09/06/23 第36回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第36回)議事録 日  時:平成21年6月23日(火)10:03〜11:56 場  所:ホテルフロラシオン青山「孔雀」 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、牛丸委員、熊沢委員、栗林委員、近藤委員、      林委員、宮武委員 議  事   平成19年度財政状況について    −厚生年金保険・国民年金(基礎年金)− ○石原首席年金数理官   定刻を若干過ぎましたので、ただいまより「第36回社会保障審議会年金数理部会」を開催させ ていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。  資料1は「平成19年度財政状況−厚生年金保険−」でございます。  資料2は「平成19年度財政状況−国民年金(基礎年金)」でございます。  配付資料は以上でございます。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  牛丸先生は御出席の予定ですが、ちょっと遅れておられるようです。牛丸先生以外は全員御出 席でございます。  それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長  皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日は厚生 年金及び国民年金の平成19年度財政状況についての報告を聴取いたします。  まず、厚生年金保険の平成19年度の財政状況について報告を聴取いたします。それでは、席を 移動してください。 (報告者席へ移動) ○山崎部会長   それでは、説明をお願いいたします。 ○山崎数理課長   年金局数理課長でございます。  お手元の資料1「平成19年度財政状況−厚生年金保険−」に基づきまして御説明を申し上げま す。  ページをめくっていただきまして、1ページでございますが、「19年度財政状況等の概要」で ございます。特記事項の一番下の○にございますように、こちらにつきましては、昨年の8月に 公表いたしました平成19年度の厚生年金保険の決算及び運用報告書に基づいているものでござ いまして、今回、特に新規の数字が出ているということではございません。  内容に入らせていただきますが、平成19年度の欄でございます。まず、収入総額36兆830億 円でございますが、これは、時価ベース、下に鍵括弧がございまして、こちらで見ていただきま すと、29兆5,543億円で、運用の方でかなりマイナスが生じているということで、時価ベースと 大分乖離した状況になってございます。  主要な収入でございますが、まず、保険料収入が21兆9,691億円でございまして、右側の欄、 前年度との比較でございますと、9,856億円、4.7%の増となってございます。保険料率が毎年0. 354%上がっていることと、被保険者数も伸びていると、両方の要因がございまして増加している という状況でございます。  国庫負担につきましては、5兆1,659億円で、こちらにつきましても対前年度3,373億円、7.0 %の増でございまして、これは基礎年金に対する国庫負担が中心でございますが、国庫負担割合 が引き上がっていることと、あと、人数が増えることによって拠出金の算定対象者数も増えると いうことで、国庫負担金は拠出金に対してつきますので、その増という要因があるところでござ います。  それから、運用収入でございますが、こちらが簿価ベースで1兆6,582億円でございますが、 時価ベースでございますとマイナス4兆8,705億円という状況になっているところでございます。  その下に再掲といたしまして、年金積立金管理運用独立行政法人納付金が1兆2,238億円とな ってございます。昨年までの様式でございますと、こちらの納付金は別掲となっておりまして、 実質的な運用収入はこれを足したものということで見ていただくようにしていたところでござい ますが、実質的に両者合わせたものの方が実情をあらわすということで、今回から過去の時系列 も含めまして、再掲の形で表示することにさせていただきました。  併せまして2ページの概略図でございますが、こちらも昨年御指摘いただきまして、この納付 金が入っていない形の数値になっておりまして、そちらを訂正させていただいたんでございます が、今年につきましては、こちらの納付金を含んだ数字で記載するという形になっているところ でございます。  続きまして、1ページに戻って見ていただきますと、細かいところでございますが、積立金相 当額納付金は、平成9年のJR、JT、NTT、3公社の統合に伴う移管金、延べ払いしていた ものが、平成18年度までで移管終了ということでございますので、19年度からはなくなっている という状況でございます。  それから、19年度から新たに付け加わったものといたしまして、下から2番目の欄、独立行政 法人福祉医療機構納付金ということで、年金・住宅融資の返済分がこちらに入ってくるというこ とで5,402億円計上された、これが新しい項目となるところでございます。  支出につきましては、給付費が22兆3,179億円で、638億円、0.3%の増でございまして、一方 で基礎年金拠出金が12兆6,233億円、7,009億円、5.9%の増という状況になっているところでご ざいます。  収支残の欄を見ていただきますと、決算としてはプラス9,378億円でございまして、収入のと ころで積立金からの受入3兆9,853億円ございますが、こちらを収入として計上した上で、こう いう形の収支残となってございます。時価ベースで申しますと、△の5兆5,909億円ということ で、時価ベースでかなり運用の評価損が出ていることを反映してこういう数字になっているとこ ろでございます。  年度末積立金でございますが、こちらは基本的に時価ベースで見ていただくということで、鍵 括弧の数字を見ていただきますと、130兆1,810億円。昨年の数字が139兆7,509億円でございま すので、その差、△の9兆5,699億円でございまして、これは積立金より受け入れた額と収支残 のところの時価ベースの額のほぼ合計となるところでございます。  積立金運用利回りは時価ベースでございますが、△の3.54%という数字になってございます。  2ページは図にしたものでございますので省略いたしまして、3ページ以降「給付状況」でご ざいます。  まず、受給権者でございますが、平成20年3月末で受給権者の合計が2,750万2,000人でござ いまして、対前年で134万7,000人、5.1%の増となってございます。そのうち老齢相当の人数が 1,259万6,000人で、対前年61万2,000人、5.1%の増という状況でございます。  年金総額で申しますと、全体の合計で25兆8,382億円で、対前年2,349億円、0.9%の増とい う状況になっているところでございます。  下の方の全額停止という欄をごらんいただきますと、昨年議論になったところで、老齢相当の ところの全額停止の件数が、平成18年3月末が67万2,000人となっていたものが、19年3月末 で75万人に増えているという状況で、今年度はどうなるかということでございますが、これが更 に87万1,000人に増えている。  これに関しまして、在老の制度変更につきましては、17年3月末〜18年3月末のところでむし ろ若干数字が減っている。これは2割カット廃止によって、むしろ在老が出やすくなるというこ とだったのではないか。一方で、その後、全額停止の人数が増えているところにつきましては、 在職老齢年金の全額停止が増えているということで、高齢者の雇用延長が進んでいることがこう いうところに反映しているのではないか。  つまり、全額停止になるような給与の高い方で、受給者であり、かつ働いている方が増えてい るのではないかということです。完全にデータを分析してそうだと申し上げるところまではいか ないんですけれども、基本的に高齢者雇用が進んでいるということは間違いございませんので、 こういうところにもその影響が出ているというふうに考えてよろしいかと存じます。  次に、4ページでございますが、老齢年金の平均年金月額というところでございます。こちら に関しましては、現在、厚生年金の支給開始年齢が定額部分について引き上げられている途中で ございますので、普通に平均年金額を算出いたしますと、どうしても上だけの年金額の人が一緒 に入ってくるということで、額の方が不規則になります。  その辺の影響を除いてみるということで、下の欄の真ん中辺りに繰上・繰下支給を選択した者、 定額部分の支給開始年齢に到達していない者を除外した平均年金月額ということで、上下を合わ せたようなものの額が出てくるということで、こちらで見ていただきますと、16万6,548円で、 対前年で見まして1,428円、0.9%の減となっているところでございます。  これを時系列で見ていただきましても、大体緩やかに低減するようになっておりますが、基本 的に昭和60年の改正で基礎年金制度を導入するということで、そのときに将来加入期間が伸びて いくのに合わせて給付の乗率、単価を低減していくという仕組みが入ったときに、併せまして、 いわゆる第3号被保険者の仕組みを導入いたしまして、従来、厚生年金では定額部分が配偶者も 込めた世帯単位であったものを個人化していくということで改正がなされたわけでございますが、 年金統計はあくまで個人としての年金受給者に関しての年金額をとらえるというようになってお りまして、世帯の年金額というとらえ方が今のところできておりませんので、こういう形で個人 の平均年金額を算出いたしますと、緩やかに低減していく。これは世帯から個人への給付の分化 が進んでいく年金制度の枠組みの変化、60年改正における変化を反映したものでございます。  続きまして、6ページでございますが、こちらが加入期間20年以上の新規裁定の方に関しまし て、老齢年金の平均年金月額を示したものでございます。こちらを見ていただきますと、女性の 場合に、平成17年度〜18年度にかけて支給開始年齢の引上げが行われまして、11万円余りから 5万9,000円余りというところに額が落ちているという状況でございまして、19年度も引き続き 報酬比例部分だけという形になりますので、額は低くなっているという状況でございます。男性 の場合は、従来から報酬比例部分だけの額になっているという状況でございます。  続きまして、7ページを飛ばしまして8ページでございますが、年齢各歳ごとに細かく見たも ので、7ページは男女合計でございましたが、8ページが男性でございます。こちらを見ていた だきますと、定額部分の支給開始年齢の引上げの状況がかなり詳細に見て取れる。19年3月末の 状況でございますと、61歳のところが10万8,000円余りに対しまして、62歳のところが18万3, 000円余りということで、ここに境目があるということでございます。20年3月末のところでご ざいますと、これが1つ、境目の年齢が上がっておりまして、62歳のところが10万9,000円余り となったのに対しまして、63歳のところが18万4,000円余りということで、男性の場合、定額部 分が19年度において63歳支給になったことを反映した金額となっているところでございます。  9ページの女性につきましては、18年度に定額部分が61歳支給になったということでございま す。こちらを見ていただきますと、20年3月末においても、これは3年で1歳の引上げでござい ますので、1階部分、定額部分は引き続き61歳支給ということでございますので、60歳のところ が4万4,000円余り、それに対して61歳が9万5,172円ということで、ここに境目があるという 状況になっているところでございます。  続きまして、10ページでございます。こちらは老齢年金の受給権者(老齢相当)の年齢構成でご ざいまして、男女計の平均年齢のところを見ていただきますと、71.2歳で、これは前年に比べて 0.1歳上昇ということで、受給者はわずかながら高齢化を続けているという状況にあるところでご ざいます。  続きまして、11ページでございますが、被保険者の状況でございます。被保険者数が20年3月 末で3,457万人で、前年に比べまして77万6,000人、2.3%の増という状況でございます。平均 年齢に関して見ますと、41.8歳で、端数を見まして0.1歳の対前年の増となっているところでご ざいます。  下の欄で、標準報酬月額の総額の年度間累計でございますが、19年度は129兆5,378億円で、 前年に比べて2.3%伸びているという状況でございます。  一方、標準賞与総額の年度間累計でございますが、こちらが25兆3,007億円で、これは対前年 度1.3%の増という状況でございます。  総報酬ベースでの標準報酬総額の年度間累計、給与と賞与を合わせたものが154兆8,385億円 で、対前年度2.1%の増となっているところでございます。  その下の被保険者数は、年度間平均でございますので、先ほどの年度末と若干ベースが違いま すが、ほぼ同様の数字が入ってございまして、3,464万3,000人、対前年度2.5%の増。  男女別に見ますと、男性が2.0%の増、女性が3.4%の増ということで、女性の伸びの方が大き いという状況が近年続いているという状況でございます。  1人当たり月額での総報酬ベースでの標準報酬総額の年度間平均につきましては、男女計で37 万2,460円で、対前年度0.4%の減でございます。これも男女別で見ますと、男性では0.4%の減、 女性では0.3%の増という状況になっている。女性の構成割合が増えておりまして、女性は賃金の 伸びはプラスで、男女の賃金差は若干縮小しているわけでございますが、そもそも女性の方が賃 金の絶対値が低いということで、その女性の構成割合が増えているということで、全体としての 標準報酬総額は△0.4%という状況になっているところでございます。  続きまして、12ページでございます。「被保険者の分布」ということで、主として年齢分布の 方を見ていただきますと、一番右の欄でございますが、まず30〜35歳のところに1つ山があると いうことで、これが構成割合として14.2%。これはいわゆる団塊ジュニアの世代ということにな ろうかと思います。それから、55〜60歳のところに11.3%ということでございます。昨年はここ は12%だったものが11.3%に構成割合が落ちておりまして、一方で60〜65歳のところが前年は5. 2%だったのが6.1%に構成割合が上がっている。団塊の世代が60代のところに到達してきている、 50代後半から60代前半にシフトが始まっているということで、来年以降、より60代前半のとこ ろに移行していくであろう。これは、いわゆる雇用延長等が行われることによって、60以降も厚 生年金の被保険者であり続けるということが入ってくることによってシフトしていくと、こうい うふうに考えられるところでございます。  13ページが男性についてこれを見たものでございまして、高齢のところの傾向は今、申し上げ たようなことでございます。前回御指摘ございました、加入期間が5年未満のところで年齢の高 い50代後半から60代前半のところに、それより手前の50代前半のところよりも多い人数、これ で申しますと、9万8,000人とか、12万1,000人おられるということで、この辺はどういう事情 があるんだろうということでございます。  従来から時系列的に見ましても、ここのところに小さなこぶがあるということで、なかなか確 定的にこれだというところまでわからないんですが、共済組合から厚生年金に移られる方が入っ ているという要素があるのではないかということを前回申し上げまして、そういう要素はあるこ とは間違いないところでございます。ただ、完全にそれだけかというと、そこまでは調べがつか ないのでございますが、そういう要素があると考えられるところでございます。  続きまして、14ページでございます。これは女性でございますけれども、女性につきましては、 25〜30歳に15.6%分布しているところでございまして、これが1つの山になっているわけでござ います。こちらは、昨年は16%、その前は16.5%ということで、徐々に割合は低減している。こ れは、団塊ジュニア世代より少し若い世代が入ってきている。そういう意味では、団塊ジュニア 世代が上にシフトしてきているという要素があるのかなというところでございます。  一方で、35〜40歳のところは12.2%となっていますが、昨年11.8%、もう一年前が11.1%と いうことでございまして、こちらにつきましては、ある程度、M字カーブの改善ということも反 映しているのかなと考えているところでございます。  あと、年齢の高いところにつきましては、55〜60歳のところが10.0%でございますが、前年は 10.6%でございましたので、これはダウンしている。一方で60〜65歳のところは、4%あったも のが4.7%に増えている。やはり女性につきましても男性同様に、団塊の世代が60代に入ってき ているという影響が若干あるのではないかと考えているところでございます。  次に、15ページでございますが、これは「標準報酬の分布」でございまして、男性につきまし ては、平均が35万6,597円でございまして、上限の62万円のところに9.6%、1割弱が分布して いるという状況でございます。あと、分布の山に当たりますところは26万ないし30万のところ に6%強ぐらいが分布していて、この辺がなだらかな山型のカーブを描いているところでござい ます。  女性につきましては、平均が22万9,030円でございまして、上限に該当されている方の割合が 1.53%でございます。あと、分布の山に当たりますところは、22万円のところに9.31%分布して いると、こういう状況でございます。  続きまして、16ページでございますが、「積立金の運用状況について」でございまして、これ は時価ベースでの資産構成でございます。預託金が21兆9,462億円で、全体の16.5%を占めてい る。市場運用分が84兆3,604億円で、全体の63.5%。財投債につきましては26兆5,864億円で、 全体の20%、こういう状況になっているところでございます。  そのほか、承継資産の累積利差損が2兆7,119億円ございます。財政を見る場合に通常使って おりますのは、承継資産の損益を含む場合でございますので、それで見ていただくと、年度末積 立金130兆1,810億円が、最初に1ページで御説明しました時価ベースでの積立金のところに記 載されているものでございます。運用利回りにつきましても、下の欄の△3.54%。こちらの方を 財政の見方としては使用しているところでございます。  特記事項のところにございます市場運用分の資産の構成でございますが、年金積立金管理運用 独立行政法人におきましては、厚生年金、国民年金、承継資産合わせて一体として運用を行って いるということでございまして、これら全体の時価総額及び構成割合はこちらにあるとおりでご ざいます。国内債券が71.34%、国内株式が11.50%、外国債券が8.06%、外国株式が9.10%と いう構成になっているところでございます。  右側に参考といたしまして、このうち市場運用分、いわゆる財投債を除いた分ということで見 ますと、こちらにあるような金額、パーセンテージになっているという状況でございます。  次に、17ページでございますが、「財政再計算における将来見通しとの比較」でございます。 まず、平成19年度における収支状況の比較でございますが、比較するに当たりまして、財政再計 算におきましては、厚生年金基金と厚生年金本体の分を一体として推計しておりますので、基金 分を除く実績に基金の分を付け加えるということを行う、あるいは基礎年金の交付金の分を収支 両面から控除したもので将来見通しを行っておりますので、それに合わせるような補正を行うと いうことで、将来見通しとベースをそろえました実績値ということで、2番目の欄、実績推計は、 金額としては時価ベースで表示してございますが、こちらで将来見通しと比較するということで やらせていただいております。  まず、保険料について見ていただきますと、将来見通しでは22.6兆円と見込んでおりまして、 それに対して実績推計の数字で22.8兆円、実績の方が若干上回っているが、ほぼ等しいという状 況でございます。その主な要因といたしましては、被保険者数は見通しよりも8%近く増加して いるということでございますが、一方で賃金上昇率は見通しより低下しているということで、両 者がかなり相殺する要因となりまして、結果的に見通しと近いような保険料収入になっていると いう状況でございます。  運用収益に関しましては、見通しで2.51%と見込んでおりましたが、市場運用でございますの で、年々で見ますと、かなりマイナスの年もあるということで、19年度に関しましてはマイナス 3.54%の利回りだったということでございまして、金額で見ますと、将来見通し上は4.0兆円と いう見込みでございましたが、実績推計のところで見ていただきますと、△3.4兆円という数値に なっている。およそ7兆円余り差が生じているということでございます。  その他のところは、基本的に基礎年金拠出金に係る国庫負担分ということでございますが、将 来見通し上は4.7兆円と見込んでいたのが5.2兆円でございます。1つは、財政再計算では国庫 負担割合を3分の1プラス1,000分の11、約34.4%で見込んでいたところでございますが、その 後、国庫負担割合の引上げがございまして、19年度におきましては、これが3分の1+1,000分 の32、36.5%という数字になっていたところでございまして、こちらによる寄与がかなりある。 あと、もう一方で、被保険者が増えますと、それに応じて拠出金の算定対象者も増えるというこ とがございまして、その両方の寄与が相まって、その他のところの額は実績の方が大きくなって いると、こういう状況でございます。  支出につきましては、計のところで見ていただきますと、33.8兆円という見込みだったのが、3 4.2兆円ということで、若干増大している。これは、拠出金算定対象者が増えれば、当然それに対 してついてくる国庫負担も増えるわけでございますが、拠出金そのものも増えるという状況がご ざいますので、そちらが反映しているところがございます。  収支残のところで見ていただきますと、もともと16年の財政再計算におきましても、現在、保 険料率が18.3%に向けて引上げの途上でございますので、将来見通し上も2.5兆円のマイナスと 見込んでいたところでございますが、19年度に関しましては、運用がマイナスであったというこ とで、実績推計の方では9.5兆円のマイナスになっている。実績との差が約7兆円でございます が、これはほとんど運用のところの実績と見通しの差というふうにお考えいただいてよろしいか と存じます。  一番右側の欄、年度末積立金でございますが、単年度で見ますと、このように見込みよりマイ ナスでございますが、実際のところ、年金の財政というのは非常に長期的に見ていくものでござ いまして、18年度までは運用が見込みよりも好調だったということで、そちらのいわば貯金がま だ残っているということです。この19年度のマイナスを含めましても、将来見通し上は158.3兆 円という年度末積立金の見込みであったものが、これは基金の代行分も込めてということでござ いますが、時価ベースで164.4兆円ということで、なお6兆円程度、将来見通しを年度末積立金 の時価ベースは上回っている状況となっているところでございます。  続きまして、18ページでございますが、「被保険者数及び受給者数の比較」でございます。被 保険者数につきましては、将来見通しで3,220万人でした。これは年度平均ベースでございます ので、実績の方は18年度末と19年度末の真ん中ぐらいを見ていただくということでございます が、被保険者数の方は実績が将来見通しをかなり上回っている状況でございます。  受給者数に関しましては、老齢相当につきましては1,150万人という見込みでございましたの が、18年度と19年度の平均で見ていただきますと、ほぼ見通しと近いような数値ということかと 存じます。あと、通老相当、障害年金、遺族年金に関しましては、将来見通しに比べて実績の方 がやや少ない状況かと考えられるところでございます。  続きまして、19ページでございますが、「財政指標の比較」でございまして、年金扶養比率で ございます。こちらは、何人で何人を支えるかという指標となるわけでございます。16年の再計 算では、19年度、2.8人で1人を支えるという数値で考えられていたところでございます。こち らは比較する対象といたしましては、括弧内にございます受給者、全額支給停止の人を除いたベ ースということで比較するのが適当ということで、実績の方では2.95でございまして、これは見 込みに比べて被保険者数が多かったということで、財政上は見込みよりもいい方向に実績の方は 動いているという状況でございます。  次に、20ページでございますが、年金扶養比率を補完する指標でございます。これは厚生年金 基金の代行部分を補正した、下に*がついたもので見ていただくことが適当かと存じますが、老 齢費用率で10.7%、障害費用率が0.1%、遺族費用率が2.6%でございます。  右側の年金種別費用率の総合費用率に対する構成割合で見ていただきますと、老齢費用率が57. 6%、障害費用率が0.8%、遺族費用率が14.0%ということで、時系列で見ていただきますと、老 齢費用率は若干ずつ下がっていく傾向で、一方で、遺族費用率の方は若干ずつ上がっていく傾向 ということで、制度の成熟に伴いまして遺族年金の方のウェイトが若干増している状況が続いて いるということかと存じます。  21ページでございますが、「総合費用率」が賦課方式ベースでの保険料率に相当するものでご ざいます。19年度に関しましては、財政再計算では19.0%と見込んでいたところでございますが、 こちらも基金の代行部分を補正した*がついているところで見ていただきますと、19年度、18.6 %ということで、これは数字が少ない方が財政的には楽だということでございますので、見込み では19と見られていたものが18.6ということで、被保険者の増によって、見込みよりは若干、 財政上いい姿になっているということかと存じます。  次に、22ページ「独自給付費用率」でございますが、こちらに関しましても事情は同じでござ いまして、財政再計算では19年度、14.0%と見ていたところが、19年度の*のところで見ていた だくと13.4%ということで、財政再計算の見込みよりは若干低い独自給付費用率になっていると ころでございます。  次に、23ページでございますが、「収支比率」でございます。こちらに関しましては、単年度 ごとの運用成績が直接効いてくるところでございまして、19年度につきまして、収支比率108.9 ということで、運用収入も込めた収入に対して、支出が8.9%上回るような状況で若干赤字という 見込みであったものが、19年度の*のところを見ていただきますと、148.5ということで、財政 上はかなり大きいマイナスになっている。これはひとえに運用収入のところがプラスの見込みが マイナスになっているという状況を反映しているところと存じます。  次の24ページでございますが、「積立比率」ということで、前年度末積立金が保険料で賄うべ き支出の何倍あるかということで見るものでございます。まず、19年度の運用が入っていないと いうこともございまして、再計算の見込みでは、19年度、5.6と、保険料で賄う支出の5.6倍の 積立金という見込みであったものが、19年度の*のところ、時価ベースで見ていただいて、6.0 倍となっておりまして、こちらに関しましては、財政再計算の見込みよりも積立比率は高い状況 になっている。こういう状況でございます。  御説明は以上でございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。  ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。  牛丸委員、お願いします。 ○牛丸委員   遅れて申し訳ありませんでした。幾つか質問させていただきます。遅れてきたために、最初に 御説明があったかもしれませんので、その際には申し訳ありません。  まず、第1点目は、1ページのところで、収入の中に積立金より受入というのがあります。こ れは恐らく積立金取崩しだと思いますが、表を見ますと、17、18、19、それぞれそうですが、計 算方法として、この積立金よりの受入と、下の方の収支残を加えたものが前年度末の積立金に加 えるか、減らされるか、そして、その年度の積立金になっていると思います。そこでお伺いした いのは、私の理解が十分ではないと思いますから訂正していただきたいのですが、積立金の取崩 しというのは、赤字といいますか、それを計上する代わりというか、そういうことで出てきたの かなと思いきや、下の方にまた収支残で出ています。そういうことで、この積立金より受入とい う金額がどのように決められているのかということについて、私の解釈が間違っていると思いま すけれども、それを訂正した上で説明していただきたいと思います。これが1点です。  それから、2点目は、どこでしたか、ちょっとページは忘れましたが、先ほどの御説明の中で、 60年改正と絡めての話があって、年金額をあくまでも個人単位でとらえている、世帯でとらえて いることはないというお話がありました。これはこれで結構なんです。個人で年金がどういう金 額であるかということは知る必要があると思います。ただ、財政収支というか、これでは出てこ ないのかもしれませんが、別に、当然世帯単位での年金というのでしょうか、世帯単位の状況と いうのは何らかの形で把握されているのかどうか。  というのは、これはこれで個人の単位で年金額というのは知る必要がありますけれども、昨今、 問題になりましたように、今後の年金を考えるときに、世帯でとらえるとするとどうなるとか、 いろいろ議論があります。そのときの数字として当然使わなければならないし、現在の世帯構造 というか、もう少し踏み込めば、夫と妻がどういう状況であるかということも把握しておかなけ ればなりませんので、その辺は、これでなく、何らかの形での調査があるのかどうか、この範囲 の外になりますけれども、もしおわかりになれば教えていただきたい。これが2点目です。  それから、3点目は、財政再計算との比較になります。先ほど、19年度は収支残が、運用が予 測と違って悪かったためにこうなっているけれども、17ページの最終的な年度末積立金に関して は、前の数年間がよかったので予測よりいいというようなお話がありました。その際に、短期で 考えるのではなくて長期的に見る必要があるという、その考え方は私も同意いたします。  それを踏まえまして、23ページに収支比率というのがあります。これは分母が(9)+(10)ですから、 保険料収入と運用収入。運用収入がとにかく年々変動しているということで、当然、これが分母 に入ってきますと、その結果としての収支比率もいろいろ揺れるわけです。実際、この表にあり ます15〜19年度の*について、88.5〜148.5と、非常に大きな差があるわけです。勿論、財政再 計算の方は大体こんな感じだという、ほぼそろえた形になっています。これをどう見るかという ことです。財政再計算と違うのは原因は明らかで、運用収入がこれだけ揺れていますから、その 結果がここに出ているわけです。  確かに財政再計算で予測した各年度と比較するとこうだけれども、問題は、これをどう評価す るかというときに、先ほどの話で、1年ごとで見ても意味がない。例えば、5年ですか、わかり ませんけれども、こういうのをどう見たらいいか。先ほどおっしゃった短期でなく長期。そうす ると、1年ごとの財政再計算で一応、予測値が出ていますけれども、それと比較してこうだけれ ども、現実的には5年ひっくるめてとか、そういうことで評価する方がいいとか、その辺のお考 えがあればお聞かせいただきたい。  併せて、先ほどの話と関係しますけれども、24ページ、積立金の額が、実績値が財政再計算よ り大きいというのは、まさに過去数年間のことがあると思うんです。ただ、ここ数年のことを合 わせて、どう見たらいいのか。この辺に関して、何かお考えがあれば教えていただきたい。  以上です。 ○山崎部会長  いかがでしょうか。 ○山崎数理課長  まず、第1点でございますが、1ページの積立金取崩しの考え方というところでございます。1 9年度のところで3兆9,853億円が積立金より受入となっているということで、厚生年金の特別会 計の予算を立てます際に、基本的にその年度、どのぐらい給付が出るかというのを予測しまして、 それを賄うために、まずは保険料収入、国庫負担、あと、運用収入も見積もりを立てるわけでご ざいます。この運用収入といたしましては、時価ベースというよりはキャッシュベースでの運用 利息の見込みで、これはある程度確実に予測が立つわけでございます。今の状況でございますと、 積立金をある程度取り崩してこないと対応できないと、こういう見込みになりますので、それに 応じて支払いショートが起きないような形で幾ら取り崩すというのを予算の段階で決めまして、 それがこちらに計上されるということでございます。  通常、途中で資金不足を起こさないようにということで考えますので、その結果といたしまし て、最終的に収支残9,378億円ということで、プラスの数値が生ずるということでございます。 年度末積立金につきましては、前年度末の簿価ベースの数値から、取崩しを行いますと、当然そ れだけ減って、それに対して収支残が加わればプラスになってくるということで、おっしゃいま したように、取崩し分だけ減って、収支残の分が戻し入れられるので、その分、増えるという形 になるところでございます。 ○牛丸委員   予算段階ですね。 ○山崎数理課長   予算段階で決めるということでございます。  ただ、もし年度末のところでマイナスになっていて、足りなくなるようであれば追加して取崩 しというのはございます。基本的には予算段階で決めるというところでございます。  次に、60年改正との関係で、個人単位、世帯単位という話から派生いたしまして、別途、世帯 単位の状況についても把握するべきではないか、何か把握するようなことをやっているのかとい うことでございますが、年金統計そのもので世帯のクロスをというのは、今の状況ではなかなか 難しいところがございます。  私ども年金局の方で、定期的に受給者に対して郵送調査で世帯の状況、当然、収入でございま すとか、その他合わせまして、世帯でそれぞれどういう年金をもらっておられるかとか、あるい は過去の履歴、正社員であった期間が中心であるかとか、あるいは仕事をしていない期間が中心 であるかとか、そういうことを取って、できるだけ実態の把握には努めているところでございま すが、いかんせん御高齢の方への郵送での調査ということで、どうしても精度にはある程度限界 がございまして、きっちり過去何年入っていたとか、そこまでなかなか取れないのでございます が、大体40年ぐらいの現役期間の中で、20年以上過ごしていた期間はそれが中心であろうという ことで、正社員が中心であった方はそこに丸をつけていただくとか、あるいは仕事をしていない 期間が中心であった方はそこに丸をつけていただくようなことで、大まかな経歴の夫婦での組合 せというものは取れるような形でやっている。ただ、どうしても高齢の方に対する郵送調査とし ての精度の限界というものはあるというのが現在の状況でございます。 ○牛丸委員   被保険者の方はやっていないんですか。 ○山崎数理課長   被保険者は、私どもとしてはやっていないです。 ○牛丸委員   そうですか。 ○山崎数理課長   現役の方ですと、もっと一般的な国民生活基礎調査で年金の加入状況を聞いたりとか、そうい うものはあります。そういう意味では、現役の被保険者の方で、例えば、2号被保険者の方の配 偶者がどういう制度に入っているかということで、男性で2号の方に対して、配偶者も2号、要 するに、正規労働で働いているような奥様は3割ぐらいで、一方で第3号被保険者の方が65%と か、そういう統計は、国民生活基礎調査の方で取られているという状況がございます。  それから、第3点でございますが、収支比率のところは年ごとにかなり変動があってというこ とで、実際のところ、再計算ではある種、将来の見込みでございますので、ならしたような数字 になりますが、実績はかなり変動するということで、それを評価する際に、長い目で見てという ことを数値的にどう織り込んでいくかということについて、例えば、何年間かの移動平均のよう なものを取るとか、その辺は私としてみましても1つの貴重なアイデアだなと思いまして、その 辺、どう見ていくかはむしろ数理部会の方でお考えいただいて、こういう形でということをお示 しいただけば、またそれに沿っていろいろ作業したいと思います。考え方としては、毎年変動が あるものはある程度時系列でならして分析するというのは貴重な視点だというふうに考えており ます。  以上でございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。  都村委員。 ○都村部会長代理   年金財政の収入に影響を及ぼす被保険者数の現状と見通しについてお尋ねします。19ページの (1)のところに被保険者数の実績と財政再計算の結果が出ているわけですけれども、平成16年の財 政再計算では、右側の各年度の対前年伸び率のところをマイナスとしていますけれども、実績で は16年度以降、毎年プラスになっております。  先進諸国では、女性の年齢階級別の労働力率がM字型から、就業、継続、高齢退職を意味する 逆U字型、すなわち、男性の型に接近しつつあります。  一方、厚生年金の平均年金月額を見ますと、男女の年金ギャップというのは賃金ギャップより も大きくなっているのです。11ページのところに賃金が出ていまして、男性36万に対して女性2 3万、ギャップは64.2%です。それに対しまして、年金ギャップの方は、8ページ、9ページで、 男性18.2万円に対して女性10.6万円で、これは、男性を100とすると、女性は58.6%となって おります。  これまで高い貧困リスクは高齢者、特に高齢女性に見られました。ということは、将来の年金 生活者、特に女性は、自らの労働を通じてより多くの年金資格を取得するようになると思います。  それから、これから御説明のある国民年金の方に出ております第3号被保険者数につきまして も、実績は、3号被保険者が財政再計算の将来見通しよりも減っております。ということで、女 性被保険者数の見通しについては、男性型の逆U字型というか、労働市場への参加が進むケース を積極的に取り入れてもいいのではないかと思います。平成21年の財政検証では、この点、どう いうふうなお考えなのかをお聞きしたいと思います。  以上です。 ○山崎部会長   よろしいですか。 ○山崎数理課長   お答え申し上げます。実際のところ、平成16年の財政再計算におきましても、女性の労働参加 は、現状、そのままではなくて、進んでいく見通しは用いていたところでございますが、現実に は、被保険者数は予測以上に伸びているということでございまして、3号も見通しより減ってい るという状況、これは勿論、両者裏腹の関係にあるところでございまして、平成21年の財政検証 におきましては、将来、政策目標として、いわゆるワーク・ライフ・バランスを通じて女性や高 齢者の労働参加を進めるという政策と整合的なものとして、労働市場への参加が進むケース、専 門家の推計の中でも何通りかあるうちのケースCと呼ばれるものでございますが、そちらの方に 準拠いたしまして、財政検証の基本ケースとして推計を行ったということでございまして、そう いう意味では、将来、女性の労働参加が進むと見込んでいるところでございます。 ○山崎部会長   よろしいでしょうか。  ほかにございますでしょうか。  熊沢委員。 ○熊沢委員   12ページ、13ページのところに被保険者の年齢別の、加入期間別の統計があるのですが、これ は将来の年金の給付費がどうなっていくかを見ていくのに非常に参考になると思います。先ほど も説明がありましたけれども、団塊の世代と団塊世代ジュニアのところで塊がありますので、そ れがこういう統計を見ていくときにイレギュラーな状況を示すことになります出生年度別にコー ホート分析とか、そういうことを使って、被保険者の動向分析などをしていくというのは、かな り参考になると思いますが、そういったことについて何かお考えがあれば聞かせてほしい。  もう一点は、16ページのところに積立金の運用状況がありまして、特記事項のところに国内債 券の割合とか、実額が載っているんですが、企業年金なども運用の手法として債券の残存期間を 見ながら運用していくということがあります。国内債券の残存期間がどのくらいになっているの かということを教えてほしい。  それから、将来どういう給付費が出ていくかということと、そういうものを見ながら、金利と か運用利回りがどう変わったら、どういう影響があるかというような、公的年金の場合には、そ ういうデュレーションの考え方をとっていくことも参考になるのではないかと思いますが、そう いったことについて、今後考えていったらいいのではないかと、これは意見です。   ○山崎部会長   3点御質問がありました。 ○山崎数理課長   第1点と第3点、いわゆるコーホート分析的なこと、あるいはデュレーション分析的なことは、 年金数理部会事務局におきましても新たな視点として御検討いただいているということでござい まして、当然いろいろ多角的な視点で年金財政を見ていくということは重要だと思いますので、 その辺、技術的な詰め等を専門の方々にしていただきつつ、今後取り組んでいくということは重 要な視点だと考えております。  第2点の債券の残存期間については運用担当参事官にお願いします。 ○八神参事官   16ページの関係で御質問がございました国内債券につきましてですけれども、現在、運用は独 立行政法人の方でしております。その際に、国内債券を運用する場合のベンチマークにおける20 08年3月末、19年度末の時点での修正デュレーションは6年ちょっととなっています。現実にこ ういうインデックスを使うことも含めて、現在、独立行政法人の方で、次の基本ポートフォリオ の策定に向けて、いろいろと検討をいただいているというふうに承知しています。そういう中で、 こういう話もまた出てこようかなとは思ってございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。  栗林委員。 ○栗林委員   公表するのが難しいのかどうかよくわかりませんが、もしわかるようでしたら教えていただき たいんです。特に特記事項のところに関係するんですけれども、資産価格の変動によって運用収 入が非常に大きく変動するわけですが、そのときに、例えば、株式の変動によってどのくらいの プラスとかマイナスが生じているのかというのと、為替変動によってどういうような影響を受け ているのかという分析みたいなものは、多分、やればすぐできるんだと思うんですけれども、そ の辺は公表することは非常に難しいのかどうか。もしわかっていましたら教えていただきたいと いうことです。 ○山崎部会長   お願いします。 ○八神参事官   各資産ごとに、国内外の債券、株式、それぞれについて、毎年度概況報告をする際に、資産ご との数字というものは公表しています。また、各四半期ごとの公表の際にも、それぞれの資産ご との状況を公表させていただいているところです。 ○山崎部会長   よろしいでしょうか。  ほかにございますでしょうか。  宮武委員。 ○宮武委員   単純な質問ですが、16ページの特記事項の債券、株式の運用ですけれども、右側に鍵括弧で書 いてあるのは、財投債を除いた内訳ということになりますね。国内債券のところで見ますと、財 投債を除いて引き算してもぴったりと合わないような感じがしますけれども、国債以外のものも 入っているということですか。 ○山崎数理課長   これは特記事項の最初の行に書いてございますが、厚生年金、国民年金、承継資産合わせたも のの中身を書いてございます。上の欄は、財投債のうち厚生年金の分が書いてございますので、 その関係でございます。 ○宮武委員   わかりました。 ○山崎部会長   ほかにございますでしょうか。  それでは、以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。  引き続き、国民年金の平成19年度の財政状況につきまして報告を聴取いたします。それでは、 説明をお願いします。 ○山崎数理課長   引き続きまして、今度は資料2でございますが、国民年金の19年度の財政状況でございます。  おめくりいただきまして、まず、基礎年金の方の19年度の財政状況でございます。19年度にお きましては、基礎年金勘定の基本的な収入は拠出金等収入でございまして、18兆5,080億円、対 前年8,000億円、4.5%の伸びという状況でございます。  収入のところにその他とございますのは、基本的に前年18年度の収支残1兆4,000億円余りが 繰り越されてくるということでございまして、こちらの収支残に毎年繰り越されておりますのは、 その下の欄の年度末積立金のところで毎年同じ額7,246億円が上がっておりますが、昭和60年改 正におきまして基礎年金制度が創設されましたときに、それまでの任意加入の妻の分に相当する 積立金が、基礎年金勘定のところに移管されて、その帰属に関しては将来整理するということで、 今、国会に出ております一元化法案の中で、帰属の整理のところも入っているわけでございます が、そちらの利息分がこちらに入ってくる要素と、あとは基礎年金に関しましては、概算、精算 という仕組みがございますので、その間のタイムラグによって生じます経過的な収支分が入って くる。両方合わせまして1兆4,000億円ぐらいの額がほぼ毎年繰り越されるようになってござい ますが、実質的な収支といたしましては、この拠出金収入と支出というもののバランスで見てい くということでございまして、19年度でございますと、支出総額が18兆3,935億円ということで、 こちらは対前年6,876億円、3.9%の伸びという状況でございます。  あと、拠出金算定対象者でございますが、これが5,728万3,000人ということで、対前年19万 7,000人、0.3%の減少という状況でございまして、拠出金単価が2万5,734円。これは国庫負担 分込みでございますので、国庫負担分を除いた保険料相当額は1万6,332円という状況になって いるところでございます。  次の2ページでございますが、基礎年金の制度別の給付状況及び負担状況ということで、平成1 9年度の確定値でございます。まず、基礎年金給付費の本来分、基礎年金勘定から受給者に直接基 礎年金という名前で払われている分が14兆4,597億円でございます。  一方、その右、旧法分、基礎年金相当給付費は、受給者の方には、例えば、旧法の厚生年金の 老齢年金ということで払われているわけでございますが、国民年金の基礎年金の給付額に対応す る昭和36年4月以後の加入期間対応分というものを切り出しまして、そこの分につきましては、 基礎年金の勘定から交付金が払われている。そちらを累計したものが3兆6,922億円。  制度ごとの内訳はその右にあるとおりでございまして、両方合わせまして基礎年金勘定におい てファイナンスされるということで、総額、一番右の欄でございますが、18兆1,518億円となっ ているところでございます。  これの負担状況でございますが、そのすぐ下、合計額18兆1,518億円が負担すべき額でござい まして、そのすぐ左の欄、特別国庫負担が免除期間の分でございますとか、あるいは20歳前障害 に対する割増し分の国庫負担分、これを特別国庫負担ということで別途負担いたしまして、これ を差し引いた残りが一番左の欄でございますが、基礎年金拠出金17兆6,893億円。  これを拠出金算定対象者の頭割りで負担するということで、算定対象者はその下の欄にござい ますように、国民年金の1号被保険者の方は基本的に納付された方ということで、今、部分免除 の方もおられますので、例えば、半額免除の方であれば、それは0.5人ということでカウントし て、こちらに人数換算を行ったものが1号の負担者ということでございます。  その他、被用者年金に関しましては、それぞれの制度の2号の方、3号の方ということで、こ れを全部足し上げますと、一番右にございます5,728万3,000人。この方々で17兆6,893億円を 頭割りするということでございまして、12月で割り返しまして2万5,734円と、こういう拠出金 の単価が出てまいるという仕組みになっているところでございます。あとは、各制度がこれに拠 出金算定対象者の人数を掛けたものを負担する。それに対して、国庫から所定の国庫負担割合で 国庫負担が付されると、こういう仕組みになっているところでございます。  次の3ページ以降は、狭い意味での国民年金、いわゆる国民年金の第1号被保険者の財政を整 理いたします国民年金勘定につきましての話で、国民年金勘定の収支状況でございます。こちら を見ていただきますと、平成19年度の収入総額が5兆5,729億円で、対前年3,436億円、5.8% の減となっているところでございます。これは時価ベースで申しますと、5兆1,544億円、14.2 %の減となっているところでございます。  まず、保険料収入でございますが、これが1兆8,582億円で、対前年456億円、2.4%の減とな っているところでございます。こちらに関しましては、年度平均の被保険者数が約4%減少して いる状況があるということ。一方で保険料につきましては、1万3,860円が1万4,100円という ことで、2%弱増加していること。こういうような様相が反映しているところかと存じます。  運用収入につきましては、時価ベースで見ていただきますと、マイナス3,073億円で、国民年 金につきましても市場の動向を反映して、19年度、マイナスの運用利回りになっているというこ とでございます。  積立金より受入が1,490億円でございます。  一方で、支出の方が、支出総額5兆9,322億円でございまして、対前年1,036億円の減。こち らにつきましては、給付費、これは旧法分の給付費が中心でございまして、大部分が基礎年金交 付金で賄われる部分でございまして、趨勢的には減っていくということで、対前年比7.1%の減と なっております。  一方で、基礎年金拠出金は、被保険者の減、あるいは納付率が若干下がっていることも相まっ て、基礎年金拠出金の方はマイナスの要素がある。拠出金単価そのものは上がってまいりますの で、総額としては微増ということで、基礎年金拠出金は149億円、0.4%の増ということで、全体 として見ると支出総額は若干マイナスという状況でございます。  収支残につきましては、△3,593億円で、先ほど積立金の取崩しについてのお尋ねがございまし たが、まず、予算を立てる段階で1,490億円の取崩しを予定する。ただ、最終的に支出が収入を 上回る状況のところで、年度末、更に収支残マイナスになった分、これは当然、積立金を取り崩 さないと埋まりませんので、これを取り崩すことになる。その両者合わせたものが年度末積立金 の変化ということになる。  会計上はこういうことでございまして、一方で、時価ベースというのは現実にお金が動くとい うことではなくて、評価上のものでございますが、評価上の運用のマイナスというものを反映し て、収支残のところで、時価ベースで見ますと△7,779億円でございまして、これと収入のところ で積立金より受入とした分、これは現実の積立金の減になりますので、両者合わせますと9,000 億円ちょっとでございますが、こちらが現実の時価ベースの積立金の変化になるということでご ざいます。時価ベースの積立金のところを見ていただきますと、19年度で8兆4,674億円、対前 年度で9,153億円の減という状況になっているところでございます。時価ベースの運用利回りは △3.38%という状況になっているところでございます。  次に、4ページに関しましては、これを絵にしただけなので省略いたしまして、5ページでご ざいますが、「給付状況」。これは新法の基礎年金と旧法の国民年金を合計したということでご ざいまして、被用者年金のみなし基礎年金の分は含まれていない数値ということでございます。2 0年3月末の受給権者数が2,638万7,000人で、対前年96万8,000人、3.8%の増という状況でご ざいます。年金総額で見ていただきますと、16兆8,545億円で、対前年7,546億円、4.7%の増と、 こういう状況でございます。  下の全額停止の欄のところを見ていただきますと、ちょっと細かい感じになりますが、18年3 月末の老齢年金の全額停止が9万6,000人だったのが、19年3月末のところで14万4,000人とな っている。一方で障害年金の全額停止が13万7,000人から10万8,000人と減っている。昨年、こ れは障害基礎年金と老齢厚生年金の併給ができるようになった制度改正の影響ではないだろうか という御指摘がございまして、こちらにつきましては、20年3月末のところでも引き続き老齢の 方の全額停止が15万9,000件、障害の方が11万1,000件ということで、この状況は続いている。 新たな制度の状況の下での停止の状況になっていると見られるところでございます。  続きまして、6ページでございます。老齢年金の平均年金額、中段でございますが、男女合計 のところで見ていただきますと、20年3月末で5万3,552円で、350円、0.7%、微妙に増えてい る。基本的に末現在で見ていただきますと、減額支給の方の割合が緩やかに減少しておりますの で、その辺も反映しているのかなというところでございます。  次に、7ページ、新規裁定でございます。減額支給されたものを除いた平均年金額のところで 見ていただきますと、5万4,289円で、1,451円、2.6%減少となっているところでございます。  減額支給されたものの平均のところを見ると、かなり落ち込んでおりまして、3万5,367円で、 5,000円ぐらい落ち込んでいる。それを反映して全体もかなり落ち込んでいるところでございます。  こちらにつきましては、そもそも基礎年金に対する新規裁定の統計、社会保険庁での新規裁定 の統計と申しますのが、厚生年金と基礎年金をある意味一体として支払いを行っております。現 在、厚生年金の期間を持っておられる方は、支給開始年齢が厚生年金の方が早いので、まずは厚 生年金が新規裁定になって、その後、事務処理上は65歳になると付加されるような形で基礎年金 が出てくる。  新規裁定ということでとらえるときに、社会保険庁からの年金が新規に裁定されるタイミング でデータがとらえられるようになっていますので、そういう意味では、支給開始年齢引上げの過 渡期においては、被用者の期間があって、先に厚生年金が出る方については、末現在の統計には きれいに入ってくるんですが、新規裁定の統計というのはどうしても制約があって、先にいわゆ る特別支給が出た後で基礎年金が出てくる方がとらえられないという事情がもともとあったわけ でございます。  その中で、支給開始年齢引上げに伴いまして、基礎年金の一部繰上げという仕組みが入りまし て、一部繰り上げて厚生年金と同時に裁定された方についての統計は、同時だということで、平 成19年度から、そのタイミングで取るというような形になりました。実は離婚分割に絡む統計を 取るための処理の改善を行ったときに、ある種中途半端なんですが、一部繰上げの人は同時に裁 定されているんで、そういう方の統計は全部こちらの方に入ってくることになったということで、 ややテクニカルなんですが、基礎年金の一部繰上げというものを行った、一部繰上げといいます のは、厚生年金の定額部分の支給開始年齢を繰り上げる、例えば、63歳の方について、大体5分 の3ぐらいの金額で60歳からもらうというときに、併せて基礎年金の一部だけを繰り上げて、あ る程度、60歳からならしたような金額になる、そういう意味では、基礎年金の全体の額に比べる と随分低い額の一部繰上額が生ずるんですが、それが統計の中に入ってくるということが生じま して、それによってかなり見かけ上、額が低くなっている。そういう意味では、支給開始年齢引 上げの途上では、厚生年金の平均年金額なども、上だけの方と全体の方が混在したりして、なか なか見にくい部分がありますので、特別にそれを除くとかいうことで統計処理をしないと正しい 額は見られないんですが、こちらの方はそういうものが機械的に入っているもので数字が出てお りますので、そういう意味ではやや解釈のしづらいものになっているのでございますが、数字を 埋めると、こういう数字になっているという状況があるということでございます。  次に、8ページでございます。老齢年金受給権者の年齢構成でございまして、国民年金の場合 は平均年齢が73.8歳で、これは前年に比べて0.3歳上がっておりまして、受給者の高齢化は相変 わらず進んでいるという状況でございます。  次に、9ページでございます。第1号被保険者、第3号被保険者別の被保険者状況でございま して、まず、上の欄、第1号被保険者の被保険者数でございます。これは、平成15年度までは第 1号被保険者が増加していたところでございますが、16年度からは減少に転じているということ で、20年3月末で2,035万4,000人、対前年87万7,000人、4.1%の減という状況になっている ところでございます。  第3号被保険者も、先ほど御指摘ありましたとおり、ずっと減少傾向が続いているということ で、20年3月末で1,062万8,000人、対前年16万1,000人、1.5%の減という状況でございます。  あと、平均年齢で申し上げますと、1号被保険者につきましては、39.9歳ということで、0.1 歳若返っております。第3号被保険者は43.2歳で変わりないという状況でございます。  今年から免除等の状況という欄を新規に設けさせていただいたところでございますが、法定免 除の方が112万9,000人、申請全額免除の方が201万7,000人等々、こちらにあるような数字でご ざいまして、それぞれで見ていただきますと、申請4分の3免除だけは若干数が増えております が、あとは概して数値的には若干減っている、マイナスになっているという状況がございます。  合計の欄はないんですが、全体を足し合わせてみますと、前年に比べて2.2%の減という状況で ございますが、そもそも被保険者が4.1%減でございますので、被保険者の占める割合としては、 免除・猶予の方は微増の状況にあろうかというところでございます。  続きまして、10ページでございます。第1号被保険者の分布ということで、男女合計でござい ます。国民年金の場合は、20歳で学生の方は第1号被保険者として適用になるということでござ いますので、20〜25歳のところに408万8,000人、全体の2割が分布しているという状況でござ います。一方で、もう一つの山は55〜60歳というところにあるということで、こちらに380万人 余り、18.8%が分布している。年齢の両端のところに山があり、その中間はほぼフラットになっ ている、このような分布を第1号被保険者はしているところでございます。  11ページはそれの男性でございまして、12ページが女性ということで、男女でそれほど分布に 違いはないという状況でございます。  次に、第3号被保険者でございます。これは女性が中心で、男女で分布も違いますので、男女 別で見ていただいた方がよろしいかと存じます。14ページが男性の第3号被保険者の年齢期間分 布でございます。男性の場合、合計で10万人、そのうちの4万人、約4割が55〜60歳のところ に分布しているということです。御夫婦のうち、夫の方が退職、あるいは失業されたようなとき に、奥さんが厚生年金の2号被保険者であれば、当然、第3号になると、こういうケースがある のかというところでございまして、この人数自体も、前年は3万8,000人、その前は3万5,000 人ですので、徐々に増えている状況でございます。平均年齢につきましても48.6歳で、対前年で 0.3歳上がっているという状況でございます。  第3号被保険者の大宗を占めます女性につきましては、分布の状況は余り変わっておりません で、35〜40歳のところに18.5%ということで、ここを中心に分布している。いわばM字分布の逆 のような分布をしているということでございまして、平均年齢は43.1歳で、前年と変わらない状 況でございます。  次に、16ページでございます。「積立金の運用状況について」でございまして、国民年金につ きましても、厚生年金と事情はほぼ同様でございます。預託金は減少してまいりまして、6,254 億円、市場運用分が6兆624億円、財投債が1兆9,745億円という状況でございまして、年度末 積立金、これは承継資産の損益を含む場合の方を見ていただいていますが、8兆4,674億円、運 用利回りはこのベースで△3.38%でございます。  資産の内訳に関しましては、先ほど厚生年金で御説明申し上げましたように、統合して運用し ておりますので、厚生年金と同じ数字が特記事項のところに掲げてございます。  17ページでございますが、「財政再計算における将来見通しとの比較」でございます。まず、 実績推計ということで、国民年金の場合、厚生年金基金に当たるようなものはないんですが、基 礎年金交付金の分を収入支出の両面から控除するということで、将来見通しとベースを合わせた 形で比較しております。あと、時価ベースで見るということでございまして、保険料収入につき ましては、将来見通しで2.4兆円と見ていたものが、実績1.9兆円でございます。この差の主な 要因といたしましては、納付率が見通しより低下しているということが言えようかと存じます。  あと、運用収入に関しましては、将来見通しで0.3兆円となっていたものが、実績の方では時 価ベースでマイナス0.3兆円ということで、これで0.6兆円の差がある。これは当然、市場の運 用利回りの単年度の変動によるものでございます。  その他のところ、これは基本的に基礎年金拠出金に係る国庫負担でございますが、将来見通し では2兆円だったものが1.8兆円となっている。これは拠出金算定対象者が将来見通しよりも少 ないというマイナス要素と、一方で国庫負担割合が将来見通し上は34.4%だったものが、実際に は36.5%でございますので、その分で少し戻している。しかし、拠出金対象者の人数の差の方が 大きいので、マイナスになっているという状況。一方で、当然ながら基礎年金拠出金の方も見込 みよりも実績の方が低くなっているということで、見込み4.7兆円に対しまして、実績の方が4. 1兆円になっているという状況でございます。  その結果、収支残は、将来見通し上は0.2兆円のマイナスという見込みだったのが、実績推計 のところで見ますと、1.0兆円のマイナスということで、0.8兆円ぐらい見込みよりも単年度では 悪くなっている。ただ、年度末積立金に関しましては、前年度までの運用収益の累積分がござい ますので、将来見通し上は10.4兆円という見込みだったのが、実績推計で10.8兆円という状況 になっているところでございます。  続いて、18ページでございます。「基礎年金の被保険者数及び受給者数の比較」。これは、み なし基礎年金の受給者分も含むということでの比較でございます。将来見通しでは、被保険者数 が6,870万と見込んでおりましたが、実績の方が見通しをやや上回っている状況で、19年度末で 6,935万人という数値になっているところでございます。  一方で、受給者数でございますが、老齢につきましては、将来見通しで2,560万という見込み でございまして、これは年度平均ベースでございますので、18年度末と19年度末の真ん中ぐらい と見ていただきますと、ほぼ合っているのかなというところでございます。  一方で、障害、遺族に関しましては、実績の方は受給権者ということで、全額支給停止の人を 含んでおります。再計算の方は受給者ということで、全額支給停止を含んでおりませんので、こ ういう形で差があるというのは、それで理解されると考えているところでございます。  19ページでございますが、「財政指標の比較」ということで申し上げますと、まず、年金扶養 比率、何人で何人を支えるかということでございます。19年度が、財政再計算上の見込みは2.7 人で1人を支えるという見込みだったわけでございますが、受給者ベース、括弧で見るというこ とで申しますと、2.68人で1人を支えるということで、ほぼ財政再計算の見込みと合っていると いう状況でございます。  こちらにつきましては、基礎年金ということで、基礎年金制度全体、1号、2号、3号を合わ せたものでございますが、次のページ以下のいわゆる財政収支のところにつきましては、国民年 金勘定、第1号被保険者の、いわゆる定額の保険料を払う方々の財政について整理したものでご ざいます。これで見ていただきますと、16年の再計算では19年度は収支比率が104.7と見ていた ところでございますが、19年度の鍵括弧、時価ベースで153.5ということで、やはり時価ベース での運用収益がマイナスだったということを反映して、単年度の収支比率はかなり悪くなってい るという状況でございます。  一方で、21ページでございますが、「積立比率」を見ていただきますと、19年度は財政再計算 では3.8と、保険料で賄う支出の3.8倍と見ておりましたのが、19の*のところを見ていただき ますと、4.9倍ということで、これは再計算の見込みよりもかなりいい。積立比率というのは前年 度末の積立金を見るということですので、マイナスだった19年度の運用結果は反映していないと、 こういう数字でございますので、再計算の見込みよりはかなりいい数字になっているという状況 でございます。  御説明は以上でございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、質問等ございますでしょうか。  近藤委員。 ○近藤委員   2つ教えてください。  まず、積立金の運用状況について、厚生年金・国民年金ともに、旧年金福祉事業団から承継し た資産を一体として運用していますが、承継資産の累積利差損というのは両方とも出てきている わけです。これは、承継した資産と、そうでない資産と分離して運用したから、こういう結果が 出てきたのか、それとも一括運用しているのを割り振りした結果なのか。 ○八神参事官   運用自体は一括して、一体で運用しています。 ○近藤委員   割り振りした結果ですか。 ○八神参事官   運用は一体でございまして、最終的な損益は割り振りをしているということでございます。 ○山崎数理課長   よろしいでしょうか。承継資産というのはそもそも借入金を原資として運用を行っております ので、借入金に対する利払いというものが発生しているわけでございます。一方で、運用したも のは一体となっておりますので、いわゆる元本に応じて、その運用成果は、それに対してどれだ け割り当てられるという形で出ている。ある意味、借入金に対する利払いがコストとしてかかっ ておりますので、その差の分が利差損ということで出てまいる。その累積というものが把握され ていると、こういうことかと存じます。 ○近藤委員   そういうことですか。一度勉強してみます。  もう一つは、先ほど収支比率を運用利回りを考慮して比較計算するのは非常に難しく、これは 考えなければならないと思います。運用利回りというのは、財政計算のときは経済的要素という ところで、数字が決まってきています。そうすると、この数字の中身が、キャッシュベースと、 あと、時価、簿価との関係はわからないのですか。3.2%が出てくると、計算上は3.2を入れれば よいので、計算の問題ではないと思うんです。その前の問題です。このあたりを判りやすくしな いと誤解を生む事となると考えますが。 ○山崎数理課長   財政再計算で将来の経済前提をはじきますときには、まず、10年国債のベースでのいわゆる長 期金利、勿論、実質長期金利プラス物価ということではじいて、それに分散運用による効果と、 これを長期の平均で見て、21年度財政検証でございますと、その0.4%を乗せるということでご ざいますが、この0.4%はあくまで長期の平均でございますので、そこの部分が非常にプラスにな ったりマイナスになったり、大きく変動するということでございます。  それというのは、実際に市場で運用してみないと結果はわからないんで、そういう意味では、 既に持っている債券のクーポンの部分はそれなりに確実にキャッシュは入るわけでございますが、 債券でありましても、市場での価格変動を受けて、そこの部分は含み損、含み益で出てまいりま すし、株とか、あるいは外物などはまさに株式市場の変動、為替市場の変動で非常に大きく変動 する。超長期で見ますと、そういう形で分散運用を行えば、平均的に、例えば、0.4%ぐらい期待 できるだろう。ただ、年々どうなるのかわからないので、財政計算上は、そこはあたかも毎年0. 4%乗るような形で数値は置いてあるんですけれども、現実には市場の出た目によって影響される ということで、具体的にキャッシュが幾らで、いわゆる評価損益分が幾らになるのかというのは、 アプリオリに置いておくことはちょっと難しい。 ○近藤委員   確かな事はわからないと思います。  そうすると、収支比率を出す場合に、年金財政上の収支比率と、いわゆる運用上の収支という のは別に考えないと、このように出っ張ったり、引っ込んだり、出っ張ったときはよかったね、 引っ込んだときには大変だねと、年金財政というのは、そういう問題ではないと思います。収支 比率のこの数字を見ていると、ほかの方法があるのかを考える必要があるという気がしました。  以上です。 ○山崎部会長   ほかにございますでしょうか。  牛丸委員。 ○牛丸委員   さっきの厚生年金も今の国民年金もそうですが、最後で平成16年の財政再計算と比較していま す。平成16年財政再計算の場合、幾つかの前提を置いて将来の予測をした。それと実績としての 19年度がどうであるかという比較をしているわけですけれども、国民年金の場合に、一番仮定し た前提が違っていたのが納付率の低下であろう。それから、厚生年金も国民年金も運用利回りが 予測と違っていた。  お伺いしたいのは、平成16年財政再計算というのは、それまでの実績を前提として、将来、こ ういう仮定で予測をした。先日、財政検証を行ったわけですけれども、こういうふうな形で3年 分実績が出てきました。それと16年の財政再計算の前提がこういうふうに違ってきた。これを財 政検証に生かしたのか、生かさなかったのか。例えば、利回りに関しては、先ほど私も指摘しま したように、また、前回の数理部会でも申し上げましたように、短期、長期の問題がありますか ら、短期的なものをそのまま影響を受けて、しかしながら、それを軽視もできないだろうと、そ の辺、難しいことがあります。今日も申し上げましたように、短期と長期違いますから、その辺 をどう勘案するかという問題があると思います。  もう一つの納付率、滞納率を、実績はこうであるけれども、将来に向けてどうするのか。今回 に関しては、それほど反映させなかったような気がします。ちょっと今回とは離れるかもしれま せんけれども、その辺のお考えがあればお聞かせいただきたい。 ○山崎部会長   お願いします。 ○山崎数理課長   お答えします。財政検証を行います場合に、基本的に直近の実績というものを非常に尊重しつ つやっていく。これは基本的な考え方でございまして、今、足元で被保険者が何人いるかとか、 受給者が何人いて、どういう年金額と、こういうものはまさに新しいデータに置き換えて行う。 あと、例えば、障害年金がどれぐらい発生するとか、あるいは退職の割合がどのぐらいだとか、 そういうもの。これも新しい基礎率に置き換えて、これは基本的に実績で行っていく。そういう 部分につきましては、当然、新しい最新の実績でやっていくことになるわけでございます。  一方で、例えば、国民年金の保険料納付率は、自然にあるがままに任せておくという性格のも のではなくて、本来、行政努力によって100%にすべきものでございます。向こう100年間の推計 を行いますので、こういうものを障害年金の発生率と同じようにとらえて、このぐらいの割合な んだから、将来もこういう割合という形で前提を置くような性格のものではないという認識の下 で、事業を実施いたします社会保険庁において、目標値が80%と置かれていることを前提に、16 年の再計算のときにも、19年度で80%に向けて努力していくということで計画がある中で、16 年の再計算でも80%ということで置いていたわけでございます。その考え方を踏襲して、今回80 %でやらせていただいた。  考え方といたしまして、今、足元が60何%だから、未来永劫にわたって60何%というのは、 行政として、目標があるにもかかわらず、努力しないでそのままいくということを前提として将 来の年金財政を考えるというのは、誤ったメッセージを出すことにもなりかねないということで ございますので、私どもといたしましては、基本的に前回の再計算の考え方を踏襲いたしまして、 社会保険庁の計画値を用いるということでやらせていただいたところでございます。  あと、運用利回り等々でございますけれども、これは過去の実績で幾らだということのほかに、 将来をどう見込むか。これも、非常に長期についてどう見るかということと、短期、当面、5年 とか7年どう見るかという部分がございまして、長期に関しましては、過去何年間がこうだった んだからこうだというのは必ずしも当てはまらない。それは人口構成自体も、今まで人口増加社 会だったものが減少社会に移り変わっていくという状況の下で、昔はその運用も預託金というよ うなことで運用して、かなり安定利回りでございましたし、世の中も普通に過去何年平均という ことでやっていれば、それで将来が予測できた時代でございますが、これから将来に向けては、 運用自体も、市場運用ということでございますし、基本になる日本の経済そのものも人口減少社 会ということで、過去の常識が必ずしも通用しない状況になっている。  その状況を踏まえて、平成16年の財政再計算におきましては、当時の年金資金運用分科会の先 生方にお諮りいたしまして、その議論の中で将来の生産性の上昇率、あと、労働力人口の変化等 々置いて、マクロ経済の基本的な関係式に基づいて将来を推計するという方法を確立したという ことです。今回は年金部会の中に経済前提専門委員会を設けて、専門の先生方にお集まりいただ いて、長期について多角的な検討を行っていただいて、それに基づいて長期の経済前提の範囲を 設定していただいて、基本的にそれの真ん中ということで、最終的に経済前提というものを設定 させていただいた。  ただ、これは非常に長期のものでございますので、足元につきましては、政府全体としての整 合性という観点から、内閣府におきます財政検証を行います当時での最新の見通しというものに 準拠するような形で両者をつないで設定させていただいたということです。経済前提は、将来の 人口構成の変動も大きく予想される中では、基本的にフォワードルッキングで見ていくものであ ろうという考え方に基づいて、専門家の先生方に御議論いただいて設定した、あるいは足元のと ころにつきましては、内閣府に準拠したと、こういう形でやったということでございます。 ○牛丸委員   お考えはわかりました。  もう一つ、財政検証のところではないのですけれども、ついでにお伺いしたいのは、先ほどの 厚生年金のところでも私聞きましたが、要するに、現在の被保険者なり、受給者なりの世帯の構 成がどうなっているのか。それを調べられているかどうかというのは、今後の年金を考える上に おいても、1つの重要な要素だと思います。それに関して、新聞等でいろいろ批判があると思い ます。モデル年金ですね。今の納付率とか利回りに関してのお考えはわかりましたけれども、家 族構成といいますか、その辺に関しては、将来に向けて、どういうふうにお考えになっていらっ しゃるんですか。 ○山崎数理課長   当然、今の受給者の世帯構成、あるいはその下で受給者の方が世帯としてどういう年金を受給 され、どういう暮らしをされておられるのかということの実態をできる限り把握して踏まえると、 これは年金制度の将来を考えていく上で非常に重要でございます。あと、現役の方々につきまし ても、例えば、共働きが増えている、それでもパートの方がかなり多いとか、そういう実態を踏 まえることも重要でございまして、その辺につきまして、なかなか的確な統計、何年と何年で完 全にクロスしてというところは難しいんでございますが、それにつきましては、できる限り情報 を集めるように努力しているところでございます。  一方で、年金の給付水準を考えていくということにつきましては、従来からの継続性が重要で ございます。平成16年の制度改正では、法律をもちまして、給付水準を考える上では、基礎年金 が夫婦2人分、報酬比例年金につきましては、一応、男性の平均賃金で40年加入した場合の年金 額ということで、これは必ずしも完全に、妻は40年全く働かず、夫は40年びしっと働いたとい う世帯に対してだけ、そういう水準になるということではなくて、結局、世帯の合計として、同 じぐらいの収入の世帯に関しては、世帯類型にかかわらず、世帯としては同じ年金額、同じ所得 代替率が得られる。  単身の方につきましても、1人当たりということで見れば、そこはイコールフッティングにな っているわけで、そういう意味では、給付水準、今、足元で62.3%が50.1%までマクロ経済スラ イドで下がるというのは、そういう構造を保ちながら、すべての世帯について給付水準を調整し ていただく。  それは当然、将来の保険料率を18.3%なり、1万6,900円というところに抑えると、そういう 制約の下で世代間の支え合いでやっていく年金制度では、当然そういうことになるんだというこ とで、1つの指標として出しているということで、決して世帯類型の違いによって年金額にある 種の差別があるということではない。  ただ、勿論、社会保障の仕組みとして、いわゆる所得再分配の仕組みが取り込まれております ので、報酬の高い方は、年金額としては勿論高くなるわけですが、報酬に比例的に高くなるわけ ではないので、報酬で割り返した率というのは下がっていくということで、その構造は、もとも との厚生年金制度が始まって以来といいますか、少なくとも60年改正で現行制度の枠組みが定め られたときにおいて、そういう基本構造になっておりますので、その構造の下で、法律で定めら れた給付水準の物差しの下で、どういうふうに推移していくかということを見るというのは十分 に意義のあることと考えております。  一方で、将来、世帯類型がどう変わっていくのかということにつきましての実態把握に努める ということは当然重要だというふうに認識しておるところでございます。 ○山崎部会長   丁寧な説明ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。それでは、ないようですので、以上で国民年金の財政状況につ いての報告の聴取を終了いたします。報告者の方々には、お忙しい中をどうもありがとうござい ました。  それでは、本日予定した厚生年金保険及び国民年金の報告の聴取を終了いたします。  なお、国共済、地共済、私学共済につきましては、次回、報告を受けることとしております。  本日はこれまでにさせていただきます。次回の日程等につきまして、事務局に確認していただ きます。 ○石原首席年金数理官   次回、第37回年金数理部会につきましては、6月30日火曜日14時から、全国都市会館第2会 議室で予定しております。よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○山崎部会長   それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。   −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)   1