09/06/05 第62回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第62回労働政策審議会職業安定分科会 1 日 時 平成21年6月5日(金)17:00〜18:30 2 場 所 厚生労働省議室 3 出席者 委 員(公益代表) 大橋分科会長、白木委員、征矢委員、橋本(陽)委員 (労働者代表) 案田委員、石村委員、長谷川委員、古市委員 (使用者代表) 荒委員、市川委員、高橋委員、橋本(浩)委員 事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、及川審議官、 岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮川職業安定局総務課長、 小川雇用政策課長、水野雇用開発課長、坂口雇用保険課長、 高野職業能力開発局育成支援課長、 山口雇用・均等児童家庭局職業家庭両立課長補佐、 稲葉雇用・均等児童家庭局短時間・在宅労働課長補佐 4 議 題   (1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案について 5 議事内容 ○総務課長 定刻になりましたので、ただいまから第62回「労働政策審議会職業安定分科 会」を開催させていただきます。職業安定分科会長は、労働政策審議会令第6条第6項によ り、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出さ れることとなっておりまして、大橋委員が選出されておりますので、ご報告申し上げます。 以降の議事進行は大橋分科会長にお願いいたします。 ○大橋分科会長 職業安定分科会長に選出されました大橋です。よろしくお願いいたしま す。労働政策審議会令第6条第8項により、分科会長代理を公益委員から分科会長である私 が指名することになっておりまして、清家委員にお願いしております。  議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に新たに就任されました方をご紹介させて いただきます。公益代表委員として、学習院大学法学部教授の橋本委員です。労働者代表 委員として、日本サービス・流通労働組合連合副会長の案田委員です。全日本電機・電子 ・情報関連産業労働組合連合会書記次長の石村委員です。使用者代表委員として、上組代 表取締役社長の久保委員ですが、本日はご欠席です。王子製紙取締役常務執行役員人事本 部長兼務の橋本委員です。  当分科会の下に置かれております部会に所属している臨時委員等については、労働政策 審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することになっております。 事前に指名させていただいておりますので、新しい名簿について席上配付しております。  本日の委員の出欠状況は次のとおりです。欠席委員として、公益代表の岩村委員、清家 委員、宮本委員です。労働者代表の斉藤委員、徳茂委員、堀委員です。使用者代表の石井 委員、上野委員、久保委員です。  議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」 について、諮問する省令案と併せて、「現下の雇用失業情勢及び雇用対策の概要について」 事務局から説明をお願いいたします。 ○雇用政策課長 資料No.1-4「現下の雇用失業情勢及び雇用対策について」でご説明いたし ます。1頁で現下の雇用失業情勢ですが、厳しさを増している状況です。その下に、完全失 業率と有効求人倍率の動向のグラフを付けてあります。その網掛けの部分が景気後退期で す。前回のITバブル期、その前のアジア経済危機等の不況期に引き続いての今回の不況期 です。  直近のデータを見ますと、4月の完全失業率は5.0%、有効求人倍率は0.46倍ということ で、有効求人倍率については、平成11年6月の0.46倍という過去最低の数字に並んでいる状 況です。失業率については、対前月比で0.2ポイントの上昇で、有効求人倍率は0.06ポイン トの低下です。新規の求人倍率が4月は若干改善いたしましたけれども、4月の低下幅が0.06 ポイントとかなり大きいですので、5月で底打ちという感じはしなくて、もうちょっと下が るのかという感じです。失業率についてもこのグラフで見てのとおりで、求人倍率が底を打 ってから、半年か1年ぐらいかけてピークになっているのが過去の経験ですので、これから また一段の悪化が懸念される状況です。  そういう中で、ハローワークに来る事業主都合の新規求職者の数を見ると、前年同月比 105.4%の増ということで2倍以上になっています。日銀短観で見ても、全規模の製造業で 過剰感が大幅に増加していて過去最悪です。全産業でも過剰感が大幅に増加しております。 倒産件数を見ても、前年同月比9.3%増の1,329件ということで、11カ月連続して前年同月 比増加しています。雇用保険の受給資格決定件数も43.1%増、受給者数についても76.3% 増で、88万2,000人と大幅に増えている状況です。  2頁に、雇止め・解雇の状況が付けてあります。昨年10月から本年6月にかけて、期間満 了等における雇用調整の実施事業所、もしくは実施予定のところを見ますと、3,536事業 所で、21万6,408人となっております。その内訳を見ますと、派遣が13万5,000人で62.4%、 それから契約、請負という状況です。産業別に見ますと、製造業が中心となっている状況 です。 ○総務課長 同じ資料の続きを使いまして、雇用対策の状況及び取組状況についてご説明 いたします。3頁は、平成20年度中に実施している対策、あるいは平成20年度末以降さらに 対策を強化したもの、及びその状況について1枚にまとめたものです。左側にありますよう に、「雇用維持」「雇用創出・再就職支援」「セーフティネット・生活支援」「内定取消 し対策」と4つに大きく分けています。  いちばん上の「雇用維持」です。真ん中にありますように雇用調整助成金については、 事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業あるいは教育訓練・出向などで雇用を維 持した場合に、賃金、手当て等の一部を助成するものです。(2)(3)のように、対象労働者 を拡大したり、支給要件の緩和、申請事務の簡素化等を行っております。  さらに、右側の(1)のように、労働者の解雇等を行わない場合には助成率を引き上げる、 あるいは残業時間の削減により雇用を維持した場合に、新たに助成措置をするなどが3月 30日から行われているところです。雇用維持の関係では、派遣元・派遣先指針を改正し、 中途解除の際の、派遣元における雇用維持、あるいは派遣先から派遣元への賠償明記など を併せて指導の強化をするという取組も3月31日から行っております。  その結果として左側にありますのは、平成21年4月段階で、雇用調整助成金の実施計画 届受理状況です。中小企業の分も含めてですが、雇用調整助成金の事業所数としては6万 1,349、3月は4万6,558でしたので、約1万5,000の増加。対象者数については253万余、3月 は237万人でしたので、10数万人増となっています。残業時間の削減により雇用を維持し た場合の、残業削減雇用維持奨励金は、既に158事業所が取組を始めるという形のものが 出ています。  「雇用創出・再就職支援」の関係では、雇用創出のための基金を都道府県に2つの基金 として、1つは地域の求職者の雇用機会の創出の取組を支援する「ふるさと雇用再生特別 交付金」2,500億円、つなぎ雇用的な意味で「緊急雇用創出事業」1,500億円、これに対し てはすべての都道府県に対して交付を完了しております。  雇入れ助成の拡充、あるいは離職者訓練の強化ということで、39歳までの年長フリータ ー等、あるいは内定取消し就職未決定者を正規雇用した場合に、1人100万円を直接雇用し た事業主に助成する制度、あるいは離職者訓練の実施規模の拡充などに取り組んできたと ころですが、年度末以降、右側にありますように、「ふるさと雇用再生特別交付金」の拠 出の上積みができるよう、都道府県への文書、あるいは離職者訓練実施規模の拡充、介護 分野、IT分野等の長期訓練の実施に取り組んでいるところです。  「セーフティネット・生活支援」関係の(1)のように、ハローワークに特別相談窓口を開 設する。雇用促進住宅の入居あっせんについては、入居決定件数が5月29日現在で6,553件 です。労働金庫で、入居初期費用、家賃補助費、就職活動費などを貸与するものが、既に 貸付決定として8,237件あります。離職後も社宅・寮等に引き続き労働者を居住させる事業 主に対する助成措置については、事前計画状況、これは4月分だけですが344件、5,569人で す。職業訓練期間中の貸付についても、申請が183件、貸付決定が117件という状況です。  右側のように、年度末以降、さらにこれらについて雇用保険のセーフティネット機能の 強化ということで、これは既にご説明しておりますとおり、雇用保険法の改正が3月31日に 施行されていて、非正規労働者の適用の範囲の拡大、再就職困難な場合の給付日数の特例 的な延長という内容のものが既に施行されています。職業訓練期間中の生活保障の融資に ついても、対象者を拡大しているところです。  内定取消しについてはいちばん最後にありますように、全国の学生職業センターに特別 相談窓口を開設するとともに、内定取消しをしないよう、企業名公表も含め、企業指導を 強化しています。企業名公表については4月末で15社を公表しました。  4頁の、今回の経済危機対策に基づく取組をまとめた一枚紙でポイントをご説明させてい ただきます。全体としては、事業費ベースで2兆5,000億円です。左側のいちばん上は、雇 用調整助成金の拡充等です。上の2つについては、既に3月30日で実施している助成率の上 乗せ、あるいは助成対象の追加です。大企業に対する教育訓練費は、現在1,200円のものを 4,000円に引き上げます。今回の省令改正でお諮りします、1年間の支給限度日数200日の撤 廃。以上に基づく必要額の確保ということで6,000億円余が補正予算に盛り込まれています。  2「再就職支援・能力開発対策」ですが、「緊急人材育成・就職支援基金」を7,000億円 積みます。内容は後ほど述べさせていただきます。それとともに、職業能力開発支援の拡 充・強化、ハローワーク機能の抜本的強化、ということでそれぞれ所要額を積んでいます。  3「雇用創出対策」ということで、緊急雇用創出事業、都道府県の基金1,500億円を積ん でいたところについては、さらに3,000億円の積増しを行うという内容です。  右側に移りまして、IVの派遣労働者などの問題です。派遣切りの防止など派遣労働者保 護の強化、内定取消し対策、障害者の雇用対策、その中には今回お諮りいたします、障害 者に対する雇用調整助成金の助成率の引上げも加わっております。外国人労働者への支援 ということで、通訳・相談員の増配置、あるいは帰国支援の実施。  5の住宅・生活対策として、雇用と住居を失った者に対する、住居確保の支援、あるい は、継続的な生活相談・支援と併せた生活費の貸付などに取り組むことといたしております。  5頁は、先ほどご説明を省かせていただきました、7,000億円の「緊急人材育成・就職支 援基金」です。左側から、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主から、離職された方々、 ハローワークにおいてニーズや状況に応じて各種事業に送り出そうというものです。事業 は大きく3つに分けておりますが、5つの事業があります。いちばん上は「職業訓練」、訓 練期間中の生活保障として、1つは職業訓練の拡充です。新規成長、あるいは雇用吸収の見 込まれる分野などにおける長期訓練、あるいは再就職に必須なITスキル習得のための訓練 を行うとともに、雇用保険を受給していない方々に対し、訓練期間中の生活保障というこ とで、単身者は月10万円、扶養家族を有する者は月12万円を給付する事業です。さらに希 望者には、単身者は月5万円、扶養家族を有する者は月8万円まで貸付を上乗せする制度も 用意しております。  2番目は「中小企業等における雇用創出」です。これは2つに分かれていて、1つは実習型 雇用・雇入れの助成です。これは、十分な技能・経験を有しない求職者に対して、実習型 雇用ということで期間雇用として雇い入れていただき、その後正規労働者として雇い入れ た場合に助成する内容です。実習型雇用期間中は1人につき10万円、雇い入れた場合は1人 100万円という内容です。  2番目の柱は、職場体験、職場見学を通じて、例えば介護・ものづくり分野など、従来の 仕事から離れた分野について、求職者に対して体験、見学を通じて新たな分野に入ってい ただこうというものです。同様の助成を行う予定としております。  3番目の柱は長期失業者・就職活動困難者に対する再就職支援を、民間の力を借りて行お うというものです。長期失業者に対しては、民間職業紹介事業者に委託し、カウンセリン グ・再就職先の開拓・セミナーの実施などによる再就職支援と定着支援を実施していただ こうという内容です。2番目は、就職活動困難者、特に住居を喪失して就職活動が困難とな っている方々に対し、こちらも民間職業紹介事業者に委託し、再就職支援と住居・生活支 援を併せて実施していただきます。住居の提供や就職活動費の支給を行うものです。  そのほかにこの基金では、日系人あるいは研修・技能実習生への帰国支援の実施も行う こととしております。雇用対策の取組状況については以上です。  引き続き、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてご説明させて いただきます。資料No.1-1、資料No.1-2、資料No.1-3と3種類用意しておりますが、最初に資 料No.1-2をご覧ください。今回は、ここに書いてある5つの助成金制度についての改正です。 内容については資料No.1-3をご覧いただきますと、この5つの助成金に○が付いているもの が今回お諮りする内容を見直すものです。特に網掛けが付いている育児・介護雇用安定等 助成金、短時間労働者雇用管理改善等助成金は、均等分科会で既に議論がなされたと聞い ております。キャリア形成促進助成金についても能開分科会で議論すると聞いております。  資料No.1-3を1枚めくりますと、「雇用調整助成金の見直し」です。これを利用してご説 明させていただきます。資料No.1-1を1枚めくりまして要綱の第一の一「雇用調整助成金及 び中小企業緊急雇用安定助成金制度の改正」のところも併せてご覧ください。先ほどご説 明いたしましたように、雇用調整助成金、あるいはその中小企業版であります中小企業緊 急雇用安定助成金については、事業活動の縮小を予儀なくされ、休業、教育訓練、出向等 を行った事業主に対する、賃金等の一部を助成する内容です。  これについては右側の「見直し概要」をご覧いただきますと、これはどちらも内容はほ ぼ同じです。従来、支給限度日数として1年で200日、3年間で300日という限度がありまし たが、このうち1年間200日の支給限度日数を撤廃いたします。障害者に関する助成率につ いては、大企業2/3、中小企業4/5となっておりますが、それぞれ3/4、9/10に引き上げるも のです。雇用維持要求を満たした事業主に対し、既に休業の場合には助成率を引き上げて おりますが、今回は出向に関する助成率についても併せて同様に引き上げようというもの です。従来、教育訓練については1日単位を原則としていて、その受講日に対象労働者を業 務に就かせないものであることを要件としていましたが、半日単位の教育訓練も助成対象 とするということで、この要件を撤廃するという内容です。以上の内容が、要綱第一の一 の(一)から(四)の内容です。  3頁と、省令案要綱については2頁をご覧ください。こちらは、試行雇用奨励金の中に、 「実習型試行雇用奨励金」を創設するものです。これは先ほど申しました基金事業の中で、 十分な技能・経験を有しない労働者が、期間を定めて実習を受ける場合に、この試行雇用 奨励金を支給する内容です。これは、従来からありますトライアル雇用、試行雇用奨励金 と同様の趣旨・目的・内容であることから、この部分については3カ月分を限度として、1 人月額4万円をこちらの奨励金で支給し、それに対して基金のほうで上乗せなり、横出しな りをする内容となっております。総計の額は先ほど申し上げた内容になります。  4頁は育児・介護雇用安定等助成金です。この助成金は、短時間勤務制度の導入・利用促 進に向けた取組を行い、利用者が生じた場合に事業主に支給する内容です。従来、中小企 業については、3歳に達するまでの子を養育する被保険者に対しての制度、大企業について は、小学校就学に達するまでの子を養育するまでの制度しか設けていないものについては 対象となっていませんでしたが、中小企業についてはすべての場合を対象とし、大企業に ついては3歳未満までの制度しか設けないものを除いて助成対象とする、という内容が改正 内容の1点目です。  もう1点は、期間を定めて雇用される者も利用できる制度です。先ほど申しました短時間 勤務制度は、期間の定めのない方を対象としておりますが、期間を定めて雇用される者も 利用できる制度を設けて、利用実績が出た場合にも助成するという内容改正です。  5頁は、短時間労働者均衡待遇推進等助成金です。要綱については、「短時間労働者の雇 用管理の改善等に関する法律施行規則の一部改正」ということで4頁です。見直しの表の横 の5頁の左側を見ますと、短時間正社員制度を設けて、最初の制度利用者が出た場合に、中 小企業は40万円、その他は30万円という形での制度です。2人目以降10人目までの利用者に ついても、助成金の支給対象にするということで、右側にありますように2〜10人目までに ついて、中小企業では15万円、その他にあっては10万円を加算するという内容です。  6頁と、要綱の2頁から3頁にかけてキャリア形成促進助成金です。これは、実践型人材養 成システム、認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練などを事業主が受けさせた場合に事 業主に助成するものです。右側にありますように、従来は賃金の3/4等の定めをしていまし たが、今回はその助成率を4/5に拡充するという内容とともに、OFF-JTを行った場合に、1 時間当たり800円、従来のOJTの場合であっても600円から800円に内容を引き上げるという 内容とともに、2番にありますように、初めて訓練を受ける方が発生した場合に、導入奨励 ということで20万円を付加するという内容です。これは、中小企業事業主に対してですが、 そのような内容を付け加えるといった内容です。  以上のような内容について、要綱の4頁にあるように、公布の日から施行するということ です。ただし、先ほどの基金関係の事業については、基金の実施は7月を予定しているとい うことで7月10日から、第一の一の(三)の出向に関する助成については遡って適用すると いうことで、4月1日から適用するという内容になっております。以上で説明は終わらせて いただきます。 ○大橋分科会長 本件についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○石村委員 「現下の雇用失業情勢及び雇用対策について」の資料で、雇用調査助成金の 申請から実際にお金が出るまでには、いま大体どれぐらいの期間がかかっているのですか。  それから「再就職支援、能力開発対策」のところで、ハローワーク機能の抜本的強化で かなりの金額が予定されています。ここでは、ハローワークの人員・組織体制の抜本的充 実・強化ということなのですが、具体的にはどのようなことをされようとしているのかを 教えてください。 ○雇用開発課長 最初のお尋ねの雇調金の支給申請から実際の支給までどれぐらいかかる かということですが、いま支給申請は大変急増しています。そういう中で目標としては、 初回の申請については2カ月以内、2回目以降の申請については1カ月以内に支給させていた だくことを目標として取り組んでいるところです。  実態ということで申し上げますと、概ね初回については、特に書類の不備等がなければ2 カ月以内に支給ができています。2回目以降については、労働局によっては1カ月を過ぎて いる所もありますけれども、そういう所は早急に効率的な方策を取り入れて、また体制の 整備もして1カ月以内に支給できるようにしていきたいと思っております。 ○総務課長 ハローワークの抜本的機能強化のところですが、人員・組織体制の抜本的充 実・強化ということで、まずハローワークの職員については、失業給付や雇用調整助成金 の支給業務を担当する者として、平成23年度末までの措置として304人の増員が認められて います。  また、ハローワークの相談員については7,000人余の増員が認められております。その中 には求人開拓を行う求人開拓推進員1,215人、いま申し上げました雇用調整助成金などの助 成金の支給申請アドバイザーなどで1,084人など、抜本的な充実・強化を図り、そのような 方々を使って、非正規労働者の就労支援体制とか、福祉人材コーナーの充実、求人開拓、 職業訓練情報の提供といったものに取り組んでいこうと考えております。 ○案田委員 雇調金についてですが、製造業に限らずサービス産業の中でも、このような 事業の縮小が考えられると思います。具体的には店舗の定休日を設定していくなどのケー スはあろうかと思います。そういう場合に、解雇を回避するために休業という扱いをする 場合などもあろうかと思います。そのような場合でも、助成金の「事業の縮小を余儀なく された場合」に、休業等で対応するという趣旨を踏まえ、サービス産業の特性も考慮しな がら、是非運用をお願いしたい、また周知などをお願いしたいと思っております。そうい う意見の上で、具体的にサービス産業でどういう事例があるかどうか、そういうことにつ いて質問いたします。 ○雇用開発課長 サービス産業における雇用調整助成金の活用ですが、もともと雇用調整 助成金の利用は製造業が多かったわけですが、それ以外の業種でも当然ご利用いただける ということです。特に、従来支給要件である生産量要件というのがありました。生産量が 減っていないと助成対象にならなかったのですが、そういうものをサービス業等でも利用 しやすいように、売上高を見て、それが減っていれば助成対象にするということで、より サービス業が利用しやすいように制度を改めているところです。  どういう事例があるかということですが、業種別の数字はまだ集計できていないのです が、感触として具体的な事例ではないのですけれども、サービス業の利用は増えているの ではないかと思います。個別の事例は把握しておりませんが、派遣会社等でも使っている 事例はあろうかと思います。 ○長谷川委員 いまの質問で回答のあった派遣会社についてですが、当初は雇調金を使っ て雇用を維持しようということで、サービス業だとか派遣も使えるようにということで、 本日の雇用対策の中でも、派遣元に関するいろいろな指導が出されています。派遣元が雇 調金を使って雇用を維持するときに2つの方法があると思います。1つは、派遣会社の職員 の雇用維持と、それから派遣先に派遣しているスタッフの雇用維持とどっちに使っている のですか、どっちにも使っているのですか。 ○雇用開発課長 その辺もまだ十分実態を調査しきれていないのですけれども、基本的に 雇用調整助成金というのは、事業主と雇用関係のある労働者が対象になりますので、派遣 労働者であっても、派遣元に雇用されている方であれば当然対象になります。それから、 派遣労働者以外でも雇用関係があれば当然雇調金の対象になります。 ○長谷川委員 これからの雇用政策をどのように打っていくのかというときに、今回のさ まざまな経験は次のときにも活かされていくと思うのです。今回、雇調金はどちらかとい うと製造業で使われてきたわけですけれども、サービス業でも使えるようになったときに、 どういうサービス業の所で、どういうふうに使われているのか。それから、最大の非正規 の問題である派遣の場合、派遣元が使用者ですから、そのときに労働者を分解すると、派 遣元の職員と、派遣先に行くスタッフの人たち、そこは常用と登録とあるわけです。そう いうものが、どういう形で活用されているかというのは、統計などを取りながら次の準備 をしていただければと思いますので、ない資料はこれから統計を取っていただきたいとい うのが1点です。  そういう意味で、労使も要請したわけですが、今回は、政府は雇調金を活用して雇用を 維持することが非常に効いているのだと思うのです。雇調金に関して、いま構成組織から 私どもに提起されている1つは上限の問題です。出向について2/3から3/4にする。前回は 休業の場合もこういうのがあったのですが、2/3から3/4というのは確かに拡大されている わけです。実際は上限があるので、結果的には使えないので、上限をなんとかしてくれと いう声があるので、それについての見解を聞かせてください。  それから訓練に関して言うと、いまは操業を短縮しているし、機械を止めている所があ るので、日ごろ能力開発がなかなかできない面を補う意味で、この時期に能力開発をスキ ルアップしたい。しかし、どうもその訓練のところの使い勝手がいまひとつだと言われて います。今言ったような雇調金を使いながら能力開発、これはジョブトレーニングになる のだと思うのですけれども、そういうことは可能なのかどうなのか。もし何か問題がある とすれば、どういうところが問題なのかを聞かせていただきたいと思います。  いま雇調金はいっぱい使われていて、これはいままで労使がしっかりと溜め込んできた といいますか積んできたお金を使っているのだと思うのです。これが、これ以降も大丈夫 なのかどうなのかを聞きたいと思います。  当初、大学生についての内定取消しが言われていましたけれども、私どもで会議をやり ましたら、宮城のほうから高校生の内定取消しが非常に深刻な問題になっていると言われ ました。本日も対策が出されましたけれども、大学生だけではなくて、高校生の内定取消 しについてもきっちりとした対応をしていただきたいと思います。  セーフティネットの不十分なところを緊急の措置でいろいろやっていただいているので すが、都営だとか、県営だとか、市営といった住宅を借りながら、住宅を失った人たちの 住居の確保をしています。失業保険も切れてきて、かつ公営の住居から追い出されるよう な状態が出ているので、この対策をというのを私どもの構成組織から言われています。そ ういうことを厚生労働省が把握しているのかどうかを聞かせてください。 ○雇用開発課長 雇調金の関係で何点かご指摘をいただきましたので、コメントさせてい ただきます。派遣関係等の利用状況の実態調査ですけれども、私どももそういう問題意識 は持っているのですが、いまの段階では大量の申請について迅速に支給をすることに重点 を置いておりましたので、まだ十分調査ができておりません。今回の補正予算で体制整備 もできましたので、ご指摘いただいたような点も踏まえ、いろいろな実態が分析できるよ うに調査してまいりたいと考えております。  2点目の助成額の上限の関係については、以前もこの分科会でご指摘をいただきました。 雇調金の助成額の上限というのは、ご案内のとおり雇用保険の失業給付の上限額でありま す。雇調金というのは、雇用保険を財源としている事業ですので、基本的な考え方として は、失業給付の上限を上回る助成額にするのは難しいということです。おっしゃるように、 助成率を引き上げても上限額に引っかかってしまうケースがあるのは、私どもも承知して おりますけれども、そこのところは失業給付との兼合いで、限られた財源をいかに効率的 に使うかという観点からもなかなか難しい問題かと思っております。  3点目の訓練の関係ですが、これもご指摘のように、いままでいろいろな要件があって、 特に通常行われる訓練ではないことというところが非常に厳格に解釈されていて、事業主 が希望される訓練が雇調金の対象になりにくいという実態がありました。そういうことが ありましたので、この3月に教育訓練の基準を大幅に見直しまして、基本的にはネガティ ブリストにして、それに該当しない限り原則としてすべて助成対象にするということでや っていて、いま地方にも徹底しておりますので、いままでに比べればより幅広い教育訓練 が雇調金の対象になるのではないかと思っております。  また、事業主によっては、どういう教育訓練をやっていいかわからないとおっしゃる方 もおられるかもしれませんが、その訓練の中身については、ハローワークだけでは十分な ご提案ができない部分もありますので、そこは訓練の専門家である雇用・能力開発機構と も連携しながら、必要に応じて具体的なカリキュラムの提案等もできるようにしてまいり たいと考えております。  それから、雇調金の支給申請が大幅に増えている中で大丈夫かというご懸念ですけれど も、今年度の当初予算は580億円だったわけですが、その後、雇調金の支給申請が非常に 増えているということで、今回の補正予算で6,000億円を計上していただいております。 雇調金というのは、そのときどきの経済状況や、企業の需要の動向によって出るときはす ごく出ますけれども、出ないときには全く出ないというように、変動が非常に大きいとい うことがありますので、現時点で確たる見通しを申し上げるのはなかなか難しいと思いま す。ただ、これまでの状況を見ますと、例えば4月の実施計画の対象者数は、3月までは月 を追うごとに桁が増えるような増え方だったのですが、それが4月は先ほど総務課長から ご説明しましたように、15万人程度の増にとどまっていることもあり、こういった状況で あればなんとか今年度は6,000億の予算で十分やっていけるのではないかと考えております。 ○総務課長 残り2点ですが、まず内定取消しの関係です。平成21年3月の学卒者の採用内 定取消し全体で、私どもが把握している限りで2,125件です。そのうち高校生につきまし ては381人という状況です。一方で、私どもで新たに確認しました入職時期の繰下げの資 料で見ますと、確認できた概数ですが、全体で1,093人の中で高校生511人ということで、 やはり高校生の問題は非常に大きな問題だと認識しています。この辺りは、ハローワーク、 労働局、学校と連携を強化し、この内定取消し問題を含め、学卒者に対する対策について は万全を期していきたいと思います。  住宅を失った方々に対する対策等の観点ですが、先ほどご説明申し上げましたように、 雇用促進住宅の活用などで、現在6,553軒の住宅に昨年12月以来入っていただいています。 中には、なかなか就職に結び付かない方もおられるということで、雇用促進住宅について は引き続き入居を続けられるような形での対応も考えているところです。  雇用保険についても、先ほど申しました改正雇用保険法の施行により、給付日数の特例 的な延長もあります。このようなものを活用しつつ、状況などもよく把握した上で適切な 対応を今後とも考えていきたいと思っております。 ○橋本(浩)委員 基本的なところをお伺いします。1年間200日の限度日数がありますけ れども、3年の300日というのは残るのですか。 ○雇用開発課長 おっしゃるとおり、3年、300日は残ります。 ○橋本(浩)委員 既に実施というか、既に受けている者には限度が出てくるということ ですか。いま以前にです。 ○雇用開発課長 そうです。いつから休業を始めているかにもよりますけれども、既に休 業している部分は300日から差し引かれることになります。 ○大橋分科会長 その他はよろしいでしょうか。 (特に発言なし) ○大橋分科会長 特にご質問、ご意見がないようですので、当分科会としては厚生労働省 案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますがよ ろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、報告文案の配付をお願いいたします。 (報告文案の配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛、 報告することとしてよろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。その他、全般にわたっ てご意見はございませんでしょうか。 (特に発言なし) ○大橋分科会長 本日の分科会はこれで終了いたします。 (署名委員指名) どうもありがとうございました。 (照会窓口) 厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)