09/06/05 平成21年6月5日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年6月5日(金) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 江 口 正 志、 神 田 忠 仁、 手 島 玲 子、    新 見 伸 吾、○西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、◎早 川 堯 夫、    俣 野 哲 朗、 松 岡 厚 子、 森 川 裕 子、 横 田 恭 子 (注) ◎部会長  ○部会長代理   他参考人1名   欠席委員(3名)五十音順    岡 野 栄 之、 斉 藤   泉、 渡 邉   信      3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、    成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)他 4.備考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 ただ今より、「生物由来技術部会」を開催させていただきます。 先生方におかれましては御多忙の中、御出席いただきまして大変ありがとうございます。 本日、15名の委員定足数に対しまして、12名御出席いただいていますので、薬事・食品 衛生審議会令に基づきます定足数を満たしていますことを、まず御報告させていただきま す。審議に先立ちまして委員の異動ですが、国立医薬品食品衛生研究所の土屋先生の御退 官に伴い、本日より療品部長の松岡厚子先生に委員として御参画いただいていますので、 御紹介させていただきたいと思います。 ○松岡委員 松岡です。よろしくお願いします。 ○医療機器審査管理室長 本日の会議につきましては、非公開とさせていただきたいと思 います。それでは早川部会長、よろしくお願いします。 ○早川部会長 それでは最初に、事務局より資料の確認をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきたいと思います。資料1は「厳重管理」と朱印の 付いたものです。資料1-2は諮問書です。参考資料として「ヒト由来細胞・組織加工医薬 品等の品質及び安全性の確保に関する指針(概要)」です。資料2は「遺伝子組換え生物等 の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技 術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目につ いて」です。当日配布として専門委員のリスト、資料3として「競合品目・競合企業リス ト」です。A4横の資料で「細胞・組織加工医薬品等の確認申請終了品目」ですが、今ま で御確認いただいた品目の一覧表です。以上です。不足等がございましたら事務局までお 願いします。 ○早川部会長 資料の方はよろしいですか。引き続き本日の審議事項に関与された委員と 利益相反に関する申出条件について、事務局より御報告をお願いします。 ○事務局 本日の審議対象となっている品目につきまして、関与された委員の方はいらっ しゃいませんでした。また審議品目の製造販売業者又は競合企業について、委員の皆様方、 参考人の方からの寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、本日の審議品目につ きましては御退席等が必要な委員の先生はいらっしゃいませんでしたので、御報告申し上 げます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは早速ですが、議題に入りたいと思いま す。議題1「細胞・組織を利用した医療機器の品質及び安全性の確認について」の審議を 行いたいと思います。本品目の審議にあたりましては参考人として、日本大学医学部附属 板橋病院病院長の澤充先生に御出席をいただいています。よろしくお願いします。議題1 を御議論いただく前に、これに関係する制度の概要について、事務局から御説明をお願い したいと思います。 ○事務局 参考資料を御覧ください。「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全 性の確保に関する指針(概要)」となっているものです。よく御存じかと思いますが、この 制度につきまして簡単に御説明申し上げます。この指針の目的ですが、「1.目的」のと ころにありますように、ヒト由来の細胞・組織などを加工した医薬品、それから今回の場 合は医療機器ですが、その品質及び安全性の確保のための要件を定めたものです。「2. 確認申請」ですが、品質及び安全性を確保するために、この指針に適合しているかどうか の確認を厚生労働大臣に求めること、とされているところです。その確認の際の主な添付 資料ですが、以下の1)〜7)にあるとおりです。製造方法から品質管理の方法、その安定 性、安全性などについての資料を御提出いただき、機構、それからこちらの部会で御審議 いただくことになっています。「4.確認後の取扱い」ですが、これは臨床試験の前の確 認ですので、指針に適合することが確認された場合、薬事法に基づく治験がこの後に実施 されることとなっています。治験の結果などもありますので、指針への適合が直ちに医薬 品・医療機器としての製造販売承認に結び付くものではありません。一般的な流れとして は、先ほど申し上げたように非臨床試験などが終わったところで確認申請、御審議いただ いた後に治験、承認申請が行われて部会における審議が行われ、承認のための審議を御審 議いただき、御了承いただければ承認となっています。以前、確認申請のために出された 平成11年の906号通知がありましたが、平成20年に確認申請のための自己、同種の指針 が出されましたので、それに伴い、文言、フォーマットなどの改正のために、平成21年 5月18日付けで通知を改正させていただきましたので、御報告申し上げます。主な改正 点としては、例えばフォーマットの届け出やフォーマットの改訂部分であり、中身の部分 ではありませんので、内容については省略させていただきます。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明について何か御質問等ございま すか。いかがですか。よろしいですか。それでは今回、議題1に上がっている品目、「他 家培養角膜上皮細胞シート」の概要について、機構から御説明をお願いします。 ○機構 よろしくお願いします。議題1、資料1、他家培養角膜上皮細胞シートの細胞・ 組織を利用した医療機器の品質及び安全性の確認について、医薬品医療機器総合機構より 説明申し上げます。  本品は、角膜輪部の組織から採取した細胞を、ヒト羊膜より分離した基質羊膜の上に播 種し、マウスNIH3T3細胞をフィーダー細胞として共培養することにより製造される細胞 シートであり、角膜上皮幹細胞疲弊症患者を対象としています。角膜上皮幹細胞疲弊症は、 スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)等の炎症性疾患及び熱・化学腐食等により、 角膜上皮幹細胞が減少あるいは消失した結果、引き起こされる疾患の総称であり、角膜上 皮が欠損した状態が持続することにより、重度の視力障害や失明に至る可能性のある疾患 です。本疾患の既存の治療法として、薬剤等による保存療法及び全層角膜移植等が行われ てきましたが、これらの治療法では角膜上皮幹細胞は補充されないため、根本的な治療法 とはならず、近年行われている角膜上皮形成術、角膜輪部移植については、角膜表面全体 が修復されるまでの間に、感染症の発生や角膜の透明性が損なわれる等により、期待され る治療成績が得られないことが問題とされています。本品は、移植直後から角膜上皮機能 を補填して眼表面を修復するだけでなく、角膜上皮細胞を継続的に補充すること等によ り、これらの問題を抑制し、既存の治療法では十分な有効性が期待できない角膜上皮幹細 胞疲弊症患者に対して、治療の機会を提供することを目的として開発されているもので す。本品の製造方法ですが、米国アイバンクから輸入されたヒト角膜(以下、原料角膜) から、国内製造施設において角膜上皮輪部細胞を分離し、本邦で分娩時に採取されたヒト 羊膜(以下、原料羊膜)から調整した基質羊膜上に播種し、NIH3T3細胞をフィーダー細胞 として□□□□□、培養することで製造されます。原料角膜は米国アイバンクにおいて、 ドナーに関する書面調査、身体検査及び近親者からの問診、感染症に関する血清学的検査 及び核酸増幅検査が実施され、適格性が確認されます。原料羊膜は、本邦の原料羊膜採取 医療機関において、ドナーの医学的記録の確認、問診及び感染症に関する血清学的検査が 行われ、さらに羊膜採取までの時期に医学的記録の確認及び問診、血清学的検査等が、ま た羊膜採取後、□□□か月後に核酸増幅検査が実施され、適格性が確認されます。NIH3T3 細胞は、マスターセルバンク、ワーキングセルバンク、CAL及びフィーダー細胞に対し、 関連する指針等に沿った試験が実施され、細胞の特性及び適格性が確認されています。本 品の品質管理は、原料角膜及び原料羊膜の受入基準、工程内管理試験、製品の規格試験の ほか、患者への適用後に結果が判明する試験が設定されています。規格試験としては無菌 試験、□□□□□□□□□ウイルス否定試験、□□□□によるマイコプラズマ否定試験、 □□□□□□□□外観試験、□□□□□□□□確認試験、細胞数、細胞生存率、□□□□ □□□、□□□□□□残留試験、エンドトキシン試験、□□□□□が設定されています。 □□□□□□によるマイコプラズマ否定試験及び□□□□の無菌試験は、患者への適用後 に結果が判明するため、不適合となった場合には出荷先の医療機関に連絡し、適切な処置 を依頼するとされています。本品の安定性については、保存安定性試験等に基づき、保存 条件は□□□℃にてパッケージが完了してから移植まで□□□以内、輸送時間は□□□以 内とされています。非臨床安全性試験としては、□□基質羊膜上に□□□角膜上皮輪部細 胞を播種、培養して作成した□□□同等品を、□□□角膜上皮幹細胞疲弊症モデルに適用 した□□□□試験が行われたほか、本品を□□□□□□□□□した□□□□試験、□□□ □の生物学的安全性試験及び最終製品中に残存する物質に関する試験が実施され、問題な いとされています。また角膜上皮細胞の造腫瘍性等に関する試験が実施されており、こち らについては後ほど説明させていただきます。効力を裏付ける試験としては、□□□同等 品を、□□□角膜上皮幹細胞疲弊症モデルに適用した試験が実施され、体内動態試験にお いては、移植した□□□同等品の他の組織への移行性について確認されています。  次に機構の事前審査における主な論点を、2点御説明いたします。一つ目の論点は、本 品の感染性物質に関する安全性についてです。原料角膜ドナーは眼球摘出時には死亡して いることから、生物由来原料基準の人ヒト細胞・組織製品原料基準に定められたウインド ウピリオドを勘案した時期の再検査が実施できません。しかしながら、□□□□□□□を 用いた血清学的検査及び核酸増幅検査に加え、□□□□□□□□□□□□□を用いたウイ ルス否定試験を実施することから、生物由来原料基準の通則9により、同基準の規定によ り求められるものと同等以上の妥当性を有するものと判断し、角膜の感染性物質に対する 対応に問題は無いと考えています。また原料角膜及び原料羊膜の「ヒト(同種)由来細胞や 組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保について(以下、指針(同種)」 への適合性について、パルボウイルスB19感染症、サイトメガロウイルス感染及びEB ウイルス感染については、□□□に対して検査を実施せず、ウエストナイルウイルス感染 については、□□□□□□□に対しては実施するものの、□□□□□□□に対しては検査 を実施しません。しかしながら、原料角膜及び原料羊膜のドナーについて、医学的記録の 確認や問診によって適格性を確認すること、さらに□□□□□□□□□□□□□を用いて 上記ウイルスを含むウイルス否定試験を実施することから、指針(同種)への適合性に問題 はないと考えます。  二つ目の論点は、本品の造腫瘍性についてです。角膜上皮細胞の核型分析試験において 核型異常が認められていることから、製造工程が原因で培養細胞に染色体異常が発生する 可能性が考えられます。これについて申請者は以下の七つの点を挙げて説明しています。 非臨床安全性試験に関して申請者は、1点目、核型異常が認められた原因については、原 料角膜中に核型異常細胞が元々含まれていた可能性も考えられるものの、□□□□□□□ 以外の変化については偶発的発生の範疇であり、□□□□異常は標本作製のための処理に 起因している可能性が高く、製造工程の影響による可能性は低いと考えること、2点目、 核型異常が認められた細胞における軟寒天コロニー形成確認試験では、コロニー形成は認 められず、核型の異常により足場非依存性増殖能を獲得する可能性は考え難いこと、3点 目、本品から回収した細胞をヌードマウスに移植した造腫瘍性試験においても、腫瘍形成 は認められていないこと、4点目、核型異常細胞が存在あるいは偶発的に核型異常が生じ た場合でも、安全性の問題となるような異常は品質管理試験で検出が可能と考えると説明 しています。さらに臨床上の安全性について申請者は、5点目、本品は眼表面に移植され ていることから、万一、腫瘍形成に結び付くような変化が認められた場合には、早期の判 断及び処置が可能であること。6点目、技術移管を受けた京都府立医科大学の臨床研究に おいても、培養角膜上皮細胞シートが移植された□例、□眼に関して、現在までに細胞の 異常増殖等に起因する有害事象は発生していないこと、 さらに7点目、文献等の調査結果からも、角膜上皮細胞の腫瘍化等の可能性は低いと考え られ、これらのことから本品に含まれる細胞に染色体異常が生じても、移植後に細胞が機 能的異常や異常増殖を起こし、腫瘍化する可能性は考え難く、移植後に安全性上の問題と なることはほとんどないと説明しています。  機構は、以上の説明も踏まえ、製造工程が原因で染色体異常が発生する可能性は完全に は否定できないと考えるものの、現時点で本品の造腫瘍性等を示唆する結果は得られてい ないこと、治験においては腫瘍化の可能性について、被験者等に適切に情報提供すること、 及び被験者の定期的な観察や長期フォローアップを実施するとしていることから、治験の 開始にあたって、必要な確認及び対策等はとられていると考えます。  以上、提出された品質及び安全性に関する資料を評価した結果、現時点の科学的水準か ら、前述のように治験において十分に安全性を確保できる方策を講じることを前提に、治 験を開始することは差し支えないと判断いたしました。  なお、本品の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり4 名の委員でございます。また本日、参考人として日本大学医学部附属板橋病院病院長の澤 充先生に御出席いただいております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。本日、御欠席の委員の先生から何か事前に御意 見等が寄せられていますでしょうか。 ○事務局 特にいただいておりません。 ○早川部会長 それでは参考人としてお出でいただいています澤先生より、専門協議の委 員としてのお立場から何かございましたらお願いします。 ○澤参考人 この製品と申しますのは、今御説明がありましたように、難治性の眼表面の 疾患に対して、従来はなかなか良い治療法がなく、本製品に代わるものとして我々として は、本品と同様にドナーから得られたドナー角膜の上皮細胞を移植する治療法を行ってき ていますが、なかなか必要な時点にタイムリーにドナーが得られないということもあり、 治療に苦慮しております。とりわけ対象となる症例は幹細胞、Stem cellが無くなってい る症例ですので、必要なStem cellを得るにはドナーから早めに得て使用しないと、その Stem cellが活性度を失っていくということがありますので、かなり上皮のしっかりした ドナーを用意して移植することをしてきました。本製品のような一定の性能を有する生体 材料が使えるということは、患者にとっては非常に有益なものであろうと考えています。 ただ、製品としては、そういう意味でベネフィットがあります。一方で通常の角膜上皮細 胞は5層から成っていて、基底細胞が1週間でターンオーバーするということになってい ます。したがって通常の移植の場合には、上皮細胞の抗原性というのはある程度弱いので すが、Stem cellは抗原性、antigenicityが強いということで、実はStem cellの移植を した後は、長期間にわたって免疫抑制をすることが求められてきています。ただ、どの程 度免疫抑制を行ったらいいのかは手探り状態できていますので、この製品の審査といいま すか、今後の治験とは別個ではありますけれども、免疫抑制薬の使用についてもワンセッ トとして念頭に置きながら、この製品の性能を見ていく必要があるのではないかと考えて います。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今澤先生から御解説いただきましたけれど も、何か御質問等ございますか。 ○神田委員 この書類の7ページですが、2-4-3の「培養法の妥当性」の上から6行目に、 □□□□□□□□が□□と書いてあるのですが、これは本当ですか。 ○早川部会長 これは機構の方からお願いします。 ○神田委員 上皮細胞の間違いではないですか。 ○機構 申し訳ありません、これは上皮細胞の間違いです。別紙の方にも記載されていま すが、これは上皮細胞の□□□です。 ○早川部会長 幹を取ればいいですね。ここから幹という字を取ればいい、上皮細胞とい うことですね。 ○神田委員 そうですよね。 ○早川部会長 ほかに何かございますか。 ○新見委員 8ページのウイルスの否定試験のところで、ウエストナイルウイルス感染に ついては、ヒトの□□□□□に対しては検査を実施しない。また□□□□□に用いた規格 試験としても実施しないとなっています。指針によると、これについては必要に応じて検 査により否定するとなっていますので、これはしなくてもいいということの根拠みたいな のを書いた方が、何となくすっきりすると思いますけれども、どうでしょうか。 ○機構 ありがとうございます。今回、羊膜につきましては、国内でウエストナイルウイ ルスの方が発生していないということで、羊膜の方は実施していません。 ○早川部会長 □□□□□では。 ○機構 □□□□□の方につきましても、角膜に関してアメリカ由来のものでは確認をし ておりますし、国内で羊膜の方は問題無いと判断いたしましたので、□□□□□の方まで 実施する必要はないと考えており、設定しておりません。 ○早川部会長 いかがですか。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○新見委員 12ページの審査の概略のところで、新たに実施することとしては、□□□ 機能を確認するための試験として「□□□□□□□関連たん白質」とあります。□□□機 能と言った場合に、□□□□□□□だけでなくて細胞の重層度や□□□□など、そういう ふうな客観的な評価基準があると思います。それで、この□□□□□□□を測る場合に定 量的にできるのか。発現していれば□□□機能として機能すると言えるのか。定量的に行 うということを前提として、この文章を書かれていると理解したらよろしいですか。 ○機構 こちらの「□□□□□□□関連たん白質」に関しては、これから試験系を初めと して、どのような形で評価するかということを検討していくところですので、そのような 形でよろしいでしょうか。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○手島委員 35ページですが、この上皮細胞シートの製造方法のフローチャートが書か れていて、一番左の列ですと、NIH3T3細胞のWCB(ワーキングセルバンク)のフィーダ ー細胞の製造という形だけしか書かれていないのですが、本品は次の「表-1-6」でいくと、 継代数□代以内の培養を用いるということが書かれていますので、こういうフローチャー トの中にフィーダー細胞は継代□代以下とか、そういうことを書いた方がよろしいのかと 思いますけれども。 ○機構 ありがとうございます。今後は申請者の方に、そのように伝えておきます。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。 ○神田委員 これは承認されると、治験は、これでそのままできるのですか。 ○早川部会長 そうですね。治験がそのままできるというか、治験をどうやるかというこ とは、多分これから。 ○神田委員 また別の問題、つまり、これはインフォームド・コンセントまで付いていま したけど、それは審議する対象にはなっていないと思っていいですか。 ○医療機器審査管理室長 これから治験の内容とか、また同意確認の内容については機構 とも相談いただいて、申請者の方にまた見ていただくことになります。 ○神田委員 これは広い意味の異種移植のカテゴリーに入ります。異種移植は豚の臓器を そのまま移植するようなものを想定して、かなりきついレギュレーションを含む指針があ ります。ネズミのフィーダー細胞を使った製品の移植に関する指針もあって、数か所に引 用されていましたが、実際の臨床応用においては、そのガイドラインのレギュレーション のもとに入るのだと思います。その観点からインフォームド・コンセントを眺めると、十 分配慮されていないというふうに思いますが、このことはここで承認する、しないとは無 関係ですか。 ○早川部会長 ここでは直接は無関係かと思いますが、先生の御意見は、これからインフ ォームド・コンセントを作り上げていくときに、非常に大事な参考になるかと思いますの で、そこは承ったという形で今後の御参考にしていただきたいと、そういうことでよろし いですか。 ○神田委員 要するに、この治療は、患者さんにとってのリスク・ベネフィットの問題以 外に、異種移植の場合には動物由来の感染症が生じると、それがそのまま公衆衛生上の問 題になるので、割ときついレギュレーションが掛かっています。そのことを、実際に治験 をやるときには十分配慮された方がいいように思います。 ○早川部会長 よろしいですか、何かコメントがありますか。 ○医療機器審査管理室長 3T3を使った培養表皮の製品について、承認の御議論をいただ くときにも同様な御指摘をいただいて、インフォームド・コンセントの中身について随分 詰めさせていただきましたので、それと同様に、今回は治験ですけれども、インフォーム ド・コンセントの中身については相談をさせていただきたいと思います。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。せっかく澤先生に来ていただいていますので、何か 御質問等がございましたら。 ○貫和委員 専門外ですので教えていただきたいのですが、添付資料の臨床研究成績一覧 の視力の検査結果が、改善した方と、一過性に良くなってまた前状況に戻られたような方 と、この数字を見るだけで専門外なものですから分からないのですが、成績としてどのく らいのものを期待すればいいのか。先ほどの澤先生のお話で、ほかに方法はないというこ とも十分理解できるのですが、この程度で現状では仕方がないという理解でよろしいので しょうか。 ○澤参考人 そうですね。この添付資料を見ると最終観察時が□□□から□□、一番良く て□です。□という方が1人いらっしゃいますが、この方たちのほとんどが術前は□□□ から□□□という状態です。手動弁というのは手が眼前で動いているのが分かるだけ、指 数弁というのは指の数が2本ですか、3本ですか、というのが分かる程度ですから、こう いう方々にとってみると、もっと悪くなるというのを食い止められるということもしく は、少なくとも状態が維持できれば、満足が得られると言っても言い過ぎではないと思い ます。症例としても多いスティーブンス・ジョンソンのひどい方は、本当に見えないとい うことになりますし、こうした中で2番目の人は□□が□になっていますが、こういう人 たちは本当に大変感激だろうと思います。この程度の視力が得られるということで、今の ところ良しとするべきなのかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、この視力 経過の臨床経過では分かりませんけれども、免疫抑制をしていないとすぐ拒絶反応が起き て、また混濁してしまうという可能性がこの中に隠れているとは思います。 ○貫和委員 一過性に視力が良くなって、また戻っている方は、そういう可能性もあると いう理解でしょうか。必ずしもそうではなくて。 ○澤参考人 必ずしもそうばかりではないと思います。通常の角膜移植も一過性には少し 良くなって最終的なレベルに落ち着くということがみられます。我々はこうした難治性の 症例に対して話をするときは「3か月だったら何とか保たせられますが、長い目で見たら 術前と同等、場合によってはそれより悪くなることもあります。こうした事を理解の上で 手術を受けますか。」という説明をしながら現在もやっています。 ○早川部会長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは先生方からい ろいろな御意見、御議論をいただいたわけですけれども、議決に入ってよろしいですか。 それでは議決に入りたいと思います。本品目につきましては、本部会として指針への適合 性が認められ、確認して差し支えないものといたしたいと思います。よろしいですか。そ れではこの審議結果につきましては、薬事分科会において報告ということにしたいと思い ます。これで本議題終了ということですので、澤先生におかれましては御退室をお願いし ます。大変貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。審議事項については 以上です。 ── 澤参考人退室 ── ○早川部会長 続きまして報告事項に入りたいと思います。議題1について事務局より御 説明をお願いします。 ○事務局 資料2に沿いまして御説明申し上げます。資料2、「遺伝子組換え生物等の使 用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応 用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」 という資料をご覧ください。2ページで「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物 の多様性の確保に関する法律」、いわゆるカルタヘナ法の概要です。「目的」の部分を御 覧ください。国際的に協力して生物の多様性の確保を図るという目的ですが、それと同時 に、遺伝子組換え生物等の使用等に関する措置を講ずることにより、生物多様性条約カル タヘナ議定書への的確かつ円滑な実施を確保するという法律です。主務大臣として、厚生 労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣などを、それぞれの担当部分により、その基本的 な事項などを定めて規制しているところです。本法律では、遺伝子組換え生物の使用など に先立ち、使用形態に応じた措置を実施することが求められています。「遺伝子組換え生 物等の使用に係る措置」が三つ目にありますが、その右側の正方形の囲みを御覧ください。 「第2種使用等」と記載がありますが、今回、御報告するのはこの第2種使用、すなわち 閉じ込められた状態で環境中への拡散を防止しつつ、遺伝子組換え生物を使うというもの です。それぞれ厚生労働省令で拡散防止措置が定められていて、その措置に則って行うも のです。定められていない場合は、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置をと ることとされています。  1ページに戻っていただき品目、表題だけですが、3ページ以降に一覧表があって全部 で22品目あります。これは昨年の平成20年4月から本年4月までに、このカルタヘナ法 13条に基づき拡散防止の確認を行った品目です。いずれの確認においても、Good Industrial Large-Scale Practice、いわゆる優良工業製造規範、GILSPと略しているよ うですが、そちらに該当するものです。これで昨年が22ですが、平成16年8月からこの 法律は施行されていて、すべて今まで合わせると121品目の確認がなされています。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御報告に対しまして何か御質問等ござ いますでしょうか。 ○神田委員 どうでもいいことですけれども、ここには供与核酸の欄にタンパク質が書か れていて気持が悪いのですが。 ○早川部会長 これは何かコメントがありますか。 ○神田委員 いろいろなものがあって、16SrRNAとかORF6とか、何か良い書き方がな いのでしょうか。核酸=タンパク質みたいに見えてしまいます。 ○早川部会長 これはまた、今後の検討課題ということで、神田先生、もしお知恵があれ ば。 ○神田委員 供与核酸ないしコードするタンパク質とか、何か書き方があると思います。 ○機構 ただ今の委員の御意見について、基本的にはコードする遺伝子というふうに書け ばいいのですが、告示が既にこのような形になっていますので、それに合わせた書きぶり になっています。書きぶりについては今後、もし修正の必要があれば検討してまいりたい と思います。 ○神田委員 これでよければ別にいいのですが、パッと見ると、かなり気持が悪いですね。 ○医療機器審査管理室長 表の作り方を工夫させていただきたいと思います。 ○早川部会長 告示したものは、もう告示したものですから仕方がないですね。 ○医療機器審査管理室長 検討いたします。 ○早川部会長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ただ今御報 告いただいた事項については御確認をいただいたものとしたいと思います。これで本日の 議事は終了ということですが、事務局から何か連絡事項等がございますか。 ○事務局 特にございません。次回の部会の日程ですが、次回は11月6日(金)とさせて いただければと思っています。少々先になりますが、どうぞよろしくお願いします。以上 です。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは以上で本日の生物由来技術部会を終了 させていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 江原(内線 2912)      - 1 -