09/06/10 第145回中央社会保険医療協議会総会議事録          第145回総会議事録 (1)日時  平成21年6月10日(水)10:00〜11:10 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員        小林剛委員 対馬忠明委員 小島茂委員(代 飯倉) 勝村久司委員       北村光一委員 高橋健二委員(代 清水) 伊藤文郎委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       大島伸一専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長       <事務局>       水田保険局長 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官       小野保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○医薬品の薬価収載について       ○薬価調査及び特定保険医療材料価格調査について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第145回中央社会保険医療協議会 総会を開催したいと思います。  まず、専門委員の選任について御報告をいたします。  渡辺自修専門委員が退任されまして、その後任として、松谷高顕専門委員が発令されて おります。なお、事務局より、今回発令された松谷専門委員から、「自らが公務員であり、 高い倫理を保って行動する旨の宣誓をいただいている」旨の報告を受けております。  また、前田委員の後任の公益委員につきまして、東京大学大学院教授の森田朗氏に就任 いただくことについて、国会の同意が得られました。現在、厚生労働省において任命手続 を進めているところであり、手続が終了次第、公益委員に御就任いただくこととなります。  次に、「委員の所属小委員会・部会について」を議題としたいと思います。  4月22日の総会で、松浦稔明委員の後任として、伊藤文郎委員が発令されたことを報 告させていただくとともに、松浦委員が所属しておられました4つの小委員会・部会に所 属いただく委員については、後日御相談をさせていただくということとさせていただいた わけでありますが、この点につきまして、伊藤委員に基本問題小委員会と保険医療材料専 門部会に、また、小林剛委員に調査実施小委員会と薬価専門部会に、それぞれ所属してい ただいてはどうかと考えております。  また、森田氏につきましては、前田委員の後任として、基本問題小委員会、薬価専門部 会、保険医療材料専門部会及び検証部会に所属していただきたいと考えております。  また、松谷専門委員につきましては、渡辺専門委員の後任として、薬価専門部会に所属 していただきたいと思います。  この小委員会・部会に属すべき委員につきましては、社会保険医療協議会法施行令等の 規則によりまして、中医協の承認を経て会長が指名することとされておりますので、ただ いま御説明申し上げましたとおり指名することとしてよろしいかどうか、皆様の御承認を いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  よろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、藤原専門委員が御欠 席であります。また、小島委員の代理で日本労働組合総合連合会生活福祉部長の飯倉裕之 さんが、高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっておられます。  なお、保険局長は公務のため遅れて出席される旨の連絡を、審議官は公務のため途中か ら退席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に移らせていただきます。  まず、「医薬品の薬価収載等」について、議題といたします。薬価算定組織の加藤委員 長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○加藤委員長  薬価算定組織の委員長の加藤でございます。私のほうから、今回検討いたしました新医 薬品の算定結果について報告いたします。  まず、資料の中医協、総−1をごらんください。  今回、報告いたします品目は資料1ページの一覧表にありますとおり、9成分19品目 であります。それでは、算定内容について説明をさせていただきます。  まず、クロザリル錠、資料の2ページをごらんください。クロザリル錠はクロザピンを 有効成分とし、治療抵抗性統合失調症を効能・効果とする内用薬であります。  資料3ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果な どが類似するフマル酸クエチアピンを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定 が妥当と判断いたしました。また、本剤の薬価算定に当たっては、有用性加算(II)を適 用することが妥当と判断し、その理由を資料に記載してございます。  本剤は、治療抵抗性統合失調症の治療の選択肢が限られている現状において、最終選択 薬として位置付けられるものであり、本剤による治療方法の改善が認められると判断しま した。ただし、無顆粒球症等の副作用のリスクがあることを考慮して、加算率はA=20 %を適用することが適当と判断といたしました。  したがいまして、資料2ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬である セロクエル100mg錠との1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=20%を適用し、 100mg1錠300.60円、規格間調整による225mg1錠85.30円となりま した。  それでは、次のストラテラカプセルについて、御説明をいたします。資料4ページをご らんください。ストラテラカプセルは、アトモキセチン塩酸塩を有効成分とし、小児期に おける注意欠陥、多動性障害を効能・効果とする内用薬であります。  資料5ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果な どが類似する塩酸メチルフェニデートを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算 定が妥当と判断しました。  また、本剤につきましては、有用性加算(II)及び小児加算を適用することが妥当と判 断し、その理由を資料に記載してございます。  本剤は、比較薬の塩酸メチルフェニデートでは禁忌されている過度の不安、緊張などの 併存障害を有する患児に対しても使用が可能であるというようなことから、有用性加算 (II)の適用が妥当と判断いたしましたが、国内での治験症例数がまだ少なく、市販後も 引き続き検討が必要とされていることを考慮して、加算率はA=10%を適用することが 適当と判断いたしました。  また、本剤は小児加算の適用が認められると判断いたしましたが、この小児期における 注意欠陥あるいは多動性障害は小児が中心の疾患であり、本剤投与患者数も相当数見込ま れることから、加算率はA=5%を適用することが妥当と判断しました。  したがいまして、資料4ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬である コンサータ錠との1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=10%及び小児加算A=5% を適用し、25mg1カプセル398.10円、規格間調整により、5mg1カプセル2 64.90円、10mg1カプセル315.70円となりました。  それでは、3番目のミコンビ配合錠について説明をさせていただきます。資料の6ペー ジをごらんください。ミコンビ配合錠は、テルミサルタン及びヒドロクロロチアジドを有 効成分とし、高血圧症を効能・効果とする内用薬であります。  資料の7ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、既存のテル ミサルタンとヒドロクロロチアジドの組み合わせを最類似薬とした類似薬効比較方式 (I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算につきましては、いずれの要件 にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料6ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬である ミカルディス錠40mg及びダイクロトライド錠25mgとの1日薬価合わせを行い、ミ コンビ配合錠APが1錠157.30円、規格間調整により、ミコンビ配合錠BPが1錠 234.40円となりました。  なお、規格間比について補足しますと、ミコンビ配合錠BPにおけるテルミサルタンの 含有量80mgは、ミカルディス錠の通常最大用量である40mgを超える用量に対応し ておりまして、かつ、類似薬のミカルディス錠40mgと同錠20mgの規格間比は0. 5850よりも大きくなっております。  よって、このミコンビ配合錠BPの算定に当たっては、薬価算定ルールに基づき、ミカ ルディス錠から計算される規格間比を用いるのではなく、上限の0.5850、すなわち 製剤の有効成分の含有量が2倍になった場合に薬価が1.5倍となるケースを用いて規格 間調整を行いました。  それでは、次のタイケルブ錠について御説明いたしますが、資料の8ページをごらんく ださい。タイケルブ錠は、ラパチニブトシル酸塩水和物を有効成分とし、HER2過剰発 現が確認された手術不能または再発乳がんを効能・効果とする内用薬であります。  資料9ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果な どが類似するドラスツズマブ、これは遺伝子組み換えでございますが、を最類似薬とした 類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。  また、本剤は既存の治療法では効果不十分な患者に対する新たな治療の選択肢となるこ とから、有用性加算(II)を適用することが妥当と判断しましたが、国内臨床試験におけ る症例数が限られており、製造販売後に心臓毒性等の副作用の発現状況について重点的な 調査が求められていることなどを考慮して、加算率はA=10%を適用することが適当と 判断しました。  したがいまして、資料8ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬である ハーセプチン注射用150との1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=10%を適用し、 250mg1錠959.10円となりますが、これは外国平均価格の4分の3を下回るこ とから、外国平均価格調整による引き上げの対象となりまして、調整後の最終的な算定薬 価は250mg1錠1,620.70円となりました。  次に、オラペネム小児用細粒について説明をさせていただきます。資料の10ページを ごらんください。オラペネム小児用細粒は、テビペネムピボキシルを有効成分とし、肺炎、 中耳炎、副鼻腔炎を効能・効果とする内用薬であります。  資料11ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果 などが類似するセフジトレンピボキシルを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による 算定が妥当と判断しました。また、本剤については有用性加算(II)及び小児加算を適用 することが妥当と判断し、その理由を資料に記載してございます。  本剤は、既存の経口薬では効果不十分で、注射剤による治療等が行われてきた症例に対 しても使用できる可能性があることから、有用性加算(II)の適用は妥当と判断しました が、臨床試験の結果からは既存薬の高用量と同等の効果と評価されていることを考慮し、 加算率はA=5%を適用することが適当と判断しました。  また、本剤は、小児に対して400例以上の国内臨床試験が行われており、小児加算の 適用は認められると判断しましたが、肺炎、副鼻腔炎領域における本剤の臨床上の位置付 けが明確でないこと、及び中耳炎の小児患者数が多く、臨床試験が比較的実施しやすい疾 患であることから、こういうものを踏まえて加算率はA=10%を適用することが妥当と 判断いたしました。  したがいまして、資料10ページに戻っていただきます。本剤の算定薬価は、最類似薬 であるメイアクトMS小児用細粒10%との1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=5 %及び小児加算A=10%を適用し、100mg1g580.90円となりました。  次に、クラビット錠について御報告を申し上げます。クラビット錠の250mgと同錠 の500mg、同細粒10%でございますが、資料の12ページをごらんください。  クラビット錠250mg、同錠500mg、同細粒10%は、レボフロキサシン水和物 を有効成分として、咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎などを効能・効果とする 内用薬であります。従来、レボフロキサシンの通常の用法・用量は1回100mgを1日 二、三回経口投与とされておりましたが、耐性菌の発現を抑制する観点から、今般1回5 00mgを1日1回経口投与とする新たな用法・用量の製剤として承認されたものであり ます。  資料の13ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効 成分の既収載品であるクラビット錠、クラビット細粒を最類似薬とした類似薬効比較方式 (I)による算定が妥当と判断しました。  また、本剤は公知の理論に基づき、耐性菌発現を抑制する用法・用量として開発された ものであり、耐性菌発現の抑制が客観的に示されていることから、有用性加算(II)を適 用することが妥当と判断しましたが、実際に耐性菌の発現抑制が示された菌種は肺炎球菌 に限られていることから、加算率はA=5%が適用じゃないかという判断をいたしました。  したがいまして、資料12ページに戻っていただき、新薬であるクラビット錠500m g及びクラビット細粒10%の算定薬価は、それぞれ最類似薬であるクラビット錠及びク ラビット細粒との1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=5%を適用し、500mg1 錠547.20円、100mg1g138.20円となり、さらにクラビット錠250m gについては、500mg錠からの規格間調整により、250mg1錠304.50円と なりました。  次に、リスパダールコンスタ筋注用について御説明をいたします。資料の14ページを ごらんください。リスパダールコンスタ筋注用は、リスペリドンを有効成分とし、統合失 調症を効能・効果とする注射薬であります。  資料15ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効成 分の内用薬であるリスパダール錠2mg、同OD錠2mgを最類似薬とした類似薬効比較 方式(I)による算定が妥当と判断しました。  また、本剤は製剤上の工夫により、2週間に1回の投与が可能となった注射剤であり、 服薬遵守状況が悪く、内用薬では効果が不十分な患者に対する有用な選択肢の1つになる ことから、有用性加算(II)の適用が妥当と判断しましたが、本剤の特性上、投与開始3 週間までは血中濃度の維持が不十分であり、その間は内用薬も必要であることを考慮し、 加算率はA=5%を適用することが適当と判断しました。  したがいまして、資料14ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬であ るリスパダール錠2mg、同OD錠2mgとの1日薬価合わせに有用性加算(II)、A= 5%を適用し、25mg1キット2万3,520円、規格間調整により、37.5mg1 キット3万997円、50mg1キット3万7,703円となりました。  それでは、アピドラ注について説明をさせていただきますが、資料の16ページをごら んください。アピドラ注はインスリングルリジン、これは遺伝子組み換えでございますが、 を有効成分とし、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果とする注射薬でありま す。  資料17ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、 薬理作用などが類似するインスリンリスプロ、これは遺伝子組み換えでありますが、を最 類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算 については、いずれの要件にも該当しないと判断いたしました。  したがいまして、資料12ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は最類似薬である ヒューマログ注カートとの1日薬価合わせにより、300単位1筒1,596円、規格間 調整により、100単位1mLバイアル380円となり、また、アピドラ注ソロスターに ついてはキット製品であることから、キット特徴部分の原材料費を加え、300単位1キ ット2,237円となりました。  最後に、アラミスト点鼻液について説明をさせていただきますが、18ページをごらん ください。アラミスト点鼻液は、フルチカゾンフランカルボン酸エステルを有効成分とし て、アレルギー性鼻炎を効能・効果とする外用薬であります。  資料の19ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効 果、薬理作用などが類似するモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を最類似薬とし た類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断いたしました。また、補正加算につい ては、いずれの要件も該当しないと判断しました。  したがいまして、資料18ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬で あるナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用との1日薬価合わせに、キット特徴部分の原 材料費を加え、3mg6g1キット2,032.70円となりました。  以上で報告を終わります。 ○遠藤会長  加藤委員長、ありがとうございました。  それでは、もし事務局から補足が必要であれば、事務局にお願いしたいと思いますが、 特にありませんか。  それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。  それでは、小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  配合剤については、患者の利便性の向上に明らかに資するということが承認の条件とな っているというように伺っておりますけれども、今回のミコンビ配合錠、これは単剤での テルミサルタン、それからヒドロクロロチアジド、これを服用する場合に比べてどういっ た点が明らかに患者の利便の向上に資するのかということをお伺いしたいと思います。 ○遠藤会長  これは事務局でしょうか、それとも加藤委員長。  それでは、薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。今のミコンビについての患者の利便ということでございます が、この薬の場合については、類似の薬、これまでこの中医協で3剤御報告をさせていた だいて、これで4剤目でございますけれども、この薬、いわゆるARBという薬剤と、そ れから利尿剤であるヒドロクロロチアジドの配合については、特にこの配合意義といたし ましては、この利尿薬で懸念されます副作用をこのテルミサルタンで軽減をすると。その 上で、2剤合わさってより高い降圧効果が期待できるということが一番のメリットとして、 この配合剤として承認をされたというふうに理解をしております。 ○遠藤会長  小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  配合剤につきましては、ジェネリックを阻害するという指摘もあり、また、降血圧剤と、 それから利尿剤の組み合わせというのも、今お話がありましたように今回で4剤目という ことでもありまして、今後、中医協としても十分その動向というのを注視していったほう がいいのではないかと思っております。  それから、また別途、薬価の取り扱い、これも含めて一度この問題についてはきちんと 議論していくべきではないかと考えています。 ○遠藤会長  後段は御意見ということでありますが、薬価につきましては、従前より配合剤の薬価算 定ルールについては検討するべきではないかという御意見が多々出ておりますので、これ は薬価専門部会において検討していくことになると思っております。  それともう一点、今の話で関連いたしますけれども、今回出されております書式の中で、 まさに小林委員がおっしゃられたように、この配合剤をつくったことによる患者の便益と いいましょうか、そこのところがどこかに明記されておりますか。  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  それは、この現在のこの書式の中ではちょっと読み取れないと思います。 ○遠藤会長  ですので、配合剤については、さまざまな意見もありますので、なぜ配合剤がつくられ たのかというところ、そこのところもよく分かるような、そういう表記を入れていただき たいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  了解いたしました。 ○遠藤会長  ほかに。  順番からいくと、渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  12ページのタリビットでちょっと御質問したいのですが、これは歯科でも適用があっ て、私たちも使っておるんですけれども、先ほど御説明ありましたように、従来は100 mgを3回という形、これが一挙に5倍の用量を使うということが現場として何か戸惑い を感じるのですが、その点の安全性とか、あるいは、よくあるこの徐放性的な体内への吸 収なのかとか、そういったところをちょっとお伺いしたいなということと。  それから、ここで従来の100mg錠が次第に生産がとまっていって、なくなっていく のかどうか。それに伴って、今ある100ミリ錠をこれに類したような使い方が可能なの かどうか、その3点をお願いしたいと思います。 ○遠藤会長  それでは、事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  3つの質問をいただいたところです。まず最初が、1回に500mgも飲んで大丈夫な のかということでございます。  当然これは、承認審査の段階でも一番それが大きな問題でございまして、この薬剤、い わゆる耐性菌を発現するという意味では、このように血中濃度を一気に上げて、MPCと いいますが、その耐性菌の出ない濃度まで上げていくことがいいということが公式的に非 常に知られているわけですが、それが結果的にいろいろな副作用の発現につながらないか と、これが一番の問題になるわけですが、本剤の場合については日本と中国で合わせて1, 500例の、この500ミリ投与の試験を実際にやっておりまして、有効性についても安 全性についても遜色はないという結果を受けまして、承認に至っているものでございます ので、基本的には臨床試験の結果からはそのようなことはうかがえないということでござ います。  ただ、やはり非常に多くの方に使われているお薬でございますので、やはり一応メーカ ーのほうは、基本的には耐性菌の問題ですから、切りかえていくというのが彼らの考え方 だと思っておりますが、一応1年程度かけて切りかえていくということで、医療現場の先 生方にいろいろ御説明をしながら、ある意味で徐々にやっていくということかというふう に思っております。そういう意味で、もともとこれは、先ほど言ったように血中濃度を一 気に上げてやることが耐性菌発現につながるということから、徐放等の考えはないという ふうに理解をしております。  それから、100ミリ錠については、実は今回新薬として上がっておりますのは、この 250ミリと500ミリとクラビット細粒10%でありますが、これの3つの製品のみ新 しい用法・用量で認められておりますので、実は切りかえをしていくということも含めま して、既存のものについては今回この用量で認めておりません。そういう意味で、切りか えということを企業は考えておるわけでございますが、そういうことからいきますと、一 応私どもの考えとしては、既存のものをこの500ミリで使った場合については、この5 00ミリのほうの保険償還の対象にならないというふうに理解をしております。 ○遠藤会長  渡辺委員、よろしいですか。  それでは、藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  話がちょっと移ってしまったのですが、只今、後のほうから御質問をしたいと思います。  クラビットのレボフロキサシン水和物の件なんですけれども、これは耐性菌の発現の阻 止という趣旨で新薬として発売していくということでございますけれども、クラビットの 前身はタリビットですね。これはそれぞれ交差耐性を示すと考えられているわけですが、 タリビットが発売されたのは1982年と聞いております。今でもこれは、現場では肺炎 球菌にも有効だと、そういうふうにパンフレットにもしっかり書いてあるわけで、今さら いかがなものかなという感じがするのと。  それから、実際にこのクラビット錠というのは、例えば尿路感染なんかで非常に長期に 使われているわけです。その長期に使っているということが、耐性菌を起こしているとい うことが一つあります。それから、もう既にこれは後発品が出てきて、後発品のほうは従 来どおりという形で使用されているわけで、これをそのままにしておいて、この500ミ リを発売ということですが、これで耐性菌が出ないんだということっていかがなものかな という感じがするわけなんです。もし、そういったことできちっと対応していくなら、今 言いました長期投与であるとか、あるいは後発品の問題を解決するのが先ではないかなと いうことも思います。  それからもう一つ、副作用のチェックの中で中国人の方の治験データを、と言われまし た。このことについては、これまで大体我々の認識としては、治験というのは国内でやる というふうに思っておりましたけども、外国人を対象にして治験をするというのはこれま であったのか、それは人種が一緒なのかどうかよく分かりませんし、外国との体制が違う という中で、それで本当にいいのかどうか、そういうところはきちっと吟味されているの かということをお聞きしたいと思います。 ○遠藤会長  分かりました。2つのことですね。1つは耐性菌が出てくるというのは、長期投与とか そういう問題もあるわけであるので、用量をふやして、一気に血中濃度を高めれば耐性菌 が減るということだけではないでしょう。それについてどう考えるかということ。  もう1つは、副作用を、先ほどの話では中国人の方を対象に治験が行われたというデー タなので、しかしそもそもがそれぞれの国で行うというのが治験の基本ルールで、物によ ってはブリッジングスタディーというのがあるわけですけれども、基本的にはそれぞれの 国でやるということなので、そういう視点から見ると、今回のようなことはいかがなのか、 過去に例があったのかと、こういう御指摘だと思いますけれども、2つお願いいたします。  薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  2つの御質問でございます。  最初の点の、長期でこのような抗菌剤を使っていくことをどう考えるかということでご ざいますが、どちらかといいますと、多分私も実際にどういうふうに使われているか、必 ずしも十分理解をしているわけではありませんけれども、それなりの医学的理由があって やられているケースがあるんだろうと思います。そういったことについては、こういった 抗菌剤の使い方を、特に耐性菌の発現を防止をしていくという観点から、どのような使い 方が適切なのかということについては、どちらかというと関係の学会の先生方ともよくい ろいろお話をし合いながら、言ってみれば一に例えば何日以上はだめとか、そういったこ とをやるよりは、関係の学会の先生方の御意見を聞いて、どのような使い方がよりいいの かということを少し考えていく必要がある問題かというふうに思っております。  それから、後発品については、確かに先生のおっしゃるとおりでございますが、現時点 では今ちょうどこのクラビットについては特許が切れまして、実際に後発品が出たわけで ございますけれども、この現時点ではまだ切りかえる、実際に本当にうまく切りかえられ るかどうか、これからの話ではあるわけですけれども、こういう現状の用法・用量が残っ ている中では、私どもとしては、先生のおっしゃることはよく分かるつもりでございます けれども、後発品を薬価収載しないという調整はなかなか難しいということも御理解をい ただきたいというふうに思います。  それから、あと中国でのデータでございますが、いわゆる国際、海外の臨床試験データ をどのように日本の承認審査で使っていくかという問題でございますけれども、それにつ いては国際共同治験であったり、先ほど部会長のお話があった、外国のデータを日本人に 使えるのか、日本の医療環境で評価資料と対象にできるのかということで、ブリッジング スタディーをやってどうなのかということについては、もう既に大分の、多くの数の薬が そのようなやり方で認められているわけでございます。  ただ、本格的に中国での臨床試験データを用いて、このぐらいの規模で実際に認められ たケースは、なかなかすぐにちょっと調べられないんですけれども、かなり初めてに近い のではないかなというふうには思っておりまして、ただ、この中国での臨床試験を実施す るに当たりましては、その関係の日本の関係の学会の先生方も実際にいろいろ中国にも足 をお運びいただいて、実際にどのような形でやられるのかとか、GCPという臨床試験の 基準があるわけでございますが、そういったものもきっちりできるのかとか、そういった こともいろいろ学会の先生方にも御協力いただいて、メーカーと両方でやったと。そうい ったことがきちっとできたということが、審査当局のほうでも確認できたことから、その データを評価資料として今回の承認に至ったというふうに理解をしております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  いろいろ問題があるのですが、まず一番気になる外国人のケースですけれども、これは 今までもデータとして使われたということですね。それはきちっといろいろな公式の会で 認めて、どのぐらいの例数において今まで認めてきたのかということが明らかにされてい るんですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  そこの点は、どちらかというと薬事の審査でございますので、この中医協の場では詳細 について御報告したことはございませんけれども、今、医薬品医療機器総合機構が審査機 関でございますが、そちらのほうではどの薬でそういう臨床試験があって、それを審査当 局でどういう判断をして認めたのか、認めなかったのかということについては、すべて医 薬品医療機器総合機構のホームページにその審査報告書が載っておりますので、すべて明 らかになってございます。  ただ、この場で、例えばどの成分がというのはちょっとまとめてお出ししてはおりませ んが、どの薬がそういう形で外国の臨床試験を使って評価をしたのかと、それについては すべて明らかになっているところでございます。 ○遠藤会長  どうぞ、藤原委員。 ○藤原委員  ということは、今後も外国人も認めるということですね。そうすると、そこの国のどう いった形で実際に治験がやられているのか、そういったことはもっと明確にきちっとチェ ックされている、担保されているということになりますけれども、その辺は問題ないんで すね。 ○遠藤会長  薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のお話ですが、一番大事なことはデータの信頼性がどうかということがまずございま す。それについては、先ほど言った臨床試験の基準がGCPという基準がございまして、 実際のデータのカルテに記載されたものからケース、つまり症例報告書にどうちゃんと記 載されているのかとか、そういったデータをちゃんととったのかとか、それから、ちゃん と手順書に従ってやられたのかとか、それから、インフォームドコンセントをちゃんとと ったのかとか、そういったことがいろいろあるわけでございます。いわゆる被験者の保護 の部分とデータの信頼性を確保する部分と両面あるわけでございますが、そういった点に ついては、医薬品医療機器総合機構のほうから、その実際にやられた医療機関のほうにも、 外国の医療機関でもお邪魔して実際に確認をするとか、または、例えばアメリカの場合で すと、FDAが査察もしておりますので、アメリカのFDAのほうからいろいろな情報を もらったりして、そういったものはきちっとした形で臨床試験が行われたかは見ておるわ けでございます。  また、いろいろな外国人と日本人との実際の薬の対内の挙動でありますとか、効果の程 度でありますとか、そういったものは当然違いがあり得ることがございますので、それが 外国のデータが日本の医療環境で使ったときにも同じように見られるのかということにつ いては、基本的には外国人と日本人の薬物動態のデータも見ながら、そういったものが評 価できるかどうかということを一つ一つ、医薬品医療機器総合機構のほうで精密にチェッ クをしているという理解をしております。その結果についても、それは全部明らかになっ ておりますので、それについて、またそれが正しくないという御意見があれば、またその 中で物が言えるようにはなっておりまして、どちらにしても、そういった形で、これは医 薬食品局のマターでございますので、どこまで正確に私が答えられるかではありますけれ ども、私が医薬食品局で聞いておりますのはそのように理解をしております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  藤原委員。 ○藤原委員  確認したいことがございます。外国人と一くくりに言われたけれども、中国人、これは 東洋人ですよね。東洋人でも、欧米人でもいいという話の中で、今の話はされているのか どうか。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のお話は、欧米であっても、アジアの諸国であっても、同じことを申し上げておるわ けでございます。もともと海外で開発されるというのは、欧米諸国で開発されるケースが 多いわけでございますので、今までは欧米諸国のデータというのがかなり中心的なもので ございましたけれども、アジア地域でも韓国や中国も臨床試験をやる体制を非常に今つく ってきておりますので、これからアジア諸国で行われる臨床試験を使った申請というもの も少し出てくる可能性が高いというふうには思っております。 ○遠藤会長  加藤委員長、お願いいたします。 ○加藤委員長  藤原先生が危惧されている、国際的な臨床試験というのが最近ふえてきて、個人的に私 が関与しているような抗がん剤、抗がん剤の国際的な臨床試験というのはグローバルな、 世界でやっているのがふえてきております。それは、理由の一つには、各国でやる規模の 小さい臨床試験よりも、もっと大きな大がかりな症例数を求めてやるというのが今この流 れになってきておりますので、今、藤原先生が考えられているようなことは、これからふ えていくというふうに思います。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  藤原委員。 ○藤原委員  今の件は今後検討していただきたいと思うのと、それから、手順が私は逆だと思うんで すよね。長期投与とかそういったものは関係学会でもう少し提言していただいて、それか ら、こういった新薬を認めるというのが本来の手続だろうと思います。  それはそれとして、今回この規格の中で250ミリも認められているわけですが、使う 側としては、高齢者なんかは500ミリってやはり、いろいろこれは不眠とか、いらいら するとか、頭痛が出たりして、慎重に使うケースが多くて、減量して使うわけですよね。 そうすると、既存の今までの100ミリを3回、それを1回投与して400ミリぐらい使 う、あるいは300ミリ使う、そういった現場での柔軟な対応ができるはずなのに、あえ て500ミリをつくる必要がどこにあるのか。  これはやはり前に、私、ここでちょっと一度質問して、特許期間申請とか、あるいは再 審査期間、このことに非常に絡んでくる問題でありますので、ここのところをもう一度こ の場で厚労省のほうから、どういった形になっているのか示していただきたいと私は思い ます。 ○遠藤会長  よろしいですか。質問の意味を確認させて下さい。どういった形というのはどういうこ とですが。 ○藤原委員  例えば、特許期間についていえば20年とか25年とか言われています。しかし、一方 では10年とか15年とかいろいろでており、現場ではなかなかその辺の正確なところは つかめていないということと、再審査期間の問題もありますね、また、その関係です。 ○遠藤会長  つまりこのような、500mgを出したことによって、特許期間がどのように変わるの かということを解説していただきたいと、こういうことですね。お分かりになる範囲で結 構です。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  本剤については、新用法・用量医薬品ということで新薬として承認をされ、いわゆる再 審査機関というものが4年ついてございます。その4年間の間は、例えば後発メーカーが 実際に同じものをつくろうとした場合には、新薬と同じデータを出さなければ承認されま せんので、実質的には後発品が出ないという期間になってございます。基本的には本剤に ついてはその4年間は、この500mgでの後発品が出ないという理解をしております。 本剤についてですね。  それから、最初の御質問で、高齢者の場合、500mgで少し増減といいますか、特に 減量だと思いますけれども、減量できるのかということについては、ここに主な用法・用 量で書いていて、誤解を与えてしまって申しわけないと思うんですが、当然高齢者の場合 等について適宜減量できるということは、用法・用量の中には具体的に書いてございます ので、そのような投与は可能になってございます。 ○藤原委員  飲み方が特許とは何となく、ちょっとよく分かりませんが、その問題はもうそれで。  その前に、ミコンビの配合剤の問題なんですが、これはやはり現場として考えるのは、 一つ一つの薬を、これはきちっとその効き方を把握しながら対処すべきであり、また、こ れは例えば混ぜ合わせればできる話ですから。それと、配合剤にしたからってそれで特別 よく効くようになるわけではないわけで、これは利便性の問題が一番だろうと思いますけ れども、それは現場での裁量に任すべき性質のものではないかと私は思います。こういっ たことが認められて、心配するのはどんどんどんどん配合剤を組み合わせて、それが新薬 として認められていくという姿、ここには何も、本当に創造性のある薬の在り方ではあり ませんので、そこのところをもう少し行政としてきちっと考えていただきたいと私は思い ます。 ○遠藤会長  ただいまのことは、藤原委員は配合剤については、常に同様の御主張をされております ので、そういう委員からの要望があったということをよろしくお願いいたします。  また、それと新薬として見るということで、薬価の算定ルールについては、薬価専門部 会のほうで議論していきたいと考えております。  ほかにございますか。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  質問だけですけれども、まず、1番の3ページのところですが、重篤な副作用のリスク があるから限定的な評価をしたということなんですけれども、初年度が141人というこ となんですが、こういう承認がされるときなんかにもその患者や家族とかの、そういう限 られた人たちの話が大事にされると思うんですけど、こういう薬価算定になる際もその人 たちなりの切実ないろいろな経験なり思いなりがあっての動きなんだと思うので、そのあ たり、きちんとそういう関係団体との話をされる手続というか、また、こういう値段の設 定にしたからこんなことになってしまった、というようなことも以前にあったと思います ので、限られた患者の人たちだけのスタートであるだけに、そのあたり、患者の方のご意 見について質問です。  それと、今度は5ページのほうなんですけれども、5ページにも国内臨床、子供へのA D/HDということですけれども、国内臨床試験症例数が少ないために、市販後も併存障 害を有することことへの引き続き検討が必要だから限定的な評価をしたということですけ れども、例えば、そういう検討結果が確認されてから評価するようなこととか、そういう ようなことはできないのだろうかとかいうようなことが2つ目の質問です。  もう1つは、配合剤が今度、薬価専門部会で議論されていくということですけど、これ までに、いつごろからこういうのが出始めて、大体何例ぐらいあるのかとか、簡単に、大 体で結構ですので、どういう感じでできているのか、もし教えていただければと思います。  それから、今回用量を上げることで耐性菌を抑えるということの話ですけど、こういう パターンでされるのは初めてなんですか。初めてなのかなと思うんですけれども、配合剤 と耐性菌のやつですね、大体で何例ぐらいあったのか、こういうパターンで薬価が新たに 認定されるというのはどれぐらいなのかをちょっと教えていただきたい。 ○遠藤会長  了解しました。4つのことでありますけれども、それでは、加藤委員長、まずお答えく ださい。 ○加藤委員長  最初のクロザリルの件でございますが、これはとにかくこの疾患が大変治療の選択肢が もう限られたものしかないというところで、この薬がかなり有効だよということで、有用 性加算をたっぷりつけてあげたいところであったんですが、やっぱり厳しい副作用がある というようなことから、満額の有用性加算ではなくて、絞った形で20%という形になっ たわけであります。これも先ほど御説明したとおりでございますけれども。  その他の質問は、事務局のほうから。 ○遠藤会長  それでは、薬剤管理官。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初の御質問の患者の声ということでございます。このような、実は新薬の薬価算定に おいては、承認後60日以内で処理するというのが標準的事務処理期間でもございますの で、その短時間ではなかなか、正直言って事務局的には非常にしんどいなというところが 正直なところでございます。  ただ、これのものは、薬価をつけるだけで有効にしてどうかというのがあります。当然 その前に、開発の段階があり、承認審査の段階があり、承認審査の段階でも1年ぐらいあ って、そういうのが申請されるということは、その患者の会は当然ご存じだと思いますの で、承認審査の段階でいろいろなそういった御意見があれば、いろいろな意見が届けられ て、審査当局でもそういった意見、特に今、いろいろな場面で患者の御意見を聞く場面を つくっておりますので、そういうところでかなり聞かれているのではないかというふうに 私は理解をしております。  それから、2番目のAD/HDの質問がよく理解できなかったんですが、ちょっと教え ていただければと思うんですが。 ○勝村委員  すみません。質問ですが、「市販後も併存障害を有する症例に対する有効性と安全性に ついて引き続き検討が必要とされることから、限定的な評価とした」と書いてあるという ことは、そういうことが引き続き検討されて、その問題がクリアーにされてから有用性の 加算をつけるというようなことはできないものなんでしょうかという質問です。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の御質問について、確かにそういうことも考え方はあろうかと思いますが、少なくと も承認審査の段階で、これについて明確に、外国のデータも含めまして、併存障害のある 方に特に使える薬と、それに効果があって、今の使えるコンサータではなかなかそこが難 しいんですけれども、本剤が使えるということは、その意味では明確に一応認められたも のであるということは事実なんですね。それがそもそも明確に認められていなければ、そ れは当然加算の対象にならない。  ただ、ここで言っている市販後調査の話というのは、どうしてもこの手の薬は外国デー タが非常に多くて、国内の臨床試験がある程度のところまでしかとれないものですから、 その中で実際にもっと例数を上げたときにどうかということを、基本的には当然こういう ふうに効くということは分かってはいるわけですけど、いろいろなことがあり得るかもし れませんので、市販後調査できちっとフォローしていくことが要件についているというこ とでございます。  ですから、我々もその承認審査の段階で明確に、併存障害の方に対するものははっきり しないということが判断があれば、それは私どもとして加算の対象にならない。それは承 認審査の段階で、少なくとも少数例ながらも、外国のデータと合わせて、そこは明確にな ったということが評価があったものですから、私どもとしてはその判断に至ったというこ とでございます。ですから、そこのところが、どうしても市販後のデータを見なければ審 査のほうでもだめだということになれば、私どももそういった判断になるかというふうに 思っております。  それから、配合剤については、このARBといいますか高血圧の薬と利尿剤を組み合わ せたものでは、同じタイプのものは4剤目でございます。ただ、配合剤、例えばHIVの 薬ですとか、いろいろな更年期障害の薬とか、いろいろな分野で実は配合剤ってこれまで もこの中医協の場でも報告させていただいております。それはいろいろな利便性の問題で あったり、副作用の軽減の問題であったり、いろいろな問題が実はあって、数多く配合剤 は実は出ておりまして、それがもう何製品目かもちょっと分からないぐらいのものがござ います。  ただ、ここのところ非常に問題になっておりますのは、特に2号側委員から御指摘を受 けております、このような同じ降圧剤同士で単剤が両方普通に経口剤で使えるのに、なぜ あえて配合剤にする必要があるのかという御指摘を受けているものというように理解もし ておりますし、そういったものの薬価の値付けをどうするのかということで御指摘を受け ているものでございます。  そういった意味では、配合剤と一くくりに言っても、いろいろなタイプのものがござい ますので、今この場で何製品目というのは言えない。ただ、非常に問題になってきたのは、 この前のARBと利尿剤のものが、非常にそれがどれだけ配合意義があるのかという御指 摘を受けたのは、前回からというふうに理解をしておるところでございます。  それから、耐性菌の問題で申し上げますと、このようないわゆる大規模な臨床試験をや っているものは多分初めてではないかなというふうに思いますが、ちょっと詳細を今すぐ 手元にないのでお答えしにくいところですが、ではないかなというふうに思いますが、ち ょっとはっきりしたことは今お答えできません。  ただ、これまでも、いろいろな外国のデータで耐性菌の発現から、例えば1日2回投与 のものを1日1回投与にするとか、外国データで認めたもの、これは新薬としての扱いに ならないものも幾つもありますけれども、そういったもので用法・用量を切りかえてきた ものは幾つかあるというふうに認識はしてございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  勝村委員、手短にお願いします。 ○勝村委員  5ページのところだけなんですけれども、これはだから、引き続き検討が必要とされる から限定的な評価といったとき、引き続き検討がされて、その結果が出てきて、評価が変 わり得るということがあるのかどうかというのがちょっと気になるわけで、つまり、限定 的な、引き続き検討がされた結果、どんな結果が出ようとも10%のままでずっと行って しまうということなのか。それならば、例えば最初は0%にしておいて、その評価が確立 されたとか、引き続き検討の結果、有効性・安全性について確認された段階で、例えば2 0%につけるんだというふうなことをここに書いておくとか、例えばそういうふうなやり 方はできないものなんですかということなんです。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  現状のルールでは、そういった段階的に市販後のデータで引き上げていくのはなかなか 難しいのではないかというふうに思っております。  このような非常に、ある意味で特殊な疾患の場合、どうしても承認審査の段階でも、国 内の臨床試験数がかなりの大規模、なかなかとりにくいものですから、大体このような指 示事項がついて、引き続きのフォローアップが必要とされるケースがございまして、今の 勝村委員のお話をフルにやろうとすると、ほとんどのものがこういった加算ができないと いうことでもございますので、それがまた、十分なこういった薬の評価になるのかという ことにもあろうかと思いますので、なかなか今のお話をそのまま実現するのは、今のルー ル上はちょっと難しいかなというふうに思っておるところでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。現行ルールではそれは難しいということですね。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  既に幾つか配合剤に関しましては御議論があったと思います。配合剤について、薬事の 問題にかかわる部分をここで議論するつもりはございません。しかし保険医療で使うとき の意義付けであったり、あるいはそのときの価格、今回の場合では1プラス1が2になっ た計算でありますけれども、そういったことについて、今後薬価専門部会のほうで御議論 されるということですが、もちろん価格もそうでありますけれども、今回のような場合と、 従来の用法の変更等とを、同じように見るのはなかなか容易ではないと思いますが、薬事 の問題がもし保険上の価格付けに影響するのであれば、保険薬価決定に至る議論はこんな ことだったという御報告がいただきたいのが1つ。  あわせて、保険医療で使うということの意義付けは中医協の議論でありますので、そこ についてはそれぞれの値段、値付けと同様に薬価専門部会のほうで意義目的等を御議論い ただきませんと、議論がまとまらないと思います。薬剤管理官大変はおつらいお答えをし ていらっしゃるように思いますが、保険は保険としてきちんと切り分けた議論をぜひお願 いしたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。そのような御要望だと承ります。  薬剤管理官、配合剤については過去幾つか出ているということですが、数も比較的多い だろうというお話ですが、今後配合剤の議論をしていく上で、過去どのぐらい新薬として 承認されているのかということを、どこかの段階で明らかにしていただいたほうが、どの ぐらい意味のある話なのかということにもつながりますので、多少時間をかけていただい て、その辺のところをまとめていただければと思いますけれども、それは可能でしょうか。  薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  新薬の算定事例はうちのほうでも全部ありますので、それから抜き出しまして、極力今 の議論がきちっとできるように努力したいと思います。 ○遠藤会長  では、よろしくお願いいたします。  ほかにも御意見はあるかと思いますけれども、非常に重要な御指摘をいただきまして、 活発な御議論をしていただいたわけですが、かなり予定をオーバーしておりますので、こ れにつきましてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。  それで、本件につきまして、中医協としてお認めいただいてよろしゅうございますでし ょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。加藤 委員長におかれましては、どうも長い間、ありがとうございました。  次に、「薬価調査及び特定保険医療材料価格調査」について、議題といたします。  薬価専門部会及び保険医療材料専門部会における審議の結果につきまして、事務局より 資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。  よろしくお願いします。 ○事務局(木下医政経済課長)  医政局経済課長でございます。  中医協の総−2−1と2−2をごらんください。  まず、2−1でございます。21年度に実施する医薬品価格調査(薬価本調査)につい て御説明申し上げます。  まず、この調査は、薬価基準改正の基礎資料を得ることを目的といたしまして、薬価基 準に収載されている全医薬品について、保険医療機関、保険薬局に、医薬品販売業者が販 売した価格等を、そして一定率で抽出された医療機関等での購入価格等を調査するもので ございます。  前回の調査は19年度でございました。その結果が裏のページ、2ページ目に出ており ます。抽出率も全く同様に今回も実施をしたいと思っております。調査期間は21年度中 の1カ月間ということで、調査月は取引における特段の支障がないように、今のところは 伏せておりますけれども、1カ月間の取引を調査をするということでございます。  3のほうに客体数等々が出ておりますが、これは前回と全く同様でございます。  それから、総−2−2のところに、21年に度実施予定の特定保険医療材料価格調査の 案が出てございます。これも趣旨といたしましては、特定保険医療材料価格の基準改正の 基礎資料ということを目的としまして、医療機器販売業者等に調査をお願いするものでご ざいます。  その後ろのページに、前回の19年度に実施をいたしました調査の客体数等々が出てご ざいます。販売サイドは若干、前回の調査と今回はちょっと減っておりますけれども、購 入サイドにつきましては同じ抽出率で調査をいたしたいと考えております。調査結果がま とまり次第、中医協に御報告を申し上げたいと思っております。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  両部会の意見としましては、本年度も今提出いただきました資料のとおり、薬価調査及 び特定保険医療材料価格の調査を実施すべきであると、このような意見をいただいており ますけれども、総会におきましてもこれを了承するということで進めたいと思いますけれ ども、いかがでございましょうか。  それでは、住友専門委員、どうぞ。 ○住友専門委員  この層化無作為抽出法での調査結果というのは、やっぱり回答率が同じであれば、回答 数にほとんど左右されないというふうに考えるのかということでございます。それはどう いうことかというと、総−2−2でございますが、この裏面、平成19年度の調査結果で ございますが、例えばこれが左右されるとなれば、[3]の歯科技工所の25.2%という回 答率、すなわちこれは客体数からいきますと108ですから、大体27ぐらい。これは少 ないとは言えないのかというところでございます。すなわち全数が、この前のほうで計算 してみますと、60分の1の抽出率ですから、6,600ですね。そこから見て27とい うこの回答数という、率はこれであるとしても、回答数は少ないのではないかということ です。  ですから、これは対象材料が少ないという意味で、これでよしとするのか、それとも今 回の調査では回収率、回答率を上げる方策を考えるのか、もしくは60分の1という抽出 率の見直しが必要なのではないかという意味での質問でございます。  以上です。 ○遠藤会長  108客体を調べたということですが、これにつきまして事務局、何かあれば。 ○事務局(木下医政経済課長)  歯科技工所の有効回答率が若干、前回の19年度は下がっております。通常であります と、大体40%から50%ぐらいだったわけでありますので、私どもとしては今回調査を いたしまして、協力をお願いしますときに、歯科技工所は個人の事業所が多いわけであり ますので、よく理解を求めていきたいと思っております。  全体としては、例えば保険医療機関、調剤薬局も含めての回答数等々を見ましても、大 体統計法上、どの程度が本当に有効かというのはありますけれども、大体2,000ぐら いの客体数がある程度確保できれば、一定程度の統計上の正確性というのは期するもので はないかなと考えておりますので、そういう点も含めて、できるだけ客体数、有効回答率 が高まるような工夫をさせていただきたいと思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  住友専門委員、よろしゅうございますか。 ○住友専門委員  はい。お願いいたします。 ○遠藤会長  それでは、この調査は今年度も実施するという形で、お認めいただいてよろしゅうござ いますね。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。  また結果につきましては、後ほど調査終了後に中医協で御報告いただきたいと思います。  ほかに何かございますでしょうか。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  たしか6月5日だったと思うのですが、日本経済新聞の1面に、診療報酬に関する厚生 労働省の方針というような記事がありました。ちょっと読んで、私、あれっと思ったので、 厚生労働省のこの記事に対する御見解をお聞かせ願いたいのですが。 ○遠藤会長  新聞報道に関してということで、診療報酬に関しての記事があったということで、それ に対して事務局の見解をお願いしたいというものです。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。今の御質問は、6月5日付の日経新聞の1面に載った記事に関 してかと思います。事務局として承知しているのか、どう考えているのかということを御 質問になったものと思います。  まず、見出しですけれども、何か75歳以上別建て廃止へというふうに書かれていたよ うでございますが、現時点で厚生労働省として75歳以上の方に適用される診療報酬を廃 止するという方針を決定した事実はありませんし、この中医協の場でもまだ御議論いただ いていないということは既に御案内のとおりだと思います。  それからまた、内部的にも検討はしておりませんし、私ども自身も驚いたので、主要な 職員に聞き取りもしましたけど、その範囲では特別にインタビューを受けて何か答えたと いう事実もなかったようですので、そういう意味で私どもとしてはむしろ驚いているとい うのが正直な気持ちであります。  また、これ以外にも中見出しのというのでしょうか、中見出しなのか小見出しなのか私 も存じませんが、定額制など病院の利用進まずと書いてありますけど、一例を挙げれば、 こういう中見出し自身も、やや事実誤認というと大変失礼な言い方ですけど、あるのでは ないかと思います。紹介をいたしますと、そもそもこの後期高齢者診療料を念頭に置いて いらっしゃるとすると、後期高齢者診療料で病院がこの診療報酬を算定するときというの は、周囲、半径4キロ以内に診療所がないとかいう、極めて例外的な場合にのみ病院が算 定できるという基準にしていますので、病院で利用が進まないのは、ある意味当たり前の 部分もありまして、今のは一例ですけど、そういう意味で私どものほうで事実が確認でき ないこととか、あるいは広い意味で言うと、失礼な言い方で恐縮ですが、記事をお書きに なった方が勘違いをなされてお書きになった部分があろうかと承知しております。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  牛丸委員、よろしゅうございますか。そういう意味で、事実とは異なる内容が記事とな ったというような御見解であったということです。  ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。  それでは、本日の総会はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  6月下旬を予定しておりまして、詳細が決定次第、また御連絡をさせていただきます。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。  それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。  引き続き、基本問題小委を行いたいと思います。  【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)