段階で、今、泉委員が言われ  るような最優先といいますか、1番に位置づけるような形で議論を持っていきたいと  いうのが私の提案なのです。   ですから、今日やると本当にしり切れトンボになってしまうので、その点は御理解  いただきたい。少し誤解を生むような言い方をしたかもしれないのですが、その点を  御理解ください。 ○泉委員 了解しました。 ○寺野座長 水口委員、それでいいですか。 ○水口委員 しり切れトンボよりも時間を取っていただいた方がいいので、必ず次回  は、これで2回続けて後回しなものですから。 ○寺野座長 絶対に、この提案を軽視して回しているわけではなくて、重視するがゆえ  に時間を取りたいというのが座長の見解でございます。よろしいでしょうか。 ○水口委員 趣旨は理解しましたので、是非よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 それで、余り遅くなるのもあれですから15分ぐらいということにしており  ますので、先ほどの事務局の説明、進め方と、あと、テーブルが整理試案として出て  いるわけですが、これは横のカテゴリーが前の5つから7つになっています。特に  「権限の網羅性」「運営費財源」ということで、それから、○とか△とか◎が何だか  わからぬということでしたので、それについての説明を加えていただいたということ  で、実はこれらの考え方とか流れとかは秋以降、9月以降の段階で、余り言いたくな  いのですけれども、いろいろ政治状況の変化もかなりある。どうなっているかわから  ぬというと、議論の前提になるものが非常に問題なところがありますので、9月に本  当に落ち着くのかどうかは知りませんけれども、少なくとも、そういうものとの兼ね  合いを見ながら判断していかなければならない問題があるのです。   一応、今日は少し雑駁といいますか、かなりラフな進め方の案ということは皆さん  御存じの、見ればすぐわかるわけですけれども、少なくとも当面の間、こういう形で  進めますというスケジュールをお示しし、そして、今後、組織の見直し案を検討する  前の参考といいますか、重要な参考としてこういうふうな評価ができるのではないで  しょうかという提案をしているということでございます。   この2点について、まず今日の残りの時間で少し議論していただいて、こんな分類  ではおかしいではないかとかそういうことがありましたら、進め方もおかしいという  ことでありましたら、それをお聞きして、これは秋の陣に備えるということになると  思います。   ですから、夏まで、7月までの間は、委員の皆さんの御希望もあって、ヒアリング  ということをかなり重視してきました。ただ、秋からはかなり、そこの組織論等々に  ついて本腰でやらなくてはいけないと思うので、先ほどの水口委員の御提案は次回、  ヒアリングが終わったときには最優先課題としてやることはお約束いたします。   そういう形で進めたいので、先ほど事務局の方から説明した問題点といいますか、  案について御意見のある方はお願いしたいと思います。   坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 資料1なのですけれども「第一次提言の『第4 薬害再発防止のための医  薬品行政等の見直し』の内容についての検討の進め方(案)」ですが、これは確かに  予算の関係もあるのでしょうけれども、是非、進捗状況を毎回提示していただければ  と思います。   それから「備考」の欄に機構のことはとても詳しく書いてあるのですけれども、例  えば地方公共団体との連携とかというところで、人数を増やすのか、研修を増やすの  か、それとも、どちらとも増やすのか。何かそういった、厚労省側がどういうふうに  考えられているかという、いわゆる素人が見てわかるような内容にしていただきたい。   それと、薬害資料館の設置という項目を是非、この中に入れていただきたいと思い  ます。 ○寺野座長 ありがとうございます。事務局の方、それはよろしいですね。   大熊委員、どうぞ。初めての発言ですね。 ○大熊委員 こういう会議は2時間でおしまいというような慣例は、特にこの検討会に  ついては破ってもいいのではないか。次は3時間でもよろしいのではないかと思いま  す。厚生労働省の検討会でも、私が阪大から来ていたときには、「大阪からはるばる  来て2時間でおしまいなどというのは困る。」と言って3時間にしていただいたこと  もありますし、県の関係の座長をやっている審議会は3時間にしております。時間を  取って、たっぷりやっていただきたいということ。   それから、研究班が発足して、いろいろ始めておられる。次回は、どんな研究にど  のくらいの予算が配分されて、今、どんな研究が行われているかというのを、そんな  に長いことは要りませんので、予算との関係で次回に御報告いただけたらと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。   清水委員、どうぞ。 ○清水委員 やはり、今、提案がありました、この委員会の時間です。いろいろお忙し  い方もおいででしょうけれども、やはり2時間というのは少し、議論の中身から見  て、回数を増やすという手もあるかもしれませんが、今までを見ていましても時間的  に制約があり過ぎて、中途半端に終わっている議論が少し目立つかなと思います。   ほかの委員会でもそれを提案したことがあって、1回だけ2時間半、3時間という  のはありましたけれども、議論をやっていて、別に3時間で長いという印象を持った  記憶はありませんので、その点はやはり濃密な議論で、結論をできるだけ、その場限  りできちっと出すという意味において、是非、検討していただきたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。それは検討させていただきたいと思いますが、皆  さんの御都合とかそういうことも勘案しまして、あと、ヒアリングというのが少し本  論と別に置いた方がいいのかもしれませんね。ヒアリングはやはり皆さん大変で、こ  れも重要な点ですけれども、これに時間がかなり取られるということはありますの  で、別の位置づけということは可能かもしれません。   小野委員、どうぞ。 ○小野委員 秋の陣の進め方は、どんな感じになるのですか。   といいますのは、堀内先生が1年間、去年まとめていただいた、私もいつも、肌身  離さずというわけではないのですが、持っているのですけれども、ここに書いてある  ポイントが、今の見直し案とか、もうどうでもよくなっているのかは知りませんが、  ほとんど出てきていないという気がしていまして、昨年、あれほど御苦労していただ  いてインテンシブにやったことが、例えば今回のこの表でいきますと、また縦のカラ  ムの話は、蒸し返すつもりはないですけれども、これが何か変だという話ですね。   「独立性・専門性」などというものは、ぱらぱらといろんなところに出てくるので  すけれども、むしろ堀内先生の中では大して触れられていないですね。例えば役所が  政治からの独立でしたか、今回のこの薬害で、政治から何かプレッシャーを受けて変  なことが起きたのだなどということは多分、ほとんど一言も書いていないと思います。   そんなどうでもいいようなことを独立性と言って○をして重視していてもしようが  ないので、堀内先生の報告書にある、例えばですけれども、こういうものがありまし  たね。勿論、実際にちゃんと読んだのですけれども、透明性とか、迅速な対応とか、  フレキシビリティーなどというのもありました。制度とか仕組みが変だったら、それ  は直す。それはメンツとかと言っていたらしようがないので、文章でも何でも済まな  かったと言って直せばいいですね。   それから、私が一番大事だと思うのは、インセンティブとか目的意識がゆがんでい  ないこと。専門ばかであったらしようがないですね。ゆがんだ専門家とか、能力の高  い役人というものが一番始末が悪いわけですから、そういうところが国民のためにち  ゃんとしているというようなことがここに書いてあったと私は信じていますので、そ  ういうことを盛り込んだ議論を、この秋の陣でどういうふうにやっていくのかという  ことなのです。   それで具体的に、機構でやっていることなり、厚労省がやっていることなりをちゃ  んと説明を受けて、具体的なコンテクストでやるのでしょうねという確認をしたいの  です。 ○寺野座長 そうですね。非常に立派な報告書をつくっていただいて、昨年は堀内班が  大変な御苦労をされたことは十分わかっておりますが、それをどれだけフィードバッ  クできるかということで、それが秋に関しては中心になる話になると思います。   ただ、それだけではなくて、やはり政治的なものといいますか、そういうたぐい  の、これはあくまでも科学的な形で検討していただいているものと私は理解している  ものですから、それ以外の少し政治的なものと言いますと言葉は悪いかもしれません  けれども、そういうところと、これ以外のところのものもあるのです。ですから、そ  この辺りが、この「独立性・専門性」というふうな言葉として出ているのだと思うの  ですが、そういうものもやはり、去年もそうでしたけれども、それを議論していく必  要がある。   ですから、今の報告書の中からどれだけのものを抽出して、この委員会の本質的な  ところに持っていけるかというのが一つの大きなテーマです。それは間違いありませ  んね。ですから、秋からそれをやらなくてはいけないし、それは堀内先生にも整理し ていただいておりますけれども、また更にお願いすることになるかと思いますが、そ れ以外のものもあるということも含んでおいてください。   大平委員、水口委員の順番でどうぞ。 ○大平委員 今の小野委員と正反対の話になるのかもしれませんけれども、やはり科学  の話とかというところでは、先ほどのCROとかいろいろなところでのお話が、科学  をかなり信じて、そして、それが間違いない、ゆがみのないものだというところで、  そういう医薬の安全性の問題は増えておりますけれども、でも、それ以外のところ、  また、その中でもやはり誤りが起きてしまうというところがあるわけなので、それを  どういうふうに理想的に社会の構成の中できちっと位置づけて、それを責任を持っ  て、だれがガバナンスをきちっとやっていくかというところが、やはりここに図られ  た役割ではないかと私は思っております。   ですから、そういう意味で、一つひとつの現時点での整理も大切ですけれども、将  来こうあるべきだとか、そういうことの未来志向というものも、ある程度、やはりき  ちっと考えながら、それが長く続くような体制をみんなが共有できるのか。それと  も、日本はなかなかそういうところに行かないで、薬害があるかもしれないというリ  スクを背負いながらずっと行くのか。そういうところは大変疑問なところがあります。   もう一点は、やはり政治の問題として、こういうものはどうするのか。医療の財政  の問題として、かなり、今はこれまでの方針と違った展開が出てきているところで、  それでは、今後、どういうふうにこことしては医薬の財源というのですか、そういう  ものも基に薬害が起こらないシステム、行政の組織はどういうものが可能なのかとい  う ことの設計図もできてもいいのではないかと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。 水口委員、どうぞ。 ○水口委員 まず、資料2の先ほど小野委員が言及された独立性の話なのですけれど  も、これは政治からの独立ではなくて、今、言っていただいたので、私、気がついた  のですけれども、やはり審査するところですから、申請する企業からの独立の話であ  るべきではないか。この整理はそういう意味では説明がおかしいと思います。それが  1点です。   それと、やはりこれも先ほど小野委員がおっしゃったことと共通するのですが、秋  から私どもがどういうふうにこの検討会を進めていって、どこに比重を置いて、何に  ついて討議をしっかりしていくのかということは軽重を付けなくてはいけない課題だ  と思うのです。それを考えるためにも、私は前回、この資料1の、私どもが第一次提  言として、非常に抽象的ではありますけれども、提言したことを具体化するのに、ど  ういうふうに厚生労働省は進めていこうと考えられているのかを今日お伺いしたかっ  たわけです。   当初おっしゃったことは、秋には、どこまで進んだかを説明しますという話だった  のですが、秋になってここまで来ましたということをぼんと出されても、その後の審  議回数が限られてしまうわけです。ですから、どういうふうに進めるつもりでいるの  か。そして、秋に突然進むわけではないので、この中では幾つか進んでいることもあ  るはずなので、私はもう少し具体的な何か、進め方についてのペーパーが出るものだ  と思っていて、これを見て本当にびっくりしたのです。  はっきり言って、この法的措置の実施と、予算対応の実施と、関係各機関と協議と  いうのは、この表でしたら、第一次提言を出した翌週にだれかが書けば書けることで  はないですか。だって、今はもう6月ですよ。実際には中身が進んでいるものがあり、  もっと具体的にいろいろお考えがあるのだというふうに信じたいのですけれども、そ  うであれば、そのことを私たちにもう少し丁寧に説明していただけないですか。   これは余りに不親切ですし、私はもう少し詳しいものが出てきたら、この段階でい  ただければ各委員がそれを見て、それをこれからどう進めるか。それで、進めるに当  たって、この検討会で重点的に何を審議して、この検討会の中で具体化まである程度  詰めるべき課題は何で、あとは違った研究班等を設置して討議するべき課題は何か、  そういう住み分けも含め、私どもは自分たちが提言したことについて最終的に責任が  持てるような形で進めることができると考えてお願いしたわけです。   この表は幾ら何でもひど過ぎると思います。これは説明したことには全然なりませ  んので、やはりもう少し、何を考えていらっしゃるのかがわかるようなものを委員に  説明していただきたいと思います。それは是非お願いいたします。   それで、こういうまとめ方ではわからないので、第一次提言に書き込んでいただけ  ないですか。臨床試験で1つ、承認審査で1つという形になっていますが。いろいろ  な提言をさせていただいているわけです。それをこういう物すごく簡単な表に一緒く  たにして、予算措置検討とか、運用検討とかと言われてもわからないわけですので、  このファイルに、個別の項目ごとに、どういうふうに進めるつもりでいらっしゃるの  か、それをもう少し丁寧に書いて説明していただけないでしょうか。 ○寺野座長 事務局の方からお願いします。 ○総務課長 済みません、予算措置あるいは法律の関係はどこまで御説明できるかとい  うのがタイミングによってあるのですけれども、そういう意味で言いますと、秋口に  なれば概算要求というような形で要求を出しているかどうかというのがわかるのです  が、今、例えば予算について言いますと、シーリングもまだ全体が決まっていないと  いうことですので、ここで出させていただいたのは来年度、平成22年度の概算要求の  マターとして検討している事項があるということ、あるいは法的措置というものは法  律を含めてということであります。   これは通常であれば、来年の通常国会ということを目指しながら検討している事項  があるというような形で、とりあえず6月25日という、現時点で私どもの頭の整理を  ごく簡単に書いたものでありますが、勿論、次回になればまたいろんな環境が違って  まいりますので、その時点で、先ほどほかの委員からもお話がありましたけれども、  こういうものを更新して詳しい資料はお出ししたいと思います。   ただ、もしここが特に聞きたいということであれば、そこはまた、その資料を見て  いただいて、御質問いただければ個別の項目についてお答えをするという形で進めさ  せて いければと思います。 ○寺野座長 水口委員、どうぞ。 ○水口委員 そうしますと、今年度の概算要求には第一次提言で言ったことは何も入ら  ないということなのですか。 ○総務課長 平成22年度の予算につきましては8月末に概算要求をしていくということ  でありますから、勿論、年末にいろんな形で組み替えて、それで追加の事項が入ると  いうのは予算編成過程でありますけれども、できるだけ22年度の概算要求、8月末の  時点までに整理をして、それで要求に盛り込むべきものは盛り込んでいきたいという  意味で、この表は書かせていただいているということであります。 ○水口委員 ですから、8月の概算要求のときに何を優先課題にして予算を取っていた  だくかということについても、委員として第一次提言を出しているわけですから、私  どもは意見を述べたいわけですよ。そういうことも含めてどういうふうに進めていく  のか。予算のこともありますし、予算だけではなくて、秋からの私たちが責任を持っ  た進め方ができるようにするためにも、もう少し、御自身の頭の整理だけではなくて、  私たちに説明するということを、いきなり秋ではなくて、今でもいろいろお考えをお  持ちなのでしょうから、もう少し説明していただきたいと思います。 ○総務課長 おっしゃっていることはそのとおりだと思いますので、次回はいろんな環  境が変わってまいりますから、もっと詳しいものを出させていただきます。 ○寺野座長 ということは、次は3時間やらなければ、これは多分、無理ですね。   森蔦座長代理、どうぞ。 ○森蔦座長代理 我々の検討会は、この間の大臣のお話もありましたように、我々はあ  と1年で提言をしなければならないことになっているわけですね。   ですから、今年の概算要求をどうするかということも関心はありますけれども、そ  ういうことではなくて、基本的に薬害再発防止のためにはどういう制度改革をすべき  か。もしかすると、今年の国会ではできないかもしれない。特に先ほどの水口さんの  考えておられる第三者委員会は、今年ではできないかもしれない。   しかし、逆に言いますと、あれだけで薬害再発防止はできるわけではない。いろい  ろなものを重ねてやらなければならない。   そうだとすると、今までやってきたこと、去年もやったということも含めて、薬害  再発防止のためには、今までの厚生行政の中で何が足りなくて、どこをやらなければ  ならないか。それで我々の立場から行きますと、今年できることもあるでしょうし、  今年できないことがあるかもしれませんけれども、どこをきちっとやれということを  我々から今年中にきちっと厚労省に言わなければならないわけですから、そのスケジ  ュールを立てるために、私もそれを、この間、水口さんが出してくれと言ったと思っ  たのですけれども、これですと、今年の概算要求のためにこういうことがあります。 それから、法律もおいおいで検討していますと言うのですけれども、我々は別に厚  生行政のお手伝いをするわけではなくて、薬害再発防止のために、先を見通して、ど  こを押さえなければならないか。細かいことは、職員の研修をどうするかなどという  のは、必要なことであるかもしれませんけれども、そこまでおつき合いをするかどう  か。してもいいのですけれども、そうではないので、むしろ概算要求をどうするかと  いうこともありますが、去年はともかく定員を増やさなければならないから、我々の  方が逆に概算要求のお手伝いもしたわけですけれども、今度はむしろ厚労省全体が薬  害再発防止のために将来どうするかということの言わば根本的な構造改革を我々の方  で、ここと、ここと、ここをこういうふうにしなさいということをしたらどうかとい  うことを議論するためには、こことここを議論してくれという項目表をむしろやって、  至急にあれして、この次に出しますではなくて、事前に出していただいて、委員の方  に配っていただきたい。   それで次回には、それぞれがみんな、それでは、これならこういうことが足りない  のではないか、あるいはここまでは我々はとても1年間では議論できないのではない  かということをお考えいただいて、一応、座長にお任せして、座長の方でスケジュー  ルを組んでいただくということで、私どもはそんなものが出てくるだろうと思ったの  ですけれども、今日のこれですと何か予算編成のお手伝いを我々がするような感じで、  しかも、これは先ほどから言われているように、これですと具体的に我々のスケジュ  ールは全然イメージが浮かびません。   ですので、厚労省の側の御説明はよくわかりましたけれども、そうではなくて、我  々が議論をするためにどういう項目があるか。それを厚労省の側で、こんなことが薬  害の再発防止のためにはこんなことがあります。それをあなた方はどう考えますかと  いうことで、先ほどの水口委員の第三者委員会も含めて、項目を少し挙げて座長に渡  して、座長とあれして、事前に出していただけないでしょうか。私も代理ですから、  お手伝いしても結構です。 ○寺野座長 ありがとうございます。よくわかりました。   そこら辺りで、この委員会そのものも勿論、委員の皆さんの御意見を中心に進めて  おりまして、いろんな意見が出て、それについて一つひとつ、できるだけは検討して  いこうということでやっておりますと、どうしても総花的になってしまうところはあ  ることは確かなのです。ですから、こういうふうなスケジュールというものは出てこ  ざるを得なかったのだと思うのです。   もう一つ、概算要求に関しては確かに、昨年は余りに概算要求を出すための材料と  いいますか、そういう議論が非常に強かったので、今年もそういうところがあるのか  なと思ったら、今年は余りそれがなかった。どういう概算要求なのかわからないとい  う、少し皆さんの不思議な感じはあると思うのですけれども、来月、その点は出すと  いうことですので、そこの点も考えてもらいたい。   そして、秋以降の議論をどういう形で持っていくかということは、政治状況があり  ますけれども、もう少し、これは丁寧に出すべきであろう。私も責任があるのですけ  れども、私も時間にはかなり限りがありまして、なかなか十分な検討ができないのは  大変残念なのですけれども、事務局とよく相談して、森蔦先生にもお願いすると思い  ますけれども、次回、可能な限りのものは出してみたいと思います。   泉委員、どうぞ。 ○泉委員 昨年の前半部は、資料をもらってびっくりしたことに、しょっぱなから概算  要求の資料でした。こちらの方は、薬害の再発防止のためにどういうことをやる委員  会になるのかというふうに参加してみたら、もう既に予算措置の話一色になって、私  は大臣に、もし、この委員会で、この概算要求の話がなかったらどうするのですかと  質問をしました。そうしたら、大臣はバックアップ、援護射撃があった方が非常にあ  りがたいですとおっしゃったのです。でも、この委員会は、先ほど森蔦先生がおっし  ゃったように、厚労省の概算要求をバックアップするための委員会ではありませんの  で、勿論、仕組みをつくるには予算は大切な話ではありますけれども、それを全面的  に出されたら困ります。   去年はそれで、大臣がそういうふうにおっしゃったので、ちまたでは、この薬害肝  炎委員会は厚労省の予算取りに使われているという話をマスコミでもされて嫌な思い  もしたことがありましたけれども、現実には1年間経って、こういうふうにやるべき  だということを大体皆さん、同じ方向で認識をしているわけですから、どうぞ、事務  局も勝手に概算要求に持っていくような資料になさらないようにしていただきたい。  勿論、そういうお考えでつくっているわけではないと思いますが、でも、見方によっ  てはそればかりの話にまたなっていかれても困るかなということで、先にそれをお願  いしたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。  それは事務局、いいですね。よく考えてください。勿論、概算要求の内容についても  我々は関心がありますから、当然、それは説明していただきたいのですが、もっと先  を見通した、やはり薬害肝炎を始めとしたそういうものを防止する方向を、やはり組  織的なものもそうですし、考え方もそうですし、そういうことで進めていく必要があ  ることは確かだと思います。   そういうかなり厳しい御意見をいただきましたけれども、なかなかヒアリングと、  もう一つ、堀内班の研究の面と、それから、この組織的なもの等々、その3つに分け  ていきますと、それを一緒にこの委員会でやるのにかなり無理があることも事実なの  です。   でも、別の委員会をつくるかといいますと、今のところ、そういうわけにもいかな  いので、やはりここでやらざるを得ない。そこをうまくやっていかなければいけない  というところで、少し無理があることは確かなのですが、皆さんの御意見も十分わか  りますので、可能な限り、そういう方向で持っていきたいと思います。   何か事務局からコメントはありますか。 ○医薬品副作用被害対策室長 進行に関しては、特にございません。 ○寺野座長 局長はよろしいでしょうか。 ○高井医薬食品局長 結構です。 ○寺野座長 森蔦先生、よろしいですか。 ○森蔦座長代理 はい。 ○寺野座長 それでは、そういうことで、座長の方も非常に困るところもあるのです  が、なかなか座長というもので全部まとめて、私の考え方でこうなるというものでも  ありませんし、皆さんの意見を調整しながら一つの方向性に持っていきたいというふ  うには思っております。   ただ、私もこれに専念することができれば是非いいのですけれども、ほかにやらな  ければいけないことが山ほどありまして、なかなか十分なことができないことをおわ  びしたいと思っています。   それでは、今日は少し時間が過ぎましたけれども、ヒアリングは非常にいい説明を  していただきましたし、いいディスカッションをいただきまして、ありがとうござい  ました。   そして、後半の本委員会の本たるところについては十分な時間がありませんで誠に  申し訳なかったと思いますが、もう少し丁寧なスケジュール表とか問題の整理等をさ  せていただきたいと思います。   そして、次回は被害者と、それから、PMDAのヒアリングということになります  けれども、それの後で第1に、やはり水口委員が前から出されております「薬害防止  のための第三者組織の具体化に向けて」というメモをいただいておりますので、これ  は単純なメモではございませんけれども、それを中心に議論をさせていただきたい。 そして、また時間が少し延びるかもしれませんけれども、概算要求等についても事  務局の方から説明をさせていただく。そして、秋の陣の方向性というものを探りたい  と思いますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。 ○泉委員 済みません、次回の日程の再確認と、それから、まだ9月以降はいつぐらい  になるというのはいただいていないのですが。 ○寺野座長 今、その説明を事務局の方からさせていただきますので、お願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 次回の委員会ですけれども、7月29日水曜日で、一応、  16時から18時ということで委員の皆様に御連絡しているかと思います。ただ、16時の  始まりですと後ろに伸ばした場合にどうかという感じもしますので、またお問い合わ  せさせていただこうと思いますけれども、場合によっては15時半とか15時に開始とい  うことも含めて調整をさせていただきたいと思います。場所はまた御連絡を申し上げ  ます。   あと、9月以降につきましては、近いうちに9月以降の委員の皆様の日程の問い合  わせの紙をまたお送りしますので、○か×をいただいて、それで調整をさせていただ  きたいと思っています。よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 それと、御意見はいろいろあると思うのですが、是非、ファックスなりメ  ールなりで結構ですので、今の進め方も含めて、どんどん意見をいただきたいです。  よろしくお願いしたいと思います。   今日は本当に長い時間、ありがとうございました。傍聴の方もありがとうございま  した。   それでは、これで終わります。                                     (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111(内線2718)