09/05/27 第13回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録    薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方    検討委員会(第13回)議事録              日時:平成21年5月27日(水) 16:00 〜 18:00               場所:省 議 室 ○寺野座長 定刻よりも2〜3分早いんですけれども、皆さんおそろいだということで  すので、少しでも時間を取った方がいいと思いますので、始めさせていただいてよろ  しいでしょうか。   それでは、今年度の第1回目、通算13回目になりますが、「薬害肝炎事件の検証及  び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」を開催いたします。   委員の皆様には、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。   今日も舛添厚生労働大臣は公務多忙の中ですが、後ほど御出席いただけるとのこと  です。ただし、インフルエンザ等のことで大変お忙しいので、短時間になるかと思い  ますが、一言ごあいさつをいただきたいというふうに思っております。何時になるか  はわかりません。   それでは、会議の開会に当たりまして、いつものとおり資料の確認をお願いいたし  ます。 ○医薬品副作用被害対策室長 まず、委員の御出席ですけれども、神田委員と山口委員  が御欠席でございます。あと、本日、高井局長は体調の関係で欠席をしてございます。  申し訳ございません。   マイクは、それぞれ気をつけていただいて、大き目の声でお話しいただければと思  います。空調の方も、今、頑張って冷やしてはいるんですが、人数が多い関係で、ち  ょっと暑いですけれども、上着も適当に脱いでいただければと思います。恐縮です。   配付資料ですけれども、議事次第と座席表、名簿のほかに、資料1と資 料2がそ  れぞれ1枚紙です。あと、資料3がパワーポイント形式の30数ページのものでござい  ます。   あと、関係の資料としまして、4月にいただきました第一次提言、これを基に事務  局でつくりました第一次提言の概要、4ページものです。あと、3月末に別途とりま  とめられました厚生労働行政の在り方に関する懇談会の最終提言をお配りしてござい  ます。   あと、坂田委員から事前にお求めがありましたので、平成18年9月の「水俣病問題  に係る懇談会」の提言書の抜粋をお配りしております。   あと、第一次提言に関しまして、日本CRO協会から御意見の文章が委員各位あて  ということで事務局に届けられましたので、これもお配りをしてございます。   あと、水口委員から、意見書というよりは討議のメモということで1枚紙を提出い  ただいております。   用意しているのは以上です。不足がございましたら、またお申しつけください。ま  た、落丁等ありましたらご指示いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 ありがとうございました。   それでは、議題に移りますが、本日の議事は、議事次第に記載のとおり3つを予定  しております。   まず1つ目の議題は「今年度の委員会の進め方について」であります。昨年度は12  回開催しまして、第一次提言もとりまとめていただきましたが、3月の会議で確認し  ましたように、残された課題も幾つかございます。また、検証作業についても、堀内  先生の研究班で引き続きテーマを設定して進めていかれると聞いております。   本日は、まず事務局から、今年度の本委員会の進め方の案を示していただいて、そ  して堀内委員からも研究班の予定をお聞かせいただければと思います。その後、今年  度の進め方について、委員の皆様の御意見をいただきたいと思います。   その前に、大臣がお忙しい中、ちょうどお見えになりましたので、早速、一言ご挨  拶をお願い申し上げます。 ○厚生労働大臣 皆さん、こんにちは。今年度の第1回目になります。通算13回目にな  りますけれども、お集まりいただきましてありがとうございます。   ちょうど1年前に発足しまして、いろいろな勉強会、検討を行っていただきまし  て、PMDAの視察も行っていただきましたんで、まず、再発防止のための第一次提  言をとりまとめていただいたことを感謝申し上げます。   御提言の中で、できることはすぐやっていこうということで、PMDAの増員、市  販後の安全対策の強化、これは早速着手をしております。その他の提言についても、  順次、具体化を検討していきたいと思います。   1年間で終わろうということだったんですけれども、もう少しやろうという皆さん  の御意見でしたので、更に続けていくことになりました。事件の検証、なぜそうなっ  たのか、私の言葉で言うと、その当時を再現したいということと、更に、薬害の再発  を防止したいということでございますので、今年度中には行政組織の在り方も是非御  検討いただければというふうに思います。国民の命を守るという観点、その原点に立  って検討を進めたいと思いますので、皆様方に重ねてよろしくお願い申し上げます。  以上でございます。 ○寺野座長 非常にお忙しいので、今日はごあいさつのみとしたいと思います。 ○厚生労働大臣 では、くれぐれもよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。   大臣から、大分お忙しいようですけれども、ごあいさつをいただきました。   それでは、まず、事務局の方から、今年度の方針といいますか、進め方について、  御説明をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 それでは、資料1の1枚紙について御説明をしたいと思  います。「今年度の検証検討委員会の進め方について(案)」という資料でございま  す。   この資料1に記載をしております今年度の進め方につきましては、今回と、6月、  7月の次回、次々回、そして9月以降、大きく3つに分けて書いてございます。   冒頭に2行「3月30日の第12回委員会のご議論等を踏まえ」というふうに記載して  おりますけれども、3月の会議で、21年度に残された課題ということで、事務局から  幾つか項目を挙げまして、これに対して追加等の意見をいただいたところです。   整理しますと、まず、委員から、被害者の被害実態についてのヒアリングを実施し  てほしいとの意見がございました。具体的なやり方について、御意見を踏まえて調整  を申し上げましたけれども、本日、早速お2人の方にお越しいただくとともに、7月  に予定しております次々回にも被害者のヒアリングを実施したいというふうに考えて  おります。   このほか、今年度に残された課題として、21年度に行われる薬害肝炎事件の検証作  業を踏まえた検討と、21年度における厚労省及び医薬品医療機器総合機構の市販後安  全対策の進捗状況等の評価もございました。これらにつきましては、この後、堀内委  員の方から御報告いただきます研究班での今年度の検証作業ですとか、厚労省及び機  構の実際の取組状況を踏まえた上で本委員会で御議論いただきたいという事項でござ  いまして、6月や7月といった段階での議論はちょっと難しいんではないかと思って  おりますので、秋以降の議題とすることが適当と考えまして、9月以降という欄に記  載をしております。   ただし、研究班の検証作業の進捗状況については、夏までの会議でも報告していた  だいた方がいいと思いますし、また、総合機構の取組みについても、7月の会に総合  機構からのヒアリングを行う際に、その時点での状況報告をいただくことも可能かと  は思っております。   あと、21年度の課題として、これまで申し上げたもののほかに「今後の医薬品行政  組織の在り方(監視評価機能を含む)」というのを提示しまして、これに対して委員  から、その組織の話だけではなくて、20年度に討議したこと全体についての更なる検  討も残された課題だという指摘もいただきました。これを踏まえまして、医薬品行政  組織の在り方につきましては、第一次提言では意見の集約ができなかったところでも  ありますので、今年度早々からこの件についての議論を再開というのが適当ではない  かと考えまして、本日の後半の時間帯からその議論をお願いしたいと思っておりま  す。   勿論、監視評価組織の具体的な在り方についての検討も残された課題ですので、こ  の委員会で御議論いただきたいと思いますけれども、そこの詰めた議論を行うには、  監視、評価を受ける対象となる医薬品行政組織本体の在り方がまずは基本というとこ  ろでもありますので、その点での意見の集約をお願いをしたいと思っております。そ  の議論に資するように、本日、資料3を用意しておりますし、組織の変遷もしてきま  した総合機構からのヒアリングを第3回に行うことをここに提案をしているところで  ございます。   あと、組織の論点以外にも、20年度に討議したこと全体についての更なる検討も残  された課題として出されておりますので、案としまして、次回の会議で、病院におけ  る医薬品安全対策についてと、製薬業界の取組みについて、有識者の方からお話を伺  って御議論いただく時間を設けてはどうかというふうに考えております。   また、それ以外の項目につきましても、現時点で事務局の側からどの項目をという  用意はしておりませんけれども、夏までの議論の中でも、委員の皆様からの御意見を  いただいたり、必要に応じてテーマを決めて御議論いただくということも考えられる  というふうに思っております。   なお、第一次提言を受けて、厚労省において予算措置が必要な事項は概算要求を検  討しましたり、あるいは制度や運用の見直しが必要な事項についての検討を進めてお  るところですけれども、その状況を報告をして討議をいただくというのは秋以降の会  が適当なのではないかと考えておりまして、こうした考え方の下で、この資料1で  は、6月25日及び7月のところに「有識者からのヒアリング」ですとか「その他の事  項(必要に応じ)についての討議」を記載し、また、9月以降のところに「第一次提  言を受けた厚生労働省の取組と検討状況の報告、及びこれについての討議」というの  を記載して、当面の進め方についての案をお示しをしたところでございます。   以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。   今年度、本委員会の進め方について、あらかたのところでございますけれども、御  説明いただきました。本日第1回と、6月、7月はある程度具体化しておりますけれ  ども、秋以降については、この3回の討議に基づいた予定を立てていきたいというお  話だということです。特に被害者からのヒアリング、有識者からのヒアリング、また  PMDAからのヒアリングを重視していきたいということです。   次に、堀内委員から、研究班の予定をお願いいたします。 ○堀内委員 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。本年度も薬害肝炎の  検証及び再発防止に関する研究班を続けることになりまして、5月12日に第1回の班  会議を行って、今年度の方針について検討を行いましたので、御報告いたします。   その前に、昨年度の検討してきた内容につきましては、報告書の冊子ができまし  た。大体480ページありますけれども、近いうちに委員の方々には送られると思います  ので、お読みいただきたいと思います。   なお、厚労省のホームページにもアップされるということですので、必要に応じて  見ていただければと思います。   内容については、第1章が「薬害肝炎事件の検証のまとめ」ということで、全体の  サマライズが載っております。第2章が「薬害肝炎拡大と被害の実態」、第3章が  「薬害肝炎の発生拡大に関する薬務行政の責任」、第4章が「薬害肝炎に関する血液  製剤製造会社の責任」、第5章が「当該医薬品による肝炎発症の危険性及び肝炎の重  篤性に関する知見の進展と医療現場への伝達状況」というような内容になっておりま  す。   なお、いろんな方々に御支援をいただきましたが、特にこの検討会の委員でもある  清水先生には、我が国の血液事業の展開ということで、主に1960年前後から1990年ま  で、大変わかりやすい内容をお書きいただきまして、これも最後の方に参考資料とし  て載っておりますので、是非参考にしていただきたいと思います。   そういうことで、昨年度に引き続き今年度も行うことになったわけであります。   まず、班の構成でありますけれども、引き続き私が主任研究者を務めさせていただ  くことになりました。   それから、分担研究者につきましては、これまで分担研究者を努めてくださった津  谷先生、高木先生、磯部先生に加えまして、昨年度は研究協力者として入っていただ  きました片平先生に入っていただき、更に、今年度、特に被害者の実態調査等につい  て検証するということでございますので、被害者側から、ここの委員を務めていらっ  しゃる坂田さんと泉さんに入っていただくことになりました。   それから、研究協力者としては、これまで協力していただいた松下先生、それか  ら、新たに片平先生と一緒に仕事をされている東京大学大学院の山本さんに入ってい  ただくことになりました。   更に、できれば企業関係者にも入っていただきたいと考えたんでありますが、今、  検討をしていただいている最中で、必要に応じていろいろ御協力をいただけるという  ことにはなっております。   研究のテーマというか、方向性でありますけれども、まず第1に、被害者の実態調  査。これについては昨年度行うことができませんでしたので、被害者の総合的な調査  を行いまして、身体的・精神的・経済的・社会的な被害実態及び患者からのニーズを  把握するということをアンケートによって行いたいと考えております。これも、原告  弁護団が患者状況を十分把握しておりますので協力をしていただくことと、それ以外  に、訴訟に加わっていない人たちの実態についても、多分、いろいろお悩みを抱えて  いるだろうと思いますので、実態を明らかにしたいと思いますけれども、どのような  形でできるか、今後検討していきたいと考えております。   それから、是非インタビューをやるべきであるというお話が委員会でも出ておりま  したが、当時の行政とか企業担当者に対するインタビュー調査について、いずれもか  なり高齢になっているという面もありますし、当時の状況を把握するためには、もう  最後の機会かなと思いますので、できるだけ掘り起こしをやって、先ほど大臣もおっ  しゃっておりましたけれども、当時の状況を把握するという意味でやりたいとは考え  ておりますが、これも一筋縄ではいかないだろうと思っております。   それから、もう一つは、医療側の問題でございます。当時、医療の認識に対して、  医師がどのように把握していたかということについて、アンケート及び、できればイ  ンタビューもやりたいと思っております。これも昨年できませんでしたので、行いた  いと思っております。これについては、できれば学会を通して、例えば、産婦人科学  会とか、そういうところを通してやるのが妥当かなと考えております。いろんな学会  がございますので、医学会にお願いをして協力をしていただこうと考えておりまして、  高久先生には一応、お話をして、検討してみるという回答をいただいております。   更に、これも昨年はできませんでしたが、海外の状況に対する調査。当時の海外の  フィブリノゲン製剤の承認方法が日本と比較してどうなのかというようなことから、  我が国の当時の問題点があれば、それを抽出する。更に、海外においてフィブリノゲ  ン製剤による肝炎感染問題にどう対処したのかを整理する。それから、副作用被害防  止・拡大防止のための海外の先進的な仕組みがあれば、それについて調査をする。あ  るいは、被害者救済制度の実態について調査をする。これについては、主として、い  ろいろ問い合わせをしたり、厚労省に協力をいただいて調査をするというようなこと、  文献調査、必要に応じては海外に出向いて調査をするということも視野に入れてやっ  ていきたいと考えておりますが、主として被害者の実態調査とアンケート、インタビ  ューが中心になると考えられますので、なかなか時間のかかることだと思いますが、  大体、今、月に2回ぐらいのペースで班会議をやるというような計画を立てていると  ころでございまして、是非とも御協力をお願いしたいということでございます。   以上です。 ○寺野座長 堀内先生、ありがとうございました。   研究班は昨年度も大変なエネルギーを使われて肝炎の実態調査をしていただきまし  たけれども、まとめの冊子ができたようでございますので、受け取られましたら、よ  く読んでいただきたいと思います。   今年度、2009年度に関しては、班の構成も、坂田さんや泉さんも入っていただいて、  かなり昨年度とは違った内容での研究テーマになるようです。被害者の実態調査等々、  当時の状況を再現してみたいということのようです。難しい問題がいっぱい横たわっ  ていると思いますけれども、月2回、なかなか大変ですけれども、是非、よろしくお  願いしたいと思います。それに基づきまして、それぞれのところでまた報告もしてい  ただきまして、本委員会でそれを参考にしながら議論をしていきたいと思いますので、  よろしくお願いいたします。   そのように、本委員会の本年度の進め方と、堀内班と呼ばせていただきますが、班  研究の計画というものを今、説明いただいたんですが、御質問なり御意見がありまし  たら、若干ここでお受けしたいと思います。いかがでございましょうか。   どうぞ、水口委員。 ○水口委員 水口です。本年度の進め方について、今、御説明いただいたところでは、  第一次提言の進捗状況と対応を9月に御報告いただける、要するに、研究班ではなく  て、第一次提言の制度改革についての提言ですけれども、それについての厚生労働省  の取組みや、対応については、9月に御報告いただけるというお話があったと思うの  ですが、そのこととの関連で意見を申し上げたいと思います。   どこまで進んだかということで言えば、多分、9月までにすごく大きく進めるとい  うのは難しい内容のものもあると思います。そういう意味では、これからどういうふ  うな形で進めようとしているのかということを、どうしても9月にならないと説明で  きないということであればやむを得ないのかもしれないけれども、例えば、厚生労働  省の中で工夫すればどんどん進められるものと、提言の内容を実現するためには、い  わゆる検討会のようなものを、別途そのテーマだけに絞って組織しなければ進まない  もの、いろいろなものがあるやに思います。その辺の全体のイメージ、課題ごとに、  どういう進め方をしていこうとしていらっしゃるのかということについて、もうちょ  っと前にスケジュールのような、大体の方向性といったものを御説明いただくという  のは難しいんでしょうか。 ○寺野座長 水口委員の方からは、討議用のメモとしていただいているんですけれども、  それも含めて。それはまた別の話ですか。 ○水口委員 第三者組織のメモは、次の議題になる行政組織のテーマとの関係でのペー  パーです。私が申し上げましたのは、今年度の検討会の進め方のスケジュールとの関  係です。進捗状況についての御報告が9月ということになっているんですが、御報告  いただくときに、現にどこまで進んだかということだけではなくて、どういう形で進  めるかという点も勿論御報告いただきたいということ。そのときに、別の研究班を設  けたりしなければ進まないものもあれば、厚生労働省の裁量の中でどんどん進められ  るものもあると思っておりますので、その辺の仕分けもあると思います。そういうこ  とも含めて、9月に御提案いただいて、そこで議論してというふうにスケジュールを  考えていくのではなく、本当は夏休み前に大体の方向性を御提案いただけるとありが  たいなと思うのですが、それは難しいのでしょうか。 ○寺野座長 わかりました。事務局の方から。 ○総務課長 今、お話のありました点ですけれども、第一次提言について、実績とかデ  ータに基づいて御説明するというのは難しいと思うんですけれども、今、水口先生か  らお話がありましたような、とりあえず今の時点でどんな形で進めようとしているの  か、大きな流れだけでも、次回か次々回かに整理して御説明したいと思います。 ○水口委員 そうですね。それは是非よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 そうですね。その過程で必要な委員会等があれば、後で御提言いただける  ようなことも考えていく余地はあると思います。ありがとうございます。   そのほか、御意見ございませんか。よろしいでしょうか。被害者からのヒアリング  等もございますし、時間が過ぎてまいりましたので、この件についての議論はこのく  らいにいたしまして、次回並びに次々回の議題につきましては、今日の議題を踏まえ  まして具体的に決めていきたいと思います。大体ここに書いてあるようなことですが、  もっと具体的に、今の水口委員の意見なども勘案して決めていただきたいというふう  に思います。   研究班の方も、可能な範囲で皆さんの御意見を考慮して進めていただければ、大変  な作業ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。   次に、議題2ですが、「被害者からのヒアリング」に入りたいと思います。本日は、  薬害肝炎全国原告団のお2人の方にお越しいただいております。カメラの撮影の関係  もありますので、まずお1方、前の席に御移動をお願いします。もういらっしゃって  いますね。   それでは、先ほど確認しましたように、前回会議で薬害肝炎の被害者から被害実態  について直接お話を聞く機会を本委員会で設けることとしました。今回並びに次々回  7月においてヒアリングを実施したいと考えております。初めは毎回というお話もあ  りましたけれども、いろいろな都合で、1回ごとにお2人ずつという形でお話をお聞  きしたいというふうにしました。そして、原告弁護団から推薦がありましたお2人の  方に御参加いただいております。お忙しい中、ありがとうございます。   それでは、早速、お話をお伺いしたいと思いますが、時間の関係もありまして、お  1人10分から15分程度ずつお話をいただきまして、その後、委員の方から質問、御意  見など、意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。   では、まず最初に、平井さんの方からお願いしたいと思います。よろしくお願いし  ます。マイクの方は大丈夫でしょうか。 ○平井氏 私の声が聞こえますでしょうか。 ○寺野座長 大丈夫です。 ○平井氏 本日、私がこの場で、私の被害と、私が今、思うこと、私が委員会の先生方 にお願いしたいことを話す機会ができたことを感謝します。   私は、東京原告19番、平井要と申します。年齢は58になります。昨年の春に医師か ら、肝硬変から肝臓の状態が進行していることを告げられました。今、私は精神的に も肉体的にも大変辛い毎日を送っています。そして、なぜなんだと、どこにもぶつけ ることのできない怒りが込み上げてきます。   昨年春より肝臓の状態は、どのような治療を試みても治る兆しが見えず、ステージ 4の進行を食い止めることができません。1年の間に何回も入退院を繰り返しました が、ウイルスはすぐ暴れ出します。治りたい、治してみせると強く思うも、体の中の ウイルスが私をそっとしてはくれません。   私は普通の生活がしたいです。朝起きて、家族と言葉を交わし、御飯を食べて仕事 に出かける。帰宅して、90になる母親の一日の話を聞きながら、かみさんと一日の他 愛もない出来事を聞きたい。時間があれば、妻や子どもたちとお茶を飲み、共通の友 人、趣味などを話す。そんな家族の何気ない会話が今の私にどれだけ救いか、わかっ てほしいです。ほんのわずかな幸せなときはいつまで続くのか。負けないぞと思う気 持ちと、辛い辛いと口にできない思いが交差します。   私の肝炎にかかってからのおおよそを話したいと思います。1981年、31歳のとき、 脳外科で脳内出血の手術を受けました。そのときにクリスマシンを投与されました。 2週間過ぎたころ、はしも持てず、脱力感で体を起こすこともできませんでした。医 師は、肝機能の数値は無限大に上昇していると家族に告げました。私ひとり隔離され、 1週間面会もなし、食器や洗濯物も他の入院者と一緒にしないように注意を受け、や がて非A非Bの劇症肝炎を発症していると告げられ、家族は、うつる可能性があるの で、なるべく近づかないようにと言われました。しばらく入院し、様子見の一時帰宅 をすると、すぐに数値が上昇し、再び入院を繰り返し、入院7か月のうち5か月がこ の劇症肝炎のための治療でした。   私は自営業を営んでいるため、肝炎だけに振り回されてもおられず、体調も著しく 悪いということもなかったので、そのまま月日が過ぎていきました。1995年、その病 院から突然電話があり、HIV検査をするように呼び出しを受けました。私がまだ存 命であるか、まだ生きているかというのが病院からの最初の第一報でした。この検査 は、当時の厚生省の全国への指令であったようです。10数年もたって私へ電話があっ たのは、カルテが存在していたから、そう思っています。   今思うと、私は、私の最も大切な治療時期を知らされることもなく、知るべくもな く、見過ごしてしまいました。血液検査をしたのですから、肝機能の状態も出ていま す。もしこのときに厚生省が、血液製剤を使用された人で肝機能数値の異常な人など に治療や治療方法を呼びかけていてくれたら早期治療ができた、私はそう思っていま す。   安全対策課や、現在の副作用対策室など、どこかで、1960年以後の飯野先生の研究 班報告を真摯に取り入れていたなら、あるいは肝炎機能数値を同時にチェックする指 令が出ていたのであれば、私は間違いなく検査に引っ掛かりました。そして、面倒で も、緩慢になっていた治療をやらなければと、自分の肝臓を治す方法をしたと思いま す。この時期を逃したことが残念でなりません。   2000年、足の骨折で整形病院にかかり、そのときの血液検査で初めて肝臓の検査を すぐするように言われました。内科の病院では、検査数値が異常に高く、肝生検をす るとのこと。私は血液製剤を投与されてから18年目にして初めて、自分の体が既に慢 性肝炎の進んだ状態であり、肝臓の周りには疱瘡のようなぶくぶくが無数についた状 態であることを告げられました。肝臓は機能が弱く、かなり傷んでいることを告げら れました。それからはきちっと通院し、健康管理をしましたが、それでも肝硬変とな り、現在は肝臓に影ができたり、消えたり、入院と退院を繰り返しています。   というわけで、この病気にかかってからの私と、私の大切な家族は、ともにこの病 気に振り回されてしまいました。高齢の母や妻や子どもの気遣いや心配が常にありま す。ウイルス肝炎になってしまった私だけでなく、治療の情報を手探りで探さなけれ ばならないことで、娘や息子も、家族全員を巻き込みました。薬害C型肝炎訴訟原告 となるまで、どこに相談し、どこに救いを求めたらよいのか、手探りの状態であった と言えます。   国は、平成19年12月に当時の総理の決断で訴訟を止め、和解をすることを決めまし た。そして、平成20年3月に和解の基本合意書を私たちと交わしました。私は正直に 言えば納得していません。私の健康は、私と家族にとってお金に代わるものではあり ません。健康を取り戻したい、健康を返してほしい、それが正常な気持ちです。   事実、裁判では、国も製薬企業も自らの責任を認めようとはしませんでした。徹底 的に争う姿勢でした。それが、和解案が出ると一変に争う姿勢を消し、私たちに大変 な御苦労をされたと言いました。裁判が続いていれば、まだ私たちには非がなかった と争う様子を見せていたのにです。   一体、この国の医薬行政の監督をする厚生労働省も製薬企業も、人間の命に対して、 どのような使命を持たなければならなかったのでしょうか。 私も訴訟に参加して初めて、この血液製剤の製造と販売がいかに危険で、重篤な死 に至るまでの副作用をもたらすものであるかを知りました。   そして、薬事の監督者としての厚生労働省のずさんな手続を思い知らされました。 どれだけ多くの人がそれによって苦しい生活や、別れたくない御家族と永久の別れを しなければならなかったことか。それを考えると、この罪は永遠に残るのではないか と思います。真摯な反省とはどのようなことを言うのか、それがわかるまで、それを 許すことの難しい気持ちがあります。   国はなぜ有害性だけでなく、人の生命をも奪う、この薬の販売を容認し続けたのか。  被害者に情報提供し、適切な治療を受ける機会を逸した人は数多くいます。私もその  1人だと思っています。   私たち被害者も、それぞれ違った環境で長いこと医療費に苦しみ、生活が圧迫され  てきました。治るのであれば治したいと願い、この先どのようになるだろうかと不安  で生きてきました。   そして今、私はステージ4が進んでいます。それに負けず、いかにこのステージを  長く維持できるものかと戦っています。家族の支えと、私自身の負けるものかという  思いで自分を励ましています。   この委員会に出席するのは初めてです。委員の皆様には、今の私の様子がどのよう  に映るのでしょうか。C型肝炎は外見からは健常者と比べて明らかな重篤な状態がわ  かりにくいと言われてきました。毎日、浮き沈み、精神的不安定な状態を繰り返して  います。肝臓は既に正常な働きをしていないと医師に告げられていますので、全体の  倦怠感と腹水のたまるのを防ぐことができません。委員の皆様には、外見上の私はそ  のように見えにくいのではないかと思います。C型肝炎の恐ろしいところの1つにそ  れがあります。   この薬害の連鎖を断ち切ってほしいと常に思います。国の間違った思いや、利益を  優先する製薬企業がこのような悲惨な被害を起こしたことをもう一度振り返ってほし  いと思います。本当の被害の実態は、私や、発言を許されているわずかな人から伝わ  るか、心配です。しかし、じっと聞いてくだされば、さまざまな被害の実態がおわか  りになります。この実際の被害を知ってください。その上で、私のような被害者を出  さないようにするための改革をお願いします。提言だけで終わることのないよう、実  行動をもって挑む委員会であり、委員の先生方であってほしいと願っています。   いま一度、先生方に思い出してほしいことがあります。昨年の6月5日に、今日、  私が発言を許されたように、何人かの薬害C型肝炎原告の方が発言されています。も  う一度その方々の被害の話を思い出してください。この薬害は実に多くの方々の希望  を奪い、遠慮して生きることを余儀なくされ、医療費と生活に戦ってきました。   原告だけではありません。つい5月21日に1人の女性が熊本でお亡くなりになりま  した。私は、お顔は知りません。しかし、その方は、昨年の大臣の交渉の機会に1つ  の文書を託し、大臣が受け取られました。カルテがなく、原告に加わることができな  い方でした。ひとりで子どもを育てなければなないため、治療費を工面する困難から  治療を断念し、仕事に戻り、そのため進行が早く進み、肝臓がんになられたと聞いて  います。その方が残された言葉に、生活のため治療を断念しなくて済むような助成を  確立してほしい。感染症指定や感染症被害の障害者として、人として生きる道に希望  を与えてほしい。   今の私も同じ気持ちです。厚生労働省の調査では、このようなことがわかっている  のでしょうか。生活を優先するために治療を後回しにしたり、治療を断念する方々は、  私も含め、実際にいます。   最後に、私は、私の家族のためにも、私自身のためにも生き続けたいです。こんな  理不尽なことで死んでたまるかと、強い思いで生き続けます。委員の先生方には、二  度とこのような悲惨な薬害を起こさない仕組みを確立してください。厚生労働省の薬  事行政の被害者として、また、利益優先の製薬企業の被害者として、それらを法律を  もって制する仕組みを早くつくってくださることを心から願います。   どうもありがとうございました。 ○寺野座長 平井さん、どうもありがとうございました。   大変な御体験と、御本人のみならず、ファミリーの方、周りの人たちと一緒の戦い  ですね。そしてまた、薬事行政の問題点の本質をかなり語っていただいたと思います  し、私たちも委員として非常に大きな責任を感じるようなお話でした。ありがとうご  ざいました。   平井さん、若干ですけれども、委員との意見交換ができればいいかと思いますが、  よろしいですか。 ○平井氏 はい。 ○寺野座長 どなたからでもよろしいですけれども、御質問なり、御感想なりありまし  たら、お願いいたします。   間宮委員。 ○間宮委員 間宮と申します。実は私もC型肝炎の患者なもので、気持ちは痛いほど感  じました。   ちょっとお聞きしたいんですけれども、今後の研究班のテーマとして、被害者の実  態調査をする予定なんです。今、内容については詳しいことは特に出ていないんです  けれども、アンケート調査を考えているということで、さっき堀内先生の方から説明  があったんですけれども、実際、アンケートの仕方がどういうものかというのはまだ  わかりませんけれども、いわゆる紙だけのアンケートで済むものなのか。今のお話だ  けでも、きちっと被害の状況というのをお聞きしなくてはいけないと思うんです。そ  ういうものをきちっとヒアリングというか、インタビュー調査的にした方がいいのか、  紙でも十分なのか、どういう感じですか。平井さんはほかの被害者の方にも接してい  ると思うんですけれども、そういった被害実態をきちっと把握するためには、どうい  う調査をした方がいいというふうにお考えでしょうか。 ○平井氏 調査というと、アンケートみたいなものを考えられているわけですか。 ○間宮委員 先ほどの堀内先生のお話ではアンケート調査ということだったんですけれ  ども、私の感覚では、紙だけではなくて、もっと突っ込んだ、それぞれの事情がある  わけですから、そういったお話を十分に聞いて、実態調査の結果として挙げてくるの  がいいんではないかなというふうに考えているんです。 ○平井氏 生活の基盤が皆さん違うように、アンケートする対象者によると思うんです。  私のように、医療としての被害と、また違う意味での被害があると思うんです。です  から、無差別にアンケートを取るのか、それとも薬害の方だけを取るのか、その辺に  よっても大分違ってくるんではないでしょうか。 ○間宮委員 薬害肝炎の被害ということですから、薬害に遭われた方ということですけ  れども、精神的なダメージの状態とか、経済的にどういうふうな状態になっているか  というのは、よく話を聞くべきなんではないかというふうに感じるんです。 ○平井氏 大賛成ですね。 ○間宮委員 そういうふうにお感じですか。 ○平井氏 はい、感じます。 ○間宮委員 ありがとうございます。 ○寺野座長 堀内研究班の方では、アンケートと書いてありますけれども、インタビュ  ーとか、そういうこともあると思いますので、その辺はまた御協力いただくことにな  るかと思います。   もうお一方、お話しいただく方がありますので、まず、そのお話をお聞きして、ま  とめて御質問いただいた方がいいかなと思います。   では、次に、名前の方は東京原告2番さんとお呼びせざるを得ないんですが、10〜  15分でございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 ○東京原告2番 薬害肝炎東京原告2番です。裁判の方は、実名は伏せて、原告番号で  戦わせていただきました。   私は、本当は今日、この場でお話しすることをためらっていました。なぜかという  と、もう辛い過去を口にしたくない、今の苦しい気持ちを口にしたくない、話をする  ことによって自分で自分の今の状況を改めて認識させられ、追い詰めてしまうと思っ  たからです。でも、今回、同じ原告から熱意ある言葉をもらい、少しでも現状が変わ  るのならば、今の気持ちをそのまま言葉にしてみようと思い、今日、この場でお話し  することにしました。   私は、今から22年前、長男を出産するときに、止血剤としてフィブリノゲン製剤を  打たれ、C型肝炎に感染しました。出産時、医師は「出血量が多いので止血剤を打ち  ます」と私に言い、フィブリノゲン製剤を投与しました。ベッドの上で私の右腕から  フィブリノゲン製剤が点滴で落ちていくのを今でも覚えています。その夜から高熱が  出て、子どもに母乳を与えることもできず、高熱に耐えていました。私は産後の疲れ  なのだろうかと思い、医師は、熱の原因はわからないと言いました。   それから1週間後、退院し、実家に戻りましたが、1か月検診の少し前から、だる  さ、吐き気、黄疸が出て、不安な気持ちで病院を受診しました。ちょうどそのころ、  青森県三沢市のフィブリノゲン製剤での肝炎集団感染の記事が新聞に出ていました。  私が病院に行くと、看護師の顔色が変わったのがすぐわかりました。そして、診察室  に入るなり医師は「新聞記事を読みましたか。あの薬と同じ薬を打ちました。すぐ大  きな病院へ行き検査してください」と言いました。私は、自分の身に何が起きている  のか理解することができませんでしたが、大変なことが自分に起きているんだと、医  師のあわてぶりから感じました。   裁判が終わった後に知ったのですが、私にフィブリノゲンを打った先生は、新聞記事  に出ていた産院の先生にフィブリノゲンを打っても大丈夫か問い合わせたそうです。  そのとき、肝炎患者を出した病院の先生は、ロッド番号を聞いて「そのロッド番号の  フィブリノゲンはミドリ十字の社員がこのフィブリノゲン製剤は大丈夫ですと持ち込  んだものと同じだから大丈夫ですよ」そう言ったそうです。   私はそのことを後から聞いて、人体実験されたような気持ちで、悔しくてたまりま  せんでした。どうして、多くの肝炎患者が出ているのに、新聞記事で報道されている  のに、なお使用され続けて、私に同じ薬が打たれたのか。命を軽視している行政の姿  勢だとしか私には思えません。   私はその後2か月入院し、子どもとの面会も制限され、自分がこれからどうなるの  かもわからず、絶望感の中で、ただ毎日天井ばかりを見つめ過ごしました。涙が出な  いときはありませんでした。子どもは、いつも私が横になっている布団の周りで遊ん  でいました。公園など連れていってあげる体力はありませんでした。それから22年間、  今も私はずっと病院へ通い続けています。   長男を出産後数年たち、私は2人目の子どもを妊娠しました。C型肝炎という病気  を抱えての出産はとても不安でした。私の一番の心配は母子感染でした。私は主治医  に不安を訴えました。先生は私に「母子感染の確率は数%、ほぼ大丈夫です。私の患  者さんでは感染した方はいません」そう言いました。私は、その言葉を聞き、2人目  を出産しました。そして、生まれてすぐ感染していないか検査してもらいました。結  果は、子どもはC型肝炎に感染していました。母子感染していました。私は頭の中が  真っ白になり、自分と同じ苦しみを子どもにも背負わせてしまったと悔やんでも悔や  み切れませんでした。その後、子どもには発達障害もあることがわかり、私は2つも  の重荷を背負わせてしまったと自分を責め続ける毎日でした。   そして数年たち、主人が病気で亡くなり、子どもたちを私ひとりで育てていかなけ  ればならなくなりました。私は、こんなC型肝炎の病気を背負った体で2人を育てて  いけないと死ぬことも考えましたが、死に切れませんでした。でも、今でも、なぜこ  んな辛い人生を生きていなければならないのかと考えます。   裁判が終わり、当時、私は、これで被害は救済される、自分の辛かった思いは報わ  れると喜びました。でも、その後、時間がたつにつれ、だんだん虚しさが込み上げて  きました。裁判は和解という形で終わりましたが、私と子どもの被害は回復されてい  ません。何も救済されていません。私と子どもの病気は治っていないのです。ウイル  スは私と子どもの体に今もまだ住み続けています。インターフェロン治療を受けるこ  とも考えますが、ウイルス量が多く、ウイルス量を排除できる確率は低いと言われ、  副作用が出たときの子どもの面倒をだれが見るのかと考えると、踏み切れません。打  ちたくても打てないんです。せめて子どもだけでも救いたいとインターフェロン治療  を考えますが、学校へはC型肝炎に感染していることは、偏見と差別が心配で伝える  ことができず、治療の機会がつかめずにいます。   障害を持つ子どもの親は皆、我が子に障害があるとわかったときから、将来、この  子はどうなるのだろう、親が亡くなった後、どうして生活していくのだろうと考え、  悩み、不安になります。そして、障害があっても社会で自立できるようになってほし  いと願い、1つでもできることが多くなれば自立の道は開けるかもしれないと思い、  大きな壁を何度も子どもと一緒に乗り越えて育ててきました。   今、養護学校へ通い、障害があっても頑張って仕事に就こうとしている子どもの姿  を見て、治療のため仕事に就けない、仕事に就けても治療のため辞めなければならな  い、最悪、C型肝炎のため差別され、仕事に就けないとわかったら、子どもはどんな  に悲しむか。健常者と違い、障害者は一度仕事を辞めたら次の仕事を見つけることは  とても難しく、できません。時間がたつにつれ、病気は悪くなる、親として子どもの  命は助けてあげたい。でも、いつ治療を始めたらよいか、機会がつかめない。治療し  ても100%治る保証はない。子どもの将来を考えると、どんどん不安は大きくなるばか  りで、出口を見つけられずにいます。本当に真っ暗で、小さな光も見えてきません。  多くの原告がきっと私と同じく何も救済されていない、何も被害は回復していないと  感じているはずです。   命を失った原告は二度とこの世に戻ることはありません。失わなくてよかった命が  失われ、現在、まだ多くの被害者が病状の進行に怯えながら闘病生活を送っています。  あのフィブリノゲン製剤は多くの人の人生を変えてしまいました。あの薬さえ打たれ  なければ、国に認可されなければ、この薬害は起きませんでした。起こらなくてもよ  かった薬害が人によって起きてしまったんです。委員の方々、厚生労働省の方々には、  どうか多くの被害者を出したこの薬害がなぜ起きたのか、真相を究明していただき、  二度とこのような薬害が起きないよう、利益を優先する行政ではなく、命を優先とす  る行政を行っていただきたいと強く思います。 ○寺野座長 本委員会に御出席いただくのも大変ためらわれたようですけれども、本当  に辛い御経験をお聞きすることができて、私どもも本当に身にしみてその辛さを感じ  ています。私も消化器の医者でして、そういう方はたくさん知っているんですけれど  も、環境として、次のお子さんが生まれて、母子感染をしたとか、御主人が亡くなら  れた後の生活の大変な不安とか、本当に身につまされる話です。私も何とも言葉にな  らないような感じなんですが、被害者の意見をお聞きするべきだという委員の御意見  がありまして、お2人のお話をお聞きして大変よかったと思います。今後のこの委員  会の活動にも大いに参考になるようなお話であったと感謝をいたします。   それでは、お2人の意見をお聞きしたところで、お2人に対して御質問があろうか  と思いますし、質問というよりも、御意見の交換ということでよろしいかと思うんで  すけれども、委員の方々、いかがでしょうか。   清澤委員、どうぞ。 ○清澤委員 清澤といいます。私は肝臓専門医という立場でこの委員会に参加させてい  ただいています。お2人のお話を聞いて、全く何と同情していいのかわからない思い  で、そういう気持ちでいっぱいです。今、お聞きすると、こういう薬害肝炎を起こし  てしまったというところの検証もさることながら、その後の、お2人への医療の対応  というものもかなり問題があったんではないかなというように私は感じました。   平井さんにちょっとお伺いしたかったのは、一体いつC型肝炎という診断ができた  のかという点と、抗ウイルス療法は今まで受けられなかったのかどうかということで  す。 ○平井氏 C型肝炎とわかったのは、2000年に足の骨折で整形の病院に行ったときに、  肝臓の具合が悪いので大きな病院で診てもらうようにということで、それまでは非A  非B型というふうには言われていました。C型肝炎という名前が出てきたのはそのと  きが初めてだと思います。 ○清澤委員 1995年にHIVの検査をした方がいいと言われた時点で診断可能だったん  です。ですから、当然、C型肝炎も検査してほしいという指示があってしかるべきだ  ったなというように思います。   それと、第2点ですが、インターフェロン治療は受けられていらっしゃらない。 ○平井氏 していません。 ○清澤委員 ということは、治療する機会さえも奪われてしまったと、こういうことな  んですね。 ○平井氏 そうですね。 ○清澤委員 ですから、もっと早く診断ができていれば、インターフェロン治療は1992  年から日本では行われていたんです。そういうことで、非常に残念だなと思いました。   それから、2番目の方ですけれども、今、非常に悩まれているということなんです  が、この方は治せるんだということが結構遺伝子レベルでもわかるようになってきて  おります。新しい治療法も開発されてきています。今は各地域に肝炎ネットワークと  いうシステムができて、いわゆる専門医と一般の診療所の先生とのネットワークとい  うのがかなり各県に整備されてきているんではないかと思うんです。ですから、是非  そういうところを利用されて、あるいは患者会等も利用されて、心の悩み等も話し合  って、もし治療が受けられるんだったら、受けられるようにお勧めしたいなというよ  うに私は思いました。   あと、お子さんもHCVのRNAといいますか、遺伝子があるわけですね。非常に  少ない頻度とは言いながら、そういうことになってしまって、私自身もそういう方を  経験しております。特にお子さんの場合は、病気の進行ということも楽観できないと  いうように思いますので、常に専門医と連絡を取り合っていただきたいなというよう  に思いました。   以上です。 ○寺野座長 清澤先生、ありがとうございました。清澤先生は肝炎の専門の方ですので、  そのアドバイスは是非大事にして、インターフェロンも随分進んできましたし、聞き  たくもない言葉でしょうけれども、副作用というものも随分改善されてきております  ので、是非、専門医の意見を聞いてほしいなと、我々医師としては思います。   そのほか、御意見、御質問ございませんでしょうか。   間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 東京原告2番の方にお聞きしたいんですけれども、お子さんの今後のこと  について、すごく心配されていると思いますが、今後、恒久対策として、例えば、差  別とか、偏見とか、勿論、職業差別もあるでしょうし、そういったものをなくすため  にどういうことが必要だというふうにお考えですか。 ○東京原告2番 私が出産したときにも、トイレが別にされたりとか、病院で、皆さん、  布おむつだったのに、感染しているだけで紙おむつにされたりとか、病院自体が、そ  んなことでうつるというような認識でいるのではないかというのをすごく実感として  感じてきたんです。詳しく知らない方は、とにかく感染症というだけで、うつってし  まうと、ばい菌のような扱いをされる。C型肝炎というだけで仕事に就けない。とに  かく、ありとあらゆるところで差別を受けるんです。   私の子どもは今、養護学校に通っていますけれども、養護学校の中でも就職率がい  いということで、子どもも頑張って試験を受けて入ったんですけれども、C型肝炎と  告げたら絶対入れてもらえないだろうと、自分の経験から実感としてありました。ど  ういう形で偏見と差別をなくしていっていいのかはわかりませんけれども、医療の現  場でも、そういうふうに差別的な扱いをすることはおかしいんではないかと常々思っ  ていました。 ○間宮委員 方法は今は思いつかれないと思うんですけれども、差別とか偏見をなくす  ということは、C型肝炎自体が日常生活では感染しないというものですし、そういう  認識を広めるというのもそうですけれども、更に言えば、例えば、法律とか、そうい  ったもので、そういう差別はしないようにというようなことをやっていった方がいい  というふうにお考えでしょうか。 ○東京原告2番 そうですね。まず、肝炎は普通の日常生活ではうつらないということ  をもっと広く、多くの方に理解してもらえるような方法をとっていただいて、その上  で、今、おっしゃったように、法律などで定めていただければ、もっと強い見方にな  ると思います。 ○間宮委員 ありがとうございました。 ○寺野座長 ありがとうございます。   そのほか、御意見ございませんでしょうか。   水口委員、どうぞ。 ○水口委員 今日は本当にどうもありがとうございました。質問というより、お話を伺  って、私がどういうふうに受け止めたのかということを少しお話しさせていただきま  す。   この検証委員会は、予防原則を第1に掲げるということを第一次提言でも言ったん  ですけれども、医薬品の被害というのは一度起きてしまったら、どんなことをしても  本当の意味で回復できないんだということを、今日、お2人のお話を聞いて、改めて  痛感いたしました。被害をまず起こさないという予防原則に立って、さまざまなシス  テムを使っていかなくてはいけないということを強くもう一度感じた次第です。   それと、先ほど平井さんは、自分が感染しているということをお知りになるまで長  いブランクがあって、知った後も、医療情報にアクセスするのに手探りだったという  ことをおっしゃった。結局、医療はどんなに進歩しても、そこに近づけなければ意味  がないし、また、インターフェロン治療があり、いろいろな治療法があっても、今日  のお2人のお話で私が改めて認識したのは、人は社会の中で生きていて、生活がある  わけだから、「こんなにいい治療があります。」と幾ら言われたところで、生活の中  での経済的な問題や、いろいろなこととの関係で、医療を受けられないという、この  厳しい現実があるわけですね。だから、(予防と)救済というものと両輪が整ってい  なければいけないんだということを、今日のお話を伺って本当に痛感いたしました。   それで、大変漠然とした質問で申し訳ないのですが、大分お話ししていただきまし  たが、今、お2人が何を一番望んでいらっしゃるか、これだけはやってほしいという  ことがもしおありになったら、一言伺わせていただければと思います。 ○平井氏 ちょっと前の問題になるんですけれども、私は実を言うと、わかった時点で、  企業も、この薬が薬害であるとわかっていたら、それが許せないと思っているんです。  しようがないんであれば、私はまだ我慢もします。その時点でわからなければしよう  がないんだけれども、それがわかっていたらとしたら、それが許せない。非常に残念  というよりも、私がなったからとかではなくて、それが利益のためだとかであったと  したら、とても許すことはできないというので、怒っています。 ○東京原告2番 私が今、望むのは、今、インターフェロンが副作用がとても強いと言  われていて、打つのはいいけれども、仕事を辞めなければいけない。その間、結局、  経済的にとても苦しい。だから、打つなら仕事を辞めなければいけない、仕事を辞め  ないんだったら打てない。いい薬があるから、インターフェロンを打てばいいではな  いかとおっしゃるかもしれませんけれども、打てる状況に皆さんあるわけではないわ  けです。   私の子どもも、確かに打てばいいのかもしれない。でも、学校を辞めなければいけ  ない。学校に今、行かなければ、障害者として社会で自立することはまずできないだ  ろう。どっちを取るべきなのか。できればどっちも取りたい。であれば、今のインタ  ーフェロンはとても副作用が強い。それで100%治るわけではない。新薬の開発を急い  でほしい。副作用が少なく、仕事も学校も辞めなくても薬を打って生活できる、そう  いう新薬の開発ですね。私はそれを一番望みます。 ○寺野座長 清澤先生、何かございますか。 ○清澤委員 平成19年の1月、私は参議院で参考意見を述べたことがあるんですが、そ  のときに救済法の期限がたしか5年だと言われて、それはおかしいんではないかとい  うことを言ったことがあるんです。まさに今の原告2番の方のように、限られた年限  で治療をできないということもあります。   もう一つは、母子感染のことも私は言いました。そういうこともあるので、子ども  さんへの配慮も当然してほしいということも言いました。5年というのは、当時の法  律ではあると思うんですが、これは見直すとか、そういうことも必要ではないかとい  うように思います。 ○寺野座長 どうぞ、清水委員。 ○清水委員 質問というわけではありませんが、お2方のお話を、血液行政というか、  輸血の領域で仕事をしてきた立場から、いろいろなことを思って今、拝聴していたわ  けです。   問題点を整理させてもらいますと、この委員会の大きな問題となっております1つ  は、製造承認の問題ではないかなと思うんです。   それから、もう一つは、新しく開発されて、あるいは世に出てきた製剤、あるいは  既存の製剤の適用の問題、あるいは適用拡大の問題があるんではないかと思うんです。  したがいまして、お2方が受けたクリスマシンにしても、フィブリノゲンにしまして  も、今の時点においては、多分、全く使われない状況にあるのではないかなと思うん  です。ですから、そういうようなことをどの時点で明確にして、主に治療するのは医  師ですから、医師の中に知ろしめすかということが非常に重要なポイントではないか。   もう一つは、これはまた組織論の中で後で議論になることだと思うんですけれども、  責任問題、救済問題です。だれが最終的に責任を取るのか。例えば、厚生労働大臣が  辞めたから、それで責任を取ったということには絶対ならないのではないかと思うわ  けでございます。今、治療法が開発されてきているような段階においては、できるだ  けスピーディにそれを診断して、適切な治療が大っぴらにできるというような体制を  構築していくことが必須なことではないか。これがなければ、今のお2方の御発言か  ら感じ取ったところでは、とても救われる気持ちにはならないだろうというように感  じた次第でございまして、単に医薬品の製造承認だけの問題ではなくて、もっと奥の  深い問題があり、多面的な対応を我々は取っていかなければならない。それのできる  ような医薬品の使用に関する適切な対応が取れるようなシステムをつくり上げていく  ことが必要ではないかなと感じた次第です。今日はどうもありがとうございました。 ○寺野座長 そのほか、御意見ございませんか。   泉委員。 ○泉委員 今日はお2人ともありがとうございました。一つひとつが皆さんそれぞれが  知っている内容だとはいえ、改めて聞くと、本当に何と言っていいわからない思いで  拝聴させていただきました。   そこで、今、平井さんが言われた、治療方法が手探りの状態だったという話と、2  番さんが言われた、どこに何をしていいかわからないというバックアップ体制という  のは非常に大切だと思います。特にスピーディな情報というものは、医薬関係のとこ  ろにおろすのは厚労省のお仕事ですので、是非、肝炎だけではなくて、そういう情報  を津々浦々としっかりと医療現場に届けてもらう、そういう仕事をしていただきたい  と思います。   なおかつ、こういう形で仕事に就けない、あるいは病気を黙らなければいけないよ  うな方々がいるとすると、法務省としても、厚労省と話し合ってもらって、人権に関  しては、しっかりと就職もできる、そういうような形の第一歩を厚労省自らお始めに  なっていただきたいと、そういうふうに思う次第です。 ○寺野座長 ありがとうございます。   ほかはよろしいでしょうか。今日は、平井さんと東京原告2番の方、お2人に非常  に貴重なお話を伺いました。あとの方が言われたように、お話しされるのも大分ため  らわれたようですけれども、あえて出てきていただいて大変感謝しています。   この委員会は検証と再発防止を目指しているわけですけれども、今のお話を聞きま  して、私も医師ですから、個々の救済ということが非常に重要だということを再認識  しました。救済というのは、医師としては病気を治すということが救済で、それは可  能性はかなりあると私は見ているんですけれども、ただ、実際、治療を許す環境があ  るのかどうか、そこの点が非常に重要な問題でして、この委員会の範囲を超えるもの  ではありますけれども、今から研究班でいろいろ、環境も含めた実態も検討していた  だきます。したがいまして、個々の方々の救済がどういうふうにしたら可能なのかな  ということも、当然、委員として意識して考えていかなければいけないということを  つくづく感じさせていただきました。今後のこの委員会の在り方、方向について、大  変貴重な御意見をいただいたと思っておりますので、それを最大に尊重して、ともかく  こういうことが二度と起こらないようなシステムをつくってまいりたいと思います。  御出席、お話しいただきまして、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうござ  いました。   では、拍手も変ですけれども、御苦労に対して軽く拍手をさせてください。(拍手)   どうもありがとうございました。では、傍聴席の方にお移りください。   それでは、時間が大分過ぎましたけれども、次に、議題の3「今後の医薬品行政の  あり方について」ということで、第一次提言で意見の集約に至ることはできませんで  した。組織のあり方という問題について、今年度もまた議論を続けていただかざるを  得ないわけであります。提言は勿論お読みいただいているわけですが、そのほかの組  織に関する説明を、ちょっと重複する点はありますけれども、特に新しい資料を中心  として、手際よく事務局の方からお話をいただきたいと思います。お願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 それでは、資料3について御説明をしたいと思います。  2月の末の10回のときに概略を説明しておりますので、おさらいの部分は駆け足で、  新しい資料を中心に御説明したいと思います。   おめくりいただいて、ページは打ってありませんが、2ページになります。「1   各行政主体とその権限」以下は以前と同じなんですけれども、本省と独法などの各種  の行政主体がどういったことができるか、あるいはどういった権限を持ち得るかとい  うことで、結論は、2ページにありますように、幾つか法理論的な整理はありますけ  れども、最近は立法政策によるというようなもので、かなり各種の法人に権限が委ね  られるような傾向があるということで、その基礎資料が3ページ〜8ページまでで、  これは一度ごらんいただいたことがあるものだと思いますので、ここでの説明は省略  をしたいと思います。   それから、9ページになります。これも9と打ってありませんけれども、「2 各  行政主体の置かれている環境」というページからですが、現実にどういった予算の環  境、あるいは運用の環境に置かれているかということを整理したもので、いわゆる行  政改革の流れということで、10ページの上に国の行政機関についての定員の削減等の  話、下に独立行政法人についての人件費の削減の話を記載をしております。その関係  の基礎資料が11ページ〜15ページまでありまして、16ページは、閣議決定に基づきま  して、独法が人件費以外の一般管理費や事業費についても、中期計画で5年間で15%  ないし5%の削減が決まっているという内容でございます。   17ページからは「2 医薬品行政スタッフに求められるもの」ということでの参考  資料で、18ページは現在のPMDAの常勤役職員の現状という数字を記載しておりま  す。   19ページ以降に研修の話、あるいはFDAの話、21ページは国家公務員は省庁横断  的な人事異動が前提とされているというような記載をしております。   22ページですが、審査組織におきます医師等の処遇について、御議論の参考のため  に、給料ですとか報酬について、金額の具体的なものの掲載でございます。国の施設  等機関であった審査センターについて、14年からは医療職(一)という俸給表ですけ  れども、13年までは専門行政職という俸給表が適用になっていたというようなことで  ございます。下のPMDAの医療職の処遇は、国の医療機関の医療職(一)の俸給に  準じているというのが現在の仕組みであります。   23ページが初めての資料でありますけれども、組織の見直しの案について、以前の  A案、B案という2つだけしか案がないというわけではなくて、幾つかのオプション  があるわけですので、それぞれの比較というものを整理試案ということで事務局の方  で整理をしたものでございます。議論のための素材として用意をいたしました。   表になっておりますけれども、[1]は、厚生労働大臣、医薬食品局が法律を所管をし  て、非公務員型の独立行政法人が審査を行って、大臣が承認を行う、また、安全対策  は独法も厚労省内局もそれぞれ行う現在の仕組みということであります。   [2]は、業務分担はそのままで、法人を公務員型に変更したという想定でありまして、  表の右の方の列を見ていただきますと、職員が公務員ということになりますから、国  の賠償責任についての欄、非公務員の場合は△ですけれども、○に変え、一方、処遇  の問題のところについては、非公務員の方は○にしていたものを△に変えるというよ  うなことで印を変えております。   [3]は、業務は法人が一括をして行う。大臣に答申をして、大臣が全責任を負うとい  う仕組みだと、こういうことではないかということですが、備考の欄の*3で記載を  しておりますとおり、また、第一次提言の41ページにも記載がございますけれども、  下の脚注なんですが、国民に対する賠償、補償を行うということが法的にまた現実的  に可能であるかということの検討が必要ということになろうかと思います。  [4]は、[3]を公務員型の法人にした場合ということで印を変えております。   次の[5]〜[8]は、法人ではなくて、国の組織とすることを考えた場合の案で、独立性、  専門性の欄については、法人の方が高いという意味での評価の印をつけております。  国の組織とする場合でも、厚労省にするのか、内閣府なのか、あるいは、それ以外の  大臣の下にある部局なのか、外局なのかなど、さまざまな形態があり得るものですか  ら、場合分けをして表をつくっております。   [5]、[6]は厚労省に置く場合で、[5]は、本省が法律制度を所管して、実務はすべて外  局、例えば、医薬品庁というようなイメージ、あるいは施設等機関、例えば、備考欄  に書いてありますけれども、以前の医薬品医療機器審査センターというような案で、  第一次提言でも41ページの下の方にこういった関係の記載がございます。[6]は、法律  制度の所管も外局に一元化するという案になるわけで、脚注の*1にございますけれ  ども、[5]は実務の実施を行う実施庁を外局に置くわけですけれども、[6]は、政策立案と  実務の実施等を一体的に行う新たな類型の外局を設置するという案になるわけです。   こうした場合、医療の行政、あるいは医療保険の行政と医薬品行政とが分断をされ  るということがあるほか、外局とした場合に、現在は内閣府の外局には担当大臣が置  かれるということはあるんですけれども、各省の外局の場合に、この長に大臣が置か  れる例はないということがございまして、*2に記載をしておりますように、大臣の  責任とは何かを考えると、外局の長の任命責任という話になるのではないかというこ  との留意が必要かと思います。   [7]、[8]は、厚労省ではなくて内閣府に医薬品行政組織を置く案で、その長を大臣と  しない場合が[7]、担当大臣を置くのが[8]という区分けで表をつくっております。いず  れにしても医薬品行政と医療、医療保険行政との分断は生ずるということにはなろう  かと思います。   組織の案は、これだけではなくて、さまざまあるとは思いますけれども、法理論、  あるいは現実の制度運用などについて、さまざまな制約がある中で、どんな在り方が  望ましいかの御議論をいただく素材として資料を作成してみたところです。次の24ペ  ージからの「5 医薬品行政の監視・評価機能」については、既に第一次提言で担う  べき機能については整理をいただいたところですので、従前は委員からの発言があっ  たかとか、財務省や評価委員会は何だとか、いろいろ資料を付けておりましたけれど  も、今回は入れておりません。ただ、消費者庁について、前回の会議の最後に大臣か  ら議論の紹介がございましたけれども、その後、4月17日に衆議院で修正可決しまし  て、現在、参議院で審議中ですので、その状況の報告を申し上げたいと思います。   25ページです。修正があった部分について下線をつけておりますけれども、原案で  は「消費者庁に消費者政策委員会を置く」だったものが、消費者庁にではなくて「内  閣府に消費者委員会を置く」ということになりまして、また、消費者委員会の機能と  して、関係行政機関の長に報告を求めるですとか、資料の提出、意見の開陳、説明、そ  の他必要な協力を求めることができるといったことが明記をされたということです。   また、消費者安全法案に基づきまして、この消費者委員会の機能としまして、下の  方の5つ目のポツになりますけれども、内閣総理大臣に対して、消費者被害の発生・  拡大防止に関して必要な勧告ができる、あるいは勧告をしたときは、内閣総理大臣に  対し、こうした措置について報告を求めることができるということが明記されたとこ  ろであります。   27ページ以降は「6 安全対策の充実強化と国際比較」という内容で、以前の資料  と基本的に同じものでございますので、説明は省略をいたします。   あと、別冊で、厚生労働行政の在り方に関する懇談会の最終報告をお配りしており  ますけれども、医薬品行政の関係では、13ページの下から3つ目の○に体制の強化が  必要だということが記載され、また、24ページに今後の医薬品等の承認審査・安全対  策の関係の検討を進めるべきだということが記載されておりますので、これも御参考  にしていただければと思います。   以上でございます。 ○寺野座長 ありがとうございました。   今後の医薬品行政の在り方ということで、特に新しい資料について御説明いただき  ました。特に今日でまとめようということではありませんので、今後の本委員会の進  む方向ということも含めて、できれば今年度中に一定の結論は得たい、先ほど大臣も  言われましたけれども、そう考えておりますので、どういう形でやっていけばいいの  かということも含めて、この場で、これは議論ということだけで結構でございますの  で、時間はあと20分ぐらいしかありませんが、自由なフリーディスカッションにした  いと思います。   それでは「医薬品行政のあり方について」ということで、フリーディスカッション  で結構です。   花井委員、どうぞ。 ○花井委員 2点ございます。   まず、1点目は、組織体制の在り方というのは大きな骨であって、ほかの提言の内  容につきましては、次回、進め方をプレゼンテーションしてくれると言っております  ので、組織体制に関しては2つあると思うんです。   前回合意された、外につくる監視組織、それから、本体の本来の組織。後者に関し  ましては、両論併記という形の報告書になったわけでございまして、前者に関しては、  一応、ある程度コンセンサスができたので、この部分については具体化についての肉  づけを大きな柱として取り上げていただきたいというのが1点。つまり、第三者監視  組織です。それとは別に、今回の組織体制を担う主体、審査する組織の方については  議論があった訳です。   それに関して、今、説明いただいた資料23ページなんですが、御苦労されて、医薬  品行政の組織見直し案の比較整理試案を出しているんですが、恣意的とは言いません  が、つまり、大臣の責任とか、独立性、専門性という中身を論点として、問題をちゃ  んと記述することなく○、△、◎にしてしまっているというのはちょっとまずい。せ  っかくこういう整理をしたので、これを全否定するつもりはないので、資料としては、  例えば、専門性と独立性が◎という評価、独立性、専門性はどこがどうであれば高い  のか、低いのかという、その論点をちゃんと書いてほしい。   それから、もう一つは、例えば、国の賠償責任は△、○と書いてあって、これにつ  いても、やはりちゃんと論点を、国家賠償法ではこうだから、こういうことが考えら  れるから、こういう問題があると、中身を書いていただきたい。   更には、備考のところの下から2番目でも、医療行政・医薬保健行政とは分断と書  いています。この分断の中身を書いていただきたい。今だって課ごと、局ごとに分断  しているわけですから、その分断の程度の差でしかないかもしれないわけです。これ  はすべて価値判断が入っている表になっている。せっかく表をつくるんであれば、こ  の価値判断の部分はばらして、中身を記述していただいて、更に資料として充実させ  ていただきたいというふうに思います。   以上です。 ○寺野座長 ありがとうございます。   森嶌委員、どうぞ。 ○森嶌座長代理 今、花井委員のおっしゃった23ページに関連しますけれども、その前  に、行政組織のスリム化というような政策は既に始まっているわけです。そういう前  提でいきますと、現在、PMDAの定員などを増やしておりまして、ようやく平成20  年度で484になったわけですが、更に少し増やそうということを考えた場合に、それを  公務員型で、つまり公務員の定員を増やす形でできるかということになりますと、現  在の政府全体の定員削減方針から言うと、それはかなり無理な話です。   更に、これを厚生労働省の外局という形で、公務員として増員できるのかというと、  これも政府全体の方針から言うと無理でしょう。もしかするとできるかもしれません  けれども。   そうすると、現実的にみて、来年までにまとめるとすれば、非公務員型の形で、今  のPDMAの人員を増やしていくということを考えながらやっていくということにな  るのではないでしょうか。去年のA案かB案かというのを、現実に進めていくとすれ  ば、それをどういうふうに構成していくかということなんです。そうなりますと、先  ほど花井委員が言われた、独立性、専門性とか、責任とか、国の賠償責任というのは、  およそあいまいになってくるんです。   1つは、6ページにいろんな意見がありますけれども、非公務員型で、非公務員が  公権力を行使することはできるかというのがあります。特に今回、市販後の監視をし  て、もしも怪しいものがあったら、そこへすぐ出かけていって製造や販売を止めたり、  是正措置を命ずるといったような、公権力を非公務員が行使することができるのかと  いうと、今までの考え方だと、簡単にはできません。   6ページのところを見ると、建築確認では非公務員でもできるようになっていると  いう例がありますけれども、現時点では一般的にはそう簡単にはできないと考えられ  ていますから、先ほど水口委員が、今まで公務員がやっていたことがどこまでできる  のか、どういうふうになっているのかということをおっしゃいました。非公務員が公  権力を行使するとすれば、どこまでできるのかということを、これは例えば、特別の  研究班をつくるのか、それとも、この委員会の中で議論するのかは別として、9月か  ら始めるのではなくて、できるだけ早くから、今の行政法学では、なかなかそこまで  議論をしておりませんので、そこの議論もしておく必要があると思います。   それから、先ほどどなたかが言われたのですけれども、大臣が辞めたからといって、  責任を取ってもらったことにならないんで、先ほどの話にありましたけれども、私は  未然防止することが一番大事なことだと思います。   しかし、未然防止の措置を講じておいても問題が出てこないとも限りません。その  場合に、独立行政法人が賠償責任を負ったら、あるいは企業と長年の訴訟をやって、  企業に賠償責任を認めさせれば、それで足りるのでしょうか。非公務員が新薬製造承  認を行い、国が関与していないのだから国は賠償責任を負わないで済むのでしょうか。  ここで言う非公務員型でやった場合に国の賠償責任をどうするのかということを、ち  ゃんと特別法なり何なりで別に規定するのか、それとも非公務員型の独立行政法人が  やっても、それに対して国が賠償責任を負うという法律構成ができるのでしょうか。  私は法律専門家ですけれども、国とは独立した独立行政法人に出してしまうと、国そ  のものが賠償責任を負うかどうかということになると、1つも2つも論理を入れてお  かないと、今までのように国そのものがやっていたときと違って直ちに国が責任を負  うことにはならないと思います。    それから、もう一つ、先ほどからのお話がありましたけれども、お金だけ払えばい  いのかというと、やはり治療法をどうするかとか、いろいろなアフターケアというこ  とも考えたら、私は、医薬品の場合、いろんな新しい治療法が開発されるとすれば、  医薬品の開発とともに、賠償というよりも、特別のアフターケア体制というものを国  の責任の一環として、何から何まで面倒は見られないかもしれませんけれども、アフ  ターケアの仕組みを、特別の法制として、かつて公害のときに公害健康補償法を考え  たような形で、医薬品について、もう少し幅広の救済制度を検討したらどうでしょう。   非公務員が安全確認をしたり、あるいはアフターケアをした場合、市販後の監視に  問題があった場合も含めて、それらを含めて、今までの行政とは違うやり方をやると  した場合に、今までの伝統的な行政法ではカバーされていないものを、この委員会で  新たに立法なり何なりしてやる必要があるのかどうかということをきちっと検討をし  なければならないのかどうか、現在の法律体制のままでもやれるのかどうかというこ  とも含めて、6月、7月、あるいは8月に、やらなければならないかどうかを検討す  る。そして、新たな検討が必要ということならば、9月から本格的にこの委員会でや  っていただく。そのための、検討の必要があるかどうかという検討会といいましょう  か、それを是非やっていただきたい。   これは23ページとの関係で、先ほど花井委員が挙げられた問題。これは第1の第三  者委員会の問題も含めてもいいんですけれども、検討課題としていただきたい。それ  から、PMDA、PMDAという名前でなくてもいいんですけれども、独立行政法人  のような、外へ出した場合の組織と本省との組織・権限・責任の関係と、同じ制度化  で、今度新たに法律などを作って独立行政法樹陰などに特別の行政権限を持たせ、国  もそれに対して責任を負うこととする場合に、なにか問題が起きたときにはどうする  のかということなども含めて、どういう問題があるのか、どういうことを検討してお  かなければならないかということをやっておくべきだと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。   第1は、花井委員からありましたように、23ページの◎、○、△ではなくて、具体  的に表現してもらいたいということ、これはいいですね。問題あるかもしれないです  けれども、それはお願いしたいということです。お願いしたいというか、実際問題と  して、たたき台をつくっていただいて、我々の中で議論する必要があるということで  すね。 ○花井委員 そうですけれども、ある種の価値判断、これは量的○なのか質的○なのか  わからないんですが、そういう価値判断もあるんだろうから、それを判断したことに  は、言えばわかるんですけれども、こういう場合だったらこう、公務員は異動してし  まうから専門性が低いとか、多分、そういう理由なんでしょう。いろんなことがある  と思うんですけれども、それをちゃんと書いていただいて、それだけの問題であれば、  それは解決可能かもしれないわけなので、解決不可能な問題と可能な問題を整理する  上でも、この○と△の中身をばらすことが重要であると、こう言いたいわけです。 ○寺野座長 わかりました。その点は工夫してください。   それから、森嶌委員の方から御指摘いただいたことは非常に重要な問題であります  が、スケールの大きな話であります。これはこの委員会が始まった最初から、A案か  B案かという、そこの基本論になってきているんだと思うんです。確かに公務員型、  非公務員型、独立行政法人になったらどうするんだ、賠償責任が果たして取れるのか  というふうな問題等々ございまして、確かにこの委員会を超えるぐらいの大きな話で  ありますけれども、これなしには我々の議論が進まないことも事実であります。これ  を具体的にどうしてやっていけばいいか。別の委員会をつくって、この問題をやると  なってくると、今、厚労省の在り方の基本的な委員会のあれも出ていますね。そうい  うことも参考にしながら、今、行政組織が大きく政治状況とともに変わろうとしてい  る中で判断していかなければならないので、大変難しい問題だと思いますが、そこも  考えながら、別の検討委員会をつくるかどうかということも検討させていただいて、  何らかの形で対処したい。 ○森嶌座長代理 座長にお任せします。 ○寺野座長 私の能力を超えているようなお話でしたけれども、重要な問題だとは思い  ます。ありがとうございました。   御意見どうぞ。坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 今、厚労省は分割の話が出ています。あと、消費者庁の行方も形もわから  ない。そんな中で、A案、B案とかの議論が今、必要なのかなと思います。今は、行  政の組織の在り方ではなくて、監視組織の在り方を先に討論すべきではないかと思い  ます。   それと、済みません、時間がないのですが、今日、私は資料を提示しています。こ  れを説明させていただけますか。 ○寺野座長 どうぞ。 ○坂田委員 「水俣病問題に係る懇談会」の提言書です。今日は、水俣病問題にかかわ  る提言書を、全65ページあるんですけれども、私たちに関係する12ページを参考資料  として準備していただきました。   この資料から私が何を申し上げたいかといいますと、皆様の御記憶にもあると思い  ますが、平成19年の夏ごろに東京の温泉で爆発事故がありました。温泉は環境省の管  轄ですけれども、秋にはメタンガスの分析を全国一律厳正にせよとして、温泉法の改  正がされました。対応がめちゃくちゃ早かった。なぜなら、事故が起こった場所が東  京だからです。   その点、水俣は熊本と鹿児島の県境、熊本の奥地、端です。東京からかなり遠い。  水俣病が東京湾や隅田川で起きていたなら、とっくに解決していたかもしれません。  薬害肝炎も、62年、集団感染が起きたのは青森だったわけです。温泉爆発は東京だか  ら、自分たちの身近なところで起きた。水俣病などはすべて後々になってしまった。  全くの人ごとでした。環境省と厚労省は同じ建物です。これが自分の家族に起きた被  害だったらどうなのかという想像力の欠如が行政官にあるから、2.5人称の視点を持ち  ましょうとの提言書の内容です。   厚労省では、行政官がやるべき対応はちゃんと行われたのか。どのような対応がさ  れたのでしょうか。この提言書が出て、何も知りませんでしたではないです。この提  言は何だったんでしょう。私たちの提言書も同じ扱いになるんではないでしょうか。   水口委員が先ほど言われましたように、厚労省はタイムスケジュール、この委員会  の第一次提言に対して、具体的な計画書を示していただきたいと思います。私たちメ  ンバーはそれをチェックする立場にあると理解しております。   最後に、検証委員会絡みの部分しか今回提示していませんが、水俣で何があったの  か、薬害肝炎と根っこは同じです。ホームページ上に出ていますので、皆様、是非御  一読いただければいいと思います。ありがとうございました。 ○寺野座長 ありがとうございます。   今日はフリーディスカッションでやっているので、次も、次の次もずっとやります  ので、また御意見をいただきたいと思います。   大平委員、どうぞ。 ○大平委員 今、厚労省の分割の問題とか、そういうことで、なかなかA案、B案を検  討できないというようなお話がありましたけれども、そういう時世だからこそ、私た  ちの体験とか、また、この検討会で検討する意義が大きいんではないかなと思います。  これはやはり国民の健康と命を守るということで、こういった被害者とか、そういっ  たところからきちっとした組織体系をつくってほしいという意見が出てくるというこ  とが大切な問題だと思います。   ですから、今日、参考として、厚生行政の在り方に関する懇談会の資料が出ており  ますけれども、ここにかなり抜本的な改革を目指してもいいような提言が節々に盛り  込まれているところを私たちはきちっと見据えていかないといけないんではないかな  と思います。そうしませんと、せっかくここでの意見というのが、もう少し上位のと  ころで議論されてしまって、ここで考えたことが余り実現されないことになってしま  うということは大変遺憾なことだと思いますので、A案、B案も含めて、公務員体系  の問題も含めて、新しい仕組みというものをここで検討し、かなり具体的なイメージ  ではなくても、薬害再発防止のための徹底した議論の中から生まれた構図というのが  出てくることを期待されているんだろうというふうに思いますので、私もそれを期待  して参加しております。よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 ありがとうございます。   非常に難しい問題で、今日はとても十分議論はできないんですけれども、確かにこ  の懇談会の報告書などを見ていましても、基本的に国の組織、公務員か、非公務員か、  非公務員の権限はどうなのかと森嶌先生おっしゃったとおりなんですけれども、そう  いうものを変えていくのがこういう委員会の考え方だと思うんです。医療安全調査委  員会も同じようなものでして、この辺も、どういうふうな権限を与えるのかという問  題でいろいろ言っているようですけれども、いっぱいそういうのがあるんです。です  から、我々も、こういう場としてはこういう意見があるんだということを提言の中に  盛り込んでいけば、全体を変えるときに大きな力になることは確かですから、A案、  B案も議論していきましょう。それはきちんと本質的なところを、賠償ができるかど  うか。そして、監視組織というのも非常に重要な問題ですから、これについても可能  な問題として具体化できるような方向で考えていくということを皆さんに了解してい  ただければと思います。   清水委員、どうぞ。 ○清水委員 先ほど花井委員と森嶌委員が言われた23ページの件ですけれども、公務員  型は、運営資金等は多分、税金で全部賄うんだろうと思うんですけれども、もし非公  務員型になったならば、例えば、運営資金はどうなるのか。今はPMDAは審査料な  どを取ったりしていますけれども、審査料とか、場合によっては中立の立場から寄附  金を受領して運営するとか、勿論、税金の一部も入ってくるんでしょうけれども、例  えば、税金を使うということになると、その性格づけはどういうような使い勝手の予  算措置ということになっていくのか、そういうようなところも同時に整理して御報告  いただければと思います。   以上です。 ○寺野座長 ありがとうございます。   議論がだんだんと去年の5月、6月の議論に戻ってきているのも事実なんですが、  非常に重要な観点ですので、議論していきたいと思います。   小野委員、どうぞ。 ○小野委員 2点ほど確認したいんですが、先ほど森嶌先生の方から、責任問題、法学  的に、法理的に大丈夫かというような、まさに先生の御専門のところで、気になる点  はたくさんあるという御意見をいただきました。ふと思うのは、先生はお言葉を易し  くされているようなところもあると思うんですが、現在、PMDAは[1]でやっている  わけですけれども、大丈夫なんですね。もう何年も動いているんですけれども、シス  テムの問題とか、理屈の問題は置いておいて、被害に遭われた方が、何らかの形で最  低限賠償される、これは大丈夫と、役所の方、今ここで言っていただかないと、とて  もではないけれども、危なくて、今後の議論も何もあったものではないんですけれど  も、そこはどうお考えになっているのかというのを、まず1つ、聞かせてください。 ○寺野座長 答えられますか。どうぞ。 ○総務課長 勿論、副作用被害についての制度というのはありますし、現在の[1]の仕組  みは、最終的な承認権限というのは大臣にありますので、承認に係る種々の問題が出  てきた場合には、公務員による行為ということですので、国家賠償法の適用もあると  いう意味では、大丈夫というか、それなりの制度は整っているということだと思いま  す。   ただ、1点だけ、先ほど森嶌先生が御指摘なさったように、それでは機構自身に責  任がなくてよいのか、最終的に国だけが責任を取って、機構がいわば民事的なという  か、賠償責任を取らないというようなやり方がいいかどうかというところは、法律的  にもいろいろ議論があるところではないかなと、繰り返しになりますけれども、そう  いうふうに思います。 ○小野委員 よろしいですか。 ○寺野座長 簡潔に。 ○小野委員 ちょっと安心しました。   もう一点は、花井委員の先ほどの指摘なんですが、23ページの表にこだわって恐縮  なんですが、○、△の話だけではなくて、どういうカラムを入れるかです。独立性、  専門性だとか、5つぐらい入っていますけれども、これがすべてではない。多分、こ  れは役所的には重要なんでしょうけれども、薬害が何で起きたか、要は、何か起きた  ときではなくて、これから起こさないようにする上で重要な視点、例えば、判断の中  立性だとか、不確実な状況下でどう判断するかだとか、弱い人に優しい判断をしそう  かどうかとか、国民に判断が開かれているかどうかだとか、これから起こさないよう  にするための視点というのが、独立性、専門性という一言でおさめようとしているの  かもしれませんが、すっぽり抜け落ちていると思います。先ほど花井先生が言われた  とおり、これはこれで結構なんですが、そこの部分が抜けているので、それをきちっ  と足した議論ができるような資料を是非つくっていただきたいと私は思います。 ○寺野座長 どうぞ。 ○森嶌座長代理 ここで議論するつもりは全くないんですけれども、先ほど言いました  ように、新薬の承認はそこでいろんなものをやりますけれども、今までですと全部厚  労省がやっていたわけです。厚労省はちゃんとやって新薬承認したわけですけれども、  市販後にいろいろ出てきたときに、PMDAがミスったときにどうなるのかというこ  とについて、私は自信がありません。   前ならば全部厚労省です。しかし、PMDAがやる市販後のチェックのように厚労  省が直接関与しないことについては、厚労省の責任になるかもしれませんけれども、  ちょっと前とは違う、ワンクッションあるので、先ほど自信がないと言ったのはそう  いうことなんですが、その辺、よく詰めてみないとわかりませんので、それなりにと  おっしゃったのは、まさにそれなりにということで、決して今の厚労省のお答えが間  違っていると言うつもりはありません。かつてほど、最初からしまいまで国が全部や  っているわけではないという意味で、問題を詰めなければならないところがありそう  な気がするということだけ申し上げておきます。   しかし、実際に裁判になったら、法律家ですから、水口委員もそうだと思いますけ  れども、そのときは国が責任を負うような論理構成をすると思いますけれども、今こ  こで議論するつもりはありません。 ○寺野座長 今、小野委員が言われたような専門性とか責任とかとありますけれども、  これのカテゴリーは考えなくてはいけないので、皆さんの意見を含めて、費用の問題  も先ほど出ましたし、それをどうするのかという問題もありますので、意見がありま  したら、前々から言っていますように、FAXででもお知らせいただいて、こういう  ものを加えるべきだということがあったら、御意見ください。   水口委員、どうぞ。 ○水口委員 森嶌先生と見解を異にするかもしれませんが、現在のシステムで、国が最  終的に賠償責任を負うことに疑問があるという御発言自体に、疑問があるということ  を議事録に残しておきたいと思っております。国が最終的に責任を負うということは  共通の認識である。そういう意味では、この表で、[1]が何で△なのかというのが、私  は見たときに理解できなかった。全体に評価が入っていて、△、○、◎がついている  ことの説明を具体的にしていただくということが大事で、△、○、◎の評価自体に、  私自身はいろいろな点で異論があるということだけ、細かくは申し上げませんけれど  も、申し上げておきたい。それから、先ほどから出ている独立性、専門性、何からの  独立性なのかということも含めて、これを一緒くたにして1つの項目に入れるという  のは、ちょっとおかしいのではないか。項目立ても検討していただきたい。   もう一つ、先ほど森嶌先生の御見解としておっしゃられたことでちょっと気になる  のは、公務員型で公務員を増やすのは無理ですねと、それから、外局は無理ですねと、  かなり断定的におっしゃられたんですけれども、そうなると、医薬品庁構想も含めて、  A案、B案で私どもが考えてきている土俵は一体何なんだということになってしまう。  私は無理だというふうには思わないし、それが可能であることを前提にしてこの委員  会は議論してきたのではないか。問題点はあるという御指摘だというふうに私は受け  止めたんですが、そういうことでよろしいですね。 ○森嶌座長代理 誤解のないように申し上げておきますと、その前についている政府の  方針によると、18年から22年までに人員削減5%とか、そういう大方針が出ているの  で、無理だというのは、できないというんではなくて、そういう方針があるので、な  かなか難しいと申し上げた方がよかったのかもしれません。そういう趣旨であります。 ○水口委員 承知いたしました。   それと、今日はもう時間がないので、第三者監視組織について、ペーパーは出して  いますが、先ほど座長からも、ここの委員会で具体化したいというふうに心強い御発  言をいただいて、本当によかったなと思っているのですが、これについて、具体化す  るまでの議論をここでやるべきだと思いますので、次回是非時間を取っていただきた  いと思っております。 ○寺野座長 そうですね。この監視組織については、3月の会議でも非常に中心的な議  題になって、今年度に持ち越しているわけですから、今の組織論の根本的なところ、  すごく難しいんですけれども、これは可能だろうと思います。   間宮委員、どうぞ。 ○間宮委員 一言だけ言わせていただきたいんですけれども、国の賠償責任ですとか、  大臣の責任とか、ここで書いてありますけれども、基本的に国は国民の生命、健康を  守る責任があるわけです。ですから、責任があるということは、責任を取る義務もあ  るわけで、賠償責任がないとかという議論というか、こういうふうに出てくるという  のは非常におかしいんではないかというふうに思います。   以上です。 ○寺野座長 ここも◎はなくて○と△なので、何だかよくわからないんだけれども、こ  の辺の評価の問題というのはまた考えます。   西埜委員、どうぞ。 ○西埜委員 大体、皆さんおっしゃったことと重なりますけれども、23ページの表、い  ろいろ御苦労されてつくられたんだと思います。これで考えられ得る形態というのは  大体わかりますけれども、先ほどから出ておりますように、上の項目をもう少し整理  された方がいいんではないかと思います。   前回も申し上げましたが、大臣の責任のところは法的には非常に疑問があるんです  が、前回は文章で出されていましたからそんなに気づかなかったんですが、更に、事  務局の方では、このまま通してくださいというということでしたから、あえてそれ以  上の異論を申し上げませんでしたが、こういうふうに表になってきますと、大臣の責  任だけが非常に目立つんです。確かにこれまでは大臣が全部責任を負うということを  大臣が強調されていましたから、その線でやってきたということもあるんですが、こ  こに◎が3つあります。国の賠償責任は△、○ということで、◎がないんですが、例  えば、[1]だと、国の賠償責任は◎ではないですか。[2]も◎がついてくるんではないか  と思いますが、そうではなくて、[1]は△です。ここのところがわかりませんので、も  う少し整理していただきたいと思います。   それから、先ほど森嶌先生おっしゃったように、最近はいろんな法人等に民営化、  民間委託ということが進んできていまして、責任の所在が非常に不明確になってきま  した。公的な行政を担う一環ではあるんですが、民間の形を取っているということに  なりますと、だれが責任を負うのか。特に国家賠償法上の責任はだれが負うのかとい  うことで意見が分かれてくるんですが、私の個人的な意見としては、いかに法人の方  にいろんな権限業務を委託する、あるいは授権するということになりましても、最終  的には国の賠償責任は免れないんではないかなと思いますが、それは少々細かになり  ますから、これから議論が進んできましたらまた申し上げたいと思います。   以上です。 ○寺野座長 泉委員。 ○泉委員 先ほど水口先生から時間がないので次回以降にという話がありましたけれど  も、今日、出ていますペーパーを見させていただいて、第三者機関の組織の具体的な  話をするためには、薬害防止法、法律を制定しないと、その先には進まないし、一緒  にやらないといけないことだと思います。   非常に大きな難題ではありますけれども、薬害防止法のための第三者機関の設置な  どを考えていかないと、この委員会全体でできるわけではないので、そういうことを  念頭に是非進めていただけたらと思います。 ○寺野座長 貴重な御意見ありがとうございます。そのとおりですね。そこまで突っ込  んでいくべきだということだと思います。   時間が大分過ぎまして、1回1回がうんと延びてしまうとみんな嫌になってしまう  と思いますので、大体これぐらいの時間で終わりたいなというふうに思います。一区  切りついたところで、実は、最後の議論は、今からずっと今年度いっぱいやっていく  わけですので、皆さん、御意見がありましたら、先ほどの表もそうなんですけれども、  是非FAX等でお知らせいただいて、参考にしていきたいと思います。事務局に全部  これをやれと言っても、事務局にも限界があるんです。だから、事務局のつくったも  のを批判しているというよりも、こういうたたき台はあるけれども、それをみんなで  直していこうという姿勢を持っていただく必要があるんだろうと思います。   今日は、今後の方針というものも勿論ありましたが、お2人の被害者の方の非常に  貴重な御意見を昨年の6月に続いていただきました。非常に参考になると思いますし、  全体としての検証、再発防止、非常に重要ですけれども、個々の救済もどういうふう  にしていくのかということです。賠償責任もあるでしょうけれども、救済方法をどの  ようにしていくか、医学的なものも社会的なものもありますけれども、やはりこの委  員会にある程度負託されているのかもしれないということで、その辺も念頭に置いて  考えていきたいなと思います。   最後の御議論は、この委員会ができたときからの議論の延長をずっとやっておるわ  けですけれども、ぐるぐる回っていても仕方がないので、前の資料もあって、一応、  今日の資料で整理はされていると思いますので、よく読んでいただきまして、効率の  いい議論をしていただきたいなと思います。これは本当にスケールの大きな話でござ  いますので、切りがないぐらいあるんです。座長がうまく整理できるかどうかわかり  ませんけれども、森嶌先生が隣にいていただけるので心強く思っておりますけれども、  整理しながら、いい方向に、我々にできることとできないこととあるだろう。   でも、できないとしても、あきらめるんではなくて、1つの提言として十分出せる  ような、そういう方向でいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。   そういうことで、今日は時間がきましたので、これで終わりにいたしますけれども、  事務局の方から連絡事項がありましたら、よろしく。 ○医薬品副作用被害対策室長 次回の委員会は6月25日15時からということで御案内を  しております。場所はまだ決まっておりませんけれども、決まり次第、また、議題の  方も、今日の御議論を踏まえて整理をして御連絡をしたいと思います。よろしくお願  いいたします。 ○水口委員 座長、1点だけ。 ○寺野座長 どうぞ。 ○水口委員 すみません。パブリックコメントを是非、第一次提言について募集してい  ただきたいと思います。 ○医薬品副作用被害対策室長 中間とりまとめについて、厚労省のホームページで御意  見募集という形を取っておりましたけれども、それを差し替えるような形で、第一次  提言について御意見をいただくというのを進めたいと思っております。 ○寺野座長 よろしいでしょうか。それでは、今日の委員会を終わりにいたします。ど  うもありがとうございました。これで終わります。                                     (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111