09/06/19 薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成21年6月19日(金) 14:00〜    ホテルオークラ東京別館アスコットホールI 2.出席委員(15名)五十音順 赤 堀 文 昭、 飯 島 正 文、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、 土 屋 文 人、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 松 井   陽、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、 ◎望 月 正 隆、○山 口   徹、 吉 田 茂 昭   ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   欠席委員(8名)   池 田 康 夫、 井 部 俊 子、 大 野 泰 雄、 宗 林 さおり、    竹 嶋 康 弘、 永 井 良 三、 藤 田 利 治、 本 田 圭 子、   3.行政機関出席者    高 井 康 行(医薬食品局長) 岸 田 修 一(大臣官房審議官) 川 尻 良 夫(総務課長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、 山 本 順 二(化学物質安全対策室長) 森   和 彦(安全対策課長)、他 4.備考   この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 定刻となりましたので、ただ今より「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」を 開催いたします。本日は委員総数23名のところ、笠貫先生は少し遅れているようですが、 15名の委員の皆様に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御 報告いたします。以降の進行は望月分科会長にお願いいたします。事務連絡ですが、カメ ラ撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はここで御退室くださ い。 ○望月分科会長 それでは本日の薬事分科会を始めます。最初に、事務局から配付資料の 確認をお願いいたします。 ○総務課長補佐 それでは資料の確認をお願いいたします。審議事項につきましては、資 料No.1〜2、報告事項につきましては、資料No.3〜13となっております。当日配付資料 は資料No.14の競合品目・競合企業リスト、議事次第、座席表、委員名簿となっておりま す。また、文書報告の資料は委員の皆様に既に送付しておりますが、参考までにお手元に 「文書報告一覧」を配付しております。  次に、審議参加に関する御報告をいたします。申請資料作成に関与した委員ですが、該 当委員はいらっしゃいません。また、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業につい ては、資料No.14として配付しておりますが、その選定理由等を説明いたします。いずれ も関係部会で報告した内容となっております。  1ページの「アボルブカプセル0.5mg」ですが、本品目の申請会社はグラクソ・スミス クライン株式会社です。本剤の予定されている効能・効果は前立腺肥大症の治療及び進行 抑制です。前立腺肥大症の治療薬は5α還元酵素阻害薬及び抗アンドロゲン薬、並びにα 1受容体遮断薬があげられ、選定理由欄の3段落目の所ですが、本剤と同種同効の5α還 元酵素阻害薬はフィナステリドですが、本邦においては前立腺肥大症の効能は取得してい ないことから、効能・効果、薬理作用等から見た競合品目として、抗アンドロゲン薬で前 立腺肥大症への効能を有するシェリング・プラウ株式会社の「パーセリン錠25mg」及び あすか製薬株式会社の「プロスタールL錠」をあげております。また、前立腺肥大症に伴 う排尿障害への効能を有するα1受容体遮断薬については、本剤とは作用機序が異なるこ とから、主として本剤との併用が想定されるが、一方、臨床における治療薬選定の際に競 合する薬剤として考えられることから、市場における売上高の上位品目であるアステラス 製薬株式会社の「ハルナールD錠0.1mg」「ハルナールD錠0.2mg」が選定されておりま す。  次に2ページですが、ノバルティスファーマ株式会社から申請されている「ラジレス錠 150mg」です。本剤はアリスキレンフマル酸塩を有効成分とする経口降圧薬で、レニン- アンジオテンシン系サイクルの起点に位置する酵素のレニンを直接的に阻害する新規の 作用機序を有し、現在上市されている薬剤の中では、同じ作用機序を有する直接的な競合 品は存在せず、また、開発中の品目についても確認できなかったことから、競合品目とし ては本剤の臨床試験において対照薬として使用した万有製薬株式会社の「ニューロタン」 を競合品目1として選定し、競合品目2及び3としては作用機序及び売上高を考慮し、レ ニン-アンジオテンシン系サイクルに作用する薬剤であるアンジオテンシンII受容体拮抗 剤のうち、武田薬品工業株式会社の「ブロプレス」、及び第一三共株式会社、興和創薬株 式会社の「オルメテック」が選定されております。競合品目に係る説明は以上です。 ○望月分科会長 ただ今の説明について、特段の御意見があればお願いいたします。よろ しいですか。それでは、本分科会における審議の際の申合せ事項については、競合品目・ 競合企業の妥当性も含め、了解を得たものといたします。 ○赤堀委員 一点よろしいですか。別紙1の資料で、ノバルティスファーマ株式会社から 出ている競合品目として設定した理由の1に、対照薬としたから競合品目にしたとありま すが、この理由の妥当性についてです。対照薬として用いるためにはそれなりの理由があ ったわけで、その理由によって競合品目にしたということなら分かるのですが、対照薬に したから競合品目にしたというのは少し理解しづらいところがあります。また、次の2、 3では「売上高を考慮して競合品目とした」とあるのですが、この辺のことについて少し 御説明いただけると有り難いと思います。 ○望月分科会長 事務局から対応をお願いいたします。 ○審査管理課長 先生御承知のとおり、対照薬とするためには、通常ですと作用機序が似 ているとか、あるいは臨床上の位置付けが似ているなどといったものをもって対照薬とす るというのが基本的な考え方です。確かに、対照薬としたからという直截な書き方がいい かどうかというのは御指摘のとおりだと思いますが、そのような基本的な考え方にのっと って考えれば、それはそれで一応説明がつくのかと考えております。また、売上高の点で すが、よく似た薬が幾つもあるときに、何を相手方に選ぶかというのは非常に難しい問題 です。審議会のルールの中では三つを選んでいくこととなっておりますが、甲乙付け難い 場合には、最後は市場への影響という意味で売上高を基準の一つとしているというのが今 の実態だろうと考えております。 ○赤堀委員 そうすると作用機序の似通った薬物はたくさんあるが、その中から選ぶとす ると、売上高を考慮するという理解をすればいいですか。 ○審査管理課長 実態としてはそのようにやらせていただいているということです。 ○赤堀委員 文章を読んだだけでは「および」となっているものですから、ちょっと違う かなと思ったのです。 ○望月分科会長 そのほかに何かあればお願いいたします。  ないようですので、次に、委員からの申出状況についての報告をお願いいたします。 ○総務課長補佐 各委員からの申出状況について報告いたします。議題1「医薬品アボル ブカプセル」については退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は笠貫委 員です。議題2の「医薬品ラジレス錠」については退室委員はいらっしゃいません。議決 に参加しない委員は笠貫委員、土屋委員です。以上です。 ○望月分科会長 それでは議事1に入りたいと思います。議題1、資料No.1「医薬品アボ ルブカプセル0.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の 可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既 承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、「薬事分科会にお ける確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて 審議を行うこととなっております。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、 当分科会で審議をしたいと思います。医薬品第一部会長の松井委員から御説明をお願いい たします。 ○松井委員 資料No.1「アボルブカプセル0.5mg(デュタステリド)」について概要を説明 いたします。審査の詳細については、後ほど事務局から説明を加えます。本薬はデュタス テリドを有効成分とする5α還元酵素阻害薬であり、前立腺の発生と成長に関与するDH Tの抑制を介して、肥大した前立腺を縮小させることにより、前立腺肥大症の治療効果を 示すと考えられております。海外では2009年3月の時点で、米国及び欧州各国を含む85 か国で承認されております。本邦では19□年□月よりグラクソ・スミスクライン株式会 社により臨床開発が行われ、今般、国内で実施された臨床試験を主要な臨床データパッケ ージとして承認申請がなされたものです。本薬については、去る4月24日に開催された 医薬品第一部会において審議した結果、承認して差し支えないとの判断に至りました。以 上、本薬の概要について説明しましたが、事務局から、より仔細な点についての説明をお 願いいたします。 ○望月分科会長 事務局から補足等の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.1「アボルブカプセル0.5mg」の審査の概略について、臨床試験の成績 を中心に御説明いたします。まず、本薬の有効性については審査報告書42ページの下2 行目からにある、国内第III相試験の項を御覧ください。国内第III相試験では、プラセボ対 象の無作為化二重盲検並行群間比較試験として実施され、日本人前立腺肥大症患者377例 を対象に、本薬0.5mg又はプラセボを1日1回52週間投与した結果、主要評価項目であ る「投与52週における国際前立腺症状スコア(IPSS)のベースライン時からの変化量」 の調整済み平均値は、プラセボ群で-3.7、本薬群で-5.3であり、本薬群でプラセボ群に 比して有意なIPSSの減少が認められたことから、本薬の有効性は示されたと判断いた しました。  次に、本薬の安全性ですが、審査報告書43ページの下に、国内第III相試験の安全性に 関する記載があります。下から2段落目の「安全性について」から始まる項目です。本薬 の安全性について、有害事象発現率は、プラセボ群で90%(184例中166例)、本薬群で 88%(193例中170例)と同程度でした。審査報告書67ページの下2行から68ページにか けて、安全性についての項目の記載があるように、性機能関連の有害事象としてα1受容 体遮断薬との併用等について注意が必要ですが、適正に使用されれば承認の可否に影響す るような安全性に関する大きな問題はないものと判断しております。  68ページの下1行目から69ページにかけて、前立腺特異抗原(PSA)値に与える影響 についての項を御覧ください。本薬の投与において注意すべき点として、前立腺癌の検査 に使用される前立腺特異抗原(PSA)の値を、本薬投与6か月後に約50%減少させるこ とがあげられております。しかしながら、本薬投与前には、直腸診やPSA測定を行うこ となどにより前立腺癌の検査を行うこと、投与中はPSA値を2倍した値を目安として基 準値と比較しその推移を慎重に観察すること、患者及び医療関係者にそれらの情報提供を 徹底するなど、適切な注意喚起を行うことで対応可能と考えております。  続きまして、審査報告書71ページ中ほどの6.「製造販売後の調査について」の項を御 覧ください。製造販売後調査としては、再審査期間中、1,000例を対象にリビドー減退、 勃起不全、射精障害等の性機能関連の有害事象、α1受容体遮断薬の併用に関する情報、 肝機能障害を合併する患者の副作用発現状況等の安全性に関する情報を収集することと ともに、血清PSA値に関する調査についても実施する予定です。  以上、総合機構における審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本薬は前立腺肥大症 に対する有効性が認められ、安全性についても承認の可否に関わるような大きな問題もな いことから、本薬を承認して差し支えないと判断され、薬事分科会で御審議いただくこと が適切と判断されました。なお、本剤の再審査期間は8年、原薬・製剤ともに劇薬に該当 し、特定生物由来製品又は生物由来製品には該当しないと設定することが適切と判断され ております。説明は以上です。  併せて、本品目について委員の皆様方から御質問をいただいております。木津委員より、 「本剤は『経皮吸収される』との記載がありますが、その程度について明らかにしてくだ さい。また、簡易懸濁法が広く採用されている中で、患者、薬剤師や看護師への注意文書 の作成などは考えておられるのでしょうか」との御質問をいただいております。  まず、本剤は経皮吸収されるとの記載については、ウサギを用いた非臨床試験成績に基 づいております。詳細については審査報告書の14ページに記載がございます。これはウ サギに本薬の溶液を24時間あるいは8時間という長時間に大量曝露したときではありま すが、本薬の経皮吸収が確認されたことから、ヒトでの経皮吸収の可能性を否定できない ため、添付文書で注意喚起することが適切と考えているところです。現在、添付文書案に おいては、本薬への接触に関する情報提供として使用上の注意の2.重要な基本的注意の (1)において、「本剤は経皮吸収されることから、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤 に触れないこと。漏れた薬剤に触れた場合には、直ちに石鹸と水で洗うこと」と注意喚起 がなされております。  なお、各患者への説明文書や医療現場における本剤取扱いに際する留意事項等の情報提 供資材については、今後この御指摘も踏まえて、申請者に適切に指導させていただきたい と考えているところです。  併せて、本品目について、神山委員より「PTP包装の薬剤について、実際に他剤で処 方されても誤飲に関する注意を受けることがないが、この点の指導は徹底しているのか」 との御質問を事前にいただいております。この点については安全対策課からお答えいたし ます。 ○事務局 PTPシートの誤飲対策について、安全対策課からお話いたします。平成6年 8月、日本気管食道学会より日本製薬団体連合会へ改善の要望書が提出されたのを契機と して、PTPシートの誤飲に対する対策の必要性が認識されることとなりました。その後、 改善のための対応策を日本製薬団体連合会での検討を経て日本気管食道学会、旧厚生省、 日本病院薬剤師会及び日本薬剤師会からなる懇談会での協議から、平成8年3月日本製薬 団体連合会が加盟団体宛に自主申合せを発出しております。  具体的な対策ですが、PTPシートに横ないし縦の一方向のみにスリット、ミシンを入 れることが第一点、PTPシートの裏面に、取り出して服用する旨の統一の図案を入れる というのが一点、添付文書に適用上の注意として統一の文面を入れることの三点が対策と して図られました。対策自体は平成9年12月までに完了しているわけですが、この対策 がとられたことでPTPシートの誤飲事故件数は明らかに減少しております。現在はPT Pシートの誤飲に対する注意喚起がある程度周知されていることから、すべての患者に一 律に、PTPシートから薬剤を取り出して服用するという説明は実際にはされていないと 考えておりますが、医師又は薬剤師の判断により、患者の状況に応じて一包化調剤、これ は服用時ごとにまとめて分包するというやり方ですが、そちらを推し進めていただいた り、薬剤師の方で、実際に薬剤を交付するときにPTPシートから薬剤を取り出して服用 することと、PTPシートを1錠ずつ切り離さないようにといった注意を喚起していただ くことは非常に有用だと考えておりますので、患者に応じてそのような対応をとっている と考えております。 ○事務局 本剤について一点ございます。現在、委員の皆様のお手元に本剤の包装見本を お配りしておりますが、誤字があるとの御指摘がありまして、これは適切に変更するよう に企業に指導したいと思います。失礼いたしました。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等はございますか。 ○黒木委員 基本的なところで教えていただきたいのですが、審査報告書71ページの6 の催奇形性についての記載です。「女性及び子供には禁忌である」とありますが、添付文 書では、通常「女性及び小児」といった書き方だと思います。「小児」と審査報告書の「子 供」とは全く同じだと考えてよろしいでしょうか。その点についてだけ確認させてくださ い。 ○事務局 同じでございます。 ○望月分科会長 同じということは、これからもそのように使い分けるというのは何か変 ですね。どちらかにまとめた方がいいのではないですか。 ○黒木委員 できれば「小児」の方に、厚生労働省の規定の「小児」という考え方でよろ しいわけですね。 ○事務局 御指摘のとおりです。今後はきちんと対処していきたいと思います。 ○黒木委員 よろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 溝口委員、お願いいたします。 ○溝口委員 二つほどお尋ねしたいことがあります。一つは、本薬は□□□□□□□□□ □□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□があるように思えるのですが、そ のようなデータがありましたらお教えいただきたいと思います。  もう一つは、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□を内服 している患者が本薬を併用しても問題はないかどうか。その二点をお教えいただきたいと 思います。 ○事務局 一点目の□□□□□□□□□□□との関係ですが、本剤についても□□□□□ □□□推定されるわけですが、現在この開発企業が□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□だと聞いております。ただ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□はないようです。二点目の併用の件については、そういった確認の試験は、まだなさ れていない状況であるとのことです。 ○溝口委員 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□の患者が来たときにこの 薬を処方していいかどうか。これは切実な問題だと思うのですが、どちらかと言うと私は □□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□と思うのですが、泌尿 器科の先生はどう対応されたらいいかと思うものですからお尋ねしました。 ○望月分科会長 ただ今の点について、どなたか情報をお持ちでしょうか。 ○事務局 そもそも本剤については安全域は十分とられているということですので、直接 的な問題はないのではないかと思いますが、企業に対してこの御指摘はきちんと伝えて、 対処できるように指導したいと思います。 ○望月分科会長 ほかにはどなたか御意見はございますか。 ○土屋委員 二点ほどあります。一つは添付文書ですが、効能・効果のあとに「効能・効 果に関連する使用上の注意」で、前立腺肥大症の効能・効果に対して、「前立腺が肥大し ていない患者における有効性及び安全性は確立されていない」というのは、私どもは審査 報告書などを読んでいますから、30ccがどうだなどといったことが問題になってここに 注意として書かれているのだということが分かりますが、何も知らない人がこれを見たと きに、例えば30cc未満の場合のことを指しているのだということまで理解できるのでし ょうか。 ○望月分科会長 今の点に関していかがでしょうか。 ○事務局 その御指摘を踏まえまして、理解できるように添付文書の書き方などを見直す よう企業に指導したいと思います。 ○土屋委員 もう1件あります。恐らくアメリカとかイギリスの添付文書は、食べ物と一 緒でも一緒でなくてもいいようなことを書いていますが、私はむしろ食べ物と一緒にする と噛んでしまうのではないかと思います。用法・用量には「カプセルは噛んだり開けたり せずに、そのまま飲み込むこと」と言うしかないのかなとは思うのですが、通常はコップ 1杯の水でとか何とかいろいろと言っているわけですし、そのまま飲み込めと言われると そのまま飲み込まなくてはいけないと思う人もいるといけないので、このような書き方は 普段余りないものですから、その辺は少し配慮したらいいかなと思います。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、企業の方に見直すよう に指導したいと思います。 ○望月分科会長 ほかの点についてはいかがでしょうか。米国や欧州でも随分前から扱わ れて、特に問題は出ていないということです。特段の御異議がないようですので、議決に 入りたいと思います。笠貫委員におかれましては、寄付金等に関する申出に基づき、議決 への参加は御遠慮いただくことにいたします。後ろに用意してある席にお移りいただけま すでしょうか。  それでは部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、 再審査期間は8年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品 の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますがよろしいでし ょうか。  ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規定 第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣 に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては、私に御一任いた だいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそのようにさせていただき ます。  次の議題に入りたいと思います。議題2、資料No.2の「医薬品ラジレス錠150mgの生物 由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並 びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効 成分を含有する医薬品に係る事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基づ き、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっており ます。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思 います。医薬品第一部会長の松井委員から御説明をお願いいたします。 ○松井委員 資料No.2「ラジレス錠150mg(アリスキレンフマル酸塩)」について概要を説 明いたします。詳細については、後ほど事務局から説明いたします。レニン-アンジオテ ンシン系は血圧の調節において非常に重要な役割を担っております。そして、レニンがそ の起点となる酵素です。本剤の有効成分であるアリスキレンフマル酸塩はノバルティスフ ァーマ株式会社により開発された新規化合物であり、レニンを選択的に阻害し、アンジオ テンシノーゲンからアンジオテンシンIへの変換を抑制することにより、昇圧物質である アンジオテンシンIIの生成を阻害するという新規の作用機序を有します。本剤は高血圧症 の治療薬として平成21年3月現在、米国、欧州等76か国以上で承認されております。  本剤の通常用量は、国内第II相試験で示された血圧低下効果及び安全性を踏まえて定め られ、本態性高血圧症患者を対象とした国内第III相試験において、本薬とは別の機序でレ ニン-アンジオテンシン系を抑制する、既承認のアンジオテンシンII受容体遮断薬に劣ら ない本剤の血圧低下作用が示されております。本剤は既存の高血圧症の治療薬とは異なる 作用機序を有することから、治療の選択肢を増やす意味もあると考えられます。なお、ア リスキレンの曝露量は食事や併用薬の影響により大きく変動する可能性があり、個体内変 動も大きいため、このような性質を踏まえて有効性及び安全性の確保のために必要と考え られる曝露量の変動に関連する注意喚起を添付文書に記載しております。  本剤については、去る5月29日に開催された医薬品第一部会において審議し、薬物動 態学的特徴に起因する注意喚起及び情報提供について議論され、承認して差し支えないと の判断に至りました。以上、概要を説明いたしましたが、事務局から、より仔細な点につ いて説明をお願いいたします。 ○望月分科会長 事務局から補足等の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2に基づき、審査の概略について臨床試験の成績を中心に御説明いたし ます。本剤の薬物動態、有効性及び安全性を説明する資料として、国内外で実施された第 I相試験、第II相試験、第III相試験及び長期投与試験等の成績が提出されております。有 効性については、審査報告書46ページを御覧ください。国内第II相試験の成績ですが、 軽症から中等症の本態性高血圧症患者を対象とした国内第II相試験では、朝食前投与で本 薬75、150及び300mgの順に降圧作用が強くなっておりました。安全性の成績も踏まえて、 プラセボ及び既承認のアンジオテンシンII受容体遮断薬である「ロサルタン50mg」が対 象とされた48ページの国内第III相試験では、用法・用量としては、本剤150mgを1日1 回とされたところです。国内第III相試験の成績ですが、審査報告書49ページの表2を御 覧ください。主要評価項目とされた治療薬投与前を基準とした試験薬投与8週後のトラフ 時平均坐位拡張期血圧の変化量は、プラセボ群で-3.0±8.18mmHg、本剤群で-8.9± 9.43mmHg、対照薬群で-8.7±8.02mmHgであり、下にある表3に示すように、本薬150mg のプラセボに対する優越性及びロサルタン50mgに対する非劣性が示されました。  このほかに、55ページ以降ですが、腎機能障害を伴う高血圧症患者、重症高血圧症患 者、高齢の高血圧症患者を対象とした試験が実施されております。また、先に述べた国内 第II相試験の成績と、審査報告書54ページ1行目から記載がある国内長期投与試験にお ける300mg投与への到達患者数とその際の降圧効果等より、300mgまで増量することがで きる用法・用量とされました。  安全性に関しては、審査報告書50ページの表4を御覧ください。国内第III相試験にお ける本剤群での有害事象発現率は50.3%であり、プラセボ群の42.3%、対照薬群の46.5 %と大きく異なるものではなく、有害事象の発現状況も対照薬と大きく変わるものではあ りませんでした。また、国内第II相試験等の300mg投与時の有害事象の発現状況は、150mg 投与時と大きく変わるものではありませんでした。  41ページに本薬の薬物動態等について記載しておりますが、本薬においてはバイオア ベイラビリティが2〜3%と低く、個体間変動及び個体内変動が大きいことや、75ペー ジにあるように、本薬は食後投与に比べて空腹時投与でCmaxは約3.9倍、AUCは約2.2 倍に増大することが分かっております。さらに、P-糖たん白阻害剤との併用では、曝露 量が増大するといった特徴を有していることが明らかになっており、投与される状況によ っては、曝露量が増減することが懸念されております。これらを考慮し、薬物動態学的特 徴を踏まえた注意喚起を行うこととしております。  審査報告書65ページの下にある(3)「安全性について」に記載したような、本薬の薬 理作用に起因すると考えられる高カリウム血症や、本薬に特徴的な副作用と考えられる下 痢などの副作用の発現等についても注意喚起することとしており、適正に使用されれば承 認の可否に影響するような重大な懸念は認められないと判断したところです。  製造販売後の調査結果等については、審査報告書71ページの後半、(4)「製造販売後 の調査等について」を御覧ください。特定使用成績調査を実施し、長期の安全性及び有効 性を確認するとともに、特別な患者背景を有する場合の安全性及び有効性について問題点 の有無を検討する予定であり、有効性及び安全性に対する併用薬の影響や、食事と服用の タイミングの変更の影響についても調査する予定です。なお、この特定使用成績調査より、 市販後の臨床試験を含めたさらなる情報収集の必要性を検討する予定です。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤の高血圧症に対する有 用性が認められ、承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当と の判断となりました。なお、再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、 特定生物由来製品又は生物由来製品には該当しないとされました。  なお、本品目については木津委員より事前に質問を承っております。質問事項としては、 「添付文書の記載について、空腹時投与は、食後投与に比べてCmaxが約3.9倍、AUC が約2.2倍高くなるという使用上の注意と、薬物動態の食後投与のCmax及びAUCは空 腹時投与に比べ、それぞれ75%及び55%低下したという表現が分かりにくい。例えば空 腹時のパラメータ等に食後投与の値を入れるか、25%及び45%に低下したなど」との御 質問をいただいておりますが、この件については医薬品医療機器総合機構よりお答えいた します。 ○機構 御質問いただきました点について、医薬品医療機器総合機構より御回答いたしま す。まず、御指摘いただいた箇所はお手元の資料の1.8というタグです。添付文書を御覧 ください。添付文書の「ラジレス錠150mg」と書いてある1ページ目の左側の下の「用法 及び用量に関連する使用上の注意」のところに、Cmax、AUCが何倍になるという記載 があります。右側の「重要な基本的注意」の(3)についても同じ記載があり、これらを根 拠として、それぞれに注意喚起がなされております。  薬物動態の項ですが、添付文書の3ページ目の一番上にある(3)で、「健康成人男子に 本剤150mgを」と始まる所に、75%及び55%低下したという話があります。実は、これ は同じことを表現しているのですが、分かりにくいという御指摘をいただきました。まず、 この表記に至った経緯を御説明いたします。承認申請時に申請者が提出した添付文書案で は、食事の影響については薬物動態の項に紹介した75%、55%といった情報提供がなさ れていたのみでした。この記載自体については内容は正しく、最近承認された食事の影響 がある薬の情報提供と同様のフォーマットで記載されており、適切なものと判断いたしま した。  一方、先ほど御紹介にもあったように、この薬物の薬物動態の特徴というのがありまし て、それを踏まえた承認審査の過程の中で、「用法及び用量に関連する使用上の注意」及 び「重要な基本的な注意」にそれぞれ服用時期を規定すべきこと、及び服用時期を変える 際には症状の変化に注意すべきことを注意喚起することが適切と判断いたしました。専門 協議を経て、より注意すべき内容を適切に理解しやすいようにと考え、Cmaxが3.9倍、 AUCが2.2倍といった表現を採るように申請者に求めた次第です。  御指摘のとおり、これら二つの表現が同じ内容を示すことについては、分かりにくいの ではないかという議論が審査の過程でもありまして、いろいろ議論したのですが、事実と 異なるところはなく、他の薬剤と同様の記載形式であることもあって、あえて修正を求め ることはいたしませんでした。今回、先生の御指摘を踏まえて、改めて幾つか提示された 具体案も含めて検討させていただきました。確かに、分かりやすい情報提供という考え方 がいろいろあることは承知の上で、薬剤の基本情報の提供の場である薬物動態の項につい てはこのままでいかせていただきたいと考えております。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等があればお願いいたします。 ○土屋委員 同じく「用法及び用量に関連する使用上の注意」の書き方ですが、普通、本 剤の空腹時投与は3.9倍及び2.2倍高くなるためと書いたら、空腹時にはやるなというこ とを連想するものですが、後ろを見るとそうではなくて、空腹時でもどちらでもいい、た だ一定にしなさいということを言いたいわけですね。そうだとしたら、これは理由がダラ ダラと長く書いてあるので、この薬の用法及び用量に関する使用上の注意には「本剤服用 時期を患者ごとに空腹時又は食後のいずれかに規定し、可能な限り毎日同じ条件で服用す るよう指導すること」と言っていて、しかも「重要な基本的注意」にある(3)の「本剤服 用時期を変更する場合には、症状の変化に特に注意すること」とあるので、これはむしろ そこに書いて、3.9倍や2.2倍というのは理由ではなく、高いという事実があるというこ とを伝えたいわけで、それは分かりますから、むしろそのようにした方がいいのではない かという気がします。 ○機構 この数字を記載するに至った理由は、理由というか数字的な根拠という部分もあ りますが、今用法及び用量で記載されている150mg投与開始で300mgという、2倍の幅で 承認しようとしているわけです。その区間というか、倍数というか、2倍よりも大きいの だというのがこの情報提供の重要なところだと判断しましたので、一番近くの所に記載し たということです。 ○土屋委員 添付文書を読んで、150mgを投与しているが、300mg投与するよりももっと ひどくなることがあるのだぞと読み取れるということは、現実としてまずないと思うので す。やはり、注意すべきことは時期を一定にしろなどといったことであって、それはその あとに書いてもいいのですが、それにしても「高くなるため」という理由を書いて、この あれは分からないと思うのです。ですから、注意が必要だということを言うにしても、表 現的に妥当性があるのかということがちょっと疑問です。 ○望月分科会長 同じことが後の「重要な基本的注意」に書いてあるのだから、ここは入 れる必要はないだろうという御意見ですか。 ○土屋委員 入れても結構ですが、少なくとも冒頭で、何々のため何とかという言い方は やめた方がいいのではないかということです。先に注意である一定時期を守らせるように しなさいということをきちんと言って、しかも時期がばらついたときには症状の変化に注 意しなさいということは、やはり注意だと思いますので、そのようなことを言った上で、 それはなぜかと言うと、実はこういうことだからと言う方が注意としてのしやすさとして は分かりやすいかなということです。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。より患者に分かりやすい書き方ということでは。 ○新薬第二部長 医薬品医療機器総合機構から説明いたします。土屋先生の御指摘を踏ま えまして、より適切な情報提供という立場から検討し、Cmax等の数字は後ろの方が分か りやすいということもありますので、文案はもう少し検討させていただき、御相談させて いただければと思います。 ○望月分科会長 よろしくお願いいたします。 ○神山委員 今のことに関連してですが、空腹時と食後でそれだけ違って、どのような患 者には空腹時で、どのような人には食後ということが、投与する医師はこの全体の文章を 見て分かるものなのでしょうか。 ○機構 最初に、どのように投与したらいいかということは、こう言っては何ですが、い ずれの降圧薬についても分からないところで、まずは投与してみるということだと思いま す。降圧薬というものは、投与された患者の血圧を見ながら用法・用量を調節していくも のですが、問題点は、その途中で、例えば食事を変えてしまったりということがあると、 その患者における適切な用法・用量が設定していけなくなるので、それは避けてください という注意はしています。新たな患者での使い方としては通常の降圧薬と同じと考えてお ります。 ○笠貫委員 血中濃度がこの薬にとって最も重要になるのは、高カリウム血症だと思うの です。この薬が副作用で致死的になり得るとしたら、高カリウム血症による心停止の問題 になるわけです。しかも、高カリウム血症は高齢者、腎機能低下や、糖尿病の人たちに起 こりやすいということははっきりしています。そうすると空腹時にAUCが2.2倍になる のは重要な問題になります。私はこの薬は原則的には食後だと思います。空腹時には飲ま ないこととしないで、どちらかにしなさいというのはリスクが高いと思います。高カリウ ム血症が起こらないようにするには、ほかの薬もほとんど食後になっていますから、これ も食後にして。特にこの薬は空腹時には飲まないようにする。それは、高カリウム血症が 起こって致死的になり得るからです。特に高齢者の場合はコンプライアンスの問題があ り、食後と食間の空腹時と間違えてしまうこともありえます。  そのような意味では、用法・用量の注意が必要です。この薬の特徴としては飲み方を間 違わないためには、分かりやすい添付文書の書き方の方が大事だと思います。 ○望月分科会長 ただ今の御意見にお答えいただけますか。 ○機構 分かりやすいという点については、正しく先生がおっしゃるとおりです。この用 法・用量に至った経緯というのは、この薬は国内第II相試験が食前投与で行われており、 150mg1日1回という用法・用量の決定については、食前投与の試験結果によって選ばれ ております。一方第III相試験については食事の規定をせず、朝食近辺ですが、いつでも飲 んでいいとなっており、例えば食後に飲みなさいとか、食前に飲みなさいといった規定が なされずに行われました。これについては海外III相試験と同じとしたという説明を受けて おります。そういった状況で非劣性などの検証がなされている中、食後投与と規定した用 法・用量を本当に付けることができるのかという問題もありまして、この点については専 門協議も含めていろいろ議論したところですが、そこを規定するのに根拠はないのではな いかという結論に至り、このようなものになったわけです。  そうは言っても、患者の安全を守るためには何を注意喚起しなくてはいけないかという ところで、この事実を記載し、申し訳ありませんが現場で注意していただくと。笠貫先生 が言われた高カリウム血症、高齢者、腎機能障害の患者については慎重投与のところで記 載しております。これについては血中濃度の上下ということは別にすると、恐らく既存の ARB、ACEIとさほど変わるものではないと考えておりますので、今そういった薬を 使っている先生方にとって注意していただくレベルとしてはそれほど変わらないのでは ないかと考えております。ですから、一番基本となるところは食事の規定を変えないとい うところではないかと考えております。 ○笠貫委員 第III相試験で食前・食後どちらでもいいとのことですが、安全性を見るため には、他の薬もほとんどが食後だから、食後の方がいいのではないかという話をしたので す。空腹時が2.2倍というpharmacokineticsの話がはっきりしているのだとしたら、150mg と300mgという用量の違いは、何を見ていることになりますか。海外のデータがそうだか らといって、日本のデータとして通るのかどうかというのがクエスチョンの一つです。も う一つ、pharmacokineticsの2.2倍というのは人種差があるのですか。欧米では空腹時 と食後とで差がないということで、欧米の試験では空腹時、食後を問わないでやったので あれば、日本の場合には2.2倍あるのに、空腹時でも食後でもいいという第III相試験その ものがどうですかというという疑問です。 ○機構 先ほどの海外のデータについては、海外のデータがそうだからという説明をした わけではなく、海外の試験をそのようにしたから日本でもそのようにしたというのが申請 者の説明だったということです。第II相試験終了後相談では、こういったデータであれば、 食事の影響試験をしっかりして、その結果をもって第III相試験の食事の規定をするように ということは申し上げたのです。確かに申請者には食事の影響試験をしていただいたので すが、その結果を見てこれは海外と同じ影響であるから、海外と同じ規定で第III相をした というのが説明でした。  我々は食事の影響をしっかり見て判断してくださいと言った後、次にデータを見たのは 第III相試験の終了後でしたので、この新規作用機序の薬を審査するに当たって新しい選択 肢になり得るという薬をどう出していこうかという考えも含めて、今回審査しました。繰 り返しになりますが、説明によると、PKは海外と国内でそれほど変わるものではないと のことです。今回の案については、国内の臨床試験成績を踏まえたものでしたが、食後投 与のほうが安全だろうということは想像できるにしても、それを用法・用量に書けるほど の根拠があるかと言われると、それはないのではないかというのが機構の判断です。 ○笠貫委員 私はこの議決には参加しませんが、基本的にはPKとは何か、用法・用量の 評価にPKをどういかしていくか、PKが空腹時と食後と2.2倍というはっきりしたデー タがあったときに、それで通るのかというのが私の疑問です。PKが欧米と違う、違わな いと、欧米でそうだから日本でいいかという、PKを臨床の用法・用量に使うときのPK の位置付けとして、それでいいのかという疑問はまだ払拭はできません。コンプライアン スというのは患者にとっては大変難しいことなのです。指示どおりきちんと飲むというこ とがいかに難しいかというのは患者の立場になると理解できるので、それを一定にしなさ いという指示よりも、普通の薬は食後に飲むことに慣れています。この薬の場合はバイオ アベイラビリティが非常に低いので、空腹時というように最初もってきたと思うのです が、それが空腹時でも食後でも同じというなら、原則は食後にしておかないと、コンプラ イアンスとしては低下し、患者は面倒だと適当に飲んでしまいます。  高カリウム血症を起こしやすい高齢者や、腎機能低下でもeGFRが60以下というの はクレアチニンとしてほとんど動かないぐらいの軽度の低下ですから、そこでも影響があ るとなると、2.2倍というのはかなり血中濃度に効いて、高カリウム血症が起こらないか という懸念は残るわけです。通常、食前に飲みなさいというと、例えば貧血の薬ぐらいで すし、どちらかにしなさいということは通常しないので、この書き方としては原則は食後 とする。空腹時に飲むと2.2倍だということをドクターが知っていて、意識的に食前に使 おうというのも一つの考え方ですが、食後とするのがより安全かなという感じはします。 私の意見です。 ○黒木委員 結論的には同じですが、お話を伺ってこの添付文書を読む限りは、まずは食 後に150mg1回経口投与し、それでも効果が不十分な場合は300mgまで増量することがで きる、それでも効果がないような場合は、空腹時投与も考えていくと。そこも150mgから 始めて300mgまでといった考え方なのではないかと感じました。  笠貫先生がおっしゃるように本当にコンプライアンスの問題を考えますと、食後がいい のではないかと思いますし、あとはその方の既往症によって、かなり差が出てくると思い ますので、それからあとは医師の判断に任せるというのがよろしいのではないかと思いま した。いかがでしょうか。 ○審査管理課長 御意見ありがとうございました。先ほどから事務局から御説明しており ますのは、比較試験を中心とするエビデンスの問題としてということで、御説明していま すが、一方では、アメリカでは食事の前後というのは規定されていないようですが、ヨー ロッパでは軽い食事の後というのが規定されていることもあり、さらにはこれらのデー タ、専門協議の中でも一部の委員からは食後という御意見も出ていることも踏まえると、 用法・用量の中に規定するのはエビデンスの関係で辛いのかと思いますが、使用上の注意 の中で、先生方が御指摘のような食後というニュアンスをどの程度出せるのかを持ち帰ら せていただいて、企業とも相談し、対応させていただきたいと考えています。よろしくお 願いします。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。 ○木津委員 最初に質問させていただいたのも、この使用上の注意を読んで、果たしてパ ラメーターはどのくらい違うのかなと思って、後ろの薬物動態の項を見たのです。  そうすると、本剤を単回経口投与したときの空腹時のパラメーターが載っています。食 後投与はどうなのだろうとか、一生懸命計算をしないと分からないという形で、パラメー ターも空腹時と食後の両方を載せていただけると、例えば詳しくいろいろなことを患者に お話するとき、図を見せたりすることもありますので、これだけ違う薬だったら両方のパ ラメーターを載せていただいて。確かにこのような表現が多いということは理解できるの ですが、ほかがそうだからこれもそうでいいということではなくて、注意を喚起する意味 でも、もし可能でしたら、空腹時と食後のパラメーターを両方載せていただけると、実際 にどうなのだろうというところで、参考になると思いますので、御検討いただけると有り 難いと思います。 ○機構 ありがとうございます。その点につきまして申請者と相談させていただきます。 ちなみにこのパラメーターは単回投与の結果でして、今議論になっているのは反復投与の 結果ですので、載せるとしたら別の表を作って、反復投与の結果を載せさせていただくこ とになります。  あと誤解のないようにですが、先ほど笠貫先生から御指摘いただいたPKが同じだから いいということは、我々は決して思っていません。今回の審査の中でもそれは考えており ません。申請者側の判断で、用量を選ぶときに、そういったPK、PDの比較をしたとい うことですので、この点については補足させていただきます。 ○吉田委員 食後と空腹時の話です。黒木先生の言われた理解が、それを徹底させるとい うことで私はよろしいかと思います。  例えば食後に限定してしまうと、用量設定が全部食後で決められて、患者が間違えて空 腹時に飲むと必要以上に効いてしまうということがあって、かえって危ないのではないか という気がします。ですから、こういう薬であるということを徹底するということで、理 解を得る方に力を入れた方が、とんでもないことが起こらないような気がします。 ○飯島委員 今の話と観点がずれるのですが、高カリウム血症の問題が大分書かれていま す。中身を見ますと、もともとベースラインの高いものが起こしやすいとあります。そう すると、添付文書でも、高カリウム血症の患者は、「治療上やむを得ないと判断される場 合を除き、投与は避ける」と。これは具体的にどの程度のものを指しているのか、一般の、 使う医師が具体的に分かるようなことを示すデータはないのでしょうか。あるいは使用中 に、定期的にカリウム値を測れということを注意事項に書く必要はないのでしょうか。 ○機構 今手持ちのデータの中に詳しいものがないのですが、この記載というのは、先ほ ど言いましたACEIやARBの記載といったものを踏襲する形になっています。実際 に、幾つであれば大丈夫という話も難しいかと思いますが、また検討させていただきます。 ○望月分科会長 今までの御意見ですと、先ほど指摘いただいたことを使用上の注意にき ちんと書くことと、薬物動態のパラメーターもきちんとしたものを書き直す。それを前提 とするとさせていただくということでよろしいでしょうか。ほかに御意義がなければ議決 に入りたいと思います。笠貫委員、土屋委員においては、寄付金等に関する申出に基づき まして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。  部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期 間を8年、原体、製剤ともに毒薬・劇薬に該当しないとすることが適当であると認める旨 を議決したいと思いますがよろしいでしょうか。  御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規定第3条第1項の規定に基 づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたし ます。答申案の文案その他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょう か。ありがとうございました。 ○赤堀委員 使用上の注意をどのように訂正されたのかを私たちに報告していただけま すか。特に黒木委員の御発言は非常に重要だと感じましたので、よろしくお願いします。 ○審査管理課長 文書にて送らせていただきます。 ○望月分科会長 これより報告事項に入ります。御担当の部会ごとに区切って報告をいた だきます。まず副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会の 関係の議題3から説明をお願いします。 ○事務局 資料No.3を御覧ください。平成21年3月〜平成21年5月に開催された判定第 一部会及び判定第二部会の結果について御報告します。資料は、まず3回分をまとめたも のをお示しし、その後ろに各部会の判定結果をお示ししています。  資料の1ページ「判定結果(まとめ)」に沿って御報告します。副作用被害判定について は、新規180件、継続17件、現況は28件、改定1件の計226件について御審議いただき ました。結果は、「支給決定することが適当と考えられるもの」が203件で、その内訳は、 「請求どおり支給決定するもの」が99件等でした。また、「不支給決定することが適当 と考えられるもの」は19件あり、その内訳は、「医薬品の使用が適正であったと認めら れないため」が5件等でした。  感染被害判定については、4事例について御審議いただきました。結果は、「支給決定 することが適当と考えられるもの」が4件でした。副作用・感染等被害判定第一部会及び 第二部会の結果の報告は以上です。 ○望月分科会長 御意見、御質問等はございますか。 ○神山委員 5ページの18にボルタレン錠というのが書いてありますが、最近はこうい う処方薬ではなくて、一般薬でボルタレンを売っていて、テレビでコマーシャルもやって います。中身が違うのだとは思うのですが、テレビでコマーシャルをやっていて、こんな 副作用が出るような薬を売って大丈夫なのかという点が心配なのですが、どうなのでしょ うか。 ○審査管理課長 ボルタレンのOTC、一般用薬として認めましたのは、貼り薬として用 いられるもので、そういう観点から申し上げますと、ここで議論されているような内服中 心のものとは、体内での動態など、かなり違うのだと考えています。 ○望月分科会長 現段階では認められていないということですね。ほかにございますか。 それでは、本件について御確認いただいたものとします。  続いて、医薬品第一、第二部会の議題4〜7について説明をお願いします。 ○事務局 議題4です。資料4-1及び資料4-2を御覧ください。本剤はルミガン点眼液 0.03%、一般名はビマトプロストです。申請者は千寿製薬株式会社で、緑内障、高眼圧症 を効能・効果とする点眼薬です。本品目については、本年5月29日に開催された医薬品 第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の御結論をいただいたもので す。  議題の5番です。医薬品レメロン錠他です。資料No.5-1、資料No.5-2を御覧ください。 本品目は一般名はミルタザピンです。シェリング・プラウ株式会社及び明治製菓株式会社 から申請されたものです。本剤は、うつ病・うつ状態を効能・効果とする医薬品で、本年 5月29日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない 旨の御結論をいただいたところです。  議題6の「生物学的製剤基準の一部改正等について」です。資料No.6を御覧ください。 1ページおめくりいただくと改正案の概要があります。今回の改正については、生物学的 製剤基準に定められている沈降新型インフルエンザワクチンH5N1株の基準について、 その名称を「沈降新型インフルエンザワクチンH5N1株」から、「新型」を取りまして、 「沈降インフルエンザワクチンH5N1株」に変更するものです。内容に関しては変更は ありません。  この理由は2にお示ししています。この沈降インフルエンザワクチンH5N1株につい ては、2年前の平成19年10月に、新型インフルエンザの予防を効能・効果として承認し たものです。こちらについては、従来から新型インフルエンザ対策の観点から開発等が進 められてきたものです。  本品目については、プレパンデミックワクチンとして製造・備蓄され、新型インフルエ ンザが発生した際に用いられるというものでしたが、この製剤については、現在臨床研究 用として供給が行われている実態があることを考慮して、まだH5N1株が新型インフル エンザになっていない段階において、必ずしも基準名としては適切ではないのではないか ということから、今回基準名より「新型」を削除するという改正を行うものです。  補足ですが、インフルエンザA(H5N1)が、本年4月28日付けで、感染症法第6条 第7号に規定する新型インフルエンザ等感染症として位置付けられたところです。  そのほかですが、今回の生物学的製剤基準の改正に伴って、現在2社で承認されている 品目についても、販売名を変更する等の措置を講じることとしています。  議題7です。資料No.7を御覧ください。1ページおめくりいただいて、希少疾病用医薬 品として指定した品目の概要をお示ししています。  1品目の「レボドパ・カルビドパ十二指腸投与用製剤」については、既にレボドパ・カ ルビドパについては承認された医薬品があるわけですが、本品目は十二指腸に直接投与す る特殊な投与経路を有する医薬品で、この効能・効果である経口薬物療法で十分な効果が 得られない重度の運動合併症を有するパーキンソン病患者等については、現在は治療の手 立てがないということですので、そういった観点から希少疾病用医薬品に指定するという ことで、本年5月12日付けで指定を行ったところです。  2品目の「カルムスチン脳内留置用製剤」です。こちらは悪性神経膠腫の術後、腫瘍部 位に抗悪性腫瘍剤であるカルムスチンの局所徐放製剤である本剤を留置して、局所に効か せるという医薬品で、既存のものにはこういった用い方をする医薬品がないということか らも有用性を考えまして、希少疾病用医薬品として指定したものです。  医薬品第一部会、第二部会の報告品目については以上ですが、文書報告とさせていただ いているカデュエット配合錠1番等について、土屋委員よりあらかじめ御質問をいただい ていますのでお答え申し上げます。文書報告とさせていただいているカデュエット配合錠 について、土屋委員より、「アトルバスタチンの配合量が5mgであるカデュエット配合 錠1番及び3番については、配合剤としての意味合いはないと思われる。必要性の低い量 での組合せを含めた配合剤の出現は、現場においてエラーの要因ともなりかねず、すべて の配合剤の存在に疑問を感じざるを得ない。医薬品の承認申請に際しては、医療用配合剤 として認められる事由についての通知は認識しているが、厚生労働省の配合剤の承認につ いての基本的な姿勢を確認したい」との御質問です。  これについては、まず医療用配合剤として認められる事由については、平成17年3月 31日付けの課長通知において、[1]輸液等用事調製が困難なもの、[2]副作用(毒性)の軽減 又は相乗効果があるもの、[3]患者の利便性の向上に明らかに資するもの。[4]その他配合意 義に科学的合理性が認められるもの、これらの四つのいずれかに該当するものを認めると しています。  本カデュエットについては、アムロジピンベシル酸塩及びアトルバスタチンカルシウム 水和物の配合剤ですが、そのうちアトルバスタチンの配合量については、現在単剤の承認 用量が「1日1回10mg、症状に応じて適宜増減とする」となっております。したがいま して、5mgについても、臨床現場に用いられる用量となっています。  そして、本配合剤については、併用からの切替えのみならず、1成分を既に服用してい る患者が、もう1成分を追加服用する場合にも対応可能となるような用量を設定している ことから、アトルバスタチン5mgを含有する配合量の製剤についても、一定の使用性が あるものと判断しています。  そして、御指摘の配合剤として認められる事由についてです。課長通知で示している四 点目で、カデュエット配合錠では、その他配合意義に科学的合理性が認められるものに関 して、海外で行われた大規模臨床試験であるASCOT-2×2試験によって、このアムロジ ピンベシル酸塩及びアトルバスタチンカルシウム水和物を配合することに対して、一定の 科学的合理性が認められていると判断しております。本件については、本年4月及び5月 の2回、医薬品第一部会において御審議いただいておりまして、厚生労働省としては今後 も単なる組合せを認めていくという考えではなく、科学的な合理性に基づき判断していき たいと考えています。  なお、本配合錠におけるそれぞれの成分の含有量については、適切な情報提供により、 医療現場で混乱が起きないよう申請者を指導していきたいと考えています。報告は以上で す。 ○望月分科会長 医薬品第一部会長の松井委員から追加はございますか。 ○松井委員 この問題については第一部会でも慎重に議論しました。今の説明以上には特 にございません。 ○望月分科会長 医薬品第二部会長の吉田委員からは、追加の御発言はございますか。 ○吉田委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問をいただきます。いかがでしょうか。 ○土屋委員 今はわざとお読みにならなかったのでしょうけれども、常用量を10mgだと 設定しておいて、効果不十分のときには20mgあるいは40mgと増やすときには、また結局 リピトールの10mgを別に用意しなくてはいけなくなるわけですよね。常用量同士の組合 せというのがあるのはよく分かるのですが、今、市販が5mgがあるからといって、常用 量とかそういうものは全然変わらずに、5mgとの組合せで4種類の組合せを作ることが 本当に必要なのかということについて、疑問はあります。もうしょうがないのかなとは思 いますが、配合剤を考えるときには、我が国の実態の使用頻度であるとか、そのようなこ ともデータとして吟味した上で、それが配合意義に科学的合理性が認められるものという ことなのだと思うので、そこら辺のことを御配慮いただきたいということです。 ○望月分科会長 今後の問題点の御指摘ということですね。 ○事務局 御指摘を踏まえ対応させていただきます。ありがとうございました。 ○望月分科会長 ほかになければ、本件について御確認いただいたものとします。  続いて、議題8の日本薬局方部会の関係の説明をお願いします。 ○事務局 資料No.8改「第十五改正日本薬局方第二追補について」御報告します。  本件については、平成21年4月21日開催の日本薬局方部会において御審議いただいた ものです。日本薬局方は薬事法第41条の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適正化 を図るために作成されている規格基準で、5年ごとに全面的な改正を行っています。その 5年の間に2回、追補として一部改正を行っており、今回の一部改正は第二追補と称して いるところです。  改正の概要は、生薬総則において品目の追加と削除、一般試験法においては新たに一試 験法を追加、収載し、旧試験法を改正、医薬品各条においては、新たに106品目を収載、 1品目を削除、122品目の改正を行ったものです。日本薬局方部会において御審議いただ いた結果、日本薬局方の一部を改正することについて御了承をいただいています。現在そ の部会の結果を踏まえ、改正手続を行っているところです。  以上、日本薬局方の一部改正である第十五改正日本薬局方第二追補について、御報告し ました。 ○望月分科会長 日本薬局方部会長の早川委員から、追加の御発言はございますか。 ○早川委員 特にありません。 ○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございますか。よろしいですか。そ れでは、本件について御確認いただいたものとします。  続いて、議題9の生物由来技術部会の関係の説明をお願いします。 ○事務局 資料No.9「細胞・組織加工医療機器の治験前の品質及び安全性の確認について」 です。御存じのとおり、ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器については、 指針を参考として、治験前に品質及び安全性などの確認を、厚生労働大臣に求めなければ ならないとされています。  今回確認の申請があったのは、(1)「他家培養角膜上皮細胞シート」です。品目の概要 は(5)で、角膜輪部の組織から採取した細胞ですが、上皮幹細胞です。ヒト羊膜より分離 した基質羊膜の上に播種し、培養して、フィーダー細胞とともに培養して、製造される細 胞シートです。フィーダー細胞とは直接触れ合うことはありませんが、一緒の部分で培養 するものです。  こちらは、6月にアルブラスト株式会社から確認申請が出てきているものです。予想さ れる適応としては、(4)の角膜上皮幹細胞疲弊症患者で、スティーブンス・ジョンソン症 候群、眼類天疱瘡、熱・化学腐食などです。  6月5日開催の生物由来技術部会において御審議いただき、品質及び安全性の確認をい ただいたところです。この品目は今後治験が行われるというもので、今回の確認をもって 直ちに製造販売というものではありません。以上です。 ○望月分科会長 生物由来技術部会長の早川委員から、追加の御発言はございますか。 ○早川委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の先生方から御意見はございますか。よろしいですか。それでは、 本件について御確認いただいたものとします。  続いて、化粧品・医薬部外品部会の関係の議題10〜12について、説明をお願いします。 ○事務局 医薬部外品の製造販売承認の可否について御報告します。  議題10、資料No.10の「クリームTX」についてです。新規有効成分であるトラネキサ ム酸セチル塩酸塩□%を配合した薬用化粧品です。本件については、平成21年5月28日 開催の化粧品・医薬部外品部会において御審議いただき、承認して差し支えないものとさ れ、薬事分科会に報告するとされたものです。承認後、2年間の安全性に関する市販後調 査を実施することが条件となっています。  議題11、資料No.11改「ミサイルジェルD」です。新有効成分であるジノテフランを配 合するゴキブリベイト剤です。本件についても、同じく平成21年5月28日開催の化粧品 ・医薬部外品部会において御審議いただき、承認して差し支えないものとされ、薬事分科 会に報告するとされたものです。  なお本件について、神山委員から事前に三点ほど御質問をいただいております。一点目 は「薬剤1個何g入りなのか」、二点目は「プラスチック容器は何個付いているのか」、 三点目は「薬剤と容器を一緒に保管できるようになっているのか」です。  まず一点目については、シリンジ1本当たり薬剤は30g入っています。二点目につい ては、シリンジ1本当たりプラスチック容器20個を添付しています。三点目の薬剤と容 器を一緒に保管できるようになっているかについては、薬剤を充填したシリンジ4本、ピ ストン1本、プラスチック容器80個を一緒に保管できるようになっています。以上、医 薬部外品2品目の製造承認品目について御報告しました。  続いて、議題12、資料No.12の化粧品基準の一部改正について御報告します。本件につ いても、同じく平成21年5月28日開催の化粧品・医薬部外品部会において御審議いただ きました。  化粧品については、薬事法第42条第2項の規定に基づき、化粧品基準を定めており、 その基準において配合禁止成分や配合の制限成分を規定しています。  今般資料No.12に示しているとおり、化粧品の種類により、配合の制限のある成分の新 規収載成分として、タイソウエキスを化粧品基準の別表第2の3化粧品の種類により配合 の制限のある成分として追加するものです。化粧品・医薬部外品部会において御審議いた だいた結果、化粧品基準の一部を改正することについて御了承をいただいています。現在 部会の結果を踏まえ、改正手続を行っています。以上、化粧品基準の一部改正について、 御報告させていただきました。 ○望月分科会長 化粧品・医薬部外品部会長の溝口委員から、追加の御発言はございます か。 ○溝口委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の先生方から、御意見、御質問はございますか。 ○神山委員 事前にも質問させていただいたのですが、ゴキブリ用のミサイルジェルDで すが、主成分は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ネオニコチノイ ド系の殺虫剤です。□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□、□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□ □□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□、□□□ □全部の箱の中に入れてしまえるとか、そうでなければ初めから容器の中に入れた形で売 るとか。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□、□□□□ □□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□。事故が絶対に起きないようにと いう対策は本当に必要だと思います。 ○事務局 部会においても、本剤について、一般消費者が誤飲することも考えられるので ということで、十分な安全対策をという御意見をいただいています。それについてメーカ ーに対して、取扱説明書にもきちんと書くように、あるいは製品にもゴキブリベイト剤で ある旨の表示をするなど、指示をしているところです。  また、この製品についてですが、人の誤食時の安全性に対しても、部会の中で評価いた だいております。人が誤食した場合の安全性について、本剤の有効成分であるジノテフラ ンの単回投与と毒性試験の結果も踏まえ、部会では本剤が誤食された場合でも重篤な健康 被害は発生しないものということで、御確認いただいているところです。 ○神山委員 先ほど御説明いただいたときは、主として業務用として売るのだということ でしたから、とにかく業務用に限定していただきたいと思います。□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□。 ○黒木委員 私どもも子供の誤飲事故などをよく受けていますが、ゴキブリ駆除剤につい ては、低い場所に置くという商品のコンセプトから、誤食事故は起こっていくと思います。 私もシリンジにどのくらい入っているのかは気になっていて、御質問させていただこうか と思っていましたが、30gほど入っていて、それが本当にきちんと保管されていない状態 というのは、とても危険だと考えています。メーカーにはきちんと対策をしていただくと いうことと、ネオニコチノイドに関してはニコチン様作用の毒性を持つということで、農 薬の分野では中毒センターでも、気を付けているものになっています。ですから、是非家 庭の注意喚起を、メーカーともどもよくしていただければと思います。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。「一般用にも」と書かれていますが、業者に確 認してみますと、業者専用に販売するものという認識のものです。 ○望月分科会長 一般家庭用ではないということですか。 ○事務局 はい。 ○機構 御質問に対して補足させていただきます。医薬部外品というカテゴリーになって いるので、販売規制自体はないとなっていますが、申請者が想定しているのは害虫駆除業 者だけに使用させると考えているということですので、一般に小売店で売られることは基 本的にはないというものです。 ○赤堀委員 単純な質問ですが、一度認可されて、業務用で売ると。それをメーカーで一 般用に売ろうというときには、もう一度どこかの審査にかかるのですか、それともそれは メーカーで勝手にできるのですか。 ○審査管理課長 これは先ほど御説明しましたように、シリンジは30g入っていて、1 個当たり0.3gですから、そういう意味では100個分入っています。そういう意味から申 し上げても、一般の家庭でこれが使われるというのは、ほとんど考えられないのではない かと思います。申請企業も、いわゆる防除業者向けに売るということを言っているようで すから、それをきちんと文書で取って、それを担保にしたいと考えています。 ○溝口委員 部会でも当然今の件は問題になりました。今100個分という話がありました が、ものすごく大量に飲まないと、人体には影響がないというお答えをいただいたので通 りました。  私は、「すぐ吐き出させ、医師に告げて診察を受けてください」と書いてありますが、 これを飲んでしまったと告げたら、胃洗浄をやられてしまうのではないかと思って、そち らを心配しました。いずれにせよ十分安全の方がいいですから、家庭で使わない方がいい のであれば、それは明記した方がいいと思いますが、通った理由は、考えられないほど大 量に摂取しないと、人体には影響がないという説明があったからだと記憶しています。 ○松井委員 小児科の医者として申し上げます。毒性試験をしていると思うのですが、動 物に対して毒性試験をして、今おっしゃられたように、子供にとって考えられないような 体重当たりの量を摂取しないと、毒性が発揮されないという結果だったのでしょうか。 ○機構 その点については、安全性試験の評価から推定していて、子供の場合ですと、こ の製品を□kgぐらい摂取した場合でも、人体に対する影響はそれほどないということで す。大人の場合ですと、□kg摂取した場合でないと、人体に対する影響はないだろうと いう推定がされています。 ○望月分科会長 よろしいですか。先ほど御指摘のあった点に基づいて、業務用の防除業 者が使うものと明記していただくということで、御確認いただいたこととします。  続いて議題13の医薬品等安全対策部会の関係について説明をお願いします。 ○事務局 議題13の「一般用医薬品の区分について」御報告します。資料No.13「第一類 医薬品及び第二類医薬品の指定について」を御覧ください。資料として、本年6月4日に 薬事・食品衛生審議会長よりいただいた答申の写しと、平成19年3月30日に第一類医薬 品及び第二類医薬品の指定を行ったときの官報の写しを添付しています。  一般用医薬品の販売に関しては、本年6月1日より、リスクの程度に応じて専門家が関 与し、適切な情報提供等がなされる新しい販売体制が開始されているところです。また、 一般用医薬品のリスク区分については、リスクの程度に応じた情報提供を行うため、リス クに応じて第一類医薬品から第三類医薬品の三つのグループに区分し、お手元の官報にあ るとおり、平成19年3月30日に告示を行っているところです。  この区分について、今般、一般用漢方製剤承認基準が新たに制定されたため、それに合 わせた変更について、昨年11月27日に安全対策部会において御審議いただき、その後パ ブリックコメントを行い、その結果を基に本年5月8日の安全対策部会で御審議いただ き、資料にあるとおり答申をいただいています。現在、本答申を踏まえ、漢方処方の追加 等について、告示の改正手続を進めているところです。報告は以上です。 ○望月分科会長 医薬品等安全対策部会長の松本委員から、追加の御発言等はございます か。 ○松本委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の先生方から、御意見、御質問等はございますか。よろしいですか。 それでは本件についても御確認いただいたものとします。  本日の議題はすべて終了しましたが、ほかに何かございますか。 ○事務局 前回3月の薬事分科会に関して、土屋委員より事前にいただいたクラビット細 粒10%の新旧製剤切替えに関する御質問について、事務局より御説明、御報告申し上げ ます。  申請者より、承認取得後は、新細粒クラビット細粒10%採用予定の医療機関に対して、 資材を用いた情報提供を行うとともに、納入された時点で既承認品の返品対応を行うとの 回答を得ております。以上です。 ○土屋委員 企業は必ずしもそのような行動を取っていないようですので、その辺はきち んとしないといけません。企業が配っている紙には、「保険請求上混乱をするので問題だ」 と書いているのです。私は医療安全上の話のことを言っているのに、保険請求上、従来の ものを1回で請求したらそれは保険請求できないと。そのような混乱が予想されるから、 早期に切り替えろという文書を出しているのです。切り替えたところについては、返品に も応じるという対応になるのだと思っていますが、そうではなく、事前に危険を回避する と。実はこの製品本体には、旧製品でも10%は入っているのです。ということは、旧製 品にも新製品にも10%と書いてあって、こちらは1回だ、こちらは2回だというのを見 るというのは難しいのです。ですから、投与上の違いがあるのだから、その混乱をなくす ために、回収その他の返品などをきちんとやるべきではないかということを申し上げてい て、恐らくそういうことで回答なさっているようですけれども、今日から配っているもの にはそのような対応になっていないようですので、そこはもう1回確認をして、あくまで も保険請求上の話ではなくて、医療安全上の話であるということをきちんとお伝えいただ ければと思います。 ○事務局 承知いたしました。 ○望月分科会長 その点について再度確認していただくことにします。ほかに何かござい ますか。次の薬事分科会は9月を予定していますが、日程調整中ですので、後日御連絡を いたします。本日の薬事分科会はこれで閉会します。長い時間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)