09/06/03 第4回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録 第4回目安制度のあり方に関する全員協議会議事録 1 日 時  平成21年6月3日(水)10:00〜11:30 2 場 所  厚生労働省省議室 3 出席者   【委員】 公益委員   今野会長、勝委員、武石委員、中窪委員、野寺委員、               藤村委員    労働者委員  石黒委員、木住野委員、北田委員、田村委員、團野委員、                 萩原委員        使用者委員 池田委員、小林委員、高橋委員、山崎委員、横山委員、                 吉岡委員   【事務局】厚生労働省  氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、             山口主任中央賃金指導官、伊津野副主任中央賃金指導官、             平岡課長補佐 4 議事内容   目安制度のあり方について 5 議事内容 ○今野会長  ただ今から、第4回目安制度のあり方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、賃 金改定状況調査等の参考資料のあり方についてフリーディスカッションをしていただきた いと思っています。事務局に資料を作成していただいていますので、まず事務局から資料の 説明をいただいてから議論をしたいと思います。よろしくお願いします。   ○平岡課長補佐  本日は、資料1から8まで用意しました。まず、資料1は毎年の目安を審議するために事 務局から提出している基礎資料の目次です。昨年度の目安に関する小委員会の資料を付けて います。「I全国統計資料編」、「II都道府県統計資料編」、「III業務統計資料編」の3部構成 となっております。2頁の「I全国統計資料編」では、GDPなどの主要経済指標、有効求人 倍率などの労働市場の状況を示す指標、賃金・労働時間の推移、春期賃上げの妥結状況、物 価の動向として消費者物価指数の推移、企業の業況判断などの資料を幅広く提示しています。 また、最低賃金との関係では、3頁の項目の7の未満率や影響率の推移、一般労働者の賃金 水準との関係を示す資料についても提示しています。  「II都道府県統計資料編」では、都道府県別に1人当たり県民所得、標準生計費、高卒初 任給、有効求人倍率の推移、賃金・労働時間関係の資料、春季賃上げの妥結状況、消費者物 価指数の推移などの基礎資料も提示しています。  4頁の「III業務統計資料編」では、地域別最低賃金の改定状況についての資料、最低賃金 の履行確保を主目的とする監督指導結果などの資料を提示しております。  5頁に移ります。資料2は「平成20年賃金改定状況調査結果」です。これは目安を審議 するための基礎資料として、厚生労働省が賃金の改定状況について調査を行い、目安に関す る小委員会に結果を提出しております。調査の概要、第1〜4表、参考1〜5表、付表で構成 されています。第1〜4表は6〜9頁までですが、賃金改定実施状況別の事業所の割合、事業 所の平均賃金改定率、事業所の賃金引上げ率の分布の特性値、一般労働者とパートタイム労 働者の賃金上昇率を示しております。  参考1〜5表は10〜14頁までですが、基本的に先ほどの第1〜4表を県庁所在都市・地方 小都市別に示しております。  15頁の付表は、基礎データとして平成19年及び平成20年におけるパートタイム労働者 の比率、男女別労働者数の比率、平成18年度及び平成19年度における年間所定労働日数を 示しております。  16頁ですが、資料3は、賃金改定状況調査の概要を整理しております。調査対象の地域 は、都道府県の県庁所在都市と、都道府県ごとに原則として人口5万人未満の市から選定し た1つ又は複数の市、これを地方小都市と称しておりますが、これらの区域としております。 調査対象の事業所は、常用労働者数が30人未満の企業に属する民営事業所で、県庁所在都 市から約3,000、地方小都市からは約1,000の計約4,000事業所を調査しております。調査 対象労働者数は約3万1,000人となっております。調査項目は、当該年の6月の事業所の名 称、労働者の性別などに加えて、前年の6月及び当該年の6月の労働者の月間所定労働日数、 1日の所定労働時間数、労働者の所定内賃金額などを調査しております。この調査の基本的 な性格としては、賃金額の実態把握ではなく、賃金改定率など賃金の改定状況を把握するこ とを目的としております。また、各年6月分の賃金の実態調査を行い、その調査結果を7月 に目安審議の資料として提出することから、極めて短期間に調査票を回収し、集計する必要 があるなど迅速性が求められております。  17頁は、調査事業所のサンプルの状況を示しております。各産業間の割合は、(1)にあり ますが、製造業:卸売・小売業:飲食店,宿泊業:医療,福祉:サービス業の事業所数の比 率が6:3:1:1:2となっております。このうち、県庁所在都市については、同じく3:3: 1:1:2となっております。一方、地方小都市は製造業のみとなっており、県庁所在都市の 製造業との比率は1:1となっております。また、規模別では(2)に記載しているような構成 比となっております。なお、これらについては、日本標準産業分類の変更がありました関係 で、今年度からは「(平成21年度より)」と括弧書きで記載のあるとおりに変更することと しております。  18頁に移ります。地方小都市の選定方法は4にありますが、原則として人口5万人未満 の都市であって、都道府県内の賃金実態から見て比較的賃金水準が低い都市を選定しており ます。また、調査を迅速に行う必要がありますので、労働基準監督署が設置されている等に より、調査の便宜が得やすい都市を対象としております。なお、参考までに、19頁に賃金 改定状況調査の調査票を添付しております。  次に、賃金改定状況調査のこれまでの検討状況について説明いたします。20頁の資料4 になります。賃金改定状況調査の沿革は1の(1)の項目ですが、昭和53年の目安制度の始ま りとともに調査を開始しております。そして、昭和54年からは調査対象事業所に地方小都 市の事業所を加え、昭和58年からはランク別、産業別に事業所センサス、すなわち総務省 の事業所・企業統計調査のデータを基に復元を行っております。  2の項目は、昭和57年から昭和58年にかけての全員協議会の議論についてです。労働者 側からは、調査対象の事業所規模を製造業は100人未満まで拡大すべきであるとの主張がな されています。一方、使用者側からは調査対象地域を郡部の町村にまで拡大すべきであると の主張がなされています。この点については、毎月勤労統計調査の結果を用いて、過去の規 模別の賃金上昇率の比較を行ったところ、調査対象を製造業について100人未満まで拡大し ても、現行の調査と調査結果の差異がほとんど認められなかったようです。また、調査対象 地域は既に地方小都市の事業所も調査対象としており、十分な標本数を確保していることな どから、当面は現行どおり実施することが適当であるとして労使の合意が得られております。  3の項目は、平成元年の目安制度のあり方に関する全員協議会における議論についてです。 平成元年2月に目安制度のあり方に関する全員協議会が設置されましたが、その際の議論で は、労働者側からは調査対象事業所規模のあり方を検討することが主張されております。一 方、使用者側からは調査対象地域を都市部に偏重している状況を改めて、できるだけ地方小 都市、郡部を対象とし、各県において賃金水準の異なる地域の実態を十分反映するような調 査を行うべきだという主張がなされております。21頁にありますように、これらについて は結局、合意に至っておりません。  4の項目は、平成7年の目安制度のあり方に関する全員協議会における議論についてです。 平成5年3月に目安制度のあり方に関する全員協議会が設置されましたが、その際の議論で は、労働者側からは地域別最低賃金の改正に際して、労働時間短縮の効果が勘案されておら ず、一般賃金に対する地域別最低賃金の比率や影響率に低下が見られることについて問題提 起がなされております。一方使用者側からは、影響率の高低の善し悪しを一概には言えない として、目安決定の参考資料は従来どおりで良いという主張がなされております。この目安 制度のあり方に関する全員協議会では、平成6年5月に中間的な取りまとめを行っておりま す。ここでは、パートタイム労働者の賃金水準とそのウエイトの変化、男女構成比の変化及 び就労日数の増減を反映した方式とすることが望ましいとされております。その後、さらに 検討が重ねられており、(4)ですが、目安審議の際の重要な参考資料である賃金改定状況調 査結果の第4表の賃金上昇率の算出方法について、一般労働者及びパートタイム労働者の全 労働者について賃金上昇率を求めること。次に、従来、男女構成比の変化が反映された賃金 上昇率と、当該影響を除去した賃金上昇率を算出していましたが、今後は男女構成の変化を 反映したもののみ算出すること。次に、就労日数の増減が反映されるように、賃金上昇率を 算出すること。その際、各年の調査月の所定労働日数が日曜日の数等によって変動すること もありますので、このようなイレギュラー要因を除去するため、年間所定労働日数も併せて 調査し、これにより月間の所定労働日数を調整することが目安制度のあり方に関する全員協 議会報告に盛り込まれ、平成7年4月の中央最低賃金審議会で了承されました。  5の項目は、平成12年の目安制度のあり方に関する全員協議会における議論についてで す。平成11年4月に目安制度のあり方に関する全員協議会が設置されましたが、その際の 議論では、労働者側からは賃金改定状況調査の対象を全労働者とすべきとの主張がなされて おります。一方、使用者側からは調査対象労働者数や調査対象企業数を拡大する必要はない との主張がなされております。審議の結果、賃金改定状況調査の位置づけとしては、その調 査の結果を重要な参考資料としつつも、これまで以上にその時々の状況を的確に把握の上、 総合的に勘案して目安を審議し、決定していくことが合意されております。  6の項目は、平成15年1月の中央最低賃金審議会での了承事項です。こちらは、平成14 年に日本標準産業分類が改定され、従来のサービス業がいくつかに分類されたことなどから、 平成16年の調査から賃金改定状況調査の対象産業を以前の3産業から5産業へと変更され ております。  7の項目は、平成16年の全員協議会における議論についてです。平成15年10月に目安制 度のあり方に関する全員協議会が設置されましたが、その際の議論では調査対象事業所につ いて、労働者側からは少なくとも100人未満まで企業規模を拡大すべきという主張がなされ ました。一方使用者側からは、地方小都市の事業所の比率を増加すべきという主張がなされ ました。また、第4表の賃金上昇率の計算方法について、労働者側から一般労働者とパート タイム労働者の構成比の変化を除去すべきという主張がなされました。一方使用者側からは、 計算方法の変更は慎重であるべきという主張がなされました。その後の審議を経て、パート タイム労働者の構成比の変化を除去した計算方法とすること、また、今後パートタイム労働 者の構成比に限らず、何らかの労働者の構成比の大きな変化により賃金上昇率が影響を受け る場合には、その影響を除去することが目安制度のあり方に関する全員協議会報告に盛り込 まれ、平成16年12月の中央最低賃金審議会で了承されました。なお、調査対象事業所の変 更については意見の一致を見ず、賃金改定状況調査が短期間に調査結果の集計が求められる という性格も考慮すると、当面、調査対象事業所は変更しないことが適当とされました。  最後に、23頁の8の項目は、本年2月の中央最低賃金審議会での了承事項ですが、日本 標準産業分類が改定され、調査対象産業について、以前の5産業から7産業へと変更されて おります。  24頁に移ります。資料5は、平成6年から平成17年にかけての賃金上昇率の計算方法の 変更点をまとめたものです。平成6年度以前、平成7年度から平成16年度まで、平成17年 度以降の相違について示しておりますが、3点ほど変更点があります。1つ目は、平成6年 度までは一般労働者とパートタイム労働者を別々に計算していましたが、平成7年度から平 成16年度までは一般労働者とパートタイム労働者の構成比の変化を反映させるために合算 していました。そして、平成17年度以降は一般労働者とパートタイム労働者の構成比の変 化を除去して計算することとしております。2点目は、平成6年度までは男女構成の変化を 除去したものと反映したものの両方を計算していましたが、平成7年度以降は男女構成の変 化を反映したもののみ計算しております。3点目は、就労日数の増減について、平成6年度 まではないものとして計算しておりましたが、平成7年度以降は増減を反映して計算してお ります。  25頁は、一般労働者とパートタイム労働者の構成比の変化による影響について、変化を 除去しない場合と除去した場合の試算結果を示したものです。仮定として、平成19年の一 般労働者の平均時給が1,000円、パートタイム労働者の平均時給が650円としております。 従業員数については、一般労働者が90人、パートタイム労働者が10人の合わせて100人だ ったとします。そして、平成20年の一般労働者の平均時給が1,100円、パートタイム労働 者の平均時給が715円と、それぞれ10%ずつ上昇したとします。その際、従業員の構成比 も変化し、一般労働者は50人、パートタイム労働者も50人と同数になったとしております。 平成16年度までの一般労働者とパートタイム労働者の構成比の変化を除去しない計算方法 ですと、下の左側の箱になりますが、平成19年、平成20年のそれぞれの一般労働者、パー トタイム労働者の人数にそれぞれの平均時給をかけ、総人数で割るという計算を行うと、賃 金改定率は-5.9%となります。一方、右側の箱は平成17年度以降の計算方法ですが、平成 20年の平均賃金を算出するに当たり、平成19年の一般労働者とパートタイム労働者の構成 比で計算しており、賃金改定率は+10%となります。  次に、その他の参考資料について説明いたします。26頁になります。資料6は目安に関 する小委員会で使用されている資料を中心に、最低賃金の決定原則に沿うものを整理しまし た。即ち、最低賃金法第9条において、最低賃金は労働者の生計費、労働者の賃金、通常の 事業の賃金支払能力を考慮して定めなければならないこととされておりますが、ここでは都 道府県の標準生計費、消費者物価指数等の推移、所定内給与と最低賃金との関係、日銀短観 等による企業の業況判断や収益の状況について整理しております。  27頁ですが、都道府県の標準生計費になります。この資料は、毎年の目安に関する小委 員会に資料として提出しておりますが、原則、県庁所在地の4人世帯、月額の標準生計費を グラフ化したものです。これを見ると、概ね20万円から25万円までの範囲となっておりま す。ここでの棒グラフは、各都道府県の標準生計費、折れ線グラフは標準生計費の各ランク 平均額になります。なお、標準生計費は、実際の消費状況を調査した総務省の家計調査を基 に計算されたものですが、調査対象となった世帯によって数字が上下に大きく振れることが あります。このため、資料の作成に当たっては、2006年から2008年までの平均の値を採っ て、ならすようにはしておりますが、ぶれが大きい数字であることについて御留意いただけ ればと思います。  28頁ですが、同じく、原則、県庁所在地の1人世帯、月額の標準生計費です。これを見 ると、概ね9万〜11万円の範囲となっております。  29頁は、消費者物価指数等の推移について整理しております。年単位で見たものですが、 日本経済は持続的に物価が下落しておりましたが、最近は上昇しております。同じく年単位 で見ると、消費者物価指数の動向については右下の表で丸で囲った部分になりますが、1999 年から2005年にかけて、前年比で下落傾向にありましたが、2006年からは上昇傾向にあり ます。  30頁は、地域別最低賃金と時間当たりの所定内給与を比較したものとなります。2つ表を 付けておりますが、上の表の真ん中辺りの丸で囲った部分です。一般労働者、産業計・企業 規模10人以上で、近年、地域別最低賃金は所定内給与の37%から39%程度で推移しており ます。これを産業計・企業規模10人から99人に限ると、右端の丸で囲った部分ですが、43% から46%程度で推移しております。一方、短時間労働者、産業計・企業規模10人以上で見 た場合、これは下の表の丸で囲った部分ですが、69%から72%程度で推移しております。  31頁は、都道府県別に時間当たりの所定内給与に対する最低賃金の割合を見たものです。 一般労働者、産業計・企業規模10人以上で見ております。これによると、上位ランクの県 で割合が低く、各ランクごとに見た場合にはランク内での上位県で低いという傾向が見られ ます。  32頁は日銀短観から企業の業況判断の推移を見たものです。グラフは、製造業、非製造 業と企業規模別で見たものです。また、「良い」と回答した企業割合から「悪い」と回答し た企業割合を引いたパーセントポイントが縦軸となっております。これを見ると、直近の状 況としては、製造業・非製造業ともに悪化しております。  33頁ですが、これも同じく日銀短観から売上高経常利益率の推移を見たものです。なお、 売上高経常利益率は、パーセントが高ければ経営状況が良いことを示しております。これに よると、製造業中心に平成20年度は急速に悪化しております。  34頁は、中小企業景況調査から産業別の業況判断の推移を見たものです。前年同期と比 べて、好転または悪化という業況判断を見たものとなります。これによると、過去3年間の 業況判断の動きは、すべての産業において「悪化」超の幅が拡大しております。  35頁は資料7です。これは平成2年度以降の地域別最低賃金の未満率及び影響率を見た ものです。下に注を付けておりますが、未満率は最低賃金を改正する前に改正前の最低賃金 を下回っている労働者の割合であり、影響率は最低賃金を改正した後に改正後の最低賃金を 下回ることになる労働者の割合になります。未満率については、平成3年度以降、1%台で 推移しております。また、影響率については平成4年度までは高い水準でしたが、平成5年 度以降、概ね2%程度で推移し、平成15年度から平成18年度にかけて少し低下したものの、 平成19年度以降上昇しております。  36頁は資料8になります。これは前回の第3回目安制度のあり方に関する全員協議会に おける会長の御発言を受けて事務局で作成したものです。「地域別最低賃金額のランクごと の変動係数の推移」になります。  37頁ですが、この変動係数とはデータのばらつき具合を表す指標で、前回お示しした標 準偏差をデータの平均値で割ったものとなります。この数値が大きくなれば、ばらつきが拡 大したことを示します。変動係数は、標準偏差と比べてデータ全体の数値が大きく変化した 場合、例えば最低賃金額が日額から時間額になった場合であっても、ばらつき具合の推移を 適切に見ることができるという特徴があります。  36頁に戻って、これによると各ランクでは、ばらつきは縮小傾向にありましたが、近年A ランクとBランクでは、ばらつきが拡大しております。また、下のランク間でもばらつきは 縮小傾向にありましたが、近年ばらつきが拡大しております。私からの説明は以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。御意見を伺う前に、この資料について不明な点等がありまし たらどうぞ。   ○萩原委員  1つ質問というか、聞かせていただければと思うのですが、説明いただいた資料のうちの 資料6の取扱いについてです。資料6については、御説明の冒頭にもありましたとおり、改 正最低賃金法第9条の地域別最低賃金決定の3要素、労働者の生計費、賃金及び通常の事業 の賃金支払能力に関連する資料として、それぞれ標準生計費、所定内給与との比較、企業の 業況判断等について特に取り出して、資料6として今回、資料配付・説明がされております。 地域別最低賃金の決定においては、先ほど言いました3要素について、資料1にあるとおり、 それぞれの要素についてさまざまな関連資料に基づく論議がなされてきたことだと思いま す。今回、資料6として取り上げた何か特段の理由があればお聞かせいただきたいなという ことです。   ○吉本勤労者生活課長  各種資料を総合的に勘案していただきたいというのはそのとおりで、その中身は資料1 を御覧いただきたいということでお示ししたものです。26頁の資料6については、3要素の 主なものと考えられるものについて、特にピックアップしてその推移であるとか、都道府県 ごとの状況を御覧いただけるようなものを作ったということです。特に他のものとの位置付 けの軽重を考えているわけではありません。   ○萩原委員  特段の理由がないということでしたので、それであればこの資料6についても、今回の論 議の中の1つの例示として取扱いをしていただければと思います。ですから、当然に今回こ ういう場ですので、資料1に示されている以外の資料もどういった資料がこの論議において 必要かということも含めて、御論議をいただきたいと思います。ありがとうございました。   ○今野会長  ほかに御質問はありますか。   ○田村委員  要望ですが、19頁に賃金改定状況調査票が丸秘と打ってありますが、この票で調査され るということで出ております。その左側の1.の枠の中(2)で「労働組合の有無」というとこ ろがあります。そうすると、労働組合との間で労使交渉の上に決定されたかどうかというの がこれで分かると思いますので、これからの資料の中で、いわゆる労使交渉の上で賃金がど う上がったのか、変わったのかということも見られるのではないかと思いますので、是非そ んな資料の提供もお願いしたいと思います。要望です。   ○今野会長  その点については、後ほど御議論いただきます。資料の不明な点がありましたらどうぞ。   ○萩原委員  もう1つ、これはお聞かせいただければと思うのですが、先ほどの資料6の中に出ている 標準生計費についてです。こちらについては御説明いただいたとおり、各年でかなりぶれる ということもあり、3年間の平均を取るという統計上の工夫をされているということでお聞 きしたいのですが、各都道府県の人事委員会で作られる標準生計費というのは、算出につい て統一した基準でやられているのか、あるいは各都道府県で異なった算出をされているのか 教えていただければと思います。   ○今野会長  今の御質問の趣旨は、各都道府県の人事委員会がどうやっているかという話ですね。   ○萩原委員  はい、そうです。 ○吉本勤労者生活課長  基本的には、家計調査によるところの消費支出を基に推計して、どれをどう取り上げて いるかというのは基本的には同じだったように記憶しておりますが、正確にはもう一度精査 させていただき、また報告させていただきたいと思います。   ○今野会長  使用者側の方どうぞ。   ○山崎委員  24頁の「賃金改定状況調査における賃金上昇率の計算方法の変更点」についてですが、 資料5の賃金上昇率の計算方法についてお伺いしたいと思います。平成17年度以降は、一 般労働者とパートタイム労働者の構成比の変化を除去して賃金上昇率を計算していますが、 一般労働者とパートタイム労働者の賃金水準の推移を示したデータがありましたら参考に させていただきたいと思いますので、御提示いただけたらと思います。よろしくお願いしま す。   ○今野会長  一般労働者・パートタイム労働者、各々がどうなっているかということですね。   ○吉本勤労者生活課長  一般労働者・パートタイム労働者の水準に関する資料ということでしょうか。ここでお 示ししたのは賃金改定状況調査に関することで、この調査は水準ではなく改定率、改定の状 況について取ったものです。この賃金改定状況調査から額をお示しするということはできな いのですが、それ以外に毎年度の目安の審議に当たっては、資料1にもあったかと思います が、一般労働者・パートタイム労働者の賃金の額、指数、変化等についてお示ししておりま す。夏の目安審議においては、それに関する資料を出させていただいているところです。   ○今野会長  ほかにありますか。   ○池田委員  内容でよろしいのですか。   ○今野会長  いや、一応切り分けていて、最初に何かこの説明は分かりにくいというところだけ。よ ろしいですか。それでは、御意見をいただきたいと思います。   ○池田委員  最初は毎度申し上げていますが、16頁の事業所の数ですが、やはり地方小都市に事業所 がたくさんあると思いますので、現在、都道府県庁所在都市が約3,000事業所、地方小都市 が約1,000事業所という合計になっていますが、もう少し地方小都市にある事業所を増やし ても良いのではないかという要望が1つです。  それから、調査対象事業所についてですが、1点は前に申し上げた建設業と運輸業につい てです。日銀の短観だと建設業もデータとして入っていますし、建設業、運輸業は低賃金の 方も多いと思いますので、これらが入っていないという理由がどういう理由だったのかとい うことです。就業人数のパーセンテージとしては、建設業、運輸業で15〜20%ぐらいいる ようですが、そのところはどうなっているかというのが2点目です。  もう1点は、17頁の県庁所在都市の調査対象事業所の各規模間の割合が、製造業だけ2: 1でほかが3:1になっているのはどういう理由だったかということです。製造業と他の産 業の割合を分けるのであれば、産業ごとに事業所数の割合を換算してデータを出していただ きたいというのが3点目です。  もう1点は最低賃金に関する実態調査の内容で、最低賃金で働いている労働者の属性、世 帯主か否か、従業員数等を詳しく出していただきたいというのがあります。以上です。 ○今野会長  今おっしゃられた3点目ですが、例えば製造業の場合は1人から9人、10人から29人を 2:1でやっています、あるいはほかは3:1ですと。これは実際の企業規模別の事業所数を 勘案して比率を決めたらどうかというお話。そういう意味ですね。   ○池田委員  はい。   ○今野会長  御質問もあったのですが、なぜ建設業が入らないのか、事務局から何かありますか。   ○吉本勤労者生活課長  賃金改定状況調査の産業に関しては、基本的にはこの目安制度のあり方に関する全員協 議会の場で御議論いただいて、決めていただくことかと思っております。今までの議論の考 え方としては、当初、比較的賃金の低い層の多い産業からピックアップしようということで、 初めは3業種だったと思いますが、現在の5業種に至っているということです。   ○池田委員  今のは業種の問題ですか。   ○吉本勤労者生活課長  業種の問題です。建設業や運輸業は現在で比較すると、やや低いという状況はあるのか もしれませんが、考え方としては当時から比較的低いものを取り上げるということで、建設 業や運輸業は調査対象産業から除かれてきているということです。   ○池田委員  業界的には、建設業、運輸業というのは非常に厳しい状況にある業界なのです。建設業 は裾野が広いし、運輸業もガソリンの問題もありますから、データとしてはその時々の状況 に応じて考えていただきたい。先ほど申し上げたように、建設業は日銀の短観に入っていま すので、御検討いただいた方が良いのではないかと思っています。   ○今野会長  一応そういう問題提起があったということで。そうすると毎年業種は変えるということ になるのですね。   ○池田委員  毎年ではなくて。 ○今野会長  毎年、厳しい業界が違ってきて、当分建設業は良くないかもしれませんが、でもちょっ と前は良いときもあったわけですから。そうするとそこがまた大変ですね。毎年どの業界を 対象にするか。それと池田委員からは、最低賃金の周辺の労働者の属性についてのデータは どうかというお話があったのですが、その点については事務局どうですか。   ○吉本勤労者生活課長  私どもの関係研究機関のJILPTの方でどういった調査研究ができるものなのかどうか、今 検討しております。たぶん池田委員がかねてからおっしゃっているような問題意識に沿うよ うな、例えばその人の家族の状況であるとか、そういったことも含めてデータを取るとなる と、既存の調査を集計することによって把握することが難しい部分があるのです。そういう 意味での制約があるということで、短期的にすぐお答えを申し上げることがなかなか難しい ということを御理解いただければと思います。ただ、例えば賃金構造基本統計調査を使って 最低賃金付近の人たちの業種であるとか、職種であるといったことを、もう少し細かく見る ことは可能ですので、それは今作業を進めております。またでき次第、御報告申し上げたい と思います。   ○池田委員  特に先ほど御質問がありましたように、今までは3要素が中心で良かったのですが、今度 は生活保護が非常に関連するようになってきましたので、そういう面から見て、生活保護も 単身と4人家族で当然違うでしょうし、都道府県によっては最低賃金のあり方が生活保護の 影響を受けるようになっているわけですから、そういう観点から見ると、やはり調査の内容 も少しその辺も理解できるような調査の仕方というのが必要ではないかと思います。   ○今野会長  いずれにしても、今の最低賃金の周辺の労働者の状況はどうなっているのかということ については、JILPTが頑張っているようですので、もうしばらく待ったら報告書が出ると思 いますから、そのときにもう一度。私もちょっと興味がありますから、伺ってみたいと思い ます。また、先ほど田村委員からあった労働組合の有無別集計というのは、集計は簡単にで きますよね。ただ、ここで資料として出すかどうかという問題ですよね。   ○吉本勤労者生活課長  それはここで御議論いただかなければいけませんし、調査票を御覧いただくと、もちろ んすべて集計してお示ししているというわけではありません。短期間の中でどこを集計して お示しするかという、そういう観点から今までの合意の中で限られたものについてお示しし てきたということです。   ○今野会長  ほかにありますか。   ○團野委員  総論的になるかもしれませんが、現段階における労働者側としての意見を申し上げてお きたいと思います。言うまでもありませんけれども、40年ぶりに最低賃金法が改正されて、 初めての目安制度のあり方に関する全員協議会であるということです。それと最低賃金をめ ぐる環境とか状況が、これまでとは様変わりをしてきているのではないか。非常に一般論で すが、一般労働者の賃金の半分程度が貧困ラインと言われているわけですが、例えば日本は 18%ぐらいだったと思います。OECD主要先進国の中でも、悪いのはアメリカに次いで、た ぶん2番目ぐらいですね。ですから、まさか日本がこういう状況になるとは私たちも思いも よらなかったのですが、貧困層が非常に増大している中で、法定最低賃金の重要性、セーフ ティーネットという役割がものすごく増してきているのではないか。一例ではありますが、 そのように我々としては認識しております。やはり、そういうところが社会問題として大き くなってきているのではないかと思っております。  そういう観点から言うと、ある意味、労働者全体の賃金をこれまで見てこなかったのでは ないか。どちらかというと、低賃金労働者の賃金に準拠して最低賃金を決定するところが大 きかったのではないかというように思うわけです。最低賃金法の第9条第2項「地域別最低 賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して 定められなければならない。」というように決定原則が示されているわけです。さらに、詳 細を解説した内容を見ると、その賃金については当該地方の労働者全体、あるいは低賃金労 働者の賃金水準等であるというように解説をされているわけで、低賃金労働者の賃金のみに 限定するものではないときちんと示されているわけで、そのように我々は理解しております。 したがって、我々としては最低賃金が適用される労働者全体の賃金水準の中で、最低賃金の 適切な水準について審議を行うべきではないだろうか。参考資料のあり方についても、そう した審議ができるように改めていくというのが望ましい方向であると。  また、ILOの131号条約、135号の勧告を見てみても、最低賃金の決定基準としては、国 内の賃金の一般的水準というように挙げているわけです。最低賃金が適用される労働者全体 の賃金との関係で最低賃金を決定するようにされているのではないかと見ております。国際 比較で見てみても、先進諸国と比較しても低位にある。為替レートの問題がありますから、 なかなか難しい問題もありますが、そのように言えるのではないかと。その大きな要因とし ては、低賃金労働者の賃金動向をこれまで過度という言葉が適当かどうか分かりませんが、 重視してきたことによる、このように推察できると私は見ております。  言うまでもありませんが、最低賃金の目的というのは、低賃金労働者の労働条件の改善と いう点にあるわけです。そのためには、低賃金労働者の賃金のみに偏重する、そこだけを見 るということではなくて、労働者全体の賃金構造の中で、最低賃金のあるべき水準を考えて いくべきと思います。このために、目安審議の参考資料については、労働者全体の賃金水準 なり、最低賃金との関係を検証した上で、あるべき水準について審議が行えるようにこれま で以上に納得性の高い資料に改善していくというのが全体の方向として必要になってきて いるのではなかろうかと思うところです。詳細の具体的な内容については、また各委員の方 から言ってもらいたいと思います。総論的になりましたが、私の方から意見として申し上げ ておきます。 ○今野会長  ほかにありますか。今、各委員からと言われたから、ザーッと言われるならどうぞ。   ○北田委員  それでは、水準という部分で私の方から意見というか、要望を申し上げたいと思います。 昨年度の目安審議では、最低賃金法の改正趣旨を踏まえて、最低賃金が生活保護を下回る場 合にはその乖離を解消するということとしていたと思います。昨年度の目安で示した方法で 最低賃金と生活保護を比較した場合には、12都道府県で生活保護を最低賃金が下回りまし た。これは、そもそも、目安審議が上げ幅というところに議論が終始されて、最低賃金の水 準が適切であったか、適切であるかということについての議論が十分になされてこなかった 結果ではないかと、要因としてはそのように考えております。したがって、今後あるべき水 準についての議論ができるように、目安の参考資料を充実させるべきではないかと考えてお ります。  一昨年、2007年度の目安の諮問の際に、地域別最低賃金額改定の目安審議に際して留意 すべき考え方として、一般労働者の賃金水準とか、高卒初任給の水準との比較の中で目安を 検討するという提起もなされております。こうした議論ができるように、是非目安の参考デ ータを改善していただきたいと考えております。 ○木住野委員  関連したことで発言したいのですが、今水準ということで御指摘があって、感覚的に言 うのですが、過去を振り返って事業所の規模をあまり気にしてこなかったというのは反省し なければいけない部分ではないのかなという気がいたします。それは経済成長がかつてのよ うであれば、一番ボトムにある部分でも賃金は上がっていくわけですから、そこで審議が成 立してきた。そういう審議経過というのがあったのではないかと。  ただ、今、水準ということを重視しなければいけないというのは、そのメカニズムが大き く変わってきてしまったということ。先ほど貧困率の問題の発言がありましたが、そういう ことも含めて、これまでの見方の枠組みというのはどうだったのだろうかということで、水 準という関心を持つわけです。もう一方で、上げ幅で見ていくときには、小規模事業所で見 てもあまり大きな差異はないのですが、今上げ幅はすごく小さいですよね。そこで物事を決 めていくというのはどうだろうかという問題意識を持っているのです。そこで、水準という ことを見ていった場合に、今度は低い所の水準だけ見ていくのはどうなのだろうかと。最低 賃金の決定の資料として、低い所だけ見ていくのはどうなのだろうと。これはセットだと思 っています。  ですから、もちろん低い所のデータは要らないと言っているわけではないのですが、もう ちょっと一般労働者の水準というものがここの中に材料として出てこないと、あるべき水準 という議論から離れていってしまう。そういう危惧・問題意識を持っているということです。 そういう意味で言いますと、賃金構造基本統計調査でかなり詳細なデータもここ数年出され てきておりますが、そういうデータ1つとってみても、やはり規模を限定して出されてしま う。そういうところに一般的なものも併せて出していくということがあってしかるべきなの ではないか。それは最低賃金に関する基礎調査についても、賃金改定状況調査でもそうであ るし、その調査すべてそのように変えろというのは、技術的にいろいろな検討しなければい けないことはあると思いますが、一般労働者との関係ということで見ていく。また、水準と いうことを比較していく場合に、そういう考え方をこれから重視していかなければいけない のではないかという意見です。 ○萩原委員  労働者側から一言検討をお願いしたい点として、これも従来から言わせていただいてい ますが、賃金改定状況調査及び地方最低賃金審議会で使われている最低賃金に関する基礎調 査、この調査対象の拡大は是非御検討いただければと思っております。  もう1点、これはまた別件で、先ほども少し触れさせていただきましたが、生計費の資料 について現行の標準生計費では、ぶれの問題とかいろいろ問題がありますので、生計費に関 する調査についてもう少し調査の充実なりを検討すべきだと思っております。 ○田村委員  同じ生計費の関係です。最低賃金法第9条にあるとおり、生活保護との施策の関係があり ますので、その辺は明白・明確になったと思っておりますが、生計費に関するデータが非常 に少ないなと思っておりますので、その辺について意見を申し上げておきたいと思います。 厚生労働省の調べでも、正社員以外の人たちのうちで、男性で77.2%、女性で26.7%の人 たちが自分たちの収入で生計を立てているという調査が出ておりますので、最低賃金のセー フティーネットとしての役割の強化というのは非常に大事なところだろうなと。その中では、 生計費というか、生活できる賃金の水準であるべきだというところに対するデータというの が非常に少ないのではないかと思っております。  労働者側としては、従来から連合で調べたマーケット・バスケット方式の連合のリビング ウェイジというのは持っていますが、この辺もデータとしてお示しをすることができますの で、是非生計費についてしっかり議論ができるデータの整備をもう少し深めて進めていただ きたいなと思っているところです。今日の資料を見ましても、全国統計資料編として都道府 県別の消費者物価指数の推移などというのが出ていますが、こういうことについては非常に 不十分だと思っておりますので、さらなるデータの充実について要望を申し上げておきたい と思います。 ○石黒委員  しつこいようですが、生活保護に係る施策の整合性ということが昨年度施行された改正 最低賃金法の中で盛り込まれたので、昨年度の目安に関する小委員会に私もいましたが、そ こで一旦整理はされたということで、これから解消に向かいつつあるというところです。労 働者側の方では、そのとき主張した全労働者が生活保護水準を上回っているという状況にま だなっていないという認識は今でも持っています。もちろん昨年度、一旦そういう結果を尊 重して、この後やっていくということですが、しかるべき時期に、もう一度すべての労働者 に適用される最低賃金が生活保護水準を上回るという考え方も含めて検討していきたいと 思っております。   ○今野会長  使用者側はいかがですか。今日はザーッと言っていただいた方がいいかなと思うのです が、今のところ使用者側は池田委員しかおっしゃっていないので。   ○高橋委員  目安制度のあり方に関する全員協議会なので、もうちょっと目安制度のあり方に関する 議題に戻していきたいと思っております。賃金改定状況調査に関しては、主としてどちらか というと質問が中心になってしまうかもしれませんが、確認も含めてお話をしたいと思いま す。先ほど労働者側の方から、一般労働者の賃金が大事だというような御指摘がありました が、基本的にはこの賃金改定状況調査は小規模事業所の一般労働者を含めた賃金改定状況を 調査しているものですので、まさに非常に重要な調査であります。  その上で、時間の関係もありますので、約4,000事業所というサンプルを大幅に増やして いくことはなかなか難しいだろうと思うのですが、果たして今のフレームワークの中で、こ の調査対象事業所数等が適当なのかどうかについては検証していく必要があるのではない かと思っています。例えば、今は県庁所在都市が約3,000事業所で地域小都市が約1,000事 業所で、約4,000のうち3:1という比率が果たして実態に合っているのかどうかというの は、実際のデータをもって検証しておく必要があるだろうと思っています。即ち、47都道 府県ごとに事業所数は事業所・企業統計調査で分かっておりますので、その中で果たして、 県庁所在地都市に何事業所あって、ということを是非データとしてお示しをいただいたらよ ろしいのではないかと。  私が平成18年の事業所・企業統計調査で見る限りにおいては、東京都は東京都区部に集 中している部分がありますが、その他でも、やはり県庁所在都市に存する事業所と地方小都 市に存する事業所が3:1の県は見当たらなかったので、是非47都道府県で出していただけ ればと思います。  対象となる事業所は、現在、製造業、卸売・小売業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、サー ビス業の5業種になっているわけです。これについては事業所・企業統計調査で調べたとこ ろ、一応カバーレッジとしては事業所・企業統計調査ベースでいいますと、7割ぐらいの労 働者の方がこの5業種でカバーできるということですが、この7割というカバーレッジで良 いのかどうか。先ほど池田委員がおっしゃっておりましたが、この5業種に次ぐ業種として、 建設業、運輸業、あるいは事業所・企業統計調査ベースでいえば、次は教育学習支援という 業種がくるのですが、そういった業種を併せて考えていく必要があるのかと思います。事業 所・企業統計調査ベースのデータを、次回是非お出しいただけないかというお願いです。  もう1つ質問ですが、今の産業間の割合として、6:3:1:1:2という5業種の割合になって いまして、割合ですのでそれが良いかどうかは分からないですが、足すと10にならないで す。即ち、6:3:1:1:2で13という不思議な比率になっています。かなり製造業を増やして いるのはなぜだろうと。事業所・企業統計調査ベースで確認する限りにおいては、3:3:1:1:2 であれば、概ねこの5業種の中での事業所数を反映しているものだと思われるのですが、正 直なところ、なぜ6なのかというところが分からないので教えていただければと思います。 地方小都市で、製造業しか採っていないということについてもなぜだろうと。県庁所在都市 については、5業種採っているのに地方小都市は製造業しか採りませんと。これはなぜだろ うと。これで良いのかという疑問が湧くわけです。その辺りも教えていただきたいというこ とです。  最後になります。これも質問になりますが、資料の19頁に賃金改定状況調査票をお示し いただいているのですが、これで見ますと、平成19年6月と平成20年6月を比べる形にな っていて、平成20年6月には諸手当の項目がブレイクダウンされていて、通勤手当も記入 があるのですが、平成19年6月は諸手当のブレイクダウンがないとなると、これは私の推 測になるのかもしれませんが、賃金改定状況、要するに賃上げ率を計算するときに、通勤手 当も込みで計算がされているのではないかという印象を持つのですが、通勤手当を控除して いますというのであれば別ですが、通勤手当が含まれたベースで賃上げ率を出すことにどう いう意味があるのか、ちょっと分からないなと思ったので、その辺りの計算方法も併せて教 えていただければと思います。以上です。 ○今野会長  御要望もありましたが、質問が幾つかあったので、質問からいきましょうか。ただ、私 が思っているのは、例えば、業種構成が何で6:3:1:1:2なのかというのは、考えてみればこ こで決めているので、皆さんも決めているのですよね。それは一応確認しておいていただい て、そういう点でなぜそうなったのかという過去の事情は分かれば説明していただきたいと 思います。そういう趣旨でいいと思いますが。   ○吉本勤労者生活課長  分かる範囲でお答え申し上げます。産業の構成につきましては、5業種、当初は3業種で すが、3業種を採るとなったときに、その3業種における事業所の数にできるだけ沿った割 合にしようという考え方だったと思います。  なぜ地方小都市は製造業のみかということですが、この調査は短期間のうちに労働基準監 督署においてサンプル数をかき集めて回収しなければいけないといったことから、特に人口 5万人未満の小さな所ではなかなか製造業以外の所でそうしたことに答え得るようなある 程度の規模の所が少ないといった事情もあって、こういうやり方をさせていただいているの ではないかと思います。  一番最初に御要望としてあった県庁所在都市と地方小都市のサンプルの数の3:1のこと については、これは必ずしも事業所・企業統計調査等に基づく事業所数とはもちろん合って いないわけです。むしろ、今申し上げたような調査を迅速に行うという観点、それも含めた ここでの議論によってそういうことになってきているのだと思います。また、当然のことな がら、復元はしておりますので、実際の事業所の数というのは反映された数に戻して公表し ているということです。 ○今野会長  調査票の通勤手当はどうなっているという話については。   ○平岡課長補佐  調査票の方は、まず平成19年と平成20年の調査票のところで、平成19年の(9)諸手当に ついては、内訳はないわけですが、こちらについても通勤手当、家族手当、精皆勤手当など についても当然含めた形で、要は平成19年、平成20年ともに、同じものを比較するような 形で調査をしております。  先ほどの平成20年6月分の(13)諸手当については、基本的に所定内給与という考え方で、 精皆勤・通勤・家族手当などについても含んだ形で労働者1人当たりの賃金の伸びなどにつ いて、現在、計算しているところです。 ○今野会長  要するに、込みだということですか。   ○高橋委員  先ほどの復元というのはどういうことですか。復元という意味がよく分からなかったの ですが。   ○吉本勤労者生活課長  それぞれの母集団の数に対する、サンプルの数、すなわち、割合が一定でないわけで、 それを母集団の数に戻して平均等の数値を計算しているということです。申し上げるまでも ないことかもしれませんが、そういう処理はしているということです。   ○今野会長  例示で言うと、一番最初の県庁所在都市と地方小都市との関係でいくと、このサンプル の県庁所在都市のデータ、地方小都市のデータがきちんと取れていれば、統計上復元してあ げれば、ちゃんと構成比を踏まえた全体像が出ているということになるわけですよね。  私がもう1つ思うのは、使うデータが絶対額ではないので、変化率で見ているので、極端 なことを言うと、ちょっとサンプルがずれても変化率だからかなり正確な数字が出ると、私 は個人的に思っているのですが。これは絶対額だといろいろな問題が起きそうですが、あく までも変化率ですので。  もう1つは今の論点で事務局からお話があった業種別の構成というのは、当時の業種構成 を踏まえてということですか。ということは、業種構成が現在変わっていれば、ここはその 当時の考え方を踏まえれば、変更する可能性はあるということかな。 ○吉本勤労者生活課長  そこは当時の考え方はそうだったということですので、そうですね。   ○高橋委員  多分、当時もそうだと思うのですが、製造業の比率はここまで高くはないと思うのです。 今はもっと低いと思いますけれども。今で多分3:3:1:1:2ぐらいだと思うのですが。   ○今野会長  その当時の6なんてあり得ないと。   ○高橋委員  6はあり得ないと思うのですが。   ○今野会長  その辺の経緯がもし分かれば、次回以降で。ただ、私はちょっと乱暴なこと、極端なこ とを言うと、どうでもいいと。先ほど言った上げ率で見ているから、その辺の業種構成が少 しぐらい実態とずれていても上げ率だからそんなに結果はぶれないと私は思っているので すが。これは絶対額だといろいろ考えなければいけないなと思いますが。過去のことで分か らないだろうから、調べておいてください。ほかにございますか。   ○勝委員  今回は目安制度のあり方に関する全員協議会ということで、先ほど労働者側から上げ幅 だけではなくて水準が重要だと。まさにそのとおりだと思います。水準に関しては昨年の法 律改正で生活保護というのが出てきたので、生活保護というのが1つのメルクマールになっ ているだろうと。ただ、年度ごとの目安の改定のなされ方を見てますと、やはりこの第4 表というのは非常に重要です。そうしますと、賃金改定状況調査というのは今議論されてい るように非常に重要な資料になってくると思うわけです。  今いろいろ議論を聞いていて思ったのですが、確かに第4表に関しては迅速性が重要だと いうことで、6月に出して7月に集計すると。日銀の短観ですが、34頁にありますが、これ はかなり広い業種にアンケートを出している。日銀の短観は四半期で確かやっていると思う のですが、どれぐらい事業所に出しているのかお聞かせいただきたいということです。  第4表に関しては、先ほど実際の調査票というのが資料に付いていますが、この中にパー トタイム労働者か一般労働者かという区分があるのです。改めて見ていて、今第4表だと男 女比になっているのですが、これはパートタイム労働者と一般労働者の両方見て算出してい ましたか。その辺の記憶が定かではないのですが、調査票ではパート労働者と一般労働者と の区別があるので、男女比ではなくて一般労働者とパート労働者という区分は、当然データ としては出てくると思うのですが、それは公表されていましたか。それを教えていただけれ ばと思います。2点です。 ○吉本勤労者生活課長  現在は、一般労働者とパートタイム労働者を分けたものは公表しておりません。今まで の経過については、先ほど示したとおりですが、現時点で男女別はありますが、一般労働者 とパートタイム労働者を分けたものは集計しておりません。   ○勝委員  何か理由があるのでしょうか。   ○吉本勤労者生活課長  いえ、ここでの議論に沿ってやっているということですが、この点につきましては、平 成17年のその後の目安審議の中で、同様の区分で集計してみた方がいいのではないか、と いう公益委員の御意見がかねてあったこともあり、それはいわば宿題としてこの場でまた御 議論をいただくべきお話かと思います。   ○勝委員  何社ぐらいが対象になっているのでしょうか。   ○吉本勤労者生活課長  今手元にないようですので、また改めてお示ししたいと思います。   ○中窪委員  先ほどの統計調査の復元の話ですが、地域についてはそういう形で平均を出すときに考 慮しているということですが、業種の構成が先ほど問題になっていましたが、それについて 全体に平均的な業種構成になるように、この統計調査で復元するという処理はしているので しょうか。   ○吉本勤労者生活課長  しております。   ○中窪委員  そうしたら、どれを採るかというのは、あまり議論しても仕方がない部分もあるという ことですね。   ○吉本勤労者生活課長  先ほどの勝委員の御質問ですが、日銀の短観のサンプルの数だけは分かりました。平成 19年3月の調査時点で1万958社です。   ○今野会長  先ほどの業種構成の質問があったわけですが、極端なことを言うと、復元するからサン プルはどうでもいいということですが、しかし、復元した集計結果をより正確にしたければ、 やはりサンプルも業種構成に合わせた方が良いということは事実なので、それによってどの 程度精度が上がるかという問題はあるのですが。  先ほどからしつこいように言っていますが、変化率で見ているから、かなり精度は高いと 私は思っているのです。しかし、業種別の構成に合わせた方が「気持ち良い」ということで あれば、ここでまた御議論をいただければ良いと私は思いますが。ほかにございますか。 ○藤村委員  目安制度のあり方という点から発言をしたいのですが、使用者側のお話を伺っていると、 実態がこれだけ悪いのだから場合によっては今回の調査結果を見るとマイナスというのが 出てくると。それに合わせるような方向で考えるべきではないかと。  労働者側は、そうではなくて水準だと言う。最低賃金法の第1条を見ますと「国民経済の 健全な発展に寄与することを目的とする」とあります。これは経済学で「合成の誤びゅう」 と言うのですが、各企業が目の前の最適化を求めて行動すると全体では最適にはならない。 つまり、売上げが落ちている。だからコストを下げなければいけない、賃金を下げる。そう すると購買力は落ちますから、ますます売上げが下がるという、こういうのを起こしてはな らない。ですから、中央最低賃金審議会のある意味では見識が問われるというところだと思 うのです。  確かに使用者側が苦しいというのは、私もよく分かるのですが、そこであえて、やはり日 本経済全体の購買力を考えると、ここでどういうことを決めるかということが実は非常に重 要である。そこは我々の合意として持っておかなければいけない点かなと思います。以上で す。 ○今野会長  ほかに御意見はございますか。   ○小林委員  今の藤村委員の御意見に反発するわけではないのですが、今年の目安の審議をやるわけ ではなくて、目安制度のあり方に関する全員協議会は現時点では5年に1回の見直しですの で、経営状況が厳しいというのは池田委員が言ったかもしれませんが、それは今年の目安審 議で徹底的に実態という意味では言わせていただくことになろうかと思います。  ただ、目安制度のあり方に関する全員協議会では5年に1回のいろいろな指標とか、ラン ク付けのあり方を検討するということですので、視野をもう一度全体的にどういう参考資料 が良いのかという意味で御検討をいただければと思います。  先ほども使用者側の委員が、業種構成について言っているのは、多分に製造業に偏った形 の調査の仕方があったのかなと。これはやはり反省すべき点であり、今の業種構成に合わせ た形に直していくべきかと。  もう1つは、高橋委員からも言われましたが、地方小都市では製造業だけが調査対象にな っているわけです。その方が調べやすいのかというのは、今まで調べやすかったのかもしれ ないですが、その辺も見直して全体的に県庁所在都市以外の地域においても業種構成に合わ せて採るような考え方というのも1つあるのかなと思います。製造業に偏っている地域もあ るし、製造業がない地域もあるわけですから、そういう意味でも調査の仕方というのは考え 直していくこともできるのではないか、という提案だと思いますので御検討をいただきたい ということです。 ○今野会長  これからの重要な論点として残しておきますので。先ほど私は事務局にお願いしました が、過去の経緯である考え方で、その当時の業種構成に基づいてサンプリングの構成を決め たというのであれば、それに沿っていけば少し考え直さなければいけないのかもしれません し、違う考えだったら違いますけれども。いずれにしても大きな論点だと思います。  それから、JILPTにお願いしておいてください。先ほど最低賃金の国際比較のお話があっ て、レートによっていろいろ難しいことがあるというお話がありました。ただ、もう1つ難 しい問題は、適用除外の問題があるのです。例えば、ドイツではデュアルシステムの下で働 いている若年労働者は、最低賃金より低い協定になっています。多分、それが全労働者の4% ぐらいいるのです。それはフランスも同じような状況になっていて、何人かわかりませんが、 国際比較に当たってはそれを考慮しなければいけないと思うのです。前から気になっていた のですが、どうやって情報を集めるか、難しいなと思っていたので、JILPTに調査してほし いと思います。 ○吉本勤労者生活課長  JILPTから、最近、「欧米諸国における最低賃金制度」という資料が出されております。 今、先生がおっしゃった問題意識は私どもも持っていたものですから、分かる限りのことは 調べて、そこで書かせていただいていますが、それでどの程度書かれているか確認してお届 けしたいと思います。   ○今野会長  失礼しました。ほかにございますか。   ○藤村委員  第4表の取り方というので、先ほど御発言がありましたが、今、男女で出ていますが、我々 がこれを見るときに実は男女のところはほとんど見ていないのです。実際には、男女計のと ころだけを見て議論をしていると。当面は、議論のときに必要がないので、男女を除くとい うのが1つのあり方かなと思います。  逆に一般労働者とパートタイム労働者の別という方が、議論するときには有効なデータか なと思いますので、そこは御検討をいただければと思います。 ○今野会長  今の藤村委員の提案は、調査票から男女を取ってしまえばいいのではないかということ ですね。   ○藤村委員  第4表を出すときです。   ○今野会長  男女別がいらないのではないかと。それは、前に残してくれという声があったのですよ。 そうですね。   ○吉本勤労者生活課長  そこは結論は出ていないということだと思います。男女別を出すのではなく、一般労働 者・パートタイム労働者別を出した方が良いのではないかという御意見があって、それは残 した方が良いかもしれないので、軽々に決めるのではなく、改めて目安制度のあり方に関す る全員協議会の場で議論をしようということになっているものだと思います。   ○今野会長  それも決めなければいけないことの1つかもしれませんね。男女計のデータしか付かなく て、一般労働者・パートタイム労働者別でいきましょうというと、素直に考えると男女別は 要らないという話は可能性の1つとしてあり得るわけで、そのときにあまり無理しない方が 良いよねということでそのまま残ったわけです。そういう点では、残すと意思決定をしたの ですよね。消極的意思決定を。私は調査票から男女は要らないと言っているのかと思ったの ですけれども。ほかにございますか。   ○勝委員  先ほど日銀の短観の企業数をありがとうございました。先ほどから議論になっているよ うに、地方小都市としては製造業だけというのは、かなり偏っている感じがしたのです。例 えば、日銀の短観であればもう少し多い調査対象の企業、あるいは広い業種にまたがってい ます。賃金改定状況調査のサンプル数は約4,000事業所ということで、その規模は少ないと かそういった意味ではなくて、もう少し広げるということもできるのかなという意味で一言 だけ申し上げました。   ○今野会長  大分、御意見を伺ったのですが、よろしいですか。   ○高橋委員  本日の議論を伺って、自分自身混乱してしまったので、整理が必要なのかなという気が しております。なぜかといいますと、いくつかの御意見は、やはり目安制度のあり方という よりは、最低賃金制度のあり方の根幹にかかるような御意見も多く出されたような気がいた します。  それはある意味、これから始まる中央最低賃金審議会の御議論で行うべきものが今日かな り出されています。それでいいますと、目安制度のあり方に関する全員協議会では一体何を 議論するのか、私自身非常に混乱しております。その辺りで、今日でしばらくお休みに入る と思いますが、再開以後のこの目安制度のあり方に関する全員協議会のあり方、何を議論す るのかということについて、もう一度整理をしていただいた方がよろしいのではないかと思 いました。 ○今野会長  いずれにしても、これまでいろいろな要望や御意見が出ています。目安制度のあり方に 関する全員協議会はここでしばらくお休みに入って、8月以降にもう一度再開します。その ときにどういう論点があり得るのかというのは、事務局と私でもう一度整理をして、それで 議論をしていただきたいと思います。  前段のフリーディスカッションの場合は、あまりガチガチ言わないで、言いたいことをお 互いに言い合って主要な論点を導き出すということが重要だと思います。ですから、ちょっ と外れてもいいのではないですか。そういうことで議論をしていただきました。いずれにし ても、もう一度論点を整理させていただきます。ほかに御意見はございますか。よろしいで すか。それでは、今日はこの辺で終わりにさせていただきます。  今申しましたように、次回はしばらくお休みをさせていただいて、8月以降にもう一度開 催することにいたします。スケジュールとしては、今年度中をめどに取りまとめをすること は変わりません。日程については、改めて調整をするということでよろしいですか。 ○吉本勤労者生活課長  それでお願いしたいと思います。   ○今野会長  今日の議事録の署名は、北田委員と高橋委員にお願いをいたします。それでは終わりま す。ありがとうございました。                  【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                   勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111(内線5532)