肝機能障害の評価に関する検討会(第5回)議事録  日   時:平成21年5月29日(金)14:01〜15:43  場   所:金融庁9階 共用会議室−1  出席構成員:柳澤座長、和泉構成員、岩谷構成員、兼松構成員、原構成員、        八橋構成員 ○柳澤座長  それでは、定刻になりましたので、第5回の肝機能障害の評価に関する検討会を開催い たします。  皆様方におかれましては大変お忙しいところ、また天候の悪いところをおいでいただき まして、ありがとうございました。  議事に入ります前に、事務局のほうから構成員の出席状況、それから資料の確認をして いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○名越課長補佐  障害保健福祉部企画課の名越でございます。  本日の構成員の出席でございますけれども、林構成員と田中構成員からご欠席の連絡を いただいております。それから、和泉構成員におかれましては、少々到着が遅れるという ことですが、間もなくお見えになると聞いております。それから、岩谷構成員からはちょ っとお話を聞いておりませんが、おそらくもうすぐこちらにお見えになるものと思われま す。現在8名の構成員のうち半数でスタートという形になりますけれども、和泉先生が間 もなくお見えにもなりますし、会の定足数としては達する見込みということで、開始させ ていただければと考えております。どうかよろしくお願いいたします。  それから、事務局側を紹介させていただきますが、本日は精神・障害保健課から福島課 長、林修一郎補佐、林久善課長補佐、それから健康局でございますけれども、肝炎対策推 進室の丸本肝炎医療専門官の出席をさせていただいております。どうかよろしくお願いい たします。  続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第がございまして、 座席表の後、資料1といたしまして「肝機能障害の認定基準の考え方について」という横 向きになっております資料が一つございます。次に、縦向きで「自立支援医療制度の概 要」というものが資料2です。一番上の紙では資料2−1という形でプリントしてありま す。その後に参考資料1といたしまして構成員名簿、参考資料2といたしまして前回第4 回の議事録をつけてございます。  不足のものがございましたら、お申出いただければと思います。 ○柳澤座長  それでは、よろしゅうございますでしょうか。  岩谷構成員がただ今お着きになりました。ちょっと始めさせていただいておりますが、 資料の確認までをしております。  それでは、本日の議事に入りたいと思いますが、議事次第に沿って行いたいと思います。 本日は第5回ということでありますけれども、第4回までの検討のところで一応肝機能障 害を身体障害者福祉法の内部障害として検討するという方向で作業が進められてまいりま した。本日は、具体的な検討をさらに進める上で、現在の法的な基準あるいは関連した制 度の概要について、事務局のほうから説明していただいて、ご議論いただくという形をと りたいと思います。  それでは、どのような資料に基づいてどういう順序でやっていくかという案を一応事務 局から提示していただきたいと思います。 ○名越課長補佐  座ったままで説明させていただきます。  本日の議事でございますけれども、まず初めに、肝機能障害の認定基準の考え方につき まして、これまでに事務局のほうでまとめたものを説明させていただきます。それに対し ましてご議論いただいた後、資料2でございますけれども、肝機能障害を身体障害とした 場合に受けられるサービスのうち、その候補となります自立支援医療制度の概要につきま して、事務局のほうからご説明させていただきまして、この件につきましてまたご議論い ただきたいと考えております。今日はそういう段取りでお願いいたします。 ○柳澤座長  それでは最初に、身体障害の認定基準の考え方ということで、配布されました資料に沿 って説明していただきたいと思いますが、ちょっと蒸し暑いし、おそらく省エネで余りエ アコンは使っていないと思いますから、どうぞ皆様方、楽な服装にしていただいて議論を 進めていただければと思います。どうぞ。 ○名越課長補佐  それでは、資料1の説明をさせていただきたいと思います。お手元の「肝機能障害の認 定基準の考え方について」というものをお手にとっていただければと思います。  1枚めくりまして1ページ目でございますけれども、これはこれまでのおさらいという ことになります。身体障害者の範囲といたしましては、一定の障害が固定・永続し、日常 生活活動に著しい制限を受けているというところをこれまで確認してまいりました。  肝機能障害の特徴としては、初期は無症状で進行いたしまして、慢性肝炎に移行した場 合でも、治療により治癒または改善するというものでございます。症状が進行してまいり まして肝硬変に至った場合でも、効果的な治療を加えることによって改善することもあり ますが、これがさらに進行した場合、症状の進行は不可逆なものになってきます。  この不可逆になった時点でしばらくその状態が続いた場合については、回復が困難と判 断して、障害が固定・永続していると認定してよいのではないかという話がこれまでにあ ったかと思います。その基準となる目安といたしましては、第4回の資料でもお示しして おりましたけれども、肝機能障害の重症度分類Child-Pugh分類の中で、症状の有無を総合 的に確認する上でグレードCの状態がまず考えられるのではないか。その状態が一定程度 の期間継続するということが確認されればというのが、一つの方向性として考えられるの ではないかということでございます。また、グレードCの状態というのは、そういう状態 になっただけでも日常生活活動に制限があるといったご意見もいただいていたところでご ざいますけれども、それ以外に臨床症状とか日常生活活動の項目で認定の基準の中で反映 させていくものが見られるのではないか、それをどうまとめていくか、どう組み合わせて いくのかといったところが課題となっていたと考えております。  そういったところを踏まえまして、前回の会議までに肝機能障害を身体障害としてとら え、その認定基準をつくるに当たって、作業を開始するということになったわけでござい ます。これまで肝臓の専門家の構成員の先生方と協議しながら準備を進めてきたところで ありますけれども、新たに判明した論点などがございますので、この資料で提示いたしま して、ご検討いただければと思っております。  資料の2ページ目でございます。「肝機能障害の範囲について@」とございますけれど も、肝機能障害の範囲についてどのように取り扱うか。この資料は本検討会で初めて示す 論点であります。本検討会が開始したきっかけといたしましては、厚生労働大臣から、肝 炎ウイルスに起因する肝機能障害の中で身体障害として位置づけられるものがあるかどう かを検討するというものでございましたが、前回の検討会までに得られたこの検討会の方 向性を基に資料づくりを進める中で、原因疾患を肝炎ウイルスに起因するものだけに限定 してよいのかという論点が明らかになってまいりました。  Child-Pugh分類のグレードCの状態が一定期間続くことが確認されながら、その原因と なっている疾患が違うことで対象となったりならなかったりするというのは、実務上も説 明が非常に難しいという背景もございます。  具体的に重症の肝機能障害となる疾患の例を表の中にお示ししてございます。一番上は 言うまでもなくウイルス性肝炎でありますが、そのほか、自己免疫の異常を原因とする自 己免疫性肝炎、胆汁がうっ帯することによって生じる原因不明の肝硬変である原発性胆汁 性肝硬変、代謝異常により発生した物質、例えば重金属のようなものでございますけれど も、こういったものが肝臓に蓄積することにより発生する代謝性肝疾患、それから、多く は急性の疾患でありますけれども、薬物の摂取に起因する薬剤性肝障害、最後にアルコー ルの長期摂取に起因するアルコール性肝障害、こういったものがございます。基本的な考 え方として、原因を問わず、基準を満たせば障害認定するということも考えられますけれ ども、いろいろな肝疾患がある中で、改めまして構成員の先生方のご意見をいただければ と考えております。  続いて3ページです。「肝機能障害の範囲についてA」というものでございますけれど も、これも初めてお示しする論点であります。肝移植を行った後の状態を身体障害として 認定するか。肝機能障害が進行した後に、最終的な治療方法、究極的な選択肢として肝移 植というものが出てまいるわけでありますけれども、これを行った後の状態についてはど のように整理するのかというのを議論していただく必要が出てまいりました。この点につ いて、心臓・腎臓では、移植後の臓器については、抗免疫療法を行わない場合には拒絶反 応によって臓器不全を来してしまう。このような、移植を行ってはいるが抗免疫療法を行 わない場合、臓器が駄目になってしまうというところを想定して障害として認定している わけですが、肝臓においてはこれをどのように取り扱うのかということであります。  なお、肝移植を行う状態として、従来から考えております重症の肝機能不全が進行して 移植が必要になるという場合と、例えば劇症肝炎や急速な悪化が見込まれた胆道閉鎖症の ように、一定の期間を経て障害認定をするという手順を踏むことなく、速やかに移植を行 わなければならないといったパターンも考えられるというものでございます。いずれにせ よ、移植を行った後というのは、抗免疫療法で免疫抑制剤を飲みながら暮らすという形に なりますけれども、この状態を身体障害の基本的な考え方と併せてどのように取り扱うか という整理が必要となっております。  続いて4ページ目でございます。これは1ページ目とも関連する資料でありますけれど も、基本的にこれまでに議論で出たことが再び載っています。今後、具体的に肝機能障害 の認定基準を考えていくときの基本的考え方ということで示させていただいております。 重症の肝機能障害についてどのような方法で評価するのかということですけれども、資料 の1ページ目に出ましたが、Child-Pugh分類の中でその重症度を見る。その中で一つの指 標としてグレードCというものがあるのではないか。さらに、日常生活活動については、 複数の指標・項目を組み合わせて認定基準をつくっていく。そういう考え方でよろしいか ということでございます。それから、下のほうに肝移植後の状態とありますけれども、先 ほどの資料の議論を踏まえまして、移植後の状態について認定基準の中でどのような取り 扱いをするのかというところを今後まとめていく必要があると考えております。今日の検 討会でこの基本的な考え方について合意が得られましたら、今後、肝臓の専門家の構成員 の皆様方のご協力を仰ぎながら、この先の作業に進んでいきたいと考えております。  最後に5ページ目でございますが、障害等級の考え方ということでございます。ほかの 内部障害との整合性に留意し、1〜4の等級づけをすることとしてはどうかということで ありますが、内部障害は昭和40年代以降に追加された経緯がございます。従来の身体障害 に内部障害を追加する際に、肢体不自由や視覚、聴覚などの従来の障害の等級との関係を 総合的に見ながら、1・3・4の3等級を設定したという経緯がございます。どうしてこ の3つの級なのかということでございますが、障害のある関節の数とか、視力とか、そう いったもので区分するのと違って、内部障害の場合、細分化が当時非常に難しかったとい うところがあるのだと解釈しております。そこで1級・2級に相当するものをまとめて1 級にしたといった整理がされているという経緯がございます。一方で、最近つくられまし た内部障害の一つといたしまして、免疫機能障害というものがございます。こちらは、1 級・2級・3級・4級という形で、1級を2分割して合計4段階の等級を当てております。 HIVによる免疫機能障害では、検査通知と日常生活活動の組み合わせを用いることでこ の障害の認定に当たって細分化を行うことが可能になったと聞いております。肝臓におい て1・3・4あるいは1・2・3・4のどちらの形をとるのかということは、またこの検 討会の中でご判断をいただきたいと思っておりますけれども、技術的に一定の障害の確認 と日常生活活動の項目の組み合わせで4分割が可能であれば、そのほうがよいかなとも考 えておりますけれども、先生方のご意見をいただければと思います。  資料1の説明につきましては以上でございます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  本検討会で従来から検討してきた点で、身体障害者福祉法に内部障害として取り入れる ことに関連して必要とされる項目を整理して提示されたわけでありますが、少しこの内容 につきまして皆様方のご意見をお伺いしたいと思います。  まず、基本的な考え方として、身体障害者福祉法の場合には、一定の障害が固定・永続 しているということになりますので、肝機能障害の場合に固定・永続しているという状態 を判断できるような症度、つまり重症度というのはどのようなものであるのかという点。 それから、肝機能障害の範囲ということが、一応最初は肝炎ウイルスによる肝機能障害と いうことでスタートしたわけでありますが、実際に身体障害者福祉法の中に法律として組 み込む場合に、果たして疾患名を限定して取り入れることが可能であるか、あるいは適切 であるかという点を法の趣旨に従って検討するということ。それからまた、肝移植の問題、 重症度の問題、そういった点が提示されました。一応この段階として、まず最初に身体障 害者福祉法として肝機能障害を取り扱う場合の固定・永続という考え方であります。資料 の1ページのChild-Pugh分類の経過として、いろいろな治療が行われたり、あるいはまた 治療が行われなかったりということで、時間経過とともに少しずつ、肝機能が障害されて いって、Cという状態になれば、そこからの通常の薬物治療や生活療法では回復が見込め ないということで固定・永続と考えられるという見方があると思いますが、一応固定・永 続に関してここでまず議論していただくのは、肝機能障害が継続して重症化していく過程 で、固定・永続という状態を判定することができるような病態であるのかどうかというこ とについて、肝障害の専門家の先生方のご意見をまず伺って、確認しておきたいと思いま す。八橋先生から。 ○八橋構成員  今回対象となる肝障害とは、具体的な疾患名としては肝硬変になるかと思います。もち ろん肝硬変といっても、軽症例から重症例まで病状の幅の広い疾患単位です。重症度分類 にも関係してきますが、Child分類でCにまで進行した肝硬変というのは、基本的には不可 逆的な病態であり完成した病態であると考えられます。ただ、一つ注意しないといけない 点は、肝硬変でも肝障害の原因が明らかであり原因が除去できる場合には、多少改善の余 地があります。一方、原因が分からないとか治療法がない場合は、基本的には時間ととも に病状は進行します。肝障害の原因により肝硬変の病態の扱いに関して少し考えないとい けないのではないかと考えています。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  兼松構成員。 ○兼松構成員  私も、肝障害を評価する指標としては、Child-Pugh分類が有用ではないかと思います。 特に、グレードCになりますと、ある一定期間を設けてこれを評価することによって症状 の固定ということの評価が可能ではないかと思います。ただし、八橋構成員がおっしゃっ たように、少し原因によってはこの後でも回復するところがあるかも分かりませんので、 そういうことを勘案して一定期間を置いて評価するということをやっていけば、ある程度 の評価がきちんとできるのではないかと考えます。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  これはまたご議論いただきたいところでありますが、お二方ともに、原因によっては一 応Child-Cの状態になっても、治療あるいは養生の仕方によっては回復し得る場合がある のだということをご指摘いただきました。これにつきましては、身体障害者福祉法はもと もと、一定の期間を経るごとに状態をきちんと判断して、病状についての診断書を出して いただくということが基本になっていると私は理解しているのですが、それでよろしいん ですか。 ○名越課長補佐  ルールとして定期的に状態を見るというのはこれにはないんですけれども、状態が回復 するということがこの先見込まれるような場合は、期間を切って、いついつにまた再認定 の作業をするという手続を踏むこともございます。身体障害というのは一回認定すると固 定という話ではありますけれども、障害によっては再確認をとるという余地もあるのかな と。 ○柳澤座長  従来の対象疾患は一応、例えば期間を決めて認定するという、つまり有期的、例えば2 年間は認定しますよ、2年後は改めてその状態について審査をしてどのようにするかとい うことを決めるといった取り扱いをしているものはあるんでしたか、ないんでしたか。 ○名越課長補佐  そういったルール化されたものは基本的にはございません。よく混同されますけれども。 障害年金の場合は定期的に患者さんの状態を見るというところがございますが、身体障害 の手帳のほうに関しましては、更生医療によって劇的に改善するような場合を除きありま せん。そういうケース、ケースの判断に基づくということになります。 ○柳澤座長  ありがとうございました。 ○和泉構成員  心臓は、2年間の限定認定で、2年間たったところで見直しするということがたびたび ございます。 ○柳澤座長  そうですか。そうすると、限定認定をする場合もあるわけですね。はい。  そのほか、いかがでしょうか。八橋構成員と兼松構成員のほうから、一応肝硬変で Child-Cという段階になれば、それは固定・永続ということで、身体障害者福祉法の範囲 に入れることは適切ではないかというご意見でありますけれども、ほかの構成員の方はよ ろしゅうございますか。もしよろしければ、先へ進みます。  そうしますと、実際に問題となるのが肝機能障害の原因疾患ということになるわけです けれども、2ページになります。これは、発端となりましたウイルス性肝炎が含まれると いうことは当然だろうと思いますが、肝硬変でChild-Pugh分類のCというステージになっ た場合に、ほかの疾患についても含めることが適切であるのか、あるいは先ほどのような 状況によっては改善するということがあるために、時期を区切った再認定にするか、ある いはまた対象疾患の範囲を予め決めるかという点ですが、これは少し議論があるところだ と思います。これらの点について、つまり原因疾患についてはどのように考えたらいいか、 少し皆さん方のご意見をお伺いしたいと思いますが、八橋先生、何かご意見はございます か。 ○八橋構成員  肝障害の原因として、ここに6つの原因が挙げられています。頻度として最も多いもの はウイルス性肝炎であり、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎から肝硬変に進展し、一部の方で は非代償性の肝硬変、Child-Cになるという方がおられます。 ○柳澤座長  すみません。大体おおよそのパーセンテージは分かりますか、肝硬変の患者さんの何割 か。 ○八橋構成員  B型肝炎とC型肝炎を合わせると約70%かと思います。 ○柳澤座長  70%ぐらいですね。ありがとうございます。どうぞ。 ○八橋構成員  自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症は、病気の原因がよく分かっていないのですが、 病気のメカニズムは免疫異常であり、肝細胞をターゲットにしたものが自己免疫性肝炎で あり、胆管をターゲットにしたものが原発性胆汁性肝硬変症です。日本での自己免疫性肝 炎、原発性胆汁性肝硬変症の患者さんの実数は数万人いると推定されますが重症例はそれ ほど多くはない、女性に多いといった特徴がございます。代謝性肝疾患には、アミロイド ーシスとか、肝臓に鉄が沈着するヘモクロマトーシスなどの特殊な疾患以外に、脂肪肝も この範疇に入るのかなと思います。脂肪肝そのものの頻度は非常に多く、国民の5人に1 人、2千万人以上の方が脂肪肝であり、近年急速に増加していますが、脂肪肝から肝硬変に 至る症例はそれほど多くないと言われています。次に薬剤性肝障害とは、慢性の肝障害よ りも急性の肝障害である場合が一般的です。これも免疫的な機序で発生する場合が多く、 普通の方ではある薬剤を投与しても何も障害をおこさないのに、ある特定の方では薬剤が 中毒様に働いて劇症肝炎になる場合があるといった病態でございます。ただ、薬物が原因 ですので原因となる薬剤を除去すれば肝障害が持続することはありません。最後にアルコ ール性肝障害ですが、軽度のアルコール性肝障害の方は頻度として非常に多いと思われま す。しかし、問題となるのはアルコール依存症の方の中には、腹水や黄疸を呈してもアル コールをやめられない方がおられます。Child-Cの肝硬変で、アルコール性肝硬変は少な くないと理解しています。アルコール性肝障害において肝臓を悪くする原因はアルコール であることは明白ですけれども、ご本人が様々な諸事情で禁酒することができないという ことが問題であり、そういう意味からは、ほかの5つの原因とは少し一線を引くべきでは ないかなと考えています。  ○柳澤座長  ありがとうございました。おおよその病気の状態、それからまた頻度などについて、ご 指摘いただきました。  どうぞ、岩谷先生。 ○岩谷構成員  もう一つ、ウイルス性肝炎の原因というのは、全部が薬剤性でしょうか。私の記憶に間 違いがなければ、入れ墨などで肝炎になった人もいると思います。要するに薬害肝炎以外 のウイルス性肝炎の方はどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。 ○八橋構成員  薬害肝炎、いわゆる血液製剤……。 ○柳澤座長  医原性の肝炎と言ったほうがいいと思うんですけれども。 ○岩谷構成員  医原性以外の肝炎という方もいらっしゃると思いますけれども、それはどれくらいでし ょうか。 ○八橋構成員  肝障害の原因とは別に、ウイルス性肝炎の感染経路が、いくつかに分類できるのかとい う質問かと思いますが、感染経路が不明の方が大多数です。ただ、明らかとなっているの は、ウイルス性肝炎の感染経路の中には、C型肝炎ウイルスの発見以前におこなわれていた 輸血や血液製剤投与、予防接種などの医原性と考えられる感染経路はございます。またB 型肝炎に関しては、母子感染によってお母さんから生まれるときに児が感染する場合が多 いということも明らかとなっています。入れ墨や覚せい剤などでの感染事例も確かにござ いますが、日本人の場合、ご本人の意図とは関係なく感染されている方が大多数であると 認識しています。 ○岩谷構成員  その方はどれぐらいというのは分からないんですね。 ○八橋構成員  いわゆる覚醒剤とか入れ墨という行為で感染された方は、日本のC型肝炎感染者全体か らみると、それほど多いものではございません。海外では、感染経路して、そういうルー トで感染した方が多いと聞いていますが、日本はむしろそういう方はマイナーな集団であ り、少ないと考えられています。  ○岩谷構成員  母子感染などの場合は。 ○八橋構成員  C型の母子感染は極めてまれでございます。実際、数%しかございません。 ○柳澤座長  よろしゅうございますか。  ほかにいかがでしょうか。  おそらく、今のお話ですと、肝硬変に至る肝障害ということになりますと、ウイルス性 肝炎がかなりのパーセンテージを占めているということだというので、これは全体として ウイルス性肝炎ということに対象を絞るならば、それは検査によって診断は可能になりま すでしょうか。そうですね。ですから、原因が何かということについては、これはもうち ょっといろいろ、例えば血液製剤によるものであっても、果たして過去においてはそうい った血液製剤を使用する医療行為ということはもちろん救命を目的として非常に多く行わ れてきて、それによってきちんと救命されているという方が不幸にしてその肝炎に罹患し て、という経過があるものですから、そういうことを自覚なさらないでそのまま血液製剤 による肝炎になっておられるという方も当然のことながらあり得ると考えられますので、 医原性云々ということについて検証するというところまで求めるというのはプラクティカ ルには困難なことだろうと思いますので、ウイルス肝炎であるならば、ウイルス肝炎とい うことにするか、それともほかの疾患も含めるかという点が議論の対象になるかと思いま すが、いかがでしょうか。全体としてここに挙げられました疾患の中では、アルコール性 肝障害というのをどうするかということが一つのポイントになるかもしれませんが……。 はい。 ○和泉構成員  先生、肝障害といっても、肝硬変ですよね。 ○柳澤座長  そうです。 ○和泉構成員  ですから、アルコール性肝硬変というのは、アルコール依存症の一病像ですね。 ○柳澤座長  その辺は、精神・障害保健課の方がいらっしゃっていますから、ちょっとお伺いしても よろしいかと思いますが、肝臓の専門家のご意見は、この会議で以前にもお伺いしたこと があるかと思いますけれども、ウイルス肝炎がベースにあると、アルコールによる肝障害 あるいは肝硬変もより発症しやすいということはあるんでしたか。 ○八橋構成員  C型肝炎やB型肝炎ウイルスを持っておられて飲酒もされる方は、病気の進行が早い、 肝がんの発症率が高まるというデータはございます。ただ、多くの患者さんは、C型肝炎 とかB型肝炎と診断されれば、禁酒されます。ただ、アルコール性肝硬変の方の中には、 お酒が原因であることが分かっても、黄疸、腹水など症状が出ても、依然として飲酒を続 けられる方がおられます。この辺りの治療は、内科的治療の限界であり、精神科的にアル コール依存症そのものを治療しない限り、断酒できないということでございます。  ○柳澤座長  ちょっと難しい問題になりますが、どうですか。精神保健の領域では何かデータはあり ますか。この依存症による肝硬変の方々はどのくらいおられるとか、あるいはどの程度に 難治性であるかとか、具体的な数字でなくても、印象で結構ですけれども。 ○福島精神・障害保健課長  厚生労働科学研究では、アルコール依存症が日本人全体で80万人というデータがござい ますけれども、そのうちの肝炎がどれくらいであるか、あるいは肝硬変はどれくらいであ るかという統計は残念ながらございませんで、私どもは精神疾患という観点ではとらえて おりますけれども、そのオーバーラップ部分がどれだけあるのかということについては、 正直言って正確には捕捉できておりません。 ○柳澤座長  今、80万人とおっしゃったのはアルコール依存症ですね。 ○福島精神・障害保健課長  アルコール依存症が80万人という推計、これは厚生労働科学研究の中でそういうものが ございます。 ○柳澤座長  分かりました。 ○和泉構成員  では、アルコール依存症の方々の最も多い臓器障害というのは、もう限りなく100%に近 い形でアルコール性肝障害を持っているのは間違いないわけで、むしろ肝硬変に至ってい る人たちがどれくらいかということが分かっていないだけではないかと私は理解している んです。ただ、肝硬変まで至っているようなアルコール依存症の人たちの完全断酒率がど れぐらいか、これはかなり天文学的に低いのではないか。そういう方々にこの法の趣旨の ことを考えるのはちょっと無理があるのではないかと私は思いますけれども。 ○柳澤座長  はい、どうぞ。 ○八橋構成員  肝硬変の中のアルコール性の頻度は大体20%から30%と言われています。肝硬変の方が 日本にどれぐらいおられるかというのは、なかなか正確な数字が分からないのですが、30 万人前後ではないかと言われています。またChild-Cの肝硬変の方の人数は数万人と推定 されます。Child-Cの肝硬変の患者の中でアルコールを原因とする方の頻度は、肝硬変全 体の頻度よりも少し増えて30%を超えるのではないかと推定します。 ○柳澤座長  ありがとうございました。 ○和泉構成員  そうすると、数が合わないですね、さっきの課長さんのお話と。 ○八橋構成員  アルコール性の依存症が80万人。 ○柳澤座長  依存症が80万人で。 ○和泉構成員  依存症が80万人で、2割の方が肝硬変だということになると、合わないです。 ○柳澤座長  でも、正確な統計ということでなければ、その辺ぐらいの範囲では、2〜3割というと ころなんでしょうかね。分かりました。  さて、状況はある程度分かりましたが、林さん、何かありますか、この辺は。 ○林(修)課長補佐  今、八橋先生がおっしゃったのは、肝硬変の中でアルコール性の方が2割から3割とい うお話ですよね。 ○柳澤座長  はい。失礼しました。  どうぞ。 ○原構成員   肝臓科の先生にお教えいただきたいのですが、例えばアルコール依存症で肝硬変まで いった場合に、アルコールをやめれば戻るポイントは、臨床的に判断できるのでしょうか。  身体障害者の認定に際しては、不可逆性であることが条件として必須と考えられますが、 いかがでしょうか。 ○八橋構成員  アルコール性肝硬変の方も初期の段階で禁酒すれば、症状は消失してほぼ元の状態に戻 ります。ところがかなり進行してしまうと禁酒しても戻らなくなります。経験的には、 Child-Cを呈しても、完全に断酒されるとChild-Aまで戻る例も多数経験しています。で すから……。 ○原構成員  実際にはどれぐらいの頻度で、アルコール依存でChild-Cまでいっても、アルコールを やめれば戻るのは何%ぐらいですか。 ○八橋構成員  それはなかなか難しいところがありますね。ただ、Child-Cでも完全にやめられた方は B、Aに戻りますが、結局Child-Cになってもやめられない方もかなり多いのです。そこ が問題かなと思います。 ○原構成員  やめれば戻るというジャッジは、アルコール性の肝硬変の取り扱いに非常に重要じゃな いかなと思います。 ○柳澤座長  はい、どうぞ。 ○岩谷構成員  非常に意地の悪いことを言って恐縮です。Child-Cになったアルコール依存症の方が全 て福祉サービスを受けられるということになったときに、Child-Cの方たちは相変わらず ずっとアルコールにアディクトしてしまうのではないかということではないんですか。そ の場合には、非常にモラルハザードを起こすわけです。そういう状態になって、その後の 生命予後というのは明らかに短いというのであれば、公的なサービスとしてどうなんだと いう議論も当然起こるように思うんですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○林(修)課長補佐  すみません、ちょっと課長は所用によって失礼させていただいておりますので、代わっ てお話をさせていただきますが。精神・障害保健課の立場から申し上げると、依存症は依 存症として、精神疾患としてとらえているものですので、精神障害者保健福祉手帳の取得 の対象にもなり得ますし、そういう意味では障害福祉サービスを利用するということもそ ちらの面からはできるというものでございます。ですので、その意味から、肝障害と依存 症は関係があるものですけれども、ここではアルコール依存症の方の肝障害がどうとらえ られるべきかという観点から特にご議論いただけるとありがたいと思います。 ○柳澤座長  そうですね。今提起されました点は、確かにある意味で難しい判断を迫られると思いま す。確かに、医学的な点から、例えば肝硬変のChild-Cといった状態の患者さんという視 点から取り上げると、原因の如何を問わずということがあると思いますが、実質的に、後 で障害者自立支援法に関しての問題も出てくるかと思いますけれども、この場合には身体 障害者福祉法というのは更生を目的とした法であるということが非常に明確になっており ますので、やはり精神保健的な視点から依存症は依存症としていろいろサポートしてあげ るということで、この身体障害者福祉法でカバーするのはちょっと難しいのかなといった 印象を私自身は持ちますが、いかがでしょうか。もしもこれ、肝機能障害の範囲というこ とで、例えば2ページの列挙された疾患の中からアルコール性肝障害を除いてこの5つの 疾患群を列挙するということになると、それ以外でも、アルコール性でなくて、Child-C になってまた状態が進んでいくような病気をおそらく否定できないという問題が将来出て くる可能性があると思います。そうすると、肝機能障害でグレード、つまり重症度によっ て身体障害者福祉法の対象にするという固定・永続した病態ということでChild-Cという ことでもし挙げるとしたら、そこでアルコール性肝障害を除くといった表現をすることが 果たして一般的なこういった法律の在り方として適切であるのかどうかということも問題 になると思いますが、その点はどうですか。今まで何かを除外するといったことを条文に したことはありましたか、身体障害者福祉法で。 ○名越課長補佐  基本的には原因は分けないんでしょうけれども、一つ例外であるのはHIVで、これは 逆にHIVの感染があるというところをベースにしているというので、考え方がこれだけ かなり違ったものになっております。基本的には原因を問わない方向というのは、本日こ の資料に出させていただいたきっかけといたしましても、ウイルス性肝炎からスタートし たけれども、ほかの肝機能障害を呈するものについてはどう取り扱うのかというところの 議論を広げるというので提示させていただいたわけでありまして、さらにそこでもう一度 網をかける、制約をするというのはちょっと想定しておりません。むしろアルコールの話 も含めて、肝機能障害を起こす原因として技術的に除去可能なものはそれを排する状態に なったところで障害であるのかどうかを評価するといった観点は考えられるのかなと考え ておりました。繰り返しになりますが、アルコールを除くと書いてしまうのはちょっと行 政的にはしんどいのではないかなと思います。 ○柳澤座長  分かりました。いかがでしょうか。少し……。 ○岩谷構成員  私があえてこういうことを言っているのは、除くことが極めて困難である、あるものを 除くということは非常に不公平なことになるだろうと思っているからです。しかしながら、 いろいろな議論というのは出てくると思います。例えば、病者役割ということが言われて います。その中で病者が果たすべき役割として非常に重要なことは、医療に対して協力的 であることと言われています。医療に対して、治療に対して非常に協力的でない場合、医 療側としてそれを含めることができないという考え方があります。当然そこはいろいろな 論議が出てくるだろうと思いますので、それに対する論理をつくっておかないとならない と申し上げているわけです。 ○柳澤座長  分かりました。今の点は非常に大事だろうと思います。身体障害者福祉法の場合には、 決してこれは何か特定の状態に対する補償制度ではありませんので、きちんと更生すると いうことが趣旨でなければ、この法律自体に沿った形でサポートするということはできな いということは非常に明確なことなわけです。ですから、もちろんのことながらいろいろ な形で医療あるいはまたほかの健康施策によって改善し自立していくということで、後の 自立の問題もありますけれども、そういう方向で努力していただくということが当然こう いった法による更生のためのサポートということの要件になってくるということは非常に 明確な点だと思います。それはぜひはっきりさせていただきたいと思います。  さて、そうしますと、これはパブリックコメントを求めるんでしたか。 ○名越課長補佐  肝機能障害を身体障害に加えることについてという形でのパブリックコメントはござい ます。 ○柳澤座長  しかし、具体的な原疾患について議論するというところまではいきませんよね。それは もう専門家の判断に任せると。分かりました。  そうしますと、いかがでしょうか。今までの議論としては一応、主な原因として疾患が 挙げられていますが、肝機能障害というのは状態像によって判断するということで、疾患 を特定して、それによるというHIVのような形はとらないで、状態像の判断。腎障害の 場合も状態ですね。原因疾患は問わないわけですね。 ○原構成員  原因疾患は問わないです、はい。 ○柳澤座長  はい。心臓のほうも原因疾患は問わない。 ○和泉構成員  問いませんけれども、先生、繰り返すようですけれども、このアルコールの問題は、い かにしようが、やはりきちんと先ほどからの問題点はどこかに記載しておく必要は私はあ ろうかと、全く問わずということはある意味での不公平さを認めてしまうということにな ろうかと思います。 ○岩谷構成員  いずれにしても、モラルハザードということで非常に問題と思います。 ○柳澤座長  この点は確かに、この検討会としてもそういったモラルハザードを引き起こす原因とな り得るということに憂慮するというか、非常にそれが問題になるんだということを指摘し たということを記録しておいてほしいと思いますが、どういう形で対処するか。そうです ね。我々もちょっと考えてみますけれども、事務局のほうも少しこれを検討してみてくだ さい。本日は一応そういった議論がされたということで、原因疾患の一部について問題が あるということを残したままで、基本的には固定・永続という障害はChild-Pugh分類のC ということで考えていくということでよろしいだろうと。はい、どうぞ。 ○兼松構成員  それでよろしいと思いますが、ちょっと参考までに申し述べさせていただきますと、私 どもがやっております肝移植のところでの問題点で、やっぱりアルコール性の肝障害、肝 硬変の方をどうするかという適応の問題があるんです。肝移植そのものの適応につきまし ては、やはり肝機能、それはいかなる疾患であっても同じようにしているのですが、アル コールだけはちょっと別枠で見ているところがあるんです。これは、少なくとも移植の実 施時期から前にさかのぼりまして6カ月間禁酒、断酒ができるかという項目を設けて、最 終的な適応を決めたりしております。ですから、移植医療の適応には、アルコール性肝障 害の中にはあるということで、申し述べさせていただきたいと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。大変大事な点だと思いますので、そういった点も考慮しまし て、このアルコールの問題はちょっと検討していきたいと思います。  では一応、肝機能障害の範囲ということでChild-Cということ……。はい。 ○岩谷構成員  余計なことで申しわけないんですけれども、アルコール性肝障害の場合、肝移植を猶予 するというか、条件をつけるということをおっしゃられましたけれども、ほかの疾患、ほ かの状態、例えば認知症などの場合にはどのように判断されるのでしょうか。 ○兼松構成員  肝移植を行うかどうかは、肝機能のみならず全身的に、また総合的に判断して決定しま す。それで、どなたにでもやるということではなくて、十分に肝移植がその人にとって生 命の質、生活の質が維持できるときに実施する、ということになります。また、適応の有 無の判定には第三者委員会での評価ももらっています。先生のご質問の、認知症の方等々 の適応については、肝臓が脳死または生体からの善意による提供を考えた場合、否定的と ならざるを得ないと考えます。 ○柳澤座長  それはもう、要するに肝移植をする場合の適応をきちんと厳しくしてということですか。 ○兼松構成員  それは、肝機能とそのほかのところの要件というのもありますので、全てクリアしない 限り、移植の適応としていないということです。 ○柳澤座長  分かりました。その移植のことがこの次の問題になりますので、ちょっと入ってしまう ことになるかもしれませんが、移植を行うときには、移植学会あるいは肝臓病の関係の学 会のほうで基準のようなものは設けておられますか。 ○兼松構成員  施設としましては、一応の届けを出して、ちゃんとした承認をもらって行うということ。 それから、脳死に関しましては、国のほうで肝臓は15施設が脳死肝移植実施施設と決まっ ておりますので、その中でやるということです。それから、そこの適応に関しましては、 これは大体のコンセンサスはありますけれども、さらに各施設におきまして基準を決めま して、そこの中で第三者による評価を受けて、それによって移植の適応があるかどうかと いうことを決定しております。 ○柳澤座長  そうしますと、改めて申すまでもありませんけれども、医療行為として適切であるかど うかということを各施設でその基準に従って判断して行っていくということですね。 ○兼松構成員  はい。 ○柳澤座長  ありがとうございました。それでは、先へ進みたいと思います。  「肝機能障害の範囲についてA」ということで、肝移植を行った後の状態を身体障害と して認定するか。これは、他の内部臓器につきましては、臓器移植後というのは免疫療法 などを行わなければいけないということもありまして、一応対象としているということが ありますので、この点につきましてもよろしゅうございますでしょうか。これは、取り扱 い方、原因疾患などにつきましては、ある意味で医学的な基準ということは、もうそれぞ れの施設が医療行為として適切であるかどうかということを判断して行っているという現 状を考えて、そちらのほうに任せるということで、この会議としてはあえていろいろな条 件をつけるということはしないで、肝臓移植の術後状態ということも一応肝機能障害の対 象の病態として扱うのが適切であろうと考えるということで、よろしゅうございますか。  では、そのようにいたしましょう。  あとは、4ページでありますが、Child-Pugh分類のグレードCが適切かどうか、それに 加えて日常生活活動の制限というものを項目として配慮するということ、これはグレード の問題についてでありますので、その次のところで判断すればということだと思います。 肝移植後の状態というのがChild-Cのグレードとどのように対応するのかということ、こ れも専門家をご意見を伺って、それで少し作業をしていただくということでお願いしたい と思います。  最後に、5ページの他の内部障害との整合性に留意して1〜4の等級づけをすると。こ れも、ここにあります内部障害として、心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・直腸・小腸というの が1級と3・4ということで2級がないんだということでありますが、HIVは最近でき たもので2級がある。ただ、一応対応としては1・2級が従来の内部障害の1級に対応す るんだと理解されておりますけれども、HIVの場合に、日常生活がほとんど不可能、極 度に制限、著しく制限といった形で、日常生活活動を基準の在り方を基にして1・2・3 ・4となっています。そうしますと、肝機能障害の場合も、これと並ぶ形で重症度という ものが決められるわけでありますけれども、その中で1・2・3・4と分けられるのか、 それとも心臓・腎臓・呼吸器等と同じような形で、1級というのは非常に重症度というこ とでまとめて、そして次は3級としたほうがプラクティカルに適切であるのかどうかとい うことは、今ご意見をいただくならば少しいただいても結構だと思いますが、今日は林構 成員、それから田中構成員もご欠席ですし、この検討会の肝臓の専門家でいらっしゃる八 橋構成員、兼松構成員、それから林構成員、田中構成員の皆さん方で少し具体的な検討を していただくということもお願いしたらと思うんですが、今ここで少しこの等級について 何かご意見はございますでしょうか。これを1・2・3・4にするのか、それとも1・3 ・4にするのかというのは、どちらが適切であるか云々ということをここで議論するのも なかなか難しい課題なんでありますが、従来からの法律が制定された経過等を、左側にあ ります1・3・4と分けたときと、それから最近の1・2・3・4に分けたときと、それ からまた肝機能障害の具体的な重症度をどのように分けるのが適切であるか、そういった 点を少し検討して、そして一つの案をもし専門家の方のほうでおつくりいただければ大変 ありがたいと思いますが、事務局のほうにその手配をお願いしてよろしいでしょうか。 ○名越課長補佐  これまでに決められました等級等の経緯を併せて肝臓の専門家の構成員の先生方に提示 して、案をつくってみたいと思います。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○和泉構成員  先般も申し上げたのですけれども、Child-PughのグレードCということを想定した肝硬 変で、しかもある一定の期間6カ月ぐらいになろうかと思うんですけれども、6カ月ぐら い経過した人の日常生活を見たときに、これは10点以上ですから、肝障害がある程度進ん でいる、腹水が進んでいる、アルブミンが2.8を割っている、プロトロンビン時間が40%を 割っている、ビリルビンが3以上であるという状態を想定しているわけですので、ほとん どの人がある意味では私たちが考えている1級に入るような病態になっているのではない か。むしろ3級・4級の人たちは少ないという恐れがないのか。前回この点をちょっと危 惧したんですけれども、実際につくってはみたものの、メリットが生かせられますかとい う話になろうかと思いますけれども、その点はいかがなんですか、肝臓の専門家としては。 ○柳澤座長  その点はいかがでしょうか。私も専門外の立場からちょっと見ますと、この意識障害の グレードをここに持ってきて、例えば昏睡云々というのはほとんど対象にならないですね。 ですから、意識障害はペリオディックというか、要するに状態の悪いときに突発的な意識 障害が起きても適切な治療によってそれは改善するといった状態ぐらいのところが、意識 障害の対象としては限度かなと思うんですが、今の和泉構成員のお話はいかがでしょうか。 ○八橋構成員  Child-Cという状態は、日常生活としての制限を受けておられる方が多いと思います。 ほとんど寝たきりの状態の方もおられます。そのような状況からは、1級に該当する方が 多いであろうと予想します。ただ、Childスコアの3点を示す病状からは、そのようなイメ ージとなりますが、Child分類では2のスコアが5つ並んだ場合にも10点となります。実は このような集団が結構多いような印象をもっています。Child-Cでも、この2点が5つ並 んだ10点の方の中には普通の社会生活をされておられる方、仕事をされている方もおられ ます。そういう意味では、Child-Cの範疇にも幅がございます。一方、スコア3点を示す 場合には、日常生活は著しく制限されていると理解していいかと思います。 ○和泉構成員  つまり、だるいとか、こむら返りが起きているとか、そういう方々が救済される可能性 はあるんですね。 ○八橋構成員  あると思います。 ○柳澤座長  では、よろしゅうございますでしょうか。今の点も含めてご検討いただきたいと思いま す。  それでは、肝機能障害の認定基準の範囲、その対象、そしてまた重症度、そして肝移植 後の状態ということについては、ただ今のご議論を基にして、さらに専門家の方々と事務 局のほうで少し等級についての検討に入っていただきたいと思います。よろしくお願いし ます。  その次は、自立支援医療制度の概要ということでありますが、まず事務局のほうから説 明をしていただいて、それから検討したいと思います。よろしくお願いします。 ○林(久)課長補佐  精神・障害保健課の林久善と申します。よろしくお願いいたします。恐縮ですが、座っ て説明させていただきます。  お手元の資料に沿って説明させていただきます。  初めに、自立支援医療制度の概要をご覧ください。まず、自立支援医療は障害者自立支 援法を根拠規定としております。この障害者自立支援法については、障害者・障害児の福 祉の増進を図ること、障害の有無に関わらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮 らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とした法律ですので、自立支援医 療制度というのは福祉制度を目的とした医療制度となっております。  続きまして、概要のほうに移らせていただきます。心身の障害を除去・軽減するための 医療ということを対象としております。これは例えばですが、心臓の機能障害がある障害 者であれば、心臓の障害を除去・軽減するためのペースメーカー埋め込み手術などが対象 となりますが、障害者であっても、風邪とか虫歯の治療のための医療というのは対象外と しております。この障害者の医療について、医療費の自己負担額を軽減するための公費負 担医療制度となっております。  続きまして、対象者についてですが、自立支援医療というのは、更生医療、育成医療、 精神通院医療の3種類がございまして、身体の関係で18歳以上の方が更生医療、18歳未満 の方が育成医療、そして精神の関係で精神通院医療ということになっております。  更生医療のほうなのですが、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者がこの対象 となっております。この身体障害者なのですが、先ほどまで肝機能障害についてご議論い ただき、それらの基準を検討していただいているところですが、その基準が整備されて、 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者と認定された方が更生医療の対象となりま す。その方が障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できるものが対 象とされております。  続きまして、育成医療ですが、児童福祉法第4条第2項に規定する障害児が対象となっ ております。これは、先ほどの更生医療と少し異なっておりまして、次の括弧書きのとこ ろですが、障害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる児童を含むとい うことで、こちらの部分が更生医療と異なっております。それらの方が障害を除去・軽減 する手術等の治療により確実に効果が期待できるものとしております。  続きまして、精神通院医療ですが、精神保健福祉法第5条に規定する精神疾患(これは てんかんを含みます。)を有する方で、通院による精神医療を継続的に要するものとなっ ております。  続きまして、対象となる主な障害と治療例でございます。後ほど更生医療と育成医療に ついてはその概要の中で説明させていただきたいと思います。精神通院のところです、精 神通院医療は、精神疾患に対する医療ですが、精神科専門療法、訪問看護などがその主な 治療例になっております。  続きまして、費用負担のことですが、原則としてその1割を負担することになっており ますが、一部を除きまして、医療保険単位の世帯ごとの所得、こちらは主に市町村民税の 課税状況で所得をはかっておりますが、これに応じまして月ごとの負担に上限が設けられ ております。  また、自立支援医療制度というのは、保険優先制度というのをとっておりまして、実際 には医療保険の支払い後、一般の方でいうと3割なのですが、その方の自己負担との差額 を自立支援医療制度において負担しております。これは、一般の医療保険制度があって、 その上にこの自立支援医療制度が乗っかっているといったイメージを持っていただけると わかりやすいと思います。  次に、更生医療のほうに移らせていただきます。ページをおめくりください。繰り返し になるかもしれませんが、更生医療は、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で、 その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できるものに対して提 供される、更生のために必要な医療。先ほど議論がありましたが、更生のために必要な医 療ということです。  実施主体は市町村になっております。  更生医療の範囲ですが、診察、薬剤または治療材料の支給、医学的処置、手術及びその 他の治療並びに施術、居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、 病院または診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、移送まで含んでおりま す。  対象となる障害と標準的な治療例ですが、それぞれ障害ごとにいろいろありまして、視 覚障害であれば、白内障の水晶体摘出手術、聴覚障害であれば、鼓膜穿孔とか、言語障害 であれば、外傷性または手術後に生じる発音構語障害による形成術とか、肢体不自由であ れば、関節拘縮、関節硬直によるもので、その形成術とか人工関節置換術、内臓機能障害 の心臓であれば、先天性心疾患のものであれば、弁口とか心室心房中隔に対する手術とか、 腎臓であれば、人工透析とか腎移植、小腸であれば、中心静脈栄養法とか、免疫障害、H IV関係ですが、抗HIV療法とか、様々なものがその対象となっており、治療するもの は限定されております。  続きまして、育成医療のほうに移らせていただきます。育成医療の概要ですが、育成医 療は、児童福祉法第4条第2項に規定する障害児、こちらは先ほど申しましたように、更 生医療とここのところが変わっております。障害に係る医療を行わないときは将来障害を 残すと認められる疾患がある児童を含むとしております。これらの方で障害を除去・軽減 する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を 得るために必要な医療となっております。  実施主体については、先ほど更生医療が市町村でしたが、育成医療については都道府県 ・指定都市・中核市となっております。  育成の範囲は、更生医療の範囲と同じになっています。  次の対象となる障害と標準的な治療例ですが、ここは先程の更生医療と違いまして、障 害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる疾患がある児童を含むとあり ますので、4番のDの内臓障害の後ろのほうなのですが、その他の先天性内臓障害という ところが大きく変わっております。先天性食道閉鎖症とか先天性腸閉鎖症とかというもの も該当となっております。それに伴うもので、尿道形成とか人工肛門の造設などの外科手 術が対象となっております。  1枚おめくりいただきまして、自立支援医療の対象者、自己負担の概要ですが、先ほど 原則として、一部を除き、所得に応じた負担上限額を設けておりますという説明をさせて いただきましたが、こちらにあるように、原則1割なのですが、その所得の区分ごと、低 所得1であれば2,500円、2であれば5,000円と、所得に応じて負担上限額を設けておりま す。  資料2−2をご覧いただければと思います。こちらは、次のページから、法律とか通知 とか、更生医療、育成医療の範囲が規定されるものがありますが、今回は検討していただ いている肝炎について、肝臓は内臓の機能障害となっておりますので、更生医療の対象の 内臓の機能障害の心臓・腎臓・小腸の機能障害をまずは一番上に並べて、あとウイルス性 の肝機能障害と社会的な背景が似ているということで、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫 機能障害を並べて表にしたものでございます。  こちらですが、対象となる医療の考え方は、内臓の機能障害については3つとも同じ考 え方なのですが、手術により障害が補われ、または障害の程度が軽減することが見込まれ るものに限るものとし、いわゆる内科的治療のみのものは除くということで、手術という のがありまして、内科的なものはここでの考え方としては除いております。一方、ヒト免 疫不全ウイルスによる免疫機能障害ですが、抗HIV剤投与等により免疫の機能の障害に 基づく症状が軽減または除去され、日常生活能力の回復が見込まれるものに限るとされて おります。  先程、手術と話をしましたが、どのような手術が行われているのか、その例をその次に 書いてあります。弁口とか心室心房中隔に対する手術としまして、冠動脈とか大動脈バイ パス移植術、大動脈瘤切除、弁形成術、弁置換術などの手術が該当となっております。ま た、ペースメーカーの埋め込み術として、ペーカーの埋め込み術またはそれを交換する交 換術なども入っております。あと、心臓の心移植術も入っております。  腎臓のほうに移りまして、腎臓のほうは腎移植術が対象となっております。また、小腸 のほうは、対象となる手術はございません。  先ほど手術ということで話をさせていただきましたが、一部、内臓機能障害では例外的 に内科的治療を認めているものがありまして、それが下の段になっております。まず心臓 の関係ですが、心移植後の抗免疫療法とこれに伴う医療が該当となっており、腎臓のほう ですが、人工透析療法と腎移植後の抗免疫療法とこれに伴う医療。あと、小腸機能障害の ほうですが、これは中心静脈栄養法とこれに伴う医療が該当となっております。ヒト免疫 不全ウイルスによる免疫機能障害ですが、抗HIV療法とか、その他のHIV感染に対す る療法、合併症の予防及び治療は、HIV感染症の合併症によるものに限られております。  以上、簡単ですが、自立支援医療の概要について説明させていただきました。 ○柳澤座長  ありがとうございました。  そうしますと、自立支援医療として、もし肝機能障害が対象になるとすれば、肝臓移植 とその後の抗免疫療法ということが具体的な対象になるのかなと思いますけれども、いか がでしょうか。一応、自立支援医療制度そのものについてのご質問あるいはまた肝機能障 害ではどのような内容が対象になるかということのご議論、両方をしていただきたいと思 います。はい、どうぞ。 ○岩谷構成員  更生医療の主な対象となる内科治療の中に、無効免疫療法と、これに伴う医療とあるん ですけれども、和泉先生、原先生、心臓機能障害、腎臓機能障害において、これに伴う医 療というものの内容というのはどのぐらいのものが含まれているんでしょうか。 ○和泉構成員  開心術であれば、開心術のところのICU管理等々の話がそこへ入ってくると理解して いますけれども。 ○柳澤座長  今、岩谷構成員がご指摘になったのは、資料2−2の対象となる内科治療ということで、 心移植後の抗免疫療法、これに伴う医療。結局、心臓機能障害があれば、もうそれに対す る内科的な治療も心移植に伴う医療と理解するということでよろしいわけですね。 ○和泉構成員  基本的には、心臓の場合には2週間ずつ心筋生検を行わなければなりませんし、そうい うものが全部含まれて入っているということでよろしいんじゃないでしょうか。 ○柳澤座長  どうぞ。 ○原構成員  腎臓に関しては、透析医療週3回と、それに関係する治療が含まれます。その前の保存 的な腎不全管理の治療は入っておりません。 ○林(修)課長補佐  すみません。つけ加えさせていただきますと、人工透析療法に関しては、例えばそのた めに行うシャント術とか、そういったものについてはこれらに伴う医療というところで読 めるところだと考えます。移植を受けた方が抗免疫療法を受けているからといって、全く 関係のない風邪薬とか、そういうものは当然別のものですので、この対象にはならないと いうことでございます。 ○岩谷構成員  子供の心臓疾患の場合には、たしかほかのものが認められていたと思います。肺炎だっ たか、何かの予防のための予防接種というのが認められているはずです。 ○林(修)課長補佐  それは、抗免疫療法を受けていらっしゃるということで、そのために免疫的に弱いとい うことから……。 ○岩谷構成員  いえいえ。心疾患のお子さんたちは、たしか感染に非常に弱いからというので、ワクチ ンが認められているはずです。それでこの中にどういうものが含まれているのかというこ とをお聞きしたかったのです。 ○林(修)課長補佐  具体的な運用まで通知で事細かに定めているわけではございませんで、運用はその審査 の段階ということだと思いますけれども、これらに伴う医療ということで、例えば抗免疫 療法を受けていらっしゃる方にそのことによって必要となる医療という概念のものは含ま れると考えております。 ○柳澤座長  この従来の内部障害に関しての自立支援医療という形のものというのは、実際にその手 術あるいは手術に直接伴う治療ということ以外に、おそらく各地域からいろいろな質問が 来て、それに対して検討して現在のようなカバーする医療の範囲が決まってきたという経 過があるんだろうと思うんですが、これは例えば具体的に肝臓の場合は、手術という定義 からいくと、肝移植及びそれに伴う直接的な医療ということがまず対象になると思います けれども、実際に法を施行した後でいろいろなそういう質問とか問い合わせが来て、それ を検討して範囲を決めていったというプロセスはあるんですか、ほかの病気の場合。それ とも、最初からきちんと範囲を決めてしまったのか。 ○林(修)課長補佐  ここに書いております手術の例というのは、あくまで多いものを例示しております。し たがって、手術を限定列挙して決めているということではございませんで、申請が市町村 のほうにありまして、都道府県ごとに更生医療に関する相談をする機関を設けております ので、そちらのほうに難しいものについてはご相談いただいて、実際に現場レベルで都道 府県ごとに、よいということで決められて、お返事をしているというものでございます。 ○和泉構成員  ということは、都道府県ごとに段差があるということですね。 ○林(修)課長補佐  そこは、その機関同士でまた連絡をとり合っておりますので、それほど地域差はないと 考えております。多少の運用の差はあるかも分かりませんけれども。 ○柳澤座長  分かりました。いかがでしょうか。自立支援医療ということで、障害者自立支援法に基 づく支援医療として先ほどご説明になったような内容があるということで、これから肝機 能障害を身体障害者福祉法の対象とする場合には、当然そういった法の規定から自立支援 医療の対象にもなってくるということなんでありますが、それにつきまして、肝機能障害 ……。はい。 ○岩谷構成員  もう一つ確認させてください。「これに伴う医療」とあるんですけれども、これは実は 自立支援医療のところでちょっと私は関係したこともあって、「重度かつ継続」という概 念がありましたね。それの範囲を決めるときに、「重度かつ継続」をどこの範囲にするか ということで議論があったんですけれども、「これに伴う医療」というのは基本的に「重 度かつ継続」というものとほぼイクイバレントと考えていいんですか。 ○林(修)課長補佐  すみません、ご質問の趣旨を教えていただければと思うんですけれども、「これに伴う 医療」というのは、医療の範囲の話でありまして、「重度かつ継続」というのはこの対象 者を決めているものでありまして、一つ前のページにある、精神、更生、育成について、 どのような対象の方が「重度かつ継続」と言えるかという人の範囲でございます。これに 対しまして資料2のほうにあります「これに伴う医療」というのは、その医療の範囲であ りまして、どの範囲までの医療を更生医療の対象にできるかということで、少し概念が異 なっております。 ○岩谷構成員  分かりました。 ○柳澤座長  そうですね。法律の用語というのはなかなか難しくて、「手術等の治療」ということに なると、「等」は何を指すかということが今度はなかなか難しいんですが、自立支援医療 の趣旨ということが、障害を除去・軽減する手術等の治療ということです。ただ、腎障害 でも問題になりましたけれども、透析というのは決して手術ではありませんけれども、実 際には透析によって毎回毎回そういう体の状態が改善するという意味では、それは一般的 な内科の薬物治療とはちょっと違ったものであって、しかも治療の経過そのものが、いろ いろな外部の材料が体の中に入るとか、いろいろな意味で手術に準ずるようないわばドラ スティックな治療といった意味で理解されているということなのかもしれませんが、肝機 能障害についてはいかがでしょうか。今説明がありましたような自立支援医療という視点 から考えると、移植後の移植及びそれに伴う医療といったことを現段階では考えておいて いいか。つまり、免疫療法を含めてです。その辺は兼松構成員はいかがでしょうか。 ○兼松構成員  心臓機能障害あるいは腎臓機能障害のところから整合性を求めると、今、座長がおっし ゃったようなところになるのではないかと思います。 ○柳澤座長  分かりました。  八橋先生はどうでしょうか。 ○八橋構成員  同じです。 ○柳澤座長  そういった心臓、腎臓などと大体対応するような形で範囲を決めていくのが適切ではな いかということだと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは……。はい。 ○和泉構成員  以前のご説明を聞いて私が危惧を持っているのは、ウイルス感染は成立したまま肝移植 をなさる方々がいるわけです。そうすると、肝移植後の抗ウイルス療法というのは認めら れないわけですね。ここでは今話題にならなかったので。だから、そこが患者さんたちに とっては非常に大きな関心事になってくるんじゃないかと思いますけれども。その点では、 僕自身は余り勧められる移植術ではないんじゃないかとずっと思っているものですから。 というのは、片方で免疫療法をやりながら抗ウイルス療法をやるというのは、非常に相反 したことをやっているわけで。 ○柳澤座長  そうですね。  はい、どうぞ。 ○兼松構成員  和泉構成員がおっしゃいました点ですけれども、これは決してそうではありませんで、 ウイルス性でBであってもCであっても、これはChild-Cになって本当に日常生活ができ ないという状況になって移植というのを行うわけです。そうした場合でも、移植をして肝 臓がかわりますと、その人の生命予後といいますのは5年、10年というのが大体75%から 80%ぐらいあるというのが日本全体の成績です。ということは、それだけのかなりのいい 生命維持ができるような医療であるというところまで来ているということです。ただし、 肝炎ウイルスにつきましては、B型とC型の2つのところでこの様相がちょっと違ってま いります。Bに関しましては、かなり薬物療法でウイルスを消して、そのままの状態をず っと維持することはできますけれども、C型肝炎ウイルスにつきましては、おっしゃると おり、これは100%再燃いたします。ですから、できるだけ早い時期から抗ウイルス療法と いうのが必要です。ただ、それをしましても再燃が起こって、また移植した肝臓に病変が 起こるということもありますので、そこの対策というのが現在の移植医療の非常に大きな 問題点の一つとなっています。しかし、それであったとしても、生存率は5年、10年が75 %〜80%が得られているのが日本の現状であるということでございます。 ○柳澤座長  分かりました。ありがとうございました。  かなり難しい治療の併合ということが必要なのかもしれないけれども、移植はそれなり の延命効果、それからまた状態像の改善には寄与するというお話でしたが、何か追加はあ りますか。 ○八橋構成員  免疫抑制剤を使いながら抗ウイルス療法をおこなうというのは、何か相反するような感 じ、印象を受けるというのも、一般的なご意見としてはごもっともかと思います。ただ、 ウイルス性肝疾患を対象とした肝移植という治療は、一見相反する治療法をうまく制御し ながら肝臓を再生させる治療法であり、既に実績のある治療法です。移植により肝臓の状 態をよくしたうえで免疫抑制剤を使いつつ抗ウイルス療法をおこないます。移植後、B型 肝炎ウイルス増殖をコントロールする方法は、ほぼ確立していますし、C型肝炎ウイルス の新たな制御法も急速に進歩しつつあります。移植後の抗ウイルス療法によってウイルス が駆除できますと、それ以上の病気の進行は完全に止まります。Child-Cのウイルス性肝 硬変の方にとっても、肝臓移植は、生きる希望につながる治療法だと思います。 ○柳澤座長  ありがとうございました。 ○岩谷構成員  それも「これに伴う医療」に入るんですね。 ○柳澤座長  「手術等」ということと、それからまたそれ以外の腎臓の透析ということから考えると、 肝機能障害の場合は、手術があれば、それに伴う抗免疫療法も、また抗……。 ○岩谷構成員  抗免疫療法は当然必要ですし、抗ウイルス療法も含まれると解釈してよろしいんですか。 ○柳澤座長  含まれると一般的には解釈されるんじゃないんでしょうか。いかがですか。 ○林(修)課長補佐  今日随分ご議論を進めていただきまして、移植や抗免疫療法について対象とするような ということについて、この場でご議論を進めていただきまして、ありがとうございます。 さらにそういう細かいというか、運用上の論点は出てくるのだと思います。移植後の抗ウ イルス療法については、とらえ方によっては、移植後の肝臓を生着させるために必要不可 欠な治療で、移植の一環ととらえるとらえ方もあると思いますし、新しい肝臓に対して新 しい肝炎が起きることに対する新たな別の治療というとらえ方もあろうかと思います。し たがって、どのような目的でどういう効果がある治療であるのかということで、今日も今、 兼松先生、柳澤先生から教えていただきましたけれども、そういった先生方のご意見を伺 いながら、また少し詰めていく必要があろうかと思っております。 ○柳澤座長  いかがでしょうか。この自立支援医療に関しましては何か。はい。 ○和泉構成員  繰り返し申し上げておきますけれども、全身感染症がある人はほかの臓器移植は禁忌に なっております。だから、そこの壁が1点違った対応になってくるということを意味して いるということです、この問題は。それで私はかなり気にしているということです。 ○柳澤座長  その論点は、慢性に経過しているウイルス性肝炎の状態をどのように医学的に把握する のかということにもかなり関わってきますね、移植を行うことが是か非かということの議 論の中で。それは、肝臓の専門家の先生方が中心になって手術の適応を決めていただくわ けですから、それはそれで、現場でそれを決めていただくということでよろしいかと思い ますが、抗ウイルス療法の負担ということに関しては、それがあるために肝移植が余り効 果をもたらさないというものではないんだということは、先ほど肝臓の専門家の構成員か らのお話ですので、そういった理解でよろしいかと思います。よろしゅうございますでし ょうか。  それでは、一応、自立支援医療に関しましては以上のような観点で、身体障害者福祉法 に含められる場合にはそういった自立支援医療の中にも入っていくということで、その場 合の医療の範囲はどういうものかということについてご議論いただいたということであり ます。一応今日の議論といたしましては、肝機能障害の認定基準、それからまた自立支援 医療制度にどういう形で関わっていくかということをご議論いただきました。この次は、 先ほども申し上げましたけれども、実際にもし身体障害者福祉法で等級をつけるとすれば、 どのような基準に従って等級を決めていくのかということについて、肝臓の専門家の構成 員の方々と事務局のほうとで少し協議していただくということをお願いしたいと思います。  そんなところでよろしゅうございますでしょうか。具体的な検討も大分進んでまいりま したので、また次回の会議では少し認定基準とか、あるいはその等級など、それから関連 したことについて、もう少し具体的に詰めるところは詰めていくようにしたいと思います が、事務局のほうとしては、今日の議論と、それから今後の計画について少し話してくだ さい。 ○名越課長補佐  今日大分方向性を示していただきましたので、次回に関しましては、肝機能障害の認定 基準等につきまして、肝臓の専門家の先生方とご相談させていただきながら素案をつくっ て、それをお示ししたいと思っております。日程調整票をこれまでいただいておりますけ れども、まだ日程の確定には至っておりませんで、もうしばらくお時間をいただければと 思います。確定次第、またお知らせいたします。どうかよろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  それでは、そのほか、構成員の方から事務局にあるいは何かございますか。よろしゅう ございますでしょうか。  それでは、本日の第5回の検討会は以上をもちまして終了させていただきます。  どうもご苦労さまでした。 (了) 照会先 [肝機能障害の評価に関する検討会事務局] 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課指導係  TEL 03−5253−1111(内線3029)  FAX 03−3502−0892